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2009/03/30 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第6号
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2009/03/30 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第6号

#1
第171回国会 法務委員会 第6号
平成二十一年三月三十日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     山田 俊男君     山崎 正昭君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     平山 幸司君     松浦 大悟君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     今野  東君     相原久美子君
     松浦 大悟君     風間 直樹君
     山崎 正昭君     塚田 一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         澤  雄二君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                相原久美子君
                小川 敏夫君
                風間 直樹君
                今野  東君
                前川 清成君
                松野 信夫君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                塚田 一郎君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     森  英介君
   副大臣
       法務副大臣    佐藤 剛男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  早川 忠孝君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長事
       務取扱      小池  裕君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大谷 直人君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  小泉 博嗣君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   政府参考人
       法務大臣官房訟
       務総括審議官   貝阿彌 誠君
       法務大臣官房司
       法法制部長    深山 卓也君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     久保 公人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 本日までに、山田俊男君及び平山幸司君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君及び風間直樹君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(澤雄二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房訟務総括審議官貝阿彌誠君、法務大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省刑事局長大野恒太郎君及び文部科学大臣官房審議官久保公人君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#5
○委員長(澤雄二君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○前川清成君 前川でございます。先週に引き続いて質問させていただきますこと、同僚議員の皆さん方に感謝申し上げたいと思います。
 それで、本題に入る前に一つお聞きをしておかなければならないことがありまして、大野刑事局長の予算委員会締めくくり総括での御発言についてなんですが、その前に、ジェラルド・カーチスさんという「代議士の誕生」などで大変有名な政治学者の方が、検察は説明責任を尽くせというような文章を朝日新聞に載せておられますし、また毎日新聞などの社説にもそのような趣旨のことが書かれてあります。個別事件がどうこうとかあるいは小沢事件がどうこうではなくて、検察の説明責任について大臣はどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(森英介君) 説明責任というまずその用語でございますけれども、これ、その用いる方やあるいは場面によって様々な意味で用いられているものと思いますので、検察の説明責任とは何かとお尋ねになられましてもそのままお答えすることは困難でございますが、刑事事件における検察の職責は、端的に言えば国家の刑罰権を適正に実現することであって、また基本的には、公開の法廷における主張や立証を通じて検察の捜査活動の内容が公にされるものであると考えております。
 ただ、検察当局においては、その活動を国民に正しく理解していただくために、あるいは社会に無用の誤解を与えないようにするために、個別の事案に応じて逮捕や起訴などの際に記者発表や記者会見を行って、逮捕事実や公訴事実の概要等、一定の事項を概括的に説明することもあるものと承知しております。
 しかし、捜査の結果判明した具体的な事実関係を公判以外の場で公にした場合には、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があるのみならず、罪証隠滅活動を招いたり、あるいは裁判所に予断を与えたり、また、関係者の協力を得ることが困難になるなど、今後の捜査、公判に重大な支障が生じるおそれがあると思われます。
 そのような観点から、刑事訴訟法第四十七条においても、原則として、訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、公にしてはならないと定められているところでありまして、検察当局においては、捜査に関する情報を取り扱う際はこの趣旨を踏まえ適切に対処しているものと私は思っております。
#8
○前川清成君 大臣、いつものように一つ一つお伺いしていきたいと思いますので、まずお尋ねしたことをお答えいただいたらと、こういうふうに思っています。
 後段部分について、今、大野局長にお尋ねしようと思っていたんですが、大臣がお答えいただいたので、それでは今日は変更して大臣にお尋ねすることといたします。
 まず、その前提として、主権者である国民の皆さん方に代わって行政権限を行使する。ですから、主権者である国民の皆さん方に、今こういう理由で税金を使わせていただいてこういう形で権限を行使する、これを御説明することを私は説明責任だと思いますけれども、その点について大臣は、今の検察庁は十分説明責任は尽くしている、こういうふうにお考えなんでしょうか、あるいは不十分な点があるとお考えなのか、さらにはまた、行き過ぎた点があるとお考えになっておられるのか、いかがでしょうか。
#9
○国務大臣(森英介君) 私も、検察当局の活動を国民に正しく理解していただくために、あるいは社会に無用の誤解を与えないようにするために一定の説明を行うことは必要であると思っております。
 その意味で、検察当局においては、逮捕、起訴などの際に先ほど述べた範囲内で記者発表や記者会見を行っているわけでございまして、適正に、適切に対応していると考えております。
#10
○前川清成君 三月二十七日の委員会で大野刑事局長がお答えになられたこと、今大臣からも繰り返していただきました。
 検察が現に動いている個別事件に関してマスコミなどに節目節目で説明する、これは今おっしゃったような説明責任を果たすその一態様というふうに考えていいんでしょうか、大臣。
#11
○国務大臣(森英介君) そのとおりでございます。
#12
○前川清成君 説明は節目節目と伺ったんですが、節目節目とはいつでしょうか。
#13
○政府参考人(大野恒太郎君) もちろん、説明を要する場合あるいは説明を相当とする場合というのは個別の事件によって違うわけでありますけれども、例えば逮捕の時点あるいは起訴の時点がそれに当たるというように考えております。
#14
○前川清成君 逮捕のときと起訴のときだけが節目節目なんでしょうか。
#15
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいまも申し上げましたように、何がそうした説明を行うのにふさわしいかあるいは説明が求められているのかというのは事案によって違うわけでございます。典型的な場合として逮捕と起訴の時点を挙げたということでございます。
#16
○前川清成君 それでは、逮捕、起訴、逮捕時あるいは起訴時以外のときにも記者、マスコミ等に説明をしているということでよろしいんですね。
#17
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど申し上げましたように、その節目、典型的な場合としては逮捕、起訴ということを申し上げたわけでありますけれども、それ以外の場面でも説明することは事案によってあり得るということでございます。
#18
○前川清成君 大久保秘書が起訴されたときは東京地検特捜部は記者会見をお開きになったようですけれども、今大臣あるいは刑事局長がおっしゃったマスコミに対する説明というのは記者会見を指すのでしょうか、あるいはそれ以外の説明の仕方もあるのでしょうか。
#19
○政府参考人(大野恒太郎君) 基本的には記者会見を指しております。
#20
○前川清成君 基本的にはというのはどういうことですか。
#21
○政府参考人(大野恒太郎君) そうした記者会見を受けて質問を受けることもあり得ると、個別の質問を受けることもあり得るだろうということでございます。
#22
○前川清成君 記者会見のときに記者から質問が出て、それにお答えするのは記者会見です。ですから、記者会見以外にも説明する機会、時間はあるということですか。
#23
○政府参考人(大野恒太郎君) 個別に記者が聞きに来ることもあるだろうというふうに考えますけれども、その詳細は承知しておりません。
#24
○前川清成君 どうして詳細は承知しておられないんですか。
#25
○政府参考人(大野恒太郎君) 実際にどのような形で地検に対して取材がなされるか、その詳細を承知していないからでございます。
#26
○前川清成君 三月二十七日の予算委員会の締めくくり総括質疑の際、社民党の福島委員の質問に対して大野刑事局長は、マスメディアというのは広く深く取材活動をしている、こういうふうにお述べになられました。
 どうして詳細を御存じないのに、マスコミは広く深く取材活動をしているというふうに御存じなんですか。
#27
○政府参考人(大野恒太郎君) マスコミが、特に世間の耳目を揺るがせるような事件につきましては、捜査の対象者あるいは事件の関係者等も含めましてかなり広くのあるいは深い取材をしてそれが報道されているというのは、日常、新聞、テレビ等を拝見していてもそのようなことがうかがわれるところだというふうに考えております。
#28
○前川清成君 質問にお答えください。
 私は新聞で見聞きしたことをお尋ねしているのではなくて、大野局長、あなたの答弁について、一方においては詳しく知らないとおっしゃって、他方においては詳しく知っているとおっしゃる。供述が矛盾しているんじゃないですか。
#29
○政府参考人(大野恒太郎君) 私が広く深くというふうに申し上げましたのは、メディアがこうした事件につきまして、捜査関係者のみならず、各方面に広く深く取材をしているということを申し上げたわけでございます。
 それから、検察におきまして記者対応をしておりますのは基本的に記者会見の場であろうというふうに理解しておりますけれども、それに絡んで個別の質問等を受ける場合もあるのではないだろうか、しかし、その詳細については承知していないということを申し上げたわけでございます。
#30
○前川清成君 今の御答弁は、個々の捜査官が、個々の捜査官が記者会見以外の場で個別に新聞記者やあるいはテレビ関係者から取材を受けることもあるだろうと、しかし、それについてどのように対応しているか私は詳しくは知らないと、こういうお答えですか。
#31
○政府参考人(大野恒太郎君) 東京地検におきましては、個々の検察官は記者には対応していないというように承知しております。記者会見等の対応を行うのは次席検事が中心でございまして、そのほかに特捜部長あるいは副部長等が対応する場合があるというように聞いております。
#32
○前川清成君 委員長、ちょっと答弁を整理していただけませんかね。
 今のように、個々の検察官は会わないとおっしゃったり、あるいは会うのか会わないのか知らないとおっしゃったり、お答えが、答え、答え、答えによって違うんですよ。これでは質問を続けられません。答えを統一させてください。
#33
○委員長(澤雄二君) 大野刑事局長に申し上げます。
 順番におっしゃっていますので、まとめて御答弁いただけますか。
#34
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど来御答弁申し上げているところを整理して申し上げるならば、マスコミに対する説明といいましょうか公表の基本になりますのは、次席検事、場合によっては特捜部長が加わる記者会見であるということでございます。そして、もちろんその場面で質疑が行われるわけでございます。
 しかし、それ以外に個別に質問を受ける場合があるかどうかと言われれば、そこの詳細を十分に承知しているわけではございません。ただ、個別の検察官がメディアの取材を受けることはないというように承知しているということでございます。
 以上、整理して申し上げました。
#35
○前川清成君 それでは、大野刑事局長にお伺いしたいんですが、今、個別に質問の受ける受けないかは知らない、こういうふうにおっしゃいましたですよね。次席や特捜部長は個別に質問を受けるのか受けないのか知らない、そうおっしゃいました。まだ舌の根は乾いていません。しかしながら、三月二十七日の予算委員会で、リークをするというようなことはないものと承知していますと、こうおっしゃっています。
 個別に受けるか受けないか、答えるか答えないか知らないと言いながら、なぜリークはないというふうに言い切れるんですか。
#36
○政府参考人(大野恒太郎君) これは、先日来、大臣等からも御説明申し上げているところでございますけれども、検察が事件について説明することがあるとしても、それは一方で関係者のプライバシー等に配慮しなければいけませんし、また他方で将来の捜査、公判に支障を生ずるようなことがあってはならないわけであります。
 リークと言われるのがどういう事態を指しているのか必ずしも明らかでありませんけれども、例えばその捜査の見通し等が捜査中に明らかになれば罪証隠滅工作が行われるというおそれもございますし、また、関係者の協力が得られなくなるというようなことも懸念されるわけでございます。
 そうしたことから、検察は、対外的な説明をするにつきましても、その範囲については最大限細心な配慮を払っているものというように承知しておりまして、したがいまして御指摘のようなリークというようなことはあり得ないというように承知しているわけでございます。
#37
○前川清成君 大野さんは今巧みに形式の話と実質の話を混同してお答えになって、ごまかそうとしておられるんじゃないですか。プライバシーに配慮しなければならないとか、その後の公判維持にどうこうとか、中身の話は私してないですよ。
 今、個別に質問を受けるか受けないか詳細は知らない、こうお答えになった。あるいは、その後、説明することがあるのかもしれませんと、こうおっしゃった。にもかかわらず、にもかかわらず、リーク、これは私が使った言葉じゃありません、大野さん自身が予算委員会でお使いになった言葉です。そのリークがあるかないかについては、これは知らないとお答えになるんじゃなくて絶対にないとおっしゃる。おかしいでしょう。御存じでないんだったら分かりませんとお答えになるべきなんです。にもかかわらず、建前としてのリークをやらないというのを言い張る。言い張るのであれば、個々のマスコミに対する対応がどうなっているのか、個別具体的に断定的に御説明になるべきだと私は思いますよ。今の大野局長の供述はちょっと一貫性を欠いています。
 ただ、まあこればかりやれませんので、最後に私は指摘だけしておきたいんですが、個別事件離れて、二階さんがどうだとか小沢さんがどうだとか、そういう事件を離れて申し上げるわけですけれども、現行の刑事訴訟法は予断排除を徹底するために起訴状一本主義というのを取っています。起訴のときに一件記録は裁判所に送らない。なぜならば、裁判が始まる前に裁判官に予断を与えてはならないから起訴状しか送らない。事件については、裁判が始まった後、冒頭陳述なり書証なりで説明していくと、これが現行刑事訴訟法の大きな枠組みです。
 そうであるとしたら、確かに刑事訴訟法に記者会見をしては駄目とかリークをしたら駄目とか、そんなのは書いていませんが、起訴状以外にべらべらしゃべったりするのは私は予断排除という刑事訴訟法の大きな枠組みの中では大変問題があるんじゃないか。検察官は、記者会見で言い訳をするのではなくて、公判廷で立証を尽くす、それが私は本来検察官のあるべき姿であるし、それが私たち国民が検察庁に求めている理想の姿ではないかと思うんです。
 司法研修所の教官もなさった大野局長、この点いかがですか。
#38
○政府参考人(大野恒太郎君) 大変おっしゃるとおりだろうというふうに考えております。
 冒頭、大臣が申し上げましたように、説明責任という言葉もございますけれども、検察の仕事はやはり事実関係を捜査の結果明らかにして、これを公判において、弁護側の意見も踏まえて、公開の法廷で裁判所に判断していただく、これがある意味で本来の説明責任の果たし方であろうというふうに考えております。今、前川委員の御指摘になったところに全く異存はございません。
 なお、私、司法研修所の教官をやったことはございません。
#39
○前川清成君 これは大変失礼。何か著書をお書きになっていませんでしたっけ。まあ、いいですけれども。
 それじゃ、大野局長、お尋ねしますけれども、これ最後にしますが、三月二十六日の朝日新聞の夕刊で、大久保秘書が違法献金を認める供述をしたと、こういうような報道がなされています。しかし、この弁護団が報道機関にコメントを出していまして、弁護団はそのようには承知していない、供述しているとは承知していないと、こういうふうに言っているんです。すると、この夕刊の、三月二十六日の朝日新聞夕刊、違法献金認める供述というのは、ニュースソースとしてはほかに考えられないんですが、どうしてこんな記事が出るんですか。
#40
○政府参考人(大野恒太郎君) 大久保被告の供述状況につきましては、検察は部外に明らかにしていないところでございます。今、特定の記事についての根拠についてお尋ねがありましたけれども、したがいまして、法務当局といたしましてはお答えすることができません。コメントできないところでございます。
#41
○前川清成君 それでは、少し時間が押しましたので、裁判官の人数の話をさせていただきたいんですが、一週間前に裁判所予算の話をさせていただきました。来年度予算で裁判所が三千二百四十七億円、これは予備費の一兆三千五百億円に比べて余りにも少ないんじゃないかというお話をさせてもらいました。司法改革前の平成十五年の裁判所予算が三千百七十八億円ですから、司法改革で司法の容量を増やそうとしているにもかかわらず予算は増えていない。
 裁判官の数はといいますと、最新の六十一期、新六十一期、千七百三十一人が司法修習を終了して、判事補に七十五人採用されています。私事で恐縮なんですが、私は司法修習四十二期でございます。四百八十九人いて判事補に八十一人、六人に一人が判事補になっている。千七百三十一人いて判事補には七十五人しかなっていない。割合としては二十三人に一人、人数も減っているし割合としては激減している。なぜ司法の人的基盤を強化するということで司法試験の合格者を五百人から千五百人、二千人、そして三千人に増やそうとしているのに判事補の採用数は増えないんでしょうか。
#42
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 司法修習生の数が増加すれば判事補の給源、これ自体が増加するということは間違いございません。ただ、裁判官の採用数を考えるに当たりましては、まずは司法に対する需要、すなわち全体としてどの程度の人数の裁判官が必要かということを考える必要がございます。
 司法修習生が増加したからといって、直ちに裁判官の採用数を増加させるべきであるということにはならないように思われます。適正迅速な裁判をするために、裁判官としてふさわしい人については、できる限りこれは任官してもらいたいと私どもも考えております。これはそのとおりでございますが、一方で、当事者の方から裁判官を選ぶことはこれはできませんし、一定の水準を満たして裁判官にふさわしい人に任官してもらう必要があるということでありまして、下級審、裁判官の任命手続で新たに導入されました下級裁判所裁判官指名諮問委員会でもそういった観点から審議がされ、答申がされていると理解しております。
#43
○前川清成君 当事者が裁判官を選ぶことはできないのは当然でして、それは弁護士もそうなんですよね、弁護士も選ぶことはできない。検察官だって選ぶことはできない。
 ところが、裁判所だけは適当な人間がいない、いないということをおっしゃり続ける。そうであれば、最高裁はこの法曹人口の増加、司法試験の合格者の増加について司法制度改革審議会でどのように御説明になってきて、どのような態度を取り続けてこられたんですか。
#44
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今、前半の御指摘でございますが、私も良い法曹、法律家であるということを基準に考えれば、これは良い検察官、良い弁護士と良い裁判官とで皆同じだろうと思うわけです。
 ただ、裁判官として、最終判断者として、当事者の主張に耳を傾け、そして的確に説明責任を果たして判断をしていくと、こういう資質については、やはりそれは裁判官として様々な観点から良い裁判官でなければならない、良い法律家でなければならないということが求められ、この点については恐らく国民の声もそのようなものであると。
 私が申し上げたのは、特に検察官、弁護人、弁護士とレベルが違うということを申し上げているものでは毛頭ございません。今言いましたように、裁判官が裁判官として任官するためにはそのような資質が求められるということではないかということを申し上げたということでございます。
#45
○前川清成君 後段。
#46
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) どうも失礼しました。
 司法制度改革審議会の過程でも裁判官についての議論はいろいろされましたが、基本的にはそういう姿勢で、いい裁判官を選ぶために、先ほど申し上げましたけれども、下級審裁判所の裁判官指名諮問委員会といったような形の透明化も図り、真に裁判官にふさわしい人を採用していこうと、このような議論、あるいは制度の実現を見たというふうに理解しております。
#47
○前川清成君 司法制度改革というのは、社会の片隅にあって本来裁判所が役割を果たすべき法的紛争の二割しか裁判所はかかわっていないんじゃないかという二割司法に対して、もっと裁判所、司法の容量を大きくしようと、場当たり的な裁量的な不透明な解決ではなくて、あらかじめ定められた法という公正なルールで透明な解釈を、透明な解決を図っていこうと、その意味においてはフェアな社会をつくっていこうという運動ではなかったかと思っているんです。
 そういう観点からしますと、法的紛争の最後の行き着くところは裁判所ですから、裁判所に優秀で多様性に富む大勢の裁判官が必要だと私は思うんです。その点で、裁判所は本当に今必要な人間だけを、必要な裁判官の数を確保しているのかと、民事事件の数がちょっと増えたからそれに応じて増やしますとか、破産事件が増えたから増やしますとか、そういうちょこまかしたやり方でいいのかなというふうに思っています。
 衆議院でも議論があったようですけれども、大都市圏の裁判官は一人で三百件前後の事件を取り扱っているというふうにあります。
 その三百件ぐらいの事件というのはどれぐらいの数か。秋山賢三さんという、裁判官を辞めて弁護士になられた方が岩波新書に「裁判官はなぜ誤るのか」という本を書いておられます。この本の中で、三百件を担当するというのは、毎月二十件から二十五件ぐらいの新しい事件がやってくる、二十件から二十五件毎月解決していかなければならない、それが三百件の担当の意味だというふうにお書きになっています。
 ということは、まあ裁判官は週休二日制というわけになかなかいかないでしょうけれども、でも、一週間に一日日曜日だけ休むとしても、毎日一件は判決を書くか、毎日一件は和解をまとめる、でないと、二十件ないし二十五件は落ちないということになると。それだけの多忙さにあるわけですけれども。
 そこで、最高裁にお尋ねします。裁判官が、ある人は皆さん方のように最高裁の事務総局に勤めるエリート裁判官になる。しかし、そうでもない方もある。裁判官の人事評価というのはやっぱり書いてある判決の良し悪し、これによって点数が付けられて、いい判決を書く人が出世していくということでよろしいんでしょうか。
#48
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判官の人事評価につきましても、御承知のとおり、この司法制度改革の中で新しい人事評価システムの採用、そしてその一つとして先ほどの指名諮問委員会もあるわけですけれども、こういうもので見直しが行われて新しい導入がされたということでございます。
 今端的に御質問になった点でございますけれども、何点何点といった点数評価はいたしておりません。
#49
○前川清成君 ですから、何点何点でもなくても、じゃ優良可でもいいですが、判決の中身で裁判官の人事評価は決まるんですか。
#50
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 判決の中身というお尋ねがかなり微妙な問題がございまして、中身について当事者から信頼を得られないような、そういうレベルのものであるということになれば当然問題になります。ただ、裁判官は個別独立の職権を行使しておりますので、その中身について人事評価する者がいいとか悪いとかと、こういうことができるのかというお尋ねであれば、それはできないということになります。
#51
○前川清成君 それでは、どういう裁判官はいい人事評価をもらえて、どういう裁判官はいい人事評価をもらえないんですか。
#52
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 一言で申し上げますと、裁判官にふさわしい資質とは何かということと恐らくイコールになると思うのですけれども、裁判官が国民の信頼にこたえられるだけの裁判をきちんと適正迅速に行っていくということが裁判官に求められる資質であるとすれば、その資質をきちんと果たしている、誠実に果たしている、愚直かもしれないけどきちんと果たしていると、こういうことが裁判官の適格性の問題でもあろうかと思います。
#53
○前川清成君 ですから、私はそこをお聞きしているんですけれども、裁判官としてふさわしい資質とか、信頼にこたえる資質、それは何によって判断しているんですか。判断材料。
#54
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 様々な点があろうかと思います。例えば、判断権者といいますか人事評価を担当している例えば地裁でいえば所長からすれば、弁護士の先生等から日ごろお話を伺う中で、裁判部の状況についていろんなことが、評価されること、意見を聞くこともあろうかと思います。また、的確に事件をきちんと国民の要求にこたえて処理しているかどうかということは、統計面で見ることもできるかと思います。これはもう様々な点を考慮して評価しているということでございます。
#55
○前川清成君 様々とおっしゃっても、例えば大阪地裁の所長が、あの裁判官はいいとか悪いとか、私らに聞いてくれたことは一回もないですよ。また、そんなんで人事評価されたら怖いでしょう。弁護士の評判で裁判官が出世するかせえへんか決まるんですか。そんなはずないですよ。あるいは、だれが信頼にこたえているかこたえてないかって、民事だったら原告と被告といてるんですよ。こっちに期待にこたえたら、こっちの期待にはこたえないですよ。そんなんは全くの建前でしょう。結局、客観的に評価できるのは件数だけですよ、件数。月にどれだけ件数を落とすか、これは客観的に評価できますけれども、あと、信頼にこたえるかこたえないか、そんな抽象的なことではだれも判断できない。だから、三百件という事件数を持っても裁判官は忙しいなんて言えないんです。皆さん方は超エリートだから三百件であろうと五百件であろうと処理できるかもしれません。しかし、普通の裁判官が三百件の事件持ってて、私は忙しいです、何とかしてくださいと言うた途端に、おまえは能力のないやつだってなるじゃないですか。言えない。言えないから懸命にやってしまうんです。それで、国民にとって納得の得られない判決があるわけですよ。
 裁判官が、多数の事件に追いまくられた結果、非常に精神的にも肉体的にも支障を来しているのではないかな、私はそう思っています。その一つの例が、今年の何月でしたっけ、バスの中で痴漢をして裁判官が捕まってしまうという事件が起こりましたし、去年もストーカーをした裁判官について弾劾裁判を受けることになりました。僕、弾劾裁判所の裁判員にしてもらったときに、先輩から、まあないわよって、こんな機会はって言われていたんです。もしかしたら、この一年の間に二回もありそうなんです。しかも、その前の事件というのは児童買春の事件でした。非常に裁判官にとって恥ずかしい犯罪というか、性犯罪とは言いませんが、何というんですかね、そういう下半身の事件ばかりが増えています。これは、今最高裁は何と言い繕おうと、やはり適正な処理数を超えていて、裁判官が精神的にも健康な状態に置かれていないんではないんですかね。だから、ここでがばっと裁判官の数を増やしてしまえと、私はそう思うんですが、この児童買春、ストーカー、痴漢、裁判官の不祥事が続いたこと、これについては最高裁はどう総括されているんですか。
#56
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今の不祥事の件に関しましては、これは、またしても現職の裁判官によって裁判官ひいては司法に対する信頼を大きく傷つける事態が引き起こされたということでありまして、これは誠に遺憾であり、国民に深くおわびをいたさなければならないと思っております。
 昨年の件も、それから今回も、それから先ほど御指摘のあったもっと以前の、七年前の件でもそうですけれども、突き詰めればこれは裁判官個人の基本的な自覚の問題ということになると思われまして、最高裁としては昨年の件も教訓にしまして対応を講じてきたところですが、それが十分に生かされていないというふうな批判を受ければ、それは弁解のしようのないところでございます。今後はこういった反省も踏まえて、信頼回復のための方策を更に検討してまいりたいと思っております。
#57
○前川清成君 もちろん、これは大変我々にとっても残念なことですし、最終的には個人がなさったことで、最高裁が組織として指示されたなんかつめから先も思っていませんよ。しかし、そういう裁判官が続いているということは、やはり裁判官の職務環境であるとかその他の部分を見直さないといけないのではないでしょうかというお尋ねなんですが、いかがですか。
#58
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 現実的にこの非行は職務外のものではありますが、今御指摘のように職務外の行為とはいってもこういった不祥事が重なっていることは事実でありまして、これを重く受け止めて、裁判官の在り方に立ち戻って部内できちんとした議論、これが必要で、何が原因であるのか、どういう方策が考えられるのかといったことについては検討する機会をつくってまいりたいと思っております。
#59
○前川清成君 揚げ足を取るわけではありませんが、職務外の出来事ですか。そのストーカーについては支部長が、自分の支部の職員でしょう、被害者になったのは。それと、痴漢の件は、単身赴任の裁判官が勤務地に戻るときか勤務地から帰るときかどっちかですよ。民法七百十五条の使用者責任の外形標準説に立てば、これ裁判所の行為になっちゃいますよね。だから、これは裁判外の事件だからというのじゃなくて、やはり私は環境についてきっちりと見直していただかなければならないと思っています。
 その点でお聞きしたいんですが、昨年のストーカーの裁判官ですが、四月十日に自宅待機が指示されて、五月二十一日に逮捕されました。裁判官弾劾法三十九条に基づいて九月二十九日、職務停止決定がありました。で、十二月二十四日に罷免判決です。四月十日から自宅待機ですから、四月十日以降は裁判に従事していないわけですけれども、この間も給料やボーナスが支払が続いていて、そのトータルは一千百七十万円になります。これについて最高裁は法律を改正する必要があるというふうにはお考えになっていないんでしょうか。
#60
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今御指摘の件につきまして、給与それから賞与について御指摘の金額、総額が支払われたことは事実でございます。
 ただ、裁判官の報酬につきましては、これは御存じのとおり憲法八十条二項という規定がございまして、身分保障として在任中これを減額することはできないということが明定されております。そういう意味で、その報酬を減額するといったことについては、これはなかなか難しい面があるのではないかと、このように考えております。
#61
○前川清成君 大臣、今の議論をお聞きいただいていたと思うんですけれども、要するに四月から十二月までですから八か月ぐらいですけれども、八か月間裁判しなくても給料は全額払われるんだと。それについて、今、憲法八十条の二項の、下級裁判所の裁判官の報酬は在任中これを減額することができないという憲法の条文を引用されました。
 しかし、裁判官給与法という法律が二年ほど前に改正されて、現に裁判官の給料は下がっているんだと。それと、この憲法の条文をしゃくし定規に読むべきかと。要するに、裁判官が例えば法務省の顔色をうかがったりとか、あるいは与党の顔色をうかがって、自らの良心や法に反した判決を書いてはいけないと。だから、裁判官の身分を保障するために給与面でこの憲法の条文がある。それは大切なことだとよく分かります。しかし、犯罪を犯して自宅待機を命じられた、あるいは裁判官弾劾法に基づいて仕事をしては駄目ですよというふうに指示された、そんな裁判官に対してまで満額の給料を支払い続けろというのが憲法八十条二項の趣旨だと法務大臣はお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(森英介君) 基本的に、裁判所の人事考課なりそういったことについて、法務大臣として答弁するのは差し控えたいと思います。また、法律の解釈についてはちょっと私十分に分かりませんので、いずれにしても答弁を差し控えさせていただきます。
#63
○前川清成君 それでは、法務省でも最高裁でもどちらでも結構ですが、裁判官の報酬に関する法律、いわゆる裁判官給与法、これは法務省の管轄なんですか、最高裁の管轄なんですか。
#64
○国務大臣(森英介君) 法務省の所管でございます。
#65
○前川清成君 法務省の管轄であれば、犯罪を犯して自宅待機を命ぜられた、あるいは裁判官弾劾法に基づいておまえは働くなと言われた裁判官に対しても給料を満額支払い続ける今のシステム、この辺りで見直すべきだとお考えになりませんか。
#66
○国務大臣(森英介君) ちょっと、今、突然の御質問でございますのでにわかに答弁することができませんが、また改めての機会にお答えさせていただきたいと思います。
#67
○前川清成君 今年痴漢をして逮捕された裁判官なんですが、この裁判官の任期はいつまでになっているんでしょうか。
#68
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 本年の四月十日でございます。
#69
○前川清成君 憲法の規定で裁判官の任期は十年ですよね。この方は四十期か四十一期で、今年の四月でその十年の満期が来ると、こういうことですか。
#70
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 委員御指摘のとおりでございます。
#71
○前川清成君 そうなりますと、訴追が間に合わないということになりますが、訴追が間に合わなかったら、裁判官の任期が終わって裁判官でなくなりましたで済んでしまうんでしょうか。
#72
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 具体的事件について、今後の手続の進行について裁判所が申し上げるのは本来適当でないかと思いますが、一般論として申し上げますと、弾劾裁判手続が、これは現職の裁判官を対象とするというものでございますので、手続が途中で打ち切られることにならざるを得ないという場合もあろうかと思われます。
#73
○前川清成君 ちょっと時間の関係もありますから私の方で申し上げますけれども、弾劾裁判を受けて罷免されますと法曹資格がなくなります。それは弁護士法などなどにも書いているんです。これは大変遺憾なことですけれども、痴漢をしたということですから、普通であれば弾劾の判決を受けるべき事案だと思う。そうすると、本来であれば今年の五月か六月に法曹資格がなくなるにもかかわらず、たまたま十年の任期の境目に事件を起こした、すると、法曹資格はなくならないということになってしまって、私はこの点も少し重大な法の欠陥ではないかなと、こういうふうに思っています。
 これについても、法務大臣、是非御検討いただいて、法の改正などなどを御議論いただけたらと思います、給料の点等含めてですね。もうこれは御答弁求めません。
 あともう一つ、先ほどの優秀な裁判官とはどういう人かという議論に戻りたいわけですが、大臣と去年の十一月十三日に裁判員に関して議論をさせていただいて、そのとき大臣は、司法は極めてきっちりやっている、しかし国民の常識との乖離を埋めなければならない、それが裁判員の導入の意義だと、こういうふうにおっしゃいました。それについて私はちょっと考え方が違いますが、ここでは繰り返しません。
 ただ、大臣のおっしゃるとおりだとしても、国民の常識との乖離を埋めるためだけであったら、国民の常識を兼ね備えた者を裁判官に採用したらいいんじゃないかな、こういうふうに思う。社会生活も知らずに毎月二十五件の事件を落とすために追いまくられている、これでは社会の常識を知るすべもないんじゃないかなと、こういうふうに思っているわけですが。
 その点に関して一つ例を挙げたいんですが、厚木空港訴訟というのがあります。厚木空港の近くに住んでいる皆さん方が、やかましい、何とかしてくれということで裁判を起こしておられます。法務省の方から準備書面を届けてもらいましたが、この準備書面に指定代理人は何と五十四人も名前が並んでいるんです。これ、五十四人の方々はすべて裁判所からの出向しておられる訟務検事なんですか。
#74
○政府参考人(貝阿彌誠君) お答えします。
 厚木基地騒音訴訟を担当している訟務検事は、裁判官出身者もいますし、検察官出身者もおります。なお、弁護士から任期付任用で採用した者も代理人となっております。その他、防衛省の職員等もございます。
#75
○前川清成君 これ、通告してないんですが、余りにも不思議なのでお聞きしたいんですが、なぜ準備書面に五十四人も指定代理人が名前を連ねていて、しかも全部スズキさんという人の代印なんです。代印だというのは、例えばサイトウさんという人がこの場にいないから代わりにスズキさんが判こを押した、タカハシさんもいないから判こを押したということなんですが、なぜこれ五十四人も指定代理人が必要なんですか。
#76
○政府参考人(貝阿彌誠君) これは、法務省の職員、それから東京法務局の職員、それから行政庁たる防衛省の職員がございまして、これだけの人数になっております。
#77
○前川清成君 五十四人が寄ってたかってこのお粗末な準備書面を書いているということですか。しかし、これだけ大勢の方がいらっしゃるというのは、原告に対して金銭的にも迷惑を掛けているということは法務省としては当然認識しておられますよね。どういう迷惑が掛かっているか、おっしゃってください。
#78
○政府参考人(貝阿彌誠君) 必要な代理人ということで担当しております。
#79
○前川清成君 金銭的な迷惑を掛けてますよねという質問です。分からなければ分からないと答えてください。
#80
○政府参考人(貝阿彌誠君) その点よく分かりませんが、五十四人全員が法廷に出頭しているわけではございません。
#81
○前川清成君 指定代理人の代理権限が消滅したときは裁判所の手続としてどうしなければならないのか、それについて送達の郵券はだれの負担になっているのか、もう少し実務の原告の御負担も考えて、こういうむちゃむちゃなことをされたらどうかなと思うわけですが。
 この準備書面を見て私がびっくりしたのは、裁判官も検察官も法務局の職員も、あるいは防衛省の職員も、偉い方がみんな集まって準備書面をお書きになっている。五十四人の英知が結集した準備書面らしいんですが、この中に、騒音については本件飛行場周辺からの転居によって避けることができる性質の損害である、こういうふうに書いています。
 大臣、この日本語の意味、お分かりになりますか。
#82
○国務大臣(森英介君) これは釈迦に説法でございますけれども、要するに自衛隊機の運航の差止めを求めている行政訴訟でございまして、行政事件訴訟がこのような訴えが認められる要件として原告らに重大な損害が生ずるおそれがあることを求めております。さらに、その判断に当たっては、損害の性質を考慮すべきことを求めております。したがって、この法の解釈に当たって、本件で問題とされている損害の性質を説明するためにそういった文言が用いられたというふうに承知しております。
#83
○前川清成君 そしたらこれは、その意味は大臣はお分かりですよね。やかましいから飛行機もうちょっと静かにしてください、せめて八時以降飛ばんといてくださいと。中身は私知りませんが、大阪空港訴訟だったらそうでした。八時以降の飛行の差止めとか、九時以降はやめといてと、そういう裁判です、性質的に。そういう原告の皆さん方に向かって、やかましかったら引っ越しせんかいと、これが国民の常識なんですかね。
 あるいは別の箇所ですけれども、私も別に自衛隊なくせとか、そういうような立場に立つわけじゃないんですけれども、自衛隊ももちろん大事だとは思いますが、自衛隊が、例えば年金だとか医療だとか、あるいは消防とか警察とか、すべての行政に対して優越するような大事な大事な行政だとは思っていません、先軍思想に我々立っているわけじゃないんですから。ところが、この準備書面は北朝鮮の先軍思想なんです。準備書面の中に、他の一般の行政行為と比較しても本件飛行場における自衛隊の任務は比べようもないほど高い公共性、公益性が認められるべきであると。
 時間が参りましたのでこれを最後の質問にしますけれども、司法が本来果たすべき役割を果たすためには、人的にも拡充をしなければならないんじゃないか。予算という物的な面だけではなく人的にも拡充しなければならないし、そのときに、ペーパーテストだけの秀才を集めたところで、この程度のお粗末なことになってしまうんじゃないかなと、私はそんなふうに思っています。
 今日の質疑を聞いていただいて同僚議員の皆さん方もお感じいただいたと思いますが、最高裁のエリートの皆さん方は、決して自分たちは忙しいとか、これで精いっぱいなどとはおっしゃいません。ですから、裁判所改革について自助努力を期待することは恐らくできないんだろうと思うんです。共に政権を担うことになるであろう同僚議員の皆さん方には、これからも裁判所改革について自助努力を期待し続けるのか、そうではなくて外からの改革が必要なのか、是非お考えをいただきたいと思っています。
 その辺の裁判官の資質に関して、私は法科大学院の在り方にも常々疑問を持っておりまして、文科省に詳細な資料をお作りいただいて、それに基づいてお尋ねする予定でしたけれども、時間がなくなってしまいましたので、お尋ねできなかったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#84
○松村龍二君 自民党の松村でございますが、今日は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について御質問申し上げます。
 本法案は、判事の定員を四十人、判事補の定員を三十五人、裁判官以外の裁判所職員の定員を三名増加させるというものであり、私はこの法案について賛成するものでありますが、これに関連して幾つか質問をさせていただきます。
 まず、司法制度改革が唱えられて以降、例年裁判官が増員されておりますが、これまでどの程度裁判官は増加したのか、最高裁にお伺いします。
#85
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 裁判所は、司法制度改革審議会の意見書の趣旨にのっとりまして、裁判の迅速化、専門化の対応等のために、平成十四年度から計画性を持って増員してまいりました。これに加えまして、平成十七年度からは裁判員制度の導入に向けた増員も計画的に行ってきております。
 こういったものによりまして、平成十四年度から平成二十年度までに合計四百四十二人の裁判官の増員を図ってきたところでございます。
#86
○松村龍二君 そのように裁判官が増員したことによりまして、裁判所の運営や機能にどのような貢献をしているか、お伺いします。
#87
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず、訴訟の全体としての迅速化という点について申し上げますと、地方裁判所の民事訴訟事件の平均した審理期間につきましては、平成の十二年のころには大体八・八か月でございました。これが平成二十年度になりますと六・五か月というふうに短縮されております。
 それから、司法制度改革審議会が始まりましたころは大分長期化している事件というのが問題になっておりまして、例えば地方裁判所の民事訴訟の事件では、二年を超える、長期未済事件と私ども呼んでおりますが、こういったものが平成十二年には約一万二千件ございました。これが平成二十年度には約半分の六千三百件まで減少しております。
 また、その当時、審理が長くて専門性に必ずしも対応していないんじゃないかと言われていました例えば専門関係の、医療の関係の訴訟事件、これが平成十二年のころは三十五・六か月、約三年掛かっておりましたが、平成二十年では二十四・〇か月、約二年、それから知財の関係のものも、平成十二年当時は二十一・六か月掛かっておりましたものが二十年には十三・一か月というふうにそれぞれ短縮されてまいりまして、こういったものについては非常に良い形で進んでいると理解しております。
#88
○松村龍二君 人的増員だけがその効果が上がっている理由ではないんでしょうけれども、いずれにしても、大変裁判が短縮化されているということにつきましては評価させていただきます。
 いよいよ五月二十一日から裁判員制度が始まります。この制度は一般国民の方々が刑事裁判に参加して審理、判決を行うというものであり、今般の司法制度改革の中でも最大の柱です。しかし、この制度は裁判所にとっても未知のものであり、その開始のためには十分に態勢を整える必要があるのではないかと思います。
 裁判員制度の導入に向けた裁判所の人的態勢の整備の状況はどうなっているのか、お伺いします。
#89
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 裁判員制度が始まりますと国民の方々が刑事裁判に加わっていただくことになりますが、裁判所としては、裁判員の方々の負担が重たくなり過ぎないように、法廷での証拠調べあるいはそのやり取りなどをなるべく分かりやすいものにしていく必要がございます。また、評議といいましてその裁判の中身を決める議論におきましても、裁判員の方々に審理の内容を十分御理解いただけるように、事実認定あるいは量刑についても分かりやすい議論を尽くすことが必要になります。そういった意味で、十分配慮していくという責務が裁判官にあるわけでございます。
 このように、裁判員制度が入りますと手続を円滑に行っていくということで、やはり裁判官等の人的態勢を手厚くしていくことが不可欠でございます。そこで、先ほども少し申し上げましたけれども、平成十七年度以降、裁判員制度の導入に向けまして計画的に裁判官等の増員を図ってきたところでございまして、裁判官について申し上げますと、平成二十一年度の増員をお認めいただきますと約百五十人の裁判官を増員することになる次第でございます。
#90
○松村龍二君 裁判所には、十分な準備の下、裁判員制度が開始される五月二十一日を迎えてもらいたいと思います。
 裁判員制度が始まるなど裁判所の役割は今後ますます大きくなりますが、裁判所の人的・物的態勢の整備につきまして大臣の所見をお伺いします。
#91
○国務大臣(森英介君) 裁判所の役割は今後ますます大きくなってまいりますことは委員御指摘のとおりと思います。司法が社会の基本的インフラとして十分な機能を果たすためには、裁判所の人的・物的態勢の充実強化は極めて重要であろうと考えております。
 法務省といたしましては、裁判所職員定員法を所管する立場から、最高裁判所と十分に協議をしながら、裁判所の人的態勢の一層の充実強化に向けて今後とも努力をしてまいりたいと考えております。また、裁判所の物的態勢の整備につきましては、最高裁判所においてしかるべく適切な対応がされることを期待しているところでございます。
#92
○松村龍二君 最後に、これまでの司法制度改革の成果と今後の取組について大臣の所見をお伺いします。
#93
○国務大臣(森英介君) 今般の司法制度改革におきましては、裁判員制度や総合法律支援制度の導入を始めとして、裁判の迅速化、法曹養成制度に関する改革など多くの重要な改革が実現し、大きな成果が上がったと認識をしております。これら一連の改革により、二十一世紀の我が国の司法を支えるにふさわしい制度ができたものと考えております。
 司法制度等を所管する法務省といたしましては、国民の皆さんが改革の成果を実感することができるよう、改革の本旨に従った制度の実施に取り組むとともに、引き続き必要な司法制度の見直しを適宜適切に行ってまいりたいと考えております。
#94
○松村龍二君 質問を終わります。
#95
○木庭健太郎君 私ども公明党も、裁判所職員の増員をする今回の法律については賛成の立場で、ただし、人数を増やすこともとても大事なんですが、じゃ、どういった人が裁判官として増えていくというか、これからの新しい裁判員制度の中でやはり一つの大きな課題となっていくのは、前回も他の同僚議員が質問をしておりましたが、まさに裁判官の質が問われるのがこの裁判員制度の在り方なんだろうと、そんなことを強く感じておりまして、裁判員制度の一番の根幹は、やはり裁判員と裁判官が一つのチームで本当に対等な立場で結論を出すように、その方向性を出すことができるかどうかというのが一つの大きな課題なんですけれども、実際に模擬裁判をやっておりますと、どうしても裁判官の方たちがリードし過ぎてしまうというような批判、また批評もございました。
 そういった模擬裁判で現れた論点を整理しながら、模擬裁判の検証報告書、最高裁がまとめられましたが、その最高裁がまとめた検証報告書の中には、例えばその一番ポイントになる評議においては、裁判員には裁判官が持っていない視点や感覚の提示が期待される一方、それは単なる裁判員の意見、感想のぶつけ合いの雑談であってはならず、裁判官においても、犯罪や刑の本質、自らの知識と経験に根差した証拠評価の観点等を裁判員と同じ目線で提示することによって初めて裁判官と裁判員との真の協働を実現することが可能になる。
 極めて大事なことなんですけれども、実際にそのような評議ができるようにどうやって持っていくかというのがこれなかなか大変な作業でございまして、特にこれまである意味では裁判官に求められていなかった一つの能力、つまりコミュニケーション能力というのがこの裁判員制度では、これまでの単に判決をすればいいという問題と違った意味で、裁判官に一番望まれる要素としてこのコミュニケーション能力、そして、言わば普通の方々の意見を柔軟な頭でどれだけきちんととらえることができるかというような点がポイントになっていくんだろうと思います。
 そういった意味では、これまでの裁判官の研修の在り方とある意味ではこの裁判員制度を踏まえるならば違った在り方が必要になっていくだろうと思いますし、例えば言語学であるとか社会心理学とか、これまで余り裁判官の方たちにとってみれば関係ない科目かもしれませんが、これから裁判員制度をやっていく中ではそういった研修なんかも必要になっていくような私は思いもいたしますし、具体的に、裁判員制度を前にして、裁判官に対してどのような研修をきちんと仕上げていこうと最高裁は考えていらっしゃるのか、まず聞いておきたいと思います。
#96
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員御指摘いただいたとおり、裁判員制度の眼目でございますが、裁判員と裁判官の真の協働ということを実現するためには、裁判官はあらゆる機会を通じて裁判員とのコミュニケーションを密にするように努めるとともに、裁判員の意見に、委員御指摘になったように、本当に真摯に耳を傾けていく必要があるというふうに思っております。
 この点につきましては、模擬裁判の実施による検証等も踏まえまして、これまで実施された裁判官の研究会でも成果、先ほど委員も御指摘いただいたと思いますが、評議においては裁判官も自己の意見を過不足なく正確に述べることが必要だが、その際は裁判員の意見にも真摯に耳を傾けて、裁判員との対話により、より説得力のある結論が導き出され得ることを常に念頭において議論することが肝要であると、こういう議論がなされているところでございます。
 最高裁といたしましては、本年の一月にこうした議論の状況を委員御指摘の報告書に取りまとめまして、全国の裁判所に送付しております。裁判員制度実施まで残り約二か月ということになりましたけれども、裁判官といたしましては、今申し上げましたような議論も踏まえまして、より一層、まず第一には自己研さんに努めていくことが重要であると考えておりますし、研修も大切だと思っております。また、裁判員制度実施後も、裁判員裁判の運用状況を的確に把握して、これを踏まえて、裁判官の研究会等におきまして必要な意見交換や必要な研修を行ってまいりたいと考えております。
 裁判所といたしましては、今後とも裁判員制度の円滑な実施に向けて全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
#97
○木庭健太郎君 そこで、先ほど裁判官の評価の問題、仕事の忙しさとかいろんな話もあったんですけれども、その一方で、やはりどういった人たちを裁判官若しくは判事、判事補として求めていくのかというような明確な一つの視点を持つことも私は最高裁にあって必要な一つの視点ではないかなと思うんです。
 つまり、最高裁はこれまで、例えば判事補新規採用の基準について明確にその基準というのを示したことは、私は気付いたことないんですが、多分ないんだろうと思うんですよね。そういった意味では、判事補だったらこういった人たちを望むんだという一つの基準、こういう人たちを是非望みたい、そういったものをある意味では最高裁の方から明らかにするというのも一つの在り方ではないかなと。もちろん、その中には、先ほどから申し上げているように、裁判の仕組みが変わっていく中で、つまりこれまでの裁判官と違って、先ほど御指摘したコミュニケーション能力を始め、こういった視点がこれからの裁判官には要るんですよ、そういった視点を持つことも大事と思うんですが、この点どんなふうにお考えか、お聞きしておきたいと思います。
#98
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 社会が複雑化し多様化する、こういった中で紛争内容もますます複雑困難化していると、こういう現代にあろうかと思うわけですが、そういう中で、裁判官には資質、能力の両面で優れた人材を得なければならないと私どもも思います。
 このような中で裁判官に求められる資質、能力というのが、これは様々なものでありまして、これを一言で言うというのは実際上難しいわけですが、まずは法的な判断能力とかあるいは手続運営能力といった、こういう法律家としての資質、能力が高いことが必要であろうかと思われます。しかし、それのみでもちろん十分ではありませんで、今、先ほど来、委員から御指摘のあります当事者その他の訴訟関係人と円滑に意思疎通を図りつつ手続を進行させると、こういういわゆるコミュニケーション能力、あるいは豊かな人間性や感受性、あるいは柔軟な思考力、それから幅広い教養に支えられた視野の広さ、洞察力、社会事象に対する理解力、こういったものなど、多くの要素が求められるのだろうと思います。
 こういった人材をどのようにして採用しているかということでございますけれども、裁判官の採用に当たりましては、一般有識者を含む下級裁判所裁判官指名諮問委員会に指名するという新しい制度になりました。この委員会におきましては、実務修習あるいは集合修習の成績のほか、任官適性についての実務修習の各担当者あるいは教官の意見、採用面接の結果などを資料として御提出しまして、先ほど申し上げたような多面的な観点から分析し、検討し、新しい時代の裁判官としてふさわしい人物かどうかということについて審査をしていただいているという実情にございます。
 今後とも、国民のニーズに対応するのに必要な、またそれにふさわしい人材を採用してまいりたいと、このように考えております。
#99
○木庭健太郎君 そこで、裁判官だけでなく、法曹に携わる方々の人格、識見も含めて一番のポイントになってきているのが何かというと、司法制度改革をやった結果、一番の中枢になったのが法科大学院ということになっているわけです。ここでどれだけのことが事前にできるか、ここにどれだけいろんな人たちを集めることができるかというのがまさにポイントになっていくんであって、司法制度改革の一番、法曹養成制度の中核を成すのは今、法科大学院になっていることは間違いないわけです。
 ところが、その法科大学院、どういう形でつくろうかというその理念はありましたが、現実に始めてみればもう様々な問題点が起きていることも事実でございまして、一つは、法科大学院、かなりの数ができてしまった、結果的に。その結果何が起きたかというと、合格率が、法科大学院に行けば、次、弁護士なり裁判官なり検事の道が開けると、こう思っていたものが、当初目標ではたしか七割から八割という声もありました、法科大学院出れば。現実はどうか。とてもとても、昨年の合格率は三三%になっている。
 その結果、逆に何が起きるかというと、法科大学院が新しい形の法曹の養成制度というよりは、どっちかというと、合格率を上げるために必死になっていろんなことをやらなくちゃいけないという、法科大学院自体の変質みたいな問題点も指摘をされているんであって、一方、私たちがきっちり見ていかなくちゃいけないなと思ったのは、最初、法科大学院をつくれば、そこに例えば他学部の出身の人であったり社会人の人であってみたり、そんな人たちも法科大学院に来て、言わば単に弁護士になりたい、何とかなりたいと必死になってやっているほかに、様々な分野の人たちが法科大学院をつくることによって吸収できるんではないかという声もありましたが、ここも大きく懸け離れてきているという感じがあるのは事実でございます。
 こういったことを受けていろんな声も起こってきておりまして、法曹人口増やしていこうということで私たちはこの委員会でもいろんな論議をしました。しかし、こういう現状を踏まえて、法曹人口の在り方、増やすことがどうなのか、そんな根本議論も起きているような現状もございます。
 そういった意味では、やはりこの法科大学院というのをもう一度きちんと今見据えて見直すことが本当に必要になっていると、こんなふうに私どもも感じておりまして、(発言する者あり)まずほかのことから始めようかなと。
 こういった問題を踏まえて、文部科学省の方は全法科大学院を対象にヒアリング調査を行って、各大学院大学における改善計画書の提出を求めて、この改善状況を継続審議する組織も設置する方針を固めたというようなこともちょっと報道でお聞きしましたし、また、このヒアリング調査には法務省も同席されて、ある意味じゃ関係各省がようやく連携してその動きを始めたというふうに感じておるわけでございまして。
 ここでまず聞いておきたいのは、これまで規制改革の観点から、ややもすると、どっちかというと静観していた文部科学省、法科大学院に対して初めていろんなことをやり始めたわけですから、文部科学省としてどういう理念や思想を持ってこの問題に対応していこうとしているのか、具体的な方針、内容、具体的なスケジュールについても文部科学省から御説明をいただきたいし、あわせて、今回のヒアリング調査に同席した法務省には、これまでこの問題について遠慮していたところもちょっとあったみたいですけれども、今後、この制度改革において、これも法務省としてどのような理念に基づき、具体的な役割を果たすつもりか、伺っておきたいと思います。
#100
○政府参考人(久保公人君) 法科大学院がプロセスとしての法曹養成制度の中核的機関としての役割や責任を果たし、社会からの期待にこたえるために、それぞれの修了生がしっかりと法曹として活躍していけるように、主体的に法科大学院が教育の質の向上に向けて教育の改善に真摯に取り組んでいくことが基本でございまして、極めて重要であり、文部科学省はそれに向けての指導、助言、援助をしていくことが基本であると考えております。
 このため、現在、中央教育審議会の法科大学院特別委員会におきまして、入学者の質と多様性の確保、修了者の質の保証、入学定員の見直しを含む教育体制の充実、質を重視した評価システムの構築など、法科大学院教育の質の一層の向上を図るための改善方策の検討を行っておりまして、昨年九月に中間まとめを行った後、更に審議を進めておりまして、この四月、本年四月を目途に最終まとめを行う予定でございます。その後、速やかに各法科大学院に対しましてこの改善方策を周知徹底いたしまして、具体的な取組に早急に着手するよう求めることといたしております。
 また、特に、先ほど御指摘いただきましたが、同委員会に、各法科大学院の教育の質の改善状況を把握しまして、必要な改善を求めていくことを目的としたワーキンググループを設置したところでございます。このワーキンググループには法科大学院の教員だけでなく、実務家として法曹三者にも委員として参画していただいておりまして、連携を図りながら、各法科大学院における教育の質の向上に向けた取組のフォローアップをしっかり行ってまいりたいと考えているところでございます。
#101
○政府参考人(深山卓也君) 新しい法曹養成制度のうち法科大学院制度は文部科学省が所管し、司法試験制度は法務省が所管しておりますけれども、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律、いわゆる連携法におきまして、法務大臣と文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院の教育と司法試験との有機的連携の確保を図るために相互に協力しなければならないものとされております。委員が先ほど御指摘された文部科学省が昨年実施したヒアリング調査に法務省の担当者が同席したのも、この連携法に基づく協力の一環でございます。
 また、この連携法では、国の責務として、法科大学院において将来の法曹としての実務に必要な学識等を涵養するための教育が行われるよう、関係する審議会等の調査審議に法曹である委員を参画させることとしておりますが、法務省としては、先ほど文部科学省からの説明にもあったとおりですけれども、文部科学省において進められている中央教育審議会法科大学院特別委員会の調査審議、それからこの特別委員会の下に置かれたワーキンググループの調査審議に法曹資格を有する当省の職員、具体的には私ども司法法制部の課長、参事官でございますが、を参画させております。
 法務省としては、今後とも、この連携法の精神にのっとって文部科学省における法科大学院教育の充実に向けた取組に様々な形でできる限りの協力をしてまいりたいと思っております。
#102
○木庭健太郎君 これからの法科大学院、合格率が悪いから、だれも通る人がいないから、そういうところはすべてつぶしていい、それは私は考え方が違うと思います。また、全国の配置の中でどう考えればいいのか、いろんな要素がある。
 これはこれでまた本当にいずれかの機会に議論をさせていただこうと私は思っておりますが、それとともに、さっき深山さんがおっしゃったように、法科大学院は一応文部省の形で持っていらっしゃるんですけれども、新司法試験の在り方というのはどこが担当するかというと、これは法務省がどういう試験の在り方にするかというのは決めていくわけです。
 ただ、本当にこの試験の在り方がどうなるかで法科大学院の在り方もこれ変わっていくところがあるわけです。つまり、従来どおりの知識偏重とかそんなのだけの司法試験をずっとお続けになるんだったら、これは法科大学院の在り方もまた変わってくる。その意味では、この司法試験の在り方をどういうふうにしていくかというのは、これから本当にこの法科大学院の問題を形作っていく上でもとても大事な問題だと私たちは思っているんです。
 これからの法曹に何が必要か、先ほどコミュニケーション能力、全人格、いろんなことがありました。そういったことも踏まえた上で私は司法試験の在り方というのを考えなければならないと思っておりますが、この点、最後に、大臣から新司法試験の在り方について御意見を今日はお伺いして、今日の質問は終わりたいと思います。
#103
○国務大臣(森英介君) 新司法試験についてでございますけれども、法曹となるに必要な学識や応用能力が備わっているかどうかを的確に評価するために、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力等の判定に意を用いることとされておりまして、実際に従来の旧司法試験にはなかったような様々な出題がなされていると聞いております。
 新司法試験につきましては、引き続き司法試験委員会において、そのような趣旨に沿って適切に実施をされていくであろうと考えております。
#104
○木庭健太郎君 終わります。
#105
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 我が党は一貫して裁判官と裁判所職員の抜本的増員を求めてきておりまして、本法案はなお不十分だと思いますけれども、賛成させていただきます。
 そこで、一点だけ、現場の状況とニーズについて最高裁にお尋ねをしたいんですが、裁判員制度の実施に向けて計画的増員が行われてきましたけれども、実際に五月、実施を迎えるということになった後に、どのようなニーズが生まれるかというのは、これは言わばふたを開けてみなければ分からないというところがあろうかと思います。
 また、この間の法整備で、裁判所に新たな任務、制度が設けられまして、例えば成年後見制度について、選任申立ての新受件数を統計で拝見をしますと大変急増をしていると。もちろん、既済率も上がっているわけですが、この成年後見事件は、成年後見人が選任をされた後も後見の監督が引き続いて続いていくという、そういう仕組みになるわけですから、こうした対応をどのようにやっていくかというのはこれからの課題ということになると思うんですね。
 そうした様々な現場の状況とニーズをしっかり最高裁として光を当てるといいますか、つかんでいただいて、そのニーズに十分な態勢を取るんだというその構え、決意をお尋ねしたいと思うんです。
 とりわけ、少人数規模の裁判所で、お一人の裁判官も裁判所職員も多数の事件の分野を担っているというときに、たくさんの人数がいるところであればある程度応援とか融通が利くという部分がありましても、少人数の裁判所ではなかなかそうはいかないという苦しみもあろうかと思いますので、その声に十分最高裁として耳を傾けていただきたいとお願い申し上げたいと思いますが、いかがですか。
#106
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず裁判員制度の関係を申し上げますと、先ほど申し上げましたけれども、裁判員制度の導入に向けて計画的に態勢整備を図ってまいりましたし、各種の模擬裁判等でその状況等を見てまいりましたけれども、二十一年度の増員をしていただきますと、まず導入をする、裁判員制度を始めるというところの必要な態勢はおおむね確保されたとは考えております。
 ただ、委員御指摘のとおり、これは初めてのものでございますので、実際始めてみますといろんな課題が出てくるということも予想しております。私どもとしましたら、そういった状況を見まして、また人的態勢の問題についても必要なものは手当てしていくという姿勢をしっかり持ってまいりたいと思います。
 それから、後見事件のお話がございましたが、これは御指摘のとおり、後見監督のものはどんどん累積されていくということでございまして、各省ともこれの負担が大きくなっているというのは御指摘のとおりでございます。また、それが規模の小さな庁ですと、各種事件がやってきたときに対応力というのが大きい庁に比べれば小そうございますので、そういった庁の性質あるいは事件の性質、事件の処理の状況、それから現場の実際の繁忙状況の声などをしっかり聞いて、今後とも必要な人的態勢を整え、無理のない、また適正で迅速な裁判を実現するような態勢整備に努めてまいりたいと、かように考えております。
#107
○仁比聡平君 是非よろしくお願いを申し上げたいと思っています。
 この裁判員制度について、裁判員の守秘義務についてちょっと今日は引き続いてお尋ねをしたいと思っているんですが、これまでも市民が担う、例えば検察審査会の委員だとか、あるいは民事、家事の調停委員ですね、こうした仕事を国民の皆さんにお願いをしておりまして、それぞれについて守秘義務の規定があるわけでございます。これは刑事罰を伴うものともされているわけですが、これ実際には適用された例は私はないと思うんですよね。最高裁、法務当局、それぞれいかがでしょうか。
#108
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 検察審査会の方でちょっとお答えしたいと思うんですが、検察審査員の守秘義務規定の関係なんですが、これまでに秘密漏えいということで刑事罰を受けたという例は承知しておりません。ただ、昭和四十年に不起訴処分となったという例が一件あったというふうに承知しております。これは、具体的な事案については細かいことはちょっと私ども把握しておりませんけれども、元検察審査員であった人が会議の模様を漏えいしたというものであったというふうに承知しております。
#109
○政府参考人(大野恒太郎君) 法務当局の方からは、民事調停委員それから家事調停委員の関係についてお答えしたいと思いますけれども、それぞれの者に、あるいはそれぞれの職にあった者に対する守秘義務違反に対する罰則ですが、平成十年から十九年までの十年間調査いたしましたけれども、罰則が適用された例は、統計上、承知しておりません。
#110
○仁比聡平君 法律の専門家、いわゆる法曹三者と呼ばれる皆さんの感覚としても、私もその一員ではございますけれども、検察審査会にしろ、民事、家事の調停委員にしろ、それぞれの社会的な知見とか多様な感覚を是非反映をしたいということでお願いをして裁判所や検察審査会においでいただくわけで、この方々の良心を信頼をしてお願いをしておる方に対して、守秘義務違反だといって何かどうこうするというのはちょっと考えにくいといいますか、そういう感じを私持つんですけれども、例えば最高裁小川局長、いかがですか。
#111
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今委員の御質問、印象だというお話なので何ともちょっと、私も印象と言われましてもなかなか答えにくいんですが、正直申し上げて。それちょっと御勘弁いただけませんか。
#112
○仁比聡平君 いや、小川局長としてはそういうふうにしかお答えのしようがなかろうかと思うんですけれども、裁判員の候補者の方に最高裁が通知を出されるときに一緒にお送りしているというパンフレットを拝見をいたしますと、「よくわかる 裁判員制度Q&A」というのを一緒に送付されたということなんですが、「見聞きした事実について、話してもよいのですか」という問いに対して、「法廷で見聞きしたことや裁判員を務めた感想は、話してもかまいません。」という表題での回答をしておられるわけですね。これはどういう内容になるんでしょう。
#113
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 公開の法廷で行われたことというのは、これは傍聴人もみんな見て分かる話で、全部公開されていることですので、それは裁判員の方が公開で行われた主張や立証についてお話しになるということは別に守秘義務に触れるわけではないということですね。
 それから、あと、評議の中で行われたところで、評議の秘密にかかわることは、これはお話ししていただいては困るわけですが、そうではないこと、感想ですよね、感想とか意見といったもの、そういうものについては、例えばいろいろあると思うんですけれども、評議で意見、どうです、述べられましたかとか聞かれて、いや、まあ非常に緊張してなかなかあれだったけれどもこういうふうに述べたとか、こういうふうにというのは、どうにか述べることができたとかいうような感想ですね、いうようなことは別にその評議の秘密に触れない限りはよろしい、いいんではないでしょうかと、こういう意味なんですが。
#114
○仁比聡平君 この裁判員に対する守秘義務について随分批判も出ている中で、基本的に話しても構わない、あるいは公開の法廷でのことや感想や経験であればというところを強調しておられるような表現にはなっているのかなというふうに私は受け止めたんですね。
 けれども、こうした説明の仕方、角度というのは、それは一定あり得る角度だろうとは思うんですけれども、けれどもと、守秘義務を刑罰をもって課すということ自体が国民への信頼に立脚した裁判員制度に背理するのではないかという、私はそういう感じを持っているんです。
 大臣ないし大野刑事局長にお尋ねしたいと思うんですけれども、例えば重大事件で、死刑、量刑、あるいは事案で死刑が適用されるのかということが争点になっている事件があるといたします。これはもちろん社会的にも大変注目をされることになろうかと思うんですが、その選任をされた裁判員のうち一人の方は、事実認定ないし量刑の判断において、どうしても死刑という判決を下すことには納得がいかない、死刑にはすべきではないという判断をずっと最後までお持ちになった。けれども、評議はもちろん尽くされたんだけれども、裁判官三人とほかの裁判員五人は死刑を選択するということで、最後多数決によって、御自身以外の方々の多数によって死刑という判決が行われるという場合があり得るわけですね。
 そのときに、評議に関するものであるからといって、自らの意見であっても、たとえ家族にもあるいは自分が信頼している友人にも生涯口外してはならないと。それだけ注目されている事件ですから、その方が裁判員になっているということは例えば家族や友人は知っているわけですよね。けれども、その死刑判決に対して自分がどういう態度を取ったのかということは生涯口外してはならないという義務を、それも刑罰をもって負わせるというのは大変過酷なんではないかと思いますが、いかがですか。
#115
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいまの委員のお尋ねは、裁判員あるいは元裁判員に対する守秘義務を刑罰で担保することの当否ということになるんだと思いますけれども、なぜ守秘義務が認められているかと申しますと、他人のプライバシーを保護する、あるいは裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するために必要であるというふうに考えられるわけであります。また、評議において述べたことが後に公表されないことによってその後追及や報復のおそれがなくなるという点で、裁判員の負担を軽減するというような意味もあるというふうに考えられるところでございます。
 御指摘のように、裁判員が自分の意見について公にする場合でありましても、それらの意見と判決結果を照らし合わせますとほかの裁判員の意見も推測できるというふうなことになりまして、自分の意見に限って公にするということもやはり相当ではないんだろうというように考えておるわけでございます。
 先ほど来話のありますように、公開の法廷でのやり取り、あるいは判決の内容、それから裁判員の職務についての感想等は秘密の中に含まれないわけでありますので、裁判員に課せられた守秘義務が厳し過ぎることはないだろうというように考えております。
#116
○仁比聡平君 今のお話でも、自分は死刑にすべきとは考えなかったんだという思いは口外してはならないというふうになりかねないということでございまして、これが何でもかんでも守秘義務違反だといって刑罰をもってその義務が強制されるというのは、これは過酷極まりないと思うんですね。
 といいますのは、裁判員は、もちろん裁判官と同様だと思いますけれども、自らの良心に基づいてその事件に向き合うんだと思うんですよ。良心に照らしてこれは死刑にするべきではないという判断をするわけですね。にもかかわらず、多数決によってそうではない判断に言わば拘束をされるわけですけれども、そこについて全く絶対にしゃべってはならないということになれば、その精神的な傷というのはケアしようがないのではないかと思いますし、裁判員制度というのがそういうものなんであるということが広がれば広がるほどもう関与すること自体への拒否感というものにもつながりかねない。裁判員になったとしても、本当に自らの良心をもって事件に向き合うということになるんだろうかという疑問も起こってくるわけです。
 私は、何でもかんでも処罰するなんということはあってはならないし、こうした処罰規定は削除するべきなんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#117
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど申し上げたような理由から、守秘義務を罰則で担保することはやむを得ない必要があるというように考えております。
 ただ、実際にその罰則を適用するかどうかという点につきましては、検察当局におきましては、裁判員制度の趣旨、それから守秘義務の趣旨や範囲等を踏まえまして、個別の事案に応じて適切に罰則を運用するというように考えております。
#118
○仁比聡平君 私は、こうした規定は削除をして、本当に国民の皆さんを信頼してその良心に任せるというのがあるべき立場じゃないかと思いますが、今日はもう時間がなくなりましたから、今後議論を重ねていきたいと思っております。
 終わります。
#119
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 本日の議題は裁判所の職員定員法の一部改正案でございます。今ほど様々な議論がございましたし、五月の二十一日からは裁判員制度も始まると。現下の情勢の中で、裁判所職員の定数増について私どもとしては基本的に賛成をしたいと、こういうふうに考えております。
 そこで、今日もまた裁判員制度のことについて少し質問をさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
 「裁判員制度ナビゲーション」というこういう冊子、最高裁が出しておりますけれども、これについてちょっと聞きたい。
 被告人が有罪であることに合理的な疑いを残した場合というのは一体どういうことなのかという、そういう説明がちょっと書いてございまして、これによりますと、証拠によって被告人が犯人であることが確信できれば被告人は有罪とされますが、このような確信に至らない場合、被告人が有罪であることに合理的な疑いが残る場合には被告人は有罪とはされず無罪とされる、疑わしきは被告人の利益ということでございますと、こういうふうに書いてございます。
 この被告人が有罪であることに合理的な疑いが残る場合ということにつきまして、アメリカの弁護士が次のように説明をしているわけでございます。これはどういうことを言っているかといいますと、被告人は法廷にあって最初は真っ白なカンバスに例えられると。検察官はそのカンバスに証拠という墨を塗っていく、そして真っ白だったカンバスが気になる余白がないほど黒くなったとき、陪審員は初めて被告人を有罪にできる。気になる余白がなくなった状態を合理的な疑いを超えたと、こういうふうに表現するんだと。大変適切な私は表現だというふうに思っています。
 その言わば検察官の立証責任、挙証責任、あるいは合理的な疑いを超えるレベルまで証明するというその概念、そこに至らないと、疑わしきは被告人の利益、無罪の推定、これは法律家はみんなよく分かっているし、研修所でいろいろきちっと教育も受けますのですんなりいくんですけれども、なかなか一般の人はここのところ、つまり合理的な疑いを超えて証明をするということの意味というのはなかなか分かりづらい。それは一回や二回聞いてもすとんと頭の中に落ちていかないと、こういうふうに思うわけでございますが、ここはやっぱりしっかりと踏まえてもらわないとこれは大変困るわけでございまして、この検察官の挙証責任、合理的な疑いを超えて証明をする、ここまでやらなきゃならないんだということの言わば説示といいましょうか、これをとにかくしっかりとやってもらわなきゃならぬと。
 これをどういうふうに職業裁判官が裁判員に対して説明をするか、解説をするか、この辺のルールは裁判員制度においてはどうなっているんでしょうか。
#120
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 ルールというお尋ねなのであれですが、裁判員法の三十九条によりますと、裁判長は、裁判員及び補充裁判員に対して、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員及び補充裁判員の権限、義務その他必要な事項を説明するものとするとされていまして、それを受けた裁判員法の規則三十六条では、裁判長は、裁判員及び補充裁判員に対して、その権限及び義務のほかに事実の認定は証拠によることと、それから被告事件について犯罪の証明をすべき者及び事実の認定に必要な証明の程度について説明するというふうにされております。
 そこで、裁判員法三十九条一項に基づく刑事裁判の原則に関する説明は、第二節の「選任」の中の一条として規定されていることから明らかでありますとおり、その裁判員等選任手続の最後に行われることが予定されております。これは最初だと思いますが。
 ただ、それはそれでもちろんその後当事者の主張、立証があって、その中で証拠調べがされていくわけですから、検察官はその実際の具体的な立証を踏まえて合理的な疑いを超えた立証をされたというふうに当然論告等で主張されると思いますし、弁護人は弁護人でその具体的な立証を踏まえて、事案に即して、いや、こうこうこうだから、こうだからまだ検察官の主張、立証は合理的な疑いを超えるまでに至っていないと、当然そういう御主張もされると思いますし、それから評議の中でも裁判官が今度はもちろんそういう、最初に三十九条の説明をしたようなこともすることもあるでしょうし、あるいは具体的な事実を判断していく、証拠の評価をしていく過程の中でも当然そういう説明はしていくということになろうかと思っております。
#121
○近藤正道君 今ほどの小川局長のお話だと、選任あるいは宣誓のときこれは行うと、これは法律で明確に書いてある。これはこれでいいんですが、あとは結局評議の中で適宜適切に行うという御答弁だったと思うんですね。
 それはそれでいいんですけれども、これは私は重要な刑事裁判の原則でありますんで、宣誓のとき、あとは評議のときに適切に行うということだけではなくて、とりわけ被告、弁護人が確認できるような形態で、態様で、つまり公開の法廷の場でやっぱりしっかり行っていただく必要があると。このようにやっぱりある程度ルール化をして、このときとこのときと、そしてこういう形で説示をやっぱり行うべきだというルールというのははっきりさせた方がいいんではないか、適宜適切にということではなくて、最低限度このときにはきちっとやっぱり行うということをやった方が私はいいんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#122
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 今までの模擬裁判なんかで行われているところを見ますと、今、先ほど私がお答え申し上げたようなことで説明がされてきていると思います。
 それで、それで裁判員の方が証拠裁判主義の原則ですとか立証の程度の問題とかそういうところで理解が不十分だというようなふうには考えておりませんので、余り固定的にここでここでとかいうのではなくて、やはり、今申し上げた評議というのも、証拠調べの過程でも休憩を取りながら雑談をしたりとかいろんな話をしたりとかすることもあるわけで、そういうところでもちょっとここはというときがあればそれはそういう話も当然するわけで、やっぱりそのときそのときに応じて適切にやる方が分かりやすいのではないかなというふうに思っております。
#123
○近藤正道君 私は、検察官の立証責任、刑事における立証責任、合理的疑いを超えるレベルまでと、これ非常に重要な原則だというふうに思うんですね。
 だからこそ、私はある程度やっぱりルール化をして、被告弁護側の見える場で、こういうときにはきちっとやっぱり行う、最低行うというルール化をした方が私はいいんではないかと、そういうふうに思って申し上げているわけでございますが、それを積極的に否定するという、そういう趣旨ではないようでございまして、逆に適宜の方が実質的にそれが行われる、そのことをルール化しなくても十分にそこのところはそれを徹底できると、そういう指導もまた最高裁としてはやっているんだと、そういう趣旨で局長はおっしゃっているんですか、もう一度御答弁してください。
#124
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 最高裁が指導しているということではなくて、いろんな模擬裁判だとかを通じて、あるいはいろんな勉強会を通じて裁判官の間でそういう議論がされて、それがコンセンサスとして、裁判官の中のコンセンサスとして得られているというふうに思っております。
#125
○近藤正道君 分かりました。
 次に、今ほども裁判員の守秘義務の話が出ました。私もこの点については大変危惧をしておりまして、少なくとも確定判決以後については罰則で締め付けるという、そういうやり方はやめるべきではないか、こういうふうに思っております。
 それをやっぱりしないと、司法への国民参加という裁判員制度の本旨にもやっぱりもとるのではないかというふうに思いますし、非常に人権侵害、人権とのかかわりでもやっぱり耐え難い、先ほど死刑の話が出ましたけれども、そういう問題が出てくるのではないかというふうに思っておりまして、できれば罰則による担保は外す、最悪の場合でも、最低限の場合でも確定判決以後についてはそんなことをする必要はないんではないか、そういうふうに思っているものでございます。
 この点につきまして、この間の委員会で木庭委員の質問に対して小川局長、裁判員制度の運用状況を検証するため、守秘義務の対象は評議の秘密その他職務上知り得た秘密であって、裁判員等を務めた感想や意見は守秘義務に当たらないと、こういうふうにおっしゃいました。
 今ほどもその議論がございましたけれども、結局、その守秘義務に当たるか当たらないかというのは、まさに罰則の適用を受けるかどうかと、極めて天と地との差があるわけですけれども、相変わらず守秘義務の対象そして対象外、対象外であるところの感想、意見、この範囲があいまいで不明確だと。言わば、罰則で縛るところは一体どこなのかということはもう少しやっぱり明確にしないとまずいのではないか、聞いていてもさっぱりその辺の境界が分かりにくい、分からない、こういう私は疑問を持ちます。
 その点について御答弁をいただきたいということと、いずれにいたしましても、最高裁は裁判員制度の運用状況の検証を、これはスタートした後の話でありますけれども、やるということになっているんですね。この際、やっぱり裁判員のいろんな意見、考えというのは物すごく私は大きなポイントだと思うんですよ。にもかかわらず、単に裁判員が外に漏らすのは感想や意見だけであるということだと、これは裁判員制度の運用状況の検証にとっても良くはないんではないかというふうに思えてならないんですが、この二つの質問、いかがでしょうか。
#126
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 守秘義務の範囲というのは、結局、法律的に書いてある評議の秘密とか評議の経過であるとか意見の多数であるとか、そういう話になるわけで、そこに触れなければそれは述べていただいて差し支えないものだというふうに私ども思っております。
 ただ、確かに実際問題として、一つのフレーズで何か言って、じゃそれで、例えば私は少数意見だったと言えばそれはすぐに触れるわけですけれども、ずっと長いこと話を伺っていないと最終的にそういうことを言っているのかどうか分からない場合もある意味では、確かにもう少し全体として裁判員の方からお話や感想を伺わないと、そういう、これが守秘義務に反しているかどうかというのはすぐに判断できない場合もあるのかもしれませんが。
 それから、もう一つの方が、もう一つの方が……
#127
○近藤正道君 裁判員制度の運用状況の検証。
#128
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) あっ、検証の方ですね。
 これは、アンケートの形やら、あるいは直接お話を伺うという形で御意見を伺うわけですが、それは必ずしも守秘義務の中身まで聞かなければ、裁判員制度の運用に役に立つような感想や御意見を聞くことができないということはないと思うんですね。
 ですから、それは、審理の在り方がどうであったか、例えば審理が分かりやすかったかどうであるとか、あるいはこういう点が分かりにくかったとか、それはどういうことでしょうかとかいうところは十分お尋ねできると思いますし、それから評議の進め方でも、意見言いにくい雰囲気だったとか、いや、意見は十分言いやすかったとかいうようなことは当然お尋ねして述べていただいて、これは参考にさせていただけるものだというふうに思っております。
#129
○近藤正道君 新聞協会が裁判員に判決後の記者会見への協力を依頼をしているという話を聞くんですが、これはやるんですか。判決後の記者会見への裁判員の協力依頼という話をよく聞くんですが、こういうことはやるんですか。判決言渡し後に裁判員が記者会見を開いて、記者会見をしてもらいたいという新聞協会のどうも依頼があるようなんですが、このことについてはどういう対応をされるんですか。まず答えてください。
#130
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) それはいろんなお話がございますのでこれは検討をして、これはまた裁判官同士でも議論しなきゃいけませんものですからそういう議論をしていくことになろうと思っておりますけど。
#131
○委員長(澤雄二君) 近藤委員、時間が来ておりますので、おまとめください。
#132
○近藤正道君 ああ、そうですか。
 先ほども、マスコミ、メディアの非常に用意周到ないろいろな質問があるんですけれども、こういう記者会見の場に臨むときに先ほどの抽象的な基準で果たして大丈夫なんだろうかという私は一つ疑問があるんですよ。これは、とにかく私としては、その秘密漏示というのは非常にちょっと過酷だという問題意識の下で、そういうもし記者会見みたいなのがあったときに果たして耐えられるんだろうかという問題が一つあると。
 もう一つは、いずれにいたしましても、三年後の見直しに向けていろいろ運用状況の調査を最高裁としてはされるわけですよね。しかも、二〇〇四年の参議院の決議の中で、資料の、毎年の調査の場合には、そういう調査が十分に行われるように趣旨を十分踏まえろという参議院の決議があるんです。
 私が申し上げたいのは、最高裁が行う調査については少なくとも秘密漏示の規定は外して、そしてやっぱり自由にしゃべらせると。一般にはそれは仮に規制するとしても、少なくとも最高裁が行う運用状況の検証、調査については秘密漏示の規定は外して、そしてやっぱり十分にしゃべらせると。そういうことをやって、やっぱりそういう資料もある程度公開をして三年後の見直しに備える、こういうことが私はあってもいいんではないかと。
 とにかく、文字どおりに大変なこれは改革でありますし、国民の中でも物すごく意見が分かれているわけですので、少なくとも最高裁の運用状況の調査については、私は、そういう縛りは外して言わせて、そして三年後の見直しに備えた方がいいのではないかと。
 ちょっと先走った質問で大変恐縮でございますが、いかがでしょうか。
#133
○委員長(澤雄二君) 簡潔にお答えください。
#134
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) やっぱり裁判員法に守秘義務の規定がございますものですから、最高裁の調査でもやはりそこは尊重して行うということになろうかと思っております。
#135
○近藤正道君 終わります。
#136
○委員長(澤雄二君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#137
○委員長(澤雄二君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、今野東君及び山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君及び塚田一郎君が選任をされました。
    ─────────────
#138
○委員長(澤雄二君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(澤雄二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後二時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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