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2009/06/11 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第11号
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2009/06/11 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第11号

#1
第171回国会 法務委員会 第11号
平成二十一年六月十一日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     松浦 大悟君     平山 幸司君
     丸山 和也君     鈴木 政二君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     平山 幸司君     松浦 大悟君
     鈴木 政二君     丸山 和也君
     長谷川大紋君     舛添 要一君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     今野  東君     大石 正光君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     大石 正光君     今野  東君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     松浦 大悟君     川上 義博君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     川上 義博君     松浦 大悟君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     舛添 要一君     森 まさこ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         澤  雄二君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                前川 清成君
                松浦 大悟君
                松野 信夫君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     森  英介君
   副大臣
       法務副大臣    佐藤 剛男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  早川 忠孝君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  小泉 博嗣君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   政府参考人
       警察庁刑事局長  米田  壯君
       法務省民事局長  倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  尾崎 道明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (広島少年院教官による収容少年に対する暴行
 事件に関する件)
 (足利事件や最近の痴漢冤罪事件等における捜
 査の問題点と取調べの全面可視化の必要性に関
 する件)
 (初期のDNA型鑑定についての検証の必要性
 に関する件)
 (DNA型鑑定による有罪立証の妥当性に関す
 る件)
 (飯塚事件における死刑執行の問題点に関する
 件)
 (刑事裁判の構造の見直しに関する件)
 (公訴時効の見直しに関する件)
 (法律扶助制度の拡充に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、長谷川大紋君が委員を辞任され、その補欠として森まさこ君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(澤雄二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長米田壯君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君及び法務省矯正局長尾崎道明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#5
○委員長(澤雄二君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○松岡徹君 おはようございます。限られた時間でございますので、答弁の方も簡素で簡潔にお願いを申し上げたいと思いますが。
 早速ですが、昨日の新聞に広島少年院の教官が四人逮捕されたという記事が載っておりました。我が党は、この問題は発覚したときから矯正局から事情をずっと聴取してまいりました。しかし、昨日いきなり新聞報道で逮捕の事実を知りました。たくさんの問題を含んでおりますが、これまで我が党は、名古屋刑務所から徳島刑務所を始め矯正施設内での暴行事件とか虐待事件というのが続いていたんですね。で、広島少年院の事件が今回ありました。
 改めて議論をしたいと思いますが、この教官の四人逮捕の状況について簡単に御報告いただきたいと思うんですけれども。
#7
○政府参考人(尾崎道明君) まず、告発についてでありますけれども、法務教官四人につきまして、広島少年院に収容されている少年に対して、平手やこぶしでの殴打、足げりなどの暴行や、トイレに行かせず失禁させる、小便を申し出た少年に無理やり紙おむつをはかせるなどの不適正な処遇を行った事案四件につきまして、本月九日、法務省広島矯正管区から広島地方検察庁に対しまして特別公務員暴行陵虐罪の事実により刑事告発いたしました。その法務教官四人は、告発後、広島地方検察庁により逮捕されたと承知しております。
 少年院の法務教官四人が特別公務員暴行陵虐罪の事実により逮捕されるに至りましたことは、矯正行政に対する信用を著しく失墜させたもので、極めて遺憾であります。また、被害者、保護者の方々を始めといたしまして、皆様に深くおわび申し上げる次第でございます。
 本件事案につきましては、発覚の翌日である本年の四月三日から広島矯正管区及び当局により調査を進めております。不適正な処遇が認められると考えられる事案のほとんどが先ほど申し上げた告発に係る四人の法務教官によるものでございまして、件数は合計でおおむね百件前後、被害少年の数はおおむね五十人前後に上っております。今回告発した事案につきましては、事案の態様等にかんがみまして告発するのが相当という判断に至ったため告発を行ったものであります。
#8
○松岡徹君 これは大変重要な問題だと思っています。今、矯正局長からありましたように遺憾な問題だという、何が遺憾なのかということを明らかにしていかなあかんと。
 矯正行政の責務とすれば、少年たちを社会復帰させるために矯正指導していくわけですね。それはやってこられなかったということになりますし、しかも、この四人を中心とした暴行によってその被害を受けた子供たちは、社会復帰どころか精神的な傷害といいますか、暴行を受けて今なおPTSDで苦しんでいる子供たちもおるというふうに聞いています。社会復帰のための矯正施設であるべきところで、むしろ人格を壊されていくとか人生を壊されていくというようなことがあっていいのかどうか、それが遺憾という言葉で済まされる問題なのか、何が問題であったのかということを明らかにすべきだと。その上でしっかりとどこを反省すべきなのかということをやっぱり明らかにしていくことが大事だと思っています。
 そして、これによって生まれた被害、少なくとも新聞報道では五十人、百回にわたる暴行事件があったというように言われていますが、この子供たちの回復に向けてどういうふうな責任を取っていくべきなのかということが問われてくると思いますね。
 そういう視点で、引き続き、今後、次の機会で質疑を深めていきたいというように思っていますので、是非とも矯正局にはその点、私が申し上げた遺憾という言葉で済まされるのではなくて、なぜこんなことが起きたのかということを徹底的に明らかにしていただきたいということと、それを克服するための課題は何だ、何であるのかということをしっかりと示してほしい。そして、これによって生まれた被害をどう回復するのか、その責任をどう果たしていくのかということを是非とも示していただきたいというふうに思っています。後日またこの問題については議論を深めるようにしていきたいというふうに思いますので、ひとつよろしく要請をしておきたいと思います。
 それから次に、裁判員制度がいよいよ始まりまして、もう新聞報道では八月の三日ぐらいから東京で裁判員の裁判が始まるんではないかと、早くては、というふうに言われていますが、そこで、それに至ってちょっと要請なり考えを聞きたいと思いますが、最高裁の方に。
 特に、この裁判員裁判で扱う事件の中での性犯罪事件ですね。この性犯罪事件について、当然、今までもそうですが、被害者の二次被害を防ぐということがあります。性犯罪であっても犯罪なわけでありまして、この被害者たちは性犯罪の被害者ということで二次被害が非常に注目されているというか問題になっています。だから、今までの裁判も法廷で証言に立つときには囲いをしたりプライバシーを守るというような工夫がされています。根本的な二次被害の解決につながるかどうかは別にしまして、そういう配慮をしているということは大事なことだと思います。
 裁判員制度が始まるときに、裁判員の選定のときに、少なくとも五十人ぐらいの候補者の中で、この事件の関係する市民裁判員についてはこの事件から外れてもらうというような審査はされるというように思うんですね。そのときに、この事件にかかわるという選定のときに、性犯罪被害者の先ほど言った二次被害を防ぐ、プライバシーを守るということからしまして、どういうような配慮をすべきなのか。すなわち、裁判員候補五十人の人たちに、この性犯罪の被害はどこで起きて、被害者はだれで、たまたま知っている人がおれば当然それが二次被害につながっていくというおそれがあるんですね。ですから、事件を知らせる、あるいは事件の内容を候補者に知らせる場合どういうふうな配慮をして二次被害を防ぐような選定の仕方を考えられているのか、是非ともそれをちょっとお聞きしたいと思います。
#9
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりでございまして、性犯罪事件につきましては被害者のプライバシーの保護を図るという、その必要性がひときわ高いものというふうに考えております。
 このような事件の裁判員の選任手続におきましては、例えば、裁判員候補者全員を対象としたオリエンテーションにおける事件概要の説明、これをするんですが、その場合に必要最小限の範囲で情報提供することにとどめまして、必要に応じて個別質問の場で裁判員候補者の側から思い当たる名前とか住所とかその他の特定事項を言ってもらうなどして、被害者と当該裁判員候補者との間に裁判員法十七条所定の一定の関係などがあるか、これを確認するといった方法を採用するということが考えられます。また、例えば裁判員候補者名簿の開示を受けた検察官において、被害者と候補者の関係の有無を判断するための手段として、裁判員候補者の氏名を被害者に伝えるということもあり得るところでございます。
 このような様々な工夫によって裁判員法十七条及び十八条の不適格事由の判断の必要性を十分考慮しながら、できるだけ裁判員候補者に被害者特定事項を知らせずに被害者と裁判員候補者の関係の有無を判断するということを考えております。
 今後も引き続き、性犯罪被害者のプライバシーを保護し、二次被害を防ぐための工夫について検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#10
○松岡徹君 どの方法が一番いいのかというのはよく分からないんですよ。すなわち、二次被害がどういう形で起きるのかというのはあくまでも想像の範囲なんですね。しかし、二次被害が起きるということはもう既に実証されていることですし、我々も経験をしているわけですから、決してそういうことがあってはいけない。
 被害者は、この性犯罪事件の被害者なんですね、もうその時点で被害を受けているんですよ。その加害者を判定する裁判のときに、被害者として証言台に立つ、あるいは証言に行くということがどれぐらい本人にとってつらいことか、あるいはそのことが結果的には二次被害に遭ってしまうということは、これは白黒付けるという裁判の目的はいいですけれども、そのことが被害者の二次被害を生み出すような要因になってはならない、何のためにやっているんだというふうなことになってしまいますので、是非とも引き続きの検証をお願いを申し上げたいというふうに思います。これをやったからといって二次被害が完全に防げるかという根本的な対処法ではないと思いますが、しかし最大限の配慮をしていくべきだというふうに私は思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは次に、足利事件、いわゆる足利事件について大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、ちょうど一週間前ですね、ちょうど一週間前に、足利事件の受刑者といいますか、菅家さんが刑の執行を停止をされて釈放されました。当日の朝まで全く分からないという状態でいきなり、一週間前の今日ですね、本人に連絡があって、そして釈放されたということであります。
 この釈放、刑の執行停止と釈放理由ですね、これはどういうものだったのかというのをちょっとまずお聞かせ願えますか。
#11
○国務大臣(森英介君) 再審請求の即時抗告審におきまして、最新のDNA型鑑定であるSTR型検査法による鑑定が実施されました。その結果、被害者の着衣から得た鑑定試料と再審請求人のDNA型が不一致となりました。このことから、これが再審請求の要件である無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものと判断し、再審請求人の刑の執行停止をしたものと承知をいたしております。
#12
○松岡徹君 DNA鑑定が一致しなかったということが釈放の理由だと、刑の執行の停止。これは検察の方の記者会見のところでも言っているんですよね。すなわち、刑事訴訟法の第四百四十二条に、「再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。」と。すなわち、継続する理由がないと検察官が判断した場合、刑の執行を停止することができる、そして釈放というふうになったと思うんですね。
 その釈放の理由、継続する理由がないという理由はDNA鑑定の結果だけなんですか。
#13
○国務大臣(森英介君) 今御答弁申し上げたとおり、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものと判断されましたのは、その最新のDNA型鑑定であるSTR型検査法による鑑定の結果でございます。
#14
○松岡徹君 私は、DNAの鑑定、DNAの証拠能力というのがそこで問われてくると思うんですね。すなわち十七年前、十七年半にわたって菅家さんが拘留された、あるいは刑務所に拘留されるといいますか収監されるという事態になっております。当然、大臣もあの記者会見とか見られていると思いますが、十七年半の人生返せ、間違ったでは済まされない、もう全くその気持ちはよく分かると思うんですね。その間違った理由であるすなわち釈放理由、刑の執行停止の理由が、DNA鑑定が当時のDNA鑑定と今の高度なDNA鑑定をした結果違ったということが分かったということですね。
 そうすると、あの当時の、私は一つは、DNA鑑定が違ったから刑の執行を停止する、継続する理由がないと。普通はDNA鑑定も確かに有力な証拠であることは事実ですけれども、それ以外はなかったんですか、それ以外の証拠。
#15
○国務大臣(森英介君) 再審請求の即時抗告審において係属中の事件に関する事柄でございますので、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、捜査段階において実施されたDNA型鑑定では、被害者の下着から採取されたDNA型と再審請求人のDNA型が一致し、起訴時、その出現頻度は血液型検査の結果も加味いたしますと千人中一・二人であるものと計算されたと聞き及んでおります。
 検察当局においては、当時、ただいま申し上げたDNA型鑑定のほか、被害者のパンツに付着していた陰毛と再審請求人の陰毛は形態的によく類似し、両者の血液型が一致するほか、元素分析の検査を行ったところ両者の分析結果が類似しているなど、極めて高い類似性があること、再審請求人が事件現場付近に土地カンを有していたことなどの事実と再審請求人の自白などの証拠を総合的に勘案、評価し、再審請求人を起訴したものと認識しております。
 しかしながら、検察当局においては、最高裁で無期懲役の判決が確定している事件につきまして、新鑑定書一通が刑訴法四百三十五条六号に定める無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する蓋然性が高いと判断し、その旨の意見書を提出いたしました。それと同時に、刑の執行停止により再審請求人を釈放するに至った次第でございます。
 私も今回の事件、実は誠に遺憾なことと受け止めておりまして、あってはならないということで、検察当局においても、本件の問題点をしっかりと洗い出して、今後同じようなことが二度と起こらないようにしてもらいたいと切に願っているところであります。
#16
○松岡徹君 最後におっしゃった大臣のその決意は私も一緒なんです、二度とこんなことが起きないように。
 そしたら、なぜこんなことが起きたのかということをこの事件で読み取らなかったら駄目だと思うんですね。私はそういう立場で質問をするんです。大臣も、二度とこんなことが起きてはならない、起こしてはいけないと言うんなら、この足利事件でなぜこんな結果を招いてしまったのか、それを明らかにしなかったら駄目なんですね。遺憾だとか、あいまいな言葉で言うべきではないと、はっきりするべきだと思うんです。
 ですから、私はDNAだけではなくて、ほかの証拠はどうだったんですかと。それが、今回はDNA鑑定を再鑑定した結果違ったから、刑の執行を停止して釈放したんですよ。
 そしたら、DNAだけで起訴したんですか、十七年前。違うでしょう。ほかの証拠の評価はどうですかと聞いているんです。
#17
○国務大臣(森英介君) それは今申し上げたとおりでございます。だから、例えば血液型とか自白とか、そういった様々な証拠を総合的に評価して起訴に至ったものと思いますが、今回の再鑑定によりまして真犯人でない蓋然性が高いと判断されたということでありまして、その時点においてはDNA型の鑑定だけによってということではもちろんございません。
#18
○松岡徹君 私はもうこの事件を、是非とも大臣、最後におっしゃった、先ほどの答弁でおっしゃった、やっぱりこんなあってはならないことが起こってしまったんですよ。だから、やっぱり二度とこういうことを起こさないようにするためには何をすればいいのか。それは、すなわちこの事件が起こった原因を明らかにするということが大事になってきます。その上で対応を考えなかったら、私は、何か隠ぺいしようとしているんちゃうんかと。一体大臣はだれの権利の立場に立っているのか、この菅家さんの十七年半の人生を返せということにどうこたえようとするのかということになると思うんですね。
 私は、人間のすることですから間違いもあるかもしれません。それはそれでしっかりと明らかにして、克服する課題として改善していくということが大事だと思う。だから、DNA鑑定を今回再鑑定した結果、刑の執行を停止した。しかし、ほかの証拠はどうだったんですかと。それはやったんですか、それは正しかったんですか。ほかの証拠は、自動的にその証拠も、菅家さんにとって有罪としてきた、根拠としてきた他の証拠も、実は間違っていたということではないんですか。
#19
○国務大臣(森英介君) 今委員御指摘のことはまさにごもっともなことであると思いますが、何はともあれ、当事者である最高検においてその検証チームを早速発足させまして、この事件についてのこれまでの様々な経緯について検証する作業を早速始めるわけでございますので、その検証チームの検証結果を見守りたいというふうに思っているところでございます。
#20
○松岡徹君 検証チームは結構ですけれども、大臣、私たちは今日の法務委員会で菅家さんと佐藤さんを参考人招致してほしいと言ったんですよ。すなわち、もう先週の木曜日、今日ですね、先週、一週間前ですけれども、ちょうどそのときに菅家さんは刑の執行を停止されて釈放されたんです。それを請求したのは検察ですよ。起訴してきた検察が菅家さんは無実だということをもう認めたんですよ、その時点で。間違っていたということを認めた。だから、刑の執行を停止して釈放したんですよ。あとは再審の手続をして、法律上もそれを是正する、すなわち無実というものをしっかりと証明するというあとは手続が残っているだけなんですよ。
 私は、この法務委員会で参考人で聞いて、彼らの間違った、すなわち警察、検察が起訴してきたことが間違いだった結果、彼の十七年半年の人生は奪われてきたんですよ。やっぱり彼の意見というか声をまず聞くというのは立法府としての我々は一番大事だと思うんですけれども、まあできなかったんです、私はそれはもう非常に不満に思っていますけれども。
 ですから、是非とも別の機会にしっかりと声を聞いていくということが大事だと思うんですが、大臣ね、大臣ですから、検証チームに丸投げするんではなくて、大臣がやっぱりこういうふうに思っているということを示すためにも、DNA鑑定が違ったら、この人はやっぱり無実だったということを認めたんです。ということは、DNA鑑定以外の証拠、すなわち自白とか、あるいはその他の証拠も、実は菅家さんのではなかった、あの証拠も自白もうそ、違うかったということを認めていることになるんじゃないんですか。そこからスタートしなかったら、いやいや、自白は正しくてDNAだけが無実だったんだとか、そんな矛盾はあり得ないでしょう。だから、私は、大臣の、DNA鑑定はそれぐらい大事な証拠能力を持っていると思いますけれども、しかし、それだけが菅家さんを起訴する、有罪とする根拠としてきたんじゃないでしょうが。その他の証拠も実は、菅家さんが無実だということは、違う証拠だったということでしょう。自白も違うかったということになるんじゃないんですかということを聞いている。
#21
○国務大臣(森英介君) あくまでも再審手続開始前の現時点でございますので、法務大臣としての答弁は差し控えたいと思いますが、今申し上げましたように、最高検の検証チームにおいて本件の全記録、証拠を精査して、捜査、公判の全過程について検証して、本件のような事態となった原因や問題点等を検討する予定になっておると聞いておりまして、これやっぱり当事者たる検察においてそのような努力をすることがまず肝心ではないかというふうに私は思います。
#22
○松岡徹君 大臣、大臣、そやけど政治家ですから、しかも大臣は法務行政の責任者ですから、その責任者がどういう姿勢でこの事件の結果を受け止めているのか。遺憾に思っていると、二度とこんなことがあってはならないと思うならば、この事件をどうとらえているんですかということを私は聞いているんですよ。
 時間がありませんから私申し上げますけれども、菅家さんを有罪としてきた証拠の中には、DNAだけじゃないんですよ。そのときに残されていた陰毛の形状が似ているとか、昔から言われていましたけれども、この足利事件の菅家さんを有罪としてきた根拠の二つの大きな点は自白とDNAだと言われてきたんですよ。しかし、菅家さんは、裁判が始まってから自白を翻して、実はやってないということをずっと一貫してその後言うてきたんです。
 しかし、今回は、DNAの再鑑定やったら菅家さんは無実だということを認めて検察が刑の執行を停止したんですよ。すなわち、イコールDNA鑑定に、この証拠能力に対して、DNA鑑定に対して、当時のDNA神話といいますか、昔の血液型とかあるいは指紋という証拠能力からすればはるかに格段の特定率の高いDNAというこの技術が開発されたということはそうかもしれませんが、実はその下につくられたのが周りの証拠であって、自白ではなかったのかという気がするんです。
 菅家さんは、一九九一年の十二月の一日に、早朝、家に警察が来て、そしてそのまま任意で警察署へ連行されて、そしてその夜に自白しているんです、やりましたと言うている。これ、任意の間なんですよ。任意の取調べのときに夜の遅くまで帰らせてくれなくて、その間に髪の毛引っ張られたりとか、け飛ばされたりしたと言っているんです。任意の取調べのときに、もう当日に菅家さんは泣きながらやりましたという自白をした。その自白でつくられて、起訴されて、彼は十七年半、今日まで来たんですよ。
 で、今DNAが違ったといったら、この自白も違ったということじゃないんですか。そういうふうに考えられませんか、大臣。
#23
○国務大臣(森英介君) これ、再三申し上げますけれども、即時抗告審において係属中の事件でございますので、詳細についてはお答えを差し控えますが、確定審の控訴審判決においては、控訴審で再審請求人が今委員が御指摘があったような申立てをしたところ、同請求人を取り調べた捜査官らが自白を得るために同請求人に対し殊更な誘導、強制を加えた事跡は認められないとこの控訴審において判断されているものでございますので、私からはコメントを差し控えます。
#24
○松岡徹君 これから検証していくんでしょう、検証チームを設置して、検証チームをつくって検証するんですから。今、先ほど言いましたやろ、この事件についてこんなことが二度と起きないように検証チームを設置して真相を究明すると言ったでしょう。真相を究明する場合、この事件の明らかになっているのは、この人は、菅家さんは犯人ではないということがはっきりしたんです。この人を犯人にしてきた根拠としてのDNAが違った。それ以外の証拠も違うということに必然的になるでしょう。しかし、皆さん方はそれを維持してきたんや。自白も、それは、この自白は正しいと言ってきたんでしょうが。これは違うということにならないですか。こんな違った自白をなぜ取ったのか。何でこんな違う自白が作成されたのかというところまで検証しなかったら駄目でしょうが。その前提は、この自白も菅家さんの有罪を示すものではないということにはならないですかと。DNAが違ったから菅家さんは無罪だということではないですよ。それ以外の証拠も違うということになるんじゃないですか。すなわち自白も違うということでしょうが。
 そしたら、こんな違う自白をだれが作ってきたんや、どうして作られてきたんだということに検証の視点としては生まれてきませんかということですよ。だから、他の自白というか証拠も当然のように菅家さんの有罪を示すものではないということになっているんでしょう。それを聞いているんです。それをはっきりしなかったら、これから検証する言うても、すかたん検証して、訳の分からぬ検証結果しか出ませんよ。
#25
○国務大臣(森英介君) いや、まさに今委員御指摘のあったことを、DNA鑑定の結果にとどまらず、全体的な記録、証拠を精査して検証するというのが検証チームの目的でございますから、その目的を十全に発揮してもらいたいというふうに思います。
#26
○松岡徹君 だから、だから、DNAは当然のように専門家で、皆さんのところには科警研というのがありますから、そういう専門のところでやりますけれども、その結果菅家さんは無実だということを分かって、起訴してきた検察自身が菅家さんは無実だということで刑の執行を停止して釈放したんでしょう。しかも、昨日、検察の次長ですか、まで謝罪しているんですよ。
 すなわち、菅家さんが無実だというのは、DNAだけではなくてほかの証拠も実は違ったということになりませんかと言うているんですよ、自白も。検証することについては私は何も否定しませんよ。そういうふうになりませんかということを大臣に聞いている。大臣は言っているのは、DNAが違ったから菅家さんは無実ですと言うてるだけで、ほかの証拠も違っていたということじゃないんですかと言うているんですよ。
#27
○国務大臣(森英介君) それは、今回の新規明白な証拠というのはDNAの再鑑定結果でございまして、それをもって有罪と思われないというふうに判断したわけでございまして、現時点において、検証もしないままでその他のすべてが証拠能力を持たないということは断じられないというふうに私は思いますよ。
#28
○松岡徹君 それはおかしいよ。そうしたら、何で釈放したんや。何で刑の執行を停止したんですか。ちょっと待ちなさいよ。おかしいやないか。そしたら、ほかの証拠だけでも維持して刑を続けておったらよろしいやがな。なぜ刑の執行を停止したんだ。しかも、検察が記者会見で言っているのは、我々としても再審を開始しても差し支えないという意味だ。無罪言い渡しに該当するのは否定し難いというふうに判断した。
 いいですか。すなわち検察がもう既にこの人は無実だという、だからこそ刑の執行を停止して釈放したんでしょうが。本当に、いや、そうではないと、DNAは違うと出たけれどもほかの証拠はこれで、あるいは自白は、これは信用できるというなら、なぜ釈放したんだ。
#29
○国務大臣(森英介君) いや、ですから、その一事をもってしてそうではないということが新規明白な証拠であるということで判断したということを申し上げているのであって、その一つ一つについて検証するのはこれからの作業であって、神ならぬ身ですから、今の時点ですべてを私がここで言い切ることはできないということを申し上げただけでございます。
#30
○松岡徹君 私は、森大臣は裁判長でも何でもないですし、法務行政の責任者でありますから、紛れもなく今回の事件は法務行政の今までの中で出てきたんですよ、これ、検察や警察の捜査とか。やっぱり大臣が、一つ一つ検証する言うのはいいですけれども、どの立場に、どの前提に立って検証するのかということで私は聞いているんですよ。
 大臣は今でも、いや、菅家さんはまだ犯人かもしれないと思われているんですか。
#31
○国務大臣(森英介君) そういう意味じゃなくて、やはりそのことで判断したというその根拠を申し上げているのであって、それだからといって、やっぱり一つ一つ検証しないと、これからまだ再審手続に入る前の段階で私が法務大臣の立場で申し上げるというのは裁判所との関係においてもいささか逸脱しているということを思うものですから、こういう表現になっているわけであります。
#32
○松岡徹君 そしたら、検証の結果、またぞろ菅家さんが逮捕されるということはあり得るんですか。
#33
○国務大臣(森英介君) ですから、今委員が言われました、どういう立場に立っているかということは、もう既に明白であるというふうに思います。
#34
○松岡徹君 だからこそ、間違いだと、この事件は、菅家さんを有罪としてきたこの証拠は菅家さんのものではないと。すなわち菅家さんは犯人ではないということでしょう。
 だから、私は、もう時間が来ましたからこれで終わりますが、是非ともこの事件で、今大臣がおっしゃったように一つ一つ検証することは大事ですけれども、大臣、これ絶対間違ってほしくないのは、検察とか警察を守るような立場で検証してほしくない。
 これは、明らかにこの事件は間違いだったんです。この間違いをやったのはだれですか。DNA鑑定を採用して菅家さんを犯人にしてきたのはだれですか。それに基づいて自白を作ってきたのはだれですか。それ以外の証拠を集めてきたのはだれですか。それをみんな菅家さんの有罪根拠として立件してきたんでしょうが。皆さん方、起訴してきたんでしょう。十七年半掛けて、やっとこれが違ったということが分かった。その違ったというのは、DNA鑑定が違うかっただけではなくて、その周りの証拠もあるいは自白も違かったということでしょう。しかし、少なくともそれまでは菅家さんを有罪としてきた根拠だったんですよ。
 だから、そういうことからすると、こういうことを作ってきたのはだれなのか、なぜこんなことが起きたのか。まさにこの舞台は、取調べのときとか捜査の在り方とかいうところにまで踏み込まなかったら、これ二度とできないですよ。私は、そういう視点で大臣に政治的な力を発揮してほしいというふうに思います。
 私はこれで終わります、終わりますけれども、是非ともこの事件について、これを教訓にするということと、やっぱり菅家さんの十七年半のこの人生を返せという気持ちに報いるためにも、やっぱり我々は責任を持ってなぜこんなことが起きたのかということを明らかにしなくてはならないと思いますし、まさにDNAだけに頼って周りの証拠を作ってきた、自白を強要してきたということがあるんではないか。しかも、それが任意の段階で取調べでやられてきた。
 取調べはすべて可視化をするべきだというふうに思っておりますので、引き続きこの件について集中的な審議をしていただくことを要望しまして、終わりたいと思います。
#35
○松野信夫君 民主党の松野信夫です。
 今、足利事件について松岡議員の方からるる質問がありました。私も後半にこの問題取り上げさせていただきたいと思いますし、この問題について徹底した解明をしていかなければいけない、それだけの大変重大な事件であるということをまず冒頭申し上げたいと思います。
 それで、私の方も冤罪事件について取り上げたいと思います。
 今年の四月の十四日、防衛医大の名倉教授の痴漢冤罪最高裁判決がございました。この事件について取り上げたいと思いますが、その前に、周防正行監督作品に、「それでもボクはやってない」という痴漢冤罪をテーマにした映画があります。これは日本の司法、警察、検察の持っている問題点を鋭く描いた大変好評な映画でありますが、大臣はこの映画は御覧になったことがございますか。
#36
○国務大臣(森英介君) 見ておりません。
#37
○松野信夫君 これは大変鋭い、示唆に富む映画だと思いますので、それでも私は見ていないではなくて、「それでもボクはやってない」という映画を是非大臣御覧いただきたいと、このようにまず冒頭申し上げたいと思います。
 それで、この防衛医大の教授の冤罪事件でありますが、この名倉教授は、文芸春秋の今年六月号に手記を載せておられます。「「痴漢逮捕」の汚名を着せられて」ということで、この中見ますと、取調べでは何度も自白を強要されましたと、こういうことで、今でもこうした事件に対する、何でこういう事件が起こったのかという全く納得できない思いをつづられております。
 この防衛医大の教授はこうも書いておられます。自分が国家公務員だということもあり、私はこれまで一度たりとも司法を疑ったり、裁判官や検察官といった法曹界の人々の権威を否定したことはありませんでしたというふうに述べられておるんですが、しかし、今ではもう司法に絶望を感ずるとまで言い切っておられるわけであります。
 こうした思い、この名倉教授のこうした思いを大臣はどのように受け止めておられますか、まずお尋ねします。
#38
○国務大臣(森英介君) これは、いずれにしても、個別の事件のその結果について、私の法務大臣としての所感を申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、それは、そんたくするに、その心中察するに余りあるものがあると思います。
#39
○松野信夫君 事件についてお尋ねすると、個別の事件だからなかなか答えられないという答弁はよくお聞きしますが、しかしもうこれは確定した事件です。現在進行中の事件であれば、現在行われている裁判に影響を与えるのは具合が悪いと、こういうことで差し控えるということは分からないではないですが、もうこれは確定した事件で、ですから、何でこんなふうに一般の、私はこの手記を見る限りは大変まじめな大学の教授が突然痴漢ということで捕まって、まさにもう何とも言いようのないどん底に落とし込められると、こういうことをやっぱり繰り返してはならない。先ほど足利事件についても、これは二度と繰り返してはならないというふうに大臣も言っておられるわけですから、やっぱり痴漢冤罪事件についても、こういうのは繰り返してはならない、こうした思いで、やっぱりこの防衛医大教授の事件についても、何でこんなふうになったのか、そこの原因を徹底してやはり究明をして、二度とこういう事件を起こしてはならない、こういう思いに大臣はなりませんか。
#40
○国務大臣(森英介君) 一般論として申し上げれば、無実の人がそういうぬれぎぬを着せられるというのはまさにあってはならないことであって、そういうことが起こらないように、検察当局としてもこれまで以上に万全を期してもらいたいと願っているところでございます。
#41
○松野信夫君 痴漢事件というのは、最近よく新聞、テレビでも報道がなされておりますが、まさに電車の中で普通の市民の人が突然、おまえは痴漢だということで捕まる。そうなりますと、まず社会的にはほぼ抹殺されるに近い状態になる大変な問題でありまして、私は、やっぱり是非この防衛医大教授事件、これをきっかけに、それこそ警察庁内部ででも結構です、あるいは、できれば第三者もちゃんと入れて検証チーム辺り作って、できれば第三者を十分に入れた形の検証というのを進めていただきたいというふうに思います。
 この防衛医大の場合は、取調べ自体についてもかなり問題があると思います。かなり何度も何度も、自白をあの手この手で強要されたというような話も出ております。また、DNA鑑定やったと。DNA鑑定するぞ、DNA鑑定でうそをついてもすぐばれると、こういうふうな形で恫喝もされていたようであります。これは強制わいせつ事件ということでありますので、恐らく取調べについては可視化がなされていなかっただろうと思いますが、まさにこういう事件こそ可視化をすべきではないかと思いますが、大臣はいかがですか。
#42
○国務大臣(森英介君) かねてから申し上げておりますとおり、全面録音、録画の件につきましては、やはり取調べの重要性、我が国における重要性にかんがみまして、様々な捜査手段との総合的な検討の中で検討されるべきものというふうに思っております。
#43
○松野信夫君 だからこそ冤罪がやっぱり発生して、絶えない冤罪事件が起こるのではないかというふうに、これは本当に大臣にその点は申し上げざるを得ないと思います。
 やっぱりこの取調べのところ、確かに日本の場合は取調べが重要だということになっている。そうすると、そこでの取調べに無理がないか、不当な取調べがないかと、そこはやっぱりきちんとビデオで後から検証できるというふうにしていかなければ、日本の刑事司法というのは決して良くならないと思います。
 それで、一つ具体的に確認しておきたいんですが、この事件というものは、起訴状を拝見しますと、乗客である女性、当時十七歳に対して、その意に反してパンティーの中に左手を差し入れ、その陰部を手指でもてあそぶと、こういうふうになっているんですね。それで、名倉教授は、捕まったすぐ直後に、その左手にセロテープのようなものを張られて、着衣の繊維が残っていないかどうか調べられたわけです。
 ところが、これは後から分かったわけですが、その繊維が付着していないかどうかの鑑定書には、その女性のパンティーの、下着の繊維はなかったという鑑定結果になっていたわけです。ところが、この鑑定書はなかなか出てこなかったと。やっぱり検察官にとってみると、そういう不利な証拠は客観的な重要な証拠ですよ、だけども法廷にすぐには出さなかった、こういうことでありまして、これでますますやっぱり納得のいかない司法だとこれは言わざるを得ないわけであります。
 私はやっぱり、検察官というのは公益の代表者です。中には、それは検察官にとってみれば余り出したくない証拠があるかもしれない。だけども、これは極めてこの事件にとっては重要な証拠で、犯人とされた人の手指にパンティーの繊維が付いていたか付いていなかったか、これは考えればもう極めて重要な客観的証拠ですが、なぜそういうような証拠を早く検察は出さなかったのか、弁護側が要請して要請してようやく出てきたと、こういうおかしなやり方をなぜ取ったのか、この点、いかがでしょう。
#44
○委員長(澤雄二君) 法務省大野刑事局長。(発言する者あり)
#45
○政府参考人(大野恒太郎君) 済みません、訴訟の技術的なところでございますので、私の方から取りあえず御答弁させていただきたいと思うわけでありますけれども。
 検察官が証拠請求いたしますのは、公訴事実に必要な関係の証拠を請求するわけでございます。微物鑑定につきましては、これを実施しても、その有罪立証に資するといいましょうか、そういうような証拠が見付からなかったわけでございます。これはむしろ証拠開示の問題でございます。証拠開示を弁護側から求められれば、当然にこれは検察官は開示をすることになるわけであります。
 その開示した証拠をどういうふうに用いるか、これは弁護側の御判断ということになるわけでありますが、手続について申し上げますと、公判前整理手続というのが現在設けられておりまして、ここで、鑑定書につきましては類型証拠の中に分類をされている、あるいは争点に関連している証拠ということになるわけでありますから、そうしたことで請求があれば検察官は当然に開示をすることになるというように承知しているわけでございます。
#46
○松野信夫君 もう一般論は結構ですよ。一般論は結構なので、今具体的に私はこの防衛医大教授の事件について、率直に言うと、検察官はこの鑑定証拠というのをむしろ見付からなければこれ幸いということで隠そうとしていたんじゃないんですか、率直に答えてください。この事件について聞いています。
#47
○政府参考人(大野恒太郎君) 個別事件についてのお答えは差し控えるわけでございますが、ただ、先ほども申し上げましたように、証拠開示の仕組みが定められております。これにのっとって請求がなされれば当然それに対応する請求をする、これが検察の基本的な姿勢でございます。
#48
○松野信夫君 また個別事件で逃げるかもしれませんが、まさに事件というのは、いろんな個別事件を積み重ねてどうするかというのを今国会で議論しているわけですよ。
 それで、じゃもう大臣にお聞きしますけど、やっぱりこういう重要な鑑定書というものは、検察官が公益の代表者なんですから、そんなものはちゃんと、弁護人から追及された結果出すというのではなくて、こういう重要な証拠は堂々と公判請求した以上は出すというのが当たり前だと。しかも、弁護側から見ますと、検察側にそういう証拠を持っているのか持っていないのか分からないわけですよ。これは、この事件は、たまたま名倉教授が、捕まってすぐ、自分は左手、セロテープでべたべたと何か取られたという記憶があったので、それなら鑑定書があるはずだ、あるなら出せということで、やっと後になって出てきたと、こういうことですから。
 ですから、我々が可視化法案の中でも訴えているように、検察官の手元にある証拠はちゃんとリストを作って明らかにしろと、これは当たり前のことではないですか。大臣、どうですか。
#49
○国務大臣(森英介君) 私は、法に反して殊更に不利な証拠を隠ぺいするようなことはしていないというふうに思っておりますけれども、(発言する者あり)いえ、開示したわけですから、いずれにしてもですね。
 今、現行の刑事訴訟法に定められた公判前整理手続で、証拠開示に伴う弊害の防止にも配慮し、被告人側の訴訟準備と争点整理、証拠整理が十分なされるよう、基本的に開示の必要性と開示に伴う弊害の双方を勘案して開示の要否を判断するという仕組みが採用されるのではないかというふうに思っております。
#50
○松野信夫君 大臣、私の質問の趣旨を全く理解していません。
 私は、やっぱり弁護側から見れば、検察がどういう証拠を握っているのかというのが分からなければ、そもそも開示の請求のしようがないじゃないですか。それは、弁護側が開示請求をすれば、裁判所の方でその開示請求を認めるとか認めないとか、そういう御判断は当然出てきますが、そもそも請求しようがないわけです、どういう証拠を持っているのか。
 だから、ちゃんと、せめてこういう証拠は手元にあるというリストを作って出さなければ、到底、公益の代表者としての資格もないし、公平な裁判が維持できない、これを言っているわけで、もう一遍、大臣、答えてください。
#51
○国務大臣(森英介君) 今申し上げましたけれども、加えまして、供述証拠あるいは鑑定書、証拠物といった証拠の標目だけが記載された一覧表を開示しても意味がないということと、それから、証拠の内容、要旨まで記載した一覧表を開示することにいたしますと、検察官の手持ちの証拠をすべて開示するのに等しくて適当ではないと考えられることなどの問題点があって、適当でないというふうに考えられ採用されなかったものと理解をしております。
#52
○松野信夫君 検察官の立場というのは、何でもいいから、まあ場合によっては証拠をでっち上げてもいいから有罪に持ち込めば勝ちだと、そういうものではないわけですね。あくまでもやっぱり真実をちゃんと明らかにするという崇高な使命を持っているわけですから、その点は、こういう鑑定書のような重要な証拠を出さないでいい、何かリストにも出さないでいいと、そういう理解というのは全く私は理解できません。
 それから、もう一つ確認しておきたいんですが、この名倉教授は、捕まった直後に警察の方から、DNA鑑定をやると。DNA鑑定をやれば、おまえがうそついたってすぐにばれるという恫喝をされているんですね。そうすると、どうもDNA鑑定というのがなされたらしいというふうに思われるんですが、ついぞこのDNA鑑定結果というものは法廷に顕出されませんでした。
 どうも、手に着衣があったかないかの繊維鑑定は後から出てきましたけど、DNA鑑定というのはついぞ出てこなかったんですが、これは一体どうなったんでしょうか。
#53
○政府参考人(大野恒太郎君) 個別の事件につきましてはもちろんお答えできないわけでありますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、証拠開示請求がなされておれば、その有無についてはきちんとお答えをすることになる仕組みになっているわけでございます。
 先ほど、リストがなければ証拠開示の請求のしようがないじゃないかという御指摘もありましたけれども、実際の刑事訴訟法の手続の中では、個別の証拠を特定することは求められているわけではございません。関係の鑑定書等があればこれを出してもらいたいということであれば、出す形になっているわけでございます。
#54
○松野信夫君 そんな一般論を聞いていないんですよ。
 私が聞いているのは、この具体的な事件で、警察はDNA鑑定すると、おまえ、うそついたってすぐばれるというふうにまで脅して取調べしているんですから、当然、被告側から見ればDNA鑑定されたという思いがある。ところが、結果的に全然出ていないものだから、一体これはどうなっているんだと。
 もうこの事件は終わった事件ですよ。私は、やっぱりこういう無罪になった事件については徹底して検証をして、それでやっぱり被告人の人が納得してないわけですよ、全然。やっぱり私は、検察官に全面的なこういう説明義務、DNA鑑定をやったのかやらないのか、やったけど大した結果が出なかったのでこれは法廷に出しませんでしたと言うのか、それとも単にこの警察官はDNA鑑定するぞという脅しをしただけなのか、その辺を明らかにしてくださいよ。
#55
○政府参考人(大野恒太郎君) DNA鑑定を行ったかどうかという点につきましては、先ほども申し上げましたけれども、公判前整理手続で証拠開示が行われれば、そしてそこで鑑定書があるかどうかというお求めがあれば、そこの手続の中で、ある場合には開示いたしますし、ない場合にはないとお答えすることになるわけであります。(発言する者あり)
#56
○委員長(澤雄二君) 聞こえない、答弁が。答弁が聞こえないですから。
#57
○松野信夫君 ちょっと、これでは私の質問に全然答えてない。
#58
○委員長(澤雄二君) もう一度、じゃ御答弁してください。
#59
○松野信夫君 DNA鑑定したのかしてないのか、鑑定書があるのかないのか、それだけでいいです。
#60
○委員長(澤雄二君) 今、答弁していますから。
#61
○政府参考人(大野恒太郎君) まず、個別の事件についてあるかどうかということにつきましては、個別の事件についてはお答えできませんというふうに申し上げました。
 それから、それに続きまして松野委員の方から、鑑定をしたかしないか分かるような仕組みにすべきじゃないか、こういうような御発言がございました。これにつきましては、現在の仕組みでも、公判前整理手続の中でその点は明らかになる仕組みになっているということを御答弁申し上げた次第でございます。
#62
○松野信夫君 もう端的に聞きますよ。じゃ、DNA鑑定、この防衛医大事件については、DNA鑑定されたのかされないのか、鑑定書があるかないか、それだけを答えてください。
#63
○政府参考人(大野恒太郎君) 個別の事件につきましてはお答えを差し控えさせていただいているということでございます。
#64
○松野信夫君 ちょっとこれは委員長の方に是非お諮りいただきたいと思いますが、もう確定した事件について、やっぱりこういう重要な、今特に足利事件もそうですし、DNA鑑定については大変大きな問題になっているわけで、せめてこの事件についてDNA鑑定なされたかどうか、委員会の方でも取り上げて調べていただきたいと思います。
#65
○委員長(澤雄二君) 今の件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
#66
○松野信夫君 足利事件について、残された時間でお尋ねしたいと思います。
 足利事件については、先ほど松岡委員の方からもいろいろ質問がありました。DNA鑑定以外の取調べ、これが非常に問題だ、うその自白が強要された、この点を徹底してやっぱり調べなければならない、これはもう当たり前のことだというふうに私も申し上げたいと思いますが、私の方は、このDNA鑑定そのものについてもやっぱり足利事件については大変大きな問題があるというふうに思います。要するに、足利事件が発生したのは平成二年でありますが、この当時のDNAの鑑定というのは、今から考えてみるとかなり精度が不十分だと、不正確であるということが明らかになってきているわけです。
 それで、足利事件と同じころ、これは平成四年に福岡県の飯塚の子供さんが殺されたといういわゆる飯塚事件もあるわけです。これもDNA鑑定で一致しているからということで、最終的にはこれは死刑になって、我々は強く批判をしましたけれども、昨年の十月二十八日には死刑が執行されると、こういう大変痛ましい事件だと言ってもいいと思いますが、私は、もう大いに再審の可能性が十分にあり得る事件、何でこんなに慌てて森法務大臣が死刑執行書に署名されたか、これはこれで大変大きな問題だと思いますが。
 そうしますと、この平成二年とか平成四年とか、このころのDNA鑑定というのは、必ずしも科学的な正確性というのは十分ではないということがもう今では明らかになってきているわけであります。
 そうすると、平成の初期の段階の事件について、DNA鑑定がなされてそれで有罪だとなっている事件については当然これはもう疑義が出てくるわけでありまして、そうすると、平成の初期の段階で、DNA鑑定で、その結果有罪になったと、こういうような事件がどの程度あるのか、その辺はよくよく検察の方でお調べになってもう一度見直しをするというようなことがお考えになっているかどうか、この点まずお伺いします。
#67
○政府参考人(大野恒太郎君) 検察当局におきましては、今回の足利事件の鑑定で、当時行われていたMCT118型鑑定法によるDNA鑑定の信頼性一般が否定されたというようには必ずしも考えておらないわけであります。しかし、少なくともその精度が当時と比べて飛躍的に上がってきていることは明らかでありまして、そうした観点で、今回と同様のDNA型鑑定の結果が有罪認定の証拠とされた事件につきましては、鑑定の試料を採取した証拠品の保管を継続するよう、まず全国の検察庁に指示をしたわけでございます。
 検察当局におきましては、今後、ほかの事件につきましても、したがって、DNA鑑定が実際に有罪認定の証拠とされているかどうか、それから、されている事件においてその試料を採取したその元の証拠が残っているかどうかというようなことをまず調査しないといけないということになるわけでございます。
 そうしたことで、そうした過程で、もちろん被告人であった方の方からお求め等があれば、これも踏まえて、個別の事案に応じて適切に対応していくということになると考えております。
#68
○松野信夫君 ちょっと確認ですが、今の御答弁ですと、証拠をちゃんと残すようにという証拠保存を各地の地検の方に命じたようですけれども、そうすると、事件の件数としてはどれくらいの事件だというふうにお考えですか。
#69
○政府参考人(大野恒太郎君) 現段階においては件数を正確に把握しておりません。
 実際にDNA鑑定を行われた事件の中でも、実際にそれがどれだけ起訴されているのか、そして、起訴されてもそれが有罪判決の資料にされているのかどうか、その辺りは統計が全く取られておりませんので、現在そこのところの調査を進めているということでございます。
#70
○松野信夫君 アメリカの事例で申し上げると、現在有罪で収監中の人たちについてDNA鑑定をもう一遍やり直しをしたところ、百数十人が無罪だということが分かったと、こういうような事例報告もあるんですが、そういうような事例収集は検察の方もやっておられますか。アメリカの例です。
#71
○政府参考人(大野恒太郎君) 詳細はもちろん承知しておりませんけれども、今言われたような情報は私どもも把握しているところでございます。
#72
○松野信夫君 そうだとすると、是非この飯塚事件、飯塚事件も大変痛ましい、子供さんが亡くなられたという事件ではありますが、これもやっぱりDNAの鑑定が一致したということで、本人は否認をしていたにもかかわらず有罪になった事件でありますので、飯塚事件についても検察としてはもう一遍見直しをするというお考えはありますか。
#73
○政府参考人(大野恒太郎君) 個別事件についてはお答えを差し控えさせていただいております。それから、死刑執行事件につきましても、実際の証拠関係等の詳細については従来から差し控えさせていただいているところでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、最高検ではこの六月四日に、最新のSTR検査法による鑑定が実施されるようになった以前に実施されたDNA型鑑定の結果が有罪認定の証拠とされた事件につきましては、もちろん確定された事件が相当あると思うわけでありますけれども、そうしたものについて現在その証拠品が残っているものはこれは継続するというような指示をしているわけでございます。
 したがって、御指摘の事件につきましても、そうした中に入ればその中で対応が行われるということでございます。
#74
○松野信夫君 そうした事件に入れば対応するというふうに今ちょっと聞こえたんですが、最高検察庁の方から指示を六月の四日にされたというのであれば、要するに、証拠をちゃんと残しておきなさいと、こういう指示でしょう。それなら、当然飯塚事件についても、もう確定した事件だということで今御答弁があった事件に当然含まれるから、当然飯塚事件についても証拠はちゃんと保存しておけという指示になっていると、こういう理解でいいですね。
#75
○政府参考人(大野恒太郎君) 飯塚事件の証拠関係についてお答えを差し控えている関係上、先ほどそのようなお答えになったものでございます。
 DNA鑑定が用いられているということであれば、先ほど申し上げたような件数の把握等の対象に入ってくるということでございます。
#76
○松野信夫君 是非、具体的に何件ぐらいの事件についてそういう証拠をちゃんと保存しておくようにというふうに、指示になっているのか、これは後ほどで結構ですから、そういう件数などが明らかになったら委員会の方にも公表していただきたいと思います。委員長、是非そういう方向でお取り計らいをお願いします。
 それで、飯塚事件についてまだまだお聞きしたいんですが、私が聞いているところでは、飯塚事件のDNA鑑定については、最初の鑑定ですべての試料が使われてしまって残っていないと、だから再鑑定は実際問題は不可能に近いというような話も聞いているわけです。
 これは本当におかしな話でありまして、一般的に申せば、鑑定をするということであれば、その鑑定が本当に正しい鑑定なのか、間違っていないかどうか、これ、後からちゃんと検証できるようにしておかなければいけない。これは、ある意味では鑑定する者にとっては常識のたぐいだと思います。アメリカではしかもそういうような法律まできちんとできているわけでありまして、再鑑定ができませんというような状況であれば、そもそも最初の鑑定が正確に行われたか、公正に行われたか、これは検証しようもないわけで、後からチェックできるように鑑定すべき試料というものは、例えば半分使うなら半分残しておくというのがこれは当然だというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(森英介君) それは一つの証拠として取り上げられたんだと思いますけれども、その際、どれだけそのサンプルが必要かというのはやっぱり鑑定技術にもよりましょうし、その当時としては恐らく、結果として全部使ってしまったということも、これはやむを得ないことであったんだというふうに理解をしております。
 ただ、委員おっしゃるように、今後はやはりそういった再鑑定ができるような用意をしておくということも必要であろうかというふうに私としては感じております。
#78
○松野信夫君 時間が参りましたので終わりますけれども、やっぱり鑑定の正確性、公正性というものを後々きちんとチェックできるという体制を取っていなければ、その鑑定は否定されてもしようがないと、やっぱりこういうぐらいの思いで今後とも当たっていただきたいということを御指摘申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#79
○丸山和也君 自由民主党の丸山和也でございます。
 今日は、今、足利事件なんかも非常に取り上げられておりますので、そういうことも念頭に置きながら、主として刑事司法の在り方そのものというか、基本的なところで質問させていただきたいと思っております。
 私も弁護士を長い間やっておりましたけれども、常々思っていますのは、日本の刑事司法というのは当事者主義に基づいて公平な審理が行われて裁判官がジャッジをすると、こういうことに教科書上はなっているんですけれども、どうも構造的には、実際の動きを見てみましても、決してそうはなっていないと。どちらかというと、検察、裁判官一体チーム対被告人、弁護士と、こういう形でずっとなされていまして、なかなかその中に、被告人、弁護士が個々の事件において当事者主義を主張しても、実際の中ではなかなか公平に当事者的には扱われてこなかったと。いわゆる検察と裁判所のなれ合いですよね。これは役所のなれ合いと一緒で、やっぱりチーム制の中で個々の弁護士が入って被告人が戦うということがどれほど不公平で、実際的に公平になされていないのかというこの連綿とした中で、やはりいったん検察がこうだと思って固めて起訴したのについては裁判所もそれに沿った形で認定をしていくという、こういう基本的なやっぱり、細かいことはいろいろありますけれども、大きな流れとしてはそういう印象がどうしてもぬぐえない。私が三十何年間弁護士やってきた感想なんですけれども。
 ここらは今後、裁判員制度が入ることによってかなり改善されることも期待をするんですけれども、取りあえず、個々の資料といいますか視点から見たいと思うんですが、例えば今、松野先生が、法務大臣は御覧になっていないという「それでもボクはやってない」という映画のことを、周防監督の、出されまして、あれは私は見ております。それで、監督ともちょっと話をしたことがございますけれども、非常に、裁判がこのように流れていって、このように、やっていないという人でも、実際はいかに論理的に合理的に第三者的に、結果だけ見ると説得力ある形で有罪にされていくのかなということがよく出ているんですね。そういう意味では非常に優れた作品だと思います。ただ、あの映画にけちを付けるわけじゃないんですけれども、それはやっぱり、ただ構造的な問題があるという視点はないんですね、あの映画では。裁判官が替わってがらっと変わってしまったとか、いろいろなのあるんですけれども。
 私は、やっぱり刑事裁判の仕組みそのものを根底的に見直していく必要があると思うんです。例えば、東京地裁刑事第何部とありますと、そこの担当判事、もちろん転任とかいろいろありますけれども、そこが大体いて一年、二年やられます。そこに公判担当、公判部、検察がいて、彼らはやっぱりいろんな情報交換をやっているし、チームなんですね。午前中やったら午後はこの事件。一件一件で余り対立すると非常にやりにくいといいますか、やっぱり仲間なんですよ、基本的に。仲間の中に仲間でない人間が入っていくという、そこでいかに真実を立証する、証拠を採用してもらうこと、あるいは評価してもらうことが難しいかという、こういう構造的な問題があるということを我々はやっぱり考えていく必要があると思うんです。
 それで、例えば有罪率、先ほどの映画を見ますと九九・九%有罪になると言われていまして、若干その計算についてはいろいろ問題はあるんですけれども、例えばちょっと古い資料ですけれども、私がアメリカの地裁で、二十六地裁でずっと調べた統計なんか見てみますと、一九八〇年代なんですけれども、そう変わっていないと思うんですけれども、大体無罪率が二七%なんですね。それで、日本は〇・一%か〇・二%。ですから、仮に〇・二%としましても、約百三十五倍の差なんですよ。ですから、アメリカで一年に無罪になる人を日本で同じ数を、輩出と言うと変ですけれども、無罪勝ち取ろうと思うと百三十五年ぐらい掛かるんですね。
 だから、これは一つは、法務当局辺りでは、日本の場合は非常に捜査が充実しているんだと、いいかげんなやつは起訴しないんだということで、だから非常に捜査が充実した結果、それがほとんど間違いなく認められて有罪になっているから、九九・九%は誇るべき数字なんだと。これは、全部がうそだとは言いません、私は。やっぱりアメリカの司法と比べて、アメリカの場合は確かに若干雑な面もいろいろありますけれども、ただ、いったんこうだと思って起訴してしまったら何が何でもそれを結論に持っていくというこの流れが非常に日本の場合は強いと思うんですね。それに、司法、裁判所、公平な第三者である裁判所自身が、やはり検察庁におもねるというか、検察庁の意向に沿った判決を出していくという、認定をしていくという、こういう基本的な、まあ、仲よしクラブじゃないですけれども、流れがあるということは、これは体質的な問題として、非常に間違いを生んだ場合取り返しが付かない、途中でブレーキが掛からない。
 例えば、この菅家さんの事件にしても、途中で何回も再鑑定のあれとかいろんなあれが出されていても、いったんこうやって地裁から積み上げられてきたら、最高裁まで行っても引き返せないという、もう盤石の流れをつくってしまう。ここが非常に危険性が内在していると思うんですけれども、ここら辺の総論的な私の印象を持っているんですけれども、この点について、だれに聞こうかな、まあ、刑事局長の方がいいかと思いますので、どう思われますか。その後、大臣にも一言お願いしたいと思いますが。
#80
○政府参考人(大野恒太郎君) 確かに、我が国の刑事裁判における有罪率というのが諸外国に比べて極めて高いということは、今の御指摘のとおりであります。それについての分析、説明についてはいろいろな考え方があると思いますけれども、私どもの基本的な考え方は今委員が御指摘になったとおりであります。
 つまり、もちろん綿密な捜査が行われるということもあるわけでありますけれども、検察官が起訴する際に、これは確実に有罪が取れるというような自信がないと起訴しないという運用が行われているわけであります。イギリス等の場合には、これは文献等で聞きかじったことでありますけれども、有罪と無罪と比べてやはり有罪の確率の方が高いと思われるような場合にはむしろ裁判所の判断を仰ぐというような、そういう考え方もあるようでありますけれども、日本はそういう考え方を取らずに、やはり有罪の確信があるものを起訴するという運用を取っているわけであります。そうしたことから、実際上、起訴された事件につきましては裁判所においても有罪認定がされることが多くなっているのではないかと、こういうふうに考えております。
#81
○丸山和也君 そういう説明がるるこれまでもなされているんですがね。すると、捜査段階での認定を、要するに、これは元々信憑性が高いものだと、司法の役割が非常に少なくなると思うんですね、裁判所自身の。もう、とにかく起訴されたらこれがまあ九分九厘間違いないんだという前提でスタートしているんだと、こういうシステムなんですよね。すると、これは日本の刑事裁判というのは結局検察が支配しているとも言えるんですね。検察による日本の刑事裁判支配、それに乗っかって裁判所が差し障りのない判決を下していくと、こういうことがあって、やや時代の流れに沿わなくなってきているんじゃないかと私は思うんですね。
 ですから、もう少し、そうしないと、ちょっとおかしいなと途中で気付いても、もうメンツもありますし、ここまで威信を懸けて九九・九%やっているのがひっくり返るという、こういうことから、守りに入ってしまうんですね。内心ちょっとおかしいなと思っても、それを通そうという努力の方にエネルギーが行ってしまって、強引にやっぱりやってしまうということが、やはりこの誤判とか冤罪が発生するかなりの大きな要素に僕はあると思うんですよ。
 そういう意味で、これはやっぱり、司法というのは間違いは間違いと勇断を持って認めていくところにやっぱり正義があるわけで、そのやっぱり役所的一貫性を貫くということは必ずしも僕は正義じゃないような気もしているんですが、そこら辺、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#82
○国務大臣(森英介君) 丸山委員の長い弁護士としての活動を通じての実感だというふうに拝察申し上げますので、練達の弁護士さんがそういうふうに思っていらっしゃるのかなということで、大変一つの参考になりました。
 ただ、法務大臣としての立場で言うと、誠にそのとおりでございますとは大変言いにくいわけでございますが、ただ、九九・何%の有罪率ということについては、やっぱりそこに、起訴に至るまでに、先ほど刑事局長から御答弁したように、大変綿密な取調べがなされて、相当自信を持ったものしか起訴していないということがあると思いますけれども、その背景には、確かに、先ほど自縄自縛になっているという声も聞こえましたが、私はやっぱり、ちょっと、若干言い過ぎかもしれませんけれども、やはりこれは、日本の社会というか国民の皆様方の受け止め方もこれから少し御理解をいただきたいなということもあるわけでございまして。
 三審制の中で、無罪になっただけで検察が非常に批判されるというふうなことはやっぱり私はいかがなものかなと今の立場にありまして思っているところでございまして、三審制の中でそういうことになれば、やはり検察としてはそこまでの責務を果たしているけれども、裁判所でそういう判断がなされたということであれば、司法が十全に機能しているということでございますので、そこでもって一連の判断がなされればいいと思うわけでございますが、どうもやはり、仮に無罪になった場合の反応というのをそんたくする余りに、やはりかなりそういった確度の高いものしか起訴できない状況になっているということも言えるのではないかなと率直に思います。
#83
○丸山和也君 僕はやや、むしろ逆だと思うんですね。やはり、そういう何が何でも起訴した事実、起訴事実を認定させていこう、またしようと、そういう流れがあるから、たまたま無罪になったときにひどいやっぱり批判が出てくるんだと思うんですね、初めてそういうところで突破口が開くものですから。
 それで、やっぱり一種の、まあなれ合いと言うと言葉はあれなんですが、軟らかい言葉で言えばなれ合いの中で事が決まっていく、検察が起訴したものがそのとおり認められていくことに対するやっぱり根底に怒りがあるから、そういう無実になったときにひどい国民的批判が起こるんだと思う。そうでなければ、それは裁判ですから、やっぱり勝ったり負けたり、無罪になったりならなかったりする、それはあるよということで認められるんですけれども、何が何でもそうという流れの中にあるから、もしそういうことになったら自分は、自分はというかだれでもそうなんですけれども、流れに入ってしまったらもう幾ら正しいことを言っても認めてもらえないんだということがあるから、こういう事例が出たときにすごい声になって出てくるんだと私は思うんですね。
 ですから、そこら辺をよくお考えいただいて、今後の、裁判員制度も始まりますけれども、刑事裁判運用全体について参考にしていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、高裁、いわゆる刑事事件で一審に対して控訴した事件見ますと、ここ平成十年から平成十九年辺りまでちょっと最高裁の統計から見ますと、例えば平成十九年だと八千四百二十二件が高裁で終局しているんですけれども、この中で控訴したのは、被告人側が控訴したのが八千百六十八件、検察官は百九十五件。大体これくらいの割合で、被告人側控訴というのが九七・三%、平均ですね。それで、検察官からの控訴というのは約二%と。だから、もうほとんどが、検察官は納得というか満足な判決をいただいたという形で控訴しないんですね。それで、ほとんど控訴というのは被告人が不満に思っている。
 これは、裁かれる人がもっと軽い刑が欲しいとか言っているということだけじゃなくて、やはり求刑も検察官が意見を言う、それに沿った刑も判決で出すということで、極めて検察官流れの中で裁判所が事後追認的にやっているということの一つの表れじゃないかと思うんですよね。
 だから、ここらは、やはり僕は、検察官もそうですけど、やっぱり裁判所当局がもう少し、毅然としたと言ったらあれですけど、ややもっと独立した、検察官と一体のようなあれじゃなくて、毅然としたあれでやるという必要があると思うんですけれども、まあそれは心構えの問題になるんですけれども。
 そこでお聞きしたいんですけれども、質問なんですけれども、例えば担当を、担当公判の刑事なり担当検事を例えば六か月なり半年ごとに入れ替えていくというか、そういうことはシステムとしてできないんでしょうか。刑事局長にお願いしたい。
#84
○政府参考人(大野恒太郎君) 元々、委員が先ほど来指摘されている裁判官と、それからその裁判を担当する検察官がチームのような形を呈しているんじゃないかというのは、検察庁におけるいわゆる主任立会制ということを指されているんじゃないかと思うんです。
 検察庁におきましては、起訴した検事が引き続き公判を担当する、これを主任立会制と言うわけでありますけれども、事件数が多いあるいは職員が多いところでは、なかなかその捜査と公判の日程を調整することが難しくなります。そうすると、公判専従制というのを置きまして、起訴する検事と、それから実際に公判で立ち会う検事が分業でやっているわけであります。分業体制を取った場合に、公判を担当する検事は特定の裁判部と対応した方がいわゆる日程の調整の上で非常に問題が少ないというような、そういう実際上の理由から、公判専従制を取る場合には立会い検察官が特定の部と対応している、そういう検察庁が相当数あるということでございます。
 ただ、それを改める方向にないのかという今お尋ねでございました。実は、裁判員裁判が入ってまいりますと、むしろ検察は、裁判員裁判におきましては事件を起訴した検察官が引き続き公判を担当するのがより効率的だろうというふうに考えております。そういたしますと、今のその公判専従を取っている庁でも、役所でも主任立会制というのが広がってくる。その意味では、先ほど言われた、委員の言われるそのチーム制のような形は変わってくる面があるということを申し上げたいと思います。
#85
○丸山和也君 裁判員制度というのは、これからどういうふうに、今までのやっぱり弊害というか欠点に対して風穴を空けるかというのが非常に期待されているんですね。だから、そういう意味では、賛否両論ありますけれども、予想もしないところで大きな司法制度、裁判の革命的な変化につながる可能性を持っていますので、是非そういう意味で生かしたいと思っているんですね、私も裁判員制度を。
 ですから、主任立会制度ですか、それを、起訴した検事が公判も担当すると、こういう中で一件一件事件に当たっていくということでより当事者主義が充実していくような形で是非運用していただきたいと思っております。
 それから、もう一つ、民事についても少し、時間がなくなりましたけど一点お聞きしたいんですけれども。
 裁判の迅速化に関する法律というのができまして、できるだけ裁判は迅速にやることが国民の利益にもつながるんだと。ただし、当事者の利益を害してはならないという、こういう法律ができているんですけれども、かなりこれによって裁判は迅速化してきてメリットもあると思うんですけれども、一方で、やはり民事事件で一審判決に対して不服があって控訴して、例えば東京高裁へ行ったようなとき、あるいは地方でもそうですけれども、第一回目の弁論期日で終局する、こういう事件の割合というのは控訴の中でどれくらいあるんでしょうか。最高裁ですか。
#86
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。
 ただいま議員の御質問の件でございます。
 高等裁判所が取り扱う民事控訴事件についてでございますが、既裁事件の中で、第一回口頭弁論期日で弁論を終結した事件の割合を見ますと、昨年、平成二十年においては六割程度というふうに承知しております。十年前、現行の民事訴訟法が施行されました平成十年には三割五分程度であるというふうに認識しております。第一回口頭弁論期日で弁論を終結した事件の割合は増加する傾向にあるというふうに思われるところでございます。
#87
○丸山和也君 それによって事件が早く処理できている、そういう行政的なといいますか、メリットはあると思うんですけれども、十年前と比べて倍ぐらいになっているということですよね。それで、ほとんどの事件は一回か二回で終わってしまうと。民事の場合は、高裁がまず実際に事件を再度検討する、検討するというか、公判を開いて、二回、三回、新たな証拠に基づいて判定するとかいろいろやるという可能性はほとんどなくなって、民事では高裁に行っても多分一回でほとんどが終わりというような、そういうイメージが非常に弁護士の中でも強いんですけれども、それに対して絶望感があるんですね、一つの。一審判決に不満を言ってもまず高裁は駄目だと、よっぽどのことがないとまともには聞いてくれない、まともには耳を貸してくれないという印象が非常に強くなって、司法に対するある意味じゃ絶望感から信頼を失っている若干気配があるんですけれども、この点についてはどのようにお気付き、またお考えになっているか、再度お聞きしたいんですけれども。
#88
○委員長(澤雄二君) 答弁は簡潔にお願いをします。
#89
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) はい。
 お答え申し上げます。
 今議員がお尋ねの件でございますけれども、個々の裁判体の訴訟指揮にかかわることでもございますし、また、委員御指摘のように、事案により様々な事情があるというふうに考えられますところで、裁判体の訴訟指揮の在り方、訴訟指揮の考え、こういうことがあると思いますので、事務当局としてはお答えできませんということで御理解いただければというふうに存じます。
#90
○丸山和也君 じゃ、最後に、是非、そういう気分が、気持ちがかなり広まっていますので、そこら辺も配慮して御検討いただきたいと思いまして、私の質問を終わります。
#91
○森まさこ君 自由民主党の森まさこでございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどから出ております四歳の女の子が殺された足利事件でございますけれども、DNA再鑑定の結果、菅家さんが釈放をされました。一方では、真犯人が時効の利益を得たということになってしまいます。女の子を殺した真犯人がずっと逃げおおせてきたと。国民にとっては大変な不安でございます。
 殺人罪の公訴時効は、改正されて今は二十五年ですけれども、当時は、改正前は十五年でございましたから、九〇年の事件発生から既に十九年が経過をしておりますので、時効が完成をしております。真犯人が判明をしても起訴ができないということでございます。被害者の遺族としたら、もうこれは本当に許せない事柄だと思いますし、菅家さん自身も、報道によれば、真犯人を絶対許せないというふうにおっしゃっておられますので、廃止を含めた、こういった殺人罪を含む重大犯罪の公訴時効の在り方を見直しを求める声が出ております。
 この点、諸外国では、重大犯罪においては公訴時効を設けないという国もありますし、それから公訴時効を停止をする、アメリカでは例えばDNAによって起訴をして公訴時効を停止しておくというような制度も取られているようでございます。
 我が国では刑事訴訟法によりまして公訴時効の停止制度がありますけれども、これは被告人と共犯者のみ定められておりますので、私としては、近年においてはDNA鑑定技術が進んできたということも含めまして、公訴時効の延長を再検討するべきではないかというふうに考えますけれども、この点は早川政務官の方にお答えをいただきたいと思います。
#92
○大臣政務官(早川忠孝君) 委員御指摘のとおり、公訴時効制度につきましては、被害者の方々を中心といたしまして、殺人等の凶悪重大な犯罪について見直しを求める声が上がっているところであります。
 法務省におきましては、本年の一月から省内に勉強会を開催をいたしまして、公訴時効の在り方等について検討を行ってまいったところであります。本年の四月にそれまでの検討結果の中間的な取りまとめを公表をしているところであります。
 この省内の勉強会におきましては、私がその中での座長を務めておりますワーキンググループを開催をいたしまして、その後も、被害者団体の皆様やあるいは日本弁護士連合会等からのヒアリングを行うなどして、引き続き検討を継続しているところであります。
 委員からいただいております御意見、あるいはそれぞれの関係の党におかれましても検討作業が行われているというふうに聞いているところでありまして、また法務省の方では、過日報告をいたしました中間取りまとめに対してのパブリックコメントを今日まで受け付けさせていただいていると、こういった状況もあります。諸般の御意見をちょうだいしながら、本年の夏ころを目途に一定の方向性を打ち出せるよう速やかに検討を進めてまいりたいということで、今作業を進めているところでございます。
#93
○森まさこ君 是非、しっかりと皆様の声もお聞きになって検討をしていただくようにお願いを申し上げます。
 次に、社会奉仕命令について佐藤剛男副大臣にお伺いをしたいと思います。
 お手元の資料を御覧ください。刑務所の過剰収容状態が続いております。一〇〇%を超えていた時期もございました。ずっと十年ぐらい九割を超えているんですけれども、特に罰金刑を最近納めないで収容される労役場留置、これが九年前に比べて倍以上に増えているんですね。罰金を納めないで刑務所に入るという場合も増えているということでございます。
 自由民主党では、保釈及び社会奉仕命令の在り方に関するワーキングチームというのをつくりまして、私もメンバーとして検討してまいりましたけれども、例えばこの罰金刑の方々、労役場留置で刑務所に収容される代わりに社会奉仕命令を科してはどうだろうかと。例えば、森林の伐採でありますとか遊休農地、この手入れでございますとか、それから河川や湖水の整備、そういったものの社会奉仕命令を科したらどうかというような意見が出ております。
 この資料にもございますように、平成十八年、一〇〇%を超えておりまして、当時の杉浦元法務大臣が法制審議会の方へ社会奉仕命令の在り方について諮問をいたしました。この検討状況がどうなっているか、それを含めて法務省、政府の御見解を伺いたいと思います。副大臣、よろしくお願いします。
#94
○副大臣(佐藤剛男君) 森委員におかれましては、常に新しい分野に重点を置かれまして推進されておりまして、日ごろから敬意を表しております。
 今、先生御指摘の点、自民党の中においても杉浦先生が大臣のときだったんですかね、この問題提起されて、それでその検討をしてくれということで、現在、法制審議会におきましていろいろな面から議論をされております。あれこれ二十回近くになっているんですが、平成十六年からですから、かなり長い間たっておる。
 この問題につきましては、いろいろな意見があるんです。収容施設というのは、最近は良くなってまいりましたけれども、今お手元の、ここにありますように、七万台から八万人おるというような状況もあります。
 それで、刑罰を加えたときに、そのときに一緒に社会奉仕命令というのをくっつけちゃう、大まかに言いますとそういうふうな方法。いや、そうじゃなくて、やはり保護観察の観点から考えていったらいいんじゃないかと。いろいろな、大きく分けましてそのような意見がありまして、かんかんがくがく議論をされているわけでございます。結論はもうかなり煮詰まってきたと言えますか。
 方向は、いずれにしましても、先生の御指摘のように何か結論出てくると思います。その辺は、木材の関係に行くのか、あるいは農業の分野の点に行くのか、あるいはいろいろな、湖水調査みたいなものをやるのか、いろいろな面でのものはあると思うんですが、やり方について、それから思想、そういうような問題についての議論が今この法制審議会の中で真剣になされておるというような状況でございます。
 こんなところでよろしゅうございましょうか、大体。
#95
○森まさこ君 ありがとうございます。
 平成十八年から検討……
#96
○副大臣(佐藤剛男君) 委員長。
#97
○委員長(澤雄二君) 佐藤副大臣。
#98
○副大臣(佐藤剛男君) それで、省内の検討を平成十八年から、先ほども申し上げましたが、ちょっと申し上げましたけれども、平成十六年からやっておるということで──その数字を、十六、十八を直しておいてください。
#99
○森まさこ君 あっ、そうですね、十八年ですね。是非よろしくお願いします。
 これで終わります。
#100
○木庭健太郎君 足利事件についていろんな議論がございました。何よりこの問題は、今やるべきことは、十七年以上人権侵害を受けた方がいらっしゃるわけですから、この方の人権回復のため、これに全力を挙げること、これがまずやるべき課題の一つであり、二度と事件を起こしてはいけないということです、こういう問題を。したがって、それについて、なぜこんなことが起きたのかということについては徹底した調査が必要であると、この二点をきちんとやっていただきたいということをまず申し上げた上で、先ほども少し議論になりましたが、この議論を始めるときの基礎となる問題として、本件において、結局これは、捜査段階におけるDNA型の鑑定の結果と再審請求の即時抗告審のDNA型の鑑定の結果が異なっていたということになっているわけですよね。
 ただ、この事件において、そもそも本件が有罪とされた証拠構造というのは全体としてどんなものになっていたのかということを言える範囲で教えていただきたいし、言わばDNAの鑑定以外にどのような証拠があったのかということをまず伺っておきたいと思います。
#101
○政府参考人(大野恒太郎君) 足利事件の確定している判決によりますと、今御指摘のありました、被害者の半そで下着に付着していた精液と再審請求人の精液のDNA型が一致していたこと、これがまず一つの大きな証拠になるわけであります。それ以外に、今申し上げました半そで下着付着精液と、それから再審請求人の精液の血液型が一致していたこと、それから、被害者のパンツに付着していた陰毛と再審請求人の陰毛が形態的に類似し、血液型が一致し、かつその元素分析の結果が類似しているというようなことも認められておりました。また、再審請求人が事故現場付近に土地カンを有していたというようなことも一つの資料として考慮されていたわけであります。さらに、再審請求人の自白がありまして、これらを総合して、再審請求人の犯人性を認めて起訴され、有罪とされたということでございます。
 この捜査段階におけるDNA型鑑定の結果と、それから今回の再審請求の即時抗告審におけるDNA型鑑定の結果が異なっているという点でございますが、捜査段階において実施されたDNA型鑑定の結果、これが先ほど申し上げたように被害者の下着から採取されたものと再審請求人のものが一致したと。これは、起訴当時のデータといたしましては、その出現頻度は、血液型検査も、これも一致しておりますので、これを加味いたしますと、千人中一・二人というように計算されていたわけでございます。
 これに対しまして、先般の、最新のSTR型検査法によるDNA鑑定でございますけれども、これにつきましては、一番出現しやすい型であっても出現頻度は約四兆七千億人に一人ということでありまして、DNA型鑑定の個人識別精度が捜査当時に比べまして現在は極めて高くなっているということが明らかでございます。
#102
○木庭健太郎君 今お聞きする限り、結局、DNA鑑定ともう一つは自白というこの二つが決定的形の中で本件が構成されていったというようなことにお聞きする限りはなる。他の証拠もあったとおっしゃっておりますが、その二つが集中的になっているということです。
 そして、ただ、その自白についても、菅家さんは、警察から白状しろとか、おまえがやったというようなことを迫られて体を揺すぶられた、髪の毛引っ張られた、不当な取調べが行われたという旨のことを今回もおっしゃっている。裁判段階でもおっしゃっていると、たしか、思います。
 そういう事実についてどういう認識を持っていらっしゃったのか、また、これはもう裁判で既に明らかになっているんでしょうけれども、裁判においてはその点がどのように認定されているのか、確認の意味で伺っておきます。
#103
○政府参考人(大野恒太郎君) この事件につきましては、捜査、公判の問題点をきちんと検討するということで、今後詳細に検討した上で御報告するわけでございます。
 現段階で申し上げられることは、確定裁判でどのような認定が行われているかということになるわけでございますけれども、確定審の控訴審判決によりますと、控訴審で、再審請求人が取調べ中の警察官からひじで肩を突かれたこと、あるいは頭髪をつかまれ顔を上げさせられたことがあるというような供述につきましては、再審請求人を取り調べた捜査官らが自白を得るために、再審請求人に対して殊更な誘導や強制を加えた事跡は認められないというような判断がなされております。
 それから、確定審の第一審判決におきましては、自白の任意性はそもそも争点になっておりませんでした。そこで、その信用性の判断において捜査官の強制、誘導等については触れられていないということでございます。
#104
○木庭健太郎君 そうすると、もう一つちょっとお伺いできる範囲で聞いておきたいのは、結局、その菅家さんの供述というのが、捜査、公判段階においてどんなふうに供述が変化していったのかというような点で、承知している限り、話せる範囲でお答え願っておきます。
#105
○政府参考人(大野恒太郎君) これもきちっとした、この時点での認定といいますのは、最高検の検証を待って御報告したいというふうに思いますけれども、確定裁判に表れた限りで供述経過について申し上げますと、再審請求人は平成三年の十二月早朝に足利警察署に任意同行をされました。その日の午後十時前ころに犯行を自白し、それ以降、捜査段階では一貫して本件犯行を認めていたというように認定されております。
 なお、この判決によりますと、十二月四日に捜査段階で弁護人が選任されているわけでありますけれども、その弁護人に対しても犯行を認めていたというように認定されております。
 次に、公判段階における供述経過が裁判でどのように認定されているのかということについて申し上げますと、第一審の第一回公判期日から第五回公判期日までは事実を認める供述をしておりました。ところが、第六回の公判期日における被告人質問の途中から自分は無実であるという供述をし、しかし、次の第七回公判期日から再び犯行を認めるようになり、第九回公判期日の最終陳述においても犯行を認める供述をしたと承知しております。
 けれども、この公判がいったん結審した後の平成五年五月三十一日付けで、弁護人に対して自分は犯行にかかわっていないという手紙を出しまして、弁論が再開され、第十回公判期日においても犯行を否認する供述をした、それ以降はずっと犯行を否認されていると、こういう経過であるというのが判決に表れてくる供述の経過でございます。
#106
○木庭健太郎君 少し細かく聞きましたのは、結局、そういった意味で認めていることも変遷するわけですよ。じゃ、何でやってもいないことをそうやって裁判の中で、いったんは傾きながら、また今度は認める、なぜそんなことが起きたのかというのは、これは立ち会った側の問題、検察の側の問題というのは私はあると思うんですよ。そういった意味では、この自白の問題については徹底した検証をもう是非本当にやっていただきたいと思いますし、先ほど民主党さんの方から、この問題については御本人もという話もありました。
 私は、再審、言わばそれが確定する、いろんなことが一つ終わった段階では、是非この問題については真剣な検討を加えなければならない極めて重大な問題だと認識をしておりますので、そこはそこできちんとまた委員会でやらせていただくことになると思いますし、更に加えて、民主党さんは可視化という問題をこの問題に絡めて、もう既に法案もお出しです。参議院も通過をして、今衆議院に行っています。でも、この可視化という問題も、私は直ちに全面可視化することがどうかということについてはいろんな危惧も正直に言えばあります。ただ、少なくとも今可視化ということについて試行段階でいろんなことをなさっているというのであれば、それをこの問題を契機に更に拡大をして、全面導入できないのかどうかという、本当に本格的検討に入るべきときに来ていると、私はそういう今考えでいるということでございまして、是非その点もお願いをしたいと思います。
 そして、もう一つ是非ちょっとお聞きしておきたいのは、同種のDNA型鑑定が実施された他の事件についても、すべての事件の判決を見直すべきだというようなことを書いていた社説もございました。そういう意見もあるようでございますが、すべての判決そのものを見直すという問題は、ちょっと再審の手続もないのに踏み込み過ぎじゃないかなという、司法の独立権の問題でちょっと心配なところも正直に私は感じるんですが、でも、それでもやはりこの事件を契機に、先ほど検察として答弁をなされておりましたが、この足利事件だけでなく他の事件について、先ほど証拠の保存の問題、様々お話がありましたが、やっぱり保存だけじゃなくて検討ということが必要だと思いますが、どこまで検討なさる気でいらっしゃるのか、法務当局に伺っておきたいと思います。
#107
○政府参考人(大野恒太郎君) 他の事件でございますけれども、先ほど申し上げました証拠の保存、最高検によります証拠の保存指示を受けまして、各検察庁で今後、判決書き等によりましてDNA型鑑定の結果が有罪認定の証拠となっているかどうか、それから、その場合その鑑定に用いられた試料を採取した証拠品が残っているかどうか、これを検討することになっております。残っている場合には、その指示に従って保管を継続するわけでございます。
 こうした証拠品の保管の継続に当たりましては、当然その個別の事件ごとに必要な検討を加えることになりますし、また、事件関係者の求め等が行われることも予想されるわけでございます。そうした状況を踏まえて、個別の事案に応じて適切に対応をしていくというように承知しております。
 他方で、今委員が御指摘のありましたように、裁判所による確定判決は、これはやはり尊重されなければいけません。したがって、検察当局といたしましては、自ら行う再審請求や、あるいは被告側から行われる再審の手続等、そうしたものを離れて、個別事案ごとにその証拠の内容等の詳細にわたって公表することには一定の問題があるだろうというふうに考えております。
 いずれにしましても、この検討の過程で、ほかの事件につきまして当該事件の被告人であった方からの申出があれば、DNA型鑑定の結果が有罪認定の証拠となっているのかどうか、それから証拠として用いられた場合には、試料を採取した証拠品が現在も保管されているかどうかというようなことはお伝えすることになるだろうというふうに考えております。また、求められれば、必要に応じまして再審請求の手続等について説明することもできるというように承知しております。
#108
○木庭健太郎君 是非、様々な面で今回の事件を教訓に、冒頭申し上げましたが、本当、二度と繰り返さないということをどう確立するかという問題ですから、是非検証を早急に重ねていただいて、ある程度まとまったことがありましたら当委員会にも是非御報告もいただきたいと、このように思います。
 さてもう一点、今日は法律扶助制度の問題についてお聞きしておきたいと思います。
 法律扶助制度の拡充という問題は公明党としてずっと訴え続けさせていただいて、予算措置自体で増えてきた面はあるんですけれども、やはり制度自体に少し問題点があるんじゃないかなということを少し感じておりまして、今日はその点も指摘させていただいて、大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。
 この法律扶助事業は、利用者の経済的負担という問題について総合法律支援法の三十条の一項、二項で定めているんですけれども、その定め方がどうなっているかというと、経済負担については立替え制度というのがこの法律扶助制度というのは原則になっているんですね。ただ、この立替え制度という問題については、また、どこまでこの法律扶助制度を使えるかという問題につきましては、これはもうかなり前なんですけれども、平成十三年の司法制度改革審議会の意見書で既に、この今の日本の民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等、総合的に検討を加えて、一層充実すべき必要があるというような指摘もいただいておりまして、実際、他国を調べてみると、例えばアメリカではこの法律扶助制度、利用者の負担は無償です。イギリス、ドイツでは資産や収入に応じた負担、これを負うにすぎないというふうに定められていて、ある意味では、我が国のこの法律扶助制度を見ると、もう本当に貧困者というか貧しい人たちに対する支援策であるにもかかわらず、立替え制度という問題をやっているものですから、例えば平成十九年度の法律扶助事業の総支出を見ると、六三・五%が立替金の償還金でやっているんですよ。結局、皆さん方でやるようなところしかない。結局、この償還免除というのは、生活保護者とか、いいですよというところもあるんですが、これも事後的で、裁量の範囲になっている。
 そういう意味では、やはりこの点を見直すところが来ているだろうと思うし、何より私は、一番の根本は、まずこの原則立替え制度と言っている部分について、そろそろ検討して、やはり一部については償還制度、若しくは、もうそのままいいですよという形にこれ変える必要があるところまで来ているんではないかなと思うんですが、この司法制度改革審議会意見書、出された後の検討状況含めて、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
#109
○国務大臣(森英介君) 司法制度改革審議会意見が出されました後、司法制度改革推進本部事務局の司法アクセス検討会において、民事法律扶助を充実するための方策の一環として、運営主体の在り方も含めた多角的な検討が行われました。このような検討を踏まえ、委員を始めとする多くの先生方の御尽力によりまして、総合法律支援法が成立いたしました。
 民事法律扶助制度は、指定法人に対する補助金制度から、日本司法支援センター、法テラスという安定した主体が運営する制度へと改められたことは御案内のとおりでございます。扶助制度の在り方に関しましては様々な御意見もあるとは思いますが、原則立替え制度を今委員から御指摘のあった一部償還制度に改めることは、国民の税負担の増大に直結する可能性が高いものであるため、よくよく慎重に考えるべきではなかろうかと考えているところでございます。
#110
○木庭健太郎君 そうは言うものの、確かに皆さんの御理解をどういただくかという問題はあるんですけれども、立替え制度のままであれば、なかなかこれ、事実上使いにくいのは事実なんですよね。やっぱりその辺は、海外でなぜ原則無料でできるような制度を取っているのか、その辺のことも是非是非御検討もいただきたいし、もう一点は、立替え制度とともに問題になるのは、これ使える対象者というのは極めて限定されている。言わば経済的困窮者みたいなことでメルクマールで限定してしまっていますから、例えば本当はこの法律扶助制度の恩恵というか、ここを使いたいという方は、例えば障害者であってみたり、高齢者であってみたり、DVの被害者等であってみたり、まさにある意味では本当に使わなくちゃいけないような人たちに対しての門戸が狭められているような気がするんですよね。
 これちょっと古い資料なんですけれども、法律扶助制度研究会がまとめた報告書では、法律扶助の対象になるのが、例えば各国の例を見ると、イギリスやフランスやドイツでは全世帯の四〇%から五〇%の方々がこの法律扶助制度の対象者になり得るとなっている。ところが、我が国はどうなっているかというと、実際に法律扶助制度を使える人たちを見てみると、全世帯から見ると下から二〇%ぐらい、つまりもう極めて限定された形になっていると。しかも、対象者の範囲を狭めた上に、使える問題非常に少ないから、結局、自己破産とか離婚、こんな問題でしか使えない。
 こんな問題が起きているわけであって、私は、もう一点、その立替え制度の問題、大臣は負担の問題とおっしゃいましたが、やっぱりそこも検討を加えていただくとともに、この対象範囲の拡大という問題についても是非検討をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#111
○国務大臣(森英介君) この民事法律扶助の対象者の範囲につきまして御指摘があったわけでございますが、先ほども申し上げました司法アクセス検討会で弁護士の専門的知見を活用する人数、財政負担を含む様々な観点から検討はされましたものの、従前の範囲を拡大するという方向の合意には至らなかったものと聞き及んでおります。
 この検討会では、民事法律扶助の充実のためには、全国的な組織基盤を持ち公的資金を受けて事業を行うにふさわしい運営主体がその事業を行うことが最優先課題であるという認識で合意がなされまして、これを受けて先ほども申し上げた総合法律支援法が提出され成立したものと認識しております。
 日本司法支援センターにおける民事法律扶助事業は、事業規模が年々拡大しておりまして、これまで順調に遂行されてきていると認識しておりますが、その対象者の範囲を拡大することについては、先ほどと同趣旨の観点からなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
 なお、実態的には、先ほど委員から御指摘の中にあった下から二割程度ということでございますけれども、実態的には三、四割程度を今カバーしているということも聞いております。
#112
○木庭健太郎君 今もおっしゃいましたが、その辺、そうはおっしゃいますけれども、やはりきちんとした検討が私は必要だと今も思っております。
 その一方で、今度は受ける側、法テラスというもう本当に大事なものがつくられたわけですが、先ほどおっしゃるように相談も増えてきて、その体制、ある意味では非常に高い評価を受けている。ただ、相談業務をしようにも、人的問題に関して言うならば、法務省の法テラスに対する支援という問題についてどうなのかなということもありますが、人とともに法律扶助にかかわる受任弁護士さんの報酬、これが実質的に十分ではないというような意見もあるんですが、この法テラスに対する支援の問題及び受任弁護士の報酬の問題、どうお考えか、これも伺っておきたいと思います。
#113
○国務大臣(森英介君) どうも余りはかばかしいお答えができなくて恐縮でございますけれども、日本司法支援センターの人的体制の問題に関しましては、法務省としても、所要の人材を確保し適切な業務運営が可能となるよう必要な予算の獲得に努めてきたところでございます。
 また、民事法律扶助の対象事件を受任した弁護士の報酬につきましては、これを増額することは利用者にとっても償還額が高額化して制度を利用しにくくなると、結果としてですね、問題があって、総合法律支援法第三十四条第二項第一号においても、民事法律扶助事業が資力の乏しい国民を広く援助するものであることを考慮した上で、適当な額でなければならない旨を規定しておりますことなど考え合わせまして、これもやっぱり慎重に対応せざるを得ないというふうに思っております。
 いずれにしても、委員の御指摘の趣旨を踏まえまして、民事法律扶助事業が国民に利用しやすいものになるように、その充実に努めてまいりたいと存じます。
#114
○木庭健太郎君 それと、話が全く変わって、民事局長にちょっと何点かお伺いしておきたいんですけれども、登記の関係の問題なんですけれども、これは不動産の関係のいろんな方々から、登記事項の証明書の交付申請にかかわる手数料の問題です。
 これ、いろんな経過があります。その経過のことは今日は言いません。言いませんが、ともかく今民間の方たちがやるときは、例えば一筆の土地に対する登記事項の証明書一通がまだ千円なんですよね。これ、いろんな経過があって、本来はきちんとやるはずだったのか、千円のままになっておりますが、これから今後引き下げられるんでしょうか。
#115
○政府参考人(倉吉敬君) 現在の登記のコンピューターシステム等の実態等をちょっと前提としてお話しいたします。
 現在、非常に古いとも言われているメーンフレームという大型のシステムで登記のコンピューターを動かしておりますが、これを平成二十二年度末までにオープン系の、つまり特定のメーカーに依存しないオープンで安価なシステムに切り替えるということをいたしておりまして、これを二十二年度末までに全国の登記所で行うと。そうすると、経費の縮減がかなり図られるだろうと思っております。
 また、登記簿の電子化、紙ベースの登記情報を電子に置き換えていくという作業ですが、この作業はもう既に平成十九年度末に完了しておりまして、今は地図情報の電子化を進めておりまして、これも平成二十二年度末までに完了させるということを目途に取り組んでおります。
 したがいまして、登記事項証明書等の利用件数がどういうふうに動くかというちょっと不確定な要素はございますけれども、今後は、今申し上げたような作業が完了することによりまして、登記手数料を引き下げることができるのではないかと考えているところでございます。
#116
○木庭健太郎君 結局、その登記の問題、今言われるコンピューター化の問題、いろんなことが進んで、そこはきちんと整理していただいて下げるという問題とともに、結局、実際の登記所の地図と現実、実際は崩れている都市部の地図混乱地域ですよね、こういったところのうち、優先度の高い百キロ四方ですか、これ、高精度地図の整備を目指してこられたんですが、なかなか厳しいような状況もございますが、これ二十一年度より新たに登記所備付け地図作業新十か年計画を作成されているとお聞きしておりますが、どんな具合ですか。目標を達成できそうですか。
#117
○政府参考人(倉吉敬君) 今、前提として委員が御指摘になりました前の計画から簡単に説明いたしますが、内閣に設置されました都市再生本部におきまして、平成十五年六月のことですが、民活と各省連携による地籍整備の推進と題する方針が示されました。ここでは、都市再生の円滑な推進のため、国において全国の都市部における登記所備付け地図の整備事業を強力に推進すると、こういうふうにされております。
 この方針に基づきまして、法務省においては、平成十六年度から平成二十五年度までの十年間で、百平方キロメートルの都市部の地図混乱地域において登記所備付け地図作成作業を実施することといたしまして、これを平成二十年度までに予定どおり進めておりまして、約四十六平方キロメートルの地図を既に作成したところでございます。
 その後、国土交通省におきまして、都市再生街区基本調査の一環として、都市部における公図と現況のずれが公表されたということがございまして、昨年、この計画を見直しまして、平成二十一年度から平成三十年度までの十年間で百三十平方キロメートルの都市部の地図混乱地域において登記所備付け地図作成作業新十か年計画というものを策定したものでございます。
 今申し上げましたように、平成二十年度までにも計画に基づいて着実に地図ができておりますので、新計画においても目標を達成できるものと考えております。
#118
○木庭健太郎君 是非、大臣に最後に聞いておきますか、この問題、本当に土地取引とか都市計画をする、何にしても一番基礎はこれなんですよ。これがなかなかできないんでいろんなことが進まないというのが、本当、私たち特に地方の人間にとってみて、都市部のこういう再開発の問題とか起きるとなかなか大変な問題というのはいっぱいあります。
 ともかく、国土交通省とも連携を取って、今、十か年計画でまたやるということを、目標達成もできるというお話でございますが、ともかく全国の登記所配備の地図を整備すること、これが必要だと考えますが、大臣の決意を伺って質問を終わります。
#119
○国務大臣(森英介君) 法務省といたしましても、登記所備付け地図の整備を最重点施策の一つと位置付けております。今委員からお話のありましたとおり、これまでも国土交通省と連携を図りつつ地図の整備を進めてきたところであります。
 特に、法務省においては、ただいま民事局長からも御答弁しましたとおり、地図整備を緊急に必要とする都市部のいわゆる地図混乱地域において重点的に登記所備付け地図の作成作業を実施しております。今後も、御指摘のありましたとおり、鋭意地図の整備を行ってまいりたいと考えております。
#120
○木庭健太郎君 終わります。
#121
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 足利事件について質問するに当たりまして、真犯人に命を奪われた幼女と御遺族に心から哀悼の思いを申し上げます。
 再審請求事件の東京高裁で、弁護側、検察側、いずれの鑑定人によっても、被害者の半そで下着の体液痕に由来するDNA型と請求人菅家利和さんのDNA型は一致しないとする再鑑定がなされたことにより、菅家さんの冤罪は明白となりました。検察は無期懲役刑の執行を停止して釈放しましたが、九一年十二月の任意同行以来十八年間、無実の人の人生を奪った、もはや取り返しの付かない事態であります。
 まず、最高裁にこの事態をどのように受け止めておられるか、伺いたいと思います。
#122
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中でございまして、その審理の結果を待たなければなりませんけれども、新しい科学的証拠により有罪の確定判決に疑問が呈されているということについては重大に受け止めております。
#123
○仁比聡平君 裁判の独立がありますから、個別事件の検証は慎重に検討しなければならないと思いますけれども、この科学的証拠、中でもDNA鑑定、この問題については今後何らかの取組を考えておられるのですか。
#124
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 先ほども申し上げましたですけど、今、現に再審請求係属中でございますので、その結果を待った上でということでございます。
#125
○仁比聡平君 そのときにまた伺いたいと思いますけれども、本件では弁護側が強く求めてきたにもかかわらず、再審請求の高裁に至るまで再鑑定がなされなかった。このことは、請求人はもちろん、国民の刑事裁判への信頼を失墜させているわけですね。必要な再鑑定が行われなかった場合、これはどのように本来ただされるべきなんですか。
#126
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) これ、個別事件のことでございますので、必要とか必要でないとか、これは個別の事案に応じて判断されるところでございますので、今私の方で何かお答えをするというのはちょっと控えたいと思いますけれども。
#127
○仁比聡平君 そうであればこの点はこれ以上は申し上げませんけれども、控訴審であれば、例えば訴訟手続の法令違反や、あるいは上告審でも重大な憲法違反にかかわるような問題としてただされ得ることであるはずだし、今手続が行われている再審、この中でも、刑事裁判手続の中で自らこの再鑑定の問題もしっかりと議論がなされなければならないのではないかと私は思います。
 DNA鑑定の証拠としての特性をまず確認をしたいと思うんですね。
 先ほど大野刑事局長は、信頼性一般が否定されたとは考えていないという旨の答弁をなされましたけれども、そこでおっしゃる信頼性というのは一体何なんですか。そもそも、DNA鑑定は型の判定です。同じパターンを示す人間の出現頻度、割合、これを示すのみであって、たとえその出現頻度の精度が向上をしたとしても、犯人を特定するということはこれは不可能ですね。どうですか。
#128
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま委員が言われたとおり、DNA型鑑定はあくまでも型の鑑定でありまして、型が一致したということはその言わば枠に入っているということであって、それ以上に、犯人がそれによって直ちに特定されるというものではないということはおっしゃるとおりでございます。
#129
○仁比聡平君 逆に、鑑定の結果、型が一致しないという結論が出たときは、アリバイの成立と同じで、ほかにどんな情況証拠があろうと、自白があろうと、被告人が犯人ではない、あり得ないということは明白になりますね。いかがですか。
#130
○政府参考人(大野恒太郎君) もちろん、その対照された試料が犯人のものであるという前提で鑑定され、それが異なるということになれば、今おっしゃられたとおりでございます。
#131
○仁比聡平君 ならば、DNA鑑定を刑事裁判上、犯罪捜査上、証拠として用いるとするなら、それは犯人でないことの証明、その場合に限るべきではないのかと私は思います。
 これまでのあれこれの判決文を拝見をしても、論理的には情況証拠の一つであるというふうにいいながら、有罪証拠として使われたときには、捜査においても、起訴、不起訴の判断においても、公判維持や判決の心証形成においても、そして刑の執行ですね、中でも死刑執行の判断においても、このDNA鑑定が決定的な影響を及ぼしているんではないですか。極めて危険な証拠だと私は思いますけれども、局長、いかがです。
#132
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど委員が指摘されましたとおり、型の鑑定といいますのは、それによって直ちに犯人が特定されるというものではありません。
 ただ、DNA型鑑定によります個人識別精度といいますのは、制度導入時から今日に至るまで格段の進歩を遂げているわけであります。したがいまして、その出現頻度につきましても、最近は、先ほどちょっと御披露いたしましたように、四兆七千億分の一というようなところまで高まっているわけであります。したがいまして、そうした出現頻度も併せ考慮した上で有罪認定の根拠にするということは、これは許されるというか、むしろ当然のことではないだろうかというふうに考えております。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 ただし、そこが、もし委員がおっしゃられているのが、いわゆる科学捜査、DNA型鑑定に対する過信といいましょうか、そういう実際の出現頻度を超えた意味付けを与えるようなことがあれば、それは問題だということになりますし、それと同時に、また実際に例えば試料の由来等につきましてもきちっとしたチェックがなされないといけないだろうと。
 しかし、そういう前提の上で、やはり科学技術の進歩に応じた相応の評価は与えるべきである。さもないと、DNA型鑑定があっても、それが非常に有力な証拠の場合に真犯人を起訴できなくなるということもやはりこれは問題ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
#133
○仁比聡平君 それがDNA神話なんではないんですか。
 大臣もあるいは委員各位の皆さんも、幾つものDNAの鑑定が問題になった判決文を読んでいただきたいと思います。そこには、どれだけDNA鑑定が信頼できるか、信用できるかということを大部の紙幅を割いて書き連ねてある判決がたくさんあります。これを見ると、DNA鑑定が心証形成、判断に決定的な影響を及ぼしていると、そのことは私、一目瞭然だと思うんですね。けれども、少なくともMCT118型、123マーカーを使うこの技法については、そうした判決や検察の主張やそうした活動のすべてが虚構であり、瓦解したというのが今日の事態なのではないのですか。現在のSTRだって、これから将来どういうふうな認識が発展をするか、これだれにも分からないじゃありませんか。
 先ほどの四兆七千億分の一といった出現頻度について、精度は高まっていないとは私も申し上げませんけれども、それを犯罪捜査や有罪立証に使っていいのかという法的な検証、ここについて検察庁、法務省は何らかの検証を行ったことがあるんですか。
#134
○政府参考人(大野恒太郎君) その出現頻度につきまして、検察当局におきまして統計をするというか調査をしたことはございません。
 警察当局等からの情報提供を受けるなどした上で、検察官において証拠価値があると判断し、裁判所にこれを取調べ請求したものでございます。
#135
○仁比聡平君 科警研が論文を書いておられるというふうに伺いました。けれども、その問題ではないですよね。国家の刑罰権を行使するその根拠として、確かに生物学的ないろんな認識は発展していきます。それを有罪立証の証拠として使っていいのかというこの大問題は、科学の発展の問題とは別の問題なんですよね。検察が、あるいは裁判所が、自らの検証もなくこうした証拠を使い続けてきたということ自体が私は今正面から問われているんだと思います。
 現に係属中の事件があると思います。このDNA鑑定の明らかになった未成熟さ、そのことを踏まえて、現在進行中の事件の運用においても、それから、これからの制度設計の面においても、最低限、再鑑定の可能性の保障、これをするのは本当に最低限の義務だと思いますけれども、大野局長、いかがですか。
#136
○政府参考人(大野恒太郎君) 確かに、今委員が御指摘になりましたように、事後的な検証を担保するという点で再鑑定の可能性があるというのは大変重要なことだというふうに考えております。だからこそ、検察当局も先般、試料が残っているものについては取りあえずその保管を指示したわけでございます。
 ただ、実際のDNA型鑑定の運用を見ますと、鑑定試料が微量であるというようなことで、再鑑定を行うことが量的に困難である事例もあるというように伺っております。そうした場合には再鑑定が行えないということで、DNA鑑定を行わなくていいのかということになります。そこは鑑定試料の採取や保管の状況、それからほかの証拠の整合性等とも照らしまして鑑定結果を信用できるという場合もあるというふうに考えております。
 したがいまして、再鑑定ができない場合には一切DNA型鑑定の結果を証拠利用できない、有罪認定の立証の資料にできないとすることにつきましては問題があるんじゃないだろうかというふうに考えております。
#137
○仁比聡平君 今局長がおっしゃったような、再鑑定が現実の問題としてできないときにおっしゃるような条件を付したとしても、証拠として利用したときの現実の裁判に与える危険性、これから国民、市民が判断権者として裁判員として参加するわけですね。取り返しの付かないことになりかねないじゃありませんか。私は、そうした場合に、DNA鑑定そのものを全く、鑑定そのものをやってはならないと今申し上げているわけではありません。証拠として使うことは取り返しの付かない事態を起こす危険性があるじゃないかと。いかがですか。
#138
○政府参考人(大野恒太郎君) もちろん、実際の運用上、再鑑定の可能性をできる限り残す形で運用していくというのは、これは当然のことだろうというふうに思います。
 ただ、私が申し上げているのは、それでも量的等の理由でそうした試料を残せない極限的な場合に、しかも今委員の御発言ではそういう場合に鑑定をやること自体は否定していないんだと、こういう御発言でありましたけれども、そうした鑑定で結果が出た、その結果を一律にその証拠にできないというふうにされることにはやはり、直ちに、どうかというような気がいたします。
 もちろん、再鑑定ができないような場合には、そうしたやり直しがないということも考慮した上で、極力客観的な手続等が取られ、後日のその鑑定の正否についての検討ができるような、そういう体制で行うべきだというふうに思いますけれども、一律に証拠能力を否定してしまうというところまで行きますと、困難な事件における解決を封じてしまうということでやはり問題じゃないだろうか。そうした再鑑定ができないということは、裁判所における証拠評価の場面で考慮されることはあり得るとしても、一律に排除することには賛成できないというように申し上げたいと思います。
#139
○仁比聡平君 私、この点は極めて重要な問題だと思うんですね。現在係属中、捜査中、あるいは起訴、不起訴、その判断をしている、そういう事件だってあるんですから、速やかに、これは法的な措置が必要ならば、それも含めてしっかりと検討する必要があると思います。今日の局長の答弁では私は到底納得できない。
 そういう状況の下で、123マーカーによるDNA鑑定の未成熟さ、これが明らかになった下で、その利用の全容というのを私は今つかむ必要があると思います。
 これまでも文書で警察庁、法務省に、我が国の犯罪捜査におけるDNA鑑定の各技法の変遷、MCT118型によって警察庁の科警研、科学警察研究所が鑑定を実施したのは平成元年から平成十五年までで二百十四件ということですが、このうち123マーカーによるものが何件か、このほかに都道府県警の科学捜査研究所によるものは何件なのか、DNA鑑定が証拠請求された件数、そのうち118型、123マーカーによる鑑定の件数、鑑定実施日、被疑罪名、鑑定結果、うち証拠採用された件数は幾つなのか、証拠採用が裁判所によってされなかった事案についてはなぜなのか、証拠採用された事件について有罪判決は幾つあるのか、罪名、量刑、その刑の執行状況を私は明らかにしていただきたいと思います。特に無期懲役、死刑判決事件、それから否認事件、これは自白から転じたものも含みますけれども、これがこの事件において有罪証拠としてDNA鑑定が用いられた事件については、これはそれぞれの概要を明らかにするべきだと思うんですね。
 今も孤立無援で適切な弁護すら受ける機会を保障されないまま刑の執行を受けている、あるいは刑の執行を目前としている無実の人がいる可能性が十分にあります。この事態に直面をしているわけですから、もちろん統計上、これまで取っている統計でないことは承知していますけれども、挙げて、しっかりと調査をしてこの委員会に報告するべきではありませんか。それぞれお尋ねします。
#140
○政府参考人(米田壯君) 警察庁として対応できるものにつきましては、御要望に沿うように努力をいたしたいというふうに思います。
#141
○政府参考人(大野恒太郎君) 有罪判決の根拠として今言われたいわゆる古い時代のDNA鑑定が行われた事例、これにつきましては現在把握に努めているところでございまして、その結果をまず待ちたいというふうに考えております。
#142
○仁比聡平君 私は、速やかな調査と提出を改めて要求します。それがもしなされないのなら、一体、この足利事件を受けて法務省もそして警察も何を反省しておるのか、そのことが真剣に問われると、改めてこの委員会でも取り上げていきたいということを申し上げておきたいと思います。
 最後に大臣にお尋ねしたいんです。
 菅家さんは犯人ではなかったんですね。なのに詳細な自白がなされています。犯人でないのに詳細な自白がなされている。人がありもしなかった事実をさもあったかのように供述しているという現実が大臣の目の前にあるんですよ。そのことを、つまり人が訴追をされるのに、死刑になるかもしれないのに、それでも自分が体験したことのない事実をさもあったかのように供述する、そういう事態が取調べ室で起こっているというその現実の危険性を大臣はどんなふうに考えているんですか。
#143
○国務大臣(森英介君) 今回のようなことというのはあってはならないことであると思い、また大変深刻に受け止めております。
 しかし、検察官は従前から、被疑者を取り調べる際に被疑者の心を開かせて真実を語るよう説得するほか、自白が得られた場合にも、様々な観点から検討しつつ、その信用について慎重に吟味しているものと思っているところでございます。
 もちろん今回の件についてはいろいろ反省すべき点もあると思いますが、それは最高検において検証チームが設置されて、これからすべての資料、証拠、あるいは経緯について検証がなされるところでございますので、その結果を待ちたいと思います。
#144
○仁比聡平君 大臣、そういう認識では今の日本の刑事司法を変えることはできませんよ。取調べ官との信頼関係だとか、腹を割って話をするだとか、そんなことをこれまでも取調べ過程の全面可視化に背を向ける根拠として警察庁も検察庁も、今大臣もおっしゃったんですけど、だけれども、現実に菅家さんは、今大臣がおっしゃったような取調べの中において、ありもしなかった事実をさもあったかのように詳細に語らせられているじゃないですか。大臣は御存じかどうか知りませんけれども、その自白と現実の客観的事実が数々矛盾しているということがこの事件については大問題になってきました。
 一つだけ申し上げると、自白された殺害方法は扼殺ですが、遺体の状況がそれとは矛盾するという鑑定があり、鑑定人がそうした証言をし、裁判所も傾聴に値するといった判示をしているわけですね。けれども、再鑑定もしないって、一体どうしてかと思いますけれども、客観的事実と矛盾する自白をそれでも使い続けるというここの取調べの中身を全面的に可視化しなかったら、これからも裁判上ただすことができないじゃありませんか。大臣、いかがですか。
#145
○国務大臣(森英介君) 先ほど申し上げたように、本件についてはこれから検証をするわけでございますので、その結果を待ちたいと思います。
 可視化、全面録音、録画の件につきましては、先ほども御答弁しましたけれども、やはり取調べが日本においてはこれだけ重要性が高いという状況にかんがみまして、その機能が損なわれるようなことはやはり慎重に対応しなきゃいけないと思います。もちろん、他の様々な捜査手段との組合せにおいて全面録画、録音ということが検討されるということはあり得ると思いますけれども、それにおいても、やはり現状において取調べの位置付けが下がるものではないと思いますので、その点について私は総合的な観点からの検討が必要であるということを重ねて申し上げたいと思います。
#146
○仁比聡平君 取調べの必要で人の人生を奪うことは絶対に許されませんよ。
 この事件では、DNA型が一致したからには犯人に違いないという根拠のないDNA神話、そして客観的事実との矛盾する自白をまともに吟味すらせずに偏重する捜査、裁判、その根深い誤った構造が改めて私はただされていると思います。
 菅家さんあるいは弁護人の方を参考人に招いての、そして、かねてから求めています志布志事件、氷見事件を始めとした冤罪被害者をこの委員会室にお招きしての集中審議を改めて要求をいたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。
#147
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。
 私も、足利事件について質問をいたします。
 菅家さんが釈放をされました。刑事訴訟法の四百四十二条ただし書に基づいて検察官が刑の執行を停止したわけでございます。これは現行の刑事訴訟法になってから初めてのことでございます。この四百四十二条ただし書のケースでありますが、コンメンタールを読んでみますと、再審請求の容認される蓋然性が特に顕著であるような場合に認められると、こういうふうになっております。つまり、無罪の可能性が特に顕著な場合に検察官が再審の前に釈放すると、こういう規定なわけでございます。
 そこで、大臣にお尋ねをいたしますけれども、前例のない検察官による執行停止をどう受け止めているのかということでございます。
 先ほど、本件における、この足利事件における証拠構造の話がありました。これは直接証拠は菅家さんの自白ですよ、直接証拠はね。DNA鑑定は極めて重要なものでありますけれども、これはしょせん間接証拠。直接証拠は自白なんです。つまり、このDNA鑑定が一致しない、これが大きく前提が変わっちゃったもので、直接証拠、つまり自白はがらがらとこの虚構性が音を立てて崩れちゃった。したがって、そういう状態では、もうそれは無罪の可能性は極めてやっぱり確率として、蓋然性として高くなった、だから検察官は釈放したんですよ、それ以外ないと。私は、検察官が戦後初めて自ら釈放したと。この四百四十二条ただし書の意味をどういうふうに大臣は受け止めておられるのか聞きたいというふうに思っています。
 そして、昨日、最高検の次長検事が謝罪をいたしました。再審開始決定を前に謝罪をしたわけであります。これに対して菅家さんは、私の目の前に来て謝れ、謝ってもらいたいと。警察、検察を絶対に許さない、許せないと、こういうふうに言っております。十七年の人生を奪った責任について、法務行政のトップとしての菅家さんへの気持ち、大臣の今のお気持ち、聞かせてください。質問、二つ。
#148
○国務大臣(森英介君) 私としても、今回のような事態は誠に遺憾なことでありまして、もう暗たんたる気持ちで今おります。また、今後二度とあってはならないことであって、本件の問題点を検察当局においてしっかり洗い出して、同じようなことが二度と起こらないようにしてもらいたいというふうに思っております。
 ただ、私の、法務大臣としての立場でもって、再審開始手続がされる前に無罪の蓋然性が今委員が言われたように高くなったといっても、私の所見を申し述べることは差し控えたいと思います。
#149
○近藤正道君 そんなことないでしょう。だって、ただし書に、無罪の可能性が極めて高い場合にしか検察官が釈放しないんですよ。そういうケースとして検察官が認めているから、法務大臣として菅家さんにどんな今気持ちを持っておられますかと聞いているんですよ、どうぞ。
#150
○国務大臣(森英介君) 今申し上げたとおりです。
#151
○近藤正道君 菅家さんは、是非、今日は本当はここへ来ていただいて直接お気持ちをお聞きしたかったんですけれども、それが今回かないませんでした。大変残念でございますが、記者会見の様子がインターネット等でいろいろ拝見することができます。無理やり責められて、自分の体を揺すったり、揺すられたり、あるいは髪の毛をつかんだりされたと。おまえがやったのは分かっているんだと、白状しろ、白状しろと、こう言われ続けたと。ひじでどつかれた、こういうふうにも言っておりますし、刑事たちの責めが物すごかったんだと。おまえがやったんだとか、早く話して楽になれと、そういうことを繰り返し言われて、やっていないと言われても全く聞いてもらえなかったというふうに言っています。
 菅家さんは法廷でも裁判官の前で一審判決のある時期まで認めているんですよね。これに対して彼は、法廷の傍聴席に刑事がいるんではないか、それを思うとおっかなくてしようがなかったということを言っていますね。警察の代用監獄から拘置所に移されてから、彼は初めて家族に向かって自分は無実だという手紙を書き始めたんですよ。代用監獄の弊害もここに見事に出ているというふうに思うんですね。
 控訴審の判決の中で、裁判所は、菅家さんが犯人であることは間違いないということを示す科学的な証拠があるんだと、こういうふうに言って捜査官が自白を求めたと。捜査官が科警研のDNA鑑定に言及して菅家さんを追及して自白を得たと、こういうふうにまさに事実認定をしているんですよね。DNA型鑑定を過信した捜査官の強要によって、やってもいないことをやったと、虚構の自白がなされているわけです。
 そして、私は非常にとんでもないことだというふうに思うんですが、彼はこの事件で自白しただけではなくて、この事件のちょっと前に足利市内で起きた二つの幼女の失踪・殺害事件があった。彼はあるとき、この二つの事件についてもおまえやったんだろうと、こういうふうに言われて、これをいったん自白しているんですよ。そうしますと、多分これが、これ、たまたまその後この二つの事件についてはアリバイが成立して彼は不起訴になりましたけれども、これがもし併せて、併合でもって審理されていたら、ほぼ間違いなく彼は死刑判決。そうすると、今この世の中にいなかった可能性も非常に強い、そういうケースなんです。
 ですから、つまり菅家さんのこの自白は、DNA鑑定が絶対なんだ、正しいんだという前提で言わば責められたわけでありますけれども、そのDNA鑑定の過ち、これが一致しない、犯人と菅家さんのものが一致しないと、こういうことが明白になった今、なぜその自白をしたのか。大臣、どう思われますか。
 そしてまた、こういうものを生み出した、虚偽の自白を誘発する、そういう極めて違法性の強い取調べが行われた可能性があるんではないか。なければ、彼はありもしないことを言うわけないわけですよ。このことについて、大臣、どう思われるか。
 どうしてこんなことがされたのか。率直の、一人の人間として、政治家としてどういうふうに今思われるか、お聞かせいただきたい。その上で、こんなことがなぜ起こったのかという徹底したやっぱり検証をやっていただきたいと、そういうふうに思いますが、どうですか。
#152
○国務大臣(森英介君) 委員御指摘のとおりでございまして、まさに最高検において検証チームを設置して、徹底したすべての資料、証拠、またこれまでの経緯についてこれから検証をするわけでございますので、しっかりと見守りたいと思っております。(発言する者あり)これは私の意見です。
#153
○近藤正道君 DNA鑑定に過度に依拠したと。今ほど仁比委員の話もありましたけれども、まさにDNA鑑定だけでは逮捕状出なかったわけですよ。DNA鑑定に基づいて虚偽の自白を取って、その自白に基づいて逮捕状が出ているわけですよ。まさにその自白の獲得に捜査当局としては懸けたわけですよね。まさに自白は証拠の王。こういうやり方を見事にやっているわけですよ。そして、自白に客観的な裏付けも取らなかった。極めて客観的事実と反するようなことがいっぱいある。
 私も今回のことについていろいろ記録等も読まさせていただきましたけれども、本当に、まさにDNA鑑定で彼がやったというふうに決め付けて自白を取った。そしたら、もう自白に対する裏付けなんかほとんどやっていない。そうとしか思えないような本当に不自然な箇所がたくさんございます。
 志布志事件では、たたき割り、こういうことで、客観的な証拠を積み上げるというやり方ではなくて、まさに密室に連れ込んで自白をとにかく迫る、こういうやり方をして、そういうことに成功した捜査官がやっぱり表彰を受けるわけですよ。警察庁の、あるいは県警本部長の表彰を受ける。今回の足利事件でも、まさにこの偽りのDNA鑑定を基に彼に自白させたこの捜査官がやっぱり警察庁長官あるいは県警本部長の表彰を受けているんですよ。ひどい本当に話だというふうに思っています。だから、菅家さんは会見の中で、密室ではなくて、ちゃんとしたテレビカメラなどを設置して室内を映して、そしてその調べを監視していただきたいと、彼、こういうことを強くやっぱり言っていますよ。
 体質は全く変わっていないと。とにかく自白を取る、そのために密室に連れ込む、だれも見ていないところで自白を迫る、この構造は一貫して、志布志も、氷見も、そして今の足利も全く変わっていないじゃないですか。
 大臣は、これだけ事態が積み上がって、これだけ多くの無辜の人たちが密室の中でありもしない自白を迫られて、そしてでっち上げられていると。こういう事件がこれだけ積み上げられているにもかかわらず、なおかつ取調べは必要だ、全面可視は問題だと、こういうふうにおっしゃるんですか。どうぞ、聞かせてください。
#154
○国務大臣(森英介君) もちろん取調べは必要だと思います。
#155
○近藤正道君 可視、可視、可視化。
#156
○国務大臣(森英介君) いや、ですから、今おっしゃられた取調べは必要だと思います。
 また、これまでも申し上げているとおり、例えば外国における免責だとか司法取引、あるいは広範な通信傍受ですか、そういった強力な捜査手段も併せて、総合的な検討の中で全面録音、録画についても検討をされるべきであるというふうに私は思っております。さもないと、やはりこれは、日本における取調べの重要性にかんがみまして、取調べの機能が支障を来すことによってかえって目的を達せられないと、こういうことになると思いますので、やっぱり全面録音、録画ということを議論する場合には総合的な検討の中ですべきであるということを重ねて申し上げたいと思います。
#157
○近藤正道君 これだけ事実が目の前に積み上げられているにもかかわらず、いまだ取調べの可視化、全面可視化に踏み切れない。本当に私はひどいというふうに思います。
 この今ほどの足利事件とは別に、DNAの冤罪が疑われる事件では、東の足利、西の飯塚と、こういうふうに言われてきました。今日、皆さんのお手元に、その週刊誌の記事でございますけれども、DNAを根拠に死刑にされました飯塚事件の記事を配付をさせていただきました。
 飯塚事件、九州の飯塚でございますけれども、この足利事件の二年前に、二人の女の子、小学校一年生の女の子が失踪して殺害されたと、こういう事件でございますが、久間三千年という人が犯人として逮捕されたと。しかし、この久間さんは一貫してその無実を訴えていたわけでございますけれども、DNA型鑑定を唯一の根拠として有罪となって、国連の死刑廃止勧告が出る二日前の昨年の十月の二十八日、森大臣によって死刑が執行されたわけでございます。当時七十歳。
 私は、あのときは松野さんも質問しましたし、私もこの死刑執行はおかしいんではないかと。この久間さんは再審を準備していたと、そして国連からも死刑廃止の勧告決議、そういうものも近々出されると。こういうときに何で、通常だと死刑確定から七、八年でやられるケースが多いんですけれども、確定後二年という形でやられるのか、これはおかしいという、こういう質問をしておりまして、大臣もよく覚えているというふうに思っています。
 この事件の中身については本日の配付資料の中に書いてございますが、この久間さんについては、これは足利事件で今問題だと言われているDNA鑑定と同じやり方でやられているんですね。彼はこれを唯一の、実質唯一の根拠で彼は死刑判決を受けて、そして再審の準備をしていたところでございます。
 実は、今の足利事件で、再鑑定について、検察官がそれは基本的に了解していますと、つまりDNA鑑定に、以前やったDNA鑑定に問題があるということを認めた上で同意をしていると。同じころ、この飯塚事件の久間さんというのが死刑執行されているわけですよ。
 これ、足利事件の弁護人の佐藤弁護士がこの週刊誌の中に書いておりますけれども、こういうことを言っているんですね。昨年の十月十五日に、足利事件について東京高検の検察官がDNAの再鑑定をすることを前提とした意見書を出したと。つまり、検察官も再鑑定することについて前向きに了解していたと。ところが、久間さんはその二週間後に死刑を執行されたと。東京高検の検察官が足利事件のDNA鑑定には問題があるという認識を示したのに、同じ時期に久間さんの死刑が執行されたと。検察庁と法務省の建物は隣り合わせであるけれども、同じ時期に全く異なる判断が下されたんだと。当時のDNA鑑定に問題があると分かれば飯塚事件にも疑問が生ずるのは分かっていたわけで、絶対に許されない判断ミスではないかと、こういうふうに言っているわけですよ。
 私、大臣に当時質問しました。この執行は問題ではないかというふうに言いましたら、大臣は全人格と全存在を懸けて決断をした、決定した、関係記録を十分に精査した、そして慎重に決定をしたと、こういうふうに当時答弁をされました。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、この久間さんの、飯塚事件の死刑執行指揮書には、今これ問題だよということが、これは間違っていたということがはっきりしたMCT118型、123マーカーによるDNA鑑定でやったんだ、認定したんだと、こういうことはちゃんと書いてあったのかどうか。そして、捜査段階で帝京大学の石山という教授がDNAが一致しないという鑑定結果を出したんですけれども、そういうことが書かれていたのかどうか。そして、一貫してこの久間さんは無実を主張していて、そして再審を準備していた。こういうことがちゃんと書かれていたのか。大臣はこういうことを全部承知の上で死刑執行にゴーサインを出したのか。どうなんですか。
#158
○国務大臣(森英介君) 個別の死刑の執行に関する事柄については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げればというか、この件については先ほど委員からお話のあったとおりの思いの中で決断をいたしましたけれども、いずれにしても現時点においてその具体的な証拠関係をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#159
○近藤正道君 以前から、今も言いましたように、東の足利、西の飯塚と、これはもう関係者の間では有名な言葉になっていたと。そして今、足利事件がこういう形でDNA鑑定の誤りが満天下に明らかになったときに、改めて飯塚事件、久間さんの事件は一体どうだったんだろうか。あの人もういないんですよ、この世の中に。もしかすると足利事件の菅家さんもいなかったかもしらぬ。本当に恐ろしいことだというふうに思いますね。
 そして、これは週刊誌の、この今の配付資料の中にも書いてありますけれども、久間さんはこういうふうに言っています。
 彼は無実をずっと主張してきたんだけれども、三審で全部駄目だった。しかし、彼は、真実は必ず再審にて、この暗やみを照らすであろうことを信じて疑わない。真実は無実であり、これは何ら揺らぐことはない。私は無実の罪でとらわれてから、拘置所に十四年収監されている。今年の一月九日で七十歳になったと。
 私は本当に、死刑の執行場、法務委員会で行きました。あそこに四人掛かりで、下が落ちるあの台の上に立たせるわけですね。ああいう光景とダブらせながら、本当にこれはどうだったんだろうかと今思えてならないんですよ。
 先ほど刑事局長が、このDNA鑑定、前の足利でやられたようなあのDNA鑑定についてはこれから見直すというふうなことが発言されました。この飯塚事件がこれに含まれるかどうかは必ずしもはっきりしないわけでございますが、弁護団としては、本人は亡くなりましたけれども、再審の準備を今しているようでございますけれども。
 これはやっぱり是非しっかり、私は大臣の背負っている十字架は物すごい重いと思うんですよ。物すごい重いと思う。一部のマスコミなんかは、何でこんなに早くやったんだろうか、冤罪ということを消すためにやったんじゃないかなんて、こういうことを言う人たちもいる。そういう中で、本当にやっぱり大臣はあれだけの議論の中で死刑執行されたわけだから、これについてはしっかりと説明責任を果たして、当時のDNA鑑定が足利ではとにかく間違いだということがはっきりしたわけで、全く同じ時期に同じ鑑定でやられて、これが唯一の根拠でやられた久間さんの死刑がどうだったのかということをやっぱりはっきりさせるべきだと思うんですよ。どうですか。
#160
○国務大臣(森英介君) 私は法務大臣の職責として、死刑の執行の命令をするという職責がございます。
 一般的に言って、これまでも死刑執行に関して、何よりも司法の判断を尊重して、また個々の事案について自分なりにもう全身全霊を挙げて資料を吟味いたしまして、その上で判断をして対処してきたところでございまして、その私の判断というのは今日に至っても変わってはおりません。
#161
○近藤正道君 それはいいんですけれども、今言ったように、これだけ足利事件で当時のDNA鑑定のいいかげんさということが明らかになったわけですから、この久間さんについてもしっかり調査をしてくださいよ、そして報告をしてくださいよ。どうですか。
#162
○国務大臣(森英介君) もちろん、そういう要請があれば、それに基づいて最善を尽くしたいと思います。
#163
○近藤正道君 要請があればじゃなくて、それ、是非この委員会に報告してくださいよ。あれだけ当時問題にもなったわけでありますので、是非それはやっていただきたい、こういうふうに思いますし、この事件に限らず、先ほど来いろんな先生方の方からお話がありましたけれども、足利事件と同じMCT118型、123マーカーによるこの鑑定、これは一体どのぐらいあったのか。とりわけ無期だとか死刑判決がどのぐらいあったのか、これを調べた上で、これ、きちっとやっぱり再評価をしていただきたい。そうじゃないと、これは納得できないですよ、これは。そのことを強く求めておきたい。
 先ほど来答弁がありますので、私も全く同じ気持ちだと。その中の一つとして、もう本当に今はこの世の中に存在していない飯塚事件の久間さんのことについても、久間さんについてもはっきりしていただきたいというふうに思います。
 その上で、最後にちょっと申し上げますけれども、アメリカではDNA鑑定によって死刑囚の冤罪がどんどんと証明をされてきております。この法律が、イノセンス・プロテクション・アクト、無辜の不処罰法、これが制定されて、先ほど百幾つなんて言いましたけれども、私が調べた限りでは、〇八年までに二百三十八件が再審無罪判決を勝ち取っていると、こういうことでございます。
 是非、日本でもアメリカのこの法律を参考にして、イノセンス・プロテクション・アクト、無辜の不処罰法、こういう法律がやっぱり作られる必要があるんではないかというふうに思う。
 私は、今ほどの飯塚事件、これは大臣が死刑を執行されたわけでございますけれども、是非、大臣が、今の森大臣がそういうアメリカのこの法律と同じような法律を日本でもやっぱり準備して、無辜の人が処罰されない、命を落とすことのない、そういう法制度を是非整えていただきたい。
 そして、裁判員制度が今始まっているけれども、本当にこの足利事件で、あるいは飯塚事件で、一般市民が死刑判決を本当に確信を持って出せるのか、こういう問題だっていろいろ出てきていますよ。是非、死刑判決には、裁判員の多数意見ではなくて全員一致でしかやれないと、こういうことだって是非私は考えていただきたいし、取調べの全面可視化、これやらなかったら、今、いつやるんだと、こういう時期でもある。これは是非心を入れ替えて考えていただきたいということを最後に強く強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思いますが、今ほどの無辜の民の不処罰法についてお考えを聞かせてください。
#164
○国務大臣(森英介君) ちょっと私も詳しく知らないことで、今回先生の御質問で勉強したわけでございますけれども、今イノセンス・プロテクション・アクトにつきましては、我が国の再審制度の下におきましても、再審請求を受けた裁判所は、事実の取調べの一環としてDNA鑑定の再鑑定を命ずることができるわけでございます。したがって、そのような鑑定の要否については裁判所において適切に判断されるというふうに思っております。(発言する者あり)
#165
○近藤正道君 適切に判断されていないから。
 是非、これは新たな法制度の創設も含めて積極的に大臣から考えていただきたい、そしてやっぱり実行していただきたい、そのことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#166
○委員長(澤雄二君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後一時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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