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1947/03/04 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第24号
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1947/03/04 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第24号

#1
第002回国会 本会議 第24号
昭和二十三年三月四日(木曜日)
    午後三時十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二一号
  昭和二十三年三月四日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 國家公安委員任命につき同意の件
 第二 警察法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○笹口晃君 議事日程の順序を変更して、この際日程第二を繰上上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第二、警察法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
    〔坂東幸太郎君登壇〕
#6
○坂東幸太郎君 ただいま上程せられました警察法の施行の伴う関係法律の整理に関する法律案に関しまして、その審議の模様を御紹介申し上げます。
 この法律案は御承知の通り、來る三月七日から全面的に発足をします警察法の施行に関しましは、なくてはならぬ法律でありますので、緊急上程の要求がありまして、委員会でも緊急の必要を認めまして、去る二十七日開会し、審議をしたわけであります。その内容を申し上げます。
 この法案は、警察法が近く実施になりますので、これに伴いまして関係法令の一部を改正するものでありまして、從來の警察の権限で、警察法の趣旨に照らし警察の責務として警察に残すべきものにつき警察法によるどの機関の事務とすべきかを定めるとともに、この際警察から他に移譲すべきものはこれを移讓することにしてあります。こ前の点につきましては、第一に、從前主務大臣とされていましたのは、警察の主務大臣としてかつての内務大臣、現在の内閣総理大臣でありますが、警察法施行後は主務大臣では不明確でありますので、これを内閣総理大臣と定あり、第二に、從來警視総監、道府縣知事の権限に属していました事項は、これを警察法の趣旨からいい、警察の運営監理(責に任ずる者たる都道府縣公安委員会、特別区公安委員会、市町村公安委員会の権限としており、最後に從前警察署長、警察官署は。本法でも從來通り警察署長になつており、警察吏員は警察法附則第十九條の通り警察官、警察官吏員とされているのであります。
 その内容を簡単に申し上げますならば、第一條ないし第三條は、從來警察で担当してまいつた銃砲等所持禁止令、廣告物取締法、道路交通取締法に関する事務について、新警察制度のもとにおいてもなお從前と同様にその執行に当り得るために、それらの法令中從來都道府縣知事の扱つてきた権限を、今後は都道府縣または市町村の各公安委員会をして取扱わしめるようにし、その他必要なる字句を改めようとするものであります。第四條ないし第八條は、從來警察になおその職務権限の留保されていた狩猟法その他の関係法律中の一部の事務を、警察法第一條の規定の趣旨に鑑み、今後は完全に警察の手を離してそれぞれ主務官廳に移すために必要なる字句の訂正を行おうとするものであります。第九條は、遺失物法、銃砲火薬類取締法施行規則その他の法令について、警察法施行後もなお從來通り各警察署においてその執行に当り得るため、必要な読み替えをなそうとするものでございます。
 かくて委員会は、別に質問もなく、委員長は満場に可決を諮りましたたところが、満場異議なくこれを原案通り可決したわけであります。
 以上、簡単ながら御報告申し上げます。(拍手)
#7
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#9
○議長(松岡駒吉君) 日程第一に入ります。去る二月二十六日、内閣より、警察法第五條第二項の規定に基き國家公安委員として植村環君、生方誠君、金正米吉君、清瀬三郎君、辻二郎君の五人を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。よつてこれを議題といたします。
 討論の通告があります。これを許します。鍛冶良作君。
    〔鍛冶良作君登壇〕
#10
○鍛冶良作君 ただいま議題となりました内閣総理大臣からの同意を求める件については、遺憾ながら反対の意見を述べたいと存ずるものであります。
 警察法第五條には、國会の同意を得て内閣総理大臣はこれを任命すると書いてあります。國会の同意を得れば、内閣総理大臣は任意に任命できると解釈しておられるのかもしれませんが、國会の同意を得るといことは、とりもなおさず國会に、はたしてこの任命がいいか悪いかを聽く、換言すれば、國民の意思を確めるということが、この法律の精神であると考えるのであります。從いまして、内閣から天降り式にこの五人を突然出して、これでよろしいかといつて聽くがごときは、まことにこの法律の精神を無視したるものでありまして、國民の精神をどこまでもくみとるというならば、事前にそれぞれの意思を十分にくみとるだけの手続きを経、それだけの方法をとらなければならぬものだと私は断言いたします。
 私は、今日まで片山内閣のとつてきたいろいろのことを考てみますと、多数でさえあれば何でもやれるという考えをもつて常にやつておる。このやり方がこの公安委員にまでも現われておるということは、まことに遺憾千万なることでありまして、法律の精神を無視し、強いて言うならば、民意を無視したるフアッシヨ的精神に出たものだと断言いたすのであります。片山内閣はすでに辞職をしておる。もうすでに命脈のない内閣であるがゆえに、ここにあらためてむち打つようなことはしたくないのであるが、ただいまできんとしておる新しい内閣についても、これと同一の精神をもつてやられならば、將來に悪例を残すものでもあると考えるがゆえに、このことを深くくぎを打つのである。
 なおまたこの公安委員というものは、國民の生命財産をつかさどるところの警察の元締である。この元締であるところの委員をきめるものであるがゆえに、この委員たるや、國民のすべての納得のいける、りつぱな人を選んで出さなくてはならぬと思うのであります。これが、われわれ國会としての任務である。われわれが同意をするというのも、この精神に基いて同意をせねばならぬ。しかるに、われわれが全然知らない者を内閣総理大臣が突然出して、しかも、いかなる人であるや、國民が聞いて、あれは一体どういう人だ、かりに知つておつたとしても、ああいう者がなるのかというような者をここに同意を求められるというに至つては、まことにわれわれ國会としての義務を果しめざるものだといわなければならないのであります。この意味において私は、ただいまの同意について遺憾ながら反対せざるを得ない。
 簡単でありまするが、これをもつて反対の意思を表明いたします(拍手)
#11
○議長(松岡駒吉君) 千賀康治君。
    〔千賀康治君登壇〕
#12
○千賀康治君 同志クラブを代表いたしまして、ただいま上程されておる議題に対して反対意見の討論を行います。
 國家公安委の制度がことに発足をいたしまして、かがやかしいわが國の警察制度の元締はただいま定められんとしつつあるのでございます。國民は、この問に対しまして異常なる関心をもち、興味をもつてこの成り行きをながめております。しかして、かような大きな問題に対しましては、相当なる期間を残して内閣はわれわれに意見を求めるべきであります。すでに三箇月以上の期間がここにあるのに内閣は一体何をしておつたか。さだめて個人的には、人間的には、いろいろな問題――内閣を投げ出されるほどでありますから、いろいろな氣持の上のいそがしいことはあつたろうと思いますけれども、この重大なる國家公安委員を選定することに関しまして、何ら國会に相談をかけてない。最近になりまして、もうほとんど内閣の運命も極まつてしまつて、どこに責任があるのか、われわれは一体だれに文句を言つてよいのかわからないような時代になつて、突如としてこれを議会にかけてくるということは、これがほんとうに民意に忠実なる措置であろうか。
 かく申す私は、治安及び地方制度委員でございます。当然われわれの属しておるこの委員会にまず意見を聽かれるであろうと思つて、心待ちに待つて、おりましたけれども、遂にそのことなく、ほんとうにあわただしい、何の考慮の時間もないようなやり方で、突如として直接國会に相談をしてこられるということでは、これは國民のほんとうの批判をここに集中することができない。私はむしろ、かのような立場において、内閣は國民の批判から逃避して、この國家公安委員を内緒でつくろうという意思があつたんじやないか、陰謀があつたんじやないかとさえ疑うのであります。
 こうしてやれば、むろん國会議員の一人々々が、この人々のほんとうの人なりを知ることはできません。われわれは政府からこうした履歴書はもらつておりますけれども、このあわただしい期間に――これは本人が申告をいたしておる履歴書でございます。この履歴と、はたしてその人の暮らし向きが合致しておるかどうか、これを調べる暇がない。かのようなまことに無謀なる措置もつてわれわれに賛成を強要せられることは、実に不愉快千万でございます。
 われわれはかような意味におきまして、この人々を全部承認することができません。本來であるならば全部反対をいたすのが当然、またわれわれの良心の命ずるがままにすれば全部反対をすべきでありますけれども、いまさら、このあわただしいときに全部も一遍やり直せと申したところで、これは相当な時間もかかるであろうと思いますから、とりあえず私は、この中で三人だけ認めまして、二人だけをいかにしても認めることができません。私は國家的見地から申しまして、ただいま読み上げる方はややその資格を備えておると思いまするので、この三人は認めます。植村君、清瀬君、辻君、この三入はよぼよぼながら及第点をつけまするけれども、私が姓名を読み上げなかつた候補者に対しましては、われわれの同志は断固として反対をいたすものでございます。その個人的理由につきましては、あるいはその方々の前歴、あるいは生活態度等いろいろございまするけれども、個人にかかわることでございまするから、この点は、ここで公にすることをはばかります。どうか諸君、われわれの意思を忖度せられまして、われわれと同調せられんことをお願いをする次第であります。終り。
#13
○議長(松岡駒吉君) 外崎千代吉君。
    〔外崎千代吉君登壇〕
#14
○外崎千代吉君 本案に対して、革新新党を代表いたしまして一言申し上げます。
 そもそも、この公安委員の問題に対しましては、私も治安及び地方制度の委員の一人として出ておりましたが、おそらく全委員の方々も、自治警察はつくつたにはつくりましたけれども、はたしてこれが完全な警察法であるかないかということは、おそらくおわかりのことと思います。これができまして、いよいよ発足することになりますと、五千人以上の市街地では六人とか八人とか十人とかになりますが、一万や二万の人口をもつている村や街に二十人も三十人もの警察官を置いて、はたしてそれを地方が維持できるかできないか、それさえもわれわれは疑問をもつております。また一つは、各町村をまわつてみまするに、わずか五千や六千の人口をもつておる所で、今までは駐在の巡査一人や二人でやつておつたものを、ここへ八人も十人も置いて一体何をするのか。もちろん、われわれの生命、財産、権利を守つてくれることはうれしいことであるけれども、現在の日本としまして、六・三制の教育制度さえも完成してない、なかんずく、すべての点においてわれわれ日本人が苦難の途をたどつておるときに、治安警察を設けて、各市町村に二十人も三十人も預けてみたところで、この警察官を養わなければならぬと同時に、また警察官自体も、小さな町や村に十人も二十入もおつたところで仕事もないような状態であつたならば、むしろ悪い結果を残すのではないかというように、自分は委員であるけれども、これに対して非常に危惧をもつているものでありまして、國家の將來に対して、治安警察はまことにありがたいような、ありがたくないような、迷惑のような感じをしているのであります。
 この場合にわれわれは、いたずらに反対するものではありません。公安委員の五名は法律よつて定められたところであり、政府がこれを指名することも、また決して悪いとは言いません。どなたが立ちましても、反対する立場になればだれでも反対することができるのでありますけれども、ただ私は、こういうものまで党利党略に用いることなくしてお互いに相談する必要はないであろうけれども、とにかくよく納得のいくような方法をとつてやつていくことに異議はないと私は考えておるのであります。
 現に公職審査委員会におきましてもあのような始末で、前内閣か現内閣かわかりませんが、とにかく片山内閣時代につくつた公職審査委員会においてでも、あの例を見てもわかるごとくに、わずか五人か七人の公職審査委員会において、一人の平野力三氏の審査にはいつて、一回、二回、三回と開くたびごとに該当してない。これが天下に公表されて、また天下の人たちもこれを神聖なものと信じて、喜んで、市を迎そおつた。ところがそれが該当しないといえば、また延期し、また延期しというぐあいにして、どこまでも該当せいめようとしたように見受けられるだけでも、すでに政府も信任得ないことであり、また公職審査委員会それ自体さえも世間から非常な疑惑をもたれておつて、現に世間では、これに対して未だに釈然としたところがないのであります。
 こういうような結果を來すのであるからして、この公安委員に対しましては、もちろん政府も御苦心されたことであろうと私らは存じますけれども、でき得るならば、一般が納得をし得るような方法をとつていくところにその途があるのではないかとわれわれは考えておるのであります。
 しかも、この問題はきのうきよう起きた問題ではない。二、三箇月の期間はあつたのであります。八、九十日の期間のあるうちに十分これを議員全体にわかるようにし、國民全体の納得し得るような方法をもつてやる。そうしで満場一致できめていつたならば、國民も安心してやつていけるのではないかと私らは考えておるのであります。(発言する者あり)
 その辺やじつておる人たちは、まことに結構な人たちであるけれども、何でもかんでも、ただやじればいいと、のような氣分であるかもしらぬけれども、われわれは眞劍なのであります。ここへ來る以上、少くとも國民を代表しておるつもりであつて、いたずらにのような氣持ではないのであるから、そういう氣分はよく考えてもらいたい。、この演壇は決して歌舞音曲の場所ではないのでありまして、歌やたいこでもやるような、そういう華やかな所ではないのでありまして、少なくとも七千数百万の國民の全体にわたる重大問題であるから、そういういたずらなの役を勤めてあなた方の氣分をそそるようなことをせず、神聖なる議場として私は話しておるのですから、神聖な問題として取止げてもらいたいと思うのであります。いたずらに私らは言を左右にするものでも、いたずらに反対するものでもないのでありまして、せつかくのやじでありまするから、やじも大いに尊重しますけれども、ただいたずちに政府與党にこびることはやめてもらいたいと思うのであります。
 私は今言うごとく、この公職審査委員会の問題にしましても、まことに不明朗であり、遺憾に考えております。しかし、できてしまつたことはやむを得ないとしましても、これからやつていく問題は、今言うごとく、治安警察というものかはたして完全な警察法であるかないかということは、もう一度われわれは考え直してみたいと思うのであります。
 現に市町村に参つてみますれば、まつたくこの二十名、三十名、という警察官をもてあましておる。日本の治安もまことに悪くはなつておりまするけれども、しかし、はたしてどこの市町村でも完全にこれを維持していけるかということになれば、十分考えなければならない。この場合において、この公安委員というものは最用も神聖でなければならぬし、また同時に最も大きな役目をもつておると考えるのでありまして、人を指して反対するの賛成するのということは申し上げませんが、少くともこの問題を、なぜもつと早くわれわれに示してくれなかつたか。もう少し國民の納得のいくような方法をとつてくれなかつたか。政府も忙しかつたであろうけれども、こういう重大問題、國民全盤にわたるような問題は、こう簡単に取扱つてもらいたくないと思います。いま少しくわれわれは考慮し、研究するところは研究して、そうして全員の手によつてよくやつていきたいと思うのであります。
 私はこういう問題に対しましては、いたずらに紛糾する問題でもないし、党利党略に用いる問題でもありませんから、あまりに研究の足りないものを、そのままうのみにして賛成することは……(発言する者あり)静かにしてください。そういうわけでありまして、少くとも私らは納得がいかない。納得のいかないものに対して、國民の前に完全に賛成の意を表すことのできないことを遺憾とし、私は反対の意見を申し述べまして討論を終えたいと思います。
 ただいま議長さんから親切に、ということは議会の品位を汚すから取消してもらいたいと言われますから、私は謹んでお取消しを申します。
#15
○議長(松岡駒吉君) 討論は終局いたしました。
 これより採決するはずでありますが、この際、暫時休憩いたします。
    午後三時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十二分開議
#16
○議長(松岡駒吉君) 計算させたところ百六十一名あります。(拍手)
 休憩前に引続き会議を開きます。國家公安委員の任命同意につき採決いたします。まず植村君、清瀬君、辻君の三名につき採決し、次に生方君、金正君の二名につき採決いたします。
 植村環君、清瀬三郎君、辻二郎君の三君の任命について同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて同意を興うるに決しました。
 次に、生方誠君及び金正米吉君の二君につき採決いたします。生方誠君及金正米吉君の任命に同意するに訂正いたします。生方誠君及び金正米吉君の任命に同意を與うるに賛成の諸君に白票、反対の諸君は青票を御持参せられんことを望みます。閉鎖。氏名点呼を命じます。閉鎖。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 議場内の交渉が整いませんから、規則通りに行います。先刻の記名投票の宣告を取消します。開鎖。
 改めて宣告いたします。これよリ採決いたします。生方誠君及び金正米吉君の任命に同意するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて生方君、金正君の任命に同意を與うるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#20
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、衆議院規則第百六二條にかかわらず、問題を定めないで自由討議を行われんこと望みます。
#21
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてこれより自由討議にはいります。
 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。小澤君はいませんからいその次、小島徹三君、発言者を指名願います。
#23
○小島徹三君 民主党は、本日の自由討議を棄権いたします。
#24
○議長(松岡駒吉君) それでは川野芳滿君、発言者を指名願います。
#25
○川野芳滿君 國民協同党は、本日の発言を中止いたします。
#26
○議長(松岡駒吉君) 東舜英君、発言者の指名を願います。東君がおりませんから、田中健吉君、発言者を指名願います。
#27
○只野直三郎君 議長、今のは相馬君ですか、田中健養君ですか。
#28
○議長(松岡駒吉君) その次に相馬助治君、発言者を指名願います。
#29
○只野直三郎君 相馬君が急に用がありまして帰りましたから、私が発言することになつております。
#30
○議長(松岡駒吉君) それでは只野直三郎君、発言君の指名を願います。
#31
○只野直三郎君 それでは私が只野直三郎を指名いたします。
#32
○議長(松岡駒吉君) 只野直三郎君に発言を許します。
    〔只野直三郎君登壇〕
#33
○只野直三郎君 本日の自由討議にあたりまして、第一議員倶樂部を代表いたして私が演説をしたいと思います。
 私の演題は、日本はどうすれば再建ができるか、こういう問題であります。それに関しまして、私がかねて提唱しておりまするところの統領制度理論というものを、簡単ではあリますが大体申し上げまして日本再建の根本の問題に触れてみたいと思うのであります。
 現在の政治の混乱は、日本の國に政治家がいないためではない。人材が不足なためではない。日本の政治の混乱は、要すればわが國の政治組織の欠陷からきておる。言いかえれば政治り仕組みが悪い。この政治の仕組みをかえれば、わが國の再建が必ずできる。こういうことを私は痛感いたしております。
 しからば、日本再建の根本は何であろうか。いろいろと議論がありまするけれども、私はただ一つ、ほんとうにこの民族の再建を期するためには、ただ一箇所をかえれば、わが國の政治が立ち直ると信じております。それは内閣総理大臣の公選、これ以外にはないと私は断言いたします。総理大臣を國民が直接に選ぶ、これ以外に民族再建の途は絶対にないと私は信じます。総理大臣を公選すれば、何のためんわが國の政治の再建が可能であるか。それらについていろいろ申し上げたいと思います。
 今の日本の大きな問題は二つあります。それは天皇制の問題、もう一つはインフレーシヨンの問題であります。天皇制の問題は、常識をもつてすれば解決したことく一通りの人は考えております。しかしながら、現在のわが國におきましては、天皇制は解決しておりません。それと同時にわが國のインフレーシヨンというものは、容易なることでは解決されないのであります。天皇制の解決もこの民族にとりましては命がけの問題であるインフレーシヨンの解決も、われわれ、日本民族にとつては命がけの問題である。天皇制もインフレーション問題も見方をかえれば同じ程度である。そういうふうに私は思います。
 しからば、この二つの問題は何によつて解決し得られるだあろうか。それは極端に申します。総理大臣の公選をすることによつて天皇制は解決します。インフレーシヨンは止ります。私の結論がはたして正いどうか。皆さんの御批判に訴えたいのであります。
 そこで総理大臣を公選した場合に、私はこれに統領という名前をつけた。総理大臣を公選しますると、日本の政治の組織機構が根本的に変わつてまいります。言いかえれば公選された総理大臣は、その政治形式がちようどアメリカの大統領制度と同じになつてまいります。天皇制のもとの米國の大統領制度、これが私の統領制度であります。大統領の大は、元首であるがゆえに大という尊称をつけますが、天皇制のもとに総理大臣を公選すれば、公選された総理大臣は大統領となつて、元首ではない。そこに大きな違いが出てまいります。総理大臣を公選しますると、公選された総理大臣は当然任期制度になる。四年間の任期を満了する形をとるのがよろしいと思います。政府が四年間送らなければ、國会には解散というものがなくなります。國会に解散がなく、政府が途中でやめないということになつて、初めて日本の政局が安定すると思うのであります。この事柄は、今日までの終戦以後のわが國の政治のあり方をわれわれが考えた場合に、これ以外には、もはやわが國の政治の再建をする途がないのではないか、これを私は皆さん方に申し上げたいのであります。
 総理大臣の公選、このことは、非常に簡単なことであります。言葉としては簡単であるけれども、総理大臣を公選するというそのことの内容が非常に大きなものを含んでいることにわれわれは氣ずかねばならぬのであります。言いかえれば、わが國の政治機構が根本的変わつてまいります。われわれ國の民思想の中にはぐくまれておつたところの封建的な思想が、総理大臣公選によつて完全に撤廃されてくるのであります。言いかえれば、総理大臣公選は日本再建の根本の途であるということは、とりもなおさず、わが國の政治が総理公選によつて完全に民主化することであります。総理大臣を公選すれば、これがすなわちいわゆる人民政府あります。天皇陛下の人民政府、これがわが國を救うところの唯一絶対の途であるというゆえんのものは、人民政府がすなわち徹底した日本の民主化であるという観点に立つものであります。
 しからば、このような統領制度が何ゆえにわが國において実現が困難であろうか。統領制度の実現困難なるゆえん、総理大臣公選がわが國の政治の表面に現われてこない理由は何によるか。それは法理学的な重大なる課題がその中に伏在するからであります。総理大臣を公選するのは、言うまでもなくこれは人民の完全自治である。人民の完全自治が現在の人民主権の思想のままで行われたとしたならば、天皇制は完全に廃止される。天皇制を完全に廃止して、そうして総理大臣め公選をしてわが國の民主化をはかろうとすることが、はたしてできるか。國民大衆がこれを受けるか。わが日本民族八千方がこれを承認するか。おそらくこれは不可能であります。國民はこれを認めません。天皇を廃止することによる総理大臣公選には、國民は賛成しないと思う。何となれば、人民主権の思想のままで総理大臣を公選したならば、それはとりもなおさず、わが國が共和國家となるからである。
 しからば、天皇制のもとに総理大臣公選の方法がないか。あります。それは天皇主権のもとに、天皇の大命によつて総理の公選を行う。天皇主構のもとに、國民に対して完全なる官治権を與える。これが、わが國における重大なる政治上の課題となつてくるのであります。天皇主権のもとに総理大臣の公選をする。天皇の大命によつて総理の公選をする。これならば、八千万の大衆はこれを支持いたします。
 しからば、現代は人民主権の時代だ。人民主権の時代に、どうして天皇主権の確立をはかるか、それが今の思想と背反しないか、こういうことが問題となつてまいります。私はこれに対し背反しないかとはつきり申し上げます。どうして背反しないかといえば、今は人民主権の時代である。新憲法によつて、われわれは人民主権の時代にはいつておるけれども、人民主権とは言いながら、天皇を象徴として考えておる場合に、総理大臣は國会指名にせざるを得ない法理学的な理由がある。しかも総理大臣の國会指名は、皆様方、われわれがすでに承知しておるごとく、今日のわが國の政治の混乱である。これを考えた場合に、天皇主権のもとに総理の公選をするということの行き方に対し、問題は天皇主権の確立の方式である。私はこれに対し、次のような解決案をもつておるのであります。
 それは、われわれ八千万民族が今もつておるところの人民主権を、われわれ民族の自由意思の表明によつて、天皇にこれを委譲することによつで、天皇が、承諾なさつた場合に、天皇主権確立があるのであります。ところが、人民主権を天皇に委譲するということは、それは人民自身の総意の結集でなければならない。日本民族の自意識によつて意思表示によつて主権の委譲が行われた場合に、天皇主権の確立に可能となるのであります。
 ところが主権委譲という問題になりますと、主権とは基本的人権ではないか、基本的人権を他に委譲することができるか。これは学者の意見であります。私は可能である、何となれば、われわれが主権者なるがゆえに主権委譲が可能である、こういう論理をもつておるのであります。われわれが主権者であるから、主権者なるがゆえにわれわれの主権を他に委譲することは可能である。これは論理学を破壊しない限り、この思想を破壊交ることはできない思う。問題は、これを実現する方法である。民族の総意である。上から抑えたものではいけない。下から盛上るものでなければならない。ここに民族運動の必要が起こつてくるのであります。人民主権を天皇に委譲するというこの行為は、それ自体重大なる民族運動がなければできないのであります。
 しからば、その天皇主権が生れたとした場合に、その天皇主権の世界的性格いかんという問題になります。今の世界は、言うまでもなく民主主義の時代である。その民主主義の時代に天皇主権を確立し、天皇主権を世界に出張するというそのことが、時代に対して大きな矛盾ではないかとい、疑問が起つてくるのであります。しかしながら私は、これに対し次のような解釈をとております。主権の所在を定めるといううそのことは、民族の性格を決定することであつて、デモクラシーの本質と矛盾するものではない。委譲するのは、われわれが主権をもつか、だれがもつかを決定するのは、民族の性格を決定三行為である。民族の性格を決定する行為は、それ自体民主主義の本質的な性格になり、われわれ日本民族が天皇主権を欲する場合に、この民族に天皇主権を與えるそのことがデモクラシーである。もちろん、これは上からの命令であつてはならない。下からの要望でなければならない。八千万大衆が天皇主権を欲し、天皇主権國家をつくろうという熱意をもつてそれを実現しようとする場合に、それ自体が天皇主権國家になる直接の要件であると思う。
 このように、その民族の性格を決定する行為である以上、われわれは、天皇主権そのものの確立は日本民族の性格を決定する行為である、もし民族の性格を無観し、その上に樹立されるものでなければデモククラシーでないとするならば、そのデモクラシーは誤られたデモクシーであると思う。民族の性格を否定するならば、その民族が奴隷民族になることである。われわれは、その意味において、人民主権を天皇に委譲し、民族の性格を決定するそのことがデモクラシーの本質に反すると考えたり、みずから欲する政治をみずからの手によつてつくろうとしなかつたならば、それは明らかに民主的でない態度であると私は思うのである。このような論理に立つて、これを世界に向つて主張する場合に、天皇主権を主張することは少しも差支えがないと私は思うのであります。
 しからば問題は、今のような理論を実現するためにはどういうことが必要であるかという問題が残されております。これは、現在われわれがいただいておる新憲法を改正しなければ、これを実現することはできません。少くも新憲法法第一條及び第六十七條、これの変革が根本的な課題となつてまいります。新憲法第一條は、天皇は象徴であるときめております。私は、天皇は象徴であると思いません。天皇は断じて象徴ではありません。この問題は、あまりに重大な問題であるかもしれません。しかしながら、私は國会議員としてこの壇上で主張する以上、私は確固たる信念のもとにそれを主張するのであります。わが國の天皇は、建國以來主権者として君臨されたのであります。そうして天皇の政治的態度は、一般政治上の大権事項は大臣、大連、関白太政大臣、あるいは征夷大将軍、あるいは内閣総理大臣というごとく國民の一部の者に委ねられて、みずからは超然として君臨されたのであります。すなわち天皇は、主権者として君臨しながら、天皇の政治的能度は常に象徴的であつたのであります。しかるに終戦以後、わが國の政治家、学者、思想家の一部の人々は、天皇は主権者としての権威をもたれておつたというこの歴史的なる事実を無観して、象徴的である部分だけを取上げて、天皇は象徴だときめたのである。これは明らかにわが日本民族の歴史的な性格を世界のデモクラシーに妥協させたものであると私は思うのであります。このような安協の憲法によつて民族千年の大計は立てることはできない、これが私の根本の主張であります。言いかれば憲法第一條の象徴ということと私の言うところの象徴約というのは、たいへんなる相違であります。
 権威ある天皇が、しかも政治的には象徴的態度をとられ、これが日本民族の首長あつた。われわれはこれを政治に表現する場合に、われわれの総意を結集して、主権を天皇に委譲し、天皇主権を確立する。そうして天皇の大命によつて完全なる自治権をわれわれが與えられて、総理大臣の公選をやる。すなわち天皇は、この統領制度、理論から、言えば象徴的態度をとられておる、これが日本の國の正しい姿であると思うのであります。
 そこで、最後に申し上げます。これで天皇制の私の根本的態度は申し上げたのでありまするが、しからば、インフレーシヨンと総理大臣公選とはどういう関係があるか。
    〔「ちつともわからぬ」と呼ぶ者あり〕
インフレーシヨの防止が総理大臣公選といかなる関係があるか。言い換えれば、統領制度を布けばなぜインフレーシヨンが止まるかこの問題であります。時間がありませんから、ごく簡潔に申し上げます。
 今のインフレーシヨンをとめるということは、これは日本の政治においては並大抵のことではありません。このインフレーシヨンを止めるには、ここに日本に大きな革命が起らなければ止まらない。どんなに細工をしても止まちない。國民は刻々と苦しい生活の中に追いこまれておる。インフレーシヨンを止めれには、思い切つた地方分権を確立しなければならない。地方分権の徹底である
 しからば、地方分権の徹底はどういうことに関係があるか。地方分権をしなければ、生産と消費の直結は生れてこない。生産と消費の直結がインフレーシヨンを止める根本である。その生産と消費の直結をどうすれば具体化することができるか。それは今の府縣行政を止めることであります。今の府縣行政のままでは、インフレーシヨンは止まりません。府縣行政区画を再編成する。少くも現准在の府縣二つないし三つを一つにして、大体そのわくの中で自給自足がほぼできる程度にわが國を区画するのであります。大体わが國を二十二、三に区画たします。たとえば北海道を一つにする。四國を一つにする。八州を三つぐらいにわける。あるいは中國地方を表裏にわける。東北を表裏にわける。こういうふうに、大体大きなわくに日本の國をわけるのであります。私はこれを州制度と言つております。府縣制度をやめて州制度をつくる。そうして、州制度のわくの中で自由経済を許すのであります。わくとわくの間は嚴重なる國家の統制を施すのである。大都市のごときは、暫定的にこれを特別な保護をするのである。
 これは普通の政治ではできません。そういう意味において自給自足のできる中で大体の自由経済を許すというのはどういういとであるかというと、人間の欲望を満たしてやる。國民の欲望を許さなければ、ほんとうの自給自足経済は生れてこない。生産と消費の直結が生しれてこない。
 この制度を布くためには、今の内閣制度ではできません。政治のバランスが壊れておる。今の府縣知事に対してすら思う存分権利を與える力がない。そのために、地方に対して出張所を設けて府縣知事の力に制限を加え、政治のバランスをとつておる。これでは、わが國の経済再建も何もできない。中央依存である。わが國の九州から北海道から陳情團が中央にやつてくる。この状態対して、われわれは無関心であつてはならない。中央政府が強力であれば、地方分権が思い切つてやれる。この理論を実行しなければ、日本の再建はできないと私は思うております。Iそのような意味におきまして統領制度を樹立すれば、経済再建の根本であるインフレーシヨンを止める見通しがついてくる。しかも、この統領制度を布くためには、天皇主権でなければならぬ要すればわれわれ現在いただいておる憲法の改正をしなければ、わが國のほんとうの建直りはできない。
 私は、このような意味におきまして、本日この機会を與えられ、皆様方の前に私の所懐の一端を申し上げる光栄を衷心から喜びながら、皆様方の賢弱なる御批判と御指導を得たいと思うのであります。御精聽を感謝いたします。(拍手)
#34
○議長(松岡駒吉君) これにて自由討議は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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