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2007/11/01 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 財政金融委員会 第3号
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2007/11/01 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 財政金融委員会 第3号

#1
第168回国会 財政金融委員会 第3号
平成十九年十一月一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月三十日
    辞任         補欠選任
     大久保潔重君     大塚 耕平君
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     轟木 利治君
     長谷川憲正君     榛葉賀津也君
     森 まさこ君     丸川 珠代君
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     丸川 珠代君     森 まさこ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         峰崎 直樹君
    理 事
                大久保 勉君
                円 より子君
                愛知 治郎君
                田村耕太郎君
    委 員
                尾立 源幸君
                川崎  稔君
                榛葉賀津也君
                轟木 利治君
                富岡由紀夫君
                水戸 将史君
                森田  高君
                簗瀬  進君
                横峯 良郎君
                尾辻 秀久君
                小泉 昭男君
                椎名 一保君
                田中 直紀君
                中山 恭子君
                林  芳正君
                丸川 珠代君
                森 まさこ君
                荒木 清寛君
                白浜 一良君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     額賀福志郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        渡辺 喜美君
   副大臣
       財務副大臣    遠藤 乙彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   政府参考人
       内閣法制局第一
       部長       山本 庸幸君
       金融庁総務企画
       局長       三國谷勝範君
       金融庁監督局長  西原 政雄君
       財務省主計局次
       長        真砂  靖君
       財務省理財局長  勝 栄二郎君
   参考人
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
       日本銀行副総裁  武藤 敏郎君
       日本銀行理事   稲葉 延雄君
       日本銀行理事   山口 廣秀君
       日本銀行理事   水野  創君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────
#2
○委員長(峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、大久保潔重君、森まさこ君及び長谷川憲正君が委員を辞任され、その補欠として丸川珠代君、榛葉賀津也君及び轟木利治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(峰崎直樹君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣法制局第一部長山本庸幸君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定します。
    ─────────────
#5
○委員長(峰崎直樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君、同副総裁武藤敏郎君、同理事稲葉延雄君、同理事山口廣秀君及び同理事水野創君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(峰崎直樹君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁。
#8
○参考人(福井俊彦君) おはようございます。日本銀行の福井でございます。
 ただいま委員長からお言葉がございましたが、日本銀行では、今年の六月、平成十八年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書、これを国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営につきまして詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいいたしまして、大変有り難く存じております。厚く御礼を申し上げます。
 最初に、最近の経済金融情勢について御説明を申し上げます。
 我が国の景気は緩やかに拡大をいたしております。この点をやや詳しく御説明申し上げますと、まず輸出でございますが、輸出は海外経済の拡大を背景に増加を続けております。また、企業収益が高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にございます。こうした企業部門の好調の影響は、家計部門にも緩やかに波及をいたしております。一人当たり名目賃金はやや弱めの動きとなっておりますけれども、雇用者数の増加が続く中で、雇用者所得は緩やかに増加をしております。また、株式配当の増加など、様々なルートによる波及も続く中で、個人消費は底堅く推移しております。このように内外需要が増加する中で、生産は増加基調を続けております。
 先行きにつきましても、生産、所得、支出の好循環メカニズムが維持される下で、景気は息の長い拡大を続けていく可能性が高いと考えられるところでございます。ただし、米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発しまして、国際金融資本市場において不安定な状況が続いておりますほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性がございます。今のところ、米国以外の地域の高成長によりまして、世界経済全体としては拡大を続ける可能性が高いと思われますけれども、国際金融資本市場や世界経済の動きにつきましては、引き続き注視していく必要があると考えられます。
 物価の面では、国内企業物価は国際商品市況高などを背景に、三か月前比で見て上昇しております。消費者物価指数、これは生鮮食品を除くベースの指数でございますが、その前年比はゼロ%近傍で推移しておりますが、より長い目で見ますと、経済全体の需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想されるところでございます。
 金融面では、企業金融をめぐる環境は引き続き緩和的な状態にございます。CPや社債といった資本市場を通じた資金調達環境は良好な状況にございますほか、民間銀行は緩和的な貸出し姿勢を続けております。こうした下で、民間銀行貸出しは緩やかに増加をしております。そして、CP、社債の発行残高は前年を上回って推移しているという状況でございます。
 次に、日本銀行の金融政策運営について申し述べさせていただきます。
 日本銀行は、これまで、金融環境は極めて緩和的であり、日本経済が物価安定の下での持続的成長軌道をたどるのであれば、金利水準は引き上げていく方向にある、その引上げのペースについては、予断を持つことなく、経済・物価情勢の改善の度合いに応じて決定する、そういう考え方で金融政策を運営してまいりました。実際の運営におきましては、物価上昇圧力が弱い中で余裕をもって行うことができてきております。すなわち、経済・物価の見通しのパスやその蓋然性、上下両方向のリスクなどを十分に点検しながら、ゆっくりと政策金利の変更を行ってまいりました。
 今後の金融政策運営におきましても、こうした基本的な考え方を維持する方針でございます。まず、我が国経済が物価安定の下での持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高いことを確認し、さらに、上下両方向のリスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行うことになると、そういうふうに考えております。
 日本銀行といたしましては、経済・物価情勢や内外の金融市場の状況などを丹念に点検し、金融政策を適切に運営することを通じて、物価安定の下での持続的成長の実現に今後とも貢献していく所存でございます。
 また、金融政策に直接該当する事項ではございませんが、日本銀行は、平成十四年から平成十六年までの間、銀行による保有株式の価格変動リスク削減努力を促す観点から、銀行保有株式を買い入れました。本件株式の簿価は今年の九月末時点で約一兆六千億円となっており、予定どおり本年十月から市場での売却処分を開始いたしました。処分に当たりましては、日本銀行の損失発生を極力回避するとともに、処分時期の分散に配慮することなどによりまして、株式市場に与える影響を極力回避することといたしております。
 終わりに当たりまして、昨日でございますが、日本銀行は経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートの最新版を決定、公表したところでございます。その中でも、ただいま申し上げました経済・物価情勢に関する判断や金融政策運営の基本的な考え方をお示ししたことを付け加えまして、私からの御説明を終えることといたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(峰崎直樹君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○大久保勉君 民主党・新緑風会・日本の大久保勉です。
 昨日、展望レポートが発表されました。まず、これに関連して質問します。
 今日の新聞及び各証券会社のエコノミストのレポート等を見ましたところ、大体の中心的な考え方は、サブプライムローン問題にもかかわらず従来の長期シナリオを維持、こういった観測も多いと思います。これはドイツ銀行のエコノミストのレポートです。将来の利上げのリスクよりも正当化に比重、何を正当化というのはちょっと分からないんですが、そういったことに関してまず質問したいと思います。
 まず最初に、二〇〇三年十月に日本銀行が発表されました、金融政策の透明性の強化についてということで発表されております。これに関して、特に二項、量的緩和政策継続のコミットメントの明確化ということをわざわざ市場に対して、若しくは国民に対して約束されておりますが、この内容に関して、参考人でも構いませんが、簡単に説明してもらってもよろしいでしょうか。
#11
○参考人(稲葉延雄君) 当時の金融政策の透明性の強化につきましての議論について御説明したいと思います。
 経済・物価情勢に関する日本銀行の判断に関して説明を充実するということで、次の諸点を見直すということを決定いたしております。
 第一は、三か月ごとの中間評価の公表でございます。経済、物価の展望という形で示しました標準的な見通しに比べて、上振れ、下振れが生じていないか、三か月ごとの見直しを行うということでございます。それから、金融経済の月報でございますが、これ、決定会合の翌営業日に公表しておりましたけれども、これを即日公表するということでございます。それから、総裁の記者会見の即日実施ということで、月一回目の決定会合……
#12
○大久保勉君 済みません。量的コミットメントの明確化に関して質問をしております。
#13
○参考人(稲葉延雄君) はい。そういうことで説明の充実を図ったわけですが、一方、量的緩和政策継続のコミットメントの明確化でございますけれども、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで量的緩和政策を継続することということを約束しておりますけれども、これにつきまして、第一に、直近公表の消費者物価の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的に動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要であると。第二に、消費者物価の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要であるということでございます。そして第三に、こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては量的緩和政策を継続することが適当であると、こういうふうに判断できると。こういうふうに考え、その旨公表したということでございます。
#14
○大久保勉君 手元に資料がありますが、ポイントは、量的金融緩和するためにはきっちりした条件がないと透明性がないということで、わざわざ市場と約束をされたんです。それが、いわゆるCPIがプラスにならないといけないということで、安定的、また、それを分からせるために展望レポートできっちり将来もプラスであるということを検証して、三番手は、さらにこういった情勢であっても例外的には金融緩和を継続しますと、こういう約束をわざわざホームページに出し、市場と約束をし、この国会でも何度でも何度でも説明されました。
 私はよく分からないんです。実は、今年の三月二十七日に日本銀行総裁に同じような質問をしました。そのときは、二月のコアCPIが昨年四月に続きマイナスになるおそれがありましたので、わざわざ二〇〇六年三月の量的金融緩和解除が失敗ではなかったかということをお聞きしました。当時の回答は、マイナスは一時的で、将来CPIは安定的にプラスと予想しているということでありました。いわゆるフォワードルッキングという情緒的で、そういった言葉に煙に巻かれてしまいまして、何となく納得したんです。
 しかし、あれから半年が過ぎたんですが、CPIは八回連続マイナスなんですね。ですから、そういう意味では、二〇〇三年の市場との約束におきまして、量的金融緩和の解除条件の一つに全国のコアCPIがマイナスに戻らないという項目設定がありました。約束違反じゃないですか。
#15
○参考人(福井俊彦君) 量的緩和政策に関しますコミットメントは、実は二〇〇一年にこの政策を導入いたしました際に、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまでこれを継続するということといたしました。そして、委員御指摘のとおり、その後二〇〇三年にその中身をより明確化したというものでございます。これは当時、日本経済がデフレスパイラルの縁に立っていたと、そういう非常に危機的な状況の中で金融政策の効果をよりよく発揮すると。
 そういう趣旨に立ちますと、御指摘のような、コミットメントによって期待に強く働き掛けると、金融緩和効果の強化と、いわゆる時間軸効果と言っていますが、それをねらったものでございます。そして、量的緩和政策の解除に当たりましては、物価指数はもちろん重要な判断材料としてこれを分析いたしましたが、その背後にある経済全般の動きを点検した上で、日本経済は息の長い成長を続け、消費者物価指数の前年比は先行きプラス基調が定着していくと見られるというふうに判断をいたしました。
 また、消費者物価指数は、解除当時、つまり量的緩和政策解除当時、利用可能であった二〇〇〇年基準でプラスでありまして、コミットメントが満たされたことについて、当時市場と日本銀行との間で認識の相違は全くなかったというふうに考えております。その後、昨年八月の消費者物価指数の基準改定に伴う指数の下方改定の影響もございまして、御指摘のとおり、このところ消費者物価指数の前年比はごく小幅ではございますけれどもマイナスの月が続いていると、これは確かでございます。
 しかし、消費者物価の基調を形成する経済環境という観点からは、その後も息の長い成長が続く中で労働や設備といった資源の稼働状況は高まっております。経済の前向きの循環が働き続けているという状況でございまして、先行きもこうした動きが続いていくと見られる状況でございます。消費者物価の前年比はプラス幅がこの先次第に拡大していくというふうに判断しております。展望レポートでも、その点は明記いたしております。
 日本銀行といたしましては、このような経済、物価の動きに照らしまして、量的緩和政策解除の判断は適当であったというふうに考えております。そしてその後も、経済・物価情勢の改善の度合いに応じて、極めて徐々ではございますけれども、正に徐々に金利水準の引上げを行ってきているというところでございます。
#16
○大久保勉君 分かりました。さすが老練な総裁です。ああ言えばこう言うといいますか、つまり二〇〇六年三月の解除は失敗ではなかったということですね、また二〇〇三年の金融解除の約束設定に関しても、これは失敗じゃなかったと。
 じゃ、どこに問題があるか。それは第三者であって、CPIを変えたやつが悪かったと。これはだれが変えたんですか。竹中元大臣の置き土産とも言われておりますが、だれが変えたんでしょう。政府に質問します。福井総裁、自らの言葉で言ってください。
#17
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行でも物価指数はいろいろ作っておりますが、消費者物価指数は日本銀行では作っておりません。政府において正確にお作りになっているというふうに思っております。
#18
○大久保勉君 分かりました。日本銀行の独立性も分かりますが、政府の独立性というのもあると思いますから、総務省できっちり精査して作っているものですから、そのCPIがおかしいということで私は理解しましたが、その理解でよろしいですね。
 つまり、日本銀行は約束は破っていないんだと。CPIがマイナスになっているのは、CPIを作った者が悪いんだと、こういうことですね。
#19
○参考人(福井俊彦君) 私ども、政府の作られました諸統計、なかんずく消費者物価指数についていささかも不信感は持っておりません。
 現に、この消費者物価指数に信をおいて経済情勢全般を判断し、今後とも金融政策を運営していく、こういう立場にございます。
#20
○大久保勉君 非常に一つ一つ点検してみましたら、何か、じゃ総務省のCPIもおかしくないと。じゃ何がおかしいか。それは説明の仕方がおかしいんでしょうね。ということは、総裁のコミュニケーション能力が非常にクエスチョンマークかなというようなことも理解しました。
 実は、この展望レポート、業界では、非常にフォワードルッキングで、ずっと景気は順調に拡大すると。つまり利上げ先にありき、若しくは利上げできる余地があるから、そういうふうにシナリオを作っていこうと。いわゆる日本銀行の展望レポートじゃなくて、日本銀行のこうなってほしいという願望である願望レポートと言われているんですよ。このことに関して、何かコメントございますか。
#21
○参考人(福井俊彦君) お言葉ではございますが、政策を急ぐことによって日本銀行が益するところは全くございません。金融政策が経済や物価に影響を及ぼすにはある程度期間を要するということは委員もよく御承知いただいていると思います。そのため、政策運営は先行きの経済、物価を見通しながら行っていく必要があると、足下の状況だけでは正確な判断ができないということでございます。このように、先行きを見通しながら金利の調整を行っていくという、これがいわゆるフォワードルッキングな政策運営の在り方ということでございますが、世界のいずれの中央銀行にも共通した考え方、認識でございます。
 昨日公表いたしました展望レポートでも、こうした観点に立って、この先二年間の経済、物価の見通しや様々なリスクを点検し、先行きの金融政策運営の考え方をお示ししたところでございます。見通しと併せて我々の金融政策運営の基本的な考え方を示すことで、市場参加者はそれぞれ御自ら経済、物価の見通しを持っておられます、これらを照らし合わせながら、日本銀行の先行きの政策運営についてもそれぞれが判断し得る条件をより多く持てるということになっているというふうに思います。
 私ども、コミュニケーションが下手だというおしかりを受けましたが、上手だとは決して思っておりません。しかし、懸命に努力をしておりまして、この経済・物価情勢の判断と政策運営の基本的な考え方について展望レポートを出しておりますが、それを始めとして、議事要旨や記者会見、さらには本日のような国会の場での議論を通じてできるだけ丁寧にお話をさせていただいているというふうに思っております。引き続き、適切な情報発信を通じ、かつ努力をし、透明性の確保に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#22
○大久保勉君 分かりました。
 経済政策に関しては長期的、我慢が必要だというのは私も理解します。ですから、私も我慢をしまして、今年の三月二十七日に同じような質問をして、フォワードルッキングだということで物価が上がってくると思って半年待ちましたが、厳密に言ったら三月から十月ですからもっとですけど、十一月だからもっとですが、我慢のそろそろ限界が来ているのかなと。つまり、これはマーケット関係者、エコノミストもちょっと、昔は非常にコミュニケーション能力があった福井総裁がここのところ非常に歯切れが悪くなってきたんじゃないかという危惧がありましたので、あえて説明しました。
 もちろん、様々な問題がありますから、どうしろこうしろというのは言えませんし、総裁自らが決めてもらいたいんですが、やはり失敗だったら失敗と認める、若しくはこういう状況で設定が変わったということを言わない限りはコミュニケーションができないと思うんですよね。是非このことは、福井総裁もそうですが、後任の総裁、副総裁も是非引継ぎ事項ということでおっしゃってください。
 続きまして、サブプライムローンに関しまして質問します。
 ちょっと時間がありませんので幾つか飛ばしますが、サブプライムローン危機は、証券化、CDO等の現代金融工学の発展とともに非常に複雑になってきております。今のリスクといいますのは、アセットバックCPを発行していたSIV、ストラクチャード・インベストメント・ビークル、それにバックアップラインを付けた銀行、格付会社の利益相反、レギュレーターの勉強不足、流動性リスクを軽視したBIS等多くの問題が指摘されております。
 このことに対する日本銀行の理解並びに金融庁の理解、金融担当大臣の理解を簡単に、時間がありませんので簡潔にお願いします。
#23
○参考人(福井俊彦君) 米国のサブプライムモーゲージローンの問題を言わば引き金にいたしまして、今グローバルな金融資本市場で起こっております問題はより範囲が広いと。証券化商品が中心ということではございますけれども、かなり広い範囲にわたって、これまで非常に恵まれた市場環境の中でやはりリスクに対する評価がもしかしたら甘過ぎたという部分の反省が市場の中で起こりまして、市場の中でリスクの評価の見直しと、リスク・リプライシングと、こう言われているんですけれども、そのプロセスが今始まっているということでございます。
 リスク評価が甘かったともし仮定いたしますと、再評価した結果としては、やはりその差額は損失として発生してくるわけでありますので、損失の消化ということを含みながら、やや苦痛に満ちたプロセスが今始まっているということでございます。
 この過程はそういうものでありまして、単純に市場の混乱が元のさやに収まるというふうなものではありませんので、少し時間が掛かると。しかし、このリスク再評価の過程を余りその秩序が乱れるというふうな姿でなくうまくこなしていければ、この先は実体経済と市場との相互作用がより有効な形で働くようになって、世界経済あるいはひいては日本経済のより持続的な成長のパスにたどり着きやすくなると、こういうふうに思っております。
 したがって、この過程は、日本だけでなくて主要国あるいは世界の中央銀行協力しながら、極力円滑に、しかし負担すべきものはきちんと市場において負担してもらって進めていくということが非常に大事だというふうに思っております。
#24
○大久保勉君 金融大臣は、もう一つ次の項目もありますから、一緒に質問した方が分かりやすいと思います。
 八月の月例報告のときに日本銀行とか金融庁にいろいろ質問したんです。そのときは、それからでもそうですが、日系金融機関に関しては欧米に比べて極めて損失は軽微であると。今も大枠は変わってないと思いますが、本当にそうかなという部分もありまして、マーケット関係者に聞きますと、日本の、サブプライムに関しては若干影響は少ないかもしれませんが、ただ、サブプライム問題で分かったことは、米国の市場とかヨーロッパの市場に関してはディスクロージャーがきっちりやっていて、すぐに問題が発生したら分かるんだと、開示がしっかりしていると、でも日本の証券化商品に関してはほとんど開示されてないと、もう格付を頼らざるを得ないという状況がありますから、そういった面で問題があるんじゃないかという指摘もあります。
 今回、後半に関しては次に質問しますから、前の質問です。つまり、サブプライムに関しては、問題が発生した場合に情報開示がきっちりしているからすぐに問題が浮き彫りになってすぐに対処できたんじゃないかと。ですから、大きい問題でありますが、まず症状がすぐに目に見えるという点では評価できると思うんですが、この辺り、総合的に大臣がどう考えていらっしゃるか、聞きたいと思います。
#25
○国務大臣(渡辺喜美君) 大久保委員御指摘のように、現時点で日本の金融システムに深刻な影響が出るという状況にはないと承知しております。
 また、ディスクローの問題でございますが、本年夏以降、九月期決算に先駆けてサブプライムローンに係る影響を公表をしている金融機関においては、その影響が自らの業容に照らして深刻ではないということを明らかにしたと考えております。
 さらに、九月期の決算の公表を行った金融機関と同様、今後九月中間決算を公表する金融機関においても適切にサブプライムローン関連商品等の評価をし、監査法人の検証を受けた上で九月期の財務状況が明らかにされるものと思います。その中で適切な情報開示が行われるものと考えております。
 また、金融庁としても、金融機関が適切にリスク管理等に取り組むことが重要であると考えております。日常的に金融機関などとヒアリング、情報交換を進めておりまして、幅広い観点から金融機関のリスク管理状況、金融資本市場の動向等について関係当局と連携しながらウオッチをしてまいるところでございます。
#26
○大久保勉君 続きまして、資料一、お配りしておりますがこれを見てください。これに関して質問したいんです。
 つまり、日本におけるサブプライムローンと同じような問題があるかないかという検証したいと思います。
 消費者金融の利息返還、いわゆる過払い金返還の潜在インパクトが三十兆円を超えるとのムーディーズのスペシャル・コメントが話題に上っております。こちら資料といいますのは、週刊ダイヤモンドの七月二十一日号です。
 その次、資料の二といいますのは、基になりましたムーディーズ社のレポートで、一番最後のページを見てください。読み上げますと、ムーディーズの見るところ、利息返還損失問題を抱える格付先六社合計の潜在リスクは、飛ばしまして、二十兆円台半ばに達すると。さらに、貸出元本償却インパクトを加えると、約三十兆円台半ば近くになりますと。もちろんこれは最大のリスクでありますから全額損失になるとは限りませんが、ムーディーズ社、格付機関が出したものでありますし、また、それに対する影響といいますのは、経済誌週刊ダイヤモンド社が出していますから、ある程度は信頼に堪え得るのかなと思っています。もちろんこれが絶対正しいとは思いませんし、またこういったことをここで議論するのが適切かというのも問題がありますが、私はやはり、病気だったらまず症状を明らかにして、で認識する、これが重要だということで、今回は質問します。
 今回の三十兆円といいますのは、サブプライムローンの実質的な損失、これはベン・バーナンキ連銀総裁とかが当初は十二兆円と言っていました。場合によっては二十四兆円と言っていますが。実は、この過払い金の問題も、もし三十兆円が最大のインパクトでしたら、同じようなインパクトがあるんじゃないかということで検証することも大切です。もちろん、この三十兆円というのは全部請求された場合ということでありますから、事実上は現実的な数字じゃありませんから、この数分の一、二分の一であったり、若しくは三分の一であったり考えることが現実的でありますが、それでも数字は少なくないと思います。
 ですから、こういったことに対する金融庁の認識はどのようであって、また金融庁はどのような対策をしようとしているのか、現状報告をお願いします。では大臣、お願いします。
#27
○国務大臣(渡辺喜美君) ムーディーズのレポートについて一々コメントはいたしませんが、貸金業者全体の引当金の規模は、大手五社が一・八兆円でございますので、大体大手が五五%といたしますと、消費者向け無担保貸金業者全体の引き当ての規模はおよそ三・三兆円ぐらいになろうかと思います。
 過払い請求というのは、御案内のように貸金業者と債務者との間における民事上の権利関係の問題であります。最終的には司法判断を待つ必要がありまして、金融庁として確たる数字を申し上げるのは困難であります。
 金融業者の経営環境については、確かに過払い請求の増大によって厳しくなっているかと存じます。貸金業者が利息制限法の下での金利でのビジネスモデルを構築をしていくことを期待をいたしております。また、法令遵守体制、経営管理体制の整備向上に努めて、利用者の安心と信頼が確保されるよう取組を進めていっていただきたいと考えております。
 いずれにしても、金融業者の動向が銀行等に与える影響は引き続きウオッチしてまいりますし、必要に応じて速やかに対応できるようにしてまいりたいと考えます。
#28
○大久保勉君 分かりました。
 まず、数字を整理したいんですが、大手五行の引当金が一・八兆円で、それを数字的に、五五%だから掛け算して三・三兆円というのは間違いでしょう。というのは、中小業者は引当金をそれだけ積めていないし、積む能力もないと思いますから、認識が甘いです。
 さらに、いわゆる貸金業者というのは、いわゆる金融庁の管轄外ということで人ごとなんですが、元々は金融庁自身も政省令で、こういう状況だったら適切だという省令を出していますから、やはり自分の問題として認識してほしいというのが私のコメントなんです。
 より重要なのは、やはりこの問題が銀行の経営に影響する金融システムにどういうふうに影響するのか、若しくは証券化をした証券市場にどのように影響するのか。前広に考えていかないとまた一九九〇年代の不良債権問題を引き起こしてしまいますから、是非認識を新たにしてほしいと思います。
 そういった観点で、現在、消費者金融の貸出債権を証券化した残高はどのくらいあるのか、また消費者金融業者向けの銀行融資残高は、この点に関して質問します。
#29
○政府参考人(西原政雄君) お答えいたします。
 消費者金融業者の貸金につきまして証券化された額、これがどのくらいになるかということでございますが、全体像については承知しておりませんけれども、ある程度推計をさせていただこうというふうに思っております。
 その推計の仕方といたしましては、消費者金融大手の四社、これを見てまいりますと、どの程度流動化したのかというのが分かります。これによる資金調達額は、この十九年三月期のベースですが、アコムで八十億円、それからアイフルで千三十九億円、それから武富士では二千八百四十二億円、このようになっております。プロミスは流動化をしておりません。
 こういう実態に基づきまして、粗い計算でございますが、この四社が貸付残高全体に占める割合が約五割でございますので、それを基に計算をすると、機械的にあえて計算すればですが、約八千億円程度というようなことで、もちろん流動化という手法は大手の貸金業者が中心だと思いますので、これは非常に粗い計算でございますが、一応そういう数字になるということでございます。
 それから、銀行の融資、消費者金融向けの融資の残高がどのぐらいか、これも網羅的に全体像を把握しているわけでございませんので、これも推計をさせていただきたいと思いますが、消費者金融大手五社、これの資料に基づきますと、金融機関等からの借入れは約二・三兆円でございます、これは十九年の三月期でございますが。この五社のいわゆる全体に対するシェアは五五%程度でございますので、これを仮に推計いたしますと、全体では四・一兆円程度かなということでございます。
 以上でございます。
#30
○大久保勉君 四・一兆円の融資残高と、また八千億円の証券化残高ということでしたら、少ない金額じゃありませんので、引き続きウオッチしてもらいまして、早め早めに対処してもらいたいなと思います。特に、中小のクレディアが倒産しまして、相当大きい影響が出ていると聞いておりますので、こういったものは適切に対処してください。もうこれ以上は、問題の性質上、これ以追及しません。
 続きましては、私どもの方でも郵政民営化株式処分凍結法案というのを出したんです。私も提案者の一人なんですが、どうして提案したか、これに関連して質問したいと思います。
 ちょっと項目が飛びましたが、十月に郵政民営化が開始しました。郵便貯金銀行は民間銀行として金融検査、日銀考査、あるいはBIS規制の対象となると思います。郵便貯金銀行はバーゼル2のアウトライヤー規制をクリアできないのではないかと私は思っております。早急に改善を求めない限り、金融システム及び金融資本市場に多大なリスクを持ち込むのではないかと思っております。
 開示資料によりますと、郵便貯金銀行は、〇・一%金利が上がった場合は約四千五百億円の損失が出ます。ですから、バーゼル2のアウトライヤー規制といいますのは二%金利が上がっているときの影響です。ですから、四千五百億掛ける二十倍ですから九兆円、もちろん平行に動きませんから、若干厳密な計算をしましたら約八兆円ほどの損失が出る可能性もあります。資本金が八兆円の郵便貯金銀行でしたら一〇〇%の影響があります。
 もちろん、債務サイドは定額預金というものがありまして、これは期間十年で固定、半年たったらいつでも解約自由ということです。二%金利が上がりましたら、残念ながら解約が殺到しまして、債務サイドでの利益は余りありません。
 ということで、バーゼル2のアウトライヤー規制というのは、二〇%以上の損失が見込まれるところは要注意、いわゆるボックスに入ってくださいというような趣旨です。ですから、八兆円の銀行でしたら、二〇%ですから一兆六千億以上の潜在損失がありましたら問題ですから、私は、本当に今株式を売却していいのかなと、大きいクエスチョンマークです。
 このことに関して、まず金融担当大臣に質問します。
#31
○国務大臣(渡辺喜美君) 金利上昇局面においてはゆうちょ銀行が影響を受けるという委員の御指摘は、確かに説得力のある御議論かと思います。
 日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画において、五年間で長期金利が四%まで上昇するとの前提での試算がございます。平成十九年度が一千三百億円のところ一千二百八十億円、平成二十三年度が三千億円のところ七百八十億円という試算になっております。
 個別の金融機関のアウトライヤー基準を含めた監督上で定められた基準に該当する見込みがあるかないかという点に関してはコメントは差し控えるところでありますが、ゆうちょ銀行の民営化当初における収益構造については、確かに資産サイドの定額貯金が大宗を占めております。金利上昇の影響を受けやすいわけでございます。
 したがって、ゆうちょ銀行においては、その健全性の確保のため、例えば金利リスクを適切にコントロールしながら運用手段の多様化を進める、リスク分散と収益源の多様化を図る、こういった運用のビジネスモデルを実現をすると承知をしております。これによって早期に資金運用力を強化をするとともに、ALMの高度化を実現をしていくものと考えております。
#32
○大久保勉君 実はこれは、この質問は同じような質問を郵政民営化の特別委員会でも質問しまして、ほぼ同様な回答だったんです。政府の方は、ALMを重視しますと。何回か担当者を呼びましたが、専門家から言わせたらほとんど何もやってないんですよね。
 ですから、これはもう政治が強制的にやらせないと非常に危険だと思っています。特に今度は民営化していますから、一民間銀行として金融庁は業務改善命令を出す力がありますよね。そうしないと、直すべきところは直すべきだと思います。もちろん、これは直すに値するかというのは専門家で、検査官できっちりやってほしいと思います。残念ながら、金融庁だけで難しい場合は、やはり日本銀行の持ついろんな、金利リスクに関するノウハウとか、この辺りは日本銀行さんも非常に優れていますから、日銀と金融庁が一緒に適切化のために頑張ってもらいたいなと思っています。
 日本銀行に対する質問はこれで、要望ということで終わりたいと思います。
 続きまして、日本銀行法及び日銀の運営に関する質問に移りたいと思います。
 こちら日銀法をいろいろ読んでみましたところ、「役員の任命」ということで第二十三条というのがありまして、ちょっと私、よく分かんないところがありましたので、内閣法制局に意味するところを確認したいと思います。
 いわゆる第二十三条といいますのは、総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。これはもうよく理解されていると思うんです。二番、審議委員は、経済又は金融に関して高い見識を有する者その他の学識経験のある者のうち、両議院の同意を得て、内閣が任命する。これも分かるんですが、ただ一と二の関係なんですよ。
 審議委員を管理監督する場合もあります総裁及び副総裁は、学識経験若しくは経済又は金融に関して高い見識を有する必要があるかないか。当然あるはずなんですが、いわゆる審議委員と同等かそれ以上の学識経験が必要であるという理解でよろしいかどうかを法制局に確認します。
#33
○政府参考人(山本庸幸君) お答え申し上げます。
 今先生がお読みになりました条文でございますが、まず、日銀法上、総裁と副総裁につきましては審議委員のような識見や学識経験等についての明文の規定はございません。
 この点につきましては、平成九年五月二十八日の参議院本会議におきます当時の橋本大臣から、日銀総裁は金融政策の運営という重責を担う立場の方であります、今後とも、日銀総裁の任命に当たりましては優れた識見と人格を有する方を選任していきたいと思いますという答弁がなされておりますように、その職務の重要性にかんがみて、その人選においては優れた識見等が求められているのは当然であろうというふうに考えております。
#34
○大久保勉君 分かりました。じゃ、経済又は金融に対して高い識見、見識がない方は、いわゆる総裁、副総裁としては不適任ということですね。
 これでよろしいですね、額賀大臣。
#35
○国務大臣(額賀福志郎君) 中身は今法制局で説明したとおりだと思いますが、総裁それから副総裁は、そのほかにも、学識経験それから見識を持った上に、マネジメントというか業務を遂行する、組織をきちっと運営をしていく総合的なやっぱり判断力とか、そういうことが求められていくものと思います。そういう人が選ばれてきたというふうに思っております。
#36
○大久保勉君 是非そういうふうに実現したいと思います。やはり日本銀行総裁、副総裁といいますのは、日本の金融界若しくは政府を代表する非常に重要なポストでありますし、是非、福井総裁みたいな方を、是非立派な方を選んでほしいなと思っております。
 額賀大臣がいらっしゃいましたので、ちょっとこういう質問もやってくれという話がありましたので、ちょっと質問します。
 先日、富岡委員の方が、額賀大臣は防衛庁長官時代に守屋氏と食事をしたこともあったということですが、パーティーや式典以外に座敷や料亭での会食もあったんでしょうか、御質問したいんですが。本人のことですからお分かりかと思います。大臣、お願いします。
#37
○国務大臣(額賀福志郎君) ちょっともう一回、質問の趣旨をもう一回説明してくれますか。
#38
○大久保勉君 守屋氏とパーティーや式典以外に座敷、料亭での会食があったことは記憶されていますか。
#39
○国務大臣(額賀福志郎君) 例えば守屋さんと会食をしたりしたことはあります。二人だけで行ったということよりも、それは庁内の人、意見交換をしたり、それから、米軍再編をしたときに関係知事さんを呼んでいろいろと地元の状況を聞いたりした、そういう仕事中心のときに会食をしたことはあります。
#40
○大久保勉君 ということは、すべて仕事に関することで食事をされたという理解でよろしいですか。
#41
○国務大臣(額賀福志郎君) そのとおりであります。
#42
○大久保勉君 そうですか。
 守屋さんの自宅に訪問して、守屋さんの娘さんと、だれかが手料理を振る舞ってもらった議員がいるということなんですが、じゃ、額賀大臣は関係ないんですね。そういったことは一切ないということですね。
#43
○国務大臣(額賀福志郎君) 守屋さんの自宅がどこにあるとか知っていませんし、そういう記憶はありません。
#44
○大久保勉君 じゃ、守屋さんの娘さんのところにも行っていないということですね、当然ながら、自宅。
#45
○国務大臣(額賀福志郎君) お嬢さんも覚えておりません。
#46
○大久保勉君 あと、済みません、あと二点だけ簡単な質問ですが、ゴルフを守屋氏と一緒にしたことはございますか、ゴルフ。
#47
○国務大臣(額賀福志郎君) ゴルフはしたことはあります。
#48
○大久保勉君 もうこれ以上は別の委員会で聞いてもらいますが、日本ミライズ社長の宮崎さんとは面識はございますか。また、ゴルフ若しくは料亭で食事をするとか、こういったことはございましたでしょうか。
#49
○国務大臣(額賀福志郎君) どこかの席でお会いしたことはあったと思いますけれども、ゴルフをしたりとか、そういうことはありません。
#50
○大久保勉君 ということは、守屋さんと御一緒に宮崎さんと食事をしたことはあるということですね。
#51
○国務大臣(額賀福志郎君) そういうことはないと思います。
#52
○大久保勉君 ということは、宮崎さんだけと一人で、一対一で会われたんですか。
#53
○国務大臣(額賀福志郎君) 宮崎さんと、だからそういうことがあったとは思っておりません。
#54
○大久保勉君 宮崎さんとは、じゃ、一回も食事をしたことがないということですか。先ほどあるとおっしゃいましたけれどもね。
#55
○国務大臣(額賀福志郎君) いや、そういうことはないと言いました。守屋さんとはありますと言いました。
#56
○大久保勉君 じゃ、宮崎さんとは食事はないけれども、面識はあるということでよろしいですか。
#57
○国務大臣(額賀福志郎君) 面識は、どこかのパーティーとかなんかで会ったかもしれません。
#58
○大久保勉君 分かりました。
 こちらは財政金融委員会ですから、また別の形で同僚議員が質問するかもしれませんが、じゃ、次に行かさせてもらいます。
 来年の三月十九日までに、また、日銀総裁、副総裁の同意人事に関してなんですが、三月十九日までに総裁、副総裁が両院で同意を得られることがなかった場合に総裁及び副総裁の席が空白になります。
 その場合は、政策委員会の決定により、非執行部委員で在任期間の最も長い委員が、この場合は長い委員が総裁、副総裁の職務を代行するという事故代理規定が適用されることになるのか、このことに関して内閣法制局に質問します。
#59
○政府参考人(山本庸幸君) ただいま御質問の点でございますが、ちょっと具体的なものですから、一般論として申し上げたいと思います。
 日本銀行法十六条五項におきましては、委員会は、あらかじめ、委員のうちから、議長に事故がある場合に議長の職務を代理する者を定めておかなければならないとされております。
 ここで言う事故がある場合でございますが、一般的には海外出張など議長がその職務を全般的に行うことができないような状態が生じた場合を指すわけでございまして、議長が欠員となった場合は含まれないというふうに解しております。
 そこで、議長が欠員となった場合でございますが、ただいまの十六条第五項ではなくて、同条第三項の規定に基づきまして、委員の互選により改めて議長を定めることになるというふうに考えております。
#60
○大久保勉君 確認のために質問しますが、その場合の互選された人は、当然ながら政策委員会のメンバーでなければいけないという認識でよろしいでしょうか。
 といいますのは、もし例えば理事辺りが選ばれた場合には、国会で同意をしていない人が議長になるのは私はおかしいと思いますので、念のために質問します。
#61
○政府参考人(山本庸幸君) あくまでも理論上でございますが、そういう場合は排除しておりません。
#62
○大久保勉君 でも、これおかしいですよね。政策審議委員が国会の同意が必要なのに、そこをつかさどる議長がどうして同意されていない方ができるんですか。
 じゃ、大臣に確認します。いわゆる政治家として、いわゆる国会の権能等を御承知の額賀大臣に対して質問しますが、明らかに理事が議長になるのはおかしいと思いますが、どう思われますか。
#63
○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
 まず、条文の解釈の問題含みますので、条文の解釈をさせていただきます。
 まず、日銀法第二十二条第五項におきまして、理事は、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行うというふうに規定されております。
 また、その日銀法におきましては、政策委員会の委員としての職務に関するものを含めて特段の限定は付けていないということでございます。また、日銀法は、明確にその欠員と事故ですか、それを明確に区分して規定しております。
 以上でございます。
#64
○大久保勉君 運営に関してはやはり、じゃ、総裁の方に確認したいと思いますが、国会の同意によって選ばれた方とそうじゃない方がいた場合に、明らかに政策決定会合の議長という職は同意された人しかできないと私は思いますし、そうすべきだと思いますが、実務運用上、福井総裁はどう思われますか。
#65
○参考人(福井俊彦君) 私、過去を振り返ってみますと、今お示しになられておられます新日本銀行法制定のときの作業にいささかかかわらせていただいたわけですが、あのときの様々な議論を思い浮かべてみますと、総裁ないしは副総裁の任期が来たときに、次の候補者が選ばれて内閣が任命し、両院の同意を得ると。このプロセスが両院の同意が得られないとか内閣が任命しないというふうなケースはおよそ想定できないという前提で議論を進めたように記憶が誤りでなければ思っております。
 したがいまして、具体的に来年の春になって、私ないし副総裁の後任が期日までに国会の御承認が得られないというふうなケースは、今の段階においても私はおよそ想定できないという気持ちでおります。したがいまして、もしそうなった場合のことというのをにわかに聞かれましても、大変申し訳ないんですが、私の頭の中に今固まった物の考え方はございません。
#66
○大久保勉君 分かりました。
 想定できないと。私ども、想定できないことをきっちり想定して、いわゆる市場とか若しくは金融機関に、金融市場に影響をさせない、悪影響を及ぼさないのが使命でありますから、でしたら、もしそういった状況でしたら、この財政金融委員会で議論したらどうかなと思いますが、委員長、このことを含めて検討をお願いします。
#67
○委員長(峰崎直樹君) ただいまの提案の中身は、もう一度委員会で審議をしてくださいということでしょうか。
#68
○大久保勉君 はい。
#69
○委員長(峰崎直樹君) この点については、後刻また理事会で協議をしたいと思っております。
#70
○大久保勉君 要は、趣旨としましては、想定できないことに関しましてはいろいろ議論した方がいいと思うんですね。もちろん、これは仮定の仮定の仮定ですから、こういったことも含めまして、国会でも議論しておかないと、同意をしていない人が政策決定にかかわり議事進行を進めることはちょっと私は変じゃないかと思いますし、ちょっとそういうことを含めて考えた方がいいのかなということで、委員の皆さんに対する提案です。もちろん、こういったことが起きないことを望んでおります。
#71
○委員長(峰崎直樹君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#72
○委員長(峰崎直樹君) 速記を起こしてください。
 ただいまの大久保委員の意見に対して今少し理事間で協議いたしましたけれども、後日、六日の日だと思いますが、一応予定しております参考人質疑の場がございます。これは金融に関する質疑でございますので、そこで今のような問題について参考人からも意見を聴くということで対処したいと思います。そういうことで受け止めたいと思いますので、大久保委員、御了解ください。
 それでは、進めていきたいと思います。
#73
○大久保勉君 続きまして、サブプライムローン問題に関しましては、八月、欧州及びFEDにおきまして市中金融機関に対しまして約六十兆円に達する金融融資を行いました。これは、金融危機の連鎖を止めるということで非常にクイックかつ適切な決定じゃないかということを私は思います。
 まず、そこで、その際に、日本銀行首脳は欧米の中央銀行と十分な連携が取れていたのか、またバーナンキ連銀総裁やトリシエECB総裁など危機対応のホットラインが十分に機能していたのか、このことに関して当事者であります福井総裁に質問したいと思います。
#74
○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、経済のグローバル化が進みまして、クロスボーダーでの金融取引が飛躍的に拡大している状況の中にございましては、各国の中央銀行が適切な政策を実施する上で密接な連絡と非常に迅速な認識の共有ということが不可欠でございます。今般の国際金融市場の動揺に際しましても、この夏場のことでございますが、海外中央銀行との間では、私と各国中央銀行総裁という直接のルートも含め様々なレベルで連絡を取り合いまして、十分な意思の疎通を行ってきております。欧州とアメリカと日本はかなり時差がありまして、同時に話し合うと、この難しさはありますが、しかし同時に話し合ってこの問題を解決してきております。
 御指摘のように、そうした緊密な連絡の下ではございますが、欧米の中央銀行の場合には、短期金融市場に多額の流動性の供給を行いました。日本銀行はしていないのかというと、そうではありませんで、日本銀行も通常のオペレーションの範囲内で十分な流動性を市場に供給したところでございます。日本の短期金融市場は欧米に比べて安定的に推移している、幸いにもそういう状況にございます。
#75
○大久保勉君 この例は福井総裁が海外の中央銀行の総裁界においてどの程度評価されているか、本当に高い評価だと思います。特に、中央銀行総裁同士で何かあった場合に直接電話で会議するとか、非常に重要なんですね。
 実は、私は先日、スイス・バーゼルに行ってまいりました。BISがあるところです。そこの人間とか若しくはチューリヒの人間と話をしたり、ロンドンあるいは元連銀に勤務していた人間と話をしまして、いろいろ話をしましたところ、福井総裁の活躍に関しては非常に評価されておりますし、世界から非常に評価されているということを聞きまして、私どもはやはり福井総裁自身が立派で、やはり財産だと思います。ですから、そういう意味では、非常にきっちりやっていくためにどういうふうな形で総裁を決めていくか、これが重要だと思っております。
 そこで、一つ質問なんですが、二か月に一回バーゼルで会議があると聞いています。日曜日に行って、それから月曜日が会議でありますが、最初に日曜日の段階でいわゆるセントラルバンカーの、いわゆるG10の総裁だけの食事会があると聞いています。翌日は、事務局も含めまして午前中に議事をして、昼にランチオンミーティング、昼食を兼ねたミーティングが行われ、午後にもまた議論をすると、夜は全員で食事会をすると、こういう形で実際の議論をし、かつ中央銀行のバンカーとして親しくなっていくと、こういうことは非常に重要なことなんです。
 私も国際会議で経験がありますが、議長の最大の課題、鉄則といいますのは、特に英語で行われている場合は、インド人をいかに静めて、つまり話したい話したいという人をいかに静めて、日本人はなかなか発言しませんから何とか話をさせると、こういったことが非常に重要なんですよ。ですから、是非国際会議の場でも日本人が積極的に発言して、日本の主張はこうだと、やはり東京市場は世界でも競争力があると、競争力を上げるためには是非発言してほしいんですね。
 ということで、東京シティー構想というのがありますが、是非発想を変えましょう。つまり、日本橋とかいろんなところにビルを建ててここが金融センターというよりも、日本銀行の総裁、副総裁若しくは日本銀行の職員の質を高めることが一番の国際競争力です。また、金融庁の職員若しくは私どもが質を上げていくことが必要だと思っておりますから、私も一生懸命やりますから、是非こういうことをやっていきたいなと思っております。
 そこで、福井総裁に質問しますが、後任の総裁に関しましてはインターナショナルなコミュニケーションができる、それは言葉の意味もそうですが、同じ土俵で議論できると、バーナンキにしても、いろんな方もPhDを持っていたり金融の専門家とか、若しくは一言で何を意味するか分かるという、同じ土俵で会話できるということが必要だと思います。こういったことは福井総裁も経験されたことですから、是非、総裁若しくは副総裁としてどういう見識が必要か、具体的に聞きたいと思います。コメントをお願いします。
#76
○参考人(福井俊彦君) 私自身は、今委員から御指摘いただいたような高い資格をたくさん備えているわけではありませんので、大変気恥ずかしい思いでお答えせざるを得ないわけでありますが、現実の国際会議の場は、正におっしゃるとおり、こういうグローバル化の時代でございますので、お互いに前もって十分分かり合っていると、その上でいきなり問題に切り込んで、やっぱり議論をリードするということが絶対に必要な世の中になっていると思います。言葉のうまい下手を超えて、やっぱり広い見識ということが非常に大事になっていると、これは確かでございます。私はもう大変苦労しながら努力しておりますが、なかなか及ばないというのが現状でございます。
#77
○大久保勉君 見識というのは、やはり同じ土俵で議論できるための素養が必要ですよね。ですから、言葉は分かるんですが意味するところが分からないということでは困りますから、例えばサブプライム問題があったらどういう形で金融市場に波及するかと。じゃ、CDOとかアセットバックCPとか、勉強しても全く何のことか分からなかったら、それはそれで大変ですよね。もちろん、総裁がすべて分かるというよりもやはりチームとして、総裁、副総裁、こういった方のだれかがこの分野のプロ、この分野に関しては別の副総裁が担っていくと、こういう形でチームワークとして最強の中央銀行のマネジメントにしてもらいたいんです。これは要望なんです。
 まず、そのためにじゃどうしたらいいか、若しくはどうやって日本銀行を強化していくのか。これは国としても極めて重要な課題だと思っています。まず、じゃそのためには、日本銀行内の教育プログラム若しくはキャリアパス、こういったことを是非充実してほしいんですが、この辺り、是非福井総裁の御所見を聞きたいと思います。
#78
○参考人(福井俊彦君) おっしゃいましたとおり、中央銀行業務に必要な高度の専門性とそれから国際化に対応できる広い視野と、これを持った人材の育成ということが非常に肝要でございますので、様々な施策を日本銀行でも実施いたしております。国内での採用に当たりましては、もちろんそういう資格を持った人を十分吟味して採用するということでありますが、日本銀行では海外の採用も行っておりまして、そういう意味で多様な人材の確保に既に乗り出しているというところでございます。
 それから、各職場におきまして専門的な実務教育を行いますとともに、経済理論、それから英語は相当のレベルのものがやっぱり必要でございますので、このごろは中国語その他、英語だけでもう足りなくなってきております。語学を始めとする各種の研修、それから海外留学、国際機関への派遣というふうな形で教育システムを充実させているというところでございます。
 ただ、その上で、私はやっぱり私自身の経験と、現在一生懸命働いてくれております各職員の心根みたいなところを探ってみますと、教育システムを充実するだけでは不十分と、やっぱり各人が自己研さんをすると。もう自分は十分な能力を持っていると思った途端にその人は伸びなくなります。たゆまざる自己研さんの気持ちをいかに持ち続けるか、そういうモチベーションを職場の中にいかに植え付けるかというところが一番難しい点だというふうに思っております。
#79
○大久保勉君 非常に重要なことをおっしゃってもらいましたし、実際そのとおりです。やはり今日よりもあしたすばらしくなるという、こういったことも是非必要です。ここはフォワードルッキングだと思いますが。
 そこで、最後の質問だと思いますが、武藤副総裁にお尋ねしますが、武藤副総裁は財務省を統括されまして、非常に高い見識、特に財務省というのは国の予算並びにいわゆる国債の発行、金融も統括しておりますし、そういう意味では非常に重要な金融若しくは市場機能の一部も経験されていると思いますが、また日本銀行内でも非常に人望が高いと聞いておりますが、こういった観点から、どういうふうなことが日本銀行に必要か、また今後日本が国際的にリーダーシップを発揮するためにどういうことをした方がいいのか、御所見がございましたら聞きたいと思います。
#80
○参考人(武藤敏郎君) 国際金融の場で日本あるいは日本銀行のプレゼンスをどうやって高めていくかというのは非常に重要なことだと思います。今総裁からいろいろお話がありましたが、私も全くそのように考えております。
 私自身は、副総裁という立場でありますので、総裁を補佐するという立場でありますので、いろいろな国際会議あるいはロンドン、ニューヨークでの講演等々、できる限り日本銀行の考え方、政策を御理解いただくように努力をしているつもりでありますが、同時に、そういう国際的な情報あるいは国際的な物の考え方というものを日本国内、日本銀行の政策運営の中にどうやって生かしていくかということも大事なことだというふうに思っておりまして、ただ単に発信するばかりではなくて、日本銀行の中でそういうことをやっていくことが私は重要なことではないかと思います。
 その上で、日本銀行には重要な物価安定を目的とする金融政策というものを任されているわけでございますので、十分な情報の収集力と分析力と判断力といいますか、そういうものを、これは中で常に研さんしながら判断、誤りなき判断をするような、そういう努力が必要だというふうに考えております。
#81
○大久保勉君 最後なんですが、是非、外も重要なんですが、内も重要だと思うんですね。やはり地方経済、つまり東京だけが日本じゃありませんから、東京だけが発展して地方が廃れていると、やはりそういうことはいい状況じゃありませんから、地方に対する目というのも必要かなと、総裁、副総裁には持って、私の質問を終わりたいと思います。
 以上です。
#82
○川崎稔君 民主党・新緑風会・日本の川崎稔でございます。
 本年七月の選挙におきまして佐賀選挙区より初当選をさせていただき、本委員会の委員を拝命いたしました。本日が初めての質問となりますが、私が昭和五十九年から平成十六年初めまでの約二十年間勤務をさせていただきました日本銀行の半期報告に対する質疑の機会をいただき、大変光栄に存じます。委員長を始め理事、委員の先生方、日銀の福井総裁、役員の皆様方には御指導を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、私が当選をさせていただくまでの間、選挙区であります佐賀県内を回りました。本当に文字どおり福岡県との県境から長崎県の県境まで歩いたこともございます。そうした中で痛切に感じましたのは、地方に住んでおられる方々、そういった方々の日々の営み、こういったものについては東京などの大都市から見ているだけでは絶対に分からないと。先ほど大久保委員のお話にもありましたけれども、やはり霞が関やあるいは日本橋といったところではそういったことは実感できないということでありました。分かったつもりになっていても、実際に路地裏を歩いてみなければ問題の切実さをなかなか理解できないのではないか。今日は私自身のそういう思いを込めまして、生活とそれと地方、二つのキーワードから質問をさせていただければというふうに思っております。
 まずは、生活の方からでございますが、御承知のとおり、私たちはさきの選挙におきまして、生活が第一、政治は生活であるということでお訴えをし、多くの御支持をいただきました。そこで、まず生活という視点を切り口にして質問をさせていただきます。
 御承知のとおり、この八月以降、アメリカにおける信用度の低い借り手向けのいわゆるサブプライムローン、この不良債権問題に端を発しまして主要国の金融市場で流動性の不安が発生しました。FRB、ECBを始めとしまして各国の中央銀行が大規模な資金供給を行った結果、マーケットの方は次第に落ち着きを取り戻しつつあるようにも見えます。しかし、その震源地でありますアメリカの住宅部門の過剰投資が実体経済面あるいは金融面と二つの経路を通じて我が国の今後の経済活動にどういった影響を及ぼしていくのか、この辺りについてはなお予断を許さないという状況ではないかと思います。
 昨日、日銀が発表された経済・物価情勢の展望におきましても、そういった点を含めて経済の上振れ要因、下振れ要因を改めて確認されておられるのではないかというふうに理解をしております。確かに、マクロの基調判断、それはそういうことなんだろうというふうに思っているわけでございますが、生活という点で特に気になりますのは、原油価格とあるいはその影響といったところだと思います。
 十月に入りましてから原油価格が一段と上昇いたしました。昨日辺りもWTI九十四ドル台、一バレル当たり九十四ドル台ということで史上最高値を更新したようですが、その結果としてガソリンなどの石油製品の値上がりが大変目立っております。最近は身の回り品やあるいは生活必需品等値上がりする品目が増えているようにも思います。
 そうした中で、お手元にお配りしております資料、この一にお示ししておりますように、日銀の生活意識に関するアンケート調査、これでも、物価に対する実感といたしまして、物価が上がったあるいはやや上がったといった回答がこのところ調査を追うごとに増えているようであります。しかしながら、先ほど大久保委員からの質問にもありましたように、このところの消費者物価指数、CPIというのは、ゼロ近傍というよりはむしろ若干のマイナスが続いているわけであります。このように、物価面に関して経済統計の動きと生活実感と異なっているようにも思います。
 こうした状況について、経済全体の基本的な見解も含めまして総裁の見方を伺いたいと思います。
#83
○参考人(福井俊彦君) ただいま委員から正しく御指摘がありましたとおり、日本経済の今の回復、拡大の過程というのは、大変厳しいグローバル競争の矛先が日本経済の隅々にまで突き刺さるというふうな状況、これをすべての方々の努力によって克服しながら更に前に進むと、こういう前進の仕方になっています。昔の高度成長の時代の景気の回復、拡大とはそこが本質的に違う。
 したがいまして、時にはその地域によって景況感に非常に差が出てくる、あるいはビジネス、あるいはマーケットでの果敢なるプレーヤーと実際の日常生活にいそしんでおられる庶民の方々との間の実感にも非常に開きが生ずる、こういう特徴を伴いながら、しかし経済全体としてはすべての人々のやはり日常の努力の積み重ねの結果として経済は更に前進すると、こういう姿になっていると思います。日本銀行の仕事は、そうした方々の努力の、縁の下から支える、縁の下の力持ちみたいな仕事が我々の仕事でございます。
 それで、物価の面について特に厳しい今御指摘があったわけでございますが、御指摘の生活意識に関するアンケート調査、これは我々、企業を対象とするいわゆる短観ではなくて、本当に町の中で生活しておられる方々に対する意識調査でございます。経済がどうなっていますかというふうなこと、あるいは物価がどうなっていますか、日本銀行のやっていることはちゃんとお分かりいただいていますかというふうなことを聞いているアンケート調査なんですが、一番最近時点の調査のお答えは、経済は何となく少し悪くなっているんじゃないかというお答えでございました。これはもう直観的なものなんですね。そのほかの項目をいろいろ見ますと、景気が悪くなっているというふうな感じでなくて身の回りの物価が上がっていると、この感覚と、経済がどこか悪くなっているんじゃないかという感覚がどこかで結び付いているような感じに我々は解釈をいたしました。
 実際、最近、いわゆる生活者が毎日買物をなさるというレベルで考えた場合に、食料品を始め身の回り品の価格上昇が目立ってきている、これが、現在そうだというだけでなくて、先々も更に上がるんじゃないかという感覚に少しずつ結び付いていっていると、そういうことを我々は率直に受け止めております。
 一方、私ども、それからいわゆる市場関係者、エコノミストと言われるプロの方々は、消費者物価指数を分解し分解し、更に分解し、これ以上分解できないところまで細かく分解して、なぜ物価が上がらないかと、こういうことを一生懸命考えているわけで、本当に物価は前年比マイナス〇・一%といって微動だもしないような感じで来ている。我々はこの先少しずつこれは上がっていくというふうに見ておりますが、やはり物価指数の動きと生活実感との間に少なくとも現在ただいまの時点においてはギャップが生じ、かつギャップが少しずつ開きつつあるというふうな感じじゃないかと思っています。
 我々は、経済統計に対する不信感は一切持っておりません。これは正確な統計なんで、現在の物価情勢を客観的に見ればこういうことだと。しかし、これを踏まえて先々の経済を見ながら金融政策を運営していくという場合に、人々が先々の物価観をどう持っておられるかということは、十分これは念頭に置かなければ正しい金融政策の判断はできません。
 そういう意味で、これらを合わせ技として正確な判断をしながら先々に持っていきたい。先々に行って、ますます人々の物価観が上がって、いよいよこれは心配だというふうなことにならないように、これは我々が責任を持って対処していかなきゃいけないと。フォワードルッキングという言葉がどうも分かりにくいと評判が悪くて我々も困っているんですけれども、言わばそういうことをフォワードルッキングという言葉で表現しながら我々努力をさせていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
#84
○川崎稔君 総裁は今の御答弁の中で、統計の信頼性、これについてはいささかも疑念を持っておられないというお話でございました。確かにCPI、一つの判断材料という位置付けで考えれば一つの数字にすぎないということでもありますけれども、資料にもお出ししました日本銀行で実施しておられるこの生活意識に関するアンケート調査、これ、私の記憶が間違っていなければ、総裁がかつて副総裁でいらっしゃったころに生活短観ということで肝いりでスタートされた調査ではないかというふうに思っておるんですが、非常に実は私もいろんな結果を見ていて、そして実際の国民の皆さんとお話をしていて、非常に実感に合っているんですね。
 そういう意味では、この調査というのをもう少し重視なさってもいいんじゃないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。
#85
○参考人(福井俊彦君) 何年前になりますでしょうか、今御指摘いただきましたとおり、日本銀行は企業ばかり見ていて本当に正確な判断ができるんだろうかと。短観というのは長い歴史を持って充実したアンケート調査統計になっていまして、これは様々な情報を、先を読む場合にも役に立つような情報を得られる統計にかなり仕上がっているんですけれども。
 実は、この生活者意識アンケート調査という発想を思い浮かべましたのは、その前に日本銀行の中の一つの部局を情報サービス局という名前に変えて、サービスという片仮名の名前を日本銀行の局に付けるということには非常に抵抗感があったんですけれども、もう時代はそうではないんじゃないかと。金融業というのはいわゆるサービス産業に変わってきているんであって、日本銀行はその上に立ってと申しますか、その後ろで仕事をしていくというのであれば、まあ情報産業の親玉みたいなものだから、やっぱり人々にサービスをする、いかに良質のサービスをするかということを日本銀行のフィロソフィーの中心に据えたいという趣があって局もつくったわけですが、その局の中の一つの仕事として、企業ではなくて、本当に町の中で日々経済活動をしている生活者を相手にきちんと意識を吸収して、それにも皮膚感覚の合った金融政策をやっていくと、そういう試みで始めたものでございます。
 なかなかこれは難しい調査でございまして、ここから正確な情報を読み取るということはなかなか我々はいつも苦労しておりますが、皮膚感覚としてはだんだん正確なものが我々に伝わるようになってきていると、もう数年掛かってそういうふうになってまいりました。これはもっと充実していかなきゃいけないと、おっしゃるとおりでございます。
#86
○川崎稔君 ありがとうございます。
 先ほどの総裁のお話の中で気になりますのはCPI、この数字とこの生活意識調査の結果、ギャップが開いていっているように思うとおっしゃったんですが、これは実は結構重要なことじゃないかと思っておりまして、先ほどの大久保委員のお話にもありますように、金融政策を考えていく上でこのギャップが開いていっているというのは決して好ましいことではないんではないかというふうに思っておりますので、この辺りのCPIの問題、これからも考えていきたいというふうに思っております。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。もう一つは、地方という視点からの問題であります。
 今回の参議院選で、私の選挙区である佐賀県を始めとしまして、いわゆる一人区と呼ばれる選挙区での結果が全体の結果を左右したわけでありますが、一部報道ではこれを地方の反乱というふうに言われております。こうした背景には、やはり経済面におきます都市部と地方との間の格差、これは小泉政権以降かなり拡大したんではないかといったことも影響しているんではないかと思うんですが、総裁は経済財政諮問会議のメンバーでいらっしゃるわけですが、例えば雇用統計辺りを見ますと、有効求人倍率であるとか失業率といったこういった数字を見ると、やはり格差、これ非常に分かりやすく出ていると思います。
 そういう意味で、この五年ないし十年とやや長い目でごらんになって、その地域間の格差、この点についてどう見ておられるでしょうか。
#87
○参考人(福井俊彦君) 先ほども申し上げましたとおり、今回の景気の回復、拡大局面というのは、やはりグローバル競争にいかに打ち勝つかという基本的なテーマ、これを東京あるいはその他の中央都市だけではなくて各地域に至るまで、直接、間接、直面しながら課題を克服して前進すると、こういう過程であります。したがいまして、課題の克服の仕方あるいはその容易さの程度の差によって、結果として出てくる経済のパフォーマンスにばらつきが出ていると、そういう状況だろうというふうに思います。
 ただ、申し上げられますことは、日本経済全体として締めくくった場合に比較的いいリズムで前向きの循環を続ける状況が実現してきていると。これは中央、地方、多くの国民の皆様の前向きの努力のたまものがマクロとしてはそういうふうに集結しているということでありまして、このリズムを続けていけば、地方においてもやはり景気はそれなりの順調な拡大は保てるということも徐々に検証されてきていることでございます。
 ただ、開きというものをどう考えるかと、これは最後まで残るテーマだと私は経済財政諮問会議でも率直に申し上げています。これは、各地域ごとに、過去の高度成長のときと同じように、他地域と同じような姿形の経済をつくるというイメージを持っている限り、新しい価値観を伴った特色のある地域というのはなかなか生まれにくい。やはり真に郷土を愛するならば、その中で伝統的な、文化的な価値観も含め、将来へ向かって更にそれを伸ばしていけるような、人々が魅力を感じるような、場合によっては外国の人も魅力を感じるような一つの拠点づくりということを、これは一つの知識創造の過程だと思いますが、そういう新しい経済の振興の仕方というものがもう少し芽生えてきてくれればいいなと。そうしましたら、私どもの縁の下の力持ちの作業も、何といいますか、この上にいろいろ心配事があるんだということが少し軽くなって荷物が持たせていただけるんじゃないかなという気がいたしております。
 実は私ども、本支店を通じてミクロの情報をきちんといただいておりますほかに、商工会議所の方々とも緊密な話をしていまして、商工会議所はやっぱり地方の隅々の経済の実態を非常に正しく把握しておられます。我々の気付かないことをたくさん御指摘いただいておりますし、逆に我々が今のような書生っぽいことを申し上げましても、実はこういう動きがあるんだということを、やっぱり新しい動きの萌芽みたいなものは出始めているというふうにも感じておりますので、将来に対して決して希望のない話ではないというふうに私は思っております。
#88
○川崎稔君 今、総裁のお話の中で、例えばマクロとして前向きな循環が出ていると、ミクロの情報としても非常に新しい動き、萌芽が見られるというお話であったわけですが、足下の経済情勢ということを考えますと、いわゆる数字の面でいいますと、お手元の資料の項番の2でございますけれども、差し当たり、大都市部、地方という分類がないので、短観の中で企業規模別の数字から推測したいと思います。
 九月短観の全産業ベースの業況判断DIをお付けしていますが、これを見ますと、大企業の業況判断DI、これは上の段の右側にありますけれども、三月が二三、六月が二二、そして九月が二一と、大体おおむね横ばい圏内と。これに対しまして中小企業の方ですが、下の右側にありますように、三月がプラス・マイナス・ゼロ、六月がマイナス二、そして九月がマイナス五と、徐々に悪化してきております。
 正に大企業中心の景気の緩やかな拡大と言えるわけですが、この短観の調査先を見ますと、大企業二千四百五十九社のうち三分の二が東京、大阪、名古屋、いわゆる大都市圏に集中をしております。一方、中小企業五千三百九十九社、逆にこの三分の二が東京、大阪、名古屋以外の地方に占められていると。そういう意味で、中小企業の割合が高い地方、こういったところでは緩やかな拡大という基調判断が当たらないんではないかと。ここに来てむしろ地域間の格差というのは拡大しているのではないかというふうにもうかがわれるわけですが、この点について日銀としての見解、いかがでしょうか。
#89
○参考人(福井俊彦君) 御指摘のとおりだと思っています。そういう事実は率直に受け止めております。
 やはり大企業の場合には、今どんどん急速度に拡大している海外のマーケットの中に事業の積極展開をして高い収益も上げていくと、そういう企業が増えてきているわけであります。中小企業の場合にも、同じようなことあるいはそれに近い立場で仕事をしておられる方々の業績は非常に順調でございます。そこから距離が遠ざかれば遠ざかるほど業績の上げ方が難しくなっています。
 それは国内のマーケットがもはや人口が増えない、むしろこの先人口が減っていく、つまりマーケットとして、少なくとも頭数で見る限りマーケットは縮小していく、そういうマーケットでありますので、そういう一方で大きく拡大する海外のマーケット、拡大しにくい国内のマーケットと、このマーケット構造というものが企業の実績に比較的素直に反映しがちになってきているということだと思います。
 加えまして、海外で原油価格が上がるあるいはその他の一次産品市況が上がると、これは企業にとりましてはエネルギー・原材料コストでありますが、これが上がっていくと。そうしますと、収益が上げにくい上にコストをどうやってこなしていくかという場合に、この場合でもまた国際競争、厳しい国際競争との関係を考えますと、安易に自分の製品価格の値上げができないというもう一つの条件が加わってきておりまして、したがって、どうしても大企業に比べれば少ない収益を更に食い込んで次の事業につなげていくという展開になっていると、そうしたことがこの景況感の差となって現れているということだと思います。
 やはりこれは次に備えて、中小企業自身もこういった現実に対処するためにいかにビジネスの構造を変えていくかという工夫が必要ですし、地域全体としての新しい産業興しということも大事だと思いますし、最終的には、やはり政府の方の政策におきまして、格差の問題については最小限のコストで必要なセーフティーネットというふうな議論に最終的には結び付くものだろうというふうに思います。しかし、その前に、日本はやはりグローバル競争に大企業も中小企業ももっともっと立ち向かっていける余地が非常に広いというふうに我々は思っております。
#90
○川崎稔君 今お話にございましたことを逆に言うと、生活実感として考えた場合といったことで見ますと、資料の3に景況感、先ほどの生活意識に関するアンケート調査の景況感、グラフをそのまま記載させていただいておりますが、やはり実際に生活者の実感では、ここに来て急速に景況感の悪化という形で数字が出ているわけですね。やはりいろんな意味で、決して格差の問題というだけではなくて、地方、本当に日本の中で多くの方が地方に住んでおられるわけですが、その実感というのはむしろこちらに近いんではないかというふうに思っておりますので、この点については引き続き十分なウオッチをお願いしたいというふうに思っております。
 そういう今申し上げた生活あるいは地方といった視点から見まして、日銀の運営といった点について若干御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 生活あるいは地方という視点から日銀の運営を考えました場合、日銀には、東京の本店だけではなくて地方には三十二か店支店がございますし、十二の事務所もあると。非常にネットワークをお持ちで重要な役割というのを担っておられると思うんですが、今、日銀の運営を考えていく上で、本支店、体制として、例えば職員の皆さんの数というのはどのようになっておりますでしょうか。
#91
○参考人(山口廣秀君) お答えいたします。
 私どものまず職員数でありますが、今年の三月末時点ということで申し上げますと、約五千人でございます。それから、その本支店別の内訳ということでありますと、本店で二千八百人、支店等で二千二百人という内訳でございます。最近の職員数の変化ということでちょっと過去を見てみますと、平成の十年度末以降で全体としては六百四十人程度減少しております。その内訳は、先生御指摘のとおりでありまして、本店で五十人の減少、実は支店等では五百九十人の減少ということになっておりまして、支店の人員の減少が非常に大幅であると、このような状況であります。
 実際、なぜこのような大幅な支店人員の減少が起きたかということでございますが、これは私ども、相当システム化等を図りまして合理化を行ってきた結果ということでございますが、業務的に申し上げますと、銀行券の供給ですとかあるいは国庫金の受け払い、こういった言わば現業的な分野につきましてかなりシステム化の努力を図ってまいりました。その結果がこうした人員の削減に結び付いたということでございます。
 ただし、支店全体の業務運営という観点に立ちますと、業務の適切な遂行という点では必要な人員は一応確保し得ていると、このように存じております。
#92
○川崎稔君 ありがとうございます。
 実は、平成十七年度にスタートをされました中期経営戦略、これを拝見いたしますと、地域に根差した中央銀行サービスの充実ということで掲げておられまして、実はこれ、毎年策定されておられる業務方針の中でほとんど内容が変わっておりません。
 そういう中で、支店の人員は大きく減少しているわけですが、地域経済に対して日銀として、こういった支店がスリム化していく中で、引き続き積極的な役割を果たしていけるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
#93
○参考人(山口廣秀君) お答えいたします。
 御承知のとおり、私ども全国に三十二の支店、それから十二の事務所、こういったネットワークを持っておりまして、これらを有効に活用しながら銀行券の円滑な供給ですとかあるいは決済サービスの提供、それから先ほども申し上げましたけれども、国庫金の受け払い、こういったようなことをやっておりまして、私どもとしては地域の実情に応じました中央銀行サービスを提供し得ていると、このように思っております。更に加えて言いますと、こうしたサービスについては、仮に地域におきまして災害等が起きた場合であっても、私どもの業務の遂行に支障がないように業務を継続できるような、そうした体制を確保していると、このようなことでございます。
 それから、直接的には先生の御質問にお答えになる部分ということになろうかと思いますが、地域の経済情勢を的確に調査分析するということは、これは当然でございまして、それを前提にいたしまして私ども政策運営を行っているということでございますが、こうした地域の経済情勢の分析ということにつきましては、年に四回、さくらレポートというのを出してこれを公表しております。それから、こうした私どもの情報発信と情報の収集に加えまして、逆に地域に対しましては日本銀行の政策運営ですとかあるいは日本経済等に関する情報を積極的に還元すると、このようなこともやっております。
 さらに、私ども銀行でありますので、地域の金融機関との間ということでありますと、当然のことながら、日常茶飯事ということでございますが、通常いつも意見交換を行っておりますし、最近では、私どもの金融機構局という部署がありますが、そこで金融高度化のためのセミナーを開催しております。
 こうしたことによりまして地域金融の機能向上に向けた取組を推進していくと、このようなこともやっておるということでございます。
#94
○川崎稔君 ありがとうございます。
 時間が余りございませんので、私から最後に要望ということで申し上げたいと思うんですが、いずれにしましても、福井総裁ないしその後任となられます総裁には、いわゆるグローカル、グローバルだけではなくてローカルもということで、生活あるいは地方というものをしっかりとウオッチしていただきまして、格差がこれ以上拡大することがないようにということで、恐らく金融政策という観点からは格差ということへの対応というのはなじみにくいわけですが、積極的に地域経済に対しまして知恵を出していただければということで、私からの要望をもちまして私の質問を終わらせていただきます。
#95
○森田高君 民主党・新緑風会・日本の森田高でございます。
 本年七月の参議院選挙において富山県選挙区より初当選さしていただき、その後、財政金融委員としての任をいただきました。本日が、先ほどの川崎議員同様、議員としての初めての質問となります。
 最初に、我が国の財政状況は先進諸外国と比較しても大変厳しい状況にあるものと認識しておりますが、一方で、社会保障制度や雇用制度など国民生活における最終ラインのセーフティーネットもまた非常に脆弱な状態となってきております。自身も医師として働いてまいりました十五年間において感じざるを得ない医療を始めとした社会保障制度の問題点、これを一つ一つ解きほぐしてまいりたいという思いで今回の戦いを走り抜いてまいりました。
 私は、諸外国、特に欧州における近年の取組を見ましても、財政再建、経済成長と社会保障制度の充実は相反するものではなく、両立可能な政策目標であると考えております。また、我が国の社会保障給付は、団塊世代が本格的な医療や介護を必要とする二〇二〇年代に向け更に増大していくものと考えられています。私は、市場の機能を生かして経済の活性化を図ると同時に、脆弱化した社会保障制度を立て直すためにも、単なる小さな政府、市場原理主義ではなく、あるいは持続不可能な福祉国家でもなく、それらを両立した第三の道を模索するためにも、諸外国における様々な成功と失敗の歴史を謙虚に学ぶ必要があると思います。
 財政金融分野においては、自身にとっても未知の領域も多くまだまだ行き届かぬ点も多々ございますが、委員長を始め各理事、先生方、そして各省大臣、日銀総裁各位におかれましては、何とぞ御指導、御鞭撻いただけますようよろしくお願い申し上げます。
 まずは日銀関連から質問さしてもらいます。
 本年十月、郵政民営化が実行されたことによりましてゆうちょ銀行という世界最大の金融機関が誕生したことは改めて申し上げるまでもございません。その一方で、イオン銀行のような商業施設と一体化した年中無休、長時間の営業を行うこれまでにない形態の銀行が営業を開始するなど、金融界には新たな動きが出てきております。
 我が国の金融システム、決済システムの安定に関しても主要な業務としている日本銀行として、金融機関の安定性維持のため、イオン銀行に代表される新たなる金融機関へと期待する機能や地域系金融機関との望まれる関係についてどのような視点をお持ちか、日銀総裁の御見解をいただきたいと思います。
#96
○参考人(福井俊彦君) 私は前から申し上げておりますことは、金融という仕事は、床の間を背にして偉そうな顔してする仕事じゃもうなくなったと、正に金融サービス業であり、個々のお客様に対して必要な金融ニーズを寸分たがわず、なるべく低いコストで提供していくというのは本来の使命だということを申し続けてきております。
 そういう意味で、新しいタイプのいろいろな金融機関が現れて真に必要な金融ニーズを満たしていくということは、結果的には日本経済全体として資源の再配分機能がより有効に働き、人口が減っていくこの経済にあってもより活力の満ちた経済をつくっていける、金融政策の効果もより強く発揮させていくことができると、そういうことにつながるものではないかというふうに思っています。
 イオン銀行の例をお挙げになりましたけれども、イオン銀行、これからどういうふうな銀行に本当に育っていかれるか、我々も注目して見ていきたいと思っておりますが、より一般化して、例えば商業施設と一体化して営業を行う銀行という、こういうビジネスモデルを考えたときに、普通の銀行とどこが違うんだと。
 普通の銀行の場合には、何とかという企業がお取引先でございます、あるいは何とかという個人は大口預金を持っておられるとか、いろいろなローンを有効に使っておられるお客様だというふうに、言ってみれば継続的な取引の対象となるある属性を持ったお客トータルに対してサービスを提供するというビジネスモデルになっていると思いますが、商業施設の中にある金融機関というのは、恐らくそこの施設、例えばATMであろうと商業施設の中にある店舗であろうと、そこに現れるお客様というのは、普通の主婦の方であったり、あるいは国会議員の先生であったり、あるいは銀行員であったり、そういうことには関係ないんですね。その場に来られて、国会議員の先生であれ主婦の方であれ、この銀行に対して必要な金融取引がこれでございますと、金融取引によって決まってくるわけですね。そういう意味では、金融サービスの提供の仕方ががらっと変わっていくはずだと思います。したがって、競合するとかしないとかという問題ではなくて、違った角度からの金融サービスへのアプローチということになるんじゃないか。
 そういう意味で私は、いろんなタイプの金融機関がこの日本という金融市場の舞台に展開していく、非常に好ましい一種の付加価値創出のプロセスにつながっていくというふうに期待を申し上げているということであります。
#97
○森田高君 ありがとうございます。
 一方で、ゆうちょ銀行誕生により、多くの地域の金融機関からは民業圧迫の懸念の声も上がっております。よく例えられる例えで、たらいの中に小魚が泳いでいたら大きなナマズがどぼんと入ってきて、これでは共生もあったものではないという声も一部の金融機関からは聞かれてまいります。
 地域金融機関とゆうちょ銀行の関係、共生の望むべき姿に関しても同様に御指導いただきたいと思っております。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
#98
○参考人(福井俊彦君) これはまた、商業施設の中の新しい金融機関というものとは違った意味で非常に難しい問題だというふうに思っています。
 旧来の、郵便貯金というんでしょうか、旧来の郵便局で行われていた金融業務というのは貸出し業務を持っていないと、貯金という形で預金は大量に集めていると、こういう金融機関なわけでして、これから民営化されまして一体どういう姿形のビジネスモデルをつくっていくのかという、そういう意味ではゼロから出発している金融機関と。ずうたいは大きいけれども、本質はゼロ出発の金融機関だというふうに思っています。したがって、先ほども大久保委員から御質問ありましたけれども、今まではお金を集めて専ら国債等の有価証券に運用していると、したがって信用リスクはないけど金利リスクだけがあるという、偏ったリスクがあるという、こういう言わば普通の金融機関では考えられないリスク構造を持ってスタートしているとも言えます。
 これがだから民間の金融機関にとっていきなり脅威かどうかということなんですが、それは、まずそういうゼロ出発の金融機関であり、新規業務の是非は民営化委員会の審議及び監督官庁の認可等を経ながらこれから徐々に形成されていくと。まず大事なのは、やっぱり商業施設の金融機関じゃないんですけれども、新ゆうちょ銀行自身がこれからこの日本の経済社会の中で自分たちのビジネスモデルをどういうふうに組み替えれば本当に従来の金融機関とはまた一味も二味も違う新しい金融サービスを提供していけるかという、そこから始めなきゃいけないんじゃないでしょうか。そうでなければ、この民営化委員会において議論するといっても、民営化委員会がゆうちょ銀行のために新しいビジネスモデルを提供してさしあげるというわけには多分いかないと思います。民営化委員会がなるほどと感じるような新しいビジネスモデルを出していく責任はやっぱり新ゆうちょ銀行にあると。競合するかどうかというのは、その後の問題じゃないかというふうに思っています。
#99
○森田高君 ありがとうございます。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 現在、地域力再生機構というものが設立に向け準備中というふうに言われております。多くの債務を抱えた地方の中小企業や第三セクターなどがその対象であるとされていますが、反面、やはり地域系の金融機関からは債権放棄など、銀行経営に直結する新たな問題の発生も不安視されています。
 地域力再生機構と金融機関の望まれる関係、どのような方向性で運営されるべきか、やはり同様に日銀総裁の御見解をいただきたいと思っております。
#100
○参考人(福井俊彦君) 先ほどから申し上げておりますことは、地域の隅々に至るまで直接間接、厳しい国際競争に打ち勝つという課題を克服していく過程そのものでございますというふうに申し上げました。
 つまり、個々の企業のレベルで言えば新陳代謝、たゆまなき大変厳しいプロセスが既に始まっているということだと思います。したがいまして、昨日までよかったビジネスモデルが今日以降は通じないというぐらいの感覚で、常にこのビジネスのモデルを変えながら進んでいかなけりゃいけないと。したがって、事業再生というのを必ずしも後ろ向きの概念にとらえることなく、常に換骨奪胎、前向きに進むためのプロセスという意識でこれを考えていかなけりゃいけないわけでございますが、これまでの過程で地域の金融機関それぞれの状況を拝見しておりますと、個々の地域の金融機関におかれましても、今私が申し上げましたような認識におおむね立っていわゆる企業再生のノウハウの蓄積がある程度進んできていると思います。
 したがって、新しい地域力再生機構の力を必ずしもかりなくても、地域金融機関の持っているノウハウと新しい知恵で企業に対してそういうソリューションを提供していける力がだんだん備わってきていると思いますが、しかし、やっぱり同時に、限界も非常に大きいというふうに思います。問題によりましては、やはり再生企業のデューデリジェンスとか再生に当たる人材の選定などの面でやはり限界がある可能性があると思います。
 そういった点を考えますと、必要に応じて地域金融機関とこれから活動を開始される新しい地域力再生機構とがうまく連携して知恵の相乗作用を出していただければというふうに思うわけでございます。なるべく地元の、何といいますか、知識と努力が優先されるという形がやっぱり私は望ましいんだろうというふうに思っております。
#101
○森田高君 ありがとうございます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 昨今、独立法人改革、独立行政法人改革の一環として、印刷局、造幣局の民営化問題が取り上げられています。紙幣の歴史は偽造との戦いの歴史でもあり、最近の北朝鮮製と言われる偽造米ドル札スーパーKのように国や大規模な組織が関与したと思われるものを含め、偽造の事例には枚挙にいとまがありません。
 一方で、我が国の紙幣製造技術は、精巧な偽造にも耐え得るように、外国では採用されていない高い精度を持ち、有事や国家的な規模での偽造や不測の事態にも対抗できるある種国防的な位置付けをされてきたと言われております。また、我が国においては、明治以来、その製造技術は国立印刷局に受け継がれ、職員が公務員としての罰則を伴う守秘義務を退職後も含めて終身課せられることにより、素材、技法を含めた機密を世界最高レベルで守ってきた経緯がございます。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
 確かに、財務状態だけを取ってみれば印刷局や造幣局は自立可能な状態にある独法であるということは理解できます。しかし、一方で、品質の維持向上やその機密性の保持の観点から、またアメリカ合衆国を始めとして多くの先進国においても、銀行券あるいは貨幣ともに基軸通貨の製造は国防と並び国家として責任を持つべき事業として継続されている、それはすなわち通貨としての信頼性を保つための政策であるとも考えられているわけでございます。
 単に独法化は効率化、民営化の視点だけではなくて通貨の信頼という観点からも今後の慎重な議論を望んでまいりたいと思う次第でございますが、この問題に関しまして、日銀券発行のクライアントという立場で日銀総裁の御意見をお聞かせいただければ幸いでございます。
#102
○参考人(福井俊彦君) 海外に参りましていろんな議論をしているというのは大久保委員から御指摘いただいたところなんですが、最近夏場以降のこの混乱の中でも、例えば金融機関に対するモニタリングの機能とか、それから市場に対して流動性を市場の状況に合った供給の仕方をタイムリーにやるというふうなことで、我々の持っているノウハウについて実は一段と自信を深めているという状況なんですけれども。
 それよりも何よりも、一番自慢できるのはお札ですね、日本銀行券。この偽造の発生率というのは格段に低いんです。もう米国、欧州に比べて問題にならないぐらい低いと。更に偽造の発生率が下がっているという、下がり続けているという状況で、やはり高い偽造防止技術というものは非常に大事でございます。かつ、この技術のレベルが高いということだけが大事なんではなくて、機密情報の保護という点でやっぱり万全の体制がなければいけない。この情報が漏れるとどんなに高度な銀行券でもすぐ偽物ができてしまいます、技術がまねされますと。したがって、高い技術ということと機密情報の保護に対する万全の体制と、これが非常に大事でございます。
 かつまた、銀行券の製造というのはなかなか難しくて、ある程度日本銀行で在庫を持っていなければいけませんが、過剰な在庫を持つわけにもいかない。結構、銀行券というのは季節的に振れが大きかったりいろいろ経済情勢の変動によって銀行券の需要が増えたり減ったり波が大きいわけでございます。それをある程度予見しながらやはり私どもとしては印刷局に向かってお願いをして、かなり弾力的な製造体制というのをしいていただいているというところもございます。
 国立印刷局を含めた独立行政法人の整理合理化の方針については、関係省庁からの意見も踏まえて行政改革推進本部などで議論が行われているというふうに私どもも理解しておりまして、是非きちんとした議論をしてほしいと。特に、今私が申し上げましたような点は、銀行券のこれからの運命を決めていく決定的なポイントですので、ここは絶対に逃さないでしっかり握った議論をしていただきたいというふうに思っております。
#103
○森田高君 ありがとうございます。
 私もやはり技術力、そして機密性の保持、そしてそれが何よりも長期にわたって維持されること、やっぱりそれが非常に重要であると認識しておりますので、是非今後とも慎重な御議論をいただきたいと思っている次第でございます。
 同じ点に関しまして、所管大臣の財務大臣から御意見いただきたいと思います。
#104
○国務大臣(額賀福志郎君) 今、森田委員それから日銀総裁からもお話がありましたように、私どもも国立印刷局、造幣局につきまして、この独立行政法人の整理合理化計画案につきまして、政府に提案をいたしまして、今、行革推進本部で最終的な詰め、議論がなされているというふうに聞いておりますけれども、最も大事なことは、やっぱり通貨は経済活動の基盤でもありますし、きちっと製造を安定的にしていかなければならないということ、それから、先ほど来お話がありますように偽造防止をしていかなければならないということ、グローバル化していく中で、これは経済の安定とか世界の秩序をきちっとしていくためにも当然必要なことでございますから、私どももそういう視点に立ってこれを進めていかなければならないと。アメリカにおいても、今言ったような観点から紙幣、貨幣とも国で造っているわけでございまして、日本でも従来の延長線上で国家公務員型の独立行政法人型でやっていくことが望ましいのではないか。そういう方向で議論がなされているというふうに、是非したいと思っております。
 もちろん一方で、やっぱり我々は、合理化、それから無駄を省く、そういう作業もしていかなければなりません。これは独立行政法人全体がそういう形でスリム化していくことが大事だと思っておりますので、我々もそれは印刷局においてもしっかりとそういう形でできるものはきっちりと整理していきたいというふうに思っております。
#105
○森田高君 総裁、大臣から大変通貨の信頼性について力強いお言葉をいただきまして、私も感謝しております。
 続きまして、社会保障関連財政政策に関して議題を進めたいと思います。
 我が国の社会保障費用、とりわけ医療費については長期間の抑制政策が行われてきていることが知られておりまして、全般に添付資料一のように医療費の対GDP比は先進国で最低水準へと至っており、高齢化進展への対応も不十分であると様々な国から指摘されています。
 今日、深刻な社会問題となりました産婦人科や小児科、麻酔科などの医師不足や、それに連なる地域医療の崩壊に関して様々な原因が指摘されておりますが、本質的には医療費抑制政策の結果でないかと考えられています。特に、昨年決まりました骨太の方針二〇〇六の中で示された更なる社会保障費用の削減目標などは、医療機関と患者さんの努力と忍耐の限界をはるかに超えた、言わば現場と国民の命を削る政策ではないかとも言われています。
 一九八〇年代に端を発した医学部の定数削減であり、あるいは近年まで継続されている診療報酬削減を含めました先進国において最も過酷と言われる医療費削減政策、抑制政策の継続の是非に関して、率直に財務大臣はどのようにお考えか、御意見をお聞かせいただきたいと思っております。
#106
○国務大臣(額賀福志郎君) 今我々が一番考えていかなければならないことは、この医療費を含めて社会保障費を今後どういうふうに安定した形で制度を維持していくかということであろうと思っております。そういう中で、医療費も今は大体二十八兆円ぐらいですが、二〇二五年には四十八兆円ぐらい掛かると、自己負担を除いてですね。毎年一兆円ぐらいずつ増えていくというのが予測されております。
 じゃ、そういう負担をどういうふうにしていくのか、あるいはサービスをどうしていくのか、これが政治の分野できっちりと答えを出していかなければならないというふうに思っております。サービスを維持していくためには、やっぱりそれなりに負担も上げていかなければならないし、負担を下げていくならば、それはサービス給付も下げていかなければならない、しかし必要なものはきちっとしていかなければならないということでございます。
 国民負担は、恐らく税と社会保険料で、日本はGDP比三七%前後であろうと思います。先進国の中では低い方でございます。今、先生、医療費、総合医療費は低いとおっしゃっておりますけれども、その負担もそれだけ低いわけです。だから、サービスを向上させていくためには当然この負担をどうしていくかということを考えなければならない。これは、先生も医療の専門家でございますからお互いに──あっ、国民所得比ですね、先ほどのは国民所得比のお話であります。我々は、これ共通の課題でございますから、お互いに知恵を絞っていい形をつくっていくことが大事だと。
 参議院は、民主党を始め皆さん方が多数を持っておって責任を持たなければならない、我々も衆議院でそういう形でありますから、お互いに国民の安心できるそういう給付と負担の問題をしっかりと議論をして形をつくっていきたいというふうに思います。
#107
○森田高君 ありがとうございます。
 これら社会保険財政の将来像を考えるときには、やはり最も重要なのは明確なビジョンとそして信頼できるバックデータだと私は思うんです。そういった意味では、今回当委員会において小委員会が設置されるということが検討されておりますので、これは大変喜ばしいことかなというふうには思っております。
 一方で、資料二でお示ししましたように、英国においての取組を見ていただきたいと思います。
 サッチャー、メージャーと続きました保守党政権から、今から約十年前に労働党政権、ブレア政権に政権交代したわけでございますが、そこで大幅な医療費、福祉予算の増額、そして医学部の約定数の五〇%程度の増員を含めた大幅な増員政策が取られてまいりました。かつては我が国よりも悪化していました英国における深刻な医師不足問題はこの十年間で終息に向かい、あるいは外来や入院の待ち期間も緩和してきたということが昨今知られております。一方で、資料のごとく、英国においてはGDPの成長は大変力強く、同様に債務残高の悪化傾向も認められてはおりません。
 社会保障予算を大幅に増額しながら、財政全体、景気動向ともに順調に推移した一つのモデルケースでないかなというふうにも考えられるわけでございますが、反面、我が国においては、今までは、社会保障費用の支出の増額は国家財政を圧迫する、あるいは経済成長に悪影響を及ぼすという考え方がある意味強かったんではないかなというふうにも思っております。
 しかし、それが今日の医療崩壊の原因であるというのであれば、やはり方向性に関しても考えざるを得ない状況でございますが、改めて、我が国と異なった方向へ政策転換を行いながらも堅実な経済成長を遂げている英国の状況に関して、日本銀行の財政政策上の評価をいただきたいと思います。
#108
○参考人(稲葉延雄君) 英国経済の評価でございますけれども、九七年にブレア政権が発足してからのこの十年間、英国経済は消費者物価が年平均で大体一・五%と大変安定した状況の下で、経済の成長率は平均すると二・八%と高い成長率を維持してまいりました。失業率はこの間十年間で五%から二%台に低下しておりまして、雇用の環境も改善傾向をたどっているということだと思います。
 こうした良好な経済の状況の背後には、それはもちろん世界経済が拡大してきたということもありますけれども、英国内における規制緩和の進展とか、あるいは公共サービスの効率化といったような状況、それから労働市場が柔軟であるといったようなことが貢献しているということを指摘する向きが多いようでございます。
 日銀でございますので、英国の金融政策面についても関心があるわけですが、金融政策面については、ブレア政権発足直後にイングランド銀行の独立性強化策というのが打ち出されておりまして、金融政策委員会、MPCと言っておりますけれども、そこでの多数決に基づく政策運営の枠組みが構築されております。その下で金融政策は適切に運営されておりまして、先ほど申しましたように物価の安定が確保されているということで、こういうことも英国経済が持続的に拡大してきた、そういった要因の一つではないかと考えております。
#109
○森田高君 ありがとうございます。
 同じ点につきまして、我が国の財政政策の最高責任者でございます額賀財務大臣から御意見をいただきたいと思います。
#110
○国務大臣(額賀福志郎君) 恐らく、ブレア政権の前に、サッチャーさん時代は御存じのとおり大改革を演じたわけでありまして、医療分野においても競争原理を導入したりして相当切り込んだんだと思います。そういう中で、ブレア政権になって第三の道ということで、その医療費も含めて国民全体的なセーフティーネットを形作ろうという政策に転換していったというふうに思います。私も、だから、日本の将来の医療制度を含めて社会保障制度、国の姿がどうあるべきかということを考えていかなければならないと思うんです。
 それは、例えばアメリカのように、メディケアとかメディケードとか、そういうある意味では高齢者とか低所得者に対する政策、そういう形で何らかの、その政府が関与しているのは四〇%前後だと聞いております。六〇%の人たちは民間できちっとしているわけであります。そういうように小負担小福祉でいくのか、それともヨーロッパとか北欧のように高福祉高負担でいくのかと。今の現実的な状況は、やっぱり中福祉小負担的な形なんだろうと思うんです。だから、そこはやっぱり中福祉中負担みたいな形でお互いが給付と負担の関係をもうちょっとバランスを良くしていくこと、それがこの少子高齢化社会を乗り切っていくことではないのかというふうに思います。
 あっ、メディケア、メディケードでは二割強だと、こう言っております。
 そういう中で、一方で委員御指摘のように、言ってみればGDP比一・七四倍の長期債務残高を抱えておりますから、この財政再建をきちっとしていかなければ若い世代にいろんな負担を掛けていくことになるわけでございます。これは社会保障の問題もそうでございますね。だから、そういうことを総合的に考えて、この財政再建の問題にも取り組んでいかなければならない、社会保障の問題も整理していかなければならない、その安定した財源をどういうふうにしていくかということを考える必要がある。
 その前に、無駄を省き歳出の形をどういうふうにしていくかという転換を図っていかなければならないことだと思っております。財政再建がその後できたとしても、歳出の形態が変わっていなければ同じパターンを繰り返すことになりますから、それは、無駄を省き歳出削減をきちっとした上でさらにその安定した財源をどういうふうにしていくか、これもまた民主党と同じ土俵の上に立ってしっかりと議論をして具体的な解決の道をつくっていくのが政治家の役割であろうと、責任であろうというふうに思っております。
#111
○森田高君 ありがとうございます。
 本当に地方では、今もう公立病院のほとんどが赤字で、存続すらできなくなってきているところが次々に現れております。やはりお金が幾らあっても命あっての物種という言葉もございますので、本当に地方において今活況、地方に活況ということであれば、地方においても、やはり安心して暮らすことができる医療の提供体制あるいは質の確保の問題を含めた、本当にこれはもう与野党を超えた議論が必要なんだろうと自分も思っておりますので、今後とも是非御指導いただきたいと思います。
 本来であれば、これから金融庁の方に生命保険等の窓販問題に関してお伺いしたいと思っていたんですが、あいにく時間が来てまいりまして、大変恐縮ではございますが、本日はここまでにさせてもらいまして、次回改めて生命保険窓販問題に関してお伺いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#112
○委員長(峰崎直樹君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩をいたします。
   午後零時十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
#113
○委員長(峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○田村耕太郎君 今日はよろしくお願いします、福井総裁。
 まず、与野党の皆様、福井総裁にも、風邪には気を付けてくださいね。今、本当はやっていますから。今の風邪はおなかに来ます。おなかに来ると大変なんですね。
 いつもちょっと頭がおかしいんですけど、今日はちょっと更に頭がおかしくなっていまして、福井総裁に失礼にならないよう、又は大門先生に怒られないようにしっかり頑張りますので、よろしくお願いします。
 まず第一に、福井総裁に日銀の金融政策、ぶっちゃけ、金利の引上げ、この基本的なスタンスについてお伺いします。
 日銀の金利の引上げは、国内の実体経済そして実物の物価動向、これにしっかり配慮して、国内の資本市場、資産市場、これには直接的な配慮を余りしない、そういうことでよろしいでしょうか。
#115
○参考人(福井俊彦君) 委員御承知のとおり、日銀法第二条というのがありまして、ここは物価安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することと、これが金融政策の目的として明確に掲げられております。現実に今、私どもが追求しております金融政策も、物価安定の下で持続的な日本経済の成長に貢献したいということで努力をしております。
 したがいまして、常に目を離してはならないのは経済実態と物価の動向でございます。しかし、その経済実態、物価の動向が望ましい姿に本当になっていくためには、それを取り巻く様々な金融環境が影響を及ぼすということがありますので、そこを全然見ないで金融政策を行いますと、必ず結果は良くないということになると思います。したがいまして、金融市場の動向あるいは不動産価格などの資産価格あるいは為替相場、こうしたところについては十分注目をし、かつ丹念に分析を施して、実体経済ないし物価との関連というものを見極めながら政策運営をしているということでございます。
 より具体的に申し上げますと、金融市場の動向とか不動産価格あるいは為替相場などの資産価格というのは、経済の先行きについての人々の見方が集約された形で現れます。我々は、経済、物価の動向を見ながら政策をやるといいましても、うんと先を読みながらやると、フォワードルッキングにやると、こういうふうに申し上げておりますので、その先々の経済の見方について人々がどういうふうな感じを持っておられるかというのは金融市場の動きあるいは不動産価格などの資産価格の中に反映されていることが多いので、これを我々は鏡として利用させていただいております。
 もう一つあります。それは、資産価格が動いたり、為替相場が動いたり、あるいは金融市場が意外な方向に動いているというふうなときは、それが企業や家計のマインドに影響を及ぼすと。あるいは、資産価格の変化はいわゆる資産効果と言いまして、経済に対してプラスにもマイナスにも影響を及ぼすということでありますので、経済全体に影響を及ぼし得る要素であると、こういう意味でも注目しなければならない。したがって、経済、物価の動向を中心に、これを目を離すわけにはいきませんけれども、これを取り巻く金融市場とか資産価格の動きについては、経済との相互作用ということをしっかりいつも分析しているという意味で目を離していないということでございます。
    ─────────────
#116
○委員長(峰崎直樹君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠として森まさこ君が選任されました。
    ─────────────
#117
○田村耕太郎君 本当に総裁のおっしゃるとおりで、国内の資産市場、資本市場にもしっかり目を向けてやっておられるということなんですが、伝統的な経済学のアプローチでも、直接的ではありませんけど、資産市場、資本市場の価格が実体経済の物価に一定の影響を与えるということはずっと説かれてきたことです。ただ、今の資本市場、資産市場というのは生易しいものではないんですね、もう御案内のとおり。アメリカの最新の経済学者の実証研究によりますと、株価、ある企業の株価というのは、その企業の資金調達だけではなくて、企業経営者のマインド、そして将来の需要動向の予測、ひいては設備投資、そこまで影響を与えるということが言われています。また、今、福井総裁が言われたんですけど、資産効果、地価や株価というのは資産効果というものを通じて消費者心理に大きな影響を与えるということが言われています。
 ですので、私は、もちろん考慮いただいているということですけど、さらに直接的な配慮というのを更に持っていただければなと思うところであります。
 なぜかといいますと、今この二つの物価のねじれが、金利の動向に対する感応度の差が大きくなっているように思うんです。一つは実物経済の物価と、資産市場、資本市場での地価、株価というもの、この二つのカテゴリーの物価というものが日銀が決める金融政策にとってどちらが直接的に大きな変化を受けているか。感応度といいますと、やはり私は資本市場、そして資産市場だと思うんですね。そして、この感応度の違いが、このねじれといいますか、これが更に大きくなっているように思います。
 その背景にあるのがグローバル化だと思うんです。グローバル化があって、実物の物価というのは今上がりにくくなっているわけですね。世界から安い物がどんどん入ってくる。しかし、逆に言えばグローバル化の影響で金融市場の、世界の金融市場の変化を日本の資産市場、資本市場も直接に受けやすくなって変動が大きくなってきているわけですね。
 ですから、この二つの物価のねじれ、感応度の差というのが更に大きく開いているように思うんですが、この辺り、総裁はどのように配慮され、金融政策に生かしていかれるのか、その御意向をお伺いしたいと思います。
#118
○参考人(福井俊彦君) 今委員が極めて正当に、重要な問題点を指摘されたというふうに思います。
 おっしゃるとおり、エマージング諸国の台頭などを背景といたしまして経済のグローバル化が大きく進展していると。そうした状況の中では、国内の需給関係に対する物価の感応度が低下しています。需給がタイトになってもなかなか物価が上がりにくい、あるいは需給が緩くなっても物価が逆に言えば下がりにくいとかいうふうな現象がかなり顕著に起こっていますし、それだけでなくてやや不規則になっていると、つまり不確実な動きになっているということがございます。これは、少し学問的な用語で言えばフィリップス曲線がフラット化している、あるいは不安定になっていると。こういう状況が目の前の現実の姿として、日本だけでなくて諸外国、特に主要先進国においてそういう現象が起こっております。
 日本はなかなか物価が上がりにくいと、需給がタイトになっても物価が上がりにくいという状況が続いています。逆に、外国の例を取って恐縮でありますが、アメリカの場合、バーナンキ議長もつい最近までインフレリスクということを非常に強く強調しておられました。これはなかなかインフレをある意味で抑えにくい経済になっているんですね。そういうふうな意識でありましたがゆえに、インフレリスクを非常に強調しておられたと思います。ところが、最近、市場の変動が起こりまして、米国で言えば住宅価格の下落スピードが加速している、それからサブプライムモーゲージローンの問題を出発点にしていろいろな資産価格に変調を来していると。これは経済に対して逆の、マイナスの資産価格効果をもたらすリスクが非常に高まっているということで、したがってインフレリスクだけではなくて、経済のダウンサイドリスクにも非常に注目を払うように米国がなっています。しかも、今はグローバルなマーケットでありますので、世界経済にも波及するし、もしかすると最終的に日本経済にも何がしかの影響が及ぶかもしれないという意味で、我々も注目度を強めているということであります。
 したがいまして、フィリップス曲線がフラット化しているときで資産価格が落ち着いているときは、やはりこの物価の感応度というところに特に焦点を絞って分析を続けていけばいいわけですが、資産価格の変動が始まった場合には、そのもたらす経済への、あるいは物価への影響ということは、何といいますか、過去の経験則よりは相当ウエートを置いて分析をする必要があると、それは非常に明確になっているというふうに思っております。我々もそういうふうにいたしております。
#119
○田村耕太郎君 本当に一連の質問でもうお気付きだと思うんですけど、本当にこれからは資産市場、資本市場に国内の実体経済、物価動向以上に配慮をしていただきたいと。その方が正しい金融政策、望ましい金融政策になるんじゃないかと思うんですが、その一つの例として、今、福井総裁が言われましたし、午前中の民主党の先生方からの質問にもあったと思うんですが、サブプライムローンの話をちょっとお聞きしたいと思います。
 サブプライムローンですね、この問題はもう収束したという考えもありますし、まだまだこれからも続くという考えもあります。私自身の考えは、これはもう始まりにすぎないと思っています。
 何の始まりにすぎないかといいますと、小さく見てみれば、住宅市場の過熱という問題で言えば、これ別にアメリカに限ったことじゃないんですね。もう総裁も御存じのとおり、イギリスもそうです、大陸、ヨーロッパもそうです、オーストラリアもシンガポールも上海もそうなんですね。ですから、住宅市場の過熱が収まってきて再評価が始まるという見方にしても、これからまだまだ問題は起こるであろうと。
 もっと大きなくくりで言えば、これ福井総裁が度々おっしゃっているんですけど、世界的な投資家によるリスク資産への再評価、この始まりじゃないかというふうに言われていますが、私もそのとおりだと思うんですね。リスク資産の再評価が始まってくるんじゃないかと。こうなりますと、更に大きな変化が、変化といいますか、変動が見込まれるわけです。
 ということもありまして、アメリカは金利下げました。ヨーロッパも持続的な金利の引上げというのを今小休止しています。この制約を受けるのかどうか分かりませんけど、この中での日銀の金融政策というのはどうあるべきか、福井総裁、是非お聞かせいただきたいと思います。
#120
○参考人(福井俊彦君) おっしゃるとおり、今起こっておりますリスクの再評価のプロセスというのは少し時間が掛かると。なぜならば、一過性の株価の変動が元の状況に静かに戻るというふうな性質のマーケットの変動ではなくて、やはりリスクの評価が甘過ぎたものを改めて値付けをするということは、より実勢に合った、言わばより厳しい値付けをするということでありますので、結果として、値付けが行われたとして、最初に行われた甘い値付けとの間の差額はだれかが損失を被り、この損失を新しいキャッシュフローで消していくというプロセス、一昔前の日本の不良債権処理の苦しい過程を思い起こすような、根本において似通った性格のペインフルな、苦しい過程をしばらく経験しなければならないということであります。
 しかし、これは悲観的シナリオというふうに直結して考える必要はないわけでして、言わばマーケットの中でマーク・ツー・マーケットの正しい値付けが行われて、市場が改めて正常な機能を持って動き出すということでありますので、世界全体として、あるいは日本経済について、物価安定の下での持続的な成長を実現していく金融環境はよりしっかりとしたものとして経済を包み込んでくれる姿に持っていけると、そういう明確な希望を持った展開が可能だということであります。
 プロセスはやはりあくまでもオーダリーに進めなきゃいけませんので、中央銀行の役割としては、これは周りから正に柔らかく包み込むようにこのプロセスを運んでいかなきゃいけない。しかし、このプロセスを柔らかく運ぶということと、実体経済、物価の状況をしっかり見据えながら適切な金利水準を常に設定する、あるいは設定し直していくんだというこの二つの役割を中央銀行は担っていると。この二つの仕事の区分けということを頭の中でしっかり置いておかなければいけません。そうでなければ、このプロセスを円滑に運ぶということばかりに気をとらわれているうちに、いわゆるフォワードルッキングな目が曇り、うっかりしていて金利の設定のタイミングを誤ると、先行き実体経済の振れが大きくなってしまうというリスクがあります。したがって、これはちょっと両目を開いて、左目右目をやや異なる利用の仕方をしながら、しばらく慎重に運転していかなきゃいけない。
 日本経済について言いますと、左目で見た日本経済そのものの姿は、引き続き内需、外需、比較的バランスの取れた姿で経済を引っ張ってくれておりますし、生産、出荷、在庫のバランスについても比較的乱れがないということでありますので、日本経済自身が自律的にリズムを狂わせる危険性というのは今のところは比較的少ない感じを私は持っていますけれども、しかし、取り巻く環境はおっしゃるとおり厳しいリスク再評価の過程が始まっている。それは逆資産効果をもたらして、米国経済を中心に、日本を取り巻く諸外国の経済にマイナスの影響を及ぼしていく可能性があると。その大きさがどれぐらいか今のところは明確に測定できないということでありますので、右目の方ではそこのところの変化を十分注視して、日本経済に翻訳して取り入れていかなければいけない部分はきちっと取り入れて政策判断を組み立てていくと、こういう作業が必要になっていると思います。
 我々としては、仕事の難しさは一段と上がっているような気がしておりますけれども、今後とも適切なタイミングではきちんとした金利政策は毅然としてやらせていただきたいというふうに思っています。
#121
○田村耕太郎君 今、福井総裁がおっしゃられましたフォワードルッキングな行動ですね。もう本当に、何というんですか、先を読んだ、先手を打つような政策というのを是非しっかりよろしくお願いしたいと思います。
 福井総裁がよく言われる言葉で、それぞれの国の金融政策がほかの国の金融政策の足かせになることはないとよくおっしゃっていますが、これは本当にそうでしょうかね。
 例えば、リスク資産の再評価が起こっていると仮定した場合、ということはリスク資産が過大評価されているということですよね、今のリスク資産が過大評価されている。その一つの要因として、日銀が低金利政策を取り続けたことによって、円キャリートレードですね、低利な円資産で資金を調達して、それをリスク資産にどんどん投資していく。この行動が世界的に起こって、それがリスク資産の過大評価を引き起こしてしまったんじゃないかと、私はそういう面があると思うんですけれども。
 こういうことも含めまして、これからの金融市場の大きな混乱が本当に日銀の政策の足かせにならないかどうか、制約を受けないかどうか、是非フォワードルッキングな政策、先手の打ち方というのを忘れていただきたくないんですけれども。
 私としては、もっと早く金利を上げて、バブル、もう本当に、リスク資産の過大評価が起こるまでに先手を打っておくべきではなかったか。また、これからそういうことが起こるとしたら、リスク資産のこれ以上の過大評価が起こる前に先手を打つべきじゃないかと思うんですけれども、その辺りいかがですか。
#122
○参考人(武藤敏郎君) 資産価格あるいは金融市場の動向を分析して金融政策の運営をすべきであるというのはもう全くおっしゃるとおりでございまして、ただいま総裁からるるいろいろな観点から御説明があったとおりでございます。
 ところで、我が国の例えば不動産価格などの資産価格が現在過熱の状態にあるかどうか、バブルの前兆があるかどうかということになりますと、私どもはそういう過熱の状態にはないだろうというふうに思っております。より長期的な視点に立った場合の重要なリスクの一つとして、引き続き検討する必要があるということであります。
 こういう点につきましては、我々、金融政策運営の枠組みの中で明確に二つの柱で、二つの視点で物を分析するということをもう既に申し上げているところでございまして、一つは、非常に長期的な視点を踏まえて、今委員の御指摘のとおり、確率は高くなくても、すなわち差し迫ったリスクがあるわけではなくても、もしそのリスクが顕在化した場合には大変なコストが掛かるようなもの、そういうものについては我々は注意深く分析していく必要があるということであります。
 昨日、展望レポートが公表されましたけれども、この中でも、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するというような期待が定着するような場合には、企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて、中長期的に見て、経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながるリスクがあるということを指摘しているところでございます。ただ、もう一つ視点がございまして、先行き一、二年の間に蓋然性の高いと判断される経済の見通し、これが物価安定の下で持続的な成長経路をたどっているのかどうかという視点でございます。
 こういう二つの視点から我々は金融政策について判断しているわけでございまして、日本銀行としてはこの点を踏まえながら適切な判断を行ってまいりたいというふうに考えております。
#123
○田村耕太郎君 私の質問の仕方が悪かったんですけれども、私の真意というのは、国内の今の資産価格や株価がバブルであるかどうかということではなくて、福井総裁がよく言われています、それぞれの国の金融政策がほかの国の金融政策の足かせにならないという仮説が正しいかどうか。逆に言えば、サブプライムショックのときに世界同時株安になりましたよね。あれ、円高と同時に起こりました。これはもう偶然かどうかは分かりませんけれども、円キャリートレードの終えんが株価の暴落と直結している。つまり、円キャリートレードの発生によってリスク資産の過大評価が起こったとすれば、日銀の金融政策は世界に影響を与えている部分があるわけです。
 ですから、世界の金融市場が一体化しているんで、世界の資産市場、資本市場を見ながら、やはり国内の物価動向だけではなくて金融政策というのをしっかり定めていくべきじゃないかと思うんですけれども、その辺り、福井総裁はどうお考えになられますか。
#124
○参考人(福井俊彦君) 私がふだんから申し上げておりますのは、各国の中央銀行の金融政策に基本的誤りがない限り、それぞれの国の中央銀行にとっては政策効果はむしろ上げやすい環境が用意されていくと。したがって、お互いの金融政策について方向性とか基本的な物の考え方についていつも十分な意思の疎通が必要だということ、これが大前提でございます。
 さはさりながら、それぞれの国の経済の実情というのは、景気循環の波の相違とか構造の相違等によりまして実態はかなり違っているわけでありますので、最良の政策をそれぞれの国の中央銀行が施したとしても、結果として出てくる金融の姿としては金利水準に差がある。あるいは、今後の金融政策の方向についてのスタンスというものも、市場参加者が読むとそのニュアンスに差があるというふうな、差は常に存在するものでございます。
 そして、金融市場は純粋培養のようなものでなくて、いつも、委員がごらんになってもあるいは私どもの立場で見ても、気に入るような動きだけするというわけじゃないわけでありまして、極めて投機的な動きも含め不規則な動きも伴いながら躍動していくというのが市場そのものだというふうに、これはそういうものだと受け取らざるを得ないわけであります。
 しかし、問題は、市場の本質は決してとんでもないところに行くことをねらっているわけではなくて、最終的な均衡値というものを求めながらダイナミックに動いているということでありますので、中央銀行の政策というものが的を外れていないと、投機にも限界があるんだという意識を市場参加者にいつもきちんとアピールできるような政策を各国の中央銀行がやっていけるかどうか。
 特に、日本の場合でいえば日本銀行の責任はそこにあるわけでして、仮に円キャリートレードにひととき力を入れる方があっても、我々の金融政策がその人たちの心理に対して、深層心理においてきちんとブレーキが掛けられているかどうかと、こういった点が非常に大事でございます。委員のおっしゃるとおりの感じでやっていきたいと思います。
#125
○田村耕太郎君 是非フォワードルッキングな、先手を打つような政策を、世界の金融市場もしっかりごらんになっていただきながらこれからもやっていただきたいと思います。
 昨日の会見、私も拝見させていただきまして、非常に面白いことを福井総裁はおっしゃっていました。消費者とエコノミストの物価観が違っているんじゃないかという話ですね。これ非常に面白いのと同時に、いろんな意味での問題提起であったんじゃないかと思うんですけれども。つまり、普通の家計を預かっていらっしゃる主婦の方の感覚とエコノミストの物価観というのが違うということは、物価統計の在り方を問題提起されたんじゃないかなと思うんですけれども、例えば本当に今の物価統計というのが実態を表しているのか。その主婦の感覚とずれるということ自体がやっぱり問題じゃないかと思うわけですね。
 例えば、パソコンだって二十万円ぐらいで変わっていませんけれども、中身がもうどんどん進化していますから。そうしますと、技術革新というものを考慮に入れると物価は下がっているというような物価統計の出方になるわけですね。
 こういう物価統計の在り方が本当に正しいのか。もし福井総裁が、その物価観に違いがあるとしたら、その違いを埋めるような指標の開発を日銀がすべきじゃないかと思うんですけど、その辺り、福井総裁、いかがですか。
#126
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行は金融政策の運営を通じて物価の安定を実現する、それを基礎に企業も家計の皆様方も安心して経済活動をしていただけるようにと、こういうふうにいつも申し上げておりますが、物価が安定しているというのは、現実の物価指数が安定しているというだけでは足りないわけでございます。先々物価が上がりそうだと思いますと、人々はやっぱりそれを織り込んで行動し始めると、早く物を仕入れなきゃいけないのか等々、そういうふうに将来の計画が立てにくくなるということ自身が金融政策としては目的から次第にずれていくということになると思います。
 現実の物価指数が上がり始めると、人々が思っている以上のスピードで上がり始めると、先行きの物価観はどんどんどんどんインフレバイアスを持って上がっていくと思います。これが一番危険な状況でございますが、現在の状況について、昨日、記者の方から質問がありまして、物価はマイナス〇・一%で微動だもしないと、まだデフレじゃないかと、こういうふうな感じでのお尋ねがあったわけですけれども、しかし、それで安心し切っていていいのかと、人々は身の回り品の値上がりで既に先行きの物価観に幾ばくか修正を始めていますよと。我々は、人々の先行きのインフレ期待というものがやはり落ち着いた姿の状況をキープできるような金融政策の運営をしたいので、物価もよく、物価指数もよく見ますけれども、人々の心理の変化ということはもう一つの重要な要素としてきちんとカウントしていきますと、実はこういう答えを申し上げました。
 これから我々の予測のとおり消費者物価指数がごくわずかでもプラスの世界に入っていけば、それとの連関で人々のインフレ心理がどう変わるかは正確に把握していきたいというふうに思っています。
 加えまして、物価指数について私が不満を持っているかと申しますと、私は、諸外国の消費者物価指数につきましても、どういうふうな作り方をなされているかということを含め研究をいたしておりますけれども、日本の消費者物価指数は、そういう比較でいきますと相当よくできているものでございます。
 ともすれば、普通に物価指数を作ると、実勢としての物価よりも物価指数は少し高めに出ると。これバイアスと言いますが、バイアスが出がちだというのが世界の統計当局の常識になっているんですけれども、そういう点からいきますと、日本の消費者物価指数は度々技術的な改善が加えられまして、比較的諸外国対比ではバイアスが小さい消費者物価指数になっているなというふうに思っています。
 具体的には、品質の調整手法の拡充とか採用品目の見直しの頻度の短縮化とかいうふうな様々な努力が払われてきておりまして、比較的いいものになっているというふうに思っています。
 もちろん、注文を付ければ切りがないし、私どもも物価の研究は引き続きやりまして、必要ないい知恵が思い浮かびましたら、恐れながら政府にも御進言申し上げたいと思っておりますが、現在の物価指数に強い不満を持っているということは全くございません。
#127
○田村耕太郎君 統計の話をちょっとさせていただきますと、福井総裁は、日本の統計、物価統計に限っての今のお話だったんですけど、なかなか信頼できるという御意見だったんですけど、やはり海外の投資家や日本にいるアナリストやストラテジストに聞いてみますと、日本の統計は信用ならないという意見が結構あります。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
 私、前政権まで内閣府の経済財政担当の政務官をさせていただいておりまして、そのときにもその内閣府の統計の問題を議論したことがあります。やっぱりGDP速報値とか、速報値と確定値の修正の幅が結構大きくなってきているんですね。やっぱり中で聞いてみますと、人事ローテーション、昔は経済企画庁だったのでずっと統計のプロが育てられたんですけど、今内閣府になりまして、二年たったら、統計やっていた人が男女共同参画行ったり沖縄北方開発行ったり再チャレンジ行ったりというようなことでたらい回しになっていて、統計というのはもう名人芸の世界ですから、まず慣れるのだけで二年掛かると言われていまして、慣れた瞬間にどっか行っちゃって、常に素人しかいないというような世界だって言われていました。
 その辺も含めて、まず、日銀さんはしっかりと統計のプロを育てていらっしゃるという自負をお持ちですか。総裁、どうですか。
#128
○参考人(福井俊彦君) 私ども、消費者物価指数ではありません、企業物価指数とか企業サービス価格指数、物価統計について言えばそういうものを、これは昔は卸売物価ということでございましたが、長年やっております。これは、品質改善の部分も物価に換算するとどうかということも技術的な改善を加えながら作ってきております。そのほか、マネーサプライ統計を始め、金融統計は金融機関からデータを収集しましてかなり精緻なものを作ってきているというふうに思っております。
 専門家は相当育てているつもりでありますけれども、お互いに眺め合って、決して完璧でないと、ますますこれは精度を高めなきゃいけないということで、不断の努力を私どものスタッフはしてくれているというふうに思っております。
 政府の方の統計を拝見していましても、一番今振れが大きいとおっしゃいました速報値と確報値の違いですね。これは、諸外国の統計当局におきましても実は最大の悩みになっているわけです。つまり、統計の正確性ということと速報性というのはなかなか両立しにくい。早く速報値を出そうと思えば、確報値で使うデータが間に合わないがゆえに別のデータで速報値を推計するという作業がどうしても入りますので、最終的に出てきた確報値のデータで計測してみるとかなりのギャップが出ることがございます。米国の場合でも、GDP統計、確報値と速報値で随分違っているケースがあって、時に折、強い批判が統計当局に寄せられているというような実態でございますけれども。
 この悩みを抱えながらも、じゃ、速報値をやめればいいのかと、やっぱりそうはいかないというところに悩みがあって、そういう性格のものだと。統計の作成手法というものをやはり明確に開示する、そして統計の、何といいますか、改定を行う場合はどういうやり方で改定するんだというその中身を非常に早い段階から開示して、多くの専門家がそれを理解して統計を読むというふうな補足的な作業が非常に重要だというふうに認識しています。
#129
○田村耕太郎君 今、福井総裁が言われましたけれども、アメリカでも大きな問題に最近なったやつがありましたね。アメリカの労働省が出した八月の速報値、これに基づいてFRBが五〇ベーシスポイント下げたんですけど、出てきた確定値が全然違って、FRBが僕は訴えるんじゃないかと思ったんですけど。
 福井総裁は、もし日本で同じように、他省庁が出した統計に基づいて判断したところ全然速報値と確定値が違っていた場合、その省庁を訴えてやろうとか思われませんか。
#130
○参考人(稲葉延雄君) 少し技術的な要素がございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 米国の雇用統計の八月の計数が大幅に改定されたことにつきまして、作成主体の米国の労働省でも、八月の計数で公表した時点で把握が十分でなかった公的部門の一部の計数の把握が進んだためと、こういうふうに説明してございます。
 金融政策の運営について申し上げますと、何か特定な指標だけで判断するということでなくて、あらゆる経済指標やあるいは情報を基に先行きの経済や物価の情勢を見通していくわけでございますが、米国のFRBにおきましても、この九月のFOMCにおける政策金利の引下げについては、金融市場の混乱から生じるかもしれない経済全般の悪影響の一部を未然に防ぐということを意図したと、こういうふうに言っておりまして、その後公表された議事要旨を見ましても、雇用統計だけじゃなくていろんな指標を見て決定したというふうなところがうかがわれます。
 そういうことでございますので、多分、日本銀行であっても、今後とも特定の指標で判断するということではなくて、先行きと情勢を的確に見極めるためにはあらゆる経済指標を基に分析していくということになっていくだろうというふうに思っていますので、訴えるとかそういうことにはならないと。
#131
○参考人(福井俊彦君) 一言だけ付け加えさせていただきますと、私どもも統計作っております。その難しさはよく分かっておりますので、統計の振れについて政府を訴える勇気は我々はとても持てないぐらい、これは難しい問題だと思っています。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、統計の振れを理由に我々の政策判断のミスを自ら弁護できるという性格のものではないと、いかなるデータを利用しても我々の政策判断のミスは我々のミスだと、そういうふうに初めから認識しております。
#132
○田村耕太郎君 この統計の問題は日銀の金融政策だけじゃなくて、我々政治家がいろんな課題に持っております年金とか医療費の問題とかあらゆる経済政策、非常に大きな影響を受ける基になるデータですから、これをしっかりやってもらうということを、これを機会に福井総裁も我々国会議員もしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、与野党の先生方、よろしくお願いします。
 最後に、ちょっと私が一生懸命勝手に取り組んでいるちょっとマニアックなテーマなんですけど、政府系投資会社、いわゆるソブリン・ウエルス・ファンドの話です。G7でもあれを監視強化しようとかいう話があったという報道もあったんですけど、額賀大臣に先日お伺いしたところ、正当な評価をしているのが本当の議論でしたよという話があったんですけど。私は、日本もそろそろ外貨準備とか公的年金とか不動産を含めた国有財産、これを積極的に効率運用して財政再建に役立てるとともに、年金をしっかり支払っていく。そして、金融市場のプロを育てて、金融でも日本が食べていく。いろんなメリットがありますので、政府系投資会社、日本もやってもいいんじゃないかと思うんですけど、G7でその話題に触れられた福井総裁はこの話、どう思われますか。
#133
○参考人(福井俊彦君) 今のお尋ねは少し幅の広いお尋ねだったと思いますが、G7等で議論しましたのは、主として産油国が石油の売上代金を外貨準備のような形で蓄積している部分、あるいは中国のようなエマージング諸国が為替市場の介入を通じて蓄積している同じく外貨準備のような資産、これの効率的な運用、それが何か問題を起こすことはないかと、こういう点に絞って議論が行われました。
 やはりいろんな問題が起こる可能性はあるから、極力透明性の高いやり方でやってもらう必要があるだろうという、大きな議論の方向性は取りあえずそういうことになっておりますが、引き続きしっかり議論していこうと。そして、それぞれそういうファンドを組成して運営する国については、自らの責任でそういうことを積極的に情報開示等に努める、そのことが必要ではないかということを、言ってみれば自らそういう意識を持っていただくというふうな方向で議論を進めたいということであったように思います。
 日本の場合は外貨準備の大宗は外国為替特別会計、政府が所管になっておられますので、政府の方でいろいろなお考えがあるんではないかというふうに私は思っております。
#134
○田村耕太郎君 今触れられたG7での動きに関して、質問ではないんですけど、私が一言言いたいのは、情報公開とか透明性というふうに言われるんだったら、欧米諸国も自分の国の人たちがやっているヘッジファンドやプライベートエクイティー、あれこそ透明性ないですから、そっちがやってからの話だろうと私は思うということをちょっと意見として言わせていただきたい。福井総裁の感想は求めませんが。
 最後に、また大門先生に怒られそうなんですけど、証券税制の話ですね。日銀さんが頑張って金融政策をやっても、今のように日本の資金が、個人金融資産が貯蓄に偏在していると、どうしても正常な金利というのがマーケットで付かないということになってきますし、また、福井総裁が先ほど言われました資産効果、株価が上がってもその恩恵が各国民に行き渡らない、なかなか行き渡らない。貯蓄を通じてでは行き渡らない。ですから、そういう意味でも証券税制、貯蓄から投資へ、これを促すというのは大きなお世話だという意見もありますけど、福井総裁は、証券税制、私は存続、あるいは一歩進めてゼロにすべきだと思いますが、福井総裁はいかに思われますか。
#135
○参考人(福井俊彦君) 貯蓄から投資へという言葉が適当かどうか分かりませんが、やはり個人の保有資産の運用の多様化ということは、日本経済が必要とするこれからの資源の最適配分の道に通ずるということでありますので、非常に重要なことだと思っています。私どもも、情報サービス局あるいは金融広報活動を通じて、キャンペーン活動としてこれは相当世の中への働き掛けを強めております。また、学生に対する金銭教育というふうなことのお手伝いを通じてもこういうことをやらせていただいております。
 税制という面でどこまでこれをサポートするのがいいかどうか、私どもは税制の専門家でありませんので、どうも一義的な答えを残念ながら持っておりません。よく政府と更にそこのところは意見交換をしてみたいというふうに思っております。
#136
○田村耕太郎君 ありがとうございました。
 以上で終わります。どうも失礼しました。
#137
○白浜一良君 公明党の白浜でございます。
 日銀の金融政策等につきまして若干御質問をいたしたいと思いますが。
 これまでの日銀の金融政策見ておりますと、日本が極端にデフレの危機だということもございましたけれども、平成十三年の三月からは約五年間、実質金利ゼロと。それだけじゃなしに、当座預金残高の量的規制も緩和して、お金が市中にどんどん回るようにされてきたと。五年ほど続いたんですね。その上で、昨年三月にその量的規制緩和をやめられて、七月には無担保コールレートを〇・二五%に上げられたと。今年の二月ですか、それを〇・五%に上げたと、こういう経緯になるわけでございますが。
 二月以降の経緯を見ましても、昨日ですか、おとといですか、ビールがまた上がるという話もございましたし、原油、ガソリンも上がっていると。一方、経済の実態を見ますと、もうかっている業種もございます。だけれども、まだまだだという企業も、特に中小企業を始めあるわけでございまして、この辺、どう判断するかということを大変日銀としてもお考えだと思いますけれども。
 昨日も政策金利据置きということを決められたというふうに伺いましたけれども、どのような、この金利が継続していることに対して根拠としてお考えになっているのか、まずそのお考えを伺いたいと思います。
#138
○参考人(福井俊彦君) 振り返ってみますと、二〇〇二年の初頭を始めとして、日本経済は著しい不況局面から脱却して、ゆっくりと回復、そして拡大局面に移ってきていると。二〇〇四年以降は平均してみますと大体実質二%成長というペースで安定的に動いてきていると。物価の方は長くマイナスでありましたけれども、ようやくほぼゼロというところで安定して推移していて、この物価水準は、CPIでございますけれども、これからゆっくりと、ごくわずかずつプラスの世界に入っていくだろうと、こういうふうな展望でございます。
 そして、経済の動きを見ておりますと、内需と外需のバランスは比較的よく取れていると。ただし、内需について見ると、設備投資の方が強く、家計部門の消費の力は底堅いけれどもやや弱いと、こういうふうなバランスで推移してきている。かつ、部門ごとに見ますと、グローバルな展開を利かせている大企業ほど元気がいいけれども、そこから距離感のある中小企業はそれほどの元気さの域にはまだ達していないと。したがって、いわゆるばらつきがある経済であり、二%成長といっても、いわゆる景況感は均一に形成されているわけではなくて、ばらつきを持って形成されているので、景況感には脆弱性が秘められていると。したがって、我々はそうした経済活動をされる人々の心理状況というものはそういう複雑な組立て方になっているということを十分理解しながら金融政策をやらなきゃいけないと。
 かてて加えて、国際的な環境というものは、サブプライムローン問題を始めとし、あるいは米国の住宅市場の調整といい、一つの調整局面として今動いている部分があります。エマージング諸国の経済がしっかり動いておりますので、そのショックをかなり吸収しながらではありますけれども、しかし、一つの大きな調整過程というものが進行しつつある経済で、日本経済に対してもダウンサイドリスクをやや強く感じさせつつある、そういう環境だというふうに受け止めております。
 したがいまして、日本銀行の金融政策の運営としては、従来どおり徐々に金利水準の調整をしていった方が、将来とも景気の振幅を大きくしないで済む安定的な経済の運営ができる金融政策になるに違いないという確信を持っておりますけれども、徐々に金利を引き上げるそのタイミングのつかみ方について、すごく正確にこれを行っていくということの難しさを日々痛感していると。しかし、迷ってばかりいて判断の目を曇らせるわけには絶対にいけないということも事実でございます。
#139
○白浜一良君 微妙な言い回しで、迷ってばかりいてはいけないということで、いつか決断が必要ということなんでしょうけれども、おっしゃったように、それだけ実体経済の方がばらつきがあってなかなかナイーブだということでございますので、賢明な判断をお願いしたいと思いますが。
 今、総裁からもお話ございましたけれども、日銀の金融政策の結果として物価の安定と、こういうことが大変大事なことでございますが、私が記憶している限りは、あのデフレの危機でいろんな議論された時期には何か大変一時インフレターゲット論というのがはやったんですけれども、日銀は一貫して否定されたというふうに私記憶しているんですけれども、昨年三月の金融政策決定会合ではもうこの物価の安定ということを言われて、たしか数値的にもゼロ%から二%と、こういうのを初めてお示しされたと思うんですが、これもゼロ%というのはいかがなものかという、こういういろんな経済学者の批判もございますけれども、だけれども、こういう数値として示されたということはあるわけですね。
 じゃ、こういう物価の安定ということでゼロから二%という数字を示されたということと、いわゆる一般的に言われているインフレターゲット論というのは、なぜこの言葉にこだわっていらっしゃるのか、どこがどう違うのか、ちょっと分かりやすく説明していただけますかね。
#140
○参考人(福井俊彦君) インフレターゲティングを採用すべきであるという議論がデフレ、いわゆるデフレ不況のさなかにありましたころから、日本銀行に対して非常に重要な課題として提言をちょうだいしていたということを今でもしっかりと覚えております。
 私自身もこの考え方を全面否定したということではなくて、金融政策の透明性を図っていく上に重要な要素をこの考え方の中に込められているというふうな受け止め方はしておりました。ただし、日本のその当時の現状あるいは現在においてもそうでありますが、日本の実情に即して言えば、インフレターゲティングを直ちに採用することは害あって益なしというふうに判断していたことも事実でございます。
 それは、物価が単にマイナスの世界にあったのを将来の望ましい物価水準というものを測定することがただ困難であるから逃げたというふうなことではなくて、やはりグローバル化の進展の下で物価形成メカニズムというものが構造的にどんどん変わりつつあると。そこのところを十分見極めて、やはり経済の状況がどうなればどういうインフレ状況になるのかということの仕組みを正しく理解しないと、いきなり数字で、あるいは諸外国との比較で単に数字を参考にして、数字をいきなり目的にして、それをただやみくもに実現すれば経済の姿がすべて良くなるというふうな確信が持てないという意味で非常に慎重な考え方を取ったわけであります。
 先ほどからの議論を出していただいておりますように、グローバル化の下では需給がタイトになっても物価が上がりにくいという、フィリップスカーブがフラットになっているという状況を私どもは割と早くからそれを察知しておりまして、時の経過とともにその感じがより強くなってきていたものですから、そこで諸外国の例を取っていきなり二%とか三%をターゲットにします、それを一定の期間内に実現するような金融政策をやりますと言ったところで実現は不可能かもしれないし、それを無理に実現しようとすると本当にかつて例を見たことのないインフレ政策を取るようなことになってしまいかねないというふうなことで、その採用はずっと見送ってきております。
 一方、量的緩和政策から脱却いたしましたときに新しい金融政策の組立て方を考えます中で、その枠組みの中の最も重要な要素として中長期的な物価安定の理解というものを入れさせていただきました。委員が御指摘になった各政策委員が頭の中に置いておる中長期的な物価安定とは何ぞやと、こういうふうに理解しているというものを数字で表現するとゼロ%から二%と、ちょうど真ん中の値が一%と、こういう数字が浮かび上がったわけでございますが、これはインフレターゲットとは性格が違います。
 インフレターゲットというのは、ある数値への目標を定めて、ある期間内にこれを達成するということが目標になります。達成されなければ中央銀行総裁としてあるいは政策委員会として責任問題になるということでありますが、この中長期的な物価安定の理解というのは、ある期間内に達成するということではありませんけれども、物価安定の下に持続的な経済成長を促すという場合の物価安定とは何ぞやということを数字的な理解である程度シェアしながら金融政策を運営していった方が統一的な政策委員会の結論を出していく上にも便利であるし、出てきた答えを世間にお示ししたときに、こうした中長期的な物価安定の理解のゾーンの中に物価がいずれきちんきちんと入っていきますという方向性を展望レポートの中で時の経過とともにより現実に即して理解していただけるようになるだろうと、そういう意味でお出ししたわけでございます。あくまで日本銀行の金融政策の透明性向上と、それに資するようなコアとしての道具というふうに意識しているということでございます。
#141
○白浜一良君 今、総裁の御説明、私は理解できないわけじゃないんですけれども。ある一定の期間にそういうインフレターゲットを決めてやる、やらないと、そういうことが極端にインフレを誘発してはいけないという、そういうこともよく分かりますし、できなかった場合のそういう責任もございますし、それは安易にそういうことを掲げるべきじゃないということも私よく理解できます、それはできます。
 ただ、金融政策だけでそういう経済がすべて決まるわけじゃない、それはもう当たり前なんですけれども。やっぱり日銀の展望というのはある大きなやっぱり基軸になるので、やっぱりそういう実体経済をですね、方向付けを示唆するような、そういうことにもなろうかと思いますので、今までの解釈は解釈で私はそれで結構ですけれども、そういう実体経済を引っ張るようなそういう賢明な御判断をお願い申し上げたいと、このことだけを申し上げておきたいと思います。
 それから、今もお話あったわけでございますが、日本経済全体を見ますと、緩やかな拡大ですか、それはそういう基調なんだと。景況感としてはそうだと思うんですけれども、冒頭総裁がお述べになったように、大企業と中小企業の差もございます、地域的な差もございます。随分ばらつきが国内でもあるわけでございますが、特に海外に市場を拡大している大企業と、総裁もおっしゃったように、そこから距離のある中小企業との差があると、景況感に差がございますね。その中小企業がもう一歩伸びづらい、景況感が悪いというこの要因が、いろいろあろうかと思いますが、総裁としてはどのように認識されておりますか。
#142
○参考人(武藤敏郎君) 御承知のように、今般の景気拡大は国内の構造調整の進捗、それと世界経済の拡大、この二つを背景にしたものでございます。
 そういう意味で、世界経済との結び付きが強い、すなわち製品を輸出している大企業、特に大企業製造業、これは貿易の好調、輸出の好調に支えられて景気がいいということであります。また、こういう大企業におきましては、国内のいわゆる構造調整、過剰な人員でありますとか過剰な債務というものもいち早く改善してきたということに支えられて、大企業とりわけ大企業製造業の改善が目立っているということだと思います。一方、中小企業、御指摘の中小企業の景況感には改善がなかなか見られないという、確かに御指摘のとおりであります。
 これは正に今申し上げたことと裏腹なんでございますけれども、グローバル化のメリットというものを受ける程度が相対的に小さい、中小企業の場合には、それから原材料コストの上昇圧力をまともに受けておって、中小企業の製品の価格を転嫁するだけのまた余裕もないという状況から、中小企業においては景況感の改善が遅れているということでございます。
 中小企業、特に地方に立地することが多いものですから、業種的には中小企業、地域的には地方において景況感の回復に遅れが見られるということは、ある意味では十分理解できることでございます。私どもも、そういう事実は十分に認識しながら金融政策を運営していかなければならないというふうに思っております。特に我々、金融政策を運営するマクロの観点から見ますと、この中小企業、地域経済の回復の遅れといいますのが、結局、雇用者の賃金でありますとか個人消費、いわゆる家計部門になかなか改善のテンポが遅れているということと、その一因になっているということであろうと思います。
 そういう意味で、日本銀行といたしましては、そういう地域経済の動向、金融の動向というものを総合的に判断しながら金融政策を行っていく、そういうデータや情報を十分に集めて丹念に分析していくという姿勢が大事であろうというふうに思っております。
#143
○白浜一良君 今武藤副総裁がおっしゃったように、私たちもそういう認識していまして、やっぱり本格的に、大企業、特に輸出をベースとした大企業だけじゃなしに、中小企業の景況感が良くならないといけないと。と同時に、それを支えるためには、家計部門をもう少し豊かにするべきだと、こういう循環がきちっとなってこそ初めて景気が安定するというふうに当然私どもも理解しているわけで、そういうために、今網羅的な、全体的な経済政策が必要だという私ども考えに立っているわけでございますが、その意味で、日銀の調査指数というか調査指標というか、として短観を出されていらっしゃいます。
 短観の調査対象が、私も伺ったんですけれども、中小企業部門でいいますと資本金が二千万以上の企業と、こういうふうになっているわけでございますが、実際、企業の数から見るとそれを下回るような中小企業がもう一杯あるわけで、むしろそういう小さな企業が日本の経済を支えているとも言えます。それが短観の対象になっていないということは、日銀としては、そういうことまで含めた中小企業全体の把握はどのようにされているのか、ちょっと伺いたいと思いますが。
#144
○参考人(稲葉延雄君) 日銀における企業の調査の実態でございますけれども、おっしゃるとおり、短観調査というのは大事な調査物でございますが、そのほかにも、本支店におけるミクロヒアリングというのを実施しておりまして、中小零細企業を含めて企業の業況についてはきめ細かく把握するというふうな努力を続けております。
 加えまして、政府、それから中小企業金融公庫あるいは国民生活金融公庫などの他の機関の調査結果も十分活用さしていただいておりますし、また、地域経済の状況あるいは中小企業、零細企業をめぐる経営環境などにつきましては、地元の地方銀行あるいは信用金庫といった日銀の取引先金融機関の方から得られるミクロの情報なども大切な情報だと思っておりまして、これらなどを活用して見てきております。
#145
○白浜一良君 これは総裁でも副総裁でもいいですけど、この短観を出されるときに、今おっしゃったように、政府系のいろんな調査がされているところがあって、そういう指数も使いながらと、見ながらとおっしゃっていますけれども、そういうことも補足できちっと表現された方がいいんじゃないかと思うんですね。日銀の短観としての調査、その指数の変動というのはこれは大事ないわゆる計数だと思いますけれども、その対象になっていないようなそういう中小企業もいろんな政府系のデータで調べていると今理事がおっしゃいましたけれども、そういうことを踏まえた補足的な説明も短観を発表されるときにされるべきだと私は思うんですけれども、これどうでしょう。
#146
○参考人(武藤敏郎君) 短観につきましては、これは非常に調査そのものの負担というものがかなり大きなものがありまして、その短観に答えていただくということがそれなりに企業にとっても大変なことのようであります。
 私どもは、それをずっと永続的に取っていくということでありますので、対象企業をできるだけ増やすという考え方持っておりますけれども、なかなか御指摘のような、本当の意味での小さな、小規模な個人事業まで含めたようなところには手が届かないのも事実であるんですが、それを今理事の方からお話ししましたとおり、支店の調査等においてフォローをしておるわけでございます。
 特に、今御指摘のお話は我々も誠に重要な問題意識として持っておりまして、最近、地方経済の状況を支店のレポートという形で、日本のブロックごとに地域経済の情勢というものを報告して発表することにいたしました。いわゆるさくらレポートという、表面が桜色をしているものですからさくらレポートという名前なんですが、そういうのもごく最近の試みでございまして、正にそういう努力を続けていきたいというふうに思っております。
#147
○白浜一良君 私は、短観の調査対象を増やせと、そういう意味で言っているんじゃないんで、そういう短観の対象になっていないところの動向も踏まえてレポートされた方がいいということ。
 今さくらレポートの話をされましたんで重ねて伺いますけれども、十月のさくらレポートを見ますと、私は大阪なんですけれども、近畿もちょっと下方修正ということで、あと北海道、九州、沖縄ですか、これも下方修正されていたわけでございますけれども、こういう差が生じている要因はどのようにお考えになっているのか、また、経済全般に対する影響も含めて御見解を伺いたいと思います。
#148
○参考人(稲葉延雄君) 昨年夏まで大阪支店長をやっておりましたものですから、ちょっとお答えさしていただきたいなと思います。
 近畿地域の景気は、足下、拡大テンポが幾分緩やかにはなってきてございますけれども、引き続き拡大基調は維持されているというふうに判断しております。拡大テンポが緩やかになってきたというふうに申し上げているのは、雇用者所得の伸びの鈍化あるいは天候要因等を背景に、個人消費など家計部門の需要がひところに比べてやや低調になっているということが見て取れるためでございます。
 また、近畿においてこのところ雇用者所得の伸びが幾分鈍化している点につきましては、やはり中小企業の業績、原材料高等を背景に一部陰りがあって、このことが人件費の抑制などを通じて幾ばくか影響している可能性があるのではないかと、そういう報告を受けております。
 ただ、企業部門といたしましては、大企業を含む全体として見てみますと、輸出の増加に支えられて好調を維持しておりますし、設備投資は〇七年度も大きく増加する計画で、企業行動は引き続き活発ではないかというふうに見ております。したがって、企業部門がエンジンとなって景気が引き続き拡大基調にあるという点は判断を変える必要はないのではないかと考えております。
 こういう形で近畿経済は、拡大のテンポはこれまでに比べて緩やかになっていますけれども、引き続き、関東あるいは東海地区とともに、我が国景気の緩やかな拡大を牽引しているのではないかというふうに判断しております。
#149
○白浜一良君 それで、総裁でも副総裁でもお答えは結構でございますが、日銀の各支店も地元地域経済の動向をよく見ながらお仕事されているわけでございますが、当然、金融政策というのは日本全国にわたる問題で、地域的なそういう施策というのはできないわけでございますが、だけれども、やっぱり各支店がそれぞれ地域の経済実態というのは、金融を通してでしょうけれども、よく把握されているわけで、どうでしょう、日銀として、そういう地域に対して何か手を打とうと言えるようなことは何かないんでしょうか。
#150
○参考人(武藤敏郎君) 正に御指摘のように、金融政策というツールはマクロのツールでございますので、これはマクロ経済に対して適用していくということであります。
 もし日本銀行として地域金融に何か貢献できることがあるとすれば、日本銀行としては、金融機関に対する様々な助言、協力の手段を持っておりますので、地域の金融機関に対して、地元、いわゆるリレーションシップバンキングというんでしょうか、そういう方向に向けた様々なお手伝いをすることができるという点はあろうかと思います。特に、最近の金融技術非常に高度化しておりますので、そういう高度化した金融に関する様々な考え方を地域にも広めていくということは、地域の個人のその金融機関の顧客に対しても最終的にはサービスの向上になるということでございますので、そういう観点から我々の貢献する余地はあるのではないかというふうに思っております。
#151
○白浜一良君 御存じのように、やっぱり私は、都市銀行もそうですけれども、特に地銀、信金、信組ですか、そういう金融機関もやっぱり地元経済に対する役割というのは大きなものがあるわけでして、今副総裁おっしゃったように、いわゆる融資の在り方、日銀の支店としてそういうことまでできるのかどうかは私分かりませんけれども、私は十分そういう問題意識を持ってほしいなと思うわけです。
 非常に悪く言いましたら、信用保証協会あるでしょう、これ八割保証になったんです。私はこれ自身はいいことだと思うんですけどね。今までは十割保証ですからね。じゃ、もう銀行のそういう保証付きの貸出しというのは、まあ言うたらもう無審査。保証協会へ行って保証持ってきてと言ったら、もう全部出してしまうと。安易ですわね、融資の仕方としては。本来、やはり地銀であれ信金、信組であれ、地元企業を育てるという視点でやはり融資というものをやっていただくべきでございまして、そういう地方銀行の在り方というものを、私はどこまで日銀としてかかわれるかは分かりません、実務はよく分からないんで。だけれども、そういう示唆はしていただいた方がいいんじゃないかと思うわけでございますが、いかがなものでしょうか。
#152
○参考人(武藤敏郎君) 日本銀行と同様に、いわゆる金融庁がそういう銀行経営の観点から検査行政をやっておりますので、この金融庁の考え方というのも大変重要であり影響力が大きいというふうに私は理解しております。
 金融機関がどのような考え方で地域の経済主体に融資事業を行うのかという御指摘は誠に非常に奧の深いものがありまして、本当にリスクを無視したことをやればそれは結局金融機関に跳ね返ってきて、その金融機関の大変な、極端なことを申しますと倒産というような、もう地域経済に甚大な影響を与えることが起こりかねないというところもありますので、金融機関行動といいますのは、その辺りのリスクをきちっと分析して体力に合ったリスクテークをしていくと、この姿勢が重要であります。
 その中でも、しかしなお地域経済に対してどういう貢献をするのかというのは金融機関として当然持っていただくべきものでありまして、私どもから、結局は経営の判断にわたることでございますので、一つ一つ指示をするということはもうあり得ないわけでありますけれども、基本的考え方はそういうことではなかろうかなというふうに思っております。
#153
○白浜一良君 そうだと思います、個々のそういう経営判断まで立ち入るわけにいかないので。ただ、せっかく全国に支店持っていらっしゃって、そういう地元経済をよく把握していただいているんですから、適切な対応をお願い申し上げたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、政府も各省庁もばらばらないわゆる統計をやっていまして、これを整理して関連付けた統計をやっていこうという流れにあるわけでございますが、日銀も平成十九年度の業務運営方針ですか、この中で、いわゆる日銀が作成する統計について、計画的な改定と見直しを通じた品質向上に努めると、こういう文言を使われておりますけれども、この日銀の統計、何か新たな視点でどうこうということを具体的に何か決められたことがあるんでしょうか。
#154
○参考人(稲葉延雄君) 日銀は今いろんな統計を作っております。先ほど統計に関する、日本の統計に関する御議論もございました。日銀でも日々この統計の品質の向上といいますか、内容の整備に向けて努力を積み重ねているところでございます。幾つか解決すべき問題というのを抱えているように思います。
 これは日本の統計全体に言えることかと思いますけれども、第一に、統計というのはそもそも報告者負担、これが余り重いものにならないように常に留意する必要があるということでございます。それから、第二に、日本のように経済、金融の構造が大きく変わっている、そういう社会にありましては、それをうまく反映したような統計に常に見直していくということが必要だと思っております。さらに、統計利用者にとりましてニーズが多様化あるいは高度化していますので、これに合わせていく、こういう観点も重要ではないかというふうに思っております。
 そういうことで日々見直しをしておるわけですけれども、当面、具体的な作業といたしましては、まず短観につきましては、調査対象企業を選定する際のベースになります事業所・企業統計調査が新しくなりましたので、これに基づいて調査対象先の見直しを今検討しております。それから、マネーサプライ統計などでは郵政民営化に伴う変化がございますので、こうした変化を踏まえた見直しというのに取り掛かっております。
 こういった形で今後とも経済社会の変化に応じた機動的な適切な見直し、金融経済統計の整備に努めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
#155
○白浜一良君 今少しお話にございましたが、的確な統計を取られることを期待しておきたいと思います。
 それから、日銀法の改正がかつてございまして、やっぱり通貨行政のいわゆる独立性というか、当然、日銀の存在、独立性、これは大事であるわけでございます。ところが、一方で、日銀といえども奥の院じゃないわけで、やっぱり国民に対する説明責任というか、国会でのこういう議論もそうでございましょう。やはり、できるだけ分かりやすくしていただくというのは私大変大事だと。別に学者じゃないんで、生身のこういういわゆる金融経済を担当されているわけでございますから、国民の理解があることが大事だと。
 そういう意味で、私たまたま雑誌で見たんですけれども、西日本シティ銀行の頭取さんが簡単な記事を書いていらっしゃって、二つおっしゃっているんですね。一つは、中央銀行はそのときのその国の経済構造にふさわしいと自らが考える物価上昇率を国民に開示し、それを中期的に実現するための金融政策を取ることであろうと、これが一つ。
 もう一つ指摘されているのは、フォワードルッキングな態度を取ると。なぜわざわざ横文字になっているのかよう分かりませんけれども、分かりやすい金融政策、国民全体の利益につながるところである、分かりやすさが大事だということをおっしゃっている。このフォワードルッキングという言葉がどれほどの意味があるのか私分かりませんけれども、だから分かりやすいそういう説明が必要だということ、この二つこの方は御指摘されているわけでございますけれども、この点、何かお考えがございましたらお述べいただきたいと思います。
#156
○参考人(福井俊彦君) 今の御意見に私ども基本的に異存がないと、むしろその方向で努力をさせていただいているというふうに思っています。
 インフレターゲティングという形ではありませんけれども、中長期的に我々が物価安定と理解するところのものを数値的表現でもって表しながら、長い目で見て経済はそういう方向に向かっていくんだということをまずお示しし、そしてより短期的に、今から二年ぐらいのスパンで見れば経済全体の成長率はこういうパスをたどり、具体的に物価は、すぐにそういう一%というところに行かなくても、その方向に向かって動いていきますというふうなこと。
 それから、海外と国内との経済の相互依存関係というふうなものも深まりながら市場と経済との関係がどういうふうに動くかというふうなことも解説を加えながら、我々は情報を提供していくと。マーケット、あるいはマーケットから少し距離の遠い方々もそれを読んでいただいて、自らいろいろと持っておられる経済観あるいは物価観というものといつもすり合わせをしながら経済行動をしていただけるというふうな方向に持っていくということで、基本的にそういう努力をさせていただいていると思います。
 まだまだ足りないところがたくさんあろうと思いますので、今後ともいろいろと具体的なお知恵もおかりしながら努力をしていきたい。我々が発表いたします月例報告とか展望レポートとかあるいは政策委員会の議事要旨と、こういったところになるべく分かりやすい説明を入れたいと思っておりますし、記者会見の場などにおきましてもなるべく私は分かりやすく説明することを心掛けているつもりでありますけれども、質問に答える形ということでありますので、難しい質問に私がどういう質問になるか分からない場合もあって答えに窮する場合もありますが、なるべく分かりやすく答える努力をしております。
#157
○白浜一良君 よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、先ほどから話出ておりましたが、サブプライムローンの話で、先月、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議があったわけでございますが、終わってからのマスコミの論評というのは、まあ確かに、いわゆる何というか、資金供給とか金融緩和とかそういうふうに決められた、対応策として、そういうことはそうなんですけれども、余り的確な対応をされてないというちょっと厳しめの論評もマスコミではあったわけでございますが、これはどうでしょう、総裁としてどのように認識されているんでしょう。
#158
○参考人(福井俊彦君) そうですね、マスコミが期待されたところというのは必ずしもよく分かりませんけれども、サブプライム問題に端を発した今の市場の混乱に対して、G7が快刀乱麻、一発回答を出せるかというと、もしそういうことを期待しておられるとすれば、初めからそれは不可能なことの期待であったというふうに思います。
 先ほどからも申し上げておりますとおり、この問題は住宅金融関連のものだけでなくて、かなり広い範囲のクレジット市場におけるリスクの取り方が甘過ぎたという問題を、一回ボタンを掛け違っていたところを掛け直して、そして新しく市場を動かし始めるというプロセスでありますし、その過程で損失の処理という問題も絡んでおります。したがって、多少時間を掛けながら次の新しい局面へオーダリーに、秩序を持って進めていく必要があると。
 しかも、その過程で、こういった新しい金融商品へ取り組んでいるプロの金融機関の行動について、どういう形でうまく監視体制をつくれば市場の中で自律的に、より規律の利くインセンティブが働くメカニズムができるかという、この難しい工夫を一枚加えていかなきゃいけないという課題が残っています。
 この難しい課題については、少し専門家が集まってもう少し知恵を集約しようということになっていまして、イタリア銀行の総裁のドラーギさんが議長になっているFSFという、これはフィナンシャル・スタビリティー・フォーラムと、G7の一種の下部機構でありますが、ここで今から数か月掛けて議論をして、その結論も吸い上げながらそういう柔軟な構造をつくっていこうと。いきなり当局が針を刺すように規制の手段を用いることはこの問題の正しい解決にならないので、市場の中でいいインセンティブをつくるメカニズムは何かという至難の業に挑戦し始めているということであります。
 このFSFというフォーラムは、年が明けまして今度のG7は日本で行われますけれども、このときに多分中間報告をいただけるんではないかと。そこで議論を経て更に最終報告へと行くと思いますが、非常に重要なステップが踏まれつつあるというふうに御認識いただいていいと思います。
#159
○白浜一良君 時間ですが、最後に一問だけ。
 それで、これ当初、このローンはもう複雑に証券化されていますんで、当初日本は余り影響ないと言われていたんですけれども、時間がたってきましたら、先日も発表されていまして、野村証券がもう一千数百億円損失出したと、銀行も百億単位でぽろぽろと出だしているわけでございますが、この日本の、いわゆる、に対する影響力は今の段階では日銀としてどのように把握されているのか、これを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#160
○参考人(福井俊彦君) グローバルなマーケットで仕事をしている金融機関がだんだん増えてきていますし、その関与の度合いも深まっていっていますので全く無傷というわけにはいきません。やはり日本の金融機関もある程度リスクを取ってこういう新しい金融イノベーションの世界で力を伸ばしていかなきゃいけませんし、その過程で傷を負うということはあり得るわけですし、今、例もおっしゃいましたけれども、幾つかの金融機関において程度の差はあれリスクを被っているところがないというわけではありません。
 しかし、私どもが拝見しております限り、いずれも自己資本ないしは期間収益の大きさ、そのクッションの中で十分吸収し得るということでありますので、日本の金融システムにひびが入るシステミックリスクを我々が恐れるというふうな事態では全くございません。
 我々の期待するところは、そういう損失がなぜ出たかと、そのプロセスを個々の金融機関がよく振り返って、やはり新しい仕事にチャレンジする場合にもあらかじめ一歩進んだリスクマネジメントを備えながら前進していってほしいと。ここのところを、しっかりレッスンを酌み取っていただければ将来にとっては非常にいいんじゃないかというふうに思っています。
#161
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
#162
○大門実紀史君 大門でございます。
 日銀の金融政策についてはもう午前中から様々な議論がございました。特に、田村委員からさすが国際派と思える鋭い指摘もございました。まだ証券税制を言っていらっしゃいましたけれども、田村さんと私は育ちが違うといいますか、やはり裕福な御家庭でお育ちになりましたので、どうしてもそういう株とか何かだと思いますが、まあもう論争するつもりはございませんが、全体を見てもらいたいと思います。
 金融政策の議論は本当に今日いろいろあってもう出尽くした感がありますので、余りやり過ぎると金融政策というのは空中戦になってしまいますので、端的に一つ、二つだけ日銀にお聞きしたいと思います。
 本日も若干議論がありましたけれども、サブプライムローンとヘッジファンドの影響等々、前回も、日銀相手ではありませんが、この委員会で議論がありました。ヘッジファンドについては金融・証券界を活性化したという議論ももちろんございます。ただ、時々といいますか頻繁に問題を起こすのがこのヘッジファンドでございまして、そういう中、先ほどもありましたけれども、二月と十月のG7でもヘッジファンドについて議論ありましたし、五月のサミット、これはG8ですかね、そのときにはヘッジファンドの監視宣言というふうなことも出されました。
 そういう流れになってきていると思いますが、総裁はG7の方を御参加されていると思いますので、世界の流れとして、簡潔に、どんな議論でこのヘッジファンド規制がなってきているか、ちょっと教えてもらえればと思います。
#163
○参考人(福井俊彦君) ヘッジファンドにつきましては様々な意見が交錯し、現在も交錯し続けている状況に変わりはないと思っておりますけれども、やはりヘッジファンドというその名前のごとく、人々が市場で金融資産を売るときに逆に買手に回ると、人々が買うときに逆に売手に回るというふうに、市場の中において人々が物を売るときに必ず買手が現れると、買いたいときに必ず売手が現れる、これが市場の流動性があるかないか、あるいは流動性が高いか低いかということであって、今のグローバル化された経済の中でクロスボーダーで資源の最適配分を図ってそれぞれの国が最高の経済のパフォーマンスを上げていく場合に、こうした資源再配分機能が最大限発揮される金融市場を持つということが不可欠になっていると。
 そういう意味では、ヘッジファンドのいい方を取れば、市場の流動性を高めるというポジティブな役割を果たしているという評価になっています。これはG7で何回議論してもそういうふうになっています。
 しかし同時に、やはり欠点も多いと。特に、不透明な行動をする場合があり、場合によっては市場の振れ、振幅を大きくするリスクがあり、人々に大きなけがを負わせることもあるというふうな欠点の面も強く指摘されています。
 したがって、G7の議論は常に欲張るわけですけれども、欠点はなるべく少なくして、長所は傷付けないでそのまま生かしたいと。さらには、もっとイノベーションを人々がやっていきたいという気持ちをエンカレッジする要素はやっぱり摘み取りたくないと、こういう議論でやっているわけなんで、そうしますと、欠点があるからといって規制の網をかぶせるということになりますと、イノベーションの芽も摘み取るということになりますので、直接的な規制というのはなるべく避けようと。
 言わば遠巻きに監視を強化することによって、ヘッジファンド自身が自らその浄化作用を施していくインセンティブをいかに身に付けるかという工夫を、回りくどいんですけれども、重ねてやってきている。それがだんだん、幾らか成果も上がってきているんではないかと、ちょっと疑問符が付いていますが、ないかというのが前回のG7でも議論されたところなんです。
 と申しますのは、今回のサブプライム問題をきっかけにして、市場、夏に混乱が起こって以降の動きを見ていますと、結構ヘッジファンドも欠点をあらわにしたところが幾つかあります。しかし、総じて言えば、今回はヘッジファンドは意外にパフォーマンスが良かったということになっておるわけですね。つまり、監視の目を早くから強めてきたところは、それだけに自浄作用も少しは効くようになってきているねという自覚があるわけでございます。
 したがって、このサブプライム問題を始め、証券化市場の問題をFSFがこれから検討すると今申し上げましたけれども、FSFは一歩先駆けて、ヘッジファンドを中心とするこのハイレバレッジドな金融活動についていかにモニタリングをすればいいかという活動を少し前からやってきていて、その成果が多少出たとすれば、今回のヘッジファンドが意外に傷が少なかったというところに結び付いていると。ここの教訓を更によく引き出しながら、この証券化商品の今後のモニタリングの仕方について新しい指針を作りたいというふうに、これ一つの連続作業としてやっています。
 したがって、ヘッジファンドは今後とも更に浄化していかなきゃいかぬと思っていますけれども、余り短兵急ではなくて、やはり段階を経て、この目標は達成されていくものではないかというふうに思っています。
#164
○大門実紀史君 G7あるいはサミットでも、ドイツと、ドイツは監視強化の姿勢でございますが、イギリス、アメリカ、日本はちょっとスタンスが違うというのが続いているわけですが、ただ、アメリカの国内では、まあイギリスもそうですけれども、ファンドに対する課税強化と、これはイギリスでそういう方向に入ります。
 アメリカでも、アメリカの議会で公聴会をやられて、投資ファンドというのは税制上一般企業より優遇されているということになって、超党派で、法人税が向こうは三五%ですが、株式譲渡益が一五%なものですから、アメリカ議会では、上場するファンドに対しては一般企業並みの課税という方向が超党派で提出されております。
 この税による、まあこれは一つの監視にもなりますけれども、税による規制、監視が一般的な規制に消極的なイギリスでもアメリカでも今進んでいるわけですけれども、そういうことも踏まえて、日本で、日本の中で何か手だてを打つ必要があるかどうか、総裁はいかがお考えでしょうか。
#165
○参考人(福井俊彦君) 私、税の問題もあるかもしれないと思っております。思っておりますが、やはりヘッジファンドとかこういうハイレバレッジドな活動をするファンドあるいは金融機関の動きについては、やはり市場の中で規律ある行動をすると、より透明性の高い情報を投資家あるいは監督当局に示しながら行動をするという、そのプラクティスの向上の方がやはり先決じゃないかと、今の段階ではそういうふうに思っています。
 税制については、他の金融活動とのバランスを取りながら、公平な税制ということが望ましいと思います。今どういうふうになっているか、私もそこのところはちょっと知識が欠如しておりまして、よく勉強したいと思っています。
#166
○大門実紀史君 ファンドの課税問題はこの委員会でも取り上げていきたいと思いますが、一つの考え方として、今実は参議院の中で、超党派ですけれども、トービン税を研究しようというような動きが始まっております。
 トービン税というのは、御存じのとおり、アメリカの学者のジェームズ・トービンさんが、通貨取引税と言った方がいいんでしょうか、世界じゅう動き回るマネーですね、特にファンドが大きいわけですけれども、それに税金を掛けて投機取引を一定、規制しようということと、その税収を途上国の貧困解決とかそういうものに使おうという発想でございます。
 これ、何でそんなことを考えるかというと、このグローバルに動き回るお金が途上国に累積債務つくったり貧困を増やしたりというふうな、そういう考え方の下に、それだったら、そこからお金取って途上国に回せばいいじゃないかということでございまして、今のところ、カナダとフランスとイギリスで、ほかの国が協調すれば採択しましょうというところまでなっております。
 こういう国際的な投機マネーの規制というのは、日本がむしろ物を言わないぐらいで、何も考えないぐらいで、ほかの国ではいろいろなことを考えておりますが、さっきは国内の話しましたけれども、国際的にこの投機マネーあるいはヘッジファンドの問題に税で対応していくという考え方はいかがお考えでしょうか。
#167
○参考人(福井俊彦君) トービン・タックスというのは、あらゆる為替取引に課税を行うと、短期的な為替取引に繰り返す投機的な資本移動を抑制しようと、そういう発想のものだということを随分以前から勉強させていただいたことがあります。国際金融市場の安定を図ろうという提案であることは、今のヘッジファンド等に絡んで物を考える場合にも共通するところがあるということは確かだと思っています。
 ただ、この問題は、正にクロスボーダーで頻繁に行き交う資本の移動に対して、これを税という面から捕捉しようということなんですけれども、現実にそれが可能かどうかという問題について税の素人である私の立場から見ると、やはり大きな疑問符がどうしても残るわけでございます。
 タックスヘーブンを根拠地にしたり、あるいはそこを経由する取引も結構多いわけでありまして、主要国だけが手を握ってもこれはもう完全に抜け穴だらけになるというふうに思いますし、タックスヘーブンを含めそういうネットワークが一体張れるのかということと、それから、短期の取引ですから、もう非常に頻繁に高速で動くすべての取引を完全に把握できるかと。できなければ、非常に逆に言えばアンフェアなことが起こって、必ずこれはまた抜け道ができてしまうということがありますので、大変難しい課題でもあるなというふうに同時に感じます。
#168
○大門実紀史君 そういうことも事実、テーマになっておりまして、そういうことも研究していこうということで、世界でいろいろな動きがあるところでございます。
 日銀の皆さんにはお聞きすることがもう全部なくなりましたので、別のテーマで、ちょっと急ぐ課題がありますので、質問をさせていただきたいと思います。
 貸金業法が昨年、全会一致で成立をいたしました。関係者の方々も大変喜んでおられるわけですけれども、しかし具体化していく中で、幾つか、ちょっとどうかなと、何なのかなという問題が幾つか出ております。
 サラ金のATMの利用料という問題もございました。これ、当初一回六百三十円と。とんでもない、これはもう高金利と同じになるわけですけれども、これは自民党の森まさこさんが大変頑張られまして、自民党の部会の中で金融庁の案に対して駄目だということになって引下げになったわけでございます。このときも、私は、六百三十円という発想が何で、どこから出てくるのかと、金融庁のどこから出てくるのかというふうに思っておりましたけれども、去年の議論を本当に聞いていたのかというふうに思うようなことでございました。
 これだけではございませんで、今度は貸金業法改正政府令案が十月に出されまして、十二月十九日に政省令として実施ということで、時間がないので今日質問させていただきますけれども、この中に幾つか、ほかにもあるんですけれども、特に私が思うのは、顧客の利益保護に支障を生ずることがない貸付けの内容を規定するという名目で、配偶者と合わせた年収三分の一以下ならば貸付けを可能とすると。分かりやすくいいますと、夫が年収三百万円があって、妻が主婦で収入がゼロ。その妻にも、収入ゼロの妻にも、夫の同意書があれば、三百万ですから三分の一の百万円まで、その妻に、主婦に貸せるというふうにしようという規定が盛り込まれております。
 これは私、ずっと議論してきて、何を考えていらっしゃるのかなと思うわけですけれども、多重債務者の相談の、いろんなところからデータを新たに取ってみましたけれども、埼玉夜明けの会という被害者団体がございますが、多重債務の相談のうちの二六%が主婦の方でございます。熊本のクレサラ被害者の会のデータでいきますと二三%が主婦の方の多重債務相談です。多重債務全体の四分の一からデータによっては三分の一がこの主婦の方々が多重債務に陥っているという問題でございまして、もうこれはいろんな被害事例、三國谷さんよく御存じだと思うんですけれども、夫に内緒でサラ金から借りて、それが積もり積もって大変なことになったと。その借りる理由も、夫の収入が少なくて、夫に言えないで、おむつ代に困る、生活費に困るということから借り始めて多重債務になって、夫に最後まで言えないで自殺した人、自殺未遂した人、一杯出ているわけですね。
 ですから、こういうことを夫の同意書があればという、何かいかにもという感じがしますが、実態として、こんな規定を設けると運用次第によっては同じ被害が、同じ悲劇が起こるんじゃないかと思います。大体、サラ金借りる人は、夫の場合は妻に内緒、妻の場合は夫に内緒、これが普通といえば普通なんですよね。その世界ですので、非常にこれを危惧しているわけでございます。
 大事なことは、そういうことを乗り越えて、私はもうそもそもサラ金から借りないのが一番いいと思いますけれども、借りる場合でも御夫婦で相談をして、二人で、どちら、当然収入のある人が借りるべきだと思いますが、どうしてこんな変な規定が盛り込まれたのかと、非常に疑問でございます。
 更に言えば、主婦といってもパート収入があれば、九十万の収入があれば三十万まで自分で借りられるわけですよね、サラ金から。だから、つまり無収入の人に、無収入の主婦にも貸してあげるようにしようと、サラ金が貸せるようにしようというふうな規定なわけでございます。
 サラ金にとっては、今までも、先ほどのデータもそうですが、主婦の人っていうのはかなりターゲットとしては大きい存在です。若者と主婦が非常に大きい存在でございます。そこに、今度の法改正でいくと、そのままいくと収入ゼロだと貸せないと。困るから、こういう規定があれば貸せるようになるというふうに、私はどう見ても業界のためにこういう規定が盛り込まれたとしか客観的に言っても考えられないわけでございますし、事実、業界はこの夫の同意書も要らないと、それも不要にしろというような意見を出しているわけですね。こういう点からいくと、この規定どうかなというふうに本当に思います。
 普通、収入がゼロの妻でも、その家に預金があれば銀行からカードローンが発行されたり、キャッシングもできます。サラ金まで普通手出さないですよね、普通の御家庭でしたらね。サラ金に手出すというのはよほどな場合でございます。そういう点でいくと、何もサラ金が貸さなきゃその方は一切お金、世の中から借りられないというわけではないんですよね。そういうことも含めると、サラ金が主婦であれだれであれ収入ゼロの人に貸付けができるようにするというこの規定は、私は要らないというふうに思います。
 具体的に、どうしてこんなものが盛り込まれたのか、この趣旨をちょっと具体的に説明してもらいたいなと思いますが。
#169
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のように、例えば収入のない専業主婦の場合もございますけれども、こういった方々の場合でも、例えば事故等緊要の出費、これを自己名義の借入れで調達する道を選ぶことも考えられるところでございます。このため、今回はこの夫婦で合算した中でのそういった措置を措置しているところでございますが、この場合でありましても、御指摘のとおり、一つは配偶者の同意があるということと、それから夫婦合算でその年収の三分の一以下であると、こういった要件の下でのみ貸付けを可能な仕組みとしているところでございます。
 いずれにいたしましても、そういった資金ニーズがある場合において、また自分名義でそういった道を選ぶということにつきまして、こういった厳格な要件の下にこういった措置を講じているものでございます。
#170
○大門実紀史君 三國谷さんも一緒にずっと議論してきたわけですから、よく具体的にどんなケースがあるか、もっとリアルに考えてもらいたいなと思いますし、ほとんど、だってそういう場合だったら別に夫が借りればいいわけでしょう、収入のある人が借りればいいわけですね。わざわざ同意書をもらって収入のない妻が借りると。余り考えられないケースでございます。
 もう一つは、さらに、私はだからこの規定は要らないから廃止にしてもらいたいと、撤廃してもらいたいというふうに思いますが、その上で申し上げますが、じゃ同意書を取ればという同意書ですけれども、今のところ紙切れ一枚の規定しかございません。これ本当にその妻が夫に同意をもらって書いてもらう同意書になればまだいいですけれども、ならない可能性が実態として一杯あるわけですね、今までも。なかなかだんなさんに言えなくて借りたり、妻に言えなくて借りたりというケースが多いわけですから、実態としてそんなことが担保されるのかと思います。
 例えば、サラ金からこの紙にだんなさんの同意書を取ってくれば、奥さん、貸してあげますよといった場合、その奥さんは友達に、筆跡が同じだとあれだから、友達にだんなさんの名前を書いてもらって、家の判こ押して、サラ金に持ってきたらサラ金は受け取るでしょう、この規定だけだったら。知ったこっちゃありませんからね。じゃ、貸せるわけですよね、貸せなかった人が、年収三百万だと百万貸せるわけですね。こういうことになってしまうわけですね。だから、今までと同じことが起こるわけです、そうなりますと、実態として。穴が空いちゃうわけですね、ここからだあっと。で、また被害者が生まれるんじゃないかと思います。
 ですから、仮に百歩、二百歩譲ってこれをやるとしても、この同意書をそういう、つまり偽造ですよね、その場合は。そうした場合、そんなこと、それを使ったサラ金業者は厳格に行政処分をすると、これがまず立てられなければいけないと思います。今までどおり、何か書類取れば幾らでも貸すとやってきたわけですからね。まずやらなければいけないですね。
 もう一つは、その前提として、この同意書そのものが紙切れ一枚取ればいいですよだけではそういう可能性が広がりますし、後から分かってサラ金を処分しても手遅れでございますから、この同意書そのものを厳格なものにする必要があると思います。本人が本当に同意したということを担保する、何かもう、紙切れ一枚じゃない何かを付けないと、ここがざる法になるというふうに思います。
 まだ時間ありますので、この同意書の中身、在り方、規定、これそのものをもうちょっと研究して、絶対そういうことが起こらない歯止めになるようなものにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#171
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、夫婦合算の場合でございますけれども、この適用を受ける場合には、その関係を証明する住民票などの提出、保存が必要となりますほか、配偶者の信用情報も確認することとなるなど慎重な手続が必要でございますが、私ども当局といたしましては、貸金業者が適切な確認を行っているかどうかにつきまして検査監督をすることとなるわけでございます。その在り方につきましては、御指摘の趣旨も十分に踏まえまして、潜脱防止の徹底を図るために、その同意書の取得方法やあるいは確認の仕方を含め、具体的な監督手法の在り方等も今後よく研究してまいりたいと思います。
#172
○大門実紀史君 もうせっかくいい法案作ったんですから、金融庁自ら穴を空けるようなことをなさらないで、最後のところでございます、大事なところでございますので、最後まで研究してそういうことが起こらないように手を打っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#173
○委員長(峰崎直樹君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#174
○委員長(峰崎直樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のうち、金融政策に関する件について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#176
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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