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2007/10/30 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 内閣委員会 第3号
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2007/10/30 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 内閣委員会 第3号

#1
第168回国会 内閣委員会 第3号
平成十九年十月三十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十九日
    辞任         補欠選任
     芝  博一君     高橋 千秋君
 十月三十日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君     芝  博一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡田  広君
    理 事
                松井 孝治君
                山根 隆治君
                有村 治子君
                松村 龍二君
    委 員
                相原久美子君
                神本美恵子君
                工藤堅太郎君
                自見庄三郎君
                島田智哉子君
                高橋 千秋君
                平田 健二君
                柳澤 光美君
                岩城 光英君
               北川イッセイ君
                鴻池 祥肇君
                鈴木 政二君
                中川 義雄君
                風間  昶君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(食品安
       全))      泉  信也君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(地方分
       権改革))    増田 寛也君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革、国民生活)
       )        岸田 文雄君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    大田 弘子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     上川 陽子君
       国務大臣     渡辺 喜美君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  岩城 光英君
   副大臣
       内閣府副大臣   木村  勉君
       内閣府副大臣   山本 明彦君
       内閣府副大臣   中川 義雄君
       総務副大臣    佐藤  勉君
       総務副大臣    谷口 隆義君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 秀行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官
       兼行政改革推進
       本部事務局次長  株丹 達也君
       内閣府大臣官房
       審議官
       兼遺棄化学兵器
       処理担当室長   西  正典君
       内閣府政策統括
       官        原田 正司君
       内閣府男女共同
       参画局長     板東久美子君
       内閣府国民生活
       局長       西  達男君
       内閣府食品安全
       委員会事務局長  齊藤  登君
       内閣府北方対策
       本部審議官    佐久間 隆君
       警察庁交通局長  末井 誠史君
       金融庁総務企画
       局参事官     三村  亨君
       総務大臣官房審
       議官       門山 泰明君
       総務大臣官房審
       議官       御園慎一郎君
       外務大臣官房審
       議官       木寺 昌人君
       外務大臣官房審
       議官       小田 克起君
       外務大臣官房参
       事官       小原 雅博君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   中根  猛君
       財務省主計局次
       長        木下 康司君
       文部科学大臣官
       房審議官     関口 幸一君
       文部科学大臣官
       房審議官     布村 幸彦君
       厚生労働大臣官
       房審議官     村木 厚子君
       厚生労働大臣官
       房審議官     木倉 敬之君
       厚生労働省医薬
       食品局食品安全
       部長       藤崎 清道君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       農林水産大臣官
       房審議官     谷口  隆君
       防衛省防衛政策
       局次長      松本隆太郎君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第五局長   高山 丈二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
 (官民人材交流センターについての検討状況に
 関する件)
 (有害情報に対する規制強化に関する件)
 (経済財政諮問会議の審議の在り方に関する件
 )
 (補助金等交付により造成した基金の見直しに
 関する件)
 (障害者権利条約の早期批准及び国内法整備に
 関する件)
 (中国の遺棄化学兵器の処理事業に関する件)
 (地域の個性を生かした地方分権改革に関する
 件)
 (独立行政法人整理合理化計画の策定状況に関
 する件)
 (少子化対策及び子育て支援に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十九日、芝博一君が委員を辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(岡田広君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外二十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(岡田広君) 内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○松井孝治君 おはようございます。民主党・新緑風会・日本の松井孝治でございます。本日は、御多忙な大臣、おそろいをいただきまして、ありがとうございます。
 まず最初に、渡辺行革担当大臣におかれましては、参議院の財金委員会と重複しておりまして、前半に御質問をさせていただいて途中でお抜けいただくというような段取りが先ほど理事会でも合意されたところでございます。よろしくお願いいたします。
 昨日、この公務員制度改革につきまして、新人材バンク、我々は天下りバンクと呼んでいますが、この制度設計を担当している懇談会が本来であれば昨日最終報告を出されるというふうに私は承っておりました。今朝の新聞報道等を拝見をいたしますと、どうも紛糾したようでございまして、これ事実関係をまず伺いたいんでございますけれども、昨日の報告書の素案というのは結局取りまとめに至らなかったというふうに伺っております。それで、具体的にいろいろ各紙出ておりますけれども、私も、この懇談会、インターネットの生中継もしていますし、それからマスコミの方も含めてフルオープンでやられている、したがって大臣がどこでどういう御発言をされたかというのはいろんなところで聞こえてまいります。私も別にインターネット中継をずっと見ているわけではありませんけれども。
 そうしますと、大臣が結構こだわって御発言をされていたそういう項目がこの素案の中でも、報告書の素案の中に入っていない。特に、私も大臣の御発言を伺っておりましたけれども、天下りのあっせんの再々あっせんというんでしょうか、いわゆるわたりというようなものはこれはもうなくしたらどうかとか、あるいは独法や公益法人に対する再就職のあっせんについて、あるいは再就職のポストについて総量規制のようなものをもう少し厳格に導入すべきではないかと、こういう公務員制度あるいは天下りについての非常に重要な論点が今回の素案からは抜けているように拝見いたしました。
 新聞報道によると、あるいは記者会見でも一部お認めになられているということですが、こういうものについてはこの制度懇の対象ではないんじゃないかということで、町村官房長官の方から指示があって削除されたというふうに伺っておりますが、渡辺大臣、これは事実ですか。
#7
○国務大臣(渡辺喜美君) 確かに、昨日のセンター懇ではそのような発言を私がいたしております。議論の背景について若干申し上げれば、この官民人材交流センターの制度設計を行う場合に、では例えば肩たたきシステムをどうするのか、マーケットバリューでの再就職を目指すというのであれば、現在行われている言わば統制価格での天下りシステムを温存をしておくとこのセンターがトンネル機関として使われかねないのではないかとか、いろんな議論が出たわけでございます。そういたしますと、十月中に結論を出すというのは一体どういう背景なのかというと、これは予算要求との関係なんですね。
 しかし、全体の総合的な公務員制度を論じる、我々パッケージ懇と呼んでおりますが、こちらの方は総理から丁寧に慎重にやってほしいと、こういうお話がございました。余り急いで結論を出しますと、現状変更というモードでスタートをした懇談会が、現状維持でもいいじゃないかと、こういう結論になっても困りますので、私としては、十分時間を掛けてこのパッケージ懇の方は議論をやっていただく、そういうことを決めたわけでございます。
 したがって、全体のパッケージ懇との整合性がある程度求められるこちらのセンター懇の方もこれはやはり丁寧な議論が必要ではないかということで、田中座長が十月の取りまとめということをお考えになられていたんだと思いますけれども、昨日は取りまとめに至らなかったという御判断をされたのではないでしょうか。
#8
○松井孝治君 背景説明は分かりますけれども、私が伺っておりますのは、官房長官から具体的に、わたりやわたりの禁止についての大臣の御発言、あるいは独法に対する天下りの総量規制などについて、これはもうセンター懇の範囲を超えているということで、こういうことは書かない方がいいんじゃないかという指示があったのかどうか、その点についてお伺いをしております。
#9
○国務大臣(渡辺喜美君) 昨日も申し上げたことでございますが、具体的な指示はございませんでした。閣議の前の待合室での立ち話というか、座り話みたいな話でございまして、官房長官もメモを見ながらお話をされておられましたんで、そんな具体的にこれとこれということではございませんでした。
 唯一具体的と言えば言えるものは、このセンター懇がいつまで続くかということで、これは官房長官の下に置かれた懇談会でございますから、これについては報告書を提出をすればそれで任務終了ということでございまして、そういうことについてのお話はございました。それ以外に、独法天下りの総量規制は書くなとか、それからわたりあっせんの即時禁止については書くなとか、そういった具体的指示はございませんでした。
#10
○松井孝治君 新聞報道によると、官房長官は記者会見で、閣議の決めた検討事項の範囲を超える話だから触れる必要はないと、具体的にその話を認めておられますが、大臣は、直接的にその話はなかったけれども、具体的に、わたりの禁止や総量規制の話については閣議で決めたこのセンター懇の所掌事務を離れているから書くべきではないという印象を持たれたことは事実ですか。
#11
○国務大臣(渡辺喜美君) 私は、センター懇の議論を聞いておりまして、これは非常にセンター懇の議論と密接にかかわる話であるなという印象を持って議論を聞いてまいったわけでございます。
 と申しますのは、センターが目指すのは従来型の天下りでは全くございません。それはもう国会の議論で何度も私が申し上げてきていることであります。公務員の知識とか経験、能力、実績、こういうものを活用した再就職を支援をするということでございますから、これは言わばマーケットバリューが評価されて再就職をしていくということになるわけでございます。そういう再就職支援の機関がセンターだとするならば、例えば独法天下りを今のままの形でセンターに持ち込まれたって、これはちょっとセンターの役割と違うよなという議論がたくさんあったわけでございます。
 また、わたりあっせんの問題についても、マーケットバリューの再就職を目指すのであれば、わたりあっせんの世界というのは、これ言ってみれば統制システムの中でのやり方なわけでございますから、これはセンターのやり方とは全然違うと。ですから、こういうものが残っているとセンターが機能しないということになるんじゃないんですかという立場からの御議論が大変多かったように思います。
#12
○松井孝治君 そうすると、私、大臣の御意見を確認しておきたいんですけれども、まだこれ報告書まとまっていませんね。素案段階で、昨日もいろんな委員の方々から書面で、あるいは言葉で意見が出ています。これを受けて、今おっしゃった例えばわたり規制、こういったもの、あるいは独法に対する天下りの総量規制、こういう議論はセンター懇の議論の中で大臣としては引き続きあきらめずに最終報告に盛り込むべきだというお考えですか。
#13
○国務大臣(渡辺喜美君) これについては、センター懇というのは官房長官の下に置かれた懇談会でございます。その懇談会が担当大臣の私に発注をされているわけでございますから、言ってみれば官房長官は私の上司なんですね。ですから、私は上司の言うことを聞かないというわけにはこれまいりません。ですが、議論そのものを官房長官がやってはいかぬということを言ったわけでも何でもないんですね。
 ですから、要するにセンター懇のマンデートは超えているので紙にはすべきではないと、こういう御指示だったかと思いますけれども、議論そのものを封殺しようとか、そんなことでは全くない。議論そのものは先ほど松井先生御指摘のようにフルオープンでやっているわけですから、みんな知っているわけですよね。
 ですから、私はもう既に、既にですよ、この議論について予告編として、全体パッケージ懇の方で引き続きやっていただけませんか、あるいは行政減量・効率会議の方で独法の天下り総量規制を議論していただけませんかという予告編はもう既にしております。
#14
○松井孝治君 そもそもわたりについては、これは大臣の御見解を伺いたいんですが、これは一回目の再就職というのは現状、政府はやっていますね。それは人事管理の一環としてやっている。ただ、退職者を更に再就職のあっせんをしている、この事実関係を認めているわけですが、これはそもそも違法なんじゃないですか。あるいは、違法というか、法的根拠は少なくともない仕事なんじゃないですか。大臣、どう思われますか。
#15
○国務大臣(渡辺喜美君) センター懇でも、法的根拠がないのではないかという議論に対して反対をする方はいらっしゃらなかったように思います。
#16
○松井孝治君 もう一点、これちょっと観点を変えて会計検査院に伺いたいと思うんですが、会計検査院が十月に発表された随意契約の検査結果の中で、随意契約を結んでいる公益法人の天下りの実態調査されています。その九百六十二法人に随意契約、天下りがある公益法人に随意契約がなされているわけでありますが、私びっくりしたんですが、その中で、職員というか、その公益法人の職員の半分以上が天下りで占められている法人、あるいは役員の半分以上が天下りで占められている法人、それで随意契約が行われているという法人、たくさんあるんですね。この数、それから、そこにどれだけの天下りが行っているのかということを、ちょっと簡潔にその検査結果の中から事実関係を御説明いただけますか。
#17
○説明員(高山丈二君) 委員の御質問にお答えいたします。
 各府省等が締結している随意契約に関して、参議院から検査要請を受けました事項のうち、随意契約先の公益法人に対する所管府省からの再就職者の数につきましては、所管府省及び随意契約先の公益法人の協力を得て調査を実施し、提出された調査票等から把握できた範囲でその結果を記述いたしております。
#18
○松井孝治君 簡潔に。
#19
○説明員(高山丈二君) はい。
 これによりますと、十八年四月一日において、御質問の、従業員に占める所管府省退職者の再就職者の数の割合が五〇%以上となっておる公益法人は八府省の七十法人でございまして、従業員数計千九百五十六名のうち、所管府省退職者の再就職者の数は千三百五十六人となっており、六九・三%となっております。
 また、役員に占める所管府省退職者の再就職者の数の割合が五〇%以上となっている随意契約先の公益法人は十府省の六十四法人であり、この六十四法人の役員計千五十二人のうち、所管府省退職者の再就職者の数は六百九十二人となっておりまして、その割合は六五・八%でございます。
 以上でございます。
#20
○松井孝治君 渡辺大臣、今の数字も聞いていただいたと思うんですけどね、氷山の一角なんですよ。氷山の一角ですが、要するにもうこれだけの数の、それぞれもう五〇%、その随意契約先の公益法人のうちの職員の五〇%を超えるような天下りがあるような団体がこれだけあって、何と千九百五十六人の職員のうち天下りが千三百五十六人占めている。役員も同じですね、千人ぐらいの役員のうち七百人ぐらい天下りで占めている。それが全部随意契約で賄われているんですね。こういう実態を会計検査院が検査結果を発表されている。
 したがって、さっき大臣がおっしゃった、やっぱり基本的に市場価格で再就職が行われるというなら、それをつなぐということはまだ、我々は天下りバンクに対して基本的に反対でありますが、しかし、やはり基本的に再就職が行われるとしたら、それは市場価格で行われなければいけない。お土産付きの、随意契約付きの天下りみたいなものを、これを新人材バンクがあっせんしたんだったら何のための新人材バンクかと。大臣の趣旨にももとると思うんですね。
 ですから、そういう意味でも、この随意契約を付けている、そういうところに所管の役人を公益法人、独立行政法人、会計検査院が指摘して問題だと言っていますよ、そういうところに対して再就職のあっせんはするかしないか、法案の審議のときに私、大臣に伺いました。そしたら、有識者懇の意見も聞いてそれは決めますというのが大臣のお答えでございましたが、有識者懇の中でも何人もの方々が、そういう公益法人に随意契約でお土産を出していて再就職をさせる、そういうものについてはこれはこのセンターとしてそういうことを行うべきではないんじゃないかという意見が出てきていますけれども、具体的にセンターの就職あっせんの範囲、対象について制限を加えるべきではないかと私思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#21
○国務大臣(渡辺喜美君) センター懇の議論の中でも、随契先の法人へのあっせんはやるべきではないという有力な御意見がございました。また、いっそのこと非営利法人全部やめちゃったらいいじゃないかという御意見もございました。
 いずれにしても、まだ結論が出ておりません。まさしく今、センター懇の議論は佳境に差し掛かっているところでございまして、国会の御審議は当然踏まえての議論をしてまいりたいと思います。
#22
○松井孝治君 是非そこは厳しく、そもそもそういうマーケットバリューどころか、お土産付けて高い給与を保証しているような再就職、私は知見活用型、いつも申し上げています、知見活用型で、本人の知識、経験が民間なりで買われて再就職される、そのことを否定するものじゃないんですけれども、やっぱり権限、財源をバックにお土産付けて再就職する、それを所管省から権限取り上げたからといってセンターであっせんしていたら何の意味もない、会計検査院の検査結果の趣旨にもそぐわない、そういうことになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つは、大臣うなずいていただきましたんで、是非よろしくお願いします。
 そもそも大臣は、年功序列のこの公務員制度、処遇、これはやっぱり壊さなきゃいかぬ、能力・実績主義をしっかり貫いていかなきゃいかぬというふうに前からおっしゃっています。そういう意味では、早期勧奨退職自身というものも、基本的に政府の従来の方針でも早期勧奨退職というのはできるだけやめていこうと、年齢上げていこうと。ところが、そういう合意が閣僚懇の申合せであったと思いますけれども、ここのところ全然年齢上がっていってないんですね。早期勧奨退職年齢というのが少し、一・五歳ぐらい上がったと思いますけど、五年間掛けて三歳分上げるということが全然進展していないんです。
 大臣は、この早期勧奨退職、これはなぜやるかというと、同期が横並びでずっと出世していって、その出世コースにあぶれた人は肩をたたくと、基本的にこれはやめるべきだという方向性の中で議論をしておられるのか、それとも、いや退職年齢、肩たたきの年齢下げてもいいじゃないかと、この天下りバンクでいろいろあっせんをするときに若い方があっせんしやすいという議論もあるわけで、どっちの方向を見て議論しておられるのか。基本的に早期勧奨退職というものをなくすという方向で議論しておられるのかどうか、そこについてお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(渡辺喜美君) 早期勧奨退職慣行というのが、これはいいんだと言う人は余りいらっしゃらないんじゃないでしょうかね。これは、もう小泉内閣のときの政府方針以来、良くない慣行だからやめていこうという方向で動いているのは紛れもない事実だと思います。したがって、我々のセンター懇の議論の中で、今のやり方の年功序列のなれの果ての肩たたきシステムを温存をしようという立場で意見を言っておられる方は一人もいらっしゃらないと思います。
 ただ、やはりリストラ型の勧奨というのはあり得るであろうと。民間でやっているリストラ型の勧奨というのは、例えば拒否をした場合には給料は下がりますよとか、あるいは受け入れる場合には割増し退職金の率をアップをしますよというような、言わばインセンティブとディスインセンティブと両方兼ね備えたようなやり方をやっているという話をよく聞きます。しかし、公務の世界ではそういうシステムがないわけですね。これも、センター懇の議論の中で、センター懇だけでは解決できないがゆえに全体パッケージ懇の方でも是非議論をしてくださいというたぐいの話でございます。
 委員御指摘のように、若いうちの方がマーケットバリューが付くではないかという議論もセンター懇の中ではございました。中には、ライン職と専門スタッフ職のふるい分けというのを、四十からという意見もございますし、三十ぐらいからでもいいじゃないかという意見もございました。したがって、そういうころから仮にふるい分けを行うとするならば、それに承服できないという方が、じゃ退職の道を選んで民間その他のところに出ていくというイメージはあろうかと思います。
 いずれにしても、そういった議論の中で、肩たたきシステムを温存をしろという議論はなかったと思います。
#24
○松井孝治君 もっとこの議論をしたいんですけれども、大臣の退席時間が近づいていますので、まとめて最後に二つの質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、キャリア制度ですね。もう能力・実績主義になればT種、U種という区別を付けていく必要がどこまであるのか。キャリア制度の見直しというようなことがこの報告書の中あるいは懇談会の中でどういう議論があり、大臣はどう考えておられるのか。これはもう基本的に廃止して、能力、実績の中できちんと選抜していくという方向にあるべきだと私は思いますけど、どう考えておられるかということと、それから民間からというか、広く社会から、政治任用を含めて途中で中途採用みたいなものをもっとどんどん進めて官民の交流を活発化するべきだと思うんですが、この点についても大臣の所見をお伺いして、大臣退席のお時間なので、もう大臣に対する御質問を終わりたいと思います。
#25
○国務大臣(渡辺喜美君) これは、先ほど来申し上げている全体パッケージ懇の方で議論が行われております。改正いただいた国家公務員法の中では、年次や試験区分にかかわらない人事をやっていこうということはもう既に決まっているわけでございますから、今のT種、U種という試験区分は意味を成さなくなるわけであります。
 そういたしますと、これは今までやってきたキャリア制度をそのまま温存するという議論にはつながらないわけでございまして、パッケージ懇の議論の中では、民間と同じように総合職と一般職という区分ではどうかとか、あるいは、それにしても幹部というのはどうやって登用するんだと、もし大学出たときの試験によらないんだとすれば幹部登用の方法はどうやるのかという議論を今やっていただいているところでございます。
 一方、政治任用あるいは自由任用あるいは公募という問題についてもパッケージ懇の方では議論をやっていただいておりまして、これについても、まさしく現状維持の議論というのではなくて、いかに正しい議院内閣制を支える公務員制度をつくるかと、そういう議論が行われていると認識をいたしております。
#26
○松井孝治君 委員長、御指示において、渡辺大臣、時間ですので御退席いただいて結構です。
#27
○委員長(岡田広君) 渡辺国務大臣、退席して結構です。
#28
○松井孝治君 渡辺大臣御退席ですが、ちょっとそれに関連した質問を一問だけ続けさせていただきます。
 今日は岸田大臣に御出席をいただいておりますが、今、新人材バンクのセンター懇という懇談会において、再就職のあっせんをする、公務員の再就職のあっせんを一元化してすると、その報告書の骨子の中に、基本的に勧奨退職者の再就職のあっせんをするということになっているんですが、それに加えて、もっと若い、勧奨退職の対象になっていない方々についても情報を登録して情報提供していくと。要するに、対象者の中にもっと若い、例えば四十代の職員なりの再就職支援も対象にしたらどうかという話が出ているんです。
 私は、別に、私自身も四十歳で役人辞めましたし、若いうちに役所を辞める方々がいるのは大いに結構だと思います。ただし、センター懇で議論されているこの官民人材交流センターというのは、税金使って勧奨退職の方々に対してその再就職の支援をするというものなんですね。片方で、そういう勧奨退職者ではない方々が自己都合で、自分の職業選択の自由で就職をすると、こういうものは、本来であれば、民間に人材を紹介をしたりする、そういう業があるわけですね。にもかかわらず、ここが全部税金で、お話伺うと税金で運用すると。紹介をした会社とか団体から紹介料を取るわけでもないと。無料の人材紹介をするということになるわけですね。もちろん、その職員からも手数料を取るわけでもない。
 そういうことが若年者といいましょうか、四十代の職員の方々まで対象になってくるということになりますと、これはひょっとしたら官業の民業圧迫ということにならないかと。規制改革担当大臣でもあられる岸田大臣はそういうことについてどういうふうにお考えになられるか、その点伺いたいと思います。
#29
○国務大臣(岸田文雄君) まず、官民人材交流センターにつきましては、先ほど来話が出ておりますように、官房長官の下に置かれておりますいわゆるセンター懇、この官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会において検討されている最中でありまして、まだ結論が出ていない状況でございます。ですから、私自身、この具体的な詳細については承知をしていない状況であります。
 ただ、今の御指摘の点で、一般論として申し上げるならば、国家公務員につきましては、今回、在職中の求職活動あるいは再就職後の活動に対しましても、罰則を含めて厳しい制約が課されることになるというふうに聞いております。こういった辺りも含めて、この全体の制度を確認した上で官と民の役割というものを考える、これが今御指摘の点、官業による民業の圧迫にならないかということに対する判断になるのかなというふうに思っております。
#30
○松井孝治君 私も、別に若年者が自己都合でどんどん民間に職を求めたりすること自体はいいと思うんです。組織的なあっせんではなくて、人材が社会の中で流動化すること自体はいいし、しかるべき支援が社会全体としてあっていいと思うんですけれども、そこをどこまで税金を使ってやるのかというのはまた別問題だというふうに考えておりますので、それは規制改革担当大臣として是非また御検討いただきたいと思いますし、また、先ほど渡辺大臣おっしゃったように、これは官業改革ということにもつながっておりますので、全体の議論を、岸田大臣も減量・効率化会議でまた議論をしていただくというような話もありましたので、是非フォローをしていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
 話題を次の論点に移しまして、有害情報というのが最近問題になっています。
 この十月に政府が内閣府の方で世論調査もなされて、非常に今有害情報が特にインターネット上、あるいはそのインターネットというのはパソコンのインターネットだけではなくて携帯電話からもアクセスできるわけで、そこで有害情報がはんらんし、非常に凶悪な残忍な犯罪、あるいは、非常に看過し難い青少年に対する悪影響というものがいろいろ指摘されていると思います。
 この点について、国家公安委員長、そして上川青少年担当大臣の方から、今の、私もいろいろ新聞報道などを拝見しておりますと、いろんなもう読むに堪えないような記事ですね、やみの職安というようなものがあって、そこで自殺幇助、あるいはそこで知り合った方々が残忍な強盗殺人を繰り広げているとか、もうそういうものが本当にたくさん出てきておりますが、この実態を、犯罪を、治安維持あるいは犯罪捜査あるいはその抑制というようなことを担当しておられる泉大臣、そして青少年が非常に多く巻き込まれているということから見て上川大臣、それぞれの現状認識について伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(泉信也君) 今、松井委員から御指摘ございました現状は大変ゆゆしき状況にあると思っておりまして、今インターネット上には、児童ポルノあるいは出会い系サイトにおける不正な誘引、規制薬物の広告などのいわゆる違法情報がありますし、殺人等の請負、集団自殺の呼び掛けなどの有害情報もございます。また、ポルノ画像あるいは暴力シーン等、青少年に悪影響を及ぼす情報もはんらんしているわけであります。このほか、いわゆるやみサイトを通じ共犯者の募集などが行われておる。大きな社会問題であると私どもも強く認識をいたしております。
 警察では、違法な情報に対する取締りの推進のほか、インターネット・ホットラインセンターを通じた、違法情報、有害情報の削除要請、広報啓発など、関係機関、団体等と連携した取組を行っておるわけでありまして、今後とも、違法な情報に対する取締りを推進するといたしますとともに、サイバーパトロール、インターネット・ホットラインセンターの充実等、これらの対策を強化していかなければならないと思っておるところでございます。
#32
○国務大臣(上川陽子君) 松井委員から御指摘がございましたインターネット上に流通している情報について、子供にとって大変有害な情報がはんらんしているということについては本当にゆゆしきことだというふうに思っております。
 こうした有害な情報、今国家公安委員長の方からの御指摘もございましたが、出会い系サイトでありますとか児童ポルノに係る情報とかあるいはネットいじめというような形で、次から次へといろいろな有害情報がつくられているということでございまして、こうした情報から子供たちを守るということについては、これはしっかりと的確に取組をしていかなければいけないというふうに思っております。
 今、政府では、これまでいわゆる出会い系サイト規制法などによりまして一部の有害情報については規制を行うなどの対応をしてまいりましたし、また青少年の育成施策大綱、これは平成十五年の十二月、また十八年の六月には子ども安全・安心加速化プランという中でもこの問題について的確な対応をするようにという、こういう取組が設けられたわけでございますが、それに基づきまして、青少年のメディアを活用する能力の向上を図る、またサイバーパトロールを強化をすること、そしてフィルタリングソフトの普及促進を図ること、また関係業界、団体や事業者に対しましても青少年の健全育成に配慮した自主的な取組を要請するなどの施策を政府を挙げて総合的に強力に推進してきたところでございます。
 内閣府では、今年の七月に有害情報から子どもを守るための検討会を立ち上げまして、現在、有害情報の現状と課題につきましての抽出を行いまして、政府として法規制も含めましてどのような方策を取ることができるかについて検討しているところでございます。
 青少年を預かる私の担当といたしましても、子供を有害情報から守ること、そして健全に育っていくためのより一層な効果的な施策を関係機関との連携の上で強力に進めてまいりたいというふうに思っております。
#33
○松井孝治君 今、上川大臣の方から法規制も含めてというお話が出ました。
 例えば、これは高市大臣の時代でございましたが、この内閣委員会や衆議院の青少年特の方でも議論になりまして、携帯電話、子供たちの被害の、本当にインターネットの被害の多数、九十数%は携帯電話からアクセスしているんですね。フィルタリングというものを少し普及しようということで、そこで法制化も必要じゃないかという議論もあったんですけれども、取りあえず事業者の自主規制にゆだねようということになっているんですね。しかし、それも委員会での議論が前提にあってそういう議論に発展したんですが。
 例えば、直近に、十月に内閣府が調査をしたものを見ますと、インターネット上の有害情報の規制について非常に多くの方々が規制すべきだということを言っておられます。同時に、私やっぱり拝見して驚いたのは、携帯電話のフィルタリングの認知度、これは事業者の方々が最近は契約の書面にそういうサービスがありますよということを織り込んだりされているんですが、それでも知らない方が五一・二%、聞いたことはあるという程度の方が二九・五%、合計すると八割の方がよく分からないんですね。聞いたことはある、あるいは聞いたこともない、聞いたことはあるけれどもよく分からないぐらいの方々が八割を占めている。
 やはりこれは、我々も議員立法で一回提案させていただいていますが、別に我々が議員立法で提案させていただいているからということではなくて、こういう問題に与党も野党もありませんので、上川大臣は法規制も含めてというふうに今おっしゃいましたけれども、例えば携帯電話のフィルタリング、こういうものはもう少し事業者の努力義務、総務省に伺いますと、努力義務と言われても、これはやっぱり事業活動の自由とかいろんな表現の自由の抑制ということもありますからといって割と慎重、努力をしておられないわけじゃないんですけれども、もう一歩、この現実のいろんな事件を、悲惨な事件を目の前にしますとやっぱりちょっと甘いような気がするんです。
 そういう意味で、上川大臣、今例えば携帯電話のフィルタリングについての法律によるもうちょっと事業者、電気通信事業者の努力義務を課すというようなこと。あるいは、さっきおっしゃいましたけれども、出会い系サイト規制法、これは警察庁の方で今見ておられる規制法があるんですが、これ出会い系のサイトだけなんですね、規制対象は。しかも、その規制対象というのは非常に緩くて、利用者が未成年かどうかということだけ確認をしてイエスと押せばどんどん中に入っていける、非常に危険なサイトの中に入っていけると。これをもう少し規制内容も強化をしていくべきではないか。あるいは、出会い系サイトだけではなくていろんな、先ほどのやみの職安ではないですけど、ぼろい、非常に違法なものでもこういう商売がありますよなんということがどんどんインターネットサイトに書き込みがされている、そういったものもやっぱり規制対象にしていくべきだと。もちろん表現の自由とか言論の自由というものは尊重しなければいけないけど、それにしても、社会的ないろんな問題、深刻な問題に対して必要な規制はしていくべきではないかと思うんですけれども。
 上川大臣、先ほど法規制も含めてということございましたけど、例えば出会い系サイトの規制、この法案の見直し、あるいは例えば携帯電話のフィルタリング、こういったものについて法規制をやっぱり青少年対策を担当しておられるお立場から関係大臣に働き掛けていっていただくような、そういうおつもりはございませんでしょうか。
#34
○国務大臣(上川陽子君) ただいま携帯電話の有害サイトへの問題が御指摘がございまして、これに対しては、アクセスを防ぐためのフィルタリングソフトということの普及促進というのは本当に大事なことであるし、またこのフィルタリングソフト自身が非常に有効な手段であると考えております。
 今御指摘のとおり、高市大臣のときからもこの委員会その他で御論議をいただきまして、当面、携帯電話のフィルタリングソフトの普及促進のための働き掛けや、そして啓蒙活動ということで、この間、大変御熱心に取り組まれてきたというふうに思っております。
 しかし、先ほど御指摘いただきましたとおり、内閣府が実施しました有害情報に関する特別世論調査で、十月二十五日に発表されましたけれども、半数以上の人が携帯電話のフィルタリングを知らないというような結果が出ております。父親、特に母親というところで、保護者の皆さんがより分かりやすくその問題についても理解していき、そして同時に利用率を高めていくということについては大変大事であるというふうに思っておりますし、そのための努力も惜しまずしていくべきであるというふうに考えております。
 先ほど申しましたとおり、七月に有害情報から子どもを守る検討会を立ち上げ、そのことも含めまして有害情報の現状の課題の抽出を行っているところでございますので、それぞれの有害情報の現状と課題、このところに即して、法規制も含めてどのような方策を取ることができるのか、御指摘いただいたようなことも含めてきちっと対応していただきたいというふうに思っておりまして、関係各省庁協力して取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#35
○松井孝治君 岸田大臣の下でIT安心会議というのを開かれておられて、これ岸田大臣は御出席されていないと思うんですね。課長レベルの会議で、やはり例えば出会い系サイト規制の見直しというようなことも含めていろんな対策を講ずるべきだということで、関係省庁で課長レベルで集まっておられます。
 今日、内閣委員会の担当ということで今三大臣お並びなわけで、これに総務大臣とか経済産業大臣とかが関係してくるのかもしれませんけれども、岸田大臣、これ是非、IT戦略本部になると閣僚レベルの会議あるんですが、このITを一つの媒体にしたいろんな青少年対策であるとか犯罪の防止、これは今のこの三大臣、今お並びの三大臣が中心になって関係閣僚会議を実質開いていただいて、やはり課長レベルの対策ということでは限りがありますし、なかなか事業官庁は事業規制に対して消極的なんですね。ですから、そこは岸田大臣、IT統括をしておられる立場から見て、是非御決意を伺いたい。
 それと、時間がありませんので、犯罪捜査、治安維持という観点から、やっぱり事業官庁はどうしても事業者の自由を守りたがりますんで、これは是非国家公安委員長の御決意も併せて伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#36
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のIT安心会議につきましては、十月中旬に集中対策を取りまとめまして、これを十一月の初旬のIT戦略本部に報告する予定にはなっております。
 ただ、御指摘の点は大変重要な点だと認識しまして、こうした体制につきましても工夫ができないかどうか、是非検討したいと思っております。
#37
○国務大臣(泉信也君) 大変犯罪がITを使って複雑化しておる、あるいは我々の手の及ばないところでの事態が発生しておるというようなことを考えまして、今、センターへの協力を依頼するとかそういうことだけではなかなかうまくいかなくなってきておる。御協力は十分いただいておるわけですけれども、十分その目的を達成できないところもあるということでございますので、上川大臣等の御発言にありましたように、私どもも新しい取組を検討しなきゃならないということを考えておるところでございます。
#38
○松井孝治君 三大臣、是非緊密に協力をし合っていただいてこういう青少年対策をしっかりやっていただきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#39
○自見庄三郎君 国民新党の副代表の自見庄三郎でございます。
 私のことを大変申して恐縮でございますが、私は三十八から六十まで七期、二十二年間、衆議院をやらせていただきました。十年ほど前に橋本龍太郎総理の下で郵政大臣をさせていただきました。今回、郵政民営化に反対ということで、前回の衆議院選挙、私の信念を貫いたというふうに私は思っておりますが、残念ながら自分の力不足で、刺客が来て議席を失ったわけでございまして、一年十か月、大変きついこともございましたが、自分が来し二十二年間、本当に国政の中枢に参画させていただいて、まあ元々私は研究者でございますから、医師であり研究者でございますから、一体世界というのは何か、人間とは何か、社会とは何かと、そういったことをしっかり、根源に返っていくことは、それほど私は知識も経験もございませんが、自分の立場で一生懸命物を考えてみたわけでございます。
 おかげさまで、七月二十九日、今回の参議院選挙で、国民新党の比例代表ということでまた国権の最高機関であるこの参議院に議席を得ることができたわけでございまして、関係者の方々に厚く感謝をいたしておりますけれども、私は、当選をさせていただきまして改めて日本国憲法の実は前文を改めて読ませていただいたんですね。今日おられる国務大臣あるいは佐藤副大臣始め皆さん方はよくお分かりだと、こう思いますけど、改めて浪人の後、日本国憲法を読んでみますと、非常にやっぱりしみ渡るようないいことを書いてあるんですね。読んでみます。
 「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と書いてあるんですね。これ前文の第一条なんですよ。最初ですね。そして、主権が国民に存することを宣言し、権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、福利は国民がこれを享受すると。そして、ずっとございまして、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずると。そして、日本国民は、国家の名誉に懸けて、全力を挙げてこの崇高な理想と目的とを達成することを誓うと。
 これが、日本の有史以来、昭和十六年に太平洋戦争を始めた。そして、正に三百二十万人の日本国民がさきの戦争で命を失いました。アジアの中で最初に日本国が近代化を目指した国でございまして、私は今でもアジアの国、いろいろ今大変な経済的に追い上げがございますが、ある意味で、近代国家をつくり得た唯一の国は日本国だと思っていますよ。それはもう大変な苦難があったけれども、やはり当時、十九世紀、正に弱肉強食の時代でございますから、アジアの国はほとんど西洋列強の植民地にならされた。しかしながら、当時、中国、覇権国家でもございますし、四千年の歴史の中で、アジアで中国が大体統一国家をつくっているのは二千年、分立国家をつくっているのは二千年でございますが、日本国は、正に西洋文明といいますか、産業革命あるいは近代化、中央集権国家、そういった巨大な波が押し寄せてきた、それはもう御存じのように、大臣、ペリーですよ。
 ペリーが、江戸時代二百六十年続いた封建時代に、正に浦賀に巨大な鉄の軍艦で日本国に開国を迫ったんです。正に、異文明とのもう劇的な遭遇、それを日本人は大体ペリーが来て十五年間で近代国家に、明治維新、変容できたんですよ。私は、日本国に天皇陛下という方がおられたから、私は実にある意味で犠牲が少なく効率的に近代国家に変身できたと思っておりますし、そういう意味では、私は天皇陛下を、保守の政治家として、天皇家を大変日本国の大事な政治的、社会的、文化的財産だと大変崇敬をいたしておりますが、中国は御存じのように当時列強から蚕食され、私は長い間、日本香港友好国会議員連盟の、会長は羽田孜元総理で、私は事務局長をさせていただいておりましたし、また日中友好議員連盟の副会長を、会長は高村今の外務大臣ですよ、やらせていただいて、本当に中国が当時百五十年間、列強から蚕食されて、主権を持ちながら持っていないような、そしてそれに、大変悲劇的なことでございますが、イギリス、フランス、ドイツ、そしてアメリカ、そして最後には日本も満州国ということで加わったと、そういった帝国主義の時代に、私は、そういう歴史を通ってきたわけでございますが。
 中華人民共和国、いろいろな視点があると思いますけど、私は、中国というのは百五十年掛かって、やはり孫文がした辛亥革命以来、あるいはその以前から香港を植民地化したのはたしか百六十年ぐらい前だと思いますが、それ以来百五十年間近代化に私は掛かったと思っています。それはたくさんのことがございまして、それが毛沢東を中心とする中国共産党は統一国家をつくったということでございまして、そんな歴史を振り返りながら、ナポレオンの言葉にこういうことがあるんですよ。愚人は過去を学び、過去のことばっかりくよくよ言うというわけですね、狂人は未来のことを語り、未来のことばっかり言うんだな、賢人は現在を語るというのは、私は青年のころ読んだナポレオンの言葉ですけれども。やはり我々、歴史に学ばなければ、大臣、あしたのことも分からないんですよ。あしたのこと予想できますか。
 私は本職医者でございますが、人間の生命というものは、地球ができて四十五億年、地球上に生物ができて三十五億年たつんですよ。大臣も私も、その三十五億年前にできた生物の全部かけらをDNA中心に持っていますよ。御存じのように、大臣、お子さんがおられるのか知りませんけど、おなかの中に赤ちゃんおりまして、途中人間の胎児というのはえらがある時代があるんですよ、えらがある時代が、おなかの中でね。
 ですから、そういった中で、私は言うんだけど、月ロケット、あれ大体部品が百万個ですよ、百万個オーダーだな。大体車が十万個オーダーと言われますけど、ちょっと今ごろ増えたようですけれども。人間の体って、三十五億年の歴史と生物としてのすごい環境変化を担って生きてきた、そして約六十億個の細胞があるというんです。たったお父さんとお母さんから二つの生殖細胞が融合して、これはペアリングと、私は遺伝学ずっとやっていましたから、ペアリングといいますが。それから、六十億ぐらいの細胞があるんです。言うなれば六十億の部品があるもう極めてある意味での生物でございますから、そう簡単じゃないんですよ。そして、人間には当然、心身一如といいますか、健全な心身に健全な精神が宿るという言葉がありまして、今、私は医学の方、科学の方はもう少し専門でございますが、どんどんどんどん発展してくると、どうも心と体は一つじゃないかということが今どんどんどんどん科学的に解明をされていますよ。
 しかし、いかんせん、人間が幾ら、医学、科学、人間というのは複雑ですから、医学もあれば、当然経済学もあれば心理学もあれば比較人類学もあれば、もうあらゆる、全部合わせても、まだヴァス・イスト・デル・メンシュ、人間とは何か、まだ分からないんですよ。その謙虚さを我々人間は持つべきだと私は思っていますね。
 そして、もう一点、今こういった国権の最高機関は国会しかないんですよ。行政府じゃないんですよ。私は与党にしばらくいたけど、何か大臣になるのが偉いような感じがしたよ、はっきり言えば。何かなりたいななりたいなと思って、中川先生、一生懸命努力して、先生は今副大臣だけど、鴻池先生も国務大臣されましたよね。
 しかし、よく考えてみると、当たり前のことですけれども、国会が最高機関なんです、国会で総理大臣を任命して、そしてその人が内閣をつくるんですから。それが主権が国民に存する間接制民主主義の大原則ですね。そうしますと、一番、当たり前ですけれども、国民が直接選んだ我々国会議員が、やっぱりその歴史の任務に堪え、人間とは何かと。そして、やはりこの一億三千万人おる島国日本の、私の記憶では百九十八国家がありますよ、政府が、その中でどうやっぱり生存していくのかということを、私は少なくとも、それに足らない人間だけれども、それぞれの議員がもう本当に命を懸けて、世界観、そして歴史観、国家観、そして価値観を持たなければ、私は国民が不幸になると思いますよ、せっかく選んでいただけたんですから。私はその任には堪えませんけどね。そういう最高の、国権の最高機関の議員として自分なりには一生懸命研さんをしてきたつもりですよ。
 そして、正に現実には、この国会、今参議院においては、五十年ぶりに私が初めて出していただいた参議院において、自由民主党だった、みんな無所属になりましたが、参議院の議長さんが出られる。しかし、江田五月さんが五十年ぶりに参議院議長になられたんですよ。御存じのように、さきの選挙では、私は自由民主党に育てていただきましたが、小泉さんから追放されて、やむを得ず離党せざるを得なかった。そんな小さなことは言いませんが。
 それで、定数が二百四十二ですか、今参議院ね。過半数が百二十二、あるいは議長さんの一票を入れれば百二十一ですよ。第一回目の小沢一郎さん、民主党の党首に入ったのが百十七票なんですよ。百二十一から百十七票引きますと、大臣、分かるでしょう、四なんですよ。国民新党小といえどもちゃんと参議院では四あるんですよ。
 ですから、我々はこの郵政民営化反対して、やはりこれはちょっと日本の国益に関しておかしいよと、地方の郵便局どんどんつぶしていって一番困るのは過疎地のおじいちゃんおばあちゃんじゃないのと。公的年金を一番もらっているのは、佐藤副大臣はよく御存じだと思いますけれども、公的年金をもらうときには郵便局でもらうんですよ。
 町村合併して、田舎のおじいちゃんおばあちゃん、私もかつて福岡県旧四区でしたから、三市十九か町村ありましたが、過疎法指定の町村が三つありましたよ。そこで私は三十八から五十歳まで十二年間鍛えられた。選挙で鍛えられるということは、全部国民の生活を見るということなんです。その人たちの本当に気持ちに立たなければだれも、みんな議員なんかよくお分かりですよ、だれも見ていないんだよ、秘密投票だから、名前なんか書いてくれませんよ、本当の話。ヒューマンフィルターを通るということは物すごく議員にとって大事なことなんですよ。
 あっちやらこっちやら話が行きますけど、私、韓昇洙さんて、当時十七年前通産政務次官でしたけれども、ソウル大学のもう最高の経済学者。当時、東京大学の経済学者、同時にハーバード大学の経済学者でしたよ。私はそんな分野は余り知らなくてね。その人が最初に韓国で選挙があったときに、一族みんなやめろやめろと言ったらしいんです。国会議員に出たんですよ。そしたら通った。非常にもう奇跡の当選と言っていました。そしたら、通った次の日に韓国の通産大臣になった。
 通産大臣辞めた次の日に、実は私はソウルで韓昇洙さんにお会いしましたよ。私は聞いた、行って。今でもよく十七年前、鮮烈に覚えていますね。韓先生、先生は極めて世界的に有名な経済学者だと。しかし、現実に選挙を受けて通産大臣になったが、どうですかと言うと、こう言ったよ。自見君、私は失業率、韓国は例えば八・三%と数字しか学者のときは見えなかったと。ところが、選挙というヒューマンフィルターを経て、選挙を通していただいて通産大臣になったら、失業率八・六、私の選挙区の確かにあそこの村外れの、要するに町工場の息子が今就職していたけどリストラに遭って失業しているとか、そういう数字の向こうに一人一人の国民の顔が見えてくると言いましたよ。
 私は、自分自身も自戒を含めてそのことはよく分かっていますけれども、やっぱり国民の声、国民の生活、政治は生活だ、生活が政治だと、こう言って民主党さんは大勝されましたけど、それも私は一面正しいと思っていますよ。
 やはり多くの国民にとって正に、まあ大田先生は有名な経済学者ですし、今国務大臣で権力を持っておられる、国民から与えられた権力を持っておられるからそれは分からないかもしれないとは言わないけど、そんな失礼なことは言わないけど、やっぱりそこが原点なんですよ、政治というものの、民主主義国家の。
 それは、民主主義国家が私は絶対ベストなものとは思いませんよ。しかし、長い歴史の中で、やっぱり独裁国家よりも民主主義国家の方がよりベターじゃないかと。今少なくとも人類が到達した、私はベストとは言いません、大変な欠陥がございます。だけど、よりベターな政治制度ではないかと、こう私は思っていますよ。
 少し前置きが長くなりましたけど、我が国民新党は、これはもう記録に残りますから、十月二十三日の日に、民主党の代表の小沢一郎代表と国民新党の代表の綿貫民輔代表、我が党の代表と合意書にサインしたんですよ。ちょっと恐縮ですけれども、これも全部新聞に発表していますから読んでみますよ。
 民主党及び国民新党は、両党の協力関係を一層促進するために次の二点について合意したんですよ。二点なんですよ。郵政民営化の見直しに関する決議の参議院提出を踏まえ、ここに参議院における統一会派を結成すると。これは新聞にもよく載っていたね。しかし、二点目はきちっとあるんですよ。これは国民新党の立場も強く主張したんですけど、統一会派結成後の政策協議並びに、諸活動、その他の諸事項については、両党間で定期的に建設的な話合いをすると、信頼関係を前提として建設的な話合いをすると。
 ですから、それは民主党は尊敬しますよ、国民に選んでいただいた直近の参議院における第一党ですから。しかし、その民主党がこの政策に賛成だって言うから自動的に我々は判をつくんじゃないんですよ。きちっと政策協議、結成後の政策協議並びに、政策協議をするんです。
 で、恐縮ですけど、この自見庄三郎、国民新党の政審会長を承っていますよ。ですから、この日本国における責任が大変私は重かつ大であると、こう思っていますからね。
 そして、御存じのように、郵政民営化廃止法案、これは廃案になったけど、しかし同時に、廃案になりましたけれども今度は郵政の株を凍結させる法案を参議院議長の江田五月参議院議長に提出させていただきましたよ。恐縮なことでございますが、光栄なことでございますが、私が筆頭提案者といいますか、提出者ですね。賛同者が二十人いて、これは民主党、社会民主党、そして国民新党、そして今日おられる糸数慶子先生もなっていただきましたし、それから川田龍平参議院議員もなっていただきましたよ。大変感謝いたしておりますが、それをびしっと今参議院に法律を出していますんでね。
 これ、今さっき聞きまして、国権の最高機関、衆議院と参議院で成る。しかし、ねじれ現象なんという言葉をマスコミが言っているけど、私はねじれ現象なんという言葉は大嫌いだ。直近の民意は参議院にあるんですよ。
 そして、もうそれは大臣は経済学よく御存じで、アメリカの議会では、まあ大統領制ですが、上院と下院と大統領とあるんですね。これ、大統領と上院の、下院のマジョリティーパーティーが一緒なこともあるけれども、一緒でないことがあるんですよ。大体、私の浅はかな、浅学な知識、歴史的な知識しかございませんが、アメリカは大統領と上院と下院と同じ党派、例えば共和党あるいは民主党、大体戦争を始めるんですよ。そして、選挙をしたら大体またマジョリティーパーティーは変わる。昨年の中間選挙でブッシュさんは敗北しましたね。そうすると、かえってある意味で、何といいますか、やっぱり国民っていろんな民意を持っておられますから、それがやっぱり私は民主主義の私に言わせれば健全な姿だと思いますよ。
 参議院に来らせていただいて、まあ率直に言いますよ、私も二十二年間やらせていただいたけど、参議院は衆議院のカーボンコピーだと言われた。中川先生、覚えてるな、よく非難されましたよ。それは、自民党とその連立政権が過半数であれば、党議決定すれば衆議院で過半数、過半数を参議院で取れるからね。官僚機構も、与党しか相手しなくても何か右から左に大体法律が上がるんだよ。
 私なんか、若いとき、もうよく訳も分からぬけど、国対の一年生で、ただ行って、入って立っていましたよ、率直に言って。それで、だんだんだんだん法律の内容が分かってきたけどね。私は医者ですから法律の専門家じゃございませんから、先生のように経済の専門家でもないからね。だけど、そのことがぶち壊れたんですよ。与党が衆議院通っても参議院で通らなけりゃ、法律、憲法以外は全部国会の衆議院と参議院通らにゃ法律にならないんだから。予算は通っても予算関連法案は通らないんだから、予算なんか執行できないよ。
 そのきちっとやっぱり民意を得た、それは皆さん方もいろいろ御努力いただいて悔しい思いもしておられると思いますよ。私も自由民主党のとき十か月間野党だったことがございますから、まあ本当に野党というのは苦しいときあった。そういった経験を踏まえて、私は、よりこの日本の民主主義が成熟したと思っていますよ。このことを踏まえてきちっと、今、日本国憲法にありますように、崇高な政治道徳にのっとり、やっぱり大事なのは、日本国民の生活を守り、あるいは豊かさを守り、そして国が侵されないということですよ。
 私は、政治の目的は何か、よく聞かれたら、こう言いますよ。先生の神社、ふるさとに、佐藤副大臣も神社があるでしょう、栃木県にね。大体、神社に行ってごらんなさい、みんな、これは有村さんみたいな神社の専門家も、有村議員さんおられるけど、大体こう書いてある。天下泰平、五穀豊穣、無病息災。国が戦乱によって、どこか昔の日本で、どこか分からぬような盗賊とかどこかの国の大名が来て、わあっと来て田んぼを荒らされて、みんなたくさん殺されて、日本人の場合は、これ文化的特徴ですが、大体大名の上だけ交代するんだな、下の農民まで替わることはないんですよ。これが、ヨーロッパとか大陸にたくさんの民族がおって、皆殺しにしないとほかの民族は移民できないというところとの違いですよ。塩野七生さんの本読んだらよく書いてある。だけど、そういう中で日本文化をつくってきたんですよ。
 やはり天下泰平、五穀豊穣、無病息災、これはもう千五百年も二千年も前から当時の日本国民が石に刻んで神に祈ったことですよ。変な盗賊とかほかの国の、隣の国の大名とか豪族が来て自分たちの田を荒らされて、心ならずも殺されたくないと、心ならずもできた稲を取っていかれたくない。そして、五穀豊穣。やっぱりだれでも人間であれば豊かに明るく健康的に生きたいですよ。それは無病息災だ。病気。
 人類というものは、都市をつくったときに物すごく激減したんですよ。これは、私は公衆衛生というのが専門ですけど、都市つくると伝染病がはやるんですよ、だあっと。人間、人っていうものは、都市国家をつくるとだあっと人口が減るんですよ。それは中世のペスト、あれは都市、こういうことで、中世、あのころ三分の一、ヨーロッパ人、ペストによって死んだんじゃないの。日本だって、日清戦争、日露戦争の戦死者よりコレラによって死んだ人の方が多いんですよ。コレラって水系伝染病。今コレラなんかもう日本ほとんどございませんけれどもね。正に、その三つの命題、これ私は、千年も千五百年も前から、また今でも、将来でも、やっぱり政治に与えられた最も貴重な課題だと思っていますよ。
 そして、今日は、そういった意味で、少し何か私のような、勉強余りしませんけれども、今日はこのネオリベラリズム。
 私は、人類なんかたくさんの思想だとかイデオロギーだとか宗教があったと思いますよ。それは古くは儒教があり、キリスト教があり、イスラム教があり、物すごい影響を与えていますよ、今でも。人間の文化、社会、経済にもね。そうでしょう。イスラム教徒は今でも利子取ってはいけません。いけないんでしょう、大臣御存じでしょう。イスラム銀行って、今でも利子取ってはいけないんだから。アラーの神様は利子は不道徳なものだ、取ってはいけないって言っているから、今マレーシアなどではイスラム銀行は利子取っていませんよ。手数料ということでやっているようだけれどもね。
 キリスト教徒も、昔は、多分ローマ教会、カソリックは余り利子を推奨しなかったんですよ。利子を取ったら余り良くない。だから、ある意味でイタリアとかフランスは余り、何といいますか、資本主義がまともに発展しないというか、イギリス、オランダ、アメリカほどは発展しないんですよ。
 一生懸命勉強しましたよ。西南女学院の講師していますので、講義に行こうと、その辺を話しようと思って。そうしたら、あそこ、ポイントは、ルターの宗教改革、それからカルビンのやっぱり予定説ですよ。それまで、中世の時代は王権神授説でしょう。王様にあなた、神様が権力を与えたというんだから。絶対的主権者で、ほかの人は何も言えないよ。正に中世の桎梏の私は基本的なイデオロギー、宗教は王権神授説だと思いますよ。ところが、ルターがこれはおかしいと、やっぱり聖書の原点に戻るべきじゃないかと、有名な宗教改革を始めたんですよ。当時のすさまじいローマ法王庁の権威に反抗した。それを経たカルビンという人の予定説。これ勉強、まあささやかな私は勉強しかしていませんけれどもね、面白いんですよ。
 予定説って、人間が地獄に行くか天国に行くか、そんなことは神様が予定してあるんであって、もうそんなことは人間に分からない。神様に聞くわけにいきませんからね。そうしたら、物すごくパニックになったわけですよ、西洋世界。一生懸命自分はキリスト教を学ぶ、聖職者になる、あるいは一生懸命善政を行った領主は間違いなく天国へ行けると思っていたんだからね。そんなことは全然ないよ、ある意味、物すごく王権神授説の反動ですよ。今でいったら革命思想だな。これが広がっていった、だあっとね。
 そして、その人たちの流れが、一つはピューリタンね。そして、アメリカに行って、まあイギリスにもたくさんおるしね。それで近代資本主義ってできたんですよ、と私は思っていますよ。あれ、カルビンが、予定説というのがなければ、今世界に資本主義というものが私はなかったと思っていますよ、私は。
 そのころ、商売だけなら大阪の方がよっぽど豊かだったんですよ。宋なんて、中国なんてよっぽど商売うまかったんだから、物すごい商業発達しているんだよ。だけど、この資本主義というものが何でできたかというと、非常に逆説的だけれども、最も禁欲的なこのピューリタニズムというか、それからあんな資本主義ができた。もう自分たちは天国行けるか地獄に行くか分からぬから、もう与えられたベルーフ、天職を一生懸命やるしかない。それで、多分間違いなく、私が勉強した範囲では、資本主義ってできたんですよ。ですから、資本主義というのは、大臣、常に倫理的、道徳的、あるいは宗教的にきちっとしっぽがあるものなんですよ、社会システムに至るすべて、私はそう思っていますよ。
 ところが、ベルツさんという人が、ドイツのお医者さんで、東京帝国大学初代のドイツ人のお医者さん。あの人の「ベルツの日記」って読んでごらんなさい。日本人は西洋がつくった文物、社会制度を取り入れるのが物すごくうまいっていうんですね。明治時代の話。当時、もう封建時代、二百六十年間あった。いや、今度はもうへましたら、あんた、イギリス、フランスの植民地になるばい、何とか打ち破らにゃいけぬ、なら、早く追い付け追い越せだと。彼は書いている。うまいけれども、そのシステム、西洋でできた歴史とか哲学に対することは一切理解しようとしないと書いてあるよ。「ベルツの日記」、読んでくださいよ。私ははっと来たんだ。
 確かに、今、先生はどういう思想を、経済思想を御存じか、信じておられるかもしらぬけれども、ネオコンという思想がありますよ。それから、大きなのはマルクス・レーニン主義、これイデオロギーですね。これは政治的にはソ連共産党が崩壊して、かなり崩壊してきましたよ。それから、ナチズム。それから、ケインズ、これは資本主義を生き返らせたという話もありますけれども。
 今ごろは、やっぱり一九八九年以後は、世界で一番大きな、世界戦略をできる国は私はアメリカしか今ないと思っていますよ。圧倒的な経済力、圧倒的な軍事力、圧倒的な情報力を持って、世界戦略を一国としてやっていける国はアメリカしかありませんよ。一九一八年まではイギリスでしたね、イギリス。だあっとイギリスは圧倒的な軍事力で七つの海に植民地を持っていましたからね。もう経済学者は御存じのように。
 ビクトリア循環という言葉は御存じでしょう、ビクトリア循環。まあ少し質問もせにゃいけませんから。大臣、ビクトリア循環という言葉を御存じですか、当時の。
#40
○国務大臣(大田弘子君) 先生のお考えを伺わせていただきまして、ありがとうございます。
 韓国の韓昇洙先生は、私も何度かお目に掛かっていろいろな教えをいただいている、尊敬している先生です。
 ビクトリア循環という言葉、私よく存じませんので、是非お教えいただきたく存じます。
#41
○自見庄三郎君 天下の経済学者の大臣にお教えして恐縮ですね。それは簡単に言えば、第一次世界大戦まで基軸通貨はポンドだ、世界一の海軍力を持っているんだ、世界一、七つの海の植民地を持っているんだ。そうすると、大体、ロンドンを出た百ポンドの金が、地球をぐるっと一周してきたら二百ポンドになるんですよ。それがビクトリア循環というもの。私は先生よりも何もあれですが、それがビクトリア循環です。そうでしょう、あへんだって、お金持っていってインドであへん栽培させて、中国に行って、今度はあへん窟つくって、そしてその金でお茶を買ってくる。
 日本国だって、よく勉強してみたらビクトリア循環と無関係ではありませんよ。大臣御存じのように、江戸末期、開国するときに日本は条約を結びましたね。だれでも御存じのように、ずっと明治前半の政府は、最大の課題は不平等条約の撤廃ですよ。治外法権と関税自主権の要するに確保。当時、江戸時代の末期だったから余りよく分からなかったかもしらぬけれども。大体、岡崎さんという外交官いますね、久彦さん。あの人の本、「陸奥宗光とその時代」、「小村寿太郎とその時代」、「幣原喜重郎とその時代」、三部作ありましたけれども、あれ読んでいただいたら、計算していますよ。大体、関税自主権がなかったから日本国は十兆円取られたというんですよ。十兆円、関税自主権がなかったがゆえに。だから、それも僕に言わせればビクトリア循環。十兆円どこに行ったか。主にイギリスを中心とするヨーロッパに行ってしまいました。
 その中で我が国は独立を守って、アジアの中でたった一つの近代国家をつくり得たんですよ。私は、本当に運も良かった。少し十九世紀の後だったからね、日本に列強が来たとき。それから、日本人が持っているやっぱり本当に勤勉さ。もう明治維新の始まりというのはもう識字率六割でしょう。六割ですよ、六割の人、ちゃんと寺子屋で本を読んでいたんですよ。三百諸侯というのは地方分権の固まりだ。廃藩置県して統一国家つくる。いろいろは言いませんけれども、明治の指導者って偉いですよ。
 偉いというのは何でかというと、イデオロギーに走り過ぎたやつは、あれは蛤御門みたいになって、あれみんな幕府軍の当時刀に掛かって死んでいるんですよ。何も言わぬ守旧派が、この場合は守旧派と、これ、ずっと幕藩体制守っただけなんです。ちょうど本能的にやばい、国は開国せねばならないけれども、やばいと思う人だけが生き残ったと私は自分が政治家二十二年させていただいて、そう思いますよ。私なんかすっとんきょうで飛び出し過ぎたから小泉さんから首切られたのかなと、こう思いますけれども。
 しかし、政治というのは、やっぱり原理原則を踏まえて、貫くところは貫かなきゃ駄目ですよ。それが政治屋と政治家の違いだ。本当。議席を保つためなら、それは一番強い人に寄っておけばいいよ、一番強いアメリカの言うとおりに聞いておけばいいよ。しかし、やっぱり国家の、国民の生存というものがあるんだから、国家というものは。
 そうすると、ビクトリア循環があって、第一次世界大戦から第二次世界大戦の間、もう全部ぐちゃぐちゃになっちゃうんだ。だから、ポンドは基軸通貨でないし、こっちは、いい悪いは抜きにして、アジアの方は円が流通していましたからね。こっちの方はドイツのマルクが通用する。アフリカは今度はフランが通用する。基軸通貨の機能をなくした。そして戦後、御存じのようにブレトンウッズ体制と申しますか、IMF、世界銀行、そしてドルが基軸通貨になったんですね。この循環で世界の富を吸い上げるのは、基軸通貨というのはポイントですよ。基軸通貨でないとこういう仕掛けはできない。もう詳しくは言いません、先生の御専門でしょうからね。
 だから、今、私は、この前、総理にも質問したんだ。文芸春秋の三月号、こう書いていますよ。これ、今正に大臣がいらっしゃる経済財政諮問会議の民間議員、伊藤忠商事の会長、丹羽宇一郎さんが文芸春秋三月号にこう書いているよ。読んでみましょうか。一九八九年に冷戦が終了し、米ソの冷戦構造で、冷戦でアメリカが勝ったんだ、はっきり言えば。そして、共産主義の敗北が明確となると資本主義の暴走が始まったと書いてあるんだな、暴走が。もうアメリカの資本主義を止める人がいなくなった。
 それは、余りアメリカが世界じゅうから富を吸い上げると、日本なんか一番典型ですよ。当時、米ソの冷戦構造のとき、日本とドイツはやっぱり民主主義、自由主義の一番ショーウインドーじゃなきゃいけないから、ほら見ろと、東側の共産主義を信じている人たち、アメリカの言うことを聞いて、もう自由主義、民主主義、資本主義を入れたらこんなに国民が豊かになるぞと見せびらかす必要があったと私は思っていますよ。当時のアメリカの世界戦略というのは、日本人の国民のニーズと自由民主党の戦略がぴたっと合って、考えてみれば平和な時代でしたよ。アメリカと一生懸命付き合えば安全保障も日米安全保障条約で国家の安全を保障してくれるし、まあ外交権は半分ぐらいなかったけどね。しかし、国民は間違いなく豊かになる。
 アメリカは、少々政治的には、日本を引き付けておくことは一番国家としてのアメリカの最優先課題でしたから、一ドル三百六十円にしてどんどん輸出補助金をくれましたよ。ですから日本の企業はどんどん豊かになった。そして、どんどん、社会民主党的な政策をして中産階級をつくる。中産階級をつくるというのは一番、共産主義、社会主義に対して強いんですよ。私は学園紛争もしていましたからね。私は当時、右翼反動自見一派でございましたが、もうよく分かる。大体、共産主義がはびこってくるのは、もう松村先生、警察官僚ですけれどもね、大体貧しい人とか希望がないところにどんどんどんどんやっぱり犯罪というのは起きてくるんですよ。私、犯罪を一概に非難はしませんが、いや、許せるものじゃないけどね、やっぱり犯罪が発生してくる土壌というのはあるんですよ。
 私は、日本で一番生活保護率が高い福岡県の田川郡の添田町で七年働かせていただきましたけど、内科の医者として、一泊二日でね。それで、もう隣の川崎町、当時二五%の生活保護率、それはもう石炭から石油で、構造改革で全部あの辺根こそぎ富がなくなったんですよ。そうしたら、もうあとは荒涼たる旧産炭地ですよ。石炭六法で大体四兆円の金を国家は入れましたけれども、あの政策は私は正しかったと思いますよ。何も私じゃなくて、あなたもよく、エズラ・ヴォーゲルさんが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で、最も日本のエネルギー政策が世界でうまくいったと書いているね。その副作用がどんと旧産炭地に出て、私は医者しながら、こんなに地域が崩壊して貧しくなっていいのかなと。私も少しは感受性がありますからね、大臣。青年のころ、医者として本当に胸痛みましたよ。歴史というものは怖いものだな、国家というのは怖いものだなと。
 しかし、一ドル一バレルの石油が安定的に三十年間入ってきたらどうなりましたか。高度経済成長ができたじゃないか、できたでしょう。結果、東京、大阪なんて豊かになったよ。しかし、それはもう物すごく北海道を始め、中川先生おられるけど、北海道だとか九州だとか、もう物すごい副作用を受けたわけですよ。だから、御存じのように、政策というのは陰あれば必ずひなたがあるんですよ。
 そして、私は、ちょっとあっちらこっちら行ったけど、ワシントン・コンセンサスが始まったと。ワシントン・コンセンサスとは何か。国際通貨基金、IMFですよ。それから、私が言うんじゃないですよ、丹羽さんが言う。あなたの、大臣の下の経済財政諮問会議、この前、総理は一諮問会議にすぎないと、こう言われたけどね、その民間議員で、ましてやこの人、伊藤忠が四千億円も赤字の会社を立て直した名経営者ですよ、御存じのように。今、経団連の会長と、この人が経済財政諮問会議の一人の経済界出身の委員だ。この人が書いているよ。ワシントン・コンセンサスとは何か、国際通貨基金、IMF、世界銀行及び米国財務省の間で広く合意された米国流の新古典派対外経済戦略で、いいですか、アメリカの対外経済戦略なんですよ。小さな政府、規制緩和、市場原理、民営化を世界に広く輸出する、輸出するんだよ、そして、米国主導の資本主義を押し広げようとするものだ、日本もその標的となっていると書いてある。私が言うんじゃない、丹羽さんが言うんだよ。そして、民営化が進み、社会を市場原理にゆだねた結果、格差社会が深刻化していると。格差、小さな政府。
 合成の誤謬というのがあるんですよ。一つ一つ考えたら、これ確かに小さな政府、それは税金が多いよりは税金が少ない方がだれでもいいよ。しかし、国民というのはとかく、しかしちゃんと社会保障は充実せいと、こう言ってきますからね。自見さん、おれの町の橋はちゃんとせいとかね。それは、私もこんなことをしていますからね、市町村長さんが来たら大体七割方、道路の陳情が多いよ。あそこに橋架けてくれとか、もうあそこはといってね。みんな、小さな政府、いいでしょう。しかし、小さな政府というのは歳出を抑えると同時に歳入を、いいですか、私は二十三年前に国会議員になったときに、累進課税八八%でしたよ。所得税が七〇%、地方税が一八%で八八%、年収九千万円以上の人は取られていましたよ。一億円年収があったら、手取り残るのは、委員長、千二百万円ですよ。私は医者の仲間が、先輩が多かったから、自見君、これ何のために働きよるか分からぬといって、もう働いても働いても、大体一億円所得があっても、そのころは税制が変わっていましたから今と違いますけど、開業医の先生だって八八%、八千八百万円税金納めなきゃいけない。一か月分の所得しかないと。これ、資本主義、何といいますか、富者の強制労働というでしょう。金持ちの強制労働だ。こんなのやめてしまえと、自由な国にとってふさわしくない。で、租税の平準化が起きたんじゃないですか。それやっぱり基本でしょう。租税の平準化、今は日本だって租税の平準化したけど。お金持ちは、これは、僕は八八と言ったけど、その前は九三%だった。実効税率九三%、超累進課税だな。
 言うなれば、先生お分かりのように、ケインズ経済学でやっていた。お金持ちの人は能力があると、お金もうけたんだからね。そしたら、その人たちはやっぱり社会に対する責任があるんじゃないか。ノーブレスオブリージュという言葉があるけどね、やっぱり能力がある人にはきちっと、もう幾ら努力してもうまくいかない人ってたくさんいますよ。能力はあっても、それは運だと言う人もおるけどね。しかし、それは、何も努力しなかったから、自己努力が足らなかったからうまくいかないんじゃないんですよ、社会というものは。幾ら努力してもうまくいかない人が社会の中に一杯いますよ。
 金持ちが、お金を持っている人がシステムとして累進課税を取ってきちっと社会保障をする、あるいは地方交付税交付金に回す、あるいは社会保障費に回す、そういう国家を私はこの十年前まで日本国はきちっとつくってきたと思っていますよ。それはやっぱりそれがちゃんと地域のコミュニティーあるいは地域の触れ合い社会、それをつくってきたんですよ。ところが、もうからないことはするな、小さな政府だと。私に言わせれば、経済金融政策で大失敗した大蔵省が八百兆近い国債を持ったもので、そのネオコン思想に飛び乗っちゃったね、飛び乗って悪乗りしている、私に言わせれば。だから、小さな政府、小さな政府、必要なやつまでどんどん削っていくじゃないの。もう老人なんか見てごらんなさい、お年寄り、もう知っているでしょう。高齢者控除を廃止した、五十万円なくなったよ。だから税金が増えたよ。税金に対して、介護保険料増えるよ。国民健康保険料も増えるよ。もうお年寄り、今行ってごらん。私、この前こう言われた、自見さん、おれを殺す気か、殺す気かって、今の政策。年金は増えない。
 もう時間ですけどね、大臣、一点聞きますよ。老後、六十五歳以上、いいですか、公的年金が主たる歳入源、八五%以上でいいですよ、一体お年寄りの中で何人おると思いますか、日本国で。あなた、経済財政諮問会議、これくらい知っておかないと駄目よ、やっぱり。最低、六十五歳以上で公的年金が主たる収入源という人が日本国に何人お年寄りの中でいますか。質問ですよ。
#42
○国務大臣(大田弘子君) 今、高齢者が大体二千六百万人おりますが、すべてが公的年金、恩給だという方が六四・二%、六割、約六割、六五%おられます。ですから、二千六百万人掛ける六割の人数がすべて公的年金で暮らして……
#43
○自見庄三郎君 八五%以上の人って何ぼ。
#44
○国務大臣(大田弘子君) はい。
#45
○自見庄三郎君 私、八五%以上が主たる年金が何ぼですかと聞いたんですよ。だから一〇〇%はそうでしょう、今大臣が挙げた数字ね。
#46
○国務大臣(大田弘子君) 今手元に持っております数字が十六年の国民生活基礎調査ですが、すべてが公的年金が六四・二%、八〇%から一〇〇%未満が一〇・四%。ですので……
#47
○自見庄三郎君 足すと。
#48
○国務大臣(大田弘子君) 八五という数字はないんですが、八〇%以上ですと七四・六%、約四分の三ということになります。
#49
○自見庄三郎君 大臣、経済財政諮問会議というのは、そんな数字ぐらい頭に入れておかなければいけませんよ。私は、勉強せぬというのはね、経済学なんか専門じゃないですよ。この数字、やっぱり常に頭に入れていないと日本国って運営できませんよ。
 もうそろそろ終わりか、時間がないね。まあ本当、笑っている話じゃない。これは、本当にやっぱり戦後、国破れて山河あり、六十三年前、やっぱり家庭において、地域において、大体その人たちは十代、二十代の前半で戦争に負けたんですよ。みんな頑張ったよ、戦争に生き残って、地域においても社会においても会社においても。その人たちが今の日本国をつくってきているんだもの、まあ何だかんだ言ってこれだけ大きな経済大国、世界一の長寿国家を。
 だから、その人たちが今どういう気持ちになっているか。そうでしょう、公的年金、それを今度はもう年金が宙に浮いた。怒りますよ、負担ばっかり増えた。それから、もう御存じのように、日銀が低金利ですから、あれ庶民から物すごく企業の方に所得移転が起きたよ、あれ二百兆か三百兆ぐらい起きたんじゃないか。もう田舎に行ってごらんなさい。自見さん、昔は百万円、百万円定期貯金があったら大体七万円ぐらい利子収入。それは委員長も茨城県の方だ、七万円あったら大体孫を一泊二日の温泉旅行に連れていきよった。自見さん、今百万円定期預金しても、まあ定額貯金、郵便貯金にしても、もうあなた、大体銀行か郵便局に取りに行ったら、タクシーで行ったら終わりというんだよ。この金、自見さん、どこに行きようかねと。私たちは全然、お年寄りがもう楽しみなくなったと言われますよ。
 そんな数字はやっぱり、私、韓昇洙さんの話しましたでしょう。一人一人のやっぱり顔なんですよ。そういうことがばちっと分かっていないと、あなた権力があるんだから、権力というものが。権力というのは、やっぱりこれはどうして使うかということは中国五千年論議があるけれども、それをよく使わないと、私に言わせれば、まあ竹中さんと個人的には親しいけれども、あんなことでこのネオコン政治を強行するということになりますよ。そうしたら、どんどん、経済一時的にうまくいく、社会は分裂しちゃう。小さな政府、規制緩和、官から民へ、そして市場原理。そうしたら、ラテンアメリカのアルゼンチンよく知っているでしょうが。社会は結局崩壊しちゃうんですよ。その危険性は私は今たくさんある。そして、官から民への具体的な政策が、もう本当に典型的な私は郵政民営化だと思っていますからね。
 今日、ちょっと前段が長くなり過ぎたけれども、やっぱりこういうことをびしっと頭に入れて、やっぱり大臣というのはあるべきですよ。
 昔、大臣がきちっと署名したから大東亜戦争が始まったんですよ、残念ながら。大臣が署名したんだよ。それくらい閣僚というのは重たい責任があるんですよ。結果、広島の人が二十万人も、本当にお気の毒だ、原爆で死んだ、十万人も原爆で亡くなられた。私は、地震とか津波なら、私政治家なんかなりませんよ。人間は何ぼ頑張っても、原因と結果はもう人間があらがえないから。しかし、政治だけは原因があって結果がありますよ。責任がある、そのことをしっかり、閣僚というのは本当に重たいものですよ。署名するでしょう、花押で。あのことで戦争をしようという政策をしたら、結果、三百二十万人も死んだんだから。そのことの重さをしっかり踏みしめて経済財政会議をやっていただきたい。
 今日は郵貯のことも聞こうと思ったけれども、ちょっと興奮して済みません、委員長。しゃべり過ぎたけれども。だから、そういうきちっと、やっぱり歴史観、国家観、政治観、そういうことを持って一億二千万人の、もう本当に内外ともに難しい時代だよ。その時代を経済財政諮問会議のあなた担当大臣だからしっかりやっていただきたいということをお願いして、私の御意見を言わせてもらい、最後に何か御感想があったらどうぞ、大臣。
#50
○国務大臣(大田弘子君) いろいろなお話をありがとうございました。国民の目線に立ってしっかりと経済財政諮問会議を運営してまいりたいと思います。ありがとうございます。
#51
○島田智哉子君 民主党・新緑風会・日本の島田智哉子でございます。
 子供の安心、安全対策についてお聞きしてまいりたいと思います。
 去る十月十六日に兵庫県加古川市において小学校二年生の女の子が何者かに刺殺されるという本当に卑劣で許し難い事件が発生をいたしました。亡くなられた子供さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。警察におかれましては、一刻も早い犯人の検挙に向けて全力でお取り組みいただきますようにお願い申し上げたいと思います。
 そこで、泉大臣にお聞きをいたします。
 泉大臣は、先日の委員会で、子供を犯罪被害から守り、少年の非行を防止するため、子ども安全・安心加速プランに基づき、地域住民、関係機関等との連携強化をし、総合的な対策を推進してまいりますと、このような御発言がございました。
 改めまして、今回の事件のこれまでの警察としての対応と、この大臣の御発言にございますプランの推進とは具体的にどのような対策をお取りになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#52
○国務大臣(泉信也君) このたびの加古川の事件は誠に卑劣で、しかも許し難い事件であるという委員の御指摘を、全く私も同じ認識でございます。そうした観点から、現在は兵庫県警察において捜査本部を設置して、事件解決に向けました捜査を懸命に行っておるところでございます。
 一方で、また当該地域は大変防犯活動に御熱心な地域でございましたので、そうした方々のお力をおかりしながら周辺地域の警戒活動を強化する、そして子供の安全確保に一体的に取り組んでおるのが今日の姿でございます。
 二つ目にお尋ねになりました、先日私が触れさせていただきました子ども安全・安心加速プランにおいては、地域の力で子供を犯罪被害から守る、あるいは子供が非行や犯罪に巻き込まれることのないように地域の力をはぐくむと、こうした観点から今取組の強化をしておるところでございます。
 警察で行っております同プランに基づきます具体的な内容は、退職した警官等を学校と警察との橋渡し役、こうした役目を担っていただくということで、スクールサポーター制度を導入しております。
 それからまた、小学校や防犯ボランティア、地域住民等に対する不審者の情報等の積極的な提供、また共有ということを行っております。また、子供の防犯ブザー、子供さんに防犯ブザーを持っていただきまして、その実効性を高める、こういうことをやっております。
 さらに、子供に対する被害防止教育の推進、こういう具体的な事業を行わせていただいておるわけでございますが、一層、今回の事件も踏まえまして、強化、積極的に推進してまいりたいと思っているところです。
#53
○島田智哉子君 報道によりますと、今回の事件が発生しました翌日、福田総理は記者団の質問に対して次のように発言されたということです。力のない人を簡単に大人があやめるといったことは最近の風潮ですかね。本当に許されない。弱い者を傷付け、死亡させてしまうのは、私の感覚では全く考えられない。一段と対策の強化をしなければならないと。
 総理がおっしゃった一段と対策の強化という点について、具体的な御指示はございましたでしょうか。
#54
○内閣官房副長官(岩城光英君) 大変残念な事件が起きてしまいましたけれども、その翌日、福田総理が記者団とのやり取りの中で今委員御指摘のような発言をされたわけであります。
 それで、政府といたしましては、これまで子ども安全・安心加速化プランあるいは犯罪から子どもを守るための対策などに基づきまして、関係省庁一体となって再発防止に取り組んでまいりましたけれども、またこのような事件が起きてしまったこと、大変遺憾に存じております。
 そこで、福田総理からは、折に触れまして子供の安全、安心の確保についてしっかり取り組むように常々指示をいただいております。本件につきましての総理の発言も、これまでの対策を基にいたしまして、そして再発防止に向けた取組を再度徹底いたしますとともに、事件が解明されていく過程の中で新たな問題点が浮上することがあれば早急に対策を取れという趣旨だと理解をしております。政府におきましては、そうした総理の意向を踏まえまして、昨日、犯罪から子供を守るための対策に関する関係省庁連絡会議、これの課長級の会合を開催いたしまして、これまでの対策につきまして再度進捗状況を点検することなどをいたしました。
 これからも、次代を背負って立つ子供の安全、安心の確保、これは私どもに与えられた責務であるとの認識の下、再発防止対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#55
○島田智哉子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、泉大臣から御説明いただきましたそのプランにつきましては、通学路等の安全対策、子供の安全に関する効果的な情報共有の推進、あるいは子供の安全、安心を確保した町づくりの推進等々、警察や文科省の取組が示されております。
 そうした中で、今回事件が発生した地域というのは、市の防犯モデル地区に指定されるなど、地域が一体となって子供の安全対策に相当御熱心に取り組まれている地域とお聞きしております。しかしながら、この事件が発生したのが自宅前という他人の目が及びにくい死角となっていたということもあって、今後どのような対策を講じなければならないのか、また講じることができるのか、今回の事件が発生した地域に限ることなく、各地においてその対応策の在り方がいま一度見直さなければならない状況にあるんだと思います。
 泉大臣は、このプランに示された内容をいま一度具体的に再検討を加える必要性があるとお考えであるのかどうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(泉信也君) 今回の事件は、御指摘のように、自宅の前の死角でなかったかとか、あるいは直前まで道路が通行止めであったというようないろんな状況が報じられておるわけでございます。そうした事態が、我々が想定していなかったことかもしれません。しかし、私どもはまず、先ほども申し上げました子ども安全・安心加速化プランというものを、まだたくさん項目があって実行し切れてない、もっと強化すべき点もございますので、当面はこのプランを強力に推進するということに専念をし、また岸田大臣からお話ございましたように、今回の事件が解明される過程で我々の見直しが必要な部分があれば、それは積極的に取り上げて具体化してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#57
○島田智哉子君 上川大臣はいかがでしょうか。
#58
○国務大臣(上川陽子君) 私も、青少年の安全、担当をいたしておりまして、子供の安全、安心の確保ということについては政府の最重要な課題であるというふうに認識しておりまして、今回の事件も含めて、地域がしっかりと協力をし合って対応していくための様々な課題があれば対応していきたいというふうに思っております。
 今日ちょっと発表させていただきましたけれども、来月が全国の青少年の健全育成強調月間ということでございまして、その中の三本の柱の一つが、正に青少年を非行や犯罪から守るための取組の推進ということを挙げているところでございますので、そうした集中的な月間に向けて活動を更に強めていくべく努力していきたいと思っております。
#59
○島田智哉子君 どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
 委員長、泉大臣と岩城副長官への質問は以上ですので、御退席いただいて結構です。
#60
○委員長(岡田広君) 泉国務大臣、岩城内閣官房副長官は御退席いただいて結構です。
#61
○島田智哉子君 それでは、行革についてお聞きをしたいと思います。
 行革担当副大臣にお聞きしたいと思いますが、昨年十二月に示されました補助金等の交付により造成した基金の見直しにつきまして、その御趣旨とこれまでの経過についてお聞かせいただきたいと思います。
#62
○副大臣(山本明彦君) 島田委員から今御質問ございました、昨年十二月に策定されました基金の見直しについての趣旨、経緯を説明させていただきたいと思います。
 この基金法人というものにつきましては、行政代行法人等の見直しの一環といたしまして、平成十六年十二月の閣議決定をいたしました今後の行政改革の方針におきまして、官民の役割分担、規制改革及び国の関与等の透明化、合理化などの観点から二つの柱を定めたところであります。
 その一つ目は、余り使う見込みがない、そうした資金は国へ返してください、もう一点は、無駄な事業は見直しなさい、その見直しの時期を設定してくださいと。この二つの柱でありますけれども、こうした点を平成十八年度末までに所要の見直しを行うと、こういうふうに決められたところであります。これを受けまして、補助金等の交付により造成した基金等に関する基準、これを平成十八年八月に閣議決定いたしまして、この基準に基づきまして、昨年十二月に行政改革推進本部におきまして取りまとめ、決定をしたところであります。
 その内容につきまして、主な内容を申し上げたいと思いますが、まず第一点は、事業実績や今後の見通しとの関係で、規模が過大である基金につきましては数年間で総額千六百九十一億円の国庫返納をしてください。これは七十一法人を見直しいたしましたけれども、百二十一のファンドがありまして、合計で一兆四百二十億円国から出ておりまして、そのうちの千六百九十一億円ですから約六分の一ぐらいですかね、これだけの国庫返納を求めております。二つ目は、実績の乏しい事業などを十六事業、これを廃止してください。三つ目が、九つの債務保証事業につきまして、現行一〇〇%保証しておるわけですけれども、これを部分保証ということで保証の割合を引き下げてくださいという点。四つ目は、すべての基金に関し平成二十一年度において再度見直しを行う、そして改革を実行してください。こうしたことを決めたところであります。
#63
○島田智哉子君 厚生労働省にお聞きをいたします。
 厚生労働省が所管をされていた基金の見直し状況について、御説明ください。
#64
○政府参考人(大谷泰夫君) 平成十八年の八月に閣議決定されました補助金等の交付により造成した基金等に関する基準において、見直しの対象となる基金のうち厚生労働省所管法人が保有するものは三つございました。
 一つは、財団法人の高年齢者雇用開発協会の有する緊急雇用創出特別基金、二つ目が、財団法人のこども未来財団の運営しますこども未来基金、それから三つ目が、社団法人国民健康保険中央会の国保特別対策基金でございました。それぞれ閣議決定されました基準等に沿いまして見直しを行ってきたところでございます。
 見直しの内容をもう少し具体的に申し上げますと、まず一つ目の緊急雇用創出特別基金につきましては、リストラ等によります中高年離職者対策等として実施しております各種事業を平成十九年度末までの対象者への支援をもって終了とすること、また二つ目のこども未来基金につきましては、事業所内保育施設等の整備に係る借入金に対する利子補給事業につきまして、平成十八年度をもって新規申請の受付を終了すること、それから三つ目でありますが、国保特別対策基金につきましては、医療費適正化に係る対策会議や研修会の実施等の事業について、今後とも閣議決定されました基準に適合するよう指導監査を実施するというふうにしておるところでございます。
#65
○島田智哉子君 今御説明いただきました基金の中で、基金事業を平成二十七年度末、つまり今後も当面は継続するとされているこども未来基金についてお聞きをいたします。
 その見直しの概要、また基金の基本的事項を公表することとされておりまして、今御説明をいただきました見直しについて厚生労働省のホームページで公開されている内容を拝見いたしました。その中にございます少子化時代における次世代育成に関する意識啓発事業、子どもの健全育成のための事業、この事業の具体的内容についてお聞かせください。
#66
○政府参考人(大谷泰夫君) お答え申し上げます。
 こども未来財団が実施しております事業のうち、少子化時代における次世代育成に関する意識啓発事業につきましては、一つは、育児体験や若い世代の少子化に対する問題意識などについてのエッセーを募集する、また二つとして、世代間交流や地域コミュニティーの在り方を考えるシンポジウムの開催、こういうことを実施しているところであります。
 また、子どもの健全育成のための事業につきましては、商工会議所等が広場等を活用して行う世代間交流や地域伝承活動等に要する経費の一部の助成、また企業が所有しますグラウンドなどの福利厚生施設を地域の児童に開放した場合の維持管理費用の一部助成、こういったものを実施しているところであります。
#67
○島田智哉子君 それらは基金運用収入五億円によって実施されているわけですけれども、これらの事業を財団法人が実施する場合に厚生労働省はどのように関与されているんでしょうか。
#68
○政府参考人(大谷泰夫君) このこども未来基金による事業につきましては、こども未来基金運営要領というものを策定いたしまして、これに基づきまして、一つとしては、こども未来基金を保有するこども未来財団は、毎年度、その開始前に基金の事業計画書を厚生労働大臣に提出してその承認を受けなければならないということとし、またこのこども未来財団は、年度終了後に基金の事業実績報告書を厚生労働大臣に提出しなければならないというふうにしているところでございます。
 また、このこども未来財団に対しましては、他の公益法人と同様でありますけれども、少なくとも三年に一回定期検査を実施しており、その際にこども未来基金による事業についても検査を行っているところであります。
 なお、そういった一般的な監督のほかに、特に必要がある場合には、その都度、臨時検査などの対応を行うというふうにしているところでございます。
#69
○島田智哉子君 そこで、この五億円の使い道について資料を御提出させていただきましたけれども、厚生労働省から財団の平成十八年度の収支計算書をいただきました。そして、それを拝見する中で私自身がとても奇異に感じましたのは、例えば予算額と決算額に一円たりとも狂いがない支出が幾つもあるという点なんですけれども、まず私は、新聞社や放送局が御協力いただいていることに国民の一人として感謝をしていますし、評価をしております。
 資料にありますように、最初、私の素朴な疑問として、なぜ一円の差異も発生していないのか、厚生労働省の担当部局に問い合わせをいたしました。そして、更に疑問を深めましたのは、厚生労働省としてほとんど把握をされていらっしゃらないのではないかなと感じるくらい、その都度、財団に問い合わせて回答をするということなんですね。
 ただ、そうした内容について、財団で理事会において議決されているし、評議会の同意を得ているので、厚生労働省としては特にチェックをする必要もないという、そういう姿勢に私は大変大きな疑念を持ちますが、いかがでしょうか。
#70
○政府参考人(大谷泰夫君) このいろんな事業、特に資料でお示しいただいている事業等でありますけれども、こういった事業につきましては、共同開催する、共催するというこの相手方が、新聞社であるものであったり、あるいはテレビ局であるということであるわけでありますけれども、そういった形の中で、例えば、関連記事やその募集広告の掲載であるとか、あるいはテレビについては、そういった事業を全国放送していただく、こういった形で共催して貢献いただいているというふうに理解しているわけであります。
 こうした共催事業といいますのは、次世代育成に関する意識啓発や子供の健全育成という意義を有するものでありまして、その共催いただいた企業等につきましては、共催という形で報道機関として多大な社会的な貢献をいただいておるというふうに理解しているところでございます。毎年の先ほど申しましたような報告書の提出とかそういった中で、この事業についてその効果が問題があるとか、そういった認識は特に持っておりませんでしたので、それにつきましては、その各法人の理事会なり、適切な管理がなされているものだというふうに担当は理解しておったというふうに考えております。
#71
○島田智哉子君 もちろん財団は財団でしっかり手続を経て、厚生労働大臣の承認も得て報告もされていらっしゃる。また、多くの子供たちにも影響を与えたでしょう。しかし、それだから厚生労働省として十分なチェックをしないということでよろしいのでしょうか。
 この予算は児童手当の貴重な財源が使われているわけです。正に、今回新設された乳幼児加算部分について、来年度以降の財源のめどが立っていない、そうした指摘もさきの通常国会では議論になりましたが、厚生労働省として、共催事業であるからという理由だけで詳細な説明ができなくても何ら問題ないとするその姿勢には私は、正に税金や保険料で無駄遣いをしないという意識を全く感じられませんでした。
 この見直しについて、所管府省等が作成した見直し案について行革推進本部において精査をされ、そして決定されたわけですけれども、行革担当副大臣、こうした厚生労働省の対応の在り方に対してどのようにお考えであるのか、御見解をお聞かせください。
#72
○副大臣(山本明彦君) 行革本部がしっかりチェックしておるか、業務内容をチェックしておるかというお話だというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたように、基準を策定いたしまして、まずは平成十八年度にその基準に基づきましてそれぞれの所管府省及び基金法人において見直しをまず行っていただいたところであります。
 大事なことは、その法人自身が業務運営の透明の確保、こういったことをしっかりと実施するということがまず大事だというふうに思っています。
 今御指摘のこども未来財団の中に、有識者による第三者的な評価を行うということで、このこども未来財団に本年度、こども未来基金事業評価委員会という第三者の委員会ができました。たまたまというんですか、十一月の中旬に評価委員会を開催するというふうに話をお伺いしておりますので、是非この席で今委員のお申し出ありましたこともしっかりと議論をしていただいてチェックをしていただきたい、そんなふうに考えておるところであります。
 私どもといたしましても、そうしたことを踏まえまして、これからやはり事業の運営の透明化についてしっかりとチェックをしていきたいと、こう思っていますので、よろしくお願いいたします。
#73
○島田智哉子君 今後、厚生労働省としてもしっかりとチェック機能を果たしていただきたいと思います。
 委員長、行革担当副大臣への質問は以上でございますので、御退席いただいて結構です。
#74
○委員長(岡田広君) 山本内閣府副大臣は御退席いただいて結構です。
#75
○島田智哉子君 次に、上川大臣にお聞きをいたします。
 上川大臣は、九月七日の記者会見の中で、熊本県のいわゆる赤ちゃんポストについて記者との質疑応答をされていらっしゃいます。私も、今年の通常国会の予算委員会の中で、この問題について質疑をさせていただきました。
 私の持っております問題意識として、まず一つには、この赤ちゃんポストに赤ちゃんを置き去りにすることについては、例えば保護責任者遺棄罪あるいは児童福祉法、児童虐待防止法に対して違法行為に全く当たらないとは言えない、つまり熊本県の医療施設については、非常に安全面で配慮されているなど、極めてまれなケースであるということでなければならないんだと思っております。
 しかし、その一方、匿名で赤ちゃんを置いていかざるを得ない、精神的にも肉体的にも傷付いている、そういった状況の中で出産をしなければならない女性がいるということも事実なんです。そして、そうした女性に対して果たして今の公的機関が対応し切れているんだろうか、そうした問題意識を私は持っております。
 そこで、大臣は次のように御発言されていらっしゃいます。率直に、今赤ちゃんを抱えて助けてちょうだいという声を、SOS、この声をしっかりと受け止められるような体制を更に充実してほしいという、そういう声であるというふうに思っておりますので、これは厚生労働省の大臣にもそうした声があるんだという気持ちをしっかりと伝えていきたい、そして、相互に協力して取り組んでいくことについては、私としては全力でかかわりたいというふうに思っておりますとおっしゃっております。この点、私も非常に重要な問題だと思っております。
 大臣の現状の御認識を改めてお聞かせください。
#76
○国務大臣(上川陽子君) 九月の七日の赤ちゃんポストにかかわる発言ということで、委員が私の発言の部分を読み上げていただきまして、改めて私も当時の気持ちを新たにしているところでございます。
 もちろん、親が子供を置き去りにするという行為は絶対にあってはいけないということでございます。しかし現実は、施設があり、さらにそこに置き去りにしていった赤ちゃんが現にいるというこの現実については直視していかなければいけないというふうに思っておりまして、私は、これは熊本だけではなくて全国にもSOSを上げているお母さんや赤ちゃんがいるのではないかという、いないでほしいという願いを込めて、いたとするならば、それに対してはしっかり受け止めるべく体制を整えていく必要があるのではないかという、そういう問題意識で発言をさせていただきました。今も同じ認識でございます。
#77
○島田智哉子君 現実に、熊本の「こうのとりのゆりかご」には数名の子供が置き去りにされておりますし、また子供を遺棄する事件というのは毎年数十件、そのうち数人の子供の小さな命が奪われているということも事実でございまして、児童福祉法三十条では、保護者は、経済的理由等により、児童をその下において養育し難いときには、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所、児童福祉司又は児童委員に相談しなければならないと、このように規定されているわけですけれども、この規定は規定としてもちろん遵守しなければなりませんけれども、大臣も先ほどの御答弁でもおっしゃいましたように、そうした子供たちが、また母親、父親がしっかりと対応されているのかどうか、私は今のシステムでは十分に対応し切れていないんだと思いますが、大臣のお考え、具体策はございますでしょうか。
#78
○国務大臣(上川陽子君) 児童を置き去りするような、児童遺棄のようなこうした事案が発生しないようにするための方策ということでございますが、まず、子育てに悩み、また孤立化しているのではないかと心配される親御さんたちが気楽に相談ができるような児童相談所などにおける相談業務の充実強化、また相談窓口の周知徹底を図るということ、これが大変大事であるというふうに思います。
 そして、もう一つ、本年度から実施しておりますこんにちは赤ちゃん事業ということで、生後四か月までのお子さん、赤ちゃんの全戸訪問という制度も実施しているところでございます。戸別に御家庭を訪問して、そして子育ての御家庭での現場というか、そちらに対して訪問をし、そして子育てにかかわる様々なノウハウや情報をきちっと提供し、そして同時に養育の環境も把握するという中で、孤立化して、そしてトラブルが起きないようにしていくということを徹底して行うことが大事ではないかというふうに思っております。
 今後とも、厚生労働省と連携を取りながら、児童相談所などにおける相談体制の充実強化、そして生後四か月までの全戸訪問の着実な実施ということについて努めてまいりたいと思っております。
#79
○島田智哉子君 厚生労働大臣にもお伝えしたいとおっしゃっておられますけれども、厚生労働大臣とは御協議はなさいましたでしょうか。
#80
○国務大臣(上川陽子君) 私の方からは、実は九月の十日の日にちに、厚生労働省に対しまして、こうした「こうのとりのゆりかご」のような施設を置かざるを得ない現実を見詰め、赤ちゃんのSOSをしっかりととらえていかなければいけないと私の問題意識を伝えた上で、今申し上げましたような相談業務を更に充実すること、そして出産や子育てにかかわる悩みについて気楽に相談できるような体制づくりに進めていただくこと、そして若い世代で赤ちゃんの触れ合いなどを通じ、命を大切にすることを学ぶ機会も増やしていくことが大変大事ではないかということで要請をいたしました。
#81
○島田智哉子君 やはり、精神的にも肉体的にも傷付き、子供を育てることができない、しかも匿名でしかどうしようもない、そんな状況に置かれた中で、今の行政の窓口というのは相当敷居が高いのではないかなというのが私の感想でございます。
 例えば、私も地元の児童相談所を調査いたしたことがございますけれども、限られた体制の中で虐待への対応に追われているという中で、そのほか、例えば非行少年への対応等々、なかなか手が回らないという現状があるんだと思います。
 大臣は、赤ちゃんポストが熊本でなくなるようにしていくということが大事ではないかと思うともおっしゃいました。私も同じ思いを持っております。しかし、そのためには、大臣のおっしゃる、SOSをしっかりと受け止められるような体制を更に充実させる、是非具体的な対応策を御検討いただきたいと思います。
 大臣、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(上川陽子君) 子供に関する相談体制等を含めてしっかりと対応していく気持ちには全く変わりはありませんので、予算等も含めて頑張ってまいりたいと思っております。
#83
○島田智哉子君 よろしくお願いいたします。
 また、この問題につきましては、そうした体制の整備とともに、望まない妊娠、特に十代という若い世代に対するそうした予防策がとても重要でありながら、現状として十分な対応が取られていないのではないかと、私はそのように認識をいたしております。三月の予算委員会では高市前大臣にもお聞きしたのですが、十代の望まない妊娠の予防策について上川大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
 人工妊娠中絶件数、実施率ともに総じて減少傾向にはございますけれども、十代の未成年層の件数を見ますと、昭和五十五年の一・六倍、昭和五十年ごろの二・五倍に達しておりまして、若年層の割合が増えております。特に、十九歳は五十八人に一人の割合に上っているわけですが、まず、こうした事態に対する上川大臣の御認識と、若年層の望まない妊娠を防ぐために何が重要であるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(上川陽子君) 十代の望まない妊娠が増えているという、このことについて大変心配をしています。とりわけ二十歳未満、十代の妊娠、そして二十から二十四歳の階層においても妊娠に対する中絶の割合が上昇しているという、こうしたことについては、これから本当に子供を産んで育てる年代になったときに流産の危険も含めて大変高いというふうに言われておりますので、そういう意味で、しっかりとした認識を持っていくことが大切ではないかと思っております。
 正しい知識の普及ということでこうした望まない妊娠を避けることができる、予防をすることができるということでございますので、引き続き、学校、自治体等における性教育等の取組につきましては十分に行っていく必要があると思っております。
#85
○島田智哉子君 私は、現在の学校教育における性教育において、ここ数年、特に安倍内閣においては大きく後退しているのではないかということを大変危惧いたしております。現場のお話をお聞きしましても、性教育がいわゆるタブー視され、やることによって問題視されるのであればやらない方がまし、そういう雰囲気もあるということなんですが、そうしますと、学校の先生方も萎縮されて必要な教育もおろそかになっている状況にあるのではないかと私は心配いたしております。
 実は、男女共同参画白書、この白書を見ますと、資料にも御提出させていただいておりますが、一枚目の平成十七年版には性教育の効果的な実施などの記述がございますが、二枚目の今年の六月の白書では節ごとなくなっているんですね。これでは政府の施策が後退していると指摘されても仕方がないと思いますが、その意味でも、私は、男女共同参画担当をされる上川大臣の役割が非常に重要になるんではないかと思いますが。
 安倍内閣から福田内閣に替わり、こうした若年層の性感染症、また望まない妊娠を減らすための教育について変わるのかどうか。私は、今日の状況を見る限り、改めて見直す必要があると思っております。
 上川大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
#86
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員の方から御指摘がございました記述の部分についてでございますが、まず、今ちょっと十九年の男女共同参画白書をお持ちしているんですが、「適切な性教育の推進」ということで、この項目を新たに起こして記述をしておりますので、私は後退しているというふうに認識している状況ではございません。
 その上で、今回、女性の生涯を通じた健康ということは、特に妊娠と出産期といった大変大事な時期であるというふうに思います。そして、安心して安全に子供を産んでいただくことができることを支援していくということも大変大事なことであるというふうに思っております。
 十七年から十九年の記述ということで後退しているんじゃないかという印象をお持ちいただいているというのは大変残念なことでございますので、私からは、そうしたことは全くないということでございますので、そういう面でしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 今後とも、関係府省と連携をしながら、厚生省と連携をしながら適切な施策の推進に当たりたいと思っておりますので、委員におかれましてもよろしくお願い申し上げる次第でございます。
#87
○島田智哉子君 大臣がおっしゃられたように、女性の体と心を大切にする、また命を大切にする教育としてしっかりと力を入れていっていただきたいと存じます。
 以上で質問を終わります。
#88
○委員長(岡田広君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
#89
○委員長(岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として芝博一君が選任されました。
    ─────────────
#90
○委員長(岡田広君) 休憩前に引き続き、内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○神本美恵子君 民主党・新緑風会・日本の神本美恵子でございます。
 今日は四十五分という時間ですけれども、岸田大臣と上川大臣中心にお尋ねをしたいと思います。
 まず初めに、障害者施策も担当所管の中にお持ちである岸田大臣にお伺いしたいんですけれども、障害者権利条約ですね、これは昨年の十二月に国連総会で採択をされて、日本政府も今年の九月二十八日に批准を前提とするいわゆる署名を行ったというふうに伺っております。
 私、特に昨年の通常国会で、これは文科、岸田大臣も副大臣でいらしたときではなかったかもしれませんけれども、学校教育法の改正、特別支援教育に特殊教育から変えるというその改正のときにちょうど国連でアドホック委員会が行われておりまして、この障害者権利条約に対する、日本からもNGOの方たちがたくさん参加をされて、政府と意見交換しながらこの作業部会にかかわってこられたという、ちょうどそのときに教育分野の、学校教育法の改正に私もかかわっておりましたので、ずっと関心を持ってこの動きを見ていたんですけれども。
 ですから、この議論の中では、フルインクルージョン、完全な参画といいますか、障害があるなしにかかわらず社会の中に完全に参画するということが国際的には大きな流れになっているということをこの議論の中でもお聞きしていたんですが、そういう意味からも、是非この早期批准ということを私は願っているんですが、まず、障害者施策の担当最高責任者として、この権利条約の早期批准ということについてのお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
#92
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の障害者権利に関する条約ですが、これは内容としましても、合理的配慮の否定を差別に含めることを明示するなど、差別の概念を明確化するとか、内容を見ましても、プライバシーですとか、リハビリテーション、レクリエーション、あるいはスポーツへの参加等々、幅広い内容を含んでおります。障害者の人権及び尊厳を保護促進するための包括的そして総合的な国際条約であるというふうに認識をしております。障害者の人権及び基本的自由を確保そして促進する上で、大変重要な意義を有するという認識を持っております。
 御指摘のように、九月二十八日、条約への署名がなされたところですが、昨日、総理の諮問機関であります中央障害者施策推進協議会、この場におきましても、この条約につきまして参加委員に対しまして報告をしたところでございます。
 今後は、可能な限り早期締結を目指して、必要な国内法制の整備を含めましてこの検討を進めていかなければいけない、そのように考えております。
 検討は、検討チーム、各省庁から成ります検討チームを中心に検討が進むものと認識しております。
#93
○神本美恵子君 前向きにというふうに私は受け止めさせていただきましたけれども、この障害者権利条約、今大臣おっしゃっていただいたように、差別とは何かというようなこともきちっと定義をされておりますし、これについて日本のこれまでの施策も、ノーマライゼーションといいますか、障害のあるなしにかかわらず、すべての人が包み込まれた社会の中で生きていけると。そのために必要なケア、支援、リハビリ等も含めて行ってきたのがこれまでの日本の障害者施策だというふうに思います。
 そこで、おっしゃっていただいたように、この条約を批准するために必要な今の日本の国内法、あるいは様々な制度、こういったものを整備しなければ批准できないといいますか、批准の前提であるということを考えたときに、今、日本の国内施策で整備が必要とされるものというのはどういうものなのか。これは外務省の方でされていると思いますが、少しその作業状況も含めて、必要な国内法整備について教えていただきたいと思います。
#94
○政府参考人(木寺昌人君) お答えを申し上げます。
 この署名に向けまして、私ども、先ほど大臣から御紹介がございましたチーム、障害者権利条約に係る対応推進チームで様々な検討を行ってきております。さらに、これから条約の締結ということでございますので、今、神本先生御指摘のような国内法の整備、国内法の立法を必要とするのか改正を必要とするのか、そういった点を確認すること、それから条約の持っております意味、解釈、そういったものが間違いがないか、それから最終的には国会にお出しします訳文等、そういった確定、そういった作業がございます。
 そういったものを含め、条約締結に向けまして努力を行ってまいる所存でございます。
#95
○神本美恵子君 もう少し詳しく、例えば今の国内法整備、必要な、論点となっている部分ですね、そこを教えていただけますか。
#96
○政府参考人(木寺昌人君) 国内におきまして既に障害者の権利、それから基本的人権の保障とか様々な項目を規定しております基本法、そういったものがございます。それから、この条約では、例えば教育についてとかいろいろ規定しておりますけれども、そういった教育関係の内容。それから、この条約は職場における合理的配慮の提供というのもうたっておりますので、障害者の雇用というものを定めている法律がございますので、そういった法律との関係。それから、この条約は更に国内における監視等の仕組みもいろいろ求めておりますので、こういった体制をつくるという上で新たな立法の要否、そういったものが問題になるかと思います。
#97
○神本美恵子君 合理的配慮の範囲といいますか、その否定というのをどのように考えるかということや、それから教育においても、今、日本の教育制度としては、いわゆる普通教育制度と特別支援教育というふうに変わりましたけれども、別建ての学校で行われている教育のこの制度の取扱いとか、それから雇用について、それから国内におけるモニタリングの実施、監視措置といいますか、そういうものをどうするかというようなことが論点になっているということですけれども、この論点と符合するかのようにと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、外務省が出されている仮訳ですね、この仮訳の中で幾つか不思議だなと思うところがあるんですけれども、例えば二十四条が教育のことについて示されているんですが、先ほど言いましたインクルーシブという言葉を、ほかのところでは、社会の一員として受け入れられるというふうにほかの条文のところでは訳されているんですが、二十四条のところだけなぜか包容されるという訳になっているんですね。これはどういう違いといいますか、意味の違いがあるのか、まず教えていただきたいと思います。
#98
○政府参考人(木寺昌人君) お答え申し上げます。
 この条約の仮訳文につきましては、本条約が障害者の人権及び基本的自由の完全な実現を確保し促進する上で重要な意義を有していると、そういったことを十分に踏まえまして、署名に向けて正文テキストの文言の意味を正確に反映するように、また我が国が既に締結しております他の条約、それから国内法令における用語、そういったものとの整合性を勘案いたしまして、関係省庁とも協議しながら慎重に作成いたしました。
 御指摘のインクルーシブという言葉でございますが、この場所では、インクルーシブ・エデュケーション・システムという言葉になっております。このインクルーシブという言葉には包み込むという語義がございまして、それを踏まえまして包容するという訳語を当てることが適切と考え、日本語で障害者を包容する教育制度と訳出いたしました。
 インクルーシブとの文言はこの条約の中で複数の箇所で用いられております。訳文はそれぞれの文脈に従いまして正文の内容を正確に反映するということから、他の条約、又は他の条約や国内法における用語との整合性も踏まえまして当てるということが必要でございます。
 こういった観点から、教育に関する条文で使用いたしますインクルーシブの言葉につきましては、例えば障害受容、これは障害者というときの障害でございますけれども、障害受容という言葉がございます。こういった言葉と混同されるおそれがあるということなどを踏まえまして、受入れといった訳ではなく包容という言葉を当てさせていただきました。
#99
○神本美恵子君 ということは、ほかの条文で使われている受け入れるというのと包容ですね、ここで使われている、これは同義、同じ意味で使っているというふうに受け止めていいんでしょうか。インクルーシブとかインクルージョンの反対語は英語でエクスクルージョン、つまり排除するという意味だというふうに思っているんですが、排除ではなくて受け入れる、これがインクルージョンだと思いますが、包容となるとちょっと違ったニュアンスに受け止めてしまいがちですけれども、受け入れるというほかの条文の訳文と同じ、同義を持っているというふうに解釈してよろしいんですか。それとも、まだこれから、ここはまた仮訳ですから、本訳といいますか、ちゃんとした訳のときには考える、もし違う意味であればですね。
#100
○政府参考人(木寺昌人君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、関係省庁ともよく相談した上で包容という言葉がこの場では適切であろうと思って当てております。
 いずれにいたしましても、これから締結に向けまして訳文の確定、先ほど申し上げました関係法令との関係、それから解釈をきちんとすること、それから訳語の確定という作業がございます。そういった中で、いろいろと参考にしながら確定していきたいと思っております。
#101
○神本美恵子君 関係省庁ともやりながらということですが、このことだけではなくて、この仮訳の中では、あと、同じ二十四条、教育のところでゼネラル・エデュケーション・システムというのの訳が教育制度一般というふうに訳されております。この教育制度一般の中には、これまでは私、これまでの作業部会の、何といいますか、NGOの方たちが訳したもので読んでいたのは、ずっと一般教育制度というふうに私は見ていたものですから、一般教育制度と教育制度一般ってどう違うのかなとちょっと思いまして、我が国が目指すこの障害児教育というものは、昨年の文教委員会での学校教育法の議論のときにも、当時の小坂大臣は繰り返し、インクルージョン、インクルーシブ教育の方向へ向かっていくんだと、そこへ一歩一歩前進していくというふうにおっしゃっておりましたので、この条約の言う障害者も障害のない子供たちも一緒に地域の中で学んでいく、一般教育制度の中で学んでいくという方向を目指すというふうに思っていたものですから、一般教育制度というふうに、ゼネラル・エデュケーション・システム、一般教育制度、私のようなつたない英語の知識でもそういうふうにすんなりと訳するんですが、これが教育制度一般というふうに置き換えられたことの意味と、ちょっと時間がなくなりそうなので、もう一つ同じことで、アクセスという訳が、ほかのところにも幾つも使われているんですけれども、例えば司法のところの十三条、それから社会的な保障、二十八条、それから家庭及び家族の尊重、二十三条、ここのところではアクセスということをそのまま普通に利用できるとか享受することができるというような訳になっているんですが、この二十四条のところだけ、機会を与えられるという訳になっているんですね。これはどういう、まあ前後の関係だというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、機会を与えられるというのはどうも受け身に感じるんですね。アクセスするっていったら主語は、何というか、利用するとか、利用が可能な環境を整備するというように、主語は障害者自身になると思うんですが、機会が与えられるというと受け身になりますよね、表現といいますか。ここはどういうふうに、この二つお願いします。
#102
○政府参考人(木寺昌人君) お答え申し上げます。
 まず最初のゼネラル・エデュケーション・システムでございますけれども、御指摘の仮訳につきましては、条約を作成する過程におきまして、小中学校及び特別支援学校を含むと、そういった、それがゼネラル・エデュケーション・システムだという国がありました。このような、国によってはそういうのを含まないという国もあったんですけれども、このような交渉経緯にかんがみて、小中学校のみを指すというような印象を与えます一般教育制度という言葉ではなく、教育制度一般というふうに訳出させていただいております。
 それから、二番目にお尋ねのアクセスの言葉でございますけれども、この部分につきましては、先ほど申し上げましたような仮訳文を作成するときに、既存の国際法、それから既存の国内法の用語、それから最も正確にその文脈に合うもの、いろいろな観点から考慮いたしますけれども、一つ、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆるA規約というものでございますけれども、そこで教育に関連する条文について類似の文言を使っております。この場合はアクセシブルという言葉でございますけれども、機会が与えられるものというふうに訳出されております。そういったことも踏まえまして、御指摘のアクセスという言葉を機会を与えられることと訳出しております。
 この教育に関する条文で使用されておりますアクセスにつきましては、先ほど申し上げましたような条約の存在等を考慮して、教育の利用という言葉ではなく、機会を与えられることというふうに訳出しております。
#103
○神本美恵子君 この仮訳については、これからの具体的な施策の内容にも非常に影響してくるところでありますので、また今後いろいろやり取りをさせていただきたいと思いますが、具体的にはなぜか、さっきも言いましたように、今問題にしたところは二十四条にかかわるところだけがほかの条文と違うと。そうすると、これは二十四条、教育といえば文科省が所管のところですので、文科省の考え方が何か反映、影響しているのかというふうにも思うんですが。
 そこで、この条約を批准するに当たって、国内法の整備として、私は、さっき言いましたように、今の学校教育法の下での教育制度ではこのまま条約批准できないのではないかと。例えば、学校教育法の中には、特別支援教育ということで、いわゆる盲・聾・養護学校、特別支援学校だけではない普通、地域の学校でも特別支援教育をやっていくというふうに法律は変えましたが、施行令で、学校教育法施行令第五条で、これは入学の段階で就学時健康診断というのをやることになっています、これ学校保健法にも書かれているんですが、そこであなたは障害児学校に適していますとか、あなたは地域の学校に適していますというふうにいわゆる振り分けられるといいますか、そういう今の制度になっていますので、そうではなくて、まずみんな社会に、地域社会の一員として地域社会の教育機関に受け入れられるインクルーシブ、インクルージョンの状態をつくって、そしてあと、当事者や保護者が、親が、うちの子のニーズに合った学校としてこっちを選びますとかこちらを選びます、あるいは特別なケアをお願いしますというような制度に変えていくことがこの条約にかなったことになるのではないかというふうに思っておりますが。
 文科省にお伺いします。この条約批准に向けての国内法整備として、学校教育法や施行令、学校保健法の改正の必要性についてどのようにお考えでしょうか。
#104
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 障害者の権利に関する条約二十四条につきましては、先生お話しのとおり、障害者を包容する教育制度について規定されております。この文言の定義規定につきましては、条約上置かれていないものの、インクルーシブな教育を志向することは国際社会の中での大きな流れというふうに認識をいたしております。
 文部科学省といたしましても、昨年の学校教育法の改正は先生からもお話もございました。それで、本年度から施行されておりますけれども、通常の学級を含めまして小中学校におきます特別支援教育を推進するという方向を明確に規定しております。また、就学の手続に関しましても、平成十四年度から認定就学制度の導入ということで、障害の程度もございますけれども、学校における受入れの状況など、特別の事情がある場合には通常の小中学校にも通うことを可能とする認定就学制度の導入がございました。また、今年度からは、障害のある子供の就学先の決定に際して保護者の意見の聴取を義務付けを行うと、従前は専門家の意見という形で規定されておりましたけれども、保護者の意見も伺うということを規定させていただいて、インクルーシブな教育制度に資する方向で制度の改善に取り組んできているところでございます。
 条約との関係につきましては、外務省を始め関係省庁との連携の下、各国の制度を含む内外の情勢も踏まえまして、障害者を包容する教育の具体的な内容について引き続き検討をさせていただきたいと考えているところでございます。
#105
○神本美恵子君 じゃ、今の時点では学校教育法施行令第五条を変える必要があるのかないのか。それもまだ検討中ということ、受け止めでよろしいんですか。必要ないというふうに結論を出しているわけではないんですね。ちょっともう一回、そこだけ。
#106
○政府参考人(布村幸彦君) 引き続き検討すべき課題という認識でよく協議を重ねてまいりたいと思います。
#107
○神本美恵子君 要望ですが、昨年のあの文教委員会における学校教育法改正の質疑等も十分に考慮して整備をお願いしたいと思います。
 それから、具体的にもう一点。
 普通学級で今学んでいる障害児のお子さんたち、たくさんいらっしゃるんですけれども、この条約が求める合理的配慮、あるいは必要な支援という、これがなかなか今環境整備がされていない。財政的な事情も十分分かるんですけれども、できていませんけれども。この条約を批准するに当たって、あるいは批准するとすれば、合理的配慮や必要な支援を行うための環境整備が必要だと思いますけれども、その点については文科省としてはどのようにお考えでしょうか。
#108
○政府参考人(布村幸彦君) 先生お尋ねの特別支援教育の体制の整備という観点から御説明をさせていただきます。
 この四月から特別支援教育の制度として動き出して、小中学校におきましても特別支援教育の体制の整備が重要な課題でございます。例えば、特別支援教育体制推進事業という事業を通じまして、教員の資質の向上につながる研修の充実、それから専門の医師、大学教員など外部の専門家の方々がチームを組んでいただいたりして学校へ派遣をし、専門的なアドバイスをするという体制の整備をひとつ取り組んでいるところでございます。
 また、障害を持った児童生徒一人一人のニーズに応じまして、きめ細やかな指導を行うように通級による指導を行う教員の加配ということで取り組んでおりますとともに、本年度から特別支援教育支援員という形で、ある程度専門性を持った方々を学校に特別支援教育支援員という形で配置をするという形で地方財政措置が講じられており、十九年度はおおよそ全国で二万一千人の特別支援教育支援員の配置が制度的に可能になってきていると、それらの取組を通じて体制の整備に努力したいというふうに考えているところでございます。
#109
○神本美恵子君 今おっしゃったほとんどは国というよりも自治体の努力で、国が例えば支援員配置するについては地方交付税の中にその後、入れましたよというようなことはありますが、主として自治体がやっているという状態だと思うんですね。
 ですから、やっぱり国としてこの条約を批准するに当たっては、こういう条件整備といいますか、そういうことについてはきちっと責任を持ってやるための制度整備が必要なのではないかというふうに私は思っておりますので、そのことも是非十分に考慮して整備に当たっていただきたいと思います。
 このことについて、岸田大臣、条約を批准するに当たって、学校教育における障害児の位置付けといいますか、その障害児への合理的配慮や必要な支援を整備するということについて、大臣として、障害者施策全般の中の教育施策ということで御意見、御見解あればお伺いしたいと思います。
#110
○国務大臣(岸田文雄君) 是非、先生から御指摘いただきました点、大変重要な点だと認識しております。この点も含めまして、各省から成りますこの検討に当たってのこのチームにおいて、しっかりと御検討いただき結論を出していただければというふうに思いますし、この全体の流れ、是非担当の大臣としましても督励していきたいというふうに思っております。
#111
○神本美恵子君 ありがとうございました。
 是非、教育だから文科省に、はい、もうそこでやってくださいというのではなくて、私はやっぱり教育に自分がテーマを置いておりますので余計そう感じるのかもしれませんけれども、遅れているんじゃないかと非常に思いますので、全体の施策の中で総合的に一緒に、何といいますか、前進していくように督励お願いしたいと思います。
 岸田大臣、もう終わりましたので、ありがとうございました。お引き取りになって結構です。
#112
○委員長(岡田広君) 岸田国務大臣は御退席いただいて結構です。
#113
○神本美恵子君 次に、男女共同参画社会の実現についてということで、上川大臣にお伺いをしたいと思います。
 所信を聞かせていただきました上川大臣とは、一度ユニセフのスタディーツアーで人身取引のタイ、カンボジアツアーに御一緒させていただいたこともございますし、男女共同参画の担当大臣になられたということで、大変期待をしております。よろしくお願いします。
 所信の中で、特にこの男女共同参画については、三点具体策として取り上げていらっしゃったと思います。
 一つは、二〇二〇年までに指導的地位の女性を三〇%にすると。二〇二〇・三〇とか合い言葉になっているというふうにお聞きしましたけれども。それと二点目が、育児や介護で仕事を中断せざるを得ない方たちのその後の再チャレンジ支援。それから三点目に、DV施策の充実ということで、私はもう本当にどれも重要なことだと思います。
 特に、一点目については、たしか私は一九七〇年から社会的な仕事といいますか、就職をして学校の教員を始めたんですが、そのころちょうど国際的に国際女性年、一九七五年の女性年を境に非常に女性に対する差別撤廃であるとか男女平等というようなことが、また女性参画ということが国際的なうねりになったころで、一九八〇年か八五年のナイロビであった会議で、二〇〇〇年将来戦略というのが出されて、そのときは二〇〇〇年までにあらゆる分野だったか指導的地位だったかの女性が三〇%参画ということがうたわれていたことを私は非常に鮮明に覚えているんですね。それは、あと十五年もあるからその間にあらゆる分野に三〇%女性がいるのが当たり前になるんだというふうに思っていたんですけれども、なかなか今の日本の女性参画の状況は、特に国会議員だとか弁護士であるとか中央省庁の女性の課長級以上の参画率とか、もう本当に悲しくなるぐらい低いんですね。
 先日、北川先生とも御一緒にIPUに行きましたが、そこでも大きなこの女性参画ということが話題になっておりましたけれども。もうこういう状況で今じゃ日本政府として二〇二〇年に三〇%、また結局先延ばしをしているんではないかというふうに思ってこれも触れたいんですが、時間がありませんので、後でもし御所見あれば触れていただきたいんですけれども。
 私がちょっと今日取り上げたかったのは、二点目の再チャレンジ支援ですね。確かに、前回のこの委員会でどなたかの御質問でもM字型雇用の問題を力説して指摘されていらっしゃったような気がしたんですが、いまだに日本は高校や大学を卒業して就職して、それから出産、子育て、それからまあ介護もあるんでしょうけれども、いったん仕事を辞めて、それからまた再就職をするという、いわゆるその年代、二十五から三十過ぎぐらいまで谷間ができているんですね、M字型になってしまっている。これももう本当に三十年以上前から指摘されて欧米諸国のように逆U字型、就職して後、年齢が来て退職していくという、こういう形になっていくようにということをずっと取り組んできたにもかかわらずM字型がそのままだということについて、上川大臣がおっしゃるように、いったん仕事を辞めざるを得なくて辞めた人が再就職、再チャレンジができるようにそこを支援するというのももちろん重要ですけれども、辞めなくていいようにする施策ということが今一番大事なんではないかと私としては思っているんですが。
 このM字型雇用について、そのことについての御認識とそれから原因といいますか、これをなくしていくにはどういう施策が有効かということについてお伺いしたいと思います。
#114
○国務大臣(上川陽子君) 神本委員と一緒にIPUその他伺わせていただいたときのこと、いろいろ議論したときのことを思い出しながら、またこれからもよろしくお願いいたしたいと思いますが。
 今御指摘のM字型カーブでございます。女性の場合には、十五歳から六十四歳層の労働力率の一つのマップというか分布を見てみますと、M字の底の部分、これは年々上がっているということは傾向的にはございます。しかし、依然として他国と比べても、男女共同参画が非常に進んでいる他国と比べてみてもまだM字型の底がきちっとあるということでありまして、そういう意味では、それが底が上がっているけれども、まだ他国と比べれば遅いというような状況であると私も認識しております。
 それで、このM字の部分を台形型になっていくような形、先ほどU字型とおっしゃいましたけど、台形型になっていくような形の方向が他の国で見られるということであります。そうした方向に徐々に、非常に遅いわけでありますが、徐々にそういう動きになっているという認識は私はしております。しかし、まだまだという状況であるというふうに思っております。
 今、女性の就業希望率というところで、同じ結婚、出産、子育て期という、このM字の底の部分に当たる世代でありますが、やはり就業を継続したいという希望をしている率が大変多いということで、このところを、希望率を取ってみるとM字の底はかなり上がっている状態でありますので、そうした希望がかなえられるような施策ということについては大変大事なことであるというふうに思います。
 一つはチャレンジ支援ということで、この下がったところがもう一回就業のところに行くときにやはりきちっと支援をしないといろいろ問題が起こるということでありますので、そこを再チャレンジ支援という形でしっかりと応援をしていくというのが一つ。そして、同時に、希望をしていらっしゃる方がなかなかそれが実現できないというところを応援するということが大切であるというふうに思っておりまして、そういう意味では、子育て等で離職しないで就業継続ができるような施策という、これから女性に限らずすべての人を対象として仕事とそして生活の調和、ワーク・ライフ・バランスの検証と行動指針を取りまとめるわけでございますけれども、そうしたところの実現に向けて施策に取り組んでいくということが大事ではないかと思っております。
#115
○神本美恵子君 今、ワーク・ライフ・バランスという言葉が出ました。正に、このワーク・ライフ・バランスを、女性だけではなくてこれは男性のワーク・ライフ・バランスを取らないと、とても女性だけの施策では駄目だということはもう言うまでもないことだと思います。
 そこで、大臣おっしゃったように、この希望と現実のギャップということが、この前、男女共同参画ニュースの中にもちょっと内閣府の世論調査の結果が出ておりましたけれども、男性も仕事と家庭生活が両方とも大事にしたいという人が増えてきている。女性も仕事と家庭生活と、それから地域や個人の生活も大事にしたいという、女性の方が少し進んでいるなと思うんですけれども、それも大事にしたいという人が、それを理想としたいという人が増えているのに現実はそうなっていないという、このギャップが非常に大きいのではないかと思います。
 これを、このギャップを埋めるために、ワーク・ライフ・バランスということのために、育児休業の整備であるとか時短であるとか子育て支援をきちんとやるとか、そういう様々な施策がいろいろ打ち出されてきて、それを充実させる方向に行っていることは私も認めるんですけれども、やっぱりこれといった特効薬はないにしても、一つ重点的に、焦点的に、焦点化して取り組むという必要があるのではないかと思っています。
 そこで、いろいろ私も調べてみたんですが、面白い研究結果があったんですね。面白いと言ったらちょっとあれですが、これは多分厚労省の何か研究、大学の先生が研究されたもので、育児期の女性の就労継続、退職を規定する要因は何なのかということを研究された論文なんですけれども、育児期の夫婦千六十二組を対象に、妻が就労を継続あるいは中断、断念した理由を明らかにするということを目的としてされています。
 結論から言いますと、何がその規定要因になっているかということについて、私も意外といいますか、そういえばそうだなと思ったのは、一番顕著に影響しているのは夫や夫の親からの就労反対なんですね。結婚してお互いに共働きで勤めていたけれども、妊娠して出産をしようかしまいかと。出産をすることにしたと。そうすると、夫や夫の親から家庭に入りなさいと、仕事を辞めなさいというふうに言われる、圧力が掛かるということが、仕事を中断したり退職してしまう、断念してしまうということの最も大きな影響、規定要因になっているというのが、これはまあ千何組の夫婦ですからこれで全部とは言えませんけれども、一つの研究結果としてこういうものが出ているんですね。
 ですから、そこから考えると、本当は働きたいのに、しかもこれ、その夫と夫の親というのは、これは女性自身の妻の両親がそばに住んでいると全然違うんですよね。働き続けられるんです。これが夫の両親がそばに住んでいると、居住状況もクロスして調べていらっしゃるんですけれども、夫の両親がそばにいると圧力に感じて辞めてしまうというような結果が出ていて、こうやって仕事を中断、働きたいのに、私は本当は、女性自身がなかなかやりがいのある仕事に就けないから、もう妊娠したことだし、これで辞めていいわと思っている部分も多いんじゃないかと私は漠然と思っていたんですけれども、これを見てちょっと愕然としました。
 子供を育てているこの世代というのは、考えてみれば三、四十代ですから、ちょうど三、四十年前にもちろん生まれて、というのは、女性差別とか男女雇用機会均等とか男女平等とか男女共同参画とかずっと言い始めて、その中で育ってきた世代がこういう状況に陥っている。女性は、妻は働き続けたいと思っているけど、その同世代の夫が仕事を辞めろ、辞めてくれと言う。また、その親の世代といったら上川大臣や私らの世代だと思うんですが、この世代がそういうことを言うのはしようがないというか、許せないんですが、これは時間が掛かるなと、もうほっておいていい、ほっておいていいなじゃありませんが、大事なのは、これから生きていく人たちが、特に今の若い二、三、四十代の世代の子育てをしている人たちがこういう意識でいいのかなというふうに思うんですね。
 それで、私はやっぱり教育が問題ではないかと思うんですが、特に男の子の教育といいますか、男性のワーク・ライフ・バランス、ともに仕事もし家庭責任も持つという、こういう教育の必要性について、大臣、どうお考えでしょうか。
#116
○国務大臣(上川陽子君) 女性が働き続けられない大変身近な壁ということで夫と家族というのを調査結果で御指摘になっているということでございまして、男性の意識そして働き方の改革も含めて、社会全体がそうした方向になるような意識改革をやっぱりやっていかなければいけないというふうに強く感じます。
 ワーク・ライフ・バランスは、女性も男性も仕事とそして生活の調和をという意味でこれから大きな国民運動として展開していくべきことであると私は思っておりますが、そうした際に男性の意識を改革していくための教育ということについての役割は大きいというふうに思っております。
#117
○神本美恵子君 その教育が、社会全体の社会教育や生涯学習といいますか、それもあると思いますが、やっぱり意図的、系統的に行われる学校教育、学校教育の中で、果たして性別の役割にとらわれない、あるいは性にとらわれない、ジェンダーにとらわれない、ジェンダー平等、イコーリティーの教育がどれだけ行われてきたのかということを私は本当に文部科学省には真剣に反省をしてもらいたいと思いますが、もう時間があと一分になりましたので、文科省に聞くともうなくなりますね。今までやってきたことが今お話ししたような結果なんですよね。妻に仕事を辞めてくれ、辞めろと言うような男性しか育っていないというのは言い過ぎかもしれませんが、この研究ではそういう傾向が出ているわけですよね。そのことについて文科省、責任を持っているところとして反省を是非お願いしたいと思います。
#118
○政府参考人(布村幸彦君) ワーク・アンド・バランスに関する具体的な取組を少し教科書の記述で御紹介させていただきたいと思います。
 中高の社会科、公民科、家庭科の教科書でございますが、男女共同参画社会基本法が施行されて、性別に関係なく個性や能力を発揮できる社会を目指していること、また、育児と仕事を両立しやすい環境をつくるため、育児・介護休業法が施行され、男女を問わず一定期間休業ができるようになったこと、それから、賃金の男女間格差など募集など男女の差別の問題がないような均等法が制定されたことなどが教科書にしっかり書かれております。改正教育基本法あるいは男女共同参画基本計画も踏まえて、内閣府とも連携を図りながら、今後とも男女平等に関する教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
#119
○神本美恵子君 最後に……
#120
○委員長(岡田広君) 時間が来ております。
#121
○神本美恵子君 はい。やっぱりどこが足りなかったかということをきちっと総括をして次の施策を打ち出さないと、やっています、やっています、やっていますだけでは何にも前に進まないということを最後に文部科学省に申し上げまして、私の質問を終わります。
#122
○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。
 この夏の厳しい戦い、全国の皆様の温かい御支援をいただいて最後の最後に再選をさせていただいて、このたび内閣委員会に初めて所属させていただくことになりました。心して、委員として、また理事として務めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 領土の一部を失って黙っている国民は領土のすべてを失う危険を負う、ドイツの法哲学者イエーリングの言葉でございます。この言葉に触れたとき、私はやはり議会人になった以上、日本の領土ということをしっかりと守るその前線に立つことの重要性を肝に銘じました。やはり平時において、我が国の領土に思いを致す国民の皆様を一人でも多くしておくことが平時においてもっとも大切で、かつコストが掛からない、銃も、血も一滴も掛からない大事な安全保障政策だと思うに至っております。
 そこで、今日はまず領土問題について質問をさせていただきたいと存じます。
 平成十年四月七日の参議院総務委員会においては、領土問題についての所管省庁をきっちりとしてもらいたいとある委員が主張をされています。この質問に対して、当時の村岡官房長官は検討してまいりたい旨答弁をされていらっしゃいます。その後十年近くたっていますが、この村岡官房長官答弁による検討の結果、領土問題についての所管官庁を検討するという、その御答弁の結果はどのように進んできたのでしょうか。
#123
○内閣官房副長官(岩城光英君) 有村委員お話がありましたとおり、領土問題、これは国家の主権にかかわる極めて大事な問題だと思っておりますし、また、人間の体に例えますと、領土の一部は正に体の一部だと、このように思っております。そうした認識の下、政府としては今後とも引き続き毅然とした態度で粘り強くこの領土問題に取り組んでいきたいと考えております。
 また、その取組に当たりましてですけれども、御指摘がありました体制の整備、そういった面も含めまして、我が国の立場を主張してまいります上でより有効な、有利な方策についてどういう方法がいいのか、そういったことを含めて今後とも政府として不断に検討してまいりたいと考えております。
#124
○有村治子君 正に岩城官房副長官おっしゃっていただきましたように、私も独立国家を成す要件というのは、国民が存在すること、その国民が住む領土が存在すること、そしてその国民自身が国の在り方を決めるという主権が存在することだと認識をしております。
 その中で、私も北方領土返還運動を始め、領土問題にはアンテナを張って自らできることはやっていこうというふうに思って活動をしてきた六年でございました。
 ちなみに、北方領土について、その返還運動にかかわっていて、いつも奇異に感じていることがございます。子供たちが学校で学んでいる教科書や地図帳には歯舞諸島という記述がありますが、北方領土返還運動の前線に立たれる内閣府の記述は一貫して歯舞群島、群れるという字ですね、歯舞群島という記述を一貫してされています。
 文部科学省が指されるところの歯舞諸島と内閣府が指されるところの歯舞群島は同じものを指すものでしょうか。それとも、名称の違いに意味があるのでしょうか。
#125
○政府参考人(佐久間隆君) お尋ねの歯舞群島についての呼称でございますけれども、法律及び政令におきましては一貫して歯舞群島という形で表記をされておりますが、地図や教科書におきましては歯舞諸島と、このように表記をされております。
 地図につきましては、昭和三十五年でございますが、国土地理院の前身に当たります地理調査所と海上保安庁海洋情報部の前身に当たります海上保安庁水路部、この両者が、地図等に記載する自然地名について統一を図り、国内の標準化に資するために地名等の統一に関する連絡協議会を設置いたしまして、昭和三十七年に歯舞諸島を現在で言います決定地名、これに当たります標準地名としたものと承知をいたしております。
 また、教科書につきましては、教科用図書検定基準におきまして、国土地理院の名称を用いることとされておりまして、歯舞につきましても歯舞諸島と、このように表記しているものと承知いたしております。
#126
○有村治子君 詳細に経過をお知らせいただきましたが、私が伺っているのは歯舞諸島と歯舞群島はその指すところに違いがあるのかどうかという点でございます。
#127
○副大臣(中川義雄君) これは全く同じことを群島と言ってみたり諸島と言ってみたりしておりまして、国土地理院は歴史的に諸島と言う場合が多かったんですけれども、法律用語では群島という言葉がほとんど使われております。
 ですから、私も地図を見てびっくりしたんですが、奄美諸島と書いてあるんですけれども、その横に、同じ地図に奄美群島国定公園と書いてあるんですよ。場所は全く同じなんです。このことから考えても、国定公園は法律用語ですから、同じ地図に奄美群島国定公園、その横に奄美諸島と書いている国土地理院の地名についての鈍感さというものがこのまま引き続いているんだと思います。
 私は、歯舞諸島、これを群島と言ってみたり諸島と言ってみたりすると、教科書で、同じ小学生が、中学生が、学校によっては諸島と習ってみたり群島と習ってみたりすることは許されないことだと思うんです。ですから、統一しなければなりません。いずれにしても、法律用語として我々は群島として統一しておりますから、国土地理院に対して強く、群島に改めるように申し入れたいと思っております。
#128
○有村治子君 群島とされるのか諸島とされるのか、それは政府の中で是非検討していただきたいと存じますが、やはり学校では、国土地理院では諸島であり北方領土返還運動では群島だというのでは、同じ日本政府の中の文部科学省であり内閣府でございますから、やはり名称はどちらかに是非とも統一していただきたいと存じます。
 やはり、北方領土返還運動も六十年でございます。世代を超えて地域を超えて継続的な国民運動を維持して、またそれを守っていく場合、不要な名称の混乱はない方がいいと考えます。
 北海道御出身で領土問題には大変造詣のある中川副大臣の発言を重く受け止めて、心からの歓迎を申し上げたいと存じます。ありがとうございます。
 昨年の百六十四回国会において、衆議院とともに我が参議院でも竹島の領土権の早期確立に関する請願が採択をされ、この中で、国において竹島問題に関する広報啓発活動を所管する組織を設置することが求められています。しかし実際には、まだ具体的な進展はございません。
 北方領土については、毎年、政府、内閣府も率先して北方領土返還要求全国大会が開催され、与野党を問わず、自民党も公明党も民主党も共産党も社民党も各政党の代表クラスが、この北方領土、我が国固有の領土であるし、その返還運動を、一翼を担っていくということをそれぞれの各政党がおっしゃって、その返還要求の意思を明確に打ち出されています。
 その一方で、竹島に関しては、これが同じ我が国領土への対応かと驚くほどに政府や内閣府の関与が少なく、その竹島の領土権の確立、返還要求に向けての運動が、竹島が所属する島根県の県議会や県民の皆さんの善意だけにゆだねられているような事態が続いております。
 選挙が終わってこの秋も、先月も私は島根県に伺いました。島根県の皆様の、竹島の主権やあるいはその領土権を確立しようという何十年来の涙ぐましい努力を目の当たりにしてまいりました。しかし、島根県のこの熱意を受け止めて竹島の重要性を共有してくれる部署が政府、内閣府にはありません。担当部署すらないというのが現状でございます。
 北方領土だけでなく、竹島など我が国固有の領土問題について対応する部署を明確にすることは、我が国の主権や、我が領土から二百海里の排他的経済水域を守ること、天然エネルギー資源、漁業権などの海洋権益、外交防衛の観点からも喫緊の課題だと考えております。竹島問題に対応する部署を設けることについての政府のお考えを伺います。
#129
○政府参考人(小原雅博君) お答えいたします。
 竹島の領有権に関します問題につきまして、この平和的解決のためには、我が国と韓国双方の国民が竹島問題に関します正確かつ客観的な事実について認識を深めていくことが重要と考えております。
 外務省におきましては、竹島問題につきまして、アジア大洋州局北東アジア課を中心にいたしまして、広報担当部署あるいは在外公館等適切に協力しつつ、鋭意広報啓発に努めてきております。
 例えば、ここ一年の間に外務省ホームページにおける竹島問題の記述を大幅に拡充し、その英語版、韓国語版も掲載いたしました。また、今年度予算におきましては、竹島関連のパンフレットを作成することも検討しております。
 引き続き、我が国の立場を主張していく上でより有効な方策につき不断に検討しつつ、その充実に努めてまいりたいと考えております。
#130
○有村治子君 ありがとうございます。
 パンフレットを発行する予定、ホームページのページを拡充した、おっしゃっていただいて有り難いというふうに思いますけれども、なぜこれが外務省の一部の担当になるのか。同じ領土問題では、我が国固有の領土といいながら、北方領土対策と、それから竹島問題にはこれだけの差があるということは歴然として、これを知らない方はいらっしゃらないと思います。
 行政改革が求められている中で竹島問題を専管する部署を新しく設置することが難しいということは私も十分に理解をします。となれば、現在、内閣府にある北方対策本部を拡充して、北方対策本部ではなく北方等対策本部として、北方領土のみならず竹島に関する事案も同じように対処することが現実的かつ効果的だと考えます。
 全国各地の民意の代表として集っている私たち衆議院、参議院の両院がこの竹島についての請願を採択したことの重さを踏まえた上で政府の見解をお伺いします。
#131
○政府参考人(佐久間隆君) 新しい組織ということではなくて北方対策本部の組織を拡充してという御質問でございますが、一般的に、新たな業務を追加すべく組織の改廃を行う際には、設置法等組織関係法令の改正を行うとともに、所要の体制面等につきましても整備の検討が必要となると考えております。
 政府といたしましては、それぞれの領土問題をめぐる経緯及び状況等を踏まえ、これまで対応を行ってきたところでありますが、領土問題が我が国の主権にかかわる極めて重要な問題であることにかんがみますと、御指摘のような組織の改組も含め、新たに領土問題全般を扱う組織を設けるべきか否かは高次の判断を要する問題ではないかと考えております。
#132
○有村治子君 その高次の判断をするのはどこでしょうか。
#133
○政府参考人(佐久間隆君) これは、行政の中でということであればハイレベルのということでございますし、法改正に至るわけでございますので、そこは国会の御議論も経てということになるかと思います。
#134
○有村治子君 実は、今端的に出ておりますけれども、今日、この竹島のことについて伺いたいと昨日質問通告をしたときには、大変フラストレーションのたまるやり取りをいたしました。外務省のロシア課の方が来てくださり内閣府の方が来てくださり、どちらも答えられないとおっしゃっていただき、結局はどこがこの竹島のことをちゃんと受け止めてくれるのかと、質問をするこの一つですら大変ないら立ちを隠し切れなかったというのが現状でございます。
 これよりも何百倍、何千倍の思いを島根県の皆さんがしている。本来であれば、これは県マターではなく、我が国の領土ということで政府マターであると思っております。ですから、設置法があるからなかなか大変だというのではなく、国益を守っていく、領土を守っていくための立法だと思っておりますので、どうかこれを、北方対策を北方等というふうに一文字入れるだけで竹島のことを所管することができます。
 是非とも、これに対する決意やお考えを大臣、副大臣クラスにお答えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
#135
○副大臣(中川義雄君) 私は、有村先生が参議院に当選間もないころ、北方領土問題に関する教科書の誤った記載に気が付いて、大変な苦労をされてこれをしっかりと訂正していただいた、その訂正していただいた段階においても諸島と群島というようなまた矛盾に気が付かれて先ほどの質問になった、そして今日また、竹島問題につきましても大変な思いを込めて今発言をされていると、こう思っているんです。私は、同じ政治家の一人として、これはしっかりと受け止めていかなければならない。
 しかも、竹島の日というものを島根県が設置しているわけですから、その島根県は、県民運動の中でこれまでずっとやってきたのが竹島・北方領土返還要求運動島根県大会という形で、島根県では、北方領土問題も竹島問題も領土問題として同次元に扱って今日までやってきた。私は北海道に住む者として、島根県が北方領土問題もやっぱり竹島の痛みを知っているからこういう形でやってきてくれたんではなかろうか。
 私は政治家としてその思いをしっかり受け止めて、今、有村先生の提言のあることを、大臣やまた官房の担当者とも十分政治的に折衝して、なるべく先生の要望にこたえるようにしていきたいと、努力だけはさせていただくと思っております。
#136
○有村治子君 北方領土の教科書記述を正常化するとき大変なあつれきがありましたけれども、そのときに最も力を本当にかしてくださったのが中川義雄先生でございました。そのことを思い出しながら、そのような政治家としての信念を持っていらっしゃる方が政府高官にいてくださること、心から感謝申し上げ、是非とも御検討いただきますよう、幸い沖縄北方担当大臣、岸田先生が別の質問でここにいらしていただきますので、今日の経過も聞いていただいたので、是非共有をして、コメントは求めませんが、是非前向きに北方等対策本部で御検討いただきますよう、再度御依頼申し上げます。
 それでは、中川先生、もう質問はございませんので、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 次に、少子化対策についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
 近年、我が国では晩婚化が進んでおります。これに伴い晩産化、いわゆる出産の高齢化の傾向も現れています。平成十七年における第一子出産時の母親の平均年齢は二十九・一歳であり、三十年前と比較すると三・四歳も遅くなっています。首都東京では、第一子出産時の最初の子を授かる母親の平均年齢が三十歳を超えています。三十・五歳と高く、三十代後半の出生数が平成十三年からの五年間で一・五倍近く急増しているという現実があります。
 このように出産が先送りされる状況が続く一方で、加齢、年齢を加えていくことによっての不妊のリスクが格段に高まっていくことは見過ごされているような感じがいたします。医学的見地からしても、年齢とともに妊娠力とでもいうべき子供を授かれる率が低下していくことが指摘されており、特に三十代後半から、正に私がいる世代でございますが、三十代後半から卵子の老化に伴って、やがて赤ちゃんとして誕生する卵子そのものに染色体異常が起こるおそれが上昇していくことも指摘されています。さらに、三十七歳ころからは妊娠率は急降下を始めて、四十代に入ると自然妊娠率は極めて低くなるという現実があります。不妊の最大の要因は加齢だと言い切る産婦人科の先生も複数いらっしゃいます。
 晩産化が進んでいるとはいえ、人々が子供を望んでいないわけではありません。去年九月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した第十三回の出生動向基本調査、「結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の結果概要」によれば、独身者のおよそ九割がいずれ結婚したいと考えており、この九割の独身者が将来授かりたいと希望する子供の数は、男性でも二・〇七人、女性に及んでは二・一〇人ということで、男女ともに二人以上授かりたいと希望しているということが分かります。
 しかし、現実には、仕事を持って責任のあるポジションを任されて社会的な信用を築いていかなければならない時期と、人間として子供を授かれるのに適した時期というのは、悔しいかな重なってしまいます。そして、仕事人としての大事なミッションも家庭人としての大事なミッションもどちらも貴くて、どちらも片手間にというわけにはいかない大きなプロジェクトであるのも事実でございます。その中で多くの夫婦や二十代、三十代の女性は、仕事か家庭か出産か、いつまで子供が授かれるんだろうとはざまで考えを巡らせているのが現状です。
 その中で、私たちの周りにも多くの友人やあるいはいろんな方がおっしゃっていただきますが、子供も是非授かりたい、でも仕事が忙しいから後で考えればいいや、あと数年、あと三年、五年はしばらくいいやというふうに、漠として勝手に出産あるいは妊娠が先送りできるというふうに納得しちゃっているところが少なくありません。
 しかし、全国に五十万組いらっしゃると言われる不妊に悩んでいる方々、その中で数人の方々は勇気を出して私に教えてくださいました。不妊で困っているという事実を自らおっしゃっていただいた上で、もっと早くに、この年を重ねることからくる、加齢から起因する不妊のことを知っておけばもっと選択肢があったのに、悔しいという思いを複数の方から伺います。
 加齢による不妊のリスクを知らないままに、出産を漠として先送りにし、子供を授かりたいという希望があるにもかかわらず子供を授からずに悩む、苦しむことがないよう、学校教育で生物学的、医学的な妊娠力の現実を誠実に伝え教えることが必要があると考えております。
 そこで、高校の保健体育の教科書、平成十九年に使われている、全国で使われている教科書七社の保健体育の当該記述をすべて読ませていただきました。その中で一番誠実な、この点について書き方をされているなと思ったのが、一橋出版の出されている保健体育の教科書でございます。
 そこには、一般に妊娠出産には適齢期があると考えられています、母親の年齢階級別に自然死産率を見ると二十五歳から二十九歳が最も低くなっています、三十五歳を過ぎてからの初産、高齢初産は二十歳代に比べて妊産婦や胎児に異常が起こりやすい傾向があります、それは高年齢のため妊娠の負担が大きく、難産や流産を起こしたりするためだと思われます、しかし高齢出産であっても妊婦自身の適切な自己管理と医療の介護によって健康な妊娠、出産は可能になっていますと、一方的にあおるのではなく、現実には高齢出産も健全にできるということをちゃんと伝えた上で、そのリスクも書いているというのがこの教科書、保健体育の一橋出版のものでございました。
 それ以外の教科書については、高齢出産のリスクというのはほとんど書かれていないというものもあります。そして、高校の保健体育の教科書七冊全部調べましたが、現在のところ、その高齢出産のことは書いてあるんですが、加齢によって不妊のおそれが、妊娠力が急激に低下するということはどの教科書も全く記述がありません。
 若いときにこの現実を知っておけばよかったというのはとても大事なことだと思っております。政府や政治が少子化だから是非産んでくださいとの主張を試みたところで、産めよ増やせよのような時代ではない。成功するとは思えません。おせっかいだと煙たがられるのがせいぜいだと思います。
 しかし、人間として心身ともに健康で、心豊かに暮らし、家族を希望し、ライフプランを主体的に考えていこうという人々に、医学的な見地からこの加齢による妊娠力の急激な低下の現実をしっかり周知することは倫理的にも誠実で大事なことだと考えます。その上でキャリアを選ぶか、あるいは今の時期、子供を授かりたいという選択をするのか。そのリスクも知った上で、それぞれが納得した上で自分で選択をされればいい、家族で、夫婦で選択をされればいいというのが私の考えでございます。
 このように少子化担当大臣として是非文部科学大臣とも共有をしていただいて、その加齢による不妊のリスクが極めて高くなるという現実を高校段階の教科書に是非ニュートラルな立場で医学的に書いていただきたいということを御検討いただきたいと思いますが、上川大臣の御所見を伺います。
#137
○国務大臣(上川陽子君) 有村委員から、ただいま女性の体の大変不思議さというかデリケートな体のことについてきめ細かく研究していただいて、御質問いただいているということに対しまして大変敬意を表するところでございます。
 出産の状況を見ますと、先ほどの御指摘のとおり、晩婚化の進行が伴いまして、第一子を産む女性の年齢が上昇しているということで、先ほどの御指摘のとおり、高齢期の出産の方が今妊娠するリスクも高まるし、また同時に流産をするというリスクも非常に高いということは、研究の結果としても理解しているところでございます。
 この妊娠と出産に対しての正しい情報をしっかりと子供のときから教育という現場の中で理解し、また自分の体についても大切にしていくということを学んでいくということは大変大事なことであるというふうに思います。今、高校の教科書の御指摘がございましたけれども、小学校から中学校、また高校、また社会人になったとしても、女性の体、まあ男性の体もそうですが、そのステージステージに応じて体が変わるということについては、これはきめ細かく理解していくべく教育の中で取り組んでいくことが大変大事ではないかというふうに思っております。
 と同時に、先ほどちょっと御指摘がございましたけれども、結婚したいけれどもなかなかできないとか、あるいは子供を産みたいけれども状況の中でちゅうちょするというような形で、若い世代が希望を持っていながらなかなか実現しないという現場の中で悩みを抱えながら進んでいるということも事実でございます。この点につきましては、今、子どもと家族を応援する日本ということの重点戦略の中で取組をしておりまして、結婚と出産の希望をいかに実現していくことができるのか、ここにつきましては大切にこの点についても触れていきたいというふうに思います。また、既に不妊に悩んでいらっしゃる方への支援ということで、不妊治療のことについても前向きな形で知識をしっかり持って、そして頑張っていただくための応援ということで、施策の中にも充実を図っているところでございます。
 こうした取組をしていく上でも大変教育の面での取組は大切なところでございますので、文科省の大臣とともに、その正確な知識を正しく理解していただくための丁寧な取組につきましては頑張っていきたいというふうに思います。
#138
○有村治子君 ありがとうございます。
 上川大臣は自民党女性局長として、正に子どもHAPPYプロジェクトというプロジェクトを何もないところから立ち上げられて、全国でアンケートを取られて、その全国のアンケートの結果を政策に反映してきたその第一人者でいらっしゃいます。この党内外で高く評価されている子どもHAPPYプロジェクトのその世論のリクエストから、不妊治療についての公的支援の拡充や、あるいは妊娠の出産一時金の三十万円から三十五万円への引上げなど、大きな実際に目に見える実効力を発揮していただいたその女性局長が現在日本の少子化担当大臣のその前線で旗を振ってくださることに、非常に大きな希望と実効性の期待をしています。是非、私たちこれからの世代を担っていく世代にも力をかしていただきたいと、心からお願いを申し上げます。
 次に、有害情報について質問をさせていただきます。安倍内閣の時代に立ち上げられまして現在の福田内閣でも取り組まれている有害情報から子どもを守るための検討会についてお尋ねをいたします。
 この検討会後の記者会見において、高市早苗前大臣は、国として次代を担う子供を有害情報から守るという強い姿勢を示す、また、有害情報を子供の目に触れさせないよう社会全体として取り組むなど、五つの原則を表明されています。有害情報を子供の目に触れさせないよう社会が一体となって取り組むことは大変重要で、世論の支持と要請も強い分野です。
 先日の内閣府が行った全国的な世論調査においても、わいせつ画像や暴力描写、犯罪を誘発する情報など青少年の非行や犯罪につながるおそれがある雑誌やインターネットでの有害情報について、実に九割以上の人が規制すべきだと回答をしています。世論調査で九割という大変な割合の人が意見を集約するというのはなかなかないことで、八割、七割ならともかく九割以上が有害情報をもっと積極的に規制すべきだというそんな意見を支持しているというのに、私は驚きとともに、それだけ現実的に求められている取組なんだという思いを強くいたしました。私も小さな子供を持つ親として、テレビなどを通じてお茶の間に流れる暴力や犯罪シーンや性的表現、またいじめを助長するような、特定の出演者をこけにしてみんなで笑い物扱いして盛り上がったりというような、人間の生き方として寂しくなってしまうような品位のないシーンは子供に見せたくないなと、いつも思います。
 先日、NHKと民放でつくる第三者機関である放送倫理・番組向上機構も、テレビにおける暴力、性的表現は過激化する傾向があり遺憾だという見解を発表し、加盟放送局に検討を求めたとする報道がありました。今まで有害情報の規制は社会でその要望が高まって必要性が指摘されつつも、率直なところ業界の自主規制に甘んじることが続いてきたような気がします。しかし、この自主規制がなされてきても、まだまだ世論調査によってもこの有害情報の取締りは不十分だという認識が、世論からそういう声が上がってきている。ここに来て政府の検討会が有害情報を子供の目に触れさせないよう社会全体として取り組むんだという原則を打ち出されたのは大変勇気付けられることです。世論の支持もあります。
 これは将来、放送、電波、一般流通網を通して流れる有害情報については政府が率先して苦情を受け付け、その苦情に基づいて指導を行うなど、有害情報を是正する手段を持つこともあり得ると理解してもいいのでしょうか。
#139
○国務大臣(上川陽子君) 現在、インターネットの上で流通している情報の中には、御指摘いただきましたように、青少年に有害な情報も大変あふれている状況でございます。こうした有害な情報から子供を守るということについては、これは待ったなしというふうに私は感じております。
 政府では、これまでいわゆる出会い系サイト規制法等によりまして、一部有害情報につきまして規制を行うほか、青少年育成施策大綱や子ども安全・安心加速プラン等によりまして、携帯電話等のフィルタリングソフトの普及、またインターネット・ホットラインセンターによるプロバイダーへの削除依頼、そして子供自身がメディアリテラシーを身に付けるための情報モラル教育や、保護者、教職員等に対する啓蒙啓発活動ということを行っているところでございます。
 しかしながら、御指摘いただきましたとおり、違法情報等の削除依頼に応じない業者が存在しているということ、またフィルタリングの認知度も世論調査の結果大変低い状況にあるということでございます。その上で、特別世論調査におきましては何らかの規制など更なる対策の強化が求められるという声が上がったところでございます。内閣府では今年の七月に有害情報から子どもを守るための検討会を今立ち上げて、そしてこの問題につきましての現状と課題について検討を行っているところでございますが、表現の自由、通信の秘密等のバランスの問題がある中でいかに有害情報から子供を守っていくことができるのかどうか、これは法規制も含めて検討をいただいているところでございます。関係の大臣と力を合わせてこの問題について取り組んでまいりたいと思っております。
#140
○有村治子君 政府参考人の方、必要であれば有り難く拝聴します。済みません、テクニカルなことを大臣にお答えいただいて、大変恐縮でございます。
 テレビに関しては確かに有害情報とか、あるいは批判や課題のターゲットにもなりやすく、親御さんも目が届きやすいのですが、やはり今、上川大臣がおっしゃっていただいたように、もっとテレビよりも深刻なのは、保護者があずかり知らぬところで、でも子供の世代は簡単に入手できてしまう携帯、インターネットなど言わば忍び寄る有害情報の方が、無法地帯とでもいうべき悪質で陰うつで、人間の命を奪い、人としての尊厳を根底から奪い去るような有害情報が絶えません。午前中の本委員会でも松井委員から御指摘があったように、やみサイトでは、例えば何でもやりますと、不法な仕事の請負をして、殺人もやります、自殺幇助もやります、精神、神経に働き掛ける麻薬や医薬品、幻覚を生じさせるドラッグのやみルートでの売買や、わいせつを目的にした人身売買もそのようなサイトには結構普通に載っています。
 ですから、テレビは確かに規制をしやすいのですけれども、本丸というのは、このようになかなか、世代ごとにアクセスの違いがあるインターネット、携帯のこの本丸にこそ十分にスポットを当てていただくことが、放送業者にとってのフェアネスということを考えた上でも大事だと思います。
 先ほど先におっしゃっていただきましたけれども、このやみサイトなど不法なことに関しては、そのホームページの管理者、サイトの管理者の削除要請というものがございますが、削除要請には罰則規定もありません。自主規制に甘んじることなく毅然と対応をしていただきたいと存じます。
 特に有害情報の規制は、取組とそれから技術と、反社会的な勢力にその新しい技術が悪用されるというようなイタチごっこが続いてきたという認識がございます。子供たちの幸せを願い、次世代が未来を信じて、文字どおり明るく健全に成長できる社会をつくっていくのが私たち大人の責務だと考えています。子供の命と人格を命懸けで守ろうとする大人たちを見て子供は大人に敬意を表し、社会を信じ、先人に敬意を持つとともに、自他を慈しむことを体得するようになるのだと思います。その根幹が有害情報によって揺らいでしまう。この有害情報を垂れ流し、目を背ける大人たちを見て、その大人たちが子供に、どうやって信頼や尊敬を子供たちから得ることができるのでしょうか。そういう意味では、有害情報の脅威は減るどころかますます深刻になっているという危機感すら持っています。技術と社会の自助努力のイタチごっこである自主規制の限界を感じます。
 少々勇み足の表現になりますが、子供たちを犯罪や暴力、殺人に巻き込むような有害情報をつくり、個人的な趣味や商業的もくろみからこれをばらまいている人々は、世代を超えて命を健全に伝承しようとする社会全体に対する挑発、挑戦であり、脅威であり、人間として恥ずべき、忌むべき生き方です。単に悪趣味というだけではなく、純真な次世代の命や人生までも狂わせる悪害に自ら手を染めることは、人間として忌むべき最低の仕業だということに気付かせる社会であらねばなりません。
 それぞれが心豊かな生き方を問い、安全で健全な社会を必ずつくり、守るんだ、それに対する脅威には私たち一人一人が主体的に毅然と立ち向かうんだという固い決意が国民の皆さんの中に広がらなければ、有害情報規制も、日進月歩の技術革新の中で単なるイタチごっこの状況を抜け出すことができません。
 そこで大臣に、このような単に技術やあるいはその方策を追い求めるだけではなく、やはり、そのように子供たちの人格と命をおとしめるような所作に加担をするというのが恥ずかしい忌むべき行為なんだということに気付かせる社会をつくっていくことも含めて、大臣の御所見を承りたいと存じます。
#141
○国務大臣(上川陽子君) 子供の健全でそして健やかな生育をはぐくむ環境の中に、最近の日進月歩する技術として、インターネットやまた各種メディアによる有害情報、また違法情報があふれるようにはんらんしているということに対して、これにしっかりと取り組んでいくということを私としても青少年対策の担当として頑張っていきたいというふうに思います。
#142
○有村治子君 ありがとうございます。
 それでは、中国遺棄化学兵器についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
 昨年の五月に発売された雑誌、月刊誌「正論」には、遺棄化学兵器は中国に引き渡されていたという記事が掲載をされています。旧日本軍が保持していた化学兵器が日中双方合意の下に中国に引き渡されていた場合は、日本は化学兵器禁止条約に基づく遺棄化学兵器の廃棄義務を負わないことになります。
 この件について、平成十八年、去年五月十二日の衆議院内閣委員会において、現在、内閣府大臣政務官をされている戸井田とおる議員が政府に対し、山形県シベリア史料館にある兵器引継ぎ書目録とされる資料を政府が調査して分析をするよう求められ、その後三度にわたって資料調査の進捗状況を政府に質問されています。
 今年五月の十六日、当時の塩崎内閣官房長官は、この山形県シベリア史料館に人を派遣し、平成十八年十月四日から六日にかけて、旧日本軍の関係資料約三百冊を写真で撮影し、専門家に調査、分析を依頼した、その結果、全体の三分の一まで調査して、その中には化学兵器を中国等に引き渡す旨を示す記録はなかったと答弁をされています。
 そこで御質問いたします。山形県にあるシベリア史料館、段ボール二十四箱、六百冊の調査に行かれた方の専門、職位、調査に掛かった日数、延べ日数を教えていただきたいと存じます。
#143
○政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のシベリア史料館への調査でございますが、先生御指摘のとおり、昨年十月の四日から六日にかけまして、外務省、内閣府及び防衛研究所の関係者計六名が同史料館を訪問し、同史料館が所有する旧日本軍の引渡し関係資料のうち約三百冊、これは画像にいたしまして約七千枚でございますが、それの写真撮影を行ったところでございます。
#144
○有村治子君 このシベリア史料館にある兵器の引渡し目録というのは本物だと政府は見ていらっしゃるでしょうか。
#145
○政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。
 収集しました資料でございますが、その後、外務省より、旧日本軍の戦史及び化学兵器を含む武器弾薬等に関する知見を有します専門家に対しまして写真撮影した資料の精査及び分析を委託いたしました。その結果、今回の調査で得られた兵器引渡し目録には、化学兵器を中国等に引き渡した旨を記述する掲載はなかったということは確認されております。
#146
○有村治子君 この資料は本物だと認識されていらっしゃるんでしょうか。もう一度伺います。
#147
○政府参考人(小原雅博君) 専門家の方からはそのように我々は聞いております。
#148
○有村治子君 官房長官の御答弁から約半年たとうとしておりますが、その後、現在までの進捗状況はどのようになっていますでしょうか。
#149
○政府参考人(小原雅博君) 実は同史料館の資料には兵器関連以外の資料も多数含まれておりまして、また時間等の制約もありましたために、先般の調査では、同史料館が所有するすべての旧日本軍の関係資料について調査を終えるには至っておりません。先生御指摘のとおりでございます。
 外務省といたしましては、その後も史料館側と頻繁に連絡を取って、再度の調査訪問の受入れにつきるる要請しているところでございますが、残念ながら先方の受け入れるところにはなっておりません。いまだ再調査が実現するには至っておりません。
 引き続き、残りの調査を早急に実施するべく、同史料館にしかるべく働き掛けていく考えでございます。
#150
○有村治子君 ありがとうございます。
 遺棄化学兵器処理事業については、毎年多くの予算が割かれています。来年、平成二十年度の予算要求額は三百九十五億八千三百万円となっています。この三百九十五億というのは、日本の小中学校に学ぶ児童生徒が、千百万人の生徒が毎日使う教科書をすべて賄う金額に匹敵いたします。大変大きな金額です。そもそも国際条約上日本が法的には廃棄義務のない化学兵器の処理事業を行っていたのであれば、巨額の国民の税金が非効率に使われたおそれが払拭できず、来年度以降についてもそうなる懸念がすべてぬぐえるわけではありません。
 そういう意味においても、このような、産経以外にもこのことを指摘する報道がかなりたくさん出てき始めておりますので、政府は早急に内外関連資料の調査を完遂していただきたいと存じます。その上で先ほどの答弁は大変有り難く拝聴いたしました。
 次に、PCIについてお伺いしたいと思います。
 今月、多くのODA事業を手掛けるコンサルタント会社、パシフィックコンサルタンツインターナショナル、略称PCIが遺棄化学兵器処理事業で約九千万円を不正に流用した特別背任の疑いで、本社や関係先に強制捜査が入りました。PCIは過去、不透明な経理によりJICA、国際協力機構などから指定停止処分を受けています。PCIという企業側の問題もありますけれども、そのような度重なる処分や不祥事を受けてきたPCIに発注をした、そのような企業と随意契約を結び独占的に委託した内閣府、行政側の責任も現在問われています。
 発注元、内閣府は、遺棄化学兵器処理担当室が出されていますが、そこの人数とスタッフを構成されている方々の御出身、御専門を教えていただきたいと存じます。
#151
○政府参考人(西正典君) お答えを申し上げます。
 ただいま先生御指摘の遺棄化学兵器処理担当室の職員は、これは平成九年八月閣議了解出ました「遺棄化学兵器問題に関する取組体制について」、ここで設けられております遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議、この構成員であります各省庁から成っております。すなわち、内閣官房、内閣府、防衛庁、当時でございます、今防衛省でございますが、ほかに外務省、財務省、厚生労働省、経済産業省及び環境省、こうした各省庁からの出向者により構成されておりまして、その人数、現在二十一名でございます。
#152
○有村治子君 二十一名の遺棄化学兵器処理担当室が発注をされています。なぜ内閣府が発注なのか。例えばJICAなど、ODA分野において、国際貢献の分野において競争入札の経験や積算コストの精査、発注後のチェックなど、国際貢献事業のノウハウを持っているところからこの遺棄化学兵器のプロジェクトを発注させないのか、どうしてなのかなというふうに思います。
 担当室はどのようなチェック体制を取っていたのか、また、今後、このような強制捜査が入った上での結果を踏まえて、チェック体制の強化を含め、どのような対策を講ずべきとお考えでしょうか。大臣に伺います。
#153
○国務大臣(岸田文雄君) まず、この事業、内閣府において担当することになりました経緯でございますが、平成十一年の閣議決定によりまして、他の行政機関の所掌に属しない事務としまして、この遺棄化学兵器問題につきましては当時の総理府において行うとされたところでございます。その後、省庁再編時に、この大量の遺棄化学兵器を緊急かつ集中的に処理する必要があることから、内閣総理大臣が直接的に担当し強力な指導力を発揮して行うことが必要と考えられたために内閣府の所管になったという歴史的な経緯がございます。
 そして、内閣府において平成十一年からこの遺棄化学兵器の処理事業を進めてきたわけでありますが、その際に、この契約対象、具体的にはその委託先との契約に当たりましては、この担当室あるいは官房の会計課におきまして様々な積算内訳、また提出されました資料、あるいはヒアリングを行う等、そういった内容の精査を行ってきたわけでありますし、また、その経費の執行後につきましても、この支出状況報告、月報ですとか請求書、領収書、こういった確認を行うということも行ってきましたし、また、この委託先においては会計監査人を置いて監査を行う、こうしたチェックを行ってきたところであります。
 ただ、今般、こういった形で、この委託先は株式会社の遺棄化学兵器処理機構という先でありますが、その機構を含むこのグループ会社の中で不正が行われているんではないか、こういったことが指摘をされています。
 こうした一つの民間会社に委託をしてきた経緯につきましては、この事業自体が長期間にわたりまして埋設されましたこの大量の化学兵器を処理するとか、それからこうした世界でも例を見ないこの事業を進めるに当たりまして、この事業を進めながら様々な知見や技術を集積する、そしてこの集めてきた技術や知見をもって更に事業を進めるというようなこの事業の進め方の特殊性というようなこともあり、また、そもそもこの遺棄化学兵器の破壊力というものがどの程度のものか、当初は想像もできない時代もあったわけであります。
 こういった特殊な事情から、一つの民間会社にこういった事業を委託するという体制を取らざるを得ない状況があったわけでありますが、その後三年間たって、こうした事業を進める中で様々な知見や技術、集積されてきました。事業も新しい段階にあった今日、こうした不正が疑われているという状況を前にしまして、改めて一民間会社に依存しなければならない体制というものについては見直す必要もあるのではないかということを感じております。
 ただ、実際には今捜査が進んでおりますし、また今対策室においてもこの委託先を中心に独自に実態把握に努めているところでございます。実態を把握した上で、是非この体制自体の見直しも含めて対応していきたいと、そのように思っています。
#154
○有村治子君 大臣、本当に御丁重にありがとうございます。是非、その趣旨どおり、リーダーシップ、強いリーダーシップを引き続き発揮していただけますようお願いを申し上げます。
 時間がかなり限られておりますので、もし御協力いただけるようであれば、端的にお答えいただけると、政府参考人の方、大変有り難く存じます。
 中国における現在の化学兵器の処理について、化学兵器の発掘それから回収作業に当たって、発掘された砲弾の鑑定を逐次されていると認識をしていますが、その鑑定結果による砲弾の国籍、化学物質の種類の内訳、割合を教えてください。
#155
○政府参考人(西正典君) ただいま先生御指摘の点でございます。私ども、中国におきまして砲弾の回収、これを俗に我々小規模発掘回収事業と称しておりますが、これを行いまして、今日まで発掘回収をいたしましたのが約四万二千発に及びます。
 この中身を申し上げますと、俗称でございますが、黄弾及び青白弾、これが約二千二百、赤弾、赤筒及び緑筒、これが約一万五千三百、残る二万四千、これは今まだ鑑定を残しておりますが、いずれも有毒発煙筒、あるいは私ども俗に不明弾と言っておりますが、今後の鑑定を要する弾でございまして、いずれも旧軍の使ったものと私どもは考えておるものでございます。
#156
○有村治子君 御発言ですが、いずれも旧軍が使ったものというのは本当でしょうか。日本国籍以外の砲弾が出てきていると認識しておりますが。
#157
○政府参考人(西正典君) 私どもが処理すべき対象というものは、化学兵器禁止条約によって、旧軍の化学兵器と、このようになっております。これまで行いました発掘作業の結果、約六千発、この化学兵器でないものが含まれております。それは、もちろん旧軍において使われた通常弾であっても、これはもとより化学兵器禁止条約の対象でございませんので外されます。そういった観点で、この六千、これが対象から除外されておりますが、それに関しましては私ども対象外ということで、精査は行っておりません。
#158
○有村治子君 対象外のものも出てきているとおっしゃっていただいてよかったです。発掘の時点でそれは除外しているということで安心しました。
 これは通告しておりませんので、もし必要であれば事後の報告でも大変有り難く拝聴します。
 一部報道では、これまで中国で回収した兵器のうち大多数が発煙筒と言われています。これは事実でしょうか。また、この発煙筒というのは化学兵器なんでしょうか。
#159
○政府参考人(西正典君) ただいま申し上げました四万二千、そのうちの約三万、これが俗に赤筒といいます有毒発煙筒でございます。その有毒発煙筒、赤筒の中に含まれます剤、これに関しましては、私ども、これは化学兵器禁止条約上、廃棄の義務のある剤であると、このように認識いたしております。
#160
○有村治子君 旧日本軍が保持し、敗戦後に作られた引渡兵器目録にも記述のある、先ほどから出ています赤筒、緑筒という兵器に使われている化学物質は何でしょうか。赤は何で、緑は何。また、赤剤、黄剤、緑剤と呼ばれるものも、それぞれの色で識別、呼称される兵器とマッチする化学物質を指す旧日本軍での名称と考えてよろしいでしょうか。
#161
○政府参考人(中根猛君) お答え申し上げます。
 赤剤といいますのはジフェニルシアンアルシンという嘔吐性の化学剤でございます。緑剤と申しますのはクロロアセトフェノンという催涙性の化学剤、それから黄剤はマスタード等のびらん性の化学剤でございます。
#162
○有村治子君 これらの化学物質は化学兵器禁止条約で批准国が処理、撤廃をする義務があると指定されている物質でしょうか。
#163
○政府参考人(中根猛君) 化学兵器禁止条約二条におきまして、化学兵器とは毒性化学物質及び前駆物質等と定義されております。毒性化学物質については、生命活動に対する化学作用により、人又は動物に対し、一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし得る化学物質と定義されております。
 赤剤及び緑剤につきましては、生命活動に対する化学作用により人又は動物に対し一時的に機能を著しく害する状態を引き起こし得ることから、条約上の毒性化学物質、すなわち化学兵器に該当すると考えております。
#164
○有村治子君 当初、中国からは、日本が責任を負うべき化学兵器は二百万発との主張がなされたと理解しておりますが、日本政府は、我が国が処理に責任を負うべき埋設化学兵器の数はどのくらいだと見積もられていらっしゃいますか。また、廃棄するまでに掛かる期間、事業費をどのくらいに想定されていらっしゃるでしょうか。
#165
○政府参考人(西正典君) ただいま先生お尋ねありました廃棄すべき化学物質の数、これに関しましては、先生御存じのとおり、一番大量にその所在が疑われておりますのが吉林省敦化市郊外のハルバ嶺でございます。ここに約三、四十万という数が推測されております。
 それ以外のところ、先ほど私が申し上げました四万二千という数、これは国内各地におきまして建設そのほかの作業の中たまたまヒットしたものでございまして、これが今後どの程度の数になるのか、それに関しましては私ども残念ながら詳しい情報を持っておりませんので、これにつきましては今後発見される都度その対処を要するものと思っております。
 こうした化学兵器の処理に当たりましては、私ども、先生御存じのとおりの形で化学兵器処理のプロセスを進めております。これに関しまして、本年四月には、小規模発掘で回収されました化学剤の処理のために移動式処理設備を導入することが望ましいという判断に基づいて、安倍総理の方からそうしたことの御表明を温総理にもされておるような次第でございます。
 こうした行為、着実に進めていくことが我々にとって必要と、かように判断しておる次第でございます。
#166
○有村治子君 防衛省に伺います。
 防衛省防衛研究所の調査によると、日中両政府は現在、遺棄化学兵器として廃棄処理対象にしている旧日本軍の化学兵器、赤筒、緑筒に関して、台湾では中国軍に引き渡されていたという引渡兵器目録等が発見されているという報道が最近なされています。これは事実でしょうか。
#167
○政府参考人(松本隆太郎君) お答え申し上げます。
 今御質問のありました件につきましては、防衛省が過去、外務省より中国における遺棄化学兵器の所在に関する情報収集の調査依頼を受けまして、御質問にありました防衛研究所、ここにおきまして保管している戦史資料、これを精査しましたところ、旧日本軍の兵器引渡目録がございまして、そこの中で、例えば旧日本軍が使っていた手投げりゅう弾でありますとか、あるいは今御指摘のありました台湾においては、赤筒等の化学兵器、これを中国側に引き渡したということ等がうかがわれる記述があったことを私ども確認しております。
#168
○有村治子君 最後に大臣の御所見を伺いますので御準備賜りますよう、よろしくお願いします。
 質問をさせていただきます。
 今の御答弁を受けますと、それでは、旧日本軍が使っていた化学兵器の中で、少なくともその一部は両方が、双方合意の下に引き渡されていた実証があるというふうに認識をいたします。
 化学兵器の発掘回収作業に当たり、これからも何が出てくるか分からない、何発出てくるか分からないということで、これから何百億の日本の血税を使わなければならないのかという予測は立っていないというのが現状でございます。
 そこで、発掘回収作業に当たって、日本の国益を守る立場で日々処理現場に立ち会い、処理活動の実効性を測定する専門家は日本から定期的に派遣されているのでしょうか。つまり、中国からの一方的な言い分ではなく、日中合意の下にその現場検証を日常的になされているかどうかということです。
#169
○政府参考人(西正典君) 恐れ入りますが、事実関係でございますので私からお答えさせていただきます。
 中国における旧日本軍の遺棄化学兵器の処理事業は、これは日本政府が主体で実施する作業でございます。中国政府はもちろん日本政府の作業に協力、支援していただいてはおりますが、これはあくまで我が国が主体的に取り組む事業でございます。
 平成十二年度から、陸上自衛官が内閣府技術専門員として化学兵器の発掘回収などの業務を実施してきておりまして、本年度も六名の自衛官が吉林省敦化市蓮花泡における業務に従事してまいりました。
 また、この六名のほかに、現在担当室の方に陸上自衛官二名が派遣されておりまして、これが吉林省ハルバ嶺以外で発見された化学兵器の発掘回収事業の計画立案、あるいは日中専門家協議、さらには現場での指揮監督業務を行い、各種作業の推進に当たっておるところでございます。
 さらに、こうした作業を合理的かつ円滑に推進しますためにしかるべき所見を持った人間が必要でございますことから、陸上自衛官OBが発掘回収の専門家としてこれもまた作業に参画し支援してくれていると。このような形で、私ども、その十分な経験、経歴を持った者の支援を得て作業を進めておる次第でございます。
#170
○有村治子君 安心材料を御発言いただき、有り難いと思います。
 このように、私自身も、化学兵器というのは人道に対する大変な脅威であり、これは現在の多くの国が持っているような抑止力として、持っていることに価値があったというふうには理解をしているんですが、やはり化学兵器は人道として、人類に対する脅威でありますから、これが無力化されることを願っております。
 この中国におけるいわゆる遺棄化学兵器処理問題というのは、巨額の金額、納税者の税金を使う、毎年何百億か使っていくというような気の遠くなるような事業であり、また日中両国の、大変大事な両国の信義にもかかわることであり、また日本が国際条約を批准した、その批准にのっとっているのかどうかということ、いろいろな観点とともに、現在のパシフィックコンサルタントインターナショナルの不正ということも指摘されて、いろんな問題が絡んでいます。
 正に、それぞれの省庁だけではなく、内閣府、政府の直轄としての内閣府のリーダーシップが問われるところでございます。
 今日、数十分のやり取りを聞いていただくだけでも、大臣、やはり難しい部分がいろいろ出てくるなということを改めて感じてくださっていると思うんですが、この質問のやり取りを聞いていただいて、いろんな複眼的な問題が絡んでいる、この陣頭指揮を執っていただく大臣の御所見を伺いたいと思います。
#171
○国務大臣(岸田文雄君) まず、当事業につきましては、化学兵器禁止条約に基づいてこの処理を我が国が義務として負っているという事業であり、中国との間、そして国際的にも大変重要な事業だというふうに認識をしております。
 二〇一二年がこの条約上の期限ということになっておりますが、それを念頭に置きながら事業を進めていかなければいけない、そのように認識をしております。
 ただ、その際に、こうした大切な事業、国民の貴重な税金を使って行っているわけであります。是非、この事業の内容につきましてはこれからも厳しく精査をしなければいけないと思っておりますし、過去の経緯の中で委託事業にゆだねられている部分があります。この部分につきましても、国として、内閣府としてしっかりと責任を感じながら、疑惑を招くようなことがないように事業を進めていかなければいけない、そのように感じております。
#172
○有村治子君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#173
○北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。
 今日は、私からは地方分権の推進について、それからあと、食の安心、安全の問題について、二点について質問を進めたいというふうに思います。
 まず、地方分権の推進ということでありますけれども、この問題については谷口副大臣、お答えいただけるということでございますので、よろしくお願いします。谷口副大臣とは大阪、同じ地元でございますので、どうぞよろしく。
 地方分権ということはもう随分以前から言われておりまして、これからは地方の時代だと。恐らく、昭和の時代からそういう言葉があって、地方分権、地方分権ということが言われておったというふうに思うんです。これが言葉ばっかりでなかなか進まないと。私も地方議会出身でございますから、いつも地方の時代、地方の時代と言われながら、ちっとも進まぬやないかというのが率直な感想でございました。
 それが少し現実になってきたのは、平成五年の地方分権の推進に関する決議というのが衆参両院で行われました。地方分権を国としてもしっかり進めにゃいかぬという、本腰を入れてやっていこうと、こういうことであったと思うんですが、これも実は理念ばっかりで終わってしまいまして、地方分権という言葉が独り歩きしておると、こういうようなことであったと思うんです。
 その後、平成十二年になりまして、例の地方分権一括法が施行されたと、こういうことであります。この地方分権一括法の施行でありますけれども、これにつきましても、我々地方議会におりましていつも言っておりましたのは、仕事ばっかり来て一個も財源が来ぬやないかと、こういうことをしきりに言っておりました。何とか仕事を回していただく、権限を回していただく、それと同時に財源も一緒に回してほしいと、こういうことを常日ごろ、我々地方議会から国の方に要望しておったと、こういうことであります。その経過の中で国の方へ、権限を回していただくんであればそれに伴う財源をと、こういうように言ったら、地方は権限を取って財源まで取るんかいと、こういうようなことを言われたという、こういう冗談の話が実はあったようなことでございます。
 それが、やはり地方その他の要望が随分ありまして、これではいかぬと、何とかもっと現実味のあるものにしていかないかぬというのでできたのが、例の平成十四年の三位一体の改革の閣議決定ということだと思うんですね。その翌年、十五年には四兆円の補助金の改革、これが閣議決定をされた。また、十六年には三兆円の税源の移譲、ようやくここで税源移譲ということが本格的に進められるようになったと、こういうようなことだと思うんですね。国と地方の協議の場というようなものも設定していただくというようなことにもなりました。要するに、三位一体の改革の全体像というのができ上がっていったと、こういうことであります。
 その間、地方分権一括法の二百五十一条ですか、これの改正も行われました。国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移などを勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると、こういう財源をしっかり伴うようにしなければいけないと、こういうように地方分権一括法の修正ということがされたというふうに思うわけです。
 この三位一体の改革、これを更にもっと進めてほしいという地方からの要望もあります。地方の要望としては、十九年―二十一年の第二期として、全体像として税源移譲八兆円、それから国庫補助負担金の見直しが九兆円、地方交付税の見直しというような地方六団体の意見もあるわけです。
 これは、今後、やはり三位一体の改革という形で当然進められていかれるというように思うんですが、この三位一体の改革の第一期、これを行って一体どうであったのかと。一部意見を聞きますと、地方交付税が五兆円減ったと、こういうようなこともあって、この三位一体の改革によって地方公共団体間の財政力に非常に格差ができた、拡大したと、こういうような意見があるわけですね。
 そういうようなことを考えますと、この三位一体の改革というのが一体どういうことであったのかと、今後またそれをどういうふうに進めていくのかという一つの総括をしっかりしておかないといけないと、こういうふうに思うんですが、谷口副大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#174
○副大臣(谷口隆義君) 今、北川先生、同じ大阪でよく意見交換させていただいておるわけでございますけれども、今おっしゃったように、平成五年の地方分権決議から今に至るまでの状況を御説明をいただいたわけでございます。
 三位一体改革、四兆円の補助金の削減と三兆円の税源移譲ということを北川先生おっしゃったわけでありますが、この三位一体改革によって財政力の格差がむしろ拡大しておるんではないかと、こういうふうな御指摘であったと思うわけでございますが、個人住民税が、御存じのとおり従来は五%、一〇%、一三%と所得に応じて階段があったわけでありますが、これ今や一〇%のフラット化が行われたり、また法人事業税の分割基準を見直したところでございます。このようなことを行いました結果、税源移譲に伴う税源の偏りを緩和をいたしておるというような状況がございます。
 ちなみに、東京都の試算、平年度ベースの試算で申し上げますと、税源移譲額が三千五十億円あったと、国庫補助金の削減額が一千九百五十億円、法人事業税の分割基準の見直しによりまして一千百億円と、合わせまして大体三千億、税源移譲額とほぼ見合いの金額ぐらいが削減、減少しているというような状況で、決して東京都がまたこの三位一体の結果、財政が非常に格差が開いたということにはなっておらないと。
 また、交付団体におきましては、地方交付税の算定におきまして、補助金の削減額に相当する額を基準財政需要に算入しております。また、税源移譲額を基準財政収入額に一〇〇%算入しておりまして、確実なそういう意味では調整措置が行われておると。
 今先生がおっしゃったように、この財政力格差がむしろ広がっておるのではないかということにつきましては、最近の景気拡大の状況の中で法人二税が上昇し、税収が回復基調になってまいったということがあるんだろうと思います。地方歳出の見直しに伴う地方交付税等の抑制がまたそのような財政力格差が生じた原因ではないかと、このように思うわけでございますが。
 そういうことを考えますと、まず地方団体といたしましては、地方交付税を含めまして必要な一般財源総額を確保するということが非常に重要になるわけでありまして、全国どこにおきましても教育また福祉などの一定の行政サービスの水準を維持するということが必要になってくるわけでございます。
 先ほど申し上げましたこの法人二税だとか、また地方歳出の見直しに伴います地方交付税の抑制が原因で仮に財政力格差が生じておるということになりましたら、その是正を図っていかなければならないわけでありますが、この偏在是正についてはいろんな今議論がございます。様々な議論があるわけでございますが、税体系全体を偏在を是正していくという基本的な体系にしていかなければならないということが求められておりまして、ただいま検討いたしておるところでございます。
 このように、地方税財政面での取組を行いつつ、同時に地域の経済力そのものを高めていくということが真の格差是正につながってくるというように考えておるわけでございます。今までは頑張る地方応援プログラムなどの取組があったわけでございますが、更に知恵を絞って地域活性を強力に進めてまいりたいというように考えております。
#175
○北川イッセイ君 結果的に、地方財政の格差というのが実際にはそんなに出てないと、こういうようなお話でございますけれども、地方ではそういう声がやっぱり多いんですね、すごくね。ですから、ここのところはやっぱり地方分権というものを進める、三位一体というそういう形を取る取らない別にして、この地方分権というものをしっかり進めていくためにはやっぱり地方とのコンセンサスというのが絶対必要だと思うんです。特に地方六団体、いろいろ協議をして要望もいろいろ上がっていると思いますけれども、そこらとの協議、コンセンサスというものを今後しっかりと取っていただいて、そして説明すべきところをきっちり説明をして進めていただきたい、こういうように思うんですが。
 私が先ほど申し上げた三位一体改革の総括というようなことで何かそういう、三位一体の改革を今後どうするのか、進めていくのか、そういうことだと思うんですが、そのための何か、今作業か何かやっておられますか。
#176
○副大臣(谷口隆義君) 先生おっしゃるように地方分権は進めていかなければならないということで、地方分権を進めていくということになりますと、責任と権限を地方に持っていかなきゃなりませんし、先ほど先生がおっしゃったように、財源も伴わなければこの地方分権進んでいかないわけでございますので、このようなことが必要であると。しかし、先ほど申し上げたような景気回復の中で、法人二税が特に税収として増加しておるというような状況になりますと、本来、地方自治の本旨からいきますと、税目は偏在性の少ないものが望ましいわけでございます。景気の変動を大きく受けるような税目ではなくて、偏在性の少ないような税目をやはり入れていかなきゃならないと。
 こういうような観点で、この三位一体を行うところの一つのポイントとしては、このような地方税体系を偏りのない、偏在性の少ない税目を中心とした税体系の構築をしていかなければならないと、このように考えておるところでございます。
#177
○北川イッセイ君 地方分権をしっかり進めていくという方針には変わりはないというふうに思うんです。国から都道府県へ権限移譲をどんどん進めておられる、地方分権一括法に基づいてやっておられると。私は、都道府県の方も大事ですけれども、地方分権の本旨というものをしっかり考えたときには、むしろ基礎的自治体ですね、市町村、そういうところに最終権限が回っていく、財源も回っていく、こういうことでなければいけないと思うんですが、その地方自治体、市町村のそこの受入れ体制、これが本当に大事だと思うんです。
 権限と財源を地方に渡す、しかしそれを受け入れてしっかりした行政ができるのかどうか、そこのところが本当は一番ポイントじゃないかなというような思いがするんですけれども、それの進め方というか、どういうような状況になっているのかとかいうようなことについて、ちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
#178
○副大臣(谷口隆義君) 今、北川先生おっしゃったように、やはり住民に最も近いのは市町村、このような基礎自治体と言われるものでございます。このような基礎自治体の自立を高めていかなければならないと。その結果、総合的な行政主体になるということが望ましいわけでございます。
 そこで、従来から市町村の合併を進めてまいりまして、先生御存知のとおり、平成十七年三月三十一日には三千二百三十二あったものが、十九年十月一日ではもう一千八百というところまで市町村合併が進んでおるわけでございます。合併を促進することによりまして、市町村の規模、能力を拡大を図っていくといって、この基礎自治体の状況、これを相当程度堅固なものにしていかなければならないと、こういうように考えておるわけでございますが、そのためにはやはり国民、住民に身近である基礎自治体に権限また財源を移譲していくということが重要であろうと考えておりまして、そうすることによってこの基礎自治体がより一層住民に近いもので、またかつ先生がおっしゃるような非常に重要なところになるんだろうと、このように考えておるわけであります。
#179
○北川イッセイ君 今、市町村合併の話が出ましたが、地方分権というのは、私はやはりその地域、地域、地方の個性をしっかり生かしたそういう政治、行政というものを実現しなければいけないと、そういうことが本来の一番目的だと私は思うんですね。市町村合併をやった場合に、これは財政力とかあるいはいろんな体制については、これは大きくなって充実するかもしれません。しかし、一方においてそこの地域、地域の個性がなくなってくるんじゃないかという懸念、心配もあるわけですね。
 実は、副大臣、大阪ですからよく御承知だと思うんですけれども、大阪においても、人口密度の高いあの都会である大阪で、いまだに町が八つあるんですか、村が一つあるんですよ、まだね、村が。この村が実は、ローカルな話で申し訳ないですけれども、千早赤阪村というんですね。楠公、楠木正成公の生誕の地であるとかそういうようなことがあって、非常に我々行ったらすばらしいところなんですね。大阪のあんなところにまだ棚田があるんですよね。それを村の方が一生懸命守っておられると。非常に大阪では考えられないような、そういう光景が実はあるんですね。
 この村が、やはり財政が非常にしんどい、厳しいというので、どこかと合併せざるを得ないと。こういう話で、合併の話が前から随分出ているんですけれども、そんな財政のしんどい、赤字のところと一緒になるのは嫌だというようなところが周りにあったりして、今また別のところと話を進めて、ある程度進んできておると、こういうことなんですけど。それは合併、うまくいくと思います。うまくいくと思いますけど、私はむしろ、合併することによって千早赤阪のいいところ、良さというものが、これがなくなってしまわないかなという実は心配をしているわけです。
 これは大阪のその千早赤阪村だけの話じゃないと思います。どこへ行っても、どこの地方行っても同じようなことがあったんじゃないかなと、こういうような思いがするんですけれども、そこらのところはどう思われますか。
#180
○副大臣(谷口隆義君) やはり、先生おっしゃったような、千早赤阪村のことをおっしゃったわけでありますけれども、合併、仮に合併をするといったときに、いいものが失われるんじゃないかという、それは確かにそういうように先生がおっしゃるような危惧もあるんだろうと思うわけです。
 増田大臣が今、くるまざ対話ということでいろいろ地方に行って対話されておられるわけでありますが、限界集落という言葉、この言葉がいいかどうか分かりませんが、先日聞いておりますと、十八人の集落で十四人が六十五歳以上というような集落があるようでございました。このような限界集落、もう日本に二千以上あると。こういうように、確かにその自治体であるとかその集落であるとかいろいろ、棚田があって非常にきれいなところであるかも分かりませんが、財政的に例えばもたないとか、非常に高齢化が進んできたとか、そういうようなことによって、またなかなかそういういいところを維持できないというところもあるんだろうと思うわけでございます。
 ですから、いいところは残して、あとは、財政の面におきましても非常に十分持続できるといいますか、そういうような自治体をつくっていくということにおいてやはり一層の市町村合併を進めていくというところは、私は一つ考えていかなければならないところであるのではないかなと、こう考えております。
#181
○北川イッセイ君 今、棚田の話出ましたけど、棚田ですとかあるいは景観ですとか環境ですとか、こういうようなものでは財政は豊かにならないわけですよね。だから、そこのところをどうするのかということで、地方交付税なんかで調整するというようなことになっているんじゃないか。これがなくなるという、地方交付税が減少する、なくなっていくということであれば、それに代わるものをやはりつくっていかにゃいかぬとか。
 私、忘れたらいかぬと思うのは、一番基本的にしっかり持っておかなければいけないというのは、その地域の個性をしっかり生かしていくと。今、道州制とかいろいろ言われていますけれども、全部財政を豊かにするということであれば、日本じゅうの全部の地域を東京やあるいは愛知や大阪や、こういう都会的なものを目標にしてやっていくと、どんどんどんどん企業誘致をしていく、工場誘致をしていく、こういう形にならざるを得ないわけですよね。ですから、そこのところをやはり政治の面でどういうように調整をしていくのか。そして、その個性を残してやっていくのかという、そういうことが非常に大事なことであって、それをしっかり考えていただきたいなと私は思います。
 今、財政規模その他を考えて、市町村の規模を、大体十万以上とか二十万以上とか言われています。中核都市みたいな形を考えておられるのだというように思うんですけど、例えば中核都市を考えた場合に、やっぱりその地域地域の個性を残していこうとすれば、例えば区政をしいていくとか、そういうことも非常に大事だと思うんですね。政令指定都市で区政しいて、それぞれの区の個性を生かした行政をやっていこうと、こういうことで区政がありますわね。これは、中核都市には区政はないんですよね。ここらのところも一つ検討する余地があるんじゃないかなと。合併を促進するんであれば、区政をちゃんと、希望するところは区政もしけると、こういうようなことも考えなければいけないんじゃないかなというような思いがしているんですけど、副大臣、いかがでしょうか。
#182
○副大臣(谷口隆義君) 先生のおっしゃっていることはやはり頭に入れておかなきゃいかぬ一つ、大きな一つであるというように考えております。
#183
○北川イッセイ君 受入れ体制、地方自治体、基礎的地方自治体の受入れ体制、これを財政的にも健全なものにしなければいけないと、こういうことで、それのいろいろ、監査をするとかチェックをするとか、こういう機能があるわけですね。国からの補助事業については会計検査院が入られてしっかりと検査しておられるとか、そういうようなことがあると思います。
 先般、いわゆる健全化法ができました。この健全化法に基づいて、そのチェックとかそういうようなものをしっかり進めていこうと、こういうことですね。連結決算ができるようになった。それから、土地公社とかそういうようなものの先行取得、これもそのチェックの中に入れていこうと、こういうようなことですよね。これの地方自治体の監査制度、まあ監査制度ありますわね。これはどうなんでしょうか。外部監査、例えば監査制度はあるんですけど、その監査委員の資格というか、有資格者の監査制度になっているのか。あるいは外部監査制度というのは一体どういうようになっているのか。そういうことについてちょっと教えていただけませんか。
#184
○副大臣(谷口隆義君) 先生おっしゃったように、もう財政健全化法が成立をいたしまして、年内にでもこの比率を出すというような状況になっております。
 従来は普通会計の収支が対象でありましたけれども、それ以外に特別会計であるとか公社であるとか三セクであるとか、このようなことも対象にして地方団体の財政の早期健全化を図っていく、また、この再生を図っていくということでこの制度ができたわけでございます。この法律によりまして、地方公共団体の長は毎年度、監査委員の審査に付した上で財政指標を議会に報告をいたしまして、住民に公表する仕組みを設けるとともに、それが一定程度悪化すれば外部監査を求めることが義務付けられているところでございます。
 このようなことがございますが、今先生がおっしゃったのは、有資格者を入れるような外部監査制度を導入したらどうかというようなお話だったと思いますが、現在その外部監査制度というのは、包括外部監査制度というのがありまして、これは都道府県、指定都市、中核市にその実施が現在義務付けられておるわけでございまして、その他の市町村は条例により導入することができるということになっております。
 これ以外にまた個別外部監査制度というのがありまして、これはすべての団体が条例により導入することができると。このような、外部監査制度は二つに分かれておるわけでございますが、これらについて、有資格者、私ども、御存じのとおり公認会計士を以前やっておりましたから、私たちの会員の皆様、また、税理士会の会員の方も今外部監査を担当してやっていらっしゃるわけでございますが、そのような有資格者も今地方団体では監査委員の中にも入っていらっしゃるわけでございます。
 しかし、まだこれを、外部監査を入れるかどうかということについては法的に対応もされておらないわけで、外部監査につきまして、今先生がおっしゃったようなことも含めて、今、第二十九次地方制度調査会の審議項目の中で監査機能の充実強化の在り方ということを検討しておるところでございます。
#185
○北川イッセイ君 健全化法によって、例えば夕張市なんかでも、ふたを開けてみたら観光事業でえらい赤字を出して、そして再建団体になってしまったと、こういうことがあるわけですけれども、今回それで連結決算をしなければならないと、そうなって、そういうことは避けられるということ。徐々によくなっていっていると思いますが。
 英国では、こういう資格を有する人の内部監査制度、それから外部監査の制度、こういうものが非常に充実しておるということで、それで自治体、コミュニティー、そういうところの健全性というものが非常に信頼性があると、こう言われております。日本の場合も、その地方自治体の財政状態というのは本当に地方分権の基本でありますから、健全なそういう財政というものを市民、住民に示すことができる、そういう形にしなければいけないと、こういうふうに思うんです。
 この健全化法の一つの最終の目的は、そのチェックを住民がする、また住民の代表である議員がそのチェックをすると、こういうことだと思うんですが、それも併せて考えなければいけないと、こういうふうに思います。住民がチェックをするということになれば、これはやはり一番その基本は選挙だと思うんですね。地方議会の選挙、こういうものが非常に大事、もう当然今も大事なんですが、もっと意味が、今以上に意味を持ってくると、こういうように思います。
 自治体の財政状態はもちろん大事なんですけれども、それと併せて財政以外の自治体そのものの姿ですね、その自治体が何を目指しておるのか、どういうところに力を入れようとしておるのか、今までどういうところに力を入れてきたのか、こういうものが選挙で問われるわけですね。要するに、財政状態と併せて自治体全体の姿を現すような経営検査というような、そういうものが非常にこれから大事になってくるんじゃないかというように思うんですけれども。
 例えば、これもイギリスの例なんですが、ベストバリュー制度というものがあって、そのベストバリュー制度というのは、ほかの市といろんな状態をもう端的に比較ができると、こういう利点があると、こういうことなんですが、そういうようなことも日本の地方自治体のこれからの在り方について考えておかなければいけないんじゃないかなというように思うんですが、いかがですか。
#186
○副大臣(谷口隆義君) 北川先生おっしゃったように、この自治体が住民等の説明責任を果たさなければなりませんから、行政の透明性を図っていく、向上させるということは非常に重要でございます。
 ほかの団体と比較できるようなものもあった方がいいんじゃないかと、こういうお話でございましたが、一つは、私自身も総務省の中で申し上げたわけでありますが、この十月十七日に地方公共団体の公会計の整備に活用すべきモデルを示したところでございます。当初は、この公会計のモデルはちょっと複雑な形になっておったんですね。それで、民間の上場している企業の財務書類というのは見る人が、投資家辺りが見るわけで、若干その専門的な知識が要りますから詳細な財務書類になっておるわけでございますが、地方団体といいますか、地方公共団体の決算書類はやはり住民又は国民が見るわけでございますので、それは非常に分かりやすいような財務書類の作成が必要ではないかと申しまして、今回できた公会計の財務書類は、見ていただいたらお分かりになると思いますが、簡略化された非常に分かりやすいものにしておるところでございます。
 このようなことで、他団体との比較だとか当該団体の時系列的な比較だとか、こういうことがより一層できるようになり透明性を図ることができると、こういうふうに思うわけでございます。
#187
○北川イッセイ君 地方分権というのは、我々考える場合に、国からはどういうことをやるんだということばっかり考えがちなんですけれども、私はむしろそれを受け入れる地方の方が非常に重要だというような思いがします。
 副大臣がおっしゃっている市町村の合併、これを進めて財政を健全化していく、これはもう絶対に大事なことです。と同時に、おっしゃった地方のその姿というか、そういうようなもの、これもしっかりと選挙民に示して、そして他市との比較がきっちりできる、こういう体制というものをひとつ考えていただきたい。それで、外部監査制度というのが、先ほど申し上げた、あれについても、その制度の在り方、実際にどうなのかという、そういう形も今後のテーマとして考えていただけないかなというような思いがしています。
 これから、この地方分権を考えるときに、三位一体という形で進んでいっているわけですけれども、この三位一体というのは一つの方法であり技術であると思うんですね。そうじゃなしに、その前提として、これからの日本の姿をどうしていくのかという、ここのところが本当は一番大事じゃないかなというような思いがしているんです。
 一時、列島改革ですか、という考え方がありまして、どんどんどんどん日本の国を改革していった、開発していった。それはそれなりの効果があって非常に良かったわけですね。しかし、先ほど申し上げた地方のそういう個性というか、そういうようなものは非常に薄れてきたということも言えるわけですね。だから、地方分権を考える場合に、その日本の形、姿というのを一体どうするんだと、ここのところがちゃんと決まっていないと、地方分権をどう進めるのかというようなこともなかなか決まってこないというように思うんですが。
#188
○副大臣(木村勉君) このたび、内閣府の副大臣を拝命いたしました木村勉でございます。
 岡田委員長を始め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 今、地方分権改革については地方分権改革推進法において、国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることがその目的であり、基本理念であるとされております。
 本年五月に地方分権改革推進委員会が取りまとめた基本的な考え方の中でも、目指すべき方向性として、地方の多様な価値観や地域の個性に根差した豊かさを実現する住民本位の分権型社会、国民がゆとりと豊かさを実感し安心して暮らすことのできる、確かな持続可能性を備えた社会への抜本的な転換を図るべきであるとされております。
 委員会では、このような視点を踏まえながら、現在、中間的なまとめに向けて調査審議をしているところでございます。
#189
○北川イッセイ君 今同時に、これ、道州制の話が随分進んでいるんですが、道州制を進めた場合に、これも地方分権の終着駅であるなんて言われていますけれども、道州制を進めた場合に、その地方の道の中の格差が広がるんやろうか縮まるんやろうかという議論があるわけですね。
 道州制を進めた場合に、結局、その道州内の一番力の強いところというか、そういうところに全部集約されてしまう、また余計過疎になってしまうとか、そういう問題があるんじゃないか。いや、そうやなしに、やはり道、州という大きな単位で考えて、そして地方もちゃんと潤っていく、あるいは地方は地方としての個性をしっかり保っていける、そういうような道州の行政を考えていく、そういう考え方もあります。
 これは、これから道州制を進める上で非常に大事なことだと思うんです。道州の中の地方をどうするんだと、こういう話、これについていかがでしょうか。
#190
○副大臣(木村勉君) 委員御指摘のように、各地域における道州及び市町村の財政需要は、その事務に関する法令の内容のほか、面積、地形等の地理的条件や人口密度、産業構造等の社会経済的条件等によって決まってきますが、一方で税源は東京圏を始めとする大都市部に偏在をしております。このため、道州制の下における税財政制度を検討するに当たっては、地方の財政運営の自主性及び自立性を高めるとともに、地域間の財政力格差の縮小につながり、さらに高齢化等に伴う財政需要の増加にも適切に対応できるものとすることが基本であると考えております。
 第二十八次地方制度調査会の答申でも、こうした見地から、適切な税源移譲や偏在の度の低い税目を中心とした地方税等を充実するとともに、分権型社会にふさわしい地方税体系を実現するとともに、各道州の市町村における税源と財政需要に応じて適切な財政調整を行うことを検討すべきであるとしたところであります。
 道州制の導入の検討に当たりましては、こういう指摘を十分に踏まえながらその地域の格差是正に資する体制をつくっていきたいと、こう考えております。
#191
○北川イッセイ君 道州制を考える場合に、大体、地域ですね、地域を主体に考えていますわね。大体、近畿地域とか関東地域とか、こういうふうになっていますけれども、今お話のあったような財政力というようなことも勘案してその道州の組合せをしていくべきじゃないかなというような思いもするわけです。今の原案で見ましても、やっぱり財政力の強いところと弱いところとできてしまうと、こういうようなことですから、それが財政力を、果たしてそういうようなものも勘案して地域が決められたのかどうか。ちょっと、まあ決まってないですけれども、原案ができておるのかどうか、そこらのところも勘案していただきたいなと思っています。
 それから、地方分権という基本的な考え方としてどういうようなものを目指しておられるのか、そこのところを最後にちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。
 今、国があって都道府県があって市町村があって、縦の系列になっています。これを指導監督という、そういうことで結ばれておると、こういうことなんですね。これは、もちろん補助金とかそういうようなものもありますわね。それによる指導監督と、こういう形なんですが、本当の地方分権というのは、その縦の関係を横にして、そして国、都道府県、そして市町村と、こういう形の、これが本当の地方分権じゃないのか。
 国は国で役割分担、都道府県は都道府県の役割分担、それから基礎的自治体はそこの役割分担、これをしっかりと持って、責任をちゃんと持ってやっていくと。指導監督はむしろ、先ほど住民の選挙の話ありましたけれども、住民によってむしろ指導監督されると、こういう形じゃないのかなと私は思っているんですけれども、木村副大臣、いかがでしょうか。
#192
○副大臣(木村勉君) 国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、地方と都会とがともに支え合う共生の考え方の下、地域に住む方のニーズを一番よく分かっている地方が自ら考え、実行することのできる体制づくりが必要であると考えております。
 このような考え方の下で、地方が主役の国づくりを目指し、地方分権改革を徹底して推進することは、地方の元気を増し、都市、地方の格差の是正にも資するものと考えております。また、こうした地方分権改革の取組を着実に実施し、成果を上げていくことが、将来の道州制の本格的な導入にもつながるものと認識をしているところであります。
#193
○北川イッセイ君 ありがとうございます。健全な地方分権がしっかり進むように、ひとつお願いをいたしたいと思います。
 次に、食の安全と安心についての質問をさせていただきたいと思います。最近、賞味期限の問題ですとか、もう毎日のように出ております。そういう関連もひとつ聞かせていただきたいなと思っています。
 以前、中国からの輸入品で、土鍋から鉛が出てきて非常に有害だというようなことが報じられました。また、食品その他、特に中国から入ってくる、そういうようなものについていろんな有害なものがあると、こういうことが言われております。
 今年の夏なんかは、土用のウナギ言うてみんなウナギ食べるんですけど、ウナギ屋さんがぼやいていました、ウナギが売れんで困ったと、こういうようなことを言っておりましたけど、この食品の国際的な、海外から入ってくる食品の国際的なそういう基準というか、そういうのはあるんでしょうか。
#194
○政府参考人(藤崎清道君) お答えいたします。
 直接的に我が国の食品衛生法のような形での安全基準というものは存在いたしませんけれども、貿易を円滑に国際的に進めていくという枠組みの中で一定の規格というものが定められてございます。
 具体的には、陶磁器関係で申しますと、国際標準化機構、ISOによりますISO規格というのがございますし、また、食品ではコーデックス委員会、これはWHO、FAOの合同の食品規格委員会というものでございますが、そちらで定められておりますコーデックス規格というのがございます。こういうものを受けまして、我が国を含め、各国におきまして、こういう規格を参考に、残留・含有・溶出量の実態に基づく摂取あるいは暴露量等を考慮して、それぞれ国内法に基づく規格基準を定めておるところでございます。
 我が国では、より具体的には、食品衛生法によりまして、不衛生な食品及び有害な器具、容器包装の製造、輸入、販売等を禁止するとともに、必要な個別の規格基準を定めて、これに適合しない製品の製造、輸入、販売等を禁止すると、こういう形になってございます。
#195
○北川イッセイ君 それから、原産地の表示ですね。これも、メード・イン・どこそこ、メード・イン・ジャパンって書いていても実際には違うとかいうような偽装の表示があるということなんですが、これについての国際法とか罰則規定とかはどうなっているんですか。
#196
○政府参考人(谷口隆君) 国際ルールについてのお尋ねでございますけれども、先ほども答弁でございましたけれども、消費者の健康の保護、それから食品の公正な貿易の確保を目的とするコーデックス食品委員会という国際機関がございまして、そこで包装食品の表示にかかわる一般規格というものが定められております。その中で、消費者に誤認を生じさせると思われる場合には原産国を表示する旨規定がされているところでございます。
#197
○北川イッセイ君 そういう国際的な食品のいろんな問題があるわけです。今御答弁いただいたように、一応は決められているけれども、なかなかそれが国際規格とかそういうような形できっちりと運用されていないと、こういうようなことがあるわけですけれども、そういうことの国際食品、特に食品を中心としたそういう調査官とかそういうような制度が、調査をしている人がおるかどうか、また、日本からそういう調査官を出しているかどうかとか。それから、国内に入ってくる部分については食品の検閲体制というのがありますわね。こういうものが一体どうなっているのか、御説明いただけませんか。
#198
○政府参考人(藤崎清道君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、我が国の食料自給率というのが熱量ベースで約四割とされておりますので、約六割が輸入に依存しているという中で、私ども輸入食品の安全確保ということが国民の健康を保護する上で大変重要な課題と認識いたしております。
 そういう中で、ただいま先生おっしゃられましたような監査官といいましょうか、そういう役割がどうなのかというお尋ねでございますが、もしお尋ねの御趣旨が、現地において、輸出国において個別の輸出品目について検査をするというふうなことになりますと、そこまで特化した形での現在、査察体制というのは取ってございませんが、輸出食品の安全性を確保するためには、一義的に輸出国においてあるいは輸入者において適格な製品が輸出されるということが大事でございますので、そのために相手国政府とも、こちらから現地に赴きまして、向こうでの生産体制あるいは輸出における検査体制等について協議を行っております。そういうことを行う担当官が私ども食品安全部の中におりますので、そういう者が随時、適宜そういう形で輸出国に赴いて必要な協議を行っている、あるいは現地の査察を行っているところでございます。
 また、御質問のもう一点の点でございますけれども、現在、検疫所におきます輸入食品の検査、どうなのか、十分なのかという御質問かと思いますけれども、現在、三十一の検疫所におきまして食品の監視というのを行ってございます。これにつきましては、食品衛生監視員がその任に当たっておりますけれども、着実にその人数の増加が図られておりまして、平成十九年度におきましては前年から二十名の増というものが得られております。
 そのような人員の増強を図りつつ、相手国政府との協議を十分に行いながら、また輸入食品の監視指導計画を適正に策定して、重点的、効率的な検査の実施を行うことを通じまして安全な食品の輸入、この体制の確保に努めてまいりたいと、このように考えております。
#199
○北川イッセイ君 今御説明いただきましたように、国際的な一応の基準があってもなかなか運用されていないというような面があるわけです。この国際食品調査官にしても、向こうへ行って適宜やっていると、こういうことで全部についてやっているわけじゃないわけです。ですから、何というか、水際作戦というか、日本に入ってくるいろんな食品とかあるいは食品にかかわる品物、そういうものの検査、検閲というのが非常に大事になってくると思いますので、是非とも、充実させているということですけど、更にその体制を考えていただきたい、そういうふうに思います。
 それから次に、賞味期限切れの食品が最近随分話題になってます。今日も何かおもち屋さんが摘発されたとかいうような話がありますし、その前、伊勢の赤福餅、あれなんかはもう伊勢の文化、伝統やと思うんですね。ですから、非常に惜しいんですよ。
 私なんか、もっと事前にきっちりした体制でそういう指導ができなかったんかなというような思いがするわけですけれども、この賞味期限、これについては、これは食品衛生法で決められておるわけですね。その事前の指導体制というか、そういうようなものは一体どうなっているのか。最近、これの問題がいろいろ出ていますが、これに対して国から指導とか通達とか何かされたか、ちょっと教えていただけませんか。
#200
○政府参考人(藤崎清道君) お答えいたします。
 まず初めに、この食品衛生法におきます私どもの規制という部分と併せまして一義的に法の趣旨が食品等事業者ということで、食品の生産から流通にかかわられる事業者の方々の責任において安全を確保していただくということが制度の根幹になっているということでございます。
 その上で、しかしながら、私ども行政機関として、地方自治体と力を合わせてきちんとした安全な食品が提供されるような体制を行政として取ってきておるわけでございますけれども、今先生の御指摘の点につきましては、三重県が従来の自治体の監視指導におきまして、過去に赤福本社工場に対しては定期的な立入検査を行っておったわけでございます。具体的には、施設設備の衛生管理や、食品の衛生的な取扱状況に関する確認、製品の細菌検査等を行っていたと聞いております。しかしながら、今回の事案はかなり意図的に、偽装といいましょうか、その日にちをずらしている等々の話もございまして、通常の監視指導などで十分に見抜けなかった側面があるのではないかなというふうに考えております。
 私どもは、一義的には、今申し上げましたように事業者等の責任において正しくやっていただくということが前提にはなりますけれども、やはりこういう事案が続いてまいりますと、食品衛生法の範疇において何ができるのか、また、そのほかの制度においてどのような対応がなされるのかということを含めまして、今後どのようにしていくかということをよく、三重県始め、この間の各地に起きました事案を十分に勉強いたしまして考えてまいりたいと。
 一点だけ付け加えさせていただきますと、本年の一月に不二家の事件がございましたが、その事案が起きました後に、この件を総括する形で、広域的に流通されるようなあのような製品につきましての事業者に対する指導と申しましょうか、に関してと、それから、そのような事業者に対して自治体が監視指導に当たるときの留意事項、これにつきまして通知を発出いたしておりますが、また、今般の事案等も含めて、我々の方で、今後、監視指導の在り方等につきまして必要な事項が整理されました段階で適切な対応を取ってまいりたいと、このように考えております。
#201
○北川イッセイ君 ちょっと教えてほしいんですけど、この消費期限、これは品物によって違うでしょう。どれぐらい。それは、どこでだれが決めて、どういう見直しをされているんですか。
#202
○政府参考人(藤崎清道君) お答えいたします。
 消費期限と賞味期限とございますが、消費期限は比較的もちの悪いものと、早く、大体おおむね五日ぐらいで悪くなってしまうんではないかと思われるもの、賞味期限はもっと長いものでございますが。
 これは、一義的にはそれぞれの製造者が科学的な方法にのっとりましてそれを設定するということになっております。その基本的な考え方につきましては、私ども並びに農林水産省の方から共同でQアンドAあるいは通知のようなものを出しておりまして、どのような方法で消費期限、賞味期限を設定するかということについては、例えば理化学試験を行う、微生物学的試験を行う、あるいは味とか香りなどの官能試験を行う、そういうものを行って各事業者において、その製品ごとに性状が違いますので、それを的確、適切に設定をするようにと、こういう仕組みになっておりますので、各製品によって、そして事業者ごとにそれぞれが賞味期限あるいは消費期限というものを設定すると、このような形になっております。
#203
○北川イッセイ君 各事業者がそれぞれ自分で決めるわけですね。それを守らぬわけですか。そうですか。
 事業者の方でも、少しぐらい切れてもまあ事故はないやろという安易なところがあると思いますので、是非ともしっかりした指導をできるような体制をひとつ地方自治体にも指導していただきたいというふうに思います。
 最後に、食品安全特命大臣にお伺いをしたいと思います。
 所信表明で、食の安全については、食品安全委員会による科学的知見に基づく中立公正なリスク評価の実施や、消費者を始めとする関係者とのリスクコミュニケーションの一層の充実に努めますと、食の安全、安心についてはこういうように書いてあるわけですね。一生懸命読んでいるんですけれども、余り意味が分からないんです。
 この職務の体制、どういう体制になっているのか、この食品安全委員会の体制、職務ですね、これちょっと具体的に教えていただけませんか。
#204
○国務大臣(泉信也君) お分かりにくいことを述べたかもしれませんが、食の安全については、国民の関心が高まっておるということだけではなくて、食べ物が命にかかわること、そしてまた場合によっては世代を超えて影響を与えるという、そうした認識の下で食品安全行政の一部を担当をしておるものでございます。
 食品安全委員会は大きく分けて二つの使命を持っておると思っておりまして、一つは、今お話ございました食品の人の健康への影響を評価する、リスク評価を行っている。これは当然、科学的見地から中立公正に行うということでございまして、この役割が一つございます。
 それからもう一つは、お話ございましたように、食品安全行政に対する理解を深めるということから、国民の信頼を確保するためにリスクコミュニケーションという、安全委員会と、それからリスク管理をやります農水省、厚生労働省、そういう分野と、それから国民の、関係者全体の方々との三者の間で議論をし、安全を確保していくためのリスクコミュニケーションというものを推進していく、このことを安全委員会というのは役割として担っております。その過程では、多くの方々の国民の意見、専門家の意見等もまた併せて聞き、そのニーズにこたえていくところでございます。
 最後にお尋ねになりました食品安全委員会というのは七名の委員から構成をされておりまして、その下に十四の専門調査会が置かれ、添加物あるいは農薬といった危害要因ごとにリスクの評価などについて調査審議を行っておるところでございます。
 こうしたことで、安全委員会だけで食品の安全行政が担えるわけではもちろんございませんので、他の機関と共同で国民の食の安全を守っていくという役割を果たさせていただいておる次第でございます。
#205
○北川イッセイ君 今説明をいただきましたけれども、具体的に一番大事なことは、広範な範囲で食中毒、例えばO157、ああいうようなものが起こったときに、そういう緊急事態が発生した場合に大臣としてどう対応されますか、お聞かせいただきたいと思います。
#206
○国務大臣(泉信也君) 緊急事態が発生したというときには、私どもの食品安全委員会それから先ほど申し上げましたリスク管理機関と十分に連携をして対処していくということが最も重要なことだというふうに思っております。
 このため、緊急事態の発生に際しましては、十六年四月に策定しました食品安全関係府省緊急時対応基本要領、ちょっと長たらしいんですが、などに基づきまして、食品安全担当大臣を本部長とします関係大臣及び食品安全委員会委員長から成る緊急対策本部を設置して、政府挙げて対応をする、拡大の防止、再発の防止、こういうことに取り組まさせていただくことになっております。
 また、食品危害情報については、国内外の情報の収集、分析と関係機関における情報の共有化を図るということが大変重要であると思っておりますし、また、国民の皆さん方に不安を取り除くためには的確な情報をきちんとお伝えをする、報道機関、政府広報あるいはインターネット等を通じてお伝えをしていく、こういうことを通じて緊急時、O157などの緊急時には対処をしていくことにいたしておるところでございます。
#207
○北川イッセイ君 終わります。
#208
○風間昶君 公明党の風間ですけれども。
 まず、本来ならば官房長官にお伺いしたいんですが、おいでになっておりませんので副長官にお願いしたいと思いますけれども、国連の各条約を担当するいろいろな監視機関から、アイヌ民族を先住民族と認めて、そしてその方々の権利を促進する措置を講ずべしという勧告が出ているわけでありますけれども、これについて政府としてはどのような認識を持っているか、まず伺いたいと思いますけれども。
#209
○内閣官房副長官(岩城光英君) ただいまおただしがありましたように、国連の国際人権条約に関連する委員会、具体的に申し上げますと、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際人権規約委員会、それからもう一つは人種差別の撤廃条約に関する委員会から、我が国の政府報告に対して提示した最終見解において、アイヌの人々への言及がなされております。
 これらの委員会はそれぞれ個人資格の専門家により構成されておりまして、この委員会からの見解はいずれも法的拘束力を有するものではありません。しかしながら、その内容等を政府としましては十分に検討した上で適切に今後対処してまいりたいと、そのように考えております。
#210
○風間昶君 今年の九月十三日の国連総会で先住民族の権利に関する国連宣言が採択されたのは御存じだと思いますけれども、そこで日本政府は賛成票を投じているわけであります。今その前段で、アイヌの方々を民族としては認めるけれども、独自の民族、日本の古来の民族、あるいはアイヌ民族も日本の民族の一つというふうに認識はしているんでしょうけれども、賛成をしたということについて、アイヌ民族を少数民族と認めないで賛成したということはアイヌ民族について除外して賛成したというふうにとらえざるを得ないわけですけれども、つまり日本以外の少数民族についてはこの少数民族の権利に関しては宣言の採択に賛成したというふうにとらえざるを得ないんだけれども、そこはどうですか。
#211
○内閣官房副長官(岩城光英君) アイヌの人々が固有の文化をお持ちであり、そしてまた、日本列島北部周辺ですね、とりわけ北海道に先住していた、そのことについての歴史的事実としての認識はございます。ただ、この先住民族については、現在のところ、国際的に確立した定義がございません。また、おただしのありました先住民族の権利に関する国際連合宣言におきましても先住民族の定義についての記述はありませんので、我が国としてアイヌの人々が宣言に言う先住民族に該当するかについて結論を下すことができる状況にはございません。
 そしてなおかつ、この宣言について、基本的には同宣言に言う先住民族を含むすべての人々に対する人権の保護に資するものであると、そのような考えで我が国としては賛成票を投じておりますので、その点、御理解いただきたいと思います。
#212
○風間昶君 これ十年前ですけれども、平成九年の、当時、梶山官房長官、北海道開発庁長官稲垣先生でしたけれども、私質問しまして、今、岩城副長官がおっしゃったように、独自の民族は認めつつも、また橋本総理も先住性は認められるという御発言も、このときではないですがされていらっしゃって、先住性は認められるが、それにさかのぼる先住権というものが発生するかどうかということになりますと、この問題を処理できるほどまだ私たちの練度はありませんと、熟度は達していないと、これ十年前ですよ。それから十年たってもまだ練度は達していないのかと疑わざるを得ないんだけれども、そこはどうなんでしょうか。
#213
○内閣官房副長官(岩城光英君) 十年それからたっているわけでありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、先住民族ということにつきまして確立した定義がございませんので、その辺、宣言等にもまたその定義がございませんので、そういったことを加味してまだ判断できる状況にないということでございます。
#214
○風間昶君 いつまでもそういう状況で通用しなくなる状態に私はなると思います。
 国連大学学長特別顧問の横田先生という先生がシンポジウムで、日本政府がアイヌ民族を先住民族と認めて今いないのはある意味では公的差別の状態だと、その学者の先生はそうおっしゃっているんだけれども、いずれ、行く行くですよ、日本政府が定義を定めて認めていくことになってほしいというふうにおっしゃっていまして、だからこそ官房長官の私的諮問機関としてウタリ政策に関する在り方有識者懇談会というのをつくられて、これはウタリ政策だけでありますけれども、私はもうちょっと、要望に代えますけれども、今のお話聞いていてこれなかなか難しいと思いますので、国として、つまり我が国としてハイレベルでこの先住民族ということについて、とりわけアイヌ民族の位置付け、これをきちっと審議していく機関を、私的諮問機関ではなくて、やはり政府としては、今国連の中だけじゃなくて、世界各国で少数民族の方々がその自立性、民族の自立性とまたグローバル化に乗って、今世界じゅうで運動論として起こっているだけじゃなくて起こっているわけですから、日本としては行く行くのことでありますけれども、きちっとその審議機関をつくっていくべきではないかと思いますので、そこを強く要請しておきたいと思います。
 次に、来年の夏の北海道洞爺湖サミット、今各省、政府挙げて取り組んでいただいておりますけれども、なかなかこれは、例挙げるまでもなく、九・一一の米国の同時多発テロで日本人二十四人が尊い命を落とされた。これは極めて重いことでありまして、そういう意味では、ビンラディンの声明でも日本が標的になるという可能性があるということも名指しで言われているわけでありますから、このテロ対策については恒常的に取り組む姿勢が必要だというふうに思います。
 そこで、テロ未然防止の行動計画がずっとなされておりまして、それで、今後課題として、テロの未然防止に関する基本方針、これは法制化も含んだ基本方針、それからもう一つは、テロリストやあるいはテロ団体の指定、そして三つ目に、国内における活動家、いわゆるテロを起こし得る活動家の資産の凍結というこの三つの課題を出されているわけでありますが、現在それはどういう状況になっていますでしょうか。委員会でつまびらかにできない部分もあるかと思いますけれども、その部分はどうなっているのか、ちょっと教えてください。
#215
○内閣官房副長官(岩城光英君) お話にありましたとおり、テロの未然防止に関する行動計画、これは平成十六年の十二月に策定されておりますけれども、その行動計画に従いまして、これまで必要な法律の改正を行うなど、その着実な推進に努め、ほぼおおむね順調に実施してまいったところであります。
 ただ、お話にありましたその三つの課題、これは今後検討を継続すべきテロの未然防止対策ということで先ほど挙げられました三つの課題があるわけでありますが、これらは行動計画策定時に法整備の必要性も含めて結論を出すことができず、引き続き検討を継続すべきとなされたものであります。
 政府としましては、厳しいテロ情勢や諸外国におけるテロ対策の推進状況、そういったものも踏まえつつ、これまで行ってまいりました法律改正等に加えまして、御指摘の三つの課題も含め、我が国としてどのようなテロ法制の整備が必要かについて、ほかの国々の法制度等も研究しながら、内閣官房及び関連省庁、関係省庁が一体となって現在鋭意検討を行っているところでございます。
#216
○風間昶君 後でいいから、どんなことを検討しているのか教えてください。
#217
○内閣官房副長官(岩城光英君) おただしですけれども、今正に様々な検討を行っている段階でありますが、その内容を明らかにすることはちょっと予断を抱かせることにもつながりかねませんので、そのことも懸念されますので、ここの場では答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#218
○風間昶君 だから、後で教えてくださいとお願いしているわけであります。
 次に、渡辺大臣、お久しぶりでございます。
 昨年は大変特別委員会でもお世話になりまして、先ほどの松井委員の質問と関連しますけれども、六月十九日の閣議決定を受けて、とりわけ独法の見直しについての整理合理化計画、ゼロ回答、ゼロ回答が続いて、ずっていっている、後ろへ行っている感じがするんですけれども、間違いなく年内に閣議決定では取りまとめるということを決めているわけですから、頑張ってもらいたいんだけれども、何を頑張るかということが大事なので、どうぞ。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
#219
○国務大臣(渡辺喜美君) 独法改革は、正に今各省とのやり取りをやっている真っ最中でございます。この改革が後ろに行っているというのは私の不徳の致すところでございますが、私としては、百一独法、聖域なき見直しをやっているつもりでございます。
 確かに風間先生御指摘のように、各省の自ら出してくる案については不十分なものが大変多いのも事実でございます。しかし、我々は、事務事業の徹底した見直しから始まって、本当に必要なのかどうか、民間でできるものはないのか、もっと効率化ができるんじゃないか等々、いろいろな角度から何度もやり取りをしているところでございます。
 十二月には整理合理化計画をまとめたいと思っております。また、国民の皆さんからも御意見をちょうだいをしているところでございまして、中には大変我々の参考になる御意見もいただいているところでございます。
#220
○風間昶君 民主党さんが三年以内に全部の独法を廃止若しくは民営化という方針を掲げているわけであるのは御案内のとおりでありますけれども。
 そこで、是非頑張ってもらいたいんですが、今おっしゃった百一の個々の法人の見直しの評価と、通則法で、総務省で評価し、なおかつ、総務省じゃないか、行革事務局で、行革本部で評価をするというふうに、これ二段階の通則法で評価システムがありますけれども、その関係がよう分からないんです、私。どうも屋上屋を重ねている。つまり、百一の個々の法人の見直し作業と、もう一つは、何ですか、二段階の評価システムと、恐らくですよ、恐らくやっている人は同じじゃないかと思っているんですけれども、そんなに別にやっている人、別にいるわけじゃないと思っているんですけれども、そこはどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。
#221
○国務大臣(渡辺喜美君) 総務省でやっております評価委員会の方は、いわゆる中期目標終了時に行っております。一方、行政減量・効率化有識者会議、私どもの方でございますが、これはいわゆる政独委の方と連携をしながら見直しをやっております。一定の成果は上げてきたものと理解をしております。
 今回の百一独法につきましては、独法制度導入から六年たちまして、中期目標終了時の見直しとは別に、現行の独法制度が制度本来の目的にかなっているかどうか、制度創設後の様々な改革と整合的なものになっているかなどについて、原点に立ち返って徹底した見直しを行っているという違いでございます。
#222
○風間昶君 それで、ただ、独法整理合理化計画の策定に関する基本方針では、政府全体として独法整理合理化計画案と併せて、必要に応じ適切な対応を行うというふうに決めていますよね。言わばそうなると思うんですけれども、いずれにしても、年内にきちっと見える形で出していただかないと国民の信頼を損なうことになりますので、よろしくお願い申し上げます。
 公務員制度改革も同じでありますが、先ほども松井委員の方からもありました。この二か月、公務員制度改革懇談会が、先送りに最終報告書がなったり、あるいは、いわゆる新人材バンクの制度設計の懇談会が遅れてきているということで、改革が失速しているんでないかという報道があります。報道ですから踊らされてはいけませんが、福田政権下で失速する行政改革というふうになって書かれていますけれども、本当に遅れているんですかね。
#223
○国務大臣(渡辺喜美君) いわゆる全体の公務員制度のパッケージを議論する懇談会、パッケージ懇などと呼んでおりますけれども、こちらの方は理念の議論に相当時間を費やしております。そういう中で、福田政権が誕生いたしまして、福田総理からの御指示がございました。公務員制度改革については丁寧に慎重にやりましょうというお話でありました。
 担当の私としては、理念に相当時間を費やしましたので、今までのスケジュールですと残り時間が相当少なくなってしまうと。そういたしますと、本来、現状を変更していく、改革の方向で議論をしていたのが、時間が短くなって、まあ現状維持でもいいじゃないかと、こういうことになっては困りますので、十分時間を取って、では結論は一か月ぐらい延ばして精力的に議論をやろうということで、こういうスケジュールになったところでございます。
 また、センター懇の方は、これは予算の要求の都合がございまして、十月中の取りまとめというスケジュール観になっていたわけであります。しかし、こちらの方も、官民人材交流センターの詳細な設計をしようと思えば、どうしても全体パッケージの公務員制度改革と連動せざるを得ないところがたくさんございます。そこで、こういう議論をやり始めていたところが、十月もうあと、あした一日しかないと、こういうことでございまして、決して改革が後退したから遅れているということではございません。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
#224
○風間昶君 その割には総理がキャリア制度については、この間の予算委員会で、十七日の予算委員会で、決めかねる問題だと、民間の場合は業績評価しやすいけど公務員の場合はちょっと違うよねといった趣旨の総理の発言がありました。
 先ほどの議論の中で、上司には逆らえないというふうに大臣はおっしゃいました。官房長官を上司として言っておりましたけれども、総理がそういうような消極的な発言している、上司が。どうするんですか。
#225
○国務大臣(渡辺喜美君) これは福田総理一流のレトリックをお使いになったものと理解をしております。
 つまり、改革を後退させようという趣旨では全くなくて、福田内閣における公務員制度改革は公務員の皆さんが気概を持って安心をして、また誇りと情熱を持って仕事をやっていただくと、そういう思いを込めたレトリックとしておっしゃったことでございまして、これがパッケージ懇でやっております議論、つまりT種、U種という試験区分がもはや意味がないのであれば新しい制度を構築をしていこうと。例えば総合職と一般職に分ける。もう最初から、要するに将来の幹部候補生、大学を出たときの試験で決めるのではなくて、その後の公務員になってからの能力とか実績とか、そういうものを見て判断してもいいではないかという議論も大々的に行われているわけでございまして、まだこれは結論が出たものではございません。
#226
○風間昶君 これは是非渡辺大臣には、何で大臣続いたかということの、引き続きですよ、その重みをきちっと受け止めて改革に邁進してもらいたいというふうに思います。
 次に、これまで道州制、道州制特区、渡辺大臣が前回担当しておりました。今度増田大臣に替わりまして、一体で今度は道州制、道州制特区、それから地方分権改革をやっていただくことになりました。
 先ほどもちょっと議論、北川先生からありましたけど、北海道における道州制特区推進法が四月に施行されて、やや半年たって八項目のうちの五項目権限移譲がなされてきたわけですが、現時点の状況はちょっと聞かなくてもいいんですけれども、前回の委員会審議で渡辺大臣が、第二次提案を北海道は是非もっとあっと驚くようなものを是非出してもらいたい、そうなったら大変なPRになるというふうに渡辺大臣がおっしゃったんですよね。
 そういうことをおっしゃった大臣の後を引き継がれた増田大臣もそういう感覚あるいはそういうおつもりでいらっしゃるのかどうか、まず認識をお願いしたいと思います。簡単で結構ですから。
#227
○国務大臣(増田寛也君) 私も、北海道の方から是非積極的な御提案をしていただきたいと。近々にそういった提案をされるような話も聞いておりますが、是非積極的な提案、そしてそれを大いに今後の道州制のPRにつなげていきたいと、このように考えております。
#228
○風間昶君 ありがとうございます。
 十二月の北海道議会で最終的に知事部局が取りまとめたやつが了解されればきっと出てくると思いますけれども、私的にというか北海道に住んでいる者としては、今議論になっているのはやはり、先ほど食の安全が出ましたけれども、この食を含めた暮らしの安全、安心部門、それからもう一つは医師不足対策についての新たな提案が予測されるわけでありまして、これはもう地方自治をきちっとやられてこられました増田大臣におかれましても、何といいましょうか、取組とまた知恵を是非生かしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたしまして、質問を終わります。時間ですので。
    ─────────────
#229
○委員長(岡田広君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、政府参考人として内閣府政策統括官原田正司君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#231
○委員長(岡田広君) 引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#232
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。
 限られた時間でございますので、すぐに本題に入らせていただきたいと思います。
 初めに、上川大臣に二点ほどお伺いいたします。
 日本における少子化というのは、平成十八年度、一時的な改善というのは見られたわけですが、全体的な少子化傾向は変わっていないと見るべきであります。その原因としては、不安定な雇用、それから仕事と育児の両立の困難さ、育児不安、それから不妊等様々な理由が考えられますが、まず上川大臣に対しては、その少子化の原因として最も大きな問題は何だというふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いいたします。
#233
○国務大臣(上川陽子君) 少子化の急速な進行によります人口減少は、経済産業や社会保障の問題のみならず、国や社会の存立基盤にかかわる大変重要な問題であるというふうに認識しております。政府としましては、少子化の急速な進行に対処するため、これまでも少子化社会対策大綱、子ども・子育て応援プラン、「新しい少子化対策について」に基づきまして総合的な少子化対策に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、我が国の少子化の現状を見てみますと、平成十七年には総人口が減少に転じ、出生数は百六万人、合計特殊出生率は一・二六と、いずれも過去最低を記録しております。平成十八年、昨年は出生数が百九万人、合計特殊出生率も一・三二と、ともに六年ぶりの回復をいたしたところでございますが、今年に入りまして、婚姻数もまた出生数ともに前年度比で減少ということでございまして、決して楽観できる状況ではないということでございます。昨年末にはさらに新人口推計が公表されまして、今後少子高齢化が一層進行するという厳しい見通しが立てられたところでございます。
 この少子化傾向に歯止めを掛けるべく有効な手段ということでございますが、改めて国民の結婚や出産に関する希望が実現するには何が必要であるかというところに焦点を当てまして、効果的な対策の再構築と、そしてこれを実行するために、現在、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の策定に向けて取組をしているところでございます。本年六月に中間報告ということで、これ三点、特に、ワーク・ライフ・バランス実現のための働き方の改革が大変大事であるということ、そして多様な働き方に対応するために子育て支援策の再構築を図ることが大切であること、そして三点目として、実効ある対策を進めていくための一定規模の財政投入に必要な財源についても税制改革や社会保障制度改革の中で総合的に検討すると、こうした方針が取りまとめられておりますので、これを踏まえまして具体的検討ということで、本年末をめどに重点戦略の全体像を取りまとめるべく今取り組んでいるところでございます。
#234
○糸数慶子君 私は、少子化傾向を改善していくには、やはり働きながらも安心して子育てができる社会システム、まずそのシステムづくりが大事だというふうに考えています。
 各種の調査では、出産前に仕事を辞める理由として、女性のおよそその半数が自分の手で子育てをしたかったと回答し、三割が両立の自信がなかったと答えております。
 上川大臣は、静岡市におきまして大臣の御両親とお嬢様、一緒に暮らしているとお伺いしておりますが、国会議員と子育ての両立に当たっては、やはりその御両親や御家族の御支援があったからだというふうに考えます。私も県会議員をしながら三人の子育てをしてまいりましたが、やはりそれができたのも家族の支援があったからだというふうに思います。
 そこでお伺いしますが、国会議員と子育てを両立された経験から、仕事と子育ての両立においてどのような支援が最も重要で、どのような支援が不足しているのか、改めてお伺いしたいと思います。
#235
○国務大臣(上川陽子君) 委員から私の子育てのことにつきましても触れていただきまして大変恐縮でございましたけれども、現状におきましては、第一子を出産した女性の七割近くが離職しているということでございまして、やはり女性にとりまして、仕事かそれとも出産、育児かの二者択一を迫られているという状況は依然として続いているところでございます。
 また、男性のというか、男性の育児、家事の時間ということを取ってみましても、諸外国と比べてもなかなか少ないということでございますし、また、同時に育児休業取得率ということにつきましても、男性の場合〇・〇五ということでございます。こういう、そうした意味で男性の育児参加ということにつきましては、失礼いたしました、〇・五〇ということでございますが、育児参加、家事時間が長ければ長いほど二人目、三人目を産む確率も高いというような結果も出ております。
 こうしたことから、仕事と子育ての両立支援、そして同時に、男性を含めた働き方の改革ということにつきましては、特に少子化の対策の中でも重要というふうに考えておりまして、この点、平成十九年度の予算におきましては、仕事と子育ての両立支援策として、事業所内託児施設の設置を行う例えば中小企業主に対する助成措置の拡充を図るとか、あるいは育児休業給付の給付率の引上げを図るとか、あるいは育児休業取得者等に対しまして企業独自の給付を行った事業者に対しましては助成制度を創設するなど、各般の施策を講じているところでございます。
 また、先ほど申しましたとおり、六月に子どもとそして家族を応援する重点戦略ということの中間報告もまとまっているところでございますので、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた各般の取組につきましては、年内をめどにその全体像を明らかにしてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
#236
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、岸田大臣にお伺いいたします。
 IT政策と地域振興のかかわりについてでありますが、IT、これは地域振興策にどう生かしていくかという点でお伺いしたいと思います。
 沖縄県におきましては、その振興策の重要施策の一つとして、情報通信関連産業の集積とそしてITの推進に力を入れておりますが、国においても情報化の推進は大きな問題であると考えます。IT政策の担当大臣でいらっしゃる岸田大臣として、地域振興のためのIT政策の活用についてどう考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#237
○国務大臣(岸田文雄君) ITの利活用につきましては、中小企業を始め様々な地域の産業の発展あるいは行政サービスの向上等において、地域の振興にとって大変重要だと認識をしております。
 今、糸数委員御指摘になられましたように、国全体として情報化を進めるということは大変重要だとまず認識をしております。政府におきましても、総理を本部長としますIT戦略本部、この本部におきまして、IT新改革戦略に基づきまして、二〇一〇年に向けてデジタル格差がないようなインフラ整備ですとか、様々な施策を進めております。地域の活性化に資するIT政策を推進しているところでありまして、今後ともこの地域の活性化に向けてのIT政策の推進、政府全体として一体となって支援を強力に進めていきたい、このように認識をしております。
#238
○糸数慶子君 岸田大臣にはせっかく御出席いただきましたので、国民生活担当でいらっしゃる、そしてまた沖縄担当大臣でもいらっしゃいますので、二点ほどお伺いしたいと思います。
 初めに、カジノについての御見解をお伺いしたいと思います。
 沖縄県におきましては、カジノの導入に向けた検討委員会が立ち上がりまして、各種調査、そして視察、導入に向けた動きが今本格化しています。仲井眞知事も沖縄振興特別措置法の改正によるカジノ構想を模索していますが、この構想に対しまして前沖縄担当の高市大臣は、本年六月十二日の閣議後の記者会見におきまして、カジノは刑法で規定される賭博開張罪等に触れる行為にもなる、もし国内でカジノを開設するなら刑法の特例を設ける必要があるが、沖縄振興特別措置法を根拠に刑法の特例を設けるのは法の趣旨や性格から見て適当かどうか疑問を感じると述べていらっしゃいますが、岸田大臣も同様な御認識なのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#239
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国におきまして、カジノは刑法に規定される賭博開張罪等に触れる行為であります。沖縄を含めた我が国の国内においてカジノを開設するためには、例えば競馬法のように刑法の特例を設ける法律が必要であるほか、沖縄県におきましても今まで様々な議論が行われているということを承知しております。
 今御指摘にありましたように、沖縄県におきましても、現在、沖縄におけるカジノの導入について県内の各界各層の代表者を構成とするカジノ・エンターテインメント検討委員会を設置して、カジノを導入する場合の課題、対応策等について調査検討を行っているというふうに聞いております。
 その中で、内閣府としましては、カジノ導入に関する様々な議論、今の県の動きもありますし、また県内でいろんな議論があるというふうに承知しておりますので、今当面、こうした意見の集約あるいは議論の行方を見守っていく必要があるというふうに考えているというのが現状でございます。
 そして、御指摘の高市大臣の発言につきましては、今申し上げましたように、もしカジノを開設するということになりますと刑法の特例法等根拠となる法律が必要になるわけでありますが、この高市大臣の発言は、根拠になる法律としまして沖縄振興特別措置法、これは時限立法でありますので、こうした法律がこの趣旨や性格から見て根拠法として適切なのか、こうした点について疑問を感じるという意見を述べたものと認識しておりまして、基本的に前大臣と私と認識は変わっていないというふうに考えております。
#240
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 認識が御一緒だということでございますが、今、沖縄の観光振興という意味で、いきなりカジノに飛び付くという傾向が実は一部であるということも事実であります。しかし、沖縄の環境から考えていきますと、例えば、青少年を育てていくという健全育成という立場、それから地域社会の崩壊等、あらゆる観点から考えていきますと、やっぱり県民のコンセンサス、極めて重要ということで、短絡的にカジノに飛び付くというのはいかがかという動きがあるということも是非御認識をいただきたいと思います。
 それでは次に、教科書検定意見についてお伺いいたします。既に各大臣も御承知かと思いますが、平成二十年度、来年度から使用する高等学校のいわゆる日本史の教科書問題についてであります。
 教科書を審査する教科用図書調査審議会が沖縄戦における集団自決の記述について、沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である、そういう検定意見を付しました。その結果として、出版五社の七点の記述が削除又は修正を余儀なくされ、日本軍の関与による集団自決の真実、言わば沖縄戦の実相を学ぶ上で最も重要な部分が事実上消えてしまいました。
 そこで、岸田大臣にお伺いいたします。沖縄戦における集団自決が何ゆえに起こったのか、集団自決に対する歴史認識をお伺いしたいと思います。
#241
○国務大臣(岸田文雄君) 沖縄戦は、さきの大戦における国内最大の地上戦と言われております。住民を巻き込んだ極めて悲惨な戦いであり、その中で集団自決を始めとする悲劇が起こり、多くの尊い命が失われ、また多くの県民の方々が筆舌尽くし難い経験をされたということを認識しております。このことについては決して忘れてはならないことだというふうに思っております。
 この教科書検定の意見撤回を求める意見につきましても、御案内のとおり大変大きな県民大会が開催をされました。こうした動きというのも沖縄県民の皆様方のこのことに対する深い思いの表れだというふうに認識をしております。こうした思いはしっかりと受け止めながら我々政策を進めていかなければいけない、このように認識をしております。
#242
○糸数慶子君 集団自決は、日本軍による命令、そして強制、誘導等なしには起こり得なかったことは紛れもない事実であります。
 今国会の衆参本会議における代表質問あるいは予算委員会等においても、福田総理はこの問題に対しまして、日本軍の関与を否定するものではない、さらには、沖縄戦が住民を巻き込んだ悲劇な戦いであり、多くの人々が犠牲になった、そのことを学校教育において子供たちにしっかりと教えていかなければならない、沖縄県民の思いを重く受け止める、文部科学省において審議の方法を含め検討しているというふうにお答えをしていらっしゃいます。
 その後の具体的な動きはその後何一つとして見られないわけですが、文部科学省は、審議会が決めた検定意見は撤回できないとし、出版社の訂正申請があれば検討することもと、あたかも出版社に表現の誤りがあり責任があるかのようにし向けています。
 この問題の発端は、文科省の教科書調査官が沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現であるという調査意見を付し、それが何ら審議されることもなく審議会の検定意見になったということであります。
 そこで、文科省にお伺いいたします。現在でもこの検定意見は公平公正であり、専門的、学術的だとお考えでしょうか。
#243
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 教科書の検定につきましては、教科用図書検定調査審議会の専門的、学術的な調査審議に基づいて公正中立に実施しているものでございます。御指摘の平成十八年度の日本史教科書の検定におきましては、沖縄における集団自決につきまして旧日本軍の関与を否定するものではなく、不幸にも集団自決された沖縄の住民の方すべてに対して自決の軍命令が下されたか否かということは断定できないと、そういう学術的な調査に基づいて沖縄戦の実態について誤解するおそれがある表現であるという検定意見を付したものでございます。
 この教科書調査官がそういう原案を作成し、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議で了解され検定意見を付したという手続を経たものでございますので、所定の手続を経た、公正中立に実施されたものでございます。
#244
○糸数慶子君 そういうことでありますと、検定意見は撤回できないということでしょうか、お答え願います。
#245
○政府参考人(布村幸彦君) 教科用図書検定調査審議会におきまする正式な手続を経て付された検定意見でございますので、手続的には撤回ということはございません。
#246
○糸数慶子君 では、文科省としては審議会の決めたことなので関係ないということですか。
#247
○政府参考人(布村幸彦君) 沖縄戦につきましては、先ほど岸田大臣もおっしゃられましたけれども、住民を巻き込んだ唯一の地上戦であって、多くの県民の方々が犠牲になられたということは学校教育においてもしっかりと教えていかなければいけない課題というふうに認識しておりますし、現実に、小学校、中学校、高等学校の社会科の教科書では沖縄戦について記述がなされているところでございます。
 そして、今回の検定意見につきましては、証言の状況あるいは学説の状況について、まず事務方になりますけれども、教科書調査官がそれらを把握して検定意見の原案を作り、それを検定審議会においてきちっと審議をしていただいたものでございますので、今回、御指摘のような形での撤回ということではなくて、現実の動きとして申し上げますと、教科書発行社五社の方々から、今回の件に係る教科書記述につきましての訂正申請がどういう形で進めることができるのかという事前の相談が現在来ていただいているという状況ではございます。
#248
○糸数慶子君 先ほど申し上げましたけれども、出版社からの申入れを待って動くというのは大変おかしいというふうに思っています。
 ここで、検定意見というものがやはりいかに重大であり、どう、その教科書の記述や、そして削除や修正を余儀なくされ、そして子供たちの学習に影響を及ぼすのか、具体的に例を挙げてみたいと思います。読み上げますので、まず検定前の原文と、検定を受け合格後の記述との違いをお聞きいただければと思います。
 今、私の手元の方に、これは一社だけですが、山川出版の方から出された日本史Aの検定前とそれから検定合格後のその記述がございますが、原文のまま御紹介したいと思います。これは、「日本軍によって壕を追い出され、あるいは集団自決に追い込まれた住民もあった。」というその記述なんですが、それが検定後は、日本軍にごうから追い出され、自決した住民もいたというふうになっています。
 それから、東京書籍日本史Aですが、これは、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民や集団で自決を強いられた者もあったというのが、検定後は、集団自決に追い込まれたり日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民もいたというふうに変わってきています。
 それから、三省堂日本史Aですが、ここは、日本軍に集団自決を強いられたりという記述が、追い詰められ集団自決した人やというふうに随分変わっています。
 それから、実教出版日本史Bですが、これは、日本軍は県民をごうから追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍の配った手りゅう弾で集団自決と殺し合いをさせというその記述の部分が、日本軍は県民をごうから追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした、また日本軍の配った手りゅう弾で集団自害と殺し合いが起こったというふうに変わっているわけです。
 それからもう一つ、清水書院日本史Bによりますと、中には日本軍に集団自決を強制された人もいたというのが、検定後は、中には集団自決に追い込まれた人々もいたと表現が変わっています。お気付きだと思いますが、この日本軍という主語がなくなっているんですね。集団自決のそのもの、それは日本軍に係らないように記述されているわけです。そのため、集団自決という事実があいまいにされ、どうしてその集団自決が起こったのか、何が原因でそのような悲劇が生まれたのか、こういう沖縄戦の実相の部分が結果的にはやみに葬られてしまっているわけです。
 沖縄県民の怒りはこの検定意見にあります。九月の二十九日、県民大会が求めましたのは集団自決の真実であり、その真実を子供たちに語り継ぎ、二度と集団自決という悲劇が起こらないようにすること、そのためにも県民は超党派で心を一つにして立ち上がっているわけです。検定意見が撤回もされずにそのまま存在することは、沖縄県民として許すことはできません。
 悲惨な沖縄戦の歴史が、十分な審議もなく教科書調査官の手によっていとも簡単にねじ曲げられていくということは、集団自決で亡くなった多くの県民、そして今生き残った人たちが許すわけありません。歴史をねじ曲げられるということがいかに屈辱的なことであり、痛みを伴うものであるか考えたことがございますでしょうか。沖縄戦の実態について、誤解するおそれのある表現であるという検定意見は、沖縄県民にとって心の負担であり重荷であります。
 沖縄は今、在日米軍の再編においても、名護市辺野古での新基地建設など米軍基地という負担を強いられています。さらに、今回の教科書検定意見によって歴史がねじ曲げられるということは余りにもひどいと思いませんか。
 岸田大臣の教科書問題に対する認識を再度お聞かせください。
#249
○国務大臣(岸田文雄君) まず、教科書検定につきましては、所管ではないものですから具体的なことについて触れることは難しいのですが、九月二十九日のこの県民大会等で示されたように、さきの大戦において沖縄県民の皆様方、筆舌に尽くし難い苦難を経験された、こうした県民の皆様方の思いはしっかり受け止めなければならないというふうに思っております。
 そして、その上で、私の所管ということであるならば、私の職責であります沖縄の振興に、こうした思いをしっかり受け止めながら全力で取り組んでいかなければいけない、そのように思っております。
 また、一政治家としましては、こうした戦争による悲惨な経験、二度と繰り返すことがないように精一杯取り組んでいかなければいけない、そういった思いを持っております。
#250
○糸数慶子君 ありがとうございました。終わります。
#251
○委員長(岡田広君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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