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2009/01/28 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第4号
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2009/01/28 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第4号

#1
第171回国会 本会議 第4号
平成二十一年一月二十八日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成二十一年一月二十八日
   午前十時開議
 第一 平成二十年度一般会計補正予算(第2号
  )外一件両院協議会参議院協議委員議長報告
 第二 平成二十年度政府関係機関補正予算(機
  第2号)両院協議会参議院協議委員議長報告
 第三 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)外一件両院協議会参議院協議委員議長報告
 日程第二 平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)両院協議会参議院協議委員議長報告
 以上両件を一括して議題といたします。
 協議委員議長の報告を求めます。協議委員議長北澤俊美君。
    ─────────────
   〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#4
○北澤俊美君 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)外一件両院協議会の経過及び結果について御報告を申し上げます。(発言する者あり)
 静かにお聞きをいただきたい。それは、それはですね、それは、この両院協議会の運営について申し上げます。この両院協議会の一番主要な部分の、(発言する者あり)主要な部分の懇談の部分が議事録はなし、国民に対する公表もなし、そのことについて十分なる協議をいたしました。諸君は、(発言する者あり)諸君は、この私の報告を聞かなければ、あの議会、両院協議会の議事の内容を知るすべがありません。
 本院協議委員は、去る二十六日の本会議におきまして、議長より指名されました後、直ちに協議委員議長及び副議長の互選を行い、その結果、協議委員議長に私、北澤俊美が、副議長に石井一君がそれぞれ選任されました。
 なお、衆議院におきましては、衛藤征士郎君が協議委員議長に、鈴木恒夫君が副議長に選任されました。
 両院協議会の初会の議長はくじにより決することとなっておりますので、開会に先立ち抽せんを行いました結果、参議院側協議委員議長の私が議長に当選をいたしました。
 協議会におきましては、衆議院側の鈴木恒夫君から、定額給付金の給付に必要な経費が計上されていること、緊急雇用創出事業等の国民生活の不安を解消する措置が講じられていること等の理由で原案どおり可決した旨の説明があり、次に、本院側の福山哲郎君から、定額給付金は、真に支援を必要とする生活困窮者に行き渡らず、景気浮揚効果も極めて限定的であること等の理由により、これを削除する修正議決を行った旨の説明がありました。
 次に、協議に移りましたところ、各協議委員から、定額給付金の是非等について意見が述べられました。その後、懇談に入り、成案を得るべく熱心な協議が行われましたが、協議会への総理を含む閣僚の出席要求など、論点が多岐にわたったため、翌二十七日も引き続き協議が行われました。
 二十七日は衆議院側協議委員議長の衛藤征士郎君が協議会議長になりました。
 協議会においては、成案を得るべく協議が行われたほか、両院協議会の在り方についても真摯な議論が交わされ、協議会に関する国会法の規定についても今後見直すべきとの議論がありました。
 また、協議会議長より、両院協議会の在り方については、後日、検討することとしたい旨の発言がありました。
 さらに、両院協議会の在り方について、衆参両院議長に報告の際、両議長より、その在り方について検討することに前向きな御発言がありました。
 なお、これまで議事録が作成されていなかった懇談部分についても、新たに、(発言する者あり)新たに、新たに議事録を作成をすることとなり、その取扱いについては、両院協議会協議委員議長、副議長打合会で、後日、協議することとなりました。
 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)外一件両院協議会は、熱心な協議が行われましたが、意見の一致を見るに至らず、成案が得られませんでした。
 続いて、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)両院協議会の経過及び結果について御報告を申し上げます。
 本院協議委員は、去る二十六日の本会議におきまして、議長より指名されました後、直ちに協議委員議長及び副議長の互選を行い、その結果、協議委員議長に私が、副議長に石井一君がそれぞれ選任されました。
 なお、衆議院におきましては、衛藤征士郎君が協議委員議長に、鈴木恒夫君が副議長に選任されました。
 昨二十七日の両院協議会の開会に先立ち、抽せんを行いました結果、両院協議会の議長には、衆議院側協議委員議長の衛藤征士郎君が当選されました。
 協議会におきましては、衆議院側の鈴木恒夫君から、特に厳しい経済情勢下に置かれている中小企業への対策として、一日も早い成立が望まれている等の理由で、原案どおり可決した旨の説明がありました。次に、本院側の福山哲郎君から、資金繰りに苦しむ中小・小規模企業を支援するセーフティーネット貸付けや信用保険等事業の拡充が不十分であること等の理由により否決した旨の説明がありました。
 次に、協議に移りましたところ、各協議委員から種々の意見が述べられました。
 その後、懇談に入り、熱心な協議が行われましたが、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)両院協議会は、意見の一致を見るに至らず、成案が得られませんでした。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
#5
○議長(江田五月君) 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)及び平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)につきましては、両議院の意見が一致いたしませんので、憲法第六十条第二項の規定により、衆議院の議決が国会の議決となりました。
 これにて午後三時まで休憩いたします。
   午前十時十一分休憩
     ─────・─────
   午後三時一分開議
#6
○議長(江田五月君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第三 国務大臣の演説に関する件
 内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、財務大臣から財政に関し、与謝野国務大臣から経済に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。麻生内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 今年は平成二十一年、天皇陛下が御即位されて満二十年になりました。国民の皆様とともに心からお祝いを申し上げたいと存じます。
 世界は今、新しい時代に入ろうとしております。その際に、日本が果たすべきは新しい秩序づくりへの貢献であります。同時に、日本自身もまた時代の変化を乗り越えなければなりません。目指すべきは安心と活力ある社会です。新しい世界をつくるためにどのように貢献すべきか、新しい日本をつくるために何をなすべきか、私の考えをお話しさせていただきたいと存じます。
 今回の世界的な金融危機は百年に一度のものと言われております。しかし、危機はチャンスでもあります。危機が混乱をもたらすのか、それとも新しい時代を開くのか、それは私たちの対応に懸かっていると存じます。
 一九二九年の大恐慌の教訓を忘れてはなりません。世界各国は自国の利益を優先し、保護主義に走りました。それは世界経済を収縮させ、第二次世界大戦にもつながりました。
 戦後、各国はその反省に立ち、協力し合う関係を築きました。そして世界経済は半世紀にわたり成長を続けました。しかし、今回の金融危機は、経済が予想を超えてはるかにグローバル化したときに、これまでの仕組みでは限界があることを示しております。
 私は、昨年十一月のワシントンでの金融サミットで、我が国の過去の金融危機とそれを克服した経験を各国首脳に説明をしました。また、国際通貨基金の機能の強化と最大一千億ドルの融資による日本の貢献策を表明しました。あわせて、次のことも提唱しました。一つは、金融市場の監督と規制に関する国際的な協調の必要性であります。もう一つは、保護主義に陥ることなく世界の貿易と経済を拡大することの必要性であります。
 これらは、各国の賛同を得て進みつつあります。世界第二位の経済規模を持つ日本は、世界経済の新しいルール作りに積極的に貢献しなければなりません。もちろん、経済だけではありません。東西冷戦が終わって二十年、国際社会の平和と安定に向け、新しい秩序づくりにも参画しなければなりません。
 同時に、日本もまた、この国の形を変える節目にあると存じます。
 私たちは、この二世紀の間に二度の危機的状況を経験しました。そしてその都度、自らの生き方を転換し、かつ驚異的な成功を収めたのが日本の歴史であります。一度目は開国と明治維新です。鎖国で取り残された我が国は、殖産興業にかじを切りました。そして、急速な工業化を達成し、非西欧諸国として唯一、列強の仲間に入りました。二度目は敗戦と戦後改革です。焼け野原になった我が国は、軍国主義を捨て、経済重視に転換をしております。そして、世界第二位の経済大国になるとともに、安全で平等な社会をつくり上げました。
 今、三度目の変革を迫られております。急速な少子高齢化、新たな格差や不安、資源や環境の制約、そして時代にそぐわなくなった社会のシステム、これらを乗り越えなければなりません。試練を乗り越えたときに人は成長します。混乱を乗り越えたときに社会が進化します。危機はむしろ飛躍するための好機でもあります。
 今回も私たちが自らの生き方を選び、この国の形をつくります。目指すべきは安心と活力ある社会です。世界に類を見ない高齢化を社会全体で支え合う安心できる社会、世界的な課題を創意工夫と技術で克服する活力ある社会です。
 そのために政府は何をなさねばならないのか。私たちはこの点についても既に多くのことを学んでおります。それは、官から民へといったスローガンや、大きな政府か小さな政府かといった発想だけではあるべき姿は見えないということであります。
 政府が大きくなり過ぎると社会に活力がなくなりました。そこで、多くの先進諸国は小さな政府を目指し、個人や企業が自由に活動することで活力を生み出しました。しかし、市場にゆだねればすべてが良くなるというものではありません。サブプライムローン問題と世界不況がその例であります。今、政府に求められる役割の一つは、公平で透明なルールを作ること、そして経済発展を誘導することであります。
 もう一つの政府の役割は、みんなが参加できる社会をつくること、そして安心な社会を実現することであります。
 日本は勤勉を価値とする国であります。この美徳が今日の繁栄を築いたと存じます。それを続けるためにも、高齢者、障害者や女性も働きやすい社会、努力が報われる社会をつくることが重要であります。また、競争に取り残された人を支えること、再び挑戦できるようにすることが重要です。この点において、我が国はなお不十分であることを認めざるを得ません。日本の行政は産業の育成には成功しました。これからは政府の重点を生活者の支援へと移す必要があります。
 国民の安心を考えた場合、政府は小さければよいというわけではありません。社会の安全網を信頼に足る安定したものにしなければなりません。中福祉を目指すならば中負担が必要であります。私は、景気回復と政府の改革を進めた上で、国民に必要な負担を求めます。
 現在の豊かで安全な日本は私たちがつくったものです。未来の日本もまた私たちがつくり上げていくものです。過去二回がそうであったように、変革には痛みが伴います。しかし、それを恐れていてはなりません。暗いトンネルの先に明るい未来を示すこと、それが政治の役割です。良き伝統を守り発展させる、そのために改革する、それが私の目指す真の保守であります。
 私は、世界にあっては新しい秩序づくりへの貢献を、国内にあっては安心と活力ある社会を目指します。
 以下、当面する課題と政府の取組について述べさせていただきます。
 第一の課題は、活力ある社会づくりです。
 私は、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革による経済成長と申し上げております。まず急がねばならないこと、それは景気対策です。
 世界が同時にかつてない不況に入りつつあります。日本もまたこの世界不況から逃れることはできません。しかし、大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出することを目指します。異常な経済には異例な対応が必要です。
 第一次補正予算、第二次補正予算、そして平成二十一年度予算、これら三つを切れ目なく、言わば三段ロケットとして進めてまいります。経済対策の規模は約七十五兆円となります。予算と減税額では合計約十二兆、国内総生産に比べて約二%になります。諸外国の中でも最大規模の対策であります。
 その際には、生活者、中小企業、地方の三つに重点を置いております。公共事業など従来型の景気対策ではなく、生活や雇用を守ることを目的とするものであります。生活防衛のための大胆な実行予算、平成二十一年度予算をこう呼びたいと考えます。
 職を失った派遣労働者の方々には、急ぎ昨年末から雇用促進住宅などの住居を提供しております。雇用保険につきましては、非正規労働者が給付を受けやすいよう、適用基準を一年以上の雇用見込みから六か月に短縮します。雇用保険料を引き下げます。標準的な世帯で年間約二万円に当たります。
 日雇派遣を原則禁止にするなど、労働者派遣制度を見直します。派遣労働者、内定を取り消された学生、年長フリーターを正規雇用した事業主に対して助成します。雇用創出のため、地方に四千億円の基金をつくります。これは、将来につながる事業、例えば高齢者の介護や配食サービスなどにつなげていきたいと存じます。これらにより、三年間で百六十万人の雇用を見込んでおります。
 定額給付金は、一人当たり一万二千円をお渡しいたします。子供や高齢者には二万円、子供二人の四人家族では六万四千円になります。さらに、一兆円規模の減税を行います。住宅ローン減税については、控除可能額を過去最大となる六百万円に引き上げます。自己資金で省エネ改修やバリアフリー改修をしても減税します。
 中小企業対策につきましては、昨年末までに、緊急保証と特別の貸付けを合わせて約二十二万件、四兆五千億円の実績が上がり、資金繰りに大きな効果を発揮いたしました。さらに、第二次補正予算によって保証・貸付け枠を三十兆円に拡大します。また、中小企業の法人軽減税率を、二年間、一八%に引き下げます。従業員の雇用を守りつつ、後継者に経営が引き継がれた場合には、相続税や贈与税を猶予します。
 大胆な財政出動を行うからには、財政に対する責任を明確にしなければなりません。また、持続可能な社会保障制度を実現するには給付に見合った負担が必要であります。そのために、社会保障と税財政に関する中期プログラムを閣議決定したところです。経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に消費税を含む税制抜本改革を行うため、二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講じます。その実施時期は経済状況をよく見極めて判断しますが、私としては、二〇一一年度に向けて景気が回復するよう全力を尽くします。これは社会保障を安心なものにするためです。子や孫に負担を先送りしないためでもあります。
 国民に負担をお願いするに当たっては、不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底の継続が大前提です。例えば、公益法人への支出を平成十八年度に比べ約四割削減します。私のしごと館など、無駄が指摘されている事業を廃止します。国の行政機関の定員につきましては、社会保険庁の廃止によるものを含め、約一万五千人を純減します。道路特定財源はすべて一般財源化します。
 国の出先機関の二重行政を排除するため、その事務や権限を地方自治体に移譲し、抜本的に統廃合します。縦割り行政の弊害を打破するため、内閣人事局を設置するとともに、公務員制度改革全体の工程表を策定し、改革を前倒しで実行します。天下りなど公務員の特権と批判される慣行についても厳しく対応し、押し付け的あっせんを根絶します。
 世界は、人口急増や新興国の経済成長、資源制約や環境制約の高まりといった人類史上例を見ない構造変化に直面をしております。未来を先取りし、世界が直面する課題の解決を先導する、そのような商品やモデルをつくることが我が国の持続的な成長をもたらします。
 そのため、新たな成長戦略を策定します。昨年秋に取りまとめた新経済成長戦略を基礎としつつ、雇用や市場の創出に重点を置いた三つの柱といたします。具体的には、世界最高水準の環境技術と社会システムの構築を目指す低炭素革命。iPS細胞など最先端の医療研究の活用や、優しく、しかも効率的な医療・介護サービスを実現する健康長寿。魅力ある地域、アニメなどのコンテンツ、ファッションなどのブランド力、おいしく安全な食べ物といった、日本らしいソフトパワーを生かす底力発揮。今後二、三年で、集中的なインフラ整備、研究開発、規制・制度改革を一体的に取り組むとともに、成長を支える情報通信技術の戦略も策定をいたします。
 アジアは世界の成長センターです。その自律的成長を我が国の成長につなげるためにも、アジアの成長力強化と内需拡大のための戦略的国際協力を東アジア・アセアン経済研究センターを活用しつつ進めてまいります。WTOのドーハ・ラウンドの早期妥結や経済連携協定の交渉に取り組んでまいります。
 新たな農政改革を推進します。農業に潮目の変化が訪れております。食料の安全、安心を確保し、自給力を向上させるため、従来の発想を転換し、すべての政策を見直します。まず、平成の農地改革法案を今国会に提出します。所有から利用への転換であります。また、意欲ある若者や企業の参入を進めるとともに、経営対策によって担い手の経営を支えます。さらに、米粉や飼料用の米の生産を本格的に進め、自給率の低い麦、大豆の生産を拡大するなど水田フル活用への転換元年といたします。これらによって農山漁村に雇用とにぎわいを生み出します。
 景気後退による経済と雇用への打撃は地方ほど深刻であります。地方自治体が地域を活性化できるようにするためには、財源と権限が必要であります。地方税や地方交付税の減少分を補てんするのに加え、地方交付税を一兆円増額します。インフラ整備のために使い勝手の良い地域活力基盤創造交付金を創設します。
 分権型社会が目指すべき国の形です。知事や市町村長が地域の経営者として腕を振るえるようにしなければなりません。地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえ、地方自治体の活動について、国による義務付けを見直し、自由度を拡大いたします。
 課題の第二は、暮らしの安心です。
 暮らしの安心は、年金、医療、介護など社会保障制度への信頼があってこそ成り立ちます。
 年金記録問題により、公的年金制度に対する信頼が損なわれました。国民の皆様には、改めておわびを申し上げる次第です。既に、ねんきん特別便をすべての現役加入者と年金受給者の方にお送りし、御自身の記録を確認していただいております。これらに加えて、四月からは順次、標準報酬の記録もお送りいたします。紙台帳との突き合わせを含め、計画的、効率的に記録回復作業を進めます。
 医師不足など地域医療をめぐる問題に対しては、医師養成数を増員し、勤務医の勤務環境を改善いたします。救急医療も、消防と医療の連携などにより、患者を確実に受け入れられるようにいたします。長寿医療制度については、更に議論を進め、高齢者の方々にも納得していただけるよう見直しを行います。四月から介護報酬を引き上げ、介護従事者の処遇を改善します。
 少子化対策につきましては、妊婦健診を十四回分すべて無料にします。出産育児一時金も四十二万円に引き上げます。また、平成二十二年度までに十五万人分の保育所などを増やします。
 昨年は、食の安全や暮らしの安全を脅かす事件が相次いで発生をしました。消費者の利益を守るため、一日も早い消費者庁の設立に向け関連三法案の成立を急ぎます。あわせて、地方自治体が相談窓口を増設し、きめ細かに対応できるようにいたします。
 昨年の交通事故死者数は五千百人余りとなり、昭和四十五年のピーク時に比べて三分の一以下に減らすことができました。今後十年間で更に半減させます。新たな犯罪対策を進め、世界一安全な国日本を目指します。他方、自殺者は年間三万人を超えております。だれもが生きやすい社会をつくらなければなりません。学校施設の耐震化も前倒しで実施します。
 日本に定住する外国人やその子供が増加しつつあります。新たに設けた担当組織の下、地域における支援を進めてまいります。ニートや引きこもりなど困難を抱える若者を支援するため、新法を作ります。
 裁判員制度は五月から始まります。国民が刑事裁判に参加することで、司法をより国民に身近なものとするための改革であります。
 国づくりの基本は、人づくりです。
 小中学校の新学習指導要領を四月から一部先行実施し、理数教科などの授業時数を一割程度増加させます。これによって学力を向上させ、豊かな心や健やかな体をはぐくみます。また、学校に携帯電話を持ち込ませず、有害情報やネットいじめから小中学生を守る対策を進めてまいります。
 昨年の日本人四名のノーベル賞受賞は、画期的な出来事でした。大阪の町工場の技と夢が詰まった「まいど一号」が今、宇宙を飛んでおります。基礎研究を充実させるとともに、科学研究費補助金など約九百億円を投じて、若手研究者などの多様な人材が活躍できる環境を整備します。また、英語による授業のみで学位が取得できるコースや世界トップレベル研究拠点プログラムを推進し、大学の国際競争力を強化します。
 さらに、経済状況の厳しい中でも不安なく教育を受けられるようにすることや、国際的に活躍できる人材の育成などについて、日本の将来を見据え、教育再生懇談会において幅広く検討を進めます。
 二〇一六年オリンピックの日本開催に向けた支援に努めます。
 地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任であります。同時に、環境問題への取組は新たな需要と雇用を生み出す種でもあります。成長と両立する低炭素社会、循環型社会を実現します。
 我が国が持つ世界最先端の環境・エネルギー技術を更に伸ばすことが必要です。太陽光発電や環境対応自動車の開発、普及などを進めます。排出量取引の試行を通じて実効性のある日本型モデルを構築します。温室効果ガスを削減する中期目標を、科学的、総合的観点から検討した上で決定します。
 本年末には、地球温暖化対策の次期枠組みを決める国際会議が開かれます。すべての主要国が参加する、公平で実効ある枠組みの構築に向け積極的な役割を果たしてまいります。
 課題の第三は、世界の平和と安定に向けた貢献です。
 国際社会の平和と安定は、日本はもとより、世界の発展に欠かすことができません。私は、日米同盟を基軸にしながら、アジア太平洋諸国との連携、国連などの場を通じた国際協調を重要な柱として、平和と安定の構築に全力を尽くします。
 まず米国とは、オバマ大統領とともに同盟関係を更に強化します。金融危機への対応はもちろん、テロとの闘い、核軍縮・不拡散、気候変動といった地球規模の課題に連携して取り組んでまいります。在日米軍再編につきましては、沖縄など地元の声に耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組みながら、引き続き着実に進めてまいります。
 先般、日中韓首脳会議を初めて独立した形で開催し、未来志向で包括的な協力を進める大きな一歩を踏み出せました。中国との戦略的互恵関係、韓国との成熟したパートナーシップ関係を通じて、アジアと世界の平和と安定に貢献してまいります。
 ロシアとは、アジア太平洋地域における重要なパートナーとしての関係を構築するため、領土問題の最終的解決に向けた交渉を進めるとともに、幅広い分野での関係を進展させます。
 北朝鮮につきましては、拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を実現すべく取り組みます。また、六者会合において非核化プロセスを前進させるとともに、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現に向け、北朝鮮に対し早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう、具体的な行動を強く求めてまいります。
 私には一つの信念があります。それは、経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と幸福は必ずや勝ち取れるというものであります。これは戦後日本の歩みでもあります。私が自由と繁栄の弧という言葉で表現したように、自由、市場経済、人権の尊重などを基本的な価値とする若い民主主義諸国の努力を積極的に支援します。
 日本は、国際社会の責任ある一員として、また、この一月からは国連安保理非常任理事国として、積極的な役割を果たしてまいります。ODAを活用し、アフリカを始めとする途上国の安定と発展、テロとの闘い、貧困や環境問題、水問題など地球規模の課題の解決に貢献します。資源・エネルギー外交を進めます。インド洋における補給支援活動を継続し、国際的な平和協力活動などに積極的に取り組んでまいります。
 また、ソマリア周辺などでの海賊の襲撃は、日本を含む国際社会にとっての脅威であり、緊急に対応すべき課題であります。関係国との連携の下、実行可能な対策を早急に講じ、新たな法制の整備を検討します。
 世界経済の一段の減速に伴い、日本経済も急速に悪化をいたしております。景気の後退を食い止め、不況から脱出するためにも、予算及び関連法案を早急に成立させることが必要です。これが日本の経済を、そして日本の将来を決めます。経済成長なくして財政再建も安定した社会保障制度もあり得ません。
 今こそ、政治が責任を果たすときです。国会の意思と覚悟が問われております。国民が今政治に問うもの、それは金融危機の津波から国民生活を守ることができるか否かであります。
 与野党間に意見の違いがあるのは当然です。しかし、国民が望んでいるのは、単に対立するのではなく、迅速に結論を出す政治です。政府・与党としては最善と思われるものを提出いたしております。野党にも良い案があるなら大いに議論をしたいと思います。ただし、いたずらに結論を先送りする余裕はありません。
 とかく物事を悲観的に見る人がおられます。しかし、振り返ってみてください。日本は半世紀にわたって平和と繁栄を続けてきました。諸外国から尊敬される一つの成功モデルであります。そして日本は、優秀な技術、魅力ある文化など、世界があこがれるブランドでもあります。自信と誇りを持ってよいのです。日本の底力は必ずやこの難局を乗り越えます。そして、明るくて強い日本を取り戻します。
 私は、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、新たな国づくりに全力を傾注してまいります。私は逃げることはありません。国民の皆様とともに着実に歩みを進めてまいります。
 国民の皆様と議員各位の御理解と御協力を心からお願いを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(江田五月君) 中曽根外務大臣。
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(中曽根弘文君) 外交の基本方針について所信を申し述べます。
 外交の目的は、我が国の国益、すなわち我が国の安全と繁栄及び我が国国民の生命、財産の確保にあります。そのためには、世界の平和と繁栄が不可欠であり、我が国としても、その実現に大きな責任を有しております。現在、国際社会は深刻な経済危機に直面しています。また、国際テロリズム、やむことのない地域紛争、待ったなしの気候変動問題と、引き続き困難で早急に取り組むべき課題が山積をしております。今こそ諸課題に対する我が国の考えを明確に示し、国際社会をリードする積極的、主体的な外交を展開すべきと考えます。私は、時代の変化に適応した戦略を持って外交を進めるため、全力で取り組んでまいります。
 昨年、我が国は、北海道洞爺湖サミット、第四回アフリカ開発会議、TICADWを主催し、国際社会共通の課題の解決に向け大きな成果を達成いたしました。本年から二年間、我が国は国連安全保障理事会の一員として国際社会の中で新たな重責を担うことが期待されています。国際社会の現状を見れば、私たちの歩むべき道は決して平たんではありません。我が国が自らの繁栄を追求し、国際社会において名誉ある地位を得んと希望するのであれば、国を挙げて現下の諸困難に立ち向かう気概が必要であります。
 本年、日本外交が自らに課すべき命題として、第一に、日米同盟の強化と近隣諸国との協力関係の推進、第二に、基本的価値を共有する諸国との連携を深めつつ国際情勢の安定を図ること、第三に、我が国の経験と英知を活用して人類共通の問題の解決にリーダーシップを発揮することの三点につき申し述べます。
 日米同盟は日本外交のかなめであり、同時にアジア太平洋地域の平和と安定の礎です。この一月二十日には、アメリカ国民の期待が極めて高いオバマ氏が新たな責任の時代を掲げ大統領に就任いたしました。同大統領は、外交政策においては、引き続き国際的リーダーシップを発揮し、世界の平和と安定に貢献していく旨、度々明言しています。新政権との間で強固な信頼関係の下、我が国から率直かつ具体的な提案を行うことにより、共に課題に取り組む緊密な協力関係を構築し、日米同盟を一層強化するとともに、アジア太平洋地域と世界の平和と繁栄に向けて力を尽くしてまいります。その一環として、抑止力の維持と沖縄など地元の負担軽減を図るべく在日米軍再編を着実に実施し、日米安保体制を堅持してまいります。
 さらに、世界の平和と繁栄の実現に向け、金融・世界経済の問題、テロとの闘い、気候変動・エネルギー、核軍縮・不拡散及びアフリカ開発といったグローバルな課題への対応においても新政権と一層緊密に連携してまいります。
 我が国は、アジアの一員として、アジア太平洋諸国とともに地域の平和と安定を維持し、共に繁栄し発展していかねばなりません。
 昨年末、初の単独開催となる第一回日中韓サミットを福岡で開催し、様々な分野における協力の推進について一致するという大きな成果を上げました。日本、中国、韓国が互いに連携と協力を推進することは、アジア地域の今後の発展にとっても有意義であります。個別の懸案は存在するものの、三か国の首脳が個人的な信頼関係を築くという意味でも極めて意義深い会合でした。今後とも、両国とは首脳レベルはもとより外相レベルにおいても頻繁に意見交換を行うよう努めてまいります。
 中国とは、引き続き首脳を含むハイレベルでの交流を積み重ね、東シナ海の資源開発や食の安全などの個別の懸案にも適切に対処しながら、戦略的互恵関係の構築を引き続き推進し、アジアと世界の平和と安定に共に貢献していく考えです。
 先日、麻生総理は、シャトル首脳外交の一環として韓国を訪問しました。首脳会談において確認されたとおり、未来志向の成熟したパートナーシップ関係の構築に向け、二国間にとどまらず、国際社会においても幅広い協力関係を築いていく所存です。
 北朝鮮については、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を図るべく、引き続き努めてまいります。
 六者会合において早期にしっかりとした検証の具体的枠組みに合意し、非核化プロセスを前進させると同時に、早期に北朝鮮による拉致問題の全面的な調査のやり直しが開始され、生存者の帰国につながるような成果が得られるよう、引き続き真剣に取り組みます。
 重要な隣国であるロシアとは、昨年十一月に行われた日ロ首脳会談の結果を踏まえ、アジア太平洋地域における重要なパートナーとしての関係を構築するため、外相レベルを含めて北方領土問題の最終的解決に向けて強い意思を持って交渉を進めます。また、極東・東シベリア地域での協力を含め、幅広い分野での協力を進展させます。
 基本的価値を共有するインドや豪州との間でも、安全保障や経済連携を含め、多様な分野で関係を発展させていきます。
 東南アジア諸国連合、ASEANの各国との関係を、本年の日メコン交流年や重層的な経済連携の取組などを通じて多くの分野で強化し、また、ASEANの統合と発展を力強く支援してまいります。
 現下の世界的な金融、経済の混乱の中で、アジア諸国が開かれた成長センターとして世界経済に貢献することが重要です。アジア太平洋経済協力、APECや東アジア首脳会議などの枠組みを活用して、アジア諸国とともにこの地域の経済的安定と発展のために一致して取り組んでまいります。
 本年五月に北海道にて開催する第五回太平洋・島サミットを通じ、気候変動を含む様々な課題の解決に向けた取組への支援を強化し、太平洋島嶼国との関係強化を図ります。
 アジア以外の地域においても、基本的価値を共有する国々と連携しつつ、平和と安定のために協力してまいります。
 基本的価値を共有する欧州諸国や欧州連合、北大西洋条約機構などとの連携を強化してまいります。また、バルト諸国や中・東欧、中央アジア・コーカサス、南アジアといった民主化と市場経済化を進める国々との対話や協力に引き続き取り組んでまいります。
 我が国が原油の約九割を輸入する中東地域の平和と安定は、世界全体の安定と我が国のエネルギー安全保障にとって不可欠の条件です。中東諸国との間で、資源にとどまらない重層的な関係を強化してまいります。
 最近のガザにおける情勢悪化により、民間人に多数の死傷者が出たことを遺憾に思います。イスラエル、パレスチナ武装勢力の双方による停戦の表明を歓迎いたしますが、これが永続的な停戦につながることが重要であります。そのための関係者への働きかけやガザ地区の人道状況改善のための一千万ドルの支援などを着実に実施してまいります。その上で、平和と繁栄の回廊構想などを通じ、中東和平プロセスの進展を最大限支援してまいります。
 先般、自衛隊は、約五年にわたるイラクでの任務を無事完了いたしました。その活動は、イラクを始め、国連、関係諸国から高い評価と多くの感謝を受けております。私も、隊員一人一人が厳しい環境下にありながら、使命感を持って立派に任務を果たしたことに、心から御苦労さまでしたと言葉を掛けたいと思います。我が国としては、引き続き、復興支援の成果を根付かせ、イラクとの幅広い分野での協力及び長期的な友好関係を構築してまいります。
 イランの核問題の平和的、外交的解決のため、国際社会と緊密に協力するとともに、伝統的な友好関係に基づくイランへの働きかけを行ってまいります。
 ブラジル及びメキシコを始め、経済面での存在感と国際場裏での発言力を増している中南米諸国との関係も強化してまいります。その一環として、東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラムの外相会合を日本で開催し、アジアと中南米との協力強化に主導的役割を果たしてまいります。
 次に、我が国の経験と知見を生かして国際的なリーダーシップを発揮すべき問題について何点か取り上げたいと思います。
 中でも、現下の金融経済危機の克服は、我が国を含む国際社会の喫緊の課題です。麻生総理は、昨年十一月の金融・世界経済に関する首脳会合において、我が国の経験を踏まえた具体的な提案を行い、各国の連帯を呼びかけました。早急に実体経済の悪化を食い止め、各国が保護主義に陥ることを防ぐことにより、世界経済の安定を確保し、危機再発を防止することが必要であります。我が国は、四月にロンドンで開催される第二回首脳会合などを通じて、各国と協調して積極的に取り組んでまいります。
 世界貿易機関、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定や投資協定などの交渉及びこれら協定の活用に積極的に取り組みます。知的財産権保護の強化に向けた国際的な取組にも引き続き注力いたします。
 また、中長期的視点に立って、エネルギー、資源を安定的に確保するため、主要生産国との関係強化に加え、輸入先とエネルギー源双方の多様化を図ります。二国間及び多国間の協力を通じて輸送路の安全対策も強化してまいります。さらに、近年の世界的食料需給の逼迫を踏まえ、食料安全保障の一層の強化に向けた具体的施策に取り組んでまいります。
 地球環境の保全は、未来に対する我々の責任です。特に気候変動問題については、二〇一三年以降の枠組みについて、本年末の国連気候変動枠組条約第十五回締約国会議、COP15において合意を得ることとされており、本年は国際交渉が本格化します。我が国としては、北海道洞爺湖サミットやCOP14の成果を踏まえ、すべての主要経済国が責任ある形で参加する実効的な枠組みの構築に向け、引き続きリーダーシップを発揮してまいります。また、途上国の温室効果ガス排出削減や気候変動の悪影響への対応などに積極的に協力をいたします。
 さらに、我が国の知見や技術を生かし、新興経済国におけるエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーや省エネ技術の活用に向けて国際社会と協力して取り組むとともに、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティーの確保を大前提として原子力協力を推進してまいります。
 先月、私はノルウェーを訪問し、クラスター弾に関する条約に署名してまいりました。この条約は、人道上懸念のあるクラスター弾を禁止する歴史的意義のあるものです。我が国は、被害者支援を含む国際的な取組に引き続き積極的に協力してまいります。
 また、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、現実的かつ具体的な取組を主導します。二〇一〇年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に向けて、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会を含め、関係国との協力を強化していく考えです。さらに、我が国の優れた科学技術を生かし、国際協力や宇宙分野での取組などを推進してまいります。
 テロリズムは自由で開かれた社会に対する挑戦であり、テロリズムの撲滅は我が国自身の国益です。インドのムンバイにおける連続テロ事件では、日本人を含め多くの方々が犠牲になりました。改めて犠牲者の皆様に心から哀悼の意を表します。
 我が国は、テロ対策としてインド洋における補給支援活動を行っているほか、アフガニスタンが再びテロの温床にならないよう、同国において治安面や経済復興において医療や教育を始め幅広い支援を実施してきています。アフガニスタンの地方復興チームへの文民派遣などを含め、支援の取組を一層強化していきます。さらに、テロとの闘いの前線国家であるパキスタンにおけるテロ撲滅や経済安定化への同国政府の取組を支援してまいります。
 海洋国家であり貿易国家でもある我が国にとって、航行の安全や海上の安全確保は国家の存立と繁栄に直結する極めて重要な問題です。現在、海上交通路において海賊行為が多発、急増していることは大変懸念すべき事態です。航行の安全確保や、何よりも、日本国民の生命及び財産の保護の観点から、海賊対策はまさに火急の課題であり、新たな法整備の検討を進めるとともに、できることから早急に措置を講じてまいります。
 国際社会の平和と安定があってこそ我が国の国益も実現されるとの思いから、国連平和維持活動、PKOを始めとする国際的な平和活動を一層拡充する考えです。
 今後二年間、国連安全保障理事会の一員として、積極的かつ建設的な役割を果たしてまいります。同時に、国連がより効果的にその任務を果たすためにも、我が国の常任理事国入りを含む安保理改革の早期実現を目指し、本年二月に開始される政府間交渉に臨む決意であります。
 重要な外交手段である政府開発援助、ODAを積極的に活用し、途上国の人づくり、国づくりを支援するとともに、地球的規模の課題の解決に貢献することは、我が国自身の国益にかなうものです。我が国として戦略的な国際協力の実施に一層努めてまいります。
 第四回アフリカ開発会議、TICADWや北海道洞爺湖サミットで約束した支援策を着実に実施してまいります。人間の安全保障の理念に基づき、アフリカ諸国を始めとする開発途上国に対し、貧困削減、教育、保健、水・衛生などの分野で支援し、ミレニアム開発目標達成に向けても貢献してまいります。同時に、平和の定着、民主化・良い統治の実現に加え、市場経済化、法制度整備、貿易・投資環境整備など、途上国の経済成長の加速化と我が国との経済交流に役立つ支援にもODAを積極的に活用していくこととしています。
 非政府組織、NGOや民間経済界とも連携を強化し、ODAの効果的、効率的な実施と、質の一層の改善を進め、援助効果の更なる向上に努めます。
 以上のような日本外交の基本方針について諸外国の理解と信頼を増進させることは、外交政策の円滑な推進にも資するものです。このため、我が国の外交方針を力強く対外発信いたします。また、伝統文化からポップカルチャーまで我が国の文化の魅力を戦略的に発信するとともに、日本語の普及、知的交流の促進にも取り組んでまいります。二〇一六年東京五輪の開催実現に向けた招致活動を積極的に支援していくほか、スポーツ分野での交流も一層促進していく考えです。
 最後に、外交実施体制について一言申し上げます。
 山積する外交課題に迅速に対処し、また、海外における日本人の生命、財産を適切に保護するためにも、需要に見合った形での人員、組織及び情報収集・管理体制などの強化が不可欠であります。国民の皆様の御理解を得ながら、外交基盤を充実させ、我が国の外交力を一層強化してまいります。
 私は、外務大臣就任前から現在に至るまで、数多くの国を訪問し、それぞれの国の国民に接してきました。そこで共通して感じましたことは、国の大小を問わず、いずれの国においても、人々が自分の国を愛し自分の国に誇りを持っているということです。
 我が国の憲法においても、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたわれているように、他国から信頼され尊敬されるとともに、国民が自国に誇りを持てる国づくりをすることが重要であると考えます。
 冒頭でも述べましたように、外交の目的は、我が国の国益、すなわち我が国の安全と繁栄及び我が国国民の生命、財産の確保、さらに、国家の名誉や威信を守ることであり、国民が自国に誇りを持てるようにすることでもあると信じます。
 日本は、科学技術の力、人的資源、幾多の困難を乗り越えた実績、いずれを取っても世界に誇れるものを持っています。国際社会が山積する困難を抱えている今、我が国が積極的、主体的な外交を展開し、国際社会の中で活躍することは、国民が自信や誇りを得ることにつながるものと確信します。外交は、党利党略を超え、与野党が一致して取り組むべきものと考えます。国民の皆様と党派を超えた議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)
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#10
○議長(江田五月君) 中川財務大臣。
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(中川昭一君) 平成二十一年度予算の御審議に当たり、財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明申し上げます。
 初めに、最近の経済金融情勢への対応について申し述べます。
 世界の金融資本情勢の状況を見ますと、米国などで急速に普及した証券化商品や金融派生商品に対して金融機関が十分なリスク管理を怠った結果、大規模な損失が発生し、欧米主要金融機関において経営問題が表面化したこと等を契機に、市場全体が混乱に陥りました。百年に一度とも言われる金融危機であります。
 金融資本市場の混乱は、信用収縮等を通じて実体経済に悪影響を及ぼし、世界的な景気後退が発生しております。我が国においても、輸出や生産が減少し、消費も停滞しており、雇用情勢が急速に厳しさを増すなど、景気は急速に悪化しております。
 こうした情勢に対し、厳しい財政状況の下、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革による経済成長の三段階で経済財政政策を進めることとしております。
 まず、財政面で十二兆円程度、金融面で六十三兆円程度、合計七十五兆円程度となる一連の経済対策を取りまとめました。これら一連の対策に盛り込まれた各措置につきましては、可能なものから早急に実行しているところでありますが、対策をより実効あるものとするために、これから御説明する平成二十一年度予算を平成二十年度第一次補正予算及び第二次補正予算と併せて切れ目なく実施していくことが必要であると考えております。
 また、金融機能強化法の改正を始めとして、金融市場の安定化や金融円滑化のための様々な施策を実施しております。
 さらに、我が国は、昨年十一月の金融・世界経済における首脳会合において、IMFに対し最大一千億ドル相当の融資を行う用意があることを表明する等、積極的な貢献を行っており、各国から高い評価を受けているところでございます。今後とも、バブル経済崩壊後の危機を自らの力で克服した経験も生かしながら、金融危機後の新しい世界経済・金融に対応した枠組みづくりの議論に積極的に参画するとともに、我が国の景気回復を図って、世界経済に貢献してまいりたいと考えております。
 次に、我が国財政の現状と財政健全化の取組について申し述べます。
 既に申し述べましたとおり、我が国経済は世界的な金融危機の渦中にあり、一方、我が国の財政は、国、地方を合わせて長期債務残高が平成二十一年度末には八百四兆円、対GDP比で一五八%になると見込まれ、主要先進国の中で最悪の水準にあるなど極めて厳しい状況にあります。
 金融・世界経済に関する首脳会合の宣言にもあるとおり、即効的な対応が求められる中にあっても、財政の持続可能性を確保する政策の枠組みを維持していくことが必要であります。とりわけ、巨額の債務を抱える我が国にとりまして、財政健全化は安定した経済成長を図る上でも重要な課題であります。当面、現行の基礎的財政収支に関する努力目標の下で景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取組を進めてまいります。
 また、中期的な財政責任を果たし、社会保障に対する国民の安心強化を図るため、昨年末に閣議決定いたしました中期プログラムに従い、消費税を含む税制抜本改正に向けた取組を進めてまいります。
 続いて、平成二十一年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
 平成二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する生活防衛のための大胆な実行予算であります。
 国民生活を守るため、医師確保・救急医療体制、雇用対策、出産・子育て支援などの施策を講じます。また、日本経済を守るためのセーフティーネットや将来の成長の芽を育てるための施策を盛り込んでおります。これらの重要施策につきましては、重要課題推進枠を活用するなどにより、思い切ってめり張りを付けました。
 また、財政規律を維持する観点から、基本方針二〇〇六等に基づく改革を継続しております。さらに、行政支出総点検会議における御指摘も踏まえ、厳格に政策の必要性を精査することなどにより、徹底した無駄の削減を図り、公益法人等への支出、特別会計の支出、広報経費等の行政経費等について大幅な削減を行っております。
 一般歳出は五十一兆七千三百十億円であります。基礎年金の国庫負担割合の引上げや道路特定財源の一般財源化等により、前年度当初予算に比べ、四兆四千四百六十五億円の増となっております。
 地方財政においては、地方公共団体が雇用創出等を図るとともに、地域における安全、安心の確保や地域活性化に向けた事業を円滑に実施することができるよう、地方交付税を一兆円加算しております。また、国税及び地方税収の落ち込みに対し適切な補てん措置を講じつつ、地方における歳出改革は継続しております。この結果、地方交付税交付金等について、前年度当初予算と比べ、九千五百九十七億円増加の十六兆五千七百三十三億円としております。
 これらに国債費二十兆二千四百三十七億円を合わせた一般会計総額は、前年度当初予算と比べ、五兆四千八百六十七億円増加の八十八兆五千四百八十億円となっております。
 一方、歳入につきましては、租税等の収入は、景気の悪化等により、前年度当初予算と比べて、七兆四千五百十億円減少の四十六兆一千三十億円を見込んでおります。その他収入は、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの四兆二千三百五十億円の受入れを含め、九兆一千五百十億円を見込んでおります。
 以上のように、歳出歳入において最大限の努力を行う一方、税収が大幅な減少となる中、新規国債発行額は三十三兆二千九百四十億円となっております。
 次に、主要な経費について申し述べます。
 社会保障関係費につきましては、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰入れにより臨時の財源を確保し、基礎年金の二分の一を国庫で負担することとしております。また、歳出の効率化を図るため、後発医薬品の使用を促進する一方、医師確保・救急医療対策や出産・子育て支援などの重要課題に重点を置いております。なお、雇用対策につきましては、住宅・生活支援、雇用維持、再就職支援等に対応しております。
 文教、科学振興費につきましては、基礎学力の向上等を目指して、新学習指導要領に対応した教育環境を整備し、学校、家庭、地域の連携を支援するとともに、ノーベル賞につながるような基礎研究等に対する支援に重点を置いて、めり張りを付けながら科学技術振興費を増額しております。
 防衛関係費につきましては、在日米軍再編事業への対応や防衛力の向上等を図る一方、コスト削減への取組など経費の合理化、効率化を行っております。
 公共事業関係費につきましては、道路特定財源制度を廃止し、すべて一般財源化するとともに、道路特定財源制度を前提とした地方道路整備臨時交付金を廃止し、地域活力基盤創造交付金を創設いたしました。あわせて、社会保障財源への拠出を行います。その上で、国民生活の安全、安心の確保、地域の自立、活性化及び成長力強化に資する事業等への重点化を行っております。
 経済協力費につきましては、めり張りを強調し、無償資金協力・JICA技術協力を九年ぶりにプラスとするなど、ODA全体の事業量の増加を図っております。
 中小企業対策費につきましては、現下の経済金融情勢を踏まえ、信用保証制度等の中小企業金融の基盤強化、下請適正取引の推進、事業承継支援、中小企業と農林水産業との連携に関する施策等に重点化を図っております。
 エネルギー対策費につきましては、特別会計改革の一環として特別会計の歳出総額を抑制するとともに、低炭素社会実現やエネルギー安定供給確保への対応等に重点化を行っております。
 農林水産関係予算につきましては、強い農林水産業の創出に向けて施策の選択と集中を行い、食料供給力の強化、農商工連携の推進、農山漁村の活性化等を図っております。
 治安関係予算につきましては、治安関係職員の増員を始め、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けた重点化を行っております。
 また、経済金融情勢の変化等を踏まえ、果断な対応を機動的かつ弾力的に行うため、経済緊急対応予備費を新設しております。
 国家公務員の人件費につきましては、行政機関で一万四千八百五人の定員削減を行うこととし、社会保険庁の改革関連の移行減を除いても、平成十八年度以降の純減計画期間中、最大の二千五百二十五人の純減とするほか、給与構造改革等を的確に予算へ反映させております。
 あわせて、平成二十一年度財政投融資計画につきましては、現下の経済金融情勢を踏まえ、企業の資金繰り対策等必要な資金需要に的確に対応するため、前年度当初予算と比べ十年ぶりの増加となる一四・四%増の十五兆八千六百三十二億円としております。
 また、借換債、財投債を含む国債発行総額につきましては、百三十二兆二千八百五十四億円と四年ぶりに増額となりました。国債残高が多額に上る中、引き続き国債管理政策を財政運用と一体として適切に運用する必要があり、国債発行に当たっては、安定消化とともに、中長期的な調達コストの抑制に努めることを基本とし、市場のニーズ、動向等を踏まえた発行に取り組んでまいります。
 税制改正について申し述べます。
 平成二十一年度税制改正につきましては、現下の経済金融情勢を踏まえ、景気回復の実現に資する等の観点から、住宅・土地税制、法人関係税制、中小企業関係税制、相続税制、金融・証券税制、国際課税、自動車課税等について必要な改正を行うこととしております。
 具体的には、住宅ローン減税を大幅に拡充するとともに、新エネ・省エネ設備等について即時償却を可能とする措置の導入、中小法人等の軽減税率の引下げや欠損金の繰戻し還付の復活、環境対応車への自動車重量税の軽減など、幅広い措置を講ずることとしております。
 以上、財政政策等の基本的な考え方と平成二十一年度予算の大要について御説明申し上げました。
 国民生活と日本経済を守るための施策が来年度当初から直ちに実施されるためには、平成二十一年度予算を年度内に成立させることが必要不可欠であり、関係法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
 我が国は、戦後の荒廃から立ち直り、奇跡とも呼ばれた高度経済成長を成し遂げ、二度の石油危機といった厳しい試練をも乗り越えてまいりました。
 今また、世界は金融危機の最中にあります。しかし、私は、これまで幾多の試練を乗り越えてきた我が国、そして我々日本人に乗り越えられない困難はないと固く信じております。我が国が持つ潜在能力を存分に発揮させ、国民の皆様に元気と自信を取り戻していただくことができますよう、私も全力を挙げて尽くしてまいる所存でございますので、国民各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。(拍手)
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#12
○議長(江田五月君) 与謝野国務大臣。
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(与謝野馨君) 世界の金融資本市場と主要国の実体経済は、まさに歴史的な混乱と危機に直面しております。
 金融は、古来、相互の信頼を基礎としてまいりました。昨年九月のいわゆるリーマン・ショックは、相互の信頼に深刻な亀裂をもたらし、世界的な信用収縮を背景に、金融資本市場は大きく混乱しております。また、その混乱が様々な経路を通じて各国の実体経済の急激な落ち込みを引き起こすに至っております。
 世界経済が一体化を強める中で、我が国もまたその混乱と落ち込みから逃れることはできません。国内における金融や雇用の先行き不安が増幅し、経済活動の萎縮が更なる萎縮を招く懸念も生じております。我々はまさに不安と萎縮の連鎖の入口をうかがっている状況であります。
 しかしながら、一九二九年の大不況を単純に連想し、故なき萎縮に陥るのでは事態は悪化するばかりであります。世界は歴史に学んでおります。各国が緊密な国際協調の下で各般の政策を思い切って講じていけば、大不況の悲劇を繰り返すことはあり得ません。また、我が国においては、バブル崩壊の経験を経て、金融危機対応のための諸制度は国際的に見ても相当に充実しております。
 政府としては、まず、国内における不安と萎縮の連鎖を断固として断ち、次に、すべての世代が安心できる社会保障制度の再構築を行い、同時に、アジアを始め世界が直面する様々な課題の解決を先導していく中で我が国が成長力強化を実現していく、こうした基軸に沿って政策資源の総動員を図っていく決意であります。
 まず、不安と萎縮の連鎖を断ち切ることに全力を挙げるとの考え方の下、事業総額七十五兆円の三次にわたる経済対策を取りまとめてまいりました。いわゆる真水、すなわち財政支出で見ても対GDP比二%程度の規模であり、諸外国の対策と比べても遜色のないものであります。
 また、その内容についても、資金繰り支援、雇用対策、地方活性化、社会的に弱い立場の人々への支援などの施策に重点化するとともに、雇用創出などのための地方交付税や投資促進のための全額即時償却制度を始め、過去に全く例のないような思い切った措置を数多く盛り込みました。中小企業への信用保証や政府系金融機関による資金繰り対策、株式市場活性化などについても果断な対応をまとめました。
 とりわけ、雇用問題には最大限の力を注いでおります。意欲のある人だれもが仕事に就けるようにすることは、すべてに優先する政治の課題です。まず、非正規労働者を中心とするセーフティーネットの整備に緊急に取り組むこととしております。加えて、緊急の雇用機会確保のために、四千億円の雇用関連基金の造成や一兆円の雇用創出などのための地方交付税増額を行います。さらに、各地域が主体的に現場ニーズを踏まえた雇用創出を行えるように、単に予算措置のみならず、事業者間の連携促進や制度改革により地域の取組を全力で支援してまいります。中長期的には、環境、介護、農林、観光分野など、成熟社会にふさわしい戦略的な市場創出によって新規の雇用機会を創出してまいります。
 平成二十年度第一次補正予算に続き、第二次補正予算及び平成二十一年度予算、税制改正を始めとする関連法案などによってこれらの施策を迅速に実行し、国民生活の防衛と景気底割れの防止に向けて政府の総力を挙げて取り組んでまいります。
 また、金融政策については、日本銀行が内外の厳しい金融情勢に対して迅速かつ適切な対応を行っていると考えております。政府は、日本銀行と一体となって適切な経済運営に向けて引き続き万全を期す所存でございます。
 次に、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラムについて申し上げます。
 不安の解消と不信の克服は、言わばコインの裏表の関係です。雇用や金融についての不安の連鎖を断つことに全力を挙げる一方で、社会保障の安心強化の道筋や景気回復後の税財政の枠組みを正直に国民にお示しし、その責任を貫徹していくことで不信を克服していかなければなりません。
 第一が、社会保障の安心強化です。団塊世代がすべて年金受給者となる二〇一〇年代半ばまでに社会保障の費用負担の問題にめどを付けなければ、社会保障制度の持続可能性が失われていきます。一方、医療、介護を始め制度自体に様々なほころびが生じております。効率化を図りつつ、安定財源に裏打ちされた機能強化を大胆に行い、そのほころびを直していかなければなりません。
 第二が、消費税を含む税制全般にわたる抜本改革の実行です。消費税を含む税制抜本改革は、社会保障の安心強化のみならず、持続的な経済成長と我が国の構造改革のために欠かすことができません。まず、社会保障の安定財源の確保によって、巨額の個人金融資産を消費拡大に回していくための基盤をつくることができます。また、所得課税、法人課税など税制全般にわたる抜本改革は、社会の様々な格差の是正、経済の成長力強化、税制のグリーン化など我が国が直面する課題に対応するためにも必要であります。さらに、ポスト金融危機時代における長期金利上昇のリスクに照らせば、巨額の公的債務を抱える我が国の財政再建は猶予できない課題であります。
 以上申し上げた観点を踏まえ、社会保障の機能強化を行うと同時に、消費税を含む税制抜本改革を経済好転後に速やかに実行することなどを内容とする中期プログラムを昨年末に閣議決定いたしました。
 経済好転後の速やかな実行のためには、改革内容の具体化や法案その他の制度的準備を今から早急に行う必要があります。経済財政諮問会議や政府税制調査会などにおいて集中的な議論も行いながら、政府横断的に着実な準備を推進してまいります。
 最後に、経済の成長力強化について申し上げます。
 現在、世界は、文明史から見ても特筆すべき大きな潮流変化の過程にあります。世界的な人口増加が予想される中での環境制約や資源制約の高まり、主要国で急速に進む高齢化、国際金融システムの改革、世界経済の多極化など、幾つもの大潮流変化が重なり合ってかつてない事態に直面しております。
 我が国の経済社会の将来像を明示し、その実現に向けたシナリオを描くとともに、官民が今起こすべき行動を共有できる戦略を提示してまいります。将来展望を行う上での重要な観点としては、我が国の環境・エネルギー技術の力が十分発揮される低炭素社会を構築すること、医療・介護サービスの育成などにより健康長寿・子育て安心社会を実現すること、農林水産業や観光を始め多様な分野で特色を生かした活力と独自性のある地方を実現すること、世界経済をリードするアジアの新時代を実現することなどが考えられます。
 こうした観点を念頭に、具体的なプロジェクトを通じて、官民で資源を集中投入し、未来の市場を世界に先駆けて実現するべく総合的な施策を講じてまいります。経済財政諮問会議を通じて、麻生総理の下、政府横断的に大胆な実行を加速し、景気回復のための下支えと中長期の経済成長の実現を同時並行で行ってまいります。
 現在の経済状況は、経済有事とも言ってよいものだと認識しております。有事に対応する際に最も重要なことは、国民それぞれの信頼と協力であります。大震災のような自然災害への対応と変わらないと考えております。そして、この信頼と協力こそ我が国が世界に誇る最大の強みであることを我々は一度思い起こすべきと存じます。
 信頼を基盤とする日本社会の成り立ちを最大限に生かして、一致協力してこの難局に立ち向かうことを国民の皆様、議員各位に改めて心よりお願いし、所信の表明といたします。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)
#14
○議長(江田五月君) ただいまの演説に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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