くにさくロゴ
1947/08/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第7号
姉妹サイト
 
1947/08/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第7号

#1
第001回国会 文教委員会 第7号
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 松本 淳造君
   理事 高津 正道君 理事 西山冨佐太君
   理事 花月 純誠君
      野老  誠君    松本 七郎君
      押川 定秋君    久保 猛夫君
      五坪 茂雄君    米田 吉盛君
      柏原 義則君    近藤 鶴代君
      坂田 道太君    水谷  昇君
      松原 一彦君    黒岩 重治君
 出席政府委員
        文部政務次官  永江 一夫君
 委員外の出席者
        議     員 小澤佐重喜君
        議     員 田中 松月君
        議     員 野本 品吉君
        議     員 山本 猛夫君
        議     員 田中織之進君
        文部事務官   剱木 亨弘君
        文部事務官   森田  孝君
    ―――――――――――――
八月二十一日
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 七件(片島港君紹介)(第一六七號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 一件(近藤鶴代君紹介)(第一六八號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 堀江實藏君紹介)(第一七五號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 相馬助治君紹介)(第一七六號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 木村榮君紹介)(第一七七號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 徳田球一君紹介)(第一七八號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 松原一彦君紹介)(第一七九號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 門司亮君紹介)(第一八〇號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 中村元治郎君紹介)(第八一號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 前田正男君紹介)(第一八二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 野坂參三君紹介)(第一八三號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 林百郎君紹介)(第一八四號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 受田新吉君紹介)(第一八五號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 山口武秀君紹介)(第一八六號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 八百板正君紹介)(第一八七號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 黒岩重治君紹介)(第一八八號)
 師範學校、高等師範學校、文理科大學その他の
 教員養成機關に宗教講座開設の請願(田中松月
 君紹介)(第一八九號)
 和歌山工業専門學校存置の請願(山口喜久一郎
 君外二名紹介)(第一九四號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(松浦東介
 君紹介)(第二〇五號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 伊藤恭一君紹介)(第二三九號)
 岐阜農林専門學校農村工業實科修業年限延長の
 請願(武藤嘉一君紹介)(第二四一號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 圖司安正君紹介)(第二四四號)
の審査を本委員會に付託された。
八月二十三日
 物資愛護思想普及運動實施に關する陳情書(名
 古屋市愛知縣生活物資活用協會専務理事古川広
 淳)(第七三號)
 公立中學校人件費の全額國庫負擔に關する陳情
 書(長野縣縣立外中等學校協會長上條信)(第
 七四號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外四件(広島
 縣芹品郡國府町大字中須橘高義郎外五百二十四
 名)(第七五號)
 民主教育制度確立に關する陳情書外一件(新潟
 縣立新潟高等女學校生徒父兄樋口平作外一名)
 (第九三號)
 六・三制完全實施に關する陳情書(和歌山縣白
 浜町長宮崎伊佐郎外十名)(第九四號)
 新制高等學校實施促進に關する陳情書(大阪實
 業教育協會理事長小畑源之助)(第一〇四號)
 新制中學校確立に關する陳情書外二十五件(新
 潟縣新潟市下旭町一四〇西潟實造外三十七名)
 (第一〇五號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 一 金沢市に北陸總合大學設立の請願(五坪茂
 雄君外十二名紹介)(第一七號)
 二 教職員の恩給増額に關する請願(松原一彦
 君紹介)(第二二號)
 七 定時制高等學校設置の請願(野本品吉君紹
 介)(第七六號)
 八 夜間高等工學校卒業生上級學校へ進學の請
 願(細川八十八君紹介)(第八八號)
 九 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
 願(小澤佐重喜君紹介)(第八九號)
 一〇 學校用品を學童に配給の請願(山本猛夫
 君紹介(第九一號)
 一一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外三十二件(相馬助治君紹介)(第九四
 號)
 一二 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外十八件(高津正道君紹介)(第九五號)
 一三 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外十件(外崎千代君紹介)(第九六號)
 一四 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外十一件(原彪之助君紹介)(第九七號)
 一五 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願(馬場秀夫君紹介)(第九九號)
 一六 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外一件(斎藤昇君紹介)(第一〇〇號)
 一七 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願(中村元治郎君紹介)(第一〇一號)
 一八 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願(安東義良君紹介)(第一〇二號)
 一九 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外三十四件(門司亮君紹介)(第一〇三
 號)
 二〇 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外二十件(金野定吉君紹介)(第一四號)
 二一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外二十六件(成重光眞君紹介)(第一〇五
 號)
 二二 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外十七件(大島多藏君紹介)(第一〇六
 號)
 二三 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外五件(片島港君紹介)(第一〇七號)
 二四 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外四件(田中角榮君紹介)(第一一〇號)
 二五 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の
 請願外一件(中村元治郎君紹介)(第一一一
 號)二六 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外一件(成重光眞君紹介)(第一一二
   號)
二七 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外三件(片島港君紹介)(第一一三號)
二八 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外四件(田中健吉君紹介)(第一一四
   號)
二九 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外八件(馬場秀夫君紹介)(第一一五
   號)
三〇 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外十二件(田中稔男君紹介)(第一一六
   號)
三一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外五件(小澤專七郎君紹介)(第一一七
   號)
三二 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外七件(片島港君紹介)(第一六七號)
三三 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外一件(近藤鶴代君紹介)(第一六八
   號)
三四 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(堀江實藏君紹介)(第一七五號)
三五 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(相馬助治君紹介)(第一七六號)
三六 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(木村榮君紹介)(第一七七號)
三七 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(徳田球一君紹介)(第一七八號)
三八 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(松原一彦君紹介)(第一七九號)
三九 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(門司亮君紹介)(第一八〇號)
四〇 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(中村元治郎君紹介)(第一八一號)
四一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(前田正男君紹介)(第一八二號)
四二 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(野坂參三君紹介)(第一八三號)
四三 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(林百郎君紹介)(第一八四號)
四四 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(受田新吉君紹介)(第一八五號)
四五 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(山口武秀君紹介)(第一八六號)
四六 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(八百板正君紹介)(第一八七號)
四七 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(黒岩重治君紹介)(第一八八號)
四八 師範學校、高等師範學校、文理科大学その
   他の教員養成機關に宗教講座開設の請願(
   田中松月君紹介)(第一八九號)
四九 和歌山工業専門學校在置の請願(山口喜久
   一郎君外二名紹介)(第一九四號)
五一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(伊藤恭一君紹介)(第二三九號)
五三 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(圖司安正君紹介)(第二四四號)
#2
○松本委員長 會議を開きます
 本日は前會に引續きまして、六・三制年次計畫竝びに追加豫算の配分の具體案、これにつきまして当局に質疑をいたしたい豫定でありましたが、都合によりましてこの問題は次會に延期いたしたいと存じます。
 續いて、請願の審査に入りたいと存じますが、その前に特殊學校義務性實施につきまして松本七郎君から質問の通告がございますので、これを許しまして、そのあとで請願の審査に入りたいと存じます。では松本七郎君。
#3
○松本(七)委員 六・三制の實施を迎えることになりまして非常に喜ばしいのですが、特殊學校の義務制度實施ということが最近これに伴つて各方面から問題になつているのであります。これは別に法律で定めるということになつているようでありますが、文部省は一體どういう方針で進まれるのか、その點をこの際明らかにしていただきたいと思います。
#4
○剱木説明員 特殊教育の中で特に盲聾唖の教育の問題でございますが、これは學校教育法では、その實施時期は政令で定めることになつておるのでございます。しかし、これは一般の児童の義務性と同じように、できるだけ早く義務性に移しますことが必要であると考えておるのでございまして、この準備を急いで進めておるわけでございます。ただその特殊教育の方は、今まで全國的にわたる基本的な調査が非常に不備でありましたために、これに要しまする設置義務があります。府縣当局は、全部義務制にした場合に、収容すべき校舎でありますとか、教員でありますとか、各種の準備を要する問題がございますので、その調査と府縣の準備とをにらみ合せまして、できるだけ早く實施したい。今の事務当局の豫定といたしましては、昭和二十二年度から特殊教育の第一學年から、できたら義務教育にいたしていきたいという希望をもちまして、その準備を、府縣当局にもお願いして、進めつつあるような状態でございます。
#5
○松本(七)委員 二十三年度の豫算は、どれくらい必要だとお見込みでありますか。
#6
○剱木説明員 府縣から早急に調査資料を取りまして――今それが来つつあるような状態でございまして、まだはつきり集計はしておりませんが、第一學年から義務制にいたしますので、その金額はそう大きくはないという豫定をしているのでございます。はつきりした金額は、まだ出ておりません。
#7
○松本(七)委員 聾唖の児童というものは、數からいえば大した人數じやないために、全般的な影響は大して大きくないという考え方から、等閑視されているような方面も、大分あるやに聞いているのであります。すでに教育の機會均等ということは、國の根本方針になつているので、これをただ形式的に機會均等を與えても、實際は不遇にある人々でありますから、ほんとうの機會均等にならない。どうしても一般の児童よりも優遇した、實質的な機會均等を與えなければならないと思います。その本人ばかりではなく、結局は一般の教育に影響するところが多いし、こういうあらゆる方面に大變革が行われる時に、そういうように等閑に附するという、考え方そのことが、教育上の一つの大きな缺陥であろうと思う。この點、われわれも大いに教育の機會均等のために努力はいたしますが、文部当局としても、認識の足りない方面を大いに運動していただいて、ぜひ二十三年次からは実施できるように、御努力願いたいと切望いたします。
    ―――――――――――――
#8
○松本委員長 では、これより本委員會に付託されました請願の審査にはいりたいと思いますが、それに先だちまして、審査方針について、おはかりしたいと存じます。
 御承知の通りの、新國會においての請願の審査は、最も慎重を期するとを要しますし、いやしくも採択した以上は、必ずこれが實現の方途を講ずることを期しなくてはならないと思うのであります。これがために、請願の内容に應じて、必要のありますときには、委員會において法律案を起草提出することもありますし、また豫算的措置を必要とするものにつきましては、必要によつて豫算委員會と連合審査會を開く場合も当然起り得ることと思うのであります。なお、あらゆる角度から慎重審議を要することと思いますので、本日ここで御審査を願う諸件につきましての採択、不採択その他の決定につきましては、しばらく留保をいたしておきたいと思いますが、この點御異議はございませんでしようか、お諮り申し上げます。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○松本委員長 それではさように決定をいたします。
 これより請願の審査にはいります。
 日程第一、金澤市に北陸総合大學設立の請願、文書表第一七號、紹介議員五坪茂雄君外十二名でありますが、ただいま紹介議員がおられませんから、これは後囘しにいたすことにいたします。
    ―――――――――――――
#10
○松本委員長 日程第九、六三制完全實施のため全額國庫負擔の請願、文書表第八九號、紹介議員小澤佐重喜君。――この請願は日程第一一から日程第四七、日程第五一及び日程第五三、すべて同一趣旨の請願でありますので、一括議題に供します。説明をお願い申し上げます。小澤佐重喜君。
#11
○小澤佐重喜君 ただいま議題に相なりました六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願でありますが、この問題につきましては、すでに委員長を初め委員各位におかれましても、相当内容については御検討なされて、十分な知識がおありになり、また政府当局におかれましても、相当この問題には眞摯な態度をもつて臨んでおられることと考えておるのであります。從つて、紹介議員たる私は端的に要旨だけを申し上げまして、しかしてこの請願の趣旨達成のために、各位の御盡力を賜わりたいと考える次第であります。
 まずその趣旨でありますが、破綻に瀕する六・三制を完全に實施するためには、絶對必要な豫算を全額國庫負擔とするの出なければ、とうていその目的を達することはできないと思います。その理由といたしまして、片山總理大臣の施政方針演説の中にも、重要施策としてうたわれておるが、昨今の健全財政堅持の建前から、六・三制實施に要する経費削減の問題が擡頭したることは、まことに遺憾至極といわなければなりません。今後日本に許されたる途は、ただ一つ文化國家確立にありまして、この趣旨に副い、一日も早く六・三制完全實施のために絶對必要なる豫算を、全額國庫負擔として計上されんことを特にお願いいたすのであります。
 以上簡単でありますが、提案の趣旨を紹介議員として申し上げておきます。
#12
○松本委員長 ただいまの御説明に對しまして、政府の御意見がありますれば御發言を願います。
#13
○永江政府委員 六・三制につきまして、ただいま請願の御趣旨を御説明ありました點につきましては、文部当局といたしましても、非常に同感の意を表する點が多いのであります。しかし何分にも、委員各位十分御承知のように、國家財政の逼迫した折でありますから、全額を國庫負擔という、一應の建前は了承されるのでありまするが、實質的に、今日の國家豫算におきまして、この新しい六・三制の完全實施を全額國庫負擔とするということは、實際面において非常に困難があるようであると存ぜられます。しかし文部省といたしましては、できるだけこの困難を克服いたしまして、御趣旨に副うように努力をいたしたいと考えておるのであります。ただこの問題に関連いたしまして、豫算の面から見まして、全額の國庫負擔をしてこれを行つていくということは、望ましいことではありまするが、特に豫算ばかりでなくして、これを裏づけする物資におきましても、各地方においてそれぞれ創意くふうを凝らされまして、その蔓全を期せられておりますことは、文部省としても非常に感謝をしておるところでありまするが、いずれ問題になつてくると思いますから、この際この請願の趣旨に對して、文部当局の考え方を申し添えますると同時に、適当な時期に、この委員会においてもお考えおき願つた點を申し添えまして、当局の一應の趣旨の説明といたしたいと思います。
 それはこの六・三制の完全實施のための豫算と物資の両面について考えまして、私が先ほど申しました物資の面から申しまして、軍その他の公共の建物によりまして、六・三制を實施する面が、地方においては相当あると存ぜられます。しかるにこの軍の建物その他のものを六・三制に流用するために、地方の公共團體がそれぞれ手配をせられまして、六・三制の建物としてこれを轉用することについて、いろいろ御盡力をせられておるのでありますが、その建物を地方の公共團體が受取りまして、これを学校として使う上に、その價格の面におきまして、かなり開きがありまして、相当大蔵省と地方の公共團體との間に、ただいま問題が起きておるのであります。文部省といたしましても、豫算面ばかりでなしに、この裏づけの物資の面におきまして軍の建物その他を平和國家として新しい学校の建物に轉用することに全面的な支持を與えておるのであります。地方の公共團體におきましても、今疲弊しておりまする財政の状態から申しまして、相当多額な金でこれを買い取ることは困難でありますが、はなはだ残念ながら、ただいまのところ、そういう問題が全國的に起きておるようであります。これは一面國家財政、地方財政の両面から検討しなければならない點でありまして、大蔵省、文部省の両者の主張を十分委員会において御検討を願いたいと存じまして、今の提案の趣旨に私どもがお答えする際に、ことさらにこれを敷衍いたしまして申し添えておきまする趣旨は、できればこの委員会におきましても、そういう建前を六・三制に轉用せられる場合の價格等につきまして、大蔵当局の意向なども、この委員会において十分御検討を願いますることが、六・三制完全實施のただいまの點から申しまして、一つの重要な面をもつておるのではないか考えておる次第であります。少し蛇足が長くなりましたけれども、そういうような面におきましても、われわれは完全實施のためには全力をささげたいと存じますが、國庫の全額負擔という面におきましては、ただいまただちにこれが實現は相当困難の状態にあります。しかし文部省としては、それについては全力をあげて財政当局とも折衝いたしたいと考えております。
#14
○松本委員長 ただいまの請願に、御意見または御質疑がありますれば御發言を願います。
#15
○水谷(昇)委員 ただいまお話の通りに、軍の建物を轉用するにあたりまして價格の問題でありますが、この價格の問題は最初大蔵当局のお話ではそう大して単價は高くなかつたように思うのでありますが、このごろに至りましてだんだん折衝をしておると、ずいぶん高いようなことを言つておる。そこで文部当局の方では大蔵省の方にこの点について御交渉になつておるのか、その交渉の顛末等を承つておきたいと思います。
#16
○永江政府委員 文部省といたしましては、大蔵当局に對して厳重に交渉しておるのであります。先ほど私の方からもお願いいたしましたように、委員会としてもいろいろの角度から御検討を願つて、どのくらいが妥当であるかというようなことについても、委員会においての御發言というものが非常に公正な結果を得るのではないかと思つておりますが、文部省としては今各地にその問題が起きておりますので、大蔵当局と強力に折衝いたしております。
#17
○水谷(昇)委員 その折衝の顛末はわからないのですか、大體いくらくらいで払下げをしてもらうかというようなことを御交渉になつておるのですか、ただ安くしろという御交渉なんですか、具體的に一つ承つておきたい。
#18
○永江政府委員 ただいままでの交渉の結果におきましては、大蔵省では、これらの建物を、ただいまの時價で高く見積つて売る、それを歳入として豫定しておるので、それを安く値切られるならば、國の財政の上で赤字がさらに増すという点で、両者の意見が一致しておらぬのであります。特に文部省としてはその土地海軍なり陸軍の軍建物を建てる場合には、その市竝びに町村の住民が、物心両面において非常な協力を與えて戦時中に建つた建物である。従つてそれを壊してよそへもつていくということになると利用價値が非常に少くなる。一般地方住民の要求には、学校等にその建物が轉用されるということにおいては、ただ単に民間の学校にその建物を払い下げるというような場合と違うのであるから、こういう點を強く突きまして折衝中でありますが、なかなか大蔵省も強硬な意見をもつております。今具體的にこれこれの場合にいくらになるというところまで、結論を得るに至つておりません。
#19
○水谷(昇)委員 ただいま御説明を伺つて大體豫想できましたが、實際の問題にあたりまして非常に地方で困つておる問題でありまして、地方の財政からいいますと、とうてい大蔵当局の言われるような単価では、財政がもたない状態であります。これは永江政務次官のおつしやるように、本委員会において、特に大蔵当局から詳しい説明を聴いて、とくにこの委員会において評議をする必要があろうと思います。
 それから轉用の場合にあたりまして、これを買う経費について、起債の面はどういうふうに相なつているか、その話を御説明願いたいと思います。
#20
○永江政府委員 これは安本等ともいろいろ話合いをいたしまして、本年度の分につきましては、結局今お話のような場合に、起債の対象として了解をされておりますから、起債として實施できるというように考えております。
#21
○水谷(昇)委員 その起債の対象になることは、まことに結構でありますが、本年度の分は、三十一億の中の十四億円の中にはいるのでありますか。別にこれは認められますか、その點をお伺いしたいと思います。
#22
○森田説明員 ただいま御發言いただきました國庫補助と起債とは、公共事業費目の上で言いますと、公共事業でありまして、國庫補助と起債と両方併せて公共事業となつております。ただいま政務次官からお答えがありましたように、本年度はその公共事業費の対象として、これは安本の認證があれば費用が使えることになりますから、安本は今年度に限つて公共事業の対象として認證するという了解が立つております、従つて國庫補助の一部分は國庫補助の対象にもなり、起債の対象にもなるということになります。
#23
○水谷(昇)委員 軍の建物を轉用いたしましますについては、ちようど都合のよいところは、この際これを轉用しないと將来困難であります。そういたしますと、非常な経費が要る。現に私の方は桑名市でありますが、中學校も、女學校も、あるいは國民學校、新制中學も、すべて轉用でやつている。つまり壊して一部を計畫しております。現在その一部をやつておりますけれども、その費用が非常に莫大になりますので、特に起債を別に許してもらうような方法をとつていただかないと、これは實現ができにくいと思ひますので、御考慮をお願いいたします。
#24
○松本委員長 ただいまの請願につきまして、なお質疑を盡さない點があると思います。同時に、水谷さんの御提案になりました大蔵当局に説明を求めるという點もありますので、これらは他の機会に譲ることにいたしまして、本日はこの點につきましては一応これで打切りまして、次ぎの議題にはいりたいと思います。
    ―――――――――――――
#25
○松本委員長 続いて日程第七、定時制高等學校設置の請願、文書表第七六号、紹介議員野本品吉君
#26
○野本品吉君 ただいま議題として取上げられました定時制高等學校設置の請願につきまして、紹介議員として一応申し上げたいと思います。實は七月の七日、八日の両日にわたりまして、全國の勤労青年とともに、熱心に日本再建に挺身しております青年教育關係者の代表者と、また勤労青年教育機關におきまして、毎日働きつつ勉強しております勤労青年の代表とが集まりまして、勤労青年教育の將来をいかにするべきかという問題、また勤労青年の今後はいかにあるべきかということに關しまして、非常にまじめに研究協議しました結果、結論として發見しましたものは、両者ともに、定時制高等學校の急速實現意外にその途がないということになりまして、ここにこの請願を提出することに相なつたわけであります。このことに關しましては、青年學校教育關係者の代表の者及び生徒の代表が、すでに各党及び政府当局に対しましてそれぞれ陳情はいたしてあるのでありますが、この際あらためてそれらの人たちの気持を忖度しつつ一応申し上げたいと思います。
 申すまでもなく、私は日本再建の決定的な條件の一つは、労働生産性の質的竝びに量的の向上であると思うのであります。労働は人格の總合的な發露でありまして、労働は實に人格の内容そのものであるといわなければならないのであります。従つて労働人格の向上なくしては、労働生産性の向上は絶対に期待することはできない。従つて労働人格の向上のただ一つの途として、勤労青年教育の途を開き、これを充實することによつて日本再建の原動力を養つていくことがきわめて重大であり、また必要であることを痛感せざるを得ないのであります。
 次に國民大衆への民主主義の浸透徹底という觀點から、われわれは勤労青年教育の問題を考えなければならぬと思うのであります。民主主義が正しく成長し、發展していきます上には、勤労層にその精神が正しく理解され、またそれが實践に移されて、いかなければならぬと思うのであります。これらの點から考えましても、私どもは勤労青年の教養の度を一層高める方途を講ずることがわが國民主主義の正しい發展のために絶対不可缺の要件であると考えるのであります。
 かように考えますときに、どうしてもこれら勤労青年のための教養の機關として、定時制高等學校設置の急務であることを考えざるを得ないのであります。翻つて、過去の日本の勤労青年がいかなる状態におかれ、またいかに扱われてきたかということも、一応われわれはここで反省しなければならぬと思うのであります。端的に申しますならば、過去の日本の勤労青年は、ほとんど國家や資本家の搾取の対象として考えられ、また扱われてまいつたのでありまして、奪われるものこそあつたけれども、與えられたものはほとんどないといつてよろしいとわれわれは考えております。また心ある青年は、かような見方をし、考え方をするようになつてまいつておるのであります。今こそ、われわれは基本的人権として與えられておりますところの教育の権利を、彼らの上にも、公平に均霑せしめることが、國家の責任であると考えるのであります。今これらの勤労青年の優秀なる者は、心から祖國の前途を憂えて、いかにして日本再建のお役に立つことができるかということをまじめに考えております。これらのまじめな働く青年に希望と光明とを與え、彼らの力を遺憾なく國家再建のために發揮させ、結集させるということにつきまして、お互いもつとまじめに眞剣に考えてやらなければならぬと思うのであります。このことを考えますときに、私は最近におけるいわゆる青少年の不良化の問題も、また考え出してくるのであります。私の確實な調査によりますと、男子におきましては十六歳から二十一歳まで、年を逐うて非常な急カーブを描いて、いわゆる不良青年の數が増加しております。またいわゆるやみの女の數は十八歳から二十二歳まで、これまた年の順序を逐うて著しく殖えておるのであります。一方積極的に青年の教養によつて、労働の生産性を高め、認識を健全に育てていく根基として力をつけると同時に、かような青少年の不良化ということに対しましても、ここに十分な教育の機会を與えることの必要を、心から感ぜざるを得ないのであります。私は権威ある、そして教育に眞の理解をもつておりますこの委員会が全國数百蔓のこれら勤労青年が何を求め何を考えているかということを十分御賢察くださいまして、憲法第二十六條が國民に約束しております教育の権利を均霑せしむるように、そうして全日本の青年が希望と光明とに輝きつつ、働きかつ學ぶまじめな道を進むことのできますように、特別な御考慮をお願い申し上げたいと思うのであります。
 以上請願者の意のあるところをお傳え申し上げまして、皆様の特別のお力添えをお願い申し上げます。
#27
○松本委員長 ただいまの請願に対しまして、政府の御意見がありましたならば御發言願います。
#28
○永江政府委員 ただいまの御趣意は、私ども全面的に同感でございます。なおこの際申し上げておきますが文部省におきましては、来年度から定時制高等學校を實施いたしますために著々と準備をいたしております。またこの委員會においても御協力を得まして、定時制あるいは夜間その他の高等學校の實施を行いたい、かように思つております。
#29
○松本委員長 ただいまの請願につきまして御意見または御質疑はありませんか――それでは次に移ります。
    ―――――――――――――
#30
○松本委員長 日程第八、夜間高等工學校卒業生上級學校へ進學の請願、文書表第八八號、紹介議員細川八十八君――西山委員より紹介の御説明を願います。
#31
○西山委員 ここに提案いたしました請願は、晝間は會社、工場等で勤務いたしておりまして、夜間を利用して準専門教育を受けている學生の通つているこの種の學校が、全國で十三かあるのでありますが、特に内容の充實いたしました、そうしてそこに在學している生徒の素質が、中等學校卒業生のみによつているという、かような優秀な私立高等工學校が七つあるのであります。しかるにそれらのものが各種學校ということになつておりますために、大學等えの進學の途が開かれていない。そこでこの際文部省令による専門學校ということに昇格をすることによつて、あるいはその他の方法でもよいのでありますが、ともかく上級學校へ入學することの資格を與えてもらいたいという趣旨であります。これら學生は、今食糧事情あるいは交通難というような悪條件と闘いながら、働きながら苦學をいたしているのでありまして、ただ通り一遍の學校に通つているというような生やさしい程度のものではないのであります。これらの者は相当に實力を具えております。そうしてこれらの者の忍耐と正義觀は晝間學生に優つている態度をとつているのであります。今や経営者の自覚と學生の熱意によりまして内容は大いに改善されて、實質におきましては晝間の學校に対して遜色がない状態に進んでおります。入學し得るか否かは、それは入學試験に任せたらよいのでありますけれども、とにかく受験の機會を與えないでおくということは、これは封建的な觀念に基くものというほかないのであります。むろん二十三年度、二十四年度にもなりますれば、新學制によりましてこれらは高等學校にもなり得る、あるいは大學にもなり得るのでありますから、問題はなくなるわけでありますけれども、それまでの二年、三年の空白の期間というものをどうするか。これらの學生に対しまして、この際ただちに入學受験の機會を與える方途を講じてもらいたい。専門學校に切りかえるとか、あるいは法令の改正をするとか何とかいたしまして、速やかに決定をして、かような學生に対しまして失望させないように、希望と光明をもたすように、教育の機會均等の線に沿つてもらいたい。新學制の精神を今より活かすということに、特別の御考慮を願いたいと存ずるのであります。
#32
○松本委員長 ただいまの請願につきまして、政府より御意思がありましたら伺います。
#33
○永江政府委員 ただいまの請願の御趣旨は、ごもつともと思います。なお前段、定時制高等學校御要望の御趣旨にも、われわれは同感の意を表しておきましたように、今後の日本の教育は、申すまでもなく、やはり働きながら學び、學びながら働くということが、教育の原則になつてこなければならないと考えておりますので、ただいまの御趣旨の御説明については、十分われわれとしては同感の意をもつておるのであります。ただどの學校も全部そういう處置をするというわけにはまいらないと思いますので、適当に調査をいたしまして、今お話のように内容の充實いたしておりますものについては、上級學校に入學試験を受けられる資格を與えるように、文部省においても適当な措置を講じたいと存じております。御了承願います。
#34
○松本委員長 ただいまの請願に対しまして、各委員の御意見、御質疑がありましたならば御発言を願います。――御発言がございませんでしたら次に移ります。
    ―――――――――――――
#35
○松本委員長 日程第一〇、學校用品を學童に配給の誓願、文書表第九一號、紹介議員山本猛夫君。
#36
○山本猛夫君 私は民主黨の山本猛夫であります。七月一日附で私の選挙區であります岩手縣宮古市に磯鶏という小學校がありますが、その磯鶏小學校の一年生の一組のもちづきかずひこという學童外四名の學童から私のところへごらんのような手紙がやつて參りました。鉛筆で平がなで「だいぎしさん、づがをかくとかみがすぐやぶれます、もつとよいづががみをいつぱいつくつてください。もちづきかずひこ」「だいぎしさん、かずのほんもべつなほんもください。さきやまあきひさ」「だいぎしさん、すべりだいやぶらんこをつくつてください。はらとみ」「だいぎしさんがづがをかきたかくてもとてもかくてかみがかえません、もつとやすいかみをおくつてください。みうらゆきこ」「だいぎしさん、ぼうるやてまりをいつぱいつくつてください。一ねんはれやまさちお」こういう手紙が參りました。年齢に請願者の制限がなくなりましたので、請願委員會に御採択願うことにいたしたのであります。
 この手紙を入手いたしまして、ただちに森戸文部大臣にお目にかけましたところが、何とかしなければならぬというお言葉を頂戴いたしたのでありまするけれども、これからの日本は、國際政治の線を度外視しては、あり方がないことは申すまでもないのでありますが、しかる場合におきまして、これからは高度の教養ある日本人を送り出していかなければならぬということは明白な事實であります。この際は、學用品が不足で勉強したくとも勉強することができない、また貧乏人の家庭では、たとえ學用品があつても、それが高価で買えないというような状況であつてはならないと思うのであります。戰争が終末を告けまして、諸般の生産が軌道に乗つておりませんから、やむを得ないとえばそれまでではありまするけれども、このきわめていたいけない學童にまで、戰争の惨禍をいつまでも及ぼし、かつまたこの不自由な状況を感じさせておりますることは、まことに当を得ないことだと思うのであります。当局は、もちろんこれらにつきましては、十分なる御検討をされておるのだろうと思うのでありますが、可及的速やかに、この學童のいたいけな請願の内容をおくみとり願いたい。かように考えまして、この手紙をそのまま請願書として作成し、請願委員會に御採択願つた次第であります。意のあるところをおくみとり願いまして、可及的速やかにこれらの希望を達成するよう、御努力を当局にお願いいたしたいのであります。
#37
○松本委員長 ただいまの請願に、政府の御意見がありましたら御発言願います。
#38
○永江政府委員 ただいまの御趣旨まことにごもつともでありまして、特に學童の教科書を初め、各種の學用品については、物資不足の折柄でありますが、文部省としてできるだけの努力をいたしておるのであります。ただこういう際に努力をしておるという抽象的なことを申し上げて、その責を逃れようとするわけではございません。一、二の例をこの際御參考までにお聴取り願つて、当委員會において、今後いろいろ御鞭撻をいただきたいと思います。
 第一に文部省といたしましては、學校をを新たに建てるにいたしましても、改築をするにいたしましても、あるいは教科書をつくるにいたしましても、その他のあらゆる學用品、運動用品等につきまして、これらを獲得いたしますために、新たに御承知のように施設局というものをつくりまして、これでこれらの物資獲得に蔓全を期しておるのであります。なお紙の面におきましては、日本でできます紙の大体五〇%が新聞用紙でありまして、残りの二〇%が教科書用紙であります。その他それぞれパーセンテージによつて用紙はきめられておるのであります。御承知のように教科書などは全面的に改訂されますために、非常に紙不足の際に困難を克服しながら今日までやつてきたのでありますが、残念ながら學童の教科書が十分に渡らない、あるいは遅れておつたということで、迷惑をかけておるのでありますが、ようやくこの文部省の教科書用紙に對する熱意が關係方面を動かしまして、ただいまの折衝においては、かなり相当量の紙が文部省のために配給が確保されるという段階に至つておるのであります。その數字は最後的決定ではありませんから、ここで發表することはできないのでありますが、從来よりも相当量増加しておるのであります。なお學童用のノートその他については、教科書用紙とは別に、これを關係方面と折衝して受けておるのでありますが、これらのものにつきましても、ただ用紙をとつてきただけで事が終るわけではありませんから、教科書の今後の發行、配給につきましても、從来のような制度でいいのか、あるいは全國的な生産機關、配給機關を動員してやるがいいのかということについて、できるだけ民主的に、明朗に、學童、父兄に迷惑をかけない方法をせつかく今立案中でありまして、近くその點についても、当委員會を通じましていろいろ御意見を承つて、早急に具體化したいと思つておるのであります。その他運動用具等についても先ほど申しました施設局を通じまして、せつかく努力しておるようなわけであります。この点も御了承を願います。
#39
○松本委員長 各委員におかれまして御意見御質疑があるようでしたら御發言を願います。
#40
○水谷(昇)委員 ただいまの問題でありますが、山本紹介議員から御紹介になりました子供からの手紙によりますと、紙は高いので困るということが書かれてあつたのでありますが、これは今日雑記長を買つても、あるいは用紙を買つても、あるいは運動用具を買つても、すこぶる高いので、非常に高いので困つた問題だと思いますが、そういうような學童に使わせる學用品に對する値段については、文部省から何とか措置がとられないものでありますか。その點をひとつお伺いしたいのであります。
#41
○永江政府委員 御承知のように文部省として公定で配給しておりますものは、値段は相当安いと思うのでありますが、何分にもそのルートに流れますものが少ないために、非常に高いやみのものが横行しているのが現状であります。そういうことの根本的な解決をいたしますために、先ほど私がちよつと申しましたように、紙においてもうんとほかの面を圧縮して、學用品、學習用ノートとか、あるいは教科書用の紙をまず先取得権として文部省がもらいまして、これがやみに流れないように適当な方法で生産配給を行いますならば、その面における問題は解決してくると思いまして、はなはだまわり遠いようでありますが、ただいま紙の面について強力に主張しております。先ほど申し上げましたように、現内閣が食糧におきましても、やはり料理屋飲食店を押えておりますように、紙の面におきましては、學校で使います教科書及びノートというものが主食であるとわれわれは主張いたしまして、残餘の紙については、これは非常に窮屈でも、抑えてもらわなければならぬという主張が、ようやく關係方面を通りまして、數量は申されませんが、相当量のものを今後獲得ができる、こういう目安がついたのであります。從つて今度はそれを實際製品にし、配給いたします機關が、從来のような機關では十分でありませんので、そういうことを新たな委員會を設けまして、民主的に御協議を願つて、全國的にこれを改正してみたい。こういう案を今立案中でありますから、それが實施されますれば、かなりこの面は解決してくれると思います。紙以外の資材につきましても、できるだけそういう手を打ちたいと思いますが、何分にもそれが製品となつて正規のルートを通じて配給するというまで、完全な配給網がないのでありまして、教科書等においては、一應配給の機關が今のところではあるということができるのであります。その他の運動用具等は非常に困難でありますから、そういう點もよほど研究してから實施いたしたい、かように考えております。
#42
○松本委員長 御發言はありませんか。
#43
○黒岩委員 これに關連をいたしますが、將来の教科書の印刷につきまして、從来とは變つた御計画があられるように巷間でうわさをしているのを聞きますが、これにつきましてどういうふうなお考えがありますか、当局からお聴きしたいと思います。
 それからまたある方面からの、これも風評でありますが、新制高等學校は二年に当分止めておく、從つて第三學年の實施ということは当分控えるといつたうわさを聞きますが、これも事實かどうか、お答え願いたいと思います。
#44
○永江政府委員 實は教科書の印刷は、今まではやや獨占的な形でやらしておつたのであります。それはいろいろな物資關係とか、その製造能力とかいう面から考えまして、検討を加えておりますが、教科書は全國的に相当膨大な數量を要するものでありまして、簡単な小さな生産機關をもつていたしましてはこれは困難でありますから、特殊な生産機關がやはり要るという面もあることはあります。しかし一応本年これらの會社と文部省との間におきまして契約を更改する時期に達しておりますから、この際一應從来の方法はご破算にいたしまして、新たに全國的にできるだけ民主的な方法によつて委員を選びまして、その委員によつて、教科書の編纂はもちろん、印刷、生産、配給等について、最も妥当な案を早急に立てたいと思つております。その委員會の内容として、委員會運営方法等につきましても、多少の具體的なものをもつておりますが、關係方面ともまだ完全な了解を得ておりませんので、こういう席上で發表する時期に至つておりませんが、これは早くいたさないと、来年の四月からの教科書に間に合いかねる点がありますので、今文部省当局としては、急いで立案を具體化するために努力しておるような次第でありますので、御了承願いたいと思います。
 それから第二点の、六・三制の新制高等學校を二年に止めるというようなことは、断じてございません。やはり当初の通りにこれを實施していくつもりでございます。
#45
○柏原委員 ちよつとお尋ねします。新聞用は五〇%、教科書用は二〇%と言われましたが、それはノート、參考書のものがはいつておりますか、教科書だけですか。
#46
○永江政府委員 數字でありますから、誤解の内容に申し上げますと、全生産の五〇%が大體新聞用紙でありまして、残りの二〇%が教科書用です。ですから、正確に言えば、大體一〇%が教科書で、その中へは學習用のノートとかその他のものははいつておりません。それを今増額しつつあるわけであります。これはここに新聞記者の諸君もおられますが、文部省の要求が増大するということは、他の方面へ影響がありますので、數字的にはまだ詳しく申し上げられません。
#47
○松本委員長 御發言ございませんか。――ございませんければ、次に移ります。
    ―――――――――――――
#48
○松本委員長 日程第四八、師範學校、高等師範學校、文理科大學その他の教員養成機關に宗教講座開設の請願、文書表第一八九号、紹介議員田中松月君。
#49
○田中松月君 師範學校、高等師範學校、文理科大學その他の教員養成機關で、宗教に關する學科目または講座を設けられますようお願い申し上げます。その理由につきましては、今さら私が申し上げるまでもなく、文教の面に明るい皆様には、十分おわかりのことで、あらためてここで説明申し上げることは、まるで釈迦に説法するような気がいたしますが、しかしこのお願いを、紹介議員といたしまして簡単に説明を申し上げます。
 一、今日國民の道義心の廃れておることはまことに嘆かわしいことであります。事ここに至つたその理由、その道筋を考えてみますれば、こうなつてもやむを得ぬような、いろいろな理由がりまして、むやみにその非を責めるわけにはまいりませんが、これというのも、つまり目に見えぬ神仏の摂理を信じて、一人を慎み、正しきを行うという信念、すなわち宗教心が缺けておるということもまた大きな理由の一つであります。それで、國民道義の高揚をはかるには、人々の宗教心を喚び起すことがきわめて肝要であります。
 二、新憲法の制定によつて、平和國家建設の根本法だけはでき上りましたが、その真精神を発揮して、これを実践することは、なかなか容易なことではありません。とりわけ、憲法では戰争放棄を規定いたしまして、世界に類例を見ない、徹底した平和主義をとつたのでありますが、それがよく有終の美をなし遂げて、世界恒久平和の確立に寄與するためには、戰争は罪悪であるという深い認識と、これに基く不動の信念をもつことが必要であります。こうしたことを考えますと、もともと平和を本領とする宗教の使命と役割は、いよいよ重大になつてきたということを痛切に感ずる次第であります。
 三、こうした道義に基づく平和日本を打建てるためには、人々の宗教心、宗教的情操の函をはかることが、缺くべからざる条件となつてくるのであります。とりわけ重要なことは、學校教育に宗教的情操を浸透せしめるということであります。
 四、學校における宗教教育、宗教的情操涵養の問題は、長い沿革をもつております。久しい間、學校教育から敬遠されておつた宗教的情操涵養の必要性が、近年次第に認められてきましたが、なお一般の學校におきましては、この問題にはほとんど手をつけないでおるというのが実情であります。このように、一面には宗教的情操涵養の必要性を認めながら、しかもこれが実行に至らないでおる最も大きな原因は、結局一般教員の宗教に對する無關心、無理解にあると思うのであります。それで、學校における正しい宗教的情操教育を進めていくためには、まずもつて教員に宗教一般に對する正しい認識とゆたかな宗教的情操をもたせることが先決問題であります。
 五、憲法では、官公立學校における一宗一派に偏する宗教教育を禁止しておりますが、これは政教分離の立場からいつて当然のことであります。ところが、この點を十分に守るためには、教員がよく宗教一般に對する知識をもつことが必要であります。先生方が宗教に對する一般的な正しい認識をもたないために、どうしても自分の信ずる一宗一派に偏することになります。従来各學校当局者が、宗教的情操教育を取入れることをためらつたおもなる原因の一つは、ここにあつたのであります。こうした點から申しましても、教員たらんとする者には、あらかじめ宗教一般に對する正しい理解をもたせることが、きわめて必要であります。
 六、以上申し上げましたような理由によつて、少くとも將来教員となられる者の育成に当る師範學校、高等師範學校、文理科大學その他の教員養成機關に、宗教に關する學科目または講座を設けていただきますよう、文教委員の皆様のお力添えを切にお願い申し上げます。
 なおこのお願は、本年の五月五日、六日、の両日、わが國宗教界の總意に基いて開かれました全日本宗教平和會議における満場一致のお願いであることをお含み願います。
#50
○松本委員長 ただいまの請願に對しまして、政府の御意見がありましたら御発表願います。
#51
○永江政府委員 ただいまの御趣旨の中にありましたように、ゆたかな宗教的情操をもたせて、國民道義の高揚をはかるというようなことは、非常に結構なことでありますが、すでに御趣旨の中に御指摘になりましたように、憲法との關係がありまして、当局といたしましては、この點についてはいろいろな角度から慎重に考慮の上でその態度をきめたい、かように考えております。
#52
○松本委員長 委員各位の御意見、御質疑がございましたら御発言願います。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#53
○松本委員長 では次に移ります。
    ―――――――――――――
#54
○松本委員長 日程第二、教職員の恩給増額に關する請願、文書表第二二号、紹介議員松原一彦君。
#55
○松原(一)委員 これは大分県西國東郡香々地町山本高蔵外千五十七名の連署による教職員の恩給増額に關する請願でございますが、ただいまの情勢では、新潟県を初め全國一斉にこの増額の運動が起ろうといたしておるということであります。
 御承知のように、小學校の教員の恩給受給者は、多年菲薄な待遇のもとに、きわめて制限せられたる生活を行つてまいつておるのでありますが、その職業上、その任務上、他の商業とかいうような営利行為は一切禁じられておるのであります。従来の菲薄な待遇のもとに耐え忍びながら、よく三十年四十年と勤続いたしました者は、老後において若干の恩給がある、これによつて老後の生活が保たれるというたのみがあつたのでありますが、今日になつてみますると、すでに諸物價は五十倍ないし百倍に上つて、おりますので、かつて教員であつた者の恩給は、とてもこれに及びもつかないところの少額であるのでありまして、老後の生活の安定どころではない、まつたく今日に困りきつておるというのが実情であることは御承知の通りであります。小學校教員の最高恩給受給者でも千八百圓、これは特別のものでありまして、地方にはほとんどございません。地方におきましては月額百圓というのがまず高いのでありまして、低いのは二十五圓、三十圓といつたような低いものもあるのでございます。これが今日恩給を設定したる目的に副わないことはもちろんであります。しかし一面から申せば、今日は特権的な階級の一切の解消が行われておりますので、新しい社會事情から申せば、数百蔓の海外引揚者は無一文で帰つて来ておる。家を焼かれた者が三蔓戸に上り、生活に困るというだけの条件で恩給増額を要求することは、社會の感情に對してもこれはなかなか行われにくい問題であることは十分承知しております。しかし今囘の公務員法によつても、官吏、公吏、教職員等には、恩給がつく制度になつておるように思われます。すでに制度がある以上は、生殺しにしないで、憲法のいわゆる健康にして最低の生活を営むだけの保障は與えていいと思います。生活保護法によれば今日少なくとも月に四、五百圓以上千圓内外の生活保護費用が給與せられます。恩給生活者がいよいよ困れば、國民生活保護法によつて補助を受ける途がないでもありませんが、今日までのこの人々の誇りは今さら生活保護法によつて給與を受けることを潔しとしない、やせても枯れても自分らが過去に勤めてまいつた功績、それを公に認められた法律の保障のもとに若干の恩給の増額を願い、それで晩年の安定を得たいというのが彼らの切望であります。
 今ここにまいつておる請願書を読んでみますと、慶応二年生れ、明治九年生れ、明治十三年生れといつた、すでに七十歳、八十歳の人が名を連ねております。もちろん健康で働ける者は、働いてみずから生活を立てていかねばならぬことも、今日の情勢として当然であります。私どもは、単なる恩給の増額請願には、全部に好意はもちません。働ける限り働いて國家のごやつかいにならないようにすることを勧めてはおるものの、すでに七十、八十となればとてもそれはできないのであります。いわんや、今日のようなインフレのもとに、若い者ですら失業しておるのに、かつて教職員であつた老人たちが職業を得る途は、まつたくないのであります。そこから生ずる種々の苦悶が、あるいは反動的な怨嗟となり、あるまじき放言ともなり、中には窮迫一家心中を企てるようなものも生じておる事実があるのであります。恩給制度を完全になくすることも、一つの考え方だと思います。國民全體に對する國家の生活保障があれば別ですが恩給制度が存續しておる今日においては、過去の既得権、しかも今日小學校の教員も、中學校の教員も、官吏竝の待遇を與えられる水準點には達しましたが、長い間非常に菲薄な苦しい生活を續け、内職あるいは営利的事業をまつたく許されない立場にあつたこの人々のために、この際相当額の恩給の増額は、ぜひとも御考慮いただきたい。またわれわれも考えねばならぬ義務があると信ずるのであります。今日の経済は、財政面から見ましても、現職の公務員をも容易に満足せしめ得ない状態にあるに比べて、退役した人々に對する恩給増額がゆたかに與えられないことは、十二分に承知しておるけれども、しかし迫り来つておる現實に對して、國家としてこの功労者に報いる何らかの措置をとる必要があると私信じまして、この請願書を提出したわけでございます。ぜひ政府の御善處を願いたいと思います。
#56
○松本委員長 ただいまの請願に對して、政府当局の御意見をお述べ願います。
#57
○永江政府委員 昨年来諸物価の騰貴に伴い、一般俸給給與等が相当増額せられ、從つてただいまの御説のように、恩給増額の點についても、文部省としてよりよく具體的にその方法を考究中で、各方面へも連絡交渉中であります。なお各方面においては、大體増額に異論のない模様でありますから、なるべく早く具體的成案を得られるように努力いたしたいと思います。
#58
○松原(一)委員 昨年の春、小學校教員には大幅な整理があり、若い者でも相当數が退職せしめられております。その直後に俸給がぐいと上つた。それでその退職せしめられた人々の恩給は、暫定的な標準によつて、昔と變らない少額の金しかやつておりません。ここにも非常な不満があります。本人の意思にあらずして退職を命ぜられ、俸給増額に伴う恩給がつけられるかと心得ておつたのが、それがほとんどない。ここにも彼らの非常な不満があります。残つておる人々は昔には考えられないほどの多額の給與を今日與えられておる。この境目に立つて退職せしめられ、しかも恩給は過去の率より非常に低い。これはまことに同情すべきだと思います。今の永江政務次官のお答えによると、關係方面の了解もあり、増額の手續もとるという心強い話でありますが、およそその標準と實現の時期についてお見込みがあれば、お漏らしを願いとうございます。
#59
○永江政府委員 率は今關係方面と折衝中で、全般の了解を得ておりませんので、その時期、具體的な内容等については、今のところ申し上げる時期に至つておりません。
#60
○水谷(昇)委員 教員が退職した場合、恩給關係は、現在の俸給によつてつけられるのであります。もしそうでありますとか、從前の人々と非常な差額が出てくる。その點をひとつ御考慮に入れて、そうして増額をしていただくなりしていただきたい。
#61
○永江政府委員 ただいまの御質疑の點も、十分參酌したいと思います。
#62
○松本委員長 他に御發言ありませんか。では次に移ります。
    ―――――――――――――
#63
○松本委員長 日程第一、金澤市に北陸総合大學設立の請願、文書表第一七号、紹介議員五坪茂雄君。
#64
○五坪委員 文化國家建設については、くどい説明は時間の關係で省略いたしますが、すでに十分皆さんの方の御承知の通りであります。たとえば、軽い意味の文化國家、軽薄な文化というようなことであつてはならぬことも、重々承知の通りであります。從つて根底のある深い文化を建設しようとするのには、どうしてもそれに必要な教育を高めることが言うまでもなく必要なことであります。教育の普及ということも必要でありますが、深く高い教育を授けるということも、見逃してはならぬ文化國家建設の上に重大な必要事であると考えるのであります。そう考えますときに、金澤市は戦災を免れておりますし、その上に陸軍などの大きな建物がそのまま存在いたしておりますので、それらを利用いたしまして、ここに総合大學を建設するという計画は、今日の場合まことに時宜に適した、またきわめて文化國家建設のために必要なことだと考えるのであります。金澤には御承知の通りに非常に深い歴史をもつた、しかも内容の充實した医科大學があります。さらに第四高等學校があります。これも御承知の通り非常に深い歴史をもち、また内容の充實したものであります。これに文科、法科を加えて、そうして転換するということもおもしろいと思います。さらに工業専門學校があります。これも幾多の科をもつておりまして、内容も充實いたしておりまするし、生徒數も多いし、實にすべてが大學昇格に副うたいい工専であります。これらの四高であるとかあるいは工業専門學校であるとかを昇格し、さらにすでに理科を中心とした高等師範學校ができました、これを理學部に昇格する。さらにその上に御承知の通りに全國でも有數な古い松任農學校があります。これは内容も非常に充實いたしておりまするし、科もずいぶん多數の科をもつております。これを水産科を加えた農學部に昇格をして、ここに総合大學を建設するということは、前申しました文化國家建設上、最も適切な、しかも緊急な仕事だと考えるのであります。どうかこの請願を採択されまして、速やかに北陸総合大學の建設されるように、一段の御配慮を煩わしたいと存ずるのであります。簡単に御説明申し上げます。
#65
○松本委員長 ただいまの請願に對しまして政府の御意見がありましたら御發言を願います。
#66
○永江政府委員 ただいまの御趣旨は、非常に適切だと存じますが、何分にも今、大學設置についての基準につきまして、一応の案をもつておるのでありますが、關係方面とも折衝中でありまして、それが決定を見ました際に、その基準に基いて、この大學設置について考えてみたいと思います。もう一つはやはり國土計画の線に沿わなければならぬので、両方面から慎重に考慮してみたいと思います。
#67
○松本委員長 委員各位の御意見、御質疑はありませんか。御發言ございませんければ次に移ります。
    ―――――――――――――
#68
○松本委員長 日程第四九、和歌山工業専門學校存置の請願、文書表第一九四号、紹介議員山口喜久一郎君外二名。田中織之進君の御説明を願います。
#69
○田中織之進君 和歌山工業専門學校は、戦争中、昭和十八年に戦争遂行の觀點、つまり工業力充實の觀點から、もとあそこにありました和歌山高商、経済専門學校を工業専門學校に転換するということで設置せられたのでありますが、戦争終結とともに経済専門學校の方はこれを引續き存續することに相なりまして、工業専門學校と経済専門學校を併置するかつこうに相なつたのでありまするが、文部省の、昭和十八年以降に設立されました専門學校は廃校するという一般的方針に基きまして、工業専門學校の方は、明二十二年度をもつて廃校になることに決定いたしておるのでありまするが、御承知の通り、和歌山縣は非常に山岳部の多い所でありまして、縣内の食糧關係においても、縣外から大半を仰がなければならないというような實情にあります。從つて將来の和歌山縣の生きていく上から申しましても、工業の發展にまたなければならない實情にあるのであります。殊に文化國家、平和國家として日本が再建せられるこの一般的な趨勢の上において、殊に和歌山縣は、御承知の通り繊維産業の關西における古くからの中心地帯でありますし、そのほか木材加工業、あるいは化學薬品工業、皮革工業等の工業が、それぞれ相当な發展基盤をもつておるのであります。これに伴う電気工業、機会工業等、將来の發展を非常に期待されておる所でございますので、せめてこの工業都市としての和歌山に、一つぐらいの工業専門學校は引續き存續せしめたいというのが、百蔓縣民の一致した要望でございます。殊に二十二年度をもつて廃止ということに相なつておりますので、現在なお學校に勉強しておる在校生といたしましては、やがて廃校の運命をたどるこの學校の將来について、母校愛の熱烈なる希望をもつております。和歌山市はこれまた皆さん御承知の通り、全國の中小都市の中でも、最も爆撃による被害を受けたところでありまして、和歌山市の復興の中心として工業が取上げられ、またその工業をさらに飛躍的に發展せしめるという觀點から、せつかくある工業専門學校でございます。殊に設備につきましては、さいわいに學校は戰災を免れましたために、相当優秀なる學校施設をもつているほか、教授陣容等につきましても、古い歴史をもつ商業専門學校に比して、決して遜色のない、充實したものをもつておりますので、この際將来の日本が工業をもつて生きていく、殊に輸出貿易の振興という觀點からも、ぜひともこの南海の重要なる工業地帯である和歌山市に、工業専門學校を存続していただきたいというのが、本請願の趣旨でございます。何とぞ文部省当局におかれましても、この點を十分御了察くださいまして一般的な十八年以降の専門學校を廃止するという御方針を曲げていただいて、存続に御方針を御変更願い、また委員各位の積極的な御支援によりまして、在校生から出ておりまする本請願の採択せられまするように、お願いいたしたいと思います。簡単でありますが、請願の趣旨を申し上げた次第であります。
#70
○松本委員長 ただいまの請願に對しまして、政府の御發言がありましたらお願いいたします。
#71
○剱木説明員 ただいまのご精願に對しまして、今述べられましたいろいろな理由につきまして、文部省として今考えていることを簡単に申し上げます
 和歌山工業専門學校は永い歴史を有しまする和歌山高商を、戰時中に轉換いたしまして、工業専門學校としてできたのであります。終戰後、この古い戰時中に轉換せられましたものを再轉換するという問題と、それから非常にたくさん工業専門教育機關が戰時中に殖え出しましたので、これを整理するという問題が起つてまいりまして、和歌山工業専門學校をどうするかという問題につきましては、その当時十分、地元御当局、學校御当局ともいろいろ御相談の上、二つの學校を官立として続けていきますことは非常に困難な事情がございますので、和歌山高等商業の方を復活いたしまして、和歌山工業専門學校は現在生徒の卒業を待ちまして、一應廃止するという豫定を立てまして、今日まで進行してまいつているのでございます。しかして生徒が来年度限りで廃校になるというので、母校愛の關係から存続を希望しておりますのは、非常にごもつともな點であると思いますし、なお和歌山縣の工業の實情から申しまして、あそこに地元といたしまして工業専門教育機關がほしいとお考えになり、御要望になることは、ごもつともであると思いますけれども、何分にもそういう豫定をもちまして和歌山高商の一つの設備を使いまして、高商と工業専門教育との二つのものをあそこにつくることは、既設のものではできませんので、現在の状況といたしましては、和歌山高商を存続させていくという既定方針をとつていくより、しかたがないじやないかと考えております。なおまた工業専門學校の存続につきましては、地元とも十分お打合せの上、場合によりましては、縣立のような形で、もし存続することができれば、そういう問題につきましては、十分御協力申し上げていきたいと考えております。
#72
○花月委員 日程四八の師範學校その他に宗教講座を設けるという請願に對しまして、文部省当局は、新憲法との關係もあるので、これを考慮をするというお答えがありましたが、それにつきまして念のために申し上げておきたい。それはあの請願を出しますについての紹介議員として、私も加わつておるのでありますが、宗教平和會議において満場一致可決されたものを、ああいう請願の形にしたのでありますが、あの請願をいよいよ出しますについて、いろいろ懇談をしたのであります。そのときの問題は、もちろんただいま文部当局が御心配になりましたように、新憲法との關係はどうであるかということが、非常に論議されました。從つて關係者が一堂に集まると同時に、かなり法律に知識をもつた人の意見も聴き、また文部省にかねて勤めておつた方、その他いろいろ關係方面の意見等も十分斟酌いたてまして、その結論としまして、われわれとしては新憲法に抵触しないという大体の見透しをつけましたので、十分論議をした結果、あの制願書を出したのでありますから、この點だけを申し上げておきます。
#73
○松本委員長 他に特に御質疑がございませんければ、残餘の日程は相当数まだありますが、延期いたしまして、本日はこれで散會いたします。
  午後零時二十九分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト