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2009/04/16 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第9号
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2009/04/16 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第9号

#1
第171回国会 法務委員会 第9号
平成二十一年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     井上 哲士君     仁比 聡平君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     徳永 久志君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     舛添 要一君     石井みどり君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                徳永 久志君
                松浦 大悟君
                松野 信夫君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                石井みどり君
                丸山 和也君
                山崎 正昭君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     森  英介君
   副大臣
       法務副大臣    佐藤 剛男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  早川 忠孝君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    深山 卓也君
       法務省民事局長  倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       外務大臣官房審
       議官       北野  充君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
   〔理事木庭健太郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(木庭健太郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 澤委員長が都合により出席できませんので、委員長の委託を受けました私が委員長の職務を行います。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、井上哲士君及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君及び徳永久志君が選任されました。
    ─────────────
#3
○理事(木庭健太郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君及び外務大臣官房審議官北野充君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○理事(木庭健太郎君) 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。
 この本法案ですけれども、衆議院での議事録も読ませていただきまして同じ質問は余り、避けようかと思いまして、それを踏まえてまたお尋ねしたいかと思うんですが、法の適用の具体例ですが、このまあ取引、債権債務関係ですね、不法行為なら取引じゃないんだけれども、これは我が国の国内で生じた取引あるいは不法行為だけなんでしょうか。それとも、そうじゃなくて、全く外国において行われた取引でもこれはよろしいんでしょうか。
#7
○政府参考人(倉吉敬君) 取引とか契約につきましては、外国で行われたものでもこれは全部入ってまいります。
 今御指摘のあった不法行為という言葉がございましたが、人の死傷又は有体物が滅失した場合ということでこの法案の中の十条に規定がございますが、そこでは要件として明記してあるとおりでして、行為の一部が日本で行われたこと等がきちっと要件として書かれております。
#8
○小川敏夫君 そうすると、全くアメリカの国内でアメリカ政府に物を販売した代金の請求訴訟が我が国でも起こせると、こういうことなんですね。
#9
○政府参考人(倉吉敬君) 前提といたしまして、これは民事裁判権が外国等に対して免除されるか否かという問題でありまして、その前提としてまず国際裁判管轄があるかという問題がございます。
 今現在、日本では国際裁判管轄に関する明文の規定はございませんで、これもいろんなことを参酌して決めているわけですが、その国際裁判管轄が何らかの連結要素を基にして日本にある、日本の裁判所にあるという前提で、その上で主権が免除されるかという問題になりますので、国際裁判管轄があれば今委員御指摘のとおりの結論になろうかと思います。
#10
○小川敏夫君 だから、具体例、国際裁判管轄がという一般的な法律論じゃなくて、具体的に、私はだから、日本の国民がアメリカにおいてアメリカ政府に物品を納入したというように、取引が外国で行われているという場合にその代金を請求できるのかということをお尋ねしただけで。
#11
○政府参考人(倉吉敬君) これは、国際裁判管轄をどう考えるかといったことが前提になってまいります。
 それで、恐らく義務履行地が日本になるということであれば日本の裁判所に国際裁判管轄を認めるということになるのではないかなと。それから、今納入したというお話でしたので、契約締結地が日本であれば、これも日本が密接に関連するということになるので日本の裁判所に国際裁判管轄を認めるということになるのではないかなとは思いますが。これは、基本的には、最終的には各裁判所で判断すべきことだということになります。
#12
○小川敏夫君 つまり、この法律が外国に対して、我が国の民事裁判権に関する法律案ということで、要するに外国に対して我が国で裁判を起こすことができるという法律ですよね。
 そういう法律だから聞いているわけで、そうすると、この法律の民事裁判権と今言われた国際裁判管轄ですか、これはどのように絡んでくるんでしょうか。
#13
○政府参考人(倉吉敬君) まず、ある事件が日本の裁判所で裁判できる、日本の裁判所が基本的な裁判権があるかという問題、これが国際裁判管轄の問題でございます。これは事件とか、要するに事件自体を全体を対象として決まるものであります。例えば、不法行為が行われたときは不法行為地法であるとか、それから損害が発生した国の裁判所では裁判ができるんだということとか、これは国際的に大体合意ができているところがある。国によっては、それを自国の民事訴訟法の中に規定しているところもございます。
 本件の民事裁判権が外国の政府等に及ぶか、外国等に及ぶかというのは、この事件について国際裁判管轄が日本の裁判所にありますと。その上で、具体的なこの被告がたまたまアメリカという国でした、あるいはイギリスの元首でしたと。こういう場合に、その人に、じゃ日本の裁判所が国家権力の一つである司法権、裁判権、民事の裁判権を及ぼしてよいかという、より個別の、人を相手にする、人と言うと国の場合は人でありませんのであれですが、被告になり得るか、あるいは強制執行をこの財産にし得るかという、そういう問題になってくるということでございます。
 後の方を決めているのが主権免除条約であり今回の法案であると、こういうことになります。
#14
○小川敏夫君 どうも何か分かったような分からないような感じで。国際裁判管轄があってそれで裁判を起こせるんだったら、何かこの法律要らないような感じがするんですけれどもね。
 では、まあ次の質問に行きましょう。
 この適用の相手方ですが、国ということについて、我が国が承認している国だと。ですから、台湾や北朝鮮は入らないというふうに書いてあるんだけれども、条文を形式的に読むと、国であって我が国じゃない、国が相手であって我が国じゃないという定義だから、北朝鮮も台湾も国家としての形態は整えているようなので国であるかとは思うんだけれども。
 承認国に限るということは法文上明確じゃないように思うんだけれども、これはどういうことでそういうふうに解釈するんでしょうか。
#15
○政府参考人(倉吉敬君) これは、第二条の一号には「国」と書いてあります。
 国といえば別に承認、未承認関係ないじゃないかという、こういう御趣旨だと思いますが、実は主権免除の本来の、何でこういう主権免除なんという議論になったのかという淵源にたどってちょっと御説明をしたいと思いますが、そもそも国家と国家は対等であるということであります。裁判権というのは、民事の裁判権というのは、国の三権の中の一つであります司法権を及ぼすということになりますので、本来対等な国家が、一つの国が被告となって日本の国の裁判所で裁判手続を受けるということ自体が日本の国の司法権、国権に服することになって、これは対等な国家としてはおかしいのだという発想であります。
 それで、国家と国家が対等であるというのはどういうことを前提としているかというと、もちろん国家が国家として相手を国家として認め、こちらは認められている。こちらも国家として認め、こちらの国は国家として認められている。そういう両方の関係が成り立つところで初めて国家と国家が平等であるということが言えるということになりますので、ここの第二条の一号に書いております「国」というのは、もう当然のこととして未承認の国家ないし未承認の主体というのは入らないと、こういうことになっておりまして、これはこの主権免除条約でもそういう前提でございます。
#16
○小川敏夫君 ちょっと別の言い方すると、我が国は北朝鮮や台湾に関してはそもそも主権を認めていないと、こういう前提に立つんでしょうか。
#17
○政府参考人(倉吉敬君) これは外交上の問題でもあろうかと思いますので、正確に法務省の立場でお答えできるかというのは別問題でございますが、先ほども申しましたように、国家として承認していないというのが今現実でございます。
#18
○小川敏夫君 いや、だから、国と国がそれぞれ主権があって、その主権があるから、本来、主権を侵しちゃいけないと。だけど、しかしあらゆることすべて、司法的なことに関してまで主権を侵しちゃいけないとは言えないから、本来、主権があるから裁判はできないんだけれども、しかし一部分については、司法的な分野に関しては我が国の司法権に服するというのがこの法律の考え方ですよね。だから、お互いに主権と主権と、主権があるから、主権を認めるから当然本来はすべて免除なんだと。だけど、すべて免除じゃなくて、この部分だけは司法権があるよということでこの法律があるわけですよ。
 そうすると、そもそも主権を認めていない国に関しては、じゃ何でもできるという前提になるんですかね、本来的には。
#19
○政府参考人(倉吉敬君) いわゆる未承認国家に対して、我が国の裁判所の民事裁判権に服さないといった確立した国際的な取扱いとか、あるいは過去のそういった国際的なやり方というものがあるとは認められませんので、我が国としてはそういうところに対して民事裁判権からの免除を認めるべき法的義務はないということになります。
 先ほど委員が御指摘になりましたその主権云々という問題ですが、まさに国家として承認していないわけですからそういう対象にはならない。ということは、主権免除の対象になりませんので、そういうところと何かトラブルがあって日本の裁判所に裁判を起こすということになれば起こせるということになります。
 ただ、現実にはそういうところが、つまり未承認の主体というところが、国家もそうなんですが、国の名前で取引をするとか、そういうことがまた逆にない、ほとんどなかろうかと思いますので、現実にはそれが適用になって云々という場面はほとんどないのかなという気もいたしますが。
 状況としてはそういうことでございます。
#20
○小川敏夫君 いやいや、台湾の政府に物品を納入するということだって、これはむしろ普通にあると思うんですがね。
 それから、法律論として、そういうことが実際はあるかないかという、あるかないか論で法律の解釈論を進めていくのもこれもおかしな話でして、だから、未承認国だからという理由で台湾と北朝鮮を除外すると言うけれども、しかし、未承認国だから当然相手の主権を認めないんだから我が国は全面的に司法権を及ぼすことができるという基本的な考え方、理屈を付ければそうなんだけれども、今の局長の答弁だと、しかしそうはいっても、承認していない国であっても実際には国際慣行上、主権を及ぼすことが、いやいや、主権を尊重、認めたわけじゃないけれども、主権を尊重するような立場から我が国の司法権は及ばないようにするような扱いとすべきじゃないかというような考えなんですけれども、というふうに今答弁を理解したんですけれども。
 ただ、現実に、未承認国、台湾や北朝鮮であっても、国家として主権を認めていないけれども同じような扱いをする必要が実際にあるということであるなら、この法律上も別に台湾、北朝鮮を除外しないでくくったってよかったかと思うんですが、どうなんでしょうか。
#21
○政府参考人(倉吉敬君) 日本が承認している国家と、そうではない何らかの主体があるそういうものを同列に扱うべきだと。
 もちろん、具体的なその承認していない主体の国らしさ、今の委員の御意見を伺っていると国家らしさにもかかわることかもしれませんが、そういう御意見があるということは私もよく理解できるわけですが、現在の、元々この主権免除法というのは国際慣習法で醸成されてきたもの、かつて絶対免除主義だったものが制限免除主義にだんだん変わってきて、きちっと決めないとまずいよねという国際的な流れの中で、その国際慣習法の集大成としてでき上がっているものでございます。
 少なくとも現在の国際慣習法、世界的な流れの中で国際的にこの問題をどう考えるかというところに関しましては、一応、各国とも、未承認の主体というのは含まれない、それ以外のところで主権免除というのが問題になるんだという意識で作られているわけでありまして、現在のところはそれをやはり尊重して法律を作るというのが政府としてはあるべき姿勢であろうと、こう思っております。
#22
○小川敏夫君 つまり、国際慣習法上醸成されてきたという、その醸成されてきた国際慣習法においては、未承認国であっても、相手が国家というものであれば国際慣習法上もやはり主権を尊重してきたと思うんですよね。ですから、承認している相手の国であっても未承認の国であってもやはり国際慣習法上は主権を尊重すると。
 ですから、未承認国だから、主権を認めないんだからすべて司法権を及ぼしていいなんという国際慣習法はできていないわけで、未承認国であっても、国際慣習法上は、国家としての体裁を整えている相手国に対してはやはり主権を尊重するというのが国際慣習法上として僕は醸成されてきたと思うんですよ。
 ですから、もしこの法律が国際慣習法上のそうした醸成されてきたものを法文化するということであれば、やはり未承認国であっても、国である以上、本来この法律の中でくくってよかったんじゃないかと思うんですが、それを排除する必要はなかったんじゃないかと思うんですが。
#23
○政府参考人(倉吉敬君) ただいまの点は、その未承認国家とか未承認の主体をどう見るかということについて、委員とは見解を異にしておるかもしれません。
 今、少なくとも国際的な潮流の中で、未承認の主体とか未承認の国家を、承認している国家と同様に扱うべきであるという、そういう国際慣習法が醸成されているとまでは言えないのではないかと思っております。
 少なくともこの民事裁判権の問題に関して言いますと、これまで、こういった未承認の国家とか未承認の主体といったものが我が国の裁判所の民事裁判権には服さないんだという確立した国際的な取扱いがあるとは認められないところでございまして、我が国としては、したがってそういう主体に対して裁判権、民事裁判権からの免除を進んで認めるべき法的な義務まではないと、このように考えております。
#24
○小川敏夫君 そうすると、要するに台湾や北朝鮮を相手とする訴訟は我が国では自由に起こせると、これが理論的な、基本的な考え方だと、こういうことになるわけですかね。
#25
○政府参考人(倉吉敬君) 理論的にはと、こう言われますと、それは国際慣習法にゆだねられるべき問題だということになります。
 つまり、この法律に適用しておりませんので、この法律の第三条によりまして、条約又は確立された国際法規によって適用が規律される場面についてはこの法律は及びませんので、今の委員の御見解を前提にいたしますと、そちらで処理すべき問題だということになるかもしれません。
 先ほどちょっと申し上げましたけれども、例えばこういう国は、あっ、こういう国と言ってはいけない、未承認の国とか主体といったものは、何か民間の団体を、例えば日本の企業と取引をするときはそれを前面に出しておりまして、その団体と取引をするというような形で現実には済んでおりますので、その主体自体を被告にしなければならないというような場面は余り起こらないのではないかということを先ほど私申し上げたところであります。
#26
○小川敏夫君 私は法律の疑義を確認しただけで、私自身が台湾に対して自由に裁判を起こせるんだという見解を持っているわけじゃありませんから。私の見解じゃなくて、こういうケースはどうなのかという質問をしているだけですから、私の見解というふうに言わないでください。
 じゃ、そういう問題点で質問したということを踏まえて、また次に行きますが、例えば北朝鮮、台湾がこの条約に加盟してくる可能性はないんですか。仮に条約に加盟してきたらどうなるんでしょうか。
#27
○政府参考人(倉吉敬君) その点は、外交上のこともいろいろあろうかと思いますので、法務省からどうだろうかというのはちょっと、直接……(発言する者あり)仮に、入る可能性はないのかという話ですよね。それはちょっと分からないとしか申し上げようがありませんが。
 例えば、北朝鮮は未承認の国家でありますので、国ではありますので、それが入りたいという希望を持ってくるということは可能性としてはあるかもしれません。
#28
○小川敏夫君 いや、だから、そうすると、条約には、国連に加盟しているんだしね、国家だから、条約には入ってくると。だけど、我が国の法律では承認していないから排除するよというと、何かちょっと釣合いが取れない状態になるように思うんですけれども。
#29
○政府参考人(倉吉敬君) 本当に入るという事態があり得るかというのと、ちょっと頭の中がごちゃごちゃになっておりまして申し訳ありませんが。
 万が一入ったとした場合は、条約の関係ではそうなりますけれども、我が国の国内法としては対象としていないという前提で、この法律とは矛盾は起こらないと、こう思います。
#30
○小川敏夫君 じゃ、そういう指摘があったということで、また次に行きたいと思いますが。
 この法文の定義で、法文の書き方で、つまり国、日本という国以外の国だと書いてあるわけですが、だから、日本という国以外の国だという法文の書き方だと、台湾、北朝鮮が、つまり日本が承認していない国が排除されるというのは少なくともこの法文上は読めないんですよね、そうすると、法文上は日本以外の国だと書いてあるんだから。北朝鮮が国じゃないんだったらそれは関係ないかもしれないけれども、少なくとも国連にも加盟しているように、国という、実在はしているわけで。
 だから、法文上、未承認の国が排除されているというのがこの法文上明らかじゃないので、この定義の仕方がちょっとこの法律悪いんじゃないかと思うんですが、国ということの定義の仕方が。
 もっとはっきり、国とは、つまり外国とは我が国を除き我が国が国家として承認している国をいうとか、定義でもっと明確にした方がいいんじゃないですかね。単なる解釈で、これは北朝鮮、台湾は入らないんだよというと、どうもそこら辺が、私はこの法律の法文の規定の仕方がまずいんじゃないかというふうに感じたんですが、いかがでしょう。
#31
○政府参考人(倉吉敬君) その点につきましては、そもそも主権免除というのが、国家と国家が平等であると、平等な国家なのに、その国家が相手の国家の主権の一部である司法権に服するというのはおかしいという発想で来ていまして、最初の説明と一緒になってしまいます。だから、その説明では駄目だと言われると何とも申し上げようがないんですが、それはお互いに承認し承認されている国家同士で初めて平等だということが出てくるんだと。だから、これは当然に、国と書いておけば未承認のものは入らないということで、当然に読めるという解釈でございます。
#32
○小川敏夫君 例えば、ほかの法律でも外国という言葉は使っているわけですよ。例えば、刑法なんかを見ますと、外国の国旗を侮辱する目的でこれ毀損すると犯罪になるわけですよ、刑法ではね。あるいは、一私人が外国と戦闘行為をしようと思って準備をすると、これ犯罪になるんですよ、そこでは外国としか書いていないんですけどね。
 この刑法上では外国としか書いていなくて外国の定義という法律が入っていないんだけど、法律の世界で外国といえば、当然、日本が承認している国が外国なんだというと、じゃ北朝鮮や台湾の国旗を侮辱して毀損しても犯罪にならないのか。あるいは、北朝鮮と一私人が戦闘行為をする準備をして構えてもこれは犯罪にならないのか。刑法に言う外国という言葉の使い道とちょっと変わってきちゃうと思うんですがね。
#33
○政府参考人(倉吉敬君) 申し訳ございません。刑法の解釈はちょっと所管ではございませんので、その点については避けさせていただきたいと思いますが、いずれにしてもこれは主権免除に関する法律でありますので、その主権を免除するかしないかという場面で国と書いてあると。これはさっき言った国家平等だという原則の前提が、お互いに承認している承認されていないというのを前提とした当然の法律であるということで、この法律については、国と書いておけば未承認のところは除かれるというところは当然に読めると。この点につきましては法制審議会でも特に異論はなかったところであります。
 ただ、今委員のおっしゃっていること、御指摘を伺っていると、なるほどそういうところもあるのかなと思ってはおりますが、この法律としては、主権免除に関する法律ですので、是非、こういう解釈だということを法務当局は述べているということで御了解いただきたいと思います。
#34
○小川敏夫君 だから、まあ同じ議論を何回もしてもしようがないけど、主権、主権と言うと、じゃ、台湾、北朝鮮は主権を尊重しないのかと。まあ一番最初にした議論に戻っちゃうわけですけどね。
 まあそういう指摘したということで、再三言うように、私は台湾や北朝鮮の主権を認めるなと言っているわけじゃありませんから、そういう法律の問題を指摘しただけですから。
 それで、あと、これ実際に起こすとき、例えば日本という国を訴えるときは、まあ法務大臣を相手に訴えますよね。手続的に外国を訴えるときにはどうするんですか。ただ単に、アメリカ合衆国を相手に裁判を起こすときにはアメリカ合衆国を相手に起こせばいいんですか、それともアメリカ合衆国の大統領の、起こすんですか。あるいは国によってそれぞれ扱いは違うと思うんですが、こういう細かい手続的なことはどうなっているんでしょう。
#35
○政府参考人(倉吉敬君) これ、まず送達するときから問題になるんですね、だれあてに送ればいいのかと。これは、事実上、国によってそれぞれ違いますし、どこに送ればいいんだと。国を相手にする訴訟で、民間の訴訟であればだれを相手にすればいいというのが分かるようであれば、そこまで書けばいい。例えば、アメリカであれば、よく分かりませんが、商取引だったら商務長官になるかもしれません。そこはよく分かりません。
 ただ、最初に訴状を送る段階で、こういう訴状が出ましたというのは、まず今回の法律で訴状の送達というのも、きちっと言えば国家権力の行使でありまして、司法権の行使なんで、絶対免除主義を取る立場からは昔は訴状を送れないというのが原則だったわけですが、この法律ができることによりまして送れるようになります。取りあえず外交経路を通してとか、送達条約とか民訴条約があるときにはその条約のルールに従って締約国に出して送ると、いろいろ書いておりますけれども。それで送るときに、具体的に、例えば送達条約、民訴条約に入っているような国であればこういう相手にすればいいというのは、もう恐らくこちらで、外交ルートの方で分かるでしょうし、分からないところでも、まずそういう形で送ってみて、外国の方で、これはこういう名あて人になるからということで、外国の方の受けた当局がそこは適宜処理することになるだろうと恐らく思われます。
#36
○小川敏夫君 そうすると、日本の裁判所に裁判起こして、起こした送達はその外国、まさにその国に送るわけですか。つまり、我が国に存在する例えば大使館とか領事館とか何か出先事務所とか、そういうところに送るんではなくて、その国に送るわけですか。
#37
○政府参考人(倉吉敬君) 基本的には国でございます。例えば送達条約になりますと、送達条約の加盟国は、それぞれ送達をしてくれと頼む場合、それから頼まれた場合に、それを仲介するポイントとなる中央当局というのを置けということが条約で規定されておりまして、その条約に基づきまして、我が国では民訴条約、送達条約等の特例に関する法律というのが決まり、その規則も決まっております。その法律によりますと、この中央当局、あるいは民訴条約で当局と言われているものについては外務大臣を充てると、こういうふうになっていまして、それで外交ルートで行くようになっているわけです。
 そういう条約がない場合には通常の外交ルートで送るんだということもこの法律に書いてありますが、この外交ルートというものは、最高裁判所を通して、外務省を通して、そして在外公館を通して、在外公館から向こうの外務当局を通じて、そして向こうの送達をすべきところ、多くは裁判所だと思うんですが、国によっては裁判所がないところが送達をしているところもありますので、そういう経由をして送達をすると、こういうことになっております。
 だから、基本的には外交ルートだと、それについて最高裁が手続的なことを関与したりするということもあり得るというイメージでよろしいかと思います。
#38
○小川敏夫君 そうすると、起こす人は、国のだれを相手にするかとか、どういうルートで送達するかとか、そういったことは起こす人間が調べて適切に対応しろと、こういうことになるわけですかね。
#39
○政府参考人(倉吉敬君) これは別に国際的な事件に限らず、被告がどこに住んでいるのかというのは自分で調べて送れというのが原則であります。しかし、外国のことで分かりにくいわけですから、ここはどうなっているんだろうかと照会があれば、それは裁判所だって法務省だって分かる限りお教えいたしますし、こちらが分からなければ外国当局が、それは時間掛かるかもしれませんが教えてくれるということになろうかと思います。
#40
○小川敏夫君 だから、教えてもらうかどうかにしても、起こす人間が自分の責任においてやりなさいということになるわけですね。
 では、この本法案に関する質問、私の指摘はその程度にしまして、また別のことについて、今度は大臣に質問をさせていただきます。
 小沢一郎議員の秘書の政治資金規正法違反被疑事件、今は被告事件になっておりますが、これについて、捜査情報が漏れているんではないか、あるいはリークされているんではないかというような疑問といいますか、あるいはそう思えるような状況がありましたので、それに関して質問をさせていただきますが。
 具体的に言いますと、石川衆議院議員が参考人として聴取されたというんですが、参考人として聴取される前に新聞報道で、石川議員に対して地検が参考人の聴取の方針を決めたというような報道がなされておりました。ですから、これはごく普通に考えれば、捜査当局から何らかの形でそういう地検の方針が漏れたと、あるいはリークしたのか分かりませんが、そういう意味で漏れたというふうに思われるんですが、この点はいかがでございましょうか。
#41
○国務大臣(森英介君) 元検事の小川敏夫議員に釈迦に説法でございますけれども、検察当局においては従来から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものと承知いたしておりまして、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことは決してあり得ないものと確信をしております。
 なお、社会の耳目を引く事案等については、報道機関各社が関係各方面に広くかつ深く独自の取材活動を行っているものということも推察をしております。
#42
○小川敏夫君 だから、情報が漏れてしまうことはあってはいけないし、そういうことは本来ないんだという、建前は全くそのとおりだと思うんですが、現実に漏れたんではないかという現象が起きているわけで、大臣の答弁の最後の方ですと、そうすると、それはあれですか、取材陣がいろいろ努力して、努力の結果、地検のそうした捜査方針を確認することができたんではないだろうかと、こういうような御趣旨なんでしょうか。
 そうすると、公式ではないけど、だれかその情報を知っている検事がマスコミに話したということを意味するかとも思うんですが、いかがでございましょうか。
#43
○国務大臣(森英介君) 私が今申し上げたとおりでございまして、報道各社がどのような取材をしているかどうかについては個別には関知をしておりません。
#44
○小川敏夫君 どこでどういうふうにそういう情報が出たのか。もちろん、マスコミも取材源の秘匿があるから言わないでしょうから、これは法務当局、検察当局としては否定されるし、マスコミは取材源を言わないし、しかし現実にそういう事実があったということだけで、これ以上押し問答してもしようがないんですが、石川議員の事情聴取は、これは被疑者ではなくて参考人ですよね。これは答弁いただかなくてもいいんですが、一応確認の意味で答弁いただけますか。
#45
○国務大臣(森英介君) 捜査機関の活動内容についてはコメントを差し控えます。
#46
○小川敏夫君 いや、被疑者として取調べをしたのか参考人として事情聴取したのかということを確認しているわけですが。
#47
○国務大臣(森英介君) 御答弁を差し控えます。
#48
○小川敏夫君 では、違う角度からまた質問させていただきますが、捜査当局は、検察庁も含めて、参考人、あるいは場合によっては被疑者になり得るような人物、あるいは、極端な話は捜査当局は被疑者というふうに事実上思っているようなケースであっても、やはり取調べを受ける側の人の人権には配慮しなくてはいけないと。ですから、取調べを受ける人の社会的な立場あるいは信用といったものを傷つけることがないように、相当な、十分な配慮をすべき義務といいますか職務遂行義務があるんではないかと思いますが、この一般論についてはどうですか。
#49
○国務大臣(森英介君) おっしゃるとおりだと思います。
#50
○小川敏夫君 そうすると、石川衆議院議員は次の選挙に出馬するということも決まっておるわけでありまして、石川議員が犯罪に何らかの関与をしているというような誤解を招くようなことがあれば、これは大きく石川衆議院議員の社会的立場に悪影響を与えることになると思うんですが、この一般論、この部分に関しては御答弁いかがでしょうか。
#51
○国務大臣(森英介君) 先ほど申し上げましたように、検察当局の捜査活動についてはコメントを差し控えますけれども、一般論として申し上げれば、参考人聴取の情報などが外部に漏れた場合にはプライバシーを損なう、今お話しのとおり、ことはもとより、参考人の協力が得られなくなるなど、円滑、適正な捜査の遂行に重大な支障を生じることから、捜査機関がそのような情報を外部に漏らすことはこの意味からもあり得ないというふうに思っております。
#52
○小川敏夫君 例えば、石川議員を参考人聴取した場所は、これは東京地検ですよね。地検の特捜部があるあの場所においてですよね。
#53
○国務大臣(森英介君) 個別の捜査活動の内容についてはコメントを差し控えます。
#54
○小川敏夫君 例えば、参考人として取り調べるということを地検は全く漏らしていない、それから、そうした取調べを受ける人の立場を十分配慮していると言っても、例えば地検の本庁に出頭を要請すれば、仮に出頭してくれば、そこにはマスコミが張り付いているわけですから、こうしたマスコミの関心を集めた事件に関しては。
 ですから、例えばそういうような場合にはマスコミが全くいないようなところ、地検のどこかの一部の施設で聴取を行うとか、あるいは日歯連事件の村岡さんのように御自宅に行ってそれで事情聴取をするというように、事情聴取したこと自体がマスコミの目に触れないような、そういう配慮を当然してしかるべきだと思うんですが。しかし、マスコミが張っているようなところに出頭要請してそこに出頭してくれば、まさに参考人聴取されたんだということがそのことだけで分かってしまいますし、また、報道される絵柄がこれは撮られてしまうわけです。
 ですから、出頭要請をする、つまり取調べをするに当たって情報は漏れていないと言うけれども、今回の件はそのやり方自身で既に配慮が欠けていて、マスコミに公になるような方法でやっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(森英介君) 個別のケースの捜査活動の手法、内容についてコメントすることは差し控えます。
#56
○小川敏夫君 個別の捜査内容のこと、何を取り調べたかとかどうかを聞いているんじゃないんで。呼ばれた参考人の人権、社会的地位に悪影響を不当に及ぼさないかという配慮をしたかどうかについて確認しただけで、捜査の内容について聞いているわけじゃないんですが。
 もう一度御答弁いただきたいと思いますが。
#57
○国務大臣(森英介君) 一般論として申し上げれば、捜査機関においては、プライバシー等について十分な配慮をして捜査をしているものと承知をいたしております。
#58
○小川敏夫君 だから、マスコミが張り付いているところに出頭要請して、そこに出てこさせれば、来させればというか、来させること自体が配慮に欠けているんじゃないですかと聞いているわけです。
#59
○国務大臣(森英介君) 先ほど来申し上げておりますように、こういった捜査活動について私からコメントすることは差し控えます。
#60
○小川敏夫君 じゃ、一般論として質問します。
 マスコミが待ち構えている場所に参考人を出頭要請をして出頭させるということが参考人に対しての配慮に欠けるというようなふうには思いませんか。一般論としてお尋ねしています。
#61
○国務大臣(森英介君) 一般論として申し上げれば、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、本件について申し上げるならば、その取調べの有無を含めて答弁を差し控えます。
#62
○小川敏夫君 だから一般論としてお尋ねしているわけです。参考人として呼ばれたということが明らかになるだけで、その人の信用、社会的地位に悪影響を及ぼすような場合があると。そのようなことが考えられるときに、マスコミの人が既に検察庁の施設に待ち構えているようなところに呼び出すことは参考人に対する配慮に欠けているんではないかということを一般論としてお尋ねしているわけです。
#63
○国務大臣(森英介君) 一般論として申し上げれば、再々申し上げているとおり、捜査機関においては、プライバシー等について十分配慮した捜査を行っているものと思っております。
#64
○小川敏夫君 だから、配慮をしなければいけないし、配慮をしているという一般論のお立場はお伺いしました。
 さらに、それを具体的に聞いておるわけです。マスコミの人が待ち構えている場所に出頭させることは、一般論として配慮に欠けるんではないですかと、こういうふうに聞いておるわけです。
 じゃ、大臣は、マスコミが待ち構えているところに出頭させるということは全く配慮に欠けるものではないと、それはたまたま運が悪かったぐらいというようなふうに考えて、全く問題にならないと考えているんですか、一般論として。
#65
○国務大臣(森英介君) 捜査手法は事件ごとに異なっていると思いますが、一般論としては、プライバシー等に十分配慮して捜査が行われているものと思っております。(発言する者あり)
#66
○理事(木庭健太郎君) じゃ、速記止めてください。
   〔速記中止〕
#67
○理事(木庭健太郎君) 速記を起こしてください。
#68
○国務大臣(森英介君) まず、本件で取調べの有無についてを含めて、答弁は差し控えます。
 その上で、一般論として、捜査機関においてはプライバシー等に配慮して捜査を行うべきと思いますし、現にそういうふうに十分配慮して捜査が行われているものと思っております。
#69
○小川敏夫君 例えば、ロッキード事件なんかいろいろありましたけど、政治家を呼ぶときには、とにかく呼んだこと自体が政治家の評価に間違った悪影響を及ぼすというような場合には、先ほども言ったように、出頭を求めて事情聴取をするにしても、マスコミがとても気が付かないような、マスコミも張っていないような地検の宿舎とか区検のどこかの施設とかそういうのを使うとか、あるいは、ですから、先ほど挙げた日歯連事件の場合には村岡兼造さんの自宅に行って事情聴取しているわけで。
 だから、そういう方法が容易に取れるのに、なぜ、なぜというか、マスコミがもうずっと見張っているような施設に呼び出すことがあったとした場合、そのようなケースでは一般論として参考人に対する配慮に欠けているんではないかと私は思うんですが、一般論として大臣は配慮に欠けているとは思いませんか。
#70
○国務大臣(森英介君) 今、一般論としてというお尋ねでありますけれども、具体的なケースを想定された上での御質問というふうに受け止めております。その上で、本件でちょっとその取調べの有無が、あったかどうかについてを含めて、答弁を差し控えさせていただきます。
 一般論として申し上げれば、捜査機関においてはプライバシー等に配慮して捜査が行われるべきと思いますし、またそのように捜査が行われているものと承知をいたしております。
#71
○小川敏夫君 つまり、捜査の中身のことを聞いているんではなくて、参考人に対する配慮、まあ人権問題とか、そうしたことについてお尋ねしているわけでして、それを捜査情報だからといって答弁しないということは、これはやはり国会を冒涜している、捜査のことだと言えばすべからく何でもかんでも秘密にできるという誤った考え方に立つものでして、到底容認できることではないんですがね。
#72
○国務大臣(森英介君) 私は、現時点において検察当局に全幅の信頼を置いておりまして、十分なそういったことも、配慮も加えた上で様々な捜査活動がなされていると思いますし、また、具体的な捜査活動の内容についてはコメントすることは差し控えたいと思います。
#73
○小川敏夫君 まあ、その答弁については到底納得し得ないわけですが、質問を行きますが、納得したわけじゃないということを念押しした上で、また次の質問に行きますが。
 この小沢一郎議員秘書の起訴に当たって記者会見をして、なぜ起訴に至ったかというようなことを説明したというふうに報道されておったんですが、そうした記者会見の事実はあったんでしょうか。
#74
○国務大臣(森英介君) 刑事事件における検察の職責は、端的に申し上げて、国家の刑罰権を適正に実現することであって、また、基本的にそのための公判遂行を通じて検察の捜査活動の結果が公にされるものと承知をいたしております。
 ただ、検察当局においては、検察の活動を国民に正しく理解していただくため、あるいは社会に無用の誤解を与えないようにするために、個別の事案に応じて、逮捕した場合や起訴した場合などに、そういった節目に、逮捕した、起訴したという事実や被疑事実、公訴事実の概要等を次席検事などの幹部検察官が記者発表したり記者会見したりすることがあるというふうに承知をしております。
 このような記者発表、記者会見における公表に当たっては、個別の事案ごとに、公益上の必要性とともに、関係者の名誉及びプライバシーへの影響及び捜査、公判への影響の有無、程度などを考慮して公表するか否かを、また、するとして、どの程度の情報を明らかにすることを判断しているものと理解をしております。
 今般の、今お尋ねのありました東京地検の記者会見についても、そういった趣旨にのっとって適切に記者会見がされたというふうに受け止めております。
#75
○小川敏夫君 一般的に、ある事件を、こういう犯罪事実あるいは法令違反というようなことで、いつ幾日だれだれを起訴しましたというようなことを、外形的なことを次席検事が公表する、記者に発表するということは、これは日常的にあると思うんですよ。ただ、今回は、そうした起訴事実とか被告人名とか起訴月日とか、そういう外形的事実だけではない、事件に対する検察の評価とか、そうしたことも記者会見で述べたというように報道されておるんですがね。
 では、まず、この記者会見においてどのようなことを述べたのか。被告人名、起訴事実、起訴月日、起訴したというようなことは結構ですから、それ以外にどのようなことを記者会見で述べたのか説明していただけますか。
#76
○国務大臣(森英介君) 東京地検においては、本件につきまして、内偵捜査を経て、昨年十一月に強制捜査に着手した一連の西松建設の不正資金に係る捜査の過程で判明したもので、業務上横領事件、外為法違反事件の捜査を続ける中で、捜査の常道に従って粛々と捜査を進めてきた旨の説明があったものと聞き及んでおります。
#77
○小川敏夫君 じゃ、そういうことを説明したと。
 そのほかにどういうことを説明しましたか。新聞報道によれば、このケースは特にこういうことで悪質だとか、そうしたことも述べたというふうに報道されておるんですが、今大臣がお話ししたこと以外にどのようなことをまたお話ししたんでしょうか。
#78
○国務大臣(森英介君) 付け加えまして、東京地検においては、今御指摘のように、本件の重大・悪質性に照らすと、衆議院議員選挙が今秋までに行われることを踏まえてもこれを放置することができないものと判断したと、また、平成十五年分の収支報告書虚偽記入の時効が三月末に完成すること等も考慮した旨の説明をしたというふうに承知をいたしております。
#79
○小川敏夫君 つまり、本件は重大、悪質だという評価を加えて公表したわけですわね。例えば日歯連事件の一億円虚偽記載の村岡さんのときに、そのような公表といいますか見解は述べたんでしょうかね。少なくとも私の記憶ではないように思うんですがね。ほかの事件のときにはやらないことを何か今回特別にやったようなふうに私には思えるんですが。
 どうでしょう、例えば日歯連事件の一億円の虚偽記載の村岡兼造さんのときに、そのような記者会見、そして特に悪質、重大だというような評価的な意見を述べたようなことがあったんでしょうか。
#80
○国務大臣(森英介君) 以前のケースとの比較での御質問がございましたけれども、当時の事情はよく承知をいたしておりませんし、ちょっと突然の御質問ですので答弁を差し控えさせていただきます。
#81
○小川敏夫君 じゃ、そういうことがあったかどうか。確かに今答弁できなくて結構ですけど、あったかどうか教えていただければと思いますが。
 で、検察は重大、悪質だというふうに述べたということですが、その重大、悪質、どのようなことで重大、悪質なんでしょうか。
#82
○国務大臣(森英介君) どうも失礼しました。
 東京地検においては、政治資金規正法は、政治資金をめぐる癒着や政治的腐敗を防止するため、政治団体の政治資金の収支の公開等を通じて政治と金の問題を国民の不断の監視と批判の下に置くことなどを目的とした議会制民主主義の根幹を成すべき法律であり、その中心である政治資金の収支報告書に虚偽の記入をして政治資金の実態を偽ることは国民を欺いてその政治的判断をゆがめるものにほかならない、次に、本件は政治団体の名義を利用するという巧妙な方法により特定の建設業者から長年にわたって多額の寄附を受けてきた事実を隠したものであるなどと判断した上で、政治資金規正法の趣旨に照らして看過し得ない重大、悪質な事案であると判断したものと聞き及んでおります。
#83
○小川敏夫君 犯罪はみんな悪質なんで、ただ、ほかの事件とのバランスということもやはり考えてみなくてはいけないし、公平という問題もあるし、今日はもう時間もありませんし、ですから、村岡兼造さんの一億円の虚偽記載のときの検察のそうした発表があったかどうかというようなことについても事実関係聞いた上、また、そのほかの政治資金規正法違反についてもそのような検察の発表内容等も具体的な説明を受けた上、また日を改めてお尋ねしたいと思いますので、今日の段階では私の質問はこれで終わりたいと思います。
#84
○松村龍二君 自民党の松村でございます。
 対外国民事裁判権法案につきまして質問をさせていただきます。
 まず、この法律案は、どのような場合に我が国の裁判所で外国に対して民事裁判をすることができるかを明らかにしようとするものですから、国民の裁判を受ける権利を確保するという観点から見て、社会的意義の大きい法律と言うことができると思います。
 ところで、この法律案の内容はいわゆる国連国家免除条約に準拠したものになっているところ、我が国は平成十九年一月にこの条約に署名済みであると承知しております。そうであるとすれば、この条約とは別にこの法律を制定する必要があるのでしょうか、法務大臣に伺います。
#85
○国務大臣(森英介君) 今御指摘のとおり、この法律案は国連国家免除条約を踏まえて作成したものでございます。仮に同条約のみで国内法を制定しないといたしますと、同条約は締約国の間でのみ適用されますので、外国が同条約の締約国であるか非締約国であるかによって我が国の裁判手続における取扱いに違いが生じる可能性があります。
 しかし、我が国の民事裁判権の及ぶ範囲を考えるに当たっては、諸外国を同条約の締約国であるか否かによって区別するのではなく、統一的に取り扱うことが適当であろうと考えられます。そのためには諸外国に一般的に適用される法律を制定する必要があります。そこで、法務省といたしましては、外国が同条約の締約国か否かにかかわらず適用されるこの法律案を提出させていただいた次第でございます。
#86
○松村龍二君 ただいまの御答弁によりますと、この法律案は国連国家免除条約の非締約国に対しても我が国の民事裁判権を及ぼすことができるか否かという極めて広い範囲を規律するというものでありました。そういたしますと、この法律案が法律として成立し施行された場合、国民がこの法律のメリットを十分に享受するためには、この法律によればどういった場合に外国に対し我が国の民事裁判権が及ぶのかあるいは及ばないのかを国民が認識した上で外国と契約を締結するなどの行為をする必要があると思います。
 それでは、この法律によれば外国はどういった場合に我が国の民事裁判権に服することとなるのでしょうか、法務大臣政務官に伺います。
#87
○大臣政務官(早川忠孝君) お答え申し上げます。
 この法律案では、まず外国等が特定の事項又は事件に関して我が国の民事裁判権に服することに明示的に同意した場合及び我が国の裁判所に自ら訴えを提起するなどした場合には、その外国等は我が国の民事裁判権に服するものとしております。
 また、外国等の明示的な同意がないような場合でも、日本国民や企業が外国等との間で物品を売買したり外国等に不動産を賃貸したなどというような商業的取引や、不動産に係る権利利益等に関する裁判手続につきまして、原則としてその外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。そのほかにも、例えば日本国民と外国等との間の労働契約に関する裁判手続や、外国等による人の死傷又は有体物の滅失などに関する裁判手続につきましても、原則としてその外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。
 次に、この法律案は、外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について、その外国等が我が国の民事裁判権に服する場合も定めております。
 具体的に言えば、まず外国等がその有する財産に対して保全処分又は民事執行をすることに明示的に同意した場合及び保全処分又は民事執行の目的を達することができるように特定の財産を担保として提供するなどした場合、そのような場合にはその外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。
 また、外国等の明示的な同意がないような場合でも、その有するいわゆる商業用財産等に対する民事執行の手続につきましては、その外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。
 以上であります。
#88
○松村龍二君 では、その中で、商業的取引に関する裁判と知的財産権に関する裁判について、具体例に即して御質問したいと思います。
 まず、物品の売買に関する裁判手続について伺います。
 例えば、ある国が産業振興のために、その国特有の民芸品を世界に広めるという目的で日本国内にアンテナショップを出店し、そこで民芸品の販売を行っていたとします。そして、私がその国の民芸品を注文して取り寄せてもらうこととし、代金を振り込んだのですが、その後、注文した民芸品を引き渡してもらえないとしましょう。
 この場合、その国にとっては産業の振興という国としての政策目的があることになりますが、私は日本の裁判所で、その国に対して、振り込んだ代金を返せという裁判をすることができるのでしょうか、法務当局にお伺いします。
#89
○政府参考人(倉吉敬君) 結論として、委員がそういう取引をなさったのであれば、その代金の返還等の請求はできる、日本の裁判所に訴えを起こすことができる、このように、この法律案の前提ではそうなると考えております。
 この法律案の第八条ですが、商業的取引という言葉を置いておりまして、そこで括弧して中を定義する規定を置いております。すなわち、物品の売買、役務の調達及び金銭の貸借など民事又は商事に係る事項についての契約又は取引であります。これに関する裁判手続については、外国等は原則として我が国の民事裁判権に服するとしているわけであります。
 この商業的取引に該当するか否かという判断基準はどうなんだということが実は一つ議論になりました。これは二つ考え方ございまして、一つは、契約又は取引の動機や目的に着目して判断するという考え方、二つ目は、契約又は取引の性質に着目して判断するという考え方でございます。
 どう違うのかということなんですが、目的ということをいいますと、例えば、国家が何か買うんですから、何らか国家目的に絡んでいるはずです、通常は。全く関係のないものというのはないでしょう。したがって、国家目的だということを言えば全部主権免除になるんだということになれば、およそ意味がないということになります。つまり、目的を中心に考えると非常に恣意的になりやすいということでございまして、したがって、これはあくまでも客観的な判断が担保されるように、性質に着目して判断するのが基本であると、こういうことになります。
 ただ、物によっては、例外的な場合ではあろうかと思いますが、目的も考慮しなければならない場合もあるだろうと。そういうことが例の平成十八年の最高裁判決でも留保されているところです。しかし、基本的には性質によるべきだと。
 今委員が御指摘になった事例でございますが、これは民芸品の売買ということでありまして、およそ国に限らず私人であっても当然にできる取引でありますので、これは性質に照らして、これはもう売買なんだからということで、それを基本に判断すれば商業的取引に該当するということになります。
 非常に委員の挙げていただいた例が適切でありまして、何と申しますか、観光目的だとかそれから産業の振興目的だというようなことを言えば、すべてその目的説になっちゃうと主権免除になっちゃうということになります。これはまさにその典型例であろうと思いますので、これは性質に即して判断して商業的取引に当たると、このように考えております。
#90
○松村龍二君 では、もう一つ具体的な例を挙げて伺います。
 例えば、ある国の観光客が、日本人観光客を誘致するために日本国内で自国の観光宣伝のためのパンフレットを作成、配布したとします。ところが、このパンフレットには日本人の写真家が撮影した写真が無断転載されていたとしましょう。この場合、この写真家は、著作権の侵害を理由として、日本の裁判所に、このパンフレットを作成した国に対して損害賠償を求める裁判をすることができるのでしょうか、法務当局に伺います。
#91
○政府参考人(倉吉敬君) ただいまの委員の御指摘の事例ですが、これは知的財産権の問題でございまして、知的財産権に関する裁判手続については、この法律案の第十三条に定められております。
 今の委員の御指摘の事例というのは、この十三条の二号、何と書いてあるかというと、「当該外国等が日本国内においてしたものと主張される知的財産権の侵害」、つまり知的財産権の侵害があったと主張さえすればいいということなんですが、その場合には、十三条の頭の方に書いてありますが、「裁判権から免除されない。」、外国等は免除されないということになります。
 御指摘の事例については、まさに日本国内で作成して配布したパンフレットで、日本人の写真家が撮影して著作権を有している写真を無断転載したということがその写真家の著作権を侵害したかどうかということが問題となる事案ですから、この十三条第二号によりまして、ぴったりそのまま当たりますので、民事裁判権からは外国は免除されない、日本の裁判所でこの写真家は著作権の侵害を理由として外国に対して訴えを起こすことができるという結論になろうかと思います。
#92
○松村龍二君 今、私が伺ったのはほんの一例ですけれども、この法律案にはこのように外国に対して民事裁判をすることができる場合が具体的に定められておりますので、裁判できるはずなのに門前払いにされるのではないかといった理由で裁判をすることをあきらめてしまうといったことが少なくなることが期待できるということになろうかと思います。その意味においてこの法律の成立を期待している次第でございます。
 以上です。
#93
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 本法案は、国連主権免除条約を受けて、いかなる場合に外国が我が国の民事裁判権に服するのかについて明らかにするものでございまして、外国及び私人の予見可能性を明確にし、取引などをより安全、円滑に行う上で有効であると考えますので、私どもは賛成をさせていただきます。
 これまでに出るかと思ったんですが、ちょっとはっきりした形で出ませんでしたので、倉吉局長、確認なんですけれども。
 外国が我が国の民事裁判権に服するのか否かというのは、これはこれまでも個別事件において裁判所の判断が積み重ねられてきたということだと思います。かつて大審院の時代に絶対免除主義と表現されている考え方が取られたが、その後の様々な社会状況の変化もあり、いわゆる制限免除主義という立場が取られるようになってきたということだと思います。こういう裁判上の主権免除の考え方というのは裁判所が個別事件において判断を重ねてこられたし、これからもそうだと思うんですね。
 この法案によって、この考え方、つまり制限免除主義と今呼ばれている考え方が成文法の上でも明確になるということなのだろうと私は理解しているんですが、いかがでしょうか。
#94
○政府参考人(倉吉敬君) 委員御指摘のとおりでございます。
 この法律、法案というのは制限免除主義に立ってでき上がっておりまして、ちょっとこの制限免除主義に至る日本の裁判例の内容等を少し申し上げたいと思いますが、元々、今委員がおっしゃったとおり、こういう法律がない、あるいは条約もできていない段階ではまさにそうなんですが、国際慣習法等をいろいろ探求して裁判所が個別の事案に応じて判断してきたわけであります。
 そのとき、過去はどうであったかというと、昭和三年に大審院の決定がございまして、これが長らくリーディングケースとしてありました。絶対免除主義でございます。国家というのは、基本的に日本に所在する不動産であるとか、あるいは国家が国家に対して意思表示をして、あなたのところの裁判権に服するよと、そういう意思表示をしている場合以外はおよそ民事の裁判権には服しないのだという絶対免除主義の考え方をずっと取っておりまして、下級審の裁判例もおおむねそれに沿ってきたというのが実態でございます。
 平成の十八年に最高裁の判決が制限免除主義を取るということを言いました。この判決はどういうことを言ったかといいますと、国家の行為には主権的行為とそれから主権的行為以外の私法的又は業務管理的行為というのがあるんだと、この私法的、業務管理的な行為については裁判権は免除されない、主権的行為についてはこれまでと同様、裁判権が免除されるという国際慣習法があるんだと、こういうことを説示いたしまして、その事案はコンピューターの売買、外国に日本の企業がコンピューターを売った、その代金の回収に関するものだったと思いますが、そういう事案についてはまさに主権的又は業務管理的行為なんだから、主権免除の対象にはならないということで、原審は大審院の判例を踏襲して主権免除だと言ったんですが、それをひっくり返したという、こういう最高裁の判決でございます。
 ただ、この判決ではまだ一般論として言っているわけですけれども、私法的又は業務管理的行為というのが具体的に何になるのか。この事案で、コンピューターの売買でしたので、まあ売買契約は大丈夫だなと、そこまでは行きますけれども、じゃ、それ以外の契約はどうなんだというのはまだ分からないという状態になります。
 この法律がなければ、日本の裁判官は相変わらず、ほかの事件が来たらそれはどうなるのかな、私法的、業務管理的行為に当たるのかなというのは探求しなければならぬということになりますが、今回の法律はそれを商業的取引の中でも役務も入りました、それから賃貸借も入りました、それからさらに労働契約であるとか、それから人の死傷又は滅失の場合とか、そういうことについて全部列挙して、こういう場合には主権免除の対象にはならないということを全部明記しております。
 この考え方はこの最高裁の判決とも整合しておりますので、国際的な主権免除条約という国際的な潮流にも合うものでありまして、したがって、今、ちょっと長くなりましたが、委員の御指摘のとおり、最高裁の引いたラインというものとこの法律は整合していて、むしろ、最高裁が事案ごとにしか判断できませんので、ほかのところが空白になっている部分をより明確にして、それで法的な予見可能性を高めたと、こういうことになると思っております。
#95
○仁比聡平君 そこで、今局長からお話があったように、我が国の民事裁判権が及ぶ場合について列挙されているこの項目が制限列挙であるというふうに説明をされていることの関係で、本条約、本条約というか本法案、それから外務省にもおいでいただいていますけれども、本条約が刑事裁判と軍事的活動については対象外ですというふうに説明をしておられる。このことについて今日は私、お尋ねしたいと思っているんです。
 この軍事的活動については対象外という説明はどんな意味になるんでしょうか。
#96
○理事(木庭健太郎君) どちらですか。
#97
○仁比聡平君 倉吉局長。
#98
○政府参考人(倉吉敬君) 軍事的活動に関する裁判手続において、外国等が我が国の民事裁判権から免除されるか否かということは、従前から他の条約又は国際慣習法により規律されてきたところであります。この法律案はそういう従前の取扱いを変更するものではありませんので、この法律案第三条に書いているとおりですが、条約又は国際慣習法に基づき外国等が享有する特権又は免除に影響を及ぼすものではないと、こう明記しているのはその趣旨でございます。
 それから、済みません、先ほど、私の答弁の中でコンピューターの売買が主権的又は業務管理的と言ったようでございます。私法的と言うつもりが言い間違いました。訂正させていただきます。
#99
○仁比聡平君 今の言い間違いは私も気付いておりましたが。
 それで、つまり、軍事的活動について当該国の民事裁判権が及ぶか否かは、これは国際法の問題であると。ですから、国際法が優位するのであって、国内法である本法案によって決めるべきことではそもそもないという、そういう御趣旨かと思うんですよね。
 そうしますと、当然ですけれども、これからも、これからも個別の軍事活動が問題になった場合に、国際法の中身がいかなるものか、その裁判が起こった時点での国際法がいかなるものかということは、これは様々な要素を勘案してそのときに受訴裁判所が判断をしていくということになると思うんですが、確認です、どうですか。
#100
○政府参考人(倉吉敬君) ただいま委員御指摘のとおりでございます。
#101
○仁比聡平君 としますと、在日駐留米軍の事件、事故にかかわって、その被害に対する民事訴訟が提起されたときに、今審議をされていますこの法律が、この法律が米軍、米国に対して民事裁判権を及ぼさないという直接の裁判上の根拠になることはありませんね。
#102
○政府参考人(倉吉敬君) 御指摘のとおりでございまして、在日米軍の軍事的活動に関する裁判手続において米国が我が国の民事裁判権から免除されるか否かは、従前から日米地位協定及び国際慣習法により規律されてきたところであります。先ほど御説明した法律案第三条にあるとおりでありまして、その部分はこの法律は一切影響を及ぼさないということになります。
 したがって、従前と同様に日米地位協定及び国際慣習法により規律されることになりますので、この法律案が在日米軍の軍事的活動に対する我が国の民事裁判権を制限するといったような、そんな根拠となるというようなことはございません。
#103
○仁比聡平君 今御答弁の中にあった日米地位協定と、それから、これまで最高裁も含めて在日米軍に民事裁判権が及ぶのかという問題について裁判所がお取りになってきたお立場というのは、私はこれは改めていくべきではないかと思っているんですが、そのこととこの法案の審議はまた別の議論だと思っておりまして、ちょっともう一回確認しますが、本法案によって外国軍隊の活動に関して新たに何らかの特権や免除を認めるものではないと思いますけれども、いかがですか。
#104
○政府参考人(倉吉敬君) 先ほど答弁したとおりでございまして、この法律案の成立により在日米軍の軍事的活動について新たな特権又は免除を認めるということにはなりません。
#105
○仁比聡平君 そこで、民事裁判権が免除されない場合の一つである法案の第十条について少し伺っていきたいと思うんです。
 この十条は、外国等は、人の死亡若しくは傷害又は有体物の滅失若しくは毀損、こうした不法行為の場合において我が国の民事裁判権を免れることはできない、免除されないと、そうした規定になっているかと思うんですが、まずこの法案十条の趣旨について、どうしてこうした場合には我が国の民事裁判権を及ぼすのかと、この理由について、民事局長、いかがですか。
#106
○政府参考人(倉吉敬君) これはもう十条に記載しているとおりでありまして、もちろんただいま委員が前提としておりました、まず第三条によって国際的な慣習法であるとか条約等で規律されている部分は除かれますが、それ以外の部分の、したがってごく普通の不法行為について定めた規定であるということになりますけれども、ここに要件を書いているとおりでありまして、外国等が責任を負うべきものと主張される行為によって、これは主張さえしておけばいいということです、実際にそうだったかどうかは別問題。
 その上で、人の死亡若しくは傷害あるいは有体物の滅失若しくは毀損というのが次の要件でありまして、さらに、ここで書いてありますとおりに、その当該行為の全部又は一部が日本国内で行われ、かつ、当該行為をした者が当該行為のときに日本国内に所在していたとき、こういう条件がそろっているときは当該外国等は損害又は損失の金銭によるてん補を求める裁判手続について民事裁判権から免除されないということにすると。これはそういう結論が妥当であるということでありまして、もちろんその被害者の救済を、日本で裁判を受けた方が容易だからということで、容易に受けられるようにしようという配慮によるものと考えております。
#107
○仁比聡平君 日本の裁判で受けた方が被害者救済に資するのであるという、そこの点について御答弁があったわけです。
 その場面を要件の一つとしての死亡若しくは傷害あるいは有体物の滅失若しくは毀損、こうした場合にしたのは、こういう場合が恐らく、いろんな不法行為の形はあるけれども、こうした結果が発生した場合には、それは重大であるからであるという価値判断があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょう。
#108
○政府参考人(倉吉敬君) 確かに、ここに書かれているのは人の死亡若しくは傷害という、要するにいわゆる我々が日本法で不法行為と考えるときは、損害はもっといろんなものがございます、精神的苦痛であるとかですね。だから、その程度のものは国家はもう主権免除してあげようよという、そういう配慮があるわけです。
 しかし、死亡又は傷害とか、有体物の滅失とか損壊と、そこまで来たら、それはやっぱり裁判権の免除はないということにして、法廷地国の裁判に服せしむるのがいいだろうと、それが今国際的なおよその共通の理解であるということでこの条約ができ上がり、その条約に基づいてこの法律案ができ上がっているということでございます。
#109
○仁比聡平君 今の倉吉局長の答弁でもう一点確認ですけれども、精神的苦痛という言葉がございました。一方で、この法案十条に言う「人の死亡若しくは傷害」のこの「傷害」ですね。この「傷害」には精神的傷害は含まれる、肉体的なものには限られないというふうに御説明をいただいているかと思うんですが、そうした理解でよいのかということと、それから、この精神的傷害が含まれるとして、精神的苦痛と精神的傷害というのは一体具体的な場面においてどのように判断されるんでしょうか、区別されるんでしょうか。結局、ここはもちろん法律の概念としては精神的傷害と精神的苦痛を区別することは可能かもしれないけれども、事は裁判ですから、提訴された具体的、個別的な事件において裁判所が判断するということになるんだと思うんですが、いかがですか。
#110
○政府参考人(倉吉敬君) まず、前提として、この傷害という言葉の解釈ということになるわけですが、これは肉体的傷害だけではなくて、精神的な傷害も含まれるということでございます。そこはもうまず間違いございません。
 それで、何らか精神的な何かの衝撃を受けたときに、あるいは精神的苦痛と先ほど申し上げました、苦痛は入らないという前提で申し上げたわけですが、それが精神的苦痛にとどまるのか精神的傷害とまで言えるのかというのはまさに事実認定の問題でございまして、これは個々の事案に応じて裁判所の判断にゆだねられるということになろうかと思います。
 一般的に、どこまでが傷害だということでよく言われているのは、医学上もうその傷害が精神疾患に及んでいると認定できるような場合というのがよく挙げられております。今特に言われているのがPTSDというやつでありまして、ああいう形になるともう傷害であろうと。ただ、ちょっと嫌なことを言われてショックだったという程度の精神的苦痛であれば、少なくともこの法律案の傷害には当たらないと。しかし、現実にはそれがどっちになるのだというのは、事実認定の問題として裁判所の判断にゆだねられるということになろうかと思います。
#111
○仁比聡平君 大臣、いかがでしょうか。こういう議論というのは、やっぱり裁判員制度で裁判員になると分からないかもなというふうにも思うんですけれども、結局、個別事案に応じて被害者救済という、そういう価値判断に立って判断していくのが国際法の感覚でもあるんだということなのではないかと思うんですよね。
 これは、米軍あるいは米兵が相手の場合どうすべきかというのは、これは議論は別の議論があるわけですけれども、行為の中身だとか結果の重大性という意味では価値判断は同じはずなんじゃないのかなという思いが私するわけです。個別事案に応じて加害行為の残虐さだとかあるいは加害者の属性なども含めて精神的な傷の度合いというのはいろいろ様々になるわけで、当然それは個別事件においての個別の裁判所の認定にかかわる問題なのですけれども、こうした重大な結果、それも生命あるいは精神的なそういう傷害をもたらしたという、こういう重大な結果に対しては裁判権を及ぼそうじゃないかという法感覚といいますか、価値判断といいますか、こういうものが広がってきているということなのではないかと私は思うんですが、大臣、率直な御感想はいかがですか。
#112
○国務大臣(森英介君) 私も、人が死亡又は負傷したというこの法律案第十条が定めるような場合には、それによって生じた損害の賠償等について我が国の裁判所で裁判をすべきと考え、この法律案を提出しているところでございます。
#113
○仁比聡平君 大臣の慎重な御答弁を是非、今後大きく前進をしてもらえるように私も努力もしたいなと思います。
 最後、外務省審議官においでいただいておりまして、今議論をしてまいりました法案十条に、カウンターパートといいますか、対応している条約が、むしろそちらの方が出発点ということかと思いますけれども、十二条というのがございます。この趣旨は、これまで民事局長が答弁をされてきたような方向でよろしいんでしょうか。
#114
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 この条約十二条、今お尋ねがあった条項でございますけれども、外国の責めに帰するとされる作為又は不作為が法廷地の領域内で行われ、人の死亡、身体の傷害又は有体財産の損傷、滅失を生じさせた場合には、そのような人の死亡等に対する金銭に対するてん補に関する裁判手続においては、外国は法廷地の裁判所の裁判権からの免除を享有しないという規定でございまして、まさしく先ほど民事局長から答弁がありました内容と同等の内容を規定しているものでございます。
 その規定の背景ということで申し上げるならば、これは当該外国と法廷地国とのそれぞれの主権の調整であり、また被害者に対する救済の観点というふうなものを踏まえて検討がなされてきているというところでございます。
 以上でございます。
#115
○仁比聡平君 終わります。
#116
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 最初に、私も今の審議の対象になっております法案についてお聞きしたいというふうに思っております。
 絶対的な免除主義から制限免除主義に世界の流れが変わる中で、本法案がこの国でも制限免除主義、こういう考え方を採用をしたということでありまして、これは学説も、個人の権利だとか利益を尊重して、国家の主権を理由として安易に免責をする、こういう考え方は改めていく、できるだけ裁判の対象を広げていく、そういう流れの中で出てきた法案でありまして、基本的に賛成できる、そういう中身だろうというふうに思っております。
 そういう中で、私も、今の法案の十条の主権的行為の中のまさに中核である軍事的行為、具体的に言えば、日本に駐留する米軍にかかわるいろんな事件がこの法案によってどうなるのかという、そのことに関心がございました。今ほどの議論を聞いておりまして大体頭の整理はできたかなと、そういうふうに思っているわけでございますが、確認の意味でお聞きをしたいというふうに思っています。
 国家主権の発動であっても、主権的な行為と私法的あるいは業務管理的な行為を峻別をして、私法的あるいは業務管理的な行為については日本の裁判権の対象になると、そういう考え方なんだなということがよく分かりました。とりわけ米軍についていいますと、これは日米の地位協定で一応カバーされておりますが、カバーし切れない部分を国際慣習法がカバーしていると。問題は、地位協定でもあるいは慣習法でもカバーし切れない部分についてこの法律が言わば適用になるというふうに、民事局長、整理をすればよろしいんでしょうか。
#117
○政府参考人(倉吉敬君) 米軍の広い行為という前提のお尋ねでしょうか。
#118
○近藤正道君 ええ。
#119
○政府参考人(倉吉敬君) それであれば、米軍の行為ということになれば、もう基本的に地位協定と国際慣習法で律せられているはずでございまして、この法律案は、そもそも軍事的な活動というのはもう対象になっていないということで、それは三条によりまして、そこで享有されている各国政府等の特権とか免除には影響を及ぼさないと、こういう前提で作られておりますので、この主権免除法の中身で律せられていることによって今までのその米軍の行為についてのいろんなことが変わってくる、それに対する主権免除の有無が変わってくるというようなことは一切ないということでございます。
#120
○近藤正道君 私はこういうふうに思っていたんですが。
 米軍の行為、これはもう基本的に地位協定でカバーされているんだけれども、しかしその地位協定で、米軍の行動といっても様々あるわけで、地位協定で一〇〇%やっぱりカバーし切れないところだってあるんではないかと。外れた部分について、外れていて、逸脱をして、かつ私法的、管理的業務ということになると、これはこの法律のまさに対象になると。しかも、それが人の死傷だとかあるいは物の滅失というレベルに達すれば、まさにこの法律がダイレクトに適用になると、こういうふうに私は頭の中を整理したんですが、こういう理解でよろしいんでしょうか。
#121
○政府参考人(倉吉敬君) まず、地位協定でカバーし切れない部分があるのかどうかということは、ちょっと私ども所管ではございませんので、そこのところは、現実にどうかということは答弁を差し控えたいと思いますが、仮にそういうものがあるとしても、国際慣習法、それは軍事にかかわることですので国際慣習法優先でございます。
 したがって、残った範囲の、先ほど仁比議員からも質問がありました、この法律ができたことによって在日米軍のいろんな行為についての解釈、国際慣習法によるというその解釈は変わってくる、それによって免除の範囲が広がってくる、そういうようなことがあるのかというニュアンスの御質問かとも思いましたが、そういうことはないということでございます。一切この法律はそういう軍事的なことから除かれている、軍事的なことについては国際慣習法にゆだねるというのが、まさに国際的な今の国家間の共通の理解であるということでございます。
#122
○近藤正道君 分かりました。
 その上で、あえて同じような質問になるんですが、この間、沖縄でも、あるいは日本の基地のあるところでも、米軍にかかわる様々な訴訟等が行われておりますが、この法案が通ることによってその被害救済が以前より制約されるとか、あるいは権利の空白地帯が生まれるとか、あるいは国民の裁判を受ける権利が少し後退をするとか、そういうことは一切ないと、こういうふうに断言はできるんでしょうか。
#123
○政府参考人(倉吉敬君) 先ほど来答弁申し上げているとおりでございまして、委員御指摘のとおりであります。
 この法律案の三条には、この法律案が条約又は国際慣習法に基づき外国等が享有する特権又は免除に影響を及ぼすものでないということを明記しておりますので、この法律案によってそういったことが、これから裁判を起こしにくくなるとか、そのような事態は一切起こらないということが言えます。
#124
○近藤正道君 それでは、残りの時間は裁判員制度のことについてちょっとお聞きをしたいというふうに思っています。
 前の委員会で、私は、裁判員はその量刑についても判断を下さなければならないと。ところで、世界の国々を見たときに、国民が刑事司法に参加をしていて、そして死刑制度があって、そして量刑で多数決を採っているところ、これはアメリカのフロリダ州しかないんではないかと、こういうふうに質問をいたしました。そうしたら、大野刑事局長、フロリダ州とアラバマ州、この二つがそうではないかと、こういう答弁がございました。
 そこで私、その後、またいろいろこれ調べてみましたら、アラバマ州は多数決なんだけれども、単純多数決ではなくて特別多数決なんですね。ですから、刑事司法への国民参加があって、そして死刑という制度があって、そしてその死刑の量刑について単純多数決を採っているところ、特別じゃなくて単純多数決を採っているところはアメリカのフロリダ州だけ、このことに間違いはない。そこへ今、今度は日本も加わろうとしている、こういう現状だと思うんですが、間違いないでしょうか。
#125
○政府参考人(大野恒太郎君) アラバマ州については、委員御指摘のとおりでございます。多数決ということであれば多数決でありますけれども、単純多数決ではございません。単純多数決ということで私どもが把握しておりますのはフロリダ州だけであります。
 ただ、何分にも外国の制度を網羅的に、完璧に把握しているわけではございませんので、それ以外に全くないかと言われると、それは分かりませんけれども、取りあえず私どもが把握しているのはフロリダ州ということになります。
#126
○近藤正道君 私も余り勉強はしていないんですが、国会図書館とかいろんなところに、調べてみましたら、刑事司法への国民参加があって、死刑制度があって、単純多数決で死刑の量刑を決めている、この三点セットのそろっているのはフロリダ州ただ一つ、これはどうも間違いないようでございます。そこに日本が参加をこれからしていくということであります。
 ところで、アメリカのNGOが死刑情報センターというのをつくっておりまして、ここで死刑と冤罪の関係をいろいろ調べているんですが、実はアメリカでDNA鑑定によって一九七三年から今年の四月八日まで、実に百三十一人の死刑囚が無罪と判明したと。これは、伊藤和子さんという弁護士がいろいろ詳しく紹介をしているんですが、アメリカでDNA鑑定を入れたら大変な死刑囚、無罪と判明したという驚くべき事実が出ておるわけでございます。
 その中で、実にフロリダが最も多いんですよ。二十二名だというんです。非常に突出してフロリダが多い。このように、冤罪が多発するという状況が分かって、同じ三点セットを取るフロリダがそうなら日本でもこういう事態は起きないのかなと俄然不安になったわけでございますが、法務大臣、裁判員制度の設計に当たって、日本と全く同じ制度を取っているフロリダの実態について調査はされたんでしょうか。
#127
○国務大臣(森英介君) フロリダ州の死刑制度については、例えば死刑又は無期懲役となる事件について、先ほどお話がありましたように、陪審は過半数の一致により量刑の意見を決定すること、また、二〇〇七年の年末時点で死刑囚は三百八十九人であること、さらに、死刑は注射又は電気処刑で執行されることなどは承知しておりますが、それ以上の運用実態の詳細や、制度をめぐりどのような議論が行われているかについては承知をいたしておりません。すなわち、調査を行っておりません。
#128
○近藤正道君 そうすると、制度設計の段階でフロリダの実態は全く調べていないということでございますが、大臣、今ほど、日本と同じ三点セットを取っているフロリダで死刑囚の冤罪がアメリカでは最多だということでございますが、どういうふうに思われますか。是非、この際フロリダの実態を裁判員制度のスタートに当たってお調べになったらいかがでしょうか。どうでしょうか。
#129
○国務大臣(森英介君) アメリカのフロリダ州において、陪審制度と多数決と、それから、先ほど委員からお話のあったいわゆる誤審というか、そういったことの相関関係について私は承知をいたしておりませんが、いずれにしても、今後とも必要に応じて所要の調査を行ってまいりたいと存じます。
 ただ、特定の外国の法制度の運用実態等について詳細な調査を行うことはなかなか困難も伴いますので、現時点で更に詳細な調査を行う予定はしておりません。
#130
○近藤正道君 そうかな。日本の有識者の中でも、この裁判員制度の議論をいろいろやる中で、いろいろな問題点を指摘して、フロリダの例なども挙げながら、これでいいんだろうかという疑問を提起している人たちやっぱりいるわけですよ。事はやっぱり人の命、まさに人権の中の人権にかかわる話でございまして、しかもこういう制度に加えて、例の守秘義務の問題も加わってくるときに、私はフロリダの問題を見過ごしていいのかな。せめて可能な範囲で、一定の時間は掛かるかもしれませんけれども調査をして、教訓とすべき点があるのかどうかも含めて調査されるべきが私は法務大臣として取るべき道ではないかなと、こういうふうに思うんですが、内部で検討ぐらいしてくれませんでしょうか。そして、私どもにちゃんと説明をされると、そういうことがあったっていいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
#131
○国務大臣(森英介君) 裁判員制度については、これまで非常に長期間掛けまして十分な検討を踏まえて制度ができて、間もなく実施されようとしているところでございまして、私の責務は、裁判員制度を所期の目的どおりきちんとスタートさせることにあるというふうに思っております。
 ただ、委員の御指摘でございますが、フロリダ州とは制度そのものも違いますし、また先ほど申し上げたようにいろいろな前提条件も違いますので、どの程度それを調査することが意味があるかどうかということを私は今の時点で判断することはできませんが、いずれにしても、せっかくの大変真摯な御意見でございますので、検討をするかどうかを含めまして検討させていただきたいと思います。
#132
○近藤正道君 検討してくださいよ、それは。ちゃんと検討して、しっかりと説明責任をやっぱり果たしていただきたい。皆さんは執行する、この制度を予定どおり実施する立場で、つまりあらゆるやっぱり国民の疑問、意見に対してしっかりとこたえてやっぱり回答する責務があると思うんですね。是非それをやっていただきたいというふうに思っています。
 残りの時間で一つお聞きしたいんですけれども、刑事訴訟法の三百二十一条の一項の二号、言わば検面の二号書面のことなんですね。結局、裁判員制度は公判中心で直接主義、口頭主義、これを徹底してやる、伝聞法則については非常に厳格に取り扱うということなんでございますけれども。
 この間も、だから裁判員制度をやることによって捜査はどうなるんですか、変わるんですか、変わらないんですかという、そういう質問が民主党の前川さんの方からあったというふうに思うんですが、この二号書面は今度の裁判員制度の中でも全く変わらなかった。結局、幾ら公判中心だ、直接主義、口頭主義だといっても、ちょっと違うものが出てくると、公判で違う証言が出てくると、すぐ二号書面が法廷に出てくる、裁判所はそれをさっとやっぱり採用すると。こんなことになると、一体何のための裁判員制度、公判中心主義なのかというふうに私は思えてならない。
 せめて、裁判員制度を導入するんなら、この二号書面の制度、こんなものは廃止すべきだという議論だってたくさんあるわけですよ。しかし、残念ながら廃止はされなかったと。せめて、この二号書面については取扱いを非常に、今までのように、安易と言っちゃ言い過ぎかもしらぬけれども、簡単に裁判所は採用しない、あくまでも公判で出てきた証言によってそこで心証を取ると。二号書面が出されて、それを採用して、そして裁判官が自宅へ持って帰って調べるなどという、そういうことはしないわけですから、私は、二号書面の扱いは従来と大きく変わっていいんではないかと。それは、三百二十一条の一項二号は今までどおりあるけれども、運用は大きく変わっていいんではないか、あるいは捜査だってやはり大きく変わっていいんではないかと。二号書面が安易に許されるから、裁判員制度になっても密室でもって徹底的にやっぱり取調べはやる、調書を積み上げる、それがまさに調書裁判の一つの元凶になっていく。
 だから、二号書面の扱いだって変わっていいし、捜査だって私は変わって当然だというふうに思うんですが、法務省の刑事局長と最高裁の刑事局長、お二人からお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
#133
○政府参考人(大野恒太郎君) 裁判員裁判になりますと、今委員から御指摘のありましたように、公判で裁判員に心証を取っていただくことが重要でありますから、公判における証人尋問に主力が注がれること、これはもう間違いございません。
 ただ、公判における証言が捜査段階の供述と食い違う場合もあり得るわけです。ただ、その場合も、先ほど委員が、簡単にいわゆる二号書面が採用されるというような御指摘ございましたけれども、現状で簡単に採用されているというふうには私ども理解しておりませんけれども、そこは認識が違うわけでございますけれども、検察官といたしましても、きちんとやはり裁判員に心証を取っていただく、公判廷で心証を取っていただくという直接主義あるいは口頭主義の観点からいたしまして、できる限り証人、公判における証人の弾劾によって真実を証言してもらうということに力点を入れることになるというふうに考えております。
 ただ、それでもどうしても真実の証言が得られないという場合には、やはり刑事訴訟法の規定に従って二号書面を請求するという場面も、それは残るだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#134
○理事(木庭健太郎君) 時間が来ておりますので手短にまとめてください。
#135
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、三百二十一条一項二号の書面の証拠能力の要件については変わっておりませんので、裁判所としては、証拠能力の要件が充足されているかなどを検討して採否を決定することになると思いますが、模擬裁判等における法曹三者の検討会での議論等では、証人が捜査段階の供述を翻した場合であっても、直ちに二号書面を請求するための形式的な要件立証に入るのではなくて、記憶喚起のための誘導尋問や的確な弾劾尋問を駆使して、捜査段階ではどのような供述をしたのか、それはなぜか、その後どうして公判廷で異なった供述をするようになったのかなどについて粘り強く尋問する、公判供述と捜査段階の供述のいずれが真実であるかを明らかにさせることが重要であるといったような議論がなされているということは承知しております。
#136
○近藤正道君 続きは次回にやらさせていただきます。
#137
○理事(木庭健太郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#138
○理事(木庭健太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、舛添要一君が委員を辞任され、その補欠として石井みどり君が選任されました。
    ─────────────
#139
○理事(木庭健太郎君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○理事(木庭健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○理事(木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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