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2009/04/15 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
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2009/04/15 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号

#1
第171回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
平成二十一年四月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     青木  愛君     鈴木  寛君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     行田 邦子君     平山 幸司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         矢野 哲朗君
    理 事
                大石 尚子君
                亀井亜紀子君
                藤本 祐司君
                岩城 光英君
                吉田 博美君
                松 あきら君
    委 員
                一川 保夫君
                大久保 勉君
                加藤 敏幸君
                川合 孝典君
                川上 義博君
                川崎  稔君
                鈴木  寛君
                平山 幸司君
                広田  一君
                松井 孝治君
                石井 準一君
                佐藤 信秋君
                長谷川大紋君
                森 まさこ君
                山田 俊男君
                若林 正俊君
                澤  雄二君
                大門実紀史君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        今井 富郎君
   参考人
       獨協大学経済学
       部教授      阿部 正浩君
       株式会社大分フ
       ットボールクラ
       ブ代表取締役   溝畑  宏君
       イケア・ジャパ
       ン株式会社代表
       取締役社長    ラース・ペー
                テルソン君
           (通訳 秋山  賛君)
           (通訳 富永 恵子君)
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (「幸福度の高い社会の構築」のうち、自由時
 間と経済力の関係について)
    ─────────────
#2
○会長(矢野哲朗君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、青木愛君及び行田邦子君が委員を辞任され、その補欠として鈴木寛君及び平山幸司君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(矢野哲朗君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「幸福度の高い社会の構築」のうち、仮説二、「休日・休暇が多い国が国の経済力を伸ばし、国民幸福度を高める」に関し、自由時間と経済力の関係について参考人からの意見聴取を行いたいと思います。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、獨協大学経済学部教授阿部正浩君、株式会社大分フットボールクラブ代表取締役溝畑宏君、イケア・ジャパン株式会社代表取締役社長ラース・ペーテルソン君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 御多用のところ本調査会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本調査会は、現在調査を進めております「幸福度の高い社会の構築」のうち、仮説二、「休日・休暇が多い国が国の経済力を伸ばし、国民幸福度を高める」に関し、自由時間と経済力の関係について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でありますけれども、まず阿部参考人、溝畑参考人、ペーテルソン参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきたいと思います。その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと思います。その後、時間がございましたら、必要に応じて委員間の意見交換を行いたいと思います。その際、随時参考人の方々の御意見を伺うこともありますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構であります。
 それでは、まず阿部参考人からお願い申し上げます。
#4
○参考人(阿部正浩君) 獨協大学の阿部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、本日は労働時間と経済力ということでお話をさせていただきたいと思います。
 今日、このテーマでお話しするに当たって、私自身、三つの疑問を持っておりますので、それをまず御紹介してから、それについていろいろと議論させていただければと思います。
 まず第一に、なぜ日本人の労働時間は長いと言われているのか。それから次に、後ほど御紹介しますが、実は日本の生産性というのはOECD諸国の中でも高いわけではなくて、むしろ低い方の順位にあります。一方、ヨーロッパ諸国のように、労働時間が短くても生産性が高いという国がかなりあります。二番目の疑問として思うことは、労働時間が短い先進国でどうして生産性が高いということが起こり得るのかということでございます。第三の疑問というのは、皆さんも各国いろいろと行かれる機会もあると思いますが、労働時間が短い国であっても豊かに暮らしているというのが我々目にする機会が多いと思うんですね。ですので、なぜ労働時間が短くとも豊かに暮らせる社会になっているのかということで、三つの疑問ということで書かさせていただきました。
 まず、日本人の労働時間について。(資料映写)
 これは、過日この委員会で行われたところでも別の参考人の方が労働時間の国際比較をされたということを耳にしておりますけれども、もう一度少しグラフを、労働時間についてのグラフを御覧いただければと思いますが、青いここの部分ですね、これが日本の製造業の労働時間です。二〇〇六年時点では、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この五か国の中で最も長い労働時間の国が日本であると。その次がアメリカ、イギリス、そしてかなり短い時間で、年間千五百五十時間前後で製造業の総実労働時間であるのがドイツ、フランスということであります。その差は四百五十時間、かなり大きな差になっているわけですけれども、こうした製造業の総実労働時間の大きな差にもかかわらず、ドイツやフランスでは、日本と同様かどうかというのは別にして、先進国としてある一定の競争力を維持しながら経済生活を行っているということでありまして、これがどうして実現されているのかというのが疑問の一つとなるわけでございます。
 その前に、日本の労働時間がもう少し詳しく見ていくとどうなっているか、それが次の二枚目のグラフでございます。総実労働時間の推移ということで、一番上にあります赤い線が総実労働時間、一般労働者でございます。その次の線、青い線ですが、これが一般労働者とパートタイム労働者を合計した総実労働時間になっております。最後の一番下の緑色の線がパート労働者の総実労働時間ということで、これは毎月勤労統計から取ってまいりましたが、これ見ますと、全労働者の総実労働時間というのは一九九三年以降着実に短くなっていることが御覧いただけると思うんですが、その一方で、この短くなっている背景というのは、パートタイム労働者の比率が上昇していると。それが紫色の線になってございますが、それが、右側の軸で見ますと一二、三%から今二二、三%までパートタイム労働者の比率が増加してきている。それが、労働時間の短いパートタイム労働者が労働者のうち占める割合が増えてきたことによって全体の労働時間が短くなっていると。
 実際に、その赤いグラフの一般労働者の総実労働時間は、長くなったり短くなったりはしていますが、ここ最近は長くなってきているということが御覧いただけると思います。ただ、最近になりますとこの不況の影響で総実労働時間も短くはなっていますが、ただ、景気が良くなると労働時間は長くなっていて、かなり長い労働時間になっているということはお分かりいただけるのではないかと思うんです。
 ですから、日本人の労働時間というのは全体で見れば短くはなっているが、それはパートタイム労働者の増加によるものであって、一般労働者の労働時間は必ずしも短くはない、むしろ景気が良くなると長くなるというようなことが分かるということでございます。
 この長時間労働の背景、いろいろと言われておりますが、まず一つは、オーバー・ヘッド・コストが高いということでございます。オーバー・ヘッド・コストが高いというのは、従業員一人当たりの労務費が高いということでありまして、企業の方は新しく一人雇うよりも既存の従業員をより長く働かした方がトータルのコストは安く付くということで、日本の労働時間の長さというのはある意味ワークシェアリングの結果であると。つまり、景気が悪いときは雇用を何とか守る。けれども、その守る一方で、景気が良くなったときにはより長く働いてもらって雇用の量を調整するというようなことをやっているということでございまして、ただその一方で、そうしたオーバー・ヘッド・コストの高さがあるがゆえに長時間労働になっているということもあろうかと思います。
 もう一つの原因が、これは逆説的なのかもしれませんが、労働の質を評価し切れていないというのも原因としてあるのではないかと思います。
 あるところで我々は、ヨーロッパの人々の働き方と日本人の働き方の比較研究というのを現在進めております。そこで、いろいろと分かってきたことが、ヨーロッパの人たちの労働時間というのはやはり先ほどのグラフで見たように短い。その短いがゆえに質の高さ、仕事に求められている質というものは必ずしも高くない、むしろ低いと。それでも何かうまく最終的には仕事がやりくりできているんだというようなことなんですが、一方で、日本の働き方というのは、元々求められている質が、仕事に対する質が高いと。
 今回も、私ここに座っておりますけれども、ここに座るまでに参議院の事務局の皆さんは、非常に質の高い仕事をされて、何度も何度も連絡をいただき、どういうことに注意しなさいとかいろいろ言われて、私も、今まともにしゃべっているかどうか分かりませんが、何とかここに座っているということでして、そうした質の高い仕事、私だったら、あなた、何時にここに来なさいと、それで一発で終わっちゃうわけですけれども、それを皆さん、もう毎日のように連絡をいただくという、そういう質の高い仕事をするんですが、その質の高さが実は評価されていないのではないかと。
 それだけ質が高ければ、より高い付加価値があるのであれば、その分だけ見合った賃金とかあるいは価格付けをすることが可能かと思うんですが、実はそれができていない。その結果、どうなっているかというと、長時間労働になってきているということで、労働の質が適正に評価されていれば、当然賃金も上がる。賃金が上がれば、そんなに長いこと働かすと、企業の場合にはコストが高くなってしまうから、そういうことはできない。そこの調整が、評価が、労働の質を適正に評価されていない、むしろ賃金が安いということが結果的に長時間労働、長く働かせてもコスト高になりませんよというようなことになっている可能性があるのではないかということです。
 これに対してヨーロッパの国々では、質の高い仕事にはそれに見合った分の賃金が支払われると。そうじゃない人たちには、つまり質の低い仕事にはそれなりの賃金しか支払われませんから、働くよりも別のことに援助した方がいいというようなことになって、労働時間の調整というのが自動的に行われている可能性があるのではないかということでございます。
 結果的に、労働時間の長さの背景の中には、オーバー・ヘッド・コストとかあるいは評価されない労働の質とかいうようなものがあって、それが結果的に賃金体系の問題につながるのではないかというふうに考えているということでございます。
 次に、こうした労働時間長いわけですから、日本の経済というのは生産性が高くてそれなりの付加価値の高いものが生産されているのではないかということなんですが、実はそうではないと。先進七か国中最下位の生産性のレベルであるということでございます。
 これは、私は非常に危機的なものではないかと思っていまして、皆さん御存じのように、現在、少子高齢社会が進展しています。こうした少子社会の進展の下では経済全体で高い生産性を確保していく必要がありますが、しかしながら生産性が、うまく高い生産性が維持できていないのではないか。ただ、ここには幾つかの問題がありまして、生産性そのものを評価することに問題が幾つかあります。財やサービスの質の評価がうまくできていない、同じ財でも質が高い財と質が低い財があると。その質までも評価しない。
 これはよく経済学者の人たちが言うことなんですが、マクドナルドで日本とアメリカ比較します、両国ともありますから。そのときにどちらが生産性が高いかというと、明らかにアメリカのマクドナルドの方が高いんですね。ところが、じゃアメリカのマクドナルドと日本のマクドナルド、どちらに行ったら気分が良くなるか。アメリカのマクドナルドに行ってもいい気持ちにはならないんですね。ところが、日本のマクドナルドへ行くと非常にいい気持ちで食事ができるわけですね。そうした気持ちの良さというものを生産性に反映されていないというような問題がありまして、日本の生産性が低く見積もられている可能性はあります。ありますが、そういった問題があるにもかかわらず、でもやはり先進七か国中最下位の生産性であるということは事実でございます。
 これが、お手元にあるグラフがOECD加盟諸国の労働生産性、二〇〇七年の三十か国比較です。日本はちょうどここにあります。ちなみにスウェーデンはこれですね、スウェーデンはここにあります。日本よりも高い生産性を発揮している。下の方に行くに従って生産性が高い国です。一番高いのがルクセンブルクで、続いてノルウェー、続いてアメリカということになっております。日本は生産性の低い方に位置付けられているということであります。
 さっきのはサービス業まで含んでいますので、製造業について見た場合にはどうかということで見ますと、日本はここですね。ちょうど真ん中ぐらいでありまして、アメリカの製造業、よく弱いと言われますけれども、アメリカの製造業はここですから、日本よりもアメリカの製造業の方が高い生産性を発揮しているということになります。
 生産性が低いというのがそのうち非常に問題になろうかと思うんですが、労働時間の長さとは関係なく生産性というのは維持される、発揮されるということを御理解いただいて、むしろ労働時間の短い国の方が労働生産性が高い可能性があるということでございます。これはいろいろ背景があると思いますが、一つは、しっかり休んでしっかり働くということができているということがあるのではないかと思います。
 最後に、労働時間が短くても豊かに暮らせている国が多いわけですが、その背景を少し、仮説ですけれども、お話しさせていただければと思います。
 実は、労働時間というのは市場労働の時間でございまして、賃労働ですね。会社に行って働くとか自営業で働くとかそういうことですが、実は我々、労働っていいますと、ここに家計内での労働というものも当然労働に含まれるんだろうと思うんですね。家事、育児、そういったものです。
 市場労働の時間が短い、つまり労働時間が一般的に短いという国では、家計内での労働が多い国であるということであります。家庭でできることは家庭でする、家庭でできないことは市場からサービスを提供されてくるということで、そこの使い分けをうまくできている国が多いんではないかと思います。実際、ヨーロッパでは、家庭向けのサービスはそれほど市場のボリュームは大きくありません。なぜならば、家庭の中で家事サービスをやってしまうからでありまして、その無償労働分を評価してGDPを計算しますと、実際に見えているGDPよりも相当大きなGDPになるんではないかというふうに言われています。
 実際、これは二〇〇四年の数字、二〇〇四年にEUの統計局から出された週平均の人々の行動の種類別平均時間のグラフでございまして、一番上が仕事や学校に週当たり何時間ぐらい費やしているか、その次の水色の部分が家事、育児、次が移動、緑の部分が睡眠、赤が食事、その下が自由時間ということなんですが、女性と男性それぞれ載っていますが、一番左側にあるのが日本の数字です。
 特に、日本の男性の労働時間が非常に長いということがお分かりいただけるかと思いますが、その一方で、ベルギー、ドイツ、エストニアなどは非常に労働時間が短い。その一方で、男性も女性も家事労働が非常に長い。日本では家事労働が非常に短いと。これ、男女共に同じような傾向でございます。その分、日本は家事サービスを市場から提供されている可能性があって、その分GDPは大きくは見えるんですが、実際に豊かさということを考えると、実は無償労働で家事サービスをやっている国の方が相対的には大きくなっている可能性があるだろうということでございます。
 その次は、参考までに、雇用者、つまり働いている人たちの種類別の平均労働時間です。
 最後には、もう間もなく時間になりますので最後ですが、こうした市場で働くか、あるいは家庭の中で働くか、それはどちらも労働だと思うんですが、今の日本は市場で働くのが非常に長い、その結果、家庭の中で働くのが非常に短くなっていると。これをこのままで果たして、先ほど申し上げたような、生産性の高さが維持できるような、あるいはもっと生産性を高くするために今までのような働き方でよいのかというような議論が出てきたんだろうと思います。それで、最近、ワーク・ライフ・バランス、そこではWLBと書いてありますが、ワーク・ライフ・バランスといったものが非常に大事だというふうに言われているわけです。
 このグラフは、九一年時点でワーク・ライフ・バランス政策を導入した企業が水色で、次に紫色が九八年時点で導入した、九八年時点でもまだワーク・ライフ・バランス政策を導入していないのが薄い白い部分ですが、その棒グラフは一人当たり経常利益の成長率を見たものですが、まず、九一年から九五年にかけての一人当たり経常成長率、一番左側ですが、この棒グラフは三種類の企業でも全く同じような成長だったと。ところが、九一年から〇一年にかけての成長率を見ますと、一番成長が高いのが青い棒グラフである九一年時点でワーク・ライフ・バランスを導入した企業であったと。次に、九五年から〇五年も、白い棒グラフに比べて青や紫色の棒グラフが高くなっていますが、これは九一年やあるいは九八年に導入した企業は九五年から〇五年にかけての成長率は高かったと。一方、まだ導入していなかった企業は成長率は低かったということでございまして、実はワーク・ライフ・バランスを導入している企業の方が成長率、経常利益の成長率は高かったということで、生産性にもやはりこのワーク・ライフ・バランスが影響している可能性があるということでございまして、今後の成長率を維持させるためにも、こうした労働時間の長さやあるいは休日、休暇の拡大ということは必ずしもマイナスにはならないだろうということでございます。
 以上です。
#5
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 それでは次に、溝畑参考人にお願いをいたします。
#6
○参考人(溝畑宏君) 皆さん、どうもこんにちは。
 今日、私はどちらかといいますと、元々、自治省に今から二十五年前に入りましたときに、国家のイメージとして自分なりの理想のイメージがありまして、それは、明治維新のときのように、地域が競争し連携し活性化する、そういう社会を自分はつくるのに貢献したいなと、そういう思いで私、霞が関の門をたたきました。
 実は今、Jリーグのチームの社長をやっておりますが、その根底にありますのも、すべては今、大分という地域の中で一人一人の方が何を持って、私も地方分権ということをかなり、法律、制度の運用をやっておりましたが、自分にとって理想の社会、それに対してどのように行政、企業、住民、メディア、そして様々ないわゆる、一般的に言うならばステークホルダーというやつですね、絡まっていくのか、ここのいわゆるコーディネートというところが重要になってくるなと。
 今、私どもが今回J1の、田舎の人口百二十万、大分市、別府市合わせてわずか四十万です。そこに、本当にお年寄りから子供までが日本一という言葉を今言うようになりました。昨年十月にJリーグのナビスコカップで優勝をいたしたんですが、何もない、親会社がない、まさに草サッカーから日本一になった。そのプロセスに多くの方が年代、世代、職域を超えて結束をしてきました。
 私は、やはりこの自由時間という、余暇問題というのを議論するその目的というのは、結局のところは、一人一人の住民がいかに自分の住んでいるところに対して自信と元気と誇りを持ち、そして己の力で世の中を切り開いていく、そして将来に夢を感じる、活力を感じる、こういう社会をどうつくっていくのか、これをまず戦略的にやっていかないと、幾ら理想論を投げても仕掛けが要ります。仕掛けがないと、今現実として社会自身がハングリーさを失っておりますし、若い人に向かって夢やと言ってもそう簡単に動きません。
 お年寄りは今どうなっているか。定年になって働く場所がない。そこで初めて自由な時間をどう使っていいか分からない。その中で、我々このクラブが実はそういう人たちをうまく巻き込む努力を今懸命にしております。
 分かりやすく言いますと、今、一試合平均二万人のお客さんが来ます、お年寄りから子供まで。お年寄りの皆さんは月二回この試合を見に行くことによって、若い人とのコミュニケーションを図れます。そして、家に戻ったらまた頑張ろうということで、自分の中で、例えば自治会の活動で、よし、もっとおれは頑張ろうとかかわっていくわけですね。子供はこういうチームにかかわることによって、おれも大きくなったら日本一になるんだと。地方から日本一ということを一つのテーマにあらゆる世代が結束していくわけですね。そういう意味で私は、余暇時間の使い方という中で、いわゆる利害を超えた文化とかスポーツとかエンターテインメント、こういうものを持っている意味が非常に重要になってくると思います。
 ヨーロッパを比較した場合に私はいつも思うことというのは、皆さん余暇時間というものを、積極的にビジネスをされている方もおられますし、ボランティアされる方もおられます。もう別に、彼らが言うには、働くも働かないもボーダーレスと言うんですね。人生を楽しむと。今、日本人の実態を見ますと、どっちかというと仕事も後ろ向き、疲れて帰ってきて、もう休んでいる時間はどっちかというと家にこもってリハビリ状態ですね。ここの状態から一歩前に行くには、何か地域の中に活力が要るんですね。
 そういう意味で、私もいろんなプロジェクトをやりました。どうやれば大分の人が元気になるのかな、どうやったら燃えるのかな、三流県で田舎やとか人口少ないと言い訳ばかりして、一向に、日本一になろうとか、天下取るとか、おれは将来坂本龍馬になるんやとか、そういう人間がなかなか出てこないんですね。私なんか、いきなりもう自治省入省日に、発令もらったときに、おれは将来坂本龍馬みたいに三十三で死ぬぐらいの人生やるので、国を変えますと、おれは変えますよと言って、それぐらいのことをわっと言って、今でもちょっと自治省では問題児扱いされて、そういう人間が昨日総務省で新人研修でしゃべったんですが。
 それを言うような風土というか物は、地方には今正直言って非常に弱まっています。これを言ったらつぶされてしまう、身の丈論というのがはびこっておるわけですね。その中で、狭いコミュニティーの中で皆が縮こまってしまっている。私は、何かこれを、大分の人たちを一つにまとめるものがないかな、仕事を離れたときに何か心一つになれないかな、それがJリーグのチームだったんです。
 この地方から日本一になるというプロセスを、大きい企業はないかもしれない、しかし、企業と行政と住民とメディアが一つになってそれぞれ結束することによって、私は最近よく、地域のパワーは、コミュニケーションパワーという言い方をしています。結び付くことによって活力が及ぶんです。なぜそう思ったかというと、一人一人、今みんな認められたいんです。特にお年寄りなんかは小さな名刺一枚でいいんです。名刺一枚だけじゃ駄目なんですよ、サラリーも必要なんです。ボランティアの人にもお金をあげています。幾つになっても自分が社会に参画している、認められる、こういうものを社会でつくっていけば、この余暇時間とか自由時間というものが充実できます。
 そういう意味で、実態として申し上げるならば、こういう形でみんなでこういうチームを強くしていきましょう。みんなで助け合いましょう。私はスタジアムへ行って応援をします。私はスタジアムに行かないけれども、こういうチームを応援するという指導員みたいな形で自治会の人にアピールをしましょう。ボランティアで助けましょう。皆さんすべてがかかわれるわけですね。そうすることによって共通のことが出てきます。大分が好きだ。そして、大分から日本一になろう。頑張ろう。今まで向き合っていなかった世代の人たちが肩を組んで、ここにコミュニケーションができるんです。
 そうすると、これは非常に大きな波及効果が出てきます。まず町づくり、町づくりにも出てきます。こうやって日本一になっていこうとモチベーションが高まると、そういう人たちがほかの商店街のことを調べて、うちの商店街をもっと良くしていこうと。今まではだれかがやってくれるという発想だったのが、みんな力を合わせればどんどんレベルアップしていく、そういうモチベーションを上げていくというところに非常に大きな効果が出てきています。
 町づくりもそうです。あと観光もそうです。二万人の人が集まる。外からも人がやってくる。おのずとホスピタリティーが出てくるわけです。日本一というレベルに上がっていく中で、自分たちはもしかするとすごい力を持っているかもしれないというふうに、自分のふるさとに誇りを持ち出すんです。これが私はあるべき地方分権の姿であって、自由時間が充実するということは、心が常に向上心がない人間は、幾ら時間を与えても時間の使い方も分からないし、家にこもっちゃうんです。そうやって、やればできる、やればできる、頑張ればできる、認められる。特にお年寄りは、もう七十過ぎの方は、ちょっとした機会を与えてあげたらどんどん社会参加します。そういう人たちがどんどん逆にお金を使い出すんです。そうすることによって、今言う個人消費の低迷というところにも一種のくさびを打ち込むことができています。
 それ以外にも、産業振興ですね。いろんな方が知り合うことによって、例えば自分は農業をやっている、そこにこういう、出会う中で、流通の方と親しくなる。あるいは、アジアに進出している、そういったジェトロの人が参画している、そういう人に橋渡しをする。そうすることによって、農業というものを、世界というものを見据えたことを考えるようになる、こういう波及効果が限りなく出てくるんです。
 そういう意味で、例えばメジャーリーグベースボールもそうですし、それからヨーロッパのプレミアリーグなんかを見ておりますと、お客さんがたくさん集まって、単に興行になっているのではなくて、あそこに自由時間というか余暇時間という中で、このコミュニケーションパワー、コミュニティーパワーがいろんな分野に波及効果を及ぼす。究極の姿は、お年寄りから子供までが自分の住んでいるところに誇りを持って、今まではだれかにしてもらおうと思っていたのが、よし、おれがやってやる、やってやると、そういうふうに波及効果を及ぼし合っていくんです。
 そういう意味で、今回私、事例として、何もないところから最初は半信半疑でした。こんな田舎にこんなプロサッカーチーム、ガンバとかジュビロとか浦和とか親会社が付いているチームがはびこっている中で、こんな草サッカーみたいなチームが本当にJリーグで優勝できるのか。皆さん最初は、スタートしたときはまず難しいだろうと。チャレンジする前から難しいだろうと。まさに私がイメージしている明治維新のときみたいに、土佐から、将来、薩長連盟を含めて世の中変えてやるんやと、おれがやってやるというような風土というものが非常に弱いというところに、私このJリーグのチームをつくるというところのスタートの原点がありました。何をするのも身の丈論です、すべて。だから、世代がこの身の丈論にぶつかって、地方は大変今そこのところで弱り切ってしまっている。この壁を取っ払うためにこういうJリーグのチームを、企業だけではない、みんな一つになって地域のパワーを付ければ大都市に対抗できる。今、大分の人たちは間違いなく百二十万の人ほとんどの人が、頑張れば日本一になれるというマインドがあります。
 ですから、頑張ればというマインドになることによって余暇時間の使い方も大いに変わってきています。特に、少し個別の問題になりますが、私がこれから大きな問題になってくるかなと思っていることを申し上げておきますと、余暇時間の重要な使い方の中に避けて通れないのが、いわゆる兼業農家の問題です。
 今、大分の場合、兼業農家、実を言いますと、公務員の方とかサラリーマンの方は大体、土日で農作業をされるんですね。それは兼業農家という形でずっとそれが維持されてきておりました。実態を申し上げますと、今その平均年齢がもう六十歳を超えてしまったんですね。大体が公務員の方とかサラリーマンの方がそれをやりながらやってきたわけですが、今現実、若い公務員の方、サラリーマンの方はもうそういうことをされません。どんどんどんどんこれが、余暇の時間の使い方という中で、恐らく今のままでいきますと農林水産業というところが、労働者というところがこのままいくとなくなっていく、そういう非常に危機的状況が近づいております。
 ですから、この余暇の時間の使い方という中で、実を言いますと、積極的にビジネス的にはまだまだ動ける場所がいっぱいあるんですね。
 今、一生懸命我々が誘導しているのは、そういう農林水産業に例えば最初はボランティアでもいい、若い人にどんどん参画させて積極的にいろんなところに活動させるようなステージをつくってあげる。今やっぱり我々、皆さん何か社会に貢献したい、参加したい、認められたい、そういうことを切望しておる人はいっぱいおられます。お年寄りの人も何かお役に立ちたい、どうしたらいいんだ。特に、お年寄りの人が言うのは、無職は嫌だと、無職になるともうふさぎ込んでしまう。何か欲しいんですね、社会とのかかわりが。そういうものを、やはり行政とか企業とか地域が一つの仕組みをつくってそういう人たちにそういう場を与えてあげる。
 我々プロサッカーチームも、そういうお役に立てるように、そういう場の提供のためにいろんな場を提供しています。それがある意味、試合の場でもそうです。二万人の人が集まる中で、例えばいろんな農産物を展示をしてあげたり、あるときは海産物、あるときは伝統工芸品、そういう中でその価値というものを皆さんに共有していただく。そういうことによっていろんなところのコミュニケーションの中でいろんな人が参画し認め合う。そういう社会をつくるという意味で、これからやはり個々に努力をするというだけでは限界に来ている。やはり、そういう社会をつくっていく上で、仕組みをつくるためにいま一度行政、行政だけでは駄目なんですね。これはやはり行政も企業も住民みんなでつくって、みんなで考え、みんなでつくっていかないと、これは上滑りになってしまいます。
 とにかく、一番気になるところというのは、皆さん若い人、お年寄り、みんなが言うのは、夢がない。夢がないとか不安だとかどうしたらいいんだ。そのヒントというのは、この私どもプロサッカーチームやって思ったことは、日本一になろう、頑張ろうといって束ねていく。もう一つは、個々の中で具体的にどうすればそういう活動に参画できるかということについての場を与えてあげる。この二つをやれば、まだまだ私は、私が目指しているところの、お年寄りから子供までが生き生きして、おじいちゃんが語り部になって、子供はそれに対して将来夢を持って頑張れる、こういう社会をつくれるような日本になるんじゃないかなと。
 私は、今この私どものスタジアムというのがまさにその縮図になっておりまして、おじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れて試合を見に来ます。そして、試合を見て子供が喜んで、おじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命子供にこうやってしつけをしています。そういう社会をやはりいろいろなパーツの中でつくっていく。そういう意味で、我々のちょっと一つケースとして参考になればということで今日参りました。
 実際のところ、データ的に申し上げますと、私たち人口わずか百二十万、小さな都市です。このチームがJ1の中で、親会社がない状況でございますが、一試合平均二万人、浦和レッズは、商圏が四千万のところから毎試合五万集めています。八百人に一人です。我々は、大分市、別府市、六十万の中から平均二万集めています。三十人に一人がスタジアムに来ます。そういう地域の密着という部分でいきますと、これに個人で支えられている方が約一万人います。そして、スポンサー約七百社の方が、それこそいろんな業種の方が協力をしてくれています。ボランティアは登録されている方で約二千人です。それ以外にも、自治会で応援される方を入れますと約一万人。金では負けるかもしれないけれども、みんなが支えるというこの結束力でクラブ経営をしております。その結果が、今ではアンケート調査で九九・五%の方が大分トリニータを認知している。大分トリニータが好きだと答えた人が九六%、そして大分トリニータが日本一になったということについて喜んだ、うれしかったと答えた人が、これは当然のことですが、九九%、こういうデータが出ております。
 今日はこれ以上話しますと時間を超過いたしますので、後ほどまた皆さんと意見交換をする中でいろいろと私も勉強していきたいと思っています。まだまだ未熟者でございまして、皆様のような立派な方の前でしゃべるのはちょっと筋違いで今日は少々緊張いたしておりますが、取りあえず第一章はこれで終了させていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 それでは次に、ペーテルソン参考人、お願い申し上げます。
 同時通訳をお使いください。
#8
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) こんにちは。ペーテルソンです。
 本日は非常に身の引き締まる思いでございます。この調査会で発言できるということを非常にうれしく、また誇りに思っております。私は、阿部先生のような学者でもありませんし、また溝畑さんのようなコミュニティーリーダーでもございません。しかし、私たちはいろいろなアイデアを持った会社でありますので、皆様に何らかのひらめきになるのではないかと願っております。(資料映写)
 まず、イケアウェーというのはバランスが大事ですという話になりますけれども、私自身の自己紹介も少ししたいと思いますけれども、私は、イケアの創設者カンプラードさんが日本に来たときに一緒に撮った写真です。二年前に彼が来ました。私はイケアで仕事をしてもう二十六年になります。幾つかの国にも駐在いたしました。六年間イタリアにおりましたし、そして日本に四年滞在しております。そして、現在、イケア・ジャパンの代表取締役社長をしております。
 それでは、直接このテーマに入っていきたいと思います。本論に入ります。
 私が今日お話しすることは、私の言っていることが正しいとか間違っているとかというような話ではなくて、あくまでも皆様方と情報や知識を共有し、イケアとしていろいろな経験したことを、またスウェーデンの国民としていろんな経験をお話ししたいというだけであります。
 やはり、時間配分、時間のバランスだと思いますが、この一日二十四時間の時間配分を見ていただきたいと思います。理想が左にありますけれども、八時間ずつ、睡眠、仕事、自由時間ということで八時間ずつ分けるというのが理想だと思いますけれども、実は労働時間が一番長いというのが現実であります。
 そこで、我々が常にやっていることは、会社での時間の過ごし方を問うということなんです。本当に残業は何が何でも必要なのですか。また、あなたは効率よく働いていますか。また、あなたがすべき正しいことをしていますか。それとも、物事を正しいやり方でやっていますか。もし正しいやり方であったとしても、間違ったことをしているかもしれないということもあり得るわけです。こういった質問を常に問うております。
 我々が日本に来たときに、もちろん会社でありますので、余り日本についてよく知らないということが現状でありましたが、そこで少なくともいろいろなことについて問うてみなければならないと思ったわけです。日本で事業所を開設するに当たって、いろいろな質問を出しました。最近子供と遊んでいますか、自分の居場所が家でありますか、また家族サービスをしていますかというような質問をしたんです。こういった質問をしたのは、私たちは篤志家ではない、篤志家だからこういった質問をしているということではありません。そうではなくて、私たちとしては、家庭というのが最も重要な場所なんだ、世界で最も重要なんだ、日本だけではなく世界どこにおいても家庭というのが一番大事なんだということを伝えたかったわけです。
 ちょっとこれは見づらいんですけれども、この二十四時間ということを見てみますと、ちょっと阿部先生のように学者的な話になってしまうかもしれませんけれども、学者でもないにもかかわらず。
 まず、家族の時間ですが、これは夫婦の間での家事の役割分担ということが特にスウェーデンの場合には重要になってきます。夫として家に帰ったときに、皿洗いをしたり洗濯物をしたりしなければならない、子供と一緒に宿題を助けたりしなければならない、そのようなことを、もちろんかなり長時間の労働時間があるにもかかわらず家ではやらなければならないわけです。
 次に、仕事場におきましても個人のコミットメントが必要です。職場で実際にやると決めたことをきちんとやっているかどうか、それも効率的にやっていかなければならない。
 また、社会のサポートという問題もあります。スウェーデンにおきまして、大体女性の八〇%ぐらいが仕事をしております。その可能性というのを高めるためには、託児所があったり、また政府がこういった育児のケアを保障してくれているというような社会のサポートがなければ、こういった高い労働参加率も達成することはできません。
 また、男女の役割バランスという問題も一つの要素になってきます。
 また、社会の受入れという問題もあります。例えば子供が病気なので仕事に行けない、家で面倒を見なければならないというときに、それを変に見られるということであると社会として困るわけです。あるいは、五時に仕事をやめて学校で子供をピックアップしなければならないということを悪く見られない、こういった社会の受入れも必要です。
 また、男女の役割バランスということに関して常にディスカッションがされておりますが、スウェーデンにおいてすべてがうまく機能しているというふうに申し上げるつもりはありません。でも、常に議論はあるんです。この男女の役割バランスについての議論は常に活発であります。
 次に、職場についてですけれども、私どもは、常に自問自答しているのは、効率的な働き方をきちんとしているのか、働くときには一生懸命働いているのか。そして、残業はなくさなければならない。また、時には休暇を取れなければならない、そういった休暇の取りやすい職場環境であるかどうか。また、アウトプットの最大化、そして結果主義というものも非常に重要になってきます。また、例えば家族や友達と一緒に時間を過ごしたいと思うときには、アウトプットを最大化して早く仕事を切り上げるというようなことも重要になってきます。また、ワーク・ライフ・バランスをサポートする職場環境も必要です。このようなことを推進することによって、一生懸命職場では仕事をするというエネルギーを高めることができると思います。
 それでは、できるだけ客観的にお話をしたいと思います。このスウェーデン方式の長所と短所についてお話をします。
 先ほど正しいことをする、あるいは正しいやり方をするという話をいたしました。しかし、それをする上でも、常に正しいことをしながらも優先順位を付けていくというのがますます求められるようになっております。そうすることによって効率的な働き方をいたします。例えば、一日八時間は職場にいるわけですので、先ほど溝畑さんもそういう話をおっしゃいましたけれども、効率的な働き方というのも重要です。
 三番目に、常に現状を問うてみるということが重要です。私どもの従業員は、私の社長としての意思決定を常に問うてきます。それが本当にいい決定なのか、ほかのやり方はないのかということを常に従業員が問うてきます。いろいろなそのような質問を受けて、意思決定に反映させていく努力をいたしております。
 また、ワーク・ライフ・バランスが可能であるということ、そして性別が障害にならない職場環境、これがスウェーデン方式の長所だと思います。
 他方、短所もあります。余り詳細には書いておりませんけれども、間違いが時々起こるという質の問題があったり、また細部まで目が行き届かないということがあったり、またストレスが多い環境ということがあります。
 例えば、私自身の話をしましても、私はただ単に仕事に専念することはできない。それだけではなく、家事もしたり、また子供の教育も気にしたりしなければならないわけです。そういう意味では、スウェーデン人にとっては、いろんな多くのことをしなければならないので、ストレスが多い環境にさらされている。日本人よりもそうかもしれません。
 それでは、もしもこのスウェーデンのやり方を日本に導入したらどうなるかということなんです。例えば、休暇を実際に取って、取れたらどうなるか、また定時上がりが当たり前の社会になって残業がなくなったらどうなるのか、あるいは男女平等が促進されたらどうなるのか、また、もしワーク・ライフ・バランスがきちんと男女に関係なくつくることができたならば、あるいは性別や年齢、人種に関係なく機会への均等を提供される、年功序列の回避ということが達成されればどうなるのか、生産性や幸福度、そして経済活性効果はどうなのかということです。
 そして、これらのもしもというのがイケア・ジャパンではすべて現実になっております。少なくとも、現実にしようという努力をしております。常に成功しているとは言いませんけれども、かなり最大の努力をして現実に近い形にはなっているというふうに思います。
 それでは、先ほど生産性の話をいたしました、経済成長の話もありました。例えば、イケアに関しましては、このように小売業の環境が不況で非常に悪いにもかかわらず、全体の総売上げを日本では伸ばすことができていますし、従業員の皆が毎日楽しく仕事をしております。
 常に社員に対しまして彼らの声を聞いております。仕事をどのように評価しているかということで社員の声がここに二つあるので読ませていただきたいと思います。
 まず一人目ですが、フラットな組織で風通しが良く、意見交換が大変スムーズなので職場はとても楽しくて大好きです。各自が仕事に関して責任を持たされているので成長する機会に恵まれていて伸び伸びと仕事をさせてもらっています。これはホーム担当のカオリさんという方の声です。
 次に、オンとオフをきっちり分けられる環境が整っていることが魅力、仕事中は効率的に一生懸命働き、オフのときには家族と充実した時間を過ごしています。ワーク・ライフ・バランスが可能なので、人生のどんなステージにおいても働きやすい環境です。これはショーゴさん、ビジネスナビゲーションの担当の人です。
 これが二人の非常に前向きないい社員の声ということで御紹介したわけですけれども、まだまだほかにも社員の声というのは届いております。
 それでは、ここまでが本論の話だったんですけれども、今からちょっとイケアの紹介をさせていただきたいと思います。
 皆様の中にもイケアのお客様がいてくださったらと願っておりますけれども、このイングヴァル・カンプラードというのが創始者の名前です。エルムタリドというのがその人がいた農場で、その農場があった村がアグナリッドという村なんですけれども、この頭文字を取ってイケアという名前になりました。
 四十か国で二百九十六の店舗を持っております、現在。そして、五億六千五百万人のビジター数、そして毎年一億九千八百万部のカタログを発行しております、二十七か国語で。そして、年間四億五千万のウエブサイトのアクセスがあります。
 次に、売上げの伸びですけれども、かなり急速な伸びを示しておりますけれども、今、全世界で二・八兆円の売上げとなっております。
   〔会長退席、理事岩城光英君着席〕
 より快適な毎日をより多くの方々に提供するというのがイケアのビジョンでございます。そして、ビジネスの理念といたしましては、優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファーニシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々に御購入いただけるよう、できる限り手ごろな価格で御提供するというのが私どものビジネス理念でございます。そして、我々にとりまして家が世界で一番大切な場所であるという信念がございます。仕事場、オフィスが世界で一番大事な場所ではないはずだという考え方に立っております。
 日本国内には五店舗、現在ございまして、関東に三店舗、船橋と神奈川の港北と埼玉県の新三郷、この三店舗と、ポートアイランドの店舗、大阪は鶴浜に店舗がございます、港のところです。それから、物流センターは愛知県の弥富にございます。今後とも拡大していきたいと思っておりまして、店舗網の拡大を図るところでございます。
 現在、雇用者数、従業員数二千四百二十六名でフルタイマーの比率四三%。それ以外はパートタイムです。女性のマネジャーですが、比率は日本で四二%となっております。そして、日本人の女性のマネジャーの比率は二三%となっております。外国人比率は七%です。これ日本国内です。出身の国の数ですけれども、二十八か国となっております。
 ビジネスの理念だけではなくて、人材育成、ヒューマンリソースに関する理念も打ち立てておりまして、プロフェッショナルとして、人間として成長する機会を提供するということを旨としております。つまり毎日の生活をより良くしていこうと、お客様のためにもそして社員のためにもというのが根底にある考え方でございます。
 日本では、私どもはパートタイマーとフルタイマーに同じような福利厚生を与え同等な扱いをするということで、パートタイマーとフルタイマーの差別を設けておりません。
 例えば、休日、休暇ですけれども、年次有給休暇一〇〇%消化を推奨をしております。有給休暇に加えまして最長二十五日間、病欠も有給となっております。それから、マタニティー休暇でございますけれども、子供が一歳になるまで育児休暇を取得する際、三か月間の有給休暇を女性に、そして男性については十五日間の有給休暇を与えております。
   〔理事岩城光英君退席、会長着席〕
 女性で、男性でもいいんですけれども、出産してもキャリアや考査には影響をしません。同じポジション若しくは同じレベルのポジションに復帰することが可能でございます。そして、休暇中はほかの社員が一時的にカバーをいたします。そして、ほかの部門に異動したいということであるならば、家族の状況なども加味いたしましてそれを認めております。
 それから、子供の看護休暇、これは男性職員にも女性職員にも最高十二日間認めております。そして、労働形態の選択につきましても、例えば社員の中で子供が生まれたのでフルタイムを辞めてパートタイムにしたいというような希望がございました場合には、それは必ず保証するというわけではないですけれども、十分な話合いの場を持つようにしております。
 ダーギスという言葉がございますけれども、スウェーデン語で託児所という意味の言葉です。日本でも船橋ストアの中にこのダーギスと呼ばれているスウェーデン式の託児所を設けております。御利用いただいております社員のコメントを拾ってみました。
 この人はこう言っています。娘を託児所に預けてまで働きたいと思っていなかった。でも、栄養士の仕事は続けたかった。ダーギスは託児所ではない、セカンドホームみたいなものであると。家ではさせてあげることができない例えば雨の日でも外遊びをさせてくれたり、子供はとても楽しんでいますと。自分にとっても、仕事からすぐのところに子供がいるのでとっても安心ですということをこの女性、キヨミさんはおっしゃっています。
 ユカコさん、これも別の社員ですけれども、イケアで働き始めたとき既に子供が三人いたと。責任ある仕事を任されて、四人目が生まれた後も早く仕事に復帰したかった。娘が生後二か月のとき預け始めたけれども、母乳で育てたかったので職場の隣にダーギスがあってとても助かった。地元の保育所の方が安かったんだけれども、ダーギスを選びましたと。ダーギスを提供してくれている会社に感謝しています。娘と本当に近くにいれてうれしいですということをユカコという社員の人は言ってくれています。
 なぜ弊社がこのようなことを、取組を行っているのか。これは慈善や博愛主義のためにやっているわけではなくて、あくまでビジネスのために弊社としてもやっているわけですけれども、人として企業として、スウェーデンらしさといいましょうか、これは一つの伝統だと思っております。こういった取組をすることによって経済的にも良い結果が出ると。つまり、企業といたしましては利益、より高い利益につながると思っておりますし、こういった取組を導入することによって働くことがより楽しくなる、楽しく仕事ができるということがエネルギーの源泉だと我々は思っているわけです。
 少ない労働時間で競争力を維持、増強できる秘訣は何なのかということになりますけれども、一つは、仕事をできるだけシンプルにするということがあろうかと思います。絶対必要なこと以外はしないという考え方です。無駄は省くというシンプル化です。
 それから、ダイバーシティー、多様性です。若い人も高齢者の方も女性も男性も、いろんな国籍の人が社員の中にいますので、これはいろんな角度から物事を見ることができる、様々な視点を持ち込んでくれるわけです。そして、変化へ柔軟に対応しております。これまでにないような情報が来たときには果敢に新しい判断を下していくということをやっております。
 そして、社内のクリエーティビティーのレベルを高めるということも重視しております。若い人、老若男女、そしてパートタイム、フルタイムの人たち、こういった人たちのクリエーティビティーを最大限発揮してもらうような職場環境を整備するということと、一人一人が責任を持つということが重要だと思っています。フルタイムであれパートタイムであれ、一人一人が責任を持って仕事をするということが大事だと思っております。
 そして、休みを取りたいときにはいつでも休みを取れる、残業を余りしなくても済むということでゆとりと活力が生まれる、この辺が秘訣だと思っています。つまり、会社と従業員がギブ・アンド・テークでお互いがバランスを取るということが重要になってくるわけでございます。
 それはそれで、それなりに社員に対して求めることもいろいろあるわけでございます。売上げに貢献するため自分の最大限の力を発揮して、仕事時間内は効率的に働いてもらうと。それに対して我々が報いていくということが重要だと、会社が報いていくということが重要だと思っています。これは二者択一の問題ではなくて、両方大事だということなんです。社員が成長することが会社の成長にもつながる、社員とともに成長し続ける会社であり続けるというのがイケア流ということになります。
 御清聴ありがとうございました。
#9
○会長(矢野哲朗君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるよう御協力をお願い申し上げます。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 たくさんの方、ありがとうございます。
 それでは、こちらからまず順番にということでお願いしたいと思います。
 広田一君、どうぞ。
#10
○広田一君 会長、どうもありがとうございます。
 まず、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
 それでは、まず阿部参考人とラース・ペーテルソン参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 お話にございましたように、日本人というのは非常に労働時間が長いけれども労働生産性は低いというふうなことでございまして、阿部参考人の方からは、やはりこれから質というものをもっと大事にしていかなければならないというふうなお話がございました。それで、それに対してラース・ペーテルソン参考人の方から、その質の具体的なもの、関係するものかもしれませんけれども、仕事というものを非常に効率的にしなければならない、またシンプルに行っていかなければならないというふうなお話がございましたけれども。
 そこで、少し具体的にお伺いしたいんですが、阿部参考人のお話の中から、我が調査会の事務局の皆さんが再三連絡を取って、こうするようにというふうなお話があったということなんですが、これは大変、阿部参考人は質の高いことだというふうにおっしゃっておりましたけれども、それをもう少し具体的にその理由をお聞かせ願いたいのと、これは皮肉っぽく言ったのかどうかも、本音で言っていただければなというふうに思います。あわせて、同じように、今回の調査会を開くに当たって、こういった様々な質の面でもう少しこうすれば効率の良い、生産性の高いことができるんじゃないかという御提言があればお願いをしたいと思います。
 そしてまた、阿部参考人のレポートを読まさせていただきますと、やっぱりこれからはワーク・ライフ・バランスというものが大変重要であるというふうなことの中で、特にそういったワーク・ライフ・バランスを導入してきたところが経常利益というものも向上していると、また女性能力というものを積極的に活用されているところが賃金格差も少ないというふうな事柄をおっしゃっているわけなんですが、その辺の関連性というものをもう少し具体的に御説明願いたいのと、ラース・ペーテルソン参考人にお伺いしたいのは、実際、御社におきましては女性の比率が六五%というふうに高いわけでございますが、阿部参考人がおっしゃっているような考え方というのは御社では当てはまるのかどうか、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
 あわせて、スウェーデンのちょっと企業の考え方についてお伺いしたいんですが、日本ではよく経団連を中心に、法人税を上げると会社が海外に逃げてしまうというふうなことがよく言われているんですけれども、こういったのはスウェーデンにおいては当てはまる考え方なのかどうか。特に、スウェーデンは非常に法人税等も低くなったとはいえ高いと思いますので、そういったちょっと実情についてお伺いしたいと思います。
 それから、あと、溝畑参考人のお話を聞きますと、非常に生きがいとやりがいが大変大事なんだというふうなことを感じさせられましたし、いつぞやこの調査会でも、同じ由布院の中谷参考人でしょうかね、由布院の中谷さんがおっしゃった、町を活性化するのには若者とよそ者とばか者が必要だというふうなお話がありましたけれども、溝畑参考人の話聞くとぴったりだなというふうに思ってしまったわけでございますが、裸踊りまでしてこのトリニータの発展のために御尽力をされたということなんですが。
 ただ、我が高知県もそうなんですけれども、今非常に地域に活力がなくて、そして社会を引っ張る人材が減っているわけなんですけれども、私はその一つの理由として非常にやっぱりこの国の中央集権的な社会というものが大きく影響しているんじゃないかなと思っております。
 明治維新を坂本龍馬を中心に我が土佐がつくったわけなんですけれども、結果として中央集権国家をつくってしまったと。そして、今高知県のリーダーの方々の発言、私も含めそうなんでしょうけれども、やはり高知県の駄目なところ、良くないところ、高知はこんなに遅れているんでお金をください、こんなにひどいところなんで国が支援してください、そういうのがやっぱり戦後特に身に付いてしまったんじゃないか、こういうところから様々な形で人材の流出等出てきたんじゃないか、だったらチャンスの多い都会で頑張ろう、より積極的にいこうと、そういったようなところもあると思うんですが。こういった思いについてどう思われるのかということと、さはさりながら今後どうすべきかということで、また御示唆があればと思います。
 以上です。
#11
○会長(矢野哲朗君) それでは、質問に対して答弁を願いたいと存じます。阿部参考人、お願いをいたします。
#12
○参考人(阿部正浩君) まず第一の御質問で質の高さの件でございますが、私が申し上げたかったのは、多分、私がこういうところでお話しするのが不案内だということで、非常に不案内な者に対してどうやったらうまくスムーズにこの場で話せるかということに対して親切に御丁寧にいろいろと御案内いただいたと。ただ、そこまでしなくても大の大人なんだから何とかなるんじゃないかなという面が私自身持っていましたので、その差の部分だけ、まあ余計なと言ったら余計なのかもしれませんが、その余計な部分が実は質の高さというふうに思われるということでございます。
 これはここだけの話ではなくて、一般的に企業の中でも、例えば部長がプレゼンするときに部下が必死になって一生懸命物すごいボリュームの資料を作るけれども、実際に使われるのは一番上から二枚、三枚ぐらいでその残りの部分は質が高いんだけれども余り有効活用されていないと、その部分はやっぱり無駄なんだろうと、それがやっぱり生産性に反映されていないんじゃないかということでして。先ほどイケアの例でいくと、一番最初にシンプリシティーという言葉が出ていたと思いますが、そのシンプリシティーというのがやっぱり生産性の高さにつながっているというのは非常に大事なことなんではないかということでございます。
 それから、ワーク・ライフ・バランスと経常利益のところで、女性の能力の活用が賃金格差に少なくなるのはどうしてかという御質問でございますが、これは女性の能力の活用といったときに幾つかの問題点がありまして、まず女性の定着率が日本の企業ではまだまだ低いと、定着率が低いから女性を活用しようとしても辞められてしまうのでなかなか活用が進まないという、そういうジレンマがずっとございました。
 ところが、ワーク・ライフ・バランスをやって女性の定着率を、つまり仕事と家庭のバランスを取れるようになっている会社では女性の定着率が高くなってきているので、女性従業員に対してより高い教育訓練を行うことができ、それが結果的に女性たちの能力をより高めることになった。結果的に、今まで男性と女性の間で能力格差があって、それが賃金格差につながっていたものが、女性の能力が教育訓練によって上がり、定着率が高まったことによって更に高まり、結果的に男女の賃金格差がそういった企業では小さくなっているということでございまして、ワーク・ライフ・バランスと女性の能力の活用というのは非常に結び付いていて、今後、やはり少子社会、労働市場が人手不足になっていけば、当然女性とか高齢者の活用というものも視野に入ってきますので、そういったワーク・ライフ・バランスと女性の能力活用というのは大事だろうということでございます。
#13
○参考人(溝畑宏君) 御質問の地域にリーダーというものが全般的に少ないんではないかという御指摘なんですけれども、日本の社会全般が、私が育った一九六〇年、七〇年代というのは、ある意味やっぱり競争社会という中で、何となく私好きな言葉にステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュというのがありまして、ハングリーでいよう、そして常にばかになろう、ばかになるというのは変人、変態の領域ではなくて、本当に純粋なまでにもう真っすぐに行こうと。そういうやっぱり社会背景があって、一つは、日本社会全般が、私、レジュメにも書いているんですけれども、競争社会は存在する、競争には勝たないかぬ、しかしその中に敗者復活がある社会、負けても負けても何度もチャレンジできる社会、そういう社会としての包容力が、今地方には多分、私は非常に少ないところかなと。みんなが、やっぱり経営者の人たちが話をしているのは、これやって商工会議所の会頭ににらまれたら飯が食えなくなるとか、銀行とかこういうところににらまれたら、にらまれてばっかりで、逆にこっちがにらみ返してやるという発想はないんですね。
 だから、そういう状況から一歩脱するためには、やっぱりそういう敗者復活あり、そしてそこからもう一遍チャレンジしていこうという風土をつくるためには、元々、日本の社会はそういうのを家庭と地域と学校でスクラム組んでつくり上げていたと思うんですね。それがいつしか、家庭のところでは、まずお父さん、お母さんがもうハングリーじゃなくなっちゃった。子供に愛情を与え過ぎている。地域は、さっき言いましたコミュニティーというものが失われている。そして、学校ではやはり競争という、そのものに対する意識がもう弱まっている。およそ、そういう人間をつくり上げる土壌というのが非常に今弱くなってきているんですね。
 私、元に戻りますが、大分に来て、何でこんな大分って三流意識しかないかなというところで歴史をひもといたら、薩摩とか長州とか、ああいう明治維新のときにいろんな藩士を出したところには藩校というのがあって、そこにやはり共通の理念があるんですね。世のため人のため、己を捨ててでも社会のために貢献するんだと、そういう教えというものがしみ渡っていたんですね。
 それで、今回、私が、いつまでもリーダーシップがいない、できない理由を挙げることだけは天下一品、こういう社会から少し一歩脱するために、自分はどっちかというともう外者なんで、失うものは何もなかったので、とにかく浮いて浮いて浮きまくろうと。その発想で、とにかく知事、市長、みんな敵に回してでも、国民、県民に評価されるようなことをやってやると。だから、要するに身の丈ということに対して徹底的に反発して、みんな敵に回すような気持ちでやりました。
 ただ、失うものは非常に多かったです。コストパフォーマンス考えると、世の中で浮くということは大変疲れるんです。でも、結局そういう人間が生まれていくためには、自分がなぜそれでやれたかというと、さっき言いました地域に戻ろうと。地域に戻って、みんながそれぞれの分野で協力して、そういう結束力を持っていく。そういう輪にどんどん若い人たちを入れていくと、今若い経営者の中に、おれもやるぞと。だから、やっぱりそういう、だれか、外者でもだれでもいいんで、一人リーダーが出てきて、その背中を見ておれもやれると、よっしゃ、おまえ、おれやるからおまえも頑張れよと。今、だから、若い経営者の中に今までなかったような発言が出てきたのは、もうこの大分の地におっては限界だと、大分を愛するけれども、そこから世界を目指していこうという、そういう経営者とかそういう人間が出てきた、そのきっかけになったのがこのトリニータという市民運動だったんですね。
 だから、そういう仕掛けというものがないと、恐らく、今の社会の構造でいくとリーダーシップがなかなか出づらい。出たやつはみんなからあほや言われる、調子者や言われる、生意気や言われる、これで死んでいくんですね、きばを抜かれてしまって。
 だから、それをつくらないためには、やっぱりまず三位一体ですね、家庭、地域、学校、組織によるそういう人材育成、もう一つは、こういう地域を、コミュニケーションをつくって、そこにパワーを与えて、その中に若い人たちとかお年寄りのリーダーを育てていく、そういう場をつくることが恐らく必要なんじゃないかなと。過去、藩校を見ていると、どうもそういうふうな藩校というのは教えの仕方というのをやっていますね。
 済みません、答えになったか分からないんですけど、お許しください。
#14
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) 質問ありがとうございました。
 我々、日本において非常に大きなオポチュニティーがあると思うんです。というのは、非常に高学歴の女性も多いですし、そして女性が日本で仕事の機会を見付けていない人たちもおりますので、そういう意味で私たち日本においていろいろなオポチュニティーがあるというふうに思います。言語にもたけているし、教育レベルも高い、やる気も高い、野心的であるという女性がたくさんいるということでは私たちにとってはいい労働市場だと思います。
 私たちが提供したいのは、先ほどの質問に対する答えということになりますが、私たちは女性に対しキャリアを提供し、また家庭生活も提供する、その両方を両立させるようなオポチュニティーを提供したいと思うのです。女性がそのどちらかを選ばなければならないという状況ではなく、両立できる環境を提供したいと思います。神戸でお店がありますけれども、そのうちの七人の女性が妊娠をしておりますので、それも非常にプラスのサインだと思います。つまり、仕事と家庭の両立がイケアではできるんだということの証左ではないかというふうに思います。
 それが最初の質問ということでお答えになっていれば幸いに思います。
 二番目は、法人税の話なんですけれども、我々多くの国で事業をしております。現在四十か国以上で事業をしておりますけれども、二十七か国ぐらいで事業をしておりますので、このようにグローバルな事業ですので、各地で法人税を払っているということで、余り大きな問題ではありません。スウェーデンだけで払っているわけではないんです。
#15
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 それでは、質疑を継続します。
 松あきら君。
#16
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 本日は、三人の参考人の皆様、お忙しい中を大変にありがとうございます。
 阿部先生とペーテルソン社長のお話を伺っていますと、対極にあるなというふうに思います。日本がまさに長時間労働であるということは、これは事実でありまして、生産性ということで考えるとこれは厳しいものがあるというお話もいただきました。
 実は、私は以前にも申し上げたんですけれども、英国では無料コンサルタントを一年間企業に派遣したことで、企業がワーク・ライフ・バランスを進めたと。つまり、学校の子供の学期中に働き、休みのときは休める、家庭でインターネットなどを使って仕事をすることによって非常に業績が上がった。このワーク・ライフ・バランスが進むと業績が上がると答えた企業が九割に上ったそうなんですね。ですから、これは証明されているかなというふうに思うわけでございまして。
 まず阿部先生には、これは国としてやらなきゃならないことがたくさんあるんですけど、一つだけ、まさに女性管理職が日本では著しく少ない、これもワーク・ライフ・バランスの遅れの一因なのではないかなと思いまして、その点についてお話お伺いしたいと思います。
 それから、溝畑さんは「カンブリア宮殿」にも出演されたり、今や時の人という感じでもう本当に、変人と言われますけれども、まさにパワーの人であると。サッカーを、大分トリニータを始めたのも、まさに大分の若者に夢を与えたい、やる気を起こさせたい、若者も高齢者も含めて元気を与えたい、活性化をしたいということからこのサッカーというものに着目した、着眼したということはもうすごいことだと思うんですね。まだまだ、今日はつめを隠していらっしゃいますけれども、本当にすごくパワーのある方で、私は、ああ、こんなふうに型破りな生き方がなかなかできるものじゃないと。
 実は、溝畑さんのお父様は京大の数学者で国際的にも有名な方でいらっしゃるんですけれども、このお父様にしてなぜこういう子供ができたのか。やはり、これは何か教育というものが、お父様の、こういう非常にパワーのある人を育てたのかなと。そのお父様の教育という点について教えていただきたいです。
 それから、ペーテルソン社長、うらやましい限りの、日本は見習わなければいけないイケアの本当に環境だと思います。イケアでは、従業員をコワーカー、共働者、共に働く人と呼んでいるそうでありますけれども、やはり職場に保育所が隣接するなど女性コワーカーも働きやすい環境にあるというふうに思います。イケアにおけるコワーカーの採用と教育について少しかいつまんでお話しいただきたいと思います。
 以上でございます。
#17
○参考人(阿部正浩君) 女性管理職が少ないのがワーク・ライフ・バランスとの関係があるのかという御質問でございますが、管理職に到達するためにはやっぱりそれなりに会社の中でキャリアを積んでいきます。多分、最初の管理職になるのが四十前後ではないかと思うんですが、その間に女性も男性も多分、結婚や出産や育児といったようなことがありまして、現状ではまだまだ男性が、出産はそのものできませんが、育児あるいは家事に参加するというのは今の長い労働時間の下では難しいと。結果的に女性へ負担が行っているわけですが、それが結果的に女性の定着率を下げてしまう、それがキャリアの中断になってしまって、四十歳まで働き続ける女性というのが多分今までは少なかったんだろうと。
 ただ、それがワーク・ライフ・バランスを導入して、例えば男性がもう少し家事、育児に参加できる社会ができるとか、あるいは女性も仕事と家庭の両立ができるような社会になってくれば、もしかしたら女性管理職がこれから増えてくる可能性があるのではないかと思います。
 よろしいでしょうか。
#18
○参考人(溝畑宏君) そうですね、おやじは、もう正直、見た目とか振る舞いは私ともう本当正反対だったんですけれども、私はよく溝畑家の突然変異と言われているんですけれども。ただ、おやじ、私、兄弟三人常にあったのは、まず根底にやはり家族愛ですね、家族愛。これはまずシンプルですけれども、お父さん、お母さんを尊敬する、おじいちゃん、おばあちゃんには大尊敬をする。死ぬまでこれは徹底して教育されました。常にやはり人のことを敬いなさいと、このことをまず言われておりました。今でも、だから仕事をしていく上で、百二十万すべてが自分にとって大切な人、子供からおじいちゃん、おばあちゃんすべて握手してリスペクトします、認めます。犬に対してもリスペクトします。犬から猫から全部です。まず、そういう謙虚さというところを徹底的にたたき込まれました。
 それから、これは影響を受けておりますが、いつも地球儀をどかんと食卓の上に置いて、お父ちゃんは京都からいつも世界を見ておると、おまえらもこんな京都やとか横の狭いところをこちょこちょ見るんやなくていつか世界の舞台に行けと、お父ちゃんはそういう生き方しとるんやということを常にやっぱり地球儀を通して世界というものを私に語り継げてくれました。
 それから、やっぱり夢ですね、夢を持てと。夢を持たない人間はその瞬間に老化が始まると。常に夢を持てと。その目標に対して、子供のころから、おまえの夢は何やと、これをまずいつも聞かれていました。あるときはプロ野球の選手になりたい、あるときは医者になりたい、こういうことをまずはっきり目標設定をしないと何の支援もしてくれませんでした。
 そういう中で、世のため人のために何か歴史に残ることをしろということで私によく引き合いに出したのが、坂本龍馬の生き様を、よく子供心で、おまえもいつか龍馬みたいな人間になれよと、だからいつも私、子供のころから、龍馬ってこんな生き方しているということを親が語り部のごとく語ってくれておりました。
 人生にやっぱり軸を持つというか、常に何かやるときに大きい大局的な軸を持つということを教えてくれたというところが私にとって一番大きいところかなと。だから、どういうステージにいても、やはり日本という国の一人一人がどうやったら幸せになるのかなと、そういうやはり現場といいますか、私は元々官僚でやっぱり法律、制度をつくるところからスタートしたんですが、なぜ今民間の世界に入ったかといいますと、そこだけでは見えないものがいっぱいある、本当に現場に行って、みんなが苦しんでいる、悩んでいる、そういうものに触れ合うことで自分が力を発揮した方が本当、日本は変わるんやないかなと。
 そういうやっぱり地方からの発想というところは、まさに親が、やはりきっちりと日々着実に夢を実現するには目の前のことを全力でやれ、最後よく言ったのは、着眼大局・着手小局という言葉を私大好きで、夢を大きく持つ、されど道は地道に目の前のことを全力で取り組んでいく、この積み重ねがやがて大きな花となる。これはまさに親から言われたことで、どんな境遇でも目の前のことを全力でやる。そうやって、気が付いたらJリーグの社長になってしまっていたというそういう人生なんですけれども、本当に親の影響というのは非常に大きく受けておりますし、特にやっぱり家族愛、地域愛というところは大きな感銘を受けたというふうに思っています。
#19
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) ありがとうございます、御質問いただきまして。そして、イケアに対しても御評価いただいたようでありがとうございます、松先生。
 採用する際には、価値観、どういう価値観を持っていらっしゃるのか、どういう中身の方なのかということをよく見させていただきます。小売業ですから、業態としてはそんなに複雑ではございませんから、科学者は余り必要ないわけです。だからスキルどうこうということよりも、その方の持っていらっしゃる価値観ですとか人間性というところに重きを置いております。
 とにかく控えめな方、しかしながら意思がしっかりしていらっしゃる方が大事だと思っております。何か自分でやりたいと思っていらっしゃる方、社会に貢献したい、会社に貢献したいと思っていらっしゃる方を求めております。いつも指示されることを待つ人ではなくて、自ら率先して第一日から何か自分の力でやろうとしてくださる方ですね。それから、責任を取るべきときに責任を取ってくださる方というのも我々にとりましては極めて重要でございます。当然、繰り返し作業も多いわけですけれども、それをできるだけスピーディーにこなすということも大事になってまいります。
 しかし、パートタイマーの方であってもキャリアのチャンスは提供しております。責任をちゃんと取っていただいて、責任のある仕事をしていただいて、キャリアパスを用意しております。そして、マネジャーとしてもコワーカーが成長してくれることを喜びとしているわけです。
 私のモットーは、私よりも優秀な人を採用するというのが私のモットーです。そうなりますと、そういった優秀な人たちが入ってくれることによって自分のレベルも、そして知識もコンピタンスも上昇いたしますので。そして、コワーカーからチャレンジを受けるということは前向きに評価しなければなりません。
 そして、コスト意識が高い人というのも大事だと思っています。コストを抑えることに力を入れている会社でございます。なぜならば、お客様にできるだけ安く高品質な製品を届けるということが重要でありますので、社員にもコスト意識、コワーカーにもコスト意識の徹底を図っております。また、シンプルであるということを愛している人たち、そしてぜい肉のない、無駄のない仕事をする人たち、こういった人たちを選んでおります。それによって時間を節約することもできるし生産性を高めることもできるからなんです。
 面接をさせていただくときも、面接をすればすぐ分かります。生産性の高い方なのか、ちょっとのんびりし過ぎている方なのかというのは見れば分かります。採用するときはそういうところを注目するわけですけれども、昇進させるかどうかというときにはその人の潜在的な力を見ます。将来どういう力を発揮してくれる人なのかということを見ます。若い人であっても高いポジションに就けたりするんです。そこにはその人の潜在的な力があると、今は十分にやれなくてもスピーディーに成長してくれる可能性のある人であるならば昇進させます。そして、失敗した人に対しても、当然失敗する人も出てくるわけですけれども、企業ですから、その人たちには責任を取っていただくということもしますけれども、そんなに失敗する人はいません。ほとんどの人は成長します、成功します。
 私は身の丈を超えた責任を負わされてまいりました。二十六年間で十四の職種に就いて、ポジションに就いてまいりましたけれども、社内で。少し自分の身の丈を超えたポジションに就けてもらってチャレンジすることができたということを喜んでおります。
 そして、そのポジションに就けるだけではなくて、同僚がしっかりとフォローしていく、指導していくということも重要だと思っています。トレーニングという意味では、カルチャーですとか価値観、会社のカルチャーですとかイケア流というものを徹底して理解してもらうと。イケア流がいかに我が社の成功にとって、そしてお客様の満足にとって大事かということを徹底して教えます。そして、リーダーシップについてもトレーニング、教育を行います。三日間で百人ほどのマネジャーをトレーニングしているんですけれども、中国、日本それから中国と場所を変えて、マイ・コンシャス・リーダーシップというプログラムでマネジャーをトレーニングしておりますけれども、一人一人のマネジャーに問い掛けるというトレーニングです。自分の意識を発見する、どうすればほかの人とは違う、自分に付いてきてくれるかどうかということをしっかりと見極めてもらう、そういうトレーニングをやっております。
 ありがとうございました。
#20
○松あきら君 ありがとうございました。
#21
○会長(矢野哲朗君) 質疑のある方、挙手を願います。
 松井孝治君。
#22
○松井孝治君 三人の参考人の皆さん、本当に貴重なお話をありがとうございます。
 こういうすばらしい参考人の方々を選んでいただいた、私、会長そして理事の皆さんに感謝するわけですが、阿部さんとそしてペーテルソンさん、非常にあらゆる視点から見てこの調査会にふさわしいお二人の参考人と、一見この調査会のこのテーマにおよそ無縁のように見える、しかし、私が、ちょっと私事になりますが、最も個人的に尊敬する友人である溝畑さんも加えて呼んでいただいたことに心から敬意を表するものでございます。
 溝畑さんとは長い付き合いなので余りここであえて聞く必要もないんですけれども、ちょっと対比が面白いので、溝畑さんの今までおっしゃった御発言も、そしていろんなこの資料が付いておりますが、彼の生きざまも含めて、今日は「幸福度の高い社会の構築」のうち、自由時間と経済力の関係ということで、基本的に自由時間が経済力に比しているのではないかというような命題の検証ということなんですが、私が知る限り、溝畑さんというのは自由時間と最も無縁で、仕事の虫のような人でありまして、大分に行かれてからも、ある意味では家庭生活を完全に犠牲にしつつ、トリニータと大分県と、もっと言えば日本のために頑張ってこられた方だと思うんですが、あらゆる角度から見て溝畑さんほど幸せそうに生きている人は私は余りいないと思っておりまして、そういう意味では、余り自由時間ということと幸せ、幸福が関係がないという一つのサンプルとして溝畑さんがここに来てしゃべっておられるような気もするわけですが。
 溝畑さんにとって、あなたは個人の生活も含めて相当犠牲にして、ほとんど自由時間もない、携帯もつながらない、メールもなかなか返事がない、そういう人でありますが、しかし、本当に生き生きと楽しそうに生きているし、あなたの周りにいる人たちは、本当に幸せそうな人たちが集まっている。私は、このことをやっぱりこの調査会は重く受け止めて考えるべきだと思うわけでありますが、溝畑さんにとっての自由時間とか、あなたにワーク・ライフ・バランスがあるというふうにちょっと想像しにくいのでありますが、非常に偏ったワーク・ライフ・バランスの中で生きておられるあなたにとって、ワーク・ライフ・バランスというのは何なのか。なのにあなたはどうしてそんなに幸せそうに生きられるのか。そのことについて是非御教示をいただき、そして、お二人の、残りのと言ったら失礼ですが、ペーテルソン参考人、阿部参考人には、そういう溝畑さんの見解はある種、お二方の非常に良識的な見解から比べてみるとある種の反論であるような気もするんですが、その溝畑さんの陳述をどのように受け止められるか、三人の参考人の皆様方に御見解を伺いたいと思います。
#23
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 それでは、まず溝畑参考人にお考えを述べていただいて、そのお考えについて阿部参考人、ペーテルソン参考人に御意見をちょうだいしたいと思います。
 溝畑参考人、お願いします。
#24
○参考人(溝畑宏君) いや、非常に、生きることそのものに対する質問でございますので。
 そうですね、もう私の場合、労働時間とか非労働時間というところに対しては私ボーダーレス状態なんですね。要するに、仕事も楽しむし人生も楽しむと。だから、うちの社員にみんな言っているのは、もう人生楽しめと。楽しい、面白い、美しい、これをキーワードに頑張ろうと。だから、結局、仕事が楽しければ人生も楽しくなるはずなんですね、恐らく。仕事が楽しくなくて自由時間が楽しくなかったら、絶対楽しくないですね。
 私の場合は、別に、仕事をするということの大義みたいなものがあって、それを仕事のときたまたま会社が正規で動いているとき、それで正規で動いているときにそこですべてを遮断できるかといったら、私の性格上やはり日本の社会、地方が元気になってほしいというのが私の大きな人生の価値観なんで、そこを何か曲げてまでここまではオン、ここまではオフという割り切りができないというか。私、そういうタイプはいてもいいと思うんですね。会社の中にはそういうタイプいます。お互い尊重し合っている中で、正直言って私みたいなのは、客観的に見るともうバランスというものは多分ないと思います、全く。バランス崩壊、そういう人間です。
 ただ、なぜ幸せかというと、幸せというかストレスを楽しんでいるところもあるかもしれないですけれども、根底にやっぱり人生を楽しもうと。ストレス、逆境が来ても楽しもうという何か根底があるので、恐らくそのこと自身が、仕事以外のところでも結局仕事の話をしている。でも仕事の中でも、じゃ仕事の話ばかりをしているかといったらお笑い系で変なことばかりやっている。だから、ちょっと私の場合は、本当にある意味ボーダーレスなんです。ただ大きい目標だけはがちっと持って、それに沿うかどうかだけ見ていると。でも、結果的には大きい目標を自分の中に満たしているという実感があるから何が起こっても幸せなんです。
 だから、多分そこの、さっき私が言っているこの大きい目標、そこを皆さんに設定してあげれば別に仕事が忙しくても暇でもみんな幸せなんですね。だから、そのバランスというよりももっと大きい大局のところをやはり一人一人の社員、県民、市民が実感できるような構築をしてあげたら、時間だけのこの比率の問題は個々の問題であって、個々はあっていいと思うんです。マクロで見た場合にはそれが、きっちりとした方向性を見ておれば幸せで何ら問題ないんではないかなと。
 ただ、私の場合は確かにちょっと性格が変わっているんで、私のバランスというのは恐らく参考にはならないと思うんですが、私が言いたいのは、大きい目標や理念がしっかしておればバランスという問題はあくまでこのミクロの問題、マクロはまず大きい大局で幸せかどうかというところを一日という時間で見るべきではないかと、一週間と、そういうふうに思っています。
 答えになっていますか。
#25
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 その御意見に対して阿部参考人、お考えをいただきたいと存じます。
#26
○参考人(阿部正浩君) 溝畑さんそのものを評価することはできませんので、一般論としてお話しさせていただきますが、その人その人によって志向というんですかね、いっぱい働きたいと思う人もいれば、いやそこそこ働きたいと。あるいは全く働きたくないと、もっと別なことをしたいと。その個人個人でいろんな思いがあると思うんですね。それをうまく個人の中でバランスができればワーク・ライフ・バランスになるんではないかというのが私の考えです。
 ですので、溝畑さんは一生懸命仕事したいと、いっぱい仕事したいと、それが自己実現につながるんだというんであれば、いろんなものを犠牲にして仕事をされるのが多分本人にとって一番いいことですし社会にとってもいいことだろうと思うんですね。ただ、すべてが溝畑さんのような人間ではないと思うんですね。もっと趣味をやってみたいとかもっと遊んでみたいとかいろんな考えをお持ちの方がいて、そういう人たちの自己実現もやはり考えていくということが大事なんではないか。
 ただ、今のように正社員になるとみんな長い時間働かなくてはいけないと。そうじゃないと組織の中で白い目で見られるというような状況ではなかなか自己実現、仕事以外の部分での自己実現が実現しないんではないかと。そこを少しワーク・ライフ・バランスを考えていただいたらどうかということでございます。
#27
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) 私の知識からはかなり離れた例かもしれないんですけれども、私も学者でもありませんけれども、でもその会社での経験ということで考えると、人々は本当に自分たちがやりたいことをやっている、そのときが幸せに感じるということだと思います。私は、人々がそういうふうな選択肢を持つべきだというふうに思います。全員が同じようなことをしなければならないということではなくて、それぞれ自由な社会においてやりたいことができるべきだというふうに思います。それらが時には制約を受けることがあるかもしれません。
 私たちの会社において、多くの人たちにできるだけ選択肢を提供してあげたいと思います。例えば、六時に家に帰ることもできる。トップのマネジャーであったとしても、もし早く、六時に仕事をやめたいということであるならば、それを可能にする選択肢を提供するということがいいと思います。そうすることによって、仕事にまた翌日戻ってきたときにもっとエネルギッシュになっていると思います。長時間仕事をするということについて、もしきちんと効率的に仕事を終えることができたならば家に帰れるべきだというふうに思いますし、そうすると、そういった選択肢があると人々はやはりハッピーに感じるんだと思います。
#28
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 その他。
 佐藤信秋君。
#29
○佐藤信秋君 済みません、佐藤信秋でございます。
 三人の参考人の皆様、本当に大変ありがとうございます、お忙しい中おいでいただきまして。
 阿部参考人とペーテルソン参考人のお話は、非常に相互にいろいろ関係し合うような部分が直接的に多いかなと、こんなふうに伺いながら思いました。そういう意味で、最初、阿部参考人に二つの御質問。
 一つは、端的に、WLBというかワーク・ライフ・バランスを進めたら日本の労働生産性は向上していくんだと、こういうふうにお話の結果を理解していいのかどうか。その場合に、お話あったのかもしれません、私もちょっと聞き逃したのかもしれませんが、ワーク・ライフ・バランス導入企業が生産性といいますか利益率が上がっている。これどのぐらいの現状でいえば割合だと、日本の場合はですね、いうふうに何か理解。要するに、企業全体の中で、あるいは大企業の中で三割とか四割とかといったような形の情報というのはあるんでしょうかと。導入企業、未導入企業という区分でいえばですね。これが質問の一番目です。
 二番目は、ペーテルソンさんのイケアのお話ありましたが、日本型のWLBは、イケアの今のペーテルソンさんのお話のような形での、フル、パートの職員の待遇も含めて同じようなところを目指している、あるいは同じような段階だと、こう理解していいのかどうかと。
 つまり、何を言いたいかというと、日本の場合には、阿部先生のこのデータにもあるように、フルとパートで、フルの方は高度な知識といいますか、労働力として。そうだとすると、実はその方々の労働時間というのは減っていないと。一方で、パートを導入する割合が大変増えた。ここの部分は、御本人たちのというか、会社にとっての、企業にとっての生産性向上というか、要は、最近のこの輸出関係企業、かなり全体の業績が大変になってくるとまずパートから切らしてくださいみたいな。
 つまり、そういう、便利使いとは言いませんけれども、そういうような形でのフルとパートの扱い、あるいは同一労働同一賃金という形ではなくてという部分が派遣なんかの問題で出てきてはいるわけですが、日本型のワーク・ライフ・バランスと言えばいいんでしょうかね、イケアでやっておられるようなところとちょっと若干違いがあるのかなと、その違いは埋め得るものなのかどうかというような点について、二番目に阿部先生にお伺いしたい。
 ペーテルソンさんには、外国でイケアが経営される場合に比べて日本の場合には特に、先ほど女性の比率とか女性のマネジャー比率とかフルタイムの割合とかいろいろ御説明いただきましたけど、日本の場合には、例えば女性にとって仕事と家事の両立であるとか、そういうことをやろうとしたら、先ほどの自ら託児所を設置すると、こういうような形での、日本の社会ではまだここまで行っていませんからイケアではここまでやりますというさっきの御説明だったのかなと、こう思いました。
 したがって、日本の場合に、もうちょっとワーク・ライフ・バランスを進められ、女性の活用を進める、あるいは男性でもワーク・ライフ・バランスを本当に進めていってちょうだいねという会社になろうとしたら、日本の社会、こんなところを手当てもうちょっとしてほしいというか、それこそスウェーデンと比べればこういう部分をもっと充実してくださいというような御要望が、どういう要望がおありですかというふうに伺いたいと思います。
 それから、溝畑参考人には、ワーク・ライフ・バランスと、先ほど松井先生、余り御本人自身がワーク・ライフ・バランスを考えておられるかどうかと、こういうお話があったわけですが、トリニータ、おめでとうございます。私も新潟なものですから、アルビレックス一生懸命頑張っていますが、なかなか。ただ、両方に共通するのは、いかにも地域に根差して、地域のサッカーチームとして育ててきて、そして多くのそういう意味では大都会のスポンサーに支えられたサッカーチームということではないという共通点があるようには思っています。
 そこで、先ほどのお話の、サポーターたちがいろんなことをやってくださる。それは大変有り難いことで、しかもなおかつ、兼業のお話がありました。だんだん今の我々、アラカンと言えばいいんですかね、還暦とか、あるいは四十、五十の、私は過ぎていますけど、そういう意味での兼業、自由時間といいますか、の兼業といった形を好まなくなったというか、実際なかなか動かなくなった。しかしながら、地域の日本一フットボール、いろんな運動を、運動というか、活動と言えばいいんでしょうかね、一生懸命やり始めてきている。
 そうだとすると、もう一方のその兼業で大事に育てている農業なり漁業なりという部分に対する手当てといったようなことを同時に何か行っておられるんじゃないかなと、こう思いまして、溝畑先生がですね。地域の活動としてのそっちの部分、どうやったら農業なり漁業なりが、兼業の人たちがどんどんどんどん手を引いていく、だけど、そのほかの、そういう兼業じゃなかった人たちがどんどんとやり得るような、参加し得るような、家庭菜園とは言いませんが、そういう一方での動きというものをまた何かやっておられるんじゃないかと思いまして、その辺をお伺いしたい。
 以上であります。
#30
○会長(矢野哲朗君) それでは、阿部参考人、ペーテルソン参考人、そして溝畑参考人というような順でお答えをいただきたいと思います。
 阿部参考人、お願いします。
#31
○参考人(阿部正浩君) ワーク・ライフ・バランスを進めると労働生産性が高まるかということでございますが、これまでの私たちの研究では多分そうなるだろうというふうに思っております。それは、一つは定着率が高まるということと、それから、再三イケアの例でもペーテルソンさんがおっしゃっていたように、一回休んで、それで充実して、それでエネルギーを充てんして戻ってきて、生産性を高めるという効果があるのではないかと思います。
 それで、今は大企業はほとんどワーク・ライフ・バランスの制度というのはお持ちになっておりますので、今分析をするとワーク・ライフ・バランス制度そのものが生産性と関係がないというような結果になるんだろうと思います。というのは、以前は持っている企業と持っていない企業とあったので、持っている企業の生産性がどうかというのが比較できたわけですが、今全部が持っていますから、ワーク・ライフ・バランス制度そのものは持っている企業、持ってない企業はないので余りそこのところは出てこないと。ただ、制度を導入するということと、もう一つ、その制度をどううまく運用するかというのがありまして、うまく運用している会社とうまく運用していない会社ではやはり生産性に差があって、うまく運用できている会社ほど利益率が高いという結果が最近では出ております。
 いずれにしても、ワーク・ライフ・バランスをうまく制度設計して運用していくということは生産性を高めることになるだろうと思います。
 それから、非常に難しい御質問で、日本型ワーク・ライフ・バランス、特にフルタイムとパートタイマーの処遇のお話ですが、イケアさんのように多分フルタイム、パートタイムの処遇をしている企業というのは日本では少ないんだろうと思うんですね。今問題になっているのは、正社員の解雇規制の問題とそれがないパートタイマーの人たちとの格差、それが賃金の格差であったりそういうところに出てきているわけでして、そういったものを解決していかない限りは、パートタイム労働法というのができてはおりますが、なかなか処遇の改善にはつながらないのではないかというふうに私たちは思っております。
 いろいろな議論がございますが、日本の正社員の解雇規制が強過ぎる、それが結果的に非正規社員の低い処遇につながってしまっているということはあり得る話でございまして、この辺りを今後どういうふうに見直していくかというのがワーク・ライフ・バランスを進める上でも重要な観点になるんではないかと思います。
 以上でございます。
#32
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) 日本の企業に対してアドバイスというのは、ちょっと私には荷が重過ぎます。というのも、日本の会社の中にも非常に成功していらっしゃる会社があるからでございます。
 ただ、私どもの経験ということでお話をさせていただきたいんですけれども、託児所を申し上げましたのは、すべての店舗ではなくて今船橋にだけ設置しておりますけれども、ほかの店舗でも今後は託児所を設けていきたいということで検討しております。なぜ託児所を設けているかといいますと、残念ながら店舗の営業時間と託児所の時間が必ずしもマッチしていないという問題があるからなんです。普通の一般の託児所ですと、すぐ早い時間に終わってしまいます。私どもの託児所は朝の七時から夜の七時ということで、大体社員の労働時間をカバーすることができるということで独自の託児所を設置しております。
 また、弊社といたしましては、スウェーデン流を広めたいということで、スウェーデンスタイルの託児所を売りにしております。つまり、単にお子様をお預かりするだけではなくて、教育もある程度させていただきます。サンタ・ルチアのお祭りですとか、夏のお祭りとか、スウェーデン流のお祭りございますので、こういったことについてもお祝いをさせていただくということで、スウェーデン流といいますかインターナショナルな教育機会を提供させていただくんです。そんなにコストといっても掛かるものではございませんので、せっかくの機会ですからスウェーデン流を広めたいということでやっております。できれば、ほかの店舗でも託児所を今後は設けていきたいと思っております。
#33
○参考人(溝畑宏君) 私は、実は農林水産業の問題は大変深刻にとらえておりまして、食料自給を考えている中で、私もこのトリニータの活動をする中で、やはり本当にこの農業というものに対するリスペクトを高めなくちゃいけないと。
 私がなぜそういうことを言っているかといいますと、私は子供のころ、京都の実家の近くでは、田植の時期になったら自然に近くの自治会のおじちゃんが、ぼん、ちょっと手伝いに来いと言って、田植の様子を横で見ながら、一緒に、時に場合によっては手伝ったり、稲刈りのときにはみんなで出掛けてわらのこんなのをやったり、もちつくときはみんなでもちつく、こういう社会というものがあったんですね、コミュニティー社会が。だから、泥まみれになるということに対する抵抗感もなかったですし、今やはり、この間、実は、我々ができること、地域密着型経営ってどういうことかといいますと、まずおのれの住んでいる地域に対して誇りを持とう、自信を持とうと。これを私は、このJリーグの活動というのは基本的にそういう県民、市民の方が巻き込もうとすれば、これは休日のときになるわけですね。
 実は、子供たちがそういう田植というところに、スクールの子供たちが千人おりますから、みんなで手分けして、我々からまずやれることをやっていこうと、子供たちに田植を実体験させようとしたときに、まず親が子供にそんな泥のところに入らさせること自体が非常に不衛生で危ないという意識があって、なかなかそれを子供さんにさせないんですね。今やっているのは、とにかく子供たちに一度は田植の現場に連れていって、それで、ああいうところに行ってオタマジャクシやゲンゴロウと戯れる、そういう場をとにかく一年に一回提供しています。
 それからあと、うちの選手が行って、これはメディアに取り上げてもらうわけですね。あっ、あの花形選手がこんなことやっておると。それで、彼のコメントなんかでなかなかいい、こういうことで昔日本人選手は足腰の強い選手が生まれたとか、そういうコメントを発表させるんです。これはメディアの人の協力が必要です。そうすることによって、我々の使命というのは地域に密着しながら地域に密着した産業を振興していく、これがないと、我々、そういう人たちからの協力も得られないわけですね。
 だから、いろんな形で、まずは稲刈り、田植、そういうところに参加をする、それをアピールする。そして、そういうことを子供たちの声から、田植おもしろかったよ、また稲刈り行きたいね、そういうコメントを発信していっています。そうすることで、みんなが心が離れつつあったそういう田園風景に対してまたアプローチしていくというか、そうすることが実は我々地域密着型クラブの言わば存在価値であって、福祉でもそうですし、それから、さっき私、福祉、観光、町づくり、いろいろ言いました。そういうようなパーツでもう一度地域の宝物を掘り起こしをする。その一環としてやっているのが子供たちを必ず行かせる、選手に行かせる、私も一年に一回必ず行きます。そうすることで少しでもお役に立つ、そういうことを重ねていくとイメージは変わっていきます。
 ですから、ちょっと今までに比べると、年々、子供たちの反応が変わってきました。最初はおっかなかったのがまた行ってみたいとか、泥だらけになっても全然怖くないと。だから、こういう子供たちが大きくなっていったら、多分この兼業の問題も少しずつ解消されていくんじゃないかなと。この二十年間の間に、正直言いまして、田園と我々と県民、市民との間に距離ができていきました。そこを少しでも距離を狭めていく、我々でできることはやっていこうということで、そういう活動をさせてもらっています。
#34
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 大門実紀史君。
#35
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は、本当に久々にすばらしい三人の参考人に来ていただきまして、ありがとうございます。
 もう時間の関係で、申し訳ないですけど、阿部参考人だけにお聞きをしたいというふうに思いますけれども。
 要するに、二回目のこのテーマでの調査会なんですけれども、休日は多いにこしたことはないというのは大体皆さんの意見なんですけれども、ただ、日本人は個々に休むというのが苦手だと、みんなで休めば怖くないというふうなことを言われた参考人もいらっしゃいます。
 そこで、ずっと気になっている問題がありまして、週休三日制という話なんですけれども、現実的にいろいろ考えるとあれこれ難しいのは十分分かるんですけど、頭の体操としてちょっとお聞きしたいんですけど、週休二日制というのは八〇年代に大体採用されるようになって、もちろん小売とか現業の方は今でも難しいんですけれども、そのころはいずれ週休三日制が一般化するのかなというふうに思い描いたものですけれども、最近ぽつぽつ週休三日制というのが違う形で実現といいますか、現実になってきています。ただし、大変後ろ向きな理由からが多いわけですね。
 一つは、アメリカで燃料高のときに、アメリカは車社会ですから、ガソリンを節約するために一日休むと、あるいは事業所のエネルギー消費を、コストを減らすために事業所を一日閉じるということで、アラバマ州とかそういうところで週休三日制というのが取られたり、あるいは経済危機の中で減産体制に入って、日本でもトヨタとか関連会社が週休三日をして賃金二割カットするというようなこととか、あるいはヨーロッパでも失業対策で週休三日という話が、いわゆるワークシェアリングの関係があるんですけれども、オランダなんかが高い失業率をどうするかというときに、労働者が選べるようにしたわけですね、週休二日か週休三日か週二十時間かというふうなことで。それで週休三日というのが入ってきたりというふうに考えますと、余り二十年前に想像したような前向きな意味でぽつぽつ実現しているわけじゃないんですけれども。
 本当に頭の体操で結構なんですが、この週休三日制というものが日本でもし施行しちゃった場合ですね、何が起きるとか、あるいはそれは克服できるテーマになるのか。
 今日はちょうど労働時間と経済力ということでお話をいただきましたので、その点だけ伺いたいなと思います。
#36
○参考人(阿部正浩君) 非常に難しい御質問でして、今、週休二日制とよく言われていますが、私の大学では週休二日制にはなっておりません。というのは、学生により良い教育を提供するためには、週休一日ではないとそういうことが実現できないと、大きな教室に大人数で教育しないと週休二日が実現できないと。
 そういう意味では、教育の問題をどう考えるか。今の公立小中学校も週休二日制をやっているわけですけれども、週休三日制にしたときに教育の問題をどう考えるかというのも、多分頭の体操としては大事な問題ではないかと思うんですね。教育をおろそかにしてしまうと将来の労働力の質が低下するということもありますので、この教育の問題を考えた上で、週休三日制をどうとらえるかというのを議論していただきたいなというふうに思います。
 企業の方は、週休三日制を実現するのはそれほど難しくないだろうと思うんですね。一斉に休む必要はないわけでして、順番にお休みを取っていくことはできると思います。
 我々の大学でも、週休二日制ではないんですが、教員は無理ですけれども、職員の皆さんは順番に週休二日制を実現するように、平日にお休みを取ったりして、月当たり八回ですかね、お休みをするというようなことをやっていますので、その辺りは可能ではないかと思うんですね。
 むしろ私が気になるのは、教育に対する影響をどう考えるかといったところが大事なのではないかなというふうに思います。
 御質問のお答えになったかどうか、済みません。
#37
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 その他。
 大久保勉君。
#38
○大久保勉君 三人の参考人の方、本当にありがとうございました。今日は、仕事とは何か、仕事の質、評価に関して本当によく分かりました。
 そこで、まず阿部参考人に関しまして、日本の労働生産性は欧州先進国よりも低いということで、その理由としましては、労働の質が適正に評価されていないと、日本の株式会社は労働の質よりも量とか時間で評価していると、私もそう思いました。
 そこに対しては、やはり日本の場合は、終身雇用制とか若しくは年功序列とかこういった制度、及びいわゆるチームワーク、つまり一人だけ仕事が終わったから先に帰れないとか、そもそも、一人の仕事がどういうふうに分担されているか、ジョブリストリクションというものがなされていないから問題かなと思いますから、その辺りに関して先生の御意見等を聞きたいと思います。
 続きまして、溝畑参考人に関しましては非常に面白いお話を聞かせてもらいました。
 次に、いわゆるプロフェッショナル、つまりサッカー選手もプロフェッショナルとしまして労働していると思います。この形態といいますのが、プロのスポーツ選手だけではなくて、さらには弁護士とか若しくはデザイナーとか広く一般化する可能性がありますから、プロの選手はどういう形で労働時間と賃金、さらにはいわゆる選手寿命が尽きたときの、リタイアした後の生活を考えていくか、この辺りを是非聞きたいと思います。
 ですから、広い意味でワーク・ライフ・バランスというのは、選手のときのワークとリタイアした後のライフ、この辺りに関して御所見をいただきたいと思います。
 ラース・ペーテルソン参考人に関しまして、実は、私は日本の会社に勤めた後、外資系のグローバル企業に勤めていました。ですから、日本の労働慣習と外資系というのは全く違っていまして、そもそも日本人の従業員が、いわゆる日本の教育を受けた人たちがすぐになじむかと、こういった問題もありまして、この辺りに関して苦労している面、さらには、日本人の社員に対して何を期待しているのか。
 恐らくは、グローバル企業ですから、株主のためにROEを上げるという目的もあると思いますし、さらには従業員とか若しくは顧客等の満足、ステークホルダーの利益のために企業をマネージするという部分もあると思います。そういった条件を満たしつつ、社員に対してワーク・ライフ・バランスをどうやって満たしていくのか、この辺りに関して聞きたいと思います。
 これに関連した質問としましては、有給休暇一〇〇%を消化されているか、日本の職員が。また、有給休暇を消化するか、しないかというのは人事評価上の対象になっているか、この点に関して聞きたいと思います。
 以上です。
#39
○参考人(阿部正浩君) 職務記述書、ジョブディスクリプションの御質問ですが、日本人の今までの働き方、ある意味制度や慣行になっているわけですが、その制度や慣行となっている日本人の働き方を変えるというのは非常に大変なことだろうと思うんですね。ですので、職務記述書を作ればすぐうまくいくかというふうには私はそうは思わないわけですが、ただし今後の仕事の仕方ということを考えていきますと、職務記述書をしっかりと整えるといったことは企業にとってもプラスではないかと思っています。
 それは、一つは、今までの企業の従業員評価というのはある意味何を評価しているか分からないと、それで賃金は年功的であったと。ところが、最近では年功的な賃金から成果主義的な賃金へと切り替わってきている。そのためにも、成果というものを測っていくためには、あなたの仕事はこれこれこういう仕事で、これを達成すれば成果はこれですよというのがはっきりするようなシステムをつくっていくということは大事なことではないかと思うんですね。そういう意味では、職務記述書をしっかり作っていくということは大事なことではないかと思います。
 チームワークがそれによって阻害されるかどうかということはまた別の話だと思うので、うまくチームワークを機能させるように職務記述をしていけば、つまり制度設計をどうしていくかということだと思いますので、今までどおりになる可能性はあるんじゃないかと思いますが、ただ現場の企業の人々にそういう話をすると、まあ一番最初に言われるのは面倒くさいなというのがあって、なかなかそこがネックになっているんではないかと思います。
 以上でございます。
#40
○参考人(溝畑宏君) 今御指摘の中でプロフェッショナリズムという言葉ですね、実を申し上げますと、私、今一人一人の社員に対してプロフェッショナリズムということを徹底しようと。実はこれが、さっきまさにペーテルソンさんがおっしゃっていたことというのは、実は私は会社で言っていることの中に仕事をシンプルにして一人一人が責任を持とうと。どういう立場で責任を持つ、こうすれば仕事が効率性を持って、しかもみんなが楽しい、達成感も出てくるわけですね。
 そういう意味で、プロフェッショナリズムをどう徹底させるかという問題の中で、実際のところ、今正社員の中でやはりもうはっきりと、もっと高度で専門化した技術を持ったやつはそれ相応の評価をすべきではないかということで、逆にプロの社員になりたいと。いわゆる契約でも、しかも請負的に非常にプロになりたいという社員が増えてきています。これは私、非常にいいことだと思います。
 それで、そういう潮流の中で、ただチームワークという中でのプロフェッショナリズムというのと協調性という中で、村社会とプロ社会、なかなか両立し難いところがあります。みんなで補って、みんなで話し合ってやっていく中にプロフェッショナリズムが出てくるということはなかなかこれ両立し難いところがあるわけですね。そこのバランスに正直今は悩んでいます。
 次に、先生の質問の中の、じゃプロの選手というものを評価はどうされているかということですけれども、厳密なところ、例えばある選手のサラリーが幾らだという評価というものはなかなか費用対効果だけでは算出できないところがあります。どういうふうにして決まっていくかというと、その選手と同じクオリティーを持った選手がほかのチームで大体こういう評価をされている。例えば、年俸は四千万、前のチームで四千万であったとした場合に、ほかのチームから年俸五千万で欲しいと言われたら、結局その五千万というのも一つの評価になっていくわけですね。そういう意味で、非常に評価というものが厳密に、なかなかこういうプロの選手の場合は他のチームとの競合というものの中で、非常に変動相場制というか、非常に評価しづらいところがあります。
 それと、ほかの例えばデザイナーとか弁護士との違いというのは、プロのスポーツ選手というものは選手寿命が限られています。サッカーであれば大体二十八から三十二ですね。プロ野球は今高齢化しまして、長い人で工藤公康君みたいに四十六でもびゅんびゅん投げているやつがいますけど、大体三十代、四十代で、そこで終わります。
 今、本当に何が問題になっているかといいますと、セカンドキャリアですね。全く違った、弁護士さんとか、それから、それこそデザイナーみたいに定年というか、もう死ぬまでその職を全うできるというそういうキャリアじゃございませんので、全く今までと畑違いの職業に行きたくてもなかなかそういう門戸が閉ざされてしまっている。基本的にはセカンドキャリアという形で、もう辞める前の四、五年前からできるだけインターンシップを通していろんな職場に行かして、オフのときにちょっと社会勉強させています。そうすることで、できるだけ自分のスキル、やはりプロの選手であるわけですから、人脈とか、要するにある程度名前は売れているわけなので、営業上かなりうまくいけば使える人材も結構います。
 そういう意味から、通常は大体好きな道をやりたいということで、指導者とかコーチになりたい、あるいはフロントになりたい、ここのカテゴリーに行く人間がまず希望多いです。でも、そういうところに行ける人間はごく一部でありまして、ほかの人間については、今はもう引退する四、五年ほど前からそういうインターンシップを通して本人の適性を見ながら、できる限りスムーズに再就職できるような、そういう形のやはり研修というものを設けてやっています。
 ただ、実際問題は、いわゆる報酬が、最高年俸やっぱり六千万とか一億もらったやつが、いきなり年俸三百万にぽちんと落ちるわけですね。そうすると、もういろんなところで、税金を払う問題からいろんなところでひずみがありまして、なかなかスムーズにまだテークオフできていないというのが実態です。ただ、これ、今我々のこのプロのスポーツビジネスは非常に重要な問題になってきています。
#41
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) ありがとうございます、いろいろとお尋ねいただきまして。
 日本に来て思うのは、若い方々で一生懸命仕事をする熱心な方いっぱいいらっしゃるということ分かっております。非常に仕事ぶりもいいということで、イケアとしても大変日本に進出して満足しているわけです。
 ただ、大事なのはお客様の満足度、そしてコワーカー、社員の満足度です。この二つが最も大事というか、唯一大事なのはこの二つです。つまり、お客様、そして社員の満足度、これを重視しております。株主は一人ですので、この一人の株主とコミュニケーションするのは簡単なことです。株主といたしましても、常に顧客重視であれということを言ってくれておりますので。
 そのお尋ねの評価に関してなんですけれども、年次有給休暇をどれだけ取っているかということだけで評価しているわけではありません。一〇〇%消化しているということを前提に評価をさせていただいております。休暇を消化している云々だけではなくて、スキル、それからジョブディスクリプション、職務に合ったスキルを発揮しているかどうかということも重視しますし、チームワークという意味では同僚とのコミュニケーションがうまいかどうかということも評価しております。
 つまり、頭と心ということです。頭というのはスキルとか職務をどれだけうまくこなしているかということ。心といいますのは同僚とのコミュニケーション、心の力ですね。心の力と頭の力、これはどっちも重要だと思っていますし、重み付けという意味では両方とも同じです。昇進なんかを考えるときも頭と心を基準に評価しておりますし、それから報酬水準を決めるときにもこの二つを基準に評価をさせていただいております。
#42
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 それでは、澤雄二君。
#43
○澤雄二君 ありがとうございます。
 最初に、隣に前の農水大臣いらっしゃいますので、米の消費を増やすことのPRをさせていただきたいと思うんですけれども。
 小学校、中学生で朝御飯を食べている子と食べていない子ではそれだけでテストの成績が違うということは多分半分以上の方が御存じだと思いますけれども、A問題という基本問題で食べている子は食べていない子に対して二五%成績がいい、B問題で応用問題だと四〇%成績がいい、それだけでですね。これは文科省が経年でずっと調査をしていますので、間違いない数字であります。これをある塾で母親たちに話をしたらパニックが起きて、うちの子供は必ずあしたから御飯を食べさせると。この話を農水省の会議で披露したら、隣にいる若林大臣が、さあさあ、うちの孫にはあしたから御飯を食べさせますとおっしゃっておりました。
 じゃ、サラリーマンはどうなのかといったら、これは農水省が委託調査をしまして、例えば大豆を右から左にはしでつまんで移すと、そういうような簡単なエクササイズを幾つか、朝御飯を食べてきたサラリーマンと食べてこないサラリーマンでテストをしたら、これも圧倒的に朝御飯を食べているサラリーマンの方が仕事の集中力と持続力があった。だから、阿部先生の調査でありますけれども、日本の生産性を良くするためには、サラリーマンみんな朝御飯を食べさせたら生産性が上がる。二十代、三十代のサラリーマンが今、日本人で一番米を食べていません。これはPRでございますけれども、問題なのは、その二十代、三十代が朝飯を食べないで仕事に来るというその生活の態度、食べられないという習慣なんだと思います。
 ただし、アメリカの会社にもいましたけれども、そこでは、駅ナカで買ってきたホットドッグとコーヒーを就業時間中でも机の上に足を投げ出して食べているのが、とうとう帰国するまで我慢できなくて、もう最後の瞬間怒ってやろうかと思ったけれども、止められたので黙っていましたけれども。だから、そういう習慣の違いというのも、もしかしたら外国と日本にはあるのかなという気がします。
 もう一つ大事なことは、これ予算委員会で視察に行ったときのことでありますけれども、あるとき青森で時計の文字盤を作っているところへ視察に行きました。そこは、新しい方法を発見した。何か上から張るような、張るといっても安物の時計ではなくて、完璧に高級ブランドを作れるような技術を開発した。それによって今までデザイン的にできなかったものが全部デザインができるようになったといって、ブランドが一気にそこに来た。つまり、世界の九九・八%のシェアをうちが持っていますという技術を開発したんですね。
 ところが、我々に説明してくれたとき何とおっしゃったかというと、これで一個の単価は五円安く済みましたとおっしゃった。つまり、世界の九九・八%のシェアを持つような技術開発をして特許を持っているのの売り方を知らない。これは、阿部先生が最初にレジュメに書いてくださった、そのものだと思うんです。いい仕事をしているんだけれども、それが幾らの価値を付けることが分からない。
 燕というところで食器を作っていますよね。あそこの工場にも行きましたけれども、一つ一つのスプーン、フォークを金型に入れて作りますから大量生産ではあるんですが、一個一個物すごく丁寧に調べ上げていて、少しでも傷が付いていたらそれを外す。それから、ああいうものは曲がり方が大事ですから、自分で触ってみて、その感覚と違うものは全部外すんですね。でも、そこの会社はつぶれそうなんですよ。中国だとかフィリピンで、ガッチャン、ガッチャン、ガッチャンとやって一日何万個作っているところに、一日千個しか作れないその会社は負けていくんですよね。
 ですから、そのいい物を作っている、日本というのは僕は、すごくいい物を作っているんですが、その価値を売るすべを知らない。そのことを何か、政治の力でもあると思うんですけれども、先生方にもやっていただければいいのかなという気がいたします。
 それから、溝畑先生にお伺いしますけれども、まさにすごいことをやってこられたと思いますし、それだけのエネルギーを持っていらっしゃる、ほかの人とは違うんだということもおっしゃいましたし、そうなんだけれども、今世の中で問題になりつつあるのは、世のため人のためには尽くしたくない、もっと、人のため世のためではなくて、自分だけのんびりと過ごしていければそれでいい、そういう若者がどんどん数が増えてきている。ですから、その若者たちは、何かモチベーションを与えてやればそうなるかではなくて、もっと根っこから変えてやらないとそこは解決していかない。そこは何か手段はないでしょうか。
 以上であります。
#44
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) 私に向けられた質問だったんでしょうか。
#45
○会長(矢野哲朗君) パンを食べる、足を投げた外国人の態度についてですね。
#46
○澤雄二君 じゃ、ペーテルソンさんの会社では、就業時間中に机の上に足を投げ出してパンを食べることは許していますか。
#47
○会長(矢野哲朗君) その質問があったかと思います。よろしくお願いします。
#48
○澤雄二君 自由性はかなり認めていらっしゃいますかということですね。
#49
○参考人(ラース・ペーテルソン君)(通訳) 我々のポリシーとしては、きちんとランチブレークを取るべきだというふうに言っております。体にもいいし頭にもいいし、だからランチブレークをきちんと取って、その間は仕事をしなくていいというふうに言っております。しかし、それは食べた後はきちんときれいにすると、もちろん職場もきちんときれいに保たなければならないので、オフィスの中で食べるというよりは、ちゃんとしかるべき食べるところで食べるべきだという方針です。
#50
○参考人(阿部正浩君) 質の評価の問題って非常に難しいと思うんですね。高い質が必ずしもいいかということもあろうかと思うんです。今先生がおっしゃったように、燕三条の工場で非常に高い質の食器を作っている。けれど、それを買う人たちは果たしてそこまで高い質を求めているんだろうかと、どうせ傷が付くものであれば、最初から傷が付いていても安いものの方がいいだろうというようなことがあります。
 先日、テレビを見ていましたら、パッキングするというんですかね、洗濯機を搬送するときに必ず段ボールで運ばれてくるわけですけれども、段ボールに少し傷があったから、その洗濯機は半額ぐらいになってしまうと。洗濯機そのものは全く新品なわけなんですが、段ボールに傷が付いただけでどうして半額になるのかと、こういうところが質の評価の難しさではないかと思うんですね。
 ですから、消費者あるいは世界的なマーケットがどういう商品を必要としているのか、どれぐらいの質のものを必要としているのかというのをよく考慮しないといけないなとは思います。それが余りにも生産者側が高い質のものがいいんだと言っていることが、結果的に日本人の働き方にももしかしたら影響している可能性があるのではないかと思います。
#51
○参考人(溝畑宏君) そうですね、もう欲がないというところが私も非常に、よく集まりがあっても、若い経営者と話してもいつも聞かれるのは、何で溝畑さんいつもこんなにテンション高いんですかとか、何でいつもそんなぎらぎらしているんですかとか、必ず聞かれるんですね。私、非常にこれは環境が、やっぱり社会的環境のギャップにあるのかなと私は思っています。
 私は子供のころから相部屋育ちで、常に大学時代の寮も四人部屋で、常にハングリーだったんですね。ハングリーで、それでいてやはり子供のころから、一九六〇年、七〇年代、高度成長で、「巨人の星」を見ながら、それで根性、根性でやはり明日の日本に向かっていくんだというそういう社会風土もありましたし、そういう中で特に京都という町に育ちましたけど、京都ってすごくある意味ハングリーなところもありまして、やっぱり負けたらあかんという言葉が出るんですね。負けたらあかんと、目立って何ぼやとか、とてもハングリーな社会です。
 そういう私が今地方に来て、本当に皆さんやっぱりハングリーじゃないというところが非常に構造的問題で、しかしハングリーじゃないという人に向かって、こら、おまえ、やらんかいと言ってもこれ逆効果なんですね。私が最近やり出したのは何かといいますと、もう私も彼らと同じ視線に下りていって、まずリスペクト、相手をまず認めることから入ります。君は何でこれやりたくないのということを聞きます、一つ一つ一つ。そうやってやっていると、やはりずっと一人部屋で、そして一人で物を見て、一人で自己完結の社会にずっといる人間から見ると、コミュニケーションを取る手段というものを余り訓練を受けてないんですね。
 こういうときにこういう言葉を発したら親しくなる、認めてもらえる、そういう言葉を発するトレーニングを余りしてないので、一生懸命話をしながら、私が、役割というのは、彼らの前で言葉ではなくて言動で示すんです。何で溝畑さんそんなばかなことをするんですかという質問に対して、ばかなことをやった後にどういう効果があるのかということを彼らに身をもって示すんですね。こうやったらこうして、皆さんが近寄ってきて、それで売上げが伸びるだろうと、こういうことなんだよと。だから、もうリーダーというか、上のリーダーシップある人が行動で示していく、言葉ではなくてアクションで示していく。そして何よりも、リスペクトしてあげる、認めてあげる。それで、やっぱり彼らに対して、頑張ればこういう明るい社会があるよということを示してあげることだと思います。
 私の会社では、いつも私が、おい頑張って日本一になるぞということを叫び続けていました。社員白けていました、こいつは頭おかしいんやないかって。でも、そうやってもう繰り返し繰り返し体で示していく中で、今回日本一になったことで社員が初めて欲を持ったんですね、おれらもできるかもしれないと。これは根が深い問題です、非常に、ハングリーでないということは。ハングリーでない人に頑張れ言ったって頑張りません。頑張れと言えば言うほど逆に卑屈になります。だから、ハングリーじゃない人に頑張れとは言っちゃいけないんです。それは分かってるわ、お前に言われぬでもという一言で終わっちゃいます。
 そういうところは、本当にストレスたまる作業です、先生おっしゃるように。何でこんな餓鬼みたいなやつにこんなことせぬといかぬのやと。犬と一緒です。同じ視線にいったら犬は警戒しません。上目遣いで見ると犬は縮みます。ですから、あくまで同じ視線で、そして彼らの本音を引きずり出すための、認めてあげる、なでてあげる、この粘り強い作業と、あとはリーダーがやっぱり体で示すと。何よりも大事なのは、夢のある、いや頑張ればこんな明るい社会が待っているんだということを繰り返し言っていく。そうすることで、縮こまったものからコミュニケーションしていこうというパワーになるんですね。
 でも、先生おっしゃられたように、これ、私も大変今嘆いていまして、だから、彼らをいかに元気にさせるのか、頑張れば報われると思わせるかというのは、ただ、彼らを元気にさせることをしない限り、このアジアの中で日本は生き残れないと思っておりますので、まあ本当我々も、プロサッカーチーム経営していく中で一番大きなテーマは、いかに若い人に夢を与えていくのか。ただ、そう一筋縄じゃいかない、ハングリー精神というところは、これは息の長い作業になろうかと思います。
#52
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 その他、御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、予定された時間も来ましたものでありますから、この辺で質疑は終了させていただきたいと思います。
 阿部参考人、溝畑参考人、そしてペーテルソン参考人、今日は御出席をありがとうございました。
 本日お述べいただきました御意見でありますけれども、大変参考になりました。今後の調査にも生かさせていただきたいと思います。本調査会を代表しまして改めて厚く感謝を申し上げたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
 次回の調査会でありますけれども、来週二十二日午後一時に開会することとしたいと思います。今回のこのテーマについての中間取りまとめをさせていただくということで、それぞれの委員の先生から五分程度でもって意見をちょうだいしたいと存じます。御準備のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、散会いたします。
   午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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