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1947/03/23 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第29号
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1947/03/23 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 本会議 第29号

#1
第002回国会 本会議 第29号
昭和二十三年三月二十三日(火曜日)
    午後三時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二十六号
  昭和二十三年三月二十三日(火曜日)
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 一 國務大臣の演説に対する質疑
           (前会の続)
#3
○議長(松岡駒吉君) 國務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。山崎猛君。
    〔山崎猛君登壇〕
#4
○山崎猛君 私は、内閣総理大臣芦田均君の演説に対して、民主自由党を代表して質問せんとするのであります。質問の内容は、一つには外交に対する演説に対して、二つには労働問題に関連をして、三つには食糧の自給度の引上げに関する問題に対して質問をいたさんとするのであります。要旨は政治的に大綱をとらえてお尋ねをするのでありますから、内閣総理大臣より御答弁を承れば結構であります。
 このたびのトルーマン大統領声明は、世界國際情勢の緊迫をひしひしと感ぜしむるものがあるのであります。このときにあたつて、芦田君はその演説において、第三次大戰の可能性に言及いたされておるりであります。外交のことでありますから、愼重を期して、同君の草案の中から拔書をしてここに申し上げます。世界はさらに第三次大戰の可能性におののいているのが現在の姿であるが、日本は未だ國際連合に参加するの時期に達していないために、その発言権がない。しかし生存が密接に世界に関連をもつ今日、決して平和維持に無関心ではあり得ない。殊に東洋の隣邦において政情の安定を見ないことは、わが國の経済再建の上に一大障害をなすものである。ということを述べておられるのであります。さらにまた語を継いで、「新憲法のもとに戰争を否認した日本は、今後引続き平和と自由と正義との支配する世界の建設に不断の努力をいたす決意である。」と結んでおられるのであります。そこで私は、單刀直入にお尋ねをしたいのであります。
 一体、第三次大戰の可能性ありといわゆる今日、占領下にあるわが國の総理大臣として、平和維持に努力をいたすという決意をいかなる方法で実現せんとするのであるか、これは芦田君の演説をお聽きして当然起つてくる疑問であると思うのであります。(拍手)國民に対して深刻なる不安を抱かしめる演説をなさる以上、われわれは本議場を通じて、さらにその所信と対策とを明らかにして、國民の不安を一掃してもらいたいと存するのであります。(拍手)この点に関する所見の開陳か望むものであります。
 さらに総理大臣は、その演説において、このように述べられておるのであります。「政府が特に注意を傾けんとする点は、現在の環境において、わが内政の処理をなすにも、まずもつて世界的関連においてなすべきである。」と強調しておられるのであります。もちろん、私もごもつとも千万と考えるのであります。ところが、前段に引きましたるごとく、東洋の隣邦における政情の不安がわが國の経済再建に一大障害をなしておるとも言われておるのであります。そこで私は迷うのであります。この一連の表現の意味は、はたして何を物語つておちれるのであろうか。ただおおかみ來る、静かにせよでは、政治にはならないのであります。なぞでは政治は解けないのであります。総理大臣のはつきりした御答弁を願いたいのは、この点なのであります。(拍手)さらにまた、國内において隣邦の政情不安がわが國の経済再建に一大障害となるとおつしやるならば、これに対していかなる態度をもつて臨まんとするのであるか。臨み得るのであるからこれに対する所見と対策とを重ねで御表明を願いたいのであります。
 もちろん世界平和の永続は、われわれの望んでやまぬところであります。わが國を再建し、子孫に文化の香り高い、ゆたかな生活を確保するためには、平和維持は絶対條件あると私も考えるのであります。そこで、さらにお尋ねをしたい。われわれは、みずから戰うがごとき愚を再び繰返すものではありません。同時に、二つのことをわれわれは考えなければならない。國外の情勢によつて紛争の渦中に巻きこまれる危險も、また能う限り避けなければならないと考えるのであります。(拍手)これが一つであります。また別の面から、わが國内はあくまでも民主主義を守つて、自由を尊んで、國内の秩序を維持するとともに、さらに國際的な立場においては、中立の立場に立つて、世界各國と互いに相侵すことなく、平和の交際を続けることが必要である。これが一つであります。この一つの点につきまして、さらに総理大臣の御答弁を促したいのであります。以上が外交に関する質問であります。
 次に、労働の問題についてお尋ねをいたします。総理大臣の過日の演説は、労働問題に触れることが少く、かつ浅かつたのであります。しかし労働問題こそは、現下日本の最大の問題の一つであると申して過言ではないと思うのであります。多言を要しません。今日ただいま、その巖頭に立ておると申し上げて差支えないと思うのであります
 労働者の地位の向上をばかり、経済の興隆に寄與するところあらしむることは、わが國の民主化を達成し、産業を復興するために、欠くべからざる條件であります。幣原、吉田両内閣を通じ、労働組合法へ労働基準法、労働関係調整法を制定して、労働者の地位の改善をなし、民主主義の達成に大きな歩みを進めたことは、ひとり労働問題としてのみならず、日本のために御同慶にたえないと考えるのであります。しかし、その後の経過、実相を見ますのに、実際の状況は、インフレーシヨンによる生活の不安と、敗戰に伴う人心の動揺と相まつて、労働に関しては常に問題の絶え間がないのであります。それが経済の再建を妨げ、長く國内の安定を阻害しておることは、まことに遺憾千万であるのであります。
 現に今日、新しく給與水準をめぐる「官公廳労働問題は、重大なる危機に直面しておる次第であります。官公吏の給與水準について、はたまたその事議権について、はたしていかに対処すべきかということが大きな問題であると私は思うのであります。また一般企業界に徴とてみましても、近來相当の件数に上る生産管理費行われておるのであります。これに対する措置をいかにすべきか。至るところ労働界は問題山積の状態にあると申して差支えないと思うのであります。今日眼前の波を乗越えても、幾日幾日を待たずして、また同じような動揺の繰返されることが予想されるのが現状であると思うのであります
 申すまでもなく、労働力はあらゆる経済的成果の源泉であります。言葉をかえて申しますならば、生産の源泉であります。しかして生産の消長は、消費するすべての國民の頭に振りかかるところの問題であります。特に敗戦によつて領土と海外投資とを失い、貿易には制限受、産業設備に対しては重大な破壊をこうむつているわが國としては、全國民の労働力こそ日本再建の貴重なる原動力であると申してはばからないのであります。(拍手)今日の日本の労働問題は、この意味におきまして全國民の問題であると考えるのであります。限られたる階級問題に止まるものではないと確信するのであります。(拍手)しかるに労働問題が、ややともすれば階級鬪争の現われとなることは、何としてもこれを避けなければならないと思うのであります。いわんや、万々一過つて政事の渦中にこの問題を巻きこむようなことがあつたならば、國全体のためにゆゆしき大事であろう、かように考えるのであります。(拍手)繰返して申しますならば、このことは断じて特定の限られたる職業や階級ばかりの問題ではなくして、その利害を超越して、國民全体の問題としてその解決策を講じ、そうして労働を尊重し、これを規律すべきである、かように私は考えるのであります。
 この見地に立つて静かに思いまする、のに、われわれは國民全体の深い関心に基いて、日本の現状に即したる根本的な労働対策を考えたいと意図するものなのであります。眼を轉じて、当面論議すべき題目だけをあげてみましても、差追つた問題だけでも、たとえば生活給と能率給との問題のごとき、労働規律の確保の問題のごとき、生産管理の問題のごとき、あるいは労働委員会の決議の拘束力の問題のごとき、あるいはまた労働委員会の責任範囲と政府の責任範囲との調整の問題のごとき、その他措置すべき事項は多々あると思うのであります。
 ここで私の胸中に浮びきたるものは、國会なのであります。問題は、國民全体の意思の反映がなければ労働問題の根本的な解決はできないように私は信ずるのであります。この意味から申して、國会を考え、超党派的の委員会のごときものでも設けて眞に國民的なる解決をはかり、労働力が日本再建の貴重なる原動力であるということの実をあぐべきであると考えうるものなのであります。申し上げるまでもなくい行政府だけではできません。いわんや中労委をやであります。國民全体の意思の反映があつて初めてこの問題は処理できるであろう、今日の日本の現段階において、かくあるべしと申し上げるのであります。私はこのような構想をもつて総理大臣にお尋ねするのであります。御抱負があれば御抱負、御意見があれば御意見をこの壇上において承りたいのであります。
 御三番目には食糧であります。私の申し上げる食糧問題は、食糧自給度の引上げに関する総理大臣の所見を質したいというのであります。私の信ずるところによれば、食糧問題は日本の存亡に関する重大なる問題であると思うのであります。(拍手)すなわち、食糧の自給度をできるだけ急速に引上げて、これによつて輸入食糧を漸次に減少せしめ、これに代つて代償物資の額を減じて、でき得るならば、これをもつて他の必要なる工業等の原料・材料等の輸入の方に振替えたい、かように考えるのであります。(拍手)昨年の輸入代償物資の額は、われわれは二億五千万ドル余に上つているということを聞いているのであります。ところが、從來の歴代の内閣の食糧対策をみまするのに、多くは米、麦あるいは甘藷等の澱粉質食糧の増産、すなわち農産食糧にのみ重点をおいて施策をしているように見えるのであります。このたびの内閣総理大臣の御演説を拝聽しても、抽象的に供出方法の改善とか、第二次農地改革の推進とか、あるいは三百万町歩の開墾とかいうようなことを説いておられるのであります。枝葉になりますが、一体三百万町歩という開墾のねらいはどういう標準から出たか、実は寡聞にしてわからないのであります。(拍手)從来の百五十万町歩の開墾さえ未だ目鼻がつかないでいるのに、突如としてさらに三百万町歩計画ということで、実は心ひそかに一驚を喫したのであります。(拍手)いずれにしても、増産の方針はただ米、麦、さつま芋の増産、いわゆる澱粉質食糧の増産に止まつているということは明らかであると思うのであります。
 私どもの所見をもつてすれば、將來の日本の食糧問題は、質と量と両方併せ考えて初めてこの狭い國土に多くの人間を養い得ると考えるのであります。(拍手)いわゆる、これまで主食として称えられてまいつたところの米、麦、甘藷等の澱粉質食糧偏重の政策を改めて、今後は水産、畜産というがごとき面を大いに興して、澱粉・脂肪・蛋白質を合わせて充実したる総合食糧基本対策を立てなければならないと、かように考えるのであります。(拍手)これで初めて眞の日本國民の食糧自給度を高め得ると考えるのであります。ゆえに食糧問題は、一面において國民生活確保の問題であると同時に、他面においては國際収支の問題であるということを考えなければならないというのが、私の食糧自給度の引上げというねらいであるのであります。
 さらに私は考える。敗戦國の日本が考えるのには、あまりにおこがましいかもしれないが、今日世界各國は食糧の窮乏に悩まされておるのであります。せめては敗戦國の日本も、この世界の窮状に対して、世界人類のためにできるだけの御奉公がしたいではなかろうか。併せてこのことを得れば、御同様日本人として、満足これに過ぐるものがないと考えるのであります。私は今日以後の日本の食糧対策は、この観点から進んでいくべきであると大づかみに考えるのでありますが、総理大臣の所見ははたしていかがであろうか、明確なる御意見の発表を願いたいのであります。(拍手)
 最後に一言したいことは、過日総理大臣は、その演説のうちに、食糧の一〇〇%供出に対して全國農民に対する感謝の意を述べておられたのであります。私も、もとよりこの点は同感であります。しかしながら、この壇上より特に総理大臣に念を押しておきます。一〇〇%の供出は、決してなまさしい農民の努力によつて出たのではないのであります。(拍手)これを考えるときに、農民の犠牲を考えるときに、農民にかつて公約されたるところの肥料、農業用資材の配給、報奨物資の提供というようなものが、出てはおるであろうが、未だ十分に手に渡つておらないのであります。この点は依然として政府の責任であると考えまするがゆえに総理大臣においては、感謝とともにこの責任の遂行をなされんことを特に切望する次第であります。(拍手)
 私の質問は以上をもつて終つたのでありますが、この機会に一言私をして述べしむる機会を與えていただきたい。
 私は、芦田君と多年同志として同じ政党に属し、相許した仲であります。今日総理大臣としてその重責に当られたることに対しては、かつてその友情に顧みて敬意を表し、祝意を述ぶるのにやぶさかなるものではありません。しかしながら、昨年以来の芦田君の政治的態度とその所説に対しては、不幸にして私は納得し得ざる多くのものをもつておるのであります。(拍手)信ずるところの相違であると強いておつしやるならば、また何をか言わんやであります。今日は内閣総理大臣として公的の責任の地位に立たれておるのであります。私は勇氣を鼓してこの壇上に立つて、あえて以上の質問をいたしたのであります。芦田君たるもの、胸襟を穏やかに開いてわれわれをして、全國民をして納得のいくような御答弁あらんことを切にお願いいたす次第であります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#5
○國務大臣(芦田均君) ただいま山崎猛君より、重要なる政策について、政府の施政の方針に関する質疑と同時にきわめて有益なる御意見の開陳を拝承いたしまして、私はその御意見の多くの点において私とまつたく軌を同じゆうすることを発見いたしまして、きわめて興味をもつて謹聽いたしました。
 御質問の第一点は、世界の平和が今日すこぶる危殆な状態に立つているということを施政演説の中に述べて國民に多大の不安を與えたと思うが、その世界平和の維持に対して、具体的に日本がどういう方法をとり得ると思うかという御質問であります。私が現在の世界の平和がすこぶる危殆に瀕しでおるという印象を受けたのは、すでに新聞等によつてごらんの通り、三月十七日にアメリカ大統領トルーマンが両院に出席して朗読、したるそのメッセージにおいても、あるいはまた同じ日にブラツセルに開ふれたる英佛その他五箇國の会議において軍事援助を含む條約の調印が行われたという点を見ても、あるいはまた近く濠州の外務大臣が発表したあの世界平和危殆に瀕せという演説に見ても、およそ世界の人類は今日平和維持がきわめて困難な状態にあるという一抹の不安を抱いておることは、おおうべからざる事実であると思います。
 しかるに日本は、日本國民は、新憲法のおいて一切の軍備を放棄し、絶対平和の決心を世界に表明したのであります。われわれは、すでに軍備を撤廃しておるのである。武力をもつて平和の維持をはかることは、日本國民にはできません。しからば何をもつてやるか。世界人類の平和を維持するという理想は、古今東西を通じて人類の最も高貴なる理想であることを私は確信する。(拍手)この理想と信念のもとに、世界の民族に向つて、日本國民は世界の平和を絶対に維持する信念をもつておるのだ、理想をもつておるのだ、この理想を天下に訴えるというしとに、われわれは何の躊躇する必要がある。世界の平和が危殆に瀕すれば、われわれ日本國民は、その信念とする平和維持の思想を世界の民族に向かつて公表して、堂々とこの所信を天下に訴える。世界のうちには、世界の民族のうちには……。
    〔発言する者多し〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#7
○國務大臣(芦田均君)(続) 世界の民族のうちには、この日本民族の平和維持の思想に向つて共鳴しないものもありましよう。けれども、平和の理想に共鳴しないのは、共鳴しないものの誤りです。この理想をもつてわれわれが世界に臨む以外に、日本民族が今後の世界に対する道はどこにあるか。(拍手)
 第二の問題としてお尋ねになつた労働問題について、簡単に所信を述べます。労働問題は、私が……。
    〔発言する者多し〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#9
○國務大臣(芦田均君)(続) 多年関心をもつ点でありまして、今日行われている現行労働組合法は、不肖私が厚生大臣の当時立案をして議会に提案した法律であります。從つて私は、日本の労働連覇が正規の正しい道に乗つて発育することを希う点においては、決して人後に落ちるものではありません。(拍手)ただいま山崎君が、労働問題は日本の國民全体の問題であり、日本の経済再建のかかる重大な問題であると言われた点においては、私は全然同感であります。政府は……。
    〔発言する者多し〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
#11
○國務大臣(芦田均君)(続) 政府は、今日行われている幾多の労働争議の解決に対しては、労働階級の自重を求め、資本家、経営者の反省を求め、資本と経営と労働とが一体となつて今後わが國の再建に進邁できるように円満なる解決を求めて、日夜苦労をいたしているのであります。(拍手)
    〔発言する者多し〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
#13
○國務大臣(芦田均君)(続) さらに食糧問題に対する山崎君の御説は、私の施政の演説の中に多少の誤解をおもちになつたことかと私は存じます。山崎君のただいまの御説のごとく、わが國の食糧問題の一つの険路は、澱粉の偏重にあるということを私は信じている。從つて、私の演説の中に三百万町歩の波丘地帯を開発すると言つたのは、決してこれを開墾して主要食糧をつくるという意味ではありません。日本の食糧が澱粉偏重の形から、脂肪と蛋白をさらに多く攝取しなければならないということは、これは常識であります。(拍手)從つて、この蛋白と脂肪の食糧を攝取するためには、日本の農業が一日も早く有畜農業に変化なければならぬ。それゆえ、三百万町歩の波丘地帶を開発するということは、この波丘地帶を利用して有畜農業を営み、できるだけ速やかに澱粉偏重の食生活より脂肪・蛋白の食生活に移らなければならないという意味を述べたのであります。
 なお、今後わが國の食糧状態が現状をもつて満足すべき状態でないことは、もちろん言うまでもありません。が、さいわいにして本年一〇〇%の供出ができた。この一〇〇%の供出は、容易ならざる農民の犠牲によつてできたものであるということは、私が施政演説の中に述べた言葉すなわち、この一〇〇%の供出は農民諸君の救國的精神の結晶であると私は述べております。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#15
○國務大臣(芦田均君)(続) かかる意味において、私はただいま山崎君の述べられた食糧政策と全然同一の見解をもつておることをここに明言いたしておきます。
 最後に、山崎君が多年公的立場のいかんにかかわらず、私の友人として常に私に対する厚誼の情をお表わしくださつたことは、深く感謝するところであります。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 川崎秀二君。
    〔川崎秀二君登壇〕
#17
○川崎秀二君 芦田内閣は、終戦後三年、敗戦國の戦後経済が当然にたどる苦悩と創痍が國民の台所生活にまで深く食い亡んでまいりました窮乏のさ中に誕生したのでありますから、その前途はまさに苦難に満ちていると覚悟しなければならぬのであります。しかしながら、國民生活を塗炭の苦しみより救い、祖国復興の大業に直進する機会を得たといふことは、政治家としてその抱負と計画に基いて眞の勇氣を振い得るところを得たというべきであります。
 終戦後の政府は、いずれも経済施策に満足すべき業績を残さなかつたのでありまするが、一面、それぞれ内閣の構成と性格に應じた歴史的役割を遂げてまいりましたことを否定するわけにはまいらないのであります。國会において最も民主的に選出された芦田内閣に要請されるものは、片山内閣によつて初めて敷かれた経済再建のレールの上を、その方策を是正しつつ堅実な歩みを進めて復興の門に到着し、いかにしてその復興のとびらを開くかということでなければならぬと考えるものであります。私はこの認識に立つて、民主党の抱懐抱懐する理念を明白にしつつ、三党政策の実施方式について政府の所見を質さんとするものであります。
 芦田内閣は成立とともに首相談話を発表して、新内閣の重要な使命は外資の導入による経済の再建と対外信用の回復にあるとし、わが國をめぐる四囲の情勢は從來に比し多量の物資輸入を期待し得る画期的な時代にあると思うと声明し、さらに過日の施政方針の演説のうちにも、同様のことが述べられたのであります。從つて外資導入は、芦田内閣の志す当面最大の目標と言えるでありましよう。
 もちろん日本國民は、インフレーシヨンの波がなお高い今日、またこれを解消すべき方途である生産の増強が一大飛躍を見ない現状においては、復興への誘い水として、連合國の好意ある援助による基礎資材の輸入を渇望いたしておるのでありますが、首相の演説の中に、アメリカにおいては、日本経済を一九五四年までに、一九三〇年ないし一九三四年水準の一二五%にまで復興させる援助計画を考慮する向きもあると傳えておるという節があつたと記憶するのであります。これはきわめて重大な意義をもつど考えられるのであります。わが國は申すまでもなくポツダム宣言を受諾し、どれを忠実に履行すべき義務を有し、わが國民は、敗戰以來連合國の寛大にして公正なる指導のむと、政治経済の民主化に、またもろもろの指令の履行に誠実なる協力をいたしてまいつたのでありますが、昨年賠償問題に関しポーレー大使の報告が行われた際、國内一部には憂慮の色が濃がつたのであります。その後日本民主化の進展と國際情勢の変化によつて、昨年末から次々に発せられたドレーパ―陸軍次官の声明やロイヤル陸軍長官の演説によつて、対日復興援助計画が急速に具体化しつつあり、近くはストライク委員会の勧告などの報道もあつて、久しく耐乏生活にあえでいた國民をして將來への光明を感じさせだのであります。
 この際首相に伺いたいことは、外資導入に対する援助の時期の見透しいかんということと、わが國の工業水準を一九五二年までに戦前水準に引上げるということは極東委員会その他の機関の発表によつて國民の常識となつておりますが、首相の傳える一九五四年までに一二五%まで引上げるというその報道のいま少しく詳細な説明を求めたいのであります。
 次に、外資導入をするためには何としても國内の経済体制を整える必要がある。他力本願のみであつてはならぬのであります。外資の導入とにらみ合わせての長期経済計画の確立が絶対必要であります。しかるに、経済安定本部を中心として立案されました長期計画は、昭和二十三年度の第一年度計画だけであつて末だ五箇年計画の全貌は明らかになつておらぬのであります。長期計画の策定は、現下り國情からしてはなはだしく困難であることとは存じまするけれども、この難事業を具体化していくところに安定本部存続の意義あるのでありまして、まず大きく五箇年計画を打立て、その一環として初年度計画から各年次計画を樹立すべきであると考えるのであります。長期計画は重要産業を中心として、日本のもつ人員と設備をフルに働かして、なおかつ不足の物質を導入するという方式でなければならぬと考えるのであります。この点について栗栖安本長官はいかなる構態をもつておられるか。また外資の導入は、國内経済が安定しない現在、政府の借款は別として、民間のクレジットを多く期待することは間違いであろうと考えますが、民間のクレジットの見透しと、これが受入態勢の確立についても、その間の消息に詳しい安定本部長官の御答弁を煩わしたいと考えるのであります。
 次に、経済再建の自立態勢を打立てるためには生産復興が第一義でありますが、生産復興を強く推進させるための最大の活路は、何といつても労働問題の解決にかぎがかかつておると申しても過言ではないと信ずるのであります。現在の物價高が勤労大衆の生活を圧迫し、國家の保障する配給生活物資のみによつては、わずかに生命を保つにすぎないのみならず、それさえ遅配・欠配が続きまして、勤労者に生活上の不安と焦燥の念を與え、これがためはなはだしく労働の生産性を妨げていることは、遺憾のきわみであります。このようなせつぱ詰まつた事情のもとにおきまして、労働者が生活保障を要求し、生活賃金の増加を求めることは当然でありまして、生活闘争に基本を置く労働者の要求には深き考慮を拂うべきものと考えるのであります。けだし、昨日淺沼社会党書記長が言われたように、現内閣は決して労働攻勢の防波堤となる内閣ではなく、積極的に労働者の協力を求めて、生産復興の強力なる担い手たることを要請すべき性格を帶びていると信ずるからであります。
 しかしながら、現下の労働問題、特に今回の全官公労働組合の一部のストライキは、その波及するところすこぶる影響が多く、すでに電話・通信の一部は杜絶に陥り、國家治安の維持に多大の不安を投げておりますことは、立法府に席を置く者として断じて默過し得ぬ現象であります。すなわち、今日一部の組合から要求されている最低賃金制確立のごときは、理論的に見ても割り切れぬばかりでなく、かりにこれを実施するにいたしましても、時期、方法等幾多の問題が介在し、事実上今日の経済情勢下においで実施不可能なことは、あえて中央労働委員会の見解にまつまでもなく明白であります。かかる実施不可能の要求を條件として、二千九百二十円べースの承認を肯んじない労働組合があるということは、形の上ではいかにも経済鬪争であるかのごとくして、事実は最も強硬なる政治的要求というよりほかなく、この主張が続く限り、問題の解決はきわめて困難であります。加藤労働大臣は、これらについていかなる収拾策をもたれるか。
 次に、二・一スト後の労働組合運動は、組合の民主化運動がようやくその緒につきまして、健全なる発展を遂げつつあるものが多くなつた反面に、昨日も淺沼氏が指摘したように、特に公共事業、官廳方面の労働組合において事議が頻発していますことは、見逃し得ぬ重大な現象であります。これらの組合の中には、その底流には、依然として共産フラク分子を中心として極端なる急進派が、少数ながら巧妙に多数を引ずりまわす方法に出て、山猫争議以來多角的なる戰術を採用していることは、すこぶる注目を要する問題でありまして、一時の暴圧的な政治行動でないために、その本体はカムフラージユされておりまするが、一部の労働組合は依然としてこれら極端なる破壊行動者の手中にあることは、まことに残念の至りであります。(拍手)
 これに反し、去十八日、わが國最大の労働組合である國鉄労働組合が、新給與水準の承認にあたりまして、組合内の論議をあくまでも民主的な方法によつて行い、痛烈な討論と激しい対立の中にも二千九百二十円ぺースを承認したことは、わが労働運動の史上に画期的な一ページをつくつたものと言えるのであります。(拍手)なぜならば、それは日本の労働者が、國家の再建が一に経済の安定と生産の復興にかかつていることを理解し、労働者の要求と困難な國家財政の調和点を聰明に興断した結果を物語るものでありまして、これに対して私は深き敬意を拂うとともに、労働愛、同胞愛の精神を感ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 この二つの現象を前にして、労働大臣は組合運動の正とい方向を示さなければならないのであります。かつての労働組合の指導者であつた加藤勘十氏は、今日まぎれもなく労政の最高責任者として立つているのであります。加藤労働大臣が、労働者の代表として閣議で闘うという信念は、政治的表明として私は納得しますが、就任されて以來すでに二週間、今日のいわゆる労働攻勢に対していかなる具体的な収拾策を講ぜられておりますか。國民大多数の感情は、共産フラクの活動に対しては、経済復興を妨害するものとして、きわめて嫌悪の表情をもつているのでありますが、労働者の心を心とする労働大臣は、いかなる態度をもつてこれに対処せられるか。この点に対としては、あえて明快なる答弁を求めたいのであります。
    〔「共産党がどうした」と呼び、その他発言する者多し〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#19
○川崎秀二君(続) 次に、労働法規の改正についてお尋ねをいたしたい。三党の政策協定には、労働組合運動の健全化を阻害するような労働組合法、労働関係調整法ないしは労働基準法の改悪は行わないということを発表したのでありますが、これはあくまでも文字通りに解釈すべきものと私は考えるのであります。すなわち、この発端となりましたものは、二月の上旬、労働省で立案中なるものとして東都の某新聞紙上に発表されたものであります。すなわち、労働組合法第二條に関連した組合専從者の給料を雇傭者が支拂うことを禁止すること、第十條の組合代表者委任権の問題、中央・地方の労働委員会の権限を区別する問題、労調法第四十條の改正や、さらに公共事業のストライキに從來より一層の制限を加える問題や、たまたまアメリカにおいて上下両院を通過いたしましたタフト・ハートレー法の施行に絡んで、これに近い法律を作成するのではないかと臆測する向きありまして、今日のような組合側の猛然たる反対運動となつたのであります。
 かりに、これらの條項を分析してみますときに、これらの中には、日本の労働組合の発展日程からいたしまして、その改正を行うことが改悪となるものもあれば、また経済復興の途上、國民的要請によつて当然客観情勢に即應して改正をする必要を認めるものもあるのであります。(拍手)たとえば大胆に申しまとて、組会専從者の給與が雇傭者によつて拂われることは、労働ボス育成のもとともなる。またこれはかえつて御用組合と解されることとなり、労働運動の健全化を招來するに多大の障害となつているのでありますから、組合法第二條の解釈はもとより、これを一歩進んで法律にうたうか、あるいは團体協約において制約することも必要であると私は考えるのであります。(拍手)傳えられる法規の改正なるものは、これを具体的に検討してみねばならず、そもそも一緒にして、すべて労働法規の改正には手をつけないということは、断じて権威ある労働大臣の態度ではいのであります。(拍手)
 もとよりわれわれも、労働者の團結権や争議権に不当なる制限を加えんとするがごとき改悪には断じて反対であります。また法規の改正問題が敏感なる労働大衆の瀞経を刺激し、無用の混乱を招くことは避けるべきであります。しかし今日の聰明なる労働大衆は、漸次日本の置かれておる客観情勢と國民的要請と経済復興に至るまでの労働組合のあり方について深き考慮をめぐらしており、すでに米窪前労働大臣は改正の意のあることを表明しておられるほどでありまして、この点に関し労働大臣の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 次に私は、わが國近來の労働争議は、矯激分子の活動にもかかわりませず大規模争議を未然に防いでおりまして、昨年のように争議行爲を著しく減少せしめた功績は、けだし中央・地方の労働委員会の活動によるものであつて、労働委員会の手がけた争議件数九百八十三件、解決件数七百七十四件に及んでおることは、まさしく関係当局の労働課長が指摘するように、わが國労働運動の史上特記すべき活動と称一賛して決とて過言ではないと信ずるのであります。(拍手)
 しかるに、労働委員会の組織と内容は未だ充実せず、中央労働委員会のごときも、二、三の著名なる法律学者、経済学者の特殊的頭脳と活動にまつておる状況でありまして、事務局スタツフの貧弱と資料の貧困は、とうていこれ以上の活動を期待し得ない状況でありますから、私は、この際これを拡充し、また世情とかくの非難のある中立委員の選出方法、たとえば中立委員のうち政党に所属する者があつて、これが常に紛事と不公平なる裁定の種を招いておることも、この際一掃すべきだと考えるのであります。(拍手)その意味で、私は調停の権威を高め、特に公共事業の安全性を保持するために、会関する事項を拔萃して、この平和的機関の法的根拠を確立するため、新たに労働委員会法を作成してはいかがかと考えるのでありますが、この点に関し労働大臣の見解を承りたいのであります。
 今後わが國の労働運動を健全に育成するためには、まず組合内部の民主的運営を徹底せしめることが必要であり人事や争議行為の表決にあたつては、何ものにも脅威されぬ無記名投票の励行は、今日の労働運動ではやむを得ない方法であると考えるのであります。わが党は、労働運動に対し経営協議会中心主義の思考を堅持し、これが全國的普及を願つておるのでありますが、経営協議会や労働委員会は、断じて労資双方の階級鬪争の場ではないのであります。利害の異なる労資双方が、相互の立場を理解し合うための交渉をなすべき場所であることを、この際一層強調したいのであります。
 戦後労働権の進出は世界的現象でありまして、わが國においても、すでに二千に近い労働組合が経営の参加権を認められ、また石炭國家管理法案施の際は、炭鉱労働者の、経営参加は法的にもこれを認められるという地位の飛躍的向上を見るのであります。されば労働者は、往時のごとき搾取されたる存在ではなく、また資本家や経営者に対し反撥的な立場をとることをもつて本領とすべきものではなく、生産経営体内における主体性、人格性に目ざめ、生産担当者としての大いなる誇りと自覚とに躍進することこそ望ましいのであります。勤労は実に全人格の発露であり、もはや単なる賃金取引の対象物ではありません。この意味において、わが党の代表者がかつて指摘したように、わが國独特の新しい企業形態と労働者の組織、すなわち労働組合を創設下る段階を迎えたと思うのでありますが、総括的にこれらの問題について答弁を煩わしたいのであります。
 さて次に、インフレーシヨン克服の諸問題と産業問題につきまして、それぞれ所管大臣の見解を承りたいのであります。現内閣の目ざすところは、経済復興の最大の障害となつておりますインフレーシヨン克服のために、今日及ぶ限りの手段と方法をとるということでなければならぬと思うのであります。しかしながら、一口にインフレーシヨンを克服すると申しましても、縮小生産が拡大再生産に向わない今日、また通貨の発行高が足踏みをしておるものの、近く物價体系が変更されることともなれば、ここに一時的にもインフレーシヨンが高進を示してくることは避けられないのであります。内閣とルては、長期計画の中に、いついかなる方法でインフレーシヨンを決定的に押えるかという大きな目途を描いて、それまでは当面インフレーシヨンの整理をなすべきけ経済的な条件を整えることか根本的な問題ではなかろうかと考えるのでありますが、この認識について大藏大臣はいかなる構想をもつておられますか。
 片山内閣は、昨年の七月、経済安定本部を中心にしてインフンレーシヨン対策をとりあげ、賃金と物價の均衡をはかり、その上に立つて財政の健全化と産業融資の規制を行つて、財政と企業の赤字をなくそうと努力ををいたしたのであります。これは技術上の失敗と、民間の実情を知らぬ机上政治の欠陷によつて破綻はいたしましたが、その基本的の方策、方向は決して誤つていなかつたと信ずるのであります。
 私は、もつと問題は根本的のところに横たわつていたと考えるのであります。すなわち、現在のように鉱工業生産が戦前の三割しかないという状況では、インフレの整理を行う場合に必然的に起つててるところの安定恐慌を乗り切ることはできない。從つて、安定恐慌を覚悟してインフレ対策を進めることができなかつたところに経済政策が破綻を示すこととなり、再びインフレーシヨンを招いたと考えるのでありまして、芦田内閣としては、当面まず石炭を初め重要産業の生産を飛躍的に増大させ、海陸輸送力を強化して将來の安定恐慌に耐え得る生産條件をつくつていくことが第一の問題ではないかと考えるのであります。さらに第二の問題は、インフレーシヨンの進行過程において重要なることは、通貨面から極端な変化や変動を與えるということよりも、むしろインフレ進行過程をいかにして合理的に、矛盾なく、また摩擦なく進行させるかということであります。この点で大藏大臣は、インフレの進行過程を合理化して、なるべくその波動を少くさせるために新しい手を打つ考えないものか、この点を特にお尋ねしたいのであります。
 昨日大藏大臣は、淺沼氏の質問に答えて、インフレ克服の最大の手は、財政の赤字と企業の赤字をなくし、健全財政と健全金融を並行せしめるところにあると答弁されたと私は記憶するのでありますが、貨幣的に見て、インフレを促進する最大の要因は財政の赤字であります。日本銀行の勘定から見ましても、昨年中の通貨膨脹千二百五十七億のうち千百五十八億、すなわち九二%までが財蔵関係に基く膨脹である。健全財政を維持せんとする藏相の悲壯なる決意はこれを諒としますが、一各省要求額五千億に近いと言われ、二十三年度予算は、歳出の面において思い切つた重点主義をとり、歳入の面において税制の大改革か行うにあらずんば、これを成立さすことは困難であります。この際北村財政の全貌を大藏大臣の発意とされる賣上税の内容とともに輪郭を明らかにされたいと思うのであります。
 なお、昨年関東・東北地方に起つた大水害の対策につきましては、すでに三党政策協定においても、また過般の首相演説の中にも、緊急対策として取上げられておるのでありますが、追加予算にも計上ざれず、また暫定予算等にも計上見込薄とのことでありますが、このことはわれわれの不審とするところでありまして、政府の所信及び対策の現賦について誠意ある御回答を願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、三党政策協定にもたわれております通り、統制と自由との限界を調整して、煩瑣にして非能率的なる統制はこれを撤廃または改善するということがありますが、これは安本当局を中心にして鏡意御解決を願わなければならぬ問題と思います。由來統制経済は、その特質として機械的操作であり、現実の社会にこれを應用するならば、おのずからその範囲と程度と時期を考慮する必要があるのであります。もちろん、わが國におきまする現在の欠乏経済を突破するためには、もとより放任された自由経済は許さるべきものではなく、賢明なる計画のもとに統制の範囲と程度とを選択し、緩急よろしきを得る統制経済政策を樹立することが必要であります。
 今日世論の一部に自由経済を謳歌する声があることは事実でありますが、これは全般の統制政策に反対する意味ではなく、末端におけるところの官僚統制方式に対する怨嗟の声であり、日常生活物資のうち需要供給のバランスが一般の目には明らかにとれておると思われる物資の統制を依然として解除または緩和しないことに対する非難であると考えるのであります。これらに対して、わが党はすでに二十三年度予算編成方針の要綱の中に統制経済政策の再検討をうたい、一月初めすでにこれを提出し、安定本部当局もこれを承知されておるのでありますから、統制の緩和または撤廃を要する物資の研究についていかなる処理をされておるか、この際安本長官の明示を願いたいと思うのであります。
 次に、生産増強の具体策について商工大臣に若干の質問をいたしたいと考えるのであります。経済復興の前提條件として、またインフレ克服の要素として、重要産業の復旧はまさに扇のかなめと申さなければなりません。基礎産業のあり方につきましては、社会党、民主党ともに特に力を注いでまいり、殊に昨年來わが党のごときは、石炭國管案に対しましては、党の生命を賭して公約の実行を果し、國民多数の幸福のために、あの法律を鬪いとつたことは御承知の通りであります。(拍手)さいわいにして國官案通過後、十二月以來、連合軍の好意ある協力もあり、石炭は漸次増産の軌道に乗り、十二月二千九百万トンに上昇し、以來年間三千二百万トンのぺースーを持続し、生産復興のきざしは炭鉱労務者の揮うつるはしの一振りから生れ出んとしておることは、まことに力強き限りであります。
 しかるに、四月一日石炭國管法の実施を前に控えましてその準備の進捗は、傳えられるところが眞なわとせば、まことに寒心にたえないのであります。すなわち今日のところ、わずかに石炭局長の任命が終わつたのみで、全國及地方炭鉱管理委員会の委員の構成も発表されず、指定炭鉱も、予定されておるのはわずかに十局しかないということでありますが、これははたして事実なりや否や。商工大臣から國管に対する準備の経過を詳細に報告されたいと思うのであります。また、昨年來の石炭の握う方を実績によつて調べてみますと、現在の切羽にのみ重点を置いて、新坑道の掘進に力が入れられていないのではないかという観測があるのでありますが、この点に対する実情も報告されたいと思うのであります。
 次に私は、基礎産業に対するあり方を伺いたい。すなわち欠乏経済下、特に資材に著しい不足を感じている基礎産業は、私企業によつてもはや國民の要請する需要を達し得ぬものは、必要に感じて國家の管理権を強化することが至当であり、民主党として特に重要政策の一環として揚げているのでありますが、國家管理の問題は業種によつて区別しなければならないのであつて、一概にこれを公式的に取上げるべきではないと考えるのであります。たとえば鉄鋼の國家管理のごときは、対外的な競争を前提として考慮するのが望ましいのでありまして、國家管理を行うにいたしましても、その対象はすこぶる複雑であり、國家管理によつて能率を上げ得る形態にない事業を、單に社会化の理想論とイデオロギーから、現実を無視して、増産の面を軽視してこれを行うことは、断じて避けなければならぬと思うのであります。
 同じことは肥料工業の場合にも言えると思う。肥料工業は、昨年來、すでに予期以上の生産を上げているのでありまして、これらはすべて現実の実績と國管の及ぼす利害を判断して決定さるべきでありまして、民主党は、私企業権の擁護、能率本位に基調を置き、いかにしても私企業をもつてしては達成し得られない事業を一時國家の管理に委ねんとするものであり、いたずらなる産業社会化の声に同調するわけにはいかないのであります。もちろんわれわれは、三党政策協定を忠実に守るものでありましてもそれぞれ設けられる委員会がこれを取上げることになるわけでありますが、その際は廣く各界の意見を徴する必要があることは贅言をまたぬところであります。しかしてわが國経済の方向、今日明確に産業民主化を主体として、旧來の資本主義を新たに産業民主主義に修正することこそ現段階の主要任務と考えるのでありますが、水谷商工大臣は、これに対していかなる考えをもつておられるか、伺いたいのであります。
 しかしながらこの反面におきまして、國家の強力なる援助なくしてはとうてい事業の円滑化を期し得ないとする電力、石油のごときは、速やかに國家の管理ないしは一元化の方面に移すべきものと考えるのであります。現在わが國の石油事業が在來は海外の輸入に仰いでいたこと、樺太、台湾等の旧領土を失つたことによりまして、原油はまつたく枯渇しており、民間事業としてはすでに開発の能力を失い、いずれも経営に苦心を感じている現状からいたしまして、石油事業はこの際國営に移すべきものと考えるのであります。
 また、石炭問題に次ぎまして世論関心の的となつてまいりました電力事業の一元化、責任態勢の確立も、必至の問題と信じているのであります。すなわち電力問題は、すでに経営者、労働組合とも、一元化についてはほぼ歩調を同じにいたしているのでありますが、労働組合の國有國営論に対しまして、経営者側は、発送電、配電側それぞれ別個の構想をもつやに傳えられております。私は、わが國の電気事業の再編成にあたりまして、これをいかなる形態にすべきやは、最初から一定の考え方を立てて押しつけることなく、第一は事業の沿革と現状、第二に特に料金政策とプール計算、第三に資源の分布、第四に電力の配分、第五に電源開発の重要性、第六に資金特に外債問題、第七に経営事務能率、第八に需用者へのサービス、第九に労働問題、第十に世界電氣事業の形態の趨勢等を十分に分析して、しかる後愼重に結論を出すべきものと考えるのであります。商工大臣は、石炭國官案で貴重なる経験をもつておられるのでありますから、今回はきわめて愼重に事を運ばれることと思うのでありますが、現在いかなる程度の最低構想をもつておられるか、素案なりとも吐露されれば幸であります。
 次に、わが國が今後管理貿易から自由貿易に参加し、國際市場に進出する日を迎えるためには、わが國の産業構造をいかにすべきか。会社、工場の企業規模を合理化し、経営合理化を断行しなければならぬのであります。これがためには、企業再建整備法が施行されて著々と進行しておるのてありますが、これに先行すべき問題として、行政機構の改革と行政整理が本年度における重要課題なりと信ずるのであります。経済復興への不可欠の條件として行政整理が登場した以上、私の見解をもつてするならば、これこそ労働組合に基盤をもつ社会党が、その首班内閣の時代に、労働者を納得させつつ行うべき歴史的な使命であつたとさえ思うのであります。
 片山内閣は、その末期におきまして、二割五分の天引案を閣議の決定事項といたしたのであります。片山内閣でき、まつたことは、輿論が引続き要求をいたしまするならば、常然芦田内閣によつても踏襲さるべきものと思うのであります。実は私ども率直に申しまして、昨年の末、民主党の政調会におきまして、行政整理断行に必要な各種の資料を集め、いかにしてこれを實施するかということについて論議を重ねた末、まず機構の根本的改革は長時日を要することと判断いたしもして、これがためには官民の審議会をつくつて研究することとし、とりあえず官職の能率化と合理化、さらに財政上の見地から、行政整理は予算定員の二割天引案を本年度予算の方針といたしたのであります。しかるに、民主党が二割天引案でありましたのにかかわらず、政府は一挙に二割五分を決定いたしたことは、当時いささか意外としたのであります。
 私は、現在の非現業官廳の人員は、三十九万五千人の予算定員に対しまして三十一万九千人の実人員となつておる状況から、これは実人員が予算人員る状況から、これは実人員が予算人員に対して平均一割七、八分ということになつております。その点からいたしまして、二割の天引をいたすことは、さしたる官廳労務者の失業群をつくることでない。長期欠勤者と老廃者の小部分が整理されることであり、さらに行政能率発達運動を強力に展開すれば行政整理の実はあがるものと考え、その具体的措置として、各省に共通した部課を統合すること、地方の出先機関を整理すること、各省の総務局課の縮小による廳急的機構改革を迫つたのであります。
 終戰以來、官廳機構は膨脹に次ぐ膨脹をもつてし、歴代内閣いずれも行政整理を看板に掲げながら羊頭狗肉に終り、遂にこれを実施せずに今日を迎えたのでありますが、芦田内閣にしても、これを断行しないときは、官僚統制に対する非難と國家財政に與える圧迫をも加えて、怨嗟の的となることは必定であります。われらは、労働者の大量失業群を生み出すようなこれ以上の機械的整理、社会不安を招来するものでありますから、これには反対でありますが、とりあえず非現業官廳の二割の天引を行い、その他は労務の配置轉換を主として行政整理を行うのでなければ、企業整備、産業合理化は断じて行えぬことを指摘したいのであります。民間企業にのみ企業整備を強いて、おのれは天下にかまびすしい行政整備をほおかぶるとい態度は、世人の糾弾を招くものといわざるを得ないのでありまして、かつて國民協同党の政務調会長として、國協党の行政整理案を天下に明示した船田行政調査部総裁の明快にしてかつ具体的な答弁を求むるものであります。(拍手)次に、永江農政の全般について質疑をいたしたいのでありますが、時間の関係から、問題のポイントを二、三取上げて申したいと思うのであります。
 農地改革については、政策協定によりまして徹底的推進をするとあります。これは第二次農地改革の速やかなる進行と、その行過ぎやでこぼこを調整する意味と解釈いたしておるのでありますが、昨日の永江大臣の答弁の中には、小作地の自作化、平地林の解放ということに言及をされておるのであります。これは現下の農村の実態からして、また治山治水の重要性からいたしまして、にわかにその実施を見ることはきわめて危険千万であるといわなければならないのであります。永江農政の行う農地改革の合理的徹底とは当面いかなることを指すか、いま一度具体的に方策を示されたいと思うのであります。
 次に、さきの國会において提出になつて流産となつた農地調整法案のことでありますが、わが党も、この法律が農業生産物全般にわたつての強制的な計画生産であることや罰則の重いことからいたしまして強硬に反対いたしました。先般の國会においては審議未了となつておつたのでありますが、その後政府においては、主要食糧供出確保決と改訂しまして内容も相当に修正されたと聞いております。はたして今度の國会に提出するものかどうか。わが党は、現在の食糧事情を廣く世界的視野からながめ、計画生産の必要性を認めまして、事前割当の基本的原則には異議がないのでありますが、その後傳えられる主要食糧供出確保法について、しさいに検討しました結果、計画生産をなす場合、一、主要食糧の範囲を明確化し、米、麦、大麦、さつま芋、じやが芋及び雑穀とし、二、作付に関する計画を立てる場合、その所要面積を中央より、命令的に押しつけることなく、基準面積を個別的にきめるように緩和し、三、農業生生産必需物資を作付面積に感じて公定價格で配給するよう強力に要望するとともに、從來の肥料に新たに農機具と農薬を加え、その他農地調整委員会の民主的運営、罰則中体刑刑罰の廃止等を主眼とする大幅修正案を実は用意をいたしておるのであります。その場合、政府は民主党の考えておるところの線に應ずるかどうか、この点の御答弁を願いたいと思うのであります。
 さらに主要食糧の配給について、永江農林大臣は昨日会議場で、六、七月に欠配なしと言明れたのでありますが、しかりとすれば、輸入食糧の明るい見透しと相まつて、近き将來二合八勺の配断行し國民をして食生活の安定に明朗感を與えるべきであると思うのでありますが、博えられる二合八勺の実現について、具体的な言明を伺いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、厚生大臣には一言だけお伺いいたしたい。完全雇用の実現ということは、戰後世界の共通理想であります。しかし、これが今日の日本ではとうてい実現できぬことでありますので、失業者群の救済、老幼貧窮者の保護等いわゆる融会保障制度の確立は、文化國家としての当然の義務であると考えるのでおります。イギリスは、一九四四年大戰のさ中におきまして、「われらは戦後の生活をより楽しく、すべての人が相互に相より助け合うために」という標題のもとに、ビーヴアリツジ社会保障法案を成立させたのであります。戦後現在の日本においては、未だその理想を果す段階に達しておるとは思いませんが、構想はすベからく雄大に、将來の文化國の生活内容を豊富にすべく準備をなざねばならぬと考えますが、厚生大臣は社会保障制度に対していかなるお考えをもつておられるか。
 いま一つお尋ねいたしたいのは、消費協同組合法の実施であります。民主党社会党、國協党もそれぞれ自党の案を用意いたしておるのでありますが、この案が調整されました際には、政府はこれに應ずる意思があるかどうか。また政府自体として準備されておるものがあるか。御答弁を煩わしたいのであります。
 最後に私は、政党政治に対する首相の理想を聽かんとするものであります。芦田総理大臣は、新内閣の最高目標は平和と正義との支配る世界を建設することであつて、その歩まんとする道は中道であり、左右いずれにせよ、極端な思想は平和を維持するゆえんではないと説かれたのであります。これは抽象論としてはまことにりつぱでありますが、現実の事態に對していかにお考えでありますか。
 すなわち、近來政界には二大政党を唱る者があつて、現に二大政党を理想とし生れ出でた、議席数においては強力な新政党が存在しておるのであります。私は二大政党論を一概に否定するものではないのである。しかしながら、現在かりに二大政党が出現するとせば、不安定なる経済基盤の動揺のため、一方の政党は尖鋭にして急激なる社会、主義思想の徹底を要求し、一方の政党はいきおい自由資本主義の強烈なる性格となり、いわゆる保守反動と矯激急進の二大思想の対立に追いこまれることは必然であります。このような二大政党の対立が、はたして日本國民の幸福となるでありましようか。かりに尖鋭な革新政党が政権を握れば、必ずや國有・國営のイデオロギーによつて政策を塗りつぶし、もしこれが失敗して倒れた場合は、自由主義経済万能の政党が、明日から國民の生活を民有・民営の思想によつて一変せんと試みるでありましよう。このことによつて起る国民の経済生活が、はたして幸福であるかどうか。國民は終始その対立抗事に悩まされるばかりでなく、革命と反革命の連続によつて、國家再建の方途はまつたく土崩瓦解に帰すると思うのであります。
 もちろんわれは、このような二大政党に現在の政界が今分割されようどは考えておらぬのであります。しかしながら、われわれが中道を歩むというこしは、決してかかる二大政党排撃論のみによるのではなく、実に今日の容易ならざる経済危局を突破することと、占領政治の制約下においては、経済政策は何人が立つても、過去の利潤本位の資本主義を修正し、敗戦下の國民生活に対し高度の社会政策を取入れるほかに政策の基本線はないと固く信じておるからであります。さればこそ、主義思想の立脚点を異にする社会党と民主党は、窮乏にあえぐ國民の惨苦を救うために、一は現実主義的な社会主義者の立場から、一は進歩的な保守主義者の立場から、良識ある國民協同党の協力を得て今日の困難なる政局を担当し、いかにして最短距離をもつて國民を経済安定の彼岸へ送り得るかと日夜苦心を重ねておるのであります。(拍手)これこそまさに敗戦下の國民を思う愛國者のつどいでなくて何でありましようか。われわれは、ヨーロツパの戦い勝てる諸國が、また敗れたけとはいえ日本の今日ほど疲弊しておらない各國が、いずれも祖國復興のため連立政権を結成し、孜々として國家再建の大業に邁進しつつある姿を見るときに、ひとり日本ののみが深刻なる政治抗争によつて平和を撹乱されることをおそれるがゆえに、これを回避しなければならない、のであります。ここにわれわれは、極右極左を除く中央安定勢力の拡大に心を盡し、全勢力を傾注せんと深く覚悟するものであります。
 芦田総理大臣は、一昨年の暮、自由党の代表として議会の壇上において挙國連立を提唱し、社会党の解散要求に対し、イギリス労働党のラムゼー・マクドナルドの故智を説いて、片山委員長に協力を求められたことがあるのでありますが、この思想は今日もなお一貫しておられるものと信ずるのであります。しかりとせば、保守陣営の大勢力が依然として連立参加の拒否をなすこの現状をいかに考えられるか。いわゆる時計の針を逆にまわす人々をでき得る限り少数に止めることが、日本の民主化進展に多大の効果を改めるものと確信し、挙國的連立政権の思想を堅持することを首相に勧告するとともに、積極的な信念の吐露を要求して、私の演説を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
#20
○國務大臣(芦田均君) 川崎君にお答えいたします。私に対する質疑は二点であつたと思います。
 第一点は外資導入の時期の見透しはどうか、いつ外資の導入ができる見込かという御質問であつたようであります。御承知の通りに、連合國よりする外資といいますか、物資といいますか、その供給は種々の形において行われるのでありまして、アメリカ合衆國政府の、政府の資金の形をもつてするものもあり、また民間業者の純粋のクレジットによる形のものもあり、あるいはその他の投資もあり得るのでありまして、その種々の外資導入がいつ行われるかということは、一概に答えをすることは非常に困難でありまして、早いものはあるいは、二箇月のうちにも起り得ると思います。またアメリカの予算に計上されているものについては、來る七月以後の予算実行期に入らなければこれを期待することは困難であろうと考ております。
 第二の点は、一言にして言えば、二大政党の対立をどう思つておるかといつたような御質問であつたと思います。御記憶の通りに、吉田内閣の当時といえども、社会党との連立に相当の苦心を拂つて、長い間の交渉を重ねてきたのは、わが國現下の政情においては、必ずしも理想とする二大政党の成立がさように簡単にはでき上らないという予想のもとに行われたものと思います。むろん、立憲政治の運用は二大政党の成立が一番便利である、國民の歸趨を明らかにする上においても望ましいということは、私がひそかに信じておるところであります。しかし、これを人為的につくり上げるという方法はありません。國内における政治思想の区画整理がはつきりでき上らなや限り、人為的に二大政党をつくり上げるという途はない。それゆえに、今日の事態において、われわれはやむを得ず連立政権をつくつておる。二大政党が円満に政権を維持して、二大政党交互に政府に立つこいうには、必然的に政策の継続性がなければなりません。一つの内閣が倒れて次の内閣が出たときに、すべての施策が根底よりひつくり返るといつたような形では、円満なる両党対峙の政治は行われ得ない。そういう点においても、なお今後わが國の政治形態において幾多の整理、訓練を経なければならないと感じておるのであります。そういう意味において、理想は二大政党の対立である。しかし、これは人為的にできない仕事である。今後の日本國民の政治訓練、政治意識の発達をまつて、われわれと、はかような形に進みたいと念願しておると申し上げて、私の答弁といたします。(拍手)
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#21
○國務大臣(栗栖赳夫君) 川崎議員の私に対する御質問は三点であつたと思うのであります。
 まず第一点の長期計画の樹立についてお答え申し上げたいと思います。経済再建のため、産業復興のために、單に危機突破対策のみならず、長期計画が必要であるということは申すまでもないのでありまして、川崎さんの御意見と私はまつたく同じであります。そこで、すでに長期計画の樹立につきましては、前内閣の時代におきまして、経済安定本部においてこれが準備に着手をいたしまして、ただいま大体の準備を終えておるのであります。そこで、新内閣の成立にあたりましては、これにさらに検討を加えまして、そうして経済安定本部内に適当なる機関を設け、さらに朝野の意見を聽くために委員会その他の制度をも設けまして、これが策案をいたしたいと思うのであります。そうして、この長期計画は單に一定水準年度に日本の産業経済を回復するというに止まらなくて、將來の平和日本の経済産業の繁栄の基礎をつくり上げたいと思うのでありまして、一定の年間に年次計画を立て、さらに各種の産業その他についても計画を樹立いたしたいと思う次第であります。政府といたしましては、なるべく速やかにこれが策案樹立を終りまして実施に移したいと考えております。
 それから第二の点は、民間外資の導入についてであつたと思うのであります。政府間のクレジットのほかに、民間外資の導入がやはり必要であることは申すまでもないのであります。パイプの多いことが有利であることは申すまでもないのであります。これにつきましては、やはり民間におきましても受入態勢ということが非常に必要でありまして、ただいま進行しつつありますところの企業再建整備を速やかに完了いたしまして、外資を導入し得る受入態勢をつくるということがきわめて必要でありますので、政府としては鋭意これに努める方針であります。
 なお、この民間外資の形式でありますが、これはいろいろな形式があろうと思つております。さしあたり思いつきますものは、借入の形式であります。戰爭前においても、借入の形式で相当の外資が日本にはいつておるのであります。他の一つは出資の形式であります。戰爭前においても、この形式において相当のものがはいつておるのであります。これにつきましては、やはり為替換算率の問題であるとか、あるいは担保その他の問題であるとか、あるいは法人税その他の利潤確保の問題であるとか、こういうような一群の施策をも策定し、これを実行する必要があると思うのであります。政府としては、これに努めたいのであります。かようにして、好意ある連合國の援助というものにまち、またさらにその仲介指導によりますならば、必ずしも講和條約の締結を待たないでもその実行は可能ではないか、かように信じておる次第であります。
 それから第三の点は、統制に関する点であつたと思うのであります。現在の日本の経済状況は、まことに窮乏経済の極にあるのでありまして、これを自由放任の政策によつて分配その他をするということは、とうてい許されぬわけであります。そこで、適当に、公平に分配その他をするという実施方式としては、統制経済をとらざるを得ないのでありまして、統制経済は、そういう線において必要である範囲におきましては、十分励行をいたしたいと考えるのであります。必要のないもの、あるいは用のない、その他かえつて支障になるもの等の点がありますならば、実情に即して、これは解除その他をもいたしたいと考える次第であります。
    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
#22
○國務大臣(加藤勘十君) ただいま川崎君から、現下の重要問題である労働問題に関して、もろもろの角度から御検討になりました御質問がなされたのであります。これに対しまして、私は御質問の要旨を要約しつつ順次お答え申し上げたいと存じます。
 第一の点は、現在の官公廳職員組合の諸君が要求を出して鬪つておられる、それは経済的鬪爭の形を備えておるが、実施不可能と思われる最低賃金制のごとき政治的要求が加わつておるが、これらの点に対して、これを経済鬪爭と見るか政治鬪爭と見るか、こういう点にありました。これは昨日私の浅沼君の質問にお答え申し上げましたことをお聽きくださいまして、御了承を願えたことと存じます。從つて、ただいまはそれ以上に附け加える何ものもありません。
 第二の点は、二・一スト以來労働組合は順次堅実なる民主化の方向をたどつておるが、なお一部にはいわゆる共産党フラクシヨンが活動しておる、こういう問題に対してどう考えるかという御趣旨であつたと存じまするが、われわれは國民として、院政党政派に所属する自由なる権利を與えられております。從つて労働者が、またどのような立場にある人たるとを問わず、自己の政治的意見、政治的主張の合致した政党に参加所属するということは、これを否定することはできません。しかしながら、労働組合は申し上げるまでもなく労働者の経済的共通利害によつて結合された大衆的経済團体であります。また当然それ自身の独自の統制機能をもつておること言うまでもありません。從つて、労働組合の自主的な統制を覚乱するがごときものは、それが共産党あろうと、社会党であろうと自由党であろうと、民主党であろうと、当然排除されなければならないのであります。
 第三は、國鉄労働組合が今度の新給與による政府の承諾案を受諾して、きわめて堅実なる方向を示されたことは、現在のわが國の経済的情勢に鑑みてまことに喜ばしいが、これに対しては、こういう堅実なる運動を政府はどうして助長していくか、このような点にあつたと存じますが、今度の新給與問題、昨年九月以來継続された係爭の問題でありまして、御承知の通り中央労働委員会において裁定を見、その裁定に基いて新しく臨時給與委員会が設置された。この臨時給與委員会に國鉄の代表者の参加をみましたが、他の組合の代表者の参加をみなかつたことは、きわめて遺憾なことであります。從つて、この臨時給與委員会に参加した國鉄の諸君は、十分現在のわが國の当面する諸般の情勢を考慮されて承諾されたので、政府といたしましてもうこれらの点については深く敬意を表するにやぶさかではないのであります。(拍手)ただ労働組合は、ただいまも申しましたる通り、どこまでもその自主的な発達にまつべきものであつて、政府がその助長に当つたり、あるいは指導に当るというべき性質のものではないのであります。從つて政府としては、一般的に労働者諸君に対して現実の問題を通じて十分なる自覚を求めるということ、労働者の理解力を深めてもらうということに対し、側面から教育的努力をするということは申し上げまでもありませんが、直接組合運動の指導とか助長とかいうことに対しては当るべきものでないと私は考えております。
 次には、労働法規の改正には組合運動の堅実化を阻害する面と客観的に改正しなければならない面と二つものがある、私が一切の労働法規の改悪を行わないと言明したというがごときことは、労働行政を担任する最高責任者としてはその権威を失するのではないか、こういう御意見のようでありましたが、私はこの点に対しては、若干異つた見解をもつております。昨日も浅沼君の質問にお答えいたしました通り、現在のわが國の置かれたる立場を愼重に冷静に考慮いたします場合、何と申しましても労働者生産意欲の高揚を第一の條件としなければならぬ段階にあることは、申し上げるまでもないのであります。その生産復興のために、第一の重要なる要素である労働者諸君の生産性の高揚を求める場合に、労働者諸君をして不安疑惑の念を生ぜしめるがごときことは、政府としてはとつてはならない、こう考える点から、そうして不安と疑惑の念を起さしめるがごとき労働関係法規の改悪にしろ、改正にしろ、現在は手を着けるべきときではない、このように考えておりまして、この点は川崎君におかれましても、愼重に冷静に御考慮願えれば御共鳴を得られることと存ずるのであります。
 その次には、調停の権威を確立し、爭議の平和的解決をするために、労働委員会法を新しく制定する考えはないか、こういう骨子でございましたが、御承知の通年現在の労働委員会は、労働組合法、労働関係調整法の規定に基いて構成されたものでありまして、私は特別に新しく立法手段によらなくとも、現在の法規を適正に運用することによつて十分運用上の欠陷を是正し、そうして現在川崎君が望んでおられるがごとき方向にもつていくことは可能であると、そう信じておりますから、從つて、そういう新しき法律を制定したいという考えは現在もつておりません。
 次には、労働委員会制度の公正を期するために、労働者の生産性を高め、労資の完全なる協力を求めるために、経営協議会中心主義を普及し、労働の人格性の確立と組合活動の健全化をはかるということに対して、どういう考えをもつておるかという御質問であつたと存じます。この点につきましては、経営協議会は、川崎君が御指摘になりました通り、労資の完全なる人格上の対等の立場において、双方の意見の合致によつて構成されるものであります。從つて、この経営協議会が十分に労資双方の人格を基調として運営されるならば、私はその効果をあげること、まつたく期してまつべきものがある、このように考えておりますから、この経営協議会の設置につきましては、ややもすれば一方に偏するというがごときことのないように、こうした点に対しては、政府といたしましても十分労資双方の意見を聽いて、偏することのなきようとり運んでいくことに努力するにやぶさかなものではありません。
 はなはだ簡単でありましたが以上お答えといたしたいと思います。
#23
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣はやむない用のために退席されましたから、答弁は次の機会まで留保いたします。國務大臣船田享二君。
    〔國務大臣般田享二君登壇〕
#24
○國務大臣(船田享二君) 川崎君の御質問の中で、行政整理に関する問題につきましては、前の内閣のときに、一月二十七日の閣議におきまして整理の方針が決定されたのでありますが、政府といたしましては、これに再檢討を加える必要があると思うのでありまして、ただ右の閣議におきまして、その決定された方針に基いて各省、各廳がそれぞれ具体的な整理案をつくつて内閣に提出すべきことが定められておりまして、その決定による各省、各廳の案も、最近におきまして大体出そろいましたので、行政調査部といたしましては、これらの案をとりまとめますとともに、三党政策協定において定められた方針に基きまして、民主化及び能率化を主眼とする整理の具体案を檢討中であります。問題は当然に行政機構の改革と関連するのでありますが、同じく右の閣議におきまして、臨時に行政機構改革のための審議会を置くという、ことが決定されております。ところが、その審議会は政変のために設置が非常に遅れておりましたが、今日ようやく委員の顔ぶれもそろいましたので、早速この委員会におきまして機構改革の具体策の檢討を求めるつもりでおります。この行政整理及び行政機構改革の問題は、申し上げるまでもなくいろいろの困難があるのでありますが、二十三年度予算編成を間近に控えまして早急に解決されなければならない問題でありますので、行政調査部といたしましては、目下できるだけ速やかに何らかの結論に達しようと最善を盡しておる次第であります。(拍手」)
    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#25
○国務大臣(水谷長三郎君) 川崎議員の私に対する御質問にお答えいたします。
 第一の点は、炭鉱國家管理の準備状況についての御質問でございましたが、これはおそらく一、二の新聞において、事実に相違いたしまして、炭砿國家管理の準備が一向はかどつておらないというような記事が出ましたに対して、川崎君も御質問されたと思うのでありますが、その点に関しましては、数日前の新聞におきまして、商工大臣の談話として一應の準備状況を示しておいたのでございますが、重ねての御質問でございますので、ここではつきりとお答えしておきたいと思います。
 まず本年一月に、中央及び地方に炭鉱両家管理準備協議会を設けまして、政府、経営者、労働者一丸となつて、共通の意思のもとに國家管理態勢の確立に邁進することとなつたのであります。この協議会では、石炭局長の人選、炭鉱管理委員会の人選、管理法施行令、同施行規則、諾計画様式り成案化、石炭局の廳舎及び局員の選定方法等につきまして協議を重ね、石炭廳機構の拡充整備につきましても討議を行つた次第であります。この結果、管理態勢の中核となるところの石炭局長候補者も決定いたしまして、この局長候補者を中心といたしまして石炭局のスタツフの選定を急いでおる次第でございます。また炭鉱管理委員会の委員も、すでに経営者、労働者及び学識経験者につきまして決定を見まして、ただ需要者代表につきましては経済復興会議の正式推薦をまつこととなつておりますが、これは水曜午後三時に開かれました準備会にその報告がなされておる、ととと思います。以上の人事は、資格審査の手続を経た上、四月一日までに発令することができることと考えております。次に管理法の施行令、施行規則へ石炭鷹設置法、同施行令その他の関係法規も、おおむね審議を終つたのでございまして、法律につきましては近く國会に提出し、政令・省令につきましては、これまた四月一日までに公布可能の見込みでございます。最後に、管理法実施に関し必要な予算も大体原案を確立いたしまして國会に提案するばかりになつておりますので、石炭局は、これによりますれば管理、生産、勤労の三部制、札幌、福岡はこのほかに資材部という四部になつておりますが、これをもつて発足するわけでございます。その廳舎、局員宿舎等につきましても確保方の万全を用意しておる次第でございまして、御心配のような状況ではございません。
 さらに第二の問題は、基礎産業におけるあり方に関しての問題であると思つているのでございます。申すまでもなく、われわれの考えによりますれば、現在の悪性インフーレシヨンのうずまきにおきまして、基礎産業の生産を増強していくということは、きわめてむずかしいのでございまして、われわれといたしましては、この基礎産業ひとまず悪性インフレのうずまきから切り離して國家の責任において超重点施策をもつてやるにあらずんば生産増強は不可能であるというのが、これは日本社会党の考えであるのでございます。こういう観点に立ちまして、前には石炭に関して國家管理をやりました。また、このたびの三党政策協定におきましても、電力の一元化をはかるとともに、あるいは鉄鋼、あるいは肥料、石油等に関しましても必要に廳じて国家管理を行うとうたつたのは、この趣旨にほかならないのでございます。しかも、こういうような國家管理方式は、ただいま川崎君が申されましたように、單なるイデオロギーのためにやるのではございません。さらにまだ経営不振に陷つた企業救済のためにやるのでは断じてないのでございまして、それはあくまでも現在の日本経済危機克服のための生産増強の至上命令の形において行うということを御了解願いたいと思います。(拍手)
 さらにまた電力の経営形態の問題につきましても御質問がございましたが、これは昨日淺沼議員にもお答え申し上げましたように、三党政策協定にうたわれておりますところの電氣事業の一元化をかるということがどういう結論になるかということは、集中排除あるいは独占禁止法、さらに外資導入の受入態勢、それぞれの立場から十分に愼重に考慮せねばならないと思います。現に川崎君もご案内のように、電氣事業は、発送電事業につきましては電力國家管理法、さらにまた配電事業につきましては電氣事業法によりまして、政府が管理または監督しているのでございます。今後日本経済の復興及び民生の安定を急速に実現するためには、電源の整備拡充その他供給力の増加をはかることは絶対必要と考えている次第でございます。しかして、電氣事業は國の基本産業であり、その形態及び運営いかんは各方面に重大なる関係を有するものでございますがゆえに、至急委員会を設置いたしまして、愼重審議の上今後の方針及びその具体策を決定いたすべく、目下その準備を進めておる次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
#26
○國務大臣(永江一夫君) 川崎君にお答えいたします。大体三点あつたと存じます。
 第一は、農地改革の徹底についてお尋ねがございました。昨日淺沼君にも同様の趣旨についてはお答えをいたしておるのでありますが、これは御承知のように三党政策協定の線に沿いまして、私は農林行政の担当者として農地改革の徹底化を推進する心組でございます。從つて、まず当面の仕事といたしましては、今進行中の第二次農地改革を推進いたしましてその推進途上におきまして、さらに農地改革の徹底をはかりまするために適当な委員会等を設けまして調査を進めてまいりたい、かように考えておるわけでありますから、御了承を願いたいと思います。
 さらに第二には、主要食糧の生産と供出を確保いたしますために、事前割当の法制的処置についてお尋ねがございました。御承知のように第一回の國会にあたりましては、臨時農業生産調整法を政府は提案いたしましたけれども、國会において種々御意見がありましてこれは國会を通過しておりません。改府におきましては、この第一回の國会におきまするいろいろな御意見を重分に尊重いたしましてこれらの意見を廣汎に取入れまして、新たなる法案を目下準備中でございます。その法案のねらつております趣旨は、あくまでも農民諸君の経営の自主性を尊重し、運営の徹底的民主化を主眼といたしまして、耕作農民諸君の要望にこたえたい所存でございます。
 第三のお尋ねは主食の増配についてでございまするが、二、三日前に一、二の新聞紙上に、今の二合五勺の配給を適当な時期に二合八勺に増配を行うというようなことが出ておるのでありますが、この新聞の報道は、政府の関知しない点でございます。私は作目もごの席上においてお答え申し上げましたように、政府といたしましては、國内におきまする主食の増産に努力をいたしまして、その足らざるところは、約二百万トン近い食糧の放出の許可を得まして、そして本年の米穀年度におきましては、主食については二合五勺の欠配遅配のないようにいたしたいというにとに努力するつもりでありますから、さらに本米穀年度におきまして二合五勺以上の増配を考えるということは非常な困難であろうと存じます。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣竹田儀一君登壇〕
#27
○國務大臣(竹田儀一君) 川崎議員の私に対する質疑は二点であつたと思います。
 第一は社会保障制度の問題でありますが、社会保障制度につきましては、厚生省の社会保険制度調査会において調査中でありましが、昨年十月その結論を得まして、きわめて総合的なる制度案の答申があつたのでございます。この制度は、憲法第二十五條の趣旨に鑑み、健康にして文化的な國民の最低生活を保障する廣汎な制度でありますので、既存の保険制度並びにわが國経済及び財政の状況をにらみ合わせ、目下その具体化について研究調査を続けておるのであります。連合軍当局におかせられても、昨年來この問題について調査が続けられておるのでありまして、私といたしましては、でき得る限り早い機会におきまして、わが國の状況の許し得る範囲内においてこの制度の実現を期したいと考えております。
 第二点の生活協同組合法の問題でありますが、政府におきましては、生活物資の配給機構を確立し、國民の消費経済の安定改善をはかるとともに、日常生活の文化的向上を期する目的のもとに、國民の自治的な組織として生活協同組合の健全なる発達を期待し、これが育成助長に努めておるのであります。生活協同組合は、御承知の通り現在におきましては産業組合法によつて設立されておるのでありますが、今日の経済情勢に即しまして、生活協同組合も特色に應じた新しい消費生活協同組合法を制定いたしますことは廣く各方面の輿望であり、世論ともなつておると考えておりまするので、でき得る限り早い機会にその現実を期したいと思うておるのであります。(拍手)
#28
○笹口晃君 國務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十四月定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#29
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認ます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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