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2009/04/15 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第6号
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2009/04/15 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第6号

#1
第171回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第6号
平成二十一年四月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     藤谷 光信君
     増子 輝彦君     青木  愛君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井  一君
    理 事
                島田智哉子君
                主濱  了君
                富岡由紀夫君
                川口 順子君
                小池 正勝君
                加藤 修一君
    委 員
                青木  愛君
                喜納 昌吉君
                長浜 博行君
                広中和歌子君
                福山 哲郎君
                藤谷 光信君
                峰崎 直樹君
                神取  忍君
                佐藤 正久君
                島尻安伊子君
                西田 昌司君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                水落 敏栄君
                山下 栄一君
                山本 香苗君
                山内 徳信君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        藤崎  昇君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        大森 雅夫君
       外務大臣官房審
       議官       小田 克起君
   参考人
       神戸学院大学学
       際教育機構教授  浅野 壽夫君
       大阪大学大学院
       人間科学研究科
       教授       中村 安秀君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査
 (「日本の国際社会における役割とリーダーシ
 ップの発揮」のうち、地震等大規模自然災害及
 び感染症への国際的取組について)
    ─────────────
#2
○会長(石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、増子輝彦君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として青木愛君及び藤谷光信君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(石井一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査のため、本日の調査会に内閣府政策統括官大森雅夫君及び外務大臣官房審議官小田克起君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○会長(石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。
 まず、「日本の国際社会における役割とリーダーシップの発揮」のうち、地震等大規模自然災害及び感染症への国際的取組に関し、地震等大規模自然災害及び感染症に対する国際的取組の在り方について政府から報告を聴取し、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、神戸学院大学学際教育機構教授浅野壽夫参考人及び大阪大学大学院人間科学研究科教授中村安秀参考人に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙のところ、遠路、本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本調査会では、「日本の国際社会における役割とリーダーシップの発揮」について重点的、多角的に調査を進めておりますが、本日の議題として、地震等大規模自然災害及び感染症への国際的取組に関し、地震等大規模自然災害及び感染症に対する国際的取組の在り方について両参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、外務省及び内閣府からそれぞれ十分程度報告を聴取し、お二人の参考人からお一人十五分程度御意見をお述べいただいた後、午後三時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をお願い申し上げます。
 御発言その他は従来のとおりでございます。
 それでは、初めに外務省から御報告を聴取します。小田外務大臣官房審議官。
#6
○政府参考人(小田克起君) 小田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 恐縮ですが、着席して説明をさせていただきます。
#7
○会長(石井一君) 着席したままでどうぞよろしくお願いします。
#8
○政府参考人(小田克起君) お手元に、一番上に配られております資料で、防災分野における国際的取組、それからその次に、感染症に対する国際的取組という資料、二種類が上にございます。この二つの資料に従いまして御説明をいたします。
 まず、防災分野の方から御説明をさせていただきます。
 防災分野におきます我が国の基本的な立場といいますのは、一つは、持続可能な開発にとって不可欠な柱であるということ、それから、個々人の生命、財産を保護するという意味で、人間の安全保障の推進に資するものであるということ、それから、気候変動への適応という観点からも非常に重要な分野だと、こういう認識をしております。
 それから、最近の防災に関する国際的な議論でございますが、二〇〇五年の一月に、我が国の招請によりまして神戸で開催されました国連防災世界会議におきまして、今後十年間の国際的な防災活動の優先事項をまとめた兵庫行動枠組が採択されております。この枠組みは、その後の防災施策に関する国際的なスタンダードになっているというふうに認識しております。
 参考にこの枠組みの三つの戦略目標をお付けしておりますが、開発の取組の中に減災の観点を取り入れるということ、それから、特にコミュニティーレベルでの防災体制の整備や能力向上を図ること、それから、緊急対応や復旧・復興段階でリスク軽減の手法というものを取り入れると、こういった三つの戦略目標が掲げられております。
 我が国の取組でございますが、以下、三つの視点から御説明いたします。
 一つは、政府開発援助、ODAを活用した二国間等の取組、それから、二つ目が国連機関などを通じた協力、三点目がアジア地域での連携推進と、こういった三つの点を有機的に組み合わせて実施をしております。
 それぞれ御説明いたしますと、まずODAを活用した取組でございますが、二〇〇五年の一月の先ほど申し上げました国連防災世界会議の際に、当時の小泉総理大臣から、ODAによる国際協力の基本方針などを示しました防災協力イニシアティブというものを発表しております。その年の四月のアジア・アフリカ首脳会議では、防災・災害復興対策のため、今後五年間、二十五億ドル以上の支援を行うということの表明を行っております。御参考に、防災協力イニシアティブにおきます基本的考え方というものを三点そこにお付けしております。
 次のページでございますが、先ほど申し上げました、五年間、二十五億ドルの支援という表明をしておりますが、これまでの三年間、二〇〇五年から二〇〇七年度までの実績でございます。三か年、それぞれ八億ドルを超える実績でございますので、合計で約二十五・三億ドルと。二十五億ドル、表明した額を既に達成をしておりますので、今後同じようなペースで行けばかなりの超過達成ということになろうかと思います。
 それから、二〇〇七年度の二国間資金協力の災害形態別の内訳というのをそこの円グラフでお示ししておりますが、植林計画といった土壌流出対策、それから、災害発生後の緊急無償なり、あるいは復興計画といった地震・津波対策、それから、洪水対策といった暴風・洪水対策、こういったものが大体二五%から三割という大きな割合を占めております。
 それから、次に国連機関などを通じた協力でございますが、二〇〇六年の国連総会におきまして、防災への取組を議論する場としまして防災グローバル・プラットフォームというものの設置が決まっております。二〇〇七年六月に第一回会合が開かれ、今年の六月に第二回会合が開催が予定されております。我が国としましては、兵庫行動枠組の推進を中心にして、こうしたプラットフォームの事務局として活動しております国連国際防災戦略事務局、UNISDR、あるいはUNOCHA、国連人道問題調整部、そういった様々な国連機関、世界銀行等との間で協力を行っております。
 具体的な協力例を下に御参考で付けてございますが、例えば、UNISDRへは財政支援、それから兵庫事務所の開設、それから、インド洋津波早期警戒システムの構築のためにユネスコへの専門家派遣、研修といったものを通じたノウハウ提供、また世界銀行の防災グローバル・ファシリティーへの拠出等々を行っております。
 それから、最後のページでございますが、アジア地域での連携の促進という意味で六点掲げております。
 一点目が、アジア防災センターを、我が国、一九九八年、神戸に設置をしておりますが、ここを通じた防災情報の共有、人材育成といった域内防災協力を我が国は主導している。
 それから二点目は、二〇〇五年九月、中国主催でアジア閣僚防災会議というものが開催されており、以下、インド、マレーシアで二回、三回という開催が行われております。
 それから三点目は、二〇〇八年五月、当時の福田総理が、「アジアの未来」のスピーチにおかれまして、防災協力外交というものを提唱しております。二〇〇九年四月、まさに直近でございますけれども、アジア諸国に対する貢献策の一環といたしまして、相互緊急援助用の物資備蓄の支援のために約一千三百万ドルの追加拠出、それから、今後五年間で各国関係者約三百名に対する防災分野での研修の実施といったものを発表したところでございます。
 それから四点目は、二〇〇八年六月、これは、日米豪の閣僚級戦略対話におきまして、アジア太平洋地域における人道支援、災害救援を行うということで、三か国の協力を強化しようということになっておりまして、同年十二月には、そのためのガイドラインというものを取りまとめたところでございます。
 それから五点目は、二〇〇八年十二月、日中韓首脳会議におきまして、三か国の防災担当閣僚級による会合を開催をする、第一回会合は日本が主催するということで合意をしております。
 それから、最後、六点目は、ASEAN地域フォーラム、ARFでございますが、ここにおきましても災害救援を優先分野の一つと位置付けておりまして、アジア太平洋地域における同分野での連携協力を進めるということにしております。具体的には、今年の五月、初めての実動演習をフィリピンで行う予定になっておりまして、我が国からもかなりの規模での参加を予定しているところでございます。
 以上が防災関係でございます。
 続きまして、次の資料で、感染症に対する国際的取組について御説明をいたします。
 まず、国際保健分野におきます感染症の議論を御紹介いたします。
 途上国における感染症の問題の背景と経緯でございますが、感染症は、途上国住民の生命への脅威という意味で人間の安全保障上の問題であるということは紛れもないことでございますが、それに加えまして、途上国の経済社会開発への重大な阻害要因であるというふうに受け止めております。
 真ん中に図がございます。ガーナとレソトの人口分布比較でございます。上段がガーナで、下段がレソトでございます。左側が一九五〇年の人口分布で、右側が二〇〇七年でございます。成人のHIV感染率が、ガーナは二・三%であるのに対し、レソトは二三%だと言われております。右下の二〇〇七年のレソトの人口分布を見ていただきますと、ほかの三つの分布がピラミッド型をしているのに対して、この右下の部分は三十代、四十代のところがくびれているということと、それから、一番すそ野でございますね、十歳まで辺りが広がっていないということでございます。すなわち、現役あるいは将来の国の担い手が不足をしていると。これは、その国の経済社会開発にとって非常に大きな阻害要因であるというふうに理解をしております。
 続きまして、国際的な取組の流れでございます。
 まず、二〇〇〇年の七月にG8九州・沖縄サミットがございまして、ここで我が国はサミットとして初めて感染症を主要な議題として取り上げました。これを受けて、二〇〇二年、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、いわゆる世界基金の設立につながっております。また、二〇〇一年、ミレニアム開発目標の取りまとめがございましたが、八つの目標のうち保健関連が、四番目の乳幼児死亡率削減、五番目、妊産婦の健康改善、六番目のエイズ等その他疾病の蔓延防止の三つが掲げられております。
 さらに、こうした感染症や保健に対する取組においても、いわゆる伝統的ドナーに加えまして、ここで申し上げました世界基金やあるいはビル&メリンダ・ゲイツ財団といった新しい援助主体の参画、多様化が見られるところでございます。
 また、世界の保健分野でのDAC諸国での援助額を見てみますと、二〇〇〇年には約十五・八億ドルでございましたが、二〇〇七年にはこれが四十三・二億ドルと、二・五倍以上に拡大をしているところでございます。
 こうした取組、量的にも質的にも拡大しておりますが、それにもかかわらず、毎年四百万人以上がエイズ、結核、マラリアの三大感染症で死亡していると。また、九百七十万人の五歳未満児あるいは五十万人の妊産婦がこうした三大感染症を含む要因で命を落としているというふうに言われております。特にサブサハラ・アフリカが非常に大きな問題を抱えているということでございます。
 最近の国際保健に関する議論でございますが、まずMDGs中間年、二〇〇八年、昨年、我が国はTICADWと北海道洞爺湖サミットにおきまして、国際保健を開発・アフリカの議題の重要な柱に位置付けて議論をいたしました。そして、感染症対策、これはよくバーティカルという縦割り、縦割りというと変ですが、いわゆるエイズだ結核だマラリアだという特定の感染症に着目した取組を行うという縦型の取組と、それに加えまして、母子保健とか保健システムの強化という疾病横断的な取組、ホリゾンタルな取組、縦型それから横断、この二つの取組を組み合わせて包括的に取り組んでいく必要があるということを主張して国際的な合意を取りまとめたところでございます。
 それから、こうした感染症に加えまして、気候変動に関する保健への影響ですとか、それから、後で御説明いたしますが、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザといった新たな脅威の顕在化といったことも最近現れてきているところでございます。
 次に、我が国の対策でございます。
 まず、世界基金を通じた支援でございますが、二〇〇二年に世界基金ができて以降、三大感染症対策につきましては、基本的には、従来の二国間援助から世界基金を通じた支援にシフトをしております。昨年五月、二〇〇九年以降、当面五・六億ドル拠出を表明いたしまして、今年三月、大体そのうちの三分の一に当たります一・九四億ドルの拠出を行いました。これで、累計で十億ドルを超えまして、アメリカ、フランスに次いで第三の拠出国となっております。こうした世界基金の活動によりまして、二〇〇二年発足以降、昨年末まで七年間で約三百五十万人の命が救われたというふうに言われております。
 次のページに三大感染症への世界基金の援助の割合が円グラフでお示ししておりますが、エイズでは約四分の一、結核、マラリアでは約六〇%が世界基金経由で対策が講じられているということでございます。
 それから二点目は、保健、開発に関するイニシアティブの下での支援と書いてございますが、世界基金以外での取組でございます。
 三大感染症に対する取組もございます。それから、ポリオや寄生虫といったその他感染症対策、それから、横断的な保健システムの強化といったものに取り組んでおります。量的には、二〇〇五年から五年間で五十億ドルを目途に支援表明というのを行っておりますが、これまでの三か年で約四十五億ドルの達成でございます。
 感染症以外の分野でどのような取組を行っているか、例でお示ししておりますが、保健システムの強化では、例えば、ザンビアで全国を網羅する保健施設データベースの作成を支援したり、あるいは、モロッコで母子保健対策として女性健康手帳の導入、母子の健康増進といったことを行っております。
 それから、次に鳥インフルエンザ、新型インフルエンザでございます。
 これらは国境を越えて急速に蔓延する危険を持っております。高病原性鳥インフルエンザ、これは人への感染が二〇〇五年以降急速に増加しておりまして、WHOによりますと、これまで十五か国で四百十一人が感染して二百五十六人が死亡している。致死率が六三%と極めて高いと言われております。
 それから、次の鳥インフルエンザがヒト・ヒト感染しやすい形に変異する新型インフルエンザ、これはまだ発生しておりませんが、可能性が指摘されております。いったんこれが発生しますと、世界的大流行、パンデミックになる危険が高いというふうに言われております。
 我が国は、この二つのインフルエンザの分野で三億ドル以上の国際協力を実施しており、アメリカに次いで世界第二位のドナー国となっているということと、主要ドナーや国際機関によって構成されるパートナーシップ等を通じた取組を行っております。
 この二つのインフルエンザ関係で我が国が行っております分野といたしましては、特に新型インフルエンザ対策等も含めましてでございますが、一つは、アジア地域向けには備蓄用タミフル百五十万人分の供与、それからWHOを通じた技術指導等、それからユニセフを通じた啓発活動、広報支援、それから無償資金協力によります検査能力の強化ということで、ベトナムでの国立衛生疫学研究所の実験室整備、これはレベルがございまして、P3レベルと言われるものでございますが、これの整備、それからインドネシアでの家畜疾病診断センターの診断施設整備を行っております。
 また、JICA側によります技術協力として、毎年、百人程度の研修生の受入れ、あるいは専門家の派遣といったことを行っております。
 最後の図は、先ほど申し上げました鳥インフルエンザの発生が報告されている国でございます。水色が家禽等におきます発生が確認されている国、オレンジ色は人の発症が認められた国でございます。特に多いのが、中国で死亡者が二十五人、ベトナムで五十四人、インドネシアで百十五人、それから西に移りまして、エジプトで二十三人、こういったところが非常に多いということでございます。
 以上でございます。
#9
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 内閣府大森政策統括官。
#10
○政府参考人(大森雅夫君) 内閣府の大森でございます。よろしくお願いいたします。
 我が国の国際防災協力という横長の冊子をお出しいただきたいと思います。
 その一ページを御覧いただきたいと思います。世界の自然災害の状況でございます。
 これは、左上に地震回数、そして災害の被害状況を示した円グラフでございますが、災害には、地震だけではなくて風水害、干ばつ等を含んでいるわけでございます。左上の資料が地震回数だけになっているのは、全体としての客観的な大きな災害の発生件数を示すデータがなかったため、地震だけにとどめたものでございます。
 まず、日本について全体像を少し御覧いただきますと、地震の発生が全体の二〇・八%、それに対して被害額が一五%、災害死者数〇・四%、被災者〇・一%というようになっております。アジア全体に関して言いますと、被害額四四%、死者五九%、被災者は八九%というようになっております。この表から、日本において事前の予防措置、また災害が起きての応急対応等、一定の水準が図られているということを示していると思われます。
 二ページでございますが、近年の主な自然災害、死者・行方不明者千人以上のものを挙げましたが、五年間で八つの災害がございます。七つがアジアで起こっております。
 ちょっと具体的に見てみますと、三ページを御覧いただきたいと思います。
 スマトラ沖の地震・インド洋の大津波でございます。平成十六年、二〇〇四年でございますが、マグニチュード九・〇という非常に大きな規模の地震が起こりまして、津波も最大三十メーター以上という巨大な津波が各国を襲いました。インドネシアでは、十六万五千人の方が死者・行方不明となっているというような状況でございます。
 また、下の四ページでございますが、昨年の五月の二日、ミャンマーのサイクロン、ナルギスでございます。最大瞬間風速五十六メーター、高さ三・五メーターの高潮が発生し、死者八万四千人、行方不明者五万三千人ということになっているところでございます。
 五ページでございます。
 五ページは中国の四川の大地震でございます。昨年の五月の十二日、マグニチュード七・九という大正の関東大震災と同じ規模の地震で、震源も深さ約十キロと非常に浅いところで起こっております。死者六万九千人、行方不明者一万七千人という大規模な地震でございました。
 少し六ページに地震発生のメカニズムということを書いておりますが、地震の場合、大きくは二つに分かれます。一つが海溝型地震、もう一つが活断層型地震でございます。
 右のところに書いておりますが、右上の海溝型地震を見ていただきますと、この発生メカニズムは、@で書いていますように、毎年、海側のプレートが数センチの割合で陸側のプレートの方に移動していきます。二番目の図でございますが、陸側のプレートの先端部が引きずり込まれてひずみが蓄積し、そのひずみが限界に達したとき、陸側のプレートが跳ね上がり地震が発生するというもので、プレート境界辺りで起こってくるというものでございます。
 また、下の活断層型の地震の発生メカニズムでございますが、プレートが押し合うことによりまして内陸の地表面付近にひずみが掛かり地震が発生するということでございます。これについても、押し合う力の強いプレート境界ないしはその近いところで発生する割合が多くなるということでございまして、世界の地震の震源分布は左の上の図のようになっております。
 赤い点で書いておりますけれども、これがマグニチュード五以上の地震の震源分布でございますが、例えばマグニチュード六以上の震源は、先ほど御覧いただいたように、約二割が日本で発生しております。アジア地域でも多くの震源が分布しており、今後とも、アジア地域、同じような地域での地震のおそれがあると考えられます。
 次に、七ページを御覧いただきたいと思います。
 次に、風水害の関係でございます。気候の変動が当然そういった風水害についても影響を与えるということでございまして、ここではIPCC、気候変動に関する政府間パネルの資料に沿ってお話を申し上げたいと思います。
 今後二十年間に十年当たり約〇・二度の割合で気温が上昇、また、百年後には地球の平均気温は一・八から四度上昇、百年後には地球の平均海面水位は十八から五十九センチの上昇が予測されるというようになっているわけでございます。
 このように温暖化が続きますと、八ページを御覧いただきたいと思いますが、このような現象になっていくということでございます。
 過去三十年で強い熱帯低気圧の占める割合が増加しております。アジア地域でいきますと、西太平洋というところを見ていただきますと、左側のカテゴリー四と五というのが非常に強い割合でございますが、全体の四と五の占める割合ということで見ていただきますと、八十五の二五%が数としても百十六の四一%という形で増えております。それから、熱帯域の海面水温上昇に伴って将来の熱帯低気圧の強度は増大し、最大風速や降水強度は増加する可能性が高いということとなっております。こういったところから見ますと、今後も地震や風水害による被害というのが予想されるということでございます。
 次に、九ページを御覧いただきたいと思います。
 我が国の災害被害軽減に向けた取組でございますが、三本の柱で対応しております。災害に備えた体制の整備・人材育成、また被害軽減のためのインフラ整備・基準の整備、そして国民、住民の防災意識の向上という点でございます。
 これらの施策を講じていった結果、十ページでございますが、この我が国の自然災害による死者・行方不明者数の推移ということで見ていただきますと、伊勢湾台風とか阪神・淡路の大震災のように非常に大きな災害があった場合は別でございますが、だんだんと死者、行方不明者の数は減ってきているということがお分かりいただけると思います。このような我が国の取組を基に、アジア各国の災害被害軽減のために我が国が持つ知見、ノウハウを提供していくことが国際防災協力の柱と考えております。
 十一ページでございます。この枠組みでございますが、この枠組みについては先ほど外務省の方からお話ありましたので省略をいたします。
 十二ページについては、その中のアジア防災センターでございますが、約三十名の職員で、一九九五年、これは阪神・淡路大震災があったところでございますが、そのときに推進拠点の形成を日本政府が提案し、一九九八年に神戸市に設置しているものでございまして、防災情報の共有、人材育成、コミュニティーの防災力の向上といったものを図っております。
 十三ページを御覧いただきたいと思います。具体的に、二国間での協力の例でございます。
 十三ページは、スマトラ沖地震・インド洋大津波でございますが、これは、日本とインドネシアの防災担当大臣間で、日本・インドネシア防災に関する共同委員会を開催をし、共同委員会の報告を取りまとめた後、二〇〇七年四月の防災法の制定、二〇〇八年の四月に国家防災庁の創設ということで、現在、インドネシアにおいて防災基本計画の策定作業中だというように聞いているところでございます。
 また、右側でございますが、これも外務省から御報告ありましたけれども、気象庁とアメリカの太平洋津波警戒センターが協力して、インド洋、北西太平洋におけるマグニチュード六・五以上の地震・津波情報を提供しているということでございます。
 次に、四川の大地震に関してでございます。十四ページでございますが、復興計画の策定支援ということでございます。
 日中の復旧・復興支援セミナーの開催、また、関連資料の提供とともに、中国四川省震災復興視察団の受入れということで、内閣府では延べ七回、二百名以上を受け入れております。この復興計画自身は八月の二十七日に中国の方で決定されたということでございますが、この中には日本からのアドバイスも入れていただいているというようなことをお伺いをしているところでございます。
 最後、十五ページでございます。国際防災協力の例ということで、アジア防災センター等を通じた教育の中身でございます。
 この「稲むらの火」を活用した津波防災教材の提供ということでございます。これは、江戸時代に津波の襲来を村民に教え、被害から救った庄屋の物語を内閣府が作成し、アジア防災センターを通じて各国に広めていっているというようなものでございます。また、小中学生を対象とした防災教育、避難訓練の実施ということで、アジア防災センターの職員が現地に行って地元の方と一緒になって避難訓練計画等々を練っているというような状況でございます。
 以上でございます。
#11
○会長(石井一君) それでは、次に浅野参考人から御意見を聴取したいと存じます。
#12
○参考人(浅野壽夫君) 神戸学院大学の浅野と申します。本日、かかる機会をいただき、ありがとうございます。
 着席させていただいて説明させていただきます。
 まず、お手元にはパワーポイントの資料の印刷と一枚紙を御配付申し上げておりますが、今日お話しする点は三点ございまして、政府の方々の御説明と重なる部分が若干あるかと思いますが、一番目は、近年の世界における自然災害の状況、それから、我が国の防災の中で最初の発災のときに援助する部分、限定された形ではありますが、緊急援助の動向、それから、災害緊急援助の在り方についての三点についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず一点目なんですが、近年における自然災害の状況は、既にお話あったと思いますが、実はこの表を見ていただくと、一九七五年以降、右肩上がりに非常に自然災害が多発しているということで、二〇〇八年には三百二十一件の災害が記録されている。
 災害というのはどういうものかという基準なんですが、実は、ルーバン・カトリック大学、ベルギーの大学の研究所の定義によりますと、死者数が十名以上、一つの、それから被災者数が百名以上、それから政府の中のその国の緊急事態宣言発令があること、それから国際社会への支援要請がある、この四つの中の一つが満たされれば災害として一応カウントしましょうということで、この災害の三百二十一件の中には、地質学的な、水文学的な災害が中心で、昆虫を媒介したり、感染症、鳥インフルエンザだとかというのは除かれております。それももちろん災害の一つとしてカウントを国際社会ではしております。
 これがいわゆる災害発生別の災害で、青が二〇〇〇年からの平均、二〇〇八年がピンクの柱になっております。やはり洪水、水文学的な災害が非常に世界では多いということ。ただ、問題は、地震という場合、地質学的な災害は少ないんですが、災害として現れたときに経済的なダメージ、あるいは人的なダメージが非常に大きいという傾向にあります。
 これが、先ほど大森統括官からのお話が既にあったと思いますが、我が日本を含めたアジア地域が自然災害に対して非常に脆弱性を持っているということでございます。
 これは、主な地震を中心にした過去からの災害で、経済的な観点から見ると、いかに地震が、地質学的な災害が大きなダメージを与えているかという表です。
 具体的に昨年の災害の死者数等々を見ると、赤字の部分がアジア地域に属している。この表から推測するにも、アジアが、先ほど申しましたように、非常に災害に対する脆弱性が高い。災害数についてもしかりでございます。
 ちなみに、日本の場合は台風が風水害の中で多いんですが、昨年は本土の上陸というのが非常に少なかった。一時は、二〇〇五年ですか六年ですか、十個の台風が上陸して多大な被害を与えているという経緯もございます。
 次に、我が国の緊急援助の動向ということで、既に日本の緊急援助の、災害が起こったときに三つの柱がございまして、一つは資金援助、それから人的支援、レスキューチームあるいは医療チームが派遣される、それから物資援助ということで、これは一九八七年の国際緊急援助法、通称JDR法という形で法律として定められた体制で今、実際に対応している。九二年に、自衛隊が参加するということで改正が一部ございました。真ん中の人的援助という観点からいくと、捜索・救助、医療、それから災害に対する対策等々の専門家の派遣という形で、こういう各省庁の支援という形で体制が組まれております。
 じゃ、実績はどういうふうな感じになるというと、八七年のJDR法が成立して以来二十何年たつんですが、三百七十八のオペレーションを実施しているというふうに記載されております。特に人的派遣は、救助チーム、医療チーム、専門家、自衛隊を含めて九十七という数になっております。
 人的体制について考えると、救助チームは三庁の登録制になっておりまして、警察庁、九の都道府県の警察本部が、登録が四百四十、それから自治体の消防本部が六十二ございますけれども、六百、それから海上保安庁が六百で、合計千六百四十名が毎年登録されております。いざというときに即時に派遣できるような体制になっております。
 それから、一方、医療チームについては、これも登録制なんですが、実は、これは政府の省庁の人員ではなくて、民間を中心としたボランティアの方々が登録されて、もちろん国家公務員の方、地方公務員の方もいらっしゃるんですが、合計で、医師、看護師、薬剤師、医療調整員という形で、八百名を超える方々のボランティアの力で医療チームがオペレーションされておる。そのほかに、そのチームを補助するという形で、JICAの中に四百二十三名の、いざというときにその調整員として登録されている人員がおります。
 この合計二千人をちょっと超える体制で災害援助を実施しておりますが、二〇〇四年のインドネシアのスマトラのときには、実はインドネシアには第三次までの医療チームが出ておりまして、一か月を超えるオペレーションをしておりましたけれども、この体制であの時点で乗り切れたということは、まあまあこういう体制が今一番妥当なんではないかというふうに考えております。
 それから、物資の方では、JICAが四つの地域、四つの倉庫を抱えておりまして、全世界で起こった災害に対して迅速に物資を供与するという体制が取られております。
 備蓄品も、緊急援助隊が二十何年になりますが、そのときから比べると、緊急援助の物資も、最低限緊急に必要な物資という形で八品目を中心にストックされております。医薬品については、ユニセフだとかというところから緊急に調達するシステムもできております。
 こういう体制で緊急援助が行われております。
 さて、じゃ、今後の災害の緊急援助の在り方としてどういうふうなことが課題になっているかということを考えますと、課題というか在り方、一部既に実施されている部分もございますが、災害というのは、災害管理サイクルという形で、災害が起こりました、すぐ助けに行きます、緊急対応です、その後、復興、復旧をしましょう、それから二度と災害が起こらないように防災を考えましょう、このサイクルで次の災害に対して備えるという考え方で防災協力あるいは災害に対する取組を国際社会では進めております。
 この災害緊急対応のときに緊急援助という形になるわけでございますけれども、在り方として四つぐらい私は今までに考えています。
 それは、災害が発災したときにすぐに派遣するということが大事なんだろうと。それは、七十二時間ルールというのがございまして、発災して瓦れきの下に閉じ込められた人命というのは七十二時間を過ぎると急速に生存率が落ちるということがあり、もちろん二百時間以上たっても救出されている方々はいらっしゃいます、それをめどに今進めておりますが、最近の国際社会の医療の状況でいくと、四十八時間とかというルールも考えられているようでございます。ただ、これは、崩壊した家屋の構造の問題によって随分ばらつきが出てくると思います。木造あるいはれんが造りあるいは鉄筋コンクリートという形では随分違いが出てくるというふうに言われております。これに対応するという形が一つ。
 それから二番目が、やはり政府の緊急援助でありますが、実は日本のNGOも、阪神・淡路大震災以降、世界の災害に対する支援という形で、いろいろな形で、代表的なジャパン・プラットフォームも紛争から自然災害までシフトしていく援助をされている。そういうオールジャパンとしての活動が可能性としてあるんではないか、実際にやっておりますが。そういう部分で、オールジャパンとしての顔が見える援助というのは、やはり、先ほどの災害管理サイクルも含めて、一つの大きな相手国に対する日本の顔を見せる力になるんではないかと思っております。
 それから三番目は、災害管理サイクルの中でステージごとにすぽっと援助をするのではなくて、次のステージを考えつつ先へ先へ、輪切りにならない形での援助で、いわゆる継ぎ目のない援助が必要ではないかと考えております。
 それから最後は、アジアを中心にした災害援助体制をアジアの中で、幾つかは会議と組織はつくられておりますが、実際に現場の観点から見て、訓練の共同訓練等々という形でのつながり、それは捜索救助のみならず、災害医療の分野においても人的な交流、訓練というのが必要になってくるのではないか。それから、国際機関との連携ということになります。
 ちょっと先を急がせてもらいます。
 迅速な支援というのは、今、先方の要請から二十四時間、四十八時間以内に派遣をされて、これはだんだん早くなっております。パキスタンの地震災害のとき、二〇〇五年ですが、五十二時間で現地に行ったと。マスコミ等々で随分批判されました、もっと早く行けないのかということで。JICAの中で、チャーター機あるいは政府専用機ということを従来ずっと模索していたんですが、なかなかそういう風土にないという状況で、たまたま、たまたまというか、日本航空がチャーター機の使用というものを前向きに考えて、既にチャーター機の使用は四川でも行われていると思います。既に一部実施。そういうチャーター機を使うことによって早く行く、現場に早く。チャーター機ばかりが主流ではないと思う。民間機でも、早く行ければそっちの方を取るという臨機応変な態勢が整えられたというふうに考えます。
 それから、大規模災害に対して要請が遅れる場合どうするのということで、あくまでも災害国の主権というものを尊重して要請ベースで行われるんですが、実はNGOの皆さんは、そういう意味では、早めに入られるという観点からいけば、先遣隊というシステムをつくって要請なしで現地を調査すると。後で要請が出たときに正式な緊急援助隊という態勢も一つ考えられるんではないかというふうに考えます。
 それから、やっぱり迅速な派遣、それから派遣するということは被災者の心の支援になると思います。例えば、空振りに終わりました、生存者を助けられなかったということでも、行ったことによって、遺体を収容することによっても、被災者は、我々は見捨てられていないんだという気持ちが非常に強く残るものだと思います。マスコミの方では、今回も生存者助けられずというようなことがありますけれども、私は、行かないより行くことによって非常に日本のプレステージが上がると。四川においても、あれだけ若干いろいろな事情があって遅れましたけれども、あれでも、遺体を収容されて、緊急援助隊員のあの遺体に対する態度を見て非常に、中国人も我々も人命の尊さということをすごく感じたと思います。そういう積み重ねが緊急援助の中で大事なことである。ですから、空振りに終わったということは決してないということを考えつつオペレーションを行うべきだと思います。
 元々、備蓄、災害に備えるというのは、いつ起こるか分からないという形で我々もいろいろストックをするわけですけれども、起こらなくて良かったじゃないかということが大事であって、行って良かったじゃないかということをもっと我々は強く考えていくべきだというふうに考えます。
 それから、NGOとの連携ですが、緊急援助隊の医療チームが二週間後に、少し緊急ステージ終わりましたねと、そういうときに本邦のNGOの医療の関係の方々が入ります。そのときに、医薬品の残ったもの、あるいはテントだとか、それを貸与するなり供与するなり、日本のNGOに、そして引き続き、政府から民へとのつながりという形で日本のオールジャパンとしての顔を相手国に見てもらうということが大事だと思います。
 それは、既にインドネシアの津波のとき、それからパキスタンの地震のときも実施されております。今後、そういうつながりで、NGO、それからあえて言えば地方自治体、例えば、兵庫県なんかは随分被災経験があってノウハウをお持ちであります。そういう地方自治体のノウハウを使って三者で援助に当たるということが今後もっともっと強く必要になってくるんではないかと思われます。
 それから三番目ですが、先ほどの災害管理サイクルという観点から、ややもすると、そのステージ、ステージで、はい終わりということで援助が一段落してしまう。そういう意味でいけば、次のステージの復興あるいは防災が遅れてしまうという観点から、発災当時に既にそのチームに、同時にか、その後すぐに復興、復旧に対する調査団なりあるいは専門家なりを派遣することによってこのサイクルに途切れがないような形で援助をすることがすごく大事なことだと思っております。
 これはやはり、先ほども申し上げましたけれども、被災者が世界から見捨てられていないんだというアピールというか、そういうことを強く相手に抱いてもらうことが災害の援助の大事なことだと思いますので、ここの部分を、一部は実施されていますが、もっと強化する必要があるのではないかと思います。
 それから、最後なんですが、人的ネットワーク。これは言わずもがなで、アジアが災害が非常に多発する地域で、一番考えていかなければならない。地震を中心にして我々は考えているんですが、実は、先ほどの表にもありますように、水文学的な災害、いわゆる洪水だとか台風だとか、そういう部分についても連携ということが必要なんではないかと。
 それから、国際機関。要するに、国連災害評価調整チームというものが、災害が起こったときに世界各国から集まって、現地に入って情報交換だとかという一つの国際社会の仕切りの組織のチームなんですが、このメンバーに日本の人員が加われるような態勢。二十人弱の今、登録がされている。そういう意味では、ますますいろんな形でそういうUNDACチームに災害が起こったときすぐ日本の人材が入れるような態勢で人材を育成していくということも考えられるのではないかというふうに思います。
 この次は簡単に。
 それで、この参考の部分においては、やはり国連の九一年の人道支援強化決議を土台にして、災害国が自分の国民に対して責任を持つんだよという部分はやはり忘れてはならない。むやみやたらに入り込んで人道だといっても、かえって、被災国のコントロールを外れて行動することは非常に被災国に対して迷惑を掛けるという形になります。そういう観点からは、そういう国連決議を前提としつつも、国際アピールとかで要請がない場合でも行けるような態勢、これはもう政府の御判断だと思いますけれども、そういう形での柔軟性、いわゆるしなやかな態勢というんですか、そういうことも必要になってくるかと思っております。
 簡単ですが、御説明を終わらせていただきます。ありがとうございます。
#13
○会長(石井一君) 次に、中村参考人。
#14
○参考人(中村安秀君) 大阪大学の中村安秀です。座ったまま発言させていただきます。
 私は、小児科医でして、もう二十年以上前にインドネシアの村で、電気のない、そして水道のない村で、子供の死亡をどうして減らせるか、そういう活動をし、その後、UNHCRの医療官としてパキスタンのアフガン難民キャンプで一年間やはりそういう活動をしてきて、そういう現場から元々国際協力に入り、現在、大学で国際協力を研究又は教育しています。そういう立場で、今日は、もう先ほど外務省の小田審議官から事実関係についてはいろいろ説明がありましたので、私はむしろ今、国際協力の現場の中で考えていることを中心にお話ししたいと思います。
 これは、ミレニアム開発目標で、皆さん既に御存じですが、この中で一つだけ、八つある目標のうち三つが、小児死亡、妊産婦の健康の向上、そしてエイズ、マラリア、三つが医療に直接関係する部分だと。そういう意味では、本当に国際保健の中では医療の占める割合が大きいということをここで申し上げておきたいと思います。
 これは、実際、具体的なMDGの内容ですけれども、子供と母親の健康、この辺りはもう飛ばしていきたいと思います。
 エイズ、マラリア、その他の疾病との戦いはこういう内容になっています。
 そして、これが、G8サミットの前の年に、当時の高村外務大臣がグローバルヘルスと日本の外交政策という形でランセットという雑誌に載ったものです。今回、特に強調しておきたいのはこの部分です。
 今回のTICADWあるいはG8サミットは本当にすばらしく、世界的には、日本の保健医療政策というのが世界的に大きなインパクトを与えた、そういう会議でした。しかし、その始めが実はこのランセットの記事にありました。
 このランセットというのは、外務省の国際会議では決してなくて、全く、言えばWBCかオーガスタに近い、本当にみんなが投稿して、それが載るか載らないかはランセット誌が決めるという、そういう部分にやはり日本政府として意見を出して、これが通ったと。この後、世界の人々の見る目が変わりました。その中で、沖縄から洞爺湖へ、人間の安全保障、そして日本の経験を生かすこと、母子手帳のこと、こういうことを全部書いてあります。
 実際、こうして英語でこういう部分で発信していくことというものの持つインパクトというのに驚きました。その後は、御存じのように、洞爺湖のG8保健専門家会合の報告書は世界的に大きなインパクトを持ちました。この中身に関しても、先ほど小田審議官からお話のあったとおりです。このような具体的な活動方針をすることとなっています。
 ここで私がもう一つ強調しておきたいのは、人間の安全保障という概念です。これは、日本では小渕元首相から始まって、人間の安全保障というのが、緒方貞子JICA理事長含め、日本発というか、日本人がこの人間の安全保障という概念のかかわりに大きく貢献しています。
 ここの下に書いてあるように、人間の安全保障、ヒューマンセキュリティーというのは本当に単純な言葉ですけれども、これこそ安全保障や国際関係の研究者にとっては探し求めていた概念なんですね。こういう概念を私たち日本がすごく深くコミットして持てた、そしてそれをサミットの場でも言えた、これをやはりもっと強調していけばいいんだろうというふうに思っています。特に、保健医療、今日のテーマの中でいえば人間中心のアプローチであり、そして保護とエンパワーメントの連携の強化、トップダウンとボトムアップの双方向性のアプローチというのが大きな意味を持つと思います。
 保健医療システム強化というのが今回G8サミットでも大きく言われました。それをすごく簡単に説明しようとしたのがこの図なんですが、やっているうちに、どんどん何かより簡単なのか簡単でないのか分からなくなっているんですが、まず、政府、自治体、そういうところがあって、上からトップダウンで、実際、病院や診療所で治療をするお医者さんや看護婦さんがいて、そして地域住民や保健ボランティアと、こう上から下に行くアプローチ、これがトップダウンですね。
 ところが、今度はNGOとかそういう活動で草の根で住民に入って、住民にいろんな教育をして、そして、これだったらきちんと病院へ行かなくっちゃとか、子供に予防接種は打たなくっちゃといって住民の方から動いて、住民がエンパワーメントされてそして動いていくというのがボトムアップのアプローチですね。
 両方要るんです。上からで、中央集権で、政府が決めたから全部がそれでうまくいくというはずはないし、かといって、ボトムアップだけで全部ができるわけではない。この両方がうまくいくというのが必要なんです。
 ただ、ともすれば、どちらかといえば、日本は今まで国際協力の現場で現場主義が割と多かったものですから、ボトムアップに非常に強い部分があります。海外青年協力隊の人たちが世界各地で頑張っているのも、ほとんどがこのボトムアップの活動です。それは本当にすばらしい活動で、世界でも、もういろんな地域に行きましたが、物すごく多くの地域で、日本人がいい活動をしてくれたとすごく言われています。ただ、このボトムアップをどうトップダウンと結び付けるか、この辺りが今後の課題だろうという気がします。
 ここから二枚のスライドは今日のもう私のメーンのスライドですが、一つは、そういう中で日本の感染症を含めた保健医療協力への期待は非常に大きい部分があります。今までの中で見ると、途上国の幅広いニーズに対応できる。どこかの国のように、戦略を物すごく狭く絞ると、それしかやってくれない。そうじゃなくて、日本は相手の要請に基づいていろんなことができる。そういう意味では、本当に世界的な戦略を限定しなかったがために、日本は本当にいい仕事をしてくれる。これは各途上国の政府関係者から今まで何度も聞きました。
 そしてまた、二番目は、途上国であった日本の経験に学びたいと。母子手帳の話があります。学校保健の話があります。古くはハエや蚊をなくす運動というのもありました。そういう日本の中で戦後我々が培ってきた保健医療の活動に学びたいという希望は多いです。
 先ほど言いました、三番目は、草の根活動の評価は想像以上に高いものがあります。
 四番目は、そういう中で、日本に研修に来ることの効果はとても大きかったです。先日、パレスチナの人が日本に来て、やはり母子手帳の研修をするので、埼玉県に一緒に行ってずっと回っていました。その彼らが帰り際言ったのは、今回日本に来て本当に良かったと。今までパレスチナは欧米、アメリカかヨーロッパかどちらの方向でやろうかと思ったけれども、そうじゃなくて、第三の道があるということを私たちは今回日本に来て初めて分かった気がするとパレスチナのドクターが言っていました。そういう意味で、研修というのも日本を分かってもらうためにとても大事じゃないかと思います。
 その中で、国際協力をやっていく中で、日本の保健医療そのものは今いろんな意味で曲がり角には立っていますが、日本の乳児死亡率が二・六というのは世界トップレベルですし、日本の平均寿命が男性七十九で女性八十五・八というのは、女性は世界一ですし、これは、先進国のドナーの人たちと話しているときに、日本の乳児死亡率と平均寿命を出すと負けないと言うと変ですけれども、スウェーデンの人なんかでも日本を見る目が変わってきます。どうしてあなたの国はそんなことができるんだと、その知恵を教えてほしいと。これは専門家でもそう言いますから、この日本が世界に誇れる部分でもあるという気がします。
 そして、その次に、日本の国際協力の中で、今回、国際社会における役割とリーダーシップということについて今まで私が考えてきたことをまとめてみました。
 一つは、短期的な取組です。
 先ほどから、小田審議官の方からもありましたように、外務省あるいは厚労省なんかがこのG8サミットを終わった後、本当にいろんな取組を現在頑張っていらっしゃいます。それを私自身から見たら、その成果をもっともっと英語で発信していくということも必要なんだろうと、そしてまた、NGO、NPOに対する支援の拡充も必要だろうと思います。そうして一つずつ頑張っているんですが、それらを今後、WBC的というか、戦略的活用をするのが必要であると思います。この話は、後で、一番最後のスライドでお話しするつもりです。
 それとは別に、少し中長期的な取組を考えていかないとなかなか国際社会における役割とリーダーシップは取れないんじゃないかというのが私がこの分野で二十年ぐらいずっとやってきたほぼ結論に近い形です。
 一つは、オールジャパンで取り組んでいく。そのために、人材養成として国際保健コンソーシアムとか、あるいは医学部の教育の国際化なんていうこともとても大事なことだと思います。
 私自身は、医学部にいたときに、外国人を診療するなんていうことは一回も習ったことがありません。そして、海外の病気のことも、アフリカのマラリアも一回も習ったことがありません。今、日本の多くの医学部でそういうのを教えたいと。教えたいけれども、自分の医学部にはそういう教える先生がいないという大学の方がまだ多いです。実は、そういう教育をすることが日本にいる外国人の診療にも役に立つわけです。そういう意味でいうと、医学部教育の国際化ということも今後やっていかなければいけないと思います。
 長期的な取組では、最後のところで国際ジュニアの育成についてお話ししたいと思います。
 まず最初に、そういう中で、ちょっと私がやってきたことを簡単に説明してみたいと思います。
 一つは母子手帳の話ですが、ここにお持ちしましたが、これがインドネシアの母子手帳で、これがバングラデシュの母子手帳。去年の十一月に母子手帳の国際会議をしまして、約十数か国から四百名の方が集まってくれました。多くの国では、こういうふうにして、自分たちの国で、日本の母子手帳の、中身は日本の母子手帳じゃないんですよ、もう自分たちの国のものなんですけれども、母子手帳というアイデアをもらって、そして自分たちの国でやっていきたいというふうに思っています。これ、もしよかったら回していただいても結構です。中は色付きで本当に、日本の母子手帳とは随分違って、各国なりの工夫がされています。
 私がとてもうれしいなと思うのは、こういう母子手帳の会議があると、この前もトルコとかブルネイという国は、この話を聞き付けて、自分たちの国でも是非やってみたいと。だからといって、自分たちの国のお金で人を呼んでやってくると。ところが、この後、今度、実際そこの国に協力しようと思うと、実は、いろんなところ、JICAにも協力してほしいというんですけれども、そのお金が日本からなかなか出にくいと、こういう事情があります。
 そして、次にNGOです。これは、たまたま一つのNGOを出しました。私自身がHANDSというNGOを十年前につくって、今アフリカなんかで母子保健のことなんかをやっていますが、こういうNGOを、単に大学で研究するだけじゃなくて、一つのNGOを持って活動しているといろんなことが分かってきます。特に驚くのは、やはり最近、日本の若い人たちがこういうNGOで本当にいい活動をしたいと。ですから、募集を掛けると何十人とすばらしい人たちが応募してくれます。そういう人たちにスーダンとかエジプトとかケニアとか、そういうところで今現在活動してもらっています。そういう人たちをどう今後活用していくかということになるかと思います。
 そういう中で、国際保健コンソーシアムというのをつくりました。感染症対策なんかをしていくときに、やはり最後は、日本が生きていける道は、いい人づくりを、日本人の人づくりをしておくことなんだと。そのためには、オールジャパンでやっていく必要があるだろうと。大学とか研究機関とかNGOとか政府とかばらばらでいくんじゃなくて、みんなでまとまったプラットフォームとしてコンソーシアムをつくろうと。
 欧米と対抗するにはなかなか一つの大学、まあ私どもの大学でも対抗するのはほとんど難しいです。ただ、国際保健をやっている日本のオールスターチームなら世界的にも対抗可能です。そして、そういうチームをつくって、顔の見える援助というためには、重要な国際会議に経験と学識を持った有識者を継続的に送り込んでいきたいと。実際、人材育成するときも、ODAだけではできないし、学会だけでもできないし、大学だけでも駄目なんで、みんなで手を組んでやっていこうじゃないかということでこういうのをつくりました。
 今、一月にできたばっかりなんですけれども、早速いろんな加盟機関ができて、ここにありますように、登録された人材と、そして人材を求めている機関をマッチングして、そして人を送っていこうというシステムです。まだ動き出したばかりですが、私たちは、十年後にいい人材が日本から飛び立っていけたらいいなと思って、そういう思いで現在始めました。
 でも、これもちょっとだけここで申し上げると、私たちは実は三人のこういう有志で、お互いみんな研究班を持っている研究班のリーダーなんです。私もそのうちの一人です。三人の人が集まって、研究班でお金を持ち寄ってこれをつくったんです。これはこのままではもたないのは分かっています。これは何かの形で、将来どこの機関が持つかはまだ未定ですが、厚労省の方たちにもお願いして、きちんと国なりなんなりの形でサポートしていただきたいということで現在動いています。
 そして、もう一つ。これは、まだかなり、中期的ではなくて長期的な部分で是非将来考えたいことが国際ジュニアの育成にあります。それは、私たちがやっているのは国際協力です。これの最もいい理解者が、日本には、日本の中で在日外国人の子供たちでいます。
 この前、群馬県に行ってきました。群馬県の太田市に行って、そこの子供たちといろいろ話していると、高校に入学前の子供たちが、将来は絶対僕は日本とブラジルの懸け橋になりたいんだ、そのために僕、高校へ行きたいんだと言っているわけですね。高校へ行きなさい、頑張りなさいとは言ったけれども、その後、彼らを本当に懸け橋として私たちが受け入れる社会になっているのかどうか。本当は、彼らこそが国際交流の懸け橋の重要な人だと思います。
 また、海外に行ったときに、在外日本人で、今、海外に就学年齢の子供たち、日本人学校にいる子供もいるし、アメリカンスクールとか海外の現地校に入っている子供もいますが、これが五万人います。この人たちも、何らかの形でもっと国際協力の、人材です。私たちのところの大学に、国際協力、こういうのをやっていますと随分、若いときに、子供のころにマレーシアの日本人学校にいた子供たちというのなんかは国際協力でやってきます。そういう意味では、こういう人たちも大事です。
 また、日本人の中の留学生、現在、留学生が十一万七千人いますけれども、この留学生をどうその後、国際協力の中に入れるか。実は、感染症対策なんかでいいますと、私たちはこの留学生に随分頼っています。というのは、例えばバングラデシュの何とかという地域の感染状態がどうなっているかというのは、そんな細かいことは私たちなかなか分かりません。でも、そこの地域に日本から留学して戻った私たちの卒業生がいると、もうメール一つで、あそこでどうなっているかという情報が手に入るわけです。本当に日本に留学した人たちは、私たち感染症対策、国際協力をするときの最も重要なキーパーソンですが、現在はそれは完全に個人的なつながりでしかありません。その人たちに十万円、二十万円の研究費を渡したいと思っても、それがちゃんと出るシステムにはなっていないというのが日本の現状です。
 そういう中で、かなり最後に近くなってきましたが、私が思っているのは、既存システムのWBC的活用ということなんですが、WBCというのは、今回オールジャパンで日本が優勝しましたが、そのとき非常に大事な、私たちが忘れてはいけないのは、あのとき、日本にいる日本人だけではなくて、大リーグにいる日本人も一緒になって私たちがチームをつくったということなんですね。
 現在、国際機関に日本人は余りにも少ないです。例えば、先ほどお話のありましたグローバルファンド、世界基金は、日本はあれだけすばらしい支援をしています。そこに四百七十人の定員がいます。日本人は二名だけです。それで、何とか増やせないかということで私たちも協力していますが、これは、そんな言われて急に今すぐ見付けるんじゃなくて、五年後、十年後を目指して、五年後に世界基金に二十人、三十人を送るにはどうすればいいかと、もうちょっと五年、十年のスパンで見た人材養成が必要です。
 そのためには、垣根のない人材の交流システム。ODAの役割としては、もっとNGO出身者をODAの中に取り入れるべきでしょうし、国際機関経験者を重要なポジションの課長とかそういうところに就けるべきでしょうし、大学の方は随分、最近、人材プールのバッファーとして大学ができるようになりました。
 でも、今度は、文部科学省の方の立場としたら、初体験の場としてNGO、NPOをもっと活用できるんではないだろうか。具体的に言えば、日本の大学で、ポスドクといって、ドクターコースを終わったばかりの人は国内では月三十万円ぐらいもらって、そういう人たちを若手研究者の育成としてやっています。でも、その人は、海外に出て同じ研究するのに、NGOで働いてスーダン難民のために頑張って何か研究したいですというのは、これは認められていません。やっぱりそういうふうな、国内で頑張る日本人だけを育成するんじゃなくて、国外でやっていける人をきちんとサポートできるシステムが必要なんだろうと思います。
 そして、二つ目は、国際協力の成果を英語で発信するシステム、仕組みです。
 先ほど、高村外務大臣がランセットに投稿してすごくインパクトがあった話をしましたが、日本にもすばらしいプロジェクト、JICAのプロジェクト、NGOのプロジェクト、あるいは海外青年協力隊ですばらしい活動をした実績はあります。それをただ英語でまとめて発信するというのは、またこれは別のことです。
 欧米ではどうしているかというと、こういうのは、少し予算を付けて、特別のライターがいて、そのライターが書くんですね。それで、本当に一件二百万円か三百万円、そのくらいの数百万円のお金があれば一本ずつできるんです。それは現在ないんです、日本は。だから、発信することにお金を使う、ソフトにお金を使うということが必要だろうと思います。
 最後に、実践的な国際協力研究の推進。
 感染症対策は、単に経験値だけでは進みません。やはり、こういう対策をしたらどれだけ良かったかというきちんとしたエビデンスに基づいた研究が必要です。そのためには、研究費の配分を増やせば確かに若手研究者は増えます。でも、このときには各省庁をまたがった戦略的な活用が必要なんです。
 例えば、今、海外青年協力隊でエイズ対策隊員というのが百名行っています。行ってきて戻ってきた人を今度、例えば文部省のお金で研究費を付けて、もう一度そこで勉強してきなさいとやる、あるいはその一部分を外務省がJPOという形で、国際機関に行くんだったら国際機関にそれで派遣する、こういうふうにして各省庁がうまく戦略的につながったときに人は育っていくわけです。現在、それがまだまだできていない気がします。
 そういう中で、海外の日本人専門家をいかに巻き込むか。これは、私の友人で、カロリンスカでマラリアのすばらしい研究をしている人もいます。アメリカのチューレーン大学で感染症対策でアメリカ人を教えている日本人もいます。そういう人たちが私たちのチームになかなか入れないんですね。一緒になってやるというのが研究費の面でも非常に難しい。でも、これを今、こういうグローバルな時代に官庁の枠を越えて、そして、その人が日本にいるか、アメリカにいるか、スウェーデンにいるか、そんな枠も越えて、やはりオールジャパンとして頑張っていきたいというふうに思います。
 長くなりました。一番最後のスライド、これで終わりますが、こういう機会で、是非これだけは僕、皆さんに言いたかった最後のことがこれなんですが、二〇〇三年に、WHOの前事務局長のリーさんがこのような話をしていました。母と子供の健康課題を復権し、政府や国際機関の重要な課題にすべきである。そして、死に直面した子供たちに手を差し伸べなきゃいけない。長期的な取組として、地域レベルの公衆衛生の能力強化が必要だよ。これは六年前にWHOの方が言ったことで、このことを僕は小児科医として、ああ、これこそ日本が必要としているんじゃないだろうかと思っていました。
 その後、日本でも今、医療の、特に小児の救急医療の問題は大きな問題になっています。実は、このときにもっと手を打っておけばもっと違う形になっていたかもしれません。国際協力で出てきた話は、そこで終わりじゃなくて、その成果あるいはそこで得た知識は日本国内にもすぐに還元できるはずですし、そういう日本国内と国際協力のネットワークがもっとうまくできればいいな、そんなことを思っています。
 長くなりましたが、これで報告を終わらせていただきます。
#15
○会長(石井一君) どうもありがとうございました。
 五十分の予定が一時間二十分経過いたしております、熱心な余り。結構でございますが、委員の御質問はできるだけ簡潔に要を得たやつをひとつお願いしたいと存じます。
 どうぞ、お願いします。
 加藤理事。
#16
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 政府の二人、参考人の二人、大変ありがとうございます。
 中村参考人、今、様々な点から非常に有益なお話を我々、伺ったわけでありますけれども、既存システムのWBC的戦略的活用ということで、なるほどなと思って聞いておりました。
 これ、外務省に、是非この辺の点について質問ということになるんですけれども、とりわけ二番目の国際協力の成果を云々と、こういった面については、何か余りやっていないという中村参考人のお話でしたけれども、こういった面について今後どのように考えるかという点が一点。
 それから、様々な感染症、エマージングのそういう新興感染症がございますけれども、これ、先日もこの調査会で少し話をいたしました。バイオセーフティーレベル4という第一類の感染症の関係については、極めて大変な感染症でありますから、バイオセーフティーレベル4という施設について、これ、国際的な展開というのがかなり進んでいるように私はとらえておりますが、とりわけアジアにおいてどういう展開のされ方をしているか。
 これは、日本は3レベルまでは施設としてあって、かつまた活動している状況でありますけれども、4レベルについてはなかなか、施設としてはあるけれども、実質的な稼働はしていないというふうに聞いているわけですね。日本としては、主要な先進国の一つとして、こういう大変な厳しい感染症というのが国内で航空機含めて入ってきたときにどう対応するかというのは、非常に周辺諸国に対する責任の問題もあり、それからまた、アジアにおけるこのP4の関係の施設とどういう形で共同的に連携をしてやっていくことができるかどうかというのは極めて重要じゃないかなと思っております。
 したがって、何が言いたいかといいますと、国内におけるバイオセーフティーレベル4ということについての、これは、しっかりとらえて稼働させるような状態にしていくことがやっぱり国民の健康それから生命を守るという観点から考えても非常に大事であると。また、周辺との連携をこういった中でどういうふうに将来的にやっていくかというのは極めて重要だと思っておりますので、この辺について外務省としてはどういう取組を国際的な展開という中でやられているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#17
○会長(石井一君) 中村参考人、どうぞ。
#18
○加藤修一君 中村参考人は、先ほどWBC等の戦略的活用についての御説明がありましたので、それを外務省としてはどういうふうに今後とらえていくか、お考えかという点が一点目だったわけです。
#19
○政府参考人(小田克起君) 御質問二点で、中村先生の御指摘になられた、その成果を英語で国際的に発信していくという御指摘でございます。
 全く何もしていないということではなくて、ODA白書その他、発表しているものも英語版を作ってホームページ等に載せているというのはございます。ただ、一つ一つの成果物というふうになると、そこまで手が回っていないということもあろうかと思いますので、今後、そうした御指摘も踏まえてできることを考えていきたいというふうに思います。
 それから、二点目のP4の施設の話でございますが、加藤先生から、国内の施設という御質問をいただいたんですが、ちょっとまあ私ども国内の方はなかなか、それ自身担当しているものではないので、どのような展開になっているかというのはちょっと承知しないところですが、海外への取組としましては、先ほど冒頭、私も御説明しました中で、例えばベトナムでは、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ対策でP3レベルの施設整備の協力は行ったという例はございます。
 ただ、P4というのは天然痘など極めて危険な病原体を扱う施設に求められているレベルだということで、まだ世界的にもそんなに数が多くはないというふうに聞いていますので、例えば私どもが途上国がそういうP4レベルの施設を造るといったことへの協力ということは、そんなに高い優先度ではないんではないかというふうに今のところ認識をしているということです。
#20
○加藤修一君 一九八七年にラッサ熱の患者が日本に帰国をしたケースがありますけれども、これ、そのときは、検体というか、病原菌を分離して同定させると、そういうことについては日本ではできなかった、これP4の関係でありますから。それで、当時はアメリカのCDCにそういう確認検査を依頼して確定診断したというケースがあるわけですよね。これは一か月も掛かっていると。確定診断する間に、それ、隔離はさせていることだと思いますけれども、そういうことが機敏に国内的にできないようじゃ、周辺の諸国に対する役割としては、私はもうちょっと頑張る内容じゃないかなと、こんなふうに考えております。
 それで、先ほども言いましたように、先進主要国の一つである日本がアジアのそういった面等を含めてしっかりこれはやっていかなければいけない問題だと思っていますので、是非こういった面についても着目して新しい展開をしていくべきじゃないかなと、このように考えますけれども、どうでしょうか。
#21
○政府参考人(小田克起君) 加藤先生の御指摘いただいているのが、ちょっと私どもの頭のこれまでの発想と随分違う、まさに海外から国内に戻られた人がP4レベルの施設対応が国内でできないというふうな問題と、そういう文脈での御質問かな、あるいは御指摘かなと思いますんで、その文脈ではなかなかちょっと私どもも難しいところがあるんですが。
#22
○加藤修一君 いや、私の言わんとしていることは、蔓延するとか伝播するとか、そういったことが国内にとどまるという話じゃないということを言っているんですよ。それが海外に当然伝播する話になってくるんで機敏に対応しなければいけない、そのためにはP4的な施設についても十分国内的な対応をしなければいけないということを言っているんです。
#23
○政府参考人(小田克起君) ですから、国境を越えて非常にそういう感染症なりが蔓延する危険が高いという御指摘はそのとおりだと思います。ただ、それについて国内でどのような対策施設を造るかというのは、大変恐縮ですが、それはやはり厚生労働省の所管されることではないかなという気がいたしますね。
#24
○加藤修一君 いや、私は日本国内と海外の諸国との連携したプレーが必要だということで言わせていただいているんです、先ほどから。
#25
○会長(石井一君) それでは、次に福山哲郎君。
#26
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中、貴重な意見をいただきましてありがとうございます。非常に示唆に富んだお話をいただきまして、私も感じることがたくさんありました。ひとつ、悩ましい問題なので、明確な回答がいただけるかどうか、逆に個人的な意見でも結構ですので、御指導いただきたい。
 まず、浅野先生と中村先生にお伺いをしたいと思うんですが、浅野先生の言われた九一年の国連人道支援強化決議の災害主権という話です。私は、大変そのことは当然のことだと思いますし、被災害国の要請によって行われることも当然だというふうに思っております。
 しかしながら、近年というふうに特筆していいのかどうかはよく分かりませんが、先ほど大森統括官からもお話がありましたように、二〇〇四年の津波、ミャンマー、バングラデシュ、フィリピン、これ、非常に大規模です。特に、ミャンマーとかスリランカ等のときには、私はスリランカも津波の後行ったんですけれども、政治体制と災害に対する支援が本当にちゃんとマッチしているのかと。要は、災害の規模に応じて対応できるような政治体制なのかということにいつも悩みながら現地を見るんです。
   〔会長退席、理事川口順子君着席〕
 ミャンマーのときも、実は私の前の政策秘書がAMDAでミャンマーのまさに保健衛生の代表をやっていたので現地の状況がよく分かるんですが、実際に、まさにさっき中村先生がおっしゃったように、現地の人間に電話をすると、こういう状況ですからこういう支援があれば助かると思いますというのを行った人間から直接、人とのつながりでいけるんですが、じゃ、それを我々が政党なり政府なりにやれと言っても、ミャンマーの国内体制、政治体制の問題で非常に大きなブロックがあります。
 実は、中村先生が先ほど言われた三つのコミットメントの中の、死に直面した子供たちに手を差し伸べるために効果的な介入を大きく展開をすることと、先ほど言われた災害主権を大切にするということの話は、非常に私は、大規模災害とそれぞれの政治体制を考えるときに悩ましい問題だというふうに思っておりまして、そこをどう我々自身として乗り越えていくのかとか、日本が日本国としてどういうふうな形でそこを乗り越えて対応していくのかというのはやっぱり今後の課題だと思っておりまして、そこについて浅野参考人と中村参考人に御意見をいただきたいのが一点です。
 二点目は、中村先生のお話を聞いていて非常に僕は共鳴をしたんですが、日本はNGOや国際機関で働きたいという若者はどんどん増えています。積極的な学生も若者も多くなっています。しかし、先ほど象徴的に言われた海外青年協力隊にしてもそうですし、いろんなNGOで経験をしたこともそうなんですが、その後のキャリアパスが日本は見えないんですね。その後のキャリアパスが見えない分だけ実は、先ほどの先生のお話でいう、情報がある種の人間関係にとどまって共有化できないとか、国際社会で本当は活躍している人材を、評価できないとは言いませんが、評価なかなか社会がしにくい形になっていると。
 ここを乗り越えないと、志があって海外に出て本当に汗をかいて頑張っている若い人たちに対する社会のインフラを整えていくことが僕らにとってやっぱり急務の課題だと思っておりまして、先生は幾つか例示を挙げていただきましたけれども、先生、謙虚な方なので非常に小さい話をされまして、この程度では国際社会に活躍する若者をキャリアパスも含めて頑張れと我々が背中を押せるようになるにはちょっとまだ足りないと私は思っているので、もう少し壮大な、構想でも結構ですので、夢物語でも結構ですので、先生なりにお考えがあれば御指導いただければと思います。
 以上、二点でございます。
#27
○参考人(浅野壽夫君) 先生がおっしゃった点については非常に悩ましい問題だと私は思うんですけれども、実はこの人道支援、九一年の支援というのは、一九八八年のアルメニア地震のときに国際社会が地震に対して大量に押しかけたと、その中で混乱を来して、いわゆるアルメニア政府がコントロールできなかったというところに端を発してこういう決議になったんですが、そのほかに、ややもすると、欧米では災害というのを紛争を含めて災害というとらえ方をしております、UNOCHAの。そうすると、災害主権がきちっとしていないと紛争まで及んで入り込まれるという危険もあるんだろうと思うんですね。
 そこで考えた場合、私、一九九四年のインド洋の津波災害のときにJICAで緊急援助隊の事務局長をやっておりました。その際に、十二月二十六日にあれ、発災をしたんですが、実は、年明けに第一陣が入ったと記憶しておるんですが、その前に、二名ないし三名のJICA職員を既に現地に派遣をしております。これは、要請を受けないで、普通の観光というんですか、そういう態勢で派遣をしておりました。現地の状況を、ニーズを集めて、そして妥当だということで本格的な派遣につないだと。そこはやっぱり、先ほども申しましたように、先遣隊とかという形でとにかく先へ入っちゃおうと、いろんな形で。それはもちろん、在外公館の皆さん、こういう事態になってすごい努力で要請を取り付けておられるんです。それがなかなかミャンマーのときも四川のときも難しいというんであれば、そういう形で入るなり、あるいは先ほど申しましたように、私見なんですが、NGOとの連携の中でNGOから情報をもらうとかというような形での考え方も一つあると思うんです。
 いずれにしても、そういう形で、人の命という観点でいけば、政治体制、日本人だと何を相手政府はやっているんだろうなと思うんですけれども、国際社会の中のルールというものはやはり尊重しなければならない。ただし、UNOCHAなどは、最近は、国際アピールがあればある程度主権は考えずに派遣できるというような考え方も出てきております。そういう風土を国際社会の中でどんどんどんどん広げていけば一つの手法としては考えられるんではないかと、私見ですが、思います。
 よろしいでしょうか。
#28
○参考人(中村安秀君) 一つエピソードを申し上げます。
 十年ぐらい前になりますが、コソボ難民で、難民キャンプに日本人として真っ先に私は入ったことがあるんです。世界各国から、国境なき医師団やユニセフや、もう全部が集まって、毎日ミーティングがあったんです。今日は何をするんだ、今日はあそこに難民が出た、そのミーティングに出ていました。
 でも、その世界もう五十人ぐらい集まってみんなでわいわいやっているミーティングを仕切っているのがアメリカ人の若い人だったんです。後で、あなたは幾つだと聞いたら、三十三だとか言っていました。三十三で、本当、世界中から集まるんです。そこに私たちみたいなちょっと年取ったのがアドバイザーでアドバイスはするけど、先頭を切っていくのは三十代なんですね。やっぱりそこにみんなその人を選んで、それで世界は、信頼して若い人を選んでそのポジションに就けて信頼してみんなで後押しする、これがやっぱり日本社会に必要なんだと私は思っています。
 そういう意味では、例えば青年海外協力隊で行ったら、戻ってきたら、確かにちょっとまだ少し技量が足りないとか英語が下手だとか、少しはあるかもしれないけど、いいじゃないかといって、日本の枠で国連職員に例えば十名とか二十名ぼおんと出して、そしてそういうところでまたトレーニングして今度、専門家にしていくとか、ちゃんとそういう若い人たちのルートをつくってあげる必要があるという気はします。
 そういう中で、発想を変えるのでいえば、ちょっと外務省の方がいるんで申し上げにくいですが、正直に言えば、外務省やJICAの局長なんかにNGO出身者がぼんとなるというのが普通になるような社会であってほしいと。それは、フランスなんかはもうNGO出身者が外務大臣になったりいろいろしていますよね。やはり、かなりどこか思い切ったことは初め必要でしょうが、NGO出身者が大使になるとか、そういうふうないいモデルをつくっていくことが将来に僕は役に立つんじゃないだろうかと。
 それで、海外青年協力隊でもうかなり年数もたっています。できたら、海外青年協力隊で若いときに行った国に、その人が何年か、何十年か先に大使になってその国に行くとか、そういうやっぱりお話を作ってあげることが若い人をエンカレッジするんじゃないかなと、そんな気がしています。
#29
○福山哲郎君 先生、主権の問題についてもう一言。
#30
○参考人(中村安秀君) さっきのミャンマーの方の主権の話ですか。
#31
○福山哲郎君 いや、ミャンマーだけじゃなくても結構です。
#32
○参考人(中村安秀君) これに関しては、私はちょっと二つのことを覚えています。
 一つは、中国もミャンマーもそうでしたけれども、私はジャパン・プラットフォームというところで少し関係しています。そのときに、実際に、おっしゃるように、物すごく主権の問題があって行くのが難しいというのはありますけれども、ただ、驚くぐらいに、ミャンマーの場合でも、そこの企業の人が日本のNGOを受け入れてくれたり、中国でも、すごい民間レベルで受入れというのは結構してくれます。ですから、政府の政治体制とは別のところで人々同士のつながりというのがとても大事だなという気がしました。
 もう一つは、すごくそのときに日本のNGOで驚いたのは、本当に政府が入れないところに日本のNGOがミャンマーとかでも物すごい奥まで入っているんです。なぜ入っているのかというと、ふだんその人を日本に呼んで一緒にあちこち回ったとか、人と人とのつながりなんですね。ですから、僕は、政治というのも大事ですけれども、政治のトップ交渉だけですべてを解決するんじゃなくて、私たちは必ず民間レベルのチャンネルというのを持っておくことが、こういう大規模な大変なことが起こったときでも、政治体制が動かなくても、でも実際何かできるという一つの形になる。そういう意味では、両方そういうチャンネルをふだんから持っておくことが大事かなと、そんな気がしました。
#33
○理事(川口順子君) 佐藤先生。
#34
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 私も現場の人間として、今、福山委員の方から質問があったように、非常に現場でいつも混乱するのは、支援の競争になってしまうんですよね。支援の競争になってしまっていて、それが計画性を持って、さっきの浅野参考人が言われたように、緊急の段階から、あるいは実際、緊急と復旧というのは途中から重なっていって、次、復旧と復興が重なっていって、復興をやりながらまた防災とシームレスで大体いくんですけれども、だれも一貫性がある戦略を持っているわけではなく、その場その場で自分ができるものを取りあえずやっていくというふうな感じが、やっぱりイラクでもそうでしたし、みんなそんな感じがあります。
 私の考えは、国連のOCHAでも、あるいはアメリカがやるならUSAIDでもいいんですけれども、どこかが、その国に対して国際の、それ以外の国の方は、どこかが調整をするような役割分担というのを日ごろから決めておくと。その人間は、シームレス、最後の復興のあるいは防災の分野で全部面倒を見るというぐらいの枠組みをつくっておいた方がいいのかなという感じがしています。どうしてもその段階、段階ごとにつまみ食いをやっていると。
 実は、私は、先月ミャンマーのまさにデルタ地帯の方に、奥地の方まで入ってきました。大体サイクロンが発生して一年弱なんですけれども、案の定、みんなばらばらの状態で、日本のNGOも含めてできるところをやっていると。日本の外務省からも予算が付く、付かないと。付いたものだけやっていると。あるいは、先ほど中村参考人が言われたように、商工会議所と連携したような鼻の利くNGOは商工会議所と連携をしてうまくやっているし、そうではない日本のNGOは高い金を使って違う形のものをやっていると。
 非常にばらばらの状態が今の状態で、もうすぐサイクロンの季節来るのに、まだ防災系統の整備はほとんど進んでいないということを考えると、やっぱりどこかが、向こうの国は国として仕方ないんですけれども、国際の方で、NGOまで含めて、軍を使う場合もありますが、含めて、どこかが窓口になるというやつをつくっておくという努力もいいんではないかなというふうに私は思います。
 それについての御意見を聞きたいのと、もう一つ、日本のNGOの方々と全部話したんですけれども、彼らと私の同じ共通点は、日本のNGOにもそういうコンサルティングみたいなNGOをやっぱりつくるべきだと。さっき中村参考人が言われたように、実際、現場の方でやるんではなくて全部調整しかしないと。あるいは、地方のガバナンスに対して支援をするとか、そういう実際、現場の方で手を下すんではなくて、調整あるいはコンサルティングだけをやるNGOというものもやっぱりこれからつくっていかないともう現場がばらばらになってしまうという意見がありました。これについての御意見を浅野参考人から聞きたいと思います。
 それと、外務省の審議官の方にお伺いしたいんですけれども、やっぱりほかの国際社会と日本を比べて思うことは、自然災害と政治災害、迫害のようなものあるいは紛争災害について、法律が日本の場合は全部違うので、何かやろうとした場合、あるいは所掌する役所が全部異なるので、自然災害であれば外務省だし、紛争災害等であればそれは内閣府だし、場合によっては、特措法になれば内閣官房と、みんなばらばらになっちゃっているんですね。そういうことを考えると、ちょっと合っていないなと。国連の場合は、もうUNHCRであろうがUNDPであろうがユニセフであろうが、自然災害であろうがそういう紛争災害であろうが、やっぱりどんどん入っていくわけですね。ちょっと何かその辺が、マッチングがいつまでたってもこれがいかないと。
 これは、法律ができたときが、生い立ちがみんな違いますからもう今この状態になっているんでしょうけれども、やっぱりいずれは、このひずみというのがどんどん広がってきていますので、どこかの段階で、もう少し法を整備するなり、何かもう少しマッチングするということもありかなと個人的には思っているんですけれども、それについての外務省、個人的な見解でもいいですけれども、お考えを聞かせていただければと思います。
 以上です。
#35
○参考人(浅野壽夫君) 一番目の現場の援助の機関がばらばらだというお話なんですが、実はUNOCHAでUNDAC、先ほど申しましたチームということで、被災国で、現地の災害本部はもちろん政府が立ち上げると同時に、そのUNDACチームが派遣されることによってUNOCHAの国際社会の現地本部も立ち上げるシステムになっています。実際にそういう形でいろいろ行われている形です。
 問題は、現地の政府のものと国際社会、いわゆるUNDACが立ち上げた、国連が立ち上げた現場でのコーディネーションというのがもう少し緊密になる必要があるかと思いますけれども……
#36
○佐藤正久君 NGOも入るんですか、そこに。
#37
○参考人(浅野壽夫君) NGOは入っていないと思いますけれども。
 それで、もう一つは、NGOは、日本の場合、パキスタンでもインド洋の津波のときでもそうだったんですが、先ほど申しましたように、オールジャパンとしての観点では、相互に情報交換をしたりという形で進めています。
 現場でのもう一つの話は、パキスタンのときに、現地での医療チーム、実際に救助チームが、毎晩、毎晩援助機関、NGOも一部入っていたと思いますが、現場でのミーティングを開催して、日本がイニシアチブを取って、こういう状態をどうするんだ、今度あっち行ったらどうだろうかという形での現場でのミーティングは結構開かれているというふうに聞いております。
 それから、調整型のNGOという話なんですが、確かにおっしゃるとおりなんですけれども、実は調整型のNGOというものが現場で、そのNGOが現地でかなりの政府に信頼されているような形でないとやっぱりいけないと思うんで、できればNGOも、援助する側の政府の後押しとか援助される側の政府の裏付けみたいな、後押しみたいな形での選定をして進めていけば可能かと思いますけれども、いずれにしても、政府の援助とNGOの援助というのはこれからも、感染症の問題もそうなんですけれども、コラボレートしていくというのは非常に大事なことであると考えております。
 私は出身が先ほども申しましたようにJICAでありますんで、余り政府のというか、ODAの悪口というのは天につばを吐くような感じになるんですけれども、実は、国際緊急援助の観点では非常に政策現場とそれから実施現場ってつながっていて、いろいろな情報をもらってかなり上手に融通を持った支援をしてきたと思っております。それは、とにかく政策、政治よりも人の命ということで外務省の方も非常に重きを置かれていたんだと思います。あとは自衛隊の問題ももちろんありますけれども。
 それでよろしゅうございますでしょうか。
#38
○参考人(中村安秀君) 今のにちょっと引き続いて短く追加させていただきます。
 調整機関に関してのことでいうと、私は、東ティモールもアフガニスタンもアチェも、その後どうだったかという評価で行ったことがあるんですけれども、そのときに、驚くぐらいに日本は、ODAもJICAもNGOも緊急のときはオールジャパン体制というのは結構できているんです。外務省も大使館もNGOも敷居が低くて、NGOの人がすぐやってきて、あそこでこれが起こったって大使と相談して非常に緊急時はうまくいっているんです。ただ、その緊急時がずっと時間がたつにつれてお互いの垣根がだんだんできてきているという、そういう意味では、緊急時にそういうできた調整体制を、オールジャパン体制をどう緊急から復旧、復興へというところへもつなげていくかというのが一つの課題だろうというふうに思っています。
 もう一つは、NGOのコンサルティングができるようなNGOというんですけれども、コンサルティングまで行かないですけれども、今、ジャパン・プラットフォームというのがかなりの調整機能を持って各NGOが現地に行ったときにそこのNGOと大使館と企業との結び役をやる、あの機能をもう少し僕は強化すればいいのかなと、そんなふうに思っています。
#39
○政府参考人(小田克起君) 個人の考えでもよいというお許しをいただきましたので、ちょっと個人の考えも含めて御説明させていただければと思います。
 先生の御指摘は、自然災害起因の場合には国際緊急援助隊を派遣する法律という法律があって、これは外務省が所管している。それから、紛争起因の場合の災害は、これはPKO法で内閣府の方にPKO本部があると。法律も違う、それから所管省も違う、もう少し一体化できないのかというふうな御指摘だろうと思います。
 この経緯自体は、まず最初に緊援隊を派遣する法律があって、その後PKO法ができたときにそういう仕分というのができたと。そのときに、たしか自衛隊も緊援隊として派遣できるということと併せて、そういう自然災害ケースと紛争ケースというので分かれたというふうに承知しています。
   〔理事川口順子君退席、会長着席〕
 それを法的にどうするかというのはまさに国会の御判断だろうと思うんですが、私ども外務省国際協力局は緊急援助を担当していますので、その観点で申し上げますと、緊急援助を行うときにやっぱり一番大切なのは迅速性だと思っています。先ほどから先生からも御指摘がありましたが、今は、海外からの要請を受けて、これは大使館が受けて外務省につながって、外務省から関係する省庁にお願いをして、救助チームは要請を受けて二十四時間以内に成田を立つということを行っております。それから、医療チームは四十八時間以内に成田を立つということで、まさに迅速な対応を心掛けているということであります。
 これは、こんなことをこの場で申し上げて大変恐縮なんですが、国会との関係で申し上げますと、事後報告で済ませていただいているんです、こういうところへ派遣をしましたと。一方、PKO法の場合には、いろいろな御議論がなされて、国会との関係で様々な御議論がなされていると思いますが、事前承認といったお話もあります。そうすると、緊急性というのがどこまで担保できるのかというところがそこで議論になるんではないかなと思います。
 ですから、自然災害対応、紛争対応でいろんな支援を行うということを一つの大きな枠組みでもし御議論されるとしても、自然災害に対応した緊急援助というものは迅速に対応しなければいけない。現在の緊援隊派遣法、あるいはそれを外務省が所管しているということが、要請後、二十四時間で救助チームを派遣することができる、四十八時間以内に医療チームを派遣することができると、この迅速性を担保しているんだと思いますので、これは大切にしていただきたいというのが私の個人的な考えでございます。
#40
○佐藤正久君 それで、この前、ガザの紛争の後の緊急援助物資輸送、緊急援助をやったんですけれども、停戦後、これはPKO協力法なんです。でも、実際的には同じように迅速性が必要なんですよね。だから、そういう面ではやっぱり、現場を見るといろんなそごはあるので、その辺の辺りはしっかりと現場を見ながら対応していただきたいなというのが私の意見です。
#41
○会長(石井一君) ほかにございませんか。
 今日は、非常に濃度の濃いプレゼンテーションを四人の参考人にやっていただきましたので、時間が大方やってまいりましたから、質疑の時間はこれで締めくくりたいと思うんですが、私が一人の委員としての立場から一言、二言申し上げたいのは、国際的な協力等々については相当進んでいるし、これまでの体験、経験もあると思うんですが、話題がそれるようですけれども、我が国の最大の危機は東京が大きな地震その他、テロでやられたときですよ。これぐらい危険度の高い都市はないんですね。世界でも随一、ずば抜けて危険度が高い。それは、ミュンヘン辺りの再保険会社がどれだけほかの都市に比べて、二位、三位はサンフランシスコ、ロサンゼルスですけれども、五倍、十倍のチャージをしてくるんですよね、東京に対しては。しかも、その集中度というのが、行政、司法、立法、マスコミ、その他、すべてこの一点に集中しているんですよ。もし仮に、マグニチュード七・二が阪神・淡路ですけれども、それより以上のことが来てごらんなさい。この国は直ちに即死しますよ。どうにもならなくなりますよ。
 だから、海外のことも必要なんだが、今日の話題じゃありませんよ、この点についても改めて皆さんのような専門家にもお考えいただきたいと思うし、特に大森政策統括官辺りに、そういうことに対してどういうことをやったらいいのか、何か感想があったら一言おっしゃってください。
#42
○政府参考人(大森雅夫君) では、失礼して、一言だけ申し上げたいと思います。
 石井会長のおっしゃるとおりと我々の方も思っておりまして、幾つかの災害の視点から議論も進めさせていただいております。
 まず、地震については、関東大震災クラスの地震というのは海溝型地震といって、もう少し時間が、あるまで若干時間は掛かるんではないかと言われておりますが、そのやはり前にも幾つか大きな地震はあるだろうということが想定されております。したがって、その首都直下地震が起こるとどのくらいの今、被害が出てくるのか、被害が出てきてそれに対してどのような対応をすればいいのか、そういったところは一定の結論も出ていますし、それに対する対応も議論をさせていただいているところでございます。
 それから、やはりもう一つ大きな話としては、災害ということでいくと、水害というのも大きな問題があると思います。あのハリケーン・カトリーナ、アメリカで襲来いたしましたけれども、非常に大きな被害をもたらしています。日本の方に、この首都圏に大きな災害が来たときに、これだけの様々な機能が集積している東京を襲うとどういうことになってくるのかというようなことも現在議論をさせていただいているところで、そういう人的被害、経済被害を減殺するための施策を整理し、その措置を講じていきたいというように感じているところでございます。
#43
○会長(石井一君) もう一言だけ申しますと、私は阪神・淡路の被災者ですよ。私の家は全壊しましたよ。この恐ろしさというのはもう筆舌に尽くし難い。一瞬にして、もう電気もガスも水道もテレビも何も、暗黒社会に入りますよ。そこからはい出す、出るだけでもうやっとですよ。マグニチュード七・二ですから、七・二か七・五が東京に来たとしたら、一挙に十万人ぐらい命が飛びますよ。百万人、二百万人の人間が帰宅不能という状態に入るんですね。だから、立川に基地があるとか、首相官邸がどうしろと言ったってどうにもならなくなるんですよ。
 私は、もうこれは、今日はこの程度でやめますから、一遍、あなた、私の部屋へ来ていただいて、私がじっくりやりたいんだが、今、危機管理推進議員連盟というのが超党派でできています。この問題を議論しておりますが、結論は、司令塔がもう一つ要るんですよ。東京はどうするかというよりも、別のところで司令塔をつくって、東京が一発の下にやられたら立ち上がるのに数年掛かるんですから、そういう態勢をつくるということも別の問題として取り上げていただいて、今日はこの席でのサブジェクトでございませんので、以上をもちまして質疑は終了させていただきまして、この後は議員同士の懇談を少しさせていただきたいと存じます。
 本日は、浅野参考人、中村参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。調査会を代表いたしまして、御両人のますますの御活躍を祈念いたしまして、御礼のごあいさつとさせていただきたいと存じます。(拍手)
 政府の参考人にもお礼を言わにゃいかぬのですが、外部の方には立ってやれと、そうでないときにはそのままでいいということでございますので、どうもありがとうございました。
 それでは、参考人はこれでひとつお帰りいただいて結構でございます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#44
○会長(石井一君) 速記を起こしてください。
 次に、地震等大規模自然災害及び感染症への国際的取組について委員間の意見の交換を行います。
 議事の進め方でございますが、去る四月一日に行った調査の概要と論点整理について調査室長から説明を聴取した後、これと本日の調査を踏まえて委員間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、調査室長から説明を聴取いたします。藤崎第一特別調査室長。
#45
○第一特別調査室長(藤崎昇君) それでは、地震等大規模自然災害及び感染症に対する国際的取組と我が国の支援の現状・課題をテーマにした前回調査会における調査の概要について報告いたします。
 前回調査会では、国際緊急援助隊に参加された警察庁や消防庁の関係者、感染症の国際的な支援活動に従事されている医師の方々をお招きし、活動の現場で得た経験に基づき、支援の現状や課題について説明を伺い、質疑を行いました。その際示された論点等を御参考までに紹介いたします。
 お手元にそれらを整理したものを配付しておりますが、論点の多くは、そこにお示ししましたように、おおよそ二つにくくることができるかと思います。整理の都合上、一つは、支援活動を効果的に行う上での課題、他の一つは、支援を通じ日本への評価を高める上での課題というような表題を付しております。
 以下、こうした区分に従い主要な論点を紹介いたします。
 まず、支援活動を効果的に行うための課題についてですが、これは、更に諸外国、他機関等との連携を十分行う必要があるとするもの、現場で活動する隊員や医療関係者の活動環境を整備する必要があるとするものに分けております。
 前者の連携にかかわるものについて申し上げますと、JICA等を通じた情報収集、被災国からの早期の要請、日本の救助隊の能力や適性についての周知等被災国との十分な意思疎通などが必要である。感染症対策においては、国際ネットワークの構築や情報の交換、欧米との共同研究などが重要である。アジアの感染症対策支援に際しては、一方的な支援ではなく、共同研究を中心とした支援とし、その際、大学等との連携を図っていくべきである。感染症予防には行動変容を促す必要があり、そのためのノウハウを得るには現地で活動しているNGOとの連携が重要である。途上国の感染症対策支援においては、食料、燃料等も不足しており、医療支援だけでは限界がある。
 また、後者の活動環境の整備の関係について申し上げますと、速やかな救助活動、隊員の負担軽減などの観点から、チャーター機の利用等、被災地までの迅速な移動手段を確保する必要がある。効果的な捜索活動には、国内での共同訓練等により隊員間の意思疎通を図ることができるようにしておくことが重要である。感染症支援においては、相手国の医療体制が稼働しているため、活動許可や現地医療関係者との調整等、派生的な活動も必要となるなどでございます。
 次の支援活動を通じ日本への評価を高める上での課題について申し上げますと、収容した遺体に礼を尽くした日本隊員の行動が現地で評価されたことを踏まえ、こうした行動を引き継いでいく必要がある。日本の顔が見える援助という観点に立ち、病院船を派遣するような支援の在り方を検討すべきである。感染症研究の各分野にはその顔とも言える国際的に著名な研究者が存在するが、日本もこうした人材を育てることにより存在感を示す必要がある。保健医療分野での日本の国際貢献について、日本が援助を行っている国際機関などを通じて世界にアピールすべきであるなどでございます。
 これらのほか、ODA大規模プロジェクト実施の際の感染症防止、国際連帯税による医療支援の財源確保などにかかわる発言もございました。
 以上でございます。
#46
○会長(石井一君) それでは、これから自由討議にさせていただきたいと存じます。
 問題の提起がありますので、これに対してのコメント、また、ここで欠落していると思われるような御意見等ありましたら、ひとつ自由に御発言をいただきたいと思います。
 川口理事。
#47
○川口順子君 前回及び今回、非常に、特に現場の経験のある参考人の方々に、大変、核心ついた興味深いお話を伺えたのではないかというふうに思います。
 それで、我が国として今後取っていかなければいけない政策として、やはりいろんな方のお話に共通して挙がってきているのが人材の育成ではないだろうかという気がいたします。
 それで、その人材の育成も、特に今日の中村医師のお話でいろいろありましたけれども、その支援に行くという場だけではなくて、教育から始まって、あるいはその前に、在日の外国人あるいは若くて海外にいた人たちの教育から始まって、その支援の段階、それから将来的なキャリアパスを構築をしていく必要性ということが二日にわたって聞いたお話の中でかなり共通している部分ではなかったかというふうに思いますけれども。
 ということは、これにかかわるいろいろな政策分野において、国際支援という観点から十分なやるべきことがなされているかということをきちんとそれぞれの場において整理をして考えていく必要があるのではないかというふうに思ってお話を聞かせていただきました。
 以上です。
#48
○会長(石井一君) どうもありがとうございました。
 ほかの委員の皆さんも、御感想がありましたらお述べいただきたいと思います。
 島田理事。
#49
○島田智哉子君 民主党の島田智哉子でございます。
 今月の一日の本調査会の参考人として御出席いただいた先生方からも、また本日も、海外拠点における日本の研究者の御活動の状況のお話がございました。感染症の研究として、共同研究の重要性について様々な観点からの御指摘もございました。
 今からちょうど一年近く前になるんですけれども、横浜でのTICADWの開催に合わせまして、本院のODA特別委員会に、ムタンゴ駐日タンザニア大使とオバム駐日ガボン大使が参考人として御出席くださいました。その際の御議論の柱の一つは、まさに今後のアフリカにおける感染症対策でございました。
 こうした海外共同研究拠点というのは、五年や数年の期間内で評価できるものではなくて、やはり長期的に安定して運営していくことができる基盤が必要になると思います。そうした意味では、こうした活動について、我が国として、今後、運営資金の確保も含めた対応の在り方について改めて調査を行うことの必要性を強く感じました。
 以上でございます。
#50
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 加藤理事はいかがですか。
#51
○加藤修一君 今日、論点整理の報告がありまして、アジアの感染症対策支援に際しては、一方的な支援ではなく、共同研究を中心とした支援とし、その際、大学等との連携を図っていくべきであると。
 これは先ほど私が外務省にお聞きしたわけですけれども、中村参考人からはエイズ、マラリア、そのほかの疾病との戦いということで、新興感染症の関係については、やはり地球温暖化等、あるいはジャングルを切り開くということによってかなり発生してくる可能性が高まっているというふうに言われておりまして、先ほどラッサ熱の話なんかもちょっと取り上げたわけでありますけれども、要は、今回の調査会のテーマが国際的取組の在り方ということですので、様々なバイオセーフティーレベルの施設があって、そこで未知の病原菌について分離してどういう病原菌であるかということを同定すると。場合によっては、抗ワクチン剤を開発する等を含めて、蔓延をどう未然に防ぐかということも含めて十分それは検討しなければいけない。
 その場合に、国際的協力というのは当然取組も含めて大事なわけで、先ほどの答弁というか、あれはちょっと残念な話で、国外についてもっと情報収集等を含めてやっているかと思ったら、そういう話は余りなかったので、ここは非常に私は大事なところだと思っておりますので、国際的な取組をしていく中において、日本がそういう高次のレベルの施設を持つと同時に、アジアにおけるそういうレベルの装置とどういうふうに共同研究を含めてやっていくかというのは極めて私は重要だと思っておりますので、是非、関係当局は機敏に対応すべきだと思います。
 感染症法の議論が数年前にあったときに、これは決議でも、こういう施設についてはしっかりととらえて、国内で立地展開をするということについても委員会決議として出てきているはずでありますので、国内でどうこうというよりは、国内と国外のいわゆるそういう国際間の協力の取組をどうするかという、そういうところにやはり着目しなければいけないんではないかなと、そういうことが今後大きな課題になってくるので、是非ここは注視すべきだと、このように申し上げたいと思います。
#52
○会長(石井一君) ごもっともな御意見です。
 ほかに、どうぞ、御自由に御発言ください。どうぞ。
 富岡理事。
#53
○富岡由紀夫君 今、加藤先生お話ありましたけれども、今日の質問で、私も外務省さんの回答にはやや残念な気持ちを受けました。やっぱり、加藤先生のお話が本当なんでしょうけれども、本当なんだとしたら、ああいう回答はないのかなというふうに思いましたね。それこそ、やっぱりそれはほかの省庁の話だから、国内のやつだから違うんだという言い方は、まさしく縦割り行政の本当に一番悪いところが出てきちゃったんじゃないかなというような思いがしました。ああいう感覚でやっている限り、なかなか国際的な取組というか、国際的な取組の前に、そういう垣根を越えた、省庁を越えたそういった取組をまずやらないと、なかなか国際的な世界に行ったときに対等な立場でほかの国と議論をすることはできないんじゃないかなという感じは受けました。
 それとあと、今日、防災分野の説明の中で、防災予算としてODAの予算の中で、五年間で二十五億ドル支援すると。その中で実績として、二〇〇五年、六年、七年でもう二十五億ドルをいっていますよというお話ありましたけれども、これはちょっとあれなんですけれども、限られた今ODA予算の中で、この防災に対してこれだけの金額って、これはかなりな金額だと思うんですね。これは、例えば単年度、二〇〇七年度で表で八百三十億円とありますけれども、数千億円のトータルのODA予算の中で八百億円が防災に使われるというのは、もちろん必要なんですけれども、本当に優先順位としてどうなのかなというところは検証する必要があるんじゃないかなと思います。
 いろんな災害が起きたときにそれを緊急援助でいろいろとやるのは、もちろん必要な分野にはお金をどんどん使ってもいいと思うんですけれども、この中身を見ると、例えば土壌流出を防ぐための予算とか、あと津波、これは多分被害を受けたときの問題なんでしょうけれども、洪水とか、そういった対策のために何かやるという話なんですけれども、それはもう、確かに必要な事業だというのは分かりますけれども、やろうとすると、本当にもう膨大な資金を掛けて、それこそ対象地域は莫大にあるわけですから、そういったところをどこまでやるのかといった議論もやっぱり必要になってくると思うので、その辺のところの予算の配分といったものもどういうふうになっているのかというのは、ちょっと、私自身ももっとよく聞けばよかったんですけれども、そういった議論も必要なのかなという印象を受けました。
 以上です。
#54
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 前回の調査会で参考人が発言をした中に、国際会議に経産省から準備したペーパーと環境省から準備したペーパーが全然違うことが出ているということを指摘していましたね。
 今の加藤理事と富岡理事の御議論の中にも、今日は、外務省はそれは自分の権外だという話ですから、この辺は官僚を批判するわけではありませんが、だれかが省益あって国益なしと、それが優秀な官僚なんだという話もありましたけれども、この辺は立法府としても十分目を配ってやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
 佐藤委員。
#55
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 先ほどもちょっと述べたんですけれども、これは緊急援助という観点で、自然災害と、ああいう紛争災害とかあるいは政治災害を分けています、日本政府は。さっき言ったように、スピードが全然違ってきます。自然災害ではすごくスピードが速いんですけれども、そういう紛争災害とか政治災害の場合は、それが感染症が発生しようがどうしようが、法律が違うために物すごく時間が掛かると。通常、PKO協力法における物資協力というのは三か月掛かると言われています。
 今回のガザの紛争のときは、もうどう考えたってイスラエルが圧倒的に強いわけですから、いずれ休戦が成るというのはどこの国も分かっていて、あとは休戦になったらいかに早くそこに医療物資とか生活物資を運ぶかという競争なんですけれども、もうPKO協力法じゃないとこれはできないということになってしまって、結果的には、外務大臣が全部、自然災害であろうがそういう紛争災害であろうが、アピールしてやりますと言うんですけれども、非常にそこで遅くなってしまうと。
 その保管している医薬品とかなんかも、みんな法律が違うから場所も違うんですよね。保管している場所も違うと。それは非常に、結果的に、今回はいろいろあって、もう早めに動いたんですが、それでも一週間以上、やっぱり休戦になってから日本の場合は掛かってしまうというと、支援活動を通じて日本の評価を高めると書いていますけれども、やっぱりマッチングしていないんですよね。同じ医薬品なんです。同じテントなんです。
 そういうのは、やはりPKO法だと内閣府、自然災害だと外務省の国際緊急援助室、アフガニスタンとかあるいはイラクになると、特措法があればまた内閣官房と、これは全然違うところになってしまう。スピード感というもの、あるいは現場、それとマッチングしていないなというのは、何か調査会の方でも、我々議員ですから、もう議論してもいいのかなと。同じ医薬品でありながら、こんなにスピード感が違うというのはちょっと問題じゃないかと思っています。
#56
○会長(石井一君) いや、それはあれなんじゃないですか。私がこんな勝手に発言していいかどうか知らぬですが、これはまあ自由討議ですから。
 最終的には、佐藤委員のような経験があり、される方が発起人になって議員立法でも作られて、少しその辺を迅速化、進めると。その前に、今の提言などは十分その提言の中に織り込んでいただいて、政府に対してそれを強く要請していくということがあっていいと思うんですよ。
 私がさっきやりました議論の中での、大地震がやってきて、それやった場合の命令系統、全部違いますからね。自衛隊と消防と、それから自治体と国と、それからもうあとその他についてだって全部別々ですから、そのためにこの国はどれだけのレッドテープ、持ち回りと時間とそれとが損するかというようなことですから、それはあらゆるところにあるだろうと思うんで、その点はひとつ、今日の議論なども踏まえて、十分に具体的に調査室長のところでその問題をひとつ記入していただくように要望しておきたいと思います。
 加藤理事。
#57
○加藤修一君 調査室が用意してくれた資料の五十二ページなんですけれども、非常に大事なことが私は書いてあるように思います。
 これは、プライマリーヘルスケアという理念について書いてあるんですけれども、そのプライマリーヘルスケアの原則の一つに適正技術があると。技術レベルやコスト負担の上でも、住民自身が利用し得る範囲内の技術でプライマリーヘルスケアの発展を目指すという、そういう原則ということで、よく日本は上水道を途上国でやるときに、電気が引かれていないのにかかわらず、これ、そういうことではないと思いますけれども、電気を必要とするポンプで水をくみ上げるとか、上水のインフラを造るという話があったりしますけれども、本当は、その地域に合った日本の伝統的な井戸掘りの技術を使ってやった方が非常に適正技術としてはいいというケースもあるように聞いておりますので、そういうことをどうやって発掘するか。
 今日、中村参考人が母子手帳の話とか学校保健の話をされておりましたけれども、これは、どっちかというと、我々ごく普通に経験している話で、これが向こうにとって大変重要だというふうに考えられたということで、日本の経験に学びたいという期待が途上国にはあるというふうに中村参考人はおっしゃっているわけですけれども、こういう、日本人が経験しているけれども向こうにとってはよく知られていないということをどうやって発掘するかということも、これまた非常に大事な視点でないかなと思います。
 以上です。
#58
○会長(石井一君) 主濱理事。
#59
○主濱了君 私は、評価の面から、この報告書の中にもし項目を付け加えていただけるんであれば付け加えていただきたいと、こういうことを申し上げたいと思います。
 日本は、自然災害にしろ、それから感染症にしろ、非常に世界貢献をしていると私は思うんですよ。ただ、これはアウトプット段階。例えば、人口・エイズに関するイニシアティブで五十億ドル拠出しましたとか、そういうふうなアウトプット段階のものなわけですけれども、これをアウトカム、その結果、どうこの地球が、世の中が変わったんだと、こういう観点の評価をするべきであると。私ども、この調査会の中で、様々な貢献をしている、その貢献に対する評価をするべきである、これがまず一つであります。
 それからもう一つは、世界の評価、これが分かれば、私はこれも付け加えていただきたい。実は、この評価については川口理事とちょっとだけお話ししたことはあるんですが、見解の相違がありまして、私は世界の評価というのも的確にまだつかんでおらないのかなというふうに思いますので、報告書の中では、この調査会としてのこれまでの日本の国際貢献、自然災害にしろ感染症に対する評価、それもアウトプットとアウトカムと両方合わせたような評価、さらには世界の評価、これも付言していただければ非常に厚くなるのかなと、こういうふうに思います。
#60
○会長(石井一君) どうもありがとうございました。
 島尻委員。
#61
○島尻安伊子君 関連して、もう本当に一言なんですが、評価というのもあると思うんですが、それから、この今日いただいたペーパーで、支援活動を通じ日本への評価を高める上での課題ということがありまして、やはり前のこの調査会で、日本として何を世界に向けて発信するかという、これは外交的なテーマでのお話合いをしたかというふうに思うんですけれども、その発信するもののメニューの中にこういうものがあっていいのかなと。今回あった、日本のNGOがどういうふうな活動をしているのかというのを知らしめるというのをむしろやらなければいけないのかなと思っておりまして。
 済みません、もう小さな話なんですけれども、最近、NHKが番組作り、大変頑張っているなというふうに思っていまして、番組の中でこういったドキュメンタリー的なものをどんどん作っていただくことで、日本国内もそうですし、今、BSとかが大変に、特にアジアの国々で見れるようになっておりますので、そういう意味で外国の皆さんにも見ていただけるのではないかなというふうに思ったものですから、付け加えさせていただきたいと思います。
#62
○会長(石井一君) 富岡委員。
#63
○富岡由紀夫君 評価ということで今議論になったので、ちょっと私の思いというかを述べさせていただきたいんですけれども。
 ODAのいろんな支援なんかも、今回のこういう、防災とか災害とかいろんな感染症とか、そういう以外のところのODAの支援なんかもそうなんですけれども、確かに、日本が見える活動をして、国際貢献を目に見える形でやって、それが国際的な評価につながって日本の国益につながる。これはもちろんそれにこしたことはないと思うんですけれども、ただ、そういった対外的な評価を高めるというところばかりに意識がいっちゃって、本来のそういった国際援助というのはどういうものなんだろうかと。
 本当は、苦しい人、食料で飢餓で大変苦労されている人とか、病気で困難に遭っている人とか、そういった人たちが本当に目の前にあったら、そういった人たちに手を差し伸べるという思いがやっぱり原点にあるべきだと。もちろんそれがあるんだと思うんですけれども、それがなかなか、忘れ去られるわけじゃないんですけれども、それより、やっぱり国際的にどういうふうに見られるかとか、日本の国益にこれがどう結び付くのかといった、何か見返りを求める援助になり過ぎちゃうとこれはまたおかしな形になっちゃうんじゃないかなと私は思っております。やはりそういった本当に純粋に困った人に対する支援というところも忘れてはならない、国際的な評価は二の次だぐらいに考えてやるような考え方も必要なのかなというふうに思います。
 あと、先ほど防災予算の件でちょっとやや説明不足だったんですけれども、要はどういうことかというと、さっき言った飢餓とか病気とか貧困とか、そういった困っている人たちに、私は、ODAをやるんであれば、優先順位を付けていろいろ支援の予算を付けていくべきだという意味で申し上げました。
 どういうことかというと、この防災予算の中の、中身を見ないと分かりませんけれども、洪水とか土壌流出というと、どうしても何となく土木工事にお金を掛けているようなちょっと印象を受けたものですから、そういったものにODA予算の比率をたくさん取られるんじゃなくて、さっき言ったような貧困とか飢餓とか病気、いろんなそういったもので苦しんでいる人たちに本当に手を差し伸べる、そういったところに優先して予算を付けるべきだというふうに私は日ごろ思っているものですから、ちょっと意見を述べさせていただきました。
 以上です。
#64
○会長(石井一君) 西田委員。
#65
○西田昌司君 去年のときにも同じようなことを言ったかもしれないんですけれども、今の富岡委員の発言にも関連するんですけれども、要するに、日本の国益とかいうことがよく言われるんですけれども、確かに国益ということもあるんでしょうけれども、私も余り好きな言葉ではなくて、むしろ道義上とかいうことですし、もっと言えば、日本の昔からの言葉の、情けは人のためならずといいましょうかね、お互いもしものときに自分がまた助けていただける、助けていただくことになるかもしれないということも含め、そういう信頼関係を高めていくことだろうと思うんです。
 その中で、特に私が一番気になるのは、温暖化も、それから国際問題、ODAとかいうことも含めてそうなんですけれども、要するに、これから全地球的な一番大きな問題というのは、人口が増加して、それから食料、エネルギー、資源が足りないと。つまり、今までの右肩上がりの論法では絶対に回復できないと。ということは、これから国際的な支援をするにも何をするにも、まさに、じゃ、どういう暮らし向きといいましょうか、在り方というのがあるべきなのかということが絶対一番大事な基になる考えだと思うんですけれども、実はそこがほとんど議論されていないんですね。
 みんながそうだとは思いながら、そうは言うものの、成長を否定して豊かさというのはあり得ないじゃないかというふうに思い込んでいる節がありまして、特に日本の場合は人口減少社会になりますけれども、むしろ人口が減ったからといって必ずしも貧しくなるとも限らないし、逆に言えば、アフリカのODAもそうですけれども、こういうASEAN諸国なんかでも、どんどん近代化すれば果たして彼らが幸せなのか。最低限の生存にかかわる問題はもちろん大事なんですけれども、いわゆる暮らし向きといいましょうか、暮らし方という部分について考えていったときにはちょっとどうなのかなというところが実は議論がされていないんじゃないのかなという気がしてならないんです。
 ですから、本来、それぞれ個別の問題は、結局は、困っておられるところには、災害のときは助けに行くとかいうのはもちろんなんですけれども、じゃその後、行った後、どういう国の形というか世界の形が望ましいのかということを考えると、やはり均衡理論というのが絶対に必要だと僕は思うんです。それが日本の場合には実は発信できる一番の価値観じゃないのかなと。つまり、明治維新以前は、要するに日本の中で均衡していたわけでありまして、それで別に世界に何も迷惑も掛けず日本は自立をしていて、そういう仕組みが世界中あれば戦争もないし、一番平和だと思うんですよね。
 ところが、そこが実は世界の中で一番議論しなければならないんだけれども、議論できないところでもありますし、日本の中でも、ある種そういう疑問はみんな感じながらもどうも今まで議論を避けてきたと申しましょうか、そういう気がするんです。
 ですから、ここで論じるべきなのか、ODAのところで論じるべきなのか、よく僕は分からないんですけれども、いずれにいたしましても、せっかく調査会という大きなテーマで継続的にされておられるという会でありますので、そういうところの論点もどこかで取り上げていただいて、これからもまた議論をしていただける仕組みになればなということで、余りいつも質問していないんですけれども、常々そういうことを疑問に思っていまして、一言付け加えさせていただきたいと思っております。
#66
○会長(石井一君) 広中委員。
#67
○広中和歌子君 私も、前の二人のすばらしい御発言に触発されて発言させていただきます。
 日本のODAなんですけれども、額はだんだん縮小している中で、それだったら小規模支援ですよね。それをもっともっと増やしたらば、本当にすそ野が広がるような支援ができるんではないかと。しかし、小規模支援というのは非常に人手が掛かるわけですね。だけど、同時に、いい点は顔の見える支援になるんですが、そういうことにお金を使った方がいいということは分かっていても、現実に増えていない。
 草の根無償というのは百五十億まで行ったんですが、百二十億にまた下がってしまっている。それは、人手不足とかなんとかということも一つの理由になっているらしいんですけれども、私はもっと、NPOの人とか、本気になってやるんだったらば、もっともっと増やせると。例えば、百二十億を倍にしたって二百四十億ですよね。本当にいろんなことができると思います。
 日本の援助というのは評価されないというふうに今までマスコミなどで言われ続けてきましたけれども、本当に私もほとんど毎年のように最貧国に行ったりして見ていますけれども、日本のODAのその末端の部分に関する評価というのは非常に高いし、また期待も大きいわけですね。
 ですから、そういう意味で、この日本の小規模支援、そして心の通った支援というものに対してのコンセンサスというんでしょうか、人によっては、日本がこんなに経済的に苦しいから、ODAなんかは自分の地元によこせみたいなことをおっしゃるんですよという方もあるんですけれども、私はそんなことはないんじゃないかなと思っております。
 問題は、やる気の問題であって、是非、日本、評価されなくてもされても、やった方がいいんではないかと。かつて日本の支援が見えないということで、地元の大使とか外務省の方は苦労して、すべての日本の毛布なり食料なりに日本の旗を付けて、これは日本でございますというふうにやっているのをテレビで見たことありますけれども、そういうことはおやめいただいた方がいいんじゃないかなと思いました。
 以上です。
#68
○会長(石井一君) それじゃ皆さん、今日はこの程度で終わらせていただいてよろしいですか。──貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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