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2010/04/16 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第17号
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2010/04/16 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第17号

#1
第174回国会 本会議 第17号
平成二十二年四月十六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十七号
    ─────────────
  平成二十二年四月十六日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 医療保険制度の安定的運営を図るための
  国民健康保険法等の一部を改正する法律案(
  趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。長妻厚生労働大臣。
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(長妻昭君) 医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の医療保険制度においては、昨今の経済状況の悪化や医療費の増加等により、各医療保険者の財政状況が非常に厳しくなっており、このままでは市町村国民健康保険、協会けんぽ、後期高齢者医療制度それぞれの来年度以降の保険料の大幅な上昇が見込まれるところでございます。このため、厳しい経済状況の中で、できる限り保険料の上昇を抑制するために必要な財政支援措置等を講ずることにより、医療保険制度の安定的な運営を図ることとしております。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、国民健康保険制度においては、市町村が運営する国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、所得の少ない方の数に応じて市町村を財政的に支援するための制度や、高額な医療費に対して国及び都道府県が補助する事業を継続するとともに、一定の額以上の医療費を市町村が共同で負担する事業について、都道府県の権限と責任の強化を図った上で継続をするということにしております。
 あわせて、国民健康保険事業の運営の広域化や財政の安定化を推進するため、都道府県が市町村に対する支援の方針を策定できるようにすることとしております。
 また、保険料の滞納により世帯主に被保険者資格証明書を交付する場合において、子供が安心して医療を受けることができるよう、保険者は、当該世帯に属する中学生以下の被保険者に加えて、高校生世代の被保険者に対しても、有効期間を六月とする短期被保険者証を交付することとしております。
 第二に、健康保険制度においては、協会けんぽに対する国庫補助率について、平成二十四年度までの間は、千分の百六十四とするとともに、同期間については、毎事業年度における財政均衡の特例を設けることとしております。
 あわせて、被用者保険等の保険者が負担する後期高齢者支援金について、平成二十四年度までの間、その額の三分の一を被用者保険等の保険者の標準報酬総額に応じたものとすることとしております。
 なお、協会けんぽに対する国庫補助率については、その財政状況等を勘案し、平成二十四年度までの間に検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとしております。
 第三に、後期高齢者医療制度においては、被用者保険の被扶養者であった高齢者に対して課する保険料の軽減措置について、当分の間、市町村及び都道府県が行う財政措置を延長するとともに、都道府県に設置する財政安定化基金について、当分の間、これを取り崩して保険料率の増加を抑制するために充てることができるようにしております。
 最後に、この法律の施行期日については、平成二十二年四月一日としておりますが、高校生世代の被保険者に対する短期被保険者証の交付や協会けんぽに対する国庫補助率、後期高齢者支援金に関する規定については、平成二十二年七月一日から施行することとしております。
 なお、本法律案は、その施行期日を平成二十二年四月一日と提案しておりましたが、衆議院において公布の日に修正されておりますので、御報告いたします。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。よろしくお願いをいたします。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。金子洋一君。
   〔金子洋一君登壇、拍手〕
#6
○金子洋一君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の金子洋一でございます。ただいま議題となりました医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等改正案に対し、会派を代表して質問いたします。
 私は、昨年十月に本院の議員として当選をさせていただきました。今回が初めての代表質問でございます。このような貴重な機会を与えていただきました会派の先輩議員の皆様方に心から感謝を申し上げます。
 さて、これまでの政権の下、毎年二千二百億円ずつ社会保障関連予算が削減され続けてまいりました。この理念なき財政削減により、そして過度の診療報酬の引下げやOECD諸国平均を大きく下回る医師や看護師の人数、また高い患者の窓口負担などと相まって、地域における医療崩壊を助長してしまいました。これらの問題の是正につきまして我が政権は全力で取り組んでいかなければならないことを申し上げたいと存じます。
 同時に、我が国は、中央銀行が過度の独立性を持っており、組織の利益を優先する余り、デフレ脱却に有効な金融政策を取らないことが原因で、世界でも例を見ない長期にわたる経済停滞の下にございます。その結果、税収が大きく落ち込んでおり、国と地方の財政状況がますます悪化をし続けております。とりわけ、前政権から負の遺産として引き継いだ健保財政の悪化を放置することは、これはできないものであります。そこで、あえて国民の皆様や健保組合など関係者に御負担をお願いするものが今回の改正案であろうと考えております。
 まず、長妻大臣にお伺いしたいのは、既に制度疲労が生じているという指摘もある国民皆保険制度につきまして将来ともに堅持していくことができるのか、とりわけ財政悪化をどのように是正していくのか、その決意のほどを率直にお聞かせいただければと存じます。あわせて、今回の改正案で国民の皆様に強くアピールしたい点があれば、これにつきましても是非とも御指摘いただきたい。
 次に、今回の改正案につきまして、健康保険組合側から、かつての政府管掌健康保険である協会けんぽの財政難を肩代わりして救済するものではないかという御批判もございます。協会けんぽの財政難の問題は、これは避けて通れない大変大きな問題でありますが、この点について、大臣からそれぞれの立場に立つ方々にとって納得のいく説明をいま一度お願いをしたいと存じます。
 また、協会けんぽ、そして組合健保、さらに組合健保内でも様々な理由により保険料率の格差がございます。現に存在するこの格差の問題に対する大臣の御認識と今後のお取り組みについてお尋ねを申し上げます。
 さらに、お尋ねをしたいのは、これまでの政権下で国民の皆様から強い反発を受けた後期高齢者医療制度についてでございます。
 改正案では、新たに三百二十億円の補助金を財政力の弱い健保組合に出すことにしておりますが、他の健保組合との格差を助長するおそれはありませんでしょうか。というのも、保険者の間の相互の助け合いで高齢者医療制度を賄うとしても、現実には健保組合の約三分の一は報酬水準が低く、財政力が弱いわけであります。負担能力の公平性という観点から、政府はどのように説明して理解を求めているのでありましょうか。大臣の率直な答弁を期待いたします。
 また、今後、この後期高齢者医療制度自体をどのように見直すおつもりでしょうか。既に高齢者医療制度改革会議を発足させて検討を始めていらっしゃいますが、いつごろまでをめどにどのような内容に改めるのか、その一端でも明らかにしていただければと存じます。
 今後、更に高齢化が進み、医療を始めとする社会保障関連予算は増大していくことでしょう。これを、だれがどのような手法により負担するのかがこれからの大きな政治課題となることは疑いもありません。とりわけ、デフレを脱却し、景気が中長期的な成長軌道に乗り、税収がアップするまで、厳しい財政状況が続くことでしょう。こうした環境の下で政府が財源をどのように手当てするのかが問われております。
 そこで、最後に長妻大臣に、財源確保に対する御見解、御決意をお尋ねを申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(長妻昭君) 金子議員のお尋ねにお答えを申し上げます。
 国民皆保険制度の堅持、財政悪化への対応と改正案のアピールすべき点についてお尋ねがございました。
 国民だれもが保険証が一枚あれば一定の自己負担で必要な医療が受けられるという国民皆保険は、世界に誇るべき仕組みであり、今後ともこれを堅持してまいります。
 今回の法案においては、一昨年秋以降の経済状況の悪化等により厳しさを増す財政状況への当面の対応として、市町村国保、協会けんぽ、後期高齢者医療制度、それぞれの保険料の上昇をできる限り抑制するということとしております。これにより約八千万人を超える国民の方々の保険料の軽減を図ってまいります。
 あわせて、今回の法案においては、将来の医療保険制度の一元的運用を見据え、国民健康保険の財政の安定化を図っていくために、都道府県単位での広域化をより進めることができるような方策も盛り込んでいることを強調させてください。
 そして、昨年から保険料の滞納にかかわらず中学生以下の保険証の返還は求めないこととしておりましたが、今回の法案では高校生世代以下まで同様の措置を拡大することといたしました。子供の貧困問題への対応の一つといたします。
 次に、協会けんぽの財政問題と健保組合からの肩代わりとの御批判についてお尋ねがございました。
 協会けんぽは、平成二十年秋以降、急速な景気悪化により、平成二十一年度においては保険料収入が大幅に落ち込み、年度末の累積債務が四千五百億円に至ったところでございます。その財政再建に必要な財源を保険料の引上げのみにより確保することは現在の厳しい経済状況の中では避けるべきと判断し、今回の法案により国庫補助率を引き上げることとしたところであります。国庫補助率の引上げの財源については、その半分を後期高齢者支援金に総報酬割を一部導入し、三年間の特例措置として財政力の強い保険者に能力に応じた負担をお願いすることにより捻出することといたしました。
 これに対する肩代わりとの批判については、次の点から必ずしも当たらないと考えております。
 第一に、総報酬割に伴い生じる国庫財源については、削減するのではなく、すべて協会けんぽの財政支援強化に充てること。第二に、厳しい国家財政の下、ぎりぎりの財源捻出を図り、所要財源の半分は国庫負担の純増で賄ったこと。第三に、総報酬割は財政力の弱い約三分の一の組合にとっては負担減となるなど、負担能力に応じた拠出をお願いするものであることであります。
 次に、協会けんぽと健康保険組合、組合内での保険料率の格差についてお尋ねがありました。
 主に中小企業が加入する協会けんぽと大企業が加入する健康保険組合は、主にその被保険者の報酬水準の違いによって保険料率に差が生じております。平成二十年度では、協会けんぽの全国平均が八・二%であるのに対し、約千五百の組合の平均は七・三八%となっており、総じて協会けんぽの負担が重くなっております。また、健康保険組合内でも、主に報酬水準の差により、平成二十年度最も高い一〇%から最も低い三・一%まで大きな幅があります。
 国民皆保険を取る我が国においては、受ける医療サービスの水準に大きな差がないにもかかわらず、加入する保険者によって負担に大きな違いがあることは望ましくないと考えております。このため、今回の法案では、平成二十二年度から二十四年度までの特例措置として後期高齢者支援金の三分の一に総報酬割を導入いたします。これは、より公平な負担を図っていくという考え方に沿ったものになっております。
 被用者保険における費用負担の在り方については、今後とも将来の医療保険制度の一元的運用の方向を見据えつつ、保険者機能にも配慮しながら高齢者医療改革会議などで議論してまいりたいと考えております。
 次に、健康保険組合に対する国庫補助が格差を助長するのではないか等のお尋ねがありました。
 今般、後期高齢者支援金の一部に総報酬割を導入することに伴い、平成二十二年度予算においては高齢者医療制度への拠出金負担が重い健保組合に対する国庫補助を倍増しております。これは、各健康保険組合の総報酬額に占める前期高齢者納付金など負担の重さに着目した支援であるため、必ずしも組合間の財政力の格差を助長したり、負担能力の公平性を損なうものではないと考えております。今後とも、それぞれの状況を十分に把握しつつ、健保組合を適切に支援してまいります。
 次に、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度の内容や今後のスケジュールについて御質問がありました。
 後期高齢者医療制度については、高齢者の方々を年齢で差別するものであるなど大きな問題であり、廃止いたします。廃止後の新たな制度の在り方については、昨年の十一月以来、私が主宰する高齢者医療制度改革会議で検討を進めているところであります。
 私としては、今回の改革において次の点を是非とも実現したいと考えております。
 高齢者の方々が安心し信頼できる制度をつくり上げることはもとより、若い方々も納得して高齢者の医療費を支える制度といたします。また、将来の国民の負担が必要以上のものにならないよう、健康づくりや予防等の面で保険者機能が発揮できる仕組みにいたします。あわせて、長年の課題である市町村国保の広域化に道筋を付け、国民皆保険をしっかりと守ってまいります。
 こうした考え方に立って、既に、検討に当たっての、年齢で区分しないなど六つの原則をお示しをいたしました。改革会議において具体的な制度設計の議論を進め、今年の夏にはその骨格を中間的に取りまとめた上で、本年末をめどに最終的な取りまとめを行います。そして、来年の通常国会には法案を提出し、平成二十五年四月をめどに施行することとしております。
 最後に、社会保障の財源についてのお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化の中でも、年金、医療、介護など社会保障制度を信頼できる持続可能なものとするため、国民的な議論を尽くし、財源をきちんと確保しながら、マニフェスト等で示した政策を着実に実行します。持続可能で安心できる社会を構築するために財源問題は避けて通れませんが、まずは国民の皆様に、支払った税や保険料が全額無駄なく使われているという実感を持っていただくことが重要です。その実感がなければ、新たな御負担をお願いしても理解は得られません。
 このため、まずは内閣全体で、既存の予算、財源を根本的に見直すことなどにより対応する必要があり、厚生労働省としても、今月、四月一日に省内事業仕分け室を設置し、無駄の削減や優先順位の低い事業の見直しに率先して取り組んでまいります。
 以上、よろしくお願いをいたします。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(江田五月君) 南野知惠子君。
   〔南野知惠子君登壇、拍手〕
#9
○南野知惠子君 私は、自由民主党・改革クラブを代表しまして、ただいま議題となりました国民健康保険法等の改正案に関しまして厚生労働大臣に質問をいたします。
 先日、大変ショッキングなニュースが流れました。御存じのことと思いますが、大企業の社員が加入している健康保険組合の財政が大幅に悪化しているとのことでございます。平成二十二年度の赤字額は過去最大の六千六百五億円に上り、約九割の組合が赤字に陥る見通しであります。
 これまで財政に余裕があると見られていた健康保険組合ですが、近年の景気の低迷による賃金の減少や高齢者医療、中小企業の協会けんぽなど、他の保険財政を支援するため極めて厳しい状態に陥ってきたのであります。こうした財政の悪化を受けて、多くの組合が保険料の引上げに踏み切らざるを得ず、従業員の負担は重くなる一方であります。
 さらに、問題は、健康保険組合が支出を減らす目的で従業員の健康の維持管理に必要不可欠である人間ドックへの助成などの事業を縮小する可能性があることであります。保健事業が縮小されれば、健康を阻害するリスクを増大させ、結果的に医療費の増大につながる懸念があります。従業員にとっては、保険料負担が増えるのみならず、健康維持管理に不安を抱くことになります。しかも、これにより将来の医療費等の増大を招くおそれがあるわけで、ゆゆしき事態と言わざるを得ません。
 まず、大臣には、こうした健康保険組合の財政事情をどう認識され、その悪化に伴って起こり得る健康などの問題の深刻化にどのように対応するお考えなのか、御認識を伺います。
 これまで、医療保険制度に関しては大きな改革が節目節目で行われてきたと承知しています。振り返りますと、平成十四年には、被用者保険における本人負担が二割から三割に引き上げられるなどの改革が行われてきました。平成十八年には、後期高齢者医療制度の導入を盛り込んだ健康保険法の改正がなされたのであります。こうした大きな制度改正と比較をすると、今回の法改正は幕合いをつなぐものであり、保険者間の財政調整と国民健康保険に関する財政支援措置の延長を主な内容としています。
 次の大きな制度改正は、後期高齢者医療をどうするかでありましょう。これに関して、民主党は、医療保険制度を抜本的に改革するとして、マニフェストの中で、すぐにでも後期高齢者医療制度を廃止する、医療保険の一元的運用を実現すると明言しておられました。しかし、廃止した後の新しい制度を構築するために、今やっと試行錯誤の議論が始まったにすぎません。
 厚生労働省では、昨年十一月に高齢者医療制度改革会議を立ち上げ、来年度の通常国会への法案提出に向けて準備を進めておられると聞きます。それでも、新しい制度が発足するのは平成二十五年度以降になるとのことです。衆議院選挙前に言っていたことと比べ対応が余りにも遅く、そして将来像が依然としてはっきりしません。多くの国民は不安に陥っているのであります。
 大臣は、後期高齢者医療の廃止、医療保険制度の一元的運用について、これほどまでに対応が遅れ、施行が遠い将来に延期された理由をどのように説明なさるのでしょうか。また、民主党が国民に約束した医療制度の全体像は、具体的にどのようなもので、いつまでに完成するのか、明確に御説明ください。
 では、法案の内容に関して質問させていただきます。
 今回の改正の問題点の一つは、後期高齢者医療制度への支援金の算出方法を変更したことであります。これまで、被用者保険、すなわち健康保険組合、協会けんぽ、共済組合から後期高齢者医療制度へは毎年三兆円を超える支援が行われてきましたが、その支援割合は加入者の人数割で決められていました。これを二十二年度から、支援の三分の一に相当する部分に関しては、それぞれの組合の総報酬、すなわち賃金などの総額に比例させて計算することとしたのであります。
 この場合、健康保険組合と共済組合は賃金などが相対的に多いことから、後期高齢者医療制度への支援金も増えることになります。このため、協会けんぽからの支援金は平年度で八百五十億円減少しますが、健康保険組合からは五百億円、共済組合からは三百五十億円増えることになります。同時に協会けんぽへの公費負担も九百億円減少する措置になっております。こうしたやりくりを見ると、協会けんぽに対する国庫補助を削減し、その分を健康保険組合、共済組合に押し付けていると言われても仕方がありません。
 冒頭に述べましたように、健康保険組合は財政が大幅に悪化し、協会けんぽ同様、拠出金負担に苦しんでおります。こうした状況下での負担のツケ回しは、健康保険組合の存続にかかわるのではないでしょうか。現に、健康保険組合側は今回の法案に対し、繰り返し反対の意思表明をしております。
 大臣は、被用者保険グループから具体的にどのような意見を聞いておられるのでしょうか。また、その意見に対してどのように対処する方針なのでしょうか。あるいは、そうした切実な声を無視して、合意を得ずに進めていくおつもりですか。認識をお伺いいたします。
 特に、健康保険組合については、自助努力で成り立つ組織であり、従業員の疾病予防活動などを通じて保険料の上昇を抑制するという経営努力を積み重ねてきたのであります。十分な検討をしない安易な財政調整の拡大は、こうした健康保険組合の努力に水を差すものであり、その存立を危うくする可能性も否定はできないのであります。
 今回、後期高齢者支援金の三分の一について総報酬割の導入を提案されていますが、これを認めれば、今後、際限なき財政調整につながるのではないかとの懸念の声が強まっております。果たして大臣は、総報酬制の導入について、組合の経営者も従業員も納得する理由を説明できるのでしょうか。是非とも納得のいく説明をお聞かせいただきたいと思います。
 そして、こうした措置は、被用者保険間の財政調整の強化につながります。国民健康保険や後期高齢者医療制度などを含めた全体の医療保険の姿について、何の将来像もないまま被用者保険の機能を存続させ、補い合うことが行われます。それは、民主党の地域保険として一元的運用を図るという方向性と全く矛盾することになります。
 民主党が目指す地域保険としての一元的運用においては、健康保険組合などそれぞれの保険者機能はどう位置付けられるのでしょうか。大臣の御認識をお伺いいたします。また、一元的運用と制度が一体になることとはどのように違うのか、明快な説明を聞いたことがございません。その違いに関しても分かりやすく国民に説明を願います。
 法改正によって、協会けんぽに対する国庫補助率が一三・〇%から一六・四%に引き上げられることになっております。しかし、補助率をこの程度引き上げたとしても、従業員の平均の保険料率は八・二%から九・三四%に上昇する見込みであります。これを金額に換算すると、被保険者一人当たり、労使で年間約四・二万円の負担増となるのであります。
 一昨年来の不況により、中小企業は押しなべて経営が悪化し、また従業員は給料が減少しています。事業主、被保険者共に大変厳しい状況にあり、これ以上負担を強いるわけにはいきません。したがって、国庫補助率については、法律の本則に上限二〇%と規定しているのですから、その上限にまで引き上げるべきであり、それによって保険料率を八・二%に維持すべきではないでしょうか。鳩山政権のいのちを守るというスローガンはどこへ行ったのでしょうか。大臣の認識をお聞きいたします。
 また、国庫補助率の一六・四%への引上げは三年間の時限措置とされていますが、なぜ三年間に限ったものとしているのでしょうか。三年経過して、平成二十五年度以降は協会けんぽの財政事情も良くなる見通しがあり、一三%に戻すのでしょうか。あるいは、更に財政事情が悪化することが予測され、上限の二〇%に引き上げることを想定しているのでしょうか。ここでも、後期高齢者医療制度を含めた医療保険全体の改革の姿が示されていないために、将来の国庫補助をどうするのかも見えてきていません。大臣の認識をお聞きいたします。
 子ども手当や高校授業料無償化に関係した問題もあります。
 現在、保険料の滞納世帯であっても、中学生以下の子供たちには短期被保険者証が発行され、保険の適用が認められています。今回の法改正で高校生以下にまで対象者が拡大されることになります。子供たちにとっては有り難いことだと思います。
 しかし、これには賛成意見もある一方、親がそれに甘んじて保険料滞納を改めないなどのモラルハザードを懸念する声があります。例えば、子ども手当を受給し、高校授業料無償化の恩典を享受しながらも、保険料を滞納し、子供だけは短期被保険者証で守ってもらおうということがあっていいのでしょうか。歯を食いしばって保険料を払っている家庭との公平性を考える必要があります。こうしたモラルハザードを防ぐための対策は講じておられるのでしょうか。大臣の認識をお聞きします。
 最後に、以上、今回の法改正について、医療保険制度の全体像が見えない中で、当面の保険者間の財政事情をやりくりする一時しのぎの措置と言わざるを得ません。国の御都合主義だけが優先され、保険者の了解や納得が得られていない改正であり、生活苦にあえぐ従業員に更なる負担を強いることにもなります。そのことを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(長妻昭君) 南野議員にお答えを申し上げます。
 健康保険組合の財政状況に対する認識と、その悪化に伴う保健事業等への影響についてお尋ねがありました。
 約千五百の健康保険組合の財政状況については、平成十六年度以降徐々に悪化し、平成二十年度決算見込みでは全体の約七割が経常収支で赤字、赤字額は約三千六十億円と見込まれております。また、健康保険組合の平成二十二年度予算早期集計を見ても、全体として厳しくなっている傾向であると承知しております。
 健康保険組合は、これまでも健康づくりに積極的に取り組んでいただいております。例えば、約五割の組合が経常収支で赤字であった平成十九年度でも、約九割が人間ドックを実施していただいております。こうした健康づくりなどの保険者機能が引き続き発揮されるよう、厚生労働省としては、健康保険組合の財政状況を十分に把握した上で、財政が窮迫している組合への国庫補助や前期高齢者納付金等の負担が重い組合に対する助成を倍増するなど適切な支援を講じております。
 次に、後期高齢者医療制度の廃止及び医療保険制度の一元的運用や全体像についてのお尋ねがありました。
 民主党マニフェストにおいては、後期高齢者医療制度を廃止することは四年間で、地域保険として一元的運用を図ることは将来の姿として明記しており、対応が遅れているという御指摘は当たりません。
 後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度の在り方については、年齢で区分するという問題を解消する、二番目としては高齢者の保険料が急に増加したり不公平なものにならないようにする、三番目としては市町村国保の広域化につながる見直しを行う等の六原則を掲げた上で、私が主宰する高齢者医療制度改革会議において議論を進めております。今年の夏には新たな制度の基本骨格を明らかにした上で、来年の通常国会には法案を提出し、マニフェストに沿って一期四年の中で廃止をいたします。
 さらに、将来の地域保険としての一元的運用についても、保険者機能に配慮しながら段階的に進めることとしております。そのためには、国民健康保険において都道府県単位での運用の広域化を進めること、被用者保険において各保険者間の助け合いを進めることが必要であり、今回の法案にもこうした措置を盛り込み、来年の法案により更なる取組を進めてまいります。
 次に、健康保険組合から本法案の費用負担の在り方についてどのような意見を聞き、どう対処するかについてお尋ねがございました。
 健康保険組合の関係者からは、主に三点にわたる御意見をいただいております。
 第一に、協会けんぽの国庫補助率の引上げは国の責任で行うべきものであり、その財源の一部を組合が負担するのは納得できないこと。第二に、高齢者医療費の負担方法については、現在国において議論の最中であり、その結論を待たずに変更を行うのは納得できないこと。第三に、健康保険組合の財政は悪化しており、これ以上の負担増には耐えられないことなどであります。
 総報酬割の導入に関するこれらの意見に対しては、これまでも次のとおり健康保険組合関係者に御説明をし、理解と協力を求めてまいったわけでございます。
 第一に、総報酬割は負担能力に応じた分担をお願いするものであり、これにより捻出される国費と同額を協会けんぽの国庫補助率の引上げ財源として純増で確保すること。第二に、今回の措置は窮迫している協会けんぽに対する三年間の特例措置として導入するものであること。第三には、総報酬割の導入は財政力の弱い健保組合の約三分の一の組合にとっては負担減となり、さらに平成二十二年度予算では、前期高齢者納付金等の負担が重い組合に対する国の支援を倍増していることなどであります。厚生労働省としては、引き続き関係者の御理解を得られるように努めてまいります。
 次に、総報酬割の導入理由についてお尋ねがありました。
 後期高齢者支援金については、従来、保険者間で加入者の数に応じた一人当たり金額で分担する仕組みでありました。このため、協会けんぽなど財政力が弱い保険者の支援金負担が相対的に重く、かねてより負担能力に応じたものとすべきとの意見もあったところであります。
 今般、協会けんぽの財政再建に当たっては、こうした考え方も踏まえ、支援金の三分の一に総報酬割を導入し、より財政力の強い保険者に負担をお願いするとともに、これによって生じる国費を協会けんぽの国庫補助の引上げ財源に充当したところであります。今回の措置により、健康保険組合の中でも報酬水準が低く財政力の弱い約三分の一の組合では負担減となり、支援金についてより負担能力に応じた公平な負担に近づいたところであります。
 次に、保険者機能の位置付け又は地域保険としての一元的運用と制度が一体になることとの違いに関するお尋ねがありました。
 国民皆保険を取る我が国においては、加入する医療保険により給付や負担に大きな差が生じないよう、給付の平等と負担の公平を図ることが重要と考えております。このため、民主党マニフェストにも、被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図る旨掲げているところであります。医療保険の一元的運用については、必ずしも保険者の一本化という方法に限らず、保険者機能にも配慮しながら保険者間の助け合いを進めていくという方法も考えられます。
 今後、医療保険制度改革を進めていくに当たっては、これまでも健康保険組合が健康づくりなどで積極的に保険者機能を果たしてきたという役割にも十分配慮しながら段階的に進めていく必要があると考えております。
 このため、まず、高齢者の方々を年齢で差別するなどの問題を抱える後期高齢者医療制度を廃止し、将来の医療保険制度の一元的運用を見据え、新たな制度を構築することとしております。
 あわせて、一元的運用を図るためには、第一に、国民健康保険においては、都道府県単位での運営の広域化を進めること、第二に、被用者保険においては、各保険者間の助け合いを進めることが必要と考えており、今回の法案においてもその方向性に沿った措置を盛り込んでいるところでございます。
 次に、協会けんぽの国庫補助率を二〇%まで引き上げるべきとのお尋ねがありました。
 今般の法案では、協会けんぽの財政再建のための特例措置の一つとして、平成四年度以降暫定的に引き下げられたままとなっていた国庫補助率一三%を法律本則の水準である一六・四%に引き上げることといたしました。これは自民党政権でもできなかったことであります。必要となる財源については、後期高齢者支援金の一部への総報酬割導入によって生じる国費とともに、所要額の半額について、厳しい国家財政の中でぎりぎりの財源捻出を行い、国庫負担の純増を行うこととしております。
 次に、協会けんぽの国庫補助率の引上げが三年間の時限措置である理由についてお尋ねがございました。
 今般の国庫補助率の引上げは、協会けんぽの急激な財政の悪化を受け、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度の施行を待つことなく、できるだけ早期に財政再建を行うため、平成二十二年度から二十四年度までの三年間の特例措置として行うものであります。平成二十五年度以降の国庫補助率については、高齢者医療制度の検討状況とともに、協会けんぽの財政状況、国の財政状況等を勘案の上、二十四年度までの間に検討することを今回の法案に明記をしております。今後とも、協会けんぽの財政状況を注視しつつ、その財政基盤の安定化を図るために必要な対策を講じてまいります。
 最後に、高校生世代への短期被保険者証の交付に伴うモラルハザードについて御質問がございました。
 平成二十年の議員立法により、平成二十一年四月から、滞納世帯についても、大人を除き中学生以下についてだけは、窓口で全額自己負担となる資格証明書を交付せず、保険証と同じ効力の短期被保険者証が交付されることとなりました。その後、実態を調査したところ、資格証明書を交付されている高校生世代が一万人を超えていることが判明したことから、この交付対象を高校生世代まで拡大することとしたものです。
 これによってモラルハザードを引き起こすのではないかという御指摘ですが、これらの措置はあくまでも子供だけについて一定の窓口負担で医療にかかれるようにすることが目的であり、世帯主に対しては、引き続き資格証明書が交付され、納付相談の機会が確保されることになります。いずれにしても、滞納者に対してはできるだけ納付相談の機会を確保し、支払うことのできない特別の事情がないにもかかわらず保険料を滞納している悪質な方については、差押えも含めた滞納対策を講じていくこととしております。
 以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
#11
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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