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2009/04/02 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 厚生労働委員会 第7号
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2009/04/02 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 厚生労働委員会 第7号

#1
第171回国会 厚生労働委員会 第7号
平成二十一年四月二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     山本 香苗君     渡辺 孝男君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     家西  悟君     大久保潔重君
     小林 正夫君     犬塚 直史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         辻  泰弘君
    理 事
                中村 哲治君
                柳田  稔君
                蓮   舫君
                衛藤 晟一君
                山本 博司君
    委 員
                足立 信也君
                犬塚 直史君
                梅村  聡君
                大久保潔重君
                川合 孝典君
                下田 敦子君
                谷  博之君
                森田  高君
                石井 準一君
                石井みどり君
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                島尻安伊子君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                古川 俊治君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   舛添 要一君
   副大臣
       外務副大臣    橋本 聖子君
       厚生労働副大臣  大村 秀章君
       厚生労働副大臣  渡辺 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     尾崎 春樹君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局次長      中原  徹君
       厚生労働省医政
       局長       外口  崇君
       厚生労働省健康
       局長       上田 博三君
       厚生労働省医薬
       食品局長     高井 康行君
       厚生労働省職業
       安定局長     太田 俊明君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       村木 厚子君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    阿曽沼慎司君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    木倉 敬之君
       厚生労働省老健
       局長       宮島 俊彦君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       社会保険庁総務
       部長       薄井 康紀君
       社会保険庁運営
       部長       石井 博史君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院審議官   加藤 重治君
       国土交通省航空
       局技術部長    宮下  徹君
       防衛大臣官房審
       議官       岸本 邦夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (医療に対する積極的な財政投入の必要性に関
 する件)
 (被爆者援護施策の在り方に関する件)
 (歯科保健医療の推進方策に関する件)
 (日本年金機構設立に伴う体制整備等に関する
 件)
 (無届け高齢者施設における防火・安全対策に
 関する件)
 (がん対策の推進に関する件)
 (要介護認定方法の変更に関する件)
 (保育制度の見直しに関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十日、山本香苗君が委員を辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。
 また、昨日、小林正夫君及び家西悟君が委員を辞任され、その補欠として犬塚直史君及び大久保潔重君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(辻泰弘君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長外口崇君外十五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(辻泰弘君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○森田高君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の森田でございます。
 今日は初めて厚生労働委員として質問させていただきます。大臣にもいろいろ大きなこと、細かいことを質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。
 初めに、ちょっと私事からで大変恐縮なんですが、先週末、三番目の子供の出産に立ち会いまして、おかげさまで子供三人の出産全部立ち会うことができて親としては大変有り難いことだなと思いますし、生命が生まれる瞬間というのはやはり厳粛なもので、親としての決意も新たになるということなんですが、三人目の出産ということで結構、僕も嫁さんも楽観していたんですが、結局、十九時間を超える大難産になっちゃって、結構、往生したんですよ。もちろん、見ている方も往生しますから、産む方はもっと大変なんですが。
 もう御存じのとおり、周産期医療の世界というのは今本当に薄氷の上を皆さん歩いていらっしゃるというか、もうぎりぎりのところで現場の前線が維持されているという状況ですから、そういう状況でも現場の方が本当によくしてくれて、おかげさまで我が子も生をうけることができたというふうに感謝しているんです。ただ、一方で、春先、いろんな残念なニュースということも報じられるところでございます。
 お手元にお配りしました資料の方からちょっと見ていただきたいと思うんですが、まず、全国的に有名な周産期医療の主要機関である愛育病院に対して、三田の労基署から労基法違反ということで是正勧告が出されたということが三月に報道されています。非常にこれはもう有名で、あの愛育病院がということで驚かれた方も多いと思いますし、私も素朴にびっくりしました。
 今の日本で医者が足りないということはもう少なくても行政に携わる方であれば皆さん御存じだと思うし、とりわけ周産期というのは厳しいということがもうだれでも分かる話だろうと思うんです。同様に、日赤医療センターに対しても労基法違反ということで是正勧告出されていますが、今回の是正勧告がなぜ今、そして最終的には何のために出されたんだろうということはやはり少なからず疑問に思うところでもございます。
 また、現実としてこの問題が周産期医療全体に大きな波紋を呼んでいるということもまた報じられているところでございますので、東京都の認識あるいは国の認識、いろいろ相違がある、あるいは同じだということもあると思うんですが、全般的な現状認識と今後の展望に関して伺いたいと思います。
#7
○政府参考人(外口崇君) 愛育病院の総合周産期母子医療センターの今後の具体的な指定の取扱いにつきましては、現在、東京都と愛育病院の間で相談を行っているところと聞いております。
 周産期医療や救急医療を担う勤務医を始め、勤務医の中には大変厳しい勤務環境で働いている方々がおられると認識しております。それが勤務医不足の要因の一つとの御指摘もいただいております。
 このような勤務医の過酷な勤務環境を改善するため、平成二十一年度予算におきましても、夜間、休日の救急医療を担う医師や地域でお産を支えている産科医の手当に対する支援、事務作業を行う医師事務作業補助者を配置する医療機関に対する支援、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する病院に対する支援などを盛り込んでいるところであります。各医療機関においては、このような支援策も活用しながら、勤務医の勤務環境の改善に努めていただきたいと考えております。
 今後とも、予算、制度など短期、中期、長期の施策を組み合わせて必要な医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
#8
○森田高君 いろいろ御努力されていることは重々認識しておりますし、これからも是非よろしくお願いしたいと思うんですが、現状でいけばなかなかやはり勤務医の不足ということはもう現実として大きな問題になっていて、もしこの論法、こういう是正勧告が拡大するんじゃないかなということも一つの懸念としてあるわけですよね。適切な就寝、休息時間がある、あるいは残業時間に対する請求ができる、ある意味当然のことなんですが、現状はなかなかそうも現場の方で追い付いていかないと。そうなれば、これは周産期のみならず救急あるいは多くの病院の前線がこれからもなかなかやっぱりこれは、一生懸命やっていることに対してでもそれはやはり違法操業だということであれば、どんどんどんどん内向きになっていってネガティブな結論に誘導されやすい話にもなるので、これはやはり十分考えていかなきゃいけないなと、それは思うわけです。
 現実、厚労省の勤務医の労働実態調査というのが平成十八年に出されていますけど、勤務医全体で一週間に六十六・四時間、産婦人科医は六十九時間を働いていらっしゃるわけですから、全国の勤務医の平均の残業時間は月百時間を突破すると。産婦人科医は百二十時間程度だと。これは平均的な水準ですよね。
 これは、現場に私も二年前まで勤務医でいましたからまあそんなもんかなというふうにも思いますし、僕も二週間連続で当直やったことありますし、医者になって四年目のときには七日連続で当直して、八日目にぶっ倒れて緊急手術を受けたという経験もありますから。この前、足立先生も百五十時間の超過勤務というのはざらだということもおっしゃったんですが、こういう状況で、現場にすべて解消しろといってもなかなかこれは難しい話なのかなというふうにも思います。もちろん一方で、こういう状況で勤務医の方々に適切な、良質な医療を提供しろといっても、それはなかなかこれは人間が機械に進化でもしない限り難しい。最終的には患者さん、国民に波及が及ぶということですから、当然これは医師の適正な配置、医師の増員、そして様々な諸政策によって改善されないといけないと思うんですが。
 ちょっと繰り返しになっちゃうんですが、大臣、違法操業があるから介入する、それはもう非常に簡単なことなんですよ。なんだけど、行政府が現場に介入するに当たって、やっぱり目的と手段と想像される事のてんまつ、結果というものに一貫した展望と責任というものがなかったら、結果としてネガティブな方向に、例えば愛育病院の場合は、じゃ総合周産期センターやめましょうかということをお申し出になられたと。こういうことがやっぱり広がってしまう可能性があるんですね。
 ですから、これは本当に複雑で難しい問題なんですが、率直に厚生労働大臣として、これからどういうふうにこのような是正勧告あるべきかということを、所感伺えればと思います。
#9
○国務大臣(舛添要一君) まず、森田さん、第三子御誕生、おめでとうございます。
 私は、第一子のときは片一方で母親をみとってだびに付しているときに生まれたので、九州でやっていましたから、体一つなんで立ち会えなかったんですけれども、第二子のときは立ち会いましたので本当に現場が大変だなというのは分かって、そのときはドクターよりもむしろ助産師さんが非常に頑張っていただいたので、うちは幸い正常分娩でしたから、正常分娩の助産師さんの役割なんかも非常に感じました。
 それから、そのころはまだ政治家じゃないんですけれども、その後、今厚生労働大臣というお役目いただいて、ある意味で非常に大変な医療の現場というのをよく認識しているし、現場もたくさん見させていただいています。そして、厚生労働省の仕事が大変多いんですが、逆に、これでもう三人ぐらい大臣いないともてないなんということを時々私も言いますけど、ただ厚生大臣と労働大臣が別の人間じゃなくて同じ人間がやっていることの意味もあるので、今回、余りにひどい過酷な労働条件で働いているよということをみんな分かっているんだけれども、目つぶっちゃっている。
 それで、普通の会社でそういうことをやっていりゃもうすぐ大問題になるのに、お医者さんに甘えて、今おっしゃったように、百時間なんてすごい残業時間やっているのにほったらかしている。これは労働を見る大臣から見ても問題ですよと。むしろ、もっといい方向に進めるために、こんなひどい状況ですよと。一気には解決しないのは分かります。それで、労働基準法の中には様々な条項ありまして、三十六条の三六協定なんというのはきちんと結んでいただけば、休日に出勤する場合にどういうふうにするかとかいうことはいろんな手当てができるので、今はまず愛育病院そして東京都、その協定をきちんと働いているお医者さんや看護師さんと結んでいただいて、そこからまず一歩始めましょうと。
 それで、ですから急にその周産期の返上をするということではなくて、そういうところからお互いに積み上げていって、そして最終的には、きちんと休みが取れて、働いている勤務医の方々もですね、できるような体制に持っていく。だから、労働大臣としての側面援助は片一方でやるんで、決して無理難題を押し付けて、法律にあるんだからもうすぐ閉じなさいというのとは違うということをまず申し上げておきたいんで、これはやっぱり、これでいかに働いている勤務医の方々が大変かというのはもっと世間に知っていただく。先生の資料にもありますけれども、鳥取大学もこういうような形になっちゃっているわけですから。それで、今私も、労働大臣としての持てる権限も使って、この勤務環境を良くしたいという思いでありますということをまず第一に申し上げておきたい。
 それで、皆さん方のおかげで、いろいろ補正予算それから来年度予算でも様々な手を打っておりますし、短時間労働ができるようにとか、それから公務員がよその病院に行けるようにとか、それからメディカルクラークを入れてお医者さん自体の仕事が大変じゃないようにする、そういうことをやっていきたいと思いますのと、それとやはり、もうそれは釈迦に説法で、一番よくお分かりになって、現場におられたから、確かに診療科とか地域による医師の偏在はありますけど、私は、やっぱり少し増やした方がいいだろうということで、この四月から六百九十三人増やして、医学部の入学定員をですね、それは十年掛かるとはいえ、そういう方向を目指すべきだろうと思っています。
 そして、本当に豊かな社会というのは、例えばこの病院に産婦人科医が、産科医が五人いないといけないというときには、本当に五人でいいのか、できたら六人目ぐらいいればゆとりがあって、一人が病気、生身の体ですから、先ほど先生もぶっ倒れたとおっしゃった、そういうときの代替もあるんで、私は、若干コストは掛かって、これはみんなが消費税なりなんなりで支えるにしろ、少しゆとりがある医師定員の数であっていいなと思って、十一年ぶりに閣議決定を変えた次第でありますんで、今後ともそういう方向で努力をしてまいりたいと思います。
 済みません、答弁長くなりました。
#10
○森田高君 ありがとうございます。
 こちらの資料にもありますけど、昨年度は病院の赤字も過去最悪だということが見通しが報道されていますし、もうこれは現場の努力の範囲を完全に超えていて、これはマンパワーの分も、低医療費政策のが続いているということも含めて、全般的な政策を行った上できめ細かい措置も必要だと、それは全く同じ気持ちでございます。
 鳥取大学のことに、右側のことで、ちょっと話を移らせていただきたいと思うんですが、今まで、例えば舞鶴市民病院とか成田日赤とか、残念なことなんですよ、一つの診療科の医師が全員辞めちゃうというのが起こるということ自体、だけど結構あちこちで今そういうことが起きてしまっている。だけど、大学の講座全体が消滅するというのは聞いたことがないんですよ。多分、これ前例がない話だと思うんですね。
 これ、鳥取県における、米子市にあるということですが、救急医療の大変な拠点だと。それが、かつて九人ぐらいいて運営されていたのが今四人に減ってしまって、五年間で二人しか新入の医局員が入らないということですから、これはもう維持できなくなって、じり貧になってきたと。その中で月十回レベルの当直が続いて、まさに精も根も尽き果てて、大学の医局が消えるくらいのインパクトがないと、有権者というか国民にこの窮状が分かってもらえないという気持ちでお辞めになるということを記者会見等々で見てきて、本当にこれは、現場の人がここまで追い詰められたということに関してはもう本当に同情を申し上げるし、だけどこういうことが起こったということは残念で、しかも医療の拠点というだけじゃなくって、教育機関であり医師の研修機関でもある鳥取大学の救急講座が消滅の危機に瀕したというのは、本当にこれはもう残念でならないと思います。
 やっぱりこれは、ずっと続いてきた低医療費政策、そして医師不足の状況がまさに弱いところから露呈してきたと、そういうふうに思わざるを得ませんが、ちょっと重複しちゃうんですが、鳥取大学のことに関しても何か今後の展望も含めて御意見があればお願いします。
#11
○国務大臣(舛添要一君) 本当にこれも残念ですが、取りあえずはほかの診療科からこの四人の穴埋めするということで、お医者さん持ってきていますけれども、四人いなくなった後の緊急医というのは専門医一人しかいません。ですから、当面の外来への対応はできると思いますけれども、今委員がおっしゃったような教育とか医局全体へのというのは非常に大変なんで、救命センターとか救急に対する、これ診療報酬以外にも直接的な財政支援を補正予算や何かで組んでおりますけれども、先般、総理がもう一回この大きな経済対策をやれということをおっしゃって、その中でこれは地域医療を何としても守るために大きなファンドを是非組めればと思っていますんで、ちょっと省を挙げて、地域医療の崩壊を食い止めるための財源措置、それから様々な手当てを考えたいというふうに今思っていますんで、また委員のお知恵もいただきながら、できるだけこれは文部科学省とも鳥取県、都道府県とも協力しないといけないんで、総務大臣とも協力しながら、文科大臣とも協力しながら、何とかこういう状況がほかのところで起こらないように、そして鳥取大学については細かい相談に乗りながら対応してまいりたいと思っております。
#12
○森田高君 本当に明るい展望というのが現場になかなかないので、出口のないトンネルを掘り続けるようなもので、大臣がおっしゃったように、これから本当に分かりやすい形で、しかも緊急性を伴った形で現場にメッセージを出さないと、こういうことが多分、メルトダウンが連鎖するということがやっぱりこれは必然になってくるという懸念がありますんで、是非よろしくお願いします。
 やっぱり鳥取大学のこともそうですし、今回の是正勧告は関係あるのかどうか分かりませんが、春先というのはすごくやっぱりこれ注意が必要なんですよね。大規模な医局レベルでの人事異動も起こるし、今医局の力が弱まってきたとはいえ、やっぱり人事異動が起きます。そして、制度の諸改正がいろんなことが入ってくるということで、春先というのはやっぱり現場の破綻が露呈しやすい季節なんです、残念なことに。
 私、個人的には、平成十八年四月、ここでの医療制度の様々な改正というか改悪というか、まあ改定ですね、これがもうやっぱりこれ現場の人間として極めて衝撃が大きくて、これで医療が続けられるかというくらいの気持ちになりました。本当に絶望感を味わったのが今から三年前の春の改定なんですが、あのとき実際に現場でどんなことが起こったであろうかということを想像できますか。
#13
○国務大臣(舛添要一君) いろんな声は聞いておりますけれども、私はそのときに厚生労働大臣じゃないんで、その現場視察まで行っていませんから、むしろ委員からそういうのは教えていただければと思います。
#14
○森田高君 自分、十五年間で十一か所勤務先変わっているんですけれども、当時は民間病院の泌尿器科の医長で、まあ人間ドックのセンター長もしていたんですけれども。もう今更、釈迦に説法なんですが、スリーポイント連続の診療報酬の改定、特にマイナス三・一六というのは、まず報酬上非常にインパクトが大きかったと思うんです。で、七対一、十対一の看護基準の改定も入った。これも一つ一つのことを考えるとそんな悪い話じゃないんですが、現実として看護師さんが、例えば外来勤務がしている、もう十年、二十年やっている方々が、病棟がとにかく維持しないといけないから、もう全員病棟に上がれと、外来でも何でも、本当に常勤の看護師さんは。そうすると、やっぱりそれぞれの家庭の事情を抱えて外来勤務をされている看護師さんもいるから、病棟に上がれないんですよね、物理的に。まあ嫌々上がった人も二か月ぐらいやるともう不満たらたらで、もうこれ以上は続けれませんということで立ち去っていかれるということが結構やっぱり現場で起きました。
 結果的に、うちのところの病院は二百五十床だったんですが、この七対一、十対一が起こった結果、大体五十床病床を閉鎖せざるを得ない、こういった病院が結構多いと思うんですよ。で、三・一六が入っていますから、大体月収で、お金の話で恐縮なんだけれども、三千万円、同じようにみんな汗を流して頑張って夜も寝ずに働いて、三月と四月で三千万円月収が減るんですよ。これはもう致命的になります、病院経営としては。
 同時に、今度、じゃ長年やっている看護師さんがみんな病棟に上がるから外来はどうなるかというと、外来は今度非常勤の人を募集して来てもらいます。今までは、ずっと十年僕は泌尿科です、泌尿科の外来で、じゃここでカテーテルとか、ここでエコーするといったら、もう以心伝心、あうんの呼吸で全部はいはい、はいはいといって道具が出てくる、非常に能率がいいんですよね。ところが、やっぱり新しく来る非常勤の方の場合は一から十まで全部教えないといけないから、これはやっぱり熟練度は相当低下するんです。
 で、平成十六年当時からやっぱり勤務医の確保が苦しくなってきているから、研修医制度も入っていますから、それでなくても待ち時間が長かった外来が、看護師さんの練度が残念ながら下がってしまったということで、更に二時間待ち、三時間待ちが拡大するんですよ。こうなると、患者さんとまともな信頼関係なんというのは築けなくなりますね。もう、おはようございます、お待たせしましたと言ったら、お待たせしましたじゃないですよと、何時に私、来たと思っているのといったことから話が始まりますから、もう円滑な患者と医師の関係というのはそこですごくスポイルされてしまうということが起きてしまう。これはやっぱり大変ですよ。
 それに加えて、更に言えば、大野病院事件の直後だったから、モラルが物すごく下がって、やっぱり働く医師、看護師さんの退廃的な気分というのは蔓延した。だから、これはちょっともう現場のレベルの話じゃないと、国政の話で何とかしないといけないという気持ちで僕も立候補させてもらって図らずも当選したということになるんですが。
 これは本当に大変なことが十八年四月でも起こって、やっぱりそれは残念ながら今に続いている。やっぱりそれが鳥取大のような事例になったりとか、いろんな病院の診療科目の閉鎖、地域医療の崩壊ということにつながっているのかなというふうにも思うんです。
 話が長くなりましたが、ちょっと次のページめくってもらいまして、そういう中で、やっぱり個人的には看過できないなというような一人のお方の発言が最近ちょっと目に留まりましたので問題提起させてもらいますが、有名な社会保障国民会議の座長でいらっしゃいます東京大学の吉川教授、この方が日本医師会の講堂で開かれた政策シンポジウムに出席されて、パネリストですね、低医療費政策と今日の医療崩壊というものは結び付いているという考えは私の考えと全然違うと、そういうようなお話をなさったわけなんですよ。
 自分は別に、選挙で医師会からの支援をいただいたわけでもありませんし、ニュートラルな立場で一人の医師として意見申し上げるんですが、やっぱりこれは余りにも机上の空論というか、怒るというか笑ってしまうといいますか、何でこんなことが言えるのかなというふうに、こう思うところなんですよ。
 医師会の方は、主食が足りないと。圧倒的にやっぱり医療費が足りない、それが医師不足にも波及する、コメディカルの不足にも波及する、地域医療の供給にも波及するということを言いたい。でも、社会保障国民会議の座長は、どういう根拠か分からないけれども、低医療費政策と医療の崩壊は結び付くものではないということを言っていらっしゃる。こういう方を中心に社会保障国民会議が運営されて、まあこれは大臣の所管ではありませんけれども、こういう発言見られて、率直に厚生労働大臣としてどういうふうにお感じか、所見をいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(舛添要一君) 吉川さんは昔から私の東大の学者仲間なので、いろんな研究会なんかで、もちろん私が政治家になる前からずっと勉強してきた仲でありますし、まあこのシンポジウム自体を私がそばにいて全部聞いたわけではないので、どういうコンテクストでどういうふうに細かいことを言ったということはコメントできませんが、社会保障国民会議も出ていて、恐らく吉川さんのポイントは、総額幾らという話も片一方であるが、効率的な配分ってどうだろうかと、そういうことも念頭にあっておっしゃったんだろうと思いますので、まあちょっと彼が、私が誤解しているといけないのでそれぐらいに、吉川さんの件についてはコメントは控えておきたいと思いますが。
 ただ一般的に、十八年改定の話をなさいました。確かに、医療の分野で効率化とか配分の見直し、これはやらぬといかぬと思いますけれども、ただコストが大変だからということだけで社会保障、特に医療の問題を律することはできないだろうというのが私の考えであって、負担と給付のバランスは考えないといけません。だけれども、きちんとした医療、予防医学をやり、そして早期に疾病を発見し、それを治していくということは、再び健康を取り戻して、取り戻した方々が更に生き生きと働いて、経済的にもそれがGDPを上げることになるわけですから、これは希望と未来への、私は医療の投資は投資だというふうに思っていますので、そういう認識ですから、できればそういう認識を一人でも多くの国民の皆さんに共有していただいて、それは負担が必要です。じゃ、診療報酬上げます、どこから来ますかと。国民全体で負担するけれども、自分にいい意味ではね返ってきて日本全体を良くするんですよということを、森田さんや私が一生懸命国民を説得して、そして御負担をお願いする。しかし、これは倍になって返ってきますよと、こういう議論こそ今始めるべきだろうと思っております。
#16
○森田高君 大変力強いお言葉うれしく思います。そういうふうに前向きな話をしていきたいなと思うんですが、吉川さんの発言を見たときには、確かに配分のことは一理あるんでしょうが、結局少ないところで奪い合ったって、どこをつぶすかなという話にしかならないので、絶対前向きないい政策にはつながらないと思うので、相当前向きにやらないとこれはいい話ができないと、そういうふうにも思います。
 負担の給付とか、あとは投資の話とか、これから少しずつやっていきたいと思うんですが、資料三の方を見てもらいまして、これは、実はこの前、予算委員会で質問させてもらったときにも与謝野大臣にも御覧いただいた資料なんですけれども、湾岸戦争の後、アメリカは双子の赤字ということで大変厳しい財政状態に陥ったんですね。御存じのとおり、もうクリントン政権は大規模な財政出動を行っていって、経済が結果的に良くなってくるんですが、そのときのキーワードはソーシャル・コモン・キャピタル、社会的共通資本だと、これがやっぱり非常にクローズアップされました。結果的に、投資を行う、名目GDPもそれに伴って伸びていく。初め数年間は財政赤字が拡大するんだけれども、四年間、五年間、毅然と続けることによって、最終的には、経済が伸びて税収が増えて、投資分がリターンとなって返ってきて赤字国債は減っていく、トータルの財政赤字も減っていくと、大変望ましいシナリオをアメリカ経済は九〇年代はたどったと、まあ二〇〇〇年代はまたちょっと不幸なシナリオをたどりつつあるんですが。
 一方で、小泉政権の構造改革というのは、これは右側の表に出ていますけれども、GDPデフレーターはずっとマイナスで振れているんですよね、必要な投資ができなかったということ、社会保障、社会的共通資本に対する投資も、やはりこれはかなり減ってしまったということ。結果的に、名目GDPは伸びなくて債務残高だけが増えてしまったと。
 これはイギリスのブレア政権が、十年間のブレア政権で医療費を二倍に増やしたと。二倍に増やせば、日本の場合はそれは大変な足かせになると言われる中で、イギリス経済は極めて力強く伸びたと、債務残高も増えなかったと。イギリスの話すると、すぐにシティーの金融緩和で金が集まったからそれでうまくいったんだと短絡的に話する人がたくさんいるんですけれども、額賀さんもかつてそういう答弁されたんですが、それだけではないんですよ。イギリスは、もう失業率が五パーから二パーに下がっていて、非常に社会保障に出動したということで、雇用の状況が良くなってそれが消費につながる、出生率も良くなる、いろんな意味で循環していって、最終的に経済的にも社会保障的にもいい方向に向かっているというふうに私は総括していいんじゃないかと思うんですよ。
 だから、米英両国と我が国が取ったこの十年間の、あるいは二十年間の路線というのは大分違うんだろうなと、似て非なるもの、構造改革といっても、と思うんですが、全般的に総括されてどのようにお感じでしょうか。
#17
○国務大臣(舛添要一君) テレビのニュース見ていて、正確に私がやろうとしたことを理解してくれてないなといって腹立つ報道番組もたくさんあるんですが、昨日、私、NHKを見ていて、これは報道の内容よりも、そこでインタビューされている女性の言うことを聞いていて本当良かったなと思ったのは、出産に関して、妊婦健診十四回にまで拡大しましたね、公費の、そのときにインタビュー受けていた女性が、ああ良かったと言ってくれて、これでもう一人産もうかなということをおっしゃったのを、もう御覧になった方もおられるんで、まさにこれが政策の意図であって、確かに五回を十四回に拡大するというのは皆さんの負担になるわけです。それは税金の負担になる。だけれども、そこで、そのことの政策のおかげで女性がもう一人産んでもいいわということになれば、様々な問題がこの少子化からきているわけですから、そういうことをやるのが社会保障だと思っていますんで、これ、計算したときに、それは例えば一回で、計算が何するんでも、一万円妊婦健診に掛かったとして、九回したら九万増える。しかし、それで健康な赤ちゃんまたもう一人生まれて、そうすると出生率も上がって、日本社会が活力持てば、これは相当お釣りが来るなというように思っていますんで、やはりそういう政策でやらぬといかぬ。
 それで、クリントン政権、ブレア政権、それぞれ今おっしゃったことは正しいと思います。それはまあ、イギリスについて言うと、ブレアさん長かったから、後半ちょっと様々な批判もありますけれども、ですから私は方向としては、先ほど申し上げたように、将来の希望と、まさに未来と希望への投資として社会保障というのを位置付けるべきであるし、だからといって無駄遣いしていいわけじゃありません。しかし、それなりの成果は上げられるというふうに思っていますんで、そういう方向で努力したいと思います。
#18
○森田高君 今度、資料四から六の方に行っていただきたいと思うんですが。
 さっきの話、繰り返しになりますが、結局やっぱり必要なところに投資を怠ると、今の日本みたいに財政均衡原理主義的な発想がずっと続いてしまうと、十年デフレ、ゼロ成長、それの末に、更に言えば、超の付く量的緩和から低金利の円が世界中を循環して、最終的には世界経済危機の最大の共犯者と言われるような状況になってしまっている、非常に残念なことなんですが。必要な投資が社会保障分野に行われれば、大臣がおっしゃったように、GDPが伸びるというのは、これ、いろんな産業連関表とか経済モデルが立証しています。
 資料四は、これ、昨年八月八日に内閣府主催で経済政策フォーラム、マクロモデルの討論会があったんですね、そのときに出された資料の一部なんです。これは筑波大学名誉教授、前の副学長、宍戸駿太郎先生がアメリカのペンシルバニア大学と一緒に構想された日米の学会標準モデルのDEMIOSと呼ばれる経済モデルなんですが、これは例えば五兆円の、これは試算ですよ、医療に対する財政出動をした場合、どういうふうに連関するだろうかと試算したものです。最終的には赤枠のようにGDPが伸びるんですが、民間住宅設備投資とかいろんなもう消費、個人消費が伸びる。
 子供がやっぱりこれ増える方向に行くだろうと、大臣がおっしゃったように、子育て支援をきちっとやると子供が増える方向に行くだろうと。子供が生まれると、それは稼ぎ出すのは二十年先なんだけれども、子供が生まれることだけで、衣服や教育、あるいは車買い換えようか、家も建て替えようか、広くしようかと、いろんなやっぱり消費が、もう究極の消費として広がっていくんで、経済は相当活性化されると。まさに、個人金融資産の千五百兆円の中で相当部分、子供が増えるということで使われていくんじゃないかと。そういうことまで織り込んだ経済モデルの試算なんで、やっぱりこれは極めて力強い結果だし、こういうことをやっぱり真剣に考えていく必要があるだろうと思います。
 資料五なんかは、これはもう棒グラフなんですね。一般的な公共投資と、赤線は医療関係の財政出動の、まあこれは経済効果の違い。もちろん、今のような状況だと、一般的公共投資も相当必要だと思います。だけれども、やっぱり今求められるのは、国民も医療や出産のこと、介護のこと、非常に不満に思っていますから、ハイブリッドな公共政策なんだろうと。その中で、医療政策というのは、エンジンの掛かりは遅いんですが、雇用環境が充実して消費につながっていって、出生率が増えるということまでつながっていった場合、とてつもないやっぱりエンジンになってくると。やっぱりこれ、五年先の効果が全然違ってくるんですね。
 だから、是非これハイブリッドのやっぱりいい経済対策出す必要があると、そういうふうにも思いますし、資料六は、たまたま先週発売ですね、エコノミスト。やはりこれ、宍戸先生の論文ですけれども、これは二・五兆円の試算にちょっと縮めていますけれども、それでも三年間で九兆円投資した場合、三年間で七・二兆円、税収で返ってくる、それだけもう回収できると。四年後、五年後を考えると、入れた分は必ず返ってくると、そういうふうなやっぱり論理というのは成り立ってくると思うんですよ。
 ともすれば、給付と負担ということをおっしゃいましたけれども、初めにそれを考えて、構造的に考えていくと、おのずと制限されちゃうんですよね。財源がここまでしかないからここまでしかできませんという話になってきて、現場あるいは国民に対する給付、あるいは設備投資ができない状況がやっぱりこれは高齢化について付いていけなくなってしまうんですが、入れたものが返ってくる、数年間のタイムラグがあるけれども返ってくるという発想に立てば、自信を持って社会保障分野にお金を入れるということは、これは論理的に私は正しいと思うし、日本国の財務状態を考えても、厳しいとは言われるけれども、これから三年、四年の時間が待てないというほどの状況ではありませんから、金融資産は大きいし、政府の対外債権も非常に大きいですから、これは自信を持って医療関係は財政出動をやっていくということで、必ずこれはリターンがある、国力の増加につながってくるというふうにも思う次第でございます。
 今、百年に一回と言われるような状況ですから、とりわけ、もう与党の方も今いろいろな方策考えられていて、医療や介護も一つの柱にするということは大変有り難いんです。有り難いんだけれども、ちょっとくどくなるんですが、こういう財政政策は続かなければ意味がないんで、その意味では、クリントンさんもそうだし、あるいはブレアさんもそうだし、続けています。かつての我が国の高橋是清さんも、若槻礼次郎内閣から犬養毅に政権交代した後、続けていらっしゃる。フーバーからルーズベルトもそうですよね。やっぱり政権基盤が続くということが担保されなかったら、それは十兆円入れようが二十兆入れようが、そこにする投資効果というものは極めて不確かになる、期待値が下がってしまうんですね、続く保証がないわけだから。そういう意味では、まあ個人的には早く政権を問う、国民の信を問う戦いをやって、勝ち残った方が財政出動、医療も含めてやるべきだなというふうには思いますが。
 話が長くなって大変恐縮なんですが、こういう経済モデルとか産業連関表とか、そういうことも踏まえて投資をするということ、それはやっぱり医療に必要なことであるということ。そして、そのための論理展開としては、財源で負担と給付といくとどうしても増税か給付かというような二者択一になってしまうんで、非常にこれはうまくないんですよ。やっぱり、投資すれば返ってくるという発想に立って、逆転の発想でやっていく必要が僕はあると思うんですが、大臣の御所見、伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(舛添要一君) まず、社会保障の前に、日本全体でどうしてこの国際社会で生き抜いていくかということを考えたときに、やはり成長戦略が片一方で必要なのは、江戸時代のように三千万人ぐらいの人口なら何とか自給自足できますけれども、どうしても自給自足は不可能です。石油も買わないといけないし、食料もそうだと。でも、この前は、骨髄移植のバクスターのキットがなくなって、これで、何とかバイオアクセスから輸入するということで、そういう一つのデバイスを見てもそうなんですね。
 そうすると、国の大きな戦略としては、みんなが食っていくためにやっぱり外貨を稼がないといけない、これは一つ忘れてはならないと思います。そこを押さえた上で、したがって医薬品とか医療機器とか、こういうものも輸出産業に育てたらどうかと。この発想で、今、自動車や家電がこういう状況であるものですからもう雇用の問題は大変になっている、だから成長戦略は必要で、これはみんなで考えましょうと、新しい経済成長のモデル、それが一つ。
 その上で、今おっしゃったように、必ずリターンの大きな投資であると、これは私ももうそのとおりだというように思っています。
 もう一つ、財政再建至上主義論者というか、私はそうじゃないのは、財政再建至上主義論者というのは日本人の可能性、日本人の能力についてペシミスト過ぎるというふうに思っています。
 具体的な例を挙げますと、例えば今病に倒れた人がいると。このときに、借金を返していかないといけない。だから、まあ、お父さんだったらお父さんの薬代、おいしいものを食べて元気になってもらう食費、そういうものをとにかく毎月幾ら、財政再建でというんでカットする、カットすると、死んでしまうじゃないですか。
 私はそうじゃないと。もう少し借金してでも構わない。まず元気にその倒れた人をする。仮に、それは一家の大黒柱だったら、その人が元気になったら、能力あるわけですから、そんな借金ぐらい働いてすぐ返せますよ。日本全体でいったときに、これだけすばらしい日本国民がいて全力を挙げてやれば、そんな借金ぐらいすぐ返せますよ。そして、これは国の借金であり、その国の借金を持っているほとんどが日本国民ですから、外国が持っているわけじゃないんです。そういうことを考えれば、いつもその政策でいいとは言いません。今のようなときにはきちんとした有効需要を生み出すような政策をやる。そして、それは借金、例えば今、麻生総理がおっしゃっているような経済政策も、赤字国債も辞さないと言っている。私はそれは賛成です。その赤字国債増えたって、働いて戻せばいいんで、働く前に死んじゃったらどうしようもないでしょうというのが基本的な認識でありますので。
 ただ、もう一つは、二千二百億円を堅持しろという立場の人が常に批判をするのは、まだまだ効率化する余地があるじゃないかと、まだまだ厚生労働省いっぱい無駄使っているんじゃないかと。それは独立行政法人とか天下りの問題も含めて真摯にやっぱりやらないといけないと思いますが、そういう点はあるとしても、今のような考え方でいきたいと思います。
 森田さんと話していると長くなって済みません、どうも。
#20
○森田高君 ありがとうございます。本当に価値観が同じなのか、かなり近いなと思うんで、心強く思うんですけれども。
 よく麻生さんが、一に景気対策、二に財政均衡、そして三は改革による成長だとかと言うんですけれども、多分、順番が二番目と三番目違っているんだろうなとよく思うんですよ。一に景気対策はいいんですよ。二番目で、やっぱり財政均衡を達成するための手段は国家の活力が伸びないことには絶対に財政均衡は結果として達成されませんから、GDPをいかに伸ばすかと、国民の活力をいかに伸ばすかということが先に来ないと結果として財政均衡は付いてこないんですね。だから、小泉改革の結果がまさに象徴していると思うんですよ。だから、ここは毅然と方向の転換をしないといけないなというふうには思うところでございます。
 そんな中で、吉川さんの話に戻って恐縮なんですけれども、あの人、昔は自分はケインジアンだと言っていたんですよ。需要をつくることが大事だと言ってさんざん本を書いて、何か石橋湛山賞をもらったとか何か、聞くとそういう話になってくるんですが、二〇〇一年から経済財政諮問会議の民間議員におなりになられて、いろんな経済学者の方に聞くと、あの方は変わられたという話が非常に多いんですよね。まず、現実問題、あそこに入ってしまったら財政均衡原理主義的な発想に迎合しないといけないし、ある意味、それの理論的中枢を担う立場になられたんで、本意ではなかったかもしれないけれども、実に長い時間、それは立場と引換えにやり続けられたと。言葉はちょっと悪いんですけれども、日本国をバルクセールに掛けようとした世紀のロビイストである竹中平蔵さんの理論を裏付けるために働かれたんだろうと、そんなふうにも思うんですよ。
 だとすれば、この人を中心とした社会保障国民会議、この国の医療や介護を担う政策なんかどう考えたってやっぱりつじつまが合わないんですよ。これからもう一回変節されるんだったらいいんだけれども、まさかそこまではなかなか、やっぱり人間には恥というものがあると思いますから、できないと思います。
 であれば、内閣府の所管、官邸の所管だから大臣のあれではないんだけれども、閣僚なんだから総理に、これから舛添要一がやりたい、医療政策や介護政策やりたいから民間議員も変えろということを総理に進言されたらどうですか。
#21
○国務大臣(舛添要一君) 経済財政諮問会議というのはたしか法律で決められていて、内閣の所管なんですね。だから、どういうお立場で総理がだれを選んでいるかというのは、私は口を今まで差し挟むこともないし、差し挟む権限もないのかもしれませんが。
 ただ、いろんな意見は出ると思いますが、私は、やっぱり憲法に書いているとおり、国権の最高機関はこの国会だと思っています。そして、例えばこの厚生労働委員会でいろんな御批判もいただきます。だけれども、それは政府の立場で違いますよということは言わないといけないですが、私自身はそれを看過したつもりはなくて、野党の皆さんの提案の中でもすばらしいものがあれば少しでも政策に生かしていきたい。
 最後はこの国権の最高機関でどういう法律を作るかで決まるんで、私は、経済財政諮問会議ではなくて我々国会議員が決める、その原則を貫けば必ずいい方向になると思っております。
#22
○森田高君 力強いお言葉、ありがとうございます。共に頑張りましょう。
 次に、ちょっと話変わります。介護認定基準の変更に関して、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 もう国会でも、予算委員会で共産党の小池議員や民主党の峰崎議員が、今回の四月からの認定基準の変更で相当の下方修正バイアスがあるんじゃないかと、凍結したらどうかというような話がありました。
 現実、もう昨日からこの制度が走り出していますから、実際にしばらく様子を見てそれから検証するという話も聞こえてくるんですが、この認定基準の変更に関して大枠でどんなふうにとらえていらっしゃるか、大臣、教えてください。
#23
○国務大臣(舛添要一君) これは、今までの森田さんとの議論と違っておしかりを受けたりすることになると思いますけれども。
 まず、私は、我々が反省しないといけないのは、決める過程においてもう少し透明性とかもう少し国民と広く議論する場があってよかったと思っています。
 ただ、もう今基本的に申し上げたいことは、悪意でもって、まさにさっきのコストの議論じゃないですけれども、介護のコストを減らしたいため、だから軽度にしたいということではありません。やはり、五年ごとの見直しが決めてあります。しかし、五年ごとじゃなくて定期的に様々の見直していかないといけない。いかないといけない中で、地域的なばらつきをどうするかということと、介護の技術とか介護の現場で状況が変わったことに対して対応するにはどうすればいいか、そういうことを踏まえてやったわけですけれども。
 ただ、あるシステム、ある仕組み、ある基準を変えるときには必ず喜ぶ人と悲しむ人が出てくる。悲しむ人の悲しみが合理的であって、クレームというか、これはおかしいじゃないかという批判が合理的であれば、それは我々きちんと対応しないといけないと思っております。
#24
○森田高君 合理的に対応いただきたいと思うんですが。
 資料七を見ていただきたいと思うんです。今回の変更というのは、大きく分けて、調査方法の見直し、項目数の変更、そしてソフトウエアの一部のパラメーターの変更というふうに認識しています。上記三点、前述三点が変更されるに当たって、調査方法というのは、調査方法の研究事業というのを行われてそれで検証されたと。項目数の変更とかソフトウエアの問題は、モデル事業で三万件ぐらいのサンプルを集めて検証されたというふうに聞いています。
 資料七のこういうポンチ絵見ると、一見して大きな差がないのかなというふうに思わされてしまうんですが、よくよく考えていくとやっぱり統計的なトリックが結構潜んでいるんじゃないかというふうに思うところも幾つかあるんですよ。
 まず、これ認定、ソフトウエアが最終的にアウトプットするわけですけれども、もちろんその後マニュアルハンドで人間が審査会でやるんだけれども、やっぱりソフトウエアに入れる前の外生変数というのは調査シート、調査結果なんですよね。その調査結果を出すときのやっぱり調査方法の検証というのがまず大事になってくるんですが、これが、この研究事業というのがまず何か八十二項目のままでやられた。それは大きなバイアスは掛かっていないんだと言うんだけれども、それでもやっぱり二六%は軽度変更をされていると、そういう傾向があると。
 もちろん、この研究事業ではその後、人の手が入って二次判定があるからいろいろ修正されているんですが、現実の流れでは、調査方法の結果が、プログラムが、コンピューターにインプットされてコンピューターが演算してアウトプットする、そして人がマニュアルハンドで直すという流れになってきます。だから、この青い点線の流れになると私は思います。
 そうなってくると、やっぱりこれまず検証方法からして、研究事業で調査方法を検証する、それはいいでしょう、モデル事業でソフトウエアを検証する、項目数の変更を検証する、いいでしょう。だけれども、二次元的にやらなかったら意味がなかったんじゃないかなと思うんですね。つまり、調査方法を変えた上で、モデル事業のソフトウエアの変更と掛け合わせた上で二次元的な検証をしなければいけないと。三万件のモデル事業ありますけれども、この二次元的な掛け合わせは多分三万件要りません。数千件で十分統計的な有意差が判定できると思いますから。
 そういうような結果をやらなかったことがいろんな指摘を生む一つの原因になっているんじゃないかなと思うんですが、これは統計的に考えてもちょっとなかなか筋が通らないと思うところでもありますが、どう思われますか。
#25
○国務大臣(舛添要一君) 若干その統計学もやった者として見ますと、複数の要因の相互効果を測る前に、まずそれぞれのパラメーターがどういう結果持ったかというのは、これは個別にやらないと分かりません。だから、例えば薬を二種類飲む、これ飲んで、Aという薬飲んでやっぱり下痢になったとか、Bという薬飲んで今度頭に副作用があったというようなことが出てくるんだろうと思います。それで、そうすると、原因の特定はこれは個別にやらないといけないと思いますよ、パラメーター的にいうと。ただ、複合的な要因がどうなったかというのを統計学的に正確にたどれるのかなというのが私の疑問なんです。
 だから、恐らく統計学的観点からいうと今のように分けて考えてやるということになるんだろうと思いますので、項目の減った項目数の問題と調査方法の問題、それを、例えばある結果が出ますね、何か調査をやって。何が原因なんだろうかと。Aという要因なのかBという要因なのか、A、Bが複数になったときにそれはどういう効果を現すのかと。そうすると、恐らくAプラスBのパラメーターを先に作らないといけないのかなというので、ちょっと私はそこは非常に難しいなという感想を持っています。
#26
○森田高君 まあいろいろ物の見方というか意見の相違というのはあると思うんですが、ただ、これ二次元的に検証することもそんなに手間掛からなかったと思うんですよね、実際には。もう既に生データがあるんだから、それで三千件ぐらいでもいいからやっちゃったら、それ一週間ぐらいで多分できたと思うんですよ。それをやらずにリリースしたということに対して、いろんな国民から介護の受給者も含めて異論が出てくる大きな原因になっていると思うんですよ。
 実際に、認定作業の流れの中ではワンチャンスなんですよね、人間が入ってマニュアルハンドで修正できるチャンスは。それが、これはちょっと資料八の方に飛んじゃうんですけど、実際にはやっぱり二、三分しか審査会での審議時間というのはありません。どうしたってこれは流れ作業的になっちゃうし、やっつけ仕事になってしまう可能性だって排除できない。やっぱりこれ患者さんの年齢、性別あるいは現病歴、治療経過、そして今の介護認定状況、そしてこれからの状況をどう考えるかということを二、三分で考えるのは非常にこれは難しくなります。
 だから、もちろんこれは事前に資料配られてある程度考えてこられるんだろうと思いますが、だけど、二、三分でメンバー五、六人の意見が一致してアウトプットできるという保証は何にもないし、だからこそ、コンピューターで演算されてアウトプットされる二段階目のところで相当の結論が出ていなければ、いい介護認定というのは多分できないんじゃないかと思うんですよ。
 これ、ちょっと次の資料八見ていただきたいんですが、調査方法ではちょっと二六%軽度判定される下方修正バイアスがある可能性が既に資料で示されています。じゃ、コンピューターのプログラムの方にもそういうバイアスがないのかなということをちょっと自分なりに考えてみたんですね。
 資料八の左上の表ですね、これも厚労省から出してもらった資料なので、これ、共産党の小池議員も前、予算委員会でもおっしゃいました。現行制度の演算とモデル事業の演算結果、同じモデルを同一サンプルを使って検証して六・一%と四・九%、おかしいじゃないかという話が出ました。
 これ三万件以上あるんですよ。僕も医者やっていて臨床研究なんか学会で発表しますよね、市販の演算ソフトを入れて統計解析やったりするんですが、三万件あると、これは、この両者というのは多分、分散分析掛けると有意差が出る話になります、多分。
 もちろん、結果を合わせることが目的ではないから、元々のソフトウエアと新しいソフトウエアのアウトプットの結果を一致させることが事業の目的ではなくて、より正しい認定結果が出ればいいので、違うこと自体が善と悪の悪ではないんだけど、だけど、調査方法の下方バイアスとそして演算の下方バイアスと二重の下方修正バイアスが働いてしまうということになると、それはやっぱり今までの社会保障費用の抑制という流れの中でのこういうモデルの変更ということになってくるわけですから、これは、大臣のお気持ちはまた別のところにあると私は信じておりますが、国民の多くは、やっぱり抑制するためにこういうモデルの変更をされたのかなというふうに傾いていくんじゃないかなと思うわけですよ。
 ここまでのところで、ソフトウエアのところでの下方修正バイアスあるかないか、あるいはこの両者を統計学的に比較検討されたか、やったとすればだれがそういうことをやったか、教えてもらえますか。
#27
○政府参考人(宮島俊彦君) 今の御指摘でございますが、一次判定、コンピューター判定のところで御指摘がありましたように、現行方式では要介護五が六・一、見直した場合が四・九ということでございます。
 全体でこの一次判定を見ると、重度に判定された方は二三%で軽度の方が二〇%ですから、全体で見ると重度の方に判定された方が多いということですが、要介護度五のところはむしろ現行よりも重度の要介護五の割合の人が少なくなっているということでございます。
 この一つの要因としては、今回のモデル事業、三万件、全市町村、そういうサンプルで調査を行っておりますが、寝たきりの方たちは意思表示ができないため参画に同意していただけなかったというようなことがあって、全国の要介護度が五の割合というのは一〇・一%あるんですけれども、今回のモデルではいずれの、通常の方式でも新たな方式でも六・一と四・七ということで低くなっているというような事情があります。
 ここは一次判定でございますが、二次判定の方で見ていただくと、またこのコンピューター判定のと調査認定の方の判定を見ていただくと、それぞれお示し今日いただいておりますような表の結果になっておりますので、私ども、これは、一次判定はこれまで平成十三年のタイムスタディー調査に基づいてやっておりましたが、その後の技術進歩あるいは現場で認知症の人のケアの仕方が集団ケアから個別ケアに変わって手間が掛かるようになったとか、そういうのを判定するということで行ったということでございます。
#28
○森田高君 余り話かみ合わないんですが、左上の一番下の一〇・一%が四・九になったことなんか何も言っていないんですよ。ここはもうセレクションバイアスの世界なので、寝たきりの人を排除すると、排除するというかモデル事業からは入れないということで、それはやむを得ないことなので、一〇・一が四・九になったということは、それはだれも文句言わないんですよ。
 ただ、同じサンプルを使って六・一が四・九になって、しかもNが三万件以上のサンプリング調査になりますから、これはやっぱり有意差が検定される可能性が、素人計算なので僕もここで断言はできません、スタットビューが計算するとそうなってしまうというだけの話なので。だけれども、やっぱりこれは、調査方法の下方修正バイアス掛け合わすことのソフトウエアの下方修正バイアスで二重の下方修正が入ってしまうということが、やっぱりこれ物すごい懸念になります。
 人が直せるチャンスはワンチャンスなんですね、最終的に審査会で。だけれども、それはさっき言ったように、一分から二分の時間でやらないといけないということで、余りやっぱりこれはもう期待する方が間違いだと思うんですよ。だから、コンピューターのアウトプットでしっかり出しておかないと、いい方向に絶対誘導できない。だから、二次元の検証もやって、それを国民にリリースして、それでもいいですかということで国民の信を問うというか、ある程度周知期間を置いて導入されるべきだったと思うわけです。
 しかも、更に言えば、今回の検証委員会には学者さんはたくさん入っていらっしゃったけれども、患者さん、受給者側の方はだれも入っていなかったということも指摘されていますから、やっぱりこれは国民不在の認定方法の変更だったということに残念ながら思わなきゃいけないし、であれば、でも、過ちを改むるにはばかることなかれということで、昨日から今このソフトウエアは走っているんだろうと思いますが、元のソフトも十分、別にそれは消えてなくなったわけじゃないので、元の方法で三か月間ぐらい検証作業をして、それでもう一回やり直したらどうかと思うんですが、凍結方法に関して、大臣、どう思われますか。
#29
○国務大臣(舛添要一君) 今おっしゃったように、四月になって既に動いております。
 それで、さっきの件は、もう一つは、二次判定より前に特記事項で調査員がきちんと書いてくれるかどうか、ここが一つは大きなポイントになって、調査員にとってみるとその時間もないよというようなことも不満があると思いますので、そこもちょっと検証したいと思います。
 とにかく、ソフトウエアも今動き出し始めておりますので、各現場の市町村、これに混乱を来してもいけません。それで、大急ぎで最初の一月の結果を集め、それで公開の場で議論をし、それから樋口恵子さんとか高見さん、こういう方にも意見を徴する、既に御意見をいただきましたので。そして、これは少し国民の御意見をいただいて、今おっしゃったように正さないといけないところは正していくという方針でやりたいというように思っていますので、ひとつ御了解いただければと思います。
#30
○森田高君 今、大臣非常に重要なことを言われて、調査方法を書く側の今度問題も出てくるんですよね。自分、勤務医だったので、泌尿器科ですけど、やっぱり持ってきますよ、患者さんが、認定受けたいんで書いてくれって。それはもちろん、自分の患者さんですから当然書きます。だけど、御存じのとおり、勤務医大変忙しいんですよ。もう書類もいろんな、生命保険の診断書から山のように毎日積み上がってきて、その中で、ああ、一日の仕事終わった後、またこれがあるのかと思って、もうこれは、悪いけど現場の人間は誠心誠意三十分掛けて書くことなんか絶対できないんですよ。数分間の、言葉は悪いよ、やっつけ仕事になっちゃうんですよ。
 そこで、やっぱりどこまで、今回は調査項目も減ってくる、アナログ情報重視だと言われる。じゃ、そのアナログ情報を書く現場の人間がそんな時間取れるはずがないんですよ。同時に、このアナログ情報が重要になったということであれば、当然これ現場に周知徹底して、アナログ情報皆さん一生懸命書いてくれということを言わなきゃいけないんだけど、残念なことに、それが周知されているとはなかなかこれ思えません。
 例えば今、大河原議員が、民主党の、質問主意書を出されて、これから現場に対しても周知徹底図るということを書いてあるんですが、そういえば、医者の例えばこの介護保険認定に携わる研修会というのは毎年行われて、大体二万何千人参加者さんがあるというんです。だけど、これほとんどの診療科目にかかわるんですね。内科、外科、泌尿器科、整形、いろんな科目のお医者さんが介護認定必要とする患者さんに対して認定書の意見書を書くわけですから、ほとんどの現場の医者にかかわる話になるんで、そうすると二十万人が研修を受けなきゃいけなくなってくる話になりますけど、何十年掛かるのかという話になるんですね。
 これはやっぱり極めて重要な、項目が減っていますから、アナログ情報が重要になってくるということであれば、大至急現場に周知徹底しなきゃいけないと思うんですが、できるんですか。
#31
○政府参考人(宮島俊彦君) 今回のものについて周知徹底ということで、例えば二十一年度予算でもまたやるということで主治医研修の予算を確保しておりますが、今回変わるところ、確かに特記事項が多くなって、そこを二次判定のときに審査会でよく見ていかなきゃいけないということなんで、そこについての主治医の手引の改定を発出して、より適切に記載できるように研修において周知することも予定しております。
 これは今回切り替えましたから、そこの部分を集中的に研修しなきゃいけないんですが、今までずっと、平成十二年に介護保険導入して以来、毎年二万人ぐらいずつ研修は行っております。延べにしますと十九年度までで十六万八千七百七十八人のお医者さんに研修を受けてもらっているという状況でございます。
#32
○森田高君 そうなると、日本中の現場で働くお医者さんにこれを、研修を受けてもらうためには、一年や二年ではできないという話になってくるんで、なかなかこれは大変なことになるだろうと。最終的にコンピューターがアウトプットする結果がどうなるのかなと。意見書があったとしても、審査会のメンバーの数、処理能力の問題もあるから、一体どこまで実態に即した判定ができるのかなということは、やっぱりこれは不安を禁じ得ないというふうにも思います。
 もう時間も迫っていますから、最後、右側の表をちょっと説明したいと思うんですが、資料八の。これ自分で計算した話なんですけど、介護の受給者の予測というのはそんなに難しい話じゃないんですよね。人口統計がしっかりしたものがあって、一定限度の受給者の患者の発生率を掛け合わせていって、それを将来的に見ていけばそんなに難しい作業ではないんでエクセルでも十分できるんですよ。それに一人当たりの医療費や介護費掛けていけば将来の介護給付費や医療給付費の予測も簡単にできるんですけど、今大体ざっと介護五だと四十六万五千人ぐらい、全体で四百三十万人ぐらいいます。二〇一五年になると高齢化が進みますから、介護五で見ると六十三万人ぐらい、全体で五百九十万人ほど。二〇二五年になると七十九万人ぐらい。
 もちろん人口統計そのものが不確実なものでありますから、どうなるかというのは分からないんだけど、でも、高齢者の場合は出生率関係ないですから、ある程度計算できるんだろうと思います。結局増えるんですよ。今よりも二〇一五年段階で十七、八万人増える、二〇二五年では三十万人以上増えると。これ、介護五と四で一か月御存じのとおり五万円違いますよね、年間六十万円違う。もしも年間の認定者数を介護五を十万人圧縮できれば、一体幾らになるんだろうと。これ更に蓄積しますからね、これずっと、お亡くなりになるまで蓄積しますから、何千億、何兆円のオーダーで累積していくんじゃないかという話になってくるんです。
 だから、今はもう国民の口に鉄のくつわがはめられたような社会保障費の抑制が続いていますから、今回ようやく転換される可能性が見えてきているんですけれども、そういう中でこういう認定事業、認定方法の変更が入っている。その先には、最終的には要介護五、お金の掛かる層の厚みが薄くなってくる。結果として、財政的に相当やっぱりだれかが得をしようと思っている。得をしようと思っているというのはちょっと話が違うかもしれませんけど、どこかでやっぱりそういう計算があるんではないかというふうに勘ぐられてしまうと。
 前半部分で大臣とこれからの財政出動に関しては十分議論をさせてもらいましたので、これからもう数年間で劇的に変わってくると私は思っていますし、そう願いたいんですが、是非国民にこういう疑義を与えないようにちゃんと説明をしていただいて、検証したら速やかに公開してもらうということをお願い申し上げて、質問を終わります。
 どうもありがとうございます。
#33
○犬塚直史君 民主党の犬塚直史でございます。
 本日は、この貴重な厚生労働委員会に質問のお時間をちょうだいいたしました。理事の皆さんを始めとしまして、委員の皆さんに心からお礼を申し上げます。
 今日は、被爆者援護法の問題について、舛添大臣を中心にお伺いいたします。
 大臣、もう六十四年ですよ。六十四年たった今でもまだ訴訟がある。まだ認定ということについてどうしても納得できない、いまだに苦しんでいる方々がおられるということなんですね。
 今日も実は、傍聴席に実にたくさんの方々が来ておられます。六十四年間、被爆以来闘い続けてこられた方々であります。ここに来ることができる方もいます。来ることはできない人もいる、あるいは亡くなってしまった方もいる。そして、訴訟に参加できる人もいる、できない人もいる。あるいは、公に自分が被爆者であったということを、結婚や何かの支障になる、就職の支障になるから言えないという方々もたくさんいるんですね。今日の質疑は、是非そういう方々の顔を念頭に置いて、大臣、しっかりとした質疑を是非お願いしたいと思います。
 そこでまず、資料のお手元の三番を見ていただきたいんですけれども、資料の三が、これが被爆者援護法の前文が書いてございます。まず大臣にお伺いしたいのは、被爆者援護法を理解し解釈し、この法の原理原則を理解する上で、一体この認定というものが、医学的、科学的に放射線の影響を被ったことが証明できた人に限って被爆者と定義するということがこの法の趣旨であるかどうかということについて、大臣の見解をお願いします。
#34
○政府参考人(上田博三君) 被爆者援護法上は、同法第一条各号に定める者を被爆者と定義をしております。個々に医学的、科学的に放射能の影響を証明できた方に限って被爆者としているわけではございません。
#35
○委員長(辻泰弘君) 大臣に求められますか。
#36
○犬塚直史君 いや、いいです。
 当たり前のことであります。蓋然性と言っている以上、厳密に科学的、医学的にそもそも判断することは非常に困難である。
 それでは、この法は、放射線の影響を被ったことが医学的、科学的に証明できることは被爆者の要件としては要求せず、放射能の影響を被ったであろうという事情、すなわち蓋然性が認められる事情にあったならば被爆者であるという立場でよろしいんでしょうか。これ、大臣にお願いします。
#37
○国務大臣(舛添要一君) これは今、プロバビリティーという蓋然性のお話がございましたけれども、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情にあった者というのがこのいろんな施策を講じようとする前提であります。ですから、例えば手帳の交付がありますけれども、個々に医学的、科学的な証明までは求めていないんで、一般的に疑いがあるということだけで、何でも広く対象とするというところまでのプロバビリティーはないんだろうというふうに思っております。
#38
○犬塚直史君 まさに、今大臣がおっしゃった蓋然性をどこに基準を置いてこれから判断をしていくかと、これはもう本当に間違いがない非常に大事なポイントであります。ただ、一つここでお考えいただきたいのは、お医者様が患者さんを目の前にしてあなたは原爆症ですよと言うことはできないんですね。原爆症というものは存在いたしません。白血病を始めとするいろいろな疾病がある、この疾病が放射線に起因するかどうかという蓋然性が問題にされるわけであって、原爆症というものは存在しないという難しさをまずは御理解いただきたいと思います。
 そこで、次に質問をさせていただきますが、次は、だれが被爆者かということを少し考えさせていただきたいんです。
 まず、これは事務の方でも結構ですが、初期的な被爆の被害というのは、つまり原爆が炸裂します。何百メートルか高度のあるところで、爆心で炸裂をいたします。その初期の被爆の被害というのは、丸を描くように、同心円的に広がると認識しておられますか。
#39
○政府参考人(上田博三君) 原子爆弾の被害は、熱線、それから爆風、放射線によってもたらされるものでございますが、そのうちの放射線につきましては、爆心から同心円状に広がるものでございますが、遮へい物がその間にあるとか、遮へい物より遠くの場合には影響が小さく、またその遮へい物があるためにその影響がなくなるという、こういう性質がございます。そういうことで、被害全体で見ますと、被爆の被害というものは必ずしも同心円的に広がるとは言い切れない面があると、このように考えております。
#40
○犬塚直史君 そこで、言い切れないって言いましたけれども、それは例外ありますよね。しかし、基本的に炸裂したものがダイヤモンド型に広がるとかあるいは三角形に広がるなんというのはあり得ないわけで、基本的には同心円的に広がるのは当たり前の話ですから、そこを今更議論させるようなことは控えていただきたいと思うんですが。
 そこで、資料の一番を御覧になってください。
 これはまさに被爆者援護法の一番目、一丁目一番地であります。第一章第一条の第一項、ここを見ていただきたいんですが、原子爆弾が投下された際当時の広島若しくは長崎市の区域内ということが書いてございます。つまり、法によって長崎市、一つ例を長崎に取りますが、長崎市を被爆地域としていると。つまり、行政地域の外には放射線の影響が存在しないという見解は成り立つんでしょうか。
#41
○政府参考人(上田博三君) 被爆者援護法第一条におきましては、原爆が投下された際の当時の長崎市の区域を被爆地域としております。また、その隣接区域も被爆地域としておりますけれども、今申し上げられましたその外側につきましては、私どもとしては、科学的知見に照らしても放射線の影響があったとの知見が得られていないことから、現行の範囲内でいいものだと、要するにその指定地域以外については影響はなかった、直接的な影響はなかったものだというように理解をしております。
#42
○犬塚直史君 そこで、資料の二を御覧ください。
 これは、被爆をした爆心が真ん中の点であります。そして、大臣ね、これ見てください。真ん中から少しぐじゃぐじゃに広がっているこのピンクの部分、これが旧長崎市なんです。ここに住んでいた方は原爆手帳をもらえているんですね。これ、距離を見ますと、十二キロ圏内を少し過ぎた方も無条件に原爆手帳をもらっているんですね。ところが、それ以外の色、特にオレンジの部分ですね、中にはこれピンクよりも爆心地に近い方々もたくさんおられるんですが、この方たちはなぜかいまだに、六十四年たった今でも原爆手帳はもらっていないということがあるんです。先ほどのお答えいただいた、こういうところに住む、隣に住んでいる人が旧長崎市街に住んでいるから原爆手帳をもらった。同じように爆風、熱線浴びているんですよ。たまたま旧長崎市街に住んでいないから原爆手帳をもらえなかったという人たちが今一万人いるんですよ。
 こういう人たちが今聞いているということを、事務方の方もそんなに自信持って言えるような話じゃないんですから、余り発言には気を付けていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いをしますけれども、隣接被爆地域の指定というところなんですね。先ほどの条文に戻っていただきますと、第一条の一項で、原子爆弾が投下された際、当時の広島市、長崎市の区域、これは法定したわけですね、又は政令で定めるこれらに隣接する区域内にあった者と。つまり、旧市街地以外は政令で定めよと、こう書いてあるわけですね。
 この政令で定めた地域がこのオレンジの地域になっていることについて、大臣、どうでしょうか、これは法の趣旨を満たしていると思われますか。
#43
○政府参考人(上田博三君) まず、ちょっと事務的にお答えいたしますけれども……
#44
○犬塚直史君 大臣に聞いているんです。
#45
○政府参考人(上田博三君) 被爆地域につきましては、昭和三十二年の原爆医療法制定時に、法律上、当時の長崎市の区域を指定したものでございます。長崎市の区域は南北に長いため、結果として爆心から十二キロメートルの範囲にある区域が被爆地域に含まれているものでございます。
 なお、昭和五十七年三月一日の衆議院予算委員会第三分科会におきまして、被爆者援護法の前身でございます原爆医療法制定時の被爆地域の指定について、当初の被爆地域の指定に際しましては、日本学術会議の発行いたしました原子爆弾災害調査報告書やあるいはその他の専門家の御意見も参考にいたしまして、爆心地から大体五キロメートルの範囲といたしまして、その際に既存の行政区域の範囲も考慮に入れたということでございますとの答弁を当時の政府委員からしているところでございます。
#46
○犬塚直史君 次の質問は大臣に是非答えていただきたいんですね。
 資料の六を大臣、見てください。これは長崎市が作った、先ほどの拡大地域とそれから旧長崎市がどのように分けて考えられているかという表なんですね。これは細かく書いてありますが、余り細かいことは見なくて結構です。一番上の「被爆者の取扱い(放射能の影響あり)」、そしてその隣を見ますと、「拡大区域の取扱い(放射能の影響なし)」と、こう書いているんですね。つまり、この地域、爆心地から同じ距離に住んでいたとしても旧長崎市街に住んでいなければ放射線の影響なしと、こういうふうに初めから決まってしまうわけです。
 次に、資料の四を御覧になっていただけますか。
 それでは、そういう方々がどういう原爆手帳に類するものをもらっているかというと、精神医療受給者証というのをもらっているんです。この右側の下に書いてあることをちょっと読んでいただきたいんですが、右の下ですね。あなたが原爆投下時にいた場所は、原爆の放射線による直接的な身体への健康被害はないことが確認されています、当時、光、爆風又は熱を体験したことがあっても、原爆の放射線の直接的な身体への影響はありませんので御安心ください。
 大臣、これは余りにもおかしいと思いませんか。
#47
○国務大臣(舛添要一君) まずは、それぞれそのときの科学的知見というのがあると思いますから、恐らくは最初五キロ、それで、しかし法律上は行政区域ということで長崎市及び隣接する区域ということを言ったのだというふうに思います。
 それで、しかしながら科学的知見、これは今もずっとそういう検討を専門家がやっておりますけれども、そういう中で、カバーされる範囲の外にあってもやはり原子爆弾によるいろんな精神的な影響がある方々、こういう方に対しても考慮しようということだというふうに、受給者証の趣旨はそういうふうに思っていますけれども、ここに書いてあることはそのことを反映して言っているんだろうというふうに私は理解をしております。
#48
○犬塚直史君 大臣、これについては地元で六十四年間、特に地方議員の皆さんを始めとして、本当にこの件については苦労しているんですよ。
 資料の九を御覧になってください。これは最近の長崎県議会の定例会で、この件に長年携わっておられます県議の高比良元さんという人が行った質問なんです。この中略の下のところをちょっと読んでみます。原爆の放射線、爆風、熱線は同心円的に広がっていくことは大半の科学者の一致した見解であります。そうであれば、原爆被害の強弱は基本的に爆心地からの距離によって決まることは自明の理であります。そもそも、長崎の被爆援護対策の矛盾や悲劇は、原爆落下当時、地図の上に記された基本的に旧長崎市の行政区域をもって被爆地域と認定されたことにあります。科学的な知見に基づくことなく、単に行政区域等、人為的に区切られた目に見えない地図上の線引きをもって振り分けられたことにあります。こういう質問をしているんです。
 その下を御覧になってください。これに対する答弁です。県の福祉保健部長がこう言っているんです。被爆体験者、この人たちを、精神的な障害と見られている被爆者のことを被爆体験者と呼ばれているんですね。被爆体験者に対する援護対策の内容は、中略、言わば政治決着が図られたものであり、その見直しは困難であると思われますと、こう言っているんです。
 大臣、県庁のこの部長さん、多分、被爆者行政の最前線におられるんですよ。日々、過去長い間、こんな理不尽なことは許せないという方々の最前線に立っているんですね。この県議さんもそうですよ。こういう人たちがこういうやり取りをせざるを得ないということについて、やっぱり大臣が国として指導するべきじゃないですか。
#49
○国務大臣(舛添要一君) 今この資料を拝見させていただきましたが、政治決着ということをどういう意味を込めて当時の保健部長がなさったかということですが、基本的には専門家による科学的知見を原則として、しかし先ほどの法律、これは行政区域ということをやったことの一つの矛盾ということを今委員が指摘されました。
 そういう中で、司法の判断も出てきておりますので、こういうことを前提にして、皆さん御高齢でありますし、とにかく私も、長崎も広島も訪れて皆さん方にもお会いして、いろんな機会を見て直接御意見も賜っていますので、どういう形でこれを解決できるか、こういう県議会での議論というのも念頭に置いて考えていきたいと思います。
#50
○犬塚直史君 そこで、原爆症認定の集団訴訟の件についてお伺いをしますが、三月十二日の東京高裁二件については原告主張を認め却下処分を取消しになった。そして、三月十八日の広島地裁、これも五件について原告の主張を認め却下処分が取消しになったということです。
 これは見方によってあれですが、国は結局十六連敗です。にもかかわらず、今回、上告するという決断をされているんですが、これについての大臣のまずは御見解を伺います。
#51
○国務大臣(舛添要一君) 何連敗というような言葉は私は余り使わないのは、個々を見てみますと、却下された方がおられたり、この疾病については勝訴とか敗訴とかありますから、それは細かい議論をしないといけないというように思っています。そして、まず相当認定のスピードアップ化を図りましたので、それでもう訴訟の対象でないという方もおられます。
 そういう中で、要するに、どこまでの範囲の疾病を認めるかということで、これ放射線量の被曝についての、それがどれだけ確率的に障害起こり得るか、これ我々は、専門家のお医者さんたちにこれは適用範囲を作っていただいて、そして認定基準も見直し、見直した結果、少し拡大できればして、そしてスピードアップということを図っていったんですけれども、そういう判断から見て少し違うんじゃないかなというのがありますし、それは今の東京高裁の千葉の原審の話ですけれども、広島地裁のことについてほかの地裁との判断が分かれている、それから先ほど申し上げた専門家の意見との整合性をどうするのかということがあるということでありますので、その他、国家賠償についてもほかの地裁、高裁との判決が違う。
 これはもう釈迦に説法でございますけれども、三権分立ですから、司法の判断について、私たちが今までと違うんじゃないかという判断をするときは再度司法の判断を求めないといけないという形で上級審にお諮りをいただいているというのが今の状況であります。
#52
○犬塚直史君 その辺はもう当然のことながら三権分立、当たり前の話だと思います。しかし、ここで非常に大切な指摘をされているのは、今おっしゃったように、専門家に任せておいては、厚生労働大臣が最終的にこれを決めるわけですから、要するに国賠上の注意義務を果たしていないんではないかという指摘を今回受けているわけですね。
 分科会が採用する起因性等の判断基準が被爆者援護法上の解釈と相入れない場合は、是正するように促すことが必要、個別申請の判断に当たっても、分科会の資料の収集や判断に不十分な点があれば、自ら調査などをする必要があるということを指摘されているんですけれども、上告の件についてはお答えいただきましたが、大臣の注意義務についてはどのような認識をお持ちですか。
#53
○国務大臣(舛添要一君) これは、きちんとこの専門家による委員会をやっていただき、そして例えば認定基準、私が大臣になってからももう一度見直していただくということをやっていますので、少なくともその点について私は注意義務を怠ったから国賠ということにはならないだろうと。
 そもそも注意義務というのは何であるのかと。作為、不作為含めて行政の事務というのは非常にこれ判断が難しいと思いますので、ここも一応裁判所の御判断ですから、どうだろうかという疑義が私は生じているので、これはもう一度裁判所の御判断をいただきたいというふうに思っております。
#54
○犬塚直史君 大臣、今日はそこのところを是非議論さしていただきたいんですね。
 実は、新しい審査の基準というのが出てまいりまして、先ほど申し上げたように、個々の皆さんの病状を見ながら原爆症と認定することは非常に困難であるために、新しい審査の基準というのが出てきたのは何かというと、まず、ある一定の条件を決めるわけですね。被爆したときに爆心地から何キロにいたのか、何時間たって爆心地に何十時間滞在したのかということを四点ほど決める。これが一つある。もう一つは、疾病のリストを作るわけですね。これには、白血病を始めとするがんやら何種類かの疾病リストを作る。この二つを満たした場合、大臣、この地域にいて、そしてこの疾病リストに当てはまった場合にはこれは積極的に認定すると書いてあるんですよ。
 にもかかわらず、今こうした形で認定されていない方が非常に多いという事態について、大臣の御感想をお伺いしているわけです。
#55
○国務大臣(舛添要一君) 疾病のリストをどうするかということがまさにその専門家の先生方の御決定を仰いでいるわけです。ですから、甲状腺の障害であるとか肝機能の障害であるとか、個々についてこれは専門家の知見を得ているわけでありまして、その中で判断に迷うという点を、これを今裁判所の御判断をいただいているというところでありますので、その判断についてどうするかは先ほど申し上げたとおりでございます。
#56
○犬塚直史君 大臣、その専門家の知見というのは非常に怪しいわけですね、それはもう大臣も御承知だと思うんですけど。
 例えば、類似のアメリカの軍人をこの被曝の被害から救済する法律があるんですが、これも同じように日本に一九四五年の八月六日から一九四六年の八月五日まで滞在をした軍人すべてに当てはまる、しかも一方の疾病のリストは増え続けているんですよ。つまり、ある時点においての科学的、医学的知見というのはあるんですが、それが万能ではないという非常に難しい状況があるということを是非お考えいただきたいと思います。
 そこで、東京高等裁判所が言っておりますがん以外の疾病についても、低線量の放射線被曝により確率的に障害が起こる可能性を肯定できるだけの統計的な解析結果が得られておるということまで今回は司法に指摘をされているんですけれども、こういうがん以外の疾病についてはどういうふうに今、御認識されていますか。
#57
○国務大臣(舛添要一君) ですから、そこのその統計的に確立、ちょっと今正確な言葉はこれはフォローしませんが、統計的にある意味では確立されているということについて、我々が諮っている専門家の先生方の意見とは違うよということで更に上の判断を求めるということでありますので、そこはそういうように御理解いただければと思います。
 もし細かい医学的な所見で必要であれば、局長の方にそこはフォローさせますので。
#58
○犬塚直史君 そこで、今回の東京地裁が異例の釈明という文章を書きました。この釈明の文章に対する回答を国に対して三月十九日までに出せというこの異例のやり取りがあったわけなんですけれども、この東京地裁の釈明の部分をちょっと読ませていただきます。
 平成二十年三月十七日に分科会が作成した新しい審査の方針、これは先ほど申し上げた、審査の方針は明らかに古い審査の基準とは文言や内容が異なると思われるが、これは処分行政庁による援護法第十条の放射線起因性についての解釈が変わったということでよいかと、こういう質問をしているんですね。
 まあ平たく言えば、科学的、医学的にしっかりとこれを確定していくことは非常に難しいから、今回の審査の方針のように特定の被爆時の条件を確定をし疾病のリストを決めてしまって、この条件下にいた人がこの疾病にかかった場合には被爆認定をしましょうというのが新認定なんですよね。
 これは新しい解釈が変わったかという質問をしたところ、答えは何て答えているかといいますと、「いいえ。」、いいえなんですね。被爆者援護法十条、十一条一項の解釈を変更したものではありません、理由は全く書いていないんですが、これはどういうことでいいえと言えるんでしょうか。
#59
○政府参考人(上田博三君) 被爆者援護法の放射線起因性の解釈といたしましては、最高裁判決で、同法十一条一項あるいは十条一項の放射線起因性が肯定されるためには、放射線と負傷若しくは疾病ないし治癒能力低下との間に高度の蓋然性をもって証明される程度の因果関係が認められることが必要とされており、この点は旧の審査方針の下でも新しい審査方針の下でも変わっているわけではございません。
 また、旧の審査方針や新しい審査方針は、あくまでも医療分科会の委員が行う原爆症認定審査に当たっての目安としてその時々の科学的知見や行政上の政策なども加味して策定されるものであって、その内容を改めたからといっても、今述べた法解釈を変更したものではございません。
#60
○犬塚直史君 全く詭弁としか聞こえないんですね、大臣。要するに、高度の蓋然性をもってこの方が原爆症認定を受ける受けないということは非常に難しいからこそ新認定の基準が出てきたわけですよね。
 この新認定の基準というものは、やっぱり抜本的な考え方が変わったということではないんですか。いつまでも昔のやり方にこだわっていると、歴史に学ばない者は滅びると言われるんですよ、大臣。六十四年たった今でもこの六十四年前の知見に基づいたような、そもそも六十四年前の知見というのはABCCに始まる原爆の、爆弾の威力を確認するための調査だったんですよ。そのときにサンプルとして集められた人たちは治療なんか全く受けてないんですよ。
 こういう体験談、数限りなくあるんですけれども、大臣、もうそろそろ、六十四年たった今、この新しい審査の基準が出てきたわけですから、ここで今すぐ改めろとは言いませんから、抜本的な制度の改革も含めて、大臣のリーダーシップを是非お願いしたいと思います。大臣、どうぞ。
#61
○国務大臣(舛添要一君) 恐らく、先ほど局長がお答え申し上げたのは、被爆者援護法に基づく放射性起因説、これを基にしているという法の精神は変わってないという意味でのいいえということだったんだろうというふうに思います。
 そして、昨年の三月十七日に今議論になっている新しい審査の方針ということで、その放射性起因性の判断をどういうふうに変えていくか、三・五キロ、百時間以内に長崎に入ったというような、こういうことも含めて、それからどういう疾病だということもなんですね。そこで、今からの問題は、起因性の判断の今言ったような範囲について、例えば新しい知見に基づいて拡大していくのか、放射性起因性ということについて根本的な議論をし直すのか。もし後者であるとすると、被爆者援護法のそのものの改正ということも考えないといけないと思います。
 したがって、これは、例えばこの委員会でやるなら、委員の皆さん方のお知恵を拝借して、どういう形になるか。そういうことを含めまして、五月に幾つか大きな判決が出ます。それはもうお年召されて苦しまれている方一刻も早くという思いは非常に分かりますが、きちんとした新しい方針というか、その今委員がおっしゃったような意味でのリーダーシップを発揮するためにも、何とか、少し、あと二か月ぐらい掛かりますけれども、時間をいただいて、そしてその判決を見て、どういう形で一刻も早くより多くの方々をお救いできるのか、そういう方針でリーダーシップを発揮したいと思っております。
#62
○犬塚直史君 是非、一刻も早い政治的なリーダーシップをお願いしたいと思います。
 これは、官房長官も類似の発言をされておりまして、五月の大阪高裁、そして東京高裁などの判決を含めて政治決着を図るという発言をされておるんですが、それでは具体的に、その時期になったときにどのようなプロセスを経て原爆症認定問題を大臣は解決されるおつもりなのか、その所信といいますか覚悟をお聞かせください。
#63
○国務大臣(舛添要一君) 一つは、私たちが上級審に更なる御判断を仰ぎました。それとともに、例えば国賠について、国家賠償について先ほどの議論がありましたけれども、厚生労働大臣の責任ということについての国家賠償はありましたが、これは過去のすべての判決と違う判断が出ていますので、五月にどういう判断がそこで出るか、そういうことをまずよく精査をする、これが第一歩でございます。
 それから、審査の認定基準を作ったりしてくださっている方、先生方がおられて、この方々も、何とか一人でも救いたいという意味で、新しい医学的な知見を入れ、科学的な知見を一生懸命研究なさってそこに参加してくださっておりますので、こういう方々の意見もやはりきちんと徴することは必要だろうというふうに思っています。
 そういうことを踏まえた上で、特に河村官房長官は、官房長官であられる前、そして今もそうですが、特にこの問題に深い御関心で議員たちを引っ張ってこられて、一日も早い解決というのを本当に心の底から願っております。そして、山口県ですから、お隣の広島の惨禍というのをよく知っています。それから、私は北九州ですから、長崎に原爆を積んだ飛行機が、爆撃機が最初に落とそうとしたところが私のいるところなんで、恐らく、私は八幡ですけど、小倉の境に住んでいますから、あそこに落ちていれば私の両親は死んでいると思いますから、今の私はないと思っていますので、非常に長崎に対して特別な思い出がございます。
 そういうことを踏まえて、これは官房長官、それから総理ともよく相談し、そして是非、皆さん方、与野党の理事の皆さんも含めて、厚生労働委員会の皆さん方のまた御支援とお知恵も拝借して、一日も早い解決を目指したいと思っております。
#64
○犬塚直史君 ありがとうございます。
 これは一広島、長崎だけの話ではなくて、やっぱり日本全体といいますか、日本が唯一の被爆国という視点からいえば、やっぱりこれは世界中の原爆放射能の被害に係る皆さんの問題であると私は認識しております。劣化ウラン弾を始めとして、これは本当に大きな広がりを持っている、これをやっぱりきちんと、被爆者援護法をしっかりと再構築することがそういうところにつながっていくんだろうと、多分、被爆者の方々もそういう思いでおられると思います。
 資料の八の四を御覧になってください。
 そうした上で、昨年決まった新しい認定審査の方針、これに基づいて一体、じゃ今どのぐらいの方が認定されているのかということをこれ一覧にした表なんですけれども、例えば第四審査部会、放射線白内障、心筋梗塞については十一か月で十九件しか認定されていない。非常に少ない数なんですが、大臣、どのような認識をお持ちですか。いや、大臣に聞いています。
#65
○国務大臣(舛添要一君) まず、全体で、一年間で三千件で、全体は相当スピードアップしているということはこれはまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、これは消化器系のがんとかそれ以外のがん、それから特に白血病、甲状腺、こういうのに比べて非常にやっぱり心筋梗塞、これ第四審査部会のことですよね。
#66
○犬塚直史君 第四ですね、第四です。
#67
○国務大臣(舛添要一君) 第四ですね、第四。これはなかなかやっぱり心筋梗塞というのは判定が難しいという、そういうことが結果だろうというように思っております。
#68
○犬塚直史君 新しい審査の基準は、大臣、判定する必要ないんですよ。その地域にいたかどうかなんですよ。その地域に何時間後に何時間入ったかということなんですね。それを判定する必要はないんですよ。病名がこれに付いたら、これは積極的に認定しましょうよというのが新しい審査の基準なんですよ。にもかかわらず、ここでこういう数字だということは途中でやはり何らかの形の主観が入っているんではないでしょうかということを、大臣にも是非ここのところは御認識をいただきたいと思います。
 もう一つ指摘をさせていただきます。それは放射線起因性が認められる心筋梗塞とは一体何かということなんですけれども、資料を御覧になってください、八の一ですね。
 八の一、第一の一、@からBまでが先ほど申し上げたどこにいたか、何時間後にいたかという話。そして、その一の@からDまでがこれは疾病のリストでありますね。この疾病のリストのうち一つおかしいと思われるのがDであります。放射線起因性が認められる心筋梗塞、これはどういうことなんでしょうか、大臣。
#69
○政府参考人(上田博三君) 少し整理して申し上げますけれども、新しい審査の方針では、御案内のように、被爆地点が爆心地より三・五キロ以内である方、原爆投下より約百時間以内に爆心地から……
#70
○犬塚直史君 その説明要らないよ。
#71
○政府参考人(上田博三君) それでは、疾病でございますが、御存じのように悪性腫瘍、白血病、そこにございますように副甲状腺機能亢進症、放射線白内障、これは加齢性の白内障を除くと書いております。それからまた、放射線起因性が認められる心筋梗塞となっておりますが、これはただ心筋梗塞というだけではなくて、放射線起因性が認められると、そういうことで、これは例えば生活歴とか環境歴、喫煙歴とかそういうもので放射線起因性が否定されるような要因があればそれを除くということをここに記載をしておるわけでございまして、心筋梗塞だからといって直ちに放射線起因性を認めるものではないと、このように考えております。
#72
○犬塚直史君 あのね、関係ないことを長々言わないでくださいね。
 大臣、放射線起因性が認められる心筋梗塞をこの新しい審査の方針に入れるということが矛盾しているんですよ。先ほどから何回も申し上げているように、疾病のリストに当てはまる、この地域に何時間滞在したということが分かっている人はこれはもう放射線起因性だということを認めるよというのが審査の方針なんですよ。これは矛盾しているので改めるべきだと思うんですけど、大臣、どのような御所見をお持ちですか。
#73
○国務大臣(舛添要一君) この新しい審査方針のときに、できるだけ多くの方を救いたいと、そういうことで広げるということが私の意思でありました。
 そういう中で、心筋梗塞というと、ああ心筋梗塞、それは放射線どこ関係あるのという方がおられるので、それに起因する、それから白内障といった途端に、うちのじいちゃんだって白内障だよというのはいっぱいいるので、そうじゃないんだと、放射線が起因してなったんだということを特定したものですからこういう表現になりました。
 もし何らかの改善が必要であれば、それはまた検討させていただきます。
#74
○犬塚直史君 まさに、今大臣がおっしゃったように、放射線に起因する心筋梗塞なんというのはないんですよ。ないと言ったらおかしいけど、心筋梗塞は心筋梗塞なんですよ。あるいは、がんはがんなんですよ。白血病は白血病なんですよ。じゃ、どれぐらい放射線に起因しているのかというのが分からないから、前段で、爆心地より三・五キロとか、投下より百時間以内、二キロだとか、百時間経過後に二週間以内の二キロだとか細かく決めているわけですね。ここがしっかりしていて、こっちの疾病リストに当たった者が原爆症と認定しているわけですから、これは是非改善をしていただきたいと思います。
 次は、大臣が、総合認定を適切に行うことによってより多くの、早く被爆者を救済したいというお気持ちを表明されておりますが、今現在、滞留者が七千八百人いるんですよ。この事態をどういうふうにお考えですか。
#75
○国務大臣(舛添要一君) 認定基準がすぐ自動的に当てはまらなくても、個々の方々を見られて、とにかく総合的に一人でも多く救いたいと、そういう気持ちでありますが、確かに八千人近い方が滞留しておりまして、これはもうとにかく迅速化、迅速化を更に進めていきたいと思います。
 今、大体三百人から四百人、月に認定をしていますので、更にこれは努力をしていきたいと思います。
#76
○犬塚直史君 是非お願いしたいと思います。
 その上で、やっぱり総合判断というからには、総合判断の内容を透明化すべきだと思うんですね。しかしながら、認定された疾病名、人数、被爆距離、入市時間などは明らかにされていないんですけど、これは明らかにすべきだとお考えになりませんか、大臣。
#77
○国務大臣(舛添要一君) 一つは、まさに個人情報の保護というか、その方が特定されることによる不利益というのをどう避けるかという配慮があるものですからそういう扱いをさせていただいております。
#78
○犬塚直史君 一つ提案があるんですけど、新しい審査の方針の第一のタイトルを放射線起因性ではなくて原爆起因性の判断にして、地域と疾病リストにするということはいかがでしょうか。
#79
○国務大臣(舛添要一君) ちょっともう一度おっしゃってください。ちょっとよく聞き取れなかった、済みません。
#80
○犬塚直史君 資料八の一ですね。資料八の一の第一の一、放射線起因性の判断ではなくて原爆起因性の判断ということにして、地域を限定をして、時間を限定して疾病のリストを作ってはどうかと、そういうことを申し上げているんです。
#81
○国務大臣(舛添要一君) そのとき、先ほど申し上げましたけれども、被爆者援護法の法改正が必要になってくるのかどうなのか。その放射性起因性ということで今まで来ていますから、それを原爆起因性ということで変えることが可能なのか。また、そこを変えたときのプラスやマイナスがどうなるのか。ちょっとこれは検討させていただきたいと思います。
#82
○犬塚直史君 法的な整合性は出てまいりますので、それは後でまた詳しく議論させていただきたいと思います。
 いずれにしても、大臣、今のままの、六十四年間進んできたことについて、やっぱりこれは抜本的に改めるには政治的なリーダーシップがどうしても必要ですので、是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 外務副大臣に伺います。
 この件について、私は、東京裁判、要するに第二次世界大戦終わった後の戦争犯罪を裁くための東京裁判の記録が米国国立公文書館に置いてありまして、一九七五年に機密が解除されたんですね。このページ数が、実はこれ、国立国会図書館は大変な御努力をされてマイクロフィルムに百万こま収めているんですね。ページ数でいうと百万ページですよ、百万ページ。もう一つは、GHQ、スキャップというのがありまして、これは連合国総司令官総司令部文書というのがあるんですね。これが三千四百万ページ、物すごい膨大な資料なんですね。
 私は、この文書の中の原爆と、ABCCというのは今の放影研の前身なんですけれども、ABCCか原爆というキーワードで自分なりにこの検索エンジン付いているやつを使って検索をしてみました。一件も出てこないんです、一件も出てこないです。なぜか。この原爆投下ということについてはアメリカの立場としては戦争犯罪としてはとらえていないので、東京裁判には全く出てこないということらしいんですね。
 やっぱりこういう形でいきますと、これは過去をしっかりと見詰めてこれを将来に生かしていくということにはならないと思うんですよ。日米両国にとって良くないと思うんですが、ここで外務副大臣、せっかく来ていただきましたが、アメリカは原爆投下について日本に謝罪をすべきだと思いませんか。
#83
○副大臣(橋本聖子君) 今先生御指摘の点でありますけれども、原子爆弾の投下についてということで、米国がいかなる認識を有しているかということにつきましては、我が国政府としては米国の認識についてお答えする立場にはございませんので、今はっきりとそのことを私の方から述べることはできませんけれども、いずれにしても、この人類に大変な大きな惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されることのないように、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指して、現実的そしてまた着実に軍縮の努力を積み重ねていくことが重要であるということを思っております。
#84
○犬塚直史君 副大臣、伺ったのは、アメリカの認識を聞いているんじゃないんです。アメリカの認識は、戦争犯罪とはしていないというのがアメリカの認識ですので、私が伺ったのは、日本政府としてアメリカに対して謝罪を求めるべきではないですかということを聞いているんです。
#85
○副大臣(橋本聖子君) 広島そしてまた長崎に対する原爆投下については、政府としては、戦後六十年余りを経た現時点におきましても、米国に対し謝罪をするよう求めるということも大事だというふうには思っておりますけれども、原爆の悲惨さを、これを二度と繰り返すことのないようなことを後世に伝えていくということが大事であり、そしてさらに二度と起こさないことを日本の国として世界にどのように働きかけをしていくかという、その努力が大事だというふうに思っております。
#86
○犬塚直史君 毎年毎年、八月六日が来る、八月九日が来る、そこに米側の大使すらも顔を見せたことがないというような事態はやっぱり両国にとって良くないことであろうと思います。
 それが端的に私は出ていると思いますのは、この資料の五です。資料の五は、放射線影響研究所、いわゆる放影研と言われている世界でも最大規模そして最長の生データ、疫学データを持っている広島と長崎にございます研究所です。これと類似の総合疫学データベースがアメリカにございまして、この資料の閲覧方法や研究者への開示度などを一覧にしたのがこの表でございます。
 よく見ていただきたいのは、一番下の米印の三番、「放射線影響研究所のデータについては、生データを公表していない」ということがあります。生データを公表していないということは、個人データを出せと言っているんではないんです。しかし、今まで蓄積された膨大なデータを広く一般の研究者に開放するということをしていない、加工したものしかオープンしていないという事態があるんですが、これは大臣、改めるべきではないでしょうか。
#87
○委員長(辻泰弘君) 大臣に求められますか。
#88
○犬塚直史君 はい、大臣に。
#89
○委員長(辻泰弘君) 舛添厚生労働大臣、御答弁いただけますか。
#90
○国務大臣(舛添要一君) これ、今委員の御指摘でございますが、どういう形でその生データを出せるのか、ちょっとこれは、今の問題提起は受けさせていただいて、検討させてください。
#91
○犬塚直史君 是非御検討いただきたいと思います。
 特に外部研究者に対する助成を放影研は行っていないんですね。もちろん、何でもかんでもオーケーというわけではないんですよ。しかし、世界中のいろいろな研究者がおられる、そこから寄せられる、こういう研究をしてこの疫学のしっかりしたデータを作りたいというときに、これは委員会形式でも審議会形式でもいいですから、これをきちんと判断をして助成を行っていくということを是非御検討いただきたいと思います。
 最後になりますが、こうした放射線に係る我が国の施策というものは非常に大きな広がりを持っております。経産省に伺います。G8の洞爺湖サミットで我が国は、原子力立国ということを言った、原子力発電所のアジアへの展開ということも言っていると、しかも現在五十五の原発を持っております。低線量被曝の危険性について、今後どのような施策を行っていく予定でしょうか。
#92
○政府参考人(加藤重治君) 先生お尋ねの原子力発電所などにおける低線量被曝の問題でございますが、まずこの問題につきましては、原子力発電所などにおいて、放射線がある環境下での作業に従事される放射線作業従事者に対する被曝の線量限度を法令で定めて、それを遵守させるという取組を当然行っておるわけでございます。
 この線量限度でございますが、現在、この放射線源というものは、原子力施設のみならず医療の現場でも放射線使われております。そういった現状ございまして、こういった放射線作業従事者あるいは一般公衆を放射線からどのように防護すべきかという基本原則、またそれに基づいた定量的な基準、こういったものを国際放射線防護委員会、通称ICRPと呼ばれておりますが、そういうところが累次勧告を出してきております。これは、関係分野の専門家が非政府の立場から集まって議論して、そういう勧告を作るものでございます。
 我が国におきましては、そういった勧告を踏まえまして、さらに国内において放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図る目的で設けられております文部科学省の放射線審議会の意見具申あるいは諮問、答申という手続を経まして、関係の法令に取り込んでおります。
 現在、この原子力発電所などにおけます放射線業務従事者につきましては、五年間で百ミリシーベルト、その条件下で一年間につき最大五十ミリシーベルトという限度が規定されております。
#93
○委員長(辻泰弘君) 簡潔に答弁してください。
#94
○政府参考人(加藤重治君) はい。経済産業省では、これに基づきまして、法令に基づいて各事業者から報告を求めておりまして、すべての原子力発電所において法令に定める線量限度が守られているということを確認しております。
 今後ともこの確認進めますとともに、さらに、この被曝線量は合理的に達成できるほど低くすべきということございますので、その低減に向けた取組の検討を進めてまいります。
#95
○犬塚直史君 済みません、大臣、結局よく分からないんですよ。よく分からない中にあっていかにしてうまく救済できるようにするか、将来につなげていくかということにあって、新しい審査の方針というのは大変いい方針が出てきたわけですね。やっぱりこういうことに基づいて抜本的にこの援助法の骨格を改めていくという時期に来たのではないかと思います。それを将来につなげるという意味で、これはある放射線の研究者の手紙をいただきましたので、これを読んで私の質問を終わりたいと思います。
 チェルノブイリ原発事故からもうすぐ二十三年。一九九〇年以降、日本からも医療支援活動が開始されていますが、現在までに五千例を超す小児甲状腺がん患者が手術を受け、その原因が短い半減期の放射性沃素のミルクなどへの汚染混入のための乳幼児期内部被曝にあります。すなわち、原爆被災者の外部被曝の様式とは異なり、放射能降下物の吸入や食物連鎖による体内摂取による甲状腺内部被曝が最大の懸案事項です。
 こういうことは科学的知見としてしっかりとこれから研究していかなければならない。しかし同時に、今おられる被爆者の方々、十二キロの圏内で本当に済むのか、それ以外の方々に対してはどういうことを考えとして持っていくのか、課題は多いわけですが、大臣のリーダーシップを期待して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#96
○委員長(辻泰弘君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#97
○委員長(辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○大久保潔重君 こんにちは。民主党の大久保潔重です。私、長崎県選出でありますけれども、ちょうど一時からは長崎県の清峰高校が春の甲子園で決勝ということでありまして、私自身も今日は厚生労働委員会で初めての質問で今からプレーボールということで質問をさせていただきたいと思っております。
 私自身が歯科医師でありまして、大学卒業後約十年間は地域の医療、臨床の現場に携わっておりました。そういう観点から、今日は歯科医療あるいは歯科保健全般について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 冒頭で、今日は午前中、会派の森田議員からもちょっと質問がありました。小泉構造改革の総括と、それからこれまた予算委員会でも何度となく議題になりました社会保障費毎年二千二百億円の削減ということでありまして、それについて冒頭触れさせていただきたいというふうに思っております。
 この件は、参議院の本会議でも与党の議員からも、もう削減は難しいんじゃないかというような質問も過去出てまいりました。正直、本当に高齢化社会が進む中、このような医療費を削減していくという国の政策で、国民の皆さんの生命の安全、安心というのがきちっと確保できるのかどうか疑問があります。率直な御意見を大臣に聞かせていただきたいと思います。
#99
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど森田委員ともこの件を議論いたしました。午前中、犬塚議員共々大変参議院らしいいい議論ができたと思っております。大変感謝を申し上げます。
 今また大久保委員から御質問ありましたけれども、私はまず根本的には哲学の変更が必要だというふうに思っています。それは先ほど森田委員にも申し上げましたけれども、何もかもコストだコストだという財政計算だけでやるんではなくて、今委員もおっしゃったように、必要な投資であって将来への投資であると、そして国民に安心を与える、安心して日々の生活が営める、それが明日の活力につながるわけですから、私は日本人はそれだけの力を持った国民であると思っていますから、多少の苦しいことがあっても力を合わせれば必ず今の危機も乗り越えると思っています。そのための前提として必要な出費はそれはみんなで分かち合うべきだと思っています。
 二千二百億円につきましては、まあジェネリックで二百三十億円というのを出しまして、あとはこれは本当に道路の財源の一般財源化、とにかく一割ぐらいよこせといって何とか六百億をそこから持ってきたりとかいろんな苦労はありました。
 ただ、これはやはり先ほど申し上げましたように、基本的な哲学の変更を国民のコンセンサスを得て行った上で、そしてこれは負担をするのは我々は保険料なり税金で負担するわけですから、国民の御理解をいただければ、そしてそれが本当に希望と未来への投資だということで、そして、しかし無駄はもちろん排していくよと、そういう立場で今後進めたいというふうに思いますので、この参議院の厚生労働委員会での議論というのは国民が注目しておりますので、是非、そういう方向でいい議論を今後とも展開したいと思っております。
#100
○大久保潔重君 今、大臣から率直なお考えをお聞きいたしました。道路財源の一割といった率直な意見もありました。
 平成二十一年度の予算案でも、やはりこれは同じように二千二百億円のシーリングが掛かっておりまして、その対応を本当にぎりぎりの感じでなされていると思います。年金や医療等の経費の歳出削減は行わない中で、二千二百億円のシーリングに対応したということでありまして、これはかなり評価できると思います。そういう中で、その内訳に道路特定財源の一般財源化に際し創設された地域活力基盤創造交付金の削減による社会保障への財源拠出が約六百億円ということでありますけれども、これも正直、私は少ないんじゃないかと。これ、もっと出してもらえれば随分、もう少し楽にこのシーリングへの対応ができるんじゃないかなとも思っております。そういう意味では、大臣と非常に思いを共有しているんじゃなかろうかというふうに思います。
 ただ、なかなか、財政諮問会議も効率あるいは無駄を省いてということがありますけれども、この社会保障費という、社会保障政策の中でこれはやってももう本当限界じゃないかなと。厚生労働省所管の中でやってもそれは限界だと思うんですね。本当に無駄や効率化を進めるのであれば、もっともっとこれは全庁的に是非厚生労働省の方から、それはもう大臣も言われていると思うんですけれども、全庁的にやっぱりそういう声を大にしていただいて、ほかに行きますと多くのまだ無駄な、税金の無駄遣い等々たくさんあるわけでありますから、そういったところに切り込んでいって財源をつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#101
○国務大臣(舛添要一君) 当面は一次、二次補正、そして今度二十一年度の予算が成立しました。そして、さらにまた三十一日、先般、総理の方から新たな経済対策という指示がございましたので、その中にもこれはできるだけ社会保障の充実のための施策を盛り込みたいと思っています。
 ただ、問題は、やはり安定的に毎年毎年財源を確保していかないと、今年三千億来たよ、じゃ来年ありませんよでは話にならないので、やはりそこの議論は国民の皆さんに納得していただいて、それは消費税の形であれ保険料の形であれ、お金は天から降ってきませんから、その負担を納得していただけるだけの説得と説明と、そして自ら無駄を省く、身を処すということをやるべきだというふうに思っておりますので、今後そういう努力を続けて、やはり私は恐れずに消費税議論というのももうやるべき時期に来ているというふうに思っております。
#102
○大久保潔重君 ちょうど昨年はたばこ税の論議もたしかありましたですね。あれも消滅したのかどうかはちょっと分かりませんが。さらには、安定的な財源ではないにしても、例えば定額給付には埋蔵金と言われる財投から財源を持ってきた。しかし、社会保障費に対して埋蔵金から充てるというような話を私は聞いたこともありません。そのような問題もあって、やっぱり社会保障に対する国の認識がまだ弱いんじゃないかなという、こういう気がしております。
 いずれにしても、これは骨太の方針でも、「年金・医療等に係る経費等特定の経費に関連して、新たな安定財源が確保された場合の取扱いについては、予算編成過程で検討する。」ということでありますので、これは積極的な論議をやっぱり与野党でやっていくべきだというふうに思っております。
 さらに、これは削減するだけじゃなくて、やっぱり高齢化社会、社会保障費は自然増していくわけであります。と同時に、先進国の一つとしてやっぱり活気ある成熟した社会をずっと維持していくためには、これはやっぱり社会保障に対する予算を減らすんじゃなくてもっと増やすべきだ。先ほどの森田議員の質問の中でもありましたし、大臣からも哲学を転換するべきだと、このような答弁もあっておりますが、やっぱり産業として医療や介護の現場が成り立つように、そして今本当に多い失業者の皆さんを雇用として吸収できるような仕組みをつくっていただければ、いずれそれはそのお金は世の中を回って、そしてまた税収として返ってくるという、こういうふうな状況になるんだろうと思うんですけれども、そういう社会保障費に対する予算の増額については、何かありましたらお考えをお聞かせください。
#103
○国務大臣(舛添要一君) これは毎年、財務省と細かい詰めをやっておりますけれども、一つは財源の確保をどうするかということであります。
 保険料、例えば介護の問題なんかも、これももっともっと処遇の改善をやりたいと思いますが、今回は一時的な財政措置でやりました。しかし、あれは基本的には保険料ということになりますから、報酬を上げるということになれば保険料も上がってくる。この負担がどれぐらいなら国民の皆さん耐えてくださるのか、その議論もやらないといけないんで、そういう意味ではやっぱり国民に対する説得というのは非常に必要だと思います。
 そして今、医療にしても介護にしても半分が税金、半分が保険。だから、税か保険かという議論のときに恐らく、何人かの委員の先生方も御提案のように、五〇、五〇というのを、例えば税金の比率を六〇に上げて保険料を四〇に下げると、そういう議論もあっていいと思います。ただ、最終的にはこれはもう国民の皆さん方に納得していただくしかありませんから、私はやっぱり消費税を福祉目的税的に使うという方向での議論でのコンセンサスが得られればと思っています。これ、すぐ今日あしたということではなくて、もう議論は始めていいだろうというふうに思っています。
#104
○大久保潔重君 消費税の論議でもそういう福祉目的税として、目的税として固定することの論議もあるでしょうけれども、しかしこれはやっぱり国民の皆さんの健康あるいは生命あるいは老後の不安等々を解消するための、やっぱり先進国としての当たり前の政策だろうというふうに思っております。もう是非その方向で、例えば消費税もコンセンサスを得られるように、私たちも積極的な議論に参画をさせていただきたいというふうに思っております。
 私が学生時代はちょうどバブル経済、バブル崩壊後の失われた十年ということで、世の中大変な犠牲を伴っている。そして、小泉構造改革のひなたと影の部分もありまして、私は、長崎というのは日本の最西端で離島、半島を多く抱える、非常に地方の中の地方と言われるところでありまして、最近、経済成長あるいは経済の状況がすごく景気がいいというような報道の一方では、どんどんどんどん我々の地域は人口流出もあって、非常にもう肌で感じる、経済が本当にいいのかという状況は感じなかったわけであります。そうこうしていましたら、突然といいますか、このような百年に一度の経済危機という状況になったわけであります。
 そういうことも総合的に考えまして、やっぱりこの社会保障にきちっとした予算を投入することによって、これは地方の再生にもつながってくると私は思っているわけであります。老後に不安を抱いておったんではなかなかやっぱり日常の活動もままならないという状況になると思いますので、どうぞ是非、財務省、お金の勘定をする財務省、あるいは総理の諮問会議である経済財政諮問会議に対しても、是非我々も先ほどの大臣のお考えをしっかりバックアップをさせていただきたいと思いますし、大臣の方からも強くその辺を求めていただけたらというふうに思っております。
 次に、国民医療費の問題から、私自身が歯科医師ということでありまして、国民医療費に占める歯科医療費ですね、歯科医療費についてお尋ねをしたいと思います。
 割合でいいますと、昭和五十六年、これは、総医療費の中の歯科医療費は約一一%。これをピークに年々下がり続け、平成十八年には七・七%ということであります。十八年度の診療報酬の改定時期にはたしか七百億円の減少だったと、こういうふうな状況もあります。総医療費の中で歯科医療費の占める割合について考える際、もちろん国はいろんな国民の皆さんのニーズあるいはディマンドというのをとらえながら、いろいろ具体的な取組をされていくんだろうとは思いますが、今の現状で、この歯科医療に対する国民のニーズやディマンドをどうとらえて、どう取組をしていこうとされているのか、お尋ねしたいと思います。
#105
○政府参考人(水田邦雄君) 御指摘のとおり、国民医療費に占める歯科医療費の割合、これは年々減少してございます。
 その理由につきましては、一つに、子供の虫歯の数が減っている、あるいは八〇二〇運動達成者の増加ということがございまして、国民の歯の健康状態が改善しているということがあろうかと思います。また、医科に比べまして新しい技術あるいは医薬品の保険診療への導入が少ないということなど、様々な要因が重なった結果であると考えてございます。
 お尋ねの、今後の歯科診療報酬の在り方についてでございますけれども、これは医科を通じてでございますが、我が国の医療保険制度におきましては必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により給付するということとしてございまして、歯科診療報酬改定に当たりましては、こうした考え方に基づきまして、現場の声を伺いながら必要な歯科診療、歯科医療を提供できるよう適切に対処していきたいと、このように考えております。
#106
○大久保潔重君 歯科の臨床の現場で、ひところからすると齲蝕、虫歯の状況が減ってきている、あるいは歯周病もかなり管理が進んでいるなんてことも言われますけれども、いまだにそういう歯科の疾病が多いのは事実だし、さらには顎関節症とかそれに付随する問題もどんどんどんどん出てきております。
 それから、必要性というんじゃなくて、やっぱり潜在的にそういう病態を持っておられる方がたくさんいらっしゃるということも事実であります。ですから、是非そのディマンドという部分も是非国としてはしっかり把握をしていただいて、分析をしていただいて、それなりのやっぱり対応をしていただきたいと思うわけであります。
 ちょっと具体的にいろいろ歯科に関する質問に入っていきたいと思いますけれども。
 前段で、口腔という概念もあります、口腔という概念ですね。しかし、今は口腔医学というのは実際まだ言いませんね、歯科医学。医療に対しても、口腔医療というのはなくて歯科医療という形であります。それから、口腔といいますと、ただ単に歯とか歯周組織以外の、例えば口唇だとか舌とか咽頭、喉頭も入ってきますので、そういう意味では、私が今日質問したいのは、やっぱり歯科領域の健康が日常生活における適切な処置等によってかなり長きにわたって保持ができるだろう、できるという、そういう観点から今日は歯科という名称に統一してこれからの質問をずっとさせていただきたいと思っております。
 日本歯科医師会ももう随分前に八〇二〇社会の実現ということでその運動、取組をしてきました。随分その向上が見られますけれども、まだ現状で八十歳で二十本の歯が残存しているというのは全国民の二〇%という状況であります。
 これから八〇二〇実現に向けてどういうふうな政策を打っていく必要があろうか、あるいは今後の歯科保健医療の充実に向けて中長期的な、短期じゃなくて中長期的な政策の大きなポイントがありましたら、ちょっとお示ししていただきたいというふうに思います。
#107
○政府参考人(外口崇君) 最初に、八〇二〇運動でございますけれども、歯科保健医療関係者の方々の御尽力によりまして、子供の虫歯の減少や八〇二〇達成者の増加など歯科疾患の予防が大きな成果を上げつつあると認識をしております。
 ちなみに、十二歳の虫歯の本数は、昭和五十九年は四・七五本でございましたけれども、平成二十年は一・五四本まで減っております。八〇二〇、いわゆる八十歳になっても二十本以上歯を保つ方の達成者率は、昭和六十二年が七・〇%でしたけれども、平成十七年、二四・一%でございます。
 その一方で、高齢化の進展に伴い在宅歯科医療の充実も必要とされております。平成二十年度からは、在宅歯科医療、口腔ケア等を推進する歯科医師及び歯科衛生士の養成、在宅歯科医療機器の設備整備の補助制度に関する事業を実施しているところであります。
 また、健康寿命を延伸するためには、その基盤となる小児期からの食育を推進していくことも極めて重要であります。歯科保健と食育の在り方に関する検討会を設置して、歯科保健の立場から食育を推進していくための方法について現在検討を進めております。
 さらに、今年度から、歯科保健医療関係者も御参画いただきまして検討会を設置し、現場の意見をよくお聞きしながら、歯科関係職種の資質向上に向けた検討、今後の歯科保健医療の在り方についての検討を行うこととしております。
 これらの議論を踏まえて、歯科保健対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
#108
○大久保潔重君 具体的に、小児時期あるいは在宅ということでそれぞれのステージに応じた御説明がありました。もちろん、人間というのは生まれてから亡くなるまでずっとこれは人生というのは連続性があるわけでありますから、生涯を通じて、それぞれのライフステージというものにはそれぞれの特性があるわけであります。それに応じた効果的な歯科保健医療活動を推進をしなければいけないというふうに思っておりますけれども、残念ながら、その連続性のある政策を実現していくためには何か法的な、根拠となる法的な基盤の整備がまだ十分じゃないんじゃないかというような私自身は感想を持っております。
 例に取って言いますと、まず小児期ですね、小児期においては、先ほど説明がありましたように、かなり歯科保健医療というのは向上してきている。しかし、その裏付けになるのは例えば母子保健法あるいは児童福祉法あるいは学校保健法というのがあって、その中での取組がなされてきておると思うんですね。しかし、そこには、その成果には地域の格差というのも必ず見られるわけであります。
 そういう法的な裏付けがあってかなり積極的にいろんな政策が打たれてきても、今日見られる小児期における歯科保健の実態の成果といいますか、その地域格差についての何か格差是正策というものを考えておられるかどうか、お尋ねします。
#109
○政府参考人(外口崇君) 御指摘の地域格差でございますけれども、例えば三歳児の一人当たりの平均虫歯の数を調べてみますと、例えば一番低いところでは東京都とか愛知県で〇・六九本でございます。ただ、青森県二・二二本ということでございまして、これも地域によって格差がございます。このため、こういった都道府県の地域別のデータをまずは毎年情報提供をして、そして啓発活動に役立てていただくということがございます。
 小児期における歯科保健対策、全体としては大きな成果を上げておるところでございますけれども、こういった地域別のデータ等を出すことによって各地域でそれぞれ更に頑張っていただきたいと思っております。
#110
○大久保潔重君 実態は把握をされていると思うんですけれども、やっぱりまず病気にならないための予防ですね、これが非常に重要だと思うんですね。
 これまで、どうしてもやっぱり個人の、何といいますか、セルフケアというか、個人の責任においてしっかり口を管理すると。その部分を、それは基本であるのは間違いないですよ、しかし、それを強いるのはやっぱり良くないんじゃないか。定期的に医療機関にかかって専門的な治療を受ける、これはプロフェッショナルケア。これも要は個人の意思で行くわけですよね。ただ、やっぱりその格差を、地域の格差あるいは所得の格差を是正していくためには、やっぱりセルフケアやプロフェッショナルケアだけじゃなくて、パブリックなケアというのも必要になってくると思うんですね。
 そういう意味で、そういうケアのやり方とのバランスというのも非常に大事なことだろうと思いますが、その辺はどうですか、御見解。
#111
○政府参考人(外口崇君) 御指摘のように、歯の健康を維持増進するためには、個人が行うセルフケア、歯ブラシとかフロスを使っての歯磨き等が入ると思います。それからあと、プロフェッショナルケア、これは歯科医師による健診、そして口腔内の清掃等だと思います。それからあと、全体的にそれを支えるパブリックケアという御指摘ございました。
 どれもそれぞれ必要だと思います。バランスを保ってこういった施策組み合わせて進めることが必要だと思っております。
#112
○大久保潔重君 バランスが大事なんですね。ですから、先ほど言いましたように、やっぱりパブリックケアの部分を今後は重要視していただかなければ、なかなか個人の努力あるいは医療提供者側の努力だけでは限界があるだろうと思うんですね。そういう意味では、是非そこを重要視していただいた施策を打っていただきたいというふうに思っております。
 小児期を出しましたけれども、これは妊産婦における時期もそうであります。よく女性の方は妊娠されて出産をされますとお子さんに栄養を取られて悪くなると、これは余り科学的な論拠はないんですが、しかしやっぱり妊娠時期というのはつわりもあるでしょう、胃酸が上がってくる、お口の中の環境あるいはpHの状態も変わるでしょうし、甘いものが欲しいとか、あるいは、子育てを始めますとなかなか御自分の口の管理ができないというところであって、そういう部分にでもやっぱり細やかなきちっとした医療提供あるいは保健サービスをされるべきだというふうに思っております。
 それから、児童福祉法、学校保健法の中であっても、例えば保育所や幼稚園でも、無認可の保育所や幼稚園においては、例えば法の裏付けのある歯科保健医療のサービスがなかなか受けられないと、こういうようないわゆるすき間といいますか、谷間の状況も今生じているわけであります。
 そういうところを認識はされているでしょうけれども、そういったところをどう細かく対応していくかということについてちょっとお聞かせ願います。
#113
○政府参考人(外口崇君) 歯科保健は、先生御指摘のように、胎児期、乳児期、それから一歳から三歳、四歳、五歳、それから学童期、成人期、老年期、それに加えて妊産婦さんとか心身障害者の方とか、それぞれの特性に応じてそれぞれの歯科的問題点があるわけでございます。虫歯の問題、あるいは歯茎の炎症が始まる時期の問題、それから歯周疾患、そしゃく機能、それぞれについてそれぞれの対策が適切に取られることにより、冒頭申し上げました八〇二〇社会の実現ができるものと考えております。
 今こういった点で、特に健診の面を一つ取りましても、私ども厚生労働科学研究においても、今成人期における歯科疾患の効果的なスクリーニング方法の開発に関する研究等を行っているところでございます。こういった研究成果も参考にしながら、先ほど申し上げましたような歯科保健、今年度から始まる検討会の中でこういった点についても幅広く検討を進めていきたいと考えております。
#114
○大久保潔重君 是非お願いをしたいと思います。
 予防とともに、歯科疾患の場合にはやっぱり早期発見、早期治療が非常に重要であるのはもちろんであります。
 先ほど言いましたように、法律の裏付けがあってある程度施策が打てるところはいいんですが、例えば成人期以降、これは非常に法的基盤が貧弱だと思っております。成人期になりますと法の裏付けがないために歯周病などの予防対策が途切れたり、あるいは歯科保健医療が本当に個人の責任に負わされている、負わされ過ぎているというような状況があります。
 健康増進法で言うところの歯周疾患の健診で本当に十分なのかどうか。具体的には、労働安全衛生法では歯科の定期健診が明記されていないけれども、それで本当にいいんでしょうかと、このような問題提起があるわけでありますが、その辺のところはどうでしょうか。
#115
○政府参考人(外口崇君) 特に成人期につきましては、先ほど成人期の歯科疾患のスクリーニング方法の開発に関する研究を行っているところと申し上げましたけれども、これはもう大変大きな大事なテーマでございます。そして、冒頭申し上げました検討会でも、二つ大きなテーマがありますけれども、二つのテーマのうちの一つは今後の歯科保健医療の在り方についての検討でございます。こういった中で、このライフステージを通じた健診の在り方も含めてよく検討してまいりたいと思います。
#116
○大久保潔重君 次に、高齢者、先ほどちょっと説明もありました。ますます増加する在宅高齢者、あるいは施設での介護の状況において取組をされているということでありますけれども、二十一年度の具体的な国の取組についてもうちょっと説明していただきたいと思います。
#117
○政府参考人(宮島俊彦君) 高齢者の口腔ケアですが、高齢者の死亡原因、誤嚥性肺炎が多いということで、介護保険制度においても居宅サービス、通所サービス、施設サービスそれぞれで口腔ケアを必要とする要介護者に今サービスが提供されるように介護報酬上の評価を行っています。
 具体的には、居宅サービスでは、歯科医師さんや衛生士さんが在宅の方に口腔ケアを行った場合に居宅療養管理指導費ということでの評価を行っています。それから、通所、通いですが、この場合には、利用者の方に口腔ケアを口腔機能向上加算として評価しておりまして、二十一年度の介護報酬改定でも評価の増を行っています。それから、施設サービスでは、今回新たに口腔機能維持管理加算というものを新設いたしまして、歯科衛生士の方が口腔ケアについてその入所施設の介護職員に対して技術的な指導をした場合に評価するということを行っているところでございます。
#118
○大久保潔重君 在宅患者を対象したものに退院時の共同指導料あるいは在宅患者連携指導料といったのがあります、これは診療報酬の中でですね。これが余り、せっかく在宅の状況の中で歯科の負う役割というのを評価していただいたのにもかかわらずなかなか算定をされていないという、こういう現状があるというふうに聞いておりますけれども、この問題点について、何か御指摘することありましたらお示しいただきたいと思いますが。
#119
○政府参考人(水田邦雄君) ただいま御指摘の診療報酬点数につきましては御通告をいただいてなかったもので調べておりませんけれども、今後、現状につきまして状況把握をした上でまた御説明に参りたいと思います。
#120
○大久保潔重君 通告していなかったですかね。
 現場では、やっとこの医科歯科連携というのが叫ばれてモデルケースをつくってやっているんですが、なかなか医科から歯科への情報が少ないと、こういったことも聞いております。だから、そういう意味では、せっかく評価をしてもそれなりの算定がされなければ余り意味のないものだというふうに思っておりますので、そういったところのまた御指導、管理をよろしくお願いしたいと思っております。
 それから、高齢者における死亡原因、肺炎というのがよく出ますが、このほとんどは誤嚥性肺炎であります。この問題ももう度々取り上げられているとは思うんですが、介護現場での適切な口腔ケアで高齢者の肺炎による死亡を約五〇%予防できるという報告もあるわけですね。そういった意味では、是非、この具体的な取組を進めていく中で、先ほど言いました、私から御指摘をさせていただきました点を踏まえて御指導していただきたいと思いますが、いかがですか。
#121
○政府参考人(宮島俊彦君) 御指摘いただいておりますように、誤嚥性肺炎、確かに発熱率ですけれども、半分になると、口腔ケアをされている方は危険が半分になるということでございまして、先ほど介護保険の各サービスについて御説明いたしましたが、今後とも厚生科学労働研究とか老人保健の健康増進等の事業でこの口腔ケア、この実施状況、調査研究を行うこととしておりまして、こういった調査研究を進めながら、より良いサービスの提供に努めてまいりたいというふうに思います。
#122
○大久保潔重君 介護現場での適切な口腔ケアということで質問しましたけれども、それと同時に非常に大事なことがありまして、これは一つの例でありますけれども、八十歳過ぎの方で、歯がなくて、残存する歯がなくて全くかめない状態で体力が落ちたお年寄り、もうあと数か月しか恐らく生命もたないだろうと、こう予測された状況下の中にあって、せめてお亡くなりになる前においしいものを食べさせてやりたいということで、きちっとした義歯、入れ歯を装着し、要はそしゃくして消化できるような状況になると、何と一月で、腰は曲がっておるけれども、歩いて病院に通院をできるようになったと。二か月目にはもう腰がぴんと伸びた。三か月目ではもう御自宅の庭で庭いじりをしていると。こういった症例も報告をされております。口腔ケアと同時にそしゃく嚥下機能をきちっと回復をしていくということは、まさに今後の大きなやっぱり医療政策の一つにしていただきたいと思っております。
 日本人の健康寿命は約七十四・五歳であります。平均寿命は約八十二・五歳、この間というのは、非常に要介護の状況、最もひどいケースは寝たきりという状況が考えられるわけでありますけれども、ここをきちっとした適切な処置によって食を通してその方の人生を支えていくというのも、これはまさに今後の歯科保健医療の役割だと考えますが、その辺はいかがです。
#123
○政府参考人(宮島俊彦君) 厚生労働科学研究の方で現在、摂食嚥下障害の機能改善のための補装具に関する総合的な研究というようなものも行っておりまして、こういうような調査研究事業のこの成果を踏まえまして、そういった高齢者の方々の歯科医療、歯科の状態の改善、これに努めてまいりたいというふうに考えております。
#124
○大久保潔重君 次に、障害者歯科についてお尋ねをします。
 高齢者と同様に障害者も、また歯科保健医療サービスへのアクセスが非常に制限されがちでありまして、劣悪な口腔環境で放置されがちの状況であります。こういう状況というのは、もちろん国も把握をされていると思います。
 また同時に、実は現行の身体障害者福祉法、昭和五十九年にそしゃく障害というのが身体障害者に組み込まれました。しかし、その診断書を書くことができるというのは医師に限られております。二〇〇〇年三月、これは民主党からその身体障害者福祉法の一部改正案が提出をされ、これは廃案になったと聞いておりますけれども、その後、局長通知で、医師、歯科医師双方の診断書を添付ということになったというふうに聞いておるんですが、これを聞いただけでも私は、本当に患者さんを無視した、国民の側を向いてない医療政策じゃなかろうかと、こう思うわけでありますけれども、いかがでございましょう。
#125
○政府参考人(木倉敬之君) 御指摘のように、身体障害者福祉法によりますそしゃく機能の障害、この認定に当たりましては、口唇口蓋裂の後遺症などによりましてそしゃく機能に障害をお持ちの方、その障害の認定に当たりましては、歯科医師によります診断書、意見書の提出、それをまず求めて、それを踏まえて更に総合的な観点から医師が作成する診断書、これを提出をいただいておるというところでございます。
 これは、そしゃく機能の障害ということのとらえ方が、御専門でございますが、食べ物をかむ、それから唾液と混ぜる、それからそれを喉頭に送り込む、それから食道に送り込む、こういうふうな一連の過程から成る機能、その障害をとらえようとするもの、その状況全体を把握した上で的確な障害の認定を行うというためのものでございまして、これに際しまして、歯科医師の方によります専門的な御判断とともに医師の方によります総合的な判断、そのいずれも必要と考えているところからでございます。
 このような考え方につきましては、御指摘のように、昭和五十九年にこのそしゃく機能障害が追加をされまして以来いろいろ御議論をいただきました。法律案も御提出がありました。そういう御議論の中で、歯科医師の方の専門性あるいは診療に携わっていらっしゃる実態、それをちゃんと踏まえながら総合的な判断をしていくべきだという中で今のような形になっておるというふうに理解をしておりまして、御指摘のように、歯科医師の方だけの判断というのはなかなか難しいのかなというふうに承知しておるところでございます。
#126
○大久保潔重君 しかし、そしゃく障害というのは大方、もう大方ですね、もう一〇〇%に近く歯科医師が通常管理をしているんじゃなかろうかという、こういうふうな感じを持っております。
 法の改正じゃなくて局長通知で、医師、歯科医師双方の診断書を添付といった、何か少し、まあこそくなと言ったら失礼かもしれませんけれども、そういうふうな状況で対応されているというのに問題があると思うんですね。
 患者さんにやっぱり負担を掛けると思いますよ。歯科医師に通常そしゃくの障害というのは管理をされていて、歯科医師の判断できちっと障害者の手帳の申請をできると。これはやっぱり、もうそういうことであるならばやっぱり法改正をしてやるべきだと思っておりますので、近々その改正案を機会ありまして提出をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、児童福祉の現場において、これは昨今、児童虐待の問題というのも大変クローズアップをされております。児童虐待には身体的な虐待、精神的な虐待もありますけれども、非常に難しいのがネグレクトと言われる保護の怠慢等々の事案であります。
 そのネグレクトのケースにおいて、早期発見に歯科医師がお口の中を見てその予測を立てるというようなケースというのは大変有効だと思われます。今後、このような児童虐待、特にネグレクトのケースにおいて歯科医師をもっともっと現場で活用するべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
#127
○政府参考人(村木厚子君) 御指摘のように、児童虐待については非常に早期発見が重要でございまして、地域の保健医療の方々の協力を得るということが大変重要だと思っております。
 特に、歯科医師の方々につきましては、虫歯が異常に多いお子さんは、栄養の偏りがあるとか歯磨きの習慣がないとかあるいは歯科医の受診をしていないというような、不適切な養育環境にあるということが想像されます。こうしたお子さんについては、特に虐待が疑われるような場合には児童相談所に通告をしていただく、またそうでない場合でも医療機関から保健機関ですとか児童相談所ですとか、それから市町村の児童の担当部署に情報提供をいただくというのが大変重要だというふうに私どもも考えております。
 こうしたことから、まず中央レベルでは児童虐待防止対策協議会というのがございます。ここには日本歯科医師会もメンバーに加わっていただいております。この協議会ですとか、それから市町村レベルに置かれております子どもを守る地域ネットワークというのがございますが、こういったところを活用しながら歯科医師の方々の協力を求めているところでございます。
 また、去年の三月でございますが、糖質の過剰摂取や栄養の偏りによると思われる複数の虫歯があり、養育支援が特に必要な家庭について、医療機関から保健機関に情報提供をしていただいて、関係者が連携をして家庭に対する支援を行うということを都道府県に通知を発出をしたところでございます。
 今後とも、歯科医師の方々に御理解をいただき、御協力をいただいて、児童虐待防止のために関係者と一緒に努力をしてまいりたいと思います。
 特に、市町村の地域ネットワークにまだ地域の歯科医師会への御加入をいただいていないケースもあるようでございますので、その辺りに特に力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。
#128
○大久保潔重君 是非お願いしたいと思います。
 それから、今度、歯科領域の健康と全身の健康についての様々な報告もされております。例えば、歯周病と糖尿病あるいは歯周病と虚血性心疾患の相関関係等、こういったのも今後は恐らく、国も認識をされておりますから、いろんなデータを集めていかれるというふうには聞いておりますけれども、同時に、そしゃく、かむことと脳機能の関係、あるいは咬合、咬合口径と頸椎を介した姿勢制御の問題等もだんだん明らかになってきました。これをしっかり科学的根拠を明らかにすることによって、歯科が全身の健康にも貢献できる、予防的に、大きな疾病を出す前にそれを防ぐことも可能になるかもしれません。
 そういった意味も含めて、是非その研究開発も進めていただきたいというふうに思っておりますが、その辺の認識は持たれておりますよね。
#129
○政府参考人(外口崇君) 口腔の健康と全身の健康との関係につきましては、有名なのは口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防になることでございますけれども、近年は歯周病と糖尿病や循環器疾患の関係についても注目をされております。今後、因果関係などのエビデンスが研究されていくものと考えております。
 この口腔の健康と全身の健康につきましては、厚生労働科学研究においても研究を行っております。口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究、花田教授が中心になって研究を進めておりますけれども、今後とも歯科医師を始めとして医師等保健医療関係者と連携してこういった研究を進めていくことが重要と認識しております。
#130
○大久保潔重君 これまで歯科保健医療政策について、生涯にわたる各ライフステージにおける状況について質問してきました。最後はその歯科領域と全身との関連についても質問してきました。そういう意味では、トータル的なやっぱり政策が必要になってくるんだろうというふうに思います。
 今度は、歯科医療の現場、現場からのもういろんな要望や要請が出ていると思うんですね。例えば、レセプトオンライン化、この請求の完全義務化を本当に進めるのかと。これは歯科医師会だけじゃなくて医師会、薬剤師会、三師会で手挙げ方式というのを提出されていると思うんですね。あるいは歯科医療機関においても、あるいは医療機関においても同じでありますけれども、社会保険診療報酬等への消費税の非課税制度に対するゼロないしは軽減税率による課税の改正はどうなっているのかと、こういうことも要望として出されていると思います。
 また、何も歯科の現場は歯科医師だけではできません。歯科技工士や歯科衛生士さんなど役割に応じた積極的なやっぱり人材をつくり、活用を図っていかなければいけません。そのためにも、一層のコメディカルスタッフの資質向上を努めていくべきであると、このようなことも必要であろうかと思います。
 そういうことも含めて、厚生労働省は、現場の歯科医師の意見を参考にしながら、歯科保健医療政策を一層推進していくためにやはり医療系の各種団体との連携をしっかり進めていかなければいけないと思うんでありますが、どういうふうに連携をしていくのか、その辺お尋ねしたいと思います。
#131
○政府参考人(外口崇君) まず、現場の意見をよくお聞きしてということでございますけれども、今年度から、歯科保健医療関係者に参画いただく検討会、これはとにかく現場の意見をよくお聞きしながら、歯科関係職種の資質向上に向けた検討と今後の歯科保健医療の在り方についての検討、これを大きな二つの柱として進めていきたいと考えております。
 それから、そのほかの医療系の各種団体との連携でございますけれども、関連する団体、大変多くあります。そして、先生先ほども申し上げましたコメディカルの方々でございますけれども、歯科技工士の方、歯科衛生士の方、特に歯科衛生士の方については、高齢化の進展とか医療の高度化、専門化等の環境変化もありますので、今資質向上を図っているところでありますし、大変重要な役割を占めているものと思います。こういった方々との連携をより一層強めながら、チームとして国民の歯科保健の向上に当たれるように連携を密にして進められるように、私どももしっかり支援していきたいと思っております。
#132
○大久保潔重君 ほかにもいろいろ質問したくて、例えば昨今、世の中では医師不足という状況下、その一方で実は歯科医師は過剰である、この歯科医師の需給問題についてなかなか進展が見られないような感じがします。これ、大胆な政策を打っていかなければいけないというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 平成二十一年度予算を決定する過程で、概算要求の際の安心プランを見ておりました。これは二十一年度の予算案の主要事項でありますけれども。この中に歯科関係が全く出てきません。それはなぜなのかという純粋な思いがあるわけであります。食べるとか会話するというのは、人間の生きていくための根源的な力であります。その意味では、歯科保健医療というのは生活を支える重要な要素であり、人間が満足した人生を送っていただくためには新しい可能性を秘めている領域の分野だと思っております。
 そういう意味で、国民の健康と質の高い生活を確保するためには、歯の健康の保持に関する何らかの法的位置付け、基本理念を定めた法律が必要であると思いますが、最後に舛添大臣、お尋ねしたいと思います。
#133
○国務大臣(舛添要一君) 与野党皆さん方、そういうプランを持って御検討しているというのも聞いております。ずっと一連の議論を通じて歯科の、歯の健康を守ることがいかに大事かということをおっしゃいましたので、これはもう消化器のスタートというか入口ですから、そういう意味では、少し八〇二〇運動も進んでいますけれども、まだまだ予防というふうなことも含めて歯科の皆さん方が国民の健康を守るためにやるべきことは多々あると思いますので、是非そういう方向での努力をみんなで続けたいと思っております。
#134
○大久保潔重君 実は、昨年の六月四日にも一度提出をしたんですが、またこの国会で近々、歯の健康の保持の推進に関する法律案ということで議員立法で出させていただきたいと思っておりますので、対応のほどよろしくお願いして質問を終わります。
#135
○石井準一君 自由民主党の石井準一であります。
 社会保障費の在り方についてまずお伺いをしたいと思います。午前中の森田委員、大久保委員と質問の趣旨はダブるわけでありますけれども、先日、平成二十一年度の予算が成立をし、新たな年度がスタートいたしました。平成二十一年度の一般会計予算は約八十八兆円であります。政策的経費である一般歳出は約五十一兆円になります。その中でも半分近くの約二十五兆円が社会保障関係費であり、そのほとんどが厚生労働省の予算ということになります。これだけ膨大な予算が充てられている一方で、残念ながら社会保障に対する国民の安心感、満足感は十分とは言えないのではないでしょうか。
 私自身も地元で厚生労働省の予算や社会保障費の予算の話をすると、みんながびっくりしたような形で耳を傾けておるわけでありますけれども、この予算規模に見合った安心感、満足感を達成するには、やはりしっかりとした社会保障の在り方をこれから提示をしていかなければならないというふうに考えております。
 社会保障費の抑制については、舛添大臣も見直しの必要性について言及をされておりますし、先日、三月二十六日の参議院予算委員会でも与謝野財務大臣も見直す考え方を表明をされました。安心、安全な社会保障をこれからしっかりと整備をしていくには、安定財源の確保の議論が必要不可欠であります。
 先ほども、消費税を含めたそうした財源の確保の話も大臣の方からお話があったわけでありますけれども、そのためにも国民に全体像をしっかりと示しながら国民と一体となって社会保障のあるべき姿を目指していく必要があると考えますが、舛添厚労大臣のまずは見解をお伺いをしたいと思います。
#136
○国務大臣(舛添要一君) 午前中もずっと議論を進めてまいりましたし、先ほども歯科の歯の問題に入る前に議論をさせていただきました。やはり、国民に安心を与えるという意味で社会保障は非常に重要でありますし、昨年の末に策定されました中期プログラム、これにおきましても、やはり安定財源をきちんと確保しようということ、その上で社会保障の機能を強化していかないといけない、今で十分じゃありませんよと、こういう議論を行っておりますんで、当然その財源を確保した上で機能を強化すると、こういう方向で更に社会保障の充実を図るべきだと考えております。
#137
○石井準一君 そのためにも厚生労働省の体制についてお伺いをしたいと思います。
 行政改革で断行し、厚生労働省は厚生省と労働省が合併をできた省であります。ドイツやイギリスなどの例を見ても、保健医療、福祉、年金、雇用を一大臣でやっているところはないと言われております。少なくとも二省、保健医療プラス福祉、年金プラス雇用に分割する必要性なども議論をされるべきであると思いますが、官邸に設置をされております厚生労働行政の在り方に関する懇談会は、三月三十日に最終報告がまとめられたと聞いております。
 現在、国民の不安、不信はほとんどが厚生労働省と言っても過言ではないほど取り組む問題が山積をしておりますが、その中で、組織・体制の在り方についての提言で、まず最初に、大臣を中心とするガバナンスの強化が指摘をされておりますが、幅広い厚生労働行政を担当される大臣として、行政課題に的確かつ迅速に対応できる体制の確立についてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
#138
○国務大臣(舛添要一君) 元々この厚生労働行政の在り方に関する懇談会というのは福田総理の下につくられまして、厚生労働省じゃなくて官邸、つまり内閣官房長官が主宰して行うというところに、それだけ大きな意味を内閣全体で与えられた検討会だったわけですけど、今の点は、大臣を中心とするガバナンスの強化ということで三つの点が挙がっておりまして、一つは大臣が主宰する政策推進会議の設置、二番目が大臣を補佐するスタッフの充実、三番目が国会答弁などにおける副大臣や政務官の活用など、そういう御提言をいただきました。
 政策が多岐にわたりますんで、なかなかやっぱり一人で全部見れないというのはあると思います。今、私の下に改革推進室というのを置いて、そこに十名以上のスタッフがおります。その中はほとんどが他省庁の方に併任を掛けて来てもらっている。例えば、午前中もあった原爆の訴訟の話のようなときは、これは訴訟のことをよく分かっている人がいないといけないんで、法務省の裁判官や検察を経験された人を併任掛けて来てもらっています。それから、産業政策については経済産業省から来ていただく。それから、やっぱり予算の話になると財務の知識ないといけないんで、財務省からも併任を掛けて来てもらっている。
 そういう形でガバナンスの強化を図っておりますけれども、こういう提言を踏まえた上で、日々改革の努力は必要だと思いますんで、そういう方向で努力をしたいと思っております。
#139
○石井準一君 今、大臣の方からそうした答弁だったわけでありますけど、私もこの最終報告書の在り方を読ませていただきました。この中で、大臣が述べておられましたとおり、大臣が省のトップたる政治家として、適時適切にかつ多角的な見地から情報を得て判断を下していくために、これを補佐するスタッフの充実を検討すべきであるという文言もあります。
 先ほどまでは大臣の両わきに大村副大臣また渡辺副大臣がおったわけでありますけど、副大臣や政務官が大臣に代わって担当分野をしっかりと分担をして対応できるような一層の活用、また、副大臣・政務官制度の導入時の趣旨を十分に生かしていくことが重要だというふうに指摘をしておりますが、果たしてその機能が十分に果たされているのか、再度お伺いをしたいと思います。
#140
○国務大臣(舛添要一君) 今横におられます渡辺副大臣、実はこの三十、三十一日、私の代理でローマまで行かれまして、労働大臣会議G8ありまして、今非常に大事な会議でございますんで、行って、まだ恐らく時差ぼけでお悩みになられていると思いますけど、帰ってこられました。そういう形での分担はしっかりやっておると思っていますので、今後とも更なるチームワークを発揮したいと思っております。
#141
○石井準一君 あえて私が再度質問したのは、実は今日のこの委員会の質問にあったわけでありますけど、衆議院で予算委員会が開催をされた場合に大臣が出席できないということで私の質問の時間が大久保委員との入替えがあったように聞いていたわけなんですけど、そうした場合、やはり我々委員も大臣にしっかりと答弁を聞きたいという思いがあるわけなんですけど、副大臣、政務官クラスでも私は結構ですと言ったんですけど、それがやはり大臣でなければいけないという、委員会の運営にも大きなやはり問題点を一つ投げかけておきたいなというふうに思っておるわけであります。
#142
○委員長(辻泰弘君) ちょっと今のは事実関係がよくあれですけれども。ちょっと時間止めましょうか。
 速記止めてください。
   〔速記中止〕
#143
○委員長(辻泰弘君) じゃ、速記を始めてください。
#144
○石井準一君 次に、日本年金機構理事長に紀陸氏を選任した理由についてお伺いをしたいと思います。
 舛添大臣は、社会保険庁の年金部門を引き継ぐ日本年金機構の初代理事長に、元日本経団連専務理事の紀陸孝氏を起用されることとされました。
 社会保険庁はこれまでも数々の不祥事によって国民の信頼を裏切ってきましたが、年金記録問題によって国民の年金不信は一層高まってしまいました。公的年金制度の運営体制を再構築をし、国民の信頼を確保することは喫緊の課題であります。こうしたことから、社会保険庁を廃止をし、厚生労働大臣が公的年金制度に関する財政責任及び運営責任を担うこととする一方、新たに年金事業の運営業務を行う日本年金機構を設立することが国会で決まり、二〇一〇年一月からスタートをいたします。しかし、年金記録問題が国民の年金不信に与えた影響は余りにも大きく、社会保険庁から日本年金機構へと名前を変えるだけで中身は変わらないのではないかという指摘がこの委員会でも数多く出されております。こうしたことでは、国民の年金不信はいつまでたっても払拭をされません。
 年金機構になることによって組織として真に生まれ変わるんだということを広く国民に理解をしてもらうためにも、大臣が新機構のトップに紀陸氏を選任した理由をお聞かせいただきたいと思います。
#145
○国務大臣(舛添要一君) 紀陸孝氏は、経済団体の中で労務管理、経済調査等の業務に従事した後に役員として社会保障関係を担当していたと、非常に社会保障について熟知をしている。それから、社会保険庁の関係でも、実は平成十六年から社会保険事業運営評議会のメンバーとして改革の論議に参加していただいたということで、経済団体にいましたから経済関係にも強い、それから労働の分野も非常によく分かっている、それから社会保険庁のこともよく分かっているということで、そういう人脈、知識、総合的に判断いたしまして理事長予定者に指名いたしました。
 ただ、何もかも紀陸さんに任せるということではなくて、私も含め全面的にバックアップして、新しく生まれ変わる日本年金機構、これが国民の信頼を得られるような組織に生まれ変われるように、全力を挙げてみんなで力を合わせてやりたいと思っております。
#146
○石井準一君 次に、日本年金機構職員の採用基準、労働条件についてお伺いをいたします。
 日本年金機構の設立委員会では、機構職員の採用について、基本給を社会保険庁在職時よりも三%カットをし、減額分を職責手当や超過勤務手当等に配分する方針だと聞いております。職員の採用基準や労働条件などが現在と比べてどのように変わるのか、具体的に教えていただきたいと思います。
#147
○政府参考人(薄井康紀君) お答え申し上げます。
 日本年金機構の職員の労働条件、採用基準につきましては、機構法におきまして設立委員会が定めることになっているわけでございます。昨年十二月に設立委員会におきまして労働条件、採用基準をお決めいただいたわけでございますけれども、労働条件のうち基本給に関しましては、今御指摘ございましたように、社会保険庁職員から採用される者につきましては、社会保険庁退職時の俸給月額から三%を減額した額と同額で格付することを基本とされております。これは、人件費水準を一定の範囲にとどめる中で、職責手当、いわゆる管理職手当でございますが、管理職手当、それから時間外勤務手当、こういった財源を確保するための措置であると承知しているところでございます。
 これ以外に労働条件につきましては、基本給につきまして年功序列を廃止して仕事を適正に反映する給与体系にする。それから、昇給昇格に人事評価制度を反映するとともに、降給降格の仕組みを導入する。各種手当につきましても民間企業の自主性を踏まえたものとする。それから、賞与につきましても査定幅を拡大する。こういった能力実績本位の設計とされているところでございます。
 それから、採用基準でございますけれども、高い使命感を持って法令等の規律を遵守する者、あるいは機構の業務にふさわしい意欲、能力を有する者であることに加えまして、特に社会保険庁職員からの採用に当たりましては、懲戒処分を受けた者は採用しない等とされているところでございます。
#148
○石井準一君 今具体的な説明をいただき、基準などについても国民の視点、また機構で働く職員の視点から見て適切なものとなっているのか、舛添大臣に評価をお伺いをしたいと思います。
#149
○国務大臣(舛添要一君) これは、どういう例えば採用基準にするかとか職務条件どうするか、大変重要なことを決めるので、この設立委員会、トヨタの相談役でありました奥田さんにお願いしまして、奥田さんをヘッドに有識者をたくさん集めて徹底的に議論をしていただきました。公務員型の悪いところ、これを脱却しようということとともに、やはり仕事に対するモチベーションが高くないといけない、それから単なる年功序列ということよりもやっぱり能力、実力本位という給与体系も入れないといけないだろうということで、あらゆる観点からこの基準を作っていただいたわけでありますので、設立委員会の皆様方は相当頑張って公平な立場でこの基準を定めてくださったと思いますので、これを基にいい組織としてスタートさせたいと思っております。
#150
○石井準一君 次に、年金記録課の体制についてお伺いをいたします。
 年金事務所には年金記録課が新設されることになっております。この課は具体的にはどのような体制で記録問題に対応されるのか、お伺いをしたいと思います。
#151
○政府参考人(薄井康紀君) 年金記録問題につきましては、三月三十一日に定めました「年金記録問題のこれまでの取組と今後の道筋」におきまして、平成二十二年一月の日本年金機構発足までの間に一区切りを付けるために人員等の体制強化、作業の効率化等を徹底していくと、こういうことにされておりますけれども、平成二十二年一月以降に引き継がれる年金記録問題の対応に係る業務につきましては、日本年金機構において実施することとされております。
 機構の体制でございますけれども、今後具体的に決定することになりますけれども、年金記録問題に対応するために、本部に記録問題対策部を置きまして機構における記録問題を統括するとともに、すべての年金事務所に年金記録課を設置し具体的な年金記録問題の業務を担うことを予定しております。年金事務所の年金記録課では、事務所内の各課の協力を得ながら年金記録問題に対処していくことを予定いたしているところでございます。
#152
○石井準一君 年金記録問題への対応について万全の体制で臨むという今答弁があったわけでありますけど、本来の業務についても効率かつ正確に進めていかなくてはなりません。そういった観点から、日本年金機構の組織、人員について大臣の評価をお伺いをしたいと思います。
#153
○国務大臣(舛添要一君) 昨年の七月二十九日に日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画というのを閣議決定いたしました。そこでは、日本年金機構設立時の人員は、通常想定される業務をベースとして、正規職員、有期雇用職員合わせて一万七千八百三十人程度ということになっております。
 年金記録問題を含めてこの人員の中で最大限の努力をするということでありますし、それから先般、年金の閣僚会議、年金関係の閣僚会議で申しましたように、新しい組織が発足する前に今の年金記録問題をできるだけ解決をしておくということで臨みたいというふうに思っておりますんで、しかし、それでまだ解決しないのはもちろんそれは続けていきます。しかし、人員も大幅にアップして、それまでにできるだけ解決して、そしてさらに日本年金機構がより円滑に仕事がスタートできるようにしたいと思っております。
#154
○石井準一君 私自身も万全の体制で臨んでいただきたく、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、標準報酬の改ざん問題についてお伺いをいたします。
 昨年十一月に舛添大臣直属の委員会が取りまとめた報告書や現在行われているいわゆる二万件の戸別訪問調査の中間報告によれば、社会保険庁職員が改ざんへ関与していたと疑われる事案が明らかになっております。一方で、これまで社会保険庁が行った調査では実態解明、責任追及といった点ではまだまだ不十分なように思えます。年金に対する国民の信頼を取り戻すためにも、日本年金機構が設立されるまでにできる限り実態解明を進める必要があると考えますが、実態解明に向けた今後の具体的な取組のスケジュールと大臣の決意を改めてお伺いをしたいと思います。
#155
○国務大臣(舛添要一君) 標準報酬の改ざんの問題、特にそれに社会保険庁の職員が関与した、絶対許すべからざることであります。
 二万件、一番可能性の高いところを抽出して戸別訪問をやり、今、具体的に職員の関与を思わせる証言が出てきたもの、これ六十九件上がっています。それについて一つ一つ今調べていますが、いかんせん、スピードアップするつもりでやってはいるんですが、証拠がどこまで残っているかとか、もう後付けが物すごく大変なんですね。しかし、それはそうであっても一つ一つ調査をやっていきたいと思います。
 それからもう一つ、この四月からねんきん定期便、これを発送し始めました。皆さん方が誕生した月にそれが届くようになって、そして、問題ありそうだよという方にはオレンジ色の封筒で来ますから一目瞭然になっています。是非これを御覧いただいて、それで、例えばねんきん特別便のときに何もないからもうはがきの返事出すのを忘れたよという方がおられれば、そこにももう一遍、再度書いております。そういうことで、標準報酬が明記してありますんで、それも是非御協力いただいてチェックして、それで問題があれば必要な調査を行って一つ一つ解明していきたいと、そういうように思っております。
#156
○石井準一君 次に、懲戒処分歴のある職員への採用についてお伺いをいたします。
 麻生総理は、昨年の衆議院予算委員会で、懲戒処分歴のある社会保険庁職員を他省庁などに配置転換できなかった場合、解雇に相当する分限免職とする考えを示され、訴訟リスクも受けて立つと述べられております。我々自民党といたしましても、公明党とともに日本年金機構法の改正案の提出を検討しており、社会保険庁在職時に改ざんなどの懲戒処分相当の不祥事をしたことが採用後に分かった職員は解雇する規定を盛り込み、また、休職せず労組活動に専念をするやみ専従にかかわった職員も不採用とすることとしております。
 こうした懲戒処分歴のある職員の日本年金機構への採用に対する大臣の御見解をお伺いをいたします。
#157
○国務大臣(舛添要一君) 何十年にもわたって不祥事が積み重なってきた、その結果、大変国民の皆さんに御迷惑をお掛けしているこの年金記録問題があるわけですから、そういう意味で、先ほど申し上げました七月二十九日の、昨年ですけれども、七月二十九日の閣議決定での日本年金機構の基本計画で今の点は、まず懲戒処分を受けた者は機構の職員に採用しないと。採用は内定したんだけれども調べたら懲戒処分の対象になっていたということが明らかになったら、これはもうその段階で内定を取り消すと。それから、採用後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には、これはもう労働契約を解除すると、こういうことを決めているわけでありまして、それに基づいてきちんと国民に対して襟を正して仕事ができる職員を採用したいと思っております。
#158
○石井準一君 次に、ねんきん特別便の状況とねんきん定期便の概要、少し今大臣の方から説明があったわけでありますけれども、四月からねんきん定期便が加入者の皆様方に送られるようになっております。ねんきん特別便との違いや、どのような内容が国民の皆様方に届くのか、分かりやすく説明をいただきたいと思います。
 一方で、持ち主の分からない年金記録の解明などに向けて昨年までお送りした特別便に対して、その後の回答状況はどのようになっているのでしょうか。併せて説明をいただきたいと思います。
#159
○政府参考人(石井博史君) お答え申し上げます。
 二つお尋ねをちょうだいしました。
 まず、この四月から送付を開始いたしますねんきん特別便でございます、失礼、その前に、ねんきん特別便についての中身でございますけれども、これは御案内のように、平成十九年の十二月から昨年の十月までの間にすべての加入者、受給者の方々、合計一億九百万の方々に対して送付させていただきまして、中身でございますけれども、御本人の加入履歴あるいはその加入期間の記録について漏れあるいは誤りがないかどうか御確認をいただいているところでございます。
 それで、今月から、先ほど大臣からもお話ございましたが、送付を開始いたしますねんきん定期便の方でございますけれども、こちらはすべての加入者に対して毎年その方の誕生月にお送りすることにしておりまして、年齢あるいは受給関係の状況に応じて三タイプ、一つは五十歳未満の方向けのねんきん定期便、それから二つ目は五十歳以上の方向けのねんきん定期便、それから三つ目のタイプとしては年金受給者であり、かつ現役被保険者という立場にある方向けのねんきん定期便と、その三タイプ、それぞれ作って送付することとしております。
 それら三つのタイプに共通の情報でございますけれども、一つは、それぞれの方の加入実績に応じた年金見込額というものを表示させていただくということにしております。それから二つ目が、これまでの保険料の納付額の合計、これは本人負担分の部分ということでございます。それから三つ目に、直近一年分の厚生年金の毎月の標準報酬月額、賞与額、それから保険料納付額、そうしたものの目安というもの。それから四つ目の記録といたしまして、直近一年分の国民年金の毎月の保険料納付状況、これは納付あるいは未納の実績あるいは免除等の別、こういったものを記載したものを送付して漏れや誤りがないか御確認いただくということにしているわけでございます。
 少々話が細こうございますけれども、共通的にお送りする年金見込額のところ、これは三タイプに分けてというふうに申し上げましたけれども、それに応じて内容が若干異なっておりまして、申し上げますと、まず年金見込額、五十歳未満の方には加入実績に応じた年金見込額を表示すると。それから五十歳以上の方については、ねんきん定期便を作成した時点で加入していらっしゃるその制度に引き続き加入した場合の将来の年金見込額を表示するというようなことをお知らせすることとしております。年金受給者であり現役被保険者の方の分についてはこの年金見込額は通知しないと、こういう整理でございます。
 それから、もう一つ大事なお話といたしまして、先ほどは平成二十二年度以降の内容についてお話をしたわけですが、初年度に当たります平成二十一年度につきましては、お送りする情報でございますけれども、さらに、一つは、ねんきん特別便でお知らせした加入履歴や加入期間を御提示する。それから二つ目に、すべての厚生年金期間の毎月の標準報酬月額、賞与額、保険料納付額も表示する、それから三つ目に、すべての国民年金の期間の毎月の保険料納付状況の記録を併せて送付すると。かなり情報量としては多うございますけれども、過去のものをすべて、私どもが管理させていただいているものを表示してお送りし、御確認をいただくということにしております。
 それからもう一つ、特別便についての回答状況はどうかというお尋ねでございますけれども、御案内のように、これにつきましては、コンピューター上の突き合わせを行いました結果、記録が結び付く可能性がある方に対する名寄せ便と言われるものと、それからそれ以外の方に対する全員便、合わせて一億九百万人に送付させていただいているのは先ほど申し上げたところでございますが、名寄せ便につきましては、平成十九年の十二月から昨年の三月までの間に、受給者三百万人、加入者七百三十万人の合計一千三十万人にお送りをしています。それから、全員便については、受給者三千三百九十五万名の方に対して昨年四月から五月までの間に送付させていただき、引き続き加入者六千四百四十八万人の方に昨年六月から十月までの間に送付をさせていただいているということでございます。
 そういう送付の状況に対しまして、本年一月末現在の回答状況でございますが、名寄せ便と全員便を合わせた合計七千二百万人の方から御回答をちょうだいしてございまして、すべての方への送付済件数一億九百万という数字に対する割合としては、約七割の方が御自分の記録を回答していただいたという形になっているということでございます。
 これを名寄せ便と全員便に分けて申し上げますと、名寄せ便の場合にはトータルで、受給者の場合三百万人にお送りしたわけですが、いただいた回答は二百五十三万人ということで、約八割の回答状況でございます。それから、加入者の方でございますが、これは七百三十万の方にお送りして、いただいた回答が四百四十四万ということで、約六割ということでございまして、名寄せ便トータルとしては、一千三十万人に対して約七百万人ということで約七割、トータルで回答をいただいたという形になっています。
 それから、全員便でございますけれども、こちらは受給者二千五百七十二万人、お送りした方に対する割合約八割の回答状況、それから加入者の皆様からの回答ですが、これは三千九百一万、約六割の回答状況ということで、合計で六千四百七十三万人、お送りした総数に対しまして約七割の方からの御回答をいただいていると、こういうような状況でございます。
 なお、相当数の未回答の方がいらっしゃいますので、引き続き政府広報などによりましてその回答の呼びかけを行っていくとともに、回答の呼びかけを繰り返し行ってもなお回答が得られない加入者の場合には、今月から送付いたしますねんきん定期便に回答のお願いの文書を同封することとしてございます。引き続き、これらの取組をしっかりやっていくことによって特別便の回答をいただき、記録統合に結び付けるように努めていきたいというふうに思っております。
#160
○石井準一君 更なる年金記録の解明に向け、国民の年金に対する不信を払拭をしていただきたくお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、介護人材の待遇改善についてお伺いをしていきたいと思います。
 平成二十一年度介護報酬改定により、この四月から介護報酬は三%プラスとなりました。プラス分の内訳を見ますと、事業者ごとの介護福祉士や一定以上の勤続年数者割合の高さなど、専門性への評価や介護労働者の定着促進を重視をしております。また、良質な介護を提供するための基準以上の人員配置や理学・作業療法士の配置をし、リハビリが充実している施設、入所者のみとりなども正当に評価され、人件費、物価などが高い都市部ほど介護報酬の単価を引き上げる地域加算の見直しも行われております。介護従事者は給与などの処遇が他の労働者よりも悪いため離職者が後を絶たず人材難になっており、介護保険制度そのものが危機に瀕しております。
 私は、今回のプラス改定について、いずれも介護従事者が求めてきたものであり、一定の評価をしたいと思いますが、最初に、今回の介護報酬プラス改定に対する大臣の評価をお聞かせいただきたいと思います。
#161
○国務大臣(舛添要一君) 介護の現場で働く方々の待遇が良くないと、ほかの職種に比べて大変離職率も高いと、そういう問題意識を持っていましたので、何とか第一歩を踏みたいということで、三%の改定ということで、今委員が御説明になったような様々な有資格者をたくさん置くところに重く配分するというようないろんな規定がございますけれども、これは第一歩として、それまでこんなに厳しい状況にあるよということを国民的にもきちんと議論されてこなかった嫌いがあると思います。したがって、これを一つのステップとして、更にできるだけの待遇改善の努力を今後ともやりたいと思っております。
#162
○石井準一君 次に、介護従事者の賃金についてお伺いをいたします。
 報酬改定の際、介護従事者の賃金を一律で月二万円上げられる財源を確保できるといった説明が介護従事者の月給が一律で二万円上がるとの誤解を招いたのではないでしょうか。現場で働く方々も赤字対策で精いっぱい、職員給与改善は月一人五千円アップも難しいのではないかとの疑問の声をいただいております。本来、介護報酬改定三%アップは事業者ではなく介護従事者の処遇改善にできるだけ結び付けることが重要であると考えますが、この件について説明を願いたいと思います。
#163
○政府参考人(宮島俊彦君) 今御指摘いただきましたが、介護報酬プラス三・〇%改定ということで、三・〇%改定は二千三百億円に当たりますから、仮にこれ二千三百億円あれば、常勤換算八十万の介護職員の給与に充てれば一人当たり月額二万円ということですが、これは介護報酬は事業主の方に払われるということで、この介護報酬は事業主に払われて、給与は事業主と介護従事者の間で決められるものでありますので、賃金が一律に引き上がるものではないということでございます。
 ただ、私どもこの介護報酬改定、できるだけ介護従事者の処遇改善に結び付けたいというふうに考えておりまして、具体的には介護報酬の中で、先ほど委員の方から御指摘ありましたような勤続年数の長い人を評価するとか、介護福祉士を評価するとか、あるいは常勤職員を評価するということのほかに雇用管理改善を行う介護事業者、事業主に対しては助成金で支援をするとか、あるいは介護報酬が改定された今月以降、団体等を通じてその処遇改善の実態をできる限り把握いたしまして、本年秋を目途に賃金等の状況について調査、研修を実施したいと。こういったことによって、その介護報酬がキャリアアップあるいは職場の気概につながるようにしてまいりたいというふうに思っております。
#164
○石井準一君 引き続き御尽力をいただきたいと思いますが、誤解を生じないような政府広報の在り方についても御検討を願いたいと思います。
 次に、介護従事者の情報公開の在り方についてお伺いをしていきたいと思います。
 残された課題はアップ分が間違いなく介護従事者の手元に届くかどうかだと思います。給与水準や昇給の仕組み、有資格手当など事業者に対しては介護従事者の処遇改善に向けた取組に関する情報公表を推進させることとなっておりますが、多くの事業者が公表するよう厚生労働省が指導する必要があるのではないのでしょうか。事業者に対する情報公表の在り方についてお伺いをいたします。
#165
○政府参考人(宮島俊彦君) 今回の介護報酬改定を介護従事者の処遇の改善にできる限り結び付けると。その把握、検証を行っていくということは重要だろうと思っております。
 その方法の一つとして、介護従事者の処遇改善に係る情報の公表の推進ということにつきましては社会保障審議会の介護給付費分科会においても議論がありました。その議論の中では、保険者等から情報公表について義務付けてはどうかという意見がありましたが、事業者団体や有識者などからは個人情報保護の問題、プライバシー保護の観点から問題が発生しないか、あるいは介護労働者と経営者の自主的協議にゆだねるべき雇用契約の内容に過度の影響を与えないようにすべきではないかというような御意見もありまして、結論として審議報告では、事業者や事業者団体が自主的、積極的に取り組むとともに、事業者団体の取組を国が支援するというようなこととされました。
 厚生労働省といたしましては、この報告を踏まえまして、処遇改善に向けた取組に関する情報公表について事業者団体の取組を要請したいと思っております。また、経営モデルの作成、提示や介護報酬改定の事後検証を実施するなどして、多角的な対策を講じまして処遇改善を支援してまいりたいというふうに思っております。
#166
○石井準一君 次に、介護報酬改定検証事業についてお伺いをいたします。
 一定数の事業者から情報を公表させることができれば、介護報酬改定の結果の検証が可能になると思います。様々な視点から調査、分析を行い、今回の報酬改定の趣旨が各サービス施設、事業所に適切に反映されているかどうかを確かめる必要があると思います。こうした観点から、介護給付費分科会の下に調査実施委員会を設置することとされておりますが、介護報酬改定の影響検証事業について説明を願いたいと思います。
#167
○政府参考人(宮島俊彦君) 介護報酬の影響検定事業でございますが、これにつきましては、二十一年度の予算におきましても調査費を計上しております。
 その調査の中では、施設、事業所の基本属性の状況、介護従事者の改定前、改定後の賃金の状況、各施設、事業所ごとの介護従事者の就業形態の状況等をサービス別、地域別、規模別に分析してまいりたいというふうに考えております。
 厚生労働省といたしましては、四月に改定されましたから、この後直ちに団体等を通じて主な事業主の処遇改善に向けた取組方針をできるだけ早く把握しますとともに、先ほど来申し上げております事後的な検証を秋を目途に実施いたしたいというふうに考えております。
#168
○石井準一君 介護従事者の賃金アップを確実なものとするためにも早い時期に給与等の実態調査をしてもらいたいと思います。これは要望をしておきます。
 また、深刻化する失業問題への対策として、雇用保険を受給しながらでも、ホームヘルパー一級、介護福祉士の受験資格が得られる長期訓練を始めることとしておりますが、またホームヘルパー二級の短期訓練制度も拡充をされております。こうした制度を最大限活用し、介護の担い手を増やしていただきたいと思います。
 また、今後、介護従事者を計画的に増やしていくには更なる処遇改善を図り、介護の現場を魅力あるものにしていかなければならないと思います。今回のプラス改定を契機としていただき、結果を早急に検証し、三年後の次期改定時に向けた議論を進めていただきたく、強く要望をさせていただきます。
 次に、後期高齢者医療制度についてお伺いをいたします。
 後期高齢者医療制度の導入から丸一年がたちました。この間、国民の皆様方からの批判を踏まえて、与党としても所得の低い方への更なる負担軽減措置や年金からの保険料天引きの選択導入などの対策を打ち出し、進めてきたところであります。この四月からは新たに保険料均等割の九割軽減などがスタートいたしますが、こうした軽減措置の概要を説明をしていただきたく思います。
 またあわせて、昨年の制度導入直後の混乱の反省を踏まえて、四月からの軽減措置についても国民の皆様方に、特に制度の対象となる高齢者の皆様方に対して確実に周知をしていく必要があると思います。実際には都道府県の広域連合、市町村に最前線で取り組んでいただくこととなりますが、厚生労働省としてはどのように対応しておられるのか、御報告をいただきたいと思います。
#169
○政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。
 まず、長寿医療制度に関する改善策についてでございますけれども、昨年四月の施行後の状況を踏まえまして、平成二十一年度におきましては、まず均等割の七割軽減を受ける世帯のうち、長寿医療制度の被保険者全員が年金収入八十万円以下でその他各種所得がない場合には保険料の九割を軽減する、こういった低所得の方に対する保険料の更なる軽減を行います。また、被用者保険の被扶養者であった方の保険料の九割軽減措置の継続を行います。それから、御指摘ありました保険料の支払について年金からの支払と口座振替との選択制とする、こういった改善策を講じたところでございます。
 これらの周知につきましては、御指摘のとおり、施行後の混乱ということも反省をいたしまして、高齢者の方々の視点に立った分かりやすい広報の実施に努めたいと思っておりまして、新聞、テレビを通じた政府広報あるいはリーフレットやポスターの配布などに加えまして、個々の方を念頭に置きまして市町村からのダイレクトメールによるお知らせ、それから小学校区ごと等のきめ細やかな説明会の実施など、こういったことをこれまでも進めてきましたし、これからも進めたいと考えております。
#170
○石井準一君 今後の見直しの動向についてお伺いをいたします。
 昨年九月に舛添大臣の指示で、肝いりで発足をされたと言われております高齢者医療制度に関する検討会が最終報告をまとめました。報告書の中を見ますと、高齢者の尊厳を損なうような名称の変更などが記載をされておりますが、この報告書に対しては各委員の論点整理に終わっている、見直し案が示せていないとの批判もありますが、むしろこうした専門家が示した論点整理などをしっかりと踏まえ、政治家が国民の目線に立って制度の在り方を決めていく必要があろうかと思います。
 今後の見直しの方向性について、大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
#171
○国務大臣(舛添要一君) 同時並行で与党の方で見直しの議論が進んで今もおります。そういう観点から、同じことをやるのはどうかと。むしろ、党は党でやり、私のところは本当にもう一遍根源的に理論的なことも含めてやろうということで、基本的には学者の方々を中心に論点の整理を行った。その中に私の私案も、これは県ごとでやるというのも入っています。それから、年齢区分の在り方、それから財政調整の在り方、それから今言った名称というのは、むしろこれはどちらかというと枝葉末節のことであって、担い手を例えば広域連合か県なのかと、こういうことも含めて相当に突っ込んだ議論をした結果をまとめて選択肢はこうですよと。六十五歳からやるならどうだ、七十五からどうだということも含めて、明記をして、そして今同時に、それからもう一つはヒアリングを相当やりました。それぞれの立場の方からやりました。
 今同時並行的に進んできた与党の方での議論がまとまりつつありますから、そういう中で、これはきちんと選択肢をこちらは示しているわけですから、そこで与党の皆さん方、今非常に真摯な議論をなさっています。そういう中で、政府・与党として最終的にどういうことを提示するか、これはこれからの課題だと今考えております。
#172
○石井準一君 ありがとうございます。
 通告はしておりませんが、老健局長にお伺いをしたいと思います。
 群馬県渋川市の高齢者施設、静養ホーム「たまゆら」で起きた火災は、行政の目の届かない無届け有料老人ホームの課題を浮き彫りにいたしました。
 さきの下田委員の質問に対し、全国で三百七十七か所が確認をされているという答弁をいただきましたが、それは二〇〇七年の七月までの状況であるということでありますが、読売新聞の記事を見ますと、全国でも少なくとも四百六十四か所に上ると書いておりますが、さきの三百七十七か所の施設に入居されている方々の人数はどれぐらいなのか、分かったらお教えいただきたいと思います。また、その方々が生活保護を受けている割合等も分かったら教えていただきたいと思います。
#173
○政府参考人(宮島俊彦君) ちょっとこれは無届けのものなので、実は中身はちょっとよく分からないんです。
 それで、今お話がありましたが、三百七十七が前回の十九年二月二十六日時点の未届け有料老人ホームの件数でございますが、この三百七十七が今どうなっているかといいますと、そのうち百十件は有料老人ホームに該当しなかったり、あるいは廃止されました。それから、その残りの二百六十七件が有料老人ホーム該当ということで、届出があったのは百九十五件で、相変わらず未届けであるものが七十二件というのが現在の十九年の二月二十六日時点の三百七十七件の内訳ということでございます。
 それで、今時点で全国の無届けの有料老人ホームがどうなっているかということは、この「たまゆら」の火災があって以降、早急に調査いたしましたところ、三月二十七日現在で全国で五百七十九施設だったというふうな報告を受けているところでございます。
#174
○石井準一君 ありがとうございます。
 時間がありますので、天声人語、三月三十日の随筆家の幸田文さんの文章がここにちょっと記載されておるのを紹介をしたいと思います。
 身の納まりということについて書いてあると。出入りの畳職人があるとき、腕は良くても老後に身の納まりがつかない者は良い職人とは言えないと口にしたそうであると。若い者に自分の安らかな余生を示してこそ、安心を与え、良い技術を受け継いでもらわなくてはいけないと。つまり、寒々しい老後を見せれば若い者はこの仕事を続けていていいものか不安になる。それでは失格ということであると。見事な人生哲学だが、難しいからこそ、自戒だったのかもしれないということであります。
 さきの高齢者医療制度にしましても、高齢者の尊厳、その言葉はまさに大切なことであると同時に、尊厳のある老後がいかに大切であるかということをこの天声人語では書いてあるわけであります。
 無届けのずさんな施設が使われ、最期が無残な焼死では、安らかな余生は程遠いと。ついの住みかの質量共々の不足が生んだ悲劇であると。これでは後に続く世代に不安ばかりが残ると。畳職人に倣って言うなら、こんな国は失格ということになるということであります。
 これからも社会保障制度の在り方について我々もしっかりと議論をしながら、国民に安心、安全の持てるような社会づくりをしていかなければならないということを肝に銘じておる次第であります。
 最後に、公立病院の件についてお伺いをいたします。
 千葉県銚子市では、三月二十九日に市立総合病院の休止をめぐり市長のリコールの是非を問う住民投票が実施をされ、市長の失職が決まりました。病院存続を公約に掲げた市長であり、休止による患者や職員に対する説明責任は極めて重いという結果が出たわけであります。リコールが成立したのは銚子市が初めてですが、全国各地で公立病院の存廃や民間譲渡の是非をめぐり市長、議会、住民の間で政治問題に発展する例が相次いでおります。
 しかし、公立病院の崩壊を地域の政争の具としてしまった原因は、市長や住民だけにあるわけではないと思います。自治体の財政健全化法の成立により、今春を機に自治体財政や病院経営のチェックが一層厳しくなることと思いますが、そうした背景に、自治体が医師不足、患者減、収入減という負の連鎖に陥った病院に次々とリストラの矛先を向けざるを得ない状況でありますが、第二の銚子を生まないためにも、今後、国の抜本的な医療制度の改革が求められますが、大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
#175
○国務大臣(舛添要一君) これは今朝、森田委員とも議論をしたことの続きになりますけれども、やはり抜本的な哲学の変更が必要であって、今おっしゃったように、お医者さんが不足する、患者さんがしたがって数が減る、したがって赤字になる、もうどこもそういうマイナスのスパイラルが起こっている状況でありますので、長期的な施策としては、これは医師の数を増やしていくと。六百九十三に、史上最高と、史上最高というか今までの最高の人数まで増やしました。ただ、これは十年掛かるだろうと。一・五倍に増やすということでありますし、臨床研修制度についても検討を重ねて、これ賛否両論ありますが、いずれにしても、臨床研修制度、卒前、卒後を含めて、文科省と一緒に、どうすればいいお医者さんを誕生させることができるだろうかということでこれをやって、研修内容の弾力化というようなことで対応をしたいというように思っています。
 それから、周産期医療、救急医療、こういうことについても予算措置をとりながら、現場で働くお医者さんたちの負担が軽くなるようにという方向でやっていきたいと思っております。
 それから、今の公立病院の問題は総務省ともよく連携を取らないといけません。それから、各都道府県、自治体とも連携を取らないといけないと思っておりますので、それもやりたいと思っています。
 それから、三月三十一日に総理から指示がありましたようなこの新たな経済対策の中で、地域医療の再生ということのために大きなファンドをできれば組みたいと思って、今からその折衝をやりたいと思っております。
#176
○石井準一君 最後に、社会保障は将来の不安をなくすものなのに現在は逆に不安の種をまいているとまで言われる現状において、私自身も、財源の手当て、制度の持続性を確保するということを国民にしっかりと説明しながら、安心感を与えることが大切であるというふうに思っております。社会保障の危機と言われ、財源確保や制度改革は現在の日本における最大の政治課題の一つだと認識をしながら、私も厚生労働委員の一員としてしっかりと国民にその責任を果たしていきたいと思います。
 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。
#177
○南野知惠子君 ありがとうございます。自民党の南野知惠子でございます。今日は六十分いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 まずは大臣に御決意をお伺いしたいと思っております。
 その御決意は、自民党の政務調査会に設置されました日本経済の進路と成長戦略を検討してきた日本経済再生戦略会議は、先日、中間報告に当たる日本経済再生への戦略プログラムを発表いたしました。
 金融経済危機に直面した現状にあっては、短期の景気の対策にとどまらない思い切った中期的な戦略プログラムが必要不可欠であるとの認識でまとめられましたこの報告では、新たな成長ステージに立つ将来の日本の姿として三つ挙がっております。太陽光発電などの新産業群を形成したグリーン経済社会システム、そして二十一世紀型のインフラやシステムの整備による、だれもがどこでも成長のチャンスをつかむことができる社会、そして健康長寿と子育てを支える質の高い生活コミュニティーの三つでございます。
 その実現のための政策として達成目標を具体化しておりますが、厚生労働省所管の案件で申しますと、特に、三番目の長寿と子育て、健康長寿と子育てを支える質の高い生活コミュニティーの形成のためとしております。
 そしてさらに、その中に三つあります。一つ目は、大臣が今お触れになられた分でございますが、地域医療の再生と最先端医療技術の革新、二つ目が介護拠点整備と介護分野の雇用創出、三番目が安心こども・子育て対策について、平成二十一度から三年間を集中的投資期間として取り組むこととされております。また、当面の緊急雇用対策として、職業訓練中の生活支援や地方の緊急雇用創出事業の拡大等を行う必要性が指摘されております。これらを含め、戦略プログラムの実施により、今後三年、まあ三年間といいますか、今後三年でおおむね二百万人の雇用を確保、創出することが目標となっております。
 総理からは四月中旬までに政府内で追加経済対策をまとめるよう指示が出されていると承知しておりますが、厚生労働省におかれましては、この戦略プログラムの着実な実施のため、関係分野の施策の具体化と実現に最大限の努力をお願いしたいと思います。舛添大臣なら完璧にやっていただけると思いますが、御決意をお伺いいたします。
#178
○国務大臣(舛添要一君) 今委員から御紹介ありました三月三十一日付けで出ました自民党の日本経済再生戦略会議のこの今後三年の日本経済再生のシナリオ、それから、先ほど私が申し上げました総理からの指示が同じ日にあっております。
 厚生労働省関係では、今御指摘のように、雇用の問題あり、医療の問題あり、介護の問題、子育て支援ありますので、それぞれの分野に対して既に各我が省の担当部局に具体的な施策の取りまとめを指示し、私がこういうところを特に入れろというようなことも重点的に今指示してその案を作らせているところでございます。
 これは本当に国民の生活を守り、命を守り、そしてそれを基礎にして日本経済を復活させるという大変大事な政策になりますので、この財源の確保についても、とにかく皆さんがよくそこまで取ってきたと言ってくださるように全力を挙げてこれは努力をしたいと思いますので、また南野委員始め皆さん方の御支援を賜ればと思います。
#179
○南野知惠子君 舛添大臣ならばというところを見せていただけるとうれしいと期待しております。これは国民が期待しているということでございます。
 次に、今、石井議員も少し触れられたんですが、先般の群馬県の老人施設の火災でございます。九名もの入所者の命が奪われることとなってしまいました。この施設「たまゆら」は老人福祉施設としての群馬県への届出を行っておらず、施設基準の遵守状況や介護サービスの実態について行政の把握が不十分であったことが指摘されております。また、このような無届け施設が全国に数多くあるという報道もなされており、先ほど数は御説明ございました。
 こうした無届けの高齢者施設の実態について、厚生労働省は現時点でどのように把握しておられるのでしょうか。また、このような無届け施設がこのような多数存在するという背景をどのように分析しておられるのでしょうか。また、このような無届け施設に対する必要な指導などあると思います。無届け施設について今後どのように対応していかれるおつもりなのか、局長にお伺いしたいと思います。
#180
○政府参考人(宮島俊彦君) 先ほどお答えしましたとおりでございまして、数は、今、老人福祉法に基づく届出が行われていない有料老人ホームに該当し得る施設というのは、今、三月二十七日で五百七十九施設あったという報告を受けたばかりでございます。
 これは「たまゆら」の火事があって早急に都道府県から報告を求めたということですので、現時点ではまだ県では追加調査も行っていますし、それからサービスが行われているかどうかの実態が不明なものもありますので、今後変更がありますので、更に今月末までに未届け施設の指導状況等報告を求めているというふうに考えております。その結果、改めてまた公表させていただきたいと思います。
 それで、この今月中の県の調査を通じまして、これは消防庁や国土交通省と連携の上で、防火安全体制の点検とか、それから入居者に対する処遇の状況等についても確認して、不適切な場合は指導する、それからその結果について厚生労働省に報告するように要請をしているという、そういうような段階でございます。
 この背景はどういうことかということでございますが、やはり最近の高齢化の傾向というのは、地方よりもむしろ都市部がこれから高齢化が急速に進むという状況がありまして、その都市部におけるこういった方々の受皿というか住まい、あるいは施設というようなものについての不足というのがこういった形で出ているのではないかというふうに思っているところでございます。
#181
○南野知惠子君 私もいずれはそのような目に遭うのかと思いながら、今しんしんとしているところでございますが。
 今、力強いお言葉もいただきました。でも、余り強くされると逆にその反動が出てくるのかなというふうに思いますが、無届け施設に強い規制を掛けて追い込み過ぎないようにというのが一つの私の懸念でもあります。ですが、決まったことは決まったようにしていただくというところに大きなポイントを当てていただきたい。
 その一つは、施設改修費、修繕費といいますか、そういうところにコストを掛けられないというところがあろうかと思います。そういったところに早急に必要な安全対策を行っていくことが必要であるというふうに思いますので、厳しく優しく、そして、私は今省略いたしますが、防火対策や避難訓練などよろしく執り行っていただきたいと思っております。局長に御答弁いただければ。
#182
○政府参考人(宮島俊彦君) 防火安全対策の関係でございますが、これは、十八年一月に長崎県の認知症の高齢者グループホームで火災がありまして、十九年に消防法の施行令が改正されました。その改正によって、延べ面積二百七十五平米以上の施設、これはスプリンクラーの設置が義務付けられることになっております。この消防法の施行令、二十三年度末までの猶予期間があるので、今後は早急にこういった施設についてのスプリンクラーの設置を進めなければならないというふうに思っております。
 具体的には、厚生労働省の方にあります、介護と福祉の空間整備等施設整備交付金というのがありますが、これによりましてスプリンクラーの整備の設置を進めたいというふうに考えております。全国の自治体に対しましても、入居者の安全を最優先するため早急に設置を進めてもらいたいと、交付金も活用をお願いしたいということの周知を徹底しているところでございます。
#183
○南野知惠子君 数多くの無届けがございますので、そこら辺にもお気をお配りいただきたいというふうに思っております。スプリンクラーについては、もうもはや常識というよりも当たり前じゃないかと思う建物の一つの整備でございますので、よろしくお願いいたします。
 次に、三月三十日の厚生労働委員会で、「たまゆら」に入所しておられた二十三名のうち十五名が生活保護の受給者であり、東京都墨田区からの紹介で入所していたという御答弁がございました。都内から都外の施設を紹介され、都内の自治体から生活保護費を受給しておられる方が、高齢者の数はどのくらいおられるのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。これは社会・援護局長。
#184
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。
 今現在、厚生労働省におきましては、福祉事務所の管轄の外の施設に入所している場合を含めまして、社会福祉の確保に法的な位置付けのない施設、共同住宅を利用されている生活保護受給者について、住環境とか住居費あるいは利用料などの調査を行っております。
 実は、これは今年の一月一日現在の状況について調査をしておりまして、三月三十一日を調査の提出期限というふうにいたしております。現在、各自治体から提出をいただいて、その数値の集計を開始しておりますので、今後なるべく早くこの調査の結果を取りまとめて実態を分析し、どういう対応が必要か考えてまいりたいと思っております。
#185
○南野知惠子君 ありがとうございます。うんと急いでいただきたいと思います。
 次は、都内の施設に入居できないという理由として、施設に入居待ちの高齢者の数が相当な数に上がっているということでございます。今後、特に都市部の高齢化が急速に進むことが予測されておりますが、都市部の介護施設の整備の在り方をどのように考えておられるのか、これは厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
#186
○国務大臣(舛添要一君) やっぱり土地の値段が高いということで、どうしても同じ予算ならば東京よりもそうでない地域の方が造りやすいということになると思います。それで、今回の悲劇の一つの原因は、背景はそういうところにあるんだろうというふうに思っております。
 ですから、先ほどの自民党、そして総理の指示もあります。これから新たな経済対策を考える中で、この問題も社会保障の非常に重要な問題ですから、それで位置付け、何らかのことはできないか、これは実現する方向で検討を進めさせたいと思いまして、具体的には、要するに介護、老健、特養含めて全体の施設の底上げを図らない限り、足りない状態、まあ正確な数字かどうかは別として、待機者が三十八万五千人いるということを常に言われます。そうすれば、やっぱりどういう形での介護、大型の施設がいいか、グループホームのような小さなのがいいか、それから在宅というのもあります。そういう議論はしないといけないですが、全体のレベルアップと、量も質も上げるためにはそれなりの財源が必要だと思いますし、支援、補助、交付金、こういうことも考えないといけないと思いますので、それを実現する方向で検討に入っております。
#187
○南野知惠子君 ありがとうございます。老後の生活の底上げということは、これはみんなが望んでいることでございます。
 そして、大臣にはちょっとリラックスしていただきまして、親孝行についてお尋ねしたい項目でございます。
 近年、少子化、高齢化の進展、非婚化、これ言われるとつらいんですが、晩婚化などを背景にして、未婚の男性による介護が増加してきていると言われております。また、親と離れて暮らす子供世帯が親の介護を担うケースも多いかと思っております。
 一生懸命に親孝行をしたいという素直な気持ちから、親の介護のために職を離れることを余儀なくされるなど、いわゆる介護離職と今言われておりますが、そういう娘さんや息子さんがおられます。収入源を失った上に、先の見えない介護によって疲弊する中で虐待を招いてしまうということがございます。親が住み慣れた地域から子供の住む、慣れない土地への環境を移されることもございます。その結果、認知症を悪化させてしまう例も少なくないと聞き及びます。
 このようなお話を伺うたびに、親孝行とは何か、これは介護保険を導入するときも私も悩みました。家で見るべきか施設にお送りすべきか、そういったことが行ったり来たりしておりますが、何が一番幸せな生活の形で、政府は何を目指して介護を支援すべきなのかということ、これは考えずにはおられません。
 舛添大臣はよく、家族は愛情をささげ、介護はプロに任せるべきと、この前もおっしゃっておられました。大臣にとって、哲学の変更も加味した親孝行というのはどういうものなのかということをお教え願いたいと思います。
#188
○国務大臣(舛添要一君) まず、私は若いときに海外に行ったままだったり、相当放蕩息子というか、親不孝を重ねてきていましたので、そういう中で母親が認知症にかかりました。それで、これは何とかせぬといかぬということで、というか、もうやるしかないので介護ということをやりましたけれども、私も実は東京と福岡で遠距離介護をやりました。
 そのときに思ったのは、これは私の体験からしか言えないんですけれども、なぜ私が家族は愛情、介護はプロにと言うかというと、例えば夜中、自分が夜起きて母親を介護していると寝不足になります。非常に不機嫌になる。そうすると、身内だ、親子なものですから言葉がぞんざいになる。もう極端に言うと、あなたが長生きするから私がこんなに苦労するんじゃないかみたいな暴言を吐くようになってしまうんです。これは親にとっても、幾ら認知症であっても快いことではないと思いますので。そうすると、私はぐっすり寝て、だれかが、まあ看護師さんなりが、介護士さんがやっていただいて、朝起きると快活な気分だと。そうすると、介護はしないけれども、自分の息子が元気な顔で、やあ、元気かと、今日はどうだと言ってくれることが、実は母親の励みになるんだろうというふうに思っております。
 それからもう一つ、逆の側面を言いますと、食事の介護を私はできるだけやろうと思ったんだけれども、これは失敗だったのは、息子だから親は甘えがあるので、食べないといけないものを食べないんですよ。ビフテキ持ってこいとかエビフライ持ってこいとか言うもので。そうすると、やっぱり食べないといけないものを私は食べさせる能力は親に対してはないんです、やっぱり両方甘えがありますから。そうすると、介護士の人が食べさせると食べるんですね。これはもうまさに、親孝行を考えれば心を鬼にして、こんなビフテキやエビフライ食わしちゃ駄目だと、これを食べなさいってことをやらないといけないので。
 そういう意味で、プロにやっぱりやっていただくと。そのための施策をやる必要があって、今までの悲劇は、お嫁さんにやらせると。そうすると、もう自分が自殺する、しゅうとめさんを殺すとかいう、そういう悲劇が起こってきたので、これはまさに介護はプロにということを忘れてきた悲劇だろうと思います。
 だから、私はそういう意味で、気持ちの通った介護をやるというのが一番大事で、一番私にとって良かったのは、今、桜の季節ですけれども、例えば車いすに母親を乗っけて、きれいに化粧を女房にさせて、新しいカーディガンか何かを着せて、それでずっと散歩をすると。これが一番楽しい瞬間で、そうすると一週間ぐらい若返る。若返るというのは、認知症が良くなるんです、やっぱり。そういうことをやれる条件は、私は、散歩できるようにプロがしっかりやってくださるからだということで、体験談しか話せませんが、そういうことが親孝行ではなかろうかという、若いころの親不孝の私が申し上げるわけでございます。
#189
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 放蕩息子が大臣にも、また総理にも手が届こうとしている立場でございますので、これは小学校には教科書に載せなきゃいけないのかなと思っておりますが。
 今、大臣の親孝行、私も同感でございます。身内はあんまり近過ぎます。ある意味では遠慮があるところの、スープの冷めない距離というのも必要ですし、どうにかどうにか嫁でやれといっても、お嫁さんは介護される方にとっては一番憎い人なんです、息子を取られた。そういう意味では、嫁には財布も見せない、通帳も見せない、けど、隣から来てくれる人には見せるという、そういうところが、預けるという部分もありますので、そういう人間の機微をしっかり介護で生かしていただきたい。
 年を取る人はいろいろなプロセスで年を取ります。素直に取る人もおれば、放蕩息子で取る人もおると思いますので、そういうところも案じながら行かなきゃいけないと思っておりますが、自宅で生活を望む方、また、子供と同居して家族による介護を望む方、大きな施設での生活を望む方、又はグループホームでの生活を望む方、お一人お一人、様々な条件や価値観によって希望が異なってくると思います。それほど多様化しているものだと私は思いますが、高齢者お一人お一人が住み慣れた地域で、なるべく生活能力を生かした形で、人格を尊重された生活を送れるような社会、これを目指すべきではないかと考えております。
 施設や在宅サービスの量と質の確保にはコストが掛かりますが、お金の問題だけで考えを抑制するのではなく、地域のボランティア、またネットワークの力も生かしながら、安心できる介護の体制を整えていくべきではないでしょうか。それが高齢者のみならず、親の介護や自身の老後を案ずる若者世代の安心感にもつながるのではないかと思っております。
 ここにおられる方、みんな老後不安だと思います。私は家に帰れば妹がいます。私的なことでございますが、過日、私は妹に言ったんです。私を介護してくれると言いましたら、何と言ったかといいますと、もう少しやせたらねと言われました。いろいろな条件がその人たちにありますので、私も納得いたしましたので、そのときまでには少しはウエートロスしようというふうに思っております。
 そこで、厚生労働省では昨年十一月に安心と希望の介護ビジョンを発表されました。この提言の実現のためにどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
#190
○国務大臣(舛添要一君) その前に、今、南野委員がおっしゃった中の、住み慣れた社会、地域でということをおっしゃった。これが非常に大事で、私も実は自分が東京だから母親を東京へ連れてこようかと思ったけれども、それじゃ絶対駄目なので自分が通ったわけです。そういう意味で、地域の介護力をどうして上げるかと。だから、遠くの親戚より先ほどおっしゃった近くの他人の方がいいわけですから、そういう地域のコミュニティーの再生が今非常に必要だと思います。
 そして、これは安心と希望の介護ビジョンを皆さんによく議論していただきまして、具体的には、ビジョンを受けてやることは、二十一年度の予算の中で、今申し上げた地域の介護力を高めるためにコミュニティー・ワーク・コーディネーターということで、こういう調整をやってくださる人の養成に係る経費を盛り込んでおります。それから、今年の二月には、重度化が進んでいる施設入所者に対する看護職員と介護職員のケアの在り方に関する検討会も立ち上げております。
 そういうことで、地域の介護力、そして医療と介護のシームレス化というか、すき間をなくしていく、それも重要ですし、そして何よりも介護従事者の人材確保、こういうことも取り組んでいきたいと思いますので、せっかくいい御提言をいただいたので一つ一つ実現していきたいと思っております。
#191
○南野知惠子君 介護の問題では三%の値上げというようなこともございますが、もっと多くてもいいんじゃないかなと思いますが、それは施設も含めた本人にも渡るお金であってほしいというふうに思っております。
 それから、老後でケアされる方々に、女性であれば本当にお化粧とか口紅をされるともっと生き生きとしますので、そういうポイントポイントを押さえた生活の場でのケアも、これは見逃してはいけないことなのかなというふうに思います。
 そして、急に保育の問題に移りたいと思っております。
 まず、保育制度の見直し、これは新たな保育の仕組みをめぐる検討状況についてお伺いしたいわけでありますが、保育制度をめぐりましては、近年、経済財政諮問会議や規制改革会議、地方分権改革推進委員会等でも規制改革等の観点から議論が行われ、昨年の六月に経済財政改革の基本方針二〇〇八において保育サービスに係る規制改革については平成二十年内に結論を見ることとされました。さらに、この三月三十一日に規制改革推進のための三か年計画でも、直接契約方式、直接補助方式の導入等抜本的な保育制度改革が盛り込まれております。
 しかし、こうした議論に対しては、現場で保育を支える人々から、市場原理の導入により保育に対する公的責任が損なわれ、保育サービスの質が低下するのではないかという懸念の声が示されてきました。
 一方、厚生労働省では、社会保障審議会少子化特別会において議論を重ねておられます。昨年の五月もそうですが、またこの二月には第一次報告を公表し、保育を中心とするこれまでの議論の中間的取りまとめを行われております。
 そこで、改めてお伺いしたいのでございますが、厚生労働省が検討しておられる新たな保育の仕組みは、市場原理に基づく直接契約・バウチャー方式とは異なるものであり、また保育に対する公的責任を後退させるものではないと理解してよろしいのか、明確な御答弁を厚生労働大臣、お願いします。
#192
○国務大臣(舛添要一君) 答えはそのとおりでございまして、やはり子供を育てていくと、これはまさに未来への投資ですから、国が責任を持ってやるべきだということを、これは何度も私は明言をしておりますし、少子化対策特別部会の第一次報告においても、保育を市場原理にゆだねるべきではないと、まずこれが大前提でございます。
 そういう中で、公的責任をむしろ国、地方を通してこれは強化すべきであるということでありますので、具体的な制度設計におきましても、今バウチャー制度の話が出てきましたけれども、それをやれという考え方は出ておりません。むしろ、市町村に質を確保したきちんとした公的保育を担保する必要があるんだろうということでありますので、国が全面的に関与して保育という未来への投資を進めていきたいと思っております。
#193
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 多くの人たちが悩んでおりますので、この点につきましては是非今大臣の仰せのとおりの方向でお願いしたいというふうに思います。
 それから、制度見直しの件なんですが、保育サービスは次代を担う子供たちの育ちを保障するものでなければならない、今大臣もお触れになられました。その意味からも、保育制度の見直しに際しましては、決して拙速に走ることなく、保育関係者や利用者の意見をしっかりとお聞きいただき、その理解を得た上で施策を進めていく必要があると考えております。また、そのための御努力をお願いし、そのようにしていただいているわけでございますが、この点につきまして厚生労働省の御見解をお伺いするとともに、これを踏まえた今後の検討、目途等について局長様の方からいただきたいと思います。
#194
○政府参考人(村木厚子君) 先生御指摘のように、保育は非常に子供たちの育ちにとって重要な役割を果たすものでございます。制度の見直しに当たっては、関係者の御意見をよく聞いていかなければいけないというふうに思っております。
 先般取りまとめをいたしました第一次報告は、新しい制度体系の設計に向けた中間的な取りまとめとしての位置付けでございます。そういう意味で、将来的な法制化に向けて考えていきますと、これは粗い骨格の段階であろうかというふうに思っております。したがいまして、まだまだこれから検討すべき課題が多く残っております。
 また、新たな制度体系の実現には財源確保が不可欠だというふうに考えております。新しい制度体系のスタートを何とか二〇一〇年代の前半にやっていくということを考えますと、この新たな制度体系の具体化に向けまして持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラムが決定をされておりますので、これに基づきまして、引き続き速やかに具体化に向けた検討を進めていきたいというふうに思っております。
 一次報告をまとめるプロセスにおきましても、現場の方々の御意見、いろいろとお伺いをし、それを反映をさせていただいたつもりでございますが、これから更に具体論に入りますと、ますますそういった現場の方の御意見が大事だというふうに考えております。引き続きまして、利用者の方や保育の関係者の方々の意見に真摯に耳を傾けながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#195
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 さらに、もう一つございますが、社会福祉施設最低基準というのがございます。それについて、昨年十二月の地方分権改革推進委員会第二次勧告におきましても、その見直しが提言されました。また、規制改革推進三か年計画においては、保育所における給食の外部搬入方式が、その容認が盛り込まれております。しかし、子供の育ちという観点から、食の問題は大変大切な課題でございます。保育所におきましては、零歳児等もお預かりさせていただいている観点から、調理室、調理師の設置、配置、施設内調理の原則、これは今後とも維持されるべきと私は考えております。
 児童福祉施設最低基準見直しに対する厚生労働省の見解をお尋ねするとともに、保育所における調理室、調理師の設置、配置、それから自園調理の在り方、自分の保育園における調理の在り方についてお伺いしたいと思います。
#196
○政府参考人(村木厚子君) 最低基準についてのお尋ねでございます。
 先生御指摘のように、分権の方から最低基準について、これは保育に限ったものではありませんが、様々な見直しの提言がされております。
 こうしたものの中で、政府としまして今お約束をしていることが一つございます。保育所の最低基準のうち施設設備にかかわるものについては、昨年六月に地方分権改革推進本部が決定をしました地方分権改革推進要綱におきまして、保育の質の確保の方策を前提としつつ、国は基準を示すにとどめ地方公共団体が条例により決定し得るなど、地方公共団体が創意工夫を生かせるような方策を検討し、計画の策定までに結論を得ることと、こうされているところでございます。
 これを踏まえまして、私ども昨年の七月から、建築、設計の専門家ですとか児童発達の専門家ですとか、自治体関係者、保育所経営者等による機能面に着目した保育所の環境・空間にかかわる研究事業において検討を行っていただきまして、先日、ちょうどその研究結果が出されたところでございます。
 この研究結果も受けまして、更に今後、厚生労働省といたしまして、分権改革要綱におけるスケジュールに沿いまして、分権改革推進計画の策定までに結論を出すべく検討を進めていきたいというふうに思っております。ですから、科学的な検証結果なども生かしながら少し検討をさせていただきたいと、これは設備のところでございます。
 それから、いわゆる給食の外部搬入の関係でございますが、今年の二月に、これ給食の外部搬入は、今、公立の保育所の外部搬入について特区事業で実施をしております。それに関して構造改革特別区推進本部におきまして、これの全国展開をするかどうかについてこういう結論が出ております。保育の質の確保及び資源の有効利用の観点から、保育所における給食提供に当たっての留意点、外部搬入方式により給食を行う場合の改善方法や留意点等の検討を行うことが適当であるという決定がされたところでございます。この決定を受けて、平成二十一年度においても引き続き検討をさせていただくということになっております。
 また、これに重ねまして、今年の三月に、規制改革の方でございますが、閣議決定が出ております。規制改革推進のための三か年計画ということでございますが、これの方は、子供の年齢や発育状態、日々の体調、食物アレルギー等への十分な対応策も含め、引き続き精力的に検討を進め、できる限り早期に結論を得るということが言われているところでございます。
 いずれにしましても、こういう検討をしなさいというお宿題をいただいておりますので、保育所は乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期であり、生活時間の大半を過ごす場所であるということ、それから子供の健全な育ちを保障をするということを大前提にしまして、それから食育が大変子供たちにとって大事なことであるという観点も踏まえながら、引き続き最低基準の在り方については検討をさせていただきたいというふうに考えております。
#197
○南野知惠子君 是非そのような観点で御努力いただきたいと思います。
 今、局長がおっしゃいましたが、子供にとって人生の最初にいただく食べ物なんです。その食べ物で自分が大きくなっていく、しつけられていく。その栄養という、食育というものは子供にとって大切なものでありますので、大人の観点ではなく、子供の観点も是非その中に入れていただきたいというふうに思います。出来合いのものであれば、なかなか子供の希望するような加工、また楽しませてあげるような加工ができにくいこともあろうかというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。
 本年一月に閣議決定されました経済財政の中期展望と十年展望におきましては、今後目指すべき経済社会について健康長寿・子育て安心社会を掲げ、出産・子育て支援の拡充、働き方の改革など少子化対策の推進により、安心して子供を産み育てながら、希望するすべての人が働くことができる社会の実現を目指していくというふうにされております。そして、その視点は、先ほど申し上げた日本経済再生への戦略プログラム中間報告に取り込まれておりますが、少子化対策の推進は未来への投資であります。今まさに待ったなしの課題であります。
 安定した財源を確保した上で、妊婦健診、これ十四回でございますが、の引き続きの支援をしていただきたい。途中で切るようなことのないように、十四回というものにとても意味がありますので、妊婦健診を引き続きしていただき、その支援を始めとして子育て世代への経済的支援、さらに総合的な少子化対策、これを一刻も早く実現に移す必要があろうかと考えております。四か月の全戸訪問にしましても、これは虐待ということと同時に、家族と新しい子供とのボンディングを強く図っていこうとする課題でもありますので、いろいろな少子化対策が着実に実っていくようにお願いしたいと思います。
 大臣、よろしくお願いします。
#198
○国務大臣(舛添要一君) 一月の経済財政の中期方針と十年展望、一月十九日閣議決定を行いましたけれども、今委員も御引用なさいましたけれども、そこには、出産・子育て支援の拡充、働き方の改革等少子化対策の推進により、希望するすべての人が安心して子供を産み育てながら働くことができる社会の実現を目指していくと明記されておりますので、妊婦健診、それから出産一時金、三十八万を四十二万に上げました。こういうことについては引き続き継続してやっていく努力をやりたいと思っています。
 今年度についてはとにかく実現させたいということで、補正予算で総務省、財務省と折衝しながら実現させることに全力を挙げました。今後は、これを継続的にするための努力をしたいと思っています。それから、安心こども基金も創設していますので、先ほどの保育所の充実ということもやっていきたいと思います。さらには、先ほど来話があります三十一日の党の方針、それから総理の御発言もありますので、少子化対策ということについて努力をしたいと思います。
 今、GDP比で日本が〇・八%ぐらいしか子供の対策に使っていません。欧米だとやっぱり二、三%ぐらいになると思いますので、相対的に、それは高齢者にも光を当てないといけないです。しかし、子育て支援の方もこれはきちんとやらないといけないので、相対的にこちらが弱いなという感じがしていますので、今後、財源的な措置を含めて更なる充実を図ってまいりたいと思っております。
#199
○南野知惠子君 厚生労働大臣に期待いたしておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問は、森田議員さんの方からもお話がございましたが、周産期医療に関して、多くの妊産婦さんたちがあこがれている病院、産院であり、信頼を寄せている愛育病院だったんでございますが、その問題についてちょっとお伺いします。ダブることがあるかも分かりませんが。
 先週の東京都の総合周産期医療センターの指定返上ということを聞かされて、大変がっかりした一人であります。改めて、周産期医療にかかわる医療従事者の過酷な勤務実態と周産期医療の危機的状況が浮き彫りになりました。
 今回の指定返上申入れというのは、医師らの夜間の勤務体制についての労働基準監督署の是正勧告を契機としたものと言われておりますけれども、まず愛育病院が指定返上に申し入れるまでの経緯、その後、今日までの状況について何か事実関係があれば教えていただきたい。
#200
○政府参考人(外口崇君) 本年三月に医師等の勤務に関する労働基準法違反について是正勧告を受けたことに伴いまして、総合周産期母子医療センターである愛育病院が産科二名と新生児科一名の医師の当直体制の維持が困難になるおそれがあるとの理由から、東京都に対し、総合周産期母子医療センターの指定返上を含めた対応方針について相談を申し出ていると聞いております。
 これを受けまして、東京都では、愛育病院が総合周産期母子医療センターの指定を継続できるよう、現在対応を検討しているところと承知しております。
#201
○南野知惠子君 ありがとうございます。それで私も少し安心する方向になるのかなと思っております。
 今回の愛育病院の問題では、新生児や妊産婦さんにとって最後のとりでである総合周産期医療センターが実は労働基準法をクリアしていなかった。そういった医療従事者の過酷な勤務実態で支えられ、安全、安心な医療体制とは懸け離れた状態にあったということが示されたわけでありますが、こうした周産期医療における厳しい勤務実態や医師不足の状況は厚生労働省ももう十分に認識しておられるというふうに思います。周産期医療における医師数、夜間の医療体制及び医師を始めとする医療従事者の労働時間、宿直、夜勤等の実態について、何か分かったことがあれば教えていただきたい。
#202
○政府参考人(外口崇君) 産婦人科及び産科医の数は平成十八年末時点で一万七十四名であります。
 また、平成十八年三月の医師需給にかかわる医師の勤務状況調査によると、病院の常勤産婦人科医師の平均滞在時間は週六十九・三時間であります。
 なお、日本産婦人科学会が行った平成二十年十月三十日公表の調査結果によりますと、当直体制を取っている病院における月平均当直回数は四・二回、休日の日直回数が一・三回となっております。このほかにオンコール体制もありますので、勤務環境の改善が喫緊の課題となっております。
#203
○南野知惠子君 本当にそういう過酷な状態を少しでも解消できればいいなと思っております。
 私もスタートが助産婦の仕事でございました。当直をしていました。大分昔の話ですけど、一晩に九人生まれたんです。それを病室から抱えて分娩室に行ったり、又は分娩室から別なお部屋に移したり、赤ちゃんの記録を間違わないようにこんなに積み上げて、男かね、女かねと、それも間違わないように、いろいろな苦しみが助産婦たちにもあるものでございますので、医師だけにかかわらず助産婦の体制についてもしっかりとお願いしたいと思っております。
 二十四時間体制の総合周産期医療センターの機能維持、拡充、これはリスクの高い出産の安全のために不可欠であります。同時に、そこで働く医師の方々の労働条件についても、今局長がおっしゃっていただきました、一刻も早く是正していただければというふうに思っております。
 この二つの課題は本来両立しなければならないはずでありますが、何となく二律背反になっているのではないか、大変深刻な問題であろうかと思っております。ドクターの数又はドクターに対する教育指導、こういった課題のみならず、院長先生たちは勤務管理のウエートも大きくなっているのではないかなと思っております。
 また、産科を持つ病院におきましては助産師にも定数があればと、長い間、私個人考えてきましたが、なかなか実現いたしません。私の努力も足りないと思っているところでございますが、まあこの文言は私の独り言と思っていただいても構わないというふうに思っております。
 看護職での副院長制も誕生いたしておりますので、その副院長を育てながら、その任に就かせ、少しでも病院の経営管理を楽にできないものかと思っているところでございます。
 そこで、厚生労働省は今回の事案をどのようにお受け止めになられ、周産期医療体制の拡充とそこで働く人々の労働条件の改善をどのように図っていかれるおつもりなのか、まず当面の緊急避難的な対応、そして中長期的観点からの対応策について大臣の御見解をいただきたいと思います。
#204
○国務大臣(舛添要一君) 勤務医の過酷な勤務条件をどう改善するかということで、二十一年度の予算では、夜間、休日の救急医療を担うお医者さんたち、それから産科医の手当に対する支援を行います。それから、メディカルクラークですね、事務作業を手伝ってくれる、こういう方を配置する医療機関には支援をする、さらに短時間の正規雇用とか交代勤務制を導入する医療機関にも支援をする、こういうことを盛り込んでおりますし、長期的なのは、六百九十三名、医学部の定員を増やしたということがございます。
 それから、午前中にも議論いたしましたけれども、労働大臣としての立場と私からいえば厚生大臣としての立場なんですが、是非、医療機関の方々、お医者さんの方々にも労働基準監督署、各地の労働局を御活用いただきたい。というのは、この愛育病院でも、それが入って検査をして罰則を加えるためにやるんではなくて、とにかく状況がどうであるか、改善すべきことはこうですよと改善するんです。そうすると、愛育病院の件も、ちゃんと協定、三六協定というのを結んでやっていれば解決する。それから、それはやっぱり余分に働いていたら、それは給料をあげないといけないです、働いた分を。賃金を払えば片付くような話があって、そして、しかし大きな背景は医師不足があります。
 だけれども、どうも医療機関について労働基準法とか労働関係の法律についての知識が皆無であり、そこについての考慮が全くない。だから私は、いじめるためではなくて、むしろそれを、今経営管理ということをおっしゃいました、経営管理をなさる、お医者さんであっても、おれはあしたから病院長になってアドミニストレーターとしてやるんだといった瞬間に言ってくださればちゃんと教えに行きますから。そういう労務管理の法律もきちんと学んでいただいて、その側面からも勤務医の方々の、ないし助産師、看護師さんの方々の勤務環境を改善するということができると思いますので、まさに厚生省と労働省が一緒になっていることの利点もまた使っていただきたいと思いますし、今後、そういう観点から、ほかの病院に立ち入るときも、ただ厳罰加えるために行くんじゃなくて、より良い勤務条件を実現するためのポジティブな、そういう思いで行かせていただくということを明言しておきたいと思います。
#205
○南野知惠子君 ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。
 次は、子宮頸がんのワクチンの件でございますが、子宮頸がんのワクチンにつきましては、既に世界で百か国以上の国が承認され、若い世代の予防に効果的であることが実証されており、私もこれまで、その早期承認を求める立場から、もう去年、おととしになりますかね、その段階からやんやと言っているところでございますが、なかなか進まないということでございます。
 この間、国内において二件の承認申請がなされました。一件については、既に治験も終了し、結果が資料として厚生労働省に提出され、審査の段階にあるものと聞いております。承認に向けた現在の進捗状況、目途等をお伺いしたいと思います。医薬局長さん、お願いします。
#206
○政府参考人(高井康行君) 御指摘のワクチンでございます。二つの製薬企業から薬事法に基づく承認の申請が出ております。両社では、子宮頸がんの原因と考えられます長期間のウイルス感染を予防する効果があるかどうかについて国内で治験を実施してきているところと承知しております。
 御指摘のように、このうち一社につきまして、昨年十二月に治験が終了して、本年二月末にその結果が資料として提出されたところでございます。今後、速やかに審査を行ってまいりたいと考えております。
#207
○南野知惠子君 お願いします。速やかというのが何十年なのかということがちょっと気になっております。
 さらに、去る三月二十九日の報道では、この子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの次世代型ワクチン、これを国立感染研究所が開発したと伝えられております。現在、承認申請がされている二件のワクチンは、約百あるHPVの形のうち主に16型、18型に有効ですが、新ワクチンはこれより幅広い形への効果が期待されている、この研究は厚生労働省の研究事業の一つでもあるということですが、これの進捗状況というものを教えていただきたいと思います。
#208
○政府参考人(上田博三君) お尋ねのワクチンの研究でございますが、子宮頸がんの原因となっておりますヒトパピローマウイルス、HPVと申しますが、この感染を予防するワクチンの開発に向けた研究といたしまして、平成十九年度から厚生労働科学研究の研究班として国立感染症研究所の研究者が実施しているものでございます。
 研究は、現在、前臨床研究の段階ではございますが、動物実験によりワクチンの有効性を示す前臨床データによりますと、HPVの16型、18型を始め、31、33、35、51、52、58型に対する効果を確認したところであります。その結果、十五種類ございます発がん性HPVのすべてに効果があると研究者は推測をしております。
 このようなことから、研究報告書及び当該研究者の意見によりますと、現在開発中のこのワクチンは欧米で使われております同様のワクチンと比べ幅広いウイルスの型に対して感染予防効果、さらに発がん防止効果が期待をされるということでございます。こういうことから、我が国のようにHPVの型分布が多様である地域におきましても有用性が示唆されているものと考えているところでございます。
#209
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 やはり、ワクチンはミスがあっては困ります。ワクチンをすることによって発病するということは、これは大変危険なことでありますので、調査研究に長いお時間を掛けてくださっておりますが、余り長くならないようにお願いしたいと。
 今、局長がおっしゃられたワクチンは、あしたですよね、四月三日、京都市で開かれる日本産婦人科学会で発表されるというものでありまして、一日前に先取りしたお答えをいただいたわけでございますが、そういう比較的広範囲で使えるワクチン、そこら辺に日本人の成果が、一つ大きな成果が上がればというふうに思うところであります。
 そこで、お尋ねでございますが、ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指して国民の健康増進を推進する議員の会というのが我々、私も参加いたしております。ワクチン政策の推進のためにこれは活動を続けているわけでございますが、この度、提言書をまとめまして、三月三十一日に坂口会長ほかが大臣のところにお邪魔したと思っております。提言書をお渡しできたと思っております。この中では、先ほど質問いたしましたHPVワクチンのほかに、ワクチン政策を推進するための行政改革について提言しているところがございます。我が国のワクチン行政は担当部局が細分化されております。今お尋ねした子宮頸がんについてもお二人、三人の局長様のお答えをいただかなければ一本にならないというところでございますので、全体を包括する組織がないことが問題であろうかとも考えております。
 今後、ワクチン政策を包括的かつ強力に推進するための行政組織を新たに創設すべきであろうと考えておりますが、これも舛添大臣、いいお答えをいただきたいというふうに思っております。
#210
○国務大臣(舛添要一君) これは組織の改編をどうするかという問題につながります。周産期の医療センターの問題がありまして、これはまさに医政局と雇・児局、そこにおる二人が担当していましたけど、やはり周産期医療の知識がないとこれはできませんので、組織を一部変えまして、医政局の方に集中的にやらせるように変えました。
 今度、このワクチンについて、じゃ例えば一つのワクチン課というのをつくるかとなったときに、プラスもあると思いますが、考えないといけないのは、今の周産期の問題と違って、要するに副作用についてチェックする部門が同じところにあったときになあなあにならないかと。厳しい外部の目で、それは新しいワクチン、いいと思うけど、こういう危ない副作用がありますよというのをチェックする部門が必要だと。それからもう一つは、流通考えたときに、産業政策としても、これはすばらしいワクチンできればまさに外貨を稼ぐものとして外に輸出できます。そうすると、外貨稼ぐという観点からばかりやる人がそこにいても困ると。そういうチェック・アンド・バランスを省内で取りながらというので分散していることの意味はあると思います。
 しかし、統一的な戦略、厚生労働省ないし国家の戦略としてのワクチン政策になると、それは一つであった方がいいと思いますので、そういうことを踏まえて検討させていただきたいと思います。
#211
○南野知惠子君 ありがとうございます。心強いです。いろいろな理由、大臣の哲学に基づいた組織の編成ということも、これも大きな効果を現すものだと思います。
 最後の質問をさせていただきます。
 厚生労働省におかれましては、本当に課題が山積いたしております。看護職員の質の向上と量の確保の観点から検討を行うために看護の質の向上と確保に関する検討会を設置され、三月十七日には中間取りまとめが行われたというふうに承知いたしております。
 この会の論点整理を踏まえて、今後の具体的取組などにつき大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#212
○国務大臣(舛添要一君) 安心と希望の医療ビジョンをやって、その中で看護の問題どうするかということも議論をして、看護師の方々や助産師の方々にもそこにも入っていただいて議論しましたけど、やはり十分ではなかったということで、看護の問題に特化して質の向上それからどう量を確保するか、これを検討会やって報告書まとまりました。
 まず、質をどう確保するかなんですけれども、やはり基礎教育の充実を図るために、現在の三年以上という教育年限を必ずしも前提としないでカリキュラムの内容、これと方法について検討をしようということをまず提言いただいています。それから、新人看護職員の研修について、これはやっぱりもう制度化、義務化した方がいいんじゃないか、こういうことも視野に入れて早急に実施に移したいと。
 それから、今度、量をどう確保するか。
 なぜ少ないのかなというと、まずせっかく免許取られても、いや、現場に行くとちょっと私の知識や技術ではもう自信持てないというので、自信を失ってそもそも就職しないという方がおられたり、それから自分が出産や育児で家庭にいったん引かれてもう戻ってこないとか、ほかの職場におられるということがあるので、そういう潜在的な看護職の皆さん方に戻ってきていただくための再就職支援、それともう一つ、まず職に就くために自信を持っていただくと、これはカリキュラムの内容にもよりけりだと思います。
 それから、第七次の看護職員需給見通しを策定しまして、そこで長期的な見通し、これをやっておかないと、お医者さんが不足している、余っていると、こういう話と同じことになりますので、そういうことの推進策について様々ないい御提言いただきましたので、これは文科省等の関係省庁も教育内容についてはかかわりますので、協議をしながら、この四月から具体的な検討の場を設けまして、そして具体化のための作業を進めていきたいと思っております。
#213
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 多様な勤務形態の問題についても大臣にお触れいただきたいと思います。
 というのは、今助産師が勤務しているところには、院内助産だとか外来だとか、そういうような問題でいろいろと幅広く展開していこうとしておりますので、院内の協力を更にいただけるように、妊産婦さんたちが安心できるようにということでございます。
 そして、文科省とも協力して、先ほどおっしゃられた中身については、カリキュラムについては、是非共同した作業をしていかなければ安心、安全の看護が提供できない、看護を受け止められる方はそのようになってほしいというふうに思っているところでございます。
 そして、所によっては、六十五歳でもう定年よといって、定年もらっちゃうともうどこにも働きに行けない。今まで婦長さんで取り仕切っていた人が六十五になってもう一度就職してよといっても、平の仕事になってくる。これは構わないとしても、定年を少し延ばしていただくと、それだけの卒業生が来るまでには十分と質が確保できることもあろうかなというふうに思っております。
 中でもしっかりと考えておりますので、これからますます大臣のお力が必要になってきます。どうぞよろしくお願いします。
#214
○国務大臣(舛添要一君) 今大事な点を一点先生おっしゃいましたので、いったん御家庭に入られたりして子育てやっている看護師さんたちにどうしたら戻ってきてくださいますかというと、子育てやって家庭と両立をしたいので、申し訳ないけど当直はやめさせてくれませんか、だから時間短時間でよければ来れますよと、これは制度化をしようというふうに思っています。
 それから、今の定年の延長ということも、これは真剣に考えたいと思っております。
#215
○南野知惠子君 また質問に戻りましたが、短時間正社員制度のような形もいろいろな病院で試みておりますので、それもひとつ励ましてやっていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。これで質問を終わります。
#216
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、一般質疑ということで、医療の分野でがん対策を中心にお聞きを申し上げたいと思います。また、時間がありましたら、災害医療についてもお聞きをしたいと思います。どちらも命を守るという点で大変大切な内容でございます。
 最初に、がん対策についてお聞きをいたします。
 毎年百万人が死亡をしているうち、三十三万六千人ががんで亡くなられておりまして、日本人の死因のトップががんでございます。三人に一人ががんで亡くなり、六十五歳以上では二人に一人ががんで亡くなっていることを思いますと、まさにがんは国民病でございます。私の周りの中にも多くの方でがんになっている方がおられまして、大変身近に感ずるわけでございます。
 こうした中で、がん対策基本法は、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために平成十八年六月に成立をし、この法律に基づいてがん対策推進基本計画が策定をされ、五年以内にがん検診の受診率を五〇%以上とするなど目標値を定めております。本年度末には計画の進捗状況について中間報告を取りまとめることとなっており、目標の達成に向けた着実な取組が求められていると思います。
 そこで、がん対策の推進状況について確認をしていきたいと思います。
 まず、がん対策推進基本計画の主な目標について御説明をいただきたいと思います。
#217
○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づき、平成十九年六月に閣議決定をされたものでありまして、平成十九年度から平成二十三年度までの五年間を対象として、がん対策の基本的方向を定めたものでございます。
 同計画におきまして、重点的に取り組む課題として、まず放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの育成、それから治療の初期段階からの緩和ケアの実施、そして三番目といたしましてがん登録の推進の三点を定めております。
 また、分野的施策として、一つ、がん医療、二つ目として医療機関の整備など、三番目としてがん医療に関する相談支援及び情報提供、四番目としてがん登録、五番目、がんの予防、六番目、がんの早期発見、七番目、がん研究、この七つの分野のそれぞれについて、現状取り組むべき施策、個別目標を定めております。
 中でも、がんの早期発見の個別目標といたしましては、がん検診の受診率を五年以内に五〇%以上とすることを定めておりまして、その実現に向けて努力をしているところでございます。
#218
○山本博司君 ありがとうございます。
 このがんによる死亡者を減らしていくということでございますけれども、がんを防ぐ方法としては、がんにならない生活習慣とともに、がんになっても検診で早期に見付けることが大変大事でございます。今お話がございました、平成二十三年がんの検診率を五〇%ということで目指して進んでおられますけれども、現在のがん検診の状況につきまして説明をいただきたいと思います。
#219
○政府参考人(上田博三君) 平成十九年の国民生活基礎調査にありますけれども、これによりますと、男性におきましては、胃がん、肺がん、大腸がん、これらの検診の受診率は二五・七%から三二・五%ということで、約三割程度でございます。女性につきましては、乳がん、子宮がんを含めた五つのがん検診の受診率は二〇・三%から二五・三%と、二割台前半でございます。
 なお、平成十六年の調査結果と比較しますと、すべてのがん種におきまして受診率は増加をしておりますことから、一層の努力をしたいと考えているところでございます。
#220
○山本博司君 ありがとうございます。
 今お話ございましたように、まだまだ二〇%台という非常に低い状況でございます。平成二十年一月に、市区町村におけるがん検診の実施状況、これが調査が行われております。今年のこの状況と課題に関しまして御指摘をしていただきたいと思います。
#221
○政府参考人(上田博三君) 本調査は、都道府県を通じまして、平成二十年一月一日時点におきます千八百二十二市区町村のがん検診の実施状況を取りまとめたものでございます。
 国がお示しをしています指針どおりがん検診を実施しているかどうかにつきましては、胃がん、大腸がんは九七・八%、子宮がんは九三・九%、肺がんは九二・三%、乳がんは八七・九%でございました。
 一方、がん検診を実施していない市区町村は五十六ございまして、その理由としましては他に優先すべき事業があるというものが十九、予算を確保できないというのが十三でございました。
#222
○山本博司君 今年の状態ということで、日本対がん協会が二〇〇八年度の検診状況の調査、四月から十二月ということで調査を出しております。四十支部の前年対比の減少支部ということで非常に急増している、数が減っているということが実態調査が出されているわけでございます。肺がんでは約二十六万人が減少していると、胃がんは約十万人減少しておって、乳がん以外はすべて減少しているというふうな実態がございます。また、この十二月ですから、この調査の段階ではまだ分かりませんけれども、その中からも若者の検診離れとか受診者の固定化など様々な要因が挙げられているわけでございます。
 私たち公明党も、東京都本部の女性局として、この二月中旬から三月末までに、がん検診に係るアンケート調査をいたしました。約十万二百一人の方々が協力をしていただきましたけれども、調査結果によりますと、女性特有のがんにつきましては検診を受けたことがないと答えられた二十代女性は七五%に上っているわけでございます。なぜ受診しないのか。この理由は、忙しくて時間が取れない、また婦人科に行くには抵抗がある、こういった声が多かったそうでございます。
 こうした声がございますけれども、政府はこの検診率改善に向けてどのような対策を講じているのか、教えていただきたいと思います。
#223
○政府参考人(上田博三君) 御指摘のような傾向はあるというふうに私どもも認識をしております。
 そういうことから、私どもといたしましては、がん検診の受診率向上に向けた取組として、まず平成十九年度にがん検診事業の評価に関する委員会を開催し、昨年三月に未受診者に対する受診勧奨や、企業、マスメディアなどを巻き込んだ普及啓発など、受診率を向上させるための取組について報告書を取りまとめたところでございます。また、各地域の実情に応じたがん検診の受診率向上にかかわるモデル的取組に対する支援を行い、受診率の向上に努めてきたところでございます。
 さらに、平成二十一年度からはがん検診受診率向上のための実施本部を設置し、全国共通のキャッチフレーズによる集中キャンペーンを実施するなど、国、自治体、企業、関係団体等が一体となって全国規模の受診勧奨事業を積極的に展開していきたいと考えているところでございます。
#224
○山本博司君 ありがとうございます。
 先ほど、公明党のアンケートの結果の中でも、受診しやすくするための対策、このことも聞いた形がございますけれども、例えば定期検診の項目の中にそれを入れていくとか、女性の医師なら受けるとか、そういう回答が多かったそうでございますけれども、受診のしやすい体制の整備が求められていると思います。例えば、土日の検診などもっと市区町村の実施を増やしていくとか、また職域検診の充実も大事でございます。こうしたことを考慮して検討をお願いを申し上げたいと思います。
 そういう中で、先ほども市区町村の中で国の指定どおりやれていなかった理由の中に、予算がないというふうな声が多かった部分がございます。そういう意味で、受診者の負担軽減、これを図ることが大事でございます。自己負担額で胃がん検診の場合では二千五百円以上掛かっております。国民の負担が重い分がん検診の大きな阻害要因ともなっているわけでございまして、受診者の負担軽減策についてどう対応されているのか、お答えをいただきたいと思います。
#225
○政府参考人(上田博三君) がん検診費用につきましては、平成十年度から一般財源により実施されております。それぞれの市区町村において財源を適切に確保し、実施に努めていただく必要があると考えております。
 平成二十一年度より、がん検診費用に係る地方交付税措置を大幅に拡充をいたしました。これは平成二十年度は六百四十九億円でございますけれども、平成二十一年度は一千三百億円と約倍増をいたしました。こういうことからも、市区町村に対しまして、当該この財源の積極的な活用により受診者の増加や自己負担額の軽減など、がん検診事業の規模拡大を図るよう要請をしたところでございます。
 今後とも、関係課長会議あるいは市区町村におけるがん検診の実施状況の調査結果の公表などを行いまして、がん検診事業の規模の拡充を図るよう市区町村に強力に要請していきたいと考えております。
#226
○山本博司君 是非とも推進をお願いを申し上げたいと思います。
 検診率を上げるための様々な対策、これは本当に必要だと思いますけれども、高知県の方から次のような声がございました。お伝えを申し上げたいと思いますけれども、それは検診や人間ドックの費用を税の申告の際の医療費控除に含むことができないかとの声でございました。
 現制度では、検診は医療行為ではありませんので、税の申告をする上で人間ドックや検診に掛かった費用は医療費控除に含むことはできませんけれども、これをそうした医療費とか検診控除、仮にそういった形で税の医療費控除に含めていただければもっともっと検診率も上がるんではないか、また医療費の抑制にもつながるとの提案であるわけでございます。
 税の医療費控除というのは十万円若しくは所得の五%を超える部分が控除額となりますが、この控除額は税額から直接引く税額控除ではありませんので、所得控除ですので、検診費用を医療費の控除に含めたとしても大幅に所得税が減額になることもなく、国の税収に大きな影響はないわけでございます。
 高齢化がますます進む中で、こうした予防医学、医療費抑制を考える制度としての声でございます。これは質問ではございませんので、その声があるということを含めてお伝えを申し上げたいと思います。どちらにしても、国民の負担軽減を実感できる対策は必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、検診に関しましての個別の具体的な内容について触れてまいりたいと思います。
 まず、男性の代表的ながんでございます前立腺がんについてお聞きを申し上げたいと思います。
 国の指針以外のがん検診で、前立腺がんの早期発見のための血液検査オプションのPSA検査が市区町村で約九百、全体の四九・四%実施がされている状況でございます。市町村で、これだけ多くの自治体で実施をしている現状を見たときに、このPSA検査導入促進の検討はないのかどうか、この点についてお願いをしたいと思います。
#227
○政府参考人(上田博三君) 市町村が実施いたしますがん検診につきましては、がん検診に関する専門家の意見を踏まえ、検診の実施による死亡率減少効果に関する国内外の文献などの資料の評価を基に、科学的に有効性が認められた種類、方法、対象年齢、検診間隔などにより行われるよう国が指針を定めているところでございます。
 御指摘の前立腺がん検診につきましては、いわゆるPSA検査を活用することになりますが、これにつきましては、厚生労働省研究班のガイドラインにおいては集団検診としては効果が不十分であるとしている一方、日本泌尿器科学会のガイドラインにおいては一定の効果が認められると、このようにされておるところでございます。このように、専門家の間でも考え方が分かれているところであり、現時点において厚生労働省の指針にはこのPSA検査を含めていないところでございます。
 科学的根拠に基づいたがん検診を推進するためにも、今後とも引き続き、がんをより早期かつ的確に発見するための種類、方法、対象年齢、検診間隔等について、当該分野の専門家や研究班などの関係者を通じて、このPSA検査を含めて最新の情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
#228
○山本博司君 ありがとうございます。
 続きまして、女性の代表的な乳がんについてお聞きを申し上げたいと思います。
 四十代から五十代の女性に乳がんが増加をしております。乳がんの早期発見にマンモグラフィー検査は重要でございます。もう公明党もこのマンモグラフィーの充実強化を訴えてまいりましたけれども、現在の推進状況に関しましてお話をいただきたいと思います。
#229
○政府参考人(上田博三君) 市町村におきます乳がん検診につきましては、昭和六十二年度に三十歳以上の女性の方を対象といたしまして、問診、視診、触診を検査項目として開始をいたしましたが、平成十二年度には五十歳以上の女性に対するマンモグラフィー検査が追加されたところでございます。平成十五年度には、がん検診に関する検討会におきまして、死亡率減少効果の観点から実施方法等について専門家による検討が行われた結果、マンモグラフィー検査を四十歳以上の女性にまで拡大することが提言されたところでございます。この検討会の指摘を踏まえまして、平成十六年度から四十歳以上の女性に対するマンモグラフィー検査を必須としたところでございます。
 平成二十年一月現在の調査によりますと、全国で九割以上の市町村においてマンモグラフィー検査が乳がん検診として導入、実施をされていると、このように承知をしております。
#230
○山本博司君 是非とも推進を更にお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つ、日本のこの検診の状況ということで、まだ二〇%台ということでございました。お隣の韓国が、がんの検診率が二〇〇八年に五〇%を超え、五〇・七%になったそうでございます。四年前は、二〇〇四年は三八・八%から見ますと、一一・九ポイントも増加をしているわけでございます。予算倍増とか国民の普及活動など様々な対策を取ってきたと言われておりますけれども、どのように評価をしているのか、また学ぶ点があるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
#231
○政府参考人(上田博三君) 御指摘のように、がん検診につきましては、がん対策推進基本計画において、受診率を五年以内に五〇%とすることなどを個別目標として掲げております。
 御指摘の韓国においてがん検診の受診率が向上した要因の一つとして、検診の受診勧奨通知を対象者へ個別に送付をしていると、このようなことが挙げられております。本年三月に開催されました第三回がんに関する普及啓発懇談会におきましても韓国でのがん検診について事例紹介が行われたところでございまして、今後もこのような諸外国の先進事例に関する情報収集などを行いながら、我が国のがん検診の受診率向上策の検討を引き続き行っていきたいと考えております。
#232
○山本博司君 実際に、今の日本での市区町村の啓蒙活動は広報紙とかホームページが中心でございます。韓国のように直接国民に受診を促す活動の大切さ、これが言えると思います。
 そこで、大臣にお聞きを申し上げたいと思います。
 昨日も大臣の元に、十万人のアンケート調査結果を踏まえまして、公明党の太田代表以下、党の女性局のメンバーが検診率向上などの申入れをした次第でございます。こうしたがんの早期発見のための検診率五〇%目指して、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#233
○国務大臣(舛添要一君) 昨日は公明党の皆さん方おいでいただいて、特に先ほど言及なさいました十万人のアンケート、これは、こういうことをおやりになるというのは大変すばらしいことだと思いまして、敬意を表しますとともに、施策を練るときに使わせていただきたいと思います。
 それで、これは国も自治体も企業もみんなで取り組まないといけない、この検診率の向上ということは、でございますんで、検診機関も含めて、全力を挙げてこの普及啓発をやりたいというふうに思っております。二十一年度予算におきましても自治体、企業との連携によって受診率向上に向けた取組が行われるような予算措置がとってありますんで、五年以内に五〇%以上とするということを是非実現させたいと思います。
 例えば、もう子宮頸がんなんというのは、先ほどの議論にもありましたけれども、早期に発見すれば、いいワクチンもありますんで、もうほとんど、八割、九割治るわけですから、若い女性が恥ずかしいというようなことだけでお行きにならないで、一生棒に振るということになってしまいますんで。これは例えば、女性医師は今、産科は半分女性医師になっています、小児科もそうですけれども。ですから、女性のお医者さんじゃないと行きにくいというところはちゃんと情報で、ここは女性の医師さんおられますよというふうなことをやったり、それからやっぱり仕事忙しいから休日じゃないと行けないと、こういうところに相談窓口を設けるなど、御提案も受けて、きめの細かい体制で五年以内に五〇%、これを実現するよう努力したいと思います。
#234
○山本博司君 是非とも強烈なリーダーシップでお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、がん医療の現状についてこれから御質問を申し上げたいと思います。
 生活習慣の欧米化によりまして、胃がんは減少し始め、肺がんとか乳がん、大腸がん、前立腺がんなどの欧米型のがんが増えていると言われております。アメリカでは六六%、ドイツでは六〇%の患者の方々が放射線治療を受けておりますけれども、日本では二五%程度、約十七万人と、放射線治療が余り実施をされておりません。
 重点的に取り組む課題の中にこの放射線療法、化学療法の推進がございますけれども、現状についてどうなっているのか、推進状況をお話しいただきたいと思います。
#235
○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画におきましては、放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの養成が重点的に取り組む課題の一つとして掲げられているところでございます。
 このため、厚生労働省におきましては、国立がんセンターにおける医師等医療従事者を対象とした放射線療法及び化学療法に関する研修の充実強化、二番目として、がん診療連携拠点病院の指定要件を見直し、放射線療法及び化学療法を行う部門の設置や専門医師の配置などの義務化、三番目として、がん診療連携拠点病院に対する放射線治療装置の緊急整備などの対策を実施したところでございます。
 これらの結果、がん診療連携拠点病院におきましては、例えば放射線治療機器、リニアックでございますが、この整備状況でございますが、平成十九年度は九三・二%でございましたが、平成二十年度は九五・二%に上昇しました。それから、外来化学療法の実施状況でございますが、平成十九年度の九四・四%から平成二十年度の九八・〇%まで上昇したと。このように、放射線療法及び化学療法の診療提供体制が充実をしてきているところでございます。
 私どもといたしましては、がん対策基本法及びがん対策推進基本計画などの趣旨を踏まえつつ、引き続き放射線療法、化学療法の推進、またこれらを専門的に行う医師等の育成を始めとするがん対策を進めてまいりたいと考えております。
#236
○山本博司君 こうした放射線治療の専門医といいますのは、アメリカでは五千人いるそうでございますけれども、日本ではまだ十分の一の五百七十五人前後と言われております。がんの治療をするお医者さんといいますと十万人とも言われておりますけれども、まだまだ少ないというのが実感でございます。今指摘されました研修などの充実とか、様々な強化が必要だと思います。
 また、診療報酬につきましても、手術と比較しまして三分の一ぐらいの安さ、これも課題ではないかとも言われております。国として更に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、緩和ケアに関して質問をしたいと思います。
 治療ができないがんや痛みなどの症状を持つ患者さんの様々な苦しみを和らげることを主眼とした緩和ケアの考え方が欧米では確立をされております。日本では、医薬用麻薬といいますのはアメリカの二十分の一程度で、世界平均以下の使用度だそうでございます。日本のがん患者は、がんで亡くなる方の八割、日本人全体の四人に一人ががんの激痛に苦しむと言われてきております。このまず痛みを取ることが緩和ケアの第一歩と言われておりまして、今回、がん対策の重点項目の中にもこの治療の初期の段階から緩和ケアの実施がうたわれております。
 前安倍総理が東大病院を訪れた際に、がんを診療する医師すべてが五年以内に緩和ケアの研修を修了するような前倒しの発言がございました。こうした実施計画の中にもすべてのがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修が入っておりますけれども、実施状況に関してお話をいただきたいと思います。
#237
○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画におきましては、御指摘のように、治療の初期段階、まさに告知の段階から緩和ケアの実施を重点的に取り組むべき課題の一つとして掲げております。五年以内に、すべてのがん診療に携わる医師が研修等により緩和ケアについて基本的な知識を習得することなどを個別目標といたしております。
 このため、私どもといたしまして、全国どこでも精神的ケアを含めた緩和ケアをがん診療の早期から適切に提供できるよう、すべてのがん診療に携わる医師を対象とした緩和ケア研修会の全国展開を行っているところでございます。本研修会の実施状況でございますが、平成二十一年二月末現在、全国三十七都道府県において研修会が開催をされまして、合計二千六百六十九名の参加医師に対して修了証が交付されたところでございます。
#238
○山本博司君 ありがとうございます。
 是非とも、今二千六百六十九名ということでございますけれども、十万人前後の方々を五年以内という目標でございますので、更に推進をお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、連携拠点病院に関して質問をしたいと思います。
 全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるようにする医療機関の整備が求められております。がん診療連携拠点病院における整備状況と国の指定要件をどの程度満たしているかをまとめた調査結果について御報告をいただきたいと思います。
#239
○政府参考人(上田博三君) がん診療連携拠点病院につきましては、がん診療連携拠点病院の整備に関する指針に基づき、都道府県がん診療連携拠点病院については都道府県に一か所、地域がん診療連携拠点病院については二次医療圏に一か所整備をすることとしておりまして、平成二十一年四月一日現在、全国で三百七十五の医療機関を指定しているところでございます。
 新要件の充足状況でございますが、昨年十月に、これらの各拠点病院から提出をいただいた現況報告書の集計を行い、公表したところでございますが、これによりますと、現在で、緩和ケアの提供体制の整備については一〇〇%、相談支援センターの設置についても一〇〇%、これらについては非常に充足率が高いわけでございますが、一方、緩和ケアに関する研修の実施については三〇・五%、緩和ケアに携わる常勤、専従の看護師の配置については五七・五%というふうに充足率が低い状況にございます。
#240
○山本博司君 同じく、この拠点病院の指定を満たすための施策、これに関して簡潔にお話しいただきたいと思います。
#241
○政府参考人(上田博三君) この指定要件については、平成二十年三月に指定要件の見直しを行い、旧要件に基づいて指定されていた既存の拠点病院についても、指定更新期限である平成二十一年十月末までに新要件の内容を充足するよう求めております。
 新要件の充足については、平成二十一年度予算において、がん医療の均てん化を更に促進するため、拠点病院において専門的医療に従事する医師等の研修など様々な所要の経費を計上したところでございます。今後、新要件に基づく更新に向け、各都道府県のがん対策担当者と新要件の充足状況の確認や今後の対応策を確認する場を個別に設けて、都道府県との連携を図りつつ対応したいと考えておるところでございます。
#242
○山本博司君 ありがとうございます。
 この拠点病院、専門的ながん医療の提供とか、地域のがん診療の連携協力体制の構築、さらにがん患者への相談体制など大変大事な役割となるわけでございます。ただ、医師、看護師、薬剤師などの人員が不足しているのが現状でございます。地方からも休日、夜間のがん相談の支援事業の充実などの強化の要望も出ておりますので、是非とも強力に推進をお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、がん登録に関して質問をしたいと思います。
 まず、この概要に関して説明いただきたいと思います。
#243
○政府参考人(上田博三君) がん登録とは、がん患者さんについて、診断、治療及びその後の転帰、予後とか結果でございますが、これに関する情報を収集し、保管、整理、解析する仕組みのことでございまして、具体的には、各医療機関内のがんに関するデータを把握する院内がん登録、それから院内がん登録のデータを基に都道府県内のがんの罹患、転帰、その他の状況を把握する地域がん登録、また、学会などが主体となって臓器別のがんに関するデータを収集する臓器がん登録がございます。
#244
○山本博司君 このがん登録推進のためにどう取り組まれているか、この点もお願いをしたいと思います。
#245
○政府参考人(上田博三君) がん登録は、がん対策の企画立案や評価に際してその基礎となるデータの把握、提供などをするために極めて重要なものでございます。がん対策推進基本計画におきましても重点的に取り組む課題の一つとして位置付けられているところでございます。このため私どもは、平成二十年三月にがん診療連携拠点病院の指定要件の見直しを行い、国立がんセンターの研修を受講したがん登録の実務者を配置することを新たな要件として定めたほか、がん診療連携拠点病院が院内がん登録の実務者を配置するための費用の補助、国立がんセンターにおける実務者及び指導者研修の実施、がん診療連携拠点病院へのがん登録にかかわるマニュアルの提供などを行っているところでございます。
 また、二十一年度予算におきましては、がん診療連携拠点病院におけるがん登録の実施体制の強化のために所要の経費を計上したところでございます。
#246
○山本博司君 このがん登録、なかなか日本は遅れているということでございます。アメリカでは一九七一年に成立したがん法によってこのがん登録が開始をされまして、一九九二年にはがん登録法が制定をされているわけでございます。また、がん登録の実務を行うがん登録士は国家資格にもなっております。欧米はもちろん、アジアでも韓国、台湾、香港など、一〇〇%のがん登録カバー率が進んでいる状況であるわけでございます。日本ではがんの告知率六割程度ですので、個人情報保護の整合性を考慮しながら情報を把握できる仕組みづくりが不可欠と思います。法制化も含めた対応も検討すべきと考えております。
 続きまして、がん対策の普及啓発ということを最後に御質問をしていきたいと思います。
 まず、厚生労働省の下に置かれておりますがんに関する普及啓発懇談会について、この懇談会の趣旨と開催状況について御説明をいただきたいと思います。
#247
○政府参考人(上田博三君) 本懇談会でございますけれども、がんの病態、検診の重要性、がん登録、緩和ケアなどに対する正しい理解の普及啓発に関する先駆的な事例を収集いたしまして御意見を伺うとともに、有効かつ的確な普及啓発事業を実施するために開催をしているところでございます。
 この懇談会の開催状況でございますが、昨年秋より三回にわたり開催をしているところでございます。
#248
○山本博司君 私も、この三回の議事録読ませていただきました。多角的に議論をされて大変大事なことだと思います。是非継続して進めていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、この普及啓発という意味で、がん教育ということを取り上げたいと思います。
 このがん教育、特に義務教育時代のがん教育は大変大事であります。先ほどからも子宮頸がんのお話がございました。これは他のがんと比べて発症する年代が若いということで、二十代で発症するケースが多くなっておりまして、二十代、三十代の女性が急増をしております。性交渉に伴うヒトパピローマウイルス、HPVですね、先ほどから言われております、感染が原因ですので、性交渉のときに感染予防をするとか、またシャワーの使い方の、清潔を心掛けるとか、ワクチン等もございますけれども、予防ができるわけでございます。
 ところが、この子宮頸がんの予防、義務教育の時代、特に中学校三年生のときにしっかり教育をして、また子宮がん検診などの検診の重要性、これを教えることが大変大事だと思います。十五歳でございますからすぐ五年間、二十歳になるということでございまして、そういう意味でこのがん検診を含めたがん教育の重要性が大事でございます。
 そこで、文部科学省にお聞きを申し上げたいと思います。
 教科書にこのがん教育の記述はどのように紹介をされているのでしょうか。また、例えば日本人の死因の第一位はがん、こういった明確な記述はあるのか。また、がん検診の重要性、こうした記述はあるのか。この点に関してお答えをいただきたいと思います。
#249
○政府参考人(尾崎春樹君) お答えを申し上げます。
 がん教育、とりわけ義務教育段階での教育の重要性は高いものというふうに認識をしておりますけれども、具体的には小学校の体育あるいは中学校の保健体育を中心といたしまして、がんを含む健康に関する指導が行われているところでございます。例えば、小中学校を通じまして、生活習慣病の予防のためには望ましい生活習慣を身に付ける必要があること、また中学校では、例えば個人の健康には地域の健康診断あるいは健康相談などの社会の取組が有効であることなどを指導することとされております。こういうことを受けまして、大多数の教科書ではがんを具体的に取り上げまして、早期発見、早期治療の重要性に関する記述が盛り込まれているところでございます。
 それから、今、ただいま御指摘のありました、がんが死因の第一位であるということは、一番シェアの大きい教科書を具体的に見ますと、円グラフを使いましてその明確な記述がございます。また、日本人の三大死因であるがん、心臓病、脳卒中などという記述から生活習慣病とその予防の章が始まっているところでございます。
 また、文部科学省といたしましては、この教科書、学習指導要領を踏まえた教科書の記述のほかに、がんの予防の大切さを含んだ健康に関するパンフレットというものを作成をいたしまして、小五、中一、高一の各段階で全生徒に行き渡るように配付をしているところでもございます。
 今後とも、がんについての教育、早期教育が充実されるように努めてまいりたいと考えております。
#250
○山本博司君 がん教育ということで、この義務教育の時代に本当に検診の重要性とかがんの怖さ、このことを訴えることが大変大事だと思います。
 こちらにあります小冊子は「がんについて学ぼう」という小冊子でございますけれども、先ほど話題になりました普及啓発懇談会の座長の東大病院の中川先生が中学生向けに分かりやすく書かれた小冊子でございます。この義務教育の時代にがん教育を教えること、大変大事でありますし、がん対策の最大の啓発活動だと思います。
 また一方、乳がん制圧を目指すピンクリボン運動、これも本当に広がりがございますし、また乳がんをテーマにした相次ぐ映画の公開とか、また有名人が乳がんであることを明らかにして検診を呼びかける、そういうことで乳がんの関心が高まり、乳がんの検診受診数がほかのがんと比べても比較して増えているということも言えるわけでございまして、こうした国民への啓発活動、これは大変大事になるかと思います。
 それで、最後に大臣にお聞きをしたいわけでございますけれども、がん普及啓発、この取組、決意、この点をお聞きをしたいと思います。
#251
○国務大臣(舛添要一君) 先ほどのがんに関する普及啓発懇談会、先般、三回目を三月十七日に行いました。それで、先ほども申し上げまして、今文部科学省の方からも学校の場における取組がございました。関係省庁ともこれは連携し、自治体、それから企業、検診機関、こういうところとも連携してオールジャパンで取り組んでいきたいというふうに思います。
 がんを知り、がんと向き合い、がんに負けないと、そういう社会を目指すというスローガンを実現できるように努力をしたいと思っております。
#252
○山本博司君 是非とも、がん撲滅に対しての取組を国を挙げて、大臣のリーダーシップの下にお願いを申し上げたいと思います。
 時間がなくなりまして災害医療に関してやれなくなりましたので、参考人の方々、大変申し訳ありませんけれども、次回に譲りたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#253
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前回、旧グッドウィル・グループ、現ラディアホールディングスのシーテックの内定辞退強要について質問をいたしました。その後、同じグループの株式会社シィーエスアイでも同じようなことをやっているという告発がありました。
 それによれば、シィーエスアイから内定を受けて昨年十月の内定式に出席したんだけれども、三月四日になって仙台市で説明を受けた、職種と給与が全く違うプレミア・スタッフへの転籍同意書が配付をされて三月十三日までに提出するように言われたと。内定者四十四名だというんですが、前回のシーテックと全く同じやり方です。
 大臣は、前回、内定取消しの公表を逃れるために一方的に労働条件を変えるとか、学生に対して一定のことを強要するようなことはあってはならないと、強力に指導する、学生の方から賠償要求をやればきちんと対応させると答弁されましたが、現場での対応がどうかというと、今回、内定者が宮城のハローワークに相談したらば、就職先があるから良いんじゃないかと言われたと。それから、納得がいかずに労働局に行ったらば、法律に触れていないんだと、過去の判例でもグループ会社への転籍は違法ではないというふうに言われたというんですね。もう相談するところがないんじゃないかというふうにこの方は言われています。
 シーテックやシィーエスアイのやり方というのは、内定は取り消さないと言いながらグループ内の別会社への移籍を求めて、当初の初任給からの大幅な減額、シーテックの場合六万円です。違う業務に変更するなど内定者が受け入れられないことを承知の上で同意を求めるやり方で、これは実際には内定者に辞退を強要しているということだと思うんです。
 厚生労働省に聞きますが、こうした事実が明らかになった場合は、これは内定取消しとみなしてやっぱり公表などの措置を当然とるべきではないでしょうか。
#254
○政府参考人(太田俊明君) 今お話のございましたような、内定者に対する本人の意思に反する一方的な労働条件の変更とか内定辞退の強要が行われていることは極めて問題でございます。したがいまして、本人の意思に反する一方的な労働条件の変更に同意するよう迫るような事例や内定辞退を迫るような事例を把握した場合には、これはハローワークが事実関係を確認しまして、必要に応じて内定取消し通知書を提出するよう指導するということにしているところでございます。したがいまして、こういうような形での企業に対する指導をしっかりやっていきたいということでございます。
#255
○小池晃君 大臣、こうした事実上の内定取消しで途方に暮れている若者が今たくさんいるんじゃないかと。しかし、これは厚労省発表の内定取消し千八百四十五人には含まれていないわけですね。全体像を把握できないというふうに厚労省言うんですが、徹底調査が必要だと思いますし、ハローワークや労働局の担当窓口が最後までやっぱり相手側の立場に立って相談に応じるべきだと思いますし、大臣もあきらめないで相談にということを広く社会にアピールすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#256
○国務大臣(舛添要一君) こういうことはあってはならないことなので、再び各ハローワーク、それから全国労働局に対して徹底的に指導するようにこれは厳命をいたします。その上で、そういう事実上の内定取消しとか、結局、この前の例だと、理科系で入ったのに文科系に回されると、こういうことがあるということは、これは許されることではありませんので、そういうことがあれば近くのハローワークなりどこなりに飛び込んでいただいて相談していただきたいと思います。
 そしてまた、ここのハローワークは全く親身に対応してくれませんということがあれば、直接我々の方に言っていただけば、それは徹底的に指導させて対応したいと思います。どうかあきらめずに訴えていただきたいと思います。
#257
○小池晃君 きちっとそういう立場で行政を貫いていただきたいことと、委員長に求めますが、やっぱり雇用問題でいろんな事態が今起こっております。是非この委員会で集中審議、あるいは日本経団連などの代表や労働側なども呼んで参考人質疑、是非やっていただきたい。
#258
○委員長(辻泰弘君) この件につきましては、後刻理事会で協議させていただきます。
#259
○小池晃君 要介護認定制度の問題について聞きます。
 四月一日から変更されました。先ほど森田議員からも問題点指摘されて、これは認定調査項目が減らされ、コンピューターソフトが変えられ、認定調査員などのテキストも変わって、これは二〇%が軽度に認定されるということもある。もしそうだとすれば、約百万人に影響する介護切りとも言える事態が、国会での論議もなしに行われた点でもこれは重大だと思うんです。これは予算委員会でも私、取り上げましたし、この委員会でも度々取り上げられている。
 今日問題にしたいのは、何でこういう変更を行うかということなんですが、大臣に改めて聞きますけれども、要介護度を低くしようという意図があるのか、あるいは軽度にして何らかの形で介護に掛かる費用を減らしたいという意図があるんじゃないか。いかがでしょうか。
#260
○国務大臣(舛添要一君) それは、何度も皆さん方、ほかの委員の方の御質問に対してもお答えしていますように、地域によるばらつきを是正する、それから介護技術の進歩その他を勘案して状況に合わせていくということで、結果的に軽くなる方がおられたり重くなられる方がおられたりしたので、軽くするためにやっているとかコストを削減するためにやっている、そうではないということは、これは哲学の変更ということまで申し上げて、申し上げたとおりでございます。
#261
○小池晃君 私、実は厚労省内部での検討資料というのを入手したんです。これは昨年省内で検討した資料で、今日お配りをしております。これ、資料の一枚めくっていただいて一ページ目には、要介護認定について要介護二、三が著しく増加しているというふうにして、その理由として、不適切な重度変更が行われていると。対策としては、不適切な重度変更を是正し、要介護認定者を適正な分布に戻すというふうに書かれています。
 さらに、少しめくっていって、四ページ、五ページでは、要支援二と要介護一の分布が当初予定していた割合のおおむね七対三にならず、おおむね五対五となっているというふうにして、その対策として要介護一、要支援二の判定を行うことのできるソフトを作成し、介護認定審査会委員の関与を減らし、地域差をなくすとともに当初想定していた割合に近づけるというふうにしているんです。
 また、今日配付した部分のほかにも、十六ページあるんですが、認定調査委員用のテキストを改訂して定義を明確化するとか、異食行動などの認定調査項目は削減するという記載がありまして、まさにそのとおりに見直しなっているんですね。
 大臣、やっぱり四月からのこの要介護認定制度の改変というのは、認定審査会の関与を減らして要介護度をできるだけ低くしようという意図でこれは行われたということは明白じゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
#262
○国務大臣(舛添要一君) まず、私はこの紙を初めて見るので、これがどういう性格の紙でどうであったか、それをちょっと、局長で分かれば、これは私も初めて見ますのでどういうものであるか分かりませんので、説明させます。
#263
○政府参考人(宮島俊彦君) 実は私もこれ初めて見ますので、今の段階では確認できておりません。そういうことでございます。
#264
○小池晃君 局長も替わられたことだし、それ以前の検討のものなのかもしれない。しかし、これ、私、かなり書かれていることはそのとおりにその後なっているなというふうに読んで思っているんですよ。
 実は、介護予防を導入した国会の審議の中でも、厚労省は、要支援二と要介護一の見込みは七対三程度になるというふうに答弁をしていたんですね。しかし、実際はそうなっていないんです。これは認定審査会で実態を踏まえた判定が行われてきたから実態としては五対五になっている。何とかこれ七対三にしようと。要するに、要支援二になればかなり介護給付抑制されるわけですから、そういう意図があっても不思議ではないと思うんですね。
 これ、ちょっと厚労省、これね、要支援二と要介護一の比率については、実際に七対三にしようという指導は実際現場でやっているんじゃないですか。
#265
○政府参考人(宮島俊彦君) 今の御指摘でございますが、十七年に開催された全国担当者会議で、第三期介護保険事業計画のサービス見込みの推計で、要介護一のうち七割から八割が予防給付、つまり要支援二の対象になると、そういうふうに仮置きして推計してくださいということを言っております。
 これは、最終的には市町村の結果を踏まえて人数を見直すことは可能ですというようなことを言っておりまして、これはあくまでも第三期介護保険事業計画で、まだこの予防給付導入前のときに市町村が介護保険計画を作るときにどういうふうに見込みをすればいいかというものを仮置きの数字としてその数字を担当課長会議で言及しているというものでございます。
#266
○小池晃君 いや、私が聞いたのは、実際七対三にせよという指導をしているんじゃないかと。実際に、これはもう公開されている資料ですが、東京の北区の介護保険運営協議会の議事録では、区の介護保険課長が、要支援二と要介護一について厚生労働省はこれを六対四、最終的には七対三にしろという指導があるというふうに述べているんです。それから、埼玉県久喜市の、これはインターネットに出ていますが、介護保険運営協議会の会議録でも、要介護一のうち七割を要支援二に落としなさいというのは厚労省の指示かという質問があって、そのとおりですというふうに市の担当者が答えている、それはインターネットに出ています。
 まさに、この文書のとおりのことが実際、水面下では自治体に対して指導されているということが出ているんですよ。こういう指導しているんじゃないですか。大臣、どうですか、こういう実態あるんですよ。
#267
○国務大臣(舛添要一君) いや、今の委員のこの御説明を聞いたのが初めてですから、それは私は分かりません。それは調べてみます、そういうことになっているのかどうなのか。今のところはそれ以上のお答えはできません。
#268
○小池晃君 これ是非調べていただきたい。
 問題は、何でこういう低く要介護度を抑えるような方向での制度変更が行われるのかということなんですね。そのねらいがこの資料の後ろから二枚目に、予算要求スケジュールの取扱いについてというところに出てまいります。何て書いてあるかというと、省として骨太方針に介護労働者の賃上げ問題を対外的にPRすることとした場合、それに対応した財源確保策が必要であり、さらに、年末の介護報酬改定に伴う改定率が決着し、プラス改定の場合には更なる財源確保策が必要だというふうに書いてあるんですね。
 その最後のページにその財源確保策なるものが列挙されております。その中に、認定の適正化というのがあるんですよ。非該当重度変更率の是正、一〇%非該当となる人を増やすということで八十四億円の給付費縮減効果。あるいは、介護給付の適正化、要介護認定の適正化などで二百億円から三百億円の縮減効果というふうにあります。そのほかにも、これ見ますと、自己負担二割にするとか、支給限度額を引き下げるとか、給付費の地域差を踏まえた国庫負担の見直しと。
 こういうことを検討していたのかと、本当、私もこれを見て驚き、あきれたわけなんですが、大臣ね、三%介護報酬を引き上げたって、こんなことをやったら何にもならないじゃないですか。こういうことが今回の認定制度の見直しのきっかけになっているということは、この資料を見れば私はこれは明々白々たる事実ではないかと。
 大臣は、悪意はないんだと、そういう意図じゃないんだと言うけれども、この議論というのはまさに、先ほど森田議員も、これから先、やっぱり抑制していくためのツールになるとおっしゃいましたけれども、まさにそういう議論としてこれは始まったんじゃないですか。大臣、いかがですか、これを見て。
#269
○国務大臣(舛添要一君) まず、この紙がどこから出てきて、どこでどういうふうに使われたか分かりませんから、これは調査してからでないと答えられません。私も知らないので。
 それからもう一つは、要するに、少なくとも例えば各党の部門会議とか部会に出すような資料であったり政府の中で説明するような資料として出ていれば私は分かりますから、そういう公式な資料として出てきたものじゃありませんので、まず大前提は、これがどこでどういうふうに使われて、どういう資料だったかを確定したいということが、まず申し上げたいというふうに思います。それがなければ前提とした議論はできません。
 しかし、問題は、要するに、それは要介護度が一から五までで、五の人が八割で、一、二、三、四入れて二割とか、こういうのは余りにひど過ぎますが、大体五段階に分けていってる。しかし、必要なところに必要な介護を与えるべきであって、そのパーセンテージがちょっと変わったからといってこれは重くするとかどうするって、要するに、この紙に基づいて議論するのも不愉快なのでやりたくないですが、二ページ目に不適切な重度変更がなされておりますと、原因と書いてあるけれども、これが本当かどうかだって検証しなけりゃいけないので、正しい重度変更なのか不適切なのか、そういうことも含めて、これはちゃんと省で検討します。
#270
○小池晃君 これは是非調査してください、これね。こういうことが、これ恐らく、そのほかのペーパーも今日は配っていない部分で言うと、与党の厚生労働部会なんという日程も書き込んであるものもありますから、そういったところに出されているのかいないのかということも含めてきちっと調査をしていただいてこの委員会に報告をしてほしい。
 で、こういう問題はずっと議論されてきていたんですよ、実は。昨年八月の厚労省の要介護認定調査検討会の席上でも、ある委員の方が、認定システム自体が給付抑制ツールとされるのではないかということが懸念されると、これはある自治体関係者がそう言っているんですね、意見書を出している、それを紹介されている。それに対して席上、厚労省の課長は、我々の意図としても全くそういうことはあり得ないというふうに答えているんですが、しかしこの経過を見ると、こういう書類なんかを見ると、実際はそうじゃなかったんじゃないかという疑いが極めて私は濃厚ではないかなというふうに思うんです。
 私はこの問題、これ、はっきりしていただきたい。それから、先ほど指摘もあったように、今回の認定制度の見直し自身がきちっとやっぱり検証されていないという問題あります。モデル事業でもう一回やり直さないと駄目だと。だから、やっぱりいったんこれは中止して、これは止めていただきたい。だって、止められると思うんですよ。だって、三月までに認定を申し込んだ人の分は、新しい制度じゃなくて古いソフトでしばらく続くんだから。古い認定ソフトまだ使っているんだから。しばらくはダブルトラックでいくわけですから新しいやり方はいったん止めて、これはもう一回、全体的に検証し直すべきだ、国会でやっぱりきちっとこの問題について議論すべきだと。いったん止めていただきたい。どうですか。
#271
○国務大臣(舛添要一君) 全員が今おっしゃったようにこの認定基準が適用されるわけじゃなくて、その段階に来た人、最大二年ですけれども、やっていくわけですから。とにかく、もう四月になりました。そうすると、もう動いています。市町村にも混乱を巻き起こしたくない。とにかく、やった結果を公開の場できちんと検証して、それで結論を出したいと、そういう方向でやりたいと思います。
#272
○小池晃君 いや、あのね、混乱するといっても、こんなまともに検証もしていないようなもので実際の要介護度が下がっちゃったという人が出たら大混乱しますよ、それこそ。だから、そういうふうになる前に、だって、後でもし間違っていたら検証すると言うけど、その人にとってみれば生き死ににかかわるんですよ、必要な介護を受けられるかどうかというのは。それこそ今回で言っている、要介護一か要支援二かといったら、これは施設に入れるか入れないかということになるわけですよ、ここで切られちゃったら。だから、そういう意味では、こういうものはやってみてなんということは許されないと、やめるべきだと、重ねて問います。
#273
○国務大臣(舛添要一君) そのために不服審査請求もできますし、それより前に区分の請求の審査ができますから、今おっしゃったように、とてもじゃないけれども自分の体はそういうことではないというのは、区分請求を出されればその日からこれは変えることができますので、そういうことに対して市町村の窓口がきちんと対応する、そういう不服に対して申出があればきめ細かくきちんとやると、こういうことで今の問題は救えると思いますから、これは強力に指導していきたいと思います。
#274
○小池晃君 いったん判定されてから不服審査しろ、区分変更を申請しろと、それは酷ですよ。だから、そういったことにならない前にいったんやめなさいと、今あるんだから止めなさいと、是非そういう方向でやっていただきたい。
 それから、ちょっと介護に関連することで一点聞きますが、これは四月一日から介護報酬を三%引き上げると、極めて不十分なんですけど、その要介護度別に利用限度額というのはそのままなんですよね。そうすると何が起こるかというと、今までのサービスを受けていた人が、金額は上限変わらないので、三%上がっちゃうと受けられなくなるんです。まあもちろん利用限度額いっぱいまでやっている人ってそんなに多いわけじゃない。しかし、在宅で重度の方、認知症の方など、上限いっぱいまで使っているような方はいるわけですね。こういった方は、介護報酬が上がった分だけ受けられるサービスは減ってしまうという、そういう事態があるわけです。
 だから、私、これはまあ部分的な問題でさっきの問題とはちょっと別ですが、少なくとも介護報酬引上げの分は利用限度額をやっぱりそれに合わせて引き上げると、今まで受けていたサービスが受けられないようなことがないようにすると。
 これやるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
#275
○国務大臣(舛添要一君) 今委員もおっしゃったように、大体平均すると限度額の四割、六割ぐらい、四割から六割を皆さんがお使いになっているので、まあもろにということではないと思います。
 それで、今の意見に賛成の方々も専門家の中におられて、また反対の方々もおられる。今回は、だからそれに合わせて上げるというのはどうかなということで据え置きということにしましたけれども、これも検討課題とさせていただきますが、これは賛否両論あって、なかなか一気に今委員がおっしゃった方向でかじ切れるかどうかというのは、ちょっと検討させていただきたいと思います。
#276
○小池晃君 余り反対する人はいないと思いますので是非検討していただきたいし、改めて要介護認定制度の変更を見切り発車しないでいただきたい。これは介護切りになっちゃいけません。これはいったんやめて検証し直すということを改めて求めて、私の質問を終わります。
#277
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、二つの労働事件から質問をいたします。
 トルコ航空における日本人客室乗務員問題についてお聞きをいたします。
 日本人客室乗務員を日本人搭乗率の高い路線から外すことについて、非常に問題ではないかと。これは派遣ですが、期間の途中で派遣切りに遭っているという、そういう事案です。いかがですか。
#278
○政府参考人(宮下徹君) 安全面に関して、まずお答えさせていただきます。
 日本に乗り入れる外国航空会社の安全確保につきましては、一義的に、その乗り入れてくる相手国の政府が国際民間航空機関の定める基準に基づきまして自国の航空会社を監督することになっております。
 また、この国際基準におきまして、緊急時の避難誘導等を含めて保安要員としての運航の安全を確保するための乗務員の体制を整えることが求められておりますが、就航先の国の、特に言葉の問題だと思いますが、日本人、日本語をしゃべるというようなことまでは要件として求められているわけではございません。
#279
○福島みずほ君 これは、労働条件ということと安全ということが二つ問題になっているので質問をいたします。
 九六年、ガルーダ・インドネシア航空離陸事故事件で、乗客三名死亡、乗客、乗務員百七十名重軽傷という、福岡で事件が起きました。それ以前にガルーダは日本人の派遣社員を切っていたんですね。結局、日本語で、日本人で避難誘導できる人が客室乗務員にいないということがこの惨事につながったというふうに思っております。
 トルコ航空の場合、九割日本人だと言われていて、結局、日本語で誘導できるきちっとした人がいないと万々が一のときに非常に危険だと。労働条件としても、これ厚生労働省に考えていただきたいんですが、こんな労働条件でいいのか。それと、今答弁が国土交通省からありましたが、外国の航空、でも派遣元は、これはTEIですが、これは日本の派遣会社なんですね。そこが派遣をしている。全くここは、アンタッチャブルというか、ここは全く外国の航空路線だからということで指導もできないというのはおかしいと思いますが、国土交通省、そして厚労省、いかがですか。
#280
○政府参考人(宮下徹君) ただいま申し上げましたとおり、外国航空会社の、日本に乗り入れている航空会社の安全性につきましては、一義的に民間航空機関の定める基準に従いまして、客室乗務員の訓練、教育訓練等もその基準にのっとってやられるということで、これによって安全を担保しているわけでございます。給与等の条件にかかわらず、こういった教育訓練に関する基準というのが適正に行われておりますかどうかにつきましても、外国当局が責任を持って判断して乗り入れを許可しているというところでございます。
#281
○政府参考人(太田俊明君) 海外派遣の場合、一般論でございますけれども、海外企業に派遣する場合には、これを国内の派遣会社は、あらかじめ海外派遣する旨を都道府県労働局に届出を出していただきます。その上で、実際に派遣するに当たりましては、労働者派遣契約に、海外派遣の場合に派遣先が講ずべき措置を定めることが必要でございます。そして、国内派遣の場合と同様に、労働者派遣法を遵守いただく必要がありまして、仮にこれらに違反していれば指導することになるわけでございます。厳正に指導を行ってまいりたいということでございます。
#282
○福島みずほ君 大臣、これ時給千二百円で、しかも派遣なんですね。安全の問題があるのに、今回切れると。日本人が一人も乗っていない、しかし日本人の乗客は非常に高い、こういうのは労働法上いかがなんでしょうか。
#283
○国務大臣(舛添要一君) 個々の企業云々ということはちょっと差し控えますが、一般的に、労働関連の法案に背反した場合には、これは厳正にその法律に基づいて我々は指導し必要な処分を加えるということだと思います。
#284
○福島みずほ君 安全上の観点からきちっと、もう一歩踏み込んで是非指導していただきたいし、国土交通省も考えていただきたいというふうに思います。
 次に、これも京品ホテルについてお聞きをいたします。
 これはリーマン・ブラザーズ系列のサンライズファイナンス、日本の子会社はサンライズファイナンスですが、そこが債権を一手に集めて京品ホテルの経営者だった人がそこに債権を売ってしまいました。それで全員解雇、廃業するということになりました。しかし、ホテルは非常に黒字であり、みんな、居酒屋も含め営業していたと。廃業ということで、全員首ということを通告になりました。これに関しては、みんなが自主営業をし続けたんですが、強制執行に遭って、今も交渉を続けているというそういう段階です。
 法律的には確かに難しいのですが、まじめに働いていて、自分の予期しないところで全員首というふうに、黒字であったとしても、こういう問題に関して、これから外資系の企業、あるいはハゲタカファンドと言うと言葉が悪いかもしれませんが、これから大いに起こり得るというふうに思いますが、この点についての厚労省の見解を教えてください。
#285
○委員長(辻泰弘君) どなたが答えられますか。
#286
○国務大臣(舛添要一君) これ係争中の案件ですから、コメントを差し控えますが、一般論で申し上げれば、三月二十三日に政労使合意をまとめて、企業の社会的責任というものをもう少しまじめに考えなさいと、そして特に緊急な状況のときは雇用をどう守るかと、これがまともな企業ですよということを申し上げておりますので、是非経営者たるもの雇用の維持に最大限の責任を持ってくれということを私は声高に申し上げたいし、我々は、それでももう大変だという方に、例えば雇用調整助成金、二月で百八十万超える申請がありましたから。
 しかし、そういうのを私たちはバックアップするけど、その前提として、あなたたちの社会的責任は何なのかと。それは外資や日本を問わず、やっぱり経営者たるものそういうことはしっかりしていただきたいと思います。
#287
○福島みずほ君 介護労働者の労働条件についてお聞きをいたします。
 去年の十月に、舛添大臣は、十月三十一日、ラフに言うと、恐らく現場で働いている方の月給が二万円ぐらい上がるかなというふうにおっしゃっているんですね。しかし、今回、介護報酬のアップですが、介護労働者の賃金は、実際二万円アップになるんでしょうか。
#288
○国務大臣(舛添要一君) それは個々の事業所によっても違うと思いますから、これはどういう形になるか、きちんとフォローアップをしたいと思います。まだ今、四月になったばかりですから。
#289
○福島みずほ君 介護労働者へ一律に労働者の賃金が改善されるとは限らないということを厚生労働省がおっしゃっているので、非常に危惧をしています。賃金は上がらない、しかも先ほどの要介護認定の見直しの件で各事業所は非常に困っています。社民党としても要介護認定の今回の見直しについては廃止をしてほしいという立場なんですが、もう一つ、せっかく介護報酬がアップをしても、かつて引下げが四・七%起きているので、現場の労働条件の向上にはつながらないというのがあります。ここは本格的な介護労働者の処遇改善に向けて、一般財源も含め検討すべきではないですか。
#290
○国務大臣(舛添要一君) 例えば、四・七という数字をそのままどこかのテレビ局も使っていましたけれども、下田さんとあの議論したのもホテルコストが入っているんで、やっぱり報道する人も正確にそういうことを言った上でやってほしいということをまず申し上げておきたいと思いますし。
 ただ、これはフォローアップしますけれども、小規模の事業所なんかで、とてもじゃないけれども賃金にまで反映できないところが出てくると思います。そういうことに対しては、これは先ほどの総理の三月三十一日の指示もありますから、私も申し上げて、南野先生の質問にもお答えしましたように、全体的な介護のインフラをレベルアップすると、質も量も、そういう方向で全力を挙げて更なる改善策を考えたいと思います。
#291
○福島みずほ君 介護労働者の賃金が本当に二万円アップできるような仕組みをつくってください。そのためにも私たちも全力を挙げます。
 次に、保育園についてお聞きをいたします。
 園と直接契約案というのを厚生労働省が一つ出して、社会保障審議会の部会が二月にまとめた一次報告で、入園先を市町村が決める現行制度を変えて、親が保育園と直接契約する仕組みも一応示されました。これは、親にとって大変だったり、あるいは市町村が退きますから直接事業主にとって大変負担が大きくなるという懸念もあります。この案については、事業所の人たちの意見をきちっと十分聞いたんでしょうか。
#292
○国務大臣(舛添要一君) これは特別部会でいろんな議論をしました。そして、先ほど、これも南野先生にお答えしたように、いや、国や地方自治体が基本的にきちんと責任を持ちますよと。ただ、保育所について言うと、公立もありますが、もちろん私立もあります。だけど、それはきちんと一定の水準を満たしておけば、そこで保育される子供たちの状況は変わらないわけですし、負担も変わりませんから、そういう意味での施策をきちんとやっていきますから、先ほど申し上げましたように、バウチャーとか直接的に云々というのも、それは議論はされたけれども、大きな方向は国や地方自治体がきちんと責任を持ってやる。そして私立について言っても、水準は絶対下げませんよと、これは担保したいと思っています。
#293
○福島みずほ君 やはり、市町村や行政の責任、やっぱりそれは担保があってということで、直接契約という案については、事業主が非常に負担になるという意見もありますので、是非採用しないようにお願いをいたします。
 この間、舛添大臣とは自民党の社会民主主義と社民党の社会民主主義で論争をしてきました。本当の意味で社会民主主義をやっていただくのは大変有り難いんですね。それは非常に喜んでいます。しかし、大臣、本当にそうなっているでしょうか。つまり、社会民主主義というのであれば、なぜ二千二百億円、社会保障費カットが止まらないんですか。
#294
○国務大臣(舛添要一君) まず私が申し上げたのは、私はずっとヨーロッパで勉強してきていて、ヨーロッパの社会民主主義というのを研究してきたし、まさにそういう人たちと一緒にいましたから。
 なぜそれができてきたか。それは、十九世紀以来のずっと歴史をたどり、市場経済原則のむき出しの資本主義のままではこれは駄目であると。かといって、共産主義的な、マルクス主義的な形での階級闘争論だけでやっても駄目であると。したがって、これは政治がきちんと介入して、そして共に、お互いに社会的連帯でもっていい社会をつくっていこうということが理想ですから、私は、ここにおられる方全員含めて、今の二十一世紀の、例えばG8に参加している国なんか、これ、労働省がない国はありません。先ほど、渡辺副大臣帰ってこられましたけど、G8の労働大臣会議ありました。まさに、労働省がある国というのは社会民主主義をやっているんで、どの政党が担おうと、例えばそういうことをやらないのが自民党だったら、これはもう一気に政権から離れると思いますし、今度、民主党が政権、仮にお取りになっても、それはちゃんとお続けになると思いますし、共産党という名前でありますけれども、小池さんのところがおやりになっても同じ方向だと。もちろん、福島さんのところも同じだと確信しております。
#295
○福島みずほ君 社民党は、スウェーデン社民党やノルウェー労働党、社民党、イギリス労働党、スペイン社会労働党、フランス社会党、ドイツ社民党、様々な社会民主主義政党といろいろ連携取ったり集まったりしているんですね。
 大臣がおっしゃるとおり日本の政治が行われていれば文句はありません。しかし、そうなってないから問題ではないですか。二千二百億円、社会保障費カット、なぜこれやまないんですか。
#296
○国務大臣(舛添要一君) 私一人がすべて決めているわけではありませんということをまず申し上げるとともに、例えばスウェーデンをおっしゃいましたけれども、二五%という消費税の負担を国民が納得してやっておられる、そちらの点もこれは申し上げないといけないし、そうすると、我が国は五%ですね。だから、先ほど森田さんは余り給付と負担のことを言うなとおっしゃったけれども、負担ということで国際比較をした場合には、やはりEUというのは、これは一五%以上VATというか、TVAというかフランス語では、その付加価値税がないとメンバーとして入れません。そういう負担があって、先ほど申し上げたように、きちんと政治の力で弱い者を助けていくと、市場経済原則で落ちこぼれた人にセーフティーネットを張り巡らすと、強者の論理じゃありませんよということをやっていくので、私はやっぱりそっち側の負担の議論も必要だと思います。
 ですから、二千二百億円について、これは中期プログラムという中で、安定的な財源安定的な財源といって、私は今日も何度も消費税の議論をやろうと。こんなことを言うと我が党の仲間から、おまえ、選挙を前にしてそんなことを言うのはけしからぬという声が聞こえてきそうですけど、ただやっぱり消費税議論もしっかりやらないといけないんで、そういう意味で長期的な観点の中から二千二百億円というものをどうするかという議論をしたいと思いますので、私は、これは限界に達しているんで、とにかく少しでもいい方向に微力ながら努力はしていきます。
#297
○福島みずほ君 ヨーロッパは、消費税が高いですが、食料費や生活などは消費税掛けないのあります。また、政治の透明度、スウェーデンは政党間で企業献金はもうなしにしていますし、フランスも企業献金なくしていますよね。要するに、政治の透明度がそれは違う。
 大臣、もう大規模公共事業じゃなく、一九七〇年代ヨーロッパがやったように医療や福祉や介護に振り向けるべきじゃないですか、税金を。
#298
○国務大臣(舛添要一君) それも大変いい考えだと思いますけれども、私がおったドイツについて言うと、ヒットラーがアウトバーンを造った後ですから、これはもう行ってみると片側四車線、五車線で、ケルンの近くなんかそうですけど、そんなのが二、三本走っていて全部ただですから。高速道路を千円にして大変喜ばれて、ただということをおっしゃっている政党もございまして、そういうのが戦後からあるところでやるのと、この前、国土交通省が何か十八か所道路中断すると言った途端に、その現場の人は、高知も含めてそうですけど、とてもじゃないけれども、うちは道がないということがあるんで、そういうインフラストラクチャーの整備の状況も含めてきめの細かい議論をしないといけないと思いますが、社会保障制度にお金を使うことについては、私は福島委員と同じ思いでございます。
#299
○福島みずほ君 公立保育園や公立病院がどんどん減っています、御存じのとおり。国立は一三%減、県立は一二%減、新たな公立病院改革ガイドラインで、これから市町村立が倒れるというふうに言われています。
 今日も様々な同僚委員からも質問がありましたけれども、結局壊すというか、自治体病院がこけるという状況までつくって、あっ、こけたという形じゃないですか。これ、健全化法をもうやめないと駄目だし、公立病院改革ガイドラインやめない限り、これからつぶれていきますよ。公立保育園だって、御存じ、私立と公立は数が逆転しましたし、数ももう逆転をしています。公立はもう一一〇%、もう満杯状態ですし、要するにこの十年、二十年、公立保育園や公立病院からの撤退が物すごく進んでいるわけですね。社会民主主義とおっしゃるんであれば、もう付け焼き刃で七百億公立病院に特別交付税付けていただいたことは有り難いですが、根本的に直していただかない限り安心はできない。
 予算をばらまくのではなくて、年金や病院や介護の長期的な安定のために厚労省は頑張るべきだ。いかがですか。麻生総理と戦ってくださいよ。
#300
○国務大臣(舛添要一君) 私は先ほど、哲学の変換というか転換ということを申し上げました。要するに、民にできるものは民にと言ってきた。私が今申し上げたいのは、民にできないから官がやるんだということであって、今まで、高度経済成長のときは大企業、特に企業がセーフティーネットを張り巡らせて、住居、社宅がありました。病院、私は八幡ですから、八幡製鉄病院というのは今もありますよ。スーパーマーケットも八幡製鉄がやっている。こういうのがあった。それが全部グローバル化の中でなくなっていって、フリンジベネフィットがなくなってきた。じゃ、だれがセーフティーネットを張り巡らすんですかと。事これに関する限りは中央、地方の政府がやらざるを得ない。ですから、まさにセーフティーネットを張り巡らす役割を民ができなくなったからこそ政府がやらないといけない。したがって、そこに政治が意味を持つ意義があるので、我々が国会議員として頑張っている意義がそこにあると思いますので、共に努力をしてそういういい社会をつくりたいと思います。
#301
○福島みずほ君 そういうことでは一致するんですが、現実の施策、介護報酬の見直しや公立病院、公立保育園、具体的な施策では全然合っていないんですよ。
 是非、真の意味の社会民主主義実現に向けてよろしくお願いしたい。
 また社会民主主義論争をやりたいと思いますし、年金や医療制度をどうしたいかということについてもまたお聞き願いたいと思います。
 終わります。
#302
○委員長(辻泰弘君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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