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2009/07/01 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第5号
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2009/07/01 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第5号

#1
第171回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第5号
平成二十一年七月一日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任   
     加賀谷 健君     武内 則男君
     川合 孝典君     轟木 利治君
 六月三十日
    辞任         補欠選任   
     轟木 利治君     大久保潔重君
     渡辺 秀央君     松下 新平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                木俣 佳丈君
                工藤堅太郎君
                藤末 健三君
                小泉 昭男君
                椎名 一保君
                浜田 昌良君
    委 員
                犬塚 直史君
                植松恵美子君
                小川 敏夫君
                大久保潔重君
                加藤 敏幸君
                亀井亜紀子君
                武内 則男君
                姫井由美子君
                藤原 良信君
                牧山ひろえ君
                増子 輝彦君
                松岡  徹君
                柳澤 光美君
                石井みどり君
                木村  仁君
                佐藤 昭郎君
                西田 昌司君
                長谷川大紋君
                森 まさこ君
                山本 順三君
                谷合 正明君
                近藤 正道君
                松下 新平君
   国務大臣
       外務大臣     中曽根弘文君
   副大臣
       外務副大臣    橋本 聖子君
       厚生労働副大臣  渡辺 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        堀田 光明君
       常任委員会専門
       員        桐山 正敏君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       知原 信良君
       外務大臣官房審
       議官       小田 克起君
       外務大臣官房参
       事官       小原 雅博君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事  黒木 雅文君
       独立行政法人国
       際協力機構理事  上田 善久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府開発援助等に関する調査
 (食糧援助に関する件)
 (JICA海外投融資業務に関する件)
 (対アフリカ支援に関する件)
 (母子保健支援に関する件)
 (第五回太平洋・島サミットに関する件)
 (感染症対策に関する件)
 (気候変動対策に関する件)
 (対モンゴル支援に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(林芳正君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十日、川合孝典君及び加賀谷健君が委員を辞任され、その補欠として轟木利治君及び武内則男君が選任されました。
 また、昨六月三十日、轟木利治君及び渡辺秀央君が委員を辞任され、その補欠として大久保潔重君及び松下新平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(林芳正君) 政府開発援助等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○増子輝彦君 民主党の増子輝彦でございます。
 今日は十一分という大変多くの時間をちょうだいして、ありがとうございます。限られた時間でございますので、端的に質問させていただきますので、答弁の方もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 昨日、外務省の方から報道発表ということで、いわゆるパシフィックコンサルタンツインターナショナル、PCIにおける不正事件を踏まえて、大臣がかねてよりおっしゃっておられました検討会を設置したということの報道がなされておりますが、昨日、この第一回の検討会、行われたんですか。
#5
○国務大臣(中曽根弘文君) 先般、この委員会におきまして御議論いただきましたODAをめぐる不正腐敗事件への対応に関連いたしまして、こちらの委員会での御議論も踏まえまして、今、増子委員がおっしゃいましたように、昨日ですけれども、私の下に外部有識者から成る検討会、これはODAの不正腐敗事件の再発防止のための検討会と、こういうふうに名称を付けまして、これを設置いたしましたので御報告をさせていただきます。
 数回の会合を経た上で、できるだけ早く報告書の取りまとめをいたしたいと、そういうふうに思っておりまして、引き続きまして、委員の皆様方にはODAの適正な実施に向けまして御指導いただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
#6
○増子輝彦君 せっかくつくられた検討会でございますから、大臣、しっかりと対応していただきたいと、強く要望しておきたいと思います。
 大臣、実はODAも大変な金額を使っている割には、私からいえば、それほど大きな成果が上がってないとか評価されてないという面がございますが、やっぱり我が国にとってODAというのは大変重要なものだと私は認識しております。ただ、今、御案内のとおり、我が国を取り巻く経済環境は極めて深刻であり、それぞれの生活も大変だと。これ、よく地元、いろんなところで話をされることですが、我が国がちゃんとした生活できないのに、海外にそういうたくさんのお金を使って援助するのは一体どういうことなんだと、もう少し国内の方をしっかりとしてから海外に援助したらどうだという声が多々あることも大臣にも多分御理解をいただけると思います。
 さはさりながら、私自身は、やはり日本が果たすべき役割というのはODAということにおいてしっかりやっていくことも重要だと私は認識しておりますが、国民の皆さんからすれば、日々の生活が大変だと、自分の生活が何よりも一番だということもまたこれ十分理解できるわけです。ということは、やはりしっかりとした援助というものをしていかなければ、国民の皆さんの税金を使って海外援助するということ、理解を得られるようにしっかりやっていかなければいけないと思います。
 そういう中で、実は、これもよく私どもいろんな会合をやりますと出ることは、食糧問題の援助でございまして、日本が海外に食糧援助をするということ、これにはもう御案内のとおり二つの方法があると。一つは国際機関を使っての援助、もう一つはお金を相手国に渡してそれぞれの食糧を買ってもらうというような、方式が二つあるかと思います。
 特に、米の件なんですが、我が国の国内の主要作物である米というものについては、四十年間減反が行われてきて、本当に農家は大変厳しい現状にあるわけであります。今回、自民党さんも何か残念ながら減反政策見直しということはやらないことになったということで残念なんですが、減反政策の四十年前の最初の大きな目的は、米の価格の維持ということでスタートしたはずであります。ところが、現実に米の価格は下落する一方で、一つもこれ歯止めは掛かりません。今年も多分豊作になるんでしょう。もう六十キロ当たり一万を切るというのが現状のような状況であります。そういう日本の農業の再生こそがまさに私は日本の再生につながっていくと。農立たずば国立たずという考え方が当然そこにあるわけであります。
 そういう意味で、日本の米、やっぱり耕作地を荒らしておく、減反の方をどんどんどんどんこれからも増やしていくということになったのでは、私は大変な状況に日本は陥ってしまうと。そうすれば、実は米の私は海外援助というものをしっかりとやっていってもいいんではないかと。
 例えば、今、日本が海外に出しているお米の援助という問題を一つ取り上げましても、極めて実は、いろんな形で行われているようでありますが、十八年度のODAの政府米による支援は六十億ちょっとの実は援助なんだそうであります。すべて現金で支給すると。なぜならば、米を搬送するのにお金が掛かる、いわゆる搬送料が掛かり保険料とかも掛かると。しかし、この六十億近くの援助の中の半分は保険料や輸送の経費であって、実質上の米というものの量は少ないんですね。だから、私はやっぱり現物支給という形で、多少お金が掛かったとしても、日本でやっぱりちゃんと米を作って、それを海外に直接渡すような形の中で私は食糧の援助というものもしていくことは一つの減反をやめるということの大事な要因にもなってくるんではないだろうかと、そういうふうに思っているんです。
 ということは、備蓄米、これは日本には約百万トンあるんですね。海外からの輸入も九十七万トンあるんです。これについては、備蓄米のお金が、米の金額だけでも二千五百億ぐらいあります。保管料も大変な金額が掛かっているんですね。これらをトータル的に勘案してみたときに、多少の輸送費が掛かろうが保険料が掛かろうが、保管料の問題だとか備蓄米の米の品質の低下等も含めて考えてみたら、やっぱり米を直接海外に拠出するという、提供するということを私はこれからもっと具体的に、積極的に進めていく必要があるんではないか。これは、言わば日本の農業の再生ということについても私は直結してくるんだろうと、そんな考えを持っております。
 日本の農業も再生させながら、海外で、まさにアフリカに対する今援助が非常に金額ベースで突出して大きくなってまいりました。アフリカに食糧難で困っている人たちたくさんいます。昨年、南アフリカに私も行ってまいりましたけれども、TICADでもそうですが、アフリカ援助が我が国の大きなODAの柱とすれば、この食糧援助、直接米を出すような形の中での援助ということを私は真剣に考える時期がやってきたんではないだろうかと。お金を渡すことだけではなくて、あるいは国際機関を通してやるということだけではなくて、日本が直接それぞれの国へ米という現物を輸送しながら私は援助することによって、日本は分かりやすく具体的に各国から評価をされるという成果を得られるんではないだろうか、そんな思いを強く持っております。
 この件について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員からお話ありましたように、減反などで大変窮状にあります米作農家、これをいかに救済をして、そしてまた余剰米を発生させない、また日本の農業をどういうふうにして再生していくか、大変これは大きな課題であるわけでございますが、そういう中で、我が国は海外への支援という意味におきましては、食糧不足に直面しております開発途上国の食糧不足の状況や、それから穀物の種類などのニーズを踏まえまして、現在食糧援助を実施しているところでございます。
 途上国が必要といたします穀物は、小麦、米、また豆類がほとんどでございますけれども、先方の政府が米を希望する、そういう場合には農林水産省が保有をしております政府米を活用してきておりまして、その中では一部国産米も活用させていただいておるところであります。
 今御指摘の国産米を直接供与するとの方法を取る、そういうことにつきましては、これは相手国に対しまして、今お話ありましたけど、穀物の調達に必要な資金を供給する、そういう方法を取っておりますODAの資金協力のやり方とはやり方が異なりますので、いかなることが可能か、国産米に関します事項を所管しておりますのは農林水産省でございますので、農林水産省ともよく相談をしたいと、そういうふうに思っております。
#8
○増子輝彦君 時間が参りましたので終わりますが、大臣、是非、今一ドルで生活をしている、世界の国々には十五億とも二十億とも言われている人たちがいらっしゃるんですね。そういう中で、要望があった作物、米とか大豆とか小麦、しかし米というものの価値観をある意味では知らない方がいっぱいおられると思うんです。ですから、米はこんなに栄養価も高いし非常にいいんだと、米を食べている日本人はだからいいんだというようなことも含めながら是非しかるべき方法を真剣に考えて、日本の農業も救いながら世界の人々も救うという両方の観点から是非この件についてはお願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
#9
○藤原良信君 藤原良信でございます。
 私も十一分ということでございます。七問を通告してございますが、恐らく全部は難しいと思いますので、極力私も努力いたしますが、大臣の方もよろしくお願いしたいと思います。
 私は、ODAに関しましては、我が国の国家戦略として日本外交を有効に進めていくことが重要であるという観点から見ても、外交の基盤、外交のツールとしてのODAの役割は大変重要であると、そういう認識を持っております。したがいまして、どのような国家戦略の下でのODA戦略をつくるかということが大変重要になってくると思うんですね。で、今の流れの中では総理大臣を中心として海外経済協力会議を設置されておりまして、官房長官、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣がその中で戦略機能としてのかぎということになっておりますが、それに持っていく原案というのが、まさしく外務大臣の下で国際協力企画立案本部を形成されて、そこで原案を作っているということになっております。
 その原案を作るに当たって、昨年十月に新JICAとなりまして、世界的に見ますと援助実施機関としては世界で第二番目でございます。日本円で一兆円レベルということでございまして、一番目が御案内のとおり世界銀行でございまして、で、そういう大きな組織となりました新JICA、九十六か所に海外事務所を持っておりまして、青年海外協力隊員なども所管をしているというふうにお聞きしているわけでありますけれども、すなわち、いろんな情報とか様々な各国のニーズというものを大変取り入れる環境を持っているJICAだと思いますが、この援助の企画立案の論議の中で新JICAの情報力等々をどのような活用のされ方をしておるのか、現状についてかいつまんで、細かくなくて結構でございますから、外務大臣からお尋ねしたいと思います。
 まず、大臣からお願いいたします。
#10
○国務大臣(中曽根弘文君) 海外の特に途上国に対する支援を行う上におきましては、相手の国のいろんな状況等、あるいは他国の援助の状況等、これをよく承知するということは大変大事だと思っております。
 このODA戦略の立案に当たりましては、そういう中でも生きた情報の収集が特に重要でありまして、外務省といたしましては現地の役割、体制の強化を図っているところでございます。具体的には、現地の大使館を中心にJICA事務所などの参加も得て現地ODAタスクフォース、これを立ち上げておりまして、現在は七十八か国にこのようなタスクフォースを持っているところでございます。
 この現地ODAタスクフォースは、援助方針策定に当たりまして現在も主導的な役割を果たしておりまして、従来以上に多面的で、また密接な形で被援助国政府との協議、また他の支援国、国際機関、NGO等との連携、また当該国の開発に係る情報収集や分析、また過去の援助のレビューなどが行われるようになっているタスクフォースであります。また、このタスクフォースから寄せられました情報は外務省の本省及びJICA本部での意思決定における重要な要素ともなっておりまして、海外経済協力会議等における議論におきましても積極的にこの情報を活用しているところでございます。
 引き続きまして、JICAと緊密に連携をしながら、生きた情報を生かしたODAを今後とも効率的にやっていきたいと、そういう考えでございます。
#11
○藤原良信君 どうぞ、いわゆる実施機関とともに情報収集機関でもあるだろうと思いますので、大いにそういう活用の仕方をしていくべきだろうということを申し添えさせていただきたいと思います。
 それから、ただいまの流れの中で、JICAさんの方にお尋ねいたしますけれども、新JICAとなりましてから八か月たちました。新JICA、御案内のように、無償資金協力、有償資金協力、技術協力の三援助法が一元化となったわけでありまして、発足後、具体的な効果がどうなっておりますかということを端的にお尋ねいたします。
 併せてですけれども、これ研究所も発足いたしましたね。新JICA発足に伴いましてJICA研究所を新設をされたんですよ。具体的な目標や現時点での成果がどういう状況下になっておりますか、併せて御報告をお願いしたいと思います。
#12
○参考人(黒木雅文君) 統合の効果につきましては、まず、これまで別々の機関が実施してきておりました三つの援助スキームを一体的に計画、実施できることになったということで、例えばバングラデシュの上水道プロジェクトのように、ハード面を円借款と無償で整備し、ソフト面を技術協力で支援するという形のプログラムができるようになりました。現段階で七十五件ほどこういう案件をつくっております。それから、案件形成の迅速化も進んでおりまして、特に円借款の案件形成調査は、調査の要請から調査の実施決定に至るまでこれまで平均七か月を要していましたが、統合によりこれが一か月に短縮されております。また、現地のニーズに基づく援助の実施ということで、例えばモンゴルでは、これまで行ってきました技術協力で蓄積されましたノウハウを活用しまして財政支援型円借款の条件設定に生かすということで、相手国の状況を踏まえた支援を行ってきております。
 こういう具体的な効果が出てきておりますが、引き続き更なる効果を発現していきたいと思っております。
 それから、新研究所につきましては、現段階では機能、それから体制の整備を図りつつありまして、四つの重点領域の研究を実施しております。平和と開発、成長と貧困削減、環境と開発及び気候変動、援助戦略という四つの重点領域を設定しております。具体的には、金融危機下におけるアフリカの支援策、あるいはASEAN統合における人間の安全保障の主流化に関する研究などの取組を始めております。
 以上です。
#13
○藤原良信君 そこでですけれども、大臣、ODAの予算額がこれは伸び悩みをしていることは御案内のとおりなんですが、さきの、六月二十三日に閣議決定をされましたJICAの投融資の再開ですね、が閣議決定されておりますが、麻生総理大臣がアジア向け二兆円という支援策を発表されておりますけれども、このことについての実施、公約達成に向けたロードマップというのは具体的にどうなっているのか、これをお尋ねをいたしますとともに、JICAの投融資の状況下も、例えばアジア向け二兆円の支援策とどう結び付けていくのか、この二つを併せてお尋ねをしたいと思います。
 それから、もう時間もなくなってきていますので何回も立たすと申し訳ありませんから、その二点と、それから大臣にもう一つお尋ねしたいのは、今度G8のサミットが開催されますが、日本の姿勢について、特にODAに関しましてどのような論議がされるのか、それから日本がどのようなものを打ち出していこうとするのか、そのG8に向けた方針について、この際、大臣からもどうぞ御披露していただきたいと思います。お尋ねいたします。
#14
○国務大臣(中曽根弘文君) 今年の四月に、麻生総理は、現下の世界的な金融危機、経済危機、これの克服のためにアジアが開かれた成長センターとして世界経済に貢献すべきと、そういう考えの下、アジア諸国が金融経済危機の影響に対して迅速に対応するとともに、また、成長力の強化及び内需の拡大に向け取り組むことを後押しをするためにアジア諸国への貢献策を発表したところでございます。これは、委員も御承知のとおり、最大三千億円規模の緊急財政支援、円借款を含む最大二兆円規模のODA支援や、それからODA以外の公的資金を活用した支援でございます。
 ODAにつきましては、途上国の内需拡大のための資金を機動的に供給するとともに、セーフティーネットの整備など、影響を受けやすい分野や、また人々への支援を行うことになっております。また、インフラ整備、そして低炭素社会の構築、人材育成などへの支援にも取り組むことになっております。
 このアジア支援策の一環として、最近では、この六月にフィリピンに対しまして農業支援及び物流インフラ支援といたしまして約四百五十億円の円借款の供与を決定したところでございます。また、昨日、モンゴルに対しまして社会セクター支援として約二十九億円の円借款を供与したところでございまして、今後、アジア諸国からの要請も踏まえながら支援内容の早期具体化と迅速な実施に努めてまいりたいと、そういうふうに思っております。
 JICAの海外投融資業務につきましての御質問もございましたけれども、これは民間との意見交換も踏まえまして、これは開発効果の高い新しい需要に対応するために再開に向けて検討すると、そういう方針が去る六月二日の総理主宰の海外経済協力会議において打ち出されまして、また、つい先日、六月二十三日発表の経済財政改革の基本方針、いわゆる骨太の方針二〇〇九にも盛り込まれたところでございます。現在、今後のやり方につきましては関係省庁にて過去の実施案件の成功例や失敗例を十分に研究、評価をし、そして新たな制度、チェック体制を確立した上でJICAの投融資業務を実施すべく作業を行っているところでございます。
 なお、このJICAの投融資業務の対象はアジアに限るわけではございませんけれども、麻生総理が表明されました二兆円規模のアジア支援についても十分踏まえた上で取り組んでいきたいと、そういうふうに考えております。
 また、ラクイラ・サミットが間もなくイタリアで開催されるわけでありますけれども、ODAについてどういう論議が行われるのか、そのような御質問だったと思いますけれども、このG8のラクイラ・サミットにおきましては、昨年の北海道の洞爺湖サミットに続きまして、開発・アフリカ問題、これが主要なテーマの一つとなっております。その中でも、現下の金融経済危機の影響を受け、こういう影響を最も受ける開発途上国、特にアフリカ諸国への支援のほか、保健、水と衛生、食料安全保障、教育などについて議論が行われる予定でございます。
#15
○武内則男君 民主党の武内則男です。
 まず初めに、ウガンダなどアフリカ諸国への円借款の積極的供与についてお伺いをしたいというふうに思います。
 昨年八月のODA調査で訪問をし、意見交換を行いましたウガンダ要人からは、二国間の直接の円借款供与の要請がありました。ウガンダに対しては二〇〇三年度に債務免除を実施していることから、債務負担能力の観点からハードルがあり、二〇〇七年のブジャガリ送電網整備計画で円借款を供与する際もアフリカ開発銀行との協調融資の形を取ったことは承知をいたしております。
 そこで伺います。TICAD支援策を達成するためにも、ウガンダのように過去に債務免除の実績があったとしても、現在の経済状況が安定をしている国に対しては二国間の直接の円借款を供与してもよいと考えますが、政府の考え方をお伺いいたします。
#16
○国務大臣(中曽根弘文君) 円借款は借入国に対しまして債務を負わせる支援スキームでございますので、過去に相当の額の債務削減を行った諸国に対しましては、特に債務返済能力に関し慎重に確認を行う必要があります。これはもう言うまでもございません。
 一方、我が国は、アフリカにおける経済成長を通じた貧困の削減、これを支援するために、TICADWにおきまして、インフラ、それから農業分野を中心に対アフリカ向けの円借款、これ最大四十億ドルの支援を表明をいたしまして、この支援策達成のために、現在、効果的でまた効率的な円借款の活用を念頭に検討を進めているところでございます。
 そこで、我が国はウガンダを含む債務削減を実施した国に対して、こういうところに対しましても円借款を活用できるスキームとして、アフリカ諸国に対し知見を有するアフリカ開発銀行との協調融資スキームを立ち上げまして、現在までにこのスキームの下に六か国に対する円借款による支援を実施をしております。
 また、現在、債務削減を行いましたアフリカ諸国に対する円借款はアフリカ開発銀行との協調融資が原則でございますけれども、単独円借款の開始につきましても、借入国の債務の持続性や、また案件実施能力などを十分勘案した上で検討していきたいと、そういうふうに考えておりまして、引き続き情報収集等を進めていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、TICADWにおける対アフリカ向け円借款最大四十億ドル、これの支援の公約を達成するために、効果的でまた効率的にアフリカ諸国に対して円借款を活用してまいるところでございます。
#17
○武内則男君 ありがとうございます。
 昨年の五月十六日に、当委員会でG8サミット、それからTICADWに対して決議をした経緯もございますし、少なくとも我が国ODAの予算が大変厳しい状況の中で、百億ドルの上積みあるいはアフリカ向け倍増といった援助目標というものを達成するためには、非常に円借款の活用というのは不可欠だというふうに考えておりますので、早急な、当然十分な調査は必要だろうというふうに思いますが、是非前向きに取り組んでいただけることを強く要望をしておきたいと思います。
 次に、JICAの方にお伺いをしたいと思うんですが、過去にこうした債務免除の実績があるなど大規模な円借款を供与することが難しい債務負担能力の低い国に対しては、例えば少額で機動的な円借款のスキームをつくるということも考えられるというふうに思います。
 この点については、無償、技協、有償の三手法を一体的に実施をする新JICAにおいて、現地の事務所が機動的で柔軟性のある対応を取り、それぞれ案件を発掘していくべきと考えますが、JICAのお考えをお伺いをしたいと思います。
#18
○参考人(黒木雅文君) JICAといたしましても、対アフリカ向け円借款四十億ドルの実現のために、三スキーム一体となったプログラムの形成につきまして、特に現地事務所を活用しまして案件の検討を進めているところでございます。
 他方で、外務大臣の答弁にもありましたとおり、円借款を供与するに当たりましては、規模の大小にかかわらず、特に過去に債務削減を行った国につきましては債務負担能力について慎重な検討が必要と認識しております。その上で、JICAといたしましては、アフリカ各国において現地ODAタスクフォースを通じまして経済財政状況に係る情報収集あるいは先方政府との対話を進めて、円借款の優良案件の迅速な発掘、形成に努めてまいりたいと思っております。
#19
○武内則男君 ありがとうございます。
 たとえ少額であっても、非常にやっぱりそういった二国間における相手国のニーズだとか新たなそうしたものの発掘をしていくということは、二国間のお互いの協力において大変有効的だというふうに思いますので、大きな円借款をやることは難しいかも分かりませんが、是非そうした発掘と実施に向けて御努力をお願いをしたいというふうに思います。
 次に、UNHCRなど国際機関に対する拠出についてお伺いをします。
 ODAの一般会計予算が十年連続で減少をする中、国際機関に対する拠出もかなり厳しい状況にあります。UNHCRについても、一九九五年以降、通常拠出が毎年減少してきました。国際機関に対する我が国の影響力が低下するだけでなく、UNHCRであれば難民支援など、国際機関の活動にも好ましくないということは言うまでもありません。
 UNHCRに対しては、平成二十一年度予算で五百万円増の五十七億円が計上されていますが、先日の外務大臣のODA予算の説明にあったように、ミレニアム開発目標の実現、人間の安全保障の推進、あるいは気候変動等の課題に、国際機関の特性を生かして対処すべく、めり張りを利かせつつ、UNHCRを始め国際機関ならではの活動をしている機関について拠出を増やしていくべきと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
#20
○国務大臣(中曽根弘文君) UNHCRなどの国際機関を通じた支援というものは、国際機関が有しております専門的な知見とかあるいは政治的な中立性、また緊急時の迅速な初動体制や、また独自の国際的なネットワーク、それから国境をまたがる問題への対応など、こういういろいろな面で二国間の支援を補完する重要な意義があると、そういうふうに考えております。
 また、国際機関は国際世論の秩序形成やルール作りの場でもございまして、国際機関への拠出を通じて我が国の国際社会への影響力を維持することも極めて重要でございます。このため、委員御指摘のとおり、めり張りを利かせつつ、引き続いて我が国としてふさわしい水準の国際機関への拠出金の確保に努めていきたいと、そういうふうに思っております。
#21
○武内則男君 ありがとうございました。よろしくお願いします。
 そこで、さらに、実は南部スーダンへ行ってまいりましたので、そこで初めて女性所長になられました吉田UNHCR南部スーダン事務所長から、実は、どうしても学校や医療、井戸などの部分に拠出が偏りがちで、イヤーマーク付きであることが多いことから、燃油の高騰等に対して必要性が高まるそうしたロジスティックな部分に回すことが非常に困難であるというお悩みをお伺いをいたしました。柔軟な拠出をしてほしいとの要望がございましたが、我が国からの拠出における実態はどうで、今後その課題をどう解決していく方向性があるのか、最後にお伺いをして、質問を終わります。
#22
○国務大臣(中曽根弘文君) 国際機関に対しての拠出の方法は、今委員からお話ありましたけれども、使途を特定しないノンイヤーマークの拠出と、それから使途を特定するイヤーマークの拠出などの方法がありまして、各国際機関の制度とか、また我が国の拠出目的などを踏まえてこの拠出の方法を決めているところでございます。
 例えば、UNHCRに対する通常拠出に関しましては、UNHCRが柔軟に活用できるように配慮をいたしまして、特定プロジェクトには資金をイヤーマークしておらず、多くの部分は対象国のみをイヤーマークしておりまして、その使途についてUNHCR本部及び現地事務所などの判断にゆだねているところでございます。
 また、近年、UNHCRへの通常拠出におきまして一切イヤーマークしない配分額を増やしているところでございまして、今後とも現地の状況に柔軟に対応しながら必要な支援を実施していくと、そういう考えでございます。
 ただ、他方、UNHCRにつきましても、現地の特定のニーズを踏まえてプロジェクトを支援するために無償資金協力のスキームで協力を行う場合には、これは基本的に使途を限定することになります。
 今後とも、現地の状況や、また国際機関からの要望に柔軟に対応しながら、援助の効果を最大限にするような適切な拠出を行っていきたいと考えております。
#23
○武内則男君 終わります。
#24
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 私は、昨年の夏、横浜で開催されましたTICADWにおいてアフリカ諸国の要人と会談を重ねまして、日本発祥の母子健康手帳をアフリカ諸国に普及させることができれば、例えばサブサハラ・アフリカでいまだに千人当たり百六十人を超える五歳未満死亡という悲惨な事態を改善できると主張し続けました。
 国会の場においては、昨年、二月二十七日の質問主意書を始め、三月二十七日の外交防衛委員会、二十八日のODA委員会、同じく六月六日のODA委員会で母子健康手帳のアフリカにおける必要性を強く提案いたしました。その結果、アフリカにおける母子保健の向上がTICADWの横浜宣言に盛り込まれ、国連のMDGsの目標を達成するための大きな前進となっております。
 しかしながら、残念なことに、私のアフリカにおける母子保健の向上に関する思いは現在進行形であって、いまだに実現するには至っておりません。ですが、今後も外務省、JICAの専門スタッフの皆さんと一体となって根気強くこの目標達成に向かっていきたい、そう考えております。
 では、まずJICAの方にお伺いしたいと思います。
 JICAが展開している顔の見える支援として、母子保健の専門家が世界各地に展開して高い評価を得ているということです。例えばアフリカのどういった国でそうした国際的にも高い評価を得ている活動をJICAはされているんでしょうか。御報告ください。
#25
○参考人(上田善久君) お答えいたします。
 先生御指摘の母子健康手帳を活用しましたJICAの母子保健事業につきましては、過去、インドネシアで九四年に地方の一都市で試行的に導入して以来、十年間の事業展開を経まして二〇〇四年に保健大臣令で制度化された、こういう実績を持っております。また、二〇〇五年からは、パレスチナの複雑な環境下におきましても同様の母子のケアシステム強化事業を実施しております。
 JICAは、こうしたアジアや中東での多様な社会環境の下での蓄積した成果、経験を生かしまして、TICADWでお約束したアフリカ母子保健支援にも取り組んでいますが、その具体例として、西アフリカ広域展開を視野に入れたセネガルでの取組を簡単に御紹介いたします。
 既に、二〇〇一年からセネガル保健人材育成の中心となる国立保健医療・社会開発学院に対しまして、施設整備支援や学校運営管理支援など、我が国の国立国際医療センターなどの専門家の協力を得ながら実施してまいりました。現在、この事業で育成されました現地の人材と一緒になりまして、母子健康指標が劣悪な東部州におきまして、母子手帳制度の前提となります医療施設整備、医療従事者の技術や意識の向上、それを支える行政制度改善などのいわゆる保健システム強化事業を、経験豊かな医師、助産師、看護師等々の医療専門家、さらにコミュニティー開発専門家、その他青年海外協力隊員などが一丸となりまして、現地JICA事務所とともに遂行しているところでございます。JICAはこうした活動を通じて得たノウハウを、先ほど述べましたセネガルの国立学院への周辺諸国からの保健人材受入れを通じまして、広く普及させるべく努力しております。
 なお、これと併せまして、西アフリカで広域展開中のコミュニティー参加による小学校教育の拡充、教員能力強化を通じた理数科教育の普及といった教育分野での事業を通じまして、表の読み取り能力などを含む広い意味での識字率の向上を目指すことにより、母子手帳がより効果的に活用される環境づくりを行っているところでございます。
#26
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。今お伺いしましたお話では、それではセネガルの一部地域ですばらしい日本の支援がなされているということが分かりました。
 さて、私は、たとえ母子手帳が現地の宗教と言語に合わせた内容であっても、保健衛生に携わるスタッフ、そして電気、水道などの母子保健の向上を図るための社会的なインフラが最低限そろっていなければ母子手帳の有効性を発揮できないと思います。ですが、社会的なインフラがある程度そろっている国、地域をパイロットモデルにして母子手帳を普及させれば、妊産婦死亡率の改善につながり、周辺の国や地域から私たちも欲しいということになると思うのです。
 そうした観点から、今おっしゃっておられたセネガルなど、インフラが整いつつあるところにおいて、母子保健向上のツールとして母子手帳を普及させていくべきであると考えますが、外務大臣はいかがでしょうか。
#27
○国務大臣(中曽根弘文君) 母子健康手帳は、健康一般についての母親の知識を高めて、また、医療従事者側で母子の健康履歴を把握することによりまして妊産婦の死亡率とか乳幼児の死亡率を改善させることができると、そういう点で大変優れた制度であると、そういうふうに認識をいたしております。
 一方で、母子健康手帳は、もう委員が今もおっしゃいましたけれども、保健所施設の整備とか、あるいは保健医療従事者の育成とか、母親の識字率の改善などと相まってこそ効果が発揮されるものでありまして、社会的インフラが整備されるということが必要である、そういうお話でありました。
 そういう観点から、我が国は、TICADWで表明いたしました千か所の保健医療施設改善、それから十万人の保健人材育成などの支援策を着実に実行していくように取り組んでおります。今御指摘のパイロットモデルにつきましても、JICAからも御説明がありましたとおり、既に西アフリカでの広域展開も視野に入れながらセネガルにおいて母子保健事業を実施しておりまして、こうした取組を引き続き行っていきたいと思っております。
#28
○牧山ひろえ君 それでは、インフラ整備がある程度整っている、あるいは整いつつあるセネガルのような国で母子手帳を是非普及していただきたい。強いて言えば、来年の予算に母子手帳を入れていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#29
○国務大臣(中曽根弘文君) セネガルにおきましては、そういう母子健康手帳の配付も視野に入れつつ、今申し上げました母子健康事業などの取組をまず引き続き行っていきたいと、そういうふうに思っております。
#30
○牧山ひろえ君 乳幼児の死亡率をぐんと下げた実績のある母子手帳ですから、先ほどのお話でもパレスチナやインドネシアでそういった事例がありますので、いいことずくめの母子手帳ですから、迷いなく来年の予算に入れていただきたくお願い申し上げます。
 もう一度お願いします。
#31
○国務大臣(中曽根弘文君) これの事業の重要性というものはもう委員からおっしゃるとおりですし、大変私も大事だと思っておりますので、できるだけ早期にそのようなことが実現できるように私どもも一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
#32
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 将来的にこの母子手帳の実効性が高まれば、人種や宗教が似ている隣国からも是非我が国でも欲しいという要望が、要請が起きるでしょうし、何よりも母子保健の向上にかかわるスタッフの移動が隣国間で活発になり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングも活性化すると思うんです。もちろん、低い識字率の地域にはイラストを多用するとか、社会的なインフラの一部が未整備な地域においてはその実情に合わせた内容にするなど、母子健康手帳自体を柔軟にその地域に合った形でカスタマイズしていくことも一つの論点にはなろうと思います。
 最後に、外務大臣にお伺いしますが、アフリカにおける母子保健の向上を目指すに当たって、母子手帳を活用できる制度づくりに関して、環境づくりに関して、もう一度外務省、JICAの今後の方向性を力強くお示しいただきたくお願い申し上げます。
#33
○国務大臣(中曽根弘文君) 我が国は、これまでもインドネシアなどのアジア諸国や、それからパレスチナで母子健康手帳の普及に取り組んでおりまして、その考えをアフリカにも広げるということは大変有意義だと、そういうふうに考えております。
 先ほど申し上げましたとおり、これを配付するに当たりましては、いわゆるインフラといいますか、いろいろ保健所の整備等をしなければなりませんが、アフリカにおきましては、そういうような改善の支援をやりながら、母子保健の理念が浸透をして、そして母子手帳が活用されるような環境整備につながっていくことが望ましいと考えております。
 そういう観点から、先ほど申し上げましたけど、我が国としては、TICADWで表明をいたしました千か所の保健医療施設の改善、そして十万人の保健人材育成などの支援策を着実にまずはこれを実行していくと、そういう考えで取り組んでまいりたいと思います。
#34
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。質問を終わります。
#35
○亀井亜紀子君 亀井亜紀子でございます。
 先日、北海道で行われました第五回太平洋・島サミットについてお伺いをいたします。
 昨年の夏にこの委員会からの派遣でツバルに行かせていただきました。ツバルは地球温暖化の海面上昇によって沈み行く島として象徴的な存在として取り上げられている島です。視察団は事前にかなり勉強いたしまして、それがどの程度真実であるのか、いろいろな文献を読みました。そして、その背景にあることですが、まず簡単に御説明をいたします。
 首都があるフナフチのフォンガファレ島というのは元々湿地であって、ボロービットという水がわき出るくぼみがありました。そこに、独立後に人口が急増したものですから、本来居住に適さない湿地に人が住むようになって、そこに年に一度の大潮のときに水が上がってくる、それに合わせて世界のメディアがどっと押し寄せて、その映像を撮って帰るということがまずあるということ。
 それから、二〇〇二年のヨハネスブルクの地球サミットがありました。このときに、当時のツバルの首相が、環境難民を国連に認めさせるということ、それからもう一つ、CO2の削減に消極的であったアメリカとオーストラリアを国際司法裁判所に提訴すると、そのように意思表示をして、そのことによって世界の注目を集めました。
 結果として、地球温暖化と海面上昇の因果関係が証明できなかったということで提訴もできませんでした。けれども、ツバルが世界の注目を集めるという意味では非常に成功したわけです。
 そのような知識を基に現地を訪問いたしまして、そして日本のNGOの青年などにも話を聞きました。彼は日本のマスコミの取材団が来るときにその日程をコーディネートしたりする人でしたけれども、やはり、あそこに何年か住んでいてもその確証は得られないと。今世界の研究者がいろいろ現地に入ってその調査をしております。
 そこで私は伺いたいんですけれども、島サミットのときに地球温暖化による海面上昇が将来起こり得ることとして議論されていたのか、それとも島サミットではもう海面上昇ということが既成事実として語られているのか、そのことについて大臣にお伺いいたします。
#36
○国務大臣(中曽根弘文君) 第五回太平洋・島サミットにおきましては、海面上昇を含めまして、各国が直面をしております気候変動の問題、気候変動の影響について議論が行われたところでございます。我が国はこのサミットにおきまして、気候変動が海面上昇やそれからサイクロン、渇水など太平洋島嶼国に多岐にわたる影響を与えているとの認識の下で、こうした影響への効果的な適用を含む気候変動問題の解決を最優先課題の一つとして取り組む考えを表明をいたしました。
 また、昨年の三月、ツバルに対して気候変動問題への対策に関する協力可能性について調査する調査団を派遣をいたしました結果、ツバルにおいては、地球温暖化による海面上昇のみならず、人口増加に伴う生活排水の増加や、それから海岸線への住居の拡大などによる環境悪化が要因となって海岸の浸食が進んでいることが明らかになりました。我が国は、これらの認識を踏まえまして、太平洋島嶼国に対して、海面上昇を含む気候変動対策分野における協力を進めていく考えでございます。
#37
○亀井亜紀子君 ツバルは一番海抜が高いところでも五メートル程度ですから、もし本当に海面上昇した場合には真っ先に沈んでいく島ですから、もちろん気候変動と、あと温暖化の問題というのは、いずれにしても取り組まなければならない問題だとは思います。
 現地に昨年夏に行ったことで、随分直接的に情報が私のところに入るようになりました。その中の一つの報告として、今年の頭から日本が試験的なプロジェクトをツバルで行うようになった、それは砂やサンゴの形成メカニズムについて科学的な非常にユニークな研究を始めたと、そのように私は聞いております。
 ツバルにおいて有孔虫の減少、有孔虫といいますのは日本で言えば星の砂がそれに当たりますけれども、体長が一、二ミリの石灰質の殻を持った原生生物で、一年に数百に分裂をしていく、それによってツバルの土地ができていきます。今排水汚染の問題でその有孔虫が育たなくなっている、そのために土地が減少しているということが言われています。ですから、よく無人島に取材班が押しかけて、ヤシの木が倒れている、海岸が浸食されていると報道されますけれども、その裏側では土地が増えている。そちら側は撮らないで帰るわけです。ですから、海岸浸食だけがかなりクローズアップされているんですけれども、実際にはこの有孔虫が環境汚染によって減っているということが問題であると聞いています。
 そこで、この日本が新しく始めた研究というのは、そこの有孔虫の減少に直結するような、そこに視点を置いた研究なのでしょうか。
#38
○政府参考人(小田克起君) お尋ねのプロジェクトは、ツバルの環礁を形成しておりますサンゴと、それから有孔虫が作る砂の生産、運搬、堆積過程と、この一連の過程に対する人為的な影響を明らかにして、また地形や生態系の変化に対するモニタリング体制を構築いたしまして、生態系の保全、修復によりまして海面上昇に対して復元力の大きな島を再生すると、こういうことを目的としております。現在、現地調査の実施に向けた準備を行っているところでございます。
#39
○亀井亜紀子君 ありがとうございます。
 日本がツバルに対して行っている支援というのは非常に冷静な支援であると思いました。それは例えば病院の建設であったり、海水の淡水化プロジェクトであったり、太陽光発電所の建設であったり、港湾の整備であったり、地球の温暖化と海面上昇とは直接に関係していないけれども非常に大事な分野の支援をしておりましたし、それに対する評価も高かったと思います。
 それで、一つ懸念していることは、この島サミットの後でまた現地から連絡をいただきまして、モトフォウアスクールという公立で唯一の中等教育機関らしいんですが、こちらの援助が今年度を最後に得られないかもしれないと、どうも学校の建て替えプロジェクトだと思うんですけれども、この心配をしていますというふうに現地が伝えてきております。また、島サミットの際に、プロジェクト以外の無償資金援助は来年度から廃止する方向だと、そのような話を聞いたので、その継続をお願いしたというような報告を受けているのですけれども、どのようなことなのか教えていただけますでしょうか。
#40
○政府参考人(小田克起君) まず、御指摘の中高等学校の施設の改善につきましては、第五回太平洋・島サミットの際に行われました日・ツバル首脳会談におきましてイエレミア首相から支援要請がございました。この要請に対しまして麻生総理からは、本件につきましては規模や面積について更なる調査の必要はあるけれども前向きに検討したい旨の回答を行っておりまして、現在、要請の内容について精査を行っているところでございます。
 それから、もう一点お尋ねの、プロジェクト以外の無償資金援助はもう廃止するというような懸念を持たれているということでございますが、そうした事実はございません。
#41
○亀井亜紀子君 安心いたしました。
 私たちがツバルに行きまして、非常にやはり歓迎されました。大変行きにくい国ですから、フィジーから乗り継いで、それも飛行機が三日に一度ぐらいしか飛ばない、しょっちゅう欠航になる飛行機で、今まで鴨下大臣ですとか小池元大臣ですとか環境大臣のときにいらしても日帰りですから、二泊もした議員というのは私たちだけでして、非常に感動されました。そして、その後で今年島サミットが開催されて、ツバルの首相を招いて、その一連の後に援助が減らされましたではやはり何のために行ったか分かりませんので、そのフォローはしっかりしていただきたいと、そのようにお願いしたいと思います。
 もう時間が迫ってまいりましたが、もう一つ、先日の島サミットでAMラジオプロジェクトについて日本側から計画があって、支援がもう決まったというようなお話も聞いておりますけれども、このプロジェクトについて最後お伺いして、質問を終わらせたいと思います。
#42
○政府参考人(小田克起君) 御指摘のプロジェクトは、中波ラジオ放送網防災整備計画というものでございます。この計画は、ツバルにおきます離島への重要な情報伝達手段でありますラジオ放送に関連する施設、機材を整備することによりまして、同国の情報通信を発展させるとともに、気候変動対策を始めとする防災体制を整備しようというものでございます。この計画につきましては、現在、JICAが調査を行っているところでございます。
#43
○西田昌司君 自民党の西田でございます。よろしくお願いします。
 ODAの問題で今それぞれの委員の皆さん方から様々な御指摘があったんですが、いつも私は根本的なところでちょっとODAに対する疑問があるんですね。といいますのは、確かに日本は今不況とはいえ、世界の経済大国であることは間違いありませんし、そしてそれ相応の国際的な支援をしていこうと。実際もっと昔は、かつては一兆円を超えるだけのODA予算を積んできたと。しかし、今随分日本も経済が厳しい状況でありますから、随分その予算も減ってきたわけです。
 それで、ODAを受ける側にしますと、それはたくさんいろんな国から援助していただく方がいいに決まっているわけなんですが、しかし、その援助を受けたからといって必ずしもそれが身に付くとは限らないと。
 特に、今日実はお話ししたいのは、日本が特に世界に先駆けてこれからはアフリカの開発援助に力を入れていこうということで、昨年、TICADWもありましたけれども、アフリカが一番最貧国が集まっているわけでありますから、この貧困をどうにかしようということで随分たくさんの援助をアフリカにしてきたと思うんですね。しかし、それが果たしてしっかりと身に付いているのかというと、なかなか実際には、日本だけじゃありません、ヨーロッパは特にアフリカに対して非常にたくさんのODAを行っているわけでありますけれども、実際にはこのサブサハラの一人当たりのGDPというのは、どうなんでしょう、必ずしも直線的に伸びてきたんじゃなくて、むしろ減ってしまっているという現実がありますね。
 もう片方で、実はやっぱり日本のODAのすばらしいのは、アフリカは今そういういろんな問題がありますけれども、アジアに対しましては、それぞれの国が経済が発展しまして、まさに中進国として世界経済をこれから多分引っ張っていく原動力になってくるのだろうと思うんですけれども、その原因をつくったのは私は日本のODAが非常に大きかったと思うんです。
 そこで、まず大臣に質問をさせていただきますのは、こういうふうに日本はODA、アジアでもそうですし、アフリカでも行ってきておりますけれども、随分その結果には差が歴然と出ていると思うんですけれども、この差は一体どこにあると、あったとお考えか、まず大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
#44
○国務大臣(中曽根弘文君) 今まで欧州諸国が行ってまいりましたアフリカへの援助というのは一定の成果があったものともちろん考えておりますけれども、アフリカのサブサハラ地域、これはMDG達成への進捗が遅れておりまして、依然として厳しい状況に置かれております。
 他方、日本が東アジアを中心に行ってまいりましたこういう援助というものは、これは途上国のオーナーシップを重視をいたしまして、運輸交通の分野、また上下水道、さらに農業分野などの経済発展の下支えとなる経済社会インフラ整備や、それから教育分野の支援とか、また専門家の派遣や研修制度など、日本の持っております優れた技術とか経験とか知見とかそういうものを伝える、そういう国づくりに欠かせない人材育成を今まで重視をしてやってきたところでございます。このような日本の援助と東アジア諸国自身の努力が相乗効果を生みまして、東アジアの大きな経済発展を実現させたものと考えています。
 この東アジアにおける日本の援助の成功をアフリカにもたらすために、一九九三年からアフリカ開発会議、TICADですね、これを我が国は主催をしておりまして、経済成長なくして貧困削減は実現しないと、そういう考えの下に、アフリカ自身の持続的な経済発展による貧困問題の解決のために積極的に支援を行っているということでございます。
#45
○西田昌司君 それで、東アジアに対するその成果を踏まえて今おっしゃいましたようにアフリカにされているというんですが、私が問題にしたいのは、じゃ、同じように、ですから、教育なりそういう社会基盤の整備なり日本はアフリカにおいてもされてきていると思うんですね。しかし、結果が出てこないと。その原因はどこにあるのかということをお聞かせ願いたいと思うんです。
 私は、その一番はやっぱり受入れ国の方の国の仕組み、統治システムと申しましょうか、そこにあるんじゃないかなと思うんですね。といいますのは、私も昨年このODAの委員会の派遣でアフリカに初めて行かせていただきました。そこで非常に強く感じましたのは、要するに、様々な援助を日本もしているし、ほかの国もしていますが、それはまさに砂漠に水を掛けるようなことでありまして、たくさんの援助をしているんだけれども一向にたまらないと。なぜたまらないかというと、社会の受入れ側の器がきっちりでき上がっていないわけなんですね。
 日本のアジアに対する援助といいますのは、実はアジアに対する社会基盤が、これがあるところにやってきた。というよりも、もっと言い方を変えれば、はっきり言いまして、アジアの国々というのはこれは日本のかつて植民地であった国がほとんどなんですね。そうしますと、日本が植民地時代に基盤となる社会基盤整備は随分行ってきているわけなんですね。それがいいことであったとか悪いことであったとかということを申し上げているんじゃなしに、事実としてそういう社会基盤整備をしてきているわけなんです。
 ところが、アフリカというのは、これは日本とは余りその当時縁がないわけでして、もう完全に欧米の植民地になっているわけですよね。欧米の植民地の支配の仕方というのはどういうことであったのかというと、要するにあるものを全部取っていきますという形で略奪型でありますね。社会基盤の整備をしたかといえば、社会基盤の整備もしていない。
 むしろ、アフリカは、第二次大戦後たくさんの独立国ができて分かれていったわけですけれども、今その地図を見ましても、初めから線を引いてある国境がまさに経線と緯線によってその平行上にあるわけで、要するに人工的に国境ができ上がっているわけで、我々の常識からする国民国家としての土台が実はアフリカにはないわけなんですね。
 ですから、私が申し上げたいのは、まさに受入れ側の基盤となる国民国家の土台が実はアフリカにはないんじゃないかと。そうだとすると、我々がもししなければならないのは、むしろ、そういう土台をどうつくっていくかということになろうかと思うんです。
 そこで、まず大臣にもう一度お聞かせいただきたいと思いますのは、今申しましたように、日本が東アジアでのODAの特に成果を踏まえてアフリカに同じようなことをされていますが、その成果が上がってこないというのは、今も私が申しましたように、受入れ国の統治システムの違い、その背景にあるのはかつての旧宗主国の支配の在り方の違い、そういうところにあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
#46
○国務大臣(中曽根弘文君) 東アジアで成果が上がってきているというのは、社会基盤整備がしっかりしていると、それも、かつての日本の貢献といいますか、貢献と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、影響があってというようなお話でございました。
 一般に、統治システムの良い国でODAは効果を上げやすいと、そういうふうに考えられますけれども、ODAの成果は、それぞれの国の個別の政治の状況、経済の状況、また開発政策などの様々な要因によるものでもありまして、統治システムだけで決まるものではないと思います。
 また、金融危機前のアフリカは年間五、六%の経済成長率を上げておりまして、保健や教育の指標も向上するなど、前向きな動きも見られていたわけであります。諸外国によるアフリカ諸国へのODAは、そういう意味では一定の成果を上げてきたと考えております。
 いずれにいたしましても、昨年のTICADWにおきましても、平和の定着とグッドガバナンスの重要性、これが確認されたことも踏まえまして、我が国といたしましては、他のドナーとともに引き続いてアフリカのガバナンス向上を支援するとともに、ODAの効果を高めるべく努めていきたいと思っています。
#47
○西田昌司君 私、大臣とそこはちょっとかみ合わないところが実はありまして、大臣は答えにくいのだろうとも思うんですけれども。
 アフリカに行きまして一番感じますのは、ヨーロッパはやっぱり自分たちがかつて歴史的にも宗主国としていろいろなことをしてきたと。それに、近いですし、距離的にも。その貧困の状況というのがしょっちゅうテレビとか新聞とかでも放映されると。ですから、イギリスに行ってそういう話をしたときに言っておられるのは、要するに、彼らにとりましてアフリカというのはまさに自分たちの前庭といいましょうか、非常に近いところにある貧困であるわけなんですね。そしてしかも、それに対して、彼らははっきりそう言っていませんが、やはり私なんかが見ると、かなり欧米の責任があるじゃないかと申し上げたいわけなんですね。だから、そういう歴史的経過も知っていますから、そういうことが報道されると非常に基金に募金が国民からも集まって、そして、それがどんどんアフリカにされていると。
 日本は国を挙げてアフリカに対して支援をしていこうと、このこと自体はいいことだと思うんですよ。思うんですが、日本にはそういう実は歴史的背景がないんです。あるのは、アジアに対してあったわけですね。アジアに対しては、実は非常に意義のあるODAをやってきて成功してきていると。
 そうなってくると、そういう認識になると、実は日本が言わなきゃならないのは、今から言ってもある種仕方ないのかもしれないけれども、つまり、欧米のやり方に対して、今までの考え方も含めてもう少し物が言えるんじゃないのかなと。
 もっと言えば、これは日本国民に対しても言えることなんですよ。といいますのは、ODAというのは何か貧困、それが困っているところに出していくのが、人道上の援助とかいうことも含めいろいろ言われるんですが、それ以上に、我々自身がもっと自信を持っていいところがあるんですよ。つまり、日本というのはアジア各国で非常に大きな成果を上げてきたと。それは、国づくりに対して非常に大きな投資をしてきたんだと、こういうことだと思うんですね。
 そういう成功体験といいましょうか自信と申しましょうか、それがあって、外交のツールとしましても、つまりこれからアフリカに対して開発していくときには、日本が提唱するようなそういった土台づくりに対してもっとやっていったらどうかと。もっと言えば、国民教育ができる仕組みをつくっていったらどうかとか、何かそういう価値観の投げかけ含めてできるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょう。
#48
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員のお話しされていることも私も理解いたしますけれども、一般に、一国の統治のシステムは、御指摘の宗主国による影響、これももちろん大きな影響があったと思いますけれども、それだけではなくて、先ほど申し上げましたけれども、その国の置かれた地理的な、あるいは歴史的な、そして社会的な状況の中で他国との関係を通じて形成されていく、そういう時間の掛かる、また複雑的なものではないかと思います。
 御指摘のような、宗主国の違いというのは一定の影響を与えているということも、今申し上げましたように言うこともできますけれども、アジアの場合はいろいろ、宗教的なもの、あるいは価値観とか民族性とかいろいろあろうかと思います。いろいろな要因も働いているのではないかと思いますが、そういうところから考えてみますと、両者の関係というものを一概に申し上げることは非常に難しいのではないかと、そういうふうに思っております。
#49
○西田昌司君 なかなか確かに難しいところは分かるんですね、大臣ですから、私と違いまして。よく分かるんです。分かるんですが、今私が物すごく感じていますのは、日本の今の一番問題は、大臣のそのお言葉だけじゃなくて、要するに、我々政治家が自分たちの国の歴史に対して、いい面悪い面含めて、真正面から見て、そこを堂々と国民に対してまず言えないと。そして、そのことを基にして、海外に対しても言えない。海外から、例えば日本が、かつての戦争、第二次大戦、大東亜戦争時代に日本が植民地に置いたということを、彼らが日本の植民地になったんだということで非難することも当然あろうかと思うんですね。それは、今の考え方からすると当然そういう考え方があってもしかるべしだと思いますし、我々も甘んじて、そのことに対しては考えられるところはあると思うんです。
 しかし、もう片一方、そのときの、じゃ世界の情勢どうだったのかということを考えてくると、先ほど言いましたように、ODAがなぜ出てきたかというと、元々これはもう、アフリカもそうですけれども、アジアも含めて、世界の列強のすべてある意味で言えば植民地だったわけなんですよね。その植民地を持つ宗主国の一つに、五大国の一つに日本があったことも事実であります。しかし、その後独立をしてきて、それぞれのかつての植民地の経済の状況、国の状況、治安の状況等を考えると、やっぱり歴然たる差があることもまた事実なんですね。それを踏まえた上でODAというのをやっていかないと、私が言いたいのは、日本がいいことをやってきたからどんどんそれを宣伝すべきだなんということを言っているわけでもないわけなんですよ。現実として今差が開いてしまっているのは、やっぱりそこにかなりの相関関係があろうかと思うんですね。
 ところが、そのことを知らずにというか、議論の根底に置かずに、世界が例えばやっていますから、ほかの先進国がここにこれだけやっていますから日本も負けずにとか、こういう話じゃ私ないと思うんですね。これをやっていっても、さっき言っていますように、本当に砂漠に水をまくような話で、意味がないんじゃないかと。というよりも、本当に日本としてもっと誇りのあるODAをしていただきたいと思うんですよね。そのためには、私が今言いましたそういう歴史観がある程度国民の中で共有されてこなければならない。
 今日は野党の皆さんもたくさんおられるんですけれども、やじもせずに静かに聞いていただいて非常に感謝しております。うんうんとうなずいていただいている方もたくさんおられますので、実はこれ、本当にこういうことを、参議院のODAのこの委員会といいましょうか特別委員会というのは、やっぱりこれ衆議院にない、参議院の独自の議論する場でありますので、党派の壁を超えてそういったところの議論をしていくべきじゃないのかなと思っているわけであります。
 そこで、もう一度大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、そういうことも含めて、日本はODAやるときに、国民に対してそういう歴史観の話も含めて外務省がやっぱり言っていかないと、本当の意味でODAというのが機能しないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#50
○国務大臣(中曽根弘文君) 支援をしていく上で、先ほど申し上げましたけれども、相手の国の事情、歴史、文化、民族、宗教、いろいろそういうものは配慮しながらやっていかなければと思いますけれども、歴史観ということでお尋ねありましたけれども、はっきり言えますことは、我が国は、一つは科学技術の力があるということ、それから人的資源があるということ、それから、我が国自身が幾多の困難を乗り越えてきた経験とか知見、そういうものがあるということ、これらは私は世界に誇れるものでもあろうかと思っております。
 歴史観とはどういうものかよく分かりませんけれども、いずれにいたしましても、現在は非常に多くの困難な課題を国際社会が抱えているわけでありますから、我が国が戦後復興を遂げました経験とか、それから東アジアの発展に貢献した知見とか経験、こういうものを世界に広めていくことが重要だと考えますし、アジアのみならずアフリカに対しましても、そういういい点を、これを生かして支援をしていくということが大事だと思います。
#51
○西田昌司君 なかなかこれは御答弁が難しいと思います。思いますが、まだもう少し続けさせていただきますと、もう片一方で、アフリカに対して欧米は、先ほど言いましたように、私は、かつての宗主国としてのかかわり合いを含めた在り方を取られているんだろうと思うんですね。もう片一方で、今、中国が非常にアフリカに進出をしてきていると。特にその背景にありますのは、中国の人口増加ということもあるでしょうけれども、アフリカに、非常にたくさんのレアメタルを始めとする資源がアフリカ各国に集中していると。いわゆる資源外交というんでしょうか、そういう形であからさまに囲い込みのような我々から見ると外交をしているわけなんですね。
 これも、ある意味、向こうの援助される方の国にとりましては、理屈は何であれ、中国がただで道路を造ってくれるんならそれでもいいやということももちろんあるでしょうし、それは受入れ国側はそれでいいのかもしれません。いいのかもしれないんですが、私などはやっぱり考えますと、これはやっぱり日本がやってきている外交とは随分違うと思うんですよね。そして、アフリカに対して欧米がやってきているものでもないと。
 ですから、日本は中国でもないし、欧米でもないし、日本としてのアフリカに対するODAの在り方というのが、これは自信持って言えると思うんですよ。それが、先ほど言いました、東アジアでやってきた社会基盤をつくっていって国民国家をつくっていくと。もちろん、この国民国家をつくるというのは、これはなかなか大変だと思いますよ。そもそも民族がたくさんあって、言語がたくさんあって、その歴史が本当に失われたような状態でありますから大変だと思うんですけれども、ですけれども、やっぱりそこが日本の独自の立場を示せるものじゃないかなと思うんですね。
 ですから、私が申し上げたいのは、要するに、日本がそういう姿勢をはっきり出さなきゃならないと思うんですよ。それは受入れ国側のアフリカ諸国にとりましても非常に、将来間違いなくこれは感謝されると思いますし、現に日本のODAには非常に一番感謝しているわけですよね。しかも、それを世界の各国に示していくと。日本の中でも示していくと。これはやっぱり、先ほどどなたかの委員からもありましたけれども、苦しいときに、何で日本の中で予算が足りぬときに海外へ出すんだと、そういう意見も当然そうだと思いますよ。ところが、日本の今その姿勢が非常に評価されるんだということが分かれば、国民も皆納得しますしね。
 ですから、欧米型でもない、中国のようなあからさまなそういうものでもないと。日本としてまさに、ある意味でいいますと価値外交なんですよね、これはね。そういう認識が僕は必要だと思うんですけれども、もう一度、その辺のことについて、中国のODAも含めてどういうようにお考えか、大臣のお答えをお聞かせいただきたいと思います。
#52
○副大臣(橋本聖子君) 中国のように、援助を受けていた開発途上国が経済的にやはり発展をして、そして新興援助国として、ほかの開発途上国の貧困削減ですとか、また社会の経済開発というものに支援をしているということ自体は大変望ましいことだというふうに考えております。
 ただ一方で、今先生からも御指摘がありましたとおり、例えば今、中国のお話がありましたので、中国による援助について我が国としてどういう認識を持っているかということをちょっとお話をさせていただきたいんですけれども、一つには、援助の実績ですとか内容等に関する情報の不透明性というのがあるというふうに思いますし、また、債務の持続可能性を十分に考慮しない貸付けというのがあり、そしてまた、人権問題ですとかそういったガバナンスに問題のある国に対しての支援を行う、また、国民に直接利益をもたらす案件というよりも、先ほどのレアメタルのことも入っているのかというふうに思いますけれども、相手国の指導層との結び付きを重視するODAというふうな、そういうなどの点で、援助に関してDAC加盟国が当然守らなければならない国際的な規範や援助供与国間との協調と相入れない側面が見られるというふうに思っております。
 そういうことに関しましても、やはり今までも日本と中国は特にいろいろな話合いをしてきましたけれども、特に、近年徐々にではありますけれども、援助に関する国際的な議論の場に参加するようになってきている中国に対しては、引き続きこういったDACや世銀の場なども活用しながら中国に対して働きかけを行っていきたいというふうに思っております。
 そして、日本として独自に、アジアでもなく、また欧米でもない、独自のやはりODAの在り方というふうなお話がありますけれども、まさにそのとおりであると思いまして、これからアフリカの、被援助国の利益を第一に考えまして、OECD、DAC加盟国として透明性があり、また債務の持続性などに配慮した効果的な、そして効率的な援助を行っていく考えでありますし、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、日本の持つ科学技術ですとか、あるいはODAを通じた人材育成というものができる力が十分にある国だというふうに思っておりますので、そういった考え方に基づきまして、昨年の五月の第四回のアフリカ開発会議、TICADWにおいても、基礎生活分野の支援を通じた人間の安全保障の確立、またインフラ整備、農業・農村開発、こういった支援を通じて加速化をしていくということを重点分野の一つとしていきたいというふうに思っております。
 二〇一二年までに対アフリカODA倍増等の公約を着実に進めながら、そしてその中身としては、やはり日本独自のすばらしい技術を、同時にODAを通じて、アフリカ、それぞれのやはりODAを必要とする国々が自立をしていけるような方向に持っていくことが一番大切だというふうに思っております。
#53
○西田昌司君 難しい問題なんですけれども、要するにアフリカのODA、一番大事なのは国民国家をアフリカにおいてつくり得るのかどうかと、そのために何をするのかという、そういう視点が絶対的に必要だと思うんですね。日本は確かにされているんですね、教育の分野とかで。しかし、まだまだそれは十分だと言えないし、それはまた日本だけがしてできるものじゃないと思うんですよ。
 ですから、私が申し上げたいのは、要するに、ヨーロッパに対してもほかの諸国に、中国に、中国はなかなか言うこと聞かないでしょうけれども、要するに、国民国家をつくるための国際的な協力とか、そういう考え方でやっていくべきじゃないかと思うんですが、その辺のところの御見解をお伺いして、終わりたいと思います。
#54
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、橋本副大臣からも御答弁申し上げました。各国それぞれのやり方といいますか、ODA支援についてはまた考え方もあろうかと思いますけれども、副大臣からも話がありました、また委員からもお話がありましたように、相手の国のやっぱり利益になって、相手の国の発展につながる、そういうものでなければならないと思います。確かに、資源外交という言葉もありまして、資源獲得ということも、それは国民の税金を使っての支援でありますから、そういうものも確かに必要であると思いますけれども、やはり相手の国が発展して我が国も発展する、相手の国が幸せになるということも大きな要素として考えてやっていくということが大事じゃないかと、そういうふうに思っています。
#55
○西田昌司君 終わります。
#56
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 先ほど亀井委員からツバルについての御質問がございました。私からも、今般、五月の二十二日、二十三日に太平洋・島サミットというのが行われまして、これにつきまして幾つか御質問したいと思っております。
 ツバルという国はどこにあるのかなと、皆さん御存じないかもしれないので、地図を用意しました。
 下にありますように、緑のところの、真ん中辺にありますが、ここがツバルなんですね。緑の部分がポリネシアと言われるところの国々ですね。紫のところがメラネシアという国々、パプアニューギニアとかありますけれども。オレンジのところがミクロネシアと言われる国々なんですね。全体で十二か国あるんですね。
 こういう国々の中で、先ほどツバルで、サンゴ礁でできているから排水でサンゴの状況も悪くなっていて問題だという話もありましたが、サンゴ礁であるがゆえに掘っても井戸水がわかないんですね。水の問題、大変なんですよ。
 よって、こういうところ、十二か国については、日本のすばらしい海水淡水化技術、また太陽電池を組み合わせれば電気がなくても対応できますので、こういうものを、せっかくこの太平洋・島サミットで総額五百億円の支援をするということを表明された北海道アイランダーズ宣言とかというのをされたんですが、これでこの十二か国に是非日本の海水淡水化のプラントを支援していただきたいと思うんですが、外務大臣から御答弁いただきたいと思います。
#57
○国務大臣(中曽根弘文君) 気候変動、これの影響によりまして環礁国を中心に太平洋の島嶼国における水の供給の問題が非常に深刻化していると、こういうことは私も承知をいたしておりますが、こうした状況を踏まえまして、今年の五月に北海道で開催されました太平洋・島サミットにおきまして、麻生総理より太平洋諸島フォーラム、PIFでございますが、これに六十八億円を拠出をして、海水淡水化装置や、それから太陽光パネルといった我が国の優れた環境関連技術を生かした協力を行う旨表明をしたところでございます。
 今後、平成二十一年度の補正予算に計上されましたこの拠出金を活用いたしまして、我が国の優れた技術の海外普及を促進するとともに、太平洋島嶼国への協力を進めていく考えでございます。
#58
○浜田昌良君 水の問題は保健衛生の基本でもありますので、是非この十二か国に支援を拡大していただきたいと思っております。
 次の問題といたしまして、先ほど人口が全体で八百五十万人と言いましたが、そのうち一番大きなのはパプアニューギニアなんですね、六百五十万人なんですが。ここで問題になっていますのは結核なんです。結核罹患率、対十万人というのが四百三十人というのが、いわゆるアフガニスタンの大体三倍なんですよ。アフガニスタンというのは、病気の場合の死亡原因の一位が結核なんですよ。それよりも三倍も罹患率が高くて、かつ死亡率も二倍ぐらい高いという非常に問題となっています。それ以外の国々は右下の方に、キリバス、マーシャルという国々、この二か国もアフガニスタンより罹患率が高いという状況なんですね。
 なかなか島国であるがゆえに診療システムがちゃんとそろえられないんですね。離島だからないと。かつ、難しいのは、結核というのは六か月間ちゃんと薬を飲み続けなきゃいけない。それを日本の場合は、戦後、結核予防会とか婦人会という地域のシステムをつくって、ちゃんとその人が世の中からは阻害されずに薬を飲み続けさせると、こういう地域システムをうまくつくって、当時、戦後は日本も年間十六万人死んでいたんですよ、今はもう二千人以下になりましたですけれども。そういうシステムづくりを是非この太平洋島嶼国でやっていただきたいと思うんですね。
 確かに、国際機関を通じてでは世界基金から二千五百万ドル、約二十五億円もの結核対策を行っているのは事実です。しかし、これは顔が見えません。日本は今言ったような結核を乗り越えてきた知識と経験と技術があるわけですから、是非、顔が見える結核プロジェクトをこの島嶼国でやっていただきたいと思うんですが、外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#59
○副大臣(橋本聖子君) 太平洋島嶼国では一部の国において結核は依然として大変な感染率が高くありまして、引き続きその対策に取り組む必要があるというふうに思っております。
 また、こうした状況を踏まえまして、我が国としては世界エイズ・結核・マラリア対策基金、世界基金でありますけれども、に対して、拠出により太平洋島嶼国における感染症対策事業に貢献をしてきているところであります。また、我が国の在外公館やJICAの事務所も、現地レベルで世界基金の支援事業の運営に関与をしております。
 さらに、我が国としては、JICAの技術協力によりまして、結核対策の研修ですとか、あるいは結核を含む予防接種事業強化の支援を行ってきておりまして、今後、域内各国における看護師の育成、先生がおっしゃったように、そういった技術を支援をするということがやはり一番の大切なことだというふうに思っておりますので、こういった支援を行いまして、各国の保健医療全般の能力の強化というものに更に力を入れる方針であります。これらの支援というのは結核等の感染症対策に資するものと考えております。
 政府として、このように世界基金を通じた貢献に加えまして、それぞれの二国間の協力も通じて太平洋島嶼国の結核対策の取組を支援していく考えであります。
#60
○浜田昌良君 是非、顔の見える二国間の結核対策をこの太平洋島嶼国で拡大していっていただきたいと思っておりますが。
   〔委員長退席、理事椎名一保君着席〕
 今、水の問題と結核の問題を取り上げました。実はこの十二か国で大使館がどうなっているかというと、二〇〇七年までの間は実は二つしかなかったんですね。人口が多いパプアニューギニアと、その次に人口が多い、約八十五万人のフィジーと、この二つしかありませんでした。ところが、二〇〇八年一月にミクロネシア大使館が設置され、二〇〇九年一月にトンガ大使館が設置され、来年一月にはパラオ大使館が設置されると。そういう意味では、非常に外交力の強化に一歩ずつ進んでいるのかなという気がしておりますが、まだまだ、兼轄というところですね、この破線で書いたところがそれぞれの大使館が兼轄をしている地域なんですね。
 そういう意味で、逆に兼轄があるからある意味ではできることもありまして、例えば先般、六月の十一日に、我が党の外交力強化チームと外交部会で総合的外交力の強化についてという申入れ、提言を官房長官と外務大臣に申し入れさせていただきました。その中で、水のアタッシェというのをつくったらどうでしょうかという提案をしたんですね。
 世界でもこの水問題というのは大きな問題になっています。今言った飲料水の問題もそうですが、先ほど亀井委員もおっしゃっていました排水の問題ですね、急に人口が増えたりして排水の技術が十分でない、また、治山治水という問題があって、はんらんの問題もあると。
 ところが、この水問題というのが難しいのは、役所、縦割りなんですね。治水とかというと、これ国土交通省なんですよ。飲料水というと厚生労働省なんですね。下水道はまた違うあれになっちゃうとかですね。ところが、メーカーとか企業は割と水というのは個別の総合力を持っているんですね。なかなか総合的なマネジメント企業が日本は育たなかったのは、水というのは各自治体のいわゆる公社がやっているというがゆえに、なかなか海外への技術協力というところも出遅れているのが事実なんですよ。
 それを是非この世界の水問題に、個別の海水淡水化であったり、また膜であったり、そういう技術は超一流ですから、これで世界に貢献していこうということで、例えばこういうミクロネシアとかパプアニューギニアとかフィジーとか兼轄になっている主要国に、そういう水のアタッシェとか、またさっき言った結核問題への対応できる結核のアタッシェとか、そういうものを官民人材交流で、全部別に役人がやる必要はありませんので、民間の方ですばらしい人を大使館に来ていただいてその地域に貢献していくと、こういうことを是非考えていただきたいんですが、外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#61
○副大臣(橋本聖子君) 水問題に関しまして、我が国はかねてより水分野におけるトップドナーでありまして、昨年の北海道洞爺湖サミットにおきましてもこの水問題を取り上げました。また、水問題を含めて諸問題に効果的に対処するためには、外務省の職員だけではなく、政府内外から専門性の高い人材を幅広く活用することが重要であるということを考えております。
 このため、現在では、各省庁から派遣されたアタッシェや任期付採用や官民人事交流法といった枠組みを通じまして、民間企業から派遣された人材に在外公館で活躍をいただいているところであります。
 外務省としても、水問題に総合的に対応し得る要員の在外公館への配置の重要性についても認識をしておりまして、御指摘のような人材交流も含め、いかなる対応が可能であるかということを引き続き検討をしていく考えであります。
 また、本年ですけれども、ちょうど島サミットがやはり北海道で開催をされましたときに、その事前に東京で、五月二十日でありますけれども、日本水フォーラム主催の水と衛生に関する太平洋諸島首脳円卓会議というのを開催していただきまして、私も外務省代表で出席をさせていただきました。
 そのときには、各首脳から、この十二か国の代表者の方からあらゆる国々の水の問題に関することをお話しをいただきました。そのときには、水というものはやはりもう人間が生きて、そして携わっていくすべて、そしてまた地球上にも必要な水、そして同時に、一番私自身が感じたことは、各国の首脳から水というのは道徳心であるというお話が出ました。
 そういった意味においては、これから水という問題について、やはり省庁間の枠を超えてしっかりとした議論をしていかなければいけないということを改めて認識をしたところであります。積極的に取り組んでいきたいと思います。
#62
○浜田昌良君 今、橋本副大臣から水は道徳心だというすばらしい言葉をいただきました。道徳心と言われているそういう分野で日本の貢献を是非拡大していただきたいということをお願いしたいと思います。
 最後に、結核問題なんですが、先ほどこの島嶼国の結核問題を言いましたが、世界全体でいいますと年間百六十万人の方が結核で亡くなっているんですって、まだね。この結核は、半年間ちゃんと薬を飲めば、その半年間の薬代もたったの二千円なんですよ、それをちゃんと飲めばほとんど治るんですよ。ところが、それが十分されていないというので亡くなっています。
 そういう意味では、そういう日本のシステムもしっかり技術、普及していくことが重要と思っていますが、最近、もっと恐ろしい状況が起きていまして、薬を途中でやめちゃうんですね。そうすると、その薬が効かないような、薬剤耐性の結核、MDRと言っているんですが、マルチ・ドラッグ・レジスタントTBというやつが出始めて、年間五十万人がこれを発症していると。これになるともうなかなか治らない、治るのに数年ぐらい掛かっちゃう。さらに、一割ぐらいはXDR、もう極耐性という、ほとんど治らないと、こういうのが発症しているんですね。
   〔理事椎名一保君退席、委員長着席〕
 これについて、なぜ、じゃ新薬の開発が進まないのかというと、このMDRとかXDRの患者は先進国にほとんどいないんですよ、途上国なんですよ。途上国であるがゆえに、なかなか治験が進まない。治験を進めようと思うと、治験の基準とか設備が整ったところでないとデータが通らないんですね。
 それで、ストップ結核パートナーシップジャパンというNPO、これがこのMDRの新薬開発に向けて民間基金をつくりました。六月二十二日に発表したんですけれども、具体的には、途上国においてICH―GCPという日米欧の臨床治験基準に沿った開発治験を実施する施設への資金援助、また助成対象は、治験施設のインフラ整備とか、研修、データ入力、解析に必要なOA機器とか、情報共有会合とか、こういうものを支援しようということで、これ、結核の分野では四十年ぶりの新薬開発なんですよ。これを日本の旗振りでやろうということが民間で始まりました。
 是非、これに対して外務省、また厚生労働省で、国としても積極的に支援をお願いしたいんですが、それぞれ外務大臣、厚生労働副大臣から御答弁いただきたいと思います。
#63
○副大臣(橋本聖子君) 先ほど水アタッシェ、そして結核アタッシェについて、結核の方が抜けておりましたので、ちょっとお話をさせていただきます。
 この結核アタッシェにつきましては、個別の保健課題の対策を目的としたアタッシェなどの派遣はこれまで行ってきてはおりませんけれども、結核等を含めた保健全般については、世界各国、地域の現状に応じまして、厚生労働省から派遣されたアタッシェがそれぞれの専門性を生かすなどして引き続き対応をするように努めてまいりたいというふうに考えております。
 今のパートナーシップジャパン、MDRのことですけれども、WHOによりますと、二〇〇七年の多剤耐性結核患者は五十万人に達しておりまして、その急速な蔓延が深刻な問題となっております。我が国としても、開発途上国における多剤耐性結核対策というものを支援することは重要だと認識をしております。
 このような観点から、昨年の七月に外務省は、厚生労働省と、そして今先生御指摘いただきましたストップ結核パートナーシップ日本などと共同でストップ結核ジャパンアクションプランというのを策定し、日本の官民が連携して結核対策の国際協力に取り組むという姿勢を表明をさせていただきました。
 今回、ストップ結核パートナーシップ日本から発表された耐性結核新薬開発基金は、このアクションプランに基づく民間側の重要なイニシアチブの一つでありまして、外務省としてもこれを歓迎をしているところであります。
 今後とも厚生労働省、そしてストップ結核パートナーシップジャパン等の関係者とともに協力をし合いながら、このアクションプランの着実な実施を通じて結核対策の国際協力に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#64
○副大臣(渡辺孝男君) ただいま橋本外務副大臣の方からお話がありましたが、厚生労働省としては昨年七月に、外務省、JICA、財団法人結核予防会、そしてストップ結核パートナーシップ日本と共同で、結核分野の官民による国際協力に関するストップ結核ジャパンアクションプランを策定し、この取組を支援することにしております。
 今回、ストップ結核パートナーシップ日本による取組は、このアクションプランに基づき新薬開発の環境づくりを進めるためのものと認識をしており、多剤耐性結核対策が公衆衛生上の観点から国内外を問わず重要な課題であることを踏まえまして、厚生労働省としても関係者と連携をしながらアクションプランの推進に向けて積極的に取り組んでまいりたいと、そのように思っておるところでございます。
#65
○浜田昌良君 今御紹介いただきましたストップ結核パートナーシップジャパンというこのアクションプランは、世界で年間百六十万人亡くなっている結核の一割ぐらい、十六万人ですね、ちょうど日本で戦後亡くなっていた人数ぐらいの人を何とか日本の技術とか資金で救っていこうという、こういうアクションプランなんですね。
 そういう意味で、この新薬開発、本当に四十年ぶりで、これができればいろんな途上国の方々が救われますので、民間だけではなくて、是非国の強い御支援をお願いさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきます。
#66
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。
 私は、気候変動対策とODAについて質問をさせていただきます。
 年末のコペンハーゲン、COP15では、先進国の中期目標とともに、中国、インド等の途上国をどう巻き込んでいくのか、これが大きな課題となっております。現在、我が国では、途上国向けにクールアース・パートナーシップ事業、これが行われておりますが、ODAをもっと最大限に活用すべきだというふうに思っております。
 大臣にお尋ねをしたいと思いますが、中国、インド、ブラジルなど、条約上の主要排出国には我が国からどのような政策ツールでアプローチしていくのか、お聞きしたいというふうに思うんです。これらの諸国からは、特に省エネ、排出削減のための技術移転、これを強く望む、そういう声が非常に強いというふうに聞いております。この技術移転を商業ベースでという従来の発想を捨てて、途上国の努力とセットということが大前提でありますが、野心的な排出削減の技術移転、これを検討すべきだというふうに強く思いますが、いかがでしょうか。
#67
○国務大臣(中曽根弘文君) 途上国が気候変動問題に取り組んでいく上で、温室効果ガスの削減や、それから気候変動の影響の除去のために、ODAを含めて新たな資金や、また今お話ありました技術支援など、様々なそういうツールが必要となると、そういうふうに認識をいたしております。
 中国につきましては、我が国は、黄砂それから酸性雨など我が国にも直接影響が及び得る地球的規模の環境問題への支援などを重点分野として協力を行うこととしております。
 また、インドにつきましては、環境問題やエネルギー問題対策を含めまして、インドにおける持続可能な開発に貢献をするそういう観点から、都市環境の保全、改善、それから自然環境の保全やまた省エネルギーなどに対する協力を実施をしているところでございます。
 ブラジルにつきましては、我が国は環境を対ブラジル援助の重点分野の一つとしておりまして、気候変動対策に関しましても、アマゾンの森林保全、違法伐採防止のための……
#68
○近藤正道君 それは後で聞きます。
#69
○国務大臣(中曽根弘文君) ああ、そうですか。
 気候変動に関しましてもいろいろな形で協力を行っているところでございます。
#70
○近藤正道君 是非積極的に、枠組みに入っていただいたらこういうことを考えていますよということをやっぱり積極的に打ち出して、途上国でかつ主要排出国をとにかく取り込む、そういう積極的なアプローチをやっていただきたい。私は、その辺のところがまだまだ弱いのではないかというふうに思えてしようがございません。
 次に、さっき答弁の中にもありましたけれども、森林破壊のことについてお尋ねをしたいというふうに思うんです。
 森林破壊の気候変動への影響は非常に深刻でございます。相変わらず森林の違法伐採、熱帯雨林を中心としてこの違法伐採がやみません。国連の環境計画では、森林破壊は世界の温室効果ガスの排出量の二〇%を占める、とにかくこれを止めるということが温室効果ガスの抑制につながるんだということを国連も大変強調しているわけでございます。
 そこで、その熱帯雨林を抱えるインドネシアだとかあるいはブラジルだとかあるいはアフリカ諸国などに対して、ODAを活用して、森林保全が経済的なメリットにつながるような、そういう支援を実施できないかということを聞きたいわけでございます。また、途上国の森林吸収を排出枠として経済的に評価する、そして国際的な排出量取引市場などから利益を得られるような仕組みを創設することによって、森林保全のインセンティブを働かせる国際的なメカニズムを日本として提唱できないのかということでございます。
 インドネシア、ブラジル、アフリカ、この辺の森林保全、どう日本がかかわっていくのか所見をお伺いしたいと、こういうふうに思います。
#71
○国務大臣(中曽根弘文君) インドネシアやそれからブラジル、またアフリカ諸国などに対しての違法伐採とか森林破壊、これらに対する支援ということでありますけれども、我が国としては、違法伐採防止などを目的といたしました経済協力を二国間ベースで、一例としては今申し上げますような形で実施をしてきております。例えば、インドネシア及びブラジルに対しましては、我が国の衛星を活用して森林減少の状況などを把握して、そして分析をする、そういう支援、それからエチオピアに対しましては、住民参加型で森林優先地域の持続的管理を普及するための支援などを行っているところでございます。
 またさらに、我が国は、横浜に本部があります国際熱帯木材機関、これを通じまして、世界の熱帯雨林の持続可能な森林経営の促進を目的といたしまして、これらの国々における違法伐採対策、また森林減少の抑制などの取組を積極的に支援をしてきているところでございます。
 これらはいずれもODAとして行っておりまして、今後ともこうした森林分野における開発途上国の取組を支援をしてまいるところでございます。
 また、排出量取引市場などから利益を得られるような仕組みをつくったらどうだと、そういうようなお話でございますけれども、森林減少、それから劣化によります排出につきましては、その対処というのは非常に重要な課題と認識をしております。
 具体的な対処の方法につきましては、御指摘のありました市場メカニズム、これを活用した方式も含めまして、現在国連の下で行われております作業部会において議論が今継続されているところでございますが、政府といたしましては、年末に行われますCOP15、これでの合意に向けて今後とも引き続き検討を続けてまいる考えでございます。
#72
○近藤正道君 熱帯雨林を抱えるこれらの国々が、熱帯雨林を貴重な資源として抱えるということがやっぱり経済的なメリットになるんだと、そういうふうに自覚できるようなメカニズムを是非日本としても発信をしていただきたいと、強くそのように要望を申し上げます。
 今大臣は一生懸命やっているというふうにおっしゃるけれども、私どもはもう何年も前からこういうインドネシアあるいはブラジル、アフリカ諸国、とりわけインドネシア、熱帯の国々の人々から、とにかく違法伐採と日本のかかわりが非常に深いんだと、是非日本が率先してこういうものをやめさせてくれ、何度要請しても日本の政府は動こうとしない、そういう要請を何度もやっぱり受けますよ。
 是非、私は、今これだけの地球環境、温暖化防止の中で熱帯雨林の果たす役割というのは物すごく大きいわけで、その熱帯雨林を言わば減少させている、あるいは違法伐採に日本がかかわっているということを途上国の皆さんから言われないように、やっぱり積極的な目に見えるような行動を取っていただきたいと。日本は断じてそういうものに加担はしないと、そういうもので生み出された木材は日本の国としては引き受けないという決意をやっぱりしっかりと示して私はいただきたいというふうに思います。本当に毎年のようにインドネシア等から、何とか日本の政府の力でこの熱帯雨林の違法伐採をやめさせてくれと、こういう声来ていますよ。是非そこはしっかりとウオッチしていただいて、毅然とした対応を取っていただきたいというふうに思っています。
 ポスト京都で国際交渉をリードする、これはもう福田内閣以来の日本の国際公約でございます。是非、旧来の発想に縛られることなく、外務省として、環境省と連携を密にしてまさに積極的に行動を取っていただきたい。私から見ますと、まだまだやっぱり消極的だというふうに思えてしようがない。そのことを強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#73
○松下新平君 改革クラブの松下新平です。本日九番目の、最後の質疑者となります。もうしばらくお付き合いをよろしくお願いします。
 戦略的なODA、この重要性については各派の皆さんからお話がありましたけれども、私も同じ気持ちでございます。そこで、私は本日、モンゴル国について質問をさせていただきたいと思っております。
 モンゴルといいますと、お相撲さんですっかりおなじみになりましたけれども、親日の国として大変重要だと思っております。地政学的にも、北はロシア、南は中国に挟まれて、民主主義を発展させる国としては北東アジアの安定と平和に寄与する国として、また日本の国益からも大変重要な国であるというふうに認識しております。
 そこで、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、昨日、約二十九億円の円借款、調印されました。これは貧困層支援ということで社会セクター支援プログラムに当たるわけですけれども、まず、このことについて概要を御説明いただきたいと思います。
#74
○国務大臣(中曽根弘文君) 我が国とモンゴルは、もう委員も御承知のとおり、大変、極めていい、良好な関係にあるわけでありますが、一九九〇年代の初頭以降、我が国はモンゴルに対する最大の支援国といいますか援助国となっております。
 我が国は、モンゴルの民主化、市場経済化の推進のために、今までインフラ整備とかあるいは教育などの基礎生活分野、さらに人材育成などの分野に重点を置いた支援を行っておりますが、これは今委員がおっしゃいましたように、このいずれの分野の支援も貧困層が裨益をし得るものであると考えております。
 また、昨今の世界の経済金融危機によりまして引き起こされましたモンゴルの財政難、これが同国の貧困層に大きな影響を与えていると。そういうことにかんがみまして、今お話ありましたけれども、昨日、アジア開発銀行との協調融資といたしまして、同国の貧困層向けの基礎的な社会サービス改善、それから教育、医療等の社会セクター支出確保のために、二十八億九千四百万円を限度とする円借款を供与したところでございます。
#75
○松下新平君 ありがとうございます。
 麻生総理が四月にアジア諸国向けのODA拠出額を約五千億円上積みして二兆円規模にすると発表されまして、第一弾がこのモンゴル国ということで、大変スピーディーな対応をされたということで、モンゴル政府も喜ばれているという話をお伺いしました。新しいJICA体制の下で、これをいい事例として更に推し進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、今月中旬、モンゴル国のバヤル首相が来日を予定されていらっしゃいます。私もモンゴル国との議員外交を重ねてまいりましたけれども、この友好国、そして世界有数のウラン埋蔵国として、日本とのこれからの発展的な関係強化、これも大きな課題になろうと思いますけれども、この今月中旬の首相の来日に合わせて、外務大臣としてどのように戦略的な外交をお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
#76
○国務大臣(中曽根弘文君) バヤル首相の来日につきましては、今年度の早期に実現するということでありますが、もう今年度、三か月たってしまいましたけれども、現在まだ外交ルートを通じて調整を進めているところでございます。具体的な日程等の詳細についてはまだ何ら確定をしていないところでございます。
 我が国といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、モンゴルとの非常に良好な関係、これが更に首相の来日によりまして強化されることを期待をしているところでもありますし、また、ODAを中心とする支援などにつきましても、先方のニーズに合ったもの、そして特に先ほどからお話ありますような貧困層、これらに対する支援というものを中心に、モンゴルの発展に資するようなまた支援をしていかなければと、そういうふうに思っておりまして、首相の来日時にまたいろいろな意見交換ができるものと、そういうふうに思っております。
#77
○松下新平君 御答弁は結構ですけれども、経済産業委員会で私もモンゴル国と日本との経済連携についていろいろ質問してまいったんですけれども、是非外務大臣も認識をしていただきたいと思っております。
 今、世界は原子力建設ラッシュ、原子力ルネサンスと言われるくらいエネルギーの安定供給、そしてCO2削減の観点からも大いなる期待が寄せられておりまして、その中で日本の原子力の技術力、これは世界にも大変高く評価されておりまして、先進国、途上国も含めて日本の技術力がこれから世界に貢献をしていくものと考えております。
 先ほど申し上げましたけれども、モンゴル国とは、世界有数のウラン埋蔵国としてウイン・ウインの関係を是非構築すべきだというふうに考えております。モンゴル国、私も議員外交の中で、人材育成、そして技術協力、それをモンゴル側は日本に高く求めているわけですけれども、資源のない日本と、そして技術力を求めているモンゴル国、両国、是非ウイン・ウインの関係をこの際しっかり構築していくというのが重要だと思いますので、バヤル首相来日、それを契機に、更に両国間、そしてひいては北東アジアの安定、平和のために御尽力をいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
#78
○委員長(林芳正君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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