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2010/05/28 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第25号
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2010/05/28 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第25号

#1
第174回国会 本会議 第25号
平成二十二年五月二十八日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十五号
  平成二十二年五月二十八日
   午前十時開議
 第一 国際連合安全保障理事会決議第千八百七
  十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査
  等に関する特別措置法案(第百七十三回国会
  内閣提出、第百七十四回国会衆議院送付)
 第二 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置
  法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の
  入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆
  議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、放送法等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 一、日程第一及び第二
 一、口蹄疫対策特別措置法案(衆議院提出)
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 放送法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。原口総務大臣。
   〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(原口一博君) 放送法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した制度の整理合理化を図るため、各種の放送形態に係る制度を統合し、無線局の免許及び放送業務の認定の制度を弾力化する等、放送、電波及び電気通信事業に係る制度について所要の改正を行う必要があります。
 これらが、今般、法律案を提出した理由でございます。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、放送に係る制度の整理合理化を図るため、放送関連の四つの法律を一つに統合するとともに、放送を基幹放送と一般放送に区分し、放送の業務の参入について、基幹放送は認定、一般放送は登録とするとともに、放送の業務と電気通信設備の設置、運用を一の者で行うことも、それぞれを別の者が担うことも選択可能にする一方、地上放送において放送の業務と無線局の設置、運用を一の者が行う場合には、無線局の免許のみで足りる現行の制度も併存させることとしております。
 第二に、放送の多元性、多様性等を確保するため、基幹放送について、いわゆるマスメディア集中排除原則の基本的な部分を法定化し、複数の基幹放送事業者への出資に関しては、一定の範囲内において定める水準を超えないことを原則とすることとしております。
 第三に、放送についてはこのほかに、設備の維持、重大事故が発生した場合の報告、放送番組の種別の公表、有料放送の提供条件の説明、再放送同意をめぐる紛争に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁等に関する規定を整備することとしております。
 第四に、電波利用に係る制度の合理化、弾力化を図るため、主たる目的に支障のない範囲で、一つの無線局を通信及び放送の双方の目的に利用することが可能となるよう、無線局の免許及び目的変更の許可に関する規定を整備するとともに、免許を要しない無線局の空中線電力の上限の見直し、携帯電話基地局の免許の包括化、電波監理審議会による意見の聴取等に関する規定を整備することとしております。
 第五に、電気通信事業に係る制度の整理合理化を図るため、いわゆるコンテンツ配信事業者等と電気通信事業者との間における電気通信役務の提供をめぐる紛争等に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者の接続会計に関する規定を整備するとともに、有線放送電話に関する法律の廃止及びこれに伴う規定の整備等を行うこととしております。
 第六に、附則において、政府は、この法律の施行後三年以内に、表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための制度の在り方について、放送の健全な発達を図り、国民にその効用をもたらすことを保障する観点から、新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者と基幹放送事業者との関係、いわゆるクロスメディア所有規制の在り方を含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電気通信紛争処理委員会の委員の任命に関する改正規定等は公布の日から、電波監理審議会による意見の聴取に関する改正規定等は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、免許を要しない無線局に関する改正規定等は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、衆議院におきまして、電波監理審議会の建議及び資料の提出等の要求に関する規定を削除することとする修正が行われております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。世耕弘成君。
   〔世耕弘成君登壇、拍手〕
#7
○世耕弘成君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました放送法等の一部を改正する法律案について、総務大臣に質問をさせていただきます。
 まず、本論に入る前に一言申し上げます。
 衆議院において放送法改正案の強行採決を行った政府・与党の皆さんの暴挙について、厳重に抗議をいたします。今国会では、国民健康保険法改正案を始め国家公務員法改正案、地球温暖化対策法案などに続く強行採決であります。
 確かに、我々自民党が与党時代にも質疑を打ち切って採決といったケースはありました。しかし、それは十分な質疑時間が積み上がり、質疑が尽くされていることなどを前提に、野党の皆さんにも十分な説得を続けた上で、最後の最後の手段として断腸の思いで行っておりました。民主党の皆さんは、それでも数の横暴、数の横暴と強行採決を批判していたはずであります。
 しかし、民主党は、政権を取った後は一気に姿勢を変えて安易な強行採決を繰り返してきました。今国会でも一体何本の強行採決を行おうとしているのでしょうか。もはや強行採決は民主党政権のお家芸と言わざるを得ません。
 放送法改正案は、与野党間で真摯な修正協議が行われておりました。にもかかわらず、小沢幹事長のツルの一声で強行採決が行われたのです。そして、今、更に二〇〇五年の総選挙で国民の意思が明確に示された郵政民営化を見直す法案についても強引な採決が懸念をされています。
 小沢幹事長は、去る二十三日、全国郵便局長会の総会に出席し、民主党は連立与党と協力しながら今国会での郵政改革法案の成立を皆様に約束すると明言をされました。また、本院の佐藤総務委員長は、同じ場で、最終盤で相当強引なことをやらぬといかぬと発言したと報じられております。総務委員長は郵政改革法案がまだ衆議院において委員会審議にも入っていない段階において強行採決の姿勢を示したのであります。
 この度の放送法改正案の強行採決は、郵政改革法案を強行採決するための露払いとして断行したとしか考えられません。放送法は、民主主義の根幹である報道の自由、国民の知る権利と密接に関係する重要な法案です。しかも、今回は六十年ぶりの大改正でもあります。にもかかわらず、衆議院での質疑時間はわずか十時間余りで、修正協議を強引に打ち切って採決をされました。民主党の皆さんは、終盤国会において党利党略優先の姿勢をいつまで取り続けるのでしょうか。良識の府である参議院においては、強行採決を繰り返すことのないよう強く申し上げるとともに、この度の事態に対し、政府・与党の皆さんに猛省を促したいと思います。
 また、口蹄疫問題についても、民主党政権の極めて場当たり的な姿勢が被害を拡大させたことは明らかです。
 国会運営を数の力でじゅうりんしながら、また国民生活に甚大な被害を及ぼすのが、民主党の言う政治主導、国民の生活が第一の実態であると言わざるを得ません。政権交代から既に八か月余り、今や国民の多くが民主党、鳩山政権に失望しています。総選挙では、マニフェストや美辞麗句によって幻想を振りまき、魔術師さながらに国民を欺きましたが、今やその地金はだれの目にもあらわとなっています。国民の生活が第一などと公言しつつ、その実、民主党は、国民生活への深刻なダメージや、この国に危機をもたらそうとしているのであります。
 その最大の実例が普天間基地移設問題であります。
 鳩山総理は、最低でも県外という自らの発言を翻し、選挙公約ではないと述べるなど、場当たり的な発言で沖縄県民の思いを愚弄し、日米間の信頼関係を毀損してきたのです。そして、二十三日、総理は沖縄を再度訪れ、普天間の移設先を自民党政権時代と全く同じである辺野古周辺と明言をいたしました。総理は、国会などにおいて、五月末までに地元、米国、連立与党が合意する政府案で決着させる、この問題に職を賭すると述べられてきたと思いますが、こうした今までの発言がむなしく響きます。
 五月末が迫る中、今日中にも何らかの発表がなされるようですが、アメリカ向けの内容と国内向けの内容が異なる二枚舌のメッセージになると言われています。事ここに至っては、総理の発言や姿勢はもはや全く迷走していると言わざるを得ません。このような内閣の一員として閣僚の皆さんは恥ずかしくないんでしょうか。鳩山内閣には、どうか速やかな総辞職、解散総選挙を望むものであります。
 それでは、本論に入ります。
 さて、この度の放送法改正案は、昭和二十五年制定以来六十年ぶりの抜本改正で、これまで我が党を中心に検討を進めてきたものであります。本日は、我が党が検討してきた項目以外に唐突に加わってきた追加項目を中心に伺ってまいります。
 まず、放送法改正案について簡単に振り返ってまいります。
 本法案は、平成十八年六月の通信・放送の在り方に関する政府与党合意等を発端として、見直し作業が進められてまいりました。そして、昨年八月、民間の有識者を中心とする総務省の情報通信審議会が通信・放送の総合的な法体系の在り方を答申いたしました。この答申に基づき本法案が立案をされたわけであります。しかし、本法案の原案には、後ほど詳細にお聞きしますが、電波監理審議会の機能強化やNHK会長に対する経営委員会の議決権の付与など、この答申にはそもそも盛り込まれていなかった事項も規定をされております。
 そこで、冒頭、なぜ今放送法改正を行うのか、総務大臣に見解を伺います。また、大改正と言いながら、NHKなどを含めた通信・放送の将来像を描いていないではないかという指摘があります。そこで、こうした指摘に対する大臣の見解を伺います。また、報道機関への規制強化にもつながりかねない放送法の改正には、政治的、恣意的な判断が入り込まないよう、審議会等、民間の専門家の議論や外部のヒアリングを経て内容を決めることが重要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、NHK会長への経営委員会の議決権の付与について伺います。
 昭和三十四年以前は、NHK会長は、経営委員会の構成員として議決権を持っておりました。しかし、昭和三十四年の放送法改正により、NHK会長は経営委員会の構成員から除外されました。当時、除外する理由として、会長が経営委員会の意思決定について議決権を持つということは、会長に強力な権限を与えることになり、意思決定機関たる経営委員会と業務執行機関である会長の権限の均衡を失する可能性があるからだという指摘がなされておりました。
 その後も、経営委員会の構成員からは除外したとはいえ、皆さん御存じのとおり、NHK会長の権限はなお強力で、そのことがかつての独裁的会長の存在やNHK不祥事の温床になったと言われております。私は、今後、NHKがきちんとしたガバナンスを持った組織になっていくためには、逆に理事会への議決権付与など、会長に対するチェック・アンド・バランスをしっかり構築していくことこそが重要だと考えます。
 しかし、この度、政府・与党は、逆に法律を昭和三十四年以前の状態に戻し、NHK会長の権限を再び強化しようとしているのです。政府・与党の皆さんは再び針を元に戻すおつもりなんでしょうか。なぜ、今、NHK会長に議決権を付与して権限強化を図る必要があるのか、明快な答弁を求めます。あわせて、NHK会長が経営委員会の構成員でないことによって具体的にどのような支障がこれまで生じてきたのか、お尋ねをいたします。
 次に、経営委員の欠格事由の緩和について伺います。
 現行法では、放送用の送受信機の製造業者や販売業者といったNHKの利害関係者は、そのポストを辞任してから一年以上経過しないと経営委員になれないというルールがありました。改正案では、任命時点において該当しなければ経営委員に任命することができると、欠格事由を大幅に緩和しております。このような直前までNHKに機材を納入していたような関係者がNHKの経営をしっかりとチェックすることができるのか、甚だ疑問であります。なぜこのような欠格事由の緩和を行うのか、伺います。
 次に、電波監理審議会の権限強化規定について伺います。
 本法案では、新たに電波監理審議会に、放送についての重要事項に関し自ら調査審議し、総務大臣に建議することができる制度を導入しようとしておりました。しかし、衆議院修正において、この権限を強化する条文は削除されました。先ほど触れましたが、昨年八月の情報通信審議会の答申においては、電波監理審議会の権限強化については何ら盛り込まれておりませんでした。突如、原口大臣の意向でこの権限強化の内容が盛り込まれたと言われております。
 そこで、原案で盛り込まれた電波監理審議会の権限強化は大臣の意向で盛り込まれたのか、またそのねらいは何だったのかを伺います。また、この度の衆議院修正によって大臣の意向部分は削除されてしまったわけですが、その評価についてもお伺いをいたします。
 次に、マスメディア集中排除原則について伺います。
 マスメディア集中排除原則とは、申すまでもなく、放送をすることができる機会をできるだけ多くの人に対し確保することによって、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにし、健全な民主主義の発展に寄与しようとするもので、一つの組織や一人の人が支配できる放送局の数について制限を課するものであります。
 改正案では、出資の上限を五分の一未満から三分の一未満へと大幅に緩和しております。ただし、基幹放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されることが妨げられないとして、総務省令で定める場合はこの限りではないとしております。そこで、このような大幅に緩和をした目的について伺います。
 次に、マスメディア集中排除原則と関連して、いわゆるクロスメディア所有規制について伺います。
 クロスメディア所有規制とは、同一の者が新聞、テレビ、ラジオを同時期に支配することを規制するものであります。本法案には、クロスメディア所有規制について、附則において検討事項として盛り込まれております。この規定も大臣主導による追加項目として新たに出てきたポイントです。小沢・鳩山事件に関して、新聞もテレビも批判一色であったことを念頭に置いておられるのでしょうか。言論に多様性を持たせることが必要との考えで追加されたと認識しておりますが、政治が言論の在り方を変える意図を持って報道機関の経営に規制を掛けるような項目を法律に盛り込むことは、まさに政治による報道への介入につながる非常に危険な行為だと考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 最後に、参議院においては、良識の府らしく、この放送法改正案はもちろんのこと、その他の法案においても充実した委員会審議を行われ、改めて与党の皆さんにそのことを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(原口一博君) 世耕議員から八点、お尋ねがございました。
 まず、放送法改正を今行う理由及び通信・放送の将来像との関係についてお尋ねがございました。
 六十年ぶりの改正と言われますが、もうとっくの昔にやっておかなきゃいけなかった、そういう改正であります。
 今回の改正は、デジタル化の進展に対応して制度の整理合理化を図り、事業者の経営の選択肢の拡大、利用者の権利保障に係る制度改正を行うものであり、成長戦略の根幹を成す通信・放送の更なる発展を目指すものでございます。
 次に、放送法改正の過程についてお尋ねがございました。
 今回の改正は、これまでの衆参の総務委員会における御議論や情報通信審議会における審議、業界ヒアリング、パブリックコメント等を反映したものでございます。
 次に、NHK会長に議決権を付与する理由や現行の経営委員会における支障についてお尋ねがございました。
 総務委員会の御質疑では世耕委員は一定の御理解をいただいたというふうに理解をしておりましたが、現行の制度では、極論すれば、執行部の意見を全く聞かないまま経営委員会が経営方針の決定等を行うことも可能です。CEO、COO、本当のCEOになっているのか。
 このため、今回の改正は、会長の経営委員会への出席を確保し、一定の事項を除いては会長に議決権を与えることにより、経営委員会による経営方針の決定等に執行部の意思が反映され、実際的な業務執行の観点から見ても、視聴者の代表である経営委員会と、そして執行部の決定が適切かつ迅速に行われ、NHKの公共放送としての役割がしっかりと発揮される、このことを企図するものでございます。
 次に、経営委員会の欠格事由の緩和を行う理由についてお尋ねがございました。
 官から民に、これを進めていただいていたのも世耕議員だと思っています。広く、民間の広い人材、これはNHKもそうですけれども、より広い範囲から有為な人材を求めることができるようにするものです。特に、最近は会社法制の変更により委員会設置会社が増加し、有為な人材が社外取締役を務めているため、欠格事由に該当してしまうケースが想定されることから措置したものでございます。
 次に、電監審の建議が盛り込まれたねらいについてお尋ねがございました。
 昨夏の情報通信審議会答申で放送関連四法の大くくり化が提言されたことを受け、放送法制の施行に関する審議機能についても電監審に一元化することとし、あわせて、放送行政について知見が蓄積されることとなる電監審に大所高所から放送行政の在り方をチェックしていただくことを企図したものでございます。私の意向ということでございますが、私の意向ではございません。政府として決定したものでございます。
 次に、電監審の建議の規定に関する衆議院の修正についてお尋ねがございました。
 電監審による建議は、放送行政の在り方をチェックしていただく上で有益と考えておりました。放送法第三条、この三条の規定は大変重うございます。その規定を踏まえた上で、放送内容に介入することは何人たりともできません。ただ、こういうことも国会の御理解、国民の御理解があって初めて成り立つものでございまして、衆議院での御審議の中で修正案が提出、可決されたものと理解しています。
 次に、マスメディア集中排除原則の出資の上限を三分の一未満とした理由についてお尋ねがございました。
 マスメディア集中排除原則における出資の上限を三分の一未満としたのは、放送の多元性、多様性、地域性の確保への影響をよく見定めつつ、放送メディアが経営環境の変化に柔軟に対応できるようにするためでございます。
 最後に、クロスメディア所有規制についてお尋ねがございました。
 クロスメディア所有規制の在り方については、急激にメディア環境が変化する中で、現行の法律が多元化、多様性を確保する観点から十分に機能しているか、近年出現している新たな情報の配信形態も含め見直す必要がないか検討をするものであって、政治による報道への介入につながるものとは全く考えていません。総務委員会でもこれはずっと議論がありました。言論が一色になってしまう、そのことは、クロスメディア所有規制、多くの国がその規制をしているが日本はどうなのか、こういう国会での御議論を受けた検討規定でございます。
 以上、お答えを申し上げました。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(江田五月君) 澤雄二君。
   〔澤雄二君登壇、拍手〕
#10
○澤雄二君 公明党の澤雄二です。放送法等の一部改正案について、公明党を代表して質問をいたします。
 まず初めに、今回の放送法の改正案では、憲法の表現の自由が侵害される可能性もありました。このため衆議院で与野党の修正協議が始まったまさにそのとき、強行採決されたのであります。郵政改革法案の審議を優先するために極めて重要な法案を強行採決した政府・与党の暴挙は断じて許されるものではありません。強く抗議するものであります。
 放送法等一部改正案について質問をいたします。
 今回の改正案には、憲法で定められている言論の自由、表現の自由が総務大臣によって干渉される可能性が極めて高い条項が盛り込まれていました。それは、電波監理審議会、電監審が、大臣の諮問がなくても自発的に調査審議を行い、しかも総務大臣に建議することができる権限であります。
 しかも、とんでもないことに、建議を行うことができる重要事項として、放送法第一条で定められている放送の目的すべてが挙げられていたのであります。その中には、放送の不偏不党や真実及び自律を保障することによって放送による表現の自由を確保することというまさに言論、表現の自由を担保する項目も含まれております。さらに、関係行政機関の長に対し資料の提出、意見の開陳など必要な協力を求めることができる、その権限まで与えられていました。
 原口大臣は日ごろ、言論の自由のとりでを守ると話されています。言われていることとされていることがまるで違うと思わざるを得ません。
 総務省はかつて、テレビ番組「あるある大事典」のデータ捏造問題の再発防止を名目にして放送内容に行政処分を与えることができる法案を出そうとしたことがあります。同じようなことが電監審を通じて行われる可能性を否定できません。また、NHKに対して菅元総務大臣は、北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるよう放送命令を出しました。このときは、電監審に諮問し、即日の答申を待って命令を発動したのです。このように、電監審は行政が放送内容に介入してくる隠れみのに使われる可能性が少なくないのです。
 今回の法改正は、去年の情報通信審議会の答申に基づいて行われるものですが、情報通信審議会では全く議論されたことはなく、今年三月、突然、改正案に盛り込まれたものであります。政策決定の過程が極めて不透明であります。これほど重要な事項を情報通信審議会などになぜ諮られなかったのか、総務大臣の答弁を求めます。
 放送内容について自ら建議できる権限を電監審に与えることは、まさに放送番組に干渉するものであります。民主主義の根幹である表現の自由、言論の自由を侵害するものと言わざるを得ません。
 大臣は衆議院の審議で、放送番組に関する建議は放送法三条の定めによって禁止されているからできないと答弁されています。今もそう言われました。確かに三条には、放送番組は何人からも干渉されることはないと定めています。しかし、その条文のすぐ前には、法律に定める権限に基く場合でなければと条件が付いているのです。つまり、法律の権限があればできるんです。電監審の建議は、まさに法律に定められた権限であります。さらに、放送法そのものの改正を求める建議ができるのですから、放送法三条は何の歯止めにならないことは明白であります。
 このため公明党は、断じて言論の自由を守るために、この電監審建議の項目の削除を含めた修正案を提出したのです。これらについて、まさに修正協議が始まったばかりのときに強行採決が行われたのであります。しかし、衆議院での参考人質疑でも五人の参考人全員が改正反対の意見表明をされ、もはや与党としても看過することはできず、電監審建議の条項を自ら削除する失態を演じられたのであります。
 そこで、総務大臣に伺います。
 このような表現の自由を侵害する可能性のある条項を、なぜ当初の改正案に盛り込まれたのでしょうか。また、憲法で定められた表現の自由、言論の自由は、いかなる形であれ侵害されてはならないものであります。このため、地上波の基幹放送においては現行放送法の自主規律にとどめるべきであると考えますが、大臣の御認識をお聞かせください。
 次に、今回の改正案では、この法律で定めていなくても、必要な事項はすべて総務省令で定めることができるという包括的委任規定が設けられました。この包括的委任規定は現行の放送法には置かれていません。
 総務大臣に伺います。なぜ新たに改正案に盛り込まれたのでしょうか。
 現行法の制定にかかわられ、郵政省電波監理局次長をされた荘宏氏は、著書の中で次のように述べています。規制の内容は、法律それ自体に書き上げるべきである、政令、省令に委任することは、行政権が規制内容にタッチすることになり、好ましからざる結果を生む、このように述べておられます。現行法の制定にかかわられた人の発言だけに、重く受け止めるべきです。
 放送法は、表現の自由が保障される中で公共的役割から放送内容に自主規律を求めており、我が国で唯一言論立法と言われております。ゆえに、包括的に省令委任することは表現の自由からも問題があり、委任の内容は明確に法律自体に書き上げるべきで、行政府に自由裁量の余地を残すべきではないと考えます。委任する内容はあくまで事務手続や技術的細目に関する事項に限られるものであって、放送番組の内容に関する事項、番組規律にかかわる事項は一切含まれないものとすべきであります。総務大臣の見解を伺います。
 最後に、NHK会長を経営委員会の構成員に加えることについて伺います。
 総務省は、三年前の放送法改正のときに、NHKのガバナンスを強化するという名目で経営委員会を強化されました。今回、NHK会長を経営委員会の構成員に加えることは、このときの政府の方針を変える重大な政策転換であります。
 なぜならば、三年前の改正では、経営委員会に会長ら執行部に対する監督権限が与えられたのであります。また、執行部との役割分担を明確にするために、経営委員会の議決事項に新たに経営の基本方針やコンプライアンス体制などが加えられました。これらの議決権が与えられたことで、経営委員会が取締役会の権限を持つことになりました。経営委員はボードメンバーとなり、この時点で、いわゆるCEO、最高経営責任者はNHK会長から経営委員長に変わったのであります。さらに、会長が経営委員会のメンバーとなるいわゆるワンボード化は取らないと明確に言われておりました。まさに今回の改正は、このときの政策を否定するものであります。
 今回の改正について大臣は衆議院で、NHK会長がCEOになるなどと答弁をされています。今も言われました。大臣が替わったり政権が替わったりするたびに経営委員会と執行部の役割が変わるのでは、逆にNHKのガバナンスやコンプライアンスを損なう危険もあります。
 今回の法改正は、平成十九年改正時の路線を変更されるものなのか、NHK会長の権限が強くなり過ぎることはないのか、NHK会長を経営委員会の構成員にされる明確な理由をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(原口一博君) 澤議員から七点お尋ねがございました。
 まず、情報通信審議会への諮問内容と当初の改正案に建議の規定を盛り込んだ理由についてお尋ねがございました。
 情報通信審議会には通信・放送の総合的な法体系について諮問いたしました。その結果、昨夏の情報通信審議会答申で、放送関連四法の大くくり化、これが提言されました。放送関連の実定法を一本化する過程で、その施行に関する審議機能についても電波監理審議会に一元化することとし、あわせて、放送行政について知見が蓄積されることとなる電波監理審議会に大所高所から放送行政の在り方をチェックしていただくことを企図し、政府として決定したものでございます。
 なお、自公政権下の菅総務大臣が電監審を隠れみのにしたという統一した政府見解は持ち合わせておりません。
 次に、地上波の基幹放送における番組準則等現行放送法の自主規律についての認識についてお尋ねがございました。
 放送法は、放送番組編集の自由を保障した上で、放送事業者の自律を基本として放送番組の適正を図る仕組みとなっており、こうした原則は、議員がおっしゃるとおり、今後とも守られていくべきものと認識しています。
 次に、改正放送法第百八十二条の規定が放送法に盛り込まれた理由についてお尋ねがございました。
 この規定は、いわゆる実施省令に関する規定でございます。本法案により廃止される電気通信役務利用放送法など放送関連三法、この法律において同様の規定が整備されていることから、それを今回、これらの法律を廃止し、放送法に統合するに際して規定の整備を行ったものでございます。
 次に、いわゆる実施省令の内容についてお尋ねがございました。
 一般に、実施省令については、法律を実施するために必要な細目的事項、主として手続事項を規定することができるにとどまり、実質的に国民の権利を制限したり、国民に義務を課することとなるような事項を規定をすることは許されないとされております。改正放送法の実施省令においても、放送番組の内容にかかわる事項、番組規律にかかわる事項は一切含まれておりません。
 ちなみに、この規定に基づく省令事項として予定しているのは、放送事業者による申請等を地方総合通信局長等を経由して行うことを可能とする規定、電磁的方法による申請書等の提出を可能とする規定などでございますので、是非御理解を賜れればと思います。
 次に、NHKにかかわる改正と平成十九年放送法改正との関係についてお尋ねがございました。
 平成十九年改正により、経営委員会の監督機能を強化し、NHKのガバナンスは相当程度強化されましたが、今回の改正は、実際的な業務執行の観点から見ても、公共放送の使命がしっかりと発揮されるようNHKのガバナンス強化を一層徹底するためのものでございます。
 次に、NHKの会長の権限についてお尋ねがございました。
 議員がおっしゃるように、平成十九年の放送法改正により経営委員会の会長に対する監督権限が強化されていることに加え、今回の改正においても、経営委員長の選任等のNHKの統治の根幹にかかわる、ガバナンスの根幹にかかわる事項や会長自身の利害にかかわる事項については会長に議決権を認めていないことから、会長の権限が不当に強くなることはないものと考えます。
 最後に、NHK会長を経営委員会の構成員にする理由についてお尋ねがございました。
 今回の改正は、会長の経営委員会への出席を確保し、一定の事項を除いては会長に議決権を与えることにより、経営委員会による経営方針の決定等に執行部の意思が反映され、実際的な業務執行の観点から見ても、その決定が適切かつ迅速に行われ、NHKの公共放送としての役割、公共的な役割がしっかりと発揮されることを企図するものでございます。
 以上、答弁を終わります。(拍手)
#12
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#13
○議長(江田五月君) 日程第一 国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法案(第百七十三回国会内閣提出、第百七十四回国会衆議院送付)
 日程第二 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長椎名一保君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔椎名一保君登壇、拍手〕
#14
○椎名一保君 ただいま議題となりました両案件につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法案、いわゆる貨物検査法案は、北朝鮮による核実験の実施、弾道ミサイルの発射等の一連の行為をめぐりなされた国連安保理決議による、大量破壊兵器関連の物資、武器等の北朝鮮との間の輸出入禁止措置の強化と、その厳格な履行のための加盟国への要請を踏まえ、我が国が特別の措置として実施する北朝鮮特定貨物についての検査その他の措置について定めようとするものであります。
 次に、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件は、去る四月九日の閣議決定に基づき、平成二十三年四月十三日までの一年間、引き続き、すべての北朝鮮籍船舶の入港禁止の措置を実施することについて、国会の承認を求めようとするものであります。
 委員会におきましては、両案件を一括して議題とし、公海上における貨物検査に関し旗国の同意が得られない場合の対応、自衛隊を含む関係行政機関との連携の在り方、入港禁止の対象に北朝鮮に寄港した船舶等が含まれない理由、北朝鮮問題に対する今後の取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 両案件について質疑終局の後、自由民主党、新党改革及びたちあがれ日本並びに各派に属しない議員大江君及び長谷川君を代表して吉田理事より、貨物検査法案に対し、法律の題名の修正及び自衛隊による所要の措置に関する規定の追加を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、順次採決の結果、貨物検査法案につきましては、まず修正案を否決した後、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、特定船舶の入港禁止に係る承認案件につきましては全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#15
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 まず、国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#16
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#17
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十九  
  賛成            百二十八  
  反対             六十一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#18
○議長(江田五月君) 次に、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#19
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#20
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百八十九  
  賛成            百八十九  
  反対               〇  
 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#21
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
 口蹄疫対策特別措置法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長小川敏夫君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
#23
○小川敏夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、平成二十二年四月以降発生が続いている口蹄疫の問題に的確に対処するため、人や車両の消毒の義務化、患畜等を殺処分された農家に対する補償の充実、埋却用地の確保など埋却処分の迅速化に向けた国の支援、大臣が指定する区域内における非感染家畜の殺処分の実施及び農家に対する損失の補てん等の蔓延防止措置を講じ、さらに、都道府県が口蹄疫に対処するために費やした防疫費用の国による負担、家畜の生産者を始めとする畜産関連事業者の経営及び生活の再建並びに地域の再生のための基金の創設など、特別の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者筒井信隆衆議院農林水産委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#24
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#25
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#26
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           百九十  
  賛成             百九十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#27
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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