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2009/04/16 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 国土交通委員会 第10号
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2009/04/16 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 国土交通委員会 第10号

#1
第171回国会 国土交通委員会 第10号
平成二十一年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任   
     田中 康夫君     森 ゆうこ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村耕太郎君
    理 事
                長浜 博行君
                室井 邦彦君
                伊達 忠一君
                山本 順三君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                植松恵美子君
                川崎  稔君
                北澤 俊美君
                輿石  東君
                田名部匡省君
                羽田雄一郎君
                平山 幸司君
                広田  一君
                森 ゆうこ君
                米長 晴信君
                加納 時男君
                佐藤 信秋君
                長谷川大紋君
                吉田 博美君
                脇  雅史君
                渕上 貞雄君
                大江 康弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        畠山  肇君
   参考人
       都市交通分析モ
       デル開発者    松下 文洋君
       筑波大学大学院
       システム情報工
       学研究科教授   石田 東生君
       京丹後市長    中山  泰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関
 する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(田村耕太郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、田中康夫君が委員を辞任され、その補欠として森ゆうこ君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(田村耕太郎君) 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、都市交通分析モデル開発者松下文洋君、筑波大学大学院システム情報工学研究科教授石田東生君及び京丹後市長中山泰君、以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、松下参考人、石田参考人、中山参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。
 それでは、まず松下参考人にお願いいたします。松下参考人。
#4
○参考人(松下文洋君) では、僣越ではございますけれども、意見を述べさせていただきたいと思っております。
 皆様にお配りしましたレジュメがございます。また、参考資料としてカラーの図が二枚付いております。これを参考にしていただきたいと思っております。
 簡単な歴史ということで、また一般財源化の課題というようなことでちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、この制度が発足した一九五〇年代の日本の道路事情というのは、昭和三十一年、一九五六年にワトキンス・レポートというものが出まして、日本の道路というのは信じ難いほど悪いと国際的に評価されてしまいました。実際、道路は余り良くない状態でしたので、こういう特定財源の揮発油税というのが田中元首相の議員時代に議員立法として発足したと聞いております。しかし、現在では、九千キロに余る高速道路ネットワークが完成しましたし、地方に行っても、高規格道路とかバイパスとか、国道、県道の整備が進みまして、一応先進国の水準に達しているというふうに考えられております。
 海外を比較しますと、巻末の資料のところに出ております、朝日新聞の出典ですが、各国の道路特定財源に対する取組状況というのが出ております。この表ですね、この表に出ております。巻末の方に付いております。
 イギリスは廃止されております。一九〇九年に石油製品について特定財源を組みましたけれども、三七年に廃止しております。これは、道路整備が順調にいって、財源が余ったという理由だそうでございます。ドイツについても、一九五五年に導入されました、これは石油製品についてですけれども。一部は特定財源として残っておりますが、残りは社会保障などの一般財源に充用されております。フランスは一九八一年に一般財源化をされております。
 日本と米国は、相変わらず特定財源化のままだということでございます。両国に共通しているのは、やはり自動車生産大国であるという特殊な事情があるのではないかと思っておりますが、日本では特にこの制度については、非常に建設コストが高い、そして、無駄ではないかと言われる道路がたくさん造られてしまう、そういう温床になっているのではないかという危惧が国民の中では起きているのではないかと言われております。
 小泉改革によって各省庁の公共投資予算は毎年減少しておりますけれども、道路だけはこの制度のおかげで増加しているわけであります。現在、日本のGDPは四百兆円と言われておりますけれども、日本の公共投資の割合というのは、旧特殊法人などの投資を含めますと九・六%に達していると。英国が二%とか一%とかいっている状況の中で、断トツに日本の公共投資のウエートというのが先進国の中では飛び抜けているというような状況でございます。
 また、その内訳を見ると、数年前ですけれども、平成十七年ぐらいで二九・八%が道路に使われているということで、これも非常に断トツに高いウエートということになっております。これも、特定財源というものが、この厳しい財政の中に道路だけを建設するために徴収している税金というのがあるということによって成り立っているということでございます。
 しかし、最近分かってきたことは、結局そういうお金がたくさんあるために、一部が官僚のレクリエーション費用あるいはミュージカルの上演、タクシーチケット等々、非常に不明瞭な使い方、無駄な使い方をされているのではないかという国民の批判というのが非常に強くなってきているわけです。またかというようなことでもう白けているというようなこともあります。また、国民の中では非常に重税感というのが強くなってきているように思います。税金が重い、もうこれ以上払えないという感覚ですね。
 そういう中で、やはり道路だけにお金を使うのではなくて、もっと年金や医療、介護などにも利用してもらえないだろうかと、そういうふうな流れの中で一般財源化の議論というのが起きているんだというふうに思っております。もちろん議員さん、勉強されているので釈迦に説法だと思いますが、こういうふうな状況の中だというふうに認識していただきたいと思っております。
 しかし、国交省は先手を打って、昨年五月に中期道路計画というのを立てまして、今後十年間で税収のほとんどを占める五十九兆円を道路を建設する予算として確保してしまいましたということですね。これはもう皆さん御存じのことだと思っておりますが、他の省庁にはびた一文渡さないよという決意の表れなどと朝日新聞は書いておりましたけれども、皮肉を込めて書いておりましたけれども、もう取っちゃったということですよね。
 しかし、国民からはやはり本当に不満の声が上がっているわけですね。国交省は予算を分捕るだけで、国民へ、新たな国づくりや総合交通ネットワークの基本方針又はビジョンと言いますけれども、そういうものを示さないと。具体的には、あるいは、どの道路を整備するか、その予算を積み上げてこの額になったんですよと、そういうことを明確に示しておりません。内容は非常にあいまいであります。
 このような省益や既得権の確保で行動されたのでは、再び国民の願いと懸け離れた無駄な道路がたくさん造られ、これでは日本は良くならないということが過去の二十年間の投資を見れば分かってきたわけですね。逆に、やればやるほど、こういうふうな道路投資をすればするほど国力は衰えて、外交的にも、日本の環境への取組というのは先進国では世界最悪である、最低であると世界銀行、ワールドバンクが評価しているような状況になっているわけでございます。
 特に私が危惧するのは、やはりこのような一方的な省益で、官僚の権益で、あるいはそれを受ける建設や道路関連の設備の業界の利益のために行っているようなことを続ければ、国民と政府の信頼関係というのが完全に失われてしまうということですね。この信頼関係がなければ立派な道路なんというのは絶対にできないと私は考えております。
 では、どういうふうにしたらいいのかというようなことでございますけれども、時間もそんなにありませんのである程度はしょることになりますけれども、概要を述べさせていただきますと、高い交通需要を予測してどんどん道路を造れ造れという、プレディクト・アンド・プロバイドと言いますけれども、こういう戦後の日本の国策といいますか戦略は大幅な見直しを迫られているというふうに考えております。
 現在では、道路建設のメリットもよく分かりますけれども、そのデメリットの方も十分認識されてきているということでございます。新しい道路ができますとそこにショッピングセンターができる、で、郊外にお客様が流れてしまう、そうすると中心部、駅前とか旧市街地の商店街やいろいろな施設がシャッター通り化して衰退してしまう、このようなことが全国的に起きていると聞いております。これはイギリスでもドイツでも起きております。それをどんなふうに防止していくのがいいかというような問題ですね。
 それからもう一つは、新しい道路を造れば確かにいっときは交通がスムーズに流れるような感じがするんですけれども、半年もたつとまた車がわいてきて、渋滞は一向に直らない、収まらない、新しい道路を造った分だけCO2の排出量が増えてしまうと。こんなような、これは誘発交通と言いますけれども、そういうような問題も認識されてきまして、道路建設に対する世論の動向というのは世界的にも日本でも大きく変わってきていると言われております。
 もう一つは、やっぱり地球の温暖化という問題ですね。CO2がその元凶ではないかと言われておりますが、そこの二ページ目からの説明になりますけれども、やはり自動車が排出するCO2というのは、地球上のCO2が今二百五十億トンから三百億トンと言われておりますけれども、その半分は輸送部門から出ておると。その輸送部門の五四%が乗用車である、また三〇%がトラックから出ているということでございます。
 工場の排ガスとか家庭からの排ガス、あるいはトラックからの排ガスというのはそう簡単には下げることはできません。これを下げると暮らしの質とか国際競争力というのが下がりますから、やはり余り好ましくありません。やはり、明日のエコでは駄目だと言われる言葉があるように、すぐそれを実行しようと思えば、やはり何らかの形で個人の乗用車利用というのを制限して、大都会では制限して、パーク・アンド・ライドとか渋滞課金とか、そういうモーダルシフトというのを進めていくというのが、もうあしたからその効果があるわけですから、そういう政策というのも道路建設に代えて望まれているんじゃないか、そういうお金の使い道というのもあるんではないかというふうに言われております。
 また、私はここ四、五年研究しておるんですけれども、また二年ほど前にオランダ、デンマークに行ってその調査してきたんですけれども、ボンネルフ運動というのがあります。日本の省庁は予算を獲得して、その予算を毎年使い切ってしまうというようなことばかり考えているようですけれども、お金を掛けないで交通安全と美しい美観、交通渋滞というものを解消していく方法というのがオランダでは研究されておりまして、五十年前から研究していましたけれども、それが実りつつあって非常に国が栄えているという状況を見てまいりました。それはボンネルフ運動というんですけれども、このような運動は、十分説明する時間がございませんので簡単に説明しますと、結局は市街の道とそれから高速道路等の物流関係の道路というものをはっきりと一線を画すと。そこに入ってきた場合にはカウボーイのように飛ばしていた車もジェントルマンの運転をしてください、そういうエチケットとかマナーとかを重視していくような政策でございますけれども、それによって信号機とか道路標識とか各種道路デバイスというものを高価なお金を掛けて作る、そういうものを一切取り払ってしまう。その中で、安全教育を徹底して速度を三十キロ以下に下げた上で町づくり、道路造りを考えていくというような政策であります。
 日本では発想の転換ということでびっくりされる方もいらっしゃいますでしょうけれども、財政が厳しい中で、こういう安全と美しい美観、そして何よりも人と車がけんかしないで融和していくような、そういうインテグレーションするような政策というものがなぜ日本では取れないのか。
 国道、県道、そういうものを見ても、補助金という名目の下に画一的な道路しか日本は建設することができません。このような新しいアイデアに満ちたすばらしい道路というものが世界ではどんどん採用されているのに、古い二十年、五十年も前の規格で造らなければ補助金が下りないという形で、自転車道路とか、こういう生活を豊かにするような道路というものが国のお金で造れない、道路特定財源でも造れないというようなことがいけないんではないかというふうに考えております。
 少し時間が過ぎてしまいましたのでここで発言は切りたいと思いますけれども、最後に一つ、やはり私は去年もガソリンの暫定税率値下げのときに参考人としてお話しさせていただきました。そのときは、日本のべらぼうに高い建設費、高い高速道路料金、いろいろな問題があるということを御指摘しました。やはりこれを解決しないことには、幾らお金を使っても本当にもったいないお金の使い方になってしまうわけですから、やはり社会的な合意形成制度というものをもう一度見直していく必要があるというふうにお話しして、終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(田村耕太郎君) ありがとうございました。
 次に、石田参考人にお願いいたします。石田参考人。
#6
○参考人(石田東生君) 筑波大学の石田でございます。
 雑駁なものでございますけれどもメモを作ってまいりましたので、それに従って意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 まず、今この時期をどう考えるかということでございますけれども、日本の道路整備の戦後の中核を成した有料道路制度につきましては、民営化をされて大きな改革が実施されました。また、まさに今、道路特定財源制度を変革しようと、一般財源化するという本当に大きな転換期を迎えていると思います。そういう中で、今後の道路の在り方を考える上で本質的な大きな議論ができるこういう場にお呼びいただきまして、誠に光栄に思います。
 ただ、今、本当の意味での戦後の道路の在り方、造り方を考える上での大きな、それに取って代わるような大きなビジョンが提示し得ているかというと、必ずしもそうではないんではないのかなというふうに思います。非常に大きなストックを持っておりますけれども、それを地域の元気回復のためにどう機能的、有効に活用するんだろうかということとか、あるいは必要な道路はきちんと整備するということについては大体のコンセンサスが得られているというふうに思いますけれども、本当に必要な道路って何なんだろうかという、そういう議論がまだ十分でないように思いますので、そういうことについての私の管見を示させていただきたいと思います。
 まず、この法律案への意見でございますけれども、政府の公約を果たすために必要な法案であるというふうに認識しております。財源化するということと、地方道路整備臨時交付金は廃止するということでございます。ただ、非常に厳しい地方財政への配慮もきちんとなされておるということでございまして、妥当なバランスの取れた法律案であるというふうに考えておりまして、結論的に申し上げますと賛成でございます。
 ただ、法律案そのものの審議からは外れるかも分かりませんけれども、先ほども申しましたように、道路の大きな転換の在り方でございます。道路だけではなくて、国とか地域の在り方をも大きく規定するというふうに思いますので、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、冒頭申し上げましたように、五十年間を支えた道路整備の在り方を抜本的に変革するという大きな転換期に当たっております。そういうときに、やはり大きなグランドデザインとかビジョンと、それを実現する整備制度とか財源制度が必要ではないかなというふうに思います。
 もう先生方御存じだと思いますけれども、例えば欧米では、ヨーロッパ連合体、EUでは、トランス・ヨーロピアン・トランスポーテーション・ネットワークという、TENというふうに申しておりますけれども、において雇用とか環境とか経済への効果、影響をきちんと考えたビジョンを提示をいたしまして、それに対して一国だけじゃなくてEU参加国全部で頑張っていこうねというふうなそういう国際公約をしてございます。
 イギリスは、先ほど松下参考人がおっしゃったとおり、古くからガソリン税は一般財源化されておりましたけれども、やはり必要な道路は都市、国を支える、地域を支える意味で本当に必要なものは必要ですねということで、ロンドンのロードプライシング、これはロンドンではなくてほかの都市でもやっております。あるいはそれと同じような効果を持つ、政策的に駐車料金を高くしようということで、そういった増収分については交通目的税化するという法律を実は二〇〇〇年に、ビジョンを達成するためにそういう法律が必要ですということでやってございます。
 あるいは、フランスも一般財源化されておりますけれども、都市交通問題、あるいはモビリティーということをどう考えるかということで、交通権というのをもう法律上明記しておりまして、それを確保するためにフランスでは交通事業所税という税を導入されておるというふうに思います。
 アメリカは一九九〇年代に入りまして、ISTEAという交通効率化法を作りましたけれども、それ以来グローバルな競争に勝てる強いアメリカを支える交通基盤を環境と人に優しい形で整備するという基本的姿勢を貫いております。これは共和党政権あるいは民主党政権を通じてそうでございまして、投資額を拡大しております。オバマ政権も基本的に踏襲しているというふうに伺っております。そういう中で、日本としてどうビジョンをつくってそれを支える制度をきちんと議論するかという、そういう大事な時期だというふうに思っております。
 二番目の意見でございますけれども、必要な道路ネットワークに関する十分な議論というふうに書いてございます。
 特に新聞等の報道では、道路の必要性、これはすなわち費用便益分析が一以上であるという非常に短絡的な評価をされているということに危惧を覚えます。費用便益分析というのは定量的であり科学的であるんですけれども、経済的効率性のみを評価しているものであるということは忘れてはならないと思います。公平性や安全保障といった観点からの評価も是非必要ではないだろうかと思います。
 しかも、費用便益分析の道路のマニュアルにおいては、便益として渋滞の緩和、交通事故の減少、走行快適性の向上、沿道環境の改善、災害時の代替路確保、交流機会の拡大、新規立地に伴う生産増加や費用、所得の増大というものが概念としてはマニュアルに掲げられておりますけれども、実際に計測評価されておりますのは走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の三つだけでございます。これはやっぱり混雑した都市域にとって有利な評価結果が出てくるというそういう構造的な仕組みを持っているというふうにも思います。地方部の人々の思い、これは例えば命を救う道ということであったり、地域発展の道、災害にも安全、安心な道というのが評価項目の中に入ってございません。必要性の議論と評価にはギャップがあるということを忘れてはならないんだろうというふうに思います。
 それで、今は経済効率性の中だけの議論なんですけれども、もうちょっと議論の枠組みを広げますと、公平性の基準ということをどう考えるかということでございます。
 一般国道でございますけれども、指定区間の第一次改築、これは、とにかく自動車がきちんと通れるようにしようという、そういう改築でございましたけれども、このときは一九六〇年代から七〇年代にかけて全国ほぼ均一に整備されてございます。ミニマム整備をきちんとしよう、それは全国一律にしようという、そういうコンセンサスを得て成立していたようにも思います。あるいは一万四千キロ構想、いろんなところで議論されてございますけれども、これも全国至るところで一時間以内にインターチェンジに到達できるという、そういうナショナルミニマムがベースになった議論でございます。財政事情が厳しい折からでございますけれども、交通権、フランスの交通権の議論なども参考にしながら、もう一度整理が必要ではないかなというふうに思います。
 三番目でございますけれども、安全保障に関する議論も忘れてはならないんだろうと思います。これは、軍事的な安全保障だけではなくて、食料生産、だれも人が住まなくなって土地はあるんだけれども耕し手がいない、食料がストップしたときにどうするんだという問題でございます。あるいは国土保全の問題、あるいは愛情、誇りといった意識の安全保障とか、歴史とか文化などの問題でございます。こういうことに道路がどれだけ貢献できるのかという問題はあろうかと思いますけれども、一番幅広い、社会、都市、暮らしを支えるインフラでございますので、そういったものの維持向上といった観点も是非必要ではないのかなというふうに思います。
 三番目の論点でございますけれども、さはさりながら、道路をこれだけ、これまでもどんどん造っていけるような時代ではございませんし、状況にもございません。そういう中で、既存ストックの有効活用策の検討というのが本当必要だと思います。
 道路の必要性の議論とも関連いたすと思いますけれども、道路が十分にあるかということは、実は、道路が、あるいは既存ストックとしての道路ネットワーク全体が、地域に、住民に、あるいは産業に十分なサービスを提供し得ているかという観点からの評価が必要ではないのかなというふうに思います。そういう観点からすると、本当に十分なサービスを提供し得ているというふうに思えない局面もあろうかと思います。
 例えばでございますけれども、地球温暖化防止の観点から、自転車とか歩行者がもうちょっと安心して使えるような、そういう道路ネットワークが欲しいねという議論にすぐなりますけれども、実際、我が国の住宅地で安心して快適に自転車で走れるような道路ネットワークになっているかというと、必ずしもそうではないという悲しい現実にございます。そういった問題をどうするのか。あるいは、地方部において、高速道路を造るのはいいんだけれども、高速道路をどんどんどんどん自動車が通過して地域に降りてくれないと、あるいは逆に、ストロー効果というもので活力を吸い取ってしまうというふうな逆の影響なんかも懸念されているところでございます。
 こういうことに対して、例えば観光地等では、フランスや米国ではバイウエーと、わき道とか寄り道といった従来の下道と高速道路の間の良いネットワーキングをやるんだということで、進展がございます。日本でも、私もお手伝いしておりますけれども、日本風景街道といったものでこういうものを促進したいなというふうに思います。
 そういう観点からすると、この法律の中には書かれておりませんけれども、地域活力基盤創造交付金が地方の判断により道路以外の分野にも使える、あるいはソフト事業も視野に入れているということは、高く評価したいと思います。
 これをじゃどうするのかということでございますけれども、地方分権化の世の中でございます、国が音頭を取ってということでもないかと思います。ですから、そういう意味からすると、いろんなところで言われている新たな公の議論なんかが是非必要になるんだろうと思います。ただ、そのためには、ミッシングリンク等の整備も必要でしょうし、今あるストックをうまく維持管理するということも重要でございますので、その辺にも御配慮をお願いしたいと思います。
 ただ、そういうことを考えておりますと、今回の法律案では、道路整備事業は道路の新設、改築、維持及び修繕に関する事業というふうに書いてございまして、活用ということが明示的には表れておりません。今後、是非法律の運用の中で活用ということもお考えいただければなというふうに思います。
 最後になりますけれども、政策、施策に関する意思決定の更なる透明化、高質化ということについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 大きな改革を進める原動力はやはり意思決定の透明化であり、高質化でもございます。社会基盤投資の分野ではいろんな努力や試みがなされてまいりましたけれども、更に加速すべきだと思います。地域高規格道路や一般国道自動車専用道路の意思決定プロセスについての道路分科会で中間答申が先ほどなされましたけれども、これの確実な、着実な実現はもちろんでございますけれども、パブリックインボルブメント制度はまだきちんと制度として法律の中に明記されておりません。そういうものをどうするかということでございます。あるいは住宅地の細々とした道路と暮らしの関係をどう考えるか、あるいは中心市街地で快適な買物ができるような道路空間、町空間をどう考えるか、あるいは観光地等の地域開発と比べた道路ネットワークの在り方をどう考えるかということで、これは地域のあるいは地域の人々、コミュニティーとの協働型道づくりなんかが今後問われると思いますけれども、そういうことも意欲的に進めていただきたいと思います。
 ただ、そのときに気を付けていかなければならないのは、特に道路はその広域性が強ければ強いほど迷惑施設という側面もございます。総論賛成各論反対という問題もございます。そういったときの国家的なあるいは広域的な公益というものをどう考えるか、あるいは情報提供や意見交換集約手続に必要以上の時間を掛けないという時間管理でございます。
 最後でございますけれども、そういった賢い選択とか良い政策形成をするためには、やはり調査とかデータということが非常に重要ではないかなというふうに思います。最近、見てまいりますと、いわゆる本当にソフトな政策形成とか合意形成とかというものに対しての調査費が何か昔と比べて随分減っているようにも思います。あるいは賢い選択のためにはデータの整備、蓄積及びコミュニケーションが本当に大事だと思いますので、その辺も是非よろしくお願いを申し上げまして、意見を終わらさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(田村耕太郎君) ありがとうございました。
 次に、中山参考人にお願いいたします。中山参考人。
#8
○参考人(中山泰君) おはようございます。京丹後市の中山でございます。今日は本当にすばらしい機会をいただきまして、本当にありがとうございます。私は、地方の立場から道路財源の確保、もうこれ以上減らしてほしくないという願いを込めて陳述させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 メモも作っておりますけれども、メモの趣旨に沿いながらざっと陳述をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、国、地方を通じまして政策の中で道路行政の位置付けということでございますけれども、まず、我々のところは京都の北部で、日本海側なんですけれども、五年前に六つの町が合併をしてできたところでございまして、昨年の秋から全国的に大変不況が大きな課題となっているわけですけれども、我々のところはその前から、何年も前から大変厳しい産業の状況で、産業界も大変な悲鳴を上げているというのが現実でございまして、そんな中でまたこの全国の不況が重なっているということなんですけれども、そういう中で、我々行政をめぐる環境、地方行政をめぐる環境としても、まず歳入の面では、御案内のとおり、交付税はどんどん減らされております。また、公共投資の枠というものもどんどん減っているような状況でございます。
 加えて、歳出面、これは都市部では考えられないことですけれども、例えば光ファイバーなんというのはこれからの産業にはもう欠かせないわけですけれども、そういうもの、田舎の方では利潤動機が働かないということで自治体が高いお金を払ってやらないといけないわけですけれども、ちょっと補助は少しいただけるんですが、そういった負担。また、お医者様が地方にはなべて不足しているという状況の中で、お医者さん一人で五千万とか一億とか、これは経営で全然変わるというのは御案内のとおりだと思いますけれども、そのための支援をまたしないと、これはもうせざるを得ない、どうしても頑張ってほしいということでするわけですけれども、させていただく。あるいは最近の、ちょうど建て替えの時期に当たって保育所や学校の耐震の問題なんかもあるわけでございまして、このように、言いたいのは、自治体の、地方の歳出の余裕、余地というのがもう本当になくなってきているというのが現状であろうかと思います。
 そういった中で地域活性化を果たしていこうとするときに、かつてのように財政の物量でもって牽引していくということに当然制約があるわけでございまして、知恵や工夫で頑張れというのが国のお声だと思いますけれども、それが国のお声であれば、同時に、せめて我々地方、田舎の自治体、地域にとりましては、民間の皆さんが都市部と対等に競えるだけの土俵ですね、土俵、フライ級とヘビー級を同じ土俵で戦わせないでほしい、同じ土俵を用意してほしい。そのためには、是非とも都市部へのアクセス、これがもう動脈、これが産業的には非常に決定的な要素になってくるわけでございますけれども、基礎的インフラとしての都市ネットワーク、道路ネットワーク、これを早急に国の責めにおいてつくっていただきたいというのが我々地方の切実な声でございます。今日はこの声をどうしてもお伝えしたいというふうに思っております。
 そして、少し我々の例を引きますけれども、我々のところは京都まで百キロぐらいなんですね、直線距離にしたら百キロぐらい。百キロなのに実は二時間半掛かるんです、二時間半。高速道路も造っていただいて、一生懸命造っていただいてとても有り難いんですけれども、でも、まだ三割、四割残っている状況の中でそれだけ時間が掛かる。さらには、委員長の田村先生がおられますけれども、鳥取から我々の京都の宮津まで鳥取豊岡宮津自動車道というのがあるんですけれども、これは日本全体の輪郭を形成する高速道路網の中で白地地域が三か所ありまして、そのうちの一つなんですけれども、これも一生懸命今国の方で整備をしていただいていますけれども、まだまだ事業化になっていない区間もたくさんあるわけでございまして。
 そういう状況の中で、ここからが今回の本番なんですけれども、いよいよ我々の番かと、着実に整備をしていただきつつある中で、もう少しだなと思っているさなかにお金がありませんということでは、もうにっちもさっちもいかないということでございます。
 これは大きな意味がありまして、道路財源の全体、メモにも書いていますけれども、道路財源の全体、これは、当然、新設の部分と、あと維持費の部分と大きく分けたらあるわけですけれども、維持費の部分をお聞きすると、大体二割とか三割ぐらいが道路財源全体の割合らしいんですけれども、道路財源全体が少なくなれば、当然、例えば二分の一になれば新設の財源も維持費の財源も半分ずつになるかというと、これはそうじゃないんですね。
 当然、お分かりのように、維持費はこれは最優先当然されるわけで、原則ここは基本的に削りにくいということだと思うんですね。としたときに、道路財源全体が減らされるということは、これは新設の財源が加速的に少なくなってしまう。全国各地で建設が今進んでいますけれども、これがもう加速的に財源がなくなってしまう。既に道路を持っている地域の維持費は、これは道路を止めるわけにはいきませんから最優先されると思いますけれども、そういう問題、大きな問題を我々は危機感として感じておりまして、是非ともそういう中で財源全体をしっかりと確保していただきたいというふうに思っております。
 暫定税率の話もありますけれども、これも我々の地域も日本全国どこでもせっせせっせと高い税率を払ってきたこの間なんですね。お聞きをすると、これは国家として当然のことですけれども、この間は東京や大阪や名古屋や大都市の道路、また道路だけじゃなくて鉄道や地下鉄、もうそっち中心に四分の一とか三分の一とか、よう分かりませんけれども、それぐらい使われたんじゃないかと言われるぐらいに大都市あるいは大規模プロジェクトを中心にやってこられた。それはそれで国家政策としていいと思うんですけれども、ようやく我々の番かというときに、お金がありません、何でですかと聞くと、いや、もう道路は腹いっぱいです、ほかの事業に回しましたというのではもう田舎の方は踏んだりけったり、理不尽極まりないというふうに感じておりまして、是非ともそういうことがないようにしていただきたいというふうに願っております。
 暫定税率についても書きましたけれども、これは、もう道路というのは私は国家百年、都市五十年の大計の中で位置付けられるべきものであるというふうに思うわけですが、としたときに政策税制なわけですから、政策税制としての百年、五十年ということを考えたときに、三十年、四十年というのは長くはないという面もあるんだと思うんですね。そういうことにも御留意して御検討いただければ有り難いなというふうに思っております。
 それからもう一つ、一般財源の使途に関しましても、これは例えば新しい交付金の制度をつくっていただいて、道路中心ということでとても感謝をしておりますけれども、これ以上にいろんなところに広がると、例えば医療や福祉、これはもうとっても大切です。もう財源をどこに持ってくるかにかかわらず、これはとっても大切なことですので、この確保云々について申し上げるわけではないという前提付きなんですけれども、仮に道路財源を使ってやるとした場合に、例えば医療、最近のお医者さん不足で地方はどこでも医療機関行きたくても行けないところもある、高次の三次医療なんて受けようと思ったら、もうそれこそできない。都会は違いますね。そういう意味で、お金の流れ方の問題として都会の方に流れていってしまうんじゃないか。
 子育ても同じだと思うんですね。高齢化率が高いわけですから、子育てにお金を出そうと思っても出せないのが田舎なわけでありまして、そういう意味で、一般財源と仮にされて、その後の使途の問題を考えても、都会と田舎の受益と負担のバランスということがあるんじゃないかなと。このまま行くと、道路の分は減らされて、待ちに待った道路は減らされて、どこに使うんですかと言ったら、都会の方に行っていますと。
 これじゃちょっと、田舎の方はあくまで負担と受益の関係なんですけれども、大きな問題があるんじゃないかなというふうに思っておりまして、気付かないうちに制度弱者、地方住民が負担のしわ寄せを受けているということにならないかというふうに強く危惧をしておりまして、是非ともしっかりと財源を確保していただいて、そして基幹的なネットワークについては早急につくっていただきたい。
 今、地方の住民の皆さんはこの厳しい社会環境、制度環境の中で必死になってふるさとを守って、必死になって生き抜こうとされておられます。是非こたえていただいて、基本的なインフラについては早急に整備をお願いしたいなというふうに思っております。
 それから、三番に書いていますけれども、評価の問題ですね。整備の優先順位についての評価の問題なんですけれども、これはいろんな車両の通行量とかいろんなことがあるんだろうと思いますけれども、そもそも道路は公共財、典型的な公共財であるわけでありまして、我々も、田舎の方の都会と結ぶ一本目の道、これはこれによって、それによってまさに雇用を何十も何百も持ってくるような企業の進出が現実的にやっぱり可能になるんですね。あるなしで全然違うんですね。それによって、お医者さんが来る来ない、これやっぱりあるんですね、全然現実にあるんですね。地方の存立にかかわるのがそういう田舎の道なんです、基幹道路なんです。
 そういう意味で、道路は仮に車両が、通行量が少なくても、それによって果たされるいわゆる外部経済、公益の量というのはまた別の次元であって、しかも私はそれが道路の建設の本分本目であるというふうに思っておりまして、そこのところをしっかりと評価をしていただいて、整備の優先順位等に反映していただけるようなシステムを、今も御工夫をいただいていると思いますけれども、是非ともそういうシステムの中で御議論をいただきたいなというふうに思っております。
 そういう定量的に町づくりのてこ、通行量ということじゃなくて町づくりのてこということで位置付けていただく中で、建設負担の問題というのはようあるわけですけれども、それ以上に大きな公益の実現につながっているという実態が分かるんじゃないかなと。そんな中で、将来世代へのプレゼントとして、あるいは世代間のきずなを深める贈物として、道路をもっと積極的に評価できるんじゃないかなというふうに思っております。
 逆に、道路など公共投資がおろそかにされると、結果として、ここ近年ありますように、地域全体が衰退を、これは現実の問題として、幾ら知恵、工夫やれといっても、日本全体がそういうわけにはいかぬですよ、やっぱり。それは絶対地域の衰退ということにつながる面があるわけで、そういう意味でも、その段階で逆に地域対策費とか交付税を増やせとかなってくると、結果として、政府支出全体も高く付くという面があるんじゃないかなというふうに思うわけでございまして、今こそ道路の積極的な役割を見直していただいて、将来、逆にツケを残さないためにも、今そういう基礎的なインフラに力を入れて投資をしていただくということが必要じゃないかなというふうに思っております。
 時間もそろそろなので、結びになりますけれども、私、京都の北の方なので昨日のうちに五時間掛けて来まして、今朝車で来たんですけれども、思いましたのが、東京はもう見渡す限りビルか道路ですね、ビルか道路。道路も水か空気みたいに、何かあふれているので、私自身、道路の有り難みというのの感覚が麻痺しそうなふうに思うわけですけれども、でも他方で、この日本の発展をここまで支えてきていただいたのは道路だと、また鉄道。やっぱり日本は人や効率性で来たわけですから、効率性は物流、人流、それを支えるのは鉄道、道路、これでもう戦後支えてきていただいたんだと思うんですね。
 それで、今も時に道路を踏みにじりながら、また踏み締めながら歩いているわけですけれども、でもよくよく足下を見てみると、もうそんな御恩のいっぱい詰まった道路があるわけでありまして、改めて道路に対する感謝から始めないといけないんじゃないかなと。今日はそんな思いを込めて、陳述をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
#9
○委員長(田村耕太郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、大変恐縮ではございますが、各委員の質疑時間が限られておりますので、参考人の皆様におかれましては簡潔に御答弁をお願い申し上げます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○長浜博行君 今日は着席ということですので、失礼します。
 参考人の皆様方におかれましては、大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、どうもありがとうございます。
 松下参考人は、お話にありましたように、去年のガソリン国会と言ったらいいんでしょうか、後ほど時間があれば伺いますが、一体あの審議は何だったのかと、ある意味においては思わせるような今回のこの法案でありまして、逆に言えば、あれがあったからこういう法案が出てきたのかと、こういう言い方もあるかもしれませんけれども、随分御指導いただいたというふうに思っております。
 特に、BバイCのイギリスとの御研究でも著名でありますので、そういう意味においても、今回の道路財源、それから特定財源、それから暫定税率、こういう部分においては、今日は暫定税率の質疑ではありませんが、またその機会、租税特別措置法関連であればこの議論もしなければいけないのかなというふうにも思います。
 石田参考人におかれましては土木工学が御専門で、現在もアカデミックの分野で御活躍をされておられますし、国交省の道路の将来需要推計に関する検討委員会の委員長ということでありますから、これもまた昨年の質疑における様々な、攻める方、守る方、こういう部分においても論理的な根拠をお与えになった重要な位置におられたというふうにも思います。
 別に経歴紹介をするためにしゃべっているわけじゃないんですが、経歴が大変重要なので、中山参考人はほぼ私と同じ世代でもありますが、経済がご専門で、総務庁、それから経産省、内閣府で御勤務をされた後に地方の首長になられているという経験でありますので、今、地方の思いを随分伺いましたけれども、中央省庁での御経験も豊富ということでありますから、そういう観点の議論であったのではないかなというふうにも思っております。
 この問題を扱うときに、この問題だけではないんですが、一番厄介な問題というのが総論賛成各論反対という状況に直面することであります。ノット・イン・マイ・バックヤードと石田参考人がペーパーの中で御紹介をされているとおりの状況になるわけですね。逆に言えば、総論賛成という状況であるならば、聞き方によってはこの委員会での議論というのもある程度集約をされているというふうにも思えるわけです。
 前回、実は私、質疑をしまして、田中角栄先生から始まるところの日本の高度経済成長を遂げ、そして今日この議論に至っているところの特定財源、それから、角栄先生がやられたもう一つは、これもまた今日直接の議論ではありませんけれども、道路を有料化して造ると。そして、それに要した費用の償還に通行料をもって充てると。その後、特定の道路の償還が完成した状況の中においても、道路の一元化という概念からプール制を導入して、これが延々と続くということ。
 道路は通行料で造るのか、あるいは基本的な国民の権利として、先ほどもちょっと議論に出ましたけれども、憲法第二十五条を読み込むかどうかは別にして、基本的に文化的で最低限の生活を営む権利を有すると、都市と地方の問題も含めてですけれども、こういった中において読み込んで、税で造っていくべきではないか。たしか与党の方の議論の中においても、社会資本整備は税ないし建設国債で充てていくべきだという議論を展開された方もいらっしゃると思いますが。こんな複雑な議論が絡み合いながら今日に至っているということでございます。
 私の問題意識としては、特定財源という形で、御紹介されたこの三十一年当時といったらいいんでしょうか、道路が著しく劣悪な環境の状況の中の問題。あるいは、特定財源が創設をされた二十年代の金がない、だから世銀から借りてくるんだという方法。もうこういう状況とは明らかに違う中において、三人の参考人にお伺いをしたいところは、特定財源というシステムが五十年にわたって、五十年を超えますが、維持されてきた、道路においてのみですね。ほかに医療特定財源とか宇宙開発特定財源とか農業特定財源というものは存在をしません。道路において特定財源が五十年において引き継がれたという、私は、私の非力さを棚に上げて言うのも恐縮でありますが、田中先生的な天才的な政治家がいれば、日本の状況、世界の状況の変化の中において、ある時期においてこの特定財源の見直しが行われたのではないかというふうに思っているわけでありますが、ここまで続いてきたことに関してどうお考えになっているのか。
 さらに、付言をすれば、暫定税率という問題が、本則税率とほぼ同じですね、揮発油税においては同じ額で、これも三十年を超える期間において。私は、本当に必要であるならば、これも数度の継続状況、あるいは税率の変更も行われておりますが、なぜ暫定税率も本則税率としていないのか。暫定税率のまま三十年続いてきた。
 更に言えば、特定財源を一般財源化する中においての課税の根拠の問題ですね、課税の根拠が一般財源化で失われる中においての暫定税率の存在している意義。
 この辺について、御感想を拝聴できればというふうに思います。
#11
○委員長(田村耕太郎君) どなたに。
#12
○長浜博行君 三人に。
#13
○委員長(田村耕太郎君) 三人ですね。
 それでは、松下参考人からお願いします。
#14
○参考人(松下文洋君) 一般財源化については、参考人でお隣にいらっしゃる石田先生も一般財源化は賛成ですよね。私も賛成であります。余り異論はないのではないかと思っておりますけれども、暫定税率については、本則と別の税金でございますので、一リットルについて二十五円ですかね、これが賦課されておるわけですけれども、この税金については、国民の重税感といいますか、非常に最近は負担が重いという感覚が強いですので、減税という意味も含めてですね、廃止した方がよろしいのではないかというふうに考えております。
 日本の今の現状を考えても、確かに中山先生のように、地方では道路が足りないという意見もございます。そういうところは造ったらよろしいのかと思います。やっぱり必要であるところはどんどん造っていくということで、自動車のメリットというものをもっともっと生かしていく必要があるところであれば、住民が合意していくのであれば、造っていったらよろしいのではないかと思っております。
 しかし、それが、ただ私が危惧されるのは、役所の、自治体の意見ではあるのかというようなことではない、もっと住民の方とか企業経営者は、シャッター通りになった商店街を活性化してほしいとか、もっと工場を誘致するなり、船が入ってこない港をもっと活性化するなり、飛行機が飛んでこない地方空港をもっと活用するなり、そういうような努力をして雇用を増やして、やっぱり新しい産業を芽生えさせるような政策を打ってほしい、道路建設というのはその手段なんだというふうなところが本音なんではないかなと。
 やっぱり役所の補助金欲しさの規格、国道なんかでも自転車道路を付けられないような画一的な道路ですね、国の規格に合わなければ補助金が下りないというような制度で、ドイツやイギリスやオランダが導入している自転車道路を併用した幹線道路、そういう生活道路、そういうものを造れないような今の体制でどんどん道路を造っても何の意味がないんではないかと私は苦言を呈しているわけであります。
 また、合意形成ということが大事だということを再三申しているわけで、やはり官庁が決めた計画を地元に押し付けてくる、何の事前の評価も説明もなしに押し付けてくる、もう事業計画してから公聴会が開かれる、計画説明がされる、もう建設業者も決まっているような状況でそういう公聴会を開いてガス抜きのようなことをしても住民は反発するだけで、絶対反対してやろうと思いますよね。そういうような現在の合意形成制度の在り方というのが改善されないと私はいけないのだと。
 特に、一つここに出てありますので、ある高速道路の建設に対して異議を唱えたところが、裁判所に駆け込んで訴訟を起こしているところがございます。私は、それはいい悪いを言うんではありませんが、一つ注目しているのですが、原告団が国や都に対して、県に対して、やはり費用対効果分析の基になったそういう区間の交通量、速度、そういうものの、費用対効果一・五とかいうことの元データになる一番重要なデータなんですけれども、そういうデータを出してください、見せてください、それがあればそんなに反対しませんよと言っているんですよ。それがあって一・五なんだということが分かれば我々だって納得すると言っているんです。
 それで、求釈明ということでその証拠のデータを出してくださいと言っているのに、データを消去してしまいました、出せません、そういう一点張りだということをお聞きしました。こんなことをしていれば、これは住民は納得しません。エゴも出てきちゃいます。補償金だってもっと高くくれ、こんなでたらめな計画だったら分捕るだけ分捕ってやれというふうな気持ちになってしまう。国と住民との信頼関係というのが全くなくなっちゃうわけですね。
 こんなところから、行政のスタンスというもの、公聴会とか合意形成、情報公開、そういうふうなところを本当に改めていただきたいと。強い言葉を使って失礼でございますけれども、そういうところから始めていただかないといけないんではないかなと。
 それに引き換え、私、もう十五年前からイギリスのケンブリッジ大学と一緒になって土地利用と総合交通を統合して分析するコンピューターシステムを開発しております。その過程でイギリスに一年、大学の研究室の隣に一軒家を借りて社員と一緒に住まわせていただいたり、その後も年に何回もイギリスやオランダ、スウェーデンなんかを行って見てみますと、本当に……
#15
○委員長(田村耕太郎君) 済みません。答弁は簡潔にお願いします。
#16
○参考人(松下文洋君) ごめんなさい。
 日本の道路の造り方と外国の豊かな暮らしの道路の造り方というのは本当に違うな、こんなにたくさんお金を使っているのに、もう二十年も前からですけれども、どうして変わらないのかなと、一向に変わらないなと。道路が大事なのは分かるけれども、その本質的な造り方とか完成したときの道路の状況というのをもうちょっと変えられないのかなというところなんです。
#17
○参考人(石田東生君) 特定財源制度と暫定税率についての感想を言えという御下問でございましたので、感想を述べさせていただきます。
 特定財源制度に関しては、一般論として財政学上も一般財源の方が機動的であり柔軟でありということはそのとおりだと思いますし、それだけではなくて、やはり道路を造るときによく考えるようになると思うんですね。今まで特定財源制度でこれだけあるからというよりは、これからはどっちかというと必要性を主張して、皆さんとコミュニケーションを取りながらやっていかなくてはならないということになると思います。そういういい効果があろうかと思います。
 ただ、受益者負担との関係をどう考えるかとか、あるいは一般財源になったからといって急に減らすようなことをすれば、中山市長さんがおっしゃったような地域格差の問題がありますので、その辺の必要性の議論をどう考えるかということが今後に残された大きな課題だと思います。
 現実に、先ほども御紹介いたしましたように、ガソリン税としては一般財源化を古くからしておりますけれども、イギリスとかフランスというのは交通目的に新たな財源をやりたいというふうなそういう動きもございますので、その辺も参考にすべきだろうというふうに思います。
 暫定税率に関しましては、原則的に言いますと、やっぱり緊急的な措置のために、整備のために暫定税率をちょうだいしているということでございますので、一般財源にするんだったら廃止すべきだろうというのが本質論だと思います。ただ、これも過渡的なことをどうするんだろうかということ、特に財源の問題だけではなくて地球環境問題からすると、国際社会にどういうアピールを与えるんだろうかというふうなこともやっぱり十分慎重に考えなくちゃならないと思います。
 政府の方でも、新聞報道によりますと、税の抜本的改革をきちんとするということでございますので、その中ではやはりきちんとした議論を是非お願いしたいなというふうに思います。
 以上です。
#18
○参考人(中山泰君) まず、特定財源制度、なぜ五十年維持されていますかというお話ですけれども、それはもう取りも直さず、目的である道路が国家の骨格にかかわる話であるから、社会活動、経済活動の骨格的基礎にかかわる話であるからということだと思います。
 当然、我々地方も含めて、何で公共部門があるんですかというのは、財・サービスのベースでいうと公共財が必要だからということでもあろうかと思いますけれども、道路は公共財の典型、まさに中心だと思うんですね。そういう意味で、先ほど申し上げましたけれども、まさに国家百年の計の中で位置付けられて整備をしなければならないのが道路であるから、財源として恒久的な財源を位置付ける必要があるということだと思います。
 それがなぜ特定かといったときに、当然、道路は、道路を走ることによって個別の、いわゆる民間セクターとしての利益を得る車両が当然あるわけでございますし、同時に、公益として位置付けられる部分が、両方あるんだと思うんですね。だから、特定財源として個別に取る部分と、公益として一般財源も投入してやっていただく部分とをミックスさせることによって税の体系を考えていくということじゃないかなというふうに思います。
 それから、暫定税率については、これはなくしていただくととんでもないことになるのは、新設については申し上げたとおりでございますし、同時に、もう一つ大切なことは、去年も議論あったんですけれども、暫定税率によって各地方自治体で一般的に使える財源を約九千億ぐらいいただいているんですね。これはもう福祉やいろんなところに各自治体で使っているわけですけれども、これがなくなるんですね。暫定税率がもしなくなってしまえば、九千億、自由に使える部分の税収がなくなってくるということの影響の重みということも考えないといけませんし、もちろん新設ができなくなるということも考えないといけない。
 じゃ、なぜそんな大切な税を本則にしないのかということですけれども、これはまさに法技術的なことだと思いますけれども、ただ、暫定といっても五年とか十年とか長期で措置していただいているわけでございまして、当然、五年、十年というのは、社会経済環境の変化を考えると、一定時点で見直しをするというのが真摯な態度としての法技術的な要請からそういうふうにされたのではないかなというふうに思うわけでございまして、暫定税率が必要な構造自体は、これはもう我々地方の現状からいうと、どうしてもお願いしたいというふうに思っております。
#19
○長浜博行君 参考人質疑の難しさで、時間が残り少なくなってまいりましたので、お伺いすることができない失礼をお許しいただきたいと思うんですが。
 石田参考人がおっしゃられたように、暫定税率の意味合いですね、その中において、激変緩和のショックアブゾーバーをどこに置くかという議論からすれば、私は、その三十数年間の経緯の中において、それが必要とされたときと、逆にソフトランディングをさせなければいけないというこの思考をサボったといいますか政治の怠慢といいますか、そこの部分のツケが来ているんであって、これから何か過渡的なことを考えるのではなくて、もう十分、三十年の中においてその転機が訪れたというふうに私は思っておりますし。
 中山参考人の議論は、非常に地域でお金が掛かるというのはよく分かります。ですから民主党も、去年の議論の中においては一括交付金というような形で地方の財源を保障しますと。でも、地方の立場からすると、民主党政権じゃないので保障されたって何の担保にもなりませんよと、こういうことの議論が続いたわけでありますけれども、地方の財源を減らすという意味ではなくて、道路にしか使えないという状況の中で交付をし続ける意味は何だったのかなと。それを自由に使えると、地方の中で自由に使える。
 極端な話をすると、特定財源をやめてもらっては困るんだと、道路が造れなくなっちゃうと言われた方がいらっしゃいます。ほかに何でもつくれるんですよという条件になると、それは困るんだと、道路を造らなきゃいけない大義名分がなくなっちゃうんだと。
 こういう経験もいたしましたので、是非、民主党政権の一つの政策、マニフェストを御理解いただけるように私も努力をして、中山さんの下にも通わせていただきたいなと思いながら、質疑を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#20
○佐藤信秋君 三人の参考人の皆様には、大変お忙しいところをこうして貴重なお時間をいただいて、また貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。
 自由民主党の佐藤信秋でございます。
 皆様のお話、できるだけ共通の部分をお伺いしたいなと、こう思いながら伺っておったんですが、今、長浜先生から、特定財源、暫定税率の問題が出ましたので、一つだけ最初に、環境というような面も考えたときに、税そのものの在り方としてどうするかというような点について共通にちょっと御意見いただきたいと思うんですが。
 一般財源になるんだ、こういう議論でいきますと、実はアメリカと日本だけが現時点では一般財源にしていない、特定財源と。OECD二十九か国の中で実は、アメリカが一番安い方ですが、日本も下から、数え方によりますが、五番目くらい。イギリス、フランス、ドイツそれぞれ日本よりはかなり高いガソリン単価の税を掛けている。
 これは実は、長いこと一般財源化したいという考えをお持ちの皆様は、どなたとは申し上げませんが、税率をいろんな形で自由に決めたいという考えもあるんだと思うんですね。環境というふうな問題からいけばもっと賦課掛けてしかるべしという議論もあるわけで、結果として、国際的に見ると一般財源化しているところの方が税率が随分高いというのも事実なんだと思うんですね。どんどん上げてきたという事実はあるわけでありますが、そういう意味で特定財源から一般財源にした。
 暫定税率そのものの議論をとりあえず置いておいても、今の暫定税率含めた税率の水準を、一般財源化したという下で、今すぐじゃもちろんなくて、長い間掛かるかもしれませんが、上げていくのか下げていくのか、こんな議論が一般財源化した場合にもどうしても出てくると、将来ですね、今そのものはここで固定しておいていただいても。
 その辺について、環境あるいはエネルギーをどうするか、こういう面からいけば、税率水準としてはどうかなというようなことを、御意見をお持ちでしたら、お三人にまず伺いたいと思うんです。
#21
○参考人(松下文洋君) 今、佐藤先生からお尋ねのは、やはり環境面から暫定税率なりガソリン価格をコントロールするということが必要ではないかという議論だと思いますけれども、確かにイギリスなんかでは、ピグー税ということで、自動車に係る社会費用とそういう生産等MAコストに係る私的費用との差が出ておる場合に、税なり補助金なりで補助していってバランスを取っていこうと、自動車の利用を控えさせるような高い価格、ガソリン価格というものをつくっていこうというふうな考え方もございます。やはり二十年ぐらい前はそういう議論が大変盛んに出たということでございます。
 ただ、今はもう少し議論が進んで、産業活性化とか地方のそういう都市の活性化、それから国民の暮らしの中でやはり都市の交通渋滞というのは各国非常に深刻です。日本、特に東京は世界の最たる批判にさらされているわけなんですけれども、そういうようなときに、総合的に考えてどういう政策を取ったらいいのかということが次の課題として大事になってきている。渋滞課金とかパーク・アンド・ライドとか、そういう点を無視して日本は何もやりませんね。
 そういう中で、ガソリンの価格だけを考えているというのは、やっぱりちょっと、先生の御意見は非常に正しくて、そういう議論からすれば暫定税率はもっと残して上げていくような議論になるんでしょうけれども、世界の世論というのはもう少し違う形で進んでいるということだと思います。
#22
○参考人(石田東生君) 暫定税率の問題でございます。
 ガソリン税、佐藤先生のおっしゃるとおり、日本は国際的に、OECD諸国でありますけれども、決して高いとは言えないという状況にあります。先ほど、CO2等からして国際社会へのアピールをどうするんだという、そういう観点からするともうちょっと上げてもいいのかなというふうにも思います。ただ問題は、ガソリン税は弾力性が極めてちっちゃい税でございます。ですから、ヨーロッパ諸国でも、税金は取れるところから取ろうということで非常に高い税率をうたっているところでございます。そういうことを日本でやると、やはり中山参考人がおっしゃったように、税の逆進性の問題というのが非常に色濃く出てまいります。そこをどう考えるかということでございます。
 ですから、中長期的には、ガソリン税というのは非常に大きい財源だとは思うんですけれども、もうちょっと別の形、これはアメリカでもイギリスでもやっておりますけれども、ロードプライシングですね、いろんな費用を考えた上で、かつ交通をきちんと政策的に誘導できるようなより良い交通状況を実現できるような価格制、これは税金と言っていいのかどうか分かりませんけれども、そういうことも視野に入れて考えるべきだと思います。
#23
○参考人(中山泰君) 一般財源化された上で税率どうするかというお話だと思いますけれども、個人的には税率の高低よりも、高くした場合の使われ方が気になるわけでございまして、高くした上で受益と負担に適合するような形で道路関係に使われるということであれば、それを中心とした議論というのが、まあ賛成反対あると思いますけれどもできるんだろうと思いますが、高くした上でそれを他の用途に使っていくということからすると、受益と負担の関係で道路利用者から、今、石田先生からお話ありましたように、何でほかに使うんだ、だったら安くしてくれ、税取るなという議論が当然起こってくるわけでございまして、そこのところをどうセットされるかというのが課題じゃないかなというふうに思います。
#24
○佐藤信秋君 ありがとうございました。
 この議論を始めますと、いろんなところにまたしっかりした議論をしなきゃいけないと、こういう問題になろうかと思います。自動車に関係する税目が九つもある、暫定もあると、こういう議論の中でどうしていくか。受益と負担、それから離れて一般財源だというときに、じゃどうするか。ここのところはいろいろ、松下先生もおっしゃるように、これからのいろんな検討の中で整理していくべき問題かなと思っております。税目の簡素化といいますか、も含めて今後の議論ということであろうかと私自身も思います。
 次に、石田先生と中山市長とおっしゃっておられる国民が競争するための最低条件としての基幹的なネットワーク、こういう議論の中で、松下先生の方からは産業誘致だ、あるいはいろんな町の在り方をどうするかということで、地域の活性化といいますか地域づくり、こういうことをしなければいけないと、こういう御議論もありました。中山市長は、多分、基幹ネットワークをしっかりしながら市として町づくり、地域づくりというものをどう考えていくかということは、多分併せた議論としてお考えになっておられるんだと思うんですが、そこのところを一言御紹介いただければと思います。
#25
○参考人(中山泰君) 一番最後の部分の御質問ですけれども、もうおっしゃるとおりでございまして、私は、道路は造っておしまいじゃ当然ないわけですね。よくそういう議論もあるんですけど、造ってからどうするか、あるいは造るまでにどういう、その道路と併せて町づくりの全体像を描いていくかということがとても大切で、そうすると、道路が町づくりの大きなてこになっていくんですね。そうすると、今まさに内需主導型の産業活動というのが求められている中で、道路という公共投資を町全体の中でどう位置付けてどうしていくかということでやっていけば、我々もそれをてこにしていろいろなことができますし、それによっていろんな住民、今は住民の皆さんと一緒にどうするかということですけれども、そういうことをお示ししながら一緒になってやっていくという住民協働の本当にあるべき町づくり、あるべき道路建設ということにつながっていくんじゃないかなというふうに思いますので、佐藤先生おっしゃられたようなことかというふうに思います。
#26
○佐藤信秋君 そこで、石田先生にお伺いしたいんですが、道路のBバイCが一あるかないかということでいろいろ判断するというのは問題あるんじゃないかというふうに先生の方でお書きいただいていて、御主張いただいていて、そして公平性の基準であるとか安全保障とか、公平性というのは今の町づくりも含めてと、こういう御議論になるんだと思うんですが、そういう意味では道路の投資の効果という点について、今現実に計測され得るBバイCが一かどうかという議論がまさしくなされて十八の事業が取りあえず止まったと、こういうことになっているんですが、これについて石田先生の御意見がもちろんおありだと思うので、お聞かせいただければと思います。
#27
○参考人(石田東生君) 先ほども申しましたように、本当に経済効率性の、しかもその中の本当のごく一部分を便益として計測をしているという、こういう状況だと思います。そのほかにも、やっぱり地域の人々が思う理由ですね、先ほど申しましたように、命の問題であったり元気の回復であったり愛情とか誇りの問題であったりということですね。これをきちんと科学的に便益として計測するというのはこれは至難の業でございますし、逆に変なことをすると科学性が失われまして費用便益分析全体のフレームが損なわれるという、そういう問題もあろうかと思います。
 ですから、本当に難しい問題であるんですけれども、今現実にいろんな都道府県から新しい費用便益分析の在り方はこういうふうにしたらどうだという提案が多数なされておるというふうに伺っておりますので、そういうのを参考にしながら試行をしていくと。そういうことについて是非国会といいますか、先生方でこれがいいんじゃないのというふうなところをお決めいただければと思います。学問的にぎしぎし詰めていってなかなかいい評価ができるというふうにはとても、学者の端くれでありますけれども、思えませんので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
#28
○佐藤信秋君 そこでなんですね、道路の長物のBバイC、こういう問題と、松下先生は広い範囲のBバイCの取組なんかも多分なさっておられるんだと思うんですが、町づくりとかですね。そういう中で、実はその道路整備と言われる中に、それこそ特定財源でやっているという中に、再開発であるとか区画整理であるとか、あるいはまた鉄道を上げる下げる、それから先生のお話に出てくるボンネルフ、あるいは自転車道、こういうものをやるという仕組みにはなっていて、特に今度はまた新しい交付金というような形でやっていこうとすると、より積極的にそうしたことにも取り組めると、こうなっているんですが。
 その場合、特に以前からありますのは、長物は割とBバイCはそれでもまだ分かりやすいというか、分かりやすいからこそ一超えるか超えないかとかいうような議論も出てくる。そして、ほかにどういうものを加えていかなきゃいけないかというようなことも議論としてはできる。だけど、道路事業の中のかなりの部分を占めている、道路整備の中のですね、特定財源でやってきた、その区画整理町づくりあるいは自転車道、遊歩道と、LRTもそうですけどね、こういったものに対して、このBバイCといいますか、費用に対して効果はどうかというような点について、こんなふうに考えたらいいんだよというようなことが、大変恐縮でございますが、ありましたら教えていただければと思います。
#29
○参考人(松下文洋君) 非常に難しい問題で、やはり石田先生も私とほとんど同じ考えのようで、科学的なデータをベースにして、本当に国民と住民が、企業経営者が合意できるような合意形成システムをつくっていかなければいけないということなんですけれども、その大本のデータ、科学的なデータをどういうふうにはじいていくのか。その集約したものが費用対効果分析比という、レシオという形で一・五とか三とかあるいは〇・五とか、そういう形で出てくるわけですが、日本ではどういうわけだか幾つかの選択肢の中からそういうより優れた計画に絞っていくという考え方がなくて、もう計画が決まっていて、その上で一つの計画に対して一か二かとかいうような議論するだけなんですね。ですから、一であろうが二であろうが計画はもう決まってやることになっているわけですね。道路ですよね、道路の建設がもうそれで決まってしまう。
 ですから、その内容についてはもっと、自転車道路ができた方がいいんじゃないかとか、Aのルートよりも、政府案よりも環境に配慮して迂回して道路を造った方がいいんじゃないかとか、この橋は目立ち過ぎて景観に悪いから地下に埋めようとか、そういう議論が実際ないんですよね。それを言っても、こういうふうに求釈明をかけて、データを出してくださいと言っても政府は絶対出さないんですよ。石田先生のような先進的な学者さんとか政府の関係者もおるんでしょうけれども、九割の方は非常に頑固にデータの開示を拒み、みんなが言う意見というのを聞こうとしないんですね。
 イギリスでは政府のリーダーは住民に向かっていつもウィー・ニード・ユア・ビュー、意見を聞かせてください、どんな計画にしたらいいんですかということを徹底して聞いて調査して、それで計画を立てていくわけですけれども、その辺なんでしょうね。日本の合意形成のそこを根本的に変えていかないと、幾らお金をたくさん使ってもいい道路はできない、日本は繁栄しないということになると思うんですね。
#30
○佐藤信秋君 ありがとうございました。
 私自身は、今テクニカルな問題といいますか、長物、道路、道をBバイCははじく。それから、面整備、これも実は、道路整備事業の中の道路特定財源でやっている中の三割ぐらいは面整備や歩道や自転車道をやるという形になって町づくりという形になっているものですから、それぞれがどんなふうに選択をすべきかというのは悩ましいところで、長物ですとまだ比較考量の対象として考えやすいけれども、町の中をどうしようかというのは、やっぱり道路整備としてBバイCという感覚でいこうとするとまだまだテクニカルにも難しいところがありますかねと、こんなふうに思っているんですね、特定財源の三割、四割はそういう使い方もしているものですから。
 そこで、最後になりますが、中山市長に、そういう特定財源全体として有料道路も入れたら九兆円ぐらいやったんでしょうかね。二兆円ぐらいの有料道路がありますし、単独事業が二兆ちょっと、四兆ちょっとが一般の道路事業といいますか、直轄と補助事業。そういう中で町づくりを考えながら、基幹ネットと町の中、こうした形で工夫していろいろやっておられるんだと思いますが、そういう意味で、特定財源をしっかりと使っていかなければと、こういう御意見なんだと思います。
 住民の皆様の意見というのも含めて、意向といいますかも含めて、市長として町をどうやってつくっていこうという中に今の面整備、あるいはいろんなことではBバイCそのものはなかなか計算できないけれども、地域経営として市長が地域の住民の皆様の意見も入れながら多分おやりになっている。その辺の、市長としての町づくりに対する考え方というのを最後に一言お伺いできればと思います。
#31
○委員長(田村耕太郎君) 簡潔にお願いします。中山参考人。
#32
○参考人(中山泰君) ますます町づくり、国全体の政策なんだろうと思いますけれども、公共部門がどう引っ張っていくというよりも、民間の皆さんの活動をどう支えていくかというのが公共部門の役割だとしたときに、民間部門の活動のまさに基礎を支えるというのが骨格となる道路だと思うんですね。これによって当然、申し上げましたように、企業とか病院とか安全、安心とか、もういろんな機能がこれによって発展をしていくということだと思うんですね。
 とりわけ地方においては、現実問題もそうだと思いますけれども、道路、基本的なできたところの前後を比べるとすごく発展されておられるところが多いと思いますけれども、そういう意味でしっかりと、これはどっちかというと国が造っていただくということであれば、まさにお願いベースになるわけですけれども、お願いしながら、そういうしっかりとした基盤をつくりながら、同時につくった後どうするかということも共に住民の皆さんと一緒になって考えていくような仕組みを定量的な工夫もしながらやっていくということが大切じゃないかなと思っております。
#33
○佐藤信秋君 終わります。
#34
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。本日は、お忙しい中、国会までわざわざお越しいただきまして、またそれぞれのお立場からの貴重な御意見をちょうだいいたしまして大変にありがとうございました。
 私の方から何点かお聞きしたいと思っておりましたが、これまでの意見陳述や、またお二人の質問にも含まれておりましたので、多少重なる点もありますけれども改めてお伺いしていきたいと思っておりますが、まず石田参考人にお伺いしたいと思います。
 改めてこの道路特定財源制度、この果たしてきた意義と、また今回、一般財源化する意義についてお伺いしてまいりたいと思いますが、事前にいただいている資料の中で、石田参考人の発言の中に、一般財源化になることで攻めることが必要となる、このチャンスをとらえ、守りから攻めへ変革するときであるという、こういった発言が紹介をされておりまして、この部分で改めて具体的に詳しくこの部分を併せて御説明もしていただきたいと思います。
#35
○参考人(石田東生君) たくさん言いたいことがあるんですけれども、時間が限られておりますので、例として申し上げます。
 先ほど来、話題になっております費用便益分析の便益の部分でございます。概念的には非常に幅広いものが整理されてございますけれども、やはり計測の可能性あるいは科学性ということから三便益に限定されているわけでございます。これは、やはり政策の意思決定をきちんとしていますよということを守りたいといいますか、そういうことをアピールしたいということで、過度に抑制的に、禁欲的に便益をそういうふうにしていたんじゃないのかなというふうに思います。それは、やっぱり道路特定財源をきちんとうまく使っていますよということをアピールしたいという、そういうことがあるんじゃないのかなというふうに、外からでありますけれども、想像してございます。
 ところが、先ほど来申し上げておりますように、地域の皆さん、あるいは国民の人たちの思いとか考えというのはそれを超えてはるかに広がっていると思います。例えば、命の道の問題とか、そういうことをどう反映していくかということが大きな課題だと思います。例えば実例で、一つの例で申し上げますとこういうことでございます。
#36
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 次に、少し大きなテーマになりますけれども、三人の参考人に伺ってまいりたいと思いますが、一言で道路整備といいましても様々な観点から進めていかなければいけないということで、先ほども町づくりということも出ておりました。また、中山参考人からも十年、百年先のことも考えてということでそういったお話がございました。環境の面から考えますと、これも先ほどから議論というか御意見が出ておりましたけれども、例えば自転車道の整備もそうですし、また都市部におきましては開かずの踏切の対策も重要になってくると思います。そのほか無電柱化、これは都市部に限らず地方におきましても景観の維持というところから、また観光施策の振興ということからも無電柱化を進めるということも私、重要ではないかと思っておりまして、こういった様々な課題というか、観点から道路整備も進めていかなければいけない。
 また、もう一つ、今、日本の置かれている課題というか、中で、少子高齢化、人口減少ということも避けられない課題であるかと思います。人口減少というところで、避けられない課題がある中で、今後、道路整備の在り方、進め方ということで、ちょっと少し大きなテーマになりますけれども、もしそれぞれのお立場で御意見がございましたら是非伺ってまいりたいと思います。特に、中山参考人におかれましては、具体的に地域を預かっていらっしゃる立場でもありますので、今後の将来の地域づくりというところでお考えもあるかと思いますので、いろいろお話を伺いたいと思います。
#37
○参考人(松下文洋君) 女性の目から見て日本の今の道路というのがどういうふうに映っているかというのも後でお聞きしたいぐらいなんですけれども、規格を決めて道路をどんどん造っていくということに、私、少し意見を述べたいと思っているんですが、例えば今話題になっている、子育てで若いお母さんたちが前後に子供を乗せて三人乗りの自転車を使わせてくれと。警察からそれは危険だから禁止と言われて大問題になって、今、安全な三人乗りの車ができてきたけれども六万円ぐらいするということで、これはちょっと高いなということでまた議論になっているようですけれども。
 そもそも我々日本人の思考とか役所の考える安全対策というのは、非常にそういうテクニックに偏って、じゃその自転車が、車とか人とか混在しながら三人乗り自転車が走っちゃってそれで安全ですかというような、大きな目で見た町づくりの視点というのがないんじゃないかというふうに思うんですね。何か議論が非常に矮小化されて、三輪車的なものを作ったら安全だろうとか、どうやって技術的に安全な自転車を作ったらいいのかとか、そういうふうなことで終わってしまって、それを使うシステム、道路を含めた、駐輪場とかいろいろの貸し自転車とかパーク・アンド・ライドとか、そういうものも含めた全体的な交通安全とか交通ネットワークシステムというのを全然考えてないんじゃないかというようなことも私ちょっと懸念しているんですね。
 そういうものをもっと、グランドデザインというんですか、自転車を安全に走らせる、環境にもいいわけですから。自転車を使うことによってオランダは非常に健康も増進したと。トラック一台分の薬より一台の自転車の方がいいよというポスターがオランダにはいっぱい張っていますけれどもね。そういうふうなことも含めた全体の社会制度の設計というものが求められているんじゃないかなと。そこに皆さん議員さんの知恵とかみんなの民意の反映というものを行って、当局にいろいろ陳情するなり意見を述べていって変えてもらう必要があるんじゃないかなと思っております。
#38
○参考人(石田東生君) 議員のおっしゃるとおりだと思います。
 自転車の問題にしても、高齢者への道路の造り方の配慮といった問題にしろ、あるいはお母さん方、乳母車を押されて歩かれる、そういう配慮にしろ、道路がどういうサービスを提供し得ているかという観点からすると、惨たんたるものがあると思います。そのときに、あるいは無電柱化ということでございますけれども、景観とか観光だけではなくて防災上も大きな問題となったということは、阪神・淡路大震災のときに実証されたとおりでございます。そういう観点からすると、本当にどういうサービスが提供し得ているかという観点からきちんと考えるということが必要だと思います。
 少子高齢化がますます進展していくわけでございますけれども、そのときに、じゃ、全体としてどう考えるんだと。港と道路の問題、空港と道路の問題、高次医療と道路の問題。トータルとしての効率性、コストが安くなるようなあるいはサービスレベルが高くなるような、大きなフレームで物事を考えていかなくちゃならないというふうに考えております。それが先ほど御下問いただきました攻めというところへの第二の例かなというふうにも思います。
 以上でございます。
#39
○参考人(中山泰君) 私からは特に少子高齢化について申し上げたいんですけれども、少子高齢化というのは何かというと、結局は若者世代とか壮年の世代の方が少ないような状況だと思うんですけれども。
 これは何でかというと、決定的なのは仕事なんですね。仕事がない。育ったところで働きたいけど仕事がない。戻ってきたいけど仕事がない。これは当然、近くで通えるようなところに仕事があれば住めるんですけれども、道路もないのでそういう状況にもならないということで、少子高齢化も進まざるを得ないといったときに、どうして仕事を持ってくるかというときの、私は決定的なのは、幾つももちろんあるわけですけれども、民間活動を活性化させないといけないわけでありまして、このためにはどうしてもないところから、少ないところから活性化をさせようとするとどうしてもやっぱり道路が私は必要だと思うんですね。
 よく、道路を造ったら逆に人口が減少するんじゃないかという議論がありますけれども、これは高度成長期に都会との間で道路を造ってどんどん人口が流出したように、これは私の持論なんですけれども、見えるんですけれども、本当はそれはそうじゃなくて、何で都会に行ったかというと仕事があったからですよ。あったから行ったんですね。仕事がある状況と並行で道路が建設されたからそのように見えるのであって、この状況で道路があって次男、三男は出ていったように見えるかもしれないけれども、道路がなかったら私は長男もお父さん、お母さんの実家もなくなってしまう、廃村になってしまうのが、道路があるから次男、三男で済んでいるんだというようなふうにも受け止めておりまして、今回、例えば我々のところですけれども、京都とかいろんなところで道路をしっかりと付けることによって、昔は、高度成長期は仕事が出たのは都会なんですが、今は仕事が出るのは田舎だと思っています、道路を造ることによって。環境とか健康とかいろんな素材がいっぱいあるのが田舎ですので。
 そういう意味で、しっかりと道路を造ることによって少子高齢化というのも逆の方向に振れていく大きな要因になるんじゃないかなというふうに思っております。
#40
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 では、最後に、石田参考人と中山参考人にお伺いしたいと思いますが、これも先ほど御意見の中に触れていただいておりました、既存の道路ストックの老朽化が進んでおります。橋梁も含めて進んでおりますけれども、道路整備という中でこの老朽化の問題、安心、安全の確保の観点から、今後この課題につきまして、維持管理ですね、どのように進めていけばいいのかということで何かお考えがありましたら、それぞれのお立場でまた伺いたいと思います。
#41
○参考人(石田東生君) 本当に財政が厳しくなっていく中で重要な御指摘だと思います。
 これまでは、簡単に言うと、道路が壊れたから直す、補修が、傷んだから直すという、そういうふうなことだったんですね。そういたしますと、橋が本当に厳しくなって架け替えるということは、これ巨額の費用が要るわけでございますけれども、あらかじめ定期的に点検をしてデータを管理してその予防的な措置をうまくすれば、鉄の橋でも二百年、三百年というふうに使い続けている橋もあるわけですから、是非そういう予防的な維持管理の方に更新をしていくべき時期になろうかと思います。そうでないと、アメリカが六〇年代、七〇年代に迎えましたような高速道路が危なくて走れないと、本当に投資を無駄にしている、そういうことにもなりかねませんので、そういう方向へ維持管理の考え方を切り替えていくべき時期だろうというふうに思います。
#42
○参考人(中山泰君) 石田参考人と同じようなことなんですけれども、効率的な維持管理に努めるような技術的な手法も含めて研究していかなければいけないわけですけれども、他方で、道路というのはちょっとしたことで壊れてしまって、これ直さないと人の命にかかわってくるんですね。物すごく大切なものが道路であるわけでありまして、あるいは通行止めにするだけで経済活動に大きな支障が生じてくるのも道路、まさに社会活動、産業活動の基礎、基盤の最たるものの大きな一つだと思いますけれども。
 そういう意味で、補修というのはとても大切なことでございますので、そのための財源も含めて、新設ももちろんそうなんですけれども、しっかりと手当てしていただくようなことを考えていただきたいなというふうに思いますし、申し上げましたことの繰り返しなんですけれども、普段の生活の中で何げなくあるのが道路なんですけれども、何げなく踏み締めて、何げなく場合によっては踏みにじったりしているのも道路なんですけれども、本当はその有り難さというのを絶えずかみしめておかないといけないんじゃないかなというふうに思っております。
#43
○鰐淵洋子君 どうもありがとうございました。
 本日は、大変に貴重な御意見をそれぞれお三人からいただきました。
 今回の法案に限らず、これからも道路に関する議論というのは続いていくかと思いますので、今日いただきました議論をしっかりと受け止めて、国づくりという観点から、地域づくりという観点からもしっかりとこの課題、与野党共に力を合わせて取り組んでいきたいと思っております。
 本日は大変にありがとうございました。
#44
○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。
 参考人の方々は、大変今日は御苦労さまでございました。
 道路財源問題を議論するときに言われた言葉で、妙に納得できて納得できないものが、先ほども少し議論にお話のございました、必要な道路は造ると、こういうふうに言われるわけですね。そのときに、必要な道路はという、その必要なというところは、反対できないなという話と賛成できるなという話と、妙に納得できるなという話なんですね。ですから、三人の参考人の先生方に、必要な道路と思うのは、どういうことを必要な道路というのか、御意見がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
#45
○参考人(松下文洋君) 私も朝日新聞の取材を受けてこういう問題についてちょっと書かせていただきましたけれども、やはり最後の予算の内容がやはり重要で、今は金額が先走っておりますけれども、国民や社会、産業がどういう道路を必要としているのかと、またその妥当なコストというのは国際社会から見てどのぐらいの金額がいいのか、そういうところが合意されれば道路は大いに造っていくべきだと私は考えております。
 一つ問題なのは、そして何度言っても直らないのが日本の高速道路あるいは橋の高い建設費です。国民はみんな怒っていると思うんですよね。こういうものを外して善人の議論をしても始まらないと、やはりこういうところをつぶしていかないといけない。
 例えば、お配りした東京湾アクアラインとコペンハーゲンとマルメというスウェーデンの町をつなぐ海峡横断道がございます。両方とも十五キロから十六キロの橋なんですけれども、建設年次もほとんど同じぐらいの年次であります。アクアラインは四車線の高速道路で八十キロで走るように設計されております。オーレスンブリッジは四車線の高速道路で百四十キロで走るように設計されております。二重橋になっておりまして、複線の新幹線が走るようになっております。建設費は片やアクアラインは一兆四千億円、十年の歳月を要しております、建設に。それに対して百五十億デンマーク・クローネ、約二千五百億円の建設費でオーレスン橋はできております。しかも、地下に新幹線のような二百五十キロぐらいで走る鉄道が並行して走っております。
 この建設費は、比較すれば日本の橋や道路がいかに高いか、税金の無駄をしているかということがあるわけで、やはり効果も重要です、ベネフィットということも大事ですけれども、この建設費の分母に当たるところを切り詰めていかないと、大金を使ってもお金を無駄に使っているだけではないかという国民の批判というのを議員の皆さんなんかも真摯にちょっと受け止めて切り込んでいただけないかと思うわけなんです。
 そこからやっぱり議論としてベネフィットの問題とか環境の問題とか社会的な公平性とか、そういうものを議論していかないと、やはりここが欠けていると議論が何か抽象論で終わってしまうような気がするんですね。もっと同じお金でも外国並みの建設費だったら、十倍も二十倍も造れるわけですよね。その辺の根本的議論というのがやはり求められているんじゃないかなと思っております。
#46
○参考人(石田東生君) 必要な道路という、本当に答えるのに難しい問題でございます。ミニマムサービスというのはどう考えるべきかということをやっぱりきちんと考えるべきだと思うんですね。
 そういう意味では、住宅地内では自転車あるいはお母さん方が安心、安全で通行できるような環境をどう整えるかという観点が大事でしょうし、あるいは産業立地とか地域振興ということからは、今評判が悪いですけれども、インターチェンジにどこからでも一時間以内で到達できるという、これは一つのスタンダードだと思います。
 そういうことをいろいろ考えた上で、直接的なお答えにはなっていないんですけれども、必要な道路をどう造るという論の立て方もあるんですけれども、今あるものをどう使い込んでいくか、使いこなしていくかという観点が非常に重要だろうと思います。高速道路とその料金の問題、あるいは高速道路に転換していただいた分、地域の道路は自転車のために、安全、安心、お母さん方のために使うような、そういう使い方としてのネットワークの在り方ということをきちんと議論をする。そういう中でミッシングリンク等の本当に整備が必要な区間とか道路という問題も出てくるのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。
#47
○参考人(中山泰君) 私はそもそも、単純に思うんですけれども、道路はもう当然、造るために造るのではなくて、何のために造るかということだと思うんですけれども、それは長い将来にわたって大勢の人の利便が発生するからだと思うんですね。その利便をどう評価するかということを、まず工夫をどうするかというと、難しい面はあると思いますけれども。
 例えば、道路が来ることによってこんな企業が来ますよとか、こんな病院が建ちますよとか、こんな学校が来ますよとか、こんな安全が達成されますよとか、そういうことをどう定量化のような形に持っていけるかということの関係で、定量化がそこそこできれば、これはあと負担の関係で比較をするというのが一番単純だと思いますけれども、もちろん、そこまで長い期間で定量化するかということはあると思います。
 大切なのは、展望とか人の熱意というのは、住民の皆さんが真剣になって展望を持ち、真剣になって熱意を持ってやれば熱意は必ず形になると思うんですね。だから、定量化は必ず、あるいはそういった形での方法を模索していく中で、きっと何か答えらしきものが出てくるんじゃないかなというふうに思います。
#48
○渕上貞雄君 道路を建設するに当たって、今までいろいろ、走行時間の短縮だとか、走行経費の減少だとか、交通事故の減少だとかと、いろんなことを言われておりましたが、我が国における道路建設にかかわる合意形成の在り方で、例えば先ほどお話ありましたように、建設するまでに非常に長い時間が掛かるといったときは、道路買収を含めていろんな問題や何かも出てくるようなことも考えられるので、やはり国民との間の合意形成をどのようにしていくかといった場合に、今進めておる道路建設の在り方に加えて何が合意形成で不足されていると思われますか。三人の参考人の方、よろしくお願いします。
#49
○参考人(松下文洋君) 非常にいい質問ですね。やっぱりここが問われているんだと思いますね。
 合意できるかということですよね。あなたは合意できるんですかと。自分が強制収用に土地を取られるときに、それでも合意できますかというところです。他人事じゃなくて、この辺を、道路を建設するリーダーが、やはり一番恵まれない、そういう収用される人たちに対して非常に配慮しているかどうかということが問われているんだと思うんですね。それをどう社会制度として組み込んでいくのかと。リーダーの育成も含めてです。
 その点で私は、著書にも書いたんですけれども、やっぱり三つの合意形成制度が必要ではないかと。一つは公開、情報公開、それから中立、そういう公平性。これをモットーとした計画説明会、科学的なデータも含めて、環境問題、社会的な公平性、それから財政の実行可能性、きちっとした計画を、だから道路が必要なんだ、この道路を造らせてくださいというようなきちんとした説明が必要ですね。
 住民の方が、費用対効果分析の基礎データ、もう本当に簡単なデータですよ、一・五とか二とか言うんだったら、その区間のスピードとか、建設されることによってどういうふうにこの町が変わるんだ、道路事情が変わるんだ、それによって鉄道の乗客数は減らないかとか、そういうふうな問題をちゃんと説明してください。これは、コンピューターシステムの最新のものですと土地利用と交通というのを相互に連関して分析することができますので、当社のなんかはできるわけですが、そういうふうな基礎データを出してくださいと言ったときに、データを消去しました、出せませんという一点張りで見せないような、そういう公聴会が現在の公聴会なんですよね。それでは国民は納得しません。きちっとしたデータを作って、環境問題も含めて作って、分かりやすく説明していくということが不可欠だと思います。
 もう一つは、やはりそこでももめた場合に、日本は裁判所にしか駆け込むことができません。そうすると十年とか二十年とか掛かる。費用も、弁護士さんに払うお金だけで、あるところの訴訟団に聞きましたけれども、もう一億払っていると。本当にとんでもない金額を使うんですね。それでも国は、データを提出することを求釈明と言いますけれども、裁判で求釈明をしても一切出してこないですよね。それで高速道路や橋を造っちゃっているわけです。住民の意見を何も聴かないで造っているというのが現状でございます。
 これではどうしようもないわけで、そういうふうに裁判に訴えたときに、やはり裁判所に代わってプロの裁判官が、都市計画とか道路の専門の裁判官が二、三か月で早期に判決を下ろすような裁判制度というのを日本でもつくっていかなきゃいけないんじゃないか。イギリスは計画審査官制度というのがあります。そういう制度をまねてつくっていく必要がある。
 また、訴訟に掛かった費用を全部原告の方が費用を負担するというのでは大変です。ある方に聞きましたら、諫早湾の訴訟にかかわった漁師のリーダーは、結局十年間裁判をやって勝ったか負けたか分からないような和解案で終わってしまったんですけれども、結局五千万ぐらいの裁判費用が掛かって、おうちのお屋敷を売ってしまったということです。そして今、本当に恵まれない路上生活者みたいな生活をしております。そういうのが現実なんですよ。
 ですから、やはりこういう行政訴訟にかかわるような費用というのは、国が半分費用を持つとか、やっぱり何らかの裁判の手当てをしないと、泣き寝入りというのばかり増えちゃうわけですね。物言えない国民になってしまうということで、変えなきゃいけないというふうに思っております。
 もう一つは、やはり国民と国家の信頼がなければ立派な道路なんかはできるはずがないわけですね。みんないろんないい理屈をこねても、いい道路、グッド道路とバッド道路しかないわけですが、その仕分をしていい道路を造っていくということはできないわけです。信頼がなければできない。
 ですから、その信頼を回復する方法というのは、私本当にこの十五年よく考えたんですけれども、結局は今の行政主導の社会というのをやはり監査する制度、今検察がすべて不正をチェックするだけですけれども、今回も民主党さんが大分チェックされましたけれども、そういうチェックをする検察ではなくて、国民が本当にこういう談合とか高い建設費なんかをチェックしてほしいと思っているわけですから、そういうチェックができるような、検察に代わる検察といいますか、これはイギリスでは衆議院が指揮権を持った検察なんですけれども、パブリック・アカウンティー・コミッティーという組織がありますが、こういうものを日本でもつくって、やはり役人も襟を正してやってもらうということがなければ、本当に土地を強制収用で出す、提出するようなことができなくなっちゃうんじゃないかということであります。その点も是非御検討いただきたいと思っております。
#50
○参考人(石田東生君) 二つ申し上げたいと思います。
 一つは、技術的なことなんですけれども、既に社会資本整備の構想段階におけるパブリックインボルブメントのガイドプランというのを国土交通省の方で整備されておられます。そういう中では、十分な情報公開をしなさいよとか、あるいは代替案は複数提示をしなさい、あるいは、その中には何もしないというゼロ代替案も入れなさいというふうなこともガイドラインとしてはございます。さらに、国全体としては戦略的な環境アセスメントも検討されておりますので、そういうものとの融合を図っていくと技術的に担保ができていくのかなというふうに思います。ただ、今の段階はあくまで通達という段階でございまして、これはやっぱりきちんとした法制にしていくということが大事かなというふうに思います。
 二番目は、ちょっと精神的な話になるんですけれども、先ほど来、道路は何のためにという議論があります。これはやっぱり、人が元気になったり地域が元気になったりと、そのための道路であるということは当たり前のことでございますので、やはり地域づくりとか町づくりとどううまく絡めていくのかなということが非常に大事なポイントだと思います。そういう意味では、今度の新しい交付金というのはソフト事業もできるということになっておりますので、活用が本当に期待をされているところでございます。
#51
○参考人(中山泰君) 私も両参考人先生と同じようなことなんですけれども、合意の形成の仕組みというのは、住民の皆さんの合意をしながらやっていくということはとても大切なことで、いろんな仕方はあると思うんですけれども、そこよりも、どちらかというと、最終的に何でこの道路をこうするのかということが分かるようなプロセスというのがとても大切ではないか。
 それが合意形成の中ではもう欠かせないわけでありまして、そのためには、情報公開ももちろんそうですし、あと同時に、この道路の造られる意味ですね、何度も申し上げておりますが、どんな経済、外部経済とか公益があるのかということをできるだけの形で定量化の方に持っていって、それをさらしながら、比較も場合によってはしていただくというようなことで、これは道路建設に伴ういろんな意味での参加者の広がりというのが出てくると思うんですね。この町はこの道路を造ってこんな町づくりを描いている、この町はこの道路でこんな町づくりを描いている、そうしたら、我々もこっちに参加しようじゃないかと。この道路とこの道路と我々のところの道路を、こうしてこうしようじゃないかという町づくり全般の広がりを得ながら、そうすることによって、大勢の人がいろんな立場でかかわりながら道路を楽しみにしてもらってやっていけるシステムというのが出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうような絵姿も描きながらプロセスを進めていかれるということも大切じゃないかなというふうに思っています。
#52
○渕上貞雄君 時間がありませんので手短にお願いしたいんですが。
 今度は、道路を建設したあと、道路を使う交通の問題ですね。私は、やはり総合交通政策というのを考えるべきだと思うんです。したがって、そういうところに費用というのをきちっとやはり一般財源にしていくなら回すべきだというふうに考えているんですが、その点、先生方、いかがでございましょうか。簡単にお願いしたいんです。
#53
○委員長(田村耕太郎君) ほとんど時間がありませんので、簡潔にお願いします。松下参考人から。
#54
○参考人(松下文洋君) 自動車を建設省といいますか国交省が考えるような十年間で五十九兆円も使うというようなことをすれば、必ず鉄道が疲弊してきます。ですから、そういう問題、救済するような政策というのが次から次と起きてくるように思います。やっぱり、交通政策というのは道路だけで考えるのではなくて、飛行機や鉄道も含めた総合ネットワークとして問題を見ていかないと非常に見誤るということである。ですから、限定した建設費の税金というのはやはりいかがなものかなと思っております。
#55
○参考人(石田東生君) 非常に重要なポイントだと思います。
 分権化が進んでいきます中で、そういう中で国と県と地方の関係どう考えるか、総合的にネットワークとしてどう考えるかというのは非常に大きなポイントだと思います。それプラス、いろんなステークホルダーがおられます。道路管理者だけじゃなくて、交通管理者、公安委員会あるいはユーザー、住民の皆さん、そういう方の知恵をどう結集していくかと。そういう観点からすると、やっぱり主役は地域でありますので、新たな公という、そういうのが非常に期待されるんじゃないかなというふうに思います。
#56
○参考人(中山泰君) 大切なことで、例えば総合交通体系として入れていくことについてというお話だと思いますけれども、運輸の手段という意味では同じような面も持つ中で、また違いも、大量輸送と個別のあれとかいろいろ違いがあるんだろうと思うんです。それから、鉄道によって描けるまちづくりの姿と道路によって描けるまちづくりの姿というのは違ってこようかと思いますけれども、トータルに考えてどういう組合せがいいのかということの中で、いわゆる負担をする側の理解、整理が得られるということであればやるべきだと思いますし、方向としてはあり得るようなお話なんだろうなというように思います。
#57
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
#58
○大江康弘君 改革クラブの大江でございます。
 今日は三人の先生方、本当にありがとうございます。とりわけ、中山参考人にはもう本当に遠いところ、昨日からお越しをいただかないと今日のこの会議に出ていただけないということで、市民の皆さんには随分、市長が二日間もこんなことでお時間を取っていただいて市政に御迷惑を掛けておると思います。本当にありがとうございます。
 松下参考人、石田参考人、それぞれのお立場、御意見分かりました。私は、去年の今ごろ松下参考人とお会いをしておったら、もう随分派手なお互い議論の開陳をしたんじゃないかなと。私も一年たって随分落ち着きまして、随分冷静に聞けるようになりまして。
 ちょっとそれぞれ三人、簡単にそもそも論で聞きたいと思いますが、私は一般財源化は総論も反対ですし各論も反対であります。その中で、私は、一般財源化をするのであれば、これ石田参考人、本来は道路が充足をしたということが前提だと思うんですね。それにもかかわらず、私は、どうも小泉さんがこの一般財源化を言い出して、それはかつて昭和五十年代からあったそうですが、そもそもこの何年間かで、小泉さんから始まって、余り丁寧な説明を国民にしていない。しかも、その丁寧な、納得を得るための、いわゆるその税金を払ってくれているユーザーだとかドライバーだとか、私は先日も委員会で、九つも車乗るのに税金が掛けられていること自体が分かりにくいしおかしいということを申し上げました。
 実は、中山参考人なんかは、地方の自治体の首長さんは去年、二十五円やめろ、暫定税率やめろ、これ言うの簡単だったんですね。我々も言いたかったんです、あのガソリン高騰の中で。だけど、道路をどうするかという、まさに地方の自治体を預かるそれぞれの首長さんが、自分の地域に住む住民の皆さんに、二十五円安くなるよ、いいでしょうと、これ言いたいにもかかわらず、それでもそれを乗り越えてやっぱり二十五円維持しよう、道路を造っていくためにやっぱりやっていこうということを言ってくださったんですね。私は有り難いなと、その勇気に私は実は感謝をした一人であります。
 ですから、本来、一般財源化をするのであれば、そもそも論で、暫定税率もやめて、車に掛かっている税金もやめて、もう一度、まず一から税金を見直すということからしなきゃいかぬ、これが私はボタンの第一番目だと思うんですけれども、これについて、ちょっとそれぞれ簡単に、本当にどう思うか、ちょっとお聞かせください。
#59
○委員長(田村耕太郎君) 簡潔に。中山参考人。
#60
○参考人(中山泰君) 一般財源化ということだと思いますけれども、地方の立場からすると、とにかく道路財源を減らしてほしくないというのが強い願いとしてあります。したがって、今般は、新しい道路中心の交付金ということで一部していただいている部分も予算措置であるわけですけれども、これは幅広く使えるということで有り難いと思いますけれども、これ以上無規律な形で進むというのは反対でございますし、とにかく道路財源、しっかりとした、少なくとも今レベルの道路財源を何らかの法形式あるいは制度形式で担保していただく仕組み、これはどうしてもお願いしたいなというふうに地方の立場からは強く願っております。
#61
○参考人(石田東生君) おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、政府の抜本的な税制改革というのをその中でやっぱり一から議論をちゃんとしていただきたいというふうに是非思います。それは非常に大事だと思います。ただ、今こういう改革、いろんなことが始まっておりますので、ちょっと言い方変なんですけれども、なるべく実質的には変えないようなことをいろんなところで工夫しながら改革を進めていくという、そういうアプローチもあるのかなというふうに今回思いました。
#62
○参考人(松下文洋君) 私は、一般財源化とか、重税感が国民の中で強いですから、できるだけ廃止して減税していくということが筋だと思いますが、なかなか骨抜きになって実際にはそれができない、もう予算は分捕られてしまっているということで。
 やはり、それならそれでしようがないけれども、その中身をもう少ししっかり決められる制度に変えていくべきじゃないか。国民が喜ぶ道路をどう選別していくか。産業とか文化とか進歩しなければいけません。道路もどんどん整備して進歩させなければいけません。しかし、あるときは勇気を持って立ち止まって振り返ってみることも必要だと思うんですね。やっぱり、そういう観点から既存の制度とか税金というものをもう一回見直して、本当にみんなが喜べる、産業が活性化できる、お年寄りがちゃんと横断歩道を安心して渡れる、そういう安全な道路に造り替えるための議論というのをもう一回基本からやり直さないといけない。予算だけを奪い合っているような現在の制度というのは、一回もうきれいに清算しなければいけないんじゃないかと、極論ですけれども、そう思っております。
#63
○大江康弘君 先ほども無駄な道路の意見の開陳がありましたが、私は、無駄な道路なんて一本もないと思っておる一人なんですね。無駄な建設単価、先ほど松下参考人言われていましたが、例えば、政治家がその公共事業でキックバックでもらうだとか、あるいはいろんな不祥事がある。私は、それこそその工事というのは無駄な設計単価をつくっているんだな。だけど、今政府が進めている道路の中で、縮減というのもこれ僕は限りがあると思うんです。
 やはり、私は、今日本の車が良くなったから長もちするということをよく言われますが、そうでなくて、日本のこのメンテあるいは補修をするという思想というのは、よその国より強い国だというふうに思うんです。ですから、私はやっぱり、そういうことが本当に国民が分かっているんだろうか、単に車の技術が良くなって何年も乗れるようになったんじゃなくて、道路がいつも補修されていつも快適だから、これ併せ持って両輪のごとく、車というのが長もちをする、快適なやっぱり私は車社会の一因をつくっていると思うんですけれども。
 残念なのは、どうも日本というのは歴史に学ばない、失敗に学ばない。今、日本で起きているこの意見というのは、世論というのは、議論というのは、アメリカが一九七〇年代にもう道路は要らない、公共事業は無駄だという、まさにアメリカ・イン・ルーインズという言葉が生まれたような背景をつくってきたと同じなんですね。そして、あの御存じのように二年前にミネソタの橋が落ちてしまった、それまでにも何本か橋が落ちてしまった、まさにこれはメンテをしなかったということであります。
 ですから、まだ日本は道路を造り上げていくのに百二十万キロという、この今造っている道路をどう維持していくのか、それよりも更にまた造り上げていかなければいけないという、この二つを抱えて、まさにこの一般財源化、先ほど松下参考人、五十九兆円と言われましたが、私これも議論したんですけど、今お金の事業量が入っていないんです、中期計画。六十五兆円が五十九兆円になって、今五十九兆円が事業量が入らずに、私はなぜ入れないんだと言ったんです。それはやっぱり道路特定財源がなくなったから、これ、国にしてもはっきりした事業量の目安が付かないんですね。だから今、中期計画はあったって、それじゃ幾らでやれるんだろうかと、私はそれもおかしいじゃないかと言ったんですけれども、おかしいもとになるのが、これがやっぱり一般財源化から出てきているわけであって。
 そういう一つの議論の中で、石田参考人がたまたま御縁があって和歌山の知事の諮問機関である道路の会に出ていただいたということでありますが、私はやはり、地方というものを石田参考人も見られて、まさに中山参考人は毎日そこで生活をされておって、これもう一度、地方の観点から道路というものをどう受け止めていただいているのか、お二人にちょっと聞かせてください。
#64
○参考人(石田東生君) 地方の道路ということでございます。
 今言及されました和歌山県の道路懇談会というものの座長を務めさせていただきました。本当に苦渋の決断をされております。和歌山県は、東南海地震等で本当に津波の危険性が非常に高いところでございます。ところが、命の道が一本しかないと。しかも海岸べりを通っているということでございます。そういう意味では、高速道路へのニーズが非常に高いところでございます。
 高速道路をうまく使うためにも下道のネットワークも重要なんだけれども、これ本当にえらいなと思ったんですけれども、下道のネットワークも限定をしないと、すべて整備するというわけにはもういかないと。そういう覚悟と我慢の上で最低限これだけの道路を造ってください、命の道が必要ですという、そういう主張を非常に強くされておりまして、地方の方々の思いというのはそういうものだなということを本当に実感させていただきまして、いい勉強をさせていただきました。
 そういう思いにどうこたえていくかということが、これは極めて重要な、日本の戦略として本当に重要な問題だと思います。
#65
○参考人(中山泰君) 今、一部繰り返しになりますけれども、大きな政府で公共部門主導で活性化ができるような状況ではない中で、民間の活動を社会的にも産業的にも支えているのが道路であるわけでありまして、地方はますますそこに依存せざるを得ないような状況があるわけですので、これをしっかりと造っていくということが一番大きな基礎に、本当に実感として感じております。
 同時に、ちょっと付け加えますと、我々のところ、合併したんですけれども、合併をして広域になって、行政部門も当然効率化が求められておりますし、あわせて、様々な公共団体も合併をして少なくなっているんですね。ということは、そういう状況の中で一定の住民サービスをキープしようと思えば、やっぱり移動の手段を確保していくということがどうしても大切であるわけでありまして、こういう合併を要請されるような世の中にあって、自治体の中での道路の役割というのは物すごく大きくなっております。
 さらにこれは、更に言えば、今いろんなところで道州制の議論なんかがあるわけでありますけれども、本当に導入しようとすれば、これは絶対、府県間をまたがる道路というのが重要になってくると思うんですね。その道庁、州庁のあるところにどう、そことのやっぱり接点が大事なわけで、そこにどうして行くかということが当然出てくるわけでありまして、ますます広域な道路の必要性が出てくるという意味でも、いろんな意味で、こういう時代だからこそ国家的な、あるいは道州的な、あるいは合併市町村においてもその活動の骨格を支える道路の意味というのはもう一遍積極的に私は見直してほしいと。それを積極的に国づくりに位置付けていただきたい。様々な分野の中心に位置付けながらやれると思うんですね。そんなふうに思います。
#66
○大江康弘君 石田参考人、御縁があって和歌山を見ていただいたと思いますが、地方の思いというのは、要するに、一を五にしてくれとか一を十にしてくれというんじゃないんですね。要するに、一を一にしてくれよと、結果の平等までは求めないまでも、私の和歌山なんか、御存じのように、南の新宮から第三次救急医療施設に行こうと思ったら、十人のうち二人が救急車の中で亡くなると。本当にこんな実態を我々が見せられたときに、簡単に道路は無駄だとか道路は要らないんだなんて切り捨てることができるのかどうかということを、私はやはり地域に住む一人の政治家として非常に私は真剣に重く受け止めなければいけないし、受け止めてきたつもりでありますけれども、今のこの二、三年の議論という中で一般財源化になってきて、私は本当に必要な財源が担保をされてやっていけるのかということに非常に疑問を感じているんですが。
 石田参考人はいただいた資料、レジュメの中で、やっぱり今がそのときだというようなことを書かれていますが、ちょっと簡単に、その今がというのはなぜ今と感じたのか、ちょっと教えてください。
#67
○参考人(石田東生君) 端的に申し上げますと、本当に誤った方向に、短期的、視野狭窄的な観点から道路の問題が余りにも論じられているんじゃなかろうかというふうに思います。ですから、本当に、命の道とか、これからの地方に住む人たち、あるいは今後住むであろう人たちが希望と期待を持てるような、そういう地域にするということが日本の将来を考える上で非常に大切だろうというふうに思うんですね。
 ところが、そういうことの議論が余りされずに、短期的な、しかも非常に限定された経済的な便益でのみその評価をすべきであるというふうに思っております。ですから、繰り返しになりますけれども、公平性の問題とか気持ちの安全保障の問題とか歴史とか文化の問題ということを踏まえた上で骨太な大きい議論を今しないと国を誤るんではないかなというふうに思いまして、そのような主張をさせていただきました。
#68
○大江康弘君 中山参考人、実は、衆議院の方の参考人のときに高知県の檮原町の中越町長さんが来られまして、臨交金がなくなった後の新しい地域活力基盤創造交付金に触れられまして、これは、法的な根拠がないということは担保がないんですね、担保がないんです。それに関して非常にやっぱり危惧をされている。これは、このことが、とにかく一般財源化されるに当たって交付金にするのか交付税にするのかということで随分この議論があって、地方の自治体の今までの流れの中で交付金制度というのがやっぱり一番いいんじゃないかと。これは私は臨交金に代わったものだとは思っていません。これは新しい制度だと思っていますから、このことを否定するところもあるそうですけど、私は、やっぱり地方にとってみたら、これはもう本当にわらをもすがるような思いの中ででき上がってきた制度だと思うんですが、このことの評価というのはどう考えられていますか。
#69
○参考人(中山泰君) これは本当になくなる中ではとても有り難いことで、地方の立場として感謝をしておりまして、しかも積極的な意味もあると思うんですね。というのは、道路を中心に他の関連のインフラなりソフトの事業を組み合わせようということで、道路と周辺の町づくりとをリンクした発想というのが少し入る一歩になっていると思うんですね。
 そういう意味で、まあ病院の入口とかいろいろのことですけれども、町づくりと関連する一歩としても意味が非常に深いんじゃないかなと思いますし、これを更に私は広げて全体のいろんなことが本当に必要だろうと思いますけれども、いずれにしても、道路財源の使途としてああいう形でしていただくというのは有り難いことですし、私としては、少なくとも道路関連の経費としてずっと位置付けていただきたい、そのための制度的な担保というのをしていただくような、道路以外に使われてしまうようなことのないような担保を是非お願いしたいなというふうに思っております。
#70
○大江康弘君 もう時間がありませんので、今日はもう一番遠いところからお越しいただいた中山参考人に、最後に、まだ二分あります、地方の思いがあれば少し聞かせていただきたいと思います。
#71
○参考人(中山泰君) ありがとうございます。
 もうるる申し上げさせていただいたとおりでありまして、まさに今地方の活性化をしていくことが地方にとってはもとより国家にとっても大切なことだというふうに思うわけですけれども、その上で大切なのは、やっぱり基礎的なインフラを早急にしっかりと整備をしていくことだというふうに思っております。この効果というのは計り知れないのではないかなというふうに思いまして、そういう意味で、是非とも早急に道路のネットワークの構築、また、それに必要な財源の手当てするような仕組み、これはしっかりと担保していただきたいというふうに思いますし、これは国全体のいろんなことにかかわるわけですけれども、少しちょっと脱線してよろしいですか、関連をして。
 そうしたら、じゃ財源どうするんですかという議論出てくると思うんですよ。私はいつも思いますのは、よくマスコミの方も含めて借金借金、七百兆、八百兆と言われますけれども、でも、借金といっても、国家の中、借りているのはだれかというと、これは日本国民なり日本国法人が九十何%だと思うんですね。国の中でのお金のやり取りだとしたときに、単なる借金という言い方はどうかと思いますのと、じゃプライマリーバランスの話もありましたけれども、これは大切なことですが、じゃポストプライマリーバランスはどうするんですかと。上積みはならないからといって七百兆、八百兆ほうっておくんですかと、何でこれはほうっておいていいんですかと、これは借金の積み重ねじゃないんですかという議論がないんですね。
 私は、そうじゃなくて、この七百兆、八百兆も積極的な役割を果たしているんだと思うんです、この国家の経済の維持に、また発展に当たって。だから、その議論をまさに国会の場で、私が言うのもあれですけれども、議論していただきたい。今の財政の議論というのは、どっちかというと夜警国家の時代の単純な健全財政の議論であって、そうじゃなくて、今はもうこんな複雑なわけですから、貨幣あるいは国債が果たしている役割というのは絶対あるはずなので、そこを積極的に位置付けて、本当に七百、八百でいいのか、あるいは千とか千二百が適正規模かもしれませんね、これだけのでっかい経済なわけですから。
 だから、そういうことも含めて考えたときに財政の在り方がしっかりと位置付けられれば、こういった積極的な道路建設というのも前向きに位置付けられると思うんですけれども、そういうようなことも、少し脱線しましたですけれども、思っておりまして、いずれにしても、地方の道路のネットワーク、是非とも皆様のお力で早急にしていただけますように、心から地方の住民を代表してお願い申し上げまして、陳述とさせていただきます。
 本当にありがとうございます。
#72
○大江康弘君 ありがとうございました。
#73
○委員長(田村耕太郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただきまして、有益な御意見をお述べいただきました。誠にありがとうございました。今後、皆様の御意見を委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。
 委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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