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2009/04/16 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 経済産業委員会 第8号
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2009/04/16 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 経済産業委員会 第8号

#1
第171回国会 経済産業委員会 第8号
平成二十一年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     川合 孝典君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         櫻井  充君
    理 事
                藤原 正司君
                増子 輝彦君
                山根 隆治君
                荻原 健司君
               北川イッセイ君
    委 員
                川合 孝典君
                鈴木 陽悦君
                津田弥太郎君
                直嶋 正行君
                中谷 智司君
                前田 武志君
                塚田 一郎君
                松田 岩夫君
                松村 祥史君
                谷合 正明君
                松 あきら君
                松下 新平君
                渡辺 秀央君
                田中 直紀君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田  宏君
   参考人
       社団法人日本経
       済団体連合会金
       融制度委員会企
       画部会長
       JFEホールデ
       ィングス株式会
       社取締役     山崎 敏邦君
       日本労働組合総
       連合会副事務局
       長        逢見 直人君
       慶應義塾大学経
       済学部教授    金子  勝君
       中小企業家同友
       会全国協議会幹
       事長
       株式会社ヒロハ
       マ代表取締役会
       長        広浜 泰久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○我が国における産業活動の革新等を図るための
 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として川合孝典君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(櫻井充君) 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人の方々を御紹介申し上げます。
 まず、社団法人日本経済団体連合会金融制度委員会企画部会長・JFEホールディングス株式会社取締役山崎敏邦参考人でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、日本労働組合総連合会副事務局長逢見直人参考人でございます。
 次に、中小企業家同友会全国協議会幹事長・株式会社ヒロハマ代表取締役会長広浜泰久参考人でございます。
 慶應義塾大学経済学部教授金子勝参考人でございますが、交通事情によって若干遅れるということでございまして、御到着いただいて、後で意見をいただくことにしたいと、そう思います。
 この際、参考人の方々に委員会を代表して一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で山崎参考人、逢見参考人、広浜参考人、そして御到着いただいて金子参考人の順に御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人、質疑者とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山崎参考人にお願いいたします。山崎参考人。
#4
○参考人(山崎敏邦君) それでは、ただいま御紹介にあずかりました経団連で金融制度委員会の企画部会長を務めておりますJFEホールディングスの山崎でございます。
 本日は、産業活力再生特別措置法の改正に関する法律案等の御審議に当たり、私どもの考え方を述べさせていただく機会をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございます。
 初めに、我が国経済の現状と見通しについて申し上げ、その上で経済産業政策に関する考え方と、産業活力再生特別措置法の改正案に対する評価につきまして意見を申し述べたいと思います。
 まず、我が国経済の現状についてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、まさに危機的な状況に直面いたしております。我が国経済は二〇〇七年の末から景気後退期に入っておりますが、昨年秋に発生いたしましたいわゆるリーマン・ショック以降、急激な悪化が続いております。世界経済が同時不況に突入する中で、これまで我が国経済を牽引してまいりました輸出が激減し、幅広い業種におきまして急激な減産が今なお進行中であります。
 こうした結果、業種や企業規模を問わず多くの企業におきまして収益が大幅に減少しております。財務省の統計によれば、昨年十―十二月期の経常利益は、我が国企業全体で前年に比べて六割を超える減益となっております。
 企業の景況感も著しく悪化しております。先般発表されました日銀短観でも、大企業、製造業の業況判断はマイナス五八と、年末に行われた前回調査に比べて三四ポイントも悪化をいたしております。この水準は、第一次石油ショック当時の値を超えるこれまでにない低い数字となっております。業種別で見ましても、私が所属する鉄鋼を始め、自動車、一般機械などの悪化が目立っております。また、企業をめぐる資金繰りにつきましても、短観では大企業、中小企業ともに資金繰りが厳しいと判断する割合が増加しております。
 こうした企業活動の急減速に伴う影響は、雇用や消費の面にも表れてきております。失業率の上昇や有効求人倍率の急速な低下など、雇用をめぐる指標は厳しさを増しております。このような雇用情勢の悪化は、所得面やマインド面を通じて個人消費や住宅投資にマイナスの影響を与えており、いずれも減少傾向となっております。こうした状況を踏まえ、日本経済の先行きについてでございますが、我が国景気の後退局面は当分続かざるを得ないと考えております。
 まず、外需につきましては、先月IMFやOECDが経済見通しを発表いたしましたが、二〇〇九年は、いずれの国、地域におきましても経済成長率がマイナスか若しくは鈍化すると見込まれております。このため、我が国からの輸出は当面減少傾向が続くものと思われます。
 一方、内需の面でも、民間需要が回復していくまでにはしばらく時間を要するのではないかと考えられます。
 まず、設備投資につきましては、企業収益が大きく減少していることから、今年度の設備投資計画は業種や企業規模を問わず前年に比べてマイナスとなっており、特に大企業、製造業の設備投資計画は大幅なマイナスとなっております。設備の過剰感も急速に高まっていることから、当面は設備投資に対して慎重なスタンスを取る企業が多いと考えられます。
 個人消費につきましては、株価の水準が一時期に比べれば戻していることや、原燃料価格の高騰が収まったことで物価が落ち着いてきていることから、消費者マインドは若干改善している面もございます。しかし、基本的には雇用、所得環境は今後更に厳しさを増すと考えられることから、個人消費の回復はなかなか期待しにくい状況であると思われます。総じて申し上げますと、当分の間は我が国経済は厳しい状況が続くと見られます。
 また、米国経済や中国経済がそれぞれ両国で実施されている大規模な経済政策の効果などで持ち直してくれば、我が国経済も今年後半以降、底を打ち、次第に回復に向かうことが期待されます。しかし、こうした順調なシナリオの実現については非常に不確実性が高いと考えております。
 次に、経済産業政策につきまして、私どもの考えを申し上げたいと存じます。
 現在我が国経済が直面している危機的な状況から一刻も早く脱却し、安定的な経済成長を取り戻していくためには、積極的な政策対応が求められます。この点で政治が強いリーダーシップを発揮することをお願いいたしたいと存じます。
 この観点から、第一に当面の危機打開に向けた景気浮揚策、第二に企業の資金調達、資金繰り対策、第三に中長期的な成長力強化策の三点に絞って意見を申し述べたいと思います。
 第一に、当面の景気浮揚策といたしましては、十分な財政出動を伴う大規模な経済対策を迅速かつ切れ目なく実行していくことが必要不可欠であります。まず、与野党の先生方の御尽力により、二〇〇九年度当初予算並びに税制改正法案を年度内に成立させていただきましたことに改めて感謝申し上げる次第であります。現在のような経済情勢にあっては、危機脱却に向けた政策をスピーディーに実行することが国民が第一に望むことだと考えます。現在、二〇〇九年度予算並びに税制改正に基づく政策が実行に移されておりますが、我が国経済の底割れを防ぐためには追加経済対策の実行が不可欠であると思います。
 このような観点から、先般、政府・与党におかれましては経済危機対策が決定され、また民主党におかれましても生活・環境・未来のための緊急経済対策の骨格をまとめられたと伺っております。経済界といたしましては、追加経済対策の内容としまして、低炭素・循環型社会の実現に資する施策の実行、重要インフラの整備推進前倒し、雇用のセーフティーネットの強化の三点が重要だと考えております。
 例えば、環境対応の自動車や省エネ家電、エコ住宅の買換えや普及をこの時期に一気に進めることは、内需拡大と環境対策の一石二鳥の効果が期待できると考えます。自動車や家電、住宅産業はすそ野が非常に広く、幅広い産業における雇用の維持安定にも寄与すると考えます。
 また、インフラ整備につきましては、介護・保育施設の整備促進、学校を始めとする公共施設の耐震化に加え、将来の成長力の強化のために、都市部や地方における高規格道路のミッシングリンクの解消、中枢港湾やハブ空港の機能強化などが重要であります。
 さらに、雇用のセーフティーネット強化につきましては、三月に政府、連合などとの間で雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意を締結いたしました。経済界といたしましては、雇用の維持安定を企業の社会的責任としてとらえ、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。同時に、雇用調整助成金の拡充、就職困難者の訓練期間中の生活の安定確保など、政労使合意に盛られた施策の早急な実現をお願いいたしたく存じます。
 次に、二番目の課題として、企業の資金繰り、資金調達の円滑化について申し上げます。
 昨年秋のリーマン・ショック以降、国際金融危機の影響が我が国にも波及し、昨年末以来、国内でも企業の資金調達、資金繰りが逼迫した状況が続いております。この点では、政府、日銀から様々な対策が打ち出されたことにより、三月の年度末は何とか大きな混乱もなく乗り切ってこられました。ただし、これから各企業で決算発表が行われますが、ここで経常利益の大幅な悪化など非常に悪い数字が出るなどいたしますと、格付の引下げなどを通じて、直接金融、間接金融の双方において企業の資金調達、資金繰りをめぐる環境が一層厳しくなるおそれがございます。したがいまして、引き続き、政府、日銀が密接な連携体制の下、万全の対応を取っていただきたいと考えております。
 とりわけ、経済界といたしましては、目下のような経済環境の下では公的金融機関の役割が改めて重要性を増すと考えております。日本政策投資銀行による緊急融資や出資の拡充、円滑化をお願いする次第であります。
 三番目の課題として、中長期的な経済活力の向上に向けた方策につきまして申し上げます。
 この点につきましては、我が国といたしましては、やはり経済技術創造立国の実現に向けまして、イノベーションを通じた競争力の向上を図っていくことが基本線であろうと存じます。かかる観点から、科学技術基本計画に基づく政府研究開発投資の拡充、研究開発促進税制の拡充を始めとする民間研究開発の促進、産官学の連携強化などをお願いいたします。
 最後に、以上申し上げた点を踏まえまして、産業活力再生特別措置法等の改正案について申し上げます。
 まず、経営資源の効率的活用を通じ、生産性の向上、雇用の下支え、将来に向けた雇用創出を図っていくという今回の法改正の目的は、現下の経済情勢に照らして誠に時宜にかなったものと考えます。とりわけ、今回の法改正で具体的に措置される予定となっている資源生産性の向上策、指定金融機関の出資に対する損失補てん、研究開発の活性化と実用化の促進などはいずれも重要な項目であり、法案の早期成立をお願いいたしたいと存じます。
 その上で、改正法の施行に当たりまして、資源生産性等の向上に向けた資源生産性革新計画並びに資源制約対応製品生産設備導入計画の認定要件を柔軟なものとし、幅広い企業が設備の償却に係る税制措置などの政策支援を利用できるように配慮していただきたいと存じます。また、日本政策投資銀行等からの出資を企業が幅広く利用できるように、損失補てんの適用要件を柔軟なものにするとともに、補てん割合をできる限り引き上げていただきたいと存じます。
 以上で私からの意見陳述を終わります。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 ただいま慶應義塾大学経済学部教授金子勝参考人が到着されましたので、御紹介申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
#6
○参考人(金子勝君) 済みません、電車の人身事故で遅れてしまいまして、申し訳ありませんでした。
#7
○委員長(櫻井充君) それでは次に、逢見参考人にお願いいたします。逢見参考人。
#8
○参考人(逢見直人君) 連合副事務局長の逢見でございます。
 産業活力再生法等改正案について意見を申し述べます。
 お手元に資料として三枚ほどの紙を用意してございますので、併せて御参照願いたいと思います。
 日本経済の成長率は年率換算で二けたのマイナスと先進国の中でも深刻な状況に陥り、二〇〇八年度の企業倒産件数は一万六千百四十六件、前年度比一二・三%増と、六年ぶりに一万六千件を上回る中で、中でも上場企業の倒産件数が戦後最悪の四十五件に上るなど、金融危機が実体経済に与えた影響が改めて浮き彫りになっております。また、雇用面におきましても、二月の有効求人倍率が〇・五九倍に下落し、悪化の一途をたどっております。一昨年まで続いた景気回復期においても地域経済、中小企業については疲弊した状況が続いておりましたが、その上で今回の経済危機が重なり、より一層深刻な状況となっております。
 こうした危機的状況の下で、私たち連合は、三月二十三日に、政府、そして日本経団連、日本商工会議所、中小企業団体全国中央会とともに、雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意を行い、現下の雇用不安を払拭するため一致協力して取り組むことを確認いたしました。
 この政労使合意の文書では、最初に、景気が急速に悪化する中で雇用の維持は最重要の課題であるという認識を示しております。また、経営側は、雇用の安定は企業の社会的責任であることを十分に認識し、その後の文章は省略しますが、雇用の維持に最大限の努力を行うということが明記されております。
 政府はこの間、緊急経済対策として信用保証協会による保証やセーフティーネット貸付けなど、主に中小企業の資金繰り対策を行ってきましたが、雇用維持という観点からも中小企業を始めとする再生支援に本腰を入れて対応することが必要であると考えております。経済の活性化とともに雇用の安定と維持に万全の手当てをしていただくよう、強く要請いたします。
 次に、本法案についての基本的な評価について申し上げます。
 本法案は、事業者の資源生産性の向上、円滑な資金供給の実施、オープンイノベーションの推進を図るとともに、地域経済を支える中小企業の事業再生支援を強化するというもので、産業活動の革新を図り我が国経済の持続的発展を促進するという、この方向性については基本的に支持できるものと考えております。
 ただ、中小企業の再生支援策として第二会社方式による再生計画の認定制度を設けるなど、会社分割や事業譲渡、事業部門単位での統廃合を積極的に促進するものであり、この点に関して従業員の雇用に影響を与える事案の増加が予想されるにもかかわらず、雇用の維持安定のための労使協議等の規定が法案に明記されていないという問題点があると認識しております。
 私たち連合は、中小企業の将来性のある事業が再生することで地域の雇用を守り、取引先の連鎖倒産を防ぐことができる、このことが第二会社方式による再生計画の重要なポイントであると考えており、雇用の維持確保の観点から会社分割や事業譲渡の手法そのものを否定しているわけではありません。しかし、これらの制度は本質的に雇用の維持確保に大きな影響を与える可能性があり、その環境下で事業再生を成し遂げようとするならば、従業員の主体的なコミットメントなくしては成功し得ないと考えており、そのためにも労働組合等との協議を計画の認定要件として明記するとともに、誤った使い方がなされないよう、運用については十分注意していくことが必要であると考えております。
 以下、私たちが懸念する問題点について幾つか述べたいと思います。
 まず第一に、労使協議等の規定が法案に明記されていないという点であります。
 本法案の第一条には、雇用の安定等に配慮しつつとされておりますが、その具体的中身となりますと、例えば中小企業承継事業再生計画の認定要件について、三十九条の二の四項四号に当該中小企業承継事業再生計画が従業員の地位を不当に害するものでないこととあり、実施に当たっての配慮として七十二条の二で、その雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、当該労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない、これは努力義務にすぎないわけであります。
 本法案は、中小企業の再生の更なる円滑化の手法として会社分割や事業譲渡を政府が支援するものでありますから、政府としては失業発生を防止するために雇用安定を確保する対策を明瞭に定めるべきであると考えます。すなわち、中小企業承継事業再生計画について、雇用に影響を与える場合には十分な労使協議を尽くすこと、これを明記すべきであります。また、実施に当たっては、その雇用する労働者との労使協議を通じ、合意を得ること等により理解と協力を得ることを義務規定として明記すべきだと思います。
 更に重要なポイントとして、計画の実施状況が雇用にどのような影響を与えたかについて報告を必ず求めることが必要と考えております。法案では第七十三条において報告を求めることができると定められておりますが、報告を求めることができるのではなくて、報告を求めるというふうに変更すべきだと思います。その際、不当な解雇が発生するなど認定要件に反している場合には三十九条の三の六項の認定を取り消す等の措置を厳格に適用すべきと考えております。
 次に、第二会社方式が抱える雇用安定の問題点についてであります。
 第二会社方式は、会社分割あるいは事業譲渡により行われるものであります。これらの企業組織の再編、変更では、雇用契約が打ち切られたり労働条件の一方的変更が強いられる事態が既に発生しており、そのことによる紛争も起きております。企業組織の再編のみを理由とした解雇や労働条件の一方的不利益変更は労働者の権利を侵すものであり、公正と公平さを失しております。
 会社分割は平成十二年の商法改正で導入され、同時に労働契約承継法が制定されておりますが、当時は会社分割は債務履行の見込みがあることが前提とされておりました。ところが、平成十七年に制定された会社法により、債務超過の企業の分割、すなわち企業の一部を清算する形での分割が認められ、第二会社方式において活用されるに至ったものであります。
 事業譲渡につきましては、平成十二年の商法改正当時から会社分割の場合と同様に労働契約を承継する法的な手だてを行うように求め、国会においても附帯決議によって、立法上の措置を含めその対応の在り方について十分検討を深めることとされておりますが、今日なお実現しておりません。
 これらの問題は、産業活力再生法というよりも、一般法としての企業組織変更に係る労働者保護法を制定すべきというふうに思っております。しかしながら、こうしたものが未整備の下で第二会社方式が進められることは雇用の維持確保に大きな影響を与える可能性があります。今回の法改正は国がそれを支援しようとするものであります。そのため、私たち連合は、労働組合との協議等の措置を法に明記することで、従業員の立場から、当該企業の再生にとって第二会社方式が真に必要で有効なものであるのか、それが雇用安定に十分な配慮が行われているものであるかどうかを見極めることが必要であると考えております。
 次に、第二会社方式による労働契約と労働条件の点でございます。
 先ほど述べましたように、会社分割については労働契約承継法があって雇用の承継については一定程度法律により保護されておりますが、事業譲渡は特定承継、すなわち当事者間の合意に基づき特定された権利義務のみが承継されるものであり、労働契約が自動的に承継されるものではありません。移行される第二会社と雇用契約を改めて結び直す必要があります。
 平時であれば、従業員は承継会社や新会社に移行するか、あるいは従前の会社に残るか、冷静に判断することができますが、今回のように不採算部門の特別清算が伴う場合については第二会社に移行しないという選択肢は事実上取り難く、労働条件が不当に切り下げられたとしても拒否し難い状況が生まれてしまいます。
 また、やむを得ず第二会社に移行できなかった労働者が出てきた場合に、その労働者の雇用に対しては十分な配慮がなされるべきであり、計画の認定、運用についてそうした点についての十分な検証が行われるべきものと考えております。
 認定基準につきましては、三十九条の二の四項に記されておりますが、基本指針に照らして適切なものであることと記されているのみで、実質的な認定基準はすべて指針にゆだねられたものとなっております。このような重大な基準が法案ではなくて指針という形で言わば官僚の手にゆだねられるという仕組みは極めて不透明であると言わざるを得ず、公正性の観点からも明確な基準を示すべきだと思います。
 次に、第二会社方式の認定プロセスであります。
 第二会社方式による事業再生の際、債権者である銀行等の担当者が事業主等から出される会計資料によって持続可能部門の選定を行う場合がありますが、これは事業主にとって都合の良い部分だけが持続可能部門と選定されるのではないかという懸念もないわけではありません。また、事業者にとって都合の悪い労働者を事前に不採算部門に配置するなど、人員選定について恣意的に行われる可能性も否定できません。
 このような懸念を払拭するためにも、必要に応じて専門家等第三者の意見を聴取し、定量的な要件だけでなく業態特性や固有の事情等を勘案した運用を行うなど、内容を十分に精査した上で認定するとともに、労働組合等との協議を義務付けるなどの防止策を取る必要があると考えております。
 次に、株式会社日本政策金融公庫法の特例についてであります。
 一定の基準を満たした収益性の向上が見込まれる産活法認定企業に対し指定金融機関の出資に対する損失補てんを行うとされておりますが、今回は融資ではなく政府資金を活用した出資での支援制度であり、支援先企業の選定基準や融資機関について法律に明記するなど、透明性のある制度とすべきであると考えております。特に、政府資金を活用するということですので、言わずもがなですが、雇用の維持確保に十分な配慮を行うことを大前提として運用されることをお願いしたいと思います。
 最後にですが、私ども連合は、今日の極めて厳しい経済と雇用情勢の下、産業活力再生法等の手法も使いながら企業の再生と雇用の安定が共に実現することを強く期待しております。清算と事業再生を比較すれば、その企業に蓄積された有形無形の資産、ノウハウを活用して事業再生を図る方が雇用の確保につながる可能性が高く、その意味では、できる限り事業再生の可能性を探り、可能性があるならば労使共同して再生を果たすべきと考えております。
 そのためには、まず地域経済の基盤を担っている中小企業の活力の再生支援を迅速かつ的確に行うことが重要だと考えております。金融収縮からくる一時的な資金繰り需要の悪化については信用保証協会を活用した資金供給、債務超過企業に対しては返済期限のリスケジュールや債権放棄による再生、過剰債務に陥った企業に対しては今回上程されている産業活力再生法や、同じく今国会に上程されている株式会社地域力再生機構による再生支援を早急に行う必要があると考えております。
 最後の手段として、法的整理や私的整理という手法もあるわけでありますが、法的整理は公正性、公平性が確保される一方、倒産企業というレッテルを張られることにより信用不安や中小企業者も含めた一般債権の圧縮などが伴います。私的整理は、倒産とはならないものの、金融債権の圧縮など債権者間の調整が極めて時間が掛かるということもあり、こうしたことを未然に防ぐためにも産業活力再生法の成立を望みたいと思っております。
 そして、これら再生支援を実効性の伴ったものにするためには、法整備だけではなくて、それを支援する体制の整備や法の趣旨の周知徹底、そして情報が行き届かない中小企業への広報が何よりも必要と考えております。そのためにも、中小企業再生支援協議会等、再生を支援する体制強化について十分なサポート体制を取っていただくことをお願い申し上げて、私の発言を終わります。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 次に、金子参考人にお願いいたします。金子参考人。
#10
○参考人(金子勝君) 金子でございます。遅れてしまいまして、どうも申し訳ありませんでした。
 私自身はこの産業活力再生法改正に関して一切の利害関係を持ちませんので、この法律を含む全般的な産業戦略の在り方そのものに関して意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず第一に、皆さんお手元の資料を見ていただければ分かりますように、G7の中における鉱工業生産の落ち込みは、二〇〇一年末を基準といたしますと、日本の落ち込みは極めて顕著な、突出していると言っても過言ではない状況を示しております。つい先ごろ修正されたIMFの世界経済見通しでも、日本は二〇〇九年度マイナス五・八%、独り負けと言ってもいい状況にあります。欧米各国がおおむねマイナス二からマイナス三%であるのと比べると、本来サブプライムローン絡みの証券を日本の金融機関は欧米金融機関に比べればそれほど多くは買っていないと言われていた。直接的な影響が少ないはずにもかかわらず、その落ち込みが極めてひどいということは、なぜそうした事態が起きているのか、あるいは、こうした危機的状況に対して危機であるという認識がないことが危機なのではないかというふうに私は考えます。
 この構造は、様々な統計データを見て観察をしておりますと、この落ち込みは極めて、割とはっきりとした数字上で観察することができます。それは、輸出が対前年でほぼ半分に減るという状況が表れて、それにつれて鉱工業生産が引きずられるように落ち込み始めて、景気循環で主軸となるような設備投資がそれにつれて落ち込んでくるという形の因果連関を示しております。
 このことは、我が国においてなぜこうした事態がもたらされたかということを真剣に考えると、これまで行われてきた構造改革政策なるものが実はこうした事態を生み出してしまったのだというふうに認識すべきだろうと。恐らく意見の違いはあるかもしれませんが、構造改革の中で、経済産業委員会においてもきちんと議論されるべきであると思う点は、米国の投資銀行をモデルとした日本の金融立国路線というのは完全に破綻をしてしまったと。それから、アメリカにおいては製造業の金融化も失敗をしてしまった。GEキャピタルやGMACがその典型であります。
 そういうふうに考えますと、千五百兆円の国民の資産をアメリカをモデルにして運用すれば日本経済が立ち直るというようなこれまでしかれてきた産業の戦略の在り方では立ち行かないと。この国はどのような産業で食べていくのかという産業戦略をいま一度立て直さなければいけないということが基本にあります。構造改革は、市場化、規制緩和や民営化によって低い生産性部門から高い生産部門へ人や金が流れるはずでありました。しかし、残念ながら、金融自由化が生んだのはグリーンメーラー、買収屋であり、労働市場の規制緩和が生んだのは派遣業の中でも極めて悪質な企業が大企業化するというような事態でありました。
 それから、これまで、インフレターゲット派と日本では言いますが、こうした人たちが主張してきた金融緩和政策が、とりわけて日銀の超低金利政策が継続された結果、円安が誘導される、それから構造改革の中で労働市場の規制緩和によって労賃コストを抑制する、こういった政策が行われてきた結果、輸出依存度がずっと高まってくる、輸出主導のもろい経済構造ができてしまった。これは、結果的に見ると既存の輸出産業の既得権益保護政策にすぎなかったと。構造改革というのは、結果的にはそういう意味で産業転換に失敗したのだということを認めなければいけないだろうと。
 その一方で、私たちは、構造改革によって内需へ波及する経路が断ち切られてしまいました。それは、年金や医療、介護などの社会保障制度が極めて制度として動揺し、労働市場の規制緩和で個人間の格差が広がり、あるいは地方交付税や診療報酬のカットで地域間格差が拡大させられ、貧困問題が生まれましたので、その一方で、法人税減税を続けて、税で富を吸収して地方へ配分する資金をどんどん断ち切ってきてしまった。こうした状況の下で世界同時不況になって輸出依存体質が直撃を受けたために、先ほどグラフで見たような極めて深刻な事態に我々は直面してしまっていると。そういう意味では、雇用や社会保障の抜本的な改革が必要でありますが、これは当面、産業ということでいえば直接的ではない、日本経済全体の守りをどうするかという話であります。
 問題は、産業戦略という点でこの国は世界的な環境エネルギー革命から完全に取り残されつつある現状があります。欧米諸国では、それぞれ国によって違いはあれ、再生可能エネルギーへの転換など環境エネルギー革命で雇用や需要をつくり出そうという動きが急速に進んでおります。この点でも、小泉政権が京都議定書つぶしに走ってきたブッシュ政権に追随してきたために国際的に立ち遅れてしまっているということを認めなければいけないと思います。
 今日、京都議定書を、目標を達成できていないために、国際的な批判は高まっております。例えば、国際NGOは日本に化石賞を与えたり、どの環境政策の国際ランキングでも日本は常に下位の方に低迷しております。つい最近でいえば、ゴルバチョフ元ソ連大統領が設立した環境保護団体のグリーンクロスインターナショナルのリポートによれば、ドイツはAランクですが、かつてリーダーだった日本はCランクであります。米国全体はCプラスでありますが、カリフォルニア州はBであります。
 こういう状況を見ても、日本は完全に世界の中で環境先進国ではなくなっていることを認めざるを得ません。にもかかわらず、IRENAのような国際再生エネルギー機関への参加も見送られております。そういう意味では、国際的な動きの中で立ち遅れている現実を直視する必要がある。
 その上で、今、再生可能エネルギーの領域は現在約十五兆円規模だというふうに言われておりまして、毎年平均でいえば六〇%ぐらいの成長を遂げております。このペースで伸びていけば十年後には自動車産業に匹敵するような規模になるでしょう。
 それから、太陽光や風力を含め、とりわけて太陽光の場合そうですが、国内で市場が急速に広がってまいりますと半導体と似たような学習効果というのが働いてコストが急激に落ちていくという意味で、意図的に市場環境を整えた国が急速にその産業の育成のスピードを速めるという、そういう性質を持っております。
 残念ながら、そういう意味では、ドイツのような国々、同じ物づくりでいえばドイツのような国々にどんどん追い抜かれているというのが現状であります。典型的なのは、旧東ドイツ地域にできたキューセルズに日本のシャープが追い抜かれて世界一の地位を滑り落ちました。国としても、二〇〇八年は世界第六位に転落をしてきております。風力も地熱発電も同様であります。その背後には、ドイツ等では環境税や再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、排出権取引などの強力な誘導政策があるのに対して、日本ではほとんどこうした政策が真剣に考えられていないということにあります。
 太陽光については余りのスピードで、先ほど申し上げたように学習効果が働きますので、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度を実施しますと、早い段階でみんなが参入しようといたします。生産が急激に拡大してコストが削減いたしますので、こういう流れの中で急激に落ちて、経済産業省も慌ててこれに対応をしようとしているという実態であります。しかし、これまで原発中心でやってこようとした政策もあって、常に後手後手に回っている状況であることは否めません。
 さらに、GE、ゼネラル・エレクトリックとグーグルが手掛けているスマートグリッドを軸としたネットワーク型の双方向的な送配電網でも決定的な遅れを遂げております。蓄電技術やITによる制御技術、地熱発電などの技術も、これまで蓄積された日本の技術が海外需要頼みで、そちらで活動することが中心になってきますと、やがて研究機能も含めて海外に流出していくことを私は懸念しております。その意味では、日本国内において強力な政策でこれを巻き返すという必要性が今あるのではないかと。成長産業をどこに置くかという戦略がしっかりしていないと、皆後ろ向きの救済的なタイプの政策だけが並ぶことになってしまうということを私は懸念しております。
 時間も少なくなってきましたので、あと一点、政策の発想が極めてイデオロギー的で時代遅れであるのではないかということを私は最後に強調したいと思います。
 一つは、金融危機、エネルギー危機、地球温暖化の三重の危機への対処として環境エネルギー革命が進められておりますが、恐らく、OPECの生産調整及び原油価格の下落による石油開発投資の遅滞、停滞、メキシコのカンタレル油田に象徴される油田の枯渇などによって生産調整能力が低下しておりますので、やがて景気の回復局面がもし訪れたとしても、原油価格の上昇する局面で、中東石油に過度に依存する日本は更に世界から取り残されていく危険性があると私は考えております。
 戦後最大の世界金融危機の下で、大きなバブル崩壊に打ちかつためには大きな投資ブームを必要といたします。しかし、バブル循環への回帰は問題解決とはなりません。この投資ブームは、より大きな産業と市場のフロンティアを生む分野で起こしていく必要があります。それが百年に一度のエネルギー転換であり、欧米諸国がこの分野に注目している最大の理由だろうと思います。
 しかも、政府のこの政策においては政府の適切な役割が必要でありますが、これは単なるケインズ主義的な政策ではありません。環境税、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、排出権取引などは、政府や公社などに収入をもたらし投資を誘発する政策でありまして、あるいは排ガス規制などは規制によって投資を誘発する政策であるからです。これは大きな政府か小さな政府かというような従来の単純な二分法で切ることはできません。こうした産業政策は、アメリカでも行われている公的資金注入や銀行国有化などとともに、既存の経済学のテキストには登場しない性格の政策であります。これは、ある意味で経済学も百年に一度の危機にあるのかもしれません。その意味では、新しい政策の発想が求められているというふうに私は考えております。
 政策の日本の中の立ち遅れについては、この中にも書いてありますように、レーガン政策、レーガンの経済再建税法に対する誤った認識、これが一九八六年には廃止、縮小された歴史的な事実が忘れ去られ、なおも財政投融資やこうした減税政策に頼っているような政策の体系の在り方は転換しなければいけません。
 さらに、環境エネルギー革命において目立つのは、経済産業省と環境省の間の官庁間の対立とも見られるような政策の調整能力の低さであります。同時に、製鉄業や電力業が相変わらず財界の中心を占めており、経済界自身が既存の輸出産業を軸とした、あるいはインフラ産業を軸とした既得権益の保護に明け暮れた結果が構造改革政策を遂行させることになってしまったと。洞爺湖サミットにおけるセクター別アプローチの失敗がその典型であります。
 そして、この場であえて政治家の皆さんに訴えておきたいのは、電力業に対しては気の毒な面もあります。政治がリーダーシップを取って大胆に環境エネルギー革命をするということを政治家が訴えないと、電力会社は値上げをする、実質上、例えば再生エネルギーに料金を乗せた場合に、国民に向かって自分たちが矢面に立って値上げの理由を説明しなければならなくなります。
 そういう意味では、政治が強いリーダーシップを持ってこういう状況を転換していくんだというメッセージを送り出すことによって産業界も引っ張られていくという関係がここに成立すると。その意味で、世界中で政治が強いリーダーシップを発揮して環境エネルギー革命を遂行しているのはそうした背景があるからであるというふうに私は考えます。その意味で、この委員会の場を借りて、そうした点でこの委員会が強いリーダーシップを持って産業戦略について討議をされていただくことを願ってやみません。
 発言を以上で終わります。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 次に、広浜参考人にお願いいたします。広浜参考人。
#12
○参考人(広浜泰久君) 中小企業家同友会全国協議会幹事長、株式会社ヒロハマの広浜と申します。本日は、こういった場で発言を許していただきまして、ありがとうございます。
 大きく三つ、三点にわたってお話ししたいと思います。まず、自己紹介を兼ねまして、我々中小企業家同友会の会員の、それから自社の現状をお話ししたいと思います。それから二つ目に、これまで行われてきた政策への評価というか、感じていることとそれに対する提言を二つ目、三つ目が本改正案に対する意見というような形でお話しさせていただきます。
 まず一番目ですけれども、中小企業家同友会、多分御存じない先生方もいらっしゃると思うので簡単に御説明しますが、これは四十七都道府県すべてに中小企業家同友会ございまして、今現在、約四万一千名の会員で行われています。全国の方は協議会という形で運営されています。一番特徴的なのは、この会はすべて自主的に運営されておりまして、どこのひも付きにもなっていないというところが一番の特徴です。
 じゃ、何のために活動しているかといいますと、三つ目的がございまして、一つが良い会社をつくろう、二つ目が良い経営者になろう、三つ目が良い経営環境をつくろうというようなことで、各地とも毎日のように勉強会を今やっているところであります。
 そういった良い経営環境をつくるというところでの活動の一環として、定期的に景況調査をしております。その内容につきましてお手元に資料が回っているかと思いますが、この景況調査、ちょうど三月上旬に行われたもので、回答数四四%ぐらい、全回答数が千七十七社というような内容でございます。
 内容を見ていただきますと、特に二枚目、グラフを見ていただくと、ぱっと見て、悪いなというのは御覧いただけると思うんですけれども、この数字のところをちょっと目を向けていただきたいと思いますが、業況判断というところがあります。好転から悪化を引いたDIですね、これが全業種にわたって一―三においてはマイナス五九ポイント、特に悪いのが製造業でマイナス六七・四ポイントというような形になっております。売上げのDIも同じような形に推移しておりまして、さらに、あっ、これはひどいなというところが一番端的に表れているのが採算水準という一番下の表になっているところです。これを見ますと、全業種のところでマイナス二四ポイントです。特に、製造業が四〇・七ポイントですけれども、昨年の十―十二ではマイナス四・四だったんですね。それが一気にマイナス四〇・七という形に落ち込んでおります。
 こういったアンケートに答えてくれているメンバーというのは私どもとすれば割合に規模の大きいところでもあり、実際に回答してくれるというのは、余り悪いと回答も来ないぞというようなこともありまして、そういったことを意識しますと、実態は更に悪いのではないかということを懸念しております。
 私ども実は製造メーカーでして、多分これ、先生方も御覧になったことあると思うんですけれども、昔の一斗缶と言われていた灯油を入れる御家庭にあった缶ですね。今は灯油には使われていなくて、塗料とかシンナーとか、あるいは業務用のおしょうゆとか食用油とか、いわゆる業務用にはもう満遍なく使われているそういう缶の、私どもは、ふたとか持つところとか、そういう部品だけを扱っております。業者も少なくて、私どもたまたま今五〇%シェア持っているというようなことで、いろんなところに販売されているので大体内需と連動するという形で動いてきてはいたんですけれども、私どもの数字でいいますと、十一から一月までが数量的にはマイナス二〇%、ところが二月になりましてマイナスの三五%。これはひどいなというふうに思っていたんですが、三月の途中からぐらいですかね、若干上向き始めたかなというような感じで、三月はマイナスの二五%という昨年対比になってきております。
 それだけ悪いので、どんどん周りはつぶれるんじゃないかというふうに懸念していたんですけれども、この辺から政策への感じ方になるんですが、案外つぶれていないんです。何で案外つぶれていないのかというところなんですけれども、一つは、やっぱりセーフティーネットがかなり効いているというような感じは持っております。私どもも、日本政策金融公庫ですね、前の中小公庫さんですけれども、取引がありますが、そこの方々とお話ししていますと、この一―三ですね、その一―三で取り扱った案件数が、一年分取り扱ったと。要するに四倍取り扱ったということなので、こんな形で「セーフティネット貸付のご案内」とかもたくさん出ていますけれども、そういったものが、かなり皆さんお使いになったというふうなことかなというふうに思っております。あとは、周りを見ていても、雇用調整の助成金ですね、これ、かなり緩やかな形になりましたので、私どものお客さんでも、感覚的には大体三分の一のところは使っているかなというような感じであります。そんなことで、思ったよりはまあまあつぶれないで来ているというような感じであります。
 そういったところで何とか過ごしているというところですけれども、全体的にやっぱり仕事が減っているということで、私どもとすると、こういった形でもっと仕事づくりにつながる施策を展開できないだろうかというふうに感じていることが何点かございます。
 今、新連携ですとか、それから地域資源活用プログラムあるいは農商工連携と、いろんな形での施策が展開されております。それが、大体規模的には五年間で五百件とか一千件とか、そういった規模をねらってみえるわけですけれども、私どもとすると、もっと一けた多いような形で、イメージで、いわゆるハードルも低くし、また案件を増やしていただく、あるいは前倒ししていただくというような形が取れれば私どもも非常に活躍の場も増えてくるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、環境対策ですね、これ、特に中小企業とどうやって力を合わせて環境対策をやっていくのかということはなかなか難しいところはございますが、私どもの会、同友会の方でも、CO2の削減については会全体でコンペやろうというようなことも、お話も出ておりまして、今回の改正案の中にもある資源の生産性向上に対する施策なんかも非常にいいものだなというふうに感じております。
 あと、提言の中で一つお話ししておきたいのは、いろんな政策とか法律規制がこれからも出てくるわけですけれども、それを決めるときに、中小企業ですね、中小企業への影響を事前に考慮して立案していただきたい。
 ヨーロッパ、EUの方では、そういったことを明記した小企業憲章というのがございまして、そういったものが日本にもでき上がってくるといいのになというふうに思っています。EUの小企業憲章も、雇用の源泉とかあるいはビジネスアイデアの宝庫とか、そういったところで小企業のことをとらえておりまして、それを大切にするというところでEUの全体の経済は発展するというような考えからそういったものができているということでございます。そういう中で、それに近いものが日本でもできて、できれば中小企業省への昇格、あるいは中小企業担当大臣とかいうような形が実現すれば本当にうれしいなというふうに思います。
 こういったことを申し上げるのは、実は、中小企業が苦しいから助けてくださいという、そういう意味ではなくて、やはり我々があることによって日本全体、国民一人一人が例えば生き生きと働くことができるという、そういう場が確保できるんだろうなというふうに感じるんですね。
 例えば、身近な例でちょっとお話しいたしますが、私どもの経営者仲間でもいろんな業種の方がおりまして、例えば交通警備ですね、工事なんかやっていると交通警備をやっている方がいらっしゃるので、そういう会社を経営している経営者の方が何人もいるんですね。そういう方のお話聞きますと、私たちのところに入ってくる人というのは、まあ言い方は悪いけれども、もうはしにも棒にも掛からないと。大体、面接に来るとなったらサンダル履きが普通で、ネクタイ締めてくる人はほとんどいないと。ちょっと遅刻すると、怒られるのが嫌だから無断で休む。そういう方しか来ないんだよと。
 だけどと言うんですね、だけど、そういう人たちだって好きこのんでそういうふうになっているんじゃないんだと言うんですね。この辺は私もびっくりしたんですけれども、そうじゃなくて、やっぱり生まれや育ちやいろんな挫折みたいなものがあって今のこういう形になっている。そのことに対して理解を我々は持って、そういう方たちでもどうやったら仕事に対してやりがいとか働きがいとかいうふうなものを持てるようにするかと、そういうことを一生懸命考えて今やっているんですよと。そうしないとまた中小企業は生き残っていけないんだ、そんな話をされているんですね。
 そう考えると私どもなんかはまだ非常に恵まれている方で、そんな方は、要するに生きることに本当に不器用なみたいなそういう方は入ってはきていないんですけれども、そういう方でもそういうやりがいを持って働ける場が用意されている、そういう場が中小企業の存立の一つの大きな意義なのではないかなというふうに思います。そういう中小企業が、何らかの形でほかの影響を受けてどうも立ち行かなくなってしまうというようなことがまずないような形で事前配慮をお願いできる、そういう仕組みをつくっていただければというふうに思っております。
 最後、この改正案に対しての、これについては、多少御意見申し上げますと、一つは株式会社産業革新機構についてというところですね。これの事業の目的というのが、金融危機の結果でイノベーションを支えるリスクマネーが世界的に不足しているというところからこういったことが必要だろうというような意図で、この辺大変すばらしいなと思っております。ちょっと気が付いたところでは、投資対象のイメージのところが、ベンチャーがあって大企業があって、我々みたいな既存の中小企業のところも、多分意識はされているんですけれども、この表現の中には入ってきていないので、その辺十分に配慮いただければというところを一つ感じました。
 それから、資源生産性向上策の追加ということで二点計画がございますが、ぱっと拝見して、ああ、これもっと早くやっていただいたら、うちで入れたあの照明設備はもっと何かおいしいものができたのにというふうに思ったんですけど、本当にいいなと思いました。それから、CO2の削減、我々も取り組んでいますけれども、ここで示されているような資源生産性という考え方ですね、これ非常に合理的だなということで、できれば会の中にも取り入れてやっていきたいというふうに考えたのと、その政策的な支援ですね、これがかなり広範囲にわたっているという印象がありまして、非常にうれしく思っております。
 それから、指定金融機関の出資に対する損失補てんですね。これは、現状セーフティーネットで助かっていても、それがずっと助かっているというわけじゃなくて、やっぱり二次的、三次的な対策を考える必要があると。そういうところでこういった損失補てんの制度があるということが絶対必要になってくるだろうと、逆に言うとこれは急がなきゃいけないなということを感じております。
 あと、最後、中小企業の再生の更なる円滑化というところで第二会社方式というような御提案がございますけれども、これはやっぱり優良な企業が地域経済の活力とか雇用を維持するということが重要と、私どもが意図しているところはまさにそこでございまして、地域になくてはならない会社でありたいと。だけれども、どうしても立ち行かなくなった場合には事業だけでも残してという道を探るというようなことで、これについて大変私どもも評価しているところでございます。
 以上、簡単ですけれども、意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
#13
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の進め方でございますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に質疑をしていただき、その後は自由質疑といたします。
 なお、質疑時間が限られておりますので、参考人の皆様には大変恐縮でございますが、御答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。
 また、すべての参考人の皆さんに質問ができないかもしれませんが、その点もお許しいただきたいと、そう思います。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○中谷智司君 民主党の中谷智司です。
 参考人の皆様方には、御多忙のところ本委員会へ御出席賜り、感謝を申し上げます。貴重な御意見を本当にありがとうございました。大変参考になりました。
 参考人の皆様全員に共通の御質問をさせていただきたいと思います。
 皆様方のお話を伺って、日本経済のとんでもない厳しさを改めて認識をいたしましたが、私は政府の日本経済に対する認識は余りにも甘いと思っています。GDPの成長率を見ても、日本は年率換算マイナス一二・一%となっていて、欧米各国よりはるかに大きな落ち込みをしています。その上に、先ほど皆様方がお話をされたような厳しい現状にもかかわらず、二〇〇九年度GDP成長率の見通しをゼロ%としています。
 先ほど金子勝参考人が、危機を危機だと思っていないことが危機である、こういうふうなお話をなされていましたけれども、経済に対する認識の甘さはそのまま経済政策の甘さにつながり、最終的には企業経営者やあるいは働く方々、そして一般生活者を苦しめることになります。現状を正確に認識して現場の思いを政策に練り上げていく、そういう必要があると思っています。
 そこで、本法律案が現状を踏まえた皆様方の現場のニーズに合った内容になっているかどうか、御見解をお聞かせいただきたく思います。法律案やあるいは政策は、内容が良くても現状に合っていない、運用面が良くない、使い勝手が悪い、活用しづらい、こういうことでは不十分です。足りない点や、ここをこうすれば良くなるなどの御意見をそれぞれのお立場から、現場の視点でちょうだいできると有り難いと思います。
 金子参考人には、経済学者の視点でこういうことが起こり得るのではないか、そういうふうな御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#15
○参考人(山崎敏邦君) 私、総じた意見といたしましては、今ここで考えられている法律案については非常に私どもの産業再生、企業の再生、維持に役に立つというふうに考えております。
 ただ、これも先ほどちょっと申し上げましたけれど、その適用に当たってはなるべく柔軟に考えていただきたいなと思っております。目的が日本経済の再生と事業の継続、雇用の確保ということであると考えておりますので、そういう意味では、この運用に当たって非常にその認定が厳しくなると結果的にそれ自体の効力が損なわれてくるというようなことになるのではないのかということでございまして、やはりそういう意味では、基本的な認定に際しては柔軟な対応を是非お願いを申し上げたいということでございます。
 いろいろと、例えば損失補てんの話だとか第二会社の話であるとか、それから投資の話とかいろいろございますけれども、基本的に押しなべて申し上げますと、こうした施策は私どもにとっては非常に有益であるというふうに考えております。
#16
○参考人(逢見直人君) まず、日本経済の厳しさに対する認識という点で申しますと、昨年の十―十二月期のGDP統計が出るまではまだ政府においてもそれほど厳しい認識はなかったのではないかと。この年率換算一二・一というのはOECD諸国の中でも韓国に次いで日本は下から二番目という状況であって、先進国の中でも実体経済への影響は非常に厳しく出ているということだと思います。それに対する認識の甘さというのは否めないんではなかったかと思います。
 その上でこの法案についてでありますが、日本が九〇年代にバブル崩壊後の長期不況の中で取ろうとした政策の中で、当時三つの過剰ということが言われて、過剰設備、過剰債務、そして過剰雇用と、この三つの過剰をできるだけ早く取り除いていかなければ日本経済は再生できないんだということがございました。
 設備やあるいは債務というのは、言わばこれは物と金でございますから、処理するということは可能なんですが、雇用というのは、どこかで削ってもその人が別の場所で雇用されなければ、その人の生活の場を失うことになるわけです。したがって、債務や設備の過剰とそれから雇用の過剰というのは持つ意味が違う。そういう意味で、当時のバブル崩壊後取った中で、雇用についての配慮が欠けた部分があるんではないかというふうに思います。
 そういう意味で、今回のこの金融危機あるいは経済危機を乗り切る際に、やはり雇用をどのようにしていくかと。もちろん、その当該企業で抱えられないという部分はあると思います。だけど、それは別な形で雇用を救済するということをやらなければ国民生活に大きな打撃がある。そういう教訓を生かした再生にすべきだというふうに思います。
#17
○参考人(金子勝君) 私は現場といっても机の上ですので。
 まず、日本経済の落ち込みが非常に大きいということについては先ほど述べましたので繰り返すことはありませんが、少し私が今懸念しているのは、アメリカの金融処理が極めて日本に似てきたということであります。時価会計主義の適用を見送り、ゴールドマン・サックスもニューヨーク・タイムズによれば十二月の決算を飛ばしていると。それから、ウェルズ・ファーゴも時価会計を適用するというか、評価損を計上を遅らせて表面上非常に会計を良く見せていると。ずるずるとした公的資金の投入なり、不良資産の買取りというのが続けられる可能性が高まってくる。
 そうすると、残念ながら急激な回復シナリオがないかもしれないと。その中で、このとりわけ厳しい落ち込みというのを考えるときに、二、三年で終わるというふうに考えるのか。ひょっとすると長引いた場合にでも、実際に被害を少なくする政策と、将来に向かって新しい成長軌道に乗せる政策の両方をしっかりと今の時点で整えておく必要があるんではないかというのが私の考えです。経済学にはこういう戦略的な思考は必ずしもありませんが、これは経験則というか、日本の事態からの経験則でそういう判断をしているわけです。
 もう一点、そういうふうに考えると、資源生産性という概念は極めて美しいのですが、世界的なレベルでいえばこういったことはもう既に当たり前なので、言葉だけがそういう形で動いているのは私はいかがなものかなというのが正直なところです。
 具体的な政策の次元でいえば、規制や助成で極めて強力に産業を引っ張ろうとしている政策が行われている。例えばアメリカは、連邦レベルを見ているとよく分かりませんで、カリフォルニアでは商業用のビルを建てるとすべて自家発電をしなければいけない、再生エネルギーをつくらなければいけないという義務付けが行われたり、さらに自動車レベルでも単なる排ガス規制ではなくて、生産工程も含めてCO2全体にキャップを掛けるというような強い規制によって投資を誘導するという、そういう政策に出てきています。
 それは、多分、電卓その他に見られるように学習効果によって、急激に市場をつくったものが早い者勝ちで生産コストが落ちるからなんですね。つまり、規模をどんどん市場をつくっちゃった方が生産コストがおっこって、それだけ有利になるというこの産業の性格で、この金融危機においてはだれがそれを先んじるかというところで厳しい国際競争が行われているんだと思います。
 その意味でいえば、資源生産性という言葉はよろしいんですが、じゃ、どういう誘導政策をするのかというレベルで今国際的に争われているのであって、そういう意味では、私はこれでは世界的なレベルでは戦えませんし、雇用を創出する力は極めて弱いと判断せざるを得ない。
 最後に一点申し添えれば、この時代に道路に六兆円固定されている予算があって、一時的な対策がこういう産業政策であったり医療や福祉や子ども手当であったりするというのは、政策論として見れば極めて異常であると。二、三年して戻ったとしても、これでもう立ち行くんだろうかと。そういう意味では、根本的な財源の組替え、産業戦略の組替えということを切に望みたいと。日本経済の将来ということを考えると、私の個人的意見ですけれども、私はそういうふうに思っております。
#18
○参考人(広浜泰久君) まず、認識の甘さという件なんですけれども、今現在は製造業を中心に売上げがどおんと落ちていますけれども、その前の段階で何があったかといいますと、資源価格がぐわっと上がりまして、それに対して価格転嫁ができないという、いわゆる売上単価のDIと仕入れ単価のDIが過去最大に開いてしまった、そういうのが私どもの景況調査の中であったんですね。その後にこの売上げのどんという落ち込みだということで、相当に各社とももう体力は弱っているという現状だということも併せて御認識いただければなというふうに感じております。どうしてもいろんな動きの中で中小企業にしわ寄せが来るんだと、しかし本当はしわ寄せが来ない形にしなきゃいけないんだなということを感じております。
 それから、中小企業における設備ですとか資金、改めて調達するというのは大変に難しいことで、人材につきましてもなかなか優秀な人がたくさん入ってくるというわけではない、だから今の雇用は本当に大切にしたいなということで、こういった中小企業が健全に存続するというのはやっぱり国の財産を守るということとイコールではないかというふうに私自身は考えております。
 そういう意味で、今回の法律、できる限り早く改正それから実施という形に結び付けていただければということを念願しております。
 以上です。
#19
○中谷智司君 ありがとうございました。
#20
○荻原健司君 自由民主党の荻原健司でございます。今日は、四名の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。
 早速御質問に入ってまいりたいと思いますが、まずお二方に御質問させていただきたいと思います。
 まず山崎参考人に、経団連で金融制度委員会の企画部会長さんというお立場ですけれども、金融について少し御意見をいただきたいと思いますが、まず、この度の世界的な金融危機というのは、やはり市場経済、これは自由放任にしておけばいいんだという信仰というんでしょうかね、そういうものが打ち砕かれたものかなというふうに思います。特に金融においては問題はあったと言わざるを得ないわけなんですが、やはり今後はこういうものをしっかり国際社会で監視をしていくということが大変重要なことだと思います。やはり規律ある市場経済の構築ということが大変求められているんだと思いますが、いずれにしても、この危機を救済する手段として、政府は慣例にとらわれない大胆な財政出動あるいは金融対策などを打つ必要があると。実際、私はそのような対応をしているというふうに思っておるわけなんですが。
 まず、そのような中で、今回のこの世界的金融危機を通じて、金融業界に対して何か御意見というんでしょうか、金融業界は今後どういうふうに取り組むべきであるのか、またどうあるべきなのかと、そんな御意見をいただければと思いますし、加えて、今いろいろと政府の金融対策についての御意見をいただきましたが、プラスして何か更にあればいただければと思います。
 続いて、御質問だけ先に申し上げさせていただきますが、お二方目は広浜参考人にお話を伺いたいと思います。中小企業家としてのお立場で、いろいろな現在の状況、大変厳しい状況ということでお話をいただきました。多分、今なかなか仕事がない、資金もない、原材料高というようなこともあって、二重苦、三重苦のような大変本当に厳しい状況なんだろうというふうに思います。
 その中で、私、見方を変えれば、確かに仕事がない、資金がない、非常に大変な状況だと、ただ、時間はあるのかなというふうに思います。その中で、今こそ日本の物づくり産業、日本のすばらしい産業技術というんでしょうか、研究開発を進める、技術開発を進める、そういうことがやはり私は今やるべきことかなと。そして、徐々に世界経済が回復してきたときに、いやいや、日本はすごい技術を、何というんでしょうか、技術開発をやってきたなと。どんどんどんどんリードしているようなやはり状況をつくっていくべきだと。もちろん、これはやはり政府が政策的にしっかり対応していかなきゃならないんだというふうに思います。その中で、中小企業が今だからこそできること、あるいはやらなければならないこと、そしてそれについて政府がどういう手助けをすればいいのか。るるお話いただきましたが、また加えてお話をいただければと思います。
 もう一点是非お伺いしたいのは、特に昨年は資源高が大変厳しい状況だったと思います。特に広浜参考人は御自身の御事業でいわゆるスチール、鉄を扱っていますから、これも厳しい状況だったんだと思いますが、これをどのようにして乗り越えたか、どのような対策を打たれたか、お伺いをしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#21
○参考人(山崎敏邦君) なかなか難しい御質問なので答えるのが、的確にお答えできるかどうかということはちょっと危惧するわけでありますが。
 確かに、おっしゃられるように、今まではいわゆるマーケットで決めるものが何でも正しいんだというふうになっていて、世の中全体がそういうことにある部分信認を置いていたということは事実だったと思います。
 確かにマーケットで決まったものは正しいんですが、じゃそのマーケットに参加している方々のビヘービアはフェアなのかというと、簡単に言うと自分さえもうければいいんだと思っている人の行動で実はマーケットができ上がっていたというようなことが今までの過去を振り返ったときの反省点ではないのかなと思います。
 サブプライムローンを証券化して売るなんというのはいい例ですけれども、お金を返せない人にお金を貸すこと自体本当はおかしいわけですけれども、それを今度分からなくして売ってしまって、自分はそのリスクから逃れて、それで人にリスクを押し付けると。もらった方はどれだけリスクがあるか測りようがないというのが現実に起きたわけですね。そういう取引がまかり通っていて、逆にそういうことをした人がたくさんの給料をもらうような仕組みに今までなっていたということは、やはり私は問題だったのではないのかと思います。
 そういう意味で、基本的にそういうことをコントロールするような仕組みというのがどこかにないといけないんだろうなと。しかも、今はボーダーレスですから、アメリカでそういうものをつくってそれを世界中で売ってしまうわけですから、日本で買う人はそれがどういったものか実はよく分からないで、利回りが高いから余資の運用でただ買うということになっているわけですね。大学の基金でもそうですけれども、本当のリスクを測りようがなかったわけですね。だから、そういうことについてきちっと評価できる仕組みがない限りは、そういうものが金融商品として売られるようなことがあってはいけないんだというふうに考えます。
 そういう意味で、確かにそこについての、どういうふうに規制をすればよいのか、私自身には今確たるものはございませんけれども、是非そういうことについての御議論をいただいて、制度化をしていただければなと思っております。
 それから、あと、今の当面の金融の面では、昨年来、実は非常にマーケットが混乱をして、長期資金も短期資金も社債も銀行借入れも、なかなかすべて取れなくなっているような状況がございましたけれども、おかげさまで例えばCPを政策投資銀行さんが買っていただけるとか、そういうようなことがございましたので、そういう意味では少し改善されて十二月は乗り切れたと。三月末はどうなるかということで一時世の中では心配をされておったわけでございますが、結果論としてはそれなりに対応して、一応、倒産件数は若干多いですけれども、それなりに乗り越えてこれたと思います。
 もう一つやはり我々心配しておりますのは、これから連休ぐらいのところになると大体各社の決算発表が出そろってまいりますので、先ほどの景気の認識と同じことが起きますけれども、何だ、こんなに悪いのかみたいな話になったときに、当然格付も下がってくる可能性もありますし、それからいわゆるマーケット自体がシュリンクするということもございますから、そういう意味でのファイナンスについてのかなりディスアドバンテージというか、マイナス面が出てきて、更にその問題が起きてくるということは考えられなくもないのかなということで、今ここで議論されておりますようなこういう特別措置法を是非早急に御成立いただいて、そういったときに備えるように、機能するようにさせていただければなと思っております。
 以上でございます。
#22
○参考人(広浜泰久君) 先ほどお話いただきましたように、確かに今、時間はあるんですね。私どもも社内の人間に話しているのは、こういうときだからこそ、こういうふうに進めなきゃいけないという今まで進めてきたこと、それを更に前倒ししてやろうよという話をしております。メーカーですので、いいものを早く安く、そういうこともできる仕組みをつくる、あるいは品ぞろえのことですとか技術サービスのことですとか、我々がテーマとして掲げている方針がたくさんあるわけですけれども、それをもっともっと早くやっていくと。そのことがいずれこの業界を背負っていくというそういう役割を私たちは担っていく、そのときにちゃんとその期待にこたえられるようなものを今のときに用意しておこうということでお話ししております。
 そういう中で、行政の方々とかそういったところに御期待申し上げるのは、いろんな仕事づくりの施策が提案されて、今なされているんですけれども、どうも中小企業からするとハードルが若干高いなというところがございまして、頑張る中小企業がもっと気楽にそういう施策を活用できるというようなものが実現できるとうれしいなというふうに思っております。
 それから、もう一つの資源高の件ですけれども、私どもの会社でいいますと、おかげさまでというか、ほぼ一〇〇%価格転嫁させていただいたんです。それは業者も少ないということもございますし、いろんな差別化をずっと進めてきたので、うれしくはないけど、まあヒロハマさんと付き合ってなきゃしようがないからみたいなところで認めていただいたんですけれども、お客さんの缶メーカーさんはなかなかそうはいかなくて、その先のユーザーさんがみんな大会社ということもありますので、大体全体に対して六割、七割ぐらいしか価格転嫁できなかったと。じゃ、その転嫁できなかった分をどうしたかというと、ごく一般的に行われていたのは賞与は出さなかったよというような形で、結局働いている人にしわ寄せはかなり行ったんだなということは身近に感じているところでございます。
#23
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。よろしいですか。
#24
○荻原健司君 はい。
#25
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。本日は、四人の参考人の皆様、大変お忙しい中を当委員会にお出ましをいただきまして、本当にありがとうございました。
 まさにIMFの世界経済見通しマイナス五・八%、残念ながら独り負けということが正しい、そうであると現状思います。サブプライムローンを買わなかった、実はしり込んだんです。先の見通しがなかった、それが幸いしたと言えるかもしれません。世界は今、ちょっとさっき、この現状を危機だと思っていないんじゃないかというような御発言もありましたけれども、今この現状を危機だと思っていない人はいないと思います、私は。しかし、この危機をどう対処していくか、乗り越えていくか、これが問題なんですね。
 それで、日本はしかしここまでは行かないだろうと思っていたと、世界は。なぜならば金融機関が傷んでいない、だからここまで落ち込まないだろうと世界は思っていたと。ところが、残念ながらこういう状況になった、これは現実であり、まさに私は産業構造というものそのものの変化というものをもう求められている。
 これは個人的な見解ではありますが、与党であろうとも、金子先生の厳しい例えば今日の御指摘は私はしっかりと伺わなきゃいけない、もちろん反論するところも、いろいろしたいところもあります。新エネ、省エネも私どもがしっかり進めていかなきゃならないと思っている。しかし、イギリスやアメリカなどは、原発を造らないと言った国が、もう今の現状、CO2を出さない、いろんな状況で造っていくという、こういうふうに転換をしていると。こういうことを考えたら、全く新しいものにすべて転換するというのはもう莫大な費用と時間が掛かる、こういうことも、現実も見ていかなきゃならない。
 ですから、与党で政策を進めていくということは、そうした理想とそして現実のはざまの中で揺れ動きながら、一刻でも、この現状を救っていく使命があるということで、大変な状況であるということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 金子先生、一つだけ。弱みを強みに変えていく産業戦略を基本的に、私もそれはもう本当にそう思っているんです。例えば、いつもiPodの話をするんですけれども、これなんかもアップル社の、六五%中身東芝製です。外は燕市が全部研磨、磨く、これ全部一手に新潟県のこれがやっているんですよ。にもかかわらず、ほとんど利益はあっちへ行っちゃっている。あるエコノミストが最近指摘しているんですけれども、社員一人当たりの時価総額を計算すると、例えばトヨタは四千百五十四万円、ソニーが千三百四十一万円、アップル社は約三億二千四百万円、これだけの差があるわけですね。いろんなところで、日本はもうまさに世界市場の中でこの技術立国を目指すのであれば、物づくり目指すのであれば、こういうところも全部見直していかなきゃいけないということは私も分かっております。
 そこで、先生、エネルギーと食料があって物質系としての経済がある、そこから組み立て直すべきと、こう書いていらっしゃる。これについてちょっと解説というか、どういうことであるのかということを先生にお伺いしたいということと、時間の関係で、私は広浜参考人のお話は非常に勇気付けられました。
 中小企業は九九・七%、また雇用の七〇%は中小企業です。ここに何とか私どもも雇用も守っていただきたい、だから雇調金、更にここもしっかり活用できるようにした等々があります。今回の産活法の法改正では、資源再生性の向上、オープンイノベーションの促進、事業再生、資金調達の支援などを盛り込んだんですけれども、これに対して中小企業としてどう感じていらっしゃるか、両先生にお伺いしたいと思います。
#26
○参考人(金子勝君) 危機だと思っていない人はいないというのはそのとおりかもしれないんですけど、今の世界的な金融危機に伴って日本の落ち込みがすごく激しいということもそうですし、それから、我々は中学校、高校で貿易立国と習ってきて、工業製品を輸出してエネルギーや原材料や食料を買ってきたと、これで高度成長を維持してきたんですが、昨年の夏から貿易赤字状態が恒常化してしまっていると。ひょっとすると回復しても以前のように大幅な黒字が蓄積できないかもしれないということになった場合に、私たちにとっては、エネルギーが非常に海外に依存して、石油に依存し、かつ九割中東に依存しているであるとか、食料を大量に外から買わなければいけないという事態は、この国にとっては国家戦略上非常に弱点になってしまっている。
 こういうところをもう一度発想を転換して、常にサービス産業の生産性を上げるという名前でこういう国内産業を切り捨ててきましたけれども、もう一度そこで再生をするという戦略に打って出ることによってそこを産業にし雇用に変えていくという発想が必要なのではないか。
 つまり、貿易立国というこの国の存立基盤そのものが危機になっているという発想にまず立って将来を考えたときに、我々が安いエネルギーや安い食料を買えるという前提をもう一度通常に戻して、ひょっとすると買えなくなるかもしれない、じゃ、ここでこの国家的なリスクを軽減するためにどういう産業をつくりそこで雇用をつくるかというふうに積極的な方に変えていくと。ちょっとスポーツ用語で言えばカウンターアタックのような、そういう発想がまず求められていると。
 そのときに、エネルギーに関しては莫大な費用が要るわけではないんです。これが重要な点で、原発といった場合に、柏崎刈羽の問題も含めて、日本は非常に地震多発期に来ていると。そうすると、再生可能エネルギーは、先ほど申し上げたように、規制あるいは環境税や固定価格の買取り制度など、排出権取引もそうですけど、むしろ胴元の政府に収入が上がる、それで投資が誘発されるというタイプの政策ですので、実はオバマのグリーンニューディールも、実態としては千百から千百六十億ドル部分、一五%ですね、景気対策の一五%が環境エネルギー向けにすぎないんですね。それはスマートグリッドを軸とした送配電網のようなインフラや公共建物のエネルギー効率の向上といった領域だけなんですね。
 だとすると、上がった収入を、例えば弱小のトラック業者に極めて燃費効率のいいエンジンを買わせるように助成をするであるとか、あるいは上がってきた収入を、福祉に回してももちろんよろしいんですが、もっと戦略的な形でそれを使わせたり、環境税の場合であれば、ヨーロッパの場合であれば、特に重くなるような製鉄その他とは交渉しながら、まさにここに出てくる資源効率性を上げる方向に誘導するような政策を行ったりするというような政策的な工夫が行われていると考えられます。ドイツの場合には、社会保障の負担を落とす代わりに環境税を重くする。そうすると、人を切って効率性を上げるよりは、エネルギー効率を上げることによって生産性を上げる方に企業を誘導してやるというような税体系、負担の体系の組替えによってそういう方向へ持っていってやるというような様々な政策的な工夫が行われております。
 今は、資源生産性を上げていくという概念はこの法律によって入ったとしても、それをいかに有効にするかという国際的なレベルでの政策的な競争、ここで必ずしも支出の多寡に左右されない支出をしっかりやっていく。
 農業についてはちょっとこの委員会で十分に議論できないと思うんですが、私は、六次産業化というものの基になるような、自著で「食から立て直す旅」というのを書いていまして、地域を面として流通や加工も含めて再生、規模だけでやるような、いわゆる品目横断的な経営安定政策のようなタイプの政策ではない、地域を面として、流通や加工を軸として個別農家が成り立っていくような経営の在り方というのを追求すれば十分に雇用の機会は生まれてくるというふうに思いますし、地域経済の底支えになっていくだろうというふうに考えています。
 ちょっと長くなって申し訳ありません。
#27
○参考人(広浜泰久君) この法律案に対しての意見なんですけれども、二つありまして、一つは、我々も今セーフティーネット等がかなり利いていて取りあえずは生き延びているという会社が多いと思うんですけれども、この先、二段三段のやっぱり危機というか、そういったものが非常に懸念しているところなんですね。
 そういったときに、こういったものが早く法制化されていて、これが使えるよという形に是非していただきたいというのが一つで、併せて資源の生産性の向上それから内需拡大というところもかなりポイントがあると思うんですけれども、実際に役割を果たしていくのは、結構中小企業がその役割を果たしているというのがあって、中小企業の仕事づくりにもかなり効果があるのではないかというふうに考えておりますので、そういった意味でも早くやっていただければというふうに思います。
 あともう一つは、進めていく段階では周知を徹底するということとそれからハードルを下げていただくということ、その辺が両方必要かなと思うんですね。
 私どもの身近なところでいいますと、ちょっと前になりますけれども、経営革新支援法というのがありまして、これはかなりおいしいぞということで私どもも使わせていただいているんですけれども、会員なんかに聞いてみますと、そういうのがあるのということで、ずうっと知らないでいるという方が結構多かったんですね。やっぱりそういう意味では、周知を強めていただくということと同時に、認定のハードル、それを下げていただくということを御配慮いただければというふうに感じております。
 以上でございます。
#28
○松あきら君 ありがとうございました。
#29
○松下新平君 改革クラブの松下新平と申します。
 四名の参考人の皆様、それぞれのお立場から貴重な御意見をありがとうございました。財界でもなく官僚でもなく、政治のリーダーシップ、我々は重く受け止めております。
 そこで、私からは金子参考人と広浜参考人にお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 まず、金子参考人の方ですけれども、レジュメにもありましたけれども、小泉構造改革のツケ、私もその点は同感でございます。いわゆる輸出依存によってもろい日本経済構造、これが露呈してしまったと。外需に頼り過ぎてしまったツケが回ったということでございます。本来、産業を転換すべきところタイミングを逸してしまったと、これが今回の金融危機に拍車を掛けたと、日本経済のダメージが大きかったということでございました。改めて、この内需拡大に対する取組の必要性についてお述べいただきたい点が一点。
 もう一点が、このレジュメの六番目、Eに、不況が長引く可能性について指摘されていらっしゃいます。日本経済の見通しについて、併せて御意見をいただきたいと思います。
#30
○参考人(金子勝君) 後者の問題はすごくデータがたくさんないと説得力がないと思いますが、一つは、先ごろのG20の金融サミットでIMFの資金強化が行われたのは、実は大恐慌と比べてみると幾つかの特色があるうちの一つが、国家レベルのデフォルトが起きる可能性というのが非常に現実化してしまっている。アイスランド、アイルランドは相当にもう厳しい状況、東欧の通貨価値が非常に落ちる状況で資金強化を求めるというようなことが起きて、G7では金がないので、中国にある種IMFの人事を一部渡すような交渉が恐らく行われて資金を出させて、そしてデフォルトの連鎖を止めなきゃいけないということが起きた。それからもう一つは、世界的な金融機関が、大恐慌のときと異なって、すべて国有化、公的資金の救済対象になっている。大恐慌のときは中小銀行のドミノ的な連鎖破綻現象であったのに対して、そういう現象が起きている。それから、資源インフレと資産デフレが同居して不況が始まり、絶えずそういう潜在的な危険を抱え続けているという、これも大恐慌期にはない不況が長引くかもしれない要因というふうに考えられます。
 もちろん通貨統合ないし通貨防衛の地域協力というのも非常に進んでおりますが、こういう、百年に一度と言いながら、大恐慌とは極めて違った、似て非なるグローバル化した下での新しいタイプの同時不況というものは連鎖をしておりますので、ヨーロッパは東ヨーロッパに一・六兆ドル貸し付けておりますし、それが焦げ付けばたちまちドイツを中心にして更に金融危機が波及するとか、それからアメリカの場合に、アメリカが納税者の負担で世界中に証券化商品をばらまいたので、それをカバーしないと、世界的な金融機関が、アメリカ金融機関だけではなく一緒に落ち込んでしまうというような事態になってしまうと。
 そういうふうに考えると、アメリカの中で、経済学者の中でポール・クルーグマン、ジョセフ・スティグリッツ、あるいはMITのサイモン・ジョンソン教授らの著名な経済学者は、一時国有化やむなしという意見に傾いてきております。片方で、経済学者の主流は依然として今のようなずるずるの案を支持しております。二つ分かれた意見になっておりますが、私は前者の意見、強力な処置でやらないと信用収縮が止まらないし、日本と同じように損失処理に追われてずるずるになってしまう可能性がある。残念ながら今の状態は、三月二十三日に公表されたガイトナー案も含めて、どうも日本と同じようにメスが入らないというんですか、そういう形でずるずる処理なんではないか。
 金融を血液に例えて景気対策を筋肉に例えると、血液が通らないのに筋肉にカンフル注射を打っているだけでは全然駄目なのは日本の事態で明らかなわけですね。そうすると、環境エネルギー革命という筋肉へのカンフル注射と、金融、血管を通す手術が両方相まって急速に世界経済は回復に向かっていく可能性を持っているんですが、残念ながら片肺飛行の状態にあるんではないか。そういう意味では非常に危険な状態だと。
 そう考えると、単に雇用を創出するだけではなく、雇用や社会保障を充実することによって底割れを防いでいくような底堅い消費を形成していくということがとても重要になります。残念ながら大恐慌とは似て非なる、百年に一度と言われますが、非常に戦後最大の金融危機が起きている状況で、構造改革は例えて言えばルーズベルトの前にあったフーバー政権の市場原理主義的な政策によって不況を深刻化させてしまった。その一つが格差の拡大、雇用や社会保障の破壊、あるいは地域の格差の拡大によって内需が底割れをしてますます輸出依存になってしまうという悪循環構造をつくってしまった。その意味では、もし不況が長引くならば、この内需を固めるような雇用と社会保障を固めていかないと経済もうまくいきませんし社会ももたないというふうに私は考えております。
 ちょっと長くなりました。申し訳ありません。
#31
○松下新平君 ありがとうございました。
 内需の拡大について、また研究を深めてまいりたいと思います。
 続きまして、広浜参考人にお願いいたします。
 先ほど意見発表の中でEUの小企業憲章の話に触れていただきました。やはり、日本の社会はどうしても勝ち組、負け組がはっきりしてしまうと、そして、いろいろ潜在的な力が何らかのふるいに掛けられて発揮できないという人たちがこれからの日本を大きく支えていただくべきだというふうに私も思っております。
 そういった意味で、中小企業省そして中小企業大臣の話をされていらっしゃいましたけれども、その思いについてもう一度お願いいたします。
#32
○参考人(広浜泰久君) 今、先ほどの御質問の中にも内需拡大のお話もありましたけれども、中小企業で働いている方というのは全国で七割、八割、大体いらっしゃるわけですね。
 先ほどもお話ししたように、景気がいいときでも余りその恩恵にはあずかっていないと。景気が悪くなるとそのしわ寄せは全部そこに来るということになって、要は中小企業で働いている七割、八割の人が給料が減った、賞与がなくなったというような形で、これは内需拡大できるはずがないんですよね。そこにやっぱり視点をもっともっと強く置いていただく必要があるのではないかというふうに思います。
 大企業がかつて戦後最大の利益をばあっと出した、だけれども中小企業は全然潤っていないと。そういった状況がない、みんながやっぱり公平な競争の状態の中にあって、仕事を通じて社会に貢献するという役割を果たしたときに、それなりのリターンもしっかりとあるというような形を仕組みとしてつくっていただくということが必要で、そのことをEUの小企業憲章の中では、まずその辺の小企業に対する配慮というのを考えながらいろんな施策を考えていきましょうということがうたわれているので、是非そういったものの制定をお願いしたいところでございます。
#33
○松下新平君 ありがとうございました。
#34
○田中直紀君 無所属の田中直紀でございます。今日は四人の参考人の皆さん、どうもありがとうございます。
 急転直下の景気の悪化ということで、雇用問題、現下の最大の課題だと思っております。逢見直人参考人は大変御苦労があろうかと思いますが、先ほどの法案の関係では、会社分割については労働者の保護が若干あると、しかし事業承継についてはその縛りがないんで大変心配だと、こういう御発言でありました。この法案を今から修正するというわけにはいきませんので附帯決議を付けると、こういう事態になっておりますが、足りない点をもう一度御指摘をいただいておきたいと思います。
 それから、その関連で、第二会社方式ということで、中小企業、何とか今乗り越えておられるという御発言が広浜参考人からございましたが、これから第二、第三の大変厳しい状況も予想されるという中にあって、事業継承をするとか会社分割をするということが中小企業に適用されるのかなと、若干そんな運用上の問題もございますので、法案に関係してお聞きをしたいと思います。
 外需から内需へというお話であと金子参考人、山崎参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 山崎参考人には、鉄鋼業は高炉からどんどんどんどん外国へ、ブラジルだ、東南アジアだと外に出られるような計画が打ち出されておりますが、内需拡大にとってどうなんだろうかなと。日本の技術をどんどん出したことによって中国が鉄鋼の生産はもう最大な国になって、日本の立場というのはどうなっているのかなと。私は、国内でもっともっと頑張ってもらわなきゃいけないと。その辺の御決意をお願いをいたしたいと思いますし、金子参考人には、内需が拡大が大事だと言いつつも公共事業はけしからぬと、こういうことでありますが、公共事業は、社会資本足りないところたくさんあるわけでありますから、学者さんから少しその認識を改めていただいて、早く景気の立ち直りをするということの一つの方策としては私は大事ではないかと、その辺の御認識を更に伺いたいと思っております。
 よろしくお願いします。
#35
○委員長(櫻井充君) 田中先生、一問目は逢見参考人ということですか。
#36
○田中直紀君 はい、そうです。ごめんなさい。逢見参考人です。
#37
○委員長(櫻井充君) 逢見参考人でよろしゅうございますね。はい、分かりました。それではまず、逢見参考人からお願いいたします。
#38
○参考人(逢見直人君) 今回の法案に関して申しますと、私自身もいろんな倒産の現場、あるいはそこで事業の再生ということに産別の組合の役員としてかかわったことがあるんですが、事業再生を成し遂げるためには、そこに働く従業員が本当に真っ黒になってやらないと事業再生成り立たない。そういう意味で、従業員の理解と協力というのは必須だと思います。そういう意味で、この法案ではそれを努めるものという努力規定になっているわけですが、やはり十分な労使協議を尽くす等のことが必要で、本当に心底、事業再生の意味がよく分かって、それでこれで成し遂げようとする、そういう従業員の力が必要だということ。そのために必要な法的な整備があるべきだということ。
 もう一つは第二会社方式で、これはスピーディーなやり方なんですが、しかし、一方の会社は清算する、いずれ清算する、残った第二会社で事業を継承するというときに、特に事業譲渡、譲渡でやる場合には雇用契約について法的には何にもないんです。当該契約の中でやるしかないんです。そうすると、非常に従業員にとって自分はどうなるんだという不安があるわけですから、雇用の承継についてきちんとした手続、ここでは認定の中にそれを入れるしかないわけですから、認定基準の中に雇用がどのように承継されるのかについてきちんと担保して、それが不十分であれば報告を求めるなり、あるいは認定を取り消すというような手段が必要だというふうに思っております。
#39
○参考人(広浜泰久君) 事業の継続といったときに資金の問題というのはいつも切り離せない内容になっているんですけれども、中小企業の場合ですと、資金の調達に絡んで必ず経営者自身の連帯保証ですとかあるいは自宅の担保ですとか、そういったことが当たり前に行われているわけです。そういったことがまた事業の承継を難しくしているということもあります。
 最近、それでも第三者保証というのが大分なくなってきたので、それは大変うれしいなと思っているんですけれども、ほかには迷惑は掛けない、だけれども会社の社長自身はそれだけの負担をいつも持っていると。そういった形が日本ではごく一般的で、今までもずっと来ているわけですけれども、そういった状態じゃなくて、やっぱり資金というのは、そういう思いのあるところから、いろんな形で調達できるんだというようなことが本来のあるべき形なんだろうなというふうに思うんですね。そういった方向に向かうためのいろんな施策があると思いますけれども、そういった施策の一環としてこういった法律が制定されるということが非常に喜ばしいというふうに私どもは考えております。
#40
○参考人(山崎敏邦君) 先ほど外需、内需というお話がございましたが、鉄鋼業もそうですけれども、私どもの会社の輸出比率というのは約四割ぐらいございます。それと同じように家電さんも、自動車メーカーさんもそうですけれども、輸出比率はかなり高くて、それが結果的に日本での雇用の確保に役に立っているということだと思います。ですから、そういう意味で、輸出をすべてやめてしまうということはその分当然仕事がなくなって日本での雇用がなくなるということを意味するわけです。
 先ほど海外展開のお話をされましたけれども、もちろん私どもも、資源のそばだとか、中国のような消費地のそばに製鉄所を造ろうというような計画を考えて公表しておりますが、これは何も日本で造りたくないからそこでやりたいと言っているわけでは決してなくて、先ほど申し上げたように、内需そのものがそんなにまず期待ができない。つまり、四割とかそれ以上のものが海外の需要で日本の雇用を守っているということがあります。
 そういう中で、本当は私どもも日本で造りたいわけですね、製鉄所を新しく。しかしながら、もちろん恵まれた労働力とかインフラとか考えますと、何もブラジルへ行って造るとか中国で造るとかタイで造るとかというのは、本当はそのメリットという意味では余りないわけです。ただ、需要そのものは海外にある。
 じゃ、日本で造ってそれどうだというと、日本は、先ほどちょっと環境の話が出ましたけど、この例の環境のことを考えると、とてもじゃないけど日本で造ったらどんなコストになるか分からぬ、とても競争力がないかもしれないと。ということになると、日本で造るよりも、そういう規制の少ないところで造った方がそれは私企業としてはペイするわけですね。だから、そういうこともあって、別に海外で造りたいから出ていこうというよりは、それ以外に選択肢が余りないということと理解をしていただければと思います。
 結果的に中国でいろいろ技術がまねされたとかいうことで、結果的にいろんなことが起きていますけれども、ただ、私どもは、私ども自身が努力をし続ければ追い越されることは絶対にないと思っております。アメリカの鉄鋼業がいい例ですけど、彼らは昔、日本の鉄鋼業の先生だったわけですが、彼らは努力をやめたんですね、研究開発の。したがって、日本が追い越してしまったわけですけど、そういう意味では日本が努力を続ける限り私はほかの国に抜かれることはないと思っておりますので、それはそれでやりますけれど、いわゆる事業展開という意味では、やはり世の中のニーズに合わせてどこで造るのが一番企業としていいのかという選択をせざるを得ないということを是非御理解いただければと思います。
 以上でございます。
#41
○参考人(金子勝君) 一つは、内需拡大という点では、多くの世論調査が示すように、人々は雇用や社会保障に対する不安を抱いております。こういう状況の中で消費が拡大するとはとても思えません。派遣労働に関しても、登録派遣のような形態は望ましくありませんし、実際に三か月契約で次々切られているような事態というのは、失業保険も受けられず、なおかつ生活保護も水際作戦で排除されているという状況では、とても恐怖心があって若い世代が元気になるはずがないと。医療や介護、年金に対しても、抜本的に将来安心できるような枠組みにすることがまず何よりも大事であると。
 片方で、私が言いたいのは、道路がなぜ六兆円近く固定されていて、そしてこういう恒久的に少子高齢化社会に備えなきゃいけない部分がなぜ一時的な景気対策の中にぱらぱら見えるだけで、人々がそれで安心するだろうかという点にあります。もちろん公共事業は大事でありますが、私は道路で固定するというような在り方が望ましいとは思っておりません。メンテナンスがなければアメリカのようになってしまいますので、メンテナンスも必要であります。
 しかし、地域へ行っていただければ分かるように、高速道路を建てても、その地元にいる中小の建設業者には利益は必ずしも及んでおりません。実際には、例えば徳島のように、すぐぱっと難波に行けるようになるというふうになると地元のデパートがつぶれるようなストロー現象も起こるというようになってきておりますので、一つは時代のニーズに合ったもの、それでいえば、先ほど言ったスマートグリッドを中心とするような送配電網や公共建物のエネルギー効率を高めるような新しい技術や新しい産業にふさわしいような公共事業に転換していく必要がある。
 それからもう一つは、もっと、地方交付税を削減するんではなく、地方が単独でできる町づくりのような、小さな事業によって地元の建設業者が参加できるような、そういう小回りの利く建設事業を展開しない限り、額ばかり大きくて地域はどんどんやせ細っていくというような今のような公共事業政策に陥ってしまうのではないかということを懸念しております。
 先ほどとの点でいえば、産業政策で東ドイツのキューセルズ、寂れた町にできたキューセルズが国の政策に猛烈に誘導されて世界一のメーカーにのし上がっていったと。ドイツの賃金は日本と同じくらいに高い賃金水準であります。それは可能であって、私たち自身がどういうふうに国の産業を定めるかということとこうした公共事業政策がリンクすることによって、より効率的な地域再生ができるというふうに私は考えています。
#42
○田中直紀君 公共事業も必要だ、予算の内容だと、こういうお話で、参考になりました。
 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#43
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより十五分程度自由質疑を行いたいと思います。
 多くの委員の方に質問していただきたいと思いますので、各委員の方、一人一問に限らせていただきたい。それから、でき得れば一人の参考人の方ということに限定させていただきたいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
 それでは、質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言願います。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#44
○津田弥太郎君 今日はありがとうございます。
 山崎参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
 先ほどの意見表明の中で、日本政策金融公庫の損失補てんのことについて、これは必要な制度であるというふうにおっしゃいました。これは、もちろんその意味合いはよく分かるんですが、過去において、住専に六千七百億円か何か入れるのでえらい騒ぎになったことが昔ありました。まあケースは全然違いますけれども、タックスペイヤーは税金が有効に使われているかどうかということについては大変厳しい目で見るわけでありまして、その点でやっぱりうまく成功してもらうということが大変大事なことなんですね。
 したがって、外れが出ないようにするにはどういうふうにしたらいいかというのを少しお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思うんですが。
#45
○参考人(山崎敏邦君) 政策金融公庫から損失の一部補てんをするという制度になっているということでありますけれども、その前にまず、例えば政投銀さんのような民間の指定金融機関が産活法の認定を受けた会社に対して出資をするということがまず前提になっているわけですね。したがいまして、産活法でのスクリーニングが掛かって、いわゆる再生計画なりなんなりが十分に妥当かどうかというチェックがなされていくんだと思います。そこで一応要件を満たすところに出資がされると。つまり、融資ではなくて出資の、そのことができるというのが私はポイントだと思っておるわけです。
 ただし、そうはいっても、おっしゃられるように、すべてが成功すればもちろんよろしいわけでございますが、いろんな環境の変化もございますから、中にはデフォルトに遭ってしまうことがあると。そうすると、先ほどの、政投銀さんから例えば出たような出資金が焦げ付いてしまうわけでありますね、融資じゃなくて出資でありますから。その損が政投銀さんにたまっていくというような仕組みであると、結局、出資そのものがなかなか円滑にできないんだろうと。やはり、少しは駄目なものもあるという前提で損失補てんをする仕組みをつくっていただいて、政投銀さんからのお金のデリバリーを円滑にしていただく方が経済全体の活性化には役に立つんではないのかなというふうに考えておりまして、そういう意味では是非このような制度でやらせていただければと思っております。
#46
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
#47
○塚田一郎君 ありがとうございます。自由民主党の塚田一郎でございます。各参考人の皆様には大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
 金子先生にお伺いをしたいと思うんですが、先生のペーパーの中に将来的な市場としての中国の重要性の御指摘があります。確かに今世界中を見ると、恐らく地域でいえばアジアだけがまだ余力があるような状況なのかなと思うんですね、経済的にも資金的にも。それゆえにアジアの潜在性が非常に評価されているわけですが、一方で中国をみんなが向いていくと。アメリカが厳しくなったら今度中国だということで、中国に依存する度合いが増せば増すほど中国の政治的、経済的な影響力が大変に大きくなると。もうアメリカも中国を全く無視できない状況に今なっていると、これは現実だと思います。
 そういう中で、果たして、中国が悪いということではないんですけれども、我々がこれから目を向けていく潜在的な市場として私は例えばインドのような国も重要じゃないかと思うんですが、どういうところに新たな、まあポストアメリカという言い方がいいかどうか分かりませんが、市場を考えていって日本としてどういう戦略を持って臨むべきか、この辺りについて先生の御提言があれば是非お聞かせをいただきたいと思います。
#48
○参考人(金子勝君) 中国と日本とアメリカの関係は、御存じのように三角の関係で、日本が基幹的な設備材その他を中国に輸出し、中国がかなりのレベルで安い賃金を使ってアメリカに輸出するというような連動関係がございました。アメリカが駄目になり、欧州が駄目になり、産油国が駄目になりという形で、今新興国に輸出を伸ばしているような状態ですけれども、今この新興国が危なくなっていく中で中国の成長率がじわじわ落ちてきていると、六%台に突入をして。
 その中で中国は、内需喚起ということで大規模な四兆元余りの政策で、そのほとんどはインフラ投資であります。道路や電線、つまり都市部と内陸部を結ぶようなインフラであります。ところが、中国全体でネックなのは、国有企業がすべてを見ていた、住宅や年金、医療その他すべてを見ていた、この体制が崩れて、十分な社会的セーフティーネットが整っていないために貯蓄率が五〇%ほどになっていると。恐らく、こういう社会的セーフティーネットを整えることと同時に、国内における格差、地域間の格差を是正していくという動きが連動してくればそれなりにソフトランディングできるだろうと。ソフトランディングに失敗しますとカントリーリスクが非常に高くなる可能性を持っている。という意味では、中国の今後はそう単純なストーリーでは描けないとは思っております。
 ただ、全体として見たときに、私たちの国はアメリカの金融市場をモデルとした金融立国路線というものに余りに傾き過ぎたと。そういう意味では、リスク分散という意味で、アジアレベルで中日韓を軸にした共同の通貨の防衛などについても少しずつ進んでおりますし、市場も共有したり、スタンダードを握っていくと。先ほど松あきら議員の方からありましたけれども、新幹線の線路を取られてしまって、永久にフランスはずっと自国で造った新幹線を輸出し続けることができるわけですね。ガラパゴス化しているとよく言われているわけですけれども、携帯電話のOSもそうですが、あらゆる意味で、東アジアの大きなマーケットの中で、再生エネルギーも含めたスタンダードですね、今アメリカはスマートグリッドを軸にし、そしてアメリカは中国市場にのめり込もうとしているわけです。
 そういう状況の中でルールを握るようにしていくためには、単にアメリカ一辺倒じゃなくて、中国、韓国との間で同時に関係を強めながら産業のルール、標準というものをきちんと握っていくような、そういう外交と産業戦略も同時に必要になっているというふうに言わざるを得ないと。戦前との関係がありますので微妙な問題はもちろん絡んでいるんですが、私たちは経済的な意味でそういうところを握らなければ中国市場からも取り残されていくだろうということを私は懸念しています。
 大きな、先ほど山崎委員の方からもありましたけれども、完全に内需だけでこのショックを吸収することはできませんので、これから発展する市場の中でもどのようなデファクトスタンダードを我が国が握っていくかということは、非常にこの国が生きていく上で重要なポイントの一つになっているということは率直に認めざるを得ないだろうと思います。そういう意味で、中国マーケットは無視できないという言い方であります。
#49
○藤原正司君 逢見さんにお尋ねしたいんですが、先ほど山崎さんが企業のカーボン逃避というような形を発言されましたが、今度は雇用の関係の逃避が起きないかどうかということに、それにどう対応するかお尋ねしたいんですが。
 国際競争がどんどん激しくなってくると、コストをいかに下げるかということで、一つは、もう在庫調整というのはかんばん方式になって在庫も在庫調整できない。かつては定年制の下で、企業内失業ということでそのコストを企業が抱え込んできた、それもできなくなってくると。そうすると、もう首切るしかない。首を切るということになってしまうと、今度は雇用問題が発生する。それを切らないということになると、企業がそんな自由に振る舞えない国からはもう出ていこうと、もっと簡単に雇用調整が可能なところへ出ていってしまおうというようなことを言う人もあって、その場合には、例えばもっと雇用保険制度について、半年だみたいな難しいことを言わないですぐ雇用保険を適用すると。その負担は、雇用の安定して収入の安定している企業と従業員が払えばいいんだと、こういう割り切った考え方。そして、雇用調整は企業ができるだけフリーにやると。極めて特殊な労働という商品に対して、セーフティーネットさえ張っておけば比較的ほかの商品と同じように扱えるんではないかという考え方もある。
 そういうことについて逢見さんのお考えをお聞きしたいと思います。
#50
○参考人(逢見直人君) ヨーロッパの中にフレキシキュリティーという考え方があって、デンマーク・モデルというふうに言われていますが、これは雇用の移動を容易にして、一方で職業訓練などを行って次の転職をできるだけスピーディーにやらせようという考え方なんですが。日本でこういうフレキシキュリティーのようなモデルがうまくいくのかというふうに考えますと、日本は、今度、事業再生の件でもそうですが、事業転換をしながら、その企業で雇用を維持しながら、しかし産業構造の変化に対応していくという形を取っておって、外に出して新しいところで頑張るというよりは、今のところで自分たちの食いぶちを探して頑張っていくというタイプが多いですね。そういう日本的な生き残り策というのは私は評価すべきだというふうに思っています。そういう意味では、雇用を維持しながら新しい事業に進んでいくということをサポートする仕組みがいいんではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、これまでの日本の、特に新自由主義的な経済の中で、すべてを市場価値で測っていく、人も成果主義とかそういう形で市場で測っていくという考え方の中に、人を育てていくという部分が弱かったんじゃないか。日本はやはり人材がキーになるものだと思います。そういう意味では、人を育てていく、育てる人が新しい付加価値を生み出して、それがその企業の価値につながっていくと、そういうモデルの中で日本が今後の国際競争の中でも生き残っていくという道ではないかというふうに私は考えております。
#51
○藤原正司君 ありがとうございました。
#52
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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