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2009/06/05 第171回国会 参議院 参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第27号
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2009/06/05 第171回国会 参議院

参議院会議録情報 第171回国会 本会議 第27号

#1
第171回国会 本会議 第27号
平成二十一年六月五日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十七号
  平成二十一年六月五日
   午前十時開議
 第一 バイオマス活用推進基本法案(衆議院提
  出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、農地法等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、食品安全委員会委員、情報公開・個人情報保護審査会委員、預金保険機構理事、労働保険審査会委員、中央社会保険医療協議会委員及び運輸審議会委員の任命について、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、食品安全委員会委員に吉川泰弘君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#4
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#5
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成               百  
  反対            百二十五  
 よって、同意しないことに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#6
○議長(江田五月君) 次に、食品安全委員会委員に小泉直子君を、預金保険機構理事に田邉昌徳君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#7
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#8
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十一  
  反対               七  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#9
○議長(江田五月君) 次に、食品安全委員会委員に長尾拓君、廣瀬雅雄君、野村一正君、畑江敬子君及び村田容常君を、情報公開・個人情報保護審査会委員に中村晶子君を、預金保険機構理事に波多野睦夫君を、労働保険審査会委員に伊藤博元君を、中央社会保険医療協議会委員に小林麻理君及び森田朗君を、運輸審議会委員に松田英三君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#10
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#11
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#12
○議長(江田五月君) 次に、預金保険機構理事に井上美昭君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#13
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#14
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十四  
  反対               五  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#15
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
 農地法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。石破農林水産大臣。
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(石破茂君) 農地法等の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、御説明申し上げます。
 世界の食料需給が逼迫基調で推移すると見込まれる中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を目指していくことが喫緊の課題となっております。このため、国内の農業生産の重要な基盤である農地について、優良な状態で確保し、最大限に利用されるようにしていくことが求められております。
 しかしながら、農業従事者の減少、高齢化等が進む中で、我が国の農地については、耕作放棄地の増加に歯止めが掛からない現状にあります。また、経営する農地が分散している状態にある中で、転用期待等により農地価格が農業生産による収益に見合う水準を上回る傾向にあるなど、効率的な利用に必要な集積が困難な状況にあります。
 このような農地をめぐる課題を克服し、将来にわたって食料の安定供給を確保していくため、我が国農地制度を抜本的に見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農地法の一部改正であります。
 同法の目的について、農地は耕作者自らが所有することを最も適当とするとの考え方を、農地の効率的な利用を促進する考え方に改めるとともに、農地について権利を有する者の責務として、農地の適正かつ効率的な利用を確保しなければならない旨を明確にすることといたしております。
 こうした考え方の下、農地を優良な状態で確保していくため、国又は都道府県の行う農地転用について法定協議制度を導入するとともに、農地の違反転用に関する行政代執行制度の創設と罰則の強化を行うなど、農地の転用規制を見直すことといたしております。
 また、農地の有効利用を促進するため、地域における農業の取組を阻害するような農地の権利取得を排除した上で、農地の貸借について、その適正な利用が担保される場合に許可基準を緩和することとするほか、農業生産法人要件について出資制限の見直しを行うこととしております。さらに、遊休農地に関する措置を拡充することといたしております。
 第二に、農業経営基盤強化促進法の一部改正であります。
 農地のより効率的な利用に向け、その集積を一層促進するため、市町村の承認を受けた者が、農地の所有者からの委任を受けて、その者を代理して農地の貸付け等を行うことを内容とする農地利用集積円滑化事業を創設するほか、農用地利用集積計画の策定の円滑化、特定農業法人の範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。
 第三に、農業振興地域の整備に関する法律の一部改正であります。
 優良な農地の確保を確実なものとするため、国及び都道府県が、それぞれ確保すべき農用地面積の目標を定めることを法律上明確にしつつ、国は、その達成状況が著しく不十分な都道府県に対し、内容を示して必要な措置を講ずるよう求める仕組みを整備することとしております。
 第四に、農業協同組合法の一部改正であります。
 農地の貸借についての規制の見直しに伴い、農業協同組合自らが、農地の貸借により農業経営を行うことができることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院におきまして、農地法の目的規定において、農地が地域における貴重な資源であること、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえること等を明確化するとともに、農業生産法人以外の法人による農地の賃貸借等の設定の許可については、その法人の業務を執行する役員のうち一人以上の者がその法人の行う農業に常時従事すると認められることを必要とする等を内容とする修正が行われております。
 以上、農地法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。主濱了君。
   〔主濱了君登壇、拍手〕
#19
○主濱了君 民主党の主濱了であります。
 ただいま議題となりました農地法等の一部を改正する法律案に対して、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問いたします。
 様々な数値を見ますと、誠に残念ではありますが、日本の農業は間違いなく衰退していると言わざるを得ません。この認識の下に質問をいたします。
 今、日本農業再生のために私どもがやるべきことは、日本に合った農業を展開することであります。食料の生産はもちろんのこと、伝統文化や食文化の継承、豊かな自然を守り、あるいは国土の保全や災害の防止をも担う、すそ野が広く層の厚い多様な担い手による農業の展開を図ること、すなわち、政府の言う一定規模以上の農家に限定することなく、多様な担い手による農業の展開を図ることであると考えます。
 石破大臣は、WTO農業交渉などで多様な農業の共存を主張されています。農産物輸出国からの一律自由化の要求に対して、食料輸入国日本として国益を損なうことのない対応が認められてしかるべきとの主張であると思っています。
 日本の一戸当たりの耕地面積は、EUの九分の一、米国の九十九分の一、オーストラリアの千八百六十二分の一と格差があります。日本の国土は狭小、そして急峻です。欧米の大規模農業だけを目指すのではなく、WTOにおける欧米に対する主張同様、国内においても日本の国土に合った独自スタイルの農業をこそ目指すべきものであると考えます。日本の国土に合った独自スタイルの農業の展開について、石破大臣、伺います。
 さて、米の生産調整について、石破大臣は報道番組等では踏み込んだ発言をされています。しかし、国会など公の場では、廃止か存続か、選択制かその他の道か、この重要問題について、農政トップの石破大臣は何ら答えていない、うまくかわしているという印象です。農家は混乱しています。ついては、公のこの本会議で、米の生産調整をどのような理由から、どのように、いつまでに見直そうとしているか、石破大臣、伺います。
 なお、民主党ネクスト農水大臣が公開討論を求めています。お考えはいかがでしょうか、併せて伺います。
 さて、本題の農地法等の改正法案について伺います。
 政府は、法案提出の背景として、限りある農地が有効に利用されていないことを挙げています。具体的には、耕作放棄地の増加に歯止めが掛からないこと、耕作する農地が分散して非効率なこと、農地転用の期待などが利用集積を阻んでいることであります。
 しかし、このほかにも、農産物の貿易自由化を進めたこと、あるいは働いても働いても所得が上がらない不十分な所得対策などの原因も考えられます。ついては、これまでの農業政策と農地政策をどのように分析、評価され、今般の法案提出に及んだのか、石破大臣、伺います。
 農地法の目的規定の改正は、当初の政府原案では、農地制度の基本を所有から利用に再構築し、法人を農地の新たな受け手に位置付けようとするものでありました。まさに農地法を根本から変えるものであり、かつ将来的には一般企業による農地の所有権の取得に道を開きかねない内容でありました。
 衆議院の審議の中で、民主党は大幅な修正を求め、その結果、農地の権利の取得を促進すべき対象が耕作者であることが目的規定において明確にされたと考えています。
 ついては、農地法の目的規定の衆議院での修正の趣旨は、今後とも耕作者による農地に関する権利の取得が大原則であること、このことを確認いたしたいと思います。また、この場合の耕作者は、農作業従事要件を満たすことが必要であると考えますが、改めて確認をしたいと思います。併せて伺います。
 修正後の法案では、一般企業など農業生産法人以外の法人であっても、地主との間で農地を適正に利用していないと認められる場合に契約を解除する旨の契約がなされているとき、継続的かつ安定的に農業経営を行うとき、かつ法人の場合、業務執行役員の一人以上が農業に常時従事するときは、農地を借りることができるようになります。また、農地の貸借期間が二十年以内から五十年以内に大幅に延長されます。農地の流動化は進みます。
 一方、企業等への長期の貸付けにより、貸し手農家の離農など集落機能の低下や農村の衰退を来すおそれがあります。このため、働けばそれに見合う所得を得ることができ、個々の農家で後継者が育つような所得補償などの所得対策を進めることが不可欠であります。
 私は、農業者の所得対策を併せて講じなければ、農政が目指している農業、農村の再生は難しいと考えます。石破大臣、御所見を伺います。
 次に、一般企業の農地取得について伺います。
 一般企業による農地の所有権取得について、農水省は、衆議院の審議を通じ、農地法改正法案第三条第二項第二号により法人の農地取得は農業生産法人に限定されること、あるいは農地から得られる収益が低い現状から、企業の農地所有ニーズは高くないとして、現段階ではあり得ないと答弁しています。
 しかし、今後の国内外の食料事情の急激な変化や、まじめに取り組む参入企業による営農実績の積み重ねを根拠として、一般企業に農地の所有権を認めるべきであるとの議論が起きる可能性はないとも限りません。
 このような可能性を考慮してもまだ、一般企業による農地の所有権取得はあり得ないとの認識に変わりがないとすれば、基本方針たる食料・農業・農村基本法にその旨明記するべきと考えます。いかがでしょう。なお、一般企業は、同法及び食料・農業・農村基本計画に規定する担い手に該当するか否か、併せて伺います。
 次に、耕作放棄地対策について伺います。
 現行の一般企業の農地リース方式、特定法人貸付事業は、耕作放棄地の解消対策として行われています。今般の法改正でこの事業は廃止され、今後一般企業は、地域の限定なく農地を借りることが可能になります。その結果、より条件の良い農地に需要が集中し、耕作放棄地など条件の悪い農地はこれまで以上に引受手がいなくなるという事態が想定されます。石破大臣、いかがお考えでしょうか。
 次に、農地転用について伺います。
 農地転用は、最近でも年間二万ヘクタールほどあります。四百六十万ヘクタールしかない農地がこれ以上減少しないよう転用規制を強化する必要があります。
 今般の法改正では、農地法においては、公共用地への転用に関する事前協議制度の導入など、また、農振法においては、農用地区域から農地を除外する際の要件の追加など、農地転用の規制を強化しています。
 他方、現実の農地転用の許可は、二ヘクタールから四ヘクタールまでは都道府県の法定受託事務、二ヘクタール以下は都道府県の自治事務に整理されています。これらの農地転用の許可は、地方自治法に基づき約二割の市町村に委任され、さらに委任を受けた市町村の約九割が農業委員会に再委任している実態にあります。
 食料・農業・農村基本法第二十三条で、農地の確保は国の責務とされています。このことから、面積にかかわらず、農地転用の許可は基本的に国の事務として再編し、農地転用の規制の強化と併せ、厳格に運用するべきと考えます。石破大臣、御所見を伺います。
 次に、農業委員会について伺います。
 農業委員会は、市町村合併などで広域化し、農業委員一人当たりの農地面積が増大しています。加えて、行政改革や三位一体の改革による厳しい行財政事情により、農業委員及び事務局職員の減少が顕著になっています。
 今般の法改正により、農業委員会の業務は、農地の適正利用の調査や耕作放棄地対策を中心に、法令業務が大幅に増え、現在の体制のままで十分対応できるか懸念されます。現場の農業委員会も、組織の拡大や活動の強化が不可欠であると強力に訴えています。
 農業委員会が法改正によるすべての役割を的確に果たすためには、農地の確保は国の責務であるという基本的認識に立ち、国として、国の機関と同程度の体制を整備するべきであると考えます。ついては、農業委員会の現状についての御認識と農業委員会の体制整備についての御所見を、石破大臣、伺います。
 今般の法改正では、農地利用集積円滑化事業を創設し、農地の所有者から委任を受け、所有者を代理して、担い手等に農地を面的に再配分することにしています。
 先般、農林水産委員会で視察した静岡県磐田市の南部地域では、農業関係者が一体となって取り組んだ結果、百九十ヘクタールもの面的集積が実現したということであります。しかし、このような先進地でも、高齢化と農地の引受手の確保が課題となっています。
 加えて、米を中心に採算が取れない状況が続いています。一所懸命働いても、それに見合う所得が得られない、ゆえにやむを得ず後継者が離れていく、こんな現状であります。農地の出し手は多いが受け手は少ない、このような状況下で、新設の農地利用集積円滑化事業、既存の農地保有合理化事業、加えて農地集積加速化事業、新年度の補正予算で農水省予算の約三分の一を占める三千億円が計上されています。それぞれの事業の役割と、これら事業により農地の面的集積がどの程度進むと見込んでおられるのか伺います。
 以上で私の質問を終わります。
 なお、御答弁が不十分な場合には、再質問させていただきますことを申し添えます。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(石破茂君) 主濱議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、日本の国土に合った独自のスタイルの農業の展開についてのお尋ねをちょうだいをいたしました。
 我が国の農業は、狭隘で急峻な国土条件の中で、経営規模の拡大や生産性の向上を図ってまいりました。しかしながら、御指摘のように、欧米諸国の農業との経営規模の格差は依然として大きい状況にあります。このような中で、高齢化が進展し規模拡大が緩やかで脆弱な生産構造となっております土地利用型農業の構造改革を早急に進め、地域の実情に応じた形で意欲と能力のある担い手を育成し、こうした担い手が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立する必要があります。
 一方、経営規模の大小にかかわらず、農家が創意工夫を凝らし所得の向上を目指していくことも重要であります。農業生産において、新鮮さや品質などをセールスポイントに付加価値の向上に努めていただくことや、農産物の加工や直売などを通じて消費者ニーズに即した食料品を供給していただくことも重要であります。
 こうした観点から、それぞれの地域で多様な農業を行う方々の創意工夫を生かした取組を支援するため、産地づくり交付金を活用した地域の特色ある水田農業の展開、野菜、果樹、畜産・酪農など、新鮮さや品質など国産の強みを生かした営農展開、農業の生産基盤である農地や農業用水の整備、中山間地域等直接支払交付金による条件不利地域への支援など、きめ細かく総合的な施策を展開しております。
 こうした取組を通じて、小規模農家や中山間地域の農家も含め、一人一人の農業者の持てる力を十分に引き出すことにより、国内農業の食料供給力を高めていきたいと考えております。
 次に、米の生産調整についてのお尋ねであります。
 米の消費量は昭和三十七年の半分に減少しております。今の国民の消費量であれば、水田の六割で生産が可能であります。このような状況の中、水田全体で主食用米を作れば、価格は下がり、農業で生活している大規模生産者の経営であっても成り立たなくなります。
 他方、世界の食料需給が中長期的に逼迫するおそれがある中で、日本の自給率は四〇%となっており、水田の残り四割において自給率の低い大豆、麦等の生産を支援し、主食用米の需給バランスを取るとともに、自給率の向上につなげていく必要があります。これが生産調整であります。
 このようにして我が国は生産調整を実施してまいりましたが、他方、我が国の米政策については、生産調整実施者に不公平感があり、農村に一種の閉塞感があること、水田農業の構造改革が遅れていること、大豆、麦等の戦略作物の作付けが定着、拡大しなかった面があることなどの論点がございます。
 このため、現在行っておりますアンケート調査や第二次シミュレーションの結果を踏まえ、二十一年度からの水田フル活用の実施状況も検証しながら、生産調整実施者の不公平感が解消されること、担い手経営の安定、発展や農業経営者の創意工夫につながること、大幅な過剰在庫の発生を回避することを基本に、生産調整の在り方について検討してまいりたいと考えております。
 具体的には、今月中にも再開される農政改革特命チームの議論の中で、第二次シミュレーションの結果を公表し政策の選択肢を示した上で、国民的な議論を喚起しながら検討を進め、夏をめどに農政改革の基本方向に関する中間取りまとめ案を取りまとめてまいりたいと考えております。
 なお、民主党の筒井信隆議員から私に対し、公開討論会開催の申入れがございました。私としても、筒井議員と意見交換をさせていただきたい旨の御連絡をいたしました。具体的な議論の進め方については現時点では決まっておりませんが、各方面との整合も図りつつ、今後十分に筒井議員とも議論を行いながら、農政改革の検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、今回の法案提出の背景についてのお尋ねであります。
 農業政策については、食料・農業・農村基本法並びにこの基本法に基づいて定められる食料・農業・農村基本計画を通じて実施しているところであります。しかしながら、我が国農業の状況を見ますと、農業従事者の高齢化、農地面積の減少、農業所得の減少など、人、物、金のあらゆる面で減少、低落傾向にあり、これに歯止めを掛け、我が国農業を持続可能なものとする農政改革が必要であります。
 特に、農地政策については、現行の農地制度が前提としております農地改革が、農村の民主化という我が国の社会経済構造の大変革をもたらしたことを始めとして、戦後農政に大きな役割を果たしてきたことも事実であります。しかしながら、農業従事者の減少、高齢化等により耕作放棄地が増大するなど、現在では現行制度が当初予定していなかった重大な課題も生じております。
 今回の農地法等の一部を改正する法律案は、このような農地をめぐる課題を克服し、将来にわたって食料の安定供給を確保していくため、我が国農地制度を抜本的に見直すとの考え方に立つものであります。具体的には、農地について、転用規制の見直し等によりその確保を図るとともに、農地の貸借についての規制の見直し、農地の利用集積を図る事業の創設等により、その有効利用を促進することとするものであります。
 次に、農地法の目的規定についてのお尋ねであります。
 政府原案における農地法の目的規定の改正は、改正後における農地法の内容全体をとらえ、法律の究極の目的、その目的を実現するための具体的措置や内容を整理し、条文化したものでありました。しかしながら、今回の改正においても、農地の権利取得者は耕作者であるべきという考え方を何ら変更するものではありませんでした。衆議院における目的規定の修正は、このような考え方を明確に規定したものであると理解しております。
 なお、耕作者の意味については、現行農地法においても、耕作の事業、すなわち農業を行う者であることは当然でありますが、必ずしも農作業に従事しなければならないとはなっておりません。
 次に、所得対策についてであります。
 我が国農業は、遊休農地の増加、農地面積の減少、さらには農業所得の半減、高齢化などにより、産業としての持続可能性そのものが危うい状況になっていると認識しております。このような中で、農地については、これを確保し、最大限に活用する観点から、今回の農地制度の改正を行うものであります。
 もちろん、農地制度の改正のみをもって農業、農村の再生が実現できるとは考えておりません。現在、政府におきましては、農業政策の抜本的な見直しを検討するため、農政改革関係閣僚会合を設置し、今後の農政の在り方について議論を行っており、四月十七日には農政改革の検討方向が取りまとめられました。
 この検討方向におきましては、今後の農政の主な検討項目と検討方向を示しておりますが、この中で、農業所得については、加工・業務用需要への対応、高付加価値化、生産・流通コストの低減等により、戦略的に所得の最大化を図る方策を検討することといたしております。今後は、この方向に沿って、農業所得の問題を正面から受け止め、増大を実現する方向で検討を行います。
 なお、このような産業政策としての農政と併せ、農業集落機能の低下に対応し、将来にわたり地域社会を維持していく事業を展開する地域マネジメント法人を育成するとともに、農山漁村が本来有する自然環境の保全など様々な機能の向上を図る活動への支援についても検討いたします。
 一般企業による農地の所有権取得についてでありますが、食料・農業・農村基本法は政策の基本的方針を規定するものであり、実体的な規制は農地法などの個別法において規定するべきものであります。今回の法案では、法人の所有権取得については、農業生産法人に限定し、農業生産法人以外の法人については所有権の取得は認めないことを法文上も明確に規定をいたしております。
 なお、一般企業であっても、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営改善に取り組む者であれば担い手として位置付けられます。このことは、現に農地を利用しない形で営農が行われている畜産等において、既に農業生産法人以外の法人が認定農業者の認定を受け、地域の担い手として活動している事例があることからも明らかであります。
 耕作放棄地対策についてでありますが、従来の特定法人貸付事業では、農業生産法人以外の法人が農業を行う地域について耕作放棄地等が相当程度存在する区域に限定しておりました。今回の法案では、農地を利用する者の確保、拡大の観点から、このような農業の実施地域の制限を外します。
 ただし、このような措置と併せて、条件の良い農地に借受けの需要が集中し地域の土地利用に混乱が生ずることのないよう、周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生じさせない新たな基準も設けることといたしております。今回の改正では、農地について、貸借の形態であれば、農協や企業に加えNPO法人など多様な法人に参入の道が開かれることから、耕作放棄地の有効利用に資するものと考えております。
 農地転用の規制強化、厳格な運用についてでありますが、食料・農業・農村基本法は二十三条で、国は、国内の農業生産に必要な農地の確保及びその有効利用を図るため、必要な措置を講ずると定める一方、三十七条で、国及び地方公共団体は、食料、農業及び農村に関する施策を講ずるにつき、相協力すると定めております。この考え方に沿い、農地の確保については、国が法体系を整備し、具体の農地転用の許可事務を国と地方が規模に応じて役割分担をいたしております。
 我が国の食料、農業をめぐる状況の中で、農業生産の重要な基盤である農地を確保する必要性は高まっており、確保に向け国もこれまで以上に積極的に役割を果たします。
 このため、御審議いただいております農地法等の一部を改正する法律案について、農地転用の許可事務に係る国と地方との役割分担を従来どおり維持するとともに、都道府県又は市町村、農業委員会が農地転用許可制度について適正な運用を行っていない場合に、国が都道府県に対して是正の要求を行うものとする制度を設ける等の措置を講じました。この改正を現場で十分に機能させていくため、農地行政を担う農林水産省、地方公共団体、農業委員会の関係者が、いま一度、農地を守るという原点に立ち返ってこれらの制度の執行に当たるよう強く意識改革の徹底を図ってまいります。
 近年、市町村合併の進展等に伴い、農業委員会については、数だけではなく、農業委員、事務局の職員数も減少する一方、その活動区域は広域化しております。今回の法律改正により、従来からの農地の権利取得の許可等の業務に加え、遊休農地対策の業務が大幅に拡充されるなど、これまで以上に農業委員会は重要な役割を担います。
 このため、今回御可決いただければ、改正に伴い拡大する業務についても農業委員会がその機能を十分発揮し、適切に執行できるよう、例えば、農地の利用集積等を推進することにより委員会の事務を事実上補助する者を拡充する等必要な措置を講じます。
 最後に、農地利用集積円滑化事業等についてでありますが、今回の法案では、農地について、面的にまとまった形で担い手に集積することを促進するため、市町村、市町村公社、農業協同組合等が農地の所有者から委任を受け、その者を代理して農地を貸し付ける仕組みとして農地利用集積円滑化事業を新たにつくることにいたしております。
 この仕組みは、農地を担い手に集積するために、一度農地の権利を取得し担い手に転貸、売却する農地保有合理化事業のように、農地の保有リスクを伴わないことから、市町村等としても取り組みやすく、これまで以上に円滑化されると考えております。
 今回の補正予算におきましても、このような仕組みを活用し、面的集積につながる貸出しを行った農地所有者に対し、年間十アール当たり最高一万五千円の交付金を最長五年分交付する事業を措置しております。この事業は、受け手にとっても、個々の貸し手ではなく仲介する組織と一元的に対応することとなり、その負担が軽減されるとともに、借入農地が一定規模の団地に面的にまとまることにより効率的な農作業が可能となり、生産性が大きく向上するものであります。
 また、農地保有合理化事業については、農地の売渡し又は買入れを希望する農業者を中心として引き続きニーズはあるものと考えており、これについても推進をしてまいります。
 なお、今回の農地集積加速化事業により、平成二十七年度までに担い手に面的に集積しようとしている目標面積百万ヘクタールのうち半分であります五十万ヘクタールを集積しようとしているところであります。
 以上であります。(拍手)
#21
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#22
○議長(江田五月君) 日程第一 バイオマス活用推進基本法案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長平野達男君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔平野達男君登壇、拍手〕
#23
○平野達男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、バイオマスの活用の推進に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、バイオマスの活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者の衆議院農林水産委員長遠藤利明君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#25
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#26
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#27
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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