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2008/10/03 第170回国会 参議院 参議院会議録情報 第170回国会 本会議 第4号
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2008/10/03 第170回国会 参議院

参議院会議録情報 第170回国会 本会議 第4号

#1
第170回国会 本会議 第4号
平成二十年十月三日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成二十年十月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
  の選挙
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 川口順子君から海外渡航のため来る六日から八日間の請暇の申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(江田五月君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#6
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表し、麻生総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
 総理の御就任を心よりお祝い申し上げるとともに、引き続き、生活者を守る政治を進めていただくことを念願いたします。
 さて、自民党と公明党が連立を組んで間もなく九年を迎えます。この間、公明党は、現場第一主義、そして生活者の目線から、与党の一員として誠心誠意国政に取り組んでまいりました。
 日本政治の海外研究者として第一人者である米国コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授は次のように言っております。チェック・アンド・バランスの機能を派閥や野党が持たなくなった今、その機能を果たしているのは唯一公明党です。憲法の問題にしても、靖国の問題にしても、ある意味で公明党は自民党に対しチェック機能を果たしていると公明党を高く評価いただいています。
 今の衆議院の選挙制度の下では二大政党制が進むと言われておりますが、一方で、国民の多様化する考えやニーズをわずか二つに集約することは困難です。また、政治を安定化するためにも第三党の働きが不可欠です。二大政党政治の本拠と言われた英国でも第三党が確固たる存在感を示していますし、多くのヨーロッパの国が連立政権で国政を担っていることからもそれは明らかです。
 我が国における第三党の意義、そして与党の中でこれまで公明党が果たしてきた役割をどのように考えておられるのか、総理に伺います。
 総理、新政権は、国民の政治不信、行政不信をぬぐい去らない限り、国民の支持と信頼に支えられる確かな国政運営はできません。
 まずは税金の使い方です。国民は、国や行政に対し、まだまだ税金を無駄遣いをしているのではないかという強い不満を持っています。税金の無駄遣いをなくして、それを年金や医療、介護、教育などに使えというのが国民の率直な声です。
 政府は、家計のやりくりをする主婦の感覚で、徹底して政治、行政の無駄削減に取り組まなければなりません。無駄遣いをなくして、浮かした税金でより良い政策を実現する、この当たり前の取組なくして国民の支持を得ることはできません。
 徹底した行政の無駄削減にどう取り組まれるのか、総理の御決意を伺った上で、以下、具体的な課題について質問いたします。
 第一に、公務員による不正の徹底的な防止です。
 中央官庁の職員がタクシー運転手から金品の接待を受けていたいわゆる居酒屋タクシーが明らかになりました。冬柴前大臣の英断で、国交省は本年六月、タクシーチケットの全廃を試みたところ、一か月で九千万円も税金が節約できました。また、公用車の見直しにより、月六千万円も節約できることになりました。しかし、国民の目から見ると、長い間こんな無駄遣いが放置され続けたことは言語道断です。今すぐ全省庁のタクシーチケットを全廃すべきです。
 第二に、特別会計の徹底した見直しです。
 これまでも行政改革推進法や特別会計法の制定などにより特別会計の見直しを行ってまいりました。そうした中、道路特会でマッサージチェアやスポーツ用品を購入するなど、国民の感覚から余りにも懸け離れた不適切な支出が行われていたことが発覚しました。
 今後、すべての特別会計について、事業が本当に必要かどうか、購入する必要があるかどうか、国民の目線で一つ一つ徹底的に精査し、不要な事業や物の購入は直ちに廃止すべきです。
 また、特別会計の積立金も余りに多額になっていないでしょうか。削減し有効に使うべきです。剰余金も徹底的にチェックし、必要以上の剰余金は国民のために積極的に活用すべきです。
 第三に、国の出先機関の抜本的な見直しを求めます。
 道路特定財源をめぐる議論の中で、国の出先機関での無駄遣いや官製談合事件など、問題が次々と発覚しました。現在、出先機関には二十一万人もの国家公務員が勤務しておりますが、業務が地方と重複し、無駄な事業がたくさんあります。出先機関が行っている国の事務や権限を早急に思い切って地方自治体に移譲して、出先機関の廃止、整理を強力に断行し、公務員数を削減して、効率的でスリムな行政にすべきです。
 第四に、後を絶たない公務員の不正経理防止のための新たな法律の制定や公務員の不正に対する責任追及の厳格化と明確化、さらに会計検査院の機能を強化するべきと考えます。
 さらに、これだけ国の財政が厳しいのですから、無駄ゼロに取り組む私たち国会議員や幹部公務員から身を正すべきです。まずは、国会議員や幹部公務員の給与一〇%カットを提案します。
 以上、五点について総理の御所見をお聞きするとともに、行政の無駄ゼロへの具体的取組について決意を伺いたいと思います。
 税金の使い方と併せて、断じて改めるべきは公務員の姿勢、在り方です。
 社会保険庁職員による年金の改ざんや事故米の不正流通を長年見逃してきた農水省のずさんな対応など、公務員の怠慢は数え上げたら切りがありません。民間企業では到底考えられないことばかりです。公務員は偉そうに威張るばかりで仕事をしない、平気で不正をする、その上、不正が分かってもうやむやに葬り去ると、国民の怒り、不信は今や頂点に達しています。
 どんなに行政改革を進めて制度や仕組みを変えても、一人一人の公務員が変わらなければ行政改革の実を上げることはできません。公務員は誠実にまじめに国民に奉仕するとの原点に立ち返るとともに、それに反する行為に対しては厳正に対処すべきです。
 公務員に対する国民の不信を信頼に変えるために、総理は具体的にどのように取り組まれるのか、伺います。
 国民が今抱いている最も大きな不安の一つは、この先、暮らしはどうなってしまうのかということです。
 私は度々地方へ出かけ、そこで女性たちと懇談する機会がよくあります。その中で、最近、最も多く耳にする声は、ガソリンの値段が上がった、その上、毎日食べる食パンや卵、牛乳などあらゆるものが軒並み値上がりしている、年金の額は変わらないのに物価が上がって、これ以上どこを節約すればいいのか分からないなど、物価高を中心とする暮らしの不安です。国民の生活は家庭の努力だけでは乗り切れない状況になっています。
 家庭が元気にならないと、日本の景気も経済も回復するはずはありません。物価高に直撃された家計を守るため、公明党は、生活者、庶民の目線から、定額減税と年金生活の方々などへの物価上昇分の上乗せ支給を提案しました。定額減税は、所得の高い低いにかかわらず一定額を納税額から差し引いてお返しする減税策です。多くの国民に恩恵が行き渡り、景気後退が叫ばれる経済状況の中では誠に時宜を得た施策であります。
 先月二十九日、政府・与党は公明党の提言を受け止め、一、定額減税、二、減税の恩恵を受けられない年金生活者などを対象とする臨時福祉特別給付金を年度内に実施すること、三、中小企業支援の三本柱を軸とする経済対策を決定いたしました。
 ばらまき、効果なしなどと定額減税を批判する声もありますが、それは家計の痛みが分からない人の批判であると私は思います。家庭からのSOSにこたえるために、より多くの家庭に減税の効果が十分に及び、景気の呼び水になる規模で実施されることを強く望みます。
 定額減税及び臨時福祉特別給付金の規模について、総理のお考えと決意を伺います。
 次に、中小・小規模企業に対する保証・貸付制度の拡充について伺います。
 我が国経済はこれまで長期回復局面にあったものの、中小・小規模企業や地方までは景気回復の恩恵が十分には行き渡らないまま、現在は後退局面を迎えています。特に、原油や原材料価格の高騰は、大企業より中小・小規模企業、都市より地方と、より弱い立場の企業を直撃しています。
 公明党は、昨年来、中小企業支援、年度末対策、資金繰り支援など、時に応じたきめ細かい支援策を国に強く要請し、漁業や農業への支援策、高速道路の割引制度の拡充を実現してまいりました。
 しかし、今年に入り、ますます物の価格が上がり、その結果、中小・小規模企業は更に厳しい状況になっています。先般発表された企業倒産件数は五年ぶりの高水準となり、また中小・小規模企業向けの全国信用保証協会の融資保証も今年に入り急減し、貸し渋りとの声も出ています。これは、昨年の秋に導入された責任共有制度により、金融機関は融資が焦げ付いたときに負担を被ることになったため、融資に慎重になっていることが一因と指摘されています。原油、原材料高に直撃され、その上、融資不足、資金不足に苦しむ中小・小規模企業を倒産の危機から救うためには、更なる強力な支援が必要です。
 先月末に決定した緊急総合対策に、公明党の強い主張で緊急保証制度の創設や信用保証協会が一〇〇%保証するセーフティーネット保証の拡充など、九兆円規模の中小・小規模企業向け金融支援が盛り込まれました。
 これら施策の速やかな実行を求めるとともに、貸し渋りの原因になっている責任共有制度の柔軟な対応や新たな資金ニーズに対応する融資制度の強化など、国、地方を挙げて中小企業への円滑な資金供給に万全を期すべきです。総理の考えを伺います。
 次に、高齢者が安心して暮らせる社会の構築について伺います。
 現在の日本の社会の繁栄の基礎をつくってくださったのは、間違いなく今の高齢者の皆様です。この御苦労におこたえするために、公明党は長生きすることが幸せと実感できる社会を構築したいと考えています。そのために、年金、医療、介護、雇用などトータルな支援で高齢者が安心して暮らせる社会づくりを急ぐべきです。
 第一に取り組むべきは年金制度の充実です。定年後の生活を支える柱は何といっても年金です。国民年金と厚生年金、共済年金等の被用者年金の一元化を求める声もありますが、これらはその制度も保険料負担の在り方も全く異なるため、今すぐに一元化することには余りに課題が多いと言わざるを得ません。
 そこで、公明党は、まずは今、低年金で苦労されている高齢者を支援するために、年金低所得者を対象に基礎年金を月二万円程度加算して月八万三千円、夫婦で十六万六千円とする年金加算制度の創設を急ぐべきと考えています。さらに、保険料の事後納付期間を延長して受け取れる年金の額を増やしたり、受給資格期間を現行の二十五年から十年程度に短縮して掛け損をなくすべきと考えています。総理のお考えを伺います。
 次に、介護問題について二点質問いたします。
 一点目は、療養病床の再編についてです。政府は、二〇一二年三月末までに介護療養病床十二万床をベッド数を減らすことなく介護保険施設に転換するとしていますが、現状は遅々として進んでいません。患者さんからは、無理やり退院させられても行くところがないとの不安の声が上がっています。政府は、入院中の患者さんにしわ寄せすることなく医療から介護施設への転換をスムーズに進めるために、転換後の老健施設等への介護報酬を上げるなど必要な措置を講じるべきです。
 また、介護に従事する人の待遇改善と人材確保が急務です。介護に従事する方から、介護の仕事は本当にやりがいがある、一生続けたい、しかし今の給料のままでは結婚もできない、人並みの生活をするためには辞めるしかないという声がたくさん届いています。介護は、きつい、給料が安い、結婚できないの新三Kと言われています。介護に従事する人なくして介護制度の充実はあり得ません。
 公明党はかねてより、介護従事者の専門性を正当に評価し、生活できる給与を保障すべきと主張してまいりました。さきの通常国会で介護職員の賃金水準の引上げを目指す法律も成立いたしました。明年四月の介護報酬改定においては、法律の趣旨を踏まえ、介護報酬を大幅に引き上げることが不可欠です。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、高齢者の雇用について伺います。
 元気な高齢者が経験や技術を生かし働き続けることは、生活の基盤を安定させ生きがいになるだけでなく、社会の活性化の大きな力になります。現在、改正高年齢者雇用安定法に基づいて、六十五歳まで働き続けられる環境整備が進められています。しかし、定年の廃止や定年の引上げを行った企業はわずかです。多くの企業で継続雇用制度を導入しましたが、希望者全員を受け入れている企業は一部にすぎません。つまり、定年後も働き続けたいと希望しても辞めざるを得ない高齢者がまだたくさんいるということです。
 このような実情を踏まえて、中小企業を含め高齢者等を積極的に雇用する企業への助成の拡充が必要です。また、相談体制を強化するとともに、NPOやコミュニティービジネス等の起業支援など多様な就労の選択肢を広げることも重要です。総理に伺います。
 次に、子育て支援についてお尋ねします。
 公明党は、国の子育て支援の基本原則は、子育ての基本的な負担は社会全体でしっかり支え、個々の負担を軽減し、過大な負担を求めないことと考えています。しかし、現実には、子供が生まれてから大学を卒業するまでに必要な費用は約二千万円に上ると指摘されております。
 こども未来財団の調査では、妊娠・出産費用の平均は五十万円を超えています。一昨年、我が党の強い主張により、出産育児一時金は三十五万円へ増額されましたが、まだ十分とは言えません。出産育児一時金を五十万円に引き上げる大胆な決断が必要です。
 また、経済的理由などから妊婦健診を受けないまま出産する飛び込み出産が社会的問題になっています。母体や胎児の健康確保のために必要な健診は平均十四回と言われています。だれもが安心して出産に臨めるよう、国が責任を持って妊婦健診の完全無料化を行うべきです。妊娠、出産の負担ゼロを目指して、総理の強い御決意をお聞かせください。
 子育て中の家庭の経済的負担を軽減するのが児童手当です。昭和四十六年の制度発足以来、公明党は一貫して拡充をリードし、特に連立政権参画から九年間で五度も拡充を実現し、今では支給対象は小学校卒業まで、所得制限も大幅に緩和いたしました。
 次は、近い将来、児童手当の支給対象を中学三年生にまで広げることです。さらに、次の段階として、支給額を倍増して子育ての経済的負担軽減を加速させることが必要と考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 現在、政府では、公明党の強い要望で幼児教育の無償化について活発な議論がなされています。幼稚園や保育園に掛かる月々の費用は子育て家庭にとって大きな負担になっており、一日も早い実現を多くの家庭が期待しております。
 幼児教育の無償化を一度に全部実現することは無理でも、まずは就学前の一年間からスタートし、そこから段階的に無償化を進めることも検討してはどうでしょうか。無償化に向けてまず一歩を踏み出すことが必要と考えます。幼児教育の無償化へ向けた具体的取組について、総理の見解を伺います。
 また、公明党は奨学金の充実に取り組み、希望者ほぼ全員が受けられる奨学金になりました。今年度からは、大学生等の貸与額の引上げも実現しました。
 今後は、入学時に掛かる経済的負担が最も重いことを踏まえ、入学一時金の増額や、入学時に貸与する奨学金の選択肢の拡大など、学生のニーズに柔軟に対応した経済的支援策を更に進めるべきと考えます。総理の御見解を求めます。
 妊娠、出産を機に仕事を辞めた女性の多くが再就職を希望しています。子育て中の女性の仕事探しをトータルに応援するマザーズハローワークは、再就職支援の中心拠点として実績を上げています。多くの女性が、より身近な場所で、安心して相談できるようマザーズハローワークを倍増する必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。
 子供が犠牲となる痛ましい事件が相次いでいます。防犯ボランティアの取組も進んでいますが、子育て家庭の多くが防犯や治安に大きな不安を感じています。警察官の増員を図るとともに、地域の防犯活動の支援を行う地域安全安心まちづくり推進法を早期に制定し、子供の安心、安全に取り組むべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 家庭からの温暖化ガスの排出が増加の一途をたどっています。草の根レベルでの取組があってこそ、社会の在り方も変わってきます。その意味から、家庭での省エネ努力が大切です。
 そこで私は、今年度から環境省が家庭部門からの削減の決め手としてモデル事業を開始したエコポイントに注目しています。これは、消費者が温暖化対策型の商品やサービスを購入したときにエコポイントをもらえ、そのポイントがたまったら新たな商品やサービスを購入したり、電子マネーなどにも交換できるというものです。家庭の省エネの取組が自分に返ってくるという仕組みで、全国の家庭で楽しみながらエコライフを進めることができます。今後、エコポイント事業をどのように拡大していくのか、環境大臣に伺います。
 温暖化対策の柱の一つが、水力、風力、太陽光などを利用した自然エネルギーの活用です。我が国は、かつて世界一の太陽光エネルギー発電量を誇っていましたが、国が後押しをやめたために、現在はトップの座を明け渡しています。今後、太陽光発電の普及を大幅に拡大するために、学校や公共機関での導入を加速度的に進めるとともに、家庭での導入を進めるための支援策も実施すべきです。太陽光発電世界一奪還に向けてどのように取り組まれるのか、環境大臣に伺います。
 次に、クラスター弾の禁止について伺います。
 公明党の強い働きかけにより、本年五月三十日、日本政府はオスロ・プロセス・ダブリン会議で採択されたクラスター弾に関する条約に同意しました。条約案が参加百十一か国の全会一致で採択されたことは、クラスター弾禁止に向けて大きな弾みとなります。しかし、グルジア紛争でクラスター弾が使用されたとの報道があり、条約制定に取り組んできたNGOの間に衝撃が走りました。十二月の調印式、そして条約の批准、発効と、まだまだ大きな山があります。
 総理の強いリーダーシップでクラスター弾禁止条約に日本が早期に署名、批准し、世界のクラスター弾廃絶に大きな役割を果たすことを強く期待しています。総理の御所見を伺いたいと思います。
 最後に、核廃絶に向けた取組について伺います。
 我が国は、世界で唯一の被爆国として、二度と核の惨禍を繰り返さないとの強い決意で非核三原則を堅持し、また核軍縮決議案を国連総会に提出し続けるなど、核兵器のない平和な世界実現のために行動してきました。しかし、今もなお世界には二万五千個以上の核弾頭があり、さらに、北朝鮮やイランの核開発が懸念されるなど、核廃絶の道は遠のいているとも言われています。しかし、一方で世界平和の流れをつくる新たな潮流も生まれています。それは、世界のNGOとミドルパワーと呼ばれる国々が協力し、思いを同じくする多くの国に呼びかけて対人地雷禁止条約を作り、さらにクラスター弾禁止条約の道筋を付けたことです。
 総理、次の課題は核廃絶に向けて確かな道筋をつくることです。そして、それができるのは日本以外にはあり得ません。クラスター弾禁止条約に向けたオスロ・プロセスをノルウェー政府が全面的にサポートしたように、日本政府の後押しで核兵器廃絶に向けての具体的ロードマップをヒロシマ・ナガサキ・プロセスと名付け、その第一歩として核兵器使用禁止条約の実現に取り組むことを提案いたします。
 もちろん、禁止条約を作っても、保有する国々がすぐに署名し、批准するとは考えられません。しかし、核を持たない国々が連帯してこの条約を作り上げることは、核保有国に対し核兵器の使用や威嚇を制限する大きな圧力になることは間違いありません。使用禁止条約ができれば、次は開発の禁止、そして保有核兵器の廃棄と、核廃絶に向けて段階的に進めていきます。平和憲法を持つ唯一の被爆国日本が世界の平和を構築するために広島、長崎の心を具体化するヒロシマ・ナガサキ・プロセスを進める、これ以上の日本らしい平和構築の方法はないと考えます。
 総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 浜四津議員の御質問にお答えをさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、我が国における第三党の意義についてのお尋ねがありました。
 小選挙区制は、政策中心、政党本位の政治を目指して導入されたものであることは御存じのとおりです。ただし、比例代表制も並立させることにより、二大政党のみでなく、第三党などによって多様な意見を吸い上げる仕組みを取ったものと承知をいたしております。
 自由民主党と公明党は、連立を組みまして間もなく九年、日本の政治に責任を負ってまいりました。この間、公明党には、例えば生活者の立場に立った政策など、自由民主党の足らざるところを補っていただいており、感謝をいたしております。
 行政の無駄の削減についてお尋ねがありました。
 不適切な支出を徹底的に見直し、行政全般に対する国民の信頼を回復する必要があろうと存じます。行政支出総点検会議を開催し、無駄の根絶について検討を行っているところであります。今後とも国の支出につきましては徹底して無駄を排除してまいります。
 次に、タクシーチケットについての不正な利用は厳正に対処すべきですというお話でしたが、この問題につきましては、連日残業する状態をどう是正していくかなどの根本的な問題があろうとも存じますが、国民の不信を招くことのないよう適切な運用をしてまいらねばならないと考えております。
 特別会計の事業について、行政支出総点検会議などにおける検討を踏まえつつ、必要性を厳しく精査し、徹底して無駄を排除してまいります。
 特別会計の積立金、剰余金は、これまでも財政健全化のために活用してきているところでもありまして、今後とも同様の方針で可能な限り活用していく所存であります。
 国の出先機関の見直しについてのお尋ねがありました。
 国の出先機関の多くには二重行政の無駄があります。国民の目も届きません。住民に身近な行政は地方自治体に移し、二重行政をやめることにより、これを廃止、縮小し、公務員数を削減するなど行政の効率化を進めなければなりません。進めるに際して霞が関は抵抗があるかもしれませんが、私が決断をさせていただきます。
 公務員の不正経理防止につきましては、現在、与党会計検査院に関するプロジェクトチームにおきまして、議員立法も含め御議論がされているものと承知をいたしております。政府としても、公務員の不正経理防止などは重要と考えており、与党の御議論にできる限り協力するなど積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 国会議員の歳費や幹部公務員の給与カットについてお尋ねがありました。
 国会議員の歳費については、政府として申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 幹部公務員の給与につきましては、人事院勧告制度の下で毎年の勧告を受け、政府として決定しているものであります。したがいまして、労働基本権制約の代償措置である同制度との関係などの観点から、各般の意見も聞きながら慎重に検討する必要があると考えております。
 公務員への信頼回復についてのお尋ねがあっております。
 公務員に対する不信を払拭するには、公務員諸君が、省益を捨て国益に徹し国家国民のために粉骨砕身働くことが何より大切であります。このため、国家公務員制度改革基本法に基づき、信賞必罰を徹底するとともに、公務員一人一人が誇りを持って職務に専念するよう改革を推し進めてまいりたいと存じます。
 定額減税及び臨時福祉特別給付金についてのお尋ねがありました。
 定額減税及び臨時福祉特別給付金につきましては、安心実現のための緊急総合対策に基づき、家計に対する緊急支援策として今年度内に実施すべく検討を進めてまいります。その規模につきましては、今後、財源を勘案しつつ、年末に向けて検討を進めます。
 中小零細企業の資金繰り対策についてのお尋ねがありました。
 年末を間近に控え、多くの中小零細企業の経営者が資金繰りに不安を感じておられるところであります。こうした不安に対し、緊急保証制度の創設を始め、しっかりとした資金繰り支援というものを講じてまいります。また、制度の運用に当たっても、地方の関係機関の協力も得ながら、借り手の立場に立った温かい運用の確保に万全を期してまいります。
 年金制度に関するお尋ねがありました。
 御提案のような年金制度の見直しは、いずれも重要な検討課題であると存じます。これらにつきましては、様々な論点を勘案しながら、更によく議論を進めてまいらねばなりません。なお、無年金、低年金対策としては、何よりもまず国民年金の未納や未加入をなくしていくことが重要だと考えております。
 療養病床の再編に関するお尋ねがありました。
 療養病床から転換した老人保護施設の介護報酬につきましては、施設の運営状況について調査を行い、来年四月の介護報酬改定の際に適切に設定いたします。
 介護報酬についてもお尋ねがありました。
 介護報酬水準につきましては、介護事業者の経営実態や介護従事者の処遇の実態などを把握、分析した上で、介護保険料の水準も踏まえながら、来年四月の改定時に適切に設定いたします。
 高齢者の雇用についてお尋ねがありました。
 知恵と経験豊かな、元気で意欲ある高齢者が幾つになっても働ける社会を実現するということは、誠に重要な課題と私も認識をいたしております。このため、御指摘のような、高齢者を積極的に雇い入れる企業への支援や、また高齢者の知識、経験を生かした起業支援などを充実することにより、高齢者の雇用や就業機会の拡大に努めてまいります。
 妊娠、出産時の負担についてお尋ねがありました。
 安心して妊娠、出産できるよう、妊娠、出産費用の不安を解消することは重要な課題と考えております。妊婦健診や出産育児一時金など、妊産婦支援の充実につきまして、財源の問題なども踏まえつつ検討させていただきます。
 児童手当の拡充についてもお尋ねがありました。
 児童手当は少子化対策の重要な柱であり、これまでも対象年齢や支給額を拡充してきたところであります。今後とも、待機児童の解消など他の課題への対応や財源の問題なども勘案し、児童手当について検討してまいります。
 幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。
 幼児期の教育は人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼児教育の充実に取り組んでまいります。幼児教育の無償化につきましては、財源、制度などについて検討する必要があります。歳入改革に併せて、それらの問題を総合的に検討することといたしております。
 奨学金制度の充実についてお尋ねがありました。
 家庭の経済状況により修学の機会が奪われないよう、教育の機会均等を図るとともに、学生のニーズに柔軟に対応することは重要なことであると考えております。このような観点から、政府といたしましては、今後とも奨学金制度の充実を図ってまいります。
 マザーズハローワークについてお尋ねがありました。
 御指摘のマザーズハローワークの拡充については、今回の補正予算に盛り込んでおり、一日も早い補正予算の成立をお願いしたいと考えております。今後とも、マザーズハローワークの倍増に向けて、その増設や充実を図ってまいります。
 子供の安全、安心への取組についてのお尋ねがありました。
 子供を犯罪被害から守ることは、政府にとり重要な課題であります。このため、政府としては、地方警察官の増員について検討するとともに、地域における防犯活動の支援の強化を図っております。今後とも子供の安全、安心の確保に全力を尽くしてまいります。
 クラスター爆弾に関する条約についてのお尋ねがありました。
 我が国は、従来からクラスター弾がもたらす人道上の懸念を深刻に受け止めてきたところであります。
 政府としても、この条約の署名に向けて、安全保障上必要となる措置について、予算上の手当てを含め、より具体的な検討を進めてまいります。
 最後に、核兵器廃絶への取組と核兵器使用を禁じる国際条約についてのお尋ねがあっております。
 政府としては、核廃絶に向けた目標を共有しております。唯一の被爆国として、核兵器のない世界の一日も早い実現を目指し、現実的な措置を着実に積み重ねることが重要と考えます。
 こうした考えに基づき、我が国は、国連への核軍縮決議案の提出などを通じて、すべての核兵器国に対する核軍縮の働きかけを粘り強く継続していく考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(斉藤鉄夫君) エコポイントについてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、経済的なインセンティブを働かせ、省エネ家電への買換えなどを促進するエコポイントの推進は、温暖化ガスの排出削減のために極めて有効な手段です。そのため、環境省では、今年度、平成二十年度よりエコポイントモデル事業を開始し、全国規模や地域ぐるみの先進事例の立ち上げを支援しているところでございます。
 例えば、全国規模のモデル事業としては、大手クレジットカード会社が家電メーカー、家電販売店や様々な商品メーカーと提携して、省エネ型商品などを購入した場合にエコポイントを付与する、その仕組みを整備しております。また、地域ぐるみの例としては、東京の高田馬場西商店街振興組合がアトム通貨という、地域振興とエコポイントを連動させて、商店街ぐるみで事業展開を進めております。
 こうした支援を通じ、経済的に自立したビジネスモデルとしてのエコポイント事業を確立し、国民のライフスタイルや企業のビジネススタイルを変革していく、その大きなうねりをつくってまいります。
 環境省としては、家庭部門における温暖化対策の切り札であるエコポイント事業の拡大普及に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
 太陽光発電の普及拡大についてお尋ねがありました。
 世界に先駆けて低炭素社会を実現するためには、我が国が強みを持つ太陽光発電など、再生可能エネルギーの導入を加速させることが不可欠です。
 私自身、先日、奈良県にある累積生産量世界一の太陽光発電工場の視察に行ってまいりました。そこで見せていただいた三層構造の薄膜型太陽電池は世界一の技術とのことであり、こうした日本の持つ環境技術の優位性を更に発展させ、環境イノベーションと経済成長の好循環、環境イノベーションと経済成長のイノベーションを実現していくことが極めて重要と考えております。
 従来、環境省では、太陽光発電について、例えば学校や地方公共団体の建物への率先的な導入支援などを行ってまいりました。さらに、私といたしましても、太陽光発電世界一奪還を掲げ、より発電効率の高いパネルの技術開発への支援、世界一の度合いをもっと世界一にする、また、補助金の拡大や売電量増大に向けての仕組みづくりといった導入支援について関係省庁とともに行い、その結果として、太陽光発電システムの価格の大幅な低減を図り、導入量のより一層の拡大を進め、太陽光発電世界一奪還をなしてまいります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(江田五月君) 自見庄三郎君。
   〔自見庄三郎君登壇、拍手〕
#10
○自見庄三郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の自見庄三郎でございます。
 国民新党の副代表でございますが、時間を与えていただいた民主党の皆様方に厚くお礼を申し上げます。会派を代表して、麻生総理並びに閣僚に質問をさせていただきます。
 麻生総理は私と同郷、福岡県の出身であります。同郷の士として、総理の御就任に祝意を表します。
 しかし、麻生総理、九月二十九日のあなたの代表質問のような所信表明演説はまさに強者の論理でありました。日本は強くあらねばならない、強い日本とは、難局に臨んで、むしろこれを好機として一層の飛躍を成し遂げる国であります。まさに強者の論理であり、そこには弱者や敗者に注ぐ温かい配慮が感じられない。日本人の心は、助け合い、弱者に注ぐ情け、そして慈悲心であり、私の政治家としての最初からの座右の銘、一隅を照らすとはひどい違和感を感じました。
 総理の所信表明では、民主党のみを仮想敵視し、詰問調で質問、要求を連発されました。答弁の機会のない所信表明において、民主党のみを相手とし、我々少数野党は眼中にないようでした。これも強者のみに意識を置く総理のお考えの表れでしょうか。いろいろな考えを持つ人々が話合いの輪の中で少数意見を尊重しつつ物事を解決していくのが議会制民主主義の基本だと、我々は若いころからたたき込まれて覚えた議会制民主主義の基本であります。
 さらに、あなたの所信表明は、景気対策、財政運営、プライマリーバランス、後期高齢者医療制度について、自民党総裁選の際の歯切れの良い発言に比べ随分あいまいで、私が聞いてもさっぱり真意が分かりませんでした。まさか財政規律をかたくなに守る官僚たちによって早くも骨を抜かれてしまったのかなという印象を持ちました。
 米国の金融危機についてお尋ねをいたします。
 米国が世界に誇った投資銀行が次々に破綻いたしました。一九二九年の大恐慌以来とか、一世紀に一度の危機とか言われ、ショック、影響は世界に及んでおります。米政府は七十五兆円という予算の四分の一にも上る巨費を投じ救済策に乗り出し、救済する企業の監視を強めざるを得なくなりました。しかし、公的資金の投入に対するアメリカ国民の反感は強く、九月二十九日、緊急経済安定化法案はアメリカの下院で否決されてしまいました。今や金融危機は世界経済を不安と混迷に陥れております。
 九〇年代から始まった経済のグローバリズムは、一方でITバブルを引き起こし、その結果、更に金融工学の異常な成長と金余り現象がデリバティブ、サブプライム等リスクの高い金融取引に発展、政府による規制緩和と市場原理主義が今高い代償を支払わされることになりました。民間企業に任せておけば、時々取り返しの付かない大失敗を犯すものであります。市場の失敗をカバーするために、国が関与する公的機関が必要であることを人類の歴史は教えております。
 総理、米国の今回の金融危機を市場原理主義、規制緩和政策の失敗であるとお考えですか、あるいは米国経済の今後についてどう見ているか、お尋ねを申し上げます。
 さらに、金融大臣にお聞きします。
 国内金融機関が巨費を投じて資本参加したり、倒産企業の雇用を引き継ぎ、この機に海外進出を講じる企業も出ております。どう思いますか。アメリカ企業が日本国内に支援を求めてきているというケースがあるという情報を私も持っておりますが、政府はきちっと把握をしておられるでしょうか。
 小さな政府、官から民へ、規制緩和、市場原理主義を掲げ、すべてを市場に任せるという新自由主義的経済は今や破綻しつつあります。小泉政権以来、改革の名の下に我が国を支配してきた規制緩和、市場原理政策も、地方、弱者の切捨てなどの弊害が次々に噴き出し、ようやく見直しの機運が生まれてまいりました。過剰な規制も過度の放任もうまくいかない、官と民のベストミックスこそ望ましい国の姿であると私は確信するものであります。
 十一月四日のアメリカ大統領選挙は注目されております。総理は所信表明演説で、外交について、日米同盟の強化が常に第一であると述べておられます。確かに、対等な日米関係は我が国にとって最も大切な課題であります。米国と密接な関係にある日本国民が、アメリカの大統領選挙でどちらが勝つのか見極めて日本の指導者を選択する、これが私は賢明な方法であると思います。
 総理、解散権は確かに総理大臣一人にあることは私もよく承知をしておりますが、私は、この理由で総選挙の日程を、いろいろうわさされていますけれども、十一月以降、アメリカの大統領が決定した後にすることが国益にかなうと考えておりますが、どうでございましょうか。
 日本における明治以来の伝統ある官と民とのベストミックスの形であった郵政事業が、三年前、官から民へのフレーズに踊らされて民営化されました。(発言する者あり)ありがとうございます。
 ここで、私の記憶に鮮明に残っている官と民の関係を表したケースを披露させていただきます。
 一九九七年十一月、十一年前でございますが、北海道拓殖銀行が破綻をいたしました。当時、私は郵政大臣、札幌の中央郵便局からの報告がありました。市中の民間銀行から下ろした五百万円入りの紙袋を持った人たちが郵便局の前に延々と列をつくっていますというものでした。民に事あれば官がバックアップする、常にそのセーフティーネットを準備しておく、官と民とは補完し合っているのです。
 貯金、郵便、簡保の三事業が一体であった時代の郵政事業こそ官民補完の典型でありました。貧しかった明治政府が、近代国家にならねばならない、そのためには国が郵政事業をせねばならない、その責任を、民間の力を活用しつつ、明治初年の民間活力でございます、持続的に運用するための私は日本人の英知であったと、そう思っております。民営化はすべて良いは一種の迷信であります。民営化すべきものと民営化すべきでないものとの判断を国民は冷静に考えていただきたいと、こう思うわけでございます。
 ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、現在二百二十六兆円の国債を保有、民営化後も高い保有率を続け、二〇〇八年の三月には、国債発行額の二九%を占めております。民営化の最大の目的の一つは、官の金を民に流し、民の活力を増すということでありました。しかし、現実は、皮肉にも民の金が国債という官に流れる結果となっております。
 米国の金融恐慌により、竹中平蔵元郵政民営化担当大臣はテレビで、日本郵政は米国の金融機関に出資せよと述べております。仮に国内の金融機関の資金が米国に流出すると、まさに十年前の金融恐慌が再現いたします。
 現在、国内の民間銀行は百兆を超える日本国債を有しておりますが、ゆうちょ、かんぽ両社からの資金流出により国債の価格が低下し、これにより自己資本が下がります。これを補てんするために貸出量を抑制、貸し渋り、貸しはがしの発生で、中小企業は大打撃を受けるという構造になっております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 仮に長期金利が一%上昇するといたしますと、貸し渋りはBIS規制により、御存じのように、理論値としては四十兆円、これは民間銀行の貸出総額の四百兆円の一割と試算されております。これが実際に起きますと、住宅ローンの金利は上昇し、中小企業は再び大打撃を受け、国民生活も大きな影響を受けます。
 米国の金融危機により、米国がゆうちょ、かんぽの約二百兆円の金に目を付けることは当然考えられます。ゆうちょ、かんぽの両社の全部の株式を現在は政府独り、財務大臣が持っておりますが、この考え一つあるいは麻生内閣の考え一つでこの金の行方が決まります。国民の汗の結晶である貴重な富が海外に流れるのです。私は、実は、これが小泉・竹中政権がまさに憲法違反とまで言われた選挙を強行し郵政民営化をした真の目的ではないか、そのように思っております。
 金融大臣にお聞きします。
 ゆうちょ銀行、かんぽ社に米国から支援要請が来ているのか。米国債の購入は許可されていますが、資金が流出することを政府は認めるのか、アメリカ政府から要望はあったのか、来たら直ちに公表しますか、このことをお尋ねいたします。
 さて、郵政民営化問題は既に終わった、何を今更と言う人がいますが、とんでもないことです。郵政事業は今や後期高齢者医療制度とともに、地域、弱者切捨てという社会現象化すらなっております。民営化後一年、郵政三事業を四つの民間分社化した結果、四会社はいずれも経営基盤が弱体し、とりわけ郵便局会社は、ゆうちょ、かんぽ両社の業務受託料に依存する極めて脆弱な基盤に立つこととなりました。
 このように世界にも類のない不自然な仕組みが政治的に強行された結果、郵便局はなくしません、郵便局はもっと便利になりますとの小泉元総理、竹中元大臣の国会での再三の約束にもかかわらず、郵便局は四百を超える局が既に閉鎖され、集配特定郵便局は千以上も全国で減らされました。
 郵便局がなくなり、遅配も多くなった、待ち時間が長くなった、手続が煩雑になったと不満は山積し、ゆうちょ、かんぽとも資金の減少、流出は止まりません。郵便貯金は一月に一兆円貯金が流出をしておりまして、報道によれば、最近、都道府県の消費者センターに郵便局関連の苦情相談が殺到していると聞いております。
 福田前総理も増田前総務大臣も、郵政ネットワークは必ず維持すると国会で再三にわたって確約されました。それなのに、なぜ政府はこれを無視した行動を止めさせないんでしょうか。
 野田消費者行政推進担当大臣にお聞きをいたします。私の次の郵政大臣をされたお方でございます。
 苦情殺到は本当ですか。苦情の数はどれほどありますか。どう対処していますか。郵便局における利用者の利便性は守られていると考えておられますか。
 このような事態に至ったのは、郵政四分社化により各社が利用者の利益より自社の利益を優先せざるを得なくなった結果であります。拙速な郵政四分社化の体制は早急に見直す必要があります。民営化をごり押しした自公政権でさえも、九月二十三日に締結した政権合意で、ユニバーサルサービスの確保、利便性の向上を図るための改善を行うとうたわなければならないほど、現実は、事態は深刻になっております。
 郵政民営化の見直しへの動きは、既にとうとうたる潮流となっております。我が国民新党の党是であり、統一会派を組んでいる民主党では、来るべき総選挙の公約、マニフェストに挙げることにおかげさまでなりました。感謝を申し上げます。
 私が筆頭発議議員となり野党三党が連立で提出した郵政株式処分凍結化法案は、この参議院では可決され、衆議院に今行っておりますが、継続審議となっております。次の選挙では、見直しの賛否について全候補がその見解を問われることになると思います。
 我々が主張する郵政民営化の見直しは、決して元の郵政公社の姿に戻すというものでは全くございません。あくまで、郵便各社のサービスが、全国あまねく公平に、国民本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築するものであります。郵政三事業の一体的サービス提供を通じて、郵政事業の利便性と公益性を高め、地域社会を活性化することを目指す、真の国民のための改革を進めます。
 総理にお聞きをいたします。
 郵政事業の現状をどう受け止めているか、四分社化の将来展望、特に郵便局会社についてどうお考えか、お聞かせください。
 後期高齢者医療制度についてお聞きいたします。
 これほどの国民の反発を受けた医療政策は最近ありません。麻生総理でさえ、一年を目途に見直すと述べました。しかし、具体的な内容は全く不明です。選挙対策であることは明らかであります。
 この制度は一言で言えば、うば捨て山、金の切れ目が命の切れ目、まず医療費の削減ありき、市場原理主義と財務省の財政再建原理主義が生み出した冷酷、無慈悲、非情の政策であります。戦後の苦しい時代に働き、日本の繁栄を築き上げ、営々と保険料を納めてきた高齢者を、年齢によって隔離し、年金から天引きする悪政は断固廃止しなければなりません。来るべき総選挙で、有権者、特に後期高齢者と分別された千三百万人の高齢者の抗議の一票はすさまじいものとなるでしょう。
 後期高齢者のうち七五%は保険料が安くなったと総理は強調しております。しかし、これは真実に反しております。計算方式のまやかしなのです。厚生労働省の調査では、全体は六九%下がっているものの、高所得世帯ほど下がった割合が高い。いいですか、聞いてくださいよ。低所得者ほど下がった割合が低いという結果になっています。金持ち優遇、弱者切捨ての市場原理主義の典型政策でございます。社会保障政策の大前提は、所得の再配分というのが大前提でございまして、その最も基本的理念から逆行した政策であります。余りの不評に慌てた自公政権は、年齢のみで区別しない、天引き強制の見直しなどのびほう策を打ち出しました。
 舛添厚生労働大臣の発言です。一、七十五歳以上という線引きをしない、保険料の強制的な天引きをしない、負担についての世代間の反目を助長する仕組みにしない、これは麻生氏も理解していると新聞に報道されております。これまで先頭に立って制度の実施を進めてきた担当大臣が、一転して見直しを言い出すとは何ともあきれた発言であります。舛添厚労大臣の変心は、批判の矢面に立って制度のPRと運用に努力してきた第一線の職員に何と映るでしょうか。敵前逃亡であり、猟官運動と感じないでしょうか。
 抜本的見直しを承知したと言われる麻生氏が自民党総裁に当選した後、公明との政策合意に、五年後の見直しを前倒しして良い制度に改善するとトーンダウンいたしました。さらに、総理の所信表明では、一年を目途に必要な見直しを検討する、必要でなければ検討しないと言ったんですよ、これ官僚用語ですけれども、とどまりました。選挙の際の国民の批判をやり過ごす発言としか私には思えません。
 舛添大臣の抜本的見直しを総理が承知したのなら、どう変えるのか具体策を示し、有権者の判断を仰ぐべきであります。選挙の争点とすべきであります。これについて総理のお考えをお聞きいたします。
 これまでの老人保健制度にいったん戻そうではありませんか。この制度の下で、実は旧来の老人保健制度、あの制度は我が国の、国連の附属機関でございます世界保健機構、WHOが認める世界一の医療制度を築き上げ、世界一の長寿国家となってきた、皆さん、よく御記憶ください、制度でありました。長寿オリンピックで言うなれば、世界には百九十二の国家がありますが、その中で断トツ一番、金メダルを保持し続けている現在、なぜ我々はこれを改悪して金メダルをブリキのメダルに変えるのか。いったん元の金メダルに返して、更に衆知を集めて、プラチナメダルにするのが私は政治の常道であると思いますが、いかがでございましょうか。
 医療は保健、長寿を実現するためのものであり、医師である私は命の重さをだれよりも実感し、国民の無病息災、長寿健康を保持することこそ政治の要諦であり、国家の最大の責務の一つなのです。
 厚生労働大臣にお聞きします。
 老人保健法にいったん戻して更にいい方法を考えるという提案について、野党のまず廃止ありきということについてどうお考えか、お聞きをいたします。
 我が国の総医療費のGDP比は八%でございます。先進OECDの加盟国の最低であります。これを引き下げるのではなく、せめてOECD先進国、欧米先進国の平均水準である九%にまで引き上げるべきであります。医療、福祉、年金、介護の充実こそ真の弱者救済であり、格差の是正であります。
 このままの医療制度を進めていると医療費が膨大に膨らみ、我が国の経済社会は破綻するという主張は、一九八〇年代の後半から政府、財務省、厚労省の悪質な刷り込み、プロパガンダにすぎません。世界的には破綻を来しております。例を挙げれば、イギリス、北ヨーロッパの諸国の経済の好調はこのことを証明しています。ここ十年間、欧米諸国は社会保障費の対GDP比を高めてまいりました。反対に、低下させたのは日本国だけであります。これらの国の方が日本よりずっと高い経済成長率を維持していることを見ても、このプロパガンダ、まさにプロパガンダにすぎないということが、皆様方、よくお分かりだと思うわけでございます。
 医療費の増額は我が国の医療産業を元気にします。技術革新が進み、IT技術、バイオテクノロジーを発展させ、さらに施設の建設も増え、雇用も促進させます。選択的公共事業の一部門として、一般の公共事業よりも経済波及効果が大きいんですということで、重視すべき分野であり、いたずらに削減の対象とすべきではありません。
 我が党は、骨太方針二〇〇六の凍結、社会保障、特に総医療費の引上げを公約し、強く主張してまいりました。まさに今、医療は崩壊しつつあります。そのためには、是非、この我が党の公約に賛同していただくことが大事だと確信をいたしております。
 総理は、骨太方針二〇〇六に基づく毎年二千二百億円の社会保障費の削減を二〇一〇年から凍結すると発言したと新聞報道されておりますが、国会のこの場で改めて確言していただきたい。二〇一〇年からとは言わず、閣議で直ちに骨太方針の凍結を決定し、社会保障費を増額すべきであります。
 今年十月一日から政府管掌健康保険が全国保険協会健保、協会けんぽに切り替わりました。十月一日からです。小泉政権の下で強行採決された二つの医療保険制度がこの後期高齢者医療制度と十月一日からスタートした政府管掌健康保険の公法人化であります。この政策もまず医療費の削減ありきの政策であります。
 これまで中小企業の勤労者の健康維持は政府が責任を持ってきました。保険者、制度管理、費用の三役を厚生労働大臣が直接担ってきたのです。三位一体だったからこそ日本の生産構造の中心を成す中小企業の従業員の方々、勤労者の方々、そしてその家族、三千六百万人の健康が維持をできる、そして、そのために毎年八千億円の国費を負担してきたわけでございます。協会けんぽになると新たな公法人になり、理事長が業務の指揮を握ることになり、運営の責任は厚生労働大臣と理事長の二元化になります。
 私にはしっかりした政治家としての反省がございます。我々が二十四年前、政治家になったころ、国鉄の問題が大きな問題でございましたが、かつて政府、国鉄の例になる、運賃決定を始め多くの権限が政府と国鉄に二元化される。地元から陳情に行ったら、国鉄に行くと運輸省に行け、運輸省に行ったら国鉄に行けと、本当にその繰り返しでございました。まさに、動きが取れない時代のまま巨大な負債だけが残る結果となりました。
 医療が厳しい状況にある現在、責任の行方があいまいになることを私は大変政治家として危惧いたしております。三千六百万人の中小企業の勤労者の命を守る仕事に遅れやためらいは許されません。
 この制度は都道府県ごとに保険料率が決められます。当然、地域の実情によって被保険者が払う料率に格差が出てまいります。試算によると、四十七都道府県で北海道の保険料率が八・七%で、発足当時の今は料率が八・二%、千に対して八十二でございますが、北海道は〇・五%も高くなります。総務省が調べたら、財政状態がピンチにあり財政破綻とそのおそれのある全国の市町村は四十三ありますが、そのうち北海道は十五市町村もあります。財政状態が悪く、県民所得も決して高くない北海道の料率が最も高いということは、この制度の矛盾であります。医療の公平の原則に反します。都道府県ごとの医療費で料率を決定することは、医療をひとしく受ける権利が地域によって差が出ます。
 保険料率が一年後、二年後とだんだん上がる仕組みだから国民は余り気が付いていませんが、三千六百万人の加入者は真綿で首を絞められるように保険料が上がっていくことになります。病気になっても病院にかかれない人が増えてくる仕組みなのです。
#11
○副議長(山東昭子君) 自見さん、時間が超過しております。簡単に願います。
#12
○自見庄三郎君(続) まさに、弱者切捨て、第二の高齢者医療制度で、中小企業のサラリーマンとその家族の切捨て政策であります。
 厚労相に、地域格差についてどう対処しますか。激変緩和措置をお願いいたします。
 最後に一言申し上げます。
 最後に、政治と宗教とのかかわりについて申し上げます。
 昨日の参議院の本会議場では、輿石民主党の会長が政教分離について説明をされました。アメリカにおけるバプテスト右派の台頭、アラブ原理主義の台頭という、米ソの冷戦構造の終えん後、政治と宗教の問題は大きな問題になってまいりました。民主主義国家における政教分離の問題を含め……
#13
○副議長(山東昭子君) 自見さん、大分時間が経過いたしております。
#14
○自見庄三郎君(続) 我が党といたしましては、今後、委員会を含めしっかり我が党も民主党とともに議論を深めていくことをお誓い申し上げまして、自見庄三郎の代表質問と代えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 自見議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、米国の金融危機の原因と米国経済の今後についてのお尋ねがあっております。
 今般の米国の金融危機は、新しいビジネスモデル、いわゆる証券化が拡大していく中で、金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が機能不全に陥ったものであります。金融市場の規律の確保が重要と考えております。米国では景気は弱含んでおりまして、今後も金融市場の混乱による下向きのリスクがあることから、その動向を注視してまいらねばならぬと思っております。
 次に、総選挙をアメリカ大統領選挙の行われる十一月四日以降にすべきとの御指摘がありましたが、日本外交の基軸が日米同盟であること、経済、文化などの面において日本がアメリカと密接な関係にあることは御指摘のとおりでありますが、しかし、これと我が国の衆議院総選挙をいつ行うかということは全く別問題だと思っております。
 郵政事業の現状等についてお尋ねがありました。
 現在、民営化各社は、新規サービスの展開を始め民営化のメリットを発揮すべく努力をしてきていると承知をしておりますが、地域の住民などから様々な御指摘をいただいていることも事実であります。
 民営化を成功させるためには、特に三事業会社の窓口、地域住民との接点となっております郵便局会社の経営基盤を確立することが重要と考えております。政府としては、地域住民などの御指摘を含め、民営化後の状況を十分に検証し、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。
 長寿医療制度の見直しについてお尋ねがありました。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決するというものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得をしていただけるよう改めることが必要と考えております。その際、高齢者を始め多くの方々の御意見をしっかり受け止める必要があり、一年を目途に幅広い検討を進めてまいります。
 社会保障費削減についてお尋ねがありました。
 二十一年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討することといたしております。
 ほかに御質問の御予定があったようですが、時間切れとなっておりますので御質問ではありませんでしたので、答弁は差し控えさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(中川昭一君) 自見議員より、我が国金融機関による海外金融機関との連携等に関する御質問がございました。
 現下の金融情勢の下、我が国金融機関が海外金融機関に出資するなどの例が見られます。海外金融機関との連携を含め、どのような経営戦略を取るかにつきましては、個々の金融機関自らの経営判断の下で検討すべき問題と考えております。したがいまして、政府として自ら申し上げる性質の問題ではないと考えております。
 いずれにいたしましても、我が国金融機関が適切な経営管理、リスク管理の下で状況に応じた的確な経営判断を行うことが重要と考えております。
 続きまして、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命に対する米国からの支援要請等についてのお尋ねがございました。
 個々の金融機関間のやり取りにつきましては、政府が逐一自ら申し上げる性質のものではないと考えております。
 なお、資産の運用は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の経営判断に基づき適切に行われるべきものであります。また、支援要請があった場合に公表するかどうかも同様と考えております。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(野田聖子君) 消費生活センターへの郵便局関連の苦情相談についてのお尋ねがありました。
 国民生活センターでは、全国の消費生活センターを結ぶ全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NETを運営し、全国の消費生活センター等に寄せられた苦情相談情報を収集しています。
 PIO―NETに収集されている苦情相談件数のうち、郵便に関するものは、平成十七年度は八百九十九件、平成十八年度は九百三十九件、平成十九年度は千百二十五件、郵便貯金に関するものは、平成十七年度は七百二十九件、平成十八年度は七百四十二件、平成十九年度は七百二十五件、簡易生命保険に関するものは、平成十七年度は千三十七件、平成十八年度は千百十二件、平成十九年度は千二百六十九件となっています。
 なお、全国の消費生活センター等に寄せられた苦情相談については、それぞれのセンターにおいて適切に対応しているものと考えております。
 また、郵政民営化関連法案の附帯決議に盛り込まれた利用者の利便性確保についてのお尋ねがありました。
 御質問の附帯決議に対し、当時の竹中担当大臣は、郵政民営化に伴う国民の懸念や不安を払拭したいとの皆様方の強い御意思が込められていると思っております、その御趣旨を十分に尊重し、最大限努力してまいる所存であると発言しており、私もそうあるべきと考えます。
 昨日、麻生総理が答弁したとおり、民営化後の状況を十分に検証し、郵便局のネットワーク水準の維持及び国民の利便性の向上の観点から必要な対応を取ることが肝要と考えております。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(舛添要一君) 自見議員から、まず長寿医療制度についてお尋ねがございました。
 長寿医療制度を廃止し、老人保健制度に戻した場合、高齢世代の保険料の扱いが不明確なまま現役世代に負担が回される仕組みに逆戻りとなるなど、問題の多い老人保健制度を復活させるだけでございます。
 また、長寿医療制度においては、市町村国保と比べて七五%の世帯で保険料が軽減され、保険料格差も二倍に縮小しましたが、逆に負担が増え、格差も五倍に広がります。さらに、制度を運営する広域連合や市町村、ひいては国民を混乱させ、多大なコストを生じさせるなど、国民生活に大きな影響を与える様々な問題が起きることになります。
 したがいまして、長寿医療制度につきましては、老人医療制度に戻すのではなく、様々な御意見が寄せられていることから、高齢者の心情に配慮し、一年を目途に幅広い検討を進め、改革を進めてまいります。
 次に、全国健康保険協会の保険料率の地域格差についてのお尋ねがございました。
 協会発足時は現在の政府管掌健康保険の料率が全国一律に適用されておりますが、協会発足後一年以内に所得水準の違い等を調整し、都道府県別の保険料率を設定することにしております。これは保険料率に地域の医療費を反映し、負担の公平化を図るとともに、医療費の適正化努力を促すものと考えております。
 また、この都道府県別の保険料率への移行に当たり、保険料率の大幅な上昇が生ずる場合には、激変緩和のための措置を講ずることとしており、この措置の内容については今後速やかに検討してまいります。(拍手)
#19
○副議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#20
○副議長(山東昭子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。坂本由紀子さん。
   〔坂本由紀子君登壇、拍手〕
#21
○坂本由紀子君 私は、自由民主党を代表して、昨日の山崎幹事長に続いて、総理の所信表明演説に関して質問させていただきます。
 麻生総理、第九十二代内閣総理大臣御就任おめでとうございます。国内の景気後退が懸念される中で、世界経済はアメリカの金融危機の拡大による混乱回避が焦眉の急となっております。麻生総理が、困難なこの時期に、日本の底力を引き出し、強くて明るい日本をよみがえらせ、強力なリーダーシップで国民に希望と自信を与えてくださることを期待して、質問させていただきます。
 我が国は今や世界一の長寿国となりましたが、急激な少子高齢化が進む中で、社会保障制度の持続可能性を維持するため、大胆に必要な改革を進めていく必要があります。ところが、制度を論ずる以前に、その不適切な運用が国民の信頼を損ねてしまいました。
 このため、違法なやみ専従などを容認してきた社会保険庁の体質を変え、真に国民のために働く職員から成る新たな組織への移行が進められています。違法な標準報酬の修正なども断じて許されない行為ですので、厳正な処理をしていただきたいと思います。そして、これら問題の解決のためには、総理のおっしゃっているように、ひたすら手間と暇を惜しまず、確かめ続けていくしかありません。厚生労働大臣の解決への断固たる決意を伺います。
 医療についても難問が山積しています。
 長寿医療制度は、本来、国民皆保険を守るために創設された高齢者のための手厚い制度であったはずですが、説明不足もあって無用の混乱を招きました。制度を廃止して元に戻すだけでは高齢者の医療は守れません。長寿医療制度の何が問題なのか、冷静に議論を重ねることが必要だと思います。高齢者の医療への公費の重点的投入、現役の負担の明確化など、費用負担の原則と併せ、真に必要な医療の提供についてもしっかりとした検討を加え、厚生労働大臣には国民に丁寧な説明をしていただきたく御所見を伺います。
 また、全国各地で医師不足、とりわけ産科、小児科や病院勤務医の不足が生じ、深刻な事態となっています。
 そもそも日本では、国民皆保険という他国に例を見ない優れた制度が取られているにもかかわらず、諸外国に比べて国民一人当たりの医療費あるいは総医療費のGDP比のいずれを取っても世界で二十位程度と低く抑えられています。これは、三十六時間も連続して勤務するなど過酷な労働もいとわずに働いてくれている医師など医療従事者の犠牲的精神のたまものであり、最近の各地の医師不足等は、彼らの献身も限界に来ていることの証左であると思います。
 政府はようやく医学部の定員増にかじを切り始めましたが、まだまだ地域格差も大きく、抜本的な対策が必要です。新たな医学部の新設など思い切った措置も含めて、国民皆保険制度を守り、国民に優れた医療を提供し続けるために、総理の英断を期待し、御見解を伺います。
 全国の介護施設、福祉施設が人手不足で悲鳴を上げています。志に燃えて働き始めた若者や女性が働き続けられず、最近では養成学校への入学希望者が減少しています。福祉の現場が三K職場などと言われることがないよう、ふさわしい処遇の改善、対策の強化に向けて総理の御決意を伺います。
 民主党は、月額二万六千円の子ども手当の支給、国民健保への財政支援、基礎年金の全額税負担、高校の無償化、高速道路の無料化など、多額の財源を必要とする施策を提案されています。まさに、北欧諸国にも匹敵する手厚い高福祉国家を目指しているのではないかと思います。スウェーデンでは、高福祉を賄うために、消費税率の二五%を含め、国民負担率は七〇%を超えています。高福祉国家を目指すのであれば、世界一の高齢化率の日本では北欧諸国以上の高負担を国民が甘受せねばならないのは必然であろうと思います。
 施策の財源として民主党が示しておられるものには、資産の売却など一時的なもので、毎年継続的に掛かる経費の財源たり得ないものがあります。加えて、地方向け補助金のほとんどは社会保障や義務教育に係るものなので、一括交付金化してこれら財源を他に振り向ければ、福祉や教育は大きな影響を被るものと思います。単なる無駄遣いの廃止で高福祉が賄えるのであれば、スウェーデンの負担の現状をどう考えればいいのでしょうか。高福祉高負担の国家から低福祉低負担の国家まで福祉の規模は様々です。どのような国の姿を目指すのか、まさに国民の選択にゆだねられます。
 総理は、日本にふさわしい福祉の姿をどのようにお考えか、御見解を伺います。
 世界で最も勤勉な日本の高齢者は、魅力ある日本の再生に大きな役割を果たします。日本人の平均寿命は男七十九・一九歳、女八十五・九九歳となっており、そろそろ高齢者の年齢基準などの定義を変えてもいいのではないかと思います。そして、高齢者の就労を阻害する要因を除去して生涯現役社会を実現することが重要と思いますが、総理の御見解を伺います。
 同時に、急激な少子化の進行は日本の未来に大きな影を落とすことが懸念されます。現に子育て中の母親でもある小渕優子大臣を担当大臣に任命されるなど、総理はこの問題に深い御理解があるものと期待しております。
 単に手当を支給するだけでは解決できない問題がたくさんあります。働く女性が増えている中で、保育サービスの充実はもとより、特に、これまで軽視されがちであった家族の大切さを重視した各種施策の検討もしていただきたいと考えます。
 例えばフランスでは、子供を含む家族を課税単位として、世帯の所得を合算した上でN分N乗して課税する制度が取られています。累進税率の見直しをした上でこの方式が採用されれば、子供の数が多い世帯ほど税負担を減らすことができますし、全体としての税収の維持も可能です。
 また、なかなか解決しない保育所の待機児童を解消するためには、地方自治体任せでは限界があります。国の強いリーダーシップを発揮できる制度を導入すべきです。さらに、幼児期の教育の重要性は言うまでもありません。家庭の教育力の低下が指摘される中で、幼児教育の無償化と併せ、教育に携わる良質な人材の確保にも力を注いでいただきたいと考えます。
 限られた財源を有効に使って最も効果的な少子化対策、子育て支援策を講じていただきたく、総理の強い決意をお伺いいたします。
 年金、医療、介護などの社会保障給付費は近年著しく増加しています。一九九〇年からの十年間で四十七兆円が七十八兆円と一・七倍になり、一昨年は九十兆円に達しています。二〇〇六年からの歳出改革では毎年一兆円近い自然増を何とか二千二百億円削減してきましたが、削減努力は限界に来ています。社会保障に対する国民の不安を解消するためには、社会保障の安定的な財源を確保し、制度の持続可能性を確かなものにしなければなりませんが、その道筋を示すべきときに来ていると考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 アメリカ下院での金融安定化法案の否決を機に世界経済の緊張が一気に高まっています。我が国でも金融危機を克服するために大変な努力を重ねてきました。
 思い起こせば、平成八年の第百三十六国会においては住専処理問題が最大の議論になりました。当時の新進党の小沢一郎党首は、予算案から住専処理の財政支出削減を求めて予算委員会の前でピケを張り、三週間の長きにわたって実力阻止を行いました。金融システムと預金者への影響を最小限に食い止めるために行われた政府の取組に対してそのような行動に出たのです。様々な政府・与党の取組等もあって日本の金融システムは危機を乗り越えましたが、当時の新聞によれば、小沢党首の率いる新進党は政党としての体を成していない混乱の極みであったとまで言われています。
 日本は国際金融の安定化のためにできる限りの協力をすべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 総理はまた、所信表明演説の中で、改革による成長を追い求め、新経済成長戦略を強力に推し進めることを表明されています。新経済成長戦略によりどのような日本経済を目指されるのでしょうか。特に、低迷する中小企業の振興のためにどのようなお考えをお持ちでしょうか。
 民間銀行の預金残高は、本年七月末、貸出金を百四十五兆円上回り、過去最高水準となっています。銀行貸出しは平成十七年末から増加基調が続いていますが、その中身は原材料高で輸出入などの運転資金の調達という資金需要が多く、設備投資向けの貸出金は伸び悩んでいる現状にあります。成長を促すための措置を必要としています。
 強くて明るい日本の復活のため、それぞれの地域が強みを生かし、課題を克服するための力を発揮できる環境を整えることが重要であります。その際、道路や港湾、空港などの社会資本は地域発展の基盤となるものです。さきの通常国会においては道路の無駄遣いばかりが取り上げられ、社会基盤としての必要性や効率性という本質的な議論が十分なされなかったように思います。
 また、観光産業はこれからの日本の有望な産業ですが、道路や空港などの整備が不十分なままでは発展が望めません。さらに、今後、地域医療の集約化が進まざるを得ない中で、短時間で患者を搬送できる道路網の整備は地域住民の切実な要望でもあります。そのほかにも、車いすで安心して通ることのできる道路が全国でどれだけ整備されているのでしょうか。公共交通網の整備されている都市部だけが日本ではありません。国家、地域の発展のために必要な社会資本整備についての御認識と今後の取組について、国土交通大臣のお考えを伺います。
 また、道路特定財源については、今年の税制抜本改革時に廃止し、来年度から一般財源化することが既に閣議決定されています。道路関連公益法人や道路整備関係の支出の無駄を徹底的に排除することはもとより当然のことですが、税の使途については納税者の納得、公平性を十分踏まえて決定されるべきものと考えます。道路整備に関する地方のニーズを十分にしんしゃくして対応していただきたく、国土交通大臣の御見解を伺います。
 このところ雇用状況が悪化していますが、人材の質を高め、必要な改革を進めて経済の発展につなげ、雇用の改善を図るべきと考えます。その際、すべての人が意欲と能力に応じてチャンスを与えられ、誇りを持って社会に貢献できる社会を目指すことが重要であると考えます。
 民主党は、最低賃金の全国平均を千円に引き上げ、正規社員とパート社員の待遇は均等にするとしています。最低賃金は、罰則をもってその遵守が求められる厳しいものであります。現在の経済情勢の中で、すべての企業がすべての人に時給千円を支払うことができるでしょうか。正社員とパートの均等待遇は責任の違いを度外視したものでしょうか。待遇は、仕事の内容、責任の度合いに応じて決められるものと考えます。そうだとすれば、重い責任を負う正社員にとって納得できるものでしょうか。
 総理は、日本の未来を担う若者の自立のために、支援のための新法の制定、最低賃金の引上げ、労働者派遣制度の見直しを表明されておられます。フリーターやニートなど困難な状況にある者にしっかりとした光を当て、未来に夢の持てる働き方を可能とするための取組についてのお考えをお聞かせください。そして、若者に希望のメッセージをいただきたいと思います。
 社会の半分は女性が支えています。家庭での子育て、介護のほか、地域活動、雇用や起業など、女性は様々な活動をしています。人口減少社会に突入する日本にとって、女性の力なくして国家、社会の運営は成り立ちません。総理は女性の力をどのように評価しておられますか。明るく元気な社会づくりのために、女性たちに熱いメッセージを送ってください。
 さきの通常国会に与党はいわゆるハート購入法案を提出いたしました。障害者の誇りある自立を支えるため、国や地方自治体が障害者の就労施設からのサービスや物品を優先して購入すること、公契約の落札者の決定に法定雇用率の達成や物品購入の状況が勘案されることなどを盛り込んだもので、障害者の所得保障に力を発揮することが期待できるものと思います。残念ながら、この法案に民主党の賛成が得られていないのですが、民主党案のように負担ばかりを論ずるのではなくて、障害者の能力の向上や所得の向上を目指した前向きな対策を講ずることは当事者の夢や希望の実現につながると考えますが、総理の御所見を伺います。
 総理は、簡素にして温かい政府を目指すと表明されました。
 民主党は、新たに政府が追加的な措置を講じざるを得ないと思われる高速道路の無料化など様々な施策を示し、あわせて、社会保険庁の職員を公務員のまま処遇するなど大きな政府を目指しているように感じます。一方で民主党は、官僚は税金の無駄遣いをするものと決め付けて、国民自身が政治、行政を行うようにするとしています。
 そもそも公務員は国民に奉仕する存在です。国民の負託を受けた政治家が公務員をよく統率して、国家国民のために粉骨砕身働いてもらうことこそあるべき姿です。その際、信賞必罰、労使の親方日の丸体質を改めてもらい、国民の期待にこたえる政府となること、麻生総理の下で大きく日本の行政を変えていただきたい。その決意をお聞かせください。(発言する者あり)
#22
○副議長(山東昭子君) もう少しお静かにお聞きください。
#23
○坂本由紀子君(続) 麻生総理の表明しておられる、まずは短期集中、重点特化型で未来を見据えた景気対策をしっかり行って日本経済を立て直し、暮らしの不安を取り除き、強くて明るい日本を、日本に取り戻す、いかなる難題にもひるまず立ち向かう、逃げない政治、責任を持って実行する政治こそ今の日本の国民が求めているものであります。そのような総理の決意にこたえられる良識の府参議院を取り戻すために全力で取り組むことをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 坂本議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、医師不足についてのお尋ねがありました。
 医師不足の問題につきましては、大学医学部定員について平成二十一年度に過去最大程度まで増員するとともに、今後必要な医師養成の在り方を検討してまいります。
 福祉従事者の処遇改善についてのお尋ねがありました。
 介護・福祉分野の人材確保は喫緊の課題と認識をいたしております。このため、介護・福祉従事者の処遇改善に努力を行う事業者などに対する支援など総合的な取組を進めます。また、来年四月には、介護従事者の処遇の実態などを把握、分析した上で、介護保険料の水準なども踏まえながら介護報酬を適切に設定してまいります。
 福祉の姿勢についてお尋ねがありました。
 社会保障制度において、給付の裏側には必ず負担があります。給付の水準に応じた負担が必ず必要になりますのは御存じのとおりです。私は、日本は中福祉中負担が現実的であると考えております。今後、給付と負担の在り方などについて国民の皆様の納得を得られるような議論を重ね、信頼される社会保障制度を再構築していく必要があろうと考えております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 生涯現役社会についてお尋ねがありました。
 私も、健康に恵まれ、元気な高齢者が増えていると実感をしております。こうした高齢者の方々が意欲と能力のある限り活躍をしていただきたいと考えております。このため、高齢者が働く意欲を損なうことなく、その知識や経験を生かして働き続けることができる社会の実現に向けて、高齢者の雇用や就業機会の拡大に努めてまいりたいと存じます。
 少子化対策についてお尋ねがありました。
 少子化対策は、将来の我が国の担い手の育成を図る未来への投資として重要であります。働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現、新待機児童ゼロ作戦の推進、幼児教育における保護者負担の軽減や教職員などの資質向上などを総合的に進めてまいります。
 社会保障の財源についてお尋ねがありました。
 社会保障制度につきましては、持続可能性を高めるとともに、暮らしの不安を取り除き、安心を支える機能の強化に努めることが重要だと思っております。この社会保障の財源を安定させるための道筋を明確にすべく、検討を急ぎます。
 国際金融の安定化のための我が国の協力についてのお尋ねがありました。
 世界の金融市場の緊張は高まっておりますが、日本としては、引き続き、米国を始めとする関係各国と緊密に連携しつつ、国際金融市場の安定化に努めてまいります。また、我が国には、バブル崩壊以降、金融安定化の問題に取り組んできた経験と知識があります。国際会議などの機会を通じて、できる限りこれを伝えることで世界の金融市場の安定化に貢献してまいります。
 新経済成長戦略により目指す日本の姿についてのお尋ねがありました。
 第一に、投資資源当たりの生産性の向上に集中投資をし、資源高時代、低炭素社会の勝者となります。第二に、製品、サービスの高付加価値化に向け、技術革新とグローバル化を徹底し、世界市場獲得を目指します。
 特に、中小零細企業に対しましては、まずは資金繰り支援などに万全を期し、安心を実現したいと考えております。同時に、農商工連携の促進など新たな成長につながる政策を推進し、一層の飛躍を図ってまいりたいと存じます。
 若者支援策についてお尋ねがありました。
 御指摘のようなフリーター、ニートなど、様々な困難に直面している若者が自らの足で立ち、将来の基盤を築いていけるよう社会全体で必要な支援を行っていくことが必要であろうと存じます。
 そのため、労働者派遣制度の見直し、困難を抱える若者を支援する新法の検討も含め、取り組んでまいります。
 女性の力の評価についてお尋ねがありました。
 女性が意欲を持ち、あらゆる分野でその個性や能力を十分に発揮することが今後の日本にとって不可欠であります。このため、第二次男女共同参画基本計画に基づき、女性が活躍をしやすい環境の整備などに積極的に取り組んでまいります。
 障害者の能力や所得の向上についてのお尋ねがありました。
 障害のある方がその能力を発揮し、自立した生活を営めるようにするための、御指摘のハート購入法案のように、その就労環境を整備していくことが重要だと考えております。政府としても、工賃倍増五か年計画などの就労支援策を更に推進してまいります。
 最後に、公務員のあるべき姿についてお尋ねがありました。
 公務員は国民に奉仕する政府の経営資源であり、彼らを使いこなすことが重要であります。公務員諸君には省益を捨て国益に徹し、国家国民のために粉骨砕身働いてもらいます。そのため、信賞必罰の徹底など、国家公務員制度改革基本法に基づく改革を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(舛添要一君) 坂本議員から年金記録問題など社会保険庁の問題の解決に向けた決意についてお尋ねがございました。
 年金記録問題につきましては、一日も早く年金記録の誤りを訂正し、正しく年金をお支払いすることにより、国民の信頼回復を図ることが重要だと考えております。
 このため、昨年七月五日の政府・与党の方針に基づいて、すべての受給者、加入者に対し、ねんきん特別便をお送りし、御自身の記録の確認をしていただくなど、一つ一つ取組を進めてまいりました。今後さらに、八・五億件の紙台帳の記録とコンピューター記録との突き合わせを計画的に行うなど、この問題に全力で取り組んでまいります。
 また、いわゆる標準報酬の改ざん問題につきましては、本年九月九日の年金記録問題関係閣僚会議において了承された方針に基づき、事実関係を徹底的に調査し、被害者の救済を図るとともに、社会保険庁の職員の不正が明らかになった場合には処分等、厳正に対応いたします。
 さらに、国民の信頼を損ねた社会保険庁職員のいわゆるやみ専従問題については、九月三日、その行為者等に対し処分を行ったところであり、外部有識者から成る服務違反調査委員会を設置し、刑事告発などについて御検討いただいているところであります。十月末を目途に結論を取りまとめ、その結果に基づき厳正な対応を行ってまいります。
 次に、長寿医療制度の見直しについてお尋ねがございました。
 長寿医療制度については、多くの良い面がありますが、制度について様々な御意見が寄せられているところでありますので、高齢者の方々の心情に配慮し、法律に規定する五年後の見直しを前倒しして、より良い制度への改革を図ることとしております。
 私といたしましては、見直しに当たって、議員の御指摘のように、高齢者医療を支える費用負担の在り方について全世代の納得と共感が得られる枠組みを検討すべきではないか、年齢のみによる区分の在り方については、例えば七十五歳以上でも現役で働いている方の扱いも含め検討を加えるべきではないか、年金からの保険料の支払の在り方について、これまでの改善を踏まえ、普通徴収の対象範囲の拡大あるいは選択制の導入を含め検討を加えるべきではないかと考えております。
 既に、新内閣発足後速やかに高齢者医療制度に関する検討会を立ち上げたところであり、今後の見直しに当たりましては、今申し上げたような論点に限らず、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣金子一義君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(金子一義君) 坂本議員から、国家、地域の発展のために必要な社会資本整備についての認識と今後の取組について御質問をいただきました。
 我が国は、もとより、本格的な人口減少、急速なグローバル化、地球環境問題の深刻化といった大きな転換期を迎えております。この時期におきまして、国民生活の安全、安心の確保、高齢者等が安心して暮らせる社会の構築、あるいは成長力の強化、地域の自立、活性化、そして地球環境時代に対応した暮らしづくりなど、社会資本整備が果たす役割は極めて大きく、早急に整備をしてまいりたいと思っております。
 例えば、国民生活の安全、安心を確保する観点から、道路、駅、官公庁の施設、病院等のバリアフリー化を積極的に推進しておるところであり、これらを相互に連絡する道路については、これまで約二千キロを整備したところであります。
 なお、社会資本の整備に当たっては、徹底した無駄の排除とコスト縮減により重点化、効率化を図り、国民の皆様に御理解を得ながら事業を推進してまいります。
 もう一つ、道路特定財源、道路整備に関し、地方のニーズを十分にしんしゃくすべしとの御意見をいただきました。
 人の移動の多くを自動車交通に依存している地方あるいは道路利用者の声を真摯に聞きながら、本年五月の閣議決定に沿って進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(江田五月君) 田中康夫君。
   〔田中康夫君登壇、拍手〕
#28
○田中康夫君 敬愛する小沢一郎さんが代表を務める民主党と参議院で統一会派を組ませていただいております、私は、新党日本代表田中康夫です。
 参議院議員会長の輿石東さんを始めとする会派の皆様の御配意の下、諸行無常な祇園精舎の鐘の声が永田町の政権与党に鳴り響く最終決戦の場で代表質問を行う機会を得ました。改めて感謝申し上げます。
 私たちの日本は、今大きな転換点に立っています。歴史上、いずれの国家も地域もいまだ経験したことのない急激な速度で、超少子、超高齢な社会へと突入し始めているのです。
 国立社会保障・人口問題研究所によれば、二十一世紀の折り返し地点である二〇五〇年代には、日本の人口が外国籍の方々を含めても九千万人を割り込むと予測されています。すなわち、年間八十万人近い割合で人口が減少していくのです。それは、東京二十三区で最も住民が多い世田谷区が毎年消滅する計算です。
 一人の女性が生涯に平均何人の子供を出産されるか、その数値を合計特殊出生率と呼びます。病気や事故で亡くなられる確率も勘案すると、今日の日本の公衆衛生では、その数値が二・〇六を維持し続けた場合に辛うじて人口は横ばいを保ちます。他方で、現実には日本の合計特殊出生率は二・〇六を大きく下回る一・二六なのです。それは五十年後も同率だと推計されています。
 働く女性が出産しやすい社会環境、仕事へ復帰しやすい労働環境が今後飛躍的に充実を遂げたとしても、なお一億二千七百万人の人口は激減し続けるのです。百年後には現在の半分、すなわち六千三百万人を割り込みます。これとて出生率が高位、死亡率が低位にとどまった場合です。前述の国立社会保障・人口問題研究所は、最悪の場合には、百年後に日本の人口は三千三百万人台へ陥ると予測しています。
 物質主義から脱物質主義へ。私たちは、これまでの右肩上がりの発想を捨て去り、量の拡大から質の充実へと選択を改め直し、さらには供給側の都合から消費側の希望に根差した仕組みへと、世の中のありようを抜本的に再構築せねばなりません。社会的公正と経済的自由を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズムを取り戻す、新党日本代表の私の哲学であり、使命でもあります。
 が、残念ながら、島国日本における政治や行政は、どこかいまだにぬるま湯状態で危機感も希薄に思えます。それは、的確な認識、迅速な決断、明確な責任を併せ持ち、ひるまず、屈せず、逃げずの気概の下に、おかしいことはおかしいと言い、おかしいことは一緒に変えていこうと人々を冷静に鼓舞する器量のリーダーが、今や政権与党を見回す限り見当たらぬからです。
 今日び、絶賛を博すテレビドラマとてワンクール十三回、視聴者からそっぽを向かれれば途中で打切りも辞さぬ即断即決の御時世に、都合十七回にもわたって延々と水増し挙行された季節外れの九月・長月ええじゃないか盆踊り全国顔見世興行の場で、麻生太郎さん、あなたは繰り返しのたまいました。日本の最大の問題は不景気だと。しかして、今週月曜日には所信表明演説で声高らかに宣言されました。日本経済は全治三年、三年で日本は脱皮できる、せねばならぬと。
 その言やよし。が、一向に不景気から日本が抜け出せぬ最大の理由こそは、自由民主党が死守し続ける過去の成功体験、もとい既得権益に寄りかかる政治家、官僚、業界、いわゆる政官業利権分配ピラミッドの存在に起因するのではありませんか。しかして、麻生太郎さん、あなたはその慨嘆すべき惨状に対し、余りに無自覚なのではありますまいか。
 と述べるや、早くも苦虫をかみつぶすがごとき表情をあなたがされる、その腹立たしき感情は、質問者の私とて分からなくはありません。おいおい、十六歳も年下の新参者の参議院議員にけいこを付けられる覚えはないぞ。上から目線の坊ちゃん内閣を率いるあなたは、おじい様のせりふをお借りすれば、ばかやろうとつぶやきたい衝動に駆られているかもしれません。されど、これから申し上げる私の見解と質問は、無論、早期解散と政権交代の実現を拒むか求めるか、彼我の違いこそ明々白々なれど、今こそ日本を救わねばとの覚悟においては、少なからず同じでありましょう。
 私は、二〇〇〇年十月、信州長野県の知事に就任しました。戦後の公選知事は、私以前にわずか三人。前任二人の公務員出身者が四十一年六か月、議員と職員と知事の仲よしピラミッドを続ける中で、財政状況は四十七都道府県でおしりから数えて二番目の状態に陥っていました。借入金に掛かる利息の支払だけでも、一日当たり一億四千八百万円に達していたのです。そのまま手をこまねいていたなら、三年後にも財政再建団体への転落は不可避、待ったなしの危機的状況でした。
 脱ダム宣言をきっかけに不信任決議を議会から突き付けられ、失職を経て出直し知事選に打って出た私は、都合六年間の在任中に後述する様々な取組を実行し、その結果として、四十七都道府県で唯一、六年連続で起債残高を減少させ、同じく全国で唯一、七年度連続で基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を達成しました。
 無論、その成果は住民や職員の深い理解と厚い協力があったればこそです。その間、現場主義、直接対話の精神で職員や住民に、発想を変え、選択を変え、仕組みを変えようと訴え続けました。
 ヤマト運輸株式会社中興の祖として知られる小倉昌男さんを委員長に起用し、天下りと補助金の伏魔殿と化していたすべての外郭団体をゼロベースで見直したのもその一環です。委託料、補助金、負担金と職員派遣の全面的見直しにとどまらず、団体の廃止、統合、縮小を敢行し、見直し比率は既存五十四団体の九六%にも及びました。それは、今は亡き小倉昌男さんが最後に手掛けた公的仕事です。
 翻って、国政においてスケープゴート的に私のしごと館のみを見直しても、それはガス抜きにすらなりますまい。省庁を退官した翌日から移籍可能な、独立行政法人なる組織の大半は天下りマネーロンダリング機関と化しています。二年間つつがなき人生を過ごせば、建設会社や製薬会社等の役員に転出するのはノープロブレム、何らおとがめなしなのですから。
 入札改革も同様です。公共事業にとどまらず、すべての分野の事業で不透明な随意契約、さらには、弱肉強食、優勝劣敗をもたらす指名競争入札を廃止し、公明正大、切磋琢磨の一般競争入札を全面的に導入しました。限りなく一〇〇%に近い談合状態だった落札率は、四十七都道府県で最も低い八掛け前後へと落ち着きました。
 全国初の小学校全学年での三十人規模学級の実現も、こうした一連の取組で生まれた余剰金を原資として活用し得たからです。
 複数名の知事が談合で逮捕されたのを受けて全国知事会は、一千万円以上に限っては一般競争入札制度を導入せよと二年前に取り決めましたが、現段階でも導入は半数にも満たぬ二十二道府県にとどまり、仮に千八百万円の事業を二分割発注すれば依然として不透明な随意契約も可能なのです。
 とまれ、私は、人が人にお世話をして初めて成り立つ二十一世紀型の新しい雇用創出の場である福祉、医療、教育、環境の充実。地域密着型の公共事業への転換に加えて、農業、林業、漁業三分野から成る新三業革命を目指したのです。その実現への過程において、財政の健全化、入札の透明化が必要条件だったのです。
 麻生太郎さん、あなたも所信表明演説の中で、財政再建は当然の課題です、しかし目的と手段を混同してはなりません、財政再建は手段、目的は日本の繁栄、麻生内閣の目的は日本経済の持続的で安定した繁栄にこそあるともおっしゃっています。
 無論、その言もよし。が、であるとするなら、安心実現のための緊急総合対策を受けて今般提出された総額一兆六百四十一億円に上る一般会計補正予算の中で、ここぞ日本繁栄の目的、財政再建の手段だと、麻生太郎さん、あなたが胸を張れる箇所はどの点でありましょうか、個別具体的にお示しください。
 新党日本のホームページでは、新政策機構チームニッポンが総力を結集して作成した日本の借金時計が、増大し続ける金額を一秒単位で表示しています。その額、一時間に六十六億円。ううむ、この程度の金額では渋谷区神山町、読んで字のごとし、神の山と表記する、まさに下々とは対極の住所に邸宅を構えるあなたはさして驚かれぬやもしれません。
 が、しかし、麻生太郎さん、日本の借金は一週間で一兆二千億円近くも悪化し続けているのです。それはくしくも、総合食品会社の雄たる味の素株式会社における、連結会計対象のカルピス株式会社等を含む、全世界での一年間の総売上高と同額なのです。繰り返しますが、日本の借金は一週間ごとに一兆二千億円近くの増加。それでも危機感を抱かぬとしたら、早期の精密検査受診をお勧めします。
 しかして、安心実現なる四文字言葉とは裏腹に、今回の補正予算提出に先駆けて、あなたは、公債追加発行額三千九百五十億円、財政投融資計画の追加額一千七百七十八億円を閣議決定されました。国、地方の基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字にする、二〇一一年までに成し遂げると所信表明の原稿を自ら音読しつつしたためたその舌の根の乾かぬうちに。
 なるほど、あなたの先々々代に列しておられたライオンヘアの宰相も、その勇ましい大言壮語とは裏腹に、在任中に二百五十兆円も日本の借金を増大、すなわち日本の財政を悪化させました。隠れ埋蔵金ならぬ隠れ負債額も加えれば一千兆円に達する日本の借金の四分の一をわずか五年半で達成するとは、いやはや。構造改革という名の羊頭狗肉ここに極まれり。今年一月三十一日の予算委員会で、なあんちゃって小泉・竹中へなちょこ改革と私が命名したゆえんです。
 もしや、麻生太郎さん、その三百代言内閣で総務大臣として欺瞞に満ちた三位一体の改革とやらを全国の地域に強要した経験を生かしてうそぶくつもりではありますまいか。この借金よ届けと念じます。ともすれば、元気を失いがちなお年寄り、若者、いや全国民の皆さん方の下にと。なるほど、一千兆円に達する天文学的数値の借金返済は、早晩、真っ当に働き、学び、暮らしながらも、将来の人生設計はおろか、今この瞬間の生活環境にすら夢も希望も抱けぬ全国津々浦々の方々の、さらにはこれから生まれ来る子供たちの双肩にのしかかってくるのです。
 日本と日本人の底力に一点の疑問も抱いたことがありませんとおっしゃる麻生太郎さん、この私は、あなたと自由民主党のばか力に一点の期待も抱きかねるのです。
 その上で、財源を明示していただきます。あなたが所信表明演説、失礼、読み間違えました、所信挑発演説でのたまわった詰問を、心ならず私も行わねばなりません。何となれば、今回、財務大臣にあなたが任命し、二十九日の本会議であなたに引き続いて補正予算案を説明する財政演説を行った中川昭一さんは、「日本経済復活のための十三の政策」と題して月刊誌に長尺の論文を発表されているからです。
 しかも、その本文中に示された見出しは、国民を犠牲にする改革は本末転倒、減税や財政支出もちゅうちょするなと始まり、高齢者への対策、母子家庭への対策、フリーターへの対策、正規雇用者への対策と続きます。まさしく片腹痛し。私は、いま一度、目次ページを眺め直しました。もしや、財源無視宣言と副題を冠してはいまいかと。
 同様の懸念を抱いたマスメディアの表現者もいたらしく、これらの政策提言を実現するには総額二十一兆円余りの財政出動を要するとの試算を報じています。いやはや、目くそ鼻くそは一体どちらでありましょう。改めて財源を明示していただきます。中川昭一さん、明確な答弁をちょうだいいたしたく存じます。
 が、山国における私の経験に照らせば、財源論こそは不毛な議論にほかなりません。求めるべきは、財源を示す示さぬの二元論を超えた発想と実践。景気回復と財政再建はいずれを優先するかの二律背反的二元論ではないのです。
 ただし、そのためには、義務費若しくは経常費と呼ばれる人件費を含むすべての事業のすべての予算をその起案作成段階からゼロベースで見直さぬ限り、改革のための改革をやめよと緊急提言された中川昭一さんが主張される、国民生活を守り、しっかりとした経済成長を実現するなど到底不可能です。
 なぜこんな事業が存在するのか、なぜこんな補助金が温存されているのか。知事就任当初の私は、毎日があたかも子供・少年探偵団の気分でした。なぜなぜどうしてと、ガラス張り知事室でも視察先の現場でも尋ねっ放しでした。が、その大半は、あろうことか、財政担当者や事業担当者に質問しても要領を得ないのです。しばし時間が経過して、私には見えてきました。それは、県会議員であったり商工団体であったり農業団体であったり、長年にわたって既得権益として確保され続け、毎年の予算編成時にも再検討の俎上にも上がらずに温存されてきた予算と事業なのだと。
 変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力をどこまでも信じて疑わないとおっしゃる麻生太郎さん、その日本の物づくり産業があまたの困難を乗り切って大きく成長し続けてきたのは、脱シーリングの発想に基づく選択と仕組みを実践し続けたればこそです。
 予算編成時に政治、行政の世界で飛び交うシーリングなる符牒。言わずもがなの解説を加えれば、シーリングとは天井を意味します。歩道の整備であれ訪問介護の充実であれ、一か所百万円の事業を十か所で実施する、総事業費は一千万円です。けれども、現下の厳しい財政状況下、一律二割カットの予算シーリングが課せられると、個別事業費の単価はそのまま、事業箇所のみ二か所削減、これが官公庁の発想なのです。
 物づくり産業に代表される民間企業の場合は異なります。個別事業費の単価を減らして実施箇所は維持する、すなわち、一か所八十万円掛ける十か所イコール総事業費八百万円で実施するのです。無論、安かろう悪かろうでは消費者からしっぺ返しを食らいます。量のみならず質も維持するべく、知恵と努力をチームワークで結集せねばなりません。
 傍聴席の方のみならず、テレビやラジオ、パソコンの前の皆さんも疑問に思われるでしょう、当たり前のことがなぜ政治や行政ではできないのだろうと。
 理由は至極簡単です。中央、地方を問わず、官公庁とは随意契約の世界なのです。国土交通省の仕事を文部科学省が行うはずもありません。商工部の仕事を農政部が奪うはずもありません。だから、同業他社との間に切磋琢磨の競争が生まれる民間企業では当たり前の成果がもたらされないのです。
 摩訶不思議にも、官公庁の予算書は公共事業のみ百万円単位で表記します。すなわち、たった三けたの数字で記された二一五が生涯賃金にも匹敵する二億一千五百万円を意味するのです。他方、福祉や教育を始めとした非公共事業の予算書は、なぜか千円単位で表記されます。役所の食堂で三百八十円と四百二十円、どちらの昼定食にしようかと思案する人間が、机に向かうや、公共事業百万円イコール一円の頭脳思考回路となるのです。しかして、福祉や教育の予算書作成時には二一五〇イコール二百十五万円、二一五と三けたで記される公共事業予算の百分の一の金額にもかかわらず、一けた多い四けたの数字としてとらえてしまい、福祉や教育の予算増額に難色を示すのです。錯覚とは恐ろしいものです。
 発想を変え、選択を変え、仕組みを変える。私は、すべての予算書を一円単位から記そうと職員に提案しました。十億円の公共事業は十けたもの数字を羅列せねばならず、予算書の枠内に入り切らないと難色を示す財政改革チームの職員に私は、日本には漢字という便利な代物が存在するではないか、電卓の文字盤と同様に、億、万、千の漢字と数字を併用すれば予算書の枠内に収まり、税の執行に関して視覚的にも一円単位から自覚的、自制的となると説きました。
 ピンバイスと呼ばれる〇・一ミリ単位の微細なドリルやいばを駆使するプラモデルの大家にして、今や断崖絶壁に突風吹きすさぶ農林水産省で下から目線な対応を心掛ける石破茂さんにお尋ね申し上げます。
 もはや農業者の自立にも自給率の向上にも寄与しないと批判を浴びる旧態依然たる土地改良に象徴される巨大な農業土木の公共事業予算書を、起死回生で一円単位からの表示とし、意識改革に獅子奮迅する意思はありやなしやと。
 続いて、野田聖子さん、迷走、混迷する自由民主党の中で私が一目を置く数少なき政治家の一人であるあなたにも、望ましき消費者庁の在り方に関し、忌憚なき見解をお話しいただきたく思います。
 会社や組合という組織の都合ではなく、個人や地域という人間の未来に根差した政治を日本に定着させる上で、消費者庁の帰趨は極めて重要です。が、そのためにはプラン・ドゥー・チェック・リドゥー、すなわち立案、実行、検証、再実行。ともすればおざなりな対応で済まそうと供給側の論理に依拠しがちな既存の省庁に対し、やり直しの駄目出しを消費者側の希望に立脚する消費者庁が命じ得る法的権限を明確化する法案の修正強化に今からでも取り組むべきではありませんか。
 発想を変え、選択を変え、仕組みを変える、すなわちシステムを再構築せねば、食の安心、安全は実現し得るはずもありません。にもかかわらず、日本では原産地呼称管理制度が未整備な状態で留め置かれているのです。知事時代、ソムリエの田崎真也さんらの協力を得て、日本酒、ワイン、しょうちゅう、米、牛肉を始めとする農作物並びに農産物加工品の生産情報開示と品質評価の客観的かつ具体的制度化を実現させた私としては、切歯扼腕の思いです。
 もはや大量殺人未遂、同幇助にほかならぬと、九月十日に東京地方検察庁へ、十八日に大阪府警察本部へ、冬木三男三笠フーズ社長、当時の太田誠一農林水産大臣を告発すべく私が赴いたのも、当時の町村信孝官房長官が会見で述べた、抜き打ち検査や販売の仕方の改善といった、早い話が、予算増額でネズミ取りの機器と人員を増強すれば、一台目に加えて三台目と多分七台目も摘発可能ってな次元の付け焼き刃な小手先対応では問題は解決しないと考えたればこそです。
 しょせんはIT箱物行政の域を出ない従来型発想のいわゆるトレーサビリティーを超えた原産地呼称管理制度の創設こそは、消費者の希望にこたえる政治の決断です。石破茂さんと野田聖子さんに御見解を伺います。
 環境行政を所管する斉藤鉄夫さんにお尋ねします。
 九月十一日、蒲島郁夫熊本県知事は、国土交通省が計画する川辺川ダムの建設に反対すると表明しました。二〇〇一年二月二十日、九つの県営ダム計画を中止すべく脱ダム宣言を発し、爾来、徒手空拳の闘いを続けてきた私にとっても感慨深い一日でした。何となれば、彼は政府・与党の全面的支援の下に当選した知事だからです。脱ダム宣言から七年半、時代は着実に変化を遂げています。
 脱ダムとは、環境問題にとどまりません。御存じかどうか、国が実施主体の直轄事業とて、地元自治体の財政負担は三割近いのです。加えて、ダムに象徴される巨大公共事業は、総事業費の八割前後が東京や大阪に本社を構えるスーパーゼネコンに支払われます。つまり、地元は一割も持ち出し。巨大公共事業のからくりとは、実は租庸調の時代のごとき上納・献上システムなのです。ダム建設とは、今や地方経済を回復させるどころか、逆に疲弊、破綻へと追い込む、河川にしみ込む毒薬、メタミドホスです。
 他方で、日本の国土面積の七割近くを占める森林は荒廃しています。とりわけ、その四五%は戦後に造林された針葉樹の人工林。広葉樹と異なり、間伐を必要としますが、驚くなかれ、林野庁の予算の中で森林整備に投じられているのはわずか八%。残り九二%は、林道建設や谷止め工と呼ばれるコンクリートや鋼鉄のくいを沢に打ち込む公共事業なのです。
 針葉樹は、樹齢四十五年から六十年の間に、二残一伐列状間伐と呼ばれる、二列残して一列伐採する森林整備を行わねば幹が太くなりません。昭和三十年代に造林された針葉樹の間伐は、もはや待ったなしの状態なのです。にもかかわらず、間伐が完了しているのは人工林千百四十万ヘクタールの約三分の一、四百万ヘクタールにすぎません。今後六年間は年間五十五万ヘクタールを間伐すると林野庁は計画を発表していますが、それでは六年後も四百十万ヘクタールは手付かずのままです。
 実は、間伐に投じる事業費の三分の二は人件費なのです。すなわち、これこそは地域密着型の公共事業。中山間地域の土木建設業従事者にとっての福音でもあります。ゆえに、私は知事時代、森林ニューディールと銘打って、間伐する面積も予算も二・五倍に増やすとともに、森林整備技術を習得する百時限の無料講習会を開催し、地域雇用の促進に努めました。
 森林整備の効果は、治山治水にとどまりません。中下流域の農業者にも漁業者にも、さらにはカキを始めとする河口の漁業者にとっても福音をもたらすのです。まさに農業、林業、漁業三分野を連携する新三業革命です。
 思えば、斉藤鉄夫さんも私も、人々に悲しみをもたらす富国強兵ではなく、人々に幸せを届ける経世済民の社会を実現すべく政治の道に入ったはずです。他省庁との連携の下、国立公園も管理する環境省が主体的に予算措置を講じて森林整備に携わったなら、それこそは洞爺湖サミット議長国にふさわしき決断でありましょう。脱ダムへの見解も含め、御所見を是非お聞かせ下さい。
 最後に再び、第九十二代内閣総理大臣の麻生太郎さん、あなたへの質問です。
 日本政府は今春、かつての国策会社Jパワー、電源開発株式会社への資本参加の比率を高めようとしたイギリスのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド、TCIに対し、甘利明さん、当時の経済産業大臣にして現在は規制改革を促進する特命担当大臣である甘利明さん、あなたは、まかりならぬと株式の取得中止命令を発しました。
 他方で、この九月五日、丸紅、関西電力、九州電力の各株式会社、さらには政府全額出資の日本政策金融公庫の国際部門たる国際協力銀行、いわゆるJBIC等で構成される企業連合は、シンガポール財務省傘下の投資会社が一〇〇%保有していた同国最大の電力会社セノコ・パワーの全株式を取得すると発表しています。
 本日の代表質問の冒頭で、社会的公正と経済的自由を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズムを取り戻すことこそは、新党日本代表の私の哲学であり、使命であると述べました。
 しかして、麻生太郎さん、あなたは、さきの所信表明演説でエネルギー問題に関し、世界で先頭を行く環境・省エネ国家として国際的なルール作りを主導していくと語られました。その言やよし。
 アジアとの交差点、アメリカとの交差点、オセアニアとの交差点。地政学的に三つの円が交わる重要な拠点に位置する我らが日本が、とてつもない日本、いや、とんでもない日本ではなく、名実共に信じられる日本として、世界の国々から、世界の企業から、世界の人々から認められるべく、的確な認識、迅速な決断、明確な責任の下に地歩を固めることこそが肝要です。
 とするならば、この二つの事業に関する日本政府の判断の整合若しくは不整合を、麻生太郎さん、あなたはいかに認識し、いかに国内外に説明されるのか。
 担わんとする責任の重さにうたた厳粛たらざるを得ませんと覚悟のほどを披瀝されたあなたの深い洞察力に満ちあふれた答弁を期待し、私、田中康夫の代表質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#29
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 田中議員の質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、既得権益に寄りかかっていることが不景気から日本が抜け出せない理由であるとの御指摘でありました。
 現在の日本の不景気は、主に内需が弱いこと、それに加えて、最近生じたアメリカ発の金融危機が原因となっていると考えております。また、その背景には、年金問題など暮らしの先行きについての不安や、旧来型の経済構造が経済の活性化を妨げていることがあろうと存じます。よって、暮らしの不安を取り除くことや規制改革を進めることが重要であると考えております。
 独立行政法人などの見直しについてお尋ねがありました。
 独立行政法人につきましては、昨年、すべての法人について徹底的に見直しを行い、整理合理化計画を策定したところです。二十年度予算におきましては、千五百七十億円の財政支出を削減、また二十二年度末までに十六法人を削減することとしております。公益法人につきましては、行政支出総点検会議において、国からの支出の三割削減などの検討を行っているところです。
 随意契約の廃止についてお尋ねがありました。
 国の契約につきましては、一般競争入札が原則との基本に立ち返って、全省庁で随意契約見直し計画を策定をいたしております。この計画に沿って、すべての分野で競争性のない随意契約から一般競争入札など競争性のある契約方式へ移行する取組を進めております。
 補正予算についてのお尋ねがありました。
 この度の補正予算は、緊急総合対策を実現し、物価高、景気後退の直撃を受けた人々に安心をもたらすためのものであります。例えば、中小零細企業の資金繰りの対策や学校耐震などの国民生活に直結する重要な政策に必要な経費を盛り込んでおります。
 先ほど言われましたチルドレンズ・インベストメント、TCIと言いましたけど、電源開発株式会社の投資についてのお尋ねがありました。
 この投資の中止命令は、電気の安定供給や原子力、核燃料サイクルの政策に影響を及ぼすおそれがあることから行ったものであります。もうよく御存じのとおりです。これは我が国の法令に基づき、国際ルールとも整合的なものであります。
 他方、日本の企業連合などによるシンガポールの電力会社の株式取得は、シンガポールの法令に基づき適切に行われたものと理解をしております。
 二つの事例は、案件の個別事情も根拠となる法令も異なることから、ダブルスタンダードであるとの御指摘は全然当たっておらぬと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(中川昭一君) 私が本年七月に発表いたしました提言につきましてのお尋ねでございます。具体的に御紹介していただきまして、ありがとうございます。
 さて、財源を含め、本提言につきましては、財務大臣就任前のものでございますから、財務大臣としての立場からお答えすることは差し控えさせていただきます。
 ただし、日本を元気にしたいとの思いはいささかも変わりはなく、財政再建に努力するとともに、日本経済の持続的で安定した繁栄を図ることを基本線として踏み外さず、日本にとって必要な施策についてはしっかりと対応していきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(石破茂君) 田中議員にお答えを申し上げます。
 まず、公共事業の予算書につきましてお尋ねをちょうだいをいたしました。
 農業農村整備事業は、食料自給率向上に資する農地、農業用水等の食料供給力の確保及び農業の体質強化のための社会資本の整備を行う事業として不可欠なものであります。特に、現下の農業農村の課題に対応し、担い手への農地の集積と生産性の向上を図るための農地の整備、老朽化し更新時期を迎える農業水利施設の整備、更新などを計画的に推進することが必要であります。
 今後とも、政策課題に対応した事業の重点化を図りますとともに、事業の工期管理、そして、御指摘であります事業評価の適切な実施、それが本当に効果を発現しているかどうか、このことはきちんと検証しなければならない、このように考えております。さらには、一層のコスト縮減などにより効率的かつ透明性の高い事業推進に努めてまいります。
 なお、御指摘の単位の問題でございますが、現在は更に細かくなっておると承知をいたしております。その点、更に検討をさせていただきます。
 次に、原産地呼称管理制度の創設についてのお尋ねをいただきました。
 政府といたしましては、本年九月、閣議決定をいたしました新経済成長戦略のフォローアップと改訂におきまして、決められた産地での生産、品種、生産方法等の遵守を地域ぐるみで育ててきた農林水産品に対し、地理的表示を与える制度の整備について検討を進めるということにしております。
 このような農林水産品の地理的表示制度につきましては、生産方法と品質管理の知的財産化を通じまして付加価値を高め、地域産業の振興と地域の活性化が図られますとともに、安全で品質の高い農林水産品を求める消費者のニーズにも合致するものと、このように考えております。
 他方、制度化に当たりましては、御案内のことかと思いますが、それぞれの農林水産品の生産地、品種、生産方法等の確認方法をどのようにするか、そして既存の国内企業が地名を冠した商品を製造していること、これとどう調整するか、そのような課題があると認識をしております。
 当省といたしましては、これらの課題につき、早急に結論を得るべく、迅速に検討を進め、各地域のブランド化の取組を支援してまいります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(野田聖子君) 供給側の論理に立つ既存省庁と対比する観点から、消費者庁の意義、権限についてお尋ねがありました。
 田中代表の御指摘のように、消費者、生活者が主役となる社会を実現する国民本位の行政に大きく転換していく上で、消費者庁法案の帰趨は極めて重要であります。
 今国会に提出した消費者庁関連三法案は、この転換を具体化するためのものであり、消費者側に立脚し、その利益を守る消費者庁において、既存の行政組織に対し意見を述べ、あるいは必要な措置を要求する法的権限を明確に定めております。
 また、関連三法案のうち、消費者安全法案において、重大な事故が起きた場合には、例えば、その原因となった商品の販売を禁止する権限を内閣総理大臣に持たせるなど、漏れのない責任ある対応を実現いたします。
 消費者、生活者に根差した行政を日本に定着させ、すべての消費者が泣き寝入りをしなくて済む社会を実現するため、これら三法案の早期成立に向け、是非とも御理解、御協力をお願いいたします。
 また、原産地呼称管理制度についてのお尋ねがありました。
 田中代表が長野県知事在任中に、生産情報を消費者へ開示し、消費者の信頼を得ながら地域の振興を図ることを目的とした長野県原産地呼称管理制度を推進されたことは承知しております。
 表示は消費者が商品の選択を行う上で基礎となるものであり、商品表示が適切になされることは消費者の利益を増進する観点から重要であります。
 私としては、消費者の目線に立った食品表示が適切になされるよう、消費者を主役とする政府のかじ取り役としての消費者庁の発足に向けて全力で取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 田中康夫議員の御質問にお答えいたします。
 まず、脱ダム宣言についてのお尋ねがございました。
 議員が長野県知事時代に発表された脱ダム宣言は一つの見識であると考えております。
 ダム建設については、治水、利水対策も含めて総合的に判断する必要があり、ダム建設が必要か不要かについては一概には申し上げられません。
 環境省としては、ダムを含めた公共事業等の実施に当たって、地域ごとの状況に応じて環境影響評価を的確に行うことなどにより、十分な環境保全対策を取っていくことが重要であると考えております。
 また、森林整備についてお尋ねがございました。
 国土の三分の二を占める森林は、生物多様性の保全、地球温暖化の防止、国土の保全、水源の涵養などの重要な役割を果たしているだけでなく、美しい風景や豊かな文化の源、根源でもございます。
 議員からは、知事時代に取り組まれた森林整備に関する森林ニューディールや新しい三つの業の革命、新三業革命という考え方を承りました。森林の果たす役割は極めて大きく、同時に様々な課題を抱えており、間伐の促進を含む森林の保全整備は喫緊の課題と認識をしております。
 環境省においては、地球温暖化防止のための森林吸収源対策の一翼を担うとともに、国立公園の保護管理や里地里山の保全、再生、野生生物の保護管理などの施策を通じて森林の保全整備を進めているところです。今後とも、環境保全に責任を有する立場から、林野庁始め関係省庁と連携し、日本の多様で豊かな森林を将来の世代に確実に引き継いでいくよう積極的に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(江田五月君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#35
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、麻生首相に質問します。
 総理は所信表明の中で、国民の暮らしから不安を取り除くと言われました。しかし、社会保障や雇用、食の安全と農業など、国民の暮らしの不安は自公政権がつくり出したものばかりであり、あなたは閣僚や自民党幹事長として、それに重大な責任を負っているのではありませんか。まず求められるのは、そのことへの反省であることを指摘し、以下、具体的にお聞きします。
 お年寄りを、そして将来老齢を迎えるすべての国民を不安に陥れたのが後期高齢者医療制度であります。総理は見直しに言及されましたが、あくまでも制度の存続が前提になっています。
 国民はなぜ後期高齢者医療制度にこれほど憤慨しているのか。説明不足だからではありません。それは、説明すればするほどこの制度の目的が、七十五歳以上になると、第一、幾つもの病院にかかり治療が長期化する、第二、認知症になる人が多い、第三、いずれ避けることのできない死を迎える、だから国の医療費を減らすために七十五歳以上の人を別建ての制度に囲い込む、そして全員から保険料を、しかも有無を言わさず年金から天引きし差別医療を押し付ける、これが本質だということがはっきりしてきたからであります。三度目の保険料の天引きは八月十五日、よりによって終戦記念日でした。
 七十五歳以上の高齢者といえば、さきの戦争のときには命を差し出せと言われました。そして、戦後の復興のために力を尽くし、苦労してようやく七十五歳を迎えたら、今度は早く死ねと言わんばかりの仕打ち。あなたは今日から七十五歳、長い間御苦労さまでした、今日からはせめて医療費だけは心配掛けません、これが本来の政治の在り方ではありませんか。後期高齢者医療制度は速やかに廃止し、国民の声に謙虚に耳を傾けて、あるべき医療制度を再構築することを求めます。
 総理は、最低賃金の引上げと労働者派遣制度の見直しに言及されました。それならば、ほとんどの労働団体が一致して要求している最低賃金を全国一律千円に引き上げる意思を示していただきたい。労働者派遣制度のどこをどう見直されるのか。日雇派遣の禁止、登録型派遣の原則禁止など、少なくとも一九九九年の原則自由化以前の状態に戻せというのが、これまた関係者ほとんどの総意ですが、そこまで踏み込む決意はおありですか。
 今、日本を代表する大手製造業で、違法派遣の摘発を受け、直接雇用への転換を余儀なくされるところが生まれています。しかし、その実態は、雇用期間三か月とか数か月、契約を更新しても最長二年十一か月、それを過ぎると雇い止めであります。
 人はこの世に生をうけた後、親や社会にはぐくまれ、大人になって仕事に就きます。そして、結婚、子育て、社会活動など様々な体験を経ながら両親をみとり、自らも老いていくという長い人生を送ります。決して三か月や数か月単位、最長二年十一か月単位で人生を送るのではありません。ところが、日雇派遣なら一日ごとの、期間社員なら最長でも二年十一か月だけの人生しか見通せなくなる。これほど不安な人生はありません。しかも、企業、工場は決してそんな単位で操業してはいないのにであります。
 総理は、国民にもたらされる不安を実に忌むべきと言い、これら不安を我が事として一日も早く解消すると宣言されました。ならば、不安な人生を強制する派遣や期間社員などの細切れ雇用の蔓延は、それこそ一日も早く解消すべきであります。そのためにも、派遣法の抜本的改正はもとより、二〇〇四年労働基準法改悪で導入された三年有期雇用の一般化を見直し、合理的な理由がある特別の場合以外の期限付雇用は禁止すべきではありませんか。
 食への不安が国民を覆っています。汚染米と知りつつ流通させた業者、それを見逃した農水省の行政にももちろん重大な責任があります。同時に、この問題の根本に何があるのか。
 汚染米の八割は輸入米です。政府がミニマムアクセス米として輸入した七十七万トンの一部です。どうしてカビや農薬で汚染された米を廃棄したり、輸出国に送り返すことなく国内で流通させたのか。それは、流通させなければ七十七万トンを輸入したことにならないからであります。だから、のりの原料など工業用としての国内需要量を上回って、残りは食用に回るかもしれないことが分かっていても、引き取ってくれるところがあれば引き渡していたというのが実態であります。
 WTO協定上、ミニマムアクセス米の輸入は義務付けられてはいません。日本には世界に誇る米があります。国内では減反を押し付けながら、アメリカに義理立てして輸入を続けることはもうやめるべきではありませんか。
 いま一つは、米を売買する業者、かつては許可制だったものを、小泉改革で、届出さえすればだれでもできるようにしたことであります。いわゆる規制緩和で流通を市場任せにして、政府の責任を放棄した。この二つが重なって発生したのが今度の問題であります。
 政府は、この失政を認め、ミニマムアクセス米の輸入を中止し、米の流通の管理責任を果たすべきであります。
 食料自給率の向上は、汚染米の教訓からも切実な課題であります。主な農産物の価格保障を基本に、所得補償を組み合わせて再生産を保障すること、規模の大小で農家を選別するやり方をやめること、農産物の無制限な輸入自由化はやめること、これらが自給率を回復した国々に共通する教訓でもあります。
 農業を保護の対象から外すことをうたう総理の方針は、亡国農政そのものと言わなければなりません。日本農業再生の合い言葉は、安全な食料を日本の大地からであるべきであります。
 総理が就任後、最初に行ったこと、それは国連に行って、アフガニスタンで米軍などが進めている報復戦争を応援する、そのために何としてもテロ特措法を延長するという態度表明でした。しかし、戦争や武力ではテロはなくなりません。それどころか、アフガンの治安はかつてないほど悪化しました。
 アメリカの国防総省とも深いかかわりのあるシンクタンク、ランド研究所は、軍事力によるテロとの闘いは逆効果だったという報告書を発表しました。テロ活動が終わった経験を歴史的に分析すると、最も多いのが政治解決で四三%、警察などによる取締りが四〇%、軍事力でテロ組織を壊滅に追い込んだケースはわずか七%にすぎなかったことを挙げ、軍事力による対テロ戦争よりも警察活動などに重点を置いたテロ対策こそが有効だとしています。
 日本共産党は、九・一一テロが発生したときに、軍事力ではなく、国連を中心として警察力による逮捕と法に基づく処罰こそがテロ根絶への道だと世界の首脳に直接文書を届けて訴えました。今、その方向こそがテロの解決になるという見方が世界で多数の意見になりつつあります。
 アメリカの報復戦争に協力しないと国際的に孤立するなどという政府の立場こそ世界から孤立していると言わなければなりません。平和なアフガンのためには、自衛隊の派兵をやめ、アメリカの報復戦争への協力ではなく、政治的な解決のために力を尽くすべきではありませんか。
 以上、答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#36
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 市田議員の質問にお答えをいたします。
 まず最初に、国民の暮らしの不安をつくり出したのは自公政権ではないかとの御指摘がありました。
 自由民主党は、ほぼ半世紀にわたり、少しの時期を除きましては日本の政権を担ってまいりました。その意味において、日本の繁栄を導いたことにいささかの自負を持つものでもあります。一方、繁栄の影に様々なひずみが生じていること、また新たな問題が生じていることも認めなくてはならないと考えております。
 我が自由民主党と内閣は、これらの問題に果敢に取り組んでまいります。そして、その先頭に立って粉骨砕身努力することをお誓い申し上げたいと存じます。
 長寿医療制度の見直しについてのお尋ねがありました。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決するというものではないと申し上げております。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるよう改めることが必要だと考えております。そのため、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。
 また、長寿医療制度において、医療費の自己負担を現役世代より低い一割負担とし、保険料の軽減も行うなど、高齢者が心配なく医療を受けられる仕組みになっております。こうした良い点は是非維持してまいりたいと思っております。
 最低賃金の引上げについてのお尋ねがありました。
 最低賃金を一挙に時給千円に引き上げることは、中小企業などの経営が圧迫され、かえって雇用が失われるおそれがあり現実的ではないと、そう思っております。また、全国一律の制度とすることは、地域によって物価水準などに差がありますから適当ではないと考えております。
 政府としては、中小企業の生産性を高めつつ、本年七月に施行されました改正最低賃金法に基づき引上げに取り組んでまいります。ちなみに、本年度につきましては、過去十年で最大の全国加重平均の引上げを行ったというのは御存じのとおりであります。
 労働者派遣制度の見直しについてお尋ねがありました。
 労働者派遣法につきましては、問題の多い日雇派遣を原則禁止するなど、労働者の保護を強化する観点から見直すことといたしております。一方、現在二百三十万人もの方に利用されております登録型派遣を禁止するということは、かえってその労働者の不利益にもなりますため、平成十一年の原則自由化以前に戻すという考えは適切ではないと思っております。
 必要以上に短い雇用期間を定めるいわゆる細切れ雇用についてのお尋ねがありました。
 派遣労働者や期間社員などの雇用の安定を確保することは重要な課題であると認識をいたしております。このため、企業に対しましては、必要以上に短い雇用期間を定めることなく、できるだけ長くするよう指導を行っております。また、希望する方には正規雇用の道が開かれますよう、職業能力を高めるための訓練、就職の支援など、様々な措置を講じておるところです。
 期限付雇用についてのお尋ねもありました。
 労働者のニーズも多様でありまして、期限付雇用に対する労働者の希望もありますことは御存じのとおりです。こうした期限付雇用を原則禁止することは労使双方の多様なニーズにこたえられなくなる可能性があり、慎重な検討が必要であると存じます。
 ミニマムアクセス米について御指摘がありました。
 ミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、すべての加盟国の合意の下にWTO協定にて設定されたものであり、日本は通常の場合にはその輸入を行うべきものであると考えております。
 事故米についてお尋ねがありました。
 工業用として販売した事故米が食用に転用されていることを見逃し、適切な対策を講じてこなかったことは、これは深く反省しなければならないことは当然であります。私は、行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止に万全を期してまいりたいと存じます。
 農産物の価格保障についてのお尋ねもありました。
 農産物の価格保障は、需要に合わない農産物の生産を助長し、国内生産の拡大につながらないと考えております。政府としては、経営所得安定対策などの実施により、消費者のニーズに的確に対応できる担い手を育成し、その経営の安定を図ることが重要であると考えております。
 農家の経営規模についてのお尋ねがありました。
 日本の農業は、大規模に農地を利用するもの、小規模でも良質で高い値段で売れる農産物を生産するものなど多様であります。政府として、このような意欲を持って農業を行う担い手の育成を通じ、力強い農業構造の確立を図ってまいります。
 農産物の輸入自由化についてのお尋ねがありました。
 農産物の貿易につきましては、現在、WTO農業交渉や二国間交渉において議論が行われておりますのは御存じのとおりです。日本としては、多様な農業の共存を基本理念とし、積極的に取り組んでいるところであります。
 最後に、テロとの闘いと平和なアフガニスタン実現についてのお尋ねがありました。
 テロとの闘いは継続をしております。多くの国が、尊い犠牲を出しながらもアフガニスタンでの取組を強化をしております。日本も、人道復興支援や政治プロセスの促進など、幅広い分野で積極的に貢献していきます。
 しかし、治安情勢が厳しい中で、こうした支援とともに治安・テロ対策が不可欠であるというのも国際社会の一致した認識であります。補給支援活動は、国益を懸け、我が国自身のためにしてきた活動でもあります。国際社会からの評価も高く、継続は是非とも必要だと考えております。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(江田五月君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#38
○福島みずほ君 私は、社民党を代表して、麻生総理並びに関係閣僚に対して質問をいたします。
 社民党は、三つの決別宣言を自民党に対して行います。
 一つ目は、利権政治に対する決別宣言です。二つ目は、国民を苦しめる小泉構造改革に対する決別宣言です。三点目は、戦争に加担する、そんな政治に対する決別宣言です。
 今、私は、全国を歩いていて、政治が命を粗末にしていることに関して涙が出るような思いがします。地方を切り捨て、雇用を切り捨て、医療を切り捨て、命を切り捨てています。社民党は、命を大切にする政治への政策転換こそ必要だと考えています。
 社民党は、九兆円の生活・地域の底上げ宣言をしました。社民党は、この間五兆円カットしてきた地方交付税について二兆円復元をし、地域、医療、介護、教育の充実強化をし、赤字路線などの公共交通支援、限界集落対策、中小企業支援、離島の石油、ガソリン減税などを打ち出しております。
 総理は、建設国債を発行し、後世にツケを回そうとしています。しかし、そのようなやり方ではなく、社民党は財源があると提言をしています。
 まず、不公平税制の是正です。
 社民党は、法人税と所得税の最高税率を、十年前、一九九八年に戻すことなどで約四兆円増収になると試算をしています。ドイツは、環境税を企業に課し、福祉に充てています。大金持ちには増税をし、生活に困っているところには減税をするという形で財政再建をすべきだと考えますが、いかがですか。
 特別会計積立金・剰余金、防衛予算、米軍への思いやり予算、公共事業費などの無駄の排除によって財源をつくることができます。また、格差が拡大をしている中で消費税を上げることはすべきではないと考えます。総理、消費税を上げないと明言できますか。
 利権政治への決別についてお聞きをします。
 総理は、道路特定財源をどう改善されるつもりですか。一般財源化するだけで問題は解決をしません。道路を造るときのコスト高の問題、道路特定財源の無駄遣いをどう解決をするのですか。無駄遣いの温床になっている特別会計に関して大胆にメスを入れる決意はありますか。熊本県知事は、川辺川ダムについて反対を表明しました。全国で計画がある百五十のダムの総事業費は九兆円を超えています。サンルダム、八ツ場ダムなど、ダム建設の根本的な見直しが必要だと考えますが、いかがですか。
 次に、小泉構造改革を転換するかどうか、お聞きします。
 総理は、国民に痛みを強いる小泉構造改革を維持しながら、利権ばらまき政治を復活、より拡大しようとしているのではないですか。
 社民党は、今の社会の最大の問題の一つは格差の拡大と貧困だと考えています。今、生活の底が抜けるような不安を地域で人々が感じています。灯油の値上がり、九年間給料が上がらない、にもかかわらず物価は上がるという生活困窮、非正規雇用で働く人が働く人の三分の一、何と年収二百万円以下で働く人が四人に一人となりました。地域に医者がいない、自治体病院が閉鎖になって困る、住めなくなるという声を全国至る所で聞きました。希望がなくなっています。まさに生活の破壊、命の破壊です。
 社民党は、小泉構造改革は改革の方向が間違っていると初めから批判をしてきました。二〇〇三年の総選挙で、改革の方向が間違っており、国民の生活を破壊すると、初めから反対をしてきました。二〇〇三年の総選挙で格差是正を訴えました。元祖格差是正政党として頑張ってきました。小泉構造改革で果たして幸せになった人がいるんでしょうか。格差の拡大と貧困の問題はまさしく自民党政治の結果だと考えますが、いかがですか。総理は、日本は明るくしなければなりませんとおっしゃいました。私は言いたい、暗くしたのは一体だれなのかと。あなたたち自民党ではないですか。
 今こそ、地方の再生、雇用の再生、医療の再生、社会保障の再生のために政策転換をしなければなりません。所信表明演説を聞く限り、政策転換は見えません。総理、あなたにできるんですか。
 まず、雇用の再生についてお聞きします。
 製造業についても派遣を認めるという二〇〇二年の派遣法の改悪を始めとした労働法制の規制緩和が、非正規雇用を増やし、労働条件の悪化を招いたという認識はありますか。今こそ法律を改正しなければなりません。社民党は、登録型派遣については専門職に限るという改正案を作っています。総理、政府が今考えているような日雇派遣を禁止するだけでは何も解決をしません。登録型派遣については専門職に限定すべきではないですか。
 社会保障費をこれからも二千二百億円ずつ五年間カットし続けるという二〇〇八年骨太方針はやめるべきだと考えますが、いかがですか。
 私は、この一年間、各地の病院の現場に足を運びました。社民党は、医療の崩壊を食い止め、安心して地域で医療が受けられるよう提言をしています。政府は、自治体病院改革ガイドラインを出し、自治体病院の撤退などをうたっています。とんでもありません。全国で、公立病院の廃止や撤退により、住民は命が危機に瀕しています。千葉県の銚子市で銚子市立病院の休止が発表されました。社民党は、自治体病院を守るべきだと考えています。政府は、病院への補助こそすべきではないですか。また、社民党は、お産に伴う費用は無料にすべきだと考えますが、いかがですか。
 後期高齢者医療制度についてお聞きします。
 後期高齢者医療制度は、そもそも七十五歳という年齢で区切ることに本質的な問題があり、私たちはみんなで廃止法案を出しました。
 舛添大臣は、九月二十日、年齢で区切ることはやめる、土地を探して設計図を引いて国民が気持ちよく住める家を造りたいと明言をしました。二十一日には、総理も抜本改正を明言しました。ところが、その後、トーンダウンをし迷走をしています。
 総理は、所信表明の中で、後期高齢者医療制度はなくさないと言っています。見解が全く変わっています。高齢者の心をもてあそぶなと言いたい。やらないことをなぜ言ったんですか。総理並びに厚生労働大臣の答弁を求めます。
 また、障害者自立支援法の見直し期限が来年に迫っています。どのような改正をして障害者の皆さんの不安にこたえようとするつもりか、お聞かせください。
 命が大切ということであれば、まず何よりも平和でなければなりません。戦争に加担する政治についてお聞きをします。
 なぜ、テロ特措法の延長をしようとするんですか。
 また、総理は、国連総会演説の後の記者会見で、憲法解釈を変えて、集団的自衛権と憲法解釈を変えるべきだと明言をしました。しかし、日本国憲法の下では、戦争に加担することは一切できないことは明らかです。発言を撤回すべきだと考えますが、いかがですか。社民党は、憲法審査会の作動を許しません。
 自衛隊海外派兵恒久法案を作る考えがあるかについてもお聞きをします。
 原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀港を原子力空母の母港とするためにやってきました。日本政府は、ジョージ・ワシントンの火災事故の報告書すら米軍からいまだ入手していません。東京に原発をということが現実のものとなりました。アメリカ原子力潜水艦ヒューストンは、二年間、日本の港で放射能漏れを起こしていました。日本政府は国民の命をどう考えているのでしょうか。
 沖縄の辺野古の沖に海上基地を造ることはやめ、その費用は福祉など命を生かすことにこそ使うべきです。
 総理は、日本は単一民族だと考えますか。かつて、総理自身が単一民族である旨の発言をしています。中山前大臣と同じです。その発言を撤回をするのかしないのか、どちらですか。
 社民党は、農家に戸別補償をすべきだと考えています。瑞穂の国の農業再生プランを発表し、田んぼの底力法案を作っています。減反をやめ、農家が米粉用、飼料用米を作る際に主食用米に準じた所得を直接補償すべきだという中身です。田んぼの底力を活用し、農業を営む人を応援すべきだと考えますが、いかがですか。ミニマムアクセス米の購入はやめるべきです。汚染米、事故米が国内に流通しないよう食の安全を確保すべきです。
 社民党は、環境の政党、脱原子力の政党です。総理は、地球温暖化防止のための切り札として原子力発電所を考えていますか。将来の地球環境のためにもそれは間違いだと社民党は考えていますが、いかがですか。
 新たな活断層が発見されています。六ケ所村の本格稼働は許すべきではありませんが、いかがですか。
 今の政治は、命を粗末に扱っています。雇用の問題も、地方の問題も、食の安全も、平和の問題も命の問題です。
 社民党は、自民党政治に終止符を打ち、命を大切にする新しい政治を必ずつくっていくと国民の皆さんにお約束を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#39
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 福島議員の御質問にお答えをいたします。
 まず最初に、税制の在り方についてお尋ねがありました。
 近年の税制改正においては、経済のグローバル化に伴う世界的な法人税率の引下げなどの動向に対応し、持続的な経済社会の活性化を実現する観点から、法人課税や所得課税について改正を行ってきたところであります。家計に対する緊急支援策として、今年度内に定額減税を実施します。今後とも、日本の経済社会の構造変化に対応しつつ、多岐にわたる税制の課題に取り組んでまいります。
 消費税についてのお尋ねがありました。
 消費税の引上げは避けて通れないであろうと考えております。ただし、現在の経済状況においては困難であると考えており、経済動向などを注視して判断しなければならないと考えております。
 道路特定財源についてお尋ねがありました。
 道路特定財源につきましては、五月の閣議決定に沿って具体的内容を予算編成過程において検討いたしてまいります。道路整備につきましては、橋梁やトンネル区間の短縮、必要以上の規格を求めないローカルルールの普及などにより徹底したコストの削減を進めたいと存じます。道路支出につきましては、広報広聴経費の半減などいろいろな取組を緩めず進めてまいります。
 特別会計についてお尋ねがありました。
 現在、特別会計に関する法律に基づき、特別会計を平成二十三年度までに三十一から十七へ縮減することといたしております。今後とも、特別会計の事業につきましては、必要性を厳しく精査し、徹底して無駄を排除してまいります。
 ダム建設の見直しについてもお尋ねがありました。
 ダム事業は、水需要の減少などの社会変化に対応して、他の事業に先駆け見直しを行い、これまで平成八年以降百八の事業を中止しております。今後とも、地元の声に耳を傾け、見直すべきは見直し、真に必要なダムの整備を行います。
 次に、日本を暗くしたのは自民党ではないかとのお尋ねがありました。
 我が自由民主党は長年にわたり日本の政治に責任を持ってまいりました。よって、日本の政治や社会について、明るい面のみならず暗い面についてももちろん責任があろうと存じます。もっとも、現在の日本の暗い面には、景気やアメリカ発の金融危機など外的な要因によるものも極めて大きいと思います。もちろん、それらについても政府・与党は全力を挙げて解決に取り組んでまいります。
 労働者派遣法についてのお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、企業と労働者双方のニーズを踏まえ、労働者保護に留意しつつ行われてきたものであります。今回の労働者派遣法の見直しは、日雇派遣を原則禁止するなど、労働者の保護を強化する観点から行うものであります。登録型派遣を専門職に限定することは、現在働いている労働者の不利益になるため適切ではないと考えております。
 社会保障費削減についてお尋ねがありました。
 平成二十一年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討することとしております。
 地域医療の確保についてお尋ねがありました。
 地域における医療の確保は、国民が安心して暮らしていく上で欠かすことのできないものであろうと存じます。このため、地域の実情に応じて公立病院を含め医療機関への支援を行うとともに、医療機関相互の役割分担や連携を含め、地域全体で必要な医療が確保できるよう努めてまいります。
 出産時の費用についてもお尋ねがありました。
 安心して出産できるよう、出産費用の不安を解消することは重要な課題と思っております。妊婦健診や出産育児一時金など妊産婦支援の充実について、財源の問題なども踏まえつつ検討してまいります。
 長寿医療制度の見直しについてお尋ねがありました。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるよう改めることが必要と考えております。そのため、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。
 障害者自立支援法の見直しについてもお尋ねがありました。
 障害者自立支援法については、現在、緊急措置として低所得者の利用者負担が大幅に軽減されております。今後、障害児に対する福祉サービスの在り方など制度全般にわたる見直しや、二十一年四月の報酬改定について検討を進めてまいります。
 補給支援特別措置法の延長の必要性についてお尋ねがありました。
 補給支援活動は継続が是非とも必要であると考えております。我が国の国益を懸け、日本自身のためにしてきた活動でもあります。テロとの闘いは依然継続をしており、多くの国が尊い犠牲を出しながらもアフガニスタンでのテロ対策への取組を強化をしております。こうした中で、国際社会の一員たる日本が、その活動から手を引く選択肢はないと思います。
 集団自衛権についてお尋ねがありました。
 従来から政府は、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの解釈を取ってきたところであり、現在でもこの立場は変わっておりません。本件は重要な課題でありまして、これまで様々な議論があったことを踏まえ、その解釈については今後十分な議論が行われるべきものだと考えております。
 憲法審査会についてお尋ねがありました。
 昨年の通常国会で、国会に憲法審査会を設置することを定めた法律が成立したところであります。憲法に関する議論について、もとより国会が決めることでありますが、すべての政党の参加の下で幅広い合意を求めて真摯な議論が行われることを強く期待をいたしております。
 国際平和協力活動に関する一般法についてのお尋ねがありました。
 いわゆる一般法の整備は、日本が迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましいものと思っております。また、国際平和協力に関する日本の基本的方針を内外に示す上でも有意義と考えます。一般法につきましては、与党における議論を含めた国民的な議論の深まりを十分踏まえて検討を進めてまいります。
 日本への米海軍の原子力空母及び原子力潜水艦の入港についてお尋ねがありました。
 米海軍の原子力艦は、一九六四年以来、約千三百回以上、日本に寄港をしております。しかし、人体及び環境に影響を及ぼすような放射能の放出は一件も発生しておりません。政府としては、我が国周辺への米海軍のプレゼンスの維持は、日本及び地域における平和と安全の確保に寄与するものと考えております。
 普天間飛行場の代替施設建設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設・返還を含む今般の米軍再編は、抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元の負担を軽減させるものでもあり、是非とも実現する必要があると考えております。
 次に、私の過去の発言についてのお尋ねがありました。
 御指摘の発言は、平成十七年、九州国立博物館開館式典においてのものであろうと存じます。日本の民族、言語、文化がアジアの中では比較的にまとまった形で継続してきたという特徴を述べたもので、日本が一民族であるということを主張したものではありません。その趣旨を説明するとともに、誤解を生じることならばおわびする旨もそのとき関係者に申し上げたと記憶します。
 農業支援策についてお尋ねがありました。
 全水田面積のうち約六割で主食用米の需要が賄えます。そのため、水田をフル活用して大豆や麦のほか、米粉用や飼料用の米生産に取り組むことが重要ではないかと思っております。このため、飼料用米などの低コスト生産を進めつつ、その利用促進を進めてまいります。
 ミニマムアクセス米についてもお尋ねがありました。
 ミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、すべての加盟国の合意の下にWTOの協定によって設定されたものでありまして、その撤廃や削減は困難と考えております。私は、行政の長として今般の事故米問題を深く反省をし、国民の食の安全を確保するため再発防止に万全を期してまいりたいと存じます。
 地球温暖化防止のための原子力発電所の活用についてお尋ねがありました。
 原子力発電は、供給安定性に優れ、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源でもあります。経済成長を可能としつつ、地球温暖化対策として有効な重要なエネルギー源として世界的にも関心を持つ国が増大をしております。今後とも、安全の確保を大前提に、原子力発電の推進に着実に取り組んでまいりたいと存じます。
 六ケ所再処理工場の稼働についてのお尋ねもあったと記憶します。
 エネルギーの安定供給確保の観点から、ウラン資源を有効利用する核燃料サイクルの実現が不可欠であります。六ケ所再処理工場は、その中核的な役割を果たすことになる施設であります。耐震安全性につきましては、これまでの安全審査の過程で確認しており、その安全性は確保されております。政府としては、安全確保を大前提に稼働に向けた取組を進めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(舛添要一君) 福島議員にお答えいたします。
 長寿医療制度につきましては、多くの良い面がありますが、制度についての様々な御意見が寄せられていることから、高齢者の方々の心情に配慮し、より良い制度に改革することとしており、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。(拍手)
#41
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#42
○議長(江田五月君) この際、お諮りいたします。
 谷川秀善君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、加納時男君から裁判官訴追委員を、加藤敏幸君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#44
○議長(江田五月君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員各一名、またあわせて
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に木村仁君を、
 裁判官訴追委員に吉田博美君を、
 同予備員に松あきら君を、
 国土審議会委員に加藤敏幸君を、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員に泉信也君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、木村仁君を第三順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、第二順位の島田智哉子君を第一順位に、第三順位の尾立源幸君を第二順位に、第四順位の牧山ひろえ君を第三順位にし、松あきら君を第四順位といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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