くにさくロゴ
2009/06/16 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第15号
姉妹サイト
 
2009/06/16 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 農林水産委員会 第15号

#1
第171回国会 農林水産委員会 第15号
平成二十一年六月十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     亀井亜紀子君     外山  斎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 達男君
    理 事
                郡司  彰君
                高橋 千秋君
                加治屋義人君
                佐藤 昭郎君
    委 員
                岩本  司君
                小川 勝也君
                大河原雅子君
                金子 恵美君
                亀井亜紀子君
                主濱  了君
                外山  斎君
                姫井由美子君
                舟山 康江君
                岩永 浩美君
                野村 哲郎君
                牧野たかお君
                山田 俊男君
                風間  昶君
                草川 昭三君
                紙  智子君
   衆議院議員
       修正案提出者   宮腰 光寛君
       修正案提出者   筒井 信隆君
   国務大臣
       農林水産大臣   石破  茂君
   副大臣
       農林水産副大臣  近藤 基彦君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       野村 哲郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 朝雄君
   政府参考人
       内閣法制局第四
       部長       近藤 正春君
       財務大臣官房審
       議官       永長 正士君
       農林水産大臣官
       房技術総括審議
       官        吉田 岳志君
       農林水産大臣官
       房統計部長    長   清君
       農林水産省総合
       食料局長     町田 勝弘君
       農林水産省経営
       局長       高橋  博君
       農林水産省農村
       振興局長     吉村  馨君
       国土交通大臣官
       房審議官     石井喜三郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農地法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣法制局第四部長近藤正春君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平野達男君) 農地法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○主濱了君 おはようございます。民主党の主濱了でございます。
 先日の代表質問は総論、今日は各論ということで、やや詳細な質問もさせていただきます。的確で端的な御答弁をお願いいたします。
 早速質問に入ります。まず、元気な農業の再生ということでございます。
 農業の生産構造は、平成二十七年の「農業構造の展望」に示されているところでございます。皆様のお手元に資料を配付しておりますけれども、資料の一、「農業構造の展望」と、平成二十七年、これを御覧いただきたいと思います。
 これによりますと、上段右側の方になりますけれども、効率的かつ安定的な農業経営体、これは約四十万経営体と想定し、このうち家族経営が三十三万から三十七万経営体で大宗を担うと、こういうことにしているようでございます。既に次期基本計画の策定も進められております。この計画自体は前の計画で、次の計画も併せて進められていると、こういうふうに聞いているところでございます。
 ついては、今般の農地法の改正、特に三条三項の創設によります一般企業の農業参入が進められたとしても、家族経営中心の農業構造を維持していくと、こういう方針に変わりはないかどうか、現在のもの、それから次の計画の中でもそのようなことになっているかどうか、これは石破大臣にお伺いをいたしたいと思います。
#6
○副大臣(近藤基彦君) 今、主濱議員が資料でお示しいただいたのは、平成十七年の基本計画の折の閣議決定の際に我が省から出した資料であります。
 この資料、御覧のとおり、家族農業経営がやはり大宗を占めるということでありますので、その方向で間違いはありませんが、現段階では、来年度から新たな基本計画ということになりますので、今その検討がなされているさなかでありますので、方向的には間違いないと思いますが、そこの検討結果を待ってみてということにはなりますが、いずれにしても、この折の十年後の構造展望ということでこれをお示しをしておりますので、これに変更があるとは思っておりません。
#7
○主濱了君 そのとおりですよね。平成二十七年の展望がここにあるとおりですので、是非とも、今後とも家族経営を中心とした農業生産が行われるように私は望みます。そういう方向で検討されるよう望むものであります。
 次、認定農業者と担い手についてお伺いをいたします。
 まず、最近の認定農業者数、何人になっているか、伺いたいと思います。
#8
○政府参考人(高橋博君) 認定農業者数のお尋ねでございますけれども、平成二十年の十二月末現在におきまして、二十四万四千九百経営体ということになっております。最近の五年間で、約七万三千経営体、四二・六%の増加というふうになっております。
#9
○主濱了君 この平成二十年十二月の二十四万四千九百、これはあくまで実人数ですよね、確認ですけれどもね、実人数。要するに、今まで認定した人の累計ではなくて、実人数ということでよろしいですよね。
#10
○政府参考人(高橋博君) 実際に存在しておられる認定農業者数でございます。
#11
○主濱了君 今度は、今聞いたのは認定農業者ですよね、それで担い手。これは、基本計画上の担い手、この担い手と認定された人、認定になりますか申請を認めるということになりますか、担い手として認定された方は何人でしょうか。そして、この担い手と認定農業者、この関係も含めて御説明をいただきたいと思います。
#12
○政府参考人(高橋博君) まず担い手でございますけれども、これは、基本的には効率的、安定的経営体を今後目指す方々ということでございます。それで、担い手自身は法律上の定義はございません。基本的に、効率的、安定的経営体は、食料・農業・農村基本法の中で位置付けられておりますし、それを目指す主体としては、農業経営基盤強化法で認定農業者制度があるわけでございますが、このほかに、このような認定農業者のほかに、現行の基本計画では、集落営農組織というようなものもこの担い手として位置付けられているところでございます。
 したがいまして、認定農業者もこの集落営農組織もそうでございますけれども、要は他産業並みの労働時間で他産業並みの所得を得られるというのが効率的かつ安定的な経営体でございます。それに達している人も当然おられますけれども、それに向かって努力をされておられる方々、こういう方々が認定農業者なりあるいは集落営農組織ということでございます。
#13
○主濱了君 それで、結局担い手何人なんでしょうか、どれぐらいなんでしょうか。
#14
○政府参考人(高橋博君) 現在のところ、今申し上げましたような形で担い手、集落営農組織と認定農業者の数ということになりますので、基本的には二十四万の先ほど申し上げました認定農業者、これに、例えば現在経営安定対策に加入しておられますような集落営農組織というものがこの担い手という形になるわけでございます。
 ちょっと数字については至急調べさせてください。
#15
○主濱了君 いずれ、平成二十七年には家族経営、大体四十万人の効率的かつ安定的な農業経営体が存在すると、これをまず最低限守らなくちゃいけないと、私はこういうふうに思っております。
 次に、認定農業者あるいは担い手、このフォローアップをどうしているかと、こういう問題について伺いたいと思います。
 認定農業者あるいは担い手、認定後に、認定農業者を認定した後、認定しっ放しではないと思いますけれども、この認定後、どなたがあるいはどういった機関が指導しているのか、あるいは指導していない、全くほったらかしにしているのか。この辺、私は非常に危惧しているんですよね。日本の農業を担うべき担い手の育成であります。本当に大丈夫かどうか、この辺について、石破大臣にお伺いをいたしたいと思います。
#16
○副大臣(近藤基彦君) 今認定農業者に対しては、経営安定対策を講じて、金融、予算、税制等の各種施策を講じているところであります。
 また、認定農業者を育成していくために、関係する各種の支援機関による十分な指導とフォローアップを行うことが極めて重要であると考えておりまして、このために、市町村あるいは農業協同組合、農業委員会及び普及指導センター等を構成員とする各地に担い手育成総合支援協議会を設置をいたしまして、そこにワンストップの支援窓口を設けて、必要に応じて、税制、経理関係に必要な知識を習得するための研修、あるいは税理士等の相談、中小企業診断士などによる経営診断、そして各種マーケティング、要は販売等の講習会の実施など、きめ細かく、かつ専門的な経営指導を行っているところでございます。
#17
○主濱了君 分かりました。
 次に、改めてなんですが、稲作農家への支援についてお伺いをいたしたいと思います。
 六月五日の本会議での大臣の御答弁は、農業従事者の減少あるいは高齢化による耕作放棄地の増大を当初予定していなかった重大な課題である、こういうふうな御答弁でございました。当初予定していないということなんですが、これは私もいつも申し上げていることなんですけれども、採算が取れなければ、あるいはもうからなければ人は集まらないんですよ。逆に離れていくんですよ。こういうことだと私は思っております。
 農地が今四百六十万ヘクタールあります。このうち水田、これは百六十万ヘクタールあるわけであります。大宗を占めております。しかし、日本の主食である米を生産する稲作におきまして平均的に採算が取れていないと、こういう状況だというふうに思っております。主食である米を救えなければ立派な農政と、こういうふうには言えないと私は思っております。
 再三申し上げておりますけれども、平成十九年産米、これは一俵当たり五千円の赤字、こういうふうに思っております。それから、これも再三申し上げておりますけれども、米については経営安定対策のゲタの対象に入っていないと、こういうことでございます。現に、生産が、要するに採算が取れていない、採算が取れていない実態にどう対処するのかということなんですけれども、とにかく平成に入ってからもう四〇%もの販売農家、これがやめているんですよ、四〇%ですよ。こういう状況であります。
 農家の、特に稲作農家の採算を考えた施策というものを早急に講ずるべきであると、こう考えますが、今度は大臣、よろしいでしょうか。
#18
○国務大臣(石破茂君) そこはいろんな議論があります。
 昔、食管制度のころに生産費所得補償方式というやり方、もちろん委員は県で農政に中核的に携わってこられた方ですので御案内かと思いますが、あのやり方を取った。まあ、どれを対象にするかという議論はありましたけれども、生産費所得補償方式というものを取って米価を決めていた。それが一体どういうことになったんだろうかということを考えたときに、本当にどのような層のどのような方の所得というものを補償するのかという議論はやはり避けて通れないんだろうと思っております。もちろん、もうからないからやめるということはあるでしょう。じゃ、どういう方々がどのような営農を営み、どういうふうにしてもうかっていくのかという議論は、私はきちんとしなければいけないことだと思っております。
 御党のいろいろな政策、私も非常に、何というんでしょう、注意深く拝読をし、理解をするべく努めておるところでございますが、どういう層をどのようにしてこれからもうかるようにしていくか。現状固定ではないようにどうしていくか。そして、私の危惧は、とにかく高齢化していって、その後やる人がいないということでございます。だから、これを次の世代もやれるようにするためにはどういう形で稲作というものを守っていったらいいのか。いろんな手法がございますので、これからよく検討していかねばならないと思っております。
 現状固定というのはよろしくない。しかしながら、どんどん衰退するというのをどうやって止めていくかということは、どういう層がもうかるようにしていくかという議論が不可欠なんだろうなと私は思います。
#19
○主濱了君 お言葉でありますけれども、現状固定というのはどうなんでしょうか。現状固定、まさに今はどんどんどんどん衰退しているわけですよ。それを固定しようなんていうことじゃなくて、これは早く手を打たなくちゃいけないんですよ。
 さっき言ったように、今は稲作をしても、普通に稲作をしても基本的に平均的に赤字なんですよ。それにどう手を打つんですかと、早く打たなければいけないんじゃないですか、こういうお話をしているんです。どうぞお願いします。
#20
○国務大臣(石破茂君) ですから、十ヘクタールやる方、二十ヘクタールやる方、二反、三反やる方、いろんな層がおられるわけです。ですから、赤字というふうにおっしゃいますが、どの層がどういう理由によって赤字になっているのか、それぞれ原因が違うはずなんです。
 ですから、そのすべての販売農家に対してという言い方をするのか、どういう層にどういうような政策を打っていったらいいのかということは、きめ細かく論じていくことの必要性というのは委員も御理解いただいているだろうと思います。ですから、赤字なんだからということは確かにそうですけれども、どの層がどういう理由によって赤字になっているのか、それにふさわしい手だてというのを打っていかなければいけないと私は思います。
 現状固定という言い方がもし委員のお考え方と違うようであればそれは訂正をいたしますけれども、本当にそういうような議論というものをしていかなければ稲作の将来はないという認識です。
#21
○主濱了君 私、高齢化というのは、ただ単に年数を経ていくから高齢化になるのではなくて、要するに新しい人が入っていかないから高齢化になるわけですよね。なぜ新しい人が入っていかないのか、ここのところを考えなければいけない、こういうことなんですよね。この辺を考えて、私は、規模の効率的な農業とか効果的な農業、これを否定するものではありません。ただ、それだけを目指していくのであればこれは時間が掛かるわけですよ。規模拡大をするためには、大規模化していくためには、あるいは効率的な農業を進めるためには時間が掛かる。それを待っていたのでは、完成しないうちに全部倒れてしまいますよ。それを心配している。
 こういうことで、是非とも稲作農家、日本の主食である稲作農家、ここにもきちっと焦点を当てて農政を講じていただきたい、このように思います。
 次に、一般企業の農地取得について伺います。
 私は、一般企業の農地取得については、様々な理由はありますけれども認めるべきではないと、こういう考えに立つものであります。
 一般企業の農地取得について、農水省は、農地法の第三条第二項第二号の二の法文上、これは取得できないのは明確であると、これを一つの理由にしておりますね。それからもう一つ、農地の収益性が低い現状から一般企業の農地取得はあり得ないだろうと、こういうふうな答弁をいただいているところでございます。一方、経済団体からは、一般企業の農地取得の段階的解禁、こういった提言があります。
 私は、農水省の言う農地法の第三条第二項の第二号の二、この規定上、一般企業の農地取得はあり得ないとする、法文上あり得ないと、こういう主張に対しては実は大きな危惧の念を抱いております。これは今から御紹介申し上げますけれども、そういうことでございます。それは、三条二項のただし書にある政令、これに大きく関係をしてきます。
 資料二、皆様のお手元に資料を差し上げておりますが、資料二を御覧いただきたいと思います。
 資料二の一段目、アラビア数字の2項であります。ちょっと条文を読ませていただきますと、「許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。」。二段目の漢数字の二号の二を御覧いただきたいんですが、農業生産法人、飛ばしまして、及び特定法人以外の法人、これは一般企業などを指すと思いますが、その以外の法人が所有権を取得しようとする場合、これは許可できません、これはまさに原則のとおりです。今までおっしゃったことがそのまま当てはまるというふうに思います。しかし、また一段目の方に戻っていただいて、このアラビア数字の2項の二行目のただし書、「政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。」と、すなわち政令に定めれば許可の可能性ありと、こういうふうにされているわけでございます。そしてこの中に、二号の二の以外の法人も含まれているということでございます。一段目の方、上の方の、一号の前の二、三行のところでしょうか、並びに二号の二と、こういったような表現があります。ここで、政令を定めればこれは農地取得が認められる可能性があるということでございますが。
 もう一回繰り返しますと、原則は農業生産法人及び特定法人以外の法人が所有権等を取得しようとする場合は許可はできない。しかし、ただし書に基づきまして、「政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。」、すなわち許可される可能性があるということであります。
 例えば、この政令に相当の事由としまして、地域の中で円満に二十年間農業を続け、農業生産及び地域の振興に資すると認められることと、こういう一文を加えれば、これは法改正を行わずして一般企業は適法に農地を取得できることになると私は考えております。
 この農地法三条二項のただし書についての私はこういうふうな認識を持っておりますが、この認識が間違いがないかどうか、これは内閣法制局、内閣法制局いらっしゃっていますか、正しいかどうかについて、間違いがないかどうかについてお伺いしたいと思います。
#22
○政府参考人(近藤正春君) お尋ねの現行の農地法三条の二項のただし書で、特にその二号の二に関する政令で定める事由のどういう範囲が認められるかということでございますけれども、実態を踏まえていろいろな判断をしなきゃいけませんものですから、こういう事例は大丈夫だろう、こういう事由は駄目だろうというのを非常に軽々にお答えするのはちょっと難しいというふうに考えておりますけれども。
 先ほど構文の御説明がございましたとおり、基本的には農業生産法人以外による農地の取得というのは認めないんだという基本が三条二項の本文の方で示されておりまして、あくまでもそれについての例外的な規定であるということから、そういった本則によります農業生産法人以外の法人についての農地取得を認めないという趣旨を全く没却するような規定をこの政令で定めるということは、やはりその法律の仕組み上そこは許されないだろうというふうに理解をしております。
 それが本当にそういう状態になるかどうかについては個々の実態を踏まえて判断をしていかなきゃいけないということでございまして、基本的には農業生産法人以外の法人にそういう、本当に取得を認めるべき必要性があるのかという実態上の必要性でございますとか、その結果、一体その法の、先ほど申しました規制を加えている趣旨との関係でそれを大きく損なうのか損なわないのか等、そういう趣旨との整合性、そういったものを踏まえて、基本的にはまずその実態をよく御承知、法を運用しておられます農林水産省の方において判断がされるということをまって、私どもとしてはそれを踏まえて個々の政令についての審査をしていくということでございまして、まずは農林水産省の御判断が大事ではないかというふうに考えております。
#23
○主濱了君 分かりません。よく分かりません。
 それで、もう一回お尋ねします。私の認識に間違いはないかと、こういう私は質問をしたわけですから、答えとすれば、間違いありません、しかしながらと、こう言うのか、いや、それは間違いです、これこれの理由です、こういうふうに答えていただきたい。
 もう一回お願いします。
#24
○委員長(平野達男君) 今の質問はどちらに対して質問ですか。
#25
○主濱了君 内閣法制局、お願いします。
#26
○政府参考人(近藤正春君) 現行の政令がまさしく定められておりまして、そういう意味では、現行の政令がこの農地法三条二項の下での相当の事由として定めるべきものもある程度列挙しておりまして、そういった中に、例えば政令の一つには、権利を取得しようとする法人が、その主たる法人の主要な業務に欠くことのできないような試験研究又は農事指導のために行われるために取得する場合というようなものが定められておりますので、法人の種類を限定せずに、ある程度、一定の事由がある場合にこの政令として定めていくということは法制上は可能だというふうに理解しておりますけれども、それが本当に実態上、ただ消極的にそれが定めていいものかどうかという判断は更に加わりますので、ただ法律上可能かどうかという問題ではなくて、それが定めることが適切かという判断も踏まえて政令は制定いたしますので、そういう意味で私どもそれを、そこまで踏まえるとなかなかそれは適切であるとか適切でないという御判断をここでは申し上げれないということでございまして、一切そういうものが否定されるということではないと思いますけれども、そういう意味での御判断ができないというお答えでございます。
#27
○委員長(平野達男君) 高橋局長が発言を求めていますけれども、農水省、いいですか。
#28
○主濱了君 いいです。
#29
○委員長(平野達男君) いいですか。
 では主濱君、どうぞ。
#30
○主濱了君 これは委員長にお願いしたいんですが、以上で私、内閣法制局に対する質問は終わりますので、善処いただきたいと思います。
#31
○委員長(平野達男君) 善処といいますと。
#32
○主濱了君 要するにお帰りいただいて結構です。
#33
○委員長(平野達男君) そうだそうです。どうぞ。
#34
○主濱了君 風間先生の福祉施設の農地所有に関する質問が実はありました。あれ、政令で定めているから分からないんですよね、政令で定めているから、プロじゃないと分からない、こういう問題なんですよ。
 そこで、三条二項の二号の二に関するその政令に記載されている事項について、及び今度法が改正されます。そうすると多分政令も改正されるでしょう。その改正後の政令案について、どんな内容がこの二号の二に関して規定されているか、それをお示しをいただきたいと思います。これは農林水産省にお願いします。
#35
○政府参考人(高橋博君) お尋ねの件につきましては、まず現行の政令ということであります。現行で施行されている政令でございます。したがいまして、ここに規定しております法人につきましては、この農地法のこの法人問題、過去の経緯をすべての議論を踏まえた結果として定められておるということでございます。その中で、基本的に、委員御指摘のような、まあ何年かは別にいたしましても、これまでも農業を継続をしているような法人というのはあるわけでございますけれども、それは認められてこなかったという厳然とした事実があるということがまず第一点でございます。
 したがいまして、今回新たな改正案におきまして、基本的にはこの三条の二項の二号の二という部分については、これ、条項がずれるということはございますけれども、ここの部分についての基本的考え方は一切変わっておりません。それについての特段の事情の変化もないということでございますので、現行法の政令と基本的に同じ政令ということで、現在政令案の改正についての作業に着手をしているところでございます。
#36
○主濱了君 今度は石破農林水産大臣にお伺いをしたいと思うんですが、先ほどの例で、例えば政令の中に、地域の中で円満に二十年間農業を続けて農業生産及び地域の振興に資すると認められることと、こういういかにも相当事由の一項一号、一号を加えれば、法改正を行わずして一般企業は農地取得をできるというふうに思われますけれども、大臣、いかに考えますでしょう。
#37
○国務大臣(石破茂君) そのようなことはございませんです。なぜならば、法律で一般的に禁止をしておるわけですね。つまり、今委員が御指摘の地域の中で円満に二十年間農業を継続すると認められることみたいな一文を追加したらどうなるんだということですが、一般の企業に農地の所有権の取得を認めるということは、これはもう法律本文の改正を行うことなしに政令でそのようなことをやりますと、今の法制局の表現を借りれば、農地法そのものの本来の趣旨を没却というか、することになってしまうと。そうすると、法律本文と政令が競合するような不思議な関係になるわけで、そういうものは法体系の中で認められるものではございませんです。
 ですから、繰り返しになりますが念のため申し上げておきますと、法律で一般的に禁止していることを政令で法律の趣旨を無視して可能とするというようなことはございません。
#38
○主濱了君 大体分かりました。そのとおりだというふうに思っております。
 今は少なくとも経済団体の方からは、様々な要請あるいは提言、これが実際にあります、あるんですよね。ここで一般企業の農地取得はあり得ないと、こういう表現ではなくて、そういう表現ではなくて、一般企業の農地取得は認めないと、こういったような意味の御決意を再度お願いをいたします。
#39
○国務大臣(石破茂君) 先ほど来お答えをしておるとおりでございますが、委員の御懸念を共有する人は多分大勢おられるんだろうと思います。あるいは、経済界からどのような御意図かは知りませんが、委員御指摘のようなふうにも取られかねない御主張もあることもよく承知をいたしております。先ほど来答弁を申し上げておるとおりでございますが、一般企業に所有権を認めるということはございません。
#40
○主濱了君 ありがとうございました。
 次は、農地の賃貸の規制の緩和についてお伺いをいたしたいと思います。
 この中で、一点、外資規制についてお伺いをいたしたいと思います。さきの委員会で岩永先生とそれから風間先生からも質問がありました。こういうことでございますが、まず、外資系企業であっても日本国内の農地を借りることができるかどうか、改めて伺いたいと思います。
#41
○政府参考人(高橋博君) 現行の我が国の法令上、農地の権利取得につきましては、外資に関しては外為法による規制がございますけれども、外国の資本が入っているか否かでこの農地の取得そのものの段階で取扱いを異にしているものではございません。例えば、現行のリース方式によります特定法人貸付けについても、基本的にこの法人が外国法人か内国法人かということ自体は農地法、問われないという形になっております。
 また、今回の改正後におきましても、単に外国資本が入っているということをもって農地の賃借権の取得が認められないということはございません。ただ、当然のことながら、農地の賃借権の取得の許可に当たりましては、農地のすべてをきちんと効率的に利用する、あるいは周辺の農地の利用に支障を及ぼさないという要件を満たさなければならないわけでございまして、その際、地域におけます他の農業者との適切な役割分担が行われない場合等については必要な措置を講ずるというような形で先般の修正も含めて措置をさせていただいておりますので、ここのところについては、内国であろうと、内国法人であろうと外国法人であろうと、きちんと周辺の農業と調和が取れたものという形で措置をすることにしております。
#42
○主濱了君 次の問題ですが、将来、外資系企業が国内の優良農地を借りて耕作をして、そして生産物を本国に輸出すると、国内で農地から作ったものを自分の国に輸出をする、こういうことも考えられますけれども、これは可能でしょうか。
#43
○大臣政務官(野村哲郎君) ただいまの御質問でありますが、外国の資本が入っている法人であるか否かにかかわらず、すべての経営体におきまして、どのような作目を生産するか、またそれをどのように流通、販売していくか、それぞれの経営判断だというふうに思います。したがいまして、個々の経営主体は、関税関係法令に基づく規制はありますけれども、一定の要件の下で自由に輸出を行うことができるものでございます。これは、個人、法人、あるいはまた内国法人、外国法人を問わないということになってございます。
 実は私、昨日、私どもの地元の食肉処理場からシンガポール向けの黒豚それから黒牛の出発式に臨んでまいりましたが、こうして我が国は現在、外国向けの輸出という、農産物の輸出に大変力を入れて一兆円目指しているわけでありまして、そういう意味におきましては、輸出が、我が国の輸出が個人であろうが法人であろうが、また外国法人であるかあるいは内国法人であるか、その扱いというのは全然区別をいたしていないところでございます。
#44
○主濱了君 おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、日本が意図しない、日本の意図しない農産物の輸出にはやはり問題があるというふうに思っております。日本で生産された農産物の量の多寡にもよりますけれども、これが物すごく量が多いと安全保障に、食料安全保障に影響を及ぼしてくると、こういう問題があります。それから、限られた農地から生産される農作物、これが輸出されますと、必要量の確保に支障を及ぼすとか、あるいは価格にも影響が出てくる可能性があります。
 さらに、こういう問題もあるんですよね、実は。日本の地名とか日本の品種について、外国で商品登録をされている。これが、今農林水産省でもチェックしておりますが、これは問題が生じていると、こういうことでございます。
 日本から外国系企業によって輸出された農産物によりまして、その当該外国において登録商標された日本国内の地名とかそれから品種、それにたがわない製品が販売される可能性も私は否定できないというふうに思います。
 このほか、様々な問題が懸念されるわけです。この外資系の問題についてはその周辺の様々な問題が懸念されますけれども、この様々な支障に対して、石破大臣、どのようなお考えを持っているか、ちょっとばほっとした聞き方で大変恐縮なんですが、お伺いをいたしたいと思います。
#45
○国務大臣(石破茂君) そういう場合、委員が御懸念なのは、後段からお答えしますと、コシヒカリなぞという日本の地名、品種名が中国で商標として登録され、今それが問題になっているわけですが、こういうようなことに関連するお話ではないかと思いますけれども、商標等の問題につきましては、それは知的財産の分野で解決をすることではないかなというふうに私は思っておるところでございます。問題が複雑化をしませんように、知的財産の面で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 また、前段の御質問でございますが、すべての経営主体におきまして、これは外国の資本が入っているかいないかということは関係ないのでございますが、どんなものを作るか、それをどのように流通、販売させるかというのは、それはそれぞれの経営の判断なんだと思います。そのことについて国があれこれ申し上げることではございません。その経営主体がどのようなものを生産するか、販売するかということが我が国全体の価格高騰などを引き起こすということはなかなか想定をしにくいことだなというふうに思っております。
 安全保障のお話をなさいました。ですから、それが安全保障に影響を及ぼすことがないようにということには配意をしていかなければいけませんけれども、外国の企業がそういうものを我が国で作り、輸出をするということが即そのまま我が国の安全保障に影響を及ぼすということは、今のところ非常に想定しにくいことでございます。
 仮にそういうことがありとせば、何らかの手を打っていかねばならぬことになりますし、それなりに活用できる法令もあろうかと存じますけれども、今のところそういうことは想定しにくい。ただ、委員の御指摘も首肯できる部分もございますので、そういうことにもよく目配りをしていかねばならないと考えております。
#46
○主濱了君 まさにおっしゃるとおりだというふうに思います。一般企業が新たに農業参入をする、あるいはその中には外資系企業の参入も可能であると、こういうふうなことだというふうに思います。
 想定し難いと今大臣はおっしゃいましたが、様々な支障ですね、想定し難いと、こういうふうなことでありますけれども、私、安全弁というのは絶対必要だというふうに思うんですよ。日本の国益とか日本の農業に影響を及ぼす場合、これはなかなか想定しづらいんですが、そういったような場合に、その農地の要するに企業に対する貸借とか、そういったものを取消しあるいは無効にする、そういうことができるのかどうか、その具体的な手段、法文の規定等について、安全弁としてお伺いをしておきたいと思います。
#47
○政府参考人(高橋博君) 今委員御指摘の点につきましては、農業分野においては既に外為法によりまして事前届出の規制が行われております。これも基本的には対内直接投資の例外規定として農林水産業分野について特別に認められる措置でございまして、このような措置をきちんと使ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
 なお、委員御指摘のいろいろな課題、問題点でございますけれども、逆に外国法人を対象に農地について新たに規制を設けることにつきましては、まず今申し上げましたように、農林水産業分野全体に対して一般的な規制が掛かっておるわけであります。その中で、畜産あるいは施設園芸等々、農地とは関係のない農業部門についてはそのままにしておいて、耕種型の問題、耕種型の農業の生産物、お米でも麦でも構いませんけれども、そういったものが海外に出ていくことを心配すること、これについてどのように考えるかという点。
 それからもう一つは、実は外国法人だけではなくて、土地の取得についてはもう当然のことながら個人、法人それぞれごとに考えていく必要があります。内国法人、外国法人、あるいは国内居住者、非居住者という観点になるわけでございますけれども、委員御指摘のような論点の場合、外国法人の規制ということと外国籍を有する個人の方の規制、これをどのように考えるのか。これにつきましては、国内において既に長年定住をされているような外国籍を持たれておられる方々も大勢おられるわけでございますけれども、このような方々との問題をどのように考えるのか。
 それから、先ほど政務官もお話し申し上げましたけれども、現在、国を挙げて農産物の輸出、これについて販路の拡大ということで農業生産の振興のために促進を行っているわけでございますけれども、このようなこととその輸出を規制するということをどのように考えるのか。
 さらに、一番大きな問題は、実は、委員も御承知のとおり、我が国、食料自給率四〇%でございます。ということは、六〇%は海外から現状、今入ってきているわけでございますけれども、当然のことながら、海外におきまして内国法人あるいは日本国籍を有する個人が海外の様々な地域で農業生産に対しまして様々な投資を行っているわけでございます。
 といたしますと、相互主義の考え方の下で、海外で日本人あるいは日系法人が農地に所有している権利について、新たに、例えば国内で行うこととの関係においてどのようなことが想定されるのかというようなことも考えなければならないというふうに思っておりまして、逆に様々な大きな課題が生じかねないというふうに思っておりまして、現時点では慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
#48
○主濱了君 では、次の問題に移りたいと思います。遊休農地それから耕作放棄地対策についてであります。
 まず、耕作放棄地の実態それから原因及び耕作放棄地の解消方策について伺っていきたいと思います。
 まず実態の方ですけれども、農業センサスによりますと、耕作放棄地三十八万ヘクタールとあります。それから、農水省、四月八日に発表しました耕作放棄地の実態調査の結果、これが二十八万ヘクタールとあります。この違いについて御説明をお願いいたします。
#49
○政府参考人(長清君) まずセンサスでございますが、センサスはすべての農家に自ら記帳いただくということで、五年ごとにやっている大規模な調査でございまして、直近の調査で三十八万六千ヘクタールが耕作放棄地ということでございます。
 この場合のポイントは、センサスで報告されております耕作放棄地は農家に耕作の意思がないという点を農家御自身に御記入いただいているということで、定義としましては、過去一年以上作付けしておらず再び作付けする考えのない土地ということで、全国、戸別に集落、全国をされているものでございまして、そのときに、休耕田というものは分けて、それから山林原野化したもの、そういったものを入れないでいただきたいということで押さえた数字ということでございます。
 これに対しまして今回の現地調査、これ全国の農業委員会、市町村の大変な御協力いただきまして、一筆ごとに今後の耕作放棄地の解消対策ということで、現況に基づきまして一筆ごとにその位置、その現況を確認したものでございまして、結果として二十八万ヘクタール程度が具体的に押さえられたわけですけれども、センサスとの関係でいえば二つの数字に分かれまして、この二十八万ヘクタールのうちに山林原野化してしまった農地と、耕地といったものがございます。これが約十四万ヘクタールと。これはセンサスの外数ということで直接の関係はないわけでございますけれども、問題は、今回押さえられたもののうちの、現状のままでは耕作できませんけれども、基盤整備、抜根ですとか何らかの手当てを行えば耕作が可能となる農地と、これが十四万九千ヘクタール、一筆ごとに押さえられました。
 したがいまして、今後の耕作解消対策ということではこの十四万九千ヘクタールということが具体的に押さえられましたので重要になるわけですが、センサスとの関係でいいますと、センサスの全体の三十八万六千ヘクタールのうちの一部である、一部が具体的に押さえられたというふうに私どもは考えております。
 じゃ、しからばその差は一体何なんだと。差はかなりあるわけでございますけれども、そこは現況で見る限りでは一定の管理はなされている、しかし農家はそこは耕作の意思がないというふうに、休耕田とは区別してやはり御記入いただいている、そういった農地がかなり存在しているということでもございます。
 これは、具体的にじゃ一筆ごとに押さえられるかとなりますと、やはり休耕田なのか耕作放棄地なのかということが現況だけでは分からない、そういった部分でございまして、そこはやはり調査の限界というところがございます。
 したがいまして、耕作放棄地の全体という意味では、やはり従来から一貫した定義でやっておりますセンサスの数字といったことに変わりはないというふうに私どもは考えてございます。
#50
○主濱了君 次に、都市的地域の耕作放棄地、これ八万ヘクタールと、こういうことで、私の感覚からすると非常に多いなと、こういうふうに思います。
 実態とその原因についてお伺いをいたします。
#51
○政府参考人(吉村馨君) まず現況、発生要因も含めた点でありますけれども、十六年に行った市町村のアンケート調査によりますと、耕作放棄地の発生要因としては、高齢化による労働力不足でありますとか地域における引受手の不在、土地条件が悪い、こういった三点が挙げられていまして、これは都市的地域のみならず、山間地域、中間地域、平場地域、いずれについても主要な要因として挙げられております。
 また、都市的地域においては相続による農地の分散化を挙げている市町村が他の地域に比べて多い一方で、生産性が低いという理由を挙げている市町村は中山間地域と比べて少なくなっているという状況にございます。
#52
○主濱了君 相続による分散化というふうなことのようですけれども、これ、相続して分散して、それがもう農地として使えないと、こういう趣旨なんでしょうか。
#53
○政府参考人(吉村馨君) 相続して分散化をして、もちろん御本人、相続人ということになりますが、その方々は耕作の意思がないわけですけれども、それを貸し付けようという段になっても、相続人が多数いてなかなか意見の統一が図れないというようなことで、それを担い手なりあるいは集落営農に貸し付ける、あるいは委託をして耕作をするということが難しくなっているということも一つの理由になっているんではないかというふうに考えております。
#54
○主濱了君 実はこの平場の耕作放棄地が非常に多いというのについて、私、最も条件がいいはずなんですよね、平場ですから農業生産にとっては非常に条件がいいはずなんですよ。そこが耕作されないというのは、これは極めて問題だと。そういうところが耕作されないんであれば、これはもう中山間言うに及ばずと、こう言って差し支えないと、こういうふうに思っていたんですけれども、これはちょっともったいない話でありますね。
 いずれにせよ、耕作放棄地、この解消をどうやっていくのか、端的に、その耕作放棄地の解消方策、どうやっていくのかということについて、これはもう大臣にお願いしたいと思います。
#55
○大臣政務官(野村哲郎君) これまでも、委員御承知のとおり、耕作放棄地の発生を防止して解消を図る、そういう手段としてこれまで御承知のような中山間地域等の直接支払制度、あるいはまた農地・水・環境保全向上対策による耕作放棄地の発生の防止、それから担い手の農用地の利用集積なりあるいは新規参入の促進、また基盤整備等を通じた耕作放棄地の有効活用、あるいはまた畜産の分野におきましては放牧利用、あるいはまた市民の皆さん方に憩いの場として、あるいはまた物を作る喜び、そういうものの提供として市民農園など、こういったような利用の促進を今までは図ってきたところでございます。
 しかし、今後もこの耕作放棄地をどう解消して継続利用していくのかということにつきましては、一つは引受手をどうするかという問題が一つありますし、土地条件をどうしていくのか、あるいはまた何をそこに植えるのか、いろんな課題があるわけであります。このために、主として引受手をどうするかという観点からは、多様な主体の参入が可能となるように、今回の農地貸借に係る規制の緩和などを改正案に盛り込んだところでございます。
 また、土地条件なりあるいは作物を何にするかというところもありまして、また耕作放棄地を復元、どうして復元していくのかというところもございまして、今回の予算措置の中で耕作放棄地再生利用緊急対策、当初予算で二百六億、そしてまた一次補正で百五十億を計上させていただいたところでありますし、さらに、水田フル活用を図るために水田等の有効活用促進交付金、こういった関連施策を組み合わせながら取組を進めることといたしているところでございます。
#56
○主濱了君 これは耕作放棄地の解消、是非ともお願いをいたしたいと、こういうふうに思います。
 次に、新しい農地保有合理化事業の活用についてということでお伺いをいたしたいと思います。
 採算の取れない農業を続けた結果、経済的な理由で農業を続けられなくなった農家を含めまして、経済面あるいは労働力の面などで、様々な理由などで農地を手放そうとしている農家が現にあります。このような農家は、農地を処分して借金の返済であるとかあるいはこれまで投資した分を回収しようと、こういうふうに思っているというふうに考えております。このようなときに、この農地保有合理化事業を活用して農地を処分しようと思っている農家の農地を買い取るなど、円滑に農地を集約することができないだろうかと私は考えているところであります。同僚の大河原議員も、これは国営の、国営の農地保有機関も考えているところで、そういうような構想を持っているところでもあるわけであります。
 農地はだれのものか。これは、今日、小川先生いらっしゃらないんですが、いろいろ議論があるところであります、農地はだれのものかと。私に言わせると先祖伝来のものであると。農地自体はもう二千年も昔からずっとあるわけですから、もう先祖伝来のものである。もうちょっと深く考えると、国のものであり国民のものであると。しかしながら、この農地というのは財産であって財産でないんですよね、財産であって財産でない。要するに、自分の財産にしようと思うんであれば、これは農地転用をして初めて売買ができるような本物の財産になってくると、こういうことだというふうに思います。
 いずれにせよ、これは農地というのは国のもの、国民のものであるということで、もし使わないのであれば、それは原則に戻って国に返すべきであると、このように思うわけであります。
 いずれにしても、売りに出される農地、耕作されない農地、このような農地を農地として購入、借入れ、購入とか借入れをしまして、保有、確保して農地を必要としている人に売却又は貸出しをする、いわゆる農地バンク、こういったような農地バンクが必要であると私は思うんですよ。そして、農地を手放したい農家に相応のお金を支払って農地を確保し、農地を購入して、まあ返してもらうと言ったらいいんでしょうか、返してもらって、それは他方、必要な人には相応の負担をいただいて農地を提供すると、このような機関が是非とも必要だというふうに考えております。
 本来、このような業務を行っております農地保有合理化法人のその機能強化と、さらに、その農地の購入が伴いますから資金が必要になってきます。この意味から支援が、この法人にですね、支援が不可欠であると考えますが、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(高橋博君) 委員御指摘のとおり、農地保有合理化事業でございますけれども、農地保有合理化法人自らが離農あるいは経営を縮小する農家などから農地を買い入れる、あるいは借り入れまして権利を取得をいたしまして、その農地を今度は新たな営農者、担い手に対して売渡し又は貸付けを行うということでございます。
 したがって、農地の有効利用、それから担い手の育成を図るための重要な事業ということで、これにつきましては、従来から事業に必要な資金について無利子の資金を供給する等の支援も講じてきたところでございます。
 ただ、一方におきまして、この事業の関係では農地保有合理化法人、これは県の様々な公社でございますけれども、いったん権利を買うわけでございます、基本的には買うわけでございます。そうしますと、次に担い手に売り渡すまでの間に、例えば農地の価格が下落をするという場合に、当然のことながらそこで保有リスクが生じてきてしまうという問題になるわけでございます。
 そういうような観点から、これについて一定程度、従来からこれはかなり進んでいる地域もございますけれども、なかなかそうじゃない地域もあった、過去において大幅な赤字を出してしまったというようなところもあったわけでございます。この点につきましては、この点について、ある程度この価格の下落に対します対策も講じているわけでございますけれども、基本的には、やはりこの離農農家や規模縮小農家等の農地の売渡しのニーズと、それから担い手によります規模拡大に向けた農地の借り手等のニーズをきちんと結び付けていくということを前提として、そういったような地域を中心に今後とも推進をしていくということが重要であるというふうに考えております。
 あと、それから、申し訳ございません、先ほど委員御質問の中で、担い手の経営体数の中で、集落営農組織でございます。ちょっと後で調べるということでございましたが、二十年産の経営安定対策の加入では集落営農組織は五千六百五十五となっておるところでございます。
#58
○主濱了君 私が言いたいのは、基本的な枠組みです。そして、お金が掛かることはもう目に見えているわけですよ。農地の価格が下落するとか上昇するとか、そういう問題ではなくて、やはり農地を農地としてきちっと必要な人に渡す手段が必要じゃないか、そのためには支援が必要ではないだろうかと。お金が掛かることは分かっているんですよ。そこのところを申し上げたい。その点よろしくお願いをしたいなというふうに思います。
 あと残された時間わずかですが、最後、米政策、中でも米の生産調整について、これも本会議でお話をさせていただいたわけですが、この点について一点だけ。これはもう是非とも石破大臣にお答えをいただきたいと、このように思います。
 米の生産調整、減反政策ですね、これはもう三十九年も続いております。農家は、本当はすべて作付けをしたいんですよ、当然のことながら。しかし、農業全体が業として成り立つことを考えて、不満を言いながらも減反に応じてきている、これが今の現状だというふうに思っております。しかも、今年度は減反を前提にした水田フル活用事業がスタートしたばっかりですよ。米の生産調整の見直しというのは、もう日本農業にとって本当に重大な問題であるというふうに思っております。
 しかしながら、この減反政策についてどう見直すのか、その説明が全く国からはないと、こういったような状況です。一方、研究者からは、減反を廃止することによって零細農家の農業からの撤退を期待すると、こういったような論文も発表されている、こういう状況です。これでは本当に稲作農家は、もう怒りますよ。このまま黙っていると、今の政府、農林水産省も信用されなくなります。
 生産調整の要否も含めまして、日本における米の生産がどうあればいいのか、どういうのが理想なのか、これについて、石破大臣、お考えをお示しをいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(石破茂君) 不公平感がなくなるというのは、やっぱり私は制度として大事なことだと思います。本当にみんなに迷惑掛けちゃいけない。みんな好きなだけ作りたいんです。おっしゃるとおりです。ですけど、みんなが好きなだけ作ると値段が暴落をするので生産調整に応じましょうというところがある。片や、それは関係ないと、そういう一生懸命まじめにやる人たちが形成した価格の上に乗って庭先で売るというような話もあるわけで、それじゃまじめにやるだけばかみたいじゃないかということは、これは厳然としてあるわけです。ずっと前からある話ですよね。どうやればこの不公平感が払拭されるのかということが一つ。
 もう一つは、それぞれが経営判断というものがあるだろうということ。何か一点と矛盾するようなことを言うようですが、そこが難しいのですが、自分は好きなだけ作りたいと、コストを下げて売りたいという経営判断もあるでしょう。あるいは、生産調整に参加するという経営判断もあるでしょう。ですから、制度が人を選ぶのではなくて、人が制度を選ぶというようなことが考えられないかということです。
 もう一つは、やはり過剰な在庫を抱えるということ。それは適切な備蓄は当然でございますが、過剰な在庫を抱え、それが納税者の負担になるということがどれだけこれから先の農業振興という点において意味があることなのか。そういうお金はできるだけ、例えば先ほど委員が中山間地、条件不利地域どうするんだというお話をなさいました。過剰在庫をずっと納税者の負担によって支えていくということではなくて、やはりそれは限りなく少なくしていく必要があるだろうと思っております。
 この三つをどのようにすれば三つが鼎立するかというのは、そんなに簡単なお話ではございません。どこにどのような政策を打つかということは、今いろんなアンケートを取ったり、有識者の御意見を聴いたりしながらやっておるところでございまして、委員がおっしゃるような論文も私、何度も読みました。それは、そういうストレートな話にはならないだろうということはよく分かっております。この三つを全部解消するためにはどうしたらいいかということで今知恵を絞っていかねばならないと思っております。是非、委員におかれましても、現場をよく御存じでいらっしゃいますから、これをこうすべきだというような御提案をいただければ、また私ども真摯に承りたいと存じます。
#60
○主濱了君 この問題については八月に一応結論を出すと、こういうふうに答弁をいただいているところでありますけれども、いずれ、今後とも議論をさせていただきたいと、このように思います。
 以上で終わります。
#61
○大河原雅子君 民主党の大河原雅子でございます。
 農地法の改正に関して、消費者の目線から質問をさせていただこうと思います。
 農地法自体も本当に複雑で、ちょっと私にとっては荷が重い。でも、ここでの議論を聞かせていただくと、やっぱりこの国は、農業といえば水田、米作り中心。国民が一体何を食べているのか、これから先何をこの国で作っていかなければならないのか、そういう視点がやはり欠けているんじゃないかなというふうに私は思っております。皆さんの食卓には御飯だけがあるわけじゃなくて、おかずが何品も並ぶと思います。トータルにやはり自給率を高めるということからいえば、やはりバランスの取れた、先を見通した農業の再生というのがやはり目指されるべきだろうというふうに思います。
 そこで、伺っていきたいんですが、経済財政諮問会議の民間委員が平成二十年五月に出した提言、消費者のための農業改革をという趣旨なんですよね。これが、農業の経営規模拡大によるコストダウンは消費者の国産農産物への信頼を高め、ひいては食料自給率の向上につながる、したがって企業的経営が不可欠で、そのために企業の参入が可能となる農地法の改正が必要だと、ちょっと簡単に言うとこういうふうな考え方で提言が行われています。
 規模を拡大して生産性の向上を上げるというふうに農水省も基本法の中では位置付けをしているわけなんですけれども、この経済財政諮問会議で表されているように、経済界と同じ発想で農水省はおっしゃっているんでしょうか。大臣、いかがでしょう。
#62
○国務大臣(石破茂君) これが経済界だというものがあるわけでもございませんし、これが経済界の意見だということが明確にあるわけではありませんが、私どもは、経済界と全く同じ効率至上主義とかコスト削減至上主義とか、仮にそういう言葉を使うとすれば、そういう観点に立っているものではございません。
 やはりずっと、いい悪いの問題ではございません、経済の現場でずっと来られた方々のお考えというのは、実際に多様な農地、農地の利用形態というものをすべて御存じの上でおっしゃっておられるわけではありませんから、そこは相当の認識のずれというものを感じることが私自身もございます。私自身も実際に農業の現場というものを歩くようになる以前はそういう考え方をしたこともございますので、そこはやはり違うところはございます。ですから、そこは経済界の方々ともよく意見を交換をしながら御認識をいただくように努力を今もしておるところでございます。
 他方、やはり、特に米でありますとか麦でありますとか、そういう土地利用型の作物の場合にはスケールメリットが相当に効く点もございまして、やっぱりどうすればコストを下げることができるのかという意識を全く無視してこれから先の農業を語ることはできないというふうに考えております。ですから、これを対立概念としてとらえるのではなくて、どうやってお互いに支え合うのかというようなことを目指してまいりたいと思っております。
#63
○大河原雅子君 経済界の方たちが消費段階の価格が高いというふうにお考えになっていて、規模を拡大して大量生産すれば物の値段を安くできるというふうにもし思っていらっしゃるとするならば、この中間の流通というところに問題があるとみんなが実は知っているわけなんですよね。だから、消費段階の値段が高いというふうにするならば、農協の出荷を中心に、流通をどんどんしていく、その過程がやっぱりきちんと改革されなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
 主濱議員が本会議で指摘したとおり、我が国の農地面積というのは欧米に比べて圧倒的に狭い、小さい、そういう事実が厳然とあるわけなので、規模を拡大すれば価格が下がる、生産性を上げれば農家もいいし消費者も安く物が買えるよというような、私は単純なこういう言い方は非常に農業者にも消費者にも誤ったイメージ、メッセージになるというふうに思っているんですけれども、その点もう一度確認をさせてください。
 私は、日本の伝統的な少量多品種、これが私たちの食卓を豊かにするものだというふうに考えますが、大臣、いかがですか。
#64
○国務大臣(石破茂君) いや、それはそのとおりなのです。
 所得というのは価格に生産量を掛けてそこからコストを引いたものでございますので、P掛けるQマイナスCというのが所得でございますから、これを上げるためにいろんな工夫がございます。
 私は、流通の改革というのももちろん大事で、ただ、流通には流通なりの理屈があるわけで、例えばスーパーマーケットに行きまして、少量多品種と確かにおっしゃいました。ただ、少量多品種を実現するためにはそのためのコストが掛かるわけですよ。そうすると、いろんな観点から、どうやって下げていくか、消費者と生産者がお互いにウイン・ウインの関係になるような工夫はいっぱいやっていかなきゃいけない。その中のコスト削減というのは一つのツールであるということです。
#65
○大河原雅子君 私、ちょっと今の少量多品種の解釈は、大臣、ちょっと違うんじゃないかなと思います。
 それは、スーパーマーケットの売り方というのは、北から南まで、北海道から沖縄まで一年中同じ品目を安定的に同じ値段でそろえている。トマトがない時期にも、その地域にトマトがない時期によそから持ってきてそろえておくという売り方であり、それが消費者のニーズだというふうに私は誤っている部分もあると思っているんです。
 資料を付けました。資料の一、これは出荷段階の販売価格に占める経費、それから生産者の受取価格というふうになっていますが、出荷する段階では生産者の方、半分ちょっとの割合ですけれども、二ページ目を御覧いただくと、市場流通をしていくとどんどん手数料やら中間のマージンやら入ってまいります。
 今非常に直売所が人気です。もし、農家の方がこの直売所に持っていくと、農協手数料とか市場とか仲卸の手数料とか、この部分が省略できて、これが農家の収入として入っていくわけです。
 消費者の立場から言わせていただくと、こうやって市場流通をさせたものというのは、生産者の手を離れて消費者の手に届くときには物自体の価格で言えば二倍、三倍の価格になっているわけです。だから、消費者に安く提供したい、生産者にもきちんとした収入を得るようにするという、そういうふうに農水省が立つんだったら、やっぱりこの中間の改革をやっぱり進めなきゃいけないというふうに思いますけれども、この中間段階の改革をしないで、今回の農地法の改正では一般企業の、大手の小売企業の参入なども可能になるわけですよね。本当にそれが農家のために、消費者のためになるのかというところには私は非常に懐疑的でございます。むしろ逆行すると思います。
 それで、農水省も旬産旬消というふうに、地産地消、旬産旬消というふうに立たれるわけだと思うんですが、こういうふうに、先ほどスーパーの棚を御覧いただくように、大臣は少量多品種とおっしゃいましたけれども、そういう売り方を一般的にしてしまうと、それこそ中山間地の農業を疲弊させる。ここの参入可能になったところは優良農地でしか耕作をしていかないということまで想像を容易にされるわけですし、そういう意味では手間の掛かる地場の野菜、そういうものを地域で守っていく。今、伝統野菜を復活させようというようなこともありますけれども、その少量多品種の農業をやっぱりつぶしていくというふうに私は感じるわけですけど、この点はいかがでしょうか。
#66
○国務大臣(石破茂君) 私は、それは多様な流通があるべきだと思っておりまして、先々週、私は大阪府の豊中に行ってきました。そこでは朝市というのをやっていました。八時から始まるんだけど、五時から並ばないと買えないという状況でございまして、一、二時間ぐらいでみんな売り切れです。昨日は東京都狛江市に行ってきて、やっぱりそういうふうなお話をしてまいりました。そういう流通もあり得べしです。ですけど、全部それがそうなったときに、それは消費者の利益あるいは生産者の利益にかなうかというと、そういうことには決してならないのであって、私は多様な流通というものがあっていいと思っております。
 そういう中にあって、消費者と生産者、お互いが利益を得るような形が自然と醸成をされるだろうと思いますが、私は、いろんな流通形態というものを用意をしておく、そのために政府として必要な支援をするということを惜しむつもりは全くございません。しかしながら、その多様な流通を確保するということとコストダウンを図っていくということは、それは対立する概念ではございませんで、その両方ともやっていくことが大切だということを申し上げておるのでございます。
#67
○大河原雅子君 それでも、今出しました直売所の人気というのは、消費者がどうして売り切れるほど、時間の前から並ぶほどそこに並んでいるかというと、それはやっぱり流通過程が短縮されていて、生産した人が目の前にいて、新鮮で安くて安心できると。直接買いたいというのが消費者のニーズとして、例えばその朝市とか直売所に現れていると思うんですよ。それが理屈抜きに消費者の欲求を満足させている。だから、スーパーがある横に直売所ができたところ、スーパーに全然負けないんですよ。みんな直売所で買う楽しみとか、そこで買う、それこそスイスの卵ですよ、大臣。そこの地域の農業を守れるという、そういう欲求を、消費者の欲求を満足させることもできると思うんです。
 もう一度いかがですか。
#68
○国務大臣(石破茂君) それは、都市農業の果たす意味合いというのは幾ら強調しても、し過ぎることはないんだろうと思います。しかしながら、それでは、多くの生産地があるわけで、すべてが直売でやれるかといえば、それはそういうことには相なりません。中山間地で本当に農業をやっている人たちがどうやって直売をするのかということでございます。そこはやはり、卸、仲卸、小売という流通形態があってそれなりにやれるものでございまして、じゃ私どもの鳥取県のナシが全部直売でやれるか。絶対にやれません。そんなことをやったら生産地はつぶれてしまうわけでございます。
 ですから、多様な流通のルートを用意しておくということであって、いろんな産地があって、いろんな農業者があって、いろんな消費者がある、それにどうやって的確に対応するルートを整備をするかということだと思います。
#69
○大河原雅子君 私も、全部直売でやれとか産直でやれとか言っているわけじゃないんです。多様な流通は結構だと思います。
 しかし、日本は、農水業の就業者三百三十二万人、食品産業として就業している人は流通や外食産業や食品製造や含めて七百九十七万人、八百万人ですよ。そして、私たち消費者は、全人口ですから一億三千万人弱ですよね。そうすると、農水の要するに生産の場面では、国内生産で十二兆円、外から九兆円輸入をする分で、その農産品を加工したり提供したりということで一つの産業が、幾つもの産業が成り立っていく。もう食品産業だけでいっても莫大な、八十兆円とかそういう額のものですよね。でも、その主流、その利益をどこへ持っていくか。食品産業で働いている八百万人をやっぱり維持しなきゃいけないから流通はなかなか改革がやっぱり進まないんだと思うんです。でも、ここでは生産をしていく農家をエンパワーする、そういう政策がやっぱりない限り、それは消費者にとっても安心できる安い農産物は手に入らない、そういうことは明らかなんですね。
 特に、大手の企業が入ってきたときに、これはもう去年飼料価格が上がって畜産危機が起こって、そして乳価の問題とかいろんな問題が出て、こうした多様な流通、特に大手の小売がやるところで価格は下がらない、実は高止まりをする、そういうことまで国民は知っているというのが今の状況だと思います。消費者にとって、そういうふうに大手のスーパーが大きな企画で農産品を自ら生産をしていく、その中で乗せていくというときに、なかなかそれは消費者の利益になるからという一言で片付けられないというふうに思います。
 今回の改正はなかなか私は視点としてそういう視点がないんじゃないかというふうに思っていまして、実は、政府が掲げている多様な農業の共存という、これはWTOで、外国に対して、日本の農業、他国の農業共に共存をするというふうに理念を掲げているわけなんですけれども、それじゃ農水省は、国内の多様な農業、少量多品種で安全で高品質、世界に誇れる農産品ができる、こういう農業を守っていくために本当にどういうふうに考えているのかというのが私は、真の国益、真の国民のため、また他国から食料を奪わないという、そういう事態に今なっていることを御自覚があるのかというところに疑問を持ちます。
 食料不足ということからも、自国で作れるものは限りなく極力作っていく。他国から持ってくるときの関税問題でいろいろ御苦労はあると思いますけど、まず私たちのこの国で自給すべきものはやはりはっきりさせる、水田と畑のバランスをしっかりと見極めてそういうものも提言していくというのが私は農水省の役割だろうと思いますが、どうでしょうか。
#70
○国務大臣(石破茂君) 全くそのとおりでございまして、そのとおりにしていかねばならない。多様な農業の共存ということは国内においてもそうです。
 ただ、逆に申し上げれば、今回は法人に所有権を認めることはございませんが、やはりもっと利用権というものを認めていくべきではないだろうか。家族経営というものは大事にしていかねばなりませんが、家族経営というものがどんどん減少していく状況にあって、多様な担い手というものを考えたときに、そしてまた、土地というものが持っているけど利用されていないということは本来の農地法の趣旨にはもとるものでございまして、この持っているけど利用されないというところをだれが利用するんだということにおいて道を開くというものでございます。
 ですから、逆に私どもは、今回の法改正というのは、多様な担い手というものをつくっていく、そういう中の一助だというふうに考えておるわけでございまして、委員が御指摘の多様な担い手を育てるということには私はまさしく合致をしたものである。むしろ、それが主流になればいいとか、どんどんどんどんそっちの方に行って家族経営が淘汰されればいいとか、そんなことを考えているわけではございませんというのは衆参の質疑においてるる申し上げてきたところでございます。そういう御不安がないようにやっていかねばならぬと思いますし、スイスの卵の御指摘がございました。まさしく、目に見える人、あそこのあの人が作っているものだよねというような認識が私は必要なんだろうと思います。そういうものがもっともっと消費者にも見えるように努力をしていかねばならないと思っております。
#71
○大河原雅子君 作った人の顔が見えるというのは、もう最大の安心なんですよね。
 そして、私は、生産をする方々の生活というものを考えれば、やはり今大臣もおっしゃいましたけれども、この家族経営というものについてどういうお考えがあるのか。
 先ほど主濱議員も資料でお出しになりましたが、私も資料の三に付けました。ここで、平成十六年、主業農家が平成二十七年には家族農業経営というふうに図は動いているというか分けてあるんですが、この図はとても不親切な図だなと。私は、家族経営というのを農水省がどういう意味で使っていらっしゃるのか、まずちょっと定義を教えていただきたいと思います。
#72
○政府参考人(高橋博君) 家族農業経営でございますけれども、これは昭和三十六年に制定されました旧農業基本法以来、我が国の農業政策の重要な柱といたしまして位置付けられているわけでございます。
 したがいまして、現行の食料・農業・農村基本法第二十二条におきましても、国は家族農業経営の活性化を図るために必要な施策を講ずるということとされておりまして、この家族農業経営については、先ほど申し上げました、この数十年にわたりまして一般的に法人化したものも含めてでありますけれども、世帯単位で農業の事業を行う者ということが基本でございます。
#73
○大河原雅子君 これまでの議論でもその一般的な、資本力の違う一般企業が入ってくれば、家族経営という非常に規模の小さい、資金力のないところはどんどん窮地に陥る。互角になかなか勝負できるほどというふうにはならないというふうに思いますけれども、この家族経営が農業構造の中心を占めるというのは、我が国だけではなくて、全世界的に農業というものはそれが基本になっているというのは私はもう当たり前のことだろうと思っております。
 一応資料を付けましたので御覧いただくと、資料の四はアメリカでございます。アメリカでも、経営形態、個人・家族経営が八九・七%ですね。経営形態、耕作地面積も六六・三%は個人や家族の経営で耕作されています。フランスでも、個人経営の形態八一%、耕作をしているのが五七・九%と、どこでもやっぱり家族経営が中心なんですよ。
 それで、私は、農家における企業的経営感覚を育てることというのと、この企業参入を促進をしていくことというのは全く別物だというふうに思っているんですが、家族経営が主流を占める農業という中にあって、このことをどういうふうに農水省は考えておられるんでしょうか。
#74
○政府参考人(高橋博君) 先ほどお答えいたしましたとおり、現行の平成十七年に策定をいたしました「農業構造の展望」、委員御指摘の資料でございます。これについての将来におけます、二十七年におけます農業構造、基本的に家族農業経営三十三から三十七万と。要は、効率的、安定的な農業経営の中でやはり家族農業経営が主力を占めるという形で現行基本計画では見通しているところでございます。
#75
○大河原雅子君 だから、この図で、いろんな販売農家、主業農家、準主業農家、副業的農家、自給的農家と書いてありますけれども、これ家族経営農家、家族経営ですよね。
#76
○政府参考人(高橋博君) この「農業構造の展望」でございますけれども、基本法で目指しておりますところの我が国の農業が効率的かつ安定的な農業経営によりましてその生産の大宗を占めていく、そういう農業構造を目指すというのがまず基本法の大きな目標としてございます。
 その姿につきまして、経営形態としてどのような経営形態を目指していくのか。十七年当時は集落営農の議論が物すごく、非常に多くございましたけれども、まだまだ集落営農組織そのもの自体緒に就いたばかりでございました。ただ、やはり二十七年当時には、家族農業経営のほかに集落営農組織に参画をしていくような小規模な農家……
#77
○委員長(平野達男君) 質問は非常に単純な質問ですので、答弁は簡潔にやってください。
#78
○政府参考人(高橋博君) はい。ということで見ているわけでございます。
 したがいまして、当然、集落営農組織に結集いたします家族農業経営もございますし、その他の販売農家は当然これは農家という定義になるわけでございますが、あくまでもこの担い手の大宗を家族農業経営で見通したということでございます。
#79
○大河原雅子君 この図でいえば、法人経営一万という、この一戸一法人や集落営農法人化を除くという、ここに企業、新しく入ってくる方たちの姿があるというふうに思うわけですけれども、私は、そうやって基本法の中に家族経営を中心にしていくということがあるんだったらば、これまでの家族経営、この間、亀井委員が昔の家というところで、アンペイドワークのように、あるいは息子が手伝っても小遣い程度というような形のそういう経営ではなくて、きちんと給料がもらえる、そして、一人一人がそれこそ自立した一人の市民として仕事として農業をしていく、そういう形の支援を、そういう経営ができるようにしていくということが第一だろうというふうに思っています。
 それで、やっぱり家族経営協定とかいろいろ勉強させていただきましたけれども、元々そういう日本の伝統的な家社会、家制度の名残があって、この家族という使い方が非常に何かあいまいじゃないかなと。本当に目指す姿は、ここを、主業農家も家族経営ですよね。だから、そういう意味では、言葉の整理も含めて、日本の家族経営の農家をどうやって守っていくかに私は農水省はもっと声を大きくするべきだというふうに思いますけれども、どうですか。
 それで、ちょっとごめんなさい。都市化の中で、高度成長の中で、農家のそれこそ次三男の方が都会へ出てホワイトカラーになったりブルーカラーになったということを小川議員がお話ししてくださいましたけれども、今度は、今そこで疲弊をしてしまったんですから、都会でそういう仕事をしていた人も、あるいは新たに農業をしてこの地域に住もうという、家族経営をしていこうという人を新たに支援する策が要ると思うんですけれども、どうでしょうか。
#80
○国務大臣(石破茂君) それはそのとおりです。全く否定はいたしません。
 ただ、委員、家族経営というのは、本当にほかの仕事を持たずに、副業ではなくて、みんな、お父さんもお母さんも息子さんもおじいさんもおばあさんも、みんなが農業をやっていると、そういうところがそれだけで食べれるようにしていきたい、そこは全く一緒です。そういうふうにしたいと思っています。
 ですけれども、例えば副業的とかそういう販売農家の中でも、農業収入で食べているわけじゃありませんよというところと、みんなが農業をやっていますよというところと同列に論じる政策をやっていくことは、それは無理があるのだろうというふうに思っております。本当に農業だけで生きていきたいという人がやっていけるように、そういうような政策を取っていきたいと私どもは思っていますので、ですから担い手ということを申し上げているわけでございます。
 後段におっしゃいましたところの、ブルーカラー、ホワイトカラーの方が帰ってきましたと、そういう方がやっていけるようにしなければいけない、そのとおりでございます。ですから、それが本当に農業、他産業と同じだけの従事する時間というものがあって、そして所得が上がるような、そういうような能力を身に付けていく、そういうようなエンカレッジは十分やっていかねばならないと思っております。帰ってきたけれども二、三日でやめちゃったということが起こらないためには、それは農の雇用事業もそうでございますけれども、一定期間支援をしていくということも今回の予算で組んでおるところでございます。
#81
○大河原雅子君 これまでの農業は、作るだけの農業。売手のところからもう別の人の手に渡るんで、一番最初に言いました農家の手取りが少なかったという時代です。でも、ここから私ども民主党は農業の六次産業化ということを言っております。ですから、いろんな人が都市から帰ってきても、あるいは新しく農業をやりたいとか携わりたいといったときに、そこの六次産業化までのところを含めるときちんとそれで食べていける、そういう家族経営も個人経営も成り立つというのが私は海外でももう既に実証されている姿だと思います。
 時間がなくなりましたので、最後に以前取り上げました固定資産税の問題をもう一度お尋ねしたいと思います。
 三月十七日の本会議で取り上げさせていただきまして、農水、総務両省の御答弁は、市街化区域内の小作人の立場は特に保護されているので固定資産税の負担は何ら問題ないということでした。
 私は、資料を付けさせていただきました。御覧ください。東京M市、名古屋市市街化区域内農地に対する課税の額でございます。
 私が前回取り上げたのは、国有農地を借りている、要するに、賃借をしている方たちが自分の土地にならないものに固定資産税を掛けられているのは不公平じゃないか、おかしいんじゃないかということで、何ら問題ないということだったんですけれども、やっぱり都市農業を推進をしていく、大事にするというのはもう既に国は方針として掲げられているわけですから、例えば国有農地で借りているものを生産緑地として登録できませんよね。ですから、私は、この国有農地を借りて、所有しないにもかかわらず固定資産税を掛けること自体私はおかしいと思いますし、貸し手である国が固定資産税を払うか、あるいはそれができなければ生産緑地の登録を国がするか。
 都市農業を守ると言いながら、私は、こういう税制について農水省はどう思っているのかということを最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
#82
○政府参考人(高橋博君) 国有農地の貸付地に対します税制の関係でございますけれども、前回もちょっとお話しさせていただきましたけれども、現状はどのような方がどういう経緯でこの国有農地を市街化区域内において保有しているかということでございます。
 基本は、農地改革の際に、旧地主から買収した農地については当時の小作の方々に売り渡すことになっておりました。しかしながら、小作の方々がそれを、売渡しについて必要ではないと拒否をされた場合、もう一つは、非常に規模が小さくて実際の農業を継続することについては可能であるとは認められないような場合であっても、当然のことながら、過去から借りておりましたので、この借りている小作権についてきちんと保護をするということで継続をしてきているものでございます。
 したがいまして、今委員おっしゃられましたけれども、そもそもこの小作、いわゆる国有農地の小作地でございますが、通常であれば小作人に売り渡されていたもの、それの例外的に非常に規模が小さくて農業経営として売り渡すという対象にならなかったものというものが今の残存の農地でございます。
 それについてですが、今も、前回も御説明いたしましたけれども、農業の継続をする限りにおいては、これは常に保護をされております。これは相続があっても保護をされていると、そういう状況でございます。したがって、この耕作権を新たに剥奪されるようなことはございません。
 そういうことを考えますと、そこにおいて行われている農業経営に対して、所有者とどの程度違ってくるのか。逆に、今度は所有権者。買収されて、そこのところで売り渡されて、貸し付けられている、片一方で買収された方がおられるわけでありますけれども、そういった方々との均衡の問題も含めて現在のような状況になっているところでございます。
#83
○大河原雅子君 先ほど主濱議員が耕作をしなければ農地は財産じゃないというふうにおっしゃったんですよ。だから、ここにあるように、幾ら小規模であっても耕作していく、そこで作物作っていくという方たちについては、私は、やはりきちんとした都市農業を推進できる優遇措置をするべきだと思います。国有農地であって賃借をしていても、例えば生産緑地の適用が受けられる、こういうことをするのが私は国として検討を要する事項じゃないかなと思います。
 都市農業を推進をするということで、これからも質問をさせていただきます。
#84
○舟山康江君 民主党の舟山でございます。
 先週に引き続きまして、農地法の改正に関する質問をさせていただきたいと思います。
 その前に一点だけ、今までの流れにちょっと水を差すようで恐縮ではあるんですけれども、一点だけ。先週の月曜日、六月八日に開催されました食品安全委員会新開発食品専門委員会における議論について、議論というか、それを踏まえた農水省の対応について再度お伺いしたいことがありますので、そこだけちょっと、本筋とはずれますけれども、触れさせていただきたいと思います。
 実は、ここでは体細胞クローンの問題を議論しておりまして、私は、この問題について三月四日の農林水産委員会においても取り上げさせていただきました。ちょうどそのときにはこの新開発食品専門調査会において体細胞クローンの安全性に対する評価書案が了承されたと、そのタイミングを見て質問しました。今回、その後、パブリックコメントを募集して、いろんな意見が寄せられた、その意見を基に再度、先週、六月八日にこの調査会が開催されたという状況であるんですけれども、実は、この中で、パブリックコメントが三百三十六件寄せられまして、いろんな意見が出されたようでありました。ただ、賛成とする意見がたったの五十一件。つまりは、これ率にすると一五%ぐらいですか、一五%ぐらいしか賛成ではない。あとの意見については、いろいろと問題があるんではないか。その問題の中身、指摘する中身は本当に様々なんですけれども、本当に安全なのかというところから、その流通、表示の問題、それから倫理の問題、動物福祉の問題、本当に多岐にわたっていろんな意見が出されました。
 そういう状況の中で今後の予定を聞いてみましたところ、今後、正式にこの調査会として答申案を出して、親部会である食品安全委員会にかけて、正式な形で答申が出るということでありました。今こういったいろんな意見が出ているんですけれども、今調査会の中で検討されているものは、安全性に対してこの意見を基に、多分結果が変わるものではないけれども、今、意見に対するコメント、回答ですね、回答を取りまとめている段階で、文言の修正とかそんなことで多分数週間掛かると、その後に正式な答申案としてまとまって、評価書案としてまとまって親部会にかけるという状況でありました。ということは、恐らくこの方向で、安全性には何ら問題がないという方向で評価書が出るんではないかと思っています。
 そういう中で、以前三月四日の質問のときには、やはり農林水産省として、本当にこの体細胞クローンの食品が流通すること、それから生産されること、消費者の口に入ること、輸入されること、どう考えていくのか、技術的に安全だということだけで本当に受け入れていいのかということを、きちんと検討しなければいけないんではないでしょうかという質問をさせていただいたところ、大臣から、問題意識は共有しているというお答えをいただきまして、省として、よく検討して、他省とも協議をして方向性は出していかなければいけない、そんな御答弁をいただきました。
 その後、聞くところによりますと、省内で検討体制ができたと、そんなお話も伺いました。ということで、今回、技術調整室の担当者の方にどんな状況なんでしょうか、ということをお聞きしたところ、省内で検討体制を設けているということしか言えない、概略とか内容とか検討状況についてまだ言えない、まだ正式な答申が出ているわけではないので今直ちにどうこうするという必要性はないんじゃないかと、そんな答えでありました。
 私は、やはり正式に出る前に省として何らかの方向性を示していくこと、それから省内の責任体制をきちんと確立していくこと、これは絶対に必要ではないかと思うんです。結果が出る前に、やはりリスク管理機関として、後は本当に国内の、今後もしこれが流通することになれば畜産への影響は避けられないと思いますし、安全性、まさに消費者庁もできて、食品の安全については非常に多くの人が関心を高めているという状況の中で、農林水産省として、やはりきちんと体制をつくって、そしてしかも責任体制を取って、何をやっているのかということをお示しいただきたいなと思うんですけれども、その担当者のお答えを聞くところ、本当に何やってんだ、本当にきちんと検討されているのかな、どこまで問題意識を持っているのかなというところが非常に疑問なわけなんです。
 という中で、現在の検討状況について正式に責任者たる大臣からお答えをいただきたい。そして、今後の方向性、また省内、どういう責任体制を取っているのか、また他省庁に向けてどういう働きかけをしていこうとしているのか、その辺、お答えいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(石破茂君) 体制等々は担当から御説明申し上げたと思いますので、申し上げません。
#86
○舟山康江君 何も答えてもらえませんでした。
#87
○国務大臣(石破茂君) ああ、そうですか。ああ、そうですか。それは失礼をいたしました。
 委員御案内のとおりかと思いますが、結局、食品安全基本法の基本原則でございますリスク分析の枠組みというのがございまして、御指摘になりましたように、リスク評価者は食品安全委員会です。私どもはリスクの管理者でございます。そういうふうな立場の違いがございまして、評価者でございます安全委員会がまだ最終的な結論を出しておりませんのに、管理する側の私どもがああだこうだということで何らかの措置を行う等の表明をするということは、この原則に抵触をすることになりますので申し上げられないということだけでございまして、サボっておるとか、ちゃんとした議論をしておらぬとか、そういうことではございません。
 議論をすべきは、一つは技術的にどうなんだということ、もう一つは経済的にどうなんだということでございます。そしてまた、パブコメによりましてどんな意見が寄せられたかということは、大きな指標、指標といいますか、参考になるものでございます。
 ですから、技術面、経済面にわたって今いろいろな議論を行っておる、検討を行っているということでございまして、私は省の責任者として、全くそれをやっていないとかいいかげんにしておるとかいうことは全く認識をいたしておりません。委員の御懸念というもの、疑問というものをよく体しまして、これから省内における検討というものをより注視をしてまいりたいというふうに考えております。
#88
○舟山康江君 是非、それこそ評価の面、科学的、技術的に安全ということと、やはり管理する機関がどうそれをとらえるのか。また、先ほどから繰り返しになりますけれども、前回の質問の中でも国内で商業ベースに乗るような生産というのはなかなか難しいんじゃないかというお話の中で、とすれば、この案、ここにかかわってくるのは、輸入されたそういった体細胞クローンの食品が流通したときにどうなのかという、そこの判断になると非常に大きな影響を与えると思うんですね。消費者にも生産者にも大きな影響を与えると思います。
 そういう中で是非、本当に重要な問題だと思いますので、いろんな事情の下で言えないだけで、中身ではきちんと議論しているんですよというお答えでありましたので、それをしっかりと信じさせていただきまして、今後ともきちんとした議論をし、方向性を検討いただきたいなとお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、本題の方に移らせていただきます。
 これも先週の質問の中で、担い手には個別経営、いわゆる先ほど来議題になっております家族経営、それから農業生産法人、一般法人、農協、こういったものが存在する中で優先順位はどうやって付けるんでしょうかという質問に対して、まあなかなかここは一概にこれが一番だよということは言いにくいと、やはり地域における農地の利用が有効的になされることに主眼を置いていくべきだというお話もありましたけれども、そういった経営体によって本当に優先順位がないのかどうかというところをもう一度お伺いしたいと思います。
#89
○副大臣(近藤基彦君) まず、農地が農地としてすべて有効に利用されなければいけないというのは、どなたもそうだと言っていただけるんだろうと思っています。
 まず、今回の農地法の中で、所有と利用ということでありますけれども、まずは、利用される農地というものは、恐らく先ほどから皆さん方がお話しになっている家族経営体の中からそういうものが出てくるのが通常であります。高齢になって働けなくなった、うちの農地をだれかやってくれぬかと。あるいは、耕作放棄地を田畑に戻す、この場合には所有者がいるわけです。ただ、所有者に耕作を求めても、所有者が耕作しないから耕作放棄地になったんで、所有者に押し付けても恐らく無理だろうと思います。
 そうなれば、やっぱりそこは、そういった農地というのは地域の中に存在をしておりますので、その地域の中でどういう利用、そういった田畑の利用ができるのか。我々とすれば、できるだけその地域の人たちの中でだれかが耕作を引き受けていただけるというのが一番我々としては望んでいるところであります。そうなれば面的集積の必要もありませんし、その地域の中の農地ですから。
 ただ、私どもの田舎でもそうでありますけれども、なかなか高齢者、高齢になってきて、じゃ、おれがといって率先して手を挙げられない地域も実はあります。そうなったときに、地域の中で賄い切れぬというときに、じゃどうするのかと。じゃ、だれかやってくれる人が、まあ耕作放棄地にしておくわけにいきませんから、だれかやってくれる人がいませんかと。新規就農者でも結構ですし、あるいはそのときに多様な担い手というものを、我々とすれば、例えば地域の企業の人が、じゃ、そこを私に貸してくださいと、大体そういう形の中から進んでいくんだと思うんです。全くだれもいないということになれば、どこか遠くの人あるいは一般企業の人というものが、じゃ、やってみましょうかという手が挙がるかもしれませんが、通常、我々が考えれば、やっぱりその地域の中でやっていただきたいというのが、私は家族経営も、家族経営体がずっと盛んに持続可能な農業にできるのはやっぱり地域の力だと思います。やっぱり地域に我々は力点を置いて今回の農地法を改正したつもりでありますし、最終的には目的に衆議院の修正できちんと明確化されたように、やはり地域を壊すような農地法であってはならぬと私は思っております。
#90
○舟山康江君 ありがとうございました。
 私も今の近藤副大臣のお考えと全く同感であります。やはり基本は地域だと、地域の個別農家でできなければ例えば地域の法人なりがやり、近隣の人がやったりとかって、それでできないときには一般企業にも参入いただかなければいけないねということだと思いますけれども、どうもやはり、とらえられ方によりましては、今回の改正で、さすがに所有権は無理だけれども利用権であれば一般企業はどんどん入ってこれますよと、そういったメッセージを与えている部分もあるんじゃないのかな、そんな懸念も持っているわけです。そういう部分で、やはりそこの基本的な考え方、基本は地域なんだと、基本は個別農家なんだということは是非何かの形ではっきりとお示しいただかなければいけないんじゃないかと思っています。
 そういう、今まさに近藤副大臣がおっしゃっておりました、地域の中で賄い切れない場合に初めて、というような位置付けというのは、実は現行の特定法人貸付事業というのが全くその考え方であったと思います。地域の農業者だけではどうしても遊休農地化してしまう、遊休農地になってしまうおそれがある、そこに入ってもらって農業をしてもらいましょうと。その条件としては、市町村の基本構想にその旨位置付けてもらって、市町村との間に協定を結ぶなどの手続を経て、農地の貸借について市町村が介在する形で認められたという、そういったものでありました。
 まさに、この目的というのは遊休農地化を防ぐ、遊休農地の解消をねらったものだと思いますけれども、実はこれに関して、四月十五日の衆議院の農林水産委員会、本委員会の衆議院版ですけれども、横山議員の、今回特に参入区域を設定しなくてもどこでも一般法人が賃借による農地の取得であれば農業参入できるということで枠が広がったわけなんですけれども、なぜ今までのように参入区域を設定しないんでしょうかという質問に対しまして、高橋局長の方から、参入区域の設定をしている市町村は四五%であってかなり低いという、そんな御認識の下で、「市町村の不作為ということもあり得る可能性が十二分にある数字だ」という答弁をされておりました。
 つまり、私の理解の中では、本来もっともっとこの特定法人貸付事業で活用できるように市町村がきちんと区域設定をすべきだった、なのにしていない市町村があった、だから、どこでも参入できるようにした方がいいと、そう考えれば区域設定というのはもうなしにした方がいいんじゃないかというようなことで考えているのかなと受け止めたわけなんですけれども、これ、本当につまりは区域設定をしていない五五%の市町村というのは不作為、まさに怠慢で区域を設定しなかったと、そういうふうにお考えなんでしょうか。
#91
○政府参考人(高橋博君) 四月十五日に衆議院の農林水産委員会におきまして、横山議員からの御質問に私がお答えした部分でございます。
 これにつきましては、私どもが今回の制度改正の際に当たりまして、現行の企業等の農業参入、特定法人貸付け等も含めてでございますけれども、企業参入に関します意向調査というものを市町村を対象に十九年に行っております。そこにおきましては、基本的に参入に積極的な回答、市町村が積極的な回答は二割でございました。それから、一番多かったのが企業などから相談があれば考えると、ある意味非常に受け身的な対応が約四割でございます。
 実はこのほかに、担当ができる人員がいない、制度が理解できない、業務が多く手が回らない、市町村として支援を求められて手だてがないというような回答も相当数ございました。委員ちょっと御指摘の、要は来てほしくない、いわゆる積極的に拒否する、積極的拒否という回答は実は一・三%というような形でございます。
 別にこれだから今回外したというよりも、先ほど来申し上げておりますように、今回の改正については、やはり現状を踏まえた上で、本当に家族農業経営等々できちんと守れるような地域ではいいわけでありますけれども、現実の問題としてそういったような状況は非常に困難になってきている。これは実は平場であろうがあるいは優良なところであろうが中山間であろうが様々な地域でございますので、そういった意味でのこの区域設定というものはいかがなものか、妥当性がないのではないかということで今回外したところでございます。
#92
○舟山康江君 実はこの答弁の部分に私もちょっと本当かなという疑問がありましたので、昨日、山形県内の全市町村に区域設定の有無、そして設定していない市町村については何で設定していないのか、調査してみました。電話で調査するとどうしても誘導尋問になってしまうかもしれないので、ちょっと文書で調査をさせていただきました。そうすると、やはりすごく結果が面白いなと思ったのは、山形県でも設定市町村が三十五市町村のうち十六市町村。つまり、四五・七%、全国平均と大体同じ、一致しているんですよね。そういう多分平均並みの状況なんですけれども、この中で設定していない市町村が十九あるんですけれども、設定していない市町村についてはちょっと細かく、なぜなのか、ちょっと聞いてみました。これも文書で聞いてみました。そうしましたところ、私が受け取った印象では不作為でということはほとんどありません。やはりどの市町村もまさに自分たちの地域のことですから非常に考えておられて、例えば、これは特定法人貸付事業ですから地域を限定してそこに入るということだけですけれども、全体じゃなくて、そういう限定された制度の中でも、こういった一般企業が限定的にでも入ることによって現在の担い手と企業との間で競合やあつれきが生じるんじゃないかという懸念の下に設定しなかったとか、まさに集落内、地域内の良好な関係が破壊される危惧が払拭されない限り参入は認めるべきじゃない、それから、やはり自分の町ではいわゆる担い手、担い手という個別経営それから法人、農業生産法人を想定していてそちらの方をバックアップすることに力を注いでいる、地域の農地は地域で守っていくような仕組みをしっかり確立するというそこを考えているんだと、本当に非常に前向きな回答ばかりでありました。やはり優良農地も農家から一般企業に流れるおそれがあるので区域を定めなかったとか、ある町では、環境保全型農業を推進しているので何も知らない第三者が来て農薬や化学肥料をたくさん使用することになるようであれば地域の今までの農業そのものが壊れてしまう、そんな意見もありましたし、結局、これも後ほどちょっと触れますけれども、家族農業と一般企業経営と比べた場合にはなかなか太刀打ちができない、企業による大規模参入の懸念、そういったことも考えて今設定していませんと、そんな答えがほとんどでした。ですから、私は、殊、県内の市町村に聞いた限りにおいては不作為ということはないんじゃないのかなと思っています。
 そういう中で、いろんな問題意識の中で設定しませんでした。しかし、今回設定なくどこでもオーケーだということになりましたけれども、そういうときに、いや、企業参入が入られたら困る、いろんな懸念を持っていると、そういう市町村において企業の参入の希望があった場合に歯止めを掛ける手だてはあるんでしょうか。
#93
○政府参考人(高橋博君) 基本的に、まず、市町村がどのような形で当該地域の農業の構想を描くかというのは市町村の農業基本構想の中に描かれております。これは認定農業者制度の一番基本となるところでございまして、いわゆる市町村がどういうような当該市町村としての担い手図を描くかというのがまず一番ポイントになります。
 その中で今回、これは衆議院の修正の段階でお入れいただいたわけでございますけれども、この貸付けに伴います許可に当たりましては、農業委員会は市町村に通知をすると、そこの中で市町村が意見を申し述べることができるという仕組みになっております。
 で、先ほど来申し上げておりますが、基本的に今の仕組みは、市町村が区域を定めると同時に、実は市町村自らが契約をするという形になっております。ですから、先ほどの御懸念であれば、本来ならば、市町村が契約をしないということであれば大体の御懸念は本来払拭できているはずでございます。
 ですから、先ほど私どもこのアンケート調査についてもお話し申し上げましたけれども、確かに委員の御指摘のように、山形みたいに農業県、非常に一生懸命やっていただいているところもありますけれども、やはりそうじゃないところも相当数ございますので今回のような改正をさせていただいたということでございます。
#94
○舟山康江君 今回の制度、区域設定もせずに一般企業が参入できるような仕組みになったわけですけれども、そういった状況においても市町村できちんと歯止めが掛けられるという、そういう理解でよろしいですか。
#95
○政府参考人(高橋博君) 基本的には、まずは農業委員会の許可の際に、周辺の農地等の状況でございますとか地域における、これは修正段階で入っております、役割の担い手ということをきちんと地域の状況を判断をした上でやることにした上で、更に市町村からの意見も聴くことができるということでございます。
#96
○舟山康江君 先週の同じく高橋局長の答弁の中で、農業委員会がその審査をするに当たっては、その申請がきちんと法律上の要件に合っているか否かという観点でガイドラインを作るというような話もありましたので、そこが本当にきちんと、何というんでしょうか、参入の歯止めになるのか、ちょっと疑問な点はあるんですが、しっかりと、やはりそれは市町村に、その辺は市町村できちんと考えていただきたいということを是非、一律に機械的に申請があったら許可しなければいけないというものではないということを是非きちんとお示しいただければと思います。
 もう一方で、もう一つちょっと懸念するのが、今までの特定法人貸付制度においては、耕作放棄地に限っていたわけですよね。耕作放棄地、若しくは黙っていれば耕作放棄地になってしまう、そういうところに、地域の農業者だけではいかんともし難いから企業の力を少し借りましょうということだったんですけれども、今度は区域をオープンにしてしまうということであれば、逆に条件の悪い既存の区域からの撤退、若しくは、結局条件のいいところから企業は入っていく、まさに企業というのは利潤追求というのを至上目的としておりますから、やはり条件の悪いところは使いたがらないと思うんです。
 そういう意味では、耕作放棄地対策という名目の中でこういった制度が、まあすべてじゃないのかもしれませんが、耕作放棄地対策にも資するということで一般企業の参入ということで区域も外した、オープンにしたということなんですけれども、目的に逆行するんじゃないかと、そんな懸念もあるんですけど、いかがでしょうか。
#97
○国務大臣(石破茂君) 別に耕作放棄地に限っているというわけではございません。相当という表現を使っておろうかと思いますが、大体御趣旨のようなことでございます。
 現実問題として、今回の改正によって新しいところを借りられるということは確かでございます。だからといって市町村との協定とか契約を破棄するなぞということをやって別の農地に行きますということはなかなか想定しにくい話なんだろうと。そういうことをやると、もう、ああ、あそこはそういうところなんだということで、その地域の信頼を失うということになるのではないかと思います。もうそれはいいんだと、もう失おうが何しようがとにかくいいところへ行くんだということを絶対止めるということは難しいわけでございます。
 契約期間が満了いたしましたと、よって企業がそういうような比較的条件の悪いところからいなくなっちゃいましたということになりますと、これは原理原則に立ち戻ることになるんだろうというふうに考えております。それは、農地が荒れてしまう前に次の農地の利用につなげていくということでございまして、担い手が見付かりませんときは、市町村、農業委員会、JA等のあっせんによって担い手を見付けてもらう。新たに引受手が現れない場合には農地保有合理化法人等が農地を引き受けるということになります。
 ですから、そういうことは病理現象というか考えにくいことでございますが、そういうことが起こった場合には、原理原則に立ち戻り、市町村、農業委員会、JA等がそれなりの役割を果たし、耕作放棄というものが起こらないように努めていくということになろうかと存じます。
#98
○舟山康江君 やはり、先ほど紹介させていただいた、市町村の担当者からの企業参入に対する懸念にも幾つかありました。いわゆる地域を乱すんじゃないかということと、実際に経営の面から家族農業がつぶされちゃうんじゃないか、そういう懸念も随分聞かれました。やはり私そのとおりじゃないかと、そのとおりの部分が非常に多いんじゃないかと思うんです。
 それは、良くも悪くもというんでしょうか、やはり企業、特に本当に大手資本などはもう生産から流通から販売まですべてのルートを持っています。この間も、ちょうど土曜日でしたでしょうか、朝のニュース番組を見ておりましたら、京都の会社が北海道で農業生産をやっていると。もう労務管理、栽培管理、販売管理。もちろん、当然、家族経営といえども本来はある程度そういった経営感覚を持って管理をしていかなければいけないんだと思いますけれども、やはり企業の力にはかなわない部分があると思うんです。今申し上げました、そのすべてのルートを押さえている企業、いろんな情報の中でかなり綿密な経営計画を立てている企業に、本当に家族経営で、その地域と一体となりながら、それこそ休みの日には集落の共同作業に出て作業をしているような、そういう方々が本当に競合してしまう。そうなると、多様な農業経営体の育成といいますけれども、逆に、すべてちっちゃいところが駆逐されてしまう。結果的には、何か、見ればもう大きな企業しか残っていないという状況になりかねはしないかという懸念が物すごくあるわけなんです。
 そこについて、どうでしょう、その懸念は、大臣、おありじゃないでしょうか。
#99
○国務大臣(石破茂君) それは全くないとは私は申しませんですよ。そういうものを望んでいるという人もいるのかもしれません。以前の答弁で、背広着て通勤したいねという人が随分多いということを私驚いたというお話をいたしました。
 ただ、今回の法案におきまして、権利移転の許可に際して、周辺地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生じさせない、これがまず第一。もう一つは、地域における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的農業経営を行うということが基準になっております。ですから、この農地の権利移転の際にこの二つの要件ということがきちんと満たされているかどうか、そこの運用をいかに厳格にするかということだと私は思っております。
 大資本がやってきて家族経営が淘汰されるということがないようにしていかなければいけない。それはまさしくこの許可基準の運用ですね、これがいかに厳格になされるかと。それは地域の意識にも大きくよるところがあるのだろうと思っております。
#100
○舟山康江君 済みません、時間なので簡単にまとめますけれども、許可基準はそれはそれできちんと運用されなければいけませんし、そうなんでしょうと思います。だけれども、入ってきた後に、そのときはやはり、例えば農業上の利用で空いているところに入ってきたと、うまくそれぞれの役割分担でやってきました、でも、その後にやっぱりそういったノウハウなりそのルートを持っている大企業がどんどんどんどん大きくなって、結局いろんな競争で破れてしまった家族経営がそのうち撤退を余儀なくされてしまうということ。だから、入口でいいけれども、今後、その入口でオーケーしたもののその後物すごい経営力に差が付いてきて、結局これではもうやっていけないということで撤退を余儀なくされるケースというのは大いに考えられると思うんです。そこはやはりきちんと押さえていかないと、本来、先ほど大河原委員の質問にも家族経営が基本なんだというお答えがありましたけれども、その家族経営が、何というんでしょう、競争に破れて脱落しないような、そういうことを考えるという意味で、何というんでしょう、本当に入口の部分ではやっぱり慎重に考えなければいけないんじゃないのかなと思いますので、是非御検討をいただきたいと思います。
 何か自分の時間は常に、本当に三十分たったのかと思うぐらい短く感じるんですけれども、大分質問が残ってしまいましたが、時間ですのでこの辺で終わりにしたいと思いますが、いずれにしても本当に重要な大事な法案ですので、運用についてはきちんと手だてをいただきたいと最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#101
○委員長(平野達男君) 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#102
○委員長(平野達男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、亀井亜紀子君が委員を辞任され、その補欠として外山斎君が選任されました。
    ─────────────
#103
○委員長(平野達男君) 休憩前に引き続き、農地法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#104
○金子恵美君 民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 質問に先立ちまして、一言申し上げさせていただきたいと思います。
 六月の十一日の委員会質疑の答弁で高橋局長は、今回の法案提出に至るまで精力的な検討を進め、当然のことながら、ここは政府あるいは与党一体となった検討を行って、その間、関係の農業者等からのヒアリングあるいは現地における調査ということを積極的に行ってきたという話をされました。
 私は、大変これにつきまして関心を持ちましたので、このヒアリングについての資料というのをいただきたいということで御請求させていただいたところでございました。
 平成二十年の四月から六月まで、全国二十三か所で農地問題に関するヒアリングというのが行われていたということが分かりました。それぞれのヒアリングで恐らく様々な御意見等があったことだというふうに思いますが、私に御提出いただきました資料というのは、このA4判のペーパー二枚でございました。大変簡単にまとめられているものでございます。実際に、もちろん、全国の皆様のお声というのがこのA4判二枚にまとめられるものでは当然ないわけでございまして、やはり関係者の皆様あるいは当事者の皆様方の声というのはまさに貴重な宝でございます。
 そういったところからも、今回、私、最後の質問なのでございますけれども、農業者の方々のお声がしっかりとこの法案に反映されているのか、あるいは修正案にも反映されているのかということをしっかりと確かめるという意味で、そしてまた、地元に戻りますといろいろな声をやはり聞くところでございますので、そういった皆様のお声を届けるという形で今回の質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。このペーパー二枚だけではないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、まず転用に対する基本的な考え方を伺いたいと思います。
 法改正の柱に転用規制の厳格化というのを掲げて、目的規定にも、農地が限られた資源であることにかんがみ、農地を農地以外のものにすることを規制すると明記してございます。
 しかし、厳格化のその具体的な中身を見ますと、公共転用に対する事前協議制度の導入、違反転用に対する罰則強化、そして都道府県による転用許可事務の適正化という項目だけであって、個人の転用行為を抑制、規制するような項目は見当たらないわけでございます。
 なお、農振法では農用地区域から農地を除外する際の要件の追加がなされていますが、転用の大半を占める農用地区域外の農地を個人が転用すること、これについてはやはり規制は強化されていないという状況でございます。
 そこで、この法改正の前と後ということで、前後で、個人の転用行為に対する基本的な考え方に違いがあるのか、あるいは全く違いはないのか、どちらなんでしょうか、お伺いさせていただきたいと思います。
#105
○政府参考人(吉村馨君) 今御質問のありました個人の転用の扱いでありますけれども、現行の農地転用許可制度におきましては、農用地区域内の農地については、もうこれは御案内のとおりでありますけれども、その区域から除外されない限り転用を認めていないと。それからまた、農用地区域以外でありましても、土地改良事業等の公共投資が行われた農地又は二十ヘクタール以上のまとまりのある農地については原則として農地転用許可が禁止される第一種農地ということになっております。
 ただし、第一種農地であっても、集落に隣接して存在しているような集団的農地の縁辺部に位置する場合には、住宅建設等を目的とする場合には農地転用は許可できるということになっておりまして、この住宅建設というのは多くの場合には個人の住宅建設と、こういうことになろうかと思います。
 この度の農地制度の見直しにおきましては、優良農地の一層の確保を図るという観点から、先ほど委員も御指摘ございました、担い手の農地利用集積に支障が出るような場合には農用地区域からの除外を認めないと、これは農振法の改正でございます。
 これをするとともに、一種農地、先ほど申しました一種農地の範囲を拡大をする。具体的には、集団性の要件を、現在二十ヘクタール以上ということになっておりますが、これを十ヘクタールに引き下げると。これは実は法律では規定をしておりませんで政令に委任しておりますので、今回の制度改正の一環として、政令改正としてこのような措置を講じたいというふうに考えているところでございます。
 こういったこと、先ほどの農振法あるいは一種農地の要件を厳しくすると、こういうことによって、それであっても地域の経済活動に一定の配慮をしなければいけないということで、先ほどの集落縁辺部の農地については引き続き一種農地でも転用が可能ということになるわけでありますけれども、一種農地の言わば縁辺部ではない、集落に接続していない真ん中辺の農地ですね、これについては、これまで例えば十ヘクタール程度の固まりであれば転用許可できたんですが、これはできなくなると。こういうことで転用規制が厳格化されるということで考えているところでございます。
#106
○金子恵美君 ありがとうございました。
 端的に答弁をいただければ有り難いんですけれども、ここで私が申し上げさせていただきたいことは、個人の財産ではあるけれども、やはりそれは大切なこの国の農地であり、この国の宝であるというようなことから、やはり国民の皆さんもそれをしっかりと理解をする形で、国を挙げてこの我々の国の重要な農地を、農業生産基盤である農地を守っていこうではないかということを確認をさせていただきたいわけでございます。
 次に公共転用について、今回これに導入されました法定協議制度の効果について伺ってまいりたいというふうに思います。
 まず、中身につきましては申し上げるまでもございませんので、まずこの協議の対象ということでお伺いさせていただきたいんですが、道路、農業用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要が高いと認められる施設であって農水省令で定めるものの用に供するための公共転用がこの協議の対象から除外されているわけでございます。公共転用面積の大半は道・水路、鉄道用地を占めている状況でございますが、やはりこれも協議の対象に含めてもいいのではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#107
○政府参考人(吉村馨君) 今回の改正法案の四条一項二号それから五条一項一号の農林水産省令では、国、都道府県が行う学校、病院、社会福祉施設、庁舎、公務員宿舎の用に供するための転用が法定協議の対象になるようにその省令を規定したいというふうに考えております。
 この趣旨は、これらの施設が本来、位置選定に任意性があるにもかかわらず集団的な優良農地の真ん中に設置されるというような例が見受けられて、さらにその周辺がスプロール化すると、つまり関連店舗が立地するとか、そういったことを招くということで優良農地の確保に支障が生じているという事例が散見されたこと、そういうことで今申しましたような五施設について法定協議の対象にすると、こういうことでございます。
 一方、道路、水路等、これが法律では例示されているわけでございますけれども、これについて、委員御指摘のございましたように、確かに実際の公共転用のうちでこれらは九割を占めているわけでございますけれども、一方で、これらは位置選定に任意性がないということ、それから法律にも書いてありますが、地域振興上、農業振興上必要な社会資本を整備するもので公益性が高いと、こういったことを考慮して法定協議制度の対象にしなかったところでございます。
#108
○金子恵美君 改めてこの地域振興上の必要が高いという施設、この定義というのはどういうものでしょうか。
#109
○政府参考人(吉村馨君) まさにここに例示されている道路、それから農業用の用排水路、こういったものは地域振興上の必要性が高いというふうに考えておりますし、また、そのほかのもちろん公共施設、公共転用施設で、先ほど委員御指摘のあった鉄道路、こういったものについても地域振興上の必要性が高い上に、やはり線的な施設でありますので位置選定に任意性がない、こういったことで法定協議の対象とすることは適当でないというふうに考えております。
#110
○金子恵美君 地域振興上の必要が高いということのその解釈が広がってしまうのではないかという懸念があるので確認をさせていただいたわけでございますが、ちょっと時間もありませんので次に行かせていただきますが、この公共転用を希望する者とそしてまた転用許可権者が同一の場合の協議の実施方法についてお伺いさせていただきます。
 現在、二ヘクタール以下の転用許可は都道府県の自治事務でございます。例えば、そうしますとA県、ABCのAですが、A県が公立病院を設置するために二ヘクタールの転用を希望した場合、法律上はA県とA県が協議するような格好になるわけでございます。恐らく県庁内では、もちろん医療部局が転用を申請し、そして農林部局がそれを審査するといった具合で役割分担が図られるということになると思いますが、あくまでも形式上はやはり知事同士が協議するということになります。こうした仕組みに果たしてどれだけの意味があるのか、実際に限りのある農地の確保につながるのか疑問を感じるところでもございますけれども、この私の懸念を払拭するようなお答えをいただきたいと思います。
#111
○政府参考人(吉村馨君) 公共転用を行う際の協議、特に知事許可の案件についてのお尋ねでございますけれども、これについては、今まさに委員御指摘のとおり、事業監督部局の監督者たる都道府県知事が農地転用許可権者たる都道府県知事と、これは単なる協議ということでは、やはり公文書ベースで協議をすると、こういうことだと思っております。当然これは公になる文書であるというふうに認識しております。
 こういったことがもちろん手続としてはあるわけでございますけれども、一方で、これまで許可対象でなかったということで実質上やはりなかなか協議が行われていなかったと、こういう事例も見られるところでありまして、これ、許可対象にすること、法定協議の対象にすることによってすべてがこういった協議対象になるということ自体、よりその影響の少ない農地に誘導する、そういった位置選定の上で農地担当部局と十分調整をして行われると、こういうことだと思っておりますし、また協議を成立させるか否かの判断基準でありますけれども、これについては一般の民間事業者と同様の農地転用許可基準を適用するということで、これは文書で明確化をしたいというふうに考えております。そういったことでこの制度の協議が実効あるものになるというふうに考えております。
#112
○金子恵美君 今その具体的な基準についても触れていただきましたが、やはり課題も多いと思います。それからまた、その法定協議の過程においては、やはり当該地域の農業者の方々、関係者の方々の御意見等も反映できるような仕組みにしていかなくてはいけないのではないかとも思います。
 平成二十年度から三か年計画で農地の公共転用による影響調査というのを実施していらっしゃるというふうに伺っておりますが、効果的な調整手法についての検討を加えていくのだというふうにおっしゃっています。この調査の結果、今後の公共転用規制に生かされるというふうに思いますが、いいお返事をいただきたいということ、そしてまた、今後の方針として、公共転用をもうそもそも抑制していく方向なのか、あるいは秩序ある公共転用を進めていく方針なのか、どちらなんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#113
○政府参考人(吉村馨君) まず、先ほど委員のおっしゃられました農業者等の意見の反映でございますけれども、これ、今回の改正法案において協議の際にも県の農業会議の意見を聴かなければならないという規定は準用することにしておりますので、そのような手続を踏んで協議を成立させるということになります。
 それから、委員の御指摘のありました、私どもが実施しております、二十年度から実施しております調査の関係でありますけれども、平成二十年度におきましては公共転用に伴う周辺農地のスプロール化の実態調査、それから公共転用が行われる場合の都道府県、市町村内部での農業担当部局と事業担当部局間の調整に関するアンケート調査、こういったことを行っておりまして、先ほど御紹介させていただきましたような実態もその中でも明らかになってきているところでございます。
 この報告書を参考にいたしまして、今後、法定協議が円滑に行われるような具体的な手順、これを規定することといたしたいと思っておりますし、また、こういった法定協議にとどまらず、事業担当部局が立地予定地を絞り込む前に前広に農業担当部局と立地予定地の選定の調整を行う仕組み、これも整備をしていきたいというふうに考えております。
 また、委員のお尋ねのありました、そういう意味で公共転用を抑制をするのか、それとも一定の方向に誘導していくのかということでございますけれども、公共施設については、やはり必要なものは必要だということはあると思います。ただ、それをどこに立地するかということは、これは農業との関係で非常に重要な問題でありますので、先ほど申しましたように、特にその立地予定地を絞り込む前に前広に農業担当部局と調整するというようなことも通じて適切な方向に誘導していくことが基本的な方向だというふうに考えています。
#114
○金子恵美君 これにつきましては、その周辺農地の転用が誘発されてしまうという問題があるということから、やはり慎重に進めるべきものは進めると。一方では、もちろん農地を守りながらも、真に行政ニーズとして必要な公共施設の建設を妨げないということではあろうかというふうに思います。しかし、やはり、今お話を聞いているだけでも、基準等も含めまして課題も多いのではないかと思いますので、しっかりとお進めいただいて、この法定協議が実効性のあるものにしていただきたいというふうに思います。
 それでは、次に参ります。
 これまで委員会質疑で何度か取り上げられてまいりましたけれども、違反転用について質問させていただきます。
 今回の法改正で罰則を強化し、違反者が不明などの場合には行政代執行ができるように措置しましたが、それで本当に違反転用のやり得が防げるのか疑問でございます。違反の原因については、もう多くの皆様がおっしゃっていますが、転用許可が必要だと思わなかったや、長年耕作していなかったので地目が農地だとは認識していなかったなど、極めて初歩的な間違いも目立ちます。言い訳にも聞こえる場合もございます。違反転用が事実上野放しになってきたという状況がうかがえます。
 あくまでも法律上は、国又は都道府県は違反転用者に対し原状回復を命じるか、あるいは罰則適用に向け刑事告発をするのか、いずれかに限られると思います。違反転用のやり得を許さないために安易に追認許可をすべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
#115
○政府参考人(吉村馨君) 違反転用の場合に、私どもも原状回復が原則と考えております。ただ、これまでの実態では、委員御指摘のありましたように、追認許可を出している例が非常に多いと。また、その理由として、委員が御指摘になった理由ですが、これもまあどう見るかはなかなか難しいところなんですが、そういった必ずしも悪質とは見られない、かつ、今後違反行為を行わないというような場合に転用許可基準上認められるものについては追認許可が行われているというのが実態でございます。
 ただ、繰り返しになりますけれども、違反転用の追認許可は決して望ましいものではないというふうに考えておりますので、昨年十一月に通知を発出をいたしまして、その中で、追認許可ができるような事案であっても、まずは原状回復を求めるか否かについて十分検討するよう指導をしているところでございます。
 また、今回の法改正で、国の役割として、都道府県また市町村農業委員会に転用許可の権限が移譲されている場合には、市町村農業委員会に対して国が是正の要求を行うという制度が設けられたところでございます、盛り込んでいるところでございます。この改正を有効かつ効率的に活用するために、例えば追認許可を行った事案に焦点を当てて調査を行って、そして必要な場合に是正の要求を行うといった運用もしていきたいというふうに考えております。
#116
○金子恵美君 今回、罰則を強化するということにしているわけなんですが、現行法の下でどのくらい罰則が適用されてきたのか。実際に報道を見ますと、昨年の十一月七日の日本農業新聞では、農水省は刑事告発や起訴の実態をつかんでいないというふうに書かれてございました。
 違反転用の抑止力を強化する意味合いで今回の罰則強化と言っているのであれば、その現状をきちんと把握していないのはおかしいのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
#117
○政府参考人(吉村馨君) 刑事告発の実績について、これは、私どもとしても聴き取りで調査をしているということでございますけれども、十九年、二十年の実績では、これ、都道府県から聴き取ったところでございますが、十九年は四件が刑事告発をしていると、そのうち二件は起訴されて有罪になっているということを把握しております。二十年の刑事告発の実績はゼロでございます。
 ただ、私ども、もちろん刑事告発をし、罰則を適用するということも違反転用の抑制のために非常に重要な手段だとは思っておりますが、やはり違反転用については原状回復が基本だと考えておりますので、余りやたらに刑事告発をいたしますと、原状回復が阻害されるというようなこともある。そういう意味で、刑事告発は原状回復の見込みがないなど、個々の違反転用の事案を取り巻く状況に応じて行うべきものだというふうに考えているところでございます。
#118
○金子恵美君 追認許可について法的な根拠は何ですかと、実はちょっとお伺いしなかったんですが、実際にはそれがないんですよね。
 今こうやって、違反は違反ですから、ルール違反ですから、まさに、であるけれども、原状回復をするという目標があるから取りあえずは仕方がないなという言い方に聞こえてしまったんですが、そうではないですよね。どうなんですか。
 それで、原状回復の話が出ましたので、じゃ、この原状回復命令が実際に発動されやすい仕組みになっているのかということについてお伺いさせていただきたいんですが、現行農地法八十三条の二でも改正案の五十一条でも、違反行為に対する原状回復命令が発動されるのは、土地の農業上の利用の確保及び他の公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要があると認めるとき、必要の限度においてと規定されているわけでございます。つまり、許可権者の裁量が入り込む余地が非常に大きいという印象を受けます。
 違反転用を本気で防止するのであれば、こうした裁量の余地を極力狭めなくてはいけない、例外なく原状回復を求めるとともに、違反即罰則とやはりしない限り一向にこの事態が改善されないのではないかというふうにも思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
#119
○政府参考人(吉村馨君) まず、原状回復命令を発する場合の判断基準でありますけれども、法律上は今委員の御指摘のような規定になっておりまして、これに基づいて原状回復命令を発する場合の考慮事項として、農林水産事務次官通知の処理基準におきまして、都道府県知事は、違反転用事案の内容及び違反転用者からの聴聞又は弁明の内容を検討するとともに、違反転用事案に係る現況、周辺における土地利用の状況、違反転用後にその土地に形成された権利関係等の事情を総合的に考慮して処分の内容を決定するという一種のガイドラインでございますけれども、これを規定しているところでございます。
 ただ、実際に原状回復命令を発するに当たっては、やはり個々の違反転用事案の状況に応じて判断する必要がありますので、詳細な判断基準を一律に規定するのは難しい面があるというふうに考えております。
 ただ、先ほども申しましたけれども、原状回復を図るというのが原則で、安易に追認許可をすることは決して望ましいことではないということで、先ほど御紹介させていただきましたように、追認許可できるような事案であっても、まずは原状回復を求めるか否か十分検討するというような指導をしているところであります。
 また、原状回復を発すべき具体的な事例、これを農地転用に携わる関係者は共有することが必要であるというふうに思っております。各都道府県が発した原状回復命令の具体的な事案、これは違反転用の態様でありますとか周辺の農地への悪影響の状況、こういったものを蓄積をして周知をしていきたいというふうに考えております。
#120
○金子恵美君 今後、罰則適用のための刑事告発なりを都道府県に促していく考えはありますか。イエスかノーかでいいです。
#121
○政府参考人(吉村馨君) 繰り返しになりますが、やはり原状回復が基本だと考えておりますので、もちろん事案に応じては告発ということはあり得ますけれども、まずは告発をするということを指導する考えはございません。
#122
○金子恵美君 認識としては農地は守りたいということだというふうには考えたいのですが、そういうお言葉を何かいただけなかったのが残念でなりません。でも、違反は違反、しっかりとやはりその辺のところをチェックできるような機能にしていただきたいというふうに思います。
 時間がありませんので次に行かせていただきますが、これも本当に簡潔にお答えいただきたいんですが、今回の法改正では、農用地区域から農地を除外する際の要件として、新たに担い手に対する農地の利用集積に支障がないことを追加することとしています。要件を付け加えるということは結構なことです。
 一方、現行の要件が果たして妥当なのかという問題がございます。特に、土地改良事業等が完了して八年を経過していることとの要件は、多大な公費を投じた優良農地がたった八年経過すれば転用が許されるという状況、これは本来おかしいのではないかと思いますが、農水省の見解をお伺いしたいと思います。
#123
○政府参考人(吉村馨君) この八年という要件でございますけれども、確かに委員の御指摘のような意見があることは私ども承知しておりますけれども、八年としておりますのは、土地改良法の九十条の二におきまして、土地改良事業完了後八年を経過するまでの間に農地転用を行った場合には補助金相当分の返還を特別徴収金として徴収できることになっておりまして、その例にならったものでございます。
 ただ、できるだけ長期にわたって農用地区域内に存置して農地として利用を確保するということが重要であることは、これは申すまでもないわけでありまして、この八年経過というのも、八年経過したから直ちに除外をしてよいと、こういうことではございませんで、そのほかの要件、今回新しく加えられる担い手の農地利用集積に支障がないというようなこと、それから従来ございます農用地区域外に代わる土地がない、あるいは農業上の効率的な利用に支障がない、土地改良施設等の有する機能に支障が及ぼすおそれがない、こういったすべての要件を満たす必要があるわけでございます。
 また、現在、平成十七年に策定した基本指針に基づいて農用地の言わば確保の面積を四百四万ヘクタールというふうに見込んだところでございますけれども、平成十九年における農用地区域内の農地面積は四百八万ヘクタールというふうになっておりまして、単純に推移、トレンドでいったときの四百六万ヘクタールを若干でありますが上回っている状況にあるということでございます。
 そういう意味では、現在の除外要件で農用地区域内の農地の面積そのものの確保の目標は何とか達成できていると、そういう状況でありますので、八年という期間を直ちに見直す状況にないと考えておりますが……
#124
○委員長(平野達男君) 質問に答える形だけの答弁で結構ですから、それ以外の発言はちょっと差し控えるようにしてください。
#125
○政府参考人(吉村馨君) はい。
 ただ、八年という期間の問題については、やはりこの改正法案の今後の実施の状況、優良農地の確保の状況を踏まえて、そこで問題が明らかになれば今後の検討課題の一つになるというふうに考えております。
#126
○金子恵美君 全国二十三か所ヒアリングをしていらっしゃって、この件について伺わなかったですかね。私の耳にはやはり入ってきます。八年間じゃ、つまり公庫等からの借入金の返済もまだ終わっていないし、あるいは、事業によって違いますけれども、受益者負担の支払も終わっていないんだと、八年じゃ余りにも短過ぎるじゃないかと、こういう声はありました。是非御検討をいただきたいと思います。
 本当にもう全く時間がなくなってしまいましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 今回の法改正は衆議院での修正も加わりまして、その運用に当たっては、農業現場での的確かつスピーディーな対応と、そして現場で生じている問題を霞が関できちっと受け止め改善策を検討する、こうした一連の連携が極めて重要となってまいります。
 そうしたことからも、これまで多くの議論がありましたように、農業委員会の監視、実務機能の強化を図るとともに、都道府県、そして農水省の出先機関の役割、責任も大きく問われると思います。
 しかしながら、現在の農水省にそうした余裕があるのかどうか、大変懸念をしているところでもございます。連日の国会審議、膨大な政策の立案、執行に御苦労をいただいておりますが、昨年の事故米問題を受けた農水省改革のための緊急提言やその下地になった若手と語る場で提起された意見を見ますと、目的意識を失った漫然とした業務対応が行われている、本省と地方、部局間の連絡が悪く情報が共有されない、誤りを誤りと認めない傾向がある、現場の視点、国民の視点が不足しているなど、組織の構造的な体質が浮かんでまいります。若手と語る場というのは、若手職員の議論の場でございます。
 こうした体質を改めるかぎは、研修やマニュアルではない、やはりリーダーの明確、かつ、ぶれない方針が示されることだというふうに思ってございます。
 そこで、これまでの議論を踏まえまして、本省だけでも二万六千人のスタッフを擁する農水省のトップたる大臣のお考えをお伺いさせていただきまして、質問を終わります。
#127
○国務大臣(石破茂君) 何度か申し上げましたが、要は役に立つところだから役所というのであって、役に立たないところは不役所であると。役に立つ人だから役人というのであって、役に立たない人は不役人である。そのそれぞれの各人が法律をどれだけ理解をし、どれだけちゃんと説明をし、その運用においてそれぞれの現場で不都合があるとするならばそれを的確に上げ、現場と本省との間に乖離があるというのは一番まずいことだと思っております。現場の不都合というものが、いろんな御不平、御不満というもの、それが常にリアルタイムで本省が共有するということが一番大事だというふうに私は思っております。
 農林水産省というものが、生産者、もちろんフードチェーンでございますから生産者から消費者までがずっとフードチェーンなのでございますが、そのそれぞれにおいて、農水省というものがすぐ身近にいる、反応が早い、反応が的確、そのことがきちんと評価されない限り農水省改革は成就しない、その思いでございます。
#128
○金子恵美君 終わります。
 ありがとうございました。
#129
○山田俊男君 今回、大詰めに来まして農地法の改正の議論を初めてさせていただくことになったわけでありまして、少し時間を長めにいただいたわけでありますが、大臣、それから衆議院で修正いただきました宮腰先生に出ていただいておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、我が国の農業の基本を考えたときに、農業で食べていける基盤をどうつくり上げるかということが一番大事だというふうに思います。そうした観点からすると、やはり生産力の基礎になります農地をどう集積できるか、我が国の実態からしますと所有地は大変小さいわけでありますから、そうするとどう利用を拡大できるかということが、これは長年にわたります我が国の農政の柱であったというふうに思います。
 この間、大変な努力を、それこそ農林水産省の皆さんも政策推進の皆さんも、それから各党の皆さんも、それからそれぞれ団体の皆さんも、ひいては市町村、自治体等の皆さんも農業委員会の皆さんもそれぞれ努力されてきたわけですが、なかなかうまくやはり残念ながら進まなかった。ここへ来て、思い切って農地の利用について、これはほぼ自由化と言ってはなんですが、それに近い形を取ってみよう、そのことによって食べていける多様な担い手をつくり上げる基礎にしようじゃないかというのは、それは一つの画期的な取組でありまして、その観点からしますと、この改正に対しまして私は大いに評価するものであります。
 ところで、これについては大変危険性もあるわけであります。
 御案内のとおり、農業生産法人以外の法人、すなわち企業等に対して全面的に農地の利用を開放するといったときに、運用いかんによりましては、また実態の進み具合いかんによりましては大変な危険性を伴う両側面を持ったものであるというふうに思うわけであります。もしもこのことによって、企業の参入によって、我が国の大事な地域であったり、さらには家族農業経営が徐々に押しやられてつぶれていくというようなことになったのでは、それこそこの国の在り方を支える大事なものが崩れてしまうことになっては絶対にいけない、こんなふうに思うわけです。地域や家族は、それは効率的なものかというと、いや、そうじゃなくて、なかなか効率的でないかもしらぬ。だけれども、今言いましたように、この国のありようを支える本当に大事な基礎であるということはもう論をまたないわけでありますので、この農地法の改正がそうした大事な地域や家族農業をつぶさないということをもう一番の念頭に置きましてこれを運用していくことが大事だと、こんなふうに思います。
 私はこのことを考えるときに、昨年の五月の十四日の経済財政諮問会議におきます農業改革の論議、農地改革、農政改革の論議を大変忘れることができないわけであります。当時は若林大臣だったわけでありますけれども、今の経済財政諮問会議のメンバーとは少し違いまして、ややもすると、どちらかというと自由競争、市場原理を入れた方が要は構造が変わっていいんだというふうに主張される委員が多かったんじゃないかという経済財政諮問会議だったせいがあったかというふうに思いますが、大変緊迫した議論がなされたということを、これは私はもうその場には出ていないわけでありますから議事録で承知しただけでありますけれども、福田総理が論議に加わるというふうなこともありまして、大変緊迫したものであったかというふうに思います。私は今回のこういう形での議論、議論を大変積み重ねた上での話でありますけれども、この画期になったのは、やはりこの経済財政諮問会議だったんじゃないかというふうに思います。
 経済財政諮問会議の民間側委員が提出されました平成の農地改革推進の方向といいますか農政展開の方向ですか、これの全部に賛成したわけではありませんでして、農業生産法人の全面的なといいますか相当大幅な規制緩和、これにはこの改正案はきっちり抵抗をした内容のものに私はなっているんだと思うんです。しかしその一方で、企業参入によります賃借の自由化ということについては思い切って踏み出したことになったかと、こんなふうに思います。
 さて、衆議院の議論を踏まえていただいて、そして、それこそ耕作者が所有するという意味での耕作者主義という言い方が適切かどうかということでありますが、耕作している者が所有するんだぞという基本を目的規定の中にしっかり入れていただいたということですね。それから一方で、利用といいますか賃借の場合においても、そうした農業生産法人以外の法人について、きちっと役員の中で一人以上常時農業従事者がいることということの規定を加えて一定の歯止めを掛けていただいたということも大変大事なことであったかと、こんなふうに思います。
 前置きが長くなってしまいましたが、そこで、今回の改正法の運用に当たって、私は留意すべき事項を中心に、これまで質疑のあったこと等とも関連させながら質疑をさせていただきたい、こんなふうに思います。
 まず最初に、これは大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、改正法で描いている農業経営像とは一体何なんだということなんです。
 これらと関連しまして、これは日本国際フォーラムというのがあるんです。ここのメンバーは学者であったり、それから経済人であったりしておられます、官僚のOBの皆さんも加わったり、多彩なメンバーが加わられております。私は若干納得いかないのは、政府の経済財政諮問会議の専門調査会の委員だった人がこの国際フォーラムのメンバーないしは主要な執筆者だったのかなというふうに思ったりしますけれども、そのメンバーであるということや、さらにそのメンバーが一方で、これは石破大臣が中心になって役割を果たされている農政改革六大臣会合、この作業チームのメンバーにもなっておられるということなものですから心配が募るわけであります。この日本国際フォーラムの提言は、何と日本の四百五十万ヘクタールのうちの三分の一に該当する百五十万ヘクタール、これについて百ヘクタールの経営を一万戸経営体をつくるんだと、こういう提言なんです。まじめな議論をした上での提言なんです。
 一体これは我が国の農業をどこへ持っていこうとしているのかです。百ヘクタールの経営体、こうなりますと、もちろん家族農業経営でできないことはないかというふうに思いますけれど、資本力からしても何からしても、やはり企業参入をそれなりに前提にした内容のものになってしまっているんじゃないかというふうに思うんです。これは我が国の実態と本当に懸け離れたものであるとしかもう言いようがないわけであります。
 一体、この改正法が目指すのは、地域に応じた、地域の実態に応じた多様な経営体を育てるんだと、食べていける経営体を育てるんだと。そして、もちろんそのためにも政策は、そうした地域の実態に応じた多様な家族農業経営体を中心とするこれら経営体に対する政策支援ですね、これを位置付けていく、これを進めて国民合意を実現していくということなんだということなんだと思うんです。
 どうぞ、大臣の、この改正法が目指すものは一体何なんだという将来像について意見をお聞きします。
#130
○国務大臣(石破茂君) この百ヘクタールという農業が日本で一体どれぐらいあるのかというと、まずほとんどない。十ヘクタールだって大変なことでありまして、百ヘクタールが一万ということになりますと、これはそもそも無理なんだよねというふうに思いますです、仮にそれが法人の経営であったといたしましても。ですから、この数字はこの数字としてかなり現実と乖離したものだという認識を私自身は持っております。
 それはそれといたしまして、やはり規模拡大というのは、アメリカとかオーストラリアとかそういうものを目指しても仕方がないのですが、どこまで規模拡大をすれば、これは委員の方がはるかに御存じですが、装備が最も効率良く利用され、最もコストが下がるという規模がどこまでなのかということを認識した上で、規模の拡大というのは可能な限り図っていかなければならないと思います。その中にあって、多様な担い手という言葉がこの審議の間にずっと出ているわけでございますが、基本はやはり家族経営なのだろうと。しかしながら、家族経営で行き詰まる部分、あるいは家族経営ではどうしても十分に効果が発現しない部分に多様な担い手という形を入れていきたいというふうに思っておるものでございます。
 ですから、何でもいいから規模を拡大しようということではございませんが、最も適正にコストが下がるというものはやはり目標として持っていかねばならぬのではないか。それは百ヘクタールとかそういうようなものではない。少なくとも、我々がイメージしているものはそれとは全く異なるものだということはここで申し上げておかねばならないことだと存じます。
#131
○山田俊男君 大臣の家族農業経営をあくまで基本にした多様な経営体をつくり上げていくという決意だということをお聞きしまして、そこをしっかり押さえたいというふうに思います。
 ところで、筒井先生、宮腰先生、お見えでありまして、ありがとうございます。衆議院で修正法をお出しになって、私は、修正法の内容について改めて申し上げますが、大変評価しているものであります。
 ところで、六十三条の二において、この法律の運用に当たって、我が国の農業が家族農業経営や法人等の様々な農業者により構成され、その連携の下に行われているということを強調されていて、これらが配慮されねばならないということをわざわざ入れていただいているわけでありますが、改めて修正者のお考えをお聞きしたいと思います。
#132
○衆議院議員(宮腰光寛君) 第六十三条の二の配慮事項の趣旨でございますけれども、修正後の農地法第一条に示されておりますように、農地は農業生産の基盤であるとともに、国民のための限られた資源であり、地域における貴重な資源であるということであります。
 そこで、農地法の運用に当たりましても、我が国の農業が家族農業経営、法人による農業経営等の経営形態が異なる農業者や様々な経営規模の農業者など多様な農業者により、及びその連携の下に担われていること等を踏まえて、そのような農業者の主体的な判断に基づく農業上の取組を尊重し、地域資源である農地が地域との調和を図りつつ農業上有効に利用されるように配慮しなければならないことを修正により明確に規定したものであります。
 これによりまして、様々な農業者の主体的な判断に基づく農業上の取組が尊重され、また地域社会としての一体性を保ちつつ農地の利用が行われることを確保することができるものと考えております。
 したがいまして、例えば山田委員御紹介のように、農業者自身の主体的判断を無視した形で、政府が百ヘクタール規模の農業経営を展開する経営体を一万程度育成、再編するというような農業経営の将来像を目指すことは、この農地法第六十三条の二を設けた趣旨に反するものと考えております。
#133
○山田俊男君 今回の改正案は企業の参入を促進する方向に大きく踏み出したわけですが、そうなりますと、入口の規制と出口の規制、これが的確に行われないと大変な混乱に陥るのではないかという心配であります。そのためにも、政省令やさらには運用基準を明確にした取組が求められると、こんなふうに思うわけであります。
 ところで、まず入口の規制についてでありますけれども、改正法は、農地の集団化、それから農作業の効率化、さらには周辺の農地の効率的それから総合的な利用ということを第三条二項の七号に、七号を修正してきちんとこれを入れられたわけであります。さらに、修正法は、他の農業者との適切な役割分担、これ大変大事な言葉かというふうに思うんですね。さらには、継続的、安定的な農業経営を行うことが見込まれることということを入れておられるわけでありますが、改めて、これをこんな形で入口規制にこうしてこの条文を入れたという衆議院の修正者の考えをお聞きしたいと思います。
#134
○衆議院議員(宮腰光寛君) 衆議院の委員会質疑におきましては、第一条の目的につきまして、農地と地域との有機的な結び付きについても言及すべきとの御指摘があったところであります。そこで、第一条の修正を行いまして、農地を地域における貴重な資源とした上で、耕作者による農地の権利取得について、地域との調和に配慮したものとすることにいたしました。
 一方、農地に係る権利の取得と地域の担い手との関係につきましては、政府原案の第三条第二項第七号でも、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地等の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合には権利の取得が認められないという形で規定されていたところではあります。しかし、特に一般会社等が農業経営を行うために地域社会に入ってくるような場合に、参入地域の地域社会と調和した形で営農を行うかどうかは第三条第二項第七号の要件だけで担保できるとは保証できないとの御指摘もありました。
 そこで、修正案におきましては、第一条の修正の趣旨を踏まえ、第三条第三項による農地の利用権の取得に関して、農地利用が地域の農業や集落と調和した形で行われるようにするため、地域の他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれることという要件を追加したところであります。
 また、農外法人でありましても、少なくとも農地の有効な利用を責任を持って担当する者が必要であること等から、法人に関しては現行の特定農業法人貸付事業と同等の、業務執行役員のうち一人以上の者の農業常時従事を要件として課することとしたところであります。
 これらの修正の趣旨等を踏まえれば、農地法第三条第三項の規定による許可に当たりましては、営農姿勢への真剣さ、地域の話合いへの参加の状況、共同化への取組、機械の取得の状況などを考慮することが重要でありまして、一方、借り手の規模の大きさなどが過度に考慮されるべきではないというふうにも考えます。
 修正案の提出者といたしましては、このような修正の趣旨を踏まえ、農地法第三条第三項の規定による農地の賃借の許可が適切に行われるものと考えております。
#135
○山田俊男君 今、宮腰先生から、余りにも大規模な企業参入ということを優先するものでは決してないよということ、それからさらには、機械の取得や経験ということも念頭にありますよと、さらには、地域の農業との調和という観点からすると、地域の話合いへの参加とかそれから道路その他の共同作業のルールへの参加と、こうした部分をみんな含めて考えているんだよということをおっしゃっていただいたわけであります。私も基本的にそのことも大変大事だというふうに考えるわけであります。
 大臣にお聞きしたいわけでありますが、こうした今おっしゃっていただいた修正案の趣旨といいますか、これらを政省令等運用基準としてどんなふうに明らかにされるのか、その考えをお聞きします。
#136
○政府参考人(高橋博君) 今修正案提出者から御答弁がございましたとおり、今回の農地法の改革に伴いまして新たに権利を取得する場合、まず一般的な要件として三条二項七号というものがあるわけでございます。加えまして、修正の段階におきまして、今幾つかの論点がなされました。これは、今提出者の方からお話ございましたようにきちんとした、また委員からの御指摘もございましたように政省令と、それから具体的にはガイドラインという形になろうかと思っております。効率的な利用についての機械要件と、あるいは従事者についての従事日数要件等々、こういったものを早急に定めまして、地域に実態に応じた形で対応ができるようにしてまいりたいというふうに考えております。
#137
○山田俊男君 続いて、参入企業の出口の規制についてお尋ねいたします。
 出口規制の問題については、修正法は許可を受けた者が周辺の農地の利用に支障を与えているかどうか、さらには適切な役割分担の下で経営がなされているかどうか、これらのことをきちっと見た上で、相当な期限を置いて、そうでない場合は勧告するということ、さらに勧告に従わない場合は許可を取り消すというふうにおっしゃっているわけです。こうなりますと、この勧告し許可をとりわけ取り消すというときのこの客観的な基準が明確になっていないと、これ農業委員会が許可を取り消すよ、勧告して取り消すよといったときに、農業委員会に対しまして物すごいプレッシャーが掛かるというふうに思います。場合によったら、ちゃんとやっているのに何でそんなことを言うんだということで訴えられたりしないのかという心配もするわけであります。
 どうぞ、これらの基準をより明確にしなきゃいかぬわけですが、修正者の意見をお聞きします。
#138
○衆議院議員(宮腰光寛君) 先ほど御説明をさせていただいたとおりでございますけれども、今回の修正におきましては、農地等が地域の資源として有効に利用されることを確保するなどの観点から、第三条第三項の貸借の要件について追加を行ったところであります。そして、この要件は、許可の際だけではなく、その後においても継続的に満たしていることが求められておりまして、もし事後的に要件を欠く状況になった場合には、これを是正することができるよう勧告及び取消しの規定を設けたところであります。
 委員御指摘の点につきましては、衆議院及び参議院の農林水産委員会においてお招きをいたしました松本参考人からも許可の取消しに係る精緻な判断基準の作成について要請がなされたところでありまして、また衆議院農林水産委員会が全会一致で決議した農地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議におきましても、その六で、制度の運用に当たりましては、公平、公正、透明性に留意し、許可等の基準を明確にすることを求めているところであります。
 修正案提出者といたしましても、許可の取消し等の事務は、客観的な基準に基づき適正に行われることが重要であると考えておりまして、今回の改正法が施行されるまでの間に、農林水産省において、修正の趣旨を踏まえ、客観的な基準が整備されるものと考えております。
 なお、農業委員会等が許可の取消し等の権限を適正に行使するためには必要な情報の収集が不可欠となりますが、これが可能となるよう、今回の修正によりまして、借り手から農業委員会等への定期的な報告義務に関する規定を第三条第六項として設けたところであります。
 以上であります。
#139
○山田俊男君 農水省としてこのことに対してどんな対応をされるのか、お聞きします。
#140
○政府参考人(高橋博君) 今の修正案提出者からの御答弁にもございましたように、この出口の関係につきましては、入口の関係の要件、これと対を成すものというふうに私ども考えております。
 これについては透明性あるいは客観性があるものでなければならないという委員の御指摘も当然のことでございますが、先ほど申し上げましたように入口段階できちんとしたものを出す、それと対になる形でこの出口段階におけますもの、これは基本的に裏表になるというものが基本だと思っておりますので、これもきちんとお示しするようにしてまいりたいと思っております。
#141
○山田俊男君 修正法では、さらに、取消しの場合、これ大変大事なところだったと思うんですね。取消しの場合、農業委員会が所有権の移転、利用権の設定、あっせんについて必要な措置を講ずることができるというふうにしたんですね。これは非常に大事なことだというふうに思っていまして、ところで、この場合、円滑化団体を活用して担い手に優先的にあっせんできるよう適切な利用が確保されなきゃいかぬと思うんです。だって、企業が入っていました、しかし撤退しました、撤退したないしは許可を取り消しましたいうときの農地の扱いであります。
 この扱いについて、これは農水省にお聞きするわけでありますが、どこにきちっと定めることになるのか。これら手順のことも含めてしっかり盛り込んでいただかなきゃいかぬと、こんなふうに思います。
#142
○政府参考人(高橋博君) 御指摘の点につきましては、この企業、一般の、農業生産法人以外の法人の参入に限らず、農業から撤退をした場合に、その当該農地がきちんとまた今後とも使われるという意味でも非常に重要なところでございます。その代表的な要件として今回これが新たに修正案で規定されたというふうに私どもとしても理解しておりますけれども、権利の設定のあっせん、その他の具体的な中身につきましては、委員御指摘のとおり、集積円滑化事業におけます団体、やはりこういったものがまず中心になり得るんだろうというふうに思っております。市町村、JA等の信頼できる機関が基盤強化法に基づきますこの利用集積円滑化団体として、当然のことながら各地域で活動していただくということを前提としております。まず、ここのところに農業委員会からも基本的に働きかけていただくということが中心であります。もちろん、個別に既に、その以前に相対であっせんということも当然あるわけでございますが、基本的にはやはりこういったところは地域で見てもらうのが一番重要だろうというふうに思っております。
#143
○山田俊男君 続きまして、参入企業の撤退に伴います措置について質疑したいと思います。
 参入企業が経営悪化やないしは一定の意図の下に賃借した農地の耕作を放棄したり、それから場合によったら産廃を積み上げてしまうということが予測できないことはないわけであります。その場合は、勧告だったりそれから取消しの措置も含めて対策が講じられるということになるわけですね。
 ところで、その場合、原状回復が何としてでも必要になるわけであります。原状回復やれと言ったって、もう決してやらないと。それから財政的な、ないしは企業の余裕もないと。ましてや、その企業はどこかへ行っていませんと、撤退していますと、撤退していますというか倒産していますみたいなようなことになったときに何とするかということであります。原状回復の担保として、原状回復に向けての費用の積立てや保証金制度等が必要になるんじゃないかというふうに思うんですが、このこと。
 さらには、これまでは、その違反転用については五十一条におきまして原状回復命令を出すことができたわけですね。ところが、今度は更に加わりまして、今回の改正で都道府県知事による行政代執行制度が創設されたわけであります。これがちゃんと機能するようにしなきゃいかぬというふうに思いますが、この行政代執行制度についても評価するものでありますが、もう一回言いますが、賃借で入っていた企業が撤退したような場合ないしは違反転用をしたような場合においてもこの行政代執行の仕組みを設定する必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、農水省にお聞きします。
#144
○政府参考人(高橋博君) 基本的に、やむを得ず、これは企業に限らず一般の個人の場合もそうでございますけれども、農業経営から撤退をしていった場合に、その後、農地が荒廃する前に次の農地の利用につなげていくということ、これが非常に重要でございます。
 その際に、今委員御指摘のとおり、例えば、その農地が荒れないようにするためには例えば中間で遊休農地対策等々取るわけでございますし、また、直ちに農地の引受手がないような場合には、農地保有合理化法人等が当該農地を引き受けまして、新たな担い手が現われるまでの間保全管理等を行うという、こういったことについても積極的な支援を行っているところでございます。
 なお、先ほど委員もございました産廃等に関しては、これは基本的にはもう違反転用の事例になるわけでございまして、通常の場合の農地の利用の集積ということとは違うわけでございまして、そういったものに対してはきちんとした対応をすることになっております。
 また、転用の問題とは別に、遊休農地になるような場合におきましては、農地が荒廃し雑草が繁茂し病害虫の温床になるなど周辺の農業経営に著しく支障が生じている場合、緊急性があるときには、支障の除去等の措置命令及び代執行についても、これは遊休地対策の中できちんと講ずることとしております。
#145
○山田俊男君 是非、今それぞれおっしゃった手順、それをより明確にして、そして知らせる、理解してもらうということを今後徹底してやらねばならない、こんなふうに思いますので、しっかりやってください。
 そこで、もう一回改めて、今議論しました入口規制がいかに大事かということに関連してでありますけれど、私の印象では、これまで規制緩和を行った結果として、大変な混乱を伴って、もはや元へ戻しようがないという事態が我が国の様々なところで生じているというふうに思うんです。
 その典型は、私は大店法の規制緩和だったというふうに思います。まちづくり三法を後刻作り上げて、そしてこれに一定の歯止めを掛ける取組をされたわけでありますけれど、もう基本的には変わらないですよね。我が国の経済社会のこうした発展の中で、それはもう行き着く先はそれしかないんだというふうに言うのか。しかし、あのとき本当に大店法の規制緩和が正しかったのかどうかということがやはりあるわけであります。それから、種類はちょっと違いますけれど、やはり建築基準法の改正で生じました御案内のとおり耐震偽装の問題等についても、やはり入口規制の緩和問題が影響したかと、こんなふうに思います。
 結局、取り返しの付かない事態を絶対生んじゃいかぬわけでありまして、今回の農地法の改正がそうしたことにならないようにその対策が私は本当に必要と、こんなふうに思います。
 ところで、先般、当委員会におきましても、岩永委員、それから風間委員、舟山委員、それから今日も主濱委員等々から、外国資本による企業の賃借による農業への参入について心配が出されていたわけであります。大臣からは、資本投資の内外無差別の原則から一方的な規制はなかなか難しいんだということであったり、それから、本日もそうでありましたが、国内法人、外国法人にかかわらず、地域との調和ある農業の実施等の要件、今議論した内容でありますが、そうした要件をしっかり運用することによって国内農業者に混乱を与えないようにすると、そして、直ちに今の現段階では問題が生ずる心配はないという答えであったかというふうに思います。
 私は、外国企業が直接農業に参入することはないけれども、日本法人をつくったり、それから農業生産法人に資本出資して参加したり、それからさらに融資したりということで、様々な形が私はあるんだというふうに思います。
 現に、これは典型的には唯一進出している例というふうに言えるかもしれませんが、ドール・ジャパンがあるわけです。これはドールが日本法人をつくって、更に日本法人が農業生産法人に出資してという形での農業への参画になっています。この運営の実態を調査し、分析したものがあるものですから、私は現場見に行っていないから弱点なんですが、その報告書を見てみますと、極力固定資産を持たずに、いつでも閉鎖、撤退ができるというような事業姿勢だというふうにおっしゃっています。現に、鹿児島にありました子会社によります農場を閉鎖、撤退して、それを今度は長崎の五島列島に設置したという例があるわけであります。確かにこのドールの例を見てみますと、受入れ市町村もよしと思っているんです。農地の活用につながったり、雇用の拡大につながるという意味があるかもしれません。しかし、一方で、継続的、安定的な農業経営になっているかというと、やはり問題がある。先ほど来、地域や家族農業というものを育てる、これが大事だというふうに考えたときに、一体この姿勢で我が国にどんな形で定着できるんだろうか、こんなふうに思います。
 どうぞ、きめの細かい、きめの細かい制度運用、それから基準作りを是非是非行っていただきたい、こんなふうに思います。これは要望しておきます。
 ところで、これも物の本によるわけでありますからこれも若干情けないわけでありますが、米国の一部の州やフランス等の例でありますけれど、農業者以外の会社等の農業の参入について一定の規模による制限を行っているということであります。これは常に既存の地域や農業者の経営を守るということであろう、精神としてはそういうことであろうかというふうに思います。改正法でも修正法でも明確にこういう基準だという基準を定めているわけじゃないんですが、先ほど入口、出口規制の議論の中でお聞きした考えによれば、当然地域や周辺の農業との調和を基本に政省令で一定の規制を加えることができると、またしていこうということが伺えたと、こんなふうに思います。
 特に、企業参入に関しまして一部報告がありますが、ブルーベリーとかパプリカなんか、これは外国資本とは関係ありませんよ、国内資本におきまして、こうした少量の品種生産でありますけれど、しかし需要が高いものであります。こういうところへ大資本が入ってしまいますと、一気に寡占化してしまうといいますか、独占化してしまう。こうした事態があるわけであります。
 どうぞ、こういう問題をも抱えているんだということを念頭に置いた改正法の運用がどうしても求められる、こんなふうに考えるわけでありまして、この点についての農水省のお考えをお聞きしたいと思います。
#146
○政府参考人(高橋博君) 委員御指摘の点につきましてでございますけれども、例えば地域の特産品についてどのような人たちがそれを開発利益として確保してきたのか、あるいは、それについて全国的にどのような産地においてどのように競争していくのかという観点にも影響するものだろうと思っております。
 御指摘の点につきましては、確かに大幅に大規模な形で一斉に入るということもあるかもしれませんけれども、単にこれは農業生産法人以外の法人、企業に限ったものではないわけでありまして、そういったものについて既存産地と新たな産地との間でどのように競合していくのか、あるいは、そうではなくて、外に対してどのようにそういったようなノウハウというものを流出しないように今度は産地が努力をするのか。ある意味、相当程度、産地におけます経営戦略の中で様々な形で営農が展開されるというふうに考えております。
 したがいまして、一律の規制ということについて、あるいは形態に即した規制ということについては慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
#147
○山田俊男君 続きまして、これ、質疑の中で大臣からも御意見があったこと等であるものですから、改めてここでちょっと確認しておきたいんですけれども、財務省にお聞きしたいというふうに思うわけですが、外国資本による我が国の農林水産業への投資については、外為法、これは事前の届出義務を課しているわけであります。運用はどんな実態になっているかということをお聞きしておきたいんですが、お見えになっていますね。
#148
○政府参考人(永長正士君) お答え申し上げます。
 対内直接投資、一般論でお答え申し上げますが、我が国産業の生産性の向上、経済の効率化を促すということで、今現在、政府といたしましては、対内直投加速プログラム、これを進めているところでございます。ただ、この対内直投が国の安全や経済の円滑な運営等、これを損なうようなことがあってはいかぬと、これはもう言うまでもないことでございます。
 こうした認識の下、外為法におきまして、対外取引の原則自由という基本的考え方、これに立ちつつ、国際的なルールございまして、その範囲内で国の安全、さらには経済の円滑な運営等の観点から、一部の業種に限定をいたしまして、対内直接投資を行う場合には財務大臣及び事業所管大臣に対して事前届出を出せと、こういうことを課しているわけでございます。
 この届出が出されました後、原則三十日間の審査を行いますが、問題のない案件につきましては、従来はこれを二週間に短縮しておりまして、さらに現在は、更に短縮可能な場合は五営業日で審査を終了しております。
 他方、問題がある場合につきましては、いわゆる変更ないしは中止の勧告、命令を行うこととなるわけでございますが、平成十七年度以降、この事前届出、これ集計いたしましたところ、約一千五百件ほどの届出がございます。それ以前のものも含めまして、現行制度、いわゆるこの事前届出制度の下で投資を認めなかったのは一件だけでございます。
#149
○山田俊男君 外為法の運用審査の実態はそういうことであるということを承知した次第であります。
 農林省、農林省も事前審査に取り組むんですよね。
#150
○政府参考人(高橋博君) 担当大臣として、農林水産業関係等の分野に対します対内直投については当然関与いたしているところでございます。
#151
○山田俊男君 この事前審査におきまして、農林省としては実態を踏まえた上で丁寧な取組をしていただくよう切にお願いしておきます。これはお願いしておきます。
 ところで、先ほどの、大規模な会社が、法人が参入して、そして地域のこれまでの取組やそれから地域の伝統的な野菜なんかを一生懸命村で共同して栽培していたのに、企業が参入して、そして伝統的な大事な野菜の生産を一気に増やして市場で価格を大きく下げた、これの心配を、現に生じている心配として出ている例が実はあるんです。これ、運用の仕方が物すごく難しいというふうに思いますよ。入口規制をするにしても物すごい難しいというふうに思いますけれど、この点本当に念頭に置いた、地域の実態に応じた取組を行っていただくよう、これも強くお願いしておくところであります。
 さて、もう一点、大臣にこれ聞いておきたいなと思うんですが、大臣の委員会質疑の中の答弁でこれはありました。というのは、賃借で参入した企業を認定農家と同じ扱いにして、これが水田・畑作経営所得安定対策の対象になるのかということなんですよ。所得補てんの仕組みを何らかの形で工夫し、しかし多様な担い手を育てたいと、こう思っていますよ。ところが、財源も制約されている中で、一定の兼業農家であったり小規模農家であったり、もちろん意欲があって集落営農組合に参加して取り組んでいる農家は対象になるわけですが、そうでない農家はその対象にならないという実態がやっぱりないことはないわけで、あるわけであります。
 ところが一方で、企業が入りまして、その企業が認定農家であって、かつこの経営安定対策の対象になっているということになると、一体これは地域の調和ある農業の展開ということに本当になるのかという心配あるんですが、これ、改めて考えを聞いておきたいんですけれども。
#152
○国務大臣(石破茂君) こう違和感をお感じになっておられるんだろうなという感じがしますが、一定のつまり農地を効率的に利用し、継続的、安定的農業経営を目指す主体ということであれば、それを担い手として位置付けないという理由、これが何があるんだろうかということになるんだろうと思うんですね。もちろん、それが調和ある、その地域において調和ある営農をしていただくということは当然でございますが、私、それを担い手として位置付けるということは、経営基盤強化促進法に基づきまして経営改善計画が市町村基本構想に照らし適切なものであるということ、これが適切なものでなければ駄目だということでございます。
 そしてまた、水田・畑作経営所得安定対策につきましても要件を満たすということでございまして、その時々のいろいろなチェックというものがきちんと満たされた場合に、それは除外をするという積極的な理由が見出しにくいのではないかというふうに考えております。
 これまでも特定法人貸付事業等によりまして農業に参入した企業が認定農業者となっており、あるいは本対策に加入しているという事例があることでございまして、その地域において調和ある営農が営まれるようにそこに配意していくことは当然でございます。
#153
○山田俊男君 具体的な運用に当たりまして大変難しい問題が出てくることも予想されますので、しっかりそこを詰めてもらいたい、こんなふうにお願いしておきます。
 ところで、農地の転用規制について話題を転じたいと思いますが、改正法のもう一つの柱は、農地のいたずらな転用の規制をちゃんとやるということなわけですね。これ、今までの農地の現況、転用の現況、先ほど来も質問があったわけでありますけれども、公共の転用が許可なしで届出だけで済むというような現行制度上の問題があるわけだし、それから、もう本当に悲しくなっちゃうんですが、どこへ行きましても道路際の農地、いたずらな農地転用でしょうかね、これはもう本当に美田、それから美しい農業をやっておることによる景観を失ってしまっているというふうに思います。これも何とかこのことについて対策を講ずるべきだというふうに思います。
 農地の転用につきまして、これまで許可不要だった学校とか病院等の公共施設について、これは国又は都道府県との協議を行う仕組みを導入されたわけです。これら農地転用に関して基本的にどういう仕組みを導入になったのか、農水省にお聞きします。
#154
○政府参考人(吉村馨君) 委員御指摘のとおり、今回の改正法案では、農地転用規制の厳格化を盛り込んだところでありますが、その中で一つは、現行では転用許可不要になっている病院、学校等の公共施設の設置について、これを許可対象、具体には法定協議ということになりますが、これに移行するということ。それから、違反転用に対する罰則の強化ということで、特に法人に対する罰金刑の上限を三百万円から一億円に引き上げるということ。それから、都道府県が農地転用許可制度について厳正な運用を行っていない場合に国が都道府県に対して行う是正の要求。それから、農振法の改正ということになりますけれども、農用地区域からの除外の厳格化ということで、担い手の経営、農地利用の集積に大きな支障が出るような場合には除外を認めないというような措置が盛り込まれているところでございます。
#155
○山田俊男君 大変運用に当たって難しいところが今後いっぱい出てくるような気がするわけです。
 もう一つ、地方分権推進委員会から転用許可権限を地方に移譲することを求められているわけです。ところで、農地転用の許可権限、既に都道府県知事から市町村長に移譲されて、市町村長からさらには事務委任で農業委員会が許可権限者となっているケースも大変増えているというふうに聞いております。実態は一体どうなっているんでしょうか。
 要は、国が関与を、これこれに関与を強める、強めないと転用の現状を改善できないという思いがある一方で、しかし実態は地方にみんなゆだねられていて農業委員会がやらなきゃいかぬようになっているとすれば、これはやっぱり本当に十分な対策を講じられない心配があるんですが、いかがですか。
#156
○政府参考人(吉村馨君) 農地転用許可の事務のうち、二ヘクタール以下の転用については都道府県の自治事務ということになっているわけでございますけれども、これについては地方自治法第二百五十二条の十七の二の規定に基づく条例によりまして、事務処理の特例ということで権限の移譲ができることになっております。具体には、平成二十一年四月一日現在で千七百七十七市町村中三百十七市町村、一八%において市町村に対して権限移譲がなされております。また、農地転用許可の権限移譲を受けた三百十七市町村中二百九十二市町村、これは九二%ということになりますが、これは地方自治法百八十条の二の規定により、その事務を農業委員会に委任をしているということになっているわけでございます。
 委員御指摘のとおり、今回の改正で農地転用許可の厳格化を図るということにいたしているわけでございますが、そういう中で、先ほど答弁でも申させていただきましたけれども、都道府県あるいはそこから権限の移譲を受けている市町村、農業委員会が農地転用許可制度について適切な運用を行っていない場合には国が是正の要求を行うことができると、こういう制度を盛り込んでいるところでございます。
 この制度を有効かつ効率的に活用するためには、特に、例えばでありますけれども、農業委員会に権限を委任している市町村での転用事案に焦点を当てて調査を行って、そして必要な場合に是正の要求を行うといった運用もしていきたいというふうに考えているところでございます。
#157
○山田俊男君 是正を行うための協議だったり、それの運用を強めるということについて私も賛成ですから、それはしっかりやってもらいたいんです。
 しかし一方で、要は市町村の段階に、県の段階も市町村の段階もそうなんですが、ややもすると大変開発意欲が強いということがあるわけで、知事やそれから県や市町村で、一体この地域をどうするという地方計画をどう立ててもらうかということであるし、それから農地をしっかり守るという意識の改革であったりいうことが物すごく大事になるんだというふうに思います。
 何せ違反転用、これは先ほども議論がありましたけれども、違反転用が多くて、それも是正できなくて追認せざるを得ないというのが八八%近くですか、委員会で質疑ありましたが、になっているということがあるわけです。一体、何でこれ防げないんですかね。どこに原因があるんですか。ここをやらないとどうも基本的な問題が解決しないように私思うんですが、お聞きします。
#158
○政府参考人(吉村馨君) 先ほど来の御質疑にもございましたように、違反転用をした場合に、私どもとしても、本来それは原状回復を図るべきものと考えておりますが、これまでの運用の中でそれが追認許可というような形になっているものが九割を占めるというような状況になってきているわけでございます。
 この背景としては、農地法の中身を十分に承知していなかったとか、あるいは地目が農地であるなんて思っていなかったとか、そういうような、これがいいか悪いかというのはなかなか判断が分かれるところでありますが、場合によっては悪質ではないというふうに見られる、そして実際に転用許可の申請が出されれば許可ができるような、そういった事案について追認許可を行ってきたということでございます。
 ただ、これらについて、繰り返しになりますけれども、いたずらに追認許可を出すということは適切ではないというふうに考えておりますので、昨年通知を出させていただきまして、そういった追認許可ができるような事案でも、まずは原状回復をすべきかどうかということを検討してみるということについて指導したところでございますし、今後、先ほどの是正の要求の中でも、この追認許可をした案件というのもひとつ焦点を当ててしっかり調査をして、そして問題があれば是正の要求をしていくというような形で、こういった追認許可が安易に行われないように対応していきたいというふうに考えているところでございます。
#159
○山田俊男君 何度も言うようですが、そのこと物すごい大事です。一方で、農地の利用について賃借で基本的に自由にするという、こうですね。一方で、転用については、実は追認の仕組みで相当程度もう転用が進んでしまっていると。これじゃ、一体どこを向いて走っているのかということになりかねないわけです。ここの点、もちろん現状のままでいいことはないわけですから、前向きに改善していくという立場で改正法を作ったわけですから、この改正法を本当にきちっと生かしていく、両面で生かしていくということがないといかぬというふうに思いますから、しっかりやってください。また、やりましょう。
 それから、なお、この点でもう一つ、都市計画制度や農振制度が機能していないんじゃないかという心配があるわけで、その点も議論したいわけでありますが、今回の修正法で附則の検討条項に、農地の利用に関連する計画その他の制度についての検討を加え、必要な措置を講ずるものとすると。かなり微妙な、かつ率直に言うと、分かりにくいといいますか、遠慮された表現になっているんじゃないかというふうに思ったりはするわけですが、しかしこのことを触れられた意味も大変大きいというふうに思っておりますが、この精神を修正提案者からお聞きしたいと思います。
#160
○衆議院議員(筒井信隆君) 山田先生の御意見を今日お聞きをしていて、ほとんど賛成でございまして、先生の発言の御趣旨は、修正案によって何とか辛うじて達成できる、こう考えております。原案のままでは達成できない。先生のような与党の先生方おられる中で、なぜあんな原案がそのまま出てくるのか、やや不思議、不可解さを強めたところでございまして、今の農地転用等農地利用の制度に関しても先生の御趣旨に賛成でございます。その趣旨で私たちとしてはこの条項を入れたわけでございます。
 おっしゃるとおり、都市計画法、それから農振法、それぞれ法律は別で、同じ土地利用を定める制度でありながら法律は別で、しかも担当の省庁も別々だと。こういう縦割り行政のままでは、やっぱり先生がおっしゃったような問題点が起こってくる。これやっぱり総合的、一元的に土地制度をはっきりさせて、明確に農地の立場でいえば農地をきちんと守る、これを実現していかなければいけないのではないか。その方向性を検討しましょう、そしてその検討の結果、そういう結論が出てくると思うんですが、その結論に従って具体的な措置をとりましょうという趣旨でございます。
#161
○山田俊男君 国交省の最近の動きに対しまして、私は非常にこれも評価しているんです。国土形成計画を策定されておりまして、コンパクトなまちづくり、中心市街地の活性化、高齢者が住みやすいまちづくり、郊外へのいたずらな町の進出を防ぐ、ましてや広大な大規模スーパーの優良農地をつぶしての進出の規制、それから美しい田園風景の維持。これらの言葉も含めて、これらのことが国土形成計画の中に位置付けられているわけでありまして、優良農地を守るという観点での都市計画制度の抜本的な見直しが必要というふうに思うわけですが、国交省にお聞きします。
#162
○政府参考人(石井喜三郎君) お答え申し上げます。
 現在の都市計画法が策定されまして四十年を経過をいたしました。人口減少や高齢化あるいは地球環境問題の深刻化ということで、社会情勢が大変大きく変わっております。これらの状況を踏まえまして、都市計画制度についても総点検をいたしたいということでございます。現在、その前段階といたしまして、社会資本整備審議会の小委員会において、今後の都市政策の課題と基本的な方向は何か、いわゆる都市のビジョンというものを御議論いただいております。
 この中におきまして、先生御指摘の国土計画にもあります郊外の問題、郊外の優良な農地というものについて総合的に検討するという点が一つ打ち出されております。また、都市の内部におきましても、緑というのは都市に必要不可欠なものということで、都市内の農地というのは、生産ということだけではなくて、都市の緑地や、さらには防災、そして子供の教育といった面でも大きな役割を果たしているといった多面的な機能というようなことも大きく位置付けられておるところでございます。
 このような時代の変化に応じた都市の内外にわたる農地の在り方ということをどのように位置付けていくかということは、都市行政のみならず農業政策、さらには税制といった面で農林水産省を始めとする関係省庁との連携が不可欠でございますので、今後とも関係省庁と協力をして総合的に考えてまいりたいと、かように考えております。
#163
○山田俊男君 まさに、その方向での検討を更にしっかり進めてもらいたいというふうに思います。
 と同時に、都市農業、先ほども議論がありましたが、都市農業のありようについて、これも国土形成計画の中で、市街化区域内農地については、市街地内の貴重な緑資源であることを十分に認識して、保全を視野に入れた計画的な利用を図るということが計画の中に盛り込んであります。さらには、住生活基本法に基づく住生活基本計画につきましても、市街化区域内農地については、保全を視野に入れて、農地と住宅が調和したまちづくりなど計画的な利用を図るということが書いてある。都市農業と農地をめぐる情勢についても、認識も大きく最近は変わってきているというふうに思います。
 そうなると、今回の法改正で、農地法の改正で、一つ税制上の措置として大きなことが実現している、法改正が通れば実現するという内容のものがあるわけです。それは市街化区域外ですが、その農地については、相続税の納税猶予であります。本来であれば継続的に農業経営をやっていなきゃいかぬわけでありますが、しかし賃借した場合に、これはずっと農業経営がなされるということを条件にして相続税の納税猶予を継続するという措置になっているわけです。
 ところがもう一つ、都市農地については都市計画制度の見直しの中でこの税制上の措置を検討する、見直すと、こうなっているわけでありますから、都市の農地を抱えておられて宅地並み課税等に苦しんでいる、ないしは将来の営農計画に大変な悩みを持っておられる農家の皆さんからとってみると、早く都市計画制度をきちっと見直してくれよという思いがあるわけです。そして、そうなってくると、この都市計画制度の中ではもう市街化区域内農地というようなものを、文言も含めてやめようじゃないですか。それから、宅地並み課税、言うなれば農地を吐き出して住宅にすることを条件にした宅地並み課税なんというのも、これもちゃんとやめようじゃないですか。要は、都市の空間としての農地であったり安全、安心の提供であったり、それから要は防災上の空き地であったり、もはや都市の運営において農地はなくてはならない財産でもあるわけであります。是非、名称も税制も抜本的に見直すべきではないかというふうに思います。
 都市農地の保全策の在り方についてどういう議論、今言ったような議論がなされているかどうか、国交省にお聞きします。
#164
○政府参考人(石井喜三郎君) 先生御指摘のとおり、先般の税制大綱の方では、都市計画制度等の見直しの中で、農地に係る制度上の位置付けや保全・利用の在り方の検討を行い、納税猶予制度の在り方について必要な見直しを検討するというふうにされたところでございます。
 現在、市街化区域内農地については生産緑地という制度を設け、この制度によりまして、しかも平成四年の抜本改正ということで五百平米に下げたということで、生産緑地制度の下で都市農地が大変うまく守られてきておるところではございます。しかしながら、一方で、更に都市内の農地を保全をしていくべきではないかという御意見があることも承知をしております。
 これからは、これらの制度の条件あるいは都市農地として、私どもの方では建築確認その他の形で見ておりますが、農業サイドという面での農地としての条件等がいかにあるべきかというところについては手の届かない面もございます。これらの条件を踏まえまして、農林水産省さんとも十分に調整をしながら今後検討を続けてまいりたいと、かように考えております。
#165
○山田俊男君 大臣、石破大臣、閣僚の一員として、それも主要な閣僚の一人として、是非この都市計画制度、それと一方での農振制度、そして今回の農地法の改正、これは本当に表裏を成した大事なことでありますので、是非、農地法の改正をちゃんとやってもらって、その運用を的確にやって、そして一方で都市計画制度についてはそうした精神、一致した精神の下に改正が進むよう、決意をお聞かせ願いたいと思います。
#166
○国務大臣(石破茂君) まず、この法律を御可決いただき、そして施行をいたしまして、農地の確保というものが適正に図られるかどうか、その状況を踏まえたいと思います。
 国交省の考え方は今るる御説明がございました。私は以前、農村計画法というような法律が作れないかなということで大分考えてみたことがございます。都市計画法に対応する農村計画法みたいなものが作れないかということで、以前、頭の体操はしてみたことはあるのですが、いずれにいたしましても、この法律の施行後の状況を見ながら、国交省ともよく御相談をしたいと思っております。
 そこにおいて、ゾーニングというものがどうやって的確に図られるかということが一つのポイントかなというふうには考えておりまして、また委員とも議論をしながら、より良い方策というものを見出してまいりたいと考えております。
#167
○山田俊男君 もう間もなく終わりますが、二、三どうしても気になることで農水省に確認をしていきたいところがありますので、これお願いしたいんです。
 今回の農地法の改正で、本当に、これ当委員会でも質疑いっぱい出ましたが、農業委員会の役割、物すごく大きくなったんですね。一方、農林水産省は、農政局の統廃合なのか合理化なのか効率化なのか、何らかの形のものを進めようというふうに言っています。もう農林省は身軽になるからあとは農業委員会に、おい、全部かぶせるぞということじゃまさかないんでしょうね。だから、農業委員会の体制の強化につきましても対策を絶対約束してもらいたい。
 さらに、これ新聞報道等があったり、地方で話を聞いても若干そういうおそれがあるということで心配するわけでありますが、農業委員のメンバーに、もう長期計画を立てて、企業の意思を代弁する、ないしは開発意欲のある人を入れて、それで長期的に最終的には転用を実現するというような話もあるなんていうふうに聞いたりすると、これは農業委員会の皆さん、委員会の運営について大変な御苦労が私はあるというふうに思うんです。
 是非、農業委員会の体制強化と併せて、委員の選出の仕方等々につきましても対策は必要というふうに思うんですが、農水省の考えをお聞きします。
#168
○政府参考人(高橋博君) 今回の改正によりまして農業委員会の果たすべき役割というのは更に重要になるわけでございます。したがいまして、これまでも当委員会におけます御議論等を踏まえまして、農業委員会がその職務を円滑かつ適切に行うような体制についてきちんと私どもとしても支援ということを考えてまいりたいと思っております。
 また、改正後の法律におきましても、当然のことながら農業委員会に対します指導等については国の責務として残っているわけでございます。この責務をきちんと果たすために必要な国におけます体制整備、これは当然のことながら様々な時々の改革の中で新しい組織体制を整備するわけでございますけれども、その中でも必要な体制というのはきちんと整備をしてまいるということでございます。
 もう一点、農業委員の選出でございますけれども、農業委員、御承知のとおり、地域の農業者が選出する選挙委員、それから市町村長が選任する選任委員ということであるわけでございます。この選任委員の場合、例えば市町村議会が委員を推薦するに当たりましては、公平中立の立場から判断をなし得る委員を推薦するというようなことにつきまして、従来から市町村長の方から議会へ要請するようお願いするなどの措置を講じているところでございます。
 また、今回の改正に先立ちまして、農業委員会がその適切な職務を遂行できるように、これまでの議事録について更に詳細にわたった議事録を作製する、あるいは議事参与制限が適切に行われたことを明示する、そういった意味で公平かつ透明性の高い運営ができるように事前に準備をするということについても指導しているところでございます。
#169
○山田俊男君 もう一点、この農地法が改正で運用されるということになったときに、従来の残存小作地と言ったら語弊ありますですかね、法律用語では何と言うんでしょうか、耕作権保護の強かった現行農地法上の地主、小作関係の下でのまだ小作地があるわけです。未解放小作地と言ってもいいですかね、これがあるんですが、これの関係ですね、この法律関係はどんなことになるんですか。
#170
○政府参考人(高橋博君) 戦後実施されました農地改革で、基本的には地主が所有していました小作地については不在村の場合にはそのすべてが買収されたわけでございますけれども、在村の場合には都府県で約一町歩、北海道で四町歩までは買収の対象から外れておりました。このため、このような在村地主の一部の小作地が引き続き小作関係として存続しているものでございます。
 このような小作地につきましては、現行農地法において、その耕作者としての権利を保護するために、賃貸借の当事者が契約の解約をする場合においても知事の許可を要するというような小作者の地位の安定に対する保護規定があるわけでございますが、今回の改正におきましてもこの部分については存続という形になっておりますので、基本的に従来の関係に対して影響を及ぼすものではないというふうに考えております。
#171
○山田俊男君 最後に、農水大臣の見解、決意を聞きたいんです。
 五十年借地できるということになっているわけでしょう。五十年たったら一体どういうことになっているかと。これ当委員会でも議論あったわけでありますけれど、まあそうは言ったって五十年やるわけじゃなくて、五年で継続していくことになるのか、様々あるかというふうに思います。
 しかし、いったん五年ぐらい貸しちゃったらもう戻ってきませんよ。貸したままの可能性が極めて高い、今の農業構造からしましても。こうなったときに、やめたとき、じゃもう契約解除だといったときに、ないしは大分たってからですかね、だれかに貸そうと思うんだけれどもう貸し手がいないと、その企業に貸したらその企業しか、何というか、貸し手どころか今度はそれを売りたいと思ったときに買ってくれる人は企業しかいないと。企業、買えますかね。今の法律の実態からして買えませんよね。
 結局この法律の施行に伴って必要になってくるのは、契約が終わった、いろいろ事情があって、そして農地が出てくる、その農地をどう有効に地域の担い手に対してちゃんと集めて集積していくかということなんだと思うんです。是非この仕組みをつくってもらいたいんです。何か大変難しい名前で、例えば農地利用改善団体とか、ないしは農地利用集積円滑化団体とかいう看板を掲げてみたって、なかなかよく分からない。それよりも、むしろ農地センターみたいような看板をしっかり掲げて、そして農地の利用を丁寧にあっせんする、そうした業務が位置付けられていいんじゃないかと思うんです。
 私、心配なのは、町の不動産屋さんに農地の売買あっせんをやらせたらいいんじゃないかという議論が経済界からも出ていたわけですね。どこかで議論がなされたこともあるわけです。規制改革会議なのか経済財政諮問会議なのか、出ている。これは、町の不動産屋に農地の売買やらせたら絶対駄目。だからこそ、一方でしっかりした農地のあっせんのための公明正大な農地センターを是非つくるべきではないかと、こんなふうに思います。
 大臣の考えをお聞きします。
#172
○国務大臣(石破茂君) 農地利用集積円滑化団体、何か舌かみそうな団体でございますが、これは法律上の用語でございます、委員御案内のとおりで、この円滑化事業を実施する主体であるということ、名は体を表すというんでしょうか、そのことを明確にするためにこういうようなネーミングにいたしておるわけでございます。
 ただ、何なんだそれはということになりますので、今委員から農地センターという分かりやすい名前としてはどうかというようなお話もございました。いわゆる俗称と言って悪ければ愛称と言った方がいいのかもしれませんが、そういうようなネーミングについては私どもとしても検討していきたいと思っております。
 なお、不動産屋さんのお話がございました。不動産屋さんは不動産屋さんとして、それはその分野で適切な業務を営んでいただいておるわけでございますが、今申しました円滑化団体には、営利を目的として、農地でありますとか不動産、そういうようなもののあっせんを行う業者さんは含まれないということ、これは基盤法の四条第三項におきまして明確にしておるわけでございます。
 したがいまして、農家の皆様方が安心してこの農地利用集積円滑化団体に御相談をいただけると、こういうようなものになると考えておりますが、更に農家の皆様方の安心感を醸成する努力はしてまいりたいと考えております。
#173
○山田俊男君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#174
○風間昶君 公明党の風間です。
 今ほどの農業委員会の役割について、この間の参考人質疑でも、農業会議所の方々からの要望も、また役割も増えていくことを、お話を伺ったわけでありますけれども、具体的に、新しいこの法律の三条三項で、農業委員会が許可をする判断をするのは、そこにある農地だけじゃなくて、その周辺の農地の状況も見て判断をしていかなきゃならないというふうに思うので、具体的にその判断基準を一定程度示す必要があるんじゃないかというふうに思います。
 前回の参考人質疑で、企業体の社長さんですけれども、農業委員にもピンからキリあって、よく分かっていらっしゃらない方もいるというふうな御意見もあったわけでありますから、そういう意味ではなおさら地域間による差が大きいと思いますので、農業委員会が下す判断についての基準を具体的にどのように今、省としてはイメージされているのか、この件について伺いたいと思います。
#175
○政府参考人(高橋博君) 御指摘の件につきましては、これまでは、これまでは取得する農地についての判断ということが主体だったわけでございますけれども、今回は三条二項七号、あるいは修正後の農地、いわゆる地域の農業者との適切な役割分担等と、周辺の農地との関係、農業事情との関係ということも判断をしていく必要があるわけでございます。
 したがいまして、これらにつきましては、今申し上げました三条二項七号などの新たな基準について、周辺におけます地域等の状況について、どのような形で透明性を持ち、かつ客観的に判断をできるかという基準について現在内部で検討しているところでございます。
 ちょっとまだ具体的な体制については、今回の改正が御可決いただきましたら早急に検討に着手をした上で、当然のことながら、施行を待つというよりも、早急にでき次第関係の農業委員会等々に説明してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#176
○風間昶君 今はイメージもないわけですね、今の段階では。
#177
○政府参考人(高橋博君) 基本的に、今回、三条二項七号におきまして、耕作の事業の内容、農地の位置及び規模から見て農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生じないということで既に、例えばでございますけれども、既に地域において家族農業経営等できちんとした農業展開が行われているような場合、土地利用が行われているような場合、それを分断するような形で参入をするというようなことについては当然のことながら認められない。あるいは、地域でブロックローテーション等々できちんとした土地利用計画が行われているような場合、こういったものに対して支障を生じるような場合等についてもこのような形では認められないというふうに思っております。あと、例えば水田地帯におきましては水利の共通的な維持管理ということが行われておりますので、当然その中で水利施設の適切な利用等が分断されるような事態についてもこれは認められないというふうに考えておるところでございます。
 なお、御修正いただきました地域におけます農業者の適切な役割分担については、先ほど来からの御議論を踏まえた上で基準を作ってまいりたいというふうに思っております。
#178
○風間昶君 もう一つは、借地料について、言わばあっせんと言うとおかしいんですけれども、助言をしていくときに、市町村と県とそれぞれ農業委員会があるわけでありますけれども、この部分の役割分担というよりも、むしろ町村間で差が、地域の実情に照らしてやるわけですから差が出てくる、それをどう調整していくのか。全く市町村間でばらばらであってもいいのかどうかということについても、これは農業委員会に対してどんな、ある意味ではガイドラインと言うとおかしいですけれども、考えを持っているのか、お聞きしたいと思います。
#179
○政府参考人(高橋博君) この点については標準小作料の廃止の関係の御指摘だと思いますけれども、既に各農業委員会におきまして現実の標準小作料というものが定められ、それに基づいて現実の賃借料水準というものがあるわけでございます。
 今回、標準小作料そのものは廃止をいたしますけれども、現実に行われております賃借料水準について、現状の標準小作料でお示ししているよりも更に詳しい情報提供ができるように、これは農業委員会系統組織とも相談をしながら提供できるようにしてまいりたい。この点については農業委員会もよく御存じだというふうに思っております。
#180
○風間昶君 分かりました。
 あともう一つ、農業委員会交付金について、相当農業委員会の役割の負担が大きくなってくることを考えると、これまでの農業委員会交付金でいいのかなという私は思いを持っているわけで、これについては弾力的な運用を、交付金の額の問題ですけれども、考えるべきだと思いますが、基本的にはどのように考えていらっしゃいますか。
#181
○政府参考人(高橋博君) 農業委員会に対します財政的支援でございますけれども、平成十八年度までには基本的には今委員御指摘の農業委員会交付金というものが中心でございました。ただし、これについてはいわゆる三位一体改革の中で地方に税源移譲をするという観点から減額をしておるところでございまして、この部分については地方財政措置で手当てをなされているということでございます。
 ただし、今回、先ほど来申し上げておりますように、農業委員会の業務が大幅に拡大をするということでございますので、その適切な執行ができますよう、今回の二十一年度補正予算におきましても一定の措置を行っているわけでございますが、今後、その業務量等に応じた必要な措置ということについては考えてまいりたいというふうに思っております。
#182
○風間昶君 分かりました。
 そこで、都市農地であれ条件不利地域であれ、共通しているのはやはり人材育成ではないかというふうに思うわけです。
 現在、新規であれあるいは認定者であれ、場所によって違いますけれども、担い手支援センターとか、北海道では担い手育成センターという名前を使っているわけでありますけれども、ずっと見ていますと、北海道の場合ですが、基本的には新規就農者よりもむしろ認定農業者とか集落営農をやっていかれようとしている方々への支援、相談を受け支援していくという流れのようであります。
 そうなりますと、この相談センター、支援センターで、実際にそこ経由で新規就農に入っていった人たちはどのぐらいいるのかということが一つ知りたいわけでありますけれども、これは把握されていらっしゃるでしょうか。
#183
○政府参考人(高橋博君) 十九年度の数字でございますけれども、新規就農相談センター、相談件数では約一万三千六百二十九ほどございました。この中で、実際に就農された方につきましては、自営という形で就農された方が二百六十九名、法人に、これは雇用ということになりますが、百五十四名、計四百十三名がこの県あるいは全国の就農センターを経由して就農したということでございます。
#184
○風間昶君 今お聞きしますと、一万三千人もの方々がその相談に参られて四百十三名の方が実際に新規に就農されているということでありますと、今回のこの二十一年度補正予算で、先ほど、大臣も午前中お話しされました農の雇用事業、ここの部分で、参考人質疑の中でも、農業者が経営感覚を身に付けていないとこれからはやっていけないという話がありました。
 したがって、経営感覚を身に付けるような研修、ビギナー向けにしても、研修体制をどうしていくのかということは極めて大事なポイントかというふうに思いますが、そのことについては、お考えはあると思いますけれども、具体的にはどのように進めようとしているのか、教えてください。
#185
○政府参考人(高橋博君) 新規就農者に対する研修体制でございますけれども、まずは学校段階、就農準備校あるいは道府県の農業大学校等での研修ということが最初かなと思っております。
 次に、今委員御指摘のとおり、現実に農業に就農する、あるいは経営をするということにつきましては、農業の営農技術面あるいは経営管理面等々、非常に幅広い知識が必要でございます。その場合、いきなり営農を開始するというよりも、最近では農業法人に雇用という形で、あるいは雇用兼研修という形で一度勤めていく、そういった形を経由した上で現実に独立をしていくということも非常に重要なルートになってきております。
 この関係で、農の雇用事業、二十年度補正予算で約千二百人ほどの実績を積まさせていただきました。二十一年度予算においては二千人という規模で、これで現在のところ募集開始を行っているところでございます。
#186
○風間昶君 先ほど主濱委員も御質問されておりました耕作放棄地の原因について、大きく三点ぐらい、引受手、それから就労人材、そして土地条件ということが挙げられておりましたけれども、私も前回伺ったわけでありますけれども、とりわけ条件不利地域、中山間地については非常に借り手がなかなか見付からないというふうに思います。結果的には引受手をどう増やすかということなんだと思いますが、先ほど野村政務官も引受手を増やしていくという話だったけれども、具体的にどう増やすのかということについては言及されませんでした。どう取組をしていくのか、伺いたいと思います。
#187
○政府参考人(吉村馨君) 今委員御指摘ありましたように、特に中山間地域の耕作放棄地の発生要因、これは高齢化、それから労働力不足がやはり一番大きな要因になっておるわけですが、それに加えて、生産性が低い、また土地条件が悪いという要因が加わって引受手を見付けるのが厳しい状況になっているという現状であります。
 今回の農地法の改正案におきまして、NPO法人や農協なども含めた多様な主体の参入が可能になるように農地の貸借の規制を緩和をすることとしているところでありまして、これは一つ力になるというふうに思っております。ただ、もちろんそれだけで引受手が出てくるというわけではございませんで、やはりそれに加えて、土地条件、それから作物をどうするか、こういったことを含めた総合的な取組が必要だというふうに考えております。
 このため、土地条件をどう改善をしていくのか、それから作物をどうするのかといった点について、二十一年度に創設した耕作放棄地再生利用緊急対策事業、これは当初予算が二百六億円、補正が百五十億円で合計で三百五十六億円でございますけれども、特にこの中で中山間地域の土地条件の改善、この一番の問題は鳥獣被害の防止でございます。
 まず、これをやらないとなかなか作物を育てる環境にならないということで、この対策の中で鳥獣被害防止施設の整備への支援ということも行うことにしておりますし、また作物も通常の平場で生産できるような条件にない場合がありますので、水田等有効活用促進交付金の対象にならないソバでありますとか菜種のような中山間地域や高齢者でも取り組みやすい作物の営農定着支援、これは実際に営農を開始して一年間、十アール当たり二万五千円支援をするということにいたしておりますが、こういったことを合わせて引受手を生み出していくという取組を地域で進めていくように後押しをしていきたいというふうに思っております。
#188
○風間昶君 耕作放棄地の解消については、私は、悲観的な見方をすれば、中山間地は結局受け手がなくてどうしようもならない状況になるところは避けられないんではないかというふうに思います。つまり、土壌がもう極めて劣化したりあるいは原野化しているのは、先ほど主濱議員の質問に十四万ヘクタールでしたか、お答えになっていましたけれども、この復元、利用が全く見込めない土地をどうするのかという観点では、やはりこの間の参考人の方の意見も、水源の資源に、水源資源を使ったりあるいは環境保全の観点から自然公園化というのも一つの方法だという話がありましたけれども、少なくとも先ほどの町の空間として必要な農地という、使えない農地であったとしても景観上の問題もこれありですから、そういう環境観点からの活用をきちっとやっぱり位置付け、なおかつそれを、農地ではないけれども、耕作できない農地であるけれども、利用していくというふうに思うわけでありますけれども、この点については、耕作放棄地解消と言っているから、どうにも手を付けられないところについての意見は言いたくないかもしれないけれども、でも現実には残っているわけですから、どうしていくのかということについての考え方を伺いたいと思います。
#189
○政府参考人(吉村馨君) まず、耕作放棄地の再生利用というのは、これは食料供給力の強化ということがもちろん一番の目的でありますけれども、一方で、国土環境保全を始めとする農業の有する多面的な機能の発揮の観点からも重要だと考えております。
 今委員御指摘ありましたように、また先ほど御答弁申し上げましたように、やはり私どもとして、荒廃した農地を再生をする、そして土づくりなり作付けの支援をして、そして耕作放棄地の再生利用を促進するということは基本だというふうに考えております。しかし、一方で、現実に原野化しているなど営農の再開が見込めない土地があることは事実でありまして、これらについては森林として利用をする、また委員からもございましたが、ビオトープあるいは遊水地として整備するというような支援を行っていくことも考えていきたいということでございます。
#190
○風間昶君 そこで、先ほど主濱委員の質問に対して、センサスでは三十八・六万ヘクタール、四月八日の現地調査では二十八万ヘクタールと。この十万近い、十万ヘクタール近い差があるわけですけれども、どっちを向いて、解消に向けて目標をどっちに向けているのか、ちょっと教えてください。
#191
○政府参考人(吉村馨君) 先ほど主濱委員の御質問にも御答弁申し上げましたけれども、センサスと耕作放棄地の全体調査では調査の手法が違います。その結果、差が出てきているわけですが、具体にはやはり、一定の管理はなされているけれども作付けの意思がない農地、これをセンサス上やはり耕作放棄地ということで計上されているわけでございます。一方、耕作放棄地の全体調査の方は、一定の手を加えれば、例えば草刈りですとか抜根ですとか整地ですとか、そういった手を加えれば耕作放棄状態の解消が可能な農地を把握するということを主目的にして、その点を中心に、しかもこれについて実際にどこにあるのか地図上に落とすという作業をしたわけでございます。
 そういうことで差が出てきているわけでございまして、今後の耕作放棄地解消対策、こういう観点から申しますと、やはり耕作放棄地全体調査で明らかになった、一定の手を加えれば耕作放棄の解消が可能な農地、これをまず対象にいたしまして、具体には、それを所有している農家がいるわけでございますので、その農家に対して、これは一つ一つ、当然その農家も耕作放棄状態になってお困りになっている点もありますでしょうし、また、今後どうしようかお悩みになっている点もあると思います。そういったところについて相談しながら、やはりその方々に農地を貸す気になっていただくと。
 一方、先ほど申しましたような、土地条件を改善する、あるいは営農支援する対策を講じて、受け手としても受けやすい……
#192
○委員長(平野達男君) 委員長から重ねて申し上げますけれども、質問は単純なんですよ、どちらの方を向いているかという質問ですから。
#193
○政府参考人(吉村馨君) 受け手の方も受けやすい状況をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
#194
○風間昶君 そうすると、今のお話からいくと二段階に考えているというふうに考えていいんでしょうか。どっちにしても、手を加えれば耕作可能になるところをまずやって、それからその後残りって今おっしゃっていましたけど、そんなもの、あなた、五十年掛かってもできる話じゃないんですよ、冗談抜きにして。だって、どんどんどんどん増えてきているんですから、耕作放棄地が。認識甘いですよ。もう一回答弁してくださいよ、ちゃんと。
#195
○政府参考人(吉村馨君) 今答弁申し上げましたのは、まず耕作放棄状態を、解消可能な農地をどう解消するかということを申し上げたわけですけれども、一方で、先ほど申しましたように、実際にもう非常に荒廃の程度が激しくて耕作を再開することは事実上難しいという農地があることはこれは事実でありまして、それらについては、委員の御指摘にありましたような方向、まず森林化、林地化をする、あるいはビオトープあるいは遊水地として利用すると、こういった形で活用を図る、これを同時にやっていきたいというふうに思っております。
#196
○風間昶君 ああとか、おおとか、ううとか、動物園じゃないんだよ、ここは。何言っているんですか、あなた。
 これは大きな問題ですよ。あなたが定年退職後どこに行っているか分からないけども、辞めるまでの間にどういうふうな目標を持って大臣の下でやっていくのかという、そういうあなた自身の今、農に対する考え方、心の入れ方が問われているんですよ。もう答弁要らないよ。
 大臣、ちょっと話変わりますが、都市農業の話をこのところずっとやっておりますけれども、この間、先週の日本農業新聞に、「カリスマの戦略」というシリーズ物で、埼玉県上尾市にナガホリという会社があるんですけれども、ここの社長さん、元々親は農業者だったようでありますけれども、法人を設立して、十数年前に二ヘクタールから始めて、今や四十五ヘクタールの経営規模で、それで、みそは、耕作放棄地こそ宝の山だと言って、そこに、自分がパワーショベルで開墾をやって、その費用は取らないで、それで、一定期間は賃貸料を支払わない契約を結んで、貸してほしいと、要は、土地をですね、この農地を。それで、三年ぐらいの短期契約でどんどこどんどこ耕作放棄地を復元して、今や四十ヘクタールで、埼玉県でもトップのところを走っているようであります。こういう、都市農業だからなんだろうと思いますが、耕作放棄地を含めて規模拡大を進めていくと。埼玉県でできるんだから全国どこでも通用するというふうにおっしゃっている記事が載っていました。
 これは非常に一つの大きなモデルとして私は大事な観点かなというふうに思います。この間おいでになったワタミファームの社長さんもそういうところから、元々有機農業にきちっと思い入れを持って展開されていた方ですけれども、国として支援をダイレクトにすることはないとしても、民の話ですから、どっちにしても、いいモデルになるんじゃないかというふうに思います。
 大臣が前におっしゃっていましたけれども、借り手と貸し手とウイン・ウインの関係でやっていくということは極めてまた大事な話でありますので、全国展開がしていくようなインセンティブをやる気のある方にしていくということが大事じゃないかというふうに思いますが、この点について、大臣、御所感があれば承りたいと思います。
#197
○国務大臣(石破茂君) この永堀さんは私どもの研究会の委員にもなっていただいております。あるいは、耕作放棄地対策研究会の中間取りまとめでも事例の一つとして取り上げさせていただきました。いろいろと学ばねばいけないところはたくさんあります。
 委員がまさしくおっしゃったように、埼玉県でできるんだから全国でできるはずだと考えるべきなのか、埼玉県だからできたと考えるべきなのか。この永堀さんが埼玉県でできることだから全国でできるはずだとおっしゃることの私はその反対論を申し上げているわけじゃありませんが、まさしく上尾というのは都心から四十キロのところにございますので、かなり条件的にはいいところなんだろうと思っています。それが、都心といいますか、そういう消費地から百キロとか、北海道の場合にはもっとかもしれません、離れたところでこれと同じ例がやれるかどうかはよく子細に検討をする必要があるんだろうと思っております。
 ただ、自分で機械を持ち、そして土地所有者の負担を軽減をし、両方ともウイン・ウインの関係をつくっているという意味で、この例がどこまで広げられるかということは、私どもよく詳細に検討をし、この優良事例というものがなるべく広がるように、これから先も永堀さんの御意見を承りながらやっていきたいと思っております。
#198
○風間昶君 分かりました。
 農地法とは直接関係ないんですけれども、去年の春も世界市場の食料価格が五五%上がって、このところ、FAOのホームページ見たり、最近の報道でも、ロイター通信では、トウモロコシ、小麦を含めて二五%ぐらい上がっていっているという状況で、そういう意味では、原油価格も上がってきて、このままでいくと二年前のような悪夢が来ないとも限らないということでありますが、そういう意味で懸念しているんですけれども、本当にこの食料価格の高騰の要因をきちっと分析していただかなきゃならないと思っておりますが、農家の方々がそのことによって苦しい状況に陥ることを避けるための、何といいましょうか、まさにこの間大臣がG8で先物取引を監視しようじゃないかというふうにアグリーしたわけでありますから、そういうことも含めた未然の防止取組に全力を挙げてもらいたいというふうに思っているんですけれども、まずはどういう分析をしているかということとその未然防止取組について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#199
○国務大臣(石破茂君) これは中長期的な、構造的と申し上げた方がよろしいのか、そういう要因もございますが、それに加えまして南米の干ばつが去年からずっと続いております。それからもう一つは、今年の春先からでございますが、アメリカの天候が不順でございまして、作付けが遅れております。それから、中国が大豆の消費が非常に旺盛であると、中国の経済回復ということも相まって大豆の消費が旺盛でございまして、中国の輸入の需要が拡大をしておるということでございます。
 直近の状況としてはそういうようなことでございまして、シカゴの商品先物市場におきましては、昨年十二月が底値でございましたが、それと比べますと大豆は一・六倍、トウモロコシが一・四倍、小麦で一・三倍ということになっております。現状の分析はそのような認識でございます。
#200
○風間昶君 極めて、そういう意味では、この上昇基調にある食料価格だけじゃなくて、言わば商品価格全体がそのような状況になってくると、ある意味ではまた日本国内が厳しい状況になってくるということなので、本当になかなか農水省だけじゃできない話かもしれません。外務省も当然絡んでくるんでしょう。どっちにしても先物取引のチェックをきちっとやっていただければ有り難いと思います。
 それからもう一点、これも、先週の朝日新聞にロシアのメドベージェフ大統領が極めて興味深い寄稿を出されておりまして、ロシアは国際的な食料安全保障における自らの責任を自覚して、穀物生産を向上させ、他の農業生産大国、アメリカ、カナダを念頭に置いているんでしょう、とともに食料安全保障の保証人となることを課題に掲げているという記事を載せられて、追いかけるように先週の日経新聞にも、女性の農業大臣ですけれども、一面の記事で、トップで「ロシア、小麦を対日輸出」というふうに出ておりまして、見てください、日本、中国、台湾が輸出先として最も潜在力があるというふうに、「農業を戦略産業に」という農業大臣の記事が載っているわけで、そうなると、ロシアは本当に対日輸出に本気になって取り組み始めたかなという感じを受けるわけであります。
 そういう意味で、先週の六日、七日にロシアが提唱した世界穀物フォーラム、開催されましたけれども、エネルギー大国であり、かつ食料大国になっているロシアの輸出国としての位置付けに対して日本はどういう受け止めをして、なおかつそれに対応していくかということの考え方が問われると思いますが、大臣としてはどのように思っていらっしゃいますか。
#201
○国務大臣(石破茂君) 一連の報道はよく承知をいたしております。先般、イタリアでG8農業大臣会合が開催をされまして、委員御指摘のロシアの農業大臣、スクルインニクというんですか、発音が悪かったらごめんなさいませ、この方と私、昼食会で隣同士になりまして、いろんな話をいたしておりました。非常に輸出したいという強い意欲は感じられたところでございます。
 私どもの国も、私どもの世代になりますと、ロシアというとウクライナの大穀倉地帯みたいなそういう連想をするわけでございますが、私どもの国、一九六四年以降、ロシアから、当時はソビエトと言っておったわけでございますが、小麦というものを輸入をいたしておりません。日本の場合に、やはりロシアから輸入するかどうか、ロシアは今後、食料輸出というものに非常に積極的であるという認識は持っておりますが、私どもとしてロシアの小麦というものが安定的に供給されるものであるのか、あるいは質的に日本の消費者の嗜好に合うものであるのかということはよく見極めていかねばならないというふうに考えております。
 ロシアは、土地生産性は総じて低いのでございますし、また天候によりまして収量が大きく振れるということがございます。責任がある担い手というのか、ステークホルダーというのか、それになりたいということをメドベージェフが言っておるということもよく承知をしておるわけでございますが、ロシアの穀物生産というものが今後どのように世界の食料安定に寄与するかということも私どもよく見ていきたいと思っておるところでございます。
#202
○風間昶君 今大臣から小麦の話出ましたけど、日本は御承知のように五百万トン輸入しているわけですよね、アメリカ、カナダ、オーストラリアから。これでロシアから来ると、来るというか、輸出したいということで日本が受けるとなると、国内の小麦、それでなくても水田をフル活用して小麦の生産に力入れたいという日本の思いがあるわけでありますから、小麦の輸入とそして国内生産のバランスをどう取るのかということをお伺いしたいと思いますが、まず、今現在、日本の国内で八十万トン生産されていますけれども、水田フル活用によってどのぐらい小麦を生産していく見込みを立てているのかということを一点お伺いしたいと思います。
 そのことと、それから先ほど話がありましたが、国内増加した分だけ今度は輸入五百万トン、本当に必要なのかどうかということにもなるわけでありますから、輸入と国内生産のバランスをどうとらえているのかということをお伺いしたいと思います。
#203
○政府参考人(町田勝弘君) 現在の我が国の小麦の需要をどう満たしているかということでございますが、御指摘いただきましたように、今輸入小麦が大体五百万トン、国産小麦が八十万トンということで、考え方としては国産小麦で賄えない分を輸入しているという、こういう考え方に立っております。
 それで、私ども今、水田フル活用ということで取り組んでおりますが、この五百万トン、仮にこの一割が米粉として利用できるということになりますと、五十万トン程度国産の需要が拡大するということで考えておりまして、これは一つのイメージでございますが、一つの考え方として持っているということでございます。
 また、小麦の輸入の考え方でございますが、先ほど申し上げましたとおり、国内の小麦では質の面また量の面、量は今言ったような状況でございますが、どうしてもたんぱく質が少なくて、高い、パン用の小麦がなかなか作りにくいというふうなこともございます。そういった質的な面も含めて輸入をしているわけでございます。
 今回、ロシアが仮に参入した場合はどうかということでございまして、大臣からお答えありましたように、一九六四年以降輸入はございません。私ども、実需者、具体的には製粉業者さんのニーズで輸入するわけでございますが、その際も先ほど言った考え方で、国内の生産では賄えない分を輸入するという考え方でやりたいと思ってございますので、仮にロシアからそういったものが入っても国内産の小麦の生産が圧迫されるということはないんではないかと考えております。
#204
○風間昶君 つまり、五十万トン今生産して、需要もそのぐらいあるということでありますけれども、だからフル活用によって更に増加した分はそのまま生かして、輸入の五百万トンのうちその増えた分を減らすとか、そういう考え方はあるんですか、ないんですか。
#205
○政府参考人(町田勝弘君) 基本的には国内で賄えない分を輸入するということでございますので、国内で生産が増えますればその分は輸入量が減るということで全体の需要を賄ってまいりたいと思っております。
#206
○風間昶君 分かりました。
 それでは、最後に、この間労災保険のお話を伺いましたが、雇用保険の件について、これもまた新規就農者を増やしていこうという中で雇用制度を確立していくことが求められているわけでありますが、雇用保険制度では農業の分だけ特例になっていまして、御承知のように従業員が五人未満の個人経営でも従業員の半分が希望すれば加入しなければならないというふうに措置されているわけでありますけれども、調べてみると、農業者数に対して加入状況は結構いいんですね。この数をまず教えていただきたいのと、いいというふうに聞いていますが、教えてもらいたいのと、もう一つは、他産業と比べて不利にならないように雇用政策に反映させていくべきだと思いますが、雇用制度ですから厚労省との絡みになると思いますけれども、厚労省との連携をどのようにして、なおかつ農業者の雇用保険の加入促進を図るかということについての考え方を伺いたいと思います。
#207
○政府参考人(高橋博君) 雇用保険の農業者に対する適用でございますけれども、委員御指摘のとおり農業分野については特例がございます。五人未満の場合には二分の一以上が希望しないと手続にならないということでございます。
 ちょっと数字につきましてでございますけれども、二〇〇五年のセンサスでは、常雇用者数が十一・八万人、十一万八千人でございます。ちょっとデータが違うものになるわけでございますが、十七年度末の雇用保険の被保険者数、農業部門では六・五万人、ちょっとデータ違うもの同士で割り算するのはいかがかと思うんですが、五五%ということでございます。したがいまして、労災に比べて非常に高い加入率だと思っています。
 ただ、農業がやはり雇用保険の特例を行っておりますのは、実は私ども、厚生労働省さんとこれ制度をつくったときに、やはり農業の零細性ということで強制適用、これはちょっとやっぱり零細な部分については御猶予いただいたということがございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、今後雇用についてやっぱり条件整備をしていくのは非常に重要だというふうに考えておりますので、このような雇用保険の分野に対して、私どもも先ほど申し上げましたように非常に重要だと思っておりますので、雇用において、就業していくということは重要だと思っております。
 施策について、これからでございますけれども、厚生労働省にまずよくいろいろお話を聞きながら、厚生労働省の施策も活用できるようなことがないかどうか、そういったものも含めて、また我々が何ができるかということについて検討してまいりたいと思っております。
#208
○風間昶君 終わります。
#209
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 この間、農地法等の改正をめぐって二回審議をし、参考人質疑を一回やってきているわけですけれども、今回のこの法改正が何のための改正なのかということをめぐっては疑問は依然として大きいし、懸念されている内容が審議で解決されていっているのかというと、そうではなくて、むしろ現実味を帯びてきているというふうに思うわけです。
 そもそも、何のために一般の農外企業の参入ができるように法改正を行う必要があるのかということについて、先週の十一日ですか、舟山委員が質問したことに対して大臣はこういうふうに言っています。要は多様な担い手、多様な主体が入るべきだ、それしかない、それによって耕作放棄地が解消されるとも思っていないし、企業の側が耕作放棄地に喜んでやってくるなどとは思っていないと答弁をされたわけです。これは私、驚きだったんですけれどもね。
 大臣は、参議院の本会議で法改正の趣旨について、自給率向上のためにも農地を優良な状態で確保、利用できるようにというふうに述べた上で、しかし、農業従事者の減少、高齢化が進む中で耕作放棄地の増加に歯止めが掛からない現状にあると。また、転用期待等により農地価格が収益に見合う水準を上回る傾向にあるなど、効率的な利用に必要な集積が困難な状況にある、このような農地をめぐる課題を克服しと、こういうふうに今度の趣旨について明確に言っているわけですよ。本会議での主濱議員の質問に対しても同じ趣旨で繰り返し答えられているわけですよね。
 ところが、この委員会の中では、耕作放棄地をなくすとは思っていないということですから、だから、目的に掲げつつも余り期待していないということを言っているということ自体どうなのかなと。いかがでしょうか。
#210
○国務大臣(石破茂君) 農地法の改正だけで耕作放棄地が消えてなくなれば、そんなに結構なことはございませんが、それだけではできない。先ほど風間委員の御質問にもお答えをいたしたところでございますが、いろんな政策を総動員をしながら耕作放棄地を解消し、そして自給率を上げ、自給力を高めということでございます。その中にあって、今農地を持っているんだけれども使われていないというような状況が非常に拡大をしつつあるわけで、したがって、そこに利用という形態に着目をして、貸しやすく、借りやすく、そしてまた多様な担い手というものを入れておるわけでございます。
 多くの手法を使っていろんな課題を克服していかねばなりません。それは、一々ぎりぎり言われますと、おまえの言っていることは矛盾するではないかというふうに言われるかもしれませんが、私はかなり気を付けて答弁をしておるつもりでございまして、いろんな政策を総動員をしながら一つ一つ解決をしていきたい。今回の農地法の改正はその中の重要な一つの道具というか、一つの手段というか、そういうような位置付けで今回お願いをしているものでございます。
#211
○紙智子君 受け手をつくるという点では、私は、何も変えなくても、今の現状の法律のままでも農業生産法人つくれば参入できてきたわけですし、そういう形でやって何も矛盾ないというふうに思うんですよ。確かに借りやすくなるとかということはあるかもしれませんけれどもね。しかし、今までの枠を維持したままだって、それはやれるというふうに思うんですね。
 やっぱり、耕作放棄地が増えているという問題、これ以上増やしちゃいけない、何とかしなきゃいけないと、これは切実な国民全体が思っていることだし、農村地域もそうですよね。切実なことだけに、それをやっぱり理屈としてそのためになんだということを言われれば、それじゃしようがないのかなというふうに受けやすいというのはあると思うんですけれどもね。
 私は、結局は、これは口実としてそれを取り上げているのであって、本当の目的は担い手の対象を一般の農外企業にまで広げると、一遍に所有までというのは反発も強いから、取りあえずは貸借のところで止めておこうというのではないのだろうかというふうに思うわけですよ。
 それは、これまで何度かこの議論の中に出てきていますけれども、経済財政諮問会議の平成の農地改革、この中で、やっぱり企業型の農業経営、これがなぜ重要なのかということを説いて、それでこれをもっと推進しなきゃいけないということを提言をしているわけですよ。
 これ、さかのぼっていきますと、大体、九七年のときに経団連が出している「農業基本法の見直しに関する提言」、この中でも提起をされていることとも重なっているわけですよね。それで、その九七年のときの提言というのを見てみるわけですけど、そうするとそこには「株式会社形態による農業経営の導入」というのがあって、一として「農地転用規制の厳格化」、二として「株式会社の農地取得の段階的解禁」、その中には、農地転用規制の強化を前提に、株式会社の農地取得を認めるに当たっては、段階的に進めていくことが考えられる、例えば、第一段階として、農業生産法人への株式会社の出資要件を大幅に緩和し、第二段として、借地方式による株式会社の営農を認める、その上で最終的に、一定の条件の下で株式会社の農地取得を認める方式が考えられるということを言っているわけですよね。
 大臣はこの方向に進めるつもりなんじゃないのかと、それは絶対にないというふうに言えるんでしょうか。
#212
○国務大臣(石破茂君) 私は、私はうそは申しませんと昔だれかが言ったようでございますが、これだけ衆参で答弁をしてきておるわけでございます。
 翻って、例えば株式会社が農地を取得するということが農業振興をするに当たっていかなるメリットがあるかというふうに考えたときに、所有しなければならぬというメリットも、それはないわけでございます。それはもう利用ということで十分事は足りるのでありまして、私は、将来的に段階的に、なし崩し的にという言葉をお使いにならなかったと思いますが、やがては株式会社に農地の所有権も認めるのだと、しかし今は抵抗が強いから取りあえず利用だけにしておこうなぞということを考えているわけでは毛頭ございません。
#213
○紙智子君 そのようにおっしゃるわけですけど、この間の衆参の議論の中で、衆議院での議論を、議事録を読ませていただいていますけれども、言ってみれば推進の側に立つ議員の方に対して大臣が答えているところがあるわけですよ。
 四月十五日の衆議院の議論で、自民党の小野議員ですけれども、そこで、一定の期間実績を積んだ企業に対して、将来的には所有も認める方向で検討すべきじゃないかという趣旨の質問をしたのに対して、大臣は、ここは私もずっと悩んでいるところで、委員御指摘のようなことがどうなんだろうかなということで随分考えたことがあると述べられていると。今回は現行どおり、農業生産法人に所有取得権は限定するということでございますと。だから、今回は現行どおりだけれども、将来は考えるというのが本音なんじゃないのかなと読み取れるわけですけれども、いかがですか。
#214
○国務大臣(石破茂君) 御精読をいただきまして恐縮であります。
 実際、悩んだことがあるのは事実です。それを否定するつもりはございません。いわゆる、法人に農地の所有権を認めているというところと認めていないというところと世界中いろいろございまして、例えて言えばアメリカ合衆国、多くの州においては認めないということになっておるわけです。他方、ヨーロッパでは認めるというところがたくさんあるわけでございます。しかし、それと家族経営が相反しているかといえば、そうではないということもあるので、そこは法制度等々いろんなものを読んでみなければなりません。私も全部読んでいるわけではありませんし、ここにこうだという断定的なことが言えるわけでもありません。そういうことで随分と悩んではきたことは事実でございます。
 今回はという表現が委員の誤解を招くようであれば、この法改正によってそういうことは考えていないというふうにそれは訂正をさせていただきたいと思います。もちろん、衆議院のことですから参議院で訂正をさせていただくことはできませんが、私の本意というのは、将来にも法人に所有権を認める、一般法人に認めるということのメリットというものを農業振興という観点からは極めて見出しにくいことでございますので、物事の価値観というよりも、実際に実利的に考えてもそのようにしなければならない必然性はないものと考えております。
#215
○紙智子君 もう一つお聞きしたいんですけれども、担い手の対象の問題です。
 それで、賃借権を与えられた一般企業は担い手に位置付けられるかどうかということについて、これも先日、他の委員の方が質問したのに対して、大臣は、農地を効率的に利用し、継続的、安定的に農業経営を目指す者であれば担い手として位置付けられるというように答えられましたよね。つまり、担い手として農地の利用集積もできると。それから、担い手ということになると担い手の制度を活用できることになると。それから、大企業に対してでも、入ったときに、様々な制度融資、これも活用できることになると。
 そうなると、制度融資もというふうになりますと、いろんなやっぱり優遇策っていうかあるわけで、かなり手厚い対応をできることになる。そうすると、完全にこれは現役の家族経営の農家などとのバランスが崩れていくことになるんじゃないんでしょうか。
#216
○国務大臣(石破茂君) それは今日の答弁でも何度か申し上げましたが、先ほど山田委員の御質問にもそういうようなお答えをしたような記憶がございますが、それを排除する理由はどこにもないということでございます。しかしながら、そこに当たって、それを認めるに当たって、権利取得を認めるに当たって、その地域における家族営農でありますとかそういうものとの調和、両立、併存、そういうものにはきちんと配意をしていかねばならないし、運用ベースにおいてもそうなのであります。
 ですから、本当に大企業がわあっと農地を広く取得して、家族農業、家族経営というものが淘汰をされると、そういうような姿を私どもは望んでおるわけでもございません。そこにおいて共存ができますように、この法の運用というものに当たっては、それは万全を期してまいりたいと思いますし、地域におきましてもよく周知を徹底してまいりたいと存じます。
#217
○紙智子君 大臣は、一般企業と農業生産法人と優先順位とかは付けないのかということがやり取りされた際に、優先順位が云々ということではなくて、両方一緒に進めていかなければならぬものというふうに言われているわけです。そうなると、結局、農地を効率よく利用するならだれでもいいということになるんじゃないのかと。そうなると、これまで一般の企業に対しては農地取得はさせないことにしてきた、その意味がどういうことになるのかというふうになるわけですね。
 利潤追求が第一の農外企業に無制限に開放するということになると、これは農業の活性化どころか、農地利用や農村の社会に重大な混乱と障害を持ち込むおそれがあったからこそいろいろな規制を行ってきたんじゃないのかと、これまで。農業の振興のためということではなくて、農業と農地を対象にしたビジネス機会を拡大して農地の大企業の支配につながる心配があったからこれまで参入に対しては慎重に対応をしてきたんじゃないのかということを考えますと、もうその必要はなくなったというふうにお考えなのか。
#218
○国務大臣(石破茂君) いや、必要がなくなったなぞとは申しておりません。先ほど申し上げましたように、その地域において家族経営を主体とした営農が営まれるということを私どもは考えておるわけでございますし、私どもが考えております計画もそうなのでございます。
 ただ、とにもかくにも農地が利用されていない、いろんな理由がありますが、所有はあるけれども利用されていないという状況をどうやって変えていくかというときに、多様な担い手というものは考えてしかるべきだろうと。そして、貸しやすく、借りやすくするように制度は整えていくべきだろうと。多様な担い手ということを考えるということと大企業が小規模な家族経営を駆逐するということは、それは決してイコールではない。そうならないように制度の運用には配意をしていくということを申し上げているわけでございます。
#219
○紙智子君 私は、ここのところを、この切れ目をあいまいにしていくと、結局、農地法そのものの存在意義を失わせていくことになるんじゃないかというふうに指摘をしておきたいと思います。
 次に、農業生産法人の要件の見直しなんですけれども、二条第三項二号関係についてです。
 総株主の議決権等の二分の一未満まで認めるというふうにしていますけれども、これは、現在、関連業者の議決権を一事業者当たり十分の一以下という制限を廃止するということとともに、農業生産法人と連携して事業を実施する一定の事業者、政令で定める者として想定しているのが農商工連携で連携相手となるスーパーだとか流通企業、加工メーカーですね、こういうところが対象ですけれども、それらの企業が議決権の二分の一未満まで持つことができると。これまでは、要件を議決権の十分の一以下にしてきたのは農外企業の支配を防ぐためだったわけですけれども、今回の要件緩和によって農外企業の支配を可能にするんじゃないんでしょうか、いかがですか。
#220
○国務大臣(石破茂君) 農業生産法人が安定的に経営をしていくためには、関連事業者との連携、これが不可欠でございます。
 近年、農業生産法人が非常に経営が好調になっているというところを見ますと、必ずそこには関連事業者との連携、いわゆる農商工連携というのか、他党さんのお言葉を借りれば第六次産業化というのか、そういうことが背景にございます。
 そういうこともございまして、農業生産法人への出資につきまして、食品の加工や販売などの関連事業者の一事業者当たりの議決権の上限につきまして、現行、総議決権の十分の一以下との制限は撤廃すると。農商工連携事業者など農業経営の発展に協力してくださる一定の関連事業者さんにつきましては、その議決権の合計の上限を、原則総議決権の四分の一であるところを例外的に総議決権の二分の一未満まで緩和するということにしておるわけでございます。
 ただし、このような場合でございましても、農業関係者の議決権は常に総議決権の二分の一以上ということになっておるわけでございますし、経営の決定権は農業関係者が保持するということになっておるわけでございますので、関連事業者が経営支配すると、そういうような影響力を持つことにならないように措置をしておるのは御案内のとおりでございます。
#221
○紙智子君 そうならないようにと言うんですけれども、やっぱり農業生産法人というのは農地取得権を持っているわけで、その中の半分以上という、二分の一ですか、ということはやっぱりやりやすくなっていくんじゃないのかというふうに思います。
 それから、ちょっとだんだん詰まってきているので次行きますけれども、標準小作料の制度廃止、それと長期賃貸借の創設について、二十年から五十年ということですけれども、これ、ちょっと併せてお聞きします。
 これまで農地の賃借料を決める際に、七三%の経営体が標準小作料を参考にして、標準小作料が必要というふうに考える経営体も七六%と、広く活用されてきたわけです。このやり方が、ただ単に現場で自主的に話し合って決める、そういう良さがあるというだけじゃなくて、やっぱり耕作できる水準を定めると、耕作できる水準を定めると、こういう意味があったわけですよ。ところが、これが今回廃止されるということになると、この考え方に立った在り方を壊すことになるわけです。これについてどう考えるのかということが一つです。
 それからもう一つは、農地の長期賃貸借の創設についてですけれども、五十年に延ばすと。五十年に延ばすとどうして有効利用できるのかということですね。参考人の質疑の際にも出ていたんですけれども、借りる側のワタミさんですね、武内さんも、五十年なんというのは必要ないというふうにおっしゃっていたわけですよ。担い手に対するアンケートをやると、二十年以上を望む人というのは五%にとどまっているわけですよ。だから、貸し出す側も借りる側も当事者が長過ぎると言っているのに、どうしてこういうふうにするのかなと、だれが要求したのかなと思うんですけれども、この二点についてお答え願います。
#222
○国務大臣(石破茂君) 標準小作料の意義ということを繰り返すことはいたしません。現状に合わなくなっているということでございます。
 かつてのような大規模地主さんがいて、そういう下で少数の地主から多数の零細小作農の方々が高額の小作料を押し付けられるというようなことがあったので、そうならないように標準小作料というものをつくってまいりました。今そういう状況でもございませんし、制度上の減額勧告、この例もほとんどございません。最近五年間では、平成十五年、平成十六年に全国で二件ずつ勧告が、十五年に二件、十六年に二件とあっただけでございます。実態に合わなくなっているというのが基本的な認識です。
 しかしながら、目安となるものは必要でございますので、地域ごとにそういう農地の種類別あるいは圃場整備事業の実施状況などなど細かく区分をいたしまして、実際に実勢の賃借料がどういうことになっているか、そのことがすぐに分かるような仕組み、こういうことを新たに設けまして、実態により即した取引というものが行えるようにしたいというふうに考えているものでございます。
 五十年というお話は何だということでございますが、別に五十年でなきゃいかぬということをだれも申し上げていないのでありまして、五十年以内の賃借権設定も可能にするということを申し上げているだけのものでございます。それは多様な賃借というものがあるわけでございまして、果樹の場合にはそういうふうに延ばした方がいい場合もあるのではないかという御指摘があることも事実でございます。
 これが五十年になろうがどうしようが、別にそれが、賃借権が所有権に化けるものではございません。どんなに年数が長くなりましても処分権能が、所有権の本質であります処分権能が与えられるというものではないわけでございます。したがいまして、今回の存続期間の見直し、賃借権の存続期間の見直しが所有権の取得の道を開くというようなことには全くならないことを申し上げておきます。
#223
○紙智子君 今お答えになった中で今の現実に合わないからだという話をされたんですけど、しかし、農業委員会のお話聞きますと、この小作料は一定の目安を示すということで不当に高くなることを抑制する働きがあったと、それが廃止されたら抑制が利かなくなって高い方に流れていくんじゃないかという心配をされているわけですよ。市町村が一定の水準を定めるとか市町村が適正であるというふうにしても、相対で貸し手と借り手が決めることができると。実勢を反映してと言うんですけれども、それがじゃ適正価格なのかどうなのか、耕作できる水準ということで適正なのかどうかということは何をもって判断するのかということを思うわけですね。
 そしてもう一つ、賃借権の五十年ですけれども、別にその全部をということじゃないんだという話なんですけど、それであれば何も延ばさなくても、果樹とかかんきつ類についてのみそういうことはやったとしても、ほかのものについては別に変える必要がないんじゃないのかということを思うわけですけれども、いかがですか。
#224
○国務大臣(石破茂君) そういうお考えもあるかなとしか申し上げようがないのでございますが、実態に合う、合わないというのは、やはり実勢価格というのは、昔の非常に強い立場にいる地主というのがあって、弱い立場にいる小作人の方々というのがあって、そこで不当に高いお金が押し付けられるというようなことがかつてはあったでしょう。今はそういうことではなくて、貸しましょう、借りましょうという側が実際にお互いに折り合うような、それが実勢価格になっているものだと思います。それがどこがどうなっているかということがきちんと客観的に分かる、リアルタイムに分かる、そういう仕組みを整えていくということがより合理的な貸し借り関係の創設につながるものだというふうに私は思っているところでございます。
 それから、それじゃ果樹は五十年にして、それ以外は今のままでいいではないかと言われれば、それはそういう考え方もあるのかもしれません。
 先ほどの繰り返しになりますが、五十年以内の賃借権設定を可能とするということでございまして、いろいろなタイプの賃借権というものがあるだろうと、それを可能にしておるものでございまして、委員のようなやり方も別に私は否定もいたしませんが、私の申し上げておるような今回の政府の提案でも何らかの実害があるかといえば、そういうことはないだろうと。むしろ、多様な賃借というものが可能になり、そしてまた、それが決して処分権の付与に及ぶものではないということで、何ら差し支えはないと考えております。
#225
○紙智子君 私は、この二つの問題というのは、全然現場からは要求は上がっていないと。求めていないのにどうしてこういうことを決めるのかなという、非常に不思議に思っていまして、結局はこれは財界からの要求なのかなというふうにも思うわけです。
 最後になりますけれども、農業委員会の役割について、これはこの委員会で何度も議論されてきていますけれども、今回の改正案で農業委員会の役割が非常に重いというふうになったわけです。一般の法人や個人の農業参入に対して事前事後のチェックを行わなきゃいけないと。どういう場合に許可し、どういう場合に不許可とするのか、その判断基準と運用方針を明確にしておかなければもうこれは混乱すると。
 それで、参考人質疑の中でも具体的に基準を示してほしいという意見も述べられたわけですけれども、非常にそういう意味では法改正で重大な役割強化が必要となっている中で、いろいろこの間答弁にあって、公平公正にとか適正にとか客観的にということはいろいろ話をされているんですけれども、中身についてはこれからなわけですよね。
 ですから、具体的な予算上の措置も含めて、体制強化という場合にどうするのかということなどを含めてしっかりと明らかにしていただきたいということを最後に一言答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
#226
○国務大臣(石破茂君) その委員の御指摘は、この法律を作りますときに省内でも大変議論があったところでございます。これは、与党からも、野党の皆様方からも、農業委員会というものに対してそれがきちんと運営ができるようにしていかねばならないということ、そして、指針というもの、ガイドラインということをちゃんと示せというような御指摘もいただいておるところでございます。
 農業委員会がこの法改正において大きな役割を担いますので、この参議院におきます御議論というものを踏まえて、私ども、法律が成立いたしました暁にはきちんとした対応をしてまいりたいと、このように考えております。
#227
○紙智子君 終わります。
#228
○委員長(平野達男君) 以上で質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#229
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農地法等一部改正案に反対の立場から討論を行います。
 反対の第一の理由は、大企業を含む国内外の企業に農地の利用権を全面的に認めたことです。このことにより、様々な困難を日本農業と農村にもたらすことは必至です。
 優良農地に進出した企業は、資本の論理の下で容易に撤退することはこれまでの経験でも明らかです。企業の撤退で優良農地に広大な耕作放棄地が生まれることになるでしょう。様々な事後チェックによっても、一般企業に農地をゆだねる、こうした危険性はなくなりません。
 また、企業を担い手として積極的に位置付ける政府の方針の下では、これまで家族経営を中心とした地域営農が崩され、農村に新たな混乱を生むことになるでしょう。
 さらに、企業に広範囲に農地利用権を認めれば、将来的に財界が望む企業の農地所有権を認める道につながらざるを得ません。
 それに加え、個人の農地利用権を何の制約も付けずに認めたことは、個人が産廃処理などの目的を隠して農地利用権を取得し、取得後、利用権設定の農地に産廃などを投棄する危険性を大きくするもので、極めて問題であります。
 反対の第二の理由は、農業生産法人への農商工連携企業の出資割合を五〇%未満まで認めたことです。これにより、農地所有権を持つ農業生産法人に対する農外企業の支配を一層可能にすることになります。
 農地利用権を使った優良農地に対する企業進出とともに、日本農業・農村に対する企業支配が一層進行することになるのは必至で、日本農業の基盤となってきた、そして今後の日本農業の発展の基礎となるべき家族経営を圧迫し、弱体化することになりかねません。
 反対の第三の理由は、本改正案が標準小作料を廃止するとともに、事実上の農地所有権とも言える五十年にも及ぶ農地の長期賃借権を創設した点です。
 標準小作料は、全国の農村で小作料の基準として使われ、その存続が強く望まれてきました。その廃止は、農地の賃借関係を不安定化させ、資本力のある企業による賃借料のつり上げを使った農地集積を許すことになり、農村に混乱を招きかねません。
 また、五十年に及ぶ長期賃借権の創設は、企業による農地利用権を長期に固定させることを認めることになり、事実上、企業による農地所有を既成事実化させることにもなるもので、強く反対するものです。
 政府は、耕作放棄地対策だとして農地法の一部改正を持ち出しましたが、それが全く根拠のないものであることは、大臣自らが認めたことからも明らかです。耕作放棄地を含め日本農業に困難をもたらしたものは、自民党農政による農産物価格引下げ政策で、農業者の営農意欲を奪ったからにほかなりません。今最も必要なことは、このような農地法等の一部改正ではなく、米を始めとする農産物価格保証制度を抜本的に拡充、充実させ、日本農業を再生させることであることを強く指摘して、討論を終わります。
#230
○委員長(平野達男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農地法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(平野達男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高橋君から発言を求められておりますので、これを許します。高橋千秋君。
#232
○高橋千秋君 民主党の高橋千秋でございます。
 私は、ただいま可決されました農地法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、生産資源であり地域資源である農地の確保と望ましい主体による農地の有効利用を通じ、我が国の食料自給力の強化に資する農業構造の確立と農村の振興が図られるよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 我が国農業は、家族経営及び農業生産法人による経営等を中心とする耕作者が農地に関する権利を有することが基本的な構造であり、これらの耕作者と農地が農村社会の基盤を構成する必要不可欠な要素であることを十分認識し、農地制度の運用に当たること。
 二 新農地法第二条の二に規定する農地について権利を有する者の責務の考え方については、次のとおりとし、その周知徹底を図ること。
  1 農地について所有権を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保することについて第一義的責任を有することを深く認識し、自ら当該農地を耕作の事業に供するとともに、自らその責務を果たすことができない場合においては、所有権以外の権原に基づき当該農地が耕作の事業に供されることを確保することにより、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならないものとすること。
  2 農地について賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、その権利に基づき自ら当該農地を耕作の事業に供することにより当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならないものとすること。
 三 新農地法第三条第二項第七号の許可の基準は、取得しようとする農地又は採草放牧地に関する基準ではなく、新たに、周辺の農地又は採草放牧地への影響を見る基準であることから、農業委員会等は許可の判断をするに当たっては、現地調査を行うものとすること。
 四 新農地法第三条第三項による農地又は採草放牧地の貸借に係る権利移動規制の緩和に当たっては、借り手が撤退した場合のリスクを回避するため、農地又は採草放牧地を明け渡す際の原状回復、原状回復がなされないときの損害賠償及び中途の契約終了時における違約金支払等について契約上明記するよう指導すること。
 五 国は、農地利用集積円滑化事業の推進に当たり、農地の利用調整に関する地域の円滑な合意形成に向け、専門知識を有する人材の確保等について、十分な支援を行うこと。
   また、農地保有合理化事業については、農地利用集積円滑化事業との役割分担を踏まえながら、適正な事業執行を図ること。
 六 公共転用に導入される法定協議制度の運用に当たっては、転用の許可権者と申請者が同一の場合における協議の客観性及び公正性を確保するとともに、公共転用が周辺農地の転用を誘発しないよう、必要な指導を行うこと。
 七 違反転用については、年平均約八千件判明し、その大半が追認処理されている実態にかんがみ、一層実効性のある防止対策及び是正措置を検討すること。
   また、都道府県等の行政代執行が適切に発動されるよう、必要な支援措置を検討すること。
 八 標準小作料制度の廃止に当たっては、農地の貸借において標準小作料が規範としての機能を発揮していることを踏まえ、新たに設ける実勢借地料の情報提供の仕組みへの円滑な移行を図ること。
   また、企業の農業参入規制が緩和されることなどを踏まえ、農業委員会は、借地料が地域の実勢価格に照らして極端に高くならないよう、必要な監視及び指導を行うこと。
 九 耕作放棄地の復旧に向けた地域の取組に対する支援を継続するとともに、農地の農業上の利用が継続されるよう、中山間地域等直接支払制度の今後の在り方の検討を含め、農業経営の安定化に向けた施策の強化に努めること。
 十 今回の農地制度の改正内容を、農業者はもとより、広く国民一般に周知・普及するとともに、制度の運用に当たっては、公平・公正・透明性に留意し、許可等の基準を明確にすること。
 十一 農地制度において重要な役割を果たしている農業委員会組織が現行制度による業務に加え、改正法により新たに担うこととなる業務が適正かつ円滑に執行されるよう、具体的な判断基準を早期に明確化するとともに、必要な支援及び体制整備を図ること。
   また、国は、農業委員会から、適宜、業務の実施状況についての報告を受け、その結果に基づき、都道府県と連携し、必要な指導及び助言を行うこと。
 十二 土地利用に関する諸制度について、農業生産を目的とする土地利用とそれ以外の土地利用とを一体的かつ総合的に行うことができる計画を、地域住民の意見を踏まえつつ策定する制度の創設その他必要な措置を検討すること。
 十三 政府は、近年、遊休農地の拡大のみならず、農業従事者の減少・高齢化や農業所得の減少により、農業の持続性が危うくなっている状況にかんがみ、農業・農村の活力を回復するため、地域における貴重な資源としての農地の土づくり、地力増進等を図りながら、家族農業経営、集落営農、法人による経営等の多様な経営体が共存しつつ、それぞれがその持てる力を十分発揮できるための方策について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#233
○委員長(平野達男君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#234
○委員長(平野達男君) 多数と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、石破農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石破農林水産大臣。
#235
○国務大臣(石破茂君) ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
#236
○委員長(平野達男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト