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2009/07/07 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 環境委員会 第11号
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2009/07/07 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 環境委員会 第11号

#1
第171回国会 環境委員会 第11号
平成二十一年七月七日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     水岡 俊一君     芝  博一君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     相原久美子君     那谷屋正義君
     芝  博一君     水岡 俊一君
     轟木 利治君     小林 正夫君
     加藤 修一君     渡辺 孝男君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     大久保潔重君     外山  斎君
     小林 正夫君     轟木 利治君
     那谷屋正義君     相原久美子君
     渡辺 孝男君     加藤 修一君
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     外山  斎君     大久保潔重君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     相原久美子君     広中和歌子君
     大久保潔重君     平山 幸司君
 六月二十三日
    辞任         補欠選任
     平山 幸司君     大久保潔重君
     広中和歌子君     相原久美子君
 六月二十四日
    辞任         補欠選任
     相原久美子君     山下八洲夫君
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     山下八洲夫君     相原久美子君
 六月二十九日
    辞任         補欠選任
     相原久美子君     林 久美子君
     水岡 俊一君     輿石  東君
     加藤 修一君     松 あきら君
 六月三十日
    辞任         補欠選任
     輿石  東君     水岡 俊一君
     林 久美子君     相原久美子君
     松 あきら君     加藤 修一君
 七月二日
    辞任         補欠選任
     市田 忠義君     仁比 聡平君
 七月六日
    辞任         補欠選任
     大石 正光君     大石 尚子君
     佐藤 公治君     松野 信夫君
 七月七日
    辞任         補欠選任
     松野 信夫君     佐藤 公治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         有村 治子君
    理 事
                岡崎トミ子君
                神取  忍君
                松山 政司君
    委 員
                相原久美子君
                大石 尚子君
                大久保潔重君
                佐藤 公治君
                轟木 利治君
                福山 哲郎君
                松野 信夫君
                水岡 俊一君
                川口 順子君
                矢野 哲朗君
                若林 正俊君
                加藤 修一君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                荒井 広幸君
                川田 龍平君
   衆議院議員
       環境委員長    水野 賢一君
       環境委員長代理  北川 知克君
       環境委員長代理  園田 博之君
       環境委員長代理  江田 康幸君
   国務大臣
       環境大臣     斉藤 鉄夫君
   副大臣
       環境副大臣    吉野 正芳君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  古川 禎久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 堅一君
   法制局側
       法制局長     大島 稔彦君
   政府参考人
       環境省総合環境
       政策局長     小林  光君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       原  徳壽君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関
 する特別措置法案(衆議院提出)
○美しく豊かな自然を保護するための海岸におけ
 る良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物
 等の処理等の推進に関する法律案(衆議院提出
 )
    ─────────────
#2
○委員長(有村治子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、市田忠義さん、佐藤公治さん及び大石正光さんが委員を辞任され、その補欠として仁比聡平さん、松野信夫さん及び大石尚子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(有村治子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省総合環境政策局長小林光さん外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(有村治子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(有村治子君) 水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案を議題といたします。
 提出者衆議院環境委員長水野賢一さんから趣旨説明を聴取いたします。水野賢一さん。
#6
○衆議院議員(水野賢一君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 水俣病は、熊本、鹿児島両県及び新潟県において住民に極めて深刻な健康被害をもたらした公害病であり、我が国における公害問題の原点とされております。
 水俣病は環境問題において予防原則に立つことの重要性を教えており、我々はこうしたことを教訓にしていかなければなりません。
 公害問題では、汚染者負担の原則に基づいて補償がなされるべきでありますが、水俣病問題では、解決に長期間を要することが見込まれることなどから、公害健康被害の補償等に関する法律による認定を受けていない方々に対しても早期に救済を図る必要があります。
 平成七年の政治解決は大きな前進ではありましたが、なお救済を求める声も強くあり、また、平成十六年の関西訴訟最高裁判決も重く受け止めなければなりません。
 このような現状を踏まえ、新たな救済策として、本案を提出した次第であります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、政府は、過去に通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性があり、かつ、四肢末梢優位の感覚障害を有する者及び全身性の感覚障害を有する者その他の四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者を早期に救済するため、一時金、療養費及び療養手当の支給に関する方針を定め、公表するものとしております。なお、一時金については関係事業者が支給する等としております。
 第二に、公的支援を受けている関係事業者の経営形態の見直しについて、まず、環境大臣の指定を受けた特定事業者は事業再編計画を作成し同大臣に認可申請をしなければならず、同大臣は、当該事業者が一時金の支給に同意し、かつ、一定の要件に適合すると認めるときは認可をするものとしております。また、この計画に基づき新たに設立する事業会社への事業譲渡等に関する特例を定めるとともに、事業会社の株式を譲渡しようとするときはあらかじめ環境大臣の承認を得なければならないものとし、この株式の譲渡は、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結するものとしております。
 第三に、政府は、指定地域及びその周辺の地域に居住していた者の健康に係る調査研究等を積極的かつ速やかに行い、その結果を公表するものとしております。
 なお、この法律による救済及び水俣病問題の解決は、継続補償受給者等に対する補償が確実に行われること、救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されること及び関係事業者が救済に係る費用の負担について責任を果たすとともに地域経済に貢献することを確保することを旨として行うとの原則に基づいて行わなければならないものとしております。
 以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
#7
○委員長(有村治子君) 提出者衆議院環境委員長水野賢一さん、ありがとうございました。
 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○松野信夫君 民主党の松野信夫です。環境委員会で水俣病特措法案について質問する機会をいただきまして、有り難く思います。
 それでは、早速質問をさせていただきます。
 まず、この法案の特徴は、何といっても加害企業チッソを分社化する、ここだと思います。結果的にチッソという公害企業を分社化するというレールを敷くわけであります。他方、被害者補償あるいは救済の問題については政府が方針を立てるということでありまして、中身は具体的ではありません。やはりそうすると、加害者優先で被害者後回しという、そういう仕組みではないかという批判のそしりは私は免れない面があると言わざるを得ないと思います。
 本来、被害者補償救済の問題と分社化の問題は全く別の問題であるわけでございます。なぜ公害企業を分社化しなければならないのか、その基本的な理由は一体何でしょうか。提案者に質問します。
#9
○衆議院議員(園田博之君) 園田でございます。
 この法案の本来の目的は、今提案があったとおり、被害者を救済するということが目的でありまして、その中の重要な手段として分社化という法案を盛り込んだわけです。
 実は、チッソからは、水俣病の補償を完遂するためにも、あるいは将来の経営にめどを立てるためにも分社化を認めてほしいという要望は相当前から実は来ておりまして、平成七年の政治解決のときにもその意向は聞かされたことがあります。私は、チッソに対しては、一番いいのは救済を終わってから分社化ということにしたらどうかと、これだったら至らぬ疑いを掛けられることもないし、多くの方々に理解を得られるだろうと思って説得をしてまいりました。特に、二年前に自民、公明で救済案を出しまして、その救済の実施をめぐってそういう説得をし続けてきたわけでございますが、チッソとしては、やはり将来の経営の安定それからこれから自分たちに負わされるであろう新たな補償、こういうものをすべて完遂するためには、将来の分社化と、それによって株式譲渡してその利益によってその大半を果たしていきたいと、それ以外に方法がないということで、どうしても救済の実施に応諾してもらえませんので、私どもとしてはもう一つの課題である地域経済へ与える影響なども考慮して、それでは分社化という法案を出しますが、ただし、特に分社化をして株式を譲渡をするまでに当たって、事実上凍結をして、救済がほとんど解決をするという条件で株式譲渡を認めるという、そういう前提条件を付けて、今、松野委員がおっしゃるように、加害企業優先ということではないということを、この法案の中身を見ていただければ、あるいはその後御質問をいただければ、明快に説明ができます。
 あくまでも手段の一つとして、ただし大前提としては救済策を実施するためには絶対に必要であろうと、こう思って提案をしたわけであります。
#10
○松野信夫君 今の答弁でも、まあ一つの手段だということでありますが、私はやっぱり経過見ても、かなりチッソの要望といいますか、チッソに引っ張られた形で結果的に分社化というレールがつくられてしまったという気がします。
 それで、法案の九条の第二項を見ますと、救済の方針に基づく一時金の支給に同意しておりということで、これが一定の歯止めになるということが与野党協議のときに出されて、一時金の支給にチッソが同意すると、同意しなければ認可を下ろさないと、こういう立て付けになっているようでありますが、果たしてこれできちんとした歯止めになるかどうかという問題があります。
 それで、この一時金の支給に同意という意味なんですが、恐らく今後、救済の措置方針が定められる、具体的な一時金の金額が決まるということになろうかと思いますが、その場合に、チッソの方が一時金の支給に同意さえすれば、被害者団体の方がとんでもないと、そんな金額には同意できないということで不同意の団体が幾つもあっても、この法案の条文から見る限り、チッソが、例えば二百万なら二百万、一時金に同意しますということになれば、これはたちまち認可されるという仕組みのように思えるんですが、その点はどうでしょうか。
#11
○衆議院議員(園田博之君) この点も私どもと民主党さんとの実務的な協議の中で重要な項目として松野委員御自身が意見を述べられておったものを取り入れて新たな法案化にしたものでありますが、これは、一時金の額に同意するということは、例えば私が一時金の額を考えて、これならチッソさんよオーケーかと、じゃオーケーしますから分社化を先にやってくださいという段取りは考えられないんですね。
 つまり、なぜかというと、私は、今回仮に法案が成立しても救済という意味ではまだ道半ばも行かないわけでありまして、事実上、この法案に盛った骨子を前提にしてすべての被害者と話合いをしなけりゃならないんですね。話合いをして、そして基本的には、私は、少なくとも一時金とか療養手当とか、こういうものは同一条件でなければならないと、こう思っているわけでありまして、したがいまして、少なくとも数多くの団体、そういう方々と話合いをして、一時金としては大体この辺りで御同意いただけるなということがあって初めてチッソに同意を求めるわけでありまして、事実上は、松野先生がおっしゃったように、勝手に一時金の額を想定して先に分社化を決めてしまうということは事実上あり得ないというふうに思います。
#12
○松野信夫君 答弁の中に私の名前も出て、それはそれでいいんですが、私の方は別にこういう歯止めを言っているわけではなくて、最初に園田委員の方が言われたように、ちゃんと救済が終了すると、ちゃんと救済が完璧に終了するまで分社化は凍結すべきだというのが申し上げたところであります。
 それで、この法案の十二条のところを見ますと、これは主に第三項のところですが、補償賦課金とかあるいは公的支援に係る借入金債務の返済とか、こういうものがちゃんと返済できなければ将来の株式譲渡による返済はこれはあり得ないということのようでありまして、株式譲渡というのは救済の終了、市況の好転まで凍結だと、こういうことでございます。
 ただ、これは与野党協議のところでもいろいろ出ていたんですが、それじゃ株式譲渡で幾らぐらい譲渡益が出るか、この議論もありました。これは最終的には、市況がどういうふうに変動するかなかなか読みにくいわけですから、そう簡単に譲渡益が幾らぐらい出るだろうというのを算出するのは非常にこれは困難だということだと思います。
 ただ、実際に、じゃチッソがこれから必要な資金がどのくらいあるかというと、公的債務、民間の債務、それから、今後の認定されている患者さんの補償にこれは五百億ぐらい掛かると。また、今回の法案の救済対象分もありますので、まあかれこれ計算すると三千億ぐらいというのが一つの数字としては出るのではないか、こういう話も与野党協議の中でありまして、そうすると、それだけの株式譲渡益が出るかというと、それは現実問題としてかなり厳しいのではないか。
 そうしますと、例えば九五年のときに政治解決しました。一時金はチッソに対して貸付けをしました。その後、二〇〇〇年になって、そのうち約八割ぐらいは公的債務は言うなら免除してしまったと、こういうことがあるわけですね。そうしますと、株式譲渡で公的債務等々を含めて全部支払いするんだという立て付けにはなっていますが、市況がなかなか好転しないということで、二〇〇〇年のときと同じように、一定時期になると公的債務については結局免除するということになるのではないか、いやそういうことは絶対にいたしませんということが果たして言えるのかどうか、この点はどうでしょうか。
#13
○衆議院議員(園田博之君) これは、果たして株式を上場して売却したときにどの程度の売却益が出るかどうか、おっしゃるとおり想定できません。少なくとも言えることは、一つには、この法案にも書いてありますとおり、救済がほぼ確定をして、新たに負うべき補償がチッソにはどのくらいあるのかということを計算できる時期じゃなけりゃなりませんし、その上に、株式が最もいいタイミングで売却されるということが必要でありますから、必要額が、まあ三千億であるかどうかは分かりませんが、しかし少なくとも二千億を超えることは私も間違いないだろうと思います。
 そういう売却益を得られるときであるかどうかという判断が一番大事なことなんであって、私は基本的には、この売却益で、今まで受けた公的債務プラスこれから負うべきチッソの負担をこの中から見出せるようにしたいと思っていまして、それ以前にそれが難しそうだから公的債務を免除するということは基本的には考えておりません。あくまでも、その公的債務といいますか公的支援というのが、そういう支払と同時に、特に支払に関し途中起きてくるチッソの金融的な負担が、現実に今でもできないと思うんですね、新たに救済策を組んだときにも。そういうものを支援していくということは、これは今までどおりやらざるを得ませんが、債務全体から何割か減らしていくということは考えておりません。
#14
○松野信夫君 それで、今申し上げたように法十三条ですと、この事業会社の株式譲渡というものは救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結と、こうなっているわけですね。
 そうしますと、例えば被害者団体の方でこの法案による救済を求めるという方もおられれば、いや、この救済は求めないで徹底して裁判で争うという方も中にはおられるかもしれない。そうだとすると、裁判が続いている限りはこの株式譲渡というものは、まあもちろん救済の終了というふうには言えないと思いますので、裁判が続いている限りは株式譲渡とかあるいはチッソの消滅とか、そういうものはあり得ないんだという理解でよろしいでしょうか。
#15
○衆議院議員(園田博之君) これは原則的な考え方として私も賛同します。なぜならば、裁判を行わずに即時救済を求められる方、裁判で裁判所での救済を求められる方、こういう方々を包含をして解決しないと、今度こそと思っておりますから、最終的な解決には至らないんですね。それは同様に、裁判で今進めておられる方々も、もしですよ、司法上の、裁判所によって和解をするということであれば私はそれも考えなきゃならないと思うんです。いずれにしろ、方法は別にしても、同じような同一条件ですべての方が救済できるということを念頭に置いております。
 ただし、一人でも残さないのかと言われると、それはまあ分からないですね。なぜかといいますと、仮に例えば極端な例を言いますと、全部終わったと思ったらまた裁判で訴えられるという方も出てこられる可能性がある。したがって、私はここで言えることは、その後も裁判を起こされる方、あるいはおおむね理解されたけれども数人の方が裁判で続けるんだと言われる方々、こういう方々の言ってみれば潜在的な債権ですね、チッソに対する潜在的な債権、そういうものはずっと残るものでありまして、それだけのものは保有させなきゃならないと。したがって、最後におっしゃった、全部終わらないと今のチッソが解散するということはないというふうに考えていただきたいと思います。
#16
○松野信夫君 そうすると、ちょっと確認ですが、今の御答弁ですと、現在行われている裁判、不知火患者会の皆さんの裁判もあれば互助会の皆さんの裁判もあれば、あるいは棄却処分取消し、義務付け訴訟等々、現在行われている裁判は少なくともこれが継続している限りは救済の終了とは言えないから株式譲渡はなされない、だけど将来また何か起こるかもしれない裁判、そこまでは考えていないと、こういう理解でよろしいですか。
#17
○衆議院議員(園田博之君) ちょっと違います。
 それはなぜかというと、今裁判を行っておられる方々がどういう形式でもいいからここで和解という形で救済を実行しようと、裁判という形でも何でも結構ですからと、そういう方々はもちろんおっしゃるとおりでございます。しかし、我々は一切私どもと救済について和解への考え方がないと言われる方々は、これは我々の手ではどうしようもありませんので、そのまま裁判をお続けになるんだろうと思うんですね。そういう方々は、株式を譲渡するときの前提条件とするかしないかはそのときの判断でやっていかなきゃしようがないと。
 私が申し上げているのは、ただしそういう方々の潜在的な債権というのは残りますよと、譲渡した場合でも。したがって、そういう方々の債権をちゃんと払えるような、保有できるような仕組みは残しながら譲渡しなけりゃなりませんと、こういうことを申し上げているわけです。
#18
○松野信夫君 もう少しこの点を議論したいんですが。
 次に、救済の内容について確認をしておきたいと思いますが、この法案によりますと、救済の中身というものは政府の策定する救済措置の方針というものにある意味では全面的にゆだねられておりまして、元々民主党案にありましたような一時金の金額とか療養手当の金額とかあるいは診断書の扱いとか、そういうものは一切載っていないわけで、まさにこの救済措置の方針に丸投げしたような格好になっているわけですね。
 そうすると、政府の策定する救済措置の方針というのは、考えられるのは、一時金とか療養手当の金額などは恐らく書き込まれることになるだろうと思うんですが、それ以外にどういうような内容が盛り込まれるということになっているんでしょうか。
#19
○衆議院議員(園田博之君) おっしゃるように、政府が策定する救済措置の方針は、一つは対象者の範囲ですね、それからもう一つは、対象者お一人お一人の判定方法、それからもう一つは、一時金と療養費及び療養手当の支給内容が定められることと思います。
 このうち、救済対象者の範囲につきましては、当初、自民党、公明党の原案には限られた、言ってみれば九五年の政治解決のときの症状をただ記述いたしましたが、これも民主党さんとの協議の結果、対象者は最高裁判決に準拠して広げるべきだという御意見がございましたので、これを救済対象者の範囲として加えて、これは法律に記述をすることにいたしました。
 問題は、その判定方法と、特に一時金とかそういう条件設定ですね。
 判定方法は、これも法律には書かれておりませんが、私どもは当初、公的診断によるということにしておったんですが、現実に、公的診断じゃなくても、多くの方が診断書を持っておられると、そういうものを生かさないと、たった一遍の公的診断では救済から漏れる可能性が物すごく出てくるという御意見がございましたので、これも実際の実行方法としては、診断書と公的診断を両方生かせる方法を考えてやっていきたいというふうに思っています。実際、九五年の政治解決のときにそれに近いものを取っておりますので、そういうものを参考にしてやっていけば多くの方が救済できるんじゃなかろうかと。
 それから、最後は一時金なんですが、これは、例えば民主党さんの案には条件が法案に書かれてありました。これはあくまでも国会で、各党間で一時金の額を話し合って決めるべき性格のものではないと思っておりまして、一番大事なのは、救済を望む方々と話し合って、どの程度の一時金なら御納得いただけるのかと。しかも、一時金の支払者は国ではなくて基本的に加害企業でございますから、加害企業も説得しながら決めていかなきゃならぬと思っておりますので、これは基本的には、最初に申し上げたように、いろんな方々と話合いをしながら定めていきたいと、このように考えております。
#20
○松野信夫君 その救済措置の方針について、いろんな方々と話し合ってということですが、一番の中心は患者団体だろうというふうに思います。患者団体の意見をどういう形で取り入れるのか、単に意見を聞き置くという程度でお茶を濁してしまうのか。患者団体の意見、私は十分にしっかり慎重に取り入れるべきであると思いますが、この辺はどういうふうにお考えですか。
#21
○衆議院議員(園田博之君) 一応決めて、勝手に決めるなんということは考えたこともございません。合意をすることが必要でありまして、そのためには、これは国だけが患者団体と話し合って容易に合意できると思いませんので、これは私は、国会の場でいえば、与野党問わず合意できる、すべての方が合意できる額というのはどういうものなのかということも話合いをして、そして現実に被害者でまとまっておられる団体の方々とも話し合って決めていきたいというふうに思っています。
#22
○松野信夫君 具体的な金額が患者団体も加害企業の方も合意できればそれはそれにこしたことないだろうと思うんですが、しかし、恐らく加害企業の方は低ければ低い方がいいし、患者団体の方は高ければ高い方がいい、そういうことになりますので、また、加害企業が合意した、しかし被害者団体の方は、一部は合意するけれども、例えば裁判しているような団体はそんな金額ではとても了解できないということで被害者団体全体の合意が得られないというような場合はどうなるんでしょうか。その合意が得られた患者団体だけ一部分的にでも見切り発車ということはあるんでしょうか。
#23
○衆議院議員(園田博之君) これは、そういうことはしたくないと思っています。なぜならば、そういうことを行いますと、更にこの問題が長期化する可能性が私はあるんじゃなかろうかと。
 早期救済をするためには最も必要なことは、最初から申し上げているとおり、例えば私が提案したことで同意してくださる方々も、今は同意しなくてもこれからの話合いでどこかの要件で決着が付くということにしなければ、最初に御同意した方々は先に同意しましたから先に実施しますということになると、これはもう私は混乱させる最も良くない方法だと思っていますので、同時に御同意をいただいてそれから実施をするということにしたいと思っています。
#24
○松野信夫君 それから、診断書の取扱いのお話もありましたが、いわゆる公的診断それから民間の診断書、二つあるかと思います。元々の民主党案は、主治医の民間診断書を尊重すると、こういう仕組みでありましたが、この点も今回の法案には記載がありません。とすると、これはどうなんでしょうか、必ず公的診断というものを公的医療機関で診断してもらわなければならないということなのか、いや、公的診断がない場合は民間診断だけでよろしいという考え方なのか。
 また、公的診断と民間診断がどうしても食い違うことはこれはあり得るわけです。例えば、公的診断には四肢末梢も取れない、全身性も取れない、だけれども民間の診断書では取れますと、そういうふうに食い違ったときにはどういう扱いをしようということでしょうか。
#25
○衆議院議員(園田博之君) 実施していくと、この辺が一番微妙なところだろうと私思っています。
 ただ、私が今回申し上げたかったのは、公的診断で出した意見がこれが最終決定であるということにすると、さっき申し上げたように、たった一度の公的診断で救済するべき人が漏れてしまう可能性があるので、既に持っておられる診断書を重要な判断材料としてそれで決めていきたいと。
 その際、公的診断を一度は必ず受けてもらうのかどうか。私はそれが一番望ましいと思っているんですが、物理的にも問題が出てくる可能性があるので、その辺のことは、実際に、これも一時金の協議などと並行して、これ重要な事項ですから、実際に具体的にどういう方法でやるかということについては、私が今申し上げた範囲内で実行できる方法を考えていきたいと思っています。
#26
○松野信夫君 それから、救済の対象者をだれがどういう手続で判断するのか。これは実務的には非常に大きな問題です。従来ですと、公健法の認定申請辺りですと、検診医が検診する、その結果を認定審査会にかける、最終的には県知事が判断すると、こういう仕組みで来たわけですが、それぞれに問題があるわけですね。検診医が十分な診断しない、症状をなかなか取らないという問題がある。また、認定審査会ではいろんな別の原因などをあげつらって棄却をする、知事もそのとおり従うと。それぞれ問題があるわけなんですが、今回のこの法案での救済の手続というのは、今申し上げたようなルートを取るということをお考えなんでしょうか。
#27
○衆議院議員(園田博之君) これは、もちろん認定審査会とは別物でございますから、違った方法で救済するわけですから、違った判断機関が、判断する機関が必要だと思うんですね。
 平成七年当時の解決の方法を見てみますと、あのときには県に判定審査会をつくったんですね。割合、あのときの経過を見てみますと、そのことによって混乱が起きるということはございませんでしたので、例えばそういう方法を考えてみたらどうかなと現時点では考えております。
#28
○松野信夫君 九五年のときも、後々よく見てみると、十分な診断がなされていない、症状があってもそれが十分取られないと、こういうことで後からまたまたいろいろ問題が出てきたということがありますので、実務的なところでありますが非常に重要な点ですので、これはこれでまたしっかり見ていかなければいけないと、こう思っております。
 次に、救済対象者の点について御質問したいと思います。
 救済対象者についても、与野党間の協議いろいろありましたが、本法案では、四肢末梢優位の感覚障害、それから全身性の感覚障害を有する者、その他四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者と、こういうような書き方になっているんですが、そうすると、全身性は四肢末梢優位と同列に取り扱うと、それは分かるんですが、元々民主党案にありました、触覚だけ、あるいは痛覚だけといういわゆる乖離性の感覚障害は、どうもこの条文を見る限りはおっこちているというふうに理解するんですが、この点はどうでしょうか。
#29
○衆議院議員(園田博之君) これも実際は、平成七年の政治解決のときには、乖離性の感覚障害というのは結果的には全身感覚障害の中に入るんだというふうに受け止められておるようでございますから、今回も全身性の感覚障害の範囲の中に乖離性感覚障害も入るんだというふうに理解しています。
#30
○松野信夫君 そうであればそのようにきちんと、民主党法案には元々きちんと触覚又は痛覚という形で明文化されていたんですが、今回の法案ではその点が記載されていないので、園田委員の方はそのようにお考えかもしれませんが、果たしてそのとおり本当になるかどうかという点については私は危惧があります。
 というのも、五条の第二項の第二号のところを見ますと、口の周囲の触覚若しくは痛覚の感覚障害ということで、口の周囲については触覚あるいは痛覚ということで、ここはきちんと書いてあります。これは民主党案のそのとおりの文言は入っているんですが、民主党案の元々は、四肢末梢にしても全身性にしても触覚又は痛覚ということで、その点がきちんと明文化されていたんですね。何か理由があってこの点は落としたんでしょうか。
#31
○衆議院議員(園田博之君) 基本的な症状については最高裁判決に基づけという御意見だったので、最高裁判決に基づいてその症状を書いたものであります。ただ、この法、文案を見ていただけると分かりますが、全身性と四肢末梢優位の障害は同列に書いてあります。その他の障害につきましては、それも対象にするというふうな意味で書いてありますが、その意味というのは、その他の障害はメチル水銀以外を原因とする場合でも起き得る症状でありますが、ただし、メチル水銀を原因として起きてくる症状に数多く見られるという意味では、十分救済対象の範囲になる可能性があるという意味で書いたわけであります。
#32
○松野信夫君 この点は環境省にも確認をしておきたいと思いますが、今の園田委員の御説明ですと、明文としては四肢末梢優位あるいは全身性、こうなっているんですが、触覚若しくは痛覚だけという乖離性も入るんだと、こういうような御趣旨の答弁がありましたが、環境省の方もそのように理解しているということでよろしいですか。
#33
○政府参考人(原徳壽君) お答えを申し上げます。
 現時点においてどのような方々を救済措置の対象として方針に盛り込むかについては確定しているわけじゃありませんが、平成七年のときの対象として、全身性の感覚障害及び乖離性の感覚障害というふうに表記されておりまして、その意味においては今回もその点を参考にして考えていきたいというふうに考えております。
#34
○松野信夫君 ちょっともう一遍、参考にしてというふうに今最後言われましたか。そうすると、必ずしも乖離性は入らない、入らない可能性もあると、こういうことですか。
#35
○政府参考人(原徳壽君) 繰り返しになりますが、現時点において救済措置に何を盛り込むかについて定めているわけではございませんので、今後関係の方々と御相談をしながら決めていく段階で決まっていくというふうに思います。
#36
○松野信夫君 ちょっとその辺がややあいまいだなというのと、それからこの二号のところで、口の周囲の触覚若しくは痛覚の感覚その他いろいろ書いて、所見を考慮するための取扱いに関する事項ということで非常に分かりにくいんです。ですから、例えば舌の二点識別覚の障害があれば救済対象になるのか、視野狭窄があれば救済対象になるのか、そこがこの書き方は非常に持って回った書き方になっているのでよく分からないんですが、それはどうなんでしょうか。
#37
○衆議院議員(園田博之君) それはさっき私がちょっとお答えしたとおりでございまして、こういう症状はメチル水銀を原因として起きてくる症状であるということは最高裁判決なども指摘されているところでございまして、ただし、必ずしもメチル水銀だけで起きてくる症状かどうかと言われると、そうでもない可能性があるということを書いただけでありまして、基本的にはメチル水銀で、この地域に住んでいた方々でございますから、起きてくる可能性はより多いだろうという意味で、こういう症状が現れれば無条件で対象者というわけではございませんが、対象者になる可能性が濃厚であると、そのぐらいの感覚で取っていただければいいのではないかと思っています。
#38
○松野信夫君 それから、いわゆる胎児性、小児性の患者さんについては、どうもこの法案を見ますと特段の記載はないようですけれども、こうした胎児性、小児性の患者さんについての何らかの配慮、あるいは判断基準等々についてはこの救済措置方針辺りに盛り込まれるんでしょうか。
#39
○衆議院議員(園田博之君) この法案にこのことについて記述はしておりませんが、私どもとしては、胎児性や小児性の患者さんというのは、かなりの可能性で公健法による患者として認定されておられるのではなかろうかと思っています。ただし、それで済んでいるんだからこの人たちは対象外だと言うつもりは全くございません。今度の救済案によって、そういう方々を除外をしたり、それを対象外にしたりするつもりは全くございません。
#40
○松野信夫君 この胎児性、小児性の皆さんについては、まだまだ病像論そのものの研究が十分になされていないということが言えると思います。
 それで、今回の法案については、法三十七条で調査研究という項目が挙がっております。ただ、しかし、この三十七条の調査研究のところですが、例えば三十七条の三項にいろいろ、調査研究やるという記載がありますが、これは、既に環境省が昭和五十年代からもうずっと予算も取って調査研究をやっているものばかりでして、特段新しいものは入っていないんです。こういう調査研究の中に、例えば胎児性、小児性の皆さんの病像の問題、あるいは今後のケアの問題、そういうような調査研究というのは含まれるかどうか、この点はどうですか。
#41
○衆議院議員(園田博之君) 先に結論を申し上げれば、含まれる。むしろ、そういうことを主眼に、具体的にどういう研究ができるかということがこれからちょっと協議していかなきゃなりませんが、そういうものが含まれるというふうに考えております。
#42
○松野信夫君 それから、この調査研究については、我々民主党の法案ですと、こういう調査研究をすることで実際に被害者の救済の方向で役に立つということで、我々の作った法案ですと、特定疾病の範囲の拡大その他必要な措置を講ずるということで、調査研究を救済の拡充に結び付けるという条項を入れてやっていたんですが、今回の法案はそっくりその部分が落ちて、調査研究はやります、だけどその成果が被害者救済に本当に生かされるのかという文言がすっぽり落ちているんですが、これはどういうことなんでしょうか。
#43
○衆議院議員(園田博之君) それは方法論の問題であって、被害者救済に生かされるつもりで調査研究をするつもりでおりますが、ただ、いろんな御意見があるんですね、この調査研究には。一番多いものであれば、対象者となり得る地域で対象となり得る時期に住んでいた人すべてを調査せよという意見などもございます。
 私は、こういう方法は、物すごい物理的にももちろん大変なことでございますが、救済される方々を今度漏れなく救済するためには、それだけの期間も取らなきゃなりませんし、何よりも、かつては名のり出ることが非常に地域でつらかったとか、そういうことは、今度は私はそういう風潮ではないと思っておりますし、基本的にはいろんな方々からお知らせをいただいてでも申請をしていただくということは、閉ざすことがなければ、私はそういう必要を必ずしも必要としないんではなかろうかというふうに考えております。
#44
○松野信夫君 それから、この法案の救済対象者というものは、裁判は取り下げなきゃいけない、公健法の認定申請も取り下げなければならない、こういう立て付けになっていて、これはまさに九五年の政治解決の点と全く同じでありまして、私は率直に申し上げて、これは裁判を受ける権利を実質的に侵害するのではないかというふうに言わざるを得ないものでございます。
 九五年当時は、まだ国の責任というものが最高裁判決では出されておりませんでしたので、国の責任が確立していたわけではありません。しかし、現在は最高裁の判決が出ているわけであります。また、最高裁判決で、九五年のときの病像論とは違う広げた判断もあるわけでありまして、九五年のようなスキームを必ずしも踏襲する必要はないし、また、私は、わざわざそんなことを法律に書き込まなければいけないというのは本当にいかがなものかと。
 率直に言うと、この法律は、事業会社を救済するというような観点に立って詐害行為取消し権も認めない、否認権も認めない、株主の権利も十分認めないというような、非常に異例中も異例の法律でして、私は弁護士なので、一法律家から見ると、これは正直違憲の疑いもあるなというぐらいに率直に思っているところであります。
 それで、裁判をしちゃ駄目だ、公健法も取り下げろと、そこまでやるというのは、要するにこの法案の救済というものは取引だと。取引的な和解というものを要求しているのではないかなと、こういうふうに考えざるを得ないんですが、この点はどのようにお考えですか。
#45
○衆議院議員(園田博之君) ののしればそういう言い方ができるのかもしれませんが、私は和解というものはそういうものだろうと思っているわけでありまして、裁判を続けられることをこの法律によって阻害するものでも何でもないんですね。
 例えば裁判でもいろんな種類がありまして、裁判の中で和解する場合も含めてですが、今回我々と協議していただいて和解される方々は、そのことによって御納得をいただいて、その他の方法で同じ方がそれをし続けるというのは和解にはならないではないかということを申し上げているわけであります。
#46
○松野信夫君 それで、例えば、この法律が成立した、だけれども自分はやっぱり公健法の認定申請を受けたい、自分は重症だということで公健法の認定申請にあくまでこだわる、しかし、結果的には残念ながら公健法上は認定されなかったという方が、その後この法律で救済を請求するということは可能なんでしょうか。
#47
○衆議院議員(園田博之君) それは可能です。ただし、時間的な制約はどこかで出てくると思いますね。
 これは、今回救済案を出して、それで同意をして、それから、さっき申し上げたように今度の救済案で救済してほしいという人がまた新たに出てくる可能性はあるんですね。そういう方々を受け入れる余地は設けておかなきゃなりませんが、それを拒否して認定審査会へ行かれた、物すごい時間が掛かってしまったというときにどう救済できるかは、それはそこで考えなきゃいけませんが、理屈からいえば、今おっしゃったように、認定審査会に一回拒否して行って、認定審査会でも拒否された、じゃ、やっぱり救済を求めるということは可能であります。
#48
○松野信夫君 ただ、実際の問題として、今、園田委員も言われたように認定審査会というのはもう事実上破綻状態で、いつ判断がなされるか分からない。そうすると、相当長期間結論が出るまで時間が掛かることが予想されるわけですね。
 ところが、この法案ですと、この法案の救済というものは三年をめどにするというふうになっているわけで、そうすると、三年という期間が経過してその後公健法で棄却された、そうなると結局この法案も使えないと、こういうことになりはしませんか。
#49
○衆議院議員(園田博之君) それはどういう方法があるかなんですが、例えば、さっきから申し上げているように、一定の時間が過ぎても、認定審査会でノーと言われたと、こっちは終わってしまっていると、なら裁判で訴えるかという方法も残されているわけですから、最終的には司法の場で救済を求められた場合には、私は、その分の、当初から申し上げているとおり、その分の潜在的な債権というのは保有しなきゃなりませんから、救済が不可能ということにはならないと思います。
#50
○松野信夫君 それで、公健法の認定申請が今後どうなるかということですが、取りあえず当初の与党案にありました公健法上の地域指定解除の条文は今回は削除というふうになりましたので、当分公健法の認定申請というものは続けられるだろうと、こう思います。
 ただ、地域指定の部分は削除されましたが、法の七条の第一項の四号には、補償法に基づく水俣病に係る新規認定等を終了することという記載がこれは残されたんです。民主党の方は、法を削除するならば、公健法の地域指定解除を削除するならば、第七条の一項四号の今申し上げた新規認定の終了というこのところも削除しないと合わないのではないかというふうに指摘していたんですが、これは残ったわけですね。これ残した意味はどこにあるんでしょうか。
#51
○政府参考人(原徳壽君) 元々与党案で出された形のままここは残っているわけでございますけれども、これにつきましては、第二号にあります水俣病に係る認定等の申請に対する処分の促進と、それに伴いまして、当然ながらその処分を促進した結果として認定等が終了するであろうと、そういうようなことで規定が置いてあるというふうに理解をしておりますが。
#52
○松野信夫君 もう時間ですから最後の一問ですが、この法案は元々全面的に最終解決だと、最終解決ということがずっと一貫して出ていたわけです。ところが、これは与野党協議の結果だと思いますが、前文と一条についてだけは最終解決という文言を残して最終解決だということをうたっているわけですが、ほかのところは単なる解決ということで修正されているわけですね。そうすると、この法案の趣旨というのは一体どうなんだろうかと。やっぱりこの法案は最終解決、最終解決ということを言っているのかなというふうにも読めるんです。
 ただ、私は、最終解決ということを言うには余りにも問題が多過ぎるし、これで果たして最終解決になるかどうかというのは極めて疑問を持っております。園田委員の方は、この最終解決というのは具体的にはどういうような場面を想定しておられるんでしょうか。
#53
○衆議院議員(園田博之君) 最終解決と言うからには、すべての被害者の方々ですね、今後また出てくる可能性が、そういうことを訴えられる可能性もあるわけで、そういうものがすべて終わらないと最終解決とは言えないと思っています。
 ただ、最終解決を前文とか二か所残したのは、今度の法案は最終解決を目指すものであるという目的を残しておかなきゃならない。一つ一つの事柄にこれが終わると最終解決だというふうに書いてしまいますと、非常に、特に被害者の方々の感情を至らぬ刺激をして早く幕引きをしようとするものだという誤解を与えますので、削除できるものは全部削除したということでございます。
#54
○松野信夫君 時間来ましたので、終わります。
#55
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 本法律案について、少し長くなりますが、この際に本法律案の制定に至る問題意識などについて確認の意味を込めて申し上げておきたいと思います。
 水俣病問題においては公健法及び平成七年の政治解決等に基づき対策が講じられていたところでありますが、平成十六年十月の関西訴訟最高裁判決は、規制権限の不行使により水俣病の被害の拡大を防止できなかった国及び熊本県の不作為責任を認定しました。その後、最高裁判決を機に公健法への新たな認定申請者が急増し、最高裁判決後の認定申請者が約六千五百名と多数に上っているところですが、鹿児島県認定審査会については依然再開できない状態が続いており、損害賠償を求める新たな訴訟も提起されているところであります。
 政府は、平成十七年四月、この最高裁判決を受け、新保健手帳の支給再開を含む総合対策医療事業の拡充や今後の取組をまとめた、いわゆる今後の水俣病対策についてを発表し実施してきたところでありますが、新保健手帳の対象者は本年五月末現在で二万二千百九十名に上るところで、一方で認定申請者は六千四百五十二名に達し、依然閉塞した状況が続いており、このような閉塞した状態が続けば被害者救済が遅れ、地域が再び混乱するという危機的な状況に陥ることが懸念されているところだと思います。
 水俣病問題の深刻さは、半世紀たっても病気を完治する手段がなく、被害者の病気との格闘が続いていることと、いわゆる偏見や差別の中で埋もれた被害者が数多くいることであります。最高裁判決を受けて今政治や行政がなすべきことは、これらの水俣病を取り巻く閉塞状況を打開し、すべての被害者の早期救済と地域の安定を図ることであります。
 このような観点から、公明党は、平成十八年四月でありますが、今後の水俣病対策の在り方について提言を行った後、同年の五月から自民党とともに与党水俣病問題に関するプロジェクトチームを現在に至るまでの約三年の間、十六回にわたって開き、被害者の実態の把握を行うとともに、園田座長を中心に政府や熊本県を始めとする関係県、被害者団体、原因企業の協議を重ね、新たな救済策の検討を行ってきたところでございます。
 本年三月に与党から法案を提出した後、民主党から四月になって法案が提出されたことを受け、与党と民主党との間において担当レベルで六回、さらに国対委員長、政調会長レベルで三回の計九回の協議を行い、合意に至ったものであります。
 本法律案で特筆されるべき点としては、まず第一点は、水俣病問題にめぐっては、先ほど申し上げましたように、半世紀の歴史の中で様々な対策が講じられてきたことでありますが、水俣病被害者救済のための法律が制定されるのは初めてのことであり、これはまさに重要な意義を持っているものととらえているところでございます。
 第二に、本法律案では、これは水俣病問題を解決する際の原則として次の点を明確にしているように私は考えてございます。
 第一点は、救済を求める方をできるだけ広く救うことであると。第二は、その負担を行う原因企業の間で補償協定を締結し、認定患者の方々に対する補償を確保しなければならない。あるいはさらに、汚染者負担の原則に基づき、チッソなどの原因企業が費用負担についての責任を全うすることである、同時に、水俣・芦北地域経済への貢献を確保することであると、このように考えております。
 水俣病問題では、これまで様々な解決策が講じられてきた経緯や歴史がある中で、関係者の様々な思いや利害が錯綜しており、問題解決の原則が明確に位置付けられたことは、これから水俣病問題の解決を具体化していく際の指針として非常に重要なことではないかと考えております。
 第三に、救済策の内容でありますが、その具体化は今後の交渉にゆだねられる部分もあるわけでありますが、救済を必要とする方々に対して広く救済を図るものと考えられます。
 法案では、これまで地域における住民の福祉対策として行われてきました保健手帳をお持ちの方々についても、水俣病被害者手帳として救済策に位置付けており、事実上の全員救済となるものであります。老後の不安を少しでも和らげる上で重要な医療費を支給することは大いに意義のあるものと考えております。
 また、救済を求める方々の中には、自分たちも患者や被害者としてチッソや政府、県からきちんと認められたいという方々のお気持ちを大切に受け止める必要があります。本法律案では、問題の発生から数十年を経過し、メチル水銀の影響の有無を判断することは困難であるところがございますが、救済を求めるに至ることは無理からぬ理由が当然ございます。水俣病被害者として救済することとしております。この点は、公明党から主張を行い、法案の中にもしっかりと位置付けされておるところでございます。
 以上は問題意識等について申し上げましたが、そこで質問になるわけでありますが、本法律案の立案に精力的に最大限の取組をされてまいりました園田、江田両議員等の提案者に申し上げたいわけでありますが、江田議員には特に次の点について質問をさせていただきたいと思います。
 本法律案の意義、あるいは本法律案の提出に当たっての思いというものが当然あると思います。熊本県出身であり、そこに在住しているという意味では特に思うことがあると思いますので、そういった点を含めて御答弁をお願いしたいと思います。
#56
○衆議院議員(江田康幸君) お答えさせていただきます。
 今議論もいろいろあっている中で、この救済の在り方につきましては、今日も異なる意見があることは十分承知をしております。ただ、最高裁判決から既に四年半が経過しています。被害者の方々が高齢化されている、そういう状況の中で、その間に救済を求めながらも亡くなられた方々が多くおられるわけでございます。そして、今もその救済の日を待ちわびながらいらっしゃる方々も多くおられます。
 このような状況の中で、私どもは、平成十八年五月に与党プロジェクトチームを立ち上げて、一日も早い被害者救済を実現したいというその思いで法案の取りまとめに取り組んでまいりました。
 この法案の意義についてでございますけれども、まず、先ほども加藤先生述べられましたけれども、この水俣病問題をめぐりましては、約半世紀の中で様々な解決策が取られてきたわけでございますけれども、水俣病被害者救済のための法律が制定されるのは初めてであり、画期的なことであると思っております。
 今回の法律では、公健法に基づく判断条件を満たさない、そういう方々を始めとして、救済を必要とする方々を初めて水俣病被害者として位置付けてその救済を図ることとしているものでございます。被害者救済の法的な担保となるものがこの法律で取られたわけでございまして、まさに私は画期的なことであると考えております。
 私は、熊本、地元でございます。水俣や芦北、また御所浦、様々なところに若いころからも足を運び、ボランティアとしても皆様とともに寝食を共にしてそのお世話をさせていただいたこともございます。また、今日に至るまで多くの被害者の皆様からそのお声を、また被害者団体の皆様からもお声を聞いてまいりました。その中で、私感じておることは、まさに水俣病問題のこの深刻さというのは、半世紀たっても病気を完治するその手段がないことであります。被害者の皆さんの病気との闘いが続いていることであります。また、その偏見や差別の中で埋もれた被害者が多くおられること、これが水俣病問題の深刻さだと思っております。
 最高裁判決を受けて今我々政治、行政がなすべきこと、こういう苦しみの中から上がった声を受けてそのなすべきことは、これらの水俣病を取り巻く問題を打開してすべての被害者の早期救済と地域の安定を図ることであるとの思いで法案の取りまとめに取り組んでまいりました。
 すべての被害者の幅広い救済、そして同じ被害には同じ救済をという、そういう思いが私たち公明党の当初からの主張でございました。この法案は、被害者救済を進める上での第一歩であり、一刻も早く救済が実現できるように今後も全力で取り組んでまいる所存でございます。
#57
○加藤修一君 ただいま江田提案者の方から、法律として作られたのは画期的であると、こういう御答弁があったわけでありますけれども、法律案の成立後も私は課題は山積しているんではないかと。先ほど園田提案者からも話がこの点についてはあったように思います。
 そこで、三つほどお願いしたいわけでありますけれども、第一に、訴訟をしております団体を含め被害者団体とも協議を重ね、救済措置の基本方針を策定することが必要であると。被害者は高齢化する中、早期救済を切望しておりますし、そういった意味では迅速な調査を行うことをお願いしてまいりたいと思います。
 それから、第二点は、合意が得られた暁には、救済の実施に当たりましてはすべての被害者を救済すべく周知の徹底を図っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 第三には、原因企業について法律上分社化を認めておりますが、汚染者負担の原則にのっとって費用負担に関する責任を全うするよう要件を厳格なものとすることであります。また、環境大臣の監督権限も定めているところでありますので、言うまでもなく、この法律の原則にのっとり適正かつ厳正に監督を行うことをよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、斉藤大臣にも来ていただいておりますので、この法案が成立した後の政府の取組についての御決意をお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この法案が成立をいたしまして救済の枠組みが確定すれば、環境省そして政府全力を挙げて、その救済の実現に向けて最大限の努力を行う決意でございます。
 そして、先ほど加藤委員からお話がございました三つの観点につきまして、一つの観点は、関係自治体や水俣病被害者団体ともよく協議を行うことということでございまして、この協議を行いつつ、救済の対象者の範囲や一時金などの支給内容に関する救済措置の方針を早期に策定する、それから救済対象の方々を判定するための体制を早期につくる、そして救済策の周知徹底と、様々な作業が必要になってまいりますので、全力を挙げてまいります。また、第三の点ですが、原因企業につきましても、汚染者負担の原則を踏まえて費用負担に関する責任を全うできるよう、環境省としても適切に監督を行う所存でございます。
 環境省としては、法案の成立に携わってこられた先生方の御指導を仰ぎながら、水俣病被害者の救済を図り、地域における紛争を終結させて水俣病問題の解決を図り、環境を守り安心して暮らせる社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
#59
○加藤修一君 将来の課題についてでありますけれども、今後の課題として、やはり私は、特に胎児性の被害者を始めとする認定患者とその御親族の方々のいわゆる高齢化が進んでいると。介護をされているわけでありますけれども、親も大変でありますし、さらに将来、介護される御両親が先に亡くなる場合も想定されると。そういった意味では、患者が残されることも想定されるわけでありまして、どう生活していくか、そういった将来の不安が大きいわけでありますので、今後これらの方々の生活を支援をしていくことが極めて重要であると考えることが当然の話であります。
 これは環境省としてどういうふうな対策を今後取っていくか、この点について御答弁をお願いいたします。
#60
○政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。
 胎児性水俣病患者等とその介護をされている御家族の方々に対する生活支援につきましては非常に重要であるというふうに考えております。
 従来からも被害者団体へのヒアリングなどを実施しまして、その御要望を踏まえまして、平成十八年度より、患者等が地域で安心して日常生活が送ることができるように、また患者等の社会参加が促進されるように、地域において患者等の支援活動を行う法人あるいは団体等に対して支援を行う事業を実施しております。
 具体的には、これまで、リハビリを兼ねた健康管理を行えるデイサービス機能や保護者の負担を軽減するレスパイトケア機能等を有する施設の整備及び運営費の補助、また患者等が生きがいを感じ、社会参加につながるような事業への支援、また通院等外出や地域のイベント等社会参加をする際の送迎、付添いに対する支援などを行ってきているところでございます。
 今後も、患者の方々等のニーズを踏まえ、自治体及び関係団体とも連携を図りながら、患者さんを中心とした福祉の向上につながる支援を行ってまいりたいと考えております。
#61
○加藤修一君 水俣病は、小児科の医師が子供の症例を見て、これは五十年以上前の昭和三十一年五月一日でありますけれども、水俣保健所に届けたのが公式確認のきっかけになったという、そういう歴史があるわけでありますけれども、こういうことを踏まえて環境省にお尋ねしますけれども、近年、胎児期からのメチル水銀の長期微量暴露がこれは世界的に非常に大きな問題になっていると。こういう面についての研究は非常に大事でありますし、どう今後こういったことについて真っ正面から取り組んでいくか、環境省のお考えをお尋ねしたいと思います。
#62
○政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。
 国連環境計画、UNEPにおきましては、平成十四年に、水銀の人への影響や汚染状況等に関する評価報告書、いわゆる世界水銀アセスメントを公表しております。その中でも、胎児期の水銀暴露の影響について報告されているところでございます。
 このような中、環境省におきましては、平成十四年度から、国内でメチル水銀の低濃度暴露による健康影響に関する調査研究業務として、妊婦のメチル水銀暴露量と出生児の各段階における発達状態の評価を実施しているところでございます。これは、世界の他の地域で行われております同様の研究の結果と併せ、胎児期のメチル水銀暴露に関する知見の収集に大きく寄与するものと考えております。
 こうした科学的知見に基づく取組としまして、UNEPにおいて国際的な水銀管理のための条約交渉が開始されるところでございまして、我が国としても、知見の提供や対策の強化について積極的に貢献してまいりたいと考えております。
#63
○加藤修一君 いわゆる水俣病は一地域の問題でないことは確かでありまして、やはり日本の公害の原点というふうな位置付けが言えると思います。
 ただ、今なお残る差別、偏見を解消するための教訓、あるいは啓発事業を本格的に実施することが極めて重要である。この水俣病の関係についてはもう非常に世界的にも知られることになっているわけでありますけれども、この経験とかあるいは教訓、これを更に世界に発信し、二度とこのような悲劇を起こさないようにすべきだと思いますけれども、こういう点に関しても環境省としてはどう取り組んでいかれるのか、お示しを願いたいと思います。
#64
○政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、今なお残る差別や偏見を解消し、また水俣病の悲惨な被害や犠牲を二度と繰り返さないためにも、水俣病の経験を広く伝えることが重要だと認識しております。このため、環境省では、水俣病に関する偏見、差別を解消し、水俣病問題で疲弊した地域のもやい直しを行うために、水俣病発生地域の再生、融和等の事業等に対して支援を行ってきております。
 また、水俣病の経験から得られた教訓を伝えていくために、普及啓発セミナーの開催でありますとか、海外から行政担当者などを招聘した研修の実施を行うほか、国立水俣病総合研究センターにおいて、水銀に関する健康影響や水銀の分析の研究成果を生かして、海外において起こっております水銀汚染問題について国際共同研究や国際環境協力あるいは研修業務を行ってきております。今後とも、水俣病の教訓につきまして国内外への普及啓発を続けていきたいと考えております。
#65
○加藤修一君 ある調査によりますと、火山とか海からの自然由来の水銀は毎年三万八千トンと言われております。その中で、これは国連の調査でありますが、人為的な排出量、これは毎年三千トンに達していると、こういうふうに言われているわけでありまして、途上国での大気中への排出量、年間三百トン、河川などに対しては七百トンに達すると、そういう調査がされております。水銀を扱う鉱山では一千万人から一千五百万人が従事していると。そのうち百万人が児童だと言われているわけでありまして、こういうことを含めて、UNEPの国際条約の関係については水銀の生産規制、あるいは場合によっては禁止ということも議論されているようでありますけれども、排出削減対策あるいは輸出規制、そういったものがしっかりと議論されて対応が十分なされているそういう国際条約ができ上がることについては、これは環境省、日本国の政府の役割も非常に大きいと思いますので、そういった面についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 時間もそろそろ来ておりますけれども、最後に、これは環境大臣にお願いも含めてでありますけれども、予防原則、これは最近の様々な政策を取り組んでいく中では非常に大事な原則だと思います。特に化学物質と子供の健康影響に対する取組をどう強化するか、これは今後の環境行政において課せられた大きな課題であると、ここはやはり環境省が更に力を入れてやっていかなければいけない非常に大きな分野であると思っておりますが、環境省の取組について大臣にお示しをいただきたいと思います。
#66
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 子供の健康と環境の問題は非常に大きな課題だと思っております。これを、私、今後の環境省の大きな仕事の一つとして位置付けてイニシアチブを発足させたところでございます。
 最近、子供たちの間でアレルギーやアトピーといった免疫性疾患、それから小児肥満などの代謝・内分泌系異常、それから先天異常などがこれはもうデータで明らかでございますけれども増加をしております。こうした子供の健康が脅かされているという事実を踏まえまして、予防的な観点から、その原因を科学的に解明し、取組を進めていこうということで、来年度から六万人の方、これは妊婦の方に御協力をいただいて、おなかにいるときから十二歳になるまで、かなり長期になりますけれども、環境暴露とその方の健康を追跡調査するという大規模な研究を始めることといたしました。
 今年四月、G8環境大臣会合がございましたけれども、この子供の健康と環境、日本だけではなく世界でやっていこうと、そうすることによって研究の精度も上がるし知見も得られると、そしてその得られた知識を世界で共有していったらすばらしいということで提案をさせていただき、アメリカのジャクソン環境保護庁の長官とも合意をし、国際協力で研究を進めることとなったものでございます。非常にこれは十五年にわたる長期的なものになりますけれども、知見が得られればその都度、それを予防原則に基づいていろいろな法律や規制という形で実行していきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、子供の健康と環境というのはこれからの世界に、また社会にとって本当に大事だと思っておりますので、全力で取り組んでまいります。
#67
○加藤修一君 今、斉藤大臣から御答弁がありましたように、六万人の疫学調査をやっていくということについては、これは非常に大事な調査だと思っております。公明党は数年にわたってこういう疫学調査を子供の環境保健についてやるべきであると主張してまいりました。平成二十二年からいよいよ本格的にその調査ができるようになったということは非常に喜ばしい限りでございます。
 ともかく、子供は環境的に見ても非常に脆弱な生命体でありますので、いかにリスクを削減するかということが非常に大事なわけでありまして、そういった意味では、これ、化学物質の基本法、こういう基本法はまだ我が国においてはございません。様々な化学物質にかかわる法律が十数本あるわけでありますから、その上位の形で基本法というのをしっかりと作り上げて、理念的な面でどういうふうにアプローチするかということも考えていかなきゃならないと思いますし、さらに、子供の環境保健については、必要ならば、子供環境保健推進法という法律についても積極的に私は検討していかなければいけないなと、このように考えております。
 時間が参りましたので、ここで終了いたしたいと思います。ありがとうございました。
#68
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
   〔委員長退席、理事松山政司君着席〕
 まず、この法案における括弧付救済の対象となる者の範囲についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、園田議員、七月二日に与党と民主党の間でこの法案の中身についての合意がなされた後の記者会見におきまして、これ報道によりますと、九五年の二倍以上になるのではないかと救済規模について語っておられるわけです。九五年の政治解決は、約一万人が一時金の支給対象となっておりまして、ならば二万人ということなのかと。関西訴訟の最高裁判決の後、差別や偏見を超えて既に手を挙げておられる被害者だけで約三万人に上ります。この既に手を挙げておられる約三万人の方々の中にも対象とならない方が多数に上ると、そういうお考えなんでしょうか。
#69
○衆議院議員(園田博之君) 私は正確に覚えておりませんが、そのときに答えた趣旨は、九五年の倍になるだろうというつもりで言ったつもりはございません。
 今回、事前に実は環境省に、二年前ですね、今のそういうことを訴えておられる方々の症状をアンケートを取ったことがあるんです。そのときに想定される方よりは倍以上になるであろうと、今度、救済対象範囲を症状として明記したことによって倍以上になるだろうということを申し上げたわけで、三万人のうちの二万人は対象になるが一万人は駄目だろうと、そういう計算は全くしたことはございません。
#70
○仁比聡平君 今、園田議員が答弁で触れられました、これ与党プロジェクトチームが、水俣病に係る新たな救済策についての中間取りまとめというのを出されるに際してサンプル調査を行われたわけですね。この結果、四肢末梢優位の感覚障害と判定された方は、認定申請者のうち、当時の、約四七%、保健手帳所持者のうち約四〇%とあったわけです。
 今回の法案五条では、四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者というふうにしておられるわけですが、今ほど、この与党プロジェクトチームで検討したものの倍ぐらいになるのではないかという御発言の趣旨だったというお話なんですが、この今回の法案によってどれほどの救済が図られるのかという想定あるいは調査、こうしたものはあるんでしょうか。
#71
○衆議院議員(園田博之君) これは、結論を申し上げると、ございません。これは、今調べて何か参考になるのかと言われるとそれほど重要じゃないと思っておりますし、基本的にはさっきから申し上げているとおり、救済範囲を広げた中で、しかもその判断をするところを公的診断必ずしも一本やりじゃなくて、そういう判断を受けて結果的にどのくらいの人になるであろうかということは、今データで取っても大して意味があることじゃない。なるべく多く救済するということが大事であるというふうに考えています。
#72
○仁比聡平君 今の御答弁でもうかがわれるんですけれども、法案の三条で、救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されるということを救済及び解決の原則として掲げられているわけですが、この受けるべき人あるいはあたう限りというのは、これ一人残らず全員を救済するということにはならないわけですか。
#73
○衆議院議員(園田博之君) 救済を受けるべき人と、こう書いてありますので、救済を受けるべき人といっても、今おっしゃっているのは、一時金をチッソが支払わなければならない人のことを言っているのか、あるいは今度の法律で、今までの質疑にありませんでしたけれども、医療費を、自己負担分を負担していくというのを実は数年前から新保健手帳と称して申請に基づいて給付をしているわけですけれども、この方々が相当数今おられ、もう二万人を超しておられるんですね。こういう方々は、じゃ、救済対象者じゃないのかという協議の中で御意見がございまして、これを、法律を新たに改めて、こういう方々も救済対象者であるということにいたしましたから、そういった意味で救済対象者がどのぐらいいるのか、あるいは、あたう限りというのがそこの過程で実証されていないのかということになると、私は実証されているんではなかろうかと思っています。
#74
○仁比聡平君 私、水俣病の歴史の中で、公健法の認定を受ける水俣病だとか、あるいは最高裁判決による水俣病だとか、あるいは新保健手帳を交付を受けている水俣病被害者だとか、そうした形で様々な類型を置いてきた、持ち込んできたということが水俣病の根本的な救済を困難にしてきたという面あると思うんですね。根本には、未曾有の人類に他の経験のない公害被害なわけです。この水俣病という、メチル水銀が人体に及ぼしている甚大な被害を直視しなければ、その被害の全容をつかまなければ、私は解決ということはあり得ないと思うんですね。
 今回の法案の前文について少し認識を伺いたいんですけれども、この中には、公健法の判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々というふうに今回の括弧付救済措置の対象者の基本的な理念を示しているわけですけれども、考え方を示しているわけですが、この公健法に基づく判断条件、つまり昭和五十二年判断条件、この誤りに半世紀を経てなお救済を困難にしている根本の問題があると私は思います。最高裁判決の趣旨に照らすなら、この判決を重く受け止めると政府も与党もおっしゃるなら、この公健法の判断条件、認定基準を改めるのが当然だと思いますけれども、なぜ改めないのかと。今回は改めないわけですね。なぜ改めないのかというその理由をお尋ねしたい。
#75
○衆議院議員(園田博之君) 今回、この法案を作って解決を図ろうとした理由の最大の理由は、最高裁判決があったからなんです。それ以前に、九五年に政治解決をしたときには、私もかかわり合いを持っておりましたが、これで基本的に水俣病は終わったと、こう思っておりましたら、その後、大阪高裁、それから最高裁と判決が出て、水俣病は終わっていないと。
 ただ、この最高裁判決も大阪高裁でも、五十二年基準を改めよとは言っていないんですね。この基準だけで水俣病を終わらせようとするのは誤りであると。その間、国も県も行政的な措置というのが必ずしも正しくなかった、誤りだったと。したがって、国も県もある程度の責任を持ちなさいと、こういう判決があったから今度の法案を提出したわけでありまして、今度の法案の趣旨は、五十二年の認定基準を改めるんじゃなくて、五十二年の認定基準以外にも被害者、患者さんが数多くいる、その方々を改めてお救いをするという趣旨で作ったものであります。
#76
○仁比聡平君 今の園田議員の御答弁は、これまで最高裁判決以降、政府、環境省が答弁をしてきた中身と基本的に全く同じだと思います。
 この特措法については、衆議院で野党である民主党の皆さんも賛成をして通ってきているわけですけれども、そうした考えでいいのかということを私は率直に申し上げたいと思うんですね。
 ここの点についてもう少し伺いますと、この四肢末梢優位の感覚障害に準ずるかどうかという点について、法案の第五条二項の二号におきまして、四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者かどうかについて、口の周囲の触覚若しくは痛覚の感覚障害、舌の二点識別覚の障害又は求心性視野狭窄の所見を考慮するための取扱いに関する事項というものを、これ政府、つまり環境省が方針を定めると、そうした仕組みになっているんだと思います。これは、これまでこうした症状を兆候として水俣病被害者であると訴える被害者の訴えを裁判においても争い続けてきた環境省に、こうした基本的な今後のこの法案に基づく救済策の基本方針もゆだねてしまうということなんでしょうか。
 これは環境大臣にお尋ねしたいと思うんですが、七月三日だと思いますけれども、記者会見で、私もテレビを拝見したんですが、救済されるべき対象を判断する具体的基準作りを急ぐという趣旨の発言をされたと思います。先ほど、他の委員の質問に対する御答弁もそういう趣旨だと思うんですよね。これ、つまり、法案がこの参議院のこうした審議の段階に入っている時期なんですが、今現在もなお具体的な基準は定まっていないということですね。
#77
○国務大臣(斉藤鉄夫君) その時点ではまだ法案は成立しておりませんので、もし法案が成立すれば、この法案の立法の趣旨をよく踏まえて、議員の方々とそしてまた被害者団体とよく協議をしながら、この一つ一つの基準を定めていくという趣旨で申し上げたところでございます。
#78
○仁比聡平君 いや、法案が成立してから協議をして、その基準を定めると。一体どういうことなんですか、それが法律ですか、それが救済の範囲を拡大するということになりますかということを私は尋ねているわけです。
   〔理事松山政司君退席、委員長着席〕
 園田議員でも他の発議者の方でもいいんですが、この条文に言います二点識別覚の障害などの所見を考慮するための取扱いというのはどういう意味なんでしょうか。この所見は、例えば主治医の診断書などで判明しますね、これをそのまま救済対象者の認定をすぐにやるというのであれば考慮するというような言葉にはならないのであろうと思うんですけれども、こうした症状のあるいは感覚障害のあるやなしや、そしてあった場合に救済の対象になるかどうか、ここも環境省にゆだねられるということなんですか。
#79
○衆議院議員(園田博之君) これはさっきからの御質問で考え方を述べているとおりでございまして、法案の中にこういう症状の中を書き込んだというのは明らかに救済対象範囲を広げたんです。ただし、こういう症状があった場合でも、理屈上ですよ、メチル水銀以外のことが原因でなる場合もあるので、そこにはやっぱり診断書というものが必要であろうと。診断書がお持ちであれば、それを重要な参考資料として、どこかの判定委員会か何かをつくって、そこで定めていくということを申し上げているわけであります。
#80
○仁比聡平君 私は全くはっきりしないと思いますし、法律として欠陥があるんじゃないかという思いまでいたします。
 政府は、国は、最高裁判決でも法的責任を断罪されている言わば加害者なんですね。その加害者がまた基準を作って、手を挙げている被害者すら大量に切り捨てられるのではないか。今現在既に手を挙げている被害者が全員救済されるという保証はどこにもない、その保証すらない。それを早期救済だとか、まして最終解決だとか、こうした言葉で呼ぶことは私は断じて許せないと思います。
 この被害者の大量切捨て、加害企業の免罪、そうした中で幕引きを図ることは許されないと、その声を上げて、とりわけ与党と民主党が今国会で成立を合意したと伝えられた日から約十日、今日も傍聴席においでですけれども、不知火海沿岸からも阿賀野川流域からも病の体を押して、協議に臨む皆さんに、自民、民主の協議の担当者の方々に面会も求め、こうしたやり方はやるべきでないと厳しい声を被害者の方々が上げてこられました。その声を聞こうともしない、参考人質疑も行わない、そうした中で今日に至っているわけですね。専門家の方々の厳しい批判も相次いでいます。
 園田議員はこうした声をどう考えておられるんですか。
#81
○衆議院議員(園田博之君) その委員会の持ち方について私がどうこう申し上げる立場にはないんですが、今おっしゃるように、そういう方々と会おうともしないとか、そういう声を聞こうともしないとか、そういうことは一切ありません。私は、この間、数年間この問題に取り組んでまいりましたから、会うのを拒否したことなんか一度もございませんし、なるべく御意見は聞いているつもりであります。
 それから、もう一つ大事なことは、幕引きをしようとしていると。これは確かに、もう発生以来五十数年たって解決できてないというのは、その間、行政も政治も、この問題を時間がたてばたつほど解決を困難にするというのはお分かりのとおりでございまして、その責任はやっぱり大いにあると思うんですね。ありますが、私はやっぱり、なるべく早くそういった意味でも広く救済をすることによってこの問題が解決の方向に向かわないのかと考えるのは当然のことでございまして、これから逃げるためにこの法案を出して回避をするという御批判は全く当たらないと思いますね。
#82
○仁比聡平君 私がもう今ここで申し上げる必要もなく、傍聴席にいらっしゃる皆さんも、それからメディアの皆さんも、この特措法提出に至る担当者が最終盤、会わずにこうした協議を進めていったということはもうよく分かっていることでございます。
 日本共産党は、一貫して沿岸そして阿賀野川流域の悉皆調査を強く求め続けてきたわけですが、これまで政府は応じてこられませんでした。被害の全容も明らかでないまま解決なるものを図ろうとするというその姿勢に、私は公害救済の出発点、原点、そこを踏み外している、その大問題があると思うんですね。未曾有の被害なんだからその全容をつかまなければならないわけです。
 これ前文におきまして、阿賀野川について、阿賀野川の下流地域においてというふうに水俣病被害の表現をしておられるんですが、私は中流域でも川魚を多食されて被害を訴える患者さんとお会いしてきました。これ阿賀野川下流域だけに水俣病だっていう何か調査、根拠があるんですか。
#83
○政府参考人(原徳壽君) 今回の法案の中で前文の中に書かれておりますのは、水俣湾及び水俣川並びに阿賀野川に排出されたメチル水銀により発生した水俣病はという形に書いてございます。また、それから、阿賀野川の下流地域において、甚大な健康被害と環境汚染をもたらすとともにというのは、前文で書いてございますけれども、この下流地域についての限定的な地域を厳密にここで述べているとは考えておりませんけれども。
#84
○仁比聡平君 今の前文でしょう。その答弁を何で環境省がやるの。まさに官僚主導で作ったんじゃないんですか、この法案。
 先ほど、園田議員、物理的に困難だと、救済を名のり出ることができるはずだと、だから悉皆調査の必要はないと考えるというふうな趣旨でおっしゃったと思います。けれども、今なお偏見、差別の中で手を挙げられない方々がいるんだということは、新たに健康の診断を受けて裁判を提訴する、そういう方々が現に相次いでいるということからもはっきりしているんじゃないですか。
 法案の三十七条が調査研究だというのであれば、これ悉皆調査でなければならないんじゃないんですか。いかがです。
#85
○衆議院議員(園田博之君) 阿賀野川の表現について環境省に意見を私が求めたことは事実でありますから、全部私が作ったとは申し上げませんが、基本的に、こういう法律を作って行政の方の責任も問うて、法律を作ったのは私ども政治家でございまして、こんな発想は環境省から生まれるはずがありませんので、官僚任せなどという、どこかを取り上げて基本的に御批判なさるのは正しくないというふうに思います。
 この調査の件につきましては、私はどういう方法で調査するかというところは更に環境省とも意見交換してやっぱり決めなきゃいかぬと思っておりますが、でき得る限り、さっきも申し上げたとおり、不知火海も併せてどのような調査がこれからの救済をしていくのに役立つのかということも含めて考えてみたいというふうに思っています。
#86
○仁比聡平君 悉皆調査すらせずに幕引きをするということは許されないと、私はあえてもう一度申し上げておきます。
 時間がなくなってきましたから、幾つか法案についてもう少しただしたいことがありましたが、最後に分社化の問題についてお尋ねをいたします。
 この間、上京された胎児性の被害者の方々が、健康な体で生まれたかった、私たちが生きているのにチッソがなくなるなんて許せないと、そうした訴えをなされました。私はここに真実があると思うんですね。分社化後の事業会社、これは被害補償あるいは損害賠償債務、そして公的支援の負債、ここから新事業会社というのは切り離される、解放されるわけでしょう。いかがですか。
#87
○衆議院議員(園田博之君) したがって、分社化してもチッソが、親会社も子会社も含めて、形式上は確かに事業は事業をする会社、負債は親会社が全部背負うことになります。しかし、株式を譲渡しない限りは、形式はそうであってもそれから免れることはできないことは明白でありますから、したがって、株式譲渡については全面的な解決が見込みの付くまでは認めることはあり得ないということを法案に書いておるわけでありまして、おっしゃるような御指摘は私は当たらないと思います。
#88
○仁比聡平君 いや、水俣病が未曾有の被害であり、将来どのような形でこの被害が広がるのかどうなのかということについて全容が明らかでない限り、そうした今おっしゃるような仕組みというのは歯止めにはならないと私は思います。
 元々このチッソの分社化というのは、チッソの新中長期経営計画を始めとして、チッソの経営戦略として出てきたものですよね。熊本日日新聞が二〇〇四年の十一月十四日にこんな記事を書いています。チッソにとっては、企業活動の足かせになる債務の分離は長年の悲願。特に二〇〇〇年以降、一定の利益を留保できるようになった同社の信用力は急速に回復、他社との業務提携なども進み、業績は上り調子だと。こうした中で経営計画に盛り込まれ、与党に恐らくお話があったんでしょう。そうした中で出てきた話なんですよ。
 私は、チッソが利益を上げてならないなんて言っているんじゃないんですよ。利益を上げたそのもうけというのを被害救済から切り離すというそういう仕組みは、汚染者負担の原則に反するんじゃないんですか。加害企業の免罪じゃないんですか。いかがです。
#89
○衆議院議員(園田博之君) 通常の事業の利益をもって補償に充てる、さらには、その事業会社の将来性の評価を株式市場で得ることによって補償に充てる、いずれも認められると思いますね。
#90
○仁比聡平君 私は、今日の審議をやってみても、こうした中でこの法案を進めていくと、ましてや採択をするということにはならないと思うんですよね。今日傍聴席にもたくさんいらっしゃっている被害者の方々や専門家の方々に参考人としてこの委員会できちんと御意見を伺う、それが参議院の私たちの委員会の本来の姿であるということを強く申し上げて、時間が参りましたから、質問を終わります。
#91
○荒井広幸君 改革クラブの荒井でございます。
 与野党協議におきまして、救済対象者の方々が四肢末梢優位の感覚障害を有する方々から全身性感覚障害などを持つ四つの症状の方々にも拡大されたことは、私は、幅広い救済を実現する観点から新たな前進と評価をいたします。
 しかし、先ほど来からもお話がありましたけれども、この法律に具体的な定めがないのも事実でございます。また、そうできない理由もるるお話もございました。しかし、今後、この法律が政府にゆだねるいわゆる救済措置の方針、これは極めて重要なものでございます。こうしたことの内容がどのような内容なのかということで、先ほど来から、各委員から確認的に質問やあるいは賛同、御意見、こういうことがあったわけですけれども、私も幾つかこの点を確認をさせていただきたいと、このように思います。
 若干重複いたしますが、角度を変えてまたお答えいただければ、より国民の皆さんも、また被害者の皆さんも御理解いただけるところもあろうかと思いますので、そういう観点でお願いいたします。
 まず、救済対象を拡大していったわけでございますが、この五つの症状のある方がストレートに言えば全員一時金の対象になるんでしょうか、あるいは医療費のみの対象になると、こういうことになるのか、法律でははっきりしておりません。一時金の額についても、先ほどからお話があったとおりでございます。
 もちろん、それについては協議をしていくんだと、こういうお話もあったわけでございますけれども、この点について改めて、救済措置の方針、これはいわゆる環境省にゆだねるわけですけれども、提出者としてどのようにその姿勢、お考えを持っていらっしゃるか、そしてまた、その後に大臣にも同じ立場で聞かせていただきます。
#92
○衆議院議員(園田博之君) 救済対象者は、一時金から療養手当、それから医療費の自己負担分を国、県が負担をするというところまであるわけですが、そういった意味では、せめて療養費を負担をするという範囲は、新保健手帳というのを既に申請される方々には交付をしておりまして、何らかの障害があればこれは全部交付しています。
 したがって、こういう方々は、今もおっしゃった症状の方々はすべて対象者になりますと言って言い過ぎではないと思います、これを被害者として法律に書き込みましたから、新保健手帳をお持ちの方はそのまま、もう一遍診断を受けてくれということはしないつもりでおります。もうそのまま、既に診断を受けて支給されておりますので、最低限それは保障できると思います。その上で、療養手当、一時金をどういう方々にお支払いするのかということについて法律に書いたわけですね。
 これは何回も申し上げているとおり、全身それから四肢末梢優位の障害の方々はもうそれだけで一時金の対象者になると考えていまして、その他書き込んだ症状の方々は一時金対象者となる可能性があると。その可能性というのは、今お持ちの診断書と公的診断も兼ね合わせてどこかの判定委員会で判断をしていくという方向でいけば、かなり多くの方々が一時金対象者としても救済できるのではないかというふうに考えています。
#93
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 環境省といたしましては、救済措置の方針の策定に当たりまして、先ほど提案者から答弁がありましたけれども、その立法の趣旨を体し、また被害者団体等ともよく協議をし、この方針を定めてまいります。
#94
○荒井広幸君 被害者の皆さんとよく協議をしていただくというのは当然のことでございまして、それはお願いしたいと思っております。
 今日の委員会での質疑あるいは確認、それで提出者のお考えというものが新聞、テレビを見ていても我々なかなか分かりません。与野党協議といっても、実質的には自民、公明さんがもう四年やってきていらっしゃる、そして民主党さんも新たな法律を出された、そういう形で専ら三党でお話をされています。そういう形において、私はやっぱり、今日こうして委員長の下で委員会を開いたということは大変有意義なことなんだと思うんです。
 そこで、衆議院の提出者である委員長にお尋ねをしたいんですが、衆議院では質疑等でされたのか、そして今議論されたようなことは確認されてきたのか、こういった実態についてお尋ねをしたいと思いますし、その審議を省略してきたそういう理由はどの辺にあったのか、お尋ねいたします。
#95
○衆議院議員(水野賢一君) 今先生おっしゃることにお答えすれば、衆議院の段階ではいわゆる委員長提案という形で法案が起草されて、委員会、本会議を質疑はなしという形で、法案の内容に対する質疑はなしという形で通過をしておりますので、そういう意味では様々な確認事項、例えば救済措置の方針などに関する様々な具体的な確認などに関しては、委員会並びに本会議での議事録に残るというような形でのそういう形ではないということでございます。もちろんそういうようなことに関しては、各党が、自公並びに民主党、それぞれ衆参に法案を提出していたような党派はいろんな法案に関しての合意を求める協議を行っておりますので、そういう中でいろいろ実質的なことはあったにしても、議事録上そういうものは残っていないということは事実でございます。
 それに対して、じゃ衆議院において質疑を省略した理由ということでございますけれども、これは、もちろん法案に関して大切な部分に関して立法者の意思を明らかにして議事録に残しておくということも極めて大切だというふうに一方で思っておりますけれども、一面において救済を速やかに実現をしていかなければいけない、特に法案などを速やかに成立をさせなければいけないという中で、こういう政治状況の中で、国会対策などの中で速やかに衆議院段階を、衆議院を、成立をさせておきたいという思いがあったということも事実でございます。
#96
○荒井広幸君 その時々で委員会を開いて十分にするというのもありますし、今のような理由がある場合もあるでしょう。
 私、調べてみました。第百六十四国会以降、衆議院から委員長が提出してきたものの法律は六十五本、衆議院でその中で質疑をしたのはわずか七件で一〇%なんです。参議院に参りまして二十三件、三五%審議をしていると。じゃ、逆に参議院提出の要するに議員立法の場合、参議院で百六十四回以降十一件ありまして、参議院自身で審議したのは二件で一八%。で、衆議院に行きまして審議をしたのが三件で二七%なんです。簡単に言うと、いわゆる国民の皆さんにはなかなか耳慣れないと思いますが、与野党で多数で合意をしてしまった場合に、委員長から先ほど冒頭のように報告があって賛成、反対に入ってしまうと、こういうケースが三割なんです。私は、これからの国会運営としてこれは、委員長始め両院の皆さんいらっしゃいますし大臣もいらっしゃいますが、やはり原則的には委員会で確認をしていくということは非常に重要だと思うんです。どうしてかということを申し上げたいと思います。
 そこで、今日は参議院の法制局長来ていただいております。一般論として尋ねますけれども、国会でこのように法案審議をしておりますけれども、この法案の内容について、政府の先ほどの大臣の答弁、そして議員立法の発議者の皆さんの答弁、これらの答弁というのはこの法案、その法案ですね、一般論です、こことは限りません、その法案が成立して法律となった場合の解釈、運用においてどのような意味を持つんでしょうか。
#97
○法制局長(大島稔彦君) 私の方からお答えするのが適当かどうかちょっと分かりかねますけれども、一般論として申し上げますと、国会の法案審議において、その内容について政府あるいは議員立法の発議者が答弁されますけれども、その答弁は、その法案が成立して法律となった場合、その法律の解釈、運用において重要なものとして参考にされるべきものであると承知しております。
#98
○荒井広幸君 つまり、附帯決議なども含めてここで答弁するということは極めて、この場合執行する側としての大臣、環境省にとって非常に重い意味を持つわけでございます。
 そういう観点に立って言いますと、結局指針というものも、先ほど提出者の園田先生から重要な点が指摘されたんです、こういったことを踏まえていただきたいということだと思います、一方では。つまり、公的診断とそれから大勢の方が既に持っている民間の診断があると、その両方ではあるけれども、既に持っているものを尊重するんだと、こうおっしゃっているわけですね。それを従来の手続としては、検診医がいて認定審査会があって県知事だと、こういうことがありましたけれども、その認定審査会というのも、いわゆる政治救済のときのも参考にはなると、こうおっしゃっていますが、十分にそこは、大勢の方を拾うんだと、困っている方を救うんだと、そういう観点に立った思想、これがなけりゃいけないということなんです。
 そして同時に、いろんな点で確認をしたいところもあるんですが、私の方も時間が限られておりますけれども、一点、大勢の皆さんが御心配に思っているのは、だからこそ法案の大半の部分をチッソの件に充てているわけですね、譲渡に充てているんだと思いますが、もう一度確認させていただきたいんですけれども、最終的に、先ほど園田先生のお話では、いわゆる、私もそのとおりであると思うんです、すべての被害者を救済するように、その最終的な解決に目指してこの仕組みをつくってそして救済していくんですよと、もうそれはすごく分かることであり、同時に、苦しい中で、その後もしかし裁判はあるかもしれないと、こうおっしゃっている、それも非常によく分かります。
 その中において、では、その潜在的債務者、債権者というものも存在しながら、解散するのは、解散というのはしないよと、そこまでは、こう言っておられるわけですが、仮に一〇〇%とします、終わったときに、しかし時間が置いてまた出るかもしれません、そのときに、もうチッソがない、チッソが解散した後、補償しろ、意見を言うぞといって裁判等提訴しようとした場合には、だれがその受け手、被告になるんでしょうか。環境省はどのように考えていますか。
#99
○政府参考人(小林光君) 先ほど、松野先生への提案者の答弁でも、どういった事態が紛争が終結かということで御答弁あったわけでございます。法案が成立した暁には、私どもこの法案を預かって執行するという立場での御質問かというふうに思っております。
 今のお尋ねの点でございますけれども、この法案では、九条の二項あるいは十二条の三項で、分社化及び株式の譲渡で厳重に審査をするということで債権者一般の利益を保護することを通じてチッソを監督していくということでございます。万が一の裁判を含めました債権者の弁済原資というものを確保していくということを考えてございます。そういう意味で、分社化の時点におきましても、また株式の売却の時点におきましてもそういうことを考えてございます。
 さらに、お尋ねでございますけれども、会社を清算するというような段階でございますけれども、これは債務の弁済及び残余財産の分配等、すべての清算事務が終了しなければ清算が結了できないというふうに承知をしてございます。
 そういう意味で、御指摘のように、まだまだ債権の存否あるいは額について、あるいはその後に考えられます新しい訴訟というようなことが続いている間はこのチッソの清算を結了することはできないというふうにこの法律はなっているということでございますので、この法律が制定をされました場合には、こうした立法者の意思、そして条文の趣旨、こういうことを踏まえまして慎重に運用をして、今御指摘ありましたような債権者保護が失われるというようなことがないようにきっちりと監督をしていきたいというふうに考えてございます。
#100
○荒井広幸君 つまり、そのときもチッソであると、こういうことですね。そこを。
#101
○政府参考人(小林光君) 言い足らなくて申し訳ございません。既に提案者からの御答弁にもあったかと思いますけれども、会社法上、チッソは紛争がある間清算を結了できませんので、そのときもチッソが裁判の当事者になっていただくと、こういうことだというふうに理解をしてございます。
#102
○荒井広幸君 私は、アスベストそれから産業廃棄物の不法処理、投棄のときにも申し上げたんですが、これはやっぱり一度役所としても、また国会としても考えなくちゃいけないんじゃないかなと思うのは、原因者負担、原因者というものが責任を負うというのはこれは当たり前だし、逃げられない、当たり前ですね。この汚染者負担の原則ということからは、我々それを否定するつもりはありません。
 ただ、ある時期、原因者が特定できないというものも出てくるわけです。だれが捨てたか分からない、しかし非常に危険性がある、そのときにやっぱり国がそれをある一定の解決をしていく。それから、補償についても同じでして、そういう場合もあれば、例えば原因者が、汚染者が負担をしなくちゃならないんだが、万が一負担ができないという場合には、国がやはり救済者の方の立場に立って私はそういう負担をしてやるべきだと、そういうセーフティーネットとしての補償、対応というものも私は是非勉強していきたいものだと、これは意見でありますけれども、我々の課題ではないかと、このように考えているわけです。
 そこで、今度の分社化するときに、これも確認的になるわけですけれども、国と県の責任というものを最高裁は言ったわけです。国として手当てしているところもございます、手帳とかそういう形も含めて。しかし、応分の責任あるんだぞと、こういったときに、分社化以外に、国がいわゆるその資金を、原資を出すというようなことを含めた検討をされたのかどうか、この点について提出者にお尋ねをいたします。
#103
○衆議院議員(園田博之君) 国、県の責任というのが過去にもこの水俣病に関してやっていないのかと言われると、そんなことはないわけでありまして、一時金とか療養費とか、そういうものは皆さん方からいただいた税金を元にしてずっと財政負担をしてきておりまして、それは今後も変わらないと思うんですね。
 じゃ、それ以外のことを絶対やらないのかどうかというのは、荒井委員がおっしゃったように、今後検討の余地は少しは私はあるんではなかろうかなと。いよいよ最後になってそういう事態が来たときに、さっき御質問がありましたように、その前に公的債務を免除するなんということはあり得ませんけれども、最後の決着の仕方としてはそういうことも可能性としては考えなきゃいけないんじゃなかろうかというふうには考えておるところでございます。
#104
○荒井広幸君 本当にそういうやっぱり気持ちがあっての最終解決に向けた法案の与野党の協議と、そしてまた、それをしっかり受け止めてやっていく環境省のそういう姿勢に、そういう気持ちがあるということは大変私は感服をいたすところです。
 やっぱり完全ということがないので、完全に近づけていくということの努力はずっと続けていくことですし、これで終わったことではないと、こういうことで私は解釈するんですが、いかがですか、提出者の。
#105
○衆議院議員(園田博之君) この問題は、本当に未曾有のと何人かおっしゃいましたけれども、例のない公害問題なんですね。と同時に、長期間にわたって問題解決ができてないというこのことを考えても、その他の公害問題とは違って解決の仕方も難しいし、それから、今後こういうことが起きないようにするには、今度のこの水俣病問題をどう今後の公害行政や我々の公害問題に当たっての考え方に生かしていくかということは極めて重要でございますから、そのつもりでこれから取り組んでまいりたいというふうに思っています。
#106
○荒井広幸君 今後示される救済措置の方針、園田先生のお言葉を借りれば、対象者の範囲、それから判定方法、それから支給内容といいますか条件、内容、こういったものについて、設定といいましょうか、十分に先ほども大臣から議論を被害者の方とすると、こういうことでございますので、その方針をまた委員会において私どもはよく吟味をさせていただくと、こういうことを申し上げたいと思います。
 結びになりますが、世界も水銀汚染問題は深刻であります。回り回って、石炭火力発電や化学工場、石炭火力発電所からもうずっと、雨などになって最後は循環して我々の体をむしばむわけですが、中国やブラジルなどでも汚染が問題になっていると聞いております。
 UNEPでは二〇一三年までの水銀規制条約の制定を目指しているということ、先ほどからも公明党さんからもありましたけれども、多くの国が参加する実効ある規制にするためには日本の反省の上に立ったこの経験というものがすごく私は役に立つのではないかというふうに思いますので、今後、積極的にこうした経験、反省を踏まえた経験と、そして代替製品や水銀を使わないようにするという削減技術、あるいはそういうものを出さないようにする、そういったものの協力が不可欠であろうと一つ思います。この点について大臣。
 もう一つ、時間がありませんので、併せて。特に中国は、石炭火力発電所が大体七、八割と聞いております。それが、例えば我々の見えるところで言うと、いろいろな形で、黄砂の要因や酸性雨の要因やいろいろなことになっているとも言われているわけです。エネルギーも食うわけです。こういったことで地球温暖化にも悪いわけでございますが、中国と日中環境協力についてもっと積極的に、水俣病の反省、体験を踏まえて中国の水銀汚染対策にもっと貢献をしたらいかがかと、このように思います。
 二点、環境大臣にお尋ねします。
#107
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国連環境計画、いわゆるUNEPが、国際的にも水銀管理を強化しようという議論が昨年から始まりました。水俣病の経験を持ち、その反省とそして我々が持っている知見をそういう国際的な水銀規制の場に役立てていくことが私は非常に重要だと、このように思っております。昨年から始まりまして、来年六月から第二十七管理理事会におきましてこの水銀管理強化、具体的な議論が始まりますが、その日本はリーダーシップを取っていきたいと思います。
 そして、日中協力、そして今、荒井委員から、日中そしてその他の途上国への支援ということでございますが、水銀の環境中への排出の増大が最も懸念されている国が中国でございまして、今JICAプロジェクトでこの中国における水銀規制等、今具体的な国際協力を進めております。この国際協力をアジアの他の国にも、また世界の他の国にも広げていかなくてはいけないと、このように思っておりまして、全力を挙げて国際協力に取り組んでまいります。
#108
○荒井広幸君 以上で終わります。
    ─────────────
#109
○委員長(有村治子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松野信夫さんが委員を辞任され、その補欠として佐藤公治さんが選任されました。
    ─────────────
#110
○川田龍平君 参議院無所属の川田龍平です。
 私が、今から十四年前、一九九五年に薬害エイズの裁判を闘っていたとき、当時、五月でしたけれども、水俣病の患者さんたちが環境省前で座込みをしていたときに連帯のあいさつに立たせてもらって以来、水俣病の問題についてずっと考えてきました。
 特に、薬害エイズとの問題の共通点というものを考えてきたときに、やはりこの薬害エイズと水俣病、大変共通しているところが多くあります。それは、国と製薬企業、企業を相手に裁判を闘ってきた、企業を相手に裁判を闘ってきて、そして被害が今も続いているということです。これは、この水俣の問題というのは、やはりこの被害の回復というのはお金で解決するものではありません。元の体に戻してほしい、そういった思いは薬害エイズの問題とも大変共通しています。
 健康で文化的に生活をする権利というのは、これは日本の憲法の第二十五条で国が、政府が保障しているということがありますが、その損害を与えた国の責任、企業の責任が第一義的ですが、国に対しても、実はこれは道義的な責任ということではなく、救済ということではなくて、やはり加害責任としての補償というのが国にも責任があるのではないかというふうに私は考えています。
 本法案については、チッソの分社化、事業会社の株式の譲渡によって被害者への救済費用を賄おうとするものでありますが、公害健康被害者の補償法は、これは公害問題の当事者間での解決が困難なことであるから国がその間に立って、国の責任の下で問題の解決を図るために制定をされています。
 しかし、当事者の間に立ちながらも、被害が広範的かつ世代間にわたるというこの水俣病の問題の本質を認識せずに、ハードルの高い認定基準によって被害の制約を課してきた国の責任というのは大変大きいと思います。さらにまた、最高裁判決で認められた国の直接的な責任というのも逃れられないというふうに思いますが、この国の責任について、公健法で解決できなかったことについて環境省はどのように考えているのかをお答え願います。
#111
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 公健法につきましては、これまで二千九百六十五人の水俣病患者の認定を行っており、水俣病で苦しむ患者の方々に対して補償を行うという役割を果たしてきたものと認識しております。
 他方、これまでこの問題については平成七年にも政治解決が行われましたが、平成十六年の関西訴訟最高裁判決を機に多くの方々が救済を求めており、その解決には長期間を要することが見込まれております。
 こうした状況を踏まえ、今回、救済を必要とする方々に対する解決策として、与党及び民主党を始めとする関係の先生方の御尽力により、新たな本法案が提出されたことについて大変感謝をしております。
 環境省といたしましては、本法案の成案が得られ救済のスキームが示された後は、その実施に向けて全力を挙げていきたいと思っております。
#112
○川田龍平君 本法律案が成立することによって、認定患者となるべき方が認定をされずに本法案の対象となるということは私は避けるべきだと考えていますが、今後の被害者の認定についてはどのように考えておられますでしょうか。
#113
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この法案によって救済措置が講じられることなどによりまして、各県の認定審査会における審査業務が円滑に行われ、現在の認定申請未処分者や今後認定申請をする者に対する処分を迅速かつ適切に進めていくことができるものと期待しております。
 法案では、第七条第一項第二号で、公健法の認定申請の処理を促進することとされておりまして、また、国の審査会においても申請者の処理の仕組みも設けられているところでございまして、関係県とも連携を図りながら早期に取り組んでいきたいと思っております。
#114
○川田龍平君 分社化後に事業会社の配当や株式譲渡益によって救済費用を賄うというこのやり方は経済の状況に依存することになって、経済優先によって公害に巻き込まれた被害者の人たちからすれば、再度、市場の経済に翻弄されるということになりますが、国において分社化後の救済が市場経済に左右されずに着実に行われるということについて、国の責任というのは大きく背負うことになると思いますが、環境省としてはこういった認識があるのかどうか、伺いたいと思います。
#115
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法案におきましては、原因企業と認定患者との間で結ばれている個別の補償協定につきましては、指定支給法人に設置される基金がそのまま引き継ぐこととなっております。基金には、個別の補償協定に基づいて認定患者に対して将来にわたって支給される医療費などについて慎重に検討した上で原因企業から必要額を徴収することになるものと考えております。
 このように、認定患者への補償につきましては、汚染者負担の原則を踏まえ、チッソが責務を負っているものと認識しております。
#116
○川田龍平君 今日はこの傍聴席にたくさんの被害者の方たちが参っていますけれども、今日は胎児性の水俣病の患者さんの方たちも参ってもらっています。そして、杉本さんも来ていらっしゃいますけれども、本当に胎児性の水俣病の患者さんたちの、水俣市にある小規模多機能施設の「ほっとはうす」というところが胎児性・小児性水俣病患者を対象にした実態調査をしております。
 それによりますと、家族の高齢化、それから四十代ごろから通常の加齢では、年齢が加わったことでは考えられない急速な身体機能の低下が目立って、企業に雇われずに行き場のない人が大変多いことが明らかになっています。このことは、二〇〇六年にまとめられた水俣病問題に係る懇談会提言書においても紹介をされていますが、この胎児性水俣病患者さんについて公健法の認定、棄却の状況、保健手帳の交付、不交付の状況はどうなっているのか、また最高裁判決以降どのような傾向にあるのかをお答えいただけたらと思います。
#117
○政府参考人(小林光君) 胎児性の水俣病の患者の方々についての認定状況ということでございます。
 これまで、各県におきまして具体的に胎児性というふうに区別をされた形で集計を取られてはいませんので、大変恐縮でございますけれども、お尋ねの最高裁判所の判決後の傾向ということを含めまして、承知はしてございません。
 ただ、参考となる数字といたしまして、水俣病が公式確認されました昭和三十一年以降に生まれた方でこれまで公健法上水俣病と認定されました方々の数は、熊本県では四十八人、これは熊本県の認定患者の総数一千七百七十八人に対して四十八人というふうに考えてございます。
 また、保健手帳についても同じように考えておりますけれども、具体的に胎児性水俣病患者さんのみの保健手帳の交付ということについては件数を把握をしてございません。
#118
○川田龍平君 先ほど園田議員からも、この胎児性の患者さんたちはかなりの可能性で公健法で認定されているんではなかろうかという発言もありましたが、やっぱりしっかり把握していただいて、この胎児性の患者さん、それから小児性の患者さんというのがこれからどんどん増えてくると。増えてくるというのは、その人たちがまだ四十代、五十代ですので、この人たちがこれから生活をしていくというときの不安をやはり是非取り除いていただきたいというふうに思います。
 今の施策よりもやっぱり水準が下がるということはとんでもないことだと思いますので、企業の責任がなくなった後も国の責任でやっぱりしっかりとやっていただきたい。特に、今どんどんと体調が悪くなっていくという身体機能の低下をしていく中で、やっぱりこれを、今のままを維持したのではこの人たちの生活が保障されていかないわけですね。また、将来的にわたってその人たちがしっかりとした生活をするように水準をこれは上げない限り生活を全うできないと思うんですが、これやっぱり普通に生きられるようにしていくということがやっぱり国としてしっかりしなければいけないことだと思います。
 私は、この法律案では胎児性患者を含めた健康に係る健康調査が規定されていますけれども、こうした調査研究の結果をどのように対策に生かしていくつもりであるのか、また適切な対策を講じるために生活実態に係る調査研究を含めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#119
○政府参考人(小林光君) この法律成立した後の特にこういう点が大事じゃないかという御指摘でございます。
 胎児性患者の将来の不安ということにつきましては、私どもも重々承知をしてございます。私自身も、この間お話を伺わさせていただきました。そういうことで、こうした方々の高齢化に伴います日常生活能力の低下、あるいは御家族の高齢化というのも進んでございます。介護能力の低下等の問題につきましては、それぞれ被害者団体へのヒアリング等々を実施しまして、その要望を踏まえ、地域において患者等の支援活動を行う法人、団体等に対しまして支援を行う事業、これは国として、今御質問の観点でございますが、国として実施をしているところでございます。
 そして、今後そのステップアップを図れと、こういうことでございますが、先ほど調査というお話もありましたけれども、今後とも患者様のニーズ等々を踏まえながら、自治体、関係団体との連携を図って必要な支援のグレードアップ、ステップアップを図っていきたいというふうに考えてございます。
#120
○川田龍平君 その生活実態に係る調査研究を含めるべきだと考えておりますが、この法案の三十七条の社会学的調査等の手法の開発を図るものと。これは、開発を図るだけではなくてちゃんと調査をしてそれを実際に施策に生かしていただきたいと思いますが、これについていかがでしょうか。
#121
○政府参考人(小林光君) この法案成立いたしますと御指摘の三十七条の規定が発動される、こういうことでございます。
 従前でございましたら、チッソの水銀の排出が止まった後のことについては特に取り立てて調査等行ってございませんけれども、何ができるかということも含めてそれを調査をしていきたいと思いますし、もう一つは、先ほど提案者からの御答弁ありました、この成果を被害者の救済のために役立てるんだという御趣旨の答弁もございましたので、そうした趣旨に沿いまして、こういう具体的にできることを考えていきたいというふうに思っております。
#122
○川田龍平君 それから、この救済のことにつきまして、民主党案では大脳皮質障害についても入っていましたけれども、これはこの法文の五条の二項の二にあります、四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者かどうかについて、口の周囲の触覚若しくは痛覚の感覚障害、舌の二点識別覚の障害又は求心性視野狭窄の所見を考慮するための取扱いに関する事項の中に入るものかどうか、お答えいただきたいと思います。
#123
○衆議院議員(園田博之君) 先ほどほかの質問者の御質問にお答えしましたけれども、準ずる者として書いたのは、最高裁判決で出てきた症状を書きなさいといって書いたものでありまして、大脳皮質障害については明記してございませんが、これを排除するものではありません。当然、そういう症状も対象にして判断をしていくようにしたいというふうに思っています。
#124
○川田龍平君 それでは次に、もやい直しへの支援について御質問いたします。
 平成十八年の水俣病問題に係る懇談会提言書では、地域住民の間で水俣病問題をめぐる混乱が深刻であり、もやい直しへの国の積極的な取組の必要性が指摘されております。
 平成十八年に環境省は省内に、環境省の職員、熊本県職員、水俣市職員から成る水俣病発生地域環境福祉推進室を設置されました。推進室はこれまでどのようにもやい直しに取り組み、またどのような成果があったと評価しているんでしょうか。
#125
○政府参考人(小林光君) 現在の施策の実施状況と、こういうことでございます。
 今御指摘の懇談会の提言を受けまして、先ほどの組織、私ども設けました。これが十八年九月でございます。その推進室の下でいろんな事業を進めてございます。
 具体的に申し上げますと、発生地域の県市町の連絡会議を開催をいたしまして、先ほど御指摘ございましたような関係団体との意見交換会あるいは訪問等を通じまして地元のニーズを調査する、把握する、こういうようなことで、それを踏まえて発生地域のもやい直しを推進するということでございます。
 一例を挙げますと、例えば熊本・鹿児島地域及び新潟地域の子供たちの交流をする。あるいは、環境団体等が行います環境学習あるいは人材の育成、これに対して支援をする。また、水俣全体が今エコフィールドミュージアムといいますか、環境モデル都市にもなりましたけれども、こうした地域資源を活用して環境先進地としての発信を国内外に行うといったようなことのお手伝い、さらに、先ほど答弁をさせていただきましたけれども、胎児性の水俣病患者様の地域生活支援事業、あるいは離島におきますところの医療・福祉推進事業、あるいは相談窓口といったようなことを進めてきているところでございます。
#126
○川田龍平君 このもやい直しの中で一番大切なことは、水俣病問題を引き起こした企業がこうした取組を支援していくことではないかと思いますが、チッソの社員の中にも水俣市での水俣病の関連行事に参加している方もおられます。国としても、この原因企業がこうした取組をしていくように働きかけをしていくべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
#127
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法案のまさに根底を流れているものの一つが、チッソが地域に定着をして、認定患者の方の補償、そして救済されるべき方の救済、そして地域の発展に資するべきだということだったと思います。
 法案の中にも、特定事業者が作成した事業再編計画は、地域の経済の振興及び雇用の確保に資するものであることが求められております。また、政府や熊本県におきましても、分社化後も特定事業者の事業所が地域において事業を継続することにより地域の振興及び雇用の確保が図られるよう努めるものとされております。
 この法案の成立後は、環境省としても、チッソが水俣地域で頑張ってその地域の振興に貢献できるよう、また救済されるべき方、認定患者の補償に全力を挙げるよう指導してまいる所存でございます。
#128
○川田龍平君 次に、水俣病問題に係る懇談会の提言書の実現についてお聞きしたいと思いますが、本報告書は、水俣病をめぐる行政の失敗に目を向けて、そこから将来に向けての教訓として十二の項目を掲げています。この十二の項目のうち環境省として取り組んだものがあれば、大臣にお伺いしたいと思います。
#129
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 水俣病問題に係る懇談会の提言では、命の安全の危機管理体制、被害者の苦しみを償う制度づくり、環境・福祉先進モデル地域の構築等、多岐にわたる提案がなされております。
 これらの達成状況でございますが、達成されたものとしては、例えば、水俣病被害者の救済策について与党プロジェクトチームと連携して取り組み、この結果、今回救済法案が提出されることとなったこと、また、水俣病発生地域環境福祉推進室を設置し、水俣病発生地域の医療、福祉やもやい直しを推進したこと、また、水俣市が環境モデル都市に指定されたこと等でございます。
 一方、提言には、その実現は決して容易でなく、また時間が掛かるけれども努力せよというものも含まれておりました。まだ達成されていないものもございますが、環境省としてはこの提言の効果を十分検証しながら、その具体化に努めるなど、引き続き提言のフォローアップを行ってまいります。
#130
○川田龍平君 そのフォローアップについて三年を目途にということが小池大臣も記者会見でも答えていますけれども、その三年のフォローアップというのを是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#131
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今申し上げましたとおり、できているもの、できていないものをよく検証してフォローアップをしていきたいと思います。
#132
○川田龍平君 この報告書の提言の本旨は、やはり水俣病の解決は日本を真の福祉国家に変え得るという国の未来像につながる問題ととらえ、行政の中に二・五人称の視点を取り入れることにより日常における命の安全を守るための危機管理体制を確立するということです。このことについて、環境大臣、この法案の成立、今の法案成立に伴う問題として、国としてこの責任を十分に認識しているのかどうか、そのことを大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#133
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法案の前文にも書かれておりますとおり、国の責任を十分認識し、今回の法案の立法の趣旨にのっとって、この法律が成立すれば、その施行に全力を挙げていきたいと思います。
#134
○川田龍平君 それで、ちょっと時間もあるんですけれども、今回の法律案により被害者の八割が救済されるとも言われています。残りの二割の方々、ただ、これは八割というのは今想定されている数字であって、本当に八割が救済されるのかどうかというのは分からないと思います。これは新たな混乱がその二割、もっと更に増えて混乱されることも懸念をされるんですけれども、この新たな救済が新たな混乱を生ずるというような構図が繰り返されてはならないと考えていますが、環境省は国としてこの二次的な被害を避けるべくどのような取り組みを考えておりますでしょうか。
#135
○政府参考人(小林光君) 私ども、仮に法案制定された後でございますけれども、この救済措置の対象者になられる方々の判定方法といったようなことにつきましては、今後水俣病の被害者団体の方々等々ともしっかり協議をいたしまして救済の措置の方針を定めるということにしたいというふうに考えてございます。
 そして、万々が一でございますけれども、こうした救済措置の要件を満たさない方々がいろいろ副作用みたいなことになるのではないかというお尋ねなのかなというふうに承ったわけでございますけれども、平成七年の政治解決では、保健手帳といったようなことでございまして、こうした方々もきちっと医療費の手当てを受けられるということでございます。
 さらに、今回の法案では一歩進みまして、被害者手帳ということでございまして、こういった救済措置の一環として、被害者としてその手帳を持っていただくということになる仕組みということが入れ込まれているのかなというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、きっちりと被害者団体の方々等々とお話をいたしまして、将来の紛争が生じることがないよう、周知徹底を図る、そして協議をするということで、できるだけの対応を法案制定後はやってまいりたいというふうに考えてございます。
#136
○川田龍平君 その手帳についてですけれども、この手帳と保健手帳との関係というのはどういうことでありましょうか。
#137
○政府参考人(小林光君) 条文では、今現に持っていらっしゃる方はそのまま新しい被害者手帳ということに位置付けられるというふうに私ども条文からは承知をしてございます。
#138
○川田龍平君 この手帳の交付を受ける人は水俣病の被害者であるということでしょうか。
#139
○政府参考人(小林光君) 字義どおり、被害者の手帳と書いてございますので、私どもはそういうふうに受け止めてございます。
#140
○川田龍平君 この新保健手帳の申請については、いつまで行う予定でいますでしょうか。
#141
○政府参考人(小林光君) 法案制定後の話でございますが、具体的にここでは明定されておりません。いつかその日を定めて乗り換えていただくということで周知徹底をいたしたいというふうに思っております
#142
○川田龍平君 今日は資料として、水俣病の未認定患者の救済に関する特別措置法案に対する環境大臣の水俣病問題に係る懇談会の元委員の有志による緊急の声明というのをお配りをさせていただきました。ここにありますように、やはりこの水俣病の問題について、今回、与党と民主党が合意に達した水俣病の未認定患者の救済特別措置法というのは、この懇談会の委員の人たちからすれば、この問題については全くこの提言の内容を無視して、全く相反する施策を打ち出しているというふうに言っております。こういうことについて是非知っていただいて、その上でこういったものについてしっかりとそういった人たちの意見もお酌みいただいて、こういった問題について更に取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 是非、この問題が本当に最終的な解決をするようにということはどの人もやっぱり望んでいることだと思います。是非、本当にそういった最終的な解決をできるように、すべての人が被害者として救済される、すべての適正な補償をされるようなそういった仕組みを是非つくっていくように、これは議会の方としても今後もできることがあればしっかり取り組んでいきたいと思いますし、国としてこの問題について、また企業に対してもしっかりと取り組みさせるように国として是非責任を持って当たっていただきたいと思います。そのことを是非お願いして、終わりとさせていただきます。
 大臣、最後に一言ありましたらよろしくお願いします。
#143
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私は昭和四十五年に技術系の大学に入りましたけれども、その大学の化学工業界の大御所だった、いわゆる学会のまさに権威だった方の有機アミン説によってこの被害の救済が大幅に遅れたということを、その大学の中で、一体、技術、学問は何のためにあるのだろうかということを真剣に議論したことがございます。
 ある意味で私が技術者として生きていく上でまさにこの水俣病は原点になったという思いもございます。その心を忘れないで、先ほど川田委員からございましたように、この問題が最終解決されるように全力を環境省としても挙げていく決意でございます。
#144
○川田龍平君 どうもありがとうございました。
#145
○委員長(有村治子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について仁比さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。仁比聡平さん。
#146
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、議題となっております水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案の全部を次のとおり修正する修正案の趣旨を説明いたします。
 我が国の公害の原点と言われる水俣病のすべての未認定患者は、長年の苦しみや差別に耐えながら、水俣病被害者として認定され正当な補償が受けられることを切望しています。
 そこで、修正の第一は、国が最高裁判決によって事実上否定された国の判断条件に固執し、二重の基準の抜本的見直しを拒否している下で、公害健康被害補償法の水俣病認定基準を一年以内に見直し、最高裁判決に基づく認定基準によって認定患者に適正な補償の実施を確保するものです。
 新たな認定基準は、四肢末梢優位又は全身性の触覚又は痛覚の感覚障害、口の周囲の触覚又は痛覚の感覚障害、舌又は指先の二点識別覚の障害、求心性視野狭窄、大脳皮質障害による知覚障害、精神障害又は運動障害を法定化し、一つでも条件を満たす者は水俣病被害者として認定する措置を講じなければならないこととします。
 また、水俣病の認定審査は、主治医の判断に基づくことを基本として行わなければならないものとします。
 第二は、最高裁判決に基づいた認定基準ですべての水俣病被害者を救済するために、三年をめどに、長年研究、診察に当たってきた研究者、医学者の意見を聴き、不知火海沿岸、阿賀野川流域の住民の健康調査を実施し、水俣病被害の全容を解明します。
 また、メチル水銀ばく露による健康影響及びこれによる症状治療等の調査研究を実施し、胎児性水俣病被害者などが水俣病の認定を受けられるなど、必要な措置を講じなければならないものとします。
 第三は、水俣病の認定を受けた者の補償は、最高裁判決の趣旨を踏まえ、水俣病の原因となったメチル水銀を排出した加害企業チッソ及び昭和電工、水俣病の健康被害の拡大を防止できなかった責任を有する国及び県がそれぞれの責任に応じた費用を負担するものといたします。
 この規定に基づき認定基準の見直しによる最高裁判決水準の被害補償を完遂させるために、国は水俣病被害者と加害企業チッソ及び昭和電工との新たな補償協定を締結させます。
 そして、最高裁判決で断罪された加害企業チッソ、国及び県の加害責任は補償協定に明記することとします。
 以上、委員の皆さんの御賛同を心からお願いをいたしまして、趣旨の説明を終わります。
#147
○委員長(有村治子君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のおありになる方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#148
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、全部修正案に賛成、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案に反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、この法案は、救済対象を公健法に基づく国の判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々と前文に規定するとおり、最高裁判決や水俣病被害者の願いにこたえたものになっていないことであります。
 水俣病被害者の救済対象の症状を拡大したと言いますが、それも具体的基準はこれから政府が作ると言い、認定申請者、訴訟の提起者は対象外になっているなど、水俣病被害者の切捨てという法案の本質に変わりはありません。
 反対する第二の理由は、加害企業チッソの責任を免罪する分社化を前提としており、幾ら条件を付けても何らの歯止めにもなっていないことであります。チッソ免罪幕引き法案の本質は変わりません。
 反対する第三の理由は、依然として三年以内を目途に救済措置を速やかに実施するという条文を残し、三年以内の幕引きの意図は明らかであるからです。
 今救済を求めている被害者のうち、救済されるべき人が救済されれば解決だとし、新たな多くの潜在的被害者を切り捨てることは許されません。三年以内に救済措置が完了するなら、公健法自体による地域指定解除に道を開くことも断じて許されません。
 与党、民主党合意による特措法案は、患者切捨て、加害企業チッソの免罪、水俣病問題の幕引きという本質的役割は明らかだと思います。すべての被害者を救済せよ、この被害者の叫びは必ず国民世論の共感を広げて、真の全面救済の扉をこじ開けることでしょう。
 すべての水俣病患者は、水俣病被害者として認定されることを痛切に願っています。そのためには、水俣病被害者を切り捨ててきた国の判断条件を見直し、公害健康被害補償法に最高裁判決に示された認定基準を明記し、不知火海沿岸及び阿賀野川流域の健康調査を実施することが不可欠です。
 よって、日本共産党は、修正案に賛成、本案に断固反対することを表明し、討論といたします。
#149
○委員長(有村治子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法案について採決に入ります。
 まず、仁比さん提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(有村治子君) 少数と認めます。よって、仁比さん提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(有村治子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#152
○委員長(有村治子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#153
○委員長(有村治子君) 次に、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院環境委員長水野賢一さんから趣旨説明を聴取いたします。水野賢一さん。
#154
○衆議院議員(水野賢一君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 近年、我が国では、海岸における良好な景観及び環境の保全を図る上で、海岸に漂着する大量のごみ等、すなわち海岸漂着物等がそれらに深刻な影響を及ぼしており、これら海岸漂着物等の円滑な処理及び発生の抑制等の海岸漂着物対策を図ることが喫緊の課題となっております。
 海岸漂着物対策は、海に囲まれた我が国にとって良好な海洋環境の保全が豊かで潤いのある国民生活に不可欠であることに留意するとともに、良好な景観の保全や岩礁、干潟等における生物の多様性の確保に配慮するなどしつつ実施する必要があります。
 このような状況の下、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するため、本案を提出した次第であります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、海岸漂着物等の円滑な処理及び発生の抑制を図るため必要な海岸漂着物対策に関する基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにしております。
 第二に、政府は、基本理念にのっとり、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本方針を定めなければならないものとし、また、都道府県は、必要があると認めるときは、基本方針に基づき、単独で又は共同して、海岸漂着物対策を推進するための地域計画を作成するものとしております。
 第三に、海岸管理者等は、その管理する海岸の土地において、その清潔が保たれるよう海岸漂着物等の処理のため必要な措置を講じなければならないものとするとともに、市町村は、海岸漂着物等の処理に関し、必要に応じ海岸管理者等に協力しなければならないものとしております。
 第四に、都道府県知事は、海岸漂着物の多くが他の都道府県の区域から流出したものであることが明らかであると認めるときは、海岸管理者等の要請に基づき、又はその意見を聴いて、当該他の都道府県知事に対し海岸漂着物の処理その他必要な事項に関して協力を求めることができるものとしております。
 第五に、国及び地方公共団体は、土地の占有者又は管理者に対し、その占有又は管理する土地から海岸漂着物となる物が河川又は海域等へ流出又は飛散しないよう、必要な助言及び指導を行うよう努めなければならないものとするとともに、土地の占有者又は管理者は、当該土地において一時的な事業活動等を行う者に対し、同様の観点から、必要な要請を行うよう努めなければならないものとしております。
 第六に、政府は、海岸漂着物対策を推進するために必要な財政上の措置を講じなければならないものとし、その際、大量の海岸漂着物の存する離島等において地方公共団体が行う海岸漂着物の処理に要する経費について特別の配慮をするとともに、海岸漂着物等の処理等に関する活動に取り組む民間団体等の活動の促進を図るため、財政上の配慮に努めるものとしております。
 第七に、政府は、海岸漂着物対策を推進するための財政上の措置その他総合的な支援の措置を実施するため必要な法制の整備を速やかに実施しなければならないものとしております。
 以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
#155
○委員長(有村治子君) 水野衆議院環境委員長、ありがとうございました。
 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#156
○委員長(有村治子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大久保さんから発言を求められておりますので、これを許します。大久保潔重さん。
#157
○大久保潔重君 私は、ただいま可決されました美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党、日本共産党及び改革クラブの各派並びに各派に属しない議員川田龍平君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、海岸漂着物等の円滑な処理が我が国の海岸における良好な景観及び環境の保全に不可欠であることにかんがみ、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、海岸漂着物対策の推進に当たっては、海に囲まれた我が国にとって良好な海洋環境の保全が豊かで潤いのある国民生活に不可欠であることから、海岸漂着物等に加えて、漂流ごみ及び海底堆積ごみの回収及びその適正な処理についても積極的に取り組むこと。
 二、漂流ごみ及び海底堆積ごみの処理等に際しては、地方公共団体及び漁業者等をはじめとする関係団体と連携するとともに、それらに必要な財政的支援等にも努めること。
 三、船舶等から流出した油については、本法律の制定後も、引き続き、海洋汚染防止法等に基づいて防除措置等の適切な実施を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#158
○委員長(有村治子君) ただいま大久保さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#159
○委員長(有村治子君) 全会一致と認めます。よって、大久保さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、斉藤環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斉藤環境大臣。
#160
○国務大臣(斉藤鉄夫君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。
#161
○委員長(有村治子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(有村治子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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