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2009/06/09 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 文教科学委員会 第13号
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2009/06/09 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 文教科学委員会 第13号

#1
第171回国会 文教科学委員会 第13号
平成二十一年六月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     金子 恵美君     西岡 武夫君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     青木  愛君     広中和歌子君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     広中和歌子君     青木  愛君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     西田 昌司君     岸  宏一君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     西田 昌司君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     佐藤 信秋君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 雅治君
    理 事
                佐藤 泰介君
                鈴木  寛君
                関口 昌一君
                水落 敏栄君
    委 員
                青木  愛君
                大石 尚子君
                神本美恵子君
                亀井 郁夫君
                友近 聡朗君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                藤谷 光信君
                横峯 良郎君
                佐藤 信秋君
                西田 昌司君
                山内 俊夫君
                義家 弘介君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
       発議者      鈴木  寛君
   委員以外の議員
       発議者      植松恵美子君
   国務大臣
       文部科学大臣   塩谷  立君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡井 敏雄君
   政府参考人
       文部科学省生涯
       学習政策局長   清水  潔君
       文部科学省初等
       中等教育局長   金森 越哉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校教育の環境の整備の推進による教育の振興
 に関する法律案(鈴木寛君外六名発議)
○教育職員の資質及び能力の向上のための教育職
 員免許の改革に関する法律案(鈴木寛君外六名
 発議)
○学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸
 学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法
 及び簡素で効率的な政府を実現するための行政
 改革の推進に関する法律の一部を改正する法律
 案(鈴木寛君外六名発議)
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(中川雅治君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十一日、金子恵美君が委員を辞任され、その補欠として西岡武夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中川雅治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案及び学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法及び簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省生涯学習政策局長清水潔君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中川雅治君) 学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案及び学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法及び簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介です。今日は四十分ほど時間をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、与党の皆さんにも委員長にもお礼を申し上げたいと思います。民主党の議員立法、民主党提出議員立法について、前国会、前々国会ぐらいから民主党は様々な議員立法を出しておりますが、なかなかこの委員会で質疑をさせていただけませんでした。それが今回は高校無償化法案と今の三法案併せて審議いただける状況をおつくりいただいたことに、心より感謝を申し上げる次第であります。
 本題に入る前に、昨日の夕刊でしたか、全盲の辻井さんが優勝するといううれしい報道が飛び込んできたわけでございますが、私は、教育というのは、いろんな形、いろんな人がそういう成果を上げていく、人生を左右するような、そんなことにもかかわるのが教育ではなかろうかと。人間にとって非常に重要なそれぞれの時期に自分を形成していく、あるいは他人とかかわっていく、そういう人生上において非常に重要なことだろうと、改めて辻井さんの優勝を聞いて思った次第でございます。
 私は、基礎学力と人間がどうしても、私も教員もやっておりましたが、身に付けてほしいのが、感性とか感動だとかそういう部分を何とか子供たちに身に付かせてやりたいと、そんな思いで教員生活をやってまいりました。ちょうどこの辻井さんのお母さんが本人に、リンゴは赤いよ、バナナは黄色だよと。そうしたら、この優勝した辻井さんが、今日の風は何の色と言って聞いたそうです。こういうすばらしい、目が障害あるとはいえ、そういうすばらしい感性を持った子供たち。よく事例にも出されますが、雪が解けたら何になると。大体南の方の子は水ですね。北の方でも水ですが、春になると。雪が解けたら春になる。そういう感性が私は非常に大事にしていきたいというふうに思っております。
 自分自身のことでいえば、まだ私が子供のころは防空ごうというのが残っていましたので、餓鬼大将が、今日はろうそくを持ってこいと、そしてろうそくに火を付けて中へ入るんだと、ろうそくが消えたら逃げよと。何の意味だか分かりませんでしたね。しかし、ある時期、教科書に炭鉱夫がカナリアを持っていく絵が、写真が載っておりました。そして、カナリアというのが一番酸素がないと死ぬということをそこで知らされました。そのときに自分の経験を思い出しました。ああ、なるほど、あの餓鬼大将が命令したのはこのことかと。本人は分かっておったかどうか分かりませんが。そういう感性というものがこのごろ学校教育の中から省かれてしまって、省かれたというよりは、残念ながらそういうところに重きが置かれなくて、点数、点数、点数で追いまくられておる状況について、私は無味乾燥な人生を送る子供たちをつくっていくことを憂えています。何とかそれ相応のその時期の感性を養いたいなと。
 そんなことで、辻井さんのお母さんの言った、リンゴは赤い、バナナは黄色、じゃ、この優勝した辻井さんが、今日の風は何色と。すばらしい私は感性が辻井さんをここまで能力を発揮し、世界に認められるようなピアニストになったんではなかろうかと、このように思っておるわけでございますけれども。
 日本の今日の発展においても、教育というものがこの日本の発展に、それぞれの時代において大きく発展に寄与してきたことは事実であろうと思いますが、まず大臣にお伺いしたいのは、感性のある教育、感性を養うことの教育、さらには日本の国がここまで発展してきた教育の力、教育力というものに対する評価、そしてまた、その中で果たしてきた教員の役割について、教員の果たした役割についても、評価というよりも思いを聞かせていただければというふうに思います。
#7
○国務大臣(塩谷立君) 我が国の教育につきましては、今、佐藤委員がおっしゃったように、トータル的には我が国の発展に大変な寄与をしてきたととらえておるわけでございまして、特に国民の高い志、あるいは関係者の熱意、努力によって国際的な中でも高い知的水準を築き、そしてそれが社会の発展、国の発展に寄与してきたと思っております。
 その中でも、特に初等中等教育においては諸外国からも非常に評価もされているということで、これが成果が出ていると思っておりますし、そういう中での教員の評価というもの、これは、教育は教員に懸かっていると言っても過言ではないと思っております。もちろん、子供たちのその人間形成あるいは様々な能力を発揮するためには、学校だけではなく家庭あるいは社会の環境も大きく影響をしていると思っておりますが、教育の成否は教員に懸かっていると言っても過言ではないわけでございまして、そういう意味で教員の役割も大変大きかったわけでございます。
 そういう中で、当然ながら、今それでは教育が果たしてそのような評価を得ているかといいますと、様々な課題があることも事実でありますので、今後、国際的にも知的基盤社会を迎え、そしてやはり諸外国から尊敬されるような我が国をしっかりとつくっていくためにも人材育成というのは非常に大きな課題でありますので、そういう点で、今後とも我々としては、資源のないこの日本の将来に向かって教育の重要性をしっかりと訴えていく、特にこれだけ厳しい経済、あるいは将来様々な課題があるだけに、教育がいかに大事かということは今こそしっかりと私ども訴えていかなきゃならぬと思っております。
#8
○佐藤泰介君 ありがとうございます。
 私は、それぞれの段階で、とりわけ小中学校では日本の教育はいっとき高い評価を得たことは事実でありますが、最近ややもするとその評価が低くなってきているというように思いますし、逆に言えば、勤務外に行われる仕事、昭和四十一年でしたかね、調査したとき、文科省が調査されて八時間、最近の調査では三十四時間ですか、そのような長い時間、残業といいますか仕事に当たっている。教員が果たしてきた役割も大きなものがあると言われましたが、私はそういう過酷な現場で精いっぱい今教員が頑張っていると、このように思います。
 そういう中で、これからの課題の多くの中で、そういった教員の、よりやりがいのある職場に、あるいは教育行政推進に変えていくためには、教員がやりがいのある職場であり仕事でなければならぬと、このように思っております。
 そういう中で、そういう立場に立って、民主党のこの三つの、私はこれは教育力向上三法案と、このように呼んでいるわけでございますけれども、今この時期にこういった法案を出された意義について、議員立法発議者にお伺いをしたいと思います。
#9
○委員以外の議員(植松恵美子君) 民主党は、すべての子供の学習権の保障を教育政策の根本に据え、すべての子供にとって適切かつ最善な教育の機会と環境が十二分に保障され、教育格差がなくなるよう全力を尽くすことを約束してまいりました。
 しかしながら、現下の厳しい経済情勢の中で、本来は公教育が教育費の経済的な負担をしなければならないにもかかわらず、今家計が大変圧迫されるような状況の中で家計が肩代わりをしているような状況でございます。子供の学習機会の格差をますますこれからも拡大されるおそれが強まっている状況の中でございます。しかし、現在の格差を生み出してきた公的資源投入の縮減方針が見直される気配はなく、政府より示される教育政策は精神論が先行していて、それを実現するための人材、予算の確保が不十分であると言わざるを得ません。
 苦しいときこそ将来を見据えて教育に投資をするという本来の意味での米百俵政策を今こそ実現するべきであり、ここに学校教育力の向上三法案を提出するものであります。
#10
○佐藤泰介君 何かやり合って政府に物を申していると思われるといけませんので。
 本当に、教育に最近やや金が掛けられないという状況が、日本全体にも財政難というようなことがあるわけでございますけれども、私が最初に申し上げた、感性やらそういうことを養っていくには、どんどんどんどん教育費を削っていくということは文科省も望んでいないでしょうけれども、苦しいときほど、教育の先行投資という言葉が合うのかどうかは別にして、教育に予算を付けていくということは非常に大事ではないのかと私は思います。
 そうした中、教育基本法が改正をされました。これについては我々も民主党案を出して議論をさせていただきましたが、最終的には立法府の意思として政府案が成立をしたと。しかし、その中で私が唯一、政府案の中で評価できると思ったのは教育振興計画でございます。しかし、すったもんだしましたけれども、最終的にこの教育振興基本計画の中に、むしろ削られることが予想されるようなことは書いてありますが、それに基づいたアクションプランを読んでみると、削られるというような方向は書いてあるけれども、教育を更に上積みしていくんだということは、教育振興計画を教育基本法でうたいながら、それに基づく教育アクションプラン、平成二十年から平成二十四年度ですから五年間のアクションプランが出て、二〇〇八と二〇〇九ですか、読みましたけれども、これで本当に基本計画に沿ってすばらしい教育が行われていくなと、予算が付いてくるなとはほとんど思えない。
 そして、文科省内においても、この教育基本計画について、当初は数値なしのを見せていただきました、説明を受けました。次に、渡海大臣が、どうしても数値を入れよということで数値の入ったのを見せていただきました、説明を受けました。最終的に出てきたものは、何ら数値のない、言葉だけの重要性が書いてある教育振興基本計画でございました。
 なぜ、いろんなことがあったんだとは思いますけれども、その数値目標について文科省としてはどんなふうに考えてみえるのか、入れたいんだけれども内閣が入れさせてくれぬということなのか。ちょっとこれ聞きにくいところではあるとは思いますけれども、振興計画に数値目標がないというのは全く絵にかいたもちですとしか私には言えないわけでございますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#11
○国務大臣(塩谷立君) 昨年決定された教育振興基本計画については、当時、私は衆議院の方の文教委員会の筆頭理事で、数値を入れるべきだという決議をしたわけでございますが、文科省としても当然入れるということで、やはり公財政支出、OECD比較も一番最下位の状況でございますから、今後のいろんな振興計画を実行していくためには、当然ながらこれからの財政的な拡大をしていかなきゃならぬということで、ただ、内閣全体で考えますと、財源の問題もあり、そして具体的な数値を明記することが今後将来にわたってそれがいろんなことへの縛りになるということを是非避けたいということでありまして、残念ながら数値は明記できなかったんですが、計画を実行するためにはこれからまた国会の支援を得てしっかりと実行に向けて努力をしていきたいと考えております。
#12
○佐藤泰介君 じゃこの点、民主党の参法提出者はどのようにお考えでしょうか。
#13
○委員以外の議員(植松恵美子君) 教育振興基本計画は、今後十年間を通じて教育の目指すべき姿や、それを実現するために今後五年間で国が取り組むべき教育施策などを示しています。例えば、今後十年間で世界トップの学力水準にすることを目指すなど、数十項目にわたる教育施策が打ち出されています。
 基本計画の策定に当たっては、昨年の五月三十日に衆議院文部科学委員会で、教育振興基本計画においては、「教育投資について、欧米の教育先進国の公財政支出の平均的水準を目指した数値目標を設定し、その充実を図ること。」などを明記した決議が採択されるなど、与野党を超えて充実した議論が行われてきました。民主党としましても、かねてより日本の教育機関に対する公財政支出の割合を三・四%からOECD平均の五%まで引き上げることを主張してまいりました。しかし、政府・与党が策定した教育振興基本計画には、人的、予算的な数値目標は盛り込まれず、実効性に乏しいものになってしまったと言わざるを得ません。
 だからこそ、今回の学校教育環境整備法案の第八条にも盛り込まれておりますけれども、立法府の意思として学校教育に関連する予算の確保、充実の目標を教育振興基本計画にしっかりと明記すべきだということを改めて打ち出すべきだと考えております。
#14
○佐藤泰介君 これを与党の皆さんに言うと、その財源はという話になるんだろうと思いますが、そこまで深く入り込むと四十分では終わりませんので、今各省の予算の項目の作業仕分をやって、無駄がないかというのを民主党としては検証しているところですので、やはり私もOECDの平均ぐらいまでは、五%ぐらいまでは何とか文科省も、財務省との折衝があるんだろうと思いますが、御努力をいただきたいというふうに思います。
 それでは、次に移りますけれども、教育は人だと、そして人材というのが非常に重要だということを、人材養成が必要だということを先ほど大臣も話をされたわけでございますが、残念ながら、ここ一、二年、教員の給与面での待遇が大変悪くなりつつあります。とりわけ、教育基本法が改正され、〇八、〇九のアクションプランを見ますと、めり張りのある体系ということで、あるいは一般公務員との二・七六%の差を埋める、そのために教員の給与を抑制していくということが至極当然なことのように言われているわけでございますが、じゃ、なぜ二・七六上回っているのかということを考えれば、教員が誇りを持って、自負を持って、使命感を持って仕事ができるようにという方針の下での現在二・七六%教員の給与が上になってきていると。何でここでまたその差をゼロにしなきゃならないのか。
 具体的に、今日まで縮減された内容について、初中局長、お尋ねをします。
#15
○政府参考人(金森越哉君) 人材確保法による教員給与の優遇分、教員給与月額が一般行政職給与月額を上回る部分、二・七六%の縮減がこれまでどのように行われてきたかということでございますが、これにつきましては、平成十八年七月に閣議決定をされました基本方針二〇〇六に基づきまして、平成二十三年度までの歳出改革期間中に行うこととされております。
 平成二十年度の義務教育費国庫負担金予算では、このうち義務教育等教員特別手当の縮減に着手をいたしまして、二十一年度予算にその平年度化分を計上したところでございます。また、二十一年度予算におきましては、義務教育等教員特別手当の更なる縮減を行うことといたしております。
 なお、二・七六%の縮減の残りの部分につきましては、今後、教職調整額の見直しなどと併せて検討していくことといたしているところでございます。
#16
○佐藤泰介君 教員特別手当は、先ほど私が申し上げたように、あの田中角栄内閣時代に作られた人材確保法によって手当てをされたものでございますが、これについては、年度でいえば昨年度、普通にいえば今年の一、二、三で何%か削られ、今年度予算、来年の一月から三月でまた削られ、ちょうど三年か四年でこれがゼロになりますね、今の方向性でいけば。二十年から二十四年のアクションプランでそれを順番にその数を引いていくと教員特別手当はゼロになる。そして、今、給与の調整額も削られつつある。これもその間にゼロになる。そして、教職調整額については検討中である、中教審に検討をゆだねていると。
 教員特別手当と給与の調整額をまず取っ払う。取っ払うと、二・七六の差があったものが何%になるんでしょうか。
#17
○政府参考人(金森越哉君) 義務教育等教員特別手当の縮減につきましては、二十年度予算におきましては、御指摘ございましたように、二十一年一月から本給の三・八%から三%に縮減をいたしまして、二十一年度予算では更に本給の三%から二・二%に縮減をしたところでございますが、二・七六%の縮減の残りの部分につきましては今後検討していくことといたしているところでございますので、それが順次どうなっていくかということは今後毎年度の予算編成において決まっていくものというふうに考えているところでございます。
#18
○佐藤泰介君 給料の調整額。
#19
○政府参考人(金森越哉君) 給料の調整額につきましては、二十一年度予算におきまして、支給額を本給の、これも二十二年一月からでございますが、支給額を本給の六%程度から四・五%程度に引き下げることといたしております。
 二十二年度以降につきましては、この二十一年度に引き下げましたものの平年度化分は生じてまいりますけれども、更なる縮減というような取扱いにつきましては、二十二年度以降の給料の調整額の取扱いにつきましては今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
#20
○佐藤泰介君 そんな、ちょっといいかげんな答弁しちゃいかぬですよ。もう削るんでしょう、これ。二・七六%取るんでしょう。来年になったらまた状況を見るんですか。上がる場合もあるんですか。アクションプランをずっと見ていくと、ちょうど二十四年でゼロになるじゃないですか。今年引いた分を当てはめていけば、給料の調整額が。また、教員特別手当も二十年度から〇・八をずっと引いていけば二十四年でゼロになるじゃないですか。状況を見て考えるというのは余りにも、まあ金森局長官僚ですから、官僚答弁そのものじゃないですか。そんなものは、これ二年見れば分かるでしょう、同じ数字引かれてきておるんですから。その給料の調整額、教員特別手当が全部なくなったら二・七六%が何とか縮まるんでしょう。それで一律支給しなきゃいけない教職調整額をどうしようかと。これまで取っちゃったらもう全然取り過ぎになっちゃうと。したがって中教審に審議をゆだねておるんでしょう、そこだけは。
 そういう見え見えの答弁しちゃいかぬですよ。そこにはなぜ教員の二・七六を取らなきゃいけないかという理由がはっきりないじゃないですか。教員の、何といいますか、使命感、あるいはそういうことに対して、三十四時間も残業で働いて子供たちのために頑張っている、そういうことで教職四%も付いた。しかしそれもめり張りの中で差を付けるなり、取ろうとしている。しかし今の法律ではそれは書いていない。したがって中教審にゆだねて、その結果を待っておるんでしょう。
 それから、私が申し上げた給料の調整額、これもちゃんと二十四年で計算が合うんですよ。ゼロになる。教員特別手当、人確法もこれゼロになるんですよ、ちょうど。そんなことをやっていたら現場の教員のやる気はなくなりますよ。いい人材は集まりませんよ。
 今、私は、今日質問に立つに当たって、名古屋ですから、名古屋の私の同級生の校長たちは退職していますが、彼らがよく漏らしていたことに、新採用者の質が悪うなった、定数も上げてもらうのもいいけれども、もっといい人材を教育界に送ってほしいと。
 それで東京はどうかなと。先日、東京の小中学校、名前は落合小学校と落合中学、校長先生に会ってきましたよ。現場として何が今一番求められますかと。私は定数だとかいろんなことを考えておりました。即座に小学校の校長先生も中学校の校長先生も、質の高い教員の配置をお願いしますということなんですよ。
 これだけ教員の待遇を悪くして、一般の公務員と同じにして、教員だけは教員免許更新制を入れる。例えば、個々待遇だから入れるというならある程度の理解もできる。じゃ、一般公務員並みにして、一般公務員にも公務員の更新制を入れますか。大変なこれは私矛盾だと。ますます私が最初に申し上げた感性のある子なんかは育ってきませんよ。
 本当にこれからの教育を考えるなら、優秀な人材を集めようとするならば、給料は下げられる、十年たったら更新制があって首になるかもしれぬ、そんなところへ優秀な人材が応募してきますか。私は物すごいそれが不安です。物すごい給与が高ければいい。それはやっぱりいかぬでしょう。二・七六の差のために、この人が教員として間に合うかどうか。二〇%も三〇%も上だったら更新制しようがないとも思いますよ。
 もう大臣や金森初中局長に聞いても余りはっきりしたお答えは返ってこないと思いますので、この点、民主党案提出のこれからのそういった教員の待遇や教育の在り方全般にわたって、民主党の考え方を鈴木発議者に、提案者にお尋ねをして、終わりたいと私は思います。
 以上です。
#21
○鈴木寛君 委員御指摘のとおり、まさに今、私も東京でございますけれども、東京あるいは埼玉、こうした教育委員会が、地元では優秀な人材が十分に確保できないために例えば東北の方に採用のためのミッションを出すとか、こういう状況になっております。例えば埼玉県は、おととしの採用内定者、上位から民間企業に内定を返上して移ってしまったと。こういった大変に都市圏においては極めて深刻な状況にあると。この危機感を是非すべての委員の方々にも共有をしていただきたいと思います。
 まさに冒頭、辻井さんのお話を委員されましたけれども、実は辻井さんの指導をされました横山教授は私の友人でもありまして、あるいはそれを支えてこられた三枝成彰先生も私の友人なわけでありますが、教員というのは決して給料のためにその職を志し、またそれを従事し続けているということではない人がほとんどであると思っております。私も十数年教壇に立たせていただいておりますが、恐らく横山教授は自分がグランプリを取ること以上に大変な喜びをかみしめておられるというふうに思います。
 そういう、まさに私は教師というのはすばらしい本来やりがいのある仕事だというふうに思っておりまして、そのことを社会全体がやはり守り立てていくということが必要だと思いますが、しかしそれにしても、この間の教員に対する、例えば生徒と向き合う時間がどんどん減っていく実態あるいは社会全体の教員バッシング、そういう中で教員のやる気というものがそがれ、そしてそういう先輩を見ている若手の学生たちがこの道を進むことにちゅうちょをしているという実態はやはりきちっと立て直していかなければいけないと、こういうふうに思っております。
 私は、実はNPOで、教員を目指す学生八十人ぐらい毎年抱えながら都内あるいは神奈川県の学校にボランティアを送り続けておりますが、実は教員になりたい、あるいは教員を志望したいという学生はいっぱいおります。しかし、大学三年生あるいは大学四年生になりますと、結局そういう志をいろんな意味で断念をして、そして残念ながら教師の道を進まずに行っているという、そういう大変残念な状況も見ておりますので、そういったことをやっぱり一つ一つ検証して、こういった教員を目指す人たちがその道を安心して、そして思う存分、そしてそういう人たちを社会全体で支え応援をしていくと、こういうことが必要でございまして、その制度面あるいは予算面のことを今回の学校教育関連三法案に盛り込ませていただいたところでございます。
#22
○佐藤泰介君 ありがとうございました。
#23
○水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄であります。
 民主党提出の三法案についてこれから順次質問いたしますけれども、その前に私は与党の立場として、私の率直な意見を申し上げたいと思っております。
 私は、我が国の未来を担う子供たちに良好な教育環境を提供して、我が国の将来をゆだねる人材に育っていただきたい、そうした思いは与党も野党もない、私たちの共通した願いだと思っております。そのためには、しっかりとした予算の裏付けの下で着実に政策を実施していくことが求められると思っています。
 私たち与党は、政策を実施する場合、党の部会とか各種機関や会議に諮って具体的にすべてクリアしたものだけを法律案として国会に提出します。各種機関等の中では法律案の問題点とか財源等について徹底した議論が行われて、それに堪えられないものは日の目を見ることはないわけであります。責任を持って国会に法律案を提出して、その政策を実施することができるかどうかが政策担当能力があるかどうかの指標の一つであると思っています。
 先般の高校無償化法案は、恒常的に毎年四千五百億円の予算が必要であるにもかかわらず、その財源について納得できる説明がございませんでした。発議者は四月二十三日の当委員会において、一般財源化された道路特定財源二兆六千億の中から財源を捻出すると答弁されておりましたけれども、そのためには具体的にどの政策を縮小して教育に回すのか明らかにされておりませんでした。今回の三法案については直接予算を必要としませんけれども、仮に成立すれば、その政策を実施するためにやはり予算が必要となるわけであります。その場合、財源をどのように確保しようと考えられているのか、少し心配であります。
 現在、財政再建のさなかにあって、厳しい財政状況の下で各行政分野において骨身を削るような行財政改革が行われておりますけれども、このような状況の中で学校環境を整備します、あるいは人材確保法や行政改革推進法を改正して国立大学法人等の人件費総額と公立学校教職員総数等の削減規定を削除します、また先般審議した高校授業料を無償化しますなどという法案は、確かに聞こえはいいんですけれども、具体的な施策と財源の裏付けがなければ、どんな政策でも絵にかいたもちになると思うのであります。私は今回の三法案に対して率直にこのような感想を抱いた次第であります。
 それでは、個々の法案について順次お聞きをしてまいります。
 まず、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案であります。
 この法案を読ませていただきましたところ、第六条の学校教育環境整備指針というところがちょっと気になりました。この学校教育環境整備指針については、第二項で学級編制や教職員数の目標水準について定めるものとすると規定されておりますけれども、発議者としては具体的にはどのような程度の水準を想定しているんでしょうか。また、その定められた水準を達成するためにはどの程度の予算が必要となるのか、もし見積もっているのであれば具体的に額を示していただきたいと思います。
#24
○鈴木寛君 まず、すべての委員の皆さんと、学校環境を整備しなきゃいけないと、この認識を共有していただいているということは大変有り難いことだと思っております。
 それで、私は二〇〇一年に参議院に当選をしたわけでありますが、例えば二〇〇〇年から今日に至る決算ベースで申し上げても、国費ベースで二兆円の教育費が削減されているわけですね。もちろん、この中には三位一体の改革が入っております。じゃ、地方でどれだけリカバーされているのかというと、五千億でございます。つまり、差引きで一兆五千億円の教育予算が削られてきたと、こういう事実はこのまさに委員会で共有を改めてしていただく必要があると思いますし、そういう意識を共有していただいているものですから、昨年は、大臣が理事のときに衆議院の文教科学委員会でも教育費をきちっと確保していくんだということを与野党を挙げて決議をされたと思いますし、教育振興基本計画の中でもそういう議論が、これは与野党を挙げてやってきて、そしてそこは今もちろん道半ばではありますけれども、そういうことだと思うんです。
 じゃ、これをどうやって盛り返していくかといったときに、その具体的な盛り返すための国民的な理解、合意を得るための方法として、私どもは今回の学校教育力三法案を提出をさせていただいているわけであります。
 その中で、これはそもそも今の、例えば標準法にしても、あるいは教員免許の在り方にしても、例えば教員免許法というのは昭和二十四年にできた法律でありますし、標準法は昭和三十三年、幼稚園の設置基準は昭和三十一年でございます。要するに、基本的にはそのときの枠組みの延長線で来ているものですから、どんどんどんどんこれ押し込まれてきているわけでありまして、やっぱり二十一世紀の今日の現状に踏まえて、そして諸外国の情勢も見て、今の教育の置かれた現状、そして二十一世紀の教育を見据えたときに、やっぱりこういうことがあるべき姿だろうということをきちっと国が、あるいは国会で議論して示して、それを達成するためにはこういうふうな具体的な計画が必要で、それにはやはり税金を、ほかの諸課題、我々の場合は、これは公共事業を削減します、コンクリートから人へということを、これ代表を含めて言っているわけですから、歴代の代表が言っているわけでありますから、それよりも教育予算を最優先をしていくということは、だから、削るところはどこかといえばコンクリート予算で、増やすところはどこかといえば人の予算と、こういうことになります。
 そして、二兆円削減をされてきた、これをどう盛り返していくかということでございますが、じゃ具体的なその数についてどういう目標を持っているのかと、こういうお尋ねでございますが、私どもは、やはり教育の質というのは、様々な制度論が行われてきましたけれども、制度論が私はもうこの間過剰になり過ぎてきたと。それはなぜかというと、結局、予算カットあるいは人員カットが先ありきで、ここは議論してはいけないということになるので、何か教育改革というと制度改革と、こういう悪循環を断ち切りたいと。教育というのは、基本的にいい先生が十分な時間、情熱を持って、やる気を持って、そしてそのことがちゃんとリスペクトされて臨んでいけば、いい教育は基本的に私は行われるんだと思います。
 そういう意味で、まず十分な時間を取れるという観点で申し上げますと、やはり教員一人当たりの生徒数というものがOECDの中で一番最も条件が悪い状況になっていますから、少なくとも教員一人当たりの生徒数はやはりOECD並みにしていく必要があるというふうに思いますし、それから、先進各国を見てみますと、教員実習が二週間で免許が取れるという国は日本にしかありません。それから、多くの国が少なくとも五年、フィンランドは六年と、こういうことになっていますから、そういった意味での質、数の拡充をしていかなければいけないと、こういうふうに思っているところでございます。
 では、OECD並みにしていくと……
#25
○水落敏栄君 順次やりますから。
#26
○鈴木寛君 はい、分かりました。
 そういうOECD並みと、こういう目標でございます。
#27
○水落敏栄君 三十分しか時間がないわけでありますから、答弁だけでもう五分以上過ぎていますので、簡潔にひとつ発議者もお願いしたいと思います。
 そして、この法案の中で、第二項第一号で、教員のその有する免許状の種類ごとの比率について、ちょっと触りましたけれども、お聞きしたいと思っています。
 この条文のように教員の有する免許状ごとの比率について目標水準を定めますと、かえってその目標に縛られることになるんじゃないだろうか、あるいは教員の配置に当たって多様な人材の確保とか柔軟な対応が困難になるんじゃないかなと思いますが、危惧していますけれども、具体的に何をどのように定めることを想定しているのか、また多様な人材確保等に対する影響についてはどういうふうに発議者は考えていらっしゃるのか、端的にお答えください。
#28
○鈴木寛君 今回の法律では、専門免許状と一般免許状、あと特別免許状、臨時免許状ということになるわけでありますが、要するに、専門免許状を持った人をどれぐらい、一般免許状を持った人をどれぐらいと、こういうことは目標として決めていきたいと思っております。
 そういう意味で申し上げますと、今おおむね百万人ぐらいの教員が全国でおりますけれども、毎年の新規採用というのは二万五千弱ぐらいなんですね。そうすると、仮に今後その修士を採っていくということになっても、要するに二万五千ずつしか増えない、残りの九十万人の方々は現職の教員であります。私どもは現職の教員の皆さんに対しても約十年ぐらいたったところで、まあ八年ですけれども、十年ぐらいたったところで、きちっとそういう更に上位の免許、研修、研さんを積んでいただいて免許を取っていただきたいと、こういうふうに思っております。
 したがって、そういうふうな現職の教員にもっと高い免許を取っていただくということを奨励をするまず目標を掲げて、そのためには、当然その間、例えば一年間ぐらいもう一回大学院に行き直していただくというようなことも必要になってきますから、その分の定員も確かに少し多めに確保しなきゃいけませんし、それから、当然そのための予算というのも今よりは増えていくということになりますので、そういうことを計画に織り込んでいくと、こういうことに考えているわけであります。
#29
○水落敏栄君 三番目ですけれども、学校の施設及び設備についてちょっとお聞きします。
 発議者は目標水準について具体的にどのようなものを想定されているのか。そして、施設整備について目標を定めて全校整備することになりますと、義務教育段階だけでも、小学校が全国で二万二千校、そして中学校、一万校もあるわけですね。したがいまして、多額の費用が要することになりますけれども、発議者としてはどのような額が必要になるのか、そういう積算をしていたら教えていただきたいと思います。
#30
○鈴木寛君 恐らくこの問題意識は政府とほとんど同じだと思います。要するに、地震で壊れないまず校舎で学んでもらう。それから、本予算でも、補正予算でもスクール・ニューディールという予算が出されて、もちろん私は中身においてちょっと賛成しかねる部分もありますけれども、例えばきちっとICT化を進めていくとか、そういう予算も取っておられるわけでありまして、私どもも、基本的には耐震の問題、あるいはこれから非常に多様化する情報教育も含めてのそうした設備、まあ整備の内容については我々疑義がありますけれども、そういった対応をしていかなきゃいけないということは同じ意見を共有しておりまして、その部分については、もちろん予算の許す範囲内ではありますけれども、きちっと計画を持って、補正予算でやるのももちろん結構です、それは計画を前倒しすることになりますから。しかしながら、やはり五年なりなんなりの計画的に順次進んでいくということを見せていく必要があるということで、こういうことを盛り込んでいるところでございます。
#31
○水落敏栄君 淡々と聞いてまいりましょう。
 本法案で規定する教職員の配置、教員数、教員免許の種類ごとの比率、学級編制、学校の施設整備、これについて、目標水準等の内容によっては多大な、本当に多大な財政負担を生ずるおそれがあるわけです。現下の厳しい国家財政において、そのような金額をどこから出すのか。本法案については、理念はすばらしいものだと思いますけれども、先ほど述べた、前回の高校無償化法と同様に、その裏付けとなる財源の確保について心もとないところがあると思っています、私は。
 発議者が考える水準を達成するためには財源の確保が絶対必要なんですね。そこのところを説得力を持ってちょっと御説明いただければ有り難いと。
#32
○鈴木寛君 もう先生十分御承知のことだと思いますが、高校無償化法は法案成立とともに直ちに予算を必要とするという法律でございます。今回出しておりますのは、むしろ財源確保するために国民的合意を得るための法律でございます。
 つまり、この法律が成立して直ちに予算が幾ら幾ら発生するわけではありませんで、この法律は、要するにこういう教育をやろうじゃないかと。それを単に施設面の話ではなくて、やっぱり人の部分、あるいは人の質の部分、そしていろいろなソフト、知恵、そうしたソフトウエア、ハードウエア、ヒューマンウエア、トータルの二十一世紀の日本が目指す教育というものはこうですよということをきちっと法律でもって国民にお示しをすると。そうすると、諸外国に比べてここが足らないんだな、あるいはGDPに占める公教育の公財政支出も少ないんだなと、このことを御理解をいただいて、そして、ああ、これはやっぱりもっともっと我々の貴重な貴重な税金を教育につぎ込んでいかなければいけないなということを御理解いただくための法律でありますし、財源を、まさに予算を確保するための法律だと、こういうことでございます。
#33
○水落敏栄君 発議者のお考えも分かりますけれども、確かにこの三法案は直接予算を必要としませんけれども、仮に成立したとすれば、やっぱりその政策を実施するためには予算が必要になるわけですね。そうしたことから財源どうするのかということを聞いているわけですけれども、もう時間がありませんから次に移ります。
 次は、教職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案であります。
 本法案では、すべての教員の基礎資格として修士の学位を求めている。現在、東京、大阪など大都市を中心として、教員の大量退職時、深刻な状況になっていますけれども、したがいまして、採用試験の競争率が大きく低下しているわけです。これに伴って、教員の資質、能力の維持が大きな課題とされております。在学期間の延長とそれに伴う学費の負担増から、教員を目指す人が減ってしまうことも予想されるわけですね。四年から六年になるわけですから。その結果、競争倍率が低下して、逆に教員の質が低下する危険があるんじゃないだろうかと私は思っているんです。
 優れた多様な人材を教育現場に招き入れることができる点は、現在の教員養成制度の大きな利点でもありますけれども、しかしながら教員養成六年制の下で教員採用試験の倍率を維持しようとすると膨大なコストが掛かる。その割には質も思うように上がらない、こういった事態が招くおそれもあって、法曹養成においても、法科大学院大学のように、一部こうした事態が指摘されておりますけれども、したがって極めて慎重な対応が不可欠だと思いますけれども、この点、発議者はどう考えておられるのかお伺いします。
#34
○鈴木寛君 まず、ちょっと前の御質問で、もう簡単にお答えしますけれども、政府はこの八年間で二兆円の教育予算を下げてきたんです。この下げを絶対に止めなきゃいけないんです、直ちにですね。それから、都道府県あるいは市町村は、きちっと交付税で手当てしているにもかかわらず、教育のために手当てした交付税をほかのことに流用しているんです。これも止めなきゃいけないんです。そのためにこの法律が必要だということを御理解ください。
 そして、御質問にお答えをいたしますけれども、教員の質、特に大都市圏における質を確保しなければいけないというのは、これはおっしゃるとおりです。それを倍率を維持することによって確保するというのは、もう私は限界だと思っています。
 といいますのも、ここで劇的に教員給与を一・五倍にするとかそういうことができれば、それは倍率を確保して、今の制度の中で大勢集めて、その中から優秀な人を採ればいいんですけれども、それは現実問題として民主党政権になっても教員の給料を二倍にすることは直ちにはできませんので、であれば、教員になろうということを相当覚悟を固めた人を二年間きちっとこれはやっぱり養成をしていくと。
 そこに、その絞られた、今は教員免許を毎年十二万人取るんですね。したがって、教職課程というものが、十二万人を相手に今の教育学部あるいは大学院のリソースを投入しているものですから、どうしてもこれは薄くなります。そうではなくて、二万五千人ぐらい取るということになれば、少しバッファーは設けなければいけませんから、四万人とか五万人ぐらいの人たちに対してちゃんと今の有限な教育資源を、大学だって非常に予算が厳しい、人員も厳しい。そうすると、そこに集中する。
 それから、とりわけ今の教員、新しくなる教員で足らないところはやっぱり実践経験なんですね。ここがほとんどやっぱりできていない。逆に、大学四年間、ボランティアとか教育ボランティアとか物すごく頑張っている学生が増えていますが、そういう学生は教職が取れない、あるいは教員免許試験に受からない。結局、採用が矛盾しているんです、結局は。そういったボランティア経験とか、あるいはどうしても東京都の場合は二千五百人から三千人ぐらい採ることになりますから、そうなりますと、一括で三千人採るということになると、その採用の公平性とかということになりますと、どうしてもペーパーテスト、数値化できる採用に偏らざるを得ないということになります。そうすると、数値化できない、目に見えない教員としての資質というものをきちっと一回のペーパー試験ではこれは見れない。そうなりますと、やっぱり二年間きちっとした実習を、まさに手塩に掛けて育ててから教育現場に送らないと教員の質は十分確保できないんではないかと、こういう考え方でございます。
#35
○水落敏栄君 それでは、現実的にその受入れ側の体制についてちょっとお聞きします。
 修士レベルですべての教員を養成しようとする場合、専任教員とか予算の確保など、大学院における体制の整備が必要になるわけですね。法案にある移行措置によりますと、旧制度の免許状の授与は平成二十五年度末までとするとされておりまして、平成二十六年度からはこの新制度による授与になると。カリキュラムの構築や定員枠の設定とか一年間とされる教育実習の受皿の確保、こういうのには時間が掛かるし、難しい問題が山積していると思います。
 六年制の導入に当たって、教員養成を行う大学院に対して、どのようなスケジュールで、何を財源として、具体的にどんな支援を行うのか、これをしっかりしないと受け入れる大学院側としては大変なことだと思うんですよ。このことについて端的にお答えいただければと思います。
#36
○鈴木寛君 もちろん大変なことだと思います。しかし、この文教科学委員会でも、薬剤師の方の六年化ということについて、大変ではありますけれども決断をして、そして今それぞれの薬学部で一生懸命頑張っておられるわけであります。
 国立大学法人化以降、大学に対する運営費交付金というのがもう大幅にカットをされております。五%カットされております。その中で教職系といいますか教育系の大学に対する運営費交付金は更なるカットをされておりますから、そこはきちっと、まず運営費交付金を絶対カットしない、我々はやっぱり少しでもきちっと増やしていきたいと思っておりますし、今までカットされ過ぎてきた教員大学に対する運営費交付金をやっぱり元の水準に戻すということをした上で、そして現有の教育学部の教員をきちっと教職大学養成のコースにシフトをしていく、あるいはそこに集中をしていくということを併せてやれば、少なくとも大学側の体制なら今なら間に合います。これがもう少したちますと、もう教育系大学が崩壊をします、あるいは関連の学部が。だから、そうならないうちにこうした新しい制度への移行が必要だと、こういうふうに考えているところでございます。
#37
○水落敏栄君 時間がだんだんなくなってまいりましたので、一つ飛ばしまして、幼稚園教諭を養成するのは短期大学でもいいわけですね。この法案では幼稚園と小学校で共通の免許状をつくるようなことになっていますけれども、一律の六年制化は、短期大学士を基礎とする二種免許状の取得者が少なからずの割合を占める幼稚園や小学校の養成課程に大変な混乱を招くんじゃないかと思います。
 現在、幼稚園教諭の養成は、申し上げたように短期大学を中心として行われておりますけれども、二種免許状の授与は一種免許状の四倍弱に及んでいます。これを一律に六年制とするのは余りにも非現実的じゃないかなと思うんですね。認定こども園における教育環境の質的向上を図る上で、教員と保育士の資格の在り方、重要な課題の一つとされています。幼児教育の在り方を国民全体で議論しようとしている中で、一足飛びに幼稚園教諭に修士の学位を求めるということは余りにも非現実的じゃないかなと思うんですよ、拙速じゃないかなと。
 幼稚園関係団体とか保育所関係団体、あるいは小学校、幼稚園の教諭、保育士の養成にかかわる短期大学の団体とか、そして関係者の理解は得られているのでしょうか。このことについてお願いします。
#38
○鈴木寛君 御指摘の懸念は私どもも承っております。一足飛びにと申し上げましたが、これをやると同時に、併せていろいろなことをやらなければいけないという認識は先生御指摘のとおりでございます。
 例えば、ただ、幼稚園の課程、御党も幼児教育の充実ということを言っておられますので、その問題意識は同じだと思いますが、例えば臨床心理士というのはやっぱり六年なんですね。特にやっぱり今ネグレクトだとかいろいろな非常に難しい問題、特に幼児教育をちゃんとやらなきゃいけないということになりますと、そういう心理学とか発達科学についての素養等々を考えますと、幼稚園の先生は短大でいいという認識はやっぱり改めるべきだろうと思っております。
 したがって、幼児教育に携わる教諭もそうしたきちっとした養成が必要だということで、まず基本論としては私ども今回の法律をやっぱり幼稚園にも修士を持った人がいるべきだと。ただ、昭和三十一年にできました幼稚園設置基準というのがあります。幼稚園についても一律学級制というものを導入してこの幼稚園設置基準というのはできています。したがって、一学級に対しては一教諭がいなきゃいけないと。
 ただ、この教諭も必ずしも教員免許を持った教諭じゃなくて、助教諭とかあるいはいろいろな、園長先生とかもそういうことが兼ねられるようには現行制度でもなっておりますけれども、あるべき幼稚園の、幼児教育の学習環境というものをきちっと我々は今回の指針の中で定めて、そして、やっぱり幼稚園に、本当に生涯、幼児教育というものをやっていきたいという免許を持った方と、それから、特別免許状というのは都道府県知事が臨機応変に出すことができます。そういう方々とがまさにチームティーチでやっていくというようなことをきちっとお示しをして、今短大でやっておられる方はそういう特別免許状を取って、そういう専門免許状を持った人をきちっとチームティーチでサポートしていく。
 そこには、一律幼稚園については三十人学級、その学級制というものは、一律に押し付けるという考え方はコンセプトから改めていくし、それから家庭教育との要するに役割分担と、分担ということもきちっと再定義していく中で御理解を求めていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#39
○水落敏栄君 私のお聞きする点に具体的にお答えいただけなくて、ちょっと私は残念でありますけれども、次にいわゆる教職員数拡充法案についても二、三問お聞きしたかったんですけれども、与えられた時間が来てしまいましたので、発議者に対する質問は以上にさせていただきます。
 最後に、大臣、せっかくおいでをいただいておりますが、この三法案についてるる質問をさせていただきました。この質疑を通じて、現下の厳しい財政状況の下では、私はその三法案に対してどうしても賛成し難いという気持ちを強くしています。したがいまして、文部科学大臣に、これまでの質疑を聞いておられてどのような御所見を持たれたか、率直な御意見をお聞きしたいと思います。
#40
○国務大臣(塩谷立君) 今回提出されたこの三法案につきましては、考え方等、我々当然共鳴する部分もあり、今後、教育環境整備あるいは教員の養成等、しっかりと取り組んでいかなきゃならぬと思っておりまして、こういう点については、私どもとしてもずっといろんな検討をする中で、今委員が最初からおっしゃっていた、やはり実際にどこまでできるかという財政的な裏付けがあってしっかりと法案等が出される、政府としてはそういうことで、今残念ながら、例えば財政全体でいきますと、社会保障の問題等様々な課題がある中でどこまで教育予算が確保できるかということは、また私どももしっかりと確保するために努力していかなければなりませんが、現状を踏まえた上で、政府としてはこの今の現状では今回の法案についてはなかなか賛成しかねるような状況だと思っております。
#41
○水落敏栄君 終わります。
 ありがとうございました。
#42
○山下栄一君 最初に、教員免許の件について質問をさせていただきたいというふうに思いますが、今、水落議員おっしゃった観点は極めて重要な観点で、私も同じ今回の法案についての問題点、非常に重要なところが明確に言えない状況にあるということがこれが一番の問題だということは、今も、私も同じ意識で共有しておるわけでございます。
 その上で、六年制なんですけれども、教員養成六年制、資質向上のために大変大事だということなんですけれども、現実、今、今もお話ございました、例えば幼稚園の先生は八割近くが短大卒だと、現状は。八割近い幼稚園の先生が短大卒で、二級免許というんですか、それを六年にするということはちょっと現実的ではないなと。そうだとしたら、今も少しお話があったんですけれども、子育て、そして幼児教育のために六年間しっかりと学ぶんだということがなぜ必要なのかということを明確に説得力を持って言わないと、なかなかこれは難しいなと。
 なぜそういうことを言うかというと、学部はともかく大学院の勉強というのは、現状のですよ、特に文系は、そういうふうに基本的に教員養成の観点ということに通用するようなカリキュラムなり大学院の先生の配置になっているか、そして教育という観点がどれだけあるのかというように考えたときに、幼稚園の先生、ちょっと余りにもギャップがあり過ぎてよく分かりにくいなと。子供の心理とか様々な勉強が必要だということはよく分かりますけれども、現状の大学院教育のことを考えたときに、まずそっちから変えていかぬことにはちょっと耐えられないのではないかと、ほとんどもう希望者がなくなっていくんじゃないのかなと。理系はまだマスター、修士は耐えられるかも分かりませんけど、文系の場合は特に難しいのではないかという率直な感想を持ったんですけど、この辺はいかがでしょうか。
#43
○鈴木寛君 これは、私もおりましたけれども、平成十九年とか平成十四年とかに学校教育法を改正をして、修士に専門職大学院という制度を導入いたしましたですよね。先生もそこに加わっておられたと思いますが。
 そもそもなぜ文系に専門職大学院という制度を設けたかといえば、これはもう釈迦に説法ですけれども、おっしゃるように、文系の大学院教育というのは非常に狭く深くの専門家を養成するという、研究者の専門家を養成するという場であったという反省に立って、世の中の現場で、例えば法律の現場、あるいは教職専門大学院というのももうできております。ここで毎年八百人の人たちがもう既に学びを開始しているわけでありますが、そういう人たちは、今までの反省に立って、ちゃんと教育現場で役に立つ実践能力を持ったプロを養成しようじゃないかという、そういうことでこの学校教育法に我々も賛同いたしましたし、与党の方々がそういうことで法案を提出されたんだというふうに私どもは理解をいたしております。
 もちろん、そのことにまだ仏は作ったけれども魂が入っていないという御指摘かもしれませんが、それは、そのための予算も確保していなければ、そのためのリーダーシップも発揮をしていないという、これまでの与党の専門職大学院政策に対する御批判なのかなと。御批判は私、共有いたしますので、そのためにもきちっとした専門職大学院を、まさに始まったばかりの教職専門職大学院制度をやっぱりもっともっと充実させていかなければいけないんじゃないかなと。そのときに、幼稚園課程を排除するということはおかしいんじゃないかなということを言っているということでございます。
#44
○山下栄一君 ここでおっしゃっている六年制の中の二年間の大学院における勉強というのは、ありとあらゆる教科、小中高、全部教職大学院で受けるという、そういうことでしたかね。
#45
○鈴木寛君 それは、必ずしもそうではございません。
 といいますのは、教育の専門性といったことを考えた場合に、学校経営の専門性、あるいは教科指導の専門性、それから生活指導あるいは進路指導の専門性と、こういうことになりますので、例えば、教科指導の専門性などは、理学部の修士を取った人が、加えてきちっと教育の実習を延べで一年間程度ちゃんと、今は二週間で取れますから、これでは、確かに物理のことは詳しいかもしれませんけれども、子供の前に立ったらもう何もしゃべれない、あるいは難しい数式ばっかり振りかざして、これじゃ全く伝わりませんから、そういうことを追加してちゃんとその免許状が取れると、こういうことでございますので、全部が教職大学院ではございません。
#46
○山下栄一君 その六年制ということと教育実習一年間やれということと、もうちょっと整合性を持ってきちっと計画を立てられた方がいいのではないかと。教職大学院の臨床的な、それはもう単位取らにゃいかぬわけですから、そういうことは私は教職大学院として非常に重要な理念の下にスタートしていると思うんですけれども。一年間教育実習を同時に課して六年も勉強せいということがちょっと、もっとうまく分かりやすく説明をしていただければと思います。
#47
○鈴木寛君 先生も今の教育学部あるいは学生の実態を御存じでおありだとは思いますが、私も毎年八十名から百名の学生見ておりますけれども、今でも四年だともう教養課程は一年もできません。例えば早稲田大学なんかはもう一年生のときから専門をやっているんです。それでやっと四年で何とか教職課程が取れるぐらい、やっぱり教職課程も、情報のこともやらなければいけない、いろいろな教育心理のことも、あるいはいじめのことも不登校のことも、やっぱり学ばなければいけない要素が物すごく増えてきて、実はそのことが今教養課程の、本来全人格的教育をするところも圧迫しているということをまず御理解をいただきたいと思います。
 この四年の中で更に教育実習を追加する余裕はどこにもありません。したがって、六年にして、そしてやっぱり、なかなか残念ながら、私も毎年大学一年生見ていますけれども、どんどん未熟化しております。したがって、教養課程もやっぱりもうちょっと充実をさせなければいけない、その上で高度化する専門も学ばせなければいけない、それからその上で子供ともちゃんと接してコミュニケーションする力も育てなければいけないということになりますと、どうしてもやっぱり四年ではもう足らないと。だから五年、六年にしていかなければいけないんじゃないかと、こういうことでございます。
#48
○山下栄一君 全人的なそういう観点からの力を身に付けて現場に行くということは大事な視点だと思うんですね。ただ、今の高等教育もそうですけれども、高校教育も含めて、全人教育の観点というのは私は非常に弱いと。だから、学力テスト、学力至上主義みたいなこと、学力とは何かということもありますけれども、点数で表現された学力というのは非常に気になりますので、ペーパーテストの弊害やと思いますけれども、教育の根本的な在り方にかかわることになっていってしまいますけれども、そういう議論とか中身を抜きにして六年間とにかく学ぶ年数を増やしたらいけるという角度は、ちょっと私はもう飛躍しているなというふうに思うということを感想に述べさせていただいて、次の問いに行きたいと思うんですけれども。
 今回、教員免許授与権者、これを文部科学大臣とすると、普通免許状ですね、これは。これは私はどうかなと思います。
 まず、現行どうなっているのかということを確認させていただきたいと、文科省に。なぜそうなっているのか、なぜ今は都道府県教育委員会になっているのかということを併せてお願いします。
#49
○政府参考人(金森越哉君) 教員免許の授与権者ということについてのお尋ねでございますけれども、教員免許の授与に係る事務につきましては、実は平成十一年度までは国からの機関委任事務でございましたけれども、当時の免許状授与に関する事務の実態を申し上げますと、国は基準の設定を中心に行いますものの、実質的には都道府県の教育委員会が戦後一貫して授与権者として教員免許の授与に関する事務を行ってまいりました。そこで、その後、平成十一年の地方分権一括法によりまして、免許状の授与につきましては、こうした運用の実態を踏まえ、地方分権の観点から、従来の機関委任事務から自治事務へと変更、整理されて現在に至っているものでございます。
#50
○山下栄一君 今の話は全然分からないんですけどね。地方分権一括法になって自治事務になったと。すると、それまではそうじゃなかったということになるんですね。ということは、民主党と同じ意見……。
 元々は授与権者は国だったんですか。これは本当にそうなのかね。
#51
○政府参考人(金森越哉君) 国から都道府県教育委員会に対する機関委任事務でございましたので、実際には都道府県の教育委員会が授与権者として教員免許の授与に関する事務を行っていたところでございます。
#52
○山下栄一君 いずれにしても、一括法で今は自治事務になっていると。教員免許の授与は都道府県でやるんだと。それは、要するに機関委任事務から自治事務になったということは、元々は国の権限だったんだけれども、自治事務に変えたと。これはちゃんとした理念を持ってそういうふうに判断したというふうに考えたいんですが、どうなんですか。
#53
○政府参考人(金森越哉君) そのとおりでございます。
#54
○山下栄一君 これちょっとね、これは駄目だよ。ちょっと準備、やり取り不足でこうなって、済みません。
 この教員免許法というのは昭和二十四年にできたわけですね。そのときの趣旨説明は、法案の趣旨説明は、免許の授与権者についてだと、第四点は、これは趣旨説明者が言っているんですけど。旧制度、戦前やね、これは旧制の中学、高校は文部大臣だったと。それで、国民学校、幼稚園は都道府県知事、県知事、これは国が任命した知事ですけど、というふうになっていたと、授与権者になっておりましたが、この中央集権的傾向を排して、すべて都道府県に一任することとしたのだと。これが昭和二十四年、戦後の教員免許法の基本的理念やったと思うんですよ。いつの間に国の機関委任事務になったのか、私はよく分かりませんけど。
 私は、本来これは、もちろん全国的な免許の基準はある、それはだからこういう教育内容、カリキュラムやりなさいよということを法律に明記してあるわけですからね。別表にもちゃんと書いてあると。それで水準保っていたと。だけど、あくまでも授与権は県にあるんだ、都道府県にあるんだということは大事な理念だという考え方でこの教員免許法という現行法は成り立っている。それと全然違う今回の民主党の案なので、普通免許状をどうして文部大臣にするのかということのお考えをお聞きしたいと。
#55
○鈴木寛君 我々、日本国教育基本法、まさに教育基本法改正のときに、我々の考え方として、対案として出させていただきました。もうそのときにやっぱりきちっともう一回、何が国の役割で、何が県の役割で、何が市町村の役割でということを理念から再整理をさせていただいた結果でございます。
 つまり、要するに今までは人事というのは、免許付与もあるいは採用も、そして教員人事もこれは都道府県教育委員会がやりますということで今までできてきたわけであります。しかしながら、私どもはやはり教育委員会、とりわけ都道府県教育委員会の形骸化、やっぱりこの形骸化の中で、あるいは教育委員会、非常勤の委員によって構成される教育委員会を隠れみのにいろいろなことが、不祥事も起こっている、あるいは、という中で、やっぱりこの県教委というものを主体とした教育行政の在り方を抜本的に見直す必要があるということで、一つは、きちっと設置者がもっと人事も設置権もそういう現場にまず権限をきちっと付与するものは付与すると。そこで地域住民なども入っていただいて、まさに地域の子供は地域でちゃんと育てるんだと、もちろん基礎自治体もサポートしながらと。こういうことをまず一つやりました。
 しかし、じゃ、そのときに、国民の学習権というものをひとしく保障すべきこととして、最終的な責任は国が担うと、こういうことになるわけでありますが、まずその経済的な学習環境、経済的な理由で学べない、ここは国が最終的にやらなきゃいかぬということと、質の管理について、その教育の内容について、これは地方政府といえども微に入り細に入り介入するということは望ましくないと。しかし、じゃ質を確保しようと思えば、まさに教員の質と、あるいはそこでのカリキュラムということは、これはある程度標準化をしなきゃいけないと。ということであれば、そこは国の権限にしていこう。
 さらに、先ほどおっしゃるように、教職大学院あるいは教職を育成していくためのやっぱり高等教育というのはもう今全然駄目です。ここを充実させていく。これはやはり国立大学、私立大学中心となりますから、高等教育の主体はまさに文部大臣でありますから、そこは一元的に文部大臣がこの両方をきちっと見ていく。
 先ほどの六年制は、これは必要条件です。もちろん必要十分だとは思えません。十分条件は、例えば今ほとんどの人が研究者が教えていますけれども、これをやっぱり変えないといけない。例えば校長先生とか、あるいは非常に教育現場で成功した人を教職大学院の教員に据えるとか、それから、やっぱりそこもただ単に座学じゃなくて、実学の部分のまさにインターンシップとか教育実習の、そういうことをちゃんとやれる。単に閉じた象牙の中の教育学部をやっぱり開かれて、当然地域の小学校、中学校と日常的に教育をコミュニティーで育てると、こういうことにもしていかなきゃいけないわけであります。そういったことを一体的にデザインできて、それを推進できるのはやっぱり国だということでこういう制度設計にさせていただいているところでございます。
#56
○山下栄一君 ちょっと雰囲気的には共有している部分あるんですけれども、ちょっと厳密に言うとよく分からないなと。
 この環境整備法もそうなんですけれども、要は、学校教育整備指針も振興計画に書きなさいと。学級編制とか教員配置もそうなっていますよね。現行は、ルールと実情は若干違う部分もあるかも分かりませんけれども、基本的に学級編制権、そして教員の配置権は地方自治体だというふうになっていると思うんですね、今学校教育法も。それを、今回の法案通して民主党さんは学級編制権も、教員の配置も権限は国でするんだというお考えなんでしょうか。
#57
○鈴木寛君 いや、それは全く違います。国は指針を示すだけでございますから、今標準法で書いているようなことをきちっと指針で書いていく。ただ、標準法は単に数の話だけ書いていますから、あるいは非常に限定的な話しか書いていませんから、学校環境というのはもっとほかにもいろいろ考慮する点があるでしょうから、この際きちっと、標準法に書いていることは踏襲しますが、それ以外の重要なことも併せて指針というパッケージにしていくということでございます。
 ここは実は非常に重要なことで、標準法はありますけれども、それ以外のことはほとんど文部省の省令である設置基準なんです。省令ですから、内閣も関与できない、あるいは国会もまして関与できないと、こういう状況にあるわけでありまして、今の学校環境にどういうことが重要で、どういう指針を持って臨まなければいけないかというのは、これはきちっとやっぱり国会で国民的な議論に付して、そして充実をし、そしてそれを広めていくと。そういう枠組みに、せっかく教育基本法を変えるわけですから、我々は日本国教育基本法案を出したときにこの法案の基となるものは一緒に出したわけですけれども、そういう議論をやり直さなければいけないんじゃないですかと、こういうことであります。ですから、個別の編制について国が何とか言うということでは全くありません。
 だから、次の御質問なのかもしれませんが、「参酌し、」と書いてあるのは、基本的な設置者のイニシアチブというものは尊重しているわけでありまして、そこはまさに考え方と方針を示すということで御理解をいただきたいと思います。
#58
○山下栄一君 最近、立法府は基本法ばやりで、どんどん法律作って、計画は国で作って、自治体は努力義務だという法案がもうラッシュのごとく、教育基本法ラッシュのようになっておるんですけれども。
 私は、法律を作る側というのはちょっと気を付けにゃいかぬなと思うんですけれども、法律を作る、今回も法案ですけれども、作るということは、今まさしくおっしゃったように、法律を作るということは、法律というのは余り細かく書けませんねと。だから、政省令、下位法令で義務付け、枠付けをしていくわけです。それは、全国一律になるわけですね。だから、法律を作るということはそういうことなんですよと。全国一律でルール作りをして、省令までということもよく考え、それは立法府タッチできませんけれども。そういうことまで考えて法律を作るということをやらないと、何か地方にゆだねるといいながら、どんどんどんどん義務付け、枠付け、今議論、地方分権委員会でされておりますけれども、それが何かないがしろになっていくのではないかと。法律を作って終わりじゃありませんし、法律を作るということは、すべての国民を義務付けるというか拘束するということにもなるわけですから、法律を作るときには、まさに今、鈴木提案者がおっしゃったように、政省令まで影響を与えていくんだという、そういう配慮が非常に必要だなというふうに考えます。
 ちょっともう時間がなくなってきましたので、いろいろほかに聞きたいことあったんですが、私は、教育の必要性、重要性ということはもう山ほど言われているんですけれども、気を付けにゃいかぬのは、やっぱり子供と接しているのはだれですかと。子供と接しているのは、親も接していますけれども、行政的には学校ですねと。そこで接しているのは先生ですねと。その学校現場の先生と生徒、そこで影響し合いながら子供は影響を受けていくし、いい影響、悪い影響を受けていくと。
 そこにいろんなことを指示する人とか意見言う人がもういっぱいいてると。市町村教育委員会がそうだ、都道府県教育委員会がそうだ、その教育委員会にも教育専門家よりも行政マンがえらい増えておりますね、現場に立ったことのない人までやっていますねと。中央は中央で、文部科学省が様々な形で、もちろん国民が何とかせい言うからですけれども、いろいろ口出しというか御意見をおっしゃいますねと。おっしゃり方は通知とか今言った法律もありますねと。
 現場は、だけれども、子供と接しているのは学校の先生ですよと。学校の先生はもちろん教育者であるけれども、教育行政の最先端でも、確かに学校現場がある、校長先生なんかは特に最前線の教育行政機関かも分かりませんけれども。だけれども、教育行政をやるときに必要なのは、その学校現場で子供と接しているのは先生であるということを忘れぬようにいろいろ意見を言わぬといかぬなということを痛烈に、今痛切に感じておりまして、そういう観点からこういう、先ほど鈴木先生がおっしゃいましたように、様々な問題点、問題の観点、指摘も共有する部分たくさんございましたけれども。
 だから、どうするんですかということで法律を作る、予算を立てる。予算は私は極めて重要やと思いますけれども。だから、それはやっぱり学校の先生をもうちょっと信用して、ほとんどの先生が一生懸命頑張っておるわけやから、中にちょっと間違う場合もありますけれども、基本的には一生懸命やって、悲鳴上げて、やりにくくなっていると。だから、佐藤先生おっしゃいました、やっぱり給料とか先生方の待遇ですね、これをやっぱり大事にせにゃいかぬ、こういう御時世だから大事にせにゃいかぬ。一律に公務員カットという観点でやってはいけないということは、私は痛切に感じております。(発言する者あり)だから賛成できないんですけれども。
 これは、やっぱりちゃんときちっと、国でどれだけお金出しますか、地元はどれだけ出しますかという、国と地方の公的負担も両方あるわけですから、それをどういうふうに分担していくんですかと。権限と財源も一緒になって渡してくるよと言っているけれども、権限をまた何かバックするようなイメージもあったので、この法案は。そういうことで、ちょっと分かりにくくなっているなというふうに思っております。
 時間が参りましたので、済みません、大臣に。
 教育現場のよく視点に立って、この条件整備のためにお金は極めて重要だと、子育て支援なり子供のお金を手当てするについてはしっかりと確保せないかぬ、これはもう与野党を超えて、先ほど大臣もおっしゃったように、理事のときにもそういう決議をやったということに表れていますように、それ共有しているわけです。だから、その観点は大事にしつつも、やっぱり教育現場の重要性に視点を置いた、そのためにはやっぱり教員の待遇なり、労働時間外手当どうするかということも今日は聞きたかったんですけれどもできませんでしたけれども、それも踏まえて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#59
○国務大臣(塩谷立君) 当然ながら、教育現場、大変重要でございまして、この教育環境整備、そして教員の待遇等、しっかりと取り組んでいかなきゃならぬわけでございます。
 一方で、政府において、行革推進法等、大変厳しい財政事情の中で政府全体で取り組んでいく方針がありまして、それに基づいてどうできるかということが今現実の我々の対応でございますので、ここら辺は将来に向けて、今日提案されたそれぞれの法案の課題も踏まえて今後しっかり検討していくべきだと思っておりますが、今の時点でこれについてはなかなか、先ほど申し上げましたように、我々文科省としても現実的ではないという判断でございます。
#60
○山下栄一君 終わります。
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#61
○委員長(中川雅治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として佐藤信秋君が選任されました。
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#62
○委員長(中川雅治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(中川雅治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(中川雅治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法及び簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(中川雅治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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#67
○委員長(中川雅治君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。塩谷文部科学大臣。
#68
○国務大臣(塩谷立君) この度、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国の著作権制度については、これまでも逐次整備を進めてまいりましたが、文化芸術立国、知的財産立国の実現に向け、一層の充実が必要となっております。
 この法律案は、昨今の情報通信技術の一層の進展などの時代の変化に対応し、インターネット等を活用した著作物等の流通の促進や、障害者の情報利用の機会の確保などを図るため、必要な改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、インターネット等を活用した著作物等の利用の円滑化を図るための措置を講ずるものであります。
 昨今の情報通信技術の一層の進展を背景に、インターネット等を活用した様々な著作物等の利用形態が可能になるとともに、これに関連する事業が発達してきております。これらの中には、社会にとって有意義であり、かつ、権利者の不利益にならないと考えられるものもあり、著作権法上の位置付けを明らかにすべきとの要請が寄せられております。このため、インターネット情報の検索サービスの実施のための複製、美術の著作物等の譲渡の申出のための複製、国立国会図書館における所蔵資料の電子化のための複製等について、権利者の許諾なく行えるようにする措置を講ずるものであります。
 また、過去の放送番組等をインターネット等で二次利用する際に、出演者等の所在不明が原因でこれらの二次利用が進まないとの問題が指摘されております。このため、権利者が所在不明の場合における著作物等の利用を容易にするため、現行の文化庁長官の裁定制度を著作隣接権にも適用できるようにするとともに、より迅速に著作物等の利用が開始できるよう措置を講ずるものであります。
 第二に、違法な著作物等の流通を抑止するための措置を講ずるものであります。
 インターネット等における著作物等の流通を促進するためには、権利者が安心して著作物等を提供できる環境を整えることが重要であります。
 このため、著作権等を侵害する行為によって作成された物と承知の上で、その物の頒布の申出を行う行為を権利侵害とみなすとともに、著作権等を侵害して自動公衆送信されている音楽や映像を録音し、又は録画することについて、著作権法第三十条の適用範囲から除外し、権利者の許諾を要することとするものであります。なお、この第三十条の改正については、違法なものと知りながら行った場合に限るとともに、罰則を科さないこととしております。
 第三に、障害者の情報利用の機会の確保を図るための措置を講ずるものであります。
 技術の進展に伴う障害者による著作物等の利用方法の多様化や障害者の権利に関する条約をめぐる状況を踏まえ、障害者の情報格差を解消していくことが求められております。
 このため、障害者のために権利者の許諾を得ずに著作物等を利用できる範囲を抜本的に見直し、障害の種類を限定しないこととするとともに、デジタル録音図書の作成、映画や放送番組の字幕付与、手話翻訳など、障害者が必要とする幅広い方式での複製等を可能とし、あわせて障害者福祉を目的とする施設以外でもそれらの作成を可能とするなどの措置を講ずるものであります。
 なお、この法律は、一部を除いて平成二十二年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#69
○委員長(中川雅治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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