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2009/04/23 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第11号
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2009/04/23 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第171回国会 農林水産委員会 第11号
平成二十一年四月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 達男君
    理 事               
                郡司  彰君
                高橋 千秋君
                加治屋義人君
                佐藤 昭郎君
    委 員               
                岩本  司君
                小川 勝也君
                大河原雅子君
                金子 恵美君
                亀井亜紀子君
                主濱  了君
                姫井由美子君
                舟山 康江君
                岩永 浩美君
                野村 哲郎君
                牧野たかお君
                山田 俊男君
                風間  昶君
                草川 昭三君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   石破  茂君
   副大臣
       農林水産副大臣  近藤 基彦君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       野村 哲郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 朝雄君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       長田  太君
       農林水産省消費
       ・安全局長    竹谷 廣之君
       水産庁長官    山田 修路君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 漁業災害補償法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官長田太君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平野達男君) 漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○小川勝也君 民主党・新緑風会・国民新・日本の小川勝也でございます。
 あれこれ調べてみましたら、十一か月ぶりぐらいの質問でございまして、質問の通告の仕方などを思い出しながら質問を作ってまいりました。
 今回の法律は、実は平成十八年、北海道に爆弾低気圧と呼ばれる、台風ではないけれども、低気圧というと全然大したことなさそうなネーミングなんですけれども、森林にも漁業にも大変大きな被害をもたらした、そんな事件がありました。各港を回りまして、特に定置網に甚大な被害が出て、あるいは漁船、漁具、様々な被害が出ました。そのときに共済の在り方、保険制度の在り方など、現状に対する不満などを現地の組合長さんや漁業組合の方々、あるいは専務さん、参事さんなどにいろいろ伺ったわけであります。
 しかし、私も専門家ではありませんので、この農林水産委員会でこのような仕組みをつくるべきだ、このような共済制度にしろという言い方はできませんでした。そのときにお願いをしたのは、現場を知る、すなわち各漁業協同組合の専務さんとか参事さんとか、そういう方々からしっかり意見を聴いて制度設計をするようにというお願いをしたところであります。そのことが功を奏したとは思いませんけれども、審議会などをつくっていただいて、特に大学の先生を始め、北海道からも漁連の役員の方々あるいは全漁連の役員の方々あるいは共済連の方々、いろんな意見を闘わせて、積み重ねて今回の法改正につながったと理解をしております。
 制度の仕組みというのは、あくまでもこれ日々精進、すなわち理想を追い求めて何度も何度も議論をして改正をしていかなければならないものだと考えるときに、今回の一部改正は納得できるものと考えますし、また、この改正が終わりではなく、すなわち様々な利用者、各界の意見を聴いて常に努力をいただきたい、このような立場で質問をさせていただきたいというふうに思います。
 この漁業補償法の改正につきましては、私から幾つかのポイントだけ質問させていただいて、後に主濱議員がきっちり詰めていただくことになってございます。
 まず、今回の法改正でありますけれども、加入者にとってこういう点が間違いなくいいんだという利便性が向上する点について、水産庁から、あるいは大臣からお伺いをしたいと思います。
#6
○国務大臣(石破茂君) 委員にはいろいろと御示唆をいただきまして、誠にありがとうございます。
 加入者にとってのメリットというお尋ねでございますが、とにかく入りやすくすることが大事だというふうに考えております。選択肢を増やす、共済契約の選択肢を増やす、そのことによって掛金が安い商品の利用が可能になる、これが第一でございます。第二は、これまで共済の対象にならなかった魚種、これを対象にすることによりまして入りやすくするわけでございます。
 じゃ、選択肢が増えるというのはどういうことかといえば、養殖共済について、漁業者が任意の選択により病害を補償の対象から除外できるというふうにいたしました。漁業者の選択によるものでございます。また、漁業施設共済については、特約制度が導入をされまして、その時々のニーズに応じて柔軟な商品設計ができるというようにいたしました。この結果、例えば養殖共済で補償の対象から病害を除外した場合、掛金は現行のオールリスク補償商品と比べてほとんど半額以下ということに相なります。
 第二点目、対象魚種の拡大でございますが、養殖共済の対象にならなかったマサバ、メバルなどの生産額の少ない魚種について、病害を共済事故から除外することを前提といたしまして、新たに養殖共済の対象とするということを可能にいたしました。地域で共済ニーズが大きい魚種が新たに養殖共済の対象となり、セーフティーネットとして機能するということがメリットであると私どもは考えております。
#7
○小川勝也君 今大臣から様々なメリットについてお話がございました。
 この保険とか共済のシステム、単純に考えますと、掛金が少なくて補償が大きい方がいい、しかしながら、補償をたくさん受けるようなケースが生じますと掛金というのは上がっていくわけでありまして、この相関関係というのは常識的に把握できるわけであります。
 その辺につきましては後刻また質問をさせていただくといたしまして、では具体的にこの法改正によってどのくらいの加入率が見込まれるのか、あるいは加入者の増加が見込まれるのか、見込みについてお伺いをしたいと思います。
#8
○政府参考人(山田修路君) ただいま大臣から加入しやすくなるようなことが今回のねらいだというお話をいたしましたけれども、まさに掛金の安い商品を導入するということで、今まで経営の状況が厳しいのでこの共済への加入を見合わせていた方々が加入できるようになるのではないかと見ております。
 養殖共済につきましては、現在約五三%の加入率でございますが、五年後の見込みといたしまして、平成二十六年度末では約六〇%にまで加入率が今回の改正によって上がるというふうに見ております。それから、契約高でございますが、現在約九百億円という契約高になっておりますが、やはり五年後には一千億円以上になっていくというふうに見込んでおります。
 それから、もう一つの漁業施設共済でございますが、これは、現在の加入率は約一一%ですけれども、法律改正の効果によりまして五年後には二〇%を超えるまでになると。それから、契約高は約百億円でございますが、五年後には約倍の二百億円に伸びるというふうに見通しております。
#9
○小川勝也君 今御説明がございましたように、特約などという考え方も色濃く反映されてまいりました。漁業あるいはそれに関連するということで考えてみますと、漁船から漁具から養殖から、あるいは不漁、病気、多岐多様にわたっていくわけであります。
 そして、保険、共済全体的にはまだ制度設計が進化の途上にあるのではないか、あるいは、もっともっといろいろ勉強すべき点があるのではないか、このように質問を取りに来られた方にお話をしたところ、どこが遅れているんでしょうかという質問を受けたわけであります。私は、先ほど冒頭申し上げましたとおり、これはどこまで行けば完成だという問題ではなくて、常に時代の変化と新しく起こる事象と利用者、加入者のニーズをおもんぱかりながら、常に改正に留意していくという心掛けが必要な分野だろうというふうに考えているわけであります。
 今回の改正にとどまらず、漁業共済あるいは取り巻く共済制度、あるいは保険制度全般で、次の課題としてどういう問題を認識をしているのか、お伺いをしたいと思います。
#10
○政府参考人(山田修路君) ただいま小川委員からお話がありましたように、時代の状況に応じて様々な改善をしていく必要があるということだと考えております。
 特に、お話がありましたし、先ほども委員から加入率のお話がありましたけれども、現在の加入率を見ますと、例えば特定養殖共済は約八〇%になっておりまして相当高いレベルになっている、ほぼいい線まで来ているのかなというふうに思いますけれども、漁獲共済あるいは養殖共済では五〇%、それから漁業施設共済では約一〇%ということで、やはり加入率がまだまだ低いというふうに見ております。そういうことで、委員からお話がありましたように、まだまだ改善をしていく余地は大いにあるというふうに考えております。
 特に、施設共済が一〇%というのは非常に低い状況でございます。やはり、この原因を見てみますと、定置網等の施設の単価が非常に高くて共済掛金がどうしても割高になっていくということがございます。それから、一方で、施設の強度というんでしょうか、質が良くなってきて壊れにくくなってきている。先ほど爆弾低気圧のお話がありましたけれども、改良によって通常の暴風雨ではなかなか壊れないような改善もなされてきているというようなことがございます。
 こういうその加入率が低いものについて上げていくための改正内容を今回盛り込んでおりますけれども、そういった改善を今後もまた考えていく必要があると思いますし、それから、先ほど言いました漁獲共済あるいは養殖共済は五割の加入率でございます。これは、やはり全体として、漁業をめぐる情勢、魚価の状況ですとか、あるいはえさの高騰の問題などなどが響いているというふうに考えております。やはり、共済掛金が割高だというところ、これをやはり少しでも負担を軽減をしていくというようなことが必要だと考えております。
 先ほど大臣からお話がありましたように、その負担を軽減をして加入者が加入しやすいような制度改正を今回考えておりますので、今後とも、こういった改正についてのPRをしながら普及をしていくというようなことを一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
#11
○小川勝也君 経営の規模によって、甚大な被害とか再生産が不可能な事態というのがあるんだろうというふうに思います。
 今例示をいただきました、先ほど私が御紹介を申し上げた平成十八年のサケ定置網などというのは、一統一億円という規模でございまして、すなわち、次の網を買ってサケを捕れるのは翌シーズンです。すなわち、そのシーズンのサケの漁獲を棒に振って、あるいは新しい網を注文をしてでき上がるということになりますと、これは金額的な被害も大きいわけでありますけれども、精神的な被害というのも誠に甚大であります。
 すなわち、再生産が不可能になるような漁業体、経営体はなるべく避けたいというのがこの共済制度の本旨だろうというふうに思うわけであります。しかしながら、様々な制度設計の中で、いろいろな加入者の方々のそのリスク感覚やあるいは掛金、様々な形で大きな負担となっていることも事実だろうというふうに思います。
 ここから少し話が変わるわけでありますけれども、今朝の民主党の農林水産部門会議で経済対策の説明をいただきました。大変大盤振る舞いがいろいろと入っておりまして、ああ、こんなことやっていいのかと思うぐらいのものまで入っていました。これはおいておいて、私ども民主党は、農業分野に直接所得補償などという概念も政策的に打ち出させていただいております。あるいは、まだ発展途上でありますけれども、林業・森林管理の分野や漁業の分野にも応用できないだろうかという提案もさせていただいております。
 様々な観点から、直接ということになりますと、様々な形で、国民の多くの皆さんの圧倒的な理解がいただけなければできないことだと私どもも承知をいたしております。
 経営が甚大な危機に瀕することを回避するために、直接の漁業経営体や漁業者に補償するというよりも、この保険制度や共済制度には今までも国のお金が入っているわけであります。ですから、もし農林水産省や水産庁が、今度この制度をつくるんだけれども、ちょっと加入者の負担が大きいなと思う分野に、あるいは、ここで少し国費を投入することによって、私が先ほど申し上げました、再生産が不可能になるような事態を大きく回避することができて国民にも納得がいただけるというような分野には、私は、この保険、共済、補償の分野にはもっともっと政策的な経費をつぎ込む、国民の理解が得られる分野だろうというふうに考えるわけであります。
 大事なこの共済制度でありますので、加入者の皆さんが大きな損害を被って、あるいは加入できない方が事業を継続できないような事態を迎えないためにも、大きく政策転換とか、あるいは大きな措置を考える時期に来ているんだろうというふうに思います。
 この補償、共済、保険、こういった分野に今以上の大きな措置をとるということに対して、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
#12
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるところは共感する部分も多くございます。
 農林水産政策というものをどうとらえるか。まさしく委員が御指摘になったように、国のお金、国民の税金を入れるからには、納税者がそうだねという御理解をいただかねばなりません。直接というところに大きな意味があって、所得補償ということに意味があってこの二つの意味があるんだろうと思っていますが、ではなぜ農業に、なぜ漁業に、林業もそういう考え方があるのかもしれませんが、じゃほかの産業と比べて農林水産業が違うんだというところはどこなんでしょうか、そしてまた、その制度の設計とはどうあるべきなんでしょうか、それが産業政策としてどういう意味合いを持つものなのでしょうか、その辺について精緻な検討が必要なのだと私は思っております。
 漁業も経営でございます。そして、どのようにして、日本の場合には委員御案内のように世界で六番目の海域を持っております、排他的経済水域も入れれば。そして、海流の関係から世界でも有数の豊かな漁場ということになるわけでございます。そこで安定した経営を行うためにどんな手だてがあるか。どうやってリスクを分散し、どうやってコストを下げ、どうやって付加価値を上げということに支援は十分にしていかねばならぬと思っております。
 そのリスク分散において、保険という商品はどういうものなのか。リスクをどれぐらい見込み、母数をどれぐらい見込んで、それが保険としての設計がどこまであって、国の助成というものをどんどんどんどん上げていった場合に、それが保険としての性格をどこかの時点で分水嶺を越えるのかどうかという議論なんだろうと私は思っております。
 今回の法改正によって入りやすくする、そのことによってリスクを分散する、加入者を増やして母数を増やして保険としての制度の安定を図るというふうに考えておりますが、それが直接所得補償と理念的に結び付くものかといえば、それは必ずしもそうではないと。むしろ、リスクを分散することによってどう経営を安定させるか、そして母数を増やすことによってどうやって保険制度としての安定を図るかということに配意をしたものでございまして、直接所得補償の概念とは少し違うのだと思っております。
 農林の分野で議論をしたときに、条件不利地域直接支払というものを入れました、直接補償というものを入れましたですね、戸別ではございませんが。そういう考え方が漁業に導入できないかという議論は前から我が党でもいたしております。どういうような、冒頭申し上げました幾つかの点について極めて精緻な精査を行って、それが国民の理解が得られるというような努力が必要であって、私どもとして今すぐに直接支払というようなことを念頭に置いているわけではございません。
#13
○小川勝也君 ちょっと質問の仕方に誤解があったのかもしれませんが、私が申し上げたのは、釈迦に説法ですけれども、第一次産業分野には、それぞれその業に従事している人だけが被る利益ではなく、国民全体が受ける利益というのが出発点にあります。そんな中で、私どもは農業のみならず、水産業、水産分野にもこの概念を盛り込むことを検討しているということをおいておきまして、その直接所得を補償するよりも保険共済に国民の税金を投入する方が納得が得られやすいのではないかという前提条件があります。そして、少し嫌みっぽく言いましたけれども、もっともっと国民の理解が得られないような経済対策まで入っているじゃないかということも嫌みながら付け加えたわけであります。
 まあ、言えば切りがないわけでありまして、こんなところに経済対策という名目でお金突っ込んでいいのかというのも朝説明を受けたわけでありますので、それに比べれば、水産や漁業を大事なものと位置付けて、加入者の皆さんにも御負担をいただく、そして加入率を高めるために国民の理解をいただいて、国がそれこそ制度設計や理念を精査しながら、必要な分野には国費を投入するという考え方があってもいいのではないかということで私は申し上げたんで、再度御答弁をお願いしたいと思います。
#14
○国務大臣(石破茂君) ちょっと私の理解が足りなかったのかもしれません。こんな分野までというのがどの分野を指しておられるのか、ちょっと私にはにわかに分かりかねるところがございますが。
 繰り返しになって恐縮ですが、共済というものにもっと加入できるインセンティブを与えるべきだ、それはそうだと思います。今回の改正もそういうようなことを念頭に置いたものでございます。ですから、委員が冒頭おっしゃったように、現場のニーズというもの、やっぱり保険も商品でございますので、現場のニーズに対応したもの、そして、国費の補助部分が相当ございますが、保険として制度設計が成り立つもの、つまり保険の分水嶺はどこまでなのかということなんだろうと思っております。それが保険としての制度設計の根幹を損なわない範囲において委員がおっしゃるようなことは更に検討する余地は今後もあるだろうし、商品というのはそういうものだろうというふうに考えておりますが、今回の措置によってより入りやすくするということを考えておるものでございまして、それは商品ですから日々進化するということを否定するものではございません。これが最終改正だなぞということを申し上げるつもりもありません。これから先も現場のニーズというものを的確に反映をしながら、議論は常に行われるべきものだと考えております。
#15
○小川勝也君 御納得いただけたんだろうというふうに思っています。いろいろな政策経費あるいは国費の投入というのは、言うまでもなく我々が真剣に議論をして、国民の皆さんの理解を得なければならない。そういったときに、しっかりと第一次産業、とりわけ水産業を守っていくんだという国あるいは政府の決意を表すときに、この共済分野や保険的な分野に国費を投入することに私は理解が得られやすい分野ではないのかというふうに申し上げたかったわけでございます。
 そして、漁業の将来、水産業の将来とか、我々が日々口にしている水産物、これが将来的にどうなっていくのか。これは、一義的には農業分野も同じように将来のあるべき姿というのを見据えなければならない時期に来ている、あるいはもう既に数年前から来ているんだろうというふうに思います。
 産業構造の変化によって、第一次産業に従事しておられる方がどんどん減っております。高齢化というのも著しい進捗を迎えています。では、今後農業はどうなってしまうのか。どのぐらいの農業経営者が、どのような形態で、どのような農地面積で、どのような農業経営を送っていくのかということを、青写真を描かない限り一つ一つの農業政策の整合性は取れてこないわけであります。これは、今衆議院で議論しております農地法が参議院に送られてきたときに、我々がその議論をする責務を負っているだろうというふうに思います。
 戻りまして、漁業の世界も大変将来像が、像が結びにくい状況になっているのではないかというふうに考えています。早い話が、もうかる商売であれば後継ぎはいる、こういう言い方があります。あるいは、高齢者ばかりで業を成している浜もあります。このまま一年に一つ一人一人が年を取っていったときに、その浜がどうなっていくのか、そして水産物の漁獲はどうなっていくのか。ある程度その従事者の人口動態や経営業態やあるいは新規参入率、新規参入者の数などを見ていれば、いろいろな困難やリスクや、今は分からないけれどもこういう努力によってこういうふうに変えられるんだということをいろいろ想定をしていかなければならないんだろうというふうに思います。
 ちょっと漠然としていますけれども、石破大臣もある程度漁業従事者は減っていくんだろうなという未来像、将来像は持っておられるんだろうというふうに思いますし、将来の我々の国の漁業、水産業はこうなってしまうのか、あるいはこうするべきだ、こうなるという、そのあるべき姿というのがあったらお聞かせいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(石破茂君) 委員の選挙区とは違うのかもしれませんが、私の選挙区、沿岸漁業が多いです。あるいは、沖合漁業もございます。委員がおっしゃるようなことの実感は私も浜を回るたびに思っておりますし、漁業者の方々と夜を徹して酒飲みながらいろんな話をすることも私は時々ございますが、そういうお話をよく承ります。
 農業と漁業、農業で起こっている高齢化みたいなことが数年早く漁業の世界では起こっているのだという認識があります。そして、漁業と農業の違いというのは、これも釈迦に説法みたいなことかもしれませんが、一つは兼業漁家って余りないですね。専業が多い、あるいは半農半漁という形態もございますが、それが一つ。もう一つは、農耕民族と狩猟民族なんて言ったらしかられるのかもしれませんが、結局、お魚はどんどん減ったとしてもその分価格が上がりますので、それでトータルの収入というのは余り減らないんだみたいなことが一時期言われたことがありました。今から二十年ぐらい前のお話でございます。農業とそこが違うところがございまして、その辺の特質に着目しながらどう考えるか。
 そして、農村と漁村、一つの町でも農村と漁村と抱えているところがございますが、漁村の方がどう見たって住環境というのはよろしくないわけですね。自動車通行不能道なんて不思議な言葉がございましたが、消防車が入らないとか、そういうところもたくさんございます。断崖みたいなところに家がいっぱい建っておりまして、住環境もなかなか厳しい、あるいは集落排水もまだ農村に比べて行き届き率が低いというようなこともあります。
 そういうことを全部考えながら、これから先漁業というものをどう考えるかということだと私は思っております。日本の場合に、やはり資源管理というのをきちんとしていかなければ、それこそ再生産が不可能になる。その間どうしますかということを考えねばならないでしょう。そしてまた、保険というものを充実さしていかねばならないでしょう。
 さらに、委員おっしゃいますように、魚の値段が今でも下がっています。所得というものが少ない。もちろんコストの削減みたいなことも行いますが、この魚価でやっていけるのかということがございます。そうすると、ここにはいろんな議論がございますが、魚捕ったらそれでおしまいということじゃなくて、その魚を漁業者自ら売る。私どもが子供のころは、魚の行商のおばさんというお仕事がありました。今朝捕れた魚だよということで氷箱に詰めて、自転車、リヤカーでいろんなものを、私の母親なんか買っておったのをよく覚えております、トレーサビリティーの見本みたいな話なのでございますが。
 どうやって手取りを上げるかということも、私は、消費者のニーズにも合致するところが多い。それは、今の流通形態を否定するわけではありませんが、多様な流通、漁業者が自らの才覚によって高く売るということもあってしかるべきだというふうに思っております。あるいは農商工連携の漁業版、つまり、おいしい魚は捕れるんだけど、どうやって売ったらいいんだと、売り方は分かっているけど、どこにどんな魚があるんだと、どういうふうに手を加えたらもっともっと付加価値が付けて売れるんだということを私ども農林水産省、水産庁として、本当に浜の声を聴きながら、どうすればコストが下がる、どうすれば付加価値が上がる。燃油対策なんかもそうでありまして、本当に使いやすいものにしなければ金を積んだって意味がないわけです。そういうきめ細かい政策をやっていくことによって、国民みんなが漁業を支えるというような形にしていきたい。
 何だか抽象的なお答えで恐縮ですが、そういうものをいっぱい組み合わせていきながら、本当に漁師の後をやろうねという人をどうやってつくれるか。実例が挙がっていかなければ御託を並べても意味がございませんので、そういうものが実際に出てくるように私どもとして努力をいたしたいと考えております。
#17
○小川勝也君 今の御答弁は、一つの漁業経営形態をどうバックアップしていくのかという視点からの御答弁だったように承りました。
 逆に、例えばなぜ魚価が低迷したのか。これは、グローバル化が進んで、世界の七つの海から私どもの食卓に水産物が届くようになったからであります。しかし、その一方で、食料の安全保障という概念もございます。我が国はこの七つの海の一つをしっかり、国土のすべてに海を持って、水産物を食しながらここまで来た国である中で、後で少し議論しますけれども、必ずしも魚食文化が未来永劫輝かしい未来が待っているという状況にもないようでありますし、あるいは、世界の食料供給と我が国にとって輸入がどうなるかというのはまだ見えないところがたくさんありますけれども、そういった中で、我が国として国民に水産物を、すなわち魚をどういうふうに供給していくつもりなのかという、国を代表しての大臣のお言葉も私は聞きたかったわけであります。
 その点に着目したときに、先ほどの質問、漁業従事者が減っていくという中で、この水産物を国民に供給するという使命をどの程度重要だと考えていくのか。あるいは、国民が魚を食べなくなったらそれでしようがないじゃないか、高くなって食べなくなったらそこまでだというふうにおっしゃるのか、ある程度しっかりと今までの文化を守りながら提供していく体制を取っていきたいのか、その辺の決意を伺いたかったわけでございます。どうぞよろしくお願いします。
#18
○国務大臣(石破茂君) どうも十分な答弁でなくて申し訳ありません。
 やはり、漁業が果たす役割というのは、国民に対して安定して良質な水産物を提供するということにあるんだろうと思っております。日本型食生活のある意味中核を担いますのが魚食文化であると考えておりまして、日本型食生活というものは健康にとってもいい、自給力を向上させるためにもいい、みんなそれは分かっているんですが、お魚食べるの嫌いと言われちゃうとどうにもならないわけでございます。
 そしてまた、今、スーパーなんかへ行きますと、もう日本の魚にお目にかかることが珍しいのでありまして、ノルウェーだ、チリだ、何だらかんだらということで、外国の本当はこれどんな魚だったんでしょうみたいなものもたくさんありまして、そこはトレーサビリティー、原料原産地表示みたいなものも含めまして、適切な輸入というものについて国際的な規律の中で配意をしていくということも重要なんでございましょう。そのことはまた後ほど御議論があるのかもしれません。
 漁業が果たしている役割というのは、そのほかにも、ある意味当たり前の話ですけれども、漁業というのは国土の外縁にあるわけでございまして、どうやって国土を守るかという意味でも極めて重要なのだと思っております。そこに漁業があり、漁民がいなければ国土は保全されないということも事実なんでございまして、それをどう守るかということも考えていかねばなりません。
 いろんな意味で、農業や林業と同じように漁業というものが多面的機能というもの、中身は違いますけれども、多面的機能を有しているということは、もっともっと国民に訴えていかねばならないし、自給率向上だ、日本型食生活だというのは魚なんですよね。一昔前に「魚を食べると頭が良くなる」という本がございました。実際に食べて頭が良くなった人がいるかどうか、私よく存じませんが、「魚を食べると頭が良くなる」みたいな本もございましたけれども、やはり漁業性のたんぱく質というものが健康にいいのだよということも言っていかねばならぬことだと思っております。
 そういうようなことから、多面的機能を農業、林業と同じように、あるいは、また別の意味で有する漁業というものを国民みんなで守っていく、そのために漁業というものが今後も存続するように、後継ぎが得るようにしていかねばならないという委員の御指摘は、そのとおりでございます。
#19
○小川勝也君 質問を通告するときにあえて触れなかったんですが、大臣から沿岸を守るという概念を、答弁をいただいたことに大変うれしく思っています。
 国民に魚を供給するのが大事だから大きな船で魚をたくさん捕ればいいということにはこれならないわけでありまして、この日本列島というのは、ほとんどのいわゆる海岸域、数キロあるいは数十キロ行くと、そこに漁業に従事しておられる方が、まあ言葉は申し訳ありませんが、沿岸警備隊の役割を果たしていただいているわけでありまして、このことの持つ意味というのは大変大きく、これは金額やお金に換算できないものがあるんだろうというふうに思います。
 魚食文化を守る、魚を供給することと同時に、漁業をしっかり、特に沿岸漁業をしっかり守っていかなければ国の将来が危うくなるぐらいの、そのぐらいの危機感を持って私はいただきたいために今の質問をさせていただいたわけでございます。同じ感覚を持っていただいているということで、大変安心をいたしました。
 しかしながら、北海道でも、少し行くと港があり漁協があり、少し行くと港があり船があり漁協がありという、大変少数乱立の漁業体制、すなわち浜がたくさんあったわけであります。これも経済原則というものが無視できないわけでありまして、ある程度国も漁港整備、先ほど農村集落の住環境の整備というお話も大臣にしていただきましたけれども、重点配分とか、あるいは重点投資という概念も必要になってくるわけでありまして、そこですべての浜を大事に守り育てていくという絵写真は描けなかったわけでございます。
 そして、漁業系統自ら、平成十年に、合併をしていかなくちゃ駄目だねということで構想がまとめられまして、どんどん漁協数が減ってまいりました。水産庁がどのように関与してきたのか、詳細を知り得る立場に私はございませんけれども、この合併の推進、進捗、あるいは水産庁の役割について、現在までの報告をお伺いをしたいと思います。
#20
○政府参考人(山田修路君) 漁協の合併でございます。
 漁協の合併につきましては、昭和四十二年に漁協の合併促進法というものが制定をされておりまして、それに従いまして漁協の合併を進めてきておりますけれども、認定期限を七回延長するということでやってまいりました。
 昭和四十二年当時では、沿岸地区の漁協数でございますが、二千四百あったわけでございますが、現在は約千百までに減ってきていると。私どもの意識としては、委員からもお話がありましたけれども、合併はまだまだやっていく必要があると思っておりますが、ただ経済事業の八割は、職員が十人以上のある程度の規模がある漁協、これが四百ございますが、この四百によって八割が担われているということで、数は全体として多いですけれども、事業ごとに見ると一定の成果は上がっているというふうに考えております。
 合併がなかなか進まないのは、やはり欠損金がある漁協があってなかなかその合意ができないとか、あるいは特に経営状況が良い漁協と悪い漁協が合併するというのは、やはり今言いましたような意味でも問題が多いわけで、なかなか進んでおりません。これにつきましては、水産庁といたしましては、欠損金の処理を中心とした漁協の経営の改善を図っていくということで、系統の組織と協力しながら組織あるいは経営基盤の強化ということを進めております。
 こういった中で合併を引き続き推進をしていきたいと考えております。
#21
○小川勝也君 先ほど系統の方で構想を決められたというふうに申し上げましたけれども、平成十九年度末までに沿岸地区の漁協を約二百五十にという目標を立てられたようであります。そして、その目標年度、十九年度末には最終的に千百六十二の漁協になっている。この数字をどう見ることができるのか、あるいは、今後この二百五十という目標はどのように水産庁として見ていくのか、改めてお伺いをしたいと思います。
#22
○政府参考人(山田修路君) ただいま委員からお話がありましたように、漁協系統では十九年度末までに二百五十の漁協に統合するという目標で運動を展開をしてきたわけでございますが、先ほど言いましたように、漁協の合併が進まない原因の大きなものとして、やはり経営の悪い漁協があってなかなかその合意の形成ができないということがございます。
 したがいまして、漁協系統もそうですけれども、私どもといたしましても、合併を推進するということの前提として、欠損金の処理ですとか経営自体を良くしていくということがある程度行われた中で合併が更に進むというふうに考えております。したがいまして、現在の時点では、合併を推進するその前提というんでしょうか、として、組織の強化あるいは経営基盤の強化を図るというような意味で対応の重点を移しているということでございます。
 それから、二百五十と、委員がおっしゃいました千百をちょっと下回るぐらいの数字との差というのは非常に大きいわけでございまして、そういう意味ではまさに十分進んでいないという認識はありますけれども、先ほど言いましたように、経済事業で見ると、その八割の部分がある程度大きなところで行われているということですので、漁協は、委員も御案内のとおり、漁業権を管理しているような漁協とかいろんなタイプがございますので、そういう意味で経済事業という観点からはある程度は成果は上がってきていると。ただ、まだ十分ではないというふうに理解をしております。
#23
○小川勝也君 水産庁というか、国のスタンスについてもう一つ確認をしておきたいわけでありますけれども、漁協の合併は市町村合併と同じですという説明もございました。すなわち、強制的にというわけにはいかないと思いますし、あるいは、今長官からお話がございましたように、財務内容という大変大きな要因もあるわけであります。国としてはこの二百五十に近づけるという、これは系統自らが立てた目標ということになっていますけれども、どちらかというと系統と一緒にやっていこう、国も力強く支援しますよという立場にいるのか、あるいはあくまでも市町村合併と同じ、お互いの、あるいは個々の単協の皆さんの意思で決められるので私たちは静観していますという立場なのか、どちらなのか、お伺いをしておきたいと思います。
#24
○政府参考人(山田修路君) 先ほど委員からもお話がありましたけれども、漁協系統としては、十九年度末、二十年の三月までを目標として二百五十の目標を置いておりました。その時点を過ぎて今いるわけですけれども、系統組織としても、今の現状を踏まえると、数字をその二百五十に何が何でもするということではなくて、先ほど言いましたように、まず財務内容なりなんなりの処理をしていくという中でこれが進んでいくというような、元々のその二百五十の数字がまずあって、それを何とか達成するということではなくて、それに行く過程の実際的な財務処理の問題なりを重点的にやっていこうという方向に今はなっているというふうに理解をしておりまして、私ども行政としてもそれと同じ立場で、財務の改善とかそういったことについて系統と一緒になって対応していく、同じ方向で対応していくというつもりでございます。
#25
○小川勝也君 この委員会という平場で聞いていいかどうか分かりませんけれども、再三御答弁がございましたように、財務内容等大変大きな課題を抱えている漁協さんがたくさんありました。そんな中で、合併に向かっているんだけれどもちょっとしこっちゃった、こういったときに、国として、水産庁として仲立ちをするようなケースがあるのか、ないのか、あったのか、あるいはうまく合併までこぎ着けたけれども後でトラブルが生じてしまったと、こういうケースがあったのかどうか、そして、そのことについて今後どういう立場で、系統さんが自らということになりますけれども、水産庁として後押しをしていきたいのか、改めてお伺いをしておきたいと思います。
#26
○政府参考人(山田修路君) 今委員のお尋ねの件については、具体的にどこのところでどうあったかということはなかなか言い難いんですけれども、もちろん水産庁の担当なりそれぞれの部局で、現実に合併がなかなかうまくいかない、しこっているというところに足を運ぶなり意見をお聴きするなりして、委員からお話がありましたように、強制的にやるということではありませんけれども合意形成のお手伝いをするというようなことは、表に出てやるわけではありませんが、活動はやっております。
 それから、実際に財務内容の改善につきましては、長期の債務の借換え等の資金というのがございまして、それを、二十年度にその資金を創設をいたしまして、利子助成なりあるいは機関保証に対して助成をするということで、長期債務を解消していくための支援をそういった形で水産庁も実施をしているという状況にございます。
#27
○小川勝也君 私も、どなられたりしかられたり、浜の方には大変厳しい御指導をいただいておる立場でございますけれども、気の荒い方々も多いようでございますので、優しく御指導をいただいた方がいいんじゃないかなと思っております。
 それで、国会に来て予算などというものを見させていただきますと、漁業分野で漁港整備事業というのが大変大きなウエートを占めているわけであります。そして、私や紙さんや風間先生がよく見る北海道の浜というふうに取られちゃ困るわけでありますけれども、船が少ないのに岸壁が立派だなというところが結構ございました。もっと重点整備をこれしないと、それこそ国民に理解が得られないというふうに痛感をしたのを覚えております。合併が進んだことによって、漁港の重点整備と直接イコールに結び付く概念ではありませんけれども、漁協内で優先順位を決めてくれなどという手法も取れますので、もっと国民に胸を張って重点投資していますよと言えるような漁港整備に変化しているというふうに私は信じたいわけでありますが、その辺の御報告もいただきたいと思います。
#28
○政府参考人(山田修路君) 漁港整備の重点化のお話でございますが、現在、全国に二千九百余りの漁港がございます。この漁港は、それぞれ多種多様な魚介類を国民に供給するというような意味で重要な役割を担っているのは事実でございますが、それらの漁港については、委員からお話がありましたように、いろんな漁港が実際にはあるわけでございまして、大規模な市場の流通拠点、市場を持って流通拠点になっているものや、あるいは避難港のような形のもの、あるいは地先で利用しているようなもの、いろんなタイプがございます。こういったタイプの中で、やはり委員からお話がありましたように、整備については重点化を行っていく必要があると考えております。
 平成十九年の六月に第二次漁港漁場整備長期計画を策定をしたわけでございますが、やはりここにおきましても、今言いましたいろんな形態の漁港について、一律的な整備を行うのではなくて、重点的に整備をするということを打ち出しております。
 具体的に言いますと、漁協の合併あるいは産地市場の統合というようなことも踏まえながら、水産物の流通拠点となる漁港、これはおおむね百五十ぐらいの漁港というふうに理解をしておりますが、そういったところについて、水産物についての衛生管理の強化をやるとか、あるいは陸揚げ用の岸壁の耐震化を図るとかいうことで重点的に整備をするというタイプのものが一つ。
 それからもう一つは、例えば近くに大規模な養殖場などがあって、将来的に見ましても生産活動の拠点になるような漁港というのが私どもの長期計画では四百八十五地区ほどございまして、ここも重点的に整備をするということで、整備の重点化を、今言いました二つのタイプのものに重点化をしていくということで今後推進をしていくこととしております。
#29
○小川勝也君 引き続き、貴重な財源でありますので、厳しい査定、判定もしていただいて、より将来を見通した重点投資というのが望まれるんだろうというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 IWCの中間会合についてお伺いをしたいというふうに思います。
 なるべく多くの委員に御理解をいただきたいと考えますので、事務方からポイントを御紹介をいただいて、そして我が国がどういう立場で今後臨まなければならないのか、臨むのか、大臣にお答えをいただくということで、御答弁お願いをしたいと思います。
#30
○政府参考人(山田修路君) 三月に開催されましたIWCの中間会合でございますけれども、ここでの主な論点というのが、IWCの将来とか言っておりますけれども、今までもめている捕鯨について、調査捕鯨などについてどうするかというのをまず議論しようということでございます。
 この中間会合に先立ちまして、議長の報告書が出ております。それを議論するということで中間会合は行われたわけでございますが、議長のペーパーの主な内容は、三つほどありますけれども、一つは、日本の沿岸の小型捕鯨をどうしていくのか、それから二つ目は、南氷洋等で行われております調査捕鯨をどうしていくのか、それから三つ目は、特に南大西洋でサンクチュアリーみたいなものができないのかというような議論でございます。
 このうち、日本が関心があります日本の沿岸小型捕鯨については、議長ペーパーでは、一定の条件の下で認めるという議長の提案がなされている一方で、調査捕鯨については、オプションが二つ提示をされておりますけれども、一方のオプションでは、捕獲頭数、調査捕鯨の捕獲頭数を段階的に縮小し、五年後にはゼロにするというようなオプションも入っております。
 これについて中間会合で議論をしたんですが、これにつきましては中間会合では、豪州やニュージーランドなどのいわゆる反捕鯨国が日本の沿岸小型捕鯨について疑問を呈し、あるいは調査捕鯨についてはとにかくフェーズアウトしろということを主張をしたと。一方で、我が国を始め鯨資源を持続的に利用すべきだという国は、調査捕鯨や沿岸の小型捕鯨については賛成をする国もありましたし、あるいは、調査捕鯨についてもこれは継続すべきだということの意見がありました。
 いずれにいたしましても、そういう状況ですので、中間会合では両方の立場がそれぞれ意見を言い合ったということで、結論が出ていないという状況にございます。
#31
○国務大臣(石破茂君) 六月にポルトガルでIWCの年次会合が行われますが、そこにおいて、我が国としては従来の基本的な立場は堅持しながら対応しなきゃいかぬと思っております。
 具体的には、鯨類は重要な食料資源であるということは当たり前の話で、これがいかにして持続的に利用されるか、それは科学的根拠に基づいてやるのであって、それ私、アメリカの人やオーストラリアの人やニュージーランドの人、日ごろどんなに仲よしでも、この話になると何かまるで別人みたいな感じになっちゃうんですね。これもう何だかよく感覚が私には理解できないところなんですが、それは科学的根拠に基づいて持続的に利用されるのが当然であるということは従来と同じく強調しなければいかぬことだと思っています。それが一点。
 もう一つは、食文化とか食生活とか食習慣とか、そういうものは歴史的に形成をされたものであって、広く知られているとおり、ペリーが浦賀に来たのは鯨を捕る船に水を供給しろ、食料を供給しろみたいな話であって、だとするならば、食文化とか食習慣というのはそれぞれの国が独自に形成してきたものであって、これは尊重されるべきであるということでございます。
 三月の中間会合で議論されました議長報告書につきましては、今後更に改定されるということでございますが、我が国として、今後、沿岸小型捕鯨が否定されるとか調査捕鯨の継続が不可能になるとか、そのようなことは受け入れるわけにはいかないということはきちんと申し上げなければいかぬというふうに思っております。近年いろんな雑誌にいろんな方がいろんなことをおっしゃいますが、我が国の基本的な立場は堅持しなければならないものだと考えております。
 三月の中間会合の状況を踏まえますと、正常化のプロセスにおいて捕鯨国と反捕鯨国の立場の違いが余りに大きくて、常に評決で対立をして、会議が会議の意味を成していないようなところが私は否定できないんだというふうに考えております。そうしますと、私どもとしても、この正常化に向けた議論が進行しなければならぬ、そのためにも、我が国が言っていることが科学的な知見に基づいてきちんと説得力を持つものであるように今後ともよく努力をしていきたいと思っておりますし、委員が民主党においてこの捕鯨に大変に積極的に取り組んでおられるということはよく承知をしておりますので、今後とも御教導を賜りたいと存じます。
#32
○小川勝也君 議長提案が少し触れられましたけれども、ゆるがせにできないような話があったというふうに承知をいたしております。すなわち、日本の沿岸捕鯨の重要性については理解をするけれども、調査捕鯨については段階的に減らして最終的にゼロだよという提案もあったと。これはいわゆるところの、簡単な言葉で言いますと調査捕鯨と沿岸捕鯨の分断策、こういう言い方もなされました。しかし、我が国の捕鯨関係者は一致協力して、この調査捕鯨なくして沿岸捕鯨は守れないという形で一枚岩に向かっていると私は把握をいたしております。
 ですから、再度、調査捕鯨は絶対捨てないんだという一言、大臣から改めて答弁をいただきたいと思います。
#33
○国務大臣(石破茂君) それは、調査捕鯨は目的があってやっていることですから、商業捕鯨ではなくて何で調査捕鯨なんだということはかくかくしかじかこういうわけでということで、科学的なきちんとしたデータを得るために調査捕鯨は行っているものでございます。ですから、調査捕鯨をやめるということは私どもとして全く考えておるわけではございません。
 これは調査がきちんと行われるために適切に、そしてまた国際的な許容の下にやっておることでございますから、後ほど委員からお話があるんでしょうけど、これの妨害活動などというのは不法行為以外の何物でもないのであって、私どもとしては調査捕鯨は継続をすべきものと考えております。
#34
○小川勝也君 大臣からもお話がございましたけれども、そのIWCという会合で日本が理論的に科学的に調査捕鯨の必要性を訴えて、諸外国の理解を得てやっている調査活動に海賊的な妨害を加えるというグループがある。そして、時あたかも今衆議院では海賊対処法というのが議論されている。ソマリアに海賊、調査捕鯨に海賊、この法律ができた後この調査捕鯨団に対する物理的実力行使はどういうふうに概念として考えられるのか、政府の見解をお願いをしたわけでありますけれども、どなたか来ていただいたでしょうか。
#35
○政府参考人(長田太君) 先生御指摘の海賊対処法案でございますが、この法案は、海上におきます公共の安全と秩序の維持を図るために、海賊行為の処罰について規定をするとともに、我が国が海賊行為に適切かつ効果的な対処をするために必要な事項を定めるものでございます。
 海賊行為につきましては、この法案の二条で定義をしております。御指摘の妨害行為が具体的にこの二条の定義の海賊に当たります場合はこの法案に基づいて対処をするということになるわけでございます。
 一方、この法案に規定する海賊行為に該当しない場合にありましても、関連の国内法あるいは条約等によりまして所要の措置を講じておるところでございまして、一昨年の妨害行為の被疑者につきましても、現在既に国際手配をしているところでございます。
 なお、私ども海洋政策本部でございますが、御指摘のような反捕鯨団体による妨害行為に対しましては、この法案とは別に総合海洋政策本部法制チームにおきまして、具体的事例を踏まえつつ効果的な対応策を検討するということで、事務局が中心になりまして、水産庁を始め関係省庁と連携協力しつつ今後積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#36
○小川勝也君 この分野に関心の高い大臣からも一言付け加えていただきたいと思います。
#37
○国務大臣(石破茂君) これが海賊なのかどうなのか。今衆議院で御審議いただいておりますところの海賊法案、この法案における海賊の定義からすれば、このシーシェパード何がしというのは、船を乗っ取って自らの思うままに操り、金品を強奪、略奪というようなものとはちょっと違うねと。ですから、今回の法案にはぴったりはまるものではない。しかしながら、シーシェパードのような行為は、私はオーストラリアに対しても、あるいはオランダに対しても、このことの不法行為というものをきちんと追及すべきであるということで、水産庁長官のところに両国代表を呼びましてお話もしましたが、このシーシェパードみたいなものに対してきちんと対応できる法制がなければ駄目なのだろうと考えております。
 今事務方から答弁がございましたが、海洋本部において検討ということですが、私が海洋本部の閣僚会合で申しましたのは、検討だけでは駄目で、成案がきちんと得られなければ駄目だと。今度船が出るまでにそのようなシーシェパードに対してきちんとした抑止力を持つ、そういうものがきちんと排除をされ、我が国の調査捕鯨が、適法に行われているものはきちんと実施される、そういう体制をつくり上げることが政府としての責任であり、今度の船が出るまでに、御党の御理解もいただきながら、きちんとした法制を作ることが必要であると、私はそのように考えております。
#38
○小川勝也君 力強い御決意をいただきましたので、国民が望むような方向性でしっかり対処をいただきたいというふうに思います。
 一点だけちょっと確認をしておきたいことがございますので、この際お伺いをしたいというふうに思います。それは、養殖漁業の安心、安全についてであります。
 実は、強く関心を持ち始めたのは、養殖漁業者からの直接の相談を受けたというところからスタートをいたしました。かなり前でございますけれども、えさ会社に管理をされて売り先も押さえられる、そして、えさ会社が作ったマニュアルどおりにえさを多投することを強いられる、養殖漁場、生けすが濁るので、ワクチン、薬等の投与が必要になっていく、そして、恥ずかしくてつらいことだけれども、奇形の魚も出てくる、こういうお話でございました。
 そのときはまだGAPという発想も薄いときでございましたし、当委員会でも水産庁にいろいろな指導や改善も求めさせていただきました。まだ完璧ではないと思いますけれども、あるいはほかの分野の安心、安全の要求水準も非常に高まっておりますので、この養殖漁業の安心、安全という分野が後れを取ってはいけないと思います。
 今までの取組と成果、あるいは今後に向けて、この点、お伺いをしたいと思います。
#39
○政府参考人(山田修路君) ただいまお話がありました養殖業の安全、安心でございますけれども、これにつきましては、委員も御案内のとおり、薬事法の関係法令におきまして様々な規制がなされておりますし、それから委員からもお話がありましたGAPでございますが、適正な養殖規範ということで、生産工程を記録、点検をしてチェックをするという取組、これも水産庁ではもう既に始め、普及を開始をしております。
 こういった取組を進め、また、漁場の改善を進めていくということも、持続的養殖生産確保法というのがありまして、漁場をきれいに利用するということも実施をしておりまして、こういったことを今後も推進をしていきたいというふうに考えております。
#40
○小川勝也君 最後になりますけれども、今日は六十五分、私、時間をいただいて、本法に係る事柄以外にもお話をあるいは質問をさせていただきました。近年、参議院農林水産委員会において漁業・水産分野の質問時間が非常に少ないということを懸念をしておったわけでありますけれども、今日は民主会派だけでも私と主濱さんで百三十分間、議事録に載せるということで、理事の皆さんにも感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 そして、漁業・水産分野の大きな課題の一つに魚離れという言葉があります。特に若い世代が骨のある魚を忌避する、あるいは、最近は子供の数が少ないのでお母さんは子供の望むものを食べさせる、こういう傾向がある。あるいはまた、人は子供のころ食したものしか将来食べることはないなどという研究成果もあるわけであります。我が国に脈々と伝わってまいりましたこの魚食文化、お魚文化をできれば未来に継承をさせたいと願うのは私だけではないというふうに思っています。
 今日はたまたま次代を担う子供たちも来ておりますので、どうやって魚を食べていただく工夫をしていただいてきたのか、あるいはどういう工夫をするのか、あるいは大臣の決意はいかがか、最後にお伺いをして、私の質問に代えさせていただきたいと思います。
#41
○委員長(平野達男君) 石破農林水産大臣、しっかりお答えください。
#42
○国務大臣(石破茂君) はい。
 魚をどうやって食べるかというお話でございます。私ども農林水産省として、小学生を対象として魚を丸ごとさばいて料理する体験授業、何しろさばいたことがないという人が多いんですね。今の若い主婦の方でも魚をさばけないという人がいっぱいおりますです。当委員会の女性委員はもちろん皆さんさばけるんだと思いますが、さばけない人が多い。やっぱり、これは体験してもらわなきゃいかぬということでそういうことをやっております。
 あるいは、魚介類のしゅんの情報や食べ方などをまとめた情報誌を発行するとか、そういうこともやっております。さらには、漁業者団体が加工業者なんかと御一緒に、魚そのままじゃ食べられないけど、例えばミートボールみたいな形にすると食べるとか、あるいはピカタみたいな形にすると食べるとか、いろんな食べ方があるんだと思いますが、こういうふうにするとおいしいよとか、材料費はこうすると軽減できるよとかいうようなことも、そういうことに対します開発支援も行っております。
 そういうようなことでもございますし、今回の委員がそこまで出すのかというふうな御指摘をいただきました経済対策でございますが、その中で、漁業団体が地元のお魚を地域の学校給食に供給する取組の支援ということをやっております。つまり、先ほど来委員がおっしゃいますように、ノルウェーから来たんだか、チリから来たんだか、深海のどこから揚がったんだか、名前も何か不可思議な名前が付いておったりして、それではいかぬと。やはり、北海道は北海道で捕れた魚、岩手なら岩手で捕れた魚、鳥取なら鳥取で捕れた魚というものを食べてもらおうと。これはだれがどんなに苦労して捕った魚なんだろうかと。これはどうやって食べるんだろうか。
 そして、フードマイレージという言葉は別にまだ広く広まっているわけではありませんが、遠くから捕れた魚を運んでくるだけで運送賃は物すごく掛かる、CO2も排出される、温暖化が進むみたいなことでございますので、やっぱり地元で捕れた魚を地元で食べようね、そして捕ってくれた人にありがとうと言おうねと、そういうことを広めていくことが必要なんだろうと思っております。
 私も今朝は、赤坂宿舎はサバの塩焼きでございましたが、魚を努めて食べるということが必要なことであり、それが子供たちに、やっぱり先生おっしゃいますように、子供のころに味わったものは大人までそうだ、そしてそれが次の子供たちにも伝承されるということですから、やっぱり日本の食料安全保障の根幹を成すのが水産であり、大事なのはお魚を食べるというような習慣をきちんと子供たちにも私たちも努力をして身に付ける、付けさせるということだと考えておる次第でございます。
#43
○小川勝也君 終わります。
#44
○主濱了君 民主党の主濱了でございます。
 冒頭に、四月十四日午前八時二十六分、九州の平戸沖で二十二人乗りの漁船が転覆をいたしました。現在も不明者がいらっしゃると、こういうことでございます。被災された皆様に私からもお見舞いを申し上げたいと思います。
 それから、もう一つなんですが、石破大臣には、イタリア、チソン・ディ・バルマリーノでG8農業大臣会議、御苦労さまでございました。この内容についてお伺いしたいところですが、これは別途、多分しっかりと御報告があるものだというふうに私は思っておりまして、あえて今回は質問はいたしません。まずもって、御苦労さまでございました。
 それでは、早速質問に入りたいわけですが、ちょっと通告の順番を変えさせていただきたい、まずは法案について先に質問をさせていただきたいと、このように思っております。漁業共済組合について、これは農林水産省とそれから農林水産大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 漁業共済制度、これは制度全体で三百二十七億円の累積欠損を抱えていると、こういうことでございます。端的に言って、この累積欠損の原因というのは何でしょうか、まずここから伺いたいと思います。
#45
○政府参考人(山田修路君) 今委員からお話がありました、十九年度末に制度全体で三百二十七億円の累積赤字がございますが、この原因といたしましては、やはり台風の災害あるいは不漁、魚が捕れないということ、あるいは魚価安等の要因によって単年度収支が赤字で推移をしたということでございます。
 共済の料率の決定に当たりましては、これは三年ぐらいで見直しをしているんですが、過去十年の状況、その引受け・支払状況、あるいは実際にどういう形で事故が起こっているかというのを踏まえて決定をしておりまして、本来であればその収支が償うように設計をしているはずなんですけれども、過去十年の起こったことを踏まえて改定をしてきましたけれども、やはりその後に起こった事態、台風ですとか、あるいは不漁ですとかいうことが過去の状況に比べてより深刻であったということが原因ということでございます。
#46
○主濱了君 そのほかの特殊な理由というのはないと、こう言ってよろしいんでしょうか。通常の理由だけでしょうか。
#47
○政府参考人(山田修路君) 特殊な理由はございません。要するに、保険料率の改定につきまして、今言いました、過去に起こっていたよりもその後に起こった方がより過去に比べて影響が大きいものが起こってきているということでございます。
#48
○主濱了君 これは補助措置がありまして、特別会計から各共済の方にお金が流れるわけですけれども、この特別会計自体が累積赤字、これが二百九十五億円あると、こういうことですが、この問題について伺いたいと思います。
 この特別会計の二百九十五億円の赤字につきまして、このうち一般会計から二百二十億円について繰入れされていると、こういうことになっておりますが、その一般会計からの繰入れの根拠というのは何でしょうか。
#49
○政府参考人(山田修路君) 一般会計からこの特別会計への繰入れにつきましては、繰入れをするたびに、いわゆる繰入れ法と言っておりますけれども、非常に法案の名前は長い名前になっておりますが、一般会計から繰入金をするということについての特別法を作って繰入れをしているということでございます。
#50
○主濱了君 続きまして、同様の質問なんですが、これは特別会計から漁業共済団体に対して七十五億円が未払の状態であると、こういう報告がなされているところでございます。なぜ未払のままなのか、いつ、どのように解消する予定なのか、これについて伺いたいと思います。
#51
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、特別会計の二百九十五億円の赤字のうち二百二十億円、約二百二十億円は一般会計からの繰入れで対応しておりますが、残りの七十五億円につきましては、国の財政事情なかなか厳しいということもありまして未払になっております。この部分につきましては、漁業災害補償法に規定がございまして、農林漁業信用基金から全国漁業共済組合連合会に対して貸付けを行うということで、その貸付金で再共済金の支払を連合会が行うと、そのために必要な利子補給を国が一般会計として行うということで対応をしております。
 この漁業共済事業全体の収支、これは特別会計も含めて赤字になっておりますけれども、これに対しましては、これまでも補償水準を引き下げるとか、あるいは優良な加入者に対しては一定の助成をして加入を促進するというようなことで対応をしてきておりますが、そういった対応の影響もありまして、近年では、それぞれの段階、つまり組合の段階、連合会の段階、さらに特別会計の段階でも単年度においては黒字を計上してきておりまして、累積赤字も減ってきているという状況にあります。
 私どもとしましては、こういった今の取組を更に進め、また母集団、加入者を増やしていくということで、より健全なものに変えていきたいということでございます。
#52
○主濱了君 大臣にお伺いしたいと思います。
 漁船漁業も、それから養殖業も実は生産額が落ち込んでいるわけであります。しかも、漁業共済への加入率は五二%と極めて厳しい状況であります。このような漁業自体が厳しい状況、それから加入率も厳しい状況、こういうふうな難しい状況の中で漁業共済をどのように立て直していくのか、その辺のお考えがあればお伺いをしたいと思います。
#53
○国務大臣(石破茂君) 今回の法案もその一環でございますが、やはり立て直していくというためには加入を増やさなければいかぬということだと思います。国の助成というものも従来拡充もしてまいりました。やはり、加入者を増やすということが今の段階においては経営を安定させるために最も必要なことであろうと。
 ただ、これ、普通の保険ではございませんので、国のお金が入っております。ですので、経営をどうするかということは、先ほど小川委員の質問にもお答えをしましたが、国の支援をどこまで厚くしていくかということももちろん選択肢としてはございます。今回の場合には、どうやって入りやすくするか、そのことによっていかに保険としての安定性を高めるとともに、漁業者の経営も安定させるかということを配意して今回の法案になっているものと承知いたしております。
#54
○主濱了君 今回の改正の中には、漁業共済組合自体の合併をしやすくするような改定も含まれているところでありますが、この合併のメリット、デメリットについて伺いたいと思います。
 合併を進めることによりまして、共済事業の危険分散を図ることができる、あるいは人件費、事務費、この単価を下げることができると、こういったようなメリットはあると思います。一方におきまして、共済契約に当たっては、やっぱり現地において調査、確認が必要であります。特に共済事故が起きた場合なんかはそういうことをきちっとやる必要があるというふうに思います。しかしながら、実際にきちっと調べるということになりますと、全国でどうしても現地事務は残るわけであります。さらには、個々の事業者の要望というものが共済組合に取り上げられにくくなる環境にもなってくるというふうに思います。
 こういったような前提の下に伺いたいわけなんですが、農林水産省としては、合併、要するに共済組合の合併というのはメリットの方が大きいと、こういうふうに考えておられるんでしょうね。
#55
○政府参考人(山田修路君) 漁業共済組合の合併のメリット、デメリットでございますけれども、現在既に九つの元々県域を単位とした漁業共済組合が合併をいたしまして、全国合同漁業共済組合という広域の組合ができております。ここの状況を見てみますと、委員からお話が先ほどありましたように、経理とか管理業務みたいなものが東京の主たる事務所というんでしょうか、東京の本部において実施をされるということで効率的な運用ができているわけでございますが、一方で地方の方は大丈夫なのかというお話でございます。
 地方の方では、各県ごとにありました組合の所在地に地方事務所を置きまして、共済の引受けですとか支払等のまさに浜での実務を担当しているわけでございます。
 この九つの組合が合併をいたしました全国合同漁業共済組合の状況を見ますと、合併後におきましては、むしろ地方事務所の方々がいろんな経理業務ですとか管理業務から解放された分、浜回りがたくさんできるようになったというようなプラスの面が出てきておりまして、実際にも、合併後は契約高が増加をする、あるいは事業収支、管理収支とも全体として見れば黒字の幅が増大をするということで、合併が全体としてうまく機能している、地域によっても漁業者へのニーズに対応できているというふうに考えておりまして、まさに今回合併を更に推進するということにしておりますが、そういったメリットの方が大きく発揮されるものと考えております。
#56
○主濱了君 まさに私が問題としたいのは今のところなんですよね。現地における現地事務が残る、九つの組合が合併してもやっぱり現地事務が残る、そこのところでデメリットが生じないかどうかと。この点については後でもう一回質問をさせていただきたいというふうに思います。
 それで、九つの共済組合が合併しているわけですが、今年の十月には更に十一の共済組合一緒になりまして、二十都府県の共済組合が合併をすると、こういうふうなことになっているわけでございます。
 それで、この合併に参加しない組合、どういうふうな状況にあるのか、合併に参加しない方ですね、どういうふうな状況にあるのか、こういうことを伺いたいし、もう一つ、合併しない組合の中には、実は赤字を抱えている共済組合がそのまま残ると、こういったようなケースも考えられます。そうすると、やはり共済参加の漁業者に影響はないかどうかと、こういったようなことも心配されるわけですが、ここ併せてお伺いをいたしたいと思います。
#57
○政府参考人(山田修路君) 今回の広域合併につきましては関係団体でいろいろ議論を重ねてきたわけでございますが、ある程度規模の小さな共済組合については合併をしようということでございまして、逆に、単独で県域の共済組合として残る組合の考え方として、契約高がある程度以上、まあ六十億円というのを目安としておりますが、そういったもの以上であるか、あるいはそれより若干下回った場合でも相当程度の法定準備金を準備しているということである程度の規模が確保されているというものはそれぞれ県域の共済組合として残り、それより小さいものについては広域合併をしようというような全体の話合いの中で今進んでいるところでございます。
 委員からお話がありました、合併をしない十九の漁業共済組合の中でも赤字を抱えている、累積赤字がある組合が相当あるじゃないかというお話でございます。
 現実に十の組合は累積赤字を抱えておりますが、先ほど言いましたように、ある程度経営の契約高というのは大きな組合でありますし、それから、先ほどもちょっとお答えをしましたけれども、十七年度以降はあらゆる段階での経営というか収支は改善をされてきておりまして、漁業共済組合のレベルでも収支は改善をされてきております。それから、法定準備金をある程度それぞれの共済組合は準備をしておりますので、そういったことを考えますと、今累積赤字を抱えている共済組合ございますけれども、これが今後その共済組合の経営に大きな影響を与えるというふうには考えていないところでございます。
#58
○主濱了君 分かりました。
 次は、補償法の細かな内容に入っていきたいなというふうに思います。
 まず、法案の第百十五条の三項について伺いたいと思います。
 この百十五条の三項関連については、まず平成十四年度の改正で防除可能な病害を漁業者の選択により共済金の支払対象から除外し、その負担、掛金を抑える特約を新設した、こういうのが平成十四年の内容であります。現在の百十八条の二の第一項がこの条項になっているところでございます。
 このように、選択によって共済の対象から魚病を除外できる、こういう規定を入れたにもかかわらず、今回あえて法律上妥当でないものについては疾病死亡を共済事故にしない旨の百十五条三項、これを新設する理由というのは何なのでしょうか。まあ一言で言いますと、今までは選択的にこれは共済の対象にしませんという申出ができた、そういう規定があるにもかかわらず、今回法律で魚病を対象にしない、要するに自然災害しか対象にしない、そういう新たな分野を作ったのはなぜかと、こういうことであります。
#59
○政府参考人(山田修路君) 平成十四年の改正で導入しました措置、これは特定病害不補てん特約というものでございますが、これは原則、基本的にはすべてのリスク、病害も含めてすべてのリスクについて対象とするという契約の中で、そういう前提の下で特定の病害については特約で除外をするという、そういう選択肢を増やしたわけでございます。
 今回の制度改正、百十五条三項で対象としておりますのは、従来のというか、基本的な考え方では、ある程度の生産金額がないと共済設計ができないということで、これまでは共済の対象になっていなかったマサバですとかメバルですとか、それぞれの地域では非常に重要なんですけれども全国的に見ると生産金額が多くない、これは一応二十億を下回るというレベルなんですが、従来のものですと共済の仕組みがセットできない、余りにも少な過ぎて、母集団の数が少ないので、料率を設定すると非常に高くなってとても共済になじまないというものについて、今回は病気、病害を除外をするとすれば、そこで残るのは台風ですとかそういう自然災害に限られるものですので、自然災害のものならばある程度予測が付くけれども、病害については多かったり少なかったり非常に変動が激しいものですから、どうしてもそれを入れると保険料率が高くなる、共済の料率が高くなるということで、今まで共済の対象にならなかった魚種について新たに病害を除くことによってようやくその対象にできるということでございますので、そういう意味で趣旨が異なっております。
 もう一回言いますと、十四年のものは元々共済の対象になっていたものを特約にするということなんです。今度の場合は対象になっていないものをセーフティーネットを新たにつくるということで、違う趣旨のものでございます。
#60
○主濱了君 今の御答弁に対して、関連して二つお伺いしたいと思います。
 まず一つは、掛金のお話がありましたのでそちらの方から伺いたいんですが、今回の百十五条第三項、この法律上、魚病を対象外にする場合と、これは安くなるわけですよね、非常に安くなるわけです、それから選択により魚病を除外する場合、これが平成十四年改正ですね、この場合の掛金の差はどれぐらいあるんだと、こういうことですよ。
 これ例示があるんですけれども、共済金額三千万円のハマチでオールリスク、すべてを対象にする場合は六十万円、二%です。それから完全除外した場合、おっしゃったとおり半分の三十万円、一%です。じゃ、選択的に外した場合に、これは一%に近いのか二%に近いのか。もし一%に近いんであれば、これはもう新たな分野をつくる必要はないのではないかと、こういう疑問です。
#61
○政府参考人(山田修路君) 今ハマチの例でお話がございました。ハマチの場合は非常にその生産金額が多いのでオールリスク、すべてのリスクのものの共済にも加入できますし、それから今委員がおっしゃいましたように魚病を除いたものを選択をすることもできると、その場合には共済掛金が半分になるということでございます。
 ところが、今まで共済の対象にできなかったもっと規模の小さい、さっき言いましたマサバとかそういったものは規模が小さくて共済がセットできなかったので、それについてはオールリスクの商品というものが今は存在をしないので同じような比較は実はできないわけでございます。
 じゃ、その魚病を除いた言わば自然災害に特定した商品を今度そういったマサバについてもできるわけですが、そのときの料率はどうかといいますと、委員からお話がありましたハマチと同じようなレベルのものになります。ただ、それについてオールリスクのものを仮につくったとしたら、ハマチのような規模ではなくて、もっとすごい金額をつくらないとオールリスクのものができないということで、今回の措置はオールリスクのものはなくて、限定商品だけをつくることでようやくその新しい魚種が対象になるということでございます。
 したがいまして、率としてはどうかといえば、その限定商品同士を比べればそんなに変わらないけれども、オールリスクのものを仮につくったとしたら物すごい差になっちゃうので、結局そのオールリスク商品ができないということでございます。
#62
○主濱了君 分かりました。
 それは、そういう私は答弁を期待していたわけなんですが、何を言いたいかといいますと、要するに法律上、魚病を外してしまった場合に、これはすべての完全な病気の防除というのがあり得るんだろうか、こういう疑問なんですよ。想定外の魚病、想定しない魚病が発生した場合にどう対応するんですか。法律上外すことと除外すること、両方あるとすれば、法律上外してしまった、もう全く共済の対象にしない、そういう魚種に想定しないような魚病が出たらどう対応するんですか、これを私は心配している。どうぞ。
#63
○政府参考人(山田修路君) 想定をしないような魚病ができた場合には、これは共済の仕組みではなかなかやはり対応ができないということでございます。
 魚病について、今言いましたように、今まで共済のセーフティーネットが受けられなかった魚について今回魚病を外すことでようやくその保険設計ができるような形にセットしたわけですが、想定外のものが起こったものについてはこの共済ではなかなか対応ができないということでございまして、魚病の対応につきましては、魚病に対するいろんな予防措置ですとか、あるいは機器整備ですとか、そういった一般的な魚病対策によってそういった未知の魚病について対応していくということにならざるを得ないということでございます。
#64
○主濱了君 じゃ、次の問題に移ります。
 これまで共済の対象にならなかった生産額の少ない魚種について共済の対象にすることを可能とすると、こういう、これは法改正ではないんですね、現実には。
 それで、先ほど例示がありましたように、マサバとかメバル、これが候補とされておりますけれども、このほかの魚種はどういうふうなものが考えられているのかということ、それから、どういったようなもの、このほかにもどういったような基準で引き上げていくかという問題と、それぞれの生産量、生産額でもいいです、何かどのぐらいのものが今回対象になってくるのかというそういうふうな目安ですね、そこをお知らせいただきたいと思います。
#65
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、具体的な魚の種類につきましては政令で具体的に規定をしていくことになります。
 今考えておりますものは、マサバ、メバルのほかに、クロソイ、ハタ、カワハギ、スギといった、地域によっては非常に重要な魚種でございます。これが今回追加されるというんでしょうか、共済の対象になっていくということでございますが、これの基本的な考え方でございますが、先ほど来申しておりますように、オールリスク商品としてセットできないようなある程度小さな規模のもの、生産金額でいいますと二十億円を下回るようなものでありまして、かつ地域によって非常に共済のニーズが高いもの、それから養殖技術が確立しているようなものというようなことで対象を先ほどのような、六種類でございますが、魚を考えております。
 生産規模につきましては、小さな生産規模のメバルですと四十トン、約九千万円の生産、それから、最も大きい規模ではマサバでございますが、これが五百六十三トンで八億四千万円というような規模でございまして、先ほど言いましたように、全国的な共済を仕組んでいく、あるいはオールリスクの共済を仕組んでいくためにはちょっと規模が小さい、ただ、地域では要望があるというようなものでございます。
#66
○主濱了君 要望があると、こういうことなんですが、EU始め世界各国がクロマグロ、このクロマグロの漁獲枠の削減計画をどんどんどんどん進めていると、こういう状況にあります。日本においてもクロマグロの養殖、これがメジャーになりつつあるのではないかなと私は認識しているわけですが、クロマグロを養殖共済の対象とすることについていかがお考えか、これについて伺いたいと思います。
#67
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、クロマグロの養殖につきましては諸外国でも行われておりますし、日本でも相当今盛んに行われるようになってきております。平成十九年度には約四千四百トンぐらいのクロマグロの養殖生産が行われているというような推計もございます。このくらいの規模になりますと、当然、オールリスクのタイプの共済としても十分規模としてはあるわけでございます。
 このクロマグロにつきましては、そういった規模もありますし、それから養殖技術もかなり確立してきております。それから、地域でのニーズも非常に高いものがございますので、今回の法律改正と直接関係はいたしませんけれども、この法改正の施行に合わせてクロマグロも養殖共済の対象として追加をするという政令改正をする予定で検討をしております。
#68
○主濱了君 養殖共済につきまして、都道府県が定める区域の全員が加入しなければ共済契約が成立しない全員加入制度となっていると、こういうことでございます。区域内に加入しない漁業者が一人でもいれば他の養殖業者は加入できないと、こういうことで私は理解しているんですが、まず、これで間違いないかどうかということと、ちょっとこれでは、一人でもいればその地区の全員が共済に加入できないという、もうこれは行き過ぎじゃないかというふうに思うわけですよ。やはりこれは見直しをされるべきではないかと思うんですが、この点について伺いたいと思います。
#69
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、養殖共済については全員加入という仕組みになっております。
 これにつきましては、委員からお話がありましたように、全員加入というこの仕組みを引き続き続けるのがいいのか、あるいは、もうちょっと弾力性のあるものに変えた方がいいんじゃないかというような御議論がありましたし、検討会の中でも出ておりますし、それから水産庁の中でもどうすべきかということは今回の改正に当たっても検討をしてきたところでございます。
 そもそも、この全員加入制というのは何でこういう仕組みを取っているんだろうかということでございますが、これは、養殖の漁場というのは一つの湾とかある程度のまとまりがあった地域で養殖の漁場ができておりまして、漁船漁業はあっちこっちへ行って操業するんですが、養殖は集団で養殖漁場が形成されるということで、いったん事故が起こりますと、その地域の方々が大体同じような例えば魚病にかかっているとかいうことになりがち、あるいは自然災害も同じようなことということで、そういった場合に、その被害が起きたときに損害の査定を適切にやるには地域でちゃんと見た方が非常に的確にできるんではないかと。災害査定あるいは災害が生じた場合の運用上の問題としてその方が適当ではないかというような議論が元々あったというのが一つの理由でございます。
 それと、もう一つ政策的な理由として、全員加入という制度をすることによって加入者の確保を図り、保険基盤、共済基盤の安定を図ると、できるだけ多くの人が入っていただくというような、その安定性のためという、主にその二つの理由があったということでございます。
 最初に申し上げましたように、この全員加入制度について、今回維持をするのか、あるいは今後維持をするのか、あるいは見直すのかということについてはいろいろ議論をしたところでございますが、この今あります全員加入制度のメリットというのはそれなりにやはりあるということ。それから、関係団体の方も当面、今はやはりこの制度を維持した方が運用なりそれから加入促進なりの面からは非常にいいのではないかという意見が多かったわけでございまして、そういう意味で現在の仕組みを今回は維持をするということとしたところでございます。
#70
○主濱了君 今の御答弁に関して一点だけ。
 現地のそれぞれの漁業者ですね、その漁業者の意見もそういう方向にあるんでしょうか。この一点だけ、お知らせください。
#71
○政府参考人(山田修路君) 漁業者の意見はいろんな意見がございます。まさに、だれかが反対をしているのでなかなかそのセットができないというようなこともあって、地域によってはこういう全員加入制度というのが非常に障害になっているんだという意見もございます。
 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、検討会でも一つの大きな課題ということになったわけでございますが、最終的には今言いましたように現行制度を維持をしていくというような結論になったということでございまして、委員がおっしゃるように、地域の方あるいは漁業者の方の意見は様々ございまして、これからのまた検討の課題であろうかというふうに考えてはおります。
#72
○主濱了君 私の個人的な意見とすれば、前向きに御検討いただきたいと、こういうふうに思うところでございます。
 次、共済期間について伺いたいんですが、単位漁場区域ごとにこれまで共済の責任期間というのを単一にしてきたわけなんですけれども、この理由と、どんな問題点があったのか。今回外すわけですよね、これを。どんな問題点があって外すことになったのか、ここを端的にお答えをいただきたいと思います。
#73
○政府参考人(山田修路君) この養殖共済につきましては、制度が発足したのが昭和三十九年でございます。この当時は事務処理がまだ電算化されていない、コンピューター化されていないということで、膨大な事務処理をする必要が出てきたわけでございまして、実際の事務処理を行っております漁協などからいいますと、様々な期間の契約が出てくるときにやはり責任を持って十分な処理ができないということもあって、委員からお話がありましたように、単位漁場区域で一定の責任期間にするという、共済責任期間にするというような制度としたわけでございます。
 しかしながら、現実の漁業者のニーズは、やはり養殖をやっている期間がそれぞれ異なっていたりして、一律にすると無駄な期間が出てくる漁業者の方もおられるという要望が非常にあるということ。それから、今の時点で見ますと、事務処理の電算化が非常に進んできていて、前のように手作業でチェックをするとかそういうことではなくなってきましたので、共済期間が個々の漁業者ごとに異なっても処理ができるということになってまいりました。
 したがいまして、そういった漁業者のニーズも踏まえ、また実務処理の面も踏まえて、今回単一にするという義務を外して任意に設定できるようにしたところでございます。
#74
○主濱了君 そこのところなんですよね。先ほど合併のメリット、デメリットのところで、この部分については留保しますと、こういうことにしたんですが、この共済責任期間を単一の義務、この単一の義務とすることを今回廃止するわけですけれども、そうしますと、事務処理上、今おっしゃられたように共済期間ばらばらなわけですよ。それぞれすべてチェックしなくちゃいけない。煩雑になり支障は生じないか、こういうおそれを私は感ずるわけであります。
 特に、合併する、今回二十の共済組合が合併して全国合同漁業共済組合、これやっぱり現地において、合併しても現地においての事務が相当出てくる、緻密な事務処理が相当出てくると、こういうふうに私感じられるわけであります。こういう中で本当に合併のメリットを発揮できるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
#75
○政府参考人(山田修路君) 全国合同漁業共済組合、現在でも九の、かなり飛び地というんでしょうか、広い、全国広範にわたった地域を担当する共済組合になっておりまして、この事務処理、今ではまさにコンピューター化した中で先ほど言いました管理業務なりを実施をしているという状況にございます。
 今回、十月には二十の都府県域をカバーする、全国にまさにもっと広がった共済組合ができるわけですが、これもやはりコンピューター等のシステム抜きでは運用が不可能でありまして、当然この組合ではそういった電算化を進めており、また今後進めるということになりますので、そういう意味でまさに、先ほど言いましたように、共済責任期間をばらしても対応できるような事務的な施設整備が進んでいるということでございます。
#76
○主濱了君 確かに、長官おっしゃったとおり、九のときは単一なんですよ。二十になるとこの単一の義務がなくなっちゃう。物すごく増えるはずなんですよ。そのときにどうなのかと、こういう質問なんですよ。
#77
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、九のときは単一だったと、二十になったときに対応できるかどうかということでございますけれども、先ほど言いましたように、コンピューター化が進んでおりその事務処理については十分対応できるということで今回のその義務の廃止ということにも至ったということでございます。
#78
○主濱了君 それで、実は、三月五日の予算委員会で青森県六ケ所村の使用済核燃料再処理施設についてお伺いをいたしました。この中で二階大臣からは、この再処理施設が放出する放射能の量、これは原子力発電所の放出量の百八十倍であると、こういったような御答弁をいただいているところでございます。
 この問題につきましては、私は三年前からずっと継続して取り上げさせていただいているところであります。三年前質問したんですが、そのときは、二十年前のセラフィールド、これ旧称ウィンズケールというんですけれども、放射能汚染の悪名が高いのでこのセラフィールドに変えたと、こういったような、あるんですが、このセラフィールドのある英国沿岸の魚の汚染の事実について私は質問したんですよ。そうしたら答弁は、一九八三年、英国燃料公社、これも当事者なんですけれども、英国燃料公社の報告では、魚介類を摂取することにより人間が受ける放射線量は二・五八ミリシーベルト、当時許容されていた五ミリシーベルトに比較し小さいと。二〇〇四年の評価ではこれが〇・二二ミリシーベルト、十分の一まで低減をしておりますと、こういったようなことで、水産庁も同じような見解でした。で、心配はないのだと、こう言っているわけでございます。
 これを基にしてまた重ねて質問したいんですが、このイギリスを含む大西洋北東部ですね、大西洋の北東部海域では、世界三大漁場の一つなんですけれども、日本でも漁獲をしているところなんですよ。日本は二〇〇五年では四千トンほど漁獲をしているようであります。この大西洋の北東部、ここの魚介類の放射能汚染というのは大丈夫なんでしょうか、どうなっているんでしょう、そこのところを端的にお聞かせ願いたいと思います。
#79
○政府参考人(山田修路君) 大西洋北東部海域での放射性物質の濃度につきましては、欧州委員会において調査をしておると聞いております。
 その調査結果によりますと、一九八〇年代から一九九〇年代前半にかけて、表層海水のセシウム137、これは再処理工場から排出される放射性物質でございますが、そのセシウム137の濃度が次第に低下をしてきているということ、これが第一点。それから第二点目に、海洋生物への有害な影響については確認されていないという欧州委員会の調査結果がございます。
#80
○主濱了君 セラフィールドの放射能というのはノルウェーとかそれからアイスランドまでずっと広がっていると、こういうことでございます、こういう研究報告もあります。まず、これを把握しているかどうかということでございます。
 それからシシャモ、柳の葉の魚と書きます、北海道でよく捕れるというふうに言われているんですが、実は、実は、実はですね、国産は五・五%しかない。そして、どこから輸入しているかといいますと、アイスランド、今問題になっているアイスランドから四八・七%輸入している。それからノルウェー、これもちょうど放射能が広がっている方向にあるノルウェー、ここから七・七%輸入をしていると。大丈夫でしょうか、端的に伺います。
#81
○政府参考人(山田修路君) 先ほどお話ししましたように、ヨーロッパ委員会、欧州委員会の調査ではこの大西洋北東部海域での放射性物質の濃度が次第に下がってきていて海洋生物への有害な影響は確認されないということでございます。
 セラフィールド地域につきましても、先ほど委員からお話がありましたけれども、放射能の総量は、公衆、一般の方々の限度であります年間当たり一ミリシーベルトでございますか、これ以下の状態ということと聞いております。
#82
○主濱了君 いずれ、大丈夫なんですね、端的に。
#83
○政府参考人(山田修路君) 今言いましたとおり、そういった欧州委員会なり英国の機関による報告によれば特段問題はないという報告でございます。
#84
○主濱了君 それでは話を日本に戻しまして、使用済核燃料再処理施設からは、先ほど申し上げましたように、三陸沿岸に百八十個の原発を配置したのと同じぐらいの量の放射能が出ると、こういうことなんですよ。百八十倍というのはそういう意味があると私は理解をしております。並び切れますかね、三陸沿岸に百八十個。
 それはさておいて、理論的にはそういうことになるわけですが、農林水産省として、漁場を守るため、この放射能汚染がないことをどのように確認するのか。これは、もう本当に地元にとっても重大な事件だというふうに思います。どこかに委託しちゃうのか、そういったようなことですよね。自分できちっと要するに漁場を守るという観点から確認をするのかどうか、それをどうされるのか、これについて伺いたいと思います。
#85
○政府参考人(山田修路君) 水産庁では、毎年、文部科学省と連携をいたしまして、三陸沖も含めた日本周辺海域における海産生物についての放射能レベルの調査を実施をしております。この調査におきましては、三陸沖など太平洋沿岸域につきましては、主要海産物のうちの十三種類について核物質の分析を実施をいたしておりますが、十九年度の調査結果では特に異常値と思われる値は検出されておらないところでございます。
#86
○主濱了君 文科省と協力してと言いますが、まず第一点は、農林水産省としては調査しないのかどうか。それから第二点は、やはり地元が一番これについては気に掛けていることだというふうに思います、大事件だと思っていることだと思います。地元の例えば青森、岩手、ずっと影響は茨城、千葉まであると、こういうふうに言われておりますけれども、そういったような自治体に調査をお願いをすると、こういったようなことは考えていないのかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
#87
○政府参考人(山田修路君) 放射能の調査につきましては、文科省が予算を計上いたしまして、それを農林水産省に移し替えをするというようなことで調査を実施をしているわけでございます。
 現在、各県の方ではどうかといいますと、これももう委員御案内のとおりですけれども、文科省からの交付金を受けまして、原子力発電所あるいは再処理施設等が立地している地域の周辺での放射能のモニタリングを実施をしているということでございまして、文部科学省なりあるいは関係の都道府県と十分連携を取って調査結果を確認をするというようなことをやってまいりたいと思っております。
#88
○主濱了君 大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 予算委員会で麻生総理に、日本の沿岸を、特に三陸沿岸を放射能汚染から守ってほしいと、再処理施設を止めてでも放射能汚染を防がなくてはならないんじゃないか、この決意についてお伺いをしたわけですが、答弁は残念ながら次のとおりだったんですよ。六ケ所村の処理施設は日本のエネルギーを長期的に考えるときに極めて重要な施設である、安全規制の遵守は当然徹底しなければならない、国が毎年実施している海洋環境における放射能調査をしっかり注意していかなければならない、ここまでなんですよ。残念ながら、放射能汚染を防ごうと、こういったような答弁ではなくて、私から言わせればはぐらかし答弁であったと、こういうふうに思いました。当然にも、すぐ再質問をしまして、放射能汚染をするのかしないのか、こういったようなことをすぐ重ねて行ったわけですが、これについては答弁はありませんでした。
 そこで、石破大臣にお伺いをするわけですが、農林水産大臣は水産資源の適切な保存及び管理を図ることも、これも任務の一つとしているわけであります。このような観点から、この三陸沿岸の漁場を放射能汚染から守ることについて、具体的な方策も含めて、是非とも御決意をお願いをしたいと思います。
#89
○国務大臣(石破茂君) 先ほど来、るる水産庁長官からお答えを申し上げておりますが、本年八月から本格的稼働をすると。それに向けていろんな試験が行われているわけでございます。あえて言葉を使うとすれば、これは完璧でなければならない。安全面から、慎重な上にも慎重に完璧を期すということでなければいけないだろうと思っております。
 私、我が国のエネルギー事情から考えまして、再処理施設の稼働というのは必要なことだという考えを持っております。そうであればあるほど、これが多分大丈夫だろうみたいな話では駄目なのであって、完璧を期して慎重の上にも慎重にやっていただかねば困るということは農林水産大臣として当然要請をし、働き掛けていかねばならないことでございます。
 三陸沖は極めて豊かな漁場でございます。当省といたしましては、今後とも漁業者の方々が安心して漁業活動が営んでいただけるように、文科省を始め関係省庁と連携をし、三陸沖を含みます海域における魚介類の放射能レベルの調査を継続をするということで、それとともに核燃料再処理施設の本格的な稼働に向けた試験の状況等についても、これは科学的知見をもって、大丈夫なんだろうね、大丈夫ですというようなことではなくて、それだけではなくて、私どもとして本当に責任を持って、その状況がどのようなものであるかということを、漁場を守る、そして漁民を守る、資源を守るという観点から、当事者意識を持ってやっていかねばならないことだと考えております。
#90
○主濱了君 今日の新聞見ますと、アメリカにおきまして再処理施設、これを断念する方向でいると、こういったようなことであります。
 私も、エネルギーを確保する面においては、この原子力というのはやはり活用していかざるを得ないと、このように思っている一人であります。しかしながら、しかしながら、その漁場を放射能で汚染するということを引換えにしてエネルギーを確保するまでには至らないのではないかと、このように思うんですよ。やはり、放射能汚染をさせないことが第一にあって、こういうふうに思うわけですが、この点からもう一回お願いをいたしたいと思います。私、やはり決意というところまでは大臣の今の御発言はいっていないような気がするんですよ。
#91
○国務大臣(石破茂君) それは、漁場を犠牲にする、放射能汚染があるという前提でお話になられますと、もし放射能汚染があるんだったら、それは再処理も何もないわけですよ、それは。だから、私どもとして、政府として、漁場汚染がないということが本当にきちんと確認できるか。それが確認できないとするならば、それは再処理というものは稼働してはならないのであって、私は、犠牲にして、引換えにしても再処理をやるべきだなぞということを申し上げているつもりは全くございません、それは引換えになるものではございませんから。
 私どもとして、放射能汚染がないということがきちんと確認されない限り再処理施設の稼働というのはあってはならないとは思っております。しかし、稼働すれば汚染があると言われますと、それはそうではないと申し上げなければなりません。
#92
○主濱了君 稼働して、ここだけ一つ確認をさせていただきたいんですが、放射能汚染があったらば、これは再処理施設を止めてでも漁場を守る、こういう覚悟であると、こういう理解でよろしいでしょうか。
#93
○国務大臣(石破茂君) これは政府としてどう判断するかというお話ですから、農林水産大臣がこれは止めますということを申し上げる権能を持っておりません。
 しかしながら、農林水産大臣として、その漁場の汚染がある、そして魚に甚大な被害が生じ、漁業者の経営が成り立たなくなる、それは風評被害になったら半端なものじゃ済みませんのでね、そういうことになれば、これは政府全体としてどうするんだということに当然直面をいたします。そこにおいて農林水産大臣として、農林水産大臣の立場から意見を申し上げることになりますが、それは止めるのか止めないのかとお答えになれば、それを答える立場にないということをお答えせざるを得ない。それは私、経済産業大臣ではございませんので、そのことをお答えする立場にないということでございます。
#94
○主濱了君 この問題につきましては、今回に限らず、経済産業省にもここに来ていただいて、一緒になってもう一回議論をさせていただきたいと、このように思います。
 次、ABC、TAC、こういう問題について伺いたいと思います。
 ABCというのは生物学的許容漁獲量であります。それからTACというのは、御承知のとおり、漁獲可能量でございます。この関係についてお伺いをいたしたいと思います。
 少なくとも、日本においてはこのABC、生物学的許容漁獲量をTAC、要するに漁獲可能量ですね、これが上回ることがないように、絶対上回ることがないようにするべきだというふうに思っております。それで、平成二十年、昨年ですね、昨年の状況を調べさせてもらいましたらば、この生物学的な漁獲可能量よりもTACが多い魚種が四魚種もあるんですよ。実は、イワシ、マアジ、サバ、スケトウ、こういったような四つの魚種が実は生物学的許容量を超えて漁獲目標みたいなのが、TACが決められていると、こういうふうなことでございます。
 やはり、当面の漁獲とか当面の水揚げ、これだけを見て、やはりこれだけではいけないというふうに思います。やはり百年後、五百年後、千年後、そういったような世代にも魚を食べさせていかないといけないと、このように思いますが、最近の対応も含めまして、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#95
○国務大臣(石破茂君) 制度については、委員が御指摘のとおりでございます。
 TACの対象でございます七魚種のうち、このTACがABC、許容漁獲量を上回っている魚種は、スケトウダラ及びサバ類の二魚種となっております。何でこんなことになっているかと申しますと、スケトウダラにつきましては、資源が低位水準にはございますが、漁獲可能量の削減による漁業経営の激変を緩和しなければなりませんでした。サバについては、漁場形成の変化に対応して、TACを都道府県に追加配分できますよう、ABC、許容漁獲量に留保枠を加えまして漁業可能量が設定をされておるわけでございます。したがいまして、そのようなことになりました。
 このうちサバ類につきましては、今年度漁期から許容漁獲量の枠内でTACを設定すると、こういう方向で現在調整をいたしております。持続的な利用を可能にしなければなりませんで、できる限り資源の動向を反映してTACを設定するということでなければならないわけでございます。
 今後とも、漁業者の理解と御納得を得なければできませんが、TACというものが適切に設定されるように努力をしなければいけないと認識をいたしております。
#96
○主濱了君 私は、是非ともそれはもう実現をしなければいけないというふうに思います。
 この漁獲量がABCを上回ることがないようにするということについては、日本がきちっと守ることはもうもちろんのことでありますけれども、日本だけがやったって効果が生じないわけですよ。日本がきちっとやっていても、同じ魚種を外国からどんどんどんどん輸入したんでは、今度は世界のABCとTACの関係が、漁獲量の関係がおかしくなってくると、こういうふうに思います。
 この辺の、世界の水生動植物の再生、それから資源回復を図ること、これを目指して関係国との協議が必要だ、輸入はしないとか、そちらの方でもちゃんとABCを守ったTACを定めてくださいよと、こういったようなことが私は必要だというふうに思うわけですが、この辺、関係国との協議がいかになっているか、どのようになっているか、これも大臣にお伺いしたいと思います。
#97
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおり、韓国、中国及びロシア、そういう国々と二国間漁業協議を通じまして、連携協力して資源管理に取り組まねばならないと思っております。
 毎年、漁業協定に基づきまして交渉を行っているわけでございますが、そこは資源の専門家による会合をやらなければいかぬと。各国の資源情報について情報交換を行い、そして相互の割当て量、総隻数、この決定を行うとともに、資源調査、資源管理についての意見交換を通じて協調的な取組を行うよう働きかけを実施するということになります。ここは本当に、どういう手法で数字を把握をしているのか、その数字についてどのようにして割り出し、どのようにして認識し、どのようにTACを定めというようなことについてまでお互いがちゃんと認識を共有をしなければ駄目なのだと思っております。
 そこにおいて、専門家同士の忌憚、忌憚のないという言い方は何か政治屋っぽくて嫌なんですけれども、ちゃんとした科学的知見に基づく議論、それが行われる土壌が形成をされませんと、これは資源管理にも何にもなりません。そこにおいて本当に科学者同士、あるいはこれ統計学とかいろんなものが入ってきますが、そういう人たちの科学的な知見が公正性、透明性を持ってきちんと議論が行われることが肝要だというふうに思っておりまして、我が国として引き続き最大限の努力をしていきたいと思っております。
#98
○主濱了君 このTACを定めるに当たりまして、先ほど大臣の言葉にもありました、やはり漁民の、漁家の経営というものも大事なんだと、こういったようなお話ありましたけれども、私は、こここそ世界の、日本の水産資源を守るためには正当な補償だと思うんですよ、きちっと正当な補償をするべきであればいい。そういうことをしながら、やはりTACがABCを上回ることがないようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(石破茂君) それは、考え方としてはそういうことなんだろうと思っております。とにかくTACがABCを上回るというようなことがあってはならないのは、それはもう理屈の当然になるわけでございます。
 そのときにその補償というものをどう考えるか、どういう理由に基づき国民の税金を使うのかということの議論をきちんとした上で、それによって漁業者が被る一時的な損失というものに対しては補償を行うという考え方は、それは当然あってしかるべきものというふうに考えております。さればこそ、TACとABCの関係というのをきちんと詰めていかねばならぬであろう。
 このTACとかABCとかいう考え方、要は、委員が百も万も御案内のとおりで、いかにして資源というものが持続可能性を持つかということ、最終的には漁業者の利益になって返ってくることでございますから、そこの辺りの兼ね合いもあるんだろうと思っております。
 ですから、一律に補償せよとかなんとかそういう話にはなりませんが、一体このTACの制度、ABCの制度というのは何ゆえに行われるものであるかということについてよく理解を深めていくということが必要なのだと考えております。
#100
○主濱了君 最後の質問にしたいと思います。
 今日は養殖共済の関係を中心に質問をさせていただいたわけですが、この養殖そのものについて、中国は、中国は、実は中国は五年間で三三%も養殖が伸びているんですよ、三三%も伸びている。ところが日本は伸び悩んでいる、逆に減っていると、こういったような状況であります。私は、今食料というのは非常に危機に瀕している、これはもう水産物も同じだというふうに思っているんですが、やはりつくり育てる漁業、つくり育てる漁業、すなわち養殖ですよね、これ本当に大事だと、このように思っているところでございます。どんどんどんどん捕っちゃいますと、先ほど例に出しました大西洋の北西海域、ニューファンドランドとか、あそこのタラとか、ああいうふうにどんどんどんどんもう絶滅寸前まで行っちゃう。こういう観点から、是非とも養殖に力を入れることが必要だというふうに思いますが、この点については大臣からお話をいただきたいと思います。
#101
○国務大臣(石破茂君) それはおっしゃるとおりでございます。
 魚は、とにかくだれよりも早く漁場に行って、だれよりもたくさん捕って、だれよりも早く港に帰ることだみたいなお話を私は以前に聞いたことがありますが、そうしますと、もう資源の管理も何もあったものではございません。
 しかしながら、漁業者の経営の安定というものを考えたときに、資源の保全ということを考えたときに、養殖に力を入れるということは当然のことだと思っております。さればこそ今回の改正にもなっておるわけでございまして、養殖というのはやはりそれなりのリスクもございます、危険もございます。一回病気が出たらどうするのということもございまして、安全面も配慮しながら、共済をうまく組み合わせていくことによって、漁業者の経営の安定、所得の確保、そして資源の保全、いろんな面に資します養殖業でございますので、私どもとして今後も重視をしてまいりたいと考えております。
#102
○主濱了君 終わります。
#103
○委員長(平野達男君) 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#104
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#105
○加治屋義人君 自民党の加治屋でございます。
 先ほど主濱委員からお話がありました第十一大栄丸のことについて、御家族や関係者の心情を察しますと、誠に心痛む思いがいたします。近藤副大臣も早速現地にお入りいただいたと聞いておりますが、関係者による懸命な捜索活動が継続されていると承知しておりますけれども、十二名の方々が一日も早く無事に発見されることを強く期待をし、引き続き万全の対策を取っていただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
 漁災法案について、小川委員、主濱委員と大変重複をいたしておりますけれども、簡潔に質問はいたしますけれども、実のある答弁としていただければ大変有り難いと思っています。
 まず水産庁に伺いますが、現在、我が国の水産業は資源の水準低下や漁業者の減少など極めて厳しい状況にあります。昨年は原油の高騰という非常に大きな問題もありました。一方、国民に安全、安心で良質な水産物を安定的に供給するという重要な使命も担っております。
 そこでまず、現在、漁業経営の状況はどのようになっているのか、どのように認識をされているのか、伺いたいと思います。
#106
○政府参考人(山田修路君) 漁業経営の現状でございます。
 委員からお話がありましたように、漁業者の経営、大変厳しい状況の下に置かれております。お話がありましたように、資材価格は依然として高い状況にございます。燃油価格につきましては、平成十六年、五年前でございますが、このときに比べて昨年八月は二・九倍と非常に高いレベルまで価格が上がったわけですが、その後下落に転じております。ただ、本年四月の時点でも依然、五年前に比べて一・四倍ということで、高いレベルは変わらないわけでございます。また、ほかの資材、例えば魚粉の価格は五年前に比べて一・二倍、またロープの価格は一・四倍ということで、資材価格、おおむね高い状況にございます。
 一方、円高の影響、最近現われてきておりまして、特に、近年増加傾向にありました水産物の輸出が停滞をする、一方、為替レートの関係もありまして輸入が増加するということで、経営全体への影響が懸念されるところでございます。
#107
○加治屋義人君 ただいまお話しのとおり、漁業者は、燃油や資材の価格高騰の影響をまだまだ引きずっている現状は深刻で、金融機関からの借入れが死活問題となっております。
 こうした現下の状況の中で我が党は、かねてから漁協系統や一般の金融機関などが漁業者に積極的に貸し出し、資金繰りが円滑になるよう保証支援を強く主張してまいりました。今回の経済危機対策では、我が党の主張を踏まえ、漁業者向け緊急保証対策が織り込まれたと聞いておりますが、誠に時宜を得たものであります。中小企業向け保証対策の漁業版とも言えるこの対策のねらいについて、石破大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#108
○国務大臣(石破茂君) まさしく委員がおっしゃいますように中小企業対策の漁業版ということで、委員には党の水産部会長として大変な御指導をいただき今回の対策に盛り込まれたということでございます。心から厚く御礼を申し上げます。
 今回は漁業者に対します融資が円滑になされますよう保証措置の充実を緊急に行うということで、このように考えました。
 具体的には、都道府県ごとに設けられております漁業信用基金協会は、貸倒れが生じました場合に、これまでその三割を負担するということになっておったわけでございますが、今回の対策では国が九七%を負担し、基金協会の負担は三%で済むということになっております。このことによりまして、基金協会は積極的に保証に応じられるということになると存じます。
 さらに、漁業者の方々がお支払いになります保証料につきまして国が助成を行い、これまで保証料は最大二%だったものを〇・八%以下に引き上げるということで、漁業者の皆様方に利用をしていただきやすい、そのような仕組みとすることとしております。このような緊急措置として、新たに千二百億円規模の保証引受枠を設けることといたしております。これは、平成十九年度の年間引受実績の一千億円を超えるこれまでにございません大型の保証規模ということになっております。
 今回の経済危機対策においてこの緊急措置を盛り込んだところでございますが、これによりまして漁業者の皆様への融資が円滑に行えますよう、実施に向けて万全の準備を整えてまいりたいと、このように考えております。
#109
○加治屋義人君 ありがとうございます。
 私の地元鹿児島でも、漁業者団体、今回の緊急保証対策については大変喜んでおります。この関係団体、漁業者に対して分かりやすく説明をしていただいて、補正予算が成立したら速やかに実施に移していただくようお願いをしておきたいと思います。
 これまでお聞きしたとおり、漁業経営は大変厳しい環境にあります。こうした中、漁業災害補償制度は、共済の仕組みを用いて漁業者の方々が不慮の事故などによって受ける損失を補てんすることで漁業再生産の確保と漁業経営の安定に重要な役割を果たしてまいりました。
 そこで、まずこの漁業災害補償制度について、今回は具体的にどのような法改正を行うのか、分かりやすく、近藤副大臣にお尋ねいたします。
#110
○副大臣(近藤基彦君) お答えを申し上げます。
 今般の法改正におきましては、漁業者の方々からの要望におこたえするため、漁業共済事業の見直しを行うものであります。
 具体的には、養殖共済については、自然災害や魚病、魚の病気ですね、などのすべての災害に対する補償が原則となっておりますけれども、任意の選択により、病害を共済事業から除外することを可能にし、掛金の安い商品を導入することといたしております。
 また、これまで養殖共済の対象にならなかった生産額の少ない魚種について、病害を共済事故から除外することを前提に、新たに養殖共済の対象とすることを可能にするものでございます。
 さらに、加入区域ごとに共済責任期間を単一に設定する義務を廃止することとしております。このほかには、漁業施設共済について柔軟な商品設計が可能となるよう、特約制度を導入することといたしております。
 また、漁業共済組合について、本年十月に大規模な広域合併が予定されているところでありますが、合併後の組合運営が円滑に行えるよう、総代会の制度を導入する等の措置を講ずるものであります。
#111
○加治屋義人君 ありがとうございました。今回の法改正は漁業者ニーズにこたえたものと、こういう説明をいただきました。
 現在、養殖業の経営は、えさ代の高騰や魚価低迷で非常に苦しい状況にあります。先ほどの小川委員の質問にもありましたけれども、こうした養殖業にとって今回の法改正はどのようなメリットがあるのか、そしてまた、養殖共済の加入率はどの程度向上する見込みなのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
#112
○政府参考人(山田修路君) 今回の法改正の内容につきましては近藤副大臣からお話をしたとおりでございますが、特に病害を共済事故から除くということで、掛金の安い商品が導入されるということで、厳しい経営環境にあります養殖業者の掛金負担の軽減につながるということでございます。
 具体的にどの程度安くなるかということでございますが、これは養殖業者の方の規模や魚の種類によって異なってくるわけでございますが、現行のすべての災害を対象とした補償方式と比較をいたしまして、共済掛金は少なくとも二割以上安くなる、ほとんどの魚種について半分以下というようなレベルになるというふうに見込んでおります。
 養殖共済の加入につきましては、これまで掛金が高いということで加入を見合わせてきた方々の新規の加入が期待できるということでございます。現在加入率は約五三%でございますが、今回の法律改正の効果といたしまして、五年後には約六〇%になるというふうに見込んでおります。
#113
○加治屋義人君 通告をしておりました次の問題なんですが、養殖共済の対象でなかった生産額の少ない魚種等については、先ほどと重複をいたしますので割愛をさせていただきたいと思っています。
 次に、養殖マグロについて伺います。これも先ほどの主濱委員の質問と重複いたしますけれども、改めて確認の意味で質問させていただきたいと思います。
 天然資源の減少や国際規制の強化もあって、近年、国内での養殖が急速に伸びてきております。今後ますます盛んになっていくと見込まれますが、養殖業者の方々にお話を聞きますと、他の魚と違って単価が高い、台風とかで全滅したら経営が立ち行かなくなる、早く養殖共済の対象にしてほしいという要望があります。特に、クロマグロの養殖につきましては鹿児島は大変盛んでございまして、鹿児島県にとって一大産業に育成しようと、こういう強い決意もあります。
 このことについて、野村政務官に決意のほどをお伺いしたいと思います。
#114
○大臣政務官(野村哲郎君) 漁業共済の商品設計をする場合は、先ほども山田長官の方から話がございましたとおり、おおよそ、魚種によって違うわけでありますが、二十億円程度と、こういうふうに認識をいたしておりますが、先ほど御質問にありましたように、マグロ養殖、年々盛んになっておりまして、大体十九年度においての生産額は百億円程度ということで見込まれておるところでございます。このために、今回の法改正の施行時期に合わせまして、既存の対象魚種と同様にオールリスクの補償も可能な魚種として追加する予定でございます。
 また、このマグロはそれぞれいろんな問題抱えておるわけでありますが、一つは、共済の問題でありますが、やはり一匹当たりの共済価格が高いために非常に掛金が高くなるということ。それから二つ目は、養殖いたしまして相当期間経過しますと病害のリスクがかなり低下する傾向にある。こういうような持っております特有の問題を踏まえまして、自然災害等の補償に対する、やはり台風常襲地帯でございますので、そういう意味ではこの自然災害に対するニーズが高いことという特徴がございます。
 このために、今回の法改正で盛り込まれました養殖業者の任意の選択で病害を共済事故から除外する商品、こういうことで、オールリスク商品から、そしてまた病害による死亡を控除しますと大変掛金が軽減される、そういう意味では非常に加入がしやすい状況をつくれるのではないかというふうに考えているところでございます。
#115
○加治屋義人君 このことについては、私の方からも切にお願いを申し上げておきたいと思っております。
 これまで、漁業経営の現状をお聞きした上で法改正の内容を聞いてまいりました。しかし、養殖業を安定的に経営していくためには、セーフティーネットとしての漁業共済だけではなくて、例えば養殖業の支出の多くを占めるえさ飼料の価格の高騰や生えさの逼迫といった問題も大変重要であります。
 そこで、養殖業の経営は現在どういう状況にあるのか、そうした状況を踏まえて、漁業災害補償制度以外に今後どのように養殖業振興方策を講じていくのか、これは水産庁にお伺いしたいと思います。
#116
○政府参考人(山田修路君) 養殖業の現状でございますけれども、特に海面養殖業につきましては、養殖をしている魚全体の価格、平均価格でございますが、平成八年では一キログラム当たり平均で見まして千三十七円というレベルでございましたが、平成十八年には八百三十円と、こういうレベルでございまして、非常に低下をしております。一方、経費を見ますと、特にえさにつきましては、配合飼料価格が平成十八年に二、三割上昇するというようなことで、経営をめぐる状況、厳しいものがあります。
 こうした状況の中にありましては、養殖業を振興していくためには、まず需要に応じた生産をやっていく、また生産コストを削減をするというようなことによりまして経営の安定を図るということが重要でございます。このために必要な生産性向上のための機器の導入、あるいは多様な流通ルートの開拓、確保といったことを支援をしております。また、えさの安定的な確保につきましては、漁業者と養殖業者との間の直接取引、あるいはえさとして利用されていない魚介類の活用の促進などを推進するということとしております。
#117
○加治屋義人君 ありがとうございました。
 冒頭お聞きしましたとおり、我が国の水産業は、資源水準の低下、漁業者の減少、極めて厳しいことは今お話をしたとおりであります。こういう状況で漁業を営むという、非常に苦労が絶えず大変なものだと心を痛めておりますが、政府としても、こうした漁業経営の現状を踏まえながら、水産物の安定供給を確保していくために水産業の振興を図ることは極めて重要だと思っております。将来にわたって持続可能な力強い水産業の確立に向けた石破大臣の決意をお願いをしたいと思います。
#118
○国務大臣(石破茂君) 御指摘のように、漁業生産量はピークが昭和五十九年でございました。それから、平成十九年の間に漁業生産量は半分になっております。資源水準が低迷している。漁業就業者数は十年間で三割減少しました。そして、六十五歳以上の方々の割合が、二七%であったものが三七%になっておりまして、漁業者は減少し高齢化が進んでおるわけでございますし、漁船が老朽化しております。なかなか新船も高いのでありまして、生産構造自体が脆弱化していると思っております。燃油価格は五年前と比べて一・四倍、最近安定をしておりますが、五年前と比べまして一・四倍となっておりまして、資材価格が上昇いたしております。
 それぞれに的確に対応するような施策を講じなければいけませんが、水産資源の適切な維持管理により漁場生産力の向上を図りたい。そして、新規就業者、今一次産業に就業したいという方々が多いわけでございますが、農業も漁業も林業も、やりたいと言ってすぐできるようなものでもございませんので、その能力、技量を身に付けていただくために支援も行いますが、新規就業者の方々の確保育成、収益力の向上、経営安定を通じまして水産業の体質強化を図っていかなければなりません。
 そして、消費者のニーズに即しました新商品、これを開発する、これは農商工連携も関係しますが、新商品をつくる。そして、午前中に現代版魚行商のおばさんのお話をいたしましたが、多様な流通ルートを構築したい。そのようなことによりまして、産地の販売力の強化を図り、流通の効率化、高度化を図りたいと考えております。
 このような施策を総合的に実施をし、生産者の手取りを増やしますとともに、持続可能な力強い水産業を確立し、そしてそのことにより、水産物の安定供給、そして漁業の持続的な発展、これを実現したいと考えております。
#119
○加治屋義人君 ありがとうございました。
 民主党さんの質問とほとんど重複をして、割愛をしなければいけないんですけれども、少し時間もございますので。
 私が去る三月十七日の大臣所信への質疑で、積立ぷらすの加入要件の緩和による加入増加の見通しをお聞きいたしました。石破大臣から、三項目に及ぶ緩和措置と、都道府県協議会が主体となって加入推進活動を通じて促進を図っていく、こういう答弁をいただいたわけであります。
 そこで、水産庁に三点お伺いしたいと思います。
 一つは、二十年度の加入率が低かった理由の分析。この制度に対する漁業者からのヒアリングなどを実施されておれば、紹介も含めてお聞かせください。
 二つ目に、二十一年度に入り、漁業共済も新たな加入契約を行う時期を迎えます。積立ぷらすの加入は漁業共済契約と同時に行われますので、今の時期の取組が大切だと思います。昨年の加入要件の見直しによる漁業者の評価と、現段階での加入の見通しはどうなのか。
 三つ目に、積立ぷらすは、今回の加入要件の見直しにより、漁業者にその加入の道を開いたものと考えます。経営安定化対策であれば、できるだけ多くの漁業者が利用できる制度にすべきであります。昨年度のこの見直しの効果をしっかりと把握して、今後とも漁業者にとってできるだけ使いやすい制度とするよう努力をいただきたいと。新たな年度での加入状況を精査しながら、更に加入を伸ばしていくためにどのように取り組んでいくべきか。現在、残りの一割を国が五〇%、漁業者が五〇%となっておりますが、この国の負担割合を増やして漁業者の負担を軽減してはどうか。
 この積立ぷらすは、水産庁を始め漁業関係者の苦労の末に実現した経営安定化対策であります。ようやく芽が出てきたところであり、制度の定着を図っていかなければならないことは申すまでもありません。漁業者の意見を十分お聴きいただいて、五年度の予算措置を予定されておりますが、利用したい人が利用できる制度に見直していくことが必要だと私は思っておりますが、所見を伺いたいと思います。
#120
○政府参考人(山田修路君) 積立ぷらすにつきまして幾つか御質問がございました。
 まず、二十年度の加入の状況でございます。これは以前石破大臣からもお答えをしておりますけれども、平成二十年度末時点での加入の状況、今最新の状況でございますが、千七百二十六件ということでございまして、漁業者の積立金は約二十一億円となっております。
 これの評価でございますが、この積立ぷらすと言っております漁業経営安定対策事業の加入の見込みでございますが、これは予算措置をしているわけでございますが、その考え方は、五年間で約一万一千の経営体が加入をするということで措置をしております。一年当たりの加入を見ますと、約二千強の経営体が加入するということで予算措置をしているわけでございますが、先ほど申しましたように、一年間での実績千七百二十六件ということでございまして、想定していた見込みに比べると八割ぐらいの加入状況ということになります。
 加入が少し十分でないということの理由につきましては、全国漁業共済組合連合会がアンケート調査などを実施したりしておりますけれども、その理由としては、事業の初年度ということもありまして、経営改善計画を作ったりするということについて慣れていないということがあったのではないかということ。それから、特に昨年の前半におきましては燃油価格の高騰ということがございまして、それへの対応に忙殺されてなかなか加入というところまで手が回らなかったということ。それから三番目には、やはりその燃油価格の高騰ということがありまして、所得に関する加入要件を満たせないような経営体があったというようなこともあったというふうに全国漁業共済組合連合会の調べではそういうことになっております。
 二つ目の点でございます加入要件の見直しでございます。この加入要件の見直しにつきましては、今申し上げました所得に関する要件がなかなか満たしにくいというようなことなどがありましたので、幾つかの点について加入要件の見直しを行ったわけでございますが、特に所得に関する要件の見直しを昨年末に行いました結果、この見直しを活用して契約が成立をしているものが百件以上既にあります。今後も、こういった見直し措置を利用して加入をしてくる方が増加するものと考えております。漁協系統団体と一体になりまして加入促進運動を図っていきたいというふうに考えております。
 それから三点目でございますが、この漁業経営安定対策ができるだけ利用できるような仕組み、取組にする必要があるということでございますが、まさにこの漁業経営安定対策事業につきましては、担い手となる漁業者の方々が経営改善に取り組めるようにということで措置した仕組みでございまして、できるだけたくさんの方が参加をしていただきたいと考えております。このための加入要件の見直し等も実施をしたわけでございまして、更にこの事業が機能しますように業務推進上の問題点等も洗い出しをしながら加入促進を図っていきたいというふうに考えております。
#121
○加治屋義人君 積立ぷらすについては大変私どもも期待をしている制度でありますので、どうぞよろしくお願いをしておきたいと思います。
 最後に、マグロはえ縄漁業の国際減船に伴って、我が国は八十七隻の減船を余儀なくされます。再編整備のために講じる措置として、一つに減船漁業者救済費交付金、二つ目に不要漁船処理費交付金で措置するとしております。
 このことについて、十一道県の知事でつくるかつお・まぐろ漁業対策推進道県協議会、会長は鹿児島県の知事でございますが、二項目の強い要望がございます。一つは、今回の国際漁業再編対策のうち、不要漁船処理費についても所要額の全額を国費で交付すること、二つ目に、マグロはえ縄漁業を維持存続するため、将来ビジョンを確立するとともに、魚価安定対策の各種施策を早期に実現すること、この二つの要望が私の手元にも、農林水産省にも届いているかと思います。是非とも、この地方公共団体、特に減船する漁業者に十分な配慮をいただきたいと思っておりますが、これに対して水産庁のコメントがあれば一言お願いしたいと思います。
#122
○政府参考人(山田修路君) 委員から今お話がありましたかつお・まぐろ漁業対策推進道県協議会の方からの御要請、これは本日、私どもの方に来られているというふうに承知をいたしております。
 二点御要望がございまして、一つは不要漁船処理費でございます。これにつきましては、国の基本的な考え方は、不要漁船の処理費というのは特別交付金と相まって廃業することに対する補償的な性格を有するということで、国としては都道府県の拠出のいかんを問わず、とにかく国が定額を払っていくという仕組みでございます。
 都道府県の方では、これについては、従来は地域経済への影響を緩和するという観点から財源負担等について協力をしていただいているわけでございます。もちろん、これは義務負担ではございませんので都道府県の方で考えていただく必要があるわけでございますが、私どもといたしましては、都道府県が一定の負担を行った場合には特別交付税等の算定に入れるということが適当であると考えておりまして、総務省に対して要請を行ってきているところでございます。
 それから、二つ目の御要望がございました。マグロはえ縄漁業がしっかり存続できるように各種対策を講じてほしいという御要望がございます。これにつきましては、今回はまさに国際的な規制に伴う減船でございますが、残った漁業者の方々がしっかり漁業を継続できるように様々な対策を講じていきたいというふうに考えております。
#123
○加治屋義人君 私もこのことについては十分理解した上で申し上げたところでございますので、この要請団体にしっかり御説明いただけばいいのではないかと、そういうふうに思っております。
 三十分早くなりましたけれども、以上で私の質問を終わります。
#124
○草川昭三君 公明の草川でございます。
 今も加治屋先生の御質問にもあったんですが、関連して、海面養殖業の経営の実態が非常に厳しい、不安定な状況に置かれているという答弁もございました。私は、そういう非常に条件の悪い漁業の方々に対する漁業共済が果たしている役割は非常に大きいものがあると思うんですが、改めてその理念というんですか、基本的な考え方を水産庁にお伺いをします。
#125
○政府参考人(山田修路君) 海面養殖業、委員から今お話がありましたように、台風、津波などの自然災害の影響を受けやすいという非常にやはり不安定な状況にございます。また、特に近年では燃油価格が高騰をして、その後今は多少落ち着いている状況にありますが、そういった資材価格の高騰、特にえさの問題、えさの価格の高騰の影響を非常に受けております。
 こうした状況の中で、やはり養殖業者の方々が安定的に経営を行っていくというためには、自然災害に遭ったりした場合でも損失が補てんでき、漁業生産を再開できるようにするということが非常に重要でございます。このために漁業災害補償制度がございまして、漁業経営のセーフティーネットとして漁業再生産が阻害されることのないように、ちゃんと再生産、漁業の再開ができるようにということ、また更に進んで漁業経営の安定に資するというような意味で大変重要な仕組み、制度であると考えております。
#126
○草川昭三君 今答弁がありましたこの法律でございますが、最初は昭和三十九年に制定をされておるわけでありますし、これまでの累次の改正が過去六度改正をされていると私思います。
 今回の改正が七回目の改正になるわけでございますが、そもそもこれまでの改正は何を目的として行われてきたのか、またその結果、例えば漁業者の加入がどのように増えているのかあるいは減っているのか、あるいはこれまでの改正の必要性とその効果についてどのようにフォローアップをされているのか、これも水産庁にお伺いをします。
#127
○政府参考人(山田修路君) 委員からお話がありましたように、昭和三十九年の制定以来、過去六度の改正が行われております。改正内容はそれぞれ様々なものがありますけれども、概して言いますと、この改正の目的、これは二つあるというふうに考えております。一つは、やはりその時代時代の漁業者の方々のニーズを踏まえて、利用しやすい制度、商品としていくということでございます。もう一つは、やはり加入の母集団を増やしていく。これは、共済制度、保険制度ではやはり加入集団、母集団を増やすことによって経営、その制度の安定が図られるということがございます。これまでの改正、総じて言えばこの二つの目的で改正をしてきたというふうに思っております。
 具体的に実施をしたその中身についてはいろんなものがありますけれども、特にてん補をする方式について様々なバリエーションを設けて選択をしやすくしていくとか、あるいは継続加入、四年間の継続加入方式というのを導入しまして、長い期間入っていただくということによって掛金がまた安くなっていくというような仕組みを導入をしたところでございます。
 こういった制度改正の効果、私どもは相当程度あったというふうに思っております。加入率、決して今の段階で満足しているわけではありませんが、従来に比べるとやはり徐々に徐々に上がってきておりまして、特定養殖共済は八割、これはかなりのレベルでございます。漁獲共済、養殖共済は五割、これはまだまだいま一歩ということでありますが、これまでに比べれば大分改善をしてきているということでございまして、こういった制度改正を通じて加入率の向上なりということを図ってまいりたいというふうに思っております。
#128
○草川昭三君 先ほどの答弁で、その時々の漁業情勢を踏まえて、より漁業者に利用しやすい制度としてきたと、こういうことは理解をいたします。中でも養殖共済については、物損方式を取っている養殖共済と収穫高保険方式を取っている特定養殖共済の二つの種類があります。我が選挙区でございます愛知県でも、盛んにノリの養殖業についてはこのうちの特定養殖共済で行われているようでございますが、なぜノリ養殖業は特定養殖共済になっているのか、また、そこで取られている収穫高保険方式がノリの養殖業者にどのようなメリットをもたらしていることになるのか、これまた具体的にお答えを願いたいと思います。
#129
○政府参考人(山田修路君) 委員から今お話がありましたように、漁業共済の仕組みでは、収穫高保険方式、いわゆるPQ方式と呼んでおりますものと物損保険方式という物の損害自体に対する補てんをするという二つの方式を共済の種類に応じて使い分けているわけでございます。
 ノリの養殖業につきましては、当初は養殖共済の中で物損保険方式の方で実施がなされていたわけでございますけれども、ノリにつきましてはやはり品質の低下等でノリの価格が下がるというような事故が起こります。ノリ自体が壊滅的打撃を受けて物自体がなくなるということももちろんあるんですけれども、災害の影響で品質の低下、価格の低下、それが収穫金額の低下につながるという事故が非常に多うございまして、これに対して物損保険方式では十分な対応ができないということがございました。漁業者の御要望も非常に強いということで、何とか収穫高保険方式に移行できないかということでいろいろ検討を重ねた結果、昭和四十九年の制度改正で収穫高保険方式ということへ移行できたところでございます。
 今委員からお話がありましたように、ノリの収穫にとりましては品質の低下ということによる影響が非常に大きいわけでございまして、この収穫高保険方式はノリの養殖業者にとって大変大きなメリットになっているんではないかというふうに思っております。
#130
○草川昭三君 現在、漁業をめぐる環境は、いろいろな委員からも御指摘があるように、非常に経営が厳しい状況になっております。そういう中にあって、漁業共済事業も、漁業者が必要とする補償の水準と漁業者が支払う掛金のバランスが非常に重要になってくるわけでありますが、この点については何といっても漁業者の理解が必要であります。そうしないと加入も停滞をするということになるわけですが、今回の法改正もこの点を考えられているようでございますけれども、こういう改正以外に、いわゆるてん補方式と言われる方式もあるやに聞いているわけでございますが、この点について、最も利用されているものはどういった方式なのか、あるいは業界というんですか、業種なのか、漁業者の掛金水準がまたどの程度になっているのか、これもお答えを願いたいと思います。
#131
○政府参考人(山田修路君) 漁業共済でのてん補の方式、非常にバリエーションが多うございます。その中で最も利用されておりますのは約定限度内てん補方式という方式でございます。
 普通の共済の、あるいは保険のてん補方式というのは、漁業共済の場合には全事故比例てん補方式と呼んでおりまして、この方式は、過去の一定年限の漁獲金額を基準として、それよりも契約年の漁獲金額が下回っている、そこに達しない場合に、その差額のすべてを支払う、共済金を支払うという方式でございます。この方式は、したがいまして掛金もそれだけ高くなるということでございます。
 これに対しまして、最も利用されております方式、この約定限度内てん補方式というものは、共済契約で約定します金額、例えば共済限度額の二〇%までの非常に浅い部分、被害の少ない部分に限って共済金額を支払うというようなものでございます。こうしますと掛金が非常に安くなるということでございます。
 この約定限度内のてん補方式が利用されるのは、今言いましたように、被害の浅いものについて重点的に対応しますので、毎年の経営が比較的安定している、あるいは一生懸命やって被害が大きくなるのを防いでいるというような漁業者につきましては、そういったものに対応していけばいいということでございまして、そういったニーズにこたえて掛金も安くて済むというようなことでございます。
 この掛金、どういうふうに安くなるかというふうなことを試算してみますと、十トン未満の漁船を使用した漁業で共済金額が一千万の場合に、通常のてん補方式、先ほど言いました全事故比例てん補方式でいいますと、漁業者負担の共済掛金は三十万円余りとなりますけれども、二〇%を限度として補てんをする約定限度内てん補方式でいいますと約二十一万円ということになりまして、九万円ぐらい負担が安くなるというようなことになっております。
#132
○草川昭三君 大変具体的なお答えがあったわけでございますが、やはり漁業者の方々に分かりやすくそういう内容を説明をしていただいて、どちらが有利なのか、十分利用していただきたいと思います。
 最後になりますが、現在の養殖業の経営は、えさ代の高騰や魚の値段が非常に安くなっている、非常に苦しい状況にあります。これら養殖業に対し、できるだけ掛金を安くした商品を提供することは今日的には最も重要なことだと思います。特に、今回の改正では、共済事故のうちにあります魚病、魚の病気については、これを除外して掛金の安いものをつくろうとしているのではないかと思われますが、そもそも養殖共済においてどのような共済事故があるのか、また、これら共済事故のうち病害によるものの占める割合がどの程度のものか、これをお伺いをしておいて、私の質問を終わりたいと思います。
#133
○政府参考人(山田修路君) 養殖共済における共済事故、主なものは、今委員からお話がありました魚病による死亡、それから二番目には、台風や低気圧などによりまして生けすなどの施設が壊れましてそれで魚が逃げてしまうような場合、あるいは大雨になりますと塩分濃度の低下によりまして死亡するような場合という自然災害による場合、それから三番目に、赤潮の被害というのがございます。
 このような中で、特にやはり魚病によるものの割合が多くございます。年により変動はありますけれども、支払共済金額で見ますと、十年ぐらいの平均で見て五三%、半分以上は魚病によるものということでございます。
 以上でございます。
#134
○草川昭三君 終わります。
#135
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、法案に入る前に、先日、委員長提案で当委員会に提出をされて、そして採決、成立をしました農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法案、JAS法の一部改正について質問をしておきたいと思います。
 それで、法改正に至った背景に、この間食品の偽装表示が多発していたこと、その原因の一つに、これまでのJAS法の制度の下でいいますと、偽装表示をしても、まず農林水産省による表示是正の指示が出されて、それに従っておけば何ら罰則を受けずに済むと。ですから、偽装表示のやり得という問題があったわけです。是正の指示が出されてもそれに従わずに、次に是正命令を受けて、それにも従わない場合に初めて罰則を受けるという、事実上は罰則規定が使えないものになっていたわけです。そのために、これまでの偽装表示事件というのは、不正競争防止法違反ですとかあるいは詐欺罪での起訴というふうになっていました。
 そのことはこれまでも課題になっていたわけですけれども、今回の改正によって、原産地表示について直罰方式を導入するということとともに、その場合の罰則を二年以下の懲罰又は二百万円以下の罰金ということで、厳しくしたことで偽装表示に対する抑止効果が期待されるという点ではこういう改正は良かったというふうに思うわけですが、しかし、表示についていいますと、原産地表示だけではないわけですね。例えば遺伝子組換え食品ですとか、有機JASもありますし、期限表示という問題もあります。そういう中で対象を原産地表示に絞ったというのは、これだけでは私は不十分だというふうに思うわけですけれども、今後、今度の原産地表示以外のものについてどのようにされるのか、大臣にお聞きしたいと思います。
#136
○国務大臣(石破茂君) 先般、議員立法によりましてこのような法律が可決、成立をいたしました。議員立法でございますが、その趣旨等々、提案者から御説明がありましたし、今委員が御指摘のとおりでございます。
 産地偽装というのが極めて悪質であるということにかんがみまして直罰規定が導入されたわけでございまして、食品偽装に対します抑止力はこれによって高まると考えておるわけでございます。したがいまして、今回全会一致で御可決をなさったものでございまして、私どもといたしまして、全会一致で院の御意思としてこれが決まりました以上、まずこれが適切に運用されるかどうかということを見極めていくというのが行政府に与えられた課題ではないかと、このように考えておるわけでございます。
 産地偽装は、国産品と輸入品との価格差等々を背景として、期限表示の改ざんなどと比べまして発生件数が非常に多いということ、七五%とも聞いておりますが、非常に多いと、また社会的影響も多いということがあるわけでございます。
 当省といたしましては、産地偽装に限ることなく食品表示の適正化を図っていかねばなりません。そして、不適正な表示を迅速に是正するということが基本であると考えております。引き続き、委員が御指摘のようないろんなことがございまして、食品表示Gメンによりきちんとした監視を行う、厳正な指示、そしてまた公表を行うということによりまして、消費者の方々の信頼確保、そしてまた抑止力の確保というものを図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 また、警察庁との連携協定に基づきまして、捜査機関に早期に情報提供を行うということで、表示関係法令、委員が御指摘になりましたとおりでございますが、表示関係法令の罰則の適用ということがきちんと行われなければならないとも思っておる次第でございます。
#137
○紙智子君 全会一致で通っているので、その実施ということで、それはそうなんですけれども、ただ、それでもってすべて網羅されるということではなくて、今後の問題としてまだこういう問題もあるということを指摘をさしていただいて、改善をしていかなきゃいけないと思っております。
 それで、今おっしゃられていますように、やり得ということが今まではあって、例えば不二家の洋菓子ですとか、ミートホープの偽装事件ですとか、石屋製菓の白い恋人の賞味期限の改ざんですとか、それから三重県の赤福の賞味期限の偽装とか、船場吉兆の賞味期限の偽装とか、ずっと繰り返されてきたわけで、やっぱり繰り返させないということが大事なわけですから、警察庁との連携ということなんかも話がありまして、そういう意味では少しは厳しくなったんだという話もあるんですけれども、しかしながら、やっぱりきちっと直罰に、本当は全体を掛けてやっていくということが安全、安心をしっかりと確保する上では必要じゃないかということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 漁業共済制度についてですけれども、今回の法改正はリスクの低い事故に関して共済対象から外すということで、掛金負担を軽減をして漁業者が共済に加入しやすくすると。これは、実際、現場を歩きますと高過ぎてなかなか入りづらいという話が出ていたわけで、それはそれとして必要なことではあるというふうに思うんです。
 この間の漁災法の改正は、言ってみればそういうやり方というか、同様の手法で掛金の負担の軽減を図ってきたというふうに思うんですね。やっぱり、掛金の負担が重いということでなかなか加入できないということは明らかだったわけです。それで、この間、異常災害が毎年のように漁業に対しての影響を与えているということと、それから漁業経営が依然として厳しい状況にあると。そういうことを考えますと、リスクの低い事項を除外して掛金を下げるという、まあ言い方というか、小手先と言ったらいいか、こういう範囲の手法で共済加入を促進するということでは限界があるんじゃないのかというふうに思うわけですけど、この点、いかがでしょうか。
#138
○国務大臣(石破茂君) 小手先と言われますと、やや、そうではないのではないですかと、こう言いたくもなるんですが。要するに、保険の設計として考えた場合に、そういうようなものを除外をしていくということによって掛金を安くする、そういうようなことをきちんと行っていき、入りやすいようにしていかねばならぬと思っているところでございます。
 加入促進の観点から掛金負担を軽減するということは極めて重要で、国としては、法律に基づきまして、共済掛金につきまして平均四六%、これを補助をいたしておるわけでございますし、平成十八年度からは更に、平均でございますが、掛金の七%について上乗せ助成を図っておるわけでございます。
 これだけで十分だとは当然思っておりませんで、漁業者の皆様のニーズに即した特約商品を提供しなければならぬ。事故の少ない方へは掛金の割引制度を活用していただくべく、これも徹底をしていかねばならぬ。そして、今回の法改正で養殖共済あるいは漁業施設共済に係る掛金の安い商品を提供いたします。
 ですから、そのようなことで、委員のおっしゃいますように、掛金負担をどう軽減をするか、促進を図るかということを考えておるわけでございまして、午前の答弁でも申し上げましたが、これですべてだということを申し上げるつもりはございません。更に加入促進を図るための手だてというものを、保険の設計等も併せて考えてまいりたいと思っております。
#139
○紙智子君 漁業共済は、中小漁業者が相互の救済を図る保険であるということと同時に、やはり水産基本法に基づいて国の漁業災害対策の重要な柱としての性格も持っているというふうに思うんです。
 それで、農業共済の掛金に対する国庫負担というのが五〇%から五五%というふうになっているのに対して、漁業共済の場合は加入区域内の全員が加入しなければならないという義務加入の方式を取らないと、結局、国庫補助率、これが一〇%から三二・五%ということで、非常に低いわけですよね。ですから、現状を見ても義務加入が九割以上を占めていて、実際上この義務加入方式でなければ加入は不可能に等しいというふうに思うんです。
 それで、全員の加入が困難な地域でもセーフティーネットが機能するようにするためには、義務加入以外の国庫補助率をせめて農業共済並みに引き上げていくことが必要なんじゃないのかというふうに思うわけですけど、これについてはいかがでしょうか。
#140
○政府参考人(山田修路君) ただいま義務加入についてのお話がございました。
 義務加入制度というんでしょうか、地域の方々が皆さんで入っていただくという仕組みにつきましては、先ほどもちょっと御答弁いたしましたけれども、その地域全体でできるだけたくさんの人が入っていただくと、母集団を確保していくということでそういった方式がいいのではないか、あるいは普及をしていく上で有効ではないかということで今の義務加入制度を取っているわけでございます。
 委員がおっしゃいましたように、その一方で、やはりだれかが反対をするとなかなかまた合意ができないということで、使いにくいのではないかという意見があるのも確かでございます。これに関しましては、やはり私どもも、制度を検討する際の検討課題の一つとしてそういった意見もあるということ。一方、母集団を増やしていく、あるいはみんなでとにかく対応をしていくということで、これも有効なのではないかという意見も一方でありまして、今回はこの制度についてはそのままするということにしたわけでございます。
 私どもとしては、加入を増やすということが非常に重要であると考えておりますので、今の義務加入制度も利用しながら加入促進を図っていきたいというふうに考えております。
#141
○紙智子君 やっぱり、現場にとって一番どういう形がいいかということで、引き続き追求していただきたいというように思っています。
 それから、次なんですけど、ちょっとお配りした資料を見ていただきたいんです。これは、北海道の噴火湾、室蘭だとかああいうところを挟んだ噴火湾で行われているホタテの養殖なんですけれども、去年の秋から、ザラボヤというホヤの一種なんですけど、大量に付着をすると。それで漁獲に大きな影響が出ているんです。ホタテに害を及ぼすわけではないんですけれども、ホタテそのものは別に影響を与えないんですけれども、結局、水を大量に含んでいるザラボヤが、見たとおり、写真のとおり、もうびっしり付着して、ホタテが見えないほど付着すると。物すごく重くなってしまうわけですね。それで、一緒に引き揚げる際にその重量でホタテが海中にぼとっと落ちてしまうということになったり、ホタテと同量以上のザラボヤが一緒に引き揚げられるということで作業量が物すごい増えちゃっているわけですよね。それで、場所によってはホタテの成長不良というのにもちょっとつながっているというのも言われているんです。
 それで、耳づりというように言われているんですけど、ロープ垂らして、それにホタテが付いて、水中に浮かせたまましばらく成長を見るということになっているんですけど、要するにそこにびっしり付くわけですから重くなっちゃうわけですよね。それで、浮かせておくために浮き玉を付けておくわけですけど、浮き玉にも、これ見たとおり、びっしり付くものですから、これが重くなって沈んでいくというふうなことになっているわけです。
 それで、四月初めに現地の話を聞くと、ホタテを一トン揚げるのに、これの付いた廃棄物の処理だけでも四千五百円掛かると言うんですよ。それで、入念に洗浄してやっているんだけれども、通常の二倍の時間は掛かると、作業効率が三分の一に落ちているというように言われていて、普通だったら耳づりのロープというのは七、八本で浮き玉を一つなんですけど、全然それじゃ足りなくて、一本に一個付けなきゃいけないぐらいなっているわけですね。それから、作業でトラックに積んで、機械を使ってやるんですけれども、いろいろ付いているものですから故障も出てくると。想定外の出費が強いられているという状況なわけです。
 それで、ちょっとその写真のところで見てほしいのが、これがロープにつながって、中に貝が入っているわけですけど、それとこの浮き玉に付いているのと、その下の写真が、これはちょっと向こう側に金網というか網が見えていると思うんですけど、これがぐるぐると回って、それに水圧で水をざあっと掛けてぐるぐる回すということで、そんなに頑固にくっついているというんじゃなくて、そうやると取れるらしいんですけど、そういう形でこれ取って、ごみが物すごい大量に出てきているという図なんですよ。
 それで、こういう事態の中で苦労してやっているということなんですけれども、漁獲はあるんだけれども作業効率が大幅に落ちると。経費の負担が増えて手取りの収入が減るというこういう場合というのは、結局、漁業共済でも経営安定対策でも救済されないわけです。浮き球などの個人所有の漁具に対してはこれは支援がないわけで、なぜこうなっているのかというのは今水産試験場もいろいろ研究して調べているわけですけれども、異常気象の影響があるのかどうなのかということで今検討しているわけですけれども、いろんな形でこういう不測の事態に、コスト増によって漁家の手取りが減少になるということに対しての対策を考えるべきじゃないかということなんですけれども、いかがでしょうか。
#142
○国務大臣(石破茂君) ザラボヤ、これ食べられないのかと聞きましたら、食べられませんと言われました。噴火湾に元々生息しておるわけでございまして、日本全国の沿岸に広く分布するホヤの仲間であるというふうに聞いております。
 平成二十年の秋以降、大量に付着するようになり、委員御指摘のように、水揚げ効率が大きく落ちていると。そしてまた、えさがホタテガイと同じ植物プランクトンでございますので、ホタテガイの成長への影響も懸念されるということでございまして、私どもの方の大型クラゲなんかもそうなのですが、何でこんな時期にこんなものが出てくるのかということについてきちんとした解明も努力をしております。それも解明をしていかなければいけません。
 いずれにいたしましても、そのような有害生物によりまして、漁業生産活動の影響というものを最小限にとどめるべく駆除等を行っていかねばならないし、そしてまた、これを駆除をするに当たりましては、生産コストが増大しないようにしていかねばなりません。
 委員も御覧のとおりのザラボヤにつきまして、ホタテガイに付着したザラボヤ、これを除去する装置の導入、何か一つ百万円ぐらいと聞いておるんでありますが、この二分の一について補助を行っております。また、大型クラゲ、トドなんかもそうなんでございますが、広域的に生息いたします、回遊いたします有害生物につきましては、都道府県と連携をいたしまして、漁業者が行います駆除あるいは混獲回避の改良漁具の導入、このために必要な経費につきまして助成を行っているものでございます。
 さらに、漁業生産コストが増大をすることにより資金繰りに影響が出ました場合、金融面での支援として日本政策金融公庫の長期運転資金でございます農林漁業セーフティネット資金、これが御利用いただけるということになっておるわけでございます。
 これらの措置によりまして、被害を防止し生産コストの軽減に努めてまいりたいというふうに考えておりますが、これはザラボヤの処理等々、また相当のコストが掛かるんだろうなというふうに思っております。よく実態を把握をいたしまして適切な措置をとりたいと考えております。
#143
○紙智子君 よく実態を調べてという話で、今、最初お答えになったところは既に今までもやられている対策であって、その範囲では足りないということでお話をさせていただいたんですよね。
 今回、ザラボヤなんですけれども、例えばトド被害なんかも延々ともうとにかく格闘が続いていると言ったらいいか、トドは殺しちゃいけないわけですよね、決まっているわけですよ、駆除する量は。ですから、そういう中で、もう強化網に切り替えなきゃいけないというので網を替えたりとかしてきているんですけれども、追い詰められて漁法そのものを変えなきゃいけない、小型の底引きの船に替えようというようなところまで検討しなきゃいけないぐらい漁師の皆さんは追い詰められているわけです。
 それで、借り増し経費への補償はないし、ただでさえ厳しい状況の中で、やっぱりこういうコスト増を漁業経営で吸収するというのはなかなか不可能ということで、先ほど大型クラゲの話もありましたけれども、対策を取ってきたわけですけれども、やっぱり自然相手でいろんなことが、想定外のことが今出てきているというふうに思うんです。そういう中で、やっぱりこれまでやられてきている範囲じゃなくて、そういうコスト補償の機能ということで、もうちょっと踏み込んでやれないものかなということなんですけれども、もう一言お願いします。
#144
○国務大臣(石破茂君) これは、先ほども申し上げましたように、よく実態を把握をし、私ども、今申し上げましたような助成あるいは融資等々で何とかいけはしないかなと思っております。
 ただ、委員御指摘のように、本当にその時々変わるものでございますし、トドも出れば、もう最近はラッコがどうしたみたいな話もございまして、やはり時々によっても変わるものでございます。ですから、実態をきちんと把握をし、コストが増嵩しないように、あるいは経営が安定するように適切な政策は打っていかねばならないと思っております。
 今後とも、よく実態を把握するように努力をいたします。
#145
○紙智子君 最後、もう一つだけ質問したいんですけれども、漁業安定対策の問題で積立ぷらすですね。これでもって、先ほども話が出ていましたけれども、元々水産庁が一万一千経営体で約一割の加入を想定していたということなんですけれども、加入実績という点では千七百二十六件で沿岸漁業者の一・五%と。まあ、一年目だからということもあるかもしれませんが、それでもちょっと少ないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、昨年末に若干所得要件の見直しをやって、加入のハードルが高過ぎるという問題は、これは本質的にはやっぱり変わっていないというふうに思うわけです。
 地域特例というのがありますけれども、北海道では個人の所得下限が二百七十四万七千円だったのが二百六十三万一千円に、十一万円下がったということで、担い手特例も五年後には他産業並みの所得を確保する計画が必要で、例示されているような大幅な操業効率アップが見込めるような新船の建造や機器の導入をすればその借金返済が迫られるということもあるわけで、五年間での所得増というのはなかなか見込めないというのが実態だと思うんです。
 漁業者の減少や高齢化が進む中で、この担い手の育成を目指すということでは、初めから絞り込むんじゃなくて、やっぱり思い切って更なる要件の緩和を広げていただきたい、対象を広げていただきたいということを申し上げたいと思います。
 これについて、最後、一言答弁いただいて、終わりたいと思います。
#146
○国務大臣(石破茂君) 何で八割にとどまっちゃったかということは先ほど来申し上げておるとおりでございまして、漁業者の方々が燃油高騰への対応に追われてしまった、あるいは初年度でございましたので改善計画の作成などに習熟していただいていなかったということ、そしてまた燃油が高騰いたしまして加入要件を満たせない、そのような経営体が生じたということが低位にとどまったということだと思っております。
 このため、昨年末、漁業者の方々の御要望も踏まえまして、所得金額に燃油高騰によります補正額を上乗せした額で所得水準を判定する等々加入要件の見直しを行いましたが、今後とも、業務推進上の問題点の洗い出しを行いながら、漁業系統団体と連携をいたしまして加入推進を図りたいと考えております。
 私といたしまして、今後もそのような問題点あるかどうか、そしてまた、あるとすればどのようにそれを克服できるか等々、よく、現場のニーズというものが第一でございますので、それを踏まえました上で多くの方々が事業に加入できるようにしたいと考えております。
#147
○紙智子君 終わります。
#148
○委員長(平野達男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 漁業災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#149
○委員長(平野達男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高橋君から発言を求められておりますので、これを許します。高橋千秋君。
#150
○高橋千秋君 民主党の高橋千秋でございます。
 私は、ただいま可決されました漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  漁業災害補償制度は、これまで漁業経営の安定を図る上で重要な役割を果たしてきた。こうした中、漁獲量の減少と魚価の低迷の結果、漁業生産額は構造的に減少傾向を示す一方で、共済制度の事業収支が悪化し、平成十九年度には三百二十七億円の累積赤字となっているなど、制度運営の健全性や安定性が懸念される状況にある。
  よって、政府は、漁業経営の安定のため本制度が本来果たすべき役割が十全に発揮し得るよう、本法の施行に当たっては、財政基盤の強化と漁業者にとって魅力ある共済制度の実現に向け、引き続き共済制度の在り方を検討し、所要の措置を講ずるとともに、漁業共済及び漁業経営安定対策事業への加入促進並びに漁業共済組合の広域合併に対する適切な指導に努めるべきである。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#151
○委員長(平野達男君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#152
○委員長(平野達男君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、石破農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石破農林水産大臣。
#153
○国務大臣(石破茂君) ただいま法案を御可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
#154
○委員長(平野達男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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