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2009/03/25 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 財政金融委員会 第10号
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2009/03/25 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 財政金融委員会 第10号

#1
第171回国会 財政金融委員会 第10号
平成二十一年三月二十五日(水曜日)
   午後一時三分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         円 より子君
    理 事
                尾立 源幸君
                大久保 勉君
                大塚 耕平君
                小泉 昭男君
    委 員
                池口 修次君
                川上 義博君
                喜納 昌吉君
                富岡由紀夫君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                水戸 将史君
                峰崎 直樹君
                山下八洲夫君
                尾辻 秀久君
                末松 信介君
                鶴保 庸介君
                中山 恭子君
                藤井 孝男君
                森 まさこ君
                荒木 清寛君
                白浜 一良君
                大門実紀史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大嶋 健一君
   参考人
       東京大学大学院
       経済学研究科教
       授        醍醐  聰君
       慶應義塾大学経
       済学部准教授   土居 丈朗君
       白鴎大学法学部
       准教授      浅羽 隆史君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○財政運営に必要な財源の確保を図るための公債
 の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの
 特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、東京大学大学院経済学研究科教授醍醐聰君、慶應義塾大学経済学部准教授土居丈朗君及び白鴎大学法学部准教授浅羽隆史君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、醍醐参考人、土居参考人、浅羽参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ていただきたいと思います。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 それでは、まず醍醐参考人にお願いいたします。醍醐参考人。
#3
○参考人(醍醐聰君) 醍醐でございます。よろしくお願いいたします。
 時間が限られておりますので、資料に沿って進めたいと思いますが、私の専攻の関係から、まず特別会計の問題から主にお話しさせていただいて、最後に少し税制のことについてお話しさせていただきたいと思います。この委員会に上がっております二つの法案に直結する議論でないというところはございますが、御了承いただきたいと思います。
 まず私の、特別会計の方からでございますが、別紙一というのを、B4サイズでございますが、これが後ほどいろいろ使うものでございますが、まず特別会計の全体像を概観するために用意をいたしました。
 今日のお話の主なベースになるのが別紙二でございます。ここにありますとおり、特別会計から財政運営に必要な財源を確保するという視点から見たときに、私は三つのポイントからお話をさせていただきたいと思います。
 一つ目は、不用額というものでございます。この計算式はここに書いてあるとおりでございますが、この不用額というものを財源として着目できないかということでございます。ポイントの二は、その手前にある、不用額を計算する手前で歳出予算現額からマイナスされる翌年度繰越額というものが確実な支出の見合い財源と言えるのかという点について検討が必要と考えております。ポイントの三つ目は、決算剰余金の処分項目として多額の計上がなされておる翌年度歳入繰入額というものが、果たして合理的な根拠のある繰入れなのかどうなのかということについて御説明をしたいと思います。
 まず、本体の資料の方に戻らせていただきますが、一枚めくっていただきまして二枚目、三つのポイントは今申し上げたとおりで、まずポイント一の不用額の吟味ということに入らせていただきます。
 別紙の三でデータをお示しいたしましたが、過去六年度間通して見ますと、特別会計合計で九兆円から十二兆円の不用額というものが発生しております。これは歳出予算現額の使い残しという意味でございます。その中で、偶発債務に備える保険系の特別会計には、不用額というよりかは未使用額が残るということはそれなりにうなずけますので、それを除いた非保険系の特別会計の不用額合計を見ますと六兆円から九兆円という金額になっております。
 で、この不用額の発生原因は何かということでありますが、一つは、そもそも実需に見合っていた予算だったのかどうなのかということが問われると思いますが、金額の大きいところで申し上げますと、財政融資資金特別会計の場合、例えば平成十八年でいきますと、全体の七〇%に当たる一・六兆円の不用額というものは、公債金が予定を下回り、財政融資資金への繰入れが予算を下回ったためと。同様の理由で、十九年度には一・八兆円の不用額が発生しております。約七割がこの理由によるものであるということでございます。したがいまして、予算の査定のときに果たして実需というものがどのように厳正に査定されているのかということが問われるところかと思います。
 次に、三枚目に移りまして、続きでございますが、もう一つ不用額の発生原因として私が分析していく中で気が付きましたのは、予備費の不用額が極めて多いということでございます。例えば二〇〇五年から二〇〇七年度、西暦を使ったり元号を使ったりばらついているところはちょっと申し訳ございません、一・六兆円、一・七兆円、一・三兆円という、これは予備費の不用額でございます。不用額全体に占める割合は一二%から一八%という、これは相当な金額になっております。先ほど、保険系であるがゆえに使い残しが出る偶発債務を相手にしているからと申し上げましたけれども、例えば年金特別会計の中の不用額のうちの八千百五十八億円は、これは予備費の使い残しでございます。外為特別会計につきましても連年、これは資料別紙の四のところでデータを示させていただきましたが、三千億円の不用額は、これは予備費の不用額ということでございます。
 そこで、このポイント一についての私の意見でございますが、一つといたしまして、先ほど言いましたように、不用額というのは予算現額から翌年度繰越額を引いたものでございます。その意味でいいますと、特定の使途見合いのものは、未使用額は翌年度繰越額として控除されているはずのものでありますから、その控除後になお発生する不用額というものは、将来の特定の使途を想定することが困難なものだと考えられると思います。次の式で一番左辺の第一項、収納済歳入額と書きましたのは、これは歳出予算現額の誤りでございましたので訂正させていただきます。
 よりまして、非保険系の特別会計では不用額に相当する決算剰余金、この不用額は最終的には決算剰余金に組み込まれていくものでございますが、不用額に起因する決算剰余金は内部留保する合理的理由はないと考えられますので、一般会計に繰り入れる財源とするべきだと考えております。さらに、偶発債務に備える保険系の特別会計におきましても、予備費の不用額は、これは内部留保をする根拠は一般には乏しく、一般会計に繰入れをするべきものではないかと考えております。
 次にポイントの二つ目、資料の四枚目に移らせていただきます。
 これは翌年度繰越額というものでございますが、この辺りから別紙一、特別会計における予算と決算の関係の概念図という一番上の別紙でございますが、それを御覧いただきながら御説明したいと思います。
 ここで申します翌年度繰越額といいますのは、上の図の下に@からCまでございますが、そのCの歳出決算というその図の中にある翌年度繰越額五となっているものでございます。これを引いた後が不用額となるわけでございますが、では翌年度繰越額という金額を見ますと、過去五年間、七・五兆円から十六兆円までという十兆円台の金額に上っております。この繰越額の位置付けでございますが、@、これは決算剰余金を算出する控除項目と言いましたが、これは私、発生主義会計の考え方とちょっと混同しておりましたので、@は削除をお願いしたいと思います。後ほど申し上げます。これは、この翌年度繰越額に繰入れが多ければそれだけ残余としての不用額は少なくなるという関係にございます。
 では、この翌年度繰越額の吟味でございますが、総額の内訳分析というものを会計検査院が行った検査報告の中でございます。それが別紙の五で出ております。ここでは明許繰越、事故繰越、歳出未済、支出残、支出残の逓次繰越という形になっておりますけれども、この中で歳出残一・二兆円というのがございます。他の繰越しというのは、財政上、これは当然認められたものとしてとりあえずは根拠のあるものと考えまして、この一・二兆円の支出残は一体何なのか。場合によっては、これが不用額にニアリーイコールではないかということも考えられるわけでございますが、私は、この翌年度繰越額というものは、企業会計的に見れば、将来の確実な支出に備えるという意味では負債性の引当金という考え方を準用する必要があるのではないか、確実な支出を予定しないものについてはこの翌年度繰越額に入れるものではないと考えております。
 次に、五枚目に移らせていただきますが、このポイント二、翌年度繰越額に関する私の意見でございます。
 一つ目といたしまして、今申しました将来の不確実な支出を漫然と内部留保している項目になっていないかどうかを吟味する意味では、企業会計上での負債性引当金の要件を準用して、翌年度繰越額に特定の使途が見込まれているのか、隠れた内部留保ではないのか、厳格な査定が必要と考えます。
 二つ目、所管庁、財務省は会計検査院が把握したような翌年度繰越額の内訳明細を国会、国民に対して開示する必要があると考えます。
 三つ目といたしまして、説得力のある反証がない限り、これら支出残相当額は不用額とみなして一般会計に繰り入れることが考えられると思っております。
 次にポイントの三つ目、翌年度歳入繰入額でございます。二番目と非常に紛らわしいものでございますが、別紙一でもう一度御覧いただきますと、先ほどCの歳出決算の図の中にあった翌年度繰越額五でございますが、これからお話しするポイント三のものは一番右側、決算剰余金三十の処分の内訳として五となっている翌年度への繰入れでございます。
 そこで、五の方のホームページの資料に戻りますと、この決算剰余金のうち翌年度歳入に繰り入れられる額がおおよそ八〇%前後と巨額になっております。三十兆円台から四十兆円台という規模になっております。
 この規模につきまして、繰越しにつきまして会計検査院が平成十八年度に行った検査報告によりますと、整理特別会計以外の二十六の特別会計について検査した結果を出しております。それによりますと、翌年度歳入繰入れ四・九兆円のうち、見合い財源として使途が確定しているものは二・八兆円、未定なまま繰り越しているものは二・五兆円となっております。
 ここで、時間もございませんのでちょっと補足的なことを申し上げますと、別紙一のところで、先ほどポイント二で申し上げました翌年度繰越額五と、それからポイント三で今申し上げている翌年度歳入への繰入れ五、これが、この図というのは会計検査院の検査報告の中に掲載された図でございますが、五というふうに金額が一致しております。これは偶然なのか意識的なのかということは問題となるわけですが、翌年度の歳入に繰り入れるということは、見合いの使途の財源として繰り入れるのであれば、その手前で、ポイント二で行った翌年度繰越額五と一致するのが論理的ではないかと私は考えるわけでございます。
 ところが、実際の金額を突き合わせてみますと、この二番目の翌年度繰越額と三番目の歳入繰入額の間に大きな乖離がございます。これを資料でちょっとお見せできなかったのが残念なんですけれども、例えば二〇〇七年度で申しますと、翌年度繰越しというものが十二・九兆円に対して、決算剰余金処分の段階で翌年度歳入に繰り入れているのが三十四兆円です。この差は二十・一兆円ございます。同じこの差を前の二〇〇六年度で見ますと二十五・八兆円、二〇〇五年度で見ますと二十六・九兆円と二十兆円台に達しております。
 本来、歳入に繰り入れるのが歳出の見合い財源としてあれば、この二番目に言いました翌年度繰越額に見合うのが合理的な関係ではないか。会計検査院もそういうことを意識してやったのではないかと思われるわけですけれども、現実の姿は二十兆円台のギャップがあるということでございます。このギャップというものは、結局、漫然とした歳入繰入れ、いわゆる合理的根拠のない内部留保ではないかというふうに私は感じているところでございます。
 申し上げたいことはたくさんございますが、もう時間がございませんので、資料の七枚目のところでまとめとして書きましたが、私が財源として積み上げでやりましたのが一の七兆円、二の四兆円、そして三の金額の把握が困難だけれどもということで、十六年度ベースで見て一・四兆円。この積み上げでいきますと約十三兆円ぐらいになるわけでございますが、他方で、これは足し算方式でございますが、今言った翌年度繰越額と翌年度歳入繰入額との差、二十兆円台ということになっております。したがって、最終的には二十兆円ぐらいに近い金額が連年発生しているのではないかと。これは、恐らくは一般財源として利用可能なものではないかというふうに私は考えております。
 残りの時間で、税制のことでございますが、私は最近の税制論議で感じることを申し上げさせていただきますと、根拠のない、初めに消費税ありきの議論がまかり通っているのではないかということを非常に危惧しております。
 税制の抜本改革の基本方向について中期プログラムの中では、個人所得税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、最高税率や給与所得控除の上限調整等により高額所得者の税負担を引き上げるということが書かれておりますけれども、十年展望比較試算では、歳出削減の方には複数のシナリオがございますが、歳入の財源論としては消費税しかパラメーターに上がっておりません。本来、所得再分配、格差是正として最もそれに適合するのは所得税のはずでございます。それが、具体的な試算の段階では全く計算に上がってきていないということを私は非常に不可解に思っているところでございます。
 次の八枚目でございますが、国税収入に占める所得税収入の割合というものを見ますと、日本は絶対的に元々非常に低い水準であったのが更に下がってきております。日本よりも低かったフランスは、一〇・六であったものが直近では一七・五というふうに急激に上がってきております。
 それから、その下の税による所得再分配機能の低下ということでございますが、いわゆる税によるジニ係数の改善度を見ますと連年低下傾向にございます。その理由としましては、最低税率が下がったことはございますけれども、最高税率が大幅に下がっている、刻みが、大幅にこれが粗くなっていると、税のはい上がりがほとんどなくなってきつつあるということでございます。
 私は、消費税を社会保障財源として議論する、そういう議論の中に幾つかのレトリックがあると考えております。元々、財源といいましても、社会保障の財源という限りにおいては応能論が、これが大道であると思っております。その観点からいきまして、消費税を社会保障の財源にするというのは勤労のインセンティブを損なうとかいろんなことをおっしゃいますけれども、それは経済効率性を社会保障の財源論に持ち込むということであって、これは根本的な理念に誤りを犯しているのではないかと思っております。
 また、中期プログラム等によりますと、増収の換算ベースとして消費税に換算すると三%とか何%という言い方をして、あくまでも換算にすぎないかのように言いながら、実質的には計算の俎上に上がっているのは消費税のみとなっていると、これは一種のレトリックであり、世論の誘導ではないかと私は考えております。
 また、広く薄く負担すると申しますけれども、社会保障というものは所得の再分配の重要な機能を担うものでありまして、広く薄く均一であっては再分配にならないわけであります。この点を国会におきまして十分検討いただきたいと。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
#4
○委員長(円より子君) 醍醐参考人、ありがとうございました。
 次に、土居参考人にお願いいたします。土居参考人。
#5
○参考人(土居丈朗君) どうもありがとうございます。慶應義塾大学経済学部の土居でございます。本日はこのような形で皆様の前で私見を披露させていただくことを大変うれしく思っております。
 私は、財源確保法案、税制改正法案に関する所見と題しました参考資料に基づきまして私見を述べさせていただきたいと存じます。
 一枚目をおめくりいただきまして、私の意見といたしましては四点ほど重立った項目がございます。まず平成二十一年度税制改正に関して、そして次に社会保障財源の在り方について、それから中長期的な税財政の在り方について、そして最後に財源確保法案に関連するところの意見を述べさせていただきたいと存じます。
 三ページのところで、まず最初に平成二十一年度税制改正について意見を述べさせていただきたいと存じます。
 さすがに昨今の金融危機から来る世界同時不況に対応するような税制の在り方ということは、これは目先非常に重要なことでありまして、しかるべき減税措置が講じられているというところは評価すべきところであると思います。それでいながら、きちんと将来を見据えた税制の改正も行われているところは、具体的に、例えば外国子会社からの配当の益金不算入制度の導入という非常に画期的な制度が設けられたということは、この改正法案においては特筆すべきところではないかと思っております。さらに、税制改正法案の附則には税制改革の中期プログラムを踏まえた記述が盛り込まれており、これも画期的なことだと思っております。所得税につきましては、格差是正、所得再分配機能の回復ということを明記しておられる。それから、法人税に関連したところでは、国際的な整合性を担保するとか国際競争力の強化という観点から、法人の実効税率の引下げを検討するということが盛り込まれている。それから、消費税に関連するところでは、社会保障財源を念頭に消費税率を検討するということなどなど、これまでにはなかなか税制改正法案の中ではここまで踏み込んだ記述、しかも将来に関する記述が盛り込まれていなかったわけでありますけれども、今国会で審議されておられます改正法案においてはこういうことが附則で明記されているということは、経済学者の中でも非常に高い評価を得ております。
 さらに、消費税を含む抜本的税制改革ということは、私としては、非常に早めにこれをコミットして将来に道筋を付けるということが重要なのではないかというふうに考えております。もちろん早速来年から増税すると、そういうようなことでは決してなくて、将来、さすがにこれだけの財政赤字を抱えている我が国が、このまま増税なしに未来永劫行けるわけはないと、だけれども、国民はいつそれが増税という形で我が身の負担になるのかということが全く分からない状況の中で暗中模索しているということでは、これは国民にとって不幸せなわけであります。そういう意味では、できるだけ早く将来どうするかということを今決めておく、こういうことが必要なのであります。そういうことによって国民の将来不安を払拭する。
 例えば、将来こういう形で税制を仕組んでいきますということを示すことによって、国民は、ある程度の負担増はやむを得ないとしても、これぐらいの負担増でとどまるのかということを理解し、それによって不必要に将来に備え置いていた貯金を今消費として吐き出すことができる。ある意味で、将来にコミットすることによって、将来の絵姿を見せることによって、今の消費を増やすという形での景気対策ということもこれは可能になってくるものでありまして、そういう意味で、こういう将来に対する道筋を付ける税制改正法案附則での記述というのは高く評価するべきものであろうというふうに思います。
 次の四ページでありますけれども、これは釈迦に説法ですが、我が国の国民負担率、確かに欧州諸国並みの高齢化が進みつつあるけれども、まだまだ実際に取れている租税や社会保険料はそこまで多くないと。当然のことながらその分は財政赤字に頼っていて、将来世代にツケを回しているという部分があるということは肝に銘じるところではないかというふうに思います。
 そして、今後この財政赤字に頼っている状態から脱却して、できるだけ今生きている世代の中で高齢化などによって必要となってくる社会保障の財源を何によって賄うのが望ましいかと考えたときに、経済学、財政学の見地から、五ページにありますように、消費税が非常に重要な財源であるということを申し上げさせていただきたいと存じます。
 当然のことながら、所得に比例した形で負担を求めるということは、社会保障の財源としてこれは一つの軸として重要であります。ですから、これはもはや言うまでもなく、既に社会保険料などで所得に比例した形で社会保障財源を賄うということをやっております。しかも、年金においては二〇一七年度までの社会保険料、年金保険料の引上げということが既に定められておりますから、今後確実に所得に比例した形での社会保障財源の調達ということが増えていくということは、もう既に今の法律で定められているところであります。
 さらに、まだ足らない部分を何によって賄うかということが真に議論するべきことで、当然のことながら、その財源を更にもっと多く所得税などの所得に比例した形で求めるのか、それとも消費額に応じて負担をいただくということで賄うのか何なのかということが問われるところであります。
 私は、経済学の立場から、消費税がなぜ望ましいかということを三点ほど挙げさせていただいております。一点目は、申し上げたように、今後既に所得に比例した負担が増えていくということが決まっている。二点目は、もし所得によって負担を求めるということになると、これは働いている勤労世代の方々により重く負担を求める結果になってしまう、それは、ひいては世代間の負担の不公平を助長することになりかねないということ。それからもう一つは、マクロ経済の観点からいいますと、高齢化によってこれからどんどん日本の貯蓄率が下がっていくということが予想されております。その中で、更に所得税を重く掛けることによって貯蓄が減退する、貯蓄の二重課税がより重く行われてしまうということになりますから、貯蓄の二重課税を避け、貯蓄率の低下を食い止めるということが我が国の今後の経済成長を促す意味でも重要になってまいります。
 そういう観点からすると、社会保障の財源は御負担いただかなければならないのだけれども、できる限り経済成長を損なわないようにするという観点からしても、これは消費税が望ましいということになります。消費税は貯蓄の二重課税を全く避けることができるわけであります。
 さらに、税制の世界的潮流ということで考えますと、欧米の潮流はもはや所得税に重く頼るという兆候から消費課税へと主流が移ってきております。我が国だけ引き続き所得税や法人税により重く、更にもっと重く負担を求めるということは、これは国際的な潮流から懸け離れてしまうということになります。
 そこで、先ほど挙げた二点目の世代間の問題についてクローズアップしたいと思います。
 六ページは、内閣府が試算した世代別の負担と受益の関係でありますけれども、高齢世代の方ほど受益が多い、将来世代ほど負担の方が重くなってしまうという現状があります。もちろん、高齢の方々にはこれまで我が国をここまで発展させてくださったという恩義はありますけれども、しかし、ここまで世代間の負担の格差を付けてよいのかということは、これは別途議論しなければならないところであります。
 さらに、所得税、消費税の負担の矛先がどこに向いているかということで、七ページ以降でございますけれども、世代別にそれぞれの負担の分布を取ってみました。
 これは厚生労働省の国民生活基礎調査に基づく数値でありますけれども、この七ページにある姿を端的に申し上げますと、世帯主が七十歳以上の御家族はその半数以上、五割強が所得税を全く御負担しておられないというのが実態であります。これは、年金所得を得ても公的年金等控除で実際は所得税を納めなくてよいということになっているということが多く効いていると思われます。その割には勤労世代、四十代、五十代の方々はそれなりに多く、年に五十万円以上も所得税を納めているというような姿がこれで浮かび上がります。
 さらに、八ページは社会保険料の負担の分布でありますけれども、社会保険料の負担の分布も、これは四十代、五十代の方々で、その世代の中の二割の御家庭が年間に百万円以上の社会保険料を御負担なさっている。社会保険料は基本的には所得に比例する形で御負担をお願いしているものですから、所得を多く稼ぐ勤労世代ほどより社会保険料を払うという構図が出てまいります。
 それに比して、九ページの消費税の年間の支払額の分布を見ますと、それほど世代によって消費税の負担の分布は変わらない。端的に言えば、老いも若きもたくさん消費をなさる方がたくさん消費税を納められる。もちろん、言うまでもなく、たくさん消費をなさるという方はたくさん所得を稼いでおられたりたくさん資産をお持ちだったり、そういう富裕層がたくさん消費税をお支払いになっておられるという構図であります。
 それをまとめました十ページでありますけれども、結局のところ、高齢世代は所得税で負担を求めると負担を免れられる、その代わり、勤労世代は所得税で負担を求めると多く負担をしなければならないということになる。それに比して消費税は世代の差が小さいということですから、世代間格差是正ということを考えても、やはり所得税ばかりに、ないしは所得に比例するような負担ばかりに社会保障の財源を求めるというのはアンバランスなのであります。
 そういう意味でいいますと、今後更に追加的に必要となってくる社会保障の財源は消費税で求めるというのが妥当であろうというふうに考えます。
 もちろん、所得税をそのまま今のような状態で放置してよいというふうには思いません。当然のことながら、税率の構造を見直すなどして所得再分配機能を回復すると、これは既に税制改正法案の附則にも盛り込まれていることでありますけれども、そういうことは必要で、当然のことながら所得税としてもそういう所得再分配の機能を担っていく、それでいて、消費税は経済成長を阻害しないようにしつつ社会保障の財源を安定的に確保していくという意味で重要であるというふうに思います。
 そういう意味で、十三ページでありますけれども、消費税の社会保障財源化ということが、これは今後かぎとなってくるアイデアなのではないかというふうに考えております。
 具体的なイメージといたしましては、十四ページにありますように、役割分担という言い方を私は使っておりますけれども、社会保障の財源はより消費税からきちんと財源を充てていく、それでいて、財政健全化、財政赤字の縮小というものは、これは社会保障以外の歳出を中心とした財政健全化、無駄の削減とかそういうようなものないしは所得税の改正などによって賄われる、そのお金で財政健全化を図っていくと。社会保障の財源確保は消費税で、そして財政健全化は無駄の削減や消費税以外の税によるもので賄うという役割分担を国民に示すことによって将来不安を払拭するということは可能であろうというふうに思います。
 もう一点、法人税に関連するところでありますけれども、十五ページ、一九八〇年以降の世界各国の製造業に対する法人税の表面税率の推移をお示ししておりますが、先進国は競って税率を引き下げております。これも基本的には所得課税から消費課税へという世界の潮流であります。法人所得に対して課税するよりも付加価値税、消費税によって賄うということであります。
 さはさりながら、我が国はそれに追従する必要はないんじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、私は、そうすると逆に日本の労働者に不利益が及ぶという経済悪の理論をここで御紹介させていただきたいと思います。
 これは十六ページにありますけれども、もし外国で、例えばアメリカで法人税率が引き下げられるというようなことがありながら我が国は何もしないということだったとして、我が国は何もしないということだから我が国の経済には特段大きな変化はないだろうというふうに考えがちなんですが、そうではないということであります。
 アメリカでもし法人税が引き下げられますと、株式の配当だとか利子所得の増加とか、そういうことがありまして、資本の税引き後収益率がアメリカで上がります。それによって、アメリカでより多く投資をするとそれだけもうかるということで、アメリカへの投資が世界的に増える可能性が出てまいります。当然、日本にある投資も引き揚げてアメリカに持っていこうというような動きも出てくる可能性があります。そういたしますと、アメリカでは当然、それだけたくさん投資をしてもらい、それで工場が活発に活動し、そしてそこで働く労働者の賃金も上がってくるということがあります。
 ところが、我が国はどうかというと、確かに法人税は下げてはいないかもしれないけれども、アメリカに投資が移ってしまった分、それだけ日本で工場が稼働しないとか積極的な投資が行われなくなって、そこで働く人たちの場がなくなってしまう、我が国において働く場が、雇用が減ってしまうという可能性があり、そういう意味において、風が吹けばおけ屋がもうかる式ではありませんけれども、アメリカでもし法人税が引き下げられて我が国は何もしないということになったらば、実は日本で雇用が失われ、我が国の労働者に不利益が及ぶということが経済悪の論理であります。これが起こる可能性が、まだ顕著ではありませんけれども、ほうっておくと起こる可能性があるということは十分に注意する必要があると思います。
 さらに、増税を先送りすると何が起こるかということですけれども、十八ページに示しておりますように、経済悪の理論で課税平準化政策というものがございます。これは、もし現在から将来にわたって必要な財源を、できるだけ増税を先送りして将来に負担を求めるという形にするのか、それとも、今からこつこつと将来にわたって負担を求める、ですから当然目先、負担が増えるということになるんですけれども、その二つのどちらが良いかということを比較したもので、結論は後者、つまり、今からできるだけ早く負担増をお願いしてこつこつ財源を確保していくと、増税を先送りすればするほどより悪くなるというのが経済学の結論であります。
 別の言い方をしますと、今後いつ増税するかは別といたしまして、明日の増税かあさっての大増税かというような選択しか私はないと思っておりまして、増税すれば不況になるじゃないかという御懸念があるかもしれませんが、明日の増税かあさっての大増税かということしか選択がないとなれば、明日の増税による小さな不況か、あさってに大増税をすることによって大不況が起こるか、どっちを選択するのかということが残された国民にとっての選択であり、大不況を避けるということであるならば早めの増税というのもやむを得ないというふうに思います。
 そして、最後の論点でありますけれども、財源確保法に関連するところで、財政投融資特別会計の金利変動準備金のあるべき姿ということで一言申し上げさせていただきたいと思います。
 こちらの十九ページの資料にありますように、金利変動準備金は、確かに今般の基礎年金の国庫負担割合の引上げという極めて重要な取組に対しては、現下の景況を踏まえれば、この財源確保のために準備金を活用することはやむを得ないと思います。しかし、本来あるべき姿、理想としては、これは客観的な経済学者のお墨付きを得た裏付けとして準備率を千分の五十とするということにしておるわけでありますから、この千分の五十に極力中期的には戻すということが理想であります。ですから、そういうことをきちんと念頭に置きながら今後の準備金の活用というものを考える必要があるのではないかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
#6
○委員長(円より子君) 土居参考人、ありがとうございました。
 次に、浅羽参考人にお願いいたします。浅羽参考人。
#7
○参考人(浅羽隆史君) どうも、こんにちは。白鴎大学の浅羽でございます。
 本日は、こうした席で私の意見を述べさせていただくということで、有り難く話をちょうだいいたしました。
 時間も限られておりますので、私は、ポイントを三つに絞りましてお話をさせていただきたいと思います。非常に簡単ではありますけれども、レジュメを用意してありますので、その三つの点につきまして話をさせていただきたいと思います。
 まず、財源確保法案並びに税制改正法案、この両法案に関連するものでございますけれども、いわゆる埋蔵金の一つなどと称されます財政投融資特別会計の準備金、積立金から四兆二千億円を取り崩し、一般会計の財源に充てる件について意見を述べたいと思います。
 これまで一連のいわゆる特会改革、特別会計改革の中で多くのものが改革されてきておりますけれども、その中で、透明性や、あるいは必要性、あるいは規模等の面で問題があるだろうということで剰余金と積立金につきましては改革をするということで、剰余金は一般会計に繰入れ可能にする、余ったお金ということで余ったものは一般会計、積立金に関しましては必要な水準を定めた上でそれよりも多くの積立てをしない、これを超えてしまった場合には財政投融資特別会計の準備金、積立金でありましたら千分の五十を超えた部分については国債整理基金特別会計へ繰り入れて国債発行残高の圧縮に充当可能にすると。こうした動きに関しましては、年金積立金のようなものは除きまして、多くの特別会計、あるいはそれに限らず、政府が必要以外の資産を持つというようなことは当然望ましいことではないと思いますので、いわゆるバランスシートを軽くするために負債を圧縮するという動きは、私は適切な政策だと考えております。そうした観点からいたしますと、今のこの二〇〇八年度の予算で行われました債務の圧縮といったようなことは改革の成果を具体化したものだということで、私はこの点について評価をしております。
 しかしながら、今般の財源確保法並びに二〇〇九年度予算に関しましては、このいわゆる埋蔵金、埋蔵金という言葉が適切かどうかはちょっと議論があることだとは思いますけれども、そうしたものに関しまして一般会計の歳出に充当をして新規の国債発行額を圧縮するということをなされようとしていますけれども、これは望ましい方策ではないと考えております。とりわけ継続的な支出、継続的に支出をしなければいけないものに対してこうしたものを使うというのは、幾ら百年に一度というようなときであっても、それは望ましくないと私は考えております。
 ただ、もしも、これは実際そういう状況かどうかということではなくて、国債の発行市場、国債のマーケットに与える影響を抑えるんだというようなことで国債の発行総額を抑えるという観点でなされるのであれば、それはそれで一理あろうかとは思います。もちろん、準備金ですので全部使い切ってしまえばいいというようなことではありませんけれども、そうした金融情勢がもしもあるんだとしたら、それはそれで認められるかもしれないと思っています。ただ、その場合にも、一般会計に繰り入れるのではなくて、やはり国債整理基金特別会計に入れた上で借換債の発行額を縮小すればよいと思っております。
 結果といたしましては、新規の国債発行額を縮小しようが、満期が来た国債をその分現金償還をして借換債の発行額を縮小しても、結果的に市場での国債発行総額や、あるいは国債発行残高は同じになります。同じだったら一般会計を抑えちゃえばいいじゃないかという考え方もできるかもしれないと思うんですけれども、ただ、そもそも予算を単年度で作成して、毎年度国会で議論をして、議決をしてというような理由の一つには、これもいろんな理由があろうかと思いますけれども、財政を分かりやすくはっきりさせる、国民のための財政ですから、国民が財政状況がどうなっているのか、これを直ちに分かるようにする必要が常に求められていると考えております。
 そうした観点からいきますと、ストックでいわゆる埋蔵金があるのであればですけれども、それを借金の返済に充てるというのは分かることなんですけれども、資産がこれだけあるのでその分負債を落としました、それは分かるんですが、一般会計に入れてしまって、さもその分は国債発行が抑えられてそんなに財政が悪くなっているわけじゃないんだと、実際に来年度予算は悪くなっていますけれども、それほどではないんだというふうに見えるというようなことが果たして望ましいのかどうかということに関してちょっと疑問があるのではないかと思います。
 ただ、そうした中でも、単発の政策課題の充当ということでしたら、まだそれでも理解ができるかなと思います。例えば、経済緊急対応予備費として一兆円計上されておりますけれども、これに入れるということですとある程度は分かるのかなと。あくまで来年度限り、二〇〇九年度限りということが明確ですし、その緊急対応というようなこともはっきりされている、そして一兆円だけと。
 まあただ、それも望ましいとは思いませんけれども、まだとは思いますが、基礎年金への国庫負担比率引上げへの当面の財源として活用するのは、やはりこれは余りいいやり方ではないというふうに思います。
 もちろん、この件につきましては、税制改正法案の附則におきまして消費税を含む税制の抜本的改革の検討ということが盛り込まれていますので、そこで担保はされているというふうに読むこともできようかと思いますけれども、ただ、やはりこうしたやり方は年金に関しては何といっても、いろんな問題もございましたが、将来不安、将来本当に年金がもらえるんだろうか、これはもう老若男女、私の教えている学生もそうですし、実際に今年金を受け取っている私の両親でさえも将来の年金に対して本当に大丈夫なのか、全幅の信頼を置いていないという状況でございます。それには幾つかの理由がありますけれども、一つは、やはり財源の問題が大きいと思っております。
 そうしたことからいたしますと、やはりきちんとこの点については議論をしておくべきだったと。あるいは、もしそれができなかったということであれば、はっきりと新規の国債発行ということで、いろいろ諸事情あってこうなったということを出すべきだったと思っております。
 中国の古書の礼記では、古人は、入量出制、入るを量りて出るを制すなどと言われますけれども、財政に関してはその逆で、やはり出量入制、出るを量りて入るを制すべきだと考えております。何が国民の生活にとって必要なのか、そのサービスからまず考えて、その必要なものに対してきちんと財源を確保する、これが財政のあるべき姿だと、青臭いようですけれども考えております。
 そして、その際の財源というようなものに関しては、もちろん税は基本であろうかと思います。必要な支出に関してであれば皆できちんと合意をして、多少無理をしてでも合意をして、そして負担をすべきではないかと思います。現状は、財源がないという理由で、ここのところ、もしかしたら必要だとされるような支出をカットされているおそれがございます。とはいえ、支出そのものは必要なものも多うございますので、多くの公債を発行しているという状況でございます。
 この状態はとても問題ではないかと考えております。一つは、必要な支出がこれまででカットされてしまっている可能性があるのではないか。とりわけ、一律カットというようなやり方ですとそうしたおそれが強いのではないかと思います。そこまでして財政をきちんと立て直そうとしている一方で、でも、財政悪化は顕著でございます。様々な財政で支えている我々の生活に必要な制度の維持可能性を危機にさらしている、財政悪化によってですね、おそれがあろうかと思います。もちろん、今すぐ増税をするというのは、これも経済情勢から見ましてもナンセンスだと思いますが、ただ、現在のような経済状況を脱した後にはやはり何らかの税負担増は不可避であるというのは、私もそのとおりだと思っております。
 効率的な行政サービスというのは、こうした負担増の議論と同時並行でも私は一向に構わないと思っています。というよりも、効率的な行政運営は、常に財源が豊かなときでさえも議論すべきものだからであります。とりわけ年金制度の財源につきましては、先ほど申したような将来不安の払拭が不可欠だと考えておりますので、これ以上後手に回らないように現時点で議論するのは当然かと思います。とりわけ増税というものを必要とするならば、それを可能とする景気状況をどのように決めるか、どのように判断するかが後手に回らないということでは大事だと思っております。その点につきまして、どのような景気状況だったら早目に増税をできるのか、そうしたものについての御議論を一定の結論を見るぐらいのところまでやっていただければと考えております。
 二つ目は、所得税法等の一部を改正する法律案に関することでございます。お手元にレジュメを御用意してありますが、それを表紙一枚おめくりください。道路特定財源についてお話をさせていただきたいと思います。
 道路特定財源につきましては一般財源化ということで、これは私は望ましいことであろうと思っております。もちろん、必要な道路の建設は必要であれば当然で、今後、特に維持補修に資金が必要になろうかと思います。ただ、そこに特定財源である必要はないと考えております。
 しかしながら、一般財源化はされるということでありますが、課税根拠があいまいなまま暫定税率などを含めましてそのまま維持するというのは、やはりちょっと税の在り方ということでは望ましくないのではないかと思っております。もちろん、附則で今後検討するというふうに書かれておりますけれども、しかし、実際に一般財源化はしたけれどもということで、暫定税率等を含め現行のものが残りまして、課税根拠があいまいであるという状態はそのとおりだと思います。
 そこで、御提案なんですけれども、こうした道路特定財源に関しましては、OECDの定義では既に環境関連税というふうに定義されておりますけれども、課税根拠として環境負荷税化すべきではないかと思います。そもそも揮発油などの消費による外部不経済につきましては、地球環境への影響など言われていなかった時代に比べ大きくなっていると考えられます。単純に環境負荷税化するだけではなくて、レジュメの一と書かれているところに簡単な図をお示ししましたけれども、そうしたものの一部でもよいと思いますので環境譲与税化できたらという提案を本日お示しさせていただいております。これは、森林整備の実施面積などに応じまして地方公共団体に譲与する、しかも使い道の自由な財源として譲与するものとしてどうかということでございます。
 皆様御存じのとおり、京都議定書で日本のCO2排出量の目標は九〇年基準で六%削減ということでしたが、そのうちの三・九%分を森林による吸収源に求めるということで目標達成計画になっておりますが、現実には、今それでやれるのは大幅に三・九%を下回る状況だというふうに報告がなされております。ここに着目いたしまして、地方公共団体が、別にそれをしろというのではなくて、インセンティブとして森林を整備すると。これは間伐、下刈りとか植栽等でいいんですけれども、そうしたことをインセンティブとしてやれるような仕組みとしてこの環境関連税、環境負荷税化、譲与税化したときに入れられないかというアイデアでございます。
 これは、もう国から地方へのお金ということでどうしても地方交付税などで、そう思う必要はないんですが、国からお金をもらっているというような意識になったり、あるいは大都市圏の税負担で地方圏がやっているというような見方もできないことはないんですが、そうではなくて、国に貢献しているその対価としてこの譲与金を受け取れるというような仕組みはどうかという御提案でございます。
 レジュメの次のページに図二ということで、これを入れたらどうなるのかということを簡単なシミュレーションをしてみました。これを見ますと、現時点で財源がそんなに豊かではないところは当然森林等が多うございますので、仮にそうしたところが面積比に応じて森林経営ということをやった場合にはかなり財源として確保できるというような姿になっております。もちろんこれはただのシミュレーションですので、現実にこうなるというものではございませんけれども、一つの御提案ということで申し上げさせていただきました。
 最後に、その他の動きですけれども、最近の動きとして一点だけ、いわゆる無利子国債あるいは無利子減税国債について、これはもうコメントだけさせていただきたいと思います。
 この無利子国債、様々な議論がなされているところではございますけれども、私自身は将来に向けてこうした議論をするのは意義があると考えております。ただ、今導入する必要があるかということですと、そうではないと考えております。
 理由は、それはまず将来に向けて、でも今は必要ないということは、国債の消化、どうやって、今後も恐らく財政を健全化していく中でも国債をかなり発行していかなければいけない中で、その国債をきちんと消化できるかという局面に直面するおそれがあります。もちろんそうならないようにしなければいけないと思いますが、ただ、そうした局面がないとは言えないと思います。そうした際に、一つのアイデアとして考えておくという意義はあろうかと思います。
 ただ、現実に今国債の消化に困っているというようなことではないと思っておりますので、現時点でこれを今すぐというようなことで入れる必要はないと思っています。とりわけ所得分配等についての問題がいろいろとあろうかと思いますので、そうしたものもきちんと議論した上で、将来のこととして考えるべきではないかと思っております。
 私からは以上でございます。
#8
○委員長(円より子君) 浅羽参考人、ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○峰崎直樹君 お三方、今日は本当にありがとうございました。
 ちょっと今お聞きしただけで、なかなか頭の悪い我々からするとすぐに消化できないというのが実態なんで、アバウトな質問になるかと思いますが、最初に醍醐参考人の方にお聞きしたいと思います。
 醍醐先生のこの資料その他については、前に民主党の部門会議で一度お聞きしたときにもちょっと直感的に感じたんですけれども、こういう剰余金、余っていくお金とか、それは一回限りのものではないのかなと。つまり、もしそれを一般会計に繰り入れたとしても、翌年度からは同じように毎年毎年それが生まれてくるんではなくて、今はアバウトな運営の仕方をしているがゆえにこれだけの剰余金や決算の余りが出てきているけれども、それを一回一般会計に繰り入れてしまうと、実はもう翌年度からは余り出てこないんじゃないかという思いをちょっと持ったんですけれども、ちょっと会計の知識が、余り詳しくないものですから、なかなかそれ以上論証はできないんですが、そんな印象を持ったんですが、その点についてどういうふうに思っていらっしゃるのかが一点目でございます。
 それから二点目のところですが、税のところで、先生のお話聞いていて、税による所得再配分機能が低下をしてきている、あるいは初めに消費税ありきと、こういうお話がずっと続いておるわけでありますが、そうすると、先生は、超過累進制度を持った所得税をやはりこれからの、いわゆる消費税ではなくて、財源に組み入れたらどうだと、こういうお考えなのかどうかということですね。
 その際、累進税率を今、最高税率がかつて相当高い時期がございました、所得税、住民税を合わせると七割、八割行ったときがありましたけれども、そういう高い累進税率をもう一回戻した方がいいということなのか。私は、実はどちらかというと、いわゆる総合課税という考え方に近い、すなわち、課税ベースがどんどん削られていっていますから、そういうところをもう少し広げていった方がいいんではないのか。
 あるいは、最近では税額控除、給付金付税額控除という考え方が出されてきておりまして、これは附則第百四条にも盛られておりまして、これは民主党の考え方、まあ民主党も最近給付付きと言わないで還付付きと言った方がいいんじゃないかという説がありますが、まあどうでもいいんですけれども、そういういわゆる課税ベースを広げていって、所得控除と言われるものをもう少し、一気にこれを少なくしてしまうということの方がいわゆる所得再配分機能の強化には役立つんではないか、こういう見解があるんですが、どのように醍醐参考人はお考えになるか、まずお聞きしたいと思います。
#10
○参考人(醍醐聰君) 一点目ですけれども、私、実は今日意識的にお話ししたのは、積立金については触れなかったわけです。本来、金利変動準備金というテーマでございましたら触れるべきだったかと思うんですが、意識的に触れないで、歳入歳出の面から今日はお話しさせていただきました。それは、今議員がお話しになったことをまさに問題意識としておりました件です。ストックはストックへと、積立金というストックは資産の増加か負債のマイナスというストックの増減へと、これが原則ということは私も理解しております。ストックをフローの財源に使うのは健全ではないと、これは基本的には間違っていないと思います。
 今日お話ししましたのは、歳入歳出という毎年毎年繰り返されるフローの中から、これは単に今年だけではなくて、過去五、六年さかのぼりまして見たときに相当規模の、不用額にしても翌年度繰越額と翌年度歳入繰入額との間に二十兆円ぐらいのギャップがあるわけですね。これを放置していくことはまず考えられないと思うのですけれども、そこのところに目が行かずに埋蔵金という言葉で積立金の話だけがされると。私は積立金についても余剰分は使うことが当然だと思いますけれども、その話ばっかり言って、一過性だ、一回きりだというところで話がストップしてしまっていると、これを私は非常に危惧しているわけでございます。
 例えば、それで不用額というものをどんどん削っていくということは、これは言うなれば結局は一般会計からの繰入れというものを、これを使い残し分があるところはカットすればいいわけです。先ほど査定を厳格にと申しました。ということは、今後、今まで支出されていった、一般会計から出ていったものは一般会計にとどまるわけでありますから、その分は結果的に一般財源は財源となるわけですね。そういう意味で申し上げているわけでございます。
 二点目でございますけれども、私は、今おっしゃったとおり、税率と課税ベースは掛け算でありますから、おっしゃるとおり、この辺りで経済的な問題を取り込めば、税率、しかもそのはい上がりが、非常に細かにやればそれをいかに避けるかという誘因が働きます。したがって、そういう意味で見れば、税率よりも課税ベースの方を基本にするということは、これは望ましい姿だと思います。
 ただ、七〇%から現在四〇%まで下がってしまった。七〇%へ戻すということは私は考えておりませんけれども、その辺りをあの比較試算で、所得税の例えば最高税率を五%刻みで上げていったらどうなるのかと、そういう試算が全くないのはなぜなのかということを私は申し上げたわけでございます。
#11
○峰崎直樹君 ありがとうございます。
 続いて、後でまた醍醐先生、時間がありましたらお願いします。
 実は、土居先生に、これも二点お聞きしたいんですが、一つは、先生のこの出されました図の中で、これは私が毎回使っている国民負担率の計算なんですが、国民負担率を計算するときにGDPで分母にするのか、これはGNIですね。GNIでやるとなると、付加価値税分の高いところが実はベースに入ってくるために、この租税負担率がかなり違った数字になってくるんですね。
 私、昨日もとあるところで説明したときの数字でいくと、これ、何年かというのが書いてないんでちょっと分からなかったんですが、二〇〇五年でいくと、日本は租税負担率が一七・三、社会保険料負担率が一〇・一、合計三八・二というのが数字でございます。そうすると、三九・七だとちょっとやや微妙に数字が全部変わってまいります。特にスウェーデンなんかの場合は、先生これ七〇・一という数字になっていますが、社会保険料負担がスウェーデンの場合はGDP比でいくと一四・〇、それから税の負担が三七・二で合わせて五六・六と。非常に付加価値税分がウエートが高くなってしまうという欠陥を持っているんで、これはどちらが採用するのが、私はやはり諸外国と比較するときはGDPで対比した方がいいのではないかというふうに思っていますが、この点、ちょっと技術的な、テクニカルなことで一点お聞きしておきます。
 それからもう一点なんですが、実は、慶応大学の権丈先生という方がいろいろ書かれている中で、ずっと読んだときに、政府による消費と投資、これはどこの国を見ても大体ほぼ、この権丈先生が出された資料でいくと、その数字はどのぐらいかというと、日本は二〇・五%。すなわち、社会保障以外の分野の基礎的な、経常経費だとか投資的経費とかそういうものを入れると二〇・五。アメリカは二〇・四、イギリス二四・一、ドイツ一九・六と。つまり、ほぼ横ばいなんですね。何が変わってくるかというと、上に上がってくる社会保障の費用でその国のいわゆる大きい政府か小さい政府かが決まってくると。
 そうすると、先生が先ほどおっしゃった、消費税を上げてこれを社会保障財源にするんだと。増税分はそれ以外の経費をコストカットしてくるんだと。そうすると、このコストカットというのは、醍醐先生のように、埋蔵金以外にもフローの毎年の中にカットするものはありますよということなのかもしれません。しかし、私が見ていて、マクロで見たときに、このいわゆる基礎的な、基礎的なというか社会保障費を除いた費用を、これを財政再建に充てるとなるとこれでは足りなくなるんじゃないかなというふうに思うんです。
 これは何を意味するかというと、今政府、これはまた予算委員会で質問しなきゃいけないんですが、消費税を上げたときに、恐らく大蔵省は、いや、これは母屋が非常にがたがたしているんだから、社会保障に使う前にまず母屋をちゃんとすることに必要なんだと、ところが厚生労働省は、いやいや、社会保障がもう大変なんだからこっち使いたいんだという引っ張り合いになってくる可能性があるんですね。そのときに先生どういうふうに思っておられるのかなということで。いわゆる財政再建のためには経常経費ですよ、社会保障は消費税ですよ、増税ですよと、こういう図式というのは余りちょっと私、納得できなかったので。
 この二点、まずお聞きしたいなと。
#12
○参考人(土居丈朗君) 御質問ありがとうございます。
 まず一点目ですけれども、学術的にはやはりGDPを分母に使うということが多いということです。もちろん、OECDの公表している統計もGDPを分母にしているというケースがあります。峰崎先生が御指摘のように、付加価値税の分が変わってくるということはあります。
 今回こちらで用いましたのは、別にそこまでの他意はございませんで、要は、しばしばこういう御議論の中で、一般的には国民負担率という概念がGDPを分母にしたものよりかは流布しているということもありまして使わせていただいているということでありまして、基本的には、高い低いという大きさのパーセンテージのポイントは当然分母が違うと変わってきますけれども。
 私がここで一つ申し上げたかったことでまだ口頭で申し上げていなかったことは、一つには、分母が何であれ、租税負担率の中でのどの税で賄う割合が大きいかということは、これは分母が変わっても同じような予想ですので、特に欧米諸国と比べて法人所得に頼っている部分が顕著に日本は大きいというようなところと、消費課税に頼っている部分がヨーロッパ諸国に比べると小さいというところなどは、これは分母がどうであれはっきりしているところなのではないかということをお示ししたかったということも含んでおります。
 それから、二点目の御質問でありますけれども、確かに、社会保障以外の支出をどこにこの切り代があるのかというようなところになりますと、なかなか厳しいところまで歳出削減とかも来ておりまして、もう手づかみでここが無駄だと言えるほどはっきり国民の目からも分かるというようなところはだんだんなくなってきまして、非常に厳しく精査しないと無駄がここにあったというようなことが見付からないというような、そういうような状況になっておりますので、そういたしますと歳出削減も限界があるだろうということは私も承知しております。
 そうなると、やはり所得税、つまり消費税以外の税、重立ったところでは所得税ということになりますけれども、ここでいかに国民により多く御負担をいただくかと。確かに社会構造が変わるので歳出構造も変えていかなければいけないということではあるんだけれども、いつまでも赤字に依存しているわけにはいかないということになりますと、しかるべき税で御負担をお願いするということもやっていかなければならないと思います。
 それから、先ほど御指摘ありましたように、財務省だ厚生労働省だというような縦割りの意識は早く払拭していただきたいなということは私も思っております。
#13
○峰崎直樹君 浅羽参考人にお聞きいたします。
 環境譲与税の考え方というのは私も大変グッドアイデアだと思っているんですが、税金というのは非常に根拠といいますか、何に対して、なぜ、これは国民に対して、ああ、なるほど、これに対して課税しているんだなと。例えば私たちは、ビール、お酒の値段なんかはアルコール度数に応じて税金掛けたらどうだというような考えを持っているんですね。それは、アルコール度数が強くなればなるほど体に、健康に良くないんじゃないかとか、いろいろ考えているわけでありますが。
 そうすると、この揮発油税以下の環境譲与税の項目は何に対して掛けるんですかと。そうすると、CO2を出すものに掛けるんですよと、いわゆる環境税が炭素税という。そうすると、炭素税になると石炭とか重油とかそういうものが重くなり、こういう揮発油税というのは割と、出すことは出すけれどもそれほど多くない。
 そうすると、そういうことを考えたときに、ちょっとこの今まであったものは全部環境譲与税にしますよというのは、なるほど一つのアイデアであり、分配の根拠を森林に取っていただくと、私のように北海道出身だと、もうこれはもうしめた、ラッキーというふうになるんです。知事に代わって本当お礼をしなきゃいけないと思っているんですが、しかし、よくよく考えたときに、この課税の根拠というのはよほどしっかりしておかないとまずいんですが、その辺りはどのように考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
#14
○参考人(浅羽隆史君) 峰崎先生、どうもありがとうございます。
 ただいまの課税根拠の点ですけれども、私もそれは非常に重要だと考えております。だからこそ、今般、その課税根拠があいまいになったまま一般財源化したというところで今回御提案をさせていただきました。
 私、ちょっと途中を少しごまかしたところもあるんですけれども、シミュレーションで全部変えた場合というふうにしておりますけれども、意見陳述の中で、一部でもよいのでというところは、実は将来の炭素税との適合、フィッティングのところをどういうふうに考えるのかということで、まず第一歩として入れられないかというようなことを考えております。
 ですので、そういった意味では、先生がおっしゃるとおり、将来的に、そうした炭素税が必要かどうか、これも必要かどうかという議論をもっときちんとしないとお話にならないと思うんですけれども、そうした場合にはそこがちゃんと一致するようにしないといけないと思っています。ただ、だからといって、先生がおっしゃられたように、全部をそれにできるのかという議論につきましては、私もそれはそれだけでは立て付けは難しいと思っています。
 その中で、これまでも受益者負担の考え方だということで揮発油税など、道路特定財源としてやられていましたけれども、その考え方の一つの中に外部不経済ということで道路等にいろいろと損傷を与えているというようなこと、これは何も道路特定財源でなかったとしてもある程度は生きる議論だと思っています。ですので、それは、そこも基盤の部分はきちんと残しておいて、それとともに今般やはり、環境への影響等がいろいろと昔考えられていなかったような外部不経済でございますので、それが上乗せされる。恐らくそれは暫定税率の部分とか、それぐらいのところでの議論になろうかと思いますけれども、ただそれは、先ほど申したように、もし炭素税ということで将来的にということですと、うまくそこを適合させるような税率を組まないといけないと思っておりますので、そのような形で提案させていただきました。申し訳ございません。
#15
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
 醍醐先生、ちょっと時間がもうわずか、非常に短くなったので、一点。
 最近かんぽの宿が大変問題になっております。先生の専門であられる会計の観点から、あのかんぽの宿に減損会計を適用して時価会計という評価をするというのは、これはやり方として正しいのか正しくないのか、この辺りですね。
 つまり、かんぽの宿というのは、元々いわゆる利益を目的にしたものでないものででき上がっていたわけですね。そういったものに対して、民間企業で適用しているような減損会計あるいは時価会計というか、そういうものを適用していることに対して本当に正しいのかなというちょっと疑問を持っているんですが、その辺りは先生はどのようにお考えでしょうか。
#16
○参考人(醍醐聰君) それは、一般に継続的にかんぽが自らの手でやっているときに私は減損会計ということはなじまないと思いますが、民間に仮に今言われたように売却するときになったときに、その売却価格は幾らかを査定するときには、これはどうしても売却ベースということになると現時点でのその収益価値、収益還元価値というんでしょうか、資産価値というものを測るときに減損の考え方をそこで用いるということは、これはあり得ることだと思っております。
 ですから、問題は、売却を想定しているのか、引き続きかんぽの宿として継続的に運営していくのかという、まずその判断が初めにありきではないかと。継続してやるんであれば、わざわざ減損会計を導入してどうだという議論は私はないと思っております。
#17
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
#18
○鶴保庸介君 自民党の鶴保でございます。
 私も会計の専門家ではございませんので、今日のお話を聞いてすべてを理解したわけではありません。少し難しいなという感じがございます。したがって、ちょっと一つ一つお伺いしながら理解を深めていきたいなと思うんです。
 醍醐参考人にちょっとお伺いします。
 先生がおっしゃった特別会計の話ですけれども、峰崎先生もおっしゃいましたけれども、どうしても今の御説明を聞いてもまだ一つすとんと落ちないんですね、一年限りではないかという話。ストックの部分とフローの部分をあえて分けてお話をなさったという趣旨の御発言でありましたが、そのことをもう少しちょっと分かりやすくお話をいただきたいということ。
 それから、そもそもの疑問でありますけれども、先生がおっしゃっておられる不用額についての議論は、非保険特別会計、非保険系のものを前提になさっておられるんですよね。その非保険系のものの中にある不用額を除いた翌年度繰越額の中にもまだ不用額があると、そういう意味ですか、今日おっしゃったのは。これもはっきりちょっと教えていただきたい。
 もしそうならば、翌年度繰越額の吟味をする中で、先生は企業会計上の負債性引当金の要件を準用すると。これは、先生のおっしゃられたことが、私の記憶が間違っていなければ、これについては保険系のものも入ってくるということなんでしょうか。保険系の特別会計の翌年度繰越額の吟味も企業会計上での負債性引当金の要件を準用して数字を積み上げていくべきだと、こういう御議論をなさっておられるのか。
 まず、ちょっと確認だけ、三つほど。
#19
○参考人(醍醐聰君) じゃ、簡潔に。
 先ほど、ストックはストックへと申しましたけれども、これ、正確に言うと少し違っているところがあります。先ほど、浅羽先生が一般会計ではなくて国債整理基金へとおっしゃった。私も、一般と言った意味は、国債整理基金を含めているということはちょっと御理解いただきたいと思うんですが。
 そうしますと、例えば積立金を国債整理基金へ入れるということは、ストックからストックではあるんですけれども、その意味は、もうこれは言うまでもなく、その分だけ減債基金をすれば実質的には償還できたことと変わりませんから、今後の国債費というものが、向こう、例えば非常に長期、今六十年ルールなんて言っておりますけれども、その間それが、レベルが下がるわけですね。そうすると、一般会計のそういう歳出というものはその分だけは軽減されるということで、つまり、ストックとフローというのは天と地の全く水と油ではなくて、歳出についていえば、ストックを減らすということは、ストックは歳出の固まりですから将来のフローの固まりです、それを絶対的に減らすということは将来のフローが下がるということです。そういう意味では、その効果というのは、永久なんて申しませんけれども、残存償還年数にわたってはそれは効果が及ぶということを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、翌年度繰越額の中にもなお不用額に近いものはあるのかとおっしゃいましたが、それは、今回のこの試算でいえば一・二兆円ということでありまして、それも精査する必要があると申しましたけれども、私は、むしろ強調したかったことは、ポイントの二とポイントの三の突き合わせということでございます。つまり、翌年度繰越しということは、将来の使途、特定の使途があって繰り越すわけでございますね。そうでないんだったら不用額になっちゃうわけです。次に、決算剰余金の処分の段階になりまして翌年度歳入へ繰り入れています。歳入へ繰り入れるということは、翌年度以降の歳出の見合い財源として繰り入れるはずのものでございますね。
 したがいまして、理念、考え方としては、ポイント二で言った翌年度繰越額とポイント三で言いました翌年度歳入へ決算剰余金を繰り入れる額とは、基本的にはこれはイコールになるんじゃないかと思うわけです。ところが、それは二十兆円ほどのギャップがあるわけですね。つまり、翌年度への歳入繰入れの方が多いわけです。では、その多い分というのは一体何を使途として見合いがあるのかということが問われなければいけない。実は、これが明確な使途がないままの内部留保、根拠のない積立金、内部留保が特別会計に抱え込まれているのではないかということを申し上げたいわけでございます。
#20
○鶴保庸介君 後半の部分について、それぞれにまだ疑問があります。
 それで、まず整理します。最初の単年度制の議論で、とはいえ、とはいえですよ、先生がおっしゃられるように、圧縮の議論は分からぬではないんですが、とはいえ、トレンドとして高齢化が進むこの社会の流れで、福祉予算というのはそれで賄い切れるものかという議論はずっとあるわけですよね。だからこそ、単年度という問題がやっぱり出てきた。単年度のいわゆる埋蔵金なるものをそういうものに流用することが果たしていいのかどうかという話がやっぱりあるわけです。それが少し疑問に思いますので、最後にちょっとその話を聞きたいと。
 それからもう一つ、さっきの特別会計の翌年度繰越しの話ですけれども、いわゆる不用額を吟味をする議論はよく分かるんです。しかし、だとしたら、先生のおっしゃるように、翌年度繰越しのいわゆる内部留保ではないかといういろんな精査をしたとしても、簡単に言うと、歳出してしまえば同じことですよね、その無駄遣いというやつは。要は、歳出予算現額から支出済歳出額と翌年度繰越額を引いたものが不用額だとおっしゃった。簡単に言うと、支出を引いているわけです。その支出の部分を精査しないと、これははっきり申し上げて、不用額の部分で幾ら議論をしたところで同じことになりはしないかという素朴な疑問があります。
 この二つについて先生ちょっと。
#21
○参考人(醍醐聰君) ちょっと御質問の趣旨が分かりにくいんですけれども、翌年度繰越額というのは、当年度支出していないわけです。来年度以降の財源という形で取りあえずは繰り越していこうというものなわけですね。したがいまして、そういう項目については、では、どのような使途を見合いとしているものであるのか、その使途というのは確実な使途というものが想定されているのかどうかを精査しないことにはいけない。それがはっきりしないんであれば、それはむしろ不用額に回っていくものだということになるわけですね。
 よく財政学の方の中でこういう議論がございます。特別会計、一般会計は大きな政府の財布の中の入り繰りにすぎないと、トータルで見れば増えも減りもしないと、だからこれは財政再建には役立たないという御議論がございますが、これは私は根本的に考え方のすり替えをしていると思うんですね。
 例えて申しますと、今母屋で非常に財政が苦しいと、離れで子供が貯金をいっぱいためていると。その貯金使わせてくれないですかと言ったら、離れの子供は、いや駄目だと言った。何でと言ったら、ううんと。何か使い道あるのと言ったら、分かんないと言っているんですね。こういうものを、貯金はあるけれども何に使うか分かんないと言っているものを、今台所が苦しい一般会計で使う。要は、それは財政運営の効率的な運用なんですね、それが。効率性というのは、コストを下げることだけが効率じゃないわけです。
 つまり、一般会計と特別会計は何ら仕切りがなくて、随時いつでも資金が融通できるんであればそもそもこんな議論なかったし、塩川さんもあんなことおっしゃらなかったわけですよ。仕切りがあるからこういう議論がされているんでありまして、そこのところをはっきりさせておかないと私はいけないんじゃないかなと思っております。
 それから、保険系につきましてまで不用額全部はと言っているんじゃなくて、保険系につきましては予備費の不用額ですね、これは一般財源の方に回すことが十分合理的だということを申し上げたわけでございます。
#22
○鶴保庸介君 しつこいようですけれども、いわゆる不用額の議論というのは、特別会計上の無駄をなくすということですよね。その上で、その不用額の算定の中、不用額というか、翌年度繰越しを考え、だから、どう言えばいいんでしょう、平たく言うと、何に使うのと聞かれて、ううん、分かんないという、離れの人に聞いたら、そう答えると。しかし、実際たくさん使っていて、不要なものも使っていて、極端な話、使ってしまえば、そんな翌年度繰越しなんてないわけじゃないですか。そこの部分はこの議論の中には出てきませんよねという話を醍醐参考人にちょっとお伺いをしたいんです。
#23
○参考人(醍醐聰君) どうも不用額といったら、じゃ不用額にならないようにどんどん使ったらいいのかという、そういうことを申し上げているわけではなくて、一般に各項目ごとに歳出予算現額がありますから、上限があり、使途が予算でコントロールされておりますから、そういうのは使い切れない、使えないということはまず前提にあると思います。
 それで、結局不用額になったということは、そもそも歳出予算の段階で、予算の段階で、その使途、実需が適正に評価されていたかどうかということでございます。ちなみに別紙四を御覧いただきましたら、予備費の予算額を二〇〇八年、二〇〇九年度について二年並べておりますが、その中の下の方の外国為替資金特別会計のところは、例えば前年、二〇〇七年度決算で予備費が三千億円、これは一〇〇%不用率です。これと同じ三千億円が八年度、九年度の予算でも計上されていると。これをどう考えるのかということ、具体的に言えばそういうことなわけですね。
 そうすると、そもそも予算を付ける必要がなかったんなら、その分だけはそういうそもそも財源が必要ないということでカットできるわけですね。それをほかの財源として使えるということを申し上げたいわけでございます。
#24
○鶴保庸介君 分かりましたというか、分かることにしておきます。
 それで、一つちょっと、さっき消費税の話を最後に醍醐参考人がおっしゃっておられたんですけれども、この点ではちょっと土居参考人と、真っ向からということではないでしょうけれど、少し考え方に、ちょっと議論が違うのかなという。
 土居参考人にもお伺いしたいんですが、醍醐参考人は、まず消費税ありきという考え方がよろしくないというお話でありました。一方で、土居参考人の方は、将来の消費税を含む議論を、早めに将来の議論に対してコミットしておくことは国民経済的にもすごく意味のあることだというおっしゃりようでありました。
 別に二人で論争していただくことを望んでいるわけではありませんが、じゃ、土居参考人の方にお伺いをしておきたいと思います。醍醐参考人のおっしゃったことも勘案しながら、ちょっと敷衍をしてお話をいただければと思いますが。
#25
○参考人(土居丈朗君) もちろん、社会保障財源が不十分な状態であると、なかなか十分に賄えないがゆえに社会保障費を抑制しなきゃいけないという圧力が掛かっているというような状況でありますから、やはり高齢化に備えれば何らかの財源が必要だということは、これは間違いないと思います。問題は、それを応能原則といいますか、支払能力のある人から求めるか、それとも応益原則といいますか、利益を受けている人から求めるかという、そういう選択の問題がまず残っております。それで、当然ながら、できるだけお金持ちからその財源を取ればいいじゃないかというのは確かに一つのアイデアなのかもしれません。ただ、それは既に社会保険料でも所得比例で取っているということがあります。
 それからもう一つは、先ほど申し上げたように、世代間の格差という問題があって、社会保険料は高齢者の方は余り納められない、医療、介護ぐらいですね。年金保険料はもうもちろん高齢者の方はお支払いになられない。それでいて、やはり年金保険料は相当今後重くなるということが予定されているという中で、できるだけ世代間の負担の分かち合いということを考えるならば、極端に言えば、お金持ちの高齢者の方にも御負担をいただける税とは何かということを考えると、これは所得税ではなくて消費税ということにもなってまいりますので、そういうようなこと。
 それからもう一つは、経済成長を損なわないようにできるだけ、同じ一兆円という財源を確保するのには、所得税で取る、法人税で取るということになるとやはり経済成長率は大きく落ち込みます。それに比して、消費税だとまだそこまでは大きくは落ち込まない。もちろん負担増になると一時的に経済成長を悪化させるということはありますけれども、経済成長を悪化させる割合が消費税の方が少ないということは、これは経済学の分析で知られておりまして、そういう意味でも消費税が望ましいのではないかというふうに考えております。
#26
○委員長(円より子君) 醍醐さんにも聞きますか。
#27
○鶴保庸介君 じゃ、醍醐参考人、よろしいですか。
#28
○参考人(醍醐聰君) 本当を言うと、土居先生と論争したいなとさっきからずっと思っているんですが、今日はそういう参考人が議論する場ではないそうなんですけれども。
 一点ですけれども、先ほど、ちょっとよろしいでしょうか、お金持ちの高齢者からも負担をいただくんだから消費税というお話をしていましたけれども、お金持ちからも負担をいただくのは、なぜ所得税のそれなりの合理的な範囲の累進税率ではいけないのか、むしろ所得税が本来のそういう機能を担うものではないのかと私は逆に思うわけですね。
 それから、所得税は重い、これ以上重くしたらとおっしゃいましたけれども、実はもう表で私、八ページに書かせていただきましたけれども、国税収入に占める所得税率の割合というものは国際比較でも実は逆方向に下がっているわけですね。絶対的には元々低かったわけですね。ですから、これ以上の負担はとおっしゃるんですけれども、これ以上という状況に今なっているのかどうかの事実認識をまずきちんとすることが先決ではないか。
 それから、世代間の助け合いということを保険、年金とかだけで見るのは私は大きな間違いだということを前から言っているわけです。世代間の所得移転というのは、年金とか社会保険料だけではございません。遺産もあれば教育費負担もある、結婚準備資金もあると。様々なものから双方向的に移転がある。特に相続とか教育費なんかは逆方向の所得移転があることを除いて、年金とか社会保険一本だけで世代間の公平、不公平ということを議論するところに私は大きな間違いがあると思っております。
#29
○鶴保庸介君 もう一回土居参考人に振ったら、もう論争になっちゃうと思いますので、それは避けたいと思いますけれども、土居先生、多分おっしゃりたいことたくさんおありだと思いますが、ここはぐっとこらえていただきたいと思います。
 それで、土居参考人にもう一つ、課税平準化政策の部分で、先生がおっしゃったのは、一定の条件のとき、資源配分にゆがみを与える租税が存在しているときという限定付きではありますけれども、増税があってもいいんだというお話でありました。ここの部分は、私、普通素人は考えたら、ああ、そうなのとちょっとびっくりするような、結論だけ聞くとですよ、お話なものですから、いわゆる一般的な常識からすると、その辺りの違和感を払拭するちょっと参考意見をいただければなというふうに思いますが。
#30
○参考人(土居丈朗君) ちょっとここの説明はかなりはしょってしまいましたので、今申し上げさせていただきたいと思います。
 単純に、所得税であれ消費税であれ、税率が高くなればなるほど、なかなか経済活動を阻害するという大きさがどんどん高まってまいります。
 経済理論で導かれた結論といたしましては、例えば五%のときと一〇%のときと比べたときにどのぐらい経済活動を阻害する大きさが大きいのかというと、五%と一〇%というのは税率の違いは二倍なんですが、実は経済活動を阻害する大きさというのは四倍、二の二乗で四倍になると。税率の差の二乗になるように経済活動の阻害の度合いが大きくなるということが、これは経済学で知られております。
 そうすると、五%のときと一〇%のときを比較したときには、五%のときの経済活動の阻害度合いを一とすると、一〇%のときは二の二乗で四倍、さらに一〇%から二〇%ということになると、また同じことですけれども、五%のときよりも二〇%のときは税率に比較すると四倍ですので、四の二乗で十六倍と。ですので、それぐらいの大きさで、五%のときと二〇%のときの状態で見ると十六倍もの大きさで経済活動を阻害するという、そういう計算になります。
 そういたしますと、もうずっとコンスタントに一〇%で取っていて、五%のときに比べれば四倍の大きさの経済活動の阻害がずっと続くということなんですけれども、いずれ、五%でずっと行っても二〇%にどんといきなり上げなけりゃいけないというようなことになったらば、そのときに来る負担の度合いは十六倍という大きさになるわけです。そうすると、将来大きな不況が来る可能性があるという、大増税をするとですね。だから、将来の大増税を防げるように何とか早めに対応しておくということが重要だろうと、そういうことでございます。
#31
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
 時間が来ましたので、浅羽参考人、失礼いたしました、本当は質問があったんですが。終わります。
#32
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。
 では、順次、お三方にお尋ねをしてまいります。
 まず、醍醐参考人にお尋ねいたします。
 特別会計の改革につきましては、二〇〇七年には特別会計に関する法律を成立させましたし、与党としてもかなりメスを入れてきたつもりですけれども、先生のお話を聞いて、まだまだ不十分な点があればそれはメスを入れなければいけないと思います。
 それで、今日のお話随分難しかったんですが、特にどの特別会計に、一般会計に繰り入れることができる余剰金が多いのか、網羅的でなくて結構なんですが、特にこういうところが大どころでメスを入れる余地が多いというところがあれば是非教えていただいて、それは私、先生のお話をまた聞いて検討していきたいと思いますので、ちょっと御指摘をいただけませんでしょうか。
#33
○参考人(醍醐聰君) 別紙三のところで書かせていただいたのと別紙四を併せて御参照いただきたいと思うんですけれども、まず私は、大きいのは外為資金の特別会計でございます。
 よく外為というのは、為替が変動したときに備えなきゃいけないと、現在のレートでいうと積立金がほとんどゼロになるとか、そういう議論が盛んにされておりますけれども、実は外為積立金の中の、これ不用額が随分多いんですけれども、予備費の不用額がそもそもこれでもう三千億円連年ずっとあるわけですね。これはもうすぐにでも改革に手が付けられるものではないのかというふうに私は考えております。
 それから、今回調べてみまして非常に思ったことは、年金というのはこれは将来の財源だから当然置いておかなきゃいけないというわけですけれども、そういう具体的な費目は別にして、ここで言いました不用額が二兆円ほどあるわけですね、二〇〇七年度で申しますと、二兆五千億ぐらいあると。これは年度によってばらつきがございますが、それでも一兆円近くが連年大体出ていると。こういうものは一体何なんだろうと。年金だから取っておかなきゃいけないという、そういう大ざっぱな議論で済まされていていいのかというのが、私、今回調べてみて感じたところでございます。
 時間もございませんので、別紙三とか四を御参照いただけたらと思います。
#34
○荒木清寛君 醍醐参考人に、初めに消費税ありきではいけないというのは私も同感ですが、ただ、国民負担率ということで見ればアメリカに次いで日本は低いわけで、これで十分な福祉政策を推進することは無理だと思うんですね。
 それで、先生のこれまでのお話を聞いていると、所得税をもう少し強化すべきだという御主張かとは思うんですけれども、どういう税制改正をしてそうした社会保障に必要な財源を捻出すべきだという先生のお考えなのか、教えていただきたいと思います。
#35
○参考人(醍醐聰君) 私は、まず、いわゆる特別会計から財源を確保できる金額が恐らく皆様方が想像されているよりもはるかに大きいと思っております。まず十兆円以上の規模ではこれ連年発生してくると思っております、この積立金とか準備金以外で。
 ただ、私もそれで全部賄えるとは思っておりません、あくまでも。それは、所得税の税体系の在り方を考え直すと。先ほどあった最高税率をもう少し戻していいんじゃないか、課税ベースの拡大はどうか、こういうことが必要でございまして、私が次に考えているのが税の中では所得税でございます。
 その点で、ただ、根拠として国民負担率という言葉が出ておりますが、皆さんも御記憶でしょうか、今から七、八年前は国民負担率がこれ五〇%以上超えたら経済活力が損なわれるから抑えなきゃいけないという議論がありました。潜在的国民負担率というような言葉も出てきました。あのときはいかに負担率を抑えなきゃいけないかという議論をやっていたわけですね。今、ところが、もっと上げなきゃいけないとおっしゃっているわけですね。
 私は、国民負担率論というのは、これは実は何を意味しているのか、意味不明の議論をずっとやっているんだと思っております。だから、これが何かの根拠になるのか。例えば、税を上げるというのは、税といっても今どの税をどういう形でということが議論になっているわけでありまして、社会保険料プラス税で増やさなきゃいけないというだけでは、どういう税体系が望ましいのかというのは何事も語っていないわけですね。その点だけを申し上げておきます。
#36
○荒木清寛君 次に、土居参考人にお尋ねいたします。
 先生がおっしゃった明日の増税かあるいは将来の大増税かというお話はよく分かりますし、つらい話を先送りをするという、そういう政治であっては私はいけないと思います。
 ただ、今は本当にもう戦後最大の不況でして、そういう意味では、二〇一一年度にプライマリーバランスを黒字化するという目標がたとえ一年、二年遅れたとしても、今は景気回復を優先すべきではないかと。もちろん無駄な公共事業はいけませんけれども、太陽光発電ですとか、あるいは電気自動車の普及ですとか、あるいは教育に投資をするですとか、さらには社会保障の安心の実現ですとか、そういうところに、今は多少財政再建ということを少しずらしたとしても、そちらの方を優先すべきだというふうに私は思うんですが、先生のお話ではどうももう財政再建ということが前面に出ているんですけれども、この点はどういうお考えでしょうか。
   〔委員長退席、理事大塚耕平君着席〕
#37
○参考人(土居丈朗君) まさに今おっしゃられた点に関しましては、今なすべきことと将来的な財政再建、健全化とどう整合性を取っていくかというところでうまくいいアイデアを組み合わせていくということが重要なのではないかと思っております。
 実際、欧米諸国の景気対策見てまいりますと、必ずコンビになっているのは、まず取りあえず目先の景気対策、財政出動なり金融政策、これが一つのパーツとして出ている一方で、オバマ政権も財政赤字を半減させるだとか、ヨーロッパ諸国も行く行くは財政赤字の削減ということの目標はちゃんと維持していくんだという、こういう短期と中長期という政策をうまく両方示すことで短期の景気対策ももっと効果が出るようにするというアイデアを示しております。
 ですから、私は決して今すぐ、もう何が何でも財政赤字を増やしてはいけないのでそのまま歳出を抑制しなさいということを申し上げたいわけではありませんで、あくまでも短期的な景気対策は景気対策として、もちろんできるだけ無駄をなくすような形で、しかも先ほど荒木先生もおっしゃられましたように環境だとか教育だとか、そういう将来に向けた投資をするような形での景気対策、これを打っていくということと、これは決して、中期的な目標である財政を健全化して、国民負担をできるだけそういう意味では抑制して、経済活動もより活発にしてというものと矛盾するものではないと思っています。
 ですから、確かに一、二年、一、二年で収まらないかもしれませんが、プライマリーバランスの黒字化というのは相当先に目標達成がなってしまうかもしれませんけれども、少なくとも短期と中長期の政策のバランスをうまく取っていくことで両立は可能だろうというふうに思っております。
#38
○荒木清寛君 次に、浅羽参考人にお尋ねいたします。
 ここ数年間、特別会計の改革ということは、行政改革に関する法律、また特別会計に関する法律も成立をさせまして推進をし、具体的に財政再建に貢献をするという形で一定の成果は出してきたとは思っております。
 専門家の目から見られて、この特別会計の改革について更に付け加えるといいますか、加速すべき点があるのであれば御指摘を願いたいと思います。
#39
○参考人(浅羽隆史君) 荒木先生、どうもありがとうございます。
 今御質問をいただいた特会改革で更になすべきことということにつきましては、これはやはり、取りあえずまずはできるだけ整理しようということで特別会計の数そのものが減って、でもその下に勘定がかなり残って、こういったようなところが次のテーマには必ず上ってこなければいけないと思います。
   〔理事大塚耕平君退席、委員長着席〕
 とりわけ社会資本特別会計ですけれども、この中に一般会計からの繰入金がその多く、三分の二から四分の三ぐらい占めている特別会計の勘定がございますけれども、こうしたものに関しましては、将来的に例えば一般会計の中に入れる、あるいは戻すという言い方がいいんでしょうか、そういったような、お金の流れから見て本当に特別会計の中であるいは勘定として残しておかなければいけないのかどうか、これが精査の次のステップになろうかと思います。その際のポイントは、やはり一般会計からの繰入れが非常に多いもの、これが第一歩目ではないかと考えております。
#40
○荒木清寛君 最後に、土居参考人と浅羽参考人、お二人にそれぞれお聞きしたいんですが、といいますのは、お二人の陳述をお聞きする限りは、将来の社会保障の財源として消費税というのをもうある程度重視をするというお考えだというふうに理解をしたんですが、その場合に、当然この消費税の逆進性をどう解消するかということが大きな課題になるわけでして、仮に将来消費税を税率アップをお願いするとしたら、どういう逆進性解消についての対策を打つべきなのか、この点について御示唆をそれぞれお願いしたいと思います。
#41
○参考人(土居丈朗君) 消費税を引き上げる場合に一つ考えられる話は、社会保険料の逆進性を緩和するという形で対応するということが考えられます。
 実は、社会保険料というのは、国民健康保険ないしは国民年金の保険料というのは、たとえ所得が低くても定額の負担をしなければならないというようなことになっております。もちろん、今もう既に軽減措置はある程度は講じられていますが、実際に所得に比して負担率というようなことで取りますと、年収百万、二百万という方は一〇%近くの負担率になっているのに対して、年収一千万以上の方はもっと低い一けたのパーセントになっているというようなまさに逆進性がございます。そういうところはやはりもう少しきめ細かく、つまり国民健康保険の保険料をもう一段軽減措置を講じるとか、さらには国民年金保険料ももう一段の負担軽減を図るとか、そういうような形で低所得の方に配慮するということは一つ大きなポイントとして考えられます。
 当然のことながら、低所得の方がいきなり高い消費税率を払うということになるとなかなか難しいということはあります。しばしば軽減税率ということで議論をされることがありますが、これは私は、もちろん政治的にある程度やむを得ないということはあるかもしれませんが、非常にケアフルに議論する必要があるのではないかというふうに思います。
 例えば、ドイツで実際食料品に対して軽減税率が設けられているんですが、ハンバーガー屋さんでハンバーガーを買うと、これをお店で食べるんですか、それともテークアウトするんですかということによって税率が違ってまいります。そうすると、店で食べますと言うと標準税率が適用されるのに対して、家に持って帰りますと言うとこれは食料品なので軽減税率、一物二価になってしまうというような奇妙なことも起こってまいります。ですから、例えばフランスだとキャビアとフォアグラでは税率が違うとか、そういうようなことが起こってこないような軽減税率の設定ということは、これは十分きちんと議論いただいてお決めいただくというようなことが重要ではないかと思います。
#42
○参考人(浅羽隆史君) 逆進性についてですけれども、どうしても逆進性というと、定義上、所得に対する逆進性ということがこれまでも当然議論されていますし、これからも議論すべきことではあるんですけれども、もう一つ、これだけ高齢社会あるいはいわゆるストック社会になっている現状では、ストックにももう一つ着目した上で逆進性のような考え方を整理する必要があろうかと思っています。ですので、これまで累進課税とかいろいろな議論も諸先生方されていましたけれども、同時に資産課税にも注目した上で逆進性という問題に取り組むべきだと考えております。現状でもしも消費税率を引き上げますと、当然それは所得に対する部分で逆進性が出るというのは、これも間違いなく、そんなに多くは出ないでしょうけれども、それでも出ることは間違いないと思います。
 ただ、それだけでじゃあというのではなくて、同時に、例えば資産課税で相続税をもう少し、何というんでしょう、上と下という言い方は正確か分かりませんけれども、もう少しストックを持っている人の中でも課税対象の方を増やしたり、あるいは最高税率大分下げてきましたけれどももう少し、昔のようなところまでかどうかは別として、もう少し引き上げる形で、ストックの有無による豊かさ、あるいはそうではないと、とりわけ高齢になってくるとストックの有無が物すごく大きな格差を生むと言われておりますので、そうした点も含めての逆進性ということを考える必要があろうかと思います。
 その上で、逆進性対策を更に消費税でというようなことですと、先ほど土居参考人がケアフルにとおっしゃいましたけれども、私は、どちらかというとケアフルにというよりは、ある程度の税率が、十何%というような税率が仮に必要ということであれば複数税率はやむを得ないと思っていますけれども、その場合には、厳密には課税できないというようなことをもう頭に置いた上でやらないといけないぐらいに考えております。もちろん、それがいいことだとは思いませんけれども、どうしてもグレーゾーンのものが出てきてしまうと、それをのみ込んだ上で逆進性、この場合は所得のということになりますが、も考えようということになろうかと思います。
 以上でございます。
#43
○荒木清寛君 ありがとうございました。
#44
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 三人の先生、今日はお忙しい中、ありがとうございました。
 学者の方にもいろんな方がおられるんだなというふうに思いまして、いろんな意見聞けていいなと思っておりますけれども。
 まず土居先生に伺いますけど、土居先生は何度も国会の参考人で来られておりまして、予算委員会でも私も何回か聞いたことがありますけど、毎回余り意見が私と合いませんが、率直な意見をいつも聞かせてもらっていると思いますけど。ただ、ちょっと先ほど気になったので一つだけ言いますけど、今回の政府の税制改正案が、何ですか、経済学者の中で高い評価を受けていると。私、初めて聞く話だなと思うんですけれども、それ本当なんですか。
#45
○参考人(土居丈朗君) すべてとは申し上げておりません。附則で中期的な方針をお示しになられたというその姿勢を高く評価しているという、そういうところであります。
#46
○大門実紀史君 つまり、消費税増税を推進の学者の方には高い評価を受けたということだというわけですね。
 私、もう最後ですので、ちょっと大きな話をお聞きしたいんですけれども、土居先生の資料の十六ページにあるんですけど、これは三人の先生方にお聞きしたいなと思うんですが、法人税の帰着と国際間税率引下げ競争というのがございます。
 申し上げたいのは、今百年に一遍の危機と言われておりまして、今までの市場経済の在り方とか、大きく言えば資本主義の在り方とか、市場原理主義に行き過ぎたんじゃないかとか、とにかくこの二、三十年ぐらいの資本主義の在り方、市場経済の在り方が大きく問われていて、それをはっきり見直すんだという世界の国々のトップリーダーもいるわけですけれども。
 つまり、今までは、この経済危機が起きる前というのは、先生お書きになっているとおり、税でいえば所得税、法人税中心の税制から消費税といいますか、消費課税を重点にしておこうというふうに、流れもちょっとありましたし、まあなっていないところもありますが、叫ばれてきたのは事実でございますね。それは経済のグローバル化が進むものですから、企業利益とかあるいは金融所得とかに課税すると逃げていっちゃうということから、そういう方向といいますか、それが叫ばれてきたわけですが、その結果、こんな事態が起きたという面も指摘されているわけですね。
 つまり、これからも、このお書きになったような引下げ競争を仕方がないと、これはもう歴史の流れだというふうに前提にしちゃって物を考えていいのかなというふうに私は率直に思うんです。それを突き詰めていくと、もう限りなく企業負担をゼロにしていくと、なっていくと思うんですよね、競争して引下げ、足の引っ張り合いになりますから。合成の誤謬ですよね、それぞれの国はいいと思っていても全体では企業負担が限りなくゼロになると。それのお金が仮に労働者とか雇用とかに回るならまだしも、土居先生、さっき経済学的には回るんだとおっしゃいましたけど、実際には回ってこなかったというのが、日本では特にそういう現実があるわけです。
 そうなりますと、元々、大体海外に逃げるというのは、税よりも労働コストとか為替の問題がありますから、そちらの方が大きいと思うんですけれども、仮にこの税の話にしても、そういう方向を、この百年に一遍の危機が起きて、いろんなことを、もうパラダイム転換、考え直さなきゃいけないときに、同じように引下げ競争で国際競争だと、下げないと逃げていくんだという、そういう発想でこれからもとらえていいのかなと。
 実は、国会の中でも、国際連帯課税とかあるいは租税回避についても、財務省もグローバルに考えなきゃとか、ちょっと国同士できちっと何らかの連帯をして、限りない引下げ競争というのはお互いマイナスになるからどこかで歯止めを掛けていこうというようなこともあってもいいんじゃないかと、これから、私は先生のこの資料とは反対の意見になりますけど、思ったりしたんですけど。
 その辺、土居先生、浅羽先生、醍醐先生、それぞれ簡潔に、どういうふうに今経済学者が求められているのかということも含めて御意見あればお聞かせいただきたいと思います。
#47
○委員長(円より子君) では、土居参考人からお願いいたします。
#48
○参考人(土居丈朗君) 今御指摘にあったように、パラダイム転換というのは、これは起こっているという可能性が非常に高いと私は思っております。ただ、何といいますか、法人税の在り方も、当然ながら今までのようなやり方でいいのかということも、これまた問われております。
 当然ながら、国際的な税率引下げ競争は、恐らく日本の財務省とてそんなに歓迎していることではないとは思っておりますが、ただやはり、何といいますか、国際協調がそれほど容易にできるかどうか。例えばOECD加盟国の中でもどこまで協調できるのかということになりますと、確かに、原則的には協調しそうだけれども、やっぱり例えば今回も、オバマ政権は、民主党の政権に替わったんだけれども、景気対策の中には法人税の税負担軽減ということがパッケージで盛り込まれていたりするというようなことがあると。やはり政治的誘惑として、法人の税負担の軽減ということに駆られるというところは政治的にはあって、グローバル化がどうなるかいかんにかかわらず、今既にある法人税負担を何かいろいろな政治的な思惑を込めて引き下げたいというふうに思う節が、私が見ている限りでは欧米ではまだ残っているというふうに思います。
 もちろん、経済学者の中でも今後の世界経済の動きをにらんでどう法人税制考えていくべきかということについては議論がありまして、イギリスでマーリーズというノーベル経済学賞を受賞した経済学者が中心になって、マーリーズ・レポートというものを今議論し、まとめつつあるんですけれども、もちろんそこでも意見がいろいろあるので、その経済学者の意見はぴったり満場一致で合っているというわけでは全然ありませんが、一つの方法としては仕向地主義法人税というようなもので課税していくというのはどうかと。
 つまり、どこに物を売ったかと。例えば日本企業がアメリカに物を売ったということだったら、それで税金を掛けるという、そういうような考え方も出されておりまして、今までの発想は、その会社がどこに立地しているか、どこに本社があるか、そこで上がった利益に課税するという考え方があったりとか、そういうことばかりが多かったんですが、そうじゃなくて、どこに物を売って利益を稼いだかということを基に課税してはどうかという発想も出てきている。
 ところが、よくよく気が付いてみると、どこに物を売って稼いだかという法人税というのは、実は付加価値税に近い発想だったりするわけです。そうなると、法人税と言いながら、実は日本で言うところの消費税に近いような発想の法人税になっていたりするというようなことからすると、私は、引き続き消費課税へのシフトという潮流は、そういう意味も含めて言えばまだまだ今後も続くのかなというふうに思っております。
#49
○参考人(浅羽隆史君) 大門先生、ありがとうございます。
 グローバル化が今後どうなるかという点につきましては、ちょっと直ちに答えを用意しておりませんで申し訳ございませんけれども、ただ、行ったり来たりいろいろと動きはあるでしょうけれども、一度これだけグローバル化したものがいきなりそうでなくなるということは、常識的にもそう考えづらいのかなというふうに私は思っております。
 方向として、先生おっしゃったように、連帯税とか国際協調税とか、それができるのであれば、当然各国政府ともその方が望ましいというふうに第一義的には考えていると思います。少なくとも、私はそれの方がいいとは思います。ただ、それが現実にできるのかという点につきましては、例えばEU諸国だけ見ましても、先ほど私、環境譲与税なんということを提案として申し上げましたけれども、炭素税一つ取りましてもなかなか協調ができない。でも、中にやっているところもある。ですので、楽観と悲観の両方があるのかなというふうに思っています。
 ただ、現実の問題として、税率の引下げ競争が少なくともこれまであったことは事実ですし、今後もしもそれが続くようであれば、やはり日本としては両面で、楽観と悲観の両方の方、楽観の方としては連帯の方向で行けないのかという道を探るのと同時に、しかしながらということで、悲観の方向である程度引下げ競争に乗らざるを得ないんじゃないのかなというふうにも思っております。
 ただ、先ほど大門先生がおっしゃいましたけれども、企業が移転するときに考えるのは税だけじゃないんじゃないかということは確かにそのとおりで、ただ、そのときに税の関連する分野で社会保険料が、またこれが非常に常に議論になるところだと思います。私は、税で引下げ競争と言っているうちがまだいいのかなと、これが社会保険料でということになると、ちょっと日本も社会保険の制度の制度設計がすごく難しくなるなというふうに感じております。そうなると、次もう一歩、更に深刻化するわけですから、考えなければいけないなと思っています。
 ただ、大門先生からの御質問の最もメーンのところであります、ある程度法人税率の引下げ競争を念頭に置かなければいけないのかということに関しては、ある程度は置かないといけないんじゃないのかなというふうには悲観的ですけど思っております。
#50
○参考人(醍醐聰君) 一般に競争と言うときには、例えばイノベーションといいますか創意を大いにかき立ててパイを増やすような競争を、私は積極的にこれは推進するべきだと思いますけれども、今回の法人税率の国際間引下げ競争というのは、一つのパイの中で所得をどこの国のところに帰属させるかというその取り分の問題だと私は基本的に思っているわけですね。
 そうすると、例えば日本の取り分が多くなったと、アメリカの取り分は少なくなった。日本は輸出依存国ですね、今。輸出依存国が、パイの総枠は変わらないで、日本の方に多く持ってきてシフトしたからといって、ではそれが輸出の方面になって跳ね返ってきたら、これはそもそも何をやっているのかと。大門議員がおっしゃった、これも一種の合成の誤謬だろうと思うんですね。果たして、国際競争率の引下げ競争で日本が不利に立たないようにしたことが、合成した結果何をもたらしてくるのかと、そこのところをそもそも考えてかからなければ、これは真っ当な議論にはなっていないんじゃないかというふうに私は考えております。
#51
○大門実紀史君 それでは、私も消費税の問題お聞きしたいというふうに思いますけれども、醍醐先生にお聞きいたしますけど、私、もうほとんど考え方一緒でございますが、特に今政府が言い始めています社会保障目的税といいますか、社会保障財源に消費税というのは、実は財務省は元々社会保障目的税に反対だったんですよ、ほかにも使いたいというので。余り国民からの反対が根強いものですから、社会保障に使いますからと。じゃ、ほかの財源はどこへ行くんだという疑問はあるんですけれども。それで最近、社会保障目的税になってきていると、流れからいくとそういうことなんですけれども、これは本当にもうレトリックというよりも大変なごまかしの話だというふうに私は思っております。
 もう一つは、世代間の公平のためには消費税の方がいいんだというのは、先ほど若干ちょっとやり取りありましたけど、私もう少し詳しく醍醐先生の御意見を聞きたいと思いますが、それは要するに、先ほど土居先生が言われたように、高齢者のお金持ちからどうやって税金を取るかと考えたら消費税というふうに言われましたけど、高齢者のお金持ちだけ消費税掛けるわけにいかないですよね。全般に掛かっちゃいますよ、年金生活者の人にも掛かっちゃいます。
 これをおいておいて、世代間の公平のために消費税は違うというふうに言うのは違うと私は思いますけど、先ほど醍醐先生もう少しおっしゃりたかったような気がいたしますので、この世代間の公平という理屈を付けた消費税増税について、御意見あればもう少し詳しく聞かせてもらいたいと思います。
#52
○参考人(醍醐聰君) 社会保障目的税として消費税というふうにやれば納得が得られるんじゃないかという御指摘でしたけれども、先ほどの質疑にも、あるいは土居先生のお話にもありましたけれども、消費税は社会保障財源で、それ以外の財政再建は別途の財源でというお話ございましたですね。別途とは何ですかというと、歳出の徹底的な削減とおっしゃいましたけれども、いろいろ質疑を交わしていく中で、それでもどうも難しいということで、そうなれば所得税というお話がされましたけれども、実は目的税というときに、どこまでが社会保障の目的なのかということは、これは特別会計でも附帯業務というのが付いて、道路特定財源がそうですね、道路が、どんどんどんどんと附帯業務付いて変わってくるわけですね。
 じゃ、社会保障財源としたときに、財政赤字の方については具体的なものがないと。先ほどのお話は、私は具体的な財源論ではないと思うんですね。何とか徹底的にやりますということはおっしゃっていますけれども、どこに、具体的にどれだけをということではない。そうなったら、財政再建の方で足りないから一部消費税の方を回せないかという議論が必ず私は出ると思うんですね。
 ですから、目的税化するということは、言葉はきれいですけれども、実際の運営で、どこかで財源必要になってきた、所得税の方もなかなかそうはいかないという形で、結果的にぐるぐる回ってきて、消費税が社会保障目的税以外のところに使われるという可能性がだれがないというふうに保証できるのかということを私はまず非常に痛感しております。
 それから、所得分配というのは、じゃ、仮に使い道が社会保障だったらいいんじゃなくて、再分配というのは財源と使途とをセットで考えるわけですね。使途が社会保障だったらいいというわけではなくて、その社会保障の財源を何に取ってくるかということも価値判断なんですね。そこの価値判断を避けることはやっぱり私はできないんじゃないかというふうに思っております。
#53
○大門実紀史君 よく分かりました。
 終わります。
#54
○委員長(円より子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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