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1947/01/31 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第12号
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1947/01/31 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第12号

#1
第002回国会 本会議 第12号
昭和二十三年一月三十一日(土曜日)
    午後二時四十三分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和二十三年一月三十一日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 水害地復興に関する決議案(山崎岩男君外四十三名提出)(委員会審査省略要求事件)
    ―――――――――――――
#2
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(田中萬逸君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、水害地復興に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。山崎岩男君。
    〔山崎岩男君登壇〕
#5
○山崎岩男君 ただいま上程されました水害地復興に関する決議案を朗読いたします。
 昨夏東北関東両地方を襲つた未曽有の大水害を復旧する事業は、唯に両地方の民生を安定するためのみでなく、この両地方が我が國食糧生産に占める地位を考えうる時、極めて重大且つ緊急を要するものである。而もこれら両地方は降雪多量、春を迎えて融雪し各河川共水量急増して、平年においても多大の水害を及ぼすを常とする。従つて今次水害の復旧工事は、この融雪時迄に應急処置を講じなければその惨害の及ぼすところ量り知れない。
 然るに政府は昭和二十二年度の絶対必要額五十億円に対し今日迄に二十一億円を支出したるに過ぎない。
 ここに衆議院はこの事業の重要性に鑑み院議を以つて水害復旧費及び旱害対策必要費として必要なる経費を昭和二十二年度追加予算に計上提出することを決議する。
 以上が本決議案の内容でございますが、本決議案の提案者は、本院水害対策特別委員会の委員全員でございまして、私は、その委員長たる立場から、提案の趣旨を弁明いたし、もつて御賛成をいただきたいと念願するものであります。(拍手)
 そもそも出水による災害は、昨年四月以降、東北、北海道等における廣汎なる地域にわたつて、雪融け水害をきつかけといたしまして、七月、八月の数度にわたる東北地方の水害並びに九月襲来いたしました彼のカザリン台風による関東地方の大災害でありまして、なかんずくカザリン台風の猛威は、関東一円をのみつくしたるほか、遠く東日本一帯に激甚なる災害を與え、その惨状、見る者をしてしりえに瞠若たらしめたのであります。けだし、水害史上稀有の大事態と申して差支えなかろうかと考えるのであります。
 その被害の状況につきましては、本議場におきまして、政府よりしばしば中間報告を受けたところでありますけれども、その人的損害に至りましては、死傷において六千三百二十名、家屋の倒壊が一万四千七百五十七戸、流失いたしましたものが六千六百四戸、田におきましては、流失いたしましたものが一万九千七百五十一町歩、埋没いたしましたものが二万八千二百三十五町歩、畑においては、流失が八千二百五十七町歩、埋没が一万五千百七十一町歩、山林の流失は二千六百十二町歩、埋没が三千八百一町歩、道路の決壊いたしましたものが一万九千七百七箇所、橋梁の破損いたしましたものが六千六百四十一箇所、河川におきましては二万六千三百四十二箇所、海岸が八千三十箇所、砂防において千七百三十九箇所、合計いたしまして、五万五千二百五十九箇所の大惨害を受けているのであります。このほか、鉄道における被害のごときは、私がここに喋々するまでもなく、すでに諸君御承知の通りであります。建設院並びに農林省その他関係各省の公共事業費の額だけを見ましても、二百五十億余りになんなんとするほどの大惨害であつたのでございます。
 しかしながら、これは金銭に見積もり得る金の損害の額でありますけれども、金銭に見積もることの出来ない損害、人的の尊い損害、あのあまたの犠牲者の立場を考えてみますならば、何とも申し上げようもない、悲痛の年に駆られざるを得ません。この機会におきまして、私は深甚なる慶弔の誠をささげたいと思うのであります。(拍手)
 衆議院におきましては、この大事態に対処するために、委員四十五名より成る水害地対策特別委員会を設け、昨年八月十五日より十数回にわたつて会議を開き、これが應急並びに恒久の対策につき、政府当局より具体的なる施策を聴取いたし、熱心なる質疑應答を重ね、政府を鞭撻してまいつたのであります。政府におかれましても、この緊急事態に鑑みまして、内閣に應急救助対策委員会、災害復旧対策委員会を設け、各省間緊密なる連絡をはかり、各被害地方々々を鞭撻督励いたしまして、目下、その應急処置を実施中でありますけれども、これを予算面の実態に照らして見ますならば、はたしてどういう結果でありましようか。わずか二十一億円より支出いないのであります。
 そもそも、公共事業費の昭和二十二年度の当初予算額は九十五億円でありましたが、同年度一般会計予算補正第七号によりまして五十二億円を追加計上のため、合計百四十七億円相なつておる次第でございまするが、その中から二十一億円を、今回の災害復旧費として、見積もつたにすぎないものであります。二百五十億円と称せられる災害復旧費に比べまするならば、わずか一割にも達しません、ほんの涙金としか申すことができないのであります。
 建設院においては、その所管にかかる、いわゆる内務土木の災害総額を、百五十一億一千万年と査定をいたしておりまするが、これに対する國庫補助の額は、最低の補助率――法規できまつております最低の補助率、すなわち三分の二の補助率と仮定いたしましても、百九億六千万円とならなければならない。右のうち、今日までに補助指令の発せられましたものが、わずかに十億二千五百五十五万円でございます。また農林省所管の災害総額は、二十九億七千七百二十三万円と査定をいたしておりまするが、これを最低の補助率と仮定をいたしましても、國庫補助額は十八億二千二百四十七万円と相成る。その金額に対しまして、補助交付済額は五億九千四百十二万円でございます。
 飜つて、目下各地方廳において施工中の應急事業は、新春早々の融雪期に備え、あるいはまた來年度に期待する主要食糧生産確保のための工事復旧の事業としまして、既にやむことを得ざる絶対至上の緊急土木工事でございます。このいわゆる突貫工事のためには、内務土木におきましてどれほど要望しておるかと申しますると、十八億円を要望しておる。合計いたしますと、三十億円の金の賄いがつかなければ、とうていこの突貫工事を完遂することができないのであります。この金額というものは、まさにこれは土台石なのであります。この土台石がなかつたならば、いかに應急対策を講じましても、いかに恒久工事対策を講じましても、これは砂上の楼閣と申し上げなければならない。なざなれば、現に施工中であります二十一億円の工事というものは、目下工事の中途にある。この工事を中止しなければならない。三十億円の金がなかつたならば、今まで二十一億円かけたものがむだになる。なぜならば、再び雪解け水のために、その奔流に蹂躙せられまして、結局は、元も子も、何もかもなくしてしまう恐れが十分にある。古い言葉でありますけれども、九仭の功を一簣に欠くという言葉、これが、ただいまの政府のこの処置にあてはまる言葉ではないでありましようか。
 諸君、農地の復旧をわれわれがなさずして、どうして農地に向かつてその供米を督励することができるのでありましようか。肥料を運搬するための橋をかけてやらずに、どうしてわれわれが食料増産を要求することができるか。人畜の通うところの村道が決壊しておる。人一人通る事ができないような状態にある。それももし國家が金を出して復旧せずして、どうしてわれわれが民生の安定を論ずることができるのか。私、はこの点について、政府に大勇猛進を喚起せざるを得ないのであります。
 民生の安定なくして、生産意欲の生ずるはずがない。もしそれ、このままにして放置したならば、來るべき年には2百万石の食糧の減収を予想することができる。これは恐るべきものであります。今日日本が絶対量において不足しているこの食料である。しかも、進駐軍当局におすがり申して賄つていかなければならないこのとき、この際、2百万石という莫大なる食糧を減収することになつたならば、一体、われわれ日本人はどうするというのだ。堆肥の運搬ができない、肥料を運ぶことができない、用水路が傷んでいる、水を揚げることができない、こういう状態でもつて、いかに私どもが百万遍の食糧増産を叫びましても、とうてい空念佛にすぎません。この点、政府は十分に考える必要があろうかと思うのであります。遠き慮りなければ近き憂いありといいます。來るべき春に対処して、三十億円という金をださなかつたならば、必ずこれは近き憂いが生じてくる。
 そこで、私どもの委員会におきましては、去る二十四日の会議において、緊急追加予算の計上に関しまして、この決議案の上程を最も大切なものと認め、これが決議案作成に関する小委員会を設けることといたしまして、十名の小委員会を設け、本決議案を作成したのでありまするが、一昨二十九日の委員会において、満場一致、本案が決定いたした次第でございます。(拍手)
 この要求される額というのは、莫大な費用である。しかしながら、一見すると、いかにも消極的な費用でありまして、これをかけても、結局首つり人の足をひつぱるようなもので、今日のこの疲弊せる日本の状態では、どうにもならぬと言うかもしらぬ。だが、この出費がなかつたら、先ほど申し上げましたように、二十一億円の金がむだになりまするし、食糧の増産もできない。品詞の重病人に対するカンフル注射というのは、このことなんです。これをやらなかつたならば、日本國民は死んでしまうと極言することができると私は考える。
 そもそも、この水害のよつて來る原因というものは、これは単に天災地変としてのみ、われわれは言い逃れを言うわけにはいかない。なぜならば、戦時中におけるところの政府の施策に誤りがあつて、森林の大濫伐をやつた。そうして、その後における植林というものは、一体どれだけやつているのか。ほとんど植林をやつていない。松根油が欲しい。そこで、松の根つこを掘らなければならぬというので、松の根つこを掘らした。そうして、松根油をつくらせた。そのために、海綿体と同じような仕掛けでもつて、多年の草の葉や、あるいは枯木の根が、雨が降つてくると、海綿と同じ働きをして、それを吸収する。そうして、またこれを適当に外へ流しだす。これが全部根こそぎ掘られてしまつたのであります。だから、今度のような大水害が生じできたのである。
 食糧の増産、もとより必要である。しかれども、その食糧増産に対して、政府のとれるところの処置というものは、一体どうであつたか。私は、きわめて非科学的なやりかたをやつたと思う。そのために、大切なる水源涵養林までもどんどん伐採して、そうして、そこにじやが芋を植えた。そこに豆を植えた。そのために、水源涵養林というもが姿を消して、今日のような状態になつた。あまりに無定見であり、非科学的なやりかたをやつたから、こういう状態になつたということを、私は考えざるを得ない。
 そこで私は、この機会において、なんとしても、これはわれわれの手によつて再建していかなければならぬ。軍閥の戦争によつて食い荒しました私どもの國土を、この機会において再建しなかつたならば、あまたのあの英霊に対して、一体何のかんばせがあるかと申し上げなければならない。かつて意威吉思汗が、蒙古の大英雄として欧州を席巻した当時におきましては、あの蒙古は大森林地帯であつたという。しかるに、それが無計画的なるところの濫伐によりまして、遂に砂丘があの通りに移動し始めた。地方を失つてしまつて、植物の生える余裕を與えなかつた。そのために、一箇年間に三マイルの速度をもつて砂丘が日本海に移動し、今日のあの氣の毒な砂漠の状態になつているということを、学者は論じているのであります。 この点を考えてみまするならば、この機会に、政府は緊褌一番、三十億円の金の賄いをつけまして、この大事業を完遂する必要があるのであります。(拍手)何とぞ諸君、諸般の事情に御明鑑を垂れまして、本案に賛成くださいまするようにお願いする次第であります。(拍手)
#6
○副議長(田中萬逸君) これより討論に入ります。大島義晴君。
    〔大島義晴君登壇〕
#7
○大島義晴君 私は、ただいま上程せられておりまする決議案に、社会党を代表いたしまして賛成するものであります。一体政府は、昨年のあの大水害を目のあたりに見、目のあたりに聴き、日々の新聞にあれだけ詳しく報道され、その被害の程度は詳しく御承知のはずでありますけれども、こういう決議案を出さなければ、この処置が講ぜられないということについては、われわれは非常な不満をもつておるのであります。(拍手)さらに、本案に賛成すると同時に、いささか将來の対策に対しましても、この機会にお尋ね申し上げたいと思うのであります。
 まず第一に、水害の結果は、護岸工事をことごとく破壊しておるのであります、これをこのまま放置するにおきましては、耕地は水害のために浸蝕せられまして、実に、その前途に不安がはなはだ多いのであります、なおまた道路の決壊等に対しましても、一時的な修復をしたり、橋梁の破壊に対しましても、辛うじて人の渡れる程度の仮橋しかかかつておりませんので、今後わずかな降雨に際しましても、交通が杜絶するという、実に悲惨な状態におかれておるのであります。こういう交通の不安が、先ほど山崎君の言われた通り、國民生活の安定に重大な影響をもつておることは、申すまでもないのであります。これらに対しては、速やかに原状回復をしなければならぬのであります。
 第二には、私どものような上流地点におきましては、用水の取入口がほとんど破壊されておるのであります。下流の地点におきましては、排水口がことごとく破壊されておりまして、本年の植付は、このまま推移いたしまするならば、不可能であります。食糧増産と叫ばれておりまする今日、植付不能というようなことに相なりまするならば、それこそ、とんでもないことに相なるのであります。これらの問題は、現実の問題といたしまして、農民が、少なくとも本年の用水は辛うじて間に合うという程度までの工事は、ぜひともやつていただかなければならぬのであります。
 第三には、かくのごとき惨状を復旧するにあたりまして、地方財政ではとうてい賄い得ない。地方の全力を傾けましても、これらの復旧は不可能であります。國家の補助なくしては、とうていできない状況でありますので、政府は、これらに対して復旧費を計上するにあたりまして、單に名目だけに止つてはならないのであります。実質的に復旧できる程度に、これを御考慮願いたいのであります。復旧費は、一面から申しますならば原状回庄復であるために、消極的な費目であるというような、かような考えがあるかも存じませんけれども、これこそ根本的な間違いであります。原状回復をなし、生産の増強をせしむることこそが、最も積極的な費目であると断じ得るのであります。本決議案は、二十二年度の追加予算についてのみの決議案のように一應拜承されますけれども、その本質は、ひとり本年の追加予算のみならず、この水害を根本的に立て直して、二十三年度の予算においても、これらの関係のものは当然織りこまれていかなければならぬのであります。 (拍手)なお、この機会に農林大臣にお尋ね申し上げたいのですが、先般本会議において、農業災害補償法が通過いたしました場合に、米は、その災害が復旧して救済されるのでありますけれども、養蚕に対しましては、この遡及がないのであります。しかも政府は、繭の値上がり差益金によつて得た金が、政府自身の収入が大体において十億万円、さらに民間に放資せらるべき金が十億万円あるのでありまして、この金をもつて速かに養蚕対策を講じ、荒廃桑園の回復をするようにという附帯決議がなされておりますが、その決議に対する取扱いは、はたしてどう運んでおられるか。われわれの聞くところによりますれば、未だ養蚕農民に対して、具体的にその復旧の対策が講ぜられておらないということでありますが、これに対しては、いかなる見解をもつておられるか。さらに、災害補償組合がどの程度に進捗しておるかということも、この機会に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、政府に対しまして、この際お願いしておきたいと思いますることは、かような水害は二度と繰返されぬようにしなければならぬのであります。その根本策といたしましては、計画的な植林をしなければなりません。砂防工事もまた行わねばなりません。河川の流域の改廃等も相当考えられなければならぬのであります。今日のように河床の隆起しております現状においては、單に堤防の拡張だけでは、その目的を達することはできないのであります。かつて田中正造翁の叫ばれたように、現在の利根川の流域にいたしましても、これは徳川家康が江戸に幕府を開いて、鬼怒川、渡良瀬、利根というものを一本にした結果、かような惨害が繰返されるのであります。これを本來の水流に復せしめて、すなはち、旧利根川が利根の本流である。現在の江戸川が渡良瀬の本流である。今の利根の流域が、すなはち鬼怒川の本流でありますが、かような水流の調整ということも将來御考慮にならなければ、根本的な対策は立てられないのであります。この点に対していかにお考えであるかということも、この機会にお伺いしたいのであります。
    〔発言する者多し〕
#8
○副議長(田中萬逸君) 決議案の討論の範囲内に……。
#9
○大島義晴君(続) はなはだ簡單でありますけれども、本決議案に賛成の意を表して、併せて、この機会にお尋ね申し上げた次第であります。(拍手)
#10
○副議長(田中萬逸君) 石田博英君。
    〔石田博英君登壇〕
#11
○石田博英君 私は、日本自由党を代表いたしまして、本決議案に賛成の意を表するものであります。
 昨年夏、七月、八月、九月の三度にわたりまして、東北、関東両地方を襲いました大水害は、過去数十年間においてその類例を見ないとういうほど激甚なものでありました。その被害の状況につきましては、ただいま山崎委員長から詳細申し述べられまして、重ねて申し上げる必要はないのであります。さらに、その水害の当初におきましては、著しく世人の関心を呼び、大衝動を與えたことも事実であつたのであります。政府はこれに対しまして、あるいは水害地に見舞にでかけるとか、あるいは視察に出かけるとか、いろいろの対策を講ぜられたのでありますけれども、幸か不幸か、このたびの水害が大都市を見舞うのではなく、主として農村地帯に襲來いたしましたために、人命あるいは人家の被害が比較的少なかつた。そのため、この水害に対する関心もようやく薄れまして、今日においては、もはや完全に忘れられてしまつたといつても過言ではない状況に相なつておるのであります。特に政府におきましては、初めこそ、あるいは大臣がみずから出かけたり、あるいはまた各省の関係者が、被害地の人々にとつては應接應待にいとまがないほど、しばしば出かけてまいつたのであります。
 第一回國会におきましても、ただちに水害地対策委員会を特設いたしまして、この問題について協議を進めたのでありますが、第一時追加予算ににわずか二十一億円が計上せられたのに止まりまして、その後は何ら顧みられていないのであります。特に大蔵省のごときは当初よりきわめて冷淡でありまして、二十一億円の支出に続きます残余の復旧費に対しましては、昨年十二月に開催せられました水害地対策特別委員会におきまして、栗栖大蔵大臣は、十億円の予算外國庫負担契約をもつて、土木関係六億六千万円、農林関係二億五千万円を支弁し、これをただちに資金化すると同時に、それでも不足な分は必ず追加予算に組み上げるということを公約いたしましたにかかわらず、今日に至るも、この十億の予算外國庫契約は、何ら資金化されていないのであります。さらにまた、第二時追加予算に計上するという約束にもかかわらず、今日まで、何らその手続をとつていないのであります。まことに、これらの公約は一片の空手形と化してしまつておるのであります。この不誠意、この軽薄は、われわれこの議場において、強く糾弾しなければならぬと信ずるもであります。(拍手)
 私は、七月、八月、ちようどこの大水害の起りましたときに、秋田縣におりました。九月には、その当時において最も被害が激甚であつたという岩手縣の盛岡におりました。目のあたりようやく黄金の波をさしてまいりましたところの、一箇年の汗と脂の結晶を、一瞬に流され、茫然とたたずんでおりますところの農夫のひとみ、また家財もろとも家を流されまして、妻や子供を水魔の犠牲に供して、悲しみに打人々の顔を、今日ここにまざまざと思い浮べることができるのであります。しかしながら、東北、関東の農民は、この苦しみ、この悲しみの中から、敢然と今日起ち上つておるのであります。供出のごときも、この激甚な被害と交通難を克服いたしまして、すでに東北六縣におきましては、全國に率先して供出を完遂いたしておるのであります。(拍手)また関東被害地も、きわめて優秀なる成績を示しつつあることは、諸君御承知の通りであります。これは、一にわが國農家の烈々たる國家愛、同胞愛の表示でありまするとともに、被害各縣民は、まず自己の義務を果たすことによつて、水害復旧、耕地回復に対しまする政府の援助を確信し、期待しておつたのであります。(拍手)
 しかるに政府は、今日に及ぶも、この被害地の切実なる望みと願いに対しまして、何ら報ゆるところがありません。この状況に焦慮して、被害地の各都縣知事あるいは、都縣議会の代表は、よりより協議をいたしまして、先般、大挙して陳情に上京いたしてまいつたことは、諸君御承知の通りであります。ところが、この血もでるような陳情に対しまして、大蔵省はどういう態度をとつたかと申しますと追加予算に計上するなどということはとんでもない。そういう考えは全然ないし、できもしないと、まるで木で鼻をくくつたような返答をしておるのであります。
 さらに先般第十三委員室におきまして、東北、関東出身議員及びこれら各都縣知事、都縣会議長が参集いたしまして、片山総理大臣に対して陳情いたしました際に、片山総理大臣は、それほど大切な問題であるならば、なぜもう少し早く言うてくれなかつたかという、きわめて間の抜けた返事をしておつたのであります。(「その通り」拍手)これは、何という恥を知らない、無責任きわまる答弁であるかと私は言いたいのであります。当時列席の諸君は、與党の諸君も、野党の諸君も、ともに激高をいたしました。これは、きわめて当然といわざるを得ないのであります。水害地対策委員会は、すでに八月に結成せられております。各縣の陳情は、むしろうるさいほど、しばしば参つております。この実情に対して、今まで知らなかつたという片山総理大臣は、一体國政に対して何を考え、何を今日までしてきたのであるか。水害地への視察見舞は、あれは單なる一片の儀礼であつたのでありますか。そうでないとするならば、片山総理大臣は單なる一個のロボットにすぎないということを、明々白々とここに暴露しておるのであります。東北、関東被害地の農民が、なぜ率先して供出を完遂したかというこの事実、これはきわめて重視しなければならぬと思うのであります。この誠意と同胞愛に対しまして、何ら顧みるところのない政府は、口に農民の味方だと称しながら、実は農民は供出米を搾り上げる道具であると考え、徳川幕府と同じ様に、百姓は生かさぬよう、殺さぬように扱えばよろしいという程度の認識しかもつていないことを、これまた、ここに暴露しておるものと断言せざるを得ないのであります。(「ヒヤヒヤ」)
 水害は、もちろん天災であります。しかしながら、その原因を考えてみますならば、治山治水の不完全、山林の濫伐、また東北の河川ごときは、今日ほとんど原始河川のまま放置せられておるのであります。この原因を考えてみますときに、天災ではありますけれども、その復旧の責任は、あくまで政治にあり、國家にあると断言することができるのであります。
 今次水害の復旧は、第一に、水害によつて破壊せられましたところの用水路、橋梁、道路等を復旧して、それによつて交通を確保し、その年度の生産を維持するということが第一の要件であります。これに対しましては、先般可決せられました二十一億円の追加予算をもつて、ある程度完成しております。しかしながら、その次に、現在ほとんど破壊せられておりますところの堤防を復旧し、護岸を完成し、河川を改修し、同時に耕地を復旧いたすということが、今度は翌年度の生産を確保するために絶対必要なのであります。しかも、東北及び関東地方は雪が多いところでありまして、春になると、雪が融けて増水をいたします。その時期までに堤防を直し、あるいは護岸を完成しません場合におきましては、翌年度の惨害がいかほどになるか、はかり知れない。
 先ほども委員長からの御報告にありました通り、東北六縣におきましても、今日このまま放置いたしました場合には、二百万石以上の減産になると言われておるのであります。この支出は、生産のための支出であります。しかるに、翌年度の食糧生産に重大なる影響をもちますこの生産的支出に対して、何ら顧みるところがなく、片々たる消費的支出を追いかけているという現内閣の財政政策の本質も、ここに明らかに暴露されておると私は考えるのであります。
 われわれは、ここに本決議案を提出いたしまして、政府の猛省を要求し、われわれの絶対に必要と思うところの復旧費の支出を、これまた要求する次第であります。本決議案に記載せられてありますところの必要なる経費を追加予算によつて支出しろという要求は、ここに重ねて申し述べておかなければなりません。必要なる経費とは、先ほど委員長の報告にもありました通り、本年度の工事費として絶対に必要なる額五十億円、それに対して、今まで支出せられました額二十一億円、その差額を示すものであり、かつ、われわれが要求しておるものは、追加予算に計上することでありまして、一片の空手形になる憂えのある予算外國庫契約で満足するものでは断じてないという点であります。
 この條件を附しまして、私は本決議案に賛成するのでありまするけれども、ここに併せて申し述べなければならぬことは、関西あるいは東海各地を襲いました本年度の旱害についてであります。特に、私の同僚北浦圭太郎君の報告によりますと、本年最も旱害の被害がはなはだしかつた奈良縣におきまして、先般、前の農林大臣平野氏が、奈良縣の農林大臣在職当時おいでになつて、その旱害に対して七千万円の支出をすることを約束せられたのであります。今日農林大臣が更迭しておられましても、これまた片山内閣の責任ある構成員の発言に対して責任を負わなければならぬという点においては、いささかも変りがないのであります。この農林大臣の言明に力を得まして、奈良縣では、あるいはポンプを買い、あるいは井戸を掘り、あるいは高い費用を支拂つて水をもつてきまして、漸く平年度の作を維持したのであります。ところが今日に至るまで、片山内閣は奈良縣に對して、七千万円どころか、百円も支出していないという有様であります。
 現内閣は、公約を常に破棄するという特別な性格をもつている内閣であります。この意味におきまして、私どもはやむを得ないと考えられるのでありますけれども、被害地の実情を考えまするときに、かかる責を現内閣の特別の、特殊的性格に任せておいて満足するわけにはまいらないのであります。
#12
○副議長(田中萬逸君) 石田君、時間です。時間を守られんことを望みます。
#13
○石田博英君(続) ここに断固として、本決議案に記載せられておりますところの要求を政府に対して強くいたすと同時に、本院において、その自主的な立場から、これを貫徹することをここに誓うものであります。(拍手)
#14
○副議長(田中萬逸君) 松井豊吉君。
    〔松井豊吉君登壇〕
#15
○松井豊吉君 私は、民主党を代表いたしまして、上程されましたる本案に賛意を表するものであります。
 昨年の夏、東北、関東両地方を襲つた大水害による復旧事業としては、目の前に迫るものは、雪融け増水時に備える土木工事と、本年度にぜひなければならぬ主要食糧の生産確保のための農地復旧及び林野の復旧等がおもなるものであります。この事業を行うには、どうしても昭和二十二年度の必要額を五十億円とするのでありますが、本年度に支出されたのは、ようやく二十一億円にすぎないのであります。それがため、すべて遅れぎみとなり、従つて、この現状を見つめている被害農民は、とうてい救われる途はないと、あるものは悲観し、あるものは激高して、政府も國会も誠意なしと、随所に不満をわき立たせているのが被害地の農村の実情であります。(拍手)
 事実、復旧作業が現状のままで放任されておりますならば、両被害地方の食糧収穫減は二百余万石に上るという憂慮すべき事態に立ち至るかもしれません。私が実地調査した範囲においては、むしろ旗をおし立てて國会まで攻め寄せる。政府も國会も目がさめろと眞剣に叫ぶ農民も、決して少なくないのであります。わが群馬縣におきましては、しばしばこの徴候が見えるのであります。万一、國会が國民の半数を占める農民の信頼を失うようなことがあれば、國会の威信は地に落ち、祖國再建事業は暗礁に乗り上げると言いましても、断じて過言でないと思うのであります。この際、國会も、政府も、被害地農村の立場を十分に認識せられ、この純朴なる食糧生産戦士に、欣然として國家の要請にこたえることのできる希望を與えるために、ぜひぜひ一日も早く復旧事業完遂の熱望をもつて、本案に賛成する次第であります。(拍手)
#16
○副議長(田中萬逸君) 野本品吉君。
    〔野本品吉君登壇〕
#17
○野本品吉君 私は、國民協同党を代表いたしまして、ただいま上程されております水害地復興に関する決議案に対しまして、賛成の意を表せんとするものでございます。
 思うに政治の要諦は、政府の諸般の施というものきわめて現実的に、きわめて具体的に國民大衆の間に侵透し、國民の共鳴共感するところとなり、積極的な支持を得ることに、その理想を求めなければならぬと思うのであります。
 飜つて、今次災害後におきます政府の取り來りました態度をみまするのに、災害直後におきましては、片山総理を初め関係各省大臣は、いち早く被害地の現場に出かけられまして、つぶさに惨憺たる被害の実情を調査せられております。しかして、被害を受けましたところの幾多の國民に対しましては、心から同情と慰藉の言葉を投げかけられております。さらに、國民大衆の蹶起を促すために鼓舞激励の言葉を繰返されておるのであります。さらには、この應急並びに恒久の復旧に関しては、政府は万全の措置を講じて、國民の憂いをなからしめることを確約されておるのであります。さらに考えますのに、第一國会におきまして、予算案の審議をめぐりまして、災害復旧費に関しては、あらゆる角度から具体的な検討が加えられております。この際、政府は國会に対しまして、誠意をもつて國会の輿望にこたえるの確約を與えておるのであります。
 しかるに、第二國会の劈頭において、この國民的な期待と國会の期待とはまつたく裏切られておりまして、災害復旧のために何をなさんかとするのであるかという政府の誠意と熱意の片鱗をすら認めることができないような状態になつておりましたことは、私ども、まことに遺憾にたえないのであります。(拍手)政府の同情と慰藉の言葉に罹災民は感激いたし、鼓舞激励の言葉に起ち上がりました。また復旧に対する政府の施策を信頼して、その日を待つておつたのでありますが、今や、それらの言葉、それらの期待が、ことごとく裏切られたという結果に相なつておりまして、かつての感激と信頼とは、今や不平不満の爆発となつて現われておるのであります。國会もまた、政府の災害復旧に対する施策の見るべきもののなかつたことに対しまして、きわめて遺憾の意を表しますのは、当然であると思うのであります。
 私は、この事実に直面いたしまして、災害の中におおしくも起ち上がつて、各府縣の総力を結集して、各種の復旧に、また供米運動等に挺身された農民の氣持に対し、政府の施策に対して多大の期待をかけておりました國会の一員といたしまして、これを黙視することのできないのは、これまた当然の帰結であると言わなければならぬと思うのであります。私は、この際政府が、先ほど來、あるいは委員長の説明、趣旨の弁明、あるいは各党代表の述べられました点等をすなおに受け入れられて、緊急に適切有効なる措置を講ぜられんことを切望してやみません。もし、このことをなさないといたしますならば、一体だれのための政府であるか、國会がまた毅然としてこの決議をなして政府に要望するところがなかつたといたしまするならば、だれのための國会であるかということを國民大衆から追求いたされましても、答うるに言葉がないものと考えなければならぬと思うのであります。私は、かような事柄を十分に考えまして、前院一致これを議決し、この議決は國権の最高権威としての國会の満場一致の議決であるということを政府が確認しまして、急速にこれが実現に向つて善処せられんことを要望いたしまして、賛成の意を表するものであります。(拍手)
#18
○副議長(田中萬逸君) 平澤長吉君。
    〔平澤長吉君登壇〕
#19
○平澤長吉君 私は同志クラブを代表いたしまして、本決議案に賛意を表するものであります。
 およそ、突発した災害に対する措置が適切であるかどうかということは、その時の内閣、その時の政治力の強弱を判定し得る物さしの一つになるだろうと存ずるのであります。しかるに、昨年四月、五月、六月と引続き全國を襲いましたところの水害、特に東北並びに関東の水害に対しましては、本衆議院において、われわれ同僚議員諸君が心痛をいたしまして、水害地対策特別委員会を開き、日夜これが対策を鋭意研究してまいつたのであります。もとより政府におきましても、重大関心をもつて、それぞれ検討してまいりましたところは、私どもも認めるところでありますが、近來になつて、これが措置に緩慢な傾向が見えてまいり、関係地方に復興のきざしが澎湃として起つた際に、いささか腰折れの氣配が見えるのは、遺憾にたえないのであります。
 関東、東北各縣の知事並びに地方議会の議長及びそれぞれ関係の衆参両院の議員の諸君が、つい先だつて会合いたしまして、首相と面談をいたしたのでありますが、そのときの空氣をお察しくださいましても、首相においては、関係地方民がいかような心境と決心をもつておるかということを、うかがい知られたことと存ずるのであります。これを私ども考えますのに、明らかに現下の政情の混迷からくる一種の政治力の弱体が、かような弛緩したところの水害に対する態度ではあるまいかと存じておるのであります。(拍手)特に土木方面においては、内務省の解体等、その他機構の改革によるところの各般の影響が、この一刻を争う東北、関東に対するところの水害に、いささか遅滞をきたさしめたきらいがあることを私どもは認めざるを得ないのであります。
 しかしながら、関係地方民においては、縣命にその復旧に努力しつつあることは、御承知の通りであります。殊に末端の事務当局は、それぞれ農業土木あるいは通牒をもつて、あるいは指令によつて、工事分量等についてもそれぞれ指示をいたし、あるいは了解を與え、工事に着手をいたしておるのであります。しかるに、これに裏づけをしますところの予算措置が、先ほど各党の諸君から申されましたように、具体化せられていない部分が非常に多い。かような状態で、もし現状のごとく推移するならば、特に東北地方、関東のごとき、雪融け水の出ますときは、せつかく何ほどか手をかけましたものも、その効用を失いまして、さらに一層災害を増大し、収拾し得ざる状態を招來するであろうことを、私は憂えるものであります。
 首相は、第二回國会の施策方針演説において、二十三年度食糧一割増産を期待しているようであります。しかしながら、全國においても最も重要な穀倉地帯であるところの東北、関東地方の災害の復旧なくして、どうして一割増産を期待することができるのでありましようか。この復旧なくんば、現状維持もまたすこぶるかたしといわなければならぬと存ずるのであります。(拍手)
 今や、水害を受けたところの地方である関東、東北のごとき、惡條件を克服いたしまして、農民諸君は米の供出に専念し、本日の報告によれば、東北はすでに完遂したるほか、超過供出をもなしているやに承つておるのであります。もしそれ、政府において一割増産の期待を真実に実現せんとするならば、速やかにこれら災害の復旧に対して追加予算を計上し、われらの要求するものを速やかに実現するような措置を講じまして、この増産を一層拍車づけるようなこうりよをしてしかるべきものだと存ずるのであります。
 私は、同志クラブを代表いたしまして、以上の意見を述べて賛意を表する次第であります。(拍手)
#20
○副議長(田中萬逸君) 水野實郎君。
    〔「総理大臣を呼びなさい」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(田中萬逸君) 手続をしております。
    〔水野實郎君登壇〕
#22
○水野實郎君 私は、全農有志議員クラブを代表いたしまして、本案に対します賛成の意見を申し上げてみたいと存ずるのであります。
 政府は、昨春及び昨夏関東、東北においてありましたところのあの大水害に対して、先ほど以來各議員諸君がるる御説明のありましたことく、今日まで、しかも議員の決議案を提出しなければならないほど今日までもちきたつたことは、いかに政府がこの災害に対して誠意がないか、あるいはまた熱意がなかつたということを如実に現わしている事柄だと思うのであります。
 私は、院議をもちまして、かつて本院を代表し群馬縣に調査派遣をせられ、その当時、群馬縣等におきまするあの災害の実情をつぶさに調査いたしましたのでありますが、まつたくその惨状たるや、見るに忍びないものがあつたのであります。一村がこぞつて河原と化し、あるいは、あちらこちらに死屍が累々としておる。あるいは牛馬の横たわつておるものもある。かような惨状を眺めまして、あの当時におきましては、政府もあるいは視察團を出し、あるいはまた閣僚が、その見舞にも出張せられたようでありますが、その後とりきたつたところの政府の処置は、あまりにも緩慢過ぎたのではなかろうか。人をパージにするようなことには、たいへん力を入れられましたが、こういうことには、ちつとも熱意がない。(拍手)
 私は、本案に賛成すると同時に、政府の猛省を促し、しかして、本案に対して決定されましたことを、政府は忠実に、もつと誠意をもつて実行することを政府に要望いたしまして、本案に賛成の意見を述べる次第でございます。(拍手)
#23
○副議長(田中萬逸君) 外崎千代吉君。
    〔外崎千代吉君登壇〕
#24
○外崎千代吉君 第一議員クラブを代表いたしまして、本案に賛成の演説をいたしたいと思います。意見を申し述べます。
 世の中に、私は農民ほど氣の毒な、かわいそうな階級はないと考えております。それは御承知の通り、あれほど自然を相手にして、春夏秋冬休みなく働いているその農民、ここ何十年間の今までの日本の政治の現状を見れば、まつたく農民は顧みられていない。去年あたりの災害でも、先ほど委員長の報告にある通り、すでに死傷が六千三百二十名といえば、甚大なものでないか。人の命の貴さを知らない者はないはずである。しかも、住宅の倒壊流出二万一千三百六十一戸というものは、政府がすでにこれを認めている。田畑の流出、これに頼つて生きなければならない農村は、自分の一番大事な田や畑が流れた。そうして崩れた。埋没した。それが六万一千四百十三町歩、これもはつきりしている。その他道路に、橋梁に、河川に、海岸に、砂防に、その被害をこうむつた農村は、ほとんど立ち行くことのでき得ないほど、これほど打ちのめされておつても、新聞だけは多く書いてくれたであろうけれども、はたして政府も議会も真剣にやつてやつたであろうか。私はこれを省みて、まことに憫然なものは農家であると考えておる。
 それ、石炭も重要であろう。その他の工業も重要であろう。大きな商工業になれば、あるいは重要という名目のもとに、國民の税金を集めてでも、それにあらゆる施策を講じて、これに補償もすれば、また金も貸してやる。そして立てていく。会社や工場や鉱山などは、そういうような方法のもとにやつていくが、一方口を開けば、為政者も政治家も、農は國の大本であるということを言うけれども、しかし、その農村に対して、一年一ぱい働いて、一年一度しか収穫のできないものが、皆無作どころではない、來年これをたがやすことのできないような、かわいそうな状態になつておつても、だれか先だつて、これを救つてくれる者があつたであろうか。(拍手)
 政府も、もちろん苦しいのであろう。また多額の、何千億万円という予算を組まなければならない今日の敗戦日本において、まことに政府にも氣の毒であるけれども、しかし、日本を建てなければならない。きのうまで敵であると言つてたその國から、食糧をもらつて食わなければならぬというようなみじめさを日本國民は忘れておるのであろうか。それでも政府は、わずかに三十億か五十億の金を出し惜しみするということは、考えなければならぬ。私は、政府の今日の財政を考えれば、十分お氣の毒に考えておる。
 しかして、また一言言いたい。かく党派の代表は、よくここに賛意を表してくれました。まことに感謝感激にたえません。しかし、私は考える。あの声は、ほんとうの各党の代表の声であつたか。ほんとうの声であるならば、今日のこの議場の出席を見ろ。これを見て、はたして完全に、本当に農村に同情して、涙のあふるるような賛成であろうか。政府のみを叱咤する各政党の代表はあるけれども、これほど、このごとくに傍聴者は、朝から晩まで、いすもあふれるほどはいつておつて、この國会一つを頼りに生きていこうとする今の國民のかわいそうさ、氣の毒さ、これに対して、議員ははたしてどうであろうか。議会におつても、この議場に出ておる者は少い。(発言する者あり)怒る者もあるであろう。怒る者は、まことに結構だ。怒れる者は幸福だ。そこにすわつていて怒れる者は幸福であるけれども、そういうお互い、私自身も考えておる。自分のクラブでもこの通り、まことに少い出席ではずかしいけれども、怒る人方の席のうしろ前をごらんなさい。あなたの前に、あなたのうしろに、あなたの横に、はたして何人すわつておるか。これがはたして完全なものであろうか。これを考えなければならぬ。私どもは、これを考える。
 もちろん政府に、現在のこの予算では足りないから要望するが、議員自体も考えなければならぬ。政党自身も考えなければならぬ。いたずらにみえを張つて、きれいなことを言つておるが、それほど真剣に農村を考えるならば、議員が多く出てきてくれて、そして真剣に、議場にあふれるような熱心をもつてやつてくれたならば、農村の人はどんなに救われるであろう。私は農村出身として、まことに皆さんに感謝する。感謝はするけれども、もつと真剣にやつてもらうことを一層望みたい。
 農村の人方はかわいそうだ。自分の作つた米が、法をきめて、これよつて供出せよと言われれば、安かろうが高かろうが、経済が立とうが立つまいが、一俵二百二十円、三百円でとられてしまう。それを親とか親戚にもつていこうとすれば、二升、三升の米でも停車場でつかまつて、もつていかれてしまう。自分で汗水たらしてつくつたものが、この議場でつくり上げられた法律の前にどうにもならない。あの農村の人々の立つ瀬のないような今日の現状をもつて、はたして各政党とも、完全に農村を愛すると言われるか。(拍手)
#25
○副議長(田中萬逸君) 外崎君、発言に御注意を願います。
#26
○外崎千代吉君(続) わかりました。そういうように、私はこの問題を考えるとき、涙が出るほど遺憾に考える。政府諸公に対しては、今日予算の多い中に、またもまたもということは、まことに氣の毒であるけれども、しかし、日本は農が國家の大本であるならば、五十億や三十億は、命にかけても政府は出してもらいたい。どうしても、こういうような大災害に対して、政府は思い切つた施策を講じてくれて、農村の立ち行くような方法をとつてもらいたいことをお願いいたしまして、自分は賛成する次第であります。(拍手)
#27
○副議長(田中萬逸君) 片山総理大臣は、不当財産取引の委員会において質疑應答中であります。右質疑が終りますれば即刻出席せられるように要請してあります。この段御報告申し上げます。北二郎君
    〔北二郎君登壇〕
#28
○北二郎君 私は、日本農民党を代表いたしまして、ただいま上程されました決議案に対しましては、日本農民党は立党の本旨に鑑み、全幅の賛意を表する次第であります。従つて、従來の決議案に見るがごとき、決議のやりつぱなしでなく、あくまでもこの目的を達成するために、全力をあげられんことを心から念願してやみません。
 昨年の水害におきましては、東北とともに、北海道におきましても、復興しなければならない所が非常にあるのであります。北海道に対しましても、十分政府は御認識くださるように願つて、私の賛成演説を終る次第であります。(拍手)
#29
○副議長(田中萬逸君) 林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#30
○林百郎君 私は、日本共産党を代表しまして本決議案に賛意を表するものであります。政府は、昨年の七月、経済実相報告書の中は、昭和十四年と十六年の平均四十九万町歩の植林に対し、昭和二十一年は、わずか七万町歩の植林しかなしておらない。このために、例年の増水期を待たず、雪融けの四月にすら、すでに北海道、東北、北陸方面に水害があつて、十億三千七百万円の損害が出た、米にして二千十一万石、麦にして四万三千石の収穫を失つた、この例でもわかるように、國土の手入れを怠つた場合には、今後の被害は加速度的に殖えていくであろうということを、昨年の七月、経済実相報告書の中において、國民に訴えておるのであります。しかも、この政府の声明があるや否や、八月に至つて、この決議案に盛られておるような大水害があつたのであります。
 その際に、私どもの質問に対して、政府の回答は、責任は政府にあるのではなくして雨にあるのだといつて、責任を逃れたのであります。しかし、今や昨年の水害に対して、全議員をあげて、政府にその善処を要望しておるのであります。しかも五十億の要求に対して、わずか二十一億しか出しておらないのでありますが、もし、この際わずかな金を出し惜しみまして、この四月に、また昨年と同じく、わずかの雪融けのみによつて、今年においては三十億に近い水害が生ずるようなことになりましたならば、今度こそは、その責任は雪融けにある、雪にあるということは、絶対できないということを銘記せらるべきだと思うのであります。すなわち、この雪融けによる増水は、單に農民の血と汗の結晶を流すのみではなくして、片山内閣そのものを押し流す。國民の憤懣は、片山内閣そのものを増水によつて押し流すべきであると思うのであります。
 大体、政府が二十一億しか出さない、あとの経費をどこから出すべきか。これは当然地方の農民の負担に帰せられると思うのであります。ところが地方の農民に、はたしてこの負担の能力があるでありましようか。片山内閣によつて課せられたところの非戦災者特別税、あるいは六・三制のわずかな六億が出ないために、農村がどんなに苦しんでおるか。さらに農業協同組合への出資金、あるいは所得税の加徴によつて、すでに農村は現金が枯渇しておるのであります。その上なお、この水害による負担を背負わなければならないということになりましたならば、農民の負担は、言語に絶する苦難を課せられることになるのであります。
 私は政府に対しまして、経済実相報告書によつて、國民に求むるところは苛斂誅求、言葉を絶しておるのでありますが、みずからなすべきことは何らなしておらないこの政府の怠慢に対しまして、こころから猛省を要求すると同時に、この際わずかの金を出し惜しむことによつて、将來役に立たないような大きな金を出さなければならないことになるということを深く覚悟して、この全議員の要求に対して誠意をもつて善処されんことを。心から要望しまして、私の賛成の意思を表明する次第であります。(拍手)
#31
○副議長(田中萬逸君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 木村國務大臣から発言をもとめられております。國務大臣木村小左衞門君。
    〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕
#33
○國務大臣(木村小左衞門君) わが國土から水禍に惨害を防除いたしまして國民生活の安定と産業の振興を期しますることは、祖國再建の基盤であらねばなりません。殊に、最近のごとき水害の惨禍きわめて甚大でありまするのに鑑みまして、これはまさに刻下の急務中の急務であると考える次第であります。
 飜つて、國土の状況を見ますに、最近数年間の水源山地の荒廃並びに公共土木施設の維持補修の不十分は、いよいよ荒廃の度を増しまして、水害の危惧をますます厖大ならしめておりますることは、これが実情であります。殊に昨年の関東及び東北地方を中心といたしましたるところの未曽有の惨害を惹起しまして、これが復旧の迅速をはかりますることは、政府の重大関心を拂つているところでありまして、政府といたしましては、これが助成といたしまして、御承知のごとく應急費といたしまして、これは土木費だけでありますが、すでに十億余万円の國庫補助金を支出いたしまして、さらに今年度内において十数億余万円の資金融通の特別措置を講ずる準備をいたしているのでございます。なお、次期出水に備えまするために、最も緊急を要する復旧費に対しまして、その促進をはかるべく目下努力をいたしております。さらに政府といたしましては、前述のごとく復旧の迅速に努めまするほか、これと並行いたしまして、治山治水の恒久計画を樹立し、國土再建に邁進をいたしまする所存でございます。
 一言、本決議案に対する政府の所信を披露いたしまして、諸君の御清鑑を煩わしました次第であります。(拍手)
#34
○副議長(田中萬逸君) 総理大臣の所信は、次の機会に伺うことにいたします。
 これにて議事日程は終了いたしました。明後二月二日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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