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2009/04/03 第171回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第171回国会 本会議 第20号
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2009/04/03 第171回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第171回国会 本会議 第20号

#1
第171回国会 本会議 第20号
平成二十一年四月三日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  平成二十一年四月三日
    午後一時開議
 第一 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)
 第四 漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)
 日程第四 漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(河野洋平君) 日程第一、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文部科学委員長岩屋毅君。
    ―――――――――――――
 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔岩屋毅君登壇〕
#4
○岩屋毅君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、原子力損害の被害者の保護に万全を期するため、所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は、
 第一に、賠償措置額を現行の六百億円から千二百億円に引き上げること、
 第二に、原子力損害賠償紛争審査会は、原子力損害の賠償に関する紛争について原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を定めること、
 第三に、原子力損害賠償補償契約の締結及び原子力事業者が賠償すべき額が賠償措置額を超える場合における政府の援助に係る期限を延長し、平成三十一年十二月三十一日までに開始された原子炉の運転等に係る原子力損害について適用すること
などであります。
 本案は、三月十九日本委員会に付託され、同月二十五日塩谷文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、四月一日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(河野洋平君) 日程第二、構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長渡辺具能君。
    ―――――――――――――
 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔渡辺具能君登壇〕
#8
○渡辺具能君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の主な内容について申し上げます。
 第一に、構造改革特別区域法の一部を改正し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の特例として、内閣総理大臣の認定を受けた構造改革特別区域内においては、社会教育施設の管理及び整備に関する事務について、地方公共団体の長が管理し、執行することができることとする措置を追加すること等としております。
 第二に、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正し、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の特例として、これまで構造改革特別区域における特例措置として行われていた刑事施設における被収容者に対する健康診断の実施等に関する業務の民間事業者への委託について、広く官民競争入札または民間競争入札により行うことができることとする等の措置を講じることとしております。
 本案は、去る三月十九日本委員会に付託され、二十五日鳩山国務大臣から提案理由の説明を聴取し、次いで、四月一日質疑に入り、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#11
○議長(河野洋平君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第三 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)
#13
○議長(河野洋平君) 日程第三、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。厚生労働委員長田村憲久君。
    ―――――――――――――
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔田村憲久君登壇〕
#14
○田村憲久君 ただいま議題となりましたあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律等の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、歯科衛生士、診療放射線技師、歯科技工士及び柔道整復師の各資格に係る試験が国家試験であることを明確にするため、その名称を国家試験と法律上明記しようとするものであります。
 本案は、去る四月一日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#17
○議長(河野洋平君) 日程第四、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長遠藤利明君。
    ―――――――――――――
 漁業災害補償法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠藤利明君登壇〕
#18
○遠藤利明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、漁業災害補償制度の健全かつ円滑な運営を図るため、漁業共済組合に総代会の制度を設ける等の措置を講ずるとともに、疾病による死亡を共済事故としない養殖水産動植物を共済目的とする養殖共済を実施できることとするほか、漁業施設共済について共済金の支払いに関する特約を設ける等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、三月二十四日石破農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#22
○議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#24
○議長(河野洋平君) 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長望月義夫君。
    ―――――――――――――
 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔望月義夫君登壇〕
#25
○望月義夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、道路特定財源制度を廃止し一般財源化するための措置等を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、毎年度、揮発油税等の収入額の予算額等に相当する金額を原則として道路整備費に充当する措置を廃止すること、
 第二に、地方道路整備臨時交付金の制度を廃止すること
などであります。
 本案は、去る三月十三日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、十八日金子国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、二十七日には参考人から意見聴取を行い、本日質疑を終局いたしました。
 質疑終局後、本案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による、施行期日を改めるとともに、費用効果分析の結果の適切な活用等により、地域の実情をより反映した効率的かつ効果的で透明性が確保された道路整備事業の実施のあり方についての検討規定を追加する修正案が提出され、本修正案について趣旨説明を聴取しました。次いで、採決いたしました結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#28
○議長(河野洋平君) この際、内閣提出、農地法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣石破茂君。
    〔国務大臣石破茂君登壇〕
#29
○国務大臣(石破茂君) 農地法等の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、御説明申し上げます。
 世界の食料需給が逼迫基調で推移すると見込まれる中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を目指していくことが喫緊の課題となっております。
 このため、国内の農業生産の重要な基盤である農地について、優良な状態で確保し、最大限に利用されるようにしていくことが求められております。
 しかしながら、農業従事者の減少、高齢化等が進む中で、我が国の農地については、耕作放棄地の増加に歯どめがかからない現状にあります。
 また、経営する農地が分散している状態にある中で、転用期待等により農地価格が農業生産による収益に見合う水準を上回る傾向にあるなど、効率的な利用に必要な集積が困難な状況にあります。
 このような農地をめぐる課題を克服し、将来にわたって食料の安定供給を確保していくため、我が国農地制度を抜本的に見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農地法の一部改正であります。
 同法の目的について、農地は耕作者みずからが所有することを最も適当とするとの考え方を、農地の効率的な利用を促進する考え方に改めるとともに、農地について権利を有する者の責務として、農地の適正かつ効率的な利用を確保しなければならない旨を明確にすることとしております。
 こうした考え方のもと、農地を優良な状態で確保していくため、国または都道府県の行う農地転用について法定協議制度を導入するとともに、農地の違反転用に関する行政代執行制度の創設と罰則の強化を行うなど、農地の転用規制を見直すこととしております。
 また、農地の有効利用を促進するため、地域における農業の取り組みを阻害するような農地の権利取得を排除した上で、農地の貸借について、その適正な利用が担保される場合に許可基準を緩和することとするほか、農業生産法人要件について出資制限の見直しを行うこととしております。
 さらに、遊休農地に関する措置を拡充することとしております。
 第二に、農業経営基盤強化促進法の一部改正であります。
 農地のより効率的な利用に向け、その集積を一層促進するため、市町村の承認を受けた者が農地の所有者からの委任を受けて、その者を代理して農地の貸し付け等を行うことを内容とする農地利用集積円滑化事業を創設するほか、農用地利用集積計画の策定の円滑化、特定農業法人の範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。
 第三に、農業振興地域の整備に関する法律の一部改正であります。
 優良な農地の確保を確実なものとするため、国及び都道府県がそれぞれ確保すべき農用地面積の目標を定めることを法律上明確にしつつ、国は、その達成状況が著しく不十分な都道府県に対し、内容を示して必要な措置を講ずるよう求める仕組みを整備することとしております。
 第四に、農業協同組合法の一部改正であります。
 農地の貸借についての規制の見直しに伴い、農業協同組合みずからが農地の貸借により農業経営を行うことができることとしております。
 以上、農地法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 農地法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#30
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。佐々木隆博君。
    〔佐々木隆博君登壇〕
#31
○佐々木隆博君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の農地法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 農地とは、耕作の目的に供される土地であり、土地利用型農業の生産、経営が展開される基礎的な資源であります。農地は、先人が営々と整備してつくり上げてきたものであり、一たび転用したり、長きにわたり耕作されない状態に置かれれば、再び耕作可能な状態に復元することが極めて困難となります。まさに、かけがえのない国土なのであります。
 こうした農地を、どのように守り、利活用していくかが問われています。そのため、農地の位置づけというものを明らかにすることがスタートラインとなります。
 世界的な食料需給の変化に対応して、我が国の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を図るため、農地を守り、有効利用を図らなければなりません。このように、農地は、生産資源として重要な意義を有するものであります。
 しかし、それがすべてではありません。農地を利用して営まれる農業生産活動を通じて、洪水の防止、軽減、土壌浸食の防止、土砂の流出や飛散の抑制、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承、保健休養等、さまざまな多面にわたる機能が発揮されます。そして、その恩恵は、広く国民が享受します。
 本法律案には、こうした観点が欠落しています。農地の基本的な位置づけについてどのようにお考えか、まず明らかにしていただきたい。
 農地制度、特に農業生産法人制度については、徐々に要件が緩和される形で制度改定が行われてきました。
 一九九三年には関連事業者が構成員として認められ、二〇〇〇年には法人形態に株式の譲渡制限のある株式会社を追加するとともに事業要件等を緩和、二〇〇三年には認定農業者である農業生産法人について議決権制限を緩和、二〇〇五年にはリース特区の全国展開という状況であります。
 こうした相次ぐ制度改定は、農政当局内部の自発的な考え方というよりも、財界を初めとする農業外の圧力によってやむを得ずなされたという側面が強いものがあります。こうした、なし崩し的な改革を進めるというやり方では、理念も哲学も感じられず、農政の方向性が定まらず、責任ある農政とは言えないのではないでしょうか。
 これに対して、民主党は、昨年、「民主党農林水産政策大綱 農山漁村六次産業化ビジョン」を取りまとめ、今国会には、これを法案化した農林漁業・農山漁村再生改革法案を提出しています。
 この中で、農地制度のあるべき姿として、農地の権利を有する者に耕作の義務を賦課するとともに、農地転用を厳格化することを前提とし、できる限り参入規制を緩和するという方向を明確にしています。当面の改革の方向として、現場も受け入れ可能な遊休農地の解消・防止策、参入要件の緩和を講ずることとしています。政府案のように、株式会社が直接参入することとは意味が違います。
 政府としては農地制度のあるべき姿についてどのようなものを描いているのか、明らかにしていただきたい。
 今回の改正の最大の特徴は、制度の基本を所有から利用に再構築し、貸借に係る規制を見直すこと、つまり、一般企業に農地のリース方式での農業参入の道を開いた、リース特区の全国展開である特定法人貸付事業を一般化するところにあります。
 法人、個人を問わず多様な主体が農業に取り組めるようにすることは、民主党が長らく主張してきたところであり、その方向については否定しませんが、現在の農業構造は、家族経営が主体であり、家族経営なくしては農業生産はあり得ません。こうした現実をしっかりと踏まえた上で農地政策を展開すべきであります。
 政府案の新たな要件では、農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保の名のもと、農地利用において、一般企業が家族経営に優先されるという懸念を払拭できません。
 家族経営は、国が育成してきた担い手であります。こうした家族経営が、品目横断的経営安定対策の導入に伴う集落営農の組織化で農地の貸しはがしに遭い、今度は効率性の名のもとに一般企業によって経営発展を阻害されるということになれば、それは政策の名に値しません。
 また、一般企業が農地を借り受け、大規模経営を展開したが、結局、事業に失敗して倒産した場合、だれが責任を負うのですか。企業が撤退した跡地の農地が耕作放棄地となることは必定です。
 効率性を追求することは必要です。しかし、過度な効率性追求は、村社会の純風美俗、日本人のアイデンティティー、原風景を損ないます。冒頭に農地の基本的位置づけについてお尋ねしましたが、まさにこの問題に帰結します。
 家族経営を主体とした担い手育成の方向性と農地貸借による農外法人の参入の促進をどのように調和させ、整合性を持たせようとしているのか、基本理念との関係を踏まえ、見解をお伺いいたします。
 家族経営の活性化は、食料・農業・農村基本法に明確に位置づけられている施策です。しかし、二〇〇五年三月に国会に報告された基本計画においては、全くと言っていいほど欠落しています。これは、政府が国会で定めた基本法を無視して基本計画を定めたということを意味します。現行の基本計画には、悪名高い品目横断的経営安定対策の導入も盛り込まれていることから、家族経営を軽視する意図があったことは明らかであります。こうした政策の方向が誤りであったことも明白となりました。家族経営の軽視が農業構造の崩壊につながることを銘記すべきであります。
 現在、政府は、三回目の食料・農業・農村基本計画の策定に向けて検討を進めていますが、新たな基本計画においては、基本法にのっとり、家族経営の活性化を施策の柱に掲げる必要があります。現行基本計画において家族経営を等閑視した理由と、新たな基本計画における対応方針を明らかにしていただきたい。
 農地制度の見直しを実効あるものとするためには、土地利用型農業の経営安定が大前提となります。収入の変動や減少により経営が不安定なままでは、農地利用の責務を課し、遊休農地対策を強化しても、実効性は伴いません。そのため、農地制度と所得補償制度は車の両輪の関係にあると言えます。
 では、現行の経営安定対策はどうでしょうか。
 農村現場では、小規模農家切り捨ての品目横断的経営安定対策を拒否し、民主党が提案した農業者戸別所得補償制度を支持しました。先般の参議院選挙の結果に慌てた政府は、品目横断的経営安定対策を見直し、名称を水田・畑作経営所得安定対策と変更し、市町村特認を導入しました。
 しかし、政府は、制度の基本は維持するとはっきりと言っており、小規模農家を切り捨てるという考え方に変更はありません。これでは、施策の対象外とされた小規模農家は、農業経営をめぐる環境が厳しい中、所得が補償されず、意欲があっても営農の継続が困難となり、その経営する農地は耕作放棄地となるか大規模経営に取り上げられていくという悪夢のシナリオとなっていくことを危惧します。
 農地を確保し、その適正利用を図ろうとする制度改革を実効あらしめるためには、問題の多い水田・畑作経営所得安定対策を廃止し、農業者戸別所得補償制度を導入すべきと考えます。
 従来の枠にとらわれない斬新な発想をお持ちの石破農林水産大臣御自身の言葉で御答弁をいただきたい。
 冒頭に述べたように、農地は、かけがえのない存在です。特に我が国は、諸外国と比べて国土が急峻で、狭く、一人当たりの面積も小さいことから、国土としての農地の位置づけは極めて重要と考えます。
 土地利用が競合し、農地転用需要がある中、優良農地をどう確保していくのかが問われている一方で、農地であるのに農地として使われていない耕作放棄地が増加しています。こうした、いびつな構造を打開しなければなりません。
 そのためには、所得補償制度の導入、集落や人に着目した農地制度の構築とともに、一筆規制からゾーニング規制へ転換し、国土全体の中で農地を明確に位置づけていく新たな土地利用計画制度の創設が必要と考えます。
 現行制度は、都市計画法や農振法という別々の法体系で別々の計画がつくられているという縦割りの制度となっています。制度間で調整が行われると言われているものの、その運用の甘さが無秩序な農地転用を生み、転用期待を増幅させてきたことは否定できません。
 民主党は、こうした状況を踏まえ、国土の中の農地を明確に位置づけ、農業的土地利用と非農業的土地利用とを一体化した総合的な都市・農村土地利用計画制度を創設することをうたっています。
 省庁の管轄をまたがる制度を見直し、新たな制度を創設することは、一筋縄ではいきません。しかし、国土利用を秩序立て、農地の確保と有効利用を図る上で、現行制度では限界があります。官僚の抵抗でこれができないのであれば、政治主導でやるべきであります。与党ができないのであれば、政権交代によってその実現の道を開きます。
 あるべき土地利用計画制度をどのように展望するのか、見解を伺います。
 私は、今も現役の農業者として農村に居住しています。その集落は、二十年前に九十世帯を超えていましたが、現在は四十世帯に半減しています。
 全国の農家戸数も、一九六〇年には六百六万戸を超えていましたが、二〇〇八年には二百五十二万戸と、約五十年で四割にまで落ち込んでいます。国土交通省の調査によれば、十年以内に消滅の可能性のある集落が四百二十二集落、いずれ消滅する可能性のある集落が二千二百十九集落、合わせて二千六百四十一集落あるとされていますが、これが現実です。
 この国から農業はなくなりません。株式会社が担うか、一般法人が担うか、とにかく農業は継続されるでしょう。しかし、農村は確実に崩壊しています。村から消防団がなくなり、運動会ができなくなっています。農村が崩壊した農業に持続可能な展望が開けるのか、農村に住む農民として極めて危惧をしています。
 以上のことから、政府提出の農地法等の一部を改正する法律案は、十分な検討が必要と考えます。
 農地は国土です。海は国境です。農地制度の見直しは、農地の世界だけに矮小化するのではなく、所得補償制度の導入、農村振興を初めとする農政全体における位置づけを明らかにした上で、国土としてのデザインを含め、パッケージとして改革の姿を示す必要があります。それが、民主党の六次産業化ビジョンであり、今国会に民主党が提出した農林漁業・農山漁村再生改革法案であります。
 農地制度の改革が、農業の生産手段としてのみとらえるのではなく、農林漁業、農山漁村の再生をもたらす制度にするための論議を深めなければならないことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣石破茂君登壇〕
#32
○国務大臣(石破茂君) 佐々木議員の御質問にお答えいたします。
 まず、農地の基本的な位置づけについてのお尋ねであります。
 農地については、食料・農業・農村基本法第二十三条において、「国は、国内の農業生産に必要な農地の確保及びその有効利用を図るため、農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積、農地の効率的な利用の促進その他必要な施策を講ずるもの」とされております。
 また、近年、諸外国における輸出規制など世界の食料事情が大きく変化し、食料需給の逼迫の度合いが強まっている中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を目指していくことが喫緊の課題となっております。
 このため、最近における食料、農業等をめぐる課題に対処するため、食料・農業・農村基本法第二十三条の趣旨を体しつつ、今回、農地法等の一部を改正する法律案を提出いたしました。
 もちろん、農地は、食料・農業・農村基本法第三条に規定しておりますように、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承などの、農産物の供給の機能以外の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしております。これらの多面的機能についても、農地が利用され、農業生産がきちんと持続的に行われることによって維持され、将来にわたって発揮されるものと考えているところでございます。
 次に、農地制度のあるべき姿についてのお尋ねであります。
 我が国農業を持続可能なものとするためには、国内の農業生産の重要な基盤である農地について、優良な状態で確保するとともに、意欲のある者に農地が集まるようにし、また、多様な担い手が農業に参画できるような制度を構築しなければならないと考えております。
 このため、今回の改正法案では、農地について、転用規制の見直しによりその確保を図るとともに、農地の利用集積を図る事業の創設、農地の貸借についての規制の見直し等によりその有効利用を促進することといたしております。
 その際、御指摘のような、農地の権利を有する者の責務、転用規制の強化、参入規制の緩和、遊休農地の解消・防止対策等も盛り込んでおるところであります。
 次に、家族経営と農外法人の参入促進との整合性についてのお尋ねであります。
 食料・農業・農村基本法では、第二十一条において、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部門を担う農業構造を確立するために必要な施策を講ずることとしております。
 この効率的かつ安定的な農業経営については、一、家族で営まれている、二、法人により雇用労働を活用して営まれている、三、集落営農で行われているなど、さまざまな形態があります。このため、基本法第二十二条においては、家族農業経営の活性化を図るとともに、農業経営の法人化を推進するために必要な施策を講ずることとしておるところであります。
 我が国農業は、現状において家族経営が大宗を占めておりますが、農業従事者の減少や耕作放棄地の増加等、家族経営や集落営農だけでは農業の担い手として不十分な地域もふえてきており、このような地域では、多様な農地の受け手が必要となっております。このため、今回の改正法案では、農地を貸しやすく借りやすくすることにより、利用する者の確保、拡大を図ることといたしております。
 ただし、この場合においても、御指摘のとおり、家族経営を主体とした担い手育成の方向性と農地貸借による農外法人の参入の促進とを調和させ、整合性を図る必要があります。このため、改正法案においては、法人の所有権の取得は引き続き農業生産法人に限定するとともに、農地の貸借についても、農地の権利取得の許可について、地域における農業の取り組みを阻害するような権利取得を排除する、農地の適正な利用が行われない場合に対する担保措置をしっかりと講ずることとしているものであります。
 次に、現行基本計画と新たな基本計画における家族経営の扱いについてのお尋ねであります。
 平成十七年に閣議決定した現行の食料・農業・農村基本計画においては、家族農業経営を中心とする個別経営や集落営農経営を含め、農業で他産業並みの生涯所得を確保し得る経営体及びこれを目指して経営改善に取り組む者を担い手とし、その育成、確保に積極的に取り組むこととしております。
 具体的には、基本計画の閣議決定の際に、あわせて、平成二十七年における望ましい農業構造の姿を展望しており、その中で、家族農業経営が三十三万から三十七万程度、集落営農経営が二万から四万程度、法人経営が一万程度と見込んでいるところであります。
 今回、基本計画の見直しを行うこととしておりますが、その際には、議員御指摘の家族農業経営の問題も含め、関係者の幅広い御意見を踏まえ、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、水田・畑作経営所得安定対策等についてのお尋ねをいただきました。
 水田・畑作経営所得安定対策は、農業従事者数の減少、高齢化等により農業の生産構造の脆弱化が進行する中で、集落営農組織も含めて、意欲ある担い手の育成を通じて農業経営の体質強化を図り、力強い農業構造を構築することを目的に導入されたものであります。
 なお、本対策について、地域で熱意を持って営農に取り組んでいる者が対策の対象とならないという声が聞かれたこと、国が直接農家に支払う仕組みとしたため申請書類の手続が煩雑になったことなどから、より地域の実態に即し、現場に定着したものとなるよう、市町村特認の創設などの見直しも行っているところであります。
 制度発足から三年目を迎え、生産現場の皆様にも本対策の理解が進んできたと考えてはおりますが、本対策が常に地域の実態に即したものとなりますようにとの観点から、今後とも、きめ細やかな制度運営に配意しつつ、着実に実施する所存であります。
 なお、民主党の農業者戸別所得補償制度は、米に加え麦、大豆や畜産物についても行政が定める生産数量の目標に従って生産する販売農家に対して所得補償を行うこととされておりますが、これにつきましては、消費者の需要に応じた経営者の判断による農業生産を阻害し、需要に合わない生産が行われることにより、農畜産物の過剰在庫の増加を招くおそれがあるなどの問題があると考えておるところであります。
 最後に、我が国のあるべき土地利用計画制度についてのお尋ねであります。
 現在の制度では、農業振興地域整備法、都市計画法等に基づく各土地利用計画は、国土利用計画法に基づく国土利用計画のもとで一体的に運用されることとなっております。
 このような土地利用制度について、近年、都市郊外部での無秩序な開発が進行するなどの問題が生じていたところであります。このため、平成十八年に、公共施設や大規模集客施設の郊外立地の抑制等を目的とするまちづくり三法の改正が行われたところであります。
 また、このような動向も踏まえ、今回の農地法等の改正法案においては、最も基礎的な生産基盤である農地について転用規制を厳格化するなど、優良農地の確保を図るための措置を強化することといたしたところであります。
 都市、農村を通じた土地利用計画制度のあり方については、本法律案の施行後の農地の確保の状況などを踏まえ、国土交通省と連携しつつ、今後、検討を進めてまいります。
 以上であります。(拍手)
#33
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       文部科学大臣  塩谷  立君
       厚生労働大臣  舛添 要一君
       農林水産大臣  石破  茂君
       国土交通大臣  金子 一義君
       国務大臣  鳩山 邦夫君
 出席副大臣
       農林水産副大臣  石田 祝稔君
ソース: 国立国会図書館
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