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1947/09/22 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第8号
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1947/09/22 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第8号

#1
第001回国会 文教委員会 第8号
昭和二十二年九月二十二日(月曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 松本 淳造君
   理事 高津 正道君
      原 彪之助君    松澤 兼人君
      松本 七郎君    押川 定秋君
      久保 猛夫君    中山 マサ君
      花月 純誠君    水谷  昇君
      豊澤 豊雄君    松原 一彦君
      織田 正信君    黒岩 重治君
 委員外の出席者
        文部事務官   剣木 享弘君
    ―――――――――――――
八月二十九日
 善通寺町に四國総合大學設立の請願(福田繁芳
 君紹介)(第二七二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 早川崇君紹介)(第二七五號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 一件(小野瀬忠兵衞君紹介)(第二七六號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 井谷正吉君外四名紹介)(第二七七號)
 同(廣川弘禪君紹介)(第二七八號)
 同(山下春江君紹介)(第二七九號)
 同(吉川久衛君紹介)(第二八三號)
 同(野本品吉君紹介)(第二八四號)
 同(内藤友明君紹介)(第二八五號)
 同(受田新吉君紹介)(第二八六號)
 同(荻原壽雄君紹介)(第二八七號)
 同(片島港君紹介)(第二八八號)
 同(中村元治郎君紹介)(第二八九號)
 同(相馬助治君紹介)(第二九〇號)
 同(山口武秀君紹介)(第二九一號)
 同(水谷昇君紹介)(第二九二號)
 同(黒岩重治君紹介)(第二九三號)
 同(野老誠君紹介)(第二九四號)
 同(伊藤恭一君紹介)(第二九五號)
 同(田淵實夫君紹介)(第二九六號)
 同(安東義良君紹介)(第三〇一號)
 同(佐々木秀世君紹介)(第三〇二號)
 教員の恩給増額に關する請願(樋貝詮三君紹
 介)(第三一一號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(圖司安正
 君紹介)(第三一二號)
 熊本市に総合大學設立の誓願(吉田安吉君外九
 名紹介)(第三一九號)
八月三十日
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 二件(片山港君紹介)(第三五〇號)
 同(黒岩重治君紹介)(第三五一號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 近藤鶴代君紹介)(第三五二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 一件(吉川久衛君紹介)(第三五三號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 八件(相馬助治君紹介)(第三五四號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 二件(田淵實夫君紹介)(第三五五號)
 同(水谷昇君紹介)(第三五六號)
 同(野本吉君紹介)(第三五七號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(小野孝君
 紹介)(第三六二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 佐々木更三君紹介)(第三八二號)
 同(庄司一郎君紹介)(第三八三號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 四十件(坂東幸夫郎君紹介)(第三九八號)
 香川師範學校男子部附属中・小學校復興促進の
 請願(福田繁芳君外二名紹介)(第四〇一號)
 私立中學校に國庫補助の請願(栗田英男君紹
 介)(第四一六號)
九月十三日
 水野村における東京帝國大學演習林の一部払下
 の請願(早稻田柳右エ門君紹介)(第四六三
 號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 菊池重作君紹介)(第四七七號)
 新潟第二師範學校昇格の請願(猪俣浩三君外三
 名紹介)(第四九〇號)
 盲教育義務制實施に關する請願(山口好一君紹
 介)(第五〇九號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願外二十二件
 (野老誠君紹介)(第五二八號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 只野直三郎君紹介)(第五四二號)
 熊本薬學専門學校復興促進の請願(打出信行君
 外二名紹介)(第五四三號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(受田新吉
 君紹介)(第五六七號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 明禮輝三郎君紹介)(第五六八號)
 定時制高等學校設置の請願(奥村竹三君紹介)
 (第五六九號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(井出一太
 郎君外一名紹介)(第六〇〇號)
 同(井出一太郎君外二名紹介)(第六〇一號)
九月二十日
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 圓谷光衞君紹介)(第六三八號)
 同(受田新吉君紹介)(第六三九號)
 同(久保猛夫君紹介)(第六四〇號)
 同(相馬助治君紹介)(第六四一號)
 同(片島港君紹介)(第六四二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 一件(野老誠君紹介)(第六四三號)
 同(榊原千代君紹介)(第六四四號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(小坂善太
 郎君紹介)(第六五〇號)
 六・三制度完全實施のため全額國庫負擔の請願
 (受田新吉君紹介)(第六五四號)
 同(片島港君紹介)(第六五五號)
 同(武藤運十郎君紹介)(第六五六號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 一件(關内正一君紹介)(第六五七號)
 同(相馬助治君紹介)(第六五八號)
 同(吉川久衛君紹介)(第六五九號)
 同(榊原千代君紹介)(第六六〇號)
 同(伊藤恭一君紹介)(第六六一號)
 同(久保猛夫君紹介)(第六六二號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 二件(松原一彦君紹介)(第六六三號)
の審査を本委員會に付託された。
八月三十日
 六・三制完全實施に關する陳情書外九件(岩手
 縣膽澤郡水澤町小野幸四郎外四百三十五名)(
 第一四〇號)
 六・三制完全實施に伴う教育施設費に對し財政
 援助の陳情書(東海北陸縣會議長會)(第一六
 五號)
 學芸大學設置に關する陳情書(佐賀縣會議長田
 中虎登)(第一七六號)
 山陰大學設置に關する陳情書(島根縣會議議長
 恒松安夫)(第一七九號)
 新制中學校校用資材の特配及び経費調達方に關
 する陳情書(千葉縣新學制實施準備協議會議長
 小高熹郎)(第一八四號)
 六・三制完全實施に關する陳情書外二件(廣島
 縣安佐郡古市町佐々木正人外六十八名)(第一
 九一號)
 青年學校昇格に關する陳情書(京都府船井郡端
 穂青年學校細見智)(第二〇一號)
九月十三日
 京都工業専門學校を工芸大學に改制の陳情書(
 京都府知事木村惇外二名)(第二三九號)
 六・三制の完全實施の追加豫算に關する陳情書
 (盛岡市會議長北太郎)(第二四〇號)
 教員恩給増額に關する陳情書外六件(兵庫縣退
 職教員組合長横尾繁六外
 五十九名)(第二五四號)
 六・三制實施費全額國庫負擔に關する陳情書(
 六・三制完全實施促進宮城縣黒川郡民大會)(
 第二六〇號)
 定時制高等學校設置に關する陳情書外二件(長
 野縣上高井郡川田村穂谷貞男外二百六名)(第
 二六九號)
 小學校教員恩給増額に關する陳情書外一件(鳥
 取縣西伯郡元小學校教員受給者代表國頭邦三外
 十三名)(第二九〇號)を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 宗教と教育の現況につき当局より説明聴取。
    ―――――――――――――
#2
○松本委員長 それでは會議を開きます。
 本日は、戰後の教育と宗教問題につきまして、当局の説明を聴取いたします。引續いてこれに關連して自由に質疑を試みたいと思います。まず当局の説明を願います。學校教育局次長剣木説明員。
#3
○剣木説明員 宗教と教育の問題につきましては、戰前におきましては、學校教育學科課程の定めのあります學校におきましては、宗教教育は行うことができないという規定になつておりましたが、それに對しましてなお非常に疑義がありましたので、一面學校教育におきましては、宗教的情操教育の大事なことは申すまでもないのでありまして、それに關しまする通牒が出ておつたのであります。しかるに終戰とともに宗教教育に關しましていろいろ考察されまして、二十年の十月十五日に學校教育における宗教教育における宗教教育取扱方改正に關する件という通牒によりまして、今まで學科課程に對しまして定めのある學校は、官公私立を問わず全部宗教教育は禁止されておつたのでございますが、私立學校につきましては、宗教教育に關します禁止を解きまして、爾後學校の校則等にある特定の宗教に關しまする教育を行うことを明示いたしました場合におきましては、その學校において、所定の宗教教育を行つてもいいということにしたのでございます。
 その後教育基本法並びに學校教育法の制定されるにあたりまして、御承知のように教育基本法におきましては、宗教教育に關する原則を明示いたしまして、社會的宗教に對しまする寛容の態度及び宗教の社會的地位等につき、學校教育において尊重さるべきことを明らかにしますと同時に、特定の宗教的活動は、官立及び公立の學校におきましては、これをしてはならないということを明示したのでございます。
 その態度といたしましては、政教分離の原則という憲法の趣旨に則りまして明らかにしたのでございますが、なお實際の取扱いといたしましては、宗教上の情操教育は、これは相当教育的に重要視する必要がございますので、その情操教育をどういうふうにしてやつていくかということは學校教育におきまする重要な問題であると思うのでございます。文部省で試案として發表いたしました學習指導要領におきましては、その中で小學校の課程におきまして、宗教的な感情の芽生えを伸ばしていくということを書いておるのでございます。ある特定の宗派教育は、これをやつてはならないのでございますけれども、宗教的な感情の芽生えというものは、學校教育においてつまむことはよくないと考えられるのでありまして、その宗教的芽生えは伸ばしていきたいと心がけていくようにするということになつておるのであります。しかし實際上の取扱い内容につきましては、宗教的情操の涵養ということが、その教えます内容におきまして、あるいはまた手段によりまして、特定の宗派教育になるおそれのありますような場合にあたりましては、その取扱上につきまして非常に注意を要することだと考えるのであります。かような次第で、實際には宗教上の關係をいかに公立學校においてとり入れていくかということは非常に重要な問題として十分研究をいたしていきたいと考えておるのであります。
 なお公立の學校におきまして學校の授業として宗教的の教育はできないのでございますが、その公立の學校において、生徒なり児童の自發的の活動として宗教的の集會をいたすとか、そういう活動をいたすことは、差支えないと考えるのでございますが、その活動を學校内においていたす場合におきましては、憲法に書いてありますように、公的の支配に属せざる宗教的活動に對しまして、公の財産を利用することができないというふうになつておるのでございまして、その解釈といたしましては、ある特定の宗教とか、あるいは特定の団體、特定のもののみに差別的の條件をもつて公のものを貸すということは、憲法に反すると考えられるのでありますが、同一の方法をもつて、たとえば同じように利用いたし賃料をとるとかいうような條件で一般的にやることは差支えないのではないかと考えるのでありまして、なおこれにつきましては、その正しい解釈を今研究いたしておるような次第であります。
 ただいままで宗教と教育に關しまして戰後とつております方針は大體以上述べました通りでございます。なおこれにつきまして御意見なり御質疑等があればお答えすることにいたしたいと思います。
#4
○久保委員 よく聴取れない点もあつたのでありますが、特定の宗教によつて、宗教的情操を陶冶するということはできない。教育基本法に定めてありますので、お話しの通り非常にこれはむずかしい問題だと思うのであります。昨年の本會議におきまして、一つは宗教的情操陶冶を大いにやらなければならぬという決議案を出しますし、一方では科學技術の振興についての決議案を本會に出したのであります。ともにこれは衆議院において可決されたのであります。その宗教的陶冶の決議案のときに、細迫さんがこれに反對意見を述べた。それは一方では科學技術を大いにやらねばならぬといつておきながら、一方ではこれとまつたく相反するような宗教的情操教育をやらねばならぬということは、矛盾するのではないかという意味の反對意見であつたのであります。これは一応非常にもつとものように聴き得るのでありますが、私は實はそうは思つておらないのであります。特定の宗教宗派によらないで、宗教的な芽を少年の心にどうして伸ばしていくかということは、これはきわめて困難なことであるけれども、私はそれは科學教育をやることによつてできると考えておるのであります。すなわち科學的な教育をやつて、科學的な思惟思索というものを漸次深めていきますと、その到達點というものがある所でぶつかつてしまつて、人間の力というものの限界に到達すると思うのであります。たとえば、卑近なことで例を申し上げて見ますと、算数教育において数學的な學習をやると、數の無限性というものにぶつかる。無限性というものにぶつかつたときに、そこに非常に神秘的な、厳粛な感じに打たれるのであります。そういうことが一つの宗教的な芽生えの契機をなすものだと私は思うのです。たとえば科學というものが、實験實測等をやつてみました場合に、いかにそれが精密になされて、そういうものが發達していつても、生物の生命というものをそこに与えることができないというようなところに自然に思い至つたときに、そこに非常に神秘的なものを人に感ずるものである。そのときに敬虔な心がそこにわいてくる。そこに宗教的な入門としての一つの機會があるのではないか、芽生えがそこに生ずるのではないか、こういうふに思う。そういう意味の宗教的な芽生え、それを伸ばしていくというふうなことが、一番いいのではないか、こういうふうに思うのです。それから先、さらにだんだん具體的になりますと、自然具體的な一つの宗教によらねばならないようになりますので、これは法にも触れることであり、その点むずかしいことだと思う。從来とも私はそういうことを考えてまいつたのですが、そういう宗教的な芽生えをここに發見し、そこに突き当てらせて、そうしてそれを伸ばす機會というのは、科學教育の機會において最もあり得る。こういうふうに私は思うのですが、そういうことについての御見解はいかがでございますか。
#5
○剣木説明員 科學教育と宗教教育との限界につきまして、學問的ないろいろな點につきましては、まつたく素人でございまして、今のお問いに對しまして、明確なる御答弁ができないのを残念に思いますが、しかし、やはり御説のように、科學教育と宗教教育というものは、本質的に決して矛盾するものではない、場合によりましては、御説のようにやはり科學の真髄に触れてまいりますと、そこにどうしても宗教的な芽生えが起つてくるということは、是認さるべきことであると考えるのでございます。宗教教育を公立なり官立の公の學校でやつてはならないということは、決して宗教教育を敵視するという意味ではなくして、特定の宗教にわたる教育はできないのでございますが、あくまで社會生活におきまして、宗教が重要なる役割をもつ限りにおきまして、學校教育におきましては、これを敵視するのではなくして、むしろその芽生えを育てていくという気持が、非常に必要であると考えるのでございます。ただその手段につきましては、非常にむずかしい問題でありますので、十分研究していく必要があると考えるのでございます。
#6
○水谷(昇)委員 二十年の十月十五日から私立學校に宗教教育の禁止を解除した、そうして特定の宗教教育をしてよろしいということになつたという御説明でありましたが、これは特定の教育というのは、どういうのでありますか。宗派教に關係した特別な教育ができるのですか。たとえば真宗なら真宗の教育。もちろんそういう場合には宗教と余乗というようにわけて教育することと思いますが、私立學校ならそういうことが差支えないのか。
 それからもう一つは、小學校において宗教的な芽生えを伸ばしていくというのでありますが、子供にそういうような芽生えがありましても、先生そのものに宗教的な信念とか信仰がなければ、そういうことは伸ばしにくいと思いますが、師範教育等においてどはういうような取扱いをいたしまするか、それをお尋ねいたしたい。
#7
○剣木説明員 私立學校におきましては、いかなる宗教でございましても、ある特定の宗教を普通の學科課程のほかにおきまして、教育しても差支えないことにいたしたのでございます。これは前に申しましたように、その學校である特定の宗派の教育を行うということを學則に明らかにいたしまして、それを十分承知の上で入學をいたしてまいりますので、その點につきましては、私立學校においてそういう教育をしても差支えないということにいたしたのでございます。
 なお宗教的芽生えを養うために、師範學校の教育において、いかなる宗教上の教育をいたしておるか、こういう點でございますが、現在のところ特定の宗教に關しまする教育は、一般的な問題以外には、いたしていないのでございます。
#8
○水谷(昇)委員 そうすると、せつかく宗教的な情操を養成するとか、あるいは子供の宗教的な芽生えを伸ばしていくという教育が、先生そのものにそういうことがないのでありますから、これはできぬ仕事だと思います。この點から特に師範教育については、何とかひとつ御考慮願わなければならぬと思います。
#9
○剣木説明員 新しい學科課程におきましては、たとえば社會科等におきまして、宗教に關する部面をやはり社會科の中におきまして相当習得する部面はあるわけでございますけれども、現在のところでは、宗教というものについて特別の學科をもつていないのでございます。將来におきまして宗教的な教育の面をどのように取入れていくのかということは、將来師範教育の學科課程、教師となりますのにはどういつたような課程を必要とするかということにつきまして、ただいま研究を続けておるのでございまして、その際に將来の問題といたしましては十分考慮いたしていきたいと考えておるのでございます。とにかく現在までの師範學校の教育といたしましては、そう重要なる宗教に關します地位はもつていないのでございます。
#10
○黒岩委員 公立學校において宗教教育を禁止するという趣旨が、あまりに宗教というものを、特定の宗派の布教をするものであるというふうに、強く考え過ぎているのではなかろうかと私は解釈します。大體教育と布教ということは、その根本態度を異にするものであると思いますゆえに、私見をもつて申しますならば、官公立學校においては布教をしてはならない宗教教育は行うべきものであるというはつきりした態度をもつて臨むことが、適当ではないかと思います。この點についての御見解をお伺いしたいと思います。なお敷衍をして申し上げますと、幼少年の時代に宗教の門をたたくということは、常人には不可能な心理状態ではなかろうかと私は思うのであります。キリスト教的に申しますれば、大きな苦難に打当つた場合に、自分の力の及ばざることを自覚する、そこに神に依存しようとするところの気持が起つてくる。これが宗教に入門をするところの心理状態であるというふうに私は理解しております。なお佛教においては、生老病死という人世の悲哀をつぶさになめるところに、宗教への道が開ける、かように説かれておると考えますが、こういうような見解をもつてしますならば、親の庇護のもとに育ち、比較的何らの苦悩というものにさいなまれることなく、人生の悲哀をもたないところの幼年時代、少年時代に、宗教というものをみずから求めようとする者はまれであろうと思います。從つて小學校なり、新制中學なりの宗教教育というものは、ただいま久保さんが申されました通り、自然というものの不可思議さというものをつぶさに了解し、人間の現在もつておるところの知識なり、感覚なりでは、とうてい自然のなぞは解き得ないというところまでの自覚を與えなければ、それがすなわち宗教教育の前期的なものであると私は思います。ところが、それ以上になりますと、宗教というものが人性に必要であるということを理解させることが大事である。そういたしました場合には、文化史としての宗教、つまりキリスト教なり佛教なりというような宗教の歴史なり、教議なりというものに對して、一応の理解を與えるだけの知識的な教育は、これは不可欠の問題じやないかと思います。そういうふうな観點からいたしますと、宗教教育と布教というものは、おのずから判断と區別ができておると思います。それを何ゆえに遅疑逡巡して、未だ研究中といつておるような文部省の態度であるか、これが私には理解が困難な點であります。私の今申し上げましたところの見解に對して、文部当局の御見解を承り、さらに積極的に宗教教育において、いかなる具體的なものをもつかということについては、早急の文部省の態度を決定していただきたいということを要望いたします。
#11
○剣木説明員 私が先ほどから御説明申しましたのは、あくまで特定の宗教を對象といたしまする宗教教育の禁止の問題でございまして、宗教教育そのものは、決して公の學校でありましても禁止されるべきものでなく、また積極的にやらなければならぬ部面であると考えるのでございます。今、御指摘になりましたように、宗教の歴史でございますとか、あるいは宗教哲學であるとかとか、宗教學、もしくは宗教の必要性でありますとか、そういうものを一般的ないわゆる宗教、特異の宗派にわたらざる宗教教育そのものにつきましては、十分學校教育におきましても尊重しなければならぬのでございます。この點につきましては、その程度の差はございますが、現在におきましても、相当學校教育の中にも取入れておるのでございます。なお後段のいわゆる早く家庭におきましても宗教心を起すという以外に、學校におきまして宗教的な情操を養うきつかけをつくつて與えてやるということにつきましては、科學的な面における自然の現象といつた面ばかりでなく、あらゆる人間生活におきまする、たとえば博愛でありますとか、正義だとか、正直だとか、いろいろの徳目というようなものは、すべて大體この宗教にその根源をもつものであります。少くとも關係の深いものであると考えるのでございまして、そういつたような徳目を教育するということは、間接には一種の宗教的なる芽生えを教育するということになるだろうと考えるのでございまして、學校教育におきまして、直接にある特定の宗教にはいらなくても、宗教的な情操の教育には、相当教育上取上ぐべき分野がたくさんあると考えるのでございます。その面におきまして、どのようにしてこれを取入れていくかということを、今後研究してみたいと考えるのでございます。
#12
○黒岩委員 御意圖の點は理解できますが、特定の宗派の宗教教育をしてはならぬという表現の仕方になつて、布教もしくは布教に類するような扱いをしてはならぬという表現の仕方をしましたならば、教職員がどの點まで宗教教育をすることが可能であるかという理解がはつきりして、よいではないかと思うのでありますが、この表現の仕方についても、なお御研究を希望いたします。
#13
○久保委員 重ねてお伺いいたしますが、私は公立學校における宗教的情操教育については、素直に申しますと、ほとんど期待がもてないのであります。こうして法的な規定ができ、それに基く文部省の態度等がはつきりしてきますときに、實際を申しますとこれについての期待をほとんど私はもてない。なぜもてないかと申しますと、この問題はわれわれが今後どう取扱つていくかという根本的なものでありますから、自分の気持を率直に申し上げてみますと、一つは、われわれ日本国民というのは、信仰をもたない国民だというふうな見解を、私はもつておるのであります。日本には宗教はたくさんもつておりますけれども、ほんとうの信仰をもつていない国民だ。これは今度の戦争のときによく現われたようであります。一応信仰にはいつていつたような人たちも、人たびあの激しい生活の中に投ぜられると、まつたく日頃の宗教的な信仰、そこからくるところの寛容だとか博愛だとかいうものは、影をなくしてしまつておる、真の信仰というものは日本ではもつてないこいうことが一つなんであります。もし、信仰をもたない国民であつて、はたして宗教的な情操教育ができるかという問題ですが、私はそれはもう一つわれわれが頼るべきところのものがあると思う。信仰をもたなくても、高い教養をもつた国民であるならば、私は宗教的な理解というものが十分あると思う。その宗教的な高い理解のもとに、宗教的な情操教育はある程度できる。こう私は考えるのであります。ところが先ほどの黒岩君のお話において、教育者の養成期間のうちにどうしても宗教的なものを取上げておるかという質問があつた。これは今後小學校から中學校、高等學校、それ以上の學校に至るまでの教育者というものを、どの程度に高く教養を与えるかということに問題があると私は思うのであります。そこで従来の師範教育だとか、高等師範教育だとか、ああいう一つのとらわれた教育の體系によつては、とうていそういう広い深い一般的人間の教養というものは、不可能だと私は思つておるのであります、こういつてまいりますと、いきおい将来の教育者をどう養成するか、教育者養成機關の問題になつてくるのでありますが、それにとにかく相当高い教養を与えられた者が教育に携わるというのでない限り、この宗教教育というものの効果はとうていこれをあげ得られない。一方から言いますと信仰をもたないし、一方から言いますと教養が低いしということだつたら、いかにここに文部省が態度をはつきりし、いろいろな方針なり、細目というようなものをあげたからといつて、意味はないことだ。それほどこれは困難な問題であり、しかもまた一面から言うと重要な問題であるのですが、私はそういう見透しをもち、そういう見解をもつておるのですが、いかがでありましようか。
#14
○剣木説明員 今お述べになりました點は、まつたく私の方としてもその通りに考えておるのでございまして、今さきに申し上げましたように、研究いたしております。教員養成の機關のあり方につきましては、一面教職的な教養と申しますか、教員として必要なる教化を十分考えていくと同時に、その一般的な教養を高めるための教育は、非常に必要であると考えておるのでございまして、その意味において、まつたく御同様な趣旨におきまして、今、教員養成機關の内容を考究いたしておるのでございます。
#15
○高津委員 今、説明員のお話を聴いておると、宗教學とか、宗教の必要性あるいは宗教の歴史などは尊重して、公立の學校で教えてよいという御意見でありましたが、その場合、生徒が、しからばどの宗教がよいかという質問をした場合、それからあなた自身はどの宗教がよいと思つておられますかというような質問をした場合、先生はこれに對してどういうような答弁をすればよいのでしようか。それらについて文部省では意見がきまつておるのでしようか、そのことを一點お伺いします。
#16
○剣木説明員 質問がありました場合、その個人がある特定の宗教の信奉者でありまして、自分としてその宗教が一番いいと考えるということを率直に答えることは、差支えないと思うのでございます。ただそれはあくまで自分がそう思うということでございまして、教室におきましてそれを強制するとかあるいは勧めるとかいう態度であつてはならないと考えております。
#17
○高津委員 資本主義と社會主義と共産主義という三つの主義があるということを説明して、それに對して、あなたはどれがよいのであるかといえば、私は共産主義と言う、そういうことを言うことは自由である。宗教の場合にも、どの宗派をあなたはお好みになるか。私はこの宗派である、こういう答弁をすることができるという建前になつておれば、問われれば、そう答弁するのが、もちろん当然だと私は思いますが、どうしてもその説明は、一番その問題について詳しいであらうし、その部分を一番情熱をもつて説明するであろうから、教師がどの宗派を自分が信じておるかということが、實際の教育に非常に影響があると思うのですが、それらの點は十分考慮されておるでしようか。
#18
○剣木説明員 その問題につきましては、結局教師が、教師としてそういう問題につきまして常に中立的な態度をもつて臨まなければならないという自覚に基いて教育は行わるべきことを、前提といたすべきでありまして、具體的な事例といたしまして、そういう自分がある特定の主義なり、特定の宗教をもつているがゆえに、そのために教室におきまして、そういう態度をもつて生徒に接触するという面は、これは教師としてあるまじき問題でございまして、具體的には、實際人間としてそういうこともあり得るかと思いますけれども、教育者としてそういうことのないように、国民全般といたしましても、また教育者の教養を高める上からいきましても、そういう目的のもとに今後教員養成につきまして考えていかなければならぬと考えるのでございます。
#19
○水谷(昇)委員 ただいま新制中學校の先生が非常に不足しているように思いますが、この先生の措置は文部省においてはどういうふうにしていますか。
#20
○剣木説明員 新制中學校の教員の不足數は、この四月末日において調査いたしましたところでは、總員約十三蔓名の中で、約二蔓六千名が不足數として統計上現われたのでございます。しかしこの二蔓七千名は、その後においてある程度は充足されていると考えますし、なほ一割程度の欠員というものは、いかなるときでも、動きがある場合にはありますので、この二蔓六千名そのものから申しますと、數的には、私どもそう非常に心配な數字ではないと考えているのであります。しかし、新制中學校の教師の来年度のことを考えてみますと、これは相当數不足することは考えられますし、なお新制中學校がそれだけ充足されたのは、一面小學校から相当數の先生が新制中學校にまいりましたので、小學校の教師の不足數と併せて考えますと、相当の不足が現在においてはあるのでございます。これにつきましては、現在あります教員養成機關だけでは、とうてい充足ができませんので、終戰後、中等学校なり小学校の教員免許状をもちませんでも、大学高専を出ました者は、全部小学校、中学校の教員になれるというふうに、今まで教員に對しての一定の資格要件がございましたのを、一応全部はずしたのでございます。しかし全部はずしてみましても、なおかつ今日のような不足の状況でございますので、これについてどうしても考えなければなりません問題は、教員に對します待遇という問題と併せて考えなければならぬ問題であると考えるのでございます。そこで將来の問題といたしましては、今の養成機關に相当數の定員を増加していきたいと考えておりますが、さしあたりの問題といたしましては、今、専門学校なり高等学校を出ました者が教員になります場合には、師範学校を出た者よりも、初任給におきまして一号俸だけ低いのでございます。そこでそういつたような人を對象といたしまして、六箇月ぐらいの臨時養成をいたしまして、その六箇月を教職的な教養を教えた者に對しては、初任給を師範学校並にするなり、待遇を師範学校を出た者と同じように取扱うなりいたしまして養成したらいかがかと存じまして、ただいまの措置につきまして、本年度及び来年度におきまする予算的その他の措置を準備いたしておるのでございます。
#21
○水谷(昇)委員 新制中学が発足したのでありますから、この際が一番大事なので、校舎も完全でなく、設備もできていない、その上教員が足らないということは、新発足の新制中学の將来に對して、非常な影響を来すものと思いますから、ただいまのお考えを早く實現するように希望いたします。
 それから將来の教員の養成について、ただいまの師範教育をどういうふうにするのか、その御方針をひとつ伺いたいと思います。
#22
○剣木説明員 將来の師範教育につきましては、御存じのように、一応教員養成機關のあり方につきましては、教育刷新委員会におきまして、その一応の答申を得ておるのでございます。その答申によりますと、大学におきまする教育学科におきまして、または単科大学におきまする教育が、主として教員養成を目的といたしまする学藝大学というものを予想しまして、その学藝大学を出た者というような點につきまして答申を得ておるのであります。しかし一面先ほども御説がございましたが、教員になりますには、単に一般的教養が高くなればいいという面だけではなく、教員の特別なる、いわゆる教職的な教養というものが相当必要と考えられるのでございまして、この一般的教養と教職的教養と、両面を具えました教員養成の機關は、どうあるべきかということにつきまして、刷新委員会の決議を十分尊重しつつ、なおその點についてただいま再検討をいたしておるのでございます。一般的に申しますと、ただいまも御質疑がございましたように、小学校及び中学校の教員につきましては、相当確固たる養成計畫をもつて臨まなければ、この教員の不足に對しまして、手段を講ずることができないような現状でございますので、単に学藝大学というような名前をもちまして、先生になるか何になるかわからないといつたような状態において教員を養成いたしますことは、養成計畫から申しましても、非常に困るのではないか。やはり教員養成の機關にはいります場合には、何名ぐらい教育計畫上先生が必要だ、その必要數を確保するというような方法が講ぜられなければならないと考えますので、その點につきまして、今、考究を続けておるような次第でございます。
#23
○水谷(昇)委員 教員といたしましては、一般の知識技能その他人格を具えることはもちろんでありますが、それ以外に教員としてふさわしい教養をもたなければならぬ、このお説に私は賛成いたします。ところがだんだん日時が経つておつたのでは、おもしろくないのですから、ひとつ至急に成案を得て、そうしてそれを委員会にお示しを願いたいと思います。
 それから、ただいまの各府縣にある師範学校を大学に昇格しようという運動が、諸所に起つておるのでありますが、この點については、どういう御見解をもつておるのでありますか。またそれが大学に昇格ができるという場合には、他の単科大学と併せて總合大学の設立等の計畫があるのでありますか。その場合に師範学校を大学にした、それも加えて總合大学にするお考えでありますか、あるいは師範教育に關する大学だけは別扱いをするのか、その點ひとつお伺いしたい。
#24
○剣木説明員 新学制に對しまする大学の實施時期につきましては、ただいま重大なる支障がない限り、二十四年度から一斉にこれを實施したいと考えまして、その準備を進めておる次第でありますが、現在ございます専門学校なり、又私設の舊制度の大学なりを、全部一遍に四年生の新学制の大学に切りかえますためには、これは相当な経費を必要といたしますので、この切替えの方法につきましては、國家財政の見地からも、また國土計畫的な見地からも、いろいろな部面から考慮いたさなければなりません。その切替えの方法につきましては、現在決定的なる案と、まだ私どもの事務的な方面いおいても、決定いたしておらぬのでありまして、ただいませつかく研究中でございます。師範学校につきましては、この名稱はただいま申しましたように、学藝大学となるかどうかは別といたしまして、私どもといたしましては、各縣に一つの教員養成の機關はもちたいというので、その結果やはり教員養成の大学は、その設備が大體現在の師範学校をもつて充当されるということは予想できると考えるのでございます。ただその際におきまして、師範学校が獨自に獨立して大学になるべきか、もしくは他の施設と一緒になりまして、總合した意味の大学になつていく方がいいかという問題につきましては、これは地方的な實情もございましようが、なおいろいろ研究を要する點があるかと考えるのでございます。特に教員の身分と關連いたしまして、將来その縣の教員養成機關は、どこが所管するが一番いいかという問題も併せて考えなければならないのでございまして、他の学校と併せてこれを總合大学にもつていくか、あるいは教員養成を主としたものといたしまして、總合大学から切り離すべきかということは、十分今後研究を要する問題であると思うのでありまして、まだその結論には現在のところ達していないのでございます。
#25
○黒岩委員 短期間臨時採用いたしておりますところの教育でありますが、その教員に對する給與が、臨時措置によるものを與えておりませんので、大體現状は月三百六十圓内外程度のものであります。これがために、地方において産前産後の休養のために、臨時に採用をいたします教員に、非常に支障を来しているというのが事實であります。今日の物価の事情から考えまして、三百何十圓程度で、臨時教育として採用されることを希望する者はほとんどないということは、これはやむを得ない實情でございます。これはほかの官公吏におきましても、同様の扱いをしておるのではないかと思いますが、こういう點について、特別に御考慮を仰ぎたいと思います。この點に對する文部省の御意見を伺いたいと思います。
 次の問題は、農林省關係ででありますが、文部省に、教員のことに關し直接の關係がありますので、お伺いいたします。それは衣料の特別配給をするところの團體が相当數ありまして、それに對し農林省の繊維局の方では、それぞれ特配の點についての配慮をしておるようでありますが、教員に對しては、それが實際にないようであります。昨年は臨時措置として四十數蔓點を特配したという事實はございますけれども、もしこうしたような特別なわくを、他のいくつかの團體に與えることができるならば、教員という集團に對しても、そうした措置が何ゆえにできないのか。また文部省は今までそれについて御努力をなさつたのか、將来の見透しいかんということにつきまして、御答弁をお願いしたいと思います。
 その次にお尋ね申し上げたいことは、教科書印刷の問題であります。この前の委員會において、本年度は今まで印刷を契約しておりました五つの會社との契約期限が切れたので、新しい方法をもつて教科書印刷を行うと、こういうお答えを得ておりますが、その後新聞紙などで報道されておるところを見ますと、さらに具體的なものをお考えになつておるようであります。この點につきまして、文部省は教科書の編纂について將来どういう方針をもつてやるのか、またその印刷について、どういうような計画をもつておるか、これについてお答えを願いたいと思います。
 その次の問題は本日は文部大臣も政務次官も見えておられませんので、次の委員會で御答弁を願つてよいと思いますが、それは六・三制の豫算の問題であります。すでに内定をいたしました三重一億圓あまりの費用は、各府県に對して分配の額の内報まで、文部省はしておられるということを承知しておりますが、しかしながら、追加豫算として計上せられるまでには、いろいろの手数を要するということも存じております、巷間伝えられるところによりますと、非常な難関に逢著しているというふうに言われておりますが、この點につきまして、文部省はすでに各府県へ内報まで出しておる手前、責任者はその責任においてこの内報の實をあげるように努力をしてくださるとは信じておりますけれども、その辺の見透しを、お差支えない範圍内において承りたいと思います。また一部伝えられるところによりますと、今囘の豫期せざるところの水害のために、すでに内定せられているところの六・三制實施の追加豫算がこの方面に充当せられて、結局豫算は僅少なものに切り下げられるのではないかという懸念の声を聞きますが、この點につきまして私見を申し上げますれば、災害というものは豫測のできないものであつて、今から十日先に、また今囘の災害以上の災害が起ることもはかりしれぬのであります。かようなものに對して既定方針に基くところの豫算を一方の端から割愛するということになれば、政治は成り立たぬと思います。従つてその災害に對する豫算に對しては、政府としては特別な御考慮を払われて、既定の豫算をその方に振り向けるといつたことは、蔓あるまいとは存じますけれども、その辺につきまして、文部大臣の所見を伺つておきたいと思います。初めに申しました通り、最後の問題は文部大臣から承りたいと思いますので、次の委員會においてお答えを要求いたしておきます。
#26
○剣木説明員 一、二、三の問題について、一應私からお答え申し上げますけれども、なおお答えが間違つておりましたり、不十分の點がございましたら、この次の委員會においてさらにお答えすることをあらかじめ御了承願いたいと思います。
 まず臨時雇の點でございますが、正式に教員として雇つている者については、御承知の通り正当の俸給を支払つているのでありますが、講師であるとか、臨時の雇といつたようなものにつきましては、大蔵省の給與局で定めた額が、正式に雇つた者とは相当違うのは事實でございまして、この點については、御承知の通り、非常に不合理があると考えているのでございます。文部省の所管のこういつた給與の點については、ただいま大蔵省とその改訂方につき折衝をいたしているのであります。なお現在どの程度にこれを直してまいりますか、はつきりした数字的なものにつきましては、ただいま私、記憶しておりませんので、機會がございましたらまた調べましてお話申し上げたいと思つております。
 なお衣料の特配の問題でございますが、これは御存じのように、文部省に新たに教育施設局が設けられまして、その教育施設局において、衣料その他の學用品等につきまして配給を行うように、今、努力中だと考えております。具體的にどの程度にそれが可能であるか、これも十分取調べた上でお答え申し上げたいと思います。
 なお教科書の印刷の問題でございますが、教科書はただいま新制の小、中學校並びに高等學校の中は、國定教科書として計画され印刷されているのでございますが、この制度は漸次検定制度に移行いたすべきものでございまして、その線に沿いまして今後施策が行われていくものと考えられるのでございます。ただこれをただちに検定に移しましたところで、現在の紙の状況及び印刷といつたような問題におきまして、必ずしも非常によい教科書が安く児童の手に渡るということは確保できませんので、さしあたり、とりあえずの問題といたしましては、暫定的に検定制度と國定制度が二つ並べられていくものと考えるのでございます。おそらく来年度におきましてこの検定制度を採用するといたしましても、國定の教科書は、やはりその必要なものは國で國定教科書を出していくということには変りないと考えておるのでございます。なお具體的な現在の方針なり、来年から具體的にどういうふうにするかという問題につきましては、印刷等につきましては、なおはつきりした決定はいたしておらぬと考えるのでございますけれども、現在までの大體の方向等につきましては、これもまた教科書局において十分調査の上、機會がありましたらお答え申し上げたいと思うのであります。以上三點につきまして、はなはだ不十分でございますけれども、一應お答え申し上げておきます。
#27
○松原(一)委員 この次に文部大臣の御出席を黒岩君から要求せられましたから、そのときに私からもお尋ね申し上げることがありますので、それを御伝え願いたいと思います。
 今日は宗教と教育というのが主題でありますから、その點でございますが、に本の將来は憲法において一つの世界に類例のない誓約をいたしておるのであります。全國民の意思をもつてこれを誓約した、それは恒久の平和であります。今ユネスコの運動が世界的に起つて、あらゆる科學、宗教、道義、藝術を總合して、人類永久の平和を地上に出現しようとしておる。これは實に人類の永遠を貫く一つの理想的要求だと思います。それだけにまたその實現は至難の問題であります。その大至難の問題を、今後、日本が身をもつて實現しようとすることに對しては、日本國民の將来に、大きな信念をもつた教育が要る。昨年来、私はそのことを数次にわたつて提案をいたしておるのでありますけれども、これは単なる科學一本で、こういう大きな人類の理想の實現を、政治を通して行うことは不可能であろうと思う。それには、どうしてもここに敬虔なる人世観、大きな真理に對する國民の篤い信仰がなくては、とうてい遂げ得られないことを思うのであります。そういうふうな教育を日本に實施しなければならない。従来は、とにかくあの教育勅語が教育の真髄であつた、また國體に對するところの日本國民の祖孫一體の一貫した一つの信念というようなものが高調されておつたのでありますが、それが一朝にして砕けて、今や教壇の上には修身という教科目もなくなつたのであります。正面切つて宗教を説く自由も許されない。これではたして、史上かつて類のない徹底的平和主義の憲法を制定して、これを世界の人々の前に實現を誓つたということに對する裏づけの教育が、私は今のままで行われるものであるかどうかを、深く懸念するものであります。特に最近における教育の現状を見、社會の人心の動揺を見るにつけましても、非常な大きい不安をもちます。學校の教育の内容をこまかに視察する時間がありませんけれども、實に粗放な、眼前の生活にのみとらわれた意欲が、野獣のごとく動いておるのみであつて、少しも敬虔名信念の上に永遠なる生命を求めようというような希望、情念がわいておらぬと思うのです。私どもは、政治は教育なりと思つております。また同時に、政治こそ最高の道徳なりと信じておる。その政治がこの憲法の誓約の上に行わるものとするならば、行わるるだけの最も力強き信念が、その裏づけでなければならないと思う。ただいま片山内閣が非常な不評を受けております。けれども、非常な不評の中に、なおかつ強い信頼をもつ者の多數にあることは、マツカーサー元帥が言われたように、片山首相とフイリツピンのロハス氏と中國の蒋介石氏が、ともに敬虔なるキリスト教信者である、人格者である、精神主義者であるというところに、日本國民の信頼もまた私はかかつておると思う。社会党の首領であるがゆえに、決して信頼はしておらぬと思う。片山首相は、決して無理なことはしない、また篤信のキリスト教信者であり、高い人格をもつた人だというところに、私は全國民の大多數の信頼がつながれておると思うのであります。こういう意味におきましても、私は今後の教育のあり方に、やはりこの人格的な信頼、単なる理屈でないものがおかれなければ、日本を貫く眞の教育道は實現せぬと思うのであります。とにかく、アメリカが開國以来のあの人道主義を一貫しておる主張、また、歴代の大統領がことごとく清教徒の血を引いておるという事實、こういうことから考えてみましても、敬虔な信念をもつた人人が、教育の中心に立ち、政治の中心勢力とならねば、この日本の大理想は實現せぬと私は思うのであります。そのわれわれの考えと現實のあまりに開きの多いことに、私は非常な杞憂の念をもち、憂えを深うするものであります。師範教育のあり方といつたようなものにつきましても、単なる先生の養成所であつてはならないと思う。それは、日本がこの憲法に示した独特の主張を實現する深い信念と實力とをもつた者をここに養成しなければ、意味をなさないと思うのであります。ただいまの教育界は端的に申せばあまりにすさみ過ぎております。この現状をもつてこの新しい國是は、とても實現ができないと私は思う。そういう意味におきまして曖昧模糊たる態度ではなく、ほんとうに宗教的な情操を教育の上に盛り上げて、篤い敬虔な信念の上に將来の教育を打立てていく固い御決心が、片山首相におありになるかどうか。――片山首相には、あると私は信じますが、森戸文相におありになるかどうか。この點につきまして、今日の延長としてぜひここに御臨席の上に、日本の教育の現状に顧み、そうして將来の教員養成の方針に對する御所見を、森戸文相から伺いたいと思うものであります。このことは、ただいまの説明員の方々に御要求申すのではございませんし、物足らないと申すのではないのであります。これは重大な文教の根本問題と信じまするがゆえに、あらためて御出席の上にお答えを願いたい。私は以上を希望申し上げる次第であります。
#28
○松本委員長 他に御發言ありませんか。
#29
○豊澤委員 最近、全國的に考えてもいいと思うのですけれども、新制高等學校の標準を文部省が示したような關係から、現在の各中等學校が高等學校に昇格せんとして、このままの設備であつたならば昇格しないというので、相当運動しておるように思うのです。あるいは寄附行為であるとか、その他いろいろ手を尽しておる。そういうことは、なるほどいいことでありまして、教育の設備その他については、よい結果をもたらすのでありますけれども、一面から考えてみますと、現在の中等學校の職員は、初級中學にやらされはしないだろうかという不安、いい返ると教育に對してのおちついた気持がないように思うわけなのです。そういう缺點が一つと、もう一つの缺點としましては、そういうような寄附行為というようなものが盛んに行われておる結果、あるいは六・三制の實施という面に、多少支障を来しはしないかというように私は憂慮しておるわけなのです。そこで現在の文部省の方針を、しつかりと府縣知事なら府縣知事に達して、縣知事に認可の權があるとするならば、縣知事は大體お前のところは新制高等學校にするのだから、そうばたばたあわてぬで、おちついて教育をやつてくれというようにする方がいいのではないかと私は考えます。その點について、文部省のお考えをお尋ねしたいと思います。
 もう一つは、過去においてもあつたことであるし、現在も行われており、また將来においてもあるいは續くのではないかと思うのですけれども、師範學校のおもに女子部であります。女子部の師範と併設された高等女學校が今まで相当あつた。過去においては、徳島であるとかその他の數縣において師範と女學校とが分離された。官立に移管されたという點から、その縣の人をして言わしむれば、文部省が非常にその土地の師範教育というものを重視するあまりに、併設の學校に對して壓迫を加えた。そういう點からお互いの間の感情問題が起きて、師範教育を助長しなければならないと考えてやつたことが、かえつて地元の反撃を食つて、師範教育に大きな支障を来しておるという事實を、私は所々で見たり聞いたりしたのでありますが、この問題について、文部省はそういうような併設學校に對して、どういうような御意見をもつておるか。またその師範學校に對してどういうような心構えをもつて臨むべきかということを論しておるかどうか。あるいはこういうような問題は、感情上のデリケートな問題であるから、そこに派遣される人々に對してどういうように注意を与えておるか、ただ漫然と単なる政治的な言動をやつたならば、私は師範教育に大きな阻害を来すのではないかと思う。現在卒業されておる教職員と師範學校の職員との間に、ややもすれば離れようとする空気がどこの縣においても、徐々にではあるけれども、醸し出されつつあり、また將来も續くのではないかということを心配しておるのでありますが、この點について文部省の御意見を伺いたいと思います。
#30
○剣木説明員 第一點につきましては、舊制の中學校が新制の高等學校に、二十三年度から大體移行する予定をもちまして、今準備しておるわけでございますが、その際に設置基準を相当高く定めまして、相当數のものが新制高等學校になれないという場合におきましては、これは非常に一般に不安を与えますと同時に、今申されました寄附行為等によつて昇格運動をやるというような向きが起つてまいるということは事實でございまして、現にそういう運動が行われておりましたことは事實でございます。そこでこういつたような状況がもしだんだん拡がつてまいりますと、今やはり御説にもありましたように、新制、いわゆる六・三制の實施を最重點といたしまして、その實施をまずやつていきたいと考えておりますこの實現にも支障を来しますし、また現在舊制中學校におります生徒は、一応新制高等學校ができました場合に、全員が新制高等學校の生徒となることを約束されておるのでございますから、当然それに相当するだけの設備は必要とするようなことになるのでございます。従いまして先般文教委員開にも了解を得て、實は新聞發表をいたしたのでございますが、その新聞發表によりまして、新制高等學校に移行させます場合におきましては、暫定基準を設けまして、現在ございます旧制の中等學校は、大體無理なく新制高等學校に移行できる。それで新制高等學校に移行いたします場合におきましては、國費竝びに地方費の増額は示さないように研究中である。ただ新制高等學校の中で、勤労者の教育を對象といたします併設の高等學校については、また別個に考慮しておるが、一般の普通の高等學校につきましては、この際経費を増額して移行するということは考えていないということを、一応發表したわけでございます。事實その通りに實施いたしまして、新制高等學校の内容の充實に關しましては、六・三制の實施とにらみ合わせ、なおわが國の國力の囘復とにらみ合わせまして、年次計畫をもつて將来その内容の充實を期していきたい、こういうように現在のところは考えておるのでございます。
 それから師範學校の女子部に併設してあります府縣立の女學校との問題でございますが、これは官立移管以来、できるだけ両者の間におきまして相助け合いまして、協力して教育を行つてまいりますように努めてまいつたのでございますが、特に、この新しい學生の改革を目前に控えました今日におまして、その分離の問題をめぐりまして、多少地方的には女子部と女學校との間に摩擦が起つておる面がありますのは事實でございます。しかし、文部省といたしましては、あるいは分離問題とかいうような問題が起りましても、その地方におきまして、分離いたしますために必要な、いわゆる地方側でぜひ分離してほしい、またその力もあるというような面を、府縣の場合は別といたしまして、文部省の方からその女子部を立退いてもらいたい。あるいは分離しなければならぬというようなことは全然考えてないのでございまして、そういつたような向きについて、多少行き過ぎのありました學校等につきましては、十分注意を促しまして、その間地元との無用の摩擦を起さないように、具體的には私どもも注意してまいつておるのでございます。なおこの問題は相当地方との複雑な事情もございますので、今後地方との摩擦の起りませんように、十分私どもとして気をつけてまいりたいと考えております。
#31
○松本(七)委員 この機會に二、三お伺いしておきたいのですが、青年學校は今年限りなくなるわけですが、来年度の新制度の實施については、いかなる御方針ですか。
#32
○剣木説明員 青年學校は、新制高等學校ができます場合におきまして、大體今までの青年學校の施設、内容を利用いたしまして、定時制の高等學校をつくつていきたいと考えておるのでございます。ただこの青年學校の教育内容そのものにつきましては、一面戦時中におきまして軍國的に利用された部面もございましたので、新しい定時制の高等學校におきましては、その教育内容等につきましては、相当これと変りました面目を新たにした學校にもつていきたい。特に今日におきましては、将来の問題といたしましては、勤労青年の教育を一定年限義務制といたしまして、延長いたすことも必要であると考えるのでございますが、國の現在の事情におきましては、とうていそのことは現實は不可能でございますので、さしあたりといたしましては、新しくできます定時制高等學校の内容を、十分できるだけ充實いたしまして、勤労大衆青年を真に心から引きつけて教育を受けるようにもつていきたいと考えるのでございまして、さきにもちよつと申し上げましたが、新制高等學校への移行につきましては、一般のものにつきましては、國費及び地方費の増額ができるだけ避けたいと思つておりますが、この新制の定時制高等學校の振興につきましては、できるだけ國といたしましても補助その他の経費を計上いたしたいと考えるのでございまして、この點につきましては各位の絶大なる御後援を、實はお願いしてやまない次第であります。
#33
○松本(七)委員 定時制高等學校は、全日制高等學校と併置されるお考えですが。それとも別途に設置されますか。
#34
○剣木説明員 定時制の高等學校のあり方につきましては、いろいろ今研究をいたしているのでございますが、ただいままでの考え方といたしましては、やはり勤労青年を對象といたします關係から、できるだけ各町村にわたりまして分布することが必要であると考えるのであります。しかし各府縣、市町村にわたりまして分布いたしますと、どうしてもその教育内用なり施設が十分でありませんので、今の考え方といたしまして、全日制の高等學校に併設いたしました、相当設備内容等においてりつぱな定時制の高等學校を設けまして、これを中心校といつたようなものにいたしまして、その中心校をを中心として、その周囲の町村に姉妹校と申しますか、そういつたような定時制の高等學校を設けて、いろいろな設備なり、教員なり、いろいろな點につきまして、互いに助け合つて、いわゆる利用し合つて、そうして全體として一つのよい高等學校にもつていきたい。今の構想といたしましては、そういつたようなことを考えまして、これを計畫していきたいと考えております。
#35
○松本(七)委員 地方では勤労青年が非常に向學心に然えておりまして、青年學校を定時制高等學校に移すために、縣当局にも非常に運動しているというようなところもあるのですが、文部省の基準がまだきまらずに、縣当局としても返事ができないというので、勤労青年が非常に迷つているという状態です。この基準は、いつごろ指示できるお見込みですか。
#36
○剣木説明員 今、非常に取急いでそれをつくつているのでございまして、おそらく私どもの希望といたしましては、今月か来月の初めごろまでには、地方にもお示しができるようにしたいと考えております。
#37
○松本(七)委員 先ほどの定時制高等學校の併置あるいは別途に設置するかの問題は、今までの青年學校というものの實情からいたしまして、普通の高等學校に併置されると、やはり冷遇されるおそれがありはしないかというような點が、非常に一般に心配されているようであります。しかし、先ほどお話のような中心校を設けてその周辺に姉妹校をつくるというようなことは、おもしろいいき方ではないかと考えられるのであります。この點は私どもももう少し研究してみたいと思います。ただ問題は定時制高等學校を實施した場合に、当然教員が不足してまいりますが、この青年學校教員の再教育ということが当然行われるだろうと思います。これは國庫でなされる方針か、きまつておりましようか。
#38
○剣木説明員 ただいま教員の再教育につきましては、全般的な計畫として立てているのでございますが、青年學校教員につきましても、できるだけ國で補助をいたしましてやつていきたいと思いますが、ただ全額國庫で再教育ということは、現在のところでは不可能であるかと思います。ただできるだけ國庫でその中の経費をみたいと考えております。
#39
○松本(七)委員 先般私學の復興のことで關係方面といろいろ折衝しておりましたときに、われわれがかねがね改革を要すると思つておつた點に触れまして、非常に關係方面でも注目し、かつ強力なサポートを約したことがあるのです。それは學校に對する寄附行為の免税のことであります。この點は、日本ではどうしても學校に對する寄附及び慈善事業の寄附は、免税をするというところまで速やかにもつていかなければならないと思うのでございますが、文部省として、こういう點具體的に今まで運動されたことがあるのか、あるいは今後の方針というものはどういうふうなことをお考えになつておりますか。
#40
○剣木説明員 學校その他の慈善事業等に對しまする寄附行為につきましての免税の問題は、相当以前から重要な問題として取上げられておつたのでございます。なおこれは文部省といたしましても、しばしば大蔵当局と交渉をいたしたのでございますが、この點につきましては、今日までのところは非常に困難であると豫想されておつたのでございます。しかし今お話がございましたように、今後私立學校に對しまする國の補助が困難になります限りにおきましては、私立學校の経営は、かかつて篤志家の寄附にまたざるを得ないような状態になつてまいるのでございまして、この意味におきましては、どうしてもこの寄付金の免税という問題を強力に取上げてまいらなければならぬと考えますので、この點につきましては、十分その實現ができますように努力していきたいと考えておるのでございます。
#41
○松本(七)委員 現在のような生活難の場合に、依然として大學に無給副手というものが存在しておることは、非常に遺憾であると思います。優秀な學究の徒が、生活のために留まることができずに、去らねばならぬという状態が、だんだん深刻になつておりますが、これを速やかに有給に改めることはできないものでありましようか。
#42
○剣木説明員 各大學におきましては、その研究に必要といたしまする副手、助手等が定員上十分でございませんので、なお本人といたしましても、研究を續けていきたいと希望する者を、無給副手といたしまして、現在まで相当數のものが各大學の研究室におるのでございます。これは経済状態が相当余裕のある時代におきましては、こういう制度も可能でございましたが、経済情勢が急変いたしました今日におきましては、無給副手は、すでにその生活を脅かされておるような次第でございまして、もしこの無給副手がなくなりますと、大學の研究はまつたくここで停頓してしまうという状態に陥るのでございます。この實情を私どもとしても十分認めるのでございまして、この無給副手を有給にするとか、もしくは有給にいたしました無給副手の待遇を改善いたしますとかという面に向かいまして、今、現に努力をいたしておるのでございます。できるだけ早くそれが實現することを切望しておる次第でございます。
#43
○松本(七)委員 あと一、二お伺いしておきたいと思いますが、教員組合と教育會との關係を、今後どういうふうに調整されていくおつもりでありますか。
#44
○剣木説明員 終戰後教育會に對しましては、文部省といたしましては全然關係をいたさないようにいたしたのでございまして、現在のところ教育會と文部省には、何らそこに關係がないのでございます。従いまして、現に教育會と教員組合との間にいろいろな交渉があるのでございますが、この問題につきましては、文部省といたしましては、まつたく第三者的な立場におきまして、その關係に今容喙しようという気は全然ないのでございます。ただ同じ教育界に働く者といたしまして、この問題ができるだけ暗い影がなく、きれいに、そして円満に解決いたしますことを切望しておるのでございます。ただいまのところ、この状態の中にはいつていくという気持は、全然もつていないのでございます。
#45
○松本(七)委員 最後に、新學制實施準備委員會が、今までいろいろ活動してまいりましたが、これがはたして文部省が期待しておつたような活動をしたかどうか、はなはだ疑わしい。地方によつては、依然としてボスが支配しておるというような状況にあると思うのでありますが、どういうふうな御認識をもつておられますか。また望ましくないと見られた場合、それを改める御意志があるかどうかお伺いします。
#46
○剣木説明員 新學制準備委員會は、この新學制の實施に伴いまして、各地方でつくつていただいたのでございますが、これはまつたく自發的につくつていただくという形におきまして、つくつていただいたのでございまして、やはり新學制の實施につきましては、全體的に見ますと、相当御協力をいただいたことと考えるのでございます。ただ地方的にこの準備委員會の内容に、不健全な、おもしろくない點がございます點は、できるだけ教育的に考えまして、地方的にこれを解決していただきたいと考えておるのでございまして、今この教育會の運営につきまして、強制的に文部省がいろいろの手段を講ずるということは、考えていないのでございます。ただ將来の問題といたしまして、やはり教育が直接に國民全體に責任を負うて行わるべきものでございます點から、國民全體が教育に向いまして相当の關心をもつていただくという意味から、この教育の委員會といつたようなものが相当りつぱに日本にも發達していくべきものであると考えるのでございまして、これはやはり単に教育の面からばかりでなく、一般の國民の自治的なる自覚と申しますか、その方面がだんだん進歩してまいりますことを切望しておるような次第でございます。
#47
○松原(一)委員 ただいま松本君からの御質問に對して、お答えがありましたけれども、教育會と教員組合というものの本質的な解釈については、われわれすこぶる腑に落ちないものがあるのであります。教員組合は労働組合法によつてできておるものでありますから、その組合自身の福祉向上に資するために立つべきものでありまして、教育會は従来の伝統によれば、広く教育のうしろだてとなるばかりでなく、一般社會教育、あるいは児童の福祉等に關して、いろいろ貢献してまいつておるのでありまして、教員組合とはその性質を異にしておると思う。殊にこういうふうな文化的な復興期に對しましては、教育組合自身のやる仕事以外に、客觀的に見て、組合以外の広い一般社會に教育的影響を与える強力な機關がなくては――、文部省の行政機構一本では、とうてい私はいかないと信じておる。その性質が違つておるのであります。ところが、教育會は現職教員をもつてのみ組織しなければならないというところに、一つの混淆が起つて、教員組合即教育會というような見解も、今日組合側ではもつておるような現われがあります。これについては、われわれの關するところにあらずと、文部省が手をこまねいておつてよろしいものであるか。私はどこまでも教育そのものが民主的でなければならないという立場から言えば、教育會というような大きな社會教育に影響を与えるもの、また學童に對する學用品の供給や、その他いろいろの後援をする機關があつてしかるべきものと思う。これが民主的につくられるべきものであり、今日までその必要によつてできてきたものであります。その意味から見まして、將来の教育會が今の制約の上から、現職の教員においてのみ運営せられるというものであるならば、むしろそれは教育組合だけの一本にして、教育會というものは別に教育會法といつたような日本独特の法律でもつくつて、別箇に確立すべき性質のものであると私は考えます。この點につきまして御即答はいただきませんが、とくとひとつ文部省においても御考慮いただきたい。われわれの關係する範圍のものでないと、そつぽを向いておいでなさるべきものでないと、私は深く信ずるものであります。ただ私はこれだけの意見を申し上げます。
#48
○水谷(昇)委員 ひとつお尋ねしたいのでありますが、各地の専門學校以上の學校に在學しておる生徒の中で、時局柄食糧や住宅難のために、出身地の附近の同程度の學校に轉校ができるかどうか。こういう場合でありますから、轉校させて學業を續けさせたいと私は希望するのですが、文部省の御意向はいかがでありますか。
#49
○剣木説明員 食糧事情その他の事情によりまして、轉校を必要とする場合におきましては、両方の學校長が話合いをいたしまして、認めたら轉校しても差支えないという方針を、ずつととつてまいつておるのであります。現在も両方の校長で話合いができれば差支えないと思います。
#50
○松本委員長 他に御意見はありませんか。
 それでは時間もまいりましたので、本日はこれで散會いたします。なお次回は公報でお知らせいたしますが、今日重要なる御質問が相当あつたと思いますので、文部大臣、次官、その他の御出席を願いまして、いま一度重要な問題につきましては、文部当局としての明確な御答弁をお願いいたしたい。かように考えておりますからよろしくお願いいたします。
 それでは散會いたします。
  午後零時十四分散會
ソース: 国立国会図書館
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