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2009/02/02 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第6号
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2009/02/02 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第6号

#1
第171回国会 本会議 第6号
平成二十一年二月二日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  平成二十一年二月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員予備員等各種委員の選挙
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 去る一月三十日に引き続き、これより順次質疑を許します。白浜一良君。
   〔白浜一良君登壇、拍手〕
#4
○白浜一良君 私は、公明党を代表して、麻生総理の施政方針演説に関連し、当面する重要政策課題について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 昨年九月の麻生政権誕生から、はや四か月がたちました。この間、世界的な金融危機を発端とする景気後退の波が急激な雇用の悪化や給与、所得の低迷となって押し寄せ、国民生活は一段と厳しさを増しつつあります。
 また、これらに加え、国の基盤を揺るがす少子高齢化や財政再建といった構造的な問題が社会を覆う暗雲となって漂い、閉塞感はいよいよ高まっています。
 こうした未曾有の難局をどのようにして乗り越え、国民に希望と安心を、社会に変化と活力を与えていくことができるのか、この命題にこたえることこそ政治に課せられた使命であり、まずは政治家自身が襟を正すことから始めるべきであります。
 中国の歴史家司馬遷の言葉に、常に奮いて身を顧みず、以て国家の急に徇ずるを思うとあります。我が身を顧みず、常に奮い立って、国家の危急に身をなげうって働く、そのことが今政治家一人一人に問われているのであります。
 平成二十年度第二次補正予算は成立しましたが、関連法案は衆議院から送付されて三週間もたつのに、本院においては民主党の意向で委員会にも付託されていません。いまだ審議の入口に入っていないということであります。国民生活を守るという立場からいかに説明されるのか、強く抗議をしておきたいと思います。
 今こそ、国民生活を守るというその一点で、与野党の垣根を越えて国会の英知を結集すべきであり、麻生総理にはその先頭に立って働いていただきたい。
 公明党は、国民生活を守るため非常時の対策が必要との危機意識を持って、昨年来、雇用の下支えや中小企業の支援強化などを一貫して主張してまいりました。この我々の主張は、これまで成立した二十年度第一次、第二次補正予算、そして現在審議中の二十一年度予算案として具体化されたものと高く評価いたします。
 まずは、この総額七十五兆円規模の経済対策を切れ目なく速やかに実行に移し、総理が言われた世界で最初にこの不況から脱することに全力を挙げるべきであります。
 また、生活防衛、景気回復とともに国民が待ち望んでいることは、未来を切り開く新たな社会システムの転換と持続的な成長モデルの構築です。世界的な転換期を迎えた今日、総理が言われる新たなこの国の形を明確に示す必要があります。
 こうした観点から、以下、当面する重要政策課題について質問を行います。
 初めに、雇用対策について伺います。
 百年に一度と言われる経済危機の中で、国民が最も影響を受けるのは雇用です。政府は、三年間で二兆円規模、百六十万人の雇用維持・創出を進めるという過去最大の対策を取りまとめましたが、今後の雇用状況を注視しつつ、スピード感を持ってセーフティーネットの強化に当たるべきです。特に、雇用調整助成金の拡充は、雇用維持のため、中小企業で賃金等の八割を助成し、非正規労働者も対象とするなど政策効果が期待されています。他方、現場では手続が煩雑で利用しづらいとの指摘もありますので、緊急性にかんがみ、実態に即した対応をお願いしたい。
 また、今後、いかに雇用を創出するかということは、国民の生活を守り、我が国の経済成長を図るという二つの視点からの展開が求められます。介護、子育て、農林水産分野など、人材を求めている分野への労働移動をどのように進めるのか、また、環境、観光など日本が世界にリードする先端分野の更なる成長をどう後押ししていくのか。過去最大の四千億円の基金をより迅速に、より効果的に活用し、戦略的に雇用創出を図っていただきたいと思います。雇用のセーフティーネットの強化と戦略的な雇用創出について、総理のお考えを伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 中小企業支援については、その血液たる資金繰りの円滑化支援が第一義です。昨年十月、公明党の主張もあり、緊急保証制度が創設され、現在で二十四万件を超える実績を上げ多くの中小企業者の資金繰りを支えています。今後は、更に既往債務の返済条件の緩和や借換え保証制度の積極的な運用など特段の取組をお願いしたい。
 その上で、中小・小規模企業者の経営支援についてお伺いいたします。
 急激な景気後退のしわ寄せが下請中小企業に集中しています。下請中小企業は我が国の物づくりを支える基盤であり、地域経済の雇用にも大きく貢献しています。このしわ寄せを解消してこそ、我が国経済の中長期的な発展を揺るぎないものにできると考えます。下請代金法の運用強化や中小企業の相談体制の拡充など、下請中小企業対策を一層充実させるべきと考えます。
 また、急激に悪化する昨今の雇用情勢において、中小・小規模企業の人材確保、育成の好機ととらえる発想も重要であり、具体的な政府としての支援策を講じるべきです。緊急的な中小企業支援策と並行し、中小企業の技術力、競争力を長期的に底上げしていくことが不可欠です。研究開発に資金を割く余裕のない中小企業に代わり、国が率先して中小企業の技術力を下支えする対策を講ずるべきです。
 地域コミュニティーの担い手としての商店街に対する支援も、少子高齢化や環境対策など社会的課題に対応した一層の取組が重要です。全国各地には魅力ある地域産品が数多く存在しており、首都圏等都市部の消費者に広めるなど、農商工連携事業等の発掘を進めることが地域経済活性のために必要です。
 以上、総理の御見解を伺います。
 次に、定額給付金について伺います。
 定額給付金の目的、意義は、生活支援及び消費喚起による景気下支えのために実施するものであり、その本質は還付金若しくは減税であります。世界各国でも実施されている給付付き税額控除と同じであります。
 平成二十年度第二次補正予算が成立し、支給開始に向けた事務的な準備の段階となっていますが、本格的な支給は財源措置としての関連法案の成立を待たなければなりません。ますます深刻度を増しつつある我が国の経済状況をかんがみれば、政府はもとより国会もスピードが求められます。そのためにも、速やかな関連法案の審議、採決をすべきであります。
 定額給付金については、マスコミや野党などから無理解や誤解に基づく批判、意見もありましたが、ある調査では、定額給付金が決まれば八割の方は受け取ると答えており、多くの国民は早期の支給を心待ちにしております。
 そうした観点から、第一に、定額給付金を装った振り込め詐欺などの犯罪防止対策を徹底すべきです。政府や市町村広報の活用等を含め、国民への注意喚起の徹底、警察、金融機関との連携強化など万全を期すべきです。
 第二に、地域の活性化、消費拡大に向けた市町村の取組を後押しすることです。長崎県佐世保市では、定額給付金に合わせて商工関係団体がプレミアム商品券を発行する方向で準備をしています。また、民間企業でも様々な企画商品の販売も検討しているようです。まさに定額給付金は工夫次第で消費喚起の起爆剤となり得るのであります。総理の答弁を求めます。
 次に、命を守る安全、安心社会の構築について質問をいたします。
 まずは子育ての安心です。
 つい先日、二〇〇八年のフランスの出生率が二・〇二に上昇したと伺いました。多様な家族手当や保育サービス、職場における両立支援など、手厚い家族支援策が奏功したと言われています。それに比べ我が国の子育て支援策はいまだ十分と言えず、更なる充実が必要です。
 具体的に三点伺います。
 一つは、かねてより公明党が主張してきた出産費用の軽減です。
 今般、出産育児一時金の増額や妊婦健診の十四回分の無料化を進めることになりましたが、早期実現に向け準備に万全を期していただきたい。また、地域格差が指摘されている妊婦健診については、すべての市町村で十四回分の無料化が実現できるよう国としても支援と検証を行うべきです。
 二つは、保育サービスの充実です。
 受入れ児童数の拡大を始め、家庭的保育や一時預かり、認定こども園などの整備を支援するとともに、保育料の軽減や親の働き方にかかわらず柔軟に利用できるサービスへと改善することが必要です。
 三つは、仕事と子育ての両立支援です。
 勤労者世帯の過半数が共働き世帯となっている今日、両立支援が極めて重要です。子育て中の働き方としてニーズの高い短時間勤務や所定外労働の免除の徹底、父親の育児休業取得の促進、さらには子供の看護休暇の拡充とともに介護のための短期休暇の創設など、両立支援を一層進めるための育児・介護休業法の改正を早期に進めるべきです。厚生労働大臣のお考えを伺います。
 子育て支援とともに教育にも力を注がなければなりません。中でも特に重要なことは、幼児教育の無償化や奨学金の拡充など、子供が安心して学び続けられる環境づくりや、社会が本来持っている教育力の回復、そして子供にとって最大の教育環境である教員への支援であると考えます。このような観点から、未来を見据えた教育の姿について、総理のお考えを伺います。
 次に、救急医療体制の充実について伺います。
 医師不足を始め、近年の地域医療、救急医療の現状に対し様々な指摘がなされています。中でも、命を守る救急医療の充実は喫緊の重要課題となっています。
 救急車が搬送先を見付けるのに苦労している現状を改めるために、二十四時間、すべての患者を受け入れるER型救急病院の全国配備、また幼児の死亡を減らすために小児集中治療室を備えた小児救命救急センターの拡充が急務であり、ER型救急病院の整備拡充は、全国に二百十二か所ある救命救急センターや既にERとして稼働している救急病院に対し、医師の増員や施設の充実など必要な体制整備を進め、ER四百か所を目指すべきです。また、子供の救急治療を行う小児集中治療室を現在の十八か所から五十か所にまで拡充し、救急医療の基盤強化を行うべきです。
 また、こうした医療機能を有機的に結び、その効果が発揮できるように、一刻を争う重症患者の救急医療には、五十キロメートルを十五分で飛ぶドクターヘリの活用や、七分程度で現場に急行するドクターカーの普及が不可欠であり、待つ医療から医師が患者の元に駆け付ける攻めの医療への転換が必要です。
 ドクターヘリは来年度予算案に八機分が盛り込まれ、これで二十四機となりますが、全国をカバーできる五十機の配備を早急に実現すべきです。さらに、都市部に有効なドクターカーの普及は救急医療体制の強化に不可欠です。現在、ドクターカーは全国に百二十九台ありますが、機動的に運用できているところは少ないのが現状です。ドクターカーの機能的な運行のための維持運営費への補助を拡充すべきです。厚生労働大臣の御見解を伺います。
 次に、がん対策の充実について伺います。
 昨年十月二日、我が党の太田代表は、衆議院代表質問の中で、がんによる死亡者の減少に向けた新たな取組として、がん対策推進基本計画に中間報告を義務付け、個別目標の進捗状況を確認する提案をし、担当大臣からも二〇〇九年度末をめどに中間報告を行いたいとの前向きな答弁をいただきました。
 今後、計画の進捗状況、達成状況をどう明確にし、実現していくおつもりなのか、目標達成に向けた厚生労働大臣のお考えを伺います。
 特に重要な目標は、五年以内のがん検診率五〇%の実現です。現在二〇%の検診率をどう五〇%に引き上げるのか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 次に、障害者自立支援法の見直しについて伺います。
 公明党は、法施行後これまで、当事者の方々のお声をいただきながら様々な対策を講じてまいりましたが、本年は法律の附則に基づく見直しの時期となります。法律の見直しに当たっては、障害者が地域で暮らし、自立と共生の社会をつくるという基本理念を堅持しつつ、利用者等が安心できる制度へと改善していくべきと考え、与党PTで議論を進めております。特に、支援体制の整備が遅れている障害児支援について、通園事業や身近な相談支援体制、放課後型のデイサービスの充実など、体制整備を進めるべきであります。
 現在、政府・与党で進めた対策により、実際の利用者負担は平均約三%となっており、極めて応能的な負担になっております。また、法施行後、障害関係予算は毎年着実に伸び、平成十七年以後三五%以上の増額となりました。
 こうした実情を十分に踏まえた見直しとともに、事業所が新体制へしっかり移行できるよう支援を強化し、更なるサービス基盤の充実につながるよう強く求めます。厚生労働大臣の御見解を伺います。
 食の安全について伺います。
 食品への毒物混入、食品偽装問題など相次いでおり、国民は食の安全に大きな不安を抱いております。また、行政の対応に目をやると、縦割りによる連携不足やいわゆるすき間事案への対策不備等といった課題があります。
 その一例がコンニャクゼリーによる死亡事故です。これまで一九九五年七月から昨年七月まで十七件もの死亡事故が発生しています。メーカーによる改善努力も行われていますが、最近の国民生活センターの調査によれば、そしゃく力の弱い子供や高齢者では全般的に窒息事故を起こす危険性を否定できないという結果も出ており、製造に当たっての基準づくり等新たな対策が急務となっております。
 また、このようなすき間事案にも迅速な対応が可能となるよう、我が党は消費者庁の設置を強く主張してまいりました。食の安全を含め、消費者の利益を守る行政の実現に向けた消費者庁の設置について、総理のお考えと、あわせて消費者行政推進担当大臣に御決意を伺います。
 次に、税金の無駄ゼロに向けた取組についてお伺いします。
 今日、公務員による公金を流用した不適切な支出や不正経理など、公務員による税金の無駄遣いの事案が後を絶ちません。今や国民の行政に対する不信は頂点に達していると言っても過言ではありません。
 昨年十一月に提出された会計検査院の二〇〇七年度の決算検査報告では、検査院が調べた十二道府県のすべてで不正が発覚しました。特に、愛知県、岩手県など六府県では、総額一億円の預けと呼ばれる裏金づくりが判明しました。これは、国の補助金による事業で、事務用品の架空発注で支払った代金を業者の口座にプールし、裏金をつくるというものです。こうした預けを含め、国に返還を求められた国庫補助金の総額は約五億六千万円と指摘されており、ただただあきれるばかりです。
 会計検査院の調査したところすべてで不正経理が発覚したということは驚きであり、調査されていない他の県でも同様の不正が行われているのではないかと思わざるを得ません。
 こうした不正経理を防止するのは、公務員の公金に対する意識の変革と行政自らのチェック体制の確立が重要でありますが、同時に、公務員による不正経理を防止するための法整備が必要です。
 公明党は、こうした問題意識の下、自民党と協議し、一月十五日に与党PTとして、裏金づくりなど国及び地方公務員による不正な会計処理を防止するため、新たな罰則を設ける不正経理防止法を取りまとめました。今国会に是非提出したいと考えています。また、併せて会計検査院のチェック機能、権限を強化することも重要であり、必要な法改正も提出させていただきます。
 公務員による税金の無駄遣いは絶対に許してはなりません。不正経理を根絶していくために、政府としても厳格に取り組むべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、地域の活性化について伺います。
 国民生活の現場とも言える地域が元気になることこそが日本の景気回復の基盤であり、地域の底力を十分に生かし切ることが重要です。
 公明党はこれまで、中小企業支援、商店街、農林水産業の活性化など、様々な分野において一貫して地域活性化の重要性を訴えてまいりました。
 その視点から、この度成立した平成二十年度第二次補正予算においては、地方公共団体が様々な事業を積極的に進めるため、総額六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金制度を創設しました。また、平成二十一年度予算案においては、地域の厳しい雇用情勢を受け、地方公共団体において雇用創出が図られるよう、地方交付税を五千億円確保しました。
 今後、重要なことは、これらの予算を元に、各自治体がそれぞれの実情に応じ、極力自由な発想で円滑に事業を行えるよう、政府としては最大限努力するべきであり、柔軟な対応が求められます。総理の御見解を伺います。
 地域活性化に関連して、農政改革について伺います。
 一月十六日に発表された二〇一八年における世界の食料需給の見通しによれば、二〇〇九年以降において、耕種作物、畜産物、乳製品、いずれも上昇基調で推移すると予測されています。国際的な食料危機が叫ばれ、食料輸出国と輸入国の需給バランスをいかに保つのか、今まさに世界規模で農業の転換点を迎えています。
 我が国も農政改革を急ぐべきです。まず大事なことは、ローカライゼーションともいうべき地域住民のつながりによる農業に支えられた町づくりです。農政改革によって、地元住民、地元企業の知恵と発想を柔軟に展開できる仕組みをつくることが求められています。
 次に、農地情報の共有を一層進めるべきです。だれが、どこに、どのぐらい農地を所有し、だれが借りたがっているのか、農地と担い手のマッチングによる意欲ある担い手への農地の集積化が必要です。農地情報のデータベース構築を急ぐべきと考えます。
 さらに、担い手を育て、自治体と農家、農業法人等を生産から流通、販売までを一体的につなぐ農商工連携や地産地消の推進を加速させることが非常に重要です。
 以上三つの観点から、地域活性化のために基盤をつくることにより、地域の意欲ある人材を育て、雇用の創出を行うべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 太陽光発電設備の導入について伺います。
 公明党は、公立小中学校の耐震改修工事と併せて太陽光発電設備の導入を進めるべきと考えます。
 学校への太陽光発電の導入拡大は、環境教育に資するだけでなく、防災拠点としての機能強化や地域経済の活性化にも資するといった多くのメリットがあり、学校や自治体などの公共施設への太陽光発電設備の導入拡大を図るべきと考えます。総理の御見解を伺います。
 次に、地球温暖化問題です。
 今年は、年末のCOP15において、ポスト京都議定書、すなわち二〇一三年以降の温暖化対策の枠組みについて合意することになっており、人類の温暖化との闘いにとって極めて重要な年であります。
 この時期に当たって重要なことは、交渉の基盤となる国内の体制の整備を進めることです。具体的には、まず三月末の国連会合で、先進国全体としての温暖化ガス削減幅について我が国の考え方を明確にし、合意に貢献することです。そして、その上で、同会合で我が国の中期削減目標について方向性を示し、遅くとも六月の国連会合までに具体的数字を表明することです。中期目標を決めないままでは交渉に主体的に当たれません。先進国全体の削減幅並びに我が国の中期目標決定の考え方、スケジュールについて、総理並びに環境大臣のお考えをお伺いします。
 そして、国内体制の整備としては、何よりも大口排出者に対する排出削減の義務付けを行うことが不可欠です。東京都は、昨年六月、大企業に二酸化炭素の削減を義務付ける都条例を成立させました。国が削減義務付けを決定してこそ本格的な低炭素革命、新たな設備投資、新たな需要が創出されると考えます。その削減のための企業の投資に対しては、政府が無利子融資など大規模な支援を行っていくことはもちろんです。大口排出者に対する排出削減の義務付けについて、総理並びに環境大臣の見解をお伺いします。
 また、子供の健康と環境について伺います。
 近年、アレルギー、先天異常、学習困難な子供が急増しています。米国の国立衛生研究所のクラーク・シャイト医師は、統計データに基づき、現代の子供たちは人類の歴史上、最も不健康な世代であると警鐘を鳴らしています。我が国も、直ちに子供の健康と環境に関する調査研究を開始すべきと考えますが、総理並びに環境大臣の御見解を伺います。
 次に、外交問題について伺います。
 世界的な金融危機への対策について、主要八か国だけでなく新興国の首脳も加えて行われる第二回金融サミットが、本年四月、ロンドンで開催されます。この金融サミットに向け総理はどのような決意で臨まれるのか、お尋ねいたします。
 また、第二回金融サミットに先立ち、オバマ新大統領との早期の会談を実現させ、経済危機への対応について日米の連携を強化する必要があると考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 日本は、唯一の被爆国として、一九九四年以来、毎年国連総会へ核軍縮決議を提出し可決させるなど、核軍縮・不拡散の平和外交を推進してきました。オバマ新政権は、核軍縮・不拡散を重視しており、この分野は日米協力を一層推進できると考えますが、総理の御見解を伺います。
 昨年十一月のAPEC首脳会談の際に、総理はメドベージェフ・ロシア大統領と会談し、本年初めにプーチン首相の訪日を行うことで一致されました。ロシアとは、北方領土問題の解決や平和条約の締結、エネルギー分野での協力など、両国首脳が胸襟を開いて語り合うべき課題が多くありますが、ロシア外交に対する総理の姿勢を伺います。
 世界的な金融危機対策を始め地域の諸問題を取り上げた昨年末の日中韓首脳会談は、総理が共同記者会見で第一回日中韓サミットと意義付けられたとおり、大変に有意義な会合でありました。経済危機の克服へ向け、日中韓の協力には様々な可能性があります。また、北朝鮮と隣り合う日中韓の連携は、拉致、核、ミサイルなどの諸問題の解決に極めて重要です。三か国が協力し地域全体の平和と繁栄を図ることが重要だと考えますが、総理の中国、韓国に対する外交姿勢をお尋ねします。
 最後に、総理は施政方針演説の中で、日本の底力は必ずやこの難局を乗り越えます、また、変革には痛みが伴いますと述べられております。私は、私たち国会議員がその変革の痛みの先頭に立つためにも、まずは歳費の思い切った削減を図るとともに、国会議員の定数削減の実現を目指すべきことを私は訴えます。そして、そのリーダーたる総理の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 白浜議員の質問にお答えをいたします。
 まず最初に、雇用のセーフティーネットの強化と雇用創出についてのお尋ねがありました。
 申すまでもなく、雇用は生活の糧であります。その安定を確保することは極めて重要な課題と考えております。
 このため、特に緊急を要します住宅・生活対策として、雇用促進住宅の活用や住宅・生活資金の融資などを既に実施をしておりますのは御存じのとおりであります。
 また、セーフティーネット強化の観点から、雇用保険制度につきましては、非正規労働者が給付を受けやすくなるよう、雇用見込みが六か月以上の者に対しましては適用を拡大するといった見直しを行うことといたしております。
 雇用創出の観点からは、先日成立をいただきました二次補正予算や二十一年度の予算におきまして、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用創出のため都道府県に過去最大の四千億円の基金を創設することによる地域求職者などの雇用機会の創出、加えて、地方交付税の一兆円増額によります雇用創出の促進など、これまでにない規模並びに内容の雇用対策を実施することといたしております。
 中小・小規模企業支援策についてのお尋ねがありました。
 まず、三十兆円規模の資金繰り対策の実施に万全を期したいと考えております。あわせて、貸付金利の引下げ、一・八五を〇・三下げて一・五五、既往債務の借換えの円滑化を図るなど、中小・小規模企業の資金繰りを下支えしてまいりたいと考えております。
 また、下請中小企業に対しましては、立入検査の強化、相談体制の拡充などを図りますとともに、受注機会の確保に取り組んでいかねばならぬと考えております。
 さらに、人材の確保育成の支援や地域コミュニティーの担い手であります商店街の活性化などに取り組みます。そして、農商工連携などによる地域の強みを生かしました新事業創出や、物づくり技術に磨きを掛けるための研究開発を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、定額給付金に関連したお尋ねがありました。
 まず、定額給付金の給付を装った犯罪への対策についてであります。政府広報や総務省のホームページなどで広く注意を呼びかけるとともに、地方公共団体に対しましても、高齢者が被害に遭わぬよう働きかけをすることをお願いをいたしておるところです。警察におきましても警戒を強めており、引き続き、各省連携しながら予防活動に取り組んでまいりたいと考えます。
 次に、地域の活性化に向けた取組です。定額給付金は実際に使われてこそ消費の拡大効果が生じるものであり、同じ消費するならば地元で、地域で消費してもらえるよう商品やサービスを向上させるとの発想は地域の発展の見地からも重要だと私も考えます。現段階で百を超える市町村から、定額給付金の給付に合わせて特典付商品券を発行する、商店街が消費拡大セールを行うことなどが計画をされております。
 今後とも、地域の様々な取組につきましては、積極的な情報提供を行い、地元での消費の拡大につながるよう市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。
 教育についてのお尋ねがありました。
 国づくりの基本は人づくりです。内閣の重要な課題として、質の高い教育を政府全体で実現いたしたいと考えております。このため、日本の将来を見据え、特に幼児教育の無償化について、歳入改革に併せて総合的に検討いたしたいと考えます。そのほか、奨学金の充実、学校、家庭、地域の連携体制の充実、教職員定数の増などを行いたいと考えます。子供の教育は我が国の未来への投資でもあります。政府として全力で取り組んでいかねばならぬ問題だと考えております。
 消費者庁設置についてのお尋ねがありました。
 昨今、食の安全、また暮らしの安全を脅かす事件が相次いで発生しております。すべからく、消費者の立場からその利益を守る行政組織が必要になってきていると考えております。消費者庁を立ち上げることは喫緊の課題でありまして、現在国会に提出をいたしております消費者庁関連三法案を年度内に成立させていただきたいものだと考えております。
 公務員の不正経理防止などの取組についてのお尋ねがありました。
 御指摘の事項につきましては、昨年以降、与党において検討が進められ、公務員の責任の厳格化などを内容とする法案につきましては、今国会への提出に向けた準備が進められているものと承知をいたしております。
 政府といたしましても、公務員の不正経理防止などは重要な問題と考えており、与党案についての今後の国会での御議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 地域の活性化に向けての御質問がありました。
 地域を活性化するためには、地方が自由に使える財源を充実し、地方の底力を引き出すことが重要だと考えております。このため、第二次補正予算におきましては六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金を創設するとともに、平成二十一年度には、別枠で地方交付税を一兆円増額、そのうち五千億円は特別枠、地域雇用創出推進費の財源とするなど、地方を支援することといたしております。地方公共団体は、これらの財源を活用して、自らの創意工夫により、その地域の実情に応じた地域の活性化に努めていただきたいものと考えております。
 地域活性化に関連して、農政改革についてのお尋ねがありました。
 農業は地域の基幹産業として、農村に雇用とにぎわいを生み出す産業でもあります。このため、まず平成の農地改革の法案を今国会に提出をいたします。農地情報のデータベースを構築し、担い手への農地の集積を進めてまいりたいと考えております。
 また、米粉や飼料用の米生産を拡大することによる水田のフル活用、経営所得安定対策による将来の担い手の育成、農商工連携による新たなビジネスの展開を進めます。
 このような取組を通じて、地域の活性化やそれを担う人材育成、雇用の創出を支援していきたいと考えております。
 公立小中学校の耐震化と併せた太陽光発電の導入拡大についてのお尋ねがありました。
 政府といたしましては、公立小中学校の施設に対する太陽光発電の整備につきましては国庫補助を行っております。また、関係省庁が連携してエコスクールパイロットモデル事業を実施し、太陽光発電の整備を進めてまいりたいと考えております。
 今後ともさらに、学校耐震化を進めることと併せて整備を推進するなど、関係省庁が連携して太陽光発電の導入拡大に努めてまいりたいと考えております。
 地球温暖化の問題に関し、先進国全体の削減幅と我が国の中期目標についてのお尋ねがありました。
 地球温暖化対策への対応には、すべての主要経済国が責任ある形で参加する公平かつ実効性のある国際的枠組みをつくり出すことが不可欠であります。こうした観点から、先進国全体の削減幅につきましては、途上国の削減行動と併せて議論すべきものと考えております。
 我が国の中期目標につきましては、現在、有識者を含めたオープンな場で国民に選択肢を提示するとともに、環境や経済、エネルギーへの影響を総合的に考え、科学的な分析に基づいた検討を行ってまいります。裏打ちのない宣言だけではなく、経済面でも実行可能で地球全体の温暖化対策に貢献するものにしたいと考えております。その上で、六月までにはその数値を発表したいと考えております。
 排出削減の義務付けについてお尋ねがありました。
 排出削減の義務付けにつきましては、御存じのように、国内では大きな排出削減が確実になるという利点がありますが、他方、排出者が義務のない国に工場を流出させる場合には、全体としてかえって排出量を拡大する懸念があるといった指摘もあります。
 したがいまして、政府としては、自主行動計画の強化、トップランナー基準の強化、排出量取引の試行的実施などに目下取り組んでいるところであります。まずは、これらの着実な実施が重要です。その上で、温室効果ガス排出量の一層の削減に向けて、総合的な方策の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。
 子供の健康と環境についてのお尋ねがありました。
 近年、少子化が進む中で、子供の健康問題と環境の関係を科学的に解明することは、安全、安心な子育て環境を確保する上でも重要になっていると考えております。このため、数万人規模の大規模な疫学調査を実施するための予備調査を実施中であります。
 今後とも、政府全体として、子供の健康と環境の問題への取組を充実してまいります。
 第二回金融・世界経済サミットに向けての決意についてのお尋ねがありました。
 金融市場の混乱及び世界経済の減速から脱するには、国際的な連携が不可欠であります。この観点から、昨年十一月に開催されたワシントンでの金融・世界経済サミットで、私は、日本の金融危機の経験を基に、各国首脳に克服方法に関する提言をし、その多くが金融・世界経済に関する首脳会合宣言に取り入れられたところであります。
 四月の第二回金融・世界経済サミットに向けましては、国際金融機関の改革、金融機関規制・監督における国際協調体制の確立、格付会社への規制と監督体制の導入などなど含みます第一回会合の宣言の迅速かつ着実な実施が重要と考えております。一昨日出席をいたしましたダボスでの世界経済フォーラムにおきましてもこの点を強調し、ブラウン英首相との会談におきましても、ロンドンにおける第二回サミットに向け緊密に協力していくことで一致をいたしております。
 かつて金融危機を克服した経験のある日本としては、健全な規制の強化及び国際協力の強化の点でリーダーシップを発揮するとともに、引き続き関係国と連携をしてまいりたいと考えております。
 米国新政権との経済危機への対応での連携強化についてのお尋ねがありました。
 先月二十九日のオバマ大統領との電話会談におきましては、今後、世界第一、第二の経済規模を持つ日米両国で金融・世界経済などの諸課題につきましては緊密に連携していくことを確認をいたしております。オバマ大統領とは、早期に日米首脳会談を行うことでも一致をいたしております。
 また、四月のロンドンにおける第二回金融・世界経済サミットの機会をも通じ、日米両国経済の早期回復と金融の規制、改革などを通じた世界経済の安定化のため、日米間で協力していく考え方であります。
 核軍縮・不拡散分野での米国との協力についてのお尋ねがありました。
 オバマ大統領は、選挙期間中から、核の脅威を減らすため、包括的核実験禁止条約の批准を含め、現実的な核軍縮・不拡散に積極的に取り組む旨述べてきておられます。
 我が国は、これまでも、国連総会における核軍縮決議の採択、二〇一〇年NPT運用検討会議に向けた取組、そして核不拡散・核軍縮に関する国際委員会への支援などを行ってきておりますのは御存じのとおりです。日本としては、オバマ新政権とも協力し、核兵器のない世界を目指し、核軍縮・不拡散の現実的かつ具体的な措置に取り組んでまいる考え方であります。
 ロシアに対する外交についてのお尋ねがありました。
 ロシアとは、アジア太平洋地域における重要なパートナーとしての関係を構築するため、北方領土問題の最終的解決に向けた交渉を進めるとともに、幅広い分野での協力を進展させたいものと考えております。
 この観点から、本年は、昨年十一月のメドベージェフ大統領との日ロ首脳会談で一致いたしましたとおり、首脳レベルの集中的な話合いを行ってまいりたいと考えております。
 中国、韓国に対する外交姿勢についてお尋ねがありました。
 昨年十二月、福岡で初の独立した形での日中韓サミットを行い、三か国間で未来志向の包括的な協力を進めることで一致をいたしております。この首脳会談は定例化され、本年は中国において開催される予定になっております。
 また、二国間関係につきましては、中国との間では戦略的互恵関係、韓国との間で成熟したパートナーシップ関係を構築してまいりたいと考えております。
 このような努力を通じ、中国、韓国との協力を推進し、豊かで安定したアジアを実現してまいらなければならないと思います。
 最後に、国会議員の歳費と定数の削減についての御提案がありました。
 政治家が先頭に立って改革に取り組むことは重要なことであると考えております。私は、自民党において検討を進めていただきたいと既に表明をいたしているところであります。これらは、国会議員の地位や議会政治の根幹にかかわる問題でもありますので、各党各会派で十分に御議論いただくべきものであると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(舛添要一君) まず、出産費用の軽減についてお尋ねがございました。
 妊婦が安心して出産できるよう、妊娠や出産費用の不安を解消することは重要な課題でございまして、準備に万全を期してまいりたいと考えております。
 妊婦健診につきましては、平成二十年度第二次補正予算におきまして、費用の心配をしないで妊娠、出産ができるようにするため、妊婦健診に必要な回数、十四回程度でございますが、これをすべて受けられるように、平成二十二年度までの間、地方財政措置されていない残りの九回分について国庫補助、地方財政措置により二分の一ずつ支援することとしております。
 また、出産一時金につきましては、平成二十一年度予算案において、本年十月より四万円引き上げるとともに、医療機関への直接支払の徹底を図り、妊産婦の経済的負担を軽減することとしております。
 なお、すべての市町村における妊婦健診の公費負担の拡充につきましては、適宜その実施状況を把握するとともに、各市町村と連携を図りつつ、適切な実施に努めてまいりたいと考えております。
 次いで、保育サービスの充実についてお尋ねがございました。
 保育施策については、昨年二月に策定しました待機児童ゼロ作戦に基づき、希望するすべての人が安心して子供を預けて働くことができる社会を目指し、質、量共に充実強化することとし、具体的には、保育サービスの量的拡大と多様なニーズへの対応などを進めているところでございます。
 このため、平成二十年度第二次補正予算及び平成二十一年度予算案において、新待機児童ゼロ作戦の集中重点期間である平成二十年度から二十二年度において十五万人分の保育所や認定こども園などの整備を前倒しして行うため、都道府県に安心こども基金を創設するとともに、兄弟姉妹のいる家庭の保育料軽減措置として第三子以降については無料とすることとしております。
 また、昨年末に成立した改正児童福祉法では、家庭的保育事業、いわゆる保育ママによる保育サービスの多様化への対応や、一時預かり事業などの子育て支援サービスの充実化を図るため、これらの法律的な位置付けを明確化しているところであり、その着実な施行を図ってまいります。
 これらの施策を着実に実施することにより、国民の皆様が安心して暮らすことができ、また子育てができる体制づくりを進めてまいります。
 さらに、育児・介護休業法の改正についてのお尋ねがございました。
 育児・介護休業制度の見直しにつきましては、昨年八月から関係審議会において公労使で御議論いただき、昨年十二月に報告が取りまとめられ、建議が行われたところでございます。
 この建議におきまして、少子化対策の観点から喫緊の課題となっている仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、短時間勤務制度や所定外労働の免除の義務化など、子育て中の働き方の見直し、父母共に育児休業を取得する場合に休業できる期間を延長すること、いわゆるパパ・ママ育休プラスなど、父親の育児休業の取得促進、さらに子の看護休暇の拡充などが盛り込まれております。
 厚生労働省としましては、現在、この建議に基づき、育児・介護休業法の改正法案の検討を進めているところでございますが、議員御指摘のように、仕事と子育ての両立のための働き方の見直しは喫緊の課題であり、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、救急医療体制の充実についてお尋ねがございました。
 重要な課題であります救急医療の確保のため、厚生労働省では平成二十一年度予算案において、前年度予算の倍増となる約二百五億円を計上しております。具体的には、特に過酷な休日、夜間の救急医療を担う勤務医への手当の支援、病状に応じて適切な救急医療が行えるよう管制塔機能を担う病院の整備、救急医療に医師が駆け付け、速やかに救急処置を行うドクターヘリやドクターカーの整備の促進等を盛り込んでおります。
 さらに、議員から御指摘のございました、二十四時間すべての患者を受け入れるER型救急医療機関や小児集中治療室については、その実態把握を行うこととしており、結果を踏まえましてその支援の在り方等を検討してまいります。
 引き続き、救急医療体制の充実に全力で取り組んでまいります。
 さらに、がん対策推進基本計画についてのお尋ねがございました。
 がん対策推進基本計画につきましては、来年度末をめどに計画の進捗状況について中間報告を取りまとめることとしております。既に、昨年十一月のがん対策推進協議会におきまして、中間報告で取り上げる項目及びそれに向けたスケジュールについて御議論いただいたところでありますが、引き続き協議会の御意見を聴きながら、進捗状況を適切に把握するとともに、こうした状況に応じて重点的かつ効果的な政策を推進し、目標の達成に全力を尽くしてまいります。
 さらに、がん検診についてのお尋ねがございました。
 厚生労働省としては、がん対策推進基本計画に基づき、がん検診の受診率を五年以内に五〇%以上とするよう様々な取組を行っていくこととしております。その際、国、自治体、企業、検診機関、患者団体等が一体となって普及啓発に取り組んでいくことが重要でございます。
 そこで、昨年秋から、がん検診についての普及啓発を図ることを目的とするがんに関する普及啓発懇談会を開催し、先駆的な取組事例の検討等を行っているところでございます。また、二十一年度予算案においては、自治体や企業との連携によりがん検診の受診率向上に向けた取組の充実強化を行っていくこととしております。
 今後も、引き続き、がん検診受診率向上を始めとした基本計画の目標達成に向けて全力で取り組み、がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会を目指してまいります。
 最後に、障害者自立支援法の見直しについてお尋ねがございました。
 障害者自立支援法については、法施行後三年目の見直しに向けて、昨年四月から社会保障審議会障害者部会で御議論いただき、昨年十一月に、相談支援や障害者支援、利用者負担など、制度全般にわたる見直しについて報告書が取りまとめられました。また、現在、与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチームにおいても制度の見直しに関する議論が行われていると承知してございます。
 こうした様々な議論や議員御指摘の点も踏まえながら検討を進め、今国会における障害者自立支援法の改正法案の提出など、障害者施策の充実に向け、引き続き取組を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(野田聖子君) 消費者庁の設置についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、食品への毒物混入、食品表示偽装問題など、日々様々な消費者問題が発生する中、消費者庁の一日も早い設立を求める多くの国民の声が届いております。
 これまで消費者行政は、各府省庁の縦割りの下で、産業振興の付随的なテーマとして行われてきました。これに対して、消費者庁は、消費者のパートナーとして、消費者の側に立ち、その利益を守る全く新しい行政組織であり、我が国の行政全体のコンセプトを消費者、すなわち国民本位の行政へ大きく転換させるものであります。こうした取組は、環境庁設立以来、実に約四十年ぶりの大改革と位置付けることができます。
 担当大臣としては、御指摘がございましたコンニャク入りゼリーによる窒息事故のような、いわゆるすき間事案の迅速な解決等を目指した新しい消費者安全法案を含め、消費者庁関連三法案を既に国会に提出しております。その審議を衆議院の特別委員会において早期にスタートしていただき、年度内に成立させていただけるよう全力を尽くしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 白浜議員にお答え申し上げます。
 地球温暖化対策の中期目標についてお尋ねがありました。
 中国、インドなど途上国の積極的な行動を引き出すためには、我が国を含む先進国全体が、科学の要請を踏まえ、野心的な削減レベルを示す必要があると考えます。
 我が国の中期目標については、現在、有識者を含めたオープンな場で、科学的、総合的な検討による選択肢の絞り込みを行っているところです。
 本年三月二十九日から開催される京都議定書の特別作業部会までに先進各国が中期目標の検討状況を報告することとなっており、我が国としても三月末までには中期目標の方向性を明らかにしていくべきと考えております。六月には、枠組み案に関する具体的な文書を基に国際交渉が本格化することになっております。先日のダボス会議において麻生総理から示されたように、六月までに我が国の中期目標を発表し、国際交渉においてリーダーシップを発揮してまいります。
 次に、温暖化ガスの大口排出者に対する排出削減の義務付けについてお尋ねがありました。
 厳しい経済情勢の今こそ、環境対策を通じて景気回復や雇用創出を図ることが極めて重要だと考えております。これまでにも環境対策上の制約が技術の発展を促し、産業や経済の活性化につながってきた実績がございます。
 御指摘の排出削減の義務付けについては、賛否両論の立場からの指摘がありますが、環境省としては、排出削減義務を課すとともに、排出枠の取引を認めることにより、その達成を効率的に進める国内排出量取引制度は、今後の温暖化対策の有効な政策手段の一つであると考えております。
 昨年十月から排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始したところであり、その経験を生かしながら、排出量取引を本格導入する場合の条件や課題について明らかにしてまいります。
 最後、三点目でございますが、子供の健康と環境についてお尋ねがありました。
 近年、子供たちの間でぜんそくなどのアレルギー疾患などの心身の異常が年々増加していることが報告されております。例えば、小学生のぜんそく罹患率は一九六〇年の〇・五%から二〇〇七年度、四%まで八倍に増えております。これらについては、化学物質など環境中の要因が関係していることが明らかになっております。
 成長過程にある子供は、母親の胎内や母乳の影響を強く受けるとともに、環境からの影響に対しても敏感です。この点は一九九七年にマイアミで開催されたG8環境大臣会合でも強く指摘され、欧米では十万人規模の疫学調査が実施されております。
 環境省では、平成十七年から小児の環境保健に関する懇談会において検討を行った結果、少子化が進む中で、子供の脆弱性に着目した施策の展開が今後より一層重要になるとの結論を得ております。このため、科学的基盤に基づいた的確な対策を講ずるべく、子供の健康と環境に関しての大規模な疫学調査を実施するための準備を関係省庁の協力を得つつ進めているところです。
 環境省としては、引き続き子供の健康と環境の問題への取組を充実させていく所存です。(拍手)
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#9
○議長(江田五月君) 広中和歌子君。
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
#10
○広中和歌子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の広中和歌子でございます。会派を代表して質問させていただきます。
 百年に一度と言われる金融危機に世界中が見舞われています。その危機は金融だけでなく実体経済にも及び、国境を越えて地域の産業、雇用、人々の暮らしに影響を与えています。その影響の大きさは、グローバル化した世界の中で今後どこまで広がり深まっていくか、人々の想像をはるかに超えるものになるかもしれません。
 その影響がグローバルなものである以上、その対応もグローバルなものでなければなりません。早速G20首脳会議が開かれ、あるいは地域会合が持たれ、危機への対応が話し合われたことを評価したいと思います。
 この際、米国及びEUとの連携はもとより、地域の金融経済危機の秩序ある回復に向けてどのようなリーダーシップを発揮なさるのか、総理に伺います。
 ガルブレイスが冷戦時代に書いた「不確実性の時代」という本の中に、政治は可能性のアートであるという言葉の引用があります。政治とは重要なものを末梢的なものから区別し、そのこと自体がいかに困難であっても、重要なものに専心するアートであると解説しています。
 我が国は敗戦後の冷戦下、故吉田茂が総理として日本国憲法を受け入れ、西側世界と単独講和を結び、日米安保を推し進めたことは評価されてしかるべきです。では、冷戦が終わってから二十年近くたった今の日本が、現在の可能性の中から何を選択するのか、今問われていると思います。総理のお考えを伺います。
 日本国憲法というすばらしい憲法を変えないのも一つの選択でありましょうし、グローバル化が加速する世界の中で、日米安保に凝り固まることにも修正が加えられなければならないと思います。EU二十七か国の動き、そのリーダーシップと発信により多くの敬意と注目を払うこと、アジアの国々、中でも中国、韓国との信頼を揺るぎないものにしていかなければならないと思います。
 小泉内閣の五年間にやせ細ってきたアジアの国々との関係、なかんずく中国、韓国との関係修復に安倍、福田前総理に続いて麻生総理が力を入れておられることを歓迎します。その中でも、日中韓首脳会議が独立して開催されたこと、それを継続していく意思を三か国で共有していることもすばらしいことだと思います。
 アメリカと中国など他国との関係に一喜一憂することなく、日米の友好関係を堅持しつつも、アジアの国々と固いきずなで結ばれることが日本にとっての真の安全保障であると思いますが、総理、いかがでしょうか。
 総理はこの週末、ダボスに行かれ、演説されました。御苦労さまでございます。危機に立つ世界に向けて、日本から何を発信されたのですか、伺います。
 今後、我が国が取り組むべきグローバルな課題として、テロとの戦い、その根源にある貧困解消のためのODA、そして気候変動、地球温暖化への対応があると存じます。
 まず、ODAについて伺います。
 予算案では前年度比で四%減の六千七百二十二億円の緊縮路線が堅持されました。量が減った分、質を高める、すなわち人道型の支援こそが今後必要となってくると言えるのではないでしょうか。つまり、食糧支援や学校建設、ワクチン接種など地域や個人レベルのきめ細かい支援であり、私たち民主党は相手国の自然環境保全や生活環境の整備に重点的に取り組むようODAの根本的な見直しをするつもりです。
 そこで、麻生総理に伺います。
 これまでどおり、鉄道、港湾建設などのインフラ整備から発想を転換して、人道的な支援に軸足を移すお考えはありませんか。また、NGOの活用をもっと増やす考えはございませんか。
 最近、草の根無償支援の額がピーク時の百五十億円から減り、百二十億円前後で推移しているのが気掛かりです。ODAにはより効率の高い支援をするという原則がありますが、人間の安全保障という立場から、平和の構築や感染症対策、女性の権利と健康、途上国の自立支援などにもっと支援の額を増やすべきではないでしょうか。外務大臣の見解をお聞きします。
 テロとの戦いに関しては、我が国の憲法の制約もあり、できることは限られますが、そうした憲法を持っている国だからこそアフガニスタンなどの紛争当事者に信頼されているということも少なくないと思います。
 現在、イスラエル、パレスチナ間の紛争、アフガニスタンやアフリカ諸国の内紛などがございますが、特にパレスチナ問題、アフガニスタン問題に関する政府のそれぞれの対応について外務大臣に伺いたいと思います。
 民主党の当時ネクスト外務副大臣であった犬塚直史議員が、年末から年初にかけて、DDR、アフガニスタン武装解除を成功させた伊勢崎賢治東京外国語大学教授とともにアフガニスタンに出向き、日本の貢献について政権幹部と意見交換をしてまいりました。
 そこで出たアイデアは、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯に経済特区をつくり、現地のジルガ、長老が住民の要望をまとめて教育支援、農業支援などを行うというものでした。アフガニスタンとパキスタンの国境とはいっても、住んでいるのは国境とは無関係に何世紀にもわたって居住している同じ民族で、ジルガの下に昔からのコミュニティーを形成しています。この計画はアフガニスタンとパキスタン両国も歓迎しているようです。
 こうした経済特区が機能するためには、NATO軍及びパキスタン軍双方の協力が必要であるとともに、二〇〇三年の武装解除を成功させた一つの要素である丸腰の自衛官による停戦監視員を再度派遣することも検討されるべきでしょう。また、現地の警察力を充実させることも必要だと思います。そのためには、日本政府によるしっかりとした調査と支援が求められます。
 犬塚議員のイニシアチブに対する評価と政府の対応について、総理大臣並びに外務大臣にお伺いいたします。
 環境問題に入ります。
 私は長年にわたり環境問題に取り組んでまいりました。ある時期には経済発展の上で環境問題は邪魔者扱いにされたこともあります。しかし、今や環境問題を抜きにしては経済は語れなくなっています。その典型がアメリカのオバマ新政権が打ち出したグリーン・ニューディール政策です。有識者の間ではグリーン・ニューディールは経済、エネルギー、環境の三分野を活性化すると高く評価されています。
 政府も日本版グリーン・ニューディールに取り組み始めましたが、予算案を見る限りでは、どこまで本気で取り組むつもりなのか、甚だ疑問を感じます。環境省予算の中に、世界に貢献する環境経済政策の研究事業に対する予算はわずか四億円しか計上されていないからです。
 私たち民主党は、昨年六月に地球温暖化対策基本法案を参議院に提出しました。さらに、十二月には緑の成長戦略調査会をつくり、具体策作りに取り組んでおります。例えば、環境への投資で雇用を創出するグリーンジョブ、技術革新を進めるグリーンイノベーションなど、新エネルギー開発や林業振興で新たな雇用創出が可能だと試算しています。こうした環境と経済の在り方について、麻生総理、あなたの御見解をお聞きしたい。
 また、総理は、新たに経済成長戦略を策定し、雇用を創出することを強調しておられますが、その戦略の中の環境関連の雇用創出事業にはどういうものがあるのか、お伺いいたします。また、経済産業大臣にもお尋ねしたく存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 気候変動を警告した報告書として有名なスターン・レビューは、今後、地球に起こり得る気候変動によるカタストロフィーを避けるため、世界のGDPの一%から二%の投資を投入することが必要だと述べています。顧みれば、我が国の優れた環境技術が世界的な競争力を持つようになったのも、一九七〇年代、当時の日本のGDPの二%程度を環境のために使ったことで災いを転じて福となすことができたとされています。
 今後の環境技術開発分野は、エネルギー、水質、交通体系、都市、廃棄物など無限に広がっています。
 我が国のように主要先進国で一、二を争う人口密度の高い国で、人々が環境に優しいクリーンな都市生活を過ごすこと自体が世界に先駆けて模範を示すことになります。二〇五〇年の世界の人口はおよそ九十億人になると言われており、その約七〇%は都市に住むだろうと予想されます。災害に強い環境都市のモデルづくりが急務ではないでしょうか。総理及び経済産業大臣の御見解を伺いたいと存じます。
 先月一月十七日に阪神・淡路大震災十五周年を迎え、国民ひとしく改めて地震災害の恐ろしさを実感しました。仮に首都東京を直撃するような大地震が起こり、首都機能が完全に麻痺する場合の備えとして、どういった対応がなされているのでしょうか。
 これまで、超党派の議員で首都移転の必要性が話し合われ、国会でも首都移転の決議がなされましたが、その後、数年を経ずして首相官邸を始め諸官庁の建て替えが進み、事実上、首都移転が立ち消えになってしまった。これは、首都移転そのものに熱心でない官僚たちの高等戦術によるものであり、このことからも官僚主導の日本の政治の限界を感じさせられたことでした。
 東京は今や堂々たる首都であり、それに代わる首都を新たにつくることは現実的でないことは明らかですが、私は災害に対応するための副首都を東京から十分な距離を置いた場所につくることが必要であると考えます。その点に着眼して、国会には超党派の危機管理都市推進議員連盟が設立されています。
 震災に対応するための危機管理都市としてだけでなく、日本が誇る環境技術とITの粋を集めたエコシティー環境モデル都市を提案いたします。そこには、地域冷暖房、太陽光発電、断熱・ゼロエミッション住宅など、最先端のエコ技術をも取り入れます。こうしたエコ都市ができれば、そのノウハウを求めて、日本全国はもとより世界から注目が集まることでしょう。
 私見ですが、その場所として大阪空港を充てるのも一つの選択肢ではないでしょうか。
 そもそも関西地方に、(発言する者あり)聞いてください。関西地方に関西空港や神戸空港が新たにできたのも、大阪空港が、郊外とはいえ、神戸、大阪、京都につながる人口過密地域にあり、住民の反対運動が絶えなかったからです。そこで、関西空港と神戸空港の完成と引換えに大阪空港を廃止することになっていたわけです。
 この地域には既に、京都、大阪、神戸をつなぐ都市高速道路に加え、新幹線網も完備されておりますから、新首都に掛けるインフラ費用はほとんどが環境、安全、ITなどのソフト面となります。それらの技術開発は世界に普及し、日本の産業力強化につながることは間違いありません。また、日本型ニューディール政策としての経済刺激策ともなり得ると思います。つまり、エコシティー、危機管理都市、経済活性化、一挙三得の政策です。総理、そして危機管理都市推進議連に当初から関心を持ってかかわってこられた二階大臣にお伺いします。
 教育問題に移ります。
 安倍元総理の下では、教育改革を旗印に教育再生会議が設置され、平成十八年十二月には教育基本法が改正されました。その成果をどのように評価され、今後どのような形で推進していかれるのか、文科大臣にお伺いいたします。
 私は、教師を追い詰め、ゆとりをなくすことからは決して良い教育は生まれないと考えております。教員免許更新制度については、大学などの更新講習の体制は十分に整備されているのでしょうか。また、離島、へき地の場合についてはどうなのでしょうか。二〇〇九年度予算には、公立小中学校の教職員を八百人増やすことが盛り込まれ、非常勤講師は倍増の一万四千人にするとされていますが、その結果どのような成果が期待されているのか、文科大臣に伺います。
 文科省にはフルブライト・メモリアル基金という日米教育交流事業があり、残念なことに今年度で終わろうとしていますが、多い年で八百人くらいの米国人教師を日本に招き、日本の教育、社会事情を視察してもらってきました。
 私も他の議員とともに米国の教師たちに日本の社会、政治についてお話をする機会があったのですが、帰国後、多くの先生方から、日本の視察がいかに意味があり、アメリカの教育現場でどんなに役に立っているかを記した手紙を何通もいただいています。グローバルな時代であるからこそ、こういった交流が大切であると思います。
 さらに、日本の教師にも海外研修、海外留学を経験させることは、本人のためのみならず、教わる子供たちにも広い視野と国際性を与えることになると思います。教師の海外研修、留学について、現在の支援にはどのようなものがあるのか、相手国、研修プログラムも含めてお答えいただければと思います。
 さらに、海外からの教師や留学生の受入れ、学生の留学支援などももっと数を増やすべきだと思いますが、現状と今後の計画についてお示しください。
 また、小学校レベルから英語など外国語を教えることの必要について、文科大臣の御所見を伺います。
 さらに、在住外国人の子供たちへの教育について伺います。
 在日外国人の子弟で、言葉の壁に阻まれ、日本の義務教育から落ちこぼれている数が多いと聞いていますが、現状はどうなっているのでしょう。不就学と見られる外国人児童生徒数は四万から四万五千人という推計があります。外国人子弟が不登校に追い込まれているとしたら、それはまさに人道問題であり、その子供にとっては人権問題です。在住外国人の子供たちを受け入れ、同時に日本の子供たちも共に学ぶ環境の中で、世界にはいろいろな人種、宗教、考え方、風習があるということを身をもって知ることができるでしょう。まさに情けは人のためならずです。偏見を持たずに多様な世界を理解できる心の広い子供たちを育てる、これが教育の場での国際交流の柱です。総理並びに文科大臣の御見解を伺いたいと存じます。
 教育予算について伺います。
 OECD諸国では対GDPの平均三・五%が基礎教育に充てられているのに対し、我が国では二・六%にとどまっています。また、大学以上の高等教育を含めると、OECD諸国の対GDP比五%に対し、我が国では三・四%にすぎません。教育予算が低下傾向なのは日本だけであり、もっと教育予算を増やす必要があるのではないでしょうか。
 世界の優れた大学百のランキングでは、日本の大学は十九位の東京大学を筆頭に四校しかありません。日本の大学のレベルを上げるため、どのような努力がなされているか、総理並びに文科大臣に伺います。
 今、世界では優れた人材を取り合っております。ソ連の崩壊後、多くの優秀な人材がヨーロッパやアメリカの大学に招かれましたが、日本はただ指をくわえているだけでした。途上国の優れた人材の受入れについて日本ではどのような対応を取られているのか、こうした人材を迎えるためにビザの取得に関する特別枠をつくるなど検討することが必要ではないか、総理にお伺いいたします。
 医療・福祉問題について伺います。
 社会保障政策の中で私が特に重視しているのは、今や全国で深刻な医師不足が起きていることであり、しかも産婦人科医や小児科医の不足など、医師の専門科目が偏在していることです。厚生省の検討会では、医師不足を解消するため、今後十年間で医師を一・五倍に増やすことが盛り込まれました。この程度で果たして現状の医師不足を打開することが可能なのでしょうか。
 経済協力開発機構のヘルスデータ二〇〇八によりますと、加盟三十か国のうち、人口千人当たりの医師数は平均三・一人ですが、日本は二十六位の二・一人で、英国の二・五人、米国の二・四人を下回っています。一方、一人の医師が一年に診察する外来患者の平均数は、フランスが二千百人、英国約二千五百人に対し、日本は何と七千五百人で、いかに突出しているかが明らかだと思います。麻生総理、このOECDの数字にどのような感想をお持ちですか。どう変えていくおつもりか、総理、厚生大臣に伺います。
 私は、我が国は少なくとも医療・保険制度では諸外国に比べて優れていると評価しておりましたが、一つ気になっていたのは、日本の患者さんが臓器移植を求めて海外に出かけていくことです。特に乳幼児、子供の移植が気になっておりました。
 このたび、世界保健機構において自国内での臓器移植を求める決議案が示され、各国にそれに向けた国内法の整備を求めています。今まで海外で移植をする選択肢がなかった患者さんに国内でも移植ができる道が開かれるのか、臓器移植の年齢制限なども含め、我が国の国内法をどのように改正して対応するのか、総理並びに厚生大臣に伺います。
 急速に高齢化が進む我が国においては、高齢者が健やかで安心して暮らせる社会を実現することは重要な課題です。二〇〇〇年に創設された介護保険制度は、その後九年が経過し、現在では社会に深く浸透しました。
 高齢者の介護サービスに対する満足度を高めるためには、多様性を認めていくことが必要ではないかと考えます。一口に高齢者と言っても、健康状態、介護の必要性、ライフスタイルなど一人一人異なります。こうした多様な高齢者が尊厳ある暮らしを送れるよう、介護や医療を提供する場合にも個々の利用者のニーズに応じた柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。舛添厚生大臣は、お母様の介護体験から政治の道に入ったと伺っております。御経験を通じ、介護サービスの在り方についてお考えを伺いたいと思います。
 私は以前、練馬区のシルバーヴィラ向山という介護施設を見学したことがあります。この施設では、利用者のニーズに合わせた施設を造ろうとすると、国が定めた介護施設の基準に合わず認可されないため、長期滞在型ホテルという形で高齢者を受け入れているとのことでした。サービスの質を維持するために一定の基準を求めることは必要であるとしても、現行制度では国が定める施設基準や運営基準によってサービスの柔軟性が失われ、より良いサービスを提供しようとする事業者の創意工夫を阻害しているのではないでしょうか。画一的な基準に固執することなく、利用者本位のサービスを提供する事業者を育成支援するような仕組みに改めるべきではないかと思いますが、厚労大臣の御見解を伺います。
 高齢化による将来的な介護ニーズの増加に伴い、年平均四万から五万人程度の介護職員の増加が必要とされています。その一方で、介護労働者不足は深刻な状況にあり、介護労働者の処遇改善は緊急の課題です。賃金などの待遇面はもちろんですが、書類作成などの事務負担軽減や働く側のニーズに応じた夜間専門勤務、短時間勤務などのフレキシブルな働き方の促進など、国と事業者が一体となって対応していく必要があると考えております。麻生大臣の御親戚は病院経営にかかわっておられると伺っていますが、総理として、経営者として、御所見を伺います。また、厚生労働大臣にもお伺いいたします。
 介護サービスは対人サービスであり、その質は事業者や職員によって大きく左右されます。営利目当てで参入する事業者ではなく、高齢者の立場に立ったサービスを提供する事業者をいかに増やすかが重要な課題だと思います。しかしながら、平成十八年以降の都道府県介護保険事業計画において、従来の介護保険三施設に加え、グループホーム、有料老人ホームも対象としたいわゆる総量規制が導入され、グループホームや有料老人ホームの新規参入が困難な仕組みになっております。優良な事業者の新規参入が困難になれば質の悪い既存の有料老人ホームは残り続け、サービス全体の質は一向に高まらない可能性があります。厚生労働大臣の御見解を伺います。
 さて、一月二十日、バラク・オバマ氏が黒人初のアメリカ合衆国第四十四代大統領として就任しました。神話にすぎなかった人種のるつぼが、南北戦争から約百五十年を経てようやく現実のものとなった瞬間でした。アメリカ国民の新大統領への期待と信頼の大きさは、二百万人を超える群衆が就任式に集まったことで示されました。オバマ大統領の誕生は一夜にして成ったものではなく、故ケネディ大統領やキング牧師を始め、多くの人々による長年にわたる差別撤廃、公民権運動に懸けた思いが実ったものであると思います。
 人種、性、年齢差別を努力義務としてではなく、法律で禁じ、罰則を科し、差別された人々への優遇政策として積極的にマイノリティー、黒人、女性に教育や雇用の機会を与えたところが我が国との違いです。
 こうした努力の結果として誕生したオバマ大統領であるからこそ、国民の理解と信頼を得たのだと思います。そうした国民の信頼の上に立って、オバマ氏はその大統領就任演説で、アメリカ国民に義務と責任を厳しく求め、自国のみならず、大国として世界全体へのアメリカの責任と貢献について問うことができたのだと思います。総理のお考えを伺います。
 GNP、国民総生産という言葉に掛けてGNM、国民総意欲、つまりグロス・ナショナル・モチベーションという言葉があります。今回の経済危機、困難を克服するには国民の義務と貢献に加え意欲が必要です。オバマ氏の呼びかけ、チェンジにイエス・ウイ・キャンで答えたアメリカ国民の意欲は高まっています。我が国の国民に義務と責任を問い、かつ意欲を高めるためにも政治の信頼回復は必要です。
 信なくば立たず。我が国国民の政治への信頼回復のためにも、一日も早い総選挙と政権交代が必要であると申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 広中議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、金融経済危機からの回復に向けた取組についてのお尋ねがありました。
 金融市場の混乱及び世界経済の減速から脱するためには国際的な連携が不可欠であります。この観点から、引き続き米国及びEUを始めとする関係国と連携をしてまいらなければならないと考えております。
 また、先週末、ダボスにおいてブラウン英国総理大臣と会談をし、四月のロンドンにおけます第二回金融・世界経済サミットに向けて緊密に協力していくことを再確認をいたしております。
 日本は、かつて金融危機を克服した経験を生かしつつ、引き続き健全な規制の強化及び国際協力の強化などについてグローバルな視点でリーダーシップを発揮していかなければならないと考えております。
 次に、冷戦後の日本外交についてのお尋ねがありました。
 御存じのように、冷戦終結後も、朝鮮半島情勢など、このアジア太平洋地域の安全保障情勢にはいまだ不確実性が残されております。私は外交において、日米同盟を基軸にしながら、アジア太平洋諸国との連携、国連などの場を通じた国際協調を重要な柱として、平和と安定の構築に全力を尽くしてまいらなければならないと考えております。また、世界的な金融危機や気候変動問題など、これまでどおりの仕組みだけでは対応に限界がある問題につきまして、世界の新しい秩序づくりに積極的に参加していかなければならないと考えております。
 日米同盟とアジア外交についてお尋ねがありました。
 アメリカとは、先月二十九日のオバマ大統領との電話会談におきましても、同盟関係を強化、金融・経済、アジア太平洋情勢、気候変動など幅広い分野で連携していくことを確認をいたしております。
 中国、韓国とは、昨年十二月に初の独立した形での日中韓首脳会合というものを開催し、未来志向で包括的な協力を進めていくことで一致をいたしております。ASEAN諸国、豪州、ニュージーランド、インドなどとの連携にも、来る東アジア首脳会議に向けて連携を進めてまいる覚悟であります。
 このような協力を通じ、私は引き続き日本の安全と繁栄を確保し、国際社会の平和と安定の構築に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 ダボスにおいて私の行った演説についてのお尋ねがありました。
 私は、ダボスで行われました世界経済フォーラムでの特別講演会などにおきまして、経済が百年に一度と言われているような危機の中で、世界が悲観論に陥ることだけでなく、何をすべきか、その中で日本の役割は何かということを訴えたいと考えておりました。
 具体的には、経済的繁栄と民主主義を希求する先に平和と人々の幸福があるというのが戦後日本の歩みでもあり、私の信念となっていることも紹介し、その上で、現下の世界情勢を踏まえて、金融危機に対して当面の市場安定のための方策や金融規制、監督の国際協調策、また深刻な状況にあります世界経済を回復させるための財政政策の重要性、気候変動に関し我が国が遅くとも六月までに中期目標を示すことなどにつき話をさせていただいたところです。
 以上の私の主張に対し、多くの出席者より共感を感ずるとの言葉をいただきましたと同時に、日本の役割に対する評価と期待が評価をされたところでもあります。
 今後とも、機会をとらえ、世界に日本の立場なり考え方というものを明確に発信していくべきだと考えておるところでもあります。
 政府開発援助、いわゆるODAについてのお尋ねがありました。
 ODAは重要な外交手段でありまして、積極的にこれを活用し、途上国の安定と発展、貧困問題や環境などの地球規模課題の解決に貢献をしていかなければならないと考えております。
 そのためには、インフラ整備や人づくり支援により持続的な経済成長を通じた貧困の削減を図っていくとともに、教育、保健、水・衛生などの社会開発や人道面での支援などを適切に実施していくことも重要であるのは当然のことです。また、非政府組織、通称NGOとの連携強化に引き続き取り組み、援助効果の更なる向上に努めなければならないと考えております。
 アフガニスタンとパキスタンとの国境地帯の支援に関する犬塚議員の計画についてのお尋ねがありました。
 政府としては、両国の国境地域の安定性の重要性というものは十分に認識をしております。これまでも相当の支援策を行ってきたところでもあります。
 御質問の計画に関しましては、まず具体的な内容につき更に伺った上で、どのような対応が適当か、かつ、アフガニスタンとパキスタンの意向も踏まえなければならない話でもありますので、検討すべきものと考えております。
 環境と経済の在り方と新たな経済成長戦略における環境関連の雇用創出事業についてのお尋ねがあっております。
 私は、環境問題とは、成長の制約というよりはむしろチャンスにもなり得、環境分野に対し戦略的に果敢な投資を行うべきであると考えております。
 こうした観点から、例えば、住宅用太陽光発電の導入補助の創設、省エネ・新エネ設備への投資につきましては即時全額損金算入制度の創設、電気自動車に対する重量税、取得税の免除などを新たに講ずることとしたところであります。
 さらに、今後策定することとなります新たな成長戦略では、低炭素革命の柱の一つとして、新たな市場と雇用を創出する大胆な政策パッケージをお示ししたいものと考えております。
 災害に強い環境都市のモデルづくりについてのお尋ねがありました。
 我が国では、都市の防災力の強化を進めてきておりまして、具体的には、公共施設やインフラの耐震化、避難地、避難路の整備などを行っておるところです。また、自動車交通に過度に依存しないコンパクトシティーの形成や都市緑化・エネルギーの効率的利用の推進など、環境負荷の少ない都市づくりを進めてきているところです。引き続き、都市型災害への対応や環境負荷の少ない都市づくりなどを積極的に進めてまいりたいものと考えております。
 副首都を整備するという御提案があっております。
 首都が大災害に見舞われた際の備えとしては、経済社会機能のバックアップ体制などが必要であり、重要な課題の一つであるのは当然であります。
 御提案の大阪空港につきましては、関西国際空港、神戸空港と適切に役割分担しながら、国内線の基幹空港としての機能を果たしているところも大事なところです。いずれにしても、首都機能の移転につきましては、国会において検討がなされてきておると承知をいたしております。
 子供たちの育成についてのお尋ねがありました。
 子供たちが外国人の子供たちとの交流などを通じて、広い視野を持って異文化を理解する姿勢を育てることが重要、全くそのとおりだと思います。
 このような観点から、外国の学校の子供たちを日本の学校に招き、授業や学校行事を共に行う活動など、国際理解教育の取組を行ってきております。
 さらに、教育についてのお尋ねがありました。
 教育予算につきましては、OECD諸国における財政支出など、教育投資の状況を参考の一つとしつつ、必要な財源を措置しているところでもあります。
 平成二十一年度予算案におきましては、大学などの基礎研究の充実や、大学院での体系的な教育カリキュラムへの改革とともに、英語による授業のみで学位が取得できるコースの推進などに取り組むことといたしております。これらにより、大学の国際競争力の強化に努めてまいらなければならないと考えております。
 海外の優れた人材の受入れについてお尋ねがありました。
 我が国におきましては、人材勧誘や魅力的な雇用環境、生活環境の整備を進め、高度な人材の受入れを拡大していくことが必要であると考えております。
 このため、内閣官房長官の下に産官学労で構成する高度人材受入推進会議を設置、現在、必要な施策について検討いたしているところでもあります。
 なお、情報処理分野などの高度な人材につきましては、既に通常より長期の在留期間を許可する制度を設けるなど、受入れの促進に努めているところでもあります。
 医師数についてのお尋ねがありました。
 諸外国との比較につきましては、医療保険制度や医療提供体制が異なりますために一概には申し上げられません。しかし、現在、我が国において産科や小児科などで医師が不足している現状にあると考えております。
 こうした状況を改善するためには、医師養成数を増員するとともに、勤務医の勤務環境を改善することなどにより、安心して必要な医療が受けられるように更にしていかなければならないと考えております。
 臓器移植法の改正についてのお尋ねがありました。
 現在、臓器移植法につきましては、臓器提供者の年齢要件などに関し、議員立法による改正法案が三案提出をされております。継続審議とされているところと承知をいたしております。
 政府といたしましては、引き続き国会での議論を見守りつつ、国民への普及啓発など、臓器移植を推進してまいりたいと考えております。
 介護従事者の処遇改善についてお尋ねがありました。
 地域において必要な介護サービスの確保をしてまいるためには、介護従事者の処遇改善は極めて重要な課題だと考えております。
 四月から介護報酬を三・〇%引き上げる、また、働き手のニーズに応じた働きやすい労働環境の整備のため、雇用管理の改善に取り組む事業主に対する支援を引き続き行ってまいります。
 なお、事務負担の軽減につきましては、事業者団体などの意見を聞かせていただき、昨年八月に、不要な書類の削減を行うなどの見直しを実施したところでもあります。今後とも、現場の声を聞きながら全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 最後に、オバマ大統領を引用して、国のリーダー像についての御質問をいただきました。
 オバマ大統領が幅広い層の国民の支持を受けて当選され、初のアフリカ系米国大統領に就任されたことは、米国の多様性、希望、寛容さを体現したものだというように考えております。大統領制のアメリカと議院内閣制の日本とは制度が異なりますが、政治の責任者としての役割や責任は同じであると考えております。
 国内にありましては、目指すべき社会を示し、それに必要な負担と責任を国民に求めること、国際社会にあっては、平和と繁栄に貢献することであります。
 私は、私の基本的な考え方を施政方針演説で述べたところでもあります。総理大臣として、その実現に向かって努力をしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中曽根弘文君) 人間の安全保障の観点を踏まえたODAについてのお尋ねでございますけれども、我が国は、紛争や感染症などのあらゆる脅威に対処するために、個々の人間に着目をし、個人及び地域社会の保護と能力強化を図る人間の安全保障の視点が重要であると考えております。
 我が国といたしましては、この理念に基づきまして、議員御指摘の平和構築、感染症対策、女性の権利と健康なども念頭に置きまして、開発途上国の自助努力を支援してまいります。
 次に、パレスチナ問題とアフガニスタン問題に関する政府の対応についてのお尋ねがございました。
 パレスチナ問題につきましては、ガザ情勢の緊迫直後から、関係国等の首脳部への総理や私からの電話やまた有馬中東和平担当特使の現地派遣を通じまして、即時停戦を強く働きかけました。また、ガザ地区への食糧や医療分野での一千万ドルの緊急人道支援や毛布等の物資協力を実施をいたしました。
 ガザ地区の人道状況の改善や平和と繁栄の回廊構想の推進等を通じまして、二国家解決に基づく中東和平の実現に向け積極的に努力をしてまいります。
 アフガニスタンにつきましては、我が国は同国を再びテロと麻薬の温床にしないとの決意の下、インド洋での補給支援活動などの治安・テロ対策やインフラ、医療、教育など、幅広い分野における千七百億円を超える人道復興支援を実施し、成果を上げてきました。今後とも、同国の安定と復興に向け、積極的に支援していく考えであります。
 また、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯への支援に関する犬塚議員の計画についてお尋ねがございました。
 ただいま総理が答弁されましたとおり、政府といたしましては、アフガニスタンとパキスタンの国境地域の安定がテロとの関係において非常に重要であると認識をしておりまして、二〇〇七年五月以降、同地域に対して、教育、保健医療分野、難民・避難民支援、国境管理支援、コミュニティー開発支援等、約八十億円の支援等を実施してきております。
 御質問の計画に関しましては、まずその詳細な内容を承知する必要がありますが、その上で、国境地帯で具体的に更にいかなる支援を行うべきかについては、アフガニスタンとパキスタンの自主性を尊重し、両国と緊密に情報交換しながら検討すべきものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(二階俊博君) 広中議員にお答えをいたします。
 新たな成長戦略の中の環境関連の雇用創出事業についてのお尋ねでありましたが、現在はともすれば経済が萎縮してしまいがちな状況にあるわけでありますが、私は、こうしたときこそ更にこのピンチをチャンスにという気概を持って将来を見据えた新たな産業を創出し、二十一世紀にふさわしい経済産業構造の構築を目指していく必要があると考えます。
 さきに閣議で決定しております新経済成長戦略を基礎としながら、今後の成長が期待される戦略の分野について、官民を挙げて大胆な投資を行うことを基本的な方針とした、先ほど総理も御答弁されましたが、新たな成長戦略の策定を進めておるところであります。
 例えば、環境・エネルギー分野については、我が国が国際競争力を有する太陽光発電や電気自動車などの技術開発や導入促進を加速化し、低炭素社会の実現とともに、新たな成長市場の創出を目指してまいります。
 いずれにせよ、個人、企業、地域の方々が自らの行動を具体的にイメージできるような、羅針盤となるような成長戦略の策定に全力を尽くしたいと思います。
 次に、災害に強い環境都市のモデルづくりについてのお尋ねがありました。
 広中議員御指摘のとおり、我が国が誇る太陽光発電、電気自動車など、環境・エネルギー技術の活用と都市機能保全の根幹を担う危機管理機能の両立は、都市づくりを進める上において極めて重要であります。
 経済産業省としましても、このような先進的な環境・エネルギー技術を大いに活用した新たなモデルづくりに対して、支援措置として、例えば地域発の新社会システム実証プロジェクト、住宅太陽光発電に関しまして、去る一月十三日から募集を開始し、既に一月末までで五千百九十六件の申請をいただいております。住宅用太陽光発電の導入支援を積極的に進めてまいりたいと思います。また、電気自動車の導入や急速充電設備への支援等に積極的に取り組んでおります。
 東京直下型地震発生時における危機管理機能の維持に関してお尋ねがございました。
 いつか必ず来ると言われる東京直下型地震の際において、危機管理の中枢機能が麻痺し、我が国の政治、経済、文化に重大な影響を及ぼすことがあってはなりません。こうした観点から、私はかねてから首都機能移転について強い問題意識を持っておりました。広中議員とともに御協力をいただき、神戸の災害復旧に努力した日のことを思い起こしております。災害に対する安全性の視点のみならず、環境とも調和し、高度な生活文化水準を実現した我が国の顔となるべき風格を備えた象徴的な役割を担う都市とすべく、いま一度議論を深めていくことが必要であります。
 首都機能の移転は国家百年の大計を決めるような大事であります。本件については、議論を進め成果を得ていくためには、国民的な議論を深めることがまず重要であります。同時に、国会においても与野党の垣根を越えて議論をすることなどが必要であると考えております。以上です。(拍手)
   〔国務大臣塩谷立君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(塩谷立君) 広中議員より九つの質問をいただきました。
 最初に、教育改革の評価と今後の推進についてお尋ねがありましたが、六十年ぶりに改正された教育基本法、そして安倍内閣の下で教育再生会議における提言を踏まえ、教育三法や社会教育法の改正、学習指導要領の改訂等を行ってまいりました。今年から小学校、中学校の新しい内容の教育が始まります。また、十年先を見通しつつ、五年を計画の期間とする教育振興基本計画を昨年七月に策定し、新しい教育行政の道筋を明確にしております。
 今後、この計画を着実に実行に移していくことが私の使命と考えております。とりわけ、教育基本法の理念の実現に向けて、子供たちに生きる基本を知育、徳育、体育によってはぐくむとともに、世界トップレベルの学力を目指してまいりたいと考えております。
 次に、教員免許更新制のお尋ねでありますが、大学等での免許状更新講習の開設については、平成二十年、昨年に百四大学等で試行を行うなど、質、量共に各地域で必要な講習確保に努めております。
 また、山間地、離島、へき地等の現職教員が円滑に講習を受講できるよう、各大学等に出張講習の開設を促しており、平成二十一年度予算案において必要な経費を計上しております。
 教員免許更新制は今後の教員の資質向上のための重要な施策であり、平成二十一年の四月からの円滑な実施に向けて万全を尽くしてまいります。
 次に、教職員定数及び非常勤講師の増についてのお尋ねがありました。
 平成二十一年度予算案においては、定数増八百人を含む一千人の教職員定数の改善を行うとともに、退職教員等外部人材活用事業を倍増し、一万四千人に拡充することとしております。これらにより、学校のマネジメント機能の強化や特別支援教育の拡充などを図り、教員が子供に向き合う環境をつくるとともに、新学習指導要領の円滑な実施のための指導体制の整備を図ることとしております。
 次に、教師の海外研修、留学に対する支援についてお尋ねがありました。
 アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア等に教員を派遣する教職員等海外派遣研修や、世界各国の日本人学校などの在外教育施設への教員の派遣について支援を行っているところであります。
 次に、留学生等の受入れと派遣の現状と今後の計画についてのお尋ねですが、現在、我が国の大学等で学ぶ外国人留学生の数は、海外の現職教員百三十人を含め十二万四千人であります。一方、海外の大学等で学ぶ日本人の学生は八万人であります。
 文部科学省としましては、二〇二〇年に留学生受入れ三十万人を目指す留学生三十万人計画を関係府省・機関と連携して推進してまいります。特に、大学の国際化を推進し、教育研究水準の向上を図ることとしております。また、国際的に活躍できる人材を育成する観点から、日本人の海外留学を促進するために奨学金の支給及び貸与等の支援を行っております。
 今後、留学生三十万人の実現と日本の海外留学の推進のため積極的に取り組んでまいります。
 小学校における外国語教育についてでありますが、社会や経済のグローバル化に伴い、小学校段階で外国語に触れたり体験したりする機会を提供することは重要であると認識をしております。このため、新しい学習指導要領では、小学校五、六年生に外国語活動を導入したところであり、今後、その円滑な実施に向けて各種条件の整備を努めてまいります。
 在日外国人の子供の教育についてのお尋ねですが、外国人の子供が学校生活に適応し、学習活動に参加する上で日本語指導の充実は極めて重要であります。このため、文部科学省としましては、日本語指導を担当する教員の加配、日本語指導者等に対する研修、第二言語としての日本語カリキュラムの開発及び普及等の取組を行っております。
 これらの取組により、日本の公立学校で学ぶ外国人児童生徒が日本語指導や適応指導を受けられるよう最大限の支援をしてまいります。
 次に、多様な世界を理解できる子供たちの育成のお尋ねでございますが、総理からも先ほど答弁がありましたが、日本の子供たちが外国人の子供と一緒に学ぶ中で、広い視野を持って異文化を理解し、共に生きていこうとする姿勢を育てることは大切なことであります。文部科学省としましても、こうした国際理解教育を推進するため、外国人児童生徒と日本人児童生徒の交流や相互理解を図る取組を行っているところでございます。
 最後に、教育予算についてでございます。
 OECDのデータによれば、我が国の公財政教育支出の対GDP比はOECDの加盟国二十八か国中最下位であることから、高等教育を始め、必要な予算について財源を措置し、是非とも教育投資を拡充をしてまいりたいと思っております。皆さん方の御協力をお願いしたいと思います。
 また、我が国の大学の教育研究の質の向上は、個別の大学はもとより、我が国の発展を支える社会システムの一つとして重要な課題であります。平成二十一年度予算案においても、基礎研究や大学院教育への支援、また英語による授業や外国人教員の比率を高める等、国際化拠点整備事業の予算を計上しているところでございます。
 今後とも、国際的な競争環境の中で我が国の大学の更なる質の向上に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(舛添要一君) 医師数についてお尋ねがございました。
 総理がお答えしたとおり、御指摘の医師数等の諸外国との比較については一概に申し上げられませんが、我が国においては、産科や小児科等では医師が不足している状況にあると考えております。
 こうした状況を改善するため、来年度の大学医学部定員を過去最大の八千四百八十六名に増やしたほか、昨年成立した一次補正予算に続き、二次補正予算、来年度予算等を通じて切れ目のない施策を実施してまいります。
 特に、来年度予算におきましては、産科、救急、へき地など、現場で働く医師に対する支援を行うとともに、医師不足で困っている地域に医師を派遣した医療機関に対して財政支援を行うこととしております。また、女性医師等の勤務環境を改善するため、院内保育所を設置する病院に助成を行うこととしております。
 引き続き、国民が安心と希望を持てる医療体制の構築に向け、全力で取組を進めてまいります。
 臓器の移植に関する法律の改正についてお尋ねがございました。
 臓器の移植に関する法律につきましては、議員立法による改正法案が三案提出されておりまして、現在、継続審議とされているところでございます。
 この問題は、人の生死にかかわる個人の倫理観に基づき判断されるべきものであり、政府としては、今後、各党や国会等での御議論を見定めてまいりたいと思っております。
 また、厚生労働省としては、現行の臓器移植法に基づき、臓器提供に向けた御意思が臓器移植にきちんと生かされるよう取り組むとともに、移植医療の適正な実施について一層の推進を図っていく考えでございます。
 次に、介護サービスの在り方についてお尋ねがございました。
 介護保険制度は、高齢者が介護を必要とする状況になっても尊厳を持って自立した生活を送ることができるよう、国民の共同連帯の理念に基づいて創設された制度でございます。今後とも、この精神にのっとり、介護保険制度が高齢者お一人お一人の老後の安心を支える制度として機能していくよう全力を尽くしてまいります。
 介護施設の基準の在り方についてお尋ねがございました。
 介護保険施設や有料老人ホームにつきましては、高齢者が入所する施設として最低限の居住環境を確保することが必要であるほか、介護保険法上の指定を受けている場合は、保険料や公費負担により賄われる介護保険の対象施設として、介護サービスや保健医療サービスの質の確保が必要でございます。このため、国として一律の最低基準を設けた上で、都道府県等による設置認可等や介護保険法上の指定の対象としているところでございます。
 他方、これらの基準については、サービスの質を確保しつつも、事業者の方々の創意工夫を生かす観点から、過度に制限的なものにならないことが重要だと考えております。今後とも、事業者の方々などから御意見を伺いつつ、適切な基準の設定に努めてまいります。
 介護従事者の処遇改善に関するお尋ねがございました。
 介護従事者の処遇の改善を図るため、本年四月にプラス三・〇%の介護報酬改定を行うこととしているほか、事業負担の軽減については、事業団体等の意見を踏まえ、昨年八月に削減、簡素化が可能な事務手続等の見直しを行ったところでございます。今後とも、随時検討し、実施していくことにしております。
 また、介護人材を確保し安定的に介護サービスを提供するためには、介護分野に多様な人材の参入、参画を図る必要があり、働き手のニーズに応じた働きやすい労働環境の整備が重要でございます。介護従事者の雇用管理改善に取り組む事業者に対する支援を行ってまいります。介護従事者の処遇改善は喫緊の課題であり、全力で取り組んでまいります。
 最後に、介護保険事業支援計画におけるいわゆる総量規制についてお尋ねがございました。
 都道府県計画における施設等の定員設定については、高齢者が要介護状態となっても可能な限り自宅や地域での生活を継続できるよう、施設、居住系サービスと在宅サービスとのバランスの取れた整備を行っていくという観点から必要であると考えております。
 なお、有料老人ホーム等におけるサービスの質に関する御指摘につきましては、引き続き、介護保険法や老人福祉法に基づき、都道府県や市町村において適正な指導監督が行われるよう周知徹底を行ってまいります。
#16
○副議長(山東昭子君) それでは、これにて午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十六分開議
#17
○副議長(山東昭子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。水落敏栄さん。
   〔水落敏栄君登壇、拍手〕
#18
○水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄です。私は、自由民主党を代表し、総理の施政方針演説などに関して質問をさせていただきます。
 質問に先立ち、イスラエルとパレスチナのガザ自治区の紛争、まさに戦争と言っても過言ではありませんが、この紛争により多大の犠牲者が出ております。さきの大戦で父を亡くした私は、父亡き後の母の苦労、収入が途絶えたため苦しい生活を体験した一人として、紛争の犠牲となって尊い命を失った方々やその家族を思うと心が痛みます。一日も早く紛争が終結することと、日本の平和、世界の恒久平和を心から祈念する次第です。
 さて、麻生総理は、米国のサブプライムローンに端を発した金融危機が世界に飛び火し、我が国においても、百年に一度の経済危機との認識の下、二十年度第一次補正、第二次補正と適切な対策を講じてこられました。
 総理は施政方針演説で安心と活力のある社会を目指す決意を示されました。雇用対策、生活支援対策、中小企業対策等々、喫緊の課題が山積しております。これらの対策を早急に行わないと、将来の展望は描けず、更に先行きの不透明感が高まってしまいます。
 こうした状況を考えますと、平成二十一年度予算と関連法案の速やかな成立が必要と考えます。野党の皆さんも、国民の生活を第一に考えれば、いたずらに審議を引き延ばすようなことはされないと思っていますが、予算の速やかな成立に向けて、総理の御決意を伺います。
 現在の経済危機は世界規模であり、まさに百年に一度と言われるものです。国民の安心実現のためには、第二次補正予算、平成二十一年度予算だけで十分なのかという声があります。私は、景気の状況をにらみながら、機動的、迅速な追加対策が必要ではないかと考えておりますが、総理の御所見を伺います。
 無駄な公共事業という言葉が流布されて以来、厳しい国家財政の下では公共事業は削減すべきであるという主張が声高に叫ばれ、あたかも公共事業は悪であるかのごとき風潮さえあります。
 しかしながら、公共事業は、国民の安心、安全を守り、国民経済を支える産業基盤を整備するためのものです。国民の安全を守るために、子供が教育を受け災害時避難所になる学校やけが人の治療に当たる病院の耐震化、あるいは災害時に人的、物的被害を最小限とするためのがけ地や河川の防災工事は早急に進めるべきです。また、二酸化炭素を吸収し防災機能を持つ森林の整備も欠かせませんが、間伐を進めるための林道を整備することも必要です。国際競争力を保ち、将来の日本を支える産業を育てていくためにも、産業立地の基盤である道路、空港、港湾などの整備も急がなければなりません。
 平成二十一年度一般会計予算における公共事業費は、対前年度比マイナス五・二%と、大きく減少しています。こうした公共事業の削減によって、国民総生産にマイナス〇・一%の影響が出ると民間調査機関は試算しています。
 百年に一度の経済危機にあって景気回復を図るためには、思い切った財政出動が不可欠であり、将来に向かっての社会資本整備が欠かせないと思いますが、あえて公共事業を削減したのはいかなるお考えによるものでしょうか。また、今後予備費を公共事業費に活用するお考えがあるのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 農林水産業問題について質問します。
 昨年は、中国の毒ギョーザ事件や汚染米、食品表示偽装等々、食の安全、安心が脅かされました。また、最近、国際的な穀物価格の乱高下や食料自給率の低下などを受けて、食料の輸入依存の見直しを求める声が広がっています。同時に、WTOの貿易自由化交渉やFTA締結交渉において最大の焦点となっているのが農業分野であります。しかしながら、我が国では耕作放棄地がますます拡大し、担い手が高齢化して農業従事者が不足するなど、我が国の農業は誠に深刻な状況にあります。
 また、国際社会でも食料自給率の維持は近い将来行き詰まる国々もあり、我が国の食料輸入は困難となってまいります。将来、世界的な食料難から、食料確保のため、戦争が起こり得ると識者も述べています。
 私は、農は国の基であると考えています。農業こそは国民の生命と健康、食料の安定供給、国土の環境保全、景観の保持、日本固有の文化や伝統、日本人のアイデンティティーの形成に大きな役割を果たし、国家国民の存続の基盤であるからにほかなりません。
 こうした内外の環境変化の中で我が国の農業はいかなる道を歩んでいくのか、石破農林水産大臣の所見を伺います。
 石破大臣は昨年十二月二十八日の記者会見で、米の生産調整をやめることを視野に入れた発言をされた報道がありました。米の生産調整については、実効性を含め、様々な意見があり、政府・与党として、昨年、水田フル活用、米価下落対策などの新しい米政策改革を打ち出しました。その結果、昨年の米価は豊作にもかかわらず安定し、農村に活力と安心感が生まれてきました。
 こうした中で、大臣の御発言は日本の農業を抜本的に見直すことになり、まじめに生産調整を行ってきた農家はこの先どうなるんだろうかと不安を持ち、見直し議論を見守っています。減反政策を見直す御発言の真意をお聞かせください。
 私たちは、それぞれ目的を持って人生を生きる、生きていくわけですが、それにはまず健康でなければなりません。したがって、健康な体をつくる源となる食というものが安全であり、安心して食べられることが求められています。
 しかしながら、戦後の農業は、化学肥料と化学農薬に過度に頼るなど、環境に負荷を与え、土壌劣化や地下水や大気の汚染、生態系の破壊など様々な問題が生じ、ひいては農作物の安全や人の健康も脅かされる結果となりました。化学肥料を使わない有機農業を推進する超党派の議員連盟を二〇〇四年に結成し、二〇〇六年に有機農業推進法を作りました。
 二〇〇三年度の農林水産省の調査によると、国民の八割が、農業、畜産、水産物の生産過程での安全性が不安である。生産者に望むことの五割が安全、安心、次いで二割が有機栽培、無農薬、減農薬であります。このように国民の食の安全、安心のニーズにこたえる必要がある、こうした考えから、昨年四月からは有機農業総合支援対策がスタートしました。
 しかしながら、こうした施策は緒に就いたばかりです。有機農業への参入促進等々、更に積極的に具体化を推進する必要があると考えます。農林水産大臣の取組の考え方をお聞きします。
 次に、教育問題について質問します。
 安倍内閣において約六十年ぶりに教育基本法が改正されました。私は、国づくりの基本は教育にあると考えます。そして、戦後行われてきた教育は、占領政策の後遺症と偏向した教育によって人々に大きな影響を、しかも負の影響を与えました。最も深刻な問題は、一九八〇年代からの教育で、個人の権利、自由、平等を全面的に押し出した教育です。
 一方、個人の義務や責任、公などはほとんど教えてこなかったのであります。ましてや、日本の文化や伝統、家族や家庭の大切さなども教えてこなかったのであります。その結果、自分さえよければいいという履き違えた個人主義、ゆがんだ自己中心の風潮がはびこってしまいました。
 教育基本法の改正に伴い、教育振興基本計画も策定されました。したがいまして、今から二十年、三十年掛かるかもしれませんが、日本の未来を担う子供たちが生まれ育った郷土を愛し、日本国を愛し、日本人として誇りが持てる、そうした人づくり、国づくりの教育をしていかなければ、この国は将来大変なことになる、こう確信するものであります。
 総理は、我が国の教育を今後どのように行っていくお考えか、御所見をお伺いします。
 教育基本法に基づく教育振興基本計画では、知徳体の調和、公共の精神を尊ぶ、我が国の伝統と文化を基盤とする三点を基本法の理念ととらえ、その上で、生涯教育、社会全体での教育の具体的な施策が盛り込まれています。振興基本計画に具体的にどのように取り組んでいるのか、塩谷文部科学大臣に伺います。
 特に、子供たちの豊かな情操や規範意識、公共の精神をはぐくむなどの観点から、道徳教育の充実とその促進が重要であります。しかしながら、基本的な指導内容や教材があいまいであるなど、課題もあります。自分さえよければという個人の欲望から生じる殺人事件など根絶するためには、具体的施策をスピード感を持って実行することが大切です。道徳教育の具体化、促進について、文部科学大臣のお考えをお聞きします。
 新卒者の就職内定問題についてお伺いいたします。
 この四月から就職する高校生、大学生の内定取消しが深刻な問題となっていますが、中学、高校、大学とも、卒業見込みの方々の就職内定率も前年度を下回っていると承知しています。平成六年から十年余りにわたって新卒者の就職難が続き、就職氷河期という言葉が生まれました。この時期に卒業を迎え、就職ができず、その後フリーターなどの非正規労働者となった方々も多数おられます。現在問題となっている非正規労働者増加の一因とも言えるのではないでしょうか。これからの日本を担う若者たちがその門出から夢や希望を持てないという状況は放置できることではありません。何としても就職がかなうよう、政府として支援していく必要があります。卒業見込みの方々の就職内定状況の現状と、就職支援をどのように行っていくのか、総理及び文部科学大臣にお伺いします。
 最後に、麻生総理に靖国神社参拝について伺います。
 申すまでもなく、靖国神社には、さきの大戦の戦没者を始め尊い命を国家のためにささげた二百四十六万余柱の御霊が祭られております。その靖国神社に、国家国民を代表する内閣総理大臣が参拝し、敬意を表し、感謝の誠をささげることは、極めて当然の行為であり、国の基本と考えます。
 日本遺族会を始め軍恩連盟、傷痍軍人会等、旧軍人は言うに及ばず、心ある多くの国民が総理の靖国神社参拝を強く願っております。
 平成十三年からは小泉総理が六年続けて靖国神社に参拝され、戦没者遺族はもとより、多くの国民はこのことを高く評価しております。しかしながら、小泉総理の後を受けた安倍総理、そして福田総理も靖国神社に足を運ばれることなく退かれ、内閣総理大臣の靖国神社参拝が中断していることは御承知のとおりであります。誠に残念でなりません。麻生総理の政治思想を考えるとき、戦没者遺族を始め大多数の国民は、必ず参拝していただけるものと信じております。どうかこの国民の熱願をお酌み取りいただきたいと思います。
 昭和二十年八月十五日、我が国は有史以来初めて敗戦、占領という事態に際会しました。そうした厳しい占領下にあっても、昭和二十年十一月二十日には幣原総理が参拝されておりますが、昭和二十六年九月八日、サンフランシスコ講和条約が調印され、麻生総理の祖父であられる吉田茂内閣総理大臣は、この日を待ちかねていたかのように、十月十八日、靖国神社秋の例大祭に公式参拝され、新聞各紙も写真入りで極めて好意的に報道しております。その後も何ら問題なく、吉田総理を始め歴代総理が靖国神社の春秋の例大祭に参拝され、このことが昭和五十年まで続けられてきたことは御案内のとおりです。
 世界いずれの国においても、国のために犠牲となられた方々は最高の儀礼をもって遇されており、それが行われていないのは、残念ながら我が国だけであります。
 麻生総理の下には、是非とも靖国神社に参拝してくださいというたくさんの声が届いていると仄聞いたしております。これが肉親を国家のためにささげた戦没者遺族らの切なる願いであり、総理の靖国神社参拝は心の支えなのです。吉田総理のDNAを受け継ぐ麻生総理におかれては、政府自ら認めている戦没者追悼の中心的施設である靖国神社に参拝されるよう強く要望いたします。ついては、総理の御所見を伺います。
 終わりに、かつての戦争で父を亡くした一人として、自らが体験した戦争というものがいかに悲惨であるか、そして平和がいかに尊いものであるか、このことを後世に伝えていくことこそが私たちに課せられた使命と考えております。
 今日の日本の平和と繁栄はさきの大戦で犠牲になられた方々の礎の上に築かれている、このことを深く銘記し、日本の平和、世界の恒久平和のために不断の努力をしてまいることを誓い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 水落議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、平成二十一年度予算の成立に向けた決意及び経済状況に対する機動的な対応についてのお尋ねがあっております。
 平成二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する、いわゆる生活防衛のための大胆な実行予算として極めて重要な予算だと考えております。国民生活を守るための施策としては、雇用対策、医師確保、救急医療対策、出産支援、防災対策などを実行することといたしております。また、経済緊急対応予備費や中小企業向け資金繰り支援など、日本経済を守るためのセーフティーネット、地域の底力の発揮、成長力の強化などの施策も盛り込んでおるところであります。
 このように、平成二十一年度予算につきましては、景気対策に十分なものであると考えております。国会でできるだけ早く成立をさせていただき、新年度初めから速やかに執行できますことを、これが最も重要な景気対策だと考えております。
 公共事業関係費についてのお尋ねがありました。
 平成二十一年度の公共事業関係費につきましては、財政健全化に向けた基本的方向性を維持しつつ、集中豪雨、緊急浸水対策の強化、高齢者が安心して暮らせるようなバリアフリー性能を備えた公営住宅に対する助成の拡充など、国民生活の安全、安心に資する事業、地域活力基盤創造交付金の創設などの地域の自立、活性化に資する事業などへの重点化を行ってつくり上げられたものであります。
 なお、二十年度第一次補正予算や第二次補正予算におきましても、防災対策や地域活性化対策などに取り組んでおり、これらと併せて社会資本整備の一層の充実に努めなければならないと考えております。
 経済緊急対応予備費につきましては、予見し難い経済情勢の推移などの大きな状況変化が生じたことなどによりまして、雇用、中小企業金融、社会資本整備などの分野に機動的に対処したいといたしております。今後の経済情勢を見つつ、適切に活用してまいりたいと考えております。
 教育についてのお尋ねがありました。
 新しい教育基本法では、我が国の教育を取り巻く状況の変化を踏まえ、伝統と文化の尊重や我が国と郷土を愛する態度を養うことなど、今日重要と考えられております具体的な理念が規定されておりますのは御存じのとおりです。
 国づくりの基本は、おっしゃるとおり人づくりです。明るい日本をつくるには、日本の底力に自信と誇りを持てる教育が重要だと考えております。内閣の重要課題として、質の高い教育を政府全体で実現してまいりたいと考えております。
 高校生、大学生への就職支援についてのお尋ねがありました。
 この四月から就職する予定の者の内定取消し状況は、本年一月二十三日現在、一千二百二十五人となっております。これに加えて、内定取消しを示唆された者などが相当数に上っており、事態の深刻さは十分に認識をいたしております。
 このため、実態把握を行うとともに、内定取消しを行った企業名の公表や、大学、高校における土、日を含めた就職相談などの取組への財政支援などを政府全体で進めてまいりたいと考えております。
 靖国神社の参拝についてのお尋ねがありました。
 おっしゃるとおり、靖国神社への参拝につきましては、国民や遺族の方々に限らず、多くの方々が戦没者の追悼のためにその心情に基づいて行っておられるものと十分に認識をいたしております。総理の立場は個人的信条と異なってはおりますが、私としては状況を見て判断をいたしたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(石破茂君) 水落議員にお答えいたします。
 農業の展開方向についてであります。
 議員御指摘のとおり、我が国農業は存亡の危機にあります。それはすなわち、持続可能性そのものが危機にあるということだと私は理解をいたしております。これを持続可能にしていかねばなりません。そのことにより、国民に安全、安心な食料を供給し、また世界全体の食料需給の安定化に寄与していくことが重要であります。
 このため、農政改革を実行し、持続可能性を回復させるとともに、食料自給力を向上させ、国際化の進展にも対応し得る農業構造を確立していくことが我が国農業の歩むべき道であります。
 先般設けられました農政改革関係閣僚会合におきまして、今後スピード感を持って検討を行い、政府一体となって農政改革に取り組みますとともに、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた議論を進め、国民に安心を、農業者に希望を、農村に雇用とにぎわいをもたらす新しい農政を展開してまいります。
 次に、米の生産調整についてのお尋ねであります。
 主食用米の需要が年々減少し、水田の約六割でこれを賄える状況となっております。このため、水田の四割で自給率の低い大豆、麦などを作っていただき、自給力の向上につなげるため生産調整を実施しております。
 しかしながら、生産調整を実施している多くの方々は、生産調整を実施しない人の方が有利なのではないかと、そのような不公平感を感じているのが事実であります。私は、この不公平感を解消し、将来展望のある水田農業を確立していかなければならないと考えております。その際、これまでまじめに生産調整に取り組んでこられた方々に報いていくことは当然であります。
 二十一年産からは、水田で米粉用米や飼料用米の増産を本格的に開始し、水田フル活用、全面活用に取り組むことといたしておりますが、これを軌道に乗せますとともに、米政策、水田農業政策の在り方を消費面、流通面を含め、あらゆる角度から検討し、成案を得てまいりたいと考えております。
 最後に、有機農業の推進についてであります。
 農林水産省は、有機農業推進法の制定を受け、有機農業、すなわち、農薬、化学肥料等を使わないことを基本として、環境に与える負荷を極力少なくした農業生産を支援するため、有機農業総合支援対策を昨年四月から実施しております。
 本対策におきましては、セミナーや大学講座などの開催を通じた有機農業への参入促進、参入希望者に対する営農技術やマーケティングの指導による就農の拡大などを支援いたしますとともに、学校給食を介した地産地消型の有機農業を進めるなど、自治体と農業者が協力して有機農業の拡大、定着に取り組むモデルタウンの育成を進め、有機農業の全国への展開を図っております。
 農林水産省としては、平成二十三年までに全国の五〇%以上の市町村において有機農業の推進体制を確立することを目標に、この対策を引き続き実施いたし、有機農業を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩谷立君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(塩谷立君) 水落議員の御質問にお答えいたします。
 最初に、教育振興基本計画への具体的な取組についてお尋ねがありました。
 教育振興基本計画は、改正教育基本法に示された教育の理念を踏まえ、教育改革を総合的、計画的に推進するため、学校、家庭、地域、行政が一体となった教育立国への筋道を明確にしたものでございます。この基本計画の実施に当たって、中教審の意見も聴きながら、毎年度、重点的に取り組むべき施策をまとめて公表するとともに、進捗状況の点検を行い、効果的かつ着実に教育振興基本計画を実施してまいります。
 次に、道徳教育の具体化、推進についてのお尋ねがありましたが、昨年改訂した小中学校の学習指導要領では、人間としてしてはならないことをしない、相手の立場を理解し支え合う態度を身に付ける、主体的に社会の形成に参画するなどの指導の重点化や、児童生徒が感動を覚える教材の活用、道徳教育推進教師を中心に全教師が協力して道徳教育を展開する指導体制の充実などの改善を図ったところであります。
 このような学習指導要領の改訂の趣旨を踏まえ、文部科学省においては、心のノートの改善を取り組むとともに、平成二十一年度予算案に道徳教育用教材に対する新たな財政支援の試行経費を盛り込んでおります。これらの政策を通じて、道徳教育の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
 さらに、道徳教育始め生きる基本、基礎学力、体力等を推進するために、日本の良さを見直そうということで、心をはぐくむための五つの提案ということで私なりに国民に提案してまいりたいと思っておりますが、一つは、読み書きそろばん、外遊び、そして二つ目、校訓を見詰め直し実践する、そして三つ目、先人の生き方や本物の文化芸術から学ぶ、四つ目、家庭で生活の基本的ルールを作る、さらに五つ目は、地域の力で教育を支える、こういった点をまた国民と皆さん方で協力して子供たちの教育に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
 また次に、内定取消し問題への対応のお尋ねでございますが、総理からもお答えがありましたとおり、今般の経済・雇用状況の悪化により就職内定取消しを受けた者が増加しており、事態の深刻さを認識しております。
 文部科学省としましては、大学、高等学校の就職支援部門の訪問など実態把握を行うとともに、各大学等において公共職業安定所と連携しつつ、きめ細かく対応を行うよう求めています。平成二十一年度予算案において、各大学等の就職支援の強化など総合的な学生支援事業として二十四億円を計上しているところでございます。引き続き、就職を希望する学生に対するきめ細かな支援を行ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#22
○副議長(山東昭子君) 高嶋良充さん。
   〔高嶋良充君登壇、拍手〕
#23
○高嶋良充君 民主党・新緑風会・国民新・日本の高嶋良充です。私は、会派を代表し、政府四演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 先日の自民党尾辻会長の厳しい代表質問を聞いておりますと、もはや自公政権の崩壊は秒読み段階に入ったのではないでしょうか。与党から追及され、説得力ある答弁もできないようでは、既に政権末期の症状と言わざるを得ません。
 麻生政権は、政策の軸がなく、ぶれ続け、まさにきりもみ状態の中で、その場しのぎの政権運営に終始しているのであります。そのため、内閣支持率は二〇%を割り込み、かつて内閣退陣に追い込まれた竹下、宮澤、森内閣の不支持率に迫る勢いであります。政権発足後四か月でこれほど支持率が凋落をするのは、過去にもなかったことであります。このような支持率急落の原因はどこにあるのか。それは、一国の最高指導者である総理大臣にとって最も重要であるリーダーシップを始めとする総理の器に国民が疑問を抱いているからではないでしょうか。
 平時ならいざ知らず、今問われているのは、危機の時代の宰相として麻生総理がふさわしいのかどうかが問われているのであります。経済危機が深刻になればなるほど、皮肉なことに、経済の麻生を自負されていた麻生総理の支持が急激に落ち込み、逆に我が党の小沢代表が総理にふさわしい一番手として支持率を逆転していることでも明らかなように、危機の時代の日本のリーダーにだれがふさわしいのか、それはもう一目瞭然でありませんか。
 総理、今国民が望んでいるのは、定額給付金に見られるようなばらまき型の景気対策や小手先の雇用対策ではありません。目の前にある問題に対処することも大事ですが、それ以上に、長期的な視点に立ったビジョンとそれを実行するリーダーシップが求められているのであります。
 麻生内閣のビジョンなき改革の典型が消費税の増税ではありませんか。消費税増税が福祉のためだというなら、その福祉を始め、社会保障の全体像を国民の前に示さなければなりませんが、総理は中福祉中負担を表明されているだけで、具体像がなく、全く説明不足なのであります。
 また、総理は、増税の前に無駄を省き行革を行うと言っていますが、それならば、究極の無駄遣いと言われる定額給付金をなぜ行うのですか。選挙目当てのばらまきで、政権維持のみを考えているからではありませんか。消費増税を主張されるなら、今からでも遅くはありません。政府の財政制度等審議会までもが撤回を求めている、無駄遣いの象徴である定額給付金を撤回されることが先決であります。総理の決断を求めます。
 アメリカ国民は、ブッシュ共和党政権の市場原理主義と、それがもたらした金融バブルで生じたゆがみを是正する役割を、オバマ大統領率いる民主党の政権に託して危機を乗り越えようとしているのであります。まさに、ブッシュ路線からのチェンジ、変革であります。日本においても、米国流の市場原理を重視をした規制緩和と、競争と自己責任論による小泉構造改革によって格差社会となり、今やOECDのレポートでも、先進国では米国に次ぐ貧困大国になっているのであります。
 麻生総理は、施政方針演説で、官から民へといったスローガンや、大きな政府か小さな政府かといった発想ではあるべき姿は見えないと表明されました。これは小泉改革と一線を画すということでしょうか。それならば、日本を格差大国にした、現在の経済危機を加速させた小泉改革ときっぱりと決別をすると宣言すべきではありませんか。明快にお答えください。
 小泉改革の象徴であった郵政民営化、その郵政選挙で獲得した衆議院の三分の二議席に依拠して政権運営をされている以上、麻生政権では小泉改革と決別できるはずもないのであります。小泉改革と一線を画すと言われるなら、一刻も早く解散・総選挙を行い、仮免政権ではない自前の本格的な政権をつくられることが先決ではありませんか。
 小泉改革は、弱肉強食、弱者に冷たい改革でした。その最たるものが、労働の規制緩和による貧富の差の拡大であります。
 派遣労働を始め非正規労働者が増加し、働いてもまともな暮らしができないワーキングプア、年収二百万円にも満たない人が今や一千万人を超えているのであります。そこに金融危機に端を発した経済危機が追い打ちを掛け、今日のような最悪の雇用失業状況となっているのであります。実際、派遣や請負にかかわっている業界団体は、製造業で働く約四十万人の派遣、請負の労働者が今年の三月までに職を失うとの試算を発表しております。これらの派遣労働者の問題がより深刻なのは、彼らが低賃金であるがゆえに貯蓄もままならず、職を失うと同時に住まいをも一瞬に失うというリスクを背負っているからであります。
 使用者の使い勝手の良さだけが優先される不安定な雇用形態をつくり上げ、社会問題化させてしまったのには政治に大きな責任があると思いますが、総理はその責任をどう認識されているのか伺います。
 先ほど与党の質問者は、野党が審議しないから、野党に責任をなすりつけていましたけれども、その発言はそのまま与党にお返しをしたいと思います。一切の責任は与党にあるのです。
 政局より政策を優先することを表明した麻生総理でしたが、結局、緊急経済対策を実施するための第二次補正予算を前国会には提出せずに、民主党と野党が共同して提出をした、参議院で可決された緊急雇用四法案さえも衆議院で否決をしたではありませんか。そのことによって、迅速で効果的な雇用対策を実施する機会を失って無為に時間を空費したために、景気や雇用をめぐる環境が一層悪化したのであります。これは自公政権の怠慢ではありませんか。まさに政治災害と言われるゆえんであります。
 年明け、国民の不安が更に高まり、参議院は、一月七日の本会議において、全会一致で雇用と住宅など国民生活の安定を確保する緊急決議を行っていただきました。与党の皆さん方にもお礼は申し上げておきたいと思います。そのことによって雇用対策の強化を政府に要請したのであります。しかし、政府はどうでしょうか。政府の雇用対策は迅速性に欠け、小手先の対症療法でしかないのであります。
 我が民主党は、雇用保険と生活保護制度の中間に位置する新たな再就職支援のためのセーフティーネットの構築も考えております。その内容は、雇用保険の受給を終えてもなお再就職が困難な長期失業者や自営業廃業者、契約切れの派遣労働者などを対象に求職者支援制度を創設し、教育訓練を受けている間、手当を支給するというものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 総理、厳しい雇用環境の中、今優先すべき政策は、生活と雇用の危機に直面している中低所得者に対するセーフティーネットを充実することではありませんか。総理の見解を伺います。
 雇用保険の適用も受けられない人たちにとって、生活保護制度が生活を立て直して再出発するための唯一の手段でもあります。厚生労働大臣は、国会決議の際、生活保護法に基づき、迅速かつ適切に対応すると述べられました。しかし、骨太方針二〇〇六以来、社会保障費が毎年大幅に削減される中、生活保護費も圧縮され、今、水際作戦と呼ばれる窓口規制が広く行われているのであります。
 不況という、決して自分たちの責任で困窮したわけではない、その人たちの生活再建のために生活保護制度を積極的に運用するとともに、給付を行う自治体に対しても一層の財政支援を行うべきであると考えていますが、総理の見解を伺います。
 地域の雇用情勢も一段と深刻な状況となってきております。地方自治体が果たす役割は極めて重要であります。政府も、緊急雇用対策として特別交付税措置等による自治体への財政措置を決めておりますが、今回の緊急避難的な対策にとどまることなく、森林保全など自治体の工夫で行う中長期の多様な雇用対策にも政府の積極的な財政支援を行うべきではありませんか。鳩山総務大臣の決意を伺います。
 麻生総理は、官僚を使いこなせと閣僚に指示されていますが、総理が官僚の言いなりになっているのではありませんか。その典型が公務員制度改革であります。
 特に問題なのは、天下りについてであります。天下りのわたりについて、総理は、今度は申請が出てきた場合もこれを認める考えはないと衆議院本会議で答弁をされていますが、それは総理の在任期間中の約束でしかありません。政令で認められるわたりは三年間であります。しかし、麻生総理の在任は長くても七か月しかないのであります。これは、麻生総理在任中はわたりは運用で認めないけれども、政令自体は何ら変更していないので、その後はわたりは認められるということではないのですか。こんなこそくな手段で国民を愚弄することは許されません。直ちに撤回すべきであります。明確な答弁を求めます。
 次に、公務員制度改革を行うに当たっての基本認識について伺います。
 国家公務員は、その職務の公共性から協約締結権等が制約をされており、人事院設置がその代償措置であることは周知の事実であります。
 我が党は、労働基本権の回復に伴い、人事院の組織についてはその改廃も含めた抜本的な見直しが必要と考えております。しかし、現行の政府の考え方は、現行の労働基本権の制約が続く限り代償措置は認めなければならないのに、それを認めようとしないところに大きな問題があるのであります。
 また、人事院が創設された意義は、公正、平等に法令を執行し、各内閣を忠実に支える職業公務員を確保、育成するため、中立公正性の確保にかかわる事務を人事院に行わせるがためであります。
 人事院が持つこれら二つの機能、すなわち労働基本権の代償措置と公務の中立公正性の確保は、公務員制度改革を進めるに当たって十分慎重な配慮がなされるべきであります。このような重要かつ基本的課題に対して拙速な判断を下すことは将来に禍根を残すと考えますが、麻生総理の見識ある答弁を求めます。
 昨年出された国家公務員制度改革推進本部顧問会議の報告において、給与等の勤務条件について、内閣人事局が企画立案の機能を担うこと、人事院が持つ試験、任免、研修等の基準策定機能を内閣人事局に移すことが盛り込まれました。これは、第三者機関である人事院に代えて、使用者側すなわち内閣が実質的に勤務条件を定めるということであります。
 しかし、国家公務員制度改革推進本部で決定されようとしている公務員制度改革工程表では、協約権を付与する公務員の範囲拡大は二〇一二年までに施行するとなっているのであります。このように、労働基本権問題を先送りしたまま、人事院が担う代償機能を一部でも無条件で内閣官房に移管することは、憲法上の問題になりかねません。また、内閣人事・行政管理局への試験、任免、研修等の基準策定機能を広く移管することは、仮に事後チェック機能などを第三者機関に残したとしても、現行国家公務員制度の基本的な枠組みを破壊し、公務の中立公正性を損なうおそれがあると思いますが、総理の見解を伺います。
 このような報告書が顧問会議から出され、また、工程表が総理の下で十分な審議検討も行われないままに決定されること自体、国家公務員制度改革推進本部長である麻生総理の指導力が問われているのではないでしょうか。
 そもそも、内閣人事・行政管理局なる組織は、昨年の与野党協議を経て成立した国家公務員制度改革基本法の内閣人事局の規定を行政府が無断で変更したものであります。我が党の調査会に説明に来た官僚は、変更を事実上認めた上で、事もあろうに、それは法律の規定を自分たちで進化させたものだと言い放ちました。これは、法律違反の天下りのわたりを認める政令と全く同じ手法ではありませんか。立法府を軽視する官僚の独善極まりない行為であります。
 こうした法律違反を堂々と行う国家公務員制度改革事務局官僚の独善を麻生総理は指導するおつもりがあるのか、それとも、結局、官僚の言いなりになるおつもりなのか、総理の見解を伺います。
 いずれにしても、協約締結権を先送りし、人事院制度の実質的な廃止を含む制度改革を行うのであれば、憲法上の問題も生じかねません。このため、国家公務員制度改革基本法にのっとって協約締結権問題の結論を早急に得るとともに、その間、内閣人事・行政管理局については基本法に従って慎重な制度設計を図るべきだと考えますが、麻生総理の見解を伺います。
 三位一体改革で疲弊した地方を活性化させるには、地方分権改革しかありません。二〇〇九年度中に新分権一括法案が提出される予定になっており、分権改革はまさに本年が勝負なのであります。
 民主党の地方分権改革の考え方は、中央集権という古い国の形を改め、住民に近いサービスはもっと身近な基礎自治体で実施するという基礎自治体重視の地方分権を行って、地域主権型の社会を実現することであります。そのために、国の役割を大幅に限定をし、事務事業の地方への移譲を推進することと、税財源を移譲し地方財政の自立を図ることとしているのであります。
 しかし、政府の地方分権推進委員会の二度の勧告内容は必ずしも十分と言えるものではなく、改革の柱であるはずの補助金制度改革や税財政改革の議論が先送りにされているのであります。これでは、中央集権体制を改革し地域主権を確立する本格的な地方分権改革の実現は到底無理なことであります。
 そこで、このような懸念を払拭するため、麻生総理及び鳩山総務大臣から、地方分権実現に向けての確固たる決意と今後の方針を伺います。
 国、地方共に極めて厳しい財政事情の中、限られた財源を効果的、効率的に使用することが求められております。そのためには、住民に身近な自治体に自由度の高い財源を移譲することが必要なのであります。
 政府は、道路特定財源の一般財源化に際し、一兆円を地方の実情に応じて使用する新たな仕組みをつくるとして地域活力基盤創造交付金なるものを創設しようとしております。しかし、果たしてこれが一般財源化と呼べる代物なのでありましょうか。
 改めて申すまでもなく、一般財源とは、財源の使途が特定されず、どのような経費にも使用することができるのであります。つまり、収入面、支出面の両面において何の縛りもないのが一般財源であります。しかし、創設しようとしている交付金のほとんどは国土交通省所管として道路や公共事業に要する経費に充てられるのであります。これは一般財源の定義から全く外れる、ただ看板を掛け替えた道路特定財源であり、一般財源化の偽装ではありませんか。
 麻生総理及び国土交通大臣の見解を伺うとともに、これまでの財務省の説明からしてこれを一般財源化と呼べるのかどうか、明確な定義を示した上で財務大臣の答弁を求めます。
 また、一般財源化されれば、道路整備促進を理由に本来の税率に上乗せする暫定税率は根拠を失うはずであります。この点も併せて麻生総理、財務大臣から見解を伺います。
 福田前総理が一般財源化に踏み出したのは、生活者の視点に立って、医療、教育、少子高齢化、環境など、身近な生活に活用できる財源とすることがねらいでありました。しかし、麻生総理が実施しようとする一般財源化は、福田前総理が国民に約束した生活者財源とは似て非なるものではないでしょうか。麻生総理の見解をお尋ねします。
 道路特定財源は、戦後日本の財政や国の在り方をゆがめてきた最たるものであります。道路の利権構造の死守を目指す自公政権には決して真の一般財源化は期待ができません。道路を中心とした公共事業優先、土建国家から脱却をし、国民一人一人の生活や人生を大切にする国民の生活が第一の政治を実現するためには、政権交代しかないのであります。
 最後に、総理は、私たちからの解散要求を景気対策を優先するとして拒否されていますが、麻生政権には解散権を行使する体力が残されていないのではありませんか。
 吉田茂元総理は、一九五二年八月、抜き打ち解散をやり、その六か月後にばかやろう解散まで行って、その結果、自らの政治基盤を強固にしたことは周知のとおりであります。この偉大な政治家、吉田茂宰相の孫である麻生総理が一度も解散権を行使せずに首をすげ替えられることなど、あなたのプライドが許さないのではありませんか。
 麻生総理、どんなことがあっても解散は必ずおれの手でやるんだという決意を表明できますか。明快にお答えください。
 今の自民党の現状を見ていると、麻生総理の手で解散できる時間的余裕は余りないのではありませんか。解散権を封殺されないためにも、一刻も早い決断をお勧めをいたします。
 麻生総理、今度の総選挙は歴史的選挙となるでしょう。有権者が選挙を通じて直接首相を選ぶことができるのであります。これは、明治以来、日本の憲政史上初めての出来事であります。
 選挙の結果、民主党を中心に野党が過半数を取れば、自民党は下野し、小沢政権が誕生するのであります。逆に、与党が勝利をすれば、今仮免中の麻生総理に有権者が本免許を与えることになるのです。どちらにしても、首相公選とも言える政権選択選挙が実現するのであります。
 どの党も、負けたら終わりということではありません。また、勝っても、次はどうなるのか分からないのであります。まさに今回の選挙から、政権交代を懸けた終わりのない長い長い闘いが始まるのであります。
 麻生総理、あなたが今解散のボタンを押せば、太郎と一郎が真剣勝負で総理の座を争い、正々堂々と国民の審判を仰ぐ、そんな歴史的総選挙が実現するのであります。国民が期待をする総選挙が一日も早く実現することを切望し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 冒頭、水落議員への答弁の中で、内定取消し者数を千二百二十五人と申し上げましたが、正しくは千二百十五人です。訂正の上、おわびを申し上げます。
 高嶋議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、定額給付金についてのお尋ねがありました。
 定額給付金は、家計への緊急支援であり、併せて消費を増やす経済効果もあり、生活に対する重要な施策と考えておると度々申し上げてきております。また、国民からは、給付を待っているという声も多く届けられておるところでもあります。現時点で百以上の地域で定額給付金の給付時期に合わせて商工関係団体が特典付商品券を発行することを検討しているなど、既に心理的な元気付け効果が出始めておるところであります。
 このような状況からして、無駄遣いやばらまきという指摘は当たらず、大きな効果が期待できるものと考えております。したがって、撤回するつもりは全くございません。
 次に、構造改革についての御質問がありました。
 これまで取り組んできた改革は、我が国の経済と社会の活性化に一定の成果を上げたと存じます。しかし、格差の拡大や地方の疲弊といった改革によるひずみが指摘され、また世界金融危機といったような新しい課題が生じております。
 私は、改革という基本路線を堅持しつつ、ひずみへの配慮と新しい課題への解決に取り組んでまいります。その意味では、私の政策は、これまでの改革を否定するものではなく、改革を進化させるものと考えております。
 次に、一刻も早く解散・総選挙を行うべきとの質問がありました。
 今、国民が望んでいることは、景気対策と雇用対策だと確信しております。総選挙につきましては、いずれしかるべき時期に、野党との争点を明らかにして国民に信を問いたいと考えております。
 派遣労働についてのお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で雇用の場を確保することや、労働者の多様な働き方に対してそういうニーズに対応することなどを目的として、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ行われてきたものと認識をいたしております。
 しかしながら、今回の急激な雇用情勢の悪化は世界的な金融経済危機に端を発したものであり、これまでの改正時の想定をはるかに上回っておったと存じます。したがって、労働者の雇用や生活の安定に向けて、政治としては、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じるほか、現在国会に提出しております労働者派遣法による見直しなど、様々な取組が必要だと考えております。
 雇用のセーフティーネットについてのお尋ねがありました。
 雇用は生活の糧であります。その安定を図ることで暮らしの不安を取り除くことが今何よりも重要と考えております。
 このため、非正規労働者が給付を受けやすくなるよう雇用保険の給付を拡充するとともに、雇用保険の受給の有無にかかわらず、職業訓練の充実を行い、また、訓練期間中の生活保護のための給付制度の拡充などに取り組むことといたしております。さらに、緊急対応として、最大百八十六万円の住宅・生活資金の貸付け、雇用促進住宅の活用による迅速な入居のあっせんなどを既に実施をいたしておるところでもあります。
 このように、雇用のセーフティーネット機能の充実を図ることにより、安心して働ける環境の整備を更に図っていかねばならぬと考えております。
 生活保護制度についてのお尋ねがありました。
 職と住居を失い、生活に困窮しておられる方々につきましては、雇用施策などにより、就職、住居、生活などの支援を全力で行っているところであります。これらの支援を行ってもなお困窮している方々につきましては、引き続き最後のセーフティーネットであります生活保護によって適切に支援をすることといたしております。その財源につきましては、平成二十一年度予算において、国として負担すべき国庫負担について所要の額を計上いたしており、引き続き必要な財源を確保してまいりたいと考えております。
 いわゆるわたりについてのお尋ねがありました。
 わたりあっせんの承認については、国民からの厳しい批判や国民における議論を踏まえ、私としては、今後わたりあっせんの申請が出てきた場合であってもこれを認める考えはありませんと、この間もお答え申し上げました。この方針は、今後も政府の方針として受け継がれるべきものであると考えております。
 公務員制度改革における人事院の持つ機能についてのお尋ねがあっております。
 国家公務員制度改革基本法には、総務省や人事院などが有するいわゆる機能について、必要な範囲で内閣官房に移管することが既に定められております。人事院の機能の移管に当たりましては、労働基本権の代償措置や人事行政の公正な確保に十分に配慮しつつ、基本法の趣旨に沿って検討を進めてまいるつもりであります。
 次に、内閣人事局の新設についてのお尋ねがあっております。
 内閣人事局につきましては、国家公務員制度改革基本法の趣旨に沿って検討を進めてまいります。その際に、人事院制度を実質的に廃止することを意図するものではありません。内閣の責任において、基本法の定めるところにより、今通常国会に法律案を提案させていただきます。
 地方分権改革についてのお尋ねがありました。
 活力ある地方をつくり出すためには、地方が地域の経営者として自らを考え、実行することができるようにするために、地方自治体に一層の権限と責任の移譲を行うことが必要であります。
 現在、二重行政を排除するため、地方分権改革推進委員会の第二次勧告に沿って国の出先機関改革の工程表を作成中であります。また、地方税財政改革については、当初から推進委員会の第三次勧告において予定されているものでありまして、先送りとの指摘は当たっていないと存じます。
 地方分権改革の推進は内閣の最重要課題の一つと考えており、真の分権型社会の実現に向け、積極的かつ着実に推進してまいりたいと存じます。
 道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねがありました。
 道路特定財源の一般財源化というのは、揮発油税などの歳入を道路整備に使うという義務付けをやめるということであります。この意味で、二十一年度から道路特定財源はすべて一般財源化することといたしております。
 こうした中で、地域活力基盤創造交付金は、道路以外の関連インフラの整備やソフト事業などにも使える、使い勝手の良いものといたしております。これは、与党において御議論をいただき、地方からの要望も踏まえて、地方の道路整備の必要性や財政の状況に配慮したものだと理解をしております。
 暫定税率についてのお尋ねもありました。
 揮発油税などの暫定税率分も含めた税率の在り方は、今後の税制抜本改革時に検討することとしておりますが、それまでの間、地球温暖化問題への国際的な取組、国、地方の厳しい財政状況などを踏まえ、現行の税率水準を維持することといたしております。したがって、道路特定財源の一般財源化によって暫定税率の根拠が失われるとは考えておりません。
 福田前総理が示された一般財源化についてのお尋ねもあっておりました。
 先ほど申し上げましたように、揮発油税などは、平成二十一年度から所得税や法人税などと同様に様々な政策に使い得るよう、すべて一般財源化することといたしております。さらに、社会保障財源への拠出も行うこととしておりますのは御存じのとおりです。したがって、今回の改革は、一般財源化を定めた昨年五月の閣議や福田前総理の御趣旨に沿ったものと考えております。
 最後に、解散の決意についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたとおり、いずれしかるべき時期に国民に信を問いたいと考えております。解散は私が決めさせていただきます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(鳩山邦夫君) 高嶋議員から二点お尋ねがございまして、雇用の問題でございますが、雇用情勢が急速に悪化しておりまして、地方自治体が緊急対応として実施している臨時職員の採用などは、いわゆる特別交付税、六千七百億、三月に配るわけですが、その内数で実施をしていきたい。それから、四千億円の基金が都道府県に積まれて、そして市町村も使えるという形で雇用創出に努めてまいります。また、麻生総理のツルの一声で一兆円の地方交付税が別枠で増額されまして、そのうちの半分の五千億円は、二十一年度及び二十二年度、二年間は地域雇用創出推進費という形になります。そうした意味では、これまでにない規模、内容の雇用対策あるいはその地方税財源を充実をさせていくところでございます。
 ただ、高嶋議員から御指摘のあった森林保全等の自治体の工夫で行う中長期的な雇用対策というのは、私は大賛成でございまして、言わば川の下流から上流への人の流れをつくりたい。すなわち、青年海外協力隊というのがありますが、その国内版として、地域おこし協力隊というような形で都会の人間が農業をやる、あるいは森林整備をやる、それを自治体や国が助けると、これはいい考えだと思っております。
 地方分権改革についてでありますが、今、地方分権改革推進委員会から第二次勧告が出まして、その工程表を作るわけです。これは、国の出先機関の大胆な廃止、再編が含まれておりまして、これをやらなくてはならない。そして、当然、地方分権改革をやって、市町村長さんや都道府県知事さんが真の地域の経営者となれるように分権化を進めていかなければならないわけでございますが、当然お金も要るわけでありますので、分権改革推進委員会の三次答申では、税財政構造について調査審議をいただいているところでございまして、当然、この分権と地方税財政の問題は一体となって進めていくつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣金子一義君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(金子一義君) 高嶋議員から道路特定財源一般化について御質問がございました。
 この道路特定財源の一般財源化とは、揮発油税等の歳入を道路整備に使わなければならないという義務付けをやめるものでありまして、このために、平成二十一年度からこの義務付けを廃止する法律案をこの国会に提出しております。
 これまでの地方道路整備臨時交付金は、揮発油税収四分の一を直入するということになっておりましたし、道路特定財源があるがゆえに予算のシーリングの外側にありましたけれども、これからはすべて平成二十一年度以降は新しい交付金を含めて予算編成過程で決定することとしておりまして、また財源は建設国債でこれからは賄う、充当されるものと聞いておりまして、まさに一般財源化であります。
 地域活力基盤創造交付金につきましては、地方から引き続き道路整備の必要性、強い要望がありまして、今回、地域活力基盤創造交付金をつくり、真に必要な道路にこたえられるようにしていきたいということで構築したものであります。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(中川昭一君) 高嶋議員の御質問にお答え申し上げます。
 道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねでございますが、道路特定財源の一般財源化とは、揮発油税等の歳入を道路整備に使うという義務付けをやめるということでございます。この意味で、平成二十一年度から道路特定財源はすべて一般財源化をするとしております。
 そうした中で、新たに創設される地域活力基盤創造交付金は、一般の補助金や交付金と同様に、そもそも特定の税収を財源にすることを義務付けている制度ではなく、一般財源化を定めた昨年五月の閣議決定の趣旨に沿ったものであると考えております。
 次に、暫定税率についてのお尋ねでございますが、揮発油税等の暫定税率分も含めた税率の在り方は今後の税制抜本改革時に検討することとしておりますが、それまでの間、地球温暖化問題への国際的な取組、地方の道路整備の必要性、国、地方の厳しい財政状況等を踏まえ、現行の税率水準を維持することとしており、暫定税率の根拠が失われたとは考えておりません。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(江田五月君) 自見庄三郎君。
   〔自見庄三郎君登壇、拍手〕
#29
○自見庄三郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の自見庄三郎であります。
 国民新党の副代表ですが、会派を代表して、麻生総理並びに鳩山総務大臣、中川財務・金融大臣に、かんぽの宿の譲渡問題について質問をいたします。
 郵政民営化見直しを党是として、国民新党は、譲渡のことが表面化した直後の一月七日、一括譲渡に反対することを鳩山総務大臣に申し入れました。小泉政権が強行した理念なき郵政民営化で私たちが最も心配していた、あるいは反対していた、国民の財産を安易に処分し、国民の富が一部の人たちの利益や海外に流出することが表面化したというのが私たちの受け止め方であります。
 生命保険事業は、官民を問わず、国民が健康で寿命が長くなれば利益が大きくなるものであります。これを費差益と申します。そのために生命保険会社は、健康管理や保健施設を造って国民の健康を守ろうとする、施設そのものの採算は必ずしも考慮しない。民営化で郵政公社を分割する際、かんぽの宿の所管がかんぽ生命保険会社でなく親会社の日本郵政会社になったときから、譲渡は筋書だったことが疑われます。
 さらに、私ども国民新党で独自に調査をした結果、オリックスと日本郵政の奇妙な事実が判明いたしました。ここに御報告し、麻生総理及び鳩山総務大臣の御所見をお伺いしたい。
 まず、下がり続ける宮内義彦会長のオリックスの株を大量に買っている人又は会社又はファンドがあります。その人又は会社又はファンドは、オリックスの株は必ず上がることを見越して買っているのではないか。オリックスがかんぽの宿を安く買い、それを運用か売却することによって巨額の利益を上げ、オリックスの業績が向上し、オリックスの株が上がることを事前に知り得た人又は会社又はファンドがあったのではないかという疑問であります。
 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社という会社を介した一連の疑わしい流れがあります。この会社は、りそな銀行、住友信託銀行、中央三井トラスト・ホールディングスが三分の一ずつ株式を持つ資本金五百十億円の信託銀行であります。昨年からオリックスの株式を大量に買い増しし、二〇〇八年の九月には、それまでの外資会社の首位を逆転をして筆頭株主になりました。オリックス株は三万八千円台から下落を続け、現在は四千百円台まで約九分の一に落ち込んでおります。こんなオリックス株を日本トラスティはなぜ大量に買い込んだのか。
 実は日本トラスティ・サービス信託銀行は、二〇〇七年の九月、日本郵政公社の百三十兆にも上る債券の管理業務を引き受けております。これは、現在の日本郵政会社社長の西川善文氏が総裁だった日本郵政公社の外部団体の郵貯・簡保管理機構が国債の形で持っていた国家保証の付いている旧勘定の百三十兆円です。委託は西川氏の指示によるものでした。皆さん、郵貯・簡保の旧勘定百三十兆円を預かっている会社が宮内会長のオリックスの筆頭株主なんですよ。私もこれを知ってびっくりしました。
 日本トラスティは信託銀行であります。お客さんの指示でオリックス株を買ったと思われます。トラスティに指示して買い集め、筆頭及び第三位の株主になれたのは何びとか、この動きを委員会はウオッチしているか、証券取引等監視委員会を所管している中川財務・金融大臣にお尋ねをいたします。
 二千四百億円を掛けて造った施設がたった百九億円のたたき売り、入札の不透明、不明朗さ、五年以内に譲渡の規定にもかかわらず、不動産不況の現在、譲渡を急ぐ理由、地域の事情を無視した一括譲渡がなぜなのか、私がこれまで述べた説明で幾らかでも分かっていただけるのではないでしょうか。
 総理、このような事情を御存じでしたか。百九億円の譲渡が国民の理解を得られる正当な取引とお考えですか。
 鳩山総務大臣、出来レースと大臣は言われましたが、競争入札は価格が最も高いところに落とすのが国民の常識であります。オリックスの百九億円が最も高かったのか、総務大臣にお尋ねをいたします。
 鳩山大臣及び世論の批判で一月二十九日、西川善文日本郵政社長は、譲渡を凍結し、第三者で構成する検討委員会をつくると表明いたしました。しかし、我々はこれには全く賛成できません。当事者である日本郵政会社が社内に設置した第三者調査機関など信用できません。国会が中心となって設置すべきであります。
 ここで、本件を含め、日本郵政会社と宮内会長のオリックスの取引関係、オリックスに対する譲渡をすべて白紙に戻し、全面的に再検討し、オープンにして、国民が納得できる方法で結論を出すべきであります。総務大臣のお考えはいかがですか。
 昨日の新聞報道によると、スイスで開催中の世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議に出席していた麻生総理大臣は、一月三十一日、私も驚いたんでございますが、宮内義彦オリックス会長、竹中平蔵慶応大学教授らと会食をしたとあります。
 譲渡問題での渦中の人とスイスのダボスで会い、語り合うとは、いかなる理由があっても、軽率、不謹慎の非難は免れません。いかなる理由によるものか、何を話し合ったのか。李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずとは、かんぽの宿をオリックスに譲渡することについての鳩山総務大臣、あなたの大変見識ある言葉でございますが、麻生総理大臣及び鳩山総務大臣はこの事実をどうお考えでございますか。
 郵政民営化のみを争点とした三年半前の郵政選挙・総選挙で得た衆議院での多数の議席で麻生総理は現在政権を運営しています。今回の理不尽な譲渡事件は、小泉・竹中流の郵政民営化が間違った政治であったことを明らかにいたしました。ですから、郵政選挙によって得た多数による政権には正統性がありません。総理は、一日も早く衆議院を解散し、民意を問うべきであります。
#30
○議長(江田五月君) 自見君、時間が超過しております。
#31
○自見庄三郎君(続) 我々は、真に国民のための郵政改革を断行してまいります。
#32
○議長(江田五月君) 簡単に願います。
#33
○自見庄三郎君(続) はい。
 国の政治を預かる政治家に最も必要なのは、国家観、世界観、歴史観と、そしてぶれない信念であると私は確信をいたしております。
 質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#34
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 自見議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 かんぽの宿の譲渡についての御質問がありました。
 かんぽの宿の譲渡に関して、御指摘のあった事情に関して詳細を承知しているわけではありません。しかし、国民に疑念を持たれないようにしなければならないのは当然であります。
 また、かんぽの宿の売却期間につきましては、日本郵政株式会社法の規定により、民営化後五年間で譲渡又は廃止することとされております。御存じのとおりです。これは、他の類似の施設につきましても法施行後五年間で譲渡又は廃止することとされたことなどなど、参考にして決められたと承知をしております。これらは総務大臣において適切に処理してもらいたいものと考えております。
 また、ダボス会議の際に宮内オリックス会長、竹中平蔵と会食をしたのかとのお尋ねがありました。
 会食というと数名で会食したようにお考えでしょうが、私は、ダボス会議の機会に世界経済フォーラム主催の昼食会に出席をいたしました。この昼食会では、アメリカ、欧州、アジア、アフリカなど、世界中約八十名のビジネスリーダーの方々間で現下の世界経済や日本経済の課題について、私は講演も一部させられ、その上で率直な意見交換を行いました。この昼食会に宮内オリックス会長、竹中平蔵さんが出席をしておられたと、個別に会談をしたという事実は全くございません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿の払下げ相手の選定過程が不透明、不明朗であるという御指摘でございますが、日本郵政株式会社の説明によれば、昨年四月一日から募集の公告を行い、参加表明を締め切った後、一次競争入札を経て、最終競争入札において、譲渡先において社員の雇用が確保され、国会附帯決議等の趣旨に沿うものであること、取得目的が単なる投資ではなくて本事業の発展的かつ継続的な経営にあること、そして相応の譲渡対価が得られることという条件でオリックス不動産株式会社に決定したとのことでございます。最終競争入札はなぜか二社のみでございまして、オリックス不動産の方が入札価格が高かったというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、最終競争入札に至るまでの経過について国民に疑念を抱かれることがないようにしなければなりません。日本郵政株式会社から詳細に説明するよう求めておりますが、まだ詳細な説明がありません。したがいまして、日本郵政株式会社法十五条によりまして報告の徴求をすることができます。あるいは立入検査もできますので、そういうことまで視野に入れていきたいと思っております。
 また、資産については、総務省としても独自の評価をしていきたいと考えております。
 それから、調査委員会の設置についてでありますが、日本郵政株式会社が社内に設置予定の検討委員会について、外部の専門家により構成されると聞いております。今回の譲渡が国民から疑念を招くことがないように、公正中立に検討を行っていただくよう期待をいたしております。
 先ほど、こういう状態で譲渡されてしまう心配はないかということでございますが、私は、説明を受けたり独自調査をいたしますが、国民が納得できるような中身でなければ認可いたしませんので、御安心ください。
 ただ、総理大臣から御答弁があったダボス会議における件でございますが、私も新聞を見たときはちょっとぎょっとしましたけれども、実は、これは世界経済フォーラム主催の八十人の昼食会でございまして、先ほど席数を見ましたら、総理大臣はメーンテーブルで、あとの方は末席の方でございましたので、お話しにはなっていないだろうと思います。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中川昭一君) 自見庄三郎議員の御質問にお答えいたします。
 日本トラスティに指示しオリックス株を買い集め、筆頭及び第三位の株主になったのはだれか、この動きを証券取引等監視委員会はウオッチしていたのかについてのお尋ねでございます。
 個別事案に関する調査に関しましては、従来よりお答えすることを差し控えさせていただいております。これは、監視委員会の活動を円滑に進めるためのものであることを御理解いただきたいと思います。
 一般論で申し上げますと、監視委員会は、常日ごろから幅広く市場に関する様々な資料、情報を収集、分析しており、そうした中で仮に法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、必要に応じて調査を行うこととなるということでございます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(江田五月君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#38
○市田忠義君 日本共産党を代表して、麻生総理に質問をいたします。
 今年、二〇〇九年は、年越し派遣村で明けました。トヨタやキヤノンを始め日本を代表する大企業から、仕事だけではなく住む場所まで奪われ、寒空にほうり出された人たちを救おうという取組でした。
 今、全国各地に派遣村がつくられ、自治体の窓口には、派遣切り、期間社員切りに遭った労働者が住む場所と生活保護を求めて殺到しています。こんな事態は、終戦直後の混乱期を除いて、いまだかつて一度もなかったことであります。
 業界団体の調査では、三月末までに職を失う人が製造業だけでも四十万人になると言われています。何の責任もない労働者を企業の一方的な都合で路頭に迷わせる、こんなことは人道上からいっても絶対に許されないと考えますが、総理はどう認識されていますか。
 なぜこんな異常な事態が起きたのか。それは、働くルールの規制緩和、とりわけ一九九九年に労働者派遣を業種の限定なしに原則自由化したこと、さらに二〇〇四年には製造業にまで広げたからであります。
 我が党は、そのいずれにも反対しました。これらは、働く人々の多様なニーズにこたえるためなどといった口実で、景気の調整弁として使い捨て労働を認めよという財界の強い要望にこたえたものであり、大企業の横暴と政治の責任が鋭く問われる問題であります。総理にその認識はおありですか。
 労働法制の規制緩和は、雇用に責任を持つべき経営者のモラルを崩壊させました。自分の会社で正規の従業員と同じように働かせて莫大な利益を上げながら、いざとなると生身の人間をまるで物のようにほうり出して何の痛痒も感じなくさせたのであります。それは、日本経団連の御手洗会長が、自らが経営する大分キヤノンの派遣切り、請負切りの責任を問われて、キヤノンがやったのではない、請負会社、派遣会社が解雇したものだと平然と発言したことに端的に示されているとは思いませんか。
 今政府が行うべきことの第一は、既に職を失った人々の救済です。全国に一時避難所を設置すること、再就職支援のための緊急小口支援を思い切って拡充すること、再就職に向けた緊急避難として、住居を失った人にも支給するなど、生活保護を柔軟に行うことであります。
 第二は、これ以上の被害者を出さないことであります。
 大量の人員整理には何の合理的根拠もありません。今、派遣切りなどを行っているのは、押しなべて大企業であります。資本金十億円以上の製造業の大企業が二〇〇三年から二〇〇七年までの間に新たにため込んだ内部留保は十八兆円、その累計は実に百二十兆円にも上る膨大なものであります。同じ期間に株主配当も二十一兆円。体力は十分にあります。首切りしないとつぶれる大企業など一つもないことは明らかではありませんか。総理は、単なる要請やお願いではなくて、財界、大企業に対して断固たる指導を行うべきであります。
 私たちの調査でも、派遣切りに遭った多くの労働者が同じ職場、同じ仕事で三年以上働いています。労働者派遣法で定められている派遣期間の上限、三年を超えた労働者には、派遣先の企業は正社員になってもらうよう申入れをしなければなりません。それを避けるために、様々な脱法的手段を使って働かせてきたというのが実態であります。法を厳格に適用すれば、本来、既に正社員として雇用されていなければならない人たちばかりであります。こういう人を解雇することは、現行法に照らしても許されるものではありません。総理、いかがですか。
 総理が現在の状態を危機と認識されているのなら、それにふさわしく、大企業による不当、不法な首切りを阻止するために全力を挙げるべきであります。そして、二度と同じようなことが起きないよう、労働者派遣法を抜本的に改正し、少なくとも一九九九年の原則自由化以前に戻すべきであります。
 総理は、このことによって派遣労働者が職を失うかのようなことを言います。しかし、それは当たりません。現に働いている人を直接雇用にすれば済むことであります。むしろ、派遣労働者のままでいれば、常に派遣切りの不安にさらされるというのがこの間の実態ではありませんか。答弁を求めます。
 次に、中小企業の問題であります。
 今、日本の企業数の九九%を占め、雇用の七割を支えている中小企業が危機に瀕しています。大企業による中小企業の下請切りで中小企業の仕事が根こそぎ奪われています。トヨタ、ホンダなどが減産を打ち出せば、その数倍もの減産が下請に押し付けられているのです。まるでジェットコースターで落とされたような事態だと、九割減産でどうやって生きていけというのかと、トヨタなど自動車産業の中心である愛知でも、中小企業の町東京の大田や東大阪、全国各地で業者の悲鳴が上がっています。総理は、こうした中小企業の現状、大企業による中小企業の仕事切り、下請切りの事態をどう認識されていますか。
 私は、中小企業の危機を打開するために、緊急に次の三つのことを提起したい。
 一つは、大企業による下請いじめを防止するためにあらゆる実効ある手だてを講じることであります。受注の中途切り、発注止めなどという大企業の横暴は断じて許されません。
 二つは、中小企業の仕事おこしであります。大企業、大銀行には何十兆円もの公的支援を行いながら、中小企業予算はわずか千八百八十九億円にすぎません。生活密着型の公共事業など、中小企業の仕事を思い切って大幅に増やすべきであります。
 三つは、メガバンクによる貸し渋り、貸しはがしをやめさせることであります。三大メガバンクだけでこの一年の間に大企業への貸出しは増やしているのに、中小企業には三兆四千億円も減らしています。中小企業への資金供給のためにメガバンクへの監督指導を抜本的に強化すべきであります。以上、答弁を求めます。
 次に、後期高齢者医療制度について聞きます。
 この制度が始まって一年近くがたとうとしていますが、保険料滞納者が全国五百八十七自治体で約一割、およそ十七万人に上ることが全国保険医団体連合会の調査で明らかになりました。
 原則として滞納が一年間続くと保険証が取り上げられ、事実上無保険状態になります。病気になってもお医者さんにもかかれず、命と健康を脅かす事態が生まれることは明らかであります。この制度の導入までは、お年寄りのいる世帯は命に直結する問題だとして保険証取上げの対象外でした。人の道に反する保険証の取上げはやめること、そして長年苦労してきたお年寄りに更に惨めな思いを強いる後期高齢者医療制度は、中途半端な見直しではなくて、きっぱりと廃止するよう強く求めるものであります。
 総理、アメリカ経済の落ち込みが日本経済にこんなに大きな打撃を与えた理由は何だとお考えですか。それは、これまでの自公政権の経済運営が輸出頼みで内需をないがしろにし、家計を冷え込ませてきたからであります。今こそ本腰を入れて取り組むべきは、雇用を守り、社会保障を充実させる、中小企業や農業を応援する、消費税はせめて食料品は非課税にする。こうして国民生活全体を温めて、国内での物の売り買いを活発にしていく方向への経済政策の転換であり、国民の暮らしに基礎を置いた足腰の強い日本経済をつくり上げていくことではありませんか。
 総理が国民の審判も経ず無理やり押し通そうとする消費税の増税は、こうした国民の暮らしに根差した経済をつくり上げていく上でも最悪の選択であり、もってのほかと言わなければなりません。大企業応援から家計を応援する経済政策への転換を、そのことを指摘して質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#39
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 市田議員の質問にお答えをいたします。
 まず最初に、労働者の方々の離職に関する認識についてのお尋ねがあっております。
 百年に一度と言われる経済危機を受けて非正規労働者の大量離職などが生じていることにつきましては、大変憂慮いたしております。人を大切にするのが日本的経営の良さでもありまして、こういう非常時こそ、企業は労働者の雇用と生活を守るよう最大限の努力をしていくべきだと、私も同じように考えます。
 政府としては、先日成立をいたしました二次補正予算や二十一年度予算におきまして、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用維持に努める企業に対する雇用調整助成金の拡充、雇用創出のため都道府県に過去最大四千億円の基金を創設することによる地域求職者などの雇用機会の創出、そして地方交付税の一兆円増額による雇用創出の促進など、これまでにない規模、内容の雇用対策を実施することといたしております。
 労働者派遣法の規制緩和についてのお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で雇用の場を確保することや労働者の多様な働き方に対するニーズに対応することなどを目的として、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ行われてきたものと認識をいたしております。しかしながら、今回の急激な雇用情勢の悪化は世界的な金融経済危機に端を発したものであり、これまでの改正時の想定をはるかに上回ったものとなっております。
 したがって、労働者の雇用や生活の安定に向けて、政府としては、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じるほか、現在国会に提出をしております労働者派遣法の見直しなど様々な取組を行っており、これらは必要なものだと考えております。
 また、企業の経営者は、労働者の雇用の安定や生活の向上を図る社会的責任があると考えております。こういう非常時こそ、労働者の雇用の確保につきまして最大限の努力をしていただきたいものだと思っております。
 職を失った方々の救済のための緊急措置についてのお尋ねがありました。
 雇い止めなどにより住居を喪失した離職者に対し、昨年末より全国のハローワークにおいて雇用促進住宅への入居のあっせん、住宅・生活支援の資金融資の相談などの支援対策を実施いたしております。また、自治体レベルでも緊急小口貸付けなど離職者の状況に応じた支援を実施しております。
 さらに、これらの支援を行ってもなお困窮する方々につきましては、住所のない場合であっても受給することができるようにするため、今後とも最後のセーフティーネットでもあります生活保護によって適切に支援していくことといたしております。
 派遣切りについての指導に関するお尋ねがありました。
 いわゆる派遣切りに伴う雇い止めや解雇が発生していることにつきましては、大変憂慮をいたしております。このため、労働契約法に関する啓発指導や労働者派遣法などに違反する事業主に対する指導監督を更に徹底してまいります。
 なお、企業にとっての内部留保は、企業の存続や長期的な発展の可能性を確保するためのものでもあり、その活用については企業がそれぞれの状況に応じて最善の経営判断を下すべきものであると考えます。その上で、人を大切にするのが日本的経営の良さと思います。こういう非常時こそ、労働者の雇用と生活をしっかり守るよう最大限の努力をしていただきたいものだと考えております。
 派遣先企業の直接雇用の申込義務についてのお尋ねがありました。
 現行の労働者派遣法では、派遣先が最大三年の期間、期限を超えて派遣労働者を使用する場合、直接雇用を申し出る義務が生じることとなっております。
 なお、現在継続審議となっている労働者派遣法の改正案におきましては、事実上の期間制限違反の事例というものを含め、違反派遣の場合には派遣先に対して労働者への労働契約の申込みを行うよう、行政が勧告できる制度を創設することといたしております。
 なお、労働契約法では、期間の定めのある労働契約につきましては、やむを得ない理由がある場合でなければ期間満了前に労働者を解雇することができないこととされております。政府としては、こうした法令に基づいて啓発指導を行ってまいります。
 労働者派遣法についてのお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で、雇用の場を確保することや労働者のいろいろな、多様な要求、ニーズ、働き方に対する思い、そういったものに対して、それに対応できることを目的として行われてきたものであります。結果として、雇用の確保につきましては一定の役割を果たしてきたものと認識をいたしております。
 他方、今回の歴史的な厳しい経済状況などを踏まえれば、労働者の保護を強化する観点から、労働者派遣法の見直しが必要と考えております。そのため、日雇派遣を原則禁止するとともに、派遣元に対し登録型の派遣労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの改正法案を提出しております。御存じのとおりであります。
 なお、現在、登録型派遣は二百八十万人もの方々に利用されております。その中には自由度の高い派遣労働を望む方もおられます。これを禁止することは、かえって労働者の不利益になるという点も考えなければならぬところだと思っております。
 中小・小規模企業の危機の現状と下請取引の実態についてのお尋ねがありました。
 景気の急速な悪化に伴い、業況判断指数が九四年以降で最悪の数字となるなど、中小・小規模企業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものになってきております。とりわけ下請取引では、政府が昨年末から実施しております聴き取り調査におきましても、予定されていた受注が延期されたり受注量自体が減少したといった声も聞かれており、特に厳しい状況にあると認識をいたしております。
 中小企業が直面する危機を打開するための方策についてのお尋ねもありました。
 まず、下請取引につきましては、景気悪化の影響が下請事業者に偏ることがないよう、昨年の秋から全国で弁護士無料相談を開始するとともに、下請代金法に基づきます書面調査数を増やし、違反行為の取締りをより厳格にするなど、きめ細かな対策を講じてきているところです。また、仕事の確保につきましては、国などの発注や調達の段階において中小・小規模企業との契約目標を設定しておりまして、これを充実強化してきているところでもあります。
 さらに、中小・小規模企業への円滑な資金供給につきましては、まず、これまでも繰り返し金融機関に対し要請を行ってきたところです。また、金融機関が中小・小規模企業に対し安心して資金供給ができる環境を整備するため、自己資本比率規制の一部の弾力化や改正金融機能強化法の速やかな施行などの対策も講じたところであります。
 長寿医療制度についてのお尋ねがありました。
 長寿医療制度におきましては、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない方に対し、被保険者証の代わりに資格証明書を交付する仕組みとなっております。しかし、悪質な者に限って適用するなど、高齢者の方が必要な医療を受ける機会が損なわれることがないように十分配慮することといたしております。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば、やめれば問題が解決できるものではないと考えております。廃止するのではなく、高齢者の方々にも納得していただけるように見直しを行うことが必要だと、そう考えております。政府・与党一体となって速やかな議論を進めてまいりたいと考えております。
 内需拡大策などについてお尋ねがありました。
 現下の世界的な金融危機の状況におきまして、内需主導の持続的成長を実現できるよう経済の体質を改善していく、転換していくということが重要と言われました。全くそうだと思います。
 こうした観点から、政府・与党の取りまとめたこれまでの経済対策におきましては、雇用対策や医療、介護、出産・子育て支援の拡充を含めた社会保障の充実など、内需拡大に資する対策を盛り込んでいるところでもあります。また、中小企業の資金繰り対策、強い農林水産業の創出なども盛り込んでおります。
 景気の後退を食い止め、速やかに不況から脱出するためにも、平成二十一年度予算及び関連法案の早期の成立をお願いしているところでもあります。
 なお、税制抜本改革におきます消費税率の検討の際には、低所得者への配慮の観点から、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討などの総合的な取組も行うことといたしております。
 消費税の増税についてもお尋ねがありました。
 消費税を含む税制抜本改革は、社会保障を安心なものとし、子や孫に負担を先送りしないためにも是非とも必要なものだと考えております。このため、今国会には政府として、財政に対する責任を明らかにするとの観点から、税制抜本改革の道筋を盛り込んだ法律を提出をいたしております。実際の税制改正を行う際には、個別税目に関する具体的な改正の内容を別に法律を定める必要があるのは当然であります。その際に、国会で税制の具体的な姿を御審議いただくことになります。
 また、税制抜本改革の実施時期は、経済状況をよく見極めて判断をいたしますが、私としては、二〇一一年度に向けて景気が回復するよう、全力を尽くす所存であります。(拍手)
    ─────────────
#40
○議長(江田五月君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#41
○福島みずほ君 私は、社民党を代表して、麻生総理に対して質問をします。
 今、一つの時代が終わり、新しい時代が始まろうとしています。世界を席巻し、日本も猛威を振るった人々を切り捨てる新自由主義に決別し、雇用と福祉を大事にする社会民主主義の出番です。政府・与党がつくろうとしていた社会が明確に間違っていたのです。厳しい現実を直視し、大きくかじを切らなければなりません。
 年越し派遣村に連日行きました。自殺を図って連れてこられた人、年末、首を切られ、寮を追い出され、公園のトイレで過ごしていた人、いろんな人が来ていました。貧困と派遣切りの厳しい現実に、政治がまさに変わらなければならないと痛切に思いました。
 それと同時に励まされました。一千七百人ものボランティアの存在、支え合い、連帯、共生、人ごとではない、命をお互い支え合うということに励まされました。政治の哲学は、支え合いや連帯、人ごとではないということであるべきです。
 社会の仕組みを変えるべきときがやってきました。小泉構造改革から社会保障を大切にする社会民主主義の社会へ、ぎすぎすした社会から温かい社会へ、人を切り捨てていく排除型社会から連帯、共生の社会へ、一握りの富める者が優遇される社会からみんなの社会へ。
 麻生総理、社会の仕組みを変えることがあなたにできますか。気持ちがあるのでしょうか。国民の今政治に対する希望はここ一点に集中しています。それがあなたにできないのであれば、潔く辞めるべきではないですか。
 雇用が破壊をされ、サラリーマンの給料は十年間下がり続け、一月三十日の政府の統計によっても、非正規雇用のリストラは十二万五千人となりました。正社員も含め雇用の破壊、医療の崩壊、地方の疲弊は目を覆わんばかりになっています。
 これは政治によって引き起こされた政治災害です。政治災害が人の命を奪っています。総理、政治の責任はあると思いますか。どのような点に問題があったと思いますか。
 社民党は、二〇〇二年に格差是正を訴え、労働者派遣法の抜本改正を訴えました。社会保障費を毎年二千二百億円ずつカットすることは問題だと初めて指摘をしたのは社民党です。今後五年間、一兆一千億円、なぜ社会保障費のカットをする方針を総理は撤回をしないのですか。
 雇用についてお聞きをします。
 派遣切りが大量に出ていることは、小泉政権下、製造業についても派遣を認め、安上がりで使い捨てのできる労働力として導入をしたことに大きな問題と責任があると考えますが、いかがですか。だからこそ、製造業について派遣を禁止し、専門職にのみ派遣を認めるポジティブリスト化にすべきだと考えますが、いかがですか。
 なぜ、政府案は、舛添大臣が言っている製造業について派遣を禁止するというものと全く違うものになっているのですか。後期高齢者医療制度の議論と一緒で、口で言うだけなのでしょうか。
 派遣村にあったような総合相談窓口を各地に設置することやシェルターを増やすことが今すぐ可能だと考えますが、いかがですか。すぐやりましょう。
 企業の社会的責任についてお聞きをします。
 三月末までにこれからもっと派遣切りが行われる可能性が大です。一年間に三万人もいる自殺者がもっと増えるのではないかと私は大変な危機感を持っています。総理は大企業の派遣切りをやめさせるために全力を挙げるべきだと考えますが、いかがですか。
 また、自動車や電機などの日本を代表する大手製造業十六社だけでも、内部留保はこの六年間で十七兆円から三十三兆円に増えています。大企業は多額の内部留保を持ちながら、例えば日系ブラジル人の人たちなども真っ先に首を切られ、家族が路頭に迷い、子供たちは学校に行けなくなり、ブラジルなどに帰りたくても費用がないなどの人道上も許し難いことが今起きています。仕事と食べ物と住まいと教育を一挙に失うということが起きているのです。大企業の派遣切りにストップを掛け、大企業も基金などにお金を出すということが必要ではないでしょうか。
 医療についてお聞きをします。
 妊婦さんが亡くなる、自治体病院が閉鎖になる、医師がいないなどの医療の崩壊の問題に社民党は取り組み、提言をしてきました。政府が医療に対して財源をカットするということでしか対応してこなかった結果ではないですか。今までの政府の医療費抑制政策は問題があったと考えますか。
 後期高齢者医療制度、障害者自立支援法は高齢者と障害者の切り捨てであり、余りに問題が大きく、廃止をすべきだと考えますが、いかがですか。
 赤字の自治体病院は統合や廃止をするという方針は撤回し、地域の医療を担う自治体病院や厚生年金病院、社会保険病院は存続させるべきだと社民党は考えますが、いかがですか。
 自治体病院については、今回、特別交付金を増やすなど、改善は見られます。しかし、崩壊しつつある医療を根本的に立て直す決意と改革が必要ですが、それは全く見えません。いかがですか。
 子供の貧困についてお聞きをします。
 貧困をなくすことは政治の大事なテーマです。子供の貧困をなくすことに政治は全力を挙げるべきです。
 今、親のリストラなどで高校や大学への進学をあきらめる子供たちが多くなっています。食べる物にも事欠く子供たちがいます。生活保護の母子加算がカットされたために生活が困窮をしている母子家庭があります。
 子供たちは、みんな未来を切り開いていく存在です。しかし、今の日本は、その子供がどこの地域でどんな親の下に生まれたかによって大きく未来が異なってきています。生まれてきてよかったとすべての子供が思えるように、社民党は子供の貧困ゼロ社会への提言をまとめていきます。
 総理、教育予算を増やすこと、教員を増やすこと、高校の授業料の無料化、そしてヨーロッパのように大学もすべて無料化にすることはすぐにはできなくても、せめて奨学金などの拡充や無償の奨学金を増やすことなどをやるべきではないですか。
 定額給付金で二兆円一回こっきり現金をばらまくのではなく、医療や教育、緊急雇用にお金を使うべきです。未来や安心にこそ投資をすべきではないですか。
 雇用をつくることについてお聞きをします。
 社民党は、いのちと緑の公共事業、ヒューマン・ニューディールを提唱しています。教育、福祉、医療の分野で雇用をつくる、農業、林業、漁業で雇用をつくる、学校や病院の耐震補強で地域の雇用をつくる、そして自然エネルギーで雇用をつくることを提唱をしています。自然エネルギーで雇用をつくることに、今アメリカを始め世界は大きく動いています。日本は立ち遅れています。ドイツなどで行っている固定価格買取り制度を導入して自然エネルギー産業の育成をすべきだと考えますが、いかがですか。
 余りに事故続きで運転稼働が延び延びになっている高速増殖炉「もんじゅ」と六ケ所再処理工場は、耐震性も問題があり運転をすべきではないと考えますが、いかがですか。
 郵政民営化とかんぽの宿についてお聞きをします。
 郵政民営化から三年がたち、見直しをする時期になりました。各地で郵便局が減って不便になったという声をどう聞かれましたか。また、かんぽの宿の建設に二千四百億円掛かったものを、ミスター規制緩和と言われた宮内義彦さんが会長を務めるオリックスに百九億円で一括売却をすることは問題です。鳩山大臣は問題ありと言っているのに、総理はなぜ問題あると言われないのですか。郵政民営化を始め、民営化の名の下に一体何が行われたか、検証委員会をつくることを社民党は提案をしますが、いかがですか。
 消費税についてお聞きをします。
 定額給付金という理念なきばらまきをやった後、消費税の値上げでは国民は全く納得ができません。消費税を言う前に、十年前に所得税の累進課税の最高税率を低くし、大金持ちを優遇してきたことをまず元に戻すことをなぜやらないんですか。社民党は、大金持ちには増税を、生活に困っている人には減税を、福祉が必要な人には福祉をと主張をしています。今こそ内需拡大が必要なときに、なぜ逆行する消費税なのですか。
 最後に、ソマリアの自衛隊の派遣についてお聞きをします。
 総理は、国会の新たな法律がなく、国会の関与がなく自衛隊を派遣しようとしています。世界には、いろんなところに日本人、日本の企業、日本の製品があふれています。それらが危険だから自衛隊を出すとなると、どこにでもいつでも自衛隊を出せることになってしまいます。法律を作ることも将来の自衛隊派兵恒久法制定への地ならしだと危惧をします。自衛隊の海外派遣には反対です。いかがですか。
 国民が望む安心できる暮らし、命を大切にする政治は自民党政治ではできません。麻生内閣が国民にできる唯一のいいことは、今すぐ退陣をすることです。社民党は、新しい時代を切り開き、すべての人がこの社会で人間らしく生きられる社会を全力でつくると宣言し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#42
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 福島議員より二十問質問をいただきました。
 まず最初に、構造改革についての御質問をいただいております。
 これまで取り組んできた改革は、我が国の経済と社会の活性化に一定の成果を上げてきたと考えております。しかし、格差の拡大や地方の疲弊といった改革によるひずみが指摘をされ、また、世界金融危機といった新しい課題が生じております。
 私は、改革という基本路線は堅持しつつ、ひずみへの配慮と新しい課題への解決に取り組んでまいりたいと考えております。その意味では、私の政策は、これまでの改革を否定するのではなく改革を進化させるものであり、これを通じて安心と活力ある社会を目指していきたいと考えております。
 雇用の破壊などに対する政治の責任についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、米国の金融危機に端を発する歴史的な経済危機を受けた急激な雇用情勢の悪化、産科、小児科、救急などにおける医師不足などにより必要な医療を受けられないのではないかとの不安、地方税財源の減少による地方財政の厳しい状況など、国民が不安を感じる厳しい状況にあります。こうした状況を改善し、国民の不安を解消することが政治の責任と考えております。
 このため、雇用創出のため、都道府県に四千億円の基金を創設するなど、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じるほか、医師養成数の増員など医師不足問題に対応するとともに、救急医療体制を整備する、地方交付税を一兆円増額し、地域活力基盤創造交付金を創設するなど、安心と活力ある社会の実現に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 社会保障費についてのお尋ねがありました。
 平成二十一年度予算においては、一定の財源を確保した上で、二千二百億円に足らざる部分につきましては後発医薬品の使用促進を行うこととしたところでもあります。今後とも、少子高齢化の進行に伴い社会保障費の増大は確実であります。安定財源の確保と並行して、社会保障の機能強化を図るとともに、コスト縮減、給付の重点化などの効率化を進めて、社会保障というもの自体を安心なものとしてまいりたいと考えております。
 労働者派遣法について幾つかお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で、雇用の場を確保することや労働者の多様な働き方に対するニーズに対応することなどを目的として行われたものであります。結果として、雇用の確保については一定の役割は果たしてきたものと認識をいたしております。
 他方、今回の歴史的な厳しい経済状況などを踏まえれば、労働者の保護を強化する観点から、労働者派遣法の見直しが必要と考えております。そのため、日雇派遣を原則禁止するとともに、派遣元に対し登録型の派遣労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの改正法案を提出しておるところでもあります。
 ただ、その場合でも、現在、登録型派遣は約二百八十万人、製造業派遣は約四十六万人の方に利用されております。これらを規制することによって、かえって雇用の場が失われるような、奪われるような、そういった事態を避けなければならないとも考えております。こうした考え方は舛添大臣とも同様と認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、国会の場でよく御審議をいただきたいと考えております。
 総合相談窓口の設置や緊急避難のためのシェルターの増設を行うべきとのお尋ねがありました。
 雇い止めなどにより住居を喪失した離職者に対する支援としては、昨年末より、全国のハローワークに特別相談窓口を開設、雇用促進住宅への入居のあっせん、住宅・生活支援の資金融資の相談などを既に実施しておりますのは御存じのとおりです。
 今後、福祉政策を担う地方公共団体とも緊密に連携しながら、離職者の方々の状況に応じた支援を総合的に実施できるよう、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
 派遣切りへの対応に関するお尋ねがありました。
 派遣労働者のいわゆる雇い止めや解雇が発生していることについて大変憂慮をいたしております。
 このため、労働契約法に関する啓発指導や労働者派遣法などに違反する事業主に対する指導監督を徹底してまいりたいと考えております。あわせて、労働者の雇用や生活の向上に向けて、雇用の維持に努力する企業を支援するための雇用調整助成金の拡充など、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じてまいります。
 企業の拠出による職を失った労働者の支援についてのお尋ねがありました。
 企業が労働者の雇用や生活の安定に努力することが社会的責任だと考えております。このため、個々の企業がそれぞれ自主的に労働者の雇用維持や生活支援に取り組むことは極めて大切だと考えております。
 一方、政府としては、雇用保険制度の枠組みの中で事業主が全額負担する雇用保険に、雇用保険事業は二つありますが、つきましては非正規労働者などの支援を行ってまいります。今回の雇用対策におきまして、この財源を活用して、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用維持に努める企業に対する雇用調整助成金の拡充、雇用創出のため都道府県に二千五百億円の基金を創設し、地域求職者などの雇用機会の創出など、既に一次補正、二次補正を通じて実施しているところであります。
 医療政策についてのお尋ねがありました。
 高齢化の進展などにより、今後も医療費の増加は避けられないと存じます。国民皆保険を堅持していくためにも、生活習慣病対策などを始め、給付の効率化の取組を進めていくことが必要であります。
 他方、地域医療の現場では、医師不足などにより必要な医療が受けられないのではないかとの不安が生じているのも事実です。そのため、医師養成数の増員や勤務医の勤務環境の改善、救急患者を円滑に受け入れられる体制の整備などを含め、必要な医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、今後は、安定財源を確保した上で、持続可能で質の高い医療制度の実現に向け医療の機能強化を図るとともに、給付の効率化を進めてまいりたいと考えております。
 長寿医療制度や障害者自立支援法に関するお尋ねがありました。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではないと思います。廃止するのではなく、高齢者の方々に納得をしていただけるよう見直しを行うことが必要と考えており、政府・与党一体となって速やかに議論を進めてまいります。
 障害者自立支援法につきましては、三年間の施行後の状況も踏まえつつ、例えば障害児支援の実施主体の在り方について、一部を都道府県からより身近な市町村にするなどについて検討を進めてまいります。今国会に改正法案を提出いたしたいと考えております。
 地域の医療を担います自治体病院などについてのお尋ねがありました。
 地域における医療の確保は、国民が安心して暮らしていく上でも欠かすことができないものであろうと存じます。
 公立病院につきましては、地方交付税措置を大幅に拡充いたし、必要な地域医療の確保を支援をいたしておるところでもあります。
 社会保険庁の廃止に伴って見直しを進めております厚生年金病院や社会保険病院につきましては、地域の医療体制を損なうことがないよう、適切な譲渡先を確保すべく検討を行っているところでもあります。
 教育予算についてのお尋ねがありました。
 国づくりの基本は人づくりだと、私もそう思います。内閣の重要課題として、質の高い教育を政府全体で実現していきたいと考えております。
 特に、経済状況の厳しい中でも不安なく教育を受けられるよう、教職員定数の増員、授業料減免、私学助成の充実などを進めてまいります。
 さらに、奨学金の事業につきましては、厳しい経済状況を背景とした希望者の増加に対応するために、平成二十一年度予算におきましては奨学金を受けられる方を六万人増加させております。
 次に、定額給付金でなく、医療、教育、緊急雇用にお金を使うべきとの御指摘がありました。
 定額給付金は家計への緊急支援であり、併せて消費を増やす経済効果もあり、生活対策における重要な施策とも考えております。もちろん、医療、教育、緊急雇用などの施策も重要であります。政府としては、生活対策及び生活防衛のための緊急対策に盛り込まれておりますこれらの施策などを着実に実施したいと考えております。
 電力の固定価格買取り制度についてのお尋ねがありました。
 固定価格買取り制度は、再生可能エネルギーの導入拡大に寄与するとの評価がある一方で、買取り価格が保証されますために発電コストを下げるというインセンティブが働きにくいといった指摘もあります。
 現在、日本では、電力会社への新エネルギー電源の利用を義務付ける制度を採用しております。あわせて、住宅用太陽光発電の導入補助を開始するなど、支援措置を実施しております。まずはこれらの着実な実行が重要であると考えております。その上で、新エネルギーの大量導入のための総合的な方策の更なる充実に努めてまいらねばならないと思っております。
 核燃料サイクルについてのお尋ねがありました。
 エネルギーの安定供給確保の観点から、ウラン資源を有効利用する核燃料サイクルの実現が不可欠だと存じます。「もんじゅ」及び六ケ所村の再処理工場は、その中核的な役割を果たす施設でもあります。耐震安全性につきましては、これまでの安全審査の過程でIAEAを始め多くのところで確認をされてきたところでもあり、その安全性は確保されていると思っております。現在、試験に時間を要しておりますが、安全な運転を確保するためにも試験や検査を徹底することが重要であると考えております。
 郵便局数の減少により不便になったのではないかとのお尋ねがありましたが、郵政民営化後、郵便局数自体はほとんど変化はございません。しかし、簡易郵便局の一時閉鎖が一時的に増加しておりますが、地域住民の方々からの御指摘をいただき、この分は戻ってきております。これにつきまして、日本郵政グループより、委託手数料を値上げするなどの対策を講じ、一時閉鎖局は減少してきつつあります。
 かんぽの宿の譲渡についての御質問がありました。
 かんぽの宿の譲渡に関しましては、国民が疑念を持たれないようにしなければならない、当然のことでありまして、総務大臣において適切に処理してもらいたいと思っております。
 郵政民営化について、検証委員会をつくるべきではないかとの御指摘をいただきました。
 郵政民営化法におきまして、郵政民営化委員会が三年ごとに郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しをされることとしております。
 所得税や消費税の在り方についてお尋ねがありました。
 現下の金融経済情勢の下、当面は景気回復を最優先で図るため、事業規模七十五兆円規模の景気対策により我が国の内需の拡大などを図ってまいりたいと思っております。
 他方、大胆な財政出動をするからには、中期の財政責任はきちんと示さなければならず、また、社会保障の持続可能性に対する国民の不安を払拭しなければなりません。このため、今国会に消費税を含む税制抜本改革の道筋を盛り込んだ法律を提出したところでもあります。
 この税制抜本改革においては、社会保障の安定財源確保や格差の是正といった様々な課題に対する観点から、所得、消費、資産などの税体系全体の見直しを行うことといたしております。
 御指摘の個人所得課税につきましても、高所得者の税負担の引上げや子育てなどに配慮した中低所得者世帯の負担の軽減を検討することといたしております。
 最後に、海賊対策についてのお尋ねがあっております。
 ソマリア沖では年間約二千隻、一日平均五、六隻の船があそこを通航いたしております。こうした日本国民の人命、財産の保護というものは政府の最も重要な責務の一つだと、私はそう思っております。この責務を果たすため、新法の整備までの応急措置として、自衛隊が海上警備行動によりソマリア沖における海賊へ対処するための準備を開始したところでもあります。また、国会への報告についても適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#43
○議長(江田五月君) 松下新平君。
   〔松下新平君登壇、拍手〕
#44
○松下新平君 私は、改革クラブの松下新平です。
 今回、初めて改革クラブ、本会議で発言の機会をいただきました。御配慮いただきました西岡議運委員長始め与野党の皆様、また、時間を割いていただきました自由民主党に感謝を申し上げながら、会派を代表して質問をさせていただきます。
 改革クラブの結党の精神は、答えを出す政治、国会と国民をつなぐ懸け橋として、国民の利益を最優先に考えながら、国会における良識を取り戻すよう努めることであり、私は、将来の政界再編の受皿としてその役割を果たしてまいりたいと思っております。
 今の国会の現状に対する国民の声は非常に厳しいものがございます。経済が待ったなしの緊急事態であるにもかかわらず、一体国会は何をしているのか、国民生活と国会のギャップの指摘であります。政治に携わる者として申し訳ない気持ちでいっぱいです。どうしてなんでしょうか。
 現在の東京慈恵会医科大学の創設者である高木兼寛先生は私の郷土宮崎の偉人であります。当時多数の死者を出していたかっけの病気を治したことで、世界でもビタミンの父として名高い先生は、病気を診ずして病人を診よ、病気を診ずして病人を診よという言葉を残されました。これは、医学の実践から出た言葉でしょうが、物事の本質を見極める原点として私の政治活動の範としております。
 今の政治に置き換えますと、国会を診ずして国民を診よということになるでしょう。選挙のための政策になっていないか、党利党略に走っていないかと語りかけています。参議院の在り方自体を問われている今日、何のためにあるのかという原点に立ち返る必要があります。
 さて、施政方針演説に対する代表質問の最後となりました。
 私は、子育て世代の政治家です。私たちの世代は、先輩方のこれまでの経験を受け継ぎながら、それらを子供たちの世代に受け渡す責任世代です。今、同世代の皆さんから、大変な時代になった、これから日本はどうなるのだろう、子供の寝顔を見て不安になるといった御意見が多数寄せられています。国会はこれらの不安を解決する責任があります。政治の責任において明確な答えを出さなければなりません。どうなるのだろうという心配に対して、どうしていくかを考え、着実に実行していくことが求められます。
 そこで、同世代、責任世代である野田聖子そして小渕優子両大臣に、私の考えをどうお感じになりますか。激動の世界の中で日本をどうしていくのか、三十年後、五十年後の日本を考えた政策は何か、そのために今、麻生内閣の閣僚として何をなすべきか、お示しください。
 さて、麻生総理、麻生総理の施政方針演説の大きな柱として、世界の新秩序づくりへの参画を掲げられました。それをお聞きし、大きく方向転換をされたと感じました。アメリカ型ではなく、血の通った経済の仕組みに立て直すということですね。私も同感です。
 米国発の金融危機は、お金中心、物中心の弱点、問題点が露呈しました。その結果、今までの価値観が崩壊したことで見えてきたものもありました。血の通った社会になるよう、これまでの経済、政治の仕組みを変えていく必要があります。オバマ大統領も同様に、アメリカを中心とした経済政策から世界協調路線に転換していくものと思われます。
 不況により経済が疲弊し、消費も滞っているため、農林水産業、商店街、中小企業の方々は大変御苦労をされています。また、医療、地域も崩壊寸前です。今こそ、私たちがこの問題にスピード感を持って答えを出し、暮らしやすく安心できる温かい社会になるように改善していかなければなりません。そのためには、日本の歴史から生まれたすばらしい文化、伝統、精神性を重んじながら、それらを反映する日本独自の政策をつくっていくべきだと考えます。日本の自立と世界との協調、助け合う精神が必要です。
 麻生総理大臣、私の考えをどう思われますか。総理の考えるこれからの経済の仕組み、政治の在り方をお聞かせください。
 最後に、百年に一度の経済不況を乗り越えるために、百年に一度の政策が必要です。そして、そのためには百年に一度の政治家が求められております。この危機は、皆さん、官僚でもなく、財界でもなく、我々政治の出番です。参議院の出番です。こういう気概を持って、党派を超えてしっかり取り組むということを呼びかけまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#45
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 松下議員の質問にお答えをさせていただきたいと存じます。
 若い人が初めてやるときに静かに聞いてやって、応援してやったらどうです。私は、若い人を育てようという気持ちのないところはやっぱり駄目だと思います。
 是非その意味で、最初に引かれた宮崎県高岡町出身、元軍医、初代海軍軍医総監高木兼寛の話はすごく印象に残りました。あの人は、相手側の方と、陸軍総監と対比される方でしたけれども、なかなかな人物だったと思いますので、あの方の話を聞かされたのはすごく印象に残りました。ありがとうございました。
 御質問にお答えします。
 お金中心、物中心から方向転換し、助け合いの精神が重要であるとの御主張だったと存じます。
 私も含め多くの方々が同感をできることだと存じます。国民がそれぞれ、自らの理想や利益を追求できる社会をつくることは重要です。しかし、競争だけでは、参加できない方や取り残される方々というものが出てきます。また、安心もなかなか得られないんだと存じます。
 助け合いなどには、一つにはボランティアとかNPOとか、そういう民間による共助と、もう一つは政府による公助、公の助、公助というものがあります。そのような仕組みをつくること、国民の間に助け合いの精神を育てるということが誠に重要だと考えます。御指摘のように、日本の伝統を踏まえ、世界と協調しつつ、安心と活力ある社会をつくっていくことが重要だと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣より答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(野田聖子君) 私に対しましては、将来の日本を見据えた政策についての質問をいただいておりました。
 現在、我が国は、少子化、それによる未曾有の人口減少社会に突入しました。今般の経済金融危機が百年に一度と言われるのに対し、この急激な少子化、人口減少は我が国がかつて経験したことがない危機であり、人口の増加を前提としているすべての日本の社会システムを壊していることをもっと国民と理解し合い、新たな答えを出さなくてはなりません。
 私は、優秀な技術、魅力ある文化、世界があこがれるブランドなど、日本の底力の源泉は、これらをつくり出してきた人そのものであると考えます。人口減少社会を生き抜く、そのためには日本の底力である人材の育成や教育の役割が極めて重要と考えております。
 また、私は、利他的な精神や公共を重んずる姿勢といった当たり前の心を取り戻していくことこそが教育の役割、使命であると思っています。しかし、昨今、他人に対する誹謗中傷やいじめの問題などが横行しています。教育の在り方についてもその点をしっかりと検討していくことが重要と考えております。
 また、人口減少社会にあっては、これまで社会的弱者として扱われてきた障害者、女性、高齢者など、あらゆる人々に社会の働き手として貢献していただく必要があります。そういう社会に変革していかなければ、もはや我が国は成り立っていかないのです。未来のためにできることとして、私は、だれでも働きやすく、努力が報われ、生きやすい社会をつくってまいります。(拍手)
   〔国務大臣小渕優子君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(小渕優子君) 三十年後、五十年後の日本を考えた場合に今何をなすべきかという御質問をいただきました。
 私たちの世代は、有り難いことに平和で豊かな日本に生まれ育つことができました。これは諸先輩方のたゆまぬ努力によって築かれたものであります。先ほど松下議員からも御指摘がありましたように、この平和で豊かな我が国社会をしっかりと次の世代へ引き継いでいく責任があるものと考えております。
 加えて、私は、特に少子化対策や青少年育成を担当する立場から、我が国の将来を担う現在の子供たち、そしてこれから生まれてくる子供たちが健やかに成長し、またそれぞれ持てる個性と能力を伸び伸びはぐくみ、その力を社会で遺憾なく発揮できるような環境を次の世代に残していかなければならないと考えております。
 そのため、老若男女を問わず、みんなで子供の誕生を喜び、だれもが仕事と生活の両立を困難を感じることなく、男性も女性も同じように子育てに参加でき、また社会全体で子供を育て、その成長を支えていけるような社会の実現を目指したいと考えております。(拍手)
#48
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#49
○議長(江田五月君) この際、お諮りいたします。
 風間昶君から裁判官訴追委員予備員を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#51
○議長(江田五月君) この際、欠員となりました
 裁判官訴追委員予備員一名、またあわせて
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 国土審議会委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官訴追委員予備員に松浦大悟君を、
 皇室経済会議予備議員に津田弥太郎君を、
 検察官適格審査会委員に足立信也君を、
 同君の予備委員に白眞勲君を、
 国土審議会委員に長浜博行君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、松浦大悟君を第四順位に、第四順位の松あきら君を第五順位といたします。
 また、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、津田弥太郎君を第一順位といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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