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2009/03/17 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第3号
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2009/03/17 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第171回国会 農林水産委員会 第3号
平成二十一年三月十七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 達男君
    理 事               
                郡司  彰君
                高橋 千秋君
                加治屋義人君
                佐藤 昭郎君
    委 員               
                岩本  司君
                小川 勝也君
                大河原雅子君
                金子 恵美君
                亀井亜紀子君
                主濱  了君
                姫井由美子君
                舟山 康江君
                野村 哲郎君
                牧野たかお君
                山田 俊男君
                風間  昶君
                草川 昭三君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   石破  茂君
   副大臣
       農林水産副大臣  近藤 基彦君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       野村 哲郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 朝雄君
   政府参考人
       総務大臣官房審
       議官       佐藤 文俊君
       総務省人事・恩
       給局次長     笹島 誉行君
       文部科学大臣官
       房審議官     徳久 治彦君
       文部科学大臣官
       房審議官     尾崎 春樹君
       社会保険庁総務
       部長       薄井 康紀君
       農林水産大臣官
       房長       佐藤 正典君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   實重 重実君
       農林水産大臣官
       房技術総括審議
       官        吉田 岳志君
       農林水産省総合
       食料局長     町田 勝弘君
       農林水産省消費
       ・安全局長    竹谷 廣之君
       農林水産省生産
       局長       本川 一善君
       農林水産省経営
       局長       高橋  博君
       農林水産省農村
       振興局長     吉村  馨君
       水産庁長官    山田 修路君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (平成二十一年度の農林水産行政の基本施策に
 関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務大臣官房審議官佐藤文俊君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平野達男君) 農林水産に関する調査のうち、平成二十一年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○郡司彰君 民主党・新緑風会・国民新・日本の郡司でございます。農林水産委員会として、新しく大臣になりました石破大臣に質問をさせていただきたいと思っております。
 昨日、質問の内容についてはあらかじめお話をさせていただきましたが、考えてみましたらば、どうも順番を逆にした方がよろしいかなと思いまして、そのようにさせていただければなと思っております。
 大臣の所信をお聞かせをいただきました。通常の形と少し異なっているような形にまとめられているんではないかなというふうに思っておりまして、特に後段のところでございますけれども、多分に大臣が自らの思いをお述べになったような形で付記されているようなことになっているんではないかなと。書きようとしては、その前段のところが「我が国」とかそういうような形で書いてあるのに対しまして、後段の新しく今年加わった部分は「私は」というような書き方が多くなっておりますけれども、これは一つの大臣のお考えだろうというふうに思っております。
 一人称をお使いになってお書きになったその意図についてお話をいただきたいと思っております。
#6
○国務大臣(石破茂君) 所信の中ではそれぞれの政策について申し述べました。まず問題意識を申し述べ、そして農業、漁業、林業について施策をこのようにしたいと、そしてまた関連の法案の御審議をお願いしたいというふうにしてそこで結びました。それを行うに当たって、委員まさしく御指摘のように、それじゃ私の、農林水産大臣としての私のそれに取り組む心構えというようなことで、ややイレギュラーであったかもしれませんが、言うなれば二つの構成にしたものでございます。
 ですから、それはもう所信の表明なのでそこで切ればよかったのだというような御指摘を賜るとすれば、それはそれでそのとおりなのかもしれませんが、それを行うに当たってどういうような問題意識、そして決意で取り組むのかということを後段の方で申し述べた次第でございます。
#7
○郡司彰君 私は、格段よろしくないという感覚ではなくて、新しい大臣の感覚として受け止めておりました。
 ただ、内容については若干いろいろありますけれども、その一つのことについてお話をさせていただきたいと思いますが、この中にもスイスの卵ということが出てまいりました。それから、大臣がお話をなさった対談の週刊誌等がございましたけれども、その中にも同じような話が出てまいりました。たまたま、いつ幾日、どのテレビということは忘れましたが、大臣がお出になっているのを拝見をしておりましたらば、そこでも同じような話をなさっていることがありまして、大臣はスイスの卵がよほど好きなんだなと、こういうふうに思っていたところでございますけれども。
 裏返してみますと、私の性格は非常に素直なんでありますけれども、これを何度も聞いておりますと、あたかもこのスイスの国民は賢く立派で、我が国の国民はそれに引き換えというようにも取れるようなところの感触がございまして、そうではないのかもしれませんけれども、スイスの卵というのをこれほど出されるということに関して私はちょっと違和感を感じているところがございまして、大臣の方からスイスの卵のお話をちょっとお聞かせをいただきたいなと、こういうふうに思っております。
#8
○国務大臣(石破茂君) 少し多用し過ぎたかなという気がしないではありませんが、例えて申しますと、今はそうではないのかもしれませんが、私が農政をやるようになった二十数年前にこういう話を聞いたことがあります。スイスのパンはえらくまずいのだというお話です。それはなぜまずいのかといえば、その年に収穫された小麦ではパンは焼かないと。その年に収穫されたものはそれは備蓄に回すのだと。前の年に取れた小麦でパンを焼くのだと。よって、スイスのパンはまずいのだと、美味ではないのだというお話を二十数年前に聞いたことがございました。
 つまり、山岳国家で、当時は国連にも加盟をしておりませんでした。永世中立ということを申しておりました。今もそれはそうなのかもしれません。そういう国が独立を維持するというのはどれほど大変なことなのかという文脈の中で私はそれを理解したところでございます。
 スイスが立派で日本が駄目だということを申し上げるつもりは毛頭ございませんが、なぜスイスの卵、つまり決められた基準で鶏を飼い、そしてそれが産んだ卵というのは当然コストが高いわけでございます。外国から輸入すれば安いのだそうです。スイスの人たちがなぜそれを選ぶのかといえば、それは一つは、決められた基準できちんと飼育され、生産された卵なのだと。安全であり安心なのだと。そしてまた、その卵が高くても、それを買うことによって農家の生活が支えられる、農業地帯が守られる、だから私たちはスイスの卵を買うのですというようなことを子供たちが、インタビューをすると言っているという話でございます。
 私は、この話をするときにいつもでき過ぎた話ですねということは付け加えるようにしているのですが、実際にスイスの農業大臣に会って聞いたところ、実際にそうなのだと、産業大臣に会って聞いたところ、実際にそうなのだと。そして、スイスの書物を御覧になると分かりますが、政府として、それがかつての国産品愛用運動みたいな話ではなくて、スイスのものを使いましょう、スイスのものを買いましょう、それによって農村が守られ農業者が守られるのですというようなことを、それはスイス政府としてかなりいろんな広報物に広範に記載をしております。私は、そういう考え方があってもいいのではないか、安全で安心で、そしてまた国土を守り、農地を守り、それは決して安価ではない。大切なものはただではない、大切なものはそれなりのコストが掛かるのだということについての意識、それはスイス国民にはあるのだということを申し上げました。
 私は、安心と安全なものはそれなりのコストが掛かるという認識は、やはり国民に必要なものではないかと思っております。安全で安心でかつ安価だということを私かつて申し上げたことがありますが、ある方からおしかりをいただきました。安全で安心なものが安価であるはずがないだろうと。安全で安心なものは適正な価格によってそれは取引されるべきものだと言いなさいというおしかりを受けて大変恥じ入った次第でございますが、そういう問題意識で申し上げたものでございます。
#9
○郡司彰君 おおよそ分かりました。
 ただ、二十数年前ということでございますから、ちょっと認識が違うんだろうというところもございます。例えば、小麦の話をされましたけれども、あの国は言われたような国でございますから、備蓄は大体三、四か月平均して持っております。ただし、九六年の憲法改正以降、御存じのように、あの農用地の七割は牧草地に変わっております。そういうような転換を大胆にいたしました。そして、そのために、もちろん今言ったように憲法改正もやりました。そして、四つの国民合意、合意民主主義と言われるような形を踏んできて、国家の意思というものが農業を大事にするんだというようなこと、それから、いざとなったらば変えられるような牧草地にしておくんだとか、いろいろなことを含めて何度も何度も国民の側に問いかけをして、国民の方がそれでいいですよという形を作ってきたんですね。
 ところが、私の国はどうなのかというと、例えば担い手というものを十九年度から始めるに当たっての議論をした。そのときに、これは価格政策から経営体というふうに大転換をするんですよ。私はそのときにもちょっと議論をしましたけれども、こうした議論をここだけではなくて国民全部に分かるような形でやらなければ、私たちの国の農業に、ここの部分にこれだけお金を使うんだということを理解されないままになりますよ。あのときには、結局農家にも重立った考え方がよく浸透をしない、結果としては集落営農という形を取った。
 しかし、あれは私は、国の意思からすれば中途半端な改革にならざるを得なかったんだろうというふうに思いますね。八六%の予算を、農業予算のうちの八六%をデカップリング、直接所得補償の方に使う。そういう中で、限られた作物を、でき上がったものはそれはもう大事にしなければいけないという国民の意思、国家の意思というものを醸成をするために莫大な民主主義の費用を使ったんですよ。それが私の国にありますか、私たちの国の農政の転換にありますかということがなくてスイスの卵だけが独り歩きをすると、私が心配をしているようなところがあるんだろうというふうに思っています。
 そのようなことを含めて、所信のところの議論にまたもう少し戻らせていただくと、私は所信のところでこれまでと違った感覚を受けておりますのは、反省をしなければいけない、見直しをしなければいけない。私は、日本の農政で一番足りないもの、一番最初にやらなければいけないものは戦後農政の反省、総括ということだろうというふうに思っておりますが、大臣、お書きになっていらっしゃいますけれども、具体的にこの作業を一つ一つおやりになる覚悟はございますか。
#10
○国務大臣(石破茂君) 私は自分に対する反省も込めて言っているのですが、私もかつて宮沢内閣で政務次官、森内閣で総括政務次官、また自民党でも幾つも役を務めてまいりました。最近は余りかかわり合っておりませんが、自分に対する責任も込めて申し上げれば、今委員がおっしゃったような作業は必要なのだと思っております。
 それは、正しかったとか間違ったとかいう議論をするというよりも、何だったのだろうということです。つまり、所信でも申し上げましたが、例えば平成二年から十七年の間に、所得ということで考えれば半分になりました。そして、耕作放棄地が三十九万ヘクタールになり、そして転用が止まらず、そして基幹的農業従事者の六割が六十五歳以上となりました。人、金、物、三つの点で長期低落傾向がずっと続いているわけです。
 しかし他方、昭和三十年代に目指しました農業基本法の考え方、選択的拡大という考え方、そこにあったのは、都市と農村の所得の均衡ということを目指したのだと思っております。その手法として選択的拡大ということをうたいました。手法として選択的拡大が成就されたと私は必ずしも考えておりません。しかし、兼業機会の確保ということであり、そして兼業農家の維持という点からいえば、都市と農村の所得の均衡という大きな目的は見事に達せられたと思っております。
 それが、農業の産業としての持続可能性ということを人、金、物で見たときに、今までは良かったと。しかしながら、これから先、十年先、二十年先どうなるのかということを展望したときに、委員のお言葉を借りれば、戦後農政の総括ということは今の時期に必要なことだと私は認識をいたしております。
#11
○郡司彰君 今の大臣の発言は大変貴重な発言だろうというふうに思っております。
 最初の農業基本法が作られたことに関して言えば、最初も、その後の食料・農業・農村基本法ができたときも、私たちの国の農業というのは、私たちの国にとって農業をどうすべきか、どうしなければいけないかという議論ももちろんあったけれども、基本的には国際的な立場における日本というものがあって、そのために自国の農業はどう抑制しなければいけないかというものが常に最初にあったんではないかなというふうに思っております。
 今の議論でいえば、一九五五年にガットに加盟をし、六〇年に安保条約を結んで渡米をした。そのときに岸総理が行った中身というのは、貿易自由化の調印をし、百二十一品目の農産物、特に大豆の、代表的な例で言えば、自由化を決め、それ以降、私たちの国では大豆を作らないということを前提にその他の例えば農業というものも考えてきたと。
 今度、新しく農業基本法が作られるときにも、WTOという動きがあって、それに対応するような国内整備の一環としての農業という形になってきたんだろうと。そのことが本当に全体に行き渡っているような形で農政をみんなが考えているんだろうか。特に、現場の農家の人たちはそのことを十分に理解をしていろいろな農政の変換というものに考え方その他を合わせてきたんだろうかというと、私は非常に疑問だというよりも、ほとんどそれがなされない。
 なぜなされなかったのかといえば、私は正直言って、先ほどのスイスの卵の話に戻って恐縮でありますけれども、やはり知らしめよう、国民の合意を形成をしながら国家というものは運営をしていくんだ、特にこの農業の場合にはそういうことが必要なんだ、ほかの産業との兼ね合い、貿易との兼ね合いにおいて間違いなく不利益を被るのだから、逆に言うと国内の保護というものをきちんとやるというふうにスイスの場合にはなったわけですね。ところが、日本の場合にはそうではなくて、そうではなくて、一つ一つ何か糊塗するような形でもってやってきてしまったんではないかというふうに思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(石破茂君) そこは、まさしくこの委員会の場でも議論をさせていただきたいと思っております。
 私は、安易な国際分業論にくみするものではございません。そして、農業と工業との違いも認識はしておるつもりでございます。ただ、国際貿易ということを考えたときに、例えば非常に発展途上にある国があると。その国は自動車が造れるわけでもないのである、コンピューターが作れるわけでもないのであると。農産物しか輸出するものがないのであるという国を想定したときに、やはりその国が豊かになっていかなければ日本のいろいろなものも売れないだろうと。あるいはこれから先、農産品の輸出を一兆円規模にしようと思っておりますが、そういう今発展途上にあり国民所得も少ない国も豊かにしていかねばならぬのだということも念頭に置きつつ、どのようにして日本の農業を守っていくかということだと思います。
 私は所信の中で申し上げましたが、日本の保護の水準が決して高いという認識は持っておりません。よく日本の農業は保護され過ぎだという議論がございますが、日本の保護の水準というのは決して他国に比べて高過ぎるというものだと思っておりません。そんなに高ければカロリーベースの自給率が四〇になるはずはないのです。
 だとすれば、どのような農業の保護が正しいのか。そして、それは消費者負担型と納税者負担型のバランスをどのように取るべきか。納税者負担型という議論をしたときには、まさしく先生御指摘のように、納税者の方々に対する説明責任を負うわけです。その前に財務省の査定というものがあるわけで、実際に今、米が入ってきているわけではありませんが、ミニマムアクセスを除いて、高関税を張ってという政策よりももっと難しくなるだろうと。
 そして、納税者の御理解を得るときには、何のためにだれが負担をするのかということをきちんと検証しなければいけないという意味で、私は世界の潮流が消費者負担型から納税者負担型へと変わる中にあって、我が国においても条件不利地域直接支払でありますとか、水と緑の環境のお金でありますとか、そういう直接支払的なもの、納税者負担型のものを増やしてまいりました。これから先、そこのウエートをどうするかという場面において、本当に国民に向けて、納税者に向けて語っていかねばならない局面が非常に増えるだろうと思っております。それへの理解なくして日本の農業の存続は極めて難しいし、そして日本の農業が決して過保護なわけではないということもきちんと申し上げていかねばなりません。その努力を今まで必ずしも十分に行ってきたと私自身は認識をしておらないところでございます。
#13
○郡司彰君 やはりこうした議論をきちんとやっていかなければいけないんだろうというふうに今思っております。
 スイスの話を例えば保護の関係でいいますと、農家所得、大体平均で三百六十万の金額が行き渡るような形になっておって、その収入における保護の割合というのが六八%というような高い水準にもなっているということだそうであります。それから、予算そのものは、これ間違いなく農業予算だけではなくて、もちろん一般会計からこの農業予算というか保護の関係というのは出すんだというような合意ができているし、関税そのものはこれはWTOで認められたお互いのルールの問題ですから、これ、関税そのものは、私どもの国、マスコミは関税が高過ぎるだろうといういつも論調を張るけれども、それでもならしてしまえば一二%、ならしたところでスイスは五一%ぐらいの関税が掛かっているわけですね。
 こういうような中で、大臣、例えば私どもの方の戸別所得補償法案というものが出しました。それはすべてを網羅できるかどうかということになれば、一本の法案ですべてが網羅できるものでは多分なかったでありましょう。しかし、考え方としてやり取りの中で出されたのは、財源があるんですかという反対論が一番多かったんですよ。私どもは、このスイスの国がやってどうなったかといえば、これは自給率は五%下がっているんですよ。穀物自給率でいえば九%下がっているんですよ。しかし、そういう農業を選択をして、国際化の中でやろうという形の中で一般会計から出そうということになった。私どももこの国の農業を守るためには、戸別所得補償政策をやらなければいけない。その財源というのは、今の農水省の枠の中で考えるんじゃなくて、国全体が合意の上で出すんだから、それはきちんと出せるものなんですよと、こういうような議論をしてまいりました。
 その流れからいうと、このところ経団連の方の考え方も相当程度変わってきたのかどうか、この関係、WTOの関係の落ち着き先いかんによってはということが前提なのかもしれません。しかし、そうであっても、農業予算ではなくて一般予算でもってこの農業政策というものを考えなければいけない時期に来ているんだというようなことを言い出しているわけですね。
 このことについて、大臣、さらに、先ほどの考え方は分かりましたけれども、日本の場合にそういうようなことを念頭に置いた、これからの米の問題その他のことについて話合いをするという考え方はおありでしょうか。
#14
○国務大臣(石破茂君) 個々具体論に立ち入って議論をすることは、かえって混乱になるかもしれませんので避けますが、基本的に、農業を強くしていこうという場合に農業予算の低落傾向というのにはどこかで歯止めを掛けなければいけないだろうと考えております。農業予算が三兆円を大きく切っておる状況でございますから、これに歯止めは掛けなければいけないだろうと思っています。
 そのときに、例えて言いますと、農家一軒当たりに対する直接支払の額というのは、たしか日本は少ないんですね。ところが、農地面積当たりに対する直接支払の額というのは、ヨーロッパに比べて三倍ぐらい高い。これをどう考えるかという議論になったときに、どうしても日本の零細性ということに突き当たらざるを得ないのだと思っています。そして、ヨーロッパと違いまして水田というものを基本にしておりますので、一軒が、例えば条件不利地域直接支払にいたしましても戸別所得補償という形態を取っておりません。集落に対して払うという形態を取っております。それはなぜなのかというと、一抜けたといって抜けられちゃいますと、集落そのものが機能しなくなるというのが水田の特色でございます。そうなったときに、どのような払い方がいいのだろうかという議論もこれはきちんと詰めたいと思っています。
 そしてさらに、御党の法案も私、今精査して読んでおるところでございますが、実際にそれぞれに生産目標を決めるということがどのようにして可能になるのか、それを配分するということがいかにして可能たり得るのかということ。ですから、これは私は農政というのは、当たり前の話どの政策もそうですが、どっちが選挙で受けるかというお話ではなくて、本当にそれが実現可能であり、農業の持続可能性を回復するものであるとするならば、その一致点は見出すべきだと考えております。
 したがいまして、スイスの農業予算の仕組みもよく知っておるつもりですし、各国においていわゆる農村公共事業的なもののシェアが非常に低いと、それはなぜなのだということもきちんと検証しなきゃいけません。挙証責任は私どもにございます。
 あわせて、農業予算の中からじゃなくて、ほかからも持ってこなければいかぬ、それはそのとおりだと思います。それがなぜなのかということは、きちっと国民の皆様方に納得してもらえる。私はスイスの話にこだわるのはやめますが、やめますが、スイスに限らずヨーロッパで直接支払やっている国は本当にそのとおりにやっていますかと、決められたとおりにやっていますかというのは、物すごく厳格にやるんだそうですね。
 例えば、郡司家という農場があったとして、突然やってきて、ちゃんとやっていますかといって全部検証するようなこともやっているんだそうです。そういうのが我が国になじむのかも含めて、本当にどうすれば農業の持続可能性が回復されるのかということについてはよく議論をしたい、する必要があると考えております。
#15
○郡司彰君 大臣の話を聞いておりまして、やっぱり十九年度から始まったあの政策はもう少し、与党というか農水省の中でというか、やっぱりもうちょっと議論をして現場的な詰めた話をしてほしかったなというような感じがしております。
 今大臣がおっしゃったことの裏返しの中で、なぜ集落営農に結局行かざるを得なかったのかというようなことは、現実から考えれば、当然ああいうような結論に行かざるを得ないような実態があるんですね。ところが、考えているところのものは、実は本来はそうではなかったはずなんです。ですから、もうちょっと、何というんでしょうね、もうちょっと緻密な組立てをする。それは、逆に言うと、法案ができ上がる前、考え方が、制度設計ができる前に、やはりみんなその現場の声をもう少し聞くというような作業が足らなかったのではないかなということを今お聞きをして思いました。
 そういうようなことで、私どもの方の法案についてもこれ以上、今日の場でちょっとやり取りをするというような形にはならないと思います。私の方も取りあえずスイスの方は忘れて、ちょっと別な形の次の議論に入らせていただきたいと思いますが。
 今、生産調整その他の関係が大臣の方から発信をされ、若しくは私の意図するところではないんだというような形の動きになっているのかもしれませんし、いろいろ取りざたをされているようでありますが、大臣の発信をされた内容が十分に伝わっていないのか、それとも発信をされていることは伝わっているからこそ、いろんなところでいろいろな意見が出てきているのか。自分のこれまでの、生産調整といいますか、そこに関する流れの中で出てきたことについてお話があればお聞きをしたいと思います。
#16
○国務大臣(石破茂君) 冒頭から申し上げておりますように、農政の検証は必要だということでございます。そして、半世紀近くにわたって生産調整というのを行ってまいりました。正直言って、生産調整以外の世界を見たことがない人が圧倒的多数でございます。
 しかしながら、生産調整の中にどうしても払拭できないのは、不公平感というのがどうしても払拭できない。すなわち、きちんと生産調整を行う人たちもいますが、私は知らないと、そんなものには参加をしないと、好きなだけ作るのだという人、それを行ったら懲役十年という話はございませんので、そうしますと、そういう人が存在する、相当数存在することも事実でございます。そうすると、一生懸命まじめに生産調整をして作られた価格の上に、生産調整をしないで好きに作っておられる方々は庭先販売みたいな形で売っておられる。そうすると、まじめに生産調整してきた人は一体何なんだと。この不公平感というものがどうしても払拭ができない。これをどう考えるべきなのだろうかということが一つ。
 そして、もちろん麦でも大豆でも私ども生産を拡大していかねばならないと思っておりますが、やはりこの日本という国に一番向いたのは水田稲作であるということは間違いのない事実でございます。そして、米しか作れないんだよというところもたくさんございます。そこにも生産調整を掛けるということをどのように考えるべきなのだろうかということ。そして、生産調整そのものが、選択制という言葉が独り歩きをしておるわけでございますが、私が選択制を軸にとかそんなことを申し上げたことは本当に、いろんなものを御覧いただいても結構ですが、寝言でも言ったことはないぐらいでありまして、そんなことを言っているわけではございませんです。
 ただし、この食管制度から新食糧法へ移行しますときに、この選択制というものはどうなのだという議論が相当に行われました。私が別に新発明したものでも何でもございません。そこにおいて功罪がいろいろと議論をされて今の形になったというふうに承知をいたしております。自来、相当年月が経過をいたしました。あるいは、世界の事情も変わってまいりました。農業の低落傾向も変わりません。そして、もう一つ私が危惧をしておりますのは、私、選挙区は山陰鳥取県でございますが、あちらこちらにもう限界集落あるいは限界集落を超えて集落消失というものがたくさん出ております。ここを一体どう考えたらいいのだということでございます。
 そういう最近起こっておるいろんな事象を念頭に、生産調整というものはこのままでいいのだということであれば、なぜいいのだと。このままでいって十年先、二十年先、三十年先、日本の水田稲作は今の低落傾向を脱してやっていけるのだということであれば今のままでいいということになるでしょう。仮にそうでないとすればどうするのだという議論、それは議論としてしておきませんと、仮に今のままでいくのだということになったとしても、今までこれできたからこれからもこれでいくなぞという話にはならないのだと思っております。
 私どもとして平成二十一年度を水田フル活用元年と銘打ちまして、水田のフル活用というものを目指しております。では、それと米政策というのはどうなるんだという議論も含めてやっていかねばなりません。二十一年度は米政策を変えるということはございません。水田フル活用ということに全力を投入してまいります。しかし、五年先、十年先、本当にこれでいけるかどうかということは、今やっておきませんとこの長期低落傾向は、これから先はもう、何というんでしょう、がけっ縁というともうそこから先は本当に大変なことになりますよということですので、私は今しておかないともう取り返しが付かないことになるのではないかという危惧感を抱いておるものでございます。
#17
○郡司彰君 分かりました。
 今の話の中にもちょっと出てまいりましたが、シンプルに一つお聞きをします。
 今のような議論の中からつまみ出せるというような形になると、来年度の水田フル活用というのは見直す方向であるというふうに受け取っておいてよろしゅうございましょうか。
#18
○国務大臣(石破茂君) 今二十年度でございます。これから作ります二十一年度、これは水田フル活用ということでございます。じゃ、二十二年度、つまり再来年度以降はどうなのかという御下問かと存じますが、私は、水田フル活用という考え方は、日本に最も向いた水田というものをできるだけ有効活用していくのだという考え方から、再来年のことを私は今断定的に申し上げる立場にはございませんが、これは継続されるべきものではないかと考えておりますが、それはそれとして政策の合目的性を持ったものでございます。
 それと米政策をどう考えていくかということが二律背反になるかといえば、私は必ずしも論理的にそうなるとは思っておりません。
#19
○郡司彰君 議論として成り立つ部分と、それから現実をやっぱり先ほどの政策として見ておかなければいけない部分というのがあると思うんですね。私の方で、今日は一つの側面から、切り口から今の議論にさせていただきたいなと思っております。
 これまで一貫して圃場整備事業というものが行われてまいりました。これは大臣の方からでなくて結構です、参考人の方からで結構でございますので、これまでの圃場整備の過去の実績、面積でありますとか使った予算でありますとか、もし分かれば自治体の負担でありますとか農家の負担でありますとか、それが今現在どのぐらいの負債というか負担として残っておるかも含めてお話しください。
#20
○政府参考人(吉村馨君) 圃場整備事業の関係のお尋ねでございます。
 圃場整備事業は昭和三十八年から実施されておりまして、平成十八年までに区画整理された田は百五十四万ヘクタールとなっております。田の耕地面積全体二百五十四万ヘクタールの六一%となっております。昭和三十八年度から平成二十年度までの圃場整備事業の予算の累計は、国費ベースで四兆三千五百億円となっております。現在の圃場整備事業の事業費の負担割合のガイドラインにおきましては、国が五〇%、都道府県が二七・五%、市町村一〇%、農家負担一二・五%となっておりますけれども、事業実施年度や地域によって負担割合は様々でございます。したがいまして、それぞれの地方負担額の累積及び償還残額については把握をしておりません。
 なお、土地改良事業のうち圃場整備事業を含む補助事業などの農家負担金につきましては、通常は農家は日本政策金融公庫からの借入れによっているわけでございます。その公庫の補助の土地改良事業などに係る平成十九年度末の貸付残高は約四千四百億円というふうになっております。
#21
○郡司彰君 確認でございますけれども、これまで使った国費の累計というのは、これはいわゆる真水ということでよろしいですか。
#22
○政府参考人(吉村馨君) 国費の累計はもちろん真水でございまして、先ほど申しましたように、国の負担はおおむね五〇%となっておりますので、事業費ベースでいいますとそのほぼ倍額ということになろうかと思います。
#23
○郡司彰君 それから、農家の負担というのは、この金額が直ちにどういうふうに跳ね返るものかよく分かりませんが、この約四千四百億円というようなものが今現在残っている額ですね。これまでに負担をしたもう終わっている額、払い終わっている額というのはどの程度のものか分かるか。それから、これは借入先の件数が分かりませんので、平均でいうとどのぐらいが一戸当たり残っているのか、その辺について分かったらば教えてください。
#24
○政府参考人(吉村馨君) 先ほど御答弁申し上げましたように、残高ベースでは把握をしておりますけれども、負担をした時点でどれぐらい負担をしたかという点につきましては、それぞれの事業の実施内容それから年度によって違っておりますので、把握をいたしておりません。
 また、個々の内訳でございますけれども、現在残っている残高ということで申しますと、かんがい排水関係が三三%、耕地整備関係が五六%、農地保全関係が五%、その他六%というような内訳になっております。
 ちょっと個々の負担の内訳については手元に数字がございませんので、現在個々に幾ら負担しているかということは、率直に申しまして、先ほど申しました事業の個々の内容によってかなり違いますので、一概には申し上げられないというふうに思います。
#25
○郡司彰君 できますれば、委員長にお願いでございますけれども、今言いましたような数字で、できるだけ私どもに手に入るような形で資料を後で検討いただけないかということがございます。そのことをお願いをしたいと思います。
 それから、今の話を聞いていると、これまでどのぐらい農家の方々が負担をした、一戸当たりでいうとどのぐらいを負担をしているんだとか、そういうものはつかんでいないということですよね。このつかんでいないということ自体が、私は、これからの米の議論をするときに、本当にそれで、先ほど言ったように担い手のときと同じようなことにまたなるんじゃないか。大臣の議論を私はそれはそれで了としてこれからいろんな形で議論をしようと思います。しかし、それの裏付けのいろいろなものが分からないで議論をしていたらまた同じことになるんですよ。
 この農家負担が今四千四百億円だとする。どのぐらいか分かりません、これまでに払ったものを含めて。あと何年先まで払うのか分からない。これはつまり、形はいろいろ違うかもしれないけれども、さっと考えてみれば田んぼのためにお金を払っているんですよ、水田のために払っているということがほとんど多いんだろうと思うんですよ。それが汎用化とか、いろんなことはあるにせよそのような形になっていて、一方でそれがありながら生産調整をしろとかという話になると、みんなが言うから、やれと言うから畑へ整理をした、機械が入れるようにした、機械も買った。ところが、そういう状態になったら今度はそこで米を作るなという話になった。今度はまた水田フル活用だという話になったけれども、来年以降またどうなるか議論をしなければ分からないというような中で農政に対して皆さん方が不信を抱いてきたんじゃないんですか。だから、これから何かやろうとしても、今議論をしているところに参加をしないで、どうせ何決まろうとその後また変わるんじゃないかというような形に受け取るようなことをずっと積み重ねてきたから、ここで戻るのはしゃくなんですけれども、スイスの卵の話になっちゃうんですよ。スイスはだからそれをきちんとやってきたんですよ。
 大臣、先ほどから、この議論をしようということはいいんですよ。今のこの圃場整備、もっと本当は、ちょっと私、時間の関係でもうこれ以上余りできないかもしれません。今後の計画もあるんですよ。もっと俗っぽく言うと、俗な見方をすれば、農業土木よ永遠にみたいなものが片っ方にあって、農家の負担が永遠に続いて、片っ方で国の方は、これからの農業、世界の中の日本を考えて米政策考えましょう。しかも、それは米粉にしたり何かして今度は分離をしなくちゃいけない、どういうふうになるんだ、お金は幾らになるんだという中で、大臣、議論が続くということになるんですが、どういうお考えですか。
#26
○国務大臣(石破茂君) 実は私は委員と全く同じ問題意識を持っておるのです。これを避けて農政の議論はできないんだということ。
 それは何の議論に関連するかというと、農地とはそも何なのだという議論に行くはずなんです。米政策の議論だけしていてもそれは全く、多くあるパーツの中の一つであって、日本においてなぜ農地はこんなに高いのだということ、何によって価値が付加されたのかということ。そして、土地改良というものは何のために行われ、そこにおいて、施行令においてBバイCを全部計算して出すことになっておるのです。そして、何でその補助の割合がこんなに高くて、私有財産であるにもかかわらず補助の割合が何でこんなに高いのかといえば、それは土地改良を行うことによって効率が上がって、利益は消費者の、納税者のものになるからだと、こういう理屈だったはずですが、本当にそれがそういうふうになっているのか。基盤整備を行われたところは土地の値段というのはひっきょう上がるものであって、それをだれの利益と考えるべきなのかみたいな、実は余り精査されなかった議論をしていかないと、これには答えは出ないのだと実は思っております。
 今、土地改良の負担残のお話をなさいました。これの負担軽減というものはできないかという御要請は常にいただいておるものでございます。それは、今までの理屈からいえばそんなのは駄目ですと、負担軽減に努めますみたいなことになって、平準化とかそういうお話になってくるのですが、土地改良の利益、基盤整備の利益をだれがどのように得たかということは、実は直視して議論していかねばならないことなのだと思っております。
 委員のお言葉を借りれば農業土木よ永遠なれみたいなお話で、それが確かに額は物すごく落ちてきていますが、シェア自体はそんなに変わっていないという実態があるわけです。これを今後どのようにして継続していくかというその挙証責任も我々が負っているのだと思っております。
 この水田というものを基本にしたときに、もう網の目のように張り巡らされた水路というものを維持するためのコストはそれは膨大なものであって、農業土木がもう要らないから切っちゃえという議論に私はくみするものでは全くありません。ただ、これを今後、維持、管理、それからそのほかのものをどうしていくかという議論はさせていただきたいと思っております。その際に是非委員と議論をさせていただきたいのは、本当に基盤整備は何のために行い、だれがそれをいかなるゆえんに基づいて負担するかというお話はもう一度整理しておく必要があると認識をいたしております。
#27
○郡司彰君 私も実は言葉足らずだったかもしれませんけれども、農業土木が必要ないとは思っていないんです。これまでの日本のように平たんなところで悪水を出さないように農業土木のおかげで水田ができるようになったというのは、これはもうこれから日本が世界に持っていって一番喜ばれる技術ではないかなというふうに思っております。
 したがいまして、じゃ、その先ほど言ったように農地というもの、そういうものがどういう形のものなんだ、性格なんだということだろうというふうに思うんですよ。これから農地法の議論もまた始まるかと思いますけれども、確かに私も何年か前に、農業用、非農業用といいますか、いろいろな省庁が使っている国土計画の面積を合わせると日本の面積のかなりの量になるというか、日本の面積よりもちろんかなり多い面積になるんですね。そういうようなことが片っ方であったり、先ほど言ったような、例えば日本の金融の関係が間接金融で土地を担保にお金を貸すような形をずっと片っ方で野放しにしておいて今のような形の農地の転用どうのこうのなんということを本当に議論するだけでいいんだろうかという議論はあります。
 そのことを含めて、大臣にもそうでありますし、審議官といいますか、省全体もそうでありますけれども、この議論はしなくちゃいけないですよ。いずれか何かの結論を出さなければいけないけれども、現場の人たちの話を、感覚をまともに聞いてくれるような関係にまず戻す。そのためには、最初に言いましたように、これまでの真摯な反省から始まってやっていただきたいなということをこの問題ではちょっと言わせていただきたいなと思います。
 時間の関係でちょっと最後の質問に入らせていただきたいと思いますけれども、四つほどいろんな動きが出ているかと思っております。
 一つは、昨年の事故米、汚染米から始まったところの省内の改革チームの関係でございます。それから、総理を本部長にしたいわゆる農政改革チームの関係がありまして、前段の方は三月、それから今のものは六月ぐらいまでにということでありましょうか。それから、基本計画の新しい五か年の話が来年の春ごろまでにということになっているかと思いますし、ちょっと異質かもしれませんが、行政改革推進法の関係でやはり省にも関係がしてくるんだろうというようなことで、いろいろな議論が改革その他という言葉を使いながら進んでいるんだろうというふうに思っております。
 どこがどういうふうに調整をするのか、その後の連関をどうしていくのかということを私自身はよく分からないというのが一つでありますし、最初に決めるところのものが後のことを規定をするような内容まで本当に決められるのだろうかというような思いもございます。
 総じてこの四つの流れ、どのような流れでどのような形で最終的にはどのようなものになろうということの頭の中のお考えでしょうか。
#28
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、これがきちんと整合性が取れなければいけませんし、跛行性があってはならないというふうに考えております。
 おっしゃいますように、いつ何ができるんだということを考えましたときに、一番最初に出てきますのは、農政改革関係閣僚会合、例の六大臣会合、今五大臣になっておりますが、のこの特命チームにおける検討というのは今年の夏前ぐらいには中間の取りまとめ、すなわち農政改革の基本方向に関する中間取りまとめを行うことになります。これが一番早く出てまいります。
 これは総理の御指示で、これは前も答弁申し上げたかもしれませんが、農政改革というのは農水省だけでできるものじゃないと。委員の御議論にもありましたようにお金が出てこなきゃしようがないわけで、あるいは地方との連携が図れなきゃしようがないわけで、あるいは農商工連携でなければこれから先への展開はなかなか難しいわけで、ということで六大臣会合というものをつくっております。これの重さは相当のものだと思っておりまして、ここにおきます中間取りまとめが出てきます。それと並行して、食料・農業・農村政策審議会における検討が進められておりますが、それは二十二年、来年の三月でございます、新たな基本計画が出ますのは。やはりそこは、関連性を持ったもの、先に示されたものにもちろん拘束されるということはございませんが、それと不整合のものが出てくるとは考えにくいことでございます。やはり、そこにおいて農水省というものが取りまとめといいますか議論の整理の役割を果たしますので、不整合ということにはならないと思っております。
 省改革の方でございますが、この省改革は来年の機構それから定員要求を取りまとめます。今年の八月までには大体方向性が出てくるものでございます。これは省内のお話でございますので、その今申し述べました二つときちんと整合するように考えていかねばならない。そして、行革推進法というのはもう平成十八年度から二十二年度までの五年間で七千十人以上の削減ということが決められておるわけで、そういうことを実行するにふさわしい行革に我々の省が対応できるかどうかということだと思っております。
 何かこう、まとまったお話になりませんが、この四つがきちんと整合しなければ農政改革の実は上がらないという認識は強く持っておるところでございます。
#29
○郡司彰君 時期等はよく分かりましたが、それをだれが、どこがまとめるんでしょうか、最終的には。
#30
○国務大臣(石破茂君) 農政改革は、私は農政改革担当大臣でございますが、基本的に内閣として取りまとめるものでございます。内閣の中に元々そういうような機構がございましたが、それを六大臣会合という形で更に詰めたものでございます。これは内閣でございます。省改革は農林水産省、基本計画も農林水産省ということになろうかというふうに考えております。もちろん閣議を経るものもございます。
 ですから、だれがどのようにと言われますと、この人がこのようにということをなかなか申し上げにくい。これは内閣全体であり、これは農林水産省でありということになりますが、最終的には内閣全体ということをお返事せざるを得ないということだと思います。
#31
○郡司彰君 議論が前後するようで恐縮でございますけれども、今年の米三法と言われている法案の中身について今日ほど民主党の部門会議で議論をいたしました。その中でも、例えば基本計画やら改革チームやらというところの話がどうなるかということとまるきり無関係に議論をしていっていいんだろうかと、こういうような意見が出されました。
 もっとありていに俗っぽい話をすると、大臣が言っていることと、農水省というのがどういう実態か分かりませんけど、言っているところがもし違ったりなんかした場合にはどうするんだと、現実にそういうようなことだって出てくるぞと、出てきているぞというような話があったときに、我々は、今、この法案のこれから審議をするときも含めて、どこの議論を一番大事にしなければいけないんですか。どこを、まあ信用するという言い方はおかしいんでありますけれども、どこの発信を重視をして物事の判断をするということが正しいんでありましょうか。
#32
○国務大臣(石破茂君) 別に私がどうのこうのと言うつもりはありませんが、それは農林水産大臣というものは省を代表する立場で物事を申し上げております。いかなることが起こりましても最終的な責任は大臣が負うものでございます。
 私は、委員が何を指しておっしゃっておられるのかにわかに理解できなくて恐縮なんでありますが、例えば公党たる民主党に御説明を申し上げるときに、大臣の言っておることと省が申し上げておることにそごがあるということがかりそめにもあるべきではないと考えておりまして、仮にそういうことがありとせばまた御指摘をいただかねばなりませんが、仮にそういうふうにお思いになることがあるとするならば、それは当省の中のやり方に問題があるというふうに思っております。そういうことがないように努めていかねばなりませんし、当省の中でいろんな法案、例えば今、米三法の例をお出しになりました。
 米三法の内容を私自身よく理解をしておるつもりでございますが、その米三法、少なくとも米三法において省改革あるいは農政改革の議論と抵触するような、そういう内容が議論としてまだ残っているとは承知をいたしておりません。
#33
○郡司彰君 その議論は議論としてちょっとしたいところでございますが、もう時間がありませんので次の機会にまた譲りたいというふうに思いますが。
 この関係で少しお話をさせていただきたいと思いますけれども、分権の関係でいいますと、これ分権という場合に、勝手にそれぞれが頭の中で国のものは削っていこうよ、小さくしていこうよというもし議論があったとすると、その方々の頭の中に、じゃどこにその機能を、権能を移すんだというと、その議論はほとんど統一をされてないで話をするんですね。ある人は県にだろうと、ある人は基礎自治体だろうと、県は要らないのではないかというような議論をする方もおります。
 例えば、農水省そのものはスリムにしなければいけない。ただし、そのことのやっている事務作業そのものはあるいはどこかがやらなければいけないというときに、大臣は、その場合には県というものが頭にあるんですか。例えば基礎自治体というものが頭に置いて県は要らないということに、例えば、国がやっている仕事は残さなければいけないものがある、しかし農水省はスリムにしなければいけない。だとすると、その今国が担っている仕事を県がやろうとするような頭の中のお考えでしょうか、基礎自治体にして県は要らないというふうなお考えに立ちますでしょうか、もしお考えがあれば。
#34
○国務大臣(石破茂君) 基本的に私は都道府県なんだろうと思っております。これを市町村に移したときに、今国がやっておりますことを基礎自治体たる市町村に下ろしたときに、本当にそれが同じように政策目的が実現できるか、政策効果が発現するかと考えたときに、それがカバーしますエリア、あるいは、職員の能力ということは申し上げるつもりは全くございません、マンパワーの余裕としてどうなのだ、受け入れる余裕としてどうなのだということを考えましたときに、私は、やはりイメージとしては基礎自治体ではなくて都道府県が基本になるのではないかと思っております。
 それは、内容として例えば統計というものがございます。きちんとした統計がなければ政策の立てようがないわけでございまして、統計の正確性を担保する場合にどうであろうかと。あるいは、食品の偽装であるとかいろんなことを点検、検査する場合に、一つの県で完結する場合と、あるいは複数県にまたがる場合とございます。そうしますと、人数の問題、あるいは範囲の問題、それを担保し得る自治体としてはどういうようなものであろうかといったときに、私自身、なかなか基礎自治体というイメージが鮮明に浮かび上がってきませんが、もしこういうものは基礎自治体に任せた方がよいというような御示唆があれば、また虚心坦懐に承りたいと存じます。
#35
○郡司彰君 いわゆる政令都市その他の規模になったところを見ると、概して都道府県議会議員の仕事というものが半減以上するわけですね。そういうような規模のところになれば、それはそれで基礎自治体でも十分できるんではないか。逆に、中間の組織が要らないんではないかという議論はあり得るだろうというふうに思っているんです。
 問題は、国がやらなければいけないという仕事をあえて切り離す必要があるかどうかという議論もやっぱり一方ではあるんだろうと思っています。例えば、私どもは、緑の関係、山の関係、森林の関係などは特にこれから更に公というような仕事としてきちんとやっていかなければいけないだろうというような中で、一方的に減らせばいいという議論だけではなくて、改めて全体、国の仕事というものを俯瞰する中でもう一度議論をするということも必要なのではないかなというふうに思っております。
 議論としてはまだしたいところでございますけれども、時間がございませんので、またの機会に大臣と議論をさせていただければと思っております。
 終わります。
#36
○委員長(平野達男君) 先ほど郡司委員から要望のありました土地改良事業の農家負担の実態等々の資料の取扱いにつきましては、後刻理事会で協議をいたします。
#37
○大河原雅子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の大河原雅子でございます。農林水産委員になって初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 私は、長らく生活協同組合の共同購入に参加をしてきまして、そういう意味では生産者とそれから消費者の連携による農業というものに触れてまいりました。ここにいらっしゃる諸先輩方は日本の農政、農業という現場にもお詳しい皆様でございますが、私は消費者の立場からこの農水委員会での活動をさせていただきたいというふうに思っております。その立場から質問させていただくつもりです。
 しかし、まず最初に農地のことについて、実は、一月の二十九日に質問主意書を出させていただきまして、御回答もいただきました。ただ、回答については私は、ちょっと納得はできない、分からないこともありますので、この場でもう一度質問させていただこうと思っております。
 お手元に資料を配付させていただきましたが、質問主意書の様式ですと大変分かりにくいので、ちょっと事務所で分かりやすくまとめたものでございます。
 要は、通常、土地を借りて地代を払っている場合は、固定資産税は地主さんが払う。しかし、農地の場合は、特に国有農地の場合は借りている小作農の方々が負担をしている。国有農地は、将来、小作農の方に売却する予定であるからということで、使用者を所有者とみなして固定資産税を課税しているという御説明なわけなんです。ところが、この農地が市街化区域内にある場合には、この土地を購入したいと小作農の方たちがお申し出になっても、それは難しい。ここで購入の資格があるのは旧地主、元の所有者だけだということなんですね。
 それで、実際に国有農地を借りてそこで農作をしていらっしゃる方たち、それが市街化区域内であるということで、もう購入することができないにもかかわらず賃借料の負担以外に固定資産税を徴収されているというのはやっぱりおかしいんじゃないかと思うんですが、今日は総務省からおいでいただいていますので、そこの点を御説明、もう一度していただきたいと思います。
#38
○委員長(平野達男君) 総務省。
#39
○大河原雅子君 はい。
#40
○政府参考人(高橋博君) ちょっと先に事実関係を。
#41
○大河原雅子君 そうですか、はい。
#42
○委員長(平野達男君) 高橋経営局長。
#43
○政府参考人(高橋博君) お尋ねの国有農地でございますけれども、これは御承知のとおり、戦後行われました農地改革、旧の地主から小作地を強制的に国が買収をいたしまして、当時の小作農に売渡しを行い、自作農創設をしてきたというところにまず当初の発端がございます。
 今委員御指摘のこの国有農地の貸付けでございますけれども、これは当時、国が買収をいたしまして、これを小作農に売り渡そうとしたわけでございますけれども、当該小作農の方から、これを買う意思が示されなかった、買いたくはございませんというもの。それからもう一つは、非常に零細でございまして、自作農の創設といっても、これを売り渡してもその農業を続けることがなかなか難しい、したがって、これを売り渡さないままに、当時から貸付けが行われているのがこの国有農地の貸付けでございます。したがいまして、その後、新たにこのような小作地を国との関係で結んだというものではまずございません。これがまず第一点でございます。
 このように、国有農地、先ほど委員から御指摘がございましたけれども、基本的には国が買収をいたしまして小作農に売り渡す予定でございますので、当然、将来の所有権者である小作農に国が中間的に持っている段階から固定資産税を払うということがあったわけでございますけれども、御承知のとおり、市街化区域につきましては、ここの国有農地について、既に市街地を形成している、あるいはおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であるということから、小作地の所有制限、これは農地法の中にもう一つございますが、小作地というのは所有制限が掛かっております。不在村の場合の地主の場合には、小作地については原則国が買収をするというような規定がございます。このような国の買収あるいは強制買収、あるいは小作地の所有制限自体もこのような市街化区域の土地には掛かっておりません。要は、ここの農地を小作で持っていてもこれは買収されないというようなこともございます。
 それから、さらにもう一点、実はこのような農地については転用を行う際に許可が不要になっております。届出さえすれば許可を取ることは必要ないというようなことでございまして、結論といたしまして、国が売渡しを行った場合、直後にこれを転用することもこれは認められているというような土地でございます。
 したがいまして、自作農の創設あるいは土地の農業上の利用の増進に目さないということから、原則は確かに委員御指摘のとおり小作の方々に売り渡すものになっておりますけれども、旧の、強制買収をされた地主さんとのいわゆる公平ということを参酌いたしまして、この市街化区域の土地については、国が買収する前の所有者又は一般承継人に売り払うということになっているわけでございます。ただし、このような旧所有者が買受けを希望しない場合には、一般競争入札でこれを売り払うことも可能でございまして、その際には小作農も当然のことながら参加することはできるということになっております。
 さらにもう一点、実はこのような六十数年前に買収をした後から続いております小作関係でございますけれども、農地法の、現行農地法の三条二項によりまして、小作地の所有権を移転する、だれかに貸している小作地を所有権移転する場合には、当然に小作農、当該小作農の同意が必要になっております。その方が同意をしなければ売買ができないということになっております。また、小作の方々が同意をした場合でありましても、登記をしていなくてもこれは所有者に対抗ができる、いわゆる地位の保全が行われているというようなこともございます。
 さらに、実はこれは六十数年前から続いているわけでございますけれども、国がこの小作地についての貸付契約は一年で行っておりましたけれども、これは毎年、農地法の十九条で法定更新がなされておりまして、これは将来にわたっても法定更新が続くということになっております。さらに、小作地を解約しようとする場合には都道府県知事の許可が必要でございますし、合意解約もこういった許可がなければできないということになっております。このように、小作農の賃借権については相当程度保護されておりまして、農地として使っている限りにおいてはこれはもう解約することができないということになります。
 さらに、もう一つございまして、この農耕貸付けにおけます賃借権は、民法の八百九十六条によりまして、当該小作農の相続人に包括承継されるというようなことになっています。
 そういうことで、小作農の農業上の利用については十全の保護がなされておりまして、農耕貸付けについて小作農が自ら解約の申出を行わない限りは、基本的に将来に向かって永続的に継続をいたします。確実に農業として使う部分については利用が確保されていると、これが前提でございます。
#44
○委員長(平野達男君) 委員の質問は、利用権設定、小作人で利用権設定してますね、それが固定資産税を払うのはおかしいのではないかという質問だと理解していますけれども、総務省の佐藤審議官、どうでしょう。
#45
○政府参考人(佐藤文俊君) 御指摘の農地法に基づいて国が買収した土地でございますが、その所有権はいったん国に移転をいたします。その後に耕作者などに売り渡されることが予定されているという制度になっております。
 その場合、この規定は固定資産税の所有者課税の原則の例外を定めております。これは、所有権が国にある場合でも、土地の使用の実態や課税の公平性の観点から考えました場合には、当該土地を使用収益する者がある場合には、その使用者を所有者とみなして税負担を求めることが合理的であるという考え方に基づくものでございます。
#46
○大河原雅子君 一点確認をさせていただきたいんですが、ごめんなさい、高橋局長です。
 旧地主の方が買い戻すときは、買い戻した後、農地として使わなくてもよろしいんですか。
#47
○政府参考人(高橋博君) 市街化区域の場合につきましては、先ほど申し上げましたように、一応、第一義的には旧地主に売り渡す形、売り払う形になります。この売払い、それから旧地主がこの買受けを希望しなかった場合には競争入札、この場合には小作農も入りますが、すべての売払いにおいて取得した後の農地については、届出をすれば転用は許可が不要でございます。
#48
○大河原雅子君 本当に難しいなと思うんです。
 私、東京の選挙区なものですから、東京で都市農業を守っていきたい、農業の、農あるまちづくりというのを進めたいというふうに思っておりまして、今御説明がありましたように、大変古い法律で、小作農という言葉が出てきたこと自体私には、御回答をいただいたときに驚きました。
 それで、営農している小作農の皆さんは、市街化区域内でしたらもう永久に農地を購入する権利がないわけなんですよね。それでもそこで営農していきたいというのに、固定資産税はしっかりと見込み所有という形で負担をさせられている。一方、旧地主の方は、それから先は営農しなくても土地を買い戻すことができる。こういう状態にあるということが、ざっと説明すれば私が感じる矛盾はその点なんです。
 それで、この状況は本当に今すぐどうこうできないというふうにおっしゃると思うんですが、市街化区域内の国有農地を小作農の方々に売却できない以上、この固定資産税の課税方針は私は撤廃すべきじゃないか。都市農業の振興や都市における農地の多面的な機能に注目して町の中に農地を維持していこうというふうに思えば、この旧地主の権利も撤廃して恒久的な国有方針を打ち出してもいい。都市計画の改定もありますので、そういうときにはしっかりと議論をさせていただいて、この問題、私は、もう六十何年たっているわけですから解決をしなきゃいけないというふうに思っております。
 石破大臣には、こういう状況もあるということ、町の問題だとは思いますが、是非知っていただいて、これから先に農地法の改正議論がございますので、その中でも是非取り上げさせていただければというふうに思います。
 それでは、本題に入らせていただきたいんですが、大臣所信を読ませていただきまして、大臣所信の中で、日本の農業が危機的状況にあるということをおっしゃっておられます。大臣が認識されている日本農業の危機というのは簡単にどのようなことを考えていらっしゃるのか、お答えくださいませ。
#49
○国務大臣(石破茂君) 郡司委員のお答えと重複したら恐縮でございます。
 要は、人、金、物。収入、これが金です。それから高齢化、高齢化自体が悪いと私は言っているのではありません。その後の世代が出てこないことが問題なのですが、この人。そして、農地がどんどん転用されている、耕作放棄地がどんどん増えている、これが物でございます。人、金、物、三つの長期低落傾向が全く止まらなくて、ここから先、一体どういう展開があるのか。よほどいろいろなことで政策を打ちませんと、これは反転しない。人、金、物、すべての面において私は相当の危機感を持っておるものでございます。
#50
○大河原雅子君 この大臣所信の中に当面の課題というふうに書いてあります。六つあるというふうに述べられておりまして、ただ、前半読んでみて非常にここが知りたいのにということがあったのは、その前の行に、見直しが必要なものについては思い切った改革を行うことが絶対に必要であると私は固く信じると。これから先の六点について改革をしていくけれども、抜本的に、今置かれている日本の状況というものについては肯定的ではないということですよね。
 ということは、例えばその第一に、およそ独立国家において農業を持続的に発展させ云々と書いてありまして、我が国は世界最大の食料純輸入国であり、カロリーベースの自給は主要先進国中最低水準にありますと。独立国だから、食料自給の強化と食料自給率の向上を図ることは国家安全保障の観点からも大事であり、その前には、世界に責任を負うべき国家として世界全体の食料需給の安定化に寄与すると書いてあるんです。
 でも、私は、これは随分、何というんでしょうか、衣を付けた言い方だなと思います。これは、我が国は世界最大の純輸入国ということは、世界で一番世界に依存をしている国ということだと思うんですが、この日本の置かれている現状、日本は一体、先進国なんでしょうか、途上国なんでしょうか、どちらでしょうか。
#51
○国務大臣(石破茂君) WTO上の位置付けは当然先進国ということになっております。このWTO上の位置付けというものは、またいろんな議論のあるところでありまして、例えば大韓民国は途上国と位置付けられておりますし、その辺は一体どうなんだという議論はございますが、我が国は先進国に位置付けられているものでございます。
 ですから、先進国中の食料自給率が最低であると。ここの自給率の議論は、できれば一回機会を見て議論をしたいと思うのですが、カロリーベースがその必ずしも絶対的な尺度だとは考えておりません。しかしながら、食料安全保障という観点で見ましたときに、重量ベースですとか金額ベースですとかそういう尺度を用いますと、やはり食料安全保障という議論から少し離れてくるのかなと思っておりまして、カロリーベースを用いておるものでございます。それが先進国中最低水準、そして先進国中最大の純輸入国である。
 そして、委員御指摘の世界に向けてどうするんだということは、私の問題意識として、所信の中で申し上げましたが、六十五億人地球に人がいる中で、九億人が栄養不良状態にあると、一日に二万四千人が餓死をしておると。そういう状況にあって、日本は六割を外国に依存をしている。しかしながら、他方において遊休農地はこれだけたくさんあってと。こういうことをどう考えますかということは、国民ひとしく我が胸に手を当てて問うてみるべきことであろうと私は思います。
#52
○大河原雅子君 国民ひとしく我が胸にというふうに問うてきたからこそ私は今ここにいると思いますけれども。
 私は、大臣、WTOの議員会議というのにも昨年の秋行かせていただきました。国家間交渉ですから、なかなか具体的な方針がどのようにせめぎ合ってあの場に出されているのかというのは、私、野党におりますので、なかなか見えてまいりません。
 でも、あそこの場の雰囲気というのは肌で感じましたが、G10、純食料輸入国の、十か国の中にあっても、さっきスイスの話が出ましたけれども、やはり日本というのは、今、先進国だとおっしゃった。工業製品の生産国としては私は先進国だと思います。でも、重量ベースでいってもカロリーベースでいっても自給率四〇%という国は、それはもう先進国中最低どころか、世界百七十四か国中百二十四位でしたか、穀物のベースでいったら。穀物ベースが二八%しか自給率ない。途上国の中でも下の方じゃないんでしょうか。いかがですか、大臣。
#53
○国務大臣(石破茂君) 数字的な位置付けは委員のおっしゃるとおりかと思います。正確にそのとおりですとお答えするだけの資料を持っておりませんが、そういうようなデータを出しておりますし、そういうような答弁をしたような記憶もございます。もし違っておりましたら後ほど訂正をさせていただきたいと思います。
 そこで、問題は、食料安全保障という概念を持ち出しましたときに、どの水準の食生活が維持されるべきなのかという議論はやはりしておかねばならないものだと思っております。これは、かつて私は衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会でも示したことがあるのかもしれませんが、今の日本で自給率一〇〇%の暮らしを仮にしようと思えばという仮定のお話をしたことがございます。
 そのときは、主食はもう米ではございません。エネルギー効率から申しまして、米は主食たり得ません。そのときはサツマイモが主食になるのでございます。そして、朝はお茶わん軽く御飯一杯、粉吹き芋が三つか四つ、あとはお浸し。で、お昼も似たようなもので、お昼は御飯が出ません。夜は御飯とサツマイモとあとは魚の切り身みたいなことではなかったかと記憶をしておりますが、本当に食料を安全保障と考えますときはぎりぎりそういう話になるのだろうと思っております。
 そして、それは、学校の校庭もあるいはゴルフ場も耕作可能なところは全部耕作をしてという場合のお話でございます。一、二の三ですぐできるというものではございません、かなり荒唐無稽な話でございますが、仮にやるとすればというお話なのでございます。
 何を維持するかという議論も実はちゃんとしておかねばならないことではないかなというふうに考えておるものでございます。
#54
○大河原雅子君 大臣の口から食料安全保障という言葉が出てきたので、今おっしゃったことというのは、私やっぱり違うなと思うんです。
 穀物の自給率二八%、それは米、一〇〇%自給をしている米も入っての数字ですよね。ですから、実際には日本が輸入をしている穀物を他の国から輸入できなくなれば、今大臣がおっしゃったようなことがまさしく起こる。そのときに一〇〇%を目指すというよりも、今はたかだか五〇%を目指していると、でも、今現実の日本は大量の食料を輸入をして三分の一は捨てていると。本当に今日本人の食卓に上らせる食料でどれだけのものが必要なのかというそういうシミュレーションはなさっているんでしょうか。米、穀物、それから野菜、果物のたぐい、これだけを目標にして自給を高めていこうよというものが言わばグランドデザインですけど、それはおありなんでしょうか。
#55
○国務大臣(石破茂君) それはもちろん、五〇%を目指すと申しますからには、五〇%を目指そうとすれば米はこうなり畜産はこうなり果樹はこうなりというシミュレーションは当然いたしておるものでございます。
 例えて言いますと、お茶わん一杯余計に食べますと自給率は八%上がるのでございます。それは私だけが食べても駄目なのでありまして、国民みんなが食べての話ですが、仮にお茶わん一杯、一ぜんと申し上げてもよろしいが、食べると八%上がると。朝昼晩食べていただければ八掛ける三で二四%上がると、そういう計算は可能なことは可能なのです。
 ただし、先ほど申し上げたサツマイモ主体の食生活にして一〇〇%に近づきました、めでたしめでたしという話には多分ならないのだろう。ですから、どの水準の食生活を維持するか、そしてそのときに一〇〇%ということを申し上げますとこれは正直言って不可能でございます、できません。そこまで耕地はございません、農用地はございません。そうしますと、そういう荒唐無稽なことを言っても仕方がないのであって、どの程度の水準を維持するかでございます。
 そして、食料安全保障ということを申し上げますときに、自給と輸入と備蓄のバランスをどう取っていくかというお話、それを併せて議論をしていきたいなと私は思っておるものでございます。
#56
○大河原雅子君 荒唐無稽かどうか、食料安全保障ということで、これ軍事で御専門だと思いますけど、五〇%の安全性を確認するなんというのはとても安全保障とは言えませんよね。
 例えば今地産地消と言っています。そして、この食料安全保障を語るときには、やはり食料主権、その国民が必要なものを、食料生産を最優先して、国はそれが満遍に行き渡るように努力をしている、実効性ある、また輸入規制とか価格の保障とか、そういうことをしていくという食料主権というものが私は大事になってきているというふうに思いますが、大臣は食料主権ということについてはどうお考えでしょうか。
#57
○国務大臣(石破茂君) 別にここで軍事論をするつもりは私は全くないのであります。ないのでありますが、それでは、自国ですべて防衛をするのだというような話が実際に可能かといえば、そんな力を持っているのは世界でアメリカ合衆国しかないだろうということでありますし、どの国もそんなことをやろうとすれば財政的にみんな破綻をしてしまうだろうということは私、考えておるものでございます。
 そこで、お話が元へ戻りますが、どの水準でやるか、あるいは食料主権というものについてどう考えるかです。この人に対する評価はともかくとして、この間退任されたブッシュ大統領が何度か演説の中で、食料自給ができない国というのは考えられるかと、そのようなものは独立国家とは言わないのだと、大意そのような演説をされたのを私何度か耳にしたことがございます。
 それはそうなのでしょうが、他方、先ほど郡司委員との議論の中でも出ましたが、例えば自動車造れないと、コンピューター作れないと。しかしながら、農産品しか輸出するものがないという国、この生存は一体だれがどうするのだということを考えたときに、私は全面的な国際分業論に立つものでは全くありませんが、やはり日本はそういう国から食料を買う、そしてその国の人たちの生活というものが成り立つようにする、そのこと自体が自己目的ではありませんが。そして、その国が豊かになり、日本の工業製品なり、あるいはレベルの高い農産品なり買ってもらう。
 私は、貿易というものとそれから食料自給論、食料主権論、ここのところは、私はきれいに分かれるものではなくて、基本的にそれを、主権という言葉を使うかどうかは別として、国民がいざというときに生存できるような、そういう仕組みは整えておくべきなのだろうと思います。それは、自給を基本としながらも、適切な輸入、そして適切な備蓄、これを組み合わせることによって実現をするのだと思っておりまして、常に、ただそういうのが断ち切られたときに、輸入が本当になくなっちゃいましたということがどれぐらいの確率で起こるかは別として、そのときにどれぐらいの期間持ちこたえられるかという議論もしておかねばならないと思っております。
#58
○大河原雅子君 ですから、適切な輸入とか備蓄とかということもあるんですが、適切に自給をできるような国にしてきたかということが問われていると思うんです。今、国際分業論には全面的に立っているわけではないとおっしゃったけれども、やっぱり日本が外需によって支えられて、支えられ過ぎた国だから今こうなっているわけで、その結果、私は日本の農政というのは、お金を出して野菜や食べ物は外から買ってくればいいと、狭い国土で高い土地で、そんなところにニンジン、ジャガイモを作っている必要はないんだという、そういう考え方がやっぱり主流になってきたからこそ、その考え方がリードしてきたからこそ、こんなふうに自給の力のない国になってきている。
 そして、消費者の視点から言わせていただければ、流通している食べ物、私は食べ物は安全で当たり前ということを実現したいと思ってきておりますけれども、食べ物は安全で当たり前、国家が保障をしている、検査もしているじゃないかということで安心していたはずのものが安心できないもの、現実が出ているということを考えれば、やっぱりここでは、私は、日本の経済大国世界第二位というこの名誉ある地位を、農業分野でどういうふうに尊敬される国、まずは独立国としてというその資格の一〇〇%の自給というのをどこまで追求できるかのシミュレーションは是非しなきゃいけないんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
#59
○国務大臣(石破茂君) 日本は自給率が一番高かったのは昭和三十年代の半ばから少し後半にかけてではなかったかと思っております。そこが自給率が一番高かったはずでございます、戦後。それがなぜ急激に下がったかといえば、それは委員御高承のとおりで、お米の消費量が半分に減りました。それに代わって、肉類あるいは油脂類がカロリー供給を占めるようになり、そしてそのえさを外国から輸入をしてきたので自給率が下がったと、こういう関係にございます。
 先ほど申し上げたように、例えば皆様が一日三ぜん、朝昼晩一ぜんずつ食べていただければ、それだけでカロリーベースの自給率は六四に上がるわけですね。六四って相当立派なものでございますよ。あとは、国産の大豆で作ったお豆腐を月に五丁食べていただくとか、国産小麦で作ったうどんを月に三玉でしたか四玉でしたか食べていただく、それだけでも相当自給率は上がっていくわけで。
 私、自給率の議論というよりも、自給率は大事です、大事ですけれども、自給率って、例えば国民の食生活が物すごく貧しくなると自給率は上がることになっているわけです。国民の食生活が貧しくなって自給率が上がって政策目標を達成できた、めでたしめでたしと。これは相当に倒錯した世界のお話でございまして、それは変だろうと。やはり基本となる、冒頭の議論にありましたように、農地、農業者そして農業所得、この三つをきちんと確保をし、その三つが確保された結果として自給率が確保されるのではないだろうか。その二つはよく連携をしながら議論をしていかねばならぬことであって、自給率唯一絶対ということではないのだと、政策の組立て方というのはそういうものだと思っております。
#60
○大河原雅子君 私も自給率至上主義ではないんです。ここの、大臣が所信でおっしゃっているように、日本の自給力は強めたいと、そこはもうすべての分野で追求を、分野というのは農業の中で、農林水産業の中でしていくべきことだというふうに思っているわけです。
 それで、先ほど郡司議員への回答の中に、日本は農業者に対する保護政策、予算、お金の使い方についても他国に比べてそんなに高いわけじゃないんだということがございました。例えばWTOで、何というんですか、あれは合意されているというんでしょうか、各国が、額、枠があると思うんですが、その場合、日本はそういう保護主義だというふうに批判を受けないで済む限度額、補助金の限度額というのは幾らなんでしょうか。
#61
○委員長(平野達男君) AMSのことですか。
#62
○大河原雅子君 AMS。
#63
○委員長(平野達男君) 大臣、答えていただけますか。
#64
○国務大臣(石破茂君) 済みません。数字のお尋ねでございますので、ごめんなさい、この質疑中に出してお答えをしたいと思います。
 なお、ただ、AMSの数字はお答えできます。そして、多分黄色の政策の範囲内であればみたいな議論もまたあるのだろうと思っております。そこは私どもとしてWTOのルールを丁寧に御説明をしながら議論をさせていただきたいと考えております。
 委員おっしゃいますように、日本の保護水準は決して高いわけではございません。ただ、例えて言えば、コンニャクイモみたいに高いものを持っておりますとそういうことが御指摘をいただくことがありますが、AMSの約束水準で申しますと、日本の場合には約束水準が三兆九千七百二十九億円ということに相なっておるものでございます。
#65
○大河原雅子君 三兆円以上使える、使えるという言い方は変ですけれども、私はWTOの自由貿易の場というものも問題をたくさんはらんでいる場所だというふうに思っていて、そういうところで各国が自国の農業を守りながらせめぎ合っているということは、日本も同等に日本の農業を守ってその姿勢をしっかりと見せていくべきだというふうに思う立場でございます。
 私は、農業にそうやって補助金がたくさん付いているじゃないかというのがいわゆる一般的な日本人の感覚、消費者の感覚かとも思うんですが、あれだけ付けてきたのに何でこんなぼろぼろな状態なのというのが実は、不思議な、庶民の感覚、消費者の感覚だと思うんです。だから、その中で、生産者と国とがやり取りをしてきた、この国の農政をつないできたということの中に、私はもう一つ、情報公開、特に国民、消費者に対する目線というのが足りなかったんじゃないかなというものも思っているわけなんですが、その点はいかがでしょうか。日本の農政における消費者の位置付けというのを大臣に伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(石破茂君) それは、私どもとして痛切に反省をいたしておるところでございます。
 流通業者さんあるいは小売屋さん、そこまではあったんですが、その先におられる消費者というものを念頭に置きつつ行政をしてきたかといえば、決してそうではなかったと。それはBSEであり、あるいは事故米、汚染米でありということだと思っております。
 やはり、農林水産省というのは生産者に基盤を置いてきたというところは否めない事実だと思っております。食品の安全性とかそういうことは厚生労働省でしょうっていうようなところがございまして、そこはやはり私どもが食の安全、安心、安全と安心はまた違う概念でございますが、食の安全、安心に責任を持つ官庁は農林水産省であると、そういう意識を省内に徹底をさせ、そして消費・安全局という局もございますが、消費・安全局のみならず、省を挙げて消費者の安全、安心の確保、そして消費者の利益の実現、そしてできれば消費者そして生産者がどちらも利益を得るような、そういうような関係の構築ができないものかということに配意をしていきたいと思っております。
#67
○大河原雅子君 大臣所信の中でも消費者という言葉はやっと三番目に、第三にというところにたしか出てきたと思うんですけれども、食の安全と消費者の信頼の確保。ほかの行政分野でいうと消費者の権利ということがしっかりとうたわれるんですけれども、この第三の中には消費者の信頼止まりなんですね。大臣、その点はどのようにお考えでしょう。
#68
○国務大臣(石破茂君) そこはまた消費者庁の議論でいろんなお話が出るのだろうと思っておりますが、私自身、消費者の方々の権利ということを考えましたときに、例えば、また当委員会で御審議を賜りますが、トレーサビリティー法案というのを出してまいります。米について消費者の方々に適切な情報を提供する義務が私どもにはございます。生産者そして流通、小売にかかわる方、そういう義務を課します。その裏返しは、やはり消費者のそういう適切な情報に接する権利ということだと思っております。これは、権利という形で一つ一つ構築するというのはかなり難しい作業だと思っておりますが、その消費者の立場が、権利というものを法的に保護されるものという概念でとらえましたときに、これから先そういうものは更に拡大をしていくだろうと認識はいたしております。
#69
○大河原雅子君 消費者の権利、今、韓国などの法律の中にも八つ認められております。
 事食べ物の分野でいえば、そういう意味では情報公開がなかなか進まない。それから、例えば食の安全という政策を作るときにも消費者の参加というものは当初から保障をされていない。そういうことがこれまであったと思うんです。やはり、この場面での消費者の権利、まあ行動する消費者という、お客さんじゃないということを私、簡単には申し上げたいと思うんですけれども、先ほどスイスの卵の話があったんで、私も言葉に実は反応をいたしました。
 スイスで売っている一個六十円の卵、去年のそのWTO議員会議のときに、実は私、長年スイスに行ったらミグロという生協に行ってみたいということで見せていただいたんですが、スイス小さい国ですから、そこは元々は会社、企業でございましたけれども、生協に転換したという大変珍しいところです。でもスイスに行けばもうミグロしか店はないというぐらいに、Mという字が続いていて、大きな大店舗はMが三つ続くというようなところで、みんなそこで買物をしている。そこでは、やはり生協の原則で、共に経営をする、情報公開がされていて、そして買い続ける、持続的な生産を保障していく、そういうコンセプトがあるわけですね。そういう中で、スイスで一個六十円の卵が、国内でこういう生産者が作りこういう中身だということが、生産者がしっかり選び取ると、こういうことが実現をしているわけであります。日本でもそれ始まりましたよね。去年の六月に、この委員会で庄内の遊佐に視察に行っていらっしゃるんですが、この飼料米のプロジェクト、大臣これ、優秀賞で賞もいただいているんですが、このプロジェクトの成功した秘訣は何だったとお考えでしょうか。
#70
○国務大臣(石破茂君) 平田牧場のお話ですね。
 それは、消費者の視点がきちんと入ったということではないでしょうか。それが、飼料米プロジェクトというものを進めていくときに、それは作るのはいいんですが、それがどうやって畜産の側に渡り、そしてそれがどうやって消費者に情報が伝わるかという一連の流れでなければ、飼料米だけ作っても意味がないということではなかったかと記憶いたしております。
#71
○大河原雅子君 そうなんです。私、その今日資料をお手元にお届けしていると思うんですが、ここに絵がございます。見ていただくと分かりますが、平田牧場から豚を育てている、減反で作られている飼料米がその豚に食べさせられていると。非常に大きな循環の農業が行われていると同時に、最終的に組合員、生活協同組合の組合員が食べ続けた、支え続けた、実験段階からこのプロジェクトを、購入をすることで支えてきたんです。
 つまり、農業というのは、買う人がいて、農産物でき上がったものを買う人がいて初めて成り立っていくんじゃないんでしょうか。大臣、どうお考えですか。
#72
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりでございます。買う人がいて初めて成り立つものでございます。ですから、そこの距離をどうやって縮めるかということが大きな政策課題だと認識をいたしております。
#73
○大河原雅子君 これから飼料米のプロジェクトというか、飼料米については、日本全国でこの試み、政府もたくさん予算を付けました。これが広がるということを期待するわけですが、そのときに必ず必要なのが、このえさ米を使ってくれる養豚業者だったり畜農家ですよね。そしてそれを食べてくれる、コストが少し高くなるかもしれないけれども、その肉を食べてくれる消費者です。
 ですから、その点では消費者が何を求めているか、どういうものを作れば日本の農業が再生できるのかということはおのずと明らかになるんだと思うんですが、いかがですか。
#74
○国務大臣(石破茂君) できたものをどう売るかではないと。売れるものをどう作るかだということが大事なことだと思っているのですね。
 消費者の方々の嗜好というもの、いろんな御嗜好がおありかと存じますが、やはりきちんとした方法で飼育、肥育されたものを食べたいなという、こういう消費者の嗜好があるとします。それにどうこたえるかということであり、そして消費者の反応というものはきちんと伝わるということが大事なんだろうと思っております。
 買ってくれる人がいて初めて成り立つ、そのとおりでございます。その買ってくれる方々の嗜好というものがきちんと反映されるような、そういうようなシステムというものを構築をしていくということが極めて重要だと思っております。
#75
○大河原雅子君 ギョーザ事件やミートホープの問題や、流通している食べ物についての不信というのはなかなか払拭されません。食べ物が安全で当たり前というこのことが、私は、現実にこの日本の国で一生懸命生産現場でやっている、それが通じていかないのは残念だと思います。
 そういう農業の中には、新しい技術というものもあって、例えばクローン牛だとか、つい最近、体細胞クローン牛、食品安全委員会が報告書を出したりしております。それから、遺伝子組換え作物、自然界では絶対にあり得ない遺伝子の交換が、入れ込みが行われる。そして、どうでしょうか、原子力委員会からは、食品に照射をする、平和利用だからこれを進められないかというふうに農水省にも声が掛かっているということでございますよね。
 国民が安心できる食べ物を提供し、生産者に安心して作り続けてもらうために、農水大臣として、日本で作る食べ物についての国民へ向けての安全性を確認するメッセージをいただけないでしょうか。
#76
○国務大臣(石破茂君) やはり、私は、当然委員もそんな御認識をお持ちだとは夢さら思っておりません。ただ、一時期、外国産品排斥みたいな、外国のものはいかぬのだみたいな、そういう運動になるのは余りいいことだとは思っておりません。外国の生産者の中にも一生懸命、良心的に作っておられる方がいることは私どもはよく認識をしなければいけないことだと思っております。
 そのことを前提にして申し上げれば、見えるところで作っているというのはやはり信頼感であり緊張感なんだと私は思っております。そして、トレーサビリティーを、今回は米について出しておりますが、将来的にEUも参考にしながらどうするんだという議論はまた委員会でさせていただきたいと思いますけれども、やはりお互いに可視化といいますか、見える状況にあること、そしてそれが信頼を担保するに足る仕組みがつくられること、これが大事なんだと思っております。それが一点。
 もう一つは、今クローン牛とか遺伝子組換えについてお話がございました。そこは消費者の安心、科学的な知見と同時に消費者の安心というものを担保をされなければ、幾ら数字で大丈夫ですよといっても、それが流通するようなことがあってはならないのだと思っております。そこは消費者の方々も入ったそういう議論の場できちんと議論をして、農林水産省として厚生労働省と協議をしながら、消費者の信頼が得られないものについては流通することがないようによく配意をしていきたいと考えております。
#77
○大河原雅子君 消費者の安心に資する、そういう対応をしてくださるということなんですが、まあ当然のことです。疑わしいものは使わないという未然防止、それから予防原則、こういったものはもう世界的にもきちんと確立をされなければならないものです。そういう意味では、日本の農政、消費者が位置付けられてこなかったことをもってしても、私は大きく変えていかなければならないんだろうと思います。
 そして、安全性の議論も、この中に科学性を重視するというようなことが書いてありました。食べ物で科学的に証明されて駄目だったとなったときにはもう命の問題ですから遅いんです。ですから、その点は、やっぱり疑わしいものは使わない、しっかりとその点は心得て、農政全般にそのことを行き渡らせていただきたい。
 それから、農政の今後の改革の方向ですけれども、最後に伺いたいと思います。
 石破大臣はやはり冒頭で日本の農業は危機だとおっしゃった。そして、その中に私たちの農業、高齢化もあります、担い手問題もある、実際に耕作放棄地が膨大な広さになっていることもあります。そういったことも含めて、また消費者問題も含めて、私はこれまでの農政を、誤りをやっぱりきっちり正していくということが必要だと思っているわけなんですが、今後の改革の方向性、それから現在検証をしている内容、最後に伺って終わりにしたいと思います。
#78
○国務大臣(石破茂君) これは、あらゆることについて人、金、物の観点から検討しておりますので、改革の内容、検討項目を一々申し上げるとかえって時間を食ってしまうかなと思います。また機会を得て御説明をしたいと思っております。
 私は、誤りというふうにおっしゃいました。今まで都市と農村ってうまく共存をしてきたと私は思っているんです。都市も栄えた、農村もある意味栄えたという言い方はいけないのかもしれませんが、所得という意味においては、日本は世界でも有数の都市と農村との均衡をつくってきたと思っているのです。それがこれから先どうなっていくだろうか。本当に都市の方々、消費者の方々、納税者の方々の御理解を得るための努力をどれだけするだろうかというのが私は改革のポイントだと思っているのです。
 私も長く衆議院の農林水産委員会に籍を置いてまいりました。そこで消費者の立場に立って委員として御議論をいただいたというのは私自身にとっては初めての経験なんでございます。もちろん、ほかにもいらっしゃったかもしれません、私が知らないだけのことで。
 消費者の立場で本当に農政、どうあるべきか、価格はどうあるべきかということ、その議論というのが本当に委員会で行われるようになったというのは、私自身の体験からすれば物すごく画期的なことなんでございます。消費者の側から農政、どうあるべきかという議論が今までこの国に余りになかったのではないだろうか。そこの消費者の視点を入れた、私どもも政策決定の過程に消費者の視点というものを入れてまいります。我々が政策を決定するときに必ず参考に御意見を聴くということではなくて、消費者の意向がきちんと反映されるような農業政策をつくってまいります。いろんな問題を解決するキーはまさしくそこにあるのではないだろうか。
 最後に一つ申し上げれば、日本から農業が、農村がなくなって一番困るのはだれだろうかといえば、それは都市の方々ではないかと思っているのです。私の母親が戦後、タケノコ生活というのをいたしておりました。空襲で家もみんな焼かれて、わずかに残った着物とかそういうものを売って、茨城ですとか千葉ですとか、そういうところへ行ってお米を分けてもらったというような話を私、子供のころ聞いたことがございます。
 本当に都市が得するとか農村が得するとかそんな話ではなくて、本当に農村問題は都市の問題でもあると、そういう御理解を委員はいただいていると思います。それを私どもの方ももっとちゃんと情報発信をしながら、国民みんなが共通認識に基づいて農業を支える、農村を支える、そういうような農政を展開することが肝要だと認識をいたしております。
#79
○大河原雅子君 農政からこの国を変えていくのは、私は今、我が党民主党だと思っておりますので、競わせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#80
○亀井亜紀子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の亀井亜紀子でございます。
 日本の農政が危機的な状況にあるということは与野党共通の認識だと思いますので、一体何がいけないのだろうかということについて、私は今日、流通制度、それから担い手の育成、農地の確保、この三点から農業と漁業について質問をさせていただきます。
 まず初めに、私は流通制度について考えてみたいと思います。
 日本の農政というのは長いこと生産者は生産だけしていればいいと、作ったものは農産物であれば農協、鮮魚であれば市場に出せばその後は売ってあげますよと、そういう制度であると思います。そして、その枠から外れようとするとなかなか圧力があって苦労をするということを現場で聞いております。
 今、一次産業の従事者が高齢化する中で新規担い手の人を一生懸命取り込もうとしているわけですけれども、彼らはやはり若者、インターネット世代ですから、そもそももう考え方がちょっと違うんですね。つまり、生産調整に参加してくださいといって素直に農協に作ったものを納めるような考え方の持ち主ではないんですね。ですから、最近、六次産業という言葉が出てきているようですけれども、生産から販売まで全部やりますと。一掛ける二掛ける三で、一次産業、二次産業、三次産業掛けて六次産業なんだと。それを全部プロデュースして、農業をビジネスとして成り立たせるようにするというその発想で新規就農してきているので、今担い手がいるところ、私は農村地帯を地盤にしている議員ですので、事例はたくさんあるんですけれども、まず物すごく世代間ギャップが起きています。
 それで、流通に対してですけれども、私は、やはり地元の若者の意見を聞いてみても、例えば、お米は全量農協へと、全量共販、この看板を見ているとすごくおかしいと思うと。これはつまり何を言っているかというと、あなた経営努力しなくてもいいよと、持ってきさえすればそこから先は売ってあげるから売る心配しなくていいよ、いやあなたは売っちゃいけないよと、あなたがもし自分で売ったら村八分にするよと、そう言っているようなものだと。それを法律として堂々と農協というのは公正取引法、独禁法の外にあることを認められているようなそういう形態が自由市場経済の中でいまだにあるのはおかしいんじゃないですかというふうに聞かれるんですね。
 今、農協が物すごく信頼を落としていると思います。それは、意欲があって農業をビジネスにしようとチャレンジしている人たちに横やりを入れたり、また、例えば今まで農協を信じて肥料をちゃんと買ってきたのに、広島資本の量販店が入ってきてちょっと買いに行ってみたらそこで売っている肥料の方が安かったと、何だ自分たちはこんなに高く売り付けられていたんだといって農協離れを起こしたりしているわけですね。
 ですので、やはりこのままの農協では信頼がなくなっていくだろうと思うんですけれども、野村政務官は農協御出身だということですので、農協の在り方について不要論を唱える人から変わっていくべきだという人までいろいろありますが、どのようにあるべきかということについてまずお伺いをしたいと思います。
#81
○大臣政務官(野村哲郎君) 今御指摘のございましたように、農協に対する批判というのは、これは今に始まったわけじゃありませんし、前からございました。特に、今御指摘のありました、農協は肥料が高いとか飼料が高いとか、ほかの業者さんに比べればという大変なそういう御批判もございました。
 ただ、お考えいただきたいのは、やはり農協の場合は、営農指導、もうこれは行政が大変合併だとかあるいは効率化で、営農指導する技術員さんは年々少なくなっております。それを補っておりますのが今の農協の営農指導員でございますが、全国で一万四千名、それにつぎ込む金が二千億であります。そういった人と金をつぎ込みながら地域農業を支えていかなきゃならない、あるいはそういう農家をまた育てていかなきゃならないというのが農協の私は大きな役割だというふうに思っております。
 ただ、昔から議論がありますのは、農協の平等性あるいは公平性というのがありまして、小規模農家あるいは高齢者から、今おっしゃいましたような新規の担い手、あるいは大規模の農家、すべてを包含した組織でありますので、じゃ平等性を追求するのか公平性を追求するのかというのはありました。
 ただ、今農協も姿をだんだん変えて、今変えつつございます。御指摘のありましたような担い手対策といたしまして、一昨年から全農が提唱しまして、TAC、これは、とことん会ってコミュニケーションという、TACという頭文字でTAC運動と言っておりますが、これで大体今全国の四百四十のJAで千七百七十名配置いたしておりまして、ちょっと調べさせていただきましたら、亀井委員のところの島根におきましても、十一JAの中で二十九名、そういう担い手対策をする指導員なりあるいはそういう人間を置きながら担い手に対する対応を強化していこうと、こういった取組も今進みつつございます。
 ちなみに、私の鹿児島で、これは全国で初めてでありますが、特に最近、農業生産法人が、農業法人ができつつありますので、この農業法人のサポートセンターというのをつくりましてそういう法人対応も強めようと、こういった取組もやっております。
 一方では、先ほど申し上げました高齢者なりあるいはまた女性の皆さん方、こういう方々の小規模農家対策もしていかなきゃなりませんので、販路の、流通の問題にもかかわる問題ですが、要は、販売チャネルをやっぱり大きくしていかなけりゃいけない、多様なやっぱり対応をするためにも直売所が最近各地で取り組まれるようになりました。一番有名といいますか、よく御覧いただいておりますのが紀の里農協のめっけもん広場でございまして、これは二十五億の取扱いをいたしております。これはもうほとんどその規格外だとか、あるいは先ほどおっしゃいました共販に乗らないようなものも持ってきて、千五百名からの女性なりあるいは小規模高齢者農家が参加いたしておりまして、そういう意味でも、多様なやっぱり、その地域農業の担い手だけではございませんで、小規模農家を含めていろんな形で地域農業を支えている人たちをサポートする仕組みを私は農協は今取り組んでいるんだと、そういう新しい芽が今できつつあるということを申し上げたいと思います。
#82
○亀井亜紀子君 農協について更に質問をさせていただきたいんですが、私が参考資料にしたものの一つに、去年のウェッジという雑誌ですね、九月号がありますが、そこに、「こんな農協はいらない」と、農協あって農業なしという、書かれてかなり批判をされております。これを書いた人が元の農林水産省農村振興局次長山下さんという方なんですね。ですから、参考人でいらっしゃる方は御存じの方じゃないかと思います。
 彼が何を言っているかといいますと、生産調整というのは米価維持のためのカルテルであると。そして、なぜこんなことになったかといえば、以前は米の価格を下げようという動きもあったけれども、それよりも米の価格を上げることで、結局、米の価格を上げることで、兼業農家も本当ならば効率の悪い農業をやっているからそこで退出すべきところを、その必要がなくなって農業を続けたと。そして、JAにとっては中間マージンが入るので、やはり米の値段を上げることが好ましかったと。そして、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、戦後の政策というのが都市と地方の所得の均衡を目指したということでしたけれども。
 ですので、結局、米の値段を下げることはできたのに、ここにも、五三年までは国際価格より安かった米は、今では八〇〇%の関税で保護されていると。そして、米価維持のために、五百万相当の米を減産する一方で七百万トン超の麦を輸入するという食料自給率向上とは相反する政策が取られていると言っております。
 これをどうするべきかというときに、戸別所得補償について先ほど財源の話がございましたが、この人が言っていることは、EUが価格を引き下げて直接支払という補助金で農家に所得補償したように、価格低下分の約八割を農業依存度が高く将来の農業生産の担い手である主業農家に補てんすればいいと。
 つまり、土日だけ農業をやって平日はサラリーマンとして所得が高い人は余り気にすることはないので、専業農家に対してだけ補助をしてあげなさいと。そうすれば、ばらまきにはならないと。これに必要な額は、生産調整カルテルに参加させるために農家に支払っている補助金とほぼ同じであると。
 そういうことがここには書かれているんですが、大臣は減反についてもいろいろ御発言があるようですけれども、まあそれが本当なのかどうかは分かりませんけれども、どのように生産調整ですとか、あるいは先ほどの流通の話ですね、若者がネットでどんどん販売していく、つまりその枠にはまらないという現象について、今後、流通のあるべき方向についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 済みません、通告これしておりませんが、よろしくお願いいたします。
#83
○国務大臣(石破茂君) インターネットを使った流通というのは、これから先、もっともっと普及するだろうなと思っております。
 ただ、委員の選挙区もそうでしょうし、私の選挙区もそうなんですが、山奥に行って、おじいさん、おばあさんが非常に多くおられる限界集落でインターネットとかいうと、何のことじゃそれみたいなことになってしまって、ここはなかなか難しい。そこにおいてだれか若い人が入っていって、それはもう例えばお米なんていうのは、断定的には言えませんが、中山間地のお米というのは実はおいしいんですよね、温度差があって、水がきれいでみたいなことがありましてね。そういうのをどうやって売るかというときに、インターネットの直売みたいな形でやれば相当高い値で売れるということはあるわけです。
 何もお米に限らず、あるいは乳製品なんかもそうかもしれません。あるいは、私の地元にはソーセージをすごく高く売っているところもあるんですが、そういうようなのはもっともっと普及をしてしかるべきだし、二十年度補正予算で田舎で働き隊事業なんていうのをやっておりますが、農村にはいいものできるんだけれどもどうやって売っていいか分からないと、都市には売る自信はあるんだけれどもどこにいいものがあるか分からないと。これをマッチングさせるというのはとても大事なことだと思っておりまして、そういう事業を今後も展開をしていきたいと思っております。それが一つ。
 それからもう一つは、これからの流通の在り方という御指摘でございます。そこは多様な流通の形態が確保されてしかるべきだろうと私は思っております。これが良くてこれが悪いというつもりはございません。
 また、日本の流通制度は、先ほど大河原委員でしたか、スイスのお店のお話をなさいました。もう実は、スイスに限らずヨーロッパの場合には大手の幾つかのお店が流通の大宗を占めておりまして、小さな小売店というのは実は余りないんだそうです。日本の場合にはその逆でございまして、そこのところをどう考えるか。少量多品種ですとどうしてもコストは高くなるということになりまして、その部分をどのように考えていくかというお話はしていかなければなりません。
 生産調整との関係で申し上げれば、それは実は生産調整のお話だけがえらく農政の課題の唯一絶対みたいに言いたがる人はいるし、書きたがる人はいるんですが、そうではなくて、本当に流通をどう見直していくか、あるいは農協の役割というもの、今、野村政務官がお答えをしましたように、農協はこれから先も重要な役割を担っていかなければなりません。ただ、農業がなくなっちゃって農協だけ残るということはあり得ないお話でございますので、農業が残るために農協がどんな役割を今後更に需要を担っていただくかというお話なんだと思います。そして農地政策。
 そういうようないろんな議論の中でお米というものはどうあるべきかというお話になるのであって、一概にただただ選択制は是が非かとか、そんなお話で農政の問題が片付くぐらいであれば、それはそれで結構なことなんですが、もっと話は複雑多岐にわたるのだろうなという認識を私は持っておるところでございます。
#84
○亀井亜紀子君 先ほど、生産調整に参加しない農家があって、それで参加しているところが非常に不公平感を持つと、まじめにやっているところがばかを見るみたいなことがあるというお話もありましたけれども、なぜそういうことが起きるかといえば、やはり一つには今の流通制度の中で生産者のところに利益が余り落ちないと、あるいはそれが減ってきているので、収入がある程度確保されていればその枠からはみ出ようとは思わないんでしょうけれども、生き残ろうとする中でどうしたらいいんだろうか。じゃ、自分たちでも売り先を見付けていかなきゃいけないのではないだろうかという、そういった背景があって起きているんだと思うんですね。
 そこに更に新規担い手の若者たちが入ってきて、ふだん、普通の買物でもネットで購入しているような人が、その農村社会において今までのしきたりに従ってすんなりとその習慣に入っていかれるとは私はやはり思えないので、今までの制度がすべて悪いとは言いませんけれども、やはり今の時代に合わせた流通制度、もう少し多様性が必要なんだろうというふうに思っています。その中での農協の役割があると考えています。
 農協については、ですから、新規就農者の中でもあんなものは要らないという人から、農協を必要としている人はいるのだから、自分たちで売る力のない人が農協を頼ればいいと。そうじゃない、元気のある農家は第二農協みたいなものをつくればいいじゃないかと、寄り集まってもう一つ共同体をつくればいいという話もありますし、いろんな意見があるんですね。また、地域によってもJAの評価というのは違いますから、一概には言えないんですが、ただ一つ言えていることは、今までの制度というのはもう疲労していて、このままではもう機能しないということだけは言えると思います。
 流通について、今度は魚の方に入りたいんですが、昨年燃料高騰を契機として私の地元島根県で漁業協同組合JFしまねとスーパー大手のイオンが鮮魚の直接取引を始めました。これは網ごと売りますという方式です。これによって仲卸の業者を省くことで漁師の方の取り分が増加して、それでスーパーでは多種多様な鮮魚が流通するわけです。これもやはり燃料高騰で生活が苦しくなった漁師さんがどうしたらいいかという中で例外的にこういう流通を考えたということですから、まずそういう背景があって例外が出てくるわけです。この動きに対して仲買人の人たちは市ですとか行政に申入れをして、こんなことをされては自分たちが扱う魚が市場から減ってしまうから死活問題であるといって、何とかしてくださいという陳情があったりするんですね。
 結果なんですけれども、まだ何とも言えませんが、消費者には歓迎をされているようです。イオンもこれ、月に一回ペースでやっていることらしいので、市場からすぐさま大手にごっそり持っていかれて魚がなくなるというようなことではないんですね。今までスーパーというのは定番の魚を型ぞろえで安定供給という、そういう方針でしたけれども、それが雑多な魚を、形も型もまちまちでやや不安定な供給という全く正反対の流通の考え方になるわけです。
 ただ、考えてみれば、やはり網で漁をして、タイばっかり釣れるわけじゃないですし、同じような大きさの魚がスーパーに並ぶこと自体が非常に不自然であって、当然雑魚も入ってきますし、それは私たちが聞かされてきたのは、消費者が好まないから、売れないから定番の魚だけを提供するんだよという理屈だったはずですが、実際には消費者は好んで買っているんですね。こんな魚は見たことがない、どうやって調理するんですかと、それさえ教えてもらえればおいしいおいしいといって買うので、実はその規格を決めているのはやはり流通業者じゃないかと思うんです。消費者は曲がったキュウリでも買うでしょうし、魚が少々ふぞろいであろうが余り気にしないのではないかと。少なくとも私は気にしないです。キュウリが曲がっていようと丸ごとかじるわけじゃないので、どうせ切るわけですから、別に構わないんですね。
 ですので、このしまねの取組、網ごと売りますというその形態について、行政としてどのように評価されておられますか。
#85
○政府参考人(山田修路君) 委員からもお話がありましたように、消費者は水産物について多種多様なニーズがあります。このような多様な消費者のニーズに即した水産物の供給を図り、あわせて、お話がありましたけれども、生産者の手取りを確保していくということが重要であると考えております。
 このため、市場流通に加えまして生産者と流通業者が直接取引を行う、今JFしまねとイオンのお話がありましたけれども、こういった直接取引を行うというような、まさに多様な流通ルートの確立が課題でございます。水産庁といたしましては、平成二十年度補正予算、また平成二十一年度の当初予算で産地の販売力を強化するというような生産者や流通業者に対する支援措置を講ずることとしております。
 他方、委員からお話がありました仲買人等からいろいろ御意見もございます。こういった仲買人等も含めた市場の流通も重要な役割を果たしていると思っております。水産物は日々多種多様な魚種が水揚げされます。その品質を見極め、それぞれの用途に応じて仕分を行っていく、迅速に出荷していくということが必要でございます。そうした機能を備える産地市場、消費地市場を経て流通するいわゆる市場流通は、今後とも重要でございます。
 そこで、JFしまねとイオンとの直接取引についてでございますが、これは今お話をしましたように、手取りを確保したいという生産者と、それから消費者のニーズにきめ細かくこたえていきたい量販店の意向が合致して実現をしたということでございます。多様な流通ルートの一つとして評価をしております。
 一方、さきに述べました市場の機能をより効果的に発揮していくということも極めて重要でございます。水産物の安定供給を確保していく上で重要な市場の機能というものをそういった市場関係者が効率的に発揮をしていくという取組に対して、引き続き支援をしていくと考えております。
#86
○亀井亜紀子君 多様な流通があっていいと思いますので、その流通の中で本来自然に存在しているはずの規格外のものが削除されてしまわないように、やはり食料自給率の低い国ですから、こういった規格外のものもきちんと出回るように方法を考えていただきたいと思います。
 私の地元で若者がやっている旅館ですけれども、もったいない野菜というふうに呼んでおりまして、近所から規格外で売り物にならなかった野菜を引き取ってきて、それで調理して宿の食事を出しているんですね。さらに、その入口のところでもったいない野菜を売っているんです。これをもっと、ただ自分たちが使うことができるのはごく一部なので、もっとたくさんもったいない野菜はあると、これをどうしたらいいかと、ネット販売をしようかと今考えているようですけれども、いろんな取組を若者は今やっておりますので、是非行政としてはそれをサポートをしていっていただきたいと思います。
 それでは、担い手の方のお話に移りたいと思いますが、担い手、特に頑張っている、成功している担い手側から言わせますと、行政が担い手を育てるというのはすごくおかしなことだと。それは経営者というのが分かっていない人が言うことであって、経営者というのは育てることはできないんだと言うんです。つまり、ビジネススクールに行って簿記を学んだからといって会社を立ち上げて成功するとは限らないわけで、じゃその成功した経営者が何から学んだかといったら失敗から学ぶと言うんですね。ですので、担い手を募集して、行政が一生懸命補助をして、そして経営者になってくださいと言われたって育つものじゃないですよと。ですから、むしろ失敗をさせた方がいいと。
 ただ、行政として、例えば普及センターのセンター長が自分の仕事は彼らを失敗して鍛えることであると言って本当に失敗させたらめでたく左遷だと。そんなことはできないであろうから、それならば、失敗しても何度でも挑戦できるようにそういう仕組みを整えてあげることが大事なのであって、今のように担い手を育成とただ言っていてもうまくいきませんよということを言われるんですけれども、どのように担い手育成についてお考えでしょうか。これは大臣にお願いいたします。
#87
○国務大臣(石破茂君) 担い手論というのはやっぱりちゃんとしなきゃいかぬと思いますが、委員おっしゃいますように、これを担い手と決めるわけですよ、行政がね。そうすると、決めたからには失敗させちゃならぬということになるわけですね。それは何か議論としてはおかしくないかという話は、それはあるんだろうと思うんですね。さはさりながら、失敗しちゃいましたと、もう一回再チャレンジですと、それに行政は応援しますというのも、それは税金の使い方としていかがなものかねと、こういう議論もそれはそれであるんだろうと思うんですね。
 だから、要は多様な担い手、何でも多様で逃げればいいと私は思ってはいないのですが、多様な担い手をどう確保するか。担い手とはかくかくしかじか、かくなるものであるというような決め付けというのは決していいことだと思っておりませんで、今回の農地法の改正なんかもそういう含意はあるのですが、多様な担い手というものをできるだけ確保した方がいいだろうと思っております。
 そしてまた、担い手というものを、多様であるがゆえに形式要件をがちがちに決めてしまうということもいかがなものかねというお話なのでございまして、私ども、行政があれこれ言ってビジネスがうまくいったというためしは余り知らぬのです。行政官が、役人がビジネスやって、さあ大成功したという例も余り聞いたことがないし、そうであれば役人なぞなっていないのではないかという気がせぬでもありませんが。やはり、行政がビジネスを指導するなどというおこがましい考え方は余り持たない方がいいのだろうと思っております。基本的に商売というのはできるだけ自由にした方がよろしいのでございますが、何でも自由にした行き着く果てが、淘汰、淘汰が残って死屍累々ということにならないようには気を付けていかなければいけません。
#88
○亀井亜紀子君 集落営農の話に移りたいんですけれども、集落営農というのもいいものもあるんでしょうけれども、やはりうまくいってない地域が多いです。集落営農に至る道筋を間違えてしまうと結局機能しないんですね。ですから、大臣の御地元の鳥取にしても私の島根にしても限界集落たくさんありますし、そういった地域で、中山間地で農業を維持していくために皆共同して農作業をしましょうというその流れの中での集落営農であればまだいいのだろうと思いますけれども。そうではなくて、担い手に認定をしてもらいたいから面積を集めなくてはならない、二十ヘクタール固めましょうといってやっても、幾ら農地は集積できても、肝心な経営感覚がないので立ち行かないというふうに元気の良い担い手は見ております。
 若手担い手がその地域の集会があったので行ってみると、担い手だといって集まってきた人たちがおじいさんばっかりだったと。それで、じいさん二十人集めてどうするんですかと私は言われたんですけれども。結局、幾ら中山間地で面積を集めて、それで担い手ですよと認定しても、その人たちが皆六十歳以上というのではやはり将来性はないと、何であんなことにお金を掛けるんだというふうに批判を受けまして、ごもっともだと思いました。
 ですので、やはり今の集落営農のやり方、その動機付けですか、そこの部分に問題があるように思います。今の農政は、強い農家を育てて、そこにたくさん生産してもらいましょう、それによって食料自給率を上げましょうという考え方なのかしらと思っております。大規模の企業的な経営ができる農家を増やして、二百万戸の農家を例えば四十万戸にして経営体力を強くすると、そういう方向性で考えられた政策なのかしらと思うんですが、それに対して小さい規模の経営体が山のようにある。ニホンミツバチのように一人一人が小さい働き者で、それがたくさんいて全体としては強いと。そういう形を目指した方が結局は強いのではないだろうかと。少なくとも農地の集積に中山間地というところは適していないという意見をいただいております。
 中山間地の土地ですけれども、かなり皆ばらばらに所有をしております。これはなぜばらばらなのか。致し方なくてそうなってしまったのかと思っていたら、そうではないようなんですね。これは中山間地のリスクヘッジだろうと言われましたが、例えば、一つの山があって標高が違う、その年によって日当たりも違う、条件が違うわけですね。そうすると、去年は下の田んぼが良くて上の田んぼが駄目だったけれども、今年は気温が高かったから上の方が良くて下は駄目だったと。そういうふうにばらばらに持つことによってリスクヘッジをしているので、わざと散らしているという知恵ですね、里山の知恵であるというように言われております。ですので、そういうところで集落営農を推進しても、やはりちょっと状況には合っていない気がいたします。
 また、先ほどのスイスの卵ですか、あとパンの話、スイスのパンはまずいという話、私も聞いたことがございますけれども、日本でも新米は食べない習慣のところがあります。中山間地ほどそうです。それは、やはりいつ不作に見舞われるか分からないので古い米から食べていきましょうというのが普通に身に付いているので、今はまだ田んぼを持ってやっているところは三年前の米を食べているというところもあるくらいで、やはり、何でしょう、いつ危機に見舞われても大丈夫なように知恵があるわけですね。
 ですので、そういった現実を考えたときに、やはり中山間地と平地と同じような農業政策は取れないんじゃないかなと思うんですが、多様な農業、また小さな農家も強くしていくということについてどのように大臣はお考えでしょうか。
#89
○国務大臣(石破茂君) 島根も鳥取も似たようなものではないかなとは思っておるんでございますが、おっしゃるような話があります、うちの方にも。きっと日本国中あるんでしょう。
 集落営農が定着しないにはしないなりの理由があるはずなんです。集落営農をもう少しいろんな形で参加できるように直していく必要があるんではないか。抽象的なことを言っても仕方がありませんので、なぜ集落営農は定着しない地域があるのか。米中心であれば結構集落営農って定着しやすいんです。ところが、米、畜産、果樹みたいなものを複合経営でちっちゃな規模でやっているというところはなかなか集落営農といっても定着しない。しかし、担い手として集落営農でなきゃ駄目よと、こう言っている以上、しないからあなた方は関係ないんだというわけにはまいりませんので、いろんなタイプの営農というものに見合った集落営農の体系を考えます。考えなければいけないと思っております。
 それから、やはりリーダーが必要だ、リーダーが必要だとみんな言うんでありますが、そんなのがいたらだれも苦労せんわいということになるわけでございます。リーダーをそうはいってもつくらなきゃいけませんので、税制、経理関係に必要な知識を習得するための研修をやろう、各種マーケティング講習会を実施する、中小企業診断士やスペシャリストによる経営診断をやる、農産物加工や直売など経営の多角化に向けた支援をやるなど、経営能力の向上のための支援を行うということになっております。これ、でもどうせだれも聞かないよとか、そんなことあきらめてもしようがないんで、やはりこういうものは着実にやれるものはやっていきたいと思います。それは私やりたいと思っています。
 それから、中山間地で限界集落を通り越して集落消失というお話を先ほど少ししました。それは、兼業機会がきちんと確保をされていて集落は維持されたのだという面を私は無視してはいけないんだと思っています。つまり、日本の農政というものが兼業というものをきちんとケアすることによって都市と農村との均衡をもたらしてきたのです、そこは。
 ところが、例えて言えば、建設会社はリストラになっちゃいましたと、あるいは店を畳んじゃいましたと、女性は縫製工場あるいは電子部品の組立て工場に行って働いておりましたが、それも海外へ行っちゃいましたと。そうすると、兼業機会が喪失したことイコール集落の消失になってしまうわけですね。
 そうすると、そこを、さて農政として、条件不利地域直接支払とかそういうものを駆使して営農を維持したと仮にいたしまして、それが次の世代の後継ぎに行くだろうかといえば、それはなかなか難しいのではないか。条件不利地域で兼業機会を喪失したところをどうやってこれから先維持していくかということは省内でも議論をしておるところでございますが、そこへ救農土木でまた公共事業をいっぱい持ってきましょうといっても、それが永続するものでもございません。林道等々でそういうことはできるだけきめ細かく配慮をいたしておりますが、本当にどういうやり方で中山間地のそういうところを維持していくかということは、だれがその金を負担するべきかも含めて当委員会でよく御議論をいただき、御示唆を賜りたいと思っているところでございます。
#90
○亀井亜紀子君 集落営農がやはり定着しない理由はその土地の事情があると思いますので、確かに水田だけならいいわけですけれども、斜面の場合、わざと同じものを作らないんですよね。ですから、一番日当たりの良いところは果樹園にして、それで水があるところは水田にして、山林の方ではシイタケを取ってというように、わざと土地をばらばらに持つように、作るものも変えて、リスクヘッジ取っていますので、そういうところで集落営農でなければなりませんと言いますと、かえって農業がおかしくなってしまうということがあると思います。ですので、多様な農業のやり方、そして多様な流通制度というのを是非考えていただきたいと思います。
 最後に、農地法にも関係することですけれども、安来の中海の干拓農地についての質問をさせていただきたいと思います。大臣の御地元と私の地元のちょうど境、県境のところにあるところです。
 この干拓農地ですが、残念ながらほとんど利用がされておりません。私も現場に行きましたけれども、耕作放棄地がかなり広がっております。なぜこんなことになったかということですけれども、地元からいろいろと相談がありまして聞いてみましたら、新規就農者は、その干拓農地の中にJAの施設があって新規就農の研修は一年間受けると、そこで農業をやろうと思うけれども、農地として造られた土地であるので住宅は建てることができないと。そうすると、通い農業で、別にどこか家を探して、そこには補助はないわけです。そして、車で通ってきて農業をやることになるのでなかなかうまくいかない。野菜を育てていたけれども、野菜というのは、特に朝、日当たりをチェックしなければいけない。非常に細かく見なければいけないのに、一々、特に昨年は燃料も高かったわけで、行ったり来たり車でやっていられないので、どうにかなりませんかと言われたんですね。
 ですから、そこで農業をやる人の家ぐらいどこか一角に建てられないのかというお願いがあったのですが、やはり農業生産基盤整備事業の対象となった土地、事業の完了が八年をまだ経過していない、国営の中海土地改良事業が実施中なので農用地区域から除外することができないのでどうにもなりませんということを言われてしまいました。それで、結局相変わらず草ぼうぼうの状態なんですね。
 これをどうにかしなければと私は思っておりまして、この陳情をしてきた人は今県に掛け合って県の特区でどうにか規制を外せないかということをチャレンジしているようですが、こういった事例に対して、つまり農地転用ではなくて、農地として造ったものが使われないで、今諫早がどうなっているか分かりませんけれども、私はあそこに見に行ってあの七百ヘクタールの大きさに驚きました。あれが造ったはいいけれども利用されなかったらやはり物すごく税金の無駄になるわけですけれども、造った後の農地の活用について、またその責任について、大臣の御意見を伺いたいと思います。
#91
○国務大臣(石破茂君) 悩ましいお話です。現行法上そんなことはできませんと申し上げざるを得ないのでございます。要は、何のために基盤整備をやりましたかと、何のために干拓しましたかと。これは本当にもう私たち、子供のころからずっとこの中海の干拓どうするんだというのはあった話ですよね。鳥取県民、島根県民、ずっといろんな議論をしてきました。
 とにかく農地になりましたと。そこは住宅地にするために農地にしたわけじゃございませんので、そこはもう基盤整備が終わって八年間は駄目ですと。これを特例を認めちゃいますと、あちらこちらにそんな話になってまいりまして、農地とはそも何ぞやと。これは農業やるため、営むために必要なのですと必ずみんな言うのです。それで、いろんな抜け穴みたいなものができてきて、結局農地法の体系自体ががたがたになるのではないかということを私は思っておりまして、できるだけ農地法というのは、農地制度というのは厳格に運用したいと考えております。
 そうしますと、大変申し訳ございませんが、これは工事完了後八年を経過しておりませんので除外の規定を、要件を満たしておりません。したがって、できない。それを特区にすることにつきましては、私は正直申し上げて、ネガティブに考えざるを得ないのでございます。
 そうすると、安来工区でどうすればきちんと住宅が確保され、そこへ通うことができるかということを議論すべきでしょうし、もう一つ私が案じておりますのは、この研修を終わった方が五名いらっしゃって、それが五名みんな就農して、それがみんな安来工区以外で就農しちゃっているというのは、これは一体何なんだということでございます。ここの辺りは、また何でこういうことになったか、私どもその理由は一応島根県庁から聴き取ってはおりますが、ここのところが何のための干拓だったんですかということが問われかねないと思っておりますので、農林省としてこの実態よく把握をして手当てを考えたいと考えております。
#92
○亀井亜紀子君 よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#93
○委員長(平野達男君) 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#94
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、平成二十一年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○加治屋義人君 自民党の加治屋でございます。
 経営学者のドラッカーは、経営とは変化に的確な対応をすることだと、こう言っております。我が国の農業の今日の現状は、国の経営、いわゆる政治がうまくいかなかったのではないかと、そのような気がしておりますけれども、やはり私ども政治にかかわるものにとっては自省をしなければならないのではないかと思っております。
 今、食料の六〇%を輸入に依存している我が国の食料環境、質、量共に食料確保が大変厳しくなってきております。一方、百年に一度という経済危機で工業製品輸出が大不振、そのリストラによる失業者が大きな政治課題にもなっております。この状況は、日本にとってピンチでありますが、我が国農業にとっては再生のチャンスであって、石破大臣の所信表明にあるとおり、成長産業へ転換する良い潮どきではないかと、そのように思っております。
 まさにこのタイミングで適切な農業政策を立て、同時に、かつて金融危機に際し銀行に公助を実行したように、今疲弊した農業に対して適切な公助を実行していくことだと私は考えております。もちろん、自助なきところ公助なしの原則に従って、自立を目指す農家に適時適切な知恵と金を投入させることが求められていると思っています。
 前にも話したことがありますけれども、お猿さんの群れにはボス猿の存在があります。ボス猿の役割は二つあって、外敵から群れを守ることと、食料、えさを確保することであります。
 石破大臣は閣僚として防衛とそれこそ農林水産を経験されて、両分野の専門家でもいらっしゃいます。国家安全保障の見地から我が国の食料確保を万全なものとし、国民の期待にこたえてくださるよう、石破大臣と大臣を支えている近藤副大臣、そして野村政務官にエールを送って、質問に入らせていただきたいと思います。
 簡潔にお伺いしますが、大臣の所信表明には、我が国の一次産業、いわゆる農林水産分野の現状が、存続が危ぶまれるとか極めて深刻な状況などと説明をされております。私は、これを見るたびに、何かやりきれない気持ちにもなります。
 この状況は一朝一夕にできたものではなくて、少なくとも戦後六十年余の時を経て形成されたもので、その間、我が国は一次産業の振興と発展を願いながら多くの施策と対策を講じてきたにもかかわらず、今日のこのような憂うべき現状は、何か大きな政策的誤りをしてきたのか、あるいは経済社会が発展すればこうなるのは必然的なものなのか、大臣はそのことをどうお考えでございましょうか。
 石破大臣は、これまで幾度も農林水産行政に携われて、同政策への造詣が深く、政策等へのコメントも、その問題点を指摘されるときには明瞭な言葉で的確に指摘をされてこられました。ただ一言申し上げれば、特に農政の包括的な見直しに関する考え方については前提を置かずに検討する、こう言われているだけで、御自身の理想やお考えを明確に表明されていないのではないか、そのような気がしてなりません。石破大臣が理想とする日本の農林水産業、そしてその政策を大臣から明確でストレートかつ力強い考えを伺うことができたとすれば、国民は元気が出ると思っております。石破大臣御自身が理想と考える農林水産業と農林水産行政の在り方の一端を分かりやすくお示しをいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(石破茂君) 委員の方がはるかに現場に通暁しておられますので、私ごときが口幅ったいことは申し上げられませんが。
 私は、農業基本法、旧基本法ですが、これがあり、そして農村と都市との所得の均衡を目指したというのは見事に達成されたと思っているのです。ただ、それが、選択的拡大というのがキーワードでございました。農業から工業、商業へシフトをする、そして農業は規模拡大をするのだという考え方でございましたし、米からほかのいろんなものへシフトをしていくのだという考え方でございました。それは選択的拡大によって社会政策としての都市と農村との均衡が実現されたのかといえば、それはそうではなくて、零細規模でありながら兼業機会をきちんと確保することによって実現したのだというふうに考えております。それはそれで私どもが取ってきた政策に基本的な誤りはなかったのだと思っております。
 ただ、今兼業機会がどんどんなくなっているということをどのように考えるべきか。あるいはこのグローバル化の中で、農業基本法ができたときにはWTOなどというものは想定していなかった。そして、私どもが議員になりましたころは三つのキーワードで、米は一粒たりとも入れない、食管制度は絶対に守り抜く、そして減反は強化しないというようなことを言っておりましたが、それは全部駄目だったわけでございまして、そういうふうに予想が全部変わってきた中でこれから先どうあるべきかということを議論しなければいけないと思っております。
 じゃ、おまえは何も方向性を示していないではないか、そのとおりございます。それはもう御議論を経ないで、私はこう思う、ああ思うということを言うべきではないと考えておりますが。
 とにかく議論しなければいけない核心は、この兼業ということによって維持されている零細性というものをどう考えるべきなのかということについては、私はやはりここで方向性を見出すべきなのだろうと思っております。そして、条件が不利であってそんな規模拡大なんかできない、私の選挙区もそうですし、委員のところにもそういうところはたくさんあるのだろうと思います。それをどのようにして支えていくかということを考えていかねばなりません。
 そして、日本の場合の特異性といいますかユニークなところは、農地が非常に高い価値を持つということでございます。資産的価値を持っているということでございます。これはアメリカともヨーロッパとも違うものでございます。
 私は、どんどんどんどん国が発展をし、工業が栄え商業が栄えしてくれば第一次産業は衰退するということは、それは間違いだと思っております。そうであるとすれば、何でフランスが、何であるいはイギリスが、何でドイツがあのように農業の隆盛を見ているかということだと思っております。そこのところはやはり規模というもの、あるいは所得の支え方というもの、あるいは農地に対する考え方というもの、それが法制も相まって相当に異なることがあるのだろうと。工業が発達すれば農業が廃れる、そのようなことはございません。
 日本においてなぜそのようなことになったかという根源的なところを議論をし、本当に守るべき中山間地の中小零細の農地あるいは経営体、そして規模拡大できるものにどのようにして政策的支援を行うかということ、そして農地というものが本当に健全に守られていく、そういう法的な手段と、そしてそれを実効あらしむる運用の在り方、私はそこをきちんと議論をすれば本当に日本の農業に必ず未来は開けてくると思っております。
#97
○加治屋義人君 ありがとうございました。
 大臣の政策に対するお言葉、これは生産現場あるいは農林漁家も、そして特に農林水産省の各部署の職員が非常に正しく正確に事業が推進される、そういうことを考えていたものですから、あえてこのことを質問をさせていただきました。
 食料自給率と、先ほども出ましたけれども食料自給力についてお伺いしたいと思います。
 平成十七年三月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画、これは自給率を二十七年度に四五%、将来的には五〇%を目指すこととしております。その方針を後押しすべく、食料自給率向上協議会の設置、地産地消推進行動計画、農林水産物等輸出促進全国協議会、さらには食育基本法が施行されるなど、官民が協力して自給率向上を少しでも引き上げようと、そういう取組をいたしているところであります。昨年の十月には、食料自給率向上に向けた国民運動が開始されました。しかし、残念ながら、食料自給率向上はなかなかその兆しが見えてこない。大臣は、何が不足しているのか教えていただきたい。
 大臣は就任以来、食料自給率はあくまで結果の数字であって、これに拘泥するのではなくて、食料自給力を高めていくべきだとの考え方を示しておられます。この考え方そのものは私も理解できるのでありますけれども、国が食料・農業・農村計画の中で食料自給率の数値目標を定めて官民挙げて食料自給率向上に邁進しているときに、実はこの食料自給率の向上という概念を余り重要視しないとも取れる大臣の発言は、食料自給率向上の取組に対し頑張っている人たちに大変申し訳ないのではないかと、一部そういう気持ちを持っております。
 そこで、大臣が食料自給率よりも食料自給力の言葉を重視する発言をされた真意について、これまで取り組んでこられた方々が失望することのないように丁寧な説明をいただきたい。また、この食料自給力の言葉には従来とは異なる取組を行うとの意図があるとは思っておりますけれども、国としては何を成し、国民にはどのような行動を期待しているのか、明確な説明をお願いしたいと思います。
#98
○国務大臣(石破茂君) これはもうかれこれ十年ぐらい前になろうかと思いますが、自給率か自給力かという大議論がございました。私は自給力派におりました。別にそれは対立する概念ではございませんが、自給率というのを定めますときにかなり強く出てくるのは、消費者の選択というのが強く出てまいります。つまり、消費者が、午前中の答弁でも申し上げましたが、朝昼晩もう一ぜんずつ食べてくださればそれだけで自給率は二四%上がるのだと。しかしながら、それを強制するというわけにもいかない。お米を食べなければ罰金十万円というわけにもいかないわけでございまして、いろんなことが消費者の選択というものが生産者の努力よりも色濃く出てくるのが自給率という世界だと思っております。
 私どもは、もちろん消費者に対しても一生懸命啓蒙し、お願いをし、さればこそフードアクション・ニッポンという国民運動を展開をいたしておりまして、自給率を上げよう上げようということで省も一生懸命努力をしておるところでございます。私も、あちらこちらに出て、御飯もう一ぜん食べてくれませんかなぞということをやっておるわけでございます。
 ただ、生産者の努力というよりも消費者の選択、嗜好というものが色濃く出てくることを、究極的な政策目標として掲げることがどれほど妥当かというお話だと思っております。
 もう一つ申し上げれば、私、総括政務次官、今は副大臣、のとき森内閣でございますが、自給率が低い国同士団結しようということで、世界あちらこちら参りました。そのときにアフリカのセネガルという国へ参りました。アフリカの最西端の国でございます。
 そこで自給率が低い同士一緒にWTOで頑張ろうねというお話をしたのでございますが、ちょっと待てと。自給率が低い理由が全く違うではないかと。我がセネガルはお金がないのであると。お金がないからダムもできなければ、かんがい排水もできなければ、土壌改良もできなければ、品種改良もできないのである。お金がないがよってに泣く泣く外国から食料を輸入せざるを得ない。よって食料自給率が低いのである。日本の場合にはどうであるかと。ダムができないか、かんがい排水ができないか、土壌改良ができないか、あるいは品種改良ができないか。そうではなくて、消費者の選択として自給率が低くなっているのだろうと。自給率が低い理由が全く異なるのに、何でWTOで自給率が低いという数字だけを共通項として共闘ができるかというような議論をいたしまして、私はかなり自分自身の考え方をそのときに改めたことでございました。
 私は、自給率というのはもちろん大事です。それは、食料安全保障ということを考えたときに、金額ベースではなくてカロリーベースというものを取っておるわけでございますが、それを可能にしていくために、人、金、物、すなわち農地を確保する、多様な担い手を確保する、そして所得を上げていかなければいけない。この三つを確保することによって自給率は上がっていく。その逆はあり得ないのだろうと思っております。
 国民の食生活が物すごく貧しくなって、自給率が上がりました、政策目標が達成されました、良かった良かったという話には絶対ならないわけで、私は、自給率の確保、自給率の向上というものを確保するための大前提として、人、金、物、この三つについて、委員の御議論を承りながら、より良い政策を目指してまいりたいと考えておるものでございます。仮に誤解を与えるようなことがあれば、また御指摘を踏まえて良く直していきたいと考えております。
#99
○加治屋義人君 大臣、私の付けているこのバッジ、御承知ですか。これは農業団体が考案した笑味ちゃんという女の子がおはしで食事をしている、笑いながら食べているものなんですが、多分国内の間伐材のおはしだろうなと思ったりもしているんですけれども、これはこの自給率を五〇%にしましょうよと、そして日本型食生活の普及をしましょうよ、こういういろんな意味を含めたバッジであるんですけれども。
 実は、私は昨日鹿児島に帰っておりまして、いろんな人と話したんですが、鹿児島では、鹿児島県、そして生産者、消費団体が一緒になって県民運動をこれでやろうと、そういう機運が盛り上がっていて、多分四月ごろからは県民運動としてスタートできるのではないかと期待をしておりますが、大臣、是非大臣のリーダーで全国的な運動に展開していただければ大変有り難いと思っておりますし、この我が国の農林水産のピンチをチャンスに変える大きな役割をこのバッジが果たしてくれるんではないかと、そう思っているんですが、何かコメントあれば、一言お伺いしたいと思います。
#100
○国務大臣(石破茂君) 失礼しました、笑味ちゃんバッジを付けてくるのを忘れまして、今付けたところでありますが、是非委員の各位におかれましても、これは食という字を、今、加治屋委員から御指摘いただきました、食という字をデザインをし、そしてまた、かわいいお嬢ちゃんと言ってはいけないんですか、女性の方がおはしで御飯を食べておると、こういうのを図案化したものでございます。
 やはり、委員御指摘のように、幾ら農林水産大臣がわあわあわあわあ叫んでも、そこはやっぱりそれぞれの地域地域で、お米もう一ぜん食べようよという運動、あるいは地元で取れたものを食べようよという運動がそれぞれ結実していかないと、自給率なんて上がりっこないんだと思っております。自給率上げようよと言って、そのままパスタ屋さんに行ってパスタ食べておってはしようもないのでありまして、やはりそこはもう地に足の付いた運動というものを、委員の選挙区の鹿児島のようなことを全国がやっていかねばならぬのだろうと思っております。
 以前、どなたかから教えていただいたことでありますが、例えば高知県の南国市で何で米飯給食五日が実現したかということは、私はもうあちらこちらで申し上げておることでございますが、棚田米のお米を学校給食に提供したいというふうに教育長さんがお思いになった。しかしながら、パンと違ってお米の場合には、一斗がまというんでしょうか、それにお米を入れて、それをといで、炊いて、盛って、後で洗ってみたいな物すごく手間が掛かるわけで、それは給食にかかわる調理員の方々に物すごい負担になると。だけれども、どうしても地元の子供たちにお米を食べさせたいということで、家庭用の電気炊飯器の一番大きなもの、これで十五人分ぐらいの炊飯が可能なんだそうですね。それを各クラス分買って、電気炊飯を行ったと。そうすると、十二時になると本当にいいお米が、おいしいお米が炊き上がるということで、子供たちは給食を全く残さなくなった。そうすると、だれが作ったお米なんだろうねということで、授業の合間というか授業中というんでしょうか、その作ったところまで見に行った。
 これ、さっきのスイスの卵の話じゃありませんが、よくできた話なんですけれども、実際に、実話のお話でございます。
 どのようにして米の消費を増やすか。それぞれの自治体、あるいはそれぞれの学校、それぞれの御家庭、それで何がしていただけるかということを問いかけていただき、考えていただく、私はそういうものの積み重ねが自給率の向上につながるのではないか、このように思うものでございます。
#101
○加治屋義人君 前の質問と少し重複する部分がありますけれども、お許しをいただきたいと思います。三点について伺います。
 農政改革関係閣僚会合と新たな食料・農業基本計画についてでありますが、これは本年一月、麻生総理が本部長を務める食料・農業・農村政策推進本部の下で農政改革関係閣僚会合が設置をされて、石破大臣が農政改革担当大臣に就任をされました。この会の設置について、石破大臣の尽力大であったとお聞きをいたしております。
 設置当日の記者会見では、農政改革は非常に広範な課題があり、農水省単独で完結するものではないと、こういう観点から設置されたということでございました。ただ、経過を踏まえれば、農業政策の在り方が、その検討対象が広範囲に及ぶものであるために、これまで総理を本部長として食料・農業・農村政策推進本部で議論が行われてきました。
 そこで、今般、このような農政改革関係閣僚会合を特に設けられた理由及び現在どのような方針で議論を進めていかれているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
 農政改革関係閣僚会合は、本年四月にも一定の農政改革の方向性を打ち出して、六月に取りまとめられる政府全体の施策である骨太の方針に反映させる方向にあると聞いております。大臣は政府の食料・農業・農村政策審議会に食料・農業・農村基本計画の変更を諮問され、これから一年掛けて農家、国民の意見を酌み取りながら今後の農政改革の方向性を決定していくものであって、我が党もこの審議会の議論と並行して、今後の農政の方向性を今検討をしていこうとしているところであります。ところが、さきに述べましたように、農政改革関係閣僚会合が来る四月の段階で農政改革の方向を出してしまうとすれば、食料・農業・農村政策審議会が行うはずの議論が形骸化してしまう懸念があるのではないかと。
 そこで、農政改革関係閣僚会合と、食料・農業・農村政策審議会との関係、そして食料・農業・農村基本計画の変更の議論等、どう役割分担をしていかれるのか、二点目に伺いたいと思います。
 三点目には、米の生産調整であります。
 石破大臣は昨年の就任以来、米の生産調整の在り方について、これに聖域を設けずあらゆる角度から議論を行うと発言をされておられます。現在実施中の生産調整が未達成にあることをどう解決していくか、これまでまじめに生産調整に取り組んでいる農家の不公平感をどう解消していくのかという議論であるとすれば、今まさに喫緊の課題であって、解決に向けてどんどん議論する必要があることはそのとおりであります。しかし、生産調整の在り方に関する大臣の見直しの発言には、現行の生産調整を続けるのか抜本的見直しをするのかという基本的な方向性が見えない。あらゆる角度から検討するということは、結局これを廃止する意図があるのではないかと受け止められたり、あらぬ憶測を呼んだりして、農家に大きな不安を与え、影響を与えているのも事実であります。
 なぜ、水田フル活用という新たな施策に取り組む矢先に、米の生産調整の在り方を見直すとの発言をされたのか。今後、生産調整をどのような方向に持っていこうとしておられるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#102
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、閣僚会合が審議会の議論を形骸化させないように、そこはよく留意をしていきたいと思っております。
 閣僚会合は、骨太の方針を念頭に置いて議論をするものでございます。それと基本計画が全く乖離したということであってはならぬことでございまして、それぞれの議論の進行状況あるいはなされておる議論の内容等々、よく農林水産省として把握をいたしまして、何も予定調和的にということを申し上げるつもりはありませんし、議論を誘導するような権能はございませんが、そこにそごが生じないように議論の内容等々よく整理をして誤りなきを期してまいりたいと、このように思っておるところでございます。
 また、六大臣会合を設けました理由はまさしく委員がおっしゃったとおりでございます。農林省だけで自己完結するものではございませんで、財政の面からもあるいは農商工連携からも、地方との連携という観点からも議論がされねばならない。よって、内閣の総合調整機能を有します内閣官房長官に入っていただいているというものでございます。
 それから、米政策についての御指摘がございました。ここは、生産調整廃止ありきということで私は申し上げているわけではございません。ただ、非常に閉塞感があるね、不公平感があるねというのは、これはもう紛れもない事実でございます。そしてまた、中山間地、条件不利地域で本当にお米しか作れないよというところをどう考えるべきなんだろうか、あるいは条件の物すごくいいところでたくさん作りたいねという人たちの意向をどのようにして酌み取るべきなのか、多くの議論をしていかねばならない課題はあるんだろうと思っております。それを全部解決する妙案があるとは今のところ私には見えませんが、こういう方法はどうだろうか、こういう方法はどうだろうかということは検討してみなければならないのではないでしょうか。
 そしてまた、それが今のところ何とか、もちろんミニマムアクセス米を除いてでございますが、唯一自給可能な穀物であります米というものはどうしても維持発展をさせていかねばならないものであります。あるいは松岡大臣が試みられたように、これを輸出産業としてどう考えていくんだということも我々は忘れてはならないことだと思っております。
 そういうことを考え合わせましたときに、本当にどういう方法が一番いいのかということ。そして、議論を行う際には、まさしく午前中から出ているお話でございますが、今委員が混乱と不安というふうにおっしゃいました。それは私としてもよく心しなければいけないことです。ただ、本当に生産者の方々がどう考えておられるかということを聞くということはあってしかるべきではないでしょうか。
 生産者の方々が本当に今の生産調整の在り方についてどのように考えておられるか、お一人お一人の生産者の方すべてにお尋ねをするわけにはまいりませんが、本当にどうなのだろうと。ここに大勢の委員がいらっしゃいますが、今のままで本当にいいんだというふうに生産者の方々がすべておっしゃっておられるかといえば、私はそれは違うのではないかと思っております。いろんな議論、まさしく現場の方々の声を反映し、それが合成の誤謬を起こすことがないように配意をしながらいい政策というのをつくっていくべきだと考えております。
#103
○加治屋義人君 ただいま三点について質問をいたしました。
 この三つは、過去の大臣の真意がこの三つについてしっかり伝わっていなかった、そういうことを私は思っておりまして、今日の大臣の答弁でこのことが本当に真意が伝わったとすれば、私の質問の意義があったのではないかと、そういうふうに思っているところでございます。
 水産関係について二点、簡単にお伺いをいたします。漁業経営安定化対策の積立てプラスについてであります。漁業経営安定化対策の積立てプラスについては、この対策というのは農業の水田・畑作経営所得安定対策の漁業版だと理解をしておりますが、内容はもう申し上げません。割愛しまして、五つの要件がなかなか厳しくてハードルが高い、そういうこともあって、昨年末に我が党の働きかけもありまして一部が緩和されましたけれども、年度途中でありますけれども、二十年度の見込み数一万一千件が今年の一月末で千五百件の加入で見込み数の一四%にとどまっております。この制度が漁業現場に根付き、目的の担い手対策として機能させなければならないと、私はそう思っております。
 政府はどのように見通しておられますか。必要であれば、更なる加入条件の見直しを行って漁業者が受け入れやすい制度にすべきだと思いますけれども、このことが一点でございます。
 二点目が、養殖業のえさ価格についてでございます。
 近年、生えさと配合飼料が上昇して養殖経営が大変圧迫しております。支出に占めるえさ代の割合は六割を占めているんですね。水産庁は生えさの未利用資源の対策、あるいは低魚粉飼料の開発、またサンマを獲得するTACの設定など努力をされておられますけれども、なかなか価格の下がらない現状にあります。
 海面養殖でも畜産で取られている配合飼料価格安定制度を参考にした制度、仕組みはできないのかと、このことをいつも考えておりますだけに、このことについての大臣の見解を伺いたいと思います。
#104
○国務大臣(石破茂君) 委員には我が党の水産部会長としていつも御指導いただいておるところでございます。ありがとうございます。
 まず、積立てプラスについてでございます。
 これは、昨年末に対策を幾つか講じさせていただきました。一つは、所得金額の補正として、燃油高騰の影響を反映させるため、所得金額に燃油高騰の影響額を加算した金額で判定を行う。二番目は、地域特例として、所得水準について都道府県内の比較的所得の低い地域のみに適用される特例基準を設定できるようにしたことでございます。三番目に、担い手の特例として、現時点で所得基準に達していない方であっても五年後に他産業並みの所得を確保する計画を策定し、都道府県協議会の承認を受けている場合は本事業の対象とするというような緩和措置を作ったところでございます。
 今後、より多くの方々、経営体が本事業に参加ができますように、都道府県ごとに今都道府県協議会を設けておるわけでございますが、それが主体となりました加入推進活動により、先ほど御指摘の数字を何とか上げるべく努力をしたい、このように思っております。
 二点目の養殖業についての御指摘でございます。
 今、二十年度第二次補正予算、あるいは御審議をいただいております二十一年度予算案におきまして、例えて申し上げますと、資源に余裕がありますサンマなどの国産魚を漁業者と養殖業者との間で直接取引をすることへの支援を行う、あるいは効率的な給餌や養殖用飼料の安定的な確保に必要な機器の整備への支援、養殖用飼料として利用されていない魚介類の利用促進に向けた調査と実証試験等々を行っておりますが、今年の一月から、委員の御指摘も踏まえまして、養殖業者、えさメーカー、あるいは生えさを取り扱う問屋さんなどの関係者にお集まりをいただいて、飼料対策の在り方などにつきまして御意見を承っておるところでございます。
 畜産の配合飼料価格安定制度、これは参考になるものだと考えておりまして、施策の見直しにつきまして取り組んでいくことが急務だというふうな認識を持っておるところでございます。
#105
○加治屋義人君 ありがとうございました。
 通告をしておりました森林・林業についてでございますけれども、時間がちょうどになりましたので、次の機会にさせていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
#106
○佐藤昭郎君 今日は所信に対する質疑ということでございますけれども、残念ながら、冒頭、やみ専従問題に関する質疑を行わざるを得ないと思います。
 といいますのは、石破大臣も所信の中で、私これ非常に感激いたしました、この所信表明ですね。特に後段の部分の御自身の言葉での農政に対する思い。この中にも、トップには、国民本意の農林水産行政を実現するためには、農林水産省の抜本的な改革が必要ですと、ここにうたわれました。そして、改革チームから提出された提言には、この改革を契機に、伝統的でなじみ深い調整型政策決定プロセスと決別しなければならないとありますと。私は、ここに示された強烈な危機感、責任感、そして緊張感をすべての農林水産省職員と共有していきたいと、こうあるわけでありますが、ここ一週間ほど報道されましたこのやみ専従問題というのは、国民の信頼、農林水産行政に対する信頼、そして職員の士気の面からも、私はしっかりした対応をしていかないとこの大臣の示された所信にこたえることができないんじゃないかということで、この点、まず冒頭質疑したいと思うんですが。
 まず、事務方の方に確認ですけれども、三月十五日付けの読売新聞が比較的まとまって経緯を報道しておりますので、この確認ですけれども、この報道によりますと、昨年三月に匿名の通報があった。これは関東管内の二農政事務所において組合幹部が全く仕事をしておらず、やみ専従そのものであるというメールが人事院に来まして、これが農水省に回付をされたということで、それを受けまして、秘書課が全国四十六の地方農政局・事務所などに対し、組合幹部全一千三百九十五人について四月一日の勤務実態を照会したと。その結果、通常の業務をしていた職員は一人もおらず、全員が同日中に何らかの組合活動をしていたことが判明したと。そのうち事前に許可を得ていた職員は十七名だけ。一千二百三十六人は事前の許可がなくても認められる範囲の内容とみなされたが、百四十二人についてはやみ専従の疑いがあると報告されたと。
 報告がまとまった直後の同月四日、秘書課長は同省職員でつくる全農林労働組合の書記長に会い、確認調査を行うと伝えた。それを踏まえて、秘書課は九日付けで百四十二人の勤務状況を報告するように求めたと。この調査でも、十七農政事務所から計四十八人がやみ専従であるとの報告があったと。このため秘書課は二十一日、全農林に二十三日に再度の調査を行うことを伝えるとともに、対象者の氏名や具体的な調査方法まで明かした。その結果、四十八人は調査日に全員が自室で勤務していたり、短期専従許可を取ったりしたというと。
 この報道ですね、これは事実でございましょうか。
#107
○政府参考人(佐藤正典君) 御説明をいたします。
 ただいまの委員からの御指摘の無許可専従の問題につきましては、先ほどの御指摘の点と、もう一つありますけれども、昨年五月から八月にかけまして総務省から全府省一斉点検が行われたわけでございます。それで、当省におきましても、各府省共通の基準によりまして調査を行った結果、無許可専従に該当する事実が確認できなかったところでありまして、その旨を総務省に報告しているところでございます。
 ただいまの委員からのお尋ねの報道されている調査につきましては、これは昨年四月に行ったものでございますが、この全府省一斉調査とは別に、先ほど指摘ございましたように、同年三月に人事院の方に、一部の地方農政局では組合幹部が仕事をしていないという旨の投書がありましたのを受けまして調査を行ったものでございます。組合役員の勤務態度を幅広く把握し、不適切な状況があれば是正することを目的として当省が独自に実施したものでございます。
 この調査につきましては、例えば組合役員本人への聞き取りやあるいは勤務実態を示す文書の確認を行わなかったなどの不十分な点がございまして、疑念を招くことがないようということで、本年二月十六日に、大臣から改めて徹底的に確認の調査を行うよう指示を受けたところでございまして、現在その調査をしているところでございます。この調査につきましては、できるだけ早く取りまとめることを旨として取り組んでいるところでございます。
#108
○佐藤昭郎君 事実だということでありますが、今の官房長の御説明で私ちょっと腑に落ちないのは、このやみ専従問題を是正すべき問題であるというふうにとらえられたんですけれども、これは明確な国家公務員法違反なんですよ。そして、人事院規則違反。これは、国民の税金である給与を働かないで取るという大変な犯罪行為。それに対して、実は昨年、一昨年から、これは社会保険庁の問題を通じて極めて重大な問題だということで取り組んできた。私は、これ、是正するだけで済む問題なんだろうかと、問題点の把握がちょっと違うんじゃないかと思うんですね。
 今日は社保庁にも来ていただいていますけれども、大変な御苦労された社保庁として、この問題に対してどう取り組んでおられて、どういう最終的な処分を下されて、今どう再生されようとしているのか。社保庁のやみ専従問題に対する取組、危機感、これをひとつ伺いたいと思います。
#109
○政府参考人(薄井康紀君) お答え申し上げます。
 社会保険庁職員の無許可専従問題につきましては、内閣官房の下に設置をされました年金業務・組織再生会議からの要請を受けまして、一昨年の十二月に服務違反に関する調査を開始をいたしまして、昨年の四月に三十名の無許可専従があったとの調査結果を明らかにしたところでございます。
 このような事実が明らかになったということにつきましては、これ極めて遺憾なことでございまして、深く反省をいたしますとともに、心からおわびを申し上げたいと考えておりますけれども、この調査結果に基づきまして昨年の九月三日付けで行為者等について処分を行ったところでございます。
 処分の内容でございますけれども、既に退職いたしておりまして処分ができなかった者を除きまして、無許可専従の行為者二十八名、それから無許可専従行為を黙認をした管理者、監督者等十三名、合計四十一名に対しまして、減給十分の二、二月から減給十分の二、三月の処分を行ったところでございます。
 なお、年金業務・組織再生会議の方からは、私どもの調査には不十分な点もあるという御指摘もございまして、その後、厚生労働大臣の下に設置をされました弁護士等から成る服務違反調査委員会におきまして改めて調査が行われました結果、昨年の十二月には、新たに無許可専従行為者として四名があるという報告があったところでございます。この四名及びその関係者等につきまして現在処分に必要な調査を行っているところでございまして、その結果を踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、健全な労使関係ということを今後も目指していきたいと考えているところでございます。
#110
○佐藤昭郎君 今も社保庁の方から説明ありましたけど、これ大変なやはり危機感を持って社保庁取り組んでおったわけで、我々自由民主党としてもこれは大変な危機感を持っていろいろな指導してきたわけですね。
 社保庁はこれに伴って四十一名の処分者を出した。そして、この方は、新しく組織される、新しい社会保険庁が改組される機構には採用されなくなったんです、これでね。厳しい処分ですよ。八億三千万の給与を返還させられた。
 こういう厳しい現状を受けて総務省も、今日、総務省来ていただいていますけれども、先ほど官房長から話ありましたけれども、昨年の五月に一斉省庁調査というのをこのやみ専従に対してなさったわけでありますが、この概要と結果について教えていただきたい。
#111
○政府参考人(笹島誉行君) お答え申し上げます。
 無許可専従の問題につきましては、昨年三月に発覚しました社会保険庁における無許可専従事案を受けまして、同種の事案が他府省及び地方自治体で行われている事実があるのかどうか、同年五月、緊急に点検を行ったものでございます。この結果は九月に取りまとめられて公表したところでございます。
 この一斉点検の結果でございますけれども、国について申し上げますと、厚生労働省と農林水産省におきまして過去における疑わしい事案というのが報告されたのが五月末でございます。その後、両省におきまして詳細な調査を実施した結果、厚生労働省からは一地方事務所で二名の職員が無許可専従を行っていたという報告があり、農林水産省からは無許可専従の事実は確認されなかったという報告を受けまして、これを公表したところでございます。
#112
○佐藤昭郎君 この問題の重要性を私はしっかり認識された調査だと到底思えないんですね。
 この無許可専従の定義というのは、これは総務省さん、各省庁に調査を依頼されましたけれども、どのように定義されたんですか。
#113
○政府参考人(笹島誉行君) 無許可専従あるいは専従の定義につきましては確立した定義あるいは解釈があるわけではございませんで、今回の調査におきましては、この専らという字義的な解釈に加えまして、国家公務員法及び人事院規則に基づきまして、職員団体の業務に専ら従事しない場合に、所轄庁の長を経て認められる短期従事の上限が年間三十日以下であるということをメルクマールといたしまして、一日の過半、四時間以上を組合活動に従事し、それが年間三十日を超えたケースを報告するよう依頼したところでございます。
 また、過去どのぐらいさかのぼって点検するかにつきましては、会計法上の返還期間が五年であることや、社会保険庁が十年にさかのぼって調査したことなどから、今回の一斉点検では、各省の実情に合わせて少なくとも五年から十年にさかのぼって点検するよう依頼したところでございまして、農林水産省におきましては過去十年にさかのぼって調査が行われたと承知しております。
#114
○佐藤昭郎君 社保庁では、一昨年の十二月に調査を開始して昨年の四月まで五か月掛かったんですね、これ、まず省内の調査にね。それでは不十分だということで第三者の方を依頼しまして、今度は七月から十一月にかけて調査をした。社保庁の定義ではこの四時間というのはないんですね。この四時間以上という定義は持っておらない。年間三十日以上こういう業務に従事した者ということで調査をされた。そこにも、定義の問題も不確かなところがあります。
 しかし、これ、総務省は、五月二日に文書で各省に照会して、五月三十日までに文書で回答しろと、十年間にさかのぼって。これ、できますか、こういうことで。いかがですか。
#115
○政府参考人(笹島誉行君) 組合活動につきましては各省それぞれ実態があるところでございますけれども、省によっては余り、組合の組織率が低いところもあったんだろうと思います。その中で、特に上司を中心に調査を行いまして、それでその中で問題がありそうだということで報告が上がってきたのが厚生労働省と農林水産省ということでございまして、その二省につきましては、過去の記録、例えば決裁文書でありますとか出勤簿でありますとか出張命令書でありますとかそういった記録に当たる、あるいは上司等に聴取するということをして詳細な調査を行ったということでございます。
#116
○佐藤昭郎君 私の質問にしっかり答えてはおられないと思いますね。果たして、三十万人の国家公務員の過去十年までさかのぼって、組合の活動の幹部の方々の勤務状況を調べることが一か月足らずでできるだろうかと。
 私は、この問題に対しての総務省のやはり対応は甘いと言わざるを得ません。ひとつ、いずれこれはまた取り上げまして、党の方でもしっかり調査をしてまた政府の方にしっかりした対応をお願いするということになりますが、しっかりした対応をお願いしたいと思います。
 それで、農水省の方にまた戻りますけれども、官房長、お答えになりましたけれども、こういうことをずっと繰り返してきて、本当に三回にわたって微に入り細に入り是正を求めた挙げ句に、五日に全省庁一斉の点検があったと。これは現場は本当に混乱すると思いますよ。やっぱり現場の職員、特に管理職にとりまして、やみ専従があったという報告を百四十二人出すことだってこれ大決心ですよ。これはいずれ明らかになっていきますから、その職場においては、今のような組合との関係からいいますとその管理職は大変厳しい状況に立つでしょう。それで、報告したものが、結果が全農林の方にすぐ連絡されて、二回にわたって、期日を指定して、当日はどうだったか、どうだったかと言われて、ゼロでしたと。
 こういう調査は、私は、このやみ専従の問題は是正じゃないんです、やっぱり。国民は、このやみ専従という実態がどうであったかまず知った上で是正をしないと、これは是正の方法も私、的確なものにならないと思う。
 大臣に後で最終的にお答えいただきますけれども、このような調査をすることで国民の期待にこたえられるかどうか。そして、総務省の五月の調査では十五名の報告をされて、結果的に何回もやった挙げ句ないということになったと。これは私は実態をきちんと把握する意味において、また現場の職員の士気、こういう面から見て非常に大きな問題だと思うんですね。
 この針原委員会というんですか、農水省改革のための緊急提言骨子というのが十一月二十七日に出されましたね。これ非常にいいこと書いてありますよ。組合との関係でも、ちょっと読ませていただきますと、「健全な労使関係構築のための工程表の作成と透明な実行・管理」とありますね。「ア」として、「国の組織の中にあって、農林水産省の労働組合の組織率は特に高く、地方出先機関における広域人事異動の運用に影響を与えるなど、組織運営面における慣行に様々な影響を与えている。農林水産省改革では、労使関係の問題についても、しっかりと見直していくべきである。」と。「イ」として、「公務員も労働者であり、労働条件改善への取組は必要である。しかしながら、昨今、一部の官庁において、非効率な業務の容認などの馴れ合いによる不適切な労使慣行が明らかになった。このようなことは決して許されない。」。「民間であれば、労使の馴れ合いは経営を悪化させ、倒産という形で労使ともダメージを受けるが、国の場合、馴れ合いの代償を払わされるのは国民である。」と。したがって、国民的視点に立ち、不適切な労使慣行がないか点検し、もしあれば、労使間で協議の上、より健全な労使関係の構築に向けた工程表を作成すべきであると。
 こういうふうに、きちっと、確かにこれは調査をした後の、十一月ですから、この今のやみ専従の問題についての現場の危機感というのもこれ反映されたものがあると思いますが、こういうのを踏まえて、これからこの問題に対して事務方としてどういうふうな取組をしていくか、お答えいただきたい。
#117
○政府参考人(佐藤正典君) 委員御指摘のところでございますけれども、私どもといたしましても、この職員の針原の中心となってまとめました報告書の御紹介ございましたけれども、職員全体一丸となってしっかりとした国民に信頼を得るような労使慣行の確立等が必要だというふうに思います。したがいまして、その関係につきましても、不適切な労使慣行がないかどうかの調査を現在しているところでございまして、その内容をしっかり押さえた上で適切な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、先ほど申し上げたところでございますけれども、大臣から二月の中ごろ、十六日に徹底した改めての調査を行うようにという指示をいただいておりますので、この内容についてしっかり吟味をいたしまして、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#118
○佐藤昭郎君 この問題、総務省もしっかり対応していかないと国民の信頼にこたえられないと思います。
 最後に大臣に、今ほど官房長から御報告ありましたけれども、農水省としても、所信にありましたように、この強烈な危機感、責任感、そして緊張感をすべての農林水産省職員と共有しなきゃいかぬと、こう書いてあります。この上に立って、大臣としてはこの問題に対してどのような対応で臨まれるつもりかお答えいただきたいと思います。
#119
○国務大臣(石破茂君) 調査を改めて行うようにというふうに指示をしたところでございます。
 そしてまた、今日が火曜日でございますが、今週中、今週は木曜まででございますので平日が、今週中に特別調査チームというものを発足させよということを指示をいたしました。
 どうも今までのやり方からして、従来と同じ者にこのことを扱わせるのは必ずしもよろしくないと考えておりますので、顔ぶれを入れ替えまして、特別調査チームというものを木曜日までにつくります。それは、委員は農政局長もお務めでしたからよく御案内のとおりでございまして、地方の実態をよく知った者でなければいけないと。本省しか務めたことのない者が見ても分からぬようなこといっぱいありますので、そういう者も含めました特別調査チームをつくって厳正に調査を行わせます。
 そして、委員がおっしゃいますように、この調査の目的は、問題を是正させることだ、それは違うんです。是正をさせることが自己目的なのではございません。それはもう結果としてそういうこともありますが、今まで一体何をしていたのということについては、それは厳正に調べなければいけない。そして、それが憲法十五条に定められました全体の奉仕者であるということを忘れて、そして職務専念義務を怠ったとするならば、法に照らして厳正に対応すべきものはせねばならないと。
 それは今までいろんなこともあったでしょうねと、これから先はもう改めますからねと、そんなことでは国民に向けて申し訳がないのでありまして、仮に問題点が明らかになったとすれば、それを法に照らして対応すべき点があれば、それは厳正に対応しなければならないと思っておるところでございます。
#120
○佐藤昭郎君 本当にしっかり対応していただきたいと思います。
 私も農水省の人事管理当局にもやはり同情といいますか、なかなか難しい立場にあるというのは分かりますよ。我々政府・与党は平成十七年に十年間で国家公務員の二〇%カットと、削減という大目標を掲げまして、そのしわ寄せというのは結局かなりの部分農水省に掛かっていった。そして農水省の現場の職員の配置転換なりいろんなもので大変な御苦労をされているんですね。それは組合との間でもう本当に神経の擦り減らす交渉をしていかなきゃいけない。
 こういう中で、こういう問題も私はある程度温存されてきたんじゃないかと思いますけれども、しかし、ここはある意味で大臣がおっしゃったような新しい農水省を生み出すいいやはり私はチャンスだととらえて、今大臣のおっしゃった方向に沿ってしっかり対応していただきたいと、このように思います。
 次に、この問題は終わりまして、私、MA米の問題に関して残された時間、まだ少しありますか、ちょっと伺いたいと思うんですけど、このMA米の問題というのは事故米の七五%がMA米であったという事実、そしてその間、MA米の加工米からの流用と、主食用の流用というのがありましたけれども、一九九五年からMA米が購入されたことになった。今年まで入れますと多分一千万トン近いMA米が入ってきている。この経済規模の巨大な割には、私は米の流通システムいろんな問題から取り残されたところがやはりあったんではないかと。
 ですから、大臣の所信にもありましたように、米の流通システムの改善等を目指す、この中は避けて通れない問題、またWTOの農業交渉によって、今七十七万トンのMA米につきましても増える可能性もある。
 大臣はよく消費者負担と納税者負担というのをおっしゃいまして、私も非常に大事なポイントだと思いますが、このMA米に関してどれぐらいの消費者負担が生じているかというのは意外と目に見えない。端的に言えば、これはマークアップの総量ということになりましょう。政府の購入者に対する、これ国家貿易ですから政府が全部輸入する、そして売り渡す。ここも一つ問題があるんですよ。監督官庁の農林水産省が輸入者であり、販売業者なんですからね。そこは置いておきまして、このMA米というものの経済規模は、消費者負担というときに、政府の売渡価格と、それから政府がそれを国際入札で商社あるいはSBSで買う場合の差額ですよね、これがこの九五年から今までどれぐらいになったのかということで、数値としてちょっと資料があれば教えていただきたい。
#121
○政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。
 輸入ミニマムアクセス米の輸入が開始されました一九九五年の当初から二〇〇七年度末までの累計でございます。この累計を見ますと、買入れ額が五千二百四十五億円、売却額が五千七百十八億円ということで、累計で四百七十三億円の差益というふうになっているところでございます。
#122
○佐藤昭郎君 少し今のは理解しかねるところがありますな。いや、私が言うのは、SBS方式で輸入しますよね、例えばですよ。そのときの平均買入れ価格と売渡価格の差額を、ちょっとこれ九五年からの資料を見ているんですけれども、トン当たり十八万から十三万、トン当たりですよ。
 一般輸入米ですと、平均落札価格、これはタイ米を買っているところの落札価格が一番大きいのが、例えば一九九六年見ましょう、六万八千百四十二円で落札価格をして、政府はそれで二十四万七千七百円で売っているんですよね。二十万ですよ。ですから、平均の落札価格と売渡価格の差というのは二十万としても、これ一千万トンであれば二兆円になると思うんですよ。今の四百幾らというのは何かの間違いじゃないですか。
#123
○政府参考人(町田勝弘君) 今申し上げました額につきましては、買入れ額、売却額、これにつきまして億単位で差引きをしたものでございまして、この数値自体は正しい数字だというふうに理解しております。
#124
○佐藤昭郎君 余り時間がないので押し問答してもいかぬですよ。
 いいですか、それじゃ、この価格の、例えば量ですね、量でいいましても、十万トンの、今全体で八百七十五万トンとおっしゃいましたね。百万トンのMA米を国家貿易で入れたときの落札価格と政府売渡価格の差だけ、これ二十万円としても差額あるでしょう、落札して政府が買う、そしてそれを実需者に売り渡す、その差額をこの数量に掛けただけで兆を超えるお金になるんじゃないかと思いますので、これはまたあれしてください。ここで押し問答していても余りにも理解が違い過ぎるということで、これはフォローしてくださいよ、これは大事なことですから。
 それで、私の質問ですけれども、このMA米の販売管理状況、主食用、加工用、援助用、在庫、それぞれどれぐらいの数量がこの中にありましょうか。
#125
○政府参考人(町田勝弘君) 一九九五年当初から同じく二〇〇七年度末までの累計で申し上げます。
 輸入数量は全体で八百六十五万トンということでございます。主食用として販売いたしましたのが九十一万トン、加工用が三百十九万トン、援助用が二百二十二万トン、飼料用として百四万トン、こういった販売状況でございます。差し引きいたしまして在庫は二〇〇七年度末時点で百二十九万トン、こういう販売管理状況でございます。
#126
○佐藤昭郎君 これは大変な数量なんですね。
 それで、私は、このMA米の販売管理、輸入、これをどう組み立てていくかということが非常に大きな一つの米流通システムの課題であると思います。
 事故米のときにはこの加工用米の横流しというのが問題になったわけでございますけれども、この三百例えば十九万トンに及ぶMA米の加工用の売渡し、このフォローというのは、破砕も含めてしっかり農水省としては掌握されておるのかどうか伺いたいと思います。
#127
○政府参考人(町田勝弘君) 事故米のこの問題の以前と以後で対応は変わっておりますので、従来の対応からお話をさせていただきますと、政府が所有いたしますミニマムアクセス米を加工原材料用に売り渡すに当たりましては、主食用への横流しを防止するということから、御指摘いただいたように、原則として破砕精米に変形加工を行っているということでございます。
 また、従来から、加工原材料用に販売をいたしました買受け者に対しましては、必要に応じましてMA米の使用状況を調査してきたところでございますが、今回の事故米問題を機に、横流れ防止のための検査マニュアル、これを昨年の十月に策定いたしたところでございます。
 この検査マニュアルでございますが、今後は食糧法第五十二条に基づきます立入検査を最低年一回定期的に行うということ、また情報等をいただければ随時に抜き打ちで実施するということ、また買受け者の販売先まで追跡をするということで買受け者の帳簿などが正しいかどうか照合するといったことを定めております。
 このマニュアルに基づきまして今適正流通の確保に努めているところでございます。
#128
○佐藤昭郎君 このMA米を国内の米需給に影響を与えないで管理していくというのは、これ本当に私は、我々も希望しましたし、今こうやっている。だけれども、これはシステムとしてはかなり難しい、無理じゃないかと思うぐらい、これ非常に難しいわけですけれども、我々、MA米の処理として、外から外ということで、国内に入れずにというか、援助用、これはWTO上はかなり難しいと思うんですけれども、しかし考え方としてはあるんですね。
 それで、それと直接絡むわけじゃありませんけれども、この活用の方法として、東アジア緊急米備蓄パイロット・プロジェクトというような構想を我が国は提案したことがありますが、これは今一体どういうふうになっておるんでしょうか。
#129
○政府参考人(町田勝弘君) 東アジア米備蓄構想、正式には東アジア緊急米備蓄パイロット・プロジェクトということでございます。これは、目的といたしまして、東アジア地域におけます食料安全保障の強化と貧困の撲滅、こういったことを目的といたしまして、二〇〇四年以来五年間にわたって試験事業として実施してきておるところでございます。昨年十月二十四日にベトナムのハノイで開催されましたASEANプラス3農林大臣会合におきまして、二〇一〇年二月までこの事業を一年間延長するということに合意をしたところでございます。
 昨今、食料の国際需給が大きく変化する中で、他の関係国や国際機関との連携を深めながら、機動性のあるこの国際備蓄スキームといったことをつくっていくということは極めて重要だというふうに考えているところでございます。
 このため、今後とも関係各省と十分な連携を図りながら、実効性のある、また機動性のあるスキームの確立に向けて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
#130
○佐藤昭郎君 ひとつしっかりこれはフォローしていかないと、一つの政策の選択肢ですからね。よろしくお願いします。
 私は、このMA米を取り扱う、これは輸入麦の方もありますね。この食料安定供給特別会計、輸入米麦の各勘定、今言ったようなマークアップの差額が入ってくる、それをいろんなものに使っていく。この特別会計というのを見たときに、せっかく国民の負担、消費者の負担でマークアップをいただいてお金が入ってくるわけですね。それをやはり有効に使う手だてはもっと考えなきゃいけないんじゃないかと。
 私が見た資料によりますと、一年間で購入、輸送、保管だけで二百億掛けているんですね。強化された検査に三十億掛けている。あの残留農薬のね、三十億ですよ。しかも、これ商社がSBS方式の中で輸入していくわけですが、商社はこの保険に加入してリスク管理をしなきゃいかぬですけれども、その商社の保険金、それから残留農薬の検査、これすべて政府が負担しているんですな。
 こういういかがと思うようなお金の使い方、これに関してはしっかり、やはりまさに貴重な貴重な消費者の負担ですから、私は農水省としても正しながらこれに当たっていかなきゃいけないと思いますけれども、母屋でお茶漬け、離れですき焼きじゃない、特別会計ね。そういうことにならないようにしっかり対応していっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#131
○政府参考人(町田勝弘君) 私ども、食品、米の販売者として消費者の皆様に安全な食品を提供するということはもちろんでございますが、このために要します管理費用、これにつきましては平成十九年度で、言っていただきましたように保管料、輸送費等々で二百八十一億円でございます。決して少ない額ではございません。この財政負担、国民の税金でございます。この削減に努めていくということが大変大事だというふうに思っております。こうした中で、契約の競争性あるいは透明性を高めるといったことでの節減を図っているところでございます。
 具体的に二点お話をさせていただきますと、倉庫業者の選定に当たりましては、十八年度から一般競争入札を試行的に実施いたしましてこの節減効果ということが確認できました。二十年度からはミニマムアクセス米すべてについて一般競争入札にしております。
 また、同じく十八年度からはMA米、ミニマムアクセス米を飼料向けに売却しております。そういったことで在庫数量を圧縮いたしております。二〇〇八年三月末百二十九万トンでございました在庫量を持ちました在庫でございますが、二〇〇八年十月には九十七万トンまで圧縮してきたところでございます。今後とも効率的な業務運営に努めまして、この管理経費の抑制を図ってまいりたいというふうに考えております。
#132
○佐藤昭郎君 最後に石破大臣に、このMA米、非常にこれは難しい問題ですけれども、この輸入、販売、管理について、国家貿易でございますが、どのような基本的な考え方で臨まれるかと。ちょっと難しいと思いますが、MA米の今後の取扱いはこれ米需給にとって非常に大事な課題ですが、これについて大臣の所見を伺いたいと思います。
#133
○国務大臣(石破茂君) これは本当に難しいのです。もうこれも委員の方がはるかに私より御案内かもしれませんが、例えばこういうミニマムアクセスというのは機会の提供なんだと、機会さえ提供すればいいんであって、ばか正直という言い方は良くないかもしれませんが、何も全量を輸入しなくたっていいんだよと、そう言うことができればだれも苦労はしないわけでございます。そんなことが言えるものなら私も言ってみたい。
 なぜそういうことになるのかといえば、それは国家貿易としてやらねばならない、生産調整に影響を与えてはならないのだということになっております。そうすると、これが国貿を外しちゃって民貿にしちゃった場合には、関税を乗り越えて入ってくれば幾らでも入ってくると。商売ですから何が起こるか分かりませんで、それを乗り越えてどっと入ってきたときには、当然需給に影響が出ますから生産調整に影響が出るということになるわけでございます。そうすると、今の生産調整との連関で考えますと国貿を維持せざるを得ないということになってくるわけでございます。機会の提供だから入れなくてもいいということには残念ながら相なりません。国貿というのはそういうものでございます。
 そうすると、ミニマムアクセス米というのは七七八という関税を張っておりますので、それはある意味で輸入禁止的とも言えます。ちょっと矛盾するようですが、それ自体としてはかなり的なものでございますね、輸入禁止的なものだと。それは幾ら何でもひどかろうということでミニマムアクセスということになっておるわけで、そこのところをどう考えるかというのが議論の本質なんだろうというふうに思っております。
 これは、これから先、私どもとして重要品目の数の確保ということも申しております。それはその後の譲許表とも絡んでくることでございますが。どうしても、米というものを守っていく上においてこのミニマムアクセスというものの取扱いをどうするか。こういう方向だという明確なものが私にあるわけではございません。できればミニマムアクセスを入れないで済むような手は何かないものかということ、そこへ向けて、委員の御見解を承りながらより良い方向性を目指していきたい。
 何か余りお答えになっていなくて恐縮ですが、今の私の認識は以上のようなものでございます。
#134
○佐藤昭郎君 バイオマス・ニッポン総合戦略ということで、農水省の吉田技術総括審議官においでいただいたんですが、ちょっと時間の関係で、ちょっとありますか。バイオマス総合戦略、ちょっとありますね、まだ時間。
 若干時間がありますので、このバイオマス・ニッポン総合戦略というのは、これは極めて大事な、一石三鳥、農村の景気、雇用の面からも、地球環境の面からも非常に有効だと思います。それの進展方策、これについて伺いたい。よろしくお願いします。
#135
○政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のように、バイオマスの利活用、これは地球温暖化の防止ですとかあるいは循環型社会の形成、こういった意義を有するのはもちろんでございますけれども、地域の活性化あるいは農林水産業の新たな領域の開拓にも寄与するものであろうということで力を入れていきたいと思っております。
 お尋ねの進捗状況ですが、一つ具体的なもので申し上げますと、バイオマスタウンの構築の加速化というものがございます。平成二十二年末までに三百地区でこれをつくろうということでございまして、現在、二月末時点で百七十二地区でこのバイオマスタウン構想が構築されております。
 ただ、まだ目標にはかなり遠いわけでございますし、また、構想をつくっても具体的なバイオマスの利活用まで行っていないという状況もございますので、幾つか課題を整理してございます、その課題を一つ一つ克服するための施策を講じていきたいというふうに考えております。
#136
○佐藤昭郎君 ありがとうございます。いずれ機会を見て、またこれは議論をさせていただきたいと思うんですけれども。
 松岡農水大臣時代に、二〇五〇年に六百万キロリッターのバイオエタノール、エネルギーだけですよ、バイオマスはいろいろありますけれども、そして二〇一二年には五十万キロリッターということですけれども、まだまだ影も見えてこないという状況であります。それからコンポスト、バイオプラスチック、本当にいろいろな範囲が広くて、私は、景気、雇用、地域振興絡みにおいて非常に大事なプロジェクトですので、ひとつ大臣が先頭に立って、バイオマス・ニッポン総合戦略の総合事務局は農水省ですから、ひとつよろしく御指導をお願いしたいと思います。
 終わります。
#137
○風間昶君 公明党の風間です。
 MA米の話が出ましたので、事故米の話をちょっと聞きたいと思いますけれども、農水省のホームページ、当時は注目情報の第一項目でトップに上がっていたのが、今、一月の十三日以降更新されていなくて、注目情報からも外れて、現在どうなっているのか、その取組が非常に分かりづらいという感を致します。もしかしたら、もう終わったのか終わらせたのか、あるいは忘れたいのか、ホームページを作っている人が、国民に対して風化させたいのかという気持ちが表れているのかなというふうにやゆもできるかなというふうに思いますが。
 どっちにしても、これから米のトレーサビリティー法やあるいは主要食糧法の審議がこれから控えている中で、しかも、その一環として省の改革も検討中である中で、仕組みとしてはまだ何も変わっていないはずですから、この事故米のことについて、国民の皆様方にやはりきちっと安全、安心の状況であるということを担保できるような情報に今なっていないと。ずっと引っ張っていけば、深く入っていけば、ホームページへ入っていけば分かるけれども、少なくともトップにはないというふうに私は感じます。
 そういう意味で、このことについて、だれがこのホームページの責任者か私は分かりません、大臣、いや、副大臣や政務官であるはずがないわけでありますから、まず、このことについてきちっとこの場で報告をいただきたいと思います。
#138
○政府参考人(町田勝弘君) 本当に風間議員から全くごもっともな御指摘をいただいたわけでございます。
 この不正規流通問題が起こりましてから、大変私どもの対応のまずさもあってこういう問題が起こったわけでございますが、国民の皆様の関心が高いということで、ホームページのトップページに記載をしていたところでございます。そうした中で、今年の三月の三日になって、アクセス数も減っているということで、ホームページのトップページから場所が移ったというふうになったというふうに承知しております。
 しかしながら、この問題、御指摘いただいたように大変重要な問題でございます。委員御指摘をいただきましたので、早速、トップページの右上に検索の多いキーワードという箇所がございます。昨日付けでそこに事故米穀というのを明記して、トップページからアクセスができるようにしたというのが一点でございます。
 また、非常にいろんなところにあって分かりにくいという御指摘もいただきました。これにつきましては、政府のこれまでの取組とかいった進捗状況に合わせまして、政府所有米穀のカビの発見状況ですとか、カビ、カビ毒のチェック方法、こういったところもこの事故米に関するホームページに一括して掲載するといった見直しを昨日したところでございます。
 また、一月十三日、最終更新日というふうになってございました。データは更新されていたわけでございますが、この最終更新日の更新だけ忘れていたということで、誠に申し訳なく思っているところでございます。
 御指摘の点、十分反省いたしまして、引き続きより分かりやすい情報の提供に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#139
○風間昶君 是非、数は極めて少ないけれども、米の保管でカビやあるいは様々な水ぬれや起こるわけでありますから、このことについては、今回の事案を通して本当に安心、安全を担保する意味で、きちっと情報は出しておくということが私は言わば農政に対する信頼感を失わせない一つのキーだというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 その中で、先ほども同僚の佐藤議員からこの農水省のコンプライアンスチェックを強化する部分について質問がありましたけれども、この十一月の二十五日でしたか、有識者会議で指摘をしておりました、食の安全の視点を最優先にする意識改革、縦割り意識の解消に向けた組織の見直しということが指摘をされて、農水省でも改革推進本部立ち上げた、十一月の末の指摘で立ち上げた。そして、そのことについて議論をこれまでもなされているというふうに思いますが。
 改革推進本部が三月末までに取りまとめを行うということを公言していたわけでありますけれども、三月末というとあと二週間ですよ。もうそろそろ何となく影が出てきてもいいのかなというふうな思いを持っていますけれども、今現時点で、農水省としての取組の一環としてこの取りまとめの状況はどうなっているのか、またその中で目玉になるのは何なのかなということは大事なことだと思いますので、是非教えていただきたいというふうに思います。
#140
○国務大臣(石破茂君) 三月末までに取り組むこととされております点、三点ございます。一つは、食品安全のカリキュラムを含めました平成二十一年度、来年度の研修計画の策定。二番目は、平成二十二年度、再来年度でございますが、抜本的な機構改革に係る農林水産省機構改革の基本方針の取りまとめ。三番目が、内部通報ルールや外部からの情報の処理システムの整備。これらにつきまして三月末までに結論、成案を得てまいります。
 つまり、外から情報が入ってきても、それをきちんと処理するシステムが確立していなかったということになりますと、だれもばかばかしくてそういう情報を寄せてくれなくなります。こういうものがきちんと処理ができるようにしなければいけない、あるいは内部からここはおかしいという指摘があってもちゃんと処理されなければいけませんので、そういうルールを作ることがまず大事だと思っております。
 そしてまた、機構改革をやらなければなりません。これは、先ほど佐藤委員のやみ専従のお話にもございましたが、今の機構はこれで本当に正しいのかということについて、BSEが起きまして消費・安全局を作りました。相当の組織改正、改革を行いましたが、組織というものがどうなのかということ、情報の伝達、そして共有、そしてまた組織の在り方、そして食品安全の在り方、そういうものについて三月末までに成案を得るということといたしておるところでございます。
#141
○風間昶君 今の大臣の三つの基本的な考え方は分かりました。
 そこで、このやみ専従問題も起こっているわけですから、組織再編の一環で専門組織をきちっと設けるというのも、私は組織再編の中で大事な観点だというふうに思います。その上に立ったやっぱり労使交渉というのがなっていかなきゃならないんではないかというふうに思いますが、そこについては、今、現時点ではどのようにお考えですか。
#142
○国務大臣(石破茂君) これは、いろいろな省庁にいろんな機関がございますが、私どもにもそういう労使関係を担当する部局が全くなかったわけではございません。今のところ官房秘書課がそういう職務を負っております。
 本当にそれでいいだろうかと。委員御指摘のように、もう少し独立性を持った組織の方がいいのではないかという問題意識を私自身持っておるところでございます。独立性を持ち、そしてまた客観性、公正性が担保される形の、例えば労使管理監、監というのは皿の方の監でございますが、労使管理監というものを設け、労使管理監室みたいなものを作ってはどうだろうか。その場合に、どれぐらいの陣容とし、その上に立つ者をどれぐらいの職制の者を充てるべきか、そういうことを議論をしなければならないと思っております。
 いずれにしても、農林水産省設置法の改正を伴うことになろうかと思っておりますので、発足の時期はやや先になろうかと思いますが、それまで、じゃ何もしなくていいのかということになりません。先ほど佐藤委員にもお答えをいたしましたが、従来の秘書課がやっておった調査というものを別組織に行わせることといたしました。そういう組織が立ち上がるまで何もしないということにならないように万全を期したいと思っております。客観性、公正性、厳正性が担保できる、そういうような運営をしてまいりたいと思います。
#143
○風間昶君 ありがとうございます。それは大事なことだと思います。米を拡大していこうというこの政策の中で、幾ら生産者やあるいは事業体に規制をいろんなことをしたり強化しても、運用をする側がしっかりしていなければもう絵にかいたもちになってしまいますし、消費者の側に立った、消費者が安心して食べられるような、農水省がしっかりしているから大丈夫だという思いが伝わらないと私は駄目でないかというふうに思います。
 そういう意味では思い付きなんですが、ホームページのトップに笑味ちゃんが走っている動画を入れるとか、まあこれは思い付きですけれども、そういうことも考えるべきだというふうに私は思います。
 次に、前回もちょっと触れたかと思いますけれども、BSE全頭検査をいまだに、国はもう、いや、なしというふうに、オーケー、しなくていいと、つまり二十か月齢以下はいいということで、やらなくてもいいというふうに判断を厚労省がしたわけですけれども、食品安全委員会の科学的評価に基づいて。でも、来年度も北海道でも二千万円ぐらい掛けてこの全頭検査をやるんです、やっているんです、今現在も。
 そういう意味で、自治体の財政負担、非常に大きくて、何といったって、国の正式な機関がもう二十か月未満はいいですよと、やらなくてもという、その評価について。私は、国民の側に立てば、国民の皆さん方は本当にそうなのかなということは思っていらっしゃる方はいるんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、所管は厚労省です。私も何回かレクを受けて厚労省だということを確認をしたわけですけれども、ただ、大臣、去年の十一月に食品の安全の視点を入れるべきだという質問を私しました、農水省設置法の改正のときに、十一月でしたけれども。そのときに、大臣は農水省設置法第四条を引いて、農水省の所管事項に農産物の生産、それから流通、消費に関する改善などが所掌事務としてちゃんと入っていますと、設置法第四条で。そこで読めるから、新たに僕が食の安全という言葉を入れたらどうですかという質問に対して、入れなくてもいいという判断をされましたよね、この間、去年。
 そのときにやっぱり私思ったのは、このままでいいのかなと。もし今回、まだ起きていないけれども、二十か月齢以下で起こった場合どうするのかなと。いまだに自治体に任せっきりにしていていいのかなというのは私は思っております。それは、評価が出たことは認めますよ。認めるんだけれども、自治体任せとして、消費の改善を一つの農水省の所管の事項にしているにもかかわらず自治体任せにしていていいのかなと。
 大臣としてはそれでいいというふうにお思いかどうか、今この時点で。私は是非、大臣がどんな考えを持っているのかを再度確認したいと思います。
#144
○国務大臣(石破茂君) 昨年、そういう議論をさせていただきました。
 今改めて、この二十か月齢以下のBSE検査、自治体の御負担の件の問題を考えてみましたときに、答えとしては、もう屠畜場は厚生労働省の所管ですと、以上おしまいというようなことになっておって、去年も、農水省だ厚生労働省だなんと言っていても仕方がないというような答弁を私はいたしました。
 今の御指摘は自治体の御負担をどう減らすかということでございますが、自治体としても、例えば北海道は特に多いんですけれども、ほかの県がやっている以上北海道も、特にブランドですから、北海道は、やめるわけにはならぬだろうということだと思っております。自治体の御負担をどう減らしていくべきなのかということを念頭に置いたときに、農林水産省としてここで何かできないのだろうかということは、これは厚生労働省ですからと言ってもうおしまいにするのではなくて、何かできないものだろうかという問題意識はございますんです。
 ただ、その前に、厚生労働省さんの方で、平成十七年五月に食品安全委員会がBSE検査の対象を全頭検査から二十一か月齢の牛に変更した場合、リスクは変化しないというのを出して、こういうことになっておりますので、それと抵触しない範囲で何ができるんだろうかということは考えさせていただきたいと思っております。
 それが即座に御負担を減らすとか農水省で持ちますとか、そのようなことを申し上げることはできませんが、何か工夫ができないか、農林水産省の職務、設置法から考えましたときに、ちょっと委員の御指摘を踏まえてもう一回考えさせていただきたいと思います。
#145
○風間昶君 是非知恵を出していただければ有り難いなという思いを持っています。これ、ずっと続いていかざるを得ないわけです、今のままでは、自治体が。是非お願いしたいと思います。
 次に、報道の中で、〇七年度補正予算で計上された地域水田農業活性化緊急対策、五百億円付けていただいて助かっているところも相当あったわけですけれども、このうち実際に使われた以上に、使われなかった、五百億のうち三百八十二億が使われないために国庫に返納になったんです。
 これは、非常に私としてはめちゃくちゃ大変なことでないかなというふうに思っています。五百億つぎ込んで三百八十二億が使われないで、それはいろいろあると思いますよ、要因が。宣伝、周知が足りなかったとか、ああだとかこうだとか、滑ったの転んだのあるかもしれないけれども、しかし事実として三百八十二億は使われずに国庫返納になったんです。このことについて端的に言うと、人のせいにするのではなくて、農水省としてこの理由についてどうとらえているのか、まず伺いたい。
#146
○政府参考人(町田勝弘君) 地域水田農業活性化緊急対策でございますが、これは二十年産において生産調整を約十万ヘクタール拡大するということがなったわけでございます。この拡大のための緊急一時金、踏み切り料として助成をするということにしたものでございます。
 十分活用できなかった理由でございますが、一つは、御指摘いただいたように十九年度補正予算で措置した一年度限りの措置であったということ。にもかかわらず、これ複数年の取組を要件といたしました、三年とか五年とか。そういったことがございまして、生産者は現場におきまして取り組みにくい点があったのではないかというふうに思っております。
 こうした点を踏まえまして、二十一年度予算におきましては、こうした取組につきましては毎年度助成をするといった仕組みに見直したところでございます。
#147
○風間昶君 先ほども亀井委員の方から、要は現場のニーズにこたえていない、そういう要望にこたえ切れていない部分がそのままどんと予算化されているという嫌いがどうしてもあると私は思います。
 その減反に関して、正直者がばか見ているという話さっきされましたけれども、要するに生産現場のニーズにどうこたえていくのかということが、一義的には委員会でつっつかれるからやるんだとかそういう話じゃなくて、そういう話じゃなくて、本当に手足になっていらっしゃる方がたくさんいる中で、農水省はそういう意味では、私はそう思っておりますけれども、タイムリーにきちっとニーズにこたえていけるようなそういう省改革というのが今、望まれているんですよ、実際に。機構改革だとか、ああだとかこうだとかでなくて。
 そのことについて大臣としてもやっぱり、今単年度でなくて恒常的にという話が実際上ありました、局長から。それも含めていかに現場のニーズにこたえていけるかという、その大臣の思いは同じだと思うんですけれども、具体化しないと意味ないから、大臣、一言お願いしたいと思います。
#148
○国務大臣(石破茂君) 私は、ちょっと言い方が誤解を招いたら申し訳ないのですが、政策というのは一つの商品だと思っておりまして、これが現場のニーズに合わないとこんなもの売れないわけでございます。
 一体どんなものなら売れるんだということは、やはり現場のニーズを的確に反映をしなければなりません。霞が関でこれがいいと思っても、全然現場で受け入れないというのがたくさんございました。たくさんと言っては言い過ぎなのかもしれませんが。現場のニーズに合った政策をつくらなきゃいけないので、政策をつくるに当たって、霞が関がこれがよかれと思ってやるだけではなくて、実際にユーザーの方、実際に現場の方が政策をつくる時点から意見を寄せていただくような形。つまり、国民が政策づくりに参加をしていただく、そういう機会を確保した政策決定プロセスをつくりたいと思って、どういう形にすれば参加できるか。
 例えば、今度の畜産物価格等々はそうなのでございますが、酪農対策もそうですが、初めて皆様方からの御意見ということで募集をいたしました。多くの御意見が寄せられて、それを政策に反映をしたところでございます。そして、寄せてくださった方に、ここにこうやって反映をしましたよと、あるいは反映十分にできなかったけれどもそれはなぜなのですかということも全部お答えをお返しをしたところでございます。政策決定に当たって、国民の皆様、特に実需者の方々からの意見が反映される政策づくりというのをやりたい、それが一つでございます。
 もう一つは、つくったはいいけれど何のことだかさっぱり分からぬというような政策ではこんなもの売れないのでございまして、政策をいかに分かりやすく現場に下ろしていくかということだと思っております。
 そこは二つございまして、一つは、これがどういう政策なのか、くだくだと政策目的とかそういうことを書いたって、そんなことはもう現場にはほとんど何の関係もない話であって、何をどうすればどういうお金が来るかとか、そういうことをきちんと分かりやすく書いた、そういう政策の説明というのをできるだけ早く下ろしたいということ。
 もう一つは、それを実行するに当たって書類を物すごく書かなきゃいかぬ、もう何十枚と書かなきゃいかぬと。農業をやっているんだか書類書いているんだか訳分からぬというようなお話も実はございまして、そこは、近藤副大臣を長として、とにかくそういう書類を減らそう、役所のための書類書きではなくて本当に生産者のために必要なものだけ書いていただければよろしいということで、書類のボリュームですね、枚数だけ半分にしても字を倍にしたらどうにもならないわけで。そして、それを本当に必要なものだけ書いていただく、同じものであれば毎年毎年書いていただかなくてもいいとか、そういうふうにして、政策の中身、そして周知の方法、そしてそれの使いやすさ、それを国民視点で改めていくことが必要だと考えております。
#149
○風間昶君 是非スピーディーに、かつ簡素にやっていただきたいというふうに思います。
 次に、これは決算委員会マターになりますが、平成十九年度の会計検査院報告が出ました。相変わらず農水省は様々な指摘事項が多いわけでありますけれども、その中の一つで、農業集落排水事業で、その事業計画策定に当たっては半数以上の地区で環境省が推進している合併浄化槽の経済比較が適切に行われていなかったという指摘を受けております。原因は、実際に使っている年数に応じて合併浄化槽にしないで、法定の耐用年数で計算しているからこういうことになってきているわけです。つまり、合併浄化槽の耐用年数というのは七年なんだけれども農業集落排水は二十三年で、長くやればやるほどいいわけでありますけれども、事業者にとってはいいわけでありますけれども。
 今後、この密集地域から今度だんだん枝の方にというか、奥地というか、中山間の方に行くわけですね、整備が進んでまいります。そうなると、つまり点で、集落だけじゃなくて、生産者の方がいらっしゃるわけでありますから、費用対効果を考えると、厳密に無駄を排していくためにはきちっとした形で、経済効果を含めて、合併浄化槽がいいのか、あるいは農業集落排水がいいのかということをきちっと価値判断をする、しなきゃならないというふうに思います。
 そういう意味で、この会計検査院の指摘に対して農水省の振興局の方から、事業主体が、つまり市町村が行っている経済比較の実態を十分に把握して比較について審査を行うことで適切に務められたいという連絡が出されました、発信されました。概算事業費を用いること、それから耐用年数については各施設の機能の維持状況を踏まえた上で適切に設定することということで、少し進んだというふうに私は思います。
 そういう意味で、今後、規模は小さいでしょうけれども、漁業集落排水事業も恐らく同じ構図になっているんじゃないかというふうに私は思います。したがって、この通達を出した後、問題は、これは去年の九月の末ですけれども、そのことがきちっとなされていくように農水省にきちっとしてもらいたいということを一言お願いしたいと思います。
#150
○政府参考人(吉村馨君) まず、農業集落排水についてお答え申し上げます。
 より効率的、効果的、経済的な事業実施を図るために、下水道や浄化槽など、ほかの汚水処理方式との適切な経済比較を行った上で事業計画を策定することが重要だと考えております。一方で、委員御指摘のとおり、平成十九年度の会計検査院の検査報告におきまして、事業計画策定の際の経済比較に関し、地域の実情等特段の事情がないにもかかわらず、より実態に近い使用実績による年数を耐用年数として用いずに法令等に基づく年数を用いている事例があるという指摘を受けたところでございます。
 このため、農林水産省といたしましては、農業集落排水事業の経済比較の際の耐用年数について、原則として使用実績に基づく年数を用いることなどにより適切に比較を行うよう、既に事業実施主体等に対する指導の徹底を図ったところでございます。
 この結果、検査報告について、調査地区の半数程度の地区でより実態に近い数字が用いられていなかったという指摘を受けたところでございますけれども、今後実施する地区におきましては、使用実績による年数を耐用年数として用いるなどにより、適切な経済比較が行われるというふうに考えております。
#151
○政府参考人(山田修路君) 漁業集落排水事業についてお答えをいたします。
 漁業集落排水事業につきましては、会計検査院から御指摘は受けておりません。
 事情が多少違っているところもございます。例えば、耐用年数については、漁業集落排水事業の最近の事業の事例を見ますと、法令等に基づく耐用年数ではなくて使用実績に基づく年数を使用しております。
 ただ、農業集落排水事業につきまして一定の措置が講じられておりますので、漁業集落排水事業についても適切な事業実施という観点から同様な対策を取っていきたいと考えております。
#152
○風間昶君 是非そのようにお願いしたいと思います。
 大臣、今月の八日にわざわざ札幌においでになっていただきまして、これは農業のシンポジウムですよね、おいでになっていただいて講演をされて、それからパネルディスカッションをやられた。その中で、シンポジウムで大臣は、アメリカの新政権でどういうふうな形で出てくるか分からぬけれども、日本政府は一体となって主張するが、外交交渉だから一〇〇対ゼロはないというふうにおっしゃったと思います。非常に合理的な発言なんだけれども、受け取りようによっては妥協するのかというふうにも感じられます。地元北海道からも、毅然たる態度でこのWTO交渉に当たっては臨んでいただきたいという要請も受けたと思います。
 そこで、大臣は、WTOは多様な農業の共存だと、EPA交渉は守るべきものはしっかり守るというふうに、何か私からすると、あえてWTOとEPAを使い分けていらっしゃるなという感じがするんです。私からするとですよ。WTO交渉の方が本来は大事なことだと思っておりまして、それよりもEPAの方に何かシフトしているのかなと。そんなことはないと思うんだけれども、改めて、そんなことはないならないとはっきり言ってもらいたい。
#153
○国務大臣(石破茂君) 委員にそういうような、誤解とは申しません、そういうような思いを抱かせるような書き方をもし仮に私がしたとしたら、それは申し訳のないことでございます。EPAもWTOも同じでございますので、守るべきものはしっかり守るという姿勢に何ら変わりはございません。
 ただ、守るべきものを守ったときに、それがどういう意味合いなのかということも併せて国民の皆様方には御説明する必要があるだろうと思っております。
 外交というのは一〇〇対ゼロというのはないというのはもう本当にずっとそのとおりなのでありまして、本当に、なぜこういう選択をしたか、仮にするときがあったとして、もうそこは本当に国民の皆様に納得をいただけるように私どもは交渉しなければなりません。そして、納得をいただくような交渉でなければやる意味がございませんので、食料輸入国の立場を踏まえて、北海道においてもこの間もいろんな御意見を承りました。酪農、畜産あるいは畑作、いろんな作物。水田もそうです。その地域において守らなきゃいけないものをどうやって守るかということをきちんと御説明をした上で、EPA、WTO、共に交渉に臨んでまいりたいと思っておる次第でございます。
#154
○風間昶君 次に、先般の愛知県豊橋市での鳥インフルエンザの件で伺います。
 愛知県は何かウズラの全国の七〇%を出荷しているということで、なおかつ豊橋市は全国の六〇%という圧倒的なシェアで、何か聞くところによると一日一個しか産まないんですって、卵を。それで一個の卵が三円から五円で取引されるから、もう本当に大変な思いをされて生産者の方はいらっしゃるようであります。
 それで、余り私は毎日生卵、鶏の卵と違って毎日食べるわけじゃないからあれですけれども、中華料理から、焼き鳥の、くし揚げとか何かぐらいしか私ウズラ食べないわけでありますけれども、心配なのは、豊橋市の小中学校で鳥飼ってますよね、チャボだとか。ああいうところで問題はないのかなという、きちっと検索あるいは検査というものをやっているのかどうかということが私はちょっと心配なんで、あえて文部科学省さんに来てもらいましたけれども、どうなっていますか、把握は。
#155
○政府参考人(徳久治彦君) 御答弁申し上げます。
 まず私の方から、小中学校等で飼育されている家禽類のインフルエンザ対策につきましての全体的な取組の状況について御報告させていただきます。
 学校においては、御案内のように、地域や学校の事情に応じまして、動物を飼育して学習指導に役立てているところでございます。渡り鳥等の野鳥は鳥インフルエンザの感染源の一つと考えられておりまして、文部科学省といたしましても、学校において飼育している鳥等が野鳥やそのふん等の排せつ物と接触しないよう、放し飼いは行わない、また飼育施設にトタン板の屋根を設けるなどの適切な措置を講じるように都道府県等に対して指導してきているところでございます。
 これに加えましてでございますけれども、児童生徒や教職員の感染を防止するため、死んだ野鳥を発見した場合は、手で触れずに学校教育委員会、獣医師、保健所に連絡することについても併せて指導している、周知を図っているところでございます。
 全体といたしまして、子供の健康を守りつつ学校における動物飼育が適切に行われるように今後とも指導してまいりたいと考えてございます。
#156
○風間昶君 聞いているのは、子供が鳥に触れるな、触れないなという話じゃないんですわ。要するに、鳥インフルエンザの問題が起こったときに、小中学校で飼っている家禽というか飼育鳥、きちっと、どうなってるのかなと、ちゃんとチェックしているんですかって聞いているんです。
#157
○政府参考人(尾崎春樹君) お答えを申し上げます。
 今御説明を申し上げましたように、学校で飼っております鳥などについても、例えば野鳥と接触しないようにすることなどの注意事項を従来から指導しているわけでございますけれども、このたびの豊橋の鳥インフルエンザの発生に伴う対応につきまして豊橋市教育委員会の方に先日確認をいたしましたところ、今申し上げましたような、これまでの指導の通知の内容を踏まえてそれぞれの学校に指導をしているというふうに豊橋市の方からは返事を受けているところでございます。
#158
○風間昶君 できることがもうこれぐらいしかできないのかなというふうな思いだからあれですけれども、どっちにしてもこれ、独法の動物衛生研究所が、全国に家畜保健衛生所というのがあって、そこに相談してくださいというのがこれ、小中学校にまいているんですよ、まいているというか配付されているんですよ、文科省が。だから、何ていうか、触れないとか触れるとかという話じゃなくて、実際に発生したところの小学校辺りで飼っている飼育鳥が大丈夫なんですかと、そのチェックをされているんですかと聞いているんです、さっきから。やってないならやってないって言えばいい話で、やるべきことをきちっとやってくださいよというのが私のお願いです。
 いいですか。ちゃんと、私、返事要りませんけれども、それが返事返ってこないんだったらこれはきちっとやらなきゃならなくなるから、文部科学大臣に、直接。それを是非お願いします。
 それから、大臣、もう時間余りないですからあれですが、現実に愛知県知事さんやあるいは豊橋市長さんが先週大臣のところに来て申入れされていますよね、助けてと言っていろいろ。つまり、全国の七割を占めるウズラが症状が発生していないにもかかわらず全部殺処分されました。これはもう莫大な、農家にとってみればどうするのよ、これからと。もうどこに怒りを持っていっていいか分からないよと。風評被害もあり、それから、今後自分がウズラを飼っていけるのかということからすると、大変な思いを持っていらっしゃるというふうに思います、生産者の方々は。
 だから、鳥に関する防疫指針、疫病を防ぐための指針は鶏しか今ないんですよ、明確には。ウズラ入ってないんです、たしか。入ってないはずなんです。私の思い違いだったらごめんなさい。だから、ちゃんとウズラもそれに入れてほしいというのが知事、市長からの要望なはずです。それから、この焼却処理された金額を何とか補てんしていただけないかというのもあったはずです。
 それから、私は、そういう意味では、今後の生産者の方々にとってみれば、ウズラの事故の発生した農家の方々に対して、もうウズラを飼っている、何というんだろう、鳥舎、何というんだろう、鶏舎、何といったらいいのかな、飼っている所、飼育舎、それをそのまま使えない可能性もあると思っているんですが、代わるようなものとか、あるいはその発生して代わりの土地をあれするとかということをしなきゃならないんでないかなというふうに私は思うものですから。その点について、ある意味では生産者の方々への経営支援になっていく話なんですけど、そこを含めて、大臣としては、産業として豊橋はウズラ産業として位置付けられているようですから、きちっと豊橋のウズラを残していただけるような対応措置をしていただきたいというふうに思います。
#159
○国務大臣(石破茂君) これはよく愛知県知事にも豊橋市長にも御説明したところでございますが、ウズラは対象に入っております。入っておらないというようなことをおっしゃる方がおられたのですが、これは入っておりますので、そこは是非御承知おきをいただければと存じます。
 それから、殺処分を何でみんなするんだと。みんな元気に生きておるではないかと、何でみんな殺すんだみたいなお話で、それは人情からすればそういうことであろうとは存じますが、これがアメリカですとかメキシコですとか、そういうところで変異を起こして大被害が起こったということがございます。したがいまして、これは国際的な基準に照らしましても全部殺処分をせざるを得ないということについても御説明をいたしました。
 それでは、このお金をどうしてくれるんだということでございますが、家畜伝染病予防法に基づき殺処分をした家畜に対します手当金等は国が交付をいたします。また、経営維持、再開に必要な運転資金の融資等も措置をしておるところでございます。また、愛知県が鳥インフルエンザに支出したお金につきましてでございますが、これは総務省に特交による支援をお願いをいたしておるところでございます。ウズラの再生産、おっしゃいますように豊橋でほとんど生産をしておるわけでございまして、この再生産が円滑に進みますようにこの導入経費、これに助成ができないかということで、今最終的な詰めを行っているところでございます。
 加えまして、風評被害が生ずることがございませんように、あるいは学校給食でウズラを使わないなどと言われたらそれはもうたまらぬお話でございますので、その辺り風評被害が生じませんように万全を期しております。豊橋市長が先般いらっしゃいまして、ウズラの卵を私に幾つか問題のない範囲でちょうだいをいたしまして、うちへ帰って食べて大変おいしかったということがございまして、ウズラの卵を食べていただいて全く安全でございますので、どうか国民の皆様方におかれましてもウズラの卵を消費、御賞味賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。
#160
○風間昶君 終わります。
#161
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は、農政改革について、一体これどういうことをやろうとしているのかということをお聞きしたくて、十日の予算委員会で大臣に質問をいたしました。時間もわずかということでもあって十分ではありませんでしたので、改めてもう少しお聞きしていきたいと思います。
 財界のシンクタンクでありますこの日本国際フォーラム政策委員会のグローバル化の中での日本農業の総合戦略という政策提言の内容をその予算委員会の中ではお示しをして大臣に聞いたわけです。それでその中に、中長期的に、食料基地は百五十万ヘクタールを想定し、百ヘクタール規模の農業経営体一万程度を核とすると。それから、農地の所有、利用共に自由な権利移動を可能とする。それから、米などの生産調整への参加、不参加も自由とする。それから、緊急に取るべき施策として、撤退する農業者の早期離農を助成し農地集積を図れというような中身が書いてあるということで、これについて、大臣、どのように思われますかという質問をしたら、大臣の答弁の中で、日本農業の零細性ということも考えたときに、セーフティーネットをどうやって張るんだという議論を欠落をした改革論議というのは極めて危険だというようなことを言われたわけですけれども、この場合のそのセーフティーネットですとか、この言っている中身が、言われている中身がもう一つよく分からなかったものですから、まずそこのところから詳しく説明をしていただきたいと思います。
#162
○国務大臣(石破茂君) 日本国際フォーラムが発表なさいました政策提言は、これ私が書いたものではございませんので、このことについてどうなのだと言われても、原作者ではございませんので、きちんとしたお答えにはならないということを前提として申し上げたいと存じます。
 私としては、百五十万ヘクタールの農地を食料基地として確保し、百ヘクタール規模の農業経営体を一万戸程度育成すべきというような御提言は、具体的な政策手法が明らかにされていない、また、我が国の農業、農村の現状に照らして実現可能かどうか十分検証をしなければならないと、そういう旨を申し上げたところでございます。
 セーフティーネットをどう張るかというお話でございますが、やはり私はある程度裁量の幅というのはあるべきだと思っております。それをすべて国が、私どもの考え方で申し上げれば、社会主義経済ではございませんので、これはこのようにします、このようにします、このようにしますと決めて、決めたとおりにやったらばというようなことにはならないのだと思っておりまして、ある程度の裁量の余地はあるだろうと。しかしながら、そこにおいて、競争の結果としてそこから外れるような人たちが出てきた、経営体が出てきたときに、いかなるセーフティーネットを張るかということは考えていきませんと、それは集落の消失とか農業経営体の激減とか、そういう事態を招来しかねないと思っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、この国際フォーラムの御提言というものについて、これから先の政策手法あるいは実現の可能性、そういうものについてきちんと検証し、あるいは書かれた方にお話を承ってみませんと、このことについての評価はなかなか難しかろうかと思っております。
#163
○紙智子君 そうじゃないと思うんですよね。実現可能かどうかは私は言えないということじゃないと思う。
 大臣自身が、こういうことがどうなのか、どう思うのかということを聞いたわけで、いや、これは実現が難しいんじゃないですかとか、あるいは、いや、これはここまでは極端だけれども、もうちょっと考えて、それでやるとすればそういう方向に行かざるを得ないとか、そういういろんな考え方あると思うんですけれども、その大臣の本音の部分というか、御覧になってどう思っているのかということを聞いたんですよ。
#164
○国務大臣(石破茂君) これをお書きになった先生、私、直接存じ上げているわけではございません。お書きになった論文は相当数拝見もし、自分なりに考えてもみましたが、実際に書いておられることと意図しておられることが違うことがありますので、ちゃんと会ってお話をしなければ断定的なことは申し上げられないと思っております。
 私は、要は、日本農業のこの零細性というものをどう考えるか、グローバル化の中にあってこの零細性というものをどのように考えていくべきなのか。前も委員と議論をしたかもしれませんが、私は何もフランス万歳というつもりは全くないのですが、十数年あるいは二十数年の間に、フランスの農業経営体の数がたしか三分の一になり、経営規模は三倍になりましたと。そして、自給率が低いということについてどうなのだという御懸念がずっと午前中から出ておるわけでございますが、フランスにおいてなぜ一〇〇%を大きく超える自給率が達成をされたのかということを考えましたときに、その農地政策、あるいは経営政策という言葉があるかどうかは知りませんが、そこはやはり何らかの作用をしたと考えるべきなのだろうと思っております。
 自給力も上げていかねばならない、自給率も上げていかねばならないということを頭に置きましたときに、しかしながら規模の拡大という政策は取らないのだという選択をすると、ではどうしたらよいのだろうかということになるのだろうと思っております。
 あちらもよく、こちらもよく、みんなよくというようなことにはなかなかならないのでございまして、政策全体の整合性というものの中からこの提言というものの意味を酌み取っていかねばならないのではないかと考えております。
#165
○紙智子君 やっぱり大臣としてはどういうふうに思っているのかということが今のお話聞いていても、規模拡大をしないとしたらどうなんだろうかというクエスチョンマークが付いているだけで、自分としてはこういう方向に行くべきなんだと、日本は日本らしいやり方があるんだからこうすべきだとかということがやっぱりあってしかるべきじゃないのかなというふうに思うわけです。
 それで、今、非常に深刻な経済危機と言われている中でされている議論は、我が国がこの危機を打開するためにはやっぱり外需頼みのそういう経済の構造ではなく、やっぱり内需をもっともっと重視して内需型の経済に転換させていくということが大事だということがみんなの議論になっているわけですよね。農業でいえばやっぱり食料自給率を本格的に引き上げていくと、真剣にそのことを追求していくという方向でやっていく以外にないんじゃないかということで、一次産業をもっと全体として大事にしなきゃいけないという話に今なっているというふうに思うわけですよ。
 そういう議論が日本全体でいうと今なされているにもかかわらず、この政策提言というのは日本農業のグローバル化を主張しているわけです、グローバル化。関税をなくすということを前提にして、言わば競争によって家族経営や小規模の経営を淘汰していくというものになっているわけですよ。
 だから、これで大臣はいいと思うのかどうかということなんですけれども、いかがですか。
#166
○国務大臣(石破茂君) いいとは思いません。
#167
○紙智子君 はっきりといいとは思わないということだったので、それはそれでいいと思うんですけれども。
 それで、もう一つここで、提言している中身で大臣に更にちょっと突っ込んで意見をお聞きしたいんですけれども、大臣は自給率について五〇%、二〇一七年までに達成するということを目標に掲げられているわけですよね、自給率。農業新聞にも書いてあったと思いますけれども。
 それで、そうすると、この提言で言っているのは百五十万ヘクタールということですから、今四百六十万ヘクタールですよね。四百六十万ヘクタールから百五十万ヘクタールを引いた残りの三百十万ヘクタールというのは、要するに構造調整の対象として日本農業からは排除されることになるわけです。そうすると、自給率向上との関係でいうとこれどんなことになってくるのかなということになるわけで、やはり目標達成していこうと思ったら、それにふさわしく耕作面積でどれだけ必要なのかということを当然考えなきゃいけないわけですよね。
 それで、いろんな人にお聞きすると、いや、千二百万ヘクタールは必要だとか、あるいは千七百は必要だとかということを言う人もいらっしゃるんですけれども。四百六十万ヘクタールで五〇%までというのはいかに大変かと、そんなことできるわけないという声もあるわけですよ。そういうときに、更にこれ切り込んでいくというか減らしていくということになれば、全く達成するというのにならないわけで、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。
#168
○国務大臣(石破茂君) それは何を食べるかにもよるのでございますが、やはり基本的に農地が減少して自給率が上がるということはなかなか難しかろうと私は思っておるところでございます。さればこそ、この国会に農地関連の法案を提出をし、農地の維持というものをどう担保するかということに腐心をして法案を出しておるわけでございます。
 やはり、農地面積がどんどん減っていると、違反転用が一年に八千件もあると、そしてまた耕作放棄がどんどんと行われているというような状況で、委員御指摘のように、自給率五〇%を目指すんだといっても、生産装置たる農地がどんどん減って何が五〇%だということになるわけでございまして、農地があって初めて農業というものは継続できるのだと、農地があって初めて農産物、そんな当たり前の話ですが、生産できるんだという原点に立ち戻って農地を守っていくということを考えていかねばならぬ。
 そのときに、何でこれだけ転用が行われるのかという理由についてぎりぎり考えませんと、今まで農地法そのものがそうだったんです。農地法そのものをちゃんと読めば、農地の目的外使用とかそういうことがあるはずがないし、耕作が行えない農地などというのは概念矛盾でございますから、そういうものがあるはずはない。その後、経営基盤強化法とか農用地利用増進法とかいろんな法律を作りましたが、なかなか実効が伴わないのはなぜなのかという点について今回こそちゃんと議論をしたいと、そして実効を確保したいと思っておるところでございます。
#169
○紙智子君 もう一つ、この政策提言にかかわってですけれども、この中でWTO農業交渉の問題で、「WTO農業交渉の決着に向けてリーダーシップを発揮せよ」というふうに書いているんですよね。それで、ドーハ・ラウンドの決裂直前の事務局長案の受諾をここで要求しているわけです、受け入れるべきだと。
 それでやると、関税の大幅引下げが、除外したい重要品目の数が有税品目数の六%にとどめられるということですよね。それで、重要品目の関税削減幅をこれ一般品目の三分の一とした場合には、その代償として関税割当て枠を国内消費量の四%から六%に相当する量を拡大しなければならないと。
 つまり、米を重要品目にすると、現行の関税一キロ当たり三百四十一円を一般品目の三分の一の削減にとどめて二百六十二円にする代わりに、関税割当ては、その枠は現在の七十六・七万トンプラス、これは今の国内全消費量の九百三十五万トン掛ける最低四%という掛け算で数字が三十七・四万トンなんですけれども、足しますと、ミニマムアクセス米として百十四・一万トンになるということになるわけですよね。これは間違いありませんかね。
#170
○国務大臣(石破茂君) 済みません、それぞれ個々の御通告をいただいておりませんので、本当は全部快刀乱麻のごとく答えると格好いいのでございましょうが、なかなかそういうことに相なりませんことをお許しをいただきたいと存じます。
 そういう数字があることは承知をいたしております。計算式について私が全部確認をしたわけではございませんので、そのとおりになりますということを申し上げることはもちろん立場上できませんし、またそういう知見も持ちませんが、そういう計算式があるということは承知をいたしておるところでございます。
#171
○紙智子君 先日、衆議院の質問で我が党の議員が質問をした際に、百十四万トン、目安という話をされております。
 それで、この数字というのはどういう数字なのかということなんです、百十四万トン。これ、大臣は北海道の米の生産の量というのは御存じでしょうか。大体、約というか六十五万トンぐらいなんですよ。それから、新潟でどれぐらいかというと、今ちょっと一時より下がって、元は北海道よりも多かったんですけど、六十万トンすれすれぐらいですかね。そのぐらいですから、北海道と新潟の言ってみれば生産量を足すよりちょっと低いぐらいなんですよ。これだけの量がこの後、交渉をもし受けざるを得なくなったときには入ってくるということになるわけですよね。これはもうとんでもないことだというふうに思うわけです。
 それで、ミニマムアクセス米は、この間、事故米の不正規流通問題というだけじゃなく、先ほども質問の中でありましたけれども、事故米でないものもカビが、汚染されていて問題になっているわけです。そして、この間、全国二百四十八自治体でミニマムアクセス米の輸入についてはやめるべきじゃないかという意見書も上がってきているわけです。
 この委員会でも先ほど来いろいろ取りざたされてきているわけで、そういう下で、これまでと同じようにこのミニマムアクセス米を、輸入機会の提供という国際基準ではなく、国家貿易だから輸入義務だというふうに言って我が国の一方的な全量輸入を続けるつもりなのかどうか。これ大臣、いかがですか。
#172
○国務大臣(石破茂君) 制度として申し上げれば、これは国家貿易であり、生産調整に影響を与えないということを考えれば、機会の提供だけで済むものだとは思いません。義務的に全量輸入をすべきものであると思っております。それは、トートロジーみたいですが、生産調整に影響を与えないためにどうしてもそれは維持をせねばならないことだと思っております。それが百十何万トンみたいなことになったときに、それ、もう一体そんなことは可能なのかということ。また、先ほど我が党の佐藤委員の御質問の中に外―外というお話がありました。いろんな議論があるんだろうと思っております。
 一番いいのは、ミニマムアクセス米を入れないで済む方策は一体何でしょうかということであり、それが国際ルールにきちんと合致をしたものであるということだと思います。
 重要品目をどうするか。それはもう譲許表の議論とセットですから、ここで軽々なことは申し上げられませんが、その場合に必ず代償措置というものを伴うということはよく念頭に置いて議論がされねばならないものだと思ってはおります。
#173
○紙智子君 WTOの交渉というのは、もう本当に、またやるということになったらすぐかかわってくるわけですから、そんな遠い先の話じゃなくて、もう絶えずそういう、どういう対応をしなきゃならないかということではやっぱり求められる中身ですから、そこをよほど、やっぱり本当にこれを入れなくても済むようにするんだったら、そういう理論武装というか、やって臨まなきゃいけない話だと思うんですよ。
 それで、入れないにこしたことはないということをめぐっては、前回も私、大臣に提案させていただいたんですけど、やっぱりセクター方式というやり方もあるじゃないかと。EUはそういうやり方を取って五%の目標のところをやることができたわけですよね。肉類とか、野菜類というくくりでやれたわけで、日本が穀物というくくりでこれをやった場合には、もちろん麦や大豆やいろんなものも含めて増やさなきゃいけないということがありますけれども、しかし、そういう穀物の中で調整をしてやりくりすることができるようになるわけで、これを是非、やれば入れなくて済むし、同時にこの外国との関係でもやることできるんじゃないのかと。
 これについてはどうですか。再度真剣にお考えになってはどうでしょうか。
#174
○国務大臣(石破茂君) いや、それが本当にできればよいのですが、そのWTOのいろいろなルール、またそれから、これから先、新しく変わっていくルール、もちろん交渉中でございますけれども、そういうものに照らしたときに、本当に委員御提案のようなすばらしいアイデアが実現可能なのか。済みません、今すぐのお答えにならなくて恐縮ですが、私自身、これどう考えてもそういう夢のような話にはならないなと思っておるのです。
 なぜならないか、なぜならないと私が考えるかということについてもう一度機会をいただいて御説明を申し上げたいと思いますし、またそれに対する御見解、あるいはそれは違うぞというお考えがあれば、またそのときに承りたいと思います。すぐのお答えにならなくて恐縮です。
#175
○紙智子君 やはり一度も多分言ってないと思うんですよ、相手に対して。それで、国内で、いや、それは難しいということでぶつけていないわけで、やっぱりこれを国際会議の場でぶつけられたらいいと思うんです。
 それで、やっぱりWTOそのものの状況というのも大きく、もう十三年ですか、たって大きく変化をしてきたわけで、食料事情も変わっているし、先ほどのやり取り聞いていて思ったんですけれども、大臣は、交渉事だから、日本が例えば自動車だとかいろんなものを輸出した場合に当然その代わりに何かを入れなきゃいけないと、そのときに農業生産物しか作っていないような貧しい国のことも考えなきゃいけないというふうに言われたわけですけれども、私は、やっぱりそれを考えるのであれば、今、日本という国が、これまででいえば純食料輸入国と言われているわけですけれども、むしろお金の力でもう諸外国の食料を買いあさってきたわけで、そのことによって国際情勢の中で受けている影響ということをまず考えなきゃいけないんだと思うんですよ。
 去年辺りも穀物が異常に高くなって、それで、お米を買いたいけれども穀物の市場が物すごく高くなって、米も上がって買えない国が出てきたときに、それでも日本はミニマムアクセス米だといって米を入れているわけで、こういうこと自身をやっぱり見直さなきゃいけない、枠を見直さなきゃいけないときに来ているということをやっぱり国際会議の場で堂々と主張されて、そして、先ほどもどなたかおっしゃいましたけれども、食料主権という話も含めて、そこでやっぱりやっていく必要があるんじゃないのかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#176
○国務大臣(石破茂君) それは、委員の御指摘に私も同意するところは多々ございます。
 それは、貿易というのは二つの面があって、私が申し上げた食料しか売るものがないんだと、そういう国から何か買いませんとその国の民生は決して向上しない、その国の民生が向上していかなければ我が国のいろんなものも買ってもらえない。やっぱり貿易というのはそういう相互互恵関係にあるのだということもございます。他方、金に飽かせていろんなものを買って、結果的にその国の民生をもっと下げているじゃないかということもあるんだろうと思います。そこにおいて、我が国は節度ある貿易というものは考えていかなければならないのだろうと。
 細川政権のときに大冷害というのがあって、あのときに米が足りなくなって世界中からお米を買いました。それがかえってその国の民生を向上させるのではなくて悪化させたのではないかという御指摘があることも承知をいたしております。そこはよく気を付けて物は言わなければいけないと思っております。
 それから、食料主権ということについてはもっと堂々と物を言えと、それはそのとおりなのでございます。ただ、我が国の、例えばG10の中でもいろいろと考え方に相違はございます。我が国の主張というものにどれだけ多くの国が賛同してくれるかということ。非常に孤軍奮闘、立派なことは申し上げたが、だれも賛成してくれませんでしたということであれば、申し上げるだけ申し上げたが駄目でしたということになって国内の方々に申し訳が立つのかといえば、そのようなことはございません。私どもの主張というものがどれだけ多くの国の賛同を得ることができるかということに常に私ども配意をしておるわけでございます。
 私も、大臣に就任しましてから大勢の外国の方とお話をいたしました。今週もいたします。我が国の主張というものが、農業というものは、多様な農業というからには、それぞれ立地条件が全部違う、経済状況も全部違う。その中で、最大公約数を目指しながら、我が国の主張に賛同してくれる。それが主権の、食料主権というものを唱えながらそれがハーモナイズする、そういうものをめっけていくのがなかなか難しいところでございます。
 我が国として主張すべきは主張しますし、そのことに全力を尽くしますが、多くの国の賛同を得るためにいろいろな工夫はしていかねばならないのは委員御案内のとおりでございます。
#177
○紙智子君 もう時間がちょっと迫ってきているので、最後ですけれども。
 各省庁を巻き込んで、あらゆる角度から議論を深めることが大事だというふうに大臣言われてきたんですけれども、実際に農政改革の特命チームのこの間の議論の中身を読ませていただいております。それで、それを読みますと、例えば他省庁の審議官から、新たなWTO合意をどのように溶け込ませていくのかと。だから、今のことを前提にして、要するにぎりぎりの、いったんまとまらなかったその中身ですよね。その内容を合意することを前提にして、これをどう溶け込ませていくのかということもあるということが発言されているわけですよね。これはとんでもないことを言っているなと思って私は見るわけですけれども。
 そういうこと自体に対して、大臣もその会議に参加されているんですよね──していないですか、ああ、そうですか。もししていたとしたら、どう反論したのかなと思ったんですけれども。
 やっぱりこういうことが議論されていて、実際に現場の生産者の皆さんがかなり有能な、優秀な生産者の皆さんが参加して意見を言われていると思うんですけれども、その意見でさえも、今のままだったら再生産で続けること難しいという話がされている中で、それに対する対応が必要なときに、各省庁の主張というのはそれぞればらばらなんですよね。
 だから、それを見ると、どこに収れんされていくのかと、非常に難しいということを、大変だなということを思うわけで、やっぱり抜本的な改革ということでいえば徹底した、底をついた議論をして、本当にかみ合うものに、本当の意味で改革の方向にするべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
#178
○委員長(平野達男君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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