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2009/05/08 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 消費者問題に関する特別委員会 第6号
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2009/05/08 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 消費者問題に関する特別委員会 第6号

#1
第171回国会 消費者問題に関する特別委員会 第6号
平成二十一年五月八日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月七日
    辞任         補欠選任   
     行田 邦子君     牧山ひろえ君
 五月八日
    辞任         補欠選任   
     牧山ひろえ君     一川 保夫君
     山本 博司君     山本 香苗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         草川 昭三君
    理 事
                藤本 祐司君
                松井 孝治君
                柳澤 光美君
                岩城 光英君
                小池 正勝君
    委 員
                一川 保夫君
                大河原雅子君
                金子 恵美君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                徳永 久志君
                姫井由美子君
                牧山ひろえ君
                森 ゆうこ君
                石井みどり君
                礒崎 陽輔君
                佐藤 信秋君
                塚田 一郎君
                森 まさこ君
                山田 俊男君
                山本 香苗君
                大門実紀史君
                近藤 正道君
                松下 新平君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 秀行君
   参考人
       横浜国立大学教
       育人間科学部教
       授
       日本消費者教育
       学会会長     西村 隆男君
       東京学芸大学客
       員教授
       前杉並区立和田
       中学校長     藤原 和博君
       雪印乳業株式会
       社社外取締役   日和佐信子君
       ジャーナリスト  川戸 惠子君
       信州大学教授   樋口 一清君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○消費者庁設置法案(第百七十回国会内閣提出、
 第百七十一回国会衆議院送付)
○消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に
 関する法律案(第百七十回国会内閣提出、第百
 七十一回国会衆議院送付)
○消費者安全法案(第百七十回国会内閣提出、第
 百七十一回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(草川昭三君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、行田邦子君が委員を辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。
 また、本日、山本博司君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(草川昭三君) 消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案、以上三案を一括して議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 午前は、横浜国立大学教育人間科学部教授・日本消費者教育学会会長西村隆男君、東京学芸大学客員教授・前杉並区立和田中学校長藤原和博君及び雪印乳業株式会社社外取締役日和佐信子君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところを本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、西村参考人、藤原参考人、日和佐参考人の順序でお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言をいただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、西村参考人からお願いをいたします。西村参考人、どうぞ。
#4
○参考人(西村隆男君) おはようございます。横浜国立大学の西村でございます。
 本日は、特別委員会にお招きいただきましてありがとうございます。また、特別委員会としての衆議院に続く熱心な御討議、敬服しております。
 私は、消費者教育という立場から本関係法案に関して意見を述べさせていただこうと思います。お手元にレジュメを用意させていただきましたが、それに沿いましてかいつまんで御報告をさせていただきます。
 「消費者教育の目的」とさせていただきましたけれども、言うまでもなく、主体的で自立した消費者を育成することにございます。今日の市場経済におきましては、消費者と事業者の間に情報力、交渉力等の格差があるわけでございますが、消費者問題はそういった中で構造的に生まれてくるというふうに一般に言われております。その宿命的な格差を解消させるために、やはり消費者が商品やサービスの情報を正しく把握できるように環境を整備していくと、そのために消費者教育、消費者教育政策が存在してきたと言えるというふうに思います。しかしながら、消費者教育は独り個人の生活を守るということのみでなく、自らを社会の構成員の一人として認識し、消費者として、市民として果たすべき役割を演ずる必要があるということも求められるところであります。
 振り返ってみますと、一九六〇年代に消費者問題は、アメリカのコンシューマリズムの影響もあり、我が国でも意識されるようになったわけでございまして、日本の消費者行政も動き始めて、六八年には、昭和四十三年ですが、消費者保護基本法が制定されたわけでございます。このころからの消費者教育、八〇年代辺りにかけまして、主に消費者被害の未然防止ということを目的として推進されてきた経緯がございます。
 また、九〇年代におきましては、例えば牛肉の輸入自由化であるとか、あるいは金融自由化であるとか、そういった日本経済の規制緩和が進む中で、未然予防としての消費者教育という側面に加えまして、事故や被害が発生した場合の自力救済という形での消費者教育、こういった側面にも視点が向けられるようになりました。事後救済としての製造物責任法の制定や少額裁判制度、あるいは継続的役務取引の中途解約権等の拡充、あるいは消費者契約法の制定というところへ続いていったわけでございます。
 そうして、未然防止の学習あるいは救済策の活用など、消費者問題への対処を中心に考えられてきた消費者教育も、少し新しい方向に向かっている、転換期を迎えているというふうに言えるかというふうに思います。平成二十年版の国民生活白書が、副題に「消費者市民社会への展望」としているところでございます。これからの社会のありようを示唆するものと理解できるものでありますが、つまり、消費者が市民意識を持つことの大切さ、消費者として個人が社会により深い関心を持ってポジティブに行動できる、そういう能力を身に付けていく、そういった側面の広がりを認識する必要があるということで、私も消費者教育の新たな方向性として重要な認識と考えているところであります。
 次に、学校や社会で現状はどうなっているのかということでありますが、幼児、児童から高齢者に至る生涯の中で、学校の教育の中で行われる消費者教育ほど重要な段階はない、大切だというふうに考えております。学校教育は、組織立って体系的にプログラムを作成し、継続的に教授ができるという唯一の場であるからでございます。
 これまで学校教育では、主に家庭科、社会科、高等学校ですと公民科というような教科を通じて消費者教育が扱われてきたわけでございますけれども、消費者教育としての内容としましては、契約、クレジット、消費者の権利、あるいは消費生活センター、こういった知識が二十年前の指導要領改訂以降教科書に見られるようになったわけでございますが、実際の授業ということになりますと、現実には数時間、家庭科の授業の中で数時間ということが現実でございます。
 学校を卒業した若者、一般の社会人ということになりますと、消費者教育の機会はほとんどないということでありまして、地域の消費生活センターが主に平日に消費生活講座を開催するというような実情もあるわけでございます。最近では、高齢者被害の防止を目的として、地域においての啓発講座という形で、民生委員さんやホームヘルパーさんなんかと協力をいたしまして啓発講座を展開するというような工夫も見られてはおります。
 さて、消費者教育は知識の切り売りで定着するものではございません。特に、教材や指導法に様々な工夫や技術が必要とされておりますが、そのために、九〇年には、平成二年でありますが、財団法人消費者教育支援センターというものが当時の経済企画庁と文部省の共同所管としてつくられたわけでありますが、教材の収集や評価、あるいは新たな教材開発、各種研修など、毎年行って今日に至っているわけでございます。そのほかにも、消費者関連団体等が小冊子やリーフレットなどを作成してまいったところであります。
 お手元の資料の中に消費者教育の体系シートというものを、表を用意させていただいておりますが、三枚目、四枚目でございましょうか、ちょっと文字が小さくて恐縮でございますけれども、これは私も作成の委員として加わって作成したものでございますけれども、消費者として身に付けるべき要素を生涯の発達段階に沿ってそこに提示したわけでございます。主に扱うべき領域として、安全と契約・取引、それから情報、環境ということで四領域を設定した一つの試案、試し案でございます。こうした能力を身に付けるということで提案したわけで、取りまとめは先ほど申し上げた消費者教育支援センターでございます。
 こうした消費者教育でございますが、現段階の問題点としましては、しばしばこれも指摘されますが、人材あるいは研修機会の不足、あるいは教材の不足、指導法の開発の不足などがございます。とりわけ教材に関しましては、省庁を含め各組織が適宜に作成するということ、そして適宜に学校に配付するということで、一体性とかそういうものがないわけでございます。それぞれがフリーでホームページをお作りになって提供されていると。どこか、やはり消費者庁ができるというこの機会に、一元的にあるいは体系的に整理した形で消費者、国民に提供できるような形をお願いしたいというふうに考えているところであります。
 そういう意味で、消費者教育活動の一元的な取組が必要でございますし、特に学校教育に関しましては、消費者学習の充実を図るために、年間を通じて消費生活に関するスキルを学べるような新たな科目の設定なども積極的に検討すべき時期になっているというふうに思っております。また、成人へ向けましても、高齢者や障害者など対象を絞り込んだ消費者教育の機会、こういったことも不可欠になっているかというふうに思います。
 次に、諸外国の状況としてお話し申し上げますが、日本の消費者教育に影響を与えたアメリカでは、早くからコンシューマーエコノミクスあるいはライフスキルといったような消費生活を統一的、体系的に学ぶ科目が存在しておりました。特にアメリカでは、消費者としての商品選択の意思決定力あるいは判断力の育成を目指しまして、具体的な素材を使用して実践的に行われてまいりました。一方、イギリスでは、シチズンあるいはシチズンシップといった名称の科目を置きまして、市民として学び得る消費者スキルを学校カリキュラムに取り入れてまいりました。つまり、社会に対して一定の役割を果たす消費者という観点であるかと思います。
 いずれの国も、昨今のいわゆるサブプライムローン問題に端を発する金融危機に直面しまして、早い段階でファイナンシャルリテラシー、金融リテラシーを身に付ける必要ということから、中高生のカリキュラムの刷新あるいは教育支援の充実ということを図る努力をしてきております。アメリカでは、大統領直属の金融リテラシー教育に関する諮問委員会を編成したほどでございました。一方、EUでは、EU諸国におきましては、ボーダーレスの社会の実現ということを目指してきた経緯もございまして、人、物、金の自由な移動を背景にして、持続可能な消費、サステーナブルコンサンプション、これによりますところの消費者市民社会の構築、これが消費者教育の大きな課題となっております。
 昨年十月にパリでございましたOECDの消費者教育に関する国際会議、この辺りが中心テーマになりました。私も参加させていただきましたが、本日の資料の中に簡単なリポートを入れさせていただいております。OECDの消費者教育会議に出席してというものでございますが、この会議では、消費者教育を政策に取り込むということの重要性とともに、そうした消費者市民社会をつくり上げていくための消費者教育の必要性ということが確認されました。
 さて、今般の消費者庁関連法案と消費者教育の関連につきまして、消費者教育の推進について、原案やその理念というところに、あるいは法文の行間にも消費者教育の考え方はあったかと思われますが、今回の衆議院での修正審議によりまして、消費者安全法に国の役割として消費生活に関する教育活動、推進と明示されましたことは、消費者教育推進の極めて重要な一歩になるものと確信しております。消費者教育は、消費者庁設置法第四条の消費者庁の所掌事務であるところの消費者利益の擁護、増進を図るための環境整備の一つとして存在意義を持つものと考えられます。
 また、衆議院の修正によりまして、消費者基本法の理念を敷衍しまして、消費者の権利の尊重と自立の支援にのっとった事務を消費者庁が行うということで第三条に加えられたものでございます。消費者が消費者として自覚して自立して、消費者被害を回避したり損害の賠償を求めたりできる力を付けるための支援策としての消費者教育を重視したと見ることができると考えているところでございます。
 さらに、消費者安全法では、四条の六項の、消費者安全の確保を目的として、国及び地方公共団体に消費者への啓発活動、広報活動を行うことを努力義務としておりますが、衆議院での審議の中で、消費者教育の重要性にかんがみて、先ほどの消費生活に関する教育活動として消費者教育の推進を明示したということは注目すべきというふうに思います。
 なお、第五条二項で、消費者自らが、事業者が提供する商品や役務の品質、性能、締結すべき契約内容などについて必要な知識を修得し、必要な情報を収集することを努力規定と置いておりますが、これは、国、地方公共団体の消費者教育を行う責務と相まって消費者自らの消費者学習の必要をうたうものと考えられ、消費者教育が言わば相互作用として行われるべき姿を示すものとして評価できるものと考えているところであります。
 また、附帯決議という形ではございますが、消費者教育の一層の推進体制、強化を掲げていただけたことは大変有り難く、是非とも具体的な政策の中に反映させていただきたく思っているところであります。
 最後に、消費者庁への期待ということで申し上げますが、消費者庁設置法案に関しまして、私どもの学会として昨年二月に、資料の中にあるかと思いますが、要望書を学会の意見として出させていただきました。要望書は、消費者教育がその基本法に基づく消費者基本計画の重点項目となっているにもかかわらず、決して十分行われていないと、あるいは決して体系立てて行われてはいないという点を指摘しているわけでございます。
 例えば、製品安全教育は経済産業省が、そして契約教育は内閣府や経済産業省が、金融経済教育は金融庁が、食品安全にかかわる教育は農水省あるいは厚労省が、こういった各行政の所管の範囲で、必要に応じ適宜学校や地域に向けて教育啓発や情報提供を行っているという現状があるわけでございます。
 つまり、消費者としてのトータルな人格を形成するという視点に欠けていると言わざるを得ないものがございます。これらを調整し再整理して、必要な場合流していくという一元的な機能が求められているものと考えられます。市場経済の一方の担い手としてたくましい消費者を育てることで市場も活性化すると信じるところでございます。幼児から高齢者に至るすべての消費者、国民が、良い商品や良い商品の供給者を見極めてその影響力を社会に反映させることで、そういった知識や技能を身に付けることがこの消費者教育の役割でもあり、それが消費者政策としても正道ではないのでしょうか。
 また、そのための方法としまして、学校教育の改善も不可欠な要素と考えております。今回、学習指導要領の改訂の時期になったわけでございますけれども、確かに消費者教育の記述内容に多少の変化や強調部分が見られることは事実でございます。殊に、一昨年の政府の多重債務問題改善プログラムの中で、金融経済教育の強化ということを受けまして、高校家庭科には明示的にクレジットやローンなど個人の資金管理に関する記述を増やすように求めていたわけでございますが、確かに十年前のものと比較しますと消費者教育が一見充実してきたかのように見えますが、先ほども申したように、配当時間ということになりますと飛躍的に増えていることでは全くございません。そこには学習指導要領というものの大きな枠組みがありまして、各教科の年間時間数や教科内部の学習内容を大幅に改善することができにくい仕組みがあると言ってよいと思います。
 その意味で、消費者庁が組織的に文科省等とどういうふうに連携していくか、この辺が是非とも力を入れていただきたいと感じているところでありますが、これまでの連絡会議というような形のレベルではなく、新たな教科を検討できるような、教育課程の改革も含むような実質的な協議ができる関係が求められると考えております。
 そのためには、消費者庁としましても、消費者教育を政策として明確に位置付けることが必要でしょうし、推進するための組織体制を明瞭にしていただきたく思っております。また、今後を展望しましたときに、積極的な消費者教育推進のための立法措置もまた視野に入れていく必要があるというふうに考えております。これまで、環境教育が環境教育推進法を背景に、また食育、食べる育でありますが、食育が食育基本法を基礎としてあまねく推進されてまいりましたように、消費者教育を全国民必須の能力と位置付けていくための消費者教育を推進するための立法でございますが、こういったものも是非今後は検討していただきたいというふうに思っているところでございます。
 以上、駆け足でございますが、私からの意見とさせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(草川昭三君) ありがとうございました。
 次に、藤原参考人にお願いをいたします。藤原参考人。
#6
○参考人(藤原和博君) 藤原でございます。
 教育界のさだまさしというふうに呼ばれております。リラックスしてお聞きいただければと思います。
 今、大阪府の橋下知事の教育政策の顧問もしておりますけれども、今、西村先生が見事に総論をきっちりまとめていただいたと思うので、私の方は、その中で主として子供と学校教育にかかわる各論ですね、非常に見逃しがちな盲点になるところが三点ほどありますので、これを整理してお話ししたいと思います。
 一点目が非常に大事です。要は、子供たちにいかに将来賢い消費者として育ってもらうか、そして人生を豊かにしていってもらうかということをどう教育するかという話だと思うんですけれども、これをやるのに、今、西村先生から御指摘がありましたように、日本の教育課程では、入ります余地のあるところはまず家庭科があります。それから、公民という教科が中学の三年、これで大体経済、政治、現代社会の諸問題を体系的に学ばせる、これが中学の三年の公民という授業ですね。あと恐らく道徳のところにちょこっと入るのかなというふうに思います。
 ただ、皆さん御存じかもしれませんけれども、家庭科につきましては、例えば中学ではもう週一時間ありません。五十分授業で一こまもうないんですね。それぐらい減ってきています。ですから、例えばお裁縫、それから料理、洗濯、掃除等々、全部教えていますと、ほとんど座学でこういう消費者教育をやる時間がなくなっております。例えば、クーリングオフについてちょこっとやる程度というのが現場の現実なんですね。
 じゃ、公民ではどんなふうに教えているかですね。この公民という授業が本当は実は大切で、中学生というのは子供の終わりであり、かつ大人の始まりですから、そこでどういうふうに世の中というのをプレゼンテーションするかというのが、その子供たちが世の中とかかわりたいと思うかどうか、あるいはこういうふうにかかわれば変えることができるんだなというイメージが育てられるかどうかですね、その一番大事な教科なんですが、その教科で、じゃ、消費者というのはどういうふうに扱われているかをお手元の資料で見ていただきたいと思います。
 日本の教育というのは、こういう正解主義で教えているんですね。正解主義というのはどういう意味かといいますと、公民の教科書二百数十ページありますが、消費者について語っているところはこの二ページオンリーです、見ていただければ分かると思いますが。
 ここで知識を学びましたらテストをされますね。どこをテストするかというと、例えばなんですが、左ページ、九十八ページとありますけれども、文章の真ん中辺、「このような社会では、消費者は自らの判断によって商品を購入する(消費者主権)」というふうに書いてありますね。ここが例えば空白になっていて、ここを埋めなさいと、こういう話ですね。さらに、右ページ、ざっと行きまして下の方、「アメリカやヨーロッパから始まった製造物責任法も、」と、こう書いてありますよね。ここが空白になっていて、ここを埋めなさいみたいな、要するに知識を暗記して、そしてそれを運用するのはあんたの勝手というような感じの、知識だけを教えてその運用というようなところのイメージを持たせないのが日本の教育の特色です。正解主義の教育というふうに私は言っています。
 ここにいらっしゃる議員の方々に皆さん想像していただきたいんですが、人間がずっと正解主義、つまり正解をずっと教えられて小学校、中学校、高校と育つと、ある能力を失います。どういう能力を失うと思われますか。本当は手挙げていただきたいぐらいなんですが、授業みたいに。傍聴の方からも答えていただきたいぐらいなんですが、私、今日この答え言っちゃいますけれども、疑う力ですね。分かりますよね。要するに、クリティカルシンキングというんですが、ある物がここにあったときに、例えば宣伝されますよね、当然。それから、当然ディスカウンターへ行きますとすごいセールスされますよね。でも、それが安いのはこういう理由からなんじゃないかとか、裏ではこういうことがあるんじゃないかという、複眼思考というふうに訳したいと思うんです。単眼ではなくて複眼ですね。複数の目から物事を見たり文章を読んだり、あるいはニュースを聞いてニュースの解説者がこうだと言っても、そうじゃないんじゃないかと、この裏にはこういうことがあるんじゃないかとか、場合によってはお金が動いているんじゃないかとか、そういうようなことに思いをはせる教育が必要なんですね。
 教育政策に詳しい方は分かると思うんですが、最近、PISA型の調査という、OECDがやっていますPISA型の学力調査というのがありまして、これが二〇〇〇年、二〇〇三年、二〇〇六年共にフィンランドが一位で、ずっと一位で、そして日本はどんどん順位を下げているんですけれども、このOECDが開発しましたPISA型の調査というのは、この今言いましたクリティカルシンキングの力、物事の本質を見抜いて現実の世界あるいは現実の世の中との関係で判断できる力を問うているんですね。この問題に日本の子供たちは著しく弱いんです。例えば、正解がない問題を出されますと約四割の子が無答してしまうというような、そういうことなんですね。
 ですから、もう皆さんお分かりになったと思うんですが、ここで消費者教育が必要だというようなことに合意したからといって、こういう教科書に少し、二ページじゃなくて四ページにしてよ、みたいな、そういう話ではもう済まないわけです。
 じゃ、どうしたらいいかといいますと、私の提案は、日本の国語の授業、それから付け足しで公民と道徳の授業ですね、ここでもっとクリティカルシンキングを、要するに、本質はどうなのかという、裏からどういうふうに見えるのか、もっと違う視点もあるんじゃないかというディベートをどんどんやっていくようなことを小学校の五年ぐらいからやらないと厳しかろうというふうに思います。つまり、日本の教育のすごくその根底のOSを直していかなきゃいけないわけですね。ここは日本の教育の大きな曲がり角で、この消費者庁の設置とともに、教条的な一方的な正解を教えるのではなくて、上手な疑い方というふうに言いたいと思うんですが、上手な疑い方、どうやって疑っていって、そして、じゃ信用したらどのように、もっと仲よくなるのかという、こういう話ですね。そういうことが非常に大事。
 ところが、日本では、小学校では大体協調性ばかりが問われますし、とにかく先生の言うことを信じなさいと、もうとにかく信じれば救われるというような感じで正解ばかりが並べられるわけですから、この教育のOSを直さなければいけないわけです。そうしないとPISA型の調査で学力が上がることもありません。
 というようなわけで、私が開発した「よのなか科」という授業がそれにこたえる授業なんですが、ちょっと見ていただけますか、この資料。一枚めくっていただいて四枚ほど。本当は中学の三年だけで二十四、五回分のワークシートがもうできていて、もうこれ五年以上実践をしているんですが、「ハンバーガー屋さんの店長になってみよう」というのが一枚めくるとありますよね。これは、この右の地図上でどこにハンバーガー屋さんを建てるともうかる店になるかという、こういうことを考えさせるわけです。
 大人も一緒に入れちゃいまして、地域の大人と子供が一緒に学んで一緒に知恵を出し合う。こういうのというのは、大人が必ずしも正解を持っているとは限らないんですね、子供の方が面白いことを言いますし、正解が一か所で、それを早く当てた方が勝ちというゲームではありません。どこに出店してもいいんですが、ここに出店したいというふうに言った場合には、なぜそうなのか、なぜそこに出店するのかということを相手に説得する必要があると、こういうことを練習するわけですね。
 こういう授業をやりますと、ふだん例えば駅前だったりあるいは郊外で自分が行っているマクドナルドでもミスドでもいいんですけれども、そういうお店が実は理由があってそこに建っているというその現実、何げなくそこにあるわけではなくて、一生懸命考えてそこに建っている。だから、その背後の事情を考えて、そこまで思いを及ばせて、なおかつ自分自身との関係の中で考えていくという癖ができるわけです。
 次のページを見ていただきますと、これ全部説明している暇はありませんけれども、左下にあるのは、これはハンバーガーの原材料がどこから来るかという私が作った図なんですが、こういうことで学んでいきますと、ハンバーガーを食べるたびに、例えば牛肉はどこからと、今アメリカがちょっとおかしいからオーストラリアからなのかなとか、そういうふだん子供たちが身近に触れ合っているものから教えると、そういうふうに思いをはせるようになりますよね、というようなこと。あるいは、日本の農家とアメリカの農家で実際ロールプレーをさせてみてディベートをしてみると、立場の違いでどれほど利害関係が異なるか、それを調整するのが政治の仕事なんだということも、政治の理解にまで至るわけですね。
 次のページ、三枚目ですけれども、六と書いてあります。
 中学生一人に大体幾らのお金が掛かっているのと。公立の学校に通っていますと、ただだと思っているわけですが、大間違いで、年間大体百万円のお金が税金から落ちていますね、そのこと。それから、お父さん、お母さんが一生懸命働いて、家賃取っていないんだけど、もし六畳間を子供部屋に使っているとしたら、それは自分の部屋と彼らは言うんだけど、そうじゃなくて、借りているわけじゃないの、借りているんでしょうと、ここに契約の概念というのも出てくるわけですね。
 というようなことで、こういう、自分自身に幾ら掛かるか、大体これ計算してみますと、中学生一人で国の税金も含めまして二十五万ぐらいは最低でも掛かっています。そういう勘定になります、月にですね。
 次のページです。例えば、ここでは消費ということについて、一万円あったら、十万円あったら、百万円あったらというふうに考えさせますね。そうすると、大体百万円とか一千万円ぐらいのところで発想が止まります。そのとき貯金するというだけの話になるんですが、貯金だけじゃないでしょうと。そこで投資というものをやっぱり教えていくことになりますし、クレジットという概念がここで、知識として教えるんじゃなくて、自分で考えさせて自分のこととして、こういうロールプレーをさせていけば、それが定着が深まるということになるわけですね。なおかつまた、お金で買えないものは何かにも思いをはせさせるというようなことで、そういう授業を和田中ではもう五年続けてやっているわけです。
 今、大阪府教委は、これを中学の三年間の一つのフォーマットにして、小学校の五年生から高校まで約八年間のこういうクリティカルシンキングを徹底的に鍛えるための教科を、道徳と総合を使いましてオリジナルに開発するというようなことが行われようとしています。中学の三年間については、今年一年で義務教育課長が責任者で多分開発することになると思います。私が監修いたします。
 こういう教育が必要なのよというようなことで、まずクリティカルシンキングを強調しておきたいと思います。本当はクリティカルスィンキングなんですが、THの発音を一々やっていますと舌かんじゃいますので、もうクリティカルシンキングと日本人流でいかせていただきたいと思います。
 複眼思考と私は訳しました。じゃ、反対語は何かといえば、反対語は、多分単眼思考という言葉はないと思うので、紋切り型の思考ですね。要は、正解主義で教えると、パターン認識で紋切り型の思考になっちゃって、思考が停止しちゃうんだと。ある物事が起こったときに、その裏側まで考えて多くの面から思考して、議論して、そして自分の知恵を深化させていく子供を育てましょうと。それが消費者教育のベースにないと、また、もっと、モア正解を教えてもちょっと厳しいんじゃないかなということでございます。
 あと二つだけ、五分ぐらいで軽く述べたいと思うんです。
 この資料を読ませていただいて、ここにもすき間事案が出る可能性があるというようなことが指摘されていました。非常に巨大なすき間事案として皆さんにも是非考えていただきたいのが、携帯とテレビの問題です。この子供への影響をどのように扱うのか、あるいは消費者庁というところでは、あるいはその関連法律では扱わないのか。
 子供が携帯メールの中毒になった、あるいはテレビ中毒になったとしても、訴える場所はありません。ですから、これ、日本の産業界というのは子供を異常なまでに販売対象としているわけですね。ですから子供が消費者になっちゃっているわけです。あるいは、コンビニのお兄ちゃんも、子供を人間としてとらえているというよりは消費者としてとらえていますから、お金持ってきてくれるから、だからありがとうございますと、こう愛想良く言うわけですね。
 こういう子供の消費者をどのように守るのかということについて、特にこの携帯とテレビについては見えにくいので、物を買っているわけじゃないので、形のないものを買っている。しかも、危急の事案だと分かりやすいんですが、例えばギョーザに毒が入っているとか耐震偽装とか、非常にそれは分かりやすいですね、見えますから。ですが、携帯とかテレビの問題というのは、ボディーブローのようにずうっと浴びていると思考力が落ちてくるとか、あるいは判断力が落ちてくるとか、あるいは集中力が落ちてくるという、そういう問題なんですね。これについては今のところ持ち込む先がありません。なので、私や陰山英男先生がかなりうるさく言っているというだけになってしまっています。
 この点、危急の事故ではなくてボディーブローが効いてくるような、そういうものについてどのように扱うのか、是非御検討いただければというふうに思います。
 最後です。三番目の視点ですけれども、実は、学校現場におきましては、高度消費社会が行き過ぎて、その感覚が行き過ぎちゃって、学校教育まで消費財と勘違いしている親が増えているんです。これは困った問題だというふうに思っています。
 どういうことかといいますと、例えば、スーパーへ行きますと、レタス買います、そこに虫が付いていたと。当然、虫が付いているということは、それは有機でやっている、農薬使っていないということで非常にいいわけですが、気持ち悪いということで例えば大騒ぎしますよね。そうすると店長すっ飛んできます。これは消費者、お客様ですからね、お客様は王様ですから。で、すっ飛んできてほかの部屋に連れていかれまして、まあまあ穏便にというような感じで新しいレタス二つぐらい持たされて帰されるという。こういうことがあるわけです、実際に。
 こういう甘い汁吸っていますとどうなるかというと、学校に対しても、分かりますよね、要するに文句言った方が勝ち、文句言った方が勝ち。通ればラッキーじゃんみたいな、そういうふざけた親もいるんですね。当然すべてじゃないですよ、非常に部分的なものですけれども。でも、私はこれも、高度消費社会が行き過ぎて、消費者感覚で教育に向かってきちゃっている。私は、教育サービスというのは消費財ではなくて、親とそれから学校の先生、それから地域のその三者、それからそれに加えてもちろん本人ですね、の四者を加えてつくり上げる資産だというふうに思っていますし、ということは、それ蓄積が非常に大事な資産なわけですね。消費財じゃないはずなんです。
 だから、この辺についてはむしろ、先ほど、一番目に強調しましたようなクリティカルシンキング教育というのをかなりじっくり小中高とやっていって、とにかく、あること、あるクレーム事案が発生したときに冷静に、理性で判断していくような、そういう態度を持った大人を育てていかないと、要するに、感情的に直情的に文句言った方が勝ちという、通らなきゃ弁護士雇うみたいな、あるいは議員に言い付けるとか、そういうような感じに今なっちゃっていますので、そこのところをきちっとしなければいけないなというふうに思うわけです。
 これは、実際、今この瞬間にも学校の現場で相当な先生が悩んでいて、そのことによって授業が止まっちゃうとか、そのことによって子供たちの授業が止まっちゃって、学力低下にもそういうことで結び付いちゃっている。そういう附帯的な事務作業が非常に学校現場は多くなっているということもちょっと分かっていただきたいので、最後に付け加えました。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(草川昭三君) ありがとうございました。
 次に、日和佐参考人にお願いをいたします。日和佐参考人、どうぞ。
#8
○参考人(日和佐信子君) 御紹介をいただきました日和佐でございます。
 今日、私の肩書は企業の社外取締ということになっておりまして、実際そうでございますけれども、社外取締の立場で、企業に対しては、消費者志向を強調するようにという観点でずっと経営に関してアドバイスあるいはチェックをしてきたという立場でございます。
 私は、今の肩書に至る前、消費者運動に長くかかわってまいりました。その消費者運動に長くかかわってきた立場から、是非、今回の消費者庁及び消費者委員会設置法関連法の可決を強く望む立場で三点ほど申し上げたいと思います。
 本当に消費者問題に長くかかわってきた者として申し上げますと、消費者庁が設置されるというような状況に至るということはかつて十年ぐらい前はとても考えられないことでありました。まさに夢が実現するというような現実を前にして、是非、全会派賛成の下に法案が一日も早く可決されることを強く期待するものでございまして、そのことをまず最初に申し上げたいと思います。
 三点申し上げたいと思いますが、第一点は、消費者問題は悪質事業者によってのみ行われるものではないということです。大企業によっても行われてきたということを見逃してはいけないというように思います。かつての事例ではありますけれども、出荷調整による価格操作あるいは協調的な値上げ、それから直近ではガス瞬間湯沸器による死亡事故、それから損害保険会社等による保険金の未払等、非常に大きな大企業によっても消費者問題は惹起されております。
 その要因について考えますと、企業の中において消費者ということが認識されていないというように思うわけです。消費者問題は企業活動が発展する過程で起こってまいりました。地域経済だけで生活をしていた時代には消費者問題というのはなかったわけですね。企業の発展は文化を発展させ、大変便利で暮らしやすい生活を私たちにもたらしましたけれども、その影の部分として消費者問題を惹起してきた、そのことも事実であります。
 そうであるにもかかわらず、消費者問題の一方の当事者である企業において消費者問題への認識や消費者の権利ということについてほとんど関心が持たれてこなかったというのが現実であります。ほとんどの経営トップは消費者の権利の内容を知りません。私は仕事の関係で様々な企業にお邪魔をいたしましてお話をさせていただく機会があるのですけれども、そこで皮肉にも、消費者の権利御存じですか、いや八つじゃなくてもいいですから、ケネディの四つの権利でもいいですからちょっと言ってみてくださいと申し上げますと、大体皆さん下を向いてしまわれます。そして、消費者基本法が成立をいたしました。そのことは御存じですけれども、中身について読まれましたかという質問をしても、はいというお答えはほとんど返ってこない。そのように消費者に対する認識というのが非常に薄い、関心がないということで、これはその消費者問題の一方の当事者である企業がどうしてこういうことなのかということは非常に問題であるというように思ってまいりました。ここが大企業においても消費者問題を起こしてきた原因の大きな一つであろうというように思うわけですね。ある事態が企業の中で起こったときに、消費者の利益を優先するか企業の利益を優先するかという判断になったときに、余り考えもせずに企業の利益を優先してきたというのが今までの経済社会の在り方であったというように思います。
 消費者庁の設置は企業に消費者を重視した経営を迫るものということになると思いまして、過去を振り返りますと、PL法の成立や消費者契約法の成立にもかかわってまいりましたけれども、そのときにいつも悔しい思いをしたのは、行政は企業と消費者の中立の立場である、だから消費者により軸足を置いた法律は作れないということでありまして、常に常に悔しい思いをしてまいりました。そして、PL法も消費者契約法も、ないよりはましだから取りあえず通してもらおうということで妥協せざるを得なかったということを思い出すわけですけれども、消費者庁の設置によってようやく消費者と企業が同じ土俵に立つことができる。今までは、消費者は企業よりも交渉力、経済力、情報力が劣っているにもかかわらず、げたを履かせるということがなかったんです。劣っているにもかかわらず、同じ立場で議論がされるという大変不利な状況に常に置かれてまいりました。消費者庁の設置によってやっと同じ土俵に立つことができると言うことができると思います。
 ここでちょっと、雪印乳業で私は消費者をきちんと位置付けなければいけないということを言っているわけなんですけれども、社員に消費者について議論をしてもらったことがあるんですが、そのときの様子をちょっと御紹介したいと思いますけれども、消費者についてどのようなイメージを持っていますか。いろいろな意見があるんですけれども、わがまま、気まぐれ、自分勝手というのがありました。メディアに洗脳されている、メディアの影響を受けやすい、権利主張が強い人たち、団体となったとき、要するに消費者団体ですね、対応を間違うと大変怖い存在、それからコスト意識が強い、保護されている、意外に商品のことを知らない等の率直なこれは意見でありますけれども出されました。
 じゃ、あなたがイメージする消費者とどのような関係になればいいと思いますかという質問に対しては、緊張感を保った関係、信頼し合える関係、手の内を見せ合える関係、チェック機能というのは消費者からのチェック機能ですね、それを期待して、ああ、企業としてそこまで考えてくれるのかというような関係、そういうもの、それから対等な関係という意見もありました。ここら辺に来ると、私もやってきたことが余り無駄ではなかったなという感じがするんですけれども、これは一昨年の結果でございます。
 昨年は、消費者重視経営というのはどういうことだとみんな一人一人は思っているかということを議論してもらいました。そこでは、ルールを守ること、いわゆるコンプライアンスですね、それを徹底すること、それから安全、安心な商品を届けること、商品に付加価値を付けること、正確な情報を提供すること、その中でも消費者の知りたい情報を積極的に開示するという意見がありました。そして、消費者へ誠実に対応すること、CSR経営を進めることというような、大まかにまとめるとこのような意見が出されまして、少し企業の中での意識が変わってきたのかなということを感じた次第であります。
 今、二人の先生方から消費者教育の問題が出されました。消費者教育は、子供だけではもう不十分でありまして、もちろんそこが重要でありますけれども、もう既に成人になった大人、社会人にも必要だというように思います。要するに、消費者問題って何なのか、消費者運動の歴史って何なのかということについて正確な知識を持っていないのですね。ですから、企業の中で社員教育あるいは社員研修の中に消費者教育をきちんと組み込むということも非常に重要なことではないかというように思っております。そのようなことによって大企業による消費者問題の惹起というのが少しずつなくなっていくことが期待されるわけです。
 第二番目は、私は実は横浜市の消費者協会の理事長も兼務しております。この消費者協会は消費生活総合センターを運営しているものでございまして、いわゆる消費者センターですね。そこの問題、いわゆる地方消費者行政の充実強化について二番目にお話をさせていただきたいと思います。
 相談業務の充実を図るためには、やはり人的な確保が何といっても非常に重要でありまして、もちろん、ですから相談員の待遇を改善することも重要なんですけれども、現在は相談事案が非常に複雑になってきておりまして、簡単に解決できない事案が非常に多くなってきています。そういうところでは、あるいは建築の専門家、法律の専門家等の専門的な知識。それと、今もう本当に悪質事業者は知恵が非常に優れておりまして、次々と新しい情報を開拓してまいります。そういうことに対して、今の情報をきちんと早く身に付けなければいけない、インターネット等についても高度な情報を早く身に付けなければいけないということで、研修が非常に重要と、専門家の協力が非常に重要になってまいります。そういう意味合いでも、人的な資源が地方消費者行政では十分ではありません。是非その辺りを充実させていただけると非常にうれしいというように思います。
 それから、消費者相談センターの業務は、もう既に被害に遭ったということの事後処理でございますけれども、もっと重要なのは、消費者被害を未然に防ぐ方法、そのことも非常に重要だと思っております。
 私どもの消費生活総合センターでは、特に被害が多い高齢者それから若者を対象に出前講座あるいは高齢者福祉大学、それから福祉・保健カレッジ等に出向いてまいりまして、今の様々な悪質商法の手口、それからだましの手口、参加者による寸劇などもしていただきましたり、それから高齢者の方、相談する相手がいないんですね。ですから、是非日常的に日ごろから相談する相手を確保するような、そういうこともとても大事だと、隣近所のお付き合いが大事だというようなことも含めてお話をし、被害になるべく遭わないことのコツをお話をするということを積極的にやっております。そして、被害に遭った場合でも、例えばクーリングオフの制度を使えば原状復帰ができるということで、クーリングオフ制度を利用する申請書の書き方、そこも実際にやっていただきまして、そうして変だなと思ったらすぐ電話をしてくださいということで消費生活総合センターの電話番号を大きく書いたカードをお渡しして、それはもう机の中にしまい込まないでいつでも見られるところにぶら下げておいてくださいというようなことをやっております。
 でも、これは相談業務をやりながらやるわけですので大変事業としては厳しいわけで、私も時々駆り出されて出前講座に行ったりするわけですけれども、そういうことも含めて、ですから、いわゆる相談員の処遇をきちんとする、その相談員の待遇をきちんとするということも非常に重要ではありますけれども、地方消費者行政、非常に資金の乏しい中で様々に積極的なことに取り組んでおりますので、全体的な枠組みとして地方消費者行政が充実されるようなことを是非御検討をいただきたいというように思っております。
 横浜市には消費生活相談員制度というのがございます。これは町単位で選出をされたボランティアでありまして、市全体といたしますと三百人ぐらい、もちろん町によってはちょっと形骸化をしていて、順番に回ってくるんで回ってくると大変だみたいなところも現実にあることはあるんですけれども、町にこういう方がいらっしゃいますと、私どもの消費生活総合センターと相談員の方とが連携をして様々な消費者被害未然防止の活動を展開することができます。
 やはり、地域の力をどうやって生かしていくかということが消費者問題の解決には非常に重要なことではないかというように思っておりまして、ただし、地方消費者行政、地域によって大変格差がございます。横浜市はまあ非常にいい方だと思っておりますけれども、なかなかそうはいかない地域も現実にはございます。ですから、そういうところには、とにかく面倒な地方自治体の仕事というような感覚ではなくて、意欲を持って消費者行政の充実に当たらなければという、そのような意欲を持たせるような施策を地方消費者行政に生かしていただくようなことを是非お考えをいただきたいというように思っております。
 それから、一番最後は、ごく簡単なんですけれども、不当に得た利益を剥奪する仕組みを是非早急に検討していただきたいということでございます。これは三年をめどに検討をするというようになっておりますけれども、三年以内ではちょっと遅過ぎるのではないかというように思います。
 なぜならば、商品の偽装事件が頻発しておりまして、そのことが食品に対する不安とつながってきております。ですけれども、偽装で得られた利益というものは剥奪されないで、たとえその事業者が倒産しても利益を、しかも多大な利益ですね、ウナギ等では数億円と言われております、そのような多大な利益を持って倒産をしているわけですね。これはまさにやり得ということで、後で倒産しようがいろいろマスコミにたたかれようが、やあもうやり得という感じをどうしても事業者は持つわけです。
 ですから、やり得は絶対に許さない、不当な利益を完全に吐き出させるという、そういう仕組みを是非早く構築をしていただきたいというように感じております。
 以上、三点申し上げました。
 どうもありがとうございました。
#9
○委員長(草川昭三君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入りたいと思います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#10
○柳澤光美君 おはようございます。民主党の柳澤光美でございます。
 今日は朝早くから本当にありがとうございます。特に、現場での実践に基づく貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。私も、すべては現場での実践にあるというふうに日ごろから思っておりまして、大変興味深く聞かせていただきましたし、私の思いも込めて少し質問をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、西村参考人にお伺いします。
 西村先生は多重債務問題に長く取り組まれておりまして、心から敬意を表したいと思います。実は、私も二〇〇四年に当選してからずっと自殺対策に取り組んでまいりました。自殺の原因には多重債務の問題が非常に大きなウエートを占めておりまして、今後ともより一層の御尽力をこの場を借りてお願いをしておきたいと思います。
 この自殺の対策に取り組む中で感じておるんですが、実は、二〇〇六年に議員立法で自殺対策基本法を制定をしました。そして、内閣府に自殺対策推進室ができて、自殺対策大綱ができて、そして自殺対策白書ができるという手続は全部進んだわけですが、昨年も三万人を超えて、もう十一年間三万人を超えています。実は、今年に入って一月、二月とまた増え続けておりまして、特に三月は三千人を超えました。今年は最悪の事態になるんではないかなというふうに私は大変心配をしております。
 このことはおくとして、この経験の中から言えることは、政治家も官僚も、法律を制定して対策と組織をつくること、これは手段であるのに、これが目的になってはいないかと、このことを忘れてはならないというふうに強く感じております。手段が目的化をして、机上論ではとってもすばらしい対策と組織ができるんですが、実践レベルでどう成果につながるのか。成果につながらなければ何の意味もない。この法案も同じことだろうというふうにとらえております。
 実は、西村先生の方から、この消費者安全法に衆議院修正で、国及び地方公共団体が行う活動として消費者生活に関する教育活動が追加されたと。これは私も大変、先生も評価をしていただいていますし、私も大きな前進だというふうに思っています。しかし、いざ実践するとなると大変難しいことで、先生の方もここで指摘をしていますが、消費者教育推進法のような法案を制定すると、今後ですね。とすれば、これに最低限盛り込む必要がある事項。そうしないと、法の制定が単なるメッセージではなくて、実効性を上げるために必要なことは何か、その辺について御意見をお聞かせいただければというふうに思います。
#11
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 多重債務の問題について私の活動を御評価いただきまして、ありがとうございます。
 御質問の部分についてのみお答えさせていただきますが、実際に、法律は一種のハードウエアといいましょうか、それを具体的にソフトとして、ソフトウエアとしてどういうふうに動かしていくかという部分、これが重要かというふうに思うんですが、特に、この消費者教育の部分に関しまして、私どもが考えております推進立法ということになりますと、やはり国があるいは地方公共団体が学校教育あるいは成人、先ほど日和佐参考人のお話もありましたけれども、すべての国民に対する消費者教育活動というものを、その場を確保していく、そういうことを是非具体的に盛り込んでいただきたいと。
 どこまでが法文として書き込むのに妥当かどうかというのは、法律の専門家ではございませんので分かりかねますけれども、少なくとも、企業の中でも、社員研修という話がありましたけれども、公務員の方も同じでありますし、しかもそれが新人研修のような一回限りのものでなくて、継続的に行っていくものであろうと思います。また、学校教育に関しましては適切に、藤原参考人のお話ございましたけれども、やはり新科目創設というようなことも含めて、教育の中身を刷新するような新たな方策というものもその中に検討事項として入れていただきたいと。
 あとはやっぱり、何というんでしょうか、消費者教育推進会議とでも申しましょうか、各省庁にこれまでのノウハウがあるんだと思うんですね、その分野分野の。そういったところのノウハウを結集した会議を持っていただいて、その中で新たな手法の開発とか継続的な事業の組立てとかというようなことを考えていただくと。その辺りを最低限必要な事項というふうに考えております。
 以上でございます。
#12
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 本当はお聞きしたいことはいっぱいあるんですが、時間がございませんので、次に藤原参考人にお伺いしたいと思います。
 実は、今回、藤原先生にお目にかかれて大変うれしく思っております。実は私、杉並区とはいろいろな因縁がございまして、杉並区議を六期務めて今都議をしている門脇ふみよしという議員が私の出身企業の後輩でございます。行政改革を大胆に進められた山田区長さんとも親しくさせていただいておりまして、六、七年前になりますか、区役所の幹部候補の職員の皆さんを出身企業の店舗で半年間交代で研修をしていただくということをしたことを思い出しております。
 私は、意識を変えろ意識を変えろと口で幾ら言っても、行動が変わらないと意識は変わらないと、意識は行動を変えた後付いてくるというのが持論でございまして、山田区長に、行政というのはサービス業だと、民間のサービスの現場をきちんと体験させた方がいいということに即対応していただいたことを今思い出しております。
 実は、その中で藤原先生が杉並区立の和田中学校の校長として新しい取組もたくさんされていることに非常に関心も持っておりました。そういう意味でいきますと、本当に先ほどのお話、もっともっと聞きたいんですが。この消費者教育というのは非常に重要な問題なんですが、その実践というのは大変難しいことだと。ただ、先生が言われるクリティカルシンキングの手法、あるいは中学で実践されて全国に展開された「よのなか科」や、あるいは学校支援地域本部などをこの消費者教育に運用するに私は非常に有益だというふうに思っておりまして、それを具体的にどんな方法があるのか、特に、できれば家庭教育、学校教育、社会教育も踏まえて、アイデアがあればちょっと教えていただければというふうに思います。
#13
○参考人(藤原和博君) 余り大きな話をしてもしようがないと思うので各論で言わせていただくと、まずその学校教育については、先ほどから言いました国語が非常に大事なんです。今国語の授業で、ほとんど完璧な文章を読ませて、主人公の気持ちに近いものを次の四つの中から選びなさいということをやっているんですね。主人公の気持ち若しくは著者の意図ですね。それで正解を当てさせる教育だけなんですよ。だから、例えば「走れメロス」を読んで、その帰り道のメロスの気持ちに近いものを次の四つの中から選びなさい。「走れメロス」の文章はディベート不能なんですね、あれ、メロスが間に合わない方が良かった人なんて言ったってだれも手挙げませんから。
 そういう意味ではもっと、ディベート素材というのはいっぱいあるわけです。例えば赤ちゃんポストの問題。あれ、ああいうものを全国に広げるべきなのか、あるいは余り普及しちゃうとかえって子捨てが多くなっちゃうのか、そういうディベート。そういう素材をやっぱり国語の中に入れていかないと、日本の国語はほとんど道徳になっちゃっていまして、もう水戸黄門の印籠と一緒で、あの文章が出てきちゃったらもう下がりおろうになっちゃうわけです。そうすると子供たちは思考を停止しますから、はい、分かりましたと、じゃ正解を書いて、あとはもう漢字を何とか書けるようにするというようなことになっちゃうわけですね。そういうクリティカルシンキングの考え方がまず国語の中に大胆に入っていかなきゃならないと思います。簡単な話、小学校の五年生以降はディベートをもっと多用するべきです。ロールプレーとディベートが一番効くんです。
 それから、道徳ですね。道徳も非常に教条的なツルの恩返しとかアリとキリギリスを読ませたりという、これは小学校の低学年は僕はこういう読み聞かせですばらしくいいと思うんです。お母さんたちがボランティアでやるのもいい。ですが、小学校の五年生以降からはもっと、価値葛藤の起きるケースというんですけれども、ディベートをやっぱりやるべきなんですね。フランスではもう小学校からディベートをやっていますし、お母さんの言ったことにそうじゃなくてこういう面もあるんじゃないかというふうに子供が口答えしたときに初めていい子ねというふうになるわけですね。そういう教育の視点の転換が行われなきゃならない。
 あとは公民の教科なんですが、日本の指導要領を作った方々の中には恐らくリスクマネジメントという感覚が皆無ですね。全くない。だから、クレジットというようなことについてはリスクがどんなものがあるのかということについて教えませんし、それから法教育、例えば裁判員制度が五月の二十一日から始まるのにろくな法教育が行われていません。模擬裁判もほとんど行われていません。それから、携帯やテレビのようなメディアとの距離、それから人間関係や初歩的なカウンセリング技術、こういうものも教えられてないんですね。だから、柳澤先生が取り組んでいらっしゃる自殺対策についても、そういう意味では自殺や安楽死の是非というのをディベートすべきですし、実は「よのなか科」の中にはそういうカリキュラムを二こまにわたってやっています。
 そういうクリティカルシンキング教育をベースにすれば、消費者教育というふうに今皆さんがイメージしているものの半分以上が達成可能じゃないかなと思う。つまり、自立した市民をつくるということですね。そのために、おっしゃられた学校支援地域本部というのが今全国に中学校区を中心に千五百か所ぐらいつくられていますけれども、そういうところで大人と子供が斜めの関係で、自分の親や先生じゃない、利害関係のない第三者と交わっていろんなコミュニケーションをしていく。その中で交渉があったり、あるいは取引があったり、いろんなことが学校の中で、学校をベースに地域社会を復興してやっていくということが次に大事なことだと思います。この「よのなか科」と地域本部が私はキーになるんじゃないかと思っています。
 以上です。
#14
○柳澤光美君 ありがとうございました。
 最後に日和佐参考人にお伺いしますが、時間がなくなってしまって本当に残念なんですが、私も実は小売業の出身ですから、雪印さんはお取引先でございまして、大変身近な問題で、当時大変大きなショックを受けたのを思い出しているんですが、その雪印さんに入られて改革に取り組まれた参考人の率直な感想、特に消費者サイドと事業者サイドの最大のギャップというのはどこにあったのか、何だったのか、その辺の感想と、どう変わって今きているのか、その辺を少し簡単にお話しいただければというふうに思います。
#15
○参考人(日和佐信子君) 食中毒事件の原因は、やはり事業者の利益を優先した結果であると思います。そもそもの原因は、出荷してはいけない基準違反の商品ができてしまった、その商品をもう一度原料として再利用したんですね。その結果、食中毒事件につながったということで、それを廃棄をしていれば食中毒事件は起きなかったわけですから、それを廃棄をしないで再利用をしたということは、やはり企業の利益を優先したということにほかならない。
 それからもう一つ、事件が発生したときの対応が非常に遅かったんですね。なぜ遅かったのか。それは、第一報があってから、回収、告知をいたしましたのが三日たっておりました。なぜそんなに時間が掛かったのか。それは、食中毒の原因に雪印乳業がこだわったんです。雪印の商品で食中毒事件が起こっているということについてはほぼ納得はできた。だけれども、その商品の何による食中毒かということは確かに解明されておりませんでした。そこで判断が消費者優先ではなかった。そこで消費者の被害を少しでも食い止めようと思ったならば、原因はともかくとして飲まないでくださいということを早く言えばよかったわけですね。それを言わなかったわけです。そこは、やはり企業のもう立場を優先したということでしかないというように思っております。
 やはり、倒産するまで、倒産するに近いところまで追い込められました。そこで雪印乳業全員が考えたのは、やはり消費者をきちんと位置付けて、何よりも消費者重視を経営の中に取り入れなければいけないということでやってきた、そこが一番変わったところだと思います。
#16
○柳澤光美君 ありがとうございました。終わります。
#17
○佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。
 今日は、三人の先生方、本当にお忙しいところを貴重なお時間をいただいて、また、目からうろこの話がたくさんありまして、私、なるほどと、大変大事な問題を御指摘になっておられるな、そんなふうに思ったことがたくさんございます。逐次、もう少し掘り下げたお考えをお伺いしたいなと思うところであります。
 元々、今、柳澤委員の方からもお話がありましたが、法律というものは、あるいは制度というものは、つくったらそれで終わりということでは全然なくて、それをどういうふうに運用していくか。もちろん、法律、制度をつくる段階でできるだけ問題解決に向かってつくるわけですが、その運用そのものをどうするかということで魂が入ってくるという問題だろうと、私自身も実は長いこと役人もしたり、法律、制度をいろいろつくらせていただいてきたりした一人の立場として、つくづくそういうふうに思っているところであります。何よりも運用が大事であり、現場が大事である、こういう考え方の下で先生方にもう少しお話を伺おうと、こういうふうに思います。
 特に、一つの観点として、消費者庁あるいは消費者委員会ができる。そうすると、今までとどこをどういうふうに変え得るか、変えていけるのか、こういう問題が実は今回は特にこれから運用が大事になる問題じゃないかな、ほっておきますと今までとほとんど変わりないじゃないかということに実はなりかねないという問題でもあろうかと。したがいまして、先生方にそうした観点も含めて是非御所見を賜りたいと思う次第であります。
 最初に、西村先生にお話を伺いたいと思います。
 大変系統立てておまとめいただいて、若年層、幼児期から成人、高齢者、特に消費者教育の体系シートをきちっとおまとめいただいていて、多分こういうことをしっかりと私どもも、また国民の皆様も系統立てて頭に入れて行動していけば、消費者も、それから企業の方も、かなり事態が改善されていくんだろうと、そんなふうにも実は思いながら見せていただいた次第であります。
 中で一点、先生の方でおっしゃっていた文科省との連携体制の強化と、消費者庁がせっかくできたら連携体制の強化、そして学習指導要領の更なる改訂と、こういったような問題もあるではないかという御指摘をいただいているところであります。これは連絡会議のレベルではなくてと、こういうことであります。指導要領のほかにも、恐らく先生のイメージとして、こういうところをきちっと消費者庁と文科省が、あるいはほかの省もそうかもしれませんが、きちっと、連携組織をきっちりやるような詰め方をすればもう少し消費者教育がうまくいっていくんじゃないかという、特に学校教育の面と、こういうことの御指摘だと思いますが、その辺具体的に、もう少し踏み込んだ、こうすべきだということがあれば教えていただければと思います。
#18
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 消費者政策会議がございますが、従前は消費者保護会議、その消費者保護の問題が、文科省とのかかわりでは常に、現在で申しますと生涯学習局、旧来の社会教育局、つまり成人に対する消費者教育というような形でかかわってきた経緯がありまして、現在も消費者政策会議はその担当部局は生涯学習局ということになっているんですね。ところが、学校教育は初等中等局、それから大学でももちろん、学生被害とか学生で加害者になるような場合もございますんで、高等教育局、こういったところがもっと積極的にかかわっていただく必要があるわけでございます。
 今回、残念ながら、聞くところでは、消費者庁に文科省からの異動というんですか、移籍というんですか、人的、金銭的なというようなものはないやに伺っていますけれども、そういった面で、それに代わる何か具体的な運用策として、文科省との密な連携システム、初中局あるいは大学教育局も含めた具体的な政策展開ができるような関係性を保っていただきたいと、そういうふうに考えております。
 以上であります。
#19
○佐藤信秋君 消費者庁の方に文科省から人間が行くか行かないかという問題は、私も実はまだ分かりませんが、今の先生のお話のように、両省庁の連携をしっかり保っていくんだということであれば何らかの具体的な措置が必要なんだと、こういうお話だと思いますんで、これは政府の側でも運用に当たって特に気を付けて配慮していただければと、つくづく私もそう思うところでございます。
 関連いたしまして、藤原先生のお話に移りたいと思うんですが、多分、藤原先生、おっしゃりたいことの半分、あるいはもっと抑えておっしゃっておられるんじゃないかなと。言いづらいかもしれませんので、私の方から少し逆にお話を引き出すべく御質問させていただこうかなと。
 それは何かといいますと、私も実は杉並の住民でして、子供はちょっと和田じゃなくて和泉の方でしたけど、先生の夜間の補習授業、いろんな評価あったようですが、大変有効に機能して、親子の皆さんがみんな喜んでいると、競争心も出て。そういう意味では、一時、学校教育で、おててつないでゴールインというような、競争心を持たせないという、逆に、あるいは差別をしないということが競争心を持たせないということと同等かというとちょっと違うと思うんですが、そんな教育の風潮の中で藤原先生がああした補習をきっちりおやりいただいて、ああ、なるほどというのでだんだんその輪が広がりつつある、大変いいことだと思います。
 先生、先ほどのお話の消費者教育の公民の問題として、これは西村先生の方のお話とも多少絡むんだと思いますが、今大阪の方で学校教育に取り入れるべく御努力いただいている。何で指導要領といいますか、一般的になっていかないんだろうと、こういう多分いら立ちをお持ちなんだと思います。
 私自身も長いこと公務員をやっていたんですけど、新人選手がだんだんだんだんと、答え聞かせろと、こういう感じになっているんですね。何でだろうと。答えがないからいろいろ議論して代替案を出して、その中から絞っていって、またたくさんの人の意見を聞くんだと。これが、最近十年、十五年ぐらいの入ってくる若者たち、おとっつぁん、答えくれと、こういう感じで上司の顔を見るという人がたくさん増えてきまして、どういうことかなと思ったら、先ほどの藤原先生のお話でよく分かったような感じもします。
 そういう意味で、それが指導要領の中に取り込むべしと、こう多分先生は思っておられる、おられた、今もおられる。こうした点について、さっきの西村先生のお話と絡むんですが、消費者庁ができない間は、多分、なかなか旧来どおり文科省何とか頑張れといっても動いてこない、こういう問題があろうかと思うんです。
 切り口として、消費者庁ができるからには、両方、両省庁がよくよく相談して、ああ、そういう意味じゃ教育課程の中でそこまでの教育をきちっとやった方がいいねという動きが出てくることを期待して多分おられるんだろうと思うんですが、そこのところは是非、先生のお話としてこうすべきだということを一言おっしゃっていただければと思います。
#20
○参考人(藤原和博君) そのとおりだと思います。
 教育課程の中に、先ほどから強調しています正解主義じゃなくてクリティカルシンキングですね、本質を見抜く洞察力と言ってもいいんですけれども、複眼思考をどのようにはぐくむのかということが、国語と公民と道徳、それから家庭科にも一部入っていいと思いますけれども、それがきっちりはめ込まれるべきなんですが、今回の新指導要領でも残念ながら、これは先ほどちょっとこの会議の前にお話をしていました西村先生は相当努力をされたらしいんですけれども、文言の問題で入らなかったみたいですね。クリティカルシンキングのクの字もありませんし、リスクマネジメントのリの字もないです、そうですよね。
 というようなわけで、私は、本当は想像するに、大変申し訳ない言い方なんですが、この日本の教育課程を形作っている責任者の方が実際そのリスクを取って人生してないんじゃないかという、そこまで想像してしまうんです。
 つまり、指導要領を本当よく読んでいますと、個人が人生するという視点、ほとんどないですね。個人が人生していろんなものにぶち当たって、そこで試行錯誤しながら生きていくんでしょうと、生きる力ってそういうことをいうと思うんですけれども、正解が並んでいてそこから選べばいいとか、あるいは空欄を埋めなさいという、そういう人生ってもうないと思うんですね、成熟社会になったら。
 だから、その時代錯誤が物すごく大きいので、これはほとんど、先ほど私言いましたようにOSの問題で、そのアプリケーションをどこかいじって、二ページを四ページにしろという話じゃないわけですね。日本の教育は下手するとすぐそういうふうになりまして、例えば環境問題が大事だと環境教育、福祉が大事だと福祉ボランティア教育、ITが大事だとIT教育ですね。少年がちょっと事件を起こすと心の教育、命の教育、それからキャリア教育、最近おしゃれなのは食育と、こういうふうになるわけですよね。
 それがまた、消費者教育というのがまた加わったら、これは現場大混乱で、時間、どこでやるのという話になりますから、むしろOSのところで、もう一回言いますけれども、国語と道徳と公民の指導要領の中にはっきりと、このクリティカルシンキング若しくは複眼思考ですね、反対語としてはさっき言いました紋切り型の思考あるいは思考停止状態を解除するという、それを入れるべきだと思います。
 ただ、もう一つの問題は、これを入れたときに、非常にあいまいなワードでは入っているんですよ、思考力、判断力が大事だみたいな言葉で。ところが、現場で運用するときに校長先生方が追い付かないです。今、全国の小中学校三万人の校長先生の七割方はこの考え方に追い付かないと思います。相変わらず正解で教えてきた時代に業績を上げて、あるいは生活指導で竹刀持ってちょっとやんちゃな子をおいおいと言いながら、それで校長になった方が多いんで、この校長の世代交代も非常に大事ですね、あと五年の間になると思いますけれども。
#21
○佐藤信秋君 誠におっしゃるとおりだと思いながら伺いました。
 省庁間の縦割り主義を壊していこうとすると切り口が要るというのも確かで、そういう意味で、消費者庁が消費者教育と、こういう切り口から先生のおっしゃるリスクマネジメントなりあるいはクリティカルシンキングなりといったOSを入れ込む、こういうような努力を消費者庁ができれば、でき上がった暁には、消費者庁あるいは消費者委員会の方からどんどんと発言してやってもらう、やってもらいたいな、これはこんな形で議事録に載っけさせていただくということが大事なことだと思いました。
 そこで最後に、大変恐縮です、時間がなくなりまして。日和佐先生、いろんなことを伺いたかったんですが、特に不当利益の剥奪という問題を特記して先生の方から今日はお話ありました。雪印乳業の非常勤ということで、そういうお立場から特にお感じになられたということだと思いますので、そこについて、企業側からもむしろそういうことの方がいいんじゃないかというお考えからおっしゃったのかもしれませんので、その辺の思いをひとつお教えいただければと思います。
#22
○参考人(日和佐信子君) 同じ食品業界として、食品に対する不安が非常に高まっているということについては危惧をしております。きちんとまじめにやっている食品事業者がほとんどですね、言ってみれば。ですけれども、表示の偽装あるいは原産地の偽装等によって不当な利益を得て、なおかつ消費者を、何を信用して買ったらいいのかなということで不安におとしめている事業者も非常に多いわけです。それが後を絶たないんですね。それは本当にやり得感があるからだと思うんですよ。摘発されても、それまでに得た膨大な利益、それを剥奪されることなく持ったまま問題は鎮静化してしまうみたいなところがあります。これではちっとも直らない。
 ですから、食品への信頼を増すという意味合いでも、不当に得た利益を剥奪する仕組みを早くつくっていただきたいというように思います。
#23
○佐藤信秋君 ありがとうございました。終わります。
#24
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。本当に今日は貴重なお話を伺ったなと思って伺っておりました。
 質問をたくさんさせていただきたいなと思いまして、まず早速、西村先生の方にお伺いしたいと思いますけれども、先ほど、レジュメの中にございましたとおり、消費者教育の現状ということをお述べいただきました。その中で、実態はこうなんだよというお話があったわけでありまして、その中でやっぱり、この議論の中でも消費者教育大事だ大事だと言いながらなかなか進まないという現状がございまして、特にそのネックは何なのかということを更に詳しくちょっと教えていただきたいと思います。
 と同時に、先ほどからお話しになっておりますけれども、学習指導要領の更なる改訂の必要性ということも述べられております。私も文部科学大臣に対してこの質問をしたんですが、大臣の方からは、この間もやったからもう大丈夫だみたいな感じの、ありまして、そこの認識から変えていかなくちゃいけないなという思いを持っているわけでありますけれども、先ほど藤原先生の方からもちょっとありましたが、もっと具体的にどう組み替えていくという、先ほどOSの話が藤原先生からありましたけれども、消費者教育のところを更にどう改訂していくべきかということを明確にお話をいただきたいと思います。
 二点目は、先生のこの消費者教育というか、消費者問題に取り組む原点になった若者に対するところについてお伺いしたいと思うんですが、若者の消費者トラブル多いわけで、被害者にもなり、また加害者にもなるケースがあると。そういう法的な知識やまた社会経験が少ないというところをつかれてこういう、巻き込まれてしまうケースが非常に多いわけですが、学卒後ですね、そこのところがやっぱり、二十代、三十代、私の下にもたくさん相談が来るんですけれども、本当に基本的なところから厳しいなというような質問というかお話が来るわけなんですけれども、ここを、もう学校を卒業した後のところをどうやっていくかというところ、お考えがありましたらお伺いさせていただきたいと思います。
#25
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 現状は確かにいろいろとネックがあろうかと思いますが、その中でやはり一つは消費者教育というものが果たして本当に必要なのだろうかという、国民的認識と言うとやや大げさですけれども、そこまで成熟していないのかもしれないんですね、ある意味では。ですから、逆に言えば消費者庁ができるということが、これはかなり革命的と言うと変でございますけれども、大前進だというふうに思うんですね。
 というのは、私が今年一つ科目を持っているクラスでの講義で、この四月の初めに、学生に今新しい省庁ができようとしているんだけれども何か分かるかといってマイクを持って講義室をうろうろ、私は動き回るたちなものですから、それで聞いていっても、正解、それこそ正解が出てこないんですね。それで、何人か、十人くらい聞いたところでやっと消費者庁ですかという答えが返ってきて、じゃ、おまえは単位やろうとか言ったところだったんですけれども、それはさておきまして。
 やはり、まだまだ消費生活、あるいは、消費生活というのがある、皆さん消費生活を送っていながら自分のことじゃないというような認識であったり、とりわけ学校教育のカリキュラムは、今が是というか、現在行われているものがすべて良いものだという理解があるのかなと。
 今回、実は、私も中教審の専門部会にかかわらせていただきまして、言わば学習指導要領を作っていく骨格を審議する中におったんですけれども、結局、新しいものをつくっていくということに対する物すごく大きな抵抗というものが行政組織の中にはあるんだろうと思うんですね、それは恐らく文科省だけでないんだろうと思うんですが。そういう意味で、これだけの若者の消費者トラブルであったり高齢者の消費者トラブルであったりというものがある中で、この消費者庁ができるのを機会に消費者教育の重要性というものをむしろ消費者庁が先頭を切ってアピールしていく、で、文科省を巻き込んでいくということが必要だろうというふうに考えております。
 本当に、私も消費者教育にかかわって三十年ほどになりますけれども、実は二十年前に指導要領に載ったというきっかけも、実は参議院の決算委員会である議員の方が質問をされまして、これは会議録で私も拝見しておりますが、この指導要領に改訂が必要なのではないかと、カード社会の問題に関する質問だったんですが、それに対して、当時文部大臣であった、塩川先生が大臣であったわけですけれども、確かにそのとおりだと、議員のおっしゃるとおりであるということで、それが省庁を動かしていったというようなきっかけもあったんだろうというふうに思います。
 ですから、やはりこの消費者教育の問題を是非議員の先生方が力強く応援していただければ有り難いというふうに思っているところでございます。
 ありがとうございました。
#26
○山本香苗君 じゃ次に、藤原参考人の方にお伺いしたいと思います。
 いつもながらの明快なお話でございましたけれども、「よのなか科」というものをやっていただいて、本当にこれが全国横横でだあっとできていったらいいなという思いもあるんですが、やはりそこが全国どこでもできるような状況にはないわけでありまして、そこのところをどうしていけばいいのかということが一点と、もう一つ、消費者教育の担い手というところで、先ほどもお話ありましたけれども、地域や家庭、いろんなところでこういった先生だけに頼るのではなくてやっていくという体制をつくっていく、そういう中で消費者団体の方々との連携というものも必要になってくると思うんですが、この二点についてお話をいただきたいと思います。
#27
○参考人(藤原和博君) 最初の普及についてですが、もう既にこういうワークシートが発売されているんですね。これ私、印税一切取っていないものです。ちなみに、私は大阪の特別顧問もただでやっているんですよ、ボランティアで。さらに、そういうクリティカルシンキング、あるいは複眼思考に対する渇望は世の中の大人たちにもすごくあって、若者に物すごくあって、例えばこの本、「十六歳の教科書」という本なんですが、これは各教科をそれぞれ社会人が担当して、そういう視点で、複眼思考の視点で教えているすごく薄くて読みやすい本なんですが、これ三十五万部売れているんですよ。私が社会科のところをやっているんですね。こういうものがそんなに売れるなんて、大体出版社も思っていなかったんですね。
 だから、そういうニーズもあるし、手段ももうあるのに、なぜ広がらないかですね。これは、教育課程の編成権という、目の前の子に何を教えるかというのをすべて決定する権限が日本の場合には校長に一〇〇%握られているからです。文科省がやれと言っても、そうならないんですよ。それを起こすためには、明確に指導要領にうたわれて、教科書に載る必要があります。教科書に載る必要があるんです。この二つが起これば、要するに面倒くさいから、失敗すると嫌だからといって関心示さなかった校長もやらざるを得なくなりますから、全国でそういう研修会が起こるようになりますので、総合が始まったときに研修会が起こったと思うんですね、ああいう感じです。
 だから、指導要領に載って、別に法律に何かうたう必要はないです、指導要領に載って、教科書に載れば普及します、間違いなく。いったんそうなっちゃうと結構横へ倣えというのがあっという間という、それが日本の特質なんですね。そんなんだったら早くやれよという感じはあるんですけれどもね。
 もう一つ、地域や家庭というふうにおっしゃいました。実は、それでも今、日本の子供たち、公立の学校に通っている子供たちの約七割方は例えば放課後家に帰ってもお帰りなさいと言われない。大体三割ぐらいの家庭で学習フォローが効いていない。一割はもうほとんど無理という感じです。できないところに家庭教育が基本でしょうとか言っても無理なんですね。だから、ここは何としてでもまず学校教育で支えるべきところは支える。
 それから、プラス地域社会なんですが、ほとんどの都市部で地域社会が壊れてしまっていますよね。昔だったら多分、学校でも家庭でもない地域社会というところで消費者教育されていたんだと思うんですよ。例えば駄菓子を買いに行く、五円しかない、でも五円のスモモと五円のアンズ買いたい、どうするみたいな感じでですね。で、おばちゃんと交渉するとか、おばちゃん今日きれいだねと言ってみるとか。いろんな交渉術や、それから、すごく小さいところでだまされる。べいごまを気に入っているのを取られるとか、めんこですごい気に入っている光っているやつを取られちゃうとか。
 そういう子供たちが地域社会の中で慣れながら学ぶ、そういう場がなくなっちゃっていることが大きいんですよ。だから、上手な疑い方ができない子が増えちゃって、信用するかしないか、友達か友達じゃないか、そんな感じになっちゃうわけですね。白か黒かみたいな、みんな子供たちが、学校で正解主義で教えている影響もあるんですけれども、二元論になっちゃっている。これは物すごい危険なことだと思うんです。だから、いじめも物すごい深刻化するわけですね。その間がないわけです。その間を鍛えるいろんな例外事項を出題してくれる地域社会を壊したことが大きいです。
 これを私は、学校を核にして地域社会を再生するという運動として、学校支援のための地域本部というのができまして、和田中ではもう五年の実績があるわけですけれども、去年から文科省が五十億の予算を使って全国、今まず千五百か所ですね。和田中のようになるには恐らく五年、十年掛かると思いますけれども。
 もう学校を核に地域社会を再生する以外に方法はありませんから。今更神社使えないでしょうし、ほかの場所では厳しいと思うんです。だから、学校が一番地域社会の再生には効くんで、そこで、お父さんでもお母さんでもない、そして先生でもない斜めの関係ですね。お兄さん、お姉さん、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんにもまれて、その中でのコミュニケーションでいろんな駆け引きやったり細かくだまされたり失望したりですね、絶望するんじゃなくて細かい失望をたくさん繰り返すという、そういう練習を地域社会でやるべきだと思います。
 そうでないと、学校ってやっぱり九割建前が優先してしまうので、どうしたってきれい事という部分が九割となっちゃうわけですね。これ、しようがないと思うんですね、これが批判されるべきことじゃなくて。だから僕は小学校で一割、中学校で三割ぐらいクリティカルシンキング入れてくれというふうに言っているわけですけど。もうちょっと補うべきものは、地域社会を学校を核に再生するというような中で補い得るんではないかなと思います。
 以上です。
#28
○山本香苗君 最後に日和佐参考人にお伺いしたいと思います、二点ですね。
 一つは、まさしくこの社会の常識と企業の常識がずれている中を一生懸命御尽力をされてこられたんだと思います。そういう中で、企業と、また消費者と、また行政と協働していくという中で、御自身の御体験の中からかぎとなるものを教えていただきたいと思いますし、もう一つは、消費者安全法案という中で今回、情報の一元化が図られるわけであります。その中には事業者からの事故情報というものについては直接言及はないわけなんですけれども、これについてはどういう形で、望ましい形の運用と事業者側から見た場合でどういった点があるのかというのを教えていただければと思います。
#29
○参考人(日和佐信子君) そうですね、まず最後の御質問からなんですけれども。
 食品メーカーとしても全くトラブルがないわけではありません。ですから、情報の公開の基準なんですけれども、そのトラブルが企業内で終結をしてしまって消費者に何ら影響を与えない場合についての情報について収集することはないというように思っています。そこまでやる必要はないんではないかと。ただ、何らかの形で消費者に影響を及ぼすようなトラブルが起こった場合、そういう事故情報についてはきちんと事業者から報告を求めるという仕組みが必要であるというように思います。
 それから最初の御質問なんですけれども、行政と事業者とそれから消費者のいい関係をつくるにはどうすればいいのか。
 まず第一に、この消費者庁ができるということが一つの大変大きなインパクトになると思います。事業者は意外と法制度に弱いんですよ。法律で決められると非常にまじめにやるんですね。それを実感したんですけれども、個人情報保護法についても、それから公益通報者保護法に関しても、この法律の中身で本当に有効かなと私は思っていたわけですけれども、しっかりとそれは企業の中に位置付けられました。本当にそういう意味合いでは非常にちゃんとやるわけですね。ですから、今度消費者庁が設置されるということは非常に大きなインパクトになる、そこで事業者の意識が変わってくると思います。
 そこで、やはりいい関係を保つというためには消費者と、まず消費者と事業者が率直に語り合える場面を、これはその事業者自ら幾らでもつくることはできると思います、消費者団体と意見交換をするという形で、雪印でもやっておりますけれども。そのような形で具体的にやっていって、必ずしも消費者団体は怖いおばさんの集団ではないということの認識が企業の中に広がっていくことが期待されると思います。
#30
○山本香苗君 ありがとうございました。
 もうお三方のお話聞いていて、やっぱりコミュニケーションが必要だなと、かつネットワークという形をしっかりつくっていくことがこの消費者庁を更に生かしていくことになるんだなということを感じました。
 ありがとうございました。
#31
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 本当に、藤原参考人がおっしゃったクリティカルシンキングというのは大変重要なことだというように思います。私も何でも疑ってかかるようにしておりますので、参考人の皆さんの話も本当かなと思いながら聞くところもございましたけれども、まず消費者教育のそもそも論について、西村先生のお話、本当かなとちょっと思っちゃったものですから、お聞きしたいと思いますけれども。
 私は、個人的にはこの消費者教育という言葉が余り好きではございませんで、何か上から教えてやろうというか、自立させてやろうみたいな、そういうものでないんじゃないかなと。もちろん、被害防止のために情報伝達するとか啓発するとか、重要なことですし、子供たちに、まさに藤原参考人が言われたように、生きる知恵みたいなものですね、これを身に付けるというのは非常に重要なことだと思いますが、特にこの消費者基本法における消費者教育の位置付けには以前からちょっと疑問を持っておりまして、消費者基本法というのは消費者政策の基本理念をちょっと変えましたですよね。消費者保護から消費者の権利尊重と同時に消費者の自立支援というふうに転換したわけです。
 私はこれ、消費者基本法全体を評価しておりますけれども、ここのところはちょっと危ない転換をしたなと思っていまして、大体自立支援という言葉がいかにうさんくさいかというのはもう最近分かってきているわけですね。障害者自立支援法がそうですけれども、当時はよくはやったわけです、この自立支援というのは。すっと入っちゃったんだと思いますけれども、その次に来るのが自己責任論が来るわけです、必ず。自立を支援してあげる、教育してあげる、その後は独り立ちするんだと、後は自己責任ですよということが暗に来るわけですね。
 ですから、私は国会で多重債務とかやみ金とか保険金不払とかマルチ商法とか割賦クレジット被害とか、特に悪質商法をずっと取り上げてきましたけれども、その世界でいきますと、だまされる方も悪いんじゃないかとか本人のせいもあるんじゃないかというふうなことが絶えずあって、自己責任論ですよね、それが本来もっと早くやるべき法改正が遅れてきたとかいうふうに感じるものですから、この消費者教育が自立支援で、後自己責任にまでつながるような流れはちょっと違うんじゃないかと私は思っておりまして。
 ただ、西村参考人も、事前にいただいた資料では、政府は消費者への自己責任を求める前提として消費者教育を一層強化する立場を取るようになってきたというように、ちょっと危ないなということは認識されたときがあったと思いますけれども、そもそも論なんですけれども、この消費者教育というのが自己責任を押し付けていく前提として行われるということは私は大きな間違いじゃないかと思いますが、西村参考人の御意見を聞きたいと思います。
#32
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 まさにこの消費者教育が自己責任論の肩代わりというか、そういうことであってはならないのは当然のことでございます。強いて言えば、自己決定力を付けるための、まさに藤原参考人もおっしゃっているところの批判的思考力あるいは意思決定力というものを付けるというのが本来の意味の消費者教育で、先ほど時間の関係で十分お話しできませんでしたが、アメリカから移入された消費者教育というふうに申し上げたかと思うんですが、アメリカでも消費者教育の柱というのはまさにクリティカルシンキングと、それからデシジョンメーキングという考え方でございまして、結局、物事を二面、三面から見ていくという力でございます。ですから、そのことによって、経験を積みながらスパイラル的に思考力を高めて、自己決定できる力を養っていくということでありまして、決してそれは、今のおっしゃるような悪質商法における、一方的な自己責任論を押し付けられて、だからしっかりクーリングオフも覚えておけよとか、だまされないようにしろよということが消費者教育だというふうには考えておりません。
 つまり、この消費者教育のあるべき姿というのを考えたときに、本人が品質を見極めたり企業を判断したりする力を身に付けさせるということでいいますと、どうしても先生おっしゃるような上からの、当然消費者教育というのは主体があって客体がある、だれかがだれかに教育というのは仕向けて、ただしそれは一方通行ではないわけですね。これは啓発と違う点で、情報提供と違う点で、相互作用なわけですね。ですから、その対象となる子供たち、あるいは高齢者、会社にいる人たち、そういう人たちが自ら学習意欲を持って反復、継続しながら自らの能力やスキルを高めていくということが不可欠でございまして、それは決して本人に対する責任転嫁をしようということではないというふうに思うんですね。
 ただ、私が考えますのは、やはり消費者教育というのはそれだけで完成するものではなくて、私はよく言うんですが、やっぱり規制と教育というのはある種、車の両輪であると。ですから、一方で、事業者に対する規制あるいは消費者保護のための制度設計をしていくということが必要ですけれども、やはりその一方で、消費者も学習をする機会を与えて、本人がそれなりに知識を身に付けて、スキルを身に付けていきませんと、やはり新たなビジネス戦略の中に巻き込まれていくということも十分考えられるわけで、そういう点で消費者教育の必要性というのはあると。
 言葉として消費者教育より消費者学習と言う方がもしかしたらいいのかもしれませんが、私どもの学会も残念ながら消費者教育学会という名前を付けておりますので、消費者教育で名前は統一させていただいているところでございます。
 以上でございます。
#33
○大門実紀史君 ありがとうございました。
 藤原参考人は本当に今日直接お話を聞けて良かったなと思っております。是非本も読ませていただきますので。勉強になりました。
 ちょっと時間の関係で申し訳ありませんが、日和佐参考人に質問をさせていただきます。
 実際に企業の現場でコンプライアンス等を見てこられて、二つのことをお聞きしたいんですけれども、先ほども少しございましたが、企業の側からの重大事故報告という制度は一応あるんですね。重大事故報告・公表制度というのがあるんですけれども、これまさに重大事故で、死亡とか重症にかかわるような限定されたものでありますし、対象も限定されております。むしろこれからは、余り細かい事故は別として、一定の事故はどんどん企業が自ら報告していく、発表、公表していくと。その方が企業の未来にとってもいろんな意味でいいんではないかというふうに思うんですけれども、そういう企業自身の事故の報告制度の在り方について日和佐参考人はいかがお考えかという点が一つ。
 もう一つは、雪印等々でも感じることがあるんですが、公益通報者保護制度というのが今度消費者庁の方に所管になるようでございますけれども、これそのものも今のままでいいのかということが私、問われているというふうに思います。諸外国の通報制度とはやっぱり違うな、まだ限界があるなと思います。具体的に言えば、まず社内で解決しなさい、それが駄目だったら監督官庁に言いなさいと、その次に外部に言っていいですよみたいな、何段階かあって、その過程の中でなかなかこの制度が機能しないとかいうこともあるわけですね。いろいろ問題点があると思いますけれども、この通報制度についていかがお考えかという、この二つの点について御意見をお聞かせいただければと思います。
#34
○参考人(日和佐信子君) まず、企業の事故情報の開示ですけれども、先ほども申し上げましたように、大きな重大事故でなくても消費者にかかわる問題を起こした場合、それは積極的に公表をしていくということが非常に重要なことだと思います。ですから、そういう観点で企業が積極的に自社のデメリット情報、マイナス情報ですね、自社にとってはマイナスだけれども消費者が必要だと思っている情報については積極的に開示をしていく。
 そこで、一つ問題なのは、これが変にマスコミが取り上げて、こんなことまでやっていたというようなことで過大に報道されることを企業は非常に恐れます。ですから、そこは冷静な社会の対応というのが一方では必要で、過敏な対応をすれば、企業は大したことがない情報だと思えばそれが消費者にかかわる情報であっても開示をしなくなってしまうわけですね。ですから、そこは社会がどう受け止めるか、マスコミがどう受け止めるか、消費者がどう受け止めるか、そこが冷静な受け止め方をするということとのバランスも必要なのではないかというように思っております。
 一つ事例を申し上げますと、トランス脂肪酸が問題になったことがあります。マーガリンにはトランス脂肪酸を含有しておりまして、そして食品安全委員会は日本人の平均的な摂取量であるならば問題ないという情報を出しました。けれども、消費者は具体的に雪印のマーガリンにどのぐらいのトランス脂肪酸が入っているか、そこを知りたいわけですね。雪印乳業はこれはもう本当に社内で激論をしたわけですけれども、データが出ておりましたので、それは開示をすることにいたしました。
 そのようなことがちゃんと世の中に、これは非常に好評だったんですね、世の中にきちんと受け止められていくということになれば、企業にとってデメリットな情報であっても開示をしていくことになるということになると思います。まずは、でも消費者にかかわる情報については開示をしていくようにということを促すことが必要だというように思います。
 それから、おっしゃいますとおり、公益通報者保護法は二段階になって、まず社内に言っていけ、そこで解決しなかったら社外に出していい。これはもう一元的に、構わないから社外に言ってもよいという制度にした方がいいと私も思います。
 それから、受付場所が今は様々にあるわけですよね。ですから、例えば事故米に関しても、農林水産省に情報は内部告発して行っていたんだけれども、それへの対応が非常に遅れたという事実があります。そういうケースはたくさんあるわけです。
 ですから、個別ではなくて、どこか一つに相談窓口等が設けられて、とにかくそこに言っていけば、そこから関係の部署に回されて、なおかつ、それがきちんと解決されたかどうかまでチェックできるというような新たな仕組みというものが必要ではないかというように思っておりますので、それは消費者庁が設置された後には是非前向きに検討をしていただきたい事項だというように思っております。
#35
○大門実紀史君 日和佐参考人のペーパーの中に社員教育、社員研修というのがございますね、消費者教育の中で。私も、消費者教育というと、まさに買う方の、消費者の側の教育というふうに考えられがちなんですけれども、サプライサイドといいますか、まさに企業のそういうコンプライアンスをずっと見てこられてお考えになったことだと思うと、非常に重い提案だと思います。
 西村参考人にお伺いしたいんですけれども、この消費者教育の中で、企業の中の消費者教育といいますか、企業の中の教育も必要だと思いますけれども、その辺はいかがお考えか。
#36
○参考人(西村隆男君) 消費者保護基本法から消費者基本法に変わりましたときに、消費者教育の場の中に、これまで学校、地域、家庭ということであったところに職域というのが加わったと思うんですね。それはまさに、なかなか学ぶチャンスのない、あるいは企業の中にどっぷりつかり込みますとなかなか、自分も本来消費者であるはずなのに消費者であることを忘れてしまうということで、それが必要であるという認識だと思われます。
 やはり私自身も、社員教育あるいは何年次研修とか、そういった中で是非やっていただきたいですし、またその消費者相談の窓口というようなものが社内にあってもよろしいんじゃないかと。社内の社員の方が相談できるような、まあ労組を持っていらっしゃるところなんかでは多重債務の問題を受けたりするようなこともあるようでございますけれども、そういったことで常にサプライヤーでありながら消費者であるということを認識させるような機会を定期的につくっていただけたら有り難いというふうに思っております。
#37
○大門実紀史君 もう時間が来たのでやめます。
 私が申し上げたかったのは、加害者になるかもしれない側の教育という意味でございますので、是非そういうこともまた今後検討していただければと思います。
 ありがとうございました。
#38
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 今日は三人の参考人の皆さんから本当に貴重なお話をいただきまして、大変参考になりました。この後、また来週一般質疑の機会があろうかというふうに思っておりますので、是非また皆さんの御意見を参考にしながら政府の方にいろいろ質問をしていきたいと、こういうふうに思っております。本当にありがとうございました。
 消費者教育というものが、今回の消費者庁関連三法案の中で修正合意を受けまして初めて全面的に言わば法の世界の中に登場した、まさに画期的なそういう状況が生まれてきたんだろうというふうに思っています。先ほど来話がありましたけれども、消費者の安全法の四条の六項で消費生活に関する教育活動、そういう項目が追加をされましたし、附帯決議の十二項であらゆる機会を活用した消費者教育の一層の推進体制の強化と、こういうことが入ったわけでございます。
 そこで、私は、この安全法とその附帯決議に沿って皆様にお聞きをしたいというふうに思うんですが、この消費者教育で緊急にやっぱり何をすべきなのかということと、中長期で何をすべきなのかということをちょっと仕分してそれぞれ一つずつ、私はとりわけここが大事だというお話をしていただきたいというふうに思うんです。
 ただ、藤原参考人は先ほど来クリティカルシンキング、大変私は刺激を受けましたけれども、学校教育とりわけ義務教育におけるクリティカルシンキングの必要性といいましょうか、複眼的思考の必要性をお話しになりましたので、それはちょっとわきに置いて、それ以外でこの消費者教育で緊急に何をすべきか、そして中長期に何をすべきかお話しいただければ有り難いというふうに思いますが、西村参考人からお願いをいたします。
#39
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 この消費者教育の中身として、体系シートというものを先ほど御紹介させていただいたりもしましたけれども、やはりこの昨今の消費者問題の、あるいは消費者被害の重要性ということにかんがみますと、やはり食の安全の問題あるいは契約・取引に関する問題、この辺りに関してやはり重点的に実際にどういう問題が惹起しているのかということを正確に理解して、それに対処すべき能力といいますかスキルといいますか、そういうものを知識レベルでなくて、先ほどディベートというお話もありましたが、その実例をケーススタディーというような形で学習するような機会をつくると。
 さらには、その救済を、自力救済を求めるためにどういう手段があるのかと。私も実際に今行政が作っている様々な消費者教育教材の評価をするという、評価、表彰をするという機会が消費者教育支援センターでありまして、それにかかわらせていただいたんですけれども、余りにもあれもこれもという中身で、学校やあるいは消費者一般の方に提供するような情報量の多さというのに愕然とするわけですが、それをそうではなくて、その中にも非常にシンプルなものもあったんですね。
 例えば、クーリングオフという話も先ほどありましたけれども、そのクーリングオフだけの、何というんでしょうか、ワークシート的な教材があったんですけれども、それは実際に差し出せるような、はがきも切って送ればいいような形になっていると。購入した店、それからそのメーカー等、両方に連絡するとか、あるいは信販会社に連絡するとか、そういったものも含めたシステムになっているとか、そういった技術的なものも含めて具体的に展開していくようなものがまず初期には必要だろうと。
 それに対して、中長期的にはやはり科目をがらっと変えるような、中教審でもちょっと話があったんですけれども、私の意見としては、今まだ高校に情報という科目があるんですけれども、もはや情報という科目が必要かどうかということもちょっとややいかがかと思う部分もあるんですけれども、いわゆるワープロやそういうものが普及しましたので、情報と一緒にした生活情報というような科目をつくるとか、そういったことも中長期的には考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
#40
○参考人(藤原和博君) 緊急ということなんですが、先ほど言いましたように、指導要領に入れて教科書に載せるというときに、今もう新指導要領が今年から試行で二年後、三年後に実施されていくんですね。その次ということになりますともう七、八年後になっちゃいますから待っていられないので、一番早いのは多分、大学の教職課程で、すべての教員候補生にロールプレーとディベートを徹底的に授業手法として学ばせる、これは必修にするということをやるべきだと思います。ロールプレーとディベートですね。それを授業手法として持っていれば、家庭科でも国語でも公民でもクリティカルシンキングを養う教育はできるからです。
 それから、長期的には、先ほど言いましたが、学校支援のための地域本部という地域のボランティアが学校の先生を支える組織。これは、団塊の世代の人たちがこれからどんどん地域に戻ってきますね。特に、例えば商社なんかで十何年も海外にいたみたいな人で知識、技術、経験共に持っている、あるいは予備校の講師をやったことがあるとか、いっぱいいるわけですよ。お母さんたちの中にも赤ペン先生やったことあるなんという方はいっぱいいる。そういう団塊の世代の人たち。それから大学生ですね、主に教員になりたい大学生、それからNPOに勤めたい大学生、そういう若い人たち。
 いわゆる地域というと、いつも町会長、商店会長になっちゃいますけれども、そうではなくて、次の地域社会を構成する若い人たちですね、大学生、高校生でもいいです。それから団塊の世代の人たちですね。それから、PTAのOG、OBという人たちを集めて、今、和田中の地域本部というのはそういう人たちが構成しているんですけれども、これが全国にできていって疑似的な地域社会を形成すれば、その斜めの関係の中で、親子とか先生、生徒じゃなくて、お兄さん、お姉さん、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんとの斜めの関係の中でコミュニケーションもまれますから、その中でいろんな交渉術とか折衝術とか、時に例えばだまされたりもしながら、じゃ、そしたらどうするとダメージが低いのかみたいなことも含め、学ぶんではないかと思います。それが非常に大事かなと思います。
 最後に、一つだけ。
 先ほどの山本先生の質問、なぜ普及しないのかというようなところにも絡むんですが、最後に一つだけ指摘したいのは、学校の先生というのは、消費を含めて経済とかそれから私企業とか塾とか、そういうのが入ってくるだけで毛嫌いするという、そういうアレルギーがあるわけです。私、これいつもおかしいと思っていまして、地域社会の総力を結集して公教育を立て直さなきゃならないこの大事なときに、その地域社会の総力の中には当然塾の講師だっていていいし、団塊の世代で今現在商社に勤めていらっしゃる方だっていていいわけですよね。そういう人を嫌うんですよ。
 もしそういう私企業のシの字の付いたものを全部嫌うというんだったら、じゃ、教科書も使えませんねと。教科書はすべて私企業が出版して何百万部と刷ってもうけているものですよね。そうでしょう、検定を受けている、受けていないだけの話で。更に言うと、体育の先生はナイキのシューズを履いて指導できないじゃないかと、こういう話になるわけです。だって、黒板だってチョークだって全部私企業の製品で、コンピューターも富士通とか日電とかIBMとかマックが作っているわけですよ。だから、そういう意味で、何かこう私企業嫌いみたいなものは改めた方がいいと思いますね。
 そういう頭の開けた校長をもっと増産していけば、私は変わると思っています。
 以上です。
#41
○参考人(日和佐信子君) 企業と消費者教育ということで、二点申し上げたいと思います。
 ずっと西村さん、藤原さんがおっしゃっていらしたように、消費者教育が不十分なまま成人になって、社会人になって、企業人になるわけですね。したがって、消費者問題とは何か、消費者運動の歴史とは何か、消費者行政はどのような形で生まれてきたのかということについて、基本的なことを知らないで企業人になっているわけです。
 ですから、それは企業側の体質を変えるという意味できちんと、消費者問題というのは何なのか、ですから、消費者として行動するにはどうすればというよりも、私の価値観では、いわゆる消費者問題、消費者問題の歴史、消費者行政の歴史について、企業人として基本的なことをきちっと身に付ける、そうすることによって企業の体質を変えていく、消費者を重視した経営をやっていかなければいけないという意識に変換していく、そこが一つ大きなことであろうと。
 したがって、企業の中で新入社員研修あるいは社員研修の中に消費者教育をきちんと入れていく、消費者問題について学ぶ機会をきちんと入れていくということが非常に重要であるということを思っております。
 それからもう一つは、企業として様々な専門的な情報を持っているわけですから、そういう意味合いでは、一般の消費者に対して、おこがましいですけれども、消費者教育を担える立場でもあるわけですね。
 具体的に申し上げますと、お客様センターという消費者からの相談窓口をほとんどの企業が開設をしております。そこに寄せられる意見なんですが、六〇%から七〇%は質問です、クレームではなくて。例えば、チーズの賞味期限が切れてしまっているんですけれども食べられますかというような質問が実は大変多いのですね。そういう機会に、食べられますとは言えませんけれども、賞味期限はこのようにして付けられておりますという情報を企業は持っていますので、それが一枚のペーパーになっております。オーケーという方にはファクスでその情報を提供するということをしているんですね。そしてそこから、ああ、賞味期限ってこういうふうに付けられているのか、じゃ、判断をしようという、一つの言ってみれば情報提供による消費者教育ということでお役に立つ部分があるというように思っておりまして、そういう部分も企業は担っていかなければいけないのではないかというように思っております。
#42
○近藤正道君 貴重な意見、ありがとうございました。
 時間がありませんので最後に一つだけ申し上げたいんですが、なぜ消費者教育が必要なのかと。そもそも論なんですが、冒頭、西村参考人の方からお話がございまして、情報の格差という話がありましたけれども、例えば食の安全について言えば、この国は世界でも有数の食の輸入大国ですよね。輸入の割合がどんどん高まって、食料の自給率が非常に低下をしていると。そういう中で、言わば水際で外国から入ってくる食べ物をチェックする体制なんというのは非常にやっぱり小さいといいましょうか、多くのものが、まあ私の目から見るとフリーパスに近いような状況で入ってくる。そういう中で、消費者教育だけを言うということの意味というのはどこにあるんだろうか。
 ですから、私は、消費者教育だけではなくて、やっぱり一定の安全だとか取引に対する規制があって、両々相まって消費者のやっぱり安全というのは保たれるんではないかと。そういう意味では、消費者教育を言うんなら、同時に、一定の行き過ぎた規制緩和、とりわけ安全だとか取引に対する行き過ぎた規制緩和についてはきちっとやっぱり歯止めを掛ける必要があるんではないか。そこのところが欠落すると結果としてやっぱりおかしなことになりはしないかなというおそれがあるんですが、日和佐参考人、どのようにお考えでしょうか。
#43
○参考人(日和佐信子君) 全くおっしゃるとおりで、すべて消費者が自立して判断せよということは非常に難しい。情報についても、本当にその情報が信用できるのかどうなのかということもあるわけですから、情報がありさえすれば判断ができるというわけではないというように思います。
 ですから、最低限のセーフティーネットは政策としてきちんと確保すべきだと思います。
#44
○近藤正道君 終わります。
#45
○松下新平君 改革クラブの松下新平と申します。最後の質疑者となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 消費者教育というテーマでいろいろ議論をいただきました。広義の消費者教育、それぞれテーマごとの消費者教育ということで私も大変勉強になったんですけれども、西村参考人からは体系的な消費者教育をお示しいただきましたし、日和佐参考人からは実践に基づく、あるいは企業の中のいろんな実態なりを披瀝をいただきました。また、藤原参考人からは学校現場の様々な問題点をいろいろ御指摘もいただきまして、大変盛り上がったと思っております。ありがとうございます。
 私からは、重複いたしますけれども、二、三点についてまたお伺いしたいと思っております。
 まず一点は、この消費者教育の中での地域社会の教育、そして家庭教育の重要性についてなんですけれども、私も地方議会出身でありますし、ついこの間まで消防団活動とか、地域の青年団、自治体活動も行っておりました。また、三人の子供の父親でもあります、高校、中学、小学校ですけれども。また、教育現場には私と同世代の者もたくさんおりまして、いろんな悩みとかもお伺いしております。
 今日、幅広い議論の中で思いますのは、子供は小さな失敗、小さな成功を繰り返しやっぱり成長していくと。それは、西村参考人のたくましい消費者をつくると、そしてまた藤原先生からはクリティカルシンキング、そういった表現が、同じものになるというふうに思いますけれども。その中で、藤原参考人からは、地域社会、この重要性は共有するんですけれども、学校を核として、疑似であるけれども地域社会をつくり直すんだということは、私も切り口としては大賛成であります。
 私も地方の出身ですけれども、地方も今地域が崩壊していて、それをどうして従来のうまくいっていた地域社会に戻すかというのはもう大きな課題でもあるんですけれども。
 ただ、子供たちからすると、時間は同じなわけですから、題材はたくさんあるわけですね。地域のかかわり合いが少ない分、例えばテレビとか例えばインターネットを通じて、そういった題材で消費者教育を受けられる時間的な、昔も今も時間的な条件は同じなわけですから、そういった面からこの消費者教育も考えてみるべきじゃないかなと思っております。
 そこで、地域社会あるいは家庭からの教育について、それぞれお三方からいま一度御意見をいただきたいと思っております。
#46
○参考人(西村隆男君) 御質問ありがとうございます。
 我々の地域といいましょうか社会は、例えば諸外国と比較するとどこにいても安全、安心だというふうに言わば信頼してきたわけですね。だから、端的に言えば、ちょっと物を置いておいても簡単になくならないと、目を離しても。ところが、いろんな部分でひずみが生じてきて、安全、安心がある意味で失われてきた。それをどこで補っていくか、守っていくか。そういう意味では、やはり地域とか家庭の力というものを改めて見直す必要があるということだと思うんですね。
 消費者教育に重ねて考えますと、例えば高齢者の被害をなくすという視点で最近は高齢者見守りネットワークというような形で、集める教育的なシステムではなくて、何というんでしょうか、むしろ、ある方がどうも最近お金の使いっぷりが良くなっているけれどもちょっとおかしいんじゃないかとか、それから、どうも最近元気がない、ちょっと様子を見に行ってみようとか、そういった地域を通じての、皆さん方がよそ様意識ではなくて、そういうことを持っていくようなネットワーク。そういうときに核になるのが民生委員さんであったりケースワーカーであったりするんだろうというふうに、あるいは町内会の役員さんであったりするんだろうというふうに思いますが、そういう意味では、先ほど日和佐参考人のお話にもありましたけれども、横浜市の消費生活推進員のようなものも一定の役割を果たしているんだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、家庭教育に関しても、私も小学生の親御さんの保護者会の勉強会に子供のお金教育ということで呼ばれたりしたこともこれまでに何回かございます。そういう機会に、子供さんに、今の親は子供に苦労させまいとして余りお金のことを意識させないと。中学、高校と大学、下手をすると大学を卒業しても家で養うようなこともあったり小遣いをやったりするようなこともあるような時代ですから、親教育が必要であるということだというふうに思うんですね。そういう意味では、学校を通じて、学校で消費者教育をやることで、それを家庭に持ち帰ってもらうというような形でのやり方も展開としてあり得るだろうというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
#47
○参考人(藤原和博君) 繰り返しておりますけれども、日本の今の学校では正解主義の教育がされていますね。そうすると、正解に出会うまで、自分にとって正解と思うものに出会うまでいつまでも消費する子供を育てていることになるんですね。それから、もっと言うと、正解に出会うまで転職を繰り返す子ですよ。もっと言うと、正解に出会うまで結婚しない子ですよ。
 つまり、修正主義という感覚がないんですね。やってみて修正していくという感覚じゃなくて、完成品があるからそれを選ぶという感覚が強過ぎちゃうわけです。これを何としてでも直さなきゃならないわけですが、学校でどういう授業の手法があるかはもう十分説明したと思うんですね、あと家庭と地域というような話だと思いますけれども。
 家庭に関して言えば、消費しないことも含めて教えるべきだと思いますね、もっと使い回すという。これを余り言うと産業界の方は多分びっくりしちゃうと思うんですね。買わないということですね。
 今、勝間和代さんの「断る力」というのが今ベストセラーになっていますが、買わないとか断るとか、そういうことって実は学校教育では教えていないんですよ。断るということを教えていないですよ、不思議なことだと思われるかもしれませんけれども。だから、ベストセラーになるんですね、ああいう本が。
 だから、そういう意味では、家庭でやっぱり断るとかやらないとか買わないとか使い回すとか借りてくるとか、そういうことをやっぱりきっちり、裕福な家庭でもやるべきなんだと思うんです、子供の教育のためには。それが一つ非常に大きなことだと思います。
 本当はそういう家庭教育を補助する非常に大事なフィールドが地域社会だったわけですけれども、宮崎でしたっけ、宮崎でさえも地域社会が壊れていっていますよね。本当にそうなんです、漁村、農村でさえもそうなんですね。
 これを改めて、例えば商店街がシャッターになっちゃったからといって商店街にお金をつぎ込んでも僕はよみがえらないと思います。それよりは学校を核にして、何度も言いますが、新しい担い手、団塊の世代で地域に戻ってくる人たち、だって、団塊の世代はこれから五年で一千万人が第二の人生を始めるわけですから、一割地域に戻ったって百万人ですね。一中学校区に百人いるわけですよ。だから、探せばいますから、こういう人たちにコーディネーターをやっていただいて、大学生とか高校生とか、子供たちが異世代の人と交流できる、そこでコミュニケーションが生まれる、そこで細かく失敗したりだまされたり、そこでやっぱり学ぶものという方が大きいですね。消費者教育を何とか教育とかレッテル付きの教育でやるより、よっぽどそちらの方が練習素材になるんじゃないかと思います。
 それから最後に、学校教育についても最後に一つだけ言っておきますが、公教育、無料じゃないんです。実は、私は入学式でも卒業式でも繰り返し繰り返し親の前でも生徒の前でも言っていたのは、百万円掛かっているんですね、一人の子供を育てるのに、義務教育で。年間百万円です、大体七、八割が人件費ですけれども。これを授業の数で割りますと、年間大体千こまの授業が行われていますから、簡単に言っちゃいますと、一こまのコストは一人当たり千円なんですよ。だから、子供たちに僕が言ったのは、君たち、ただで授業を受けていると思っているかもしれないけど、そうじゃないのよと。千円、君たちは払って受けているんだからねと。これ千円というのは、中学生が映画見に行ったときに「スター・ウォーズ」見るのと一緒の額なんですね。
 先生たちにも僕は言うんですね。千円の価値出してくださいねと。要は、この授業が終わったときに、帰りに、三十人子供がいたら三十人の子から千円のおひねりが飛んでくるかどうかという、こういう金銭感覚も学校の中に入れていかないと、そういうものじゃなくて何か崇高なとか聖職でとか言っているから、いつまでたってもそういう現実的な感覚が付かないわけです。
 一つの授業に千円のコストが掛かっている、一人にですね。全国の子供たちがこの感覚を持つだけでも僕は変わってくると思いますね。
 以上です。
#48
○参考人(日和佐信子君) 私は先ほど、出前講座で地域に出かけていくことがあるとお話をいたしました。そこで感じたことをお話をしたいと思います。
 対象は高齢者の方がほとんどなのですね。私が出かけますと、ああ、もっと若い先生が来るかと思っていたみたいなことをおっしゃるんですけれども。そこで、もう今は具体的に、悪質事業者の手口というのはこういう手口があるんですよということを具体的に事例をお話をして、そしてそれに対応するにはどうすればいいのか、もうとにかく一人で自宅にいらっしゃるときは訪問販売が来てもドアは絶対開けてはいけないとか、具体的なことをお話をしています。その中で、最後にいろいろと意見交換をするんですが、振り込め詐欺に遭った、あるいは高価な宝石を買ってしまったという方が必ずいらっしゃるんです。いらっしゃらないことはないです。
 あるとき、おっしゃったことに非常に衝撃を受けたのは、その方はなぜ振り込め詐欺に遭ったのか、その理由を、御主人が亡くなられて遺産が一定の金額で入ってきたそうです。今までは支出をするときに必ず御主人に相談をして、ですから専業主婦でいらしたんですね、そして許可を得なければいけなかった。だけれども、今は遺産もある、そして自分で決めて買える、そこがうれしかったと言うんですね。それでつい、私が決めて払うんだからいいじゃないかという感じで振り込め詐欺に払ったと。これは、私は非常に社会の構造的なことをおっしゃっているなというので非常に心を打たれたのですけれども、そういう方もいらっしゃいました。
 それから、ケアマネジャーを対象にした講演もやっているわけですが、そこでケアマネジャーの方から相談を受けた事例なんですが、少し痴呆が進んでいらっしゃる方の家族から相談を受けていると。どういう相談か。注文した覚えがない地域の名産品が届くというわけですね。でも、ちゃんとそれは注文されていますよと。お母さんに注文しましたかと聞くと、そんなものはしていないとおっしゃる。これから要するに痴呆が進むとどんどんそういうことが重なってくるんじゃないかと思って心配で、どうしたらいいですか、それをやめさせるためにはどうしたらいいですかという形で相談を受けたとおっしゃるんですね。
 その状況を聞いていると、やはりもう頭から、お母さん、そんなことをしては駄目ですよ、やめなさい、何かあったら必ず相談しなさいと、そういうように言っている風景が目に浮かぶわけですよ。そうではなくて、たとえそれは少し記憶があいまいであるかもしれないけれども、そのお母さんを大事にして、もう少しお母さんを尊重してお話合いをすれば分かってもらえることなんじゃないのかなと。
 要するに、家族の問題ですよね。地域の問題、家族の問題。地域で助け合うということがどんなに大事なのかということもお話をして、せっかくここで集まった仲間だからこれからも連絡を取り合って、何かおかしいなというようなことがあったらお互いに相談し合いましょうというようなこともお話をするわけですけれども、やはり地域で相談する相手がいない孤独な高齢者の姿というものがかなり強烈に浮かんでくるという時代でございます。やはりそういうことを解決していかなければというように思っています。
#49
○松下新平君 ありがとうございました。示唆に富んだお話をありがとうございます。
 消費者問題、これはイコール社会の構造、今後の日本の在り方の問題ということで大変参考になりました。ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#50
○委員長(草川昭三君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。
   午後零時三十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#51
○委員長(草川昭三君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として一川保夫君が選任されました。
    ─────────────
#52
○委員長(草川昭三君) 休憩前に引き続き、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案、以上三案を一括して議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 午後は、ジャーナリスト川戸惠子君及び信州大学教授樋口一清君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところを本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、川戸参考人、樋口参考人の順序でお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いをいたします。
 また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、川戸参考人からお願いをいたします。川戸参考人。
#53
○参考人(川戸惠子君) 川戸でございます。よろしくお願いします。着席のまま話させていただきます。
 いつもは向こうの取材席に座っておりまして、今日は参考人ということで、こちらに参って少々戸惑っておりますけれども、消費者行政推進会議の委員の一人といたしまして、これまでも是非消費者庁をつくってほしいと推進してきた身にとっては、この委員会で一言意見を述べさせていただけるチャンスを与えてくださったのは大変ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それと、もう一つ皆さん方に感謝をしたいのは、やはり、去年の二月にこの私たちの消費者行政推進会議スタートしたんですよね。それで、ギョーザ事件がありましたときに急遽駆り出されて、私もこういった消費者問題に関しては詳しくないんですけれども、行革をやっておりましたので、そこら辺のところから、委員の一人になれということで入ったわけですけれども、それからもう一年余り、長い道のりでした。
 法案がせっかくできて提出されてもなかなかそれが審議されずに、今年の通常国会になってやっと継続法案が審議に入ったんですけれども、それも民主党さんの権利院の法案ですか、こちらの方はもう、そもそもの哲学が違うわけですよね、始めからそうおっしゃっていたように。
 そうすると、私たちメディアは、ああ、これはもう始めから無理だ、修正案なんか作れないという紙面ばっかりなわけですよ。私は、そんなことはない、どこかで修正案ができるはずだと思って一生懸命言ったんですけれども、なかなかメディアの世界はそう書いてくれないというので、暗い気持ちでいましたところ、やはり社民党さんとか、それから共産党さん、みんな賛成していただいて、最後は急転直下、この修正案、附帯決議が二十三ですか、こんなにたくさん付いたのができまして、まあ、本当に良かったということでございます。それも、私たち委員が思っていたような方向でこの修正、附帯決議が付いている、これも良かったなという感じがいたします。
 仙谷さんとよく話すので、私も仙谷さんに早く通してくださいなんていつも言っていたんですけれども、最終的に仙谷さんいわく、僕の意思でいうと、この法案は六十点、だけれども、君たち川戸さんたちの意思からいうと、もう百点満点に近いんじゃないかと言われましたけれども、まあ百点満点とはまだまだ行かないとは思いますけれども、少なくとも私たちが目指す方向にこの修正案というのができた、そして衆議院を通過したというのは本当に喜びでございます。
 本会議でこの衆議院通過をしたときに私、上で見ていましたけれども、共産党の吉井先生ですか、それが賛成討論をなさったときに、もう自民党の方からも思わず拍手が起こったんですよね。私も政治記者をずっといまだにやっておりますけれども、こういうふうな光景ってめったに見たことないものですから、感激ひとしおと同時に、是非この参議院でも一日も早く、議論をし、それからこの参考人、そして地方公聴会もまだあるようですけれども、十分に議論を尽くして、そして一日も早くこの法案を通して消費者庁をスタートさせていただきたいと願います。よろしくお願いいたします。
 もう一つはおわびなんですけれども、先ほど言いましたように、私、ずっと長いこと政治部の記者だったわけですよね。ですから、ここも縦割り行政と同じで、社会部のことがほとんど分からず、この消費者問題ですね、こういう問題もほとんど分かりません。それから、法律に関しても、どんな法律がどこにあってというのも非常に不案内でございます。ですから、これからこの後質疑応答があるとは思いますけれども、そのときは皆さんの質問に十分答えられないかもしれませんけれども、それはどうぞ御容赦ください。よろしくお願いいたします。
 まず、そのお断りをしてから、今日この委員会に参考人として来いと言われたときに、さあ何を話そうと考えました。先ほど申し上げたように、消費者問題は詳しくないし、法律問題も詳しくないし、さあどういう切り口で話をしようかなと思いましたときに、まあ考えたのが、要するにこれから一日も早く消費者庁をスタートさせてほしいんですけれども、なぜ消費者庁をつくったか、この原点というのをスタートに当たってもう一度皆さん方に考えてほしい、まあ釈迦に説法だとは思いますけれども、その点をまずちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 一番初めに福田元総理、時の総理が考えられたのは、その意識の変革をまず、つまりサプライサイドからユーザーサイドに行政もそれから消費者も企業も、みんなそういうふうな視点に変えようということからスタートでした。それを受けて私も資料として出したんですけれども、消費者行政推進会議の一番初め、二月の二十七日に私の意見として、こういう五原則の下にこの消費者法案を作ってほしいということで、この五原則というのを考えました。これは福田元総理と話をして、ああ、こういうことを考えていらっしゃるんだな、それは私たち委員みんなの願いなんですけれども、それと非常に合致しているので、ポイント、ポイントをまず掲げて、そこに沿って議論をしたらいいんじゃないかと思って、こういう資料を作りました。
 それで、その認識というのをまずみんなに改めて共有してほしいんですよね。先ほど言いましたように、もう今までの役所というのは産業サイドを向いていました。それをやはり消費者マインド、これを持つ方向に向いてほしい。これがそもそもの原点の発想でございます。まあすべての人が、考えてみれば生産者であると同時に消費者ですよね。逆に、家庭の主婦なんかは消費者だけだと言われていますけど、これはある意味ではサービス産業に従事している人と同じなわけでございます。家庭で御飯を作ったり子供を育てたり、まあ立派なサービス産業従事者で、そこがうまくできているということが日本の、日本というか国民の暮らしの根本というのはそこにあるということだと思います。
 そこで、たとえ消費者庁ができてもこのマインドは忘れないでいていただきたいと思います。つまり、これは消費者庁ができたからそれでいいやという話ではないんですね。各省庁が、やはりこの消費者マインド、目線というものをきちんと持ってほしいということです。確かに、消費者庁問題、この消費者庁がいよいよ設置できるよというふうな雰囲気が出たときに、各省庁、消費者の方を向いて随分政策を変えていらっしゃいます。その心構えというのを是非忘れずに、この消費者マインドを持って行政というのをやっていただきたいと思います。
 それから、よくメディアが書くんですけれども、消費者庁がスタートしたときに、ギョーザ問題がそもそもスタート、この消費者庁設置というのを後押しした、それなのに食品関係の法律が全然入ってないじゃないかという質問もよく受けますけれども、確かにそういう点は不満があります。民主党からのいろんな質疑の中でも、もっともっとたくさんの法律をこの消費者庁が抱えて、そして大きな消費者庁をつくるべきだという意見もございました。
 ただし、私はちょっとそこら辺は反対で、一遍に大きな組織をつくるとなりますと、やっぱり小回りが利かないんですよね、目が届かなくなります。初めは小さなところできちんとした母体をつくって、そしてそれが各省庁のところを横ぐしに刺していって、その権利というんですか、全部の省庁を使いこなすぐらいの意気込みでこの消費者庁を是非スタートさせていただきたいと思います。
 つまり、この消費者庁というのは本当の意味で行革なんですよね。今まで省庁縦割り、いろんなことが自分のところの省益でどうもできる。これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、そのために、すき間事案といってぽとんと落っこってしまった事例もありますし、それから縄張争いで逆に自分のところで全部囲い込んでしまって、そのほかのところには見せない、こういう事例も多々出ております。そういうことをなくすために今回消費者庁をつくったわけですけれども、そういうマインドを持った、今度新しくできた消費者庁は、全部の省庁を使いこなし、横ぐしで全部、その権利を十分に行使して、国民、消費者、この利益を考えた行政をしていただきたいと思います。
 小さく産んで大きく育てると私たちよく言っていたんですけれども、ある意味では、組織改革というのは小さく産んで後からできるわけですよね。逆に言えば、組織の改編もしなくても、消費者庁が主導で何かPTをつくって、問題が起こったときにそこをピックアップして、何らかの組織をつくって対応するということもできるわけですから、そういうことも考えてみたらいいと思います。
 それから、今回は修正で消費者庁と並立的な消費者委員会というのが設置されることになりました。行政とそれからチェック機能、これは両輪、常にそうだと思います。いつも行政の暴走で、自分の中だけでこれがいいと独善的にやってしまうからいろんな問題が起こるわけでして、ここら辺はチェック機能はきちんと独立した存在としてあるというのは正しい姿だと思っております。
 ただ、ちょっと問題なのは、やはり司令塔はどこかということはきちんとしておいた方がいいと思います。あくまでも消費者庁は司令塔であって、そこが大きな権限を持って、強力な権限を一元化して持って、各省庁、また個々の事案に当たるという形がいいと思います。あくまでもこの消費者委員会というのはチェック機能に役割を果たす、そういう役割分担をこれからおつくりになるときにはきちんと果たしていただきたいと思います。
 それからもう一つ、今まで消費者庁をなぜつくるかということのときに、どうしても被害者救済、消費者保護、これがメーンだったわけですよね。いろんな事案が起こります。そういうことが起こったから、私たちも消費者庁をつくろうという運動をしたわけです。ところが、やはりそういうことだけではなくて、もっと消費者の利益へ、これがうまくいくと消費者の利益になるんだよ、そういうスタイルをどうつくっていくか、それが非常に大事だと思います。
 企業は今大変です。こういう経済金融危機の中、必死になってもうけようとして、逆に言えば悪い製品、悪い品質なんかも作りかねないと思いますけれども、今や消費者に支持されないと企業は成り立たない時代なわけですよね。その企業とそれから行政、消費者、これを、企業と消費者というのを行政がどうつないでいくか、どううまくつないでどう有機的に動かすか、両方がウイン・ウインの関係にある、こういう機能も是非消費者庁には果たしていただきたいと思います。
 なぜそう言いましたかというと、この前、ちょっと何をしゃべろうかなと思ってネットで調べていたんですが、そうしたらセミナーの広告が出ていたんですね。そのセミナーの広告にぱっと書いてあるのは、企業受難時代の到来、消費者、国家権力、マスコミの三位一体の恐怖、それに備えてどうするかというセミナーの広告が出ているわけですよ。えっ、これは私たちの願っていたところと全然違うということですよね。
 確かにいろんな規制の強化があった法律が次々に出てきました。建築基準法だとか金融関係のものとか、そういうのに対して経団連そのものも反発しているケースもございます。でも、そういう考え方では絶対にこれから先、いい方向に進まないわけですよね。先ほども言いましたように、消費者に支持されないと企業は成り立たない時代になっているということ、企業の方もそれからそれを指導する行政も是非肝に銘じてやっていただきたいと思います。
 消費者被害を発生させないという意味では、ミートホープとかNOVAとか吉兆とか、そういうのもあるんですけれども、逆に今は、いろんな意識が変わりまして、消費者の権利ですよね、自分が安心で安全な消費生活を送れる、この権利をきちんと担保してくれる、そういうことが求められているわけですよね。実際に、エコカーが非常に売れましたり、それから体に優しい化粧品だとか薬品だとかそういうものが売れたりとか、それから、今はもう安かろう悪かろうではなくて、安かろう、そして品質が良かろうというものしか売れないという時代になっています。まさに消費者に支持されないと企業は成り立たないという時代になっているんだと思います。
 さて、そのために企業はどういうことをやっているかと。この企業も本当に縦割りなんですよね、中身は。よく私は広報の関係なんかで企業のそういうCSR室とかコンプライアンス室の方たちとお話をするんですけれども、実はこれみんな、品質管理とか製品の安全性とか苦情対応とか、じゃ、この企業をどう広報するか、全部別のセクションでやっているわけですよね。だから、是非企業の皆さんにもお願いしたいのは、こういった縦割り行政の弊害をなくして消費者庁をこういうふうに一元化すると同時に、企業の中の方もこういう意識でもって体質改善をして、そして一元的に対応できる、消費者のために対応できる組織というのを是非つくっていただきたいと思います。
 もう一度申し上げますけれども、企業と消費者というのは対立構造ではありません。あくまでも共生で、ウイン・ウインの関係をこれからはつくっていただきたいと思います。
 さて、そういう関係をどうやってつくるのかという話ですけれども、やっぱり一番大切なのは、いわゆる企業と消費者、そして役所、これらを全部つないで共通の意思を持つ、いわゆるインフォメーション能力を高めるということだと思うんです。そのためには、やはり情報をどう収集するか、それからその収集した情報をどういうふうに共有するか、そしてお互いの間にその情報の伝達をどううまく生かすか、これが今の時代に一番大事なことだと思うんです。これは消費者問題だけではなくて、会社の経営とかそれから役所の経営とか、それは全部同じことだと思いますけれども、このコミュニケーション能力をいかに高めるか、これが一番大切なキーポイントだと思います。
 まず、この情報収集ですけれども、今のところ提言しましたのは窓口の一元化ですね。これまで、皆さんもうこれはよく御存じだと思いますけれども、農水省には二つのそういう消費者対応窓口があったり、各役所でたくさんあるわけですよね。それぞれが連携されていないからばらばらの対応になる。そこをぽんと飛び越えた事案なんかではもう対応できない。また、さっき言いましたように、すき間に落ちたものは対応できないということになってしまいます。
 そこで、今回はこの消費者庁で窓口の一元化というのができるというのは非常にいいことだと思います。消費者一一〇番みたいな、何か電話を一本掛けると全部そこでまとめてくれるみたいなところがあるといいですよね。それを是非みんなに分かりやすい番号を一日も早く付与して、そういった窓口一一〇番みたいなものができることを希望いたします。
 それと、これもちょっと議論になったんですけれども、二十四時間開いておく可能性があるのかどうか。消費者センターの窓口、これは二十四時間って、とてもじゃないけど無理です。だけれども、例えば電話一本でこれは二十四時間対応できるとか、そういうことがあれば、本当に緊急性のあるものだったらそれを無理して開くということもできますし、ですから、そこら辺は一日も早くやっていただきたいと思います。
 それから、ただし、今回の予算の関係で、今回の附帯決議でこの消費者窓口を充実させようということもありましたけれども、そのときに是非お願いしたいのは、国というのは金は出すけど口は出さないでいてほしいと思います。やっぱり地方の消費者センターや窓口、それぞれの地域なりのいろんな事情があるでしょうから、そこはそれ、地方ではそこで自分たちの考えでいろんなことをやっていただきたいと思います。
 二番目の情報共有です。これは情報の一元化、今PIO―NETというものがあります。ただし、これもよく伺いますと、必ずしも組織的に整備されているとは思いません。これの一日も早い整備が必要だと思います。
 それと、もう一つ大事なのは、このPIO―NETをだれがどこまで利用できるのか、これがまだ全然定義されてないわけですよね。風評被害というのがあります。こういうのが漏れたりしたらどうなるんだろうというんで、逆にそういうストッパーが働いて、逆に抱え込んでしまうというのがありますよね。ここら辺は非常にきちんと定義をしないと、後で混乱のもとになります。
 それともう一つ、窓口では企業への苦情というのは非常に多いわけですよね。これは行政への苦情じゃなくて企業への苦情が多い。これとどうリンクさせるか、これもきちんと決めておかないと大変なことだと思います。多分企業への苦情の方が数としては多いんで、ここをどうPIO―NETの上に取り込むか、これもやっていただきたいと思います。
 それから、情報伝達ですね。これもどこまで透明化できるか、広報できるか。風評被害というのは、今の豚インフルエンザの話で結構起きています。また、汚染米のときにこの風評被害で倒れたお店なんかも随分あります。ですから、どこまで企業名を個別にオープンできるか、これもきちんと決めていただきたいと思いますし、それから、逆に言えば、企業側も当然反論する、したいというのがあると思うんですね。何かぱっと一番初めに一面に出されちゃって、その後もうそれに流されて、そして結局はその企業が駄目になってしまうということもありますので、どこかの段階できちんと反論を認めるみたいなところも必要ではないかと思います。
 それから、メディアの側から言わせますと、国民生活センター、ここ結構問題でして、やはりこういった消費者問題を担当している人から聞いたんですけれども、やっぱりいまだにお役所仕事なんだそうですね。情報の出し方は遅い、尋ねても一か月掛かるとか、恣意的だったり隠すだったりということがあるんで、ここら辺は是非オープンにしていただきたいと思います。それと同時に、これからのお願いですが、消費者庁ができた暁にはその広報体制をどうするかというのを是非お考え願いたいと思います。
 それで、もう一つだけ付け加えますと、あとは消費者教育ですよね。幾らこれだけ情報があっても、集めても、それから共有しても、それが消費者の元に届かなければこの情報というのはただのごみになってしまいますよね。だから、それを受け取る、正しく受け取って、それを自分たちのものにする。そのためには何をするかというと、もちろん一つは窓口で対応している人たちの教育ですよね。ここら辺は是非、ほかの方もおっしゃっていると思いますけれども、やっていただきたいと思います。
 それからもう一つは、消費者の側も問題ですね。風評被害に踊らされてすぐ買わなくなるとか、それから消費期限、賞味期限の問題ですけれども、自分の頭、舌、そういうもので考えないで、すぐそれが駄目だからというんで捨ててしまうようなことではなくて、昔のような賢い消費者をつくるということも大切ですね。特に、そういう簡単なことではなくて、今は金融商品とかいろんなことで消費者被害が起きておりますので、そういうものを是非皆さんにうまく広報して、そして消費者教育、賢い消費者をつくっていただきたいと思います。
 それには、商品テストが昔ありましたよね、「暮しの手帖」なんていうのもありましたし、あと、今はネットの利用が非常に盛んです。ブログで、自分で実際にこういう商品テストをやってみたりした人が自分で書いてあると。あと、SNSみたいなところを使うこともありますし、そういうところもどういうふうにやるかということを是非消費者庁も考えていただきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、学校教育ですよね。これは、児童とか生徒にこういう消費者教育、消費者問題、こういうのを教えるのもいいんですけれども、それを教える先生を育てるというのも非常に大事だと思います。大学に消費者教育の専門講座を設けるとか、何か、資格というと、またこれも変なふうな、行革と反対になりますのでそれは良くないのかもしれませんけど、何らかそういうことを考えていただきたいと思います。
 以上で私の話を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#54
○委員長(草川昭三君) ありがとうございました。
 次に、樋口参考人にお願いをいたします。
#55
○参考人(樋口一清君) 信州大学の樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。着席してお話をさせていただきます。
 私は、大学で消費経済学という分野を専攻しておりまして、いろいろな仕事のお手伝いを、消費者問題関係で手伝いをさせていただいています。製品安全の関係ですとか、あるいは長野県では消費生活条例の制定ということにも携わってまいりました。
 本日は、特にお招きいただきましたのは、地方の消費者問題ということについて、地方の皆様の声をお伝えするということが一つあるのではないかというふうに思いましたので、そういった点を中心にしまして御説明をしたいと思います。
 まず、早速でございますが、私ども、実は長野県は本年、消費生活条例というものを制定いたしました。これは四十七都道府県の最後の条例でございます。最後の条例ということで多くの方々が運動をされて、なぜ条例を制定すべきなのか、今地方の消費者はどういう問題を抱えているのかということについて私どもなりにいろいろ議論させていただく機会がございましたので、そのことについてごく簡単に最初にお話ししたいと思います。
 私ども、条例はなかったんですが、もちろん消費者問題にはいろいろ取り組んでまいりましたし、行政の方でも要綱に基づく行政というのをしてきたわけなんですが、この要綱に基づく行政というものは消費者にとって必ずしも分かりやすいものではなくて、透明な、そして客観的な行政というものが十分に行われにくい状況にあったということでございました。そういった中で、消費者団体の方、関係の方々が運動しまして、条例制定ということを請願をいたしまして条例制定に至ったわけでございます。
 条例のポイントは、そういった点から二つの大きな内容を含んでおりまして、一つは、地方でも現在、高齢の方々とか、消費者被害ですね、振り込め詐欺とか悪徳商法とか、様々な消費者被害が蔓延しておりまして、こういった消費者被害に対して迅速、機動的な救済を図っていくということが一つのポイントでございまして、そのためにできるだけ分かりやすくということで、まず立証責任を企業側に転換をする、あるいは不当な取引行為の類型をできるだけ詳細に書くというようなことをいたしました。
 もう一つ、実は消費生活センター、これは今回の消費者庁関連法案でも一つの大きなポイントだと思いますが、消費生活センターについても併せて改革をいたしました。具体的な中身は、消費生活センターに長野県の本庁機能を全部移したということでありまして、長野消費生活センターにおいて、業者の指導から始まって立入検査あるいは行政処分、政策の決定、すべてを消費生活センターが行うという形で、言わば地方版の消費者庁のような形の組織をスタートいたしました。
 それから二つ目は、これは少し切り口の違う話でございますが、製品安全情報のネットワークというものを条例の中に規定をいたしました。
 製品安全の問題、国においても大きな課題として現在取り組んでおりますし、また消費者庁においても消費者安全ということは最大の課題でございます。
 しかしながら、私ども、地方の現場におりますと、安全の情報というのが本当に津々浦々まできちっと伝わるのかというところが非常に重要でございます。インターネット上では公表されているということでございますが、国民の七五%はインターネットをいろいろ使っておられるという調査があるそうですが、二五%は逆に使っていないということでございまして、インターネットを中心とした情報の伝達システムだけでは高齢の方々、単身の方々に重要な情報、例えばリコールの情報とか悪徳商法の手口に関する情報が伝わっていかないと。この問題を地方の問題として取り上げるべきではないかということで、条例の中で規定を整備したわけでございます。
 この条例作りに携わったということで若干御参考になる部分もあろうかと思いますので、次に、そういった点を踏まえて、現在御審議をしておられます消費者庁関連法案について期待と要望を申し上げたいというふうに思います。
 私自身も消費者庁関連の制度、できるだけ早期に実現をしていただきたいというふうに思っておりまして、これ一月遅れればそれだけ多くの消費者被害が救済されないままになるわけでございまして、また行政の方も、正直言って消費者庁ができるまで様子を見ようという方々がいないわけではありませんから、そういうようなことを考えても、一日も早く消費者庁の新しい仕組みがスタートすることが大切だというふうに思います。
 私から三点ほど申し上げたいと思います。
 第一は、消費者庁の一つのねらいはワンストップサービス、国民にとって分かりやすい行政サービスということではないかと思いますが、その点について二つほど申し上げたいと思います。
 一つは非常に単純な話なんですが、現場主義というものを是非徹底をしていただきたいということでございまして、実は、ちょっと司令塔という言葉、私は必ずしも余り好きではないんですが、司令塔という言葉がありますが、私は消費者庁こそ現場であるべきだというふうに思います。
 実は、消費者相談室というのが現在も各省庁に設けられておりまして、消費者の方が各省庁に行けば直接相談をすることができるという仕組みがございます。
 例えば、通産省の消費者相談室というのは一九七五年から設けられておりますし、農林水産省の消費者の部屋という相談室は一九八四年から設けられております。これがいろいろな経緯でできたわけでございますが、実は私は、消費者関連法規の中で、何人も、消費者に対する政策がきちっと行われていない場合には申出をすることができる、そして行政はそれを調査しなければいけないと、こういう規定が入っておりまして、今回、消費者庁がこういったものについてもすべて共管になっておりますので、是非とも消費者庁の本庁に消費者相談室を大臣室のわきに設けていただくぐらいのことが必要ではないかと、そういう現場からスタートしなければ消費者問題というのは解決しないのではないかというふうに思います。
 あわせて、ワンストップサービスという観点からいえば、関係機関との円滑な連携というのが非常に重要ではないかというふうに思います。
 これまでも縦割り行政という議論はございますが、様々な部署で、これは行政だけではなくて消費者運動の成果としていろいろな形で取組が行われておりました。そういったものを今回、大変消費者庁というのは機能が大きいわけですから、この消費者庁及び消費者委員会においてきちっと連携を取っていけるような仕組みづくりをしていただきたいと。
 特に、私は、行政の中だけではなくて、こういった問題は実は企業の自主的な取組、そういったものと連動していかなければいけない、企業側が取り組む姿勢がなければ、幾ら行政側が消費者の救済に尽力をしても問題が解決しないおそれがあるというふうに思っておりまして、そういった点で幅広い連携のネットワークをつくっていただく。あるいは海外の問題ですね、これについても消費者庁を中心としてきちっとしたネットワークをつくっていただくということが重要じゃないかというふうに思っております。
 第二点でございますが、地方の現場におりますと、実は、こんなことを言ってはあれですが、消費者庁ができて具体的に何がどう変わるのかというのが私どもにとっては大変大切なことでございまして、その点が見えてこないと、地方の消費者一人一人が消費者庁のできたことに対する意義をきちっと評価することができないということでございます。
 今どういう問題を地方は抱えているかということでございますが、私から三点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、実は都道府県と市町村というレベルでそれぞれ消費者行政が推進されておりますけれども、市町村になりますと、いろいろ市町村の規模あるいは地域の実情に応じて消費者行政の推進について温度差がございます。そういう状況の下でいかに効果的に行政を進めていくのかということで、現在、特に人件費の問題というのが、消費者相談員の人件費の問題というのが一つの大きな議論の焦点になっておると思いますが、そういった行政経費の問題はミニマムの問題でありまして、更に踏み込んで、そういう市町村の体制をどのように整備をしていくのか。
 例えば、広域的な連合をつくってその中に相談体制を設けるとか、専門的な相談員をそういったところにきちっと配置をしていくというようなこととか、そういった行政面の仕事というのが今後非常に大きな重要な課題になりますし、そういった点をクリアしていただくことによって初めて消費者庁の意義というものが見えてくるのではないかというふうに思います。
 特に、私は大学におりますので、人材、特にこの消費者相談等に当たる人材の育成ということが非常に重要じゃないかと。研修制度等についてもまた後で時間がありましたら申し上げたいと思いますが、地方で様々な御要望がありまして、先日も宮城県に行きまして皆様といろいろ議論する機会がございましたが、そういう中でも、実情を見るとまだまだこれからやっていただきたいことが大変たくさんあるという声が強かったように記憶をしております。
 それから二つ目ですが、実はこういった問題を解決していく中では、行政の部門を超えて、あるいは関係者のそれぞれのセクションを超えて協力をし合っていくということが非常に重要じゃないかと。例えば高齢の方々に対して商品のリコール情報とか経年劣化製品の安全情報とか悪徳商法の手口についてなど伝える場合には、例えば民生委員の方とか介護事業者の方とか、そういった方にも協力していただく必要があるわけでございまして、行政がそれぞれ自分の所管の部分だけにこだわっていた場合には消費者行政は実際には進まないというおそれがあるということでありまして、地方の現場では特にそういう意味での垣根を越えて行政を展開していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 それから三番目でございますが、悪徳商法ですね、マルチ商法など悪徳商法、あるいは振り込め詐欺など、そういったものが地域に蔓延をしておりまして、私ども大学では若者の被害というのもたくさん出ておりますし、高齢者の方がそういう被害に遭うという例も多いので、行政として是非透明な手続に基づく行政処分等をしっかり推進していただきたいと。後ろの方にちょっと表を付けておきましたけれども、是非そういった行政の断固たる姿勢を貫いていただきたいと。
 あわせて、不当な収益の剥奪、被害者救済の問題ということにつきましては、附則に案があるようでございますけれども、こういった点、極めて重要でございます。一人一人の消費者が訴訟を起こし、自分がその収益を取り戻すというようなことは実際には非常に難しいわけでございますので、是非その面の法制度の整備をお願いしたいというふうに思います。
 第三に、私自身の立場から特に申し上げたいんですが、この消費者庁の問題に関連をして、人材の養成ということが極めて重要じゃないかというふうに考えております。特に、最近いろいろ人材養成については議論が始まってはいるんですが、相談員の養成という、これはもう緊急の課題でございまして、当然やらなければいけないことなんですが、相談員の養成だけではなくて、もう少し広く消費者問題を解決するために人材の養成をしていかなければいけないのではないかというふうに常々考えております。企業の中においても、行政においても、あるいは消費者団体においても、専門的な知識を持って消費者問題を解決していく人材というのが強く求められておりますけれども、社会全体としてそういう人材を養成していくシステムというのがまだ十分に整備をされていないのではないかということでございます。
 一つは、各種の資格制度がございます。消費生活アドバイザー、これは昭和五十五年にスタートしまして、現在一万二千三百人ほどの方がアドバイザーの資格を取得しておられます。企業と消費者、企業と行政をつなぐ、消費者と行政をつなぐ、消費者と企業をつなぐ、そういう役割を果たす資格でございます。
 消費生活コンサルタントあるいは消費生活専門相談員、様々な制度がございます。こういった制度を有効に活用するような仕組みを是非お考えいただきたいと。消費者庁を中心として、そういった制度をバックアップして、そういう幅広い人材の養成をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 二番目は、私、夜間、休日の社会人大学院をやっておりまして、地域の勤労しておられる方々が大学院に来られて毎晩勉強しておられます。この消費者問題に関しても、そういう社会人のための大学院等を是非整備をしていただければというふうに思っております。私どもの大学院の中にも消費者問題の講座をもちろん設けておりますが、個別に消費者問題の講座を設けるだけではなくて、消費者問題の専門家の養成という意味からも、こういう社会人の大学院、一回大学を卒業した方々のための大学院というのを是非充実していく必要があるのではないかというふうに考えております。
 三番目でございますけれども、私は信州の松本それから長野にそれぞれ暮らしたことがあるんですが、消費生活センターがそれぞれございまして、私どもの大学と消費生活センターが連携をして様々な事業を展開しております。特に私が申し上げたいのは、学生がセンターと一緒になると。教員や職員がセンターと協力するのではなくて、学生が主体的な活動をいろいろしてくれていまして、高校生の携帯電話の使用法ですとかマルチ商法の被害ですとか、学生が調査をし、出前講座を高校にしに行ったり、パンフレットを作ったり、これをセンターの相談員の方々の御指導の下に、大学において現在地域で取組を進めております。そういうことで、取りあえず私の方からは三点申し上げました。
 最後に、ちょっと協学・協働という言葉を書いておきましたけれども、協働というのは、これは松本先生、衆議院でもお話をしておられますけれども、協働行政ということで、企業、消費者、行政の協力、協働を促進するような仕組みづくりが必要だということ、行政が必要だということでございますが、私は協学ということも是非申し上げたいと。消費生活センターと大学、あるいは行政と若い大学生が一緒になって問題を考え、解決し、それをまた行政に反映をしていくような取組、これは既に一部の都道府県ではそういった取組が始まっておりますが、そういったものを併せて行い、社会全体の消費者問題に対する意識を高めることを通じて消費者問題の解決を図っていくことができれば、消費者庁の新しい仕組みもより一層生かされるのではないかというふうに考えております。
 私からは以上でございます。
#56
○委員長(草川昭三君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#57
○森ゆうこ君 民主党の森ゆうこでございます。
 本日は、お二人の参考人の先生、大変貴重なお話をありがとうございました。
 まず、川戸参考人に伺いたいと思います。
 この消費者庁の議論、参議院の方に参りまして、いろんな先生方から大変有意義なすばらしい議論が展開されているんですけれども、午前中に消費者教育の話がございまして、小手先のいろんな技術を教えるよりも、まずはもう大本のクリティカルシンキング、このことをまずしっかりと、そういう教育をもう一回根本から見直すべきだと。きちんと、本当にそうなのか、そういうことを自分で考えられる、そういう国民を育てるべきだというお話がございまして、まあ私の場合は人一倍クリティカルシンキングが強いのかもしれないので大変申し訳ないんですけれども、先生方のいろんな議論を聞いておりまして、本当にそんなに消費者庁ができただけでハッピーになれるのかという素朴な疑問がわいてまいりまして、実はBSEが発生しまして、食品安全基本法ができまして食品安全委員会が発足いたしました。あのときに食品衛生法の改正も大幅にいたしましてリスク管理、リスク評価、リスク分析、そしてリスクコミュニケーション、新たに予防原則という考え方が入れられて、非常に大きな法改正があったというふうに思っております。
 私はその議論の中で、あっ、これは食品安全委員会ができれば勧告権限もあるし、いろんな食品のいろんな問題事案があったときに、それぞれ、厚生労働大臣がきちんとやらなければ厚生労働大臣に対して、あるいは農水大臣に対してきちんと食品安全委員会の委員長が勧告をして食品の安全は非常に担保されるというふうに思ったんですけれども、なかなかそう簡単にはいきませんで、いかに機能をさせるか。先ほど樋口先生の方からも現場主義ということがございましたけれども、いかに機能させるかということが一番重要なのではないか。
 そういう意味では、逆に消費者庁ができたことで、消費者庁がやってくれるから消費者庁に任せておけばいいんだという無責任な体質になりはしないかと、ついついこういう心配をしてしまうんですけれども、その辺については先生いかがお考えでしょうか。
#58
○参考人(川戸惠子君) いや、全く同じおそれを抱いております。
 だから、一番初めに、やはりすべての人が消費者マインドを持って、消費者庁が勝手にやればということにはなってほしくないということがまず一つですよね。だから、役所、行政の方もそれぞれみんながやっぱり消費者マインドを持っていく。
 と同時に、やっぱり消費者が賢くならねば、消費者庁ができたところで、これは先ほどの食品安全委員会と全く同じだと思うんですよね。あそこで何かお墨付き、チェックしてくれたからそれでいいやということになってしまえば、これはもうイタチごっこです。ですから、やはり一番最後に言った、もう樋口先生もおっしゃったように、やはり消費者教育、賢い消費者をどういうふうにつくるかという、これが一番大事だと思いますね。
 だからこそ、消費者庁が消費者庁の在り方、権限、役割、組織、そういうのをいかに広報できるか、ここも一つは大きくかかわっていると思うんです。そこがうまく機能すれば私たちメディアもそれを追いかけるわけですよね。そうやってお互いが育っていかないとやっぱり昔のままのお上頼みということはなかなか難しいと思います。
#59
○森ゆうこ君 それで、先ほどのまた午前中の話で申し訳ないんですが、そういう中で賢い消費者、きちんとクリティカルシンキングという、そういういろんな多様、多角的に物事を考えられて、そして自己決定ができる、そういう能力のある人間を育てるべきであると。そして、賢い消費者が正しい情報に基づいて自ら決定をする、リスクは全部ゼロではありませんから。あくまでも、例えば食品安全委員会はそのリスク分析をして、リスク評価をするわけです。リスクはゼロではない。その中で正しい判断をしていく。そのときに、もちろん今先生がおっしゃったように消費者庁がきちんと広報体制を整えるということは、私はおっしゃるとおり、本当に非常に重要なことだと思います。
 その上で、やはりそうはいいましても、今マスコミの国民に与える影響というのは非常に大きいものがございますので、消費者が賢い判断をするためにはマスコミによるいろんな情報の、冷静な、しかも正確な情報伝達、これはやはり必要なんだというふうに思いますけれども、その点については午前中の先生の方から、藤原和博先生、元和田中の校長先生の方から、メディアを管理するところがないんだと、メディアをチェックするところがどこにもないんだと、だから消費者庁にメディアをチェックする権限を与えてもらえないかと、そういう御提言もありまして、私なんかそうだというふうにちょっと思ってしまったものですから、川戸先生だったらこれぐらい言っても大丈夫かなというふうに安心してお聞きしたいんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
#60
○参考人(川戸惠子君) 怖いですよ、メディアをチェックしたら、やっぱり。
 建前じゃなしに、今BPOというちゃんと組織、自分たちの中で、そういうことが起きないようにという自分たちの中でチェックする機能をきちんと持っております。そういう意味では、この消費者庁の中にじゃなしに並立的に消費者委員会ができるというのと同じで、やはり自分たちがやっていることと、そのそばにきちんと独立してチェック機能を持つということが非常に大事なわけだと思っておりますので、そこら辺は報道の自由とか、いろいろなそういう自分たちの知る権利からいって、やっぱり国が一括してそこをきちんと管理するというのが非常にこれまでの歴史から見てもこれは怖いことだと私は思っておりますし、そういうふうにならないように私は日々報道を伝えているつもりでございますので。
 それと、今逆に言えば、賢い消費者というのは何も広報だけではなくて、例えば、これは賞味期限切れですってわざわざ張って、それで売るスーパーもできているわけですよね。そうすると、その人たちが自分でもってこれは食べられるか食べられないか判断して、もちろん安くなっているわけですけれども、それでもって買っていって、これが飛ぶように売れているという例もございます。
 だから、やはり現場でどういうものがいいか悪いかというのはもっと生活をしてみれば皆さん分かると思うんですよね。だから、そういうふうに何も消費者庁が広報するとかそういうことだけではなくて、ほかにもいろんなやり方で賢い消費者をつくるということはできると思います。
#61
○森ゆうこ君 ギョーザ事件のときに、実はTBSから取材を受けまして、取材されたテープは没になったんですけれども、取材した側の意図は、要するに法整備が足りないんじゃないかというふうな意図で取材に来られたようだったんですが、私がそのときに、もう食品衛生法はできるだけの改正はBSEのときにしたし、食品安全委員会もあるし、やろうと思えば食品衛生法八条に基づいて輸入禁止だってできるんですと。ただ、それを権限を行使するかどうかは非常に難しい判断で、日本が食料自給率がもっと高ければやったかもしれません。だけれども、そういうことも、そういういろんな情勢もあってできないんだと。
 御期待に沿えなかったようで、その取材のテープは没になったようでございますけれども、メディアの側にももう少しそういうことについても研究をしていただきたいなと思いますし、私は、表現の自由を守るということは非常に重要で、これは日本が表現の自由が守られていると安心していたら、もうそういうことはあっという間にひっくり返されるという苦い歴史もあるわけでして、そういうことについては非常に慎重であるべきだというふうに私も思いますので、今参考人のおっしゃったように、メディアの側できちんと冷静な、そして公正な報道をなされるように今後とも是非御努力をいただきたいと、この場をお借りしてお願いするというのも変なんですけれども、私の意見を申し上げておきたいと思います。
 それで、一つ先ほども広報の大切さということを、私は本当にそれは重要だと思うんです。それで、一つ今回の新インフルエンザ、豚肉が何か危ないんじゃないかみたいな、間違った、そういう皆さんの、何か風評被害というものが広がったというふうに思うんですけれども、消費者庁が発足した場合に、この豚肉の安全宣言というものをどういう形でだれがやるのが適当だというふうに思われますでしょうか。
 私が考えるには、農水大臣、厚労大臣、消費者担当大臣、食品安全委員会の委員長、消費者庁長官、消費者委員会委員長、やってもいい人はこれぐらいいるんですけれども、逆にこれだけできそうな人がいて、一体、じゃ、だれがどういう手続を踏んで、例えば今回のようなときに、新インフルエンザには気を付けてください、でも豚肉は安全です、しっかり加熱をして、変な風評に惑わされないように、栄養もあるから安心して食べてくださいというようなことを、だれがどういう手順でどのように広報をすればいいのかということについて、是非先生の御見解をお教えいただきたいと思います。
#62
○参考人(川戸惠子君) 今回の件については、初めに早い段階でもう豚肉は安全だという宣言があちこちの大臣から多分なされていたと思いますし、メディアもそれは報道しておりますけれども、やっぱり豚インフルエンザという言葉だけのイメージで、ああ、怖いものと、中身をよく読まないし、テレビも聴かないしという人たちが思ってしまったところもあるかもしれません。
 だれが発表するかですけれども、そうですね、それは今だれがとかは言いませんけれども、やっぱり消費者庁ができたらまずはそこも発表するという形になるんではないかと思いますね。そのほかに担当の、例えば農水大臣が発表するかもしれませんけれども、そことそこと相談して、じゃ、どっちが発表するとか、じゃなかったら官房長官が、これは日本全体の問題だから官房長官が発表するとか、それはそのときのケース・バイ・ケースだと思います。
 とにかく、そのときに一番大事なのは、意思疎通をみんなで図って、じゃ窓口はだれが発表するというような形にしないと、勝手にこっちで大臣会見やったりとか、それでまた要らないトラブルが起こりますから、もう一元化というのはまさにそのところなんですよね。どこか一つがきちんと決めて発表をする、情報収集してということが一番大事ですから。それは今どこということじゃないですけれども、どこかが一つで発表するのが一番いいと思います。
#63
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 樋口参考人、ありがとうございました。長野県の条例作りにかかわられたということで、この一月から施行をされているということですが、具体的にこの条例が制定された以降、その結果何か得られるもの、具体的にもし御報告していただけることがございましたら、是非お聞かせいただきたいと思いますけれども。
#64
○参考人(樋口一清君) 条例が施行されてまだ日が浅いので、実際の成果というところまで行きませんが、先ほどちょっとお話をしましたけれども、長野消費生活センターの所長は消費者行政の責任者でもございます。そのような人事異動が行われました。その結果、長野消費生活センターに消費者の方が相談に行けば、その相談は直ちに県の消費者行政に反映をされると。あるいは、業者指導の権限が既に下りていますので、立入検査、あるいは、これはまだケースはございません、ないと思いますが、そういったことが機動的に行われるという形になりました。
 先生方もう御案内のとおりと思いますが、従来は消費生活センターという消費者相談を受ける部署とそれから行政の部門というのは、どうしても距離があったところが多かったんですね。これは、企業の中でも、企業の消費者相談室というのが言わば苦情処理という形で対応したケースが多かったんですが、消費者志向の企業、優良な企業というのは社長が自ら二週間か三週間に一遍は相談事例を全部チェックすると、こういうようなところがございました。
 それと同じように県の場合も、長野県消費生活センターの所長が自ら政策を決めて知事に報告をして、そしてそれが実行できる体制ができたということが今一番大きい外に見えるものではないかというふうに思います。
#65
○森ゆうこ君 まだまだ質問したいことはたくさんあるんですけれども、時間になりましたので終わらせていただきたいと思います。
 両先生方から御指摘がございましたように、これはまず現場でしっかりと機能するということが何よりも大切だなということを改めて痛感をいたしました。どうもありがとうございました。
#66
○佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。
 両先生には、大変お忙しいところ恐縮であります。レジュメまで用意していただいて、しっかりした的確なお話をいただきました。感謝申し上げます。
 そこでなんですね、法律や制度を作っても、作ったら終わりというのは大概なくて、本当のところはそれがどう運用されるか、そして現場で本当にどう機能していくか、どんどん必要なものは変えていくんだと、こういうことが大事だと私自身もつくづく思っていまして、そういう意味では、この法律が通るとして、消費者庁ができる、消費者委員会ができる。しかし、それがどんなふうに、今の段階から何をきっちりと押さえていかないかぬのか。ここが先生方がいろいろお聞きしていただいて御提言いただいている内容で、本当に大事なことだと私自身も思っています。
 そこでなんですね、最初に川戸先生に、せっかく五つの原則を出していただきました。この原則の中で進んでいるものといいますか、このためにやったんですよねというような面でいえば、窓口の一元化、情報の一元化というような問題は、それなりに法律そのものとして何とかみんなで機能させるぞと、こうやって頑張っていけば何とかやっていける内容になっているかな、こんなふうにも見せていただいていますが、この中で、五つの原則の中で先生が、いや、まだこれちょっと遅れ過ぎているからこそ言っているんだと、よっぽど気を付けなきゃうまくいかぬよというようなところがあれば、最初にそこの部分を教えていただきたいと思います。
#67
○参考人(川戸惠子君) ありがとうございます。
 方向は決まったんですけれども、先ほど先生がおっしゃってくだすったように、やっぱりこの機能をどうやって動かすか、これが一番大事なわけですよね。そういう意味では、まだこれが進むか進まないかというのが全然分からないわけですよ。だから、そういう意味では、先ほどの消費者マインドを忘れるなというのはこれも絶対に必要ですし、一元化はできたところで、それがうまく働くかどうか。先ほど情報の収集、共有、それから伝達と、この仕組みがうまくいかないと、器を作っても中が全然動かないわけですよね。だから、そういう意味では、みんなこれ大事ということで、まだできていないということは言えると思います。
 済みません、答えにならないかもしれませんが。
#68
○佐藤信秋君 そこでなんですね、実は午前中の御議論の中で、私も役人をしてきていたりしたものですから、消費者問題と、こういう面からいったときに、あっ、なるほどなというような、思うようなお話を参考人の皆様からいただきました。川戸先生が書いていただいているサプライサイドからユーザーサイドへの視点の転換。実は多くの、多分、私が遅れ過ぎていたかもしれませんけど、昔の役人たちは中立、消費者と企業、事業者の間に立って中立でやることが、これが消費者を大事にしている、事業者も大事にしている、実はそういうことなんですというような、感覚では多くの場合、個別に見れば違いますが、多くの場合にはそんな原則をそれなりに考えていたかなと。
 だから一番大事なことは、むしろ事業者より消費者を優先、こういう原則をいただいていますが、そのぐらいの取組方で、言ってみればバランスが取れるというか、社会として。国というのが一つの大きな機能、組織だとすれば、そのぐらいのところでバランスが取れるんだ、こういう御主張をこの@のところではしておられるのかなと。そのぐらいで初めてバランスだよ、真ん中に立っていたんではむしろやっぱり消費者側じゃないよと、こういうお話かと思って、そこの辺はどうなんでしょう。
#69
○参考人(川戸惠子君) 真ん中に立っていたと言われますけれども、私たちの認識からしますと、どうも真ん中には立っていらっしゃらないんじゃないかなと。日本の国が、敗戦後こうやって国が興ってきたのは、やっぱりどうやったって産業の力でございます。やっぱりそこを興すというのが行政府の目的であったことは確かだし、逆に今になればそのひずみが出てきたということですから、少なくとも私は各省庁の方が中立でいらしたということがどうもまずは信じられないということでございますので、だからこそいろんな被害が出ているわけで、被害者救済の問題がこれだけ大きくクローズアップされるわけですよね。
 だから、もう少し、まずはもうちょっと消費者の方に寄っていただいて、それでやっとバランスが取れる。バランスが取れた上で、これは、でも対立構造ではなくて、やっぱり先ほど言いましたように共生なんですよね。両方が、企業も栄え、それから国民も栄えということでなければ国は滅びてしまいます。やっぱりウイン・ウインの関係をこれからどうやってつくるかということが眼目で、それは先ほどちょっとお話し申し上げたと思いますが。
#70
○佐藤信秋君 そこでなんですね、ウイン・ウインの関係をつくる、大事なことで、いろんなことをやっていかにゃいかぬと思いますが、樋口先生の方でも、不当利益を剥奪するんだと、こういうお話ありますが、午前中にも、企業という立場からいっても不当利益の剥奪というのは、企業全体から見れば、良くないことをやっている企業はやっぱりそれなりにペナルティーを受けにゃいかぬし、企業全体としての信頼性という問題からいけば、早くそうした仕組みをつくっていただくべきであるというようなことが主張をされました。
 川戸先生のお立場からも、この不当利益の剥奪というのは大急ぎだというふうに、ウイン・ウインをつくっていく上でもというふうに理解してよろしいでしょうか。
#71
○参考人(川戸惠子君) 私も、だからそこが、程度問題は必ずあるわけです。やっぱりウイン・ウインというのはどっちかに偏ってはいけないということですから、それはいろんなことを考えなきゃいけないと思いますけれども、ただし被害者たちがたった一人で裁判を起こせないような状況だったら、やっぱりそれを代弁する何らかの措置というのは私は必要だと思っております。
#72
○佐藤信秋君 ありがとうございました。時間がありましたら、またもう一回御質問させていただくことにいたしまして、樋口先生の方に。
 長野県が消費者庁の地方版という形で条例によって先行的に組織をつくり、実行されておられる。どういう効用があったでしょうかという点につきましては、今、森先生の方からもお尋ねがあって、まだやり始めたばっかりですと、こういうことでありますが、先生のお立場というか、御覧になっている上で、言ってみれば、長野県だけでもうちょっと進めていこうとするとこういうことが必要なんだというのが二ページの(2)の「地方の実情を踏まえ、実効ある政策の展開を」というところで書かれているんだと思いますが、費用の方は、人件費、行政経費の確保というのはミニマムの課題であると。そのほかの課題というのを解決していこうとすると、長野県あるいは市町村、あるいはまた学校、それから今度、そういう意味で消費者庁ができるというんで国、消費者庁。国、消費者庁がお手伝いができそうなというか、しなきゃいかぬというような部分が、この政策展開の中にどうしてもこのぐらいやってもらわなくちゃというようなところがおありでしたらお願いします。
#73
○参考人(樋口一清君) 私は長野県の立場で御説明をしましたが、実は全国の各県においても抱える問題というのは共通の面が非常に多いと思います。
 たまたま、ちょっとお話ししましたが、先日、仙台に行く機会がありまして、東北の消費者相談員の方あるいは弁護士の方、様々なお立場の方と意見交換する機会がありましたが、例えば、ここで指摘していますように、市町村というのは、長野県もそうですが、たくさんありますが、八十一市町村ありますが、その一つ一つは規模も非常に小さいものもございます。そういったところで一律に消費者行政サービスを同じような形で維持していくというのは非常に難しい面もあります。また、専門家といいましても、長野県内に有資格者、いわゆる消費者関係の資格を持っている方の人数は非常に少ないわけでございまして、その方々が実際に相談業務に当たられたり消費者運動を指導することも難しいと。そうなりますと、私は、御質問の国や消費者庁に期待するという点でございますけれども、まず、そういう人材養成、あるいは、予算は当然のこととして、人材養成等、中長期的な視点に立った取組に対してきちっと資源を配分していただきたいと。
 例えば、これは宮城県で聞いた話なんですが、国民生活センターで研修制度がございまして、今回、相談員の養成については重点的にこれを行うと、各ブロックでもやるというお話がありますが、実はその陰で、陰というか、そのこととの見合いで、今度は既に相談員である方の能力を高める専門研修の方の予算が少し減っているということ。それから、先着順なので東北の方は郵便を送っても先に着かない、関東周辺の方は研修受けられるけど、なかなか研修が受けられないと、そういうふうな話がございました。長野県でも同じような声がたくさん上がっておりまして、是非消費者庁においても地方の声に耳を傾けていただいて、そして、そういう人材の養成とか中長期的な問題についてきちっと手当てをしていただければというふうに思っております。
#74
○佐藤信秋君 樋口先生の御提案の中に、協学の推進、こういうお話があって、行政、企業、消費者団体、地域の大学や消費生活センター、みんなが連携しよう、消費者の学びの場を充実していくんだ、こういうお話がございますが、これについて消費者庁が、例えばですね、何らかの役割をしたいと、こういうようなところが、消費者庁の方にここも期待していただくべき部分がありましたら是非教えていただきたいんですが。
#75
○参考人(樋口一清君) ここで協学という言葉を使いましたが、本来、消費者問題を学ぶというのは自発的な取組であるべきですし、私も正直言って学生に背中を押されてこの問題にいろいろ深くかかわってきたわけでございまして、学生の皆さんは日々消費者として、いろいろ勧誘があったり、あるいは実際に友達がそういうことに関与したりというような深刻な話がありまして、ですから、これを一律に何か学ぶことについて統一的なことをということよりは、そういう動きが各地にありますので、こういった動きをほかの地域に是非紹介をしていくというようなこともお願いをしたいと。
 あるいは、行政そのものが、例えば東京都が三年ほど前から始めておられるんですが、大学生にインターネット上での不当な表示というのをチェックしてもらって、今はもう六つの大学にチェックしてもらっていますが、それを東京都がその不当な表示ということになれば業者を指導し行政処分をすると、こういう仕組みがスタートしています。こういうように行政そのものが、国であれ地方の自治体であれ、直接にそういう、協学の協、参加をするということが可能なのではないかと。
 ですから、むしろ国や消費者庁は、高い立場で司令塔として何かをするというよりは、是非参加していただきたいと。消費者相談室もそうなんですが、地域でいろいろ行われている試みに参加をしていただいて、そして一緒にそういう消費社会の意識を高めていくということをお願いしたいというふうに思います。
#76
○佐藤信秋君 お二人の先生のお話を一つのくくり方でくくっちゃいけないんでしょうけど、一言で申し上げると、まず消費者庁はいろんなことをやっていかにゃいかぬのですが、まず自らが選手といいますか、現場としてしっかり頑張れよというのと、もう一つは、地方に対してはきちっと予算を確保してそれでサポートしていけ、一緒になって行動しろと、こういうことだと理解をすればよろしいでしょうか。ちょっと最後に一言だけずつ伺って、終わります。
#77
○参考人(川戸惠子君) それでいいと思います。是非頑張ってほしいと思いますね。
 先ほど樋口先生がおっしゃった現場主義、やはり消費者庁の皆さん方には、現場がどうなっているかというのを是非知っていただきたいと思います。それで新しい、いい行政ができると思います。
#78
○参考人(樋口一清君) まさに御指摘のとおりだと思います。
 是非消費者庁が、私が挙げた現場主義ということについては徹底していただければと、協学の部分も現場主義を取っていただければというふうに思います。
#79
○佐藤信秋君 ありがとうございました。
#80
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 川戸参考人、樋口参考人、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 初めに、川戸参考人の方に二点お伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほどのお話の中では、やっとこういう形でまとまって本当に良かったと、早くというお話でございました。修正自体の中身についても見られたと思うんですけれども、先ほどは修正全体についての御評価でございましたが、修正の中身について、特にああこれは良かったという、それと同時に課題として残っているところを是非御認識をお伺いしたいと思います。特に、今回修正した中には、たくさんいろんな検討課題がもう山とあるわけです。その中でも、三年以内に何とか何とかというのもありますけれども、順番として早くやっていかなくちゃいけないというものを、ありましたら教えていただきたいと思います。
 二点目は、穏便にお伺いしたいと思いますけれども、先ほどもマスメディアのお話がございましたが、やはり皆さん方がいろんなことを知るに当たっては、テレビというものも非常に大きいなというふうなことを感じている次第でございます。そういう中で、分かりやすさのみならず、消費者の利益にかなった形で、つまり不安や不要な不信というものを助長しない形で正確に伝達をしていくということがマスメディアに対して求められていることだと思っております。
 現場の方なんかに聞きますと、非常に分かりやすさを追求していくことによって最後違った形になってしまっているようなケースもあって、そういうのが悩ましいというお声も聞いたことがあるわけなんですけれども、その辺りを経験豊かな川戸参考人の方ではマスメディアとしてしっかり受け止めて、どういう考え方をお持ちなのかなということをお伺いさせていただきたいと思います。
#81
○参考人(川戸惠子君) まず一番目、二十三の附帯決議の中ですけれども、やはり地方に対する手当て、ここ一番大切なことだと思います。だから、ここのところに予算が付き、人員が付き、そこをサポートできる体制が今回できたという、これはもう是非しっかりやっていただきたいと思います。
 それから二番目、テレビですけれども、もちろんそうなんです。私たち、きちんとした正確な情報をなるべく早く出そうと、これは常に心掛けております。ただ、先ほど私、教育の中にメディアの教育と本当は一つ入れようと思ったぐらいなんですよね。
 実は、メディアの世界ってやっぱりまだまだ男社会というか、自分で実際に消費生活をしている人ってなかなか少ないんですよね。やっぱり、もう毎日ニュースを追いかけて、そういう現実が自分のものになっていない。だから、その人たちを、先ほど消費者庁の広報が非常に大事だと言いましたけれども、それは、広報というのは、何も消費者庁がこういうことをやっています、これからこうやりますという話ではなくて、お互いに、じゃ今は消費者問題で何を抱えているかとか、どういう方向に進んでいけばいいか、そういうのをお互いにディスカッションして、そのメディアの側も教育されなくてはいけないと思うんですね。そこの土台がないと、やっぱり自分でその後、分かりやすく、先ほどそのうちに結論が違ってしまうというふうなお話もありましたけれども、そういうふうになるおそれもあるわけです。
 だから、そこに行かないために、やっぱり分かりやすくするために、でも、これはこういうふうに分かりやすくしたら間違えるな、間違えますよというような教育を消費者庁も私たちにしてくださるともっとこれは、先ほどの協働じゃないですけれども、共に、一緒になってやっぱり消費者問題について知識を深めるというのは非常にいいことだと思いますので、だから、消費者庁の広報部の責任は非常に大きいと思います。
#82
○山本香苗君 ありがとうございます。
 まさしく、今日の午前中にもいろいろ消費者教育のことについてもあったんですけれども、まさしくユーザーの方だけじゃなくてサプライサイドの方の教育も必要だという話もありまして、社会全体が消費者問題、こういうことに対してきちっとした認識を持っていく、消費者庁ができることによってその認識がぐっと上がっていく、重要性が認識されていくということが必要だという話もありまして、本当にマスコミを含めすべてにおいてそうなるように頑張っていきたいと我々としても思っております。
 今、川戸参考人の方から地方が大事だという話をいただきました。我々としてもここのところが一つ壁を乗り越えたんですけれども、三年間の交付金という形になっているわけでありまして、その後もしっかり頑張っていきたいと思うわけでありますけれども、今日は樋口参考人が地方の方の行政もお詳しいということでありまして、ちょっと三点ほどたたたたっと聞かせていただきたいと思うんですが、一つは、今回の、消費者庁を中央につくるわけですけれども、言ってみたら長野の例のように地方消費者庁、私としては我が意を得たりというか、こういうきちっと、今回の交付金であってもきちんと使えるようにするために地方の中核となる消費者行政担当のところが受け止めなければ、結局、幾ら予算を何かしてもなかなかうまくいかないんだというところがあると思います。そこにつきましてのお考えを一つ。
 二つ目は、その関連で地方の、長野は皆さん一緒に相談員と行政の職員の方々、皆さんうまくやっていらっしゃるということなんですけれども、ここがうまくできないとなかなか苦しいよねというところなんですが、私も見させていただいたところ、結構うまくいっていないケースもたくさんあるなということを感じております。これをどうやってうまくやっていくのかと、これが二点目であります。それと、地方の職員とまた行政相談員と、また経産省の御出身でいらっしゃって地方の局長もされていらっしゃるわけですよね、地方の出先とうまく連携していくということも本来あってもいいんじゃないかなというところなんですけれども、その辺りのうまい連携の仕方を是非御教示いただきたいと思います。
 三点目のところは、消費者の事故情報の収集のところですね。これ、消安法のところに書いてあるわけでありますけれども、警察だとか消防だとか病院の情報というのは都道府県等を通じて国へ上がってくるという形になるわけです。ですから、やっぱり地方が大事なわけですね。そこの情報をしっかり取れるような形をどう考えていくのか、今そこが一番大事なところではないかなと思っておりますが、その辺りの御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
#83
○参考人(樋口一清君) 地方の立場から見ると、先ほどちょっと最初に申し上げましたけれども、まだ消費者庁ができたというだけでは具体的に地方がどう変わるのかというところまで姿は見えてこないわけでございまして、特に今回の議論を通じて地方がそれぞれの地域において主体的に取り組もうという機運は非常に高くなってきていますので、最初の御質問ですけれども、予算などを生かしてやっていくことができるんではないか。
 ただ、一つ心配なのは、三年間という期間がございまして、その後一体どうなるんだろうかと。例えば、人件費についても見直しの時期が来てその後縮小してしまうと、実際に意欲を持って働いている方々が仕事を続けられないことになるわけですから、是非この問題というのは中長期的な視野で問題解決を図っていっていただきたいと。予算についても中長期的な展望を持った上で予算を地方に対する支援もしていただければというふうに思うわけでございます。
 それから、相談員の方とそれから行政の間にどうしてもギャップといいますか、相談員の方は日夜努力をしておられますけれども、行政にそれが必ずしも伝わっていかないという問題点、これは非常に大きな問題だと思います。最初に私、消費者庁にも相談室をと言ったのは、それぞれの行政もそうなんですが、やはり自分のすぐわきに相談員の方がおられて苦労している姿を見れば、一体何が問題になっているのかということは一目瞭然でありますが、報告書など、それをコンピューターで処理して国民生活センターで統計にしたものを見るだけでは実態は分からないのではないかと。
 特に、相談員の方は本当に大変な状況でありまして、私が学生とともに相談員の方の指導を受けていろいろな取組をした時期でも、電話がつながらないんですね。昼間は消費生活センターには全く電話がつながらないんです、お話し中で。それで、しようがないので学生が直接行ったり、携帯電話を聞き出して携帯でホットラインでお願いしたりというようなことを何回もやりました。したがって、もう相談員の方の現場というのは大変厳しい状況で、人手も足りませんし、研修に行こうにも代わりの人がいないとか、そして、親身になって相談をしてくれるそういう方々の力とか意欲をどうやって行政がうまくくみ上げていくのかというところを、地方でも大きな課題になっていますし、そのことを念頭に置いた仕組みづくりというのを是非お願いしたいというふうに思います。
 出先との連携というのは、まさに、私も出先におりましたけれども、消費者相談等、あるいは消費者行政の現場というのは大変熱意を持って取り組んでいます。ただ、東京で政策が変わってしまうとそれに合わせて地方の出先というのは動かざるを得ないという状況がございまして、非常に残念な思いをしたことも何度かあります。実態が分かっていないというのが、これが出先機関の率直な声じゃないかと。今現場で非常に苦労しておられる問題があるのに、それを自分たちは何もできないと、法律に基づく権限が変わってしまったと、あるいは看板が替わってしまったと。幸いにも今回は、地方については消費者庁自身が出先をお持ちでないということもあって、国の機関あるいは自治体の今までのポテンシャルをうまく生かすということになっていますから、是非これを円滑に進むように配慮をしていただければというふうに思います。
 特に事故情報の問題ですが、これは私、製品事故判定第三者委員会というところで二千数百件の事故についていろいろ仕事をしておりますが、現在も警察あるいは消防から情報がきちっと上がってきておりまして、この情報を行政の幹部も一件一件細かく勉強して事故情報についての判定をしております。ただ、今回仕組みが非常に大きくなりますから、特に消費者庁に、これはいい面と悪い面がありますが権限が集中していますから、事故情報がすべて消費者庁に来ます。消費者庁の幹部がこれらの情報をすべて、一件一件、消防から上がってくる情報、警察から上がってくる情報あるいは相談員の方から上がってくる情報、すべてをきちっと把握していかなければ事故情報の処理ができないと思いますので、これは大変なことでありまして、スクラップ・アンド・ビルドということでちょっと、非常に逆に心配をしているんですが、必要があれば他省庁の人もうまく使って、あるいは自治体の方もうまく協力を仰いで、そして事故情報が、集まってきた情報が、むしろきちっと必要なところで必要な情報が活用されるように仕組みづくりをしていただくと。
 情報は、私は地方からきちっと上がってくると思います。ただ、それをきちっと整理をして、必要なときに、今までもそれが議論になったわけですが、必要なときに国民の皆様に迅速に公表し、そして対処をするというところについて、是非、消費者庁及び消費者委員会でこれを頑張ってやっていただきたいというふうに思います。
#84
○山本香苗君 今の点で、おっしゃるとおりで、私もその点が、結局、集まってきたけれどもそのまま放置されていたら意味がないわけでありまして、きちっと分析をする体制も必要でありますし、NITEとかいろいろと専門的にやるようなところはありますけれども、それを迅速にできるのかどうかと、またきちっと公表できるのかどうかということも含めて、是非、その分析というところではどういったお考えをお持ちなのか、お伺いさせていただきます。
#85
○参考人(樋口一清君) 今の点は非常に重要な点だと思います。
 製品の事故等についてでございますけれども、これは科学的な分析が必要でございまして、科学的な分析には時間が掛かる場合もございます。そして、はっきりしないというケースももちろんあるわけでございまして。ただ、まず情報を、したがって、現在の製品事故に関する法制度もそうでございますが、まず情報をすべて公表すると、その上で原因分析をしていくという考え方を取っていくべきではないかと。
 そうしませんと、集まった情報を分析をした後公表するというと、物によっては数年間の分析が必要な場合も出てきますので、むしろ、まず全部公表して、すべての情報を、消費者庁はすべての情報を公開するぐらいの気持ちでやっていただいて、そして専門家の方が分析をし、その結果が出ればそれをまた公表すると。
 公表するということは、決してその公表されたものが問題があるからではなくて、事実としてこういうことがあったんだということを国民の方が皆さん知るということがまず基本的に必要じゃないかというふうに思っております。
#86
○山本香苗君 本当に、お二人の参考人から大変、今後の質疑に資するような御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。
 以上です。
#87
○大門実紀史君 大門でございます。本日は御苦労さまでございます。
 川戸参考人はTBSでございますか。私は、TBSは大変すばらしいなというふうに思っております。消費者問題で一番熱心なのが、この間いろいろお付き合いしていますけれども、TBSじゃないかなというふうに思っております。私の質問も何回も取り上げていただいておりますので、先進的なメディアじゃないかなというふうに思っているところでございます。
 せっかくの機会ですので、私もちょっとメディアの消費者問題の報道について思うところがございますので、別にTBSという意味じゃありませんですよ、全体の報道の在り方なんですけれども。
 とにかく、偽装表示にしろ何にしろ事故が起きると、そうすると、まずメディアが行って徹底追及が始まるわけですね。犯人捜しがまず一番になってしまって、もう徹底的にたたくわけですよね。うその上塗りでもしたら大変なことになって、もうバッシングがすごくなるわけですね。ちょうどそういうときに限って、そういう会社からたたかれやすい顔の人が出てきたりして、もう徹底的にやられて、国民も映像で見ていて、ああ、どいつが悪いんだと、こういうところにずっと引き込まれてしまうところがあるわけですね。
 その一方で、本当の事故原因の究明とかあるいは消費者に伝えるべきこととかが、全くやっていないわけではありませんけれども、後になったりするところもありますし、あるいは危険をただあおるだけというようなことも報道の姿勢としていかがなものかなと思いながら見ているところもあるわけです。
 ただ、記者の方々とお付き合いしていますと、みんな、社会部の人といっても日替わりメニューでやっているんですよね。その問題だけやって、また違うテーマで行くわけですね。そうすると、結局同じことが繰り返されてしまうと。
 私は、消費者庁ができるきっかけで、各報道局も、テレビ局等も含めて、この機会に消費者室みたいなものを中につくられた方がいいと、外から教育してくれとかじゃなくて自ら報道改革をされるべきじゃないかなというふうに、ちょうどいい機会じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#88
○参考人(川戸惠子君) 先ほど私がちょっと申し上げましたメディア教育というのはまさにその点でして、やはり消費者庁の広報室とメディアがどういうふうにするか。今までの単なるPRの広報ではなしに、それから自分の間違ったところを隠すための広報ではなくて、やっぱりお互いに賢い消費者になる。メディアの取材者もこれは消費者ですから、そういうところをやっぱりつくっていくという先生の御意見には全く賛成でございます。
 それから、ただ、逆に言えば、私たちは発表されたものを追いかけるというところもございますよね。そうすると、今回の豚インフルエンザ、新型インフルエンザの例がいい例だと思うんですけれども、あれは早いうちから、まずは豚は関係ない、これは熱すれば大丈夫だということも言いましたし、それから逐一、どんな方法で検査をして、これがなぜこんなに検査結果が遅れているかというのは、アメリカに検体があって日本にはないからこれはどれだけの時間が掛かるというのを、それを全部一々発表しているわけですよね。
 逆に言えば、それは政府側の広報の対応が今回はうまくいっているということであって、それは何もメディア側だけの問題ではなくて、やはりどういうふうに広報するか、逐一公開するか。先ほど樋口先生がおっしゃったように、一々公開をして、それでその段階でのものを発表していって、それがなぜ遅れたか、なぜ発表できないかという理由を付ければ納得できるわけですよね、メディアもそれによってそれをちゃんとお伝えするわけですから。
 そういう方向で、より良い広報というんですか、そういうより良い広報をみんなでつくっていくということがすごく大事だと思います。
#89
○大門実紀史君 是非努力してもらいたいと思いますけれども。
 川戸参考人の御提案、ほとんど私も同意するところなんですけど、一点だけちょっとお考え違うのかなと思うところだけ意見を聞きたいと思いますけど、資料の一番最後のところに書いてございますが、スクラップ・アンド・ビルドの徹底の中で、国民生活局、国民生活センター、各省の消費者対策室など関連組織を統合と書いてございます。私は、むしろ、特に各省にある、ないところが多いんですけれども、消費者対策室などは各省の中にきちっと、ないところは置けと、この機会に置けと、その方がよっぽど効率的に消費者庁も動きやすいと。どこかにこれまとめてしまいますと、もう各省庁にそういうセクションがなくなっちゃうと。もう産業育成組織に完全になっちゃうというよりは、むしろ統合しないで置いた方がいいと、セクションをきちっと置いた方がいいと。昨日も参考人の質疑の中で全国消費者団体連絡会の参考人の方が同じことを御主張されておりましたけど、私はそういうふうに思うんですけれども、ここに書かれたことの意味をちょっと教えてもらいたいと思います。
#90
○参考人(川戸惠子君) これは、スクラップ・アンド・ビルドの徹底という意味で、何もこんな大きな窓口とかそういう対応室を置くことはないと。やっぱり消費者庁の中にもそれぞれの省庁関係のそういうことが分かる人をまずは持ってこなきゃいけないというのがありまして統合というのを書きましたけれども、今、大門さんのおっしゃったように、やっぱり各省庁にはそれは残しておかなきゃいけないというのは当たり前だと思います。小さくても強力な権限で各省の省庁を全部動かすぐらいの意気込みで消費者庁やっていただきたいんですが、そのためにもそれに対応するセクションはやっぱり残しておく必要はあると思います。全く賛成です。
#91
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 樋口参考人にお伺いいたします。
 これからは、もうこの委員会でも議論されているとおり、消費者庁ができたらすべてうまくいくものではなくて、地方の消費者行政がどう前進するかがかぎだというふうに思います。そういう点で、体制、予算も大事なんですけれども、私は、同時に、地方自治体そのものがどういう指針を持って、方向性を持ってやっていくのかということも厳しく問われてくるんじゃないかなと思っているところです。
 そういう点で、長野県の消費生活条例に大変関心を持っておりまして、一番遅れてできただけあって大変いいものができているんじゃないかというふうに思っております。こういうものは全国に普及する必要があるんじゃないかなと思っていまして、実は、私の友人がちょうど長野県で消費者運動にちょっとかかわっているもので、できる前のときからいろんな情報をもらっていて、今実際に条例も手元に持っていますけれども、大変優れた条例だなというふうに思っております。
 率直に言って、一番遅れてできたというのはありますけれども、既にあるわけですよね、全国に。ところが本当に機能してきたのかというのを非常に強く思うわけですし、長野県が今の段階では多分一番優れた条例になっていると思いますけれども、少なくとも長野レベルの条例に、それ以上のものにしてほしいと思いますけれども、変えていく必要があるんじゃないかなと私は思っているところでございます。
 そういう点で、幾つかこの条例そのものを苦労して作られたことも含めてお聞きしたいと思いますけれども、樋口先生の資料の中にも一文字だけ書いてありますが、立証責任の転換というのがあります。
 これは私、大変重要なことで、要するに、十八条のことをおっしゃっているんじゃないかと思いますけれども、不実の告知、これは消費者問題をやっている人たちには分かりやすい言葉ですけれども、要するに、うその説明ですね、虚偽の説明の疑いがある場合、疑いのある事業者に対して、その説明が事実なのかどうか、このことの立証責任を事業者に課すと。私、大変画期的なことを入れられたなと思っております。これは東京と茨城、あと一つ二つぐらいのところしか条例に入れていないんじゃないかと思いますが、そういうものを採用されたんだなと思います。
 これ、説明の合理的根拠を示すような資料がなければ県としては、長野県としては不当取引だとみなすという強いものが含まれているので非常に画期的だと思いますけれども、これを今回この条例にわざわざ入れられた背景といいますか、そういうものがあればちょっと教えてもらいたいなと思います。
#92
○参考人(樋口一清君) 長野県の条例は、これまでの各県の取組の一つの最大公約数という形でまとめられたものというふうには言えると思いますが、まだまだ委員会の中でも議論がありまして、実現していない部分もございます。委員会自体が最近はすべてオープンになっておりますので、記録にはいろいろ残ってはいるんですけれども。
 今御指摘の立証責任の転換の部分ですが、私ども、特にこれが重要だと考えますのは、消費者被害の迅速な救済ということでございます。特に、個々の消費者の方が立証するということはもう不可能に近い。特に、今悪徳業者などはプロでございますから、法律とか条例に触れないようなぎりぎりのところでいろいろなことをするという実態がありますので、そういったものに対してきちっと行政が対応していくためにはそのような形で立証責任を事業者側に課すということが重要ではないかと。
 もう一つ言えば、実はこれはどこの県もそうなんですが、消費者行政自体が十分なスタッフを持って行政をするほどの余裕がないというのが実情でございます。相談員の方がせっかく努力をして問題があるということに気が付いても、行政そのものに、行政の方も大変日夜御尽力されていますけれども、手が回らないというふうな状況もございます。そういうところにプロの業者、プロというか精通した業者がいるわけですので、明らかに問題があるということが分かっていても、今まで実行、処分、指導ができなかったということが他県でもいろいろあったのではないかと。
 そこで、そういう行政そのものの機能を高めるという意味でもこういう形を取ったということと、実はそれと併せて、不当な取引行為の類型の中に、ちょっと細かい話になりますが、準ずる行為というのを設けまして、脱法行為を許さないと。要するに、不当な取引行為として掲げたもの以外のことをする人間が必ずいます。ぎりぎりのところで取引行為の条文に書いてないことをすると。そういうものに対しては、準ずる行為を入れて、更にその立証責任を転換すると。こういう形で、悪質業者、悪徳業者が横行するようなことがないようにという条例を作ったということでございます。
#93
○大門実紀史君 はい、分かりました。
 もう一つは、先ほど情報の集中の問題お話しされましたけれども、私、もちろんいい条例だと思うんですけれども、そう簡単に情報がきちっと都道府県段階に、長野県に集まるのかなというのを心配しております。
 例えば、警察が得た事故情報とか消防署が得た事故情報、そう簡単には来ないですよね。あるいは事業者が持っている情報、こういうものが都道府県にきちっと集まらないと消費者庁にも行かないわけですから、一番大事なのは現場、まさに現場の情報がどう集まるかだと思うんですけれども、長野県の中では警察あるいは消防署等々、今情報の交換ではどういうふうな関係になっているか、ちょっと教えてもらいたいと思います。
#94
○参考人(樋口一清君) 長野県では、今回の条例制定に合わせて県庁内の十二の課室の係長レベルの方々が消費生活庁内連絡員制度というものをつくりまして、おっしゃった警察などの方もメンバーになっていまして、定期的に個別の事業者情報等を交換するという形がスタートしておりまして、これをうまく活用していただきたいというふうに私ども思っております。
#95
○大門実紀史君 最後にもう一つ樋口参考人にお聞きいたします。
 形と道具はそろったということだと思うんですが、例えば東京都の条例は私はなかなか優れていると思うんですけれども、その東京都もなかなか、ひどい事例があったんですけれども行政処分を打とうとしないとか、あるいは、ほかの県では全く行政処分を一度も打ったことがないとか、そういうこともあるわけですね。実際にやるかどうかというのは今度は本当に問われるわけですけれども、長野県の場合も。そういうことのいろんな議論も反省もあったかと思うんですけど、そういう権限を使わないといいますか、実際に何もしない都道府県、こういうものは、何が原因で今まで、私なりに思うことはあるんですけれども、私の意見を言う場ではありませんので、樋口参考人として、なぜそういうことが今まで行われなかったのかという点はどういうふうに分析されておりますか。
#96
○参考人(樋口一清君) 私は、行政というものは、ある面では消費者の意識というものを反映する部分があるんではないかと。私がこの場でも人材の養成ということを申し上げましたのは、消費者市民社会といいますか、市民全体の消費者問題に関する意識を高めることによって行政の背中を押すことができるのではないかと。そういう努力を並行して進めていかないと、消費者庁ができても、消費者庁だけで、消費者庁の担当の方が幾ら立派な方で一生懸命やっても、それだけでは問題解決しないだろうと。やっぱり消費者運動、あるいはより広く市民の方々のそういう意識、そしてその問題を指摘をしていく、透明で公開された行政の中でそういう意見を言っていくと、そういう形が大事じゃないか。
 長野県でも是非そういう形を実現したいというふうに思っております。
#97
○大門実紀史君 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
#98
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。
 今日は、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 お二人とも消費者庁関連三法案の現状を大変前向きに評価される立場で、今日、貴重な御意見をいただきました。私も、一時はどうなるかと思っておりましたけれども、大詰めのところで与野党の合意、全党が参加をして修正協議が行われて、非常にいい形になってきたというふうに喜んでおります。是非、残されたすき間を、あるいは中長期の課題を参議院でしっかりと議論をしていきたいと、こういうふうに思って、今この場にいるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、新しい省庁を、当初、内閣の外に置くか内に置くかで議論ありましたけれども、これをつくると。これは例の環境庁がつくられた以来のことでありまして、お役所の世界ではそれは大変な大仕事なんだろうというふうに推測をしているところでございます。
 今回の消費者庁関連法案、いろいろ論点はありますけれども、詰めて言えば、問題は二つだというふうに言われております。一つは、言わば司令塔、まあ樋口参考人は司令塔という言葉は嫌いだということですけれども、中央機関ですよね、ここをいかにちゃんと機能させるかということが一点。もう一つは、地方の消費者行政をきちっとやっぱり構築をする。つまるところ、この二つがポイントだというふうに思っています。
 まず、前者の中央機関でございますけれども、これは問題点は二つありまして、一つは、とにかく業者寄りということではなくて、消費者の立場、消費者目線に立ち切ることができるかどうか。そしてもう一つは、各省庁の縦割りという、これを言わば脱却し乗り越えることができるかだというふうに思うんです。
 川戸参考人は、主に中央官庁の機関のお話を中心にお話をされました。私は、今回の修正合意で、一応のシステム、形は大体いいものができたなと。要は、あとは人、そしてその運用、ここだと思うんですね。これは、とにかく動いてみないと分からないというところがあるんですが、しかし、例えば消費者庁の専従の職員の皆さん二百人ぐらいおられるけれども、ほとんどの皆さんは、各省庁から往復切符を持って来ておられる方だというふうに聞いております。本当にここで新しい省庁のためにみんなが汗かいてやっていくんだろうか、こういうところに情報が集まるんだろうか、あるいは各省庁を動かすことができるんだろうかと一定のやっぱり不安を持っております。
 川戸参考人は、長い間やっぱりジャーナリストとして政治の場面もいろいろ見てきた。とにかく、環境庁以来の中で、まあ環境庁もそうだし、これから消費者庁をチェックする消費者委員会もできますけれども、どういう人が集まって、事務局を含めてどういう人が集まってやるのか、それによって随分中身が変わるんだろうというふうに思いますが、それなりにこのかいわいで生きてこられてどんなイメージを持たれているか。あるいは、できたら是非こういう人を集めていただきたいと、こういう人で構成して、とにかく消費者目線で各省庁に切り込んでもらいたい、思いはおありだというふうに思うんですが、是非それ聞かせていただきたいと思います。
#99
○参考人(川戸惠子君) まず第一は、もちろん消費者マインドを持っていらっしゃる方ですね、これがまず第一。もう一つは、やっぱり強いリーダーシップを持っていらっしゃる方ですよね。やっぱり、これは各省庁に小さくても強力な権限を行使するような、横ぐしにしていろんなことをやらせなきゃいけないわけですね。各省庁いまだに縄張意識もあると思うんですけれども、そこをもう無理やりでもやっぱりこれは国民のために大切なんだよということが言える人、そういう人たちを集めてほしいと思います。
 だから、逆に言えばそれは、行政というものの仕組みというのもよく知っている人でないといけないと思いますし、逆に言えば行政の中だけで凝り固まっている人では困るわけですよね。やっぱり民間とどういうふうにやるか。それから、やっぱり消費者の立場に立ったことを自分で実際に生活してやっている人、そんな人が強い意思を持って動かしてくださったら一番いいと私は思っております。そういう人材が欲しいですね。
 だから、よく民間人じゃなきゃ駄目だとか、役所の人じゃなきゃいや駄目だとかいうのがありますけれども、例えば、そうですね、難しいですね、バランスなんですけれども。全くの民間人でも役所の仕組みを動かすというのが分からなければこれも何か片方では難しいと思いますし、それから役所だけの、役所出身の役人の方がそのままトップに上がるとなかなかこういう新しいマインド、横断的なマインドというのは持ち切れないと思いますね。やっぱり自分の出身省庁を背負ってしまいますので、そういう意味では、そこからちょっと離れて広い目で見られる人というのが必要だと思います。
#100
○近藤正道君 おっしゃることは一々そうだなとは思いながら、もっと端的に何かお話し願えないかなと、こう思うんですが。
 今回、いろいろ議論の中で、消費者庁と、消費者庁あるいは消費者行政全般を国民から直結した中で監視をする、チェックをする消費者委員会、二つできました。それぞれの言わば任務分担、それは組織的には、システムの上では任務分担ははっきりしているんですけれども、これもやっぱり人だというふうに最後は思うんですけれども、消費者委員会の方の委員あるいはスタッフについて、対消費者庁との関連でどういう人を望まれますか。
#101
○参考人(川戸惠子君) 消費者委員会の方は本当にこの消費者問題というのをよく分かっている人が必要だと思いますね。そこはその行政を動かすというよりも、やっぱり実際に起こったこと、それからそれに対する役所の対応、消費者庁の対応というのをチェックする人ですから、やっぱり中身が非常に大切だと思いますので、そこは非常に消費者問題をよく分かっている民間人の方が私はいいと思います。
#102
○近藤正道君 分かりました。
 次は樋口参考人にお尋ねをいたします。さっきも言いましたように司令塔をどうするかということと、もう一つは地方をどうするかと。私は、消費者問題、本丸は地方であると、ここがちゃんと機能しなかったらどんなに消費者庁あるいは消費者委員会が中央で頑張ってもこれは駄目だと、こういうふうに思っておりまして、ここに大変期待しているわけでございます。
 そういう意味では、長野で実績を持たれた今日樋口参考人が来られて、貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございました。協働とか協学とか、私どもは地方というと行政の職員、相談員、大体そんなイメージ、とりわけ相談員のイメージがあったんですけれども、しかしその周辺に、先ほどもお話がありましたけれども、民生委員とかあるいは学校だとか、あるいは介護施設の人たちも配置したネットワークをつくると、これ非常に大事なことで、是非こういうものが全国的にしっかりとやっぱり構築される必要があるというふうに思っています。その上で、この委員会でも地方の消費者行政の惨たんたる状況がこの間いろいろ明らかになりまして、そしてそれをどうやってやっぱり立て直していくのか。立て直すというよりも元々なかったわけだから、これからいかにつくっていくかという議論を幾つもやりました。
 今回、政府は三本柱で基金をつくる、あるいは交付税措置を充実させる、そして国民生活センター等を使って直轄のてこ入れをすると、この三本柱で今地方、取りあえず三年計画ぐらいでやろうとしているわけですね。三年後がどうなるかという御議論がありましたけれども、当面今の政府がやろうとしているこの三本柱についていろいろこの委員会でも議論があるんですけれども、樋口参考人はこの政府の地方支援策をどういうふうに見ておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#103
○参考人(樋口一清君) 私自身はもちろん、これまで年々地方の消費者行政の予算は減っている状況でありましたので、主として予算面を確保するという意味での基金ですとか交付税とか、交付税の場合、実際に消費者行政にお金が行くかどうかという議論はありますけれども、あるいはその国民生活センターとしてのてこ入れということは、私はそれ重要だと思います。
 ただ、私個人の意見というよりは皆さんのお話を聞いていますと、これは繰り返しになりますが、やはり消費者行政というのは息の長い行政でなければいけないという意味からいうと、使い勝手が本当にいいかどうかということについては多少議論がある。今各自治体でいろいろこの基金を活用してこういうことをやろうというアイデアの一応モデルがあって、それに従って仕組みづくりをしていますけれども、例えば私は箱物予算のようなものは余り意味がないと思うんですね。むしろ、人材が恒久的に、そういう消費者問題の専門家が役割を担っていけるような、そういう予算を作っていきたいというふうに思うわけですが、そのためには、やはり今地方の現状としては、それに対応するだけのある種のインフラといいますか、そういう備えができていないので、今、初年度は必ずしも予算が使いこなせないのではないかと。例えば、広報費ですとか、パンフレットを刷るとか、テレビの放送をするとか、そういうところには手厚くお金が行っています。それから、研修も、これは研修の講師との兼ね合いですが、研修も若干充実していると。ですが、これ最大公約数でいうと、その辺が中心でこの予算が使われようとしていると、初年度は。その先行きのことになるとますます正直言ってどう対処していいかということで皆さん困っているんですね。
 私は是非中長期的な、例えば中長期的な方向性、予算の確保というところまで行かなくても、行政の方向性というのを少し明確にしていただく中で、特に地方の行政に対して国がどのように役割を果たしていくのかということについて、予算措置だけではなくて一つの大きなガイドラインというものを示していただければ地方では更に突っ込んだ取組ができるけれども、そこが見えてこないとなかなか難しい。
 例えば、地方というふうに一言でくくってしまいますが、市町村の場合、特に難しい問題がありまして、個々の市町村では消費者行政にそれだけ大きなウエートを割くことは非常に難しいわけですね。その場合にどういう広域的な取組があるのか、もう少しそういった点については、国と地方の問題はありますけれども、モデルを示していただいて、消費者の人数に合わせて相談体制を整備するとか、そういったことについてはもう少し突っ込んだ取組をしてもいいのではないかなと、地方にすべて任せるということではなくて、という実感がいたします。
 それぞれの自治体ではいろいろ知恵を出して取り組もうとはしているんですが、ただ、具体的に、情報がまだ不足している状況なので、どういうふうに予算を使ったらいいかという段階になると、せっかくのこの政策ですが、まだ生かし切れていないというのが実情じゃないかと思います。
#104
○近藤正道君 まさにそこだと思うんです。私は、都道府県はそれなりにやると思うんですよ。問題は、やっぱり市、とりわけ町村だと思うんですね。ですから、市町村、小さいところもありますよ、何にもないところがたくさんあるんですけれども、そこをどう立たせていくのか。これについてはやっぱりある程度、余り細かくやったってこれはしようがないわけで、ある程度方向性だけきちっと示して、あとはそこで実際やらせてみるとかモデルを示すとかという、もう少しきめ細かな市町村向けの国の政策があって、支援策があってもいいのではないかなと、こう思いますが、重ねて最後、時間一分ぐらいございますが、お聞かせいただきたいと思います。
#105
○参考人(樋口一清君) 国がモデルを示していただくということは非常に市町村にとって有益な場合も多いのではないかというふうに思います。
 おっしゃるように、零細な市町村の場合に、具体的にどのような形で消費者行政を進めていいかということについて担当者の方は非常に今困っているところですから、是非、モデルなり方向性なりを示していただければというふうに思います。
#106
○近藤正道君 貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。これからの論議の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 終わります。
#107
○松下新平君 改革クラブの松下新平です。本日最後の質疑となります。大変お疲れだと思うんですけれども、もうしばらくよろしくお願いいたします。
 私からは、川戸参考人に、情報公開の重要性とマスメディアの役割についてお伺いしたいと思います。その後ですけれども、樋口参考人には、地方行政、総合行政としての消費者問題の考え方についてお伺いしたいと思っております。
 まず、川戸参考人には、いただきましたこのレジュメ、まさに原点に立ち返って消費者マインドを忘れるなという趣旨の五原則、目を通させていただきました。その中で、C独立性・専門性・透明性を確保の中で情報公開の必要性を述べられていらっしゃいます。企業と消費者の皆さん、対立の関係からウイン・ウインの関係、そして更に進めて、消費者が支持をする企業が伸びていくんだという考えですね。
 これは、いろいろ今回の消費者庁設置に関して、いろんな反省からこういった考え方が重要になってきたわけですけれども、この委員会でも触れられたんですけれども、日本社会が成長していく段階において、産業の育成というのがやっぱり必要であったと思います。その中で、企業に対して行政がサポートしていった、そして、日本が豊かになって、それが社会福祉とかいろんなところを施してきたというのも実際あったと思うんですけれども、その犠牲として例えば公害問題とかそういったものが生じてきたわけでありますけれども、今回の消費者庁の設置というのはまさにウイン・ウイン、そして消費者が支持する企業が繁栄していくという考え方ですから、そういう意味では画期的だと思うんですね。
 そのツールとしては情報公開、これが大切ですし、徹底した情報公開がキーワードになっていくんじゃないかなと思います。これには公務員の意識改革ですね、これも併せて議論させてもらいたいと思うんですけれども、一つ一つ、いわゆる隠ぺい体質。これを出すと風評被害が起きるんじゃないかとか、企業に全然関係ない人に迷惑を掛けるんじゃないかとか、そういったのも実際あったわけですけれども、そうじゃないんだと、急がば回れじゃありませんけれども、徹底した情報公開によって消費者の皆さんがきちっと判断して、そういったものを最小限に食い止めて、結果的にはそれぞれウイン・ウインの関係になっていくということで、大変重要だと思うんですけれども、この情報公開の重要性について御意見をお願いしたいと思います。
#108
○参考人(川戸惠子君) まさに松下議員が今おっしゃったことに尽きます。
 やっぱりメディアの側が、先ほどいろいろ批判されましたけれども、やっぱりメディアの側の報道も発信というものがあって初めて報道ができるわけですよね。もちろん私たちがいろんなことを探っていくこともありますけれども、まず重要なのは企業なりそれから消費者庁なり各役所がどんなふうな発信をしているかということが非常に大事なわけです。だから、そういう意味での公開性、透明性、これがますます重要になってくると思います。
#109
○松下新平君 ありがとうございました。
 続きまして、マスメディアの役割について、重複しますけれども、私もこの消費者庁設置に関してマスメディアがどのように報道していただくかというのが重要になってくると思うんですね。よく言われたのが、よくマスコミは対立構造をつくってしまうと、これは分かりやすいですよね。ただ、さっき申し上げたように、ウイン・ウインの関係であるときにはやっぱりマスメディアの報道も考えていただきたいというふうに思っております。
 先ほど川戸参考人も言われたんですけれども、昨年のギョーザの問題のときに、御自身もいろいろ携わられて、なかなかそれが報道で反映されなかったということもありましたけれども、そういう意味では、逆にどのようにしたらこのメディアがウイン・ウインの関係をきちっと報道していただくようになるのかというのが私たちの関心でもあるんですけれども、メディアにいらっしゃる川戸参考人から御意見をいただきたいと思います。
#110
○参考人(川戸惠子君) 先ほど、また繰り返しになりますけれども、やはりメディア教育というのも非常に必要でして、これは、消費者庁なり各省庁が教えてやるということではなくて、私たちも一緒になって、じゃ、この問題はどういうふうに対応すべきか、この中身はどういうことかという勉強をするという、そこの一歩からもう一回やっていかないとなかなか大変なわけですね。
 これも先ほど申し上げましたけれども、なかなかメディアは今のところ、政局の話だとか対立構造、それから何か事件が起こったら、それにぱっと飛び付く、で、もう手いっぱいなわけですよね。その中で消費者問題については、例えばギョーザの問題が起こったりとか、金融振り込め詐欺が起こった、その個々のケースについては非常に追いかけますけれども、大きな枠での消費者問題、そこが分からないと本当にさっき言ったみたいに個々のケースだけを追及して、これが風評被害を生むケースもあるわけですね。そうじゃなくて、ちょっと引いた形で、じゃ、これは消費者問題の中でどういうふうな位置付けなのか、この被害の救済はどうすればいいのかとか、片方では消費者の権利というのをどういうふうに守ればいいかと、その大きなものをもうちょっとメディアも、それから消費者庁をせっかくおつくりになるわけですから、ここでの広報と一緒に勉強して、やっぱり私たちも教育されなくてはいけないという気がいたします。
#111
○松下新平君 ありがとうございます。
 消費者教育の中で、午前中の参考人質疑の中で、学校教育、地域が崩壊していて学校でしっかり教育していくというお話がありました。ドイツの環境問題も学校できちっと教えたことを家庭に持ち帰って、それからまた動き出したという例もありますけれども、地域が崩壊する中で、学校教育、そして子供たちがどういった影響を受けるかという意味では、マスメディア、これが大きいわけですから、そういった消費者教育という面からもまた報道の方もよろしくお願いしたいと思っております。
 じゃ、残りの時間は樋口参考人の方にお願いしたいと思います。
 私も地方行政、県の職員でしたけれども、携わっておりまして、国会に参りまして思いますのは、地方というのは総合行政ですよね。有権者と近い存在でありますし、消費者と本当に身近なところで行政をやるので責任の所在が明らかなんですよね。だから、きちっと一つ一つを行ったときに、それが有権者の方あるいは消費者の方から見える存在であるわけですよね。だから、ある意味うまくいっていると。そして、いわゆる縦割りの弊害は国の方が言われますけれども、県のあるいは市町村の規模ですと、総合的な行政のやり方は工夫によってやっぱりできるんじゃないかなというふうに思っております。そんな中で、国と地方との連携が省庁間の縦割りと同時に問題になってきますし、地方の消費者行政がやはり一つのかぎを握るというふうに思っておりますし、先生も同様の考え方を言われたと思います。
 先日、この新型インフルエンザの行政運営に関して、舛添厚生労働大臣が横浜市と連絡取れないということで物議を醸したことがありました。地方行政である横浜市としては、名指しで言われたわけですから、あのようにしっかりやっているということになろうかと思いますけれども、ただ、一般の国民から見ると行政は何やっているんだと行政不信を招くわけですから、そういった国と地方の関係、それをどう考えるかというのが重要になってくると思います。
 私なりの結論としては、この機会にやはり地方分権、地方主権をしっかり進めて、地方がしっかり消費者の皆さんのニーズにこたえるんだという姿勢、総合行政できるわけですから、そういったのが重要になってくると思うんですけれども、樋口参考人の御意見をいただきたいと思います。
#112
○参考人(樋口一清君) 私も、消費者問題においては地方の役割というのは非常に重要だと、むしろ消費者問題の現場というのはそれぞれの市町村にあるわけなんで、そこで問題解決のための努力をして、それが国の行政を動かしていくという形ではないかと思うんですね。
 その意味では、分権というお言葉がありましたけれども、消費者問題に関しては地方が主導的でなければいけないと。しかしながら、現実には予算あるいは人員、体制を確保していくことが非常に難しい現状にあるということで、本来は地方主導であるべきだし、それぞれ地域の、地域のコミュニティーが崩壊しているということをおっしゃったんだと思いますが、地域のコミュニティー自体にいろいろ深刻な問題が生じている中で、その現実が実現できない状況にあると。今回、この消費者問題、消費者庁の議論を踏まえて、是非、そういう意味で、地方がリーダーシップを取ってこういった問題を取り扱っていけるようにすべきじゃないかなと。そういう意味での現場主義でもあるわけなんですが、是非そういった視点を失わないでほしいと。
 実は、消費者行政の歴史を見ますと、消費者行政というのは、地方の消費者行政がまず生まれまして、そしてそれに引っ張られる形で国の行政が動いてきたというような歴史もございます。ですから、そういう意味でも、今回、司令塔というのはどうも、先ほど申し上げたんですが、トップダウンではなくて、それぞれの地方の声を消費者庁が反映するような行政をしていただくということが大事じゃないかというふうに思います。
#113
○松下新平君 ありがとうございました。
 時間が少々ありますので、再度、川戸参考人にお願いしたいと思います。
 行政改革の面から御意見をいただきたいんですけれども、委員として御尽力をいただいておりますけれども、今回の消費者庁、行政の肥大化を招いてはいけないわけですよね。ただ、しっかりした行政組織というのはこの委員会でも議論してまいりましたけれども、行政改革委員のお立場からこの点について御意見をいただきたいと思います。
#114
○参考人(川戸惠子君) やっぱり小さくても強力な権限というのが、これが一番大事なわけですね。何も人が多いからいいということではなしに、これは各省庁を横断して、例えば何かが起こったときに強力な権限でその省庁を動かせる、そういうようなものが本当の行革ではないでしょうか。あっちの省庁をこっちに移したからいい、法律をこっちに移せばそれはそれでいいということではなくて、それだともう単なる、何というんですか、模様替えだけにすぎないわけであって、そうじゃなくて、やっぱり各省庁がもう思う存分に働けるように、強力な、司令塔は嫌だとおっしゃいましたけれども、やっぱりその面においてはそういう権限を持つということが今回の消費者庁にとっては一番大きなことだと思っております。
#115
○松下新平君 ありがとうございました。
 今回の昨日、今日と参考人質疑に立たせてもらいましたけれども、幅広い議論をさせていただきまして、これからまた参議院の審議が始まりますけれども、その中で反映してまいりたいと思います。
 本日はありがとうございました。
#116
○委員長(草川昭三君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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