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2009/07/02 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第14号
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2009/07/02 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 法務委員会 第14号

#1
第171回国会 法務委員会 第14号
平成二十一年七月二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月一日
    辞任         補欠選任
     白  眞勲君     小川 敏夫君
     前川 清成君     広田  一君
     佐藤 正久君     丸山 和也君
     西田 昌司君     舛添 要一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         澤  雄二君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                広田  一君
                松浦 大悟君
                松野 信夫君
                簗瀬  進君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   参考人
       千葉大学法経学
       部教授      多賀谷一照君
       一橋大学名誉教
       授        田中  宏君
       港区長
       外国人登録事務
       協議会全国連合
       会会長      武井 雅昭君
       移住労働者と連
       帯する全国ネッ
       トワーク事務局
       次長       鈴木  健君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和
 条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入
 国管理に関する特例法の一部を改正する等の法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日、白眞勲君、佐藤正久君、西田昌司君及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君、丸山和也君、舛添要一君及び広田一君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(澤雄二君) 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、四名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人は、千葉大学法経学部教授多賀谷一照君、一橋大学名誉教授田中宏君、港区長・外国人登録事務協議会全国連合会会長武井雅昭君及び移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局次長鈴木健君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、多賀谷参考人、田中参考人、武井参考人、鈴木参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
 それでは、多賀谷参考人からお願いいたします。多賀谷参考人。
#4
○参考人(多賀谷一照君) 私、千葉大学の多賀谷と申します。
 私は、今回の法改正における中心的な内容であります新たな在留管理制度の構築に関して、第五次出入国管理政策懇談会の委員を務めますとともに、その政策懇談会の下に設置された在留管理専門部会の部会長を務めるなど、昨年三月に法務大臣に提出した新たな在留管理制度に関する提言の取りまとめに深く関与させていただきました。
 今回の法律案は、この提言を踏まえて作成されたものと理解しております。本日は、この提言を取りまとめた立場から、新たな在留管理制度の構築について賛成の視点で意見を述べさせていただきます。
 お手元の一枚の資料を御覧ください。
 これは、先ほど申し上げました新たな在留管理制度に関する提言を要約したものであります。この提言を取りまとめるに当たっては、専門部会において、各界の実情を把握する必要があるとの認識から、市区町村のうち、特に外国人が多く居住し様々な問題に直面している外国人集住都市、外国人留学生の支援や教育にかかわる団体、外国人を雇用する企業の立場を代表する団体、労働者の立場を代表する団体、法曹の立場から日本弁護士連合会、日本に在留している外国人の立場や外国企業の立場を代表する団体等、合計十五団体、関係者から意見を聴取しております。これらの状況も踏まえ、月に一、二回の頻度で約十か月にわたって議論を行った上で取りまとめたものであります。
 第一に、在留管理制度の見直しのねらいは、外国人の的確な在留管理と外国人住民に対する各種行政サービスの向上、この二つが言わば車の両輪となって日本人と外国人との共生社会の実現を目指すことにありました。このうち、前者については今回の入管法等の改正による新たな在留管理制度の構築により、後者については住民基本台帳法の改正による外国人に係る住民基本台帳制度が整備されることにより実現が図られることになります。それぞれの内容に関する意見はこれから詳しく述べさせていただきますけれども、いずれの観点からも、提言の立場からして申し分ないものとなっていると考えております。
 第二に、新たな在留管理制度の構築については、法務大臣が外国人の在留状況をより的確に把握するための制度でありまして、その制度の特徴としては大きく四つの点が挙げられます。
 第一が、上陸許可等各種許可に伴う在留カードの交付であります。これについて、提言においては、偽変造対策を講じてその信用性を保護するという観点から、在留カードはICチップを登載すること。第二に、事業主が外国人を雇用するに際し、当該外国人が所持する在留カードを見れば就労可能な外国人かどうか判断できるようにして不法就労の防止を図ること。第三に、在留カードの記載事項は外国人の負担にかんがみて必要最小限にとどめること。第四に、在留管理制度の実効性を担保するために、携帯・提示義務違反、再交付申請義務違反、切替え義務違反のほか、在留カードの譲渡や貸与等不正利用行為に対する罰則を整備することなど様々な観点からの指摘をしております。
 今回の改正案を拝見しますと、これらの指摘を十分に踏まえており、今後、外国人の重要な身分証明書としての役割を果たすことになる在留カードの社会的信用性が十分保護されている仕組みになっていると考えております。
 二つ目は、外国人からの法務大臣への在留期間の途中における変更事項の届出についてであります。このうち、まず住居地の届出に関しましては、本日、専門部会にいらした武井港区長がいらっしゃいますので、私からは簡単に述べることにします。
 すなわち、住居地の届出に関しては、在留管理の観点からだけではなく市区町村が自らの区域内に住む住民を把握するという観点からも非常に重要ですので、住居地の届出が確実に履行される方策を検討する必要性について提言で指摘しておいたわけです。この点、改正案におきまして、住居地の虚偽届出や届出義務違反を在留資格の取消しの対象とし、また、情報の正確性を確保するために法務大臣に調査権を与えるなどの方策が取られており、評価できる内容となっております。
 次に、住居地以外の届出に関しては、在留資格によって在留管理上の必要性も異なることから、個人情報保護の要請を踏まえて検討することが適当であることを指摘しておりました。改正案では、基本的な身分事項である氏名、生年月日、性別、国籍等の変更のほか、所属機関の存在が在留資格の基礎となっている場合については所属機関の名称等の変更を、日本人の配偶者などのうち、配偶者にかかわるものについては配偶者との離婚等を届け出ることにしております。
 このようにして、在留資格ごとに在留管理上の必要性を丁寧に吟味しながら検討し、在留事項が現行の外国人登録制度に比べても大幅に小さくなっていることは、提言の趣旨を踏まえたものとして考えております。
 さらに、これらの届出の方法について申し上げます。住居地以外の届出事項については原則として地方入国管理局に届けることになるわけですが、専門部会における意見聴取においても、外国人を受け入れている企業や教育機関の立場、外国人の立場、それぞれから負担の軽減が要望されていましたので、これを考慮して、インターネットを利用した届出を可能とするように指摘しておりました。この点については必ずしも法律事項とはなっておりませんけれども、これまでの国会審議における当局の答弁を拝見しておりますと、インターネットや郵送等の方法も検討されているとのことですので、提言を踏まえたものとして評価できると思います。
 三つ目は、外国人の留学先、研修先等から法務大臣への情報提供についてであります。
 提言においては、留学先等の所属機関に必要な情報を届け出てもらうことは、外国人本人が届け出た情報と照合するなどして外国人の在留情報を正確に把握するために重要であることを指摘しております。特に、世界中で留学生の獲得競争が進む中、優秀な留学生を積極的に受け入れるためには、留学生が教育を受けようとする教育機関において適切な在籍管理が行われることが必要であり、留学生を受け入れている以上、法務大臣への情報提供もきちんと行うことは不可欠だと思います。この所属機関による届出につきましては、修正案において届出義務が努力義務に修正されたと承知しております。これは、原案においても、届出義務違反に対する罰則は設けず、その履行の確保においては所属機関側の自発的な意思が重視されていたところ、この点を法文上より明確にする観点からの修正であると認識しております。
 ただ、所属機関は、外国人を受け入れている以上、きちんと在留管理は行い、法務大臣への情報提供も行って、受け入れた外国人が在留管理に応じて認められる活動を適切に行うようにする責任があると考えております。
 なお、先ほどの外国人本人からの届出と同様、この届出方法については、教育機関等の負担を考慮し、インターネット等を利用した方法について検討すべきことを指摘しております。この点については、法案成立後の施行に向けた当局における検討に期待したいと考えます。
 四つ目は、法務大臣による情報の保有及び利用の在り方についてであります。
 まず、法務大臣が情報を保有する際には、行政機関個人情報保護法に基づき、在留情報の正確性の確保や、開示請求等について対応することや、漏えいや改ざん等を防止するために必要な措置を講じるよう指摘しております。専門部会における意見聴取においても、日本弁護士連合会からこの点について意見が述べられておりました。これについては、個人情報保護に対する十分な配慮が必要であることを明確に示すため衆議院において修正案が提出されたと承知しており、個人情報保護は重要であるという点からはなお一層評価できるものと考えております。
 次に、法務大臣による情報の利用の在り方につきましては、外国人本人から届け出られた情報と所属機関から提供された情報とを照合、分析し、必要により法務大臣の調査権限を行使するなどして、正規滞在者に成り済ました不法滞在者や在留資格とは異なる活動を行う目的で入国した偽装滞在者を発見し、退去強制手続や在留資格の取消し手続に利用していくことが期待されます。
 さらに、新たな仕組みとして、日本人の配偶者等で在留する者について、在留資格に後発的瑕疵が生じたことが判明した場合に、当該外国人の在留資格を取り消す等の処分を行うことができるような制度を設けることを検討するよう指摘しております。
 この点につきましては、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行わないことを在留資格の取消し事由に追加するという形で改正案に盛り込まれていると承知しております。
 第三に、適法な在留外国人の台帳制度の整備についてであります。
 冒頭に、外国人に係る住基台帳制度と新たな在留管理制度は車の両輪と申し上げました。この点について、住民基本台帳法改正案においては、外国人住民に係る住民票の記載事項に変更があったとき、法務大臣は市区町村の長に通知する旨の規定が置かれております。また、この通知を行うべき外国人の範囲や通知先の市区町村を正確に把握するため、入管法の改正案におきましても、外国人住民が出生や死亡したことにより外国人住民に係る住民票の記載、消除等をしたときには、市区町村の長から法務大臣に通知してもらうことを規定しております。これにより、市区町村が住民行政の基盤として外国人行政の正確な情報を把握し、各種行政サービスの適切な提供に利用できるようになるものと考えております。
 衆議院法務委員会で集住都市会議を代表している太田市長が意見を述べられたと承知しております。また、本日も港区長から意見があるかもしれませんけれども、市区町村においては外国人の情報、特に居住情報を正確に把握することは喫緊の課題となっております。そのために、法務省と市区町村の間で必要な情報をスムーズに通知し合うことは必要不可欠であります。幾ら車輪が立派でも、その二つをつなぐ車軸がしっかりしていなければ、両輪としてうまく働かないことは明らかであります。
 第四に、適法に在留する外国人の利便性の向上についてであります。
 提言においては、法務大臣が外国人の在留状況を正確に把握する新たな在留管理制度が構築されることを前提として、適法に在留する外国人の利便性の向上を図る施策として、在留期間の上限の伸長、再入国許可制度の見直し、取次申請に対する手続の簡素化を指摘しておりました。
 一つ目の在留期間の上限については、原則三年から五年に伸長することとしていると承知しておりますので、提言を踏まえているものと思います。
 二つ目の再入国許可制度の見直しについては、提言において、上陸許可や在留期間の更新等の許可とは別に、許可を受けることなく一定期間内の再入国を可能とするよう指摘したところであります。これがいわゆるみなし再入国許可制度ということです。有効な旅券と在留カードを所持する者については、出国後一年以内に再入国する場合には再入国許可を受ける必要がなくなると承知しております。
 三つ目の取次申請に対する手続の簡素化については、法律事項ではありませんけれども、先ほどから述べておりますように、当局において負担軽減の観点から検討されるということでありますので、それと併せて、特に適切に届出を行っている所属機関が取り次ぐ申請等については、提出書類の省略等の手続の簡素化を検討していただきたいと考えております。
 最後に、今回の改正案によりこれまでの外国人の在留管理の在り方が大きく変わることになります。先ほどから申し上げているように、各種申請や届出に関して、外国人等の負担軽減という観点からも検討していただきたい。また、外国人や外国人を受け入れている所属機関に対しては、届出等の方法や場所の変更を含め、新たな制度の周知を十分に行い、新たな制度に円滑に移行されるよう万全の体制を取っていただけるよう要望したいと思います。
 以上で私の意見を終わります。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(澤雄二君) ありがとうございました。
 次に、田中参考人にお願いをいたします。田中参考人。
#6
○参考人(田中宏君) 意見を述べます。
 私は、大学を出て最初に就いた仕事がアジア人留学生の仕事だったんですけれども、そのときにある留学生が、田中さん、日本人はシャイだから、字で書くときは外の国の人というふうに書くけれども、内心では国に害になる人というのを外国人と思っているんじゃないかと言われて、非常にびっくりしたことがあるんですね。当然、留学生は指紋を押した身分証明書を肌身離さず持っていなきゃいけないと。それをたまたま忘れていたために、一晩警察に泊められた留学生に出会ったのがその職場で初めてで、それ以来私は、日本における外国人の在り方というのを根本的に考え直さなきゃいけないんじゃないかと思って今日まで来たわけです。
 今回の法改正案を拝見すると、在留期間の上限を三年から五年に引き上げるとか、あるいは先ほどの参考人の方がおっしゃられたみなし再入国許可制度で、一般的な場合には再入国許可なしに自分の国なり第三国に行ってこれるようになると、これは文字どおり利便性の増加だと思います。それから、収容所の中の問題って従来からいろいろあったわけですけれども、収容所の視察委員会を新しく設けると、こういう点は一つの進歩だというふうに私も評価したいと思います。しかし、それを上回る大きな問題がやっぱりあるんじゃないかという気がします。
 今回は、長い間あった外国人登録法、これを廃止するという、その限りでは大変大きな変更ですけれども、実は従来から外国人登録は住民登録として機能していないという非常に大きな問題があったんですね。例えば、よく引き合いに出される例ですけれども、お父さんが外国人、お母さんが日本人、したがって子供は日本国籍を持っていると。この世帯の住民票を見るとお父さんはいないんですね。ですから、住民票を見るとあたかも母子家庭であるかのごとくになっているわけです。それで、お父さんの方は全く別の外国人登録原票で外国人登録の方に載っていると。
 外国人の場合には、かつては指紋、現在は筆跡を登録するということになりますから、どうしても個人を把握するという。ところが、住民票の場合は基本的に世帯を把握するようになっていますので、大体住民基本台帳法が外国人を排除していたこと自身が私は問題だと思って、従来からそれはやめるべきだということは私なんかも提言をしてきた。それが実施されたのは一つのいい点だと思うんですが。
 ただ、ちょっと卑近な例で言いますと、例えば外国人登録のものが、結局、住民基本台帳と入管法と両方に振り分けて、それで外国人登録法がなくなるということなんですが、それで今度の法案調べてみると、住居の移転の届出義務というのが当然あるわけで、これは日本人も外国人も同じように十四日以内に届け出なさいとなっているわけですね。こういう制度をつくると必ずそれを守らない人が出ますので、罰則を決めると。そうすると、日本人の場合には五万円以下の過料という行政罰になっています。外国人の場合は、従来は外登法の中で二十万円以下の罰金となっているんですね。日本人は五万円で外国人は二十万円というのはなぜかと考えてみると、ちょっと乱暴な言い方かもしれませんけれども、日本人は遵法精神が旺盛だから五万円でいいだろうけど、外国人はちょっと怪しいのが多いので、留学生の言葉を借りれば国に害になる人が多いので、二十万円ぐらい、しかも過料と罰金は刑罰であるかないかという点でも根本的に違うわけですが、こういう制度がそのまま維持される。
 今度の法案を見ると、二十万円の方は入管法の中に入れる。ところが、住基に入れた方で、住基の日本人並みの五万円の過料も生きているんですね。そうすると、五万円の過料の上に二十万円の罰金があって、しかも在留資格の取消し事由、これは九十日以上届出をしないと今度は取消しの対象にするという、何ともおどろおどろしい過重な制裁が誕生しているということがあるわけですね。
 それから、在留カードというのが新しくできて、従来の外国人登録証に代わるわけですが、今回の法案を見ると、在留カードは七年間。期限のある外国人の場合にはその在留期間内ということですが、例えば永住者の場合は期限がありませんから七年間。私も、私は日本人ですけれども、住基カードというのを持っていますけれども、これは実は十年なんですね。やっぱり外国人というのはちょっと少なくしておかないと、日本人と平等にするのはどうもまずい。どうして十年にしないのかなと素朴に思うんですけれども。
 それから、このカードは、私の基本カードは、私にもちゃんと番号が、最近付けてもらったんですが、これ分からないんですね、これを見ても私の番号は。このICチップでやると出てくるんです。ところが、今度の在留カードとか特別永住者証には、番号が表に出ちゃっているんですね。コピーすると番号がだれにでも渡るようになるわけです。どうしてそう細かく外国人と日本人とを分けるのかなというような率直な疑問を感じます。
 それから、常時携帯義務、衆議院で特別永住については外れたようですけれども、どうなんでしょうね。少し言葉のなまりのある人間で、どうもこれは外国人じゃないかということで外国人登録証の提示を求めたと。そうしたら、いや、私は日本人です。だけど、どうも言葉のなまりがある。ところが、日本人の証明書って実はないんですね。住基カードはありますけど、これは欲しい人だけ取るんですよ。それで、私は免許証がないものだから、最近不便なのでこれ取ったんですけれども、私は日本人ですと言うと、それじゃ日本人の証明書を出せと言ったら、ないんですね。
 これは有名な話ですけれども、日本国籍を取ったアメリカ人の人が成田空港で外国人登録出せとこう言われて、いや、私、日本人ですと言ったら、そんなことない、あなたの顔形を見たらどう見たってアメリカ人だという泣けない話があるわけで、ちょっと身分証明書の常時携帯も、テロとか何かいろんなことがあるにしても、何で外国人だけそれやるのかというようなやっぱり素朴な疑問がありますね。
 それから、今回、特別永住については常時携帯をなくしたわけですが、今度の中長期在留者というカテゴリーの中で、永住者を中長期の中に入れちゃう、いわゆる一般永住者。それで特別永住者を別にすると。ところが、期間をもって、今までだと三年未満ですけれども、留学生は一年とか二年とか一定期間で外国人の在留状態をチェックしてビザの延長を認めるという、そういうシステムの下に置かれた外国人と、それからもう定期的に在留状況をチェックする必要がないということで永住許可を与えた外国人、これは全く性質違うんですね。例えば、勤務先の届出義務なんというのも、今はもう永住者はありません。ですから、むしろ同じように分けるんなら、在留期間内でチェックする、コントロールするカテゴリーの外国人と、定期的にチェックする必要がない永住者そして特別永住者、これはアメリカのグリーンカードに該当する。この人たちは別のカテゴリーとして把握するというのが合理的なのに、どうしてそうなったのかなという。
 従来の政府だともうちょっとその辺を工夫していたんじゃないかと思うんですけれども、例えば、ちょっと例は別のことになりますけれども、いわゆる日韓外相の覚書で、在日の処遇について協議をして決めました。それを受けていわゆる入管特例法というのができるんですが、これは日韓の協議でできた結果を受けて国内ではどういう法律が作られたかというと、朝鮮半島の南北を問わず、台湾も含めて全部一括して特別永住者。従来だと、これは日韓で話をしたんだから韓国人のことしかやれないというふうに言いそうなんですけれども、そこはやっぱり、当時、僕は法務省の人を褒めたんですけれども、いや、よくやったと。
 日韓のところでも、全部同じ歴史的な背景の人を一括して特例法を作るというのは、僕は、しかも日韓によってできた特別法というのはもう廃止されたんですね。ですから、むしろ一般永住と特別永住を一括するぐらいの政策を取ってほしかったなというのが私のあれです。
 それから、今度のシステムでいくと、十数万と呼ばれる不法滞在等の外国人が在留カードがもらえないようにしてあるんですね。これは私の資料にも書いておきましたけれども、判例で、外国人登録の義務というのは、その人の在留資格があるかないか、あるいはその人の在留が適法かそうでないか、そういうこととは関係なしに、現にいる人は登録をしなきゃいけないと、登録することによってその人の存在が把握できるわけですから。今度のようなことをやると、現実に日本にいるのにその人は、見えない人間というのかな、いないことにしちゃうという、これは僕はとんでもないことだと思うんですね。
 そういう意味では、従来の裁判所の判決がなぜそういうようにしたか。それは、現にいる人については把握する必要があると、だから登録義務があるというようにしていたのを、何かそれをひっくり返すみたいなことをやるというのはちょっとびっくりしていますね。
 それから、就学というのがなくなって留学に一本化されたというのは、僕はそれはいいことだと。何か怪しげな日本学校生に就学という訳の分からない在留資格を突然つくって例の大問題が起きたことは、元々最初の政策が間違っていたので、それはある意味では当然だと思うし、それから技能実習についても、あれは僕はよくああいうことができたなと思うんですが、在留資格の中にないものを、特定活動という何でも入る中にこっそり技能実習というのを潜らせて、しかも、それ半端な数じゃないですね、十万人からの人が、しかもこれは働くことができる外国人という。それは今度法案の表に出てきたというのでいいんですけれども。
 ただ、外国人の研修生の実態というのは御案内のようにすごく問題があって、お隣の韓国なんかはもうやめて、正面から外国人を雇う法律を作っているわけですね。ところが、技能実習というと何かお勉強に来ているというイメージ。そうじゃなくて、働いているわけですから、もう正面から外国人労働者として位置付けるという政策を取らないとまずいのに、何かそこもごまかされているという感じを持ちます。
 それから、これは、この委員会は法務委員会ですからちょっと筋違いに聞こえるかもしれませんが、私は、住基の中に外登を外して入れた中で、住基の方でいろんな記載事項、当然あるわけですが、従来だと、外国人登録見ると、その人が国民健康保険に入っているか入っていないか全く分からないんですね。だから、行政は物すごい仕事やりにくかった。今度は全部入るようになりました。
 ところが、選挙人名簿というのをわざわざ除いているんですね。これは、外国人に地方参政権認めることについては意見がまとまってないからだというのは分かりますけれども、この項目というのは、例えば国民健康保険という項目がありますけれども、これはすべての人が入っているわけじゃないんですね。入るかもしれないから項目を立ててあるわけです。国民年金という項目もあります。児童手当という項目もあります。これは該当しているかしてないかというのは、その人によって違うわけですから。
 そうすると、御案内のように、今は住民投票条例で常設型のものがもう随分できています。政令市では広島がたしかそうですけれども、一番早い常設は愛知県の高浜か何かで印象に残っています。これは住民投票条例が常設型ですから、何かあったら行われるわけですね。そうすると、そのときに自治体は困っちゃうわけですよ。従来は外国人登録から該当者を引っ張ってきて日本人の選挙人名簿にくっつけて住民投票を実施すればいいんですが、今度は外国人登録ないわけですから。ところが、住基の中に選挙人名簿がないと、コンピューターのボタン押して出てこないわけですよ、外国人が。どうするんですかね、これ。
 だから、地方参政権を認めたくないというのは分かりますけれども、もうちょっと将来のことを考え、現に自治体はこれだけ地方自治とか何か言っているわけですから、自治体が住民投票条例の中で外国人の投票を認めているところがあるわけですから、これを削るのは、これは後で多分区長さんの方から言っていただいた方が、私が変なことを言うよりはいいと思うんですが、そのことはちょっと。
 そういう意味では、是非総務委員会と、何か衆議院じゃやらなかったというので、最近の国会ちょっとどうしているのかなと思うんですが、従来は関係のあるものは必ず連合審査というのをやっているので、総務委員会と法務委員会と連合審査をすれば今のようなことみんな出てくるんですね。
 外国人の権利保障ということを将来的には考えていくことが大事ではないかと。韓国の入管法なんかを見ると、旅券とか外国人登録証を取り上げるというとんでもないことが日本でもよくありますけれども、韓国は途中で法改正をしてそれを処罰する規定、それに違反した者は懲役三年以下ですか、罰金二千万ウォン以下というのも決めているんですけど、日本だって似たような状況があるんだけど、何で今度の入管法改正の中にそれが出てこないのかというのが率直な疑問ですね。
 それから、これも僕は最近勉強してびっくりしたんですが、ドイツの滞在法という日本でいうと入管法に該当するものを読んでいくと、ちょっとそこにも書きましたけれども、外国人が次の各号のすべてに該当する場合は、定住許可を付与しなければならない。ちょっと考えられますか、政府が外国人に許可を与えなければいけないというように実定法に書いてあるわけですよ。日本の場合には、許可することができる、するかしないかは法務大臣が決めると。これ、全部入管法の中の体裁ですね。
 やっぱり外国人の権利をどう保障するのかという点が非常に乏しいというのか、むしろ外国人との共存をどうしていくかというシステムを是非一方で考える。何か管理のためにいろいろ知恵を絞るということに終始したんではないかという。韓国では、御案内のように在韓外国人処遇基本法という法律があって、外国人と韓国人がどうやって共存するかということをシステムとしてつくっていこうと。今回の法案には出ていませんけど、是非そういうことも併せてやっていただきたいと思います。
 以上。
#7
○委員長(澤雄二君) ありがとうございました。
 次に、武井参考人にお願いをいたします。武井参考人。
#8
○参考人(武井雅昭君) 港区長の武井でございます。
 私は、新たな在留管理制度の見直しに当たりまして、出入国管理政策懇談会が平成二十年三月に法務大臣に提出をいたしました新たな在留管理制度に関する提言の取りまとめに関しまして、その専門部会の委員を務めておりました。また、現在、外国人登録事務協議会全国連合会の会長を務めております。全国連合会の概要は、お手元の資料一にあるとおりでございます。
 外国人登録に従事する市区町村の職員間で事務処理の改善を図るとともに、関係法令及び事例等の研究や参考資料の収集あるいは会員相互の緊密な連携を図ることによって、外国人登録事務等の適正かつ円滑な運営に資することを目的とするもので、全国四十七の都道府県協議会で構成されております。私が会長となっているほか、副会長を大阪市の生野区長さん、神戸市の東灘区長さん、名古屋市の東区長さんにお願いしております。
 全国連合会では、今般の入管法等の改正案あるいは住民基本台帳法の改正案に関しましてこれまで種々の要望を行ってまいりました。本日は、こうした立場から今回の改正案について意見を述べたいと思います。
 お手元にお配りをいたしました資料二を御覧いただきたいと思います。これは、新たな在留管理制度に関する提言の中から、在留管理制度見直しのねらい、そして市区町村との関係の二つの項目を抜粋したものであります。
 この提言の全体については先ほど多賀谷先生からも御意見が述べられましたが、各界の有識者や経済産業団体、労働組合、教育関係団体、日本弁護士連合会等に加え、外国人集住地域の県や市町村あるいは在日外国人関係者からも御意見を伺うなど、実に幅広くいろいろな方からの御意見を踏まえたものであるというのが私の印象であります。
 その中で、私は市区町村の立場から、お手元の資料の二項目について御紹介をしたいと思います。
 第一に、今般の在留管理制度見直しのねらいについてであります。
 ここで述べられておりますのは、国における外国人の在留管理の推進の観点と、市町村における外国人住民に対する各種行政サービスの向上の観点とが相まって、言わば車の両輪として新制度を構築していく必要があるとの指摘であります。また、これら車の両輪をしっかりとかみ合わせることによって、具体的には、法務大臣による情報把握の制度の構築と外国人の台帳制度の整備を同時に行っていくことによって、日本人と外国人との共生社会の実現を目指すべきであるとの指摘であります。
 在留管理制度の検討の重要性は十分理解いたしますが、そればかりではなく、市区町村の外国人住民に対する行政サービスの観点、具体的には、外国人住民の台帳制度の整備についても忘れずに検討を進めていただきたいというのが、この提言を取りまとめるに当たっての私ども市区町村の立場でございました。
 お手元の資料三は、この提言の検討に当たりまして、私から法務大臣あてに提出をいたしました適法な在留外国人の台帳制度の整備に関する要請書であります。要請書を提出した当時は、私は在留管理専門部会の委員でしたので、国における新たな在留管理制度の検討が進んでいることは承知をしておりました。そこで、車のもう一つの車輪である外国人の台帳制度についても併せて具体的な検討を進めていただきたいとの思いから、このような要請書を提出した経緯がございます。
 新たな在留管理制度に関する提言においては、これら車の両輪の重要性を両輪共にしっかりと書き込んでいただきましたので、私ども市区町村の思いを十分に反映させることができたのではないかと考えております。
 また、今般の改正においても、入管法等の改正案、それから住民基本台帳法の改正案がそれぞれ国会に提出され、まさに私どもが提言したとおりの車の両輪を体現する法案となっているものと考えております。
 次に、資料二に戻っていただきまして、市区町村との関係について御紹介をいたします。
 まず第一に、市区町村が外国人登録の情報を各種行政サービスに利用している現状と、法の趣旨や目的から生じる支障について述べられております。
 第二に、市区町村において整備される適法な在留外国人の台帳制度の整備の必要性に関する指摘であります。同時に、外国人と日本人が一つの世帯に含まれる、いわゆる混合世帯の正確な把握が必要であるとの指摘であります。
 混合世帯と申しますのが、複数国籍世帯のことでございます。例えば、先日、定額給付金の給付に当たりまして世帯主の方に申請書を送付をいたしましたが、混合世帯で外国人が世帯主の場合、同一世帯であってもその外国人世帯主と住民基本台帳法上は世帯主となる日本人の方、それぞれ別個に申請書を送付しなければならないという問題が生じておりました。
 この点につきましても、別途審議中の住民基本台帳法の改正案において反映されていると考えております。つまり、外国人住民と日本人住民とが同じ住民基本台帳に整理されることによりまして、抜本的な解決が図られるのではないかと高く評価をしております。
 第三に、新たな在留管理制度と適法な在留外国人の台帳制度との連携の必要について述べられております。
 ここでは、法務大臣は、新たな在留管理制度下で自らが保有する情報のうち、外国人の台帳に必要な情報、氏名等の身分事項や在留期間の更新許可等の情報、出国の情報などを市区町村に円滑に提供し、市区町村において正確な台帳が作成されるよう協力するとあります。また、外国人の台帳制度において、外国人の死亡事実が台帳に反映された場合に、当該台帳を保有する市区町村の長と法務大臣との連携を図ることで、法務大臣がより的確に外国人の死亡を把握することができるとあります。
 こうした提言の趣旨を踏まえた規定も両法案の中にそれぞれ盛り込まれているものと承知をしております。仮に、新たな在留管理制度と外国人住民の住民基本台帳制度との間の情報の連携が制度的に設けられなかった場合には、外国人の方が同じ情報を市区町村と法務省の双方に届け出なければならなくなり、大きな負担となるものと思います。日本人の場合、戸籍制度と住民基本台帳制度が住所地の市区町村と本籍地の市区町村間の通知によって相互の連携を図っており、外国人の方の場合にもこれと同じような情報の連携の制度が必要と思います。
 なお、ここで衆議院で修正された項目について若干触れたいと思います。
 新たな在留管理制度に関する提言において、特別永住者の制度については検討の対象外とされておりました。他方、先般、衆議院においては、特別永住者に対し交付されることとなる特別永住者証明書の常時携帯義務やその罰則について廃止するなどの議院修正が行われたものと承知をしております。私が会長を務めております外国人登録事務協議会全国連合会は、大阪市生野区を始めとして、特別永住者が多数居住する数多くの市区町村が会員となっております。こうした立場から、衆議院で御修正をいただきました項目については、全国連合会として賛成をするものでございます。また、修正に御尽力された国会議員の皆様や関係者の方々に謝意を表したいと思います。
 以上申し上げましたとおり、今般の入管法等の改正案や住民基本台帳法の改正案は、新たな在留管理制度に関する提言にほぼ沿った内容となっていることからすべて賛成であり、衆議院における修正項目も含め、今国会での速やかな可決、成立をお願いをしたいと思います。
 衆議院法務委員会において、清水太田市長が参考人として意見を述べられたと承知しておりますが、その意見の中にもありましたように、市区町村の現状は、速やかに制度が改正され、情報が正確に把握できるようになることを強く望んでおります。是非、市区町村からの切実な願いをお聞き届けいただき、くどいようでございますが、再度法案の今国会での速やかな可決、成立をお願いするものでございます。
 最後に、今回の改正に関しまして、私どもからの要望事項を紹介したいと思います。資料四を御覧いただきたいと思います。全国連合会が本年国に提出したもので、いずれもこの法律案が可決、成立した後の施行に関する要望事項であります。
 第一に、外国人や市区町村職員への新制度の周知を図っていただき、施行時の混乱がないようにしていただきたいと思っております。
 第二に、今回の法改正に伴い、市区町村では相当のシステム変更等が必要になってまいります。国においても、十分な地方への財政支援をお願いしたいと思います。特に、新たな在留管理制度の実施に要する経費については、別途審議中の住民基本台帳法の改正案に関する衆議院の附帯決議において「地方公共団体に負担を求めないこと。」とされたものと承知しておりますので、格段の御配慮をお願いしたいと思います。
 第三に、新制度については、施行のための準備期間を十分に確保していただきたいと思います。今回の制度改正は、我が国の国際化、グローバル化が進展する中、そのような時代に即した制度にするものであって、戦後直後に外国人登録制度が始まって以来の大改正になると承っております。外国人や市区町村職員への広報、周知やシステム開発などを遺漏なく行い、円滑に新制度に移行していく必要があると思います。新制度は、公布の日から三年を超えない範囲の政令で定める日が施行日であると承っております。この三年の期間を目いっぱい準備期間に当てていただいて、事故のない形で円滑に施行されるよう御配慮をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(澤雄二君) ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いをいたします。鈴木参考人。
#10
○参考人(鈴木健君) 初めまして。移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局次長の鈴木と申します。
 冒頭に申し上げたいのは、今日、傍聴で、私たちの友人である、主に在日フィリピン人の彼女たちの中には、シングルマザーとして日本で頑張って生活している人が来ております。そして、今、経済危機の中で非常に御苦労されている日系ブラジル人の方も来ております。在日コリアンの方も来ております。彼ら、この皆様が審議されている法案で管理される対象とされる方々です。この法案の審議の中で、管理される対象の方々の声というのがどこまで聞かれているのか、そしてどこまで彼らの声が届いているのか、そういったことを是非委員の皆様の胸に置いていただければと思います。
 私は、移住連の事務局次長であると同時に、地元では主に在日フィリピン人のシングルマザーと子供たちの生活支援をやっております。彼女たちは、過去、日本人の男性と結婚し、そしてドメスティック・バイオレンスの被害に遭い、そして今地域でシングルマザーとして子供たちと一生懸命生きています。彼女たちはお互い支え合いながら頑張っております。
 本日は、そういった彼女たち、そして子供たちに思いをはせながら意見を述べさせていただきます。
 早速ですが、移住連、私たち、この法律については反対の立場です。無論、評価できる点も様々あるかと思いますが、全般としては反対しております。修正案、大変御苦労あったと伺っておりますが、これについても根本的な疑問というのは解決されていないかなと思っております。
 その理由なんですが、在留管理の強化ということなんですけれども、なぜ在留管理の強化ということなんですね。先ほど来、今回の入管法と住基法というのが車の両輪となり、この日本社会の基盤整備がされていくんだということのお話、何人かの方がされておりました。果たしてこの二つの法律が車の両輪なのでしょうか。入管法による管理の強化、いわゆる届出とかの義務の強化ですね。住基法、確かにこれはいい点もございましょうが、届出というある種の義務の強化という側面もあろうかと思います。その一方で、私の疑問は、この日本の中で義務の反対の車輪である権利を保障するもの、法制度、計画というものがどうしてないのか、その点がとても疑問に思っています。
 私、昨年びっくりすることがありました。十二月に犯罪対策閣僚会議というところから犯罪に強い社会の実現のための行動計画二〇〇八というものが出されました。この中にこういった項目があります。「多文化共生を可能とする社会基盤の整備」、外国籍の住民の方と日本籍の住民の方、一緒に頑張っていきましょうということかと思いますけれども、なぜこれが犯罪対策の中に含まれているのか。そして、日本の中でこの文書以外に、外国籍の人の権利を保障するですとか外国籍の方との共生を考える行政文書というのはございません。それが私の今回の一番の疑問点です。
 続きまして、研修・技能実習生制度についてですが、これについては、もちろん制度の改善ですが、基本的に制度の実態と建前の乖離の解決というのは図られておりません。やはり、これから早期に抜本的な改革というのが必要になってくるかと思います。その点につきまして、立法府の皆様におかれましても、しっかり、例えば行政府に、あなたたち、何年以内に計画を示しなさいとか、少なくともそのスケジュール、工程というものを早期に出させるということが必要かと思っております。
 続きまして、在留資格の取消し制度についてですが、私たち、この制度の、在留資格の取消しの拡充というものを非常に問題視しております。法案の審議の中で、この制度の、取消し制度の導入に当たってDV等への配慮はいたしますと申し上げられておりますが、私たちが申し上げているのは、この制度そのものがDVの原因になってしまうということなんですね。つまり、外国籍女性へのDVで多いのは、おまえの在留資格を取り上げるぞ、在留資格を使ったDVが多いわけでございます。
 DVの構造としましては、やはり日本人の男性が上に来て外国籍の女性が下に来る、そして、日本人が上になり外国人が下になり、男性が上になり女性が下になり、そういった支配従属関係の構築ということかと思いますが、この在留資格の取消し制度によってそういった日本人と外国人の間に在留資格をめぐって新たなる力関係が構築されてしまう、そういったことを私たちは申し上げております。
 もう一つ申し上げたいのは、私、先ほど外国籍のシングルマザーと子供たちの生活支援をしておりますと申し上げました。私たち、これまでずっと、在留管理ということが年々年々厳格化していく中で、痛切に感じていることがあります。厳格な在留管理を強化するということが、彼女たちそして子供たちの生活環境の悪化につながっているということなんですね。
 というのは、私どもの中では、例えばDV等で在留資格を喪失してしまった、オーバーステイ状態になってしまったという女性もおりました。彼女たち、幸いなことにその後在留特別許可を得て在留資格を回復しておりますが、また、そういった在留資格を喪失する、オーバーステイ状態で生きるというのは非常に過酷なものであります。女性にとっても、子供にとっても、もう生きるか死ぬか、まさしくサバイバルな生活を余儀なくされるわけなんですね。ただ、その後、在留特別許可を得て在留資格を回復することができた。
 つまりは、私は思います、当初から入国管理局によって適切な情報提供、適切な支援、そういったものがあれば彼女たちは在留資格を喪失せずに済んだわけです。今まで入管さんともずっとお話合いを続けております。とにかく外国籍の女性とかに情報提供をしてください、とにかく在留管理だけでなく適切な支援策というのを考えてください、とにかく彼女たちのそして子供たちの生活環境が安定するような在留資格制度、そういったものというのが考えられないんでしょうか、そういったことをずっとお願いしてきたわけですけれども、入国管理局さんの方では、まあ個別に相談に来たら対応します、そういった姿勢でございました。
 私は先ほども申し上げました、適切な情報提供、適切な支援、そして生活環境の安定に資する福祉や人権に配慮した在留資格制度の構築などの法的整備がなされれば、彼女たちがこうして過酷な、生きるか死ぬかというようなサバイバルな人生に陥らずに済んだということなんです。今回の在留資格の取消し制度の導入に当たりましては、こうした彼女たちの生活実態というのも重々配慮いただければと考えております。
 それに当たりまして、まず最低限必要なのはこういうことかと思います。例えば、日本人の方と国際結婚をされた。それがDV等でしたら配慮されるということでしょうけれども、中にはいろんな、不仲等により別居に至るということもございます。離婚に至るということもございます。そういった場合の在留資格の取扱いがどうなるのかということです。入管さんによりますと、いろんな事情を総合的に勘案して判断いたしますということですが、それでは彼女たちは安心して入管に行くことはできません。入管に行くと在留資格を取り上げられてしまうんではないか、そういった不安の中では決して相談に行くことはできないかと思います。
 そういった意味では、例えば、日本人の子供がいない女性の場合の在留資格はどうなるのか、また、日本人の子供がいるけれども子供の親権が父親側に行ってしまった場合はどうなるのか、そして離婚訴訟中の資格というのはどうなるのか、そういった基準をこの際明確にしまして、彼女たちに適切に情報を提供されることを望んでおります。
 続いて申し上げますのは、非正規滞在者についてです。
 この今法案の審議に当たりましては、修正案の中で在留特別許可制度の運用の向上、透明性の向上ということが盛り込まれました。あっ、失礼しました、在留特別許可制度というのはありません。入管さんに在留特別許可の申告に行きますと、制度ではございませんというチラシを配られます。つまり、これは権利ではなく、あくまでも法務大臣の恩恵として退去強制手続の一環として行うものであるということでございますので、制度ではないということを文書で配られます。
 いずれにしましても、私は思います。今回のこの法案の審議の中で、在留特別許可制度の運用の透明性の向上というところにとどまらないで、この際、いわゆるアムネスティー、合法化措置というものも真剣に検討いただければと思います。
 というのは、私、一番気になっているのは、まず学齢期のいる子供の家族のことなんですね。日本人の子供を養育していれば、在留特別許可、認められます。また、一般的には、在留十年、子供が中学生以上ということで認められます。しかし、それに該当しないオーバーステイ状態の家族というものはなかなか、非常に認められるものが困難でございます。
 私、そういった子供たち、生まれたときから接し、そして大きい子供はだんだんだんだん日に日に大きくなっています。僕は、その子供たちを見て思うんですね。子供たち、おなかの中にいるときから、お母さんのおなかの中にいるときからこの日本の空気を吸って、彼女たち、彼たちの命ははぐくまれていったんです。そして、生まれて初めて見た社会の姿というのもこの日本の社会の姿なんです。そして、生まれて初めて足を付けた地面、それも日本の土地なんですね。
 私は痛切に願っております。彼女たち、彼たち、この日本で生まれ、はぐくまれた命、ここの日本でこれからも私たちが大切に共にはぐくんでいくことはできないのか。そういったことを、彼女たち、彼らを見て痛烈に感じております。
 もう一つは単身者の問題なんですが、単身者、中には、日本での在留が非常に長期化しておりまして、もう既に母国に帰っても再統合が困難な者もおります。私、彼らに高校生のときに出会いました。高校生のときに出会って、私の思春期の悩みというのは実はオーバーステイの単身の労働者の方々に聞いていただき、そして彼らに支えられたわけなんです。そうした彼ら、日本の建設現場とかで日本の発展に尽くし、そして気付いたら日本での生活が十年、十五年、二十年、中には二十年を超す者もおります。二十年を超して家族の元に戻る。なかなか二十年間離れた、少なくとも十年間でもそうでしょう、こうやって長い期間離れた家族がまた元に戻るというのは非常に困難かと思います。こうした彼らの思い、彼らの姿というのを、この日本社会においても正当な評価というものが与えられてもいい時期に来ているのかと思います。
 続きまして、申し上げたいことがございます。先ほど、今日も日系ブラジル人の方が来ていると申し上げました。日系ブラジル人の方、今経済危機の中で非常に生活、苦労しております。中には、いわゆる派遣切りということで住居を失う者もおります。
 今回の入管法の中では、この住居地の届出というものがございます。昨今の経済危機の中で住居を失い、知人宅、友人宅を転々とせざるを得ない、こうした彼らの在留資格はどうなってしまうんでしょうか。在留資格を取り上げて国に帰ってくださいというんでしょうか。帰国支援金をあげますから帰ってくださいというんでしょうか。私たちは、こうした在留資格を取り上げて国に帰らせる、追放させるということでなく、今起きている問題について私たち自身が真剣に直視して、どうすればいいのか考えるべきであると思います。
 時間がなくなってまいりました。最後に幾つか申し上げます。
 私、今回の、在留管理の強化ということで法案が提出されているわけでございますが、そもそも現行の入管法が、在留管理については強化されているけれども、適正手続の観点から制度が十分であるのかということを痛烈に感じております。資料でもお配りしています。
 日本の入管法、例えば不服申立て制度というものがないんですね。在留資格の、例えば私は更新したとか資格を変更した、それが不許可にされてしまった、そうなるとどうなるかというと、不服を申し立てることができないんですね。オーバーステイになって裁判をするしかないんですね。こういった仕組みというのはやはり適正手続の観点からも非常に問題かなと思っています。その他、適正手続の観点からもまだまだ整備していかなければいけない項目がございます。
 最後に申し上げますのは、冒頭に申し上げました、今回こうやって義務の強化がされていくわけですけれども、権利の保障であるとか日本社会のまさしく多民族、多文化が共生する基盤整備というものが抜け落ちてしまっているということです。今、日本社会は既に多民族化しています。そして、地域では、日本人の人、外国籍の人が一生懸命一緒になって生活をしております。こうした生活実態をかんがみて、私は思います。やはり、今こそ外国人の人権基本法や多民族多文化社会基本法など、そういった日本社会のこれからの姿を示していくような法整備というものが進んでいかなければいけないと思います。
 以上で私の意見陳述を終えたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
#11
○委員長(澤雄二君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○千葉景子君 民主党の千葉景子でございます。
 今日は、四人の参考人の皆さんに大変貴重な御提言あるいはお話をいただきましたこと、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。限られた時間ではございますけれども、それぞれの皆さんにまた更なる御意見をちょうだいできればと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 四人の皆さんのお話を伺いながら、共通しているのは多分、外国人の皆さんへのサービスをやはり向上させる、あるいは共生社会をつくっていく、こういうことは何か共通に言葉として伺ったような気がいたします。ただ、それにもかかわらず、それぞれまたいろんなお考え、あるいは制度的には共通にならない、一体何なんだろうかということを今本当に感じさせていただきました。
 そして、多分この大きな問題は、政治に私はかなりの責任があるのではないかというふうに思っています。それは、出入国の管理であるとか、あるいは住民基本台帳の立て方をどういうふうにするのかということの前に、やはりこれからの日本の社会の在り方、外国の皆さんとどのようにしてそれこそ共生をしていくのか、そういう政策がまず基本にきちっとないままに共生社会あるいは出入国をどのように管理をするかという話になるものですから、何か皆さん、それぞれの参考人の皆さんも、プラスはあるけれどもどうもマイナスもあるしと、こんな話になってしまうのではないかと、こう感じさせていただきました。
 そういう意味で、それぞれの皆さんにちょっと御意見を伺いたいんですけれども、やはりこれからの日本の社会、それこそ移民政策はどうするのか、持つべきなのか、あるいは共生型の社会というときにその基本を、何というんでしょうね、理念をきちっと定めるような法律とかそういうものがやはり必要なんではないか、そんな辺りについては、それぞれ今日のお話の前提としてどんなふうに考えておられるか、それぞれ一言ずつちょっと御意見をちょうだいをできればと思います。
#13
○委員長(澤雄二君) それでは、多賀谷参考人からお願いいたします。
#14
○参考人(多賀谷一照君) 私も千葉先生の御発言に賛同するところがありまして、出入国管理懇談会でもこの問題、前から議論していて、要するに、日本は将来的に外国人を受け入れて、その場合にどういうふうに外国人の方に、日本社会の中で位置付けていらっしゃるか、これについての基本的な政策がまだできていないといいますか、元々入管法というのは、外国人は、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、別に入ってこなくてもいいというか、どちらかというと警察的な規制な形になっているんですけれども、本来的には、移民政策という言葉を使うと言い過ぎかもしれませんけれども、これから少子化の中で外国人の方が日本に入ってきた場合に、その方々にどういう役割を果たしていただく、そして市区町村でもそういう方々を戦力としてどう扱うかということについての基本的な政策をつくらなきゃいけないと。それがあって初めて、先ほど車の両輪と言いましたけれども、その政策があって初めて全体として外国人政策ができるんだろうと考えております。
 以上です。
 それは、政治の問題というのはそのとおりだと思います。
#15
○委員長(澤雄二君) 非常に根源的な質問でありますので簡潔に答弁するのは難しいかと思いますが、できるだけ簡潔によろしくお願いいたします。
#16
○参考人(田中宏君) 二つ申し上げます。
 一つは、これから外国人をどう入れるかという考え方をもうそろそろやめた方がいいという気がするんですね。既に日系人を四十万入れています。技能実習とか研修という形で少なくとも十万以上の人が働いているわけです。日系人も働いているんです。一番数が多いのは愛知県。なぜ。世界に誇るトヨタ自動車があるからなんです。ですから、これからどうするかじゃなくて、もう既に来ているということをまずはっきり認識すること。
 ですから、技能実習なんて、技能実習って、簡単に言えばお勉強に来ているということでしょう。そうじゃなくて、働く人を受け入れているんですよ、現実に。日系人という日本人の血の入った外国人を特別に受け入れると。そうじゃないんです。要するに、日本人の血の入った外国人を労働者として受け入れて、愛知県に八万人、静岡県にホンダやスズキがあるから五万人と、こういうことなんですね。それが一つ。
 それからもう一つは、等しからざるを憂う、乏しきを憂えず等しからざるを憂うという基準を持ってほしいと思うんですね。ですから、できるだけ平等に扱う、できるだけ。原則は平等。どうしてもそこは外国人は困るということについては例外的に外国人を排除することはやむを得ないと思います。
 だけど、例えばさっきのように、日本人は十年で、やっぱり日本人と同じじゃまずいのでちょっと七年にするとか、みみっちいでしょう。同じ身分証を出すんなら同じ十年でいいじゃないですか。どこか外国人を差別しておきたいんですよ。そうじゃなくて、原則平等。だって身分証明書を持つということであれば同じなんですから。基本的に同じように考える。日本人は五万円以下の過料でいいけれども外国人は二十万円以下の罰金という、それどうやって説明するんですか。法の下の平等なんてどこにあるんですか。基本を考えてほしい。
 以上。
#17
○参考人(武井雅昭君) 市区町村の立場から申し上げますと、今、現行の制度の中でも居住実態が必ずしも正確に反映されていないという問題があります。例えば、今回の定額給付金を支給をしたときの状況ですが、日本人世帯、外国人世帯それぞれ通知をお送りいたしまして未着で返ってきた率ですね、全体では二・八%でございましたが、内訳を見ますと、日本人世帯では一・九%、外国人世帯では一〇・四%という返戻率になっておりまして、現状の中でも居住実態と登録上の事実とが食い違っているということが大変これは大きな問題であるということが区市町村としての立場でございます。
 と申しますのは、私どもがいろいろなサービス提供をする、それは住民である方々に対してサービス提供をするということですので、そもそも住民基本台帳に、新しい制度でも、住民基本台帳に登載されないと、その市町村の住民として我々は把握できないという状況になります。
 ですから、そういう意味で、外国人の方にもひとしくいろいろな行政サービスを受けていただきたい、そういう立場から申し上げますと、こうした台帳制度がより正確なものとして整備されることがまず大事なことであるというふうに思っております。
#18
○参考人(鈴木健君) ありがとうございます。
 まさしく千葉先生のおっしゃるとおり、私は、これから先のかじ切り、政治の力である程度進めていかなければしようがないのかなと思っています。この課題、もう従来から指摘されておりますが、複数の省庁にまたがる課題で、なかなか行政主導で今後のかじ切りをやっていくというのは困難かと思います。
 その際、是非考えていただきたいのは、田中先生もおっしゃっておりました、これからどういう人を入れていくのかということよりも、むしろ今いる人とどう付き合っていくのかという視点が大切かと思います。これからのことで申しますと、唯一思い付くのは、難民の受入れというものは進めていかなければいけないと思います。
 これから進めていくに当たって、今法案におきまして成立すれば行政サービスの向上というものが図られるんだとおっしゃる方もおりますが、私思います。確かに行政手続の事務は効率的に行えるかと思います。ただ、この法律が通っても外国籍のための実際の予算というものが獲得できるか。恐らく、自治体におきましては、根拠法令とか根拠となる行政計画がなければ実際の予算獲得というのは困難になっていくかなと思います。
 やはり私、いろんなものを平等にやっていくというのは大切ですが、私が思うのは、外国籍の方の形式的な平等を担保するのじゃなく、実質的に外国籍の方の平等が担保されるような仕組みづくりというものが必要かと思っております。
#19
○千葉景子君 ありがとうございます。
 今のお話をそれぞれ伺うと、本当に何か共通の方向性を見出すことができるのではないかなというかすかな期待というか、そういうものは持つんですけれども、御指摘の御意見を私たちもしっかりとそれぞれ受け止めなければいけない、こんなふうに思います。
 さはいいながら、今回の法律でございますが、先ほど多賀谷参考人は、申し分のない内容だというお言葉もございました。ただ、それぞれ、衆議院でもいろんな議論の下でかなりの修正がなされております。この衆議院での修正、一つ一つ本当はお聞きをしたいんですけれども、そういうわけにはまいりませんので、衆議院での修正に対する評価というんでしょうか、その辺について、それぞれこれもお聞きできればと思います。今度は鈴木参考人の方から一言ずつお願いいたします。
#20
○委員長(澤雄二君) 簡潔にお願いをいたします。
#21
○参考人(鈴木健君) 先ほど意見申し上げさせていただきましたが、修正案の協議過程というので非常に御尽力された議員の方もいらっしゃるかと思います。そういった御尽力についてはとても感謝申し上げます。ただ、やはり在留管理の強化についての疑念というのは解消されてないかと思います。
 附則におきまして、在留特別許可の運用の透明性の向上について触れられたですとか、永住者の処遇についてこれからどうするのか検討するですとか、また様々な見直し規定が付いております。こういった規定が付けられたということはとても評価できることかなと思っております。
#22
○参考人(武井雅昭君) 私からは、特別永住者証明書の携帯義務とその違反に対する罰則が削除されたということは、市町村として歓迎すべきものであると思っております。
#23
○参考人(田中宏君) さっき私、申し上げましたけれども、特別永住者の件については、そこまでやるなら是非一般永住までやっていただければよかったなというのが率直な要望です。
 それからもう一つは、通常これだけ大掛かりな法改正をやるのであれば、いわゆるアムネスティーというのを思い切ってやるということを是非入れてほしかったなと。何か非常に中途半端な形じゃなくて、もうはっきりこの法律を、できるときに、ちょうど恩赦というのがあるじゃないですか、ああいう感じでばさっとやるというぐらいの、まさに政治のリーダーシップを期待したかったのに、ちょっと残念だったなと。
 以上。
#24
○参考人(多賀谷一照君) 修正につきましては、一言だけ。
 在留カードの番号に関する修正とか情報の継続的把握に関する修正等、外国人の個人情報の保護という観点から修正がされたという点は非常に評価したいと思います。
 以上です。
#25
○千葉景子君 時間ですので。ありがとうございました。
#26
○松村龍二君 自民党の松村でございます。
 戦後の我が国を見ますと、日本に来る外国人が少なかった時代、また多くなった時代、それから労働者としてたくさんの方が入ってこられる時代、また最近はコンピューターや不況で派遣切りといったことが行われる時代、またコンピューター化という時代の中でどう事態を対応するかといった大きな問題がある中、今回この法案の改正に踏み切ったわけでございますが。
 そこで、先ほど多賀谷参考人からのお話の中で、今回の入管法改正案は中心になってまとめられた新たな在留管理制度に関する提言を踏まえて作成されたと伺いました。この提言を取りまとめた立場からの御意見として、提言のポイントと、それがどのように今回の法案に生かされているのかについてお伺いします。
#27
○参考人(多賀谷一照君) 今回の入管法、我々が提言したところですね、今まで外国人に対する入管の管理というものが点の管理といいますか、入国されるときとそれから期間が過ぎたとき、更新のとき、そこだけで管理するという仕組みになっていたのが、それをいろいろな仕組みをつくって、外国人の方がいらっしゃるときに、すべて、線の管理といいますけれども、継続的に管理し、しかし同時に住民としてのサービスを行うという、そういう仕組みになるという、その点の流れという点が基本的な考え方で、その点が法案に盛り込まれたというふうに考えております。
#28
○松村龍二君 次に、この提言を取りまとめるに当たって、各界の実情を把握する必要があるとの認識から幅広く関係者からの意見を聴取したというふうにお伺いしました。その御意見の中で代表的なものとしてどのようなものがあったのでしょうか、また、それが今回の法案にどのように生かされているのでしょうか、お伺いします。
#29
○参考人(多賀谷一照君) 先ほど、既に武井参考人やほかの方々から御発言ありましたけれども、特に懇談会では外国人の集住都市の市区町村から、要するに居住の実態と外国人登録の間の乖離が甚だしいというお話を伺いました。これについてやはりその点を改正するように提言いたしました。
 それからもう一つは、日弁連から、やはり個人情報保護の観点から外国人の情報も扱えという御指摘いただきました。これは先ほど申し上げたとおりであります。
 それから、外国人を受け入れる機関とかあるいは外国人の支援団体の方々から、そういう管理だけではなくて外国人の利便性が低下しないようにしてほしいという、便利になるようにしてほしいということを言われましたので、これにつきましても提言の中に盛り込んでおります。
 おおむね以上のようなことであります。
#30
○松村龍二君 次に、ただいまのお話に関係することですが、新たな在留管理制度の構築により、法務大臣は、外国人本人や所属機関からの届出等により情報を取得することになるわけですけれども、多賀谷参考人は行政法や情報通信法を御専門とされていると聞いております。その関係で、過去、国会で意見を述べられたこともあると聞いております。
 そこで、個人情報保護の観点から今回の制度はどのように評価できるのか、お伺いします。
#31
○参考人(多賀谷一照君) この点につきまして、先ほどの繰り返しに一部なりますけれども、基本的に、外国人の情報といえども、行政機関が管理している以上、行政機関が保有する個人情報保護法並びに地方自治体の個人情報保護条例が適用されます。その点で、それもありまして、そしてこの入管法自体も、個人情報については在留管理のため必要最小限なものに限定するという規定がわざわざ衆議院の修正で設けられております。
 これは、要するに、日本の場合の背番号制みたいな仕組みが外国人についてもなされないのかということについて懸念がありましたので、それについてはそういうことがなされないように十分配慮されている規定、形になっているというふうに評価しております。
#32
○松村龍二君 次に、新たな在留管理制度の構築について、外国人の利便性を高めるための措置も盛り込まれておりますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
#33
○参考人(多賀谷一照君) これにつきましては、手続的な観点から、あるいはその他の観点から、外国人の利便性を高める規定というのが設けられております。
 一つは、在留期間の上限というものが三年から五年という形で伸長いたしましたし、また、再入国について一々許可を受けなければいけないということについても、一年以内であれば再入国は許可は不要という形で、外国人にとって利便性が向上しております。
 また、届出や申請につきまして、これは法案には盛り込まれておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、恐らくインターネットとか郵送による方法で地方入国管理局に対して行うことができるという、そういう形で、改善といいますか、外国人の利便性を高める規定というものも入っているというふうに考えております。
#34
○松村龍二君 次に、武井参考人にお尋ねします。
 武井参考人は、先ほどのお話にもありましたが、外国人事務協議会全国連合会の会長を務めていらっしゃるとのことでした。外国人登録の事務は現在法定受託事務として市区町村が担当されているわけですが、この外国人登録の事務を実際に担当されている市区町村の職員の皆さんにおかれては毎日大変な御苦労もあることだと想像し、敬意を表したいと思います。市区町村において外国人登録の事務を遂行するに当たっては、様々な課題や問題点なども起こっていると聞いております。
 そこで、武井参考人にお聞きしますが、参考人は先ほど、外国人登録事務協議会としてこれまで様々な要望を国に対して行ってきたと述べられておられましたが、例えばどのような要望を行ってきたのでしょうか。
#35
○参考人(武井雅昭君) これまで、外国人登録事務協議会全国連合会では、例年、国に対して要望を行ってまいりました。その中では、例えば戸籍届出通知の法制化についてというものがございますが、これは、例えば死亡届などについて、そういう情報が正確に区市町村に伝わってそれが反映されるように、あるいは、今制度の中では、現に居住していないということが明らかでも職権で消除するという制度がございません。そういったことから、台帳に実態はなくても残ってしまうという状況があります。そういうことなどについて改善を図っていただきたい。
 また、今回の法改正に当たりましては、全国統一的な住民基本台帳に準ずる形での制度を国において整備をしていただきたいという要望もしてまいりました。今回、住民基本台帳の中に外国人も登録をするようになるというようなことで、これが実現されたというふうに考えております。
#36
○松村龍二君 次に、武井参考人は、先ほどの御意見の中で、速やかに今回の制度改正が行われ、市区町村の現場が情報を正確に把握できるようにしてほしいと述べられておられました。
 現在の外国人登録制度では、情報が正確に把握できていないことを中心として様々な問題点があることも理解できました。それを踏まえて、今回の改正は、外国人登録法を廃止し、一方で住民基本台帳制度の対象に外国人を含めるという非常に大きな、かつ抜本的な改正となっております。
 そこで、市区町村としてはこのような抜本改正が必要であるとお考えなのか、そしてまた、このような改正を可及的速やかにしなければならないのか、武井参考人にお伺いします。
#37
○参考人(武井雅昭君) 従来のといいますか、現在の外国人登録法は在留外国人の適正な管理という観点から行われておりまして、外国人住民に対する行政サービス、それを遂行するという市町村の立場からは、現行の外国人登録法では不十分なものと考えております。
 これから多文化共生社会、そしてまた適法に在留する外国人の方に対しても必要なサービス提供を充実させるという意味からも、今回の改正案につきましてはできるだけ早く成立をしていただきまして、区市町村におきましてその準備に取りかかれるように、早期の実現を図ることができるようにということが願いでございます。
#38
○松村龍二君 今般の入管法等の改正により、住所の届出義務に違反等をした場合において在留資格が取り消されることがあり得るということになりました。
 国会の審議の中では、これは外国人にとって酷なのではないかという意見も出ましたが、市区町村の立場として、住所の届出義務に違反した場合の在留資格の取消しについてどのようにお考えなのか、お伺いします。
#39
○参考人(武井雅昭君) 度々申し上げておりますが、現行制度におきましての実態と台帳上の乖離というものが大変問題と考えております。そうしたことからは、できるだけ正確に実態を台帳に反映していただけるような方策を取っていただきたいというのが市区町村の立場でございます。
 ただ、今回の在留資格の取消しなどにつきましては、それはその運用の中でも、いろいろな個々人の実態など、相談などももちろん聴取する中で運用されていくものと思いますが、いずれにいたしましても、やはり正確性を担保していただくための何らかの措置というものは重要なものではないかというふうに思っております。
#40
○松村龍二君 今回の入管法等の改正案の一番の柱は新たな在留管理制度の構築であって、その根幹になるものが在留カードであるとされております。
 一方、特別永住者の方々は新たな在留管理制度の対象にならないものの、外国人登録制度の廃止に伴って、これまで特別永住者の方々に交付されていた外国人登録証明書がなくなるため、これに代えて法務大臣が特別永住者証明書を交付するということになっております。そして、この在留カードと特別永住者証明書については、偽変造防止の観点からICチップが登載されるとのことであります。
 そこで、市区町村の現場を代表される武井参考人にお尋ねしますが、外国人が持つことになる在留カードや特別永住者証明書にICチップが登載されるということについてはどのように思われますか。
#41
○参考人(武井雅昭君) 一つは、偽造、変造の防止策ということが大事な点であろうかと思います。そうした点で、ICチップが登載されるということがその証明書の正確性あるいは信憑性を高めるということ、偽造、変造を防ぐ意味でも意味があるというふうに思っております。
 あわせて、また、その内容を市区町村で確認することによって事務上の誤りなども防げるのではないかというふうに考えております。
#42
○松村龍二君 この度の改正は、非常なメリットと、また在留管理が強化されるという面もございますが、武井参考人にお尋ねしますが、外国人との共生を推進していらっしゃる市区町村の視点から見て、在留管理が強化される点についてどのような御意見をお持ちでしょうか。
#43
○参考人(武井雅昭君) 今回の改正におきましては、在留管理は国が直接行う、そして市区町村は住民基本台帳を管理し、そしてその住民に対して必要なサービスを提供できるような基盤が整備されるというふうに考えております。それぞれの立場で役割を果たしていくことがこれからの共生社会の実現のためにも大事なことではないかというふうに思っております。
#44
○松村龍二君 終わります。
#45
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。
 今日は参考人の皆様方、本当に様々な御意見をいただき、心から感謝を申し上げます。
 もうお二人の御質問、質疑の中で様々な根本的な問題の問いかけもございました。
 今日御意見を伺った中でもう一度確認する意味で少しお尋ねしたい点は、まず一つは、今回の改正案の在り方、今も松村委員が御質問でございましたが、やはりこれ、今回の改正というか、これが在留外国人に対する情報という、まあ点から線だと、継続的に把握するという話、多賀谷参考人おっしゃいましたが、このことがやはり外国人に対しての在留管理の強化だと、極めて厳しいこれは在留管理というのが行われてしまって、これがかえって差別や偏見を助長したり、共生社会を目指すという皆さん方のその理念と反するようなことにもなりかねないんじゃないかという御意見も実際にありますし、鈴木参考人からはその意味で大変厳しい御意見があったと認識をしております。
 そういった意味で、今回のこの新たな在留管理制度というものをどう考えるかというとき、必要最小限のものを、必要なものをやったんであって、管理につながってないという御意見も一方であるようなところもあるんですけれども、この辺含めて、今回の新たな在留管理制度というのが外国人に対する管理の強化という視点で見た場合どうなるのかということについて、まだ御意見、多賀谷参考人と田中参考人にもう一回お伺いをしておきたいと思います。
#46
○参考人(田中宏君) 私、さっき申し上げましたけれども、新しく住基と入管法に例えば外登法を振り分けて、例えば住居の届出については今までよりも過重になっているんですね、明らかに。
 それからもう一つ、さっき申し上げなかったことですが、あの例の所属機関の届出の問題というのは、例えば大学なんかだと本人がこの大学に入ったという届出をする、その大学の方から入管にこの学生が入ってきたという報告をする、両方を合わせてちゃんとそこにいるかどうかチェックするという、一億総監視制度が確立することになるわけですよね。
 それで、不法残留の問題がいろいろ原因になっているだろうと思うんですけれども、これは国の政策そのものがおかしくていろんな問題が起きてきているんですね。ですから、例えば単純労働者の受入れをどうするかということをほっぽらかしておいて、日本人の血の入った人はいいですよと。それから、研修だから、日本の技術を向こうに移転するんだという建前で実はトマトの栽培をやってもらっているという現実があるんで、そこからいろんな問題が出てくるわけですね。例えば研修生でも途中で離脱している人がたくさん出ているわけでしょう。そういう問題をきちっとせずに、ただ何かチェックばっかりするという、そこに僕は大きな問題があったと思います。
#47
○参考人(多賀谷一照君) 今、田中参考人がおっしゃった点、最後のところ辺りは私もある意味で同意できるところがあるんですけれども、我が国の今までの入管制度というのは、入口のところでともかくチェックをすると。それから数年たって出口のところ、そのままいていただくか外国に帰っていただくか、そこで判断していたんです。その間は、まあ言い方はあれか、かなり放任といいますか、そこについては何ら手当てをしないというわけですね。
 私は、これから、日本に来る外国人の方が増えていく以上、そこについてやはり基本的にそういう、おっしゃるようにドロップアウトをするような方が余り出てこないようにちゃんとフォローしなければいけない。そのフォローをするためにもやはり基本的な外国人の方の情報はいただいて、そして市区町村とか大学とかあるいは企業が外国人の方に対して日本人並みのサービスをすることができるような仕組みにならなきゃいけないという、そういう点だろうと思います。
#48
○木庭健太郎君 この法改正を行って、法改正の理由でも一つあっていたんですけれども、結局、今回これをやろうといった理由の一つが、外国人登録法上の変更申請が行われずに、移住実態と実際合致していないという不都合が物すごく多かったから今回こういった改正を行うというのが一つの大きな理由なんですけど。
 何でそうなるのかという理由を考えた場合、やはり来られた外国人の方々が、変更申請の義務とかいろんなことについてよく理解できない状況に置かれているということがあったんじゃないかなと思うんです。鈴木参考人もさっきおっしゃっておったんですけれども、ある意味じゃ、そういう生活に必要な情報とかそういうものがそういう方々に伝わってないというような背景があったような気がしてならないんですけど。
 これから住民基本台帳に登録されるという形の中で、市区町村、これまでも御努力いただいたんですけれども、これからどんなふうにしてそういう方々に対する情報提供、サービス提供の面もそうですけれども、これをなさっていこうとしているのか。例えば、多言語における情報提供の充実のような問題もあると思うんですが、その辺のことについて武井参考人からお伺いしたいし、一方で鈴木参考人の方から、外国人の立場からするとこういう情報をこういう形でこう提供してもらいたいんだというような御意見いただければと思います。
#49
○参考人(武井雅昭君) 私の区の実態で申し上げますと、日本人の方の人口がおよそ二十万人で、外国籍の方が二万二千人お住まいになっておりますので、およそ一〇%が外国籍の方で、その方々の国籍はおよそ百二十か国に及んでおります。大変国際化した地域でございますけれども、今委員のお話にあったように、例えばごみ出しの問題などについても、そのごみ出しのルールをしっかりと周知されていない、あるいは御存じないがために近隣とのトラブルなどにつながってしまうということも実際に聞いておりますし、また、そういうものに対しまして、まずは多言語でのお知らせを充実させるということをやっております。今回の定額給付金でおよそ一〇%を超える外国人世帯の方から返戻をされてまいりましたけれども、その方々の住所地を実際に調査をいたしまして、これは英語での文書ですが、届出に際しての御案内というものも個別に通知をいたしました。
 一つは、やはりいろいろな言語で、いろいろなチャンネルを使って情報提供するということが更に大事になってくると思います。いま一つは、住民基本台帳に登載されるということで、今まで以上に市区町村の窓口とその外国人住民の方の距離が縮まるということになります。その時々にいろいろな形で御相談をしていただける、その相談に乗ることができる、そういう大きな変化が起きるのではないかと思っております。また、そのためには、市区町村としてもそうした対応の準備をしていかなくてはならないというふうに思っております。
#50
○参考人(鈴木健君) まず、住居地について、居住の実態が合ってないのではないかということなんですが、私思いますのは、恐らく日本の方も住民票移されてない方たくさんおります。これは、外国人だけの問題でなく、日本人も含めて、この日本社会の中で何が起きているのか、そういったところをまず把握する必要があるのではないかと思います。外国籍の方、とりわけ、まずはその生活実態というのを十分に承知いただければと思います。
 今日、せっかくですので、様々な外国籍の方が来ております。もし、委員会の後にお時間がございましたらお話しいただければ、いろんな話を伺えると思いますが。済みません、余分な話でした。
 情報提供についてですが、どのような情報提供が必要かというのは生活の様々な場面においてそれぞれかと思います。ただ、実際におきまして今とても苦労されているのは、どのような情報を提供するかより、むしろ情報をどのように流通させていくか、情報がどうしたらその人の下に届くのか、そういったところに御苦労されているようです。
 以上です。
#51
○木庭健太郎君 もう一つ、今回、特別永住者証明書の際には、衆議院で修正が行われて、特別永住者の常時携帯義務について削除されたと。このことについて武井参考人からも高い評価をいただきましたが、また一方で、田中参考人から御指摘があったとおり、永住者についてはそのまま携帯・提示義務が残っているわけでございます。私も、どちらかといえばこれはもうなくしていく方向で是非ともと思ったんですが、今回はそこまで行かなかったというのが一つですが、ただ、衆議院の修正でこの問題について今後検討するということ、一項目を入れられたというところが一歩前進のような気がしております。
 この永住者に対する在留カードの常時携帯・提示義務という問題について、田中参考人ははっきり、もう今後それを当然なくしていくのが当たり前だという御意見を明確にしていただきましたが、この点について、今後、これから永住者の在留カードの常時携帯・提示の問題、これからの定住の何か問題とか歴史的背景とかいろいろおっしゃっていましたが、定住者となれば全般、なべていいんじゃないかなという気もするんですが、その辺も含めて是非、御評価をいただいた武井参考人及び多賀谷参考人からも、この永住者についてどう考えるかという御意見があれば伺っておきたいと思います。
#52
○参考人(多賀谷一照君) 確かに特別永住者については携帯義務が免除されたわけですけれども、永住者の方につきましては、やはり永住者といっても、本当に特別永住者並みに長年いらっしゃる方と、それと五年以内ぐらいの方、様々いらっしゃるので、多分一律にできないだろうと思いますし、それから、そういう方々について在留管理上どういう形で、携帯義務という形にするのか、それともそれ以外の何らかの方策があるのかということは今後の検討課題だろうと思います。
 以上です。
#53
○参考人(武井雅昭君) なかなか自治体の立場からというものは難しいものがございます。これは是非国におきまして御検討いただきたいというのが率直な意見でございます。
#54
○木庭健太郎君 最後に多賀谷参考人に、これも先ほどから議論になっているんですけれども、やはり今回の場合、住居の届出義務違反に対するこの罰則の問題、これ結構御批判もありますし、そこまで、在留資格取消しまでということを付けることがどうなのかという議論は随分あると思います。鈴木参考人、武井参考人、田中参考人からはこの点についてそれぞれ御意見があったわけですが、この住居地届出義務違反に対する罰則規定の問題について多賀谷参考人はどうお考えか、これをお聞きしたいと思います。
#55
○参考人(多賀谷一照君) 住居地につきましては、確かに取消し事由になっていますけど、私は、取消しというのは最後の手段で、直ちに取消しということにはならないだろうと思います。
 それで、現在、やはり外国人の方が実は居住していないにもかかわらずそのまま居住届になっているという、そういう状態があって、それをやっぱり改善して、本当に居住されている方に必要なサービスをするというためには、ある程度のそういうサンクションが背景にあって、現実にはサンクションはそんな形で利かせないと思いますけれども、ないと恐らく制度は動かないと思いますので、やはりそういう制度があるのはやむを得ないだろうと思います。
#56
○木庭健太郎君 終わります。
#57
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、四人の参考人、本当にありがとうございました。
 正規の在留資格がない、いわゆる不法と言われる滞在者との共生についての基本的なお考えに絞ってお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、逆に鈴木参考人の方から、現場に近い方からお尋ねしたいと思うんですが、正規の在留資格を失っていく外国人が大変多いということは私も大変残念なことだと思っておりまして、今日、鈴木参考人のお話を伺っていて、失いたくて失っているのではないんだということを改めて強く感じたわけですね。そうした意味では、傍聴席にもいらっしゃる皆さんが、決して自己責任でそうした苦しみに追い込まれたわけではないということかと思います。
 DVやあるいはオーバーステイで生きるか死ぬかという生活実態にあるんだというお話がございました。もう少しその点で御紹介いただけることがあればということが一点と、もう一つ、今ほどお話が少し触れられています外国人研修生・技能実習生制度についてですね。
 これは御存じの数字だと思いますけれども、失踪者の数が二〇〇七年度で二千百三十八人、前年比で二八・四%増加したということで大変な大問題になりました。ところが、これもJITCOが把握をしている技能実習生の失踪者数にとどまるものでございまして、一年目の現行の研修生、ここは把握する仕組みそのものがないわけですね。日本にこうした形で来た労働者が失踪をこんなに大きな数せざるを得ない事態になっているというこの現場は一体どんな問題になっているのかという、この二点について鈴木参考人にまずお尋ねしたいと思います。
#58
○参考人(鈴木健君) 非正規滞在者のことですが、今、年間大体八千件程度在留特別許可が認められております。ということは、裏を返せば、かなりの数が実は在留特別許可が得られる状態にあるということでもあります。
 ただ、そこの申請に至るまで、申請期間中、非常に大変です。まず、形式的には在留資格がないので仕事をすることができません。そうすると、子供を育てながらどうやって生活していくのか、非常に大変です。私も経験するのは、お母さん、朝も昼も夜も一生懸命働く、そしてその間、子供が電気も付いていない部屋の中でうずくまっている、そういったこともございます。そして、病気になって、時には瀕死の重症の中で病院に搬送されるということもありました、子供も含めまして。
 私、思います、在留特別許可、これが迅速に行われ、そして申告中の身分の在り方というのがある程度整理されれば、こうした生活環境というのがクリアできる部分はあるのかなと思います。
 研修・技能実習生制度についてですが、私、研修・技能実習生制度について詳しいことというのを存じ上げない部分もあるんですが、ただ、研修・技能実習生制度というのはどうしても職場とその人のいれる場所というのが縛りが掛かってしまいます。そういった縛りの中で、転職の自由もなく、そこにいなければいけない、そういった制度の仕組みというのがこういった逃亡等につながってしまうのではないかなと思います。
#59
○仁比聡平君 第二次受入れ機関というふうに言われるその受入先ですね、ここに縛られてしまうというお話だったかと思います。
 武井参考人にお尋ねしたいんですけれども、現行の外国人登録制度を軸にした自治体の取組においては、在留資格が今その外国人住民にあるのか否かということは主要な把握のテーマではなくて、住民としての実態があって、とりわけ自治体との関係でいいますと、地方税が納税をされているかとかあるいは保険料が納められているかとか、そうしたところが重要なのかと思うんですけれども。
 政府の、多賀谷参考人も、武井参考人もだったでしょうか、参加をしておられるかと思うんですが、第四次出入国管理政策懇談会のこの報告書といいますかまとめを拝見しますと、不法滞在者の問題についてこんなふうな表現がございます。不法滞在者の中には不法滞在以外の罪を犯しておらず、既に日本人と結婚して子供もおり、地域社会で良識ある社会人として生活している者もいる。このような不法滞在者の状況を的確に把握し、人道上の配慮を欠くことなく、ここでは在留特別許可の許否を決定していくことも重要だという、在留特別許可の問題として触れられているわけですが、この在留資格はないんだが住民として納税もし社会の中に溶け込んでいるという、こうした住民が今後どのように扱われていくことになるのか、この法改定後ですね、ここについてはどのようにお考えでしょうか。
#60
○参考人(武井雅昭君) 法改正後は住民基本台帳に登録していただく対象になりますので、それぞれの自治体では、住民基本台帳に登録されている方については把握ができます。ただ、登録されていない方については、それぞれの自治体で把握するということは大変難しいことになります。登録されていない方が国内のどこかで暮らしていらっしゃるということは推測できますけれども、それをそれぞれの個々の自治体がどのように把握するかというのは大変難しい問題であると思います。
 このことは、在留管理を国で対応するということ、そのところをやはりしっかりやっていただき、そして区市町村は住民基本台帳を整備する中で必要なサービス提供を行い、そして地域の中での外国人住民の生活の質を高めていく、こういうことに努力していくべきだというふうに考えております。
#61
○仁比聡平君 今の点について、田中参考人は先ほど見えない人間をつくるべきではないというふうにおっしゃったと思うんですが、ちょっと続けて武井参考人にもう一問。
 政府は特に住民基本台帳法改定に関しての、総務省は在留資格のない外国人は対象外というふうに私どもに説明をしておりまして、その辺りについて総務委員会の参考人質疑で私が豊田の鈴木市長にお尋ねしたところ、豊田市長はこんなふうにお話しになりました。今回の法改正に伴って住基台帳に載らない人が出てきます。その場合にサービスが行えないケース、医療保険、介護保険、児童手当、年金それから生活保護、これらについては受給資格、加入資格が喪失するということが起きますと。ちょっと飛ばしますが、このサービスが打ち切られたときに様々な生活上の課題、コミュニティーにおける課題は起きるであろうという不安がないとは言えないと、こうした御発言があったんですね。
 港区において、先ほど御紹介のあったような高い比率の外国人が集住しているということの中で、従来あるサービスが在留資格の管理と一元化されることによって取り上げられてしまうということになりますと、区長さんとしてどんなふうな御説明をされるのか、御苦労されるんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#62
○参考人(武井雅昭君) これまで行われている様々なサービスにつきましても、それぞれ個別の法律に基づいてサービス提供がされているわけでございまして、住民基本台帳に登録されているか否かということをもって運用されているわけではないというふうに承知をしております。
 また、今回の法改正におきましても、そうしたサービスなどの内容については変わりがないというふうに承っておりますので、その点は従来どおりというふうに考えております。
#63
○仁比聡平君 田中参考人に。
 今の見えない人間をつくっていいのかという問題について、これまでの議論を聞いて御感想があればというのが一点と、もう一点、永住者の問題について、特別永住者と永住者、ここに区別ないし差別をする合理的な理由があるかと。これは、活動内容に制限のない在留資格を持つ方々にとっては、これは全く同じなんではないかと思うんですね。この点について、先ほど多賀谷参考人は木庭理事からの御質問に対して少し考え方述べられたんですが、田中参考人、お考えがあればという、この二点お願いいたします。
#64
○参考人(田中宏君) 見えない外国人の問題というのは、先ほどは、いろいろ手当とか何かありますけれども、例えば子供が学校に行くというときに、実は今文部省は、外国人登録がなくても在留が確認できれば、例えば家賃の契約書とかあるいは電気代を払っている領収書だとか、そういうもので何丁目何番地にこの人がいるということが分かった場合には、それによって弾力的に入学を認めるようにということを例えば実務やっているんですね。
 ところが、今度のような形で在留カードを持っていない人は全部はじき出すということになるとやっぱりすごく大きな問題が出てくるので、今区長さんが言われたように、行政サービスはあるないにかかわらずおやりになるということなので、私は自治体が文字どおり独自にそういう見えない外国人を把握してやっていくということを是非お願いしたいと思います。それは、私が紹介した裁判所の判例の例えば趣旨はそういうことだろうと思います。
 それから二つ目の問題については、もうちょっとちゃんとさっき言えばよかったと思うんですが、アメリカのグリーンカードというのを考えれば分かりやすいと思います。特別永住者というのはあるときまで日本国籍を持っていて日本側の都合で一方的に外国人宣告をした人たち、これを特別永住にしているわけですが、それと同じステータスを、一般永住を持った人はそっちに組み込んでいくという形にする方が、入管の方でも、定期的にチェックする外国人と、それ必要なくなった外国人を同じ法律で把握するというのはむしろやりにくいはずなんですね。例えば、さっき言ったように、就業地、職業の届出というのはもう現行法でもなくなっていますから、永住者については。そういう点で、何でそれ一緒にしなかったのかなというのが率直な、その方がよっぽど実務もすっきりするしというのが私のあれで、是非これはこの後検討していただきたい。
 それから、ちょっと先ほどの話、一言だけ、委員長、済みませんけれども。
 外国人の在留把握が難しいというのは、現行の外国人登録制度がおかしいんですよ。なぜかというと、日本人は転入と転出と両方やるようになっているんですね、住基で。ところが、外国人登録法は転出の手続をしなくていいように今法律ができているんですよ。それが問題なんですね。
 法務省の方が、AからBに移ったら報告が上がってきますから、法務省は一々やる必要ないんです、法務省の目から見たら。ところが、自治体から見るととんでもない話なんですね。Aという住民がいなくなっても、何の届出もなしにいなくなれるんです、外国人は、現行法は。日本人は転出をやって転入をやるんです。それに全部行政サービスが付いて回るわけですから。ところが、今の外国人登録法は、法務省が上から眺めていて、あっ、AからBに移ったね、はいと、それを知ればいいわけですから。
 自治体の方は、何月まで国民健康保険料取らなきゃいけないか、児童手当を何月分までこの人に渡すか、そういう問題が全部くっついているのに、今の外国人登録法はそういうことを全くやってないんですね。それでいろんな問題が起きているんで、そこのところは外国人登録法そのものをもっとちゃんと本当は早く直さなきゃいけなかったという問題で、何かいかにも外国人がサボっているみたいですけれども、制度的にそういうふうに転出と転入が両方できるようにつくってないんですよ、外登法。そのこと、ちょっと済みません、余分ですけれども。
#65
○仁比聡平君 時間がなくなって大変申し訳ないんですが、多賀谷参考人にお尋ねしたいのは、先ほど御紹介をしたような第四次の懇談会の報告書などもある中で、非正規滞在者、不法滞在者について、在留特別許可のありようも含めて、多賀谷参考人がどんなふうにお考えなのかという点。
#66
○参考人(多賀谷一照君) 非正規滞在者という方は住民基本台帳に載らないわけですけれども、ただ、そういう方々について、それでは今回の制度改正で従来に比べて著しい不利益が生ずるかというと、やはり私はそういうことではないだろうと思います。
 先ほど武井参考人がおっしゃいましたように、例えば国民保険とか雇用保険とかそういう問題は、それは受給するかどうかというのは別に住民であるかどうかで決まるわけではないわけです。そして、それでは、非正規で滞在されている方については、我が国では例えば母子保護とか結核予防とか、あるいは先ほど田中参考人がおっしゃったように学校での受入れとか、そういう人道的なことについては、やはり非正規の方々については従来どおりそういう手当てはされるということですので、基本的な変わり方はないと思います。
 それからもう一つは、やはり我が国では今でも、非正規といいますか、いわゆる仮放免とかそういう形で、正式な滞在でない形で存在する方というのは、これはほかの国でも基本的に同じなんですけど、そういう方々がある程度存在していて、その方々をどう処遇するかというのは正規滞在の方とは別にやはり問題なので、それをすべて正規滞在にするわけにはいかないというのはほかの国でも共通ですので、やはりそれは今後の課題だろうと思います。
#67
○仁比聡平君 外国人との共生という問題は、これは歴史的にそれぞれの地域や自治体で積み重ねられてきたという、この大きな取組があって、そのサービスの一つの、何というんですか、根拠としてといいますか、道具として、事実上外国人登録を利用してきたというふうに武井参考人も先ほどお話しになったんですが、これが住民台帳からは除かれて見えなくなっていると、外国人登録制度はなくなってしまうと。このときに、どういうふうに外国人との共生を図っていくのかというのは、やっぱりこれは僕は大変だというふうに改めて今日の参考人質疑を通じて感じました。
 終わります。
#68
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。
 四名の参考人の皆さん、大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。この後の質疑の中で是非生かしていきたいというふうに思います。
 最初に、鈴木参考人に質問したいというふうに思うんです。
 大変厳しい立場に置かれております外国人に寄り添う立場で御奮闘いただいていることに本当に敬意を表したいというふうに思うんですが、今回の法改正に伴って様々な心配事が鈴木参考人のところにいろいろ寄せられていると思うんですよね。今日もそういうことでそちらの方に、傍聴席に関係者の方がたくさん来ていられるというふうに思います。後で話を聞いてみたらという話でございますが、なかなか今日も日程が入っておりますので、そういうちょっと場が持てないんです。
 それで、不法滞在者がそれなりにたくさんいて、その人たちが特別在留許可で言わば何とか生きている。そういう人たちに、鈴木参考人はたくさん事例を知っているというふうに思うんですが、今回の法改正でどんなことを物すごくこの人たちが心配をしているのか、特別在留許可で生き長らえている人たちがどんなことを一番心配しているのか、ちょっと具体例を挙げていただけますか。
#69
○参考人(鈴木健君) とりわけ今現状で在留資格がない非正規滞在者ですが、先ほど紹介するのを忘れておりましたけど、私の経験の中で例えばオーバーステイ状態になってしまったDV被害者が警察に逮捕されるということがございました。これは、例えば在留特別許可の申告中であっても、行政手続としては入管さんの方で例えば仮放免許可を出しているということになりますけれども、同じ罪で入管法違反容疑という刑事の方はありますので、入管が仮放免許可を出していても警察が捕まえてしまう。その方の場合ですと、ちなみに入管法違反容疑で起訴されまして、四か月間赤ちゃんと離れ離れの生活になるということがございました。
 今法案につきましてですが、やはり一番今心配されているのは、日本人と結婚されている方で、様々な生活環境の中で、例えばだんなさんとの関係でとても悩んでいらっしゃる方、こうした悩んでいらっしゃる方が今回の制度の導入によって更に悩みが深まってしまう。そして、中には、私たちが経験しておりますのは、それで精神的なバランスを崩して病に侵されてしまう、そして精神的な病がために届出ができなくなってしまうということもあろうかと思います。そういった女性たちの心配が強いかなと思います。
#70
○近藤正道君 そのことは今回の法改正の中でもいろいろ議論になっていまして、衆議院ではそれなりの修正、手当てがなされたんではないかと思いますが、この修正で手当てはできない、これでもまだ悩みは尽きないということなんでしょうか、どうなんでしょうか。
#71
○参考人(鈴木健君) まず、先ほど申しましたとおり、在留資格の更新、変更の許可基準というものがブラックボックス化されている、その点が解消されないとなかなか厳しいのかなと思います。
 あと、今回の修正案につきまして、ほかの在留資格に変更申請ができる場合ですとか永住許可を申請できる場合は申請を配慮するとおっしゃいます。この点については従来に比べれば評価できると思います。
 というのは、今までそういった状態にありますと、申請できるのにも申請させなかった。私たち経験していますのは、それで入管に呼ばれます、その場で言われるのは、あなた、国に帰るならば三か月の出国準備のビザをあげる、そうじゃないんだったら、警備部門、退去強制させるところに行きなさい、どっちかを選びなさいということで署名をさせられるということがございます。
 そういった点がありますので今回の修正で多少の歯止めはありますが、そもそもの日本の在留資格制度が非常に透明性が担保されていないという問題が解消されない限りにおきましては、なかなか不安は解消されないのかなと思います。
#72
○近藤正道君 今回の改正で、特別在留許可、今、年間八千件ぐらいあるというふうに先ほどお話あったけれども、これの取得が難しくなるんではないかというふうなことをおっしゃる方がいるんですが、鈴木参考人はどう思います。
#73
○参考人(鈴木健君) ここ数年で申しますと、毎年一万件ですとか八千件ですとか、その程度の推移で来ております。恐らく今後も今までの運用より後退するということはさすがに行政の継続性の観点等々からできないのかなと思います。
 むしろこれから検討が必要なのは、これまでの蓄積の中で例えばグレーゾーンにあるケースというのがございます。許可されるか不許可になるか、そこのグレーゾーンの線引きをどのようにしていくのか。むしろ、今まで認められていたものを少なくしていく、狭くしていくというのではなく、今の実情に合わせてどうやって広げていくのか、どうやって実情を勘案していくのかという方向で検討がされていくことを私たちは望んでおります。
#74
○近藤正道君 次に、田中参考人にお尋ね、二つほどしたいんですが。
 一つは少し大きな話で、今回、在留管理が著しく強化をされたということなんですが、世界的にこの移民の話はどこの国でも結構大きな問題になっていると思うんですが、世界の大きな流れと今のこの国の今回の入管改正、入管法の改正というのはどういう関係になっているのか、お聞きしたいと思うんですよ。
 実は国連の人権委員会が、永住者の言わば登録証の所持を刑罰をもって義務付けるということについて、これはやめるべきだという勧告を何度かしているんですけれども、そういうこともありまして、今、世界の大きな国際人権法の流れと今回の入管の改正で管理を強化する動きというのは同じ方向を向いているんですか、それともあべこべの方向なんですか、田中参考人はどんなふうに思っておられますか。
#75
○参考人(田中宏君) なかなか難しい問題ですけれども。
 一つ、世界と、まあ世界といってもいろいろな国があるので余り責任持ったことを言えませんけれども、私の印象では、日本の特徴は国籍法をどうするかという議論が全くないんです、外国人の政策を議論する中に。
 ところが、どこの国でも国籍法を工夫するんですね。どういうことかというと、例えばドイツなんかでも、ドイツは一般的には血統主義ですけれども、しかし、もうドイツで生まれた子供については届出で国籍を取れるようにするとかそういう制度を導入していると。あるいは、従来の国籍を保持したままドイツ国籍取得を認める。日本の場合は前のものを捨てないと絶対日本国籍は渡しませんから。日本の場合はかなり純粋な血統主義を取っていますので、在日コリアンに象徴されるように何世まで行こうと未来永劫に外国人なんですよ。ところが、これはアメリカだともう二世の外国人はいないんですよ。そこで外国人がどうなるのかという議論は全然違ってくるんですね。そこが日本の特徴だろうと思います。国籍法をどうするかと全く議論をしないで外国人政策があれこれされている。これが一つ。
 それからもう一つは、やっぱり日本の場合は外国人を、さっき十年と七年で言いましたけれども、何か外国人というのを差別すると。それ、問題なのは公なところが差別するんですよ。
 今日、本当は自治体の区長さん辺りから出たらいいなと思っていたんですが、例えば、港区でもそうじゃないかと思う、一割外国人がいるのに民生委員も児童委員も外国人はなれないんです。人権擁護委員もなれない。だから、もっと積極的に外国人と一緒に暮らすためのシステムをどうつくるかという。今回も、管理の方だけは法律が出てくるんですね。ところが、外国人と共存するためのシステムについて、是非僕はやっぱり良識ある参議院辺りで法案を出してもらいたいと思うんですね、そのためのシステムを。全く日本では外国人と共同していくためのシステムがない。これは恐らく世界でも珍しいんじゃないかと思います。全くそれをやらないで管理のことだけ一生懸命やっているという。
 以上。
#76
○近藤正道君 今回の入管法の改正が外国人の管理強化の方向にのみ偏っているというお話がございましたけれども、私は基本的にそういうふうに思っておりまして、せめて、先ほど鈴木参考人がおっしゃったんだけれども、適正な手続、つまり行政手続法だとかあるいは行政不服審査の適用をそれなりにやっぱり認めて、ぎりぎり追い詰められて裁判という前に、個々の処分について異議申立てができる制度がなけりゃおかしいんではないかなと、私、非常にそう思うんですが、この点について、田中参考人と多賀谷参考人、それぞれどういう御意見をお持ちなのか、お聞かせください。
#77
○参考人(田中宏君) 私も、さっきの人権擁護委員なんかもそうですけれども、行政不服審査法も行政手続法も入管とか帰化は全部対象外にしているんですね。行政の透明化を高めるのが目的ですから、外国人に関する入管の行政も透明度を高めるようにすべきだと僕は思いますね。それはもう本当にシステムを変えていくという中の大変重要な柱で、僕は何でそれが外れるのかというのが正直言って分からないんです。そうすると、結局、外国人は国に害な連中だからそんなちゃんとした権利を保障する必要はないというように考えるとそれが排除される。
 これはみんな国会で作った法律で、入管とか帰化の行政は行政不服審査も手続法の対象外としているという、これを是非変えることがやっぱり共生していくための一つのシステムじゃないかというように思います。
#78
○参考人(多賀谷一照君) この点は私はちょっと誤解があるんだろうと思うんですけれども、入管法というのは、基本的に、戦後アメリカの影響を受けたことで、ある意味で行政手続の仕組みを元々組み込んである法律なんです。
 要するに、退去強制等をする場合に事前にちゃんと言い分を聴くというそういう仕組みが入っておりまして、これに対して日本のほかの行政手続は一切そういう事前手続がなかったんですね。それが十数年前に行政手続法ができてそれが入ったわけですけれども。入管法は事前にそういう仕組みがあるからその仕組みを尊重しようということで入っていなかったということで、行政不服審査法は事後手続ですけれども、基本的に事前手続を整備すると。
 そして、ただ、事前手続において、行政手続法の場合にはやはり聴聞主宰官という形でやりますけれども、入管法の場合にも、その事前手続において専ら入管の行政官だけでやるというのは第三者性を欠くから、そこについて制度改正を数年前にやったと思います。
 その意味において、仕組みがないというのは、既に入管法の中にあるからということだと思います。
#79
○近藤正道君 終わります。
#80
○委員長(澤雄二君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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