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2008/10/02 第170回国会 参議院 参議院会議録情報 第170回国会 本会議 第3号
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2008/10/02 第170回国会 参議院

参議院会議録情報 第170回国会 本会議 第3号

#1
第170回国会 本会議 第3号
平成二十年十月二日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十年十月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る九月二十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#4
○輿石東君 民主党・新緑風会・国民新・日本の輿石東です。会派を代表し、麻生総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
 今、自民党本部の入口には、麻生がやり抜く、まずは景気対策と書かれた麻生総理のすばらしいポスターが目に付きます。
 始動した麻生内閣を国民の皆さんは今どう見ておられるのでしょう。麻生総理は、一体何をどうやり抜くのか。自民党をぶっ壊す、聖域なき構造改革のスローガンの下に、国民に痛みと格差だけを残して退場してしまった小泉元総理の何を受け継ぎ、何を切り捨てようとしているのかさえも見えてきません。
 見えてくるのは、お祭り騒ぎと言われた総裁選での総理御自身の発言。大雨で苦しむ市民の皆さんを前に、大雨が降ったのが名古屋ではなくて岡崎や安城だったからよかったとの発言です。
 これに続き、中山前国土交通大臣は、成田空港拡張工事への反対はごね得、戦後教育が悪いからと決め付け、さらに、日本は随分内向きな単一民族と述べ、また、日教組をぶっ壊すとの記者会見まで飛び出すに至っては、さすがに身内の閣僚や自民党幹部からも、事実を認識しないとんでもない発言だと批判をされ、大臣就任五日目で早くも辞任する事態を招いているのであります。
 このような内閣、自公政権の下で、もはや、自民党や日教組をぶっ壊すどころか、国民の生活がぶっ壊れてしまいます。このような事実認識も見識もない人を大臣にした任命責任についての見解をまずお聞きしなければなりません。
 その他、不適切な献金など、いろいろと問題を抱えている閣僚もいるようなので、説明責任を果たしていただきたいと思います。もしそれができないなら、戦後の一時期、総理の祖父である吉田茂元総理が行ったように、あなたが全大臣を兼務されてはいかがですか。
 これまで国民の生活を壊し続けてきた自民党政権への何の反省もなく、選挙向けパフォーマンスに終始するあなたの言動は国民の理解を超えております。戦後の混乱期に政治に強いリーダーシップが求められ、吉田元総理が活躍し、いち早く日本の復興を築かれたことは私も評価いたします。
 しかしながら、今日求められているのは、半世紀以上にわたる自民党政治により疲弊した国民生活を立て直すことなのであります。これはその原因をつくった自民党にできるわけがありません。日本をあなたが言う全治三年に陥れたのは、あなた方自民党の政治ではありませんか。政官癒着を打破し日本の元気を取り戻すため大胆にメスを入れることができるのは、私たち民主党以外にありません。
 マスコミが調査した組閣直後の内閣支持率は軒並み五〇%を割り、安倍、福田内閣よりかなり低い御祝儀相場となりました。国民の皆さんは、安倍、福田と二代続いた政権ほうり出し内閣でいずれも自民党幹事長をやっていたあなたが総理になっても、先は見えていると判断したに違いありません。
 いま一つ気になるのは、あなたの発言のぶれであります。幹事長時代に提言していた証券優遇税制や設備投資減税はまたやろうと考えているのでしょうか。平成二十三年度プライマリーバランスの黒字化実現はどうなるのでしょう。さらに、後期高齢者制度の見直しは抜本的にやるのか、それとも必要なというお茶を濁した程度の見直しなのか。基礎年金の全額税方式の導入はどうなされるのか。
 麻生がやり抜く、私には政策を実行する力がありますと言われても、肝心の政策がぶれていては、何をやり抜くのか国民にはさっぱり分かりません。これまでも、国民は自民党政権の覚悟や掛け声だけの政治に煮え湯を飲まされ続けてまいりました。どのような政策を行うのか、明確に具体的に説明していただきたい。
 あなたのやることはただ一つ、あなたが景気対策の第一弾と位置付けている補正予算を審議した上で、さっさと衆議院を解散し民意を問うことであります。私たちは、いたずらに審議を引き延ばしたり妨害をしようなどとは考えておりません。協議が調えばその期間内に結論も出しましょう。それでも民主党が信用できないのであれば、さっさと解散したらどうでしょう。解散権は総理一人にあり、だれにも遠慮する必要はありません。国民のために補正予算は不可欠であるとの信念があるなら、その成立後に解散するのがあなたの役目ではないでしょうか。見解を伺います。
 以下、それぞれの問題について具体的に伺います。
 格差の拡大や増税など、国民生活の犠牲の上に何とか持ちこたえてきた我が国の景気もここに来て暗転し、内閣府の発表で今年の第二・四半期の国内総生産の伸び率はマイナス二・四%と大きく落ち込みました。これに加え、急に表面化したのがアメリカ発の世界的な金融危機であります。
 先月十五日、サブプライムローン問題で大きな痛手を受けたアメリカ第四位の証券会社リーマン・ブラザーズが六十四兆円もの負債を抱えて破綻をしました。我が国のいわゆる失われた十年における山一証券の破綻をほうふつとさせるもので、今世界の人々が、新たな世界恐慌の入口ではないかとかたずをのんで推移を見守っております。
 しかし、そのとき、日本の経済財政に責任を持たねばならない与党自民党は何をやっていたのか。総裁選に名を借りた総選挙目当ての珍道中。さすがに、政府側の責任者の一人、与謝野経済財政担当大臣は遊説を中断し役所に戻りましたが、麻生総理、あなたは現職の自民党幹事長でありながら、なお全国回りをやめず、愛想を振りまいていました。あなたのどこに政治家としての責任感があるのでしょう。
 かつての日本の経験から考えれば、このような金融危機は企業への貸し渋りなどを引き起こし、やがて実体経済の落ち込み、つまり不況へとつながるおそれが強いと言わざるを得ません。実際、この問題への切り札と見られていた金融安定化法案はアメリカの下院で否決されてしまいました。
 遅ればせながらの感もありますが、今回の金融危機及び今後予想される不況への具体策を伺いたい。
 現在の日本は不景気にもかかわらず、物価は十六年ぶりという高い上昇率を見せており、国民生活を守るために何らかの経済対策が必要なことに異論はありません。しかし、問題はその内容であります。
 政府・与党の総合経済対策は、ガソリンや食料品高騰に悩む生活者向けの政策がほとんどない中途半端なものでした。しかも、アメリカ発の金融危機後に生まれた新しい状況への対策は何も入っておりません。
 さらに、おかしいのは、今年度中に実施することだけを決定し、審議を来年の通常国会に先送りした定額減税であります。今回の補正予算には盛り込まれず、減税額や財源について何も明らかになっておりません。是非、これらの点について、今国会で予算委員会を開いて正々堂々と審議を行おうではありませんか。
 現在、八百兆円を超える我が国の累積債務は先進国中最悪、財政が破綻状態にあることは今更言うまでもありません。
 小泉改革以来、政府・与党は財政再建を掲げ、その最も重要な目標が平成二十三年度の基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字化でした。しかし、今年七月、政府は目標のプライマリーバランスは三兆九千億円の赤字にとどまると予測し、事実上公約の実現は不可能であることを明らかにしました。
 これに加えて、麻生総理は総裁選で、景気対策のための減税の実施など、五人の候補者の中で最も積極的な財政出動を提唱し、総裁に選出されました。実際、新内閣発足後は、日本経済は全治三年などと根拠のない見立てをし、財政再建を先送りする姿勢を見せ、所信表明では、プライマリーバランスの黒字化については努力しますという表現に後退しております。
 しかし、政権党としての公約が極めて重いものであることは言うまでもありません。麻生総理は国民との約束を守り続けるつもりがあるのか、明確にお答えいただきたい。
 平成十六年の年金法改正では、安定した年金財源を確保するため、来年度から基礎年金の国庫負担率を三分の一から二分の一に引き上げることになっておりますが、その財源確保のための税制論議について、政府・与党は延ばしに延ばして今日まで来ております。
 政府や与党の中からは、一時、国庫負担率の引上げを来年度当初からではなく年度途中にずらして始めることによって必要な財源を圧縮した上で、消費税の引上げのような恒久的な措置ではなく、年金積立金の取崩しといった臨時的措置で手当てをするというこそくな話も聞こえてきましたが、麻生総理は年度当初から実施すると明言しました。しかし、その一方で、そのための財源約二兆三千億円について、今から財務大臣に考えていただかなければならないと述べるにとどまりました。何と無責任な態度でしょうか。
 国庫負担率の引上げを来年度初めから実施することを改めて確約するとともに、その財源をここで明確に示していただきたいと思います。
 ところで、私たちは、以前から年金の一元化及び最低保障部分を全額税で賄う方式を提案しております。
 麻生総理もかつては全額税方式を主張していたのに、総理に就任してからはこの主張を取り下げてしまったのは非常に残念であります。なぜ考えを変えたのか、明確な説明をしていただきたいと思います。
 さきの国会で最大の焦点だった揮発油税などの道路特定財源をめぐって、五月十三日、福田前総理は、私たちの主張にも沿う形で、やっと道路以外にも使えるように来年度から一般財源化すると約束し、閣議決定までしたのであります。
 しかしその後、一般財源化に向けて自民党内で具体的な議論が進んでいる様子は見受けられません。それどころか、来年度の概算要求で国土交通省は、道路整備費について、今年度の当初予算より一四%も多い二兆四千億円余りを要求しております。揮発油税などは道路以外には回さないという執念がうかがえます。
 総裁が政権を投げ出したからといって、自民党が国民との約束を投げ捨てることは許されません。一般財源化の約束を継承し、必ず実現することをここで改めて明確にしていただきたい。また、一般財源化された場合に、実際に揮発油税などのどのくらいの割合が道路以外のどのような部分に回されることになるのか、見通しも示していただきたいと思います。
 また、福田内閣が、いったんは期限切れとなった暫定税率を復活させ、ガソリンを値上げし国民生活に大きな打撃を与えたことは今もって断じて容認できません。
 麻生総理、あなたは所信表明演説で、揮発油税の暫定税率の延長をめぐって、私たち参議院民主党が政局を第一義とし、国民の生活を第二義、第三義とする姿勢に終始した、参議院においては税制法案をたなざらしにしたとまで批判しておりますが、とんでもない言いがかりであります。
 この法案は、国民の生活を文字どおり破壊するガソリン再値上げ法案で、私たちが国民生活を守るために全力で成立を阻止しようとするのは当然のことであります。
 現在、民主党としては、改めて揮発油税などの暫定税率の廃止を公約に掲げ、政権を獲得したら必ずガソリン値下げを実施することをお約束してまいります。また、残りの道路特定財源はすべて一般財源化した上で、地方には自主財源として交付し、自治体に使い道を決めてもらうことにしているのであります。さらに、物価高の一因となっている物流コストを引き下げるため、高速道路料金の無料化を実現することもお約束したいと思います。
 次に、国民の安全と安心の問題について伺います。
 まず、汚染米の問題であります。
 ウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセス米として輸入された米のうち農薬やカビ毒に汚染された米を、大阪の三笠フーズは、国から工業用と購入しておきながら食用として転売し警察から摘発されました。三笠フーズ以外にも愛知県や新潟県の数社が同様の取引をしていたことも判明いたしました。このほかにも同様のケースがあると言われていますが、調査が遅れ、いまだ全貌はやみの中であります。
 汚染米は、しょうちゅうや菓子の原料に使われたばかりか、でん粉に加工されたりモチ米に混入されたりして、様々な施設や学校給食などで消費されたことが明らかになっております。
 農水省は、三笠フーズに五年間で九十六回もの立入検査をしながら不正を見抜けませんでした。その一方で、農水省大阪農政事務所の担当の課長が三笠フーズから飲食店で接待を受けていたことが明らかになりました。農水省と三笠フーズの間に癒着があったと疑わざるを得ません。
 それにもかかわらず、発覚当時、農林水産省の白須事務次官は、責任は一義的には企業にある、農水省に責任があるとは考えていないと発言し、さらに太田農水大臣に至っては、人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる、だから余りじたばた騒いでいないと述べました。
 太田大臣は以前から失言が多く、福田内閣の農水大臣に就任してからも、食の安全に関連し、消費者がやかましいから徹底してやっていくと述べるなど、その適性に疑問が出されていました。何の解決もしないまま、あと五日間で内閣総辞職というところでの辞任は、総選挙を意識したパフォーマンス、まさにトカゲのしっぽ切りと言わざるを得ません。
 事件発覚後の農水省の対応にも大きな問題がありました。三笠フーズの転売先三百九十社余りの発表に踏み切ったものの、その内容には間違いもありました。そして、多くの業者が事故米であることを知らずに購入した全くの被害者であったにもかかわらず、風評被害に苦しみ、ついにこの事件を苦に自殺したと見られる業者まで出てしまいました。輸入米とはいえ、米は私たちの大事な主食であり、今回それが扱われていたずさんなやり方に国民は唖然とし、もはや政府・自民党には大事な食の安全は任せられないとまで考えております。このような信頼の失墜に政府はどう対応するのか、伺っておきたいと思います。
 また、一昨日、汚染米の国会対応について驚くべき事実が明らかになりました。
 汚染米問題発覚後の先月十二日、自民党は農林水産省に対し、野党からの資料要求は事前に自民党国対の許可を得るようにという指示を出していたのであります。農林水産省が作成した内部資料には、野党からの資料要求には各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、自民党の筆頭副委員長に相談することと明記されており、国民の食の安全にかかわるこの問題をまさに自民党が隠ぺいしようとしたのであります。国会の審議権や国民の知る権利をも奪うこの行為は事実上の検閲であり、断じて許せません。
 自民党総裁としての麻生総理の見解を伺います。
 こうした食の問題が次々と起こる背景となっているのが、ついに四〇%まで落ちるに至った我が国の食料自給率の低さであります。一定のリスクを覚悟で食料を輸入せざるを得ないのであります。
 農業は、単に食料を生産するだけではなく、環境の維持にも重要です。民主党としては、意欲ある販売農業者に対する戸別所得補償制度を創設することを公約に掲げています。御意見があればお伺いします。
 次に、宙に浮いた年金、消えた年金に次ぐ年金スキャンダル、消された年金の問題であります。
 この問題は、社会保険庁が厚生年金の標準報酬月額を改ざんすることによって保険料の徴収率を上げていたもので、受給者は受け取る年金が知らない間に減額されることになります。
 このことについて、八月十九日の民主党厚生労働部門会議で元社会保険庁職員が証言しましたが、社会保険庁はそのような事実はないと否定してきました。しかし、先月九日の関係閣僚会議で初めて改ざん指導の事実を認めました。
 さらに、先月十九日、舛添厚生大臣は、改ざんの疑いのあるケースが少なくとも六万九千件あることを認めました。驚くべき数字であります。それは恐らく氷山の一角です。まずは実態解明のための具体的な対策を伺っておきたいと思います。
 さらに、この問題について、舛添厚生労働大臣は、社会保険庁が組織ぐるみで行った疑いが強いことも認めました。推定とはいえ、現職の担当大臣の発言は極めて重いものであります。その場合、国は年金が減ってしまった加入者に対してどう責任を取るのか、見解を伺います。
 また、だれのものか分からない、いわゆる宙に浮いた年金の記録五千万件のうち、解決済みは政府が当初解決の期限としていた今年の三月から半年経た今もわずか七百五十万件にすぎません。すべての年金受給者及び加入者に郵送されたねんきん特別便も、本当は訂正の必要性が高いにもかかわらず、訂正の必要なしと回答した人も非常に多く、解明に効果を上げているとは言えません。なぜもっと親切に記録漏れに関する具体的な情報提供を行わないのでしょう。
 さらに、支払った年金保険料がコンピューターに全く入力されていない消えた年金について、社会保険庁のサンプル調査では、推定で五百六十万件もの記録が紙台帳からコンピューターへ正しく入力されていないということが分かりました。麻生内閣としては、どのようにして、いつまでに記録訂正を行うのか、改めて明らかにしていただきたいと思います。
 以上のように、自民党政権の長年のずさんな管理運営がもたらした年金の危機は、解決されるどころか底なしの広がりを見せ、国民の不安は募る一方であります。
 私たちは、この問題をもはや社会保険庁や厚生労働省にとどまらない国家全体にかかわる危機と考えております。私たちが政権に就けば、国家的プロジェクトをつくって一刻も早く被害者への補償を行うとともに、全年金加入者に年金通帳を発行し、二度とこのようなことが起きないようきちんとした年金運営をしていくことをお約束いたします。
 先月九日に発表された二〇〇七年国民生活基礎調査では、夫婦両方又はどちらかが六十五歳以上、又は六十五歳以上の単身世帯の数は、初めて一千万世帯を超え、全世帯の二一%に達しました。また、家族間で介護する家庭のうち、高齢者が高齢者を世話をするいわゆる老老介護の世帯が三四%にも上っています。
 さらに、家族の介護や看護のために離職や転職を余儀なくされた人は、去年十四万人に上り、前の年より四〇%も増えているのであります。
 このように介護保険制度の重要性が増しているにもかかわらず、政府は二度にわたって介護報酬を引き下げ、その結果、この仕事に希望が持てないと、介護労働者の職場離れが続いています。早急に介護保険における国の負担割合を引き上げるとともに、介護労働者の待遇改善のための財政支援が必要だと考えますが、見解を伺います。
 また、政府は、おととしの医療制度改革で、介護保険適用の介護型十三万床の全廃と、医療保険適用の医療型二十五万床を十五万床まで減らすことを決めました。その後、二十二万床に修正したものの、行き場のないお年寄りが各地で急増しております。何とひどいやり方ではありませんか。
 政府は、これまでの方針を改め、将来の需要を見据えて療養病床を確保していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 こうした中で、今年四月からスタートした後期高齢者医療制度は、病気にかかるおそれの大きい七十五歳以上のお年寄りだけを分離して新たな健康保険制度をつくるという世界にも例のない不合理な制度であります。これに加えてこの制度は、高齢化が進むほど加入者の保険料負担が増えることや、九十日を超える入院の打切りが懸念されるといった多くの問題点があり、国民の怒りが沸騰したことは記憶に新しいところであります。
 私たちは、直ちに制度を廃止することを要求し、廃止法案を提出しましたが、政府・与党はこれを拒否し、一時しのぎの対策を打ち出しました。しかし、かえって混乱は大きくなりました。しかも、今月十五日からは、これまで被扶養者だったことなどを理由に保険料支払を猶予や延期されてきた三百二十五万人についても新たに年金からの保険料の天引きが始まります。
 こうした中で、舛添厚生労働大臣は、総裁選の最中テレビに出演し、七十五歳で線引きすることや年金から保険料を天引きするといったこの制度の根幹について抜本的に見直すことを提案し、当時、総裁就任が確実視されていた麻生候補の支持を取り付けたと明言をいたしました。
 ところが、麻生政権での再任後は、制度は維持し、改善の検討を行うだけだとトーンダウンしています。麻生総理の所信表明でも、一年をめどに必要な見直しを検討しますとしかおっしゃっていません。余りに責任者の発言がくるくる変わるので、この制度に対する国民の不信は更に深まっております。私たちの提案を受け入れ、一刻も早く廃止すべきだと思いますが、いかがでしょう。
 このところ、子供が犠牲になる事件が相次いでおります。安心して子供を産み育てる社会を実現するために、民主党は、一人当たり月額二万六千円の子ども手当を支給するとともに、公立高校の授業料無償化や私立高校などの学費負担軽減を行うことをお約束します。御意見があれば伺いたい。
 また、中山前国土交通大臣が日教組をぶっ壊せとマスコミの前で叫んでみたり、日教組の教育研究集会の会場をめぐる問題など、憲法で保障されている労働者の団結権や言論、集会、結社の自由がないがしろにされるケースが目立っております。総理の見解を伺います。
 その一方で、税制上優遇されている宗教法人が選挙対策の中心拠点となって、政党以上の選挙を行っていると言われていますが、憲法で言う政教分離についての総理の見解も伺っておきたいと思います。
 次に、外交と防衛の問題についてお聞きします。
 麻生総理は、日米同盟の強化を外交の基本としていますが、これは、九・一一同時多発テロ以降、小泉、安倍、福田内閣が取ってきた米国の要求を終始受け入れるという自民党政権の外交を受け継ぐだけにすぎません。
 もちろん、アメリカとの協調が重要であることは異論ありません。しかし、間もなく行われるアメリカ大統領選挙の結果次第では、イラク政策を始め、アメリカの外交政策に大きな変化が生じるかもしれません。それにもかかわらず、相変わらず日米基軸に偏る世界秩序づくりでは、国際協調の動きから後れを取るおそれがあります。むしろ、自身の利害に傾きがちなアメリカに対し、国際社会の一員として振る舞うよう忠告するのも日本の役割ではないかと思います。
 小泉総理は、アメリカ一辺倒の外交政策を掲げ、中国や韓国などの近隣諸国の反感を買いましたが、麻生総理もこの路線を受け継ぐのでしょうか。見解を伺います。
 テロが許せないということは言うまでもありません。しかし、テロとの闘いには様々な方法があります。軍事力で抑え付けるだけで解決はしません。何よりもテロ発生の温床を根絶するため、アフガニスタンの国家再建、復興支援への国際協力の一翼を担うことが日本の役割であります。
 政府がテロ対策の名目で続けているインド洋での給油活動が、実際にアフガニスタンの治安回復、テロ対策に成果を上げているとはとても考えられません。現場の海上自衛官の労苦にふさわしい効果があるとも思えません。ましてや、シビリアンコントロールの原則を踏みにじり、国会承認規定を外した新テロ特措法の来年一月の延長は認めるわけにはいきません。見解を伺います。
 最後に、改めて確認しておきたいことがあります。
 総理は、所信表明演説の冒頭で国会運営に触れ、議会制民主主義の前提は与野党の論戦と政策をめぐる攻防だと明言され、結びでも国会運営への協力を強く要請されました。
 お約束したいと思います。補正予算の成立こそはまさしく焦眉の急だと位置付けられました。私たちは、その補正予算審議に当たっては審議拒否も引き延ばしもするつもりは毛頭ありません。
 また、議会制民主主義の前提にはもう一つ大事なことがあることを総理は御存じでしょうか。それは、与党が政権を担う能力や資格を失ったとき、直ちに政権を野党に渡し総選挙を行うという原則であります。それが日本国憲法の想定する議会制民主主義の道筋であり、憲政の常道というものではありませんか。したがって、この三日間の代表質問だけの解散もあり得ないと考えますが、総理の明快な見解を伺っておきます。
 総理はまた、子供の未来に夢を、若者に希望を持ってもらわなくては国土の土台が揺らぐと訴えられました。同感であります。子供に夢を、青年に希望を、お年寄りには安心をが私の政治信条だからであります。しかしながら、麻生政権が続く限り、あなたの言うとてつもない日本どころか、とんでもない日本になりかねません。
 人生八十年時代、すべての人に出番と居場所のある生活をつくり出し、がけっ縁の日本再生の道、それは政権交代以外にありません。生活が第一の私たち民主党は、持てる力のすべてを結集し、来るべき衆議院選挙に勝利することをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 輿石議員の質問にお答えをさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、私の発言と閣僚の任命責任についての御質問がありました。
 私の過去における不用意な発言で関係者の皆様に不快な思いをさせたことについては、おわびをいたします。今後、総理大臣として言葉の重みをわきまえつつ発言してまいりたいと存じます。
 また、中山前大臣の一連の発言は、閣僚として誠に不適切であります。関係者の方々、国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げる次第です。任命責任は私にあります。今後、仕事で成果を出すことによって、国民に対して責任を果たしてまいりたいと考えております。
 また、閣僚の中に政治献金などで不信を持たれるようなことがあれば、各々が国民にしっかりした説明をするべきことは当然であります。
 次に、私の発言にぶれがあるとの御指摘がありましたが、私はいささかもぶれていないと思っております。
 例えば、基礎的財政収支の二〇一一年度の黒字化目標につきましては、達成すべく努力するという方針は一貫しております。
 長寿医療制度につきましては、見直しは必要であり、幅広い議論が必要だというのが私の持論であります。
 基礎年金の全額税方式は、私は良い方法と考えております。しかし、年金財源制度につきましては国民に広く納得をいただくことが必要でありまして、私の考えも一つの選択肢として議論を進めていただければと存じます。
 このように、私はそれぞれの政策について明確な方針を持ち、また具体案を持っております。しかしながら、国会と国民の御理解をいただく必要があり、そのために開かれた十分な議論が必要であります。
 次に、補正予算審議についてのお尋ねがありました。
 補正予算の審議を引き延ばすことなく行っていただけるとのお約束のように伺いましたが、感謝を申し上げます。しかし、前国会において、議長立会いの下、与野党で結論を出すと合意したはずの税制関連法案が二か月も意思決定されませんでした。結果として、国民生活、地方自治体の運営などに大きな混乱が生じました。
 現下の厳しい経済情勢から、補正予算及び関連法案を国民生活を守るために提出をいたしております。是非、早急に結論を出すためにお約束をいただきたいと存じます。
 次に、アメリカの大手証券会社が破綻しているさなか、自民党総裁選挙をしていたのは無責任ではないかとの御指摘がありました。
 全く違います。自由民主党は政権与党でありまして、常に日本の政治に責任を持たなければならないのは御指摘のとおりであります。アメリカ発の金融危機の際にも、政府及び自民党の担当者が米当局と緊密に連絡をするなど、一瞬のすきもなく事態を凝視してまいったと思います。
 一方、開かれた総裁選挙を行うことは、開かれた国民政党として、民主主義国家の政党として必須のことだと考えております。
 今回の金融危機、今後予想される不況への具体策についてお尋ねがありました。
 日本としては、引き続き米国を始めとする関係各国と緊密に連携しつつ、国際金融市場の安定化に努めてまいります。国内におきましては、緊急総合対策に盛り込まれました中小零細企業の資金繰り支援策を着実に実施するとともに、必要に応じ更なる対応も弾力的に行っていく必要があるかと考えてもおります。
 安心実現のための緊急総合対策についてのお尋ねがありました。
 緊急総合対策には、例えば高速道路の料金引下げ、輸入麦の政府売渡価格の引上げ幅の圧縮、学校給食に係る保護者負担の軽減の支援など、国民生活に直結する施策を盛り込んでおりますのは御存じのとおりだと存じます。
 補正予算を早急に審議し成立させていただきたいとお願いしているのは私の方であります。受けていただき、早急に成立させていただければ幸いであります。
 また、定額減税につきましては、政府・与党で議論をし、年内に結論を得て、国会の御審議をいただくことを考えております。
 なお、本対策の決定後も国際金融情勢は大きく変動しました。本対策がどのような効果を持つのかを見極めた上で、必要に応じ更なる対応も弾力的に行っていく必要があり得ると思っております。
 基礎的財政収支についてのお尋ねがありました。
 我が国が巨額の借金を抱えておりますのは御存じのとおりです。経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は当然の課題であろうと存じます。
 麻生内閣として、日本経済の持続的で安定した繁栄を図るとともに、基本線として踏み外さず、二〇一一年度までに国、地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を達成すべく努力してまいります。
 基礎年金国庫負担割合の引上げについてのお尋ねがありました。
 基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げにつきましては、来年四月から実施することが基本と考えております。そのための財源を含め年金などの社会保障の財源をどう安定させるかにつきましては、その道筋を明確にすべく年末までに結論を得たいと存じます。
 年金財政にかかわるお尋ねがありました。
 公的年金財政は国民生活に直接かかわる問題であることから、中長期的視点に立ち、国民的な議論が行われるべきだと考えております。基礎年金の財政方式についても様々な選択肢について慎重に検討していく必要があろうと存じます。
 道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねがありました。
 道路特定財源につきましては、五月の閣議決定に沿って平成二十一年度からの一般財源化を現実のものとしてまいります。この方針の下、具体的な内容につきましては、道路予算も含め予算編成過程において検討してまいります。
 暫定税率、高速道路料金などのお尋ねがありました。
 道路特定財源につきましては、現行の税率水準の維持が必要ではないかと考えております。いずれにせよ、本年五月の閣議決定に沿うて税率なども含め検討してまいります。
 高速道路は、二兆六千億円の料金収入で四十兆円に上る債務の償還や維持管理を行っております。すべて無料化して収入がなくなるということにつきましては、税金にツケ回しをするだけでありまして現実的な御提案とは思えません。
 事故米についてお尋ねがありました。
 事故米と知りつつ流通させた企業の責任は当然であります。また、これを見逃した行政の責任も重いものがあります。国民の怒りは極めて深いと認識をしております。私は行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止に万全を期します。
 資料要求の取扱いについてお尋ねがありました。
 お尋ねの件は、資料要求の実態を把握するため、自民党から各府省に対し情報提供を依頼したものと理解をしております。国会議員による各府省への資料要求につきましては、過重な事務負担につながらないよう、与野党間でルール作りを進めていただくことを期待をいたしております。
 民主党の戸別所得補償制度についてのお尋ねがありました。
 民主党御提案の所得補償制度につきましては、経営規模を問わずすべての農家を対象とするものであることから、農業構造の改革を妨げることになりはしないかと思います。政府として、意欲と能力のある担い手の育成に資する経営所得安定対策の実施により、農業構造の強化に取り組むことこそが重要だと考えております。
 消された年金の問題についてお尋ねがありました。
 この問題につきましては、オンライン上の記録から疑いのある記録六万九千件を抽出し調査を行うとともに、年金受給者や現役加入者に対し標準報酬月額等をお知らせするなど、実態の解明と被害者の救済を進めてまいります。また、不適正な訂正が行われた事案については事実関係を徹底して調査し、社会保険庁の職員の不正が明らかになった場合は厳正なる処分を行います。
 いわゆる宙に浮いた年金についてのお尋ねがありました。
 今月中にすべての受給者、加入者にねんきん特別便の送付を終えることとなります。このうち、未回答の方や訂正なしの方で御本人の記録と結び付く可能性の高い方につきましては、電話や訪問により具体的な情報を提供するなどの対策を講じてまいりたいと存じます。引き続き、手間と暇を惜しまず、全力を尽くしてまいります。
 次に、消えた年金の記録訂正についてのお尋ねがありました。
 八億五千万件の紙台帳の記録とコンピューター記録との突き合わせにつきましては、来年度中に紙台帳を電子画像化し、すべての方について計画的、効率的に作業を実施してまいります。作業の完了時期については、検索システムによる突き合わせの方法などについて検討する必要があり、現時点でその目途をお答えすることは困難であろうと存じます。
 介護従事者の処遇改善に関するお尋ねがありました。
 介護従事者の処遇改善を図るため、こうした努力を行う事業主などに対する支援を進めてまいりたいと存じます。あわせて、来年四月には介護保険料の水準なども踏まえながら介護報酬を適切に設定してまいります。なお、介護保険が社会保険制度であることや厳しい国の財政状況などを踏まえると、これ以上国庫負担割合を引き上げることは困難ではないかと存じます。
 療養病床の確保についてのお尋ねがありました。
 療養病床の介護施設などへの転換は、医療保険と介護保険の役割分担を明確にし、高齢者の状況に応じたケアを適切に提供していく上で必要な取組であると考えております。その際、御指摘のような行き場のない入院患者が生じないよう、円滑な転換に向け万全を尽くしてまいります。
 最後に、長寿医療制度の見直しについてのお尋ねがありました。
 長寿医療制度については、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得をしていただけるよう改めることが必要だと考えております。そのため、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。
 民主党の子ども手当、公立高校の授業料無償化などについてのお尋ねがありました。
 御提案の子ども手当につきましては、約五兆六千億円もの財源が明確ではないものと考えております。公立高校の授業料無償化につきまして、多額の財政、約三千億円の負担の問題などを踏まえ、慎重であるべきと考えております。
 他方、家庭の経済状況によって修学の機会が奪われないようにすることが必要であると考えております。このため、すべての都道府県において、経済的理由により修学困難な高校生を対象に、公立高校の授業料の減免や授業料などの減免を行う私立高校への補助を行うとともに、奨学金事業を実施しているところでもあります。
 政府として、今後とも、こうした支援を通じて子供たちの修学の機会の確保に努めてまいります。
 憲法で保障されている権利についてのお尋ねがありました。
 個別の案件に関してコメントすることは差し控えますが、一般論として、憲法で保障されている勤労者の団結する権利、集会、結社及び言論の自由を尊重すべきことは当然であると考えております。
 中山大臣の一連の発言は、閣僚として誠に不適切であると考えております。また、私人間の問題でもありますので、コメントを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、法治国家である以上、司法の決定は尊重すべきものであると考えております。
 政教分離についてのお尋ねがありました。
 憲法の定める政教分離の原則は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨であります。宗教法人の政治的活動を排除する趣旨でないと考えております。
 外交の基本方針についてのお尋ねがありました。
 我が国は、従来より、日米同盟を基軸としつつ、近隣諸国との協調、国連を中心とする国際協調を外交の重要な柱としてまいっております。このような基本方針は、我が国が置かれた地政学的条件及び歴史的経緯などを踏まえたものであり、私の内閣においても変更はありません。
 補給支援特別措置法の延長についてのお尋ねがありました。
 補給支援活動は、継続が是非とも必要であります。この活動は、テロとの闘いの中核でもあります。アフガニスタンの安定と復興のための国際的取組を支えるものでもあります。補給支援特措法では、法律で活動を限定し、活動する外国の範囲を提示するため、国会審議そのものを通じて国会による文民統制は的確に確保されているものと考えております。
 最後に、補正予算審議と解散についてのお尋ねがありました。
 補正予算の審議を行っていただけることは誠に有り難く感謝申し上げ、早急に結論も出していただければと存じます。しかし、予算関連法案のほか、消費者庁設置法案、インド洋での補給支援法案など、国民生活を守るため、あるいは国際社会での責任を果たすため、課題は山積をしておると思っております。私は、衆議院の解散という政局より、景気対策など政策の実現を優先したいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(江田五月君) 山崎正昭君。
   〔山崎正昭君登壇、拍手〕
#7
○山崎正昭君 私は、自由民主党を代表して、麻生内閣総理大臣及び関係大臣に対し質問をいたします。
 総理、党大会で総裁に選出された際、我が自由民主党、開かれた国民政党として堂々と総裁選挙を実施したという成熟した国民政党に所属している自分を大変誇りに思っていると発言されました。私も、総理大臣の候補者たる我が党総裁を選出するため民主的な選挙を行えたと自負するものであります。
 内外共に難問が山積する中で我が国のかじ取りをされることになりました。総理就任後、初の記者会見で、日本を明るく強い国にするのが私の使命だ、私の持つ経験のすべてとこの身を尽くして難題に立ち向かうと力強く決意を表明されました。総理の勇気と実行力に大いに期待するものであります。
 そこで、まず日本国総理大臣の気構えと一国の指揮官としての国家観を語っていただき、つくろうとされる明るく強い国とはどのような姿なのか、御披瀝願います。
 総理は、所信において、国会運営についての考えを率直に表明されました。
 この一年間、参議院において、予算及び歳入法案における議長あっせんの無視、委員会における審議の引き延ばし、さらには法案の内容を無視した委員会付託等々、国会ルールを無視した政局第一の民主党の議会運営が国政の混乱を招き、国民生活に支障を来しました。
 総理、民主党の何でも反対、政局第一の国会運営では、国会に対する国民の信頼にこたえられないとの危機感を私も総理と共有するものであります。党首討論を含めた民主党との論戦で国民に与野党の政策の相違を明らかにしていくべきと考えますが、総理の決意を伺いたい。
 さて、焦眉の急である景気対策のための補正予算案が提出されました。国費一・八兆円、事業規模十一兆円超の対策によって国民の痛みや不安にしっかりと対応するものであります。一刻も早い成立に向けた総理の意気込みを伺いたい。
 ねじれ国会での最初の再議決は補給支援特措法案でした。これは来年一月十五日に期限切れを迎えます。
 私は、我が国が国際社会において責任ある役割を果たすことはいかなる政治状況であっても不変である、不変でなければならないと思います。世界各国がテロと闘っているとき、国際社会のニーズが高く、我が海上自衛隊の装備、能力が生かされる補給支援こそが日本の持ち味を生かしたベストの共同活動であります。洋上給油は高度な技術を必要とし、我が海上自衛隊の士気は高く、その仕事ぶりは各国に称賛され、感謝されております。
 民主党の小沢代表は、米軍等への給油は戦争そのもので憲法違反である、しかし、アフガニスタン本土で活動している国際治安支援部隊であるISAFについては、国連の決議があり、憲法に抵触しないので参加を実現したい旨の主張をされております。我々は、こうした小沢代表の主張にくみするわけにはまいりません。補給活動は何としても継続すべきであり、国民の理解を得る努力も重要であります。
 そこで、特措法成立に向けての御決意を総理に伺います。
 さて、近年、国際情勢が流動化し多極化が進む中で、新冷戦の時代が到来しつつあるとの見方があります。オリンピックの最中、発生したロシアとグルジアの軍事衝突はその顕著な表れでもあり、世界情勢は混迷の度を深めていると感じるものであります。また、我が国の固有の外交課題として、隣国北朝鮮の問題、さらには日中、日韓関係や、先ほど申し上げたテロとの闘いなど様々な問題が挙げられます。
 こうした中、我が国の持続的な発展のためには、しっかりとした外交戦略を持つことが必要であると確信いたします。その際、乱気流の時代だからこそ、軸足を日米同盟にしっかりと置くことが肝要であります。
 また、総理は、外相時代に方針として、日米同盟、国際協調、近隣アジア諸国の重視に加え、自由と繁栄の弧を打ち出されております。いわゆる価値観外交については、さきの国連総会の演説でも言及されていますが、今後とも大いに進めていただくことを期待申し上げます。
 我が国の国益、国力増進へ向け、総理には戦略性に富んだ外交を展開していただくことを望みますが、外交の基本方針を伺います。
 さて、日本の繁栄のためには、近隣国との関係が重要であることは論をまちません。総理も、これまで日中関係改善に尽力されてきたところでありますが、アジア外交、特に対中外交についての所見を伺います。
 依然、北朝鮮は核、ミサイルや拉致問題をめぐって不誠実な対応に終始しております。拉致問題では、合意されていた調査委員会がいまだ立ち上げすらなされておりません。日朝首脳会談において北朝鮮が拉致を認めてから六年。日本海を隔てて今も助けを求めておられる被害者の方々、そして御家族の皆様の心情を思うと、その解決に全力を尽くさなければならないと考えるものであります。
 そこで、日朝関係が膠着した状況にある中、いかに北朝鮮問題の解決に取り組まれるか、総理の御決意を伺います。
 次に、ODAの在り方について伺います。
 我が国のODAが削減傾向にあることを受け、本院のODA特別委員会では、昨年六月、ODAの量的確保や援助戦略の策定などを政府に求める提言を行いました。財政状況が大変厳しいことは承知をいたしておりますが、外交力を強化し、影響力を増していくためにも、ODAの充実、その戦略的な実施が求められていると考えます。
 そこで、外務大臣にODAについての御所見を伺います。
 次に、経済対策について伺います。
 去る八月には、当時、幹事長として安心実現のための緊急総合対策を取りまとめられました。今日、地方経済の状態は極めて厳しい状況にあります。昨年から全国を回られた総理は実感しておられると思います。この経済対策の一日も早い実行によって、地方経済、中小企業の立ち直りにつながることを期待するものであります。
 経済対策の中では、原油、原材料価格の高騰で大きな影響を受けている農林水産業、運送業、中小零細企業への支援や高速道路料金の引下げ、特別減税の実施等が柱として盛り込まれ、社会保障問題や低炭素社会の実現など環境問題にも配慮した総合的な内容となっております。
 経済対策の内容や有効性について分かりやすく説明をし、国民を力付けていただきたい。総理のお考えをお示し願います。
 税制について伺います。
 本来は、家族のきずなや地域社会の再生につながる抜本的な税制改革が望まれるところでありますが、現下の状況に緊急になすべきことがあれば、果敢に取り組むことは必要です。
 まとめられた経済対策の中で、景気の下振れリスクに対応するため、特別減税の実施が盛り込まれております。やることが決まったからには、是非とも減税の景気刺激効果が出るようにしっかりとした対応を望みます。
 総理としては、どのような内容の定額減税をどのような形で実施するお考えなのか伺います。
 九月二十九日、アメリカ下院は不良債権の買取りを柱とした金融安定化法案を否決、これによって、アメリカの金融危機の深刻化を懸念し、ニューヨーク株が史上最大の下落幅を記録しました。アメリカ政府が迅速に手を打たなければ、世界経済に大きな打撃を与えるおそれがあります。既に我が国市場も連鎖して株価は下落しており、新たなブラックマンデー、世界同時株安の様相です。
 金融システムを崩壊から守るために、欧米と緊密に連携することが必要であります。我が国の対応を伺います。
 我が国は、十数年前のバブル崩壊を乗り切った経験もあり、金融機関は経営体力は維持していると思いますが、実体経済に影響が及ばないような対応が必要です。ただ、日本の銀行は、国内需要の冷え込みから融資先を選別し始めているのに、アメリカ発の金融不安が重なり、更に貸し渋りや貸しはがしの姿勢が厳しくなり、それが一段と国内の景気を冷やすことになるのではないかとの見方も出ております。
 金融行政としては、そうした事態の深刻化を避けるために、金融政策を運営する日本銀行とも一体となってあらゆる手段を用いていただきたい。日銀との政策協調を進めながら、総合かつ緊急的にどのような金融行政を進めるのでしょうか。総理に御所見を伺います。
 社会保障に対する国民の信頼が大きく揺らいでおります。安全、安心の国づくりを進める柱は、将来にわたり確実に持続する社会保障の構築であることは言うまでもありません。しかし、その基盤が、近年の少子高齢化の進展といった社会構造の大きな変革の影響のみならず、社会保険庁の度重なる不祥事、後期高齢者医療に関する国民への説明不足などにより、大きく揺らいでいるのが現実であります。
 政府は全力を挙げて社会保障全般に対する不安感、不信感を払拭することが望ましいと思われます。総理に、社会保障改革に向けた基本的なお考えを伺います。
 社会保障予算における当面の課題として、来年度、二千二百億の削減問題があります。二〇〇六年の骨太方針での歳入歳出一体改革の中で二〇一一年までにプライマリーバランスの黒字化目標達成の一環として行われるものであります。加えて、年金問題に関係して、来年度からの基礎年金国庫負担の二分の一への引上げが予定されております。その財源手当ての具体的な方策についてどのようにお考えなのか、総理の御認識をお聞かせ願います。
 今年四月から長寿医療制度が実施されました。しかし、高齢者本人を始め御家族からも、これまでの家族意識を後退させる制度となった、年金から天引きされるのは不満という多くの批判的な御意見が出されております。こうした声にこたえ、保険料負担の軽減や天引き徴収の選択などの措置が図られてきたところであります。
 政府は制度の見直しに言及しておりますが、政府・与党として国民目線に立って、分かりやすくてみんなが納得する制度にしてほしいと願います。どのように見直すのか、いつごろその全体像が見えてくるのか、厚生労働大臣のお考えを伺います。
 国内農林水産業の振興は、国民への安全、安心な食材の提供、生産者の所得確保、食品産業、流通業の地域経済の活性化など、まさに日本の底力の重要な一翼を担うものであります。内閣府の世論調査によると、国民の九八%が食品の安全性に関心があり、八割の国民が国内での農業生産を支持しております。
 一方で、我が国の食料自給率は平成十八年度は四〇%であり、総理の掲げる将来目標五〇%の達成には相当な政策出動が必要であります。
 我が自由民主党は、九月二十四日に、日本の農林水産政策は自民党にお任せくださいとして、農政では、肥料・燃油高騰対策、水田フル活用、耕作放棄地解消と自給率向上など八項目の政策を決定し、緊急を要する項目は早速補正予算案に盛り込んだところであります。
 我が国の農林水産業の持つ国政における位置付けとその振興へ向けての総理のお考え、さらには決意をお聞かせいただき、国民と生産者の皆様に安心とやる気を与えていただきますよう、総理にお尋ねいたします。
 食の安全、安心、消費者目線の政治を掲げていたにもかかわらず、汚染米が食用として売られるという、食の安全には程遠いとんでもない事件が起こりました。
 米は日本人にとっても命そのものであります。政府が売り渡したミニマムアクセス米が汚染米として出回ったことに怒りを覚えます。ミニマムアクセス米は、我が国では国家貿易として国が一元的に輸入し管理する仕組みを持っていることから考えますと、国の責任は誠に重大なものがあります。
 我が党は、九月十八日、事故米の食用への横流し事件に関する決議を行い、政府へ強く申し入れたところであります。農水省では、米の流通規制や生産履歴の管理強化、罰則強化などを柱とする新制度の検討に入りました。
 今国会では消費者庁設置法案が提出されます。何よりも消費者の立場に立ち、その利益を守る行政を行っていかねばなりません。さきの国会では学校給食法の改正を行いました。これから食育が推進され、安全、安心の地産地消が進むと考えます。
 今後、消費者の安全確保のためにどう取り組まれていくか、総理の決意を伺います。
 次に、観光立国について伺います。
 我が国は、観光立国実現のため、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者一千万人を目指し、ビジット・ジャパン・キャンペーンに取り組んでおり、昨日、観光庁が設置されたところであります。官民一体での取組により、外国人旅行者は着実に伸び、昨年は過去最大の八百三十五万人を記録しております。
 観光とは、易経で国の光を観ることとあります。まさしく日本はすばらしい光あふれる国です。今後とも、多くの方々に日本の持つ魅力を体感していただけるよう、政府として戦略的に取り組むことを要望いたします。
 また、観光問題は地域再生につながる重要課題でもありますが、観光立国日本を目指しどう取り組むのか、総理に伺います。
 総理は、地域再生は地域の活力を呼び覚ますこと、それぞれの地域が誇りと活力を持つことが必要であると述べられました。
 総理の選挙区飯塚は、かつて炭鉱の町でありますが、そこに国立大学の情報工学部を創設し、折からのIT時代の到来で、産業構造の変化に伴い、大学発のベンチャー企業が数多く創業しております。大学を誘致し、人が集まり、地元に根付いた産業が生まれております。
 今、話題になっているアメリカの副大統領候補ペイリン女史の眼鏡フレームは、私の地元福井の中小企業の商品であります。こういった事例も各地で見られるようになってまいりましたが、地場産業の振興にも政府は支援を惜しまないでいただきたい。
 この度、地域再生担当の補佐官が新設されたのは時宜を得たものと思いますが、どう地域住民の要請にこたえられますか、総理のお考えを御披瀝願います。
 政府は、ここ二年、内閣の重要課題として教育再生に取り組んできました。教育基本法改正の下で、知徳体育の充実策や地域社会の教育力の向上のための予算を取り、地域の人々による教育支援の輪が広がってきております。また、四十三年ぶりの全国学力・学習状況調査は、教育現場に清新な風を吹かせ、各地で実態に基づいた改善の取組が始まってきました。
 教育再生は、地域再生と家庭教育支援と一体であり、政策が複数の省庁にまたがっていることから、引き続き内閣の重要課題として取組を続けていかねばなりません。教育は国家百年の計、官邸に教育再生会議、教育再生懇談会を置いて改革のエンジンとなったことは大きいと思います。麻生内閣ではいかに取り組まれますか。
 次に、地球温暖化問題について伺います。
 七月の洞爺湖サミットでは、二酸化炭素などの排出量を二〇五〇年までに世界全体で半減することを真剣に検討することで主要八か国が初めて合意をし、スタートいたしました。
 今後、我が国は、今までにも増して温暖化問題に率先して取り組み、これまでの化石エネルギー依存型の社会構造から低炭素社会へと大きくかじを切らなければなりません。環境・エネルギー技術を活用することにより、新たな需要と雇用を生み出すことができます。これは、我が国の経済成長の絶好の機会と期待しております。
 福田前総理が提唱された排出量取引の国内統合市場の試行的実施、実験がこの秋から始まります。省エネなどの削減努力で目標を達成した企業は、目標を達成できなかった企業に余った排出枠を排出権として売却できる制度であります。国全体を低炭素化へ動かしていく画期的な仕組みとして評価するものであります。
 また、我が国で現在運転中の原子力発電所は五十五基、そのうち我が福井県は十三基を占めております。原子力発電は、発電時に二酸化炭素を排出することがないため、地球温暖化防止に役立つ電源であり、原子力発電による電力供給の着実な推進を望むものであります。
 地球温暖化問題と低炭素化社会の実現に向けどう取り組むのか、総理に伺います。
 次に、決算について伺います。
 麻生総理は、かねて行政運営には経営感覚が必要である旨述べられております。総理には、我が国の持続的発展のため、持ち前の経営感覚を存分に発揮していただくことを望むものです。
 さて、企業経営とは異なり、国会においては決算が予算に比べ軽視されてきたことから、本院では参議院改革の一環として決算審査の充実に取り組んでまいりました。その結果、六年連続で通常国会内に審査を終えるとともに、検査院の機能強化にも取り組むなど、着実に成果を上げてきたことを自負しております。
 そこで、総理に、国家経営に臨むに当たって、決算の在り方や本院での取組についていかにお考えか、総理の御所見を伺います。
 今年は、幕末に活躍し、世界的視野を持っていた私のふるさと福井藩士、橋本左内百五十回忌の節目の年に当たります。左内は、急流中底の柱、すなわちこれますらおの心と言いました。激流にあって流されない、動揺しない信念と姿勢を示す言葉であります。
 内外とも難問が山積する中、我が国を明るく強い国とするために、麻生総理におかれては、強い信念、不撓不屈の精神を発揮し、日本を導いていただくことを強く望みます。
 私どもも全力を挙げて総理をお支えすることをお約束申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 山崎議員の御質問にお答えをいたします。
 初めに、日本国総理大臣の気構えについてのお尋ねがあっております。
 日本国と日本国民の行く末に責任を持つ立場の重みというのを改めて強く感じております。一身をなげうって職務を全うしてまいりたいと存じます。
 私に課せられた任務は、強い日本、明るい日本を取り戻すことだと存じます。日本人の持つ底力を解き放ち、活力と安心ある日本をつくります。私は、逃げず、改めて皆様方の御支援をお願いを申し上げる次第です。
 次に、党首討論を含めた民主党との論戦で政策の相違を明らかにしていくべきとの御主張がありました。私の考えと全く同じであります。
 私は、所信表明において、民主党に対し、論戦を通じ政策を行うことを呼びかけました。しかし、昨日の衆議院本会議における代表質問では、民主党の小沢代表が議論に応じられなかったことは誠に残念であります。来週からの予算委員会で是非小沢代表と議論し、国民の前に違いをお見せできることを期待をいたしております。
 補正予算についてのお尋ねがありました。
 緊急総合対策を速やかに実施し、物価高、また景気後退の直撃を受けた人々に安心をもたらすことが当面最も重要であると考えております。そのため、補正予算の一刻も早い成立をお願いしたいと存じます。
 補給支援特別措置法の改正についてのお尋ねがありました。
 補給支援活動は継続が是非とも必要であります。我が国の国益を懸け、我が国自身のためにしてきた活動でもあります。テロとの闘いは依然継続をいたしており、多くの国々が尊い犠牲を出しながらアフガニスタンでの取組を強化しております。こうした中で、国際社会の一員たる日本がその活動から手を引く選択はあり得ないと存じます。
 外交の基本方針についてお尋ねがありました。
 我が国は、従来より、日米同盟を基軸としつつ、近隣諸国との協調、国連を中心とする国際協調を外交の柱としております。このような基本方針の下、誇りと活力ある外交を推進してまいりたいと存じます。
 対中外交についてお尋ねがありました。
 隣国であります中国との間では、互恵と共益を増進することは、日中両国はもちろん、アジアひいては世界の平和と繁栄に貢献すると考えております。今後とも、食の安全などの懸案にも適切に対処しつつ、幅広い分野での具体的協力を積み重ね、戦略的互恵関係の構築を推進してまいります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を図るとの方針は不変であります。拉致問題については、すべての被害者の一刻も早い帰国の実現に向けて全力を尽くします。北朝鮮に対し、八月の日朝間の合意に従い、早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう強く求めてまいります。
 また、北朝鮮の核問題は、我が国の安全保障上看過することはできません。六者会合を通じた核放棄を実現すべく、米国などの関係国と緊密に連携をしてまいります。
 安心実現のための緊急総合対策の内容、有効性についてのお尋ねがありました。
 本対策は、物価高、景気後退の直撃を受けた人々や、農林水産業、中小零細企業、雇用や医療に不安を感じている方々に安心をもたらすとともに、改革を通じて経済成長を実現するものでもあります。本対策を着実に実行していくことが当面最も重要であり、そのため、まずは補正予算を早急に成立させることが必要であると考えております。
 定額減税についてのお尋ねがありました。
 家計に対する緊急支援策として、今年度内に定額減税を実施いたします。その規模、実施方法などにつきましては、今後、財源を明確にしつつ、年末に向けて検討を進めてまいります。
 金融不安についての対応についてお尋ねがありました。
 世界の金融市場の緊張は高まっております。日本としては、引き続き、米国を始めとする関係各国と緊密に連携しつつ、国際金融市場の安定化に努めてまいります。
 また、日本には、バブル崩壊以降、金融安定化の問題に取り組んできた経験と知恵、知識があります。国際会議などの機会を通じてできる限りこれを伝えることで、世界の金融市場の安定化に貢献してまいりたいと存じます。
 国内におきましては、日本銀行と連携を取りながら金融の安定に向けて取り組んでまいります。特に、年末を間近に控え、多くの中小零細企業の経営者が資金繰りに不安を感じておられます。この不安に対して、今回の補正により、よりしっかりとした資金繰り支援を講じたいと存じます。
 社会保障改革についてお尋ねがありました。
 社会保険庁の問題、長寿医療制度をめぐる混乱などにより生じた国民の不安は虚心に受け止めております。
 社会保障制度を国民に信頼される制度へと再構築していくためには、持続可能性を高めるとともに、暮らしの不安を取り除き、安心を支える機能の強化に努めてまいりたいと存じます。
 社会保障予算に関するお尋ねがありました。
 二十一年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討することといたしております。
 また、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げも含め、年金などの社会保障の財源をどう安定させるかについては、その道筋を明確にすべく、今後、税制抜本改革や予算編成過程での議論を通じて年末までに結論を得たいと考えております。
 農林水産業の振興へ向けた決意についてお尋ねがありました。
 世界の食料の需給構造が大きく変化している中で、国民への食料の安定供給を確保し、自給率を向上させることが極めて重要であります。このため、意欲と能力に優れた担い手の育成を通じ、攻めの農林水産業、国民の期待にこたえる農林水産業を構築してまいります。
 事故米についてのお尋ねがありました。
 事故米につきましては、深い反省を誓い、再発を絶対に許しません。私は、行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止に万全を期します。
 観光立国に向けた取組についてのお尋ねがありました。
 観光は、日本が世界に開かれた国となること、地域が再生し、誇りと活力を持つこと、この両面から戦略的に取り組むべき課題と考えております。
 これまでの政府目標は日本を訪れる外国人を二〇一〇年に一千万人とするとしておりますが、二〇二〇年には現在の二倍以上の二千万人とする目標に拡大をいたしております。昨日設けた観光庁を中心に、官民を挙げて外国人の誘致や魅力ある観光地づくりを進めます。
 地域活性化についてのお尋ねがありました。
 日本の各地域にはそれぞれ優れた産業があります。私は、その底力を信じて、地域が誇りと活力を持てるよう、企業立地や農商工連携の促進など、地域成長力の強化に重点を置いた取組を展開してまいります。
 また、地方再生担当の補佐官も任命したところでもあります。地域の取組を積極的に支援してまいります。
 教育再生についてのお尋ねがありました。
 教育は国家発展の礎であります。内閣の重要課題として、保護者が納得するに足る質の高い教育を政府全体で実現してまいりたいと存じます。このため、本年七月に策定した教育振興基本計画の下に教育改革に取り組んでまいります。
 地球温暖化問題についてのお尋ねがありました。
 地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任であります。成長と両立する低炭素社会を我が国において世界に先駆けて実現しなければなりません。そのためにも、御指摘の排出量取引の試行的実施や原子力発電の着実な推進を図ります。また、我が国が強みを持ちます太陽光発電など、環境・エネルギー技術を更に伸ばしてまいります。そして、その強みを生かして、世界の先頭を行く環境・省エネ国家として世界全体の取組をリードしていく覚悟であります。
 最後に、国家経営に当たっての決算の在り方についてお尋ねがありました。
 これまでの行政は、予算を重視し、その予算を使い切ることをよしとしてまいりました。その結果、予算がどのように使われたか、また、それがどのような効果を発揮したかの評価はおろそかになっていたと存じます。これは、民間企業の経営者や国民一般にすると理解のできないところであります。
 参議院がこれまで決算を重視した審議をしておられることを高く評価するものであります。引き続き、決算や行政の成果について厳しく監視していただくことを期待をいたしております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(中曽根弘文君) ODAについてのお尋ねでございますが、我が国は、ODAを用いて開発途上国の安定と発展、それから国際社会の諸問題の解決に重要な役割を果たしてまいりました。ODAを通じた国際協力は、ひいては我が国の安全と繁栄に寄与し、国益の増進にもつながるものであります。
 政府といたしましては、重要な外交手段であるODAを引き続き積極的に活用してまいります。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(舛添要一君) 長寿医療制度についてお尋ねがございました。
 長寿医療制度については、多くの良い面がありますが、制度について様々な御意見が寄せられていることから、高齢者の方々の心情に配慮し、法律に規定する五年後の見直しを前倒しして、より良い制度への改革を図ることとしております。
 私といたしましては、見直しに当たって、まず、高齢者医療を支える費用分担の在り方について、全世代の納得と共感が得られる枠組みを検討すべきではないか。年齢のみによる区分の在り方について、例えば七十五歳以上でも現役で働いている方の扱いを含め検討を加えるべきではないか。年金からの保険料支払の在り方について、これまでの改善を踏まえ、普通徴収の対象範囲の拡大あるいは選択制の導入等を含め検討を加えるべきではないかと考えております。
 既に、新内閣発足後、速やかに高齢者医療制度に関する検討会を立ち上げたところであり、今後の見直しに当たっては、今申し上げたような論点に限らず、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。(拍手)
#11
○議長(江田五月君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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