くにさくロゴ
2009/06/02 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 財政金融委員会 第17号
姉妹サイト
 
2009/06/02 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 財政金融委員会 第17号

#1
第171回国会 財政金融委員会 第17号
平成二十一年六月二日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任   
     中山 恭子君     橋本 聖子君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任   
     橋本 聖子君     中山 恭子君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任   
     森 まさこ君     塚田 一郎君
 四月二十八日
    辞任         補欠選任   
     塚田 一郎君     森 まさこ君
 五月十一日
    辞任         補欠選任   
     中山 恭子君     世耕 弘成君
     森 まさこ君     小池 正勝君
 五月十二日
    辞任         補欠選任   
     喜納 昌吉君     石井  一君
     小池 正勝君     森 まさこ君
     世耕 弘成君     中山 恭子君
 五月十三日
    辞任         補欠選任   
     石井  一君     喜納 昌吉君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任   
     森 まさこ君     橋本 聖子君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任   
     橋本 聖子君     森 まさこ君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任   
     中山 恭子君     小池 正勝君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任   
     小池 正勝君     中山 恭子君
 六月一日
    辞任         補欠選任   
     川上 義博君     松浦 大悟君
     喜納 昌吉君     森 ゆうこ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         円 より子君
    理 事
                尾立 源幸君
                大久保 勉君
                大塚 耕平君
                小泉 昭男君
                椎名 一保君
    委 員
                池口 修次君
                富岡由紀夫君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                松浦 大悟君
                水戸 将史君
                峰崎 直樹君
                森 ゆうこ君
                山下八洲夫君
                尾辻 秀久君
                末松 信介君
                鶴保 庸介君
                中山 恭子君
                林  芳正君
                藤井 孝男君
                森 まさこ君
                荒木 清寛君
                白浜 一良君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        与謝野 馨君
   副大臣
       内閣府副大臣   谷本 龍哉君
       財務副大臣    石田 真敏君
       厚生労働副大臣  大村 秀章君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       谷合 正明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大嶋 健一君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      堀田  繁君
       内閣府大臣官房
       審議官      福富 光彦君
       金融庁総務企画
       局長       内藤 純一君
       金融庁監督局長  三國谷勝範君
       財務大臣官房総
       括審議官     川北  力君
       財務省主計局次
       長        真砂  靖君
       財務省主税局長  加藤 治彦君
       国税庁課税部長  荒井 英夫君
       厚生労働大臣官
       房審議官     杉浦 信平君
       厚生労働大臣官
       房審議官     二川 一男君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   針原 寿朗君
       経済産業大臣官
       房審議官     大下 政司君
       中小企業庁事業
       環境部長     横尾 英博君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   小武山智安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○資金決済に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、川上義博君及び喜納昌吉君が委員を辞任され、その補欠として松浦大悟君及び森ゆうこ君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(円より子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(円より子君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。
 補正予算の審議も一段落をいたしまして、この法案の審議にようやく入れますことを私もうれしく思っております。
 さて、今日は四十分でありますので、まずこの法案の内容について幾つか確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 消費者庁の関連法案が成立したことは皆さん御承知のとおりでございますが、今回のこの法案の中に入っております金融ADR関係の問題は、実は消費者庁の所管としても対応し得る分野ではないかなというふうに思っておりますので、まず、その消費者庁の対象分野として金融を含めなかったのはなぜかということ、あるいは金融ADRも消費者庁の管轄下に置く方が合理的ではないかということについて、大臣の御意見をお伺いしたいと思っております。
#7
○政府参考人(福富光彦君) お答えいたします。
 消費者庁の創設に当たりまして、消費者にかかわる法律すべてを所管した省庁にいたしますと巨大官庁になるということでございまして、そういった考え方は取らずに、司令塔としての機能を効率的に果たすために不可欠な法律を所管するという考えに基づいて消費者庁を創設させていただきました。
 金融関係でも、実は消費者庁、幾つか法律を所管することとなっておりまして、例えば貸金業法を消費者に身近な問題を取り扱う業法ということで所管することといたしております。また、消費者庁は、民事ルールでございます金融商品販売法を所管いたしますとともに、金融取引を含む消費者契約一般について定めました消費者契約法も所管することとしております。
 これらの法律を所管することによりまして、消費者が正しい情報に基づいて金融取引を行うことができるように取引ルールを整備し、トラブルの未然防止、拡大防止を図ることができるものと考えております。さらに、消費者庁は、自らが所管していない金融取引等に係る規制法につきましても、新法でございます消費者安全法に基づき、所管大臣に対して行政処分等の措置要求をすることができるようになっております。
 このように、消費者庁は、自ら所管する法律あるいは消費者安全法等によりまして、金融分野における消費者トラブルにも適切に対応できるというふうに考えております。
 また、今回創設されます金融ADRでございますけれども、消費者庁につきましては、独立行政法人国民生活センター法を所管しておりまして、国民生活センターによりますADR、これは管轄下に置いてございます。国民生活センターADR以外の個別分野のADRにつきましては、当該分野の専門的知見を有する所管大臣に監督をゆだねる方が望ましいということで消費者庁の所管とはしていないところでございます。
 以上です。
#8
○大塚耕平君 内閣府としての御説明は分かりましたので、今の内閣府の御説明を受けた上で、金融担当大臣としてこの金融ADR、消費者庁との関連についてどのようにお考えになっているか、改めてお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(与謝野馨君) 金融庁としての専門的知識が必要な分野でございますから、金融ADRについても、金融商品・サービスに関するいろいろなトラブルの特性や取引の専門性にかんがみまして、他の個別分野のADRと同様に消費者庁の所管とする必要性は低いのだろうと思っております。
#10
○大塚耕平君 そうすると、例えば消費者庁関連法案の附帯決議に、たしか二十八項だと思いますが、多重債務対策を消費者庁の重要な任務とすることというふうに附帯決議が付きましたので、そうした附帯決議の考え方と今の内閣府あるいは大臣の御答弁との整合性についてはどのようにお考えになりますでしょうか。内閣府と金融庁、それぞれにお伺いします。
#11
○政府参考人(福富光彦君) お答えいたします。
 消費者庁は、先ほど申しましたように、貸金業法等の所管法あるいは消費者安全法の適切な運用、さらに国民生活センターや消費生活センターの機能の強化、消費者教育等の促進、こういったことを通じて多重債務問題解決に重要な役割を担っているというふうに考えております。
 多重債務問題は、貸金業者等による過剰な貸付けあるいは債務者の生活再建など多くの問題が重なり合った問題でございまして、この対策は内閣一体としての取組が重要であるというふうに認識しているところでございます。
#12
○政府参考人(内藤純一君) 引き続きお答えをいたします。
 消費者庁は、政府の消費者行政の司令塔としての役割を担っていくものと承知をしております。
 多重債務問題は、金融を含みます経済問題というだけではございませんで、更に大きな意味での社会問題であるという認識がございます。その解決に向けまして、貸金業に係る政府対応のみならず、社会政策や消費者教育、やみ金の取締りなど、関係各省庁によりまして政府全体として横断的に対応することが非常に重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 このような観点から、参議院におきまして御指摘のような附帯決議がされたものと承知をしておりまして、消費者庁の役割、所掌と矛盾するものではないというふうに考えております。
#13
○大塚耕平君 消費者庁もそれからこの法案が無事に可決された場合にできる金融ADRについても、これからの組織であり制度でありますので、双方、整合的にかつ国民の皆さんに役に立つような組織であり制度であるようにしっかりとこれから整備をしていっていただきたいと思います。
 それから、この法案については、衆議院の方で私どもの要望も受け入れていただいて修正案が可決されておりますので、金融庁に、この修正案の内容についてちょっと金融庁なりの認識を御説明いただきたいのと、その中の附則の二十一条の修正案の内容を御説明いただくと同時に、これをどのように具体化していくおつもりなのか、少し考えを聞かせていただきたいと思います。
#14
○国務大臣(与謝野馨君) 衆議院で可決されました金商法改正案の修正案は、消費者庁の関与の在り方や業態横断的かつ包括的な紛争解決体制の在り方も含めた金融ADR制度の在り方についての検討条項を追加するものとなっております。
 金融ADRについては、今後、金融トラブル連絡調整協議会等の場において業界団体等における横断化に向けた取組などを促すこととしております。その上で、金融ADR制度の指定紛争解決機関の指定状況や紛争解決等業務の遂行状況等を勘案し、法律の施行後三年以内に、金融ADR制度の在り方について検討を行い、必要があると認めるときは所要の措置を講ずることになると考えております。
#15
○大塚耕平君 それでは、現時点における金融界の紛争処理制度、組織の実情について、金融庁の把握している情報を御説明いただきたいと思います。
#16
○政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。
 金融業界におきましては、例えば全銀協、日証協、生保協会などの業界団体、自主規制機関におきまして、弁護士や消費生活相談員等から成るあっせん委員会等を設け紛争解決の取組が行われているものと承知をしております。また、金融商品取引法の枠組みの下でも、日証協でございますとか全銀協、生損保協会などの、これが法律的にも位置付けられている、認定投資者保護団体として位置付けられているというものもございます。
 また、金融分野全体における紛争解決の取組の改善を図るために、金融庁におきましては、平成十二年九月より関係行政機関、消費者団体、業界団体等が参加する金融トラブル連絡調整協議会を設けておりまして、業界団体等の苦情・紛争解決支援手続モデルの策定、業界の枠を超えた情報交換、意見交換の取組を進めてきたところでございます。
#17
○大塚耕平君 大臣ないしは局長にお伺いしたいんですが、金融界というのは顧客とのトラブルとか紛争というのは比較的多い業界だという御認識ですか、それとも余りそういうトラブルはない業界だという御認識ですか。
#18
○政府参考人(三國谷勝範君) 多い少ないということを一概に申し上げることは困難でございますけれども、全国各地の銀行協会に銀行とりひき相談所というのがございますけれども、ここには相談とか照会とか苦情、こういったものは年間大体四万件から五万件の間で来ているというのが全体的な傾向でございます。
#19
○大塚耕平君 恥ずかしながら、私、今お話のあった銀行とりひき相談所というものの存在は今回の一連の法案の資料で初めて知りまして、知らなかったんですが、正直にお答えいただきたいんですが、三國谷さんはこの銀行とりひき相談所の存在はこの法案のレクを受けるまで御存じでしたか。
#20
○政府参考人(三國谷勝範君) 存じております。
#21
○大塚耕平君 大臣は御存じでしたか。今、横で、大臣は知っていたかなという声があったんですが。
#22
○国務大臣(与謝野馨君) 存じ上げませんでした。
#23
○大塚耕平君 私も知らなかった、大臣も知らなかったということは、恐らくほとんどの国民の皆さんはこの銀行とりひき相談所の存在は知らないわけであります。
 ちなみに、今年間で四万件ぐらいの紛争があるというお話でしたが、この銀行とりひき相談所ではそのうちのどのぐらいを取り扱っているんでしょうか。
#24
○政府参考人(三國谷勝範君) 今申し上げましたのは、この銀行とりひき相談所に来ている相談でございますとか照会あるいは苦情、その合計でございます。
 この銀行とりひき相談所でございますが、前身は銀行よろず相談所というものでございまして、二〇〇六年四月にこの名前に変わっております。この銀行よろず相談所というのは、その前様々な相談所がありましたものを昭和六十二年にこのよろず相談所に整理統合したと、こういったものでございます。
 四万件という数字はそういう数字であることを御理解いただきたいと思います。
#25
○大塚耕平君 それでは、また局長で結構なんですが、金融、銀行に係る紛争は、内容的にはどういうものが多いと認識していらっしゃいますか。また、あるいは内容的に深刻なのはどういう紛争だと思っていらっしゃいますか。
#26
○政府参考人(三國谷勝範君) 様々な業務がございますが、例えば預金に関するいろいろな相談あるいは苦情でございますとか、あるいは貸出しに関するもの、あるいは手形に関するもの、それからまた、物によりましては証券業務あるいは保険業務に関する窓販関係のものでございますとか、大体銀行の業務全般に関するものにつきまして様々な形でそういった苦情等が寄せられていると承知しております。
#27
○大塚耕平君 その中で、深刻なものはどういうものだと思いますか。
#28
○政府参考人(三國谷勝範君) 深刻かどうかというのはちょっとなかなか定性的な話でございますので一概に申し上げられませんが、これも毎年毎年傾向が変わるわけでございますけれども、件数としては預金に係るものとかというのが結構多いと承知しております。
#29
○大塚耕平君 確かにどれも顧客から見れば深刻なものばかりなんですけれども、例えば、今回いただいた一連の資料の中で、銀行とりひき相談所に持ち込まれるものの中で割と御高齢の方が、預けたはずだとか、何かこういう取引をしたはずだという若干記憶があいまいな部分に基づくトラブルとか、こういうものは結構あるんですけれども、これは言わば、何か健忘症であったり御高齢が原因であったりするようなものでありますので比較的きちっと対応すれば解決できるものかと思うんですが、今幾つか類型を挙げていただいた中で、やっぱり私は深刻なのは融資をめぐる紛争だと思っているんですね。
 これはもうこの委員会でもずっと長い間いろんな角度から取り上げられておりますが、融資の中でもとりわけ銀行側の提案で、こういういいビジネスができますから、あるいはこの不動産はこういう活用ができるはずですから借りてみてはどうですかという言わば提案融資を受けて、その後そのとおりにならない、これは銀行の提案で始めた取引なのでちゃんと責任取ってほしいというような、こういうトラブルが私は相対的には深刻度が高いんではないかなと思っておりますが、その点についての認識は大臣はいかがですか。
#30
○国務大臣(与謝野馨君) バブルの時代のことを思い出しますと、私の地元でも、例えば酒屋さんを経営していた、そこに銀行がやってきてビルを造ると一生楽して生活できますなんといううまい話をして、ビルが完成しましたらたな子は全然入らない、酒屋さん一家は夜逃げのようにその町から消えていくと。こういう銀行の話に乗って失敗したという例は幾つも知っております。そういうときには、銀行に苦情を言うと、銀行の方は担当者がさっさとどこかの支店に転勤していたりして、なかなからちが明かないと。そういうトラブルはバブルの時代には非常に多かったように思います。多分今もそういうことは起こっている可能性はあると思っております。
#31
○大塚耕平君 多分これは大臣も与党の先生方も認識は一致していると思うんですが、おっしゃるとおり今でもそういうことは起こっていますし、これがかなり深刻であり、繰り返し起きる悲劇なんですね。今現在でも、この二〇〇〇年代半ばのミニバブルが国内でも起きていたわけでありますが、その間に、借りてほしいところには随分提案融資をして、その後、今のこういう株価の状況や不動産市況の状況でトラブルになっているものも私が知り得る限りでも何件もあります。そして今また、リーマンショック以降の不況の中で、銀行は本当に貸してほしいところにはなかなか貸さないんですけれども、まあ彼らの立場も分からないではないんですけれども、特段企業性のない企業に是非借りてくれという今営業活動を随分やっているわけですね。
 したがって、この金融ADRがこういう融資をめぐるトラブルの解決ないしはトラブルを未然に防ぐことにどれだけ寄与できるかということが非常に重要なポイントだと思っているんですが、その点について今回のこの法案ではどういう工夫がなされているんでしょうか。
#32
○政府参考人(内藤純一君) 金融ADR制度におきましては、金融商品・サービスに関して発生する幅広い苦情、紛争を対象とし得るよう、金融関連業法の対象となっている金融機関の業務を金融ADRの苦情処理、紛争解決の対象としております。例えば銀行における金融ADRにつきましては、銀行の行う業務のすべてを金融ADRの苦情処理、紛争解決の対象としておりまして、お尋ねの融資につきましても金融ADRの対象という形で措置しているところでございます。
#33
○大塚耕平君 大臣、これは私の提案なんですけれども、本当に繰り返し悲劇を見てきておりますので、今後、例えば銀行融資を行うときの約定書に、この融資は銀行側からの提案によるものである、ないしは顧客からの申出によるものである、あるいは双方の合意に基づくものであるという、どれによって成立した融資であるかということを約定書に明記をさせるというようなことを金融庁として何らかの指導をなさるなり、そういう政策的対応を工夫するなりというお考えはないでしょうか。
#34
○国務大臣(与謝野馨君) 大変立派な御提案なんで、金融庁内部で検討をしてみます。
#35
○大塚耕平君 もう一個提案なんですけれども、その融資を合意するときに、この融資をめぐる取引に関して将来紛争が生じた場合には金融ADRにおいて紛争処理を行うことができるということをちゃんと約定書に明記をして、まず借り手にそれを認識をしていただくということも融資契約を結ぶときに必ず義務付けるということも提案したいんですが、いかがでしょうか。
#36
○国務大臣(与謝野馨君) 消費貸借契約の中に例えば一次的な解決策は金融ADRを使ってやるということが約定されていても、これは別に違法ではないので、そういう契約は十分成立し得るものと私は考えております。
#37
○大塚耕平君 この法案の内容がどういうふうにいいものになっていくかということについては、しっかり今後も私も見届けさせていただきたいなというふうに思っております。
 それから、資金決済の法案についても一つだけ質問をさせていただきますが、法案の条文第八十六条に、資金清算機関に対する処分に関して日本銀行と意見交換することができるというふうにわざわざ書いてあるんですけれども、しかし、清算機関を処分する場合に日銀に相談するなり日銀の意見を聴くというのは、何かわざわざ条文に設けなくても当然のことのような気がするんですが、わざわざこの条文を設けられた理由について御説明ください。
#38
○政府参考人(内藤純一君) 日本銀行、申し上げるまでもございませんけれども、我が国の中央銀行として資金決済システムの安全性、効率性の確保を図る上で重要な役割を担っていると考えております。
 また、この資金清算機関が行う資金清算において生じた銀行等の間の債権債務につきましては、確実な資金決済を確保するため、通常、日本銀行の当預口座振替を通じて決済が行われると。
 こうした点にかんがみますと、日本銀行の役割、業務に照らして、資金清算機関に対する処分を行うということで必要があると認める場合には、内閣総理大臣といたしましては日本銀行に対し意見を求めるということができることとしたのがこの法律のこの条項の趣旨でございます。
 同様の規定、必ずしも同様の規定ではございませんけれども、預金保険法にも、現在はこのペイオフコストを超える資金援助というような形の発動形態につきましてはもう失効しておりますけれども、かつてこれを発動する場合においても政府は日本銀行に対し意見を求めることができるということで、この決済システムについて常時見ておられる日本銀行と緊密な連絡を取るということをこの法律の条文においても明確にうたいまして、その緊密な連携というものを明確にメッセージとして発信をするというところに趣旨があろうかと思います。
#39
○大塚耕平君 この二法案の内容については、この後の同僚議員や与党の委員の皆様方の質疑も聞かせていただいて私なりに更に勉強させていただきたいと思っております。
 今日は、ちょっと残された十五分ぐらいを使いまして、先般の予算委員会で大臣とやり取りさせていただいた内容のフォローアップを少しさせていただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
 お手元に、予算委員会、五月の二十日と二十一日の審議の際に私の方からお示しした補正予算の実態という資料があります。下の方に支出先がどうであったかという数字がありまして、私の質疑の冒頭に大臣が、少し数字が財務省の認識と違うということで、この赤字で書いた数字を御発言いただきました。その内容について、質疑の中でその差について十分にフォローできませんでしたので、ちょっと確認をさせていただきたいんですが。
 まず、私の御提示した黒字の数字は、これは各省庁から出てきた数字を集計したものですので、各省庁の認識はこうであったということであります。そして、例えば地方公共団体のところで五兆円ぐらい差額が出ておりますが、これは要するに、私のところで補正額との差額ということで一番右に出てきた五兆が要は地方公共団体向けの補助金として地方公共団体のところに載ってきているわけでありまして、それが大臣があるいは財務省が御提示いただいた五兆九千八百四十五億に近い数字になります。
 それから、大きな差として、公益法人のところが、私の数字では一兆二千九百四十四億だったんですが、財務省は二千九百八十八億だという御提示だったんですが、この差の一兆は何かというと、要は、赤字のところで一番右側に出てきている補正額との差額一兆二千八百三十九、この部分が差額となっております。これは何かというと、中央職業能力開発協会ですか、あそこに計上した七千億円とか、あるいは農業会議所と言われるところに支出をする農水省の予算、これらがこの赤字の一番右側の一兆二千に入っているものですから、これは事実上の特殊法人、まあ公益法人というかどうかは別にして、そこのところが差額となって出てきていたわけでありますので、実際は公益法人あるいは公的セクターということでここに含めれば、私の御提示した、つまり各役所から出てきた集計数字とほぼ一致するということでありますので、決してそごはないというふうに思っております。
 その上でちょっと二、三質問をさせていただきたいんですが、この中央職業能力開発協会に今回七千億、七千億渡すことになっているんですけれども、これ、中央職業能力開発協会というのは会計検査院からどのような指摘をされた組織であるのか、そして今人員がどのくらいの組織であるのかを、それぞれ会計検査院と厚生労働省から説明をしていただきたいと思います。
#40
○説明員(小武山智安君) お答え申し上げます。
 会計検査院は、厚生労働本省、職業能力開発協会のほか八都道府県協会等におきまして会計実地検査を行いまして、中央協会等に平成十四年度から十八年度までの間に支払われました生涯職業能力開発事業等に係る委託費及び技能向上対策費補助金を対象として、合規性等の観点から検査を行いまして、平成十九年度決算検査報告に不当事項として掲記いたしております。
 このうち、生涯職業能力開発事業等に係る委託費につきましては、中央協会が事務所の一部を本件委託事業とは関係のない団体に事務所として使用させていたにもかかわらず、これに係る事務所借料、共益費、清掃料、電気料金及び電話料金の一部を含めて本件委託費から支払う事務所借料等を算出していたり、中央協会から本件委託事業の一部を再委託されていた八都道府県協会が懇親会に係る飲食費等を支払ったり旅費を不正に支払ってこれを別途に経理したりしていたにもかかわらず、中央協会がこれらの経費を含めて再委託による事業の実施に要した経費としていたりしたなどのために、本件委託費の支払額が二千五百四十五万五千七百五円過大となっている事態を指摘しております。なお、お尋ねの中央協会に対して過大となっている支払額は、このうち二千四百六十九万五千六百三円であります。
 また、技能向上対策費補助金につきましては、お尋ねの中央協会が委託事業と同様に補助事業とは関係のない事務所借料等や懇親会に係る飲食費を補助対象経費に含めていたため、国庫補助金交付額が千九百四十九万七千三百二円過大となっている事態を指摘しております。
#41
○大塚耕平君 厚生労働省は、ここの人員だけ回答してください。何人で運営している組織ですか。
#42
○政府参考人(杉浦信平君) お答えいたします。
 中央職業能力開発協会の職員は現在百二十六名でございます。
#43
○大塚耕平君 そのうち厚生労働省から第二の職場として行っている方々は何人ぐらいですか、大体でいいですけど。
#44
○政府参考人(杉浦信平君) 役員が五名行っております。
#45
○大塚耕平君 財務省に聞きますが、ここに七千億円を渡すんですが、これは銀行振り込みですか。どういう形で七千億円渡すんですか。
#46
○政府参考人(真砂靖君) 通常の予算の執行と同様、この協会の銀行に国庫金として振り込むというふうに承知いたしております。
#47
○大塚耕平君 七千億ですよ。ここの協会のメーンバンクはどこですか。
#48
○政府参考人(杉浦信平君) 済みません。ちょっと、現在手元に資料がございませんので、後ほど御説明させていただきます。
#49
○大塚耕平君 預かった七千億はすぐ使うわけじゃないんですけれども、その間、この協会は、これ、どういうふうに処理をするというふうに厚生労働省として、厚生労働省所管法人ということになっていますからね、厚生労働省として認識をしていますか。
#50
○政府参考人(杉浦信平君) 基金の運用方法につきましては交付要綱を定めることにしておりますけれども、そこの中におきまして、国債その他厚生労働大臣の指定する有価証券の取得、それから銀行その他厚生労働大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金、信託銀行を営む銀行又は信託銀行への金融信託、ただし元本保証のあるものに限るものとする予定にしておるところでございます。
#51
○大塚耕平君 いかなる預け方あるいは管理の仕方をしたとしても、国債を買うにせよ、銀行預金をするにせよ、利息収入等が入るわけでありますが、入った収益は、これは協会のものですか。
#52
○政府参考人(杉浦信平君) 同じく交付要綱におきまして、運用の過程で生じた果実につきましては基金に繰り入れるということを交付の条件とすることとしております。
#53
○大塚耕平君 財務省に聞きますけど、今の交付要綱、基金に繰り入れるということは、七千億の基金に収益として上積みされるわけですよね。今回の補正予算で、私たちは反対ですけれども、可決をされたのは、この協会に七千億を渡すということだけなんですよ。この七千億の国の財産に基づいて生まれた収益は、これ基金に積むというのは、補正予算の採決の効力が及ばない部分であって、当然国に返還すべきものだと思っておりますが、いかがですか。
#54
○政府参考人(真砂靖君) 基金に一定の金額が積まれますと、全く運用しないというわけにまいりませんので、運用益が生じます。その運用益については、今厚生労働省から御説明がありましたように、この基金に繰り入れて、基金の使途に充当をすると、最終的に事業が終わったところで残金を全額国庫納付していただくというふうに考えております。
#55
○大塚耕平君 大臣、これ、率直な印象として、この協会に七千億を預けるというのは、私は大変危ないと思っておりますし、不適切だと思っておりますが、大臣はどう感じておられますか。
#56
○国務大臣(与謝野馨君) ただ渡しただけではなくて、一定の仕事をやっていただくためにお預けするわけでございますから、厚労省の監督の下で目的とする事業をきちんとなしていただくということでございます。これは、現場を監督指導する専ら厚労省のやっぱり使命感と熱意と責任感によるものだと私は思っております。
#57
○大塚耕平君 その使命感と熱意と責任感に疑義があるから、こういうことを申し上げているんです。
 この委員会でも、厚労省をめぐってはかつて私自身は選択エージェンシー事件というのを取り上げて議論をさせていただきましたが、そのときにも、後に事務次官になられる辻さんに、当時は審議官だったと思いますが、もう本当にきっちりした処分なり対応をしないと辻さん自身が事務次官になったときに厚生労働省は信用されませんよというふうに申し上げ、辻さんもしっかりとそのことを認識して対応すると言って、その後、事務次官もおやりになって、今はお辞めになったはずですが。
 しかし、現に今厚生労働省で起きている様々なことを考えると、ああ、また空手形だったなと。そして、今この中央能力開発協会で起きている、あるいは会計検査院から指摘されていることを踏まえると、ここに十五兆の補正予算のうちの七千億をいきなり預けるということは是非やめていただきたいというのが率直な印象であります。
 ここでそれを主張していてもせんない話ですから、私自身は、この協会がどういう事務体制で、これどういうふうに資金を今後管理していくのかについては議員としてしっかりとフォローアップをさせていただくつもりでありますので、是非、財務省としても、あるいは会計検査院としても、ここの協会のビヘイビアについては抜かりなく、厳重に監督していくということについて、一応一言ずつ決意を聞かせていただきたいと思います。大臣と会計検査院。
#58
○国務大臣(与謝野馨君) あらゆる基金につきましては、やはり国会が正確な情報を持ち、また各省も機会あるごとに基金の使用状況というものを私は国会に報告すべきことであると、そのように思っております。また、なおかつ財務省としては、各省庁を督励して、基金が目的どおり有効かつ適切、効率的に使われるように私どもとしても努めてまいる決意でございます。
#59
○説明員(小武山智安君) お答え申し上げます。
 会計検査院は、これまでも国が補助金等を交付して設置、造成させております基金が有効に活用されているかなどにつきまして検査を実施しまして、その検査結果を決算検査報告に掲記してきたところでございます。
 また、今後とも、国からの支出によって設置された基金につきましては、国からの支出が適正に行われたかを検査するとともに、設置された基金が有効に活用されたかなどにつきまして、支出された年度以降も引き続き検査を行いまして、財政資金が経済的、効率的、効果的に使用されているかにつきましては厳正に検査してまいりたいと思っております。
#60
○大塚耕平君 厚生労働省についても決意だけ聞かせてください。
#61
○政府参考人(杉浦信平君) 厚生労働省といたしましても、これまでの御指摘等を踏まえまして厳正に監督指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#62
○大塚耕平君 今御答弁いただいたのは杉浦さんですか。
#63
○委員長(円より子君) 杉浦審議官です。
#64
○大塚耕平君 杉浦さんと会計検査院、小武山さんとお読みするんですか、よく記憶しておきますので。先般の予算委員会でも、二〇〇二年の当委員会において地方公共団体の地方債保有等についてしっかりフォローアップするとお約束していただいたんですが、その後十分なフォローをせずに、今消防庁長官をしておられる方においでいただきましたけれども、杉浦さんと小武山さんも、今のここでの御発言、私もよく記憶しておきますので、この協会が間違っても不祥事を起こすようなことのないようにしっかり監督をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、もう一つだけ質問をさせていただきますが、大臣、このさっき御覧いただいた補正予算の私の出した資料の中で民間団体等という支出先があるんですね、民間団体等。これは各目明細の一番右側に民間団体等に支出するというふうに書いてあったものの集計値なんですよ。一兆二千二十九億。
 農水省に聞きますが、この民間団体等の定義は何ですか。私に提出していただいた資料があるはずですから、それを朗読してください。
#65
○政府参考人(針原寿朗君) まず、朗読いたします。
 民間団体には、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、特例民法法人、認可法人、社会福祉法人、学校法人、特殊法人、一般企業、協同組合、特定非営利活動法人等が含まれ、民間団体等には、上記の団体のほかに独立行政法人が含まれる。朗読いたしました。
 これ、民間団体の文言につきましては、従来から予算書等において慣例的に国及び地方公共団体以外の者を広く指すものとして整理されていることが多いということから、そういうふうに説明させていただいたわけでございます。
#66
○大塚耕平君 もうこの発言で次の牧山委員にバトンタッチさせていただきますが、大臣、結局この支出先、先ほど申し上げましたように、公益法人の差額部分というのは、中央職業能力開発協会の七千億とか、さっき申し上げた農業会議所と言われる部分が差額なんです。そして、この民間団体等というのは、今お聞きのとおり、これ公益法人も独立行政法人もこの中に入っているんです。つまり、現時点で支出先がどこになるかということが明確に定義されていないものを全部くくっただけなんです。ということは、十五兆のうちほぼ全額が独立行政法人、公益法人、地方公共団体、そして基金造成に使われているということなんです。
 このことについて大臣はどのぐらい御認識があったかは存じ上げませんけれども、改めて御指摘を申し上げますので、この補正予算の今後の執行について十分に管理監督をしていただくことをお願い申し上げまして、取りあえず私の質問を終わらせていただきます。
#67
○委員長(円より子君) ちょっと速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#68
○委員長(円より子君) 速記を起こしてください。
#69
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず冒頭、昨夜、連邦破産法十一条の適用を受け破産申請したゼネラル・モーターズの件についてお伺いしたいと思います。谷合経済産業政務官、今日は御足労ありがとうございます。
 さて、民間の調査会社によりますと、GMと取引がある日本国内の部品メーカーのうち百二社で売掛金が不良債権化するおそれがあるとのことです。GMの破綻で大きな打撃を受ける日本企業があるのではないかと私も心配しております。事実、米国政府によるGMへの売掛金の保証対象は米国内で生産する部品に限られ、輸入品は除外されるからです。
 日本政府としては、日本の自動車関連企業、GMの売掛金が不良債権化することを絶対に避けなければなりませんが、この点につきまして政府の対応、そしてまた国内の自動車関連企業を始めとする日本国内の各産業に対してのメッセージをよろしくお願いいたします。
#70
○大臣政務官(谷合正明君) 牧山議員の地元神奈川にもたくさんの自動車また部品メーカーがありますので、大変心配の声も寄せられているのではないかと思います。
 先生御指摘のとおり、現地時間の六月一日にGMが米国破産法第十一章を申請いたしました。とともに、今後の再建策に関する発表を行いました。
 本件に関しましては、基本的には我が国の自動車部品メーカーは今回のGMが再建手続に入った場合ということを想定しております。ある程度織り込み済みということでありまして、いろいろな対応策を講じてきているというふうに伺っております。一方でまた、アメリカ政府が日系を含む部品メーカーのGMに対する売掛金を保証していることもありまして、現時点で大きな混乱は生じていないものと認識しております。
 先ほど委員から、すべての売掛金が保証されるわけではないではないかという指摘もありましたけれども、日系部品メーカーは一般的に日系自動車メーカー向けの取引が多いわけでありまして、例えば連結売上高に占める売掛金の割合、非常に小さいものがありまして、影響は小さいというふうに考えております。また、そういった意味では現時点で大きな混乱は生じていないと改めて認識をしているところであります。
 経済産業省としましては、しかしながら、今回どういう影響があるのかしっかり引き続き情勢を見極めまして、我が国の自動車部品メーカーに混乱が及ぼされることがないよう、例えば政府系金融機関を通じた資金繰り支援等、検討をしっかりと深めて、また自動車部品メーカーとしっかりコンタクト、連携を取りまして、今後検討を深めてまいりたいと思っております。
#71
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。是非、日本国内で自動車産業に従事する方を始めとする各産業の方々、国民の雇用と生活を守るために万全な対策を講じていただきたくお願い申し上げます。
 谷合政務官、御足労ありがとうございます。
#72
○委員長(円より子君) どうぞ経済産業委員会の方においでくださって結構です。
#73
○牧山ひろえ君 与謝野大臣、通告はしておりませんが、GMとの取引関係がある国内企業について政府が金融面などから支援するということも考えられるかと思いますが、いかがでしょうか。コメントがございましたらよろしくお願いいたします。
#74
○国務大臣(与謝野馨君) まず、チャプターイレブンで申請を行いましたけれども、申請の前に労働組合等の利害関係者との調整やアメリカ、カナダ両政府との調整が行われており、言わば大変きちんと計画された、準備された破産法の申請であったと思います。したがいまして、大きな混乱にはつながらない可能性が高いと思っております。また、我が国の自動車、自動車部品メーカーも、GMがこういうチャプターイレブンの手続に入る、そういうような場合も想定しながらいろいろ準備をしてきていたと伺っております。
 アメリカ政府がそういう意味では十分な事前の準備、対応策を講じていることもありまして、日本のメーカー等にも現段階で大きな混乱はないと認識しておりますけれども、やはり天下のGMが破産法の手続に入ったというのは容易な出来事ではありませんので、今後十分注意深く事態を見てまいりたいと思っております。
#75
○牧山ひろえ君 是非大きな混乱が起きないようにしっかりよろしくお願いいたします。
 まず、本題に入ります前に、確定申告を推進する観点から寄附税制について以前議論させていただきましたが、前回の積み残しとしてこの話題に少し触れておきたいと思います。
 私は、去年六月、我が国の寄附税制に関する質問主意書を提出させていただきました。この質問主意書は、一番に、主要国の寄附金に関する税制において日本では優遇される団体数が極めて少ないこと、そして二番目には、寄附金控除に五千円の壁があること、また三つ目には、寄附金優遇団体においては財務報告等の透明性を図ること、そういったことを盛り込ませていただきました。しかしながら、この主意書の答弁に積極的な文言がございませんでしたので、あえて三月十七日にこの場で大臣と議論した、これが私の寄附税制に関する取組の経緯でございます。
 さて、私が主張いたしました寄附金控除額の五千円をせめて千円にすべきではないかとの意見、実は昨日、民主党としても提出させていただきましたが、御存じでしたでしょうか。是非引き続き御検討いただけましたら幸いです。
#76
○国務大臣(与謝野馨君) 寄附金控除は、納税者や税務署における事務負担を考慮した上で、より多くの寄附を慫慂するような仕組みとする観点から適用下限額が設けられており、平成十八年度改正において一万円から五千円に引き下げられたところでございます。この適用下限額の更なる引下げについては、納税者や税務署の事務負担増等を総合的に勘案いたしますと、なお慎重に対応すべき課題であると考えております。
#77
○牧山ひろえ君 是非引き続き、大臣、御検討のほどよろしくお願いいたします。
 NPOの中でも公益性の高いところは寄附金控除額の上限を緩和していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#78
○国務大臣(与謝野馨君) いわゆる認定NPO法人数は、六月一日現在で九十三法人になっております。そもそも、NPO法案を作りましたときに、私は自民党の方で担当しておりましたが、このNPOというのは非常に重要なんだけれども、やっぱり反社会的なもの、例えば暴力団がこういうものを利用したり、あるいは納税回避に使われたりと、こういうことだけは避けたいと思って、NPO法人の法律本体の方には税のことは書いてない、書かなかったというのがそのときの経緯でございます。
#79
○牧山ひろえ君 是非、いろんなNPOがあると思いますけれども、公益性の高いと明らかに皆が認めるようなところについては寄附金控除額の上限あるいは足切りについて緩和していただきたいとお願い申し上げます。
 いずれにしても、寄附金控除の五千円のハードルを下げることを検討していただければ大変うれしいんですが、やはり実際に確定申告をする際に的確なアドバイスをしてくださる税の専門家がいなくてはならない、そのように思います。寄附の文化を広めていくためには、ハードルを下げることも当然のこと、寄附金控除について正しい情報を的確に広めることも大切だと思います。
 実は、この寄附税制に関してはもう一つ大きな論点がございます。それは、先日も申し上げましたとおり、寄附した際、寄附金控除を受けられるNPO法人が非常に少ないということです。
 日本国内にはおよそ三万六千五百NPO団体がございますが、そのうちのたった九十三、大臣も先ほどおっしゃっておりました、九十三団体しか認定NPO法人は六月一日現在ではないという事実でございます。一方、アメリカではどうかというと、二〇〇七年のデータですけれども、少なくとも百十万団体を超える数の団体が寄附金控除を受けられるNPO団体なんです。この件に関しては、大臣は寄附の文化の問題だなどとおっしゃっていましたが、立法府に携わる私どもとしては、制度面から寄附税制を、寄附制度を良くしていかなくてはならないと思うんです。
 そうした意味合いから、私は、日本国内の認定NPO法人に寄附税制に関してのアンケート、先ほど大臣がおっしゃられた事務負担に関してもアンケートを取りたいと思います。彼らから直接意見を聞こうと今準備しております。この結果を、まとまり次第、大臣ほか関係の方々に何らかの形で御報告させていただければと思います。
 それから、もう一点積み残しがございます。ハンガリーなどのパーセント法についてもフォローしておきたいと思います。
 前回大臣は、このパーセント法について、これには社会的な背景があると御答弁されておりましたけれども、このパーセント法の制度面こそ私は学ぶべきものがあるのではないかと思います。私たちは、確定申告などいろいろな場面で納税を行うわけですけれども、そのときにほんのわずかでも税の行き先を私たちが、納税者が決めることができれば納税者の税意識も向上すると思うんですが、与謝野大臣、いかがでしょうか。御所見をお伺いできればと思います。
#80
○国務大臣(与謝野馨君) 牧山先生お話しのハンガリーの例については、実は制度の詳細を承知しておらないで、大変申し訳ないんですが、具体的なコメントは差し控えたいと思います。
 ただし、一般論として申し上げれば、国の予算の編成については、政府において全国の国民各層の多種多様なニーズを総合勘案、調整して予算を作成し、それを国民の代表機関である国会に提出し、審議、採決を経て成立するというプロセスになっておりまして、御指摘のような制度の導入には慎重な検討が必要であると思いますし、憲法の予算に関する条項との関係もよく勉強しなければならないと思っております。
#81
○牧山ひろえ君 参考までにですが、平成十九年度では確定申告をした方が二千四百万人いらっしゃいます。そのうち七百七十七万人が四千百六十二億円を納税しております。少なくとも、その七百七十七万人が納税の際に、そのときの情勢に応じて必要とされる政策に税の行き先を決めることができたら、私はすばらしいんではないかと思うんです。例えば雇用対策であるとか待機児童ゼロとかCO2削減ですとか、あらゆる政策課題に対して微力でも支援したい、参加したいと、そう思っている方は私は日本人の中で少なくないはずだと思うんです。
 前回大臣は、私の試案、牧山試案はとても良くできていると思うんですけれども、このチェックする項目が六つですけれども、恐らく実際やったら千とか二千になるんじゃないかと思ってちょっと心配でございますと御答弁されました。ですが、筋の悪い予算集として成立した補正予算だって、やろうと思えば国民本位の政策が無限に実現できたはずだと思います。例えば、アニメの殿堂よりもっと大切なものがあったと多くの人が言っております。私も連日、地元に帰ってアニメの殿堂について伺っておりますけれども、非常に評判が悪いです。確定申告の時期ではありませんが、もしその時期であったならば、申告用紙にちゃんと選択を設けて、アニメの殿堂、一、二、病児保育施設、三、雇用対策など、項目を並べて納税者の意見を聞くことができると思うんです。
 大臣は項目が千とか二千項目になると御心配なさっておりましたけれども、そんな複雑な話ではないと思うんです。その申告のときの話題である重要な政策課題を例えば五つとか六つとか、十でもいいです、それを並べて選択をさせてあげる。そして最後に、国を信頼して任せるという項目も付けてもいいと思うんです。やはり、ただ納税するんじゃなくて、納税者が少しでもいいから納得できる納税方法にすべきだと思うんです。大臣、もう一度いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(与謝野馨君) 今の先生の御質問は、日本の政治体制そのものの御質問だろうと思っております。日本は代議制民主主義を取っております。ですから、ここにおられる国会議員お一人お一人が国民の代表であって、実は国民は正当に選挙された国会議員を通じて行動するということになっておりまして、国民の声は当然聞くというのは我々の義務でございますけれども、国としての意思決定は国民代表である国会議員の皆様方が決めるというのが我が国の建前であると思っております。個別項目について国民の是非を聞くというシステムではなくて、むしろ国会議員が全権委任を受けて国家の意思を決めるというのが日本の制度だろうと思っております。
 それから、アニメの殿堂というのは何かテレビ番組や何かのお笑いぐさに使われておられて、やっぱり我々としては説明不足ではないかと思っております。これは元々、安倍内閣のころから検討を始めて、福田内閣のころに日本のいわゆる製造業でない分野のコンテンツ産業をきちんと発展させるべきだと、こういうことから、ああいう施設が必要だということはもう去年から結論が出ていたことでして、これは日本のこれからの産業を考える場合、あるいは文化発信の拠点としては必要だということは前々から審議会の答申でも言われておりますし、閣議でもそういう方向で決めているわけでして、麻生内閣が突然、一週間、二週間で決めた話とは違うものであるということは予算委員会でもう少し我々が懇切丁寧に御説明すべきであったと思います。
 例えば、里中さんとかアンパンマンの作者とか、これは全面的に賛成してくださっていますので、これをアニメの殿堂という俗称で呼んでいただくにはちょっと気の毒な内容を持った立派な施設だと私は思っております。
#83
○牧山ひろえ君 私は、政治情勢というのはもうその都度変わるわけで、そしてそのときの課題というのは毎回変わるわけで、郵政に賛成したからといってさきの補正予算にすべて賛成だったとは私は思えません。やはり国民の意思を尊重するべきだと思います。
 では、もう一つだけ、医療費控除の十万円の足切りについて伺いたいと思います。
 資料一を御覧ください。平成十九年度の標本調査を基に、納税者七百七十万人のうち二百六万人が実際に医療費控除を申立てしている様子が分かります。まさにこの表で分かりますとおり、所得の高い人ほど医療費控除を受けることを示しています。病院に行くとお金が掛かるからやめておこう、我慢しよう、もしそうした意識が所得の差によって働くのであれば、私はこの国の医療はどうなっているのかという気持ちになります。
 私は、この医療費控除の足切り額十万円を所得によって柔軟に変更していくべきだと思います。それか、又は医療についてはひとしくお金の心配は要りませんよと言ってあげることが優しい政治だと思います。そのためには、ひとしく足切り額を下げる、あるいは、先ほど言いましたように、柔軟に所得によって足切り額を変更していくべきだと思います。いかがでしょうか、大臣。
#84
○国務大臣(与謝野馨君) これは、低い方が医療費を負担する方にとっては喜ばしいことは間違いないんだと思いますが、それは言ってみれば他の国民が負担するという話になります。よくこういう話のときにこれは国が負担すべきだという議論をされる方がおられるんですけれども、それは自分が負担しないで他の国民に負担してほしいということを言っているにすぎないわけでして、他の国民に負担をしていただくためにはそれなりの理由というものが必要だろうと思っております。
 これは、医療費の控除については、本来は生計費の一部である医療費について、事前に予期しにくい中で支出を余儀なくされるという性格を踏まえまして、一般的な家計負担の水準を上回って支出する場合の担税力の減殺をしんしゃくする制度として設けられているものでございます。
 このような制度趣旨に基づきまして、医療費控除においては、支出した医療費の全額を控除対象とするのではなく、家計における平均的な医療費負担の水準を考慮して、支払った医療費のうち十万円を超える部分の金額を控除対象としているところでございます。
#85
○牧山ひろえ君 大臣は他の人の負担とおっしゃっていましたけれども、人間だったらだれだって、いつけがするか病気するか分からない、健康な人でもいつでもそういう可能性を持っていると思うんです。そういった意味では、私、医療費に関してはだれもが認めるような、そういったものだと思うんです。そんな中で、私はこの医療費控除を考えていただきたいなと思っております。
 病院に行ってきちっと治療を受けることができれば病気の早期発見にもつながりまして、結果として社会的な負担も減ると思うんです。また、医療費控除を受ける人が増えれば確定申告をする人も増えると思いますし、また税金に関心を持ち、そしてやがては政治に関心を持つ方が増えて投票率もアップすると思うんです。大臣も、税に関心を持ってもらうためには確定申告を増やすことは望ましいと、私と同じ意見でしたので、是非よろしくお願いいたします。
 さて、本題に入ります。四月十四日、衆議院の財務金融委員会でも話題になりました格付会社の社会的な責任問題についてお伺いしたいと思います。
 今回の金商法の改正案が提出された背景には、サブプライムローン問題で始まった世界的な金融危機に対して反省の意味合いも含めて今後どう対応していくべきかということが根底にあるのだと思います。具体的には、日本で言うところの指定格付機関の格付情報の信憑性のことです。
 スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ、フィッチの御三家がアメリカでは国から認定された格付機関として広く知られておりますけれども、これら三社の格付情報が甘く、結果としてサブプライムローン問題が発生したとの意見もございます。
 まず、率直に言って、大臣は格付機関が格付けた格付が甘かったのではないかと思いますか、いかがでしょうか。
#86
○国務大臣(与謝野馨君) 今から十年ぐらい前ですけれども、イギリスに参りましたときに、イングランド銀行の幹部に格付会社というのはどう思いますかという質問をしたことがありました。そうしたら、イングランド銀行の最高幹部は、ムーディーズという会社はスタンダードでプアだと、スタンダード・アンド・プアーズはとてもムーディーな会社ですという冗談を言っておられましたが、今回のサブプライム問題については、先生言われるように、やっぱり証券化商品の格付に関して格付会社の判断は極めて機械的であって、やっぱり非常に人々を惑わすものであったと。これは、世界中でみんな格付会社に対しては怒っているというのが今の姿ではないかと。日本でも格付会社に対しては一定の枠をはめなきゃいけないと、こういう議論になったわけでございます。
#87
○牧山ひろえ君 また後ほど格付についてお伺いしたいんですが、私は、かねてからGPIFの年金基金の運用について関心を持っております。
 今日はお忙しい中、大村厚生労働副大臣、おいでいただきましてありがとうございます。
 GPIFの市場運用実績は、二〇〇八年四月から十二月期の利回りでマイナス九・一%、GPIFが創設されて以来最悪の水準でございます。この運用実績について、GPIFの基金運用体制が整っていないのではないかとの専門家の意見もございます。
 東大の伊藤教授によりますと、ポートフォリオの策定や運用の決定に当たって運用のプロがほとんどかかわっていない、また外部有識者で構成される運用委員会も月に一回行われるかどうかというその程度しか開かれていないなど、この無責任体制では百五十兆円の公的年金基金が泣くとのことです。私たちの年金が相当な危機に瀕しているのではないかと心配になります。
 厚労省の担当者にお聞きしましたところ、投資信託会社や投資顧問会社に運用を任せているからと伺いましたけれども、その運用先を選定すること自体がGPIFなんです。ですから、資金運用先の投資信託会社とか投資顧問会社が格付に頼った運用をしていたら、GPIFは間接的に格付に頼っていたことになるんです。
 この際、厚労省はGPIFに対して業務の是正勧告なり基準改正なり、また年金基金の適正な運用を指示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
#88
○副大臣(大村秀章君) 年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFにつきまして御質問いただきました。
 このGPIFの運用は、平成二十年度、先ほど牧山委員言われましたように昨年四月から十二月までの運用の実績が今出ております。これは六・九%のマイナスということでございました。この要因は、世界的な金融危機により内外の株式が大幅に下落した、そして為替市場で急速に円高が進んだということが大きな要因だというふうに考えております。
 なお、この格付に影響されますといいますか、関係いたします国内債券は二%のプラス、外国債券でも、為替がマイナス二〇%ぐらいの要因になっておりまして、それを除きますと八%のプラスということでございまして、そういう意味で、この格付を基準といたします運用は、GPIFの運用は御案内のようにインデックス運用ということになっておりまして、そういう意味で甘い格付ということではないというふうに思っております。
 なお、委員の一番御質問の中心のところは運用体制ということだと思いますが、これにつきましては、実際の運用は信託銀行とか投資顧問会社を運用受託機関として選定、管理をさせていただいておりまして、毎年必ず評価を行うということ、それから原則三年ごとに受託機関の選定、解約ということをやっておりまして、例えば受託運用の、三年ごとに受託機関の選定、解約を行っております。
 それから、なお、GPIFの職員の専門性の確保につきましては、内部職員の資質向上、それから金融分野に精通した人材の中途採用、こういうことを積極的に今進めているところでございます。
 なお、この年金積立金の管理運用独立行政法人の運用委員会というのを設けておりまして、十一人の専門家に月一回程度運用状況の監視をお願いをしているところでございまして、いろんな御意見を今いただいているところでございます。
 なお、東京大学の伊藤隆敏先生が、今委員が言われましたこの御指摘は、ちょうど一年ぐらい前に、経済財政諮問会議なり金融庁の諮問機関といいますか研究会だと思いますが、この年金運用をもっともっと市場に積極的に運用したらどうかというような御提言をいただいた中での中心的な先生が伊藤先生だと思います。私も個人的にはよく存じ上げておりまして、当時そんなことを個人的に、私、当時はまだ副大臣じゃありませんで、衆議院の方の厚労委の筆頭理事もやっておりましたので、そんなことで意見交換をさせていただいたこともございます。そういった考え方も確かに大変大事な考えだと思いますが、やはり年金運用は、安全、安心なものをベースにしながら、そしてそれと経済成長をどう取り込んでいくか、これをバランス取ってやっていくことが必要だというふうに思っております。
 いずれにしても、この年金運用体制、引き続き、国民の皆様の大変大事な年金資産を預かっているわけでありますから、しっかりやっていけるようにこれからもきちっと指導監督をしてまいりたいというふうに思っております。
#89
○牧山ひろえ君 やはり、でも実績というか成績が悪いわけですから、今までの月に一回ベースの委員会の集まりですとか運用体制、しっかりと改善していただきたく、大幅に改善するべきだと思います。よろしくお願いいたします。
 格付についてまた質問を続けたいと思います。
 先ほど格付機関について申し上げましたけれども、サブプライムローン問題が発生したとの意見もありますけれども、経営責任者は責任を取ったんでしょうか、御存じでしたらお答えください、与謝野大臣。
#90
○政府参考人(内藤純一君) お答えをいたします。
 米国に端を発しますサブプライムローン問題につきまして、米系の格付三社でございますが、に確認をいたしましたところ、代表者が引責辞任をした事実はございませんが、各社において自主改善策の公表等を行ったものと承知しております。
 なお、各三社の状況について若干補足をいたしますと、ムーディーズにつきましては、二〇〇八年五月七日付けでCOOが交代をしておりますが、必ずしも引責辞任ではないということのようでございます。スタンダード・アンド・プアーズにつきましては、二〇〇七年の八月三十日付けで社長が交代しておりますが、確認いたしましたところ、必ずしも引責辞任ではないということのようでございます。フィッチにつきましては、二〇〇八年一月にグローバル・ストラクチャード・クレジット部門のヘッドなどが退任をいたしたということのようでございます。なお、この同社につきましては、上級管理者に対して、不支給あるいは五〇%から六〇%の年間賞与の減額というものが行われたと聞いております。
#91
○牧山ひろえ君 格付を依頼する企業が格付機関に手数料、つまりお金を払って格付依頼をする、いわゆる利益相反関係にあること自体公平性に欠くと思いますし、結果として甘い格付になる傾向があるとの意見もありますけれども、大臣はいかがでしょうか。
#92
○国務大臣(与謝野馨君) お金を払って格付してもらうのはおかしいという意見は、前から実は存在しております。
 それで、サブプライムローン問題については、金融技術革新の背景として、証券化商品等が急速に普及する中で関係者がモラルハザードを発生させ、リスク管理が徹底されなかったことによって金融市場全体が混乱に陥ったものであると考えております。こうしたモラルハザードが生じたものの一つとして、格付会社が発行者等からの報酬を受領して格付を付与するビジネスモデルに利益相反の可能性が内在しているのではないかと、こういう御指摘がなされております。
 格付会社の独立性確保、利益相反回避については、本法案では、格付会社に情報開示や体制整備等の義務を課することに、法的にこれらを確保することとしており、本法案成立の暁には報酬管理等の詳細を内閣府令に定めることを予定をしております。
 これらの制度の枠組みの下で、検査監督を通じて規制の実効性を確保していくことを通じて、格付会社の利益相反回避が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
#93
○牧山ひろえ君 話題を変えます。
 既に、一般会計予算では三十三兆円を超える国債発行を行い、補正予算では十兆円を超える新規国債を発行いたしました。財政の健全化どころか、もしかすると今年度は税収を超える額の国債で予算を編成するというまさに本末転倒の姿であり、違和感すら感じます。
 大臣は、先月、我が党の松野議員の答弁のときに、八十八兆円の当初予算について、情けない財政状況になったと明言しておりました。このところ大臣は、骨太の方針二〇〇九できちんと説明して国民に理解してもらうんだとおっしゃっておりましたけれども、そろそろ発表される骨太二〇〇九について、特に財政再建、プライマリーバランスの黒字化に焦点を当てて、期限をいつごろに設定なさるのかも含め、御自由にお述べいただければと思います。よろしくお願いいたします。
#94
○国務大臣(与謝野馨君) 牧山先生の御質問にストレートにお答えしたいんですが、今、ちょうど先週から作業を始めたところでございます。しかし、この財政をこのまま放置していいわけがないと思っておりまして、先生の御指摘の財政再建目標というのは、二〇一一年のプライマリーバランス到達というのはもう無理、到達できないということはもうだれの目にも明らかなことですが、じゃ目標なしでやっていくのかと、これも大変無規律な世界に入りますので、やっぱり財政再建の目標、PBをどういうふうに黒字にしていくかというその道行きは、基本方針二〇〇九の中ではっきりと道筋だけは申し上げなければならないと、そういう立場に立って今作業を進めているところでございます。
#95
○牧山ひろえ君 ありがとうございました。
 終わります。
#96
○森まさこ君 ありがとうございます。自民党の森まさこでございます。
 補正予算が成立をしまして、景気回復のためにつつがない執行がなされますように、関連法案の成立についても審議のつつがない進行を願うものであります。
 まず初めに、金商法の改正案の中の格付会社の登録制度について、谷本副大臣に御質問をしたいと思います。
 米国発のサブプライムローンが世界中に害毒をまき散らして我が国が大不況に陥り、国民も苦しい生活を強いられているところでございますが、責任は証券会社だけではなく、格付会社にも大きな責任があると思っております。先ほども与謝野大臣が、格付会社に対しては世界中の人々が怒りを感じているというふうに御答弁をなさいました。適切な格付がなされていなかったのではないか、利益相反があったのではないかということが国際的にも指摘をされております。
 私は、当選して初めて当委員会で質問させていただきました平成十九年の十一月六日にもこの問題を取り上げさせていただきました。実は、十七年の秋ですから、今から三年半前に、金融庁におりましたときに海外調査に行きまして、そのときに米国のサブプライムローン問題について指摘をさせていただきました。金融庁の貸金業制度等に関する懇談会の有識者会議においてこの問題を指摘し、金融庁のホームページにも公開をされておりますが、その当時、後藤田正純政務官が、大変問題であると、格付会社について、我が国においても野放しにしておいてはいけないのではないか、規制するべきではないかというようなことを御主張なさっておりました。三年半前に御主張なさっておられましたが、やっと金融庁がこの度規制に踏み込んだということで、遅かったというふうに私は思っておりますし、今回の内容についても満足はしておりません。
 今回導入される格付会社の登録制度では、信用格付業を営む者は登録を受けることができるとなっているのみでございまして、無登録業者の格付を利用する金融商品取引業者には説明義務が課されるものの、無登録業者の格付自体が禁止されるものとはなっておりません。
 格付が市場に重大な影響を及ぼすということにかんがみれば、格付会社にすべて登録を義務付けるべきではないかというふうに考えますが、今回の登録制度でそのような参入規制的な制度としなかった趣旨について、谷本副大臣に御説明をお願いいたします。
#97
○副大臣(谷本龍哉君) 今、森委員御指摘のとおり、今回の金融危機、これはサブプライムローンを発端に起こったわけでございますけれども、これにおいては、格付会社がその複雑な証券化商品、これに高い格付を付けたと、それを投資者がそのまま信じて金融商品取引業者を通じてそれを買ったところ、それが破綻したと。この部分をどういうふうに今回の法案で規制していくかということが重要であると考えておりますけれども、格付のサービスといいますのは、こういった金融商品のみならず様々な形で、企業の格付であったりいろいろな形で現在も広く行われているサービスでありますので、それに対して一律にすべて参入規制を掛けてしまうというのは、今回そこまで行くのは行き過ぎじゃないかという判断からこういう形になっております。
 そしてまた、委員が今御指摘いただいたように、無登録業者の格付の利用に際しては金融商品取引業者が追加的な説明義務をしなきゃいけない。つまり、これは無登録業者ですよということをしっかりと説明していかなきゃいけないと。これ、逆に言えば、金融商品取引業者に利用してもらうためには、しっかり登録をしていかなければなかなか使ってもらえないということを担保できるんではないかということで、こういう形になっております。
 いずれにいたしましても、この枠組みの中でしっかり投資者保護を図ってまいりたいというふうに考えております。
#98
○森まさこ君 その点に関連して、国内の具体例を挙げさせていただきたいと思います。
 二月に破綻したSFCGという商工ローン会社でございます。多くの中小零細企業に被害を出しておきながら、なかなかつぶれなかった。ようやく破綻したんですけれども、格付会社がなかなか破綻に至らなかったところに関連をしているんではないかというふうに言われております。
 これに関連して、実は当委員会で本年の四月七日に民主党の川上義博議員が、SFCGはつなぎ融資として役割を果たしていたと御発言なさいましたが、とんでもないことでございまして、私はこれは反対でございます。川上先生が何か勘違いをなさっていたのではないかと思うんですけれども、商工ローンの中でもSFCGは非常に悪質な業者であるということは知られておりまして、この金融庁の貸金業懇談会、三年前の懇談会でも、弁護士会の方の報告で百人以上の自殺者を出しているということが報告をされていると。つなぎどころではなく、五年以上にもわたって押し貸しをして、自殺するまで、破綻するまで追い詰めていって、残りの債権は素人の主婦とか公務員の保証人から取り立てるという、そういう業者でございました。
 私が事務局長をしている超党派の国会議員でつくっております多重債務問題対策議員連盟では、このSFCGの破綻に関連して、金融庁の監督体制とサービサー法の潜脱の違法事例についての提言をたった今取りまとめているところでございます。このSFCGが違法取立ての限りを尽くして破綻をしたわけでございますが、破綻をしてからいろいろなことが明らかになっています。返済を毎月きちんとしているのに、そして過払いの状況にまでなっているのに、ある日突然、期限の利益を失いましたという請求書を送ってくるという常軌を逸した貸しはがしが行われていたこと、破綻の前に大規模な資産隠しをしていたということが指摘をされていること、公正証書を虚偽に申請をして、そして公正証書による保証人の給料差押えや、それから売掛金の差押えをしていたことなどでございます。
 実は、このSFCGには一度行政処分がなされております。行政処分を受けたのに、なおも業務を積極的に展開をできたというところに格付会社が関連をしていたんではないかと指摘をされていたんです。実は、SFCGは自分のところのその商工ローン債権を債権流動化をしています。そして、海外の投資家に買わせていたんです。そういった資金調達の割合が非常に高いわけです。つまり、日本版サブプライムローンです。そういう資金調達をするために格付が高い必要があったわけですね。
 行政処分を受けた後も、SFCGは格付会社の担当者に対してこういうことを言っていた。金融庁に行政処分を受けるのは勲章だと、米国では上場企業は行政処分を受けるほど大きくなっていく、そんなでたらめを言って、一時はホームページにもそれを載せて、金融庁が指導をしてホームページはすぐ消したものの、格付会社の担当者を集めた非公開の説明会でそういったことを言っていた。そうして、格付会社が格付をするんですが、そこに利益相反があったのではないかと私は疑わざるを得ません。
 そういった問題のある企業に対して甘い格付をすることによって、投資家もだましていますが、その債権の借主である被害者の被害もずっと長年にわたって増えていったわけでございます。こういった意味で、私は格付会社の規制はきちっとするべきと思います。金融市場が公正に動くには、レギュレーションだけではなくて、インフォメーションとエデュケーションとそしてレギュレーションの調和であると言われておりますよね。そのインフォメーションの、情報の部分がきちっと正しい情報が出ていなければ、金融市場は公正に動かないんです。
 私は、格付会社は免許制をするべきというふうに思いますが、どうぞ金融庁の方でこのことについて、この具体的な事例も踏まえて更なる御検討をいただきたいと思いますが、副大臣、もう一度お願いいたします。
#99
○副大臣(谷本龍哉君) 森委員の御指摘、ごもっともだと思いますので、しっかりそれをわきまえて対応していきたいというふうに思います。
#100
○森まさこ君 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、金融ADRの導入についてお伺いをしたいと思います。
 この金商法の改正の衆議院の修正で、附則二十一条一項にこの金融ADRが、消費者庁の関連、この関係について今後検討していくということが入ったわけでございますが、これについても私、先ほどの大塚議員の意見と賛成する部分が大きいわけでございますけれども、消費者庁に消費者保護の比重が非常に大きい貸金業法の部分、多重債務の部分はADR機能を任せた方がいいのではないかという意見を持っております。
 そこで、また具体例を挙げて議論をしたいと思うんですけれども、まず、この具体例、今現実にどのようなことが行われているか、中小企業庁の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、SFCGが二月二十三日に民事再生法の申立てをしました。破綻をしました。そして、四月二十一日に破産に移行しました。このことによって、多くの中小零細企業が、借り入れている企業がパニックに陥ったわけでございますが、公庫としての対策はどのようなことをなさっていたんでしょうか。主に相談窓口の設置や相談箇所、その内容についてお聞かせください。
#101
○政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。
 二月二十四日、破綻の翌日でございますが、経済産業省といたしまして、SFCGの破綻の影響を受ける中小・小規模企業の資金繰り相談に応じるという観点から、全国約九百か所に特別相談窓口の設置を決定してございます。これを受けまして、今委員御指摘の公庫、日本政策金融公庫におきまして、全国約百五十二の支店で窓口を設けまして、その旨をホームページ上で周知をし、相談に応ずるということにした次第でございます。
 先月末、五月末までの状況でございますが、特別相談窓口の相談全体で六十九件の相談を受けておりますが、そのうち公庫、日本政策金融公庫への相談件数は十六件でございます。
 その内容は、まず資金繰りに関する相談がございまして、この相談を受けまして、これまで五件、約一億円の融資を承諾をしてございます。それ以外にも、より一般的な相談ということで、過払いがあるがどうしたらよいか、あるいは債権譲渡通知が来たけれどもどうしたらいいか、今までどおり債務を弁済していいのかどうかといった一般的な相談も含まれてございまして、こちらの方は貸金業協会あるいは日栄・商工ファンド被害対策弁護団などを紹介をしているという対応を取ってございます。
#102
○森まさこ君 日本政策金融公庫、旧中小企業金融公庫でございますけれども、そちらの方で相談窓口を設置してくださったのは大変有り難いことだと思いますが、結局、相談は貸金業協会やそれから弁護団の方に振っているというお話ですけれども、貸金業協会と弁護団と、どのような基準で振り分けているんですか。
#103
○政府参考人(横尾英博君) 日本公庫におきましては、今申し上げました一般的な相談につきまして、その内容を伺った上で、まず基本的には貸金業協会の方の窓口を御紹介を申し上げて、特に法的な判断が必要なものについては弁護団を紹介するといった対応を取ってございます。
#104
○森まさこ君 ここで問題なのは、金融ADRに関係するんですけれども、基本的には貸金業協会に振っているという部分でございます。
 貸金業協会、貸金業法に基づく協会でございますけれども、そちらの方がこのSFCGの破綻前に立入調査に入っているんですね。SFCG、たしか十一月か十二月ごろに入っています。そして、二月に破綻したんです。十一月か十二月に入って、結局何の対応も取らなかったんですけれども、十一月か十二月の時期といえば、先ほどのもう常軌を逸した貸しはがしが行われていた時期です。もう一切貸していないんです。もう取立てだけということ、これは違法な取立てです、を行っていた時期なんだけれども、立入調査をしているのに何の対応もなかったんですね。
 さらには、貸金業協会に相談に行った方のお話を聞きますと、それ返すしかないんじゃないのというアドバイスだけを受けていると。グレーゾーンですから、任意でなければ支払う必要がないんですね。そういう基本的なことを教えていただいていれば、過払い金を更に支払うということはなく、弁護団の方に相談に行った方は過払い金が戻ってきて、もうピンチだった会社が助かったという方がたくさんいらっしゃるんですよ。
 そうしますと、貸金業協会に相談に行った場合と弁護団に相談に行った場合、天と地の差があるということになると。これをADRで考えますと、金融ADRに行った場合と消費者庁の関係する国センのADRに行った場合で全くその対応が違うことによって、企業が生き残れるか生き残れないのか二つの道に分かれてしまうというのでは、これは良くないことだと私は思います。
 このSFCGというのは多重債務の中でも最たる被害事例でございますけれども、貸金業という部分は数ある金融業法の中でも最も消費者保護の比重が高い、そういう法律だというふうに言われておりますので、私は、貸金業法の部分だけは金融ADRの設置を遠慮をしていただいて、消費者庁の方のADRを活用するような、そういった関係にしていただきたいというふうに思うんですけれども、金融庁のお考えをお聞かせください。
#105
○政府参考人(内藤純一君) お答えをさせていただきます。
 平成二十一年四月より施行されております国民生活センターのADR、国センADRと呼ばれておりますが、これは、公的機関である独立行政法人が実施主体でございまして、広範な分野の消費者紛争のうち、その解決が全国的に重要なものを対象とするものであると承知しております。
 これに対しまして、今般の法案に規定されております金融ADRの制度でございますが、これは、金融分野に特化することで専門性を蓄積した民間団体が実施主体となりまして、少額のトラブルを含め、金融商品・サービスに係る様々なトラブルを対象とするものでございます。この制度におきましては、金融業者に対しまして、その制度、手続について、このADRという制度の中に言わば拘束的にこの手続にのせていくという形で非常に強い縛りがあるというふうに私ども理解しております。
 利用者は、国民生活センターのADRとこの金融ADRのいずれを利用することも可能でございますが、利用者保護の充実の観点から、金融商品・サービスに関するトラブルの解決に向けまして、金融ADRと国民生活センターのADRの間で適切に情報交換などの密接な連携を確保していくことは非常に重要であると考えております。
 今先生御指摘のような形で、いずれのADRを使うことによって、言わば投資者保護、利用者保護の程度が異なってくるということは今後あってはならないというふうに考えておりますので、こうした密接な連携、協力関係、情報交換を密にいたしまして、そういったことのないような対応を努力してまいりたいというふうに思います。
#106
○森まさこ君 今の御答弁の中で、消費者から相談をした場合の消費者の間に差があってはならないという御答弁をいただきましたので、是非その視点で進めていっていただきたいと思います。私も、そして七十名近くの国会議員が入っております多重債務対策議員連盟からもしっかりとその経緯は見させていただきたいと思っております。
 この関連でございますけれども、与謝野大臣、官邸の中に多重債務対策本部というのがございまして、その本部長は金融庁大臣、つまり今、与謝野大臣が本部長でいらっしゃるわけでございますが、消費者庁関連三法が成立をしまして、参議院におきまして、その附帯条項で、この多重債務対策本部の在り方について消費者庁の関与の在り方も含めて検討をするということになっております。
   〔委員長退席、理事尾立源幸君着席〕
 私の考えは、この多重債務というのは非常に消費者保護の比重が強い部分でございます。セーフティーネットの構築という意味ではいろんな省庁に指令を出さなければならない、そういう立場を本部長も持っておりますので、本部長は金融庁大臣から消費者庁大臣に移していただきたいというふうに考えておりますが、大臣はどのように考えておられますでしょうか。
#107
○国務大臣(与謝野馨君) 多重債務問題は、経済問題というよりは大きな意味での社会問題であり、その解決に向けては、貸金業に係る政策対応のみならず、社会政策や消費者教育、やみ金の取締りなど政府全体で横断的に対応することが非常に重要であると考えております。
 このような観点、さらには消費者庁関連法案に対する参議院での附帯決議の御趣旨も踏まえまして、多重債務者対策本部長の扱いを始めとした多重債務対策の取りまとめの消費者庁への移管については、関係各方面の御意見も踏まえながら今後検討していくことが適当であると考えております。
#108
○森まさこ君 ありがとうございます。
 それでは、私の質問はここで終わりにしたいと思います。
#109
○荒木清寛君 まず、金融商品取引法改正案につきましてお尋ねいたします。
 一昨年十二月に策定されました金融・資本市場競争力強化プランでは、国際金融センター間の競争の中にある東京市場の競争力強化の環境整備、こうした意味でのプランでございました。これに基づきまして金商法等も改正されまして今年にかけて順次施行されてきたわけでありますけれども、そうしたさなかに昨年のサブプライムローン問題に端を発する世界的な金融危機へと至ったわけでございます。
 したがいまして、依然として東京市場の競争力強化という、このことはもちろん必要があると思いますが、この間の金融情勢の変化を踏まえた上で今後のこの東京市場の競争力強化にどう政府として取り組んでいくのか、まずお聞かせ願います。
#110
○国務大臣(与謝野馨君) 今般の世界的な金融市場の混乱は、高いレバレッジ取引による短期的な利益追求といったビジネスモデルが拡大していく中で、金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融機関が機能不全に陥ったものであると考えております。他方、実体経済の発展に資するような健全な投資や金融仲介機能の適切な発揮の重要性にはいささかも変わりはないと思っております。
   〔理事尾立源幸君退席、委員長着席〕
 ただいま御審議いただいている両法律案は、格付会社への規制の導入など今般の金融危機の教訓を踏まえた対応を図りつつ、取引所の相互乗り入れを認めるなど、我が国金融資本市場の機能強化を目指すものであります。金融庁としては、今後とも、足下のグローバルな金融危機への対応とも整合性を保ちながら、我が国金融資本市場の競争力強化に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
#111
○荒木清寛君 今大臣からもありましたように、金融市場の機能強化を目指すのが今回の改正案でありますけど、これが成立した場合には我が国金融市場あるいは金融機関の在り方が具体的にどう変わっていくことが期待されるのか、そこもお述べいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(与謝野馨君) 申し上げるまでもなく、今般の法律案では、まず第一に信用格付業者に対する規制の導入、第二に金融分野における裁判外紛争解決制度、いわゆる金融ADRの創設、三番目には金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れ等の措置が盛り込まれているところでございます。こうした措置は、金融機関を始めとする市場参加者のモラルハザードや利益相反の防止を通じて金融危機の再発防止を図るとともに、市場の機能を強化し、信頼と活力ある金融資本市場の構築に資するものであると考えております。
#113
○荒木清寛君 そこで、具体的にもう少し信用格付業者に対する公的規制についてお尋ねいたしますが、先ほどもサブプライムローン問題に関しまして、こうした業者が格付をするということは利益相反ではないか、こういう指摘もありましたし、さらには今回の法案のような登録制じゃなくて免許制にすべしというそんなお話も今あったわけでございます。
 そこで、今回導入されます改正案による信用格付業者に対する公的規制、登録制の導入というのは投資家から見てどういうメリットといいますか、これが期待できるのか、ここを更にお話し願いたいと思います。
#114
○政府参考人(内藤純一君) お答えをいたします。
 今回の法案は、格付会社の独立性確保、利益相反回避、格付プロセスの品質と公正性の確保、市場参加者に対する透明性の確保の観点から、格付会社に情報開示や体制整備等の義務を課すものでございます。
 このような規制の枠組みの下で、規制の実効性を検査監督を通じて確保していくことによりまして、投資者にとって有用ではない、低品質、公正性に疑義のあるプロセスを経た格付が提供されることを防ぐとともに、格付会社の独立性確保、利益相反防止を通じまして、投資者の市場の公正性、透明性の確保に対する信頼が高まることが期待されるところでございます。
#115
○荒木清寛君 登録を受けました信用格付業者には、誠実義務ですとか、今お話しの利益相反防止のための体制整備の義務ですとか、あるいは情報開示の義務ですとか、そうした義務が課せられるわけでございます。
 ただ、格付会社に対する公的規制は国際的に見ても導入が浅いですし、もちろん我が国においてはこうした取組は初めてでございます。今回の改正案で導入される措置は、証券監督者国際機構、IOSCOと言うそうですけれども、これの基本行動規範と整合的なものだというふうにされておりますけれども、我が国の状況、実態も踏まえて、適切なそういう指針が決められなければいけないと思います。
 そこで、こうした規制を具体化する政令あるいは内閣府令というのはどうした方針で決めていくのか、金融庁の方針をお伺いします。
#116
○政府参考人(内藤純一君) 政令及び内閣府令におきましては、IOSCOの基本行動規範や欧米における規制の動向を踏まえまして、体制整備や禁止行為に係る具体的要件、そして説明書類や格付方針等の記載事項等を規定することを予定しているところでございます。
 法案をお認めいただいた後に行われる政令、内閣府令の策定作業におきましては、我が国の実務の実態を踏まえた適切な対応を行っていきたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、例えば法案では禁止行為として、格付会社が格付対象となる金融商品の設計など格付の評価に重要な影響を及ぼす事項につきまして助言をした場合には当該金融商品について格付の提供を禁止しておりますが、投資者保護に欠けるおそれが少ないと認められる場合には内閣府令で禁止対象から除外するといったような形で、柔軟に実務に対応できるような対応をしていきたいと考えております。また、この内閣府令の策定作業におきましては、格付会社と発行者との間のコミュニケーションの実態等を踏まえまして、実効性のある規制を構築してまいりたいと考えております。
 また、格付が行われていない無登録格付業者につきましては、これは日本の固有の言わば制度として仕組んでいるところでございますけれども、金融商品取引業者によりまして、これは登録されていない格付会社による格付ですよということをきちんと説明をさせるということを義務付けるといった形で、この格付制度全体についての実効性を図っていきたいというふうに考えております。
#117
○荒木清寛君 我が国におきましてはこれまでも、この格付に関してでありますけれども、開示制度に関する指定格付機関制度というのがありましたし、あるいはBIS規制に関連して適格格付機関制度という制度も既にありました。
 今後、こうした従前の格付の公的な制度についてはどう見直していくのかという点、そしてまた、今も内藤局長からありましたように、格付に頼らずに投資をする人も多くあるわけでありまして、そうした投資家のための情報提供、開示の在り方というのはどう進めるというか改善していくのか、お尋ねします。
#118
○政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。
 我が国では、一定の行政目的のために利用される格付を付与する格付会社を明らかにするために、指定格付機関制度、そして適格格付機関制度というものがございます。これは先生御指摘のとおりでございます。
 サブプライムローン問題では、格付の公的利用が投資者による格付への無批判な依存を招いた要因の一つとして挙げられているところでございます。このために、我が国におきましても、例えば開示制度上、機動的な証券発行を許容するための要件としてこれまで用いてきた指定格付機関の格付の要件を撤廃する予定であるなど、見直しに向けた作業を開始をしているところでございます。
 今回の法案では、投資者の格付への過度の依存を是正するために、登録を受けた格付会社につきましては格付会社自身の情報開示の強化によりまして、登録を受けていない格付会社の格付につきましては、先ほど言及いたしましたけれども、金融商品取引業者等に説明義務を課すことにより、投資者に対して格付の意義や限界の理解を促していく枠組みを整備しているところでございます。
 その上で、指定格付機関制度につきまして、今回の法改正により導入される格付会社の登録制度に統合していくことが予定されているところでございます。また、適格格付機関制度につきましては、従来からの制度を維持しながら、適格格付機関の選定要件として登録を受けた格付会社であることを求めることで登録制度との整合性を図ることを検討しているところでございます。
 こうした当庁の取組に加えまして、自主規制機関における証券化商品の原資産等の内容やリスクに関する情報を適切に伝達するための体制整備についての自主規制ルールが定められているものと承知をしているところでございます。
 金融庁といたしましては、こうした取組を通じまして、市場の公明性、透明性の一層の向上を図ることを期待しているところでございます。
#119
○荒木清寛君 次に、金融ADRにつきましてお尋ねいたします。
 金融分野における裁判外紛争解決制度、ADRにつきましては、平成十二年の金融審の答申を踏まえまして、金融トラブル連絡調整協議会、これは金融庁も入っているわけですけれども、こうしたところを中心に、業界の自主的な取組をベースにしてやってきたわけであります。今回は、そういう意味では、こうした従来の自主的な取組を主とするところから、このADRにつきましては指定制度を新設するということでかじを切るわけでありますけれども、こうした改正、立法を行うことについての趣旨について改めて説明してください。
#120
○政府参考人(内藤純一君) これまで金融商品・サービスに係るトラブルにつきまして、業界団体等によります任意の苦情処理、紛争解決が行われてきたところでございますが、中立性、公正性の観点から、トラブル解決における利用者の信頼感、納得感が十分得られていないだとか、また金融機関の手続応諾やあっせん結果の尊重等が制度的に確保されておらず実効性が不十分であるといったような指摘が、先生御指摘の金融トラブル連絡調整協議会等で行われてきたところでございます。
 このような状況を踏まえまして、金融商品、金融サービスに関するトラブルの解決における利用者の信頼感、納得感及び実効性の向上を図るために、苦情処理、紛争解決を行う民間団体を主務大臣が指定をいたしまして、紛争解決の中立性、公正性を確保しながら、金融機関に手続応諾や結果尊重等の対応を求める金融ADR制度を新たに設けるということにしたわけでございます。
#121
○荒木清寛君 関連してお尋ねしますが、この金融ADRにつきましてはこれまで自主的な取組であったわけですけど、もちろん、平成十九年には法務省所管のADR促進法が施行されまして、この認証を受けたADRも、これは証券業界だったですか、あるわけですし、さらにはこの金融商品取引法におきましても認定投資者保護団体制度という、そういう法的な制度基盤も整備されてきたわけであります。
 それで、それと今回改正案で導入されます指定紛争解決機関制度というのはどこが異なるのか。今後、三年後の検討条項という中には入っておりますけど、現実には業態別のそういう機関になっていくわけでありますし、従来の体制整備されてきたものと比べてどういうところが違うのか、ここをもう少し分かりやすくお話しいただきたいと思います。
#122
○政府参考人(内藤純一君) 御説明いたします。
 まず、ADR促進法は、裁判外の紛争解決を行っている民間の団体の業務を認証いたしまして、民事上の時効の中断効等の効果を付与するなど、裁判外の紛争解決の利便の向上を図る制度でございますけれども、多様な紛争の解決を対象としているために、対等な当事者間の平等な取扱いが強く意識された制度になっているというふうに承知をしております。
 また、金融商品取引法に規定されております認定投資者保護団体制度でございますが、これはあくまで、当然ながら金融商品取引法という範囲の中で規定されるものでございますし、この団体への各業者からの加入というものは任意となっているものでございます。本法案におけます金融ADR制度が普及に至るまでの間、引き続き、投資商品に係る苦情処理、紛争解決を中心とする利用者保護の制度として主要な役割を担っていく、今後とも担っていくものと考えております。
 これらに対しまして金融ADR制度は、指定紛争解決機関が存在している業態におきまして、金融機関にこの指定紛争解決機関とのまず契約を義務付けをいたします。この契約の中に規定しておりますのが、資料提出であるとか結果尊重といったことなどについて金融商品取引業者にとってむしろ片面的な義務を課すという形で、金融機関に金融ADRに関する対応を言わばその業務上の義務として課しまして、そこで利用者保護の充実といいますか徹底を図っていこうという制度でございます。
 このように、金融ADR制度と金融ADR促進法及び認定投資者保護団体制度とは、トラブル解決の実効性の確保という観点から考えますと、大きく異なるものだというふうに考えております。
#123
○荒木清寛君 次に、取引所の相互乗り入れにつきまして、改正案に関してお尋ねいたします。
 今回の改正案では、金融商品取引所において商品先物市場を開設することや商品取引所を子会社とすること等が明確に認められるということになりまして、これは総合取引所構想に向かっているものと思います。ただ、その一方で、金融商品取引所と、実物といいますか、商品取引所を分ける法的枠組みそのものは引き続き維持されておりますし、監督、規制の当局もそれぞれ異なるわけなんであります。
 そういう意味で、この相互乗り入れの効果を発揮をするためには、当局の縦割り行政を排した、横断的な連携を取った、そういう行政の対応が求められると考えますけれども、この点、大臣の見解を伺います。
#124
○国務大臣(与謝野馨君) 取引所の相互乗り入れに当たっては、公正で円滑な市場運営や投資者保護を確保する観点から、商品当局とも密接な連携を行い、適切に監視、監督を行っていく必要があると考えております。
 このため、金融庁としては、商品当局との間で密接な協力体制を構築するために連絡会議を設置しているところであり、今後とも適切な連携に努めなければならないと考えております。
#125
○荒木清寛君 具体的に一つお尋ねしますが、そういう相互乗り入れの中で、商品先物取引の消費者保護といいますか、そうした在り方についても十分連携して関心を持っていただきたいと思います。
 前々回のこの金商法の改正のときに、私もこの委員会におりましたけど、商品先物の不招請勧誘の禁止ということが随分議論になりまして、率直に言って、経済産業省や農水省も関係しておるものですから、なかなかそこですっきりとした結論が出なかった、そういう思いがあります。
 今回、別途提出されております商品取引所法の改正案におきましては、そのときの問題は私は一定程度対応されているというふうに承知をしておりますけれども、こうしたことも含めた投資家保護の観点でどうお互いの当局が連携調整をしていくのか、この点もお答え願います。
#126
○政府参考人(内藤純一君) 今先生御指摘の商品先物取引の委託者保護の在り方についてでございますが、これは商品取引当局の言わば所管事項でございますけれども、金融庁といたしましても、今般の取引所の相互乗り入れということに当たりまして、両市場の公正かつ適正な運営を確保し、投資者保護を図る観点から、商品行政当局との間で必要な情報交換を行うなど、この市場というものの公正性といいますか透明性を確保するという観点から、密接な連携を図っていくことが重要であるというように考えております。
 このため、金融庁におきましては、先ほど大臣から答弁がございましたように、商品行政当局との間で連絡会議を既に設置をいたしましたほか、日常的にも連絡調整を円滑に行うために、金融庁及びこの商品行政当局との間において各々連絡調整官というものを設置をいたしまして、より実効性を高めるという観点で対応しているところでございます。
 金融庁といたしましては、取引所の相互乗り入れを可能とする制度整備に併せまして、こうした枠組みを通じて、それぞれの当局間との一層の連携を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。
#127
○荒木清寛君 次に、資金決済法案につきましてお尋ねいたします。
 資金決済につきましては、いわゆるプリペイドカードを規制する前払式証票等規制法があったほかには、これまでは特段の法整備はありませんでした。
 一方で、現在では、ICカードやサーバーで管理される新たな電子マネーが普及し、あるいは収納代行や代金引換といった新たな決済サービスも台頭しております。こうしたサービスは、私も含めて本当に日常的に多くの方が利用するようになってきております。大変便利ですけど、一方で、余りこういう分野でそういうトラブルが出ているということでもないかとは思うんですけれども、そういう中で、今回、法律案を提案をしまして新たな規制の枠組みを導入しようとする趣旨について、大臣の見解をお尋ねします。
#128
○国務大臣(与謝野馨君) 資金決済法案は御指摘のとおりでございます。
 一つは、銀行のみに認められた為替取引について、利用者保護を図りつつ、銀行以外の者でも行えるよう資金移動業に関する所要の規定を整備すること。第二は、商品券の券面やプリペイドカード内に金額が記録されるものと同様に、発行者がコンピューターのサーバーなどで金額を記録するものを前払式支払手段に関する規制の適用対象とすること。第三には、銀行間の資金決済を強化するため、資金清算業に関する制度整備を図ること等を内容とするものであります。
 この法案は、米国サブプライムローン問題に端を発した国際金融資本市場の混乱への対応や、我が国金融資本市場の機能強化、利用者保護の充実が必要であること、経済財政改革の基本方針二〇〇八で実行することとされた市場強化プランに盛り込まれた施策を着実に実施していくことが必要であること、そのようなことから、信頼と活力のある市場の構築を図る上で必要であり、今通常国会に提出して御審議をお願いしているものでございます。
#129
○荒木清寛君 今ございました、これまでは為替取引は銀行しか駄目だったんですが、少額のものについてはそれ以外にも認めるということですけど、こういうことになりますと、消費者にとってどういう新たなサービスが出てきて便利になるんでしょうか。
#130
○政府参考人(内藤純一君) 今回のこの為替取引につきまして、これまでは銀行しかできないという縛りがございましたけれども、資金移動業という新しい業の中でこういったものを認めていこうということでございます。
 これが具体的にどのような業界であるとか業態がこういった担い手になるのかということについて、現段階におきましては確たることは申し上げられませんけれども、私ども、一つ推測するといいますか、したところによりますと、例えばインターネットによりましてサービスを提供する事業者自身が利用者との間でサービスの提供に併せまして、第三者、従来であれば金融機関でございますが、これを介することなく資金のやり取りを可能とするためにこういった分野に参入をするということによりまして、利用者サイドにおきましても手続の簡素化あるいは料金、コストの低減といったものが期待できるのではないかなというように考えております。
 また、銀行に海外送金を依頼する場合には、一般に申し上げまして大体五千円から六千円程度の定額の手数料が必要となるわけでございます。少額送金ということになりますと、この手数料負担というのは相対的に非常に高くなるという指摘がある一方で、海外で既にこういった資金移動業という業態が存在をしているわけでございまして、こういった業者の少額送金の手数料を見ますとかなり低いと、低額であるということでございますので、今後こういった業態が具体化をしてまいりますと、料金の低下ということを通じて利用者利便の向上に資するのではないかなというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、各業者におきましては、新たな枠組みの下で創意工夫を発揮いたしまして、多様な形態の新たなサービスを提供するということで利用者利便の向上を図っていただくことが重要ではないかなと考えております。
#131
○荒木清寛君 終わります。
#132
○大門実紀史君 大門でございます。
 この法案はなかなかいい法案だなと、七割ぐらいはいい法案だなと思いますが、三割ぐらいのところがいかがなものかというふうに強く思うところでございます。
 具体的に言いますと、金融商品保護ではかなり改善がされているというふうに思いますが、今も少しありましたけれども、今日余り取り上げられませんでしたけれども、この金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れ、これはよく考えてやらなきゃいけないことをよく出してきたなというふうに思うところでございます。
 ここを中心に質問したいと思いますけれども、まず、法案の内容に入る前に、政府といいますか、与謝野大臣の認識を伺いたいんですけれども。
 資料を配りましたけれども、今、国際商品相場が急騰しております。去年夏までは原油とか穀物が上がって大変な事態でしたけれども、その後ざあっと下がって、原油では一バレル百五十ドルが三十ドルぐらいまで下がったんですけれども、今また急騰しているわけですね。
 この事態の原因を、なぜこうなっているのか、与謝野大臣はいかがお考えか、まず認識を伺いたいと思います。
#133
○国務大臣(与謝野馨君) 商品の価格が上がる場合は、一つは実需が増えるという場合がございます。これは例えば中国がたくさんの穀物を買うとか、たくさんの鉄鉱石を買うとか、石炭を買うとか、そういう実需によるものがあります。
 それからもう一つは、思惑で上がる場合がありまして、多分この商品は上がるだろうということで投機的に上がる場合があります。これは割に普通なことでございます。それからもう一つは、例えば金が上がったような場合は、いわゆる金の実需があるわけではなくて安全なものに資金が逃避するという、逃げ先としての商品相場の高騰というのがあります。それからもう一つは、過剰流動性が発生することによって投機資金の行き場所がないということで、商品市場があっという間に上がる。また、世界全体が景気回復基調にあるという期待感から商品市況が上がると。
 いろんなケースがあると思っております。
#134
○大門実紀史君 大臣、違うんですよ、そういう学習会やってもらうつもりはないんですよ。今なぜ上がっているかを聞いているんですね。
 今もう、私が言うまでもなくいろんな識者の方が指摘していますけれども、要するに上がり方はすごいでしょう。WTIの原油なんか今年初めから二倍ですよ。トウモロコシは二割、大豆が四割ですよね。これは何かというと、金融危機がありましたけれども、米国債などのドル建ての資産から、ファンドなんかもリスクを取る許容量が増えたので、現物資産に移動しているということが中心に指摘されているわけですよね。
 実際に、四月末にG8ですか、G8の農水大臣の会議があって、御存じじゃないのかな、ちょっと心配なんですけれども、そこでは、この間の投資資金といいますか投資マネーといいますか、この日経新聞にも出ていますけれども、これが入り込んでいると。だから、それに対する監視が必要だということをわざわざG8の農水大臣会議で共同宣言で出されているんですよね。
 だから、この間上がっているのはそういう、もちろん一般的なセオリーはそうかも分かりませんが、この間上がっているというのは、投資マネーが、債券市場が危ないと、つまり各国とも経済対策を物すごいやっていますよね、債券を発行していますよね、そこにはちょっと懸念があるので実物資産に入り込んでいると。だから、これだけ上がっていると、今大変な事態になっているというふうに認識をしていただくのが今の原因としては正しいと思うんですよね。
 その上で、したがって、私申し上げたいんですけれども、何でこんな事態になるかというと、一昨年からのガソリンの高騰とか大問題になってきましたですね、原油の高騰が。まさに今回提案されていることなんですけれども、世界の商品先物市場というのはもう金融市場と一体になってきちゃっているわけですよね。それで、生活物資の値段がそういう投資マネーによって左右されて、生活に大打撃ということが実際起こったわけですよ、原油にしたって、食料にしたって。
 そういう中で、しかも今また、あのときはまだこんな大不況じゃありませんでしたけれども、この大不況の中で原油とか食料が上がると、これこそもう消費が回復しない、するどころじゃなくなって大変な事態になるわけですよね。そういう認識で今の商品市場の高騰をとらえなきゃいけないというふうに思うわけでございます。
 そういう点でいくと、商品市場に投資マネーが入ってくるということに関してはかなり監視を強めなきゃいけないと、監督しなきゃいけないというふうに、私はそういうときだと思うんですけれども、大臣の御認識はいかがですか。
#135
○国務大臣(与謝野馨君) お金を監視するというのは非常に難しいことだと思います。
 商品市場は、基本的には実需に基づいて商品の相場は決まってくるわけですけれども、過大なお金が流入しますと、ガソリン、石油も穀物も本当にあっという間に上がると。それで、例えばニューヨークの石油市場の規模というのは十兆円ぐらいの規模だったんですが、そこに五十兆、百兆という投機資金が流れ込んできて、あっという間にニューヨークの石油市場百五十ドルを超えると。全く実需とは関係ない、言わば賭博的な、カジノ的な商品市場になってしまった。これはやっぱり少し反省しなきゃいけないところだと私は思っております。
#136
○大門実紀史君 そうなんですよ。だから、なぜそういう認識なのにこういうものが出てくるのかなということが、私、もう時期尚早というか、一遍元に戻して見直して、商品取引所の問題、商品市場を活性化するにしても、簡単に、これ一年半前ですよ、この原案が出たのは、だから金融危機の前ですよね、前に考えられたことをそのまま今出してきているというこの神経が信じられないんですけれども。
 この法案そのものをちょっと触れないと意味が分からないかも分かりませんけれども、要するに、内藤局長、ちょっと伺いますけれども、この相互乗り入れというのは、金融庁の文書でも、目的としては、利便性の高い市場にして市場規模を拡大すると、それで収益基盤の強化につなげることにあるというふうに書かれておりますけれども、要するに、利便性が高まってそういう投資資金を呼び込んで規模を大きくすれば、だれの利益か分からないけれどもとにかく収益が上がるということをおっしゃっているわけですから、これは当然、そういう投資資金を、投資マネーといいますか投機マネーといいますか、投資資金を呼び込む法案じゃないんですか。
#137
○政府参考人(内藤純一君) 今回のこの法案の中に盛り込まれております相互乗り入れの考え方でございますけれども、これはまず、各国の取引所、世界の取引所あるいは取引所グループが非常に今競争状況にございまして、日本の市場の競争力というもの、これは短期的には様々な問題がございますけれども、中長期的な課題としては非常に重い課題だというふうなことでこれまで検討してまいりまして、この言わば相互乗り入れを可能にすることによって日本の市場の中長期的な競争力の強化を図っていくというのがまず第一でございます。
 第二は、先ほど先生御指摘のような問題ももちろん我々常に心掛けていく必要がございますけれども、利用者利便の向上でございますとか、あるいは、こういう相互乗り入れをする中で問題のある取引、不公正な取引あるいは投機的な資金の流れといったことについては、金融商品取引所と商品取引所の相互の連携、あるいはそれぞれの当局の緊密な連携を通じて監視をより強めまして、そうした不公正な取引がないような、あるいは健全な資金の流れが行われるような対応をしていく必要があるということで、これは商品取引所法の中にも措置されていると考えておりますし、私どもも今後の運営の中でも気を付けていかなければならない問題だと考えております。
#138
○大門実紀史君 そんな何か気を付けるとかじゃなくて、呼び込むことそのものを今よく考えた方がいいと。日本は、日本の商品市場は確かに使い勝手が悪くて狭いから投資マネーが入りにくかったわけですよね。そのおかげでかなり日本の市場は混乱しなかったわけですよ、ニューヨークのWTIとかシカゴに比べて。それは何だったんだろうと。それは良くなかったことなのかどうか。
 もうGMが国有化されるような時代なんですから発想の転換をして、競争力競争力というのは何のことを言っているのか分からないですよ、今。その競争力をみんなで追い掛けて金融危機を起こしちゃったわけでしょう。大崩壊したわけでしょう。一遍元へ戻して考えるべきだし、特に商品市場というのは大臣言われたように小さいんですよね。それに金融が入り込むと、前の原油高騰とかのときに言われたんですけれども、池の中で鯨が泳いでいるという言い方をされたんですよね、金融が入り込んだものですから。狭いところに金融という鯨が入って泳いでいると、こんな表現されたわけですよ。そこのところをよく考えないと、こんな金融危機の前に作った案をそのままずるずると惰性で出してくるというのはよく考え直された方がいいと思うんですけれども。
 せっかく経済産業省来てもらっているので。経済産業省のこの文書、二枚目の資料に、よくまあ、これ二年前だからこんなことを書いていましたけれども、恥ずかしくないのかと今思いますけれどもね。要するに、上の方の文章は、こういう相互乗り入れして、ETFですか、こういうものを、投資家からのニーズがあると、ETFをやってくれというニーズがあると。こんなものにこたえているからこんなことになったんですよね。商品先物市場の流動性の増大をもたらすと。流動性の増大ってあれでしょう、売買契約金額を増やすということでしょう、ですよね。それだけじゃない、目的。下の方には更に、リスクテーカーを増やすと。ファンドですよね、ファンドまで入っているわけですね。こういうものを呼び入れたいと。
 これは二〇〇七年の十二月ですからちょうど金融大崩壊の一年前の文章でございますけれども、こんな認識のまま今回経産省も、商品取引所法案、提案されているんですか。
#139
○政府参考人(大下政司君) お答え申し上げます。
 まず、ETFの関係で流動性が増えるということでございますけれども、一般的に商品の価格と株の価格は異なる動きをするということで、商品先物は株式の代替的な投資対象だというふうに言われております。したがって、ETFを上場することによって投資家にとって利便性があるというふうに言われております。また、このことによって国内の商品先物市場にも流動性が増す、資金が入ってくるという効果が期待されるということを書いております。
 それから、リスクテーカーのところでございますが、リスクヘッジャーだけじゃなくてリスクを取る人が参加することによって、一般的には取引が一方向の売買に偏ることなく、より安定性の高い市場が形成できるものというふうに考えております。その中で、しかし商品先物市場において価格形成がゆがんではいけませんので、過剰な投機についてはよく監視をし、必要な市場管理を適切に行っていくことが重要であるというふうに考えております。そのため、現在国会に提出させていただいております商品取引所法の改正案におきましても必要な措置等を盛り込んでいるところでございます。
#140
○大門実紀史君 ここは経済産業委員会ではありませんから一々言いませんけど、全然そんな対策取っていませんよ、効果なんかありませんよ、こんなもの。異常な相場過熱のときには証拠金引き上げると。もう異常になったときは遅いんですよ。異常に過熱しているときは遅いんですよ、もうこれまでの経験でいくとね。何の役にも立ちませんから。
 私が聞きたかったのは、これ、金融危機が起きる一年前の今説明ですよね。それがこの金融危機を経ても、ただそういう、何ですか、何か小手先の対策取ればこういう投資マネーの流入とか高騰とか、商品価格の高騰というのは、ただマネーゲームをやっている人たちが遊んで、損して、もうけての話じゃないんですよ。生活にかかわるから言っているんですよ。ガソリンが上がったり、食料品が上がったり、パンが上がったり、小麦粉が上がったりするからね。そんなところをこういうマネーゲームの場にすべきじゃないという意味で申し上げているので。一年たってもまだそんな認識、金融危機の後でもそんな認識なのかというのは、私、大変驚くんだけれども。
 もう一つ、そういう、この市場を、商品取引市場を大きくした方が当業者もリスクヘッジになるというふうな昔からの理屈がありますよね。だから、市場規模大きい方が当業者も実需のやっている人にとってもいいんだと、この理屈がありますよね。これも実は私、この前の金融危機、その前の商品市場の原油とか穀物とかのあの高騰で崩れたと思っているんですよ、そのセオリーも。(発言する者あり)
#141
○委員長(円より子君) 私語をお慎みください。
#142
○大門実紀史君 だって、そうでしょう。ニューヨークのWTIにしたってシカゴの穀物にしたって、日本の何倍ですよね。だからこそ投機マネーが入り込んで全部ぐちゃぐちゃにしちゃったわけですよね。だから、規模が大きければその実需、当業者のリスクがヘッジされるなんという理屈は、もうあの金融危機以降成り立たないんですよ。そういうことを全部一から考え直してこういう提案をされているのかどうかを、聞いても考えていなかったということになると思うんだけど、もう一遍、どうですか。
#143
○政府参考人(大下政司君) 商品先物市場において公正な価格形成を図るということは、先生御指摘のとおり大変重要な課題であるというふうに考えております。
 そういう中で市場管理を適切にどうやって行っていくかということが求められているということでございまして、現在提案させていただいております法律改正案の中におきましても、まず、取引所外の商品先物取引の状況を把握するための仕組みを設けて透明性を高めるという措置をとっていたり、相場が異常に過熱しているような局面におきましては主務大臣が商品取引所等に対しまして取引証拠金の金額等の変更を命ずるための規定を設けるなど、一層の規制の整備を盛り込んでいるところでございます。
#144
○大門実紀史君 駄目だこりゃと思いますよね。要するに、何年か後、分かりません、来年かも分かりません、今年中かも分かりません。投機、投資マネーはあり余っていることはあり余っていますから、必ず動き回ってきます。この法案をこうやって通したことによって、来年か再来年か分からないけれども、日本のガソリンとか日本の食料が騰貴したときに、高騰しちゃったときに責任問われますよ。このことをよく考えた方がいいですね。既に経験あるんだから。ニューヨークやシカゴで経験があるんだから、よく考えた方がいいですよね。
 金融庁も、今は経産省がある意味で主体でしたので経産省の産構審の文書でやりましたけど、金融庁だって同じことを同じ時期に、ほぼ同じ内容を提案されているわけですよね、金融審議会の分科会で。だから金融庁も一蓮託生なんですけれども、ちょっとまだ採決まで時間あるようですから、お考えになったらどうかと。
 これは後で禍根を残すと思いますよ、私。日本の物価高騰、商品市場が高騰したときに国会が問われるというふうに思いますので、具体的に更に言えば、店頭取引の問題もありますから、それは次回指摘したいと思いますけれども、十分考え直してほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。
#145
○委員長(円より子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#146
○委員長(円より子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(円より子君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト