くにさくロゴ
2007/12/11 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第6号
姉妹サイト
 
2007/12/11 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 法務委員会 第6号

#1
第168回国会 法務委員会 第6号
平成十九年十二月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     牧野たかお君     丸山 和也君
 十二月三日
    辞任         補欠選任
     近藤 正道君     山内 徳信君
 十二月四日
    辞任         補欠選任
     山内 徳信君     近藤 正道君
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     今野  東君     中村 哲治君
 十二月六日
    辞任         補欠選任
     中村 哲治君     今野  東君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠山 清彦君
    理 事
                千葉 景子君
                松岡  徹君
                山内 俊夫君
                木庭健太郎君
    委 員
                小川 敏夫君
                今野  東君
                鈴木  寛君
                前川 清成君
                松野 信夫君
                青木 幹雄君
                岡田 直樹君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
                松浦 大悟君
   国務大臣
       法務大臣     鳩山 邦夫君
   副大臣
       法務副大臣    河井 克行君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  古川 禎久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       片桐  裕君
       警察庁刑事局長  米田  壯君
       法務省民事局長  倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大野恒太郎君
       法務省矯正局長  梶木  壽君
       法務省人権擁護
       局長       富田 善範君
       法務省入国管理
       局長       稲見 敏夫君
       外務大臣官房審
       議官       木寺 昌人君
       文部科学大臣官
       房審議官     布村 幸彦君
       厚生労働大臣官
       房審議官     森山  寛君
       厚生労働大臣官
       房審議官     木内喜美男君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (上陸禁止処分後の処遇の在り方に関する件)
 (死刑制度と冤罪防止に関する件)
 (司法試験問題漏えい疑惑に関する件)
 (高齢受刑者の処遇の在り方に関する件)
 (成年後見制度の拡充策に関する件)
 (志布志事件における取調べ小票問題に関する
 件)
 (徳島刑務所医療問題に関する件)
 (いじめによる自殺対策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(遠山清彦君) ただいまから法務委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月二十九日、牧野たかお君が委員を辞任され、その補欠として丸山和也君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠山清彦君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長片桐裕君、警察庁刑事局長米田壯君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省人権擁護局長富田善範君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、外務大臣官房審議官木寺昌人君、文部科学大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働大臣官房審議官森山寛君及び厚生労働大臣官房審議官木内喜美男君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(遠山清彦君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今野東君 おはようございます。民主党の今野東でございます。
 私たちはこの委員会で、この間、東京拘置所に行きまして刑場を視察をさせていただきました。そこで法務省は七日に刑を執行されたと。そして、その執行された方の氏名、犯罪事実、執行場所について、従来の方針を変更して公表いたしました。あの刑場を見たばかりの私にとっては心に波立つものがあったわけでありますが。
 で、この従来の方針を変更して、氏名、犯罪事実、執行場所について説明をするペーパーが、このようなものがそれぞれの、衆参の法務委員会に所属しているそのメンバーの部屋に渡されたようなんですけれども、これはどこから出たものなんでしょうか。これはどこを見ても、どこから出たものって書いてないんですよ。これ、どこから出たんですか、大臣。
#7
○国務大臣(鳩山邦夫君) これはですね、一枚紙のものをおっしゃっていますよね、この間配った。あの一枚紙って、つまり一人につき一枚。
#8
○今野東君 それもそうですが、全部。
#9
○国務大臣(鳩山邦夫君) だから、三枚ですね。
 これは、法務省の責任において、簡略に事実、事件の経過等をまとめたものでございます。
#10
○今野東君 法務省の責任において出されたものについて、なぜ法務省とこれ書いてないんですかね。こういう習慣があるんですか。
#11
○国務大臣(鳩山邦夫君) その辺は私は分かりません。
#12
○今野東君 いや、大臣が分かりませんじゃ困るので、今後もこういうことが続くんですか。
#13
○政府参考人(大野恒太郎君) 当日午前に執行があったわけでございますけれども、緊急にその状況について御報告する必要があるということで、名義を付さずにお配りをさせていただきました。ただし、法務省の方からお配りしたということは、(発言する者あり)法務省の方からお配りしたということはお伝えしているはずでございます。
#14
○今野東君 時間がなかったから法務省って書く時間がなかったみたいな話で、本当にへんてこりんな話でありますね。まあ分かりました。これは法務省が責任を持って出したものだということは理解をいたしましたが。
 それでは、なぜ今回、この死刑を執行された人の氏名、犯罪事実、執行場所について公表するということに踏み切ったんでしょうか。
 ここに、理由の第一に、被害者や国民から情報公開すべきとの要請が高まったということを挙げております。どういうふうな客観的状況があったのか、あるいはどんなふうに高まったのか、私には全く分からないんですが、平成十年の十一月以降、この死刑囚の氏名、犯罪事実、執行場所の公表に関しては、被害者や国民を対象として何らかの調査をされた結果こうした結論に達したのだと思いますけれども、いつ、どのような調査をされたのか、お教え願います。
#15
○国務大臣(鳩山邦夫君) 無論、世論調査をしているわけではありません。とりわけ国会において、平成十四年四月三日、山花郁夫委員から衆議院の法務委員会で、もっと公開した方がいいという意見をいただいております。それから、平成十七年十月五日、松島みどり委員も同様に、だれに対して執行したのかの情報はきちんと法務省が責任を持って公開すべきものであると、こういうふうな発言があっております。国権の最高機関である国会から何回かこういうような御意見が寄せられておると。
 それから、被害者関係は、やっぱり被害者遺族の方から、これいつ死刑執行をするのか教えてほしいというような問い合わせがしばしば法務省に寄せられているわけでございまして、もちろん事前にお伝えするということはできないわけでございます。マスコミ関係はもうしばしば、もっと公開しろ公開しろと、こういうふうに迫ってきておりました。
 それらを総合したということですが、ただ、私は、一般に言う情報公開、情報公開という世界の話そのものとは私は考えていないんです。つまり、一般に言う、例えば、今訴訟が行われていますが、どういうエネルギーをどれくらい使ったのか、それを経産省が資料を持っているんだったら黒塗りにしないで出せという、こういう情報公開の問題とは、やはり人の命や人権にかかわることですから単純に情報公開だけの世界で判断することではないと、こう思っておりますが、ただ、死刑という私としても大変重い決断をしなければできないことで、その前後余り眠れない日々を過ごした、まあ私の個人的な事情ですが、そうしたことを粛々と執行するに当たって、やっぱり、死刑の執行が法に基づいてあるいは正義に基づいて粛々と執行されているということを国民に理解をしていただくためには、場所も名前も基本的な犯罪事実も国民にお知らせした方がいいだろうという判断を、決して勉強会ではまとまりませんでしたが、私が決断をしてその方針を決めました。
 ちょっと妙な言い方をするかもしれませんが、例えば物すごい凶悪事件が起こりますね。ヘリコプターが飛んだりして、マスコミが殺到する。犯人が見付かって捕まる。裁判が行われる。その辺までは国民も関心があるから、よく見ていますよね。ところが、死刑が確定すると、あとはもう何かブラックボックスの中に入っていってしまう。だから、あの事件、ああいう事件をやった人間が今日執行されたのかということはやはり関連性を持って国民に理解をしてもらった方がいいんではないかと、そういう判断をいたしました。
#16
○今野東君 私には何とも、本当にこれは厳しく精査をして情報公開をすることにしたのかということが理解できないのです。法務省の内部でこういうことを考えて出しちゃったと。もうちょっと慎重であってよかったのではないかと。むしろこれは、死刑制度を継続させるためのキャンペーンの一つとしてこういうことをやったんじゃないかという気すらいたします。
 さて、次の質問ですが、前回、十月三十日の質問で、警察官が、取り調べる側が被害届を書いて、被害者本人ではなくて、そしてそれで立件をしてしまうというようなことが冤罪につながっているのではないか、そうした被害者本人ではなく警察官が被害届を書くようなこと、こういう件数を調べる考えがあるかというところを伺ったところ、どれくらいの件数であるか調べてみたいという答弁を大臣からいただきました。これ、お調べになってどれぐらいの件数があったんでしょうか。
#17
○政府参考人(大野恒太郎君) 今委員御指摘の大臣答弁を踏まえまして、東京地方検察庁本庁それから東京区検察庁におきまして調査を行いました。東京二十三区の事件ということになります。平成十九年十一月十二日から十六日までの週につきまして、その間に受理した事件について調査いたしましたところ、被害届の出ている事件は六百六十二件ございました。この六百六十二件のうち、被害届の本文を警察官が記載し、被害者が署名したというケースでございますけれども、これは五百九十五件、つまり大体九割近くが本文の記載は警察官が行い、もちろんその内容を確認した上のことでありますけれども、被害者が署名したものが今申し上げたような大半を占めておったと、こういう調査結果でございます。
#18
○今野東君 九割近くもあるというのは大変驚きですが、これ、こういうことの中で警察官が自らの仕事に都合のいいようについつい作文をしてしまう、そのことによってこの冤罪が生まれていくという可能性があるのではないかということはお考えになりませんか、大臣。
#19
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今の今野先生のお話であるならば、私はそういうふうな形で誤った方向に行くとは考えておりません。被害届の書き方とかいろいろあるんでしょう。そういう中で、自分で書くという方もおられますが、書いてくださいと、自分が署名するからというケースが多いんだなという、この調査結果を見て感想を持っております。
#20
○今野東君 被害届というのは被害者が自ら書くというのが本来のものであると思いますから、どうぞそういうふうにできる限り改めていただきたいと思います。多くの事件でそのようなことがあるということは国民の多くは知らないでいると思います。
 さて、私が関心を持って見詰めている裁判があります。実は、これも被害者は被害届を書くのではなくて警察官が書いて立件された事件でありますが、この被告人とされている方は大手企業の会社員、勤めている方です。裁判になっていて、無罪を主張して闘っておられるんですが、この間、地裁の判決は執行猶予が付いたものの有罪でした。これは、直ちに控訴をいたしましたからまだ係争中であります。つまり、結果は出ておりません。何人も有罪と宣告されるまでは無罪とされる推定無罪という原則はだれでも知っている近代刑事法の基本原則であります。なのに、会社は懲戒解雇してしまいました。
 また、ある会社は、会社の内部文書を窃盗をしたとして書類送検をされた社員、この社員はもちろん私は盗んではいないと言って主張をしておりますけれども、この件についてはまだ起訴もされていない段階で懲戒解雇されてしまいました。
 これは、法務大臣にお答えいただくことではありません。こういう事実があるのだということを是非知っておいていただきたいと思います。被害届を警察官が書いた事件です、いずれも。こういうふうにマイナス効果が表れてしまっているわけであります。これは、こういうことは働く人たちの権利が守られているこの国ではあってはならないことであります。
 こういう事実があることを厚生労働省は知っていますか。
#21
○政府参考人(森山寛君) お答え申し上げます。
 個別の事案につきましてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、御指摘の件数につきましては把握をしていないところでございますが、この解雇につきましては、労働基準法の十八条の二によりまして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には無効であるとされておりますので、いろんな個別の事案につきまして、それぞれの個別具体的な事情に照らして、先ほどの条文に従って判断されているものというふうに理解をしているところでございます。
#22
○今野東君 せっかくおいでいただいていますからお聞きしますが、それでは、その労働基準法の十八条の二に書かれているこういう状況ですね、私がさっき話した、まだ係争中で結果が出ていないにもかかわらず会社が懲戒解雇をしてしまった、こういう事実は客観的で合理的理由になりますか。
#23
○政府参考人(森山寛君) 個別の事案については先ほど申し上げましたようにお答えを差し控えさせていただきますけれども、先ほど申し上げました客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合ということにつきましては、これはいろんな判例等ございます。そういう中で、個別具体的な事情に照らしまして、その解雇の理由、あるいはそれに至った経緯、あるいは社会的に与えた影響等、そういうものを総合的に判断して、その解雇が有効か無効か、総合的に判断がなされているというふうに考えているところでございます。
#24
○今野東君 いや、私聞いているのは、客観的で合理的理由になるかならないか、なるんですか、ならないんですか、厚生労働省の見解をお聞かせくださいとお話ししているんです。
#25
○政府参考人(森山寛君) 基本的には、この解雇につきましては最終的には民事的な判断でございます。私ども行政機関といたしましては、そういう規定があるということの周知、それからまた私どもの方で個別労働紛争解決制度というのを設けております。こういうものでそういう早期解決に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、今申し上げたようなものにつきましての、まあ白黒といいますか、最終的決着につきましては、これは司法において判断されるものというふうに理解しているところでございます。
#26
○今野東君 厚生労働省何のためにあるの。厚生労働省の厚生という字は、人間の生活を健康な豊かなものにすることというんでしょう。これ船場吉兆よりひどい偽装じゃないですか。厚生労働省じゃない、そんなものは。
 こういう件数について、何件ぐらいあるのか調べるつもりありますか。
#27
○政府参考人(森山寛君) 先ほど申し上げましたように、解雇の問題は、これは最終的に司法的な問題でございます。裁判上の問題でございまして、私ども、個別労働紛争関係で私どもの機関に参りましたものについてはもちろん把握をしておりますが、そういう裁判の件数等については把握をしていないところでございます。
#28
○今野東君 それは、問題だと思う人は司法に訴えるの。そうじゃなくて、労働行政を扱っている厚生労働省としてどう考えるんだということを聞いている。そして、調べるつもりはあるかということを聞いているんです。もう一度ちゃんと答えてください。
#29
○政府参考人(森山寛君) 私ども、今申し上げましたように、そもそも、この解雇というものが正に労働者にとって大変に影響の大きい問題であるということはもう重々承知した上で、その未然防止あるいは早期解決を図っていく必要があるということは私どものこれ仕事であるというふうに考えているところでございます。
 そのために、先ほど申し上げましたように、労働基準法の規定、これをしっかりと周知をしていく。それからまた、私ども、個別労働紛争解決制度ございまして、これは各労働局、地方に四十七ございますけれども、それ以外に労働基準監督署等、要するに、三百ぐらいこういう相談コーナーを設けておりまして、こういう解雇の問題等も含めて早期解決に向けて努力をしているところでございます。
 ただ、最終的にはやはり、何度も申し上げますけれども、これ白黒付けるものにつきましては最終的には司法の判断でございますので、そこにつきましてはおのずと行政機関と司法との関係というのはあるかというふうに思っているところでございます。
#30
○今野東君 まじめに働く人たちの権利を守らなければならない、その労働行政の主管をしている厚生労働省がこういうことについては何にも意見を持っていないという、大変失望をいたしました。
 次の質問に移りますが、今度は入管行政であります。
 この間、法務大臣に、トルコにおけるクルド人の状況ですね、クルド人の方でトルコから難民として逃れてきた方々を一人も認定していないという状況について御存じですかというお話をさせていただきましたが、大臣は、難民認定の責任者として懸命に勉強しようと思います、トルコ国内のクルド人が置かれている状況について、トルコ政府のやり方について今後十分勉強していくとおっしゃいましたが、その後、勉強されて、どういうふうに認識をお持ちになりましたでしょうか。
#31
○国務大臣(鳩山邦夫君) トルコからのクルド人の方々、難民申請について先般先生から御質問いただいた後、入管当局からこれまでの状況あるいはトルコ国内の状況等について聴取して、研究をしているところでございます。
 個々の案件ごとに、難民条約上の難民に該当するか否か、あるいは該当しないとしても例の人道上の配慮で在留させるというそういう必要がある、そういう案件か否かをこれから一つずつ判断していくことになるんだろうと思っております。
 ただ、現在は八百三件の申請が出ておりまして、まだ認定はゼロでございます。人道配慮数は、トータルでいいますと十六名ということになっております。
#32
○今野東君 いや、どういうふうに認識が変わられたか、どういうふうに勉強されたかさっぱり今のお話では分からないんですが、大臣は、トルコ国内におけるクルド人の迫害の事実についてどういうふうにお考えになりましたか。
#33
○国務大臣(鳩山邦夫君) トルコにおいて、トルコだけではなくて、クルド人というんでしょうか民族というんでしょうか、が世界的に置かれている立場と状況ということについては私も種々いろいろとお話を承ったりいたしておりまして、トルコ政府も、例えばクルド語の使用禁止、これを制限するとか多少のことはやっておられるわけでしょうが、これは更に研究を重ねていきたいと思っております。
#34
○今野東君 それじゃ全然、大臣、勉強してなかったんじゃないの。
 クルド語についてのことは同じですよ。この間も言いましたように、多少クルド語は使ってもいいということになったという現象の現れとしては、放送でクルド語の放送が行われた。ただ週三十分ですよ、それ。これで迫害がそこから解放されたということにはならないんじゃないんでしょうか。そういうことを私はよくお調べいただいて、難民認定をするときに材料にしていただきたいとお願いをしているんです。
 なお、そういう事実、それは言語だけではありません。音楽もそうです、行事もそうです、そういうことを禁止している。その中で自分たちが迫害をされているという認識を持って自由を求めて日本に逃れてくるんです。ですから、そういうトルコ国内のクルド人の方々が置かれている状況についてもっとよく知っておいていただきたい、難民行政の責任者として。よろしくお願いします。
 さて、それでは別の観点からなんですが、日本に空港やあるいは港などから様々な方々が上陸をしてきますが、上陸禁止になる外国人って年間何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
#35
○政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。
 平成十八年中に入管法に規定されております上陸のための条件に適合しないということで上陸を拒否した外国人、一万六百七十五人でございます。ここ三年、一万人前後で推移しております。
#36
○今野東君 上陸を禁止した人のその後の処遇はどういうふうになるんですか。
#37
○政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。
 上陸が認められなかった外国人につきまして、入管法上、その外国人を運航してきた船舶又は航空機、この運送業者の費用と責任によりまして速やかに本邦外の地域にお帰りいただく、これが入管法上の規定でございます。
 もうちょっと具体的に言いますと、船舶の場合は、そういう外国人の方を上陸させることなく乗船したままで出国していただく、ここから上陸防止という言葉が出てまいりました。航空機の場合はそうはいきませんので直近の便でお帰りいただく、これが原則でございます。ただ、運航状況等によりまして直近便が到着した日にないという場合もございますので、その場合につきましては民間の宿泊施設あるいは国が管理しております宿泊施設に、そこを上陸防止施設と、空港の近くということになりますが、指定いたしまして、そこにお泊まりいただきまして出国の便をお待ちいただく、これが入管法上の構造でございます。
#38
○今野東君 成田空港にレストハウスというのがあって、そこの三階にこういう方々を収容しているという話を聞きました。ここに収容されるについて、入管は一つ一つについて承知をするんですか。
#39
○政府参考人(稲見敏夫君) ただいま御説明しましたとおり、運送業者の費用と責任において上陸防止していただくんですが、当然に私どもがそれを指定するということになりますので、全件私どもが承知しております。
#40
○今野東君 そこには最長でどれぐらい収容されるんですかね。
#41
○政府参考人(稲見敏夫君) 済みません、今手持ちでデータがございませんので詳しいことは分かりませんが、現在、現時点でいえば、多分最長の方でも一週間から十日という具合に考えております。
#42
○今野東君 収容期間が長い人で半年です。そういうことはよく知っておいてください。
 そういう中で半年も、まあ長いんですけどね、半年って、長い人で半年ですけれども、そうやってそういうところに入れられて、今年の四月ですが、モンゴル人女性が自殺をしましたね。この経緯についてどういうことだったのか、お話しいただけますか。
#43
○政府参考人(稲見敏夫君) 御質問の事案につきましては、お亡くなりになりました方の御遺族、関係者の方から、強くこれは公表しないでほしいという御意向がございまして、本件につきましては、その国籍も含めまして詳細の発表はしておりません。
 ただ、事件発生当時に複数のマスコミ等から問い合わせがございまして、それに対しましてはただいま説明いたしました範囲で回答はしております。
 死亡した事案が発生したということは事実でございます。またその認定は、警察の検視の結果、自殺であると判断されているものでございます。
#44
○今野東君 何らかの希望を持って日本に来て、そして入国の入口でこういうことが行われて、そして急激に希望を失い、自殺をしてしまうということがある。ということは、そういうところ、そういう行政については問題があるのではないか。入管が航空会社やあるいは船舶の会社にそこのところを押し付けてしまっている、これはちょっと問題なのではないかと私は指摘をしておきたいと思います。
 さて、時間がありませんので、最後に大臣にお伺いいたしますが、難民政策について、法務省は第三国定住について実務者の勉強会をスタートさせるなど前向きに取り組む姿勢が伝えられておりますが、この第三国定住を検討するに至った経緯、そして、これが実現すると現在の難民にどのような変化が期待できるのか、お答えいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先般、国連難民高等弁務官のグテーレスさんがお見えになりまして、かなり長時間話し合ったわけでございます。
 もちろん、私の考え方が全部正確に伝わったかどうか自信はありませんけれども、この第三国定住ということに関しては法務省だけで処理できることではない。もちろん、先ほどのトルコのお話、難民も同じだと思うんですが、それは言葉の問題があるし、あるいはお子さんの教育の話もあるし、あるいは住居をどうするのかということもあるし、仕事はどういうふうにされるかという問題もあります。
 したがって、政府全体として、第三国定住というのはいまだ日本はやっていないわけですが、これからやる可能性があるかどうか、要請はあるわけですから、やってくださいという要請はあるわけですから、国際貢献にならないわけでもありませんので、今年の九月に難民施策に関係する関係省庁の担当者レベルによる勉強会を立ち上げたところでございまして、もちろん法務省もその中心になっているわけでございます。ですから、この勉強会で大いに勉強をしてもらって、住むかどうかは今私はここで断言できることではありません。というのは、やはり日本という国の成り立ちとかあるいは島国であるとか、基本的に移民は受け入れていないというような問題等もありますから、大いに勉強していずれ結論を出していかなければならない問題だと考えております。
#46
○今野東君 最後に一問だけ。イエスかノーかだけでお答えいただきたいと思いますが、これ今、法務省が中心になってやるんだとおっしゃいましたけれども、法務省が主管するんですね。
#47
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは中心になるといったら、やっぱりそれは入管というか、出入国管理をやっている官庁ですから、我々の役割、役目は大きいということを申し上げているので、今の勉強会レベルは、円卓会議かどうか分かりませんが、皆対等な立場でやっているんだと思います。
#48
○今野東君 是非、法務省、外務省が中心となって、人権が真ん中にある国というのを是非つくっていただきたいと思います。
#49
○国務大臣(鳩山邦夫君) 残念ながらというのか、主管は一応内閣府という形になっているそうです。
#50
○今野東君 第三国定住について人権が真ん中にある国として努力をしていただきたいと思います。
 質問を終わります。ありがとうございました。
#51
○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。
 先ほど大臣からお言葉をちょうだいいたしましたけれども、今日、私だけ政府参考人をどなたもお呼びしておりません。その趣旨について少し御説明申し上げたいと思います。
 先ほど、今野委員からの質問に対して大野刑事局長が御答弁をされました。作成名義のない文書をなぜ作ったんですかと、急いでいたから名義はありません、これ自体理由にならないことです。急いでいたから作成名義を付けないという理由はありません。それと、その理由自体うそです。なぜならば、死刑の執行はその日の朝、突然行われたわけではありません。法務省の中で恐らく何か月も前から準備をし、大臣の決裁もお取りになってから執行された。それにもかかわらず、役人の皆さんは平気でうそをおっしゃる。
 大野さんというのは、たしか司法研修所の教官もお務めになった、あるいは事実認定に関する御著書もあって優秀な方なんだろうと思うんですが、どうも役所に入ると建前の議論、責任回避の議論、うそがまかり通ってしまう。これはせっかくこの国会で貴重な時間、議論させていただくのがもったいないなと、そんなふうに私は思っています。
 政治家としての格の違いは十分認識しておりますけれども、今日は大臣の胸をかりていろいろ御議論をさせていただきたい、こんなふうに思っています。
 それで、今日は、昨日の三時十五分と四時二十分にお尋ねする事項をファクスで送信させていただきました。その順番に従ってお尋ねするつもりだったんですが、やはり今野委員の方から死刑の問題がお尋ねありましたので、ちょっと順番を変えさせていただいて、まず死刑についてお尋ねをしたいと思います。
 去年の、平成十八年三月三十日のこの参議院法務委員会で私は当時の杉浦法務大臣に質問をさせていただきました。杉浦大臣が就任時の記者会見で死刑執行についてサインはしないと、こういうふうにおっしゃった。しかしながら、その日のうちに訂正をなさって、個人としての心情を述べたにすぎないんだと、こういうふうに発言を訂正されました。私はこの三月三十日の委員会で杉浦大臣に、結局じゃ大臣は在任期間中、死刑執行はなさるんですか、なさらないんですかとお尋ねをいたしました。それに対する杉浦大臣のお答えは、読み上げさせていただきます。法務大臣の所信に対する質疑の際も再三お答え申し上げておりますが、死刑の執行に当たりましては適正適切に対処いたしてまいります、死刑事件はもうそれぞれ個性がございますので、適切に、適正に対処いたしてまいりますと、こういうふうにおっしゃいました。鳩山大臣も当然、適正適切に御処理されると思うんですが、結局、杉浦大臣はその在任期間中、死刑執行はゼロでした。
 そこで、お伺いしたいと思っているんです。その適正適切に対処するというのはどういう意味なのか、結局は執行しないという意味が適正適切だったのか、この点お伺いいたしたいと思っているんです。
#52
○国務大臣(鳩山邦夫君) 杉浦元法務大臣の発言や、あるいは実際に執行をされなかったことについて、その心情等も杉浦元大臣はおしゃべりになったことはあろうかと思いますけれども、私がコメントできる立場にはないと思います。
 ですが、適切に死刑が執行されるべきである、それは粛々と法の要請に従って行われるべきだと、こう考えておるわけで、したがって、大臣が替わるたびに執行が行われたり行われなくなったりするというのは、私は法の要請に十分にこたえていないものだと。そういう観点で、法務大臣の、心情というのはあるんだろうと思いますが、考え方によって大きく変わることは問題があり、世間から見れば法的な安定性を欠くことになると。
 自動的にやればいいというような発言を、まあそのものずばり言ったわけではありませんが、死刑自動化発言ということをよく言われますが、まあ自動化とまでは思っておりませんけれども、粛々と一定のペースで行われ、やはり刑事訴訟法の死刑は法務大臣の命令によると、それは死刑確定から半年以内だという規定が、これは訓示規定であると解されるというふうに法務省は言っているようでございますけれども、そう訓示規定訓示規定と言って済ませていいかどうかという問題もあるだろうと。しかし、実際、半年というのは全く実現しておりませんし、いつも申し上げておりますような再審の可能性とか、恩赦がどうなるかとか、非常上告はとか、心神の状況はと、そしてすべての記録を読み直して、万が一にも間違いがあってはいかぬということを考えれば、半年という規定を例えば一年半にするとかいうふうな考え方だって将来はあっていいだろうということを申し上げているんで、私としては、やはり一定のペースできちんと粛々と執行されるべきというふうに思っております。
#53
○前川清成君 私も、適正適切の趣旨は今大臣がおっしゃったのと同じ意味ではないかなと、こんなふうに思っています。だから、その当時の杉浦大臣が苦し紛れに適正適切とおっしゃったのは、結局としてはこの国会でうその御答弁をされたのではないかなと、結果として私はそう思っています。
 それで、死刑について、大臣、根源的な問題について今日、議論させていただくつもりはないんです、時間の都合もあります。ただ、被害者や遺族の処罰感情でありますとか、一般予防、特別予防、あるいは今現在における日本の国民全体の世論等々を考えますと、私自身も今直ちに死刑を廃止することは困難ではないかなと、そう思っています。
 ただ一点、従前、最高裁の判事を務められた団藤重光さんが、これは刑法の大家でいらっしゃいますけれども、御著書の中で、無罪の人間を死刑にしてしまうことを完全に避けることは絶対に不可能と、こういうふうにお書きになっておられます。
 この点、大臣も同様の認識をお持ちなのかどうかを御確認申し上げたいと思います。
#54
○国務大臣(鳩山邦夫君) 世の中に絶対とか一〇〇%、ゼロ%というものは余り存在し得ないのかなと。我々演説で絶対になんというのはしょっちゅう、皆さんも使われるし我々も使うんですが、そういう意味でいうと、緻密な頭脳を持たれた団藤重光先生がそういう表現をされたんだろうと、こう思うわけです。
 ですが、本当は私が使っちゃいけない言葉ですが、例えば冤罪と、明確に冤罪と言える範囲のもの、これもそれはもう限りなくゼロに近づけたいと、こういう思いでゼロにしますというふうに言いたいところですけれども、それは団藤先生的に頭を働かせていけば、やはり限りなくゼロに近づけるという表現になってくるのかなと。私は団藤先生に実は直接授業は習ったことはないんですが、私は藤木教授の刑法を取ったものですから直接御指導はいただいておりませんが、そんなふうに解釈いたします。
#55
○前川清成君 絶対に無辜の者を処罰しない、これは人間が裁判をする以上無理だろうと、やはりその辺に対する謙虚な姿勢というのは必要なんだろうと私も思っています。
 ですから、近代刑事訴訟法は百人の有罪者を取り逃すことがあっても、一人の無辜の者を処罰してはならないという建前で、例えば伝聞法則でありますとか、あるいは無罪推定の原則などなどが組み立てられているんだろうと私も思っています。ですから、大臣のそういう御姿勢で私はいいと思うんですが、しかし現に冤罪は起こっているわけでございまして、日本でも四件、免田事件、島田事件、財田川事件、松山事件、四件の死刑が確定しながらその後の再審で無罪になったという事件があります。
 これについて、大臣、特徴的なものを御認識いただいているようでしたらちょっとお答えいただきたいと思うんですが、この過去の冤罪事件、何が最大の原因だというふうにお考えになっているか。
#56
○国務大臣(鳩山邦夫君) 過去そういう、私が軽々に使ってはいけない冤罪という言葉ですが、今前川先生が指摘された事柄は正に冤罪だったわけです。
 これは、冤罪は限りなくゼロにしなくちゃならぬとこう思っておりますが、だからこそ、これ皆再審無罪という件でしょうから、再審の請求が出た場合、その正当性についてきちんとできるだけ精査して判断すると。こういうことが過去あったからこそ再審の可能性というものについて徹底して慎重に審査をしてからしか執行はしないと、こういうふうに私どもは決めておるわけです。
#57
○前川清成君 この免田事件、島田事件、財田川事件、松山事件、この四件の再審無罪事件ですけれども、四人の元死刑囚はいずれも捜査段階で自白をしています。冤罪事件であったということは、結局は、虚偽の自白を捜査機関によって強要されていたということに結果としてなるわけです。
 ですから、私は、死刑を存続させる前提として、やっぱり無罪で国によって命を絶たれる人があってはならない。そのためには、大臣がおっしゃったように、冤罪事件を可能な限りゼロに近づけていかなければならない。その方策として、冤罪の最大の温床になっているこの自白の強要、これを防ぐ方策が必要だと私たちは考えています。ですから、松岡さんたちとも一緒になって、あるいは松野さんたちと一緒になって私たちは、その取調べ過程をビデオで録画する、そういう法案を過日、参議院に提出させていただきました。死刑を存続し、そして冤罪を根絶するには私たちはそれしか方法がないのではないか、そんなふうに思っています。
 もしこの点に感想的なものがございましたら、一言だけお聞かせいただけますでしょうか。
#58
○国務大臣(鳩山邦夫君) 確かに、死刑確定後に再審で無罪になった件はすべてやはり自白の任意性や信用性が問題になり、自白の内容とは違う事実が出てきたということが明らかになっている。したがって、だからこそ、それは警察も同様でありましょうが、警察も検察もこれらを反省材料として自白の任意性というものをきちんと確保できるような取調べをしていかなくちゃならないと、それは随分改まっているんだろうと思っております。ですから、自白の任意性をどうやって担保するかという中で可視化の議論がこの委員会でも何度も何度も出ておるわけでございますが、これは繰り返すと長くなりますので。
 全面可視化ということになりますと、かえって真実が分かりにくくなったり、プライベートに及んで聞かなくちゃいけないようなときにそういうことが聞けなくなったりということがありますものですから、逮捕から全部可視化と言われますと、日本の刑事手続全体の中での影響を考えて、オーケー、イエスということは私は全く言えない立場にありますけれども、ただ自白の任意性をきちんと確保するためにはありとあらゆる方策を尽くしていかなければならないとは思っております。
#59
○前川清成君 この後、司法試験の問題等々お尋ねしたいことがまだまだあるんですが、もう既に二十分を経過してしまいましたので、死刑の問題はこれでとどめたいと思うんですが。
 ただ、大臣、今様々な事件があって、警察、検察庁も反省して取調べの適正に努めているというお話でございました。しかし、私もきっちりと調べてきたわけじゃありませんが、この四件の再審無罪事件は二十年前、三十年前の事件です、再審無罪の判決が出たのは。ところが、最近というか今年になってからも、鹿児島の選挙違反の志布志事件あるいは富山の氷見事件、現実に自白の強要というのが行われているんですね。これは性善説に立って、警察の皆さん、検察の皆さんが一生懸命やればやるほど、お仕事を一生懸命取り組めば取り組むほどどうしても取調べがきつくなって、制度に内在するものとして虚偽の自白の強要というのが行われる、だから私たちは制度が必要だと、こういうふうに考えておりますので、また是非御検討をお願いしたいと思います。
 それと、次のお尋ねは国政調査権についてであります。憲法六十二条が国政調査権を保障しておりまして、それは先ほど大臣が、国会は国権の最高機関だという御発言もありました。この国政調査権について、大臣はどのような御見識をお持ちなのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
#60
○国務大臣(鳩山邦夫君) やはり三権分立という大原則があって、司法権の独立というのはこれはまあ大変な大原則としてある。問題は立法権と行政権の関係、我が国は議院内閣制も取っておるわけでありますから、国会で首班を選ぶわけであります。そして、その首班が内閣をつくっていくと、こういうようなことを考えた場合に、国会は国権の最高機関であるという条文は常に重く受け止めていかなければならない。
 ちょっと余計なことかもしれませんが、先週の金曜日に衆議院の法務委員会が開かれておりまして、ちょうど九時三十八分に三人の方の執行が終了して、ただ、死刑を執行した方の遺族への御連絡が終わらないと発表できない。発表が十一時十五分ぐらいだったと思うんです、事務的にやったときに。ところが、そのときに私は委員会で答弁中でありました。で、話が伝わったときに、国権の最高機関をどう考えるかと、こういうやじ等が飛んだものでありますから、それを受け止めて、先ほど三枚の話がありましたけど、あの三枚を私自身が全部朗読というか読ませていただいたと。
 そういう最高機関が持っている権限として国政調査権が憲法六十二条に定めてあるわけでございまして、極めて重要な権能であろうと考えております。
#61
○前川清成君 私はこの国政調査権につきましては、国会が立法権という権限を行使する、それは机の上に書いたもの、机上の空論だけで法律を作っていってはかえって国民の皆さんに御迷惑を掛ける。現場のことを十分に分かった上で、生活者の皆さんや消費者の皆さんや勤労者の皆さんや、あるいは企業の皆さんが、どんな問題を悩んでおられて、どういう問題が今政治の課題なのかと、きっちりと情報を収集しなければならない。そういう意味で六十二条というのは大切な条文なんだと、こういうふうに考えています。
 その上でお尋ねしたいのは、十一月の二十七日に参議院の財政金融委員会、守屋前事務次官の証人喚問、これを十二月三日に行うことを決定いたしました。ところが、十一月二十七日の翌二十八日に守屋さんは逮捕されました。証人喚問が決まった守屋さんが逮捕、勾留されたこととこの国政調査権との関係、これはどのように考えればよろしいんでしょうか。
#62
○国務大臣(鳩山邦夫君) 守屋前事務次官と奥さんの逮捕、それから宮崎さんの再逮捕でしょうか、これが十一月二十八日に行われたわけでございます。これは、正直言って証人喚問の日程が決まっていたわけでありますから、その関係というものはきちんと説明できなければいけないだろうと、こう思ったわけですが、したがって、証人喚問というのは国政調査権の発動の一つであることも私は十二分に理解いたしております。
 ですから、個別の守屋事件で、個別の事件について私はコメントはいたしませんので、守屋事件ということじゃなくて一般論として申し上げますけれども、やっぱり捜査した結果、捜査中であっても嫌疑があって、やはり逮捕を早めないと罪証隠滅等の可能性があるということであれば逮捕せざるを得ないと。まあちょっと別のディメンジョンみたいな形で物事を考えさせていただいたわけでございます。
#63
○前川清成君 大臣、今のお答えは珍しく結論がはっきりしなかったんですが、今の御答弁は、逮捕、勾留は国政調査権に優越すると、そういうお答えなんですか。
#64
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっと資料が……。
#65
○前川清成君 もう少し具体的に御説明しますと、逮捕、勾留したならば証人喚問の効力はなくなってしまうと、こういうふうにお考えなんですか。
#66
○国務大臣(鳩山邦夫君) 出張尋問という制度がございます。これは、起訴前の方に出張尋問をしたというのはまだ例がないのかもしれませんが、裁判所に財金の委員会の方から話をされて、今、弁護人以外と、弁護士以外と接見禁止になっているわけですが、それを解除して出張尋問という道がございますので、出張尋問も証人喚問の一形態であると考えた場合に、逮捕することによって証人喚問が不可能になるとは考えませんでした。
#67
○前川清成君 それじゃ、大臣、結局この守屋さんの件については江田議長の御仲介等あって取りやめになったんですが、個別事件についてはコメントしないということですので、個別事件について申し上げるわけじゃないんですが、証人喚問の決定があってその後に逮捕、勾留された場合には、当該証人は国会において、国会に出頭して尋問に答えることはないと、こういう結論になるのでしょうか。
#68
○国務大臣(鳩山邦夫君) 憲法や刑事訴訟法でどちらが優先するというような規定は一切ないわけですね。また新規立法すれば別でございますが、それは国会の、国権の最高機関の諸先生方がこういうときにも国会に呼べるようにすべきだという立法をされれば話は別ですが、現時点では国会にお呼びになるということはできなくなります。
#69
○前川清成君 それは恐らく法務省がそういうコメントなんだろうと思うんですが、私はそれ自体が間違っている、法律の解釈として間違っていると考えているんです。
 大臣もおっしゃったように、現行法で効力関係について規定はありません。ありませんが、逮捕、勾留されたならば、警察の代用監獄に被疑者を押し込めておかなければならないとか、拘置所から一歩も外へ出してはならないというふうには書いていませんし、現実の運用もそうなっていないはずなんです。例えば逮捕、勾留中の者でも、おなかが痛くなった、外の病院に連れていくことがあります。だから、逮捕、勾留中の者を拘置所の外へ出すことは一向に構わないはずです。また、日常的に現場検証ということで外へ連れ出していることもあります。
 ですから、私は、逮捕、勾留された証人であっても、国会が証人喚問の決定をしたならば国会において喚問することは何ら法律上差し支えないと。それをどうして出張尋問しか方法がないというふうに法務省が答えるのか、そこが納得いかないんです。そういう問題意識を私は持っているんですが、大臣、いかがですか。
#70
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も三十年近く国会議員をやっている者ですから、国会議員としての誇りというものは諸先生方と同様持っております、今は内閣の一員ではありますが。
 そう考えた場合に、国政調査権の発動の一形態である証人喚問というものが、今、前川委員おっしゃったような形で行われる可能性があるのかなと正直思いました。私は法曹資格を持っておりませんから刑訴法も勉強しておりませんし。ですが、現実的には身柄を拘束された、勾留された方を国会に連れてくるということは人権上の問題もあるかもしれない。ただ、その辺をはっきりされるのであれば、私は、議院証言法なのか刑訴法なのか分かりませんが、特に今回の事件は例にしちゃいけないんでしょうが、やっぱり国会の証人喚問が非常に意味があると判断をされるような場合に、起訴前後を問わず、出張尋問でなくて国会で証人喚問するという、そういう立法をされたらいかがかなと。そういう法律がない以上は、私が先ほどから申し上げたような形で出張尋問の形を取っていただくしかないというふうに思います。
#71
○前川清成君 まず、国の法律の体系として憲法というのがその頂点にあって、その憲法の六十二条で国政調査権というのが書いてある。だから、国政調査に必要な人は証人として国会にお越しいただくことができると、こう書いてあるわけです。書いてあるんですから、下位法の刑事訴訟法等々に条文がなくても、むしろ条文がないから何ら制限なくお呼びすることができるはずなんです。実際に呼ぶことが適当かどうかはこれは国会の自律権にゆだねるべきことであって、下位法がないから呼ぶことはできない、これは考え方の筋道として私は逆だろうと思っています。その点の法務省の考え方は私は明らかに間違っていると思っています。その辺は、是非、大臣、ここでこれ以上詰めようとは思いませんが、法務省が言うことはおかしいです。
 この前の財政金融委員会の理事会にやはり法務省の刑事局長がやってきて、国会に連れてくることはできませんと。なぜならば、逃げてしまったら困ります、証拠隠滅のおそれがあります、プライバシーが侵害されますと、そういうふうに説明したというふうに私はこれは伝聞ですがお聞きしています。逃げるってどうやって逃げますの。プライバシーって、もう最初から水まいているところまでニュースで流れているわけですから、それは全然理由にならないわけですから。やはり、どのように国政調査権を適切に行使するか、これは国会の問題として極めて大きいと思いますが、ただ、逮捕、勾留、警察官が請求して裁判官が発付した逮捕状によって国会の決定が覆ってしまう、これはやはり国法体系として順序が逆、効力が逆だと思っています。
 ですから、この辺も是非、次の機会にこういうことが起こらないように、是非是非、鳩山大臣の下で整備をしていただいたらいいな、私はそう願っています。この点は役人出身の大臣ではできない、そう思っています。
#72
○国務大臣(鳩山邦夫君) 人間を分けるわけではありませんが、やはりここにいる副大臣、政務官、私は、正に立法府の人間でございます。後ろにおられる方々は、いわゆる役人であったり、もちろん検事や裁判官の資格でおられる方もおられるわけですが、やはり若干考え方の違いはあると思います。この三人はやっぱり国政調査権とか国権の最高機関という誇りもより後ろの方よりは強く持っておりますから。
 私は、ですから前川委員がおっしゃるような考え方もあるかなと思ったわけですが、いろいろ検討してみますと、現実にはそれは難しいから出張尋問にしていただくしかないなと思いましたが、恐らく後ろの人たちと私は考え違うと思いますが、それは立法されたらいいじゃないですか、そこのところを。そんなのなくたってできるんだとおっしゃるのも分かるけれども、それは立法されてきちんとされたらいいような気がしますが。
#73
○前川清成君 立法すればもちろん解釈の問題は起こらないわけですけれども、くどくど申し上げるのは、法務省の解釈が間違っているということを申し上げたかったわけです。
 それで、ちょっと時間の都合もありますが、徳島刑務所の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 徳島刑務所で、御案内のとおり、暴動が起こりました。これは何が原因だというふうに報告を受けておられるのでしょうか。
#74
○国務大臣(鳩山邦夫君) 実は、それなりの調査をしたんです。
 十一月十六日、徳島刑務所第二工場で数名の受刑者に担当職員が押し込まれて殴るけるの暴行を受け、更に二十数名の受刑者が加勢した、非常ベル通報で応援に駆け付けた職員により問題が解決したと、こうなっております。この職員の暴行事案については、施設運営という観点から行政調査をする、また刑事事件として立件するということも視野に入れて捜査中なんです。
 で、問題は、暴れた方によって言うことが違うんですね。処遇が最近厳しくなったからであるというふうに言う人あり、あるいは例の医療行為のことを言う人あり、あるいは組織における親分が独居房に入ったことで不満であるとか、こういう、いろんな言うことが違うので、一つの原因に特定はちょっとしにくいというのが今の状況です。
#75
○前川清成君 四月に視察委員会が、報告書で松岡医師の医療行為が適切かどうかについて指摘をしているというふうに私は伺っております。また、今年の六月にも視察委員会が徳島刑務所を訪ねて、九月にも指摘をしていると。十一月の暴動を受けて、十二月にもまた視察委員会からその松岡医師の医療行為が適切かどうかについて指摘があったというふうに聞いているんです。
 ですから、この点、この場でいろいろ議論してああだこうだと言う問題以前に、先ほどの国政調査権のことではありませんが、まず法務省お持ちの資料をお出しいただけたらどうかなと、私はそう思っています。
 今大臣が、それぞれ暴動を起こした者によって言うことが違うという御発言ありました。そうであれば、矯正局や高松矯正管区が聞き取りをした調書をお出しいただいたらどうか。あるいは、C型肝炎の患者を放置しているというふうな報道もありました。C型肝炎というのは、御案内のとおり、放置しておいたならば肝硬変、肝がんに移行する大変危険な病気であります。それが本当なのかどうかについては、これはカルテをこの委員会にお出しいただいたらどうか。
 また、松岡医師は薬を出さないというふうな報道もあります。そうであるならば、ほかの刑務所と比べてこの徳島刑務所、薬の出ている様子がどうだったのか。また、診察の状況をビデオで撮影していると、こういうふうに受刑者からの話もあるそうです。
 ですから、聞き取りの資料、カルテ、あるいは薬剤費の統計資料、更にはビデオ、これらをこの委員会に提出するよう、委員長、是非お諮りいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#76
○委員長(遠山清彦君) ただいまの前川委員の申出につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
#77
○前川清成君 それでは、先日の司法試験の問題、続けてお聞きをしたいと思うんですが、私はこの間、法務省の対応を見ておりますと、どうも早く臭い物にふたをしたいと、もう今年の試験も終わったことなんだから今また何を言うてんねんというような感じがしてならないわけです。しかし私は、正義とか公平、これが司法において守るべき究極の価値だと考えています。そうであったならば、その法曹を選別する司法試験にあっては、とりわけ正義とか公平、この理念がほかの国家試験にも増して大切なのではないかな、こんなふうに思っているんです。
 これ、大臣としては、やっぱり役人の皆さん同様に早くふたをしようとお考えになっているのか。この前も、必要があれば再調査もしたいと、こういうふうにおっしゃっていただきました。徹底してうみを出そうとお考えがあるのかどうか、まず基本的な方針をお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(鳩山邦夫君) 植村元考査委員はとんでもないことをしたんだと私は認識をいたしております。もちろん、それに対する様々な調査があって、これは、短答式の十八問というような問題についてまた御質問あろうかと思いますけれども、いろいろ精査して、慶応大学とその他の大学との差はそれほどなかったということで、司法試験の試験結果には影響をさせないと、採点を変えるというんでしょうかね、基準を変えるとか、そういうことはしないという判断は私もおおむね妥当であろうとは思っておりますけれども、要は、最も正義が要求される試験であるという前川委員とは全く同じ考え方です。
 そこで、毫も疑いが持たれるようなことがあってはいかぬということで、専ら再発防止というか、もう厳正な新司法試験になるようにするためにはどうしたらいいかという考え方で、今までこういうやり方はどうだったかと、甘かったんではないかという部分をうみとすれば、そのうみは徹底して出していくと、こう思います。
#79
○前川清成君 私、再発防止、これはもちろん大切だと思っています。ただ、お題目として再発防止を唱えるだけではなくて、実際何が起こってしまったのか、そしてその原因は何だったのか、制度的に間違いがあったのかなかったのか、そこも十分に調べないと、再発防止はただ単なる紙に書いたお題目になってしまうのではないかなと、こう思っています。その点で、法務省の調査には私は大変不満を持っています。
 そこで、ちょっと、どういう調査があったのかを具体的にお尋ねしたいと思うんですが、先日の委員会で、十一月八日の委員会で、その今大臣がおっしゃった短答式十八問、これを植村元考査委員が知っていたかどうかについて、大臣は、同じ公法系ですから知り得た可能性は十分あると、私は、だから知っていた可能性、非常に高いから問題だと申し上げているんですと、こういうふうに御答弁をいただきました。これが十一月八日なんですけれども、その数日後、十一月十一日の朝日新聞に植村教授のインタビューが一問一答で掲載されました。その中では、植村教授は、この短答式十八問について、憲法の出題者から説明がありましたと。要するに、認識の可能性ではなくて、認識していたというふうに述べています。結局、大臣の御答弁と朝日の記者に対する供述、植村さんの供述が矛盾しているわけです。この点で私はまず疑問を持っています。
 私は、八月八日付けの質問主意書を提出させていただきました。その中で、政府の方から、この植村教授に関する問題については、本人及び関係者から法務省の職員が事情聴取や関係資料の収集を行ったと、必要な調査は遂げたというふうにお答えになっています。八月八日の時点で、これ答弁書はもう少し後ですから、八月十五日、八月十五日の時点で既に必要な調査は終わっていますというのが政府の御答弁でした。しかしながら、先ほど御指摘したように、大臣のおっしゃることと朝日新聞の記事とが異なっています。
 ついては、具体的に、この政府の答弁書にあります調査というのは、一体法務省の職員のどのような方がだれに対してどのような方法でなされたのか。その調査の内容というか、調査の方法等を具体的にお聞きしたいと思います。
#80
○国務大臣(鳩山邦夫君) 十一月八日のこの参議院法務委員会で、短答式十八問を知っていた可能性が非常に高いというふうに私が答弁をいたしましたが、それはそのときの私自身のまだ調査不足等でありましたので、明確に訂正をいたします。知っていたというふうに私は今は認識いたしております。
 実は、最初に新聞に出たのが六月の何日かなんだそうです。読売新聞で最初の報道がされたようですが、その前から種々情報があって、その前から法務省としては調査を開始しておりました。受験生に送付したメール、これは大量にあるようですが、この提出も受けておりますし、本人からの事情聴取も行っておりますし、答案練習会の内容あるいはなぜ答案練習会をやったか、試験問題の漏えいの認識があるかどうか等について詳しく聴取いたしておりますし、他の考査委員からも問題作成の経過等を聴取するなどして、植村元考査委員の不適正な行為については相当解明してきたんだろうというふうに思っております。
 ついでながら、植村さんのこういう問題が起きたものですから、すべての考査委員に対して、あなたも同様なような例えば疑いを持たれるようなことをしたことがないかなどというような聞き取りもして報告を求めているわけです。特に問題になった者はほかにはなかったというふうに聞いております。
 そこでですが、短答式の十八問については、要するに公法系のワーキンググループという集まりがこれ三回ぐらいは行われているようですが、一月三十日に開催された公法系ワーキンググループの際に、憲法の考査委員が作った短答式の問題、これを口頭ではなくて見たと、見せられたというか見たというふうなことのようでありますので、植村元考査委員はこの短答式の問題を知っていたということになります。
 ついでながら、論文の公法系第一問、これは憲法ですが、彼は行政法ですが、同じ公法系ということで憲法、行政法は一緒にやると。問題の作成はもちろん植村氏がやったものではありませんが、一月三十日と三月十五日に同じようにこのワーキンググループがあって、そのときに憲法の考査委員から口頭で、その段階で公法系一問の問題内容についての概要の説明があったと。その出題されるだろうという作成中の問題が法律と条例の関係を聞いている、あるいは都市計画法が題材となっているということを植村元考査委員は認識しているはずです。論文式の公法系第二問、これ行政法、これは自分でタッチしておりますから完全に知っておると。
 こういう状況で、この間、公法系の短答式十八問について知っていた可能性が高いと申し上げた発言は訂正させていただきます。
#81
○前川清成君 それでしたら、植村さんは最高裁平成十八年三月一日の結論だけが問われる問題が出題されると知っていた。知っていた上で慶応大学の学生らに対して最高裁の十八年三月一日をしっかり勉強しておきなさいとメールを送った。これは私は漏えいそのものだと、そう思うんですが、大臣、どうしてこれが漏えいにならないんですか。
#82
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは非常に難しい問題で、(発言する者あり)いやいや、いや、漏えいといえば、それはそのものずばりを示したものが漏えいであって、そのものずばりでなければ漏えいではないというのが多分後ろの方々の見解だと思っております。
 ところが、私は、これは私は漏えいではないけれども非常に漏えいに近いものだと思います。じゃ、なぜ漏えいとまでは言い切れないかということは、メールで送って六つの判例勉強しておけよと、こう言った。まず、問題そのものがこういう問題だよというふうに示したのではないと。それから、非常に重要な判例で、これはだれでも基本的には知っていなくちゃならない、受験生であるならば、という問題であったというようなことですね。事実は超難問だったらしくて、六つの中から選ぶわけですから、ヤマカンでやっても一七%ぐらいは当たるわけですね。それがすごく正答率低いんですね、二十何%というような数字なんで、超難問であって、慶応の方も大して取れていないんですね、これね。そういうことからいうと、そのものずばりを教えたわけではないということで、実際に慶応の生徒も間違った人が非常に多いということを考えると、漏えいという言葉そのものは私も使えない。
 しかしながら、判例をメールで送って、これとこれはやらなくてもいいだろう、これだけ、この六つだけやっておけよといった行為は、それはもう絶対あってはならない行為ですが、漏えいに近いものと私なりに定義しておきます。
#83
○前川清成君 今、委員会室から失笑が出ましたけれども、漏えいと漏えいに近いものというのは、これは余り生産的な議論ではありませんのでやりませんが、大臣、ただ、出ると分かっていてその判決を勉強しておきなさい、これは漏えいという言葉が適切でなかったら、ばらしているということそのものだろうと思います。
 それと、大臣、大臣が本当にそうお考えになっているのか、後ろの方々に知恵を付けられているのか知りませんが、この平成十八年三月一日の判決、これは法律家であればだれもが知っていなきゃならない判決では決してありません。だから正解率が低いんです。これは決してそんなことはありません。
 そこで、ちょっと漏えいと漏えいに近いものとの境界線についてお伺いしておきたいと思うんですが、今回はこの判決を司法試験の考査委員がメールで送ったということになっているんですが、答案練習会をやって。じゃ、答案練習会ではなくて、法科大学院の普通の講義の中で、今年の司法試験の本番にこの問題が出ると、あるいは来年の司法試験の問題にこの問題が出ると認識しながら、ここは大切ですよ、よくよく勉強しなさいねと、それも言わない。言わないけれども、出ると分かっていて何こまも何こまも使って懇切丁寧に説明する、この行為は漏えいになるのかどうか、あるいは法務省が司法試験考査委員に対して禁止している行為に当たるのかどうか、その点お伺いをしておきたいと思うんです。どこまでが漏えいで、どこまでが漏えいでないのか。どこまでが禁止されていて、どこまでが禁止されていないのかということ。
#84
○国務大臣(鳩山邦夫君) 本来は、この間も申し上げたかもしれませんが、考査委員が、つまり試験の問題を作る人は法科大学院で教えてはならないというのが一番いいんですよ。ただ、実は法曹養成という概念の中で、法科大学院と司法試験の有機的な連携ということが明文化されているものですから、やはり本当の専門家である学者というものに考査委員になってもらうという形になっているんだろうと思います。
 ただ、今回、大幅に減らしますから、考査委員で法科大学院で教えている人が、今、話題になっているときには百人以上いたのが来年は三十八人ぐらいに減らすという、こういう政策は取っているわけです。
 先生御承知のように、三年生や修了生、修了した人には今後は考査委員は教えないようにということではあるが、もう二十年のカリキュラムが組んでしまってある場合は、しようがないからあと一年間はちょっと例外を認めるという形でやっておりますけれども、要は、受験指導というものとか答案練習というのはしてもらってはいけないわけですから、考査委員がこれは重要だとかなんとかと言えば、私はそれは非常に近いものになると思いますね。
#85
○前川清成君 それでしたら、大臣、その司法試験に出題される論点を一生懸命勉強しなさいとか、あるいはそうは言わないまでも、何こまも何こまも使って懇切丁寧に説明した、これはやはり司法試験考査委員の解任事由に当たると、これでよろしいんですか。
#86
○国務大臣(鳩山邦夫君) いやそれは、出題の範囲とか出題の問題を暗示するような形になっておれば、私は解任事由になると思います。
#87
○前川清成君 残念ながら、あと時間がわずかになってきましたので、前回もお尋ねした非慶応、慶応正答率比較グラフ、これについてお伺いをしたいと思います。
 これは短答式試験公法系(憲法)ということで第一問から第四十五問までの答え、それぞれ正答率が書かれています。これはどうして、解答の番号で言うと一問から四十五番で終わっているのでしょうか。これ、短答式の解答欄はナンバー八十九まであるんです。本当に短答試験で問題ごとの正答率を知りたければ、一問から八十九問までのグラフを作るべきだと思うんですが、それは大臣のお手元にはあるけれども私にはもらっていないだけなのか、そうじゃなくて、そもそも作っていないのか、いずれでしょうか。
#88
○国務大臣(鳩山邦夫君) 短答式は、公法系で全部で四十問なわけですが、憲法二十問、行政法二十問ですが、その一問の中に幾つか問題がありますので、憲法の二十問がここにある四十五問なわけですね。今、前川先生がおっしゃったその続編というのは行政法の分なんだろうと、こういうふうに思いまして、実はその四十六問以降のものは私もまだ見ておりません。
 これを見れば分かりますように、公法系十八問と、さっきからずっと話題にしておりますものはこれでいうと第四十問に当たるわけですね、設問数でずっと数えていきますから。この四十問を見ますと、慶応の正答率が二六・五七%、非慶応が二二・〇五%と、四・五二%の違いがあるんですが、やはり慶応の方が比較的、割合と優秀で、大体平均よりよくできているものですから、この四十問で特に大きな違いが出ているというふうな感じはいたしません。
#89
○前川清成君 いや、大臣、そこをお聞きしているんじゃなくて、大臣もおっしゃったように、この公法系科目は問題でいうと一問から四十問まであります。解答欄は八十九まであるんです。何で、それなのにどうして四十五で終わっているんですか、八十九まで行っていないんですか、植村が行政法の考査委員であったら、むしろ大臣がおっしゃるように後半の方が怪しいと考えるのが普通ではないですかという質問です。
#90
○国務大臣(鳩山邦夫君) やはり問題になったのが短答式の公法系十八問、これでいうと四十問になるんですけれども、だったものですから、憲法だけの資料を用意したということでございます。
#91
○前川清成君 いや、大臣、それ、今のはお答えおかしいですよ。ほかの問題と正答率を比較するということでグラフを作ったんでしょう。そうしたら、どうして四十問が終わったら、一問から四十問まで作りましたと、そこで終わってしまうんですか。最初から最後までグラフを作らないと比較ができないと考えるのが普通の考え方だと私は思いますが、その点いかがかということをお尋ねして、私の質問時間参りましたので、残念ですが、今回はこれで終わらせていただきたいと思います。
#92
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、ごく簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#93
○国務大臣(鳩山邦夫君) その八十九問までのは私も見たいので、資料を作らせて提出いたします。
#94
○前川清成君 ありがとうございました。
#95
○木庭健太郎君 今日は、一つは、高齢犯罪者の発生防止の問題、また社会復帰の問題をまずちょっとお尋ねをしておきたいと思うんです。
 これは、なぜこんなことをお尋ねするかというと、高齢者、つまり六十五歳以上の方による犯罪が平成元年ぐらいには六千人台、六千六百二十五人なんですね、交通関係を除く一般刑法犯。ところが、これ平成十六年になりますと三万六千六百九十六人、つまり五倍にも上っていると。検挙人員に占める高齢者の割合というものも、やはりこれも平成元年二・一%程度しかなかったものが十六年には九・四%にもなっている。高齢者が当然増えているんですから、その犯罪が増加するということもあり得るんでしょうが、高齢者が増えている割合以上に犯罪の増加傾向というのは急激に今進んでいるというのが日本の現状でございます。これ、諸外国と比較しても、ちょっと特異な状況、この増加傾向というのはあるようでございまして、なぜこんなになっているのかと。経済の貧困だとか福祉制度とか、いろんなことがあるのかもしれませんが、この辺がよく見極められないような面もございます。
 やはり二〇二五年に向かって高齢化社会がピークへ行こうとしているという今の日本の現状を考えるなら、今の時点でやはりこういった犯罪増加に対して原因分析をして、また、こういう人たちが再犯になれば更に事件は増えるわけですから、それに対する対策を今取らなければならないのではないかと私は考える者の一人でございますが、是非警察庁の方から、まず、なぜ増加傾向なのかという現状を御説明いただくとともに、新受刑者の中に高齢者が増えているというそういう傾向もあるのかどうか、法務省からこれも伺っておきたいと思います。
#96
○政府参考人(米田壯君) 刑法犯の検挙人員のうち六十五歳以上の高齢者は、十年前の平成九年、一万二千八百十八人でございました。昨年は四万六千六百三十七人と、三・六倍に増加しております。この間の高齢者人口は約一・三倍に増加しておりますので、高齢者による犯罪の増加といいますか検挙人員の増加は、高齢者人口の増加を大きく上回るペースで進んでいると言うことができると思います。
 高齢者による犯罪の特徴といたしまして、他の年齢層による犯罪と比較して万引きの割合が高いということが挙げられまして、刑法犯検挙人員の過半数を占めております。また、絶対数は少ないんですが、近年、強盗とか暴行、傷害等の粗暴犯、それから強制わいせつあるいは占有離脱物横領の増加傾向も目立っているところでございます。
#97
○政府参考人(梶木壽君) 平成十八年に入所をいたしました新受刑者数、全国で三万三千三十二人でございます。このうち六十五歳以上の受刑者数が千八百八十二人、割合としまして五・七%ということになっております。五年前の平成十三年の数字を見ますと、新受刑者数は全国で二万八千四百六十九人、このうち六十五歳以上の受刑者は千二十六人、割合は三・六%ということでございますから、この五年間で八百五十六人、率にいたしまして二・一ポイント増加している状況にあると思われます。
#98
○木庭健太郎君 そういうふうに、特徴的に万引きとかいうお話もありましたが、ともかく増え続けている現状だけは間違いないのであって、ただ、高齢者の、これ処罰を受け、ある意味では処遇という問題、受刑者になったときの問題というのは、通常の受刑者と違う点も起きてくるんだろうと思います。
 つまり、高齢者の場合というのは、やはり社会復帰させようと思ったとしても、新しい技術とか能力も、習得能力みたいな問題も厳しいでしょうし、加齢現象が起きているわけですから、その人たちのその受刑を受けるときの言わば受ける能力なり、病気の問題等の抱えている問題もあるでしょうし、社会復帰という問題に今度なってくると、社会復帰できるのかと。
 六十五歳以上の方たちがそういう問題抱えるのは難しいんだろうと思いますし、そういった意味では、正に他の受刑者と違った形の様々な処遇の在り方をよりきめ細やかに今対応しておく必要があるだろうと思いますし、そういった意味でどういう取組をなさっているのかなという思いもありますし、逆に、今度はその受け取る側、つまり刑務所も含めてどう対応するかという問題についても、これ、受刑者が高齢化していきますと、介護みたいな問題をどう本当に取り組んでいくんだというような問題、それからやはり社会復帰どうさせるかという問題もお取り組みになっているわけであって、そういう、どこへ返すかというような問題についてもなかなか悩みを持たれているのが今の現状ではないかなと思うんですが。
 そういう意味で、どういう矯正処遇というか、それを講じているのかという現状もお伺いしたいし、また、こういった高齢者特有の問題に対して私はきめ細やかな対応というのが是非必要だと思いますが、その辺についての対応をお尋ねしておきたいと思います。
#99
○政府参考人(梶木壽君) 新法、すなわち刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の下では、一般の受刑者と同様、高齢受刑者につきましても、その特質あるいは個別の問題性に応じた処遇を実施するように努めているところでございます。特に、今委員が御指摘になりましたように、高齢受刑者が社会に円滑に復帰していくと、これを成し遂げるためには心身の健康な状態を維持すること、これがまず第一でございましょうし、社会や家族が出所した高齢受刑者を受け入れる環境を整備するということも重要であろうと考えております。
 そのために刑事施設では様々なことをしておるわけでございますが、まず高齢受刑者の生活習慣病等の早期発見、治療に努めるようにしておりますし、また、バリアフリーというようなことを施設内で、なるべくそういう環境をつくるようにも努めております。また、刑務作業につきましても、高齢受刑者に適したいわゆる軽作業のものを導入してやらせるように努めているところでございます。さらには、受刑者の類型に応じた教育というのももちろんやっておるわけでございますが、それ以外に、例えば健康管理の重要性とか、あるいは社会福祉制度を理解させるための高齢受刑者に特化した指導というのも試みとしてやっているところでございます。
 今、正にこういった刑務所内の高齢化を迎えて、我々様々な試みをしている段階でございますが、引き続き、例えば保護観察所等、我々の法務省の関係機関もございますし、あるいは厚生労働省の機関もございます。そういったところと更に綿密に連携を取りながら、様々な試みをしていきたいというふうに思っておるところでございます。
#100
○木庭健太郎君 今お話あったみたいに、ちょっと法務省そのものでは、一省だけではできにくいような問題がどうも高齢者を抱える場合は起きてくるというようなことなんだろうと思うんですね。医療、介護とか福祉的対応がどうしてもその背景に必要になってきますので、もちろん矯正の場、そして出ていった後の問題も含めて、やはりここは、どう、法務省だけでなく他の省庁、特に厚生労働省になるんでしょうが、そことの連携をやっていくかと。また、それを支えてくださる民間の団体もありますから、そういったことも含めて、この連携、協議というようなのが今実際どんなふうに行われているのか、どんな工夫もできているのかというようなこともちょっと教えていただいておきたいと思います。
#101
○政府参考人(梶木壽君) 委員が御指摘のように、高齢受刑者が出所する際の対応で我々が工夫を要すること、大きく分けると二つ、我々、今考えてやっております。
 高齢受刑者の中には、釈放した後直ちに病院に入院をしなければならない、そういう医療措置を講じなければいけないグループの人たちがおられます。それから、後に申しますように、就職のための支援というのをやっておるわけでございますが、これがすぐにうまくいかない人たち、つまり福祉の援助を必要としているグループの人たちもおられるわけでございます。
 こういったグループの受刑者の釈放に当たりましては、医療機関あるいは福祉機関との連携、そういう調整が必要になっております。こういった他との調整を必要とする受刑者を多く収容しております刑事施設には、福祉の専門家であります精神保健福祉士、それから社会福祉士、こういった方々を非常勤職員として配置をして、適切な対処を取るように努めているところでございます。
 御承知のように、この精神保健福祉士、それから社会福祉士は、精神上若しくは身体上の障害を有している受刑者の社会復帰に関する相談、助言、指導というものを行っておりますが、それ以外に、これらの受刑者の受入先となる病院でありますとか、あるいは福祉施設等の開拓と申しましょうか、相談をしてそういう場所を確保するということ、それから具体的な受刑者について受入れをしてもらうための連絡調整と、こういったことをしていただいておるところでございます。
 先ほど申しましたように、出所していく方に対して、これまでも厚生労働省あるいは保護局とも連携をいたしまして、いわゆる総合的な就労支援対策というのをやってきたわけでございますが、この就労支援だけではうまくいきませんので、今申しました二つのグループの開拓努力、指導、そういったものについても今後ますます力を入れていきたいと考えているところでございます。
#102
○木庭健太郎君 今法務省としてのちょっとお話があったんですけれども、結局、高齢受刑者の難しさというのは何かというと、この方たちは、なかなか引受手がないとかいろんな理由で、結局何が起きているかというと、なかなか仮釈放になりにくい。つまり、満期まで勤める方が多いわけですよ。要するに、先が見えないものですから、最後まで結局刑務所でお世話になって満期釈放になると。
 満期釈放になると何が起きるかというと、満期釈放というのは、出た後、原則として保護観察みたいな指導はなくなるし、援助はないわけですよ、今度は。仮釈放ならいろんな社会的手だてがあるわけですが、満期で出るから、その先の問題がなくなるという問題があって、そういう問題点を逆に抱えてしまう。一時的に、その救済がなきゃ、更生の緊急保護で更生保護施設で預かるという手もあるんですが、これ、一年が一応保護期間ですよね。その後の問題どうするかという問題もある。
 特に、単にこれは受刑者だけじゃなくて、高齢者そのものが、なかなか家へ入ろうと思っても高齢者になると貸してくれるところないとか、もちろん就職先ない、そういった問題が、いわゆるある。言葉かりるなら、満期釈放によるジレンマみたいなものを抱えながらというのがこの高齢者の方々の最も大きな問題の一つなんですよね。
 これお聞きしましたら、韓国では、これ平成十四年からなんですけれども、法務部門と社会福祉部門が共同になりまして、刑事施設から満期なり仮釈放なりで出所する方がいる、そういう方がいらっしゃると、出所前にこの場合は基礎生活保障の受給申請を行うことを認めるとか、中に入っている間にいろんな手続をして、出所と同時にどうにか社会参加ができるような制度という仕組みを少し考えたりしているというようなことも聞いております。
 これをそのまま使うかどうかは別として、やはりそういった、出所すれば次何か動けるという形ができ上がってないと、これいつまでたっても、極端に言うとこれ再犯にもまたつながるという問題もあると思うんですが、こういった制度も含めて、出所したときすぐ社会復帰できるようなひとつ体制づくりみたいなことについて、法務省及び厚生労働省からも見解を伺っておきたいと思います。
#103
○政府参考人(木内喜美男君) ただいまの出所後の生活保護の関係についての御質問にお答え申し上げます。
 生活保護制度、これは生活に困窮する者が、その利用し得る資産、稼働能力その他あらゆるものの活用を図りましてもなお最低限度の生活が維持できない場合に適用されるものでございまして、我が国最後のセーフティーネットという位置付けがございます。また、生活保護制度は保護の要件を満たす限り無差別平等に受けることができるものでございまして、出所者だからといって特段の区分を行っているところではございません。
 したがいまして、出所後におきまして、年金や預貯金等がなくて生活に困窮するなど、現に保護を必要とする者につきましては、本人の居住地の有無にかかわらず生活保護が適用されるということになっておるところでございます。
 ただ、生活保護は他法他施策優先ということでございまして、生活保護以外の施策がありますればその扶助をまず優先していただくことになるわけでございますが、その上でなお保護が必要だという方に対しましては円滑に適用されますよう、法務省等との関係機関とも連携を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#104
○政府参考人(梶木壽君) 今委員が御指摘になりましたように、いわゆる福祉的な支援がどうしても必要となるグループについて、穴が空かないように、なるべく施設の中にいるときからプログラムに組み込んで準備を整えるという御趣旨だと思います。我々もそういうふうに考えておるわけでございますが、手続的ないろんな問題ももちろんございます。今の御答弁もありますので、引き続き厚生労働省と議論、協議をしながらそういうものが円滑にいくように努めてまいりたいと考えております。
#105
○木庭健太郎君 是非その辺の調整を少ししといていただきたいんですよ。ある意味じゃ、生活保護は最後の手段と、何かほかに方法があればということで、逆に言うと、出て行ってしまう、駄目になる、じゃ今度は生活保護みたいなパターンあるんですよね。実際その人の状況を判断していただいて、出るときの状況を踏まえてどうするかという問題を先に協議していただいておけばまた別の方法ができると思うんで、そこは是非詰めておいていただきたいなと思いますので、是非よろしくお願いをしておきたいと思います。
 そして、もう一点、成年後見制度についてちょっと幾つかお尋ねをしておきたいんです。
 成年後見制度の問題、これ七年前でございますが改正をしまして、ある意味ではこの後見制度をより使えるようにというか、皆さんに御利用いただけるようにという、特にこれも高齢化社会と関係がある問題でございまして、やっぱり高齢化の中で認知症の問題辺りも出てくる。そういった意味では、そういった方々を保護する目的でも、この成年後見制度の重要性というのはあるんですけれども、どうもこれ見ますと、七年経過しているんですけれども、認知症を始めいろんな障害の問題の方々抱えると、今大体四百五十万から六十万ぐらいですかね、それくらいの方々が一方いる反面、例えば法的後見人の累積利用件数を平成十二年度から十七年度を見ても五万件程度なんですよね。また、これつくりました任意後見契約の締結件数を見ても合計これ一万件前後という状況を見ると、本当に利用されているのかなと。
 現実に利用しなくちゃいけない人と制度、潜在的な方たち、差が非常に大きいような気もするんですけれども。この辺、例えばリフォーム詐欺みたいな問題がありましたよね、ああいった問題を本当に防ぐためというようなこと、財産侵害事件みたいな問題を考えると、やっぱりこの制度というものをより多くの人たちに知っていただく。利用する当事者はなかなかこれ認識を持つというのは難しい面もあるかもしれないけど、それを取り巻く方々がこういった制度についてきちんと知っていただくような努力みたいなものもちょっと不足しているのかなというような気もするんですよね。
 是非、この辺の徹底の問題もあるでしょうし、またこういった仕組みを自治体も使えるようになっている部分もあるんですけれども、そういった関係団体への連携も含めて、成年後見制度をより使いやすくするために、周知徹底も含めてどういうことを今法務省としてお取り組みになっているかをちょっと御説明をいただいておきたいんです。
#106
○政府参考人(倉吉敬君) ただいま委員から、まず受件数について五年間トータルの件数の御説明がありましたが、そのとおりでございます。
 確かに、全体としては少ないんではないかという御指摘もそのとおりかと思いますが、ただ、平成十二年度からの件数の推移を見ますと、平成十二年度は申立件数が九千七件でございました。十八年度におきましては三万二千六百二十九件と、当初から比べると三・六倍にはなっておるということです。
 これをいかにも広報、周知しなければならないということになるんですが、法務省におきましては、もちろんホームページには掲載しておりますが、そのほか、毎年度、制度広報用のパンフレット、印刷いたしまして配布しております。このパンフレットの配布先でございますが、法務局、地方法務局の窓口、これは当たり前でございます。このほか、できるだけ幅広く配ろうということで、社会福祉協議会、老人クラブ、それから認知症や障害者等の方の家族会というのがございますが、その家族会、さらに社会福祉士会などに配布しております。それから、市区町村でも戸籍の窓口等で需要がありますので、そこにも備え付けていただくように配布しているところでありまして、これがかなり申立てに当たっても一定の効果があると考えております。
#107
○木庭健太郎君 成年後見制度を支えるいろんな仕組みをそれぞれつくっていただいて、民間がサポートしていただくいろんなものがあるんですけれども、その一つに、市町村も含めて取り組む成年後見制度利用支援事業というのがございます。これは介護サービスとか障害者福祉サービスを利用するためにこの成年後見制度を、ある意味では市町村長が申立人になって、その申立の費用の実費とか後見報酬の全部を負担するような仕組みなんですけれどもね。
 ただ、これ市町村が事業主体なものですから、なかなか財政難の中で予算化されていないような自治体もあると聞いています。そういった意味では、せっかくある制度なんですけれども、なかなかこういったものが運用状況からいうと厳しい面があるんじゃないかと思うんですけど、私は、是非こういった支援事業みたいなものはどこの市町村であっても利用できるように、是非これは拡充すべきだと思っているんですよ。
 この辺について、今の運用状況、そしてこれをどうより身近に使えるようにしていただけるのか、これは厚生労働省の担当なんですよね、是非御答弁だけいただいておきたいと思います。
#108
○政府参考人(木内喜美男君) 成年後見制度利用支援事業の御質問にお答えさせていただきます。
 高齢者や障害者が介護保険サービスや障害者福祉サービスを円滑に利用できますよう、成年後見制度の利用が有効と認められておりますにもかかわらず、費用負担が困難であることなどから利用が進まないといったことが生じないよう必要な支援を行っていくことは、御指摘のとおり大変重要なことであると認識しております。
 そのため、私どもといたしましては、これらのサービスを利用する身寄りのない重度の認知症高齢者や知的障害者、精神障害者のうち、後見人の報酬等に必要となる経費について助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難と認められる方に対しまして市町村が助成を行った場合に、申立てに要する経費や後見人の報酬の一部について成年後見制度利用支援事業によりまして支援を行っているところでございます。
 本事業の実績につきましては、高齢者、障害者いずれの事業につきましても各市町村等が任意事業ということで行っておりますものですから、御指摘のとおり全団体というわけではございませんが、介護保険法に基づく事業では、十九年度におきましては千六百七十保険者中八百四十六保険者、知的障害者、精神障害者に係る事業につきましては、平成十九年度におきまして千八百二十七市町村中六百九十八市町村が実施しておるところでございます。ただ、これ、いずれも増加傾向にございますので、私ども今後とも引き続きまして、各市町村に対しましてこの事業の周知を図りまして実施していただくようお願いしてまいりたいと考えております。
#109
○木庭健太郎君 是非、どこの市町村であっても使えるということへ向かって努力を更に続けていただきたいと、こう思います。
 最後に、この成年後見制度をいろんな意味で広げていただきたい、徹底していただきたい、利用しやすいようにしていただきたいという問題とともに、今年になってこの成年後見制度を利用した新手の事件があったんですよね。概要を言いますと、元行政書士の方が東京都内の九十四歳の女性の方と財産管理権を担う任意後見契約と包括的任意代理契約を締結したと。本来、これ、後見契約発効前にもかかわらず、この包括的代理権を濫用してこの女性の所有不動産の売却益を取ろうという詐欺事件でございます。ある意味では、こういう一つのいい仕組みをつくろうとしてつくると、それにうまく、その法の、うまくこういうところを使いながらこんな事件が起きているんですよね。
 この問題でいうと何が一番問題なのかなというと、やっぱり一つは本人が判断能力十分なうちからこの包括的代理権を濫用するというような問題はもちろんあるんですけれども、この問題を見ると、本人の判断能力が不十分になったという時点があるんですよ。そのときに、任意後見監督人の選任申立てせずに、やっぱり包括的代理権があるんだといって、これを濫用して横領すると。言わばこういう事件が起きたときに、やはり今の成年後見制度の仕組みがこのままでいいのかどうかということも、この事件を、少し見直す形が要るんではないか。つまり、この問題の一番の原因は、本人の財産を含めて包括的に処分可能な権限が他人に代理権という形で付与されてしまう、すべてをある意味では包括的委任代理契約という形にしてしまっているところにちょっと問題があるんですよね。
 だから、やり方はいろいろあるとは思うんです。御指摘されているのは、例えばこの包括的任意代理契約については、付与される代理権の範囲を日常生活に必要な支払に限定するというような法規制をすべきだというような意見をおっしゃる方もいれば、もっと激しい方は、やっぱり包括的任意代理契約そのものを、これはよくないんじゃないかと、これは禁止してしまった方がいいんじゃないかという意見もあるのも事実でございまして、言わば、でもこういう事件が起きたのを契機に、やはり法務省としてもこの成年後見制度、特にこういった仕組みの問題についてやはりもう一回きちんと検討をし、事件が再び起きないような形へひとつ法そのものを見直す必要もあるんじゃないかと思うんですが、法務大臣に、済みません、時間が二分ぐらいしかない、簡単に答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#110
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生おっしゃるとおり、せっかくいい制度ができるとこれを悪用する者が出てきて事件になるということで、したがってこの任意後見契約を結んだ場合に同時に、あるいはその後からでもいいんでしょうけれども、包括的な財産処分等の委任契約を結ぶという事例があるんですね、先生おっしゃったとおり。ただ、民法には契約自由という大原則があるので、例えば、包括的といっても代理権の範囲を限定する、あるいはそういう委任契約とその後見の契約を同時にやることを禁止するというのは、これ、契約自由の原則からいうと非常に難しい。難しいんですが、現実にこういう、今、尊敬する木庭健太郎先生御指摘のような事件が起きているわけですから、これはやっぱり社会問題化するおそれがあるので、何かいい知恵がないかということは、これ、みんなで考えて、法務省としても、こういう事件を注視して、これを防ぐような手だてというものを考えていきたいと思っております。
#111
○木庭健太郎君 終わります。
#112
○委員長(遠山清彦君) 午後一時三十分に再開することといたし、休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十一分開会
#113
○委員長(遠山清彦君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、志布志事件の取調べ小票の問題について、まず警察庁にお尋ねをしたいと思います。
 十月三十日の質問で申し上げたことですけれども、志布志事件において、どうしてこのようななかった事件がつくられていったのか、そこには自白の強要過程があるという御指摘をいたしました。幾人もの自白が無理やりに取られて、それが一つの事実がさもあったかのように収れんさせられていくという過程を無罪判決は認定をして断罪をしたわけでございます。
 こういう警察の密室での取調べについて、何が起こったのか、どうすればこういう事態を抑制することができるのか、このことを明らかにしなければ我が国の刑事司法を前に進めることはできないと。だからこそ鹿児島県警における取調べ小票、このすべてを当委員会に提出をしていただきたいというふうに私は申し上げました。
 その後、理事会で検討もお願いをいたしまして、まずは鹿児島県警のこの取調べ小票についてのサンプル、外形が分かるものを閲覧をさせていただいてどういうものかを確認をしようじゃないかという経過になっていると私は理解をしております。
 それに対して警察庁からは、犯罪捜査規範が見直されて平成十六年の四月に施行をされたと。その導入に伴って鹿児島県警でもそれ以前のサンプルは廃棄しているので提出ができないというふうに委員会、委員長に対して御説明があったというふうに伺っているんですけれども、この委員長に対する説明は私の今の理解でよろしいですか。イエスかノーかで。
#115
○政府参考人(米田壯君) 今委員御指摘の取調べ小票でございますけれども、これは既に廃棄されている文書の一つでありますが、執務資料、これの中にそういう取調べ小票に関する記述がございまして、標準的な様式もそこで示されておったということでございます。しかしながら、この文書、もうかなり以前に保存期間が過ぎておりまして、現在警察庁においても鹿児島県警においても保有していないということでございます。
#116
○仁比聡平君 聞き捨てならない答弁なんですけれど、鹿児島県警がこの平成十三年四月以降ですね、この事件の調べをした、志布志の捜査本部が調べをした、そこについての取調べ小票は廃棄をしたという答弁ですか、今のは。
#117
○政府参考人(米田壯君) 先ほどの御質問は、サンプルというんですか、様式の提出であるというふうに私は理解をいたしまして、そのように答弁をいたしました。
 その取調べ小票の実物につきましては、先ほど申しました執務資料の保存期間が過ぎた後も、平成十六年に犯罪捜査規範が改正をされまして取調べ状況報告書というものが作られるようになるまでは続いておりました。したがいまして、平成十五年のこの志布志事件のときは取調べ小票は作られていたものでございます。
 で、提出できないと申しますのは、この取調べ小票というものは捜査員の個人的に作成したメモであると、こういう位置付けが鹿児島県警においてなされております。また、その内容につきましても、いろいろプライバシーにわたること、捜査の手の内にわたること、いろんなことが書いてございますんで、それで提出はできないというふうに申し上げたわけでございます。
#118
○仁比聡平君 いろんなことをがちゃがちゃ混ぜて御答弁にならない方がいいと思うんですが、まず、今のお話のように、取調べ小票はこの事件の捜査の段階で作成をしたということをお認めになりました。委員会に提出できないとおっしゃる理由についてはまた後ほど議論しますが、その実物が現に存在をしているということも、これはいいんですね。確認をします。
#119
○政府参考人(米田壯君) これは捜査員が公判廷で証人出廷をするようなときの記憶を喚起するための手控えとして作っておるものでございます。したがって、原則としては刑事事件が終了すればそれで用はなくなるというものでございますけれども、御承知のように、鹿児島県警におきましては現在も国賠訴訟等続いておるということもございまして、まだ取調べ小票は存在をしているということでございます。
#120
○仁比聡平君 その通数は何通ですか。
#121
○政府参考人(米田壯君) それは把握してございません。
#122
○仁比聡平君 報道では七十五通は少なくともあるという報道があるわけでございます。この取調べ小票について、まずはその外形を、つまり、記載している中身はまた別の問題として、外形を確認をさせてもらいたいと、どのようなものかを確認しようというのが理事会の求めなわけですけれども、それに対してサンプルは既に廃棄をしたということで出せないというわけですよね。
 そこで、どんなものなのかということを私からも少しお尋ねをしたいと思うんですが、朝日新聞の第二鹿児島版、今年、〇七年四月二十日から、「明らかになった県警内部文書」という特集がされています。その記事からまず御紹介をしますが、捜査関係者によると、小票は、通常の捜査で取調官が容疑者や参考人を取り調べた際、取調べの日時や場所に加え、供述内容の要旨などを記載するもの。幹部の決裁印の欄もある公文書だという報道ですね、これは。報道があるわけです。
 この記事にある取調べの日時や場所、あるいは供述内容の要旨を記載し、幹部の決裁印の欄があるという点について、これは事実ですか。
#123
○政府参考人(米田壯君) 取調べ小票の記載内容については大体御指摘のとおりでありますけれども、幹部の決裁印と申しますのは、これは決裁印ではございません。決裁欄ではございません。つまり、これは先ほど申しましたように、捜査員の個人の手控えであるという位置付けでございまして、ただ幹部に取調べ状況を報告をする際にこの自分が作った取調べ小票を使うことがあると。その場合、幹部が見たという印を付けるという欄があるということでございまして、了解を求めるという意味で、決裁欄ではございません。
#124
○仁比聡平君 職務権限において上司が決裁するというそういう趣旨のものではないという答弁なのかなと思いますけれども、いずれにしても、作成をした係本人以外に伺いなり、何というんですか、確認なり、そういった意味を持って印鑑をつくなり、あるいはサインをするなり、そういった欄があるんでしょう。
#125
○政府参考人(米田壯君) さようでございます。決裁欄というわけではございませんが、そういう欄があるということでございます。
#126
○仁比聡平君 今、どうしてそういう欄もあるのかという趣旨について、作成の目的を少しお触れになったわけですけれど、これは私が一議員として警察庁に資料要求をした際に受けた説明でいいますと、この取調べ小票というのは職務上の手控えである。つまり、捜査員がその職務と離れて個人的な関心で作ったメモなどではない、取調べ官として、あるいはその補助者として作成をする職務上の手控えであって、職務に関連して作っているものであるというのが一点。それから二点目は、その職務上の作成の必要性というのは、上司への報告あるいは他の捜査員との打合せ、こういったものに利用をする必要があるからであるという理解を私はしたわけです。
 先ほどの御答弁はそういう理解をしてよろしいんでしょうね。
#127
○政府参考人(米田壯君) 職務上作成された文書ではございません。これは個人のものであり、個人の作成したものでありますけれども、ただ、口頭で上司に報告したり、口頭で他の捜査員と打合せをするということももちろんありますけれども、その際の記憶を喚起する、あるいはもうその紙を渡して、そして意思疎通を図るということもあるというものでございます。
#128
○仁比聡平君 職務上作るものではないなんてあり得ないでしょう。先ほどおっしゃったように、その確認をしたなり、決裁欄というふうに報道でされているような欄まで元々様式として存在するわけですよね。当然、取調べのテーマといいますか、何の事件なのか、事件との関係でその対象者がどういう立場なのか、被疑者なのか参考人なのか、あるいはその氏名、性別、年齢等人定にかかわる事項、それから、身柄に関して逮捕の日時や、それが初めての逮捕か再逮捕か、あるいは勾留期間、起訴されているか否か、あるいは、任意同行であれば任意同行が着手をされた時間、任意同行が実際に開始をされた時間、帰宅をした時間などなどがこれ全部記載をされているんじゃないんですか。今の点はどうです。
#129
○政府参考人(米田壯君) 記載につきましては、必ずしもそのとおり全部記載しているかどうかは知りませんけれども、委員の御指摘のようなことも記載されていると思います。
 ただ、捜査員といいますものは、職務上いろんな活動をしたときに、例えば自分の手帳に手控えをするというようなこともありまして、それをある程度統一して、こういう必要なことはちゃんと書いておきなさいと、また上司その他と捜査の関係の打合せをするときにそれを使えるようにするということでございまして、職務上作成したものでないから捜査に関することを一切書いてはいけないというわけではないと思います。
 もちろん守秘義務が掛かっておりまして、捜査上の必要がなくなれば廃棄をするというものでございます。
#130
○仁比聡平君 捜査員がそのような取調べの状況を職務から離れて記載をする、それを上司や同僚に報告するなんというのはあり得ないわけですよ。実際、そして、もちろん取調べ官やそれに立ち会う補助者の職名や氏名、あるいは取調べ室の中で起こったいろいろな出来事をここに書くようになっているのではないんですか。その間に食事をどうしたか、あるいは弁護士の接見があったかなかったか、そういったことも記載をする欄があるのではないですか。
#131
○政府参考人(米田壯君) どういう欄があるかはちょっと私も把握しておりませんけれども。何といいますか、取調べをするあるいは上司に報告をする、同僚と捜査の打合せをする、これはすべて職務でございます。その職務を行うに際して自分の記憶を喚起する、あるいはもう口で言う時間がないので紙を見せるというために使うものでございまして、これはあくまで捜査員が個人的に作成したメモだと、このように、鹿児島県警ではそういう位置付けに整理をされているということであります。
#132
○仁比聡平君 鹿児島県警がそういう位置付けをしているというのは、実は十月三十日の質問で指摘をしました内部文書というものにもそういうふうに書かれているんですよね。
 つまり、刑事裁判の対策として、弁護側からこの取調べ小票の開示を追及をされたらどうするかというその対策のときに、今おっしゃったような、そういう弁明をしようというようなことを打合せをしているわけです。それを警察庁はそのままああそうですかと認めるのかということが問題なんですよ。捜査員の個人的なメモって何ですか、それ。
 この取調べ小票の中には、先ほどおっしゃいましたが、例えば調べの途中で被疑者が泣き出して、頭が痛い、だから帰してほしいというふうなことを申し向けて、結果、取調べの続行が不可能になって終了したというようなことを書いていることもあるんではないですか。
#133
○政府参考人(米田壯君) 一般論としては、そういうことも書くことがあろうと思います。
#134
○仁比聡平君 ですから、取調べのために留置場にその対象の被疑者であれば呼びに行って、そのときにどんな反応をしたか、取調べ室に連れてこられるときのその被疑者の様子、もし供述をしたのであればその供述に至る様子、取調べ官の発問やそれに答える様子、態度ですね、そして、それ以外の表情や様子についてその作成者が書き留めるべきだということをこれ書き留めているわけでしょう。そして、それを取調べの指揮をしていく上司に対して報告をするということになるんではないでしょうか、違いますか。
#135
○政府参考人(米田壯君) 報告をするのはあくまでその取調べの内容と、今御指摘いただきましたいろんなそれを取り巻く状況でございますけれども、それとその取調べ小票の性格の問題とは別であるというように考えております。
#136
○仁比聡平君 この事件では、〇三年の四月に警察が端緒をつかんだということから始まって、五月までの間に関係した被告人とされた方々の供述が無理やりに取られて、それが当初は元々なかった事実なんですからばらばらなわけですね。これがずっと一つに向かって収れんされていくという過程があるわけです。その間、当然その被疑者同士は意見交換はないわけですから、一つの事実に収れんさせていくためには一日のうちにたくさん行われているその調べの状況を把握をする必要がある。取調べ小票というのは、そういう形で、どの被疑者や参考人がどういう供述をしているのかということをその上司がつかんでいくために使われたんじゃないんですか。
#137
○政府参考人(米田壯君) 上司がつかむために使うこともございましょうし、また捜査員から直接聞いてつかむこともあるということでございます。
#138
○仁比聡平君 おおむね今のような性格のものなわけです。
 実際に、こういう取調べ小票の中で、この密室において警察の取調べがどのように行われたのかということをしっかり明らかにすることができるんですね。県警に存在をしているわけです。だからこそ、これをそのまま言わばやみに葬ってしまうようなことをせずに提出をいただいて、そして私たちとしても、国会としても、この重大な冤罪事件がどのようにしてつくられていったのか、それを正すためにはどうすればいいのかを検証するのが我々参議院法務委員会の重大な責務だということを改めて委員の皆さんに申し上げたいと思います。
 時間がなくなってしまったんですが、この取調べ小票について、〇四年の十一月九日に鹿児島地検の四階小会議室で行われたとされる打合せを記録した内部文書で、県警の、この内部文書で、地検は小票の問題は頭を抱えている、検察庁としては絶対に出さないという方針である、弁護側の反対尋問で出た場合は、公文書ではなくて報告用の私的メモであること、保管状況については庶務係が一括管理し、だれでも見られない状況だったこと、印鑑が打ってあることは決裁ではなく単に見たという確認印で、現に印鑑漏れもあることなどを警部が証言するというふうに、この小票問題の提出への反論を理屈付けろということを検事が指示をしているという指摘になっているから……
#139
○委員長(遠山清彦君) 仁比聡平君の質疑時間は終局しております。短くおまとめください。
#140
○仁比聡平君 警察は、小票が出たら事件が飛ぶという趣旨の発言をこの内部文書で記録をされているわけで、このような問題の取調べ小票、そして内部文書、これを改めて明らかにするべきであるということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
#141
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 最初に、前回に続きまして死刑執行についてお尋ねをいたします。
 去る七日の夜でありますが、国連の人権高等弁務官事務所から一つの声明が出たと聞いております。この中で、国連人権高等弁務官は、事前に受刑者や家族に死刑の執行が知らされないことは非人道的な刑罰に当たると。そして、今回処刑された中に七十五歳の高齢者が含まれていることについて、高齢者に対する死刑の執行に正当な理由は見当たらないんではないかと。そして三つ目に、日本政府にかかる実務の改善ないし死刑執行の停止を求める、こういう中身だというふうに聞いております。
 こういった形で日本政府に対して声明が出されるということは異例ではないかというふうに思いますが、外務省、いかがでしょうか。
#142
○政府参考人(木寺昌人君) お答え申し上げます。
 このような形で我が国の死刑制度に関する国連人権高等弁務官の声明が出された例は近年においてはないと承知しております。
#143
○近藤正道君 じゃ、大臣にお尋ねをいたしますが、こういう異例の声明、どう受け止めておられますか。
#144
○国務大臣(鳩山邦夫君) 国連の第三委員会も、死刑のモラトリアムのようなものでしょうか、死刑を執行しないということの決議をしたと。
 しかしながら、この死刑という制度を持ち続けていくか維持していくか、あるいは死刑を執行するかどうかというのは国内、内政上の非常に重い課題でございまして、国連とかUNHCHRとかそういうところから意見を言われますと、これはもちろん参考にはいたしますし、聞く耳は十分持っておりますが、そのことによって直ちに判断を変えるということにはならないわけでございまして、例えば死刑を執行するかどうかと、これは大変重い決断を私もさせていただいたわけでございますが、それは前後全く夜眠れないという日々を私も過ごしましたよ。
 そういう意味でいえば、死刑制度の存廃というのは、その国の世論とか国民感情とか歴史とか、あるいは凶悪犯罪がどれくらいあってどういう趨勢にあるかと、刑事政策全体を総合的に考えて、日本なら日本という国が独自に判断すべきことと思います。
#145
○近藤正道君 前回私は、刑事訴訟法の第四百七十七条の検察官、拘置所長らの死刑執行への立会いについて大臣と議論をさせていただきました。大臣は七日の衆議院の法務委員会で、保坂展人委員への答弁でこう言っておられます。法に従って死刑を執行するわけですから見届ける人がいるべきだと思いますと、こういうふうにおっしゃっておられます。この間も申し上げましたように、現状の刑場、東京拘置所でありますが、上も下もカーテンで閉め切られております。執行前と受刑者の死亡のみを確認するというそういう立会いの形なんですが、この形は、実務は改めるべきであると、こういうふうに今ほど御紹介した大臣の答弁は理解すればよろしいんでしょうか。お答えください。
#146
○国務大臣(鳩山邦夫君) 保坂展人先生の質問に対する答えだったかと記憶いたしておりますが、確かにそのように申し上げました。
 これは私も視察はさせていただいたわけでございますが、多分立会いの検察官が裏側に回るというか表に回るというか、こうぐるっと回ったところで執行になるわけですが、まあ二階・一階というのか、一階・地下というのか、ちょうどそのどんと開く場所の上下ともにカーテンによって閉ざされていると。そうすると全く見えないわけですね。まあ余り明るい話題でないんですけど、落ちる瞬間も見えないわけですね。そういうふうな構造は、私は役所に聞きましたら東京拘置所だけだと。ほかはカーテンで仕切られていないという話も聞いたものですから、やはり立会いということはしっかりとやるべきであって、どなたかがきちんとその瞬間を見るべきだというふうに私は思います。そういうふうに手を打っていきたいと思います。
#147
○近藤正道君 そうですか。そうすると、ああいう上も下もカーテンで覆われていると、ああいう形で刑が執行されるというのは東京拘置所だけだと、ほかのところはやられていないということを今お話しになられましたけれども、大臣としてはやっぱり一部始終をちゃんと見届けると、これがやっぱり本来の姿なんで、東京拘置所の言わばカーテンで仕切るというやり方は改めたいと、こういうふうにおっしゃっておられるわけですか。重ねてお尋ねをします。
#148
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは何度もこの席でもお話をしておりますように、世の中に殺人事件が一つもなければいいんですが、そういうわけにはいかないようでありまして、特に凶悪な犯罪というものが後を絶たない。そして、三審制の下で裁判官だって重い重い決断をして死刑という判決を下すんだろうと。そしてそれが確定していくわけでありまして、その執行を粛々と行わなければならないという命令を発しなければならない私の立場、これも誠につらく重いものがあるわけですね。それは、犯罪の態様はいかに凶悪であっても最終的には国家権力によってまあ死刑囚の命を絶つわけでありますから、しっかりと見届けるべきであると、私はそう考えております。
#149
○近藤正道君 じゃ、あの東京拘置所の上下カーテンで仕切るというやり方は早晩改善がされると、改められると、こういうふうに理解をさせていただきたいと思います。
 引き続いて、前回もお尋ねをいたしました徳島刑務所の医療問題、いうところの、余り言いたくありませんが、肛門の虐待についてお聞きをしたいというふうに思っています。
 このたび、吉田官房審議官を中心として、徳島刑務所の調査検討チーム、これを法務省は設置したようであります。前回私の質問に対しまして大臣は、要旨、問題はないと、こういうふうな認識を示されたというふうに私は思っておるんですが、これは、再度調査検討チームを設置したということは、前回の私に対する答弁を変えられたと、変更されたと、こういうふうに受け止めさせていただいてよろしいんでしょうか。これは、私も先日、徳島刑務所の視察委員会の厳しい意見書を見させていただきました。これなどが影響をしているんでしょうか。お答えください。
#150
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私も生身の体でございまして、日々極めて多くの案件を処理していく中で、徳島刑務所の問題について、やはり私のところに入ってくる情報、あるいはレクチャーしてくれる情報がだんだん多くなってきたわけでございます。これはやっぱり視察委員会に対して徳島刑務所が余り丁寧な説明をしていなかったんではないかという認識を持つに至りましたから、そういうようなことで、もちろんこの様々な問題が起きてから矯正局あるいは管区の皆さんで様々な調査を行い、週刊誌の報道以降は管区の方で調査を行ってきておりますけれども、やはり視察委員会の皆様方の御意見等を聞きますと、どうもそこの視察委員会と徳島刑務所の意思の疎通というのか、お互いのやり取りが不十分ではないかと、もうちょっと真摯に視察委員会のおっしゃることを受け止めるべきではないかと、そういうふうに考えたと。そこで、今回、今先生御指摘のような形で調査チームを編成したところでございます。
#151
○近藤正道君 矯正局ですが、本年六月に高松の矯正管区と合同で現地調査を行って、前回大臣がおっしゃったように、問題ないと、こういう結論を出されたわけでございます。にもかかわらず大臣は、その後いろいろ視察委員会の意見などを見られて、最初の報告とは随分違うというふうな認識を前回衆議院の法務委員会で示された。結局、視察委員会が行った意見を法務省矯正局は事実上ネグっちゃったと、こういう形になるわけでありまして、今回改めて再調査をするということであります。
 そういうことであれば、私は、今までと違うようなやっぱりやり方をやっていただきたいと。是非外部の委員を入れて調査をしっかりとやっていただきたいと、こういうふうに思いますが、どうも漏れ聞くところによると法務省の内部の人たちだけでまた再調査をやるようでありますが、外部の人を入れたらどうですか。
#152
○政府参考人(梶木壽君) この検討チームのいきさつ、構成等の問題について、まず私の方から御説明をさせていただきます。
 先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、六月の時点、あるいは十一月以降の時点で矯正局あるいは管区から人を出して職員あるいは受刑者に対していろいろな調査を行いました。また、そこで浮かび上がってきた合計二十七例の具体的な主張、これについて我々もカルテ等を参考にしながら調査をしたわけでございます。ところが、それが結果として違法、不当という問題はなかったと我々は判断したわけでございます。
 十二月の五日に、今御指摘のありました刑事施設視察委員会の方から意見書をいただきました。それを読んでみますと、これまでやってきたことにつきましても、徳島刑務所はきちっと、こういう事実についてこういうことをやってきた、結論はこうであったという細かい説明を全くしていないんではないかというふうに私ども思いました。そういう意味で、刑事施設視察委員会との正に意見交換なり、あるいは我々からの報告なり、そういう体制もきちっと検証する必要があると思いましたし、御承知のように、十一月の十六日の日には相当数の受刑者が職員に対して集団で暴行を働くというような問題が起きました。一体、これまでの施設の保安とか警備、管理というのはどうなっていたのか、そういうこともきちっと我々は調査をして立て直しをさせなければならないというふうに思いました。
 そういうことがあって、この審議官をトップとする調査チームをつくったわけでございますが、先ほど来御質問がありますように、もちろん医療についても新しい事実が主張されることはあるんだろうと思っています。もちろん、そういうものが出てくれば、我々は再検討するつもりでもちろんおります。
 そのときのメンバーでございます。六月、十一月のときには我々の東京拘置所の医者あるいは矯正局におりました医療の企画官、これは医者でございますが、この人に調査の手助けをしていただいたわけですが、今度のメンバーの中には東京の施設の内科と外科の医者、我々の職員でございますが、これを二名入れて、必要があればその人たちにチェックをしてもらうという体制でやっておるつもりでございます。
#153
○近藤正道君 でも、しょせんやっぱり内部の人ばっかりじゃないですか。これは徳島の弁護士会も非常に厳しく今回の徳島刑務所の医療問題について、つまり松岡医師の対応については批判していますよ。皆さん意見書も読まれたと思うけれども、本当に生々しく、厳しいことやっぱり書いてありますよ。これは、だって、それなりの改革の成果としてこういう監視委員会出てきたのに、監視委員会が本当に詳細に指摘をしているにもかかわらず、みんな皆さんこれ無視をしてきた。
 こういう経過がある中で、もうこれは内部の人たちだけでは駄目なんじゃないですか。やっぱり外部の人を入れる、医師とか弁護士とか入れて、法務省外の人も入れて合同で調査をしたらどうですか。それが正に常識的な、普通の人がやっぱり考えることだと思うんですよ。
 しかも、この医師、松岡医師でありますけれども、確かに診察の第一線は外れたと、こう言っておりますけれども、相変わらずまだここで頑張っておられるんですよ。私は、このことがやっぱり大きな原因になって、いうところの暴動、決していいことではありませんけれども、これも起こったんではないかというふうに思っておりまして、この松岡さんの更迭ということをやっぱり明確にさせるということが私はこの問題を当面鎮静化させるための一つの大きな方策ではないかと思うんですが、改めて、外部の人を入れるということと松岡さんの扱いについて御答弁ください。
#154
○政府参考人(梶木壽君) 先ほど申しましたように、我々は我々の立場で再チェック、検討するということで、取りあえず内部でやらせていただくというつもりで検討チームを立ち上げたわけでございます。そこは御了解いただきたいというふうに思っております。
 それから、医務課長の問題でございますが、十一月の十五日以降、具体的な診療はさせておりません。それは、実はいろんな問題があって、新たにトラブルを引き起こすようなことはさせたくないというふうに思っておるからでございます。
 今おっしゃったこれからの問題と申しますのは、それは我々も十分に分かっておりますが、要するに、今ここで、例えば告訴、告発というような話も出ておるわけでございますから、(発言する者あり)いえ、それはテレビ等でいろんな方が言っておられるわけですから、それをすぐに動かしていいのかという問題が実はあるわけでございます。
#155
○近藤正道君 それはちょっとおかしいんじゃないですか。告訴、告発の問題が出るので、言わば対抗策として外部の人は入れないみたいな、今そういうふうに聞こえたんだけど、そんな言い方おかしいでしょう。正にそういうことであれば、より公平、客観的に第三者の人も入れて、本当に徳島刑務所の中の医療体制はどうなっているのか、松岡医師の診療行為に行き過ぎはなかったのか、公平、第三の目でやっぱりチェックするのが筋なんじゃないですか、これ。
#156
○政府参考人(梶木壽君) 今私が、松岡医師をここで、要するに仕事はさせていないけれども、よその施設に動かしておりませんという説明として、告訴、告発とかそういう問題が今起きておりますので、この時点で松岡さんをすぐ動かすということはまた別の批判があろうかと思っております。
 ですから、くれぐれも申し上げますが、医療の最先端の現場でこれ以上の問題を起こさないような形で我々は内部調査を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#157
○近藤正道君 分かりました。ちょっと私が誤解して聞いたところもあるんで、訂正するところは訂正しなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、松岡さんは刑務所の中におられるけれども、事実上更迭という形なのかなと今受け止めさせていただきました。
 いずれにしても、この方の不適切な医療行為に関連して死亡した疑いのある方が何名かおられるわけですよ、これは。あるいは、この松岡さんの診療行為に対して不服申立てだとか苦情だとか情願、これがたくさんなされておりまして、報道等ではいろんな形でそれが報じられておりまして、様々な反響が私どものところにも寄せられているわけでありますが、先ほどもお話がありましたけれども、やっぱりカルテだとか診療記録、あるいは皆さんがいろいろこの間松岡さんも含めた刑務官の方の聞き取りなどもやっておられますけれども、こういうものを全部やっぱりこの委員会に出していただけませんか。そして、皆さん盛んに松岡医師の診療行為の正当性をこの間言っておられたんですけれども、他の刑務所でこんな肛門直診みたいなことが多数あるのかどうか、そういう比較なども私は是非やってもらう必要があるんだろうというふうに思っておりますが、是非この委員会にしっかりそういう資料を私はやっぱり出していただきたいと。自発的にそういうことをされるおつもりはありませんか。
#158
○委員長(遠山清彦君) 梶木矯正局長、質疑時間終局しておりますので、簡潔な御答弁お願いします。
#159
○政府参考人(梶木壽君) 先ほど来申し上げておりますように、具体的に指摘をされた合計で二十七例になります、我々、それについてはこうこうこういういきさつがございます、したがって医療行為そのものが違法であるとか不当であるということでありませんということを個別に御説明申し上げているわけでございます。
 ですから、二十七例以外に実はこういう例があるといえば、それは我々喜んで調査をさせていただきます。
#160
○委員長(遠山清彦君) 近藤正道君、簡潔にお願いいたします。
#161
○近藤正道君 はい。時間であります。まだ聞きたいことがありますので、またこれはこの次にさせていただきたいと思っています。
 終わります。
#162
○松浦大悟君 無所属の松浦大悟です。
 初質問の際、地元秋田県の自殺率の高さと自殺対策について質問をさせていただきました。今回は、いじめ自殺の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 警察庁の統計によりますと、昨年の自殺者数は九年連続で三万人以上で、その中でも学生生徒は八百八十六人を数え、一九七八年の統計開始以来最多となってしまいました。もちろん、そのすべてがいじめを原因としたものではありませんが、いじめによる自殺も含まれていると当然予想でき、早急にいじめ対策を行い、いじめによる自殺を防がなくてはなりません。
   〔委員長退席、理事山内俊夫君着席〕
 そこで、大臣に質問です。
 去年の十月に起きた福岡県筑前町でのいじめ自殺の問題で、御遺族に対し福岡法務局から調査記録が開示されましたが、これほとんど黒塗りにされて何も分からない状態でした。これに対し大臣は会見で理解を示されましたが、この真意はどういうところにあったのか、お聞かせください。
#163
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今、西岡先生がお見えになりましたけれども、私は西岡先生の下で文教行政を学び、先生と同じように文部大臣をやったという経験がございます。
 そういう経験がございまして、また、この筑前町は私の選挙区の隣町でございますので、このときには、実は事件後に現地に行って教育委員会あるいは学校、いろんな方とお会いをしてきましたけれども、何かもう、皆さん非常に元気をなくしていて、聴き取りというかインタビューをしても、困り果ててろくに答えが返ってこないというような状況であったことを思い出すわけでございます。
   〔理事山内俊夫君退席、委員長着席〕
 今御質問にあった黒塗りという、マスキングというのか分かりませんが、黒塗りの部分というのは、これは、法務省の人権擁護機関が行う人権侵犯事件の調査というのは、まだこれは、妙な話ですが、基本法がありませんね、人権擁護については。したがって、関係者の協力を得て行う任意の調査であって強制力がない。強制力がないから、関係者から、それこそプライバシー等も含んだものでよろしくお願いをして、そしてやっとしゃべっていただくという、そういうような資料が非常に多いわけでございまして、強制力がなくてそういう状況で情報を得ているものですから、これを他の方々に見せるあるいは公表するというたぐいのものではないんです。
 そういう意味で、また、そういうことをすれば今後の御協力が得られなくなるという面もあるものですから、部分開示という形にさせていただきました。
#164
○松浦大悟君 部分ではなくて、ほとんどが黒塗りということは大臣も十分御承知のとおりです。
 大臣は最近、法制審に対して、刑事事件の少年審判で被害者や遺族の傍聴を認めることと諮問されましたけれども、これは犯罪被害者や遺族の権利に対する世論の高まりを踏まえたものだというふうに思います。同じ観点から、この件に関してもう少し御遺族の立場に立った取扱いをしていただけないものでしょうか。だれから聴き取ったか分からないような形にして、少しでも御遺族のお気持ちにこたえる工夫をしていただけないかと思うのですが、どうでしょうか。
#165
○国務大臣(鳩山邦夫君) 制度として、今回の部分開示という決定について、先月三十日に審査請求がなされておられますね。
 審査請求というのは、言わば控訴というか不服申立てのようなものであろうと思いますが、この審査請求がなされた場合は、内閣府の諮問機関である情報公開・個人情報保護審査会に諮問するわけですから、同審査会からどういう答申が出てくるかというのを見守っていきたいと思います。
 ただ、前段委員がおっしゃったように、今、犯罪の被害者の事柄を、被害者を守るというか遺族を守るというか、遺族の方に満足して、まあ満足というのも変でしょうけど、理解をしていただくということがとても大事だということをすべての面でやらせていただいています。これは内閣全体で取り組んでいます。経済的な問題も含めて取り組んでいる。今回の死刑を執行させていただいた事柄に関する公表も、やっぱり一番は遺族の方々のお気持ちという部分があったわけです、私の心の中にも。ですから、あなたがおっしゃったことというのはやはり大事なことだとは受け止めます。
#166
○松浦大悟君 これでは、だれを守るための調査だったのかということが分かりません。学校を挙げてのいじめ隠し、地域を挙げてのいじめ隠しが行われている中で、今の大臣の御答弁は、国を挙げてのいじめ隠しだと誤ったメッセージを子供たちに与えてしまうのではないかと危惧をいたします。
 このような態度でいじめに関する相談を行っているのではないかと危惧をするわけですが、法務省はどのようにいじめに関する相談を行っているのか。子どもの人権一一〇番に寄せられた相談に対してどのように対応しているのか、教えてください。
#167
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは、私に似合わずちょっと読ませていただきますが、法務省の人権擁護機関では、いじめ等の子供の人権問題に関する相談については、法務局の常設相談所があると。それから、インターネットによる人権相談受付システムにおいて応じております。そして、全国の小中学生を対象にして、子どもの人権SOSミニレターと、趣旨が書いてあって、これを切り取って封筒を作って、ここに書いて、これを封筒にして送るというようなことを配布して、手紙によって子供たちからの相談に応じていこうと。それから、子供の人権問題の専用相談電話、子どもの人権一一〇番も設置しています。そういうようなことで、なるべく子供たちにとって分かりやすい相談体制を取っているということでございます。
 ただ、実数とかそういう点については、もし必要あれば事務方から答弁させます。
#168
○委員長(遠山清彦君) 答弁求めますか。
#169
○松浦大悟君 いいえ。
#170
○委員長(遠山清彦君) よろしいですか。
#171
○松浦大悟君 その調査をしてもそれを明かすということをしない法務省にどこまで本音の相談が寄せられるかということは大変疑問があります。
 では、文部科学省はいじめの定義をこのたび変更をいたしました。その調査の結果、大幅にいじめの件数が増えたわけでありますが、どのように変更してどのように増えたのか、教えてください。
#172
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 昨年、いじめにより児童生徒が自らその命を絶つという痛ましい事件が発生したことをきっかけに、いじめ問題が大きな社会問題となり、いじめの実態把握の在り方につきまして様々な御指摘をいただいたところでございます。このような状況を踏まえて、専門家の方々にも御意見を伺いながら、いじめられた児童生徒の立場に立って、より適切にいじめの実態を把握することができるよう、そのいじめの調査に当たっての定義を見直したところでございます。
 具体的には、これまでの調査の定義では、自分よりも弱い者に対して一方的に、また、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものという形で、一方的、継続的、深刻なという限定的な文言を外しまして、今回の調査からは、当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより心理的な苦痛を感じているものという形で定義の見直しを図ったところでございます。
 それとともに、学校におきましても、アンケート調査、個別面談という形で児童生徒に即して実態が把握できるよう努めたところで、その結果、いじめの件数が大きく増え、小学校の段階では十二倍という数字も出てきたところでございます。
#173
○松浦大悟君 この調査結果というのは都道府県によって大きくばらつきがありますよね。それはなぜでしょうか。都道府県によっては名前を記入させてアンケートを取ったり、中には教師から聞くだけに終わっているところもあるようですが、改善の余地はないんでしょうか。
 また、二〇〇六年度の小中高等学校の児童生徒の自殺者数は、文部科学省の調査では百七十一人でした。一方、警察庁の統計では、二〇〇六年は三百十五人です。年度と年のずれはあるものの、大きな差があります。カウントされなかった案件の中にいじめ自殺が含まれていないか懸念をいたしますが、なぜこのような差が生まれているのか、教えてください。
#174
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 最初に、調査結果の都道府県ごとのばらつきについてでございますけれども、先ほども申し上げましたように、今回の調査に当たりましては、都道府県、市区町村、学校でアンケート調査、個別面談等の様々な取組が行われ、その方法が一様ではなかったという結果が都道府県の認知件数にも差が出ているのではないかというふうに考えております。実態におきましても、いじめの状況に違いがある面もあろうかと思いますけれども、その手法の違いが認知件数の差に出てきているのではないかというふうに考えております。
 この件につきましては、いじめの問題については、児童生徒に即して適切に、できるだけ速やかにいじめを発見し、早期に対応するということが重要でございますので、今後、文部科学省におきましては、今回の調査結果に関しまして、学識経験者の方々の協力をいただき、検証、分析を始めているところでございます。その結果につきましては次回の調査の実施に反映させ、実態の把握がより適切に行われるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
 もう一件、いじめの自殺の件数につきまして、警察庁との調査の違いについてでございますけれども、文部科学省の調査は、学校が自殺について把握をし、それらを教育委員会が取りまとめて報告をするという形になってございます。一方で、警察庁の調査は、警察の捜査権限に基づきまして検視、事情聴取の結果を集計したものということで、調査方法が異なりますので、実態として違いが生じているところでございます。
 昨年の秋のこのいじめの問題に関する臨時国会などで警察庁の統計数値との開きがあるという御指摘をいただきました。自殺の状況調査の精度を高めるため、今回は警察庁から各都道府県ごとに集計した数字の提供をもらいまして、各都道府県教育委員会で把握、集計した数字と照らし合わせるという作業は行ったところでございますけれども、まだその数字の開きがあるというのが現実でございます。
 その理由として幾つか挙げるとすれば、学校として自殺であることを裏付けを確認できなかった、あるいは自殺であるという判断ができない場合、それから遺族の心情に配慮して自殺として計上していない場合があるというふうに把握しているところでございます。
#175
○松浦大悟君 学校が自殺を隠したがっているという背景が見える御答弁だったと思います。
 このいじめの調査というのは、昭和六十年に始まって、平成六年、そして今回と、いじめの定義が変わるたびに大きく数字が変動しているというものです。しかも、昨日文科省の方から聞いた話によると、調査をしているのは学級の担任だそうです。学級の担任はステークホルダーです。こうした利害当事者が調査を行うというような統計は在り得ません。
 このようなまゆつばのデータに基づいて何をどのようにしようとしているのか、このような相談や調査などにより文部科学省としていじめの現状をどのようなものと把握しているのか、お聞かせください。
#176
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 いじめの問題につきまして、先ほど申し上げましたけれども、どうしても遺族の御心情を踏まえて学校として対応せざるを得ないという面も実態としてあるようでございますけれども、いじめの問題につきましては、いじめられた児童生徒の立場に立って、より実態に即して把握できるよう、いじめの定義を先ほど申し上げたように見直しをさせていただきました。
 また、各学校におきましても、アンケート調査、個別面談を実施するということで、いじめの問題に徹底して取り組み、いじめの実態をより適切に把握するという努力を重ねているところでございまして、また児童生徒の実態を一番よく把握しておりますのは担任の教員でございますので、教員がまず実態を把握して、それを学校として取りまとめるという作業をしているところでございます。
 このいじめの問題については、どの学校でも、どの子供にも起こり得るという認識の下に、件数の多い少ないの問題以上に、いかに迅速に対応し適切に対応できたかということが重要でございますので、今回の調査もきっかけとしていじめの実態をより正確に把握するということ、そしてまた、その一つ一つを解決につなげるということが重要であると認識をいたしているところでございます。
 その際にも、児童生徒一人一人に学校の教員、養護教員あるいはカウンセラーがきめ細やかに対応するとともに、家庭、地域と連携して学校を超えた対応を図ることも重要であろうと認識をいたしているところでございます。
 今後とも、各学校においてこのような取組が一層進むように、行政として支援を重ねてまいりたいと思っております。
#177
○松浦大悟君 福岡の事例においては教員がいじめに加担していたわけですから、今の答弁は白々しく聞こえます。
 大臣、いじめをなくす方法、いじめ研究には二つあるというふうに言われています。
 まず一つ目は、いじめる子に、仲良くしようだとか優しくしようだとかというふうに呼び掛ける精神論です。周りの子供たちに傍観してはいけないと呼び掛けるものもこの中の一つだと思います。今やっている方法ですよね。しかし、これは余り効果を上げていません。
 もう一つの方法というのは、環境を変えようというものです。具体的には、クラス制度をなくしたり、あるいは老人ホームや保育所を併設したりするというやり方。地域の方々がより多く学校にかかわることによって、そういう仕組みをつくることによって学校内の流動性を高めていく、そうすることによって常に同じ人間関係の中で閉じこもらなくてもいい、そういう環境をつくるというやり方です。
 社会学には、環境が変わればそこに集う人間関係が変わるという昔からの古典的な考え方があります。大臣は「ビフォーアフター」というテレビ番組を御存じでしょうか。古くなって使い勝手が悪くなった家を建築家の方が毎回リフォームをしていくという、そういう番組です。この番組が驚くべき点は、確かに家も立派にリフォームされるんですが、使い勝手が悪い家に住むことでどこかぎくしゃくしていた家族関係も家をリフォームすることによってリフォームされるという、そういうことが起こっているわけですね。
 私は、学校においてもこうした視点からいじめ問題をとらえ直していくことができるのではないかというふうに思っています。学級という狭い空間から児童を解放させることがいじめを減らすことにつながるといういじめ研究というのは昔からあるわけですが、そのような検討は文科省においては行われているのかどうか、聞かせてください。──じゃ、大臣にお願いいたします。
#178
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、あなたがおっしゃった意味では後者の方が絶対に効果があると思うんです。それは、法務省でも人権教室とかそういうことを企画しておりますけれども、環境が変わると人間は変わる、だから私は自然との共生ということを訴えているのはそういう面もあるんです。
 私は学校五日制を導入した文部大臣でございます。業者テストを禁止した文部大臣でございます。OECDの調査等がありまして、学力を落とした張本人は鳩山邦夫だと厳しく批判されることもあります。しかし、OECDの点数が少しでも上がる、上がることはいいかもしれないけれども、それよりは、たくましいというのか、あるいは和の心を持った子供たちにする、そういう環境の変化をつくり出すということが重要だと思った場合に、私は委員のおっしゃる後者の方に重点を置くことがいじめによる自殺を減らす道だと思います。
#179
○松浦大悟君 大臣がおっしゃるとおり、学校のシステムを変えればいじめは減るんです。学校五日制にしたことによって不登校が大きく減りました。これも一つの事実です。
 学級をなくすまでは行かなくても、学級という狭い空間を流動化させるために、地域の方々にボランティアでいろいろと入っていただく、活動を手伝ってもらったりすることは可能だというふうに思います。さらには、これは民主党の鈴木寛先生なども提言をされているコミュニティ・スクール、これを導入していくこともいじめを減らすことに役立つというふうに私は考えます。
 では、そのいじめ自殺に関して、暴力系のいじめについて質問をしたいと思うんですが、集団による暴行や金品の恐喝など明らかに悪質ないじめに対しては、私は警察に通報することを促すべきであると思っています。
 文科省でも今年の二月に「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」という通知を出されましたが、これはどのような視点に立ってつくられたものなのでしょうか、そして今後どのように運用されるのでしょうか、文科省、お答え願います。
#180
○委員長(遠山清彦君) 松浦君の質疑時間は終局しております。簡潔に御答弁をお願いいたします。
#181
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 いじめ、校内暴力を始めとした児童生徒の問題行動への対応につきましては、未然防止と早期発見、早期対応に努めることが重要であるという認識を持っております。学校は問題を隠すことなく、教職員一体となりまして問題行動を起こす児童生徒に対して粘り強い指導を続けるとともに、毅然とした対応を行うことが必要と、そういう認識に立っているところでございます。
 先生御指摘の本年二月の通知におきましても、その趣旨を踏まえて、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことはなく、直ちに警察に通報をし、その協力を得て対応することも指摘しているところでございます。
 委員会、学校がこうした通知の趣旨を踏まえまして、問題行動を起こす児童生徒に対して毅然とした対応を取っていただくよう、引き続き指導をしてまいりたいと考えております。
#182
○委員長(遠山清彦君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト