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2009/11/19 第173回国会 参議院 参議院会議録情報 第173回国会 法務委員会 第2号
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2009/11/19 第173回国会 参議院

参議院会議録情報 第173回国会 法務委員会 第2号

#1
第173回国会 法務委員会 第2号
平成二十一年十一月十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     山内 徳信君     福島みずほ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松 あきら君
    理 事
                今野  東君
                松岡  徹君
                森 まさこ君
                木庭健太郎君
    委 員
                石井  一君
                千葉 景子君
                中村 哲治君
                平田 健二君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                浅野 勝人君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
   国務大臣
       法務大臣     千葉 景子君
   副大臣
       法務副大臣    加藤 公一君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        泉  健太君
       法務大臣政務官  中村 哲治君
       外務大臣政務官  西村智奈美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (冤罪の防止に関する件)
 (取調べの全面可視化に関する件)
 (司法試験合格者目標数に関する件)
 (公訴時効の見直しに関する件)
 (死刑制度に関する件)
 (民事法律扶助事業に対する予算に関する件)
 (女子差別撤廃条約の批准に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨十八日、山内徳信君が委員を辞任され、その補欠として福島みずほさんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(松あきら君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○松岡徹君 おはようございます。
 八月三十日の衆議院選挙で政権が交代いたしまして、民主党を中心とする内閣が誕生いたしました。
 千葉先生、初めて法務大臣に就任されまして、おめでとうございます。また、加藤副大臣、中村政務官も、これまで民主党の中で法務の仲間としていろいろな懸案事項についていろいろと議論をし、やり取りをしてまいりました。お二人含めて、これから大いに期待を申し上げたいと思います。
 先日、この委員会で大臣並びに副大臣、政務官のそれぞれの所信のあいさつをいただきまして、それにかかわる質問を私の方からまずはさせていただきたいと思っています。多岐にわたりますので、その中でも、民主党はマニフェストで、人権委員会の設置に関する法律あるいは可視化法の制定ということを含めましてマニフェストに挙げております。その問題を中心に、大臣の所信といいますか考え方をお聞きをいたしていきたいというふうに思っています。
 皆さんも御存じのとおりでありますが、この間我が国において、なかなか冤罪という言葉は、千葉大臣はそういう言葉をお使いになるのかどうか分かりませんが、前の鳩山法務大臣のときは、いわゆる世間で言うところの冤罪だというふうに、そういう前置きをして冤罪というふうにおっしゃっていました。広辞苑で引きますと、冤罪とはぬれぎぬでございまして、無辜の人が罪人として裁かれていくということがあってはならないわけでありますが、残念ながら、ここ二年間の間に志布志事件あるいは富山の氷見事件が起きました。そして、今年に入って足利事件という事件が、冤罪事件が発覚したわけであります。
 この冤罪は、一九八〇年代にそれぞれ大きな冤罪事件が発覚したことはもう御存じだと思っています。そのときにも当然のように議論になったはずなのですが、残念ながら、今の時代になっても冤罪事件が続発してきているということがあります。
 なぜこのような冤罪事件が今なお起きるのかというところを大臣の御認識をまずお聞きをしたいというふうに思っていますので、よろしく、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(千葉景子君) おはようございます。
 まず、冒頭、質問をいただきましてありがとうございます。
 今、松岡委員から御質問がございました。
 私もこれまで冤罪という言葉も使わせていただいてまいりました。一般的に冤罪という言葉、使われているものだというふうに思っております。ただ、正確に言うと、法的に冤罪というのがどう定義をされているかということは確たるものはないのかなというふうには思っておりますが。
 このようなことが起きる背景、これにはいろいろな問題があろうかというふうに思いますけれども、私自身は、やはり証拠を十分に、客観的な証拠を十分に吟味をすることなく、やはり自白の信用性、こういうものによって立つということが大きなやはり根底にあるのではないかというふうには思っております。これはあってはならないことでございますし、適正なやはり捜査、そしてまた、仮に自白というものがあっても、その真意あるいは信用度、そういうものを十分に検討して判断をしなければいけないというふうに私は思います。
 やはり、この間の捜査がどうしても自白を重要視する、そしてそれによって他の客観的な証拠の吟味がどうしても不十分になりがちだったと、こういうところに私は間違いが起こってきた一つの背景があるのではないかと、このように私は認識をいたしております。
#6
○松岡徹君 大臣がおっしゃいました、要するに客観的に証拠を調べていくというのが私は捜査の基本だと思うんですけれども、これまでも批判されていました日本の裁判の調書主義といいますか、すなわち自白に偏重するという傾向が強かったもので、自白を引き出すといいますか、ここに捜査のあるいは取調べの重きがほとんど置かれていくと、こういうことで冤罪が起きる大きな原因の一つとしてあるのではないかと。
 私も全く同感でありまして、最近の事件を見ますと、例えば鹿児島の志布志市で起きた県議選挙における選挙違反容疑で捕まった十二名の当時の人たちですね。これの結果は全員無罪になりましたけれども、その間の取調べというのが、要するに自白を強要するということがありました。その十二名の中の一人の川畑さんというのは、特に踏み字事件というぐらい、そういうことが強要されました。
 それから、富山の氷見市で起きた強姦事件に対する被疑者として逮捕され、そして有罪判決を受けて二年間刑務所に服役していたと。その刑期を終えて出てきた後に鳥取で真犯人が見付かったと。彼の証言でも、なぜやっていない人が有罪になって服役をするのか。彼自身の、この方は柳原さんというんですが、私ももういろいろと直接本人からも意見も話も聞いてきました。そうすると、自白の強要が同じようにあったわけですね。
 最近の話では、足利事件の菅家さんというのがございます。
 この三つの事件が最近起きた冤罪事件としての典型ではないかというふうに思うんですが、この三つの事件から何を学んでいくのか。すなわち、今大臣がおっしゃったように、自白の偏重といいますか、自白偏重、自白を重要視するという捜査の仕方というのがございます。決して自白を軽視しろということではありませんが、冤罪を生む一つの原因として、自白を強要するという行為がされていくということですね。
 この三つの事件で一体何を学ぶのかということが大事になってくるんですけれども、私は、その前にもう一つ、なぜ冤罪が起きるのかという原因の中に、大臣がおっしゃったように、客観的な証拠の吟味といいますか、そういったことが本当に行われているのだろうかという気がします。客観的な証拠ということが本当に裁判の場で吟味されるのかということですね。私は、当然、検察、警察の方は犯人を検挙しその容疑者が犯人であるということを証明するために自白やあるいは証拠を見付けてくるんですが、しかし、最後のとりでといいますか、裁判で事実、客観的な事実を調べるということをしていれば、例えばそこの裁判の場でまずは冤罪を防げるんではないかという気がするんですね。
 私は、自白の偏重や客観的な証拠の吟味というものが不十分だということは、言葉では言いますけれども、それは起訴の段階なんですね、公訴に持っていくまでの間です。しかし、少なくともこの三つの事件の中では客観的な証拠でこの三人の方々は冤罪であったと、無辜の人であったということははっきりしているんですね。なぜこの人たちがそのまま裁判で有罪判決が出て、まあ志布志事件の場合は無罪が出ましたけれども、例えば富山の氷見事件の場合、有罪判決が出て二年間の懲役まで科せられるのか。なぜ裁判で見抜けなかったのか。この裁判の機能が本当に公平なのかどうか。
 ということは、私は、検察側は容疑者を犯人だということを証明する証拠を持ってきますし、自白を取りますし、しかし、裁判はもっと客観的に公平に吟味すれば分かったはずなんですよね。
 例えば、柳原さんの富山氷見事件の場合、客観的な証拠として、犯人と思われる足跡が二十八センチだった。しかし、柳原さんの足跡は二十四・五センチだと。サバイバルナイフだというふうに脅しの凶器を言われていたのが果物ナイフになっているとか、鎖のようなもののひもが実はビニールテープのようなものだったと。この違いをなぜ調べなかったのか。あるいは、柳原さんは証言していますけれども、被疑者として留置されていたときに、髪の毛を取られたりというDNAの検査をされるという、採取されていた。強姦事件でありますから、当然のようにDNA鑑定というのが今は非常に大事な証拠、客観的証拠であるにもかかわらず、なぜ裁判の中でそういった客観的な証拠の不一致を吟味しなかったのか。
 私は、結果的に冤罪を生み出す構造は、何も検察や警察だけの捜査の在り方とか自白偏重だけではなくて、裁判所がちゃんと客観的にやっているのかどうか、もっと言えば、裁判所が冤罪づくりの後押ししているんではないのかというふうに思うんですね。それについて、大臣、どう思われます。
#7
○国務大臣(千葉景子君) なかなか私の現在の立場からして、司法、裁判所の問題について申し上げる、そういう立場ではないというふうに思っております。
 ただ、それぞれのこの間の課題を考えてみますと、やはり司法にかかわる、それは裁判所であり、あるいは検察、警察であり、そしてまたもう一方、被告人なりの防御をする弁護人の立場も含めて、全体でやはりこの問題について改めて検証をし、そしてまた問題点を改めて再認識をする必要があるのではないかというふうに思っております。
 そういう意味では、司法が本当に被告人のきちっとした防御あるいはその立場を受け止めているのか、そして、真の意味で、罰する者は責任を課する、そしてそうでない者はちゃんとそれを見抜いていくと、こういう司法全体としてのやはりもう一度再認識ということが必要なのではないかというふうに思っております。
#8
○松岡徹君 私も野党癖が抜けなくて質問の仕方がついついそうなりますが、実は私、この質問は前のときにもさせていただいておりまして、志布志事件や富山の氷見事件が起きたときに、当時の最高検察庁がなぜこのようなことが起きたのかという反省といいますか、報告書を上げています。その中にも行き過ぎた捜査の在り方があったんではないかということも認めているんですね。
 私は、それだけではなしに、それを見抜けなかった裁判所は一体何なんだと。最高裁はなぜこの事件についての見解を示さないのかと言ったら、全然示さないんですね、まあそれは立場が違うというのはありますが。しかし、本当に冤罪をなくそうとすれば、そういうことが見抜けるような裁判の在り方というものもしっかりとこれからは吟味していくべきではないかと。どこで議論をすればいいのかということがあるんですね。
 この富山氷見事件で冤罪判決を出した裁判官は、その後翌年には、福岡の方、九州の方の高裁の判事に栄転しているんですね。これは不幸ですね、こんな人に裁かれるというのは、当たったら不幸なことになるんではないかと思うんですが、そういう意味では、なかなか冤罪を見抜くのは、少なくとも警察や検察の方がこの人が犯人だと言っていくわけですから、弁護団はいやそうではないと言うんです。それを裁判長は少なくとも公平な目で、客観的な事実をもって調べてそれを見抜いていくというのが私は正しい在り方だと思うんですね。
 少なくともこの三つの事件で学ぶべきところは、特に富山氷見事件や足利事件ですね、足利事件でもDNAの鑑定結果が唯一菅家さんの犯人だという決め手になっていたわけですが、そのことが逆になって、犯人ではないということが分かって釈放されたんですね。実は、弁護団は八年前にこの再鑑定をしてくれと言ってきたんですね。それは、DNAそのものの確度が、その当時、十七年、十八年前は二百分の一だったのが、今は何兆分の一というぐらいに確度が高うなったんですね。ですから、もう一度再鑑定してくれという申請に対して、当時の裁判長は却下したんですね。再鑑定ぐらいはしてもいいんではないかと思うんですが、少なくともその時点で裁判長がやっぱりそこまで確度が高うなっているんならもう一遍やってもいいんじゃないかと。やったら菅家さんは少なくとも八年前に釈放されていたということなんですね。冤罪は八年前に見抜けたんですよ。それをしなかったのはなぜかということになるんですね。
 そういう意味では、裁判がそういうことを見抜く機能が弱くなっているんではないかという気がします。是非とも検討をお願いを申し上げたいというふうに思うんですね。
 そこはなかなか立ち入れない問題、踏み込めないというところはありますが、今後の課題として是非とも、今、千葉大臣がおっしゃったように、課題として議論をしていき、変えるべきは変える、正すべきは正すということをお願いを申し上げたいと思いますが、この冤罪をなくすために、実は民主党はこの四月に、この五月から始まった裁判員制度ありますですね、裁判員制度でもスタートするときに私申し上げましたけれども、市民の方が裁判員になるのは、単に仕事を休まなくてはならないとかそれだけではなくて、本当にこのような自分も冤罪の加担者になってしまうというのが怖いんですよ、やっぱりね。例えば菅家さんの場合、十八年という人生を奪うことになるんですからね。そういった重荷をしょってしまうということに対する不安というのがありますから、やっぱり裁判員制度がスタートする、裁判員制度の趣旨を本当に貫くために環境整備をずっと民主党内では議論してきて、今年の四月に当時の森法務大臣に裁判員制度スタートに当たってこういう環境を整えるべきだということを民主党として申し入れていったんですね。そのときに私も一緒に同席をさせてもらいまして、加藤副大臣も一緒に行きましたけれども、そのときに取調べ過程の全過程の可視化、検察官の手持ち証拠リストの開示の必要性というのを書いてあるんですね。
 やっぱり裁判員制度を本当にその趣旨どおり達成させるためにも、裁判員制度をスタートさせる、あるいはその環境を整えていく課題の中に可視化あるいは証拠開示というものの法整備をしていくことだということを我々は申し入れました。その思いからして、可視化法の早期制定についての大臣の考え方と、日程的なものが決まっておりましたら、是非ともお聞かせを願いたいというふうに思います。
#9
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘がございましたように、この間、裁判員制度がスタートをする、この裁判員制度がスタートをすることによって、言わばこれまで調書が非常に重視をされてきた、こういう裁判から、やはり直接供述を聞いて、そして裁判をするという、そういう構造に大きく変わっていくだろうと、こういうことは推測がされます。
 ただ、何らかで疑問を生じたときに、やはりその調書あるいは取調べの状況、こういうものをつぶさに検証できると、こういうことが必要になってくるだろうと。こういうことで、裁判員制度のスタートと同時に取調べの可視化、こういうことが必要なのではないかと、こういう指摘がされてきたこと、そして私もそういうことが大変重要だということは認識をしてきたところでございます。
 そういうことを受けて、何としても早期に取調べ全過程の録音、録画、可視化を実現をしていかなければいけないという私も決意を持っておりまして、ただ、実務的にあるいは様々なそれによって処理をしておかなければいけない課題もあろうかというふうに思います。それを詰めていく意味でも、今私の下に勉強会を設置をいたしまして、そして副大臣を主査にワーキングチームをつくり、できるだけ論点を整理をして、そして早期に方向性が出るように今スタートをさせていただいているところでございます。
 これから精力的にその精査をして、そして問題点、実務的なことも詰めて、何とか早く取調べの可視化、これを実行できますように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#10
○松岡徹君 日程的になかなか、今勉強会をスタートしているということで、それは期待をしたいというふうに思っています。一日も早い成立を私たちは望んでいきたいというふうに思っていますので、その辺は一緒だと思っていますので、お願いを申し上げたいと思います。
 最近の事件でも、裁判員裁判の対象事件の中に覚せい剤の密輸入のやつで否認の事件がありますから、要するに、自白の信用性の問題にかかわっては、当然それは裁判も長引きますし、その自白は正しいのか、本物なのかということを調べるということが非常に大事になってきます。それだけでも急いでいくということが、こういうふうに裁判員制度の対象事案が、そういう事件が増えてくるという可能性がありますので、一日も早い成立をお願いを申し上げたいというふうに思っています。
 ところで、あした、実は先ほど言いました三事件のうちの富山氷見事件の国賠訴訟の第二回の公判が富山地裁高岡支部であるんですね。例えば志布志事件でもそうですけれども、こういった冤罪の被害者が国賠という訴訟というのをやっています。当然、大臣が訴えられる側になるわけですが、彼らがなぜ国賠訴訟を起こさざるを得ないのか、あるいはなぜ起こそうとするのか。これは、彼ら自身が、なぜ私が犯人にさせられてしまったのか。ある日突然、あんたは犯人ではないと、無罪ですといって世の中にほうり出されて、しかしその間の人生は奪われて、その間の生きる人間としての社会権まで奪われていく。
 例えば免田栄さんという、免田事件の免田栄さんがおりましたが、彼は昭和三十六年の皆年金制度ができたときには刑務所に入っていました、死刑囚として。そして、出てきた昭和五十七年のときにはもう既にその年金を掛ける資格要件がなくなっていた。あんたは無罪ですと言われて、今なお年金を受けられないんですね。何とか回復してほしい、そんな手だてはないのかといったら、年金を掛けていないから払えない。それはそうでしょうね、当たり前です。しかし、彼は払いとうても払えなかったんです。刑務所に入っていたんですね。そうしたら、どない言うかといったら、その刑務所に入っている間に免除申請をすればいいと。あした死刑になるかもしれない人が三十年後の年金を受ける免除申請をするばかがどこにおるねんと、そんなやり取りしかしない厚生労働省の窓口はおかしいと。彼のこの三十年の人生を、刑務所の中で送ってきた。そして、日本人として当然のように、無実ですから、無実でこんな冤罪にならなかったら当然のように掛金払うていますし当然のように今は年金を受けられているはずなのに、受けれないんですね。あんたは無実ですと言われてぽっとほったらかしにされると。
 やっぱりこの冤罪になった人たちが社会に出たときに、どう人間として、国民としての権利を回復してあげるのかというのを、これ是非検討していただきたいというふうに思うんですね。免田栄さんは今八十三歳です。残り少ない人生の中で、あんたは無罪、晴れて無罪になったにもかかわらず、国民なら当然受けているべき年金が受けられないでいると。この受ける権利を奪ってきたのは一体だれだということなんですね。
 この冤罪の人たちが国賠訴訟を起こすのは、なぜ自分がこういう犯人にさせられていったのかということをやっぱりはっきりしてほしいということなんですね。それは、これによってこの人たちの人生がずたずたにされているということなんですね。どういうふうに生きる人間としての権利、社会権を保障してあげるかということがないからこういったことが起きるんではないかというふうに思っています。
 可視化の取組というのは、こういった被害者といいますか、こういったことを二度と起こさない。彼らの共通する国賠訴訟の思いは、二度と私たちのような目に遭う人間が起きてほしくないという思いなんですね。この思いにこたえるためにも是非とも可視化法の早期制定に全力を挙げていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
 時間の関係上、次に移らせていただきますが、もう一つ、人権委員会の設置に関する法律の制定でありますが、もう御存じのように、この人権侵害救済法といいますか、仮称でありますが、これはもう前の自公政権のときからも懸案でございました。人権擁護法という名前でその当時の閣法として提出されていましたが、内容の中身をめぐって残念ながら廃案になったという経過があります。
 しかし、この法律は、大臣が大臣就任のあいさつのときに申し上げておりましたし、国際的な状況から見ればそうではありますが、この救済法をなぜ作らなくてはならないのか、人権委員会設置法をなぜ作らなければならないのかというのは、立法事実があるからだと思うんですね。国連の人権条約がどうだからとかパリ原則がどうだからじゃなしに、日本の、我が国の国内にこういう法律を作らなくてはならないという立法事実があるからだと思うんですが、その辺の認識は千葉大臣からちょっとひとつお聞かせ願いたいと思います。
#11
○国務大臣(千葉景子君) 私も、就任に当たりまして、この人権救済制度、機関の設置というのが今大きな課題であるということで挙げさせていただいているところでございます。
 今御指摘がありましたように、国際的にも人権救済機関の設置ということが大変大きな要請になっているところでもあり、また立法事実としても、今、もう御承知のところであろうというふうに思いますけれども、例えば、子供あるいは高齢者に対する様々な虐待事例、あるいは女性に対する暴力等のこれも事例、あるいは門地や障害等を理由とする差別等々、また学校やあるいは職場などでのいじめと言われるような問題、依然として、いろいろな救済方法があるといえども、十分にやはりこれらの問題について機能を果たし得ていないということがあろうというふうに思います。
 そういう意味では、このような課題について総合的に、そして適正にあるいは迅速に救済を果たしていく、こういう機関が私はやはり今求められているのではないかと。だからこそ、逆に国際的にも日本にもそういう機関が必要だという強い要請も受けているんだというふうに認識をいたしております。
#12
○松岡徹君 全く同感でございまして、国内にそういう立法事実があるからこそこういう法律を作ろうということでありまして、今なおそれぞれの違いによって差別や人権侵害が起きているということは事実でありますから、是非ともそういった人たちの救済を図るような機関を設置する、すなわち人権委員会を設置するというこの法律は非常に大事な問題であります。そのことが国際的な人権水準を高めていく役割といいますか、日本の持つべき国際的な責務を果たしていくということにつながっていくというふうに思っています。その結果がパリ基準、パリのそういった基準、国際基準に合致していけば一番いいわけでありますから、そういう意味では是非ともお願いをしたいと。
 しかし、残念ながら、これは経過からいいますと、そういった立法事実に対してどうするかという対応の中で、実は二〇〇一年の人権擁護推進審議会というところから答申を受けて当時の内閣が擁護法案というのを出したんですね。それからもう丸八年、来年で九年になるんですね。今なおまだできていないんですよ。
 是非とも千葉大臣の下で成立できるようにお願いを申し上げたいと思いますが、その決意のほどを。まあ、めどとまた言うたらあれがありますので、早急に作っていただきたいという決意を含めて、最後、お願いを申し上げたいと思います。
#13
○国務大臣(千葉景子君) 今、これも御指摘がありましたように、確かに審議会の答申から八年、九年になろうとしていると、こういう状況でございます。私も、是非これを一刻も早く実現をしなければいけない。この間、国会の場でも相当な議論が積み重ねていただいているということもございますので、課題あるいはまとめのある意味では段階に当然来ているものだというふうに私は認識をいたしております。そういう意味では、最終的に問題残すことなく整理をして、でき得る限り早期に実現に向け着実に進めてまいりたいと考えております。
#14
○松岡徹君 ありがとうございます。
 次に、もう時間がありませんので最後になりますが、難民認定法の問題につきまして御質問だけ、一問だけさせていただきたいと思います。
 平成十六年ですからもう四年以上前になりますが、四月に、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する、法律が一部改正されたんですが、そのときの附帯決議がございます。その附帯決議の中に、仮滞在許可制度あるいは難民認定における不服申立制度等、難民認定に関する各種制度について、その運用状況を勘案しつつ三年後を目途に検討を行うというふうに附帯決議でなっているんですが、もう四年過ぎているんですね。
 検討してきたのか、あるいは今後どういうふうに検討をされようとしているのか、検討する気があるのか、是非とも大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(千葉景子君) この間のことにつきましては、私もどのような取組がされてきたのかということを改めて調べさせていただきました。
 主な改正といいますか検討、例えば審査期間が非常に長いということで、それに向けて職員を増員をするあるいは基礎資料をきちっと収集をするなぞという、本当にこれは基礎的なことだろうというふうに思いますけれども、そういう取組は確かにされてきた。あるいは異議申立て制度の運用と、こういうことのために難民審査参与員の増員などを積み重ねてきたということもあると承知をいたしております。また、UNHCRなぞとの連携をでき得る限り密にしていくということも積極的に行ってきたというふうには承知をいたしております。
 ただ、委員御指摘のことは、更なる法的な見直し等々も含めてどうなのかという御趣旨ではないかというふうに私は受け止めさせていただいております。まだそこまで私も取りかかっているものではございませんけれども、この趣旨、これを受け止めて、どのような問題点があるかをもう一度検討しながら、法の見直しも含めて何か検討を進めていかなければいけないというふうに考えております。
#16
○松岡徹君 ありがとうございます。
 たくさん課題はあろうかと思いますので、我々も野党癖を一日も早く抜け出して、大臣のその決意にこたえられるように我々も頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 これで終わります。
#17
○前川清成君 おはようございます。前川清成でございます。
 私も政権交代後初めて質問に立たせていただきます。与党として初めて質問いたしますので慣れない点もあろうかと思いますけれども、その点御寛容をお願い申し上げたいと思います。
 今日、千葉大臣や加藤副大臣、中村政務官を拝見していて、今までとこの委員会の風景が違ったなと思っておりました。秘書官の方ですかね、後ろに十人ほどいらっしゃいますけれども、自民党政権のときは後ろの席がなくなるほどお役人の皆さん方がぎっしりと詰めかけておられて、私が初めて当選したときはある女性の方が法務大臣をお務めになっています。簗瀬先生がペーパーの紙の紙頼みというふうにおっしゃいましたけれども、そういう方に比べて今の千葉先生は、ほとんどノー原稿でメモも見ずに御自身のお言葉でお答えになっていて、やはり政治が変わったなと喜んでいた途端に、今、何か大勢の方が、傍聴でしょうか、役人でしょうか、お越しになって、ちょっと何かあれですけれども。
 それはいずれにいたしましても、改めて、大臣、大臣御就任おめでとうございます。私、五年前に初当選をさせていただいて、その当時、参議院の民主党の法務委員は五人でございました。新人が私と松岡さんで、議長になられた江田先生と、二年間国対委員長をお務めになって、そして今予算委員長をされている簗瀬先生と、そして千葉先生と、大物ばかりで、私たち鍛えていただきました。いろいろ思い出は尽きませんが、それはおいておきまして。
 今日は、個々にもお尋ねをいたしますけれども、まずその前に、これまで民主党内で法務の政策について様々に議論し、集約してまいりました。今度大臣というお立場になられて、それをどのように実行していただくのか、思いというか決意というか、まずそれを総括的にお尋ねをしたいと思います。
#18
○国務大臣(千葉景子君) 今、この間、委員会、国会の立場で様々な取組をさせていただいてきたということを前川委員からもお話をいただきました。私もこの間、ずっと委員会に所属をしながら、立法機関としてやはりきちっとした政策を立法する、こういうことが立法機関としての大変重要なことだという思いの中で、いろいろな政策をつくらせていただいたり、あるいは提起をさせていただくなりしてまいりました。そういう意味では、私は、その積み重ねてきた立法者としての様々な取組、これは大変重みのあるものだというふうに思っております。
 そういう意味では、その政策を大事にしながら、そして、ただ、なかなか実務的に思いの至らなかったそういう問題もあろうかというふうに思っております。そこをやはりもう一度きちっと精査をして、しかし、大きな理念、あるいは何のためにこの立法が必要だったのか、政策が必要だったのかということ、この基本を私も念頭に置きながら、より良い政策、そして法制度あるいは制度が実現できますように、そんなことを思いながら、そして基礎に置きながら、具体化あるいは法務行政のより一層の充実に向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。
#19
○前川清成君 ありがとうございました。
 今日は様々にお聞きしたいと思っておりまして、通告もさせていただきましたけれども、今、松岡理事の方から可視化の問題を中心に御議論がありましたので、私もちょっと順序を変えさせていただいて、まず可視化について大臣にお尋ねしたいと思います。
 先ほど大臣は、松岡理事の質問に対して、冤罪の背景として自白の偏重があるのではないか、そういうふうにおっしゃいました。それに対して松岡理事の方から、冤罪を見抜けなかった裁判所には責任はなかったのかという御議論がありました。私は、この冤罪の問題には実は二つ背景があって、一つは自白を偏重するという捜査の在り方、それともう一つは、やはり職業裁判官だけが刑事裁判を担ってきた。有罪率が九九%、九九・九%、自分の目の前にやってくる人はほとんど有罪、そういう生活を二十年、三十年続けてきた職業裁判官は自然と、起訴状一本主義がありながらも、目の前にいる被告人を有罪だという予断で見てこなかったのか。私は、だからその点で裁判員制度というのは、冤罪を防止する、生まれて初めて刑事被告人を裁くわけですから、裁判員の皆さん方は、その緊張感の中で裁判を担っていただいて、むしろ裁判員制度、この冤罪防止という点でも大きな意味があるのではないかと従前から考えております。
 そこで、千葉大臣、この先ほどの松岡理事との議論の続きになりますけれども、やはり職業裁判官制度というか、これまでの裁判官の在り方、これもやはり私は考えていく必要があるのではないかと、冤罪を防止するという点で。いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(千葉景子君) 大変重い御指摘ではないかというふうに思っております。
 今お話がありましたように、裁判員制度、いろいろな御意見もあり、あるいはまだ課題も残されているところではあろうかというふうに思いますけれども、この裁判員制度によって本当に司法が開かれ、そしてまた、今お話があったように、直接審理ということを通じて誤りのない裁判、こういうものが、自白に頼ることない、そういう裁判が行われる、いわゆる冤罪の防止ということにもつながっていくのではないかというふうには思っております。逆に、裁判官の皆さんも、そういう中で改めて自分の判断の在り方、こういうことも学んでいただけるのではないだろうか、こうも感ずるところでもございます。
 ただ、おっしゃった職業裁判官という問題ですけれども、これは以前から指摘をされておりますように、やはり法曹一元といいますか、やはり職業裁判、そこにずっと携わるということではなくして、様々な、弁護士を経験をする、そういう等の中からやはり社会あるいはいろいろな人間のありよう、こういうものも経験をしながら、そして今度は判断を下す裁判官になる、こういう法曹一元ということも一つの大きなこれから課題なのではないかというふうには私も認識いたしておりますので、また是非そのような議論も委員会なども通して活発にさせていただければというふうに思っております。
#21
○前川清成君 それで、可視化に関して、大臣、政権が替わりまして民主党内の従前の法務部門会議というのがなくなりました。法務省政策会議というのと、それと法務委員会質問研究会、この会議が今二本立てになっているんです。その最初の法務委員会質問研究会におきまして可視化の議論をいたしました。
 そのときに法務省が配付した資料がございまして、要するに法務省は全面可視化なんかしなくていいですよということを言いたかったんだろうと思うんですが、その際に配られた資料に、検察における取調べの適正確保方策等の概要という資料がございました。その中には、平成二十年九月から接見へ一層配慮しています。どういう配慮をしているかというと、被疑者から接見してほしいと申出があったら直ちに弁護士に連絡していますと、弁護士から接見の申出があったらできるだけ早い機会に接見の機会を提供していますというふうに書かれていたんです。当たり前で、何をこれ平成二十年九月から変えたのかなと、私はわざわざ質問をいたしまして、詳しい資料をお願いできませんかと丁寧にお願いしましたところ、資料をお届けいただきました。
 これを見ますと、またしても、例えばですが、弁護人等から接見の申出があった場合、取調べ中でない場合には直ちに接見の機会を与えるように配慮する、こんなふうに変わりましたとなっているんです。これだけ読むと、じゃ平成二十年八月までは、取調べ中でなくて、身柄が空いていても弁護士に接見させなかったのかと言わざるを得ないのではないかとわざわざ指摘した上でこういうふうな資料をお願いしたにもかかわらず、出てきたわけです。
 そこで、大臣、これは旧政権で行われたことですので、大臣まだここまでなかなかフォローしていただく時間的ないとまもなかったかもしれませんが、二十年の八月ないし九月から行ったこの適正化方策、取調べの適正化方策、これはどのように御認識していただいて、これで十分とお考えになっているのか、あるいはこれは一体何だったのか、その辺のところを、大臣、お聞かせいただけたら幸いでございます。
#22
○国務大臣(千葉景子君) 私もなかなか詳細な経過ということはまだ把握をしていない部分があるかもしれませんけれども、私が報告を受けているところによれば、これまで統一したこういう考え方がなかなか取れていなかったと、まあ当たり前と言えば当たり前のことを言っていると御指摘をされればそういうことだと思いますけれども、それを明確にこのような形で統一して対応を取れるようにしたというのがこのときの趣旨のようでございます。
 ただ、今お話がございましたように、これも考えてみますと、なぜ片方は直ちにで、弁護人から請求したときはできるだけ早期にと、どう違うんだろうか、あるいは、できるだけ早期にといっても、じゃ何か取調べがあったらずっと接見の機会が与えられないのではないかと、いろいろなまだ疑問やあるいはあいまいなところもあろうかというふうに私も見て思います。
 そういう意味では、改めて、これがどのような状況で実施をされているのか、更なる対応策がやっぱり必要になってくるのかと、こういうことを私も検討をさせていただきたいというふうに思っております。
#23
○前川清成君 ありがとうございます。
 釈迦に説法で申し上げますが、平成二十年九月というのはどういう時期かと申しますと、平成十九年の二月の二十三日に志布志事件で鹿児島地裁で無罪判決がございました。十九年十月十日に氷見事件で再審無罪判決がありました。ちょうど取調べの在り方が議論されてきた。そのときにこういう方策が出てきたわけですが、大臣も御存じのとおり、現行刑事訴訟法が施行されたのは昭和二十四年の一月一日です。その中に、刑事訴訟法三十九条に接見交通権が権利として保障してある。それにもかかわらず、平成二十年になって、接見を希望する人にはできるだけ早く接見させてあげますわ、これを言わざるを得ないような検察実務があったのかということに私は大変驚きを禁じ得ませんでした。
 是非この点について、一体何をやってんねんというようなところを、大臣、お調べを願えたらと思います。
 それと、法務省のお役人様は、全面可視化なんか必要ありませんと、一部可視化をやっていますというような御説明をるるいただきます。
 先ほど申し上げました今年の十一月十二日の第一回の質問研究会におきまして、法務省の落合刑事課長がお越しになりまして、今一部可視化というのをやっていますと、一部録音、録画をやっていますと、それは任意性の立証のためですというような御説明でございました。私はわざわざ確認をしまして、その立証というのは積極的な立証を指すのですかとお尋ねしましたら、はい、そうですというお答えでございました。つまりは、今法務省が施行している一部可視化、一部録音、録画というのは、有罪立証のための手段として行われている。
 しかし、私たちが民主党の中で、それこそ千葉先生にもお加わりいただいて、てにをはまで吟味しながら作り上げた刑事訴訟法の改正案というのは、立証手段としての可視化ではなくて、最大の人権侵害である冤罪をなくすための可視化であったはずです。つまりは、旧政権の下で法務省がやろうとしてきた可視化と、私たちがマニフェストでお約束した可視化とは根っこから違うと私は思っておりますけれども、大臣、そのような御認識でよろしいでしょうか。
#24
○国務大臣(千葉景子君) 今、前川委員がいみじくもおっしゃられましたように、そして、これまで法務当局の方からもそういう説明であったのかと思いますけれども、一部の録音、録画というのは確かに有罪立証ということをするため、まあ捜査機関ですから有罪のための立証をすると、それに大変寄与するという、そういうものであったのではないかというふうに思います。
 ただ、本当にそれでよいのかという問題、それから、先ほどからお話がありますように、いわゆる冤罪というのを防止し、そしてまた自白に偏ることのないそういう捜査やあるいは司法、こういうことを考えるときには、やはり全面的な可視化ということが私は必要になってくるだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、御指摘のような可視化について、私も、着実にそしてでき得る限り早く実現できますように取組をスタートをしたところでございます。
#25
○前川清成君 菅家さんが朝日新聞社からこの「冤罪」という本を出しておられます。これを読みますと、任意で同行を求められた菅家さんが、任意で同行を求められたときから十三時間後に、その日のうちに自白をしてしまっておられるんですね。その後に逮捕状が執行されている。
 ですから、例えばこの菅家さんのケースに今警察や検察庁がやっている一部可視化を適用してしまったらどれだけ恐ろしい結果になってしまうのか。これは、大臣であれば容易に御想像いただけると思います。もしお時間があれば御一読をいただけたらと思います。
 それで、これまで警察あるいは検察庁は、組織的な犯罪、これには可視化が絶対的な障害になるというふうに繰り返してまいりました。つまりは、暴力団の子分を捕まえたときに、子分は親分が怖くて、可視化されたら、ビデオに撮られたら取調べに応じませんよと、そういう答えを繰り返してまいります。しかし、よくよく考えると、それは今の取調べとどこが違うのか。今の取調べも暴力団の子分に自白をさせて、あるいは親分が関与していました、そういう供述をさせば、それは調書に取るわけです。調書という形に残ってしまうわけです。それは、形に残るのは怖くないんだけれどもビデオに撮られるのが怖いなんていうナンセンスな話が本当にあるのか。
 私は、警察や検察庁が言うところの全面可視化に対するこの障害論、これは納得できないんですけれども、大臣はいかがでしょうか。
#26
○国務大臣(千葉景子君) この間、組織的犯罪に関する捜査について支障があるという、そういう主張やあるいは考え方があったことを、私もそれは当然承知をいたしております。これが本当にそういうことであるのかどうか、こういうことも含めて、今勉強会あるいはワーキングチーム、そういう中でも改めてきちっと、結論といいますか、方向性あるいは本当に是非みたいなものも含めて検討をさせていただきたいというふうに思っておりますので、私もどうだろうかなという疑問は感じてはおります。ただ、そういう強い意見があることも確かでございますので、そこはきちっと整理をしていきたいものだというふうに思っております。
#27
○前川清成君 それで、大臣も交えて可視化の法案を練り上げた際に、その種反対論に対して、もしそのような具体的な事実が本当にあるのであればどう対応すればいいか、そこも検討させていただきました。そのときの私たちの結論は、憲法の八十二条の二項に、「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。」、この条文を活用すれば、つまりは、その子分が親分を関与している、そう供述している部分のビデオを再生することがその子分にとって怖いのであれば、あるいは復讐されてしまう、そういうおそれがあるのであれば、当該裁判を公開しないことでその障害というのは取り除かれるのではないかというような議論もさせていただきました。大臣、御記憶いただいていると思いますけれども、是非その点ももう一度御認識を賜ればと思います。
 それで、私が、大臣、どうしても申し上げたいのは、ほかの政党のことで恐縮なんですが、例えば二〇〇七年の参議院選挙に公明党のマニフェストは、二〇〇九年の裁判員制度実施までに取調べの可視化を検討、策定しますと、こういうふうに書かれております。二〇〇五年の衆議院選挙にも同じように、二〇〇九年の裁判員制度実施までに取調べをやりますと、こういうふうに書いておられたんです。ところが、二〇〇七年の参議院選挙で、この参議院では私たち民主党が第一党にならせていただいた。松岡さんらと一緒に可視化の法案を出させていただいた。そのときに、何と公明党は委員会でも本会議でも反対をされた。私たちは大変残念に思いました。マニフェストに書いてあるのにどうして反対をされたのかな。きっとそれぞれお考えもあったんだろうと思いますが。
 ただ、私たちはマニフェストでお約束をさせていただきました。もしも私たちに託していただいたら、こんな政治を実現したい、こんな未来を描きたいとマニフェストに書き込みました。同じことをやってしまってはならないと思っています。マニフェストを実行すると、そのことだけ少し大臣にもう一度お願いをしておきたいと思います。
#28
○国務大臣(千葉景子君) 私も、マニフェストについて、大変国民との約束ということで重いものだというふうに思っております。
 その意味で、私も就任をさせていただくということになったときに、私のやるべき任務、マニフェストに掲げられた法務にかかわる三つの大きな課題ということで挙げさせていただいたということでございまして、その一つが取調べの全面可視化、そしてもう一つが、先ほど松岡委員の方からも御指摘がございました人権救済機関の創設、そしてもう一点は個人通報制度を含めた条約等の批准と、こういうことでございます。
 大変私は重い国民の皆さんとのお約束であろうというふうに思っておりますので、順次、そして着実に進めていき、実現の運びにしてまいりたいと考えております。
#29
○前川清成君 御期待申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、司法制度改革、とりわけ司法試験改革に関してお尋ねをしたいんですが、大臣が所信の中で三千人、当初の閣議決定あるいは司法制度改革審議会の意見書等々によると、来年三千人の目標達成年数が来るわけですが、そのことを三千人程度とする従来の目標というふうに表現されています。この従来のというふうにお述べになった御趣旨というのをお尋ねしたいと思います。
#30
○国務大臣(千葉景子君) この従来の目標というのは、これまで司法試験合格者を三千人とするというのが従来閣議決定をされて、この間、それは生きてこの間いるわけでございます。そういう意味で、従来から決まっているといいますかね、決定をされているそういう目標なんだという趣旨でございまして、それを従来の目標ということで表現をさせていただいたということでございます。
#31
○前川清成君 私は、司法改革というのは、司法の容量を増やす、それによって泣き寝入りする人、それを防ぎたいし、何というんですか、力が強い、あるいは暴力を持っている、なあなあ、まあまあ、それで済んできた、それをやめて、法と正義が社会の隅々にまで行き渡る、そのための改革であったと思っています。その司法の容量を増やすためには当然優秀な弁護士の数が増えなければなりませんが、弁護士の頭数が増えただけでは司法の容量、これは増えないんだろうと思っているんです。しかし、旧政権下の司法制度改革では弁護士の頭数だけが増えてしまったのではないかと。
 大臣は、大臣も弁護士でいらっしゃいますので、司法修習生の皆さん方や合格者の皆さん方から就職の御相談を受けることはないでしょうか。私は、この秋に合格した合格者から、二人、今就職がなくて困っているんですという話を聞きました。これから司法修習が始まる、でも合格者の皆さん方にとって最大の関心は就職できるかどうかなんだと。司法試験に合格したら何かぜいたくができてどうこうと、それは絶対間違っていると思うんですが、ただ、せっかく難関を突破しても、もしかしたら就職もできないのではないかと、そんな状態であれば優秀な若者たちが法曹を志すとは思わないわけです。
 その点で、司法試験の合格者に問題があるのか、あるいは裁判所、検察庁あるいは弁護士事務所の受入れ体制に問題があるのか、あるいは周辺のインフラに問題があるのか、よく分かりませんが、この従来の三千人という目標について大臣はどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
#32
○国務大臣(千葉景子君) 今法曹養成の問題については大変いろいろな課題が出てきているのではないかというふうには私も認識をいたしております。
 当初の理念は、先ほど委員も御指摘されましたように、やはり法曹が社会の様々な部分で活躍をして、社会がリーガルマインドを持った人たちが活躍をすることによって法の支配がきちっと行き渡るような、そういう社会でありたいと、こういうことが大きな理念だったというふうに思っております。そのために一定の数の法曹を増やして、そしてその目標、目的を是非実現をしていこうということにあったのではないかというふうに思っております。
 こういう理念から考えますときに、ちょっと今の実情が本当にその理念を進めるための実態にあるのかどうかという意味では、いろいろな解決をしなければいけない課題が出てきているのではないかというふうには私も感じております。直ちに法曹人口三千人ということを変えた方がいいのか、あるいはそれを維持して更なる充実を図っていくべきかということについては、今私も確たることを申し上げられると、こういう状況ではございませんけれども、様々な問題点を解消しながら、あるいは検証をしつつ、法曹養成の在り方、こういうことに是非力を入れていかなければいけないというふうに承知をしております。
#33
○前川清成君 私も今回与党の一員でございますので余り追及的なことは申し上げたくないんですが、ただ大臣、二〇一〇年というのは来年なんですね、来年なんです。だから、もうすぐそろそろ願書を提出するころになってしまうわけですので、余り悠長に構えることはできないのではないか、そういうふうに思っています。今年の合格者数が二千人そこそこでしたから、実務的に言っても来年いきなり三千人とすることは不可能だろうと思うんですけれども、そこを、自民党政権下の憲法九条の解釈のように、だらだらといつの間にかごまかしているというのではなくて、政治の意思を是非お示しいただく必要があるのではないかと、そう思っています。
 私は、この三千人というそもそもの構想は、現場を知らない御用学者の口車に乗ってしまった自公政権と、ある意味熱病にうなされていた日弁連、それが必ず蹉跌を来すだろうと予想をしていました。それが不幸にも的中してしまったのではないか、私はそういうふうに思っています。
 民主党の中にも衆議院選挙前にプロジェクトチームをつくって、法科大学院の問題も含めて中間報告を取りまとめました。これについても是非、余り時間もない中ですが、集中的なお取組を是非お願いをしておきたいと思います。
 それともう一つ、この司法試験の問題に関して私はどうしても忘れることができないのは、慶応大学の植村教授の問題であります。
 テミスが目隠しをしているのはなぜか。裁判にとって一番大事なのは公正であること。結果として公正であるだけでは足りない。裁判を受ける当事者にとっても、第三者にとっても公正だと分かること、公正だと信頼されること、つまりは公正らしさ、これが極めて重要なんだろうと思うんです。
 ところが、その公正であるべき裁判を担う法律家を選抜する司法試験において司法試験委員を務めていた慶応大学法科大学院の教授が、慶応大学の大学院生に対してだけ、この判例を勉強しておきなさいよとわざわざ教えた。しかも、大臣も実際に御覧いただいたら分かるように、重箱の隅をつつくような判決です。条文の基本的な解釈が変わるような判決ではありません。しかも、重要判例解説といって、最近出て、その試験の直前に出た判例集に出ていた判決をわざわざ教えた。明らかに私はこれはカンニングではなかったのかと、不正行為ではなかったのかと思っています。
 ただ、この問題を法務省やあるいは文科省は植村個人の問題で済ませてしまっている。しかし、植村さんは、司法試験管理委員会から禁止されていた答案練習会を慶応大学の構内で行っている。多くの学生を集めて答案練習会をするのに、大学当局が知らない。全く私的に大学の施設を利用できるとは思わないわけです。この慶応大学のカンニングの問題は、結局は臭い物にふたをしてしまった、そして植村さんだけに責任を押し付けてごまかそうとしてきた、そういう法務省や文科省の体質がそのままに出ているのではないかなと思っています。
 ですから、私たちは、植村さんを、彼自身の名誉のためにも、この委員会にお越しをいただいて事情をお尋ねしたらどうかと。これは、法務委員会の筆頭理事であった千葉先生からもこの法務委員会の委員長にお願いをしていただいたところですけれども。
 この慶応大学の植村教授のカンニングの問題、これはもう法務大臣としては過去の出来事で、今更蒸し返す意思はないというふうにお考えなのか、そうではなくて、やはり問題があるというふうにお考えいただいているのか、少しその辺りのところをお尋ねしたいと思います。
#34
○国務大臣(千葉景子君) この間、前川委員が大変厳しくこの問題について御指摘を続けてこられたこと、私ももうよく存じておりますし、そして、何とかこのようなことがないように、そしてまた、問題を明確にすべしと、こういうことを私からも求めてきたことも御指摘のとおりだというふうに思います。
 決して臭い物にふたということではなくして、このような公正さを疑うような、こういうことがあってはならないわけですので、それは、これからも当然のことながら、この問題の実態、こういうことも含めてきちっと私たちも二度と起こらないような手だて、あるいは措置をとっていかなければいけないというふうに思っております。
 具体的に植村教授についての取扱いについては、委員会でも十分にまた御議論をいただきたいというふうに思っております。
#35
○前川清成君 時間が残り少なくなってまいりました。山のように通告しながらと先生に怒られてもいけませんので。本当はもう少し突っ込んでやりたいんですが。
 次に、公訴時効の問題なんです。
 十月二十三日の会見で凶悪重大犯罪の公訴時効の在り方を見直す必要があるのではないかと、そういうふうにおっしゃいました。少し、時間がありませんので、私の方から考えの方をまず申し上げさせていただきたいんですが。
 私も、一方において、愛する肉親を失った御遺族の悲しみというのは、十年たとうが二十年たとうが三十年たとうが、それは消えないものだろうと思います。私も今年で母親を亡くして二十七年ですけれども、今でも悲しいと思います。ですから、その御遺族のお気持ちというのはよく分かりますが、ただ、ただ公訴時効を延ばすだけでその御遺族の御意思にこたえられるように真犯人を捕まえることができるのかというと、やはり捜査の在り方にもかかわってくるのではないか。二十年、三十年と捜査の体制を維持しておくことは恐らく物理的に不可能ではないのか。それにもかかわらず、ただ公訴時効を廃止しました、あるいは公訴時効期間を延ばしました、これでは、実は遺族の皆さん方に対する言い訳で終わってしまうのではないかという心配があります。その点のところも法務省の方で検討した上で、捜査の在り方、警察においてどういうふうに捜査が行われているのか検討した上でこの諮問がなされたのかというのは、実は思えないわけです。
 他方、防御権のことで、公訴時効を延ばしてしまいますと、あるいは延長してしまいますと、極端な話、五十年前の何月何日におまえはどこどこでだれだれを殺したんだろうと、こういう疑いが掛かってしまうわけです。その点について、今例えばDNA鑑定もできたしと、こうおっしゃるんですが、DNA鑑定が冤罪の温床であったことは、冤罪の原因であったことは菅家さんの事件からも明らかであって、その科学的な捜査というのを本当にうのみにしていいのか。
 ですから、その公訴時効の延長というのは、一方において、もちろん真犯人を決して逃してはならない、その私たちの正義を追い求めなければならない目的と、そのために何ができるのか、本当に御遺族の意思にこたえるように捜査を続けることができるのかと。
 他方において、真犯人を追い求めなければならないのは正義ですけれども、無罪の人を捕まえて処罰してしまうというのは不正義で、これはなってはならない。無辜の者を罰しないというのも正義であります。
 大変難しい判断が求められる課題ではないかなと、そういうふうに考えているんですが、大臣がこの時期にあえてと申し上げますが、あえてその公訴時効の見直しを御提案いただいたのはどういう御意図なのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#36
○国務大臣(千葉景子君) 今、前川委員が指摘をされたことは、私もほぼ同感でございます。同じ認識に立っているものでもございます。
 この時期にということでございますけれども、逆にこのような問題、先ほどあった被害者の方からの大変強い要望、そしていろいろな懸念をお持ちの皆さんの声、これが非常に今活発に出されるようになってきております。そういう意味では、ここでその方向付けをやっぱりしておかなければ、それぞれのやっぱり思いそれから議論、これが大変複雑に、そしてまた、何というんでしょうね、消化し切れずに進んでいってしまうのではないかということもございます。
 そういう意味で、できる限りこの問題点をできるだけさらっていただいて、そして一定の考え方を少しお示しをいただければということでこの時期に諮問をさせていただきました。
 そういう意味では、前提として方向を置いて、決めて諮問をしたということではございませんので、多分、前川委員が御指摘の様々な問題点、こういうものを法制審議会の議論の中でも多岐にわたって多角的に検討いただけるものではないかというふうに思っております。
#37
○前川清成君 残念ですが、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思います。
 千葉先生、どうぞお体に御留意いただいて頑張っていただくようにお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#38
○森まさこ君 自由民主党の森まさこでございます。
 大臣、やっと質問ができます。御就任から二か月以上たちまして、私どもは国会を早く開いてくださいとお願いを申し上げてきましたけれども、なかなか開かれず、やっと今日、質問ができるんですが、やっと開いたかと思ったら、また会期が少ないから早く終わらせろということで、大変私、理事として困惑をしておりましたが、今日は与野党の理事さんの御努力でこのように質問ができましたこと、大変感謝をしております。
 先ほどもマニフェストのお話もありましたが、マニフェストに書いてあるから実行しなければならないということで、この二か月以上、私どもが質問をできない間にいろいろな大臣の御発言があり、そのことについて私ども質問もできずにまいりました。どうぞ、マニフェスト偏重、マニフェストありきで国民がないということがないように、是非、国会での御議論を踏まえてお取り組みいただきたいとお願いを申し上げます。
 質問をする前に、もう諮問も大分たくさんなさっております。本日はそのすべてについて御質問することが時間の関係上かないませんが、ここでお願いをしておくわけでございます。
 しかし、一つ残念なのが、今日は総理を来ていただきたいと要求をしておりましたが、かないませんでした。と申しますのも、総理の献金疑惑と指揮権の発動の関係について、総理と法務大臣のお二人に同じように御意見をお伺いしたいと思ったからでございます。
 鳩山総理の政治と金に関する疑惑は一件だけではありません。こんなにお一人の現職の総理にぼこぼこぼこぼこと政治と金の問題が出てくるのは、これは前代未聞のことでございます。一つには、偽装献金疑惑、これは三年間だけ発表されておりますが、二千万円以上、二百件以上の、二千万円以上です。二百件というのは、二百人の方が名前をかたられたということです。死亡した方、恩師、同級生、そういう方々が名前を使われて偽装献金に使われたということでございますが、ほぼ八割が偽装であって、一番直近の平成二十年は八七%、九〇%近くが、大臣、これ偽装なんです。
 そして、その次が株の売買の申告の脱税疑惑でございます。この金額も七千万以上にも上っております。そしてまたさらに、裏金疑惑がございます。そういうような疑惑についての指揮権発動について、今日は大臣にお伺いしたいと思っております。
 そこで大臣、お伺いしますが、政治と金の問題について、大臣、これは閣僚としてどの程度説明をしなければならないとお考えですか。どうぞ。
#39
○国務大臣(千葉景子君) それは、政治家であれば適正に、的確に判断をして説明をするものだというふうに私は思います。
#40
○森まさこ君 ありがとうございます。
 政治と金の問題、これは国民の政治に対する信頼、これは法務大臣が国民に信頼されるかどうかという問題でございますので、今日あえて冒頭でもお聞きしました。これについてきちっと説明しなければならないという大臣のお考えを今聞いたばかりでございます。
 どうしてここの場に総理を来ていただくことをお願いしたかと申しますと、党首討論も拒否されました。そして、ここにも来られない。きっと決算委員会にも来られないんでしょう。そして、記者会見でも開いていない。総理は逃げてばっかりでございます。そして、大臣がかばってばっかりだというふうに思いますから、私は、党首討論もしない、そして記者会見もしない、私たちは鳩山総理の政治資金問題についてどこでも質問をする機会がないんでございます。
 そこで、大臣にお伺いします。
 鳩山総理は六月三十日の政治資金について記者会見を開きましたね。その説明に納得ができましたか。
#41
○国務大臣(千葉景子君) 私がお答えをすべきものではないというふうに思いますけれども、政治家はそれぞれが的確に自らのお金の問題について説明をすべきものだというふうに思っております。
#42
○森まさこ君 公正らしさということが大変に大事だと思います。
 それでは、大臣、お聞きしますけれども、大臣、法の支配とはどういうことですか。
#43
○国務大臣(千葉景子君) 法の支配というのは、社会が法のルールにのっとって公平公正に運営をされるということを私は示している考え方だというふうに思います。(発言する者あり)
#44
○委員長(松あきら君) ちょっと速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#45
○委員長(松あきら君) 速記を起こしてください。
 森まさこさんに申し上げます。
 司法、そして法務にかかわる件について御質問をよろしくお願いいたします。
#46
○森まさこ君 法の支配について今大臣にお伺いをいたしまして、お答えをいただきました。
 それでは、この国が法に支配をされている、それを担っているのが大臣であるということで、憲法七十五条の規定で国務大臣は総理大臣の同意なしには訴追されないとなっております。これは間違いないですね。間違いないですか。
#47
○国務大臣(千葉景子君) 間違いありません。
#48
○森まさこ君 そうしますと、総理は自分の同意なしには訴追されませんから、これは訴追をされないということになります。
 一方で、鳩山総理は、捜査をされているから、その資料を取られているから国民に対して説明ができないと言っている。私は資料はあると思いますよ、政治資金の報告書なんかは。今私たちだって申請すれば鳩山由紀夫さんの政治資金報告書は見れるんですから。そういうものを説明をしない。
 そうしますと、訴追もされないし、説明もしていない、こういうことでは法の支配が成り立たないというふうにお思いになりませんか。
#49
○国務大臣(千葉景子君) 個々の問題についてお答えをする立場にはございませんけれども、日本の社会、憲法があり、そして法律が策定をされて、その下に社会が成り立っているものだと私は考えております。
#50
○森まさこ君 それでは、今度は国務大臣として、政治家として説明責任が、鳩山総理に説明責任があるというふうにお思いになりますか。(発言する者あり)
#51
○国務大臣(千葉景子君) 政治家たるもの、それぞれ自らの判断で的確に説明責任を果たすものだと私は思います。
#52
○森まさこ君 そうしますと、先ほど言ったとおり、総理は訴追されることがなく、今どこでも説明をしてないわけです。党首討論にも来ないから、私たち質問ができないわけでございます。そうしますと、大臣は閣議で総理にお会いしたときに、その機会をとらえて総理に説明をすべきであると進言するつもりがございますか。(発言する者あり)
#53
○委員長(松あきら君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(松あきら君) 速記を起こしてください。
 森委員に申し上げます。
 所信に関する質問をよろしくお願い申し上げます。
#55
○森まさこ君 それでは次に、本当に鳩山総理は逃げてばっかり、民主党はかばってばっかりということで残念でございますが、次に、辛光洙の問題について質問をしたいと思います。
 大臣は、拉致実行犯辛光洙の助命嘆願に署名をしたことがございますか。
#56
○国務大臣(千葉景子君) そのように御指摘をいただいていることは私も分かっておりますし、そして二十年以上前になりますのでなかなか確かな記憶はございませんけれども、韓国の民主化運動で逮捕をされるなどした皆さんの署名ということで署名をしたという、それは記憶がございます。
#57
○森まさこ君 拉致された被害者の方は何という方ですか。(発言する者あり)
#58
○委員長(松あきら君) よろしいですか。千葉大臣でよろしゅうございますか。
#59
○国務大臣(千葉景子君) ちょっと御質問の趣旨が分かりませんが。
#60
○森まさこ君 辛光洙に拉致された日本人被害者の名前を答えてください。
#61
○国務大臣(千葉景子君) 原敕晁さんと承知はいたしております。
#62
○森まさこ君 二日前の衆議院法務委員会で自民党の棚橋委員が同じ質問をして、そのときに大臣が答えられなかったものですから、今確認のために質問をしたことでございます。
 大臣が署名をしたかもしれない、その辛光洙が拉致した被害者の名前はしっかりと覚えていただきたいと思うんです。これが署名したかどうか、今調査中であるとのお答えでございますが、大臣は、所信表明の中でも、拉致問題に対する取組については言及をなさっておられます。拉致問題に強い関心を持っていただきたいと思うから質問をしているわけでございます。私は今日通告をしましたが、大臣は今日、拉致問題について質問されるということですがブルーリボンをお付けになっていないことは大変残念なことでございます。
 二日前の衆議院の法務委員会でも、原敕晁さんの名前が分かりませんでした。法務大臣は、国民の命と安全を守る立場にございます。もし自分が拉致実行犯の元死刑囚辛光洙の助命嘆願に署名したならば、インターネットにも載っておりますから私は署名をした可能性が非常に高いと思いますが、もしかして自分が署名したかもしれないと思ったら、その辛光洙に拉致された日本人被害者の名前、しっかりと覚えていただきたいと。私は、もし署名をしたらと思ったら、法務大臣だったらですよ、国民の命と安全を守る、首をかしげていらっしゃいますが、法務大臣であったならばその責任は重大でございますから、それは被害者の名前をきちんとそれは覚えておいていただきたいというふうに思います。そうでなければ、この国の法務大臣が命を懸けて国民が拉致されたときに助けてくれるかどうか、国民は不安に感じると思います。
 それでは、次に御質問をしますが、この原さんは現在どうなさっていますか。
#63
○国務大臣(千葉景子君) 私は詳細については存じ上げておりません。
#64
○森まさこ君 この原さんという方は、昭和五十五年に宮崎県で拉致をされたとされております。それから帰国をしておりません。辛光洙は、韓国でこの原敕晁さんを拉致したというふうに証言をしています。そして、北朝鮮はこの原さんは北朝鮮で死亡したというふうに伝えてきておりますが、これを裏付ける資料等の提供はなされていないんです。
 私たちは、拉致被害者が全員戻ってきてもらいたいと思って、そして国会議員として活動しておりますが、やはり法務行政をまとめておられる法務大臣にはしっかりとその意識を持っていただいて任務に当たってもらいたいと私は思っているわけでございます。
 それでは次に、指揮権の発動について御質問をしたいと思います。
 先ほどマニフェストのお話もございましたけれども、民主党は、今年の六月に、小沢一郎民主党幹事長の政治資金に関する第三者委員会の報告書、この第三者委員会の委員が今政府の中で委員として入っておられるということでございますが、その政府で今委員をなさっている方が入っておられた第三者委員会の報告書の中で、政治的に非常に大きな捜査に関しては法務大臣の指揮権発動も選択肢としてはあり得るという考え方を示しております、第三者の報告書が。
 これについては、法務大臣は指揮権の発動についてどのような見解をお持ちでしょうか。
#65
○国務大臣(千葉景子君) 第三者委員会の報告の中にそのような考え方が示されているというのは私も承知をいたしております。法務大臣は検事総長を介して指揮権を行使をすることができるということも、私も制度として承知をいたしております。
 しかしながら、個々の問題につきまして発言をすべき立場にはない、そしてすべきものではないというふうに思っておりますので、あくまでも検察当局において法や証拠に基づき公平公正に捜査というものは行われるものだと承知をいたしております。
#66
○森まさこ君 大臣は、就任後の記者会見の中で、指揮権発動に関する質疑に対して、検察の暴走をチェックするという点から指揮権についても踏まえて対処すべきと考えているとおっしゃったのですけれども、これは、今後、例えば政権中枢に捜査が及ぶようなことがあった場合に、これは場合によっては指揮権を発動するということも選択肢の中に入るというお考えでおっしゃられたのか、お考えをお聞かせ願います。
#67
○国務大臣(千葉景子君) 私は、検察の指揮権というものについて一般的な考え方を申し上げたということでございます。
#68
○森まさこ君 それでは、一般的にはどのようなお考えでしょうか。
#69
○国務大臣(千葉景子君) 先ほど申し上げましたように、指揮権は検事総長を通しまして具体的な行使をするということに、それが一般的な考え方でございます。
#70
○森まさこ君 同じ日の記者会見の中で、大臣は、指揮権というのは一般論としては絶対ないということはないと思いますと述べられておられます。それで間違いないですか。
#71
○国務大臣(千葉景子君) 基本的に、制度としても絶対に行使があり得ないということではないと思います。制度がそのようにつくられております。そのことを私は申し上げているだけでございます。
#72
○森まさこ君 これまでの法務大臣は、指揮権を発動することについては大変慎重な立場を取られておられました。この委員会での答弁でも、指揮権については発動は考えていないというような答弁が多かったと思います。ところが、今の御答弁を聞きますと、大臣のお考えとしては、それよりは一歩踏み込んだというふうにとらえてよろしいのでしょうか。
#73
○国務大臣(千葉景子君) 私はあくまでも一般的な法の仕組みを申し上げたところでございまして、自らのことについて、個別どうする、あるいは行使をする、あるいはしないなぞということを申し上げていることでは全くございません。
#74
○森まさこ君 全く同じ質問に対して、大臣は記者会見において、大臣という選ばれた者、民意を受けた者がそこでチェック機能を果たすというふうに指揮権について述べておられますが、これは、指揮権について、民意を受けた者が検察という行政権に対してチェック機能を果たすという意味で指揮権を積極的に行使をしていくという意味ではないんですか。
#75
○国務大臣(千葉景子君) これも、制度の意味、これを申し上げたということでございまして、個々にどのようなときに行使をするということを申し上げたことでは全くございません。
#76
○森まさこ君 なぜこれを私がずっと……
#77
○委員長(松あきら君) 森さん、指名されてから発言してください。
#78
○森まさこ君 はい。
 なぜ私がこれをずっと、記者会見と同じことを聞いて確認してきたかと申しますと、マニフェストのことで、先ほどマニフェストを大変重要なお約束ですとおっしゃいました。民主党のマニフェストではないけれども、民主党で第三者委員会の報告書に書かれているものなんでございます。これには指揮権を発動することが書いてある。ですから、それをここで確認をしたいと思って大臣に質問しているわけでございます。
 民主党のこの第三者委員会の報告書には縛られないと、これには影響を受けずに、今までの法務大臣と同じように考えているということで理解してよろしいでしょうか。
#79
○国務大臣(千葉景子君) 先ほど申し上げましたように、あれはマニフェストでもございません。あくまでも第三者委員会というところで考え方が御報告をされたということでございます。
 これまでの大臣がどのようなお考えの下に御発言をされておられたかというのは私が申し上げることではございませんけれども、私は、あくまでも検察が適正に、そして法と証拠にのっとって検察活動を行う、これを不当に縛る、あるいは介入するようなことは毛頭考えておりません。
#80
○森まさこ君 先ほど申し上げましたように、現職総理がこのような疑惑を持たれているときに、法務大臣の指揮権について非常に皆さんが関心を持っておられる、不安にも思っておられる。民主党から第三者委員会の報告書が出ているものですから、今日あえて質問させていただいたわけです。
 総理が訴追されないという立場にあり、そして党首討論にも出てこない、記者会見も開かない、説明責任を全うしていない中で法務大臣が万が一指揮権を発動したら、そこに犯罪がもし行われていたとしたならば、それが隠ぺいされてしまうので、そのおそれがあるから質問をしたんでございます。
 そういうことがないということでよろしいでしょうか。
#81
○国務大臣(千葉景子君) 今、先ほどから申し上げておりますように、検察においてはあくまでも法と証拠にのっとって、そして公平公正に捜査をするものだというふうに思っております。その意味では、その検察活動を私が不当に介入をするということを毛頭考えておらないということを改めて申し上げます。
#82
○森まさこ君 個別の事件には答えられないということですが、今現在に起こっている問題でございますので、国民の不安は払拭できなかったと、今の答弁によっては、私はそう思います。
 それでは、大臣、マニフェスト、マニフェストとさっきからおっしゃいました。マニフェストは国民との大切なお約束。ところが、すべての国民がマニフェストを見て投票をしたわけではないと思います。民主党に投票をした方々も過半数に達しておりません。また、民主党に投票をした方々も、この法務関係のマニフェストをどこまで読み込んで投票をしたかということは非常に定かではないと思います。
 そのようなことをどうぞお調べになっていただいて、積極的にマニフェストを守るとおっしゃるのだったらやっていただきたいと思いますし、大臣、大臣は民主党の議員さんでいらっしゃいますけれども、私たちの法務大臣でもあるんです。民主党ではない私たちの命と安全と日本の治安を守る大臣でもございます。大臣がこれまでとは違った新しい制度を、斬新な御提案をどんどんとなさっております。マニフェストにも書かれておりますが、なかなか、国会議論が開かれてから私は申し上げますが、是非国会の議論をなさって、そして国民的な議論を経て、そういった諮問をしたり、制度を推し進めたり、そういったことにいっていただきたいと思いまして、その中の一つである死刑制度について、これから質問をいたしたいと思います。
 最近は島根で女子大生がばらばら殺人事件の被害に遭うなど、本当に残虐な事件が起きており、国民の不安が高まっております。そして、今のこの厳しい経済状況、厳しい雇用状況の中では、社会不安、そして治安も悪化するおそれが非常に高いということがあるというふうに思います。
 その中で、やはりこの死刑制度を始めとした刑罰制度の見直しということは、私は慎重にしていただきたいというふうに考えております。これについては、国民の世論として、死刑制度の存置に対する、存続に対する国民の意見も多いという結果が出ておりますので、慎重に進めるということについて、大臣は御意見はいかがでしょうか。
#83
○国務大臣(千葉景子君) 私は、死刑制度も含む刑罰の在り方、これは本当に大変重い問題であるというふうに承知をしております。そして、認識をいたしております。
 やはり国民の間でこれらに真剣な議論がなされ、そして皆さんがこういう形で犯罪を犯した者、責任を取ってもらうことが最もやはり社会にとって、そして国民にとっても納得できることなんだと、こういう方向が私は国民の間でいろいろな形で議論され、そしてコンセンサスができるということが最も望ましいことだというふうに思っております。
#84
○森まさこ君 千葉景子大臣は、アムネスティ議連、死刑廃止推進議連に所属をしていたということは間違いないですか。
#85
○国務大臣(千葉景子君) 間違いありません。
#86
○森まさこ君 千葉景子大臣が参議院時代の質問の要旨の中に、人を殺すことは悪い、人を殺さないようにしようということが一つの正義であろうと思うが、それを実現するためにまた人を殺さなければいけない、非常に矛盾した刑罰ではないかと思うというふうに述べておられます。
 この考えに今も違いはありませんか。
#87
○国務大臣(千葉景子君) 私は、そのような考え方、これまで一個人として持ってまいりました。それは別に変わるものではございません。
#88
○森まさこ君 人の命が懸かっている問題ですので、私も大変重い問題だと思っておりますので、質問自体、大変難しいなと思いながらも質問をしているんでございますが、大臣、この法制度というもの、特に刑罰制度というものは、一度変えたらこれはおいそれとまた戻せるものではございません。大臣は辛光洙元死刑囚の命も嘆願した方ですから、どんな人の命も嘆願をするという、死刑をしてはいけないというお考えなのかもしれませんが、今法務大臣でおられる、今死刑制度はこの国にある、その中で今後どうするかということを聞いていきたいと思います。
 今、死刑が確定をして、そして執行されてない、そういう事件はどういうものがあるか御認識がございますか。
#89
○国務大臣(千葉景子君) それはかなり数がございますので、個別、すべて申し上げることはちょっとできませんけれども、非常に多岐にわたる、そしてこれまで様々な社会の中で大きな衝撃を与えたというような事件があることも承知をしております。
#90
○森まさこ君 今大きな影響を与えた事件というふうにおっしゃっていただきましたが、例えば松本サリン事件、地下鉄サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件の首謀者である麻原彰晃こと松本死刑囚、奈良市女児誘拐殺人事件の死刑囚、名古屋やみサイト殺人事件の死刑囚など、世間を大きく騒がせた、影響の大きかった事件もあります。
 そこでお聞きしたいんですけれども、事務方から死刑執行の命令書が上がってきた場合、サインされますか。
#91
○国務大臣(千葉景子君) これまでも申し上げておりますように、やはりこの問題、法務大臣として職責があることを私も承知をしております。
 ただ、人の命を奪うという大変重い刑罰でございますので、やはりここはでき得る限り慎重に検討しながら対処をしていかなければいけないと考えております。
#92
○森まさこ君 私、質問しておりますのは、民主党のマニフェストに死刑の当面の執行停止ということが書かれておりますものですから、それで皆さん不安に思っているものですから、私も自民党の法務部会長をしておりますので、こちらの方に質問がたくさん寄せられております。千葉景子大臣は死刑を廃止するという考えでこれまで御活動されてこられて、そして先ほどからマニフェストが重要、重要と言っているお立場の中で、マニフェストには死刑の当面の執行停止ということが書かれています。
 私は、人の命を奪うという、そういう刑罰ですけれども、被害者の命も奪われております。ですから、もう一度お尋ねします。大臣は死刑を執行するおつもりがございますか。
#93
○国務大臣(千葉景子君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、それ以上のことはございません。
#94
○森まさこ君 私は、先ほどから取調べの可視化等も問題になっております冤罪の問題、非常に重要な問題だというふうに思っておりますが、やはり逮捕された方、起訴された方の冤罪の問題、重要なものと、その重要性と同じように、犯罪被害者の立場、そして国民の治安を守るという立場も大事なものというふうに考えております。
 先ほどの公訴時効の話も同じでございます。これは足利事件の菅家さんが無罪ということが分かった時点でおっしゃっておりました。自分も真犯人が許せないと、真犯人を是非捕まえてもらいたいと。被害者だけの意見ではございません。被害者の御遺族ももちろんそれは強いお考えをお持ちです。真犯人を捕まえたい、無罪ということが分かった後真犯人を捜すこともできないと。捜査してもらえないのでは被害者の遺族、これは気持ちのやり場がございません。しかし、その冤罪で捕まった人も言っているんですよ、真犯人を捕まえてください。これは国民も不安だと思います。幼児を殺害した犯人が今もなおいるということに対して大変な社会不安があると思います。
 ですから私は、公訴時効についてもやはり捜査のコストというようなものももちろん考慮には値しますけれども、私は真犯人がほかにいるということが分かった時点でやはりその公訴時効をそこで進行を停止したというふうに決めるとかいうようなことが考えられてよいのではないかというふうに思います。
 千葉大臣の所信表明、これを読みますと、取調べの可視化や、それから犯罪を犯した方の社会復帰についての記述が長うございますが、犯罪被害者についての記述はたった三行でございました。私は、どちらも大事ですから、やはりバランスを取って考えていただきたいと思うんです。死刑の問題も、それから公訴時効の問題も私は犯罪被害者の思い、それから国民の治安を守るという見解に、そちらの方にも大臣の思いを寄せていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(千葉景子君) 森委員の御指摘は私ももう本当に当然のことだと思っております。犯罪の被害者に対してどのような形で本当にその被害回復をしていくのかということは、例えばこの法務行政だけで成り立つものではございません。しかし、最大限やはり真犯人がきちっと処罰をされるようにということを求めておられるのも当然のことであろうというふうに思いますし、そして、それだけではいやされない、あるいは様々な精神的なあるいは物理的な損害をどうやって回復していくのか、こういうことも大変重要なことであろうというふうに思っております。犯罪被害者の皆さんに対する被害回復そして救済、これは私にとっても大きな課題であることを是非御理解をいただきたいというふうに思っております。
 また、先ほどお話がございますように、治安の維持、これも本当に大きな課題でございます。ただ、この治安の維持も、さてどのような形で本当に真の意味で犯罪のない、そして安心して生活できる、そういう社会を確立をしていくかということは、これもまた社会全体が、そして国全体が取り組まなければいけない課題であろうというふうに思っております。その中で法務行政が携わる部分、これはもちろん、当然のことですけれども、安心できる治安の良い社会、そのための法務行政、これは私も最も大事な法務大臣としての職責であるというふうに考えておりますので、全力を持って取り組んでいきたいというふうに思っております。
#96
○森まさこ君 公訴時効制度については、近時、被害者の遺族を中心として、特に殺人罪等の凶悪重大な犯罪について見直しを求める声が高まっているところでございますが、法務省においては、本年一月から凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方に関する省内勉強会を開いて、当時の早川忠孝政務官が中心になって報告書をまとめられております。その内容ですと、殺人罪などの重大な生命侵害犯については、その中で特に法定刑の重い罪の公訴時効を廃止し、それ以外の罪についても公訴時効期間を延長する方向で見直すという、そういう報告、取りまとめになっておりました。
 我が党においても、公訴時効のあり方に関する勉強会を開催して、犯罪被害者の御遺族、それから日本弁護士連合会、関係省庁からヒアリングを行ってきて、この問題に取り組んでまいりました。科学的捜査方法の発達や、被害者感情、遺族感情、現在の国民の正義観念や規範意識に照らして、私は、先ほどの勉強会が示した見直しの方向性は妥当なものと考えております。
 ただ、本日の初質問までの間にもう大臣が諮問をされました。そして、その諮問をしたときの大臣の頭にあったお考えは、先ほどの前川委員の質問に対する答弁を聞きましたら、前川委員の考え方と全く同じでありますというお考えでございました。被疑者、被告人の防御権の観点からおっしゃったように私には解釈をしたのですが、そのような観点から、法務省の勉強会が示した方向性よりももう少し慎重に考えるようなお考えだったように思います。ですので、私は今この質問に時間を割いて質問をしたのでございます。
 法務大臣の被害者に対する思いは分かりましたが、思いがあるのであれば、やはり被疑者、被告人に対する記述とそれから犯罪者の記述が余りにも、三分の一以上の記述、又はそのお話に力の入れ方に違いがあったということで、私は大変そこのところを不安に感じております。
 どうぞ法務大臣は、これから犯罪被害者の御意見をよく聞いて、そして国会審議をよくしてお取り組みをいただきたいというように最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#97
○委員長(松あきら君) それでは、午後一時に再開することとし、休憩をいたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#98
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 午前中の質疑において森まさこさんの発言中に不適当な箇所があるとの御指摘がございました。
 委員長といたしましては、後刻理事会において速記録を調査の上、適切な処置をとることといたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#99
○丸山和也君 丸山和也でございます。
 今日は、千葉法務大臣の最初の法務委員会ということで、私も大臣就任のお祝いを申し上げたんですけれども、正式にこの場でいろいろ所信表明を中心にしながら御意見をお聞かせいただきたいと思っております。
 まず、やや理念的なお尋ねをしたいんですけれども、やはり戦後数十年続いた自民党を中心とした与党政権が替わって、民主党を中心としたかつて野党だった本格的政権交代が起こった中での初代の法務大臣として、やはりこれまでの法務行政全般を通して、やっぱりここをこのように変えていきたい、あるいはこういう新しい理念でやっていきたいという、そういう抱負のようなことを是非お聞かせいただきたいと。
 千葉法務大臣の所信表明読ませていただきまして、個々的には随所に変革といいますか主張が出ているんですけれども、全体的な理念的なところがやや、遠慮なさっているのかどうか分かりませんけれども、弱いような気がしまして、前々の鳩山法務大臣のときは、法秩序の維持とかそういうことは当然なんですけれども、和の文明とか美と慈悲の文明とか、そういうフレーズも使いながら、根底にそういう理念を持って法務行政を進めていきたいと、こういうことをおっしゃったんですけれども、やはり千葉法務大臣においても必ずそういう根底に何かそういう哲学的というか思想的といいますか、そういう思いがあってこういう所信表明をされたと思うので、そこら辺りを御遠慮なくというか、もう思い切り披露していただきたいと思いますので、しょっぱな、よろしくお願いします。
#100
○国務大臣(千葉景子君) 丸山委員にこのような私の思いを申し上げる機会をいただいたこと、心から感謝を申し上げたいと思っております。
 法務行政というのは、やはり一番社会の基本ですね、そこをいかに支えていくか、そしてその一番の基礎をどう構築をしていくかということにおいて大変重要な役割、そして任務であろうと、そしてそのための行政運営をしなければいけない、そういう部署であろうというふうに思っております。
 私は、様々課題はございます。やはり一番大きいのは、よく具体的に言えば例えば法秩序の維持であるとかあるいは治安の維持、こういうことが言われておりますけれども、そのさらにまた基本になるところは、一人一人のやはり人間が尊重される、そしてそれを言い換えれば、人権が尊重され、そしてそれを法としてきちっとルール化をして、それがだれにも分け隔てなく適用される、こういう本当に人間が一人一人尊重され、そしてその力があるいは能力が発揮できる、そういう社会、そのための基礎をどうつくっていくかということであろうというふうに思っております。
 そういう意味では、私はこれからの法務行政の下で、今申し上げましたように、でき得る限り、憲法の一つの大きな理念でもございます法の支配ということ、その根底にある基本的人権の尊重、ここをやはり法務行政の中でも根底に置きながら、そしてそれをどうやって生かしながら、安心してだれもが生活できる社会、それがひいては治安が良い社会ということにもなりますし、そしてそれぞれが多様な生き方、あるいは人間としてのこれからの希望を持って生活をしていくことができるような、そういう社会を築いていくことができるのか、こんなことを念頭に置きながら、この法務行政、しっかりとその基礎をつくっていきたい、こんな気持ちで取り組ませていただきたいというふうに思っております。
#101
○丸山和也君 おっしゃることよく分かります。
 それで、所信の中でも述べられておるんですけれども、しょっぱなに、私が預かる法務行政は法秩序の維持と国民の権利擁護を主たる任務としておると。まさにこれ歴代大臣皆さんも似たようなことおっしゃっていると思うんですね。
 それで、ただ、私がそうかなと思っているんですけれども、いわゆる法秩序の維持ということと権利の擁護を非常に対立的なものとしてやっぱりややもするととらえられてきたと。そこにやっぱり問題も、対立する面もちろんあると思うんですけれども、行き過ぎたあれに対しては、やはりこれが調和するというか、そういうことをもしかすると千葉法務大臣は理念の中にお持ちで、それを一人一人の人間の観点に立ってとか、そういう言葉でおっしゃっているのかなと私勝手に思っているんですけれどもね。
 それで、私は、基本的には、やっぱり法秩序の維持というのは、人間主義といいますか、そういう血の通った法律の運用というところがあって初めて法秩序の維持ということと個人の権利の擁護ということが合致してくると思うんですね。これが本当の意味での自然的な法秩序の完成した姿じゃないかと思うんですけれども、ここら辺をもうちょっと、くどいようですけれども、おっしゃっていただいたらと思っているんですが、いかがでしょうか。
#102
○国務大臣(千葉景子君) 今、丸山委員御指摘のところは私も共感をさせていただくところでございます。
 法秩序というのは、どこか強権的に、全く上から一つの型をつくってそれをみんなに守ってもらう、そういうことではなくて、やはり一人一人の人間同士の、言わばお互いを尊重できる社会のためのルールと、これが法秩序だというふうに私は思っております。そういう意味ではおっしゃったこととほぼ共通するかなというふうに思いますけれども、それぞれの権利を大事にする、そのためにはどういうルールでお互いが尊重される、こういうルールができるのか、こういうことで私は考えていく必要があると思いますので、それがひいては法の支配、そして法秩序ということにつながっていくものだろうというふうに思います。
 そういう意味で、丸山委員のお考えと相通ずるところが私もあるものと大変感銘をいたしております。
#103
○丸山和也君 是非、これから何年法務大臣を担当されるか分かりませんけれども、やっぱり千葉カラーを出して、そういう人間主義にのっとって思い切ってやっていただきたいと。やはり政権が替わって、また法務大臣も替わって、いいカラーが出たなとやっぱり全国民から評価されるような、是非思い切った指導を発揮していただきたいということを冒頭にお願いして、個々の質問に入らせていただきます。
 私もほんの短い期間でありますけれども法務省にいたことがございまして、(発言する者あり)本当なんですよ。それで、入国管理行政というところを配属されたことがありますので、それについて非常に関心が強いものですから、その点から質問させていただきたいと思います。
 それで、私がずうっと思っていますのは、もう何十年前からそうなんですけれども、やはりこの日本という国が諸外国国民とどのように付き合っていくかという中で、もちろん友好的に、平和的にという理念は当然なんですけれども、要するに諸外国民の受入れ、単にトランジットとか旅行者じゃなくて、日本で生活する、あるいは働く、いろんな期間の長短はあっても、そういう諸外国民をどのように受け入れていくかということに関する基本的な方針というのは、基本的には非常に制限的にする、門戸を厳しくして例外的に受け入れる、違反者は追放させると、こういうのが基本であったと思うんですね。ただ、若干そういう中でも、やや開放政策というか、少しずつ門戸を広げたり、実験的に入れてみたりと、こう繰り返しているんですけれども、やっぱり長期的な、あるいは中長期的なと言ってもいいんですけれども、そういうビジョンが、なかなか議論が展開されていないと思うんですね。
 個々的に、例えば最近、介護士が足りないとそういう人を入れてみるとか、あるいは労働力が足りないと研修生ということで、事実上半分研修ということで仕事も覚えさせながらやってもらうという、こういうようなこととか、非常にちぐはぐな感じで、やっぱりこれは抜本的にはこの国がこれからずうっと先にわたって外国人をどのように入れていくか、また国家規模として人口規模としてやっぱり一億数千万の規模を維持することを目標にしていくのか、あるいは半分ぐらいの七千万ぐらいの国家としてやっていくことを目指して、目指してというとおかしいけれども、そういう方向で人口政策、外国人受入れも考えていくのか、こういう議論がなかなか統一的といいますか本格的に行われてこなかったということが僕は随分原因になっていると思うんですよ。
 それで、これはもちろん法務省一省でできる問題ではありません、他省とも随分かかわりますから。でも、やっぱり窓口で入管行政を統括する法務省としましては、一つのリーダーシップを持ってこういう外国人政策を抜本的に僕はそろそろ考えなきゃいかぬと思うんですね。
 もちろん、後でもちょっと触れますけれども、例えば北朝鮮の体制がもしつぶれたとしたら、恐らく十万人かそれ以上の人がやっぱり日本に帰ってくると思うんですよ。一九五九年から二十五年間ぐらいで北に帰ろうみたいな運動がありまして、約九万五千人ぐらいですか、だけど、その間、子供が生まれたりして約三十万人ぐらいになっているはずなんだけれども、実際は病気になったり殺されたりあるいは収容所へ送られたりというような話ですけれども、聞いていますけれども、そういう中で、そういう非常事態的に帰ってくる人もいるし、そうじゃなくて、積極的に門戸を開いて、いろんな産業、農業、介護あるいはその他のところにでも受け入れていくのかどうかというようなことも含めて、やっぱり国の形づくりに関して法務省として一つのやっぱり視点からリーダーシップを取る必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#104
○国務大臣(千葉景子君) これは丸山委員常々御指摘をされておられ、提言をなさってきた課題だろうというふうに私も承知をしております。また、入管行政にも大変精通をされておられる丸山委員でおいでですので、その大変難しさや問題点、これも御承知のところであろうというふうに思います。
 正直申し上げまして、私も、日本の本当に社会、そして国として一体これからどのように国際的な社会の中で生きていくのか、門戸を広げていくのか、あるいは日本のどういう規模での社会を築いていくのか、少子化ということもあり、大変重い問題であろうというふうに思っています。
 もう御指摘をされたとおり、これは法務大臣として、それから法務行政だけでこれは解決をしたり、あるいは方向付けができる課題であるとは私も思いませんけれども、ただ、入管行政などに携わっているその現場の皆さん、逆に言えば、そういう大きな方向付け、これがないがゆえに逆に大変御苦労されたり、あるいは厳しい問題に直面をされていると、こういうことも私も感じております。
 そういう意味で、私も、大変微力ではございますけれども、このような大きな、これからの日本の社会、外国人の皆さんあるいは外国籍の皆さん、あるいは国際社会とどのような形で日本の社会いくべきかと、こういうことについてでき得る限り私も頭を本当に巡らせ、そしてまた、機会があれば問題提起をさせていただくことができるように努力をしていきたいというふうに思います。
#105
○丸山和也君 是非、大臣におかれましては、そういう議論を呼び起こすような発言とか行動をやっていただきたいと思うんですね。やはり法務大臣がそういう外国人に対して、あるいは国づくりに関してこういう問題意識を持っている、それからこれについて議論しようじゃないかという姿勢を示すことは非常に前向きの議論だと思うんですね。それで、それによってやっぱり法務省の存在ということも他省庁の中でやっぱりぬきんでる部門だと思うんですよね。そういうことで、ややもすると法務省というのは割合遠慮がちに引っ込んでいるというところがあるんですけれども、決してそうじゃない。国づくり、それから国際社会との在り方の中で随分リーダーシップを取れる部分がいっぱいあると思いますんで、是非、今おっしゃったようなことを、勉強会するなり、あるいは発言されるなりして、時々発信していただきたいと思うんですね。
 それで、残念ながら、今までの法務大臣も、任期が短いものですから、関心は示されるんですけれども具体的には何もしないまま皆替わられているんで、是非、居座ってでも大臣を続けられて、そういう流れを是非、千葉大臣があってこういう一つの動きが出ているんだというぐらいに頑張っていただきたいと思いますんで、是非よろしくお願いします。
 それから、時間の関係で、先ほどもちょっと問題になりましたけれども、死刑制度についてお尋ねいたします。
 これについても、死刑の存廃を含めていろいろな議論があることは私も承知しております。これについてもやはり議論を深める必要があると思っているんですけれども、今回は、その中で私が前から一応言っています、死刑を存置された上での執行方法について、再度といいますか、大臣には初めてですけれども、お聞きしたいんですけれども。
 現在、やっぱり約百名程度の確定死刑囚がおられる、それで、執行されるのに平均七年近くの年月がたっているというふうに聞いているんですけれども、それで、刑事訴訟法上は確定後六か月以内でしたかね、そうなっていますし、それから大臣が署名してからは五日以内にと、こういうふうになっているんですけれども、そういう意味では、法の規定がありながら、実際には法務大臣自らがそれを運用していないというか実行していないという、これはある意味ではゆゆしきことなんですね。
 それから、ただ、現実的にそれが非常にできない、いろんな事情、考えて、歴代そうであったということは、何かの事情があると見ざるを得ないと思うんですよ、結果的に。すると、そういう法の規定の、例えば現実に合わせるのか、あるいは現実が駄目だから法の規定に合わせるのか、法改正をするのか、こういうことも含めてやらないと、やはりちょっと放置をいつまでもというのはいかぬと思うんですよね。全然事例は違いますけれども、かつて防衛の面で、自衛隊が軍隊かどうかとか憲法違反かどうかというような、憲法違反だけれどもずっとあるみたいな、こういう議論があってそのままになっているのと同じような感じで、やはりタブーを恐れず切り込む必要は私はあると思っているんですよ。
 それで、現状を前提にして、執行の点で少しお聞きしたいんですけれども、私は前から言っていますように、どんな重罪を起こして死刑確定して執行を待つ身であっても、これはやはりそういう人にも最後の尊厳というのは私はあると思っているんですよ、どういう人間でも。ですから、当日に、午前七時ですか八時か分かりませんけれども、今日やると言われて二時間後に執行されると。これはその間何年も放置というかずっと待っていて、ですから、翌日は執行か、翌日は執行かと思いながら事実上のある意味での拷問を受けているような感じなんですよね、何年も。ここはもう少し改善の余地があるんじゃないかと思うんです。
 それで、私が前から提案していますように、例えば法務大臣が署名されるときに、例えば三か月の猶予を持って、例えば猶予期間を設けた署名をするとか、これも法的にはちょっと逸脱しているように思うんですけど、どっちみち逸脱しているんですよね、あれ、あの確定後六か月以内にというところを。そういう意味では、運用上、少し自分が死を受け入れる期間、心の整理をする期間、あるいは関係者にいろんな手続をする期間とか、それで自分がそれを、国家の命令を自分の尊厳において受け入れるということによって国家の命令と自分の行為というのが一致すると思うんですよ。それがある意味で本当の理想的な姿じゃないかと私は思うんですね。満足して死ねるというと変ですけれども、一つのやっぱり尊厳の、国家も認めた尊厳の在り方じゃないかと私は思っていますもので、そういう意味で、くどいようですけれども、国連の方からも何度も言われていますけれども、告知期間といいますか、一定期間を与えた告知という方向に何かの今後努力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(千葉景子君) 死刑の問題については、その存否についても大変重い問題であると同時に、丸山委員が御指摘をされておられますように、その執行の在り方、これも大変重い問題であろうというふうに思います。先ほどから御指摘がありますように、これが法律がそのままやっぱり運用されていない、ある意味では法違反になっているようなそういう状況にもあるということは、それだけ大変だれにとっても重い、どうやって背負ったらいいのかと考える問題だからではないかというふうに思ったりいたします。
 その執行について丸山委員が提起をされておられる考え方、私も重く受け止めてまいりたいというふうに思っております。
#107
○丸山和也君 前々の鳩山法務大臣も重く受け止めると言って、体重は重いんでしょうけれども、後で聞いてみたら、いや、特別何もやっていないんだということで私が文句を言ったことがあるんですけれども、是非、千葉法務大臣においてはそういうことがないように、少なくとも、事務方はなかなか難しいと思うんですけれども、やっぱりリーダーシップを持って検討すると。それで、やっぱり国連からも言われていますし、そういうこともありますし、国連が言ったから全部正しいというわけじゃ決してないんですけれども、我が国のやり方でいいんですけれども、独自のやっぱりそういう指摘を重く受け止めて、少なくとも省内において、あるいは世論を巻き込んで、そういう考えようという機運を起こしていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いします。
 それから次に、民法の改正等諸問題について二点ほどお聞きしたいんですけれども、まず、大臣も以前からおっしゃっていると思うので、夫婦別姓の問題ですね、これは所信の中では触れられていないというように思うんですけれども、これはどうしてか、またその点についてはどういうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#108
○国務大臣(千葉景子君) 所信におきましてもちょっと、ちょっとというか触れさせていただいておりまして、是非……(発言する者あり)はい、余り長いものではありませんでしたけれども、触れさせていただいておりますので、是非皆さんの賛同をいただいて実現をしていきたい課題の一つでございます。
 なお、先ほどの答弁で私が違法状態と申し上げましたけれども、必ずしもすべて違法だということではございませんので、その点、ちょっと訂正をさせていただきたいというふうに思っております。
#109
○丸山和也君 では、もう一つ民法の問題で、婚外子の相続分の問題があると思うんですが、これが触れられていなかったというふうに私ちょっと勘違いしまして、この点について、これについても千葉大臣は、要するに積極的に平等にするという方向のお考えの持ち主だと思っていたんですが、これは特に触れられていないということはどういうことで、あるいはそういうお考えに変わりがないということなのかどうか、ここらをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#110
○国務大臣(千葉景子君) これも文章上でその言葉は使っておりませんけれども、選択的夫婦別姓を始めとする民法ということを申し上げて、そこに当然のことながら含まれておりますし、それから、所信でも触れていますように、法制審議会、平成八年の答申にも触れさせていただいておりますが、その中には選択的夫婦別姓、それから非嫡出子の相続分の差別の解消ということも提言をされておりますので、それも併せて、当然のことながらですが、改正、見直しを是非実現をしていきたいというふうに私は決意をしているところでございます。
#111
○丸山和也君 婚外子の相続分に関しては、判例も下級審と最高裁でばらばらになっていたり、それから国民の意見もいろいろあるようですけれども、基本的に、これは前も私言ったんですけれども、明治維新の直後に福沢諭吉さんという啓蒙思想家がおられましたけれども、あの方が「福翁自伝」という中で、門閥制度は親の敵であるという有名な言葉ですけれども、要するに平たく言えば封建制度みたいなものですよね、親の敵であるとおっしゃっているんですけれども、これは直結するというわけじゃないですけれども、考えてみますと、やはり親の形態によって子供を差別的に扱うということなんですよ、基本的には。それで、これに対しては婚姻制度を守るためにはこれが必要なんだとおっしゃる方もいる。しかし、婚姻制度はこういう身分の差別によって維持されるべきものじゃないんですよ。ここらが非常にまだ進化してないといいますか、封建制度を引きずっていると私は思っているんですよ。
 しかも、これが第一点で、もう一つの問題は、身分的な違いを財産問題にまで影響させているんですよ。これは、相続って基本的に親の財産の問題で、それを身分によって違えるということは、やっぱり二重の意味で非常に封建的な思想が残っているんですよ。これは、婚姻制度というのは本来両者の人間的信頼関係に基づく制度なんですよ。ここの決定的なやっぱり決意ができてないままずっと個人の関係の中に法制化されて残っているんですね。
 ですから、僕は、これはもういずれ最高裁でもひっくり返るといいますか、憲法違反だとなるのは時間の問題だと思っていますよ。東京高裁でももう二十年ぐらい前にも、二十年かな、十五、六年前にもそういう判決出ていますけれども、これはもう時間の問題だと思っているんですけれども、そういうことを最高裁が言ってくれるまで法務省がじっと待つというんじゃなくて、やはりむしろ世論をリードする形でやられたらいかがかなと私はもうずっと思っているんですけれども、この点について千葉法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
#112
○国務大臣(千葉景子君) 大変力強い後押しをいただいたような気持ちでございます。
 御指摘いただきましたように、本当にこれは子供にとって責任のないものを背負わされるということでもあり、これは国際的にも本当に厳しく指摘をされている。そしてまた、それがいわゆる封建的な制度、これを色濃く残しているということにもつながっているというふうに私も思います。
 そういう意味で、決して最高裁の判例を待つまでもなく、是非、このような子供の本当に最大の幸福を、そして子供の権利をきちっと尊重するという意味でも、これはできるだけこれも早くきちっとした法改正を実現をしていきたいと、私も強い決意を持って進めていきたいというふうに思っております。
#113
○丸山和也君 やっぱり人間が人間として一生を送る中で一番怒りに感じることは、やっぱり不当な差別なんですよ。いわれなき中傷とか不当な差別なんです。そのためには、やっぱり人は歴史の中で命を懸けて闘ってきているんですよね、いろんな形で。ですから、尊厳が踏みにじられるということがやっぱり人が動物でないところの最大のやっぱり、燃えると言っては変ですけれども、心に響く点なんです、尊厳ということがね。
 そういう意味では、やっぱり制度を維持するためとかいろんな口実はあるんでしょうけれども、やっぱり基本的には憲法第十四条というのはもうとてつもなく重いと思っていますので、そういう意味で是非、自信を持ってというと変ですけれども、失礼なんですけれども、信念を持って議論を集約していただきたいと思います。
 それから、時間の関係で最後になりますけれども、後でちょっと通告させていただいたんですが、いわゆる債権管理回収業に関する特別措置法の問題について少しお聞きしたいと思います。
 いわゆるこの法律は、いわゆるバブル経済の崩壊後の金融機関の持つ不良債権を早期に処理し、金融機関の安定、もって国民経済の安定に資するためということで、はっきり言えば、弁護士から奪ってとは言わないけれども、本来が弁護士だけがやれるような業務を特定の免許を持った業者にできるように道を開いた緊急避難的法律だったと私は思うんですね。
 ところが、いろいろ実情を見てみますと、いわゆるこれが、いわゆる業者間で債権を転がしていくというか、転々と転売していくことによって暴利をむさぼる手段に結構使われているということがあるんですね。
 それで、これはやっぱりそろそろこの法律の廃止を含めた見直し、あるいはもう少し厳格な監督権限を法改正によって入れるとかなんとかしないと、言葉は悪いですけれども、ハゲタカ回収ファンドによって、債権転がしによってむしろその不良債権がいつまででも置かれて、それで最後にがばっと巻き上げられているというようなことが多々ありますので、是非、大臣におかれましては、この緊急的に作られた法律の改廃を含めて検討をいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#114
○国務大臣(千葉景子君) このサービサー法、御指摘のとおり、これは不良債権処理ということを背景にして策定をされたということがございます。その後、多少今は金融システムの一環のような形で運用をされているということはございますけれども、ただ、この間も大変悪質な取立て等々厳しく批判を受けているという、そういう事実もあることを十分私も承知をいたしております。
 この間、いろいろな規制の強化などにも取り組んできてはいるものの、それだけでやはり十分であるとは私も思っておりません。直ちに廃止をするということにまで行くのがどうなのか、まだ確定した私も回答を持っているわけではありませんけれども、少なくとも、より一層の規制を強化をする、厳しい規制を設けるなどのやはり見直しというのは考えていかなければいけないのではないかというふうに私も思っております。できるだけ早急に見直し作業などを進めてまいりたいというふうに思います。
#115
○丸山和也君 これで大体もう予定していた質問は終わりなんですが、どうか大臣におかれましては、いろいろ初めての大臣ということで非常に難しい点もあるでしょうけど、良くも悪くもって失礼なんですけれども、とにかく思い切って、とにかくリーダーシップを持って千葉カラーを出してばんばんやらないと、やっぱり法務大臣というのは、従来の固定的な死刑の問題、この問題とか、もう割合そういう問題だけで、世の中の経済事件とか起こるとそっちに埋もれてしまって、本当の大事な問題がやや後回しになる可能性が非常に強いんですよね。
 ですから、どんどん閣内でも発言されて、大臣の中の僕は筆頭だと思うんですよ、法務大臣というのは。だから、大きな顔をして、鳩山さんにだろうが小沢さんにだろうが、千葉がなくてはこの内閣はもたないんだというぐらいのつもりでやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#116
○木庭健太郎君 同じ法務委員会で共々にいろんなことを取り組んできた経験豊かな千葉参議院議員が法務大臣におなりになられた。心からお祝いを申し上げたいし、また、是非やりたい施策、今も御指摘があっておりましたが、千葉カラーを出しながら仕上げていただきたいと、そんな思いでここに立っておる次第でございます。
 質問通告しておりましたが、ちょっと順番を変えてお尋ねを幾つかしたいと思うんですが、最初に取調べの可視化の問題について、公明党はマニフェストを実現できなかった、民主党は是非実現すべきだという御意見があっておりました。私どもも、この取調べの可視化の問題について、ある意味では、ほぼ全面可視化まで持っていけなかったことについては、これは本当に悔しい思いもしております。
 連立を組む中で、なかなか納得していただけないというような部分もございましたし、ただ、私どもとしてみれば、この可視化、取調べの録音、録画という問題、私たち、連立政権に入る前までは全く関心外でございました、この問題は。私どもが連立に入らせていただいた後、本当にその録音、録画ということが効果があるのかどうかということで、検察庁も警察もこの可視化の問題についての今一部試行をしているというのが現在の状況だと私どもは認識をしております。
 ただ、もう一点申し上げたいのは、民主党から出された法案について、私ども公明党は反対をいたしました。とても重要な法案だし、正直に悩んだところもございます。しかし、民主党の法案を見せていただいて、私どもとしてみれば、今、この全面可視化、すべて例外なくやる、このやり方については時期尚早であり、まだ検討すべき課題が残っておると思いました。
 検討すべき課題とは何かというと、今試行を始めているわけですから、それを受けて、たった一部の可視化ではどういう問題があるのかということが明らかになっていくでしょうし、さらに、捜査の方々、取調べを受ける方々がその録音、録画というのをどうとらえるかという問題について是非とももう少し検討していただきたいという気持ちがございました。さらに、先ほど御指摘があったように、組織犯罪のこの問題についてどうすればいいのかというのは、まだ私は課題として残っておると思います。
 それもこれも全部ひっくるめて、さあ、やれと、それは、私たちは時期尚早であり、現時点ではこの法案には賛成できない、こう言って反対をいたした経過でございます。
 正直に申し上げて、私は、民主党政権になってまず真っ先に出てくる法案は、参議院で二回もお通しになられて、マニフェストにも掲げているわけですから、この参議院で通した法案がそのままこの法務委員会に参議院ぐらいからかけられるんじゃないかと私は思っておりましたが、今回はあの法案を提出なさいませんでした。なぜですか。なぜあの法案を、発議者の一人でもあったんですから、なぜその法案を提出されなかったのか。
 そして、更に私がお尋ねしたいのは、この可視化の在り方について、今法務省に対してどうあるべきかということをもう一回検討しろと指示なさっている。じゃ、民主党法案に何かそういう問題点があったのか、併せて御答弁をいただきたい。
#117
○国務大臣(千葉景子君) 木庭委員、この可視化の問題については、これまでも逆にやはり推進をすべしというお立場でいろいろ御苦労されてこられたということを私も承知をいたしております。
 今回、この可視化法案につきましては、確かにこれまで民主党でも私も含めて立法機関として提案をさせていただいてまいりましたし、そしてこの度のマニフェストでもこの実現というのを大きな柱にさせていただいております。ただ、これは、じゃマニフェストで掲げたのですぐ出しますと、必ずしもそういうことではございませんで、一定のこの政権の約束としてその間に必ず実現をさせていただくと、こういう意味での約束でもあろうかというふうに思っております。
 そして、いろいろ皆さんから御指摘をいただいている、公明党さんからもそういう御意見が出されているということも承知をいたしておりますし、それから、実務的にも確かに全面可視化、これは基本にしながらも、例えばどこか外のようなときにどうするのであるかとか、あるいはそれから財政的にどれぐらいな規模でやることができるのか、様々な詰めをしなければいけないことがあるというのも当然であろうというふうに思います。
 責任を持った法案、全面的な可視化ということを基本にしながら、やはり実務的にもそごのない、そういう法案を私も策定をして皆さんに納得をいただきたい、こう思っておりますので、そういう意味で、今勉強といいましょうか、そういう作業をスタートさせていただいていると、このようにお考えいただければというふうに思っております。
#118
○木庭健太郎君 よく分かりました。
 ただ、この可視化の法案というのは、ある意味では、民主党が二回も通したというのは、かなりの整理が付いた上でもう問題点もはっきりしているわけです。そういう問題点を多分今どうすればいいのかということを大臣から御指示をいただいているところだと思いますので、私は、いろんなものがある中でやはりこの可視化の問題についてはできるなら早急にまとめていただいて、次期通常国会ぐらいには是非とも今度は内閣提出法案でこれらの問題を解決して提出していただきたい、いい法案であれば是非賛成もしたいと、こう思っておりますので、早急な取りまとめを是非お願いしたいんですが、どうですか、次期通常国会では出せますか。
#119
○国務大臣(千葉景子君) 今確約ということには至りませんけれども、その御指摘はもう本当によく私も理解をさせていただきますし、そして私の思いもやはりできるだけお約束は早く実現をしたい、こういうことでございますので、是非着実に進めていきたいというふうに思います。
#120
○木庭健太郎君 それでは、また質問を元に戻して、補正予算の執行の見直しをやりましたね。確かに緊急性とかいろんなものの中で法務省としても整理をなさって、幾つかの事業を執行も停止をされたと。幾つかのものがある。でも、その中で、例えばせっかく指紋の問題とかゲートの問題とか是非この委員会でも指摘してやりたかったなというのが結構削られたりして、この辺、まずこの補正予算の執行の見直しについて、法務省関係分について、大臣としてどう評価をちょっとされているのか。これはその後の今の仕分作業ですか、そんなこともちょっとかかわってくるんですけれども、まずこの補正の見直しの中で、これだけはしようがなかったと御判断なさっているのか、是非これはやりたかったんだけどなと、そういう思いでいらっしゃるのか、その辺も含めて評価があれば伺っておきたいと思います。
#121
○国務大臣(千葉景子君) 今回の補正予算の見直し、これは私は、やはり本来本予算できちっと計上しそして確保をするものかどうかと、こういう観点を私は大事にしながら見直しをさせていただいたところでございます。
 そういう意味では、決してすべてが全く不要ということではありませず、ただ、補正で急いで緊急にやるものであるか、むしろ本来の予算というものにこれからはきちっと計上しながら、法務省、司法にかかわる予算というのは大変脆弱なものでございます。そういう意味では、そういう大きな骨太といいましょうか方向性を私も頭に描きながら、補正というやり方ではなくて考えていくべきではないかと、こんなことを念頭に取り組ませていただきました。
 その中で、今御指摘がありましたけれども、例えば入管の指紋取得スキャナーの改造等々は、これはやっぱり不正を防ぐ等々の意味で緊急にきちっとやっておかなければいけないということで、こういうものはやっぱり緊急度が高いということで位置付けさせていただき、そのほか、何とか、今ではなくてもっと長期的な資金計画といいましょうか、そういうものを持ちながらやるべきものではないかということについて精査をさせていただいたという実情でございます。
#122
○木庭健太郎君 もう一つ、事業仕分の中で、法務省関係分では、今、少し触って見送りになったり見直しを行われているものについて幾つあるかというと、まだこれからも幾つか続くんでしょうが、裁判員制度の啓発推進、広報の在り方を根本的に見直すべし、抜本的に見直すべきということで予算計上が見送られる、登記事項証明書の交付事務等の包括的民間委託の実施、これが見直しを行うということになって、さらに登記情報システムの維持管理についても予算要求の縮減というような問題がテーマになっているとお聞きしています。
 これについては、大臣としてはどうお考えでしょうか。例えば、いや、そこは必要なんで、是非今後復活で頑張りたいというお考えなのか、これもやむを得ないという御判断なのか、この辺もお聞かせ願いたいと思います。
#123
○国務大臣(千葉景子君) 今回の仕分作業によりまして、一つは広報、裁判員制度、これについては、確かに裁判員制度、スタートをいたしました。そして、かなり理解は進んでいるものだというふうに思っております。今後、これまでどおりの確かに広報の仕方でいいのかどうか、むしろこれからは、まだ私はちょっと裁判員になるべく当たらない方がいいかなとか、そういう皆さんに対して、いやいや、そういうことではないという御理解を深めていただく、そういうこともかなり重要になってこようかというふうに思います。
 そういう意味で、私は一つのいいチャンスだったのかなと。広報の在り方、そういうことをもう一度、より有意義な、そしてまた効果のある広報というものを考える一つの契機であろうというふうに思いますので、決して広報が全く私も必要じゃないというふうには思っておりませんけれども、抜本的にどういう広報の仕方が適切なのか、そして効果があるのかと、こういうことを考える契機にもさせていただければと、このように受け止めているところでございます。
#124
○木庭健太郎君 その広報の在り方を見直す、大事なことだと思うんですが、もう一方で、やっぱり裁判員制度についての随分報道もなされて、実際に始まって理解も随分出てきているんですけど、やはりいまだにこの裁判員制度、怖いとかやりたくないとか、いろんな意見もあるわけであって、今おっしゃったように、広報の在り方、つまり裁判員制度をどう周知徹底するかという問題については是非これはまた別途の意味で御検討もいただいて、この場合は、予算計上を見送られたのは裁判員制度の啓発推進という項目での見送りですから、違う形で是非そういったまだ認知が少ない部分についてどうするかというようなことの必要性があれば、そこは果敢に是非予算を組めということも言っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#125
○国務大臣(千葉景子君) おっしゃる御指摘、私も理解をするところでございます。決して全く無用だという趣旨では私も受け止めてはおりませんので、他の裁判所あるいは弁護士会等々ともいろんなこれについては協力体制もあると承知をいたしておりますので、それぞれで効果的な広報、啓蒙ができますように私も意を払ってまいりたいと思っております。
#126
○木庭健太郎君 もう一つは、これは新聞報道であってちょっと心配しているんですが、まさにいろいろこの法務委員会でも議論をしながら進んできたのが例の法テラスの民事法律扶助の問題です。
 これについてはどんどん拡大をさせていただいて、かなりの方々がこれを使うようになった。じゃ、使うようになった結果、何が起きているかというと、新聞報道でちょっと見たんですけれども、不況の特に影響を受けてこの民事法律扶助の利用が急増していて、どうも法テラスの予算が不足をしそうだというようなことが報道されて、これは日弁連さんの試算ですけれども、今年度で三十億ほど不足すると。これについて法テラスでは当面、何か緊急の案件を優先して緊急性の低い要件は後回しにするというようなことも何か考えているみたいな話が載っていたんですが、これじゃ駄目なんですよね、意味がなくなってしまうんですよね、こんなことをされたら。
 是非ここは何とか、まずは、財政が非常に厳しいんですけれども、どうも今の民主党政権のお考えの中で二次補正ということが課題として上がっているようなんですけれども、是非、二次補正を組むときに、補正予算の中で、三十億ほど不足するというのであれば、是非それは法務省なりに調べていただいて、この民事法律扶助というのは受けたい人は必ず受けられるという形に是非していただきたいと思っておりますし、補正予算において計上する点をどうお考えになるのか。
 また、当面、今度は当初予算になってくるわけですから、ここについても是非この民事法律扶助についてはきちんとした額を確保していただきたいと。
 この二点について御答弁をいただきたいと思います。
#127
○国務大臣(千葉景子君) この民事法律扶助についてはもう御指摘のとおりだというふうに思います。
 社会情勢、雇用情勢等々を背景にしながら、この民事法律扶助、非常に要求が増えております。財政も大変逼迫しつつあるということも承知をいたしております。
 そういう意味で、この民事法律扶助というのは、ある意味では一人一人が権利を行使する、当たり前の権利を行使するための最低限のセーフティーネットだというふうに私は認識をいたしておりますので、枯渇をするようなことがあっては本当にならないというふうに思います。何らかの財政措置、これをできるように対応させていただきたい、努力をしていきたいというふうに思っております。
 また、これは引き続いて次の年度でもやはり増大が見越されるわけでございまして、これについては概算要求で前年度比で五〇%増という形で要求をさせていただいておりますので、何とか確保させていただくことができるように、これも努力をしてまいりたいというふうに思います。
#128
○木庭健太郎君 是非その点はよろしくお願いをして、本当に、申し上げたように、せっかくできた制度、本当にだれでも大変なときはすぐ使える、ここが一番大事ですから、是非、何か法テラスが緊急性の案件を優先し後に回す、こういうところだけはもう絶対にやめてもらいたいと、もうここだけは是非法務省からも頑張っていただきたいと思っております。
 あと二つほど。一つは、公訴時効の問題、いろんな立場から今日も議論になりました。私たちというか、今この時期というのも、御質問にあっていたようでございますが、私どもも、重大犯罪で時効を超えるようなものが今やはり増えているような気がするんです。でも、過去から見れば本当は余り変わっていないのかもしれません。でも、重大事件でなかなか犯人が捕まらないまま時効を迎えるというようなもの、そういう事件が増えているような気もいたしますし、もう一つは、やはり政府として、これまでどちらかというと遅れていた犯罪被害者の皆さんに視点を当てたということで、いろんな施策がなされてくる中で、じゃ、私たち被害者、でも犯人も捕まっていない私たちに対してどうなんですかという問いかけも一つなされているような気がいたします。
 私どもとしては、そういう方たちの御意見も聞きました。その中で、私が一番感じたのは、今年七月に、これは法務省の方で、最高刑が死刑である殺人罪などでは時効そのもの、公訴時効を廃止して、その他の重大事件でも公訴時効を延長する方向で見直すのが相当とする、これ報告書でございますが、こういうのがまとまった。私は、これまでこういったことを待ち望んだ人たちにある意味ではこたえる、法務省としてはえらい踏み込んでいるなというような報告書だったと思っているんです。是非この報告書の方向で、先ほど御指摘いただいた問題点が確かにあるのは承知しています、承知していますが、やはりこの報告書の方向というのは一つの大きな道筋を示しているような気がしているんです。
 そこで、大臣、ちょっと聞いておきたかったのは、今回諮問なさっていますよね、その諮問のときに、私の理解ではこの報告書をベースにというようなちょっと文言がなかったような気もするんですよね。したがって、やはりたたき台とするのは、やっぱりこの報告書の方向でというお考えなのか、やはりもう抜本的にもう一回公訴時効の問題というのを根本からやり直そうということで御諮問なさっているのか、方向性があるのかないのかも含めて、大臣のお考えをちょっと伺っておきたいと思うんです。
#129
○国務大臣(千葉景子君) この間、法務省で取りまとめた報告書があること、それからその内容も私も承知をしております。多くの皆さんがこういう方向を望んで期待をされているということも私も理解をするところでございます。ただ、確かに一方、それだけで本当に大丈夫だろうかと、こういういろいろな御指摘、議論があることも確かで、民主党でもこのような法務省での御議論がある中で問題指摘をさせていただいてきたという経過でもございました。
 そういう意味では、この研究の成果、これを全く無にするものではなくして、これも本当に大きな一つの考え方、そしてさらに、それにいろいろな問題点出されている、そういうことも併せて、やはり幅広くそして忌憚のない御議論を法制審でいただくことが一番肝要なのではないだろうかということで、前提を余り申し上げずに諮問をさせていただいたということでございます。
 そういう意味で、研究会の報告、これをゼロにしてということではありませんで、これも一つの大きな考える材料ということで受け止めていただけるものだというふうに私は思っております。
#130
○木庭健太郎君 こういった形で、この公訴時効の見直しの問題もある意味じゃスケジュールのところに、諮問していただいたおかげで入ってきているんだろうと思います。これもやはり今の待っていらっしゃる方の問題、いろんなことを考えますと、そう長い時間を掛けて検討するというよりは、ある程度これも、大臣長くやっていただくのが一番いいんですけれども、できるならこれもやはり早い機会に、ある程度これも議論が煮詰まった一つの公訴時効の見直しという問題ですから、是非ともスケジュール感を持ってこれも取り組んでいただきたいなというものの一つでございますが、これについてはどんな、今諮問したばっかりなんだからどうなるかという気持ちもおありになるかもしれませんが、できればこれも、来年参議院選挙もあるようでございますが、参議院選挙がある前ぐらいまでに何か一つの形が、方向性が見出せないかなというような気持ちも私は持っておるんですが、できるだけ早急にという強い希望でございますが、この点について大臣どうお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
#131
○国務大臣(千葉景子君) これについては、もう先に言っていただいたような感じでございますけれども、諮問をさせていただいたというところですので、今いつまでにと申し上げる状況にはございませんけれども、法制審でも、やはりこの問題が多くの皆さんにとって本当にできるだけ早く方向を出してほしいという声があるということをやっぱり多分御理解をいただいているものだというふうに思っておりますし、これは何か長い時間だけ掛ければいいということではないというふうに思います。
 そういうことも踏まえて、法制審の方で十分かつできるだけ早期の方向を出していただけるものではないかと期待をしながら、それに適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
#132
○木庭健太郎君 もう一つは、これも皆さん論議をされていた死刑制度の問題なんですけれども、大臣、私も実は一員なんで、死刑を廃止する議員連盟、アムネスティに関しては千葉大臣に勧められまして私アムネスティに入ってしまったというような、こういういろんな経過もあるんですけれども、一緒に今参加してやっております。
 大臣になられたときはこういうのは一応外れられるということになるんですかね、こういう議連に関しては。どうされました、議連に関しては。
#133
○国務大臣(千葉景子君) こういう大臣としての責務といいますか任務がある立場でございますので、やはりそれにできるだけきちっと皆さんからおかしなふうにならないようにということも含めて、いったん引かせていただいたということでございます。
#134
○木庭健太郎君 是非、大臣としての責務というか、やらなくちゃいけないことはある、それはそのとおりで、それをどう判断するかは、まさに慎重に御判断なさるのか、いろんなやり方がそれは大臣に私はあって当然だと思います。
 ただ、やはり死刑制度の在り方そのものについて、法務大臣というお席に着かれて、これがどうあるべきかという議論をすることは私は何らおかしなことでもないだろうと思うし、どうあるべきかという議論を千葉大臣のときにひとつやっていただきたい希望もありますし、更に申し上げると、やはり死刑制度というものについて賛成者がまだ世論からいえば多いんですよ。なぜそうなるかというのは、一つは、やっぱり日本の刑罰の体系が、死刑の次が無期懲役ですよね。ところが、無期懲役というのは、名前だけ無期懲役であって、十五年すれば大体これはもう出ていっちゃうということになっている。(発言する者あり)十五から二十、あっ、二十年。
 ただ、私が申し上げたいのは、無期と言いながら無期にならないということなんです。有期刑であるということなんです。つまり、何を申し上げたいかというと、やっぱり死刑制度というものを考えるときは、今の刑罰法規、今のままでいいのかどうか。
 つまり、何を申し上げたいかというと、やはり終身刑、いわゆる刑期がないという、そういう一つの刑罰の問題も含めて、やはりいろんな意味で勉強もされ検討をするような時期ではないかなという気もするんですが、この辺についての大臣の御意見を伺って、これは別に早急にどうこうしろということじゃなくて、やはりそういうことを始めた方がいいんじゃないかなという気持ちを持っているということで、これについての大臣の御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#135
○国務大臣(千葉景子君) 刑罰全体については、いろいろな大変重い問題、そして課題があるだろうというふうに思っております。御指摘を本当に受け止めて、私も申し上げておりますように、できるだけ国民の間でも議論がされることを私も大変期待をしているところでございますので、そういうものを促すようなことができるようなそういう何か場なりを考えていく必要もあるのかなと、こんなことも併せて受け止めてまいりたいと思います。
#136
○木庭健太郎君 終わります。
#137
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まずは、千葉大臣の御健闘を心から期待を申し上げたいと思います。
 私ども日本共産党は、国民の立場に立って、間違ったこと、問題点は堂々とただして防波堤となりますけれども、これまでの政治に代わる新しい政治を探求していく、国民の皆さんの要求にこたえて政治を前に進めるためには、とことん建設的な野党としてこの国会、この委員会でも奮闘していきたいと思います。
 今日は、女性差別撤廃条約の完全実施の問題に絞って大臣、そして外務省、内閣府政務官にもおいでいただいておりますので、お尋ねをしていきたいと思うんです。
 御案内のように、女性差別撤廃条約の採択から三十年という記念すべき年でございます。この条約は、例えば今年の夏に女性差別撤廃委員会から示されました最終所見の中の言葉を幾つか例えば拾いましても、女性に対する差別撤廃の分野における最も適切かつ広範で法的拘束力を有する国際人権文書である、固定化された男女の役割分担観念の撤廃及び女性の地位向上の基盤であるとその意義が改めて語られておりますし、この三十年、世界の女性の皆さんに大きな希望とよりどころを与えてまいりました。世界の女性の憲法と、そうした表現をされる方もおられますけれども、まさに私はそのとおりだと思っております。
 同時に、この三十年の間、日本の女性運動がこの条約の完全実施を求めて本当にたゆみない、そして大きな努力を重ねてこられたこと、そのNGOの力というのも大変大きな発展をしてきたと思うんですね。とりわけ、この夏に行われました委員会の審議に当たりましても、NGOのレポートやあるいは傍聴参加、そうした活動が大変高く評価をされまして、最終所見の中でもその役割がたたえられると、そうした状況になりました。
 まず千葉大臣に、この条約の重み、そしてこうした女性運動の積極的役割をどのように受け止めていらっしゃるか、思いも含めてお尋ねをしたいと思います。
#138
○国務大臣(千葉景子君) 今、仁比委員が御指摘をいただきましたとおり、今年は本当にある意味では大変記念すべき年に当たるだろうというふうに思っております。
 女子差別撤廃条約の採択から三十年ということになります。感慨深い私もものがございますが、この女子差別撤廃条約、これがやはり、今女性の憲法という御表現がありましたけれども、この日本の社会に、そして日本の女性の様々な権利を促す、男女共同参画社会を進めていく大きなやはり礎になってきたこと、私は大変重く感じているところでございます。
 また、この間、本当にこれは、逆に言えば残念ながらですけれども、この女子差別撤廃条約、それを国内の中で様々な分野で生かすという活動は、むしろやはり政府等々よりは多くの女性の活動をしている皆さん、そしてNGOの皆さんなどが牽引役となってきたのではないかというふうに思っております。
 そういうものを受けて、国会でもやはり多くの女性の議員が中心となってそれを日本の法律に表していくと、こういうことなども手掛けてきたのではないかというふうに思っておりまして、やはりここまで女子差別撤廃条約を国内に本当にいろんな形で定着をさせてきたのは、NGO、女性の力というのは私は大変大きいものがあったと受け止めております。
#139
○仁比聡平君 大臣の所信的あいさつを伺っておりまして、個人通報制度が含まれた国連人権関係条約の選択議定書の批准に向けた体制整備という決意を大臣がお語りになるというその場面で、私は、今大臣が牽引役としての、牽引者としての運動の力ということをおっしゃいましたけれども、この私たちの国がやっぱり大きく変わってきたし、今これを本当に大きな実りを上げなきゃいけないという思いを大変強くしたわけでございます。
 ところがといいますか、前の政権の時代のことではあるわけですが、これまでの他の国際人権条約関連の委員会におきましても、それからこの条約の委員会の審議におきましても、とりわけ今年の夏の第六次政府報告書審議の際にも、委員会の委員から、条約違反の具体的な指摘と具体的な改善策が問われているにもかかわらず我が国の政府が法制度を説明するにとどまると、そうした姿勢に大変強い失望感が示されてきたと伺っております。その結果といいますか、この女性差別撤廃条約の問題でも、今年の夏の総括所見では、四十八項目にわたる懸念と勧告、そして二項目のフォローアップ項目が特記されたわけです。
 条約やあるいはその委員会からこうした指摘や勧告を受け続けてきたというこの限界を乗り越えていくことこそが千葉大臣を始め新しい政権の皆さんに私は求められている、期待されていると思いますけれども、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(千葉景子君) 大変期待を込めていただきまして、大変責任を重く感じております。
 やはり、今、日本の社会が国際社会の中で本当に信頼をされ、そしてまた尊敬をされるという国であるためにも、私は、女子差別撤廃あるいは男女共同参画、男女の平等、そしてこれから一人一人の人権が十分に尊重される社会、これに向けて日本は率先してその先頭に立っているんだという発信をしていくということは大変重要なことだろうというふうに思っております。
 これまでなかなかなし得なかった部分であろうかというふうに思います。私もどこまで、大変力足らぬところはあろうかとは思いますけれども、是非、このような国際社会でも信頼され、そしてまさにそれが日本の国内でも一人一人の人権が守られ女性の地位がきちっと担保される、こういうものにつながりますように最大限頑張っていきたいというふうに思います。
#141
○仁比聡平君 大臣、少し謙遜をなさいましたけれども、これまでの大臣の政治家としての、ちょっとおこがましいですが、生き様を私自身も拝見をしておりましても、今条約の重みや意義について語られた、そうした思いにみなぎった力をお持ちなんだと思いますので、そうした立場で是非これまでの状況を一変させるだけの力を発揮していただくことを心から期待をしたいと思います。
 選択議定書の問題について少し伺いますけれども、この批准が求められている選択議定書といいますのは、条約の完全実施に不可欠のメカニズムであって、国内司法による本条約の直接適用を強化して女性に対する差別への理解を促すものだと、こんなふうな勧告の中の表現もございます。差別撤廃条約三十年間の歴史の中で最も大きな発展であると、こうした表現をされる方もおられるわけですね。
 この選択議定書を批准してこそ、国内法的にも条約の法的拘束力を実際に持たせることができますし、加えて、日本人はあるいは日本社会はこの国際人権機関においても数々の中心的な委員も送ってまいりまして、大変評価の高い活動をしてこられたわけです。ところが、この選択議定書を批准していないがばっかりに、人権問題の分野での国際的評価が大変現実に低められているということもあるわけだと思うんですね。
 この選択議定書の意義について大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#142
○国務大臣(千葉景子君) 私も、この選択議定書そして個人通報制度というのは、個人が通報できる、それで国際機関に救済を求めるということに大きな、これは制度ですから当然できるわけですけれども、そこに意義があるというよりは、これを批准することによって、やはりむやみにだれだって通報するわけではありませんので、むしろ通報されるようなことがないような人権状況あるいは体制を国内できちっとつくっていこう、そういう姿勢に私はむしろつながっていくものだというふうに思っております。
 だれでも個人通報やりたくてやろうというわけでは多分ないでしょうし、そんなに数多く個人通報が積み重なっていくということではないだろうと。むしろ、これによって通報が、本当にやっぱり日本の国内からは通報なんということはないんだなと、それだけ人権がきちっと尊重されたりあるいは担保される、そういう体制ができたんだなということにつながる効果ということを私は期待をむしろしたいというふうに思っております。
#143
○仁比聡平君 通報自体にといいますか、通報、そこに意義があるというよりはという今御発言だったんですけれども、私の受け止めとしましては、この個人通報制度というのは、国内救済が完了をした上でなければならないという原則だったり、あるいはその通報に対する見解や勧告には法的拘束力はないわけですし、そうした中で受理の要件も大変厳しいものがあると伺っております。国際的に、これまでの運用の中でも何でもかんでもが受理され、勧告をされてきたということではなかろうと思うわけですね。
 そうした意味では、通報それ自体による効果だけではなくて、その選択議定書を批准している、個人通報制度があるという、そのことの実効性の担保になるという、そうした思いだと思うんですけれども。
 ちょっとこれ一応確認ですが、選択議定書が批准されて個人通報がなされるということになれば、もちろんそれ自体にも大きな意味や重みがあると思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
#144
○国務大臣(千葉景子君) 先ほどの私の答弁も多少ちょっと舌足らずというか誤解を招くところがあったと思いますけれども、個人通報制度そのものにも当然重要な効果があることはもちろんでございます。
 ただ、それだけではなくして、やはりこれを批准することによって国内の人権状況、そしてそれに携わる者のやはり意識あるいは対応の仕方、そういうものに大きなやはり影響をもたらすものではないかと、そういう効果も私は期待されるものだというふうに思っております。
#145
○仁比聡平君 そこで、大臣の所信にございます批准に向けた体制整備という、この体制整備という言葉がどういう意味内容なのかということを可能な限りで御紹介いただければと思うんですけれども、体制整備とは何か、どうした検討をしておられるのか、大臣、いかがでしょう。
#146
○国務大臣(千葉景子君) この批准に向けては、幸いなことにと申しましょうか、この間、法務省あるいは外務省等々他の省庁も協力をし合いながらかなりの研究を続けてきているということを承知をいたしております。そこでいろいろな問題点の整理も大分進んでいるというふうに思われますが、そういう中で、例えばそれを受ける機関はどういうふうにつくったらいいのかと、そういうこともございますし、そしてこれは、先ほどお話がありましたように、拘束力があるという問題ではありませんけれども、例えば日本の確定判決と違った判断が出たときに、何というんでしょう、それに対して、出た勧告に対してどのように対応していくのか、あるいはそのための、受けるための法律が必要であるのかと、こういうことなどももう少し詰める必要がある部分もあるように私も思っておりますので、そういう意味での体制整備。決して、よく言われておりますように、日本の司法制度と相入れないとか、そういう意味ではございませず、それを受けた場合の、何というんでしょうね、対応の仕方、こういうことなぞをやはり多少事前に念頭に置いておく必要があるのだろうというふうに思いますので、そういう意味での体制整備というふうに私は考えているところでございます。
#147
○仁比聡平君 その省庁を超えた研究会の所管は外務省のようで、西村政務官に、ちょっとこういう聞き方で伝わるかどうか分かりませんが、今、千葉大臣もおっしゃられたように、この個人通報制度が三審制を壊すとか日本の司法制度と相入れないとか、そういうことでは全くないということなのだろうと私は受け止めているんです。
 そうしますと、今検討されている課題というのは、これは国際機関と、我が国の三権も始めとして国としてその国際機関の窓口をどういう形でつくるかとか、あるいは、その実務的な運用を支える体制、これをどういうふうに持つかとか、そうした議論が検討課題だと、そういう理解でよろしいんですかね。
#148
○大臣政務官(西村智奈美君) 仁比委員にお答えをいたします。
 個人通報制度関係省庁研究会と申しますが、これは外務省が主宰をさせていただいておりまして、これまでにもう合計いたしますと五十四回の会合、研究会を開催をしております。関係省庁に幅広く参加を呼びかけて行っておりますけれども、この中においては、具体的な通報事例を可能な限り収集をいたしまして、委員会や関係国の対応などについて研究を行っているところでございます。
 ここで申し上げます対応等についての研究でありますので、まさに窓口をどうするかとか運用をどうするかとか、こういったものを含むものでございます。
#149
○仁比聡平君 つまり、検討すべき課題は実務体制の問題であって、言わば権利の問題ではないと。実務体制どういうふうにするかという、ここは、この問題は批准をという政治的な意思決定、決断に向かって整えられるべきものだと思いますので、これまでその種の研究会が本当に長きにわたって結論を出さずに行われてきたんですけれども、私は、会議のための会議であってはならないということを強く要望を申し上げておきたいと思うんです。
 そうした中で、今、女性差別撤廃条約についてお伺いをしてきたこうした議論は、この条約だけではなくて、自由権規約の第一選択議定書ほか、大臣が国連人権関係条約とおっしゃっている、今発効している四つの条約についてすべて共通のことなのだろうと論理的には思うわけですね。この日本社会の人権をめぐる現状、状態を国際人権水準に引き上げていくこと、条約違反の法制度を改めること、条約違反の実際の事実の状態をなくすこと、そのために必要な選択議定書の批准を始めとして手だてを取っていくことについて、大臣の決意を改めて伺いたいと思います。
#150
○国務大臣(千葉景子君) 今回、私も就任をさせていただくに当たりまして、先ほどから申し上げておりますように、やはり日本の社会が、一人一人が大切にされる、人権が守られ、そしてそれが日本の社会の秩序としてきちっと浸透をしていくと、こういうやはり一番の根幹を是非しっかりと整備をしていきたいという思いでございます。
 そういう意味では、国際社会から大変信頼を、ある意味では批准をしない、あるいはそういう仕組みを受け入れていないということで信頼をいささか損ねているような、こういうことについてはやはりできるだけ解消し、そして世界のある意味では人権のリーダーなんだと、それに先頭に立って、これは日本というだけではなくて国際社会のやはり人権のために日本は汗をかいているんだ、こういう姿を示すことができるような、そういうために私も全力を挙げていきたいというふうに思っております。
#151
○仁比聡平君 私は、この分野において国際社会の信頼が損なわれているのは、いささかどころではなくて、大変甚大、重大なものがあると思っております。速やかな批准をということを求めるとともに、具体的に家族法改正の問題について一問お尋ねをしたいと思うんですけれども、これは国際社会の信頼どころか国内の女性たちの具体的な権利が私は侵害されていると思っておりますけれども、例えば、新日本婦人の会の皆さんが集められたアンケートの中で、結婚するに当たって、名前はただの名称ではなくて今まで生きてきたあかしというか自分自身そのものという思いが自然にあったので大変迷ったと。でも、その思いは夫も同じだろうし、私が名字が変わるのが嫌な分、夫も嫌だろうと。二人で本当にいろいろ悩んだ挙げ句通称婚を選択したけれども、それでもいろいろ御苦労があるというお話があります。
 あるいは、長年連れ添われたお連れ合いが亡くなられて、別姓で御一緒に慈しみ合ってこられた方ですけれども、地区担当の民生委員の方が同居をしていたという証明書を発行してくれないと。夫が死亡し、介護保険料の返金の通知が来ても、法定相続人ではないので受け取れずにそのままにしておくしかないと。これは、お二人で御一緒のころに配偶者控除などの問題でも具体的な不利益があっております。
 あるいは、結婚したとき、保険証や通帳あるいは生命保険などなどの氏名変更でぐったり疲れて、職場では旧姓使用届を出して対応してきたけれども、会計業務を担当したときに、旧姓では通帳が作れずに、金融機関の窓口からこういう名前の人は存在しませんと言われてすごくショックだったという声があります。
 こうした精神的苦痛や不利益というのは、現実に通称使用が幾ら拡大をしていっても存在するわけですよね。
 もう大臣には釈迦に説法になってしまいますけれども、昭和六十三年の最高裁判決の中に、氏名は、その個人から見れば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するものというべきであるというくだりが、これは氏名の正確な呼称の問題についての判例ですけれども、存在するわけです。
 こうした状況の下で、同姓を法律上強制するのは人格権侵害じゃないかという声は、私はもっともなことだと思うんです。この条約違反の状態を解決するために速やかに立法解決をするべきだと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘がございましたとおり、夫婦の内といいますのは、事実婚であれば、それによってまた不利益、様々な障壁がある、また、通称使用ということであれば、これまた別な形でのいろいろな難儀があると、こういうことでございます。
 そういう意味では、すべての皆さんに強制をするというものではなく、多様な生き方あるいは選択を皆さんにしていただける幅を広げていこうということでもあり、是非実現を果たしていきたいというふうに私も思っておりますので、皆さんの是非御理解を賜ればというふうに思っております。
#153
○仁比聡平君 時間が参ってしまいまして、泉政務官にお尋ねをしようと思っていた項目の御答弁をいただけないのだろうと思います。残念なんですけれども、もう一つのフォローアップ項目のテーマについて、我が国で、日本の女性労働者の七割が妊娠、出産を契機に離職を余儀なくされていること、あるいは非正規労働者の七割が女性であり、女性労働者の半数が貧困ラインの年収レベル以下という収入しか得られていないというこの男女の賃金格差、ここは大変な衝撃を持って委員会の委員の皆さんに受け止められたというふうにお伺いをしています。
 こうした事態をなくしていくために、政府を挙げて全力を挙げて取り組んでいただきたいということを申し上げまして、泉政務官、申し訳ない、私の質問を終わります。
#154
○委員長(松あきら君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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