くにさくロゴ
2007/11/29 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第5号
姉妹サイト
 
2007/11/29 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第5号

#1
第168回国会 法務委員会 第5号
平成十九年十一月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     尾立 源幸君
     山下 栄一君     木庭健太郎君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     前川 清成君
     丸山 和也君     牧野たかお君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠山 清彦君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                山内 俊夫君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                鈴木  寛君
                前川 清成君
                松野 信夫君
                青木 幹雄君
                岡田 直樹君
                牧野たかお君
                山崎 正昭君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
                松浦 大悟君
   国務大臣
       法務大臣     鳩山 邦夫君
   副大臣
       法務副大臣    河井 克行君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  古川 禎久君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大谷 直人君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小川 正持君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    菊池 洋一君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  梶木  壽君
       法務省入国管理
       局長       稲見 敏夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠山清彦君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山下栄一君及び丸山和也君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君及び牧野たかお君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠山清彦君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に木庭健太郎君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(遠山清彦君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房司法法制部長菊池洋一君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君及び法務省入国管理局長稲見敏夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(遠山清彦君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。おはようございます。
 提案されています法律につきまして、基本的に我々は反対という立場ではございませんが、私もよく分からないところでございますので、まずは聞きたいと思うんですが、一年半後に裁判員制度がスタートをします。全体とすれば、事件といいますか、裁判になる件数がそれぞれ増加傾向にあるという状況も聞いております。
 それで、今の裁判官が担当する事件数ですね、一人当たり大体どれぐらいの件数になるのか、ちょっと状況、教えていただけますか、現状を。
#9
○政府参考人(菊池洋一君) 東京と大阪の裁判所についてお答えを申し上げます。
 この二つの裁判所に配属されている裁判官一人当たりの手持ち事件数は、現在、民事の訴訟事件につきましてはおおむね百八十ないし百九十件程度、刑事訴訟事件につきましてはおおむね七十ないし八十件程度というふうにお聞きをしております。
 裁判所におかれましては、これまで、事件動向などを踏まえまして着実に裁判官の増員を実現してきておりまして、増員された裁判官を事件数の多い忙しい裁判所を中心に適正に配置することによって、裁判官の手持ち事件数の減少に努めているというふうにお聞きをしております。
#10
○松岡徹君 聞いていないことまで答えないようにしていただきたい。もう今日は三十分しか時間がございませんので、ひとつよろしくお願いを申します。
 そこで、私は、この件数が多いのか少ないのかとよく分からないんですね。今おっしゃったように、東京、大阪の裁判官が受け持つ事件数とすれば今言った数字なんですね。これが多いのか少ないのかの比較がよく分からないんですね。
 私が事前に聞いたら、民事の方では増加傾向に事件数としてはあるということは聞いています。過度の負担に裁判官になっているんではないかということも一方で心配します。だからといって、増員するとかいうことの、増員する根拠が、まずこの事件数が多いのか少ないのかということがまず分からないんですね。
 確かに、都市部では多いかもしれませんが、私は聞きたいのは、例えば今年の事件でもありますが、富山の氷見事件がありましたですね。あの富山地方裁判所でこの事件を担当した裁判官が出した判決が、平成十四年のときに出したのが有罪判決でした。それによって、彼がその判決結果によって服役し、その後、真犯人が見付かって今年再審が開始され無罪が確定したと。この富山の方で、ちなみに富山の裁判官が一人当たりどれぐらいの事件数を担当しておりますか、分かりますか。
#11
○政府参考人(菊池洋一君) 申し訳ございませんが、ただいま東京と大阪の数字しか持ってきておりませんで、富山の数字は今手元にございませんので、後ほど御説明させていただきたいと存じます。
#12
○松岡徹君 私は、今から聞きたいのは、その富山のこの事件がなぜこういうような結果になったのかということを聞きたいと。
 例えば、今答えていただきましたように、東京、大阪、都市部では極めて事件数が多いですから、担当する事件数、一人の裁判官に対して担当する事件数が多いと、大変な多忙な状況になっている。しかし、富山はどうなのか。これよりも多いのか少ないのかといえば、想定とすれば少ないのではないかというように推測されるんですね。そうしたら、事件が多いから、あるいは忙し過ぎるから今回の富山地方裁判所でこの富山の氷見事件についてああいう誤った判決を出したという理由はどこにあるのかという気がいたします。
 そこで、私はこの富山の氷見事件は、私は明らかな冤罪事件だというふうに思うんですが、大臣はどう思われますか。
#13
○国務大臣(鳩山邦夫君) 冤罪という言葉は法律用語ではありませんし、定義があるものとは思っておりません。したがって、そういう意味では何が冤罪で何が冤罪でないかという判断は非常に難しいし、法務大臣として申し上げるべきことではないと思います。
 ですが、一般的な社会通念として、やはり冤罪という概念があるとするならば、また私もその常識的な社会通念に従ってお答えするならば、例えば何か非常に複雑な事件があって、日本では刑事事件の無罪率というのは非常に低いんですけれども、何かこう物すごく難しくて、解釈が難しくて結果無罪になったという場合は冤罪とは呼ばない、呼べない。
 しかし、この氷見事件のように、ある人を捕まえて調べて起訴して有罪になって、服役しちゃってから別に真犯人が現れたというのは極めて残念な特殊なケースでございまして、こういう場合は社会通念上冤罪と申し上げていいのではないかと私は思います。
#14
○松岡徹君 法律用語ではないかもしれませんが、冤罪という言葉が確かに私たちの社会の中にはありまして、辞書を引けばぬれぎぬ、無実の罪をかぶせられるということを書いてあるんですね。正にこれは、この事件はそういうことだったというふうに思います。
 問題は、なぜこのようなことが起きたのか。大臣も今おっしゃったように残念だと、残念な結果。しかし、二度と起こしてはならないという立場だと思うんですね、私もそうだと思います。したがって、なぜ起きたのかということをまずは検証したいというふうに思うんです。
 この事件と相まって、同時に、鹿児島の公職選挙法違反の事件で無罪判決が出た志布志事件というのがあります。これとはまたちょっと結果としては違いますからおいておきますが。いずれにしても、この二つの事件で、検察庁の方が二つの事件の結果についての見解といいますか、考え方を示されています。
 私自身はその結果自身も非常に極めて不十分な結論だというふうに思いますが、改めてそういう前提でお聞きしたいと思いますが、ここにいわゆる氷見事件の再審開始決定の要旨というのがあるんですね。すなわち、私は、この事件でなぜこの犯人とされた柳原さんが有罪判決を受けたのか。例えば、なぜそれが裁判の過程で実は間違いだったということを明らかにできなかったのか、どこに問題があったのかということであります。
 それで、ここに再審開始の要旨があるんですが、真犯人が見付かりまして、その真犯人が、これは富山で起きた氷見事件の犯人であるというふうに特定する陳述と、そしてそれを裏付ける証拠というものがあったんですね。その証拠は当然、この平成十四年の柳原さんのときの裁判でも証拠として当然吟味されるべきものであったわけであります。
 そこで、例えば新聞記事を見ましたら、あの事件で犯人のものと思われる足跡が、足の大きさが二十八センチだったと。しかし、逮捕された柳原さんの足のセンチは二十四・五センチ。これ、明らかにこれだけを見ても違うということが分かりますね。この真犯人は、実は残された足跡とその真犯人の足と合致したと言われているんですね。すなわち、真犯人として認定する証拠としてなっているんです。これがなぜ、ほんなら一審のときの平成十四年の富山の地裁で審議されなかったのかというふうに思うんです。
 もうそういう意味では、今日は最高裁に来ていただいていますけれども、検察庁は少なくとも、この事件はこういうところに弱さがあった、不十分点があったという見解を示しています。しかし、裁判所の方は、この事件について、どこがどう間違って、間違っていたとは、まあ、かもしれません、しかし間違った判決なんですから。なぜこういうふうな判決を出してしまったのか、どういうふうに、最高裁、思われます。
#15
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 裁判所といたしましても、今回の委員御指摘の事件のように、無実の人が服役するような事態は決してあってはならないことであると考えていますし、委員御指摘のように、今後このような事態が二度と起きないように今回の事件の教訓を最大限生かしていかなければならないというふうに思っております。
 ただ、難しいのは、刑事裁判では起訴状一本主義と申しまして、裁判所は全く予備知識がなく白紙で審理に臨みますけれども、審理の冒頭、検察官が起訴した事実について被告人がそのとおりであると述べて事実を認めまして、弁護人も被告人の述べたとおりであるということで全く疑問を提起しないという場合に、どのようにしてそういう冤罪を見破るかと、見破ることができるかという点でございまして、そういう意味では、今回のケースはこれまでの争いのある事件で様々な証拠をどのように評価して正しい事実認定にたどり着くかという、これまで議論されてきた問題とはかなり様相を異にしております。
 また、裁判官には職権行使の独立が憲法上認められておりますので、事件の検証を行うにいたしましても、具体的な審理の当否に踏み込んで事後的な審査を行うようなことになりますと、個々の裁判の当否の評価になりかねません。個々の事件の裁判官の判断に影響を与えるというようなことにもつながりますことから、そのような点にも配慮した検討が必要と考えております。
 こうしたことを考えまして、今後このような事態を起こさないように今回の事件から教訓を引き出すのは、最高裁判所の事務当局が行うよりは、第一線の裁判官同士が研究会等で議論してその成果を広めていく方法が望ましいのではないかと考えております。実際、本年七月に……
#16
○松岡徹君 もういいよ。
#17
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) よろしいですか。
#18
○松岡徹君 そしたら、やっぱり起訴状を中心にやるんですけれども、昨日夕刊で、広島地裁で、死刑求刑をしていた人に対して無罪の判決が出ているんです。広島地裁の細田裁判長は、被告が現場にいた証拠はないと、自白には不自然な変遷があり、信用性がないと。すなわち、自白を裏付ける証拠が吟味されていくんですね。
 今回の、そしたらこの富山地裁で行われたときに、例えば再審の、真犯人が見付かったことによって、再審開始決定要旨のところで、各公訴事実はいずれも私のやったことに間違いありませんとする本人、真犯人の陳述、そして同時期に、同期日に取り調べられた証拠中には、前記各公訴事実に係る犯行を認めて、犯行態様等を具体的に供述する内容のDの警察官調書及び検察官調書、そういった意味でそれが一致してきていると。そして、この事件における被害者の体内に残された犯人の精液によるDNAとこの真犯人のDNAが合致した、そして犯行現場に遺留された足跡とその真犯人は同一の運動靴により印象されたものであると推定されることを裏付ける鑑定嘱託書まであるんですね。したがって、これは真犯人だと。だから再審開始、すなわち柳原さんは犯人ではないと。
 要するに、この男を真犯人としてやるときに、そういう、少なくとも本人の私がやりましたということだけではなくて、こういう証拠まで、あるいは鑑定嘱託書まで出してやっているのに、なぜ柳原さんのときの高岡のときにされなかったのか。したのかしていなかったのか、それはどうですか。
#19
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 個別の裁判内容に関する事柄についてはちょっとお答えできかねますが、あくまでも一般論として申し上げますと、検察官が起訴した事実について、被告人も弁護人も全く疑問を提起しないような事件とそうでない事件とはおのずから当事者から提出される証拠が異なってまいります。もちろん、裁判所としては、提出された証拠の中で検察官が合理的な疑いを入れない程度まで立証できているかどうかを厳密に審査、判断をするわけでございますけれども、裁判所の判断は検察官、弁護人両当事者の主張、立証を前提に行うというものであることは御理解いただきたいというふうに思います。
#20
○松岡徹君 私はこれは不公平だと思うんですよ。なぜ、そしたら彼を有罪にした根拠は一体何なんですか。彼が犯人とされた根拠は、一体あの一審の結果ではどう見ているんですか。
#21
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) ですから、個別具体的な事件について事務当局の方で何か評価をするとかいう、御意見を申し上げるということは控えたいと思います。(発言する者あり)
#22
○松岡徹君 そう、これは終わっているんですよ。
 先ほど大臣がおっしゃったように、非常に残念な結果だと、二度とあってはならない。そのときになぜこんなことが起きたのかということを検証しなかったら、少なくとも裁判所の方は、この事件についてこういうふうな背景があったということを言わなかったら、どないしてこれ次二度としないということになるんですか。あなたたちの研究材料のために、あなたたちの研究材料のために彼は服役したんじゃないですよ。無実の罪をかぶせられたわけじゃないでしょうが。裁判所、責任感じているんですか。答えろ。
#23
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 裁判所としましても、先ほど申し上げましたとおり、今回のことについては重大なことだというふうに真摯に受け止めております。
 ただ、事務当局が個別の事件を検証するということは、先ほど申し上げましたように、裁判官の独立の観点から申しますと問題がございますので、そういう点から教訓を引き出すのは、先ほどちょっと途中まで申し上げようとしましたけれど、裁判官同士の研究会等を通してこういう事件も素材にして議論して検証、検討していきたいというふうに考えております。
#24
○松岡徹君 柳原さんの証言によると、二つの事件があるんです。一月十四日の強姦事件と三月十三日の未遂事件、最初は未遂事件で逮捕されます。その取調べで、当初否認していたのが、最後は自白するんですね。その後に、柳原さんが、四月の十六日に、高岡簡易裁判所で勾留質問を受けるんです。そのときの裁判長は中牟田さん、中牟田裁判官です。そのときに彼は否認しているんですよ、裁判官に対して。その前の弁解録取書を取るときの富山地方検察庁の高岡支部、そこの松井副検事にも要するに否認しているんですよ。裁判官は直接その柳原さんに聞いたときに、彼ははっきりと否認しているんです。私はやっていないと言っているんです。そういう意味では、そういう事実があったということをなぜ裁判官は受け止めなかったのか。
 しかも、この裁判の中で、先ほど言った再審開始決定をする要旨の中に真犯人が犯人だと特定するための客観的な証拠をちゃんとDNA鑑定とかあるいは足跡も鑑定嘱託までやって客観的に明らかにして、ああ、こいつは真犯人だと決めたのに、なぜ富山地裁の柳原さんのときにはそういうことがされなかったのか。
 私は、もしこれがあのときにされておったらこういうことは起きなかったんではないのかというふうに思うんです。大臣、どう思われます。感想で結構です。
#25
○国務大臣(鳩山邦夫君) 裁判所あるいは裁判官がどういうふうに対応し、どういうふうに判断したかということについては、もちろん私は全く発言をする資格はないわけですが、先生御指摘のように、最高検の方できちんと反省点、問題点、これを調査検討して、八月に報告書をまとめておるわけでございます。
 これは、志布志事件とも共通点があるのは、要するに犯罪を犯していないのではないかという消極的な証拠というものを軽く扱ってしまったと。アリバイをうかがわせる電話の通話履歴を見落としたと。さっき松岡先生御指摘の足の大きさの違い、こうしたものをやっぱり検察の方としては、消極証拠になり得るものでありますから、これをもっと重く取り上げるべきではなかったかと。客観的な証拠の吟味というのに甘さがあったということですね。
 だから、確かに自白というか供述というものに非常に重みを置く捜査であるわけで、それは今後も供述の重要性というものは変わらないと思うけれども、それに反する消極的な客観的な証拠をこれからもっときちんと見ていこうと、こういうふうに私は思っております。
#26
○松岡徹君 私も、そういう客観的な証拠をしっかりと吟味しなくてはならないと思うんですね。
 今回の富山事件の特徴は、先ほど言いました、例えば被害者が証言しているナイフ、被害者の証言はぎざぎざのような刃の付いたナイフだったという証言をしています。あるいは縛られたものは、被害者は最初はチェーンのようなもので縛られたと言っています。しかし、この富山の事件のときに、供述調書では、そのナイフは果物ナイフだと。そして、縛ったものはチェーンではなくてひも、白いビニールひもだと、こういうふうに変わっています。あるいは、靴も二十八センチというサイズを全然検証しないで、白いズック靴というもので絵までかかせて、星、コンバースの星までかかせて、柳原さんに供述調書として作っていっている。しかし、実は足の大きさは二十八センチと二十四・五にもかかわらず、そのことは全く書かれていない。すなわち、私は、この取調べのときに、極めてこういうものが検証もされないで自白を求めていく、あるいは捏造、悪い言葉で言えば捏造されていったんではないのかというふうな気がします。
 しかも、裁判の行程を見れば、事実調べが行われたというような形跡はありません。明らかに、裁判官がこの自白はおかしいから、客観的な証拠、これ一遍調べてみましょうとなれば、これは明らかに違いが分かるんですね。すなわち、裁判所も供述調書あるいはその中にある自白をずっと重用して、それに基づく結果として、ああいう有罪、間違った有罪判決が出たんではないのかというふうに思います。
 一般国民からすれば、裁判所というのは平等、公平だというふうに思っています。しかし、それが検察側の調書、しかもその検察側の調書自身が被害者の証言と違うものを証拠としてやって、この違いを明らかにしない。文数、靴の大きさも明らかにしないような調書になっていく。それがずっと本人の取調べの段階で作られていっているということであります。
 私は、時間もありませんから、最後に聞きたいんですが、こういう間違った結果が出てくるということはこれは直ちに正さなくてはならない、単なる、私は裁判官一個人の能力の問題だけではないというふうに思います。したがって、それを正していくための法整備を我々は、この立法府として我々は担っているというふうに思うんですね。
 そこで、私は、取調べ、今までもそうですが、昨日の広島の地裁の判決もそうですが、自白というものが信憑性があるのかというのが非常に問われている事件があります。今回も明らかにそうですね。うその自白だったと。なぜ彼がうその自白をしたのか。彼はずっと綿々とそのときの記録を、思いを出していますね、再審のときにもね。そこに、強要された、いや、だけれども調べる側は強要していないと言うかもしれません。しかし、その中で、明らかにこの事件ではうその自白が作られていったということだけは事実なんですね。
 それをなぜ、その取調べのときにそういうふうなうその自白が作られていく原因がどこにあるのか。これは、私は、一番大事なのは取調べの可視化、すなわちビデオ、音声でしっかりとした可視化をするべきではないかというふうに思います。
 大臣、この事件の、富山事件あるいは志布志事件等々の教訓を基に、こういったことが二度と起きないようにするためにも、法整備の一つの課題として、取調べの可視化をするべきだというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがですか。
#27
○国務大臣(鳩山邦夫君) 我が国の刑事司法手続というものは、ヨーロッパ各国と若干違って、いわゆる被疑者の取調べというものの比重が非常に重いわけですね。司法取引とかあるいはおとり捜査とか、そういうことは認めていない、そういう我が国のやり方というのがある。
 そういう中で、この可視化の問題というのは一つのテーマであることは私は認める。しかも、これから裁判員制度が始まる上で、より効果的な形として、一部、自白というか供述の任意性を証明するために録画すると。それを試行的に使ってみたら、余り裁判所で認めてもらえなかったという事例もこの間起きて、なかなか難しい問題だと思うのです。
 ですが、逮捕から全部録音、録画という形にした場合に、やはり話を進めていく上で被疑者のプライバシーにかかわる部分もいろいろ話をするとか、そういうケースもあるかもしれない。それが録音、録画の場合どうなってしまうのか。あるいは黙ってしまって何も言わなくなってしまうのではないかと。特に、言わば組織的な集団の中で起きた事件の場合は、怒られるとか報復を恐れるとかというようなことがあると。で、被疑者に供述をためらわせるような原因になるという可能性が十二分にあるものですから、全面的な可視化というのか、もう逮捕から全部録音、録画ということになりますと、やっぱり人間の心理というのにいろんな影響を与えると思うんですね。我々だってテレビカメラが目の前にあるとやっぱり多少心理が変わるんですよね、政治家だって。そういう意味で、真実を聞き出せなくなる可能性がないかということについてとにかく今懸命に考えているところでございます。
 しかし、だからといって、何というか、今まで取調べについての記録などほとんど取らなかったわけでありますけれども、その辺をきちんと記録を取るなどして取調べの状況が客観的に記録されるように努力はしているわけだし、使える録音、録画の部分というのもあるんだとは思うわけですが、全面可視化と言われると、まだちょっとそれに同意できる状況にはありません。
#28
○松岡徹君 その問題はまた後日、日を改めていろいろ議論する機会をつくっていただきたいというふうに思っています。
 最後に、最高裁の方にもお願いをしたいんですが、この事件について何らコメントを出さないというのはやはり私はおかしいと思います。最高裁がこの事件について学ぶべきところ、あるいはこういうふうに感じているというところはやっぱりしっかりと国民に明らかにすべきではないかということでありますので、そのことを要望して終わりたいと思います。
#29
○山内俊夫君 自民党の山内でございます。
 この委員会は先般来、一般質問の中でも随分議論のありました、大臣が就任して以来、死刑問題というテーマが話題になったものですから、我々も先般小菅の方へ行ってまいりまして、百聞は一見にしかず、私自身も随分考え方にインパクトを与えられたなという感想であります。
 そして、今日は給与法でございますので、基本的には給与法の質問をさせていただきますが、時間があれば、二十分しかございませんので、少し一般質問も時間があれば質問させていただき、大臣の答弁もよろしくお願いしたいなと思っております。
 まず、裁判官の報酬、検察官の俸給について、一般職の職員と別の法律で定めている理由についてまずお聞きをしたいなと思っております。裁判官の報酬及び検察官の俸給の引上げの法案については、まず基本的な確認をしたいなと思っております。
 実は、一般職の政府職員とは別の法律で裁判官の報酬とか検察官の俸給については定められておりますけれども、その理由についてお聞かせをいただけたらと思います。
#30
○政府参考人(菊池洋一君) まず、裁判官についてでございますが、裁判官の報酬は憲法で、裁判官はすべて定期に相当額の報酬を受けるという定めがございます。これは独立して司法権を行使する裁判官の身分保障の一環であろうというふうに理解をしておりますが、そのような憲法の定めに従いまして、裁判官の報酬等に関する法律という別の法律で、一般の公務員の給与体系とは別建てで定められているというふうに考えております。
 検察官につきましては、裁判所に対しまして司法権の発動を促すといった重大な職責を持っておりまして、そういう面で司法官に準ずる性格を有するというふうに考えられております。
 また、検察官につきましては、原則として裁判官と同じ試験や養成方法を経て任用されるといったようなことも考慮されておりまして、検察官の俸給につきましては、裁判官の報酬に準じまして検察官の俸給等に関する法律という別建ての法律で定められているところでございます。
#31
○山内俊夫君 これは、確かにおっしゃったとおり、裁判官の報酬法の第十条にその旨の規定が置かれておりますけれども、裁判官に関してはこのように書いておられます。一般の官吏について、政府はその俸給その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給するときは、最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、裁判官について、一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給すると、こう定められております。
 しかし、これ、最高裁判所には国会に対する法律案の提出権はありませんね。法務省が裁判官報酬法の改正案を提出したと承知しておりますけれども、裁判官報酬法の具体的な改定方法について、裁判所からお伺いをしたいと思うんです。
#32
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判官の報酬法の改正につきましては、人事院勧告がなされ、一般の政府職員の給与改定が行われる段階で、最高裁判所におきまして法務省に対しまして、一般の政府職員の給与について行われるのと同様の改定を行うための立法措置を依頼していると、こういう経緯でございます。
#33
○山内俊夫君 少し分かりにくい部分ありますけれども、確かに、裁判官というのは昔からよく言われております余り世俗に接すると、判断が狂っちゃいけないというような何か考え方があって、給与が高い。これは確かにそうは言えると思うんですけれども、これ、ある程度どこかで明確な改定の在り方というもの、基準を作られたらどうかなと思っております。今日はそれでいいですけれども。
 今度、弁護士と比較した場合の裁判官及び検察官の給与について少しお答えいただけたらと思うんですが、日弁連の弁護士白書によりますと、平成十八年度の弁護士所得の大まかな平均値は千六百三十二万円ということになっております。十二か月で単純に割りますと大体百三十六万ですかね、月額、そのような金額になっていると思いますが、今日もこれ弁護士の経験者の皆さん随分おいでになりますけど、それが果たして高いのか低いのか、ちょっと分かりません。
 ただ、ここで質問をさせていただきたいのは、公務員の立場で勤務している裁判官、検察官と、独立して事務所まで経営する弁護士とはかなり条件が違うと思うんですね。経費も随分掛かると思います。単純に比較することは確かに難しいかなと思われますけれども、弁護士と比較した場合の裁判官及び検察官の給与水準について、最高裁判所及び法務省の見解をお聞きしたいと思います。
#34
○政府参考人(菊池洋一君) 裁判官、検察官と弁護士の給与との比較についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、判検事は国家公務員という立場で勤務しているものでございますが、弁護士は言わば自営業者として事務所を経営していくという立場にございまして、前提条件が大きく異なっております。例えば、収入の面でいきますと、公務員についてはボーナスがあるとか、それから、これもまた委員御指摘のとおり、弁護士の先生方は経費を自分で負担しなければならないといったそういう大きな違いがございますので、両者の給与あるいは所得を単純に比較してどうかということを論ずるということはなかなか難しい問題がございますが、私どもとしては両者の間に不合理な格差があるというふうには考えておりません。
 私どもといたしましては、今後とも、判検事にふさわしい人材を確保するといった観点から、裁判官、検察官の給与の水準を適正に保つように努力をしていきたいというふうに考えております。
#35
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判所といたしましても、今法務当局から御説明がありましたのと基本的に同じでございまして、要は、給与についての水準を適正に保つ中で裁判官にふさわしい人材を確保していきたいと、このように考えております。
#36
○山内俊夫君 今回の改定は比較的若年層に配慮したということになっております。これは、そのことはそれで大変意義あることだろうと思うんですけれども、この程度の改正で、例えば今おっしゃいました弁護士と裁判官と検事という、この三すくみがありますよね。これで裁判というのは成り立っているわけでありますけれども、その場合、今、司法修習生の確保というのがかなり難しくなってきているんじゃないかなと。どうしても収入の高い方に流れてしまう。
 ただ、検事を経験し、また裁判官を経験して弁護士を開業するということは、体験をしてから弁護士になるわけでございますから、非常にその場合のレベルの高さというのはそこで保てるわけなんですが、そのときの司法修習生の確保について、この給料体系というもので果たしていいのかどうか、その辺りの御見解を裁判所、また法務省辺りでお聞きしたいと思います。
#37
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 司法への期待というものがますます高まっております中で、優れた資質、能力を備えた人材というものを裁判官として数多く確保するということは非常に重要な課題であると最高裁としても考えております。
 今お話がありましたように、判事補の給源となりますのは司法修習生ということになりますが、その進路選択に当たっては、委員御指摘のように収入面というものももちろん大切でありましょうが、何と申しましても、裁判官の職責あるいはやりがいといったものに魅力を感じてもらうことがまずは特に重要ではないかと考えておるわけでございます。
 そこで、実務修習等の過程におきまして先輩裁判官の仕事ぶりといったものを目の当たりにする、こういった機会を通じて裁判官の職責あるいはやりがい、更には魅力といったものが十分に伝わるように配慮するなどしておりまして、今後とも、優れた資質を備えた人材を確保できるよう努力してまいりたいと、このように考えております。
#38
○政府参考人(菊池洋一君) 検事の確保についても、基本的に最高裁の今の御説明と同じでございますが、修習の過程で司法修習生に検察の役割や活動の実態を正しく理解させて、検察官の仕事の魅力を十分に伝える、理解してもらうということが大切であるというふうに考えております。
#39
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生の御心配、非常によく分かるんですが、おかげさまで、検察官の場合は、いいことか悪いことかは分かりませんが、世の中の、多少いろんなマスメディアの影響もあるのか、あるいは、例えば地検特捜部なんというのが、あれが非常に有名になっていろいろ活躍するとかということで、従来よりもはるかに希望者が、司法修習生の中で従来よりもはるかに希望者が増えてきているという状況にはございます。
#40
○山内俊夫君 そうしたら、それはそれでいいんですが、指定職以上の今回の期末手当等々を据え置かれたということなんですが、これはいろいろ財政的な問題もあるということでありましょうが、果たして今回の見送りに関しまして財政的にどの程度の効果があったのか分かりますか。ちょっとお答えいただけますか。
#41
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判所の方からまずお答えいたしますが、今回の特別職、指定職に相当する裁判官についての改定見送りによりまして三億円程度の歳出削減効果があったものと認識しております。
#42
○政府参考人(菊池洋一君) 検察官につきましては、おおよそ二億円程度の削減というふうに聞いております。
#43
○山内俊夫君 ということは大体五億円ということなんですね。財政的なものが中心になりますけれども、大事なものは私は大事なものとして確保していかなきゃいけないなと。というのは、先ほど言いましたように、人を裁くということは大変神聖な場所でありますから、それなりの報酬はきっちりとある程度確保していく、そして優秀な人材を集めるということは私、大事だと思っております。
 その中で、少し観点は変わりますけれども、法曹三者の交流というのが実は始まっておりますね。平成十六年六月に成立しました判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律、この下で平成十七年四月から裁判官、検察官、弁護士職務経験制度が開始されておりますけれども、裁判員制度の導入が、先ほどの松岡徹先生からの話もありましたように、始まっております。ですから、この制度開始について、これまでの実績、これをちょっとお伺いしたいんですけれども、お答えいただけますか。
#44
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お尋ねの弁護士職務経験者の人数につきまして、まず裁判官でございますが、この制度がスタートいたしました平成十七年度で十人、平成十八年度も十人、さらに平成十九年度が九名となっております。
#45
○政府参考人(菊池洋一君) 検事につきましては、平成十七年度が三名、十八年度が五名、平成十九年度が五名の計十三名となっております。
#46
○山内俊夫君 全国でかなりの弁護士、検察、裁判官という数がおりますけれども、案外思ったより、十名、十名、十三名とかいうような数字ですと、大変私は少ないのかなという気がいたしております。もう少しダイナミックに、やはり交流をやればどうかと思います。
 といいますのは、最近のいろんな社会が随分複雑になってきましたものですから、なかなか単純に割り切れない非常に複雑な事件も多うございます。そうなってくると、まずこの裁判員制度のベースは、何で採用するのかといいますと、当然市民感覚とか人権感覚、そういったものを十分理解をし、またそれを把握した人たちに人を裁く法廷の場というものに臨んでもらいたいと、そういう流れが最近あると思うんですね。そういった意味で、もっともっと私は増やすべきだと思うんです。これについて法務省、また最高裁判所、どのようにお考えでしょうか。
#47
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) まず、制度開始からこれまでの実績について先ほど申し上げたとおりでありまして、平成十七年度に職務経験を開始した十人につきましては本年四月に裁判官に復帰しておるわけでございますが、この間に得られた経験を、先ほど委員から御指摘のあったような意味で、裁判官の職務を行う上で役立ててもらいたいと、このように考えております。
 なお、この制度が機能していくためには適切な受入先事務所が多数確保されているということが前提となっております。今後とも、受入先事務所の確保に弁護士会の御尽力をお願いしながら、制度の健全な運用のために必要な方策を考えてもらいたいと、このように考えております。
#48
○政府参考人(菊池洋一君) 法務省といたしましては、検事が弁護士の職務を経験するということは、検察官としての能力、資質の一層の充実を図り、国民の期待と信頼にこたえていく上で重要な意義を持っているというふうに考えております。
 したがいまして、この制度の運用につきましては、定着状況等を考慮しながら、今後とも積極的に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
#49
○山内俊夫君 ありがとうございました。是非、積極的に取り組んでいただきたい、そう思っております。
 それでは、余り時間がございませんので、大臣にちょっとお聞かせをいただけたらと思うんですが、いよいよ裁判員制度が実施まであと二年を切ってまいりました。来年の十月ごろから、もう模擬ではなくて実際の裁判員制度が開始されるわけでありますけれども、大臣、たしか、この前、東京地方裁判所で行われた模擬裁判を視察されたそうでございますが、そのときの感想とか裁判員制度の実施に向けての意気込みをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#50
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私が十月二日に東京地方裁判所で行われた模擬裁判を見学をしましたときには、民間の方ですが、裁判員役の六名の方が全員が被告人に質問をされて、その後、中間評議というもの、つまり裁判官三人、裁判員六人の九人での中間評議で、まああのとき、何かタクシーか何かの中で人を刺す事件だったと思いますが、いろんな議論を大いに活発にやっておられるシーンを見たわけで、これは非常に頼もしいと思いました。
 ただ、現実にああであればいいなと。つまり、非常にお元気な裁判員が六人おられたなという印象なんですね。裁判員になることは当然国民の義務として今度法定されたわけですけれども、ああいうような模擬裁判のような裁判員裁判が行われるといいなとつくづく思いました。
 ですが、いまだに国民の間に、いろんな世論調査がありますが、裁判員制度が一年半後には始まるということすらまだ周知徹底していない。そういう意味で、この間、石原慎太郎東京都知事に、日本の首都であるから裁判員制度に御理解をいただいて、宣伝方に影響力のある方だから努めてくださいよというお願いもしてきたし、東京都庁のいろんな施設には裁判員制度のポスター等を張らしていただいたりするようにはなっているわけですが、何か模擬裁判、私が見るのもいいんですが、先生方に見ていただくのもいいんですが、国民に見てもらいたいなと、できるだけ多くの国民に。何かテレビのような媒体を使ってやることはできないのかなという。私は、やっぱりテレビが一番影響力大きいですから、模擬裁判はこんなふうにやりますよというのをテレビで放映されると影響が大きいんではないかと、いい影響が大きいのではないかと、そんなふうに期待をいたしております。
#51
○山内俊夫君 終わります。ありがとうございました。
#52
○木庭健太郎君 今日は、裁判官及び検察官の報酬、俸給の改正そのものは賛成でございます。それに取り巻く課題について何点かお伺いをしていきたいと思います。
 一つは、法テラスの問題でちょっとお伺いをしておきたいんです。
 法テラスは、ちょうど一年余りが経過をいたしまして、この間に今後の在り方とか課題も見えてきておるんですが、一つその中でも、法テラスにおいて問題になっていることの一つが、専属のスタッフ弁護士が存在するんですけれども、現状ではこれ人気が必ずしも高くない、もっとひどい言い方すれば、なり手がなかなかないという現状が言われております。その一つが、言わばこういった給与の面含めていろんな課題があるんではないかということも言われている。
 この辺含めて、法テラスのスタッフ弁護士の報酬等の処遇について、どのように定めて、これによってこれできちんと確保ができるんだというような形になっているのかどうか含めて、御見解を伺っておきたいと思うんです。
#53
○政府参考人(菊池洋一君) いわゆるスタッフ弁護士、常勤弁護士とも呼んでおりますけれども、の給与や諸手当につきましては、日本司法支援センターにおきまして、その常勤弁護士の職務内容や実務経験年数を考慮いたしまして、経験年数において同等の裁判官及び検事の給与を参考にいたしまして定めているところでございます。したがいまして、ざっくり言いますと、同期の裁判官、検察官とほぼ同様の給与水準という考え方でございます。
 また、法テラスにおきましては、常勤弁護士の職務が魅力あるものとなるように、常勤弁護士の御要望も聞きながら、例えば充実した研修を実施するとか事務処理の負担を軽減するための執務環境を整備するといったような努力もしているところでございます。
 今後、さらに常勤弁護士の確保については法テラスにおいても努力をするというふうにお聞きしておりますし、法務省としても常勤弁護士の魅力を訴えるといったような形で支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#54
○木庭健太郎君 もう一つは、裁判官や検察官の資格を持つ人で裁判所、検察庁あるいは法務省からこの法テラスに出向するというようなケースがあるのかどうか、もしあるとするならば、この人たち、役職とか職務がどんなふうに位置付けられるのか、もっと言うと、給与の保障の問題含めてどんなふうになっているのかを伺っておきたいと思うんです。
#55
○政府参考人(菊池洋一君) 現在、法テラスに対しまして裁判官と検察官は合計で五名出向しております。
 これらの方々は裁判官、検察官をいったん退職するという扱いになっておりまして、新たに法テラスに採用されて、法テラスの本部におきまして部長相当職あるいは課長職として、それぞれの法律家としての知見を生かしまして法テラスの体制の整備とか、あるいはコールセンターの業務の責任者であるとか国選弁護関係の業務、あるいは常勤弁護士の確保といったような仕事をしております。
 給与や手当の関係でございますけれども、出向によって不利益を受けることがないように、裁判官や検察官の退職前の給与と同等の給与、手当が受けられるように法テラスにおいて定めているものというふうにお聞きをしているところでございます。
#56
○木庭健太郎君 今幾つかお聞きしたんですけれども、法テラスで一番の課題は、申し上げたように、やっぱりそこにどれだけの、弁護士だけじゃなくて一般職員も含めて、有能な人材が確保できるかどうかだと思うんです。そのために、具体的にどこまでお取り組みなのかを再度きちんとお伺いしたいと同時に、先ほど民主党の委員の方がお声の中で、なかなか弁護士なっても就職先がないんだというようなお話もちらっとお声を上げていらっしゃいました。そういった意味では、司法修習生などに対してもこういった法テラスのことをきちんと知ってもらう、こういうところもあるんだよということも徹底する必要もあると思うんですけれども、そういった点も含めて是非人材確保のためのお取り組みをいただきたいと思うんですが、御答弁をいただいておきたいと思います。
#57
○政府参考人(菊池洋一君) 常勤弁護士の確保につきましては、法テラスにおきまして、御指摘のように、司法研修所や法科大学院において説明、案内をするとか、あるいは既に常勤弁護士になった方に参加していただいて各地で就職説明会を実施する、あるいはホームページにおいてその魅力をアピールするといったような積極的な募集・採用活動をしているところでございます。
 また、日弁連も御努力いただいておりまして、司法試験に合格した方に声を掛けて、祝賀会という形で法テラスについての説明をしているという取組もあるというふうにお聞きをしております。
 それから、常勤弁護士以外の一般の職員のことでございますけれども、これは公募で採用しておりますけれども、新卒の方だけではなくて、即戦力となるような社会人の経験者をも募集の対象としておりまして、選考は、書類でまず選考し、筆記試験、面接試験など数次にわたって選考をしておりまして、能力が高い人材の確保に努めているというふうにお聞きをしているところでございます。
#58
○木庭健太郎君 是非、様々な面、御検討もいただいておきたいと思うんです。
 もう一点は裁判員制度の問題で、今も御質問があっておりましたが、いよいよ実施へ向けて様々な動きがあっている最中ではございますが、一つの、これは報道でお聞きしましたら、来年の秋ぐらいからいわゆる裁判員候補の名簿に載った人の通知が始まると。ところが、多分それを通知をすると裁判員候補者の問い合わせが、裁判所の方としてみれば約二十万人ぐらいから問い合わせがあるんじゃないかというようなことを試算をなさっていて、これの対応というのは裁判所職員だけではとても無理だということで、コールセンターの問題、民間委託の問題、そういう問題も含めて、これ実際に裁判員になるかどうかの調査票の発送とか回収の問題も含めて業務委託の問題も出ているというようなお話聞いているんです。
 ただ、こういった大事な問題、外部委託はそれはしようがない面あるのかもしれないけれども、そうなると、これ個人データの管理の問題も含めてなかなか厳しい点が出てくると思うんですけれども、是非そういった意味では、これ個人情報をどうきちんと厳格な管理をしていくかというような問題、もちろん認識を持っていらっしゃると思うんですが、どう取り組むおつもりでいらっしゃるのか。
 それから、コールセンターつくるなら、そことの地裁との関係の問題含めてなかなか難しいところあると思うんですけれども、この辺についてちょっと最高裁から伺っておきたいと思うんです。
#59
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 委員今御指摘のように、裁判員候補者名簿、これに記載されました裁判員候補者に対しては、その旨を原則として前年の秋ころに一括して通知しなければならないものでございます。候補者名簿は大体三十万人から四十万人規模に及ぶと予想されますので、通知業務や名簿に登載された候補者からの電話照会に対応する業務については、その業務量が膨大なものになると見込まれております。
 そこで、最高裁判所におきましては、今委員御指摘のとおり、業務の性質や業務量を考慮した上で、その効率化を図って迅速かつ適正な事務処理を実現するための方策の一つとして、コールセンターの設置及び通知書の発送、回収について業務委託をする方向で検討をしております。
 これは、これらの業務委託に際しての個人データの厳格な管理の必要性について、正に委員御指摘のとおりでございまして、裁判員候補者名簿記載の通知及び調査票の発送、集計等の業務の委託に当たりましては、最高裁判所に地方裁判所の裁判員候補者名簿のデータを集約いたしまして、暗号化を行った上で受託業者にそのデータを提供するという予定でございます。
 そのデータには裁判員候補者の氏名、住所が含まれますが、受託業者に対しては、守秘義務を課すことはもとより、万が一にもデータの漏出事故が生じないように万全の措置を求める予定でございます。
 また、コールセンターにつきましては、名簿に登載された候補者からの電話照会が集中すると予想される通知直後の二か月間程度にわたって設置する方向で検討しております。
 最高裁判所としては、コールセンターにおいて裁判員制度に関する国民の様々な不安や疑問等に的確に答えられるように、回答事例集の充実を図るとともに、これを具体的な照会状況や内容を踏まえて随時アップデートをしていくような予定でございますし、地方裁判所とそれからコールセンターとの間で、今委員御指摘のとおり十分な連携が図れるように、コールセンターから地裁への転送の在り方等を含めて今後とも引き続き検討してまいる考えでございます。
#60
○木庭健太郎君 もう一つは、やっぱり今ずっと模擬裁判、先ほど大臣からもお話がありましたが、これやっていただいている。つまり、実際行う上での具体的な課題の洗い出しの点も含めていろんなことをやっていらっしゃる。もちろん、法務省、日弁連、いろんな形で本格的な模擬裁判も行ったり、その際の審理や評議の模様、ビデオに収録されたり全国の裁判所に配ったり、いろんなやり方をされている。
 つい最近というか、今年に入ってからは、実際にその裁判員候補者を呼び出すという形を取られて、裁判員に選任する手続から判決の言渡しまでという、この流れをきちんとつくったものが東京地裁で初めて行われたのが五月下旬だったと思います。
 そういったものもやった上で、これきちんとした検証をやった上でやることが必要だと思うんですが、実際にその裁判員候補者を呼び出して手続を行い、最後の評決に至るまでと、いわゆるそういう本格的な模擬裁判をやった結果、最高裁としてはどういう新たな課題が判明したというふうに認識されているか、是非その点を伺っておきたいんです。
#61
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 現在、各地の地方裁判所におきまして、管内の様々な業種、規模の企業、団体等から従業員の方々を裁判員役候補者として推薦していただき、その中から裁判員役を選任することによって、なるべく現実に近い裁判員役を確保して模擬裁判を実施しているところでございます。
 こうした中で、裁判員役の候補者の方が参加に当たって抱える様々な障害事由が浮かび上がってきておりまして、辞退事由についてどのように判断すべきか、また、できるだけ国民の負担に配慮した効率的な選任手続の在り方はどのようなものかといった課題に取り組む必要性が再認識されているところでございます。
 今後とも、引き続き模擬裁判を実施して、こうした課題への取組を一層深めてまいりたいと考えております。
#62
○木庭健太郎君 是非やった上で、大事なことは、その参加された方々から、参加した体験を含めてきちんとした感じたこと、自分たちが参加してこういうところに問題点があるんじゃないかと感じたというようなところを是非これはヒアリングをしていただくことが実際に裁判員制度をやる上で最も大事な点だと思いますし、これを更に私は強化してやっていただきたいと思うし、さらにもう一つは、やっぱり実際にやってみると、ああ、こういうことがあるんだ、難しい点もあるね、でもやっぱりやることの意義はあるんだというようなことを実際にやられた方たちは、これは報道はいろいろなされているんですが、それを見る限りにおいては、非常に、やったことによって、ああ、こういう意味があるんだということを参加者は理解をされている面がございます。
 実際の裁判員という制度が始まると、裁判員になった方々はその中身について話すことはできないわけでございますが、模擬裁判は別でございます。是非そういったものに、実際に参加された方々も使って、逆に言うと、その方たちにどうだったかということを語っていただくというような場も私はあっていいんではないかなと思います。
 そういったことが、逆に言うと、国民に対して制度の理解を得ることだとも思うんですが、その点も含めて、どういう、実際に参加された方々に対してどうお取り組みになられるのかも最高裁に聞いておきたいと思います。
#63
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、模擬裁判の参加者からの意見聴取というのは極めて重要であると考えておりまして、各庁におきましては、ほぼすべての模擬裁判で終了後、法曹三者とそれから裁判員役の方との意見交換会を実施しております。そして、裁判員役の方から忌憚のない御意見をいただいております。こうした御意見は、裁判員裁判における審理や評議の在り方を検討する上で有益な資料となっておりまして、今後とも引き続きこうした取組を進めていく考えでございます。
 また、委員御指摘のとおり、模擬裁判に参加した裁判員役の方の体験談や感想を国民に広く伝えることは有益であると考えておりまして、是非この点に取り組んでまいりたいと思っています。一番近いところで申し上げますと、例えば本年十月一日の法の日に行いましたシンポジウムでは、東京地裁で実施いたしました模擬裁判で裁判員役を務めた方にパネリストとして参加していただいて、感想や御意見をお話しいただいたところでございます。
#64
○木庭健太郎君 最後に大臣に、先ほど山内委員にも御答弁されておりましたが、この裁判員制度が始まるわけですけれども、先ほどの御答弁を聞いている限り、私はやっぱり認識は同じなんです。一番の裁判員制度が始まるまでの課題は何かというと、国民の理解だと。まだ理解されていない。これをいかに理解していただけるかということが本当に成功するかどうかのかぎだと思うんです。
 したがって、これについての、大臣も、現時点で何が課題かと考えているかといえばそういうお答えなのかもしれませんが、そういった点も確認しつつ、それに対してどうお取り組みになられるかという問題を伺っておいて、質問を私は終わりたいと思います。
#65
○国務大臣(鳩山邦夫君) もう木庭健太郎先生おっしゃるところに尽きるんです。
 私自身も、恥ずかしいことを言えば、新聞でいろいろ読んでおりましても、法務大臣になってから知ったことが裁判員制度に関しては随分ございます。国会の中を歩いておりまして、同僚の代議士、衆議院で代議士の皆さんに一番多く聞かれるのは、裁判員裁判というのは民事でもやるのかねと、こう聞かれます。これは外国にはそういうところもあるでしょうから、いや、刑事事件で、一般的に言うと、人が亡くなるような重大な事件のみでございますと。じゃ、ほんのわずかかねと。いやいや、三千件ぐらいあるようですよと、私なりに勉強をしたことを言う。しかし、法務大臣前の私だったらどこまで答弁できたか、非常に甚だ疑わしいと。
 とにかく、国民の理解が進んでいないと思います。どうやって宣伝すればいいのか、どうやって訴えたらいいのか。だから石原都知事にもお願いに行ったので、法務省という役所は元々コマーシャルがうまそうな役所とはとても思えませんから、諸先生方にも御協力をいただいて、私は、裁判員裁判、外国の陪審員の出てくるドラマというのはいろいろ見ているんでしょうけれども、また陪審員制度とは若干違うものですから、何か政府広報ということだけでなくて、どこかマスメディアが協力してくれないかと、私なりに努力をしてみたいと思っております。
#66
○木庭健太郎君 終わります。
#67
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず法案について、先ほど少しお話があったんですけれども、裁判官に対する相当額の報酬の保障というのは、これは憲法七十九条六項、八十条二項の直接の要請なわけですが、その趣旨。あわせて、検察官の俸給保障の趣旨について、司法法制部長、早口で構いませんので、御答弁をお願いいたします。
#68
○政府参考人(菊池洋一君) まず裁判官でございますけれども、司法権の独立という観点から、裁判官の身分保障の一環として、憲法ですべての裁判官が定期に相当額の報酬を受けることが保障されており、その憲法の規定を受けまして、裁判官の報酬等に関する法律において一般の公務員の給与体系とは別の体系が樹立されているということでございます。
 検察官につきましては、裁判所に対しまして司法権の発動を促すといった重大な職責を有しておりまして、司法官に準ずる性格を持っておりますので、その職務と責任の重大性にかんがみ、また、原則として裁判官と同一の試験及び養成方法を経て任用されるということを考慮して、その報酬は裁判官の報酬に準じて検察官の報酬等に関する法律という法律で別建てで定められているというところでございます。
#69
○仁比聡平君 法と正義の実現というその司法作用は具体的には生身の人間によって担われているわけでございまして、その身分保障が求められるということは当然のことであって、私、本改正については賛成をもちろんさせていただくわけですけれども、関連しまして、当事者主義刑事訴訟の下で、被疑者、被告人の弁護権保障の担い手である弁護人の国選報酬についてお尋ねをしたいと思っております。
 お手元に資料をお配りさせていただきましたが、一枚目の資料が、これ平成十八年、昨年の十月に、従来は裁判所が国選弁護人の報酬を決めていたんですけれども、これが法テラスに算定が移りました。それで、法務大臣が認可をした報酬基準というのが定められているわけですけれども、その地方裁判所にかかわる部分を分かりやすく法務省の方で整理をしていただいたものかと思います。
 それで、この一番上の欄の単独事件というところをごらんいただきますと、いわゆる公判整理手続に付されていない、それも基礎報酬のところ、一という数字がありますが、これは一回の開廷で二回目は判決という一回結審と言われる例なんですね。これ一回の開廷の基礎報酬は七万円、三回の開廷の場合は八万四千円というのが基礎報酬となっていて、この三開廷で八万四千円というのが従前裁判所によって定めていただいていたころの最高裁三開廷基準、これ、三回で八万五千百円というのがこれに移行する前の基準だったわけですが、これを引き継ぐものだというふうな考え方で示されているということなわけです。
 それで、少し調べさせていただきましたら、最高裁が三開廷基準と呼ばれているその基準を一番最初に定めたのは一九四八年、昭和二十三年のことでございまして、その当時は物価水準も今とは全然違うわけですが、地裁の三開廷の基礎報酬額というのは千二百円なんですね。この千二百円の金額そのものをどうこう言うつもりは今日はないんですが、その当時、四八年当時に基礎報酬額を千二百円というふうに定めたその金額設定の根拠ないしは考え方はどんな考え方だったのかということについて最高裁にお尋ねをいたします。
#70
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 誠に申し訳ございませんが、国選弁護人制度が開始された当時に報酬額をどのように定めたかにつきましては、どうも当時の資料がなくて、ちょっとお答え申し上げることができません。
 その後につきましては、経済情勢の変化や人事院勧告等を踏まえて適宜改定を行って現在の額に至っていると承知しております。
#71
○仁比聡平君 今お話しいただきましたように、昭和二十三年に新刑訴の下で国選弁護制度というのが弁護権保障のためにつくられて、その当時に、個々の裁判体が報酬は最後決めるんだけれども、何の基準がないのも困るので最高裁が通達を出されているということだと思うんですね。その金額が千二百円ということになっているんだけれども、それがどういう考え方で千二百円になったのかというのが分からないということなんですよ。その後については、まあ人勧が始まってから以降は人勧に従って、あるいは物価に応じて上がってきたということなんですが、その元々の基礎報酬額がなぜそれでいいというふうにされたのかという考え方もはっきりしないということなんですね。
 元々、裁判所がお決めになっておられたころのこの基礎報酬の金額というのは、弁護士の側からは著しく低いと言われてきました。日弁連は一九六〇年代からその増額の要求をずっとしてこられているわけですけれども、にもかかわらず、言わば制度開始から六十年近くたっているんだけれども、その金額設定の考え方も整理されていないというまま来ているということがやっぱり大問題じゃないかと思うんですよ。
 大臣にお尋ねをしたいんですけれど、これまでのことはこれまでのこととして、これからでいいますと、とりわけ平成二十一年には、始まりました被疑者国選弁護の対象事件は大幅に拡大をいたします。今の七千件程度から十万件になるのではないかというふうにも言われております。それから、先ほど来お話のある裁判員裁判の実施を〇九年に迎えると、当然、弁護人の側の担い手も本当に幅の広い、多くの皆さんで担っていただかなければ成り立たないということになるわけですが、その国選弁護の報酬の在り方がこのままではあってはならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
#72
○国務大臣(鳩山邦夫君) 昭和二十三年の千二百円というのは、私の生まれた年でございますので、かなり古い話で、私も全く分かりません。私が法務大臣になりましたときに、やはり同じ自由民主党の国会議員の中で弁護士であられる方々から、国選弁護の費用のことはちゃんとよく考えてくれよと随分言われました。なるほど、これは大きな問題であるなという認識は、その認識は私はいたしております。
 そういう中で、今までは最高裁あるいは裁判所がやや裁量的に国選弁護費用を払った、まあそれでも当然一定の基準はあったんだと思いますが。これが法テラスに移行して、日弁連とも協議した上で算定基準を定めて、ところが残念ながら、これはやっぱり財務大臣あるいは財務省との協議ということでこういうような数字で認可さしていただいたといういきさつなんだろうと思いまして、若干めり張りを付けたんだろうと思うんです。
 つまり、弁護人の労力を反映させる、つまり簡単な事件と難しい事件という、まあそういう分け方が一律にできるものではないでしょうが、比較的簡単なものは少し前よりは下がってしまったかもしれない、しかし、その代わり、労力の掛かるものについては今までよりも多く国選弁護費用をお支払いしようと、こういうような方針があったのではないかと。そういうことで、それに基づいて、余り裁量の余地が多くないような、そういう算定基準というものでこういうのは出てきたんだというふうに思っております。
 ただ、他面、日弁連と協議させていただいたときに、弁護士の方といっても、それはいろんな事務所の形態があると思うんですよ。それは大勢雇っておられる方もいれば、余り雇っておられない方も、あるいはまとまってやっておられる方も。ただ、全国平均で大体弁護士というのは一時間当たり八千円とかそれくらいの、ちょっと言い方は分かりませんが、稼ぎがないと、その弁護士業、事務所の運営ができないんだというような説明を承りますと、ちょっとこれは国選弁護費用のそもそもの水準がこれでいいのかどうかということは私なりに頭の中にもう少し考えてみなくちゃいかぬなと思う部分はあります。
#73
○仁比聡平君 大臣も、随分含蓄のある御答弁をいただいているわけですけれども、思い切って言っていただいていいんじゃないかと思うんですよね。私は低過ぎると思うんですよ。その根本には、この国選弁護報酬の問題の根本には、今の国選弁護報酬の水準では、被疑者、被告人の弁護権保障、これが十分とは言えないんだというその認識を持つべきだと思うんですね。
 志布志事件がこの間ずっと私も取り上げてきましたけれども、志布志という鹿児島県の大隅のその町にあるその警察署ですね、ここに今回の被害者の、当時被疑者として拘束をされた、勾留をされたという方がいらっしゃるわけです、もちろん。その方々に鹿児島市内から接見に行かざるを得ないわけですよ、弁護士は。鹿児島市内に事務所を構えている弁護士が志布志署まで接見に行くんですけれども、これは車しかありません、交通手段としては。片道、高速を使っても二時間十分掛かる。ちなみに、高速料金は往復で二千六百円掛かるんですよ。ですから、往復するだけで四時間二十分掛けて一回の接見に行くんですね。接見時間を約一時間。
 で、前回、前々回、大臣に御紹介をしたように、被疑者の取調べと供述が大変争われている事件ですね。ですから、弁護士は三人でローテーションを組んで、毎日その被疑者との面会を続けていったわけですね。もしこういった活動がなかったなら、あの志布志事件という事件がどんなふうになっていたのかというのは、これは全く分からないわけですよ。そのような献身的な弁護士の活動があったからこそ、時間は掛かったけれども、一審で無罪判決を取ることができたのではないかと私は思うわけですけれども、このような弁護士の献身性、正義心に支えられなければ刑事弁護が成り立たないということでは、これは弁護士にとっても大変なんですが、被疑者、被告人の弁護権が本当に保障されているということにならないじゃないかということなんですよ。
 刑事弁護に携わる弁護士は折々経験をすることだと思いますけれども、被疑者あるいは被告人に面会に行くと、国選しか頼めない自分は十分な弁護は受けられないんじゃないかと、先生は国選だからこういうことをお願いするわけにはいきませんよねというような、そういうような言葉を聞くことが現実にたくさんあります。ですから、それを乗り越えて、いや、そんなことはない、国選であろうが私選であろうがという信頼関係を結ぶ、つくるところから事件は始まるわけですね。
 すべての被疑者、被告人が、有罪、無罪の問題でも、情状や環境調整の問題でも、十分な弁護を受けることができるという実感や信頼を国選弁護に対して持つことが必要で、そのためにはせめて弁護士が赤字にはならないという弁護報酬が必要なんじゃないでしょうか。それに照らして今の水準は、私は低過ぎるというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
#74
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど私が時給八千円とか、ちょっと数字は正確ではないかもしれませんが、そういう稼ぎがなければいけないのに国選弁護の報酬がこういう額であったら、当然次に出てくる言葉は赤字になると、こういうことなんだろうと思うわけです。
 ただ、弁護士の先生方は、最近、企業の社会的責任という言葉が環境問題等で随分はやっておりますけれども、やっぱり弁護士の先生方の社会的責任という一環として国選弁護も引き受けていただくと、やや公益活動的、ボランティア的ということの要素はあるんだろうと思うんです。
 ですが、一番困るのは、さっき先生御指摘のように、国選の費用が安いので余り元気が出ない、弁護士の側がですよ、熱心にできない。何かあれ、富山の事件でしたっけ、何かそういう、出ていましたね。弁護士の先生には二回会っただけかなとかなんとかって出ていませんでしたかね、そうでしたかね。僕はあれ見たときに、やっぱりそれはもちろんその弁護士の方を責めるわけではないけれども、やはり随分会う回数ってそんなに少ないものかなと、私は法曹でないから単純にその接見の回数の少なさに驚いたといういきさつがある。ですから、赤字になってはやっぱりまずいんでしょうね。
 それから、一番は、だから、先生おっしゃるとおり、いや、弁護士の先生は高潔な心を皆さんお持ちだと思うけれども、やっぱり費用によっては、費用の額によっては元気が出ないことがあってはいかぬなと、こういうふうには思います。
#75
○仁比聡平君 時間がなくなってしまいましたので……
#76
○委員長(遠山清彦君) 仁比聡平君、委員の質疑時間は終局しております。
#77
○仁比聡平君 ええ。時間がなくなってしまいましたので、あとはまた後日の機会に譲らざるを得ないんですが、弁護士は社会的責任を果たそうとして、果たさんがために、戦後、みんな頑張ってきたんだと思うんです。だけれども、大臣おっしゃったように、赤字になるということでは、これは恒常的にずっと継続して続けていくことというのは、ごく少数の弁護士に限られてしまわざるを得ないんですよ。
 多数の弁護士で担っていかなければならないこれからの司法改革の進む刑事裁判の司法のその状況を見るならば、これはこれまで百億弱ぐらいの国選弁護報酬についての予算を財務が認めてきているんではないかと私は思いますけれども、この総額ありきは必ず乗り越えて、まあそうではないとは思いますけれども、大臣先頭に頑張っていただいて、実情をしっかり調査をしていただいて、弁護報酬の増額に力を尽くしていただきたいということをお願いして、終わります。
#78
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 最初に、裁判官と検察官の給与法案に関連をいたしまして、裁判所の令状審査について質問をさせていただきます。
 今ほど議論がございましたけれども、富山と鹿児島志布志での冤罪事件で捜査当局の違法が厳しく批判をされました。幸い、裁判所は無罪を言い渡して、無辜の民が救済されたわけでございます。しかし、あの志布志の事件では合計八十四件の令状、つまり逮捕状、勾留状、勾留延長、これが発付をされましたし、富山では合計六件に及んでおります。裁判所はなぜ捜査の暴走をチェックできなかったのか厳しく問われなければならないというふうに思っております。
 そこで、司法統計年報を調べましたけれども、元々令状の却下率というのは非常にこの国は低い。しかし、昭和四十五年と平成十八年を比較をいたしますと、この間、令状の却下率がどんどん下がって、今は昭和四十五年と平成十八年を比べますと五分の一に落ちています。これ、いろいろ見方があるんだろうというふうに思いますけれども、この最近の冤罪事件なども見ながら思うんですが、令状審査が形式的、あえて言えば捜査機関寄りになっているんではないか、こういうふうな私は懸念を持ってしようがないわけでありますが、最高裁はどのように受け止めておられますか。
#79
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。
 令状が請求件数に対してどのぐらいの割合で発付されたかということは個々の事例の集積の結果でございまして、犯罪動向とか治安状況等社会情勢の変化や捜査の在り方の変化等様々な要因が考えられまして、一概に申し上げることはできません。
 しかし、裁判官といたしましては、逮捕、勾留の判断に当たり、憲法の要請する令状主義を踏まえて身柄拘束の理由と必要性を慎重に検討した上で判断しておりまして、法で定められた要件等について十分審査していると。形式的あるいは捜査機関寄りということはないというふうに承知しております。
#80
○近藤正道君 全然答弁になってない。
 つまり、今言いましたように、昭和四十五年と今の平成十八年を比べますと却下率が五分の一に低下をしていると、この流れをどういうふうに見ているんですかと。まさか、昔が捜査がずさんで今が良くなったというふうには私は一概に思えないんだけれども、五分の一というのはかなりなやっぱり数字ですよ。
 したがって、私は、最近の冤罪の多発なども見ながら、これは形式的に流れているんではないか、捜査機関寄りになっているんではないか、これ多くの人がそういう指摘をしておりますんで、皆さんはどういうふうに見ておられるんですかと聞いているんです。もう一度答弁ください。
#81
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 確かに委員御指摘のような却下率、特に、今おっしゃられた、かつて昭和四十年代のころと、その後大分変わっておりますけれども、これはどうしてそういうような統計上の違いがあるのかというのは、これ先ほど申し上げましたように一概に言えないように思います。
 それで、じゃそれは、最近は四十八年よりも却下率が低いのは、委員御指摘のように、捜査機関の言うがままにやっているのかというふうにおっしゃられましても、私どもとしてはきちんと審査しているというふうに考えております。
#82
○近藤正道君 これ、数字は冷厳な事実を物語っておりますんで、今日は時間がありませんので、また改めてお聞きしたいというふうに思っています。
 次に、徳島刑務所の医療問題についてちょっとお聞きしたいんですが、マスコミ報道、週刊誌だとかテレビでありますけれども、徳島刑務所の医務課長さんは、M医師というふうに言っておきますが、〇四年四月にこのポジションに就いてから、腹痛とか下痢とか糖尿病や皮膚炎、のどに食物が詰まったなどというふうに訴える受刑者に対して、直腸指診という名目で肛門に指を挿入する、いわゆる肛門虐待、これを行っていると。あるいは安易に絶食だとか御飯食べるなと、あるいは投薬拒否、こういうなどの不当な医療行為があったということで、八十名の受刑者が実名を挙げてこの医師の非道を訴えている。私もこの手紙を読む機会がございました。〇五年十月には、四十代の受刑者がこの医師の暴行を苦に自殺をしたという報道もなされております。
 徳島刑務所の視察委員会への訴えのおよそ八割がこのお医者さんに対するものでありまして、さらに、いわゆる虐待の相手となった受刑者が無期懲役囚であったりあるいは家族がいなかったり、非常に抵抗しづらいあるいは物を外に公にしづらい人、ここに集中をしているという事実も私見逃せないというふうに思うんですが。
 どのような事実を法務省としては把握をされているのか、このお医者さんの責任を明確にして徳島刑務所に適切な医療体制がやっぱり回復されるべきではないかというふうに思いますが、御答弁いただきたいと思います。
#83
○国務大臣(鳩山邦夫君) お尋ねのような報道があったことは承知いたしております。
 ただ、先生は直腸指診という名目で肛門虐待を行ったというふうな表現、これはマスコミの表現と同じなんだと思いますが、私どもはどうもそういうふうには把握をしておらぬわけでございまして、徳島刑務所のそのM医師の医療行為に対する不服申立てや陳情について、矯正局及び高松矯正管区で、これ六月下旬から一か月余り掛けて、関係職員、関係受刑者に対する事情聴取あるいは関係資料の精査等の調査を実施いたしました。また、週刊誌で、週刊現代でしたか、報道された事実についても、矯正局及び矯正管区ですね、高松の、調査をしたんですが、その調査によると、M医師が被収容者へ医療行為として直腸指診を行っているわけであって、被収容者へのいわゆる虐待あるいはそうした行為の不当性、違法性は認められなかったと、こういう結果になっておるわけでございます。
 ただ、今後とも必要に応じて適正に調査をしていこうと思っておりますし、徳島刑務所に対してより一層の医療行為、診療等の適正化を図っていきたい。そして、直腸指診を、そういう検査をする場合は今までは、直腸指診やるぞと、いいかと言ってこうやっていたのを書面で同意を取るように変えさせていくと、そんなふうに考えております。
#84
○近藤正道君 M医師はどうなったんですか、今。M医師は今どうなっているんですか。
#85
○政府参考人(梶木壽君) 現在も徳島刑務所で勤務しておりますが、最近幾つかの事案があったものですから、直接の診療には従事をさせないようにしております。
#86
○近藤正道君 この質問はこれからも続けていきたいと思いますが、去る十一月の十六日に徳島刑務所の第二工場で、まあマスコミはこの医療行為が原因ではないかというふうに言っておりますけれども、受刑者が暴れる、こういう事件が起きました。これはあってはならないことだというふうに思っておりますけれども、是非この原因をしっかりつかんでいただきたい。私たちは、この医療行為がやっぱり背景にあると。これは、名古屋刑務所の事件以来、いろんな改革が行われてきておりますけれども、是非、この教訓を生かす意味でもこれはしっかり調べて対策を講じていただきたいと、このことを強く要望しておきたいというふうに思っています。
 最後にもう一つ。先日、法務委員会の御配慮で東京拘置所の刑場を視察させていただきました。私にとりましては初体験でありまして、大変貴重な経験をさせていただきました。この経験を基に、これから死刑の是非の議論についても積極的に発言をさせていただきたいと、こういうふうに思って、参加させていただいたことに感謝をしたいというふうに思っています。
 今日、皆さんにお配りをしております私の資料、これは、保坂展人衆議院議員が四年前に東京拘置所に行かれたときの記憶を基に、日弁連新聞にその刑場のイラストを再現したもの、それを私、拡大したものを皆さんのところにお配りをしております。私、これを持って当日参加をしたわけでありまして、大体現場はこの、まあ一部違うところもあるけれども、大体このとおりだと、こういうふうに思っておりまして、ここでこの図面を基にいろいろお聞きをさせていただきましたが、実はその後、衆議院の法務委員会もここに行っていると。
 衆議院の参加者の話と私の体験と総合させて、一つ気が付いたことを今日は質問させていただきたいんですが、この資料の二番目を見ていただきたいんです。ここには、左側に検察官、拘置所長らが執行に立ち会う、こういう場所が、スペースがありまして、そこから刑場を見るわけでございますが、私どもが行ったときにはその上層部の方に青いカーテンが張られていたと、しかし下の方にはカーテンはなかったというふうに記憶しておるんですが、衆議院の皆さんの話によると、下の方にも青いカーテンがあったと。そういうことになりますと、上も下もカーテンで覆われていると。そうすると、検察官や拘置所長は立ち会う場から執行の過程は見えないんですね、これ。それに私、気が付きまして、こういうことになりますと、これは、執行の後の状況は分かっても、執行の過程そのものを目撃できないんではないか。
 そういうことになりますと、刑事訴訟法の四百七十七条では、執行の場に、死刑は、検察官、検察事務官及び刑事施設の長又はその代理人の立会いの上でこれを執行するということになりますが、立会いというのはつまり目視をすること、過程を見ること、まあ秘密の場でありますんで。しかし、ごく一部の公の立場にある人たちがこの過程を全部ちゃんと目撃をして、そして執行始末書を作って法務大臣に報告すると、こういうシステムになっているのに、このカーテンが上も下も全部引かれているということになると、これ全く見えない。これでは立会いしたことにならないんではないか。
 そこで、お聞きしたいのは、一体いつからどういう理由でこうやってカーテンで見えないようにしているのかということが一つと、それと、これは法務大臣にお尋ねするんですが、これは四百七十七条、あるいはちゃんと立会いの上で始末書を書けという四百七十八条の趣旨にもとることではないか、反する死刑執行ではないか。私は、やっぱり法律に基づいた事実をしっかり分かった上で死刑の議論をすべきだと、そういう立場でお聞きをしておりますんで、ひとつ明確にお答えいただきたい、こういうふうに思います。
#87
○政府参考人(梶木壽君) まず、東京拘置所の取扱いについて御説明をさせていただきます。
 委員が御指摘になりましたいわゆる取扱い、ただいまおっしゃった話でございますが、調べてみたところ、具体的にいつからという特定がちょっとできませんでしたが、かなり以前からこのやり方でやっているというふうに承知しております。
 その理由でございます。これは、拘置所長が決めておるわけでございますが、一概に申し上げられないものの、執行に当たる職員の心理的な負担の軽減とか、あるいは執行される方の名誉感情、そんなものに配慮をしたというふうに承知をしております。
#88
○政府参考人(大野恒太郎君) 刑事訴訟法との関係につきましてお答えさせていただきますけれども、刑事訴訟法四百七十七条に死刑の執行の立会いが定められているわけでありますけれども、その趣旨は、死刑執行の実施の確認をするための制度的な要件であると、こういうふうに考えられております。
 したがいまして、カーテンによりまして、被執行者の立った踏み板が開く場面でありますけれども、その場面そのものが見えなくても、その後、どうも下のカーテンは開かれるというような話はあるようですけれども、死刑被執行者が死亡したことが確認されるということを通じまして死刑執行が実施されたことが確認できるわけでありますので、その意味で立会いということができるのだというふうに考えております。
 それから、刑訴四百七十八条の執行始末書でございますけれども、これも死刑の執行を認証するためのものであるという趣旨でございます。そういたしますと、先ほど申し上げましたように、執行者の立った踏み板の開く場面そのものは見えなくても死刑執行が実施されたことを確認し認証することは十分に可能であり、したがって執行始末書を作成することもできるというふうに考えております。
#89
○近藤正道君 大臣の前に。一言いいですか。
#90
○委員長(遠山清彦君) 近藤正道君、質疑時間が終局しておりますので、簡潔におまとめください。
#91
○近藤正道君 はい、済みません。
 やっぱりおかしいと思うんですよ。だって、今のようにカーテンで全部閉められている、開けないということになると、目隠しするところ、首にロープを付けるところ、足を縛るところ、そして下が、落下するところ、みんな見えないですよ。これは立会いということにはならないと。なぜそういうのを設けたかというと、一部の人はちゃんと公の立場でしっかり一部始終を見届けると、これがやっぱり法の趣旨だと思うんですよ。
 皆さん勝手な解釈でもってこういうやり方をするのは、やっぱり私はおかしいというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
#92
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、答弁、御簡潔にお願いします。
#93
○国務大臣(鳩山邦夫君) 死刑の執行に関して、私度々発言をしまして、大臣が替わるたびにいろいろ変わるのおかしいとかいろいろ申し上げましたが、粛々とやるべきであると考えておりますが、その方法、実際の刑場のありよう等も大いに議論しなければならないという問題意識は持っておりますし、それは、死刑は絞首によるというのは刑法に書いてあることでございますが、それがもっといい方法があるかどうかというのは常に政治家は考えていかなければならない問題だと思っております。
 ただ、今の点については、私も見学いたしましたが、刑事訴訟法に、四百七十七条に違反していないと私は思っております。
#94
○近藤正道君 終わります。
#95
○松浦大悟君 無所属の松浦大悟でございます。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 今回の法改正で報酬が増額になる対象者は全裁判官何人中何名になるのでしょうか。検察官についても併せて聞かせてください。
#96
○政府参考人(菊池洋一君) 今回の法改正は初任給を中心とした若年層を対象とした増額でございますが、今日現在の数字で申し上げますと、裁判官につきましては、定員が三千四百十六名でございますが、そのうち増額の対象者は五十二名、検察官につきましては、二千五百六十三名中七十一人となっております。
#97
○松浦大悟君 今お答えいただいたデータをベースに質問を続けてまいりたいと思います。
 先週、法務委員会の視察で東京拘置所に行ってまいりました。去年のクリスマスイブに、七十五歳の車いすの死刑囚が職員に連れられ首にロープを掛けられ刑を執行された現場に立たせていただきました。死刑という取り返しが付かない刑の残虐さと裁判官の責任の重さを痛感いたしました。
 そのような刑を決める裁判官だからこそ、憲法の中に裁判官の独立が規定されているのだと思います。政府も含め、ほかからの圧力に左右されず、憲法と法律と自らの良心のみに従う裁判官の独立がうたわれている。給与の面においても、この報酬は、在任中、これを減額することはできないと定められているのではないかというふうに考えます。
 では、今回の法改正においてその裁判官の独立は守られているのか。例えば、前回報酬が減額されたときの議論などを見ますと、人事院勧告に基づいてだとか全裁判官の報酬について一律に引き下げるから憲法には触れないと答弁をされています。しかし、今回の増額の場合は、人事院勧告どおりには行わず、全裁判官一律ではありません。減額するときには人事院勧告を理由に挙げておきながら、増額のときには人事院勧告を一部にしか適用しないというのでは筋が通っていません。
 法改正による報酬の増減と憲法が保障する裁判官の独立との関係を法務省としてどのように考えているのか、確認をさせてください。
#98
○国務大臣(鳩山邦夫君) 非常に鋭い御質問だと思うんですよ。
 つまり、なぜ裁判官の報酬は普通の公務員と別であるのかと、先ほどから質問と答弁が繰り返されている。検察官、もちろん充職検事として法務省の中にも大勢おられますけれども、検察官もなぜ別なのかと。それはやっぱり司法試験、司法修習ということもありますし、やっぱり準司法的な仕事するから違うんだと、だから別に定めているんだと。
 したがって、そういった意味では、裁判官や検察官の給与、報酬に関しては、それはもう全く別の観点から物事を考えていけばいいんですけれども、それが残念ながら、やっぱり財政の問題とか世論というのもあるので、結局一般の政府職員の俸給表の俸給月額と同じ改定率で改定するという、非常に残念な結果になっているというふうに私は思っております。
 ですから、委員が御指摘されている基本的な考え方は十分分かっていますし、裁判官は、とりわけその職務の責任の重大性というのは独立性と絡んで十分給与体系に反映しなくちゃいけないんでございますが、やっぱり財政の事情というのもあって、このような形に今回なってしまっているというふうに、私自身も残念には思っております。
#99
○松浦大悟君 憲法との関係については改正のときにいつも話題になることではありますが、それは非常に微妙な問題であるという御答弁だったというふうに思います。
 では、今回の法改正について、最高裁において裁判官会議が開かれたと思いますが、どのような検討がなされたのか、そしてまた、どのような意見が出されたか、最高裁にお聞きしたいと思います。
#100
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 最高裁の裁判官会議におきましては、裁判所として人事院勧告についての政府における取扱いに沿った形で裁判官の報酬等についても所要の措置を講ずる、こういう方針に立って対処することにつきまして、これは異論なく了承されたということでございます。
#101
○松浦大悟君 憲法との関係について今回も確認をさせていただきました。
 続きまして、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、冤罪事件と検察の在り方についてお聞きをいたします。
 鹿児島の選挙違反の冤罪である志布志事件や富山の婦女暴行冤罪事件など、近年冤罪事件が大きく報道されています。これまでの冤罪件数について法務省としては統計はあるのか、どのように過去の冤罪事件を把握されているのか、お聞かせください。そしてまた、無罪が確定された場合、検察側ではどのような検証や反省がなされるのか、お聞かせください。
#102
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっと冤罪という言葉の使い方、松岡先生とのやり取りがありましたので、私の考え方も少し取り入れていただければ有り難いと。
 つまり、日本の検察、警察を含めてですが、在り方というのは、非常に慎重に構えて、これならば十分犯罪を立証できると、つまり有罪に持ち込めると相当な確信がないと起訴しないというやり方。外国の中には、まあ、犯罪になるかどうか分からないけど、取りあえず逮捕しておいてやってみようと。そうすると、有罪率が六割とか七割という国がある。日本は九九・九%以上が有罪であるという。
 そういう在り方の問題なので、無罪と冤罪というのはやっぱり違うので、無罪を全部冤罪と言われたら困るので、検察が起訴して無罪になったのはおかしいじゃないかというんだったら、ある意味じゃ裁判は要らないような話になってもくるわけで、やっぱりそこに裁判という非常に厳正中立な判断が加わるというわけでございまして、犯罪白書によりますと無罪判決数というのがありますが、平成十六年百十四件、平成十七年八十五件、平成十八年百十三件となっております。
 先ほど松岡先生にお答えしたようなもののみは私自身も冤罪と呼びます。
#103
○松浦大悟君 正に今大臣がおっしゃったように、今その警察の在り方が問われているんだと思うんです。成熟社会に突入した中で、今までの在り方でいいのかどうか、これが問われているというふうに認識をしています。
 大臣、冤罪が判明した後には必ずと言っていいほどその警察の捜査や取調べの在り方が問題となります。実際、批判を受けても仕方がないような捜査や取調べがなされております。こうした言わば警察の暴走に対し歯止めを掛ける役割も第二次捜査権を持つ検察は担っているのではないかと思いますが、大臣は検察と警察との関係をどのようにお考えでしょうか。
 また、冤罪を防ぐためには何をすべきか。これだけ冤罪が多いのは、検察の人材の質の問題なのか、それとも代用監獄や検察と裁判官の交流人事などのシステムの問題なのか、どちらでしょうか。
#104
○国務大臣(鳩山邦夫君) 一般論として申し上げれば、無罪判決があった場合、当該事件における捜査、公判活動について反省すべきところがあれば、検察庁内で勉強会を開いたり、各種の会同において事例として発表するなどして問題意識を共有して、今後の捜査、公判の教訓としているわけでございます。
 私自身も、十月に行われた全国次席検事会同において、本年に入って捜査、公判の在り方が深刻に問われる事例が発生しており、こうした事態を真摯に受け止めようと、検察に対する国民の期待と信頼にこたえることができるよう努められたい旨訓辞をしているわけでございまして、そういった意味では、無罪の率は非常に低い日本ですが、無罪になった場合、これまあ全部冤罪とは呼んでいただきたくないわけですが、一部冤罪も含むんですが、無罪になった場合には、それなりの問題点の整理は常にやっておるということであります。
 警察と検察の関係でございますが、結局は捜査という点では極めて密接な関係にあって、協力して行うわけですね。
 昨日の守屋さんのような場合はもう検察が、地検特捜部が動いて、そして逮捕しますけれども、一般的には警察が先に出てくるわけでございますから、まず警察が犯罪があるんじゃないかと考えて犯人捜しあるいは証拠の捜査をやると。検察は、警察から送致を受けた事件について、連絡を取りながら、場合によっては検察自らが捜査を行うと。そういう独立した捜査機関で別々なのではありますが、両者の関係はとにかく常に協力すべき深い関係であると、こういうふうに考えております。
 ただ、事件を起訴する起訴しないは検察が判断することでございますから、それは警察ができることではない。起訴、不起訴を決めるのは検察ですが、そのときにやっぱり証拠が不十分であるようなときには、起訴できるかできないかと思料していく中で更に警察に協力を求めるということはございます。
#105
○松浦大悟君 例えば、二十五年間以上もの歳月を費やし、その間一度も有罪判決が出されなかった有名な冤罪事件である甲山事件ですけれども、この甲山事件では、警察が逮捕後、検察が一回は警察の捜査では証拠不十分として不起訴処分としております。この事件は、結局、遺族による不服処分後に捜査した新たな検察によって起訴されまして、史上最長の冤罪事件というふうになったわけでございますが、これなどは冤罪を検察が止められるということも示しているのではないかというふうに思います。と同時に、検察の限界も示している。
 取調べの全面可視化や検察の証拠開示など客観的な冤罪防止プロセスを導入すべきだとも思いますが、この点については、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
#106
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど可視化の問題については御答弁申し上げましたように、使える部分もありますが、最初から、警察が逮捕したところからすべての供述、自白を録音、録画するということになると、逆に真実を得ることが難しくなる、あるいは被疑者がしゃべらなくなる。プライバシーについて触れると問題があると言われてしまうと、結局は自白がうまい具合に得られないというようなことがありますので、全面、一〇〇%の可視化ということになりますと、私は賛成と言い難いわけでございますが、ただ、警察がどのような捜査、あるいは聴取する場合もあるでしょうから、したかということは、より良い協力関係の中でお互いがチェックしていくべきことだろうと思います。
#107
○松浦大悟君 先ほど大臣、テレビカメラの前では真実が語れなくなるおそれがあるというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、今現在において、テレビカメラのない状態において真実は語られていないわけですよね。ですから、冤罪事件が起こっているわけでございます。だから、テレビカメラの前では真実が語れないというのは理由にはならないというふうに私は考えます。
 問題は、冤罪を防ぐためにどのようなアーキテクチャーを構築していくかだというふうに思います。そのためには、今現在の段階においてテレビカメラの導入、取調べ段階での可視化というのは最善の方法であろうというふうに思います。そのことを申し上げて、質問に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。
#108
○委員長(遠山清彦君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですので、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト