くにさくロゴ
2009/03/18 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第11号
姉妹サイト
 
2009/03/18 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第11号

#1
第171回国会 本会議 第11号
平成二十一年三月十八日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ─────────────
  平成二十一年三月十八日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 第三十一回オリンピック競技大会及び第
  十五回パラリンピック競技大会東京招致に関
  する決議案(田名部匡省君外七名発議)(委
  員会審査省略要求事件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、財政運営に必要な財源の確保を図るための
  公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰
  入れの特例に関する法律案及び所得税法等の
  一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、国務大臣の報告に関する件(平成二十一年
  度地方財政計画について)
 一、地方税法等の一部を改正する法律案及び地
  方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議案(田名部匡省君外七名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。田名部匡省君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田名部匡省君登壇、拍手〕
#5
○田名部匡省君 私は、ただいま議題となりました民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び改革クラブの各派共同提案に係る第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議案につきまして、発議者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議案
  我が国において、一九六四年の東京オリンピック以来となるオリンピック夏季競技大会を開催することは、国際親善とスポーツ振興にとって極めて意義深いものである。
  参議院は、来る二〇一六年の第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会を東京都に招致するため、一致協力して必要な活動を強力に推進するとともに、準備態勢の整備に万全を期すべきものと認める。
  右決議する。
 オリンピックが、世界各国のスポーツを発展させ、スポーツを通じた友情、連帯、フェアプレーの精神を培うことで、民族の相互理解や世界平和への貢献をしてきたことは御承知のとおりであります。
 我が国は、これまで、一九六四年の東京夏季大会、一九七二年の札幌冬季大会、一九九八年の長野冬季大会を開催した経験があります。いずれの大会もオリンピックの精神に基づき、国民的な盛り上がりの中で大成功を収め、国際親善とスポーツ振興に大きな役割を果たしました。
 しかし、近年のオリンピックは、肥大化するとともに行き過ぎた商業主義が目立つようになり、オリンピック本来の精神と懸け離れてきたようにも感じます。そこで、真の文化と平和の祭典を実現するため、二十一世紀のオリンピックをその原点に立ち返らせ、オリンピズムを世界に広げていくことが必要であります。
 そのためには、オリンピズムの原則にのっとり、二度目の東京夏季大会を世界平和を希求するオリンピックと位置付けるとともに、スポーツや選手を政治的、商業的に悪用するようなことを慎み、また、経済波及効果や都市基盤整備は結果としてもたらされるものと自覚することが重要です。そして、大会関連の施設整備については、財政面、環境面などを配慮して、将来への負荷を残さないとの観点から十分検討されなければなりません。
 第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の開催都市は、本年十月二日に開催される国際オリンピック委員会総会において決定されます。東京都への招致を実現するためには、国内外の人々と真に友好的な関係をつくり上げ、国民が心を一つにして招致活動に当たらなければその成功はあり得ないということを、私たちを含め関係者が強く認識して必要な活動を推進していかなければなりません。
 以上が本決議案を提案する趣旨であります。
 何とぞ皆様の御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(江田五月君) 過半数と認めます。
 よって、本決議案は可決されました。
 ただいまの決議に対し、文部科学大臣から発言を求められました。塩谷文部科学大臣。
   〔国務大臣塩谷立君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(塩谷立君) ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。
 第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会を東京都に招致し、我が国においてオリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会が再び開催されますことは、国際親善、スポーツ振興にとって誠に有意義であり、喜ばしいことであると存じます。
 政府といたしましても、ただいまの御決議の趣旨を十分に尊重いたしまして、平成十九年九月に閣議了解されました方針に従い、招致の実現並びに準備体制の整備に最善の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
     ─────・─────
#9
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。与謝野財務大臣。
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(与謝野馨君) ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案について御説明申し上げます。
 第一に、平成二十一年度予算においては、歳出歳入両面において最大限の努力を行ったところでございますが、なお引き続き、国の財政収支が著しく不均衡な状況にあり、特例公債の発行の措置を講ずることが必要な状況となっております。
 本法律案は、こうした状況にかんがみ、平成二十一年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとする特例措置を定めております。
 第二に、世界の金融資本市場が百年に一度とも言われる危機に陥る中で、今年度から三年間のうちに景気回復を最優先で実現するため、集中的な施策を実施することとしているところであり、平成二十二年度までの臨時の措置として、財政投融資特別会計の積立金を活用し、これらの施策及び基礎年金の国庫負担の追加に伴い必要な財源を充てることとしております。
 本法律案は、このため、平成二十一年度及び平成二十二年度において、特別会計に関する法律第五十八条第三項の規定にかかわらず、予算で定めるところにより、財政投融資特別会計から一般会計に繰り入れることができることとする特例措置を定めております。
 次に、所得税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本法律案は、現下の経済財政状況等を踏まえ、安心で活力ある経済社会の実現に資する観点から、住宅・土地税制、法人関係税制、中小企業関係税制、相続税制、金融・証券税制、国際課税、自動車課税等について所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、住宅・土地税制について、住宅借入金等に係る所得税額控除制度の適用期限を延長した上で、最大控除可能額を大幅に引き上げるほか、長期優良住宅の新築等に係る所得税額控除制度の創設、平成二十一年及び平成二十二年に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除制度の創設等を行うこととしております。
 第二に、法人関係税制について、エネルギー需給構造改革推進設備等の即時償却措置の創設を行うこととしております。
 第三に、中小企業関係税制について、中小法人等の法人税の軽減税率を引き下げるほか、中小法人等への欠損金の繰戻しによる還付制度の適用を可能とする等の措置を講ずることとしております。
 第四に、相続税制について、非上場株式等に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度を創設するほか、農地等に係る相続税の納税猶予制度を見直す等の措置を講ずることとしております。
 第五に、金融・証券税制について、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る軽減税率の特例を延長する等の措置を講ずることとしております。
 第六に、国際課税について、外国子会社からの配当について益金不算入とする制度の導入等を行うこととしております。
 第七に、自動車課税について、一定の環境性能を有する自動車に係る自動車重量税を免除する特例の創設等を行うこととしております。
 第八に、附則において、税制の抜本的な改革に関する検討の規定を設けることとしております。
 そのほか、住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例の措置の適用期限を延長するなど、適用期限の到来する特別措置の延長、既存の特別措置の整理合理化等の所要の措置を講ずることとしております。
 以上、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第でございます。以上でございます。
 ありがとうございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。尾立源幸君。
   〔尾立源幸君登壇、拍手〕
#13
○尾立源幸君 民主党の尾立源幸です。
 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して、財源特例法案及び所得税法等改正案について質問させていただきます。
 財政、税制に関する質問に先立って、麻生総理の政治姿勢についてお聞きいたします。
 総理は、一昨日の予算委員会において、小沢代表公設第一秘書の逮捕に対して、明らかに違法だったがゆえに逮捕ということになったんだろうというように思っておりますと発言されています。この発言は、世界人権宣言や国際人権規約で保障された推定無罪の原則に反すると考えます。総理の発言の撤回を求めますが、いかがでしょうか。
 また、現在捜査中の個別の案件について、行政府の長たる内閣総理大臣が明らかに違法と断定することは、捜査機関及び司法に対して有罪にしろと命じているようなものであります。これに対する御見解をお伺いいたします。
 総理は、小泉改革について、予期せざる問題が出たところについては、我々としてはそこを進化させていかなければならないと、三月十二日の予算委員会で大久保勉議員の質問に答弁されています。小泉改革の柱は、国債発行三十兆円以下への抑制、不良債権処理、そして民営化の推進であります。しかしながら、麻生総理は、平成二十一年度予算において約三十三・三兆円の国債を発行し、郵政民営化についても反対だったと答弁しています。小泉改革の柱と正反対の言動を行いながら、改革を進化させると説明されています。
 麻生総理に、小泉改革のどこを継承するのか、修正するのか、また進化させるのかをお尋ねいたします。
 財政の要諦は、五経の一つ礼記に記載されているとおり、入るを量りて出るを制すにあります。すなわち、収入をよく見定めてから支出を行うということであります。しかし、政府が編成した平成二十一年度予算はこの原則から大きく外れているとしか言いようがありません。
 政府は、平成二十一年度の税収について、平成二十年度当初予算と比べ七兆四千五百十億円減少の四十六兆一千三十億円を見込んでいると説明していますが、この数字は、平成二十年度決算で見込まれている税収額四十六兆四千二百九十億円とほぼ同じであります。二〇〇九年の経済成長率は、民間エコノミストでマイナス五%弱、日本銀行でさえマイナス二%と予測しているのですから、税収減は明らかで、このような甘い見通しが通用するはずはありません。税収の見込みを意図的に高く見積もり、当初予算の国債発行額を低く見せようとする手法は、粉飾決算ならぬ粉飾予算だと考えますが、総理の見解を求めます。
 甘い見通しに従って打ち出される対応は、後手後手に回らざるを得ません。総理は、第一次補正予算、第二次補正予算、二十一年度予算を三段ロケットに例えていますが、さらに追加景気対策の検討を指示しています。一体、何段ロケットまであるのでしょうか。
 また、現在、平成二十一年度の本予算を参議院において審議している最中にもかかわらず、総理は、補正予算を前提とした追加景気対策を指示し、四月二日のG20後には、補正予算案の編成を指示する意向を固めたとも報じられています。与謝野大臣も、三月十四日のG20後の記者会見で、米国の求めるGDP比二%の財政出動に関して、追加景気対策を含めると結果として二%を超えるとの見方を記者会見で示すなど、本予算成立前に既に補正予算に向けた発言をしています。これらの発言は、参議院軽視も甚だしいと思いますが、総理と財務大臣の御見解をお聞きいたします。
 麻生総理は、三月十五日のNHKの番組において、公共事業について、この八年間で半分になったため地方の経済は急速に疲弊している、対策について自民党に検討を指示したと述べられています。どのような基準でどの程度増やすおつもりなのかお聞きいたします。無駄な公共事業を繰り返すことのないように、費用対効果を厳密に計算して実施すべきですが、総理の御所見をお伺いいたします。
 与謝野大臣は、政府の経済見通しを下方修正することを示唆したと報道されていますが、史上最大とも言われている補正予算による追加経済対策を加味すると、どの程度の経済成長率を見込んでいるのでしょうか。追加経済対策が検討されているということは相当程度の需給ギャップが存在するのではないかと思われますが、財務大臣の御見解をお聞きいたします。
 また、その需給ギャップを埋め、雇用を維持するためにあらゆる手段を講じなければなりませんが、日本銀行による国債の直接買取り、無利子国債、政府紙幣の発行など、非伝統的手法の可能性をどの程度検討しているのか、財務大臣にお聞きいたします。
 地方税収入、地方交付税等の算定においても甘い見通しに基づいているのだとすれば、地方自治体も偽りの税収見通しの被害を受けるのではないかと危惧しています。また、三位一体改革によって、平成十九年から、所得税から住民税へ約三兆円の税源移譲がなされています。しかし、所得税、住民税は景気の変動によって増減し、また大量退職時代を迎えて税収が減少していくことが予想されているため、安定財源にはなりにくいのが現状です。これは改革の失敗ではないかと思いますが、総理と総務大臣の見解を求めます。
 また、地方自治体の財政にとって大きな負担と不安定要因となっている直轄工事負担金については、早急に廃止すべきと考えますが、総理、総務大臣及び国土交通大臣の見解を求めます。なお、民主党が政権を担当する際には、直轄工事負担金は全廃いたします。
 政府は、平成二十一年度予算において地方交付税を一兆円増額したと説明しています。しかし、実際には、平成二十年度と比較して純粋に増えた交付税の額は四千億円であります。先日、地元大阪の地方議員の方から、四千億円しか地方交付税は増えないが、残りの六千億円は後からもらえるのか至急説明してもらいたいと電話を受け、説明に苦慮しました。実際は四千億円しか増えていないにもかかわらず、一兆円増やしたと説明するのは理解に苦しみます。総理、その理由を御説明ください。
 平成二十一年度の政府税調の答申に、抜本的な税制改革は焦眉の課題とあります。しかし、これまでの答申をひもとくと、平成十一年十二月に出された税調答申において、税制全般にわたる抜本的な見直しが必要とされているとあります。十年もの間、抜本的な見直しあるいは改革と言い続けているのですが、一体いつになったら抜本的な改革が行われるのでしょうか、総理にお尋ねいたします。
 麻生総理は、負担と給付の在り方について、日本の落ち着く先は中福祉中負担と繰り返し述べられています。ここでいう中負担とは、現在三八・九%の国民負担率でいうと何%程度なのか、御説明ください。
 また、消費税率の引上げについてお聞きいたします。
 与謝野大臣は、消費税率の引上げに当たって目的税化が必要とおっしゃっていますが、目的税化とは、法律で使途を制限するのか、あるいは特別会計を創設するのでしょうか、財務大臣にお聞きいたします。
 納税者番号制度についても抜本的改革に含まれると税調答申では述べられています。民主党は、税と社会保障を一体的に提供する給付付き税額控除の導入を主張していますが、これに伴って、税と社会保険料の徴収と給付を管理するための社会保障番号と歳入庁の創設について検討を進めています。税と社会保障を共通で管理する社会保障番号の導入について、総理の見解を求めます。
 平成二十一年度予算において、揮発油税等の歳入を道路整備に使うことを義務付けている仕組みを廃止し、道路特定財源の一般財源化を行ったと政府は説明しています。揮発油税等の暫定税率は立ち遅れた道路整備を推進するために導入されたものであり、道路特定財源を一般財源化するのであれば、暫定税率を廃止するのが筋ではないでしょうか、総理にお聞きいたします。
 また、揮発油税等の税収は、依然として主として道路に限定して使われ、地方道路整備臨時交付金が地域活力基盤創造交付金に名前を変えただけで、いまだに国土交通省に支配されています。一般財源化と言いつつ、なぜ道路特定財源相当額の大部分が国土交通省の道路関連予算につぎ込まれているのか、総理と財務大臣にお聞きいたします。
 今回の所得税法等改正案においても、租税特別措置の延長等が盛り込まれています。適用期限が到来することに伴い、平成二十一年度税制改正において検討の対象となった租税特別措置の総数、また、そのうち廃止されるもの、一定の見直しを行った上で延長されるもの、そのまま延長されるものの数はどの程度あるのか、財務大臣にお聞きいたします。
 租税特別措置は、平成十三年の政府税調答申でも補助金の裏返しと指摘されており、他の所得税法等の改正と性格が大きく異なります。租税特別措置は、他の所得税法等の改正と分けて法案提出すべきと考えますが、財務大臣の見解をお聞きいたします。
 租税特別措置の各年の適用実態は国税庁でさえ一部しか把握しておらず、要求する側の省庁も業界団体へのアンケートなどでその効果を推計しているだけで実態は把握していません。民主党は、その適用実態等を明らかにするため、租税特別措置透明化法案を本日、国会に提出いたします。政府は租税特別措置の実態を透明化する考えはあるのか、総理にお聞きいたします。
 二次補正予算に引き続き、平成二十一年度予算においても財政投融資特別会計の金利変動準備金を取り崩し、四兆二千三百五十億円を一般会計に繰り入れています。その結果、金利変動準備金の準備率は千分の三十五となります。これは、財務省が以前行ったシミュレーションの結果から考えると、繰越利益がゼロになる可能性が目に見えて起こり得る状況です。
 与謝野大臣はこれまで、特別会計の積立金は各々に目的や理由が存在するため、埋蔵金といったものはないと述べられていました。なかったはずの埋蔵金がどこから出てきたのでしょうか。ただ単に財務省の言いなりになっていただけではないでしょうか。財務大臣にお聞きいたします。
 また、財政投融資特別会計以外にも積立金等を保有する特別会計が存在しますが、その中で活用可能だと考えられるものはどの程度あるかについて御説明ください。
 さらに、財務大臣は、財政金融委員会において、埋蔵金について、皆様方が財投の赤字垂れ流しという批判をされないということがはっきり分かるのであれば、ゼロのところまで使い切って私はいいと思っておりますと答弁されています。
 しかし、民主党は、将来の日本に対する必要な投資の財源の一部として埋蔵金を使いたいと考えています。政府のように、国民の七割が反対する定額給付金や財源不足の補てんではありません。なぜ国債発行額を少なく見せるために財政投融資特別会計の準備金を取り崩したのか、御説明ください。
 民主党は、政権獲得後、税金の無駄遣いを徹底的に改め、一般会計、特別会計合わせて二百五兆円の予算を総組替えすることで財源を確保し、安定雇用の確保・創出、年金制度改革、農業戸別所得補償、高速道路無料化、子ども手当、医療改革、暫定税率廃止・減税など、格差是正や景気回復、そして将来の日本をつくるために必要な投資を三段階に分けて実施してまいります。
 麻生総理は、解散の時期について、景気対策が先決だとして、今の段階で五月とか六月とか申し上げる段階にはないと述べられています。しかし、NHKの三月の世論調査では、解散・総選挙を優先課題に掲げる割合が四一%、これに対して景気対策は二八%でした。麻生総理がやりたいことをやる前に、国民の多くが求める解散・総選挙を行うべきであります。
 米国のオバマ大統領は、一月二十日に就任し、わずか一か月後の二月十七日には約七十二兆円の景気対策法案を成立させています。片や麻生総理は、昨年八月に緊急総合対策を発表して半年経過しますが、いまだに十分な対策が取れていません。
 今求められているのは、対症療法的な景気対策ではなく、民主党が主張するような産業構造改革を含めた抜本策であり、そのためには本格政権が大なたを振るうしかないことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 尾立議員の質問にお答えをいたします。
 合計十五問。まず最初に、十六日の参議院予算委員会における私の答弁についてのお尋ねがありました。御指摘の答弁につきましては、その後逮捕された事実は間違いない旨言い直したところであります。推定無罪の原則は言うまでもないことであって、捜査中の個別事案の帰趨を判断したものではありません。
 小泉改革と私の経済政策との関係についての御質問がありました。これまで取り組んできた改革は、我が国の経済と社会の活性化に一定の成果を上げてきたと認識をいたしております。しかし、改革によるひずみ、格差の拡大や地方の疲弊が指摘され、新しい課題、世界金融危機などが生じておるところであります。このため、私は、改革という基本路線は堅持しつつ、ひずみへの配慮と新しい課題への解決に取り組むことにより、改革を進化させてまいりたいと考えております。
 平成二十一年度の予算の税収見込みについてのお尋ねがありました。
 二十一年度における税収は、予算編成時点に判明していた二十年度のそれまでの税収の実績や企業収益の大幅な悪化など、利用可能なデータを踏まえて最善の見積りに努めた結果、四十六兆一千億円と見込んだものであります。したがって、税収を意図的に高く見積もった粉飾予算であるとの指摘は当たらないものと考えております。
 平成二十一年度補正予算と、私の発言及び公共事業の費用対効果についてのお尋ねがありました。
 与党に対しては、いわゆる追加の経済対策や補正予算の策定を指示したものではありません。今後の経済の下振れリスクに備え、どのような経済政策運営があり得るか、幅広い検討をお願いしたものであります。したがって、現段階で補正予算について何らかの想定があるわけではありません。
 いずれにせよ、二十一年度予算及び関連法案の早期成立、そして可能な限りの前倒しでの執行が重要であると考えております。
 なお、公共事業については、一般論として無駄なものはつくらないという観点から、最新のデータを用い、費用対効果分析を含む事業評価を客観的かつ厳格に実施し、適正な執行を確保してまいりたいと考えております。
 地方税の安定性についてのお尋ねがありました。
 所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲は、地方からの要望も受け、基幹税によるものとして実施したところであります。今後、税制抜本改革において、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すなどによって、税源の地域偏在が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することを基本に改革を進めてまいりたいと考えております。
 直轄事業負担金についてのお尋ねがありました。
 直轄事業負担金は、法令に基づき、受益と負担の関係から求めるものであることは御存じのとおりです。このため、毎年度、地方財政計画と地方交付税の算定により確実に財源を確保しております。ただ、地方団体からは、地方分権の観点や厳しい財政事情を踏まえ、見直しの意見が出ていることは十分に承知をいたしております。
 今後、こうした地方団体からの意見にも耳を傾けつつ、国と地方の役割分担や直轄事業に関する協議の在り方などの観点から十分に議論が行われるべきものと考えております。既に直轄事業の進め方などにおいて、国土交通省が全国知事会との協議の場を設けることとしており、建設的な意見交換を期待しているところであります。
 地方交付税の一兆円の増額についてのお尋ねがありました。
 地方交付税の一兆円の増額は、既定の加算とは別枠で地方交付税法に明記して行うものであります。原資となります国税五税の大幅な減収などにより、交付税総額は本来、前年度から六千億円減の十四兆八千億円になるところでした。こうした中、一兆円の増額により、前年度を四千億円上回る地方交付税総額を確保したことにつきましては、地方から大変評価をいただいているところであります。
 税制抜本改革の実施時期についてお尋ねがありました。
 消費税を含む税制の抜本的な改革につきましては、今年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に行うことといたしております。
 このため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずることといたしております。その実施時期は経済状況をよく見極めて判断をいたしますが、私としては、二〇一一年度に向けて景気が回復するよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 中福祉中負担についてのお尋ねがありました。
 日本の社会保障というものは、高福祉と称される北欧の諸国に比べて給付水準は高くない。他方、全国民をカバーする医療制度を持たない米国などとは異なり、国民皆保険、皆年金、介護保険などを実現をいたしております。こうしたことから中福祉と表現をいたしておる次第です。
 しかしながら、社会保障の現状を見ますと、医師不足、介護人材の不足など、国民が不安を抱く課題に直面しており、必ずしも中福祉の社会保障レベルとは言い難い状況もあるのではないかと考えております。
 また、現段階で特定の水準の国民負担率を想定しているわけではありませんが、中福祉に見合います税制抜本改革の実現により、国民の皆様に中負担をお願いすることが必要だと考えております。
 そのため、昨年末に策定した中期プログラムでは、社会保障の安定財源につきましては、消費税を主要な財源として確保する、また、安定財源の確保と並行して、社会保障の機能強化を図るとともに効率化を進めることといたしており、当面、緊急に対応が必要な課題や中長期的な課題などを工程表としてお示ししたところです。
 こうした取組により、堅固で持続可能な中福祉中負担の社会保障制度を構築してまいりたいと考えております。
 税と社会保障を共通で管理する社会保障番号の導入についてのお尋ねがありました。
 今般御審議をいただいております税制改正法案の附則においては、今後の税制抜本改革の基本的な方向性として、納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上と課税の適正化を図ることといたしておりますのは御存じのとおりです。
 また、国民が社会保障に関する給付やサービスをより利用しやすくするため、現在、社会保障番号を含め社会保障カードの検討を進めております。
 さらに、社会保障のみならず、広い分野でワンストップの行政サービスを提供するため、希望する国民一人一人に電子情報の私書箱のようなものを作ることを検討するよう、先般、野田IT担当大臣に指示を行ったところであります。
 道路特定財源の一般財源化と暫定税率についてのお尋ねがありました。
 揮発油税などの税率の在り方につきましては、今後の税制抜本改革時に検討することとし、それまでの間、地球温暖化問題への国際的な取組、国、地方の厳しい財政状況などを踏まえ、現行の税率水準を維持することといたしております。
 道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねがありました。
 道路特定財源の一般化とは、揮発油税などの歳入を道路整備に使うという義務付けをやめるということであります。この意味で、二十一年度から道路特定財源はすべて一般財源化することといたしております。
 こうした中で、地域活力基盤創造交付金は、道路以外の関連インフラの整備やソフト事業などにも使える使い勝手の良いものといたしております。これは、与党において御議論をいただき、地方からの要望も踏まえ、地方の道路整備の必要性や財政の状況に配慮したものであります。地方からも評価をされておるところです。
 なお、一般財源化に伴います二十一年度予算の歳出について申し上げると、道路整備費は国の直轄事業ではマイナス一一・七%の減額と大幅に絞り込んだほか、社会保障財源につきましては六百億円を確保したところであります。
 租税特別措置の実態の透明化についてのお尋ねがありました。
 租税特別措置が税制上の特例であることを踏まえれば、租税特別措置の利用状況の把握に取り組むことは重要であると認識をいたしております。
 このため、これまでも要望省庁における利用状況調査や申告データを利用した標本調査などにより、実態の把握に向けた取組を行ってきていると承知をいたしております。引き続き更なる改善に向けて検討を進めることが重要と考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(与謝野馨君) 御質問にお答えいたします。
 平成二十一年度補正予算についてお尋ねがございました。
 政府は、二十一年度予算及び関連法案について国会でできるだけ早く成立をさせていただき、年度当初から速やかな執行を図ることが重要と考えております。二十一年度補正予算は、現時点では考えておりません。
 次に、追加経済対策を加味した経済成長率の見込みについてお尋ねがありました。
 現在は二十一年度予算等を御審議いただいている段階でありますので、現時点では政府経済見通しを改定する考えはございません。しかしながら、四月に入りますと一―三月期の経済指標にもある程度の見極めが付いてまいりますので、政府経済見通しの見直しについて作業を始めることとしたいと考えております。なお、内閣府の試算によれば、二〇〇八年十月―十二月期のGDPギャップの名目年率で約マイナス二十兆円と見ております。
 次に、日銀による国債の直接買取り、無利子国債及び政府紙幣の発行についてお尋ねがございました。
 日銀による国債の直接引受けは、財政法により原則として禁じられており、また、安易な国債発行に流れ財政規律を失わせるおそれがあることから、困難と考えております。
 無利子国債については、どのような仕組みがあり得るのか、公平性、マネーロンダリングとの関係、資産間の乗換えに伴う市場、経済への影響など、様々な検討を要すると考えております。
 また、政府紙幣の発行については、論外であると考えております。
 次に、消費税の使途に関しお尋ねがありました。
 先般閣議決定された中期プログラムや税制改正法案の附則においては、消費税の全額について、制度として確立された社会保障給付等に充てることを予算及び決算において明確化するとの基本的方向性を示しています。政府としては、こうした考え方に沿って、どのような形でその具体化を図っていくか、今後検討してまいります。
 次に、道路特定財源の一般財源化と地域活力基盤創造交付金についてのお尋ねがありました。
 道路特定財源の一般財源化とは、揮発油税等の歳入を道路整備に使うという義務付けをやめるということであります。この意味で、平成二十一年度から道路特定財源はすべて一般財源化することとしております。
 また、地域活力基盤創造交付金は、これまでの地方道路整備臨時交付金とは異なり、道路以外の関連インフラの整備やソフト事業などにも使える使い勝手の良いものとしております。これは、地方公共団体からの御要望も踏まえ、地方の道路整備の必要性や財政の状況に配慮したものでございます。
 次に、租税特別措置の項目数に関してお尋ねがありました。
 租税特別措置法に基づく特例措置の項目数について、一定の前提の下で整理すると、適用期限が到来し二十一年度税制改正において検討の対象となったのは五十七項目、そのうち、廃止されるものは七項目、一定の見直しを行った上で延長されるものは二十七項目、そのまま延長されるものは二十三項目となっております。
 次に、税制改正法案の提出についてお尋ねがありました。
 平成二十一年度税制改正法案は、住宅ローン減税の延長、拡充や中小企業対策税制といった、現下の厳しい経済金融情勢を踏まえた各種減税措置を講ずるとともに、必要な納税環境整備等を行うものであります。
 このように共通の趣旨、目的に沿った各税法相互に関連する横断的な改正内容が含まれることから、租税特別措置法の改正と他の税法の改正を併せ、一本の法律案としているものであります。こうした法制的な取扱いは、平成十五年度税制改正以来一貫しており、相互に関連する税制改正全体の姿について一覧的かつ分かりやすく示すことに資すると考えております。
 次に、財政投融資特別会計の金利変動準備金の活用及びそれ以外の特別会計における積立金等についてお尋ねがありました。
 特別会計の積立金は、貸借対照表等の財務諸表においてだれもがその存在を確認できることから、ひそかに埋め隠されている埋蔵金といったものはないと申し上げてきたところでございます。
 今般の二十年度二次補正、二十一年度当初予算においては、百年に一度の危機に際しての臨時的、特例的な措置として立法措置を講じた上で、財投特会の金利変動準備金を一般会計に繰り入れて活用するとしたところでございます。
 特別会計の積立金、剰余金等のうち活用可能なものがどの程度あるのか一概に申し上げられませんが、今後とも、特別会計法に基づき、活用できるものはできるだけ活用に努めてまいります。
 財政投融資特別会計の金利変動準備金を活用することとした理由についてお尋ねがありました。
 世界的に金融市場が混乱に陥る中、対策等の財源として赤字国債を発行することは、財政規律への影響のほか、市場に更なる増発圧力が加わることとなり、その結果として国債市場に対する影響も懸念されます。したがって、臨時的、特例的な対応として、財政投融資特別会計の金利変動準備金を活用することとしたものでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(鳩山邦夫君) 尾立議員からは二点お尋ねがございまして、まず地方の安定財源についてでありますが、地方法人二税は景気によって二割、三割すぐ変動いたしますが、個人住民税は税収の安定性は非常に高い、そういう基幹税でございますから、地方からの要望も受けて、税源移譲の際の対象は個人住民税としたところでございます。
 地方にとって非常に必要なことは安定財源でございまして、今後更に中期プログラムの議論が進んでまいりますと、何といっても地方消費税の充実が大変重要でございまして、地方消費税の場合は税源の偏在性が小さく、また税収が安定的なので、地方税体系の構築の中で重要な役割を果たすべきと思っております。
 それから、直轄事業負担金の見直しについてお尋ねがありました。
 直轄事業負担金制度については、一番大きな問題は、今後の国の形、地方分権を考えた場合に、やっぱりこの直轄事業というものを減らして、できるだけ都道府県の事業に替えていくということが何よりも大事だと思っております。そして、現在、例えば国道でいえば、都道府県管理国道の維持管理は全部県がやっている、ところが国の管理の直轄国道は十分の四・五は地方に負担を押し付けているというのは、これはちょっと不公平な感じがあるんだろうと、こういう認識をいたしております。
 したがって、今後、国と地方の役割分担や補助金、交付税、税源配分の見直しについて一体的な検討を進めていく中で、知事会との話合いもあろうと思いますが、直轄事業負担金について大いに検討をしていきたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣金子一義君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(金子一義君) 直轄事業負担金についてお尋ねがありました。
 昨今の厳しい経済状況を背景に、地方の財政状況が極めて厳しいことから、直轄事業負担金の廃止を含めていろいろな御意見が出ております。
 直轄事業負担金は、事業の便益が地方に及ぶことから、受益者たる地方自治体に建設、管理の一部を負担を求めているものであります。ただ、一方で、直轄事業について地方整備局と地方公共団体あるいは地方自治体との協議を行っていても、知事には十分な説明が伝えられていないといった御指摘もあると承知しておりまして、様々な課題を整理していく必要があると思っております。
 去る二月、福岡県の麻生知事、知事会長でありますが、見直しの話合いをしたいという御要望をいただきました。全国知事会との意見交換の場を設けることとしたところでありまして、可能な限り早期に意見交換の場を、関係省庁と連携しながら開催できるよう調整してまいりたいと思っております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(江田五月君) 西田実仁君。
   〔西田実仁君登壇、拍手〕
#19
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 私は、公明党、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました財源特例法案並びに平成二十一年度所得税法等の一部を改正する法律案について質問します。
 現在、経済政策の焦点は、急激な輸出需要の垂直落下から起きた需要不足をいかに埋めるかに集まっています。経済が需要の消滅という形で大出血しているときには、当面の措置として大量の輸血が不可欠です。しかし、需要不足をいつまでも財政で埋め切れるわけでもありません。そこで、民間の前向きな投資を促す需要創出策、テーマが必要となります。税制にはまさにこうした一国全体の大きな行動指針を示していく役割があります。
 そこで、まず総理にお聞きします。今回の税制改正は、一連の経済対策の中でどのように位置付けられるのでしょうか。あわせて、財務大臣にお聞きします。仮に三月末までに法案が成立しなかった場合、国民生活にはどのような影響が及ぶのでしょうか。具体的に答弁願います。
 平成二十一年度の税制改正は、一兆円規模の減税という規模もさることながら、国全体の方向性を示す将来志向型の税制になっていることが特徴と考えます。
 例えば住宅税制です。住宅ローン減税による景気対策にとどまらず、住宅の長期優良化や省エネ化、バリアフリーなどの高齢化対応といった将来のあるべき姿、方向性に対する減税措置が盛り込まれています。ただ、一方で、減税の恩恵を受けるのは富裕層のみといった批判も一部で聞かれます。今回の住宅ローン減税において、中低所得層への配慮はどのようになされているのでしょうか、財務大臣にお聞きします。
 また、自動車課税についても、従来にない減税規模とともに、環境性能の高い自動車に対する減税措置がとられています。これも国全体の方向性を示した将来志向型の税制改正であります。
 ただ、世界的な自動車不況を受けて、各国とも自動車販売促進のための支援措置を大胆にとっています。日本は自動車車体に対する重い課税もあり、この面では必ずしも先行しているとは言えません。本法附則百四条には、自動車関係諸税の簡素化と負担の軽減が盛り込まれております。その検討に向けた総理の決意とその方向性についてお聞きします。
 さらに、エネルギー効率の引上げや資源生産性向上に資する生産設備等の即時償却を可能にする制度も導入されます。個別産業優遇型の特別措置から全産業対象の特別措置に移行する望ましい税制改正です。しかし、即時償却などの特別償却は当然のことながら利益を上げている企業にしかメリットはありません。省エネ等の目的からすると、利益の上がっていない約七割近い会社への対策も必要です。他にどのような支援策がありますか。経済産業大臣にお聞きします。
 中小企業関係税制では、軽減税率の時限的引下げ、欠損金の繰戻し還付制度の復活が盛り込まれました。減税規模は二千四百億円と言われます。対象となる中小企業はどれくらいあるのでしょうか。財務大臣にお聞きします。
 商店街の活性化に向けた税制支援もあります。経済産業大臣による認定事業を行う商店街等に土地を譲渡したものに対して、一千五百万円を上限に譲渡所得の特別控除を行います。これを知った商店街組合の会長さんから早速連絡がありました。しかし、喜んだのもつかの間でありました。対象となる商店街組合は法人格を持つものに限るというものだからであります。
 多くの商店街組合は資金も不足、スタッフも不足をしております。法人格を持つ商店街振興組合等は全国に四千ほどしかないとも聞きます。この際、商工会議所や商工会が代行して受けて、法人格を持たない商店街組合にも活性化に向けた支援策が受けられるようにするなど、支援対象をより広げるべきと考えますが、経済産業大臣、いかがでしょうか。
 中小企業の経営者から再三にわたってお聞きする延滞税の税率についてお伺いいたします。
 現在の税率一四・六%に引き下げられたのは昭和三十七年。その前年である昭和三十六年政府税調の国税通則法の制定に関する答申には、最近において金利水準が低下したこと及び将来においても同様な傾向が予想されることにかんがみ、全体として延滞税の割合を引き下げることが適当とありました。
 もちろん、一四・六%という数字には利息相当分のみならず、納税促進効果をねらった部分も含まれており、その時々の市中金利と比べるだけではいけないとは理解しつつも、それでもなぜ一四・六%なのかは不明であります。未曾有の不況の今のこの御時世には余りに高利と嘆く中小企業も少なくありません。延滞税の税率について再考する余地はないのでしょうか。財務大臣にお聞きします。
 今回の税制改正は、将来を見据えた問題点を浮かび上がらせ、税制再考のための一つの転機になっていることも特徴であります。附則百四条の税制の抜本的な改革に係る措置がそれであります。
 第一点は、加速されてきた企業原理主義ともいうべき税制の方向性を転換するかどうかであります。国際競争力向上のために法人税率引下げを主軸に国の成長を図ろうとすれば、企業や株主に有利な税制を用意することになります。その結果生ずる法人税収の構造的低下は、所得税や消費税の増税によって賄われていくことになります。法人税の引下げによる減収分は、成長による法人税収の増加では埋め合わせられないからであります。
 しかし、平成十九年度国民経済計算によれば、この十年、日本の所得分配は、サラリーマンの賃金やボーナスが約十四兆円減る一方で、企業所得が約十四兆円増えるという好対照を現じております。企業と株主に所得が偏在し、企業の重要なステークホルダーである被雇用者に適切に分配されているとは言い難い状況であります。税引き後の所得が、企業や株主、投資家に一方的に集中しないように、税制は転換をすべきと考えますが、財務大臣、いかがでございましょうか。
 第二点は、逆に分配重視型の税制に転換するかどうかであります。所得維持のための税制とも言い換えられます。定額給付金がその走りであります。給付付き税額控除がこの附則にも検討項目の一つとして記されております。給付付き税額控除は非課税所得層にも減税の恩典が届くようにする負の所得税の一つであります。
 現在、生活保護の水準は、平均給与収入などが不況の影響で下がると連動して切り下げられる仕組みとなっておりますが、これは本末転倒のやり方ではないでしょうか。不況期こそ生活保護費の水準を維持すべきであり、一方で、生活保護にかかわらず頑張っている低所得層に対しては負の所得税などで生活水準を維持できるようにすべきであります。
 そのためには、納税者番号制度の導入などによる所得の正確な把握や財源としての消費税を含む税制の抜本改革など、附則に盛り込まれている検討が必要なことは言うまでもありません。
 分配重視型の税制への転換、そのための非課税所得層への負の所得税について、財務大臣の御所見をお伺いして質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 西田議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず、税制改正の経済対策の中での位置付けについてのお尋ねがありました。
 現下の金融経済情勢の下、当面は景気回復を最優先に図るため、政府は事業規模約七十五兆円の景気対策に取り組んでいるところであります。今般の税制改正における国、地方を合わせた一兆円を超える大胆な減税はこうした景気対策の一環として講じられるものであります。国民の暮らしや企業活動を支えるため、幅広い分野にわたっております。
 具体的には、住宅ローン減税の大幅な拡充、延長、そして、環境対応した車への自動車重量税・取得税の減免、中小企業の法人軽減税率の引下げ、農地に係ります相続税の納税猶予制度につきましては、農地の有効利用の促進に資する貸付けの場合も、これを適用の対象とするなどの措置を講じることといたしております。
 また、中小企業の雇用を維持し、事業を継承した場合においては、相続税や贈与税を猶予することといたしており、地域社会やコミュニティーの維持にも役立つのではないかと考えております。
 これらの施策は、我が国の内需を力強く刺激し、早期の景気回復の実現に資するとともに、将来の我が国の新たな成長を切り開くものではないかと考えておる次第であります。
 自動車関係諸税についてのお尋ねもありました。
 今回の税制改正では、厳しい経済情勢の下、環境性能に優れた自動車について思い切った減税を講じることといたしております。御指摘の自動車関係諸税の簡素化、負担の軽減の在り方につきましては、税制改正法案の附則で示されておりますとおり、今後の税制抜本改革において、厳しい財政事情や環境に与える影響などを踏まえつつ、総合的に今後検討してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(与謝野馨君) 御質問にお答えを申し上げます。
 税制改正法案が三月末までに成立しなかった場合の国民生活への影響についてお尋ねがございました。
 まず、租税特別措置の適用期限切れについて。
 住宅用家屋や土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置を始め、各種の登録免許税に係る軽減措置の失効等により、様々な取引等の当事者にとって想定外の負担増が発生をいたします。
 紙巻きたばこやウイスキー等の携帯品輸入に係る特例税率が失効するため、たばこ税や酒税の税額と消費税額とを個別に算出する必要が生じ、旅行者等が行う通関時の納税手続が煩雑化し、スムーズな通関に支障が発生をいたします。
 特定の石炭に係る石油石炭税の免税措置が失効するため、鉄鋼等製造用の石炭の価格の上昇により、鉄鋼産業等の国際競争力の低下や鉄鋼等を使用する製品の価格高騰が生じます。
 以上に申し上げましたような例など、国民生活等に混乱が生じます。
 また、住宅ローン減税や中小法人等の欠損金の繰戻し還付など景気対策の遅れを招き、国民生活や企業活動への影響が懸念をされます。
 税制改正法案の年度内成立に向け、議員各位の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 次に、住宅ローン減税についてお尋ねがありました。
 今般の住宅ローン減税の改正は、早期の住宅取得を促進するとともに、住宅投資の経済全体への波及効果を通じて景気回復を最優先で図るため、最大控除可能額を過去最高水準に引き上げるというものであります。
 その際、減税額が個々の所得税額から控除し切れない場合には、更に個人住民税から税額控除できる仕組みを新たに創設することとしており、中低所得者層にも減税効果が幅広く及ぶようにしております。
 次に、中小企業関係税制の対象となる法人についてお尋ねがございました。
 対象となる法人数については、中小企業の所得動向等により左右されるため、一概に申し上げることは困難でありますけれども、平成十九年度の調査によれば、資本金一億円未満の法人のうち、軽減税率の時限的引下げの対象となる利益計上法人の数は約八十三万、資本金一億円未満の法人に関し、前年利益で本年欠損となり、欠損金の繰戻し還付の対象となる法人の事業年度の数は約十八万となっているところであります。
 次に、延滞税についてのお尋ねがございました。
 現行の延滞税の割合は、現在における民間や他の公租公課の遅延損害金等とも比較しても、決して高い水準にあるわけではなく、歴史的にも、シャウプ勧告以来、民間の遅延損害金等をしんしゃくして現行水準まで引き下げてきたものであり、現在でも妥当な水準にあると考えております。
 なお、延滞税については、充実した減免措置が設けられており、個々の納税者の状況に応じて配慮が行われているところであります。
 次に、所得分配と税制抜本改革の方向性についてお尋ねがありました。
 企業活動によって得られた付加価値の分配の在り方については、基本的には個々の企業における配当戦略や労使交渉などによって決まるものであり、税制が与える影響について一概に申し上げることは困難であります。
 他方、今後、社会保障の安定財源の確保や社会における様々な格差の是正、経済の成長力強化といった課題に対応するため、税制の抜本改革に当たっては、幅広い観点から、所得、消費、資産の税体系全般にわたる見直しを行ってまいりたいと考えております。
 いわゆる負の所得税についてお尋ねがありました。
 税制改正法案の附則においては、個人所得課税の見直しの基本的方向性として、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、歳出面も合わせた総合的取組の中で、中低所得者世帯の負担軽減等を検討することとしております。今後、こうした基本的方向性に沿って検討を行っていくこととなりますが、いわゆる負の所得税についても、その中の一例として検討が行われることになると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(二階俊博君) 西田実仁議員にお答えいたします。
 利益の上がっていない七割近い会社の省エネルギー対策についてのお尋ねでありました。
 省エネルギーは、エネルギー安全保障や地球温暖化問題の克服はもとより、厳しい経済情勢の中、我が国が経済成長を続けるためにも重要な取組であります。
 このため、経済産業省では、企業等の省エネルギーの取組を支援するため、中堅・中小企業が無料で利用できる省エネ診断、また省エネルギー効果の高い設備の導入や技術の開発に対する補助など、総額一千億円程度の予算措置を講じており、これらは利益が上がっていない企業も利用可能となっております。
 経済産業省としては、省エネを新たな需要と雇用を生む我が国の強みととらえ、引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、商店街活性化のための土地の譲渡所得の特別控除制度について、対象範囲についてのお尋ねがございました。
 御指摘の制度は、今国会に提出しました商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案に基づく経済産業大臣の認定を受けた商店街振興組合や事業協同組合等に対して、土地を譲渡した個人や法人が一千五百万円を上限に特別控除を受けられるものであります。
 この制度については、特に土地が譲渡される先を商店街振興組合等に限定していますが、これは、空き店舗の有効活用など商店街活性化の取組に継続して利用されることを確保するために商店街全体としての意思を確認できることが必要であり、なお、適切な行政上の監督を及ぼすことも可能な主体に限定すべきであるとの考え方に基づいたものであります。
 一方で、商店街振興には様々な施策を講じており、経済産業省としては、本税制度のこの措置のほかに、地域住民の交流施設の整備、さらにイベント開催などのための補助金、人材育成等の支援策も実施することとしており、この中で法人格のない商店街にも支援を広げてまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
#23
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#24
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
 平成二十一年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。鳩山総務大臣。
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(鳩山邦夫君) 平成二十一年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成二十一年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、既定の加算とは別枠で地方交付税を一兆円増額し、これに合わせて地方団体が雇用創出等を図るとともに生活者の暮らしの安心や地方の底力の発揮に向けた事業を実施するために必要な経費を計上しております。また、基本方針二〇〇六等に沿って歳出全般にわたり見直しを行い、その抑制に努めるとともに、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額を確保することを基本としております。
 引き続き生ずる財源不足については、適切な補てん措置を講ずることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。
 以上の方針の下、平成二十一年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十二兆五千五百五十七億円となり、前年度に比べて八千四百五十七億円の減となっております。これは減となっておりますけれども、東京等、不交付団体の水準超経費が経済の変動で大きく落ち込んだためでございまして、地方交付税を受け取っている団体だけで見ればプラスでございます。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 現下の経済財政状況等を踏まえ、安心で活力ある経済社会の実現に資する観点から、個人住民税における新たな住宅借入金等特別税額控除の創設、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る個人住民税の税率の特例措置の延長、土地及び住宅に係る不動産取得税の税率の引下げ措置の延長、平成二十一年度評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、環境への負荷の少ない自動車に係る自動車取得税の税率の引下げ等の特例措置の拡充、軽油引取税等の一般財源化等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等を行うこととしております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成二十一年度分の地方交付税の総額につきましては、雇用機会の創出等に資する施策の実施に必要な財源を確保するために一兆円を加算すること等により十五兆八千二百二億円を確保するとともに、単位費用の改定を行うほか、平成二十一年度及び平成二十二年度における措置として地域雇用創出推進費を創設し、あわせて、自動車取得税の減税に伴う市町村の自動車取得税交付金の減収額の一部を埋めるために地方特例交付金を拡充することとしております。
 また、地方公共団体の一般会計における長期かつ低利の資金調達を補完するため、地方公営企業等金融機構の貸付業務を拡充し、その名称を地方公共団体金融機構に改めるとともに、公営企業・第三セクター等の抜本的な改革に伴って必要となる一定の経費に充てるための地方債の特例を創設することとしております。
 以上が、平成二十一年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(江田五月君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。加藤敏幸君。
   〔加藤敏幸君登壇、拍手〕
#28
○加藤敏幸君 民主党の加藤敏幸です。
 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部改正案並びに地方交付税法等の一部改正案の二法案に関し、与謝野財務・金融・経済財政政策大臣並びに鳩山総務大臣に質問させていただきます。
 まず、地方経済と地方財政の現状認識についてお伺いします。
 世界金融危機が実体経済を直撃し、世界同時不況が一段と深刻化する中で、我が国においても生産、消費共に著しく落ち込んでおります。昨年十月―十二月期の国内総生産は年率換算で一二・一%減となり、先進主要国で最も大きな落ち込みとなりました。輸出の減少が生産調整を引き起こし、それが雇用と消費を減らし、更に生産が減少していくという負の連鎖が止まりません。とりわけ自動車、電機、機械製造などの主要産業においては、来年度の生産計画も立てられない状況に追い込まれています。まさに、先が見えない、底が見えないという状況です。
 与謝野大臣、現下のこの不況について、いつまで続くと考えておられますか。規模と期間についてお答えください。また、昨今の経済状況が地方経済や地場産業あるいは地域の雇用などに与える影響についてどのくらい深刻に受け止められているのか、与謝野大臣に伺いたいと思います。
 関連して、鳩山大臣に伺います。
 現下の厳しい経済情勢の中で、地方自治体の今後の税収入が大幅に落ち込むことが予想され、政府はこれまでの政策の延長線上に立ち、平成二十一年度政府予算案と今議題となっています地方財政にかかわる二つの法案によって地方の財源不足を国から補てんされようとしています。
 その手法は、地方財政の不足分約十兆円のうち、約五兆五千億円を国と地方が折半し負担するというものです。地方負担分二兆七千億円は、赤字地方債の一種である臨時財政対策債を発行することで賄おうとしています。政府は、地方が臨時財政対策債を発行したら、その元利償還金相当額の全額を後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入するとしています。
 しかし、こんなことをいつまでも続けていては、地方が支払う元利償還金がどんどん積み上がり、受け取る地方交付税の多くが借金の返済に充てるための財源になってしまうことが懸念されます。必要な行政サービスの財源が不足することにもなりかねません。
 そこで、鳩山大臣に伺います。まず、約十兆円という不足分の見通しは適切なのか、更なる減収となる可能性はあるのかどうか、お答えください。不況が長期化するとの予測の中で、毎年将来にツケを回すやり方で本当にいいのかどうか、併せてお答えください。
 次に、地域雇用対策について質問します。
 政府は、生活防衛のための緊急対策として、地方交付税の一兆円の増額を別枠で確保し、そのうち五千億円を地域雇用創出推進費の創設に充てられることにしています。しかし、これを全国の自治体に分配すると、個々の自治体では不十分な予算としかなりません。線香花火を大きく見せようとしても無理なのではないでしょうか。
 多くの都道府県や市町村は、当面の緊急対策として、期間を限定した臨時雇用の場を自ら用意することなどを考えておられますが、これは臨時応急の処置です。雇用創出のかなめは長期雇用、安定雇用にあります。雇用情勢が一段と厳しくなる中で、もはや従来の政策の延長線上では政策効果を上げることは難しいと考えます。
 鳩山大臣は、地方の創意工夫によって成果を上げてほしいと言っておられますが、この程度の財源規模では不十分です。これでは大胆な雇用安定化策を実行することなどはできません。長期雇用や安定雇用などは夢のまた夢です。総務大臣として、この予算の規模と有効活用をどのように考えておられるのか、大臣の見解を伺います。
 次に、定額給付金について質問いたします。
 定額給付金関連法案は、本院において否決されたにもかかわらず、衆議院での再議決によって成立し、現在、各自治体において定額給付金の給付作業が始まっております。定額給付金が持つ問題点につきましては私どもが繰り返し追及してきたわけでありますが、実施段階に至りましたので、今後の問題について質問いたします。
 まず、麻生総理大臣は、この定額給付金は生活支援ではなく景気対策だとし、御本人も受け取られることを表明されました。しかし、この定額給付金は本当に景気対策となるのでしょうか。この疑問は私たちだけが持つ疑問ではありません。多くの経済学者やアナリストが平成二十年度の第二次補正予算の中で最も評価できない施策として定額給付金を挙げています。
 定額給付金の経済効果については、政府でさえ、名目GDPの約〇・四%に当たる約二兆円を投じるにもかかわらず、実質GDP成長率をわずか〇・一五%ポイント程度押し上げる効果しかないと認めています。また、景気が今後ますます悪化する見込みの中で、給付金が貯蓄ではなく、どれほど消費に回るのかも不透明です。
 元々生活のために経済があるのであり、経済のために生活があるのではありません。消費拡大には安定的な所得増の確立が不可欠です。その意味で、この財源は、本来、雇用・貧困対策や地域医療の整備など他の目的を持った政策に回すべきでした。
 麻生内閣はこの政策を強引に誘導してきたわけですから、与謝野大臣はこの場で定額給付金の経済効果について明確に理由を付して説明してください。
 次に、地方分権問題に関して質問します。
 地方分権については、現在、地方分権改革推進委員会が真剣な議論を積み重ね、昨年十二月八日には、国の出先機関の整理統合などを提案する第二次勧告を麻生総理大臣に提出いたしました。
 しかし、その内容は、二重行政をなくすには極めて不十分なものにとどまっています。最大の問題は、国の出先機関が抱える事業の多くを国の事業として存続させる方針であることです。
 地方に移譲する直轄国道や河川の扱いについても、昨年五月に出された第一次勧告では、第二次勧告までに具体案を得るとしていましたが、第二次勧告では結論を先送りし、明確に後退いたしました。また、第二次勧告は、地方整備局、地方農政局、経済産業局などを束ね、ブロックごとに地方振興局や地方工務局といった巨大な出先機関を創設するとしています。大半の事業を国に温存したまま統合すれば、国の力がかえって強まりかねません。地方分権に名を借りて組織の焼け太りをねらう官僚お得意の手法です。
 そこで、地方分権改革担当大臣でもある鳩山大臣に伺います。第二次勧告で示された出先機関の見直しについてどのように評価しているのですか、答弁を求めます。
 次に、国の直轄事業に対する地方負担の問題について伺います。
 地方側が国に要請したものではなく、ダム建設を始めとする国の計画として実行される公共事業につきましては、無条件に地方の負担分が決められ、さらに維持管理コストについても地方の負担が継続されることになっております。現在、地方財政がますます苦しくなっていく中で、この地方負担分の大きさが問題となっております。
 民主党は既に、国の直轄事業に対する地方負担金制度を廃止し、地方負担をなくすことを主張しています。昨年の通常国会では、道路特定財源制度改革法案に同制度の廃止を盛り込み、参議院に提出いたしました。
 そこで、鳩山大臣に伺います。民主党のこの提案に対してどのようにお考えでございますか。
 次に、地方税法の改正案の具体的な内容について質問いたします。
 今回、新しい税制として個人住民税において住宅ローン特別控除が創設され、また、自動車取得税の軽減措置もとられます。そのほか、幾つかの特例措置が延長されます。これらの政策減税は政策目標に沿って市民の経済活動を誘導していくというものですが、政策減税はどうしても一部の住民にしか利益をもたらさず、その政策効果も不明確です。その上、政策減税が多用されると、全く余裕のない地方財源をますます減少させることになります。
 今回改正では、住宅ローン減税と自動車取得税の減税分については減収補てん特例交付金として国から充当されています。しかし、現在においても複雑な地方税財政制度を一層国民に分かりにくくするだけでなく、そもそも景気対策、経済対策は本来国が行うべき施策であります。当然、その財源も国が負担すべきものです。
 現在、疲弊し切った地方経済を浮上させ、雇用を確保していくためには、抜本的な地方再生策が必要です。民主党が主張している道路特定財源の暫定税率の廃止、子ども手当の支給、高速道路の無料化、農業者戸別所得補償制度の創設など、国民の負担を軽減し、暮らしを支える大胆な政策を実行すべきです。
 この点に関して、与謝野大臣並びに鳩山大臣の見解を伺います。
 関連して、地方消費税や地方法人課税の在り方について質問します。
 現在、国のいわゆる国税五税が大幅減収となり、また地方税収も大幅な減収が見込まれます。とりわけ地域経済が低迷する中で、二十一年度の法人事業税は四七・三%の減収が見込まれています。特に製造業の動向を見れば、この減収はもっと大きくなると思われます。
 こういった事態において、地方財政を充実させるためには、地方財政制度の抜本的改革が必要不可欠です。民主党は、財政力の弱い自治体に手厚く財源を配分する機能を持たせた一括交付金制度や財源保障機能も強化した新たな財政調整制度を創設すると公約しています。
 一方、政府・与党は、地方財政改革に対する具体的な方針を示していません。昨年十二月に閣議決定された持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラムでは、地方税制については、地方分権の推進と、国、地方を通じた社会保障制度の安定財源確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めると述べており、検討、見直しなど、あいまいな言葉のオンパレードです。
 さらに、政府・与党は、具体策の検討を地方分権改革推進委員会に丸投げしていますが、同委員会にそんな能力がないことは明らかです。
 そこで、総務大臣に伺います。地方の財源を充実させるためにはどのような方策を実行するのですか、明確な答弁を求めます。
 次に、国、地方の財政収支の見通しと基礎的財政収支黒字化の問題について質問いたします。
 本年一月十八日に閣議決定されました経済財政の中長期方針と十年展望において、麻生内閣は、二〇一一年までに国、地方の基礎的財政収支を黒字化させるとの目標の達成は困難になりつつあるとの情勢認識に立たれました。また、与謝野大臣は、先週、公の場で、財政規律の仕事は中期プログラムで一時公演中止だと発言されました。この発言の真意を伺います。
 また、これは重要な方針転換でありますから、閣議において正式決定し、速やかに国会に説明すべきではありませんか。どうされるのかお伺いします。
 既に参議院においては来年度予算案の最終的な審議をしている段階であり、本日は地方財政にかかわる予算関連法案を審議しているわけであります。なぜもっと早い時期に方針転換を議論できなかったのか、また大規模な追加支出の検討に着手されなかったのでしょうか。それでは平成二十一年政府予算案は取りあえずの予算案だったのですか。いずれにしても、現状認識が甘く、また本予算に関する国会での審議を形骸化するものであります。
 与謝野大臣の認識をお聞きし、加えて、基礎的財政収支の黒字化の方針をどのようにされるのか、どのような経過措置をとろうとされるのか、説明していただきたいと思います。
 最後に、三位一体改革に関して伺います。
 鳩山大臣は、先月の二月十二日の衆議院本会議での質問に答えて、小泉政権下で実行された三位一体改革について、失敗の部分がある、地方をここまで苦しめているのは、改革に必ずしも正しくない部分があったと考えていると見解を述べられました。これまでも鳩山大臣は国会答弁で、三位一体改革をすべて否定するものではなく、国税が地方に税源移譲されたことは評価するとも答えられていますが、やはり三位一体改革のやり方について批判的な発言となっています。
 現在、三位一体改革がもたらした問題点を是正するために、全国知事会を始め地方団体が地方交付税の見直しなど様々な提言を出されていますが、どのような政策の軌道修正が必要なのか、総務大臣の見解を伺いたいと思います。
 以上、二法案に関する問題点を指摘しながら質問いたしましたが、いずれにいたしましても、現在の経済情勢、地方財政の現状、さらには求められる地方分権推進の目標からして、二法案は地方自治体や地域住民が求めているものに十分こたえていません。また、本格的な構造改革にも踏み込んでいません。麻生内閣は思ったほど経済には強くないし、改革の方向を正しく変更するほどの腕力もないということで、内心がっかりしています。やはり一日も早く民意を確認されんことを申し上げ、質問を終わります。
 清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(鳩山邦夫君) 加藤議員からの質問に順次お答えしてまいります。
 地方の財源不足についてでありますが、景気後退に伴う大幅な税収の減少について、昨年十二月の時点でできる限り正確な見積りを行って、その結果、平成二十一年度には十・五兆円の財源不足が生じることとなったわけでございまして、ただ、今後の景気動向について全く予断を許さないものがあると考えておりまして、今後の税収の動向については注意深く見守ってまいります。
 次に、地方の財源不足の補てん方法についてお尋ねがありました。
 地方財政は極めて厳しい状況にありまして、国も景気の後退に伴い大量の特例公債発行を余儀なくされている状況から、このところ、十年以上でしょうか、折半ルールの下で臨時財政対策債の発行がやむを得ないという状況が続いているわけでございます。
 当面は景気回復を最優先として税収回復に努めていって、今後経済状況を好転させることを前提に税制抜本改革に取り組む際には、やっぱり地方消費税の充実というのが何よりも大事。それから、これは地方交付税法に規定があると思うんですけれども、交付税が足りないという状況が三年以上続いた場合には地方交付税の法定率の在り方の検討をするということになっておりますので、これも是非俎上に上げていかなければならないというふうに考えております。
 雇用問題ですが、これは総理大臣が特別に地方交付税を一兆円増額をした、そのことによって、前年度より少なかったはずの地方交付税が、十五兆八千二百億円ということで、今年度に比べて来年度は四千百億円増えることとなったわけですが、その一兆円の半分は地域雇用創出推進費としております。これは大いに工夫して各自治体で使っていただければ有り難い。
 これに加え、第二次補正予算においては四千億円の基金を創設するなど、これは都道府県に創設して市町村も使えるという雇用対策でございまして、かなりの規模で精いっぱいの雇用対策を実施してきておりますので、あとは地方公共団体がこれをうまく創意工夫でお使いいただきたいと、こう思っております。
 地方分権改革についてのお尋ねでございますが、地方分権改革推進委員会の二次勧告は、国と地方の役割分担の見直しの観点から、百十六事項に及ぶ国の出先機関の事務権限について地方移譲等の見直しを行うとともに、地方再生、地域振興や出先機関を住民の目の届くものにする等の観点から、その組織の見直しを提言をいたしております。
 第二次勧告の内容は、事務権限の見直し、出先機関の組織の改革のいずれの面でも地方分権の推進に資する重要な取組であると評価いたしております。ですが、一番重要なことは、地方分権ということは国の事務や事業や権限をどこまで都道府県に移していけるかということでございまして、その結果残る国の機関をどうするかというのは、私はその次の問題なんだと考えております。
 民主党は、直轄事業負担金制度の、これは廃止を言っておられると思うんですが、まだ具体的な提案の中身は詳しく知っておりませんのでお答えすることは差し控えますが、直轄事業負担金については様々な問題があると認識いたしております。大体、地方自治体にろくに相談しないで直轄事業だと、負担しろとやれば、それはやっぱりなかなか愉快な形にならない。こういう例は実際にあるわけですね、調べると。
 それで、先ほど申し上げましたように、直轄事業自体を減らすことが大事だと、それが地方分権だと私は考えております。現在は国と地方の役割分担で補助金、交付税、税源配分の見直しについて一体的な検討を進めていきまして、直轄事業負担金についてもこの一環においてこれは真剣に検討をしていかなくちゃならない。知事会の意見も重視していこうと思っております。
 次に、地方再生が必要であって、大胆な政策を実行すべきではないかというお尋ねがありました。
 政府としては、生活者、中小企業、地方という三つの重点で七十五兆円の経済対策を切れ目なく進めることとして、また地方交付税は、しつこいようですが、一兆円増額をしたと、こういうことなのでございます。
 民主党の御提案には、政府の対策に実質的に盛り込まれているものもありますし、必ずしも将来的な財源の裏付けが明確でない政策もあると考えておりますけれども、やはりこういう時期でございますから、与野党が話し合っていくことが非常に大事だと思っております。
 実は、おととい、生まれて初めて雑誌で兄弟対談をいたしまして、これはお互いいい政策だと思うものはこれは話し合って実行するという点のみでは兄弟一致いたしております。
 次に、地方の財源の充実のための方策についてお尋ねがありました。
 地方の発展なくして国の発展はありません。地方分権を推進し、地方税財源を充実することは重要な課題でございます。今後、税制抜本改革に取り組む際には、地方消費税の充実を図るなど、やはり税源の偏在性が小さくて税収が安定的な地方税体系を構築するということが基本でございますので、やはり地方交付税の法定率の在り方等についても地方税財源の充実という観点で取り組んでまいります。
 三位一体についてのお尋ねがございまして、これはやっぱり三位一体という改革は、所得税を住民税に三兆円移し替えたという意味では非常に先駆的なものであり、地方税財政政策の第一歩であるという評価はできると思いますが、何事にも改革には光と影がございまして、やっぱり地方交付税の削減が結果として非常に急激であったというそのことが、現在やはり地方の厳しい状況に影響を及ぼしていることは否定できない。とりわけ、財政力の弱い地方公共団体には厳しい状況が続いていると思っております。
 したがって、平成二十一年度には、既定の加算とは別枠で地方交付税を一兆円増額して、前年度を四千百億円上回る地方交付税総額を確保いたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(与謝野馨君) 加藤議員の御質問にお答えします。
 経済の見通しについてお尋ねがありました。
 議員の御指摘のとおり、内外多くの経済指標は依然として悪化の方向を示しており、我が国の景気は当面悪化が続き、引き続き厳しいものになると考えております。加えて、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念、株式市場の変動の影響など、景気を更に下押しするリスクが存在することに留意する必要があると考えております。
 次に、地域経済の情勢についてお尋ねがありました。
 最近の地域経済の状況を見ますと、これまで輸出に牽引され、景況が比較的良かった東海地域や関東地域においても、昨年秋以降、急速な有効求人倍率の低下、完全失業率の上昇が見られるなど、生産や雇用面などで極めて厳しい状況が一層広がっており、地域経済は総じて急速に悪化していると認識しております。
 次に、定額給付金の経済効果についてのお尋ねがありました。
 定額給付金の経済効果につきましては、過去の地域振興券の例を参考にして、定額給付金のうちおおむね四割程度が追加的な消費に回ると想定し、二十一年度の実質GDP成長率を〇・二%程度押し上げると見込んでおります。
 現下の厳しい経済状況の下では、所得の高くない方はこの定額給付金を貯蓄するより消費される可能性が高いと考えております。また、定額給付金は、家計への緊急支援としての効果を迅速に実現するとともに、所得の高くない方にも広く公平に行き渡らせることにより、消費を下支えする効果があると考えております。
 次に、民主党の経済対策についてお尋ねがありました。
 民主党が御提案されている経済対策は一生懸命作られたものであると考えておりますが、必ずしも財源の裏付けが明確でない施策が含まれていると考えております。一方、政府が取りまとめました経済対策には、民主党の御提案に関連する施策として、子育て支援策、高速道路料金の大幅引下げ、強い農林水産業の創出のための施策など、国民の暮らしを支えるための施策を盛り込んでおります。
 次に、私の発言についてお尋ねがありました。
 私の発言は、中期的には財政責任を果たす必要があるものの、現下の金融経済情勢の下、当面は景気対策が最優先であり、経済回復のためにはあらゆる政策手段を取ることが必要であるとの趣旨によるものであり、これまでの方針を転換するものではありません。したがって、御指摘のように、改めて閣議決定等を行う必要はなく、また、直ちに二十一年度予算の前提を変えるものでもありません。
 次に、基礎的財政収支の黒字化の目標についてお尋ねがありました。
 基礎的財政収支の黒字化は、持続可能な財政に向けた一里塚であり、過去に前例のない不透明な内外の経済状況に弾力的に対応しつつも、できる限り早期に達成することが必要であります。しかしながら、経済状況が極めて流動的、不透明な中では、一定の確度を持って見通すことは困難であります。当面は、財政規律の観点から、現行の努力目標の下で、景気の回復を最優先としつつ、財政健全化に取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(江田五月君) 河合常則君。
   〔河合常則君登壇、拍手〕
#32
○河合常則君 自由民主党の河合常則でございます。
 先輩、同僚議員の御配慮で本会議場で質問させていただくことになりました。心から感謝申し上げます。
 私は、自由民主党、公明党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案等について、総務大臣に質問いたします。
 まずは、今後の地方税体系の構築についてお伺いします。
 平成十二年の地方分権一括法によっても十分な成果が上がっていなかった財政面の地方分権が三位一体の改革によって進展した面は見られたのでありますが、国、地方を通じた財政再建を進めるため、地方財政でも歳出の削減を推進し、地方交付税総額の抑制が行われました。このため、地方交付税の財源保障機能、財政調整機能が十分に発揮されず、かえって地方財政の財源不足と地域間格差の拡大をもたらしました。これがこの数年の状況でございます。
 私は、この地域間格差の是正をし、地方に活力を取り戻すことが日本の経済の回復になり、日本の底力を支える大きな力になるものと信じます。
 麻生総理は施政方針演説で、当面は景気対策、中期的に財政再建、中長期的には改革による経済成長と明言されております。そのためにも、今後、経済対策や財政政策とともに税制の将来像を国民に示すことは避けて通れない課題であると思います。これは国民に生活の将来像を描き出すことであり、国民の安心感につながり、ある面では景気にむしろプラスの影響があると言えると考えます。
 地方では、今、良質で高度な社会資本の整備への要求もあり、医療や介護、保険などの社会保障関係への要求も増大していて、住民に一番身近なところにいる各地方自治体の提供するサービスに多少の違いが生じるのは仕方がないとしても、大きな格差がないようにしなければなりません。
 地方分権を進める観点から、更なる地方税の税源の充実に向けた取組が必要であると考えますが、今後、地方税体系をどのように構築していくべきとお考えか、御見解をお伺いします。
 次に、地方の道路特定財源の一般財源化について伺います。
 道路特定財源の一般財源化は、戦後五十年以上続いた道路特定財源制度を抜本的に改革するものであり、我が国の財政制度における大きな変革をもたらしました。小泉内閣時代に始まったこの改革は、安倍、福田内閣を経て現在の麻生内閣に引き継がれ、四代にわたる議論とその取組の結果、今国会に関連法案の提出になりました。この関連法案の一つに、今般議題となりました地方税法の改正案も含まれております。
 道路特定財源の一般財源化に関して、その具体的な内容を担当大臣としての所感を交えてお伺いいたします。
 次に、個人住民税における住宅ローン減税の創設についてお伺いします。
 景気対策としては、関連産業が多岐にわたり、すそ野が広い住宅建設を増加させることが経済波及効果や雇用創出効果の面で非常に有効だと存じます。
 住宅着工件数は、平成十八年では百三十万戸の高水準にございましたが、平成二十年には二十万戸少ない約百十万戸という状況でありますので、住宅需要を刺激するための税制面での大胆な措置を講ずることは大切なことだと思います。特に、これまでの住宅ローン減税は所得税だけでの対応でしたが、今回の地方税法改正案では、個人住民税についても住宅ローン減税を行うこととしております。
 今回の措置は、そのままでは地方自治体の財源が減ることが懸念されますので、そのすべてを国で補てんすることも決まっております。現在の景気情勢を踏まえた画期的な特例措置として高く評価したいのであります。
 が、しかし地方では、若い人たちがローンを組んで住宅を建てようと思っても、銀行がローンを組んでくれないほどの状況も出始めております。そこで、このような過去最大規模と言われる住宅ローン減税の実施が宝の持ち腐れにならないように、どうPRし、どう借り手と貸し手に対策を立てこの仕組みを使ってもらえるようにするか、さらにこの政策にどのような効果を期待しているのか、お伺いいたします。
 次に、地方交付税についてお伺いします。
 一つは、総額確保についてでございます。
 三位一体の改革は三方一両損ではなく、国も地方自治体も国民も皆同じように我慢したのではなく、一部の自治体には余り痛みがなく、地域間格差の拡大をもたらしたと見受けられます。
 しかし、この平成二十一年度の当初予算は総理や総務大臣の頑張りで総額が増え、臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税は五年ぶりに二十一兆円の大台に乗りました。特に日本の活性化のために、地方の底力を発揮するための条件の第一歩は整ったと思います。ようやく地方もちょっとだけ一息つけるのではないかと思うのでございます。
 改めて総務大臣の目から見て、今回の地方財政計画の特徴とその評価をお聞きしたいと存じます。
 しかし、二つ目は、平成十九年度以降は経済財政諮問会議の二〇〇六骨太の方針に沿って歳出削減が行われていますので、この改革の方針の下にある限り、平成二十三年度までは基本的に歳出総額の縮減が続くことになると推察します。平成二十年度は地方再生対策費の特別枠を設けて対前年度比増となり、平成二十一年度も雇用創出推進費という特別枠を設けて前年を上回ることができたものだと考えます。
 この努力は大臣の特別な地方への思い入れのおかげと存じますが、今後、平成二十三年度まで二〇〇六骨太の方針を堅持されるのか、お伺いいたします。
 公立病院に対する財政支援についてお伺いします。
 今回の地方交付税の一兆円増額の一部を活用して、公立病院に対する財政措置を拡充することになったと聞きました。地方における医師不足もあり、公立病院の経営が年々厳しくなっているのは明らかですし、地域医療の中核を担う公立病院がなければ、救急医療や産科、小児科の分野で地方にかかわらず地域の方々が不安を覚えるのは当然であります。医療は経済効率、経済原理だけで価値を測ることのできないものであります。
 この住民の命を守るのは行政の最も重要な役割の一つだと思いますが、総務省としては公立病院の経営の健全化にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお伺いします。
 国の直轄事業負担金の見直しについてお伺いします。
 最近は幾つもの府県から直轄事業の負担金制度の見直しを求める意見が出ているようであります。かつて地方財政がまだ今日ほどでなかったとき、地元負担を当然と考えて、この事業をお願いしますという時代がありましたが、その事業が執行されてその継続の途中に負担できないという今のような意見が出てくるのは、聞いていて半分分かったような分からないような複雑な気持ちなのです。国の直轄事業とはいっても、地域にとって受益のある事業だと思います。そして、建設費の一部は負担やむなしとしても、維持管理費まで負担しているのはいかがなものかとも思うのでございます。
 大臣は、先日の衆議院での質疑において、直轄事業は根本的に見直すべきであるという趣旨の答弁をされていますが、ここで改めて、直轄事業をやめたり少なくする見直しなのか、事業量はそのままか、増大しても地方の負担金を少なくする見直しなのか、維持管理費の負担はなくするという見直しなのか、事業内容別に、地域別に地元との話合いで負担を求める見直しなのか、どのような姿が望ましいか、お考えをお聞きいたします。
 最後になりますが、百年に一度と言われる不況の中で地方経済を立て直すこと、この重要性を改めて強調させていただきます。日本の底力は地方の底力から生まれてくるものであります。地方の再生なくして日本の再生はありません。本予算とその関連法案が一刻も早く成立し、総額七十五兆円の経済対策が着実に実行され、更にその後も機動的に対策が打ち出される必要があります。
 麻生総理には、世界的規模で混迷が深まる現在の状況であるからこそ、我が国地方経済の将来を見据えて、国民一人一人が希望と生きがいを実感する国づくりに邁進されますよう強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(鳩山邦夫君) 地方行政の経験の極めて長い河合先生のお話でございますので、順次お答えをしてまいりますが、先生ほど私は地方行政に詳しいわけではありませんが、先生のおっしゃることを体してこれから総務大臣としての仕事をやっていきたいと、こう思います。
 まず、地方税改革の方向性の問題でありますけれども、税制抜本改革や地方分権改革を通じて税源配分の見直しを行って、結局、国と地方が一対一という税収比になるようにこれは努力する必要があると思っております。
 とりわけ、中期プログラムに基づいて消費税の議論が起こってくるとするならば、それは何としてでも地方消費税の充実を図るということが重要であって、地方消費税は偏在性が極めて小さく、税収が安定的な地方税体系をつくることに対して非常に重要な役割を果たすと思っております。
 地方の道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねですが、今回の一般財源化は、自動車取得税及び軽油引取税を目的税から普通税に改め、使途制限は廃止しました。地方道路譲与税は、これ道路譲与税という名称ですから、これを改めて地方揮発油譲与税に、石油ガス譲与税及び自動車重量譲与税とともに使途制限を廃止をしたわけでございます。これは、地方にとっては自由に使える財源がどれだけあるかというのが地方自治の観点から、地方分権の観点から最も大事であって、使途制限を廃した影響で地方の財政運営における自主性と自立性が必ず高まるものと考えております。
 過去最大規模の住宅ローン減税についてでございますが、今回の住宅ローン減税は最大控除可能額を過去最高水準まで引き上げたと。中低所得層にも広く効果が及ぶように、個人住民税からも税額控除する仕組みを創設しました。住宅投資の活性化とその効果の経済全体への波及を通じて景気回復にはこの住宅ローン減税は大きな貢献をするものと確信をいたしております。
 ただ、個人住民税というのは地域経済の会費という性格があるものですから、税源移譲のときに所得税から住民税に移ってきた部分のみ、つまり控除額でいうと九万七千五百円、一年間に、これを最大の控除額として我慢をしていただくつもりでございます。
 地方財政計画の特徴と評価ということですが、平成二十一年度は、極めて厳しい地方財政の状況や、何といっても深刻な経済雇用情勢がありましたから、既定の加算をどうやりましても十四兆八千億円ぐらいにしかならなかったと。これは、麻生総理の大英断で一兆円増額をしましたから、十五兆八千二百億円ということで、前年度、つまり前年度というと今年度ですね、来年度は今年度に対して四千百億円上回る、これは九年ぶりのことでございます。また、地方の一般歳出は平成十一年度以来十年ぶりに四千億円以上増加はしておるわけでございます。したがって、知事会あるいは市長会等からも感謝の言葉は随分おかげさまでいただいております。
 次に、骨太の方針二〇〇六についてのお尋ねがありました。
 政府としては、財政規律の観点から、基本方針二〇〇六が掲げる基礎的財政収支の黒字化という努力目標の下で、景気回復を最優先としながら財政健全化への取組を進めることといたしております。また、国民生活と日本経済を守るべく、状況に応じて果敢な対応を機動的に行ってまいります。河合先生には、先ほど、私の地方への思い入れということをお褒めいただきましたので、より地方への思い入れを強くして仕事をしていこうと思っております。
 公立病院についてのお尋ねがありました。
 総務省としては、平成十九年末に公立病院改革ガイドラインを提示して各地方公共団体に経営改革の取組は促しておりますが、公立病院にはやっぱり公立病院としての使命がある。それは私立と大きく違って、仮に採算の取りにくい部門であってもこれはやらなければいけないということがあるわけでありますから、それは経営が厳しくなる。一生懸命コスト引下げの努力をしていただいても厳しい面があると思いますので、公立病院に対する地方交付税措置、これを二千九百三十億円だったものを七百億円来年度は増やします。つまり、それだけ一般会計から病院会計への繰り出しができるようにという形の支援でございます。
 直轄事業負担金についてでございますが、これは先ほどから何度かお話をしておりますように、本来、地方分権というものは国の事業や権限を地方に移すということですから、直轄事業の範囲を限定をしていくということが必要と。これは事業量を減らすということを言っているのではなくて、国の直轄事業の範囲を減らして、その分は都道府県がやると、こういう考え方でございます。
 先ほども御答弁申し上げましたが、都道府県管理国道の維持管理は全額都道府県でやっていると。国管理の直轄国道はほとんど半々、五・五対四・五で、地方に大変な負担が行っているというのはこれはちょっと不公平ではないかなと、こういう認識をいたしておりまして、いずれにいたしましても、国と地方の役割分担の在り方、つまり地方分権の在り方です。補助金、交付税、税源配分の見直し等一体的な検討を進めていく中で、直轄事業の負担金について議論を進め、知事会等の要望もよくお聞きをして、国土交通大臣とも調整をしていきたい、財務大臣とも調整をしていきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#34
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト