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2008/11/13 第170回国会 参議院 参議院会議録情報 第170回国会 法務委員会 第2号
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2008/11/13 第170回国会 参議院

参議院会議録情報 第170回国会 法務委員会 第2号

#1
第170回国会 法務委員会 第2号
平成二十年十一月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十一日
    辞任         補欠選任   
     吉川 沙織君     小川 敏夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         澤  雄二君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                鈴木  寛君
                前川 清成君
                松浦 大悟君
                松野 信夫君
                青木 幹雄君
                秋元  司君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   国務大臣
       法務大臣     森  英介君
   副大臣
       法務副大臣    佐藤 剛男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  早川 忠孝君
       厚生労働大臣政
       務官       金子善次郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大谷 直人君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   二本松利忠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 一夫君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       福富 光彦君
       内閣府犯罪被害
       者等施策推進室
       長        殿川 一郎君
       警察庁刑事局長  米田  壯君
       警察庁刑事局組
       織犯罪対策部長  宮本 和夫君
       法務大臣官房司
       法法制部長    深山 卓也君
       法務省民事局長  倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  尾崎 道明君
       法務省入国管理
       局長       西川 克行君
       外務大臣官房参
       事官       小原 雅博君
       文部科学大臣官
       房審議官     久保 公人君
       文部科学大臣官
       房審議官     尾崎 春樹君
       厚生労働大臣官
       房政策評価審議
       官        荒井 和夫君
       厚生労働大臣官
       房審議官     岸田 修一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     杉浦 信平君
       防衛大臣官房審
       議官       黒江 哲郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (薬害肝炎訴訟における国の姿勢に関する件)
 (裁判員制度の円滑実施のための支援体制の整
 備に関する件)
 (死刑の執行及び殺人事件の求刑・量刑の基準
 に関する件)
 (法科大学院の現状と改善策及び司法試験合格
 者数の見直しに関する件)
 (刑事施設の過剰収容問題に関する件)
 (犯罪被害回復給付金の支給状況に関する件)
 (外国人研修生・技能実習生制度の実態に関す
 る件)
    ─────────────
#2
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、吉川沙織君が委員を辞任されまして、その補欠として小川敏夫君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(澤雄二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣府犯罪被害者等施策推進室長殿川一郎君、警察庁刑事局長米田壯君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、法務大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長尾崎道明君、法務省入国管理局長西川克行君、外務大臣官房参事官小原雅博君、文部科学大臣官房審議官久保公人君、文部科学大臣官房審議官尾崎春樹君、厚生労働大臣官房政策評価審議官荒井和夫君、厚生労働大臣官房審議官岸田修一君、厚生労働大臣官房審議官杉浦信平君及び防衛大臣官房審議官黒江哲郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#5
○委員長(澤雄二君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。
 今日は、千葉先生、松岡先生始め同僚の委員の御配慮で大臣の質問に立たせていただくことを感謝いたしております。
 まず、大臣、本題に入る前なんですけれども、九月二十四日の就任会見、その中で大臣は、初当選以来ずっと麻生総理と政治行動を共にしてまいりました、その人柄あるいは識見についてはだれよりも分かっています、こういうふうにお述べになっておられるんですが、麻生さんというのはどんなお方でしょうか。
#7
○国務大臣(森英介君) そうですね、二十年近く政治行動を共にしてまいりましたけれども、一言で言って誠に心身共にタフですね。それから、堅忍不抜の意志力を持っている。それから、更に言うと、非常に高邁なことから下世話なことまで万般に通じていると、こういったことが特徴かと思いますけど、やっぱり、だれかが名付けたんですけど、半径二メーターの男っていう、近くで接するとやはり特にその魅力というのが強く感じるわけでありまして、若い議員にしても新聞記者にしても、まさに一緒にいるとチーム麻生のような雰囲気になる、そういった一種のオーラのようなものを持った人物だと思います。
#8
○前川清成君 その就任会見の際に記者から大臣に対して少し意地悪な質問がありまして、近く解散・総選挙も始まるので大臣の任期は短いと思いますと、こういう質問があって、それに対して大臣は、短い任期になるかどうかは今分かりませんと、そうお答えになって、大臣のお言葉どおり今政局が展開しているんですが、選挙はいつごろになるか、お聞かせいただけますでしょうか。
#9
○国務大臣(森英介君) 私は何となく嫌なことは先送りして考えたい性分でございまして、なるべく先に先にあってほしいという単なる個人的な願望を述べたにすぎません。でも、およそ、まさに総理の専管、専権事項でございますので、私が、もちろん総理からも何も聞いたことはありませんし、私からこの場で予見したことを申し上げるのも適切でないというふうに思います。
#10
○前川清成君 それでは、ちょっと本題に入らせていただきますが、今年一月に議員立法で薬害C型肝炎被害者救済特別措置法が成立をいたしました。これに基づいて給付訴訟が行われているわけですけれども、この訴訟に対して法務省としてどのような方針を指示しておられるのでしょうか。
#11
○国務大臣(森英介君) 特別措置法と同法成立の際の衆議院厚生労働委員会決議及び原告と被告、国との間で締結されました基本合意書を踏まえて和解の検討をするように指示をしているところでございます。
 具体的には、製剤投与の事実、製剤投与と感染の因果関係、C型肝炎の症状という特別措置法に定める事実関係を確認する上で必要な資料の提出を得て、これらが確認されれば和解に応じています。
#12
○前川清成君 大臣御案内のとおり、これは裁判ではなかなか救済が困難な方々がいらっしゃるので特別の立法を作って救済を図ったわけですけれども、その中で救済の範囲が法律で定められています。
 理事会のお許しを得て今日配付させていただきました資料一にもありますが、フィブリノゲン、このフィブリノゲンの液剤だけではなく、のりも救済の対象になっているんですが、法務省はこの法律に基づく給付訴訟においてのりの使用を請求原因とする訴訟についてはすべて請求原因に対する認否を留保しています。どうして留保しておられるのか、お尋ねします。
#13
○国務大臣(森英介君) 今御指摘のとおり、のりにつきましては使用方法も千差万別でありますし、また調査検討に一定の時間が必要であることから認否を留保しているというふうに聞いております。
 しかしながら、フィブリンのりとしての使用事案についても、特別措置法に定める事実関係が確認されれば和解に応じる方針でございます。
#14
○前川清成君 民事裁判というのは、原告が訴状を出しまして、その訴状に対して被告が答弁書というので請求原因一つ一つについて認否を書きまして、認めるとかあるいは否認するとか、それを裁判所に出すわけです、期日前に。で、裁判が始まったら、その被告が否認した事実について原告と被告双方が証拠を出し合って裁判を進めるわけですけれども、これ、一月に法律ができ上がりまして、もう十一月ですから、裁判が始まって半年以上にはなるかと思うんですが、そんなに長い間認否を留保するというふうなことは普通は許されないんですが、国なら許されるんですか。
#15
○国務大臣(森英介君) いや、先ほども申し上げましたように、別にいたずらに延ばしているわけではありませんで、その使用方法も様々でありますし、またその科学的な調査検討にどうしても一定の時間が掛かるものですから、これは事実関係が確認されれば和解に応じる方針でございます。
#16
○前川清成君 それは当然分かるんです、使用方法も様々ですから、あるいは原告もたくさんいらっしゃるんでしょうから、ただ、どういう方針なのかがはっきり分からないんです。
 この前も私は、法務省の方お越しいただいて、十月十六日に会館の方にお越しいただいて詳しい説明を求めたんですが、原告の数もおっしゃっていただかなければ、今訴訟がどの程度になってどの程度進行しているかもおっしゃらない。今大臣が確認するための資料の提供を求めていると、こうおっしゃいましたけれども、どのような資料の提供を求めるかも言わない。すべて秘密。これ、そんな秘密にしなければならないような裁判でないと私は思うんです。そもそものりも対象になっている、それは法律で決めたことなんです。
 法務省にとって、あるいは官僚にとって許されるのは、その法律を法律のとおり誠実に確実に執行していくことだけであって、のりについては特殊性があるから救済から除外するとか、そんな法律の執行は許されないはずではないかと私は思うんです。それが法律に基づく行政だと私は思うんですが、大臣、これ何か秘密があるんですか。
#17
○国務大臣(森英介君) いやいや、私もその内容についてはつまびらかに存じませんけれども、いずれにしても、やはりこれはえいやで決めることじゃなくて、やっぱり科学的なそういう因果関係の究明ということがどうしても必要ですから、それはしっかりとした調査検討を今している段階であるというふうに承知をしております。
#18
○前川清成君 科学的な因果関係というのは少し御理解が正しくないんです。それは最高裁判所の判決もありますので、また後刻説明をお受けいただいたらいいと思うんですが。
 大臣が先日の所見の中で述べられた常識の通用する法務行政、これはどういう意味なんでしょうか。
#19
○国務大臣(森英介君) 私はもう初当選以来というか政治家を志したときから常識の通用する政治ということを私自身の信条としてまいりまして、これはやっぱり、これ今、例えば裁判員制度について申し上げますと、日本の司法というのは極めてこれまできちんとした司法であったというふうに私は思いますけれども、それでも行政もまた立法府もやっぱり国民の常識との乖離ということが特に指摘されているというか意識されているわけでございまして、そのギャップを縮めるということがすごく大事なんではないかというふうに考えております。
 独り幾らきちんとやってきた司法といえども、やっぱり司法のみがそのらち外にあるわけじゃなくて、もって裁判員制度でより民主社会の常識とか感覚とかを司法の場に取り込もうということで今司法制度改革がなされているわけでございまして、そういう意味において法務行政というのも、まあ私も法務省というのは余りこれまで縁がなかったですけれども、法務省に参りまして、周りは本当に検事、判事がごろごろしていて、極めて専門性の高いまた役所であるという……(発言する者あり)いやいや、そんなことはない、ということを感じまして、就任当初からやっぱりそういった一般ピープルの感覚というか常識を持って法務行政に取り組みたいというふうに考えたわけでございまして、別に現状が非常にだからといって極めてとんちんかんなことをやっているというふうに私は思いませんけれども、よりそういった感覚を法務行政に導入するということが私の使命だろうというふうに思っているところでございます。
#20
○前川清成君 私、ちょっとB型肝炎訴訟を取り上げてずれているというところを大臣にお話しさせていただきたいんですが、平成十八年の六月十六日に最高裁が、B型肝炎に感染した患者さん、集団予防接種でB型肝炎になってしまった患者さんについて国の過失を認めて賠償を命じる判決が言い渡されました。その裁判の中で、原告の方々が集団予防接種を受けたのが昭和二十六年から四十六年までの間、提訴が平成元年。すなわち、予防接種を受けてから裁判を起こすまでに二十年以上たっているんですね。
 国は、国はって、これは被告は法務大臣になるわけですけれども、法務大臣はどのような主張をしたかというと、二十年既にたっているんだから民法で定めるところの除斥期間というのを援用して国は一切責任を負いませんと、こう述べたわけです。それが大臣のおっしゃるところの常識の通用する法務行政なのかどうかをお尋ねしたいわけです。
 御存じのとおり、肝炎というのは、感染をしてから二十年、三十年の潜伏期間を経て発症します。被害者の皆さん方が自分が被害に遭ったという時点で既に加害行為からは二十年たっているわけです。そういう主張が常識にかなうのかどうか。
 今大臣、自分の周りには専門家ばかりだと、こうおっしゃいましたけれども、この除斥期間を援用する理屈というのは筑豊じん肺訴訟であり関西水俣病訴訟であり、これまで二回、最高裁であなたの理屈は間違っていますよと教えてもらっているんですよ。それにもかかわらず三回目、このB型肝炎訴訟でもこの除斥期間を援用した。これも国による引き延ばし以外にも何にもないんじゃないかなと、私はそう思うんですが、大臣、この点は今までお聞きになったことございますでしょうか。
#21
○国務大臣(森英介君) 今委員がおっしゃった先例につきましても、国はそれまでの最高裁判例や学説に基づいて除斥期間の経過を主張したものと聞いております。また、援用とおっしゃいますけれども、やはり疾病の原因、またメカニズムなどが異なっていて、その除斥期間の起算点について必ずしもそれがそのまま援用できるかどうかということは、これはやっぱり議論の余地があるというふうに私は思います。
 したがって、それなりの立場で最高裁の判断を求めたものであって、結果として最高裁の判断がいずれも国の主張と異なっていたからといって、私は国の主張が常識に反していたものというふうには受け止めません。
#22
○前川清成君 大臣、それも、大臣、うその説明を聞いておられますよ。このB型肝炎訴訟の最高裁判所第二小法廷の判決は、除斥期間に関して、最高裁の平成十三年の判決、筑豊じん肺訴訟の判決、同じ十三年の関西水俣病訴訟の判決、これを引用して、引用した上でそれは駄目ですよと、こう言っているわけです。ですから、このB型肝炎訴訟の判決の時点では、既に国は二回同じ理屈で負けているんですよ。負けているにもかかわらず固執したんです。それが一点。
 それと、大臣がおっしゃるように、B型肝炎に感染した原因が様々あると。もしかしたらそれは国の責任ないのかもしれない。それは徹底的にあの真相究明することはいいと思うんですよ。しかし、国の間違いで、国の政策の間違いで大勢の皆さん方が被害に遭った、それにもかかわらずへ理屈を出して責任を免れようとするというその態度が私は下品じゃないかと申し上げているんです。
 こういう専門的なことを言うつもりはありませんでしたけれども、民法七百二十四条は不法行為のときから二十年と、こう書いてあるんです。加害行為のときから二十年て書いてないわけです。例えば、僕は今隣の今野さんから殴られる、そうしたら加害行為と被害発生したと同時です。加害行為と被害で不法行為なんです。しかし、加害行為から、例えば爆弾を郵便で送って、それが、極端な話、一年後に大臣の下に届いて爆発したと。加害行為と被害との間に一年のタイムラグがある。加害行為と被害行為とがタイムラグがあるときは被害の発生を待って不法行為だというのは、もう繰り返し繰り返し確認されてきた理屈なんです。それにもかかわらず、いまだに訟務検事の皆さん方はそれに固執している。
 私は、この委員会で以前、大和都市管財事件の国の応訴事件についても取り上げたことがあるんですけれども、大臣が常識のかなった法務行政と、こうおっしゃるのであれば、是非その常識の通る、そんな訟務検事の皆さん方を御選任いただけたらと、本当そう思っています。これについてはまたいつか徹底的に大臣と御議論させていただきたいと思いますので。
 次に、裁判員の候補についてお伺いしたいんですが、先日大臣は、創意工夫を凝らし、具体的で分かりやすい広報啓発を行うと、こういうふうにおっしゃっています。この具体的で分かりやすい広報啓発というのはどのようなことを指すのでしょうか。
#23
○国務大臣(森英介君) まさに今委員から御指摘いただいた広報啓発というのは極めて重要であるというふうに思います。様々な手法を用いてその制度に対する国民の皆様の関心を高めるとともに、不安をできるだけ解消できるように、裁判員制度に関する具体的な情報を分かりやすく提供していくことが肝要であるというふうに考えております。そのために、最高裁判所や日弁連とも連携し、また役割分担をして、御承知のとおりでございますけれども、ポスターやパンフレット等の制作配布、ホームページによる情報発信、説明会や模擬裁判等の実施、あるいはテレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアを通じた広報活動を幅広く行っているところでございます。
 更に申し上げると、先月、十月一日からの法の日週間におきまして、法務省は最高裁及び日弁連との共催によりまして法の日フェスタを開催し、裁判長役を日弁連の会長が務める模擬裁判を行うなど様々な催しを行いまして、新聞やテレビなどでも広く報道されたところでございます。また、全国各地でも、地元の法曹三者が連携して、模擬裁判や裁判員制度のパネル展、ポスターコンクール等、裁判員制度に関する様々な広報企画を実施し、各地で報道されるなどしました。またさらに、説明会やパンフレットなどにおいては、裁判員として参加するために法律知識は不要であることや選任期日の六週間前までに通知が届くこと、一定の場合には辞退ができること、日当が支給されるなど、具体的な情報を分かりやすく説明するよう努めております。
 ちなみに、今週末の土日にも、なかなか良くできた、何といいましょうか、広告を新聞折り込みで皆様方のお手元にお届けするということも考えて予定しているところでございます。
#24
○前川清成君 大臣、僕の時間の制約もありますので、是非お尋ねしたことをお答えいただきたいんですが、法曹三者のことをお聞きしているんじゃなくて、最高裁のことをお聞きしているんじゃなくて、大臣御自身のお言葉で、創意工夫を凝らし、具体的で分かりやすい広報啓発を行いますと、こうおっしゃったので、法務省として何をするんですかとお尋ねしているんでしょう。法務省としてどのような広報啓発をするのかお聞きしたいんです。
#25
○国務大臣(森英介君) いや、今申し上げましたとおり、今のような多彩な手段を通じまして、これは最高裁、日弁連ともあくまでも連携して、かつ役割分担してやっているところでございまして、まさにその一翼を担って法務省が今積極的に広報活動に取り組んでいるということを申し上げました。
#26
○前川清成君 ちょっともう少し分かりやすく、例えば最高裁が四億三千万掛けてテレビコマーシャル始めました、そういうふうに言っていただくと分かりやすいんですが、協力してうにゅうにゅうにゅうにゅやりましたと言われても、何やっているのか僕ちょっと分かりにくいんです。国民の皆さん方も、じゃ法務省が具体的にどのような広報をしているのか、お尋ねになったときは分からないだろうと思うんです。
 それで、もう時間がないから結構ですけれども、そもそも先ほどの御発言で気になったんですが、裁判員制度というドラスティックな大改革が今回実行されます。大臣は、今までの刑事裁判に何の問題もないんだ、何の問題もないんだけれどもこの裁判員制度を導入すると、そういうふうに役所の皆さん方から説明を受けてそれを真に受けておられるんですか。
#27
○国務大臣(森英介君) いや、何の問題もなかったということを申し上げたつもりはありませんで、それぞれの立場でこれまで非常に真摯に取り組んできたからこそいまだに、逆に言えば、従来のやり方を非常に支持する方もいるということは、むしろよく日本の司法にかかわる人たちがまじめにやってきたということの証左だと思うんです。
 しかしながら、それにもかかわらず、やはりそういった国民の感覚の導入ですとか、あるいはそれをてこにした裁判の迅速化だとか、いろいろな改善をなすためにまさにドラスティックな裁判員制度がこれから導入されるわけでありまして、別に何も問題がなかったと申し上げたんじゃなくて、それぞれが極めて真摯に取り組んできたので、今もって従来のやり方がかなりの方々に支持されるというのも一方の事実だというふうに私は思います。
#28
○前川清成君 それでは、今までの、二十三日間勾留して大量の自白調書を取って、その自白調書を裁判官が家に持ち込んで詳細な判決を書くと、こういう刑事裁判の在り方については、大臣は基本的には正しかった、そういう御認識ですか。
#29
○国務大臣(森英介君) いや、ですから、それは私は別に大きく間違っていたとは思いません。ただ、要するに、それよりもこういった新しい制度、より民主社会の、お上の裁判からより民主社会の判断になるような裁判に変えようというのが私どもの目指す方向であって、したがって、この法律が国会でほとんどの、参議院でお二人反対されたそうでありますけれども、全党でもって支持されて通過したのは、そういったみんなの総意で、みんなの気持ちの表れであろうというふうに思います。
#30
○前川清成君 基本的には今の裁判のやり方に何の問題もないにもかかわらず、呼出し状一枚で国民の皆さん方を法廷に引きずり出して、いつ終わるかも知れない裁判員裁判に参加させると、こんな大改革がなされたとは私は思っていないんです。
 それは、大臣の周りにいらっしゃる最高裁から法務省に出向してきた皆さん方とかあるいは法務省の皆さん方は、今までの裁判には何の問題もありませんと、こうおっしゃいますよ。
 大臣、一九八三年に免田事件というのが起こりました。御存じないかもしれませんが、要するに、死刑判決が確定していた免田栄さんという方が再審の結果無罪だという判決が言い渡されて、その後、島田事件、財田川事件、松山事件、一九八〇年代に四人の死刑判決が確定していた方々に対して再審の結果実は無罪だったと、何の罪もなかったということが判明しました。驚くべきことに、この四人の皆さん方はすべて捜査段階で自白しておられたんですよ。何で死刑になるかもしれない自白をするんですかね。そこが大臣の常識に照らしてどのように御判断されるかですよ。
 そのような事態について、きっと大臣の奥様も刑事訴訟法を勉強するときにお読みになったと思うんですが、平野龍一さんという刑事訴訟法の大家がいらっしゃった。この方が一九八五年、昭和六十年に団藤重光博士の古希祝賀論文集の中に、「現行刑事訴訟法の診断」という文章をお載せになっている。その中の、平野先生は締めくくりに、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であると。犯人と思われる、警察がこいつが犯人だと思った人を捕まえてきて、二十三日間、自分の手元に勾留しておく、何が何でも自白を取る、山のような自白調書を取って、法廷で真相を明らかにするんではなくて、法廷は単なるセレモニーで、裁判官が自宅に帰ってその調書を読み込むことによって真相を発見したかのように自信過剰になっている、その現状を改めなければならないと。何といっても最大の人権侵害こそ冤罪ですから。
 そういう問題意識があって私はこの裁判員制度というのが導入されるのではないかと、そう思っているんです。今まで何の間違いもありませんでしたと、最高裁はそうおっしゃいますよ。法務省もそうおっしゃいますよ。それにもかかわらず、いつ終わるかも知れない裁判員に引きずり出されなければならない国民の苦労を、大臣、少しはお考えいただけたらと、私はそう思います。
 それで、来年五月二十一日から施行されるわけですけれども、この施行までの準備について大臣はどのような説明を受けておられるのか、お聞きしたいと思うんです。法務省の役所の皆さん方から、準備はもう完璧に終わりました、大臣もう大丈夫です、あとはテレビコマーシャルするだけですと、こう言っていただいているのか、いやいや、大変なことになりますよ、このままなったら第二の後期高齢者医療制度になりますよというような説明を受けておられるのか、どちらですか。
#31
○国務大臣(森英介君) それはもう委員御承知のとおり、それなりにもう懸命の準備を進めておりまして、端的に言って、大分準備は整いつつあるということは言えると思いますけれども、最近の世論調査等によれば、九割以上の方々が裁判員制度を認知していただくレベルまで参りまして、裁判員制度の周知については相当の成果が上がっておりますし、ただ、もちろん中身についての十分な理解が行き届いているとは私は思いませんけれども、それにいたしましても、参加する、いろんな条件付きとはいえ、呼び出されれば参加するという方が六割以上になってきております。
 いずれにしても、そういったことで、今後とも多くの皆様方により不安なく参加していただけるように様々な準備を進めていきたいというふうに考えております。
#32
○前川清成君 いえ、違いますよ、大臣。僕が今お尋ねしているのは、今の状態がどうなのか、準備状態が十分なのか、いや、もう大分遅れていてこれから先頑張らなあかぬのか、どっちですかとお聞きしているんです。
#33
○国務大臣(森英介君) こういったことは必ずしもどれだけやっても十分だということはないと思いますが、いずれにしても、裁判員制度に関する法令の整備は終了しておりまして、今申し上げたように、国民の参加意識も大分高まってきているということであります。
 ただ、どこまでやれば十分かということは申し上げられませんが、いずれにしても、今後とも施行までの間、最大限の努力をしていくということを申し上げます。
#34
○前川清成君 法務大臣になられたんですよ。その法務大臣御本人がどこまでやれば十分か分かりませんとおっしゃったら、一体だれが全体をマネジメントするんですか。最大限の努力をしますと今大臣はおっしゃったけれども、その最大限の中身を先ほどお聞きしたらほだらほだらでしょう。
 今の準備状況が十分なのか、遅れているのか、どうなのか。例えば遅れているんだったら、これから先、何をしないといけないのか。大臣、もうあと半年しかないんですよ。来年の五月二十一日に大臣が大臣をされているかどうか分かりませんけれども、しかし、今責任を負っておられるのは大臣お一人ですから。
 そこでお聞きしたいんです。きっと法務省の皆さん方は大臣に、今準備はばっちりですと、こうおっしゃっているのかもしれませんが、お配りをいたしました資料二を御覧いただきたいんですが、これは先日の十月二日の民主党の法務部門会議に最高裁と法務省から提出された資料のコピーでございます。
 図一を御覧いただきたいんですが、これに基づいて最高裁と法務省から、裁判員のための特別休暇制度、六三%の企業で導入されましたと説明を私たちは受けました。図三御覧いただきたいんですが、これも六九・二%、およそ七割の労働組合が裁判員制度について特別休暇の労働協約を締結したと説明を受けました。
 しかしながら、私がこの六三%の中身をお尋ねしました。すると、実はこの六三%というのは、経団連の中の経済法規委員会に所属する会社百九十七社に対して経団連がアンケート調査をしたと。そのうち九十三社が回答をしました。九十三社の回答だけで六三%という円グラフを作ったわけです。
 国会図書館の方にお願いをいたしまして、この経済法規委員会というのはどういう会社が入っているんですかとお聞きしました。経団連の方は、プライバシーがあるのでお答えできませんと国会図書館の方に回答をしたそうです。国会図書館の方がいろいろ調べていただいて、これまでにこの経済法規委員会の役職に就いた企業を挙げますと、例えばトヨタ自動車の張富士夫さん、張会長は現在この経済法規委員会の委員長です。トヨタだとか小松製作所、三菱樹脂、日立製作所、住友化学、新日鉄、松下電器、パナソニック、三菱商事、東京電力、味の素、オムロン、東芝、大成建設、日本郵船。これら超大企業は確かに六三%特別休暇を導入したかもしれません。しかし、二百万社あるんですか三百万社あるんですか、日本の会社は。
 あるいは、この七割が労働組合、締結しているというこの円グラフですが、衆議院の調査室の資料によりますと、連合傘下の組合一万二千あって、そのうち七百四十一組合が労働協約を締結していると。一万二千のうちの七百四十一が円グラフにすると七割になる。
 大臣は理系の御出身ですが、こういう円グラフの作り方というのは許されるんですか。
#35
○国務大臣(森英介君) 今ちょっとよく理解できなかったんですけれども、労働協約を結んでいる会社が六百何社とおっしゃいましたね。
#36
○前川清成君 七百四十……
#37
○国務大臣(森英介君) 七百、その全体の母集団が一万何社なんですか。
#38
○前川清成君 一万二千。
#39
○国務大臣(森英介君) 一万二千社って……
#40
○前川清成君 一万二千組合。
#41
○国務大臣(森英介君) それはちょっと連合に聞いていただかないと分からないでしょう、これ。連合でお作りになった表でしょう、これ。
 いや、それで、申し上げますと、今、特に大企業というふうにおっしゃいましたけれども、三百人未満の規模の会社についてもアンケート調査をしておりまして、これは八十三社ですけれども、四五・八%が既に決めている、有給休暇ですけどね。(発言する者あり)いやいや。それから一五・七、要するに、大体いずれのそのサンプル数においても、大体六割程度が、あるいは七割、連合の場合はですね、そういったことでかなり認識を持った対応をしていただいているということは、これらの結果から言えます。
#42
○前川清成君 連合に聞いてくれって、これ連合から出された資料なら連合に聞きますよ。最高裁と法務省が民主党に出した資料ですよ。
 で、大臣、これが国会図書館からいただいた経団連のアンケートなんです。大臣、ちょっと見てください。アンケート集計結果とあって、アンケート概要、百九十七社中九十三社から回答をもらいましたと。その結果が、導入済み六三%と、こう書いてあるんですよ。これなら正直でしょう、皆さん。違いますよ、法務省や最高裁の説明は。その経済法規委員会の百九十七社とか回答数が九十三社とか抜きにして、ただ円グラフ全体で六三%ですよ。それってうそでしょう。そんなのまかり通るんですか、大臣。
#43
○国務大臣(森英介君) ですから、それは、アンケート調査というのはあくまでも母集団があるわけですね。
#44
○前川清成君 分かっていますよ。
#45
○国務大臣(森英介君) それが多い少ないって、それは見方によるでしょうけれども、それはそれでもって定量的に評価されているわけですから、これはこれで一つの根拠のあるデータであるということがこれは当然言えます。
#46
○前川清成君 委員長、ちょっと聞かれたことを答えさせてくださいよ。
 それならそれでいいんですよ、大臣のおっしゃるように母集団が少なかったと。でも、そのことは正直に説明すべきでしょう。その話をしているんですよ。百九十七社にアンケートしました、それらは東京電力やトヨタやパナソニックです、その結果九十三社から答えてもらいました、九十三社の答えが六三%でしたと、それだったらうそはありませんよ。それだったらけしからぬと言いませんよ。我々が受けた説明は、そんなの一切なしですよ。経団連が調査しました、すると六三%です、こう言っているんですよ。それを聞いて素直な僕たちは、日本中の会社の六三%って、そんなはずあるかいと思いますよね。大臣のようなセレブの皆さん方は分からないんですかね、中小企業の皆さん方がどれだけ苦しい目に遭っているかとか。何で六三%の中小企業で、日本中の会社の六三%でそんな特別休暇がつくれるんですか。
 続いて、大臣、資料三を御覧いただけますか。これは最高裁が配っているパンフレットのコピーです。この裁判員制度、平成二十一年五月から始まりますと、これの中です。この中に、審理に掛かる日数、三日以内が七割と、こう書いてあるんです。資料四、これも最高裁が配っているパンフレット、裁判員制度ナビゲーションというパンフレットのコピーです。この裁判員制度ナビゲーションの方を見ると、ちょっとコピーが鮮明でないと思うんですが、平成十八年の統計で、三回以内に終わるのは四三・三%と、こう書かれてある。ところが、大臣、もう一回いいですか、三回以内が四三%ですよ。ところが、資料三に戻ると三日以内が七割、数字が跳ね上がってしまうんです。
 そこで大臣にお尋ねします。
 この最高裁や法務省が、今裁判員の皆さん方の負担は余り大したことないんですよ、七割の事件は三日以内に終わりますと、こう説明しているんですが、大臣はその説明を信用されますか。
#47
○国務大臣(森英介君) それなりの、今までの裁判員対象裁判で、それなりの公判前整理手続等を踏まえて大分恐らくそれなりの裏付けができてきているんだと思いますが、そういった意味で最高裁がそう言っておられるならおおむね私は信用できるんだろうというふうに思います。
#48
○前川清成君 そうしたら、大臣、今信用すると、こうおっしゃったんですけれども、どういう根拠で信用されるのか説明していただけませんでしょうか。今の御説明は、最高裁が言っているから信用しますとしか聞こえなかったんですよ。役人が言うから信用します、そういうことですか。
#49
○国務大臣(森英介君) それはむしろ最高裁に聞いていただきたいと思います。
#50
○前川清成君 この数字のことを聞くんだったら最高裁お呼びしますって。そんな役人の答弁を聞いているんじゃなくて、先ほども申し上げました、今の法務大臣はあなたですよ。来年五月二十一日までの施行準備について責任を負っているのはあなたですよ。そのあなたが、この三日以内、これを信用してそれに基づいて制度設計をしているのか、準備をしているのかどうか、そこをお聞きしてるんですよ。
#51
○国務大臣(森英介君) おおむねそういった比率で、日数で行われるだろうということを前提にもろもろの準備を進めております。
#52
○前川清成君 だからお聞きしてるんですよ、どうしてこの三日で七割という数字を信用しているんですか、どういう根拠ですかと。
#53
○国務大臣(森英介君) それは、ですから、繰り返し申し上げますけれども、裁判所でのこれまでの実績を踏まえた数値で、これはやはりそれを信ずる以外にないじゃないですか。
#54
○前川清成君 いやいや、だから、それだったら、大臣、役人の言うことはみんな信用しますと、そうしかお答えになってないんですよ。役人の言うことを信用していたらえらい目に遭いますよというので僕は親切にもこの資料二をお見せしたわけですよ。
 じゃ、大臣、役人の言うことを信用してこの三日以内七割が正しいとして、大臣、次に、五日を超えるのは約一割と、こうなっているんです。五日を超える裁判員裁判の裁判員になった国民の皆さん方の御負担をどうお考えになるのか。それはもう不幸としか言いようがないんですか。
 あのリクルート事件、リクルートの創業者だった江副さんという方がリクルートコスモスの未公開株を政治家や財界人や官僚にばらまいたという事件、あの事件では、一審判決が言い渡されるまでに十三年掛かって、公判廷が三百二十二回開かれました。もしそのリクルート事件のような種類の裁判員裁判に巻き込まれてしまったならば、それはもう不幸としか、あきらめるしかないんですかね。贈収賄は裁判員裁判の対象になりませんというような、そういう役人の答弁をお聞きしてるんじゃありません。長期裁判に巻き込まれたときにどうなるんですかという質問です。
#55
○国務大臣(森英介君) それは、先ほども申し上げましたけれども、公判前整理手続でかなりちゃんとした予測ができるというふうに聞いておりますし、また、裁判所に同一被告に対する複数の事件が係属した場合には、裁判員の負担を軽減するために一部の事件を区分して、区分した事件ごとに審理を担当する裁判員を選任して審理する部分判決制度が設けられております。これらの諸制度を適切に運用することによって、不必要な長期にわたる裁判員に御負担をお願いすることはないようにするということが制度設計となっております。
#56
○前川清成君 大臣は先ほど、これまでの刑事裁判には基本的には問題はなかったと、こうおっしゃったんですよ。おっしゃいましたよね。その問題がなかった裁判、問題がなかった裁判のやり方で十三年掛かった裁判が、今度公判前整理手続が導入された途端に三日で終わるんですか。そんな非常識なことでよく、それで常識ですか。
 裁判が長期化する原因については、大臣、大体三つあると思うんです。一つは、例えばオウム事件のように起訴事実が多い場合、それは、大臣がおっしゃったように、部分判決制度が制度として導入されました。二つ目は、あの宮崎勤事件のように鑑定がなかなか出てこない場合がある。鑑定がなかなか出てこないのは確かに困るんですが、その間裁判員の皆さん方が裁判所に来るわけじゃないから、裁判員の皆さん方の負担はありません。三つ目が、このリクルート事件のように調書の任意性が争われる場合、密室の中で取調べが行われて、被告人の方は取調べが問題があった、だからそれは任意でない自白だと、こう言う。捜査官の方は、そうじゃありません、きっちり取調べしましたと、こう言う。しかし、密室の中ですから、お互い水掛け論をやり合うわけですよね。その結果、リクルート事件は十三年掛かって三百二十二回法廷が開かれたわけですよ。公判前整理手続が導入されたら、この三百二十二回もあったような任意性に関する争いが何回ぐらいで終わるというふうに、大臣、お考えになっているんですか。
#57
○国務大臣(森英介君) それは、何度も申し上げますけれども、その公判前整理手続において十分な整理をした上で見積りがされるでしょうから、その時点でもって決まることと考えます。
#58
○前川清成君 公判前整理手続というのは、大臣、整理手続ですから、争点の整理なんですよ。任意性というのは中身ですよ。できないですよ、公判前整理手続で任意性に関する判断を。
 いずれにしても、大臣、もうちょっと勉強してくださいよ。来年五月二十一日から呼出し状一枚で国民の皆さん方を裁判所に引きずり出すんですよ。その法制度の整備に関する最高責任者は法務大臣でしょう。
 ちょっと時間の都合もあるんで次の質問に移りたいんですが、司法試験問題の事前漏えいについて、今後はどのように対応されるおつもりでしょうか。
#59
○国務大臣(森英介君) 事前漏えいというか、御指摘の件は、平成十九年の新司法試験考査委員だった植村元教授が所属の法科大学院で答案練習会を開催するなどの受験指導をしたという問題であるというふうに思いますが、このような行為が再発することのないように、司法試験委員会で再発防止策を検討し、問題作成考査委員のうち法科大学院教員の数を減らし、考査委員の遵守事項を明確に定めるなどの措置を決定したと聞いております。
 そして、平成二十年の新司法試験から徹底された再発防止策を直ちに実行しており、平成二十年にはそのような問題は起きておりません、ないというふうに聞いておりますし、また、司法試験の実施に当たり、公正さや公正さに対する信頼の確保が極めて重要なことでありますので、司法試験委員会においてもその認識を持って対応していただいているものと受け止めております。
#60
○前川清成君 大臣、質問に答えてくださいよ。植村事件について今後どうするんですかとお尋ねしたんですよ。
#61
○国務大臣(森英介君) ですから、今申し上げたような対策を講じております。
#62
○前川清成君 じゃ、植村事件についてはもうこれからは何もしないんですか。大臣、これ事前に通告してますよ、全部。どんな準備やねん、これ。
#63
○国務大臣(森英介君) これ、今申し上げたように対策を講じて、その後は問題が生じていないというふうに承知をしております。
#64
○前川清成君 だから、植村事件について、これからは調査をしたりとかだれかを処分したりとか、もうしないんですか、あるいはこれからするんですか、どっちですか。
#65
○国務大臣(森英介君) 植村元考査委員は既に職を辞されておりますし、つまり一民間人でございますから、その点については私は十分に責任を取られたというふうに思います。
#66
○前川清成君 委員長、質問したことに答えてもらってくださいよ。
#67
○委員長(澤雄二君) もう一度質問してください。
#68
○前川清成君 これからどうするんですか。三回目ですよ、同じ質問。
#69
○国務大臣(森英介君) 必要な調査を終えて既に適切な対策を取ったというふうに私は考えております。
#70
○前川清成君 もうしないということですね。
#71
○国務大臣(森英介君) もう御本人は既に職を辞されております。
#72
○前川清成君 もう植村事件について、これから調査や処分はないんですね。大臣。
#73
○国務大臣(森英介君) もう既に調査は終わっております。
#74
○前川清成君 法務省で、もうこの件について処分あるいは調査はしないと、こうおっしゃって、明言されていますので、ついては、是非、従前からお願いしていますとおり、この委員会に植村教授をお招きして、あるいはその他の関係者の皆さん方お越しいただいて徹底した調査をお願いしたいと思いますので、委員長、この点のお取り計らいをお願いしたいと思います。
#75
○委員長(澤雄二君) この件につきましては、後刻理事会において協議をさせていただきたいと思います。
#76
○前川清成君 今日の質問をお聞きしていて、私はちょっと大変大臣には失礼ながら失望いたしました。大臣が記者会見の中でコモンセンスだとこうおっしゃるし、あるいは所信の中で常識とこうおっしゃるので、大臣がこれまで培ってこられた常識の中で、大臣の政治家として御自身のお言葉で御答弁いただけると思っていました。
 しかし、結局は、大臣、すべて官僚が用意した答弁書の丸頼みですよね。でも、大臣の常識に照らして、例えば、私は今様々御指摘した中でもおかしいとお感じになられる点はいっぱいあると思うんですよ。何で今までの裁判に何の問題もなかったのに、これほどドラスティックな改革をやらなければならないのか。
 最高裁が、あるいは法務省が、準備は大丈夫です大丈夫です、七割の事件は三日以内に終わりますと、こう言っている。大臣はじゃ、なぜそれを信用されているのかというと、結局役人が言うから信用していると、それだけでしょう。それだったら、常識の法務行政じゃなくて、役人頼みの法務行政ですよね。
 比較するわけじゃありませんが、鳩山大臣は、いろんな御批判も確かにありましたけれども、全部自分でお考えになっていましたですよ。
#77
○委員長(澤雄二君) 時間が来ていますので、まとめていただけますか。
#78
○前川清成君 ロスタイムがあるでしょう、委員長。
 大臣、それに今日のこの準備の在り方は何ですか。私は、これ十一日の午後四時に出しているんですよ、通告書。一日半もあったんですよ。何でこの程度のことがこれほど時間掛からないと答弁できないんですか。こんなことだったらこれからの委員会立ち行きませんよ。
 ちょっとそのこと申し上げて、まだロスタイムは五分ぐらいあると思いますけれども、進行の都合がありますので、ここで終わらせてもらいます。
 ありがとうございました。
#79
○松野信夫君 民主党の松野信夫です。
 厳しい雰囲気が少し委員会室に流れておりますが、私の方からは、最近のトピカルな問題、特に防衛省に絡む問題について質問をさせていただきたいと思います。
 防衛省の天皇と呼ばれた守屋武昌前防衛事務次官に、去る十一月の五日、東京地裁で判決が言い渡されました。懲役二年六か月の実刑判決であります。判決拝見いたしますと、次官時代の約四年間で接待ゴルフは百二十回、現金を含めて約千二百五十万円相当の賄賂を受け取ったと、こういうことであります。また、国会でもうその証言を繰り返した。接待を受けた商社が有利になるよう部下に指示するなどの便宜も図っていたと。
 まああきれるばかりでありますが、しかし、これは大体検察が起訴された内容ほぼそのとおりに認定をしているわけでありまして、こういうような実刑判決が出されたこと、法務行政のトップとしてどのように受け止めておられますか、まずお尋ねします。
#80
○国務大臣(森英介君) 御質問、お尋ねでございますけれども、個別の事件の判決について法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきます。
#81
○松野信夫君 余り事細かにどうこうというあれじゃありませんが、せめて御感想程度でも、大体起訴されたとおりに認定されているわけですので、御感想程度でも結構ですが、何かございませんか。
#82
○国務大臣(森英介君) 法務大臣でなければお答えいたしますけれども、差し控えさせていただきます。
#83
○松野信夫君 防衛省というところと法務省というのはある程度似ているところもあるかなというふうに思いますが、最近の不祥事は防衛省は非常にもう目に余る。この守屋事件もそうですし、今年に入ってからも、九月には格闘訓練で海上自衛隊員が亡くなられたという事件もありました。十月には防衛医大の教授が収賄容疑で逮捕される。最近は、皆さん御存じのように、田母神俊雄前航空幕僚長がとんでもない論文を発表して事実上首になった。こういうような次から次に事件が発生しているわけですね。
 やっぱり自衛隊というところは、他の組織以上に規律、規則、これをやっぱりしっかり守らなきゃいけないと。法務省もまさにそのとおりだと思います。防衛省は言うなれば自衛隊という実力部隊を持っている、法務省も検察という非常に強い権力機構を持っているわけでありますので、非常にある意味では似ているところもあるかなと、こう思っていまして、そういう意味で、やっぱり規則、規律、ちゃんと遵守する、コンプライアンスをしっかり守るということを徹底しなければならない省庁だと思いますので、そういう意味で、コンプライアンスをしっかり守ると、こういう点についての御認識はいかがでしょうか。
#84
○国務大臣(森英介君) まさに委員がおっしゃるとおり、コンプライアンスの徹底というのは極めて重要であるというふうに認識しております。
#85
○松野信夫君 そういう御認識を是非これからも貫徹していただきたいなというふうに思いますが、ちょっと防衛省の方に今日おいでいただいておりますのでお聞きしたいと思いますが、守屋氏は防衛庁の時代から言うならば有力官僚ということで、防衛庁内の人事、予算、政策に非常に大きな影響力を発揮したというふうに言われておりまして、また人事については、自分の親しい人物は引き上げる、中枢に登用する、批判的な人物は言うならば左遷をしてしまう、こういう人事の隔たりというのが際立っていたというふうに言われております。
 念のためにちょっと確認をしておきますが、守屋さんは平成十五年の八月に事務次官に就任をしておられ、その後、先ほどちょっと申し上げた田母神俊雄氏が翌十六年の八月に航空総隊司令官に就任、十九年の三月には航空幕僚長まで上り詰める、こういう人事が行われたと聞いておりますが、それで間違いありませんか。
#86
○政府参考人(黒江哲郎君) お答えいたします。
 今先生御指摘のとおりの時間的経過でございます。
#87
○松野信夫君 先ほどもちょっと指摘したように、守屋さん、大分人事についても掌握をしていたところがあるようでありまして、結局、守屋氏がこういう田母神氏についても人事案を作成して、それを防衛大臣の方に示して防衛大臣も了承すると、言うなれば了承させたというような流れになっているんじゃありませんか。
#88
○政府参考人(黒江哲郎君) お答えいたします。
 今御指摘の制服幹部の人事に関しましては、当然のことながら航空自衛隊内部における人事に関する評価、あるいは内部部局の担当部局であります人事教育局における評価、それに加えまして、今御指摘の防衛事務次官、さらには政務官、副大臣、さらに防衛大臣の人事評価といったものが総合的に勘案されまして、最終的には防衛大臣が決定をするということでございます。
#89
○松野信夫君 最終的にはそれは防衛大臣が決定するわけですが、田母神氏をこういうふうに引き上げる、こういう人事案を作っていたのは守屋氏がやっていたんではありませんか。
#90
○政府参考人(黒江哲郎君) 田母神前航空幕僚長の人事案の作成につきまして、その詳細につきまして我々確認しておるところは、今のところ確認しておる部分はございません。
#91
○松野信夫君 ちょっとよく分からなかった。守屋氏が事務次官に就任した後、田母神氏が航空総隊の司令官とか航空幕僚長までなっている、そういう人事案を守屋氏が作成していたということは間違いないんでしょう。ちょっと確認です。
#92
○政府参考人(黒江哲郎君) 守屋前次官がというところにつきましてはなかなか評価が難しいところだと思いますけれども、私、先ほど申し上げましたように、制服自衛官の人事につきましては航空自衛隊、さらには内部部局の人事教育局といったところが案を作りまして、それを順次上司に上げていくという、そういう手順でございます。
#93
○松野信夫君 それの一番トップに、事務次官ですから、守屋氏がいたことはもう間違いないと思います。
 それで、実は今非常に問題になっておりますのが田母神前航空幕僚長の書いた論文等々の問題でありますが、これは単に論文の内容がおかしいということだけではなくて、私はどうも贈収賄の疑いも十分にあるという観点に立って質問をさせていただきたいと思います。
 田母神前航空幕僚長が幕僚長の当時、いわゆるこの懸賞論文を主催をしていたアパグループの元谷外志雄代表が、昨年の八月二十一日、これ、田母神氏がかつて司令をしていた小松基地でF15イーグル戦闘機に搭乗したということが確認されておりまして、これを決裁したのは当時の田母神航空幕僚長だったと思います。それは間違いございませんか。
#94
○政府参考人(黒江哲郎君) そのとおりでございます。
#95
○松野信夫君 このとき、アパグループの元谷代表は、民間人として非常に異例ですけれども、このF15イーグル戦闘機に搭乗して四十八分間周辺を飛行したというふうに聞いております。これに掛かった費用はどの程度掛かっているんでしょうか。
#96
○政府参考人(黒江哲郎君) 本件の飛行の際に消費しました燃料の実績そのものは直接我々把握はしておりませんけれども、一般的に今先生おっしゃいました四十八分間の飛行というものに掛かります燃料代としましては、約四十五万円程度であるというふうに推計をいたしております。
#97
○松野信夫君 改めて普通の車のガソリン代に比べると何十倍もあるんだなという気がしますが、そういう費用というのはこの元谷代表は一切負担をしていないということで確認したいと思いますが。
#98
○政府参考人(黒江哲郎君) 本件の体験搭乗につきましては、防衛省におきまして広報目的に資するということで実施をいたしておりますので、本件につきましては、費用につきましては防衛省が負担をしておるということでございます。
#99
○松野信夫君 それで、一昨日の十一日の外交防衛委員会で、防衛大臣は、小松基地でこのF15イーグル戦闘機の体験搭乗は平成十八年の六月、八月、十二月の三回、それから昨年八月はこの元谷代表、そして平成二十年、今年は四月に一回、七月に二回、合計三回実施したと、こういうふうに答弁をしておられます。
 そうすると、こういうような体験搭乗というものは、普通の民間人はとても乗せてもらえるものではないと思いますので、どういうような人物を搭乗させていたのか、人物の名称が明らかにできるなら名称、あるいは肩書、どういう人物なのか、これを明らかにしていただけますか。
#100
○政府参考人(黒江哲郎君) お答えいたします。
 まず、航空自衛隊の小松基地におきまして部外者のF15への体験搭乗といたしまして、平成十八年度に先生おっしゃいましたとおり三回実施をいたしておりますが、六月の搭乗者につきましては他省庁の職員、八月につきましては航空自衛隊のイメージソングの作成に協力をいたした者、十二月につきましては航空自衛隊が撮影協力いたしました映画の撮影のスタッフでございます。
 また、平成二十年度におきましても御指摘のとおり三回実施しておりますけれども、搭乗者につきましては、四月につきましては小松基地の協力団体の副会長。なお、この協力団体といいますのは、先ほど来御指摘ございます元谷代表が会長を務めるものとは別の協力団体でございます。それから、七月に実施いたしました二回につきましては、これも航空自衛隊が撮影協力をいたしました映画の撮影スタッフでございます。
#101
○松野信夫君 そうすると、どうも歌を作ってくれたり、映画を作ってくれたり、そういう非常に特殊な関係の人の場合は体験搭乗を認めたということのようでありまして、そうすると、このアパグループの元谷さんが搭乗したというのはやっぱりこれは異例な便宜があったのかなというふうにこれは言わざるを得ないと思います。
 実際、一昨日のこの参議院の外交防衛委員会で田母神氏が参考人として招致されて、こう言っておられます。「元谷代表が体験搭乗をしたいという希望がありまして、体験搭乗の希望者はいっぱいいるわけでありますが、」元谷代表を許可した、こういうふうに参考人は言っているわけですね。ということは、いっぱいいるけれども、元谷さんを搭乗するのを許可した、やっぱりこれは元谷さんに対する特別の便宜を図ってあげたと、こういうふうにやっぱり理解せざるを得ないではないかと思います。
 それで、こういうような特別な便宜を元谷代表には一方で与えている。そして、田母神航空幕僚長は、元谷代表が務めるこのアパグループが募集した論文に「日本は侵略国家であったのか」という名前の論文を提出して、賞金という形ではありますが三百万円を受領するということであります。
 そうすると、これは見方によっては、搭乗したということ、異例の便宜を受けた、そのお礼として三百万円を賞金という形で差し上げたと。非常にある意味では巧妙なやり方で、私はこれは十分に贈収賄が成立する可能性があるし、これはやっぱり検察としても重大に関心を持って取り組まなければいけない事案だと思いますが、大臣、いかがですか。
#102
○国務大臣(森英介君) お尋ねの件については、捜査機関において収集された証拠に基づいて判断される事柄ですので、私からお答えは差し控えさせていただきます。
#103
○松野信夫君 具体的な事案について余り突っ込んだことを大臣としてなかなか言いにくいということは分からないでもないですが、今私が指摘したように、三百万という賞金があり、一方、民間人として特別異例の措置で搭乗をさせているという特別な便宜があるわけですから、余り突っ込んだ答弁はなかなか難しいかもしれませんが、せめて一定の関心は持っているとか重大な問題かもしれないという、その程度の御認識はいかがでしょうか。
#104
○国務大臣(森英介君) あくまでも一般論として申し上げれば、収賄罪は公務員がその職務に関し賄賂を収受、要求あるいは約束した場合に、贈賄罪はその賄賂を供与した場合にそれぞれ成立し得るものであると承知しておりますけれども、私が今の委員のお尋ねに直接お答えするのが不適切だというのは委員の方がはるかによく御承知だと思います。
#105
○松野信夫君 いや、別に私はそんなに詳しく認識はしていないので、率直に大臣のお考えをお聞きしたいというところで。
 多少解説的になりますが、贈収賄が成立をするためには、もう言わずもがなですけれども、公務員が職務に関しということでの、その職務の関連性という要件が必要。それからもう一つは、賄賂の収受、約束、賄賂のやり取りというのがもう一つの要件になっているわけですね。それで、異例の体験搭乗というようなことを田母神前航空幕僚長が許可をしたということはこれはもうはっきりしているわけです。これははっきりしているわけですから、私は、職務行為の関連性の要件、第一の要件はこれはまずもう明らかに満たしている。この程度は、大臣、どうでしょうか。
#106
○国務大臣(森英介君) お答えは差し控えさせていただきます。
#107
○松野信夫君 なかなかお答えいただけないですが、率直に言えば、その職務行為との関連性の要件はまず満たしているというのが、これはどう見ても常識の判断だと思います。問題は、果たしてこの三百万円というのが賄賂なのかというその賄賂性の点かなというふうに思います。
 とすると、いろいろ新聞報道、マスコミもいろいろ言っています、あるいは識者も言っておりますが、この田母神前航空幕僚長の論文というのは余り評判よろしくない、どちらかというと人の評論を継ぎはぎしたようなものでレベルが低いということで、何でこんなのが最優秀なんだというふうにかなり批判も受けているわけで、そうすると、低レベルの論文でありながら賞金という形で、かなりこれ三百万ですから高額です。これをやり取りするというのであれば、私は十分賄賂性は考えられると、別に断定はしませんが、考えられるというふうに思っています。
 現に、これは十一月九日の毎日新聞ですが、この毎日新聞の中に、田母神論文については、「「引用ばかりで低レベル。出来レースではないか」といぶかる声も防衛省内にはある。」こういう指摘があります。
 何かそういうような声が防衛省の中にあるんでしょうか。防衛省、いかがでしょう。
#108
○政府参考人(黒江哲郎君) 承知いたしておりません。
#109
○松野信夫君 まあ新聞もそういうふうに書いて、どうも出来レースではないかと。そうすると、出来レースというようなのが本当であれば、これは賄賂性というものは私はやっぱり高まる。お互いにもう話し合って、あんたの論文は内容はともかくとして最優秀ということで三百万プレゼントするからというような形でもうでき上がっているのであれば、これは賄賂性はかなり高くなる。これもうある程度常識じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
#110
○国務大臣(森英介君) 繰り返しになりますけれども、まず私は事実関係をよく承知しておりませんし、また新聞報道によって云々というのも不見識かと思いますので、いずれにしても捜査機関において収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えたいと思います。
#111
○松野信夫君 是非、法務行政のトップとして、検察とも御相談の上、証拠収集にも努めていただきたいなと思いますが。特に、この事件は、単に異例の搭乗と三百万の賞金というだけではなくて、これは組織的に防衛省が取り組んでやっていたということもいろいろと明らかになっているわけであります。
 例えば、異例の措置だというのは、航空自衛隊側が航空自衛官九十七名にこの懸賞論文に応募をさせる、これ組織的に応募をさせているということも明らかになっております。全体の応募論文数が二百三十五点だと言われておりますので、そのうちの九十七ですから、調べると四一・三%なんですね。だから、もう半分近く航空自衛隊側の自衛官が出した論文で占めていると。出来レースと言われれば、なるほど、こういう数字にも出てくるわけですよ。そういうふうなやり方でこの懸賞論文のレベルを上げる、権威付けをするというふうなこともやっているわけですね。
 また、小松基地があるこの第六航空団は、九十七人のうち六十二人、しかもこれ航空団トップの指示で論文を書かせて、さらに、論文の締切りが八月二十五日であったんですが、この締切り後の九月上旬に一括して締切り後であったにもかかわらずアパグループに提出していると。そういうふうにかなり組織的に無理をして懸賞論文かき集めて出して、実は、話としてはもう最初から田母神氏の論文が、三百万円の、選ばれる、こういう工作でもないかという、こういう疑いも私は十分にあるし、実際、マスコミの方も、これは十一月六日の日刊ゲンダイですが、田母神前航空幕僚長、アパグループとずぶずぶ関係と書いてあるんですね。ずぶずぶ関係というのはなれ合いの関係だろうというふうに思います。
 また、十一月七日の朝日新聞では、前航空幕僚長、小松基地時代からアパ代表と親密十年というそういうようなことで、非常に田母神前航空幕僚長と元谷代表とが仲が良過ぎるのではないか、そういうような事実もこれはあるわけです。
 ですから、これだけ事実がそろっていて法務、検察が何も捜査しないというのは、私はやっぱりおかしな話。せめて事実関係確認する、証拠収集、集めて更に贈収賄の点もう少しはっきりさせる、そういうようなお気持ちは、大臣、ありませんか。
#112
○国務大臣(森英介君) 繰り返し申し上げますけれども、これはやっぱり捜査機関において収集された証拠に基づいて判断される……(発言する者あり)聞きなさいよ。判断される事柄ですので、お答えは差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、法と証拠に照らし、犯罪として取り上げられるべきものがあれば適切に対処すべきであると考えております。
#113
○松野信夫君 今大臣の答弁はお聞きしましたけど、これはいろんな証拠関係、事実関係集めて、ますます私は疑惑が高まっているというふうに言わざるを得ないし、一航空幕僚長が特定の企業、このアパグループという特定の企業と余りに接近し過ぎて仲が良過ぎるというのは、一番最初に冒頭申し上げた、守屋氏が山田洋行辺りと非常に接近をしたというのと私はやや類似のものがあるのではないか、これは指摘せざるを得ない、こういうふうに思っておりますので、是非進めていただきたい。
 それから、もう一つ指摘をしておきますと、航空幕僚長が本来は搭乗できないような民間人を搭乗させろというふうに部下に命じてやらせたというのであれば、これは贈収賄だけではなくて公務員職権濫用罪、この可能性も出てくるわけですけれども、これは恐らく大臣に聞いても余りその辺は何とも御答弁にならないかもしれませんが、いずれにしろ、これは決して法務としても看過すべき事案ではないということだけはしっかり指摘をさせていただきたいと思います。
 時間の関係もありますから、続いて死刑の問題について質問をさせていただきます。
 森大臣になってから去る十月二十八日に二名の死刑囚の死刑が執行されまして、これは、長勢、鳩山、保岡各法務大臣通じてこの死刑の執行というものがわずか一年十か月の間に九回、合計二十八名に上るわけでありまして、これは過去三十年間類例がないほど大量の死刑を執行していると。なぜこんなに慌てて死刑執行をやらなければならないのか、これ、大臣のお考えを率直にお聞きしたい。
#114
○国務大臣(森英介君) これもう釈迦に説法でございますけれども、そもそも法治国家においては裁判所の判決は尊重されなければなりません。確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことは言うまでもありません。死刑の執行は、慎重な手続を経た上で、法の定めに従い粛々と行ったことの結果であって、決して意図的に執行件数を増やしているわけではございません。インターバル等については全く念頭にございません。
#115
○松野信夫君 質問しようとしていたことをもう言われたんですが、インターバルは関係ないというふうに言われましたが、ただ、事実を明らかにしますと、きれいに二か月ごとに執行がなされている、だから、悪いけど、事実だけ見るならば二か月ごとのインターバルというのが、だれがつくったかは知りませんけど、結果としてはそういうふうになっているのではないかと、これを指摘したいと思います。
 それからもう一つ、死刑の執行は慎重の上にも慎重にというふうに今言われましたが、大臣就任後まだ一か月余りぐらいということで、十月二十八日の死刑の執行というのはまだ大臣が就任されて約一か月、一か月でどれくらいよくよく慎重に検討されたのか、これはもう率直に疑問を呈さざるを得ないと思います。これは、大臣自らよくよく例えば記録を見たり検討されたんでしょうか。
#116
○国務大臣(森英介君) 私は、大臣就任以来一か月でございますけれども、これまで六十年生きてまいりまして、私の全人格と全存在を懸けて判断をさせていただきました。
 もとより、資料について十分、もうこれ以上ないぐらい熟読玩味したことは申し添えさせていただきます。その上で裁判所の判断を尊重させていただきました。
#117
○松野信夫君 私が聞いているところでは、二名執行されたうち一名は無罪を主張し、再審の準備を進める、こういうふうになっていたにもかかわらず死刑を執行されたと。しかも、通常、これまでの死刑判決の確定から実際の死刑の執行まで、これは鳩山大臣のときにいろいろ議論いたしましたけれども、大体七年ぐらい平均掛かっている。今回のは七年どころか二年ぐらいで執行すると。これまた、ですから、何でそんなに急がなければいけないのか、私には理解ができません。その点については大臣はどうお考えですか。
#118
○国務大臣(森英介君) 今申し上げましたとおり、十分精査の上にも精査を重ねて、その上に立って法の求めるところに従って判断をいたしました。決断をいたしました。
#119
○松野信夫君 それはもうさっき聞きました。私の質問は、二名のうち一名はわずか判決確定から二年程度、無罪を主張し再審の申立ての準備までしている、そういうことは、大臣、御認識はあったんですか。
#120
○国務大臣(森英介君) 個別の事案における本人の供述状況や公判審理の内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。
#121
○松野信夫君 十分に、かつ慎重に検討したと言うから聞いているんで、突っ込んで聞こうとすると、個別のことについては答えられないと。それじゃ議論になりませんよ、これは。
 ちょっと委員長、きちっと答弁させてください。
#122
○国務大臣(森英介君) 今御指摘のあったすべての諸事情を勘案し、その上で裁判所の判断を尊重して、法務大臣としての職責を粛々と果たしたところでございます。
#123
○松野信夫君 もう時間がもったいないので余りこればかりやるわけにいきませんが、どうも大臣の今の答弁を聞いてみる限り、個々の死刑囚の具体的な事情について十分に検討、慎重に検討されたというようなことが伝わってこない。
 それで、国連の方は、昨年の十二月、すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求めております。また、去る十月には、ジュネーブで開かれた国際人権(自由権)規約委員会において日本の死刑制度について十年ぶりに審査が行われ、委員の中からは死刑廃止を求める厳しい批判がなされたというふうになっておりまして、こういう国際的な批判がある、これについては大臣はどのように受け止めておられますか。
#124
○国務大臣(森英介君) 死刑制度の存廃等の問題につきましては、基本的には、各国においてその国の国民感情、犯罪情勢、また刑事政策の在り方などを踏まえて慎重に検討して独自に決定すべきものだと考えております。
 我が国では、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人などの凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等を見ますと、死刑を廃止することは現時点では適当ではないと私は考えております。
#125
○松野信夫君 私の質問は国際的な批判にどうこたえるんですかということで、そうすると、国連あるいは人権規約委員会辺りがどうだこうだ言おうとも、そういうことには一切こたえる必要がないと、こういう理解でいいんですか。
#126
○国務大臣(森英介君) それは十分そういったことも、私自身は死をもってあがなわなければならない罪というものがあるというふうに思いますが、一方で、どんなに極悪非道なことをした人であっても命まで取ることはないではないかと、こういう考えがあることも理解します。
 しかしながら、少なくとも日本においてはそういった法制度にのっとって今社会の秩序が守られているわけでございまして、法治国家としての日本の在り方を維持するためには、私は法務大臣としての職責を果たすことは当然のことであると思いますし、また国際世論もこれは確かにそういった御意見もあることは十分に理解をしておりますけれども、私はやっぱりそういった私の、私のというか、日本のそういった考えを十分に御理解していただきますように説明することは必要であるというふうに思っております。
#127
○松野信夫君 それでは、国際社会に説明が必要だと言うんであれば、国連の方から昨年の十二月に停止が求められた、死刑の執行停止が求められた、それに対しては何らかの説明あるいは弁明、国連に対してされたんでしょうか。
#128
○国務大臣(森英介君) それは、私は、少なくとも世界において最も治安の維持された国家である日本というのがやはり法制度に基づいて今そういったことが維持されているというふうに考えますから、今の日本の在り方そのものが国際社会に対する説明になっていると思います。
#129
○松野信夫君 それはちょっと今乱暴な話ですよ。しかも、私の質問は、国連から死刑執行の停止が求められたわけです。国際社会に対して説明をするというふうに大臣は言うから、じゃどういうような説明なり弁明を国連に対してしたんですか、あるいはこれからする用意があるんですか、これを聞いているんです。
#130
○政府参考人(大野恒太郎君) 死刑をめぐりましては、国際的に様々な議論が行われております。ただいま御指摘のありました国連の指摘がそうでありますし、また、先般は人権B規約の関係で審査が行われたところでございます。そうした場におきまして、日本政府といたしましては、死刑を存置すべきであるという日本政府の考え方を説明しているところでございます。
#131
○松野信夫君 それは、説明していると言うんであれば、いつどこでどういう形でだれに説明したのか、明らかにできるなら言ってください。
#132
○政府参考人(大野恒太郎君) 最も最近の例について申し上げますと、十月にジュネーブで人権B規約についての審査というのがございました。その場に日本政府の代表者も臨みまして、死刑問題についての日本側の考え方を説明したわけでございます。
#133
○松野信夫君 いや、それは説明、答弁になっていない。そこでまさに審査がなされて批判が加えられているわけですから、それはちょっときちんとした答弁、説明には私はとてもなっていないというふうに、その場の単にやり取りをしているだけの話で、ちゃんとした国際社会に対して、あるいはきちんと国連に対して説明ということには全然なっていないとこれはもう言わざるを得ないと思います。
 御承知のように、死刑執行大国というのは中国とアメリカです。このまま二か月置きにまさにエレベーター式のような形でなっていけば、私は日本も同類だというふうになりかねないというわけであります。先ほど前川委員のところでも話が出ていましたように、来年の五月から裁判員制度がいよいよスタートする。このままでは一般の市民の皆さんにも死刑という宣告を言わされる、こういうことも十分あり得るわけで、私は、せめてお隣の韓国のように死刑の執行を停止する、せめてそれを検討するというようなお考えはないのか、この点ちょっと確認したいと思います。
#134
○国務大臣(森英介君) 死刑の執行を一時的に停止することについては、法治国家として死刑制度がある以上は、法律上の措置がとられない限り、法務大臣の判断のみで死刑判決を漫然と放置することは許されないというふうに考えます。また、国民世論の多数が、先ほど申し上げましたように、悪質、凶悪な犯罪については死刑をやむを得ないと考えております。また、死刑の執行が停止された後にこれが再開された場合には、これは死刑確定者に死刑が執行されないという期待をいったん持たせながら覆すことになって、極めて非人道的な結果にもなりかねません。
 こういった理由から、停止するというのは決して適当ではないというふうに考えます。
#135
○松野信夫君 裁判員制度にまさにもう直前のときでありますので、そうすると、裁判員、一般の市民の皆さんに死刑というような選択をさせて一生ある意味ではその重荷をしょってもらう、こういうことで、大臣としてもそれはそれでいいんだと、こういう御認識ですか。
#136
○国務大臣(森英介君) それはまさに、繰り返しになりますけれども、法治国家でありますし、また皆様方で成立させた、法案を成立させた裁判員制度でございますので、その中にあって国民の方にそういう判断をしていただくというのは、これはやむを得ないことであると考えます。というか、むしろそういうケースも起こることはこの制度の当然の帰結であるというふうに考えます。
#137
○松野信夫君 先ほど申し上げたように、死刑執行大国、中国、アメリカで、日本も半分そうなっている。ヨーロッパの諸国は大体死刑は廃止されているわけです。ところが、死刑廃止が決まる前に、ヨーロッパの諸国でアンケートも取っておられる。そのアンケートを見ますと、国民の中には死刑存続を望む声というのはかなり多かったんです。多かったんですね。ところが、やっぱりここは政治家が判断をして、やっぱり死刑は廃止すべきだという、これはまさに政治家が政治判断をしっかり下してヨーロッパの諸国は死刑を廃止したんです。ですから、必ずしもその当時、国民の声は死刑廃止に賛成というのが多数ではなかった。
 だがしかし、そこは政治家がしっかり識見を示すという形でリードして、現在、ヨーロッパの方ではそれが、つまり死刑廃止というものが定着をしている、こういうような事実があるんですが、大臣、これは御存じですか。
#138
○国務大臣(森英介君) 承知しております。加えて、委員が今おっしゃられたような立場というのは十分あり得るということを私も理解いたします。
 しかしながら、法治国家として今の死刑制度が存置されている中で今、日本の社会が維持されているわけでございますので、法務大臣としては今死刑制度を廃止するのは適当でないというふうに考えているところでございます。
#139
○松野信夫君 今大臣の答弁の半分、前半部分はしっかり認識しているということで、初めて私はいい答弁いただいたような気もしますが。
 それで、元法務大臣の鳩山さんは、この法務委員会でも、死刑についてはやっぱりどうしても法務大臣が判こをつくというのには非常にやっぱり精神的に負担があると。ですから、乱数表を使うとか、あるいはエレベーター式に死刑の執行というようなことができないのか、死刑執行について法務大臣が判こをつくことについては余り悩まないような形で自動的に進むような方法はないのかと、こういうような発言もして、まあ少し物議醸したわけですけれども。
 こういう自動的に進むということについては、森大臣はどのようにお考えですか。
#140
○国務大臣(森英介君) 鳩山元大臣の何とかそういった思いをできることならば避けたいという心情は十分私も共有するものでございます。
 しかしながら、やはりこれは人の命にかかわることでありますので、やっぱり自動的にどんどんというのは誠に不適切であって、やっぱりそれなりの責任を持って法務大臣として対処しなきゃいけないと思いますが、ただ、責任を持つといっても、執行の命令に責任を持つことが第一義であって、あくまでも判断は裁判所においてなされるものでございますので、要件が整ったら原則としてやはりきちんと対処しなきゃいけないと思います。
 ですから、鳩山元大臣も、やはり心情的には私も理解いたしますけれども、やっぱり人の命にかかわることですから、やはりそれなりに十分な慎重な検討とまた責任の上に立って判断がなされなければならないというふうに考えておるところでございます。
#141
○松野信夫君 鳩山大臣が言われたんですが、死刑については非常に精神的に負担のところもあるので、死刑の執行について省内で勉強会というか検討会というものをつくって検討したいということで、鳩山大臣のときにそういう省内の検討会が発足したように聞いておりますが、それは現在はどうなっているんでしょうか。
#142
○政府参考人(大野恒太郎君) 死刑の制度あるいは運用の在り方につきましては、鳩山大臣の下で勉強会を数回にわたって開催いたしました。そうした勉強会の議論等を通じまして、昨年、死刑執行をした者の氏名の公表等の新しい措置をとることにしたわけでございます。
 この勉強会は鳩山大臣の下で行われたものでございまして、現在は勉強会という形では存続しておりません。しかし、死刑の制度の在り方あるいは執行の在り方につきましては、様々な観点から省内で意見を交換し、検討を不断に進めているという状況でございます。
#143
○松野信夫君 死刑の問題については更にこの委員会で議論をさせていただきたいというふうに思いますので、是非法務省としても慎重に検討をしていただきたいと思います。
 まだ民法七百七十二条問題について今日質問する予定でありましたが、少し、時間が参りましたので、この問題についてはまた後日しっかり議論させていただくことにして、私の質問は終わります。
#144
○松村龍二君 自民党の松村でございます。時間をいただきまして質問をさせていただきます。
 まず、森法務大臣、御就任おめでとうございます。また、佐藤副大臣、早川政務官もそれぞれ造詣の深い方でございまして、御就任にお祝いを申し上げます。
 この度の大臣御就任に当たられまして麻生総理大臣より、特に裁判員制度の円滑な導入を始め司法制度改革を推進することと、安全な日本にふさわしい入国管理を推進することの二点につき御指示があったとお聞きいたします。
 そこで、まず司法制度改革の構造に関連する問題からお伺いします。
 まず、法科大学院、司法修習の問題についてでございます。
 大臣は十月十日の記者会見におきまして、法科大学院が当初のねらいどおり機能していないと発言されておられます。そこで、法科大学院がねらいどおり機能していない原因は何か、どのように解決すべきかといったことにつきましてお伺いいたします。
 法科大学院につきましては、発足して五年目に入り、新司法試験も先ごろ第三回目の結果が発表されたところと承知しております。そして、司法試験の合格者数については、国民のための司法を実現するためのまさに司法制度改革の基盤を成すものと理解しているわけでありますが、同時に、最近、この点に関しては日弁連や各地の弁護士会から弁護士増員のペースダウンの要望など様々な意見も寄せられていると報道されております。
 司法制度改革審議会の意見書の趣旨からも、国民に身近な司法の実現のため、弁護士を中心とした法曹人口の拡大が基本であると思われますが、司法試験の合格者数、併せて法科大学院の定員の問題も含みますが、法務大臣の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
#145
○国務大臣(森英介君) 二十一世紀の司法を支えるためには、その人的基盤の整備として法曹人口を大幅に増加させる必要があると考えております。
 平成十四年三月十九日に閣議決定された司法制度改革推進計画では、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころには司法試験合格者数を年間三千人程度とするということを目指すとされておりますけれども、今委員から御指摘ありましたとおり、私は、やはりなかなか現状において法科大学院が当初の、所期のとおりには今いっていないんじゃないかという懸念を持っております。
 まず、いささか数が多くなり過ぎてしまったことにそれが起因するというふうに思いますけれども、今後こういったことを、法曹人口を増加させ、かつ質を維持するということを何とか実現しなきゃいけないと考えておるところでございますけれども、そのために、やはり法科大学院は、入学者の適性を的確に評価して入学者の選抜をすること、また将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力等を教育すること、さらに厳格な成績評価と修了認定をすることなどが求められていると考えております。
 したがって、法科大学院が入学定員を充足するために、適性のない入学者や法科大学院の教育能力を上回る入学者を入学させるということはやはり避けていただかなければならないと考えているところでございまして、今、文部科学省と連携して今法科大学院にいろいろと聴き取り調査をして、こういったことを実現するように求めていきたいというふうに考えております。
#146
○松村龍二君 どうもありがとうございます。
 司法試験の合格者数を増加させたことにより合格者あるいは司法修習生の質が低下したとの指摘もあるようであります。国民からすれば、数が増えても質が低下したということでは困るわけでありまして、法曹の質の確保も不可欠と思われます。
 この点につきましては、いわゆる二回試験の不合格者の増加といった報道もされておりますし、様々な意見があるようでありますが、新司法試験が始まってからの司法修習生の能力といいますか質の現状について、これなかなか一言では難しいかと思いますが、どのように把握しておられるのか、最高裁判所の説明を求めたいと思います。
#147
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 新司法試験が開始されるようになった後の司法修習生の能力あるいは質の状況という点につきましては、今委員からも御指摘ありましたとおり、様々な意見があるものと承知しております。
 司法修習を所管する最高裁判所といたしましても、そういった問題について関心を持って司法研修所教官あるいは配属庁の指導官などから話を聴くなどしているところでございます。
 そういった中で、教官等の指導の経験に基づく印象といたしましては、例えば、概して口頭で、口の口頭でございますが、口頭で自分の考えを述べる能力に優れているなどと法科大学院教育によるメリットを評価するもの、あるいは従来の司法修習を経た者と比べても決して遜色はない、こういった意見も多いわけでございます。しかしながら、残念ながら、下位層の修習生の中には民法あるいは刑法等の基本法の理解が不十分な者が見られるといった指摘もあり、これらの者が先ほど御指摘のあった二回試験の不合格者増と関係があるのではないかと、こういった見方もあるところでございます。
 新しい法曹養成システム、プロセスというのはまだ始まって日が浅いところでございまして、新制度によって生まれた司法修習生の質につきましては今後とも注意深く見守っていきたいと、このように考えております。
#148
○松村龍二君 私も、この法務委員会の調査に同行いたしまして視察してきたこともございます。確かに口頭によりまして自分の考えを自由に述べ、またそれを切磋琢磨してやっていくという点については明らかにプラスがあるなという感じを持ったことがございます。
 これらの問題点を踏まえた法科大学院の現状、さらには今後の改善に向けまして、中央教育審議会法科大学院特別部会におきましては、先日、法科大学院教育の質の向上のための改善の方向を中間まとめとして取りまとめたと聞いております。そこで、その中間取りまとめの概要について御説明ください。
 また、文部科学省としても、このような改善の方向を踏まえて、平成二十一年度の概算要求で、法科大学院教育水準高度化事業として、共同設置や共同教育体制の構築を図る取組に対して二年間の重点的な財政支援を行うこと等を検討されておられるようですが、文部省からその内容について御説明願いたいと思います。
#149
○政府参考人(久保公人君) 本年九月三十日に、中央教育審議会法科大学院特別委員会におきまして、法科大学院教育の質の向上のための改善方策について中間まとめを取りまとめたところでございまして、プロセスとしての法曹養成の中核的機関であります法科大学院の教育の質の向上を図るために、四つの柱で中間まとめを行ったところでございます。
 その中身といたしまして、第一点目が、適性試験の改善や社会人向けの入学者選抜、教育課程の設定の促進も含めました入学者の質と多様性の確保。第二点目が、共通的な到達目標の設定や厳格な成績評価も含めた修了者の質の保証、三点目が、専任教員数の確保や入学定員の見直しも含めた教育体制の強化、四点目といたしまして、評価方法の改善や情報公開の促進も含めた質を重視した評価システムの構築など、幅広い改善の方向性の内容を盛り込んだところでございます。
 今後、中央教育審議会法科大学院特別委員会におきまして、この中間まとめの内容を具体化しながら本年度末までに最終的な取りまとめを行うことといたしております。
 それから、平成二十一年度概算要求いたしております法科大学院教育水準高度化事業でございますけれども、法科大学院の教育の質の一層の向上を図りますために、法科大学院間の連携、共同体制の構築による教育水準の高度化を促進しますとともに、各法科大学院におけるより適正な定員規模を模索いたしまして、適切な教育体制の確保が図られますよう、例えば教育水準高度化のための共同教育プログラムや効果的な授業方法の共同開発、司法修習との連携を踏まえた実務基礎教育プログラムの開発、研究、厳格な成績評価、修了認定システムの開発、共同FD、教員研修の実施等の教員の資質向上の研究などの取組に対し支援を行うための予算を概算要求として盛り込んでいるところでございます。
 以上でございます。
#150
○松村龍二君 今後、法科大学院の現状及び問題点にかんがみ、将来的に統廃合や定員の削減といった問題もあろうかと思いますが、一方で、地方ではまだまだ弁護士の数が不足しているという現状もあると思います。元々、現在の法科大学院につきましては、その六割以上が関東、関西に集中しており、定員が百人から三百人といういわゆる大規模校もそのほとんどが首都圏や関西圏にあるわけでございます。弁護士についても大都市偏在という指摘がなされておりますが、法科大学院につきましても全く同様の問題があります。
 そこで、仮に法科大学院の統廃合や定員削減が行われる場合でも、単に新司法試験の合格率だけを基準とし、地方の法科大学院の定員が多く削減されるというようなことがあってはならないということを指摘させていただきます。法科大学院の設置の際に求められた地域性への十分な配慮というものが欠かせないと考えるわけであります。
 この点に関する認識と対策につきまして、文科省、法務省から一言ずつ御返事をお願いします。
#151
○政府参考人(久保公人君) 法科大学院の定員問題に関しましては、まず、その配置に関しまして、元々、司法制度改革審議会の意見書におきまして、法科大学院の設置については、適正な教育水準の確保を条件として、関係者の自発的創意を基本にしつつ、全国的な適正配置となるよう配慮することとされておりまして、この基本理念に基づきまして設置の認可をいたした結果、現在、法科大学院は北海道から九州、沖縄地域まで全国的な広がりを持って設置されているところでございます。
 他方で、今回取りまとめられました中央教育審議会の中間まとめにおきましては、法科大学院教育の質の保証の観点から、質の高い教員の確保が困難であるですとか、質の高い入学者の確保も困難、そして修了者の多くが司法試験に合格していない状況が継続しているという法科大学院につきましては、大学の規模のいかんにかかわらず、自ら主体的に入学定員の見直しを検討する必要があるという指摘がなされたところでございます。
 したがいまして、これらのあらゆる点を加味しながら、文部科学省といたしましては、全国的な適正配置に配慮しつつ、それぞれの法科大学院において、教員の確保の状況、入学者選抜の状況及び地域法曹の養成の状況など、総合的な観点から定員の見直しや他の法科大学院との連携など適切な教育体制の在り方について検討するよう促してまいりたいと考えております。
#152
○国務大臣(森英介君) 私も松村委員と全くその認識を一にするものでございまして、法務省としても、地域的な偏りですとかあるいは質の低下というふうなことが起こらないように、文部科学省をサポートして取り組んでいきたいというふうに考えております。
#153
○松村龍二君 続いて、いわゆる刑務所の過剰収容問題についてお伺いしたいと思います。
 この問題に関しては前にも法務委員会でお聞きしたところでございますが、刑務所の過剰収容状況について、法務省でも施設の増強等に努めておられるとともに、その一環としていわゆるPFI方式による刑務所等も複数始動されているとのことであります。また、法務大臣も、先ごろ島根あさひ社会復帰促進センターの開庁式に出席され、また千葉刑務所も視察されたとお聞きしておりますので、最近の刑務所の収容状況と過剰収容対策、あわせてPFI方式による刑務所建設等に伴う収容能力の強化とその効果等につきまして、法務大臣御自身の視察等を踏まえて十分に御検討されていると思いますが、お考えを御説明いただきたいと思います。
 ここ数年、この過剰収容の問題は非常に声高に叫ばれまして、法務行政の中でも一番の問題かというふうに我々も認識していたわけですが、このところちょっとこういうこと、建設が続いたのか、何か声が小さくなったように聞こえるわけでありますが、絶対数からすれば決してまだまだであるというふうに認識いたしますので、御質問いたします。
#154
○国務大臣(森英介君) 委員御指摘のとおり、刑務所等の収容人員は平成十年ころから急激に増加いたしまして、年末の収容人員では、平成十年末の約五万二千七百人から、平成十九年末には二万七千人余りも増加いたしまして約七万九千八百人となっております。このうち、受刑者の既決被収容者について見ると、平成二十年九月末現在、収容率にして約一〇二%と、依然としてその収容状況は大変過密になっております。
 このような過剰収容状況が常態化していることなどによって、被収容者のストレスも高まり、被収容者間のトラブルやあるいは職員に対する暴行事犯などが増加しておりまして、職員の業務負担は一層増大しているということであります。
 こうした過剰収容状況の解消のため、これまで、今お話のありましたPFI手法を活用した刑務所の新設や収容棟の増改築工事などにより収容能力の拡充に努めてきたところでございます。
 また、職員についても、平成十年度の一万七千七十五人から平成二十年度には一万八千五百十七人と千四百四十人の純増が図られまして、さらに、平成二十一年度予算要求におきましては、新設刑事施設の適切な運営及び矯正処遇の充実強化等を図るため刑務官の増員を要求しているところでありまして、引き続き、諸般の事情を考慮しつつ適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、私も、就任いたしましてから、PFI手法を活用いたしました島根あさひ社会復帰促進センターの開庁式にも出席いたしまして、大変地域の皆さんに御理解と御協力をいただいてああいう施設ができたということを目の当たりにしてまいりましたけれども、矯正あるいは教育の面からでも新しい取組がいろいろ取り入れられて、大変期待を持てる施設だというふうに感じました。
 一方、私の地元であります千葉刑務所も視察をいたしましたが、これは、一人部屋に二人収容しているというような部屋も随分ありまして、大変過剰収容の実態を目の当たりにしてきたわけでございますが、刑務官からも刑務官の今の業務の大変さを、生の声を聞きまして、本当に苦労がしのばれた次第でございます。
 いずれにしても、やはりこういった状況というのは余り好ましくありませんので、適切な収容能力を持った施設と要員が必要であるというふうに考えております。
#155
○松村龍二君 次に、薬物犯罪の問題についてお伺いします。時間が押しておりますので、直接厚生労働省に御質問に入りたいと思います。
 最近、皆さんも御承知のとおり、大麻について、有名大学の学生や元講師が検挙されたり、また、大相撲の外国人力士や有名俳優等につきまして同様の事件が報じられております。
 そこで、大麻犯罪が、現在、大麻がどのような特色、特性があり、これに対して現行法上どのような規制が設けられているのか、お伺いいたします。
 また、大麻の違法性につきましては諸外国でいろいろ法制がありまして、医学的にいろいろな様々な意見があるようでありますが、政府として大麻の取締りに関しましてどのような立場に立っておられるのか、答弁をお願いします。
 また、あわせて、大麻取締法では、所持、譲渡、無許可販売等は処罰されるようでありますが、単に吸引しただけでは罪とならないというふうに伺います。また、インターネット等で外国産の大麻種子を販売する業者がいるにもかかわらず、逆に輸入されたものでも発芽前の種子であれば国内での所持や販売に罰則がないことから、種子を購入し自宅のベランダ等で大麻草を栽培するといった事件も増加の一途をたどっております。このような法制につきましても、現在のこれが妥当なのかどうか、厚生労働省からお伺いいたします。
#156
○政府参考人(岸田修一君) まず、大麻とはどういうようなものか、それからまた我が国での規制、取締りについての御質問がございました。
 まず、大麻の繊維の部分につきましては衣類あるいはしめ縄などについて使われている、あるいは、大麻の種子については七味唐辛子や小鳥のえさなどに使われているということで、非常に国民生活に関係の深い存在となっております。
 一方で、大麻の葉あるいは花穂という部分でありますけれども、そこには意識を変える酩酊感あるいは陶酔感、幻覚作用、そういった作用を発現させ、人体の正常な機能に障害を与えると、こういう有害な作用がある物質が含まれているということも分かっているところであります。
 そのため、大麻については成熟した茎や種子といったものを除いては我が国では大麻取締法で規制をしているわけでありまして、また国際条約におきましても各締約国に対しましては大麻の取締りというものが求められているところであります。
 また、大麻取締法におきましては、都道府県知事による免許を受けていない者が大麻を栽培あるいは輸出入、譲渡、譲受、所持等を行うことを禁止しておりまして、その違反に対する罰則が設けられてございます。
 また、使用罪がない理由についての御質問がございました。
 大麻取締法におきましては、免許を受けた者以外の大麻の所持、栽培、譲渡、譲受けというものに対しまして違反した者を処罰することにしておりますが、その吸引などの使用行為については処罰の対象となっていないということは議員御指摘のとおりでございます。
 これにつきまして、国際条約、先ほど申し上げましたが、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約というところで規制をしておりますけれども、これにつきましても大麻の吸引等の使用については締約国に罰則の制定を求めておりません。また、多くの先進諸国におきましても使用罪を制定していないところであります。
 また、本人が能動的に大麻を吸引していないで、例えば密室で、あるいは人混みの中で第三者が吸引した大麻を間接的に吸引する場合と、こういうものがございます。また、大麻の栽培農家で、何といいますか、大麻を刈る作業をする段階で空気中に大麻の成分が飛散をするというところで、それを吸引して麻酔いという症状を呈する場合もございます。そういったようなことから、刑罰をもって臨むということが不適切な場合があるという事情もあるところでございます。
 しかしながら、大麻を不正に使用する場合、その前段階として大麻の譲受あるいは所持罪というものが成立する場合が多いわけでありますし、また大麻の回し飲みと、こういうことが行われる場合に、所持罪の共犯で処罰し得る場合もあるわけでございます。
 今後とも、そういった観点から関係取締り機関と緊密に連携の下に取締りの徹底を図る必要があると、こういうふうに思っております。
 また、大麻の種子についての御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたが、七味唐辛子や鳥のえさというものに使われているということとともに、その種子には有害な成分が含まれていないということでございます。また、国際条約についても対象にしていないということは先ほど申し上げたとおりでございます。しかしながら、相手方が栽培することを知って種子を提供するあるいは運搬すると、そういった行為については罰則を設けて規制をしているところでございます。また、インターネットで販売しているという場合につきましても、現に大麻の種子の販売者あるいは購入者の検挙をすると、こういったことも行っているわけでございます。
 今後とも、大麻栽培者自体の取締りとともに、種子の販売者の取締りにも徹底していきたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
#157
○松村龍二君 大麻につきましては、文部省も来ていただきまして、最近大学のキャンパスで野方図に行われているということについて御質問をしたいと思っておりましたが、時間がないので省略させていただきます。
 最後の質問でございますが、皆様御関心の取り込み詐欺、おれおれ詐欺でございます、振り込め詐欺ですか、について警察庁からお話をお伺いしたいと思います。
 振り込め詐欺が大変多く発生しておると。被害防止のためにどのような広報活動、いろいろ展開していただいているか。また、銀行等の金融機関、コンビニエンスストア、携帯電話各社、総務省、関係機関事業者等の総合的な力が必要である。余り外国で聞かない話かと思いますけれども、この犯罪についてどのように警察庁として認識し、また取締りの姿勢を持っておられるのか、六分までお答えいただきたいと思います。
#158
○政府参考人(米田壯君) いわゆる振り込め詐欺というのは、先ほど委員の御指摘もありましたように、いわゆるおれおれ詐欺、それから架空請求詐欺、融資保証詐欺、そして最近出てきた手口の還付金詐欺でございます。
 平成十五年ごろから被害が目立ち始めまして、平成十六年には年間被害二百八十四億円というピークに達したわけであります。その後、取締り、それから今御指摘ありましたように事業者の方々との協力、それから法令の整備も次第に進んでまいりまして、逐年減少させてまいりました。
 ただ、昨年の後半から再び増加傾向となりまして、今年に入りまして急激に増加をしております。今年の前半では、一番多い月では月間被害額が三十億円を超えるという事態になってございます。その最大の要因は、いわゆる還付金詐欺の急増にあるというところでございます。
 この被害者は、多く被害者は大体八割ぐらいが女性であります。それから、六十五歳以上の方々が約六割を占めるという、非常に高齢者がターゲットになっているということでございます。
 検挙の方も、平成十六年当時は約千三百件余りでございましたけれども、逐年これも増加をいたしまして、昨年は三千件以上検挙をしているところでございます。今年ももう九月までに二千五百五十八件検挙をしているというところでございます。
 これへの対策でございますけれども、この最近の急増を受けまして、本年六月、警察庁におきましては、次長を長とする振り込め詐欺対策室を設置をいたしまして、また七月、法務省と共同いたしまして振り込め詐欺撲滅アクションプランを策定、公表したところでございます。
 この振り込め詐欺の対策といいますのは、単に取締りだけではなくて、特に高齢者の心に届く広報啓発活動をしなければならない、それから不正に流通する匿名の携帯電話あるいは預金口座の流通を遮断しなければならないということで、総合的な対策を取らなければならないと考えております。
 警視庁の調査では、振り込め詐欺の被害者のもうほぼ一〇〇%が振り込め詐欺というものの知識はあった、しかしながら振り込んでしまった、そしてその三割は銀行員に制止をされたけれどもそれを振り切って振り込んでしまうと、そういう非常に犯人の巧妙悪質な手口にだまされてそう思い込んでしまうということでございますので、具体的な手口を紹介しつつ、また犯行再現ビデオなども見せつつ、特に高齢者の方々を中心に広報に努めてまいりたいと考えております。
 それから、事業者とのいろんな連携につきましては、今年いろんな話合いをいたしまして、本人確認の徹底など様々な対策を取るということにいたしまして、逐次、今実行段階に来ております。そういったことも含めまして、振り込め詐欺の撲滅に取り組んでまいりたいと考えております。
#159
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 そのほか、最近最も多い高齢者の犯罪等についても、あるいは刑務所内での福祉と矯正との問題とか御質問しようかと思っておりましたが、時間が参りましたので、これにて質問を終わらせていただきます。
#160
○委員長(澤雄二君) 午後一時十分に再開することとし、休憩をいたします。
   午後零時十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#161
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#162
○丸山和也君 自由民主党の丸山和也でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、午前中にもやや若干関連した質問がございましたんですけれども、司法試験の合格者数という問題について少しお聞きしたいと思います。
 いわゆる三千人という数字ですね、司法試験合格者三千人を当面の目標にすると。これ閣議決定でもそのようになっているということで既定の事実のようになっているんじゃないかと思いますが。かつて鳩山法務大臣がこの委員会でも、また記者会見でも、一応そういう目標はあるんだけれども、それはちょっと多過ぎるんじゃないかと。あるいは、当面そういう方向に行くかもしれないけれども、三千人で毎年ずっといいというのはどう見てもおかしいと。かなり鳩山大臣の当時の個人的、まさに個人的な信念に基づくというか所見であったように思うんですけれども、それで見直すは大胆に見直すべきだという御意見を述べられていたのでありますが。
 私もここ数年、新司法試験制度、ロースクールの問題とか合格者数の状況、それから就職の状況、それからいわゆる合格者の質の問題ということ、こういう総合的にいろんな角度から考えてみて、やはり当初の三千人というのはちょっと勢いが、入れ過ぎたんじゃないかということで、実質的にやはりここ数年の状況を見るなりして、取りあえず三千人行ってから見直すというんじゃなくて、やや早めにそこら辺を軌道修正するということも必要じゃないかと、そういうことを鳩山大臣が大臣を離れられる直前にも文書で弁護士その他の何名かで申入れもしたんですけれども、僕もそれが非常に心残りになっているんだけれどもということで職を去られたんですけれども。
 新法務大臣として、この点についてはどのようなお考えを持っておられるのでしょうか。これは個々のロースクールの問題とかいろいろな問題とも関連するんですけれども、一つの大きな目標としてこの数の問題というのはやっぱり避けて通れない問題だと思いますので、ここら辺のとらえ方について忌憚のないところをお聞きしたいと思います。
#163
○国務大臣(森英介君) 法曹の数がどれだけが適正かということはちょっとあれですけれども、諸外国に比べて日本がやっぱり非常に少ない。それから、先ほど、午前中の松村委員の御質問にもありましたように、地域的な偏在があるとか、そういった意味で、また例えば企業の中のローヤーがいないとか、諸般の観点からやはり法曹の数というのは今よりも大分増やさなきゃいけないんじゃないかというのが私の基本認識でございます。
 後ほどそこに、今委員の御質問にありましたように、閣議決定がなされて三千人という政策目標が掲げられているわけでございまして、私は、ですからやはりこの閣議決定に沿って大幅に増加させる努力をしなければいけないと考えているものであります。
 ただ、法曹人口の増加に当たって質が低下しちゃってはこれはまた具合が悪いわけでございまして、質量ともに充実した法曹の養成を図らなければいけないという非常に難しい課題に当面しております。そのためにやはり今の法科大学院の在り方というのには私は若干物足りないものを感じておりまして、これは今文科省の方でも、法務省も一緒になって、いろんな聴き取りとか今後の対策を講じるわけでございますけれども、いずれにしても、法科大学院が所期のような内容を持った法科大学院になってもらうとともに、そこできちんとした法曹を育てていただいて、そしてやはり社会の需要にこたえてもらいたいと、こう思うわけでございます。
 法科大学院については、やはり今入学者の選抜方法の問題ですとか、それから教育内容の充実、厳格な成績評価と修了認定の徹底などが図られるべきであると考えますし、また共同でもってカリキュラムをこなすという在り方も模索されているようでありますし、いずれにしても、法科大学院が更にブラッシュアップされて、そして質の高い法曹を育てられるようになって、かつ、二十二年の三千人というのは、これ政策目標でありますから、あくまでも目指して頑張りたいと思っているところでございます。
#164
○丸山和也君 多分というか当然政府側としてはそういう答弁になると思ったんですけれども、私からのお願いですけれども、そうであったとしても、やっぱり恐らく多過ぎることになるんじゃないかというふうに私は思いますので、要望では千五百人程度が妥当じゃないかという御意見を申し上げて、多くても二千人程度ではないかと、そういう意見もかなり強くあるということを再度御検討いただいて、日本にはやはり司法書士とか弁理士とか行政書士、その他いろいろ周辺法律分野の専門家がたくさんおりますから、そういう数も増えると必ずしも一概に低いとも言えませんので、数がですね、人口当たり。そういうことで、増やし過ぎたわ、質は低下はするわ、あるいは就職難で問題が起こるわということにならないように、是非とも、決してこれは同じ職業の人が自分を守るという観点から言っておるんじゃないんでありまして、やはり日本的なといいますか日本に合った数というのを現実的に早め早めに算定していただいて方針にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしておきます。
 次に、大臣が所信表明の中でも述べられております外国人旅行者の増加は非常に好ましいことだということで、近いうちに訪日外国人旅行者一千万人突破を目標にしたいと。これは観光立国としては非常に何ら問題はないと思うんですけれども、ただ、固有の問題として今日質問させていただきたいのは、いわゆる対馬の問題ですね。
 昨今、若干一部の新聞でも取り上げているんでありますけれども、離島というか、日本から関心が余り持たれてなかった対馬において非常に韓国人旅行者あるいは居住者が増えて、しかもそれに伴って不動産の買収もかなり積極的に行われていると。そして、これが、それだけではまあ見過ごしてもいいかという意見もあると思うんですけれども、韓国の方で与野党の議員が対馬返還要求決議かなんかを、そういうのを出したということもありまして、あれは韓国の領土なんだ、返還要求をこれからしていこうという決議までしたということが一部新聞にも報道されています。
 そして、もちろん韓国との間には竹島の領有をめぐって非常にかなり鋭角化した議論がずっと前からあるんですけれども、それを飛び越して更に対馬まで迫っていると言ったら大げさですけれども、そういう中で若干この問題がクローズアップされてきまして、大臣の敬愛される長年の友というか先輩といいましょうか、麻生総理がこれについて所感を聞かれたときに、まあ日本がアメリカの土地もいろいろ買ったんだし、そのときも文句ないんだし、それは別にどうこう言う問題じゃないんじゃないのという極めて一般論的な見識を示されているんですけれども、これはいささかちょっとやっぱり対馬問題に関してはやや違うという、やっぱり島なり領土の位置とか特殊性とか、そういうことを考えて、国防とかいろんな観点からやっぱり発言していただきたかったと思うんですけれども、これについて法務大臣は、この対馬問題について何か今後検討する必要があるとお考えになっていますか、それとも、総理のややあっけらかんというかのうてんきのような発言がございましたけれども、あれでいいんだと思われているのか、そこら辺、お聞かせいただきたいと思います。
#165
○国務大臣(森英介君) 確かにおっしゃるように対馬には随分昨今韓国人の訪問者が多くて、平成十五年には一万五千人程度であったのが平成十九年には六万五千人を突破したと、こういうことでございますけれども、また、確かに報道では韓国資本が土地を買っているというような話も聞き及んでおりますが、ただ私は、最初先生からの御質問を内々聞きましたときは総理と同じような感想を持ったわけでございますが、いずれにしても、不動産取得について何らかの規制をすべきかどうかについては、その前提としてどのような実態があるのかということを把握する必要があって、また把握した実態を踏まえて規制が必要であるかあるいはないかということを検討することになると考えております。したがって、まずは規制をする必要があるのかという実態把握に努めるべきであろうと考えております。
 ただ、外国人の土地取得について国防その他の公法上の観点から規制をするかどうかにつきましては、法務省が所管している民法その他の私法上の問題ではございませんので、実態の把握についても国防その他の公法上の問題を担当する所管官庁においてなされるべきではないかというふうに考えております。
#166
○丸山和也君 それで、これは今日の新聞かな、今日の新聞に、産経新聞ですけれども、たまたま昨日、現長崎県の対馬市長ですか、市長が東京に来られて、超党派の議員連盟、日本の領土を守るために行動する議員連盟というのができたそうなんですけれども、ここで財部市長がいろいろ現状の報告とか要望をされたと聞いています。
 そこで、原因は、やっぱり対馬が非常に経済的に疲弊している、あるいは島民がどんどん若い人が出てしまうとか人口が減っている、生活が大変だということで、そこに韓国資本とか旅行者が来てくれることで経済的にやっぱり背に腹は代えられないというところで土地も売ったりそれから観光者を受け入れると、こういう実態があるようなんですね。そして、市長としては、やはり対馬の振興策を国として考えてもらいたいと。だから、生きていけなければどうしても外国がどんどん来るわ、金を出してやるといえばそっちに流れてしまうと。だから是非とも法案を作ってほしいと。
 防人新法なんて言っていますけれども、要するに対馬を日本領土として、対馬の島民がそこで生活できる、経済が成り立つような、あるいは特殊な国防上の島とするならばそれに見合ったやっぱり措置を講じてほしいという切実な要望がなされていると聞いておりますので、是非この点について、総理は福岡の出身ですから比較的近いわけですから、一度是非現地でも視察していただいて、森法務大臣と仲のいい二人三脚で訪問していただいて現地も見ていただいて、実際大変だなということを少し認識していただいて是非この問題についても内閣で取り組んでいただきたいと思っていますので、お願いしておきます。
 それから、いわゆる法務委員会の花形というか、やっぱり死刑とか量刑問題についてこれからお聞きしたいと思うんですけれども、今日も私、新聞見ていましたら、読売新聞の朝刊ですけれども、埼玉県川口ですね、さいたま地方裁判所で、いわゆる配管工と言われる人物ですけれども、強盗強姦殺人事件がありまして、それで無期判決が下りているんですけれども、これについて遺族は、死刑を期待していたのに検察が無期を求刑したというときにもう落胆したと、死刑以外には考えられないという、これ被害者としての感情ですから、やや個人的といいますか特殊なものがあるかも分かりませんけれども、そういうことを述べています。
 それから、つい一週間ほど前でしたけれども、やはり、札幌で保育園を経営している女性が、七十歳代でしたけれども、やはり不動産業者の男性に、これ三十年来の付き合いだったそうですけれども、家族ぐるみの、やっぱり借金のトラブルとかそういうことがありまして、個人的な関係もあったようですけれども、それで殺害したと、それで死体を埋めたという事件がありまして、これが検察官の求刑が十八年でしたか、それで判決が十四年でしたかね、こういうように出まして、ここで取り上げたいのはいわゆる検察官の求刑基準ということでありますけれども、これは私の個人的見解なんですけれども、感想なんですけれども、非常に残虐な経緯であっても求刑が非常に軽過ぎるんじゃないかと思うんですね。
 それで、昔、ダッカ事件というのがありまして、時は福田赳夫総理でしたけれども、犯人の要求が、捕らわれている仲間の釈放とか身代金とか、それからいろんな引換えに、乗客の命と引換えに要求してきたんですけれども、それで時の政府は、有名なせりふですけれども、人の命は地球より重しということで、一人の命であっても地球より重いんだという、まあ名せりふといえば大変な名せりふなんですけれども、という中でほぼ取引に応じた状況があったんですけれども。それはそれで僕、考え方として間違っていないと思うんですよ。人の命はある意味で地球より重いという、こういう考え方というのは非常に大事だし正しいと思っているんですけれども。
 その大切な人の命を、例えば金銭目的あるいは性的目的、それからだれでもいいから殺してやれとか、こういうことで殺傷した人間に対する求刑というものが、例えばなかなか死刑を求刑する例は珍しい、やや珍しいというか、ではないかと私は思うんですね。そこに実際に、遺族とか社会一般の人との間でどうしてという率直な疑問があるんですね。それはそれでいいんだという人もいるんでしょうけれども、私、かなりの人がそういう疑問を持っている、遺族が司法制度に失望したり何というか落胆したりしている、これはたくさんあると思うんですね。
 だから、やはりここら辺で、いわゆる永山基準というのが最高裁でありましたけれども、それは、永山基準というのは今も恐らく維持されていると思うんでありますけれども、それが即どうこうという、あれはなかなか立派な基準であって私も尊敬しているんですけれども、やはり実際のその運用においては少し事情が違っているんじゃないかと。余りにも少し運用が軽いというか、じゃないかなと私は思っているんですけれども、法務大臣は、一般的な答弁で結構ですけど、今の刑事事件、特に殺人事件に対する求刑というものについて、求刑基準といいますか、についてどのような感想をお持ちなのか、それともまだ全然持っておられないのか、これからということでも結構ですけれども、お答えいただけたらと思います。
#167
○国務大臣(森英介君) 私は、個別の事案について、それが求刑あるいは判決が軽過ぎるか重過ぎるかということを論評する立場にないし、そういうことは差し控えなきゃいけないと思います。ただ、午前中は松野委員から違ったお立場からの御意見もありましたですし、いろいろなお考え、受け止め方があるということは、しっかりとこれから耳を傾けてまいりたいと思います。
 ただ、確かに被害者のこともありますけれども、なかなか一概にそういう立場というのも、私は若干ちゅうちょするわけでございますが、検察官が殺人事件の求刑を行うに当たっては、具体的な事案における犯行動機や犯行態様、また結果の重大性、遺族の処罰感情、被告人の前科前歴、その他の量刑に影響を及ぼす各種事情を総合的に考慮して、そして法定刑の範囲内でどの程度の量刑を求めることが相当と考えるかを個別に検討して求刑がなされていると思いますので、今後とも適切に対処されるというふうに信じております。
#168
○丸山和也君 いわゆる永山基準の中で幾つか、約九点ぐらいを最高裁は基準にしているんですが、その中の四番目の結果の重大性、特に殺害された被害者の数という、ここなんですね。
 それで、これが、まあもちろんこれ一般基準としてそれで正しいと思うんですけど、現実的な運用においては、まあやや誇張すると、一人では、一人殺したぐらいでは絶対死刑にならないんだというような誤った認識、あるいは実際それに近い運用がなされた事実もあると思うんですが、ここらがやや問題になっているんじゃないかと私は思うんですね。それで、人の命は地球より重いということと全く真逆なんですよね、これはね。
 そこら辺が、これ、もちろん松野先生とか立派な先生が死刑廃止を唱えられている、それ自身について私はどうこう言う立場ではありませんけれども、私は批判を受けるのを承知で、一部批判があっても結構なのですが、やはり人の命を奪った者に対しては原則死刑か無期、特別な事情がある場合に有期懲役と、こういうやっぱり基準を作るべきであるし、そういう運用にしていくべきだと思うんですね。
 それで、小さいときから、私も教わりましたが、小さいときから人様の命を奪ったらおまえも命がないんだよという、そういう子供のころから人の命、生命を大事にする教育をすべきだと思うんですね。こういうことが非常に教育においてもなされてないから人の命も粗末にするし、また人の命を粗末にする人は自分の命も粗末にしているんですよ。自分も非常に粗末にして、人も粗末にする。
 こういうのは教育の問題とも非常に絡んでいると思うんですけど、やはり人様の命を傷付けた者はおまえの命もないんだよというような、幼児からそういう教育をして、実際にそういうことをやってしまった場合は甘んじて死罪であれ受け入れるという、まあこれ日本的と言うと語弊があるかもしれないけど、そういう考え方も是非取り入れて、やや今の求刑の運用というのは軽過ぎるんじゃないかと。
 さっき言いました川口の事件でも、裁判官は死刑のことも言及しているんですね、判決の中で。だけど、求刑が無期だったから無期にしたと、こういうことになっていますので、あるいは検察側で求刑する場合、そこら辺をより検討していただきたいと思いますが、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#169
○国務大臣(森英介君) 今の委員の、子供のときからのそういう教育とか、そういうことについては全く認識を共有するものでございます。
 しかし、やはり人をあやめたから必ず死刑若しくは無期懲役、あるいは特別の場合という、こういうことについては、これはやっぱり一般論として申し上げれば、だからいいというわけではないけれども、いろいろな報道を見ても、本当にこれは気の毒な状況だなというケースもあるわけでございまして、いずれにしても、その具体的な事案における個別の事情にかかわらず、殺人事件であるということのみによって原則としてそういう死刑若しくは無期懲役の求刑をすべきということは、やはりちょっといささか適当じゃないんじゃないかなというふうに私は思います。
#170
○丸山和也君 余り議論は深くならないと思いますので、この程度とさしていただきまして。
 それと、今度は、やや違うんですけど、死刑確定囚の問題ですね。それで、私は、最高裁も、今絞首刑といいますか方法は残虐な刑に当たらないと、いわゆる火あぶりとかそういうものでもないということ、残虐な刑に、憲法の禁止する刑には当たらないというふうに判断しているので、それはそれで私も是認するんですけれども、やや、死刑囚は今百一名ですか、いるのが、と聞いていますけれども、やはり今の日本の死刑囚に対する処遇といいますか刑の執行というのは非常に残虐だと思うんですね、私は。
 一番私が問題だと思うのは、死刑が確定してから平均七、八年、中にはもう、数十年はなくなりましたけれども、十年以上の方もおられる。そして、裁判官はやっぱり、弁護士も含めてですけれども、必死に事件を闘うというかやって、それで裁判官自身も死刑判決というのは非常に重いと思うんですよ。それを、重い決断をして、決断を下しているのに、後十年も、いや、十年か七年か知りませんけれども、たなざらしにしているというのは、これはやっぱり非常に無責任といいますか、法務大臣の無責任というか、やっぱり執行する側の、刑事訴訟法によれば六か月以内というふうになっているんですから。法務大臣が就任のときに、裁判所の判決を尊重し、法にのっとり粛々と適正に遵守してまいりますというような趣旨のことをおっしゃっているんですけれども、そういう意味では、これまでの法務大臣というのは、全然そういうのは嫌だからって避けた人もいたようですし、それから比較的ぽんぽんというと失礼だけれども、急に目覚めて判を押されたような方もおられたようですけれども。
 やはりそこら辺を、しかし七年半掛かっていると、これからどうなるか、少し早くなっているようですけれども、やはりここら辺のとらえ方、本当に半年以内に執行するということが、例えば死刑囚がその死刑判決の重みを受け入れてやっぱり死に行くについて心を整える時間が本当に半年で駄目なんだというなら改正するなりして、例えば三年なら三年以内にするとか、そこら辺を含めてやるべきじゃないかと思うんですね。
 今までのように何年も放置しておいて、ある朝突然八時ごろに呼び出されて十時ごろに執行されると。これはやっぱり、幾ら死刑囚といったって尊厳があるし人間ですから、そこに対する最後の処遇の仕方として非常に僕は残酷だと思うんです、人間として。死刑囚だって人間ですから。そういう国家が人の命を奪うときに対する礼儀の払い方といいますか尊厳が全くないんですよ、死刑囚だって家畜じゃないんだから。そこら辺がやっぱり人間的な扱いというのが僕はないと思うんですね。
 だから、これは鳩山法務大臣に前にも申したんですけれども、少なくとも、がんの告知とは同じではないですけれども、自分が死刑を宣告されても、何年も放置される、いつか分からないということにおびえながら一日一日を過ごしている、これは非常に残酷なことだし、扱いとして極めて僕は妥当でないと思っているんです。
 そういう意味では、国連の方からも、人権委員会からも、死刑廃止を向こうは言っていますけれども、その告知の問題も併せて言っておりますので、死刑執行に関する事前告知、こういうことについて重ねてお願いしたいと思うんですけれども、鳩山法務大臣は、法務省の中でもそういう検討委員会をつくって検討しますとおっしゃったんですけれども、一か月後に私、鳩山法務大臣訪ねていって、されていますか言うて、してないとおっしゃるんですね。まあいろいろな問題があったからされなかったのかもしれませんけれども、そういう是非執行の在り方も含めて検討を内部でしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#171
○国務大臣(森英介君) 大変傾聴に値する御指摘だと思います。
 しかしながら、これは私が申し上げるまでもなく非常に難しい問題で、何が人間にとって一番人間の尊厳を保つことなのかということもまた議論の分かれるところでしょうし、いずれにしても、いろいろ先生の御質問をいただいた時点で私なりに考えてみましたけれども、実際にそういった事前告知のようなことを運用するといろんなやはりマイナス面もあると思うんですね。いずれにしても、検討会を設けるか設けないかは別にして、やはり一つのテーマとして私も拳々服膺して考えさせていただきたいと思います。
 なお、死刑判決の確定から非常に長い、平均七年以上になっちゃっているというのも、これもやはり、なぜそう延びちゃっているかといいますと、申し上げるまでもなく、死刑の執行は原則として判決が確定した順に行っているものの、再審の請求や恩赦の申請がなされましたら、その手続が終了するまでの期間については六か月の期間に算入しないことになっているとか、再々再審を請求している確定者もいると、こういうことで非常に時間が長くなっちゃっているわけでございますけれども、いずれにしても、人の命にかかわることですので、万が一にも間違いがないように十分な検討を加えた上で、私としては法の命ずるところに従って職責を果たしていきたいというふうに考えております。
#172
○丸山和也君 じゃ最後に、時間の関係でなかなか思うようにいかないんですが、ある刑務官に私、死刑の執行を立ち会っておられる、ずっと、方に一回話を聞いたんですけれども、やっぱり十年近くたつと大概の死刑囚というのはすごく静かになって、それからいわゆる人が変わったように自分の刑を受け入れるという心境になるそうなんですね、これはもうその人の所感ですけれども。そういう生まれ変わったような人に首に縄を掛けなきゃならない、これがどれだけつらいのかということをおっしゃったんですよ。
 それはだから早くやれということじゃないんですよ、そういうことじゃないんですけれども、やはり裁判官は裁判官で重い職責を果たし、それぞれの人がそれぞれのポジションで非常に、だれも人の命を奪いたくないですよ。でも、人の命を奪った人間はそれを受け入れなきゃならないんだということもやっぱり本人が自覚してもらう必要もあるんですね、小さいときからの教育もあって。その上で粛々とまさに執行するということが大事なことなんですよ、つらいけれども。そこを判決が確定した後やや弛緩しているといいますか、責任感が欠如していたんじゃないかなというのが私法務省に対する意見なんですよ。
 そういうところを踏まえて、それと、やっぱり死刑囚だって人間なんですよ。最後の一日まで生きているわけで、この人間が、いつあなたは死ぬかということの、やっぱりいきなり連れ出してちょんでは、これはいかぬと思うんですよ。ですから、一定期間を設けるなり、前も言いましたけれども、本人がその期間に自分で申告して執行していい日を選ぶとか、いろいろもう少し本人が自ら死を受け入れたという、あるいは納得して死ねるという環境づくりに是非研究し取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。
#173
○木庭健太郎君 今日は所信に対する質疑ということでございます。
 本院も取り組んだ司法制度改革、様々なものが形になってまいりましたけれども、やはり大きな柱の一つは法テラスであり、もう一つは来年から始まる裁判員制度、これが一番大きな柱だったと思います。
 まず、その法テラスの方ですけれども、もう始まって間もなく、十月で二年迎えたところなんですね、ちょうど。ところが、今年二月の調査でしたか、法テラスを知っている人というのがまだ二二・六%ぐらいで、国民の八割近い方がまだ法テラスそのものを知らないというような調査結果も出ておりましたし、また十九年の十月から一年間の相談件数二十三万七千二百十四件、百万件ぐらいはあるんじゃないかというふうな想定からするとまだ四分の一程度だということで、やはり法テラスに関してはもっとこの周知徹底というか利用度アップというか、国民に親しまれるものとしての周知徹底がやや欠けておるんではないかというような気もするんですけれども、この点について事務局からお聞きしておきたいと思います。
#174
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、日本司法支援センター、法テラスの利用度を上げるためにも、まずは国民に広く認知されることが現在大変重要な課題だと思っております。
 司法支援センターの方では、広報誌の発行であるとか、ポスター、パンフレット類の作成配布とか、あるいは新聞広告への広報記事の掲載、政府広報番組での周知とか、さらに駅構内のポスター掲示などをこれまでも行ってきましたけれども、より効果的な広報を行うために、法テラスに寄せられた相談内容やこれまでの利用者の法テラスの認知媒体等を分析した上で、相談件数が最も多い多重債務問題につきまして、金融庁等と連携した多重債務者に対する周知活動というのを現在行っておりますし、また、認知媒体として最近有力になってきましたホームページにつきまして、これを利用しやすくするために見やすくリニューアルをする、コンテンツを充実させる、さらに本部や各地方事務所で関係機関に対してホームページの相互リンクを要請するというような方策を行っているところです。
 また、本年の十月一日、これは法の日ですけれども、この日にはタレントのジャガー横田夫妻を法テラス一日PR大使に任命いたしまして、テレビ放映もされましたけれども、PR活動を行っていただくというような活動もしておりまして、今後とも引き続きマスメディアを活用した効果的な広報活動などにも努力しなくちゃいけないというふうに考えていると聞いております。
 このような取組の結果、本年の十月、直近ですけれども、におけるコールセンターへの問い合わせ件数は一か月三万件を超えました。この件数は、支援センターの業務開始当初の十八年の十月、このとき非常に多かったんですけれども、に次いで多くなりまして、何とかこの利用の促進に努めていたこれまでのいろんな活動の成果が先月そういう形で利用件数の増大という形に反映したんじゃないかと考えております。
 法務省自体としても、法務省が企画して実行している赤れんがまつりといったような行事において法テラスの積極的な周知活動をしておりますし、また、内閣官房には総合法律支援関係省庁連絡会議というものが置かれておりまして、この会議の場で関係省庁に対して法テラスの国民への周知についての協力などもお願いしているところでありまして、今後とも支援センターがより多くの国民に利用されるように努力を続けてまいりたいと思っております。
#175
○木庭健太郎君 今国会はちょっとなかなか審議が難しいんですけど、例えば消費者庁というような問題もまた議論の対象になっていくと思います。新しい機関がそうやってできていくという問題もある。そこはそこでまた窓口を持つ。
 ただ、その前に、法律関係についてはこういった法テラスがあってやっているわけですから、是非様々な形で、今もいっぱいおっしゃっていただきましたが、更に政府全体挙げて取り組む方法というのをもうちょっと考えていただきたいなという気持ちもあるし、また、例えば法テラスは、十二月一日からでございますけれども、これ本院でも議論しましたが、例の犯罪被害者の刑訴法の関係、改正総合法律支援法に基づいて、法テラスの新しい業務として、十二月一日から被害者参加人の弁護人の候補を裁判所に通知するという業務がこれまた始まるわけですけれども、これ実質的にどんなふうに今この問題に、いわゆる被害者参加人弁護人、この候補の選定の問題を含めて、また研修の問題を含めて、どういうお取組をしているか、実施状況をちょっとこれも御説明をいただいておきたいと思います。
#176
○政府参考人(深山卓也君) ただいま御質問のありましたいわゆる被害者国選弁護制度、これは十二月一日が施行日ですけれども、この制度が円滑に実施できるように、法テラスの方では、これまで法テラスが犯罪被害者支援業務を行っていますけれども、この業務を担っていただいているこの分野に精通した弁護士の方々を中心に国選被害者参加弁護士となることを承諾していただくような被害者参加弁護士契約というのがありますけれども、この契約の締結をお願いして、締結を今推進をしているところです。
 また、最高裁判所との間でも、今お話しになりました指名・通知業務などが円滑にいくように様々な協議もしておりますし、支援センターの各地方事務所の担当職員に対して新しいこの業務についての研修なども実施していると聞いております。
 また、犯罪被害者の支援にかかわる行政とか医療とか各分野の関係機関との連携を図って、その支援活動を行っている各地の犯罪被害者支援連絡協議会というのがございます。これはほとんどの都道府県にございますけれども、この協議会を通じて、こういう制度が、法テラスが担うことになったといった制度の周知にも取り組んでいると聞いています。
 また、研修のお話も出ましたけれども、被害者参加弁護士の業務を担うことになる弁護士に対する研修体制ですけれども、支援センターでは常勤弁護士がおりますので、常勤弁護士に対しては制度施行に向けた研修をもうこれも複数回行っているほか、日弁連それから各地の単位弁護士会においても所属弁護士に対する犯罪被害者や支援活動研修、これも複数回実施して取組をされていると伺っております。
 以上御説明したとおりなんですけれども、この制度の実施が迫っておりますので、円滑な実施に向けた体制整備を今のような形で着々と進めているところであるということでございます。
#177
○木庭健太郎君 もう一つの裁判員制度、いよいよ来年の五月でございます。午前中の議論をお聞きしておりました。私はやっぱりこの裁判員制度、いろんな議論をして法律を作り、周知徹底を今しながらスタートへ向けて動いている。まさに画期的な制度であり、新たな一つの仕組みをつくるわけですから、いろんな困難はあっても五月の実施というのはきちんとやっていただきたいという強い気持ちを私は持っております。
 その一方で、御指摘あったことは、私は、民主党の司法制度調査会ですか、に報告した中身でいろいろ議論になったわけですよね。ただ、御指摘の中で私は大切だなと思ったのは、裁判員制度をするための支援体制の問題でまだ整ってない部分があるんじゃないかという御指摘だと私は思いました。例えば、大企業はある程度休暇制度はできているにしても、中小企業はまだできてないんじゃないか、だったら何をしなくちゃいけないかと。
 これは、裁判員制度というのは政府が挙げて取り組む課題なんです。だから、是非法務大臣にお願いしたいのは、ああいう御指摘をいただいたのは、別に数の違いとかそんなことを指摘されたんじゃないと。まだ中小企業でそういう休暇制度が余りできてないという現状があるんであるならば、是非法務大臣から経産大臣、そして中小企業庁に対して、企業としても是非取り組めと、是非中小企業としてもその問題を熱心にやってもらいたい、そして連合に対しても、その労働協約もできてないなら是非それも進めてもらいたい、まさにその先頭を法務大臣に切っていただきたいという強い思いだったと思いますんで、これは質問通告しておりませんが、その辺是非覚悟を持ってやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
#178
○国務大臣(森英介君) 誠に私、理解力がなくてきちんと受け止められなかったとすれば申し訳なく思いますけれども、今、今朝ほどの前川委員の御質問を踏まえた木庭委員からの御指摘でございますけれども、まさにそういった努力はこれから必要だと思いますので、経済界あるいは労働界、また様々な分野、ほかの省庁にも協力してもらって、更に広報普及活動を続けてまいりたいと思います。お約束します。
#179
○木庭健太郎君 是非御努力をお願いしたいと思います。
 今日私がこの裁判員制度でちょっと議論をしたかったのは、実は少年裁判もこの裁判員制度の中で、いわゆる裁判員制度の中で扱う事件というのが出てくるわけでございます。これについて余り当委員会でも議論をしてなかった部分もあるんですけれども、いざ、例えば少年事件の場合は一般事件と違う幾つかの問題がちょっとあると思うんですよね。
 例えば、裁判員制度そのものは憲法三十七条で規定されている厳格な公開原則なんですよね。ただ、少年事件の審理については、今度は少年の情操保護とか更生の配慮みたいのが義務付けられている。いろいろそれをどう兼ね合わせてやっていくかというのは、例えば、例えばですよ、その少年事件の社会記録の問題辺りになりますと、これ例えば少年の育成歴から家族関係からそのプライバシー、社会調査の記録とか、そういったものもこれ審議の対象、判断材料ということになって、原則公開ということになって公開する、そうしたらこの少年におけるプライバシーの保護とか関係者の問題、この辺との兼ね合い、どうしていけばいいんだろうかと。ちょっと取扱いの問題というのは意外に難しい問題ではないかなという気がするんですけど、その辺どんな対応策を考えていらっしゃるのかという問題があると思うんです。
 この辺を是非ちょっと教えていただきたいし、さらに、これ、今年の十月二十九日が、初めて全国で少年事件の裁判員裁判の模擬裁判を何か大阪地裁で行われて、そのときに調査報告書が法廷で読み上げられたというようなこともちょっとお聞きしているんですけれども、この調査報告書の内容、法廷でどう取り扱うのかというような取扱い、実際に模擬裁判では取り扱ったのかということも含めて最高裁からお聞きしておきたいと思います。
#180
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、刑事裁判は公開という原則がございますし、それから口頭主義あるいは公判中心主義ということでございます。また、裁判員裁判では、法廷で心証の取ることのできるような分かりやすい審理をしなければいけないということもございます。その一方で、今委員御指摘のとおり、社会記録を取り調べると、こういう場合には、少年やそのほかの関係者のプライバシー、こういうものに十分配慮すると、こういう必要もございます。
 先日、新聞でもちょっと取り上げられましたけれども、司法研修所において、これは一線の裁判官と刑事法学者のチームでございますが、難解な法律概念が問題となる事案の審理、評議の在り方等について研究を行っておりまして、その中で、委員御指摘の点も考慮して、裁判員裁判における少年法五十五条ということでございますが、の保護処分相当性に関する主張、立証の在り方について触れられております。
 かいつまんで申し上げますと、まず社会記録の取調べが必要かどうか、それから公判前整理手続で十分その点について議論する、仮に社会記録が必要になる場合でも基本的に少年調査票の調査官の意見欄で証拠としては足りるのではないか、調査官の意見について弾劾的な主張、立証を行う当事者は、少年等のプライバシーに配慮した上で、社会記録を含めて開示された記録の中から公判での朗読に適した部分を抜粋し、それを証拠化するべく努めるべきであるというようにされております。
 この司法研究は最高裁として何らかの指針を示したというものではございませんけれども、今後、この司法研究を踏まえて、少年法の趣旨を尊重しつつも、裁判員の方に分かりやすい審理の在り方についての検討を更に深めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、今委員御指摘のございました十月二十九日の大阪地裁で実施されました模擬裁判では、先ほど申し上げました司法研究に即したものとして調査報告書の調査官意見の部分、これ全文を法廷で朗読したということでございます。
 以上でございます。
#181
○木庭健太郎君 もう一つ、この少年事件を取り扱うときに難しいな、ちょっと普通の事件と違うなと思ったのは、いわゆる逆送事件見ていますと不定期刑を選択しているのが多いですよね、結局。そうすると、裁判員の方たち、これ不定期刑の選択という問題になっていくわけですよね。この辺がどう理解をしていただくのか、どうその辺を裁判員になる方に周知して、ましてや少年事件のときは保護処分相当性みたいな、いわゆる少年院送致の保護処分相当ということも起こり得るわけですよね。
 この辺がちょっと、いざ始める前の段階でこの辺どんなふうにして周知徹底しようとなさっているのかもちょっと聞いておきたいと思います。
#182
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、評議に際して裁判員の方から、不定期刑というのは、そんな量定というのはどうやったらいいんだろうか、当然そういうような疑問も述べられることだろうと思います。そういう場合、これは不定期刑の趣旨というのは、少年の可塑性と、こういうものにかんがみて、教育的な配慮からこういうものが定められたというふうに承知しておりますが、そういった趣旨を分かりやすく御説明させていただく。また、不定期刑の長期と短期というのを、これをどのような基準で定めるのか、これはケース・バイ・ケースでございますけれども、そうした刑の量定に当たっていろんな考え方、そうした考え方を裁判官から分かりやすく説明する必要があると考えております。
 それで、量刑資料につきましても、不定期刑の判決が宣告されました事例を集積しまして、これを分かりやすい表にしたようなものを用いるということも考えられるところでございます。
 裁判所といたしましては、こうした方法によって、委員御指摘の裁判員の方が不安を感じるということのないように量刑意見を述べていただけるように努めてまいりたいというふうに思っております。また、保護処分相当性の判断の求められるような事件についても分かりやすい説明をしないといけないというふうに思っております。
#183
○木庭健太郎君 ちょっと幾つか御指摘させていただいたんですけれども、最高裁の中で検討されるのも大事ですけれども、やはり模擬裁判はこの前が一回目というのは私ちょっと遅れているんじゃないかなという気がしたんです。つまり、やっぱり弁護士の方々もそして実際になる方たちの代わりに模擬で来ていただく方たちも入れた形で何回かこれちょっと模擬裁判を是非もう少し実施していただいて、その中から知恵を絞って形をつくっていただきたいなという思いを強くしています。
 その意味では、この少年事件に関する模擬裁判というのをもう一回重ねていただいて、その上で、一体これはどうスタートすればいいのかという問題は一般刑事事件と違ってちょっと御検討いただきたいと思うんですが、御答弁いただいておきます。
#184
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりの点が重要だと思っておりますが、特に少年のプライバシーにも配慮しつつ裁判員に分かりやすい審理が行われると、これが重要でございまして、裁判所といたしましても、裁判員裁判における少年事件の審理の在り方について検察庁や弁護士会と連携して検討していくということが重要だと考えております。
 今後、各地の法曹三者におきまして、先ほど申し上げた司法研究も参考にいたしまして、各地の実情に応じて模擬裁判を実施することも含め、裁判員裁判における少年事件の審理の在り方について議論を深めていただくことが重要だというふうに、必要だというふうに考えております。
#185
○木庭健太郎君 是非、余り日にちはないんですけれども、やっぱりこの問題は特にちょっとやっておいていただきたいなという強い思いがしましたので、是非そこは強く要請をしておきたいと思います。
 もう一点今日お聞きしておきたいのは、被害者救済の問題を是非ちょっとお伺いしておきたいなと。
 と申しますのは、本委員会でも議論をして、いわゆる犯罪被害者の防止法を改正したことによって、犯人から剥奪した犯罪被害財産をいわゆる給付金として支給する制度、被害回復給付金制度、これが今創設をされて、実はその一号案件が例の五菱会事件でございまして、本年七月、東京地検を取扱検察庁として五菱会のやみ金、そして、この事件に続いて、支給手続は七月開始ですよね、九月が富山地検で十月は大阪地検で、それぞれここを取扱検察庁としてやみ金融事件についていわゆる手続が開始されているという状況でございます。
 ただ、新聞報道をちょっと見たんですけれども、十月二十日の毎日新聞でありましたか、例えば七月に始まった五菱会のやみ金融事件に関する被害者のこの申請、出足が鈍いということとともに、三万七千人に通知を送ったけれども二万人分があて先不明というふうなこともちょっと報道されておりましたし、七月二十五日にスタートしたのに十月十七日現在で申請が何か八百七件ともちょっと聞いておるので、この辺、どうおやりになるつもりかも含めてちょっと現状もお伺いしたいと思います。
#186
○政府参考人(大野恒太郎君) 現在、被害回復給付金支給手続が取られているのは今御指摘がありましたように三件であります。その中で、第一号の案件が東京地検で取り扱っております五菱会やみ金融事件、これは事件自体が昭和六十三年ころから平成十五年までにわたった事件であります。スイスのチューリヒ州に没収されていた犯人の隠匿財産の一部約二十九億円の譲与を受けまして、これを資金として現在その支給手続に入っているということでございます。
 通知対象者数、つまり検察当局で知っている被害者、約三万七千人いるわけでありますけれども、先ほど委員御指摘になりましたように、そのうちの約二万人は所在不明ということになっております。手続を開始いたしましたのが本年の七月でありまして、六か月間を申請期間としております。その体制でありますけれども、弁護士四名に被害回復事務管理人をお願いしております。そして、更に四名の事務員の方を雇用して、専従のセンターを設置して各種の問い合わせ対応、受付事務等を行っているという状況でございます。
 先ほど、申請件数八百件余りというお話がございました。その後、十一月十一日現在では申請件数は千件を超えているわけでありますけれども、しかし、それにしても非常に少ない状況にございます。
 一方、富山地検の案件、これは平成十九年からのやみ金融事件でございまして、犯罪被害財産は約六百十八万円ということであります。通知対象者数は約二千人でございます。本年の九月から二か月の申請期間で行っているという状況でございます。これにつきましては、これまでのところ二百六十九件の申請が寄せられておるという状況です。
 最後に、大阪地検でありますが、平成十八年からのやみ金融事件でありますが、これは基になる被害財産が約十二万八千円ということでありまして、先ほどの二つの例に比べると大分小さい案件でございます。通知対象者数は九人、本年の十月から二か月の申請期間で対応していて、これまでのところ一件申請があるということでございます。
 いずれにいたしましても、被害者からの申請が十分行われていないという状況にございますので、これまでに講じた手続に加えて更にいろいろな工夫をしていきたいというふうに考えております。
 これまでは、ホームページに掲載をする、それから全国紙、地方紙に政府広報の掲載をする、ポスターを消費生活センター、弁護士会等も含めて配布する、あるいは一般紙やスポーツ紙にも新聞広告を掲載する、関係機関といたしましては、金融庁、警察庁、国民生活センター、日弁連、日本司法書士連合会、行政書士連合会、法テラス等にも協力依頼をしておりますし、また、ヤミ金融被害対策弁護団との連携も図っているということであります。
 今後、さらに、今申し上げたような広報活動を継続すると同時に、もう一度住居の分かっている被害者の方々に改めて手続の内容をより分かりやすく説明した通知を行いたいというように考えております。特に、完璧な資料が整っていなくても、分かっている範囲であってもできる限り対応をさせていただくというようなことも説明に入れまして、是非多くの、一人でも多くの被害者の方の被害回復を図りたいというふうに考えているところでございます。
#187
○木庭健太郎君 これが一番危惧したところで、なかなかどう掘り起こしをするかというのが難しいところだろうと思いますし、当時から被害者団体もあるし、そういったことも含めて是非やっていただきたいということも言っていて、やっぱり始まると難しいなということを痛感しているんです。
 そうなると、例えばこれ、再度、特別支給手続の問題、いろんなものありますよ。でも、最終的に、今の形でいくと、やっぱり剰余金というか、結局残ってしまうようなお金が出るケースというのが起こり得ると思うんですよ。そのときどうされるんですか、これ、最終的に。
#188
○政府参考人(大野恒太郎君) 余り具体的なことをどこまで申し上げていいかあれですけれども、現在進めている手続でも、実際に剰余金が出る見通し、剰余金が出そうだということにはならないかもしれません。
 ただ、今委員が御指摘になりましたように、制度といたしましては、一回その申請期間を締めくくって支給手続を行い、それで残余金があった場合には、もう一度その特別支給手続ということで、当初の申請期間に申請されなかった方に対してもう一回ワンチャンスの支給手続を行う、それでも残った場合には法律上は一般会計の歳入に繰り入れるというのが法律の建前でございます。
#189
○木庭健太郎君 もう私も質問時間がほぼ終わりに近づきましたので、最後に、大臣、今その剰余金もし出た場合、法律上は確かに国庫なんですよね。ただ、犯罪被害者のためにこうやって出てきたお金が最終的にどうなるかというと、対象者がうまくいかなかったらこれ国庫にというんじゃこれどうなのかなというのを私前も一回質問をさせていただいたことがあるんですけれども、やっぱりもしそういうものが出た場合は、まさに犯罪被害者全体のために何か使えるような、そういうことを是非御検討いただきたいなと。これはまず給付資金の剰余金が出た場合の問題なんです。これとともに、やっぱり犯罪被害者対策というのはもう様々いろんな形でお金が掛かる面もある。そういった意味では、これはもちろんその剰余金の問題、今御指摘しました、これについてどう考えるか大臣にちょっとお聞きしたいとともに、やっぱり犯罪被害者対策総体として、やっぱり一つの基金づくりみたいなものをしながら取り組まなければならない段階にもう来ているという気もしているんです。
 これは本当は、済みません、内閣府にいろいろ聞いた上で大臣にお聞きしようと思った課題なんですけれども、つまり、犯罪被害者に対して、今置かれた立場に対して、国としてよりいろんな形で積極的に取り組める、例えば財源づくりの問題も含めてそうなんですが、そういった対策を是非取り組んでいただきたいと。
 本当は二つに分けて質問するはずの法務大臣にまとめて聞いてしまっているんですけど、是非併せて御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。そして、内閣府の方々、どうも済みません。ということで、よろしくお願いいたします。
#190
○国務大臣(森英介君) 今委員から御提起のありました件につきましては、これは政府全体として被害者保護、支援のための施策を推進していく中で検討すべきものと認識しております。法務省としては、御指摘の附帯決議の内容にも十分留意した上で、引き続きそのような検討について関係省庁と連携協力してまいりたいと存じます。
 また、そういった観点から、犯罪被害者の方々に対する経済的支援や精神的、身体的被害の回復、防止のための取組を充実させることについてはそもそも大変重要であると考えておりまして、様々な施策を引き続き推進してまいりたいと存じます。
 また、犯罪被害者のための公的基金のようなものについては、犯罪被害者の方々にとって何が必要とされるかを十分勘案いたしまして、関係省庁と連携協力しつつ検討してまいりたいと存じます。
#191
○木庭健太郎君 終わります。
#192
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 私からは外国人研修生・実習生問題についてお尋ねをしたいと思うんですが、これは、建前は研修あるいは技能移転というふうに言われながら、現実にはパスポートの取上げや強制貯金、あるいは巨額の保証金やその担保のための田畑あるいは保証人という、こういった形で縛り付けられて奴隷のように酷使される、その中で、労働関係法令の違反はもちろんのこと、失踪者やあるいは自殺者まで相次いできたという、そういう実態があるわけでございます。
 私も、前の国会で、こうした研修生を食い物にする国際的な人材派遣ビジネスを告発をいたしまして、元鳩山大臣とも随分議論をさせていただいたんですが、この外国人研修生・実習生問題の制度の見直しにかかわる議論がせんだっての三月の閣議決定も含めて様々行われているところなんですけれども、この見直しに当たって、現実に起こっている人権侵害の実態を直視することなしに実効性のある見直しはかなわないというふうに私は思います。
 大臣にまずその基本的な認識をお尋ねをしたいと思うんですけれども、そういった研修生の実情の下で、さらに今の世界的な金融危機あるいは経済的な危機の下で、自動車関連産業を始めとして真っ先に実習先を失っているという事態がございます。例えば、愛知県のある自動車部品の下請、これはカーナビゲーションに貼るシールを印刷するというそういう工場のようですけれども、ここで研修をしてきた五人のベトナム人女性、二十二歳から二十五歳ですけれども、減産を理由に十月末までに解雇されているんですね。研修生の解雇というのが一体どういう事態なのかということもあるわけですが、今日そこを議論しようとは思いませんけれども、こうした相談が激増して、実際に失踪してしまうという、そういうケースも出ています。
 この研修制度をめぐるこうした事態を法務大臣がどのように認識をし、今後どういうふうにすべきだと考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
#193
○国務大臣(森英介君) 私は平成五年に労働政務次官を務めまして、また地元にも水産加工業あるいはいろんな分野で研修生が大勢おりまして、大変関心を持ってこの制度については見守ってまいりました。委員御指摘の点につきましては、研修生、技能実習生の保護の観点から極めて重大な問題であるというふうに認識をいたしているところでございます。
 研修生、技能実習生はその受入れ機関が不正な行為を行った場合にその影響をもろに受ける立場にありますので、法務省としては、研修生、技能実習生に不適正な対応が取られている事業については不正行為に認定し、その受入れ機関については三年間の受入れを停止する措置を講じているところであります。
 加えて、今委員の御質問の中にもございましたけれども、現在、研修・技能実習制度を改正して研修生を労働関係法令の保護の対象とすることなども検討しているところでございまして、それは現状の不都合な点を本当に十分しんしゃくした上でというふうに私は思いますけれども、検討しているところでございまして、これは次期通常国会で恐らくお諮りすることになろうかと思いますが、こういうことで、法務省としては今後とも適正な研修・技能実習の確保と研修生の保護に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
#194
○仁比聡平君 そこで、今日は政府所管の公益法人による研修生ビジネスというべき問題について取り上げたいと思うんですね。
 厚生労働省政務官にわざわざおいでいただきました。といいますのは、お手元に資料をお配りしていますけれども、厚生労働省の労政担当参事官室所管の社団法人国際労働運動研究協会という公益社団法人が収益事業として行ってきた外国人研修生・実習生受入れ事業について、法務省入管局から、三月五日、不正裁定が下されていると思います。この労政担当というのは伺いますと労使関係の事業を担当するという部署だそうですけれども、そのひざ元で起こったこうした事態について厚労省がどのように受け止めておられるのか、お尋ねをいたします。
#195
○大臣政務官(金子善次郎君) ただいま先生御指摘の点でございますが、当省が所管する公益法人でございますけれども、法務省から不正行為に係ります認定を受けましたことは誠に遺憾であると考えております。
 そこででございますけれども、当省といたしましては、ただいま御指摘のありました社団法人国際労働運動研究協会でございますが、これを所管する立場といたしまして、本日と明日にかけまして同協会に対する検査を行う予定を元々立てておりまして、必要な調査を厳密に行った上で、その結果を踏まえてどう対応をするか、厳正な対応に努めてまいりたいと、このように考えております。
#196
○仁比聡平君 私、昨日、事前に通告の段階で、たまたま今日、あした、実地検査をする予定だったというふうに事務方の方から伺ったんですけれども、政務官もそんなふうな御説明を聞かれたのかもしれませんが、私が国会で取り上げる今日、あしたに実地検査をたまたま予定していたというのはあきれた弁解じゃないですか。国会議員から調査が始まったので慌てて形を整えているというふうに正直におっしゃったらどうかと思うんですが、金子政務官の率直な御感想を伺いたい。
#197
○大臣政務官(金子善次郎君) 当省といたしましては、この公益法人にかかわらず所管の公益法人、団体につきましてはこれまでも実地の検査をするということで対応しているわけでございまして、この件につきましても、先生御指摘のようなことの流れで今日、あしたということではなくて、この予定で進んでいた、進めてきたというふうに私としては認識をいたしております。
#198
○仁比聡平君 ならばお尋ねをしたいと思うんですが、処分は、不正裁定はこれは今年の春のことなんですよ。厚労省は、あるいは参事官室は、その処分が行われたという事態、つまりおひざ元の公益法人で外国人研修生制度について不正裁定を入管から下されたというこの事態について知ったのは一体いつなんですかと。今政務官おっしゃったように、過去、社団法人ですから、これは事業報告がございますし、それに対して実地の検査というのも一定の期間ごとにはおありのようです。その中でこうした不正やその端緒があるということに気付いたことがおありですか。
#199
○政府参考人(荒井和夫君) お答え申し上げます。
 今回の法務省の不正だということに関する処分につきましては、私ども実は承知しておりませんで、先生からの御指摘を受けまして知ったということでございます。その後事実関係を調べたということでございます。
 先生今おっしゃいましたように、事業報告などは私どもちゃんと必要な審査をした上で指導をしているわけですけど、そこからはそういう状況は分からなかったというふうに考えております。
#200
○仁比聡平君 それでいいのかということを私は今日申し上げたいんです。
 つまり、青年たちが、外国人労働者が食い物にされているということがこれだけ大問題になり、法務大臣も冒頭基本的な認識はお示しになられたわけですけれども、実際には事業はほとんどこれ認可されると、これ県だったり経産省だったりしますけれども。その後、まともな監督というのは行われないんですね。かかわっている方に言わせると、認可するだけで監督は全くしないと。これは一体どこが責任を持っているのかという議論になると、法務省も含めて、厚労省も含めてですが、五省の共管の事業ですから、これは一体どこが責任持っているのかさっぱり分からないという事態の中で、私は言わば野放しの状態になっているんじゃないかと思うんですよね。
 この言わば野放しのような状態になっている中で、この制度そのものは廃止するべきではないかという強い意見もあるわけですが、私はこの野放しのような状態を制度の見直しを含めてせめて変えるべきではないかということの問題を提起をしたいと思うんです。
 その点についてきちんとお答えを伺う前に、この社団法人の関連でどんな事態が起こっているのかということを少しお尋ねしたいと思うんです。
 お配りをしています資料の一枚目から三枚目までは、この社団法人が各地の支部と称する事業者との間で契約を結んでこの事業の一部を担わせるという、こういう契約書のひな形だろうと思うんですが、厚労省から提出いただいたものです。一枚目の契約書の柱書きのところを御覧いただくと、この社団法人の方が本部、甲とされ、もう一方の契約の相手方も社団法人という冠が付いていますですね。けれども、この契約の相手方になる支部と称するところは、設立されている社団法人の支部でもなければ、つまり機関でもなければ独自に社団法人の許可を受けている団体でもないわけです。これはそのとおりですね。審議官で結構です。
#201
○政府参考人(荒井和夫君) この支部と称するところは今先生おっしゃられたように独立して法人格を持っているところではございません。また、組織上は、少なくとも定款上、この支部が本体の法人の一部であるという、そういうことにはなってございません。
#202
○仁比聡平君 この支部を称する企業がどういう事業者かということで、私のところに直接御相談がございます中日本統括支部というところを御紹介しますと、この支部を称している企業、Tと仮に申し上げておきますが、ここは労働者派遣業を営んでいる会社です。この労働者派遣業を営んでいる会社が研修生、実習生の、私の手元に残業手当明細というのがございますから、ちょっと紹介をいたしますと、これ、その派遣会社が研修生、実習生を受入れ企業に送って、そこから恐らく対価をもらった上で残業手当として払っているわけですね。ある月のものを見ますと、研修生というのは残業は本来してはならないのに、させてはならない、あってはならないのに、残業が七十一時間もなされた上に、その単価は時間当たり六百円。これ、最低賃金がその当時で恐らく六百九十四円だと思いますから、これの以下であるとともに、割増しも全くないわけですね。しかも、去年の十月二十日まではAという会社に研修をしている、同じ研修の期間中に、十月の二十一日からはBという会社にその研修先が移っている、そういう状況なんですよ。
 これ、結局、受入れ会社の方の人手の需要に応じて、最も安上がりの労働者としてあっちに行けこっちに行けといって出し入れをしている、実質日雇派遣のようなものじゃありませんか。こうした派遣というのが一体研修ですか。
 それに、こうした事業を安上がりの労働者を確保して行うために社団法人の名義を借りているんじゃないのか、この契約の実態というのはそういった名義貸し、名義借りにほかならないんじゃないのかと私は思いますが、政務官、いかがですか。
#203
○大臣政務官(金子善次郎君) 御指摘の点も踏まえまして、先ほど私からも御答弁申し上げましたように、どういう対応をするかというのを詳しく今日、明日調べてまいりますので、その結果も踏まえて厳正に対応していきたいと、このように思っています。
#204
○仁比聡平君 今日調査に入っているところですから、今日のところ政務官としてはそのような御答弁しかできないのかもしれないんですが、その調査の中身についてはこの委員会に御報告をいただけるでしょうか。
#205
○大臣政務官(金子善次郎君) そのように取り計らいたいと思います。
#206
○仁比聡平君 もう一点申し上げたいのは、つまり、現場で行われているのは外国人研修生を対象にした労働者派遣事業にほかならないのではないのかという疑いを私強く持っているんですね。その事業をなぜ公益法人を隠れみのにするのか。公益法人ということですぐ私どもの頭に浮かびますのは、優遇税制があるということです。一つには、厚生労働省の認可を受けていますということで大宣伝をできますから、この政府の看板を着てそういった事業ができる。その税制の優遇は、収益事業であっても、一般なら三〇%の税率であるところが二二%の税率で済む、八%の減税対象になるわけですね。
 これちょっと今調査をしているところですけれども、どうしてその二二%の税率になるのかということの根拠は、この研修事業が請負というふうに判断をされているからだというふうな、今の段階での調査はそういうことなんですが、それ自体私よく納得がいっていないんですけれども、何にせよそういった減税効果がある。
 こうした形で、今、そこで学んできた、実質は働かされてきたその労働者たちが路頭に迷っているわけですね。こういう事態を本当に起こしていいのかということが正面から問われているのではないかと思います。
 大臣、こうした実態をどのように認識をしておられますか。
#207
○国務大臣(森英介君) 一部の受入れ機関でやはり不適切な受入れが行われているというのは残念ながら事実だと思います。入国管理局では、不適正な受入れの疑いがある受入れ機関に対しては積極的に実態調査を実施して、不適正な受入れの事実が確認できた場合には、不正行為認定し、研修生、技能実習生の受入れを三年間停止する措置を講じております。
 今後とも、受入れ機関に対する実態調査等を一層強化して、研修・技能実習制度の適正化に努めてまいりたいと思います。また、あわせまして、研修生、技能実習生の保護の強化の観点からの研修・技能実習制度の見直しの検討も進めていきたいと考えております。
#208
○仁比聡平君 前国会のやり取り以降、特に入管の皆さんの、現場の皆さんの頑張りには私も感謝をしている部分が大変ございまして、事後の不正裁定というここの部分については、今大臣おっしゃられた、もちろんのことだと思うんですね。
 今日私が提起をしている問題は、事後の不正裁定はもちろんなんだけれども、未然にこうした事態を防止すると。特に団体管理型における受入れ機関が事実上野放しにされるというそういう実態は、これは制度見直しを含めて変えるべきではないのかと。監督や指導、これを日常的に一体どこがきちんとやるのかということ、せめてそれぐらいはっきりさせなかったら、この研修生事業というのは本当にもう廃止せよというほうはいとした声が起こるんじゃありませんか。
#209
○政府参考人(西川克行君) 委員の御指摘を踏まえまして数点、これからの研修・技能実習の在り方について入国管理局としての意見を申し述べたいというふうに思います。
 まず、委員の意見を踏まえまして感じましたのは、入国管理局と公益法人等の受入れ団体を所管する省庁との連携の強化という点でございます。このような観点から、これは公益法人ではございませんけれども、団体管理型で最も研修・技能実習生の受入れが多い事業協同組合については、中小企業庁との間で、本年四月に、当局が不正行為認定を行った場合は設立を認可した地方自治体等にその旨の情報を提供するというところから開始しております。そのような形で始めて、より連携を強化して、所管官庁からの監督もより強く求めていくという、そういう体制をまずつくりたいというふうに思っております。
 第二点は、団体管理型における第一次受入れ機関の管理体制の強化という点でございますが、第一次受入れ機関が研修を管理することが団体管理型の研修ではその要件ということになっておりますが、残念ながら企業単独型と団体管理型を比べると不正行為の発生件数は圧倒的に団体管理型の方が多いと、こういう実情になっております。入国管理局としましては、委員の御指摘を踏まえまして、第一次受入れ機関の管理体制の強化についても制度の見直しを検討してまいりたいと、このように思っております。
 以上でございます。
#210
○仁比聡平君 今日初めてそういった御答弁をいただきましたので、よく私も吟味をして今後よく議論をしていきたいと思うんですけれども、そうした見直しを検討していく上でも、こうした不正問題は公益法人であろうがそうでなかろうがこれは同じことなんですけれども、どちらでも同じなんですが、この際、政府として、少なくとも所管の公益法人、ここを隠れみのにして研修生を食い物にするような不正が行われていないか、これはすべてを調査するべきだと私は思います。
 法務大臣それから政務官、それぞれ法務、厚生労働の関係について是非そうした決意をお伺いしたいと思いますし、他省庁の所管のものについてもそうした公益法人の調査をやるべきだというリーダーシップを是非、とりわけ大臣、取っていただきたいと思いますが、いかがですか。
#211
○国務大臣(森英介君) 確かにそういった公益法人で不適切な受入れがなされるというのは極めて遺憾なことでございまして、かつ五省庁相乗りということであります、共管でありますから、そこのところは相互に連絡し合って、自分の持ち場の公益法人についてはしっかり調査し、そういった不適切なことがないように努力をいたしたいと思います。
#212
○大臣政務官(金子善次郎君) ただいま大臣が御答弁なされた趣旨に沿いまして厚生労働省といたしましても対応していきたいと、このように考えております。
#213
○仁比聡平君 時間がなくなりましたので、最後に大臣ないしは入管局長にお答えいただきたいと思うんですが、先ほどの局長の答弁にありましたように、不正裁定を公表するかどうかということが大きな問題として今の現行の運用にはあるわけですけれども、そこに大きな問題があると私思っているんですね。
 といいますのは、この社団法人は、厚生労働省が提出をいただいただけで平成十九年度で全国に約三百人の、研修生だけでですね、実習生を入れたらもっとたくさんの人数になると思うんですが、を受け入れているんですよ。
 ところが、この社団は、あるいは支部と称する業者も、不正裁定を受けて在留資格が更新できなくなる、現実に八月一日で出国準備ビザに切り替えられているということを研修生にも受入れ企業にも話していないんですよね。研修生の側が十月の中旬になって初めてそれを知って労働組合に相談に来たときには、その出国準備ビザの在留期間というのはもう切れるぎりぎり。ですから、雇用保険の手続もまともにできない、住むところもどうにもならない。
 早く分かっていれば、その不正をやったところ以外の受入れ企業を探せないのかという、そこの調整は今、入管や様々な関係者が前向きに取り組んでいただいているところなわけですけど、そういう段取りができたかもしれないのに、それもできずに強制帰国される、かねないという事態なわけです。
 これ、結局、見ましたら、不正を受けても、ぎりぎりまで働かせてそして強制帰国させるという、そういうやり方にほかならないんじゃないのかと。こうした事態が起こらないように制度の見直しをしっかり含めて検討するべきじゃないかと思いますが、局長、いかがですか。
#214
○政府参考人(西川克行君) 不正行為認定自体を社会一般に公開するかどうか、これは先生もおっしゃられたとおり、なかなか難しい問題はあろうというふうに思います。ただ、一つ言えることは、そこにいる研修生、技能実習生については全く責任がない、それにもかかわらず在留期間ぎりぎりになってしまうというふうなことであろうと思います。
 今現在は、ほかの機関を探してそちらの方に移すという形にしておるというわけでございますけれども、もしその研修・技能実習生に全く責任がなくて、かつ在留期間の残りがないという場合については、入国管理局としては在留期間の更新等の配慮において柔軟に対応したいというふうに考えておりますが、不正行為の発表自体については、社会一般に公表するのはいかがなものかという意見もございますので、更に検討させていただきたいというふうに思っております。
#215
○仁比聡平君 まだ不十分だと思いますが、時間が終わりましたので、終わります。
#216
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。大臣、よろしくお願いをいたします。
 最初に、先月の十月二十六日の夕方、渋谷で起こった事件について大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。
 これは、先月の二十六日の夕方、渋谷のハチ公辺りで若い連中が、歩いていけるところに麻生総理の私邸、敷地だけでも六十二億円ぐらいするそうなんですが、これを見に行こうと、こういうことになって、そしてその後、歩き出したところ、規模としては、やじ馬等もいましたので正確に何人ぐらいなのか分からないんだけれども、まあ五十人、やじ馬を含めても百人ぐらいではないかと、こういうふうに言われておるんですが。
 最初は、近くにいたお巡りさんは、それは行くときはちゃんと歩道を通っていかなきゃ駄目だよ、総理のうちの前へ行ったら五人ぐらい束になって歩いていかなきゃ駄目だよと、こんな話をしていたと。ところが、固まって動き出して、赤信号で止まって、青になった途端に私服の警察官がわっと襲いかかってきて三人逮捕されたと。一人が逮捕されて、そしてその逮捕を阻止しようとしている二人が公務執行妨害でやられたと、こういう事件だそうであります。
 私は、その後、インターネットでそれを見たり、あるいは関係者の話を聞いたり、そこに作家の雨宮処凛さんなんかもいたそうなのでありますが、いろいろ聞きました。これは、逮捕後十日間の勾留が付いて全員釈放されたということでありまして、果たしてそもそも集団的示威行動と言えるのかどうか極めて私は疑わしいと、聞いた範囲でございますけれども。外形的な事実から見て極めて疑わしいにもかかわらず、事前警告もなしに一挙にそれを言わば抑え込もうとした。
 これを私はやっぱり見まして、いろいろ、ごく普通の若者だったようであります。従来の政党とかそういう関係のない若者、格差の拡大とか貧困に怒りを持っている人たちがこういう話をしている中で、六十二億円の、じゃ、うち見に行こうと、こういう話になって歩き出したというところなわけでありまして、法律的にも、そもそも構成要件の該当性の点からも非常に問題があるし、違法性の点からいっても大変問題があるにもかかわらず、問答無用で押しつぶして、そして十日間の勾留後全員釈放したと。まさに見せしめ以外の私は何物でもないというふうに思っておりまして、ここで逮捕の違法性の議論をしたってそれはなかなか言うことを聞かないし、本来は警察の方に聞くのが筋なのかも分かりませんが、その後十日間の勾留が付いたということでありますので、これは法務行政の問題でもあるというふうに判断をいたしました。
 そういう意味で、こういう非常に露骨な、まさに、まあ私はそもそも公安条例の対象ではないと思うし、仮にあったとしても、極めてごく微罪なものに対してやっぱり国家権力を振りかざして襲いかかる、こういうやり方は私はやっぱり絶対やるべきではない、そういうふうに思います。一方で、国会ではどんどんと言いたいことを言っている御仁もおられますけれども、表現の自由とか、思想、表現の自由というものを考えれば、私はもっとやっぱり違った対応があってしかるべきだと。
 そういう意味で、今回のやり方等について法務行政のトップとしてどういうふうな所見をお持ちなのか、私は率直に言って不当な本当に弾圧だと、こういうふうに思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと、こういうふうに思います。
#217
○国務大臣(森英介君) これは個別事件の捜査に関する件でございますので、法務大臣としては所感を述べることは差し控えさせていただきます。
 一般論として申し上げれば、検察当局において法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しています。
#218
○近藤正道君 実にがっかりする答弁でございますが、少なくとも、警告もなしに襲いかかって、そして実質十三日も身柄を押さえて釈放する、これ本当に異常だと思うんですよ。なぜこの事件を言わば集団的示威行動と。私は、集団的な意思なんてなかったという、いろんな人の話を聞いてみますと、ないと、こういうふうに思うんですが、法務大臣にはどういう報告が上がってきているんですか。私は事前に通告をしておりますので、是非お伺いしたいと、こういうふうに思うんです。
#219
○国務大臣(森英介君) お尋ねの事件については、本年十月二十八日に東京地検に送致され、検察官が裁判所に被疑者の勾留を請求して、これが認められ、十一月六日、検察官において釈放したものと承知しております。
 今申し上げましたとおり、個別事件の捜査についての所感を述べることは差し控えますが、刑事訴訟法は、現行犯逮捕の場合も含め、逮捕された被疑者について裁判官の発する勾留状により勾留することができる旨を規定をしており、本件についても同法の規定に基づき勾留されたものと認識しております。
#220
○近藤正道君 全く理由がありませんし、十日間で全員をまた釈放するような、そういうぶざまなことだったら最初からやっぱりすべきではないと。不当逮捕のまさに証左がここに私は表れているということを今日は指摘だけをさせていただきたいというふうに思っております。
 もう一つは、先ほども話がありましたけれども、十月の末に国連の自由権規約委員会が日本政府の報告書審査の最終見解を発表いたしました。いわゆる死刑廃止勧告でございます。
 これは、我々サイドにも十月の末に出ると、そういう話はもう相当伝わってきておりまして、当然皆様方の、大臣の近辺にもこの話は伝わっていたというふうに思いますが、あと二日で勧告は出るというその二日前に、先ほど来話がありました死刑執行が福岡と仙台で行われました。そして、その一つにつきましては七十歳、先ほど松野先生からお話がありましたけれども、無罪を訴えていたと。物的証拠も非常に少なくて、冤罪の可能性も関係者からは指摘されていて、この準備が具体的に行われている中この執行が行われたわけでございます。つまり、二日後に国連の死刑廃止の勧告は出るそしてその二人のうちの一人は再審の準備をしていたと。
 先ほど大臣は、全人格と全存在を懸けて決定をしたと、こういうふうに大変重い発言をされておったんですが、率直にお尋ねをいたしますけれども、この七十歳の死刑囚について、再審の準備をしていたという事実を大臣は失念されておったんではないですか。
#221
○国務大臣(森英介君) 先ほども申し上げましたけれども、個別の事案における本人の供述状況や公判審理の内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。裁判所において十分な審理を遂げた上で最終的に死刑が確定したものと承知しております。
 また、死刑執行に際しては、個々の事案につき関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする情状の有無などを慎重に検討いたしまして、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしており、今回も同様の慎重な検討を経た上で死刑執行命令を発したものであります。
#222
○近藤正道君 そういうふうにおっしゃるから私は聞いているんですよ。
 従来のやり方あるいは鳩山大臣の答弁から見ましても、要考慮、考慮すべき事項の中で再審の準備が、可能性があるかどうか、これもやっぱり非常にポイントだということを鳩山大臣もおっしゃっておった。にもかかわらず、しかも、通常は確定から六、七年と、これが普通だという中で二年でこの人はやられたと。
 ですから、私どもは、これは大臣、そういう認識、つまり再審の準備をしているという、そういう認識を持っていなかったんではないか、それ以外に考えられないです。私はそういうふうに思って、それで聞いているんですよ。個々の話ではなくて、今までの大臣答弁とも違う対応をされているので、それ以外に考えられないんではないか、大臣はそれを失念していたんではないかと。
 これは重大なことだから聞いているんですよ。明確に答弁ください。
#223
○国務大臣(森英介君) すべての条件を勘案した上で、裁判所の判断を尊重して、法の命に従って淡々と粛々と職責を果たしたところでございます。
#224
○近藤正道君 いや、裁判所の判断に従って、それはいいんですよ、それは。その後の、確定後の死刑執行についての今までのやり方とちょっと違うやり方ではないかと、こういうふうに思うので、大臣はそこで考えを変えたかあるいは失念をしていたか、これはどっちかだなと。どっちですかと聞いているわけですよ。どうぞ。
#225
○国務大臣(森英介君) すべての条件を精査した上で粛々と職責を果たしました。もちろん、個別の事案についてのことについてはここでお答え申し上げることを差し控えます。
#226
○近藤正道君 じゃ、再審の準備がされていたかどうかということは死刑執行の際のポイントだと、これは今まで歴代の大臣がおっしゃっていたんですけれども、これは一般論として聞くんですけれども、ここの判断は今も変わっていないんですか、変わったんですか、どっちなんですか。
#227
○国務大臣(森英介君) 変わっておりません。
#228
○近藤正道君 変わっていない。そうですか。
 そうすると、私としては大臣がこれを見過ごしたという理解をせざるを得ない。だって、ほかにないんだもん、それは。変わったというんなら分かりましたということですけれども、変わっていないということであれば、それは大臣が見過ごしたと。これは、個々の事件については発言はされないけれども、論理的にそういうことになるというふうに私は受け止めさせていただきますが、それでよろしいですか。
#229
○国務大臣(森英介君) 個別の事案についてのお答えは差し控えます。
#230
○近藤正道君 じゃ、まあそういうふうに、失念をしたというふうに私としては理解をさせていただきたいと思います。
 それで、先ほど松野先生もおっしゃっておりましたけれども、国連がまたこういう形で勧告をしたと。世界の流れ、潮流はやっぱり死刑廃止という方向にこれで更に動いていくと。大臣は、これは主権の問題であっていささかも影響されないんだと、こういうふうにおっしゃいますが、世界の多くの流れは死刑廃止の方向に行く中で、ですから死刑廃止の検討だとかあるいは停止だとかという、そういう話にならないのかということでありますが、大臣はやっぱりそうはならないと。
 そこで私がお聞きをするのは、先ほども少し出たのかも分かりませんが、これから来年の五月には裁判員制度が出てくる。つまり、世界の多数が死刑廃止の方向に行く中でこの国が死刑を存続をする。しかも、多数決でこれが決められる。ですから、裁判員にたまたま選任された方で、そもそも死刑についての考えを持っている人、あるいはこの事案について死刑について私はいかがかというふうに思う人のまさに心の亀裂というのはやっぱり相当すさまじいものになるんではないか。
 私はかねて、この死刑執行については、裁判員が入るんだから、ここはやっぱり配慮をして、せめて全員一致、これがやっぱりポイント、必要なんではないかなというふうに思っておりますが、この国連の廃止の勧告を受けて、あるいは世界の流れを見て、せめて裁判員に対しては、やっぱり良心の分裂を言わば来さない意味で全員一致を制度としてやっぱりつくり上げる、そういう検討が今本当に必要なんではないかなと。そういう検討を、あと五か月なんですけれども、していただけないかな、やるべきではないかな、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
#231
○国務大臣(森英介君) 裁判員が参加する合議体におきましても議論を尽くすべきであることは言うまでもありませんが、評議を尽くしても意見の一致が見られない場合には、これは評決をもって合議体の意思を決定するほかありません。その場合の評決の要件については、現行の裁判所法では、裁判は裁判官の過半数の意見によるとされており、裁判員が評決に加わる場合のみこれと異なる評決要件を定める合理的な理由はないというふうに考えております。
#232
○近藤正道君 私は合理的な理由大いにありと、そういうふうに思いますよ。しかも、これは守秘義務、裁判確定後も、あるいは裁判官を辞めて後、生きている限りこの守秘義務を伴う、罰則付きの守秘義務を伴うものでありまして、ここら辺のところは本当に、死刑を残すか残さぬかという議論とは別に、私は大いにやっぱり検討をすべきそういう問題ではないか。せめて、大臣いつまでやっておられるか分かりませんけれども、懇談会でもつくって少し論議を始められるように本当に求めたいというふうに思っております。ただ、これ以上言っても今日のところ大臣のお気持ちはお変わりにならないというふうに思うんでこれでやめておきますけれども、是非それはお考えいただきたいというふうに思っています。
 それで、裁判員制度の本来の話になりますけれども、今日も前川先生やあるいは木庭先生の方からお話がございました。裁判員制度というものをつくって、裁判員をとにかく数日間仕事を休んでもらって裁判所に張り付いていただく、そういう言わば強制を課している一方で、それを支え、支援する体制がどの程度できているのか、私はこのことについてはずっと何度か質問をさせていただきました。
 皆さんの方からもいろいろ資料をいただきましたけれども、結局、経団連加盟の大企業だとか、あるいは連合という日本の労働組合の中のごく一部、労働者の中のごく一部しか組織していないところ、そこで労働協約はせいぜい六、七割。圧倒的なやっぱり中小企業、九割以上、ここでどうなっているのかという調査が全くなされていない。
 先ほど木庭先生の方から、このことについてはやっぱりちゃんとやってもらわなきゃ困るという話があって、一種の締めのような話になりましたけれども、私は、残り五か月を切って、単なる決意表明ではやっぱり済まないと思うんですよ。
 あと五か月という本当にもう短い期間になりました。しかし、日本の圧倒的な職場でどうなっているのかというのが分からない。一部の大企業でしかある程度の雰囲気は分からない。ならば、やっぱりこの五か月の間に期限を切って、いつごろまでにこういうふうにしますというやっぱり工程表みたいなものがちゃんと示されないと、これは余りにも無責任ではないかなと、私はそういう気がするんです。そういうことができないまま、単に頑張りますという決意表明だけでは私はやっぱりもうまずいというふうに思うんです。
 せっかく先ほど大臣が決意を表明されました。ならば、一定の、いつごろまでにこういうことをしますし、このころまでにこれを目指しますということが言えませんか。あるいは、このことについては、一方で裁判員の日当を上げると。巷間かなり非常識だなという話まで出ているんですけれども、そういうことを含めてみんながやっぱり参加できると、そういう体制を具体的に数値を示していつごろまでにこうします、法務大臣の責任によってそれをやりますということは言えませんか。
#233
○国務大臣(森英介君) 誠に重要な御指摘と受け止めました。
 いずれにしても、例えば裁判員の日当の問題についてもいろいろと思うところはございますけれども、今後の工程については今この場でお示しすることはできませんけれども、やっぱりしっかりした工程表に沿って準備作業をしていかなきゃいけないというふうに思いますので、いずれお示しをしたいと思います。
#234
○近藤正道君 いまのやつは、具体的には、私はせめて骨ぐらいのイメージは伝えてほしかったんだけれども、来年の五月以前までに、いつごろまでにこういうことをしますという具体的な数値を盛り込んだ工程表を作るというふうに約束されるんですか。どうぞ、もう一回お答えください。
#235
○国務大臣(森英介君) 先ほど木庭議員の御質問にもお答えしましたけれども、これからの例えば経済界あるいは労働界、またそのほか様々な分野についてのそういう御理解を深めていただく努力というのは極めて重要でございますので、それなりの線表に沿ってやりたいと思いますので、それはまた適当な場面でお示しをしたいと思います。
#236
○近藤正道君 工程表を示されるというふうに私は答弁があったというふうに理解しますが、今まで出ているのは本当に一部のでかいところだけですよ。日本の国の圧倒的な、九九・数%は中小企業なんですから。
 つまり、私が心配しているのは被用者ですよね、とりわけ。これについては全く精神訓話だけで何にもないと。このことについて、ここをちゃんと網羅した工程表をちゃんと作って出されるということでいいですね。
#237
○国務大臣(森英介君) 先生の言わば裁判員制度の開始に向けての激励の言葉でもあろうと受け止めまして……
#238
○近藤正道君 いや、大変不安だから言っているんですよ。
#239
○国務大臣(森英介君) いやいや、いずれにしても、そうした具体的な工程表というのを準備して、それにのっとって準備作業を進めたいと思います。
#240
○近藤正道君 激励もありますけど、私は、そんなのできないのなら延ばすべきだと、そういう気持ちもあって言っているんですから、単に激励って、皆さんが、いや、ありがとう、ありがとうと言って答弁して、気楽に答弁されているような中身だと困るわけですよ。
 だから、責任を持って、やるんならそういうものをちゃんと作れと。そこで作れない、あるいは守れないんならそんなもの実施はまかりならぬというのが私の基本的な立場ですので申し上げておきたいというふうに思っております。
 そして、具体的な裁判員裁判の中身であります。午前中も、とにかく長期裁判どうするか、原因が幾つかあると、いろいろお話がございました。皆さんはそれをできるだけ縮小するという意味で公判前の整理手続という話を大臣もいろいろされました。
 しかし、これがある意味でくせ者でありまして、それは確かに効率的な裁判をするという点ではいいかもしらぬけれども、しかし、そのことによって憲法が保障している被告人の人権、まあ防御権ですね、あるいは弁護権、これは憲法が具体的に保障したものだと、それがいささかなりとも後退させられるなどということになりますと、私としては断固としてやっぱり承服できないと。それは、裁判員制度があったとしても、それはやっぱりもう一方で被告人の防御権は憲法上の権利でありますんで、当然にこれからもある意味でそれ以上にやっぱり尊重してもらわなければ困るわけでございまして、この公判前整理手続の実施に伴うその辺の懸念というのは物すごくやっぱり出ているわけです。
 例えば、公判前整理手続の中で、いろんな証拠をやっぱり、それは確かに保釈率が上がったとか証拠開示が少し良くなったってあるけれども、しかし、逆にそうすることによって被告人の黙秘権がおかしくなるのではないか。当初の段階から証明すべき事実を明らかにしろというふうに言われて、そして途中から新しい証拠を出せなくなるとか、物すごいやっぱり大きな問題がありまして、これは多くの弁護士とか法曹関係者はこのことに対して大変やっぱり懸念持っていますよ。
 そこでお聞きをするんですが、私は、こういう制度を入れるんなら、検察官の証拠開示、これは徹底的にやっぱりさせる。せめて一覧表ぐらいは冒頭からやっぱり出させる。これは民主党の皆さんがこの間の可視化法案の中で一部盛り込みましたけれども、ああいう制度をやっぱり是非実施していただきたい。自分たちも出すものは出す、したがって被告弁護側からも早い段階でやっぱり争点を明らかにしていただきたい、これが私は筋だと思うんですよ。それを、自分たちのことはしないで被告側だけにおまえらの言う事実を出せというふうなやり方は、これは非常にアンフェアだ。
 だから、早い段階で、公判前整理手続の中で証明予定事実を出せ、これはかなり弾力的に柔軟にやっぱり考えていただかないと、これは今の捜査側と被告側の力関係を無視した私は暴論になる。これは是非柔軟に考えていただきたい。
 これはもう法務大臣に聞く方がいいのか最高裁の方に聞くのがいいのか分かりませんけれども、言葉としては、最初に出さなかったらよほどのことがない限り途中から新たな証拠なんか出させませんよということが書いてある。しかし、現実の裁判はそうじゃないですよ。裁判やっていく中で新しい事実だとかあるいは証拠が出てくるケースいっぱいあるわけ。そういうものをシャットアウトするような公判前手続だったら私ら困るわけです、それは。多くの弁護士はそこを懸念しています。その辺のところはどういうふうに皆さんはお考えになっておられるのか、存念を伺いたいというふうに思っています。
#241
○政府参考人(大野恒太郎君) 今委員が御指摘になりました公判前整理手続とそれから被告人の防御権の関係、これは、裁判員法それから刑事訴訟法の改正の立案の際にも、国会も含めて大変議論されたところでございます。そして、結論におきましては、裁判員裁判に対応できるように争点を早期に整理して迅速な裁判を実現するという要請と、それから被告の防御権を全うするという、この二つの観点から今の制度ができたというように考えているわけであります。
 公判前整理手続を経ますと公判前整理手続で明らかにされなかった証拠を将来公判で出せなくなる、それが被告の防御権を損なうんじゃないかという御指摘でございました。その点も立法の段階で相当議論されたところでありますけれども、実際には、公判前整理手続で弁護側が提示しなかった証拠であっても、提示しなかったことがやむを得ない事由による場合、これはその後の公判においても例外的に証拠調べを請求することが認められているわけであります。また、そうした証拠が出てくることによって裁判の結論を左右するような、そういう重要な証拠である場合につきましては、これは裁判所の判断ということでありますけれども、職権で証拠調べを行うこともできるというふうにされているわけであります。
 したがいまして、公判前整理手続の過程で証拠として提出することを明らかにしていなかったからといって、一律にどんな場合でもその証拠請求が許されず、それによって被告側の防御権を損なうという事態は生じないというふうに考えております。
 ただ、申すまでもないことでありますけれども、なぜそれじゃその証拠制限というような物の考え方を入れたのかということでありますけれども、これはやはり公判前整理手続で争点を整理し公判の日程を策定する、そのことによって裁判員に分かりやすく迅速で充実した裁判を実現するというためでありますから、特段の理由もないのに言わばあえて隠し球のような形で証拠を取っておいてそれを後で出すということになりますと、大きく日程が狂ってしまって、かえってまたそれが真実解明にマイナスになるというようなことを考慮してそのような制度になったものというふうに理解しております。
#242
○近藤正道君 いいですか、一つだけ。
#243
○委員長(澤雄二君) 近藤正道君、おまとめください。
#244
○近藤正道君 別に隠し球などという事態ではないです。とはいえ、現実の裁判は、捜査側と、当局と被告人側というのは力関係は歴然としているわけですよ。しかも、スタートの段階が違いますので、それは最初の裁判の段階でそんな証拠なんかそろわぬわけですよ、それは。いろいろやっていろんな人に聞く中で後から出てくることが多いわけです。だから、今のように最初から隠していてタイミングを見て出す、これは駄目だよ、しかしそれ以外はできるだけやっぱり柔軟に考えるよと、そういうふうに明確に答弁してくださいよ。
#245
○委員長(澤雄二君) 大野刑事局長、簡潔にお願いします。
#246
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいまの点は具体的には裁判の手続で裁判所が判断することでありますので、私が答弁しても、そもそも答弁する資格があるかというふうに思いますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、当初予定していないような事態が生じる、確かに訴訟ではそういうことはございます。それは先ほど私が申し上げた、やむを得ない事由に当たると裁判所が判断することが多いのではないだろうかというふうに考えます。
#247
○近藤正道君 いずれにいたしましても、この公判前の整理手続等に象徴されるように、言わば裁判員の日程だとかそういうことに非常に配慮する余り、とにかく証拠あるいは法廷活動が非常にやっぱり制限される。その辺の懸念が非常にありまして、それはまさにあべこべな話でありますので、こういうところの権利についてはやっぱりこれからも是非しっかりと審議をさせていただきたい、こういうふうに思っておりまして、今日の質問は終わりたいと思います。
#248
○委員長(澤雄二君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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