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2007/11/08 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第3号
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2007/11/08 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第3号

#1
第168回国会 法務委員会 第3号
平成十九年十一月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠山 清彦君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                山内 俊夫君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                鈴木  寛君
                前川 清成君
                松野 信夫君
                青木 幹雄君
                岡田 直樹君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
                松浦 大悟君
   国務大臣
       法務大臣     鳩山 邦夫君
   副大臣
       法務副大臣    河井 克行君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  古川 禎久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       南  俊行君
       警察庁生活安全
       局長       片桐  裕君
       警察庁刑事局長  米田  壯君
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     武内 信博君
       法務大臣官房長  池上 政幸君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  梶木  壽君
       法務省保護局長  藤田 昇三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (司法試験問題の漏えい疑惑に関する件)
 (刑事施設の過剰収容対策及び就労支援対策の
 在り方に関する件)
 (取調べの可視化に関する件)
 (有害サイトの規制に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(遠山清彦君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に内閣官房内閣参事官南俊行君、警察庁生活安全局長片桐裕君、警察庁刑事局長米田壯君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、法務大臣官房長池上政幸君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君及び法務省保護局長藤田昇三君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(遠山清彦君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。
 今、民主党の副幹事長をさせていただいておりまして、鳩山由紀夫幹事長には大変お世話になっております。ありがとうございます。
 さて、六月に慶応大学の植村教授による司法試験問題の漏えい疑惑が明るみになりまして、一日も早くこの国会で取り上げさせていただきたいと、こういうふうに思っておったんですが、ちょうど通常国会の末と重なりまして、延び延びになっております。
 今日は、本来であれば民主党の特定肝炎緊急対策措置法について厚生労働委員会で答弁をさせていただく側のはずだったんですが、流れまして、松岡理事から特別の御配慮をいただいて、今日、質問させていただくことになりました。ただ、松岡理事から特別の御配慮をいただいたのが昨日の朝でして、昼間は日程がほぼ詰まっていましたので、通告が遅くなりまして御迷惑をお掛けしたと思います。その点、まずおわびを申し上げたいと思います。
 今この司法試験の漏えい問題を今日取り上げたいというふうに申し上げました。これは新制度の立ち上げに当たって極めて制度の根幹にかかわるような問題だと思っているんですが、どういうわけか、すねに傷があるのかないのか分かりませんが、法務省が真相の解明に後ろ向きのように思えてなりません。また、当事者である慶応大学を始めとして、法科大学ももちろんこれを早くやみに葬り去りたい、こういうふうに思っているように思えてなりません。
 鳩山大臣におかれましては、就任後、死刑あるいは法曹人口等で思い切った問題提起をなさっておられまして、やはり実力のある大臣は違うなと、こういうふうに思っております。是非、今日は役所のカンニングペーパーの丸読みではなく、大臣のお考えを率直にお聞かせいただきたい、こういうふうにお願い申し上げたいと思います。
 ただ、一点、先日来の答弁、お聞きしておりますと、良く言えば非常に丁寧に御答弁いただくんですが、悪い言い方をしますと、関係のないことまでいろいろおっしゃいます。今日は片道ではなく往復ですので、是非私の質問にお答えをいただきたいと思います。
 さて、今年の六月二十九日付けで法務省大臣官房人事課から、新司法試験考査委員の解任についてというペーパーが配られました。その中で、植村教授を解任する理由として、一つは、勉強会と称する答案練習会を開催するなど新司法試験の受験指導をしたということ、二つ目には、本番の論文解答を再現したならば採点してあげると、そうメールで送ったこと、この二点が挙げられていますが、このほかに植村教授に関して不公正な行為、司法試験の公正さを害する行為はなかったのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私が承知いたしておりますのは今先生御指摘の事柄でございまして、三年生、慶応義塾大学の三年生ですね、法科大学院の、と修了生、新司法試験の受験者を対象に七回にわたり学内で課外の答案練習会を行ったと。七回というのが恐ろしい多数であるという私は認識をいたしておりますけれども、また、新司法試験受験者に対して本試験の論文の解答を覚えておいて書いて自分に送ってくれれば採点してあげると、こういうことだったと思いますが。あと、私も学生時代に読みましたが、ジュリストという、先生方お読みになるが私余り大学卒業してからは読んでいないジュリストがありますが、ジュリストに最近の重要な判例百選だったか何かまとめたのがあって、その中の幾つかをピックアップして、重要な判例であるからといって受験生に送付したというふうに聞いております。
#7
○前川清成君 今のは、問題の漏えいはなかったというお答えでよろしいんですね。
#8
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、問題の漏えいというふうには直ちには考えませんが、しかしこういう試験で毫も疑いを持たれてはいけないと、そう思いますので、事柄は、漏えいという日本語は使いませんが、非常によくないことが起きていると認識いたしております。
#9
○前川清成君 私も今の大臣の御答弁同様に、試験が公正であることは当然であって、更に公正さ、公正らしさ、これが要求されると、こういうふうに思っています。
 そこでお尋ねしたいんですが、公正らしさを担保するためにどのような対策がこれまで講じられていたのか、お尋ねしたいと思います。
#10
○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる考査委員ですね、試験の問題を作り採点する、その任命のときに、答案練習の指導、座談会への出席、雑誌への寄稿等による試験科目についての受験指導については差し控えるよう書面で求めていたと、こうあるんですね。それから、任命した直後にも、改めて留意事項として、試験の公平公正の確保という観点から、新司法試験の受験指導やそれに関する事項についての雑誌への寄稿、シンポジウム、座談会での発言は差し控えていただくよう要請していると、こういうことなんですが、原文を見ますと、失礼ながら人事課長名で出ております文書を見ますと、答案練習の指導、座談会への出席、雑誌への寄稿等による試験科目についての受験指導はお差し控えくださいますよう特に御配慮賜りたくお願い申し上げますという、非常にこれ下手なんで、これはこういうものは禁止するという意味のことがはっきり書かれなければ本来いけないと思います。
#11
○前川清成君 それでは、今現在、今大臣御答弁いただいたのは十九年度の考査委員に対する禁止事項ですよね。次年度、二十年の考査委員に対しては受験指導は禁止するというふうにはっきり書かれているんですか。
#12
○国務大臣(鳩山邦夫君) 詳細は今承知しておりませんが、考査委員が受験生を指導することを全面的にやめてくれという内容ではなかったかというふうに思います。
 本来、私は、この問題が発覚したというか話題になったときに、考査委員に法科大学院の教授はゼロにすればいいじゃないかと率直に私、役所で言ったわけですよ。
 だって、それはそうでしょう。例えば、我々がある大学の入学試験を受けようと思ったときに、どこかの高校の先生がその問題を作ったらその高校のやつが有利になると。有利になるか不利になるかどうかは別にして、試験というのは選抜する方の立場だけでなくて受験する方の立場がとても大事だし、それがやる気だとか取組の意欲にかかわってきますから、そういう意味でいえば、本当に理想を言えば、将来的には法科大学院の教授は問題作成に一切携わるべきでないと、私、そう思っているわけですが、ところが、他面、法曹養成という仕組みを、今までは難しい難しい司法試験、先生が通られた、点というか受験、難しい試験という点であったものをラインで考えて、法科大学院の教育、それから司法試験、司法修習というこの流れの中で有機的に関連付けるという理念もうたわれているものですから、そこまで一刀両断には今すぐはできないのかなというふうに思っているんですが。
#13
○前川清成君 それで、私も大臣同様に、司法試験の考査委員、これがどういうふうに選ばれるのか、特にこの漏えいの疑惑が起こった植村教授についてどういう経緯で選ばれたのかと思いましたので、質問主意書を出させていただきました。
 それに対して、七月六日付けで答弁書をいただきました。これはまだ鳩山大臣が御就任になる前かと思いますが、質問は、政府はどのような経緯、理由で植村教授を司法試験考査委員に任命したのかという問いに対して、政府の答弁書は、司法試験を行うについて必要な学識を有する者として任命したと、こういう木で鼻をくくったような御答弁がございました。
 これは、法務大臣というよりむしろ内閣の一員としての大臣にお尋ねしたいんですが、国会議員からの質問主意書に対して、このような、ばかにしたとまでは言いませんが、木で鼻をくくったような答弁書、こういうことがまかり通るのか、もう少しきっちりと説明責任を果たすべきではないかと私はそのとき強く思ったんですが、大臣、いかがですか。
#14
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員をなぜ任命したかということについて、こういう書きようしかなかったかなと思うのは、やや残念な気持ちが正直言ってあります。
 ただ、先生、これは一緒に考えていただきたい点があるんですが、ちょっとだけ先ほどの先生の御注意に反しますけれども、私は、共通一次試験というのは余りいいものだと思わなかったんですが、ちょうど文部大臣になりましたときに大学入試センター試験とか何か名前が変わって、これは相変わらず偏差値輪切りの原因にはなってるけど、でも案外いい試験だという評価もあるんですが、このセンター試験、これは受験者の数、問題にならないぐらい大きいわけですが、そのセンターをつくって、物すごい厳しい管理しているんです。私、見に行ったんですよ、例えば日本史の部屋とかですね。例えば日本史の部屋で酒飲んだときは絶対酔いがさめるまで出さないとか、妙なそういう規則もあったりして、やっぱり試験問題というのはとにかく厳しい管理をしなくちゃならない。
 だから、考査委員になぜしたかという点については私は十分なお答えができないんですが、考査委員になった人、考査委員にした人に徹底した厳しい遵守事項を定めるというのが正しい姿ではなかったかと。その辺の甘さがこういう疑惑あるいは不適正な行動になっていったんではないかというふうに私は思うんです。
#15
○前川清成君 いや、大臣、私が今お尋ねしたのは、質問主意書に対する御答弁が余りにも不誠実ではないですかという点です。
 大臣、それは答えようがないのかということかもしれませんが、私はもう一度同じ問いを質問主意書で出させていただきました。すると今度は、八月十五日付けの答弁書ですが、今度はちゃんと、植村元考査委員は、大学卒業後、行政法の研究者、教員として大学に長年在籍、研究・教育活動に従事してきたものであり云々と、こういうふうに書かれてあるんです。そうであるならば、最初からこういうふうにお答えいただくのが本来、法務省として、政府として質問主意書に対するあるべき姿ではないか、こういうふうに大臣のお考えをお尋ねしています。
#16
○国務大臣(鳩山邦夫君) それはもう先生全くおっしゃるとおりでございまして、植村教授は、司法試験委員会の推薦に基づき、司法試験を行うについて必要な学識を有する者として、法務大臣により任命されたものであるなんというのは何の答えにもなっていない。これはだれに聞かれても、こう答えれば一応答えにはなってしまう。これは質問主意書への答えとしてはやはり適正を欠くと私は判断しますね。
 それに対して二回目について大分書き方を変えているわけで、本質が違っているかどうかは別にして、質問主意書もできるだけ丁寧にお答えすべきだと思うし、私が指導できる点があれば今後改めていきたいと思います。
#17
○前川清成君 私は、司法試験考査委員が、先ほど大臣が文科大臣当時の御経験でおっしゃったように、司法試験考査委員の選任自体もやはり大切なことではないか、それが情実やコネや、あるいは密室でこそこそと選ばれてしまったならば司法試験自体の公正らしさ、これも害されてしまうのではないか、こんなふうに思っています。
 その点に関連して今の質問主意書を出させていただいたんですが、この八月十五日付けの答弁書で、植村教授について、大学卒業後、今読みましたとおり、行政法の研究者、教員として大学に長年在籍、研究・教育活動に従事してきたと、こうあります。
 そこでお尋ねしたいんですが、考査委員に選ばれるには、例えば何年以上大学に教員として勤務しなければならないというような具体的な基準はあるのでしょうか。
#18
○国務大臣(鳩山邦夫君) 基準が特にあるとは聞いておりません。考査委員を百五十人以上様々な分野から選ぶという中で、もちろんそれは学者だけじゃなくて実務家からも選んでいくわけでございますけれども、結構数が多いものですから、厳しい基準を作るとなかなか人が集まらないというふうなこともあって、結局、司法試験委員会に名簿を作ってもらって推薦してもらって、それを採用するというような形になってしまっているという状況だと思います。
#19
○前川清成君 今大臣おっしゃったとおり、別に何年という基準はないと、こういうことですし、現実の問題として、大学教授以外に、例えば裁判官や検事、実務家からも司法試験考査委員が選ばれています。そうなると、実は、大学卒業後研究者として大学に勤務していたというのは司法試験考査委員に選ばれる要件ではない。ということになりますと、実はこの質問主意書、植村教授について、長年大学に在籍していたというくだりはうその説明だったということになりませんでしょうか。
#20
○国務大臣(鳩山邦夫君) うそではないと思いますが。行政法の研究者、教員として大学に長年在籍していたというのはうそではないと思いますが。
#21
○前川清成君 いや、植村教授が長い間大学に勤めておられたと、そのことがうそだったというふうに申し上げているわけでは全くありません。
 私がお尋ねしているのは、質問主意書で、考査委員はどういう基準で選ばれるんですか、植村教授はどのような基準で考査委員に選任されたのですかと、こういうふうにお尋ねしました。それに対する答えが、植村さんは長い間大学に勤務していたからと、こういうお答えが来たんです。しかし、今の大臣の御答弁は、大学に何年勤めているというような基準はありませんよと、現に実務家からも、要するに大学の教員をしたことがない人も考査委員に選ばれている。そういう点を勘案すると、この質問主意書に対する御答弁は間違っていませんかというお尋ねです。
#22
○国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃるとおり、私先ほど質問の趣旨をよく理解しないでお答えして、申し訳ありませんでした。
 長年在籍しておれば考査委員になるのに適性があると、こういう判断をできるものではもちろんないわけでありますから、先生の質問主意書に対する直接の答えには確かになっていない。長年、慶応大学でしょうかね、の教員や研究員として研究教育活動に従事していたというのを一つの要素としているだけだろうと、こう思います。
#23
○前川清成君 もう一点、この答弁書においては、植村教授は考査委員任命当時、法科大学院教授の職にあった、このことも考慮して任命しましたと、こうあります。先ほどの大臣の御答弁の中にありましたし、私もそう思っているんですが、法科大学院の教授であることは司法試験考査委員に本当にふさわしいのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
#24
○国務大臣(鳩山邦夫君) 法科大学院をつくるときに、先ほど申し上げたように、点から線へということを考えて、司法試験という、あの昔三百人とか五百人しか合格しなかった大変難しい試験、一発勝負というか、この受験ということですべて決めるんではなくて、一つの流れの中で、法科大学院教育を受ける、もちろん三年間受ける人もいれば二年間の人もいるがという、そして司法試験。
 したがって、司法試験と法科大学院の間には有機的な関連性がなくちゃいかぬという理念がそうさせているんだろうと私は思うのですが、そこはよく分かるが、私は、だから、この問題を知ったときに、法科大学院経験者ならいいけれども、現職の法科大学院の先生が問題を作るということになれば、彼らは教えているんだから、それは三年生は教えていないとか、つまり受験を控えている人を教えないようにするとかということがあっても、やっぱり何らかの影響が出るのではないかと。試験というのは毫もそういう心配を受験生に与えてはいけないものだと、私はそれを信念に文部大臣をやっておりましたときもいろいろ考えてきた経緯があるものですから、何かいい方法がないかと今も懸命に思案、熟慮しているところでございます。
#25
○前川清成君 私も大臣と同様に考えております。
 先ほど大臣から御答弁ありましたように、司法試験考査委員には受験指導は禁止しているということですが、実は法科大学院、これは従前の、大学の教授が、法科大学院が設置される前に大学の法学部の教授が司法試験委員になったのと随分事情が違うだろうと、そう思います。
 なぜならば、従前において司法試験を受ける学生というのはむしろ少数派だった、決して多数派ではなかったわけです。しかし、法科大学院であればほぼ一〇〇%司法試験、受験するわけです。そうであれば、講義であろうとどんな形であろうと法科大学院において行われるその教授からの情報提供等々はすべて司法試験に直結している、こう言わなければならない。
 その点で、実は、いろんな理念はあるのかもしれませんが、司法試験の公平さについては大変緊張をはらんでいるという問題点があろうかと思いますので、是非この点は法務大臣におかれましても司法試験の公正さを守るという点で御考慮をいただきたいと思います。
 現に、今度、司法試験の考査委員、大学、法科大学院の教授を減らして実務家を増やそうというふうになっていると思います。これだけで改革が止まるのか更に進むのか分かりませんが、この問題については、また引き続きどこかの機会でお尋ねをしたいと思っています。
 それで、ちょっと時間の都合もありますので、次お尋ねしたいのは、司法試験考査委員、これが選任されるのは前年の十一月ごろで間違いはないんでしょうか。
#26
○国務大臣(鳩山邦夫君) 十一月ごろと聞いております。
#27
○前川清成君 それで、十一月ごろに考査委員が選任されて、いつごろから問題の検討が始まって、いつごろ司法試験、その年の本番の問題が確定するんでしょうか。
#28
○国務大臣(鳩山邦夫君) 考査委員が任命されるのが大体十一月ごろということで、何日ということではないようですが、試験は五月ですよね、その間半年あるわけで、各考査委員が一つの例えば公法系ということであっても、何人もの方がなさるわけですから、問題案をそれぞれが作成されて、担当科目ごとに集まってお互い見せ合って協議をし、そういう形で出題内容を絞り込んでいって、最終的に出題されるというふうに聞いております。
 私が先ほど申し上げましたのは、大学入試センター試験においても当然同様のことが行われておりますが、一般の人が絶対入れないようなセンターをつくって、厳密にやっている姿を見て大したものだなと思った記憶があります。
#29
○前川清成君 大臣、私がお尋ねしたかったのは、十一月ごろに選ばれる、五月の中旬に試験がある。この半年の間、大臣もおっしゃったように、今年の問題どうしようか、複数の考査委員の間で議論もされるんだろうと思います。
 そこで、いつごろ問題は確定するんですか。五月の中旬に試験ですから、印刷もしなければなりませんし、印刷した答案、厳重に保管もしなければなりません。だから、まさか試験の三日前に問題が決まるというようなことはないだろうと思うんです。どのぐらい前に、一月前なのか、二月前なのか、三か月前なのか。幅はあろうかと思います、その年によって。いつごろ問題は決まるのでしょうか。
#30
○国務大臣(鳩山邦夫君) 恐らく、またしつこいようですが、大学入試センター試験みたいなものはもう作業手順がぴしっぴしっと決まっておって、何月何日どうってあるんだろうと思います、大量ですからね。しかし、残念ながらこの新司法試験の問題作成は確定的には申し上げられないので、三月から四月ごろに内容が決まっていくというふうに承知いたしております。
#31
○前川清成君 この点で、是非きっちりと、少なくとも今年の問題がいつ確定したのかはお調べいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 といいますのは、四月十一日、この日に植村教授は慶応大学の受験生たちにメールを送ってます。そのメールの中で、平成十八年度の「重要判例解説」から、この判決は大切ですよ、よく覚えておきなさいというふうに知らせている。そして、その判決を問う問題が本番に出されている。となると、もしかしたら問題を作ったかもしれない、あるいは問題を知っていた植村教授が自分の教え子たちだけに、これ覚えておいたら試験出るよとはっきりは言わないにしても教えた、このおそれは私は否定できないと、こういうふうに思います。大臣、いかがですか。
#32
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のは公法系第十八問というやつですね。国民保険料と憲法の関係かな、の問題ですね。これは一応憲法の問題でございますので、植村さんは行政法の作成者だと思いますので、この問題を植村元考査委員が作ったとは認識しておりません。
#33
○前川清成君 それはお調べいただいたんですか。
#34
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは調査の結果、この問題は植村元考査委員が作ったものではないという結論に達しております。
#35
○前川清成君 植村教授の弁明もそうなっているんですか。
#36
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村教授がどう言っているかというんですか。
#37
○前川清成君 はい。
#38
○国務大臣(鳩山邦夫君) 当然そのようにおっしゃっているようですが、自分が作ったものではないと。
 ただ、これは私は問題だと思っていますよ。いや、その発言がうそだとか本当だというんじゃなくて、同じ公法系ですからね。
#39
○前川清成君 実は、その点も本当に十分な調査がなされているのか、法務省が十分な調査をしたのか、私は疑問に思っています。
 ただ、一点御指摘をさせていただくと、この問題は憲法の問題であって行政法の問題ではないと、だから植村教授が作ったものではないという御答弁は、七月六日付けの答弁書の答えと矛盾をします。
 どの点が矛盾をするかといいますと、私は、どうして行政法なんかが司法試験の科目に選ばれたのですかという質問主意書を出させていただきました。それに対する政府の答弁書は、受験生の幅広い理解力を判定するため複数の法律分野にまたがる問題の出題も可能とするためだと、こういうふうにお答えになっているんです。憲法、行政法と、そういうカテゴリーを分けてきっちり区別をして問題を出すんじゃありませんよ、行政法や憲法、またがる問題についても出題するんですよ、こういうのが政府の御答弁でした。
 そして、現に今日理事会の御許可を得てお配りさせていただいていますこの十八問、これが純粋に憲法の問題なのかというと、実は地方公共団体の定める条例の保険料率に関することですから行政法にもかかわってくる、そんな問題なんです。また、植村教授は、現に行政法の勉強会と称して行政法の判決を四つ、憲法の判決を一つ紹介しています。その憲法の判決の一つがこの第十八問で問うた最高裁判所の十八年三月一日の判決なんです。
 ですから、植村さんが否定していますと、いやいや、植村さんは行政法だけれどもこれは憲法ですというような御答弁は、法務省の役人にもしかしたら大臣だまされている、そんな可能性があるんじゃないかと私は思います。どうか──後ろでちょろちょろするな──大臣、私の今の発言お聞きいただいていたと思います。その上で、御自身の御判断でお答えいただきたいと思うんです。
 この十八問というのは、ただ法律の理解、考え方を問う問題ではありません。問題を読んでいただいたら分かるとおり、十八年三月一日の最高裁の判決を知っているか知らないか、それだけの問題です。点からプロセスと言っておきながら、実はこれは点からプロセスではなく、点から重箱の隅つついとる、そんな問題なんです。こんな問題を出しておいて、試験の公正さが害されていないというようなへ理屈、私はまかり通らないと思いますが、大臣、いかがですか。
#40
○国務大臣(鳩山邦夫君) このジュリストに最近の重要な判例百選とあって、その中から、植村元考査委員が十ぐらいを、あれはメールで送ったのかな、何か文書で送ったかということがあったわけですね。
 この十八問を見ますと、私も疑問に思ったんです、先生と同じに、これ暗記物じゃないのと。法務省のお役人にしたらこんなの暗記物じゃねえかと。そうすると、読んだか読まないか、知っていたか知っていないかが重大な、答えが合うか合わないかの境目になりますね、境になりますね。こういう問題は余り良くないなと、私は単純にそう思ったわけです。
 実は私、恥ずかしながら、司法試験というのを何の勉強もしないで大学の四年のときに九百円の受験料を払って、赤れんがで払って受けに行ったことがあるんですよ。場所どこだったか覚えていません。司法試験って何だろうと思って、問題配られて、見たら、判例を知っていないと答えられないような、短答式ですよね、一次試験だから、それで私は実はその場で退席をしたんです。司法試験っていうのはこういうものかという経験だけして、問題をぱあっと見まして、十分ぐらいで退席をしたという記憶があるんですが。
 だから、これね、相変わらず、こういうのは短答式というか何というか、選択式の問題で、記憶力というか、読んだか読まないかが正誤の、何というか非常に重要な分岐点になるような問題はまあどうなのかなという疑問は持ちます。
#41
○前川清成君 私も問題についてはそう思っているんです。
 ちょっと後ろでちょろちょろするなって、邪魔だから。邪魔だから後ろをちょろちょろするなよ。大臣の気散るやろ。
 大臣、よく聞いておいてください。僕は今二つのことをお尋ねしたんです。ところが、後ろの役人にだまされて、大切な方の問いを聞いていただいていなかったみたいなんです。
 大臣、こういう知識だけを問う問題いかぬと、それはそうなんです。加えて、この根が深いのは、知識だけを問う問題で、四月十一日、先ほどの大臣の御答弁では、もう本番の問題が確定していました。確定した段階で司法試験考査委員が自分の教え子たちだけにリークしているんです。その試験の在り方、そして植村教授の行為がこれは漏えいそのものではないですかというお尋ねなんです。こっちをお答えください。
#42
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほどの、これは判例を知っているか知っていないかだけで決まってしまうんではないかということで私は問題ありと思っておりますが、これは最高裁の大法廷でしょうか小法廷でしょうか、大法廷、これはまあ有名な事件で新聞等にも出ているんだから知っていなくちゃいかぬと、こういうような言い方もあろうかと思っておりますけれども、これを漏えいという言葉を使うかどうか別にして、李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれずということからいえば、李下に冠を正し、瓜田にくつをいれた行為だとは思います。
#43
○前川清成君 この「重要判例解説」、今持ってきたんですが、これ十八年度版でおよそ百の判決が掲載されています。正確に言うと九十三だったかな、の判決が掲載されています。大臣が先ほどおっしゃったとおり、私はこれ自体を暗記する必要なんて全くないと思っています。というのも、例えばこれは四十一年から「重要判例解説」が出ています。今では四十冊。毎年百件ずつだったら四千件。その判決の結論を丸暗記していることが法律家の資質として必要かといえば、絶対に必要でないわけです。
 だから、まず第一に、大臣もおっしゃったとおり、この問題が不適切だと思います。と思うんですけれども、現に出されてしまって、植村教授は自分の教え子たちだけにこの判決は大切ですよ、覚えておきなさいというふうに流しているんです。すると、植村教授のメールを受け取って、植村教授のメールのとおり、考査委員が言っているんですから、ほとんどの人は実際にこの重判の平成十八年三月一日の大法廷判決を読んだと思います。植村教授のメールを受け取った人とそうでない人との間では試験の有利、不利が全然違うんじゃないですかというお尋ねをしたいと思います。
#44
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員が慶応義塾大学の法科大学院の学生に対して、こういう中から試験問題が出ますよと言ったわけではない。もちろん言ったら更に大問題ですけれども、こういう重要判例がありますよと、十を選んで示したのかな。そうですよね、違いましたかね。百のうち十……
#45
○前川清成君 五つ。
#46
○国務大臣(鳩山邦夫君) 五つ。で、最終的にはもっと絞って、まあ変な話だけど、これは余り関係ないでしょうみたいなことも言っているわけですから、これは極めて疑いを招きやすい発言やメールだというふうに思っております。
 ただ、さっき数字ありましたよね、今回の試験の結果を調べますと、慶応とそれ以外の受験生の正答率の差は若干にすぎないと。つまり、四・五%ほど慶応の学生が有利であったと。これは無視できない数字かとは思いますが、しかし、実は慶応よりも正答率が高い法科大学院が十二あると。植村元考査委員がこれを勉強しなさいよと言っているのに勉強しなかった慶応の学生もかなりいたということでしょうか。
 そういう意味で、関連性をどう判断するかというのは難しいということですよ。
#47
○前川清成君 大臣、ちょっとそれは国民の皆さんが、とりわけ今年落ちてしまった司法試験の受験生が納得できるような御答弁ではないと思います。
 それで、大臣、大臣が今正答率の比較グラフについて言及されましたので、私も今言いたくないことを一つ申し上げたいと思います。
 今年の六月のこの委員会で私は大和都市管財の判決について質問させていただきたいと事前に通告しました。判決を持ってきてくださいねとお願いして、その日の九時か十時ごろまで会館でお待ちしていました。ところが来ませんでした。いつ持ってくるんですかと聞いたら、その質問の終わった日の九時か十時に持っていきますということだったんで、いつ使うねんというふうに腹を立てたことがあります。それ以来、ちょっと法務省からの資料提供については疑わしいと思っているんですが。
 実は、先ほど申し上げたとおり、昨日の朝に松岡理事から今日質問しろというふうにおっしゃられました。今の国会、いろいろ動いてない時期も多かったので、私はこの司法試験に関する資料を全部奈良に置いていました。仕方ないので法務省にお願いして、もう一度民主党の法務部門会議に提出した資料をいただけませんかとお願いをしました。持ってきていただいたんです。持ってきていただいたんですが、よくよく見ますと、今その大臣が見られた慶応大学の公法系第十八問の正答率が二六・五七%、非慶応が二二・〇五%、このグラフだけが入ってなかったんです。
 意図的なのかどうなのかは知りませんが、数字で明らかに四%以上の差が出ている。動かぬ証拠を今日質問すると分かっている私に見せない。これはやり方が汚いんじゃないかなと私は思っているんですが、大臣、そんな感想はお持ちになられませんか。
#48
○国務大臣(鳩山邦夫君) 事務方は確実にこの資料は入れたと今言っておるんですが。
#49
○前川清成君 入ってない。
#50
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私としてはそれ以上のことは言えないので、事務方は確かに先生にお持ちしたと言っておるんですが。
#51
○前川清成君 大臣、こんなことでうそついても仕方ありませんので、私は全部資料を見直した後、このグラフだけは民主党の政策調査会へもらいに行きました。これだけ入っていませんでした。
#52
○国務大臣(鳩山邦夫君) これですね。
#53
○前川清成君 はい。この折れ線グラフ、これだけ入っていませんでした。ちょっとその点も、大臣、厳しくその体質、法務省の体質を是非見ていただきたいと思うんです。
 時間があれば後でB型肝炎訴訟における訟務検事の対応についても取り上げたいと思うんですが、どうも、正義や公平を守るべき役所でありながら、やることがうさん臭いというふうに思えて私はならないんです。今回の司法試験の問題でもいろいろ弁解するけれども、現に植村教授がこの判決は大事ですよと、百ある重要判例に掲載されている判決の中から行政法四つ、憲法はただ一つ示して、勉強しておきなさいよと言った。たった一つしか示していない憲法の判決がそのまま本番に出る。しかも、基本的な理解があれば自分で考えて解ける問題ではなくて、ただ知っているか知らないか、暗記しているか暗記していないか、読んでいるか読んでないか、明らかに差が出る、そんな問題が出されている。
 これは、大臣、どう考えても怪しい、それが国民の素直な感情だと思うんです。大臣はこれ怪しいと思われませんか。
#54
○国務大臣(鳩山邦夫君) 怪しいと思います。
 つまり、私は前から申し上げておりますように、それは怪しいと言い切ることが場合によっては失礼、非礼に当たっているかもしれませんが、怪しいと私が思うに足る十分な資料、状況があると思います。
 というのは、今、先ほどから先生がるる御説明されたように、百の判例のうち十だか五つだか、今行政法四つ、憲法一とおっしゃいましたが、要するにそれが出たわけですよね。同じ公法系ですから今は、法律、我々のときは憲、民、刑とか分けたけど、何というんでしょうか、法際的というんでしょうかね、憲法と行政法でもその境目がだんだんくっついてくるようなそういう感覚で公法系ということになっているわけですから、公法系同士は当然接触、行き来がございますので、植村元考査委員がその問題を出題する可能性を知り得ることは十分にあり得たと、私は非常によくないことであるという認識を持っております。
#55
○前川清成君 くどいようですが、この公法系短答式の第十八問、これは植村教授が作成した問題ではないのですか、あるいは作成したんですか、それともまだ分からないですか。どちらですか。
#56
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは法務省や我々の調査の結果でございますから、一〇〇%の確度という自信があるかといえばもう一度調査しなくちゃならぬと思いますけれども、私が知り得ている情報ではこの問題を作ったのではない、問題を作成したのは植村元考査委員ではないと。しかし、同じ公法系であれば知り得ている可能性があるから私は大問題だと申し上げており、私の認識はそうです。
#57
○前川清成君 それでしたら、固有名詞を今ここでお答えいただかなくても結構ですけれども、この公法系の十八問、例えば、原案を作ったのは考査委員のだれだれさんで、それをだれだれさんとだれだれさんとが検討して完成させたとか、そういった調査も済ませていただいていて、その検討を加えたグループの中にも植村教授は入っていなかったということでよろしいんですか。
#58
○国務大臣(鳩山邦夫君) この問題を最初に、最初にというのか、この問題を出したらどうかと言った方がだれであるとか、そのときに同席したり相談したり、仲間がだれであるかという調査はしたようでございます。この場で言えることではありませんし、もし必要であれば先生の方に資料をお届けすると思いますが。
 それで、そういう中に植村元考査委員は入ってはおりません、作った人にも、その場に居合わせた人間にも。しかし、同じ公法系ですから知り得た可能性は十二分にあると。私は、だから知っていた可能性、非常に高いから問題だと申し上げているんです。
#59
○前川清成君 今大臣の御答弁の中にも、植村教授がもしかしたら知り得る、そういう立場にあったのではないかと。国民の目から見たら同じ司法試験考査委員ですから、かかわったというふうに疑わざるを得ないと思います。
 ついては、是非一度理事会で植村教授をこの参議院法務委員会に参考人としてお招きすることを御協議いただきたいと思います。委員長にお願いいたします。
#60
○委員長(遠山清彦君) ただいまの前川委員の御提案につきましては、後刻理事会で協議をいたしたいと思います。
#61
○前川清成君 それで次に、この植村教授の答案練習会等々に慶応大学が関与していたのかどうか、この点について調査は終わっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#62
○国務大臣(鳩山邦夫君) 慶応大学という組織がですか、この事件にですか、それとも調査したかというんですか。
#63
○前川清成君 調査をしましたかと。
#64
○国務大臣(鳩山邦夫君) 調査は慶応大学もしていると思います。
#65
○前川清成君 それで、例えば不適切な行為だということで、答案練習会をした、あるいは受験指導をしたということが不適切な行為だとして法務省は植村教授を考査委員から解任しているわけですけれども、その答案練習会に慶応大学自体がかかわっているんですか、その点をお調べになったんですかというお尋ねです。
#66
○国務大臣(鳩山邦夫君) その答案練習会が慶応大学の中の施設で行われた事実は認められております。正規の課程外でこういうことが行われているわけでございまして、他の、組織慶応大学法科大学院という形での関与は認められておりません、確認されておりません。
#67
○前川清成君 今のお答えは、慶応大学の場所で、慶応大学という場所を使って答案練習会は行われたけれども、それについて慶応大学はあずかり知らなかったと、かかわっていなかった、そういう御答弁ですか。
#68
○国務大臣(鳩山邦夫君) 疑えば切りがないんですが、私どもが知り得ている情報では、単独行為というんでしょうか、植村元考査委員が七回も慶応の、名門慶応義塾大学の構内で施設を使って練習会をやったということですが、慶応義塾大学法科大学院が、あれは名前は違うんですよ、法務研究科というんでしょうか名前は、慶応の、が組織で何かした、関与したというふうにはとらえておりません。
#69
○前川清成君 慶応大学はそうお答えするのかもしれませんが、その答えについて私は一つ疑問に思うのは、大臣今おっしゃったとおり、七回慶応大学の教室が使われているわけです。大学も知らないで植村さんと何百人かの学生が構内の施設を不法占拠するわけにはいかないだろうと。慶応大学も分かっていて教室を使わせた。そういう意味において、慶応大学が主犯とは言わないけれども、慶応大学がこの答案練習会に関与していたこと自体は否定できないのではないか、それが常識的な事実認定ではないかと思うんですが、大臣いかがですか。
#70
○国務大臣(鳩山邦夫君) つまり、植村元考査委員が、私も冒頭申し上げたように、七回もやっているわけですね、七回も。そのたびに教室を使うのに何らかの手続をしておるわけですね。だから、それを慶応義塾大学の事務の職員は知り得ているわけですね、こういうことに使うということを、七回も。だから、慶応義塾という組織が植村さんという人がそういうことに使っているということは知り得る立場にあったんでしょう。ただ、ただし、そのことを問題視するという、あるいは大いにそういうのをやって合格率高めようなどというような、そういう組織的な関与は認められないということです。
#71
○前川清成君 司法試験考査委員に対しては受験指導は禁止していると、こういうふうに御答弁いただきました。それは、司法試験考査委員個人に対する法務省からの指示なのか、個人はもちろんだけれども、その考査委員が所属する大学なり法科大学院に対しても同様の指図をしているのか、その点いかがですか。
#72
○国務大臣(鳩山邦夫君) それぞれの考査委員に受験指導をしないようにというふうに今回からしているわけで、厳しくするようになったわけで、先ほどの質問でお答えしましたけど、平成十八年十月四日段階では、組織法科大学院にしているのではなくて、各考査委員に対して答案練習の指導とかそういう疑わしいことをやらぬでくれというふうに、こういうのは何というんでしょうか、指導というんでしょうか指示でしょうか、しているわけで、大学に対してはしていないようですね。
#73
○前川清成君 実は、この植村教授の問題はもしかしたら根が深くて、植村教授に対する解任がトカゲのしっぽ切りではないのかなというふうに思える節もあります。
 というのは、慶応大学の、これは法科大学院ではないんですが、司法研究室という組織がありまして、ここで答案練習会がやはり七回行われました。刑事訴訟法については一回だけ行われました。その一回の刑事訴訟法の言わば模擬試験の問題が今年の本番の問題とぴったり同じでした。で、その出題者は法務省から慶応大学法科大学院に派遣されている検事だということです。
 この事実については既に法務省においてお調べ済みなんでしょうか。
#74
○国務大臣(鳩山邦夫君) 派遣検事のことですね、お尋ねは。
 法務省から検事の身分のままで、これは、慶応ですかこれも、慶応義塾大学に法科大学院に二名教授として行っているんでしょうか。で、この人はもちろん考査委員ではないわけですが、ぴったし同じ問題が出たというふうに私は認識しておりませんが、そうですね、正確に申し上げますと、確かに法科大学院に派遣されている検事が、法科大学院での業務とは別に、同大学の司法研究室という法科大学院とは異なる組織からの依頼に応じ、司法研究室が実施した答案練習会において刑事訴訟法の出題をしたという事実が確認されておりまして、これも疑いを招くようなことがあってはいかぬというふうに思っております。
#75
○前川清成君 大臣、よく聞いてくださいね。私は、現職の検事が法科大学院で教鞭を執ってはいけないと、そういうことを言うつもりは全くありません。それこそ実務と試験との橋渡しをするという意味で、裁判官であろうと検事であろうと弁護士であろうと、法科大学院で教鞭を執ることはむしろ望ましいことだと思っています。
 私がお尋ねしたいのは、実にここにあるんですけれども、慶応大学のその刑事訴訟法の答案練習では、まあ事例は示された上ですが、捜査手法として写真撮影が許されるのかどうかということと前科を証拠として提出することができるのか、この二点が問題になりました。今年の本番の問題は、捜査手法としてビデオ撮影が許されるのかどうかということと前科を証拠として提出できるのか、この二点が問題になりました。論点としては全く同じなんです。
 この法務省から派遣されている検事は考査委員ではないということも承知しております。ですから、考査委員が漏えいしたとは申し上げておりません。ただ、一回しかやっていない答案練習で全く同じ問題が出るというのは、これは針の穴に象を通すような難しい作業ではないのかと、こんなことがどうして可能なんですかと、これについて必要な調査はお済ましになっているんですかどうですかというお尋ねです。
#76
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のように、この派遣検事は考査委員ではありません。ただ、その司法研究室というところで答案練習会をいたしまして、刑事訴訟法の出題をしたわけですね。その当該派遣検事が出題した問題と司法試験の実際の問題とを比較したところ、共通する論点も含まれてはいましたが、事案自体が相違しており、論ずべき範囲、論点の重点等についても明らかに異なっているものでした。
 そういう意味で、共通する論点についてもあるんですが、近時注目すべき判決が出されるなど、受験生としては勉強しておくべきことが必須の論点である、つまり重要で、これは最近の事柄からも知っておいてほしいということで、この分野からの出題が偶然重なるのは何ら不自然ではないと考えております。済みません、読みました。
 ただですね、ただ、だから、私は、先生おっしゃったように、検事さんが法科大学院に行くのは大いに結構だと思います。もちろん裁判官も行くわけですから、実務家、非常にいいんですけど、常にこの答案練習会というのが問題になるのが私は余り愉快ではありませんね。答案練習というのは、それは模擬試験というか、練習練習と。そうしたら、法科大学院というものは本来点を線にするという考え方なのに、またこの試験一点に絞って練習会だ練習会だというのは、私望ましい現象とは思いません。
#77
○前川清成君 事例が違うのはそのとおりなんです。でも、事例で全く本番と同じような事例を出すようなあほうはいませんよ、ばらすにしても。ただ、論点は全く一緒なんです。すると、この問題を、この答案練習を受けていた受験生とそうでない受験生とでは、それは、勉強しておけと、何でも勉強しておけというたらそのとおりですけど、明らかに有利、不利があるのは否定し難い事実だと私は思います。またこの点についても時間があれば詳しくやりたいと思うんですが。
 実は、この植村教授は行政法の研究者。行政法というのは、大臣おっしゃっていただいた、私たちのころは試験科目にはありませんでした。この新司法試験になって加わりました。
 この行政法がなぜ加わったのかと。私は別に必要がないのではないかなと、そう思っています。なぜならば、平成十八年の全裁判所の新受件数、民事事件が二百六十一万二千九百二十一件、これは最高裁の司法統計年報で見ました。民事事件が二百六十一万二千九百二十一件、これに対して行政事件は八千二百十八件。民事事件のわずか〇・三%しかありません。
 私は、二〇〇四年に送っていただくまでにちょうど十五年弁護士をやりましたけれども、行政事件をやったことは一度もありませんし、相談を受けたこともありません。こんな特殊な知識について、司法試験、しかも足切りをする短答式試験の科目にまでする必要があるのか。例えば、昨日和解勧告がありましたC型肝炎訴訟、あれは行政事件ではありません。不法行為、民法七百九条で争われています。行政事件というのはダムを造るなとか道路を造るなとか、そんな裁判です。
 そんな裁判をするための知識や技術を足切りの短答式試験に出し、あるいは司法試験本番の問題で採用する必要があるのかどうか、大臣にお尋ねしたいと思います。
#78
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のおっしゃるお話は私も分からないでもないです。それは何たって刑事事件だ、民事事件だ、国賠だという事柄が圧倒的に多いわけですが、ただ世の中が非常に複雑化してきて、行政の役割も、昔の非常にアバウトなものから非常に細かい領域まで細かく行政が決めていくという状況がある。それは、私が大学を卒業したころと現在とは随分違うと思う。つまり、私が国会議員になってつくづく思ったのは、大学で想像した法律と国会で審議される法律が随分違うと、やたら専門的な行政分野の法律が多くなっているなと、そういう印象を持ったのは事実でございますので、これからは、プロフェッショナルスクールである法科大学院において必修科目となったのもそういう理由だろうと思いますし、立法や行政に対する司法のチェック機能を高めるという、そういう期待から行政法が入ってきたのかなというふうに思います。
 確かに、先生おっしゃるとおり、私が行政法は大学で、先生の顔は知りませんが、友達のノートを借りて試験は受けていた記憶があって、随分特殊な領域だなと当時思ったのは事実です。
#79
○前川清成君 私、さっきC型肝炎訴訟、民法七百九条と言ってしまったかもしれませんが、国賠法ですので、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
 それで、行政法が必要なのかどうかについてこれは例として挙げたわけで、私は先ほどの、判決の結論だけを知っている、そういうのはやめたらどうかと。要は、基本的な知識を、しかも大切な知識を問う、正面から問う。知っているか知っていないか、暗記しているかしていないか、そういう司法試験の問題を出すことは、司法試験の問題に合わせて受験生たち、法科大学院の学生たちは勉強しますので、法曹の、日本の将来を支える裁判官、弁護士、検察官のレベルを引き下げてしまうのではないか。そういう意味で、司法試験にどういう問題が出るのかというのは私は大変大切なことなんではないかなと、こういうふうに思っています。
 その点で一点お尋ねしたいのが、今年のいわゆる二回試験、考試で司法修習生七十一名が不合格になったという話であります。
 私は、昭和六十二年に司法試験に通りました。そのときの合格者が四百八十九人、平成二年に司法研修所を卒業したときの合格留保者はゼロ人でした。翌平成三年の四十三期の方々は五百十二人が合格されて、二回試験の合格留保者はゼロ。四十四期の方は五百六名合格されて、合格留保者は四名ですけれども、追試で全員通られて不合格者はゼロ。平成五年、四十五期の方は四百九十九名通られて、合格留保者が一人、しかし追試で合格されて不合格者はゼロ。合格留保者の割合ですが、二千六人中五名ですから、四年間で〇・二%になります。
 ところが、司法試験の合格者が増え始めたころからこの合格留保者の数がどんどん増えていきました。平成十三年に合格された五十六期は九百九十人ですけれども、研修所卒業時の合格留保者が十一名になりました。最終不合格者はゼロでした。十四年に合格された五十七期は千百八十三人、十六年の研修所卒業時に合格留保者が四十三名、不合格者が三名、追試不合格者が二人出まして、最終的に不合格者が五名。十五年に合格された五十八期は千百七十人、十七年の研修所卒業時の合格留保者は三十人、不合格者は一人、最終不合格者は二人になりました。十六年度に合格された五十九期は千四百八十三人。従前の千人から約千五百人に更に合格者が増えたわけですけれども、十八年度の研修所卒業時の合格留保者は九十七人、不合格者は十人。追試に六名不合格になられて、最終不合格者は十六名。
 四年間で修習終了者四千八百二十六人のうち百八十一人が合格留保、割合にしますと三・七五%になります。平成二年からの四年間で〇・二%ですから、約二十倍合格留保者が増えたことになります。今年、制度が少し変わったということなんですが、最終不合格者が七十一名になりました。
 合格者の増員に質の確保というのが追い付いてないのではないかなという心配を私はしています。弁護士が増えればそれだけで正義の種が増えるわけではないと思っています。合格者を増やした。五百名のころは二年間の司法修習でした。合格者を増やしたんですから、一般的に考えますと合格水準は下がっているはずなんです。ところが、司法修習の期間は二年から一年六か月に短縮されて、千五百人になって更に修習期間は一年六か月から一年に短縮されました。普通は、合格水準が下がったんだったら修習期間は従前より充実させようというのが物事の筋道ではないかなと私は思っています。
#80
○委員長(遠山清彦君) 前川委員の質疑時間、終局しております。おまとめください。
#81
○前川清成君 はい。じゃ、これで終わりますけれども、残念ながら。
 やはり必要なお金も掛けないと正義の種はこの私たちが暮らす日本から減ってしまうんじゃないかな、やみくもに司法試験合格者を増やすだけではかえって私たちが心配する方向に行ってしまうのではないかなと従前から考えておりますので、最後にこの点について大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#82
○国務大臣(鳩山邦夫君) 司法修習の期間についてのお話等もありまして、それも確かに短縮をしてきておりますから、本当にそれでいいのかということはもう一度考え直すべきだと思うし、法科大学院で多少は実務的なことの初歩もやったんだからもっと短くていいと、こういうようなことがあろうかと思いますが、私が所信表明の中で、法曹人口というか、司法試験合格者の数三千名は平成二十二年に実現をいたしますが、その後ずっと三千名も合格させていいのかということについては多過ぎるのではないかという観点から検討をしたいというようなことを書きましたが、それは先生から御質問のあった事柄と密接に絡んでおると思いますので、先生の問題意識と私の問題意識はそれほど遠くないというふうに思っておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
#83
○前川清成君 終わります。ありがとうございました。
#84
○木庭健太郎君 今日は、今年からPFIで刑務所が幾つかできるようになりました。十九年四月からは我が国初のPFIの刑務所、美祢社会復帰促進センターが収容を開始いたしましたし、また十月からは播磨社会復帰促進センター、東日本初のPFI刑務所の喜連川社会復帰促進センターも十月から開所したばかりであり、二十年、来年には十月、島根あさひ社会復帰促進センターの開所が予定をされていると。
 このPFIの刑務所の形態、もう御存じのとおりでございますが、建設から施工、管理、そして収容監視のようなものは民間に任せながら、その一方で、刑務所の本質的機能についてはこれは法務省、これまでどおり行うという混合形態の初めてのものでございます。
 いろんな特徴を持っているものでございますが、ある意味では期待されてスタートしたばかりでございますし、それぞれの刑務所につきまして特徴なり収容規模なり、簡潔に御説明をまず事務当局からいただきたいと思います。
#85
○政府参考人(梶木壽君) いわゆるPFI刑務所につきましては、官民共同による運営や地域との共生を実現することによって、国民に理解され支えられる刑務所を整備しようという考えの下で事業を進めております。
 今読み上げていただきました美祢が千名の施設、播磨社会復帰促進センターも千名の施設でございます。喜連川と島根あさひがそれぞれ二千名の施設ということでございます。これらの四施設は、いずれも犯罪傾向の進んでいない受刑者を対象としております。いずれの事業におきましても、民間事業者のノウハウを活用するとともに、地域からの様々な協力を得ることで受刑者に対して質の高い矯正教育、職業訓練を実施しようということで、再犯防止に資する刑務所運営を目指しております。
 一例を申しますと、美祢では、全受刑者に対しまして基礎的なパソコン技術の習得を目的とした職業訓練を行っております。また、心理療法を取り入れた教育プログラム、これも実施しております。喜連川、播磨におきましては、身体障害を有する者で養護的な処遇を必要とする者、あるいは精神疾患、知的障害を有する者で社会適応のための訓練を必要とする者、こういう人たちに対して専用の区画を設けておりまして、理学療法士あるいは作業療法士を始めとした専門スタッフによって処遇を行っていこうと考えているところでございます。
#86
○木庭健太郎君 今おっしゃった中で、こういう施設というのは地域との連携、その後社会へ復帰していくわけですから、そういった地域、言わば地元の方たちにどう理解していただけるかというのが一番のポイントの一つになると思うんですね。これだけじゃなくて、自立更生センターもそうですけどね。
 そういう意味では、美祢が今回初めて、何か地域住民向けの婦人科診療まで行うというようなことも取り入れる、そういう工夫もされていると聞いているんですが、具体的にどういう取組になっているのか。また、こういう問題について、刑事施設視察委員会から地域貢献とかそういう問題でも御指摘もされているようでございます。この辺も含めて、事務当局からこれも御説明をいただいておきたいと思います。
#87
○政府参考人(梶木壽君) 今の婦人科診療について御説明をさせていただきます。
 美祢社会復帰促進センターの中には、受刑者の健康を管理するために診療所を開設しております。この管理運営については美祢市に委託をしておるわけでございます。そして、受刑者の診療を行うとともに、その支障のない範囲内で地域住民の方にこの施設あるいは診療を受けていただき、利用していただいて地域医療の充実にも貢献したいというのが我々の考えでございます。
 現状は、御承知のとおり、全国的に産婦人科医師の確保が非常に難しい状況にございます。我々もちょっと努力をしておるわけでございますが、現状は山口大学医学部の御協力を得まして、取りあえず女子受刑者に対する婦人科医療、婦人科診療を実施しております。この実施状況を踏まえながら、関係機関にも働き掛けて、できる限り早くこの施設の市民開放ができるようにということで努力しているところでございます。
#88
○木庭健太郎君 ともかく、そういったせっかく始めたもの、きちんと地域へ開けるような形への処理を、処理というかやり方をやっていただきたいし、その問題だけじゃなくて幾つかもやってもらいたいんですけどね。
 ただ、美祢の今社会復帰促進センターが、先ほど定員のお話ありましたが、千名のところに対して、私が聞いている範囲では九月末で男性が百五十四人、女性が百六十人で三百十四人ということで、定員からすると三分の一程度。播磨と喜連川がそれぞれどうなっているかちょっとまずはお聞きしたいんですけど、こういったせっかく造ったものと実際の利用の問題ですね、少し差が出てきているような気もするんですけど、この辺、PFI刑務所の現在の収容状況というか、その辺をちょっとまずお聞かせ願いたいと思うんです。
#89
○政府参考人(梶木壽君) 今年十月三十一日現在の収容状況を御説明いたします。
 五月から収容開始いたしました美祢社会復帰促進センター、収容定員一千名のところ、男子百七十八、女子百九十三、合計三百七十一人でございます。十月から収容開始いたしました喜連川につきましては、二千人のところが百六名、同じく十月から収容開始しました播磨社会復帰促進センターにつきましては、収容定員千名のところ百三十五人ということでございます。
 この喜連川と播磨につきましては、施設を円滑に立ち上げるために、施設の管理運営を担当できる受刑者をまず入れたというのが現状でございます。
 美祢につきましては、この美祢の教育、処遇にふさわしい受刑者を近隣の刑務所に集めておきまして、それで順次美祢に移ってもらうということをやってきたわけでございます。現在も引き続き近隣の刑務所から美祢に移ってもらうと同時に、全国的に新たに刑が確定する受刑者が毎年三万三千名ほどおります、その中から適格者を選んで美祢の刑務所に順次収容していこうというふうに考えているところでございます。
#90
○木庭健太郎君 つまり、このPFIの刑務所、さっき御説明があったように、初犯というか、まず軽い方たちというか、そこを対象に考えているわけですよね、施設の在り方からいって。ただ、現実に、もう犯罪白書がつい最近発表されたばっかりですけれども、現実の社会がどうなっているかというと、実はどちらかというと再犯者という問題が大きな問題になってきて、しかも、刑務所の現状というのはごらんのとおり、これはもう従前からこの委員会で何回も議論しましたが、過剰収容の問題がいつもテーマになっていると。
 つまり、いろんなことが起きている現状と法務省が一生懸命やろうとしていることの誤差というか、その辺がどうマッチしていくのかというのが非常にちょっと、せっかく新しくやり始めているんですけれども、ミスマッチみたいなことが起きてはしないかということも心配でございまして、やはりやる以上、この過剰収容対策というのもこれ大事な問題で、これをどうしていくかという問題が、これは法務省にとっても、また私たちにとってみても、やっぱり過剰収容というのは人権の問題を含めておかしな問題になっているわけですから、これを解決するのは一つの大きなテーマ。
 この両方の問題を含めて、PFI刑務所とこの過剰収容対策というか、やっぱりこの辺のことも少し、これは事務レベルでも結構ですけれどもお答えをいただいた上で、大臣から是非、今後、この刑務所の過剰収容の問題について、このPFIの問題も含めて総合的にどう取り組むかということも御答弁をいただければと思います。
#91
○政府参考人(梶木壽君) まず、私の方から数字の点を御説明させていただきます。
 先ほど申しましたように、毎年、刑が確定をして我々の施設に来る者の数が約三万三千人おります。いわゆる累犯者、再犯者、あるいは刑期が八年以上の者、つまり長期の刑の者、こういう人たちが約その半数おります。したがいまして、この美祢とか喜連川とかというところに入る対象の受刑者は一万人を超す数としてはあるわけでございます。ただ、帰って行くべき社会から余り遠くに離してはいかがかとか、いろんな問題があるものですから、我々はそういうところを勘案しながらこの施設を活用していきたいというふうに考えているところでございます。
#92
○国務大臣(鳩山邦夫君) 木庭先生の問題意識というのは私も感じておりまして、私も美祢と喜連川のこの間のオープニングに参りまして、あそこは初犯の方で、更生しやすいという言い方はいけないんでしょうが、初犯の方でございますから、非常に明るい雰囲気で運営できるだろうというような、そういう構想になっているわけです。
 反面、過剰収容問題というのがあって、府中刑務所に参りますと、二千数百人おられる方々が平均で四・五回目とか六回目という状況であって、何か赤いレッドゾーンみたいなところもあるんですね、非常に危険な人が入っている。そこが過剰になっておりました。
 実は私、あのときは河井副大臣も一緒でしたよね、府中、政務官も一緒でしたね、古川政務官。行って帰った翌日に、まあストレスだろうと思われますが、殴り合いがあって、一人年配者が亡くなってしまうと。ちょうど我々が行った翌日に事件が起きているわけですね。
 だから、そういう人たち、累犯累犯で来て非常に扱いにくいというか、矯正するのに困難を伴う方たちと、明るいPFIで初犯の方たちと、嫌な言い方ですけど、やっぱり需要と供給がうまく合うようにしなければいけないんだろうなと。その辺は矯正局も一生懸命考えていることとは思いますが、ミスマッチがあったらいかぬなという気がすごくしております。
 つまり、PFIのやっぱり手法を使うとつくりやすいし、それによって定員が増えますよね。今年だって年度末に七千五百人の収容能力、まだ先生がおっしゃったように収容している人数は少ないけど、これ徐々に入っていけば七千五百人収容能力が拡充しますから、今単純計算で一〇五%とか一〇六%とか過剰収容であふれている、まあ電車の何か乗車率みたいですが、それが一〇〇%にはなると。でも、その中身にミスマッチがあったらやっぱり困りますので、慎重に検討していきたいと思います。
#93
○木庭健太郎君 収容とともに、先ほど申し上げたように、どうしても再犯問題が起きていくという背景は、もうこれもさんざん論議しているんですけど、やはり出所した方々の職、働けるかどうかということが極めて大きな問題の一つであって、この問題も様々な指摘の中で、総合就労支援ということで様々な対策が今取られていることも事実でございまして、例えば体験講習してみたりトライアル雇用をしてみたり身元の保証システムの問題というのがあってみたり、今法務省としては総合的就労支援対策というものを進めていただいているわけでございますが、これはもう最もそういう意味では、もちろん過剰収容、収容対策ということも大事なんですけど、それ以上に、就労支援対策というのが言わば国の中で一番法務省にとって大きなテーマの一つだとも私ども思っています。
 特にその中でも、少年の就労支援という問題については様々な取組もこれまたしていただいて、私どももこれ、体験をまじえながらできるようなものができないかということで、その一つの在り方が、実は十月に北海道に沼田町に就業支援センターというのが開所しているんです。ここは少年院の仮出所者を対象として、農業実習を通じて、言わば土に触れ合うことで再犯防止としての保護施設、更生保護を図ろうというもので、極めてユニークな取組で、是非ともこれ成功していただきたいし、我々としてみても、これが一つ大きな流れになってもらえないかなという思いを持っているわけです。
 ただ、開いたばっかりということもありますけど、現在は定員がこれ十二人なんですけど、今のところどうかというと、お一人という現状なんです、それはそれで。ただ、だから、地域と触れながらやっていくということは大変いいことだし、是非とも効果を上げていただきたいと思っているんですけど、前回、古川政務官に聞けませんでした、今日はきちんと御質問をさせていただきたいと思うんですけど、この立ち上がったばかりの就業、沼田町のセンターについての、大体こういうことを考えながら、ともかくこれからは人数も増やしながら頑張りたいということだろうと思うんですが、その意欲も含んで、お伺いをしておきたいと思います。
#94
○大臣政務官(古川禎久君) ありがとうございます。
 先月四日に開所式を行いました沼田町の就業支援センターでございますが、このセンターにつきまして期待される処遇上の効果、処遇上の計画について御報告申し上げます。
 旭川保護観察所に付設した国の施設に、主として少年院を仮退院した少年たちを入所させ、原則として一年間にわたり保護観察官が直接かつ濃密な処遇を行う下で、沼田町が設置、運営する実習施設において、先生御指摘になりましたように、野菜や花の栽培、肉牛の飼育などの農業実習を行うことにより少年たちの改善更生と再犯防止を図るものでありますが、その効果としましては、例えば、豊かな自然の中で生活することによって高い情操教育効果や心情の安定をもたらすであろうこと、自らの努力が収穫に直接つながることによって達成感を感ずることができ、自信や自立の精神を養う上でも効果があるであろうこと、過去の交友関係から切り離された落ち着いた環境の下で規則正しい生活を送ることによって改善更生の意欲が養われるであろうことなどがあると期待しております。
 農業実習や集団生活訓練、地域における高齢者介護のボランティアですとか、そういう様々な機会を得て集団生活訓練等を行いまして、各人の特性に応じたきめ細かい日常生活指導を実施することによって改善更生と再犯防止が上がりますように期待しておるところであります。このような試みが是非効果、実績を上げまして、今後拡大していきますように期待をしておるところでございます。
#95
○木庭健太郎君 もう一つ、この沼田町のいいところは何かというと、結局、例えば駐在の保護司さんを置いてみたり、農業団体がそういういろんなことの指導のときにお手伝いしていただいて、言わば地域住民の方々がある意味じゃこの施設そのものを支えていこうということで非常な一体感ある取組をしていただいている、これが一番の特徴なんですよ。
 こういうことができていけば、その後の就職の問題も含めていろんなことができていく。私は、やっぱりこういうものをやるときに、地元住民の理解というか、それが本当に必要なんだなということを思い返しながら、うまくいっているケースを深く思いを致しながら、何を言いたいかというと、実は私の地元福岡に自立更生促進センターという構想があったんですけれども、なかなか地元住民の理解が、というより、ちょっと建てようという位置がとても、小学校の正門前に、ちょっとこれはやり過ぎの気もして、そういう署名もあって、法務省として今地元住民とよく理解を取るようにと、それまではじっと見守っていらっしゃるということを聞いていますので、これは別に答えは要りませんから。
 でも、しっかりそういう住民との理解という問題をやっていただきたいなということを、成功しているところを見れば見るほど思いますので、是非ともこの住民等の理解という問題をこういう施設を造るときはもうまず心掛けていただきたいということを申し上げた上で、そして、最後に法務大臣にお聞きしたいのは、やっぱりこういうものというのは、単に法務省だけの取組じゃなくて、結局、この後の問題へ行けば、就職という問題になっていけば、就職先の問題、雇用主の問題、いろんな問題を考えると、厚生労働省の関係であってみたり、その他、この場合だったら農業団体であってみたり、言わば協力関係が、役所であってもいろんなところがかかわってくる問題があると思うんです。
 だから、いろんなこういうところの就職支援センターなりを出る、出所後、自立と就業みたいな問題になってくると、やっぱりいろんな機関との連携強化の問題になってくる。そうなると、ここはやっぱり大臣がそれこそ折衝していろんな調整をしていただくことがいろんな意味での出所後のその人たちの職を確保する意味で大事になってくると思うので、その点について法務大臣から伺って、私の質問を終わります。
#96
○国務大臣(鳩山邦夫君) 木庭健太郎先生御質問の件は、たまたま、この間の閣議で犯罪白書を私が簡単に説明をしたんですね。そうしましたところ、総理大臣からも御質問があったりして、そこで案外議論が沸きまして、結局就労の問題ではないかと。つまり、私が提起した問題は、再犯が多いということが治安の悪さにつながっていると、とにかく初犯を再犯にさせないと、再犯になると再々犯とどうも行ってしまうと。だから、福田総理は私にこういう質問をされた。四回ぐらいになってしまう人、前科四犯というか、に五回目、六回目をとどめるというのはやっぱり非常に難しいんでしょうかとおっしゃったので、それはやはりかなり難しいんではないか、初犯から再犯、ここを何とか矯正して抑える、そのことが大事だと私が説明したら、例えば甘利経産大臣は、中小企業庁の方ともよく話をしてみるというようなことも言われている。
 ですから、木庭先生おっしゃるように、この就労の問題が何よりも大きいだろうと、だから従来更生保護法人の方々にもいろいろ頑張っていただいていますけれども、この先生御指摘の沼田の就業支援センターは正に仮退院をされた少年たちに農業を教え込んで農業関係で頑張ってもらえれば一番いいと。まあまだ一名じゃちょっとしようがないんですが、そういう理想を持っているわけですから、これは本当に各官庁と話せるだけ話して、もちろん厚生労働省は当然ですが、頑張っていきたいと思っております。
#97
○木庭健太郎君 終わります。
#98
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。私も、今日は司法試験の漏えい問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 前川委員から先ほど詳しくございましたけれども、これは法曹養成、その中核にあるロースクール、そして新司法試験制度、この根幹に対する、公正さ、公正らしさに対する著しい決定的な不信を受験生を始めとして国民の皆さんに今広げているわけです。更に私が問題だと思いますのは、司法試験委員会、その事務局は法務省ということでございますけれども、この植村氏の漏えい問題の発覚の後に行われた一連の措置や対応が更に受験生や国民の皆さんの不信を深めているということなんですね。
 先ほど前川委員が取り上げられました短答式十八問の点について大臣御答弁があったんですが、その四月の十一日に植村さんが出したメールでどんなふうに言っているかと、ちょっとあえて紹介をしたいと思うんですけれども、平成十八年度の重要判例が刊行されたから、その中で重要そうな判例を幾つか選んで判旨ポイントを作りましたと。これは憲法から一件、行政法から五件なんですね、六件。この後にこう言っています。行政一事件は租税法選択者以外は不要と思います、行政法四と五はちょっと個別的な話なので取りあえず今回は後回しの扱いでいいでしょう、行政法九も今の段階ではやや事例判決的なものかと思いますということで、六件の判例が重要だということをあえて選んでポイントを作っておきながら、判旨ポイントを作っておきながら、そのうちの四件は軽いですと言っているわけですよ。残ったのが行政法の一つとそれから憲法の一件、その憲法の一件が正に的中をしたということなのであって、こういったものを示唆というのではないんでしょうか、大臣。
#99
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど、前川先生の御質問にもできる限り自分の思いを織り込んで御答弁をいたしたつもりでございますが、このメールを見ると、これは恐ろしいメールだと思いますよ、先生御指摘のとおり。先ほど私も十件とか五つ六つと言っていますけれども、租税法を取らない人は読まなくていいよと言っているんでしょう。四と五も後回しでいいから勉強しなくていいと言っているんでしょう。それはもう絶対、このメールはとんでもないメールで、だからこういうような人たちが二度と考査委員にならないような仕組みをつくりたいと、今はそうしか思えないんですが。
#100
○仁比聡平君 先ほども大臣は、このメールを発した四月十一日の時点で、実際に確定をした短答式の出題についてこの植村氏が知っていた可能性は十分高いというふうにおっしゃったわけですね。だったらば、これは正に漏えいだということが厳しく指摘をされながら、司法試験委員会はこれまでその行為については不適正という表現にとどまってこられたわけです。
 論文試験の問題について私はお尋ねをしたいんですが、公法系というのは第一問、第二問という二問になるわけですけれども、この出題にかかわる素材、この素材について、題材について、この植村氏がこういう題材が出題される可能性がある、出題の案の一つとしてあり得るんだと、挙がっているんだということを認識したのはいつなんでしょうか。
#101
○政府参考人(池上政幸君) お答え申し上げます。
 植村元考査委員が憲法、あっ、失礼、公法系の第一問と第二問について知っていたかという問題につきましては、憲法の論文式試験については、当然のことながら、あっ、失礼、失礼申し上げました、公法系の一問と二問について、出題内容については……
#102
○仁比聡平君 なぜ答えられないんですか、通告しているのに。
#103
○政府参考人(池上政幸君) 失礼申し上げました。(発言する者あり)失礼しました。
 植村元考査委員は、平成十八年十一月一日に公法系の、そして行政法担当の考査委員に任命され……
#104
○仁比聡平君 分かっていますよ。
#105
○政府参考人(池上政幸君) その後、行政法の問題作成に従事しておりましたし、憲法の問題につきましても、公法系ワーキングチームという会合が開かれたような段階で憲法関係の問題も知っていたものと考えております。
#106
○仁比聡平君 それがいつかと聞いているんです。
#107
○政府参考人(池上政幸君) 論文式についてでございますか。
 少なくとも、いずれについても、御指摘のメールが送られた段階においては内容は知っていたものと考えております。
#108
○仁比聡平君 何を的を外れたことをおっしゃっているんですか。今私が紹介したのは四月十一日のメールでしょう。四月十一日の前に知っていたということですか。そしたら、答案練習会の二月五日以降行われた七回、この二月五日の前には知らなかったとでもおっしゃりたいんですか。
#109
○政府参考人(池上政幸君) 四月十一日以前の段階で植村元考査委員が問題を承知していたものと、問題の内容は提示して、知っていたものと考えています。
#110
○仁比聡平君 とんでもない答弁ですよね。
 私は昨日、何時間ですか、二時間ぐらいでしたかね、そちらに担当の方がいらっしゃるけれども、この問題について通告をして、私の問題意識も含めて詳しく申し上げているんですよ。この短い質問時間の間にそういった答弁しかできないということ自体が、皆さんが行ってきた検証や措置そのものが本当に受験生や国民の皆さんの信頼を回復しようという決意に立って行われていないということなんじゃないんですか。
 私が聞いているのは、二月五日以降七回行われた答案練習会があります。ここで、論文試験に出された本題、本試験に出された問題と同じ題材が出題されたじゃないかということが問題として指摘をされているわけでしょう、疑惑として。ですから、二月五日の答案練習会を始める前の段階で植村氏はこれらの出題の素材が案の一つとして上がっていることを知ったのではないのかということです。
#111
○政府参考人(池上政幸君) お尋ねの問題については、その答案練習会を始める前に、素材としてそういうものがあるということは口頭で聞いて知っていたものと考えております。
#112
○仁比聡平君 重大じゃないですか。大臣、そういうことなんですよ。
 短答の十八問もそうです。けれど、公法系の論文の問題というのは二問しか出ないんですよ。この二問を受験生は必死で四時間掛けて解くわけですよ。
 ある受験生は、この試験を受験した受験生は、初見であの問題を制限時間以内に解答するのは厳しいとその現場で痛感をしているわけですね。試験中も、きっとほかの人も難しいと感じているはずだと自分に言い聞かせながら問題に食らい付きました。試験が終了したとき、これは更に一年自分で勉強したとしてもどうにか対策が打てるようにはとてもならないと感じていました。すると、周りの受験生の中から、ロースクールで特に詳しくやったところが出たな、あれじゃ差が付かないよというような話し声が聞こえてきて、完全にへこんでしまいましたとおっしゃっているんです。
 短答式と論文式というのは連続して行われるようになって、公法系というのはその初日にあるんですよ、論文の。その翌日は休みですけれども、中日ですけれども、その次に更に困難な試験が続くんですよね。その初日の段階でこういった形で公平ではない事態が起こったのではないかという目に遭った受験生がどれほどの心境になるのか、これは大臣でもお分かりだと思うんですが、いかがですか。
#113
○国務大臣(鳩山邦夫君) 過去にこういう事件が起きてしまったわけでありますから、私も本当に怒りを禁じ得ないという思いですよ。
 先ほどから申し上げておりますように、それは司法試験というのは法曹資格のある人を選ぶ試験かもしれないけれども、受験する立場の身になって考えて、受験をする側がこの試験は何か有利になる変なからくりがありはしないかと思ったら、やる気しませんよ。それに、非常に不愉快な気持ちでしか試験を受けることができない。絶対そういうことがあってはいけない。
 先ほどいろいろお話合いを前川先生ともさせていただいたけれども、十一月に任命されて、いつ試験問題を作るのかと、完成はいつかと。短答式も論文式もあるんだろうけれども、それは公法系なら公法系で何度となく集まるんでしょうよ。どこかでできてくるんでしょうよ。その間に答案練習会をやるだとかメールで漏らすなんというのはもう言語道断の事柄なんですよ。
 だから、私は、こういうようなことの反省とか調査というのはまたいろいろやりますけれども、二度と起こらないようにするためには、とにかくロースクールで教える人間が問題を作らないということが大事だと、こう思っているんですけれどもね。
#114
○仁比聡平君 調査はこれからもいろいろやると今大臣おっしゃった、それが本当に大切なことだと思うんですよ。
 その答案練習会が行われた時期というのは、司法試験の受験生、ロースクールの三年生にとってみたら、試験が目の前にあって本当にせっぱ詰まった時期なんですね。そのときに考査委員がこの出題をするということが本番の出題について大変に参考になるだろうというふうに思うのは当然のことでございまして、そういった時期に答練を主催をしたこの植村氏は、これ、読売新聞のインタビューに答えてこうおっしゃっています。試験直前に知識を詰め込む方が勝つのが新司法試験の現実、慶大が多くの合格者数を出すことに喜びを感じるし、自分も貢献したかった、こんなふうに動機を語っていらっしゃるわけでしょう。
 こういった事態が司法試験委員会と法務省の行われた調査とその公表の中には全く反映をされていない。この事実を徹底して解明をして、既に調査されている分もあるのだろうと思います、それを国民の前に明らかにするということが再発を防止をする上で絶対に不可欠だと思うんですね。
 その点と、そして先ほど、今後の問題について遵守事項を九月の十三日に発しているというお話がありました。これ今後あってはならないという趣旨を大臣繰り返しておっしゃっているんですが、ここに示した遵守事項が禁止規範なのか、つまりこれに違反をすれば制裁を受けるのかどうか。行政との関係でいえば、国公法に基づく懲戒という処分があります。職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、免職、停職、減給又は戒告の処分を受けるんですよね。この遵守事項に違反すれば少なくともそのような処分は受けるという理解でいいのか。その二点を大臣にお尋ねします。
#115
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっとお尋ねしますが、先ほどの植村元考査委員が冒険してみたかった云々というのはいつごろの発言ですか。
#116
○仁比聡平君 六月二十三日付けの読売新聞の記事です。
#117
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私、実はそれ不敏にして見ておりませんで、とんでもない発言と言わざるを得ませんね。
 したがって、今後の調査、一層調査という形でやっていかなけりゃならぬと思いますし、この再発防止のためにこれから考査委員に守っていただくという事柄をどういうふうに位置付けるかは役所の中で検討をしたいと思っておりますし、今後の大問題として、来年には間に合うとか間に合わないという議論があるんですが、要するに法科大学院と司法試験の有機的な連携ということは、これは私も十二分に頭に入れなくちゃいけないとは思いますが、とにかく実際に三年生や修了生を教えている人間が問題を作るなんということはもう制度的にこういう疑惑を生むことだと思いますから、一日も早くそういう形がなくなるように努力をしたいと思います。
#118
○仁比聡平君 遵守事項はどうですか。
#119
○国務大臣(鳩山邦夫君) だから、遵守事項についてこれがどういう性質のものであるのか、ちょっと勉強させてください。
#120
○委員長(遠山清彦君) 仁比聡平君、質疑時間は終局しております。おまとめください。
#121
○仁比聡平君 時間がなくなりましたからあとは次回に譲らざるを得ませんけれど、今大臣がこれを禁止規範かどうかをはっきり言えないんだということでは、今回のような事件が不適正ではあっても起こるかもしれないということになっちゃうじゃないですか。そんな司法試験制度の根幹を揺るがすようなことは絶対に許されないということを申し上げて、次回の大臣の答弁期待して、終わります。
#122
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 私も以前質問をさせていただきましたし、前回のこの委員会で議論になりました冤罪、富山、志布志、両事件でございます。
 あの後、私は志布志の元被告人の皆さんとお会いする機会ありまして、話を聞く中で、改めてこの事件のひどさを感じているところであります。起訴段階ではそういうふうに思わなかった、そういうケースではないかという大臣の御答弁が前回ありましたけれども、私は、少なくとも公判の途中では、検察の方は随分この事件のアリバイについてやっぱり疑問を持って、当然そういう認識には間違いなく立っていたんだろうと、こういうふうに思いますし、さらに起訴段階でも十分にその可能性があったというふうに見るのが私は常識だというふうに思いますが、それを押してあえて起訴をして、そしてああいう結果になって一審で決着をしたと。これは本当にひどい事件であるというふうに思っております。
 そういう意味で、改めて、多くの人が思っているところでありますが、取調べの可視化の問題について本当に具体的に考えていかないとやっぱり大変なことになるんではないか、こういうふうに思います。
 そこで、大臣、本当にお役所のペーパーを見ないで率直に御自分の御意見を語る大臣でございますのでお聞きをしたいんですが、大臣は取調べの可視化の問題についてどういうふうな認識と今後の見通しを持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#123
○国務大臣(鳩山邦夫君) 取調べの可視化というか、全面録音、録画をすると。これは、警察が例えば逮捕をしたときからこれがすべてであるということになりますと、これは各国、刑事手続とか裁判のありようが違いますので一様に論じることができない。例えば、諸外国で可視化をやっているところというのは、逆に、捜査等について令状なしで逮捕できるとか、おとり捜査も潜入捜査もみんな認めるとか、黙っていたら全部、日本的に言えば被疑者に不利に働くとかという仕組みがあって、犯罪を疑われた人に非常に厳しい法制になっている中で可視化と。日本はそういう意味では被疑者に決して不利に物事を解釈しない。例えば黙秘もそうなんで、黙秘する権利がありますよというふうに言う。そういう中で外国との一概に比較というのは難しいと思うのでございます。
 これは、我が国の刑事手続の中では被疑者の取調べ、供述、場合によっては自白ということがすごく重要なものになっている。つまり、被疑者に対してその親族関係とか友達関係のことを言ってしゃべってもらおうとする。つまり他者のプライバシーにわたる部分があったり、あるいは組織犯罪である場合には、被疑者が自分がしゃべっちゃうと組織からやられるんじゃないかという恐れを感じてしまうとかということで、全面可視化ということになりますとやっぱり供述をためらわせるケースが相当あるだろうと、そういうふうに思うものですから、供述のあるいは自白の任意性を証明するためにはいい制度なのだとは思うんですけれども、真実に迫ることができない、真相解明逆に遠くなってしまうという、そういう可能性があるものですから司法制度改革審議会の意見書でもこれは問題先送りのような形になっているんだろうと私は思っておりまして、全面可視化と言われると私はやはりこういう答弁になってしまいます。
#124
○近藤正道君 私は、やっぱり世界の流れは取調べの可視化、欧米でもそうですし、韓国でも台湾でもそうでありますけれども、この可視化がやっぱり流れだというふうに思っているんですね。そういうところで真実の発見が遅滞をしている、障害になっていると、こんな話は全く聞きません。なぜ外国でできて日本でできないのか、私にはとても理解ができないんですが、ただいまの大臣のお話だと、全面可視化はともかくとして部分的な可視化については非常に肯定的なような、そういう受け止めを私はするんですが、そういう整理なんですか。全面は駄目だけれども、自分は可視化、部分的な可視化は積極的なんだと、こういう御認識なんですか。
#125
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは民主党さんでしょうか、法案提出されておられるのは。(発言する者あり)ああ、まだですか。これからですか。
 正直言って、基本的には部分的にはそういう録音、録画したものがこれも証拠になっていくという方法はあってもいいというふうに思っておりますし、これは与党内の御議論がどうなっているかも推移を見極めたい。つまり、国会の先生方の議論の推移というのはこの問題については大きいと思います。国会でお決めになれば、私、法務大臣として常に意地を張るという問題ではないと思います。
#126
○近藤正道君 それはもちろんそうでありますけれども、私は今大臣の認識を聞いているんですが、私は全面的な可視化をすべきだ、部分的な可視化というのは逆の意味で問題が出てくるというふうに思っておるんですが、大臣は部分的な可視化論者なんですか。
#127
○国務大臣(鳩山邦夫君) いやいや、部分的可視化って、だから、素直に非常にしゃべっているよというところなどを、これちょっと試行もしているわけですが、ただ、そうすると都合のいいところだけ撮るのかというまた批判も出てくるから、その辺の難しさも十分認識しながら、逮捕からすべての供述をしていく有様を全部撮ってしまうと真実に迫ることが非常にできにくくなるので、全面的可視化ということでは賛成できませんと申し上げておりますが、今後裁判員制度が始まっていく中では、こんなふうにしゃべっていますよという形で使えるという、そういうやり方も一つだろうなと思います。
#128
○近藤正道君 部分的にやっぱり認めていかなければならないということは大体御認識されているようでありますが、一方、これに対して警察の方は非常に頑迷に、とにかく可視化はいけないと、こういう立場のようでございます。
 外国の例を見ても、どこでも警察は最初非常に抵抗する。しかし、それを乗り越えて取調べの可視化が欧米では進んでいるようでありますが、なぜ警察は頑迷なのか、その理由をお聞きしたいということが一つと、もう一つは、いずれにいたしましても法曹三者協議会に警察庁がオブザーバーとして参加することになったと。この間警察庁の長官、吉村長官が会見をしている。記者会見をしてそこでおっしゃっていることは、基本的な考え方は従来と変わっていないけれども、すべて変えないということで協議に参加しているわけではない、部分的には従来と少し態度を変えますよという、こういうニュアンスの報道がなされております。従来のゼロ回答よりは少し前に踏み出したかなと、こういうふうに思っておるわけでありますが、どこのところをどういうふうに従前と変えようとされているのか、お聞かせいただきたい。
#129
○政府参考人(米田壯君) 警察の立場は、先ほど法務大臣の御答弁にありましたように、全面可視化ということになりますとこれは捜査あるいは治安に非常に大変悪影響があるということで、これについては極めて慎重な検討が必要であるというものでございます。その中で、司法制度改革審議会の意見におきましても、これは将来の検討課題とされておることもございまして、十月四日に私ども、刑事手続の在り方等に関する協議会、いわゆる法曹三者協議会に加わりまして、議論を深めていこうということといたしました。
 その私どもが参加をいたしましたときの吉村長官の記者会見での御発言、今委員引用されましたけれども、協議に参加する以上は、私どもが思っている懸念あるいは問題点というものもよく相手方に、ほかの法曹三者にも理解していただきたいし、またほかの法曹三者がいろいろ主張されることについても真摯に耳を傾けながら協議、協議といいますか、議論を深めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#130
○近藤正道君 原則的なスタンスは変えないという、そういう立場を堅持しつつ、従来よりは少し変わったかなと。つまり、協議会の中に参加していくわけでありますので、従来のようなゼロ回答、一切可視化は駄目よという態度は取らない、真摯に耳を傾けて受け入れるところは受け入れたいよ、そういうスタンスに変わったというふうに理解してよろしいですか。
#131
○政府参考人(米田壯君) 現段階でその協議会にまだ参加してそう日もたっておりません。私どもといたしましては、先ほど申しましたようなスタンスで議論を深めてまいりたいということでございまして、これをどこをどう変えるとかといったことはまだこれからの課題であろうかと思っております。
#132
○近藤正道君 冒頭申し上げましたけれども、これから民主党さんの方で法案を出されますんで、その段階で本格的な議論になるんだろうというふうに思って私も期待しておりますが、いずれにしましても、取調べの可視化、これは世界の潮流、これがやっぱり客観的な事実ではないかと思うんですね。取調べ室を完全な密室にするということ、そして弁護人の立会いも認めない、可視化も認めない、この三点セットをやっぱり頑迷に維持している、非常に先進国の中では少数派に属する国が私は日本だというふうに思うんです。
 そういう密室の中でとにかく自白を取るということに執着をする。私は、自白に執着するということはそんなに否定はしませんけれども、なぜ可視化という中で取らないのか。可視化をして、その中で公明正大、堂々と取ればいいではないか。今世の中は正に透明化、説明責任が求められている。そういう中で、外国はその可視化をやったからといって真実が発見されていない、そんな支障が具体的に出ている、そういう話も聞きませんし、そんなことをやられたら日本は致命的な結果になると、ここが違うんだという、そういう私は説得力がある話も寡聞にして聞かない。なぜ堂々と、可視化の中で堂々と公明正大に自白を取らないのか。その中で、取調べの技術をむしろ磨く中できちっと取る、そういうスタイルが私は文明国、人権の国のあるべき姿ではないかと。大臣、そういうふうに思われませんか。そういう方向に向けてやっぱり議論を始めるべきなんじゃないですか、今こそ。
#133
○国務大臣(鳩山邦夫君) そういう意味では、国会の御議論というのを私は注目してこれから見聞きしていきたいと申し上げておりますが、ただ、諸外国との比較でいえば、先ほど申し上げたように、刑事免責、司法取引とか、無令状による逮捕、令状なしの捜索、差押さえ、あるいはおとり捜査、潜入捜査、そういうものを認めて、被疑者に対して非常につらい法制になっておるわけです。日本はそうでないので、諸外国との一律の比較というのは難しいと思っております。
 私は、先ほどから申し上げておりますように、全面可視化した場合に他人のプライバシーに触れるような事柄に全く当たれないというようなことで、可視化、全面可視化ですね、逮捕から全部の可視化ということによって逆に供述を得ることができない、供述をためらわせる、真実から遠ざかるということを恐れるものでございます。
#134
○近藤正道君 時間がありませんので先を急ぎますが、私はそんなことは決してないというふうに思っております。イギリスでも可視化が始まって、逆に取調べの方法について批判されることがなくなった、警察官の方も取調べ技術を飛躍的に向上させていった、そういう経緯があるわけでありますんで、是非そちらの方向に向けて我が国も頑張るべきだと。
 最後に、言わば裁判員制度、裁判員の裁判が間もなく始まるわけでありますが、始まるまでにとにかく可視化の問題についてやっぱり決着をするというのが私はこの参議院の法務委員会の附帯決議だったというふうに聞いておるんですが、このことについては当時の法務大臣もやっぱり尊重しますというふうな答弁をされているわけでありますが、この裁判員裁判の始まるまでのこの制度の一つの前進、これはお約束はできるんでしょうか。
#135
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは国会は国権の最高機関でございますから、国会のお決めになったことに従って我々は行政をやっていく責任を負っておりますから、附帯決議も意味があるでしょうし、今後の国会の御議論を待ちたいと思います。
#136
○近藤正道君 終わります。
#137
○松浦大悟君 無所属の松浦大悟でございます。今日が私にとって二回目の質問ということになります。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今日は有害サイト規制について質問をしたいと思います。
 政府におきましては、IT安心会議が有害サイト集中対策を策定し、青少年育成推進本部では来年中をめどに青少年育成施策大綱を改定する方針というふうに聞いております。
 私は、有害サイト規制については条件付き賛成の立場です。ウエブだからといってすべてを放任していいというわけではない、一般の犯罪と同程度の規制は必要だろうというふうに考えています。しかし、今の世論は明らかに過剰反応だとも思います。IT安心会議もこうした世論に左右された議論になっているのではないかというふうに危惧をしています。有害サイトとは何をもって有害とするのか。有害であるものと有害ではないものとの間に線引きをしようというわけですから、そこには必ず恣意性が働く。何が有害なのか、後ほど大臣の御見解も含めて伺っていきたいというふうに思います。
 まず、IT安心会議が規制を強化しようとしている出会い系サイト規制法について伺いたいと思います。
 規制の強化ということでございますが、具体的にはどのようなデータに基づいて規制を強化しなければならないというふうに御判断をされたのかということが一つ。もう一つは、規制の強化は範囲の拡大を意味するのかということ。今現在におきましても、ミクシィやエキサイトフレンズなどのようなSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスや一般BBS、あるいはプロフといったものの中では一見さんには分からないような形で売買春の交渉が行われている。SOSだとか、三でお願いしますだとか、助けてくださいだとか、私のサポーターになってくれる人といったような書き込みが行われているわけですよね。つまり、児童買春は今や出会い系サイトだけではなくて様々なサイトに分散をしてしまっている。こうした中で出会い系サイトだけを規制しても意味がないんですね。規制を強化するということは、こうしたSNS、ミクシィなどにも規制の範囲を広げようということであるのかどうか、質問したいと思います。
#138
○政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、出会い系サイト規制法の附則第二条というのがございまして、この法律の第七条、これは事業者は児童の利用禁止の明示をしなければいけないという規定でございますけれども、これと第八条、業者は利用者が児童でないことを確認しなければいけないという規定でございますけれども、こういう規定につきまして施行後三年を経過した段階で必要に応じて見直しをすべきという規定が置かれているところでございます。その三年が昨年十二月で経過をしたという段階でございまして、したがって、その後我々検討を進めてきたということでございます。
 また、出会い系サイトを利用しての犯罪の被害に遭う児童でございますが、この法律がそもそも施行された後、一時大分減少したんでございますけれども、その後、また昨年からこれは増加をするという傾向にございます。
 こうしましたことから、警察庁では、先般、出会い系サイト等に係る児童の被害防止研究会、これを設置いたしまして、今申し上げました第七条、第八条だけでなく、この法律全体について問題点の洗い出しと、また今後のあるべき対策について御検討いただくということにしているところでございます。
 その論点でございますけれども、警察庁からは主に二点提示しておりまして、一点は、不適切なサイト運営を防ぐための事業者としての責任をどう考えるのかと、もう一点は、児童による利用をどうやって防ぐのかという二点を御提示申し上げておりますが、この中には、出会い系サイトの、今御指摘があった定義の拡大ということは含まれてはおりません。おりませんが、ただ、第一回目の先般の会議の中で、一部の委員からこの点も論点にすべきだという御意見もございましたが、まだこれは論点にするかどうかは決まっていないということでございます。
 私どもとしましては、この点を含めまして今後研究会でどういった議論がなされるか、その行方を私どもから申し上げることは適当ではないと思っておりますけれども、警察庁としましては、今後この研究会での議論を踏まえまして、児童の犯罪被害防止のための実効的かつ相当な対策について検討していきたいというふうに考えております。
#139
○松浦大悟君 今出会い系サイトによる犯罪の検挙件数が非常に増えているという話がありましたけれども、しかし、この検挙件数と暗数というのは比例しているわけではございませんで、なぜかというと、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるんですね。年末の交通取締りを見れば分かるとおり、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるわけです。例えば、京都府警がウィニーの不祥事が起こった後にサイバー犯罪に対する検挙というのを物すごく力を入れてやった。そのことによってサイバー犯罪の検挙件数がぐんと上がったということがあります。つまり、出会い系サイトの被害児童が増えたという統計データは、ネットユーザーが増えたことによって、あるいは警察がサイバー犯罪に力を入れるようになったことによって上がっているように見えるというふうにも解釈できるわけでございます。
 さて、IT安心会議のホームページを見ますと、自殺サイトや学校裏サイトについても非常に関心が高いように見えるわけでございます。しかし、こうした学校裏サイトや自殺サイトは今回は規制の対象とはなっていない。これはなぜ規制の対象にはならなかったのか、そして今後規制対象とする意図はおありなのかどうか、お聞かせください。
#140
○政府参考人(南俊行君) 内閣官房でございます。私どもで関係省庁さんから成りますIT安心会議の事務局を仰せ付かってございますけれども、今年の十月十五日に、今先生御紹介いただきました様々な関係省庁さんの施策を取りまとめて集中対策として取りまとめをさせていただいたところでございます。
 その中に今御紹介いただきましたいわゆるやみサイトでありますとか学校裏サイトの問題も取り上げてございますが、まずは、その実態が関係省庁も含めましてよく分かっていないという面もございますので、まずはちゃんと実態を把握した上で必要に応じて対応策を検討していこうというところにとどまっているものでございます。
 インターネット上の情報の流通に関しましては、表現の自由でございますとか、やはり通信の秘密といった面についても考慮をする必要があるというふうに考えておりまして、特に発信者側の権利を過度に萎縮させることがないような配慮というのはやはり必要であろうというふうに思っております。
 現在、プロバイダーの業界団体さん等の自主的な民間団体の取組がございますので、そういったものを政府としては側面から実効性が上がるようにサポートしていくという対策をやはり中心に進めることが、このインターネットという事柄の性格上ふさわしいのではないかということで今回の取りまとめに至ったということでございます。
#141
○松浦大悟君 自殺サイトですとか学校裏サイトといいますと、マスコミでは負の側面だけが強調されるわけでございますが、しかし別の側面もあるだろうというふうに考えます。
 例えば、自殺サイトでいうと、自殺サイトへアクセスすることによって自殺をする人の数と、そこへアクセスする人の数を比べてみてもらいたいんですね。そうすると、そこのサイトにアクセスしたことによって自殺をした方の数よりも、圧倒的多数の方たちがアクセスをしただけということが分かるんですね。つまり、自殺念慮を抱えている方たちが自殺サイトにアクセスすることによってガスが抜けているという現状があるだろうというふうに思います。自殺念慮を持っている方たちが孤独に陥らないような、そういうコミュニケーションの場でもあるわけです。
 また、学校裏サイトについて言えば、学校裏サイトではいじめの温床になったサイトだけがピックアップされるわけでございますが、それだけの機能ではなくて、普通の学校での日常生活の会話なども行われているわけでございます。一見いじめのように見えるようなそういう書き込みであっても、いじめっ子が書いているのか、あるいはいじめられっ子がその書き込みを行っているのかで文脈は変わってくるわけですよね。いじめられっ子が学校での憂さを晴らすために書き込みをしている、ガスを抜いているというケースもあるわけでございまして、一くくりにできるものではないというふうに思います。小中学生がサイトを作れば、必ずそこは学校裏サイト的なニュアンスを帯びてくるわけなので、これを規制するというのはどうなんでしょうか。子供たちの表現の場を大人が奪うようなことがあるべきではないというふうに私は考えます。
 今後も規制すべきではないというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。
#142
○政府参考人(武内信博君) 総務省といたしましても、インターネット上の違法・有害情報の対策は非常に重要な課題であるというふうに考えておりますが、他方、今先生の御指摘もありましたように、この課題の取組につきましては、表現の自由というふうな観点から慎重な検討も必要だというふうに認識をしております。このような観点から、プロバイダーやあるいは電子掲示板の管理者等によります違法・有害情報の自主的な削除の取組の支援ですとか、あるいはフィルタリングというものの普及などに努めているところでございます。
 総務省といたしましても、引き続き、こういう表現の自由等についての議論にも十分配慮した上で、ガイドライン等の運用ですとかあるいは周知の支援、あるいはフィルタリングサービスの一層の普及というものにつきまして、業界ですとかあるいは関係機関との連携を引き続きやってまいりまして、今後とも違法・有害情報の問題に総合的に対応してまいりたいというふうに考えております。
#143
○松浦大悟君 次に、児童買春、児童ポルノ禁止法について伺います。
 これは議員立法で成立したものでありますが、法務省として改正する意図というのはあるんでしょうか。もしあるのであればどういう内容なのかを教えていただきたいと思います。
 私は、写真やビデオと違って、被害者のいない漫画やアニメ、それからゲームに対する規制の強化が行われるのではないかというふうに危惧をしています。法律を改正するならば、改正するに見合った立法根拠が必要だと思っておりますが、このような有害と言われるメディアが犯罪を増やしたという調査結果はあるのかないのか、お聞かせください。
#144
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま有害メディアが具体的な犯罪を増やしたという統計があるかどうかということでございますけれども、済みません、私が今知る限りにおいてはそのようなものは承知しておりません。
 それから、児童買春、児童ポルノ禁止法の見直しの関係でございます。
 先ほど委員御指摘のとおり、十六年の改正で三年後の検討ということが求められております。したがいまして、当局といたしましても、社会意識の状況等を見まして、また、今後におきます国会における議論等にも注目させていただきまして、その上で検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただ、その中で議論が出てまいりますのは、例えば、実在しない児童のわいせつ画像を取り扱ったアニメやゲームについても、これは青少年の育成上問題があり、あるいは児童を性の対象とする風潮を助長するんじゃないかというような御議論がございます。
 この辺りは、この法律の立法の目的が児童の権利擁護ということでありまして、描写の対象になった児童の人権を守るということでありますので、実在しない児童のわいせつ画像、アニメ、ゲーム等につきましては、直ちにこれに当たってこないし、また、表現の自由ですね、表現の自由との関係がございますので、慎重な考慮を要するのではないかと、このように考えております。
#145
○松浦大悟君 御答弁にありましたとおり、メディアの悪影響論についてはアメリカの社会学者のクラッパーが実証的に否定をしております。しかし、そうした中においてアニメの悪影響論が語られているという現状があるわけでございます。
 大臣、児童のアニメといっても、写真の被写体と違いまして、アニメのキャラクターに戸籍など年齢確認することはできないんですね。にもかかわらず、そうすると、これは児童ポルノだ、これは違うという形で、すべて警察、検察の恣意的な運用に任せられるということになってしまいます。特に日本のアニメというのは成人と児童との区別が付かない、そういう表現が行われているわけでございます。特徴的なわけでございます。なので、恣意的な運用が懸念をされるわけなんですね。
 過度なわいせつ物などはわいせつ物頒布罪などの現行の法体系で取り締まることが可能ですから、立法根拠のない法改正はすべきではないと私は思います。特にアニメやゲームというのは日本のコンテンツ産業の軸でもありますから、こうした産業育成の面からも、それから表現の自由の面からも、できる限り守られるべきであろうというふうに思います。
 ローゼン閣下とも呼ばれ、アキバの皆さんにも大変人気がある麻生太郎前自民党幹事長と盟友であられる鳩山大臣に、前段で質問した有害サイト規制なども含めまして御見解をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
#146
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#147
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は麻生太郎さんの選対本部長だったんですが、麻生さんのようにそういうことに詳しくはないんです。ですから、今の松浦委員のお話をずっと承っておりまして私なりに勉強しました。表現の自由の問題、我が国における、それは児童ポルノを処罰するという法律があるけれども、それを余り振りかざされると我が国独特の文化にも影響があるというようなことが御主張だと思いますし、まして実在をしない漫画的ポルノというんでしょうか、そういうものをどう考えるかということについても委員のお話をこれから参考にしていきたいと思っております。
 ただ、私はインターネット社会が来るなんて全く思っておりませんで、この間まで自民党で選挙制度調査会長をやっておりまして、インターネットを選挙運動に使っていいというふうにすると何が起きるかと。これは、なりすましだとか、要するに選挙妨害みたいなものがわっと押し寄せてきて何の規制もできないと。国内で規制しても外国へ行って飛んでくると。だから、恐ろしい時代になったなということを考えておりますので、すべて慎重に判断しなければならないと思いますし、松浦委員のお考えはよく分かりましたので参考にいたします。
#148
○委員長(遠山清彦君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後零時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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