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2009/06/11 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第14号
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2009/06/11 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第14号

#1
第171回国会 農林水産委員会 第14号
平成二十一年六月十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 達男君
    理 事
                郡司  彰君
                高橋 千秋君
                加治屋義人君
                佐藤 昭郎君
    委 員
                岩本  司君
                小川 勝也君
                大河原雅子君
                金子 恵美君
                亀井亜紀子君
                主濱  了君
                姫井由美子君
                舟山 康江君
                岩永 浩美君
                野村 哲郎君
                牧野たかお君
                山田 俊男君
                風間  昶君
                草川 昭三君
                紙  智子君
   衆議院議員
       修正案提出者   宮腰 光寛君
       修正案提出者   筒井 信隆君
   国務大臣
       農林水産大臣   石破  茂君
   副大臣
       農林水産副大臣  近藤 基彦君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       野村 哲郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 朝雄君
   政府参考人
       農林水産大臣官
       房統計部長    長   清君
       農林水産省経営
       局長       高橋  博君
       農林水産省農村
       振興局長     吉村  馨君
   参考人
       株式会社農林中
       金総合研究所基
       礎研究部副部長  清水 徹朗君
       株式会社ワタミ
       ファーム代表取
       締役社長     武内  智君
       全国農業会議所
       専務理事     松本 広太君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として株式会社農林中金総合研究所基礎研究部副部長清水徹朗君、株式会社ワタミファーム代表取締役社長武内智君及び全国農業会議所専務理事松本広太君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず、清水参考人、武内参考人、松本参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。
 また、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、清水参考人からお願いいたします。清水参考人。
#3
○参考人(清水徹朗君) ただいま御紹介いただきました清水と申します。よろしくお願いします。
 本日は、農地法改正という重要な法案の審議にお招きいただきまして、どうもありがとうございました。私は農林中金総合研究所というところで食料問題、農業問題、農業政策全般の調査研究をしている人間でありまして、農地問題そのものだけを専門的に研究している人ではないんですけれども、日本農業の動向を長年調査してきた人間として、今回の農地法の改正案について私の考えるところをお話ししたいというふうに思います。
 農地制度は、私もこういう仕事をしている上、農地法等を読むこともあるわけですけれども、非常に複雑な体系になっております。なかなか普通の人があれを読んですぐ頭に入るということではないというふうに思います。特殊な用語がたくさん出てきておりますし、改正、改正ということで、あるいはその中身を見ても、例外、またその例外、除外規定というふうなことになっておりまして、非常に分かりにくい。
 これは一つには、農地制度というのは非常に重い制度であって、かつ歴史も長い、それから、これまで環境変化に対応して修正を加えてきたということで今のような分かりにくい内容になっているというふうに思います。したがって、この法律、今回の改正案も含めて、その意味を理解するためには、歴史過程をやはり十分理解する必要があるというふうに思います。
 ただ、今日は時間も限られておりますので、その歴史についてすべて説明するわけにもいかないんですけれども、基本的には、明治維新以降の地租改正によって私的所有権が認められたというのが出発点でありますけれども、その後、農村部への貨幣経済、商品経済の浸透の中で地主小作問題が問題になって、当時小作争議がやはり大きな問題だったということであります。その中で、小作調停法等が制定され、一九三七年の農地調整法の中で耕作権、耕作者の地位の安定という言葉が入ります。
 したがって、戦後の農地改革というのは、基本的にはこの戦前の地主小作問題をどう解決するかということが出発点であって、今回の農地法改正もその問題を真正面から今の時代に合わせて改革するという内容になっているかというふうに思います。ですから、農地法は農地改革の成果を固定するということですから、自作農主義という、農地はその耕作者自らが所有することが最も適当ということが目的規定に入っておりまして、それが理念だったということであります。
 ただ、私自身は高度成長の出発点に生まれた人間でありますので、農地改革そのものを自分の体験として持っているわけではありませんですし、戦前の小作争議も話でしか聞いたことがない、あるいは本の中でしか読んだことないという人間でありますけれども、しかし農地改革自体が非常に大きな改革であったということはだれが見ても客観的な事実であるというふうに思います。したがって、戦後の農地制度は、この農地改革後にできた農地法をどう時代の変化に応じて修正してきたかという歴史であったということであるかというふうに思います。
 ただ、農地法は、今回も大きな改正ではありますけれども、これまでも大きな改正が行われてきたということは御存じのとおりであります。
 一九六九年に農振法、農業振興地域整備法ができまして、その翌年、一九七〇年に農地法の大改正が行われたということであります。この一九七〇年の農地法の大改正がやはり一つの大きな転機でありまして、農業基本法が一九六一年にできるわけですが、その後には高度経済成長の中に巻き込まれ農業農村が大きく変わってくると。しかも、農業の機械化が進んでくるという中で、規模拡大、あるいは、当時やみ小作と言われていましたけれども、農地法の理念とは異なる事態が生じてきたということで改正をせざるを得なくなったということで、一九七〇年に大きな改正をいたしました。そのときに農地保有合理化事業ができましたし、この改正をもって、農地問題の研究者は、自作農主義が修正された、自作地主義が修正されたあるいは終わったとか、あるいは借地農主義、借地主義になったというふうに言われております。現在、大きな議論になっています耕作者主義というのも、このときの改正を踏まえて自作農とは異なる耕作者という概念が生まれたというふうに理解しております。
 その後、七五年の農用地利用増進事業、それから、これは農振法の改正で行われたわけですけれども、それから八〇年の農用地利用増進法ということで農地流動化を進める政策が進められてきたわけです。この農用地利用増進法が一九九三年に農業経営基盤強化促進法になって認定農業者制度ができたという過程であります。
 その後、近年では株式会社の農業参入の道も開かれ、規制緩和、規制改革の中で企業の参入を促進してきたという歴史ではなかったかというふうに思います。
 ただ、こういう修正過程あるいは改正過程は、農地法の根幹をそのままにして自作農主義を修正してきたということでありますので、一九七〇年の改正のときも、農地法一条の目的規定のところは少し修正しただけで耕作者自らが所有することが最も適当という自作農主義の言葉は残したまま借地主義に移行したというふうな言い方もできるのではないかと思います。そういうねじれ現象が農地制度を分かりにくくしている大きな原因ではなかったかというふうに思います。
 今回の改正案について、次に私の意見を申し上げたいと思います。
 今回の改正は、一つは所有から利用へというふうに農水省は言っておりますけれども、農地法の目的規定を大きく変えたということですね。それと、それに伴って農地改革のとき非常に大きな問題になっていた小作料とか小作地とか、そういう言葉はもう使わなくしたと。あるいは、時代の中に合わせて農地法の条文もかなり交通整理したということが言えるかと思います。それから、転用規制の強化も少し入れたと。それから、これが大きな議論になるかと思いますが、農地の権利移動規制緩和、これによって一般企業の賃貸借による農業参入を促進する、あるいは農業生産法人の要件も少し緩和するというようなことを行ったということです。それから、耕作放棄地対策として、農業委員会による調査とか指導という条文も設けました。あるいは、農地利用集積円滑化事業を創設したということもありました。
 それから、ここにその他で書いておきましたけれども、賃貸借期間を五十年以内ということで延長した、それから標準小作料制度を廃止した、あるいは農協による農業経営をできるようにした、あるいは相続税納税猶予制度を見直したというようなこと、農地法以外の法律の修正もありますけれども、簡単に言うとこういう内容であったというふうに思います。
 この改正案をどう評価するかということですけれども、一つは農地改革の風化ということが言えるかと思います。私も含めて、小作争議、農地改革を経験した世代がもう減ってきたということでありまして、農地改革から六十年たっておりますので、ある意味でやむを得ない面もあるということもありますし、もう時代に合わなくなった条文は交通整理をすればいいというのはそのとおりであろうと思います。しかし、農地改革が持った歴史的意義はやはり忘れてはならない、農村の民主化、貧困の解消に果たした役割は忘れてはならないというふうに思いますし、今になって農地改革が誤りであったというふうな議論をする人がいますけれども、そういうことはやっぱり誤った考えではないかというふうに私は考えております。
 今回の改正も、先ほど説明したとおり、大きな改正ではありますけれども、基本的には過去の農地制度改革の延長線上にあるというふうに理解しております。それは、既に一九七〇年の農地法改正で自作農主義は修正されたわけですし、ただ、今回はそれを一歩踏み込んで、農業生産法人の要件緩和、株式会社の農業参入を促進したと。今まで特定法人貸付制度でやっていたものを、いよいよ農地法の中に入れたということであります。
 全体として、今回の改正について理解できる点もあります。それは、農地利用の促進とか、優良農地の確保とか、農地の集積を強化するということは確かに必要なことであろうかと思います。
 ただ、まだ懸念も残っておると。これは衆議院の修正である程度その懸念は解消する部分もあったかとは思うんですが、その懸念というのは、企業による農地所有の拡大によって外部資本の農村支配が進むとかですね。あるいは、善良な企業であればということなんですが、それは決して農業をやりたいという人を排除するというのは望ましいことではないとは思うんですが、しかし企業自体が経営が悪化して、あるいは親会社が経営が悪化したときに農業から撤退せざるを得ないというような事態が起きたときにどうなるかというようなことの事後的な処理がちゃんとカバーできるのかとかですね。
 あるいは、株式会社というのは株式譲渡自由が原則ですから、これは会社法上原則ですので。確かに、農業生産法人には株式譲渡制限という項目が入っておりますけれども、しかしそれはあくまでも取締役会の承認が必要という意味での譲渡制限でありまして、取締役会が認めてしまえばそれは外資に対してでも売却することができるというふうに私は理解しております。
 ということになると、やはり、外資が悪いということではないんですけれども、しかし投資ファンドとか、日本の農地、あるいは、世界中そういうことが進んでおりますけれども、農地をねらっている人たちがいるわけですので、そこは何らかのそういうリスクがある限りは対策は考えておいた方がいいんじゃないかということです。
 それから、五十年の賃貸借というのを入れましたけれども、五十年以内ですね。しかし、これも普通はやっぱり私は理解できない。なぜ五十年が必要なのかと。五十年たつとほとんど貸した人はいないですね、この世に。そうすると、あれはおじいさんが貸したことだとか父親が貸したことだということで、息子がそういうことを言うことになるかもしれませんですし、企業だって五十年存続しているか分からないというときに、果たして五十年というのが農業において適正かどうか。それは、果樹を植えるということになれば確かにかなり長期になるかもしれませんが、それは、じゃ、果樹を植えるときに限定をすればいいじゃないかということですね。稲作とか畑作で果たして五十年が必要かどうか、非常に疑問であります。
 基本的には、確かに善良な企業あるいは農業をやりたいという理念を持った企業もあるかと思いますので、そういう企業の参入を認めることは農業農村の活性化に役立つかもしれませんが、基本的には株式会社制度、資本主義、市場経済というのはリスクを持っているんだということですね。そこをやはり制度でカバーするということが政府の役割であり、規制の必要性ではないかというふうに思っております。したがって、農地制度も安易に規制緩和するべきではないというふうに思います。
 そういう面で、今回、衆議院で幾つかの改正が行われたということは評価できるというふうに思います。ただし、実際にそれが運用で本当に機能するかどうかということはまた別の問題でありまして、特に農業委員会についてはなかなかこれから大変な仕事を課せられたなというふうに思います。
 しかも、これまで、じゃ株式会社が参入してきて実態どうだったのかと。まだしかし何年もたってませんので、まだいろいろな問題点が出てきてないかもしれませんけれども、これから問題が出てくるかもしれません。問題が出てきてから考えればいいじゃないかということがあるかもしれませんが、制度というのは一度できてしまうと自己運動をしてしまうということがありますので、やはり懸念がある以上、何らかの対策を考えておいた方がいいということであります。
 それから最後に、今回の農地法とは直接は関係しませんけれども、私が農業に関する今まで調査をしてきた中で幾つか申し上げたいことを三つほど申し上げたいと思います。
 一つは、耕作放棄地増大の要因のことでありますけれども、今回の農地法改正の背後には耕作放棄地が広がっている、どうするんだと、こういうことがあるかと思うんですが、元々、耕作放棄地拡大の原因は農産物価格の低迷が原因であって、とても今のような、特に稲作の所得の減少は深刻でありまして、これは私が図表で参考資料で載せておきましたけれども、それをちょっと見ていただければと思うんですが、圧倒的多数が日本の小規模零細兼業農家が稲作を担っている中で、ほとんど稲作では収益が上げられない、所得が上げられないという実態があるわけです。
 ただ、今まで年金の収入も少ない高齢者がいたものですから、まあ農業機械があるうちは何とかやっているというのが農村の実態であります。それが今の日本の稲作を支えていると。それを上から構造改革を進めようとして、今度の稲作経営安定対策もそうですけれども、四ヘクタールで切ってやろうというとやはり無理がある、農村の現場と乖離しているということは、もう農村のどこに行っても聞く話であります。
 じゃ、企業の参入を認めればそれも解消するじゃないかということかもしれませんが、しかし地域社会、特に農村における地域経済なり水の管理ということを考えると、企業に多大の期待を持つべきではないというふうに思います。
 構造問題については、また、ちょっと言いたいことがあるんですが、今日はもう時間もないですので、ちょっと省略します。
 それから最後に、農業の環境的価値ということだけちょっと申し上げたいと思うんですけれども、余りにも農地制度改革のこれまでの歩みが効率的とかばかり、あるいは規制緩和ということばかりが進み過ぎておりまして、もう少しこの農地を、里地里山という言葉がありますけれども、環境的価値、面から農地制度あるいは国土政策を考え直すべきじゃないかというのが私の意見であります。これは農振法の問題かもしれませんが、あるいは環境基本計画との関係もありますけれども、土地利用制度全体を単に規模拡大とか効率性だけでなくて環境面からの再構築というのが必要だというのが最後申し上げたかったことであります。
 以上です。
#4
○委員長(平野達男君) ありがとうございました。
 次に、武内参考人にお願いいたします。武内参考人。
#5
○参考人(武内智君) ワタミファームの武内と申します。
 私は、株式会社ワタミファーム、これは民間の販売会社であります。もう一つ、農業生産法人有限会社ワタミファーム、この社長業を兼務しております。見ていただいたとおり真っ黒なのは、実は昨日も北海道の農場で子供たちを相手にずっと農業をしていたものですから、昨日の夜、最終便で参りました。
 今回の農地法の改正については、実は余り興味がなく、新聞は見ていたんですが、大勢は影響ないだろうなというふうに実は思って見ておりました。企業批判が多いのも重々承知しておりますが、実際産地へ行きますと、そうではなくて、もう何とかしてくれという悲鳴が上がっております。今も全国から個人の農家さん始め高齢者の方、あるいは行政、県庁始めかなりの方たちが毎月のようにおいでになります。今お会いしますと期待を持たれてしまうので、なるべくはお会いしないように最近はしておりまして、できることなれば、我々もう少し力を付けて、もっと農業界に貢献したいなと実は思って今社員たちを育成をしております。
 私は、農業を始めましたのは十五年ほど前でございます。ワタミとしては七年前に農業に入っております。入り方は、当初農事組合法人の私が理事やっていたものですから、まずそこで農場をスタートさせると。それは民間で初めて、役場に行って実は農業やりたいんだと言ったときに、おまえら産廃やるのかというふうに言われたので、とてもじゃないけれども、これ正面から突破できないなということでやむを得ず違う手を取りました。
 一年後には、農業特区、それから農業生産法人、ほぼ同時に通りまして、実は農業生産法人と特区と兼用していたと。残念ながら特区の制度については非常に使いにくい制度で、何かいいことあるかなと思いましてこれはやったんですが、何もいいことなくて、コマーシャルだけだったなというふうに正直思っております。
 その後、各地方行政から依頼があったたびに、特区でやりますか農業法人でやりますかというふうにお話しすると、皆さん農業法人にしてくれと、特区はやめてくれと。北海道で特区をやるときにも、実は農協さんから呼ばれて、やめてくれと。あなたたちは農業法人は持っているんだからそれでやってくれという依頼もありましたが、あえて特区でやったのは、その町の町づくりのコマーシャルのために実はやった経緯がございます。
 やはり株式会社でやると非常にいろいろ不都合があります。株式会社じゃなく農業生産法人でやらないと実は不都合があります。
 例えば、これは北海道のせたなというところで、町が作った乳製品、乳加工製品の工場があります。当然補助事業が入っております。ここを株式、民間で借りようと思って進めていたところ、待ったが掛かりました。用途変更であるということで、農水の方も駄目だということで、いったん営業許可を株式会社で取ったものを一回取消しをして、農業生産法人で取り直して、それで農水省に半年ぐらい実は通って、町は赤字になっているので何とか変わってくれということだったんですが、それさえもなかなか思うようにならぬというのが実態の民間の参入です。
 実は私、その町は、十五年前から町づくりにかかわって、町、町長も含めて、町の方とどうやってこの町を再生しようかということで、そんな活動をしていく中で、私は有機農業が非常に好きなものですから、じゃ有機農業で町づくりしようよということでスタートしたんですが、なかなかやはり道庁、それから農水と上に上がっていくに従って話が通らない、書類が机の上に置いたままになる、数か月そのままになってしまうということで、非常に嫌な、我々の経営にとってもマイナスがありました。
 民間、いわゆる株式会社というのは決して、農業法人であっても株式会社あるわけですが、ここで言う株式会社というのは、あくまでも商法の民間の会社のことを言っていると思いますが、やはりもし民間参入が、あるいは株式がまずいのであれば、やっぱり僕は地方行政も徹底してリースなり、いわゆる農業生産法人でない形を進めればいいんです。ここが全く違う動きであると。それは手続上非常に厄介だからですね。
 農業生産法人の今回出資要件、それから構成要件等々ありますが、これも随分いろんな補助やら相談で農水に行ったときにお話をしたんですが、実際の今の現在の農業法人の方々は、ほとんどがお父さんが社長、お母さんが専務、息子が取締役部長と。いわゆる法人の形を成しているけれども、実際の法人の運営はしていないですね。ましてや月次の決算もしていない。
 今日は北海道の議員の方もおいでのようですが、北海道のある規模の農家さんには、私、今経営指導をしております。やはり経営指導を、経営ができない農家さんのちょっと経営を見てあげるだけでそれは改善ができるわけです。今までそれはだれがやらなきゃいけなかったのだろうかと、そしてなぜそれが今まで農業界にできていなかったんだろうと。
 今、私どもはメーンの農場は、千葉三か所、群馬一か所、京都一か所、北海道で関連会社を入れると三か所をやっております。来年四月には大分の臼杵市に新しい農場を今準備をしております。これは県が、あるいは市が三年にわたって何とか出てほしいということの依頼で行くんで、我々が企業参入と言えるものではないです。
 この出資要件についても、今回一〇%が二五%に変わると新聞ではにぎわしていますけれども、それで何が変わるんだろうなと。最近の例でいうと、セブンファームさんもある、あるいは、らでぃっしゅさんもある。いろんなところが出資、農業生産法人をつくっているとは言いますが、たかだか三十万や五十万のところの出資に一〇%や二〇%の出資して、それ何の役に立つんですかということです。全く実態とそれから法律上の話とでは違いますよと。十万、二十万で農業機械何が買えますかと。そんな出資金で何ができるんですか。我々は、私は十五年ほどやって、実際に今資本金は一億二千万、株式会社を持っておりますが、農業生産法人は三百万ですが、実態としてはほとんど株式会社から資金的なものは出しております。
 そんな中で、本当に民間参入がそんな簡単にいくものだろうかと。よく新聞社の方たちが、武内さんは農業法人の改正あるいは緩和どう思いますかとか、いろいろお話を聞かれます。あるいは、農地を買った方がいいですか、買えるようになった方がいいですかなんて聞きますけれども、何で買わなきゃいけないんですかと、民間企業が。ただ、農振地区だとかでハウスを建てたいとか農業の施設建てたくても、これは全部転用を掛けなきゃえらい厄介ですと。この辺のことを考えると、買えた方がいいかもしれないけれども、別にその分だけ何らかの手があれば要らないんじゃないですかということも過去に何度も言っています。
 それと、もう一つは担保にならないということですね、農地は。これは非常に大きいと思います。なぜ民間会社あるいは民間の金融機関がそれを担保にできないんだろうと。だから、どうしても農家さんは農協さんへ依存してしまって、依存度が高過ぎて、結果としてまともな経営をしていない。要するに、オープンに全くなっていない。
 先ほど、年一回の農業委員会の報告義務、それから認定農業者の申請等も私どもやっております。正直申しまして、認定農業者に全部私どもなっていますが、書類を書ければ、ある程度若ければだれでもなれる制度だなと思っています。本来は、そうではなくて三年とか五年のPL、BSの事業計画を出してやるべきであって、あれは作文。特区のときもそうでした。ですから、千葉県にも私、物を申しました、県が勝手に書かないでくれと。何で県の新規就農を我々が育成しなきゃいけないんですかと。何で我々が自分たちで施設を用意して、そこで人を育成して農業界に輩出しなきゃいけないんですかと。
 我々は社員を育成します。そして、将来そのメンバーが全国に散って優秀な農業者になったり農業のマネージャーとして行くことが大事だと思っています。今農業界にいないのはマネージャーですね。ですから、最近若い会社の方々、三十代、四十代の経営をやっている異業種から参入している、あるいは元々農業の二代、二世の方たちで経営センスの持っている方、全国に多分何十人とはいないと思いますけれども、五本指に入るような方はいますが、その方は非常にマネジメントセンスを持っています。そのことを教育するのはだれだったんだろうと。それは、恐らく民間企業であればマネジメント、マネジメントって、もう明けても暮れてもマネジメントであり経営であり、ここが農業界になかったからこういう問題が起きてしまったんじゃなかろうかと。なぜそのことを議論せず、ですから分かりにくい言葉ばかり出てしまうんだと僕は思います。
 ですから、私はもちろん今回、農地法の改正を何度も読みましたけれども、相変わらず分からないなと。集落営農のときもそうでしたけれども、この目的は一体何なんだろうと。じゃ、農地法ってだれのためのものなんだろうと。ひょっとしたら、農家さんだけのものとしか考えていないんじゃなかろうかと。そうではないんでしょうと。これは国民の食生活を守るために農地をこう利用していきましょうという法律の原理原則があるんじゃなかろうかと。その原理原則を忘れて、どうも小手先の方法論ばっかりにしか我々には見えません。民間企業では理念というのを非常に大事にします。この理念は一体何なんだろうと。
 農地法の矛盾はたくさんあると思います。省をまたがった法律もありますし、先ほども出ていましたけれども、例えば相続の問題。もう千葉では、土地ばらばら、もう小さな土地だらけですね。これ、何でだか。どんな不整だって、相続で農家じゃない子たちにどんどん農地が行っているわけですから、これを何ともせずにして農地法改正したって何も変わらないと思います。なぜ、そういうところに手を打たれないんだろうなと。これは我々、実感として借りるときに厄介です、非常に。
 我々の畑は、今規模でいうと全国で約五百ヘクタールぐらい管理をしていますが、一か所一か所は小さいです。十ヘクタールぐらいの規模です。十ヘクタールの畑で、畑が三十契約もあります。そんな状態になっています。でも、我々は農協さんに余り好意的じゃないものですから、中山間地のいろいろな制度だとかに乗れません。ほとんど、補助は全くもらっていません。
 補助をもらうのは、新規進出で、例えば京都府、今回大分県から依頼があったときには県と市が組んでいろんなことをやっていただきました。それ以外は、最近、何か分かりませんが、認定事業者向けに何かお金が二十万だとか三十万、訳の分からないのが来ます。非常に有り難いです。有り難いですけれども、これは随分お金が余っているんだなと。私のポケットに入るわけじゃないんで、私どもの会社で二十万、三十万もらったって、どうしようかと、雑収だねと言うだけで、一体これが農家さんにとって、うれしいけれども、お金くれるの、小遣いくれるのはうれしいけれども、やる気を起こす制度なんだろうかなと。最近、補助の制度を見ているとそう思います。
 なぜ、水田だけ二百億もの緊急のリースの補助が出るのか。我々は、買いたくても買えなくて、中古のトラクターとトラック、全部中古です。以前、山田議員がまだ議員になる前においでになりましたけれども、新品買えないんです、新規で補助をもらえれば買えるかもしれませんが。そうやって私どもやってきて、ですからずうっと実は赤字でした。
 一番の赤字は国営農地開発事業。県のパイロット事業でやったところに行政から依頼があって行ったところです。二年、三年ぐらいで一億円赤字が出ています。もうどうにもなりません、土木事業をやってくれたおかげで。でも、地元の行政は何とか植えたい、だれもやる人がいない、ほうっておけば山になる。もう山にすればいいと思うんですね、ああいうところは。別に農地に変えたからって、農地である必要はないんであって、法律を変えてもう一回山にすればいいんですよ。そんなところにお金を使って、こんな山の引っ込み引っ込みを平らにして、水の流れもぐじゃぐじゃにして、全く農業の分からない人たちが造成をしてしまっていると。そういうところに民間の私どもが入ってえらい目に遭っていますし、以前、特区で入った方々も随分これで駄目になっていっています。
 よく民間はすぐやめると言いますけれども、もっとひどいのは僕は農家さんだと思いますね。土は売ってしまう。お金になるのは何でもやってしまう、全部とは言いませんが。これは別に、民間企業であろうが農家さんであろうが僕は一緒だと思います。そのことを何か、株式会社だ、民間参入というのを悪者扱いするのは、何ともやっぱり不思議で仕方がないと、なぜそんな議論になるんだろうと。
 それは恐らく、農業界に今まで民間参入がなくて、オープンにされていない閉鎖的な社会であったからであろうと思います。だから言葉も分からなくしているんだろうと思います。一般の消費者の人たちが分かるような言葉を使った法律にすべきだなというふうに思います。
 あと、今回農業委員会のいろいろ制度改正もあるようですが、農業委員会も私いろいろお付き合いをさせていただいて、今日も会議所の方おいでになっていますが、すばらしい農業委員会はやっぱり事務局長がすばらしいなと思います。でも、農地情報も全くない。この間、昨年でしたでしょうか、耕作放棄地の調査したときに、本当に調査をしたんだろうかと。知らないですね、農業委員会の人たちは。事務局長さえも知らないです。我々の方が詳しいですね、地元にいますから。そんなヒアリングは一回も来ていません。
 我々は、農地は、黙っていても今農家の方たちが借りてくれと来ます。私どもは買いませんので、うちは買えませんよと、でもワタミさんなら借りてくれますよねといって皆さんおいでになります。そういう農家さんが借りてくれという農地は悪い農地じゃないんです。もう年取ったからできないから、二ヘクタール、これ借りてくれないかと。そういう関係で、私どもは地元で農業活動をやっていますが、こういう僕は農業参入をもっと増やしていって活性化されたらいいんじゃなかろうかなというふうに思っております。
 以上でございます。
#6
○委員長(平野達男君) ありがとうございました。
 次に、松本参考人にお願いいたします。松本参考人。
#7
○参考人(松本広太君) 御紹介いただきました全国農業会議所の専務理事の松本でございます。農林水産委員会の先生方には、日ごろから、農業農村の振興と農業委員会の事業推進に御尽力、御支援を賜り、厚くこの席を借りまして御礼を申し上げます。また、本日は、こうした貴重な発言の機会をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。
 この農地法等改正法案は、農地の総量確保と利用促進の方策、農地を相続した際の農業委員会への届出の義務付けを始め、相続農地対策の拡充など、私ども農業委員会系統組織が積み上げてまいりました政策提案や意見が基本的に反映されているものとなっております。
 また、衆議院において真摯な御審議をいただき、農地法の第一条、第三条及び農業経営基盤強化促進法の第十八条、第二十二条を中心に修正されましたが、農地の権利取得者はその地域に居住する耕作者が基本だということをより明確にするとともに、農業生産法人以外の法人の参入要件を追加するなど、懸念払拭のための措置をより強化したものと受け止めております。
 こうしたことから、私は賛成の立場から意見を申し述べるとともに、本法案の早期の成立をお願いしたいと考えております。
 私からは、六点に絞って意見を申し述べたいと存じます。
 第一点は、農地の確保と転用規制の強化についてであります。食料供給力の強化に向け、農地総量の確保の方針を明確にされましたことは、私ども農業委員会系統組織にとって誠に心強い限りであります。
 法案には、農地の確保に向け、農地転用規制の厳格化と農用地区域内農地の確保措置が明記されております。特に、これまで農地転用の許可が不要とされてきました公共転用について新たに許可の対象とされ、法定協議制度が導入されております。公共転用が許可の対象となることで、適正に誘導され、いたずらに優良な農地を減少させることに歯止めを掛ける効果は大きいものと考えております。この点は、都市計画制度においても、中心市街地の再開発による活性化の方向が明確となってきており、現在、抜本的な見直しに着手しようとしております。農振法、そして農地転用許可基準についても、今後都市計画制度の見直しと併せ、農地確保の観点から検討する必要があると考えております。
 我々農業委員会組織としても、農地を守るという毅然たる姿勢で対応していくことは当然でありますけれども、都道府県の農地行政においても厳格な運用が図られるよう努めることが重要だと、このように考えております。
 第二点目は、農地の権利移動規制の見直しについてであります。私どもの基本的なスタンスは、一つ、地域の担い手の確保育成と、その農地利用に支障を来さないこと。二つ、不耕作や転貸を目的とする農地の権利取得を排除すること。三つ、株式会社一般の農地所有権を認めないことであります。
 改正法案でも、こうした方向を踏まえて、農地の権利移動の規制について、農地のすべてを効率的に利用すること、個人の場合は農作業に常時従事すること、法人の場合は農業生産法人であること、この三点を原則とし、所有権規制についてはこれまでどおり厳しい要件を課すことになっております。
 改正法案では、貸し借りについては要件を緩和し、一般企業などの参入を認めることになりますけれども、第一に、法案では、周辺の地域における農地等の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがある場合、このときは許可をしないとされております。食料・農業・農村基本法の第二十二条で、専ら農業を営む者等による農業経営の展開、そして家族農業経営の活性化がうたわれております。一般企業の参入が、認定農業者や集落営農組織など地域の担い手の取組に支障を及ぼすことのないように、農業委員会等の許可事務が透明性を持って行われるよう、客観的かつ具体的な判断基準が必要不可欠であると、このように考えております。
 第二は、農地の適正利用の担保措置として、適正に利用していない場合には貸借を解除する旨の条件が契約に付されていることに限るとされております。その上で、当事者が契約を解除しない場合は農業委員会等が許可を取り消すとする措置も講じられることとされております。
 これに加えて、衆議院における修正において、地域の農業者との適切な役割分担の下で継続的かつ安定的に農業経営を行うこと、法人の場合は業務執行役員の一人以上が農業に常時従事することの、この二点が追加されました。この要件は現行の特定法人貸付け制度に準じたものでありますが、地域に意欲と能力のある担い手が存在していれば当然そうした経営を優先する、つまり、一般企業の参入はあくまでも担い手の補完的な位置付けであるという法案がそもそも持っております方向性を明確にしたものであり、評価できるものであると、このように考えます。
 許可に当たって、現場で農業委員会が透明性と公平、公正性を持って判断するような客観的かつ実務的な基準について政令、省令等で明確にし、現場で新制度が円滑に運用できるようにすることが極めて重要だと考えます。農業委員会組織においても、権利設定後の監視、規制の役割がますます重要になってくることを踏まえまして、全農業委員会による農地パトロールの実施や改正法案に位置付けられている利用状況調査などによって関係機関、団体とも連携を密にしつつ、許可後の農地の利用状況の把握や監視に全力で取り組み、耕作放棄や産業廃棄物の投棄も含めまして不正な利用の早期発見、是正に努めてまいる所存であります。
 第三点目は、農地の権利取得の下限面積制限の弾力化についてであります。
 改正法案では、地域の実情に応じて農業委員会の判断で引き下げられるようにするというものであります。これは所有権取得も含めたものであります。法案全体の目的である農地の確保と担い手への農地利用集積の促進に支障を及ぼすことがあってはなりませんし、地価水準の高い都市近郊での不耕作目的や転用期待の農地取得につながるなど、地域の農地利用秩序に悪影響を及ぼすことのないような対応が重要だと、このように考えております。
 農業委員会が下限面積引下げの判断を下す場合の透明性、公平性を確保する観点からも政省令において判断基準の明確化、このことが不可欠だと考えますので、よろしくお願いをいたします。
 第四点目は、標準小作料の廃止についてであります。
 標準小作料は、契約小作料の客観的な目安として現場に定着しており、農地の貸し借りの促進にとって重要なものでありました。規模拡大を進める担い手にとって賃借料をすべての農地所有者と個別に調整するには多くの手間暇が掛かります。現場の農業者からも一定の目安となるようなより使いやすい仕組みにしてもらいたいと、こういう声が多く寄せられておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 五点目は、農業経営基盤強化促進法に位置付けられる農地の面的集積の促進、これについてであります。
 現状の分散錯圃、耕作放棄地の解消に向けて改正法案で農地利用集積円滑化事業が創設されます。現場には相対を含めて様々な農地の貸借形態があります。この事業は所有権の移転や他の仕組みを否定するものではなく、より担い手に面的に集積していこうというものですから、様々な支援措置を通じてこの仕組みに乗せていくことが大切だと考えます。そのための支援の在り方や、実施主体や地域の農業者の自主努力を大事にするやり方などなど、現場でしっかり機能させるためには、私ども農業委員会組織との連携を含めました具体的な推進体制の整備を急ぐ必要があると、このように考えます。
 また、農地の貸借については、御案内のところでありますけれども、平成十八年で見ると農地法によるものが四千八百五十ヘクタール、一方で農業経営基盤強化促進法によるものが十四万二千ヘクタールと、断然多くなっております。農地貸借の規制緩和について、農地法改正法案と基盤強化法改正法案の整合性の確保が重要だと考えておりますので、改めてお願いを申し上げます。
 これらのほか、冒頭に申し上げましたとおり、相続農地対策や所有権が確認できない遊休農地の管理耕作の仕組みが新たに盛り込まれましたことは大変大きな前進だと考えております。
 最後に、農業委員会についてであります。
 既に御案内のとおり、今回の改正において農業委員会の役割と機能が新たに加えられ、農業委員会の判断にゆだねられる部分も多くなっており、農業委員会の農地事務は質量共に増大が避けられませんし、農地の監視活動も今まで以上の取組の強化が求められてまいります。
 しかし、農業委員会は、この間の地方分権、市町村合併等に伴いまして、農業委員会数は平成十五年から二十年の五年間で四割を超える減少となりました。農業委員数も同様に、三割以上、二万人以上も減少しております。農業委員一人当たりの守備範囲、いわゆる地域の農地面積でありますけれども、これも全国平均で平成十五年の八十八ヘクタールから二十年には百三十四ヘクタールと大幅に拡大しております。同時に、事務局職員数も平成十五年の一万四百人から平成二十年には七千八百人と、二千六百人、二五%も減少しており、一農業委員会当たりで見ますと職員数は三・三人が四・四人に、しかも専任職員数では一・七人から二・三人と微増にとどまっておりまして、農業委員会当たりの農地面積の拡大に全く追い付かない状況となっております。
 他方で、担い手に対する農地のあっせん、調整、遊休農地の実態把握や解消、違反転用の是正など、農業委員会の業務は質量共に増大しております。最近では、地方分権によりまして農地転用許可事務が都道府県知事から市町村長に移譲され、その上、大半が農業委員会に実態的には事務委任をされておると、こういう事態になっております。
 また、改正法案に伴い、農業委員会には新たに、貸借規制の緩和に伴います地域の担い手育成と効率的かつ総合的な農地利用との整合性確保の判断、許可後の農地の適正利用に向けました事後監視や許可取消しと当該農地の有効利用対策、遊休農地の是正指導権限の強化に伴う指導、勧告、さらには相続農地の有効利用対策など、八項目にわたる新たな業務、役割が求められることとなります。
 こうしたことを踏まえますと、是非お願いしたい第一点は、国、都道府県、市町村の理解と支援によりまして、農業委員会の体制の整備強化であります。具体的には事務局の人員確保、特に農地制度、実務に精通した職員の確保、農業委員の活動を支援する協力員等の設置やこの資質向上、活動予算の増額確保、さらには農業委員会を支援いたします都道府県農業会議の体制の整備強化など、新たな農地制度を現場で円滑に定着、運用していくための措置が不可欠であります。
 第二点は、審査、判断の透明性と公平性の確保であります。様々な農地の許認可事務の判断基準につきまして国として政省令等でできるだけ明確に示していただくとともに、農業委員会間、都道府県行政との密接な連携が必要と考えます。
 もう一つは、農業委員会で整備しております農地基本台帳であります。今回の法案で制度化された農業委員会による年一回の農地利用状況調査を農地基本台帳に的確に反映させた農地情報を整備するとともに、住民基本台帳や固定資産課税台帳との照合が円滑にできますよう一層の整備強化に向けまして御検討いただきたいと、このように考えております。
 最後となりますが、私ども農業委員会系統組織では、今回の改正法案を含めまして、農地行政について、農業者の公的代表の行政委員会として、透明性、公平、公正性を基本に、関係者が一丸となって全力で取り組んでまいる所存であります。
 農地の確保と効率的な利用を実現するためには、農業所得の増大と農業経営の安定に向けた対策が不可欠であります。農業者、とりわけ地域を担う担い手や若者が意欲と誇りを持って農業に取り組める、そんな環境づくりに更に御尽力いただきますようお願いを申し上げまして、私からの意見を終わりとさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
#8
○委員長(平野達男君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○高橋千秋君 民主党の高橋千秋と申します。
 急なお願いにもかかわらず、お忙しい三人の方々、今日はお越しいただきまして本当にありがとうございます。それぞれの方々から率直なお話を聞けたなというふうに思いますが、時間が限られておりますので、それぞれの方々に御質問を簡単にさせていただきたいと思います。
 まず、農林中金の清水参考人にお聞きをしたいと思いますが、農林中金といえばJAの上部組織というか関連組織としてJAともいろいろな深いつながりがあると思うんですが、今回のこの改正を考えるとJAの役割もかなり重くなってくると思いますし、そしてJAにとっては組織的にも問題が出てくる中身ではないかなと私は考えております。
 というのも、このまま行くと、これはもうほうっておいてもそうなるのかも分かりませんが、個人経営の、家族経営の農家の方々が多分減っていく、それに加速が掛かるんではないかなということから考えると、JAの組合員は多分大幅に減るんではないかと。員外をやっていけばいいのかも分かりませんが、組合員の減少につながるんではないかなというふうに考えているんですが、これについてはJAから、個別に聞くと余り賛成ではないというようなお話も聞くんですが、組織的にはこのことに対して余り反対活動もありませんでしたし、それほど真剣には考えていないのかなというところもあるんですが、その辺をどういうふうにお考えになっているのかということと、農協、JAが今回の改正で直接経営に参画できるような部分もあります。その部分で、JAとしても野心的な、JAは多分そういうことも考えていくのかなと思うんですが、経営的に、先ほど武内参考人の方から話があったように、企業経営的な発想がない中で来ている部分が、そういう直接経営に参加して果たして大丈夫なのかという心配があるのと、もう一方で、先日、熊本で言われたんですが、JAが直接そういうことに参画をすることで逆に農家の圧迫にならないか、そういう懸念もあるというふうに聞きました。
 この二点について、まず清水参考人からお聞きしたいと思います。
#10
○参考人(清水徹朗君) どうもありがとうございました。
 確かに、農地と農協は非常に密接なつながりがあると。出発点からそうだと思いますし、その後も、農家というのは農地の所有者でありますし、農協の組合員は農地の所有者の集団であるという言い方もできるかもしれません。そういう意味では、地域農業の変化に応じて、その地域農業をどうしていくかということについて農協の役割が、これまでもかなり一生懸命やってきたとは思うんですが、ますます強まっていくというふうに思います。
 それから、組合員が減少するということですけれども、これは私のレポートの中にも書いておきましたけれども、もう避けられないですね。ですから、私は、今は農家の戸数が二〇〇五年で二百八十四万戸だったと思いますけれども、それからもう四年たっていますので、二百五十万戸ぐらいになっているかと思うんですが、いずれ二百万戸を割るというふうに思っております。ただ、土地持ち非農家という形で農村には農地を持っている世帯はまだ多数いるということは変わりないとは思いますが。したがって、農協制度自体もこれからどうしていくかということは、やっぱりこれ真剣に考えていかなくちゃならないというふうに思います。
 それから、JAの直接経営、直接農業経営についてですけれども、今でもJA出資法人という形でやっております。ただ、農協自らが直接農業経営に参入すること自体についてはやはりリスクがあるというふうに思います。場合によってはだれも耕作しないところを、言い方は悪いけど押し付けられるというか、あるいは、どうしても地域の都合でそこを農協が担っていかざるを得ないというような状況に追い込まれて、そこが赤字を出してしまうということになると農協経営にとってはやっぱりマイナスですので、そこはやはり慎重に考えていかなくちゃならないというふうに思っております。
 以上です。
#11
○高橋千秋君 ありがとうございます。
 次に、ワタミの武内参考人にお聞きをしたいと思います。
 先日、この参議院の農水委員会で浜松の方へ行かせていただきまして、浜松の株式会社知久という総菜の会社が参入しているところを見させていただきました。そこでも話が出たんですが、今は、ワタミさんもそうだという今御報告でしたけれども、それぞれやってほしいと、農家がもうやっていけないのでやってほしいというようなところを借りていくと。特に、耕作放棄地というどちらかというと条件の悪いところが多分やってほしいという話も多いんだろうと思うんですね。
 今回のこの改正である程度条件がいいところも借りられるようになるんではないかという期待もあるというお話だったんですが、そうなると、逆に耕作放棄地、条件の悪い耕作放棄地が増えていくんではないかと。さっきお話で山に戻せばいいじゃないかと、私もそのように思うんですが、そういう懸念があるということについてどのように思われるのかということと。
 もう一つは、冒頭でお話があった、期待をしていないというお話ですね。今回のこの改正で幾つかの改正があって、かなり基本的な改正もあるんではないかなと思うんですが、ワタミさんとすれば、別に今回の改正に関係なしに、今までどおりやっていけばやれるんじゃないかというふうに考えておられるんではないかなというふうに思うんですが、そのことをどういうふうにお考えになるのか。
 それと、私自身は、株式会社が農業をやっていただくのは大変結構なことだというふうに思います。それは、本当に健全に経営をしていただいて、食を確保していただくためには頑張っていただきたいと思います。そこで、そういう頑張っているところには別に行政やそういうところが余り手を貸さなくてもやれるところはたくさんあるはずで、むしろ足を引っ張られているんじゃないかという、そういう意識を持っておられるんではないか。いろいろさっき特区のお話でも、非常に複雑な書類を作って云々というお話がございました。そういうところについてどういうふうにお考えなのか、このことをお聞きしたいと思います。
#12
○参考人(武内智君) ありがとうございます。
 知久さんは私ども存じ上げておりまして、四年ほど前にですか、一度相談に来られております。やっているというのを伺っておりましたので、何か見学に行かれたということで、大分良くなったんだなというふうに思います。
 まず、その条件の良い農地が借りられるかどうかということについては、長年そこで農業活動をやっていれば借りられます。私どもは、群馬の倉渕村、私そこで十五年やっておりますから、地元の方とは非常に懇意にしております。それから、千葉の山武、ここも既にもう出入り始めてから十年以上たっております。ですから、当初からワタミとして借りたわけじゃなくて、おまえがやるんならいいぞという地元の方々の声だったものですから、ここも今非常にいい農地が借りられています。
 ですから、これは別に新規就農の方でも同じだと思うんですね。企業だからじゃなくて、やって実績をつくればだれでもいい農地が借りられるようになります。ただ、それには時間が掛かると。やはり信用問題をきちんとつくらなければ、それは借りられないと思います。
 じゃ、悪い農地どうするんだということについて、僕は、悪い農地はやはり行政の農業公社がやるのかJAさんがやるのか、あるいは別組織、農家の方、地元の農家の方が別組織をつくって、そこで何らかの支援をしてやるのかと。
 なぜかというと、素人でもできる土はいい農地なんですね。悪い農地はプロでも実はできないです。先ほど清水さんお話あったように、赤字になったらどうすると。当然、プロがやって赤字のところは、素人やったらこれは真っ赤っかです。そんなところに民間参入させるんですかということです。普通、工業で誘致される場合には、いろんな施設を準備をして誘致をします。ところが農業は、私ども当初千葉に入ったときに、ワタミファームには駄目な土地を貸せというふうに普及所の方たちが言っていたと、随分それが耳に入ってきた。その方たちは恐らく経営が分からない方だと思うんですね。だから先ほど経営という話をしたんですが。
 じゃ、悪い農地をどうするかと、本当に僕は悪い農地はやめた方がいいと思います。お金が掛かり過ぎます。我々、例えば十ヘクタールあれば五千万ぐらいの売上げでしょうか。売上げがゼロになる可能性もあるわけですね、土が悪くて。そうすると、たった三年、四年で一億ぐらいの赤字は簡単に出ます。これを持ちこたえるには、個人や弱小のところでは持ちこたえられないです。私どもが持ちこたえられたのは、ある程度農場が五つ、六つあって、バックボーンがあったから持ちこたえられた、これは企業だから持ちこたえられた。そうでなければ持ちこたえられないです。夜逃げをするでしょう、農家の方でしたら。そんなことをしていったら、更に農地が荒れるんじゃないでしょうかと。
 だから、農地を荒らさないためには、やはりいい農地を見付けて、それを新規就農の人にも、あるいは新規参入企業にも僕は貸してあげるべきだと思うんですね。このことが地元でのコンセンサスを取る必要が僕はあると思います。これがない限り、幾ら農地法を変えようが、企業参入を一生懸命やったところで、赤字になったらこれはだれも入っていかないです。それでなくても農業というのは、農家の方々は過去にいろんな補助をもらっていろんな機械も買っています。でも、新規の人たちは補助さえも分からない。あるいは、農業の基本的な経営数字ですね、外食でいうならば人件費が何パー、食材費が何パーというのが、それも具体的になっていない部分があります。
 先ほど農地の賃借料の問題もありましたけれども、私どもはやっぱり賃料は安く借りたい、でも、ちょっと間違うと企業は高く借りているぞと簡単に言われます。どこの企業が高いコストで借りたいなんて思いますかと。でも、先ほどの標準小作料がなくなるなどという話を聞いていて、初めて入る方にとっては非常にこれは厳しいだろうなと思います。私どもみたいに経営数字が分かっていると、ここの土地代はこれでしか借りられないというのがありますけれども、ですから、悪い農地はただでも今は実は借りてくれと来ます。実態はそういうところがあちこちあります。裏で、変な話ですけど、補助をもらってでもやってくださいというところが多分多いだろうと思います。だから、悪い農地といい農地というのはだれが判断するのか、これはやはり農業委員会であり、そういう公的なところが判断をして色付けをする必要があるんじゃなかろうかなというふうに思います。
 農地法に期待していないと言ったのは、最初の設立のときは確かに厳しいです。
#13
○委員長(平野達男君) 武内参考人、簡潔にお願いいたします。
#14
○参考人(武内智君) 分かりました。
 厳しいんですが、実態は始まってしまうとそのチェックが非常に弱いと。ですから、あるいは出資要件についても、先ほど言ったと同じように、それで何が本当に変わるんだろうと、私は変わらないと思います。ですから、やっぱり農業法人をつくっていくのが一番農業としては今はやりやすいんで、私どもは農業法人既に持っていますので、これを取るのは大変だなと思いながらも、私どもについてはそう簡単にすぐは変わらないなと思っているだけです。
#15
○高橋千秋君 続きまして、松本参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほど武内参考人の最初のお話の中で、事務局長さんが、いい事務局長もいるけれどもそうでもないところもあると。私もその実感はあります。これは別に農業委員会に限らず、個人の資質もありますし、様々なものがあって、一生懸命やっている農業委員会もあるし、そうでないところも当然あるんだろうと思うんですが。
 先ほど松本参考人のお話の中でも、農業委員会の役割はかなり増えていくと。これはもう如実に現れていると思うんですが、私の地元を見ても、先ほど武内参考人が言われたように、ほとんどお会いすることが余りないというか、私の地元では余り見ないものですから、先ほど判断というお話がありましたが、どうやって見ていくのか、なかなか分かりづらい。今回のこの改正でも、農業会議所の方からの要望として、そういう判断基準をきっちりしてほしいという要望がありましたけれども、今回のこの農地法の改正の中で、先ほど全面的に賛成だというお話でありましたけれども、もしほかに申し添えることが何かあるんであればお聞きをしたいなというふうに思います。
 それともう一つは、先ほど最後の方でお話があったかと思うんですが、やはりこれ広域合併によってかなり数が減っておりまして、これだけ役割が増える、先ほどのパトロールをするということにもやっぱり人は要ってきますし、農業委員そのものはほかの仕事も持っていたり、農業者が多いんでしょうけれども、なかなかそういうことを全力でやれるという状況にはないんではないかと思うんですね。その意味で、国に対する何か要望があればお聞きをしたいと思います。
#16
○参考人(松本広太君) ありがとうございます。
 広範な御指摘でございましたけれども、一つは、まず押さえておかなきゃいけないというふうに思っておりますのは、農地という厳然たる個々人の財産について規制を掛けて権利を制約すると、こういう行為を農地については取っておるという大前提が与件としてありますね。それをどういう組織とどういう手続で対応するかということで農業委員会が責務を与えられておると。それを、農業者の代表である公選で選ばれた農業委員がそれに当たると。そして、それを支える、実務的な事務を事務局が担うと。こういう車の両輪で執行されるという形になっておるわけですね。
 そこで、今、武内参考人も言われましたけれども、委員会によってはいろいろと格差があり過ぎるじゃないか、そういうふうに現場ではなるぞと、どうするんだということであります。先生からの御質問はそうであります。率直に言いますとそういうことでございまして、この制度をきちんと期待にこたえるように執行するためのやっぱり体制なりそのものをこれから本当に考えていかなきゃいかぬし、また考えていただきたいと、このように思います。
 そのときに、くれぐれも申し上げたいのでありますが、農業委員会の体制といいますか、事務局も現実には、先生方御案内のとおりでありますが、農業委員会の会長が任命はしますけれども、実行上の職員は市町村の職員でありますから、市町村長さんがこの人事権をお持ちであると、こういうことになっております。財政も、市町村長さんと議会が編成されて、農業委員会の予算は受動的に受けると、こういうことになっておる。これは極めて受動的な執行機関になっておるわけですね。これは法制上そうなっていますから、どうのこうの言えるわけじゃありません。
 そこで、農業委員会の体制と財政は、今申し上げましたように、市町村長さんと地方議会の対応に依拠するのでありますから、ここの御理解をどう取っていかなきゃいかぬかということであります。私ども、今後法案が成立すれば、もう早速この御理解をもらうような対策も打ってまいりますし、国会の先生方の御支援も賜りたいと思うのであります。
 そういう中で、財政上は、もう一つ、地方分権、それから地方財政の大変な困窮の中で、市町村財政も御案内のとおりであります。そこで、農業委員会の予算も大変逼迫しておるという状況であります。極端なことを言いますと、ここは農地を守ると、せんだっての本会議でも大臣もおっしゃっておられますから、農地を国が守ると、こういう趣旨でありますから、それなら、この際、国の国家財政でこの農地を守る機関の運営費を手当てしていただくと、こういうことについて腐心願いたいと、こういう思いで精いっぱいであります。
 また、例えばそういう中の一つとして、農業委員さんが少なくなった、これに今顔が見えないじゃないかという御指摘がございました。そのとおりであります。大変少なくなっておるわけであります。カバー率が大変薄くなっておると。そこで、例えば知恵出して、現在、全国で百委員会ぐらいあるというふうに把握しておるのでありますが、農業委員あるいは農業委員会を支援する、サポーターする現場に密着した協力員さん、こういう方々を配置するという自治体も御理解の下に生まれてきておるわけでありまして、こういう層をやはり広げていくと、こういう対応も重要じゃないかと、このような問題意識を持っております。
#17
○高橋千秋君 もう時間がなくなってきたんですが、もう一度、武内参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほど、経営指導はだれがすべきだというお話がありました。まさに日本の農業のこれまでの経緯を見ると、いわゆる経営という部分はやっぱりおざなりになってきたのは事実だろうと思うんですね。私たちは、家族経営はやっぱり中心でないとそれぞれの地方を守るという観点からいうとなかなか難しいだろうと、その意味で家族経営というのはやっぱりあるべきだろうと思うんですが、やはりその家族経営の中では経営指導というのはなかなか難しい。
 さっき、企業として当然経営ということを考えてずっとこられているわけですから、企業の方から見ると当たり前なんだけれども、家族経営の方々から見ると、当然労働費なんかほとんど考えていない中でずっと農業をやっているわけで、今後やはりその経営指導という観点でいうと、どのようにやっていけばいいのか、そしてだれがやるべきだというふうに考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#18
○参考人(武内智君) やはり経営は、もちろん農業会議所さん、あるいはJAさんだろうと思います。あるいは、私どものような企業であれば、私どもと関係をする農家さんには我々もやっていきたいと思っております。網の目のようにやっていかないと、そんな僕は難しいことではなくて、予算を作ってみるとか、月々の収支をきちっと毎月出すだとかいうことさえやっておけば、農協さんに全部依存しなくても、あるいは依存するのでも一年、二年先が見えるんですが、それが実は今現在見えていないんです。そういう、もう本当に簡単なことでいいと思うんです。それは足し算、引き算ができればだれでもできることですから、それこそ認定農業者の方からでもいいと思いますが、そういうフォーマットをきちっと用意をして、提出用ではなくて、今はどうしても農家さんに聞くと全部が提出用になっちゃっています。自分のためのものを作るような制度をつくっていただきたいなというふうに思います。
#19
○高橋千秋君 ありがとうございます。終わります。
#20
○牧野たかお君 自民党の牧野たかおでございます。今日は三人の参考人の皆様、御苦労さまでございます。
 まず、清水参考人から順番に伺っていきたいと思いますが、時間が限られておりますので、端的に質問をさせていただきます。
 この農地法の改正の中で、これまでの審議の中でも一つの議論の分かれるところが、その借地の最長年数が五十年というのが長過ぎるんじゃないかという意見が多いわけでございますけれども、清水参考人からして最長五十年というのが先ほども長いと、そういう御指摘もありましたけれども、それでは何年ぐらいが適切であるというふうに考えるのかと、そしてまたその根拠はどこにあるのかというのをちょっと伺いたいと思います。
#21
○参考人(清水徹朗君) 私は民法の専門家じゃないので明確なことは言えないんですが。法律、民法上は二十年、それで借地権は三十年ということになっておりますし、永小作権というのが民法ではありまして、それは五十年、あるいは定期借地権であれば五十年あるいは五十年以上ということもあるかと思います。ですから、定期借地権であれば、いや、農業も定期借地権と同じだよということであれば、事業用に使うわけですから定期借地権ということが言えるかもしれませんけれども、しかし定期借地権というのはその上に建物が建つわけですから、建物が建つということであれば三十年も四十年も必要になるということはあるかもしれませんけれども、農業の場合はせいぜいその上に何かあるとしても果樹ぐらいですから、あるいはお茶とかいろいろあるかもしれませんが。ですから、なぜ五十年にする必要があるのかと、あるいはそういうニーズがあるのかというふうに素朴に思うんですけれども。
 ですから、何年、いや、今までどおりでいいじゃないかという、そういうことです。民法の規定でいいじゃないかという。
#22
○牧野たかお君 ありがとうございます。
 それと、この農地法の改正の大きな目的は、とにかく耕作放棄地を減らすことでありますけれども、しっかりとした面積は把握をできてはおりませんけれども、四十万ヘクタールとか五十万ヘクタールとか言われておりますけれども、こういった耕作放棄地がこの農地法改正で減少されると思いますか。
#23
○参考人(清水徹朗君) 難しいと思います。農地法だけでは難しい。耕作放棄の要因は、一つは米の生産調整で、水田面積が二百五十万ヘクタールぐらいある中で百七十万ヘクタールぐらいしか米を作っていないわけですから、元々生産調整している。麦、大豆にしても、なかなか収益性が上がるわけじゃないし、その適地ではない。じゃ、生産調整やめればいいじゃないかという議論もあるかもしれませんが、それはちょっとまた別の議論で、今日の本題ではないんです。
 したがって、農地法改正だけでこの耕作放棄が減るということはないというふうに思います。何らかの役には立つかもしれません。
#24
○牧野たかお君 ありがとうございます。
 もう一つは、この農地法改正は企業の参入が今までよりもしやすくすると。耕作放棄地の担い手として企業に期待をするところもあって、この改正が今度図られると思いますけれども、今回の改正でどのような企業の参入がどの程度進むかということでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
#25
○委員長(平野達男君) 清水参考人に対する質疑ですか。清水参考人。
#26
○参考人(清水徹朗君) じゃ、お答えします。
 今までも特区から始めて全国展開やってきたわけですから、そこに徐々に広がってきたということですので、これからもそういう意味で徐々に、あるいは農商工連携ということでもやっておりますので広がってくると思いますけれども、しかし、それほど多くの、日本の農業をかなりのシェアで占めるような割合にはならないというふうに思っております。それほど農業はもうかる仕事ではない。企業として収益を上げなければ参入する意味がないんじゃないかというふうに思うんですが。
#27
○牧野たかお君 最後に清水参考人に伺いますけれども、先ほども出ておりましたけれども、農地の流動化をするのに行政だけではなかなか進まないということで、これまでJAさんにもいろいろお願いをしてきてやってきたわけですけれども、余り結果的に言うと流動化は進んでいないと思いますけれども、これからJAさんとしてその農地の流動化の中でどういう役割を、具体的にどうしていけば進んでいくとお考えですか。
#28
○参考人(清水徹朗君) 今までなぜ進まなかったということについてはお配りしたペーパーの中に、私のレポートの中に書いております。まあそれなりの理由があった。高齢者、昭和一けた世代がなかなか農業以外の職業にすぐに変えることができなかったということもありますし、機械化で楽になったんで兼業でできるようになったと。ところが、今はもう農業機械、更新がなかなかできないという状況でありますので、今、年間、コンバインも田植機も出荷台数が非常に減っておりますので、これから構造改革が進むことはもう確実であります。
 ですから、そういう状況に合わせて、集落営農もそうですし、認定農業者もそうですけれども、徐々に規模拡大はやっぱり進んでいくだろうというふうに思っております。その中で農協の果たす役割もあるんだろうということです。
#29
○牧野たかお君 ありがとうございました。
 それでは、武内参考人に今度は質問させていただきます。
 同じ質問でございますけれども、企業側から見てその最長五十年という借地の年数というのはどのようにお考えになっております。また、そんなに要らないと、長くなくてもいいとおっしゃるなら、何年ぐらいだったら企業というのは受け入れやすいでしょうか。
#30
○参考人(武内智君) 五十年は要らないと思います。私どもはJASの有機をやっていますので、最低でも三年以上。ですから、五年程度あれば、あとは地主さんとの信頼関係をつくっていけばこれ更新できますので、五年だろうが十年だろうが二十年だろうが、年数は何年でも構わないと思っております。
#31
○牧野たかお君 分かりました。
 それと、御自身のちょっと書かれたというか、インタビューの記事等を先に読ませていただきましたけれども、成功の秘訣は規模にあるというふうにお答えになっていらっしゃいますけれども、その規模というのは面積のことだけを言っているのか、それとか資本のことを言っているのか、多分トータルでおっしゃっているんじゃないかと思いますけれども、こういう農業に参入して企業として成功を収めるには最低どの程度の規模が必要なんでしょうか。
#32
○参考人(武内智君) 関東と北海道ではもちろん違いますが、関東であれば十ヘクタール程度。これはなぜかといいますと、輪作を行いますので、緑肥の植えている分が二割三割程度出てきますので、そう考えると最低十ヘクタールは必要だろうというふうに思っております。北海道ですとその三倍、ですから二十から三十ヘクタール程度ないと企業経営は成り立たないなというふうに思っております。
 規模の拡大、規模の大きさについては、もちろん面積だけではなくて、施設栽培等もありますので、一概に面積は言えません。あくまでもその売上規模で、私ども民間がやっていくにはやっぱり最低でも五千万程度、社員が二人から三人配置をしないと経営がなかなか成り立たないなというふうに思っております。
#33
○牧野たかお君 それで、武内さんからすれば企業参入というのをもっとしやすく法律を改正した方がいいというふうに多分お考えでしょうけれども、いろんな考え方があるわけでございまして、もちろん私も企業が参加、参入するのはいいと思っておりますが、過去の事例とか、要は大手の資本が入って、農地を借りるなりしてそういう事業を始めて、うまくいかないとすぐ撤退をされるという例が今まで幾つもあったみたいで、そうなると、今度、一回耕作した放棄地がまた今度は放棄地になってしまうというおそれもあると。だから企業参入に割と消極的なお考えもあると思うんですが、私は、企業を選別するといいますか、要は本当に農業をやって、先ほどからおっしゃっておりますけれども、そこの地域に溶け込んで、ほかの農業者と一緒になってそういう事業に取り組むという企業もあると思うし、そうではなくて、短期間に稼げるときは稼いで、もし赤字になったらすぐ撤退すればいいというお考えのところもあると思うんですが、そういう選別というのは私はあってもいいかなと思っておりますけれども、参入に対する、まあ規制ではありませんが、要はそこの選別というのについてどうお考えになりますか。
#34
○参考人(武内智君) 先ほども申し上げましたように、なぜ企業が農業参入をするんだということを明確にしていなければ多分今の問題は起きると思います。
 今の現状での、現在のいわゆるいろんな制度上でやるならば、民間企業が入ってもそれほど大きな収益は上がらないと思います。ですから、それはやむにやまれぬ事情があり、周りの農家さんを見ていたり、あるいはセブンさんのように環境問題から入っていったりと、いろいろケースがありますが、農業は今それほど大きなビジネスになるとは思いません。
 ただ、これが五年、十年たって今の農家の方たちが激減したときに、当然そのときに、ある程度ノウハウを付けていくことが今大事だと思っておりまして、ここ一、二年ではそんな大きな動きにはならないなというふうに思っております。
#35
○牧野たかお君 先ほど高橋委員も質問の中で触れられましたけれども、私もこの間、知久さんのところへ行ったんですが、私は出身が静岡なものですから元々知久さん存じ上げておりましたけれども、あそこも総菜の会社というかお店を展開していて、そこの材料として、食材として自分のところから納入しているという形を取って、武内さんのところ、ワタミさんもそうなんですが、どうも成功しているところを見るとみんなそういう、要は生産したものを使える場所を持っている、直接的に一つのグループで消費できるというところがあると思うんですけれども、そうでもないと、割と現実的にはやっぱりこういう農業参入というのは難しいとお考えですか。
#36
○参考人(武内智君) 私どももスタートは確かにそうでした。ただし、今は四割は外部への販売をしております。ですから、営業がきちっとできる人間を農業法人に就いていれば、それは本来は系統であれば農協さんがやるべきことだと思うんですが、あるいは市場がやることだったんですが、それを市場もあるいは農協さんも今ちょっと放棄をしているような状態に私は見えます。私どもも、私は実は野菜の仕入れもしておりますが、農協さんが営業が来られるということはほとんどありません。ですから、営業さえすれば実は物は売れるんです。ですから売れるものを作っていけば、農業生産法人をつくってもそれは成り立ちます。
#37
○牧野たかお君 ありがとうございました。
 これも先ほど清水さんにもお聞きしたんですが、今回の改正で企業の農業への参入というのが増えていくとお考えでしょうか。それとまた、増えていくとしたらどういう、外食産業にかかわった企業だったり、そういうところが増えていくのか、それとは全く関係ない、今まで農業と全然関係ない企業が農業参入に入っていく、農業の分野に入っていくのか、どのようにお考えになりますか。
#38
○委員長(平野達男君) 武内参考人に対する御質問ですか。武内参考人。
#39
○参考人(武内智君) 一気には増えないと思います。というのは、先ほど申しましたように、農業の構造が分かっている企業は非常に少ないです。今まで、過去には農地法もそれほどうるさくありませんでしたが、ここ非常にうるさくなっていますので、安直に農地法違反しながらちょっとやるというふうにできないわけですね。
 本来は、ちょっとその農業をまず試してみて、自分でノウハウをある程度つくって、経営数字が分かってから本格参入というのが一番いいんですが、そこが今できないんで一気に増えるとは思いません。ですから、名前だけバルーンを上げますが、そんな面積にはならないと思います。
#40
○牧野たかお君 ありがとうございました。
 それでは、松本参考人に伺いますが、農業委員会の、それをまとめていらっしゃるところでございますけれども、松本さんのところは。農業委員会の在り方というか、いろんなことについてはこれまでもこの委員会でいろいろ御指摘や御意見が出ておりますが、私も静岡なんですけれども、農業委員会の機能というのはだんだんやっぱり低下しているかなという気が個人的にいたしております。
 先ほど来から松本参考人の方は、国の方から法整備等で農業委員会の機能を強化したり、またいろんな制度をとにかくつくって国から下ろしてくれないとなかなか動きにくいというようなお話が出たと思うんですが、かなり地域によって農業委員会の中身も違いますし、また農家とか農地の現状も違うと思うんですよね。
 一つの例挙げると、かたくなに駄目という、農業委員会も転用なんか駄目というところがあるんですが、例えば、横が団地で、住宅団地があって、その中に挟まれているようなところでも駄目というときはもう何があっても駄目という原則論をずっと主張される農業委員会もあれば、そうかと思えば、逆にかなり緩くて、そんなの簡単に許していいのかなというところも、許しちゃうところの地域の農業委員会もあるし、そういうふうにかなり場所場所によって違うと思うんですけれども。
 だから、これは上から、国から又は県から各市町村農業委員会にこうしなさいああしなさいと言っても、一番大事なのはそういうことじゃなくて、やっぱり農業委員会の、本当に失礼ですけれども、農業委員の質の問題じゃないかと思うんですけれども、そこを、今回、農地法の改正があって、より農業委員会にその責任というか役割が、また負担が大きくなっていくんですけれども、そこの農業委員会の委員さんの選び方だったり質の問題をどうしたらいいかというのは、どういうふうにお考えになりますか。
#41
○参考人(松本広太君) 農業委員の質、もう本当にこれは委員会組織生まれてから以来の多分何十年にわたるいつものテーマということだと思うんですね。これは未来もずっとなくなることはないというぐらいの重いものだと思うのでありますが。
 今の先生の御質問で、これは農業委員さんの主体的な責任だけかというと、例えばですよ、今、全国の三万七千余の農業委員さんおられますけれども、いろいろ今地方行政の中で月一回の総会がありますが、それ以外に自治体農政推進のいろんなお手伝いをしておると。なのに、多分平均で、月、農業委員さんの手当は一万五、六千円ですよ。私どもがこういう審議会に出る一日の日当ですよ。これが月、月です。金でどうということじゃないんですけれども。
 そういう中で、やっぱりこの質は私どもは組織としてきちんと上げてもらわにゃいかぬと思いますけれども、これはやっぱり両方相まった形でないと成果は上げれないと思うんですね。幾ら農業委員さんきちんとやってもらわないと困ると言ったって、そういうことを要求するような客観的な状況にあるかどうか、そういうものをつくりながらやらないと、それはやっぱり号令だけじゃいかないということなんで、その辺りが一番腐心をするというふうに思っています。
 しかしながら、行政執行される御担当でありますから、ここはまあ要するに、まさに国民が期待されるような厳正なる、公正なるお仕事を、事務をしていただかにゃいかぬということだろうと。それをどういうふうに、やっぱり研修等含めまして本物にしていくかという問題意識であります。これは営々と続くんだろうと、そういう気持ちが率直なところであります。
#42
○牧野たかお君 最後に具体的な話をしますけれども、やっぱりどこへ行っても、今度の農地法を改正した場合に、借地のときに標準小作料がなくなるものだから、それは大変だと。そうすると、実勢というのがなかなか、一件の例が実勢になっちゃうかもしれないし、またなかなか決まらないと思うんですけれども、その標準小作料に代わる、まあ標準といえば標準、そういう目安というのはどこが決めればいいと思いますか。
#43
○参考人(松本広太君) これ、実は正直なところ、問題提起は本当にさせてもらっているんです。
 現場からは、私どもがお世話をしている平均三十ヘクタールの経営をなさっておられる稲作経営者会議という組織があるんですが、そこのメンバーの方々も七割を超える方が、要するに地域で農地の経営を拡大すると、そういうときの借料をどのように決めていくかというときに、標準小作料制度はその形としては大変参考になったので、こういう世界がなくなることは大変困るという声だったんですね。
 しかし、今般、諸所の観点からこの制度そのものは一応退去するといいますか、なくなると。そのときに、法案ではしかるべき農地の借料の情報を提供すると、農業委員会が、ということは盛り込まれておりますけれども、具体的にどういうものを提供するのかと。単純に地域の過去のデータを集めて平均して出せばいいのか。それも地域によっては大変違いますわね。毎年何千件の案件があるところから、数百件しか案件がないと、そういうようなところもあるわけでありますから、大変これもなかなか難しい問題がある。
 ただ、現場が言っていますのは、引き続き、要するにいろんな契約約款を結ぶときに参考になる、要するに公正な参考になるそういう目安、そういうものが地域の中に置いてもらわないと、個別個別で結果的に収れんされるというのは極めて手間暇掛かる、あるいはなかなか難しいと、農地の問題ですから、という声なんですよ。
 ですから、この今回の法改正が成立した暁には、まず早急に、私から言いますと、標準小作料ではないけれども参考小作料的な、あるいは参考借料といいますか、そういうものをどう形にする手だてを詰め切るか、詰めれるかと、そういうところが最大の宿題だという問題意識を持っています。これは逃げれないんだろうと思います。
 行政当局といいますか、農林水産省も是非その辺りの現場の声を受け止めた妙案をきちんと作り出してもらいたいと、このように要請したいと思います。
#44
○牧野たかお君 ありがとうございました。
#45
○風間昶君 公明党の風間です。
 清水参考人に、先ほどのお話の中で、株式会社に対する無制限な規制緩和というのはやるべきでないというトーンのお話だったと思いますが、じゃ具体的な規制はどうしていくべき、あるいはいった方がいいというふうにお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。
 それからもう一つは、環境の観点から、耕作放棄地を、例えば農振法、農業振興地域整備法とか、あるいは自然公園法とか、あるいは環境基本法の観点から自然公園にするといったような考え方も生まれようというふうなお話、自然公園という言葉はなかったですけれども、そういうことも考えられると思うんですが、もうちょっと具体的に御意見をいただければ有り難いというふうに思います。
 そして、済みません、武内参考人には、じゃ、株式会社が参入をしていくことと極値にあるわけでありますので、株式会社が参入していけるような農地法を変えないと日本の農業はおかしくなるんでないかというふうな、私はそういう印象を受けたわけですけれども、トーンだったんで、そのことについて、ある意味では清水参考人と武内参考人はちょっとこうなりますので、そこのところをお話し願いたいというふうに思います。
 それから、ビジネスの分かる者が農業をやる方が、農業をやる人がもうかるビジネスをやるよりも近道ではないかと、ビジネスの分かる者が農業をやる方がというふうな御意見だったと思いますが、そこは経営力というかマネジメント力なんだと思うんですけれども、どっちにしても、耕作放棄地に手出さないで、いいところしか手出していないような私は気がして受け止めたんですけれども。
 むしろ年商四十億も三十五億も上げているところが大変なところをきちっとやってもらった方がいいんじゃないかって私は思うんですけれども、農協ができないんだったら私がやろうじゃないかというぐらいの気持ちがないのかどうかを伺いたいと思います。
#46
○委員長(平野達男君) それでは、まず清水参考人。
#47
○参考人(清水徹朗君) お答えします。
 株式会社については、株式会社全般を性悪説で見ているわけでもないし、実は私の属している農林中金総合研究所も株式会社です。これは農林中央金庫が一〇〇%株主ですけれども。ですから、今の株式譲渡制限なり、それはちゃんと機能すればそれなりの規制になるし、今までの農業生産法人のルールも、例えば議決権の十分の一、一社がですね、それから原則四分の一、改正案も原則四分の一で、農商工連携等の条件を整えれば二分の一まで可能だということですが。ただ、やはり株というのは移転することが原則ですので、移転自由なんですね。ですから、その株式がだれに移転するか分からない、あるいは親会社が例えば外資企業に買収される、投資ファンドが入ってくるということはあり得るわけですね。
 ですから、そういう事態になったときに、例えば地元の農業委員会なり市町村が何か問題が起きたからといって対処しようと思うと、地元であれば話合いで済んだり、何らかの形で片が付くかもしれないけれども、東京まで交渉に行かなくちゃならない、あるいはアメリカまで交渉に行かなくちゃならないというような事態が起きたらどうするのかということですね。つまりそういうリスクがあるということです、株式会社には。
 ですから、今まではそれなりに農業生産法人の規制を、この枠を設けてきたわけですが、これ以上更に二分の一以上とかいうことになると、もうこれは本当に大変なことだと、今の二分の一まで広げたとしてもかなりいろんなリスクがあるなというふうに思っております。
 特に特定法人、今は特別法人ですが、一般企業の参入も定期借地権の五十年ということになると、先ほど説明したとおり、五十年後には契約した本人はもういない、この世にいないという可能性があるということですので、非常にやっぱりこれは問題が今後発生する可能性があるということです。
 それから、環境との観点ですけれども、これは農地制度をずっと考えていくときに、どうしても農林水産省は農業生産の立場でしか農地を見ていないと。しかし、環境省は、里地里山という、里地という概念を使って、環境基本計画の中に入っているわけですけれども、農地も生物多様性にとっては非常に重要な空間でありますし、どうも農水省は多面的機能ということばかり言い過ぎますけれども、あるいは土地改良法なり河川法には環境等の調和なり配慮がもう盛り込まれておりますので、ところが農地法には盛り込まれていない。今回の農地法にも盛り込まれていないということですので、そこは、それはドイツのランドシャフトプランというのが私の頭にありますけれども、土地利用計画全体を環境の視点から再構築すると、そのときは農地も含めるということが必要ではないかということであります。
#48
○委員長(平野達男君) 武内参考人、どうでしょうか。
#49
○参考人(武内智君) 一つには、株式の参入をしないと農村には将来がないのではなかろうかという御質問ですが、私は別に株式会社が入る必要はないと思っています。農業生産法人をきちっとつくればいいと思っております。ですから、農業生産法人の資格要件をきちっとして、逆に言うと今の資格要件が過去の農業法人あるいは小さな農業法人には多分要件チェックされていないと思いますが、果たしてそれがされているのかどうかと。私どもは、そうはいいながら、時々このチェックが、例えば一か所の農業委員会ではなくて、から話が来ます。ですから、これは抵触しないようにきちっと農業法人をつくっております。
 ですから、株式会社の参入というよりも、僕が言ったのはビジネスができる人を育てて、そういう人たちが農業ができるような法人をつくっていった方がいいですよと、あるいはできないところにはそういう育成が必要ですよというふうに思っております。
 ですから、二つ目と同じことになると思いますが、最後に良い農地、悪い農地の話ですが、私どもが持っている農地はかなり悪い農地が多いです。いい農地は私の親友から借りたところだけです。あとは全部悪いです。こんな農地は本当は借りたくなかったというところです。
 例を挙げますと、千葉県の白浜、県のパイロット事業でやったところです。それから、京丹後農場、国営で農地開発事業をやったところです。ひどい目に遭っております。両方で、合わせて四年間で約二億の赤字をここで計上しています。やっと昨年黒字になりましたが、ここがずっと足を引っ張っておりました。
 ですから、悪い農地は、逆に積極的に今まで借りましたけれども、もう勘弁してほしいと。これは国が作った農地ですから、国の責任でやっていただきたいと。ですから、悪い農地には、何らかの支援をしないで一般の人を入れると、それこそ耕作放棄地がどんどん増えていくという状態になりますし、現時点で国営農地開発のかなりの部分は耕作放棄地のままです。ですから、私どもに来るのは耕作放棄地、イコール国営農地開発の依頼が多いということです。
#50
○風間昶君 分かりました。
 松本参考人にお伺いします。
 その農業委員会の大変なところは本当に大変なようでありまして、まずは、先ほど武内参考人もおっしゃったように、農業の経営も含めて農業に疎い方もいらっしゃるところもあるというようなあれですけれども、そもそも、一か所四人未満のところでやっていくのはこれから更に大変になってくるんだろうなというふうに思います、農業委員会の許可権限がある意味では強化されていくことになるとですね。そうすると、より良い委員の人員体制というのはどのぐらいなのかなという、全国、オールジャパンではなかなか難しいかもしれませんけれども、でも一応オールジャパンで考えるとどのぐらいなのかなということと。
 もう一つは、結局、先ほど武内参考人もおっしゃっていましたけれども、仕事のできる事務局長次第だとおっしゃっていましたけれども、事務局の職員体制も、これまた大体は市町村の役所から一年半ぐらいローテーションで来ている人ばっかりでしょうからなかなか大変だと思いますけれども、じゃ一年半じゃなくてどのぐらいの年数いていただけるとやりやすくなるのかということが一つと。
 それから、農業委員会に対する補助金が出ていますけれども、この補助金の現状からいくと、一人農業委員当たりどのぐらいあれば、仕事の内容によって違ってくるんでしょうけれども、ざくっとした話で申し訳ないですけれども、教えてくれれば有り難いということをお伺いしたいと思います。
#51
○参考人(松本広太君) 三つ御質問がございまして、いろいろこの農業委員会の抱えている組織、事務局体制の中で、まず農業委員に与えられたこの新しい制度を運営していくのにどのぐらいの農業委員が必要なんだと。
 なかなか想像は付きませんけれども、付きませんけれども、逆読みをいたしますと、先ほど御説明をいたしましたけれども、かつては五万から六万農業委員さんがおられた、農地はそんなに減っていないと。外的要因で、合併によって今三万八千人になっているということであります。これはもう制度的にそういうことですから、これは逆戻りはできないということでありますから、これをどういうふうな事前の手だてで補強できるのかということを何とか考えなきゃいかぬのじゃないかということが一つ。
 それから、事務局の問題も、四・四人、専任が二・三というような先ほど御報告をいたしましたけれども、何年ぐらいこれを、やっぱりこれ一概に言えませんけれども、大体二、三年で異動されるという状況だというふうに聞いております。市町村の人事の中で、二、三年で大体異動されると。
 先ほど清水参考人からもありましたけれども、この農地法なり農地制度は専門家から見てもとても難しい制度だと、法律もですね、なかなか解釈できないという、容易にと。それを現場では運営しなきゃいかぬわけですから、一年目は言葉から学習、二年目は慣れて、三年目にやっと運営ができるかと、事務局運営できるかと。最短でもそのぐらいの年数は必要じゃないかと。ですから最短三年は必要、それからやっとこのものにきちんと執行していけるというような年数が必要じゃないかというような感じがいたします。
 それから、補助金でありますけれども、これも、農業委員に一人頭どのぐらいの補助金が必要なんだと、予算が必要なんだと。これもなかなかこういう形での想定はしにくいのでありますが、ただ、逆に言いますと、この十年のうちに国費で直接的に農業委員会の予算として行っておったのが百億を超えておりました。今は四十八億、まあ五十億ぐらいです、農業委員会に直接国費として負担いただいておったのは。その裏に地方交付税制度の積算があるわけでありますけれども。大変、税源移譲もありまして、その税源移譲された市町村への、税源移譲された、かつては専属的な予算が税源移譲になったわけでありますけれども、それはいろいろ追跡調査しても、ほとんど農業委員会の予算に計上はされていないということであります。
 ですから、逆読みいたしますと、かつての農業委員数あるいはかつての予算、そういうものはやっぱりあってしかるべきじゃないかと。仕事も増えるわけでありますから、そちらを置いておいて仕事仕事と言っても、あるいは適正なる事務執行と言っても、これは制度運営上は片手落ちじゃないかと、率直にそのように訴えたいと思います。
 以上です。
#52
○風間昶君 先ほど松本さんは、農業委員会の役割が非常に大事になってきて、審査、判断をする透明、公平性を持った物差しというのが大事だという話をされましたけれども、農業委員会のこの許可が一応機能強化されるわけでありますから、そうすると、透明性があって具体性がある判断基準というのを、当然自治体とやり取りをしなきゃならない話だと思いますけれども、会議所側で考えているその判断基準の、様々な判断基準はあろうかと思いますけれども、議論している中であれば教えていただきたいということと。
 もう一つ、恐らく、貸借にしても売買にしても、農業委員会の方々がADRみたいな介入してこれ調整するんでしょうけれども、結果的に、その権限は、その調整する権限は持っているんだけれども、事後処理に農業委員会がこれかかわらざるを得なくなる、破裂したりなんかした場合。そのときの、要するに、安心料と言うとおかしいんだけれども、それも非常に大事な問題だと思うんですが、そこはどう考えているのか教えてもらいたいと思います。
#53
○参考人(松本広太君) 大変これも難しい問題と思います。
 お願いしておりますように、新しい制度を運営する面で、幾つかの農業委員会が前面に出て、これは農業委員会ばかりじゃなくて、県知事さんもおられますね。基盤法では市町村長さんも入ってくるわけですけれども、農業委員会だけではありませんけれども、この判断をしなきゃいかぬ、今回の法制度改正はですね。そういう中でも農業委員会はまず中心的にしょわないかぬということになります。
 例えば、そういうときに、これは多分、お願いしておりますように、政令、省令で国が詰めてまいられるんだと思います。そういう制度構成になっていくんだろうと思いますね。農地制度ですから、権利関係ですから。転用も、農地転用許可基準という法定された基準を基に今もやっておるわけでありますから、今度のこの許認可はそれに準ずるような形の新しい基準を法定されるということと思いますし、また期待するわけであります。
 そのときに、例えばこの許可を、逆に言いますと、許可をしないと、するんじゃなくて、しないといったときに、その判断をどのように構成するかということでありますから、地域の農業経営との安定的連携、継続性というようなことになりますと、例えば水利の問題とか、地域の面的な農作業に対する、かつては村うちの共同作業とか、こういうものが源々と続いておるわけですね、土地については。こういうものについてどのように基準として明確に例示をするかという作業が必要になってくるんじゃないかなという感じがいたします。
 それから、例えば、それが不都合だから許可を取り消すといったときに、権利剥奪でありますから、例えば、要するに権利を剥奪するための正当なる判断というのは相当緻密じゃないといかぬと。逆に訴えられる、行政訴訟を起こされちゃうということになりますから、これはやはり国の方でかなり精緻な判断基準を作っていただかなければ、農業委員会でそれこそ差があると、あっちの農業委員会はオーケーだけれどもこっちの農業委員会は悪いのかと、先ほどの話じゃないですけれども。そういうことになるということになりますと、これはとても制度自体が立っておれないというふうに率直に思います。
 それから、もう一つ最後に、何でしたですかね。
#54
○風間昶君 いや、いいです。時間です。
#55
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 それで、私は最初に清水参考人にお聞きしたいと思います。
 それで、今回の改正では、農地を所有とそれから利用とに分けて、貸借については、借りれば農外の企業でも自由に借りられることにしているわけです。それで、先ほど参考人のお話の中にもありましたけれども、農地法そのものはこれまでずっと何度も緩和をされてきていて、農業生産法人の制度の条件も緩和してきたし、農産加工等の関連事業も行えるようになったり、二〇〇二年のときには構造改革特区で、さっき特区の全然役に立たないという話がありましたけれども、農業生産法人以外の企業も農地リース方式で参入できるようになり、その後二〇〇五年にこれを全国展開ということになってきたわけです。企業でも農業生産法人に参加できる、参加すればいいし、特定法人貸付事業ということでやりますとそれもできるようになるということで、ずっと広げてきたという経過があると思うんですよ。
 ですから、私は、本当に真剣に情熱を持ってというか、農業に参入しようという意欲があれば既に道は開かれてきているんじゃないのかというふうに思っていて、それをもっともっと緩和しろということというのは、結局は農地の最終的には取得というんですか、そういう自由化に開いていくということにつながらざるを得なくなるんじゃないのかなというふうに思うわけですけれども、この点について清水参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
#56
○参考人(清水徹朗君) お答えします。
 おっしゃるとおりでありまして、やっぱり非常にこれからの流れ、これまでの流れをずっとたどっていきますと、かなり危険な道を歩むリスクがあるというふうに思います。
 ですから、まだしかし、歯止めはまだあるし、衆議院でも修正したわけですので、事後規制もやはり重要ですね。ちゃんとその事後規制なり何か問題が起きたときに取消しなり是正措置なりをちゃんと地域の農業委員会がやることができるかということですね。ですから、これ以上というか、なぜ企業に所有権を、あるいは株式会社に所有権を認めるとまずいかということについて改めてやっぱり認識する必要があるというふうに思います。
#57
○紙智子君 この事前に配られました資料を読んでいまして、清水参考人は、農業の担い手の高齢化が進行する中で、その受皿として今集落営農や大規模な稲作経営を育成していくという方向で、そのこと自体はそれほど間違ってはいないと。しかし、それを規制緩和とか市場原理で進めるべきだという経済財政諮問会議などの主張は農村の実態や農業の特性を理解していない誤った見方だというふうに指摘をされているわけですよね。
 じゃ、農村の実態とか特性を踏まえた在り方ということに立てば、どういう在り方が望ましいのかと考えますでしょうか。
#58
○参考人(清水徹朗君) これは今日お配りしたペーパーの中にも書いておりますけれども、九の「今後の稲作農業のあり方」というところに書いておきましたが、とにかく上から、上からというのは国からですね、行政主導で構造改革を進めていったとしても、農業基本法以来ずっともう五十年近くやってきているにもかかわらずなかなか進まないというのはそのような理由があるわけで、それは、農村はやっぱりなかなか行政の論理では動かないということですね。
 ですから、ここに書いたとおり、高齢者のリタイア、世代交代、農業機械の更新に合わせて、時間を掛けて行うべきだと。たとえWTO交渉、FTA交渉があろうとも日本の食料の方が重要なんですから、もうWTOやFTAを食料の観点から逆に見直すというようなことを主張すればいいというのが私の意見であります。
#59
○紙智子君 それじゃ、次に武内参考人にお聞きしたいと思います。
 武内参考人は、以前、有機農業の議員連盟の学習会のときにたしか来ていただいたことがあると思います。そのときにも随分率直なお話されていて、それで今回も、御発言もいろいろ問題提起もされているというふうに思っているわけです。
 それで、事前に読ませていただいた資料の中で率直に述べておられますけれども、耕作放棄地ではやらないと、今後やらないというふうに決めたということを言われていて、確かに企業の側から見ると、利益が出なければこれ成り立たないわけですよね。しかし、今度の法改正をめぐっては、一般的にはどういうふうにみんながここを理解しているかというと、この改正というのは、食料自給率向上にとっても、担い手がだんだん少なくなってきているそういう耕作放棄地を企業の参入も含めてなくしていければいいんじゃないのかというようなことでもって言われてきていましたし、そういう意味では、先ほど来武内さんが言われていることとギャップがあるなということを非常に痛感しながら聞いていたわけですけれども。
 やっぱり企業の側から言えば、優良農地を確保したいということでしょうし、大きく利益を上げていきたいということなんですけれども、地域から見ますと、やっぱりちゃんと利用してくれればそれは有り難いと思うと思うんですけれども、地域から見ると、やっぱり様々な多様な形態の農業があり、そういう中で共存していくというんですか、そういうことを望むわけですけど、やっぱり競争の中でやれないところが出てきて離農せざるを得ないというふうになったときには、地域社会そのもの、地域経済そのものの支え手がいなくなっていくということになるわけですから、やっぱりそうじゃなくて、ちゃんと成り立っていくようなことを望んでいるんだと思うんですよ。そのことが可能だとお考えかどうかということをお聞きします。
#60
○参考人(武内智君) 決して耕作放棄地はやらないというんじゃなくて、悪い土のところはやらないというふうに言っているだけです。
 先ほど言いましたように、悪い土は私ども民間だけで受け切れない。これは、先ほど清水さんもおっしゃっていたように、JAでさえも多分できないでしょうと。それをどうして民間企業が赤字を、自分たちのお金を出してやらなきゃいけないんだろうと。それは本来は国や行政がやるべきことで、その支援がきちっとされればいいと思うんです。
 例えば、今、千葉の近くで、私どもの農場の近くで耕作放棄地があります。七年前に私が貸してくださいと言ったときには、貸せませんと言われました。今は、おばあちゃんが亡くなったから借りてほしいと。ところが、もう既にそれは山になっている。これは、我々がブルドーザーを持ち込んでやるには数百万掛かります。市に今そういう補助ありますねと言ったら、市では今やっていませんと。来年、再来年になるとできるかもしれません。そこをじゃ我々民間ができますかということなんですね。
 だから、それは、法整備も含めあるいは補助制度も含めて一つの仕組みになればできると思います。我々は依頼されたところを、あるいは高齢者の方たちがやってほしいというところは基本的には受けています。やはり数ヘクタール単位のところはなかなか個人で受け切れないので、それが多分企業というか組織でやる宿命だと思っていますので、地域等の活性化を考えれば、それはやっていこうと思っています。
 ですから、私は、耕作放棄地をやらないんじゃなくて、あくまでも悪い土ということで言っているつもりでおりますし、それからもう一つ。いい農地でやっても、そう簡単に利益出るものではございません。基本的には赤字をどう減らしていくかと。五年スパンで何とか黒字にしたいという、今私ども農場の進出のときには考えておりますので、皆さんから企業は利益、利益と言いますが、本当にこの農業の事業については出ません。どうやったら出るか、逆に言うと教えていただきたいぐらいでございます。
#61
○紙智子君 私も、今現役の農業者の方だって本当に長い間悪戦苦闘しながらやってきているわけですよ。だから、中には大ざっぱな経営やっていることもあるかもしれないけど、でも、私の知っている限り、多くの農家の皆さんはやっぱり必死の思いで、それこそ労賃も出ない中で、家族のですね、労賃も出ない中で精いっぱいやってきているというふうに思っているわけですよ。だから、そういう現役の農家の人がやってうまくいかないのに企業が入ってすべてうまくいくかというと、そんな簡単な話ではないというふうに思いますし、武内さんも、この間自分でもいろんなところにやってこられて、やっぱりそう簡単じゃないし、そのことはよく理解されてきているんだというように思うんですけれどもね。
 やっぱり、企業の皆さんの中でまじめにやっている方について私たち否定するつもりはないんですけれども、やっぱり問題はその背景にある問題といいますか、現役の農家であろうと企業が入るにしても、そういうやっぱりよって立つちゃんと採算が合うようなことというのを本来もっと国の政策で考えていかなきゃならないんだと思うんですけれども、その点で何かありますか。
#62
○参考人(武内智君) 確かに地元で一生懸命やっていらっしゃる方はたくさんおります。ただ、農業はいい農地でやる農業であれば難しくありません。素人でもできます。悪い農地だからプロでもできないんであって、農家の人たちが苦労しているのは経営であり、販売であり、そっちです。ですから、販売や経営がきちっとできれば、今御質問あったようなことについては僕はクリアできると思っています。
 それは、やはり人を育てていないからこうなった、あるいは、本来はJAさんがそれを、販売をきちっとしていかなきゃいけない、農家さんからちゃんと再生産ができる価格でやらなきゃいけない、契約栽培をしていかなきゃいけないんですけれども、ここがうまくいっていないと思います。それは、我々はビジネスを前提に考えていますから、そこのところをきちっと、要するにどこに何を売るというのを決めてから私ども作りますので、ですからいい農地があればそのことは十分できますし、それは農家さんも同じことが言えると思います。
 ですから、農家さんにもう少し経営とマーケティングのことを教える、若い、まあ年配の方は無理でしょうけれども、若い方たちに教えるような制度が国としてやっぱり必要ではなかろうかなというふうには思っています。
#63
○紙智子君 それじゃ、この次に松本参考人にお伺いしたいと思います。
 私も、この農業委員会の役割ということで、おとといですか、ちょっと議論になって、実際に農業委員会が形骸化してしまっていて十分役割を果たし切れていないことなんかも指摘もされていたんですけれども。
 聞いてみますと、やっぱり実際に、この間、例えば平成十五年から二十年まで、農業委員会数、農業委員会自身の数も四三%ぐらい減っているとか、それから農業委員の数も三五%ぐらい減っているとか、それから役員、事務局員数ですか、二五%ぐらい減っているとかということで、体制そのものが弱まってきているということと併せて、実際に現場で農業委員さんの方とお話ししますと、農業やっている方も入っているし、その中には自治体の方も入ってやって構成しているわけですけど、農業をやっている方は、やっぱり農作業ですごく忙しい中でいかに時間を割いていろいろ見回りをしたりとか、それからいろんな書類を見てこれが本当にどうなのかということで検討するとかということで、そのこと自身もすごく大変でしょうし、やっぱり判断をしていく上では判断するにふさわしいものを持ってないとできないということもあるんだと思うんですけれどもね。
 そういう、実際具体的に農業委員の皆さんが果たす役割というか、それをちょっとイメージとして分かるような形で、具体的にこんなふうになったときにこういうふうにしてやっているということを少し説明いただけますでしょうか。
#64
○参考人(松本広太君) 大変先生方が危惧されています農業委員会の現状の姿、これが心配だと、こういうことなんだろうと思うんですね。ほっておけばそうだと思いますよ、思います、ほっておけば。だけれども、制度を運営するのにほっておいた制度はないわけですから、それを乗り越えなきゃいかぬという思いがまずありまして、その上で先生からの御質問でありますが。
 例えば、農業委員さんが自らの資質を向上すると。努力しておられますですよ。大変、自ら農業経営やっておられて言われますのは、役害だと、農業委員になるのはいろいろ仕事があって役害と。農薬の薬じゃなくて、役職の役で大変だと。だけれども、村うちでやらにゃいかぬのだということで出ていくということですよね。
 だから、それを、そういうエネルギーとこれをどう前向きにサポートするか、あるいは押すかということを考えていかなきゃいかぬと思っておりますし、農業委員会が開かれた後は、後は自ら勉強会を開く、学習会を開くという農業委員会も多数あります、聞いております。でもそれは半日仕事で、農業委員会二時間やって帰れれば楽なんですけれども、夕方までいろいろと農地法の勉強とか更にいろいろなことをやると、こういうこともやっておられるわけですね。
 さらに、今三万八千人農業委員さんと申し上げておりますけれども、この中にはいわゆる地域での農業の柱といいますか、担い手になっておられます認定農業者、こういう方々も、三万八千人のうち、たしか直近では八千人か九千人が農業委員さんになっていただいております。まさに地域の担い手ですよ。
 こういう方も自ら農業委員になって地域農業、あるいは地域の農地を守ろうということでやっていただいておりますから、こういう取組をどうサポートして国民の地域社会の期待にこたえる農業委員会の仕事を進めていくかと、こういうことだろうと思っています。そのために私ども会議所も、都道府県の農業会議も微力ながらどう力を発揮できるか、あるいはサポートできるかと、いろいろと知恵を出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#65
○紙智子君 もう一つ、これ先ほどもちょっと風間先生の方からお話があって、事後処理ということですよね。
 これ事後処理、本当にできるのかなというのは正直言って私思っていまして、どんなふうにすれば、事後でなくてやっぱり事前のところで食い止めないと、もういったんクリアしてしまった後に、後で解決するといっても、先ほども言われていましたけれども、やっぱり裁判に逆に訴えられたりとか、向こうの方がすごく知恵が回って訴えられたりとかということもあった場合に、大変なやっぱり、時間的にもそうだし労力もそうですし、ということになるなということを考えたことがちょっとありまして、それは例えば、入って参入してくるときに、もう最初にきちっと書類さえクリアすればそれでオーケーというのがあって入ったんだけれども、実は入ってみたらやることと違っていて、それで注意をしても言うことを聞かないと。よくよくやっていったら何となく危ない人で、傷のあるような人で、それで脅されると。もう農業委員会も恐ろしくて抵抗できないというような、こんな事態も中にはあるわけですよ。
 そういうときに、事前にやっぱり食い止めなきゃいけないんだと思うんだけれども、そういうことを含めて、どうやってじゃ解決できるのかなということを思ったわけなんですけれども、この点についてはどうでしょうか。
#66
○参考人(松本広太君) 何も今般のことでそういう問題があるということじゃなくて、農地については転用問題も含めましてそういう課題を抱えてずっと今日来ておるし、これからもそれはあるんだろうと思います。
 先生おっしゃったように、ちょっとなかなか難しい問題、産廃問題もあれば違反転用もありますし、それで、今回の農地の権利関係の貸借、この世界においても基準に合わなければそれを止めるといいますか、取り消すということでありますから、取り消した場合には農業委員会が後始末をしなさいと、こういうことも義務付けられておるわけですね。これは大変な重い話だと思います。
 ですから、でもやらなきゃならないということになりますと、今度の集積とかあらゆるシステムをそういうことで連携させて、もし予期せぬ、あるいは、何といいますか、意に反してそういう事態にならざるを得なかったという場面には、やっぱり地域の総力戦でその農地が遊ばないように、遊休農地にならないように、そういう対策を農業委員会のみではなくて関係機関、JAさんもそうでありましょうし、市町村、あるいはもろもろ総力戦でその農地を次の生産資源として設定する、そういう取組をするしかないんだろうと、このように思います。これはもうきれい事じゃないんだろうと思います。
#67
○紙智子君 あともうちょっと、一分ぐらいありますね。じゃ、あともう一つお聞きします。
 下限面積の弾力化という問題で、転用目的に道を開くんじゃないのかと。そうならないようにするためには地域を限定するべきじゃないかという御意見がありますけれども、これ、具体的にどういう問題かということをちょっとお話しいただきたいと思います。
#68
○参考人(松本広太君) これは、なってみないから分かりませんけれども、感想的に言いますと、現農地法制では、大体、これ、サラリーマンの方でも何でも、お勤め人の方は、農地を欲しいけれども、家庭菜園やりたいけれどもと思っておられても、一般的に、不動産屋さんも、町場のですね、それは購入できませんよと言うのが一般的な常識でもう普遍化されております、聞いていただければ分かると思いますけれども。しかし、今回これを、所有権の移転についても下限を一応なくすというかフリーにする、委員会の判断でできるという法制になっていますね。
 そうしますと、ああ、ちょっと先々のこと、こういう御時世ですし、一般の優良なる市民の方が、自分の人生として、ああ、農地を取得したいと、こういう素直な気持ちが起きても不思議じゃありませんですね。また、そういう希望を持っている市民の方がたくさんおられますから、そういうことについて、多分、今度の法制はそういうことも見通しての対応だろうと思いますけれども、そうであるなら、せっかくのそういう見通したこの法改正方向が結果的に何か地域の中でそごを起こす、いろいろと摩擦を起こすと、そういうことが、やってみなきゃ分かりませんけれども、起きないように今からいざのときの対応を考えておかにゃいかぬじゃないかということをかねがね私ども、今回の意見開陳でも申し上げたことでありますが、そういう問題意識であります。それだけに、農業委員会に任すよという一言じゃなくて、これも大変大きな委任事項だけに、きちんとした基準をお持ちいただきたいということであります。
#69
○紙智子君 終わります。
#70
○委員長(平野達男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたりまして御出席いただき、かつ貴重な御意見を拝聴させていただきまして、心から御礼を申し上げます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 午後二時まで休憩をいたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後二時開会
#71
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農地法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産大臣官房統計部長長清君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#73
○委員長(平野達男君) 農地法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#74
○亀井亜紀子君 国民新党の亀井亜紀子でございます。
 参議院の方では民主党と会派を組ませていただいておりますけれども、御存じのとおり、衆議院の方で国民新党はこの修正案に対しても反対をいたしております。残念ながら衆議院の方に党の農林水産委員がいないものですから、私の今日の質問が党の考え方、なぜ反対かということを説明する唯一の機会になるわけですけれども、その趣旨がよく伝わるように質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、資料をお配りいたしました。一枚目が玉村豊男さんという方のエッセーでございます。これは以前、二〇〇七年の十一月の二日に、私がここで質問をしたときにも使わせていただいた同じエッセーですが、企業が農業分野に参入していったときに将来どういった農村風景になるだろうかということを示唆する非常に良い文章だと思いますので、今回再提出をいたしました。「農村工場の未来風景」というものです。このエッセーについて後ほど大臣に率直な御感想を伺いたいと思いますので、大臣、それから委員の方も今の時間にお読みいただきたいと思います。
 それでは、初めの質問ですけれども、まず政府参考人の方にお伺いをいたします。この今回の農地法改正案が作成されるまでの経緯についてです。
 先日、大臣の御答弁の中で、自民党の中でも、株式会社、企業の農業参入がどうあるべきかということは随分長いこと、二年近く議論をしてきたのだというふうにおっしゃいました。また、政府の方でも有識者会議ですとか、今までいろいろな、経済財政諮問会議からの要求ですとか、経緯は皆様も御存じのことだと思います。今回、政府提出法案ですから、私の推測では、農水省が主導で作成をして、その作成された法案を与党の部会に諮って党内手続を経て、そして了承されて国会に提出されたのではないかと思っております。
 今回、大変大きな農地法の改正だと私は思うんですけれども、現場の方がほとんど御存じないんですね。企業参入に道を開く、いわゆる規制緩和の法改正なわけですけれども、今日参考人として出席をされたワタミファームの社長さんも余りよく御存じじゃなかったし、そう興味もなかったとおっしゃっていました。また、先日この委員会で視察を行った知久の社長さんも、説明を聞いて今初めて知りましたと、そういうふうに改正をされるんですかと驚いておられたので、農業参入を既にしている企業の方もよく御存じないんです。
 そして、私は地元で、農村部でよく小さな集会をしますけれども、そういった参加者の方に聞いても御存じないです。農地の所有者たくさんおられるんですけれども、皆さん知らないんですね。集落営農組織の中心的な人に電話して私聞いてみましたけれども、やっぱり御存じないんです。市町村長さん、ちょっと連絡付く人に電話して聞きましたけれども、いや、報道ではいろいろ聞いておりますけれどもと言うだけで、やはり御存じないんですね。
 ほとんど現場で知られていないんですけれども、この法案を作成するに当たってヒアリングなどはなさったのでしょうか。それから、もしその農水省さんが作成された法案を与党に諮った、部会に提出されたのであれば、その時期はいつごろですか。
#75
○政府参考人(高橋博君) 農地制度でございますけれども、我が国農業のいわゆる基盤的な制度でございます。したがいまして、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、今回の改正に至ります経緯について御説明させていただきます。
 御承知のとおり、平成十一年に施行されました現行の食料・農業・農村基本法におきましては、その第二十三条において、「国は、国内の農業生産に必要な農地の確保及びその有効利用を図るため、農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積、農地の効率的な利用の促進その他必要な施策を講ずる」というふうにされているところでございます。
 この基本法の基本的な考え方を受けまして、農地制度の見直しにつきましては、農林水産省においてこの基本法に基づいて五年ごとに食料・農業・農村基本計画というのを立てているのは御存じだと思います。十五年八月から始めております現行の食料・農業・農村基本計画、これは第二期の計画でございますけれども、この第二期の計画を策定する作業の中で、望ましい農業構造・土地利用を実現するための担い手・農地制度の改革、これを課題として既にこの十五年の八月段階で掲げたところでございます。この関係について既にスタートをしたところでございます。
 当初、これは当然のことながら、非常に、六十余年にわたります制度でございますので、農林水産省内部におきまして、法制的な議論あるいは様々な実態の他制度との関係、そういったものの検討を中心としておりまして、内部的検討をしておったわけでございますけれども、外部からの当然のことながら有識者等の御意見も伺うということで、十九年一月から農地政策に関します有識者会議を設置をいたしまして御議論をいただいたところでございます。この関係で、実は有識者会議の現地の視察等ということも何回か行っておりますけれども、先般委員も御出張されました浜松の知久、ここにもこの関係ではお邪魔をしているところでございます。
 このことを受けまして、平成十九年の十一月に、農地情報のデータベース化、耕作放棄地の解消に向けましたきめ細やかな取組の実施、優良農地の確保対策の充実強化、農地の面的集積を促進する仕組みの全国展開、所有から利用への転換によります農地の有効利用の促進、この五つを基本的な考え方といたします農地政策の展開方向というのを農林水産省として取りまとめたところでございます。
 さらに、昨年五月には、この農地政策の展開に即しましたその後の検討状況について経済財政諮問会議にも御報告申したところでございますけれども、この過程におきましては、議事録等も出ておりますけれども、当時の若林農林水産大臣と民間議員との間でも非常に激しいやり取りがあったわけでありますが、結果としては、農地政策については農林水産省において引き続き責任を持って検討するということ、これについてもきちんと議事録に掲載されているところでございます。この結果、昨年十二月、経済財政諮問会議に今回の法案の基礎となります農地改革プランを提示した上で、農林水産省として正式に決定したわけでございます。
 御指摘の与党との関係でございますけれども、経済財政諮問会議、有識者会議あるいはその他の様々な会議におきましても農地政策については近年議論がございましたが、このような議論に先立ちまして、平成十八年の十二月から農地改革に関する検討を与党においても行っていただいております。
 今回の法案提出に至るまで精力的な検討を進めておりますけれども、当然のことながら、ここは政府あるいは与党一体となりました検討を行ってきたところでございまして、その間、関係の農業者等からのヒアリングあるいは現地におけます調査ということも積極的に行っております。本年年明け以降は、先ほど申し上げました農地改革プランについての全国に対する説明会等々も行ってきたわけでございます。
 以上のような経緯を踏まえまして今回法案を御提出させていただいたということでございますので、法案作成段階におきましては、今のような与党におけます経緯あるいはこれまでの長い間におけます検討状況ということについて逐一現地のところにもまた御説明させていただいたんですが、今委員御指摘のとおり、私どもが、先ほどの社長さんのところにも参ったわけでございますけれども、そのようなことをどうも覚えておられなかったような御指摘もあったわけでございまして、これについては私更にきちんと今後とも御説明、これは当然制度の重大な改正でございますので、進めていく必要、これはもう改めて今認識させていただいたわけでございます。
#76
○亀井亜紀子君 今伺って率直に感じましたことは、今まで長い間農水省の中で責任を持って若林大臣にも報告をしながら進めてきて、そして昨年の十二月の経済財政諮問会議の案がベースになって今回の法案ができてきたと、そういうふうに理解をいたしました。
 今日、衆議院の方ではタクシーの規制緩和の見直しということでタクシーの特措法が本会議の方で通過したはずです。やはり今、小泉構造改革が日本にどういった変化をもたらしたのか、その功罪を問わなければいけないとき、そして金融資本主義がアメリカ発のサブプライムローンの破綻で世界に広がって、そして金融資本主義が批判されている、そういった流れの中で、今規制緩和をすることにどんな意味があるのか。先日の小川議員の質問の中でも周回遅れの小泉改革という表現がありましたけれども、まさにそれに当たるものだと私は思っております。そして、であるからこそ、やはり国民新党としてはどうしても賛成しかねる法案です。
 それで、この法案の目的、耕作放棄地の解消をするために企業にも御協力をいただくのですというふうに今までの答弁を聞いて思います。けれども、耕作放棄地の解消にこの農地法の改正が役立つのか。この法案を通過させることで何が良くなるのか、やはり私にはまだ見えてこないんです。
 耕作放棄地に関してですけれども、これは四月十七日付けの全国農業新聞です。そして、八年度、二〇〇八年度に行った耕作放棄地全体調査について掲載されています。それによると、耕作放棄地面積は二十八・四万ヘクタール、このうち十四・九万ヘクタールが農地として再生可能な土地と判断されたと。農林水産省では、この農用地区域を中心に約十万ヘクタールについて十一年度をめどにその解消を目指す方針だと書かれております。
 耕作放棄地を解消しましょうといって反対する人はだれもいないと思います。けれども、この法案、企業の参入を促進することで耕作放棄地が解消されるとはとても思いません。それは、今日の午前中の参考人質疑でも、やはり企業としては耕作放棄地よりも優良農地を借りたい、良い土の良い土地を借りたいというのが本音ですし、やはりプロがやっても難しい土地を企業はやりたくないのだということを直接にお聞きいたしました。
 そして、先ほどのこの調査を基に、今農水省の方では詳細な分析をされていらっしゃるという御答弁が先日ございました。大臣が、「どの地域でどのような理由で耕作放棄が行われるのかというのは、今農村振興局におきまして、地域によってあるいは地形によってどうしてこのようなことが起こるのかということを詳細に分析しておるところでございまして、委員はお医者様でいらっしゃいますので御案内のとおりですが、原因が分からないと対策の打ちようがないということだと思っておりますので、それをよく子細に検討することが急務だと認識をいたしております。」。つまり、耕作放棄地のこの調査に基づいて何が原因であるかを今細かく分析調査をしているときに、なぜこの農地法改正が耕作放棄地の解消に役立つと言えるのか。言い換えれば、目的はほかにあるのではないかと私は勘ぐってしまうのですけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。
#77
○政府参考人(高橋博君) 大きなお話は、また大臣からさせていただきます。
 ちょっと事実関係でございますけれども、今回、これまでのこの法案の趣旨についての御説明の中で、やはり現状のいわゆる農業従事者の状況。それから、実際に生じてきております耕作放棄地面積は本当に膨大になっていること。これは現状の農業に対して参画ができる今の、例えば家族農業経営が中心になっているわけでございますけれども、そういったもの、あるいは農業生産法人というような制度の中でこれだけのものが出てきてしまっているということだと思っております。
 今後、ではこのような状況のままでいったときに、現状の耕作放棄地もそうでございますけれども、今後発生する可能性もあるものについてもどのように考えていく必要があるのかということが大きな観点だと思っています。
 今回、何回かいろいろな御指摘ございましたけれども、私どもは、多様な担い手を創設をしていきたいというふうに思っております。その多様な担い手の中には外部からの企業ということも想定はしておりますけれども、それ以外に、例えば農村の内部からもっと違った形で農業に関与をしていく経営形態、例えば集落営農組織、これも今は農業生産法人という形を取りませんと集落営農組織で農業をやるということは、法人になるということはできません。したがって、非常にこのことが集落営農組織の法人化ということで制約をしているということも事実でございます。
 そのようなことを、もっといろいろな方が、集落のいろいろな方が入る、あるいは集落営農組織が農業以外にも本当にもっともっと別な関連事業もやりたいというようなことに制約しているものを、これを制限を外すことによって、この集落全体で農地を守るということにより適切に取り組めるのではないかというのが今回私どもが考えておりますもう一つの大きなねらいでございまして、何度も申し上げていますが、多分、委員御指摘のように、企業参入が目的ではないかということでございます。私どもとしては、そこのところに着目をした、そこに集中的に見ているということではないということは、まず最初に申し上げさせていただきたいと思います。
#78
○亀井亜紀子君 どうして法人化にこだわるのか。そのとき家族経営の農業はどういう形になっていくのか。そして、やはり耕作放棄地の解消ということとどうしてもこの農地法の改正というのがつながってこないんですけれども。
 今回の改正以前から、農地の面的な集積とあと担い手の育成というのは両輪で政府は進めてこられました。それでもうまくいっていないということですよね。そのうまくいっていないのがなぜなのか。それが農地法のせいなのかと私は思いません。それは、ほかの方からの指摘もありましたけれども、やはり後継者が農業を継がないで都会に出てしまったり、あるいは農産物の価格が下がることで農業で生計が立てられなくなったり、そういう理由によるものですから、やはり農地の集積ですとか法人化ですとか効率的な経営ですとか、そういうことと直結してはいないのだろうと思います。その点については、また私は後でほかの質問の仕方をいたしますが。
 先日、高橋経営局長の御答弁でやはり私が理解できなかったこと、幾つかございます。一つは、農地の七、八割は集積が可能とおっしゃいました。それから、貸借期間を二十年から五十年にする理由、これも御説明されておりましたが、私には分かりませんでした。そして、大臣の御答弁の中で経営の自由度という言葉が出てきたんですけれども、その経営の自由度を与えるために五十年というのもよく分かりませんし、そのためであるならば、やはりこれは企業の方を向いた改正であって、農地の所有者の方を向いた改正ではないのだろうと思います。
 それから、農地法の改正によって、今度は耕作放棄地の解消を目的とするのではなく効率的な利用を目的とするわけですから、優良農地が借りられて、結局耕作放棄地は残るのではないだろうかという疑問もやはり指摘されております。
 これらの点について、高橋経営局長にもう一度御答弁お願いしたいと思います。
#79
○政府参考人(高橋博君) 先般のお尋ねの際に、ちょっと早口だったこともございまして、きちんと御説明できなかったと思っております。今回きちんと御説明させていただきたいと思いますが。
 まず、担い手への農地の集積でございますけれども、これにつきましては、平成十七年に現行の食料・農業・農村基本計画、自給率四五%目標ということを設定をしたときに、併せて農林水産省といたしましては、将来におけます平成二十七年段階の農業構造の展望というものを決定させていただいております。これは省として決定させていただいたものでございますけれども、その中で、いわゆる効率的かつ安定的な農業経営が経営いたします農地面積を全農地面積の七、八割程度と見込んでいるところでございます。具体的には、全農地を四百五十万ヘクタールと見込む中で、このような効率的、安定的な経営体、いわゆる担い手が七から八割程度、大体三百三十八万ヘクタール程度集積すると見込んでいるわけでございます。ただ、この担い手には、家族農業経営あるいは法人経営というような個別の経営体だけではなくて、集落営農による経営体ということも当然のことながら見込んでいるところでございます。
 次に、このような担い手に七から八割程度の面積を集めたいと思っているわけでございますけれども、実際にばらばらに集まった状況では作業が効率的にならないということで、これにつきましても、平成十九年に、総理を本部長といたします内閣の食料・農業・農村政策推進本部というのがございます。ここで二十一世紀新農政二〇〇七ということを決定いたしましたが、この中で、担い手が、今申し上げました、経営する農地面積、全体の中の七から八割程度、更にそのうちの少なくとも七割程度については面的にまとまった形で集積できないか、三百三十八万ヘクタールの担い手の経営面積の中で、その七割の二百三十六万ヘクタール程度を面としてまとまった形、作業効率が非常に上がるようなまとまった形で集めたいというふうに考えているということを先般御説明させていただいたわけでございます。それに向けまして、今回、制度改正、あるいは予算、税制等の支援措置を講じているところでございます。
 次に、五十年の関係でございますけれども、御承知のとおり、民法では貸借期間二十年というのが原則になっております。しかしながら、やはり一部の、これは別にすべての方にこのようなものを強制しているわけでも何でもございません。実際に契約をするのは土地の所有者と借りる側との合議によって決まるわけでございますので、その期間の設定については当然のことながら合議で決められるわけでございますけれども、先般、大臣からもお話し申し上げましたように、例えば果樹のようなものについてはやはり収穫が安定する期間というものが二十年を超えるということになるわけでございますので、そういった意味で二十年より長い期間についても認められていいのではないかということから、五十年ということを設定させていただいております。
 五十年、いろいろなメルクマールございます。先般申し上げましたような定期借地権もございますけれども、実は農業でいきますと永小作権という権利がございます。これが基本的に五十年ということになっております。物件的なこの永小作権というものについても参照いたしまして、この五十年という期間を定めさせていただいたわけでございます。
 以上のような形で今回御説明をさせていただいたということでございます。
#80
○亀井亜紀子君 企業側の意見としては、知久さんに聞いてもそれから今日のワタミファームさんに聞いても、五年で大丈夫だという答えがございました。知久さんに行ったときにも、耕作放棄地を借りているので最低五年は借りないと、最初の何年間、二年ぐらいは使い物にならないので五年は必要だけれども、高齢者の方からお借りしている土地もあって、相続の問題も発生するので、十年借りると長いというような、そういう印象も受けますということを現場でおっしゃっていました。ですので、もし本当に現場で企業の方にヒアリングをしたのであれば、五十年、二十年以上であればいきなり五十年という、そういう数字が出てくることはないだろうと思うんですけれども、やはり私は今の答弁でもちょっと納得することができません。
 一つ先ほど伺うのを忘れたんですが、外資規制の問題です。
 岩永委員も先日指摘されておりましたけれども、衆議院の方の議事録を確認して、かなりの議論があったと確認をしております。その際に、また今日の参考人の資料にも、ファンドや証券会社からの講演依頼も多く、投資先としても農業が注目されていますという、そういう文章がワタミファームの武内参考人のインタビュー記事にあります。ですから、現実、ファンドや証券会社が興味を持っているという今、ファンドや外資が参入することはあり得ないと思うという御答弁を衆議院の方で高橋経営局長されているんですけれども、それについてはなぜあり得ないと思われるのか、その根拠をお示しください。
#81
○政府参考人(高橋博君) ファンド関係でございますけれども、これについては先般も衆議院で御説明させていただきました。制度的にこれはあり得ないということでございます。
 農地に投資をしようといたしましても、まず所有権の取得については農業生産法人でなければ認められないということであります。それから、転貸目的での取得、これ自身も、現行もそうでございますし、改正後も農地法では認められません。したがいまして、このような形での権利取得が認められるということはまずあり得ないということでございます。
 それから、農業生産法人の株式等に投資しようとするというようなことも想定されますけれども、農業生産法人には当然のことながら構成員要件というものが課されるわけでございます。株式等の譲渡制限ということ、こういったこともきちんとされておると。農業生産法人は、要件を満たせなくなれば、これは農業生産法人の土地は買収されるというような規定になっておりまして、そういったような形でも、制度的にあり得ないということでございます。
#82
○亀井亜紀子君 何か釈然としないものが残ります。
 先に進みますが、それでは、やはりこれも先日、紙委員の方から、巨大なトマト工場が撤退した後の写真を見せていただきました。企業の参入を緩和するということですけれども、基本的に企業はビジネスですし、もうからなければ撤退します。参入も自由ですけど撤退も自由です。その撤退をされたときに、特に大規模に農業参入をして撤退を行ったときにその責任をだれが取るのかという、これは非常に大事な問題だと思います。
 先日の御答弁で、責任というものは企業並びにその株主、経営者が取るべきものでございますと大臣はおっしゃったんですけれども、それで政府は知りませんということで問題ないのでしょうか。御見解伺いたいと思います。
#83
○国務大臣(石破茂君) 別に知りませんということを申し上げているわけではございませんが、企業が企業として個々に高度な管理技術を持ってトマトを作れば、きっと安定的な供給もでき気候に左右されずということで参入をされたのだと思います。ところが、世の中そう甘くありませんでうまくいきませんでしたということでございますが、これは別に農地法改正云々かんぬんと関係なく、その以前に行われたものでございます。その当時にそれは当然可能なことでございましたし、それがうまくいかなかったという場合に、国として何らかの責任を取るべきものかと言われれば、それはそうではないと私は思っております。企業の経営というのはそれなりに企業が責任を持って行うべきものでございます。そしてまた、その利益は株主に還元をされるという形を取っておるわけでございまして、それがうまくいかなかったから国は何らかの責任を取るべきだということは、それは理論的にはあり得ないことだと私は思います。
#84
○亀井亜紀子君 理論的にはそうだと思いますし、ですからやはり株式会社が、やはり営利目的の企業が農業に参入してくるということの危険性はそこにあるんだと思います。
 それでは、今日提出いたしましたエッセーについてですけれども、大臣はどのような御感想をお持ちでしょうか。
 これ、傍聴人の方もいらっしゃるので簡単に要約をいたしますけれども、「農村工場の未来風景」というタイトルで、長野でワイナリーを経営している玉村豊男さんという方がお書きになりました。
 そして、今、家族経営の農業形態でも、家族に対して社員として給料を払うという、そういう形が現れ始めた。それは、女性の地位を向上させるためにも、また農家を経営体として自立させるためにも案外評判が良いと聞いていると。
 そして、今の若者も、農業に取り組みたいと考える人たちは、一般の会社と同じように週末に休みが取れて、労働時間も定められた範囲内で終わってシフト制で働くというような、そういうイメージで農業をやりたいと言う者がいるらしいと。今後、株式会社が農業分野に進出してくることになったときに、日本の農村風景はどのようになるのだろうか。
 そして、彼の想像ですけれども、見渡す限りの広大な田畑が広がる中、コンピューターと大型機械を駆使して生産効率を上げる農業生産会社。サラリーマンのように労働時間、休日のシフトが管理され、休みの日には若い家族が会社の近くのしょうしゃな住宅で都会的な暮らしを楽しむと。この姿というのが、欧米型の農村生活をモデルにした一つの理想型であるかもしれないけれども、ただ、この著者は、農業は日々の暮らしの中にあるもので違和感を覚えると、雨が降れば平日でも休んで、晴れれば日曜でも働くのが当たり前と考える、その感覚というのは時代遅れなのだろうかというエッセーですけれども、農業参入の規制緩和を行って企業が進出してきたときに、これはあり得る風景だと思いますけれども、大臣はどのようなお感想をお持ちですか。
 また、日本の農業の向かう先ですね、未来像、それをなくして生産調整のことも、それからこの農地法の改革のことも本来議論できない話なんだと思います。ですので、大臣の個人的なお考えになる農村の未来像についてお伺いしたいと思います。
#85
○国務大臣(石破茂君) 玉村さんとは私も報道番組で御一緒して、いろんなお話をさせていただきました。立派な見識を持たれた方だというふうに感銘を深くしたところでございます。
 この方のすばらしいところは、もう委員も御案内かと思いますが、ワイナリーを持っておられて、そしてレストランを経営をして予約取るのが大変みたいなことになっております。そこで取れた作物をワインにし、あるいは本当においしい料理を供しということで、一種の農商工連携的な形でこの農業というのが成功しておるわけですよね。
 私は、多様な担い手というものがあっていいのだろうと思います。まだ二十世紀なんて言っておったころですが、あるアンケートでどういう農業をやりたいですかということを聞いたときに、若い方が背広を着て通勤する農業をやりたいという答えが一番多かったんです。私は本当かとそれ聞きました。二十世紀の話です。私がまだ当選二回か三回ぐらいのころだったと思います。何を一番望みますかというと、背広を着て通勤したいと、そして決まった時間に行って、決まった作業をやって、また背広を着て帰って、余暇にはディスコに行きたいと、こんな感じだったんですね。それも一つの価値観なんでしょう。そういう価値観が満足されるような農業経営というのを私は否定する理由がないんだと思っています。
 しかしながら、じゃ日本全国がすべてそうなるか、島根や鳥取でそんなことがあり得るかというと、なかなかそれは難しいんじゃないでしょうか。条件の不利なところで大企業がやってきて、所有権は持たないにしても、農業の経営というものが本当にうまくいくかといえば、それはそうではないのだと私は思っております。そういうところにおける家族経営というのを私は否定するものでは全くありません。
 しかしながら、その家族経営自体がどんどん消失しつつある中にあって、一体これをどうしたらいいんだろうかというのが私どもの問題意識でございます。その中に多様な担い手というものがあって、私は耕作放棄地の解消を目的に今回の農地法改正をやったとは思っていません。それも一つの効果の一つですが、それが目的としてやったものではありません。
 要は、農地がありながらそれが利用されていないという状況をどのように考えるのかということです。そこにおいていろんな多様な担い手があっていい。それだけじゃなくて、農商工連携ということがきちんと考えられなければいけない。あわせて、条件不利地域直接支払というものも充実をされねばならない。いろんな形で重層的にやっていきながら多様な農業というものを実現をさせていかないと、ノスタルジックに考えておりますと、それはそれでとてもいいことなのですが、十年先、二十年先にそういう光景が残っているかといえば、私は残ってないと思っているんです。
 そこにおいて、もう限られた時間の中でどうやっていろんな政策を集中的に農業、農村に投じていくかという中の一つにあって、この農地法の改正、すなわち持っているけど使わないということをどうするか。やはり農地は個人のものでありますけれども、同時に国民みんなのものですから、それをきちんと利用していただくという形でこの法改正を組んだと私は理解をしております。
#86
○亀井亜紀子君 耕作放棄地の解消を目的としてこの農地法を改正するわけではないという御答弁いただきまして、やはりそうなのだと。私はこれまで、先日の答弁をお聞きしても、やはり耕作放棄地の解消が目的なのだろう、だとしたらこの改正でうまくいくのだろうかという疑問があったんですけれども、そうではないということになると、またちょっと質問の視点が違ってまいります。
 そして、問題は、やはり担い手が育たない、大臣のお言葉の中核的な農家が育っていかない、その原因はどこにあるのか、そこを見ていかないといけないんだろうと思います。そして、多様な担い手がいなければいけないというのも非常に理解できることですし、私も、先日の一般質疑のときに多様な流通があってもいいのではないかと、そういうことを申し上げました。一掛ける二掛ける三で六次産業という考え方で、生産から流通のところ、販売まで全部一つのビジネスモデルで成功している人たちが現れる中で、日本の農業を再生するのに流通はどうあるべきかという質問を以前いたしました。ですから、その発想というのは、やはり多様な農業があっていい、多様な担い手があっていいということなんです。
 そして、私は、どう考えても政府の担い手の育成が失敗しているのだと思います。なぜ失敗しているのか。
 私は、今、自分自身が新規就農すると仮定して情報収集をしてみました。そして、担い手と言われる人たちはいわゆる認定農業者かと思いますけれども、その認定農業者というのはどういう人たちなのか、どうやったらなれるのかということを調べてみたんです。
 今朝の午前中の参考人の質疑で、ワタミファームの社長さん、はっきり言ってだれでもなれます、経営計画というのは、あれは作文ですというようなことをおっしゃったので、ああ、なるほどと思ったんですね。
 これは、島根県の農業経営課が出している「やっぱり認定農業者」というものをホームページから印刷をいたしました。そして、認定農業者にはどうやったらなれるのだろうかと思って調べたんですけれども、まず、農業経営のスペシャリストを目指す意欲のある人であれば、性別、専業・兼業の別を問わずどなたでも認定を受けることができますとありまして、本当にだれでもなれるんですねという印象を受けました。
 そして、ではその認定農業者になるとどんなメリットがあるのだろうかと思ってまた調べていきますと、まず、好条件で資金を借りられるとあります。そして無利子で資金が借りられます、それから小口の資金なら無担保、無保証人、最短一週間で借りられますと、何だか消費者金融みたいな文章が出てくるんです。その次に今度は、自己資金がなくても新たな経営展開が可能と、そして無利子で個人は千八百万円まで借りられますと出てくると、つまりお金を貸したいんですかと、新しくやろうと思っても、そのビジネスモデルが成功するかどうか分からないのに、もし失敗したら借金だけ抱えて倒れてしまうのかしらという印象を受けます。
 そして、これめくってもめくっても補助金の話ばかりなんですよ。経営規模を拡大したらこれだけ、面的にまとまった農地を利用集積すれば最大で六百万円交付ですとか、農業機械のリース料支払経費を軽減できますとか、ずっとお金なんですね。ですから、農業技術の指導ですとか、どうやってそのビジネスモデルを成功させるかというようなアドバイスが一切書かれていないんです。
 ずっと読んでいきますと、最後に申請の仕方ですとか五年の経営計画のところが出てきて、あれ、ここで引っかかるのかしらと思いましたら、今日、午前中の参考人質疑であれは作文ですと言われてしまったので、やはりどうもこれはだれでもなれるらしい、そして、なるとお金を借りるのだというふうに、そういう印象を受けました。
 そして、今、農業の起業の本がたくさん本屋さんに出回っております。その中の一冊に書かれていたことなんですけれども、認定農業者と呼ばれる自己資本比率の低い農家に更に資本を貸し付ける制度らしい、近代化する手段は提供しないでお金だけ貸す、お百姓さんはそのお金で近代化とは無縁な箱物か何かを造る、その認定農業者は自己資本比率を低下させて断崖に向かって背中を押してもらっている構図が見えると書いてあるんですね。どう考えても、これは担い手の育成の仕方が非常に問題で、そこがいつまでたっても育っていかないから、農地の受け手がいなくて耕作放棄地が広がっているのではないかと思います。
 私の地元の過疎化、もうひどいものですし、草刈りですとかそういった手が、皆さん高齢化して手が回らないものですから、レンタル放牧という手段で耕作放棄地の再生が始まっております。
 大臣も以前、山口式放牧ということを紹介されて、レンタカウとおっしゃいましたけれども、あのお話を伺ったときに、ちょうどうちの地元にも同じようなものがあると思いまして、今日、写真を提出させていただきました。ビフォー、アフターと、何かかつらの広告のようですけれども、耕作放棄地、これだけ荒れていた山がよみがえった。ここまで青くしたのは牛でございます。
 ですので、人手が足りなくなったときに牛を使う。昔、農業で馬を使ったりしていたわけですから、少し歴史が戻っていくような印象もありますけれども、やはりこれは里山の知恵だろうと思います。ですので、耕作放棄地を解消する方法というのはいろいろ知恵を絞ればあるんだと思います。
 牛を使ったり、あるいは企業への農地の貸付け。優良農地を借りたいのはもちろんでして、知久さんが言われておりましたが、耕作放棄地を耕作可能にして少し手を入れて貸してくれれば有り難いというようなことを言われていたんですね。ですので、知久ですとかワタミファームさんの例というのは現行法でもあそこまで頑張ってできているという例ですので、今の法律でもできるのになぜ変える必要があるのだろうかというのが私疑問ですし、もしそういった意欲のある企業を支援するのであれば、農業委員会により責任を負わせるのではなくて市町村がもっと大きな役割を担って農地の貸付けを促進していくというようなこともできるのだろうと思います。
 今朝の参考人質疑でも、市町村合併で農業委員会の数も、職員の数も委員の数も減っているという意見がありました。地元を見ましても、農業委員といいますのは高齢者が多いです。私の印象、島根の農業委員会、おじいちゃまばかりです。そして、ほかに仕事を持っておられたり引退されていたり、その方たちにこれ以上の事務なども移管されて責任を負っていただくというのは非常に大変だと思います。
 ですので、私は、本来向かうべき方向というのは、耕作放棄地の解消をし、それを企業に引き受けていただきたいのであれば、市町村がもう少し耕作可能な土地に戻して貸していくですとか、そういった方法もあると思うんですけれども、なぜ今回のような改正になってしまったのか。また、認定農業者の育成に問題がないとは思われませんか。大臣の御意見を伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(石破茂君) それはいろいろ問題はあります。ですから、問題がだれもないなんて一言も言っておりません。問題だらけなんです。
 だから、それをどうやって解決をするかというお話で、先ほど、島根県のパンフレット、私読んでいませんが、別にサラ金の勧誘みたいなことを言っているつもりは私はないのでありまして、それはいろんな資金はあります。資金はありますが、それをきちんと使わないとサラ金の被害者みたくなるわけで、どうやってそういう人たちにちゃんとしたスキルを持っていただくかということを併せてやっておるつもりでございます。これはもう各地区によって政策の取り方で差がございますが、私は島根においてもそういうようにきちんとした営農のやり方というのは指導をしておると承知をしておりますし、さればこそレンタカウみたいな話が出てくるわけです。
 レンタカウの話は、私、これも随分前からお話はしているのですが、要は足が四本あるというのは傾斜地に強いんです。足が二本しかないというのはちょっとの傾斜でも三半規管おかしくなって倒れちゃうのですが、やっぱりそういうのを、中山間地における放牧なるものの可能性、そしてそれが耕作放棄の解消にどうつながるかということが今ようやっと具体化をし、国としても支援をしておりますわけで、いろんな政策を組み合わせていかねばならないのだと思っています。
 認定農業者とはいかなるものかということについてはもう一回私は議論が必要だというふうに考えておりまして、私は、島根でも鳥取でも大体そうだと思うんですけれども、本当に二種兼業の二反、三反の高齢の農家ばっかりという集落がたくさんあるんです。それは倒れるときは一遍に全部倒れるんです。それは集落の消失になるんです。やはりどこの集落においても、この人が中核的に担うんだという人がいなければ共倒れになってしまうのであって、それは中核的な担い手と、そしてその周りにいる農業者とが両方とも相まってうまくいくような政策というのを考えていかねばならぬのではないか。それは差別とか選別とか、そういうものではなくて、共に生き残っていくためにはそういうことなのだろうというふうに私は考えております。
 それから、農業委員会についての御指摘がございました。
 私は、ごめんなさい、不勉強で今日まで知らなかったのですが、農業委員会の被選挙年齢って二十歳なんですね、被選挙年齢が二十歳。つまり、参議院議員の方々は三十ですし、私どもは二十五でございますが、農業委員の被選挙年齢は二十歳なのだそうです。選挙年齢も二十歳、被選挙年齢も二十歳。これは何でそうなったかと、私ちょっとそこまでは知りませんが、やっぱり若い方々に農業委員になっていただくということは必要なことだと思っております。
 平成十七年の調査ですが、平均年齢は六十二歳、一番若い方二十二歳、最高齢の方九十六歳と、こういうことに相なっておりまして、かなり年齢分布が高年齢化しているということは事実でございます。しかしながら、そういうことは別にあながち全部否定的に申し上げるつもりはございませんで、それなりに知恵と経験を持たれた方々ですから、こういう方々の知見をどうやって生かしていくかということになるわけです。
 先般の委員会でも御説明を申し上げましたが、耕作放棄地あって困っちゃったなという人がどこに行ったらいいのというと、耕作放棄地対策協議会というのがある。先生、島根でどこにあるか御存じですか、その協議会なるものが。その協議会なるものの存在がきちんと認知をされていないのではないか。協議会は農業委員も入ります、市町村も入ります、JAも入ります。
 私は、この耕作放棄地対策協議会なるものが本当にきちんと動いていく、そこにおいて農業委員が役割を果たしていかれる、そこでだれがどうすれば耕作放棄地が解消するか。耕作放棄地が解消したはいいけれども、物を作ったはいいけれども、だれも買ってくれませんでしたということになれば、それはまた耕作放棄地に戻るに決まっているんです。そこの悩みを解消しそこが売れるようにするためには本当に知恵を絞らねばなりませんで、これは農業委員がどうしたとか、市町村がどうしたとか、そんなことを言っておるのではなくて、この協議会の活性化というものをどうやって図るか。そのために私どもとして、本当に地域の実情を把握しながら、困ったなと、じゃ協議会に相談しよう、協議会に相談したらこういう道が開けたというような、そういうような話をいっぱい作っていかないと、耕作放棄地の解消は口だけ言ってもどうにもならないという強い認識を持っております。
#88
○委員長(平野達男君) 亀井君、時間ですからまとめてください。
#89
○亀井亜紀子君 はい。
 時間がなくなってしまいましたので、まだ伺いたいことはありますけれども、今日分かったことは、耕作放棄地の解消を目的としてこの農地法の改正案があるわけではないということでございます。
 私は、大臣に対しましては、やはり私たちが今考えなければいけないことは、この農地法の改正ではなくて、兼業農家をどういうふうにしていくのか、兼業機会が失われたそのもう半分の部分をどうやってつくっていくのか、そのときに兼業農家を専業農家に戻していく方法があるのかどうか、その戻るまでの間、行政がもしサポートできるとなるとどういうものがあるか、認定農業者に対してどういうふうな支援の仕方があるのか、一回失敗してももう一度サポートできるような体制が組めないか、本来議論すべきはそちらであって、農地法の改正ではないだろうと思っております。
 以上、私の見解でございます。ありがとうございました。
#90
○舟山康江君 民主党の舟山康江でございます。
 今日は農地法改正の審議ということで、午前中の清水参考人もまさしくおっしゃられておりましたけれども、農地法というのは非常に複雑な体系の法律であると。その背景には、やはり非常に難しい法律であり、重い法律であり、非常に長い歴史の上に成り立ってきた法律だということがあると思います。
 戦後の農地改革の中で、ある意味非常に超法規的な措置というんでしょうかね、国が私有財産を強制的に買収して小作農への売渡しをしたと、それによって小作農をつくったという、そういった歴史的背景もありまして、やはりこれを改正するに当たりましては慎重の上にも慎重に審議をしなければいけないと、そんなふうに思っております。
 そういう中で、衆議院においてある一定の修正がなされました。今参議院での審議が行われているわけですけれども、場合によりましては、やはりこの審議の中で問題点が明らかになれば、それはしっかりと議論をする中で修正しなければいけないこと、またもう一度戻って考えなければいけないこと、そういった対応は柔軟に取らなければいけないんじゃないかと、そんなふうに思っております。
 そういう中で、まず冒頭に、衆議院で目的規定が大きく修正されました。ということで、まず修正の意味するところ、その趣旨を修正案提出者、そしてそれに対して政府双方に御見解をお伺いしたいと思っております。本日、先ほど言いました非常に大事な法律、基本だということで、政府の御見解につきましては大臣にすべてお答えいただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
 まず、衆議院における修正、目的規定の修正の中で、「耕作者による農地についての権利の取得を促進」と、明確に農地の権利、これは所有権、賃借権入るわけですけれども、農地の権利の取得というのは耕作者であることが明記されました。
 おとといの姫井委員の質問に対する修正案提出者筒井議員の答弁の中で、農地の権利取得に関しては三条二項が基本だと、三項は基本じゃない、つまり例外であるとの答弁がありました。再度この考え方についてお伺いしたい、確認させていただきたいと思います。
#91
○衆議院議員(筒井信隆君) おっしゃるとおり、第一条において、耕作者が自ら農地を所有すること、この重要な役割が規定されて、その権利の取得が規定されました。このことによってなおさら三条二項が基本であることがはっきり規定されたというふうに考えております。三条二項の方が基本であるということは、三条三項は基本ではないという趣旨、同じ意味でございます。
 それはどういうことかといえば、農地の権利の取得については、農作業に常時従事する個人かあるいは農業生産法人の権利取得が基本であるという趣旨と同じでございまして、それ以外の権利取得はこれは基本ではないということが同時に意味していることだというふうに考えております。
#92
○舟山康江君 ありがとうございました。
 農作業に常時従事する個人と農業生産法人が権利取得の基本であるということ、その趣旨で修正をしたということでありますけれども、これについて政府のお考え方をお伺いしたいと思います。
#93
○国務大臣(石破茂君) 重複した答弁になって恐縮ですが、三条二項は農地についての権利の取得の基本を定めている条項です。ここにおきまして、農地の所有権の取得ができるのは、法人にあっては農業生産法人であること、個人にあっては農作業に常時従事する者であることなどが規定されているということでございます。
 今、筒井提出者からも御説明がございましたが、これに対しまして三条三項は、基本条項であります第二項の特例として使用貸借による権利又は賃借権が設定される場合に限り第二項の規定にかかわらず例外的な取扱いができるというふうに規定しておるものでございまして、三条二項と三項の関係につきましては、修正案発議者が第三条第二項の規定が基本であるというふうな御答弁であったと、私はそのように認識をしておるところでございます。
#94
○舟山康江君 ありがとうございました。
 そういった意味では、農地権利取得に関するお考えは修正案提出者、政府は一致しているというふうにとらえていいと思います。
 であれば、第一条の目的規定におけます耕作者、耕作者による権利の取得を促進とありますけれども、この耕作者の定義は何でしょうか。その要件とは農作業常時従事要件を満たす必要があると、そういった理解でよろしいでしょうか、まず修正案提出者にお伺いしたいと思います。
#95
○衆議院議員(宮腰光寛君) お答えいたします。
 農地法上、耕作者の定義に関する規定があるわけではありません。耕作者とは、耕作する者であり、本来、汗水を垂らして耕す者を指す概念であると思います。現行農地法の通達におきましては、耕作とは土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することとされておりまして、すなわち、耕作者とは基本的には、客観的に自ら農業経営を行いかつ農作業に従事する実体を有する者を指すものと考えております。
 そして、第一条は「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、」としておりまして、現行制度上具体的に所有権の取得を認められるべき耕作者とされるのは、農作業に常時従事する個人と農業生産法人だけとなっております。政府原案では耕作者という概念が第一条から削られておりましたけれども、修正によりまして、第一条に規定することとした耕作者は、これまでの耕作者の概念と同様に解すべきものであると考えております。したがって、耕作者とは基本的には、農作業に常時従事する個人と、農業生産法人のように客観的に自ら農業経営を行いかつ農作業に従事する実体を有する者を指すものと考えております。
#96
○舟山康江君 ありがとうございました。
 政府の見解も同様と考えてよろしいでしょうか。
#97
○国務大臣(石破茂君) 同様で結構ですが、念のため申し上げておきます。
 衆議院におきます修正によりまして、農地法第一条について、原案では当初、農地を効率的に利用する者が権利を取得するとしておりましたものを、農地を効率的に利用する耕作者が権利を取得すると、このようにされたところでございます。
 耕作者の意味するところにつきましては、立法の経緯から考えますと、農作業に従事する個人や農業生産法人が権利取得の基本であり、今回の修正により今後ともこのような考え方に変わりがないものであることが明確化されたものであると考えております。
#98
○舟山康江君 そうしますと、例外規定によって、例外的に賃貸借、使用貸借によって権利の取得が認められた一般法人は耕作者ではないという、そういった理解でよろしいでしょうか。
#99
○衆議院議員(宮腰光寛君) 第三条第三項で利用権を取得する法人については、集落営農を行っている農業者が株式会社を立ち上げて行う者なども多いと予想されております。そのような法人につきまして、農業生産法人と同様の実体を有する者も出てくることも考えられております。そのような実体に着目すれば、耕作者と言えるケースもあるのではないかというふうに考えております。
 ただし、そのような法人でありましても、制度的に見ますと、第三条第三項の利用権の取得については農作業に従事することを要件とはしていないので、直ちに耕作者に当たるものではないというふうに考えております。
#100
○舟山康江君 また、今の修正案提出者の見解に対する大臣の御見解、同じということでとらえてよろしいでしょうか。
#101
○国務大臣(石破茂君) 第三条第二項が基本条項でございます。そこに規定されております農業生産法人や農作業に常時従事する個人につきましては、立法の経緯からすれば耕作者の基本である。したがいまして、それ以外のものは例外と、こういう形になろうかと思います。
#102
○舟山康江君 質問の趣旨は、例外的に賃貸借、使用貸借を認められた一般法人、それは耕作者ではないという理解でいいということですか。例外だからいいという理解をさせていただいてよろしいですか。
#103
○国務大臣(石破茂君) それは例外というものでございます。
#104
○舟山康江君 恐らく宮腰修正案提出者がお答えになられたように、実体に着目すれば、きちんと農作業に従事するという要件を備えた一般法人であれば、直ちに耕作者ではないと言えない場合もあるけれども制度的には違うとお答えありましたけれども、例外というのは、そういう意味にとらえさせていただいてよろしいですか。
#105
○国務大臣(石破茂君) 宮腰提出者からお話があったとおりでございますが、それは実体としては耕作者に該当するのであるということでございます。しかしながら、それはあくまで例外なのであって、基本は基本として、さらに今回の修正によって明確化されたということでございまして、それはしかしながら、先ほど来御指摘がありますものは、あくまで基本に対する例外としてそれは認められるということでございます。
#106
○舟山康江君 ありがとうございました。
 基本は、こういう形で権利の取得が認められた一般法人は基本は耕作者ではないと、そういうような答弁だと理解させていただきました。──いいですよね、はい。
 それからもう一つ、修正によって第一条に、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている役割を踏まえつつと規定されています。この修正の意味するところは、第三条二項において一般企業に農地の所有権の取得を認めないことを法文上明確にしていることに加えまして、目的規定においても、今後とも農地の所有権の取得については農作業常時従事要件を満たす者、つまりは満たす個人、農業生産法人、つまりは耕作者に限るべきと、そういったことを明確にしたという認識でよろしいでしょうか。修正案提出者、お願いします。
#107
○衆議院議員(宮腰光寛君) 修正案におきましては、第一条に、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、耕作者による云々、農地についての権利の取得を促進すると規定をすることとし、改めて第一条の目的の中で、農地をきちんと耕作する者に対して農地の権利を取得させるという、いわゆる耕作者主義を農地に関する権利取得の原則として明らかにしたところであります。
 ここに言う耕作者とは、先ほど申し上げましたとおり、基本的には、農作業に常時従事する個人と、農業生産法人のように客観的に自ら農業経営を行いかつ農作業に従事する実体を有する者を指すものと考えております。
 したがいまして、議員の御認識のとおり、第一条の修正により、耕作者たる農作業常時従事者と農業生産法人に農地の所有権の取得を認め、一般企業にはその取得を認めていない第三条第二項が基本であるという意味をより明らかにするとともに、今後とも農地の所有権の取得を耕作者に限り、一般企業には認めないことを明確にしたものであります。
 以上です。
#108
○舟山康江君 ありがとうございました。
 同じく、これに関して政府として同様の見解という理解でよろしいでしょうか。
#109
○国務大臣(石破茂君) 結構でございます。
 これまでも農地の所有権の取得が農作業に従事する個人と農業生産法人に限られておったわけでございますが、この修正により、今後とも農地の所有権取得について農作業に従事する個人と農業生産法人に限るべきであるということを第一条において明確にした、こういう認識でございます。
#110
○舟山康江君 ありがとうございました。
 非常にこの権利の取得に関して、それこそ衆議院の審議の中で、一般法人に対してもこの先に所有権の取得も認める方向に進むんではないかと、そんな懸念があった中で、こういった形で明確に条文が修正され、またその条文の意味するところも、しっかりと今それぞれに御答弁いただいたとおり、双方一致してしっかりと、まずは農作業常時従事者が権利を取得すると。例外的な部分はあるけれども、そこが基本なんだと。更に言えば、特に所有権取得に関しては農作業に常時従事する者に限るということが明確になった点は、非常に大きな意味を持つんではないかと思っています。
 修正案提出者に対する質問は以上でありますので、どうもありがとうございました。
#111
○委員長(平野達男君) 退室をいただいても結構ということですか。
#112
○舟山康江君 はい。どうもありがとうございました。
#113
○委員長(平野達男君) お疲れさまでした。どうぞ。
#114
○舟山康江君 続きまして、次に担い手の定義についてお伺いしたいと思います。
 今、最近の国の施策の中では、効率的かつ安定的な経営体というものを担い手に位置付けまして、ここに様々な施策、農地もそういったものも集積していくという考えの下に進んでいると思います。
 そういった中で、賃借権を認められた一般法人は担い手と位置付けられるんでしょうか。大臣、お願いします。
#115
○国務大臣(石破茂君) 今回の法律改正によりまして、企業を始め農業生産法人以外の様々な法人が農地を借りて農業経営に取り組むことができるようになるということでございます。このような企業あるいは法人につきましても、農地を効率的に利用し、継続的、安定的に農業経営を目指す者であれば、それは担い手として位置付けられるものということになります。つまり、農地という概念ではなくて、農地を利用しない例えば畜産みたいなものでございますが、これはもう既に農業生産法人以外の法人が認定農業者の認定を受けて、現に地域の担い手として活動しておるということでございますので、土地利用型等々におきましても、これを担い手として排除するということにはならないものだと思っております。
#116
○舟山康江君 そうしますと、位置付けられるのであれば、その要件、面積要件などいろいろありますけれども、その要件はどうなるんでしょうか。
#117
○国務大臣(石破茂君) 繰り返しのおさらいみたいな話で恐縮ですが、認定農業者制度は経営基盤強化促進法に基づいております。市町村が、二つございまして、地域の実情に即して効率的かつ安定的な農業経営の目標などを内容とする基本構想を策定をする、この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定すると、こういう制度になっておるわけでございます。
 市町村が認定する際の基準としては、先ほど申し上げました農業経営改善計画が市町村基本構想に照らして適切なものであること、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであることなどとされておるわけでございまして、この要件は、賃借権により農業に参入する一般の法人であったとしても全く変わるものではないものでございます。
#118
○舟山康江君 そうすると、認定農業者たる担い手に対しては、先ほど申しましたとおり、様々な施策を集中させていく中で農地の集積も図っていくと、それが一つの農政の大きな柱であると思いますけれども、一般法人、いわゆる株式会社などに対しても農地を集積するということも積極的に進めていかなければいけないという対象になるということでよろしいんでしょうか。
#119
○国務大臣(石破茂君) 今回の改正法案では、企業を始め農業生産法人以外の様々な法人が農地を借りて農業経営に取り組むということを可能とするものでございます。それとともに、農地の利用集積を図る仕組みを創設しております。その上で、企業、法人であったとしましても、農地を効率的に利用し、継続的、安定的に農業経営を目指すと、そういう主体でありますれば農地の利用集積につきましても担い手としてその対象となるというものでございます。
 現状では家族農業経営が大宗を占めておるわけでございますが、先ほど来御議論がありますとおり、従事者は減りました、耕作放棄地がどんどん増えましたと、そういう中で家族経営や集落営農に加えて様々な受け手が必要となっているという地域が出ておるわけでございます。
 ちょっと私の言い方が良くなかったかもしれませんが、今回の農地法の改正は別に耕作放棄地の解消法というような位置付けを持つものではございません。耕作放棄地というのはいろんな条件でいろんなところで起こっておるものでございます。ですから、耕作放棄地解消法的な農地法改正ではございませんが、もちろん農地法の改正の中に、そういう多様な担い手が入ってくることによって耕作放棄地が解消されるということの道は開きたいと思っております。ただ、農地法の改正で魔法のように耕作放棄地が解消される、そのようなことだとは当然考えておりません。
#120
○舟山康江君 そうしますと、育成すべき担い手にはまず個別経営体があります。農業生産法人があります。そして今回、一般法人も入りました。先ほどの高橋経営局長の話では集落営農も入り得るということでありますし、今回の法改正でまた農協も大きな担い手の可能性を秘めているということで、様々な担い手の種類が存在することになります。
 こういったものの優先順位というんでしょうか、様々、いろいろ、例えば農地を取得したい場合、何かの生産をする場合、いろんなところで競合関係にもなり得るわけでありますけれども、そういった様々存在する担い手、どうやって優先順位を付けるんでしょうか。
#121
○国務大臣(石破茂君) 優先順位をこのように付けるのだよということをこの場で一概に、はい、一がこれ、二がこれ、はい、三がこれでございますというようなことを申し上げるのは極めて難しいことだというふうに考えております。
 農地の貸し借りというものは、地域におきます農業者間の適切な役割分担が行われない、そういう場合に対する担保措置をしっかりと講ずるということが必要でございますし、農地の権利取得の許可につきましては、地域における農業の取組を阻害しないよう、周辺の農地に影響を与えないかどうかとの要件を新たに設けるというようなことが今回の改正法案に書いておるわけでございます。したがいまして、周辺の農地に影響を与えないか、あるいは適切な役割分担がきちんと行われているか等々をよく認識、把握をいたしました上で決められるということになってまいると承知をいたしております。
 また、現在新たな基本計画を検討しておるわけでございますが、今回の改正も踏まえ、より多様な担い手農業主体が共存していくことを念頭に置きながら農業構造の姿についても示したいと考えておりますし、特に農協というものが入ってくるわけでございますが、農協法は、組合員のために最大の奉仕をすることを目的として事業を行うと、そういうふうに書いてあるわけでございます。そうなりますと、農協が農業経営をやるということになりますと、組合員の営農活動と競合してはなりませんので、総会における特別決議等の手続を求めるということになるわけでございまして、それぞれいろんな事情がございます。
 要は、どのようにその地域において農地の利用が有効になされるかということが主眼に置いて考えられるべきものでありまして、家族経営を淘汰して法人が入ってくると、どけどけというようなことがないようにはよく配意をしていかねばならないことだと思っております。
#122
○舟山康江君 理屈の上ではよく分かるわけですけれども、実態上そういったことが生じた場合に、現場で果たしてどう調整していけばいいのか。
 例えば農地の権利移動の要求があった、一般法人を念頭に置けばこれは賃借に限るわけですけれども、そういった場合に、賃借権の付与に当たってどう調整するのかというのをある程度方向性を示さないと、まさに先ほど、午前中、農業委員会、非常に、いろいろな苦悩をおっしゃられていましたけれども、農業委員会なり、それこそ例えば合理化法人でも何でもいいんですけれども、その農地を調整するその場にいる人たちが非常に混乱してしまうんじゃないかと思うんです。例えば、きちんと耕作さえしてくれればだれでもいいのか、場合によっては、いやいや、それじゃなくてより効率的な利用をする人を優先するべきなのか、いや、そうではなくて、やはりこの地域のこの農村社会ということを考えた場合には、いや、個別農家を優先するのか、いろんな観点で調整していかなければいけないと思います。
 本当、今でも多分難しい部分があると思いますけれども、こうやって一般法人が入り、またそれがいわゆる国が言うところの育成すべき担い手に位置付けられ、そうした場合に、その調整の、何と言うんでしょうか、ルールと言うんでしょうか、ある一定の判断基準がないと本当に現場は大変になってきてしまうと思うんですけれども、どう対応すべきか、お示しいただきたいなと思います。
#123
○政府参考人(高橋博君) 委員御指摘の点については、実は現状におきましても個別農業経営と集落営農組織等々の問題で当委員会においても様々御指摘受けたところであります。
 まず一つは、今回新しく制度改正を行うことによりまして新たな形態の法人が入ってまいります。これについては、当初原案あるいは衆議院段階におけます修正案で一定の基準を法律上示していただきました。私どもといたしましては、この法律上の基準が地域に応じてきちんと農業委員会が判断できるようなガイドライン、これは前からも申し上げておりますけれども、早急に作成をいたしましてこれを示していくということがまず第一点でございます。
 その際、基本的に農業委員会が判断いたしますのは、農地所有者と借りる者が共同申請をして、それをいいか悪いかという形で判断をするわけでございまして、農業委員会が、この人に貸しなさい、この人に貸しなさいというような形で配分するわけではございません。したがって、今言いましたように、出てきた申請がきちんと法律上の要件に合っているか否かという観点でここの部分はガイドラインを作ります。
 それから、もう一つ大事なのは、実際的に地域の農地の利用を今どのようにしているかというのは、今度は逆に地域の権利者の同意によります利用集積計画、これが今基本になっております。この利用集積計画は地域全体の権利者の同意で進められるということで、ここのところはきちんとやりたいと思っております。
#124
○舟山康江君 そういったシステム的なことは分かるんですけれども、やはり、ちょっとこれからまた議論を進めていきたいと思いますけれども、非常に、今までにない形の一般法人、それこそ農作業の常時従事要件も課されない、今回の修正の中で役員の一人は農業には従事するということになりましたけれども、そういった一般法人が入ってきて、一般的には、先ほどワタミファームの社長もおっしゃっていましたけれども、やはり通常の個別農家よりも大きい規模での経営を初めから目指して入ってくるというところで、いろんなところで私は担い手同士のあつれきが生じるおそれがあるんじゃないのかな、ということを非常に懸念するわけなんです。
 ちょっとこれはまた後ほども触れますけれども、そういう中で今回一般法人を追加することになったわけですけれども、なぜここで一般法人を農地の受け手に追加することになったのか。先ほどの亀井委員の指摘にもありましたけれども、耕作放棄地が増えたからなのか、これの解消方策なのか。でも、これは午前中の清水参考人が、いや、耕作放棄地が増えた理由というのは、この農地法制の問題ではなくて価格の低迷が大きな問題じゃないかというような認識を示されておりましたし、武内参考人からも、いやいや、企業はそんな条件の悪い土地なんかでは営農しないよということも言っておられました。
 そういう意味では、耕作放棄地対策として一般法人を入れたというのはちょっとなかなか理屈で説明できないなと思いますし、もう一つ流動化が進まないからだというような理由もありますけれども、果たしてなぜ一般法人を追加したのか、農地法に問題があるのか、そこの基本認識を大臣にお伺いしたいと思います。
#125
○国務大臣(石破茂君) 答えは、要はその多様な担い手、多様な主体が入ってくるべきだということでございます。それしかございません。それができれば耕作放棄地が解消されるとも思っていませんし、企業が耕作放棄地に喜んでやってくるなぞとはもちろん思っておりません。
 ただ、その耕作放棄に至る原因はいろいろございまして、それを今詳細に検討はいたしておるのですが、条件が悪いからだけではない。そうじゃなくて、それ以外の理由で耕作放棄になったところもございます。優良農地なんだけれども、もう後を継いでくれる人がだれもいないとか、そういうので耕作放棄になった例もありますし、最近私が気にしておりますのは、必ずしも条件の悪いところばかりで耕作放棄が起こるわけではないと、条件のいいところでも耕作放棄は起こっているということを考えましたときに、ああ、それだったらば農地借りてやりたいなという主体を私は排除されないと思っているのです。
 そういうことで、一般法人というものを追加をするというのはそれなりの意味がある、農地の受け手にそういうのを追加するということは意味があるのだろうというふうに考えております。
 ここは一概に、先ほど来ちょっと私の言い方が悪くて混乱を招いているとしたら大変申し訳ないことでございますが、それのみをもってして解決するわけではない。しかし、耕作放棄に至る原因というものは本当にいろんなものがございまして、その解決の一助にはなるだろうというふうに私は思っておるのでございます。
#126
○舟山康江君 今大臣もおっしゃっていました、その条件の悪いところだけが耕作放棄になっているわけではないと。やはりその大きな理由は、所得が上がらないということが大きいと思うんですよね。いわゆる価格の低迷、交易条件の悪化、そういう中で、本当に条件のいい平場のまとまった集団的農地でも、うちの地元なんかでもやはり耕作放棄地になっている場合があるんです。それはやはりそちらの方の要因を取り除いていかないと、なかなか耕作放棄地対策にはならないんじゃないのかなと思っています。
 そしてもう一つ、やはり様々な担い手を確保する必要があると。それも今おっしゃいましたけれども、私は確かに様々な担い手、たくさん、あり余るほどやってくれる人がいれば一番いいと思います。その様々な担い手という意味では、まず第一義的には、今存在している農家がきちんと経営を続けられるようにする、今やっている農家が、例えばもうちょっと規模を増やしてみようか、もうちょっとやってみようかというような気持ちになることがやっぱり一番じゃないかと思っています。
 若しくは、企業の参入ではなくて、やりたい、例えば都会でサラリーマン生活に疲れて、やっぱり自然に戻りたいな、なんていって農業をやってみたいというそのニーズは少なからずあると思うんです。先日も熊本に行ってきたときに、やはり新規就農で元気に農業をやっている方がいらっしゃいました。研修生もたくさん来ていると言っていました。やはりそういった農業をやってみたいといった個人の方が入れるような、そちらの方に手だてをするとか、若しくは、やはり農業なんですから、基本的には農作業にきちんと携わるいわゆる農業生産法人、一般企業ではなくて農業生産法人がもっとやりやすいようにとか、今の仕組みの中でもっともっとやれることはあるんじゃないかと思うんです。
 こういった、農地がいろいろ、遊休農地がある、規模拡大が進まない、生産性が上がらない、そういった問題に対して、はい、一般企業に開放してこれを解決の一助としてもらいましょうというのではなくて、今申し上げたような、そちらが先決じゃないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#127
○国務大臣(石破茂君) どっちが優先してどっちが劣後するという話ではなくて、それはもう両方進めていかなきゃいかぬものなのでございますよ。
 問題は、山形でもそうでしょうよ、うちでもそうです、岡山でもそうでしょう、島根だろうがもうどこでもそうなのですが、今のまま続けるといってもどうやって続けるんだというところが本当に多いんじゃないんですかということなんです。
 山形でも、委員はもうあちらこちら現場を御存じですから御承知だと思いますが、ここは一体どんな対策を打てばここの村が十年後あるだろうかということを考えたときに、私、先々週ですね、この間もお話ししましたが、そういう人たちと議論をしてきた。どうしたらこの村十年先あるだろうかといったときに、私はぱっと答えがなかったんです。おまえはそれでも農水大臣かと言われますが、本当にそこで、もう七十代、八十代の村の人は全部出てきてくださいと言って出てきたのは三人でしたから。それが村人すべてですよ。ここに若い人が帰ってきてやると、一体何やるんですか、何を作ってどうやって売るんですか、この人たちに所得の確保をするといったところで、どうやってその所得を確保をすればいいのか、何を作ればいいのかというお話なんです。
 もう一つ深刻なのは、兼業機会がなくなったというものをだれがどうやって補うのかということを本当にまじめに早急に考えないと、村はどんどんなくなるということなのでございます。私は、農地法を改正したから限界集落が解消するなんて、そんなことは思っていません、そんな甘いものだと全く思っておりません。ただ、そこに、耕作放棄の度合いももういろんなランクがあると思っておりまして、条件のいい耕作放棄地、条件はいいんだけれども耕作放棄になっちゃいそうなところ、そこに一般法人が入ってくるということはやはり何かの可能性を開くものではないだろうかということなのでございますよ。
 所得を補償する、それは確かに魅力的な考え方です。しかし、その人たちに所得を補償したと仮にしましょう、どういうようなやり方かは存じませんが。その人たちの次の世代、今の五十代、六十代の人が、じゃ所得を補償してくれるんだったらそこへ住もうかなという気になるかといえば、私はならないと思います。そういうところの、本当に限界集落的なところは、もっと政策を総動員していかないとそこはもたないだろうと思っておりまして、そこは産業政策と社会政策をどのように組み合わせていくのかということ、思いは一緒だと思いますんで、こういうような方策を組み合わせていけば、この村に十年先に人がいるよというのは何なのだろうということは、私も一生懸命考えます。どうか、こういうやり方はどうだ、ああいうやり方はどうだ、私は、所得の補償さえすれば十年先にそこがあるかといえば、私はそうじゃないと思っているのですよ。
 どういうような農家に、つまり高齢者専業に所得を補償するというのは一体どういう意味なのだろうかということ、二種兼業農家に所得を補償するというのはどういう意味なんだろうか、若年専業に所得を補償するというのはどういう意味であるか、そのことは所得補償という言葉でもう全部インクルードしてしまうのではなくて、それぞれのタイプに合ったものを子細に一つ一つ議論をしていかないと、その人たちの声にこたえることにはならないのではないか、自分に対する反省も込めてそう思っております。
#128
○舟山康江君 やはり私は、そういった今非常に厳しい現状にある地域に企業が参入していって、多少そこで短期的にやる人が増えた、よかったね、活気が出るかもしれないと思います。
 ただ、これも御認識は一緒だと思いますけれども、やはり農業というのは地域社会と極めて一体的な存在であるわけですよね。そういう中で、農地が農地としてあるというのは、まさしく農家を中心とする人々によって保有と維持管理が一体となって行われてきた。そういう中で、地域資源を守って集落を築いて、そこにいろんな、一緒にお祭りをやりましょう、いろんな行事をやっていきましょうということで農村社会が築かれてきたわけであります。そこに、やはり企業ですから規模が大きい、効率的な経営ができる、それは一見すばらしいことかもしれません、ある意味で。ただ、そういうコミュニティーの中に企業が入ることが本当になじむのかどうか。
 何度もいろんな人が例に出していますけれども、静岡の知久さん、非常に立派な理念の下に経営もされていましたし、それこそ転用期待で何かやるとか搾取しようとか、そんな思いは全くないわけです。非常に立派な経営者でした。しかし、その知久さんでも、お話を聞いたらなかなか地域の行事には参加できていないと、やはりそういったことをおっしゃっていました。そういう地域社会と一体となって行われる農業に、かなり優良な事例だと思います、そういった優良な一般企業でさえも、なかなかいわゆる地域と一体となった行事ができない、地域社会の形成という意味では本当にうまく、何というんでしょうか、融合してうまくできるのかというところが非常に不安である中で、果たして一般企業の参入がもたらす弊害というのは後で取り返しが付かないぐらい大きなものになってしまうんじゃないのかな、そこを危惧するわけであります。
 これについてまた後でちょっとお伺いしますけれども、一つ、先ほどから受け手がいないんだと、受け手がいないから進まない、耕作放棄地も増えているというお話がありましたけれども、流動化が進まない原因が受け手にあるとすれば、今いろんな政策で出し手を優遇する政策が行われています。この法律の中でも、何でしたっけ、補正予算でも農地利用集積円滑化事業なんかは、出し手にお金を出して、出してくださいということをやるわけですけれども、おかしいんじゃないでしょうか。受け手の問題で流動化が進まないのに、なぜ出し手を優遇するのか。受け手がいない、もうからない、きちんと生活ができない、だから流動化が進まない、耕作放棄地が増えると。そういった御認識では一致していると思いますけれども、その政策というのは整合性がないんじゃないかと思いますけれども。
#129
○国務大臣(石破茂君) ここはどうなんだと。ですから、出し手ではなくて受け手の方を優遇した方がいいんじゃないのという御議論は衆議院でもございました。
 今何で農地の流動化が進まないかというのは、ずっとお答えしておりますように、兼業でも農業経営を続けることはできますよねと。そして、所有者にとってはもう貸したら返ってこないんじゃないのという不安感がありますよね。また、借り手、借りる側にとってみると、借りている農地が分散しており、これ以上借りても経営改善にはつながらないよねというのがございます。じゃ、所有者にとってはどうなのといえば、所有者にとっては貸し出す農地が担い手に面的にまとまるかということについては、それで小作料が増えるわけでもございませんので余り関心はありませんというようなことが複合的に重なって流動化が進まないというふうに考えておるわけでございます。
 今回の事業は、小規模農家でありますとか高齢農家でありますとか、そういう農地の出し手に対しまして一定の交付金を交付させていただくことによりまして、そして信頼できる仲介組織を通じてというのは、貸したら返ってこないということを払拭すると、こういうことです。担い手に面的にまとまった形で貸し付ける、そのようなインセンティブを与えるというものでございます。
 つまり、貸す側にとって何かメリットがなきゃと。よく、ただでもいいから借りてという人たくさんいるよというんですけど、実際にそんなたくさんいるかといえば、そんなにたくさんはおりませんです、貸したらどうせ返ってこないもんねとかいうような話がありまして。やっぱり貸す側にインセンティブを差し上げるということは必要なのではないでしょうか。
 あるいは、受け手である側にとりましても、毎年毎年多数の農地所有者を相手に農地の借入れの協議をするということが今の仕組みでございますが、そういうような煩わしさを取り除きまして、一つの仲介する組織とのみ協議、調整を行えばいいということ、ばらばらに存在しておりました農地というものが一定規模の団地に面的にまとまるということによって効率的な農作業が可能になる、そのようなメリットもあるわけでございます。
 受け手と出し手双方の事情に配慮をしていかなければなりませんが、私は、出し手の方に配慮をするということが必要なことではないだろうか、そこを加速化していかないと面的集積は難しいのではないかというふうに考えておりまして、何か憲法違反という御指摘もあるようでございますが、私どもはそのようには考えておらないところでございます。
#130
○舟山康江君 その件に関しましては、また次回続きをやらせていただきたいと思います。
 そもそも、農地はだれのものなんだ、所有権者たるものに何か義務がないのか。それこそ農地改革のときに自分でやるから小作地を与えられたわけであって、やれない人が持っていて本当にいいの、というところもやはり私は議論をしていかなきゃいけないんじゃないのかなと思っておりまして、次回、その議論も含めてまた続きを質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#131
○佐藤昭郎君 自民党の佐藤昭郎でございます。
 いよいよここまで来たかという感じでこの農地法の改正の質疑に参加させていただきます。
 まず、近藤副大臣の方からしっかりとまだ述べていただきたいわけですけれども、私、衆議院の議論そして参議院の議論をずっと聞くときに、私ども自由民主党が、先ほどほかの方の委員の質疑にもちょっと出てまいりましたけれども、農地政策検討スタディチームというのをつくりまして、約二年間、これ最終の中間取りまとめをまとめたのが昨年の六月五日ですね。これは近藤副大臣が座長だったんですね。四十二回議論をしてこれをまとめたわけですね、そのスタディチームの方向を。ここで私ども自由民主党のスタディチームがこれはやっぱり大事だろうと、これは入れなきゃいけないといったところが大体網羅されてきて入っておりますけれども、この衆参の質疑を聞いていますと、それ以外の分野、例えば企業の参入という問題について極めて大きな時間が割かれている。
 しかし、やはりこの法律改正の本当のキーのところのねらいは何か。私どもは、これ、食料の安定供給の確保に向けた農地政策の見直し方向ということで、トップにはこの農地の利用に関する権利者の責務の明確化というところを一番に置いて、そのほかの政策もお願いして検討してきたわけでございますが、近藤副大臣にとっては、これは麻生内閣へ入閣されて、この農地法というのはこれ自分の子供のような、それが出ていったと、衆議院で大分いじくられましたけれども、しかし思いが私はあると思いますよ。
 そこで、その当時の我々を取り巻く情勢というのは、今皆さんが話している状況よりも、世界の情勢そして国内の様々な国民の意見、相当緊迫したものがあった、その中でこれを作っていった。そこら辺も踏まえて、この農地法の改正の必要性と意義、ここら辺について、その親であると言ったら言い過ぎかもしれません、近藤副大臣の口から伺いたいと思います。
#132
○副大臣(近藤基彦君) お褒めの言葉になっているかどうかよく分かりませんが、大層なことを前振りでお話をいただきまして大変ありがとうございます。
 自民党における農地政策検討スタディチーム、これが十八年のたしか十二月だったと思います、農林関係部会の中の一つのチームとして私に座長を拝命をしろということで、まさかこんなに長いことこれにかかわるとは実は思っておりませんでした。約二年にわたって四十数回の議論を重ねさせていただいて、その間に三回の中間取りまとめ、最終取りまとめもさせていただきました。
 当時、世界の食料事情が大変大きく変化をしつつある時代であり、また食料需給の逼迫の度合いが大変強まっているという状況、そして国内の食料供給力を強化するためには、農業生産の重要な基盤である農地についてこれを優良な状態で確保をし、最大限に利用すると。
 今までもたくさんの御意見、御質問等出ておりますが、問題は、私は新潟でありますけれども、西蒲原平野を抱えております。どの農家へ行ってもよく言われるのは、高齢化と後継者がいない。西蒲原平野は大変な優良農地でありますが、そこでもやはり後継者が育たない。そして、育たないというより、自分のせがれが継がないというのが一番簡単な話でありますが、そして、耕作放棄あるいは遊休農地が耕作放棄になりかけているところが、どの地域もそうだろうと思いますが、中山間地に限らず優良な平場でも見受けられるような時代になってきた。これをこのまま放置をすれば大変な問題になると。
 一つは、いわゆる経営というものに着目した経営安定対策、もう一つは、農地そのものをどうするのかと、この耕作放棄地を含めて。やはり個々の農家を見てみれば、我々のところでは規模拡大に実はなっています。徐々に規模拡大にはなっていますが、それをよく調べてみると、もう分散錯圃であります。遠いところは、調べてみたら四十キロも先の圃場にわざわざ農機具を運んでやっているというような状況も見受けられると。やはりこれは効率的に集積をしていかなきゃいかぬだろうと。しかし、四十キロ先の部落の人たちとその人のコンタクトがありませんので、そこを今度は借りて、本来だったらその地域の人たちが、自分が耕作をしているところを耕作をしていただければ私がわざわざ向こうまで行かなくても済むのにという話もあります。
 そういった意味で、そういった分散錯圃を何とか面的集積を図れないかという思い、様々な思いがその当時ありまして、チーム、メンバーを限定をいたしまして、その思いを共通認識として約二年間、つかさつかさで中間取りまとめで発表してきたところでありますけれども、その思いを統一をしてこれに掛かってきたというのが私の率直なその当時の印象であります。
 そういう意味では、このチームのメンバーのこれに掛ける思い入れというのは大変強いものが実はありました。こうした検討の末、最大限我々のチームの意見を生かしていただいて、今回の農地法の改正法案がまとまったと思っております。
 衆議院において修正がなされました。これに関しては、私自身の気持ちとすれば、目的をあるいは目標を明確にしていただいたという点では大変感謝を申し上げます。所有者自らが耕作をする、これは基本原則です。ただし、それを基本原則としながらも、先ほど言ったような状況が見受けられる部分をどうやって解消しようかという思いで利用権の設定ということにさせていただきました。余りにも所有から利用へという、報道等がそこ一点に、我々もちょっと意に反するところが実は、確かに所有から利用権を設定したということは確かでありますけれども、所有をしている人が本来はずうっと耕作を持続可能で維持し続けてくれるのが本来の在り方でありますので、それが一〇〇%なれば別に所有権の設定というのはないわけでありますので、そうは現実的には実態としてなっていないというところであります。
 ですから、これは農地法は農地法の改正として、経営の面でそういったものを総合的にやっぱり農政というのはやっていかなきゃいかぬということで、先ほどから大臣も農地法改正をしたからめでたしということは絶対にないと。やはりすべてトータル的な面で見て、農業者が持続可能な農業をその地域で続けていただくということを最大の目標として我々としてもこれからも頑張っていきたいと思っておりますが、その中の一つのツールとしてこれは大変重要な私は改正案だと思っておりますので、どうぞ慎重な御審議の上、これは本当に、どなたかお話もしていましたけど、決して対立法案というものでは多分ないだろうと思っておりますので、是非、御審議の上、可決をしていただきますように、私からもお願いを申し上げます。
#133
○佐藤昭郎君 大変含蓄のある、特に修正部分についての御発言でありました。
 私は、今回の衆議院における修正案、特に第一条の目的規定の修正、これはやはり、読ませていただきまして、これはぎりぎりといいますか、この文章そのものもかなり分かりにくい。そこで、今の参議院の状況を考えたときに、小異を捨てて大同に付くといいますか、やはり基本的なところで、これは法案の成立を目指すためには、私はこれはやむを得なかったかなと思いますけれども、この修正案という中身に関しましては、やっぱりかなり分かりにくいというところを我々は留意しながら、この法案の特に一条の修正部分については説明していかなきゃいけないなと思っております。
 そこで、まずこの法案の中身に入っていきたいと思いますけれども、この農地の流動化と面的集積に関して、これはやはり一番の今度のこの法律改正の眼目でございますけれども、ここの法改正、今までもずっと議論されてきましたけれども、旧来の経営基盤強化法と、流動化と面的集積についてどこら辺が違うのか。今回、特に農地保有合理化法人の委任・代理方式と転貸方式、これは合理化事業と違いありますが、この点について、どう違うのか、お考えを聞かせていただきたい。
#134
○政府参考人(高橋博君) 農地の担い手に対します流動化施策でございますけれども、これまでも農地の貸し手と借り手の間の個別の相対のあっせん、あるいは貸し借りや売買を仲介をいたします機関、農地保有合理化法人でございますけれども、が一度農地の権利につきまして取得する、これを担い手に転貸、売却をいたします農地保有合理化事業、さらには圃場整備事業によります換地処分というようなことがこの流動化の大きな手段であったものでございます。
 しかしながら、例えば個別の相対あっせんでございますとなかなか量的にまとめることが困難である。それから、農地保有合理化事業の場合、どうしても権利を一度取得いたしますので、その間の保有リスクというものが生じてしまう。圃場整備におけます換地処分は、土地の区画形質の変更というハード面と権利移転というソフト面が一体となって実施されるというようなことであります。
 したがいまして、今回、このような既存の政策に加えまして、新たに農地を貸しやすく借りやすくいたします仕組みといたしまして、農地を面的にまとめてその有効利用を図るという観点から、新たに市町村、あるいは市町村公社、JA等が農地の所有者から委任を受けまして、権利を取得するのではなくて、その者を代理して、いわゆる土地の所有者を代理して担い手に農地を貸し付ける仕組みとして農地利用集積円滑化事業というものを創設したわけでございます。
 これは、従来の保有合理化事業のように事業の実施主体がいったん権利を取得すると、こういう必要がございません。したがいまして、権利を取得して、例えば地主さんから土地を買う、それを担い手に売り渡す間に農地の価格が下がるというような保有リスク、これがなくなるということでございます。この保有合理化事業が実施されてこなかった、今のような保有リスクを懸念して実施されてこなかった地域でも取組が可能となるということでございますし、さらに、この委任ということを受けて面的な集積が円滑化実施できるというふうに考えております。
 これに加えまして予算あるいは先般法律を可決いただきました税制におけます貸借に対する措置等も活用して、この面的集積の促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#135
○佐藤昭郎君 この一つの農地の流動化の現状と目標を見たときに、これをどうしていくか。それと、具体的なツールとして農地情報の整備について力入れていこうということで予算化もしたわけでございますけれども、この農地情報の共有化、進捗状況、これについて、これ二十一年度中に整備とある一定の成果を出すというスケジュールであるかと思いますが、ここら辺の状況はどのようになっておりますか。
#136
○政府参考人(高橋博君) 農地情報のデータベース化につきましては、農地の面的集積の推進等の農地政策にとどまりませんで、作付け情報あるいは収穫量情報にも活用できることによりまして生産対策あるいは農業共済の災害対策等各般の農業施策を推進していく上で極めて重要な政策ツールだというふうに考えております。
 このため、全国土地改良事業団体連合会によります農地情報システムの開発、あるいは都道府県の土地改良事業団体連合会によります地図情報の整備と連携をいたしまして、平成二十年度から、市町村、農業委員会、農業共同組合等の関係機関による農地の所有、利用状況に対する情報の共有化を始めたところでございます。
 実は、これにつきましては、地図情報のいわゆるハード部分、これについては既にもう四十五道府県で取り組まれておりますけれども、システムへのデータ入力の共有化の部分についてはまだ二十一道県ということで、半数の道県にとどまっているということでございます。この理由としましては、やはり情報共有化についての関係機関におけます取組の合意、合意形成、ここはなかなかまだ進んでいないということでございます。
 このため、今後はこれら関係機関での合意形成が進みますよう私どもとしてもシステムの内容の必要性、先進事例の紹介等を行うというふうに思っておりますし、今回の法律改正によりまして新たに創設しようとしております先ほど来申し上げております農地利用集積円滑化事業、これは委任を受けて担い手に貸し出すということで、地域の土地利用をきちんと作成をいたしませんとこれなかなかうまくいきません。これにとりましてはやはりこのような情報データの整備というのは不可欠でございますので、このようなことも踏まえて周知徹底してまいりたいというふうに考えております。
#137
○佐藤昭郎君 今回のこの改正によって、使用収益権による農地の利用と、これは長期的な投資であります土地改良投資の辺りの関係、この要するに観点から、一方では不安定な借地では効果が永続する長期投資に消極的であるというような動きもありますし、一方ではいわゆる出し手の高齢化によって非常に長期的な投資を要する、例えば土地改良の投資というものに消極的になっていくこの二つの動き、こういうものが創生されていくわけで、しかし、私の考えでは、この辺をバランス取りながら、使用収益権による農地の利用と土地改良というような長期的な投資をどうやってバランス取ったらいいか、ここら辺の一つの考え方、これからの方策、これについてどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
#138
○政府参考人(吉村馨君) 委員御承知のとおりでありますけれども、土地改良事業については、地域により、あるいは当事者間の関係によりまして農地所有者が土地改良事業に参加している場合もありますし、また受け手が参加している場合もあります。ただ、最近の状況では、やはり担い手が農地を借り受ける場合、特に大規模に経営をする場合には圃場整備が行われた農地を志向するという状況になっておりますので、農地所有者、受け手を含めた地域の話合いの中で土地改良事業が実施されていると、こういうことでございます。
 農地法の改正によりまして、農地の賃貸借がこれは進んでいくわけでございまして、先ほど委員が御指摘になったような状況、あるいは影響がどうなのかということをもちろん踏まえなければならないわけですけれども、今申し上げましたような状況の中で、圃場整備が行われた農地でないと受け手が見付けにくいということ、このことを農地所有者あるいは規模縮小を考えている農家に理解をしてもらいながら地域の合意を形成して、水田の汎用化とか区画の拡大、あるいは水利施設の更新などの基盤整備が円滑に進むように対応していきたいというふうに思っています。
 また、そういう合意をしていくための一つのツールといたしまして、一つは、基盤整備を契機として担い手に農地を集積した場合の土地利用調整活動、これに対する支援というのを行っております。また、老朽化した水利施設の機能診断を促進して適時適切な更新を行っていくための支援というのも必要ですし、また、土地改良事業等の農家負担金の軽減対策、これも重要だと思います。さらに、総事業費を抑制するコスト縮減への継続的な取組、こういったことを行って、今後とも、我が国の食料供給力の最も重要な基盤である農地、それから農業水利施設について計画的な整備を進めていきたいというふうに考えております。
#139
○佐藤昭郎君 私が少し調べたところによりますと、北海道の場合は、土地改良区、土地改良事業を行っていく場合の土地改良区の特別賦課金、これは事業の負担金ですね、それから経常賦課金ともこれ使用収益権者が負担していると、要するに営農者が、借り手がやっているというのが五割なんですけど、内地ではこれ二〇%なんですね。ですから、ここら辺の使用収益における農地の利用と土地改良投資等については、やはりよく見ながらひとつ、地域にとって一番いいやり方で進めていく必要があると思いますので、それはひとつお願いしたいと思います。
 次に、今回の農地法の改正、これは私どもが農地、農業政策の中で特に力を入れております担い手への農地の集積、集約、これを進めていく、この一方で、生み出された農村地域のそういった資源をどういうふうに振り向けていくかということで、生み出されるその労働力をどう活用していくかという点も課題なわけですね。この農業政策、産業政策と、それからそこに生み出された労力、これはもちろん農業の六次産業化というものもありまして、農業周辺の産業、雇用の吸収と言われますが、これをどういうふうにバランスを取って進めていくか、この点は私、非常に重要だと思うんです。
 この新しい農地法、そして担い手への農地の利用集積を進めていくと同時に、生み出された様々な資源をどうやって地域の活力のために役立てていくか。私どもも、二十一年度の補正予算で地域活性化交付金等を使いまして様々な取組をしております。自由民主党としても農商工連携、地場産業への農業参入、いろいろありますね。そのような意味で、今回の担い手への農地の利用集積、これをある意味でチャンスととらえて地域の活性化に結び付けていく地域政策、この点についてはどのようなお考えを持っておられますか。
#140
○政府参考人(吉村馨君) 今委員の御指摘になりました、担い手に農地が集積をしていくということ、そこで、出し手農家を農村の中でどうやって位置付けて農村の活力を維持していくかということは非常に重要な点だと思っております。
 これまでも、中山間地域の直接支払制度あるいは農地・水・環境保全向上対策、これらで地域の共同取組活動、これを支援をしてきているわけでございまして、そういった取組の中で、地域の話合いによってのり面の草刈りとか水路の泥上げ、こういったことに出し手農家が参加をして、そして日当が支払われると、こういったことも一つこれまでの取組としては行われてきたわけでございます。
 ただ、もちろんそれだけで十分ではないというふうに認識をしておりまして、先ほど大臣からも答弁をいたしましたけれども、産業政策としての農政だけではなくて地域政策としての農政も重要であると、そういう視点に立って、一つは農村集落の機能低下に対応して、将来にわたり地域社会を維持していく事業を展開する地域マネジメント法人の育成でありますとか、あるいは農山漁村が本来有する自然環境の保全など、様々な機能の向上を図る活動への支援、こういったことについて検討していきたいというふうに考えております。
#141
○佐藤昭郎君 是非ひとつ、これを利用し、活用しながら地方の活性化をお願いしていきたいと思います。農業の粗生産額十兆円に対して、例えば食品産業分野百兆円、ここら辺の連携をどう取りながら地域の活力を生み出していくか、この点にも今回の私はこの法改正というのは資するのではないかというふうに思います。
 次に、優良農地確保対策で少し伺いたいわけでございますが、農地転用の規制というものを、優良農地として確保していく一方で、様々な不適切な土地利用についてはちゃんと見ていかなきゃいけない。そういう中で、農業委員会の役割、これは十七年から十九年まで、私の手元にある資料ですと、二万四千件以上のやはり農地転用についての問題案件がある、八割以上がやはり追認許可ということで農地に戻されなかったわけですね。農業委員会への届出なくして農地転用の手続を取っていない、そういうところで、どうやって優良農地を確保をしていくかというような観点から、地域の土地利用を踏まえた、この優良農地の確保対策についてのお考えを伺いたいと思います。
#142
○政府参考人(吉村馨君) ただいま委員から違反転用の状況それから追認許可がかなり実際に行われているということの御指摘がございまして、これについては私どもも決して望ましいことではないということを考えております。
 今回の改正案におきましては、一つは違反転用について罰則の強化をいたしまして、法人については三百万円を一億円に引き上げております。また、違反転用者が確知できない場合などに、原状回復を都道府県あるいは農林水産大臣が直接行う行政代執行制度の創設などを措置しているところでありまして、こういった言わば違反転用について厳正に対処する措置ということが盛り込まれましたので、違反転用が割に合わないものであるということが明確になって、一つは違反転用の抑止力として機能するというふうに考えております。
 一方で、この違反転用についてはやはり早期発見、是正をしていくために、農業委員会の活動というのは非常に重要でございます。
 これまでも、定期的に農地パトロールを実施をするというようなこと、また、それで違反転用を発見した場合には都道府県等に通報するというようなこと、都道府県と連携しながら違反転用者に対して是正指導を行うと。こういったことを農業委員会がやってきたわけでありますけれども、今回の改正法案において農業委員会の役割はますます大きくなりますので、そういったことで、私どもとしても都道府県や農業委員会系統組織を通じて説明会をしっかり行っていきたいと思っておりますし、また、分かりやすいマニュアルやパンフレットを作成をして、農業委員会が今回の改正で担うことになった事務を適切に実施できるように必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。
#143
○佐藤昭郎君 次に、耕作放棄地対策、遊休農地対策について伺いたいと思いますが。
 平成十七年現在で約三十九万ヘクタール、耕作放棄地があると。農振農用地区域でもこれ、私の資料ですと二〇〇五年に十五万ヘクタールあるということでありますね。これをどうやって改正していくか。適切に利用していない場合は保有コストを引き上げるなんていう政策もあるわけでございますが、経営基盤強化法で今回改正して罰則規定等を設けたわけでありますが、前にもその罰則規定があったんですけど、これはなかなか発動されないんですね。一方で、不在村農地所有の実態というのもあって、総農地の一割、六五%で耕作放棄が行われているといった一つ問題もある。
 今回、こういう状況を、耕作放棄地対策を今回の法改正でどのように解消していくかという、その道筋についてお述べ願いたい。
#144
○政府参考人(高橋博君) 耕作放棄地、いわゆる遊休農地の解消でございますけれども、これは制度面だけでできるということではもう、先ほど来の御議論からも当然あるわけでございますが、一方において現行制度が抱えておった問題もあるわけでございます。
 端的に申し上げますと、今の遊休農地対策、制度的には、市町村がここが遊休農地でここの対策を講じなければならないというふうに、まず市町村がここを指定をいたしませんと法的措置が発動しないということになっておりました。したがいまして、今回、遊休農地、実態的に遊休農地であれば直ちに法的措置に移行できるという形にまず入口を広げるということでございます。
 それから、第二点目は、最終的には所有者の同意がなくても借りたいという人がおられればこの土地は貸すということが遊休農地対策の一番厳しい法的な効果でございますけれども、これまでは所有者が分かっている土地でないとこの対象にはなりませんでした。現実的には、実態的にその地域で相続等があるというようなことの結果、農地所有者自身が不分明になっているというようなところもございます。そういうような土地については、これもまた遊休農地対策の対象じゃなかったものを、今回は、一定の手続によりまして、農地所有者が不分明であっても、あそこの土地空いているから借りたいというようなことであれば、きちんとした手続を講じた上で借りられるようにしていくということも措置を講じたところでございます。
 いずれにいたしましても、まず遊休農地全体についてきちんと目をみはっていく、そして、所有者が分かっていようと不分明であろうと、ここのところについては最終的に借りたいという人があればその人に貸していくような仕組みということを取りまして、制度的な対応はさせていただいたところでございますけれども、やはり現実的には何を作るかとか、そういったものと一体的に進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#145
○佐藤昭郎君 次に、農業部分に対する企業参入、法人の参加という点について伺いたいと思うんですけれども、今日も、私の前にいろいろな質疑がありました。そして、参考人、午前中、をお呼びしていろんな意見を伺ったわけであります。
 私は、この企業参入に関しまして、相当これまでの特区制度を使いまして、随分経験が積み重なってきた。そして、参入企業に対してもいろいろな今まで戸惑いもありましたけれども、徐々にこの数が増えてきた。
 そういう中で、担い手並みの支援措置というしっかりした形での今の、今度はある意味で、企業の参入については、今日も質疑があったとおり、門戸を広げて更に特区制度を全体的に広げていくということになるわけでございますが、その場合の企業参入に関して、今までの実績を伺いますと、やはりいろいろな、今日も午前中の参考人質疑でいろいろな壁があるというお話を伺って、それなりの対応を現地では言っている。やはりこの部分に関してのノウハウはまだまだ各自治体や各団体においても少ないわけでございますけれども、やはり参入する企業についても、今回の法改正の中である程度位置付けをして、しっかりこれをある意味で支援していくことが最終的には農地の有効利用につながっていく、我が国の農業を強くしていくことにつながると思うわけでありますが、この点についての今回の法改正におけるねらい、あるいは目標、そういったものについて伺いたいと思います。
#146
○政府参考人(高橋博君) 今回の法律改正によりまして、企業を始めといたしまして、農業生産法人以外の様々な法人が農業経営に取り組むことが可能となるということでございます。これにつきましては、先ほども大臣からお答えさせていただきましたけれども、このような企業あるいは法人につきましても、農地を効率的に利用しまして継続的、安定的に農業経営を目指すという者であれば、やはりきちんと担い手として位置付けて支援をしてまいるということでございます。
 このような法人、現状ではいわゆる特区制度、それからリース方式によりまして実際に参入されているところでございまして、これまでに約三百二十程度の法人が出てきておるところでございます。ただ、やはりまだ経営を開始して年数がたっていないというようなことから、経営状況についてはまだまだ厳しいという法人が圧倒的に多いわけでございますし、実態的な、例えば経営面積そのものをとりましても、六割の法人が二ヘクタール以下の経営面積というようなことでございまして、そういった意味でのまだまだ大規模的な経営の展開を行っているわけでもございません。
 したがいまして、このような担い手として位置付けられるような法人に対しましては、経営安定対策への加入、あるいは日本政策金融公庫等によります制度資金の融資、機械施設等、初期の設備投資も含めてでございますけれども、導入に対する支援など金融、予算、税制等の各般の措置を講じることによりまして、経営安定あるいはその発展ということを図ってまいる、そして、結果として地域におけます力強い農業構造の確立に資してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 なお、先ほども申し上げました、これまでも特定法人貸付事業、リース方式あるいは特区で入って、参入してこられた企業の中には、既に認定農業者となられまして、経営安定対策に加入している、あるいはスーパーL資金を活用しているということで、積極的な事業展開を行われているということもあるというところでございます。
#147
○佐藤昭郎君 ありがとうございました。
 最後に、大臣に、農業者あるいは地域の方々に対して、今度のこの法改正のメリット、先ほど様々な質疑を伺っておりましても、また衆議院における質疑を拝見いたしましても、私どもこれに、党の中でのスタディチームでずっと議論してきた者にとってみると極めてよく分かっている問題、ポイントにつきましても、地域の方々、農業者に対してはなかなかメッセージが伝わっていないという点は私も感ずるわけであります。
 大臣におかれて、これから、今法改正のメリットの周知や不安感についてしっかり発信していっていただきたいと思うわけでございますが、お考えを伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
#148
○国務大臣(石破茂君) メリットにつきましては先ほど来御説明を申し上げておるとおりでございますが、質疑の中にございますいろんな御懸念、御不安というものもございます。それを周知しなければ法律を改正した意味がほとんどないと思っています。
 戦後の農地解放というのは一体どういうふうにして行われたのかという議論も省内でしたのですが、経営局長がこんなものがありますと見付けてきたのが、何と大部の紙芝居なんですね。その農地改革はなぜ行うのかということを何十枚かの紙芝居にして、こういうふうにしてやるんだと、これが意義であり、やり方はこうである、懸念はこのように払拭されるんだねみたいな紙芝居で、今の時代にそれが、今どき余り紙芝居はやりませんし、できるとは思いませんが、周知徹底の方法については、この法案が御可決いただきましたならば、すぐにできるような形で私どもとしても準備をいたしておるところでございます。
 JAあるいは市町村、特にやはり、私は広域合併を別に否定するつもりはないのですが、市町村の、つまり村に村役場があり町に町役場があったんですが、それがもう市役所の支所という形になってしまって、どうしても行政の発信力が地域によって落ちているという認識を持っております。あるいは、JAも統合が行われておりますので発信力が落ちている。だとすれば、我々農水本省が今までの二倍、三倍の努力をして周知徹底を図らなければこの法改正の意味がないと思っております。農政局もあるいは農政事務所も総動員をいたしまして、今回のメリットというものをよく御理解をいただくように努力をいたしてまいります。
 委員におかれましては、全国的に大勢の支持者がいらっしゃいますので、それぞれの地域においてどうなんだろうかということをまた御教示をいただきまして、委員始め大勢の方々が成し遂げられたこの法改正の原案でございますから、この実効が図られますように、また御教導賜りたいと存じます。
#149
○佐藤昭郎君 ありがとうございます。
 終わります。
#150
○草川昭三君 公明党の草川です。
 まず第一に、六月の三日に開催をされました経済財政諮問会議、御存じのとおりでありますが、そこに提出をされました内容を見ますと、農政改革の展開方向というのがあります。ところが、そこの中に、かねて大臣が主張されておられます米の生産調整についての提言がないわけでありますが、どういう経過なのか。
 あるいはまた、今月の月末、二十三日か何日か分かりませんが、多分そのころにいよいよ骨太方針というのが政府によって提案をされますが、その骨太方針に日ごろの大臣の見解というのはどのように提言をされるのか、あるいは反映をされるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#151
○国務大臣(石破茂君) 六月三日の経済財政諮問会議でございます。
 総理からは、基本方針二〇〇九には農政改革の方向性をしっかりと打ち出せと、このような御指示がございました。これを受けまして、六月九日に経済財政諮問会議がございまして、ここには基本方針二〇〇九の素案が提出をされております。そこにおいて、農政改革については、産業としての持続性、食料の供給力、農山漁村の活力、この三つを再生するために政策の新たな展開を図るということが示されておるわけでございます。
 特に、先生御指摘の米政策、水田農業政策でございますが、そこには、「現在の水田農業の構造改革が遅れていること、生産調整の実施者に不公平感があることを踏まえ、自給力の向上のための米政策・水田農業のあり方について検討を進める。」こと、「世界的な食料需給のひっ迫の可能性も踏まえ、大豆・麦・米粉・飼料米などの定着・拡大が進むような思い切った生産振興策を検討し、早期に実施に移す。」こととの方向性が打ち出されておるところでございます。
 この二〇〇九につきましては、現在内閣府が与党との調整を行っておるというふうに承知をいたしておるわけでございますが、農政改革につきましては、この素案、これをベースに議論が進むというふうに考えておるところでございます。
 私は、先ほど申し上げましたように、米政策、水田農業の在り方については、構造改革が遅れています、不公平感があります、これについての答えというものは出していかねばならないものだというふうに考えております。
 ただ、私どもとして、今、生産者の方、消費者の方を対象といたしましていろんな御意見を承るということを行っておるところでございます。今現時点においてこう書かれる、こうあるということを申し上げることはそういうような背景からできませんが、この素案をベースに議論が進むというふうに考えておりまして、方向性というものは明らかに打ち出されるべきであるというふうに認識をいたしております。
#152
○草川昭三君 よく分かります。
 同時に、そこの中には、今も大臣の答弁に触れられておりますが、生産調整の実施者には不公平感があることを踏まえなければいけないと、同時に水田農業の構造改革が遅れているということも明言されておるので、それは当然のことながら私はこの骨太方針の一つの大きな柱にされるべきだと思いますし、また同時に総合的な工程表を作成したいと。工程表という言葉もこの提言の中にはあるわけです。これはもう一定の、工程表と言う以上は具体的な日程が提言をされなければいけないと思うので、私は是非そういうことを踏まえた骨太政策に肉付けをしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 第二番目の問題でございますが、平成二十一年度補正予算には米粉用米あるいは飼料用米等の転作作物の生産に対する支援策が設けられておりますが、こういうような新しい事業に取り組むことになった考え方を改めてこの際お答えを願いたいと思います。
#153
○国務大臣(石破茂君) 当初予算また補正予算におきまして、麦、大豆等、あるいは米粉用米、飼料用米について支援を講じたところでございます。内容は繰り返すことはいたしません。
 要は、麦を作ってちょうだい、大豆を作ってちょうだいと申しましても、なかなかそれは難しい。技術の問題もございます。あるいは気象条件もございます。そうすると、やはり日本において、世界に誇るべき装置であります水田というものを使って自給率を上げていく、あるいは自給力の維持を図るというふうに考えましたときに、米粉米あるいはえさ米というものは非常に大きな意義があるのではないかと考えております。
 ただ、そうは申しましても、そこにまさしくマッチングというものを図っていかなければいけませんで、米粉米を作ったはいいけどだれも使ってくれない、あるいはえさ米を作ったけどだれも使ってくれないということになりますと、それはもう作る意味がないわけでございます。
 したがって、助成をすることによりまして作る意欲というものを喚起したい、そしてまたマッチングを図ることによってそれがきちんとした流通に乗り、政策目標の実現に資するようにしたいと考えておるところでございます。
 なお、これは主食用米の政策とはまた別個に両立し得るものだというふうに考えておりまして、米粉米、えさ米をどんどん充実させればいいじゃないかと、それだけでは私は問題の本質は解決するとは思っておりません。それはそれ、これはこれとして、いろんな政策を打っていかなければ水田の有効活用というのは図られないと私は思っておるところでございます。
#154
○草川昭三君 水田の利用の問題については大臣の答弁のとおりだと思います。
 それで、六月のこの三日にさかのぼりますが、経済財政諮問会議で大臣は、平成の農地改革の内容や支援策について生産現場に浸透させるよう徹底的な取組が必要だということを言っておみえになります。本日の委員会でも、各委員の方からこのような点に集中的な議論があったところであります。
 非常にこれは私は重要な問題だと思いますが、経済財政諮問会議というものが非常に重要な会議でありながらも、しかも、マスコミには一応載るんですけれども、その中身の解説というものがなかなか詳しく周知徹底されていかないというところに、私は、今のこれは内閣府に責任があるのか当該の参加をする各省庁に責任があるのか分かりませんけれども、とにかく徹底的な取組を実施をするという具体的な提言というものを私は必要だと思うんですが、その点、大臣の見解をお伺いします。
#155
○国務大臣(石破茂君) 御質問いただきましたので、もう一度この改正の意義をおさらいの意味も含めまして申し上げたいと存じます。
 農地を確保し、これを最大限に利用しなければいけません。とにかく、利用というものを図っていかなければ農地は生きないということでございます。持っていながら利用しないという方がおられますので、これをどうするかということでございます。
 基本理念を見直します。つまり、利用というものに焦点を当てます。そして、改正される法律は農地法だけではございません。農業経営基盤強化促進法、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法、そして農業協同組合法、この四つの法律の改正をいたします。また、予算などによります制度運営の支援策につきましても、相続税の納税猶予制度の見直しに加えまして、これは法改正と必ずしもリンクしなければいけないというものではございませんが、補正予算によりまして農地集積加速化事業、従来にない事業をやっておるわけでございます。
 これを本当に皆さんが知ってもらわなければどうにもならぬということは先ほど佐藤委員にもお答えを申し上げたとおりでございまして、これの周知徹底には本当に全力を挙げてまいります。
 パンフレットというものは、ともすれば、字をそのままずらずらずらと書きまして、これがパンフレットだなんぞというところがございましたが、そうではなくて、何が疑問ですかというようなことにきちんとお答えをする。あるいは、こんなことにお困りではありませんかというようなことをきちんと提示をする。そういうような形で、分かりやすいパンフレットを作っております。
 そして、最近インターネットなんか引きますと、よくある質問なんというのがございますが、そういうものにきちんとお答えができるような質疑応答集というような説明資料を作らなければなりません。作っただけでは意味がありませんので、それをどうやって活用するかということでございます。
 行政機関、農業団体、経済界などと連携をいたしまして、説明会、研修会というものは、よし分かったと言ってもらえるまでやります。やったらそれでおしまいじゃなくて、私は本当は理解度テストもやりたいと言っているのでありますが、何となく一知半解で帰られるとますます変なことになりますので、それが本当にきちんと分かったかどうかというチェックもやりながら、研修会を開催したいと思っております。
 これが平成の農地改革なぞという大変大仰な名前を付けておりますが、それは先ほど申し上げましたように、昭和の農地改革に匹敵する事業であるというような認識の下で、ありとあらゆる手法を通じまして周知徹底を図ってまいりたい、そしてまた、それによって何か障害が生じたとするならば、そのことがすぐ入ってきて、また改善が図られるように、そういうことがないのが一番望ましいに決まっておるわけでございますが、もうこれでいいだろうということではなくて、実際の運用において、それが円滑に行われるかどうかもきちんと点検をしてまいりたいと存じます。
#156
○草川昭三君 よく分かりました。まあ頑張ってください。
 それで、その次の話でございますが、農地の貸借の規制を見直して多様な経営体の参入を促進するということになっており、いろいろと心配する御意見もあったようでございますが、多様な参入主体という言葉の私はイメージがどこまでなのかという、ちょっとその考え方だけ答弁をお願いします。
#157
○政府参考人(高橋博君) 今回の改正によりまして、農業生産法人以外の法人の農地貸借による農業参入が可能になるわけでございますけれども、これにつきましては、もう既に特定法人貸付け、いわゆるリース方式での参入で行われている形態、公共事業の減少に伴いまして、抱えている余剰労働力あるいは建設機械を活用して、雇用と収入の確保を図るため地元建設業者が参入しているようなケース、これがまず一つあります。
 それから、地元の特産物や自社の加工原料の安定的な調達を図るため、ワインの醸造会社あるいは日本酒、清酒の製造会社、オリーブの加工会社等の食品加工業が参入しているケース、これも現実としてございます。
 また、農外からの企業参入だけではなくて、今後は農村集落において、まず一つは制度的にも農協が担い手の不足する地域において組合員のニーズに基づいて農地を引き受け自ら農業を開始するということも新たなタイプとして出てまいります。
 また、農家に限らず他業種に従事している非農家を含めた集落の構成員、これを幅広く集めた集落営農組織、こういったものの法人、そういったものの設立も可能となります。
 また、地域におきまして農村民宿あるいはもう少し幅広い観光と農業、このような融合を行うようなそういう法人ということも可能になってまいるわけでございまして、これは地域の非常に様々な工夫が反映できる、そういった参入が期待できるというふうに考えております。
#158
○草川昭三君 経済界も含めて幅広く制度を周知する、そういう趣旨の御答弁だったと思うんですが、私は大型資本の参入はこれからどういう形で出てくるか分かりませんし、国際的な資本というものがいつどこでどのような形で出るかも分かりませんけれども、一応は予測をする必要があると思うんでございますが、何らかのそういう場合の規制ということもあらかじめ考えておく必要があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#159
○政府参考人(高橋博君) 御指摘のとおり、様々な形態の法人が参入が予想されるわけでございます。現状では先ほど申し上げましたような地域の建設業者あるいは食品加工業というのが参加しているわけでございまして、今後ともそのようなものが多いということだと思いますけれども、当然のことながら大企業を含めた法人の参加ということも可能になってまいります。
 これにつきましては、これまでの当委員会におけます御議論の中におきましてもこのようなケースについての御懸念、そういったものを払拭するため、今回の改正では農地の権利取得の許可につきまして、基本的にはまず貸借に限られている、所有権ではないということがあるわけでございますけれども、加えまして、地域における農業の取組を阻害しないよう周辺の農地の利用に影響を与えるかどうか等の基準を新たに設けることといたしまして、企業の農業参入に当たりましても地域におけます農地利用の方向を阻害しない、これについてはきちんとしたまたガイドラインを示してまいりたいと思っておりますけれども、こういうことで担保してまいりたいというふうに思っております。
#160
○草川昭三君 今度の補正で農業法人による雇用という問題が取り上げられております。いわゆる雇用での農業参入を促すために、いわゆる雇用事業の充実に三十九億円、新規就農者に対する農業機械、施設の整備を支援する新規就農定着の促進事業に五十五億円、かなりの金額が計上されているわけですが、これはもう具体的なメニューというようなものはもう準備できておるのかどうか含めてお答え願いたいと思います。
#161
○政府参考人(高橋博君) まず御指摘の農の雇用事業でございますけれども、これは二十年度の補正予算におきまして既に予算規模千人で開始をいたしました。今回の二十一年度補正予算では更に二千人分につきまして措置をいたしました。これについては事業実施主体、これは全国農業会議所になるわけでございますけれども、先般、六月八日から募集を開始いたしまして、六月二十六日までこれは申請を受け付けるというところでございます。その後、要件具備等の審査を行った上で七月中には採択、決定を行うというふうに承知しております。
 また、新規就農者への支援対策でございます新規就農定着促進事業、これは新規就農者が導入する施設等の設置に対しまして地域におけます担い手育成総合支援協議会を通じて補助するものでございますが、具体的な手続につきましては、当面、六月下旬を予定しておりますけれども、そこから受付を開始をいたします。一月間程度地域協議会から事業申請の受付を行いまして、これも要件具備等の審査を行った上で七月中には採択の決定を行ってまいりたいというふうに思っております。
#162
○草川昭三君 続いて、この補正の中に農地集積加速化事業、先ほども答弁にあったようでございますが、約三千億の予算が積んでありますけれども、この事業によって農業の構造改善はどのように進むのか、概略で結構ですからお答え願いたいと思います。
#163
○政府参考人(高橋博君) 本事業につきましては、いわゆる担い手に対しまして農地を面的にまとめた形で何とか集積をしていきたいということで新たな手法として設けたものでございます。
 これによりまして、先ほどもちょっと御答弁させていただきましたけれども、二十七年度に向けて、担い手にまず農地面積、経営面積そのものは七割から八割程度の集積を行ってまいりたいと思っておりますが、その中でも面的にまとまった農地をそのうちの七割程度まで持っていきたいというふうに考えているところでございます。
 あともう一つ、この担い手につきましては、先ほどもお話し申し上げさせていただきました、家族農業経営、法人経営等の個別農業経営だけではなくて集落農業経営という、集落営農組織というような形でのまとまった組織形態についてもこの対象としてまいりたいというふうに考えております。
#164
○草川昭三君 荒廃した農地の復元を行うために国は経費の半額補助、また十アール当たり最高五万円の交付金を交付するということがありますが、だれが具体的な対象者を認定をし、どこでそういう決定が行われるのか、お答え願いたいと思います。
#165
○政府参考人(吉村馨君) 委員御指摘の事業は、耕作放棄地再生利用緊急対策ということで、二十一年度の新規予算、それから二十一年度の補正予算に盛り込まれておりますが、この事業では、市町村や農業委員会、JA、土地改良区、農業公社などの農業関係団体が構成員となる市町村単位の地域協議会、これを設立をして、そこが交付金の交付手続を行うということといたしております。
 その中で、具体に耕作放棄地の再生作業を行う者から、こういう再生作業を具体的にする、それから土づくりとしてこういうことをする、さらに作付けの計画としてこういうものをするということを提出をしてもらって、その内容に応じてその再生作業を行う者に対して交付金を交付するということといたしております。
#166
○草川昭三君 もう時間が来ましたので最後に大臣にまとめて質問を行いますが、いわゆる七年度の骨太の方針の中に五年程度を目途にいわゆる耕作放棄地をゼロにするという非常に重要な決意が一応は述べられているわけです。何回かここで答弁されておりますから、我々も大変期待をしておるわけでございますが。実は耕作放棄地の中にかつての国営農地開発事業の、俗に言う国営パイロットがあるわけです。その国営パイロット、全国にたくさん残っておると思うんですが、そこの中に耕作放棄地というのがあるわけですから、これは、ああそういうものですかとなかなかこれは認めるわけにいかないような気がするんですね。だれがそういう計画を一体立てて、私どもの地元なんかでも二百数十億の事業予算で国営パイロットが行われてやっておるわけですが、期待した営農ができないわけですよね。そういうのでそれが放置をされたままの状況になっておるんですが、そういうことを含めて、私はこの大臣の決意というものが少なくとも骨太の中に反映をするといっておみえになるわけですから、最後にそれをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#167
○国務大臣(石破茂君) 現状のままでは耕作できません。
 耕作放棄地の現状を的確に把握をするという全体事業調査を実施いたしました。この調査によりまして、草刈り、伐根などの作業をすれば利用は可能とされておりますのが十万ヘクタールでございます。ですから、草刈り、伐根をすれば利用は可能だということでございますので、平成二十三年度を目途にこの開始をやりたいと、十万ヘクタールでございます。しかしながら、これはまだ程度のいい方でございまして、いったん耕作放棄地になっちゃったというところをどうやって農地に戻すか、これも大変な作業でございます。
 答弁でも申し上げましたが、耕作放棄地どうしようかという方々は、じゃ、どうするのといいますと、耕作放棄地対策協議会というところに御相談くださいと。そこにはJAであり、市町村であり、農業委員会であり、いろんな人がいて、じゃ、どうしようかということを相談するようになっていますというふうな答弁を申し上げました。
 私は、この耕作放棄地対策協議会って実に大事なんでございますが、さて、それがどこにあるかというのがすぐお分かりになる方は余りおられないのではないでしょうか。
 現在、これは都道府県には四十七すべてこの協議会ができておりますが、市町村は三百五が設立できているにすぎません。五百七十が今準備中ということでございまして、全部合わせても四九%にしかすぎないわけでございます。
 この耕作放棄地協議会というのがどうやって動くかというのがかなりこの問題の解決のかぎを握っておるというふうに考えておりまして、これの設立をきちんとやっていかなければなりません。そうでなければ、市町村に電話をして、耕作放棄地対策協議会というのがあるんですってというふうに言っても、何のことですかそれは、みたいなことになりますと、一体この対策は何だということになるわけでございます。そういうことをやっていかなければなりません。
 そして、土地の出し手、受け手、これをマッチングさせるというような取組が着実に進められるよう省を挙げて取り組んでいかねばならないと考えておりまして、どうか委員の御地元におかれても、国パでもそんな話でございますから、もっともっと山ほどそんなものがあるわけです。何のために国費を導入してそういうことをやったのかということ自体が問われるような事態でございまして、この耕作放棄地の解消というのは本当に全省を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、委員各位の御地元におかれましても、どういうような状況になっているか、また御教導いただきまして、この事業の更なる実効性を高めていただきたいと存じます。
#168
○草川昭三君 終わります。
#169
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 二回目の質問になりますけれども、最初に、ここにちょっと持ってきました署名です。これは団体署名でありまして、これで二次分ですから、もう一次分は既に出しているものです。それで、良識の府として是非とも慎重の上にも慎重に審議をしていただいて、反対され廃案とされますようにということで、七百五十団体分ここに集まっておりますので、最初に御紹介をしておきたいというように思います。
 それで、何のためにこの農地法改正なのかということがずっと議論がされてきているわけですけれども、そのいろいろやり取りの中で、いや、耕作放棄地をなくすためではないということを言われて、じゃ、何のためかというと、これは有効利用を、そこに着目をして、とにかく有効利用を促進するためなんだということをお話しになっているわけですけれども、私は、やっぱりもう最大に有効利用を促進していくというためには、やはり今現に地域に根を張って頑張ってこられている大中小、あるいは集落をつくったりとかいろんな形で今やっていますけれども、そういうところを中心にしながら、本当にそこに住み続けられると、やり続けられるという対策を取っていくということが最大のやっぱり農地を農地として有効利用していく道ではないのかなというふうに思っております。
 それで、今日は一条の目的のところの修正のところからというふうに思っていて、実はこの修正の内容について聞こうと思っていましたら、先ほどかなり詳しく舟山議員がやり取りをされましたので、一応確認という形で私もさせていただきたいと思います。
 それで、元々は、農地はその耕作者自らが所有することを最も適当と認めという形で、中省略しますけれども、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とするという現行の規定があって、これが改正の原案のところでは、この耕作者のところの文言というのが全部削られてしまったという経過があったけれども、しかし修正によって、いったん削られた耕作者の地位の安定ということが復活をされたと。
 それで、その内容についてということでいいますと、修正によって、農地についての権利の取得を促進すべき対象が農地を効率的に利用する耕作者というふうに明記をされたことによって、これまでどおり農作業に常時従事する耕作者であるべきという原則が貫かれるというふうに理解をしていいと。つまり、それ以外の個人や法人というのは例外であって、だからこそ利用権に限って特別の制約条件の下でのみ権利取得が認められるという理解でいいのかということですけれども、まずこれについて。
#170
○国務大臣(石破茂君) 確認でございますので繰り返しみたいなことになって恐縮ですが、お許しをいただきたいと存じます。
 この立法の経緯、すなわち修正に係る立法でございますが、立法の経緯からいたしますれば、農作業に従事する個人や農業生産法人が権利取得者の基本ですと。今回の修正により、今後ともこのような考え方に変わりがないということが明確化されたものでございます。そのように私は認識をいたしております。
#171
○紙智子君 そして、企業の参入も認める、今回認めるわけですけれども、修正で入った耕作者の中には一般の企業というのは位置付けられないということなんだと。
 そして、一般法人の利用権の取得については、役員の一人が耕作又は養畜の事業に常時従事することを求めているわけですけれども、その法人が耕作者とみなされるわけではないと。耕作者というのは、元々の現行法にある自然人として耕作する者あるいは農業生産法人という意味で理解をしてよろしいわけですよね、確認をいたします。
#172
○国務大臣(石破茂君) この耕作者の意味するところについてでございます。
 立法の経緯からいたしますれば、農作業に従事する個人や農業生産法人が権利取得者の基本でございます。今回の修正により、今後ともこのような考え方に変わりがないということを明確化したというのは先ほど来申し上げておるとおりでございます。
 次の御質問でございますが、農地の権利を取得するに当たりまして第三条第一項の許可を受ける必要がございます。農地の権利を取得するためには農地法第三条第一項の許可を受ける必要がございますが、この場合に、個人であれ法人であれ、農地のすべてを効率的に利用し、耕作の事業を行うと認められていることがそもそも必要とされております。
 今回の改正法案におきまして、衆議院における修正がございました。それによりまして、農業生産法人以外の法人が農地を借りる場合には、その法人の業務執行役員のうち一人以上の者が耕作の事業に常時従事すると認められることとの要件が追加をされたところでございます。これは、法人として耕作の事業を行うだけではなく、自然人である役員の一部にも耕作の事業に従事することを求めるものでございます。
 しかし、個人につきましては、法人と異なりまして、そもそも権利主体そのものが自然人として耕作の事業を行うと認められなければ許可されないものでございますので、特段の追加的な要件は課されておりません。
 許可申請がありました場合には、農業委員会又は都道府県知事は、許可申請者が計画している作付け作目、収穫とか……
#173
○紙智子君 短めにしてください。
#174
○国務大臣(石破茂君) それではおっしゃるとおりで結構です。
 ただ、これは申し上げておきますが、都道府県知事は幾つかの要件というものを必要としておるわけでございまして、必要に応じ申請者からヒアリングを行うなどにより審査をし、判断するということになっているわけでございます。耕作の事業以外に農地を使用すると認められる場合には許可を行わないということになるものでございます。
#175
○紙智子君 それでは次、三条の三項三号の修正案のところですけれども、法人の場合、一人以上の者が耕作又は養畜の事業に常時従事するというように要件を課しているわけですけれども、個人の場合、常時従事要件というのは一切課すことなく利用権の取得を認めているわけですけれども、これはなぜでしょうか。
#176
○政府参考人(高橋博君) 三条三項の改正でございますけれども、基本的に生産法人、法人の場合には、まず法人そのものは農業経営の主宰者になるわけでございますけれども、物理的な作業ということができないということでございます。したがいまして、今申し上げましたように、業務執行役員のうち一人以上の者が耕作の事業に常時従事するということの要件を追加したところでございます。
 一方で、個人についてでございますけれども、これについてはそもそも法人とは異なりまして、権利主体そのものが自然人としての耕作の事業を行うということを認められなければこれは耕作の許可をされないということでございますので、特段の追加的要件を課さなかったということでございます。
#177
○紙智子君 しかしながら、例えば個人として農地を借り参入するそのときに、例えば産廃の業者、社長さんが個人として借りたいと言って参入してきた場合に、それも、何というんでしょうか、善意の人だったらいいんですけれども、最初から思惑を持って、悪用しようということで入ってきた場合にこれを排除できるかどうかという問題は、私、非常に心配するわけです。
 それで、先日、実は茨城県に調査に行ってきました。農事組合法人がトマト栽培場を造るというふうに言って、地権者から借りた農地で、産業廃棄物業者が参入している、産廃業者も入った農家の協同組織の形態を取った形でこの、市ですけれども、市の認定農業者になっているわけですよ。
 それで、営農計画を出しているわけですね。営農計画では、二〇〇七年からトマト養液栽培システムを導入をして六月から収穫するんだということが予定だったわけですけれども、実際には産廃それから建設残土、これが盛り上げているわけですよ。物すごい盛り上げているわけですよね。それで、この盛り上げた盛土のために農業排水路もつぶしてしまっていて、周辺の畑が、雨がざあっと降ったときに水害が発生したわけです。それで農家の人たちは困って、訴えをして、市が応急措置で排水溝を造ったと。
 ところが、その盛土は、その最初にやったときというのは物すごい悪臭がしていて、住民からも苦情が上がっていて、この土壌でいけば本当に物を作れるのかという話にもなっていたわけです。それで、今は物すごい草ぼうぼうの状態なんですけれども、全然やっていないというので原状回復を求めたわけですけれども、全く事態は改善されないと。それで、現地の人たちが県にも言って、県の担当者も来てもらって、それでどうなのかということでやったんだけれども、現状追認だと。新規参入ということになれば、またちゃんとこれからまじめにやるということになれば問題ないというようなことで、現状追認と。不法で、しかも不適正な状態なのに解決できないというのがその現場の話だったわけですよ。
 ここだけじゃなくて、まだほかにもそういう場所が何か所かあるんですけれども、今現行法の下でも実際に起こっている事態なわけで、今回の法改正でこれ防ぐことができるのかなと。今後は農家と、入りたいと言えば、相対で話し合って決めるということになるわけで、高い賃借料出すからということでそこに入ってしまったら、今まで以上に簡単に入ってこれるわけで、どうやって防ぐのかということが非常に大きな課題だなというふうに思うわけですけれども、これどうやって審査、防ぐことができるかということについて、いかがでしょうか。
#178
○政府参考人(高橋博君) 委員御指摘のとおり、いわゆる現行において、現行制度下におきましてもやはりこのような事態が生じているわけでございます。
 このようなものについては、要は、産業廃棄物を違法に捨てるという者が農家であれ、あるいは農家以外の個人であれ、あるいは企業であれ、制度的にどのような者が出てくるのかということは、なかなか制度でこれを縛るということは、縛るというか、想定をしてそれに対応するというのは難しい。要は、違法を前提としたものに対して制度上どのように対応するかという問題だろうと思います。
 そういたしますと、やはりこれについては、このような違反転用、違法な転用、これについての厳しい措置を講じていく。要は、これまでに比べてこの違反転用に対する措置を厳しくしていくということがやはり基本的な考え方ではないか。現状において既にこのような事態、これが制度が変わったから防げるのか防げないのかという議論よりは、やはりこの転用行為そのものの違法性というものに対して厳しく制肘を加えていくということが重要だろうと思っておりまして、今回、転用関係の違反転用についてはそのような趣旨の制度改正を行うということをしております。
#179
○紙智子君 今回の法改正では、企業でも個人でも、農地を適正に利用するという形を取れば、これはそこに住んでいなくても原則自由に農地を借りることができるわけですよね。
 それで、農業委員会の方にいろいろお話を聞いたんですけれども、現行制度でも、営農計画の書類を整えればこれ不許可にするというのはなかなか難しい話だと。確かにその書類、何枚もあるんですけれども、よく勉強していてちゃんと書いてあるわけですよね。それで、どこでチェックするのかというのは本当にこれ大変なことで、それで許可をして入った後に、じゃ、パトロールして産廃について摘発するかというと、それはもうなかなか難しい話だというふうに言っているわけですよ。
 ですから、今日午前中も参考人質疑のときに、全農の松本参考人ですか、いろいろ農業委員会の話をしたときに、やっぱり現場でそういうことは幾つかあって、きれい事では済まされないんだという話ししていましたけれども。
 現実問題として、現地では一生懸命何とかしようと思ってやっているわけですよ。議会でも問題じゃないかとやっているわけだけれども、相手に是正の通告をしても全然言うことを聞かないと。それどころか、やっぱり、何というんですか、普通じゃない人たちですから、脅してくるというような中で、非常に怖くて言いたいことが言えないということが行政のところでもあったりということがあって、そうなると、やっぱり相当そういう厳しい対処もしないと解決できないんじゃないのかと。
 逆に、ちゃんとした書類もそろっていて問題ないように見えるというときに、それを不許可だと言ったときに、今日も午前中出ていましたけれども、逆に裁判にかけられたりと、逆に。そういう事態もあったときには、裁判なんて言われたって、農業委員の人たちは、自分たちも一生懸命作業しているわけですし、そんな何時間も時間を取れないし、お金だって掛かるわけだし、この場合も一体どこが責任を持って解決できるのかということが非常に深刻な問題になっているわけなんですけれども。
 いったんそれでもって受け入れてしまったら、もう出口のところで規制するといっても、そう簡単にはいかないという事例だというふうに思うんですよね。実際どうやって防げるのかと。厳しくすると言うんですけれども、具体的にどうやって今の現状より更に加えていくのかということなんですけれども。
#180
○政府参考人(吉村馨君) 先ほど経営局長から御答弁申し上げましたけれども、こういったケースは、明らかに転用に対する違反転用ということで対処をしていくしかないわけであります。
 その場合に、今回の農地法改正案におきまして、一つは違反転用に対する罰則を強化をしておりまして、これまで法人について三百万円以下だったものを一億円ということで、これで言わばやり得というようなことがないように抑止力にしていると。
 それから、もう一つは、当然そういった場合に原状回復命令を掛けるわけでありますけれども、それに従わない場合もあり得ると。そういった場合に、行政代執行がやりやすいように今回の法改正で措置をしているところでありまして、そういったものを使って今おっしゃったような件については対処をしていくということだと考えております。
#181
○紙智子君 罰金というふうに言われたんですけれども、どれぐらいなんですか。それから、行政代執行といった場合にどのぐらいの、どんなふうにどういう形でやられるんですか、効果あるんですかね。
#182
○政府参考人(吉村馨君) 罰金については、法人について違反転用の場合に、これまで三百万円以下の罰金だったものを一億円以下ということで大幅に引き上げまして、先ほども申しましたが、そういった違反転用、特に違法に産業廃棄物あるいは残土を捨てるというようなことで違反転用がやり得になるというようなことがないように措置をしているところであります。
 また、行政代執行につきましては、当然これは法定の手続を経なければいけないわけでありますけれども、今回の改正案におきまして、これまでは違反転用者が具体に確知できなければ行政代執行の手続に入れなかったわけでありますけれども、確知できない場合にも、これは原状回復命令を掛けた者が具体的に代執行するということになりますので、都道府県知事あるいは場合によっては農林水産大臣が直接そういった代執行を行うと、こういうことになるわけでございます。
#183
○紙智子君 いずれにしても、やっぱり実際に入口のところで規制なかなかできない、よく分からないまま入られてしまうと。その場合に、入られたら後の祭りで、どんなにお金を払いなさいとか言っても、いやお金は払えないというようなことになってきちゃうと本当に大変な事態だというふうに思うんですよね。
 そういう意味では、やっぱり事前のチェックができるようなことも含めて、そして実際にそういうふうに今困っている事態、これを解決するための手だてを何か考える必要があるんじゃないのかなというふうに思うわけですよ。入られた後に、その場合は違反命令を出して云々とするんですけれども、そのときのやっぱり掛かる手間とかなんとかということを考えたときに、やはりこれだけ大変なことになるということが分かるようなことも含めて徹底されなきゃいけないと思いますし、入口の段階でそれがやっぱりできないような状況をつくっていかないと大変じゃないのかなということを思いますので、ちょっとこの問題は引き続き検討しなきゃいけないと思いますけれども、そのことを申し上げまして、ちょっと時間になりましたので、あと最後、何か一言、大臣、あれば。
#184
○国務大臣(石破茂君) いや別に、別になんて言っちゃいけませんが。
 要は、病理現象はあるんです。病理現象をとらえて全体を否定的に考えるべきではないと私は思っております。
 そういうようなことがならないようにどのようにしてきちんと手当てをするかというお話でございまして、それは事前の審査というものは本当にきちんとなされたかどうか。もう書類を作っているのでそれを駄目とは言えないということなんですけれども、その書類を子細に見れば、これが実態に本当に即したものかどうかはそれは見抜けるはずなのですね。申請した者がどのような者であるか、どういうような経歴を有しているか、今まで何をやってきたか、そういうこともきちんと見なければなりません。
 したがって、それぞれのチェックというものはきちんと行われるようにすること、それが今回の法改正においても同じように求められることだと私は思います。
#185
○紙智子君 終わります。
#186
○委員長(平野達男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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