くにさくロゴ
2009/06/30 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 内閣委員会 第11号
姉妹サイト
 
2009/06/30 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 内閣委員会 第11号

#1
第171回国会 内閣委員会 第11号
平成二十一年六月三十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十五日
    辞任         補欠選任   
     金子 恵美君     島田智哉子君
 六月二十九日
    辞任         補欠選任   
     藤本 祐司君     青木  愛君
 六月三十日
    辞任         補欠選任   
     鈴木 政二君     中山 恭子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         愛知 治郎君
    理 事
                松井 孝治君
                柳澤 光美君
                岡田  広君
                中川 義雄君
    委 員
                青木  愛君
                工藤堅太郎君
                自見庄三郎君
                芝  博一君
                島田智哉子君
                徳永 久志君
                藤原 良信君
                森 ゆうこ君
                浅野 勝人君
                市川 一朗君
                岩城 光英君
                中山 恭子君
                山谷えり子君
                山本 香苗君
                糸数 慶子君
   衆議院議員
       修正案提出者   江崎洋一郎君
       修正案提出者   菅原 一秀君
       修正案提出者   田名部匡代君
       修正案提出者   吉田  泉君
   国務大臣
       国務大臣     小渕 優子君
   副大臣
       内閣府副大臣   増原 義剛君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        並木 正芳君
       文部科学大臣政
       務官       萩生田光一君
       防衛大臣政務官  岸  信夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 秀行君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        松田 敏明君
       内閣府男女共同
       参画局長     板東久美子君
       法務大臣官房審
       議官       甲斐 行夫君
       法務大臣官房司
       法法制部長    深山 卓也君
       文部科学大臣官
       房審議官     徳久 治彦君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       スポーツ・青少
       年総括官     野家  彰君
       厚生労働大臣官
       房審議官     杉浦 信平君
       厚生労働大臣官
       房審議官     伊岐 典子君
       防衛大臣官房審
       議官       岸本 邦夫君
       防衛省防衛政策
       局次長      松本隆太郎君
       防衛省人事教育
       局長       渡部  厚君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○青少年総合対策推進法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(愛知治郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、金子恵美君が委員を辞任され、その補欠として島田智哉子君が選任されました。
 また、昨二十九日、藤本祐司君が委員を辞任され、その補欠として青木愛君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(愛知治郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 青少年総合対策推進法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官松田敏明君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(愛知治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(愛知治郎君) 青少年総合対策推進法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○島田智哉子君 おはようございます。
 民主党の島田智哉子でございます。
 本法案につきましては、衆議院におきまして与野党による修正協議の結果、修正の上、本院に送付されましたこと、私も党内の修正案の策定に携わってまいりました一人としては、修正案提出者の皆様に敬意を表する次第でございます。
 私どもも、党内では相当な時間の中でこれらの問題について議論をしてまいりました。その中でも、子どもや若者について、あるいは引きこもりの問題について、机上の空論であってはなりませんし、ただ単に基本法を作ったからこれでよしということではなくて、結果としてその後どのような施策をどのように展開していくことになるのか、具体的にだれがどのような支援を必要としていて、それに対してだれがどのように支援を行っていくのか。特に引きこもりの問題については、私どもも家族会の皆さんからお話をお聞かせいただくことができましたけれども、相当深刻な悩みを抱えていらっしゃいます。
 そうした中で、私どもの検討の中でも、そういった問題の背景は何であるのか、また、そうした子どもや若者だけに問題があるということではなくて、もちろん家族だけの問題でもなく、むしろ学校や地域、職場を含めた社会全体に様々な原因が存在をしているのではないかと。
 政府原案の説明資料に書かれている背景として、「ニートなど若者の自立をめぐる問題の深刻化」とあって、その下に、「不登校、中退、いじめ経験などの複雑な問題が背景に存在」とあります。では、この不登校であったり中退やいじめの背景には何があるのか。政府原案ではそうした点についての文言はございませんが、修正後におきまして、目的の第一条に、子ども・若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえという文言が加えられております。
 私どもとしても、まずこうした状況を共有することから始めるべきではないかと、そのような認識の下で検討をいたしてまいったわけですが、まずはこの修正項目の趣旨について、修正案提案者にお伺いをいたします。
#7
○衆議院議員(吉田泉君) おはようございます。
 島田先生の、このニート、引きこもりの背景にある環境について、今回の修正案で目的の第一条に織り込んだということでございます。この現状認識といいますか、背景をきちんと踏まえて法制化することが大切であろうというつもりでございました。
 具体的には、この環境の悪化というのは、児童虐待、それからいじめ、性犯罪、さらには有害情報のはんらん、さらには経済的貧困と、こういう子どもや若者をめぐる環境が悪化しておると。さらには、最近のいろいろな犯罪、例えば秋葉原の通り魔事件、中央大学教授刺殺事件に見られるように、犯罪も質的な変化が生じていると。そういう円滑な社会生活ができないという子どもたちの問題の背景にあるものをよく踏まえることが大切であろうということで、第一条に規定したところでございます。
#8
○島田智哉子君 やはり社会としてまず今提案者から御説明のありましたことを共有することが大変重要なことであると思いますが、政府としても、この修正された第一条の目的を尊重いただきたいと思いますが、小渕大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(小渕優子君) あらゆる年齢段階におきまして、子ども・若者をめぐる状況というものは大変厳しい状況にあります。そうした背景には、本人の問題だけでなく、やはり委員が御指摘のように、家庭や学校また地域社会など周辺環境の影響によるものが大変大きいのではないかと考えております。
 今回の修正案におきまして、現在の子ども・若者をめぐる環境の悪化ということがあえて盛り込まれたということは、近年の状況がそれだけ厳しく深刻な状況にあることを強く示されたものであると受け止めておりまして、思いを共有するところであります。
#10
○島田智哉子君 委員長、恐れ入ります。大臣におかれましては、御体調のこともありますので、御無理のないように楽な姿勢でお答えいただきますように、委員長からどうぞお願いいたします。
#11
○委員長(愛知治郎君) 小渕大臣は、着席のまま答弁されても結構でございます。
#12
○島田智哉子君 恐れ入ります。
 それから、第一条の修正では、日本国憲法及び児童の権利条約が明記されております。この点につきましても、私どもの検討の中で大変に重視をした点でございました。
 特に、子どもの権利条約における差別の禁止でありますとか最善の利益、こうした項目が明記されましたことで、子どもや若者をめぐる様々な問題についてそれぞれの状況に応じた支援を行っていく、子ども・若者の目線で様々な支援を行っていく、そうしたことが基本理念に明記されたことになると認識をいたしますけれども、この点につきまして政府としての御認識を小渕大臣にお聞きいたしたいと思います。
#13
○国務大臣(小渕優子君) お気遣いありがとうございます。通常どおり答弁させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 御質問につきましてでありますけれども、一部の地方自治体におきまして、子どもの権利の面を殊更強調する、また行き過ぎるという対応が見られるといった問題も一方で指摘されておるんですけれども、しかしながら、条約の趣旨の理念にのっとりまして法を施行していくということ、これは政府として当然のことであると考えております。
 今回の修正によりましてこれらの理念が法文上に改めて位置付けられたその趣旨をしっかりと踏まえて、子ども・若者育成支援に取り組んでいきたいと考えております。
#14
○島田智哉子君 次に、修正後の第二条の三に、「子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。」と、この点につきましても政府原案では全く明記されていなかった文言でありますけれども、この御趣旨を提案者より御説明いただきたいと思います。
#15
○衆議院議員(田名部匡代君) おはようございます。
 お答えをいたします。
 子どもや若者が置かれている今の現状というものを考えたときに、その社会生活を円滑に営むことが困難となるその要因というのは、子どもや若者自身が有するものというよりも、むしろ取り巻く社会の様々な要因が及ぼす影響が大きいと考えております。先ほど先生がおっしゃっておられたように、地域であるとか社会であるとか学校、家庭、こういった様々な要因が及ぼす影響が大変大きいと考えています。
 中でも、子どもたちが成長する過程において日常的に接している家庭的環境というのは大変重要だと考えておりまして、例えば家庭の中で育児放棄があるですとか虐待がある、そういったことを受けた子どもたちの体や心の傷というものはどれだけ大きいかと、そしてどれだけ健やかな成長に悪い影響を及ぼすかというのはもう容易に想像ができることと思います。
 私たちといたしましては、そういったことを踏まえて、良好な家庭的環境で生活することが大変重要であると考え、このことを基本理念に追加をしたところでございます。
#16
○島田智哉子君 提案者がおっしゃるように、子どもが生まれて育ち、成長の段階において家庭の環境が大きく影響することは改めて申し上げるまでもございません。ただ、その家族の姿につきましては様々であります。両親やおじいちゃん、おばあちゃん、兄弟と暮らす家庭もあるでしょうし、一人親と子どもの家庭、あるいは様々な事情によって親や家族とは暮らすことはできないけれども、里親さんであったり福祉施設が家庭である子どもたちもたくさんいるわけですけれども、いかなる家庭的環境であったとしても、まさに理念に明記された差別的な取扱いを受けることなく良好な家庭的環境で生活することが重要なことであると思います。
 しかしながら、そのためには様々な支援を必要とする家庭があって、そうした家庭に対して様々な支援を行える体制が求められていると思うわけですけれども、現状として、そうした体制が十分に整備されているとはなかなか言えない分野も多々あるのではないかと思います。
 そこで、この良好な家庭的環境を構築するための支援の在り方について、幾つかの具体事例を基にお聞きをいたしたいと思います。
 まず、一人親家庭に対する支援についてでございますが、この問題につきましては、これまでの本委員会での質疑の中で私も小渕大臣と御議論をさせていただきました。その中では、小渕ビジョンの中で一人親家庭の自立を支援するということを掲げていらっしゃることについて、あるいは父子家庭についての経済的支援について大臣のお考えをお聞かせいただきました。
 この一人親家庭の問題につきましては、先週、野党が共同提案をいたしました生活保護法の一部改正案と児童扶養手当法の一部改正案が本院で可決いたしましたことは御案内のことと思います。残念ながら政府・与党の皆様には御賛同いただくことはできなかったのですが、しかし、これまでの大臣の御答弁あるいは国会での御議論の中でも与野党の認識にそれほど差があるとは思えないんですが、両案が本院で可決されましたことに対しまして、小渕大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(小渕優子君) これまでも島田委員とは一人親家庭について様々な御議論をさせていただいてまいりました。
 御指摘のように、どういう家庭状況であってもしっかりと子どもが成長していくために、国で、社会で支えられる、そうしたシステムというものをつくっていかなければならないと考えておりますし、以前より、困難を抱える家庭、一人親家庭に対してはしっかりとした支援をしていかなければならない、そういう思いでおるわけであります。その上、今この厳しい経済状況にありますので、一人親家庭が本当に大変な思いで子育てをされているということについては本当に重く受け止めているところであります。
 また、前回も議論になりましたけれども、母子家庭だけでなく父子家庭においても、やはり低所得で子どもを育てているということは男性、女性変わることではありませんので、そうしたところもしっかりとした経済的な支援の仕組みというものを整えていかなければならないと思っておるところであります。
 そのため、先般の骨太の方針二〇〇九やゼロから考える少子化対策プロジェクトチームの提言におきましても、この一人親家庭を始めとする子育て等に配慮した低所得家庭への支援策の必要性を盛り込んでいただいたところでありまして、今後、しっかりとした安定財源を確保した上で、経済的支援も含めた総合的な一人親家庭の支援の仕組みというものをしっかり検討していかなくてはならないと思っております。
#18
○島田智哉子君 ありがとうございます。
 私どもといたしましても、今回の御提案は、父子家庭に対する緊急的、暫定的な内容であると同時に、児童扶養手当法そのものが、育児の担い手あるいは生計の担い手を、父も母も共に協力して担うということではなくて、生計の担い手は父、男性、育児、家事は母、女性という固定観念の下に策定されていることから、法律そのものを検討して見直す必要があると、そうした内容のものでありました。
 先々週、私ども、全国の都道府県等に対して、国に対して父子家庭に対する児童扶養手当の支給を要望されているかどうかについてお聞きをしましたところ、二十八の都道府県と十八の政令市より同趣旨の要望がなされていることを確認をいたしました。この結果を見ましても、国民の理解は十分に得られているのではないかと私どもは確信をいたしておりますが、引き続き成立に向けて小渕大臣のお力をお借りしながら努力をしてまいりたいということを申し上げておきたいと思います。
 小渕大臣が就任後大変御熱心にお取り組みになられてこられたゼロから考える少子化対策プロジェクトチームの御提言が、ちょうど先週の二十三日に発表されました。私も議事録を読ませていただきましたが、毎回大変有意義な御検討がなされていると感じております。そして、是非その提言を実現すべくお取組をお願いしたいという思いで、早速その提言の内容についてお聞きをいたしたいと思います。
 今回の提言の中で、資料の提出を本日させていただいておりますように、「子どもの貧困と格差の連鎖を防止する」という項目の中で次のような記述がございます。「ひとり親家庭については、経済的支援の在り方(児童扶養手当の支給停止要件や父子家庭への対応のあり方、養育費の問題、生活保護)、住宅や保育所などの環境整備、教育面での支援、就業面での支援などの課題がある。」と。
 ちょっと分かりにくい表現になっているんですけれども、端的にお聞きをいたします。この中で書かれている児童扶養手当の支給停止要件について、どのような課題があると御認識なされているんでしょうか。
#19
○国務大臣(小渕優子君) 今お話がありましたように、ゼロから考える少子化対策プロジェクトチームにおきまして、母子家庭の支援団体の方より、児童扶養手当の一部支給停止について、そもそも元の制度に戻すべきではないかというような問題提起がありました。そうしたことも踏まえて、今回課題としてこちらに整理をしたところであります。
 どのようなところに問題点を持っているかということでありますけれども、やはり就労の意思があっても小さい子どもを抱えて就職活動というものがなかなかできない、意思はあるけれども実際に現実的に難しいというような人にとってはこの適用除外に含まれない、そうしたこともあるわけでありまして、こうしたことはやはり当初の目的のとおり機能していない、運用の面でうまくいっていないいい例ではないかと思います。
 そうした実態をしっかり踏まえて、一人親家庭がしっかり自立というか、就業していくためには何をしていかなければいけないかという全体を今後議論していく中で、その適用除外などについて、また運用について検討していく必要があるのではないかと考えています。
#20
○島田智哉子君 今後、この提言の内容、あるいは大臣の今の御答弁を踏まえて具体的にどのようなスケジュールで政策に反映されていかれるお考えでしょうか。
#21
○国務大臣(小渕優子君) まずはこのPTの提言を踏まえて、年内を目途に策定いたします新しい少子化社会対策大綱に向けてこの一人親家庭の支援の在り方全体を議論していきたいと思っておりますけれども、その大綱とは別にいたしまして、やはり運用の面でなかなか当初の目的のとおり運用されていないという実態がありますので、やはりその制度自体を所管して、運用に関しては厚生労働省でありますから、せっかく制度をつくっても運用面でうまくいかなくては意味がありませんので、そうしたところも含めて厚生労働省ともしっかり調整をしながら、両方で前に進めていきたいと考えています。
#22
○島田智哉子君 今の大臣の御答弁に対して、厚生労働省、いかがでしょうか。
#23
○政府参考人(伊岐典子君) 児童扶養手当の支給に関する運用面での課題につきまして様々な御指摘があること、あるいは先ほどの小渕大臣の方でお取りまとめになりましたゼロから考える少子化対策プロジェクトチームの御提言の中でも触れられていることは十分承知しているところでございます。
 私どもといたしましても、そのような御提言については、足下を見て、そういうことに当てはまることがないかどうかは真摯に検証してまいりたいと思っておりますが、それぞれの現場におきましては、現状の運用方針に基づいて誠実にやらせていただいているというふうに考えてございます。
#24
○島田智哉子君 この児童扶養手当の支給停止要件につきましては、母子家庭のお母さん方に大変大きな御不安を与えておりまして、この支給停止要件の削除を始め、法律そのものの全面的な見直しが必要であると考えております。
 それから、当事者の皆様からお聞きをいたしますと、この児童扶養手当の運用においても相当多くの問題が発生しております。法改正は法改正として、運用上の問題はすぐにでも改善できるわけですから、早急に御対応いただきたい問題について具体的事例に基づいてお聞きをいたしたいと思います。
 私どもが直接お聞きした中でも、本当に信じ難いような事例がございます。例えば、児童扶養手当申請時に夫の住所が近隣だと偽装離婚だとして申請を受け付けなかった京都府向日市の事例でありますとか、おばさんに頼まれて親戚の若い男性に食事を週一回食べさせていたら、事実婚と疑われて辞退しろと言われた福島県郡山市の事例、あるいは、未婚で出産をしたら年に数回しか会わないのに事実婚だと決め付けられた、妊娠期にさかのぼって返還請求をさせられた山口県の事例など、様々な事例があります。
 母子家庭も父子家庭も、一人で子どもを育てるのは大変ですが、それでも前向きに明るく生きていこうと思っているときに、常に監視され、事実婚の疑いや偽装離婚の疑いを掛けられている状況だと当事者団体から報告がありました。
 まずは、こうした事例が散見されているわけですから、こうした問題になった状況を厚労省としてもしっかりと調査をしていただいて、自治体等に通知を出すなど、こうした事態が起きないような御対応をいただきたいと思いますが、厚労省、いかがでしょうか。
#25
○政府参考人(伊岐典子君) 運用面での様々な事例につきまして今御指摘を賜ったところでございますが、まず児童扶養手当制度の運用の原則でございますが、まず申請を受け付けた上で、支給要件に関し実態を確認させていただいた上、認定又は却下などの処分を行うということでございます。その申請の受付自体を拒んでしまったり、入口のところで何も見ないで拒んでしまう、あるいは最初から受給要件に該当しないと決め付けるというようなことがあってはならないというふうにまずは考えているところでございます。
 それから、先ほど御指摘がありました、離婚された夫の近くに住んでいること、親戚のお子さんがお食事をされに来られていること、あるいは届出をされずに出産したことによって事実婚ではないかと疑われたこと、様々な事象につきましての問題点というふうな先生の御指摘であろうかと受け止めておりますが、例えば届出をされずに御出産された場合のことを取り上げて申し上げますと、そういう児童扶養手当の受給者であります女性が事実婚を含む婚姻をした場合には手当が受給されないという原則の下、例えば受給者の方が婚姻の届出をされずに出産した場合、アプリオリにそれを事実婚だというふうに決め付けるということがあってはならないわけでございまして、一律に資格喪失処分をするのではなく、本当にそれが事実婚であるかどうかをよく確認させていただいた上で判断されるべきものだというふうに考えてございます。
 その他の二点につきましても、それぞれ、今申し上げましたように、婚姻あるいは事実婚の状況にあるものかどうかということを実態に即して判断させていただくということであろうかと思います。
 したがいまして、今後とも、このような趣旨を、きちんと実態をよく見るというようなことを自治体に対しまして機会をとらえて周知してまいりたいと思っておりますし、また問題となるような事案がありましたら直ちに適正に行うよう指導してまいりたいと存じます。
#26
○島田智哉子君 しっかりと対応していただきたいと思います。
 それから、DV被害者への対応についてですけれども、DV被害を受け、遺棄区分で児童扶養手当を申請する場合のメール、電話、手紙等があると一年間申請を待機させられるという実態がございます。DV被害者が別居中で、離婚が成立しない、保護命令が出て調停中などの場合、暴力を振るう夫から嫌がらせのメールが来ても一年申請を待たなければならないという状況にございます。
 先週の厚生労働委員会の中でも、現在、DV防止法の保護命令の対象に、電話、メールもその対象になっているわけですから整合性を付けるべきではないかという御議論がございました。厚労省の御答弁では、DVの被害者が、ただ単に父親からのメール、手紙があったということのみをもって一年間支給を認めないというふうな取扱いは国としては示しておりません、仮に家を出た場合、後に父からメール、手紙などがあった場合であっても、その内容によって遺棄に該当するかどうかを判断するという取扱いをしているところでございますと、このように御発言をされたわけですけれども、それはどのようなメールだと一年申請を待たなければならないのか。この点について、その基準を明確に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#27
○政府参考人(伊岐典子君) 先生から御指摘ありましたメールや手紙の内容につきましては、先般、雇用均等・児童家庭局長の方から御説明の機会を持たせていただいたところでありますが、繰り返しになりますが、先生から御質問の件に関しましては、例えば、お父様からのメールや手紙の内容がそのDVの被害者に対する脅しの内容、脅しのような内容を含む場合などには一般的には子どもさんへの監護意思があるとは考えられないわけでございますし、一方で、子どもさんの安否を気遣うような内容である場合には監護意思がないとは言えないのではないかというふうに一応の判断は働くわけでございます。
 しかしながら、これはもう本当に個々のケースにおきまして千差万別と言っていい状況であろうかと思いますので、一律に、こういう表現があれば直ちに一年間待ちましょう、こういう表現があればすぐお渡ししますというような筋合いの基準を作るにはちょっと難しい面もあろうかというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、最終的には児童の遺棄に該当するか否かについて、メールの内容も含めまして様々な事実関係から総合的に判断すべきものと考えておりまして、個々の事情に即した適正な運用を図るということに努めてまいりたいと存じます。
#28
○島田智哉子君 その基準を示すことが逆効果になるというのであれば、具体的にどういったケースでそうなるのか等々、当事者団体の皆さんからお話を聞く、あるいは十分な御説明をなさるべきではないでしょうか。
 児童扶養手当制度について、この制度は、一人親に育つ子どもを応援している制度として、受給者も百万世帯、百八十万人の子どもたちを応援している制度としてとても重要な制度だと思います。しかし、その運用が、非常に母親たちに対して罪悪感や、御近所から監視を常に受けている、明るく生きてはいけないんだ、暗く生きていかなければいけないんだというふうに運用されていることを知って力をそいでいることを非常に残念に思います。
 最後にもう一度、児童扶養手当の運用について、プライバシーに配慮し必要な世帯に支給するよう、過度な運用の締め付けは行わないよう、自治体に対しても国としてしっかりと要請をしていただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#29
○政府参考人(伊岐典子君) 先ほどから御説明をさせていただいておりますように、与件とか先入観で判断をするのではなく個々の実態をしっかりと見させていただいて、そして適正な運用をさせていただくよう今後も努めてまいりたいと存じます。
#30
○島田智哉子君 それから、良好な家庭的環境という観点から児童福祉施設における現状についてお聞かせをいただきたいと思います。
 今回、修正後の文言が家庭的ということになりました背景には、先ほども申し上げましたように、様々な事情でお父さんやお母さんとは一緒に暮らすことができない中で、児童養護施設など福祉施設で養育されている子どもたちが多くいるという現状があったことと思います。
 虐待を受けた子どもなどに対する養護の充実という点につきましては、昨年十一月に行われました児童福祉法改正における趣旨の一つであります。例えば施設機能の見直しとして、子どもにとりましての必要なケアの質を確保するための人員配置基準の引上げや措置費の算定基準の見直し等々が委員会審議での焦点の一つになったと記憶をいたしております。
 そもそもこの施設機能の見直しについて、一昨年の平成十九年十一月、社会保障審議会の児童部会の中の社会的養護専門委員会、この報告書の中において既に見直しの必要性が指摘されているわけですけれども、具体的に現状がどのような状態で、どのような指摘が行われたのか、御説明をいただきたいと思います。
#31
○政府参考人(伊岐典子君) 先生の御指摘のありました一昨年の十一月の社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の報告書におきましては、社会的養護体制の拡充のための具体的施策ということで、現状、一定の問題があるというようなことを認識した上で、大きく二点の施設機能の見直しに関する御提言をいただいているところでございます。
 まず第一点でありますが、子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう、現行の施設類型の在り方を見直すとともに、人員配置基準や措置費の算定基準の見直しなどを含めたケアの改善に向けた方策を検討する必要がある、これが第一点の御指摘であったかと存じます。
 またさらに、第二点目の御指摘といたしまして、今申し上げましたような施設機能の見直しを具体的に進めるためには、必要な財源の確保が不可欠であるとともに、現在施設内で行われておりますケアの現状を詳細に調査分析することが必要であるとの御指摘もちょうだいしたところであります。
 以上でございます。
#32
○島田智哉子君 それで、この件につきましては、昨年の秋には、実態調査結果が出るのでその結果を見て検討するというお話をお聞きしておりました。しかしながら、現時点においてもいまだ具体的な見直しの内容まで示されていないと承知をしておりますけれども、児童福祉法改正案の成立後、現時点までの経緯についてお聞かせをいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(伊岐典子君) お答え申し上げます。
 児童福祉法の改正の審議が行われました際に、先生が御指摘のようなやり取りがあったと承知しております。具体的には、平成二十年十一月二十五日の厚生労働委員会におきまして、施設機能の見直しに関連して、施設に関する実態調査を始めたことや、施設の実際のケアの状況などについてタイムスタディーなども検討していることなどを当時の局長から答弁させていただいたところでございます。
 その後の状況をということでございますので、ちょっと時点がまたさかのぼりますが、少し整理をさせていただいて御紹介を申し上げたいと思います。
 先ほども御説明いたしましたように、社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会で御指摘があり、必要があると言われた調査のことでございますが、これは、平成十九年度中に、これは具体的には二十年の三月でございますが、全施設を対象に施設の概況あるいは個々の入所児童の状態、背景などについての調査を実施したところでございます。これにつきましては、平成二十年の十月に同じ専門委員会で中間取りまとめをさせていただくとともに、更に掘り下げまして、今年の五月に追加的なクロス集計につきましてもさせていただいて同専門委員会に報告をさせていただいたところでございます。これがいわゆる悉皆調査というか、データを取るような調査の進捗状況でございます。
 また一方で、更に詳細に施設のケアの実態を把握するというような御提言もあったわけでございますが、これにつきましては、いわゆるタイムスタディーと申します、具体的には、子どもの状態によるケアの内容を定量的に把握することを目的とした実態調査でございますが、これを平成二十年の十月に今申し上げました専門委員会で調査設計案をお示しした上、専門的な知見をいただくという作業をいたしまして、そこでいただきました専門的知見を踏まえて所要の修正を加えまして、これを今年の一月から三月までに実施したところでございます。
 現在は、今申し上げた今年の一月から三月までのタイムスタディー調査の分析、また、それを翻って十九年度に行いました悉皆調査へのもう一度の跳ね返りなどの検証といったことをさせていただいているところでございます。
#34
○島田智哉子君 私もこれまでに児童養護施設やグループホーム、児童自立支援施設にお伺いをしてまいりましたけれども、やはりどこの施設においても同様に虐待を受けた経験のある子どもたちが多いということで、例えばグループホームでお聞きしたお話では、集団行動だとわがままを出さない子どもが、少人数であれば甘え方、人との接し方が分からずに試し行動が大きくなるんだそうですね。子どもですから甘えたりわがままを言うのはごくごく当たり前のことで、しかしその当たり前のことさえも我慢をしているということなんです。ですから、グループホームという家庭的な環境によってリラックスをして、甘えたりわがままが言える環境に少しでも近づけていくことが必要なんだと思います。
 しかし、それは、そうであるほど施設の職員さんにとりましては大変な御苦労な状況にございます。ある施設でお聞きいたしましたのは、職員の平均勤続年数は七年から八年ということでして、その背景には施設側として長く雇えないんですと。もちろん厳しい労働環境という実態がございます。
 こうした環境の改善に向けた施設機能の見直しについて、いつまでに結論を出して、いつの時点で見直しを行うのか、厚生労働省に明確な御答弁をいただきたいと思います。
#35
○政府参考人(伊岐典子君) 先生におっしゃっていただきました、家庭的な養護を十分に行うためにも人員配置基準の見直しが必要ではないかということに関してでございます。
 現在は、今申し上げましたように、平成二十年度に実施しましたタイムスタディー調査の分析を進めているところでございまして、これを、かなり専門的な機関にお願いをして分析をいただいておりますので少しく時間が掛かっておりますが、なるべく早急にまとめていただきまして、その結果を踏まえながら、社会的養護専門委員会において施設機能の見直しに向けた具体的な御議論をちょうだいしたいというふうに考えているところでございます。
 また、これらの延長線上には先日決定いたしました経済財政改革の基本方針二〇〇九、骨太二〇〇九におきましても、少子化対策について、中期プログラムの別添工程表で示された諸課題のうち二〇一一年度までに実施する重要事項という形で、「新しい子育て支援制度の在り方の検討を進め、税制改革の動向を踏まえつつ、必要な法制上の整備を図る。」というような表現でまとめがされておりますので、社会的養護に関する施設機能の見直しにつきましてもこのスケジュールにのっとって、あるいはこのスケジュールを踏まえて進めてまいりたいというふうに考えてございます。
#36
○島田智哉子君 二〇一一年度までには必ず実施するということですね。
 今、一人親家庭に対する支援の在り方あるいは児童福祉施設で暮らす子どもたちへの支援の在り方について質問をさせていただきましたけれども、そのほかにも、親が病気のため就労に就くことができないため生活保護を受給している家庭や、あるいは医療施設での療養をしている子どもたちなど、様々な環境の中で子どもたちは精いっぱいの生活をしています。そうした子どもたち一人一人がどのような状況にありましても、この修正によって理念に加えられました、「良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。」、この趣旨を政府としても十分に尊重していただき、その支援につきまして万全の体制を整備をしていただきたいと思いますが、小渕大臣の御見解をお聞かせください。
#37
○国務大臣(小渕優子君) こうした家庭環境というのは子どもの健やかな成長を支える最も大切な要素の一つと言ってもいいと思います。しかし、今委員が御指摘のようにその状況というものは子どもによって様々で、一人親家庭であるとか、そうした施設で育つ子どももいますし、そうしたことを踏まえたときに、やはり今回修正案において良好な家庭的環境に関する規定が追加されたということは大変意義深いことであると考えています。
 御指摘のありましたそうした一人親家庭の支援、また児童福祉施設の在り方等につきましても、そのような良好な家庭的環境の重要な構成要素を成しておると思っておりますので、修正案の趣旨をしっかりと踏まえて施策の充実に向けて検討を進めていくことが必要であると考えています。
#38
○島田智哉子君 次に、衆議院の修正により、「子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援」と改められました第三章についてお聞きをしてまいりたいと思います。
 まず、十五条の修正では、支援対象となる子ども・若者の範囲が拡大をされております。その修正の趣旨から提案者にお伺いをいたしたいと思います。
#39
○衆議院議員(田名部匡代君) お答えをいたします。
 今回、政府案においては、学校教育や雇用などの分野における従来の法制度では直接対処することの対象とされていなかったニート等の状態にある十五歳以上の青少年というものを念頭に置いて、就業も視野に入れた支援を行うことを予定していたというふうに認識をいたしております。
 しかしながらまた、子どもや若者が社会生活を営んでいく上で抱える問題というのは決してニートや引きこもりということだけではなくて、義務教育段階での不登校、いじめ、そしてさらには摂食障害など、そういったこともありますし、またこれらの問題がニートや引きこもり等の要因となる場合もあるというようなことがもう既に指摘をされているところでございます。
 そこで、これらの問題に対処をしていくためには、やはり年齢にとらわれず、そして早期に発見をするということ、そして関係機関の連携をしっかりと取りながら対応していく必要があるというふうに考えました。今回、政府案の修学及び就業のいずれもしていない十五歳以上の青少年という年齢制限を撤廃をいたしまして、十五歳未満の者についても支援の対象にするとともに、ニート、引きこもり以外の問題に対してもそのつくられた協議会の中でしっかりと対処できるような、そういった修正をさせていただいたところでございます。
#40
○島田智哉子君 私どもも、今回の法案に対する検討を行う過程の中で、家族会を始めとして多くの支援に携わっていらっしゃる方々からのお話もお聞きをいたしました。やはり、子どものころから様々な悩みによって不登校を選択せざるを得ない状況の子どもたちがたくさんいるという現実に対して、今回の修正によってそうした子どもたちに対しても支援対象とされたことは大変重要な点であると思います。
 それから、実は我が党の櫻井充議員は、実際に医師として不登校や引きこもり、摂食障害の子どもや若者の治療をなさっていらっしゃいます。そうしたお立場から私どもの検討会におきましても御意見をいただき、いろいろと学ばせていただきました。そして、その中でも強く必要性の御指摘がありましたのが、家族への支援それから医療提供体制の整備についてでございました。そのうち、家族支援につきましては、修正後の第十五条の第二項に、家族に対する支援を強化する観点から新たに設けられました。
 この家族への支援の強化はもちろんですが、家族会の皆様方からのお話では、家族会の役割を是非とも施策に盛り込んでいただきたいと。特に引きこもりについては、同じ悩みを持つ家族同士が集まることでピアカウンセリング効果が発揮されるということなんですね。
 例えば、厚生労働省のひきこもり地域支援センター事業のネットワークの中には家族の会を位置付けられたことも承知しておりますが、さらに、今後の新たな支援策の検討については、家族会を始めとする当事者の皆さんの声というものをしっかりお聞きをいただいてその対応策に反映していく必要があると、そのように思いますが、この点につきましての見解をお聞かせください。
#41
○政府参考人(松田敏明君) ニートや引きこもりを始めといたしまして、子ども・若者の抱える問題、これは家族が相談機関を訪れることをきっかけとして支援が始まる場合が多いということや、あるいは、特に支援の初期段階はやはり家族援助を継続して行うことが重要だというようなことが指摘されておるところでございます。
 今回の修正案で、困難を抱える子ども・若者本人だけではなくて、その家族等に対しても必要な援助を行うよう努める旨の規定が十五条二項として盛り込まれたことを踏まえまして、関係機関等を対象といたしました研修内容に家族への対応の視点も反映させるなど、家族への援助に関する取組というものを政府としても進めてまいりたいと存じます。また、支援を実施する過程等を通じまして、若者本人やその家族等のニーズ、今先生からお話ございました家族会からの御要望等も入るのかと思いますけれども、そうしたニーズといったものも把握しながら、その支援の在り方といったものを今後どのようにしてやっていければいいかということを反映してまいりたいというふうに考えております。
#42
○島田智哉子君 よろしくお願いいたします。
 そこで、次に、引きこもりや不登校、摂食障害など、いわゆる心の問題に対応できる医療体制についてお聞きをいたしたいと思います。
 この医療につきましては、整備すべき社会環境の具体事例として、第二条の五の中で、教育環境と雇用環境と併せて医療環境という文言が明示をされております。私も、以前、厚生労働委員会に在籍しておりました当時、何度か子どもの心の診療体制について質疑をさせていただきました。
 例えば、二〇〇一年に策定された健やか親子21では、最初の目標が、二〇一〇年に親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の割合を一〇〇%とするということでありましたが、その後、一〇〇%という部分を増加傾向という文言に見直しが行われました。それから、平成十九年、当時の厚生労働相の御答弁では、このような子どもの心の問題に対応できる医師を増やすために、各都道府県に少なくとも一か所は子どもの心の診療及び研修を専門的に行える中核的な医療機関の整備等を行うと、そのような御説明がございました。
 この健やか親子の目標の進捗状況、それから中核的な医療機関の整備状況について御説明ください。
#43
○政府参考人(伊岐典子君) 引きこもりや発達障害など様々な子どもさんの心の問題に対応できる医師の養成、あるいは診療体制の構築ということは大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。
 まず、健やか親子21につきましての現在の状況でございますが、現在、第二回目の中間評価を実施中ということでございます。その中で、実は、先生も先ほど言及されました指標につきましては若干見直しをさせていただいたところでございまして、第一回目の中間評価の結果見直しをした指標に基づいて、今第二回目の中間評価の実施中ということでございますが、親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の数などの把握を現在やっているということでございます。まだちょっと取りまとめができておりませんが、年末あるいは年明けまでにはまとめて公表できるような形にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、拠点病院のことでございますが、これに関しましては、具体的には、都道府県におきまして専門的な診療や人材育成を行う拠点病院を整備して、地域の各医療機関や保健・福祉機関と連携した支援体制の構築を図ると、こういう事業を実施しております。平成二十年度には、このモデル事業の第一年目として九つの都府県において事業が実施されているところでございます。少なくとも各都道府県一つというところにはまだ至っておりませんが、それを目標として着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。
#44
○島田智哉子君 児童精神科医の数そのものが極めて少ない現状の中で、これは子どもに限ったことではございませんけれども、診療報酬上の評価がかなり厳しいという指摘は以前よりございまして、特に子どもの場合は診療時間も大人の二倍掛かるということでありますから、やはり拡充が必要なんだと思います。
 ただ、この点につきましては小渕大臣に申し上げたとしても御答弁いただきにくい部分であると思います。しかし、修正後の本案に医療環境という文言が明示されたわけですから、新しく策定される大綱の中では現状、目標、対応策等、できる限り明確にお示しいただくことをお願いしておきたいと思います。この点につきまして内閣府より御答弁いただきたいと思います。
#45
○政府参考人(松田敏明君) 医療提供体制の整備が目下急務だということにつきましての答弁かと存じます。
 修正案で盛り込まれました体制の整備、これは教育、福祉、保健、医療、雇用など、困難を有する子ども・若者に対します支援に関連する分野全体にわたりまして規定が整備されたわけでございます。ただ、御指摘の医療の面でございますけれども、困難を有する子ども・若者の中にはまさに心の問題を抱えておられる方、それから発達障害の方、これは心の問題を抱えている方に入るのか入らないのかを含めまして障害の方も多く、適切な医療的なケアなどを施すことが非常に重要だというふうに認識しておりまして、そのための体制整備も特に必要であると考えております。
 今後、法律に基づく大綱を策定する際、こうした支援に関連する分野の体制整備に関する具体策につきましても、きっちり検討してまいりたいと存じます。
#46
○島田智哉子君 次に、修正後の第十九条の子ども・若者支援地域協議会についてお聞きをしたいと思います。
 このネットワークにつきましては、事前にお聞きしております御説明では、児童福祉法による要保護児童対策地域協議会をモデルにされたとお聞きをいたしております。この要対協については資料の二にイメージ図を提出をさせていただいておりますけれども、ネットワークの仕組み上でありますとか、その要対協の基本的な考え方とされております責任体制の明確化でありますとか、個人情報保護の要請と関係機関における情報の共有化、こうした部分についてもモデルとされたんだろうと思います。私も、このネットワーク化の目的とするところの大きな部分は情報の共有化にあるんだろうと思っております。
 ただ、情報の共有化と一口に申しましても、どのような機関がどのような情報を的確に提供し、更にその情報を共有化することでスピードを持って対応していくかということは、マニュアルの策定等々、相当な準備が必要になるんだと思います。これはモデルとしたとされる要対協におきましても、設置されてから月日は経過しておりましてもまだまだ不十分な状況にあるのが現状ではないかと、私自身はそのように認識をいたしております。事実、これまでにも情報の共有化が十分でなかったために虐待による死亡事件を未然に救えなかった例が決して少なくございません。
 この虐待防止については、本法案の中でも極めて重要な課題であると思いますので、若干具体事例についてお聞きをいたします。
 昨年三月の二十七日の本委員会におきまして、昨年三月、埼玉県三郷市において発生しました二歳男児死亡事案を踏まえて質疑をさせていただきました。この事案では、虐待を受けた子どもが入院していた病院から児童相談所に対してネグレクトの疑いがあると通告が行われていたこと、また警察に対しても近隣住民から子どもの泣き声がするとの通報が行われていました。ところが、そうした情報が要対協に提供されることもなく、各関係機関での情報の共有化が行われておりませんでした。この点につきましては、その後の埼玉県の検証委員会の報告書の中でも、関係機関が危険性を過小評価し、情報共有化が十分でなかったとの指摘がされています。
 この点について、厚生労働省としてどのような御報告を受けていらっしゃるんでしょうか。
#47
○政府参考人(伊岐典子君) 先生御指摘の三郷市における二歳の男の子の死亡事案でございますが、埼玉県におかれては、有識者などから成る児童虐待重大事例検証委員会というものにおきまして検証が行われ、昨年の六月に検証結果が公表されたところでございます。その検証の中では、先生もおっしゃられましたように、関係機関の情報の共有化が十分でなかったということ、あるいはそのアセスメント、具体的にはリスクについての評価、あるいはどう展開するかについての予想が十分でなかったというようなこと、さらには受容的なかかわりから介入的なアプローチへの切替えの時機を逸したというような問題点が指摘されているところでございますし、またこれらに対応するため、要保護児童対策地域協議会の活性化、あるいはケースに対する組織的な進行管理の徹底といったことも提言されたり、県における今後の対応等についても盛り込まれているところでございまして、これにつきましては、厚生労働省に対しても御報告をちょうだいしているところでございます。
#48
○島田智哉子君 前国会におきまして児童福祉法の改正が行われ、この改正項目の一つに機能強化策が盛り込まれました。この児童虐待の問題につきましては、私どもの先輩議員の森ゆうこ委員も厚生労働委員会で再三にわたってお取り組みになっていらっしゃいますけれども、先般の児童福祉法改正案審議の際の御質疑の中でも、このネットワークの設置、また設置するだけでなくいかに機能させるかという点についての御議論がございました。
 森委員の御指摘に対して厚労省は、偉い方だけの会議ではなく実務レベルの会議が動くとか、実質的に子どもたちの虐待を防ぐものとしてネットワークとして機能するように努力したいと、このような趣旨の御答弁がございました。まさに、今回の埼玉県の事案では、この点が機能していなかったということであったと思います。
 そこでお聞きをいたしますが、児童虐待が疑われる通告、情報等について、児童相談所にはどれくらいの件数があるんでしょうか。
#49
○政府参考人(伊岐典子君) 平成十九年度の数字になりますが、全国の児童相談所におきまして児童虐待にかかわる相談をいただきました対応件数が四万六百三十九件ということになってございます。
#50
○島田智哉子君 昨年の児童福祉法の改正によって要対協についての機能強化が図られることは、そこは是非しっかりと御対応をいただきたいと思いますが、しかしその一方で、この事案のように、結果として極めて重大な事案でありながら、そのアセスメントが不十分なまま、それぞれ警察、児童相談所の段階で情報がストップしてしまったと。つまり、それぞれの機関に寄せられた情報をいかにして的確に要対協に情報を提供するのか、できるのかということが大変重要な課題であると思います。
 ケースによっては、その情報を共有化することでその子どもに悪影響を与えかねないというケースもあるかもしれません。しかし、そうしたケースを除いては、原則、要対協を通じて関係機関が情報の共有化を図る、そういうルール作りが必要ではないかと、児童相談所運営指針の中で明確にお示ししていただくことを再三にわたって要請させてもいただいてまいりました。
 その後、この点についてどのように御対応いただいたのか、厚生労働省より御答弁いただきたいと思います。
#51
○政府参考人(伊岐典子君) 情報共有化のことについての御指摘でございます。
 御指摘のとおり、児童虐待の早期発見、早期対応のためには関係機関の連携が本当に重要でございますし、先ほどの個別事例に関しましても、もっと早く要対協を開催して個別のケース会議を開いていたならばというような反省点も出てくるところでございます。
 したがいまして、これまでは児童相談所と市町村との関係で、抱えている情報は相互にといった指針、児童福祉関係で情報共有化についての指針を設けていたところでございますが、児童相談所と市町村だけではなく、各種関係機関相互の情報流通を良くする観点から、関係機関の関与が必要な事例に関する情報については、市町村、児童相談所のみならず、様々な機関について積極的に要対協に情報を提供するというようなことが必要ということで、児童相談所運営指針におきましても、その旨改正、明記したところでございます。
#52
○島田智哉子君 亡くなられましたお子さんの死を無にしないためにも、そのマニュアルの内容をしっかりと対応いただけるよう、厚生労働省としても引き続きその周知徹底をお願いしたいと思います。
 この修正後に明記された理念からいたしましても、また政府原案におきましても、子どもを虐待から守るということについては最重要課題の一つであると思います。まずは、虐待を防止し、子どもの命、安全を守るためにこの法案が果たす役割について大臣の御認識をお聞かせください。
#53
○国務大臣(小渕優子君) 児童虐待についての問題でありますけれども、本来、子どもが一番安らぐ場所である家庭において、その居場所で親から受ける虐待というのはあってはならないことですし、もちろん、子どもの心身の成長に大きな傷をもたらすことであると考えております。
 この児童虐待の防止など、子どもの命や安全を守るための対策というのは、この法案に基づき策定する子ども・若者育成支援推進大綱の重要な柱の一つになると考えておりまして、関係省庁の施策を盛り込み、政府全体として一体的に推進してまいりたいと考えております。
#54
○島田智哉子君 それから、本法案で創設されることによるネットワークについても、まさにその目的を達成するためには、修正後の第十八条にございます人材の養成であったり、また第二十二条に規定されました子ども・若者指定支援機関によって、たらい回しにされることなく、一元的かつ責任ある対応が極めて重要になるものと、私はそのように認識をいたしておりますが、このネットワーク機能整備に対する政府のお考えについて小渕大臣にお聞きをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
#55
○国務大臣(小渕優子君) この地域の協議会が円滑に機能していくためには、支援を行うために必要な情報が関係者の中で速やかに共有される必要があると考えています。うまくこのネットワークが機能していくためにはやはり各地方自治体向けに作成するガイドラインをしっかり具体的に示していく必要があると考えています。それと併せまして、やはり運営に必要な人材を養成していくことが大事ではないかと思っております。
 そうしたことを踏まえて、この修正案におきましても趣旨を理解しておるところでありますので、関係機関の職員を対象とした研修等の場を通じてこうした情報提供に努めていきたいと考えています。
#56
○島田智哉子君 ありがとうございました。
#57
○柳澤光美君 おはようございます。民主党の柳澤光美でございます。よろしくお願いいたします。
 この通常国会で、私、内閣委員会は解散含みの中でなかなか成果が上がらないのかなというふうに思っておったんですが、予想以上に大きな成果を上げることができたなというふうに思っています。
 行政改革の基本となる公文書管理法案が先週可決をしました。また、日本の消費者行政を根本的に変える消費者庁設置法案も内閣委員会を中心に特別委員会が設置されて成立をいたしました。しかも、それぞれ衆議院で真正面から修正協議が行われ、また参議院でも本当に再考の府として真摯な審議が行われました。実は、読み上げでは大変苦労したんですが、消費者庁では三十四項目、公文書の管理では二十一項目の附帯決議を付けさせていただいて、実行レベルを担保するという手続も取らせていただきました。しかも、担当が小渕大臣と野田大臣という女性のばりばりの努力が実ったというふうにも私は思っております。
 そして、今回のこの青少年総合対策推進法案ですが、この本法律案も衆議院での修正協議が行われて、しかも法案名を子ども・若者育成支援推進法と変更するという大きな修正が行われました。また、この問題は、私にとっては消費者庁の実は多重債務問題というのも非常に大きな影響をするんですが、この法案でいえばニート、引きこもりの問題というのは、私がずっと取り組んできました自殺対策には非常に大きな影響を及ぼす問題でありまして、今後の、どちらにしても実行レベルというものをどう重視していくのかという、そんな思いを込めて少し質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 この内閣委員会でも何回も質問に立たせていただいてお話をさせていただきましたが、私は当選以来、自殺対策に取り組んでまいりました。実は、平成十八年に超党派で自殺対策基本法を制定をしました。十九年四月に内閣府に自殺対策推進室ができました。六月には自殺対策大綱が閣議決定をされ、秋には白書も出ました。しかし、自殺者は御承知のように昨年まで十一年間ずっと三万人を超えたままの、しかも今年は、後ほどお話しさせてもらいますが、更に増加をする傾向にございます。
 そんな中で強く感じていますのは、本当に法案を制定して、大綱を策定して対策を立てるということが決して目的ではないと。これはあくまでも手段であって、目的は、自殺対策でいえばやはり自殺者が減る、今回の問題では、本当にニート、引きこもりも含めて、救い出す人が何人救い出せるかということをもっと大事にしていかないと、私は、行政も私たち政治家も机上論で非常に格好いいのをつくったところで止まってしまう、そこをどう追求していくかというのが大事だというふうに思っています。
 特に、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、内閣府に上がってきて作った法案というのは多くの省庁にまたがる法案が多くて、その中心になる内閣府には、はっきり言わせていただきますと人、物、金、もっと言えば権威も権力もないと。しかも、恐らく小渕大臣、僕は幾つ兼務されているか知りませんが、かなりの分野を担当をされているだろうと。実は野田大臣も、柳澤さん、もうたくさん抱えて大変ですと。今日は政府参考人で松田統括官に来ていただいて、この前名刺交換させてもらいまして、今日は松田さんは自殺対策の推進室長でもあるんですね。で、裏を見させていただきましたら十一、しかもその下にほかって書いてありますからまだあるのかなと。推進室長は三つ兼務をされている。そういう意味では本当に、何か内閣府ができて内閣府に持ってくると、多くの省庁をつないで非常にその形上はすばらしいものができるんですが、逆に動きがすごく悪くなってしまうということをしみじみ感じています。
 例えば、自殺の問題であればもう徹底的に、厚生労働省に全責任を持ってもらって徹底的にやる方が逆にいいのかなと。もっと言えば、内閣府でやるとすれば、本当にプロジェクトをつくって、一定期間そこに予算も付けて、厚生労働省か他省庁に人、物、金を、指示を出すと、で、ここまで行くというぐらいの力を持たないと私はなかなかうまくいかないんじゃないかというふうに率直に感じているんですが、御感想をよろしかったら、これ通告してありませんが、大臣なり副大臣からお伺いできればと思います。
#58
○国務大臣(小渕優子君) 御指摘の点につきましては、全くおっしゃるとおりであるかと思います。
 内閣府において寄せられている様々な課題というものは各省庁にまたがることが多い、にもかかわらず、人そしてお金というものが実際は持っていない状況で、手足が縛られた中で、それでも結論をしっかり導き出していかなければならないという中で、正直、今の大臣という立場での限界といいますか、ある程度感じておる部分はありますし、でも、だからこそできるということもあるのではないかと思っております。
 御指摘の点は本当にそのとおりだと思いますが、ただ、いただいている課題というものは、今回の青少年の問題につきましても少子化の問題につきましても、本当にこの国が抱える最重要課題の一つを預かっていると思っておりますので、その思いの下で、できる限り各関係省庁と協力をしまして、しっかりとしたリーダーシップも取ってまいりたいと考えております。
#59
○柳澤光美君 済みません、急に。
 思いは私も同じだというふうに思っています。私たちも、本当にその目的を実現するためにどうすればいいんだということを、この法案に関しても、私は賛成の立場で質疑をさせていただきますが、その後の方が大事だろうというふうに思っています。
 最初に基本的なことをちょっと何点か確認をさせていただきたいと思うんですが、この法律案の立法過程の基本的な考え方というのが、元々この法案は、麻生総理のあの臨時国会での所信表明演説で、「困っている若者に自立を促し、手を差し伸べます。そのための、若者を支援する新法も検討します。」という演説から始まって、今年の通常国会の施政方針演説でも、「ニートや引きこもりなど困難を抱える若者を支援するため、新法を作ります。」という発言から私はこの法律ができ上がってきたんだろうというふうに思っています。
 ところが、元々大綱があったわけで、このニート、引きこもりに対するもっと具体的な措置を制定する新法なのかなというふうに思っていた部分もあったんですが、結果としては基本法的な基本部分と自立支援のための措置が併存する法律案に結果なってきたと。もちろん、これは修正の経過もあったと思うんですが。なぜこのようになったのか、そのプロセスと基本的な考え方の部分をちょっと御説明いただきたいと思います。
#60
○国務大臣(小渕優子君) 御指摘のとおりでありまして、本法案は、基本法的な部分と、またニート・引きこもり対策の部分の二つの要素があります。
 このうち基本法的な部分につきましては、青少年をめぐる状況というものが大変厳しさを増しているという中で、これまで青少年の問題というものはそれぞれで本当に大切だと、何かやっていかなければならないというふうに言っていたにもかかわらず、なかなか総合的な対策というものが整っていなかった。そのために教育や福祉、保健、医療という、それぞれの各分野でそれぞれが施策を講じてやっていたということでありますので、これを政府全体で連携して総合的に対応していく必要性があると考えておりまして、関連施策の推進のための枠組みをまずしっかり整えなくてはいけない、まずそれが基本法的な部分であります。
 一方で、今御指摘がありました麻生総理の御発言などもありましたけれども、ニート・引きこもり対策の部分については、こうしたやはり困難を抱えた若者が増えている、こうしたことは個人の問題だけでなく社会全体にとっても大きな損失である、そうした問題意識の下で、困難を抱えた若者の実態をしっかり把握して、関係機関が連携して支援していく必要性があるのではないかという認識に基づき、地域の関係機関が連携して支援していくためのネットワークを整備する。この二つの要素を盛り込んだ法案にさせていただいたところであります。
#61
○柳澤光美君 分かりました。
 どちらにしても、この青少年対策というのは、平成十五年の六月に青少年育成推進本部が設置をされて、十二月に青少年育成施策大綱が策定をされました。しかも、昨年の十二月に新たに青少年育成施策大綱が策定をされて、五年間の基本的な方向が定められました。その中で、なぜあえてこの時期にこの法案が必要だったのか、またこの法案が、作ることによって昨年作った大綱以上にどのような効果が具体的に生まれるのか、大変お答えにくいかもしれませんが、ちょっと教えていただきたいと思います。
#62
○政府参考人(松田敏明君) 今委員から御指摘ございましたとおり、現行の青少年育成施策大綱、これは平成十五年に作りました育成施策大綱を新しく作り直して、ちょうど十二月に策定しましたところでございます。
 この法案に基づきます新たな大綱、これはまさにこの昨年の法案に代わるものとして策定することになるわけでございまして、きちっと法律に基づく意見の反映なり、そうした手続を経まして若者の声を施策に反映させて作っていくということでございますが、当然ながら、中身につきましては、昨年十二月に作りましたものは、青少年のライフステージ、乳幼児期、学童期、それから思春期、それから青年期、そういったライフステージ別の施策、あるいは困難を抱えた様々な、非行でありますとか外国人の子女でありますとか、そういったものも含めまして、このニートの対策も含めましてどういうふうにやるかと。あるいは、それを取り巻きます環境整備、家庭、社会をどのようにやっていくかと、そういった大綱を作ったわけでございます。
 今回の法律に基づく大綱におきましては、この法律にきちっと条項を、それぞれ定めるべき事項が定められておりまして、例えば人材の養成でありますとか、新たに加わったものが幾つかございます。特に、ニート等に対するあるべき支援の在り方等々につきまして、これは大幅に書き加えられると。
 したがいまして、昨年十二月の大綱を前提といたしまして、この法律施行後、そんなに時間掛けて、五年も待つということではなくて、施行後速やかに、私どもとしましては昨年の十二月をアウフヘーベン、止揚する形で、それを基礎といたしまして、いいものを作ってまいりたいというふうに考えております。
#63
○柳澤光美君 何でこんな質問をしたかといいますと、この法律案が成立すると、この法律案に基づいて新たな子ども・若者育成推進大綱が策定されるというふうに思います。
 ちょっと質問の順番入れ替わりますが、特にその大綱を作る中で、昨年の大綱の策定というのは、上川前大臣の下で、有識者との懇談を重ねてその意見を反映するという手続が取られました。しかも、今回、本法律案には第十二条で意見の反映という項目がありまして、規定がありまして、衆議院の修正で努力義務から義務に強化をされています。ということは、新たな大綱を作成するに当たっては、有識者だけではなくて、例えば子ども・若者の意見を反映させる必要があるというふうに考えますが、その考え方でよろしいですか。
#64
○国務大臣(小渕優子君) 昨年の十二月に策定した現行の青少年育成施策大綱については、通常のパブリックコメントに加えまして、担当大臣と十代のまさに青少年との意見交換を実施するなど、これまで十分に反映されてこなかったまさに現場の声というか若者の声を直接反映するための取組を実施したところであります。
 本法案に基づく新たな大綱の策定過程におきましても、現行の大綱と同様に、幅広く意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えております。
#65
○柳澤光美君 私は、ニート、引きこもりの問題も含めて、今すぐでも手を打っていかなければいけない。自殺対策のときにも、自殺の研究をしていますとか啓蒙活動をしていますと、そういうときではないでしょうと。地震が来るということで、リスクマネジメントでリスクがどう起きるかという研究しているのと、実際に淡路・阪神大震災が目の前で起きているクライシスマネジメントは違いますよということを言いながら、かなり無理なお願いもしながら打ってきて、それでもなかなか難しい。
 是非、これがまた看板の掛け替えになる、しかも新たな大綱を作るために時間がだらだらといく。大事なことは、その施行期日も勘案した上でどのように進めていくのか、手続とかスケジュールというものも含めて、今現在ではどんなスケジュールで考えられているのか、ちょっとお聞かせいただけますか。
#66
○政府参考人(松田敏明君) 本年この法律が通りますと、例えば来年度初ぐらいに施行いたしますとしまして、基本的に、基本法と大綱ということであれば、まさに委員御指摘の自殺対策基本法であれば、施行が十八年の十月で、大綱策定は十九年の六月で、施行後八か月で作っておるわけでございます。そうしたことも勘案しつつ、私どもとして、五年たつまでということではなくて、むしろ今の大綱に代わるものとして、それを踏まえまして、先ほど申しましたが、それに接続させて、更にいいものを加えていい形で、できる限り早期に内容の濃いものにしてまいりたいと思います。
 自殺対策大綱では、やはり調査研究が法律で冒頭にあったわけでございます。ただ、調査研究というロングスパンのものと、それから今打つべきことということも併せて大綱でも書かせていただきましたけれども、この子ども・若者の大綱に当たりましても、やはり人材の育成でありますとかあるいは調査研究、こういったことも充実いたしますけれども、やはり地域のネットワークで直ちに取り組むべきことと、こういったことも盛り込んで、なるべく早期にこのニート、引きこもり対応にも役立つような形にしてまいりたいというふうに考えております。
#67
○柳澤光美君 是非お願いしたいのは、先ほど言いましたように、法律を作って大綱を作ることが目的ではないと。むしろ、今やれる、大綱に盛り込む、あるいは去年できた大綱に基づいてやれることは、ネットワークづくりも含めて、あるいは地方公共団体との連携も、僕は即動くということをお願いをしたいと。そうしないと、また大綱作りの机上論の方にばっかりウエートが行ってしまうということでは本末転倒になってしまうというふうに私は考えております。
 できれば、大臣の方からもその辺の決意をお聞かせいただければと思います。
#68
○国務大臣(小渕優子君) まさに御指摘の点はおっしゃるとおりでありまして、こうした議論をしている間にも、各地域で、子どもたちがニートや引きこもりということで、いろんな困難を抱えて困っているお子さん、親御さんがおられるということを決して忘れてはならないと思っております。
 御指摘のように、大綱を作ること、法律を作ることが目的になるのではなくて、しっかりとした切れ目のない対策ができるように、そしてやれるべきことはしっかりとやっていけるように頑張ってまいりたいと思っております。
#69
○柳澤光美君 ありがとうございました。
 今日は、修正提案者の皆様にお越しいただきまして、同僚の島田委員がもう細かく聞いていただいたのと、衆議院の審査の中でもほとんどの項目が確認をされておりまして、議事録を読みながら二点ほど確認をさせていただければと思います。
 第一条の目的のところに、「青少年の健全な育成」が「子ども・若者の健やかな育成」というふうに変わっている。その後に、「子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組」と修正されています。健全を健やかとした理由、そしてその後段部分を追加した理由をお聞かせいただきたいと思います。
#70
○衆議院議員(田名部匡代君) 今先生から御指摘あったように、衆議院では健全という文言を健やかというふうに修正をさせていただきました。この部分についてもいろいろな議論があったわけでありますが、例えば広辞苑によりますと、健全というのは、心身共に健やかで異常のないこと、また物事に欠陥や偏りがないことなどといった意味合いがあります。一方で、健やかというのは、病気をせず健康で丈夫なさまであるとか、心や体が強くしっかりしているさまというような意味合いがありまして、私たちといたしましては、ある意味、健全というのは、上からの強制的なそういったイメージもありますし、そうではなくて、社会全体で子どもたち一人一人をまさに健やかに育てていく、そういったことも含め、より軟らかいニュアンスである健やかという文言に修正をさせていただきました。
 また、後段の部分につきましては、この第一条、子どもや若者に対する施策を講ずるに当たってまさによりどころとすべき基本理念というのは、国内的には憲法でありますし、国際的には児童の権利条約であるというふうに考えています。その旨を明らかにする修正を行ったところでございます。
#71
○柳澤光美君 分かりました。
 もう一点。実は、十三条の子ども・若者相談センターなんですが、これ、政府原案では相談の主体が地域住民とされていたのが、修正によりこの部分が削除されています。地域において行政、民間団体等が一体となってネットワークを構築し、困難を抱える子ども・若者支援を行うという本法律案の考え方からすると、なぜ削除したのか、理由をお聞かせいただければと思います。
#72
○衆議院議員(江崎洋一郎君) お答え申し上げます。
 これは、相談者の方が地域住民の方に限らず広くセンターで御相談いただけるという趣旨に沿って修正をさせていただいたものでございまして、例えば子ども・若者総合センターの所在地に勤務する方が気軽に当該地域に居住する方以外でも相談いただけるという、幅広く相談を受け付けられるという趣旨でございます。そういった修正でございます。相談の対象の中心となるのはあくまで地域住民の皆様ということでございますが、地域住民以外の方にも是非この子ども・若者相談センターを活用していただけるというようなこの対象を広げる趣旨であることでございますので、御理解いただきたいと思います。
#73
○柳澤光美君 よく分かりました。
 ということで、大変な修正協議、大変御苦労さまでございました。是非それが生かされるようにこれからもみんなで努力をしたいというふうに思っております。
 その重要なネットワークについて何点かお伺いしたいと思います。
 ニートやフリーターだけでなくて、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子どもや若者が抱えている問題というのは非常に様々であります。この関係機関がネットワークを構築して支援に当たるというのは、本当に理論上は大変すばらしいというふうに思っています。ただ、問題は、その運用がしっかりなされなければ効率的なことは起きない、うまくいかない。実際はここが一番これからの大きな課題だろうと。
 そこで、まず協議会についてお伺いしますが、衆議院の修正によって支援対象が拡大されたということは私も評価をしたいというふうに思っています。ただ、政府原案では青少年自立支援地域協議会は十五歳以上のニート・引きこもり対策として制度設計されていましたから、修正により支援対象が拡大して本当に対応ができるのか、どのように受け止めているのか、逆に言えば総花的になり過ぎないかということも感じておりまして、政府原案の検討段階で想定していなかった問題が生じることはないんだろうか、その辺のところをお聞かせいただければと思います。
#74
○政府参考人(松田敏明君) 先生御指摘のとおり、政府案におきましては、学校教育や雇用など従来の法制度では直接の対象とされていなかった修学も就業もしていないニート等の状態にある十五歳以上の青少年が自立した社会生活を営むことができるよう協議会において支援することを規定しておりました。そういう規定は、自立の主な目標として就業ということを掲げておったわけでございますけれども、これは労働関係法令上、十五歳未満の者は原則雇用してはならないという関係上、十五歳未満の者を直接の支援対象からは除いたものでございます。
 修正案は、これに加えまして、地域におきまして、義務教育段階の不登校など、ニートにつながるおそれがある問題等に対しても早い段階からの取組を行うことなどをねらいとして加わったというものと理解をしております。
 政府案におきましても、不登校に対しては、所管します市町村の教育委員会、中学校を所管します教育委員会が事実上協議会のネットワークを活用して入っていただいてそういう対応をするということは、可能ではあったんですけれども、修正によりましてよりはっきりと法律上に位置付けられて、協議会の事務として対応していくようにするものであるものと認識をいたしております。
 どう変わるのかということで、円滑に社会生活を営むことができない者が、ニートの予備軍としての不登校といったような者が入ってこられるわけですけれども、関係機関としてはそんなに、今までの縦割りを排除してネットワークをつくろうという地方にある機関としては、数がそのこと一点をもって膨大に増えるわけでは決してございません。ただ、もちろん一人一人に支援をするという意味での対象者が増えることは確かでございますが、完全にスキームが全く違ってくるということではありませんものですから、そうした対象者を十五歳でびしっと切らないで、もっと根差すものをちゃんと、問題点をしっかりとらえて切れ目なく支援をするようにという御指摘を、私どもも意義ある修正だと受け止めております。また、それによって地域のネットワークの取組ががたがたになるとか、そういうことは決してないと、またそうはしてはならないものというふうに考えておる次第でございます。
#75
○柳澤光美君 分かりました。
 ただ、逆に言えば、広がることによってむしろうまくいかなくなるようなことのないように、特にニート・引きこもり対策も十分きちんと対応できるようにしておいていただきたいと思います。
 第二十二条に子ども・若者指定支援機関の規定が新設をされました。修正案の趣旨説明によれば、一元的かつ責任ある支援機関に関する規定を新設することとし、支援の全体状況を把握するとともに、公的機関では担いにくい社会生活を円滑に営むことができるようにするための相談、助言又は指導などの支援業務を実施する機関として、NPO等の民間団体を地方公共団体が指定するとされています。
 そこでお伺いしますが、この第二十二条の一項が団体としていることから、この指定機関というのは民間団体に限定するということになりますか。
 それと併せて、この子ども・若者支援機関と子ども・若者支援調整機関の関係について、衆議院でもちょっと議論がありましたけれども、その両者の関係というのはどういう形なのか、ちょっと分かりやすく説明していただければと思います。
#76
○衆議院議員(田名部匡代君) 先ほど委員がおっしゃっておられました、これからつくられたネットワークがどう機能していくのかということ、またその支援体制が今後どうなっていくのかということが何よりも重要だと私も考えています。
 そういった中で、今回、この子ども・若者指定支援機構、これは協議会において実際の支援というものを実施をしつつ、そして協議会において行われる支援の全般について調整機関との連携をしながら、各構成機関等が行っている支援の状況をはっきりと、しっかりと把握をしつつ、必要に応じて自ら支援を行うNPO等の民間団体を指定することを予定をしています。
 その指定支援機関では、具体的には、例えばコミュニケーション能力の向上であるとか、また社会生活を円滑に営む上で困難を抱いている、そういった引きこもり、また不登校、そういった皆さんに対しての訪問支援の実施など、既存の、これまでの公的な機関ではなかなか対応が困難であったそういった部分について、これまで実績を持って長年そういった活動をされてこられた、そういった皆さんの力をお借りすると、そういったNPO等の団体が指定されることを想定しています。
#77
○政府参考人(松田敏明君) 今、指定支援機関と調整機関の役割分担についてどのようになるのかという御質問がございました。今提案者から指定支援機関の御説明ございましたけれども、それに付け加えさせていただきます。
 政府案では、協議会の事務を総括して、協議会における支援が適切に行われるようにするため、構成機関等相互の連絡調整を行う機能を果たすものである連絡調整機関、事務的な連絡調整、事務のおぜん立てをするとか、そういった機能の行政的な役割みたいなものが主眼でございますが、そういったものが置けることができることとされておったところでございます。
 修正案では、このような連絡調整を軸とした事務のみではやはり協議会による支援に万全を期すことができないのではないかというような考え方で、調整機関とは別に、支援の状況を把握しつつ、必要に応じて自ら支援を実施するためのNPO等の民間団体を指定支援機関として指定することができる旨の規定を設けることとされたものと承知をしておるところでございます。
 今説明ございましたように、指定支援機関では、コミュニケーション能力の向上など社会生活を円滑に営むための基本となる支援、あるいは引きこもり状態にあります子ども・若者への訪問支援の実施など、既存の公的機関では対応が困難であったものを自ら実施することが想定されております。
 なお、事実上、指定支援機関はこれは民間団体を想定しておりますが、調整機関が民間団体に委託された場合など、兼ねることは可能というふうに法文上なっておるところでございます。
#78
○柳澤光美君 なかなか言葉で説明してもらうとよく分からないところがあるんですが、先ほども言いましたけど、このネットワークづくりが今回の取組の根幹にあるというふうに思っています。総合相談センター、支援地域協議会、それから支援調整機関、指定支援機関など、この各機関の性格と位置付けをもう一度きちんと明確にする、で、ネットワークを実際に立ち上げるということが一番最大の課題だろうと私は考えています。
 そして、何よりもそのためには地方公共団体との連携が大切であって、机上論ではなくて実際の運用論のところでどう入っていけるか。この問題に関しては、できるところから、もう大綱もあるわけですから、前のですね、もう即入って、機関の相互の関係や役割分担、支援のモデルケース、あるいはネットワーク構築の手順といったものはできるだけ早く地方公共団体に示して、一つでも二つでもスタートをさせるということを図っていただきたいというふうに考えておりますが、もし答弁いただけるんであれば。
#79
○政府参考人(松田敏明君) 先生今まさに御指摘ございましたように、一部の地方公共団体では既に地域の実情に応じまして、関係機関等により構成されるネットワークを整備しまして、独自の工夫による対応を行っておられるところでございます。
 ただ、法律上の、いわゆる協議会に基づく、守秘義務ですとかそういったものが法律が施行されませんとできませんが、実際はその先進事例、全国でそんなにたくさんあるわけではございませんけれども、それぞれネットワークをつくって関係機関が相互に連絡を取り合っている、そういう事例は既にございます。この先進事例に法的根拠を与えると。さらには、こうした事例の紹介や情報提供、助言などによって他の自治体にも取組が広がるよう国として働きかけてまいりたいというふうに考えております。
 なお、ちなみに、児童虐待防止の分野におきまして、児童福祉法の努力義務規定に根拠を持つ支援ネットワークでございます要保護児童対策地域協議会、この法律の、ちょっと倣ったモデルでございますけれども、これはもう五年前できた法律で、既に八割の市区町村が設置しておられまして、これに加えて法律によらない事実上のネットワーク、こういうものを含めれば九割以上の市区町村で設置されているということで、ネットワークというものはやはり必要がきちっと自治体の方に認めていただければ、地域に認めていただければちゃんと発展していくというふうに考えておるところでございます。
#80
○柳澤光美君 もしよかったら、大臣からも一言。
#81
○国務大臣(小渕優子君) 委員が御指摘いただきましたように、今回のこの法案の一番の重要なところは、どのようにこのネットワークを整えていくか、これまでそれぞれでやっていた支援体制を、しっかりとしたネットワークをつくって情報の共有をしていくということが最も大事なことなのではないかと思っております。
 それにつきましては、それぞれの地方自治体にしっかりとしたガイドラインを示していくことがまず大切なのですけれども、委員御指摘のように、そのガイドラインを示す前にも即できることもあると思っておりますので、できる限り現場のことを考えながら、実行ということを第一に考えてまいりたいと思っております。
#82
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 特に、今回はNPOなどの民間団体のことが出てきました。実は、自殺対策をやってきまして、本当に大事なのは今動いてくださっている民間団体の皆さんとの連携なんですね。正直言いまして、これ、行政でやるというよりは民間の皆様に、私はもう極論を言ってしまうと、人、物、金を与えてやってもらった方がずっと対策はスムーズにいくというふうに率直に思っておりまして、今回の子ども・若者の支援体制のこのネットワークの中に、修正の中でNPOなど民間団体の皆さんをメーンで入れてくるということは大変いいことだというふうに思っています。
 その民間団体が今どの程度どこにあるのかという調査をされているかどうかをちょっとお伺いしたいんですが、全国でどのくらいあるのか、あるいはその拠点だとか人数だとか、カバーエリアだとか、活動内容というようなものは今把握をされているかどうか、お伺いしたいと思います。
#83
○政府参考人(杉浦信平君) ニートですとか引きこもりの関係につきまして、それぞれ、例えばニートですと地域若者サポートステーションといったような事業で各民間団体の御協力もいただきながら対策を進めているところでございますけれども、先生がおっしゃいましたような全国各地域におきます民間団体を漏れなく把握しているかというと、まだそこまでは至っていないのが現状でございます。
 例えば、そのサポートステーション事業につきましては、このため地方公共団体等の協力をいただきながら、ニートなどの支援にかかわる専門機関ですとか団体をより幅広く開拓をしまして、これらの具体的な支援機能ですとか特徴などを含め情報を集約して関係者に発信をするという支援ネット情報整備事業というのを本年度から新たに展開することにしておりまして、これによりまして全国のかなりの数のそういった民間の団体の情報が取れて、またそういったところに情報発信をしていくことができるようになるのではないかというふうに思っております。
 それから、引きこもりの対策関係で申しますと、厚生労働科学研究の中で、平成十九年度から三か年度でNPO等の支援状況も含めましてその実態把握といった調査研究をやっているところでございまして、そういった状況、情報の把握を通じまして実態を把握した上で対策に結び付けていきたいというふうに考えております。
#84
○柳澤光美君 とても大事なんですね、実態を把握するということは。
 地方公共団体に情報を下ろすときにも、こういう全国ネットがありますよと。例えば、自殺ですと、全国をカバーしているとすれば、いのちの電話がこういう地域にありますと。例えば、個人でいえば、東尋坊では茂さんという方が自殺対策に動かれている、あるいは秋田でいえば蜘蛛の糸の佐藤さんが中小企業の経営者の皆さんに相談に乗っているというようなことを、厚生労働省でやるんじゃなくて、むしろ僕は、内閣府の窓口のところでできるだけ早く実態を把握をする、どういう組織がどういう形であるんだということを把握しなければ地方自治体に情報が下ろせない、この辺がキーになると思いますので、決意だけ、時間ありませんので。
#85
○国務大臣(小渕優子君) 今の御指摘は大変重要な点でありまして、民間にできることというか、NPOが今現在一生懸命やっていただいていることは十分に承知をしております。ただ、その実態把握というものが今御説明あったように十分にされていないということもあります。これではやはりしっかりとしたネットワークも含めた体制というものが整えていけないと思いますので、まずはその実態把握をしっかりしていくと同時に、NPOのような支援をしている方々をしっかり支援できるような体制も併せて整えていきたいと考えております。
#86
○柳澤光美君 ありがとうございます。大至急是非動いていただきたいと。
 実は、自殺の問題も、民間の団体を今度は情報の共有化でつなぐというネットワークがまたとても大事なネットワークになるんです、情報の共有化もひっくるめて。自殺の場合には、NHKのディレクターをやられていた清水さんという方が、これでは駄目だということで退職をされてライフリンクというNPO法人を立ち上げて、民間の団体を彼が中心にネットワークで組む。ですから、去年の暮れも、お手元にちょっと資料を配っていると思いますけれども、野田大臣にお願いをしたときに清水さんも紹介をさせていただいて、その後、百四十名を超える民間の皆さんに集まっていただく。
 あるいは、実は今回、河村官房長官が党首討論のところでお涙ちょうだいという話があって、これには全国からかなりの声が寄せられまして、私は超党派でやっていますから、即、河村官房長官にお願いをして、団体の皆さんを連れて官房長官にお時間を取っていただいて要請に行きました。官房長官の方からも、決してそんな意味で言ったんではないというお返事をいただいてということがあったんですけれども、そういう意味では、民間団体を今度は中をネットワークでつなぐということも大変大事になってきますので、その辺も是非内閣府の方を中心に、厚生労働省を使うのか、いろんな他省庁に協力をいただくということも大事ですが、是非進めていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、自殺対策やってきて一番僕らが大事にしたのは、自殺の実態がなかなか把握できない。これは厚生労働省の人口統計も出ている。それから警察庁の自殺データもある。問題は、そのデータが出てくるのが大変遅い。だれも分析をしていない。お手元にお渡しした要望書の一番先に出させていただいたのも、実態を調査をした上でいかに緊急に公表をして手を打っていくかということで今進めているんですが、ニート、引きこもりについても今どうなっているのか。
 実はこの資料の中に、まとめていただいた調査室の、ニートとか引きこもりの自殺者というのはどうなっているんだろうという、そこに出ていまして、具体的には分かりませんが、青少年の自殺者数というのは、十九年、三千八百五十七人。その中に、無職者というのが最も多くて千五百三十人、約四〇%を占めているんですが、この辺のところがニート、引きこもりの皆さんの可能性があるかなというふうに予測がされる。特に、多重債務もニート、引きこもりも、一番の悲劇が最後の自殺のところまで、命を失うところまで行ってしまう。
 そういう意味では、ニート、引きこもりの実態というのを、ニートと引きこもりがどういうふうに違うのか、それからニートという人数が六十二万だったり六十四万だったり、民間でいえば百六十万だとか百万だとかという数字が動いているんですが、実態というのは今どういうふうに把握されているのか、ちょっと聞かせていただけますか。
#87
○政府参考人(杉浦信平君) お答えいたします。
 いわゆるニートにつきましては、労働力調査におきまして、十五歳から三十四歳までの非労働力人口のうち家事も通学もしていない者というのを若年無業者というふうに定義をしておりまして、その人数をいわゆるニートとして把握をしておるところでございますが、平成二十年度がこの数が六十四万人という数字でございます。
 それから、一方で、引きこもりの方でございますけれども、これは確立した定義があるわけではないんですけれども、平成十六年度に実施した厚生労働省の調査研究におきまして、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに六か月以上続けて自宅に引きこもっている状態というふうにしておりまして、この調査研究によりますと、引きこもりのいる世帯数が約三十二万世帯というふうにされておるところでございます。
 一般的な概念的にはニートの方が広い概念になるわけでございますけれども、ただ一方で、引きこもりの方は特段の年齢の区分といったようなところをしていないといったような違いがあるところでございます。
 それから、実態把握でございますけれども、もちろん全数についての実態把握ということをするというのはなかなか難しいところでございますけれども、例えばサポートステーション等の支援機関を訪れる若者等の方々に対しましてアンケート調査を行って、ニートに至る原因、例えば学校段階で中退ですとか不登校といったようなつまずきがあったかどうかですとか、それから対面コミュニケーションの苦手意識等の実態把握といったものに努めているところでございまして、それを具体的な事業展開につなげているところでございます。
 それから、引きこもりの方につきましては、先ほど申しました三年度間におきます実態把握の研究の中で、精神医学的な観点から実態把握の研究に努めているところでございます。
#88
○柳澤光美君 どちらにしても、今回、この法案ができて一歩踏み込んで取り組んでいく。その目的は、何回も言わせてもらっていますが、法案を作ったり大綱を作ったりすることではない、一人でもニート、引きこもりの若者たちを救い出してあげる、ましてや自殺まで行かないようにどう救ってあげるかということが最大の目標になると思います。
 私は、自殺のところでも言わせてもらっているんですが、実態をきちんと把握しなくて手は打てないんですね。ただ、自殺も大変難しいのは、プライバシーの問題ということもあってとても難しいんですが、先ほどの虐待あるいはこのニート、引きこもり、不登校、でも、その壁を越えて実態を把握をするということは私は何より大切だと思っています。それが、研究分野で専門の方が建物の中にこもってサンプル調査をするのではなくて、地方公共団体あるいはNPO法人、NPOの民間団体、いろんなところが動いている、あるいはそこを使いながら、少し日本全体のもうちょっと詳しい、もっと言うと地域別とかですね。
 自殺は、全部、警察データ、これも壁が厚くてなかなか出してもらえないのを、かなり松田室長にも協力もらいましたけど、内閣府とやって、やっと今、警察情報がかなり詳しく出てきて、年齢別、男女別はもちろんなんですが、要因別あるいは地域別、今それは市町村まで、プライバシーに掛からないレベルで、三人以下というふうにしながら落とし込もうというところまでやっと動いてきているんですが、このニート、引きこもりの問題もそういう努力をきちんとしていくということが私は大事だと思っています。
 年齢、性別、原因、あるいはニートとか引きこもりになっている期間、家庭状況はどうなっているんだということも含めて是非考えていただきたいというふうに思いますが。
#89
○政府参考人(松田敏明君) 今回の修正後の十七条でございます。国及び地方公共団体は、十五条一項に規定する子ども・若者が社会生活を円滑に営む上での困難を有することとなった原因の究明、支援の方法等に関する必要な調査研究を行うよう努めるものとすると新たに修正案で加えられたところでございますし、そういった規定を基に、関係省庁とも連携いたしまして、今先生がおっしゃったような実態をいかにきちっと把握していくかということを、私どもも自殺につきましてもう十分承知しておりまして、ニート、引きこもりにつきましても、更なる実態に基づいた対策、支援の在り方というものが求められていることを踏まえまして、きちっとやってまいりたいと思っております。
#90
○柳澤光美君 実は、お手元にお渡ししたのは、もう自殺は今回は余り触れる時間はないだろうということで、去年の緊急要望、特に百年に一度の危機が起きる。要望の中で、警察の方もやっと動いてくださって、一か月遅れで速報値が出るようになりました。一番最後にグラフを付けさせていただきました。一か月遅れですから、五月までのデータが出ました。昨年よりも、特に三月、四月は三千名を超えまして、このまま行きますと三万五千を超えて過去最悪の結果になるんではないかなということを大変懸念をいたしております。
 本当は、また一般質疑等が行われるんであれば、この五項目の要請が今実態どういうように動いているのか。要請を出して、それが実態動かなければ、その議論をする時間はありませんので、またその機会を設けていただきたいということを委員長にもお願いをしておきたいと思います。
 最後になりますが、私は、この問題というのは、決して小泉さんと竹中さんの改革を批判するつもり、まあ批判したいですけど、日本を何でアメリカにしなきゃいけなかったんだろうという思いはすごくあります。
 やはりアメリカという国は、世界の移民の皆さんが集まって、人種も宗教も肌の色も言葉も違う皆さんが競争で本当に短い歴史の中でつくり上げた僕は特殊な国だろうというふうに思っています。ですから、それは生き残る、自分の身は自分で守る銃社会ができる。ただ、日本の場合には人種問題も宗教問題もそんな大きな問題はなくて歴史と伝統を築いてきて、アメリカみたいな狩猟民族で、獲物を捕った者が全部おいしいところを持っていく、あとは分けてあげる、だから鉄砲が上手になるという実力主義、実際にシカを撃ったという成果主義、それから、働いている人も、森に獲物がいなくなれば次の森へ移っていくという転職も当たり前の世界。
 それに比べると、日本はやはり農耕民族で、私の実家も農家で弟が跡を取っていますから、田植というのは六月に家族総出でやらなきゃいけないんですね。おやじ、おふくろはもちろん、じいちゃん、ばあちゃんも子どもも孫も苗運びで手伝って、間に合わなければ親族でも助け合うという血縁というネットワークで成り立っている。自分のところが終わって、隣の田んぼが遅れていたら助けてあげる、これが地域の縁という地縁でつながる。そして、もう一つ大きいのは、会社に勤めても、企業別労働組合で、できるだけ長く勤めて、そして生活も守ってあげようという企業の中に福祉政策があって成り立ってきたという職場の縁。
 人に対する思いやりとか助け合いとか、血縁だとか地縁だとか職場の縁という人間関係が壊れてしまった。だから、家庭崩壊、学校崩壊、地域崩壊、職場崩壊が起きている。ですから、この問題というのは、日本の社会の枠組み、構造というものを、もう一度日本の良さを取り戻さなければなかなか根幹の解決にはつながらないと。
 ですから、交通事故は、酔っ払い運転を規制するだけで一万を超えていたのが今五千名を切ろうとしているんですが、だからこそ本当に国を挙げて政治も行政も、国も地方も一緒になってやらないと解決ができないことだというふうに思っております。
 是非そんな引きこもりやニートや自殺がなくなるような社会を実現したいということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#91
○委員長(愛知治郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#92
○委員長(愛知治郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、青少年総合対策推進法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 私が総理補佐官を務めておりました教育再生会議でも、国、地方自治体、関係機関が連携し、国民的広がりを持って青少年の健全育成の取組を進められるよう支援窓口の一元化を始めとする整備を検討してまいりましたけれども、実現に向けて大きな一歩を踏み出したものと感じております。
 提案者に本法案のねらいと現状についてお伺いしたいと思います。
#94
○衆議院議員(江崎洋一郎君) お答え申し上げます。
 政府では、学校教育や雇用などの分野における、従来の法制度では直接対象とされていなかったニート等の状態にある十五歳以上の青少年を念頭に置きまして、就業も視野に入れた支援を行うことを予定していたと認識してございます。
 しかしながら、現状としては、ニートや引きこもり以外にも義務教育段階での不登校やいじめ、摂食障害など、若者が社会生活を円滑に営む上で抱える問題があり、また、これらの問題の中にはニート等の背景要因ともなるものもあることが指摘されております。
 今回の修正案では、このような問題に対しまして、年齢にとらわれず早期に発見し、関係機関が連携して対応していく必要があるものと考えまして、支援対象者の年齢制限を撤廃しました。また、ニート等だけではなく、社会生活を営む上で困難を有する子ども・若者全体に支援対象を拡大することとしております。
 また、今回の修正案では、乳幼児期から三十代までを広く対象として育成と支援を共に推進させることを明確に示すため、「青少年」という言葉に代えまして「子ども・若者」という言葉を用いるなど、幼少期からの育成や三十代までを含めた若者支援に対し積極的に取り組むという趣旨を明確にするための修正を行っております。
 その他、本法をより実効あるものとすべく、所要の修正を行わせていただきました。
#95
○山谷えり子君 年齢を幅広く、また関係各省にまたがることですので、連携を緊密にするためにこの法案が役に立っていけばなというふうに思っております。
 修正案におきまして、第一章の目的と第三章の支援に関する規定から自立の言葉を削除した理由はどういうことでしょうか。
#96
○衆議院議員(吉田泉君) 自立という言葉を削除した理由ですが、二つございます。
 一つは、今御説明ありましたように、十五歳未満のいわゆる子どもの年代もこの法律の対象にした結果、そういう年代に対して自立、経済的な自立も含めた自立ということを念頭に置いた支援を行うのはそぐわないと考えたことが一つでございます。
 それからもう一つは、昨今の自立ということを余りに強調する風潮が逆に引きこもりというような現象をつくり出している一つの背景になっているのではなかろうかと、こういう問題意識でございます。
 例えば、日本精神衛生学会の高塚雄介会長は、この引きこもりというのは自立社会の落とし穴であるという表現で指摘をなさっておられます。自立というのは大変大事なことではございますけれども、自立の価値観、つまり自己主張とか自己決定、自己責任とか、そういうことになじまないタイプの子どもたちもいるわけであります。昔ながらのおとなしくて人の言うことをよく聞く素直なタイプ、いわゆる協調型のタイプの子どももいるわけでございまして、そういう人たちが、自立型にもなれない、そうかといって昔の協調型にも戻れない、その間の落とし穴に落ちているのが引きこもりじゃなかろうか、こういう指摘もあるところでございまして、そういうことを踏まえまして、この引きこもり対策を含めた法律において余り自立という言葉を強調するべきではないと考えたところでございます。
#97
○山谷えり子君 最初の法案では、「青少年が自立した社会生活を営むことができるようにするための支援」とありまして、それが修正案で、「子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援」というふうになっておるわけでございますが、今、吉田提案者の方から、自立を強調することが引きこもりにつながっているとするのであれば自立を前面に出すことは逆効果ではないかというような意味の御説明があったかというふうに思いますが。
 そういう意見をおっしゃられる学者さんもいる一方で、これまで不登校とかいろいろな人を余りにもほったらかし過ぎたと、それには理由があるんだから自立ということを言わない方がいいということで、実は教育的な働きかけ、年齢にふさわしい愛情と配慮を持った働きかけをしなかったということが、ここ二十年、不登校などが増えてきた、そしてその結果、また引きこもりなどが今、二十代、三十代で増えているというようなことになるのではないかというようなむしろ今は逆の考え方で、むしろ働きかけよう、そしてチャンスを与えよう。
 そしてまた、自立と協調というのもあたかも対立構造のようにとらえられましたけれども、そうではなくて、年齢にふさわしい協調と、そして自己主張があるといいますか、自己主張が自立というような、そういう単純なものではないというふうに思うんですね。
 そしてまた、自立というのも、経済的自立ではなくて、例えば小ちゃい子なりに、その年齢にふさわしい、お手伝いをするとか妹や弟をかわいがるとか、もっと自立の意味は深いんだと思うんです。
 自己主張ができるのが自立だ、経済的なことが自立だと、そういう浅い考えではなくて、その年齢にふさわしい様々な深い自立と協調が、私たちは今まで、この二十年間なおざりにし過ぎたんじゃないか、その反省があってこの法律の骨格がつくられたわけでございますけれども、その辺、いかがでしょうか。
#98
○衆議院議員(吉田泉君) ごもっともなお話かとも思います。
 そういうこともあって、我々もすべての自立という言葉を削除したわけではなくて、基本法的な部分に関する基本理念、二条の一においては、広い意味で自立ということはこの法律でも目指すべき理念であるという認識をしているところでございます。
#99
○山谷えり子君 そうすると、政府にお伺いいたします。
 基本理念、二条の一で、「自立した個人としての自己を確立し」というのを残したわけですが、若者支援は政府の再チャレンジ支援策の中でも重要な柱でした。ニート等の若者が人生の再チャレンジを果たせるよう支援を行っていくに当たっては自立という要素は欠かせないものだと考えますけれども、政府の見解はいかがでしょう。
#100
○国務大臣(小渕優子君) お答えをいたします。
 再チャレンジの支援策におきましては、ニート等の若者の進路選択等をしっかりと支援していくことが重要であるという考え方に立って、地域における支援ネットワークの枠組みづくり等を打ち出しました。この考えを引き継いで、今回の法案におきましても、関係機関などが地域協議会を構成するための規定を盛り込んでいるところであります。
 やはりこうした仕組みを生かしてニート等の若者を支援していくに当たっては、やはり御指摘のとおり、支援を受ける本人が何よりも挑戦と試行錯誤の過程を繰り返しつつ自らの経済的基盤を築き、また自立を果たしていくということ、それは非常に重要なことであると考えております。
 今、修正案についてのお話がありましたけれども、先生の方からも年齢にふさわしい自立、経済的な自立だけではないというお話がありましたけれども、自立を前面に出して支援を行っていくというと、一部の子どもたちにおいてはそれがプレッシャーになり、負担となってかえって逆効果になるという御指摘もございました。
 そんなところから第三章の自立の文言は削除されたものと承知をしておりますけれども、今申し上げたような再チャレンジの自立という考え方は、今回基本理念に自立という文言が残ったことからも、決して否定されることではないと理解をしております。
#101
○山谷えり子君 修正案では、児童の権利に関する条約の理念を踏まえることや最善の利益を考慮することなどが規定されておりますが、この趣旨はどういうことでございましょうか。
#102
○衆議院議員(吉田泉君) 午前中の質疑でもございましたけれども、この法律は、基本法的な部分と個別法的な部分、両方を含んだ法律になっております。そこで、この基本法的な部分において依拠すべき根本法を明記しようということで、それは国内的には日本国憲法であり、国際的には我が国も批准している児童の権利条約であるということですので、それを明記したところであります。
 さらに、第二条の基本理念におきましては、この権利条約でうたわれていることを引用して明記したわけでございますが、先生御指摘のこの最善の利益というのは権利条約の第三条に明記されている項目でございますが、子どもに関係のあることを行うときには子どもに最も善いことは何かということを第一に考えなければなりませんと、こういう項目があるわけです。つまり、これから我々は、更に子ども・若者の支援をやっていくわけですが、子ども・若者の目線で支援していくことが大事だろうという趣旨を込めて、これも明記したところでございます。
#103
○山谷えり子君 基本理念の第二条の二というのは、「個人としての尊厳が重んぜられ」、「不当な差別的取扱いを受けることがないよう」、「意見を十分に尊重」、「最善の利益を考慮」等々の文言が並んでおります。
 子ども目線でとおっしゃられましたけれども、本当に子ども目線で、余りにもひどい解釈が今学校現場で行われていて教育が成り立たないという現状を御存じでございましょうか。
 内閣府にお伺いしたいんですが、地方の教育現場等においては、児童の権利に関する条約の理念が正しく理解されず、行き過ぎた対応が見られております。
 例えば川崎市。川崎市子どもの権利条例が制定されまして、ありのままでいる権利を始めとする多くの特異な権利条項を定めている一方、人権オンブズパーソンによる救済制度を設けております。母親が子どもにどんな友達と付き合っているか聞いたり、日記を見ることをプライバシーの侵害と教えたりしているわけでございます。
 これ、小学生版子どもの権利学習、「みんな かがやいているかい」という川崎市の教材でございますけれども、今だれと付き合っているの、どんな子なのなどとしつこくお母さんから聞かれても、君たちにはプライバシーの権利があるんだと、そういうことを教えるんですね。今日はだれと遊ぶの、何時に帰ってくるの、それもプライバシーの権利があるから答えなくてもいいとか。それから、川崎市では、公立小学校で、授業中に立ち歩きおしゃべりを行った児童に対して指導を行った教師が人権侵害と認定され、保護者に謝罪をした事例が残っている。
 こういうことがありますと、先生も校長先生もびびっちゃうんですね。授業中うろうろ立ち歩いている子、ありのままでいる権利なんですから、子どもの目線に立ったら注意できないんですよ。こんなばかげたこと、普通あり得ないと思うことが起きているんです、今。
 それから、兵庫県の川西市でも、授業妨害を繰り返していた生徒を別室指導したんです。とても丁寧な教育的配慮です。その子にすばらしい教育のチャンスを与えたわけです。ところが、兵庫県弁護士会に人権救済を保護者らが申し立てて、オンブズパーソンが学校側に是正勧告を出したと。
 それから、この子どもの権利条例は、札幌、新潟、広島等々などでも制定しようという動きがある。制定された都市では本当にこうした動きが物すごく加速していっているわけですね。最初の法律にはそれはなかったんです。修正案でここが入れられたんです。常識的に解釈すれば、それはいいことだと思われるかもしれませんが、常識じゃない方たちが不思議な解釈をなさる、ゆがんだ拡大解釈をなさる方がいらして、今、教育現場は大変に困っているんです。
 それで、政府にお伺いしますが、本法がこうした動きを助長することがあってはならないと考えますが、見解はいかがでございましょうか。
#104
○副大臣(増原義剛君) ただいまの山谷委員の御指摘はごもっともでございまして、男女共同参画のときにも同じような現象が教育の現場で起きまして、大きな問題になりました。現在なおなっているというふうに私は思っております。
 修正案ですから、これは修正案の方に聞いていただいた方がいいんだと思うんですね、本当はそこらにつきましても。ただ、私どもから申し上げますと、この修正案の第一条、理念のところ、児童の権利に関する条約の理念にのっとること、さらには、子ども・若者の意見を十分に尊重、先ほど子どもの目線と言われましたが、それは当然年齢によって随分違うと思いますよ。それは本当に、小学校一年生、はっきり言えばしつけを要する子どもと高校生では全然違うんだと思いますよ。そこで言う目線とは何かというところがはっきりしない。これは、我々は修正案が成立すればそこを十分詰めなくてはいけないと、そのように思っております。
 これらの規定は、いずれにしましても、子どもの意見を無条件に私どもは認めるというものではないというふうに考えておりまして、まさに例の条約におきましても、子どもの意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとすると、こういうふうになっているわけですから、ここはしつけと教育ということについてはしっかり分けて考えなくてはいかぬと、私はそのように考えております。
 さらに、今回の法案の基本理念、第二条におきましても、子ども・若者の発展段階に応じてその健やかな、私どもこれは健全と言っておりましたが、健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境の整備その他必要な配慮を行うことと規定されておるわけでございまして、まさにここのところは発展段階に応じてということでありますから、先ほど山谷委員の言われましたような子どものしつけ、明らかにしつけというようなものと、それから、そろそろ高校生になってきて、これはいろいろプライバシーというものも出てくるというところはあろうと思います。まさに発展段階に応じてそれを行うべきものと、そのように私は考えております。
#105
○山谷えり子君 子どもの発達段階に応じてと、本当にここが大事なことだというふうに思っております。
 児童の権利に関する条約でも、十二条、「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」、大体ここまでしか言われないんですね。でも、ちゃんと続いているんです、「この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」と。大体ここが抜け落ちて、おかしな解釈のみが独り歩きをしているんですね。
 児童の最善の利益のところも、父母は発達について第一義的責任を負うと、ちゃんと親の教育権書いてあるわけですね。それから、児童の権利の行使についても、発達年齢や父母などの教育権をきちんと認めた条文になっているわけでございます。
 ところが、例えばこういう「生徒人権手帳」なんというのがありまして、国連子どもの権利条約を学校の中へというような本の中には、体力テストも拒否する権利があるとか、職員会議を傍聴する権利があるとか、内申書を見て書き換えさせる権利があるとか、つまらぬ授業は受けなくてもいい権利があるとか、いかなるものも教師に没収されない権利があるとか、学校に行かない権利、つまり不登校を権利だと教えているんですね。こういうゆがんだことが平気でもう今、教育現場で行われているんです。
 私、教育再生会議を始めたときに先生たちにヒアリングをいたしました。そのとき先生たちが言われたのが、とにかく教育的指導ができるように通知を出し直してくれと言うんですね。どんな通知を出してほしいんですかと聞きましたところ、授業中立ち歩いている子どもたちに、座っていなさいとか、後ろで立っていなさい、邪魔しちゃいけない、授業をと言うことはできないんですね、今、ありのままの権利というかそういうことになっている。それ、おかしいんですが、実はそういうふうに、これ謝罪されたりいろんなことがあるわけですよ。だから、それができるようにという通知を出してくださいと、本当に不思議なことを言われるもんだなと思いました。
 また、授業中に携帯電話をしている、その子の携帯電話を取り上げる、取り上げてもいいということを通知でやってくださいと。なぜそんなことを通知でやらなきゃいけないのか不思議でしたが、聞いてみれば、それは通知を出さなければとてもとても収まりが付かない教育現場になっているんです。なぜならば、国連子どもの権利条約を学校の中へというこの「生徒人権手帳」には、いかなるものも教師に没収されない権利なんてちゃんとここに書いてあるわけですね。
 それで、結局通知を出したんですよ、平成十九年の一月の教育再生会議第一次報告書の中に、静かに学習できる環境の構築、毅然たる指導のために文科省は通知を出してほしいということで、文科省は通知を出しました。授業中立ち歩いている子、座っていなさいと言ってもいいですよ、授業中携帯電話やっている子、取り上げて預かってもいいですよ、こういうことなんですね。
 ですから、決してこの修正案が、異常な解釈、この暴走に加担するようなことにならないように、子ども・若者の発達段階を踏まえない行き過ぎた権利要求の根拠となるものではないということを是非周知徹底に努めてほしいんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#106
○副大臣(増原義剛君) ただいま山谷委員の御指摘はごもっともでございますので、本法案が成立をいたしました暁には、その運用に当たって、こうした御指摘のあった条約あるいはこの度の法律、この趣旨が誤って解釈されることがないように、地方自治体等に対しまして十分に、また適切に説明をし、その浸透を図ってまいりたいと、そのように考えております。
#107
○山谷えり子君 文科省萩生田政務官にお伺いします。
 こうした通知を出し直しまして、つまり教育再生の中では毅然たる指導や教育的配慮のこもった指導というものをやっぱりしなければいけないと、秩序感覚というのがとても大切だと、そうしなければいじめや学級崩壊、見て見ぬふりになってしまっているというような問題意識があったわけですが、現状は今どのようになっておられますか。
#108
○大臣政務官(萩生田光一君) 山谷先生の問題意識、私どもも大変憂えるところがございます。
 国際社会の中で、国連の決めた決議ですとか条約を批准をするということはお互いに大切なことだというふうに思いますけれども、それぞれの国によって生い立ちも違えば経済状況あるいは価値観の違いもあるわけです。要は、ミニマムスタンダードとして申合せルールを作ったということが今回のこの条約の大きなポイントだというふうに思っていまして、あえて例を挙げるならば、子どもでありながら強制労働を強いられて学校に行く機会を奪われているような子どもも後進国の中には決して珍しくない、そういう子どもたちをきちんと保護するのがこの条約の私は大きな趣旨だと思っていまして、それを教育現場で今御指摘のあったような歪曲をした恣意的な運用をされるというのは、非常に心外な思いがいたします。
 文科省としましては、当然この権利条約に関しまして、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとって教育活動全体を通じて基本的な人権尊重の精神の徹底を一層図っていくことが大切であるという趣旨にのっとりまして、今御指摘がありましたように、平成六年の五月二十日付けで児童の権利に関する条約についての事務次官通知を各都道府県教育委員会に既に発送しております。
 それから、御指摘のありました授業中の立ち歩きなどを始め児童生徒の問題行動等に対する指導に当たっては、問題行動を起こす児童生徒に対し粘り強い指導を行うとともに毅然とした対応を取ることが必要であることを当然認識しておりまして、これに関しても、平成十八年六月五日付けで児童生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実についての通知を各都道府県教育委員会に発送しております。
 今後とも、本条約の理念等を踏まえて、学校における適切な教育指導や学校運営を促してまいりたいと思っております。
#109
○山谷えり子君 責任ある教育的指導を決して放棄しないで、頑張っていただきたいというふうに思います。
 続きまして、不登校についてなんですが、不登校は中学校では年間十万人以上発生していると承知しております。学校教育法では、保護者に対する子どもの義務教育への就学義務が課せられ、同法施行令において、この義務を怠っていると認められる保護者に対し市町村教育委員会はその生徒の出席を督促しなければならないことが規定されております。
 一方で、教育現場においては、児童生徒の意向を尊重するとの理由で不登校状態を容認するような対応も取られていると聞きますが、こうした態度は学校現場の責任放棄にほかならないのではないでしょうか。現場における取組、実態及び文部科学省としての見解をお伺いしたいと思います。
#110
○大臣政務官(萩生田光一君) 平成十九年度の国公私立の小中学校における不登校児童生徒は約十二万九千人に達しております。二年連続の増加となっており、大変憂慮される事態であるというふうに認識をしております。文部科学省としましては、平成十五年に不登校への対応の在り方について通知を出し、不登校児童生徒に対しては、その立ち直る力を信じることは重要であるが、ただ待つだけでは状況の改善にならないという認識の下、学校は当該児童生徒が自らの学級・学校の在籍児童生徒であることを自覚をし、家庭への訪問などを通じた児童生徒や家庭へ適切な働きかけをするなど、必要としている支援を行っていくことが大切であると示しております。
 具体的な対応としましては、学校、家庭、地域の連携の強化、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置による教育相談体制の充実、教育委員会が設置、運営をする教育支援センターの整備充実、また、NPO、民間施設との連携の促進などに取り組んできたところでございます。
 また、山谷委員も御承知のとおり、私の地元の選挙区八王子市では、小泉内閣の時代に構造改革特区の指定を受けまして不登校のための小中学校の一貫学校を開設をし、全国から、何らかの理由で学校に行かない、行けない、そういう児童生徒がそれぞれの学年の枠を超えて、習熟度に合わせて、学習指導要領をある意味では超えて、中学生に、不登校になって長い間学校を休んでいますとどうしても授業に付いていけない、そのことが更に不登校の原因につながるということもございましたので、学年を戻って勉強し直しができるような、そういった試みも自治体として行っているところでございまして、文部科学省としましても、そういった様々な地域の支援をしながら、何としても義務教育期間、子どもたちが学びの機会を失うことのないように真正面から取り組む決意で対応していきたい、こんなふうに考えております。
#111
○山谷えり子君 私が小学校のPTA会長をやっておりましたときに、卒業式に不登校の子どもがいることを知りました。それは、そのとき初めて知ってショックを受けました。PTA会長として、もし早く知っていたら何かできたんじゃないかというふうに思っておりました。
 今回、教育基本法改正の下に学校、家庭、地域の連携というのが入って、この平成二十一年の本予算でも放課後子どもプランなどに予算がしっかり付けられた。また、学校支援地域本部なども、これから一万か所を目指してつくっていこうとしているのですから、そうした働きかけも、文部科学省は積極的に連携しながら働きかけていただきたいというふうに思います。
 高等学校を中途退学した生徒に対するフォローはほとんど行われていないのが現状と思いますが、内閣府は先般緊急調査を行いまして、今後に課題を残した結果だったというふうに聞いております。本調査の結果の概要と、今後の取組方針についてお伺いいたします。
#112
○政府参考人(松田敏明君) お答え申し上げます。
 内閣府では、平成二十年度、ニート、引きこもりなど自立や社会参加に困難を抱える青少年の支援策の検討に当たりまして、五年前に高等学校を中途退学された方の今の進路状況の実態を把握するため、文部科学省の協力を得て緊急調査を実施いたしました。
 この調査、なかなか対象となる方の同意を得ることが難しく、結果としてサンプル数が少ないと。千数百発送しまして回答者が二百に至らないといったようなことでございまして、全体の傾向を断定的に申し上げられませんけれども、一言で申し上げまして、五年後、現在仕事に就いておられると回答された方が約五割弱、その半数以上が非正規雇用の職に就いておられる。それで、全体の一四%程度がいわゆるニート群となっていると。そのニート群のうち半数程度は、やはり就職に関する相談を受けられるところとか、技術や技能の習得を手助けしてくれるところをやっぱりそういうニーズとして挙げておられるといったような結果が出ておりまして、高校を中退された人の中には現在困難な状況に置かれて支援を必要としている方がいらっしゃると、こういう状況がうかがえる結果であると考えております。
 本年度も高校中退者の進路状況を把握する調査を文部科学省の協力を得ながら実施することを考えております。今申し上げました調査は、文部科学省が以前行いました手法と同じ、五年前からはどうなったという手法で行いましたけれども、今回の調査の反省を踏まえまして、例えば中退後余り間を置かずに調査をするとか、いろいろ適切な方法でどのようなやり方があるか検討して、いい形で内閣府としまして中退者の状況把握をより詳しく行ってまいりたいと存じます。
#113
○山谷えり子君 修正案において、子ども・若者指定支援機構が新たに盛り込まれ、NPO等の民間団体を指定することを予定していると聞きますが、具体的にどのようなNPOを指定することを考えていらっしゃいますでしょうか。
#114
○衆議院議員(田名部匡代君) お答えいたします。
 このNPOについてですけれども、これまでも全国の中で、例えばコミュニケーション能力の向上であるとか引きこもりに対しての訪問支援などを行っている、そういった実績のある団体というものがありますので、これまで既存の公的な機関の中ではなかなか対応し切れなかった、また対処し切れなかったそういった部分について、これまでのノウハウを持ったそういった皆さんのお力を借りて、それを指定してまいりたいというふうに考えております。
#115
○山谷えり子君 修正案、基本理念、第二条の七で、「自助の責任を踏まえつつ」という文言が削除されました。「自助の責任を踏まえつつ」が、「子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。」というふうになっているわけですが、この「自助の責任を踏まえつつ」が削除された理由はいかがでしょうか。
#116
○衆議院議員(吉田泉君) 先ほどの自立という言葉を除いたこととほぼ同じ理由になるわけでございますが、一つは、十五歳未満の低年齢の子どもも支援の対象としましたので、そのような者に自助の責任を求めるというのは適切ではないのではないかと考えたわけでございます。
 それから、社会生活を円滑に営む上で困難を有する子ども・若者に対して支援を行うわけですが、自助の責任ということを前面に出して支援を行うということは一部の人たちにとってはかえって逆効果となる、負担となって逆効果となるというおそれもあるというふうに指摘されております。そのため、この言葉を削除した次第でございます。
#117
○山谷えり子君 ニート等の若者の支援に当たっては、何よりも本人の自覚と努力が大切であり、自助の責任に対する自覚を損なうようなことがあってはならないというふうに考えております。まず自覚を持って、そして努力することによって本当にすばらしい自分に出会えるわけでございますから、その辺の背骨というのを外してはならないというふうに思っております。また、どんな小さな子どもたちでも、自分のことは自分でできるようになるというのはとってもうれしいことですから、それを一つ一つ丁寧に、配慮を持ってチャンスを与えていくということが愛情と責任だというふうに思っております。
 内閣府に聞きます。ニート等の若者に対する支援を推進していくに当たっては、支援を受ける若者自身の自覚と努力がまずもって重要であり、そうした本人の自助の責任の自覚が支援によって損なわれることがあってはならないと考えますが、政府としても同様の認識でしょうか。
#118
○副大臣(増原義剛君) ただいま山谷委員御指摘のとおりでございまして、私どもは、ニート、引きこもり、そこにポイントを置いた法案を今提出いたしております。
 これに対して、先ほど修正案の提案者から御指摘ありましたように、それが広げるからそちらの方ではどうかなということで削除されたということでありまして、私どもは、あくまでも自助自立の責任、ニート、引きこもり、十五歳以上の、これにおいては極めて大事であると、そのように考えております。
#119
○山谷えり子君 いろいろな年齢、またそれぞれの個人的な置かれた状況等々、いろいろあるとは思いますが、でも、自助、互助、公助のバランスというのはいつの年齢にも、どんな状況でも必要でありまして、自助の責任というのを抜くということは本当に間違った方向にまた暴走するのではないかというふうに思います。若者本人自身が自立に向けて再チャレンジしていく、自立支援という再チャレンジ支援のこの理念というのは大きな柱だというふうに考えております。
 ニートや引きこもり状態から脱出することができないまま年齢を重ね高齢化していく状況が懸念されている中で、ニートの若者支援の対象には三十歳代も含める必要があると考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
#120
○政府参考人(松田敏明君) お答え申し上げます。
 ニート等の状態にある者が高齢化する傾向にあるということでございまして、調査によりますれば、平成十四年度以降、ニートの数は六十二万から六十四万人、これは十五歳から三十四歳ということでございますが、三十五歳から四十四歳、もう一つ上の十歳の層は、平成十四年の二十八万人から平成二十年の三十七万人、増加傾向で推移しているところでございます。
 そうした意味では、少子高齢化が進展する中、次代の担い手でございます若者が自立を果たせないまま高齢化していった場合、生活保護費等の増大につながるなど、個人の問題を超えて社会全体の、社会的コストからしても深刻な事態が懸念されるところでございます。
 これまで青少年を政府といたしましてゼロ歳からおおむね三十歳未満の者ととらえた上で、雇用など特定の施策分野においては三十代も対象として施策を推進すると、こういうことでやってまいりました。つい先日も、職業能力開発促進法に基づく職業訓練の対象となります青少年の年齢の上限が三十五歳から四十歳未満に改正されたと聞いております。
 いずれにしましても、今回の修正案で「青少年」が「子ども・若者」へと変更されましたけれども、政府におきまして、三十代まで含めましたニート等の若者支援にこれまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えている所存でございます。
#121
○山谷えり子君 ワンストップ窓口としての総合相談センターを設置する意義、また地域協議会との関係、あるいはまた、地域には若者サポートステーションやジョブカフェなどいろいろなものがありますけれども、こうした取組と地域協議会との関係を御説明ください。
#122
○政府参考人(松田敏明君) 青少年問題、非行、いじめ、傷害など様々なものがございまして、教育、福祉、保健、医療等の分野、必要な対応が取られておりますけれども、いずれにしましても、相談事案の中にはいろいろの分野にまたがる、分野横断的な対応を求められるものが非常に多いというふうに認識をいたしております。かつまた、相談の受付窓口というのはその後の支援への入口となるものですから、やはり子ども・若者当事者のみならず、その家族などにとっても分かりやすくて利用しやすいよう、そこに行けば分かるといったような一元的なものであることが望ましいとの指摘がございまして、自治体の中にはもう既にこうした機能を有する機関を設けているところも存在しております。総合相談センターはこうした相談への一元的な対応に積極的に取り組むことを法律上明らかにするということでございまして、既にこうした機能を整備している自治体についてはその取組を法的にオーソライズして後押しすると、さらには、それ以外の自治体にはこうした対応を促すという意味を持っております。
 他方、地域協議会でございますが、これはむしろ、この相談センターを始め関係機関が受け付けました相談や情報を受けまして、ニート、引きこもり、不登校など、本当に困難を抱える子ども・若者に対しまして関係分野の支援を組み合わせて支援を実施するためのものでございまして、そういう窓口機能と、それから実際の個別具体的な支援を行うネットワーク、この車の両輪という形で私ども考えているところでございます。
#123
○山谷えり子君 困難を抱える子ども・若者に対する施策を抜本的に強化し、縦割り行政でなく、使いやすく親切な窓口をつくっていただきたいと思います。また、家族、地域を始めとした社会総掛かりでの確実な実施を期待しているところでございます。
 相談拠点の充実、相談員の養成及び充実、地域における支援ネットワークの連携強化等々の施策を講じてほしいところでございますが、先ほども、小渕大臣が午前中おっしゃられましたが、何しろいろいろ予算、財源がないのですと。これは、こうした財源は地方交付税措置なんでしょうか。どういうふうに確保なさるんでしょうか。
#124
○政府参考人(松田敏明君) 法案の第五条では、この法律の施行のため法制上あるいは財政上必要な措置を国としてとるということで、法律上の根拠はあるわけでございますが、具体的にはやはり自治事務的なものがどうしても多くなります。
 したがいまして、先生おっしゃいましたように、自治事務となりますと、やはり地方財政の根拠の、財政上の裏付けといたしまして、地方財政上の措置というものを私どもとして地財当局に求めていくと。この法律上の根拠を得ましたことで、当然こういうことが地方のそれぞれの自治体で優先的に措置されるべきだということの裏付けとしての地財措置というものをきちっと求めていこうというふうに考えております。
#125
○山谷えり子君 しっかりとフォローアップをしていただきたいというふうに思います。
 六月二十九日に石川県議会で、全国初となる、小中学生に防災、防犯や特別な目的がある場合を除き携帯電話を持たせないよう保護者の努力義務を盛り込んだ、いしかわ子ども総合条例の改正案が可決されました。これは全国で初めてということでございますが、本条例についての見解をお伺いします。萩生田政務官。
#126
○大臣政務官(萩生田光一君) 子どもの携帯電話の所持を制限したり、子どもの携帯電話のフィルタリングの利用を促進するような条例の動きについては、今先生御指摘のように、承知をしております。地域の実情などを踏まえて検討がなされているのではないかと考えており、今後の推移を見守ってまいりたいと思いますが。
 せっかく今年の四月一日から青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する法律が施行されたところでございまして、ちょうど今日、総理を会長とします閣僚会議が開催をされたところでございます。この基本計画の中に、保護者に家庭でのルール作りなど適切な取組を求めるともに、事業者によるフィルタリング提供義務の実施を徹底させるなどの施策を盛り込んだところでございまして、今後、政府と一体となってこの基本計画を実施し、子どもが安全で安心に携帯電話を利用できるような環境を整えてまいりたいと思いますので、これは地方自治体との連携も極めて重要だと思いますので、石川県の取組も大いにウオッチをしていきたいというふうに思っております。
#127
○山谷えり子君 議員提案とは別に、石川県は、四月施行の有害サイト対策法に関連して、保護者が子どもの携帯に有害サイト閲覧を制限するフィルタリングサービスを付けるのを断る場合、携帯電話会社に理由書の提出を義務付ける条例改正案も提出しました。
 事業者を始めとした関係者がフィルタリングについて努力をしていることは承知しておりますが、現状はまだまだ抜け穴も多くて有害情報があふれている状況の中で、子どもたちを守ることは大人の責務であるというふうに思っております。
 今のホワイトリストでも、占いとかゲームなんかはできるんですね。そうすると、恋占いとかなんとかのゲームで出会い系サイトまで行っちゃうこともできるんだそうでございまして、本当に悪知恵というのは知恵より強いんだなというふうに思っているんですけれども、そうしたゲームとか占いをふさぐといった場合には、またそれは別にふさがなきゃいけない。しかし、窓口でそのような説明は保護者にない、保護者はそういう現状を知らないという形で、今、フィルタリングがあってもやっぱり抜けているんです。この辺を更にもう少し細かく詰めていっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#128
○大臣政務官(萩生田光一君) 石川県の取組について、私は高い評価をしたいと思います。
 山谷先生御指摘のとおり、十八歳未満の子どもたちに携帯電話を販売する場合には、フィルタリングの義務化が法律で決められておりますけれども、実際には、それは親の同意があれば解除することができるとなっています。この同意というのはどういうものかといいますと、例えば、親子で買いに来て、その場で親御さんがうちはフィルタリングは外していいですよと、こう言えば、もう契約段階で外れてしまうということになります。もっと申し上げれば、実は、買い与える大人たちが携帯の影の部分、やみの部分について余りにも知識に乏しいというのが大きな問題だと思います。
 私どもも、PTAの会合などでお集まりの皆さんに、携帯お持ちの方と言うと、まず九割以上の方が持っていると手を挙げる。その携帯からこういうサイトが見れますかというサイトを示しますと、私の携帯からはつながらないと皆さんおっしゃる。じゃ、フィルタリングが掛かっているんですかと言うと、フィルタリングが何だか分からないと。こういう状況の中で子どもたちが様々なインターネット上の有害情報の中に生活をしているわけですから、私は、親がきちんと書面をもって意思を示すということは極めて適切だというふうに思っております。
 他方、この法律が施行されるまでの間、かなりの準備期間を政府としては置きました。ですから、キャリアメーカーもあるいはコンテンツ業界も、日本の技術を駆使をすればもっときめの細かいフィルタリングというのは十分つくることが私は可能なんだというふうに思います。それを、企業の皆さんがやっぱり目を覚ましていただいて、もちろん政府としても、応援の責務をうたっておりますから技術的にも財政的にもできる応援は幾らでもするわけですから、本当に社会総掛かりになって携帯の危ない部分についてはきちんと的確な対応をしていくことが必要だと思います。
 ただ、同時に、こういう便利なツールはこれからの社会を生きていく上では避けて通れないツールだと思っていますから、正しい使い方を、やっぱり子どもの発達段階に応じたルール作りというのを家庭や社会や学校がきちんとしていくことが重要だというふうに思っておりまして、今回のこの条例の動きを含めて、日本中で子どもたちの持つ携帯電話あるいはインターネット等の扱い方、社会全体が見直すいい機会になればこれは非常に有り難いなと思っておりまして、文部科学省としましても、できる支援をきちんとしてまいりたい、こんなふうに思っております。
#129
○山谷えり子君 文部科学省は、先日、非常に細かい調査をしていただきまして、感謝しております。
 それによると、一日に携帯メールを物すごい数やっている、深夜までやっているというような実情が明らかになったわけで、私は、義務教育段階では防災、防犯や特別な目的がある場合を除いて携帯電話は子どもには持たせないという、これが最も子どもを守るやり方だというふうに思っておりますけれども、小渕大臣はいかがでございましょうか、青少年健全育成の担当といたしまして。
#130
○国務大臣(小渕優子君) お答えをいたします。
 やはり心配なのは、子どもたちを取り巻くインターネットの環境というものは、どんどん新しくなってきて、どんどん進化をしていくにもかかわらず、周りの親ですとか学校、また地域といったものが無関心である、無関心であるだけじゃなくて、そうした知識に本当に乏しいということ、それについては本当に大きな問題意識を持っておりますし、しっかりと、子どもが安心してインターネットを使える環境整備というものは、当事者の子どもはもちろん、メディアリテラシーというか、いろんな教育の形で安全に使えることを学んでいかなければなりませんけれども、それ以上に、やはり学校や家庭での取組を進めていくこと、社会全体で子どものそういう環境を守っていくということが大事ではないかと考えております。
#131
○山谷えり子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、法案の提出者とそれから政務官、ありがとうございました。御退席、よろしくお願いします。
 小渕大臣にお伺いします。
 昨年は、百九万人の赤ちゃんが誕生しました。小渕大臣におかれましては九月に御出産予定ということで、本当に多くの人が無事元気な赤ちゃんの誕生を心待ちにしているところでありまして、お祈りをしております。
 しかしながら、中にはいろいろな事情によって産まないという選択を余儀なくしておられる方もおられて、その数は平成十九年には二十六万件、つまり妊娠した女性の四人に一人が産まない選択をしているということです。
 欧米には中絶を迷うお母さんたちの相談、応援体制がありますが、日本には公の機関がございません。平成十七年に、私は参議院の少子高齢社会に関する調査会でドイツに参りました。視察で訪れたドイツでは、人工妊娠中絶をする場合には必ず妊娠相談所に行く義務がある、妊娠相談所の運営は教会やプロファミリアなど様々ですが、十五歳から二十五歳までの女性は相談しても中絶を思いとどまることは少ないのですが、二十五歳以上の女性については思いとどまるケースがよく見られるということでございました。
 国内では、民間のボランティアグループ、例えば円ブリオ基金のお母さんたちは、一口一円を募っておなかの赤ちゃんの救済や環境づくりを支援しておりまして、現在、百七十七人の赤ちゃんが誕生しております。円ブリオ基金には、不況下で失業などにより、妊娠をしても経済的に苦しい状況の中、出産か中絶かを葛藤している女性から昨年は全国三百五十件の電話相談が寄せられました。
 先日、小渕大臣もその円ブリオ基金の皆様にお会いなさいましたけれども、我が国においてもこうした取組、相談窓口の体制など必要と思いますが、御感想いかがでしたでしょうか。
#132
○国務大臣(小渕優子君) お答えをいたします。
 今、日本は少子化問題を抱えておりますけれども、この少子化問題を考える上で、人工妊娠中絶についてもやはりしっかりとした議論をしていく必要があるのではないかと考えております。
 先日、NPO法人の円ブリオの皆様とお会いをいたしましてお話を伺う機会がありました。その際に、行っている活動といたしまして、子どもを産むに当たっての様々な困難に直面して悩んでいる方々に対する相談や経済的支援をしているということで、草の根の活動で本当に大変なことも多いけれども、ずっとそういう人たちを支えているんだというお話を伺いました。
 実際問題、今、妊娠中絶をする女性たちというものは年齢が随分と若くなってきていますし、実は相談する人もいない、こうした問題は親にも相談できない、なかなか友達にも相談できないということで、安易な気持ちで中絶に至ってしまうという方々もいます。
 しかし、一方では、お金があれば是非産みたいという方もいるわけで、その辺りの相談窓口というものはしっかりと整えていかなければなりませんし、これから生まれようとしている命の一つ一つを大切にするようなこうしたNPOのような活動にもしっかりと理解をする人を増やし、支援をする必要があるのではないかと考えています。
 先ほど、ドイツなどではそうした窓口が設けられているということでありますけれども、今、日本においては都道府県や政令指定都市に女性健康支援センターが設置されているということでありますけれども、こういうものはあるんですけれども、じゃ、実際問題、自分が妊娠をして中絶をするかどうするか悩んでいたときに、ここに行って相談するというのはちょっと敷居が高いというか、何となく相談しづらいというようなところもあるのではないかと思いまして、こうした窓口をいかに充実させていくかということが今後必要なのではないかと思っています。
 様々な御指摘や検討も踏まえて、こうした妊娠中絶に関しましても少子化社会対策大綱に反映して、一つでも多くの命を救っていけるような体制、また相談体制というものも整えてまいりたいと考えております。
#133
○山谷えり子君 円ブリオ基金の皆さんとお会いなさって、「こうのとりのゆりかご」は電話相談を受けておられることがすばらしいですねと小渕大臣、そのときおっしゃられたんですけれども、熊本市の赤ちゃんポスト、「こうのとりのゆりかご」は設置から二年、病院側は相談に大変に力を入れております。病院、熊本県、市が開設した二十四時間体制の妊婦の悩み相談は、二年間で二千七百五十件。検証会議は、国の関与がこれはもう必要になってきている、不可欠だというふうに中間報告を出しました。妊娠した女性への国の支援強化を熊本県知事も要望しておられます。
 児童の権利に関する宣言の中にも、児童はその出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とするとありますし、また、産まないことを選択したように見えても、実は相談する相手がいなくて、手術後大変に後悔して、苦しみ、悲しみから逃れられない、中には自殺未遂をなさった方もいらっしゃるということで、今ネットなどでは、中絶体験、もう十年、二十年、三十年たってもこんなに苦しいんだというようなことがやり取りをされておりまして、この苦しみを知れば違う選択をする人もいるかもしれないというようなことも書かれております。
 研究も進んでおりまして、実は不本意なまま手術を受けてしまったんだ、相談したかった、相談したらもしかしたら違った選択を、実は本当にそういう方が多いので、ここを本当にしっかりと目を向けていただきたいなと思います。
 病院や役所の対応の貧しさ、相談窓口の必要性、SOSホットライン、産みたい女性の相談電話、母子一体となったおなかの中からの子育て支援を考えていただきたいんですが、現在検討中の少子化社会対策大綱において、中絶に迷っている、あるいは産みたいお母さんに関する相談窓口の整備を盛り込むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(小渕優子君) 御指摘がありましたように、本当に悩んで相談して、産めるものなら産みたい、しかし産まない選択を取ってしまったことによって一生の傷を負ってしまうというようなこともあるわけであります。
 ですから、そうした相談ができるような窓口というものは、しっかりできるだけ早い段階で整えていかなければならないと思っております。そうした御指摘をしっかり踏まえて、本年内に見直している少子化社会対策大綱に反映させていきたいと考えております。
#135
○山谷えり子君 少子化社会対策基本法というのが平成十五年に成立しましたが、その平成十五年六月十一日の少子化社会対策基本法案に対する附帯決議で、「出産を望みながらも精神的、経済的負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援の充実を図ること。」というのがしっかりと記されておりますので、是非、検討中の少子化社会対策大綱において窓口の整備を盛り込んでいただきたいと思います。
 そのためにも、まずこの熊本の赤ちゃんポスト、「こうのとりのゆりかご」の中間報告検証会議、そしてまた、おなかの赤ちゃんを応援する団体、全国にいろいろあるわけでございますので、ヒアリングを是非していただきたいと思いますが、その辺、いかがでしょうか。
#136
○国務大臣(小渕優子君) 御指摘のように、いろいろな地域によって様々な取組をしていただいています。私も、実際、「こうのとりのゆりかご」の病院の先生に来ていただきましてお話を伺いました。
 あのことに関しては、赤ちゃんが置き去りにされるということばかりが、報道などで随分とそればかりが、取り上げられたわけですけれども、実際問題、あの病院は、それに至るまでにいろんな形でお母さんの相談に乗っていただいているということを聞いています。そうしたところがどんどん全国的に広がっていくことを望んでおりますし、しっかりとした体制を築いていかなければならないと思っております。そのために、委員が御指摘のような様々な地域での取組というものをしっかり検証してまいりたいと考えております。
#137
○山谷えり子君 よろしくお願いいたします。
 岸政務官、済みません。何か時間のやり取りがあれだったみたいで、長いことお待たせして申し訳ありませんでした。
 防衛問題について伺いたいと思います。
 国家の平和と独立及び国民の安全、安心を確保し得るためには、外交力の強化とともに着実な防衛政策を推進していく必要があると考えます。六月九日に自民党が、「提言・新防衛計画の大綱について」をまとめました。六月二十三日には、政府の経済財政改革の基本方針二〇〇九、いわゆる骨太方針二〇〇九が閣議決定されました。安全保障能力の整備は国の平和と独立、国民の安全、安心を守る役割の基本であり、諸外国の防衛力整備状況も考慮して我が国の防衛力整備に必要な防衛予算及び整備基盤の維持拡充を行うべきであり、効率的な防衛力の整備を着実に推進すべきであると考えております。
 島嶼国境防衛に対する取組についてお伺いしたいんですが、ミサイル発射、核開発をする北朝鮮の脅威は深刻であります。また、韓国資本による土地の買収が問題となっている対馬を始め、拉致事件が発生した佐渡、さらには沖縄や先島諸島についてもその防衛を固める必要があると考えます。
 我が国には大小六千八百の離島が存在し、そのうちのほとんどは国境の島としての位置付けを有しております。離島保全のため何よりも重要なことは人間が居住していることですが、政府がこれまで取り組んできた構造改革、特に公務員の削減政策の影響を受けて、離島に対する国や地方の出先機関がことごとく島を離れるような状況にあって、この影響もありまして、有人島においても人口が激減している状況にあると聞いております。
 国境に対する政策は、国家としての意思を国内外に示すものであり、極めて重要なことでございます。北朝鮮や中国の脅威などを踏まえた島嶼国境防衛、しっかりと取り組む必要があると考えますけれども、現在の状況と考え方をお伺いしたいと思います。
#138
○大臣政務官(岸信夫君) 今、山谷委員のおっしゃいました島嶼防衛の重要性につきましては、私も認識を同じくするものでございます。
 防衛省・自衛隊におきましては、平成十六年の十二月に策定されました防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に基づきまして、島嶼部に対する侵略への対応につきましては、本土などから部隊を機動的に輸送、展開させることで迅速にこれに対応することとしております。また、即応性や高い機動性を備えた部隊への改編や輸送・展開能力の向上を進めているところでございます。また、更に重要でございますのは、平素より我が国周辺の海空域において警戒監視活動を行うということでございまして、これも状況に応じまして適切な体制を取ることとしておるところでございます。
 こうした中で、特に御懸念のございますような地域、特に南西地域につきまして申し上げますと、平成二十一年度末には、沖縄県に所在する陸上自衛隊第一混成団を旅団に改編をすることとしております。この旅団化に際しましては、南西地域の地理的特性を踏まえつつ、普通科連隊の新設や機動性の向上など、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることによりまして、ゲリラや特殊部隊による攻撃、島嶼部に対する侵略、大規模特殊災害など、新たな脅威や多様な事態への対応力を確保することとしております。
 いずれにいたしましても、島嶼国境の防衛が重要であるということはもちろん御指摘のとおりでございまして、今後とも、この防衛に遺漏なきよう努めてまいる所存でございます。
#139
○山谷えり子君 小渕大臣、よろしければ、二十分大丈夫ですので御退席いただいても。
 ありがとうございました。
 続きまして、島嶼国境防衛のための自衛隊の体制、規模に関する認識についてお伺いしたいと思います。
 島嶼国境防衛のための最も有効な手段は離島に自衛隊を配置することだと考えますが、島嶼防衛のために配置されているのは対馬、沖縄本島等に限られております、空自のレーダーサイトは除いておりますが。我が国の六千八百の離島のうち、有人島は三百二十五しかなく、残余の六千以上は無人島で、まさに無防備の状況にあり、気が付いたら第二の竹島になっていたということがあってはならないと考えております。
 万一の場合は我が国本土の自衛隊を離島に展開させて対応することになると考えますが、六千以上の離島を防衛するための自衛隊の体制、規模、どのようなものであるか、その認識についてお伺いしたいと思います。
#140
○大臣政務官(岸信夫君) 先ほども申しましたとおり、平素よりしっかりと海空域の警戒監視活動を続けるとともに、本土から機動的に部隊を展開していくと、こういうことが基本であるわけでございますけれども、一方、現在、防衛力の在り方等について多様な観点から幅広い議論を鋭意積み重ねておるわけでございます。島嶼部の防衛を含む我が国の平和と安全を守るために必要な体制の在り方につきまして引き続き検討を行ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#141
○山谷えり子君 雇用対策といいますか、若者の人間教育のための自衛隊の活用等に関する認識についてお伺いしたいと思います。
 昨今の我が国経済の悪化に伴い顕在化している雇用問題への対策は、国民生活の安定や地域経済の活性化のため政府として速やかに対応すべき課題であり、今回の補正予算においても緊急雇用対策として必要な予算を計上していることは承知しております。
 そういった中で、雇用対策の別のといいますか、ある視点として考えられるのが自衛隊の任期制隊員制度の活用です。自衛隊の任期制隊員制度は、二年若しくは三年間、陸海空自衛隊で訓練を受け、その後、本人の判断で引き続き自衛隊で勤務するか又は自衛隊を退職して社会に出るかを決めるもので、退職後は地元の一般企業などに就職するといった制度でございます。
 現在の日本経済の状況の見方はいろいろですが、麻生総理が示された日本経済全治三年という見方に立てば、二年間の雇用対策と景気が回復基調に転じた二年後に若者を社会に還元するという任期制隊員制度は極めて有効なシステムであるとも考えられます。
 ところが、このような有効な雇用システムが現在機能していないということが党内の防衛政策検討小委員会での議論で明らかになりました。機能していない理由は、平成七年以降、自衛隊の定員の削減が進み、さらに、総人件費改革で自衛官も一般国家公務員に準じて実員を削減することとされ、全体で約九千七百名の削減が決定され、採用できる数が激減していることが原因の一つになっていると聞き及んでおります。
 また、昨今の雇用情勢の悪化で任期制隊員が退職しないという現象も相まって、昭和四十年代のピーク時には三万人規模であった採用数が、今年に至っては五千名ほどしか採用できない状況になっております。
 自衛隊の任期制隊員制度の活用は、自衛隊の教育機能、すなわち規律正しい団体生活を通じて、今の若者には足りない、国を愛する心、品位、節度、調和、勤勉などを学ぶこともできます。若者の人間性の向上にもつながります。そういった若者が地域社会に戻って働かれることで、地域の活性化や地域防災機能の向上にもつながっていくという制度であるというふうに思っておりますけれども、現状下での隊員数のバランス、充足率など、どのようにお考えでございましょうか。
#142
○政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。
 今、山谷先生御指摘のとおり、自衛隊におきましては、その任務の性格上、精強性を維持する必要があるということでございまして、二十歳前後の若い人を任期制自衛官として採用しております。今おっしゃいましたように、二年ないし三年の任期で、大体二任期ないし三任期勤務して辞めていかれるというような制度になっているわけでございます。
 これらの任期制で採用されます、二等陸海空士と呼んでおりますけれども、この数は最近減少傾向にございまして、先ほど御指摘ありましたように、昨年度、平成二十年度につきましては約五千六百人ということになっておりまして、この背景としましては、これもただいま御指摘されたとおり、総人件費改革に伴う実員の減少でありますとか、あるいは雇用情勢の悪化に伴います中途の退職者の減少といったようなことが背景にございまして、一昨年、平成十九年は約八千四百人でございました。こういう形で減少しているわけでございます。まさに、雇用情勢の影響を採用においても実際に受けているというのが実態でございます。
 こうした形で任期制自衛官を採用することにつきましては、これは基本的には自衛隊の人的な基盤を維持するということを目的にやっているわけでございますけれども、今、山谷先生御指摘のとおり、いろいろな制約要因がございますけれども、広い意味では、結果としては雇用対策につながっているのではないかと考えております。
 それから、自衛隊のいわゆる教育機能ということにつきましては、任期制の自衛官が在職中にいろんな訓練、教育を受けますので、それを通じて培った知識、能力、技能といったようなものを生かして退職後に地元の企業等に再就職していくということは、まさに地域の活性化等々に生かしていけるんではないかというふうに考えております。
#143
○山谷えり子君 国を守るため、また安全、安心社会のために応援してまいりたいと思いますので、頑張ってください。
 岸政務官、また防衛省の皆様、どうもありがとうございました。
 最後に、裁判員制度についてお伺いします。
 五月二十一日からスタートした裁判員制度では、広く国民の皆様に刑事裁判に参加していただくことにより、その視点や感覚が裁判に反映され、裁判が迅速で分かりやすいものとなると期待しています。国民に身近な司法の実現に向け、円滑な実施がされていくと思いますが、裁判員制度の対象となる性犯罪、強姦致死傷、強盗強姦、強制わいせつ致死傷、集団強姦致死傷においても、性犯罪以外の事件と同様に、裁判員候補者全員に被害者の氏名などを通知されるのではないかとの懸念も聞かれております。
 裁判員候補者であっても、裁判員に選任されなかった方については守秘義務がない。性犯罪に関しては、いまだに世間の無理解や偏見も多く、ほとんどの被害者は被害を受けたことを公になることを望んでいません。そのため、被害届の提出さえできない現況下で被害者のプライバシーや人格権が侵害される可能性のある裁判員制度を適用すれば、被害者が被害届や告訴をちゅうちょし、結果として性犯罪の加害者を野放しにすることによって新たな被害者を生み出す事態にもなりかねません。
 性犯罪については、裁判員を選定する段階と実際の法廷における段階の対応について慎重に対応しなくてはならないと考えます。裁判員の選任手続において、性犯罪の被害者保護のためにどのような対応を考えていらっしゃいますか。
#144
○政府参考人(深山卓也君) 裁判員の選任手続ですけれども、これは裁判所において行われる手続でございますが、この手続では、裁判員の候補者に裁判員法で定められた不適格事由があるか否かを判断する必要がございます。そして、裁判員候補者と被害者との間に親族関係や被用者、雇用者の関係といった人的な関係があることは不適格事由とされておりますので、この点を判断する前提として裁判員候補者に被害者の氏名等の特定に関する情報を提供する場面が生ずるわけでございます。
 そこで、裁判所におかれては、性犯罪事件のように被害者のプライバシー保護の必要性が特に高い類型の事件につきましては、例えば、裁判員候補者全員を対象として事件の概要を説明する際には、被害者に関する情報の提供を必要最小限にとどめて、裁判員候補者に対する個別の質問の際に、裁判員候補者の側から被害者として思い当たる人の名前などを言ってもらって裁判員候補者と被害者との人的関係の有無を確認するといった方法を取ることや、あるいは、裁判員候補者の名簿というのは事前に検察官に開示されますので、事前開示を受けた検察官において、被害者本人に裁判員候補者の氏名を伝え、この中に親族など人的関係がある方がいますかということを確認するといった方法を取ることが考えられていると伺っております。
 こうした運用上の工夫を行うことによって、裁判員候補者に提供する被害者に関する情報を必要最小限に限定しながら、不適格事由である被害者と裁判員候補者との人的関係の有無を判断することが考えられているわけでございます。
#145
○山谷えり子君 それで十分に人的関係の有無は、何というか、確保されるんでしょうかね。自分は知らなくても向こうは知っているとか、いろんなケースがあると思いますが。
#146
○政府参考人(深山卓也君) これは、それぞれの事案で、それまでどういうふうに報道をされているかとか、どういう地域でどういう事件であるかとかいう個別の事情が千差万別でございますので、最終的には、裁判員の選任手続を行う裁判体、裁判所においてどの程度のことを開示してどうしていくのかということを創意工夫すると、その状況や事案に応じて、これに尽きるのではないかと思います。
#147
○山谷えり子君 どういう創意工夫があるかはちょっと今ではまだ分かりませんので、被害者の皆さんが非常に不安を持って実は声を上げてきているんですよ。弁護士さんからも御相談を受けているんですよ。そういうことをちょっと御承知いただきたいと思います。
 裁判員裁判の公判においては、性犯罪の被害者の保護のためにどのような対応を考えていらっしゃいますでしょうか。
#148
○政府参考人(甲斐行夫君) 裁判員裁判の公判手続におきましても、性犯罪の被害者の方々の精神的負担でございますとか名誉、プライバシーに特に配慮をする必要があると承知しております。
 こういったことから、まず、その性犯罪等の被害者の方がだれであるのか、これが特定されることがないようにするために、公判の過程において被害者の方の氏名等を公開の法廷で明らかにしないということを裁判所が決定するということができるようになっております。
 その際には、そういった決定がなされますと、起訴状の朗読でありますとかもろもろの訴訟手続において、被害者の氏名などをそのまま述べずに、例えば単に被害者というふうに呼ぶなどの措置をとることができるとされております。また、証拠開示の際にも、検察官が弁護人に対し、被害者の方の氏名についてみだりに他人に知られないようにすることを求めることができるということになっております。
 これに加えまして、被害者の方の証人尋問をする場合にも、家族など親しい方が証人のそばに付き添っていただく、あるいは被告人や傍聴人の間につい立てを置く、あるいは被害者の方が別室にいていただいて、モニター越しに証言をしていただくというビデオリンク方式による証人尋問手続を取るということができるようになっておりまして、検察当局におきましても、事案に応じまして、性犯罪等の被害者の方のプライバシーの保護を念頭に置いて適切に対応されるものと承知しております。
#149
○山谷えり子君 だれか特定されぬように名前を述べないということもできるとか、家族がそばに付き添うことができるとか、つい立て、モニター越しという方法もあり得るというようなことでございますが、被害者の方は裁判員の複数の皆様に顔を見られたくない。これは確保できていないですよね、今の説明では。
#150
○政府参考人(甲斐行夫君) 今の形でいいますと、つい立ては、証人である被害者の方と、問題になったときは被告人と直接顔を合わせたくないという話がございまして、その間につい立てを置く、あるいは傍聴人から見られたくないということで、その間につい立てを置く、それからビデオリンクの証人尋問でいうと、同じ空間で証言をすることが非常につらいということがありますので、別室で証言をしていただくと、こういう仕組みでございます。
#151
○山谷えり子君 そうすると、被害者と裁判員はやっぱり分かるわけですよ。被害者は裁判員によって顔を見られる、それが嫌だというふうにおっしゃっているわけで、弁護士さんからも相談が来ております。三年後の見直しまでもう待てないと。弁護士、被害者からヒアリングをしてほしいんですけれども。
 性犯罪被害者は今もネットなどで言われ放題です。恐怖感が強いです。けがの跡とか服装とか全身の写真とか、様々なものが表に出されていくわけで、被害者は今でさえ引っ越しをしたり生活基盤を失ったり、また出所した犯人を恐れて外出もできない等々があるわけですね。それに裁判員の方もこれからはプラスされて、外に出れなくなるというふうな非常にデリケートな心境に追い込まれる被害者の方もいらっしゃるかもしれません。
 裁判員制度導入に当たっての検討段階では性犯罪に対する対応についてどの程度議論がなされたんでしょうか。また、これを対象から外すということはできませんでしょうか。
#152
○政府参考人(甲斐行夫君) まず、立案の経過について申し上げますと、裁判員制度は、平成十一年に内閣に設置されました司法制度改革審議会で検討がなされまして、平成十三年の意見書におきまして刑事裁判への国民の参加制度の導入というものが提言されました。これを受けまして、平成十三年の十二月に内閣に司法制度改革推進本部というものが設けられて、所要の立案作業が進められております。
 この間、同本部に、学者でありますとか有識者等をメンバーとする裁判員制度・刑事検討会というものが設けられまして、二年間にわたって制度の具体的な在り方について検討がされたと。その過程におきまして、犯罪の被害者からもヒアリングが行われるとともに意見募集も行われて、その結果も踏まえられたというふうに聞いております。
 立案過程におきましては、性犯罪を裁判員裁判対象事件から除外すべきだという御意見は、今私どもで把握している限りでは、被害者の方からは強い御主張としては寄せられていなかったということもあって大きな論点にはならなかったものと承知しておりますけれども、他方で、性犯罪の被害者の保護の在り方についても議論は及んでおりまして、例えば、そういったプライバシー保護の必要性も踏まえて、裁判員に守秘義務を課してこれに違反した場合の罰則を規定する、また、被害者と近い関係にあるなどの理由によって不公平な裁判をするおそれのある者については裁判員となれないという規定を設けるということになったものと承知しております。
#153
○山谷えり子君 もうあと一問ありますので、分かりました。
 今お聞きしまして、性犯罪に対する特別の対応について深い議論があったというような印象ではちょっとありませんので、今声が上がっているわけでございますから、被害者と弁護士の皆様から、是非ヒアリングをして、三年後の見直しまで待たずに良い方途を考えていただきたいというふうに思っております。
 男女共同参画局では女性に対する暴力の根絶に向けた運動も展開されておりますが、性犯罪の被害者支援は重要な課題であり、性犯罪被害者のプライバシーを守ることに対しても大切なことだと思いますが、見解、いかがでしょうか。
#154
○政府参考人(板東久美子君) ただいま先生御指摘のとおり、性暴力などの女性に対する暴力につきましては、直接的に暴力を防止をするというだけではなく、第二次的な被害、あるいはプライバシーの保護を期するということが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
 ただいま、裁判員制度などにつきましては裁判所、検察について御配慮を検討されるということでございますけれども、内閣府におきましても、男女共同参画会議の下で女性に対する暴力に関する専門調査会がございますが、その中でもこういった性暴力の被害者に対する保護を十全に図っていくための方策、課題の整理をしてまいりたいと思っておりますし、関係省庁ともしっかりと連携をしていきたいというふうに思っております。
#155
○山谷えり子君 性犯罪の裁判員制度の扱いについて議論を深めてほしいと思います。スピードアップしてほしいと思います。
 ありがとうございました。
#156
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、衆議院におきます修正の一番大きなポイントであります第十五条の支援対象の拡大についてお伺いをしたいと思います。
 衆議院の修正で支援対象の年齢の制限が取っ払われたわけですけれども、それによりまして支援対象に不登校が入ったと。松田統括官の衆議院での答弁を引用すれば、政府原案で想定していなかった不登校が確実に入ってきたということでございますが、では、なぜ政府原案で不登校を対象外としたのでしょうか。
#157
○政府参考人(松田敏明君) 政府案におきましては、学校教育や雇用など従来の法制度では直接の対象とされていなかった、修学も就業もしていないニート等の状態にある十五歳以上の青少年が自立した社会生活を営むことができるよう協議会において支援すると、こういったものを規定しておったわけでございます。
 このため、自立した社会生活ということで、修学に加えまして就業という政策目標を掲げた関係上、十五歳未満の者、労働基準法、労働関係法令上原則雇用してはならないということになっておりますので、そこで協議会の直接の支援対象から除いたものでございます。
 修正案では、これに対しまして、義務教育段階の不登校など、ニートにつながるおそれがある問題等に対しても早い段階からの言わば予防的取組を行うことなどもねらいとしたものと理解をしております。
 政府案では、中学校での不登校など早い段階からの取組、これは地域の実情に応じまして、実際は協議会に市町村教育委員会に入っていただいて、中学を所管する市町村教育委員会が事実上協議会のネットワークを活用して関係機関と連携して対応していくというようなことを想定をしておったわけでございますけれども、今回の修正でこうした支援についても法律上に位置付けられて、協議会の業務として不登校についてちゃんと対応していくということにするものでございまして、大きな意義があるものと認識しております。
 政府といたしまして、この修正案を含みます法律の趣旨を十分踏まえながら、子どもから若者まで幅広い年齢層の社会生活に困難を有する方々、円滑にできない方々につきまして、早い段階からその状況を適切に把握して円滑な支援につなげていくことができるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。
#158
○山本香苗君 理由、聞いているんです。ですから、ほかのことを答弁していただかなくて結構なんです。
 要するに、政府原案においては現行法で手当てされていないニート、引きこもりに対して法的な手当てをしようと考えたということだからということなんですけれども、おっしゃったように、ニート、引きこもりの若者の多くは不登校の経験があるということもあり、不登校と引きこもり、ニートというのを切り離して支援するんじゃなくて、これを一緒に支援対象とすることによってより効果的な手が打てるんだということになるんだと思います。
 そこで改めて伺いたいんですが、今の修正を得て、想定外だったということでありますけれども、不登校が入ったということについて今後どういった対応をしていくんでしょうか。具体的な答弁でお願いします。
#159
○政府参考人(松田敏明君) 修正案によりまして、協議会による支援対象が十五歳未満の不登校の方々等に拡大したということから、ニート等になる可能性が高いと言われております義務教育課程での不登校の段階からの予防的支援、また中学校不登校であった方がそのまま卒業されたときにニートとなってしまった場合、そういったことを含めまして切れ目なく支援を継続していくことができるようになるものと考えております。
 また、義務教育段階で不登校であった生徒の卒業後の実態がほとんど把握できていない状況にございます。先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、五年前に中学三年生で不登校であった方々の進路状況、先ほど高校中退の方ありましたが、併せて中学校の不登校者も調べましたけれども、小サンプルでございました。まだまだ足りない中身でございますが、そういった調査もいたしました。ただ、百名程度の回答しかなかったということでございます。
 いずれにしましても、こういった調査を、今回の、きちっとした実情把握をするんだといった法律の規定に基づきまして実態把握に当たりまして、いろいろ困難を乗り越えてきちっと適切な調査をいたしまして、いろいろ方法を検討し、不登校生徒の卒業後の進路につきまして、より詳しい実態把握を行い、その結果を地域協議会におけます運営にきちっと生かしていくと、こういうことが私どもの責務であると考えております。
#160
○山本香苗君 今内閣府から答弁がございましたけど、今回の修正を受けまして文部科学省はどう受け止めておられますか。また、法案成立を機にどういった具体的な対応を取られますでしょうか。
#161
○政府参考人(徳久治彦君) 不登校でございますけれども、これに対しまして文部科学省、各教育委員会、学校におきましては、これまで、児童生徒が楽しく安心して通える学校づくり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置による教育相談体制の充実、また学校、家庭、地域の連携強化、教育委員会が設置運営する教育支援センターの整備充実、NPO、民間施設との連携の促進、ネットワークづくりに努めてきたところでございます。
 今回、委員御指摘のように、この法につきまして不登校の子どもたちが入るということになったわけでございます。本法律案が成立した際には、従来の不登校対策に加えて、教育委員会に対しましてこれらの法の趣旨を十分周知徹底するなどいたしまして、関係機関から構成されている支援地域協議会等への教育委員会等の積極的な参加を促すなどいたしまして、関係機関との連携をより一層緊密にしながら、不登校児童生徒が社会生活を円滑に営むことができますように支援の方、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#162
○山本香苗君 促すんじゃなくて、必ず入るという形にしていただきたいと思います。
 不登校と一言で言っても様々な要因がございます。その中で、不登校が発達障害の二次的な現象であるケースが少なくないといったことも指摘をされております。発達障害の子どもへの支援の遅れが授業に付いていけない子どもたちを生んでいます。どんどん勉強が遅れていく自分が嫌いになって、自尊意識を喪失することによって学校に行きたくても行けなくなってしまう、不登校になってしまうという事態をつくり出しております。
 五月三十一日付けの朝日新聞の朝刊の「声」の欄にDAISYコンソーシアムの代表の河村先生という先生が「デジタル化は教科書優先で」というタイトルで投稿されておられました。
 その内容はといいますと、平成二十一年度の補正予算で約百二十六億円が国立国会図書館のデジタル化について付いたことに端を発しているわけでありますけれども、ちょっと御紹介させていただきますと、発達・学習障害などで読める教科書がない子どもたちも国内に多数おり、デジタル化には教科書整備を優先すべきではないだろうかと。DAISY図書は文章に音声、画像が付いて、検索が容易で、視聴覚障害のみならず、発達・学習障害児を含む人々が自力で読めると。日本では視覚障害児のために拡大教科書は予算化されているが、発達・学習障害児にも有効なDAISY版教科書はボランティア頼りで供給が足りていないと。教科書のDAISY化は昨年の著作権法改正で認められ、国会図書館がDAISY版教科書を提供するための法的環境は整った、読める教科書のない子どもたちや高齢者の存在に心を配った蔵書のデジタル化を切に望むといった御意見でございました。
 国会図書館は、すべての出版物というものを収集して書誌情報を国民に提供するという重要な役割を担っておりまして、教科書も所蔵しております。他方、文部科学省ではDAISY形式の教科書の効果の実証のために二年間の研究委託を始めたところです。この研究は研究で進めていただいて結構なんですが、それと同時並行で、国会図書館とも連携を取っていただいて、教科書や図書のデジタル化も一緒に早く進めていってもらいたいというか、進めるべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
#163
○政府参考人(徳久治彦君) 昨年九月に施行されました障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律によりまして、教科書発行者は教科書デジタルデータの提供が義務付けられてございます。具体的には、拡大教科書等を製作するボランティア団体等から希望のあった教科書のデジタルデータすべてを文部科学省に提供いただいているところでございまして、これらのデジタルデータは本年二月よりボランティア団体等に提供されているところでございます。
 一方、この教科書デジタルデータにつきましてでございますけれども、拡大教科書や音声読み上げ教材など多様な用途に活用しやすいようその編集方式や活用方法を検討していくことが重要と考えてございまして、そのための必要な調査研究を現在進めているところでございます。また、発達障害の子どもの障害の状況に応じた教科書デジタルデータを活用した教材等につきまして、学校教育における教育的効果や指導方法等についても研究を進めることにいたしております。
 委員御指摘のように、国立国会図書館では出版物等の所蔵資料を後世に継承することを責務としてございまして、保存の手段としての利用のしやすさなどの観点からデジタル化による複製を中心に進めていることと承知をしております。
 いずれにいたしても、文部科学省といたしましては、このような国立国会図書館と必要な情報交換など連携を進めまして、教科書デジタルデータの円滑な提供を一層促進してまいりたいと考えてございます。
#164
○山本香苗君 DAISY形式の文はパソコンで見れて身近な存在ですから、いつでも開けるわけです。自分の好きなときに人の手を借りないでできると。今までは読むことというのに、普通の本を読むのに全神経を傾けていたのに内容まで理解ができていなかった、お母さんや学校の先生たちに読んでもらうまでできなかった、けれども、このツールを使えば自分一人でできるようになると、本人にとって本当に大きいことなんだなということを実感しております。
 国会図書館とも話をしたんです。確かに、今回のデジタル化、即、今申し上げたDAISY化とは違うわけでありますけれども、そこまで視野に入れてデジタル化を進めていくことが必要であります。今国会で成立いたしました著作権法の改正案の附帯決議のところにおいても、そういったデジタル化された、「国会図書館において電子化された資料については、情報提供施設として図書館が果たす役割の重要性にかんがみ、読書に困難のある視覚障害者等への情報提供を含め、その有効な活用を図ること。」とありまして、この「等」の中に発達障害のある方も含まれているわけであります。是非すぐに国会図書館と連携を取っていただいて、できるところからどんどん進めていっていただきたいと思いますし、また、二年間の調査結果が出てくるまで何もやらないというわけではなくて、発達障害のある子どもたちにDAISY形式の教科書や図書を一刻も早く提供できるような体制をつくらねばならないと思っております。
 このことについては、子ども・若者に対する支援策の一つとしても、新たに策定されますいわゆる子ども・若者育成推進大綱にもきちんと組み込んでいっていただきたいと思いますが、統括官、いかがでしょうか。
#165
○政府参考人(松田敏明君) 先生のおっしゃった趣旨を踏まえまして、大綱の策定の検討に当たりましては十分それを踏まえながら頑張ってまいります。
#166
○山本香苗君 頑張るんじゃなくて、書いていただきたいんです。
 次に、十八条のところで、人材育成について伺いたいと思います。
 支援する人の人材の養成、資質の向上の確保、物すごい大事なんですけれども、と同時に、しっかりと継続して支援していける環境整備も同時に必要だと思っております。実際、サポステだとか学校現場で若者の支援に携わっている方々なんかとざっくばらんにお話をさせていただきますと、やっぱり一年ごととかの短期の契約で極めて不安定な処遇にあるということを伺っています。そのため、やっと心を開いてくれた子どもや若者たちを支援し続けたいと思っても、また子どもの方も見てもらいたいと思っていながらもできないとか、スクールカウンセラーの方なんかに聞きますと、せめて一校に三年間ぐらいは勤務しないと本格的なカウンセリングなんて難しいという声も伺いました。こうした支援する方々の現状を政府はどう認識されておられるのでしょうか。
 また、十八条で想定されている必要な施策というのは具体的に何なんでしょうか。今申し上げたようなことも含めて調査研究、そして検討を加えるということ、入っているということでよろしいでしょうか。
#167
○国務大臣(小渕優子君) 委員の問題意識はまさにそのとおりであると思いますし、私自身も現場のそうしたサポートステーションの支援者の方々とお話をいたしまして、その支援者の皆さん方が、まず人材もなかなか少ないということでありますし、苦しい財政状況の下で関係者の皆さん方と連携を取りながらそうしたニートや引きこもりなどの方々の支援に当たっているという現状を見たときに、こうした支援にかかわる人材をしっかり支援していく、そうした体制というものも整えていかなくてはならないと思っておりますし、もちろん単年度ということではなくて、やはり中長期的にそうした支援に当たっていく方々の支援というものを考えていかなければならないと思っております。
 今後のことでありますけれども、今後、大綱を作っていくに当たりまして、こうした支援にかかわる民間団体の方々の実態等について意見の聴取やアンケートの調査等を行っていく予定でありますので、そうしたものを踏まえてしっかり大綱に反映させていきたいと考えております。
#168
○山本香苗君 十七条のところにも支援方法の調査ということも書いてありますので、是非、今日の議論の中でもありましたけど、実態をしっかりと把握していただいた上で、そういう支援をする方々を支援するという大臣のお言葉でありますけれども、それを実現していただきたいと思います。
 財政的な支援のところに行かせていただきたいと思いますが、今回の法案が成立するということは、大臣がおっしゃられますように、子どもや若者を支援するための第一歩となると思います。しかしながら、本法案が成立するということによって地方で必ずこうした枠組みが即座に取り入れられるという保証はないわけです。また、若者を支援する施策がぐんと進むという保証もありません。
 実務上問題となっておりました個人情報の壁について本法案で罰則付きの守秘義務が掛かったということでありますので、関係機関の間で情報交換とか連携とかそういうものがスムーズに進むのかなと期待するところもあるんですけれども、何よりも必要なのは、国が本気になって子どもや若者を支援するんだという姿勢を目に見える形で具体的に示していくことなくして法律の目的を達成することはできないと思うんです。そのため、内閣府として、衆議院の議事録も読ませていただきましたけど、内閣府としての予算を確保するということは当然のことなんですけれども、そもそも子どもや若者のための予算は少ないわけです。
 少子化担当大臣、小渕大臣は子ども・若者育成推進本部の本部長になられます。その本部には関係各省の大臣がずらっと並ぶわけです。是非この本部をうまく利用していただいて、この本部で、子どもや若者に関する予算というのは社会への投資なんだよと、だから増やすべしという大方針を打ち出していただいて、政府全体として子どもや若者を支援する施策を抜本的に拡充していただく流れをつくっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。力強い御答弁をお願いしたいと思います。
#169
○国務大臣(小渕優子君) 全くおっしゃるとおりであるかと思います。現段階でなかなか少子化対策あるいは青少年問題、この国の最重要課題だよと言う割にはその制度や予算、特に予算の面で充実していないということが実情ではないかと思います。
 しかし、このままでいいと思っているわけではありません。子どものこと、若者のことというのは本当に将来への投資でありますし、まさにこういう皆さん方がこれからの日本を支えていきます。しっかりとした制度をつくる、そしてその制度をしっかりと運用させていくためには、その裏付けとなる予算が必要なこととなってまいります。関係省庁がもうずらっと並んでいるということでありますけれども、その中でも内閣府としてしっかりリーダーシップを持って積極的に予算を確保できるように頑張ってまいりたいと思っております。
#170
○山本香苗君 午前中の議論の中で、内閣府は総合調整機能しかなくてなかなかうまくいきませんという話がありましたけれども、実感として分からないでもないんですが、私は、それは大臣が認めちゃったらおしまいよと思うわけなんです。というのも、ある法案の審議のときに内閣府の方がレクに来られて、内閣府は、自分たちはもう総合調整機能しかないんですと、ほかの省庁に口出しできないんですみたいなことを堂々と言ってのけるわけですよ。そういう方ばっかりじゃないと思うんですけど、私は物すごい悲しいというか残念な思いがしました。
 確かに、具体的なツールは持っていないとしても、限られているかもしれないけれども、この法案をてこに子どもや若者に対する支援は大きく拡充していくんだと、そのためには他省庁も動かしてやるんだみたいな気持ちが下まで伝わらないとなかなかうまくいかないんじゃないかと思いますので、大臣の是非リーダーシップに期待をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げさせていただきまして、質問を終わります。
#171
○糸数慶子君 無所属の糸数です。まず、青少年総合対策推進法案について、人材の養成についてお伺いいたします。
 まず、本法案の第十八条におきまして、国及び地方自治体に対し、人材の養成に必要な施策を講ずることを努力義務として課しています。衆議院におきましては、子ども・若者育成支援において、人材の養成が特に重要であるとの考えに基づいて、人材養成に関する規定が強化されたと伺っております。
 NPO法人全国引きこもりKHJ親の会とNPO法人次世代育成ネットワーク機構によって、今年二月に、一般社団法人ひきこもり支援相談士認定協議会が設立されています。この協議会は、通信講座で半年間程度学び、試験に合格した人をひきこもり支援相談士として認定するものであります。この講座が、引きこもり当事者とその家族に寄り添い共にその展望を開いていくひきこもり支援相談士の養成を目的としておりまして、ひきこもり支援相談士には、ひきこもり地域支援センターでの常駐相談員や、引きこもり問題対応ネットワークの親の会、そして各機関、団体、家族会の相談員として活躍が強く期待されているとされています。
 このような民間の取組は修正案提出者の人材養成強化の意図と合致するものと考えますが、どのように評価されるのか、そして修正案提出者にまずお伺いをします。
 さらに、国としては民間の取組を積極的に活用していく必要があると考えますが、あわせて、内閣府の見解もお伺いいたします。
#172
○衆議院議員(菅原一秀君) 今委員から、大変現状をよく分析されたお話がございました。
 昨今のニート、引きこもりなどの社会生活を円滑に営む上で困難を有する子どもや若者に適切な支援を行うためには、必要な知見を有する者による支援が行われることが非常に重要であると考えます。しかしながら、現実問題、そのような子どもや若者に対しまして適切に支援を行うための人材がいまだ十分ではないという現状がございます。
 そこで、衆議院におきまして、修正につきまして、まず、必要な知見を有する人材の養成及び資質の向上を政府の施策の中にきちんと位置付けて実施をしていくよう、国の定める大綱に盛り込む事項の一つとして人材の養成を法律上明示するとともに、二つ目としまして、必要な相談、助言又は指導や医療及び療養などの支援を実施するための体制の整備に関しまして努力義務を規定を新設をいたしたところでございます。
 一般論といたしまして、民間においてニートや引きこもりなどを支援する人材を養成するための取組が行われておりますことは、今申し上げた修正案提案者の意図と合致をしているわけでございまして、評価すべきものであると考えております。御指摘の具体的な団体の取組につきましては、その詳細を今把握をいたしておりませんので、評価は差し控えをさせていただきたいと存じます。
 なお、修正案提案者といたしまして、民間における人材養成のための取組が活発となり、今後、この法案第十五条における関係機関等の一員として支援に重要な役割を担っていただくことを期待をするものでございます。
#173
○政府参考人(松田敏明君) 個々の団体の取組につきましては、詳細を承知しておりませんので、評価は差し控えさせていただきますけれども、一般論といたしまして、官民を問わず、支援を行う人材の養成や資質の向上のための取組が活発化すること、これは非常に政府といたしましても、支援の質の底上げということで歓迎すべきものと考えております。
#174
○糸数慶子君 今の御答弁の中で、民間のグループでこれだけ活動している方々がいらっしゃる。とりわけ、今全国で推定百六十三万六千人の方々が病んでいらっしゃる。そういう多くの方々を実際にサポートしている民間の団体があるということ、是非、チャンスを見付けていろいろお話をしていただきたい。現実は民間に支えられて多くの方々が助けられているという実情もございますので、是非お話を聞いていただきたいということを強く要望したいと思います。
 それから、今度の内閣府のモデル事業との関係でございますけれども、現在、内閣府では地域における若者支援のための体制整備モデル事業というふうに実施されていますが、このモデル事業の概要及び評価、そして本法案成立後にこのモデル事業をどのように生かしていくか、まず内閣府にお伺いをしたいと思います。
 例えば、沖縄県では、今、那覇市で内閣府のモデル事業の実施地域として、二〇〇八年度から地方企画委員会などを行いまして、地域における若者支援のためのネットワークを構築しています。また、那覇市におきましては、青少年の自立支援に対する取組であります厚生労働省委託実施事業、地域若者サポートステーションも開所されています。
 那覇における内閣府のモデル事業の実施状況に関する報告資料を見ておりますと、課題として厚労省の事業との重複感が挙げられておりますが、那覇市に限らず、今後地方自治体に子ども・若者支援地域協議会が設置されることとなれば、既存の地域若者サポートステーションと事業が重複することが想定されます。
 本法案の目的にありますように、総合的な子ども・若者育成支援施策を推進するのであれば、所轄官庁が異なる類似の事業についても統合を図るなど調整の必要があるのではないでしょうか。あわせて、この既存の地域若者サポートステーションを子ども・若者支援地域協議会として活用することが可能なのかどうか、内閣府にお伺いいたします。
#175
○政府参考人(松田敏明君) 御指摘の内閣府の今実施しておりますモデル事業でございますけれども、これはニート、引きこもり等への支援を地域に今現在所在いたします関係機関が連携して実施することを目指すものでございまして、地域におけるネットワーク構築に役立つというものでございまして、さらには、本法案における地域協議会の整備とつながっていく、そういったある意味でモデルケース、今の協議会、法律で予定をしておりますネットワークのモデルケースを育てようといったようなイメージで今事業を行っているものでございまして、本年度、全国十五か所で実施をすることといたしておりまして、那覇市につきましては昨年度に続きまして市内に所在する関係機関の参加を得て実施しているところでございます。
 一方、先生今御指摘のございました地域若者サポートステーション事業、これはニート等の職業的な自立支援を目的といたしまして、関係機関等のネットワークによる支援を実施する厚生労働省の委託事業でございます。地域によってはまさに私どものモデル事業にも参加をいただいているところもございます。
 法案の協議会は、いろんな、今議論にも出ておりますけれども、職業的自立のみならず、義務教育段階の不登校児童生徒なども含めて、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を幅広く対象として支援をするネットワークでございまして、私どものイメージは、特にやはりサポートステーションを実際運営しておられるNPO、こうした方々はむしろこの協議会におけるネットワークの中心としても大いに活躍していただけるものと思っておりまして、そういった意味で、何か重複感というよりも、まさにネットワークの中でサポートステーション、今九十二か所でございますけれども、そういったサポートステーションが全国で地域の核となって、私どもの今法律で想定しているこの地域協議会の核としていろんな活躍をしていただくと、これが想定でございますので、ちょっと重複というよりも、むしろこれを発展的に法律の中で役立てていただければというふうに考えておるところでございます。
#176
○糸数慶子君 今お答えがありましたけれども、ネットワークの皆さんも一緒になって活動していくというふうになっていくことを望んでおりますけれども、ただ、この一年間の活動を振り返って、そういうグループの方からの感想としてそういうことが実際にあったんだということを改めて申し上げたいと思います。重なることがないように、一緒になってやっていけるように、是非御努力をお願いしたいと思います。
 次に、沖縄県で昨年の十一月に、先ほども申し上げましたが、若者自立支援ネットワーク連絡会議が発足をしておりまして、国の出先機関、それから県の教育、福祉、保健の行政機関、そして民間団体、その支援団体などを合わせまして二十七の組織、団体で横断的なネットワークをつくり、中学生、高校生などの早い段階からの予防的な対策をしています。
 こうした取組、さらに先ほど申し上げましたモデル事業などの取組と、この法案にあります子ども・若者支援地域協議会による支援体制との関係を整理して、子ども・若者の立場に立った仕組みができるように制度の周知徹底が考えられますが、大臣の御決意をお伺いいたします。
#177
○国務大臣(小渕優子君) 今回のこの法案に基づきます地域協議会でありますけれども、これまで青少年の支援に関しては、それこそ縦割りといいましょうか、それぞれでやっていただいていたという状況でありましたけれども、その支援を組み合わせて、一人一人の状況に応じた総合的な支援を行っていくものであります。
 既に、そういう形で地域で設置されている地域の若者サポートステーションがあります。そうしたものはやはり地域に随分と根付いてきてもいますし、経験もありますし実績もあり、やはりそうしたところが何よりも地域の状況、現状というものをよく把握をしていることと思います。ですから、関係機関をできる限り地域のネットワークに取り込みまして、更に強力となった形で一体の運営を推進していきたいと考えています。
 そして、もう一つの御指摘の、こうしたことには周知徹底が必要ではないかということでありますけれども、やはりそういう支援を必要とする若い人たちにしてみると、実際問題どこにお世話になっていいのか分からないというようなのが現状でありまして、せっかくそうしたネットワークができても十分に活用されなければ意味がありません。支援を必要としている方々にこうした新しい仕組みをしっかりと認識していただくことが重要であると思っております。
 本法案の第十六条におきまして、こうした地域の関係機関等が行う支援について、例えばインターネットのホームページや地域の広報などにより地域住民に周知をする旨を規定をしておるところでありますけれども、私がちょっと視察させていただいたサポートステーションなどでは、そこで働く若い人たちが自ら例えば駅に立って、こうした小さなメモに例えば電話番号を書いてそれを配ったり、あるいは関係各所にそういうものを置いたり、できる限り積極的にそうした周知徹底をするように努めておる例も見てきております。
 ですから、支援の仕組みが十分に活用されるように、この周知徹底の面については全力で努めてまいりたいと考えております。
#178
○糸数慶子君 ありがとうございます。
 先ほど山本香苗議員の質問の中で、やはり支援をしていく方々の身分の保障、しっかりやっていくという御決意をいただきまして、大変心強く思います。今後とも是非、小渕大臣、間もなく御出産でございますけれども、引き続き青少年の支援という形では、お父様の代からここまでしっかり頑張っていらっしゃいますので、引き続き、もしその部署を離れても応援をしていただくように心からお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、民間港湾の利用について防衛省にお伺いをしたいと思います。
 今月の二十一日に、海上自衛隊のミサイル搭載護衛艦「はたかぜ」が沖縄県竹富町西表島の上原港の沖合に停泊をいたしました。乗組員が島に上陸、同じ日に久米島町では護衛艦「ひえい」が兼城港の沖合に停泊をし、乗組員が島に上陸しています。今年の二月には、那覇新港と中城湾港に練習艦が寄港し、イージス護衛艦「きりしま」が西表島の沖合に停泊をいたしました。
 海上自衛艦艇が民間の港湾使用、その利用が今目立っていますが、沖縄の復帰後、自衛隊の艦艇が沖縄県内の民間港湾に寄港又は沖合に停泊した回数と艦艇の数及び港湾名を明らかにしていただきたいと思います。また、アメリカの海軍施設がありますホワイト・ビーチに寄港した回数と艦艇の数も明らかにしていただきますようにお願いいたします。
#179
○政府参考人(岸本邦夫君) 今先生御指摘の、復帰後の自衛隊の船舶による沖縄県内の港への入港実績ということでございますが、防衛省としてそのような統計の取り方をしておりませんので、的確な形でお答えすることは困難でございます。
 ただ、最近の実情はどうかということで、私どもの方でも、本年一月一日から五月三十一日までの間に海上自衛隊の船舶が沖縄県内のいわゆる港湾法上の港湾区域又は御指摘されましたホワイト・ビーチ地区に入港した実績について調べてみました。
 その内容でございますが、まず、港湾法上の港湾区域への入港は十回でございます。合計隻数は十六隻、入港しました港湾区域は中城湾港、平良港、それから那覇港、伊江港、渡嘉敷港、仲間港、祖納港という形になっております。また、ホワイト・ビーチ地区への入港につきましては三十回でございまして、合計隻数は三十九隻ということが確認できております。
#180
○糸数慶子君 海上自衛隊が二〇〇五年の四月に中城湾港で事故を起こしています。護衛艦の「まつゆき」が港の浅瀬に乗り上げまして。民間の港湾を利用する、その際の安全性の確保と、そして各自治体への入港に対する連絡体制はどうなっているのか、お伺いいたします。
#181
○政府参考人(岸本邦夫君) まず、地方自治体への連絡の件でございますが、海上自衛隊の船舶が港湾法上の港湾区域への入港に当たりましては、事前に港湾管理者に対し入港日時を通知し、係留岸壁の指定等を受けます。また、入港後は港湾管理者への入港届の提出を行っております。
 入港の際の安全確保につきましてですが、御指摘の護衛艦「まつゆき」の乗り上げ事故等の教訓を踏まえまして、入港前に岸壁の高さでございますとかあるいは付近の水深、風や潮の方向、強弱の状況等、基本的な港湾に関する事項を入念に調査、徹底するとともに、いわゆる港内を安全に航行できる速度、それから浅瀬までの距離、こういったことに十分配慮して安全確保に努めているところでございます。
#182
○糸数慶子君 海上自衛艦艇の民間港湾への寄港目的は乗組員の休養であるとか地元の親善であるとか補給などとしていますが、実際のところは陸上自衛隊の第一混成団の旅団化に伴う先島配備への地ならしではないかというふうに付近住民が心配しております。
 休養等を目的としながら地元の自衛隊感情に探りを入れるとか、港湾や海域の水深を測り利用しやすい港を調べるとか、今のその動きに関しまして先島配備への関連性とは全く関係ないのでしょうか、お願いいたします。
#183
○政府参考人(岸本邦夫君) 海上自衛隊の船舶が今港湾法上の港湾区域に入港する実績、あるいはそれを踏まえた目的について調べてみましたところ、いわゆる一般公開のような広報目的のために入港するケースや、あるいは関係機関との防災訓練のために入港する、また周辺海域での部隊訓練時の水、食料、燃料等の補給のために入港しておるようでございます。
 御指摘いただきました第一混成団の旅団化との関連でございますが、防衛省・自衛隊としましては、防衛計画の大綱及び中期防に従い平成二十一年度に第一混成団の旅団化改編を実施することを予定しておりますが、この旅団化改編では先島諸島への陸上自衛隊の部隊を配備する予定はございません。したがいまして、海上自衛隊がこの先島諸島のいわゆる港湾法上の港湾区域に入港することとこの先島諸島への部隊配備ということは関連するものではないというふうに申し上げたいと思います。
#184
○糸数慶子君 時間ですのでもう終わりますけれども、宮古、八重山、与那国の先島地方は、今観光に力を入れて島の活性化を図っています。サンゴ礁がはぐくむ美しい沖縄の海域やその亜熱帯の豊かな自然、そして島の文化は観光客にとって極めて魅力的なものでありまして、その先島に軍艦などというのは全く似合いませんし、観光客を落胆させてしまうような状況では困るということをお話しを申し上げまして、防衛論議だけが先行して、島の暮らしや自然、文化を損ねてはならないということを申し上げまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#185
○委員長(愛知治郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木政二君が委員を辞任され、その補欠として中山恭子君が選任されました。
    ─────────────
#186
○委員長(愛知治郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 青少年総合対策推進法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#187
○委員長(愛知治郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳澤光美君から発言を求められておりますので、これを許します。柳澤光美君。
#188
○柳澤光美君 私は、ただいま可決されました青少年総合対策推進法案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    青少年総合対策推進法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。
 一、地方公共団体において、子ども・若者総合相談センターの機能を担う体制の確保及び子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援が効果的に実施できるよう、法律の趣旨・内容を周知徹底するとともに、全国においてあまねく子ども・若者育成支援のための体制が整備されるよう努めること。
 二、子ども・若者支援地域協議会が、社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者に対し、真に効果的かつ円滑な支援を行うためのネットワーク機能を果たすものとするため、協議会における情報の共有及び責任の明確化が図られるよう十分配意すること。
   また、協議会、子ども・若者総合相談センター、子ども・若者支援調整機関及び子ども・若者指定支援機関の相互の関係・役割分担を明確化するとともに、支援を必要とする子ども・若者の家族等のニーズも踏まえた、地域における支援体制のモデルケースを示すよう努めること。
 三、子ども・若者指定支援機関としての指定を行っていない地方公共団体及び子ども・若者支援地域協議会を設置していない地方公共団体に対しては、自ら指定支援機関としての役割を担うこともできるよう、他の地方公共団体における先進的な取組事例や当該地方公共団体の区域外で活動するNPO等民間団体についての情報提供、協議会の設置や指定支援機関の指定による支援の必要性等についての助言、及び国の行う研修事業への参加呼びかけや相談への的確な対応等の援助を行うこと。
 四、子ども・若者指定支援機関に対する情報の提供その他の必要な援助を行うに当たっては、財政上の措置について十分留意すること。
 五、子ども・若者育成支援施策を推進するに当たっては、既存設備の有効活用に努め、緊要性のない施設整備等が行われることのないようにすること。
 六、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を支援する上で、その心の問題に対応することが重要であることにかんがみ、子ども・若者に適切な医療又は療養を提供するための体制の整備に努めること。
 七、ニート、不登校、ひきこもり等社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を含め、一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、次の社会の担い手として自立した社会生活を営むことができるよう、家庭をはじめ、学校、職域、地域が一体となって、社会総がかりで育成支援に取り組むことができるようにすること。
 八、子ども・若者の意見を尊重しつつ、その最善の利益を考慮するに当たっては、次世代の社会の担い手を育成し支援する視点に立つとともに、子ども・若者がその権利を行使するに当たり、その発達しつつある能力に配慮し、その周知徹底に努めること。
 九、ニート、不登校、ひきこもり等社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者に対する支援に当たっては、社会総がかりで育成支援を行うための互助・共助の考え方に配慮しつつ、支援を受ける子ども・若者本人が自助の責任の自覚を損なわないよう必要な措置を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#189
○委員長(愛知治郎君) ただいま柳澤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(愛知治郎君) 全会一致と認めます。よって、柳澤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小渕国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小渕国務大臣。
#191
○国務大臣(小渕優子君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
#192
○委員長(愛知治郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#193
○委員長(愛知治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト