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2007/12/12 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 総務委員会 第9号
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2007/12/12 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 総務委員会 第9号

#1
第168回国会 総務委員会 第9号
平成十九年十二月十二日(水曜日)
   午前十一時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     喜納 昌吉君     榛葉賀津也君
     長谷川大紋君     泉  信也君
     井上 哲士君     山下 芳生君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高嶋 良充君
    理 事
                加藤 敏幸君
                那谷屋正義君
                内藤 正光君
                河合 常則君
                末松 信介君
    委 員
                梅村  聡君
                加賀谷 健君
                行田 邦子君
                榛葉賀津也君
                武内 則男君
                外山  斎君
                長谷川憲正君
                吉川 沙織君
                礒崎 陽輔君
                岸  信夫君
                世耕 弘成君
                二之湯 智君
                溝手 顕正君
                魚住裕一郎君
                弘友 和夫君
                山下 芳生君
                又市 征治君
   衆議院議員
       修正案提出者   馳   浩君
       修正案提出者   山口 俊一君
       修正案提出者   小川 淳也君
       修正案提出者   原口 一博君
       修正案提出者   谷口 和史君
   国務大臣
       総務大臣     増田 寛也君
   副大臣
       総務副大臣    佐藤  勉君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  二之湯 智君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
   政府参考人
       総務省情報通信
       政策局長     小笠原倫明君
       総務省総合通信
       基盤局長     寺崎  明君
   参考人
       日本放送協会経
       営委員会委員長  古森 重隆君
       日本放送協会会
       長        橋本 元一君
       社団法人日本民
       間放送連盟専務
       理事       玉川 寿夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法等の一部を改正する法律案(第百六十六
 回国会内閣提出、第百六十八回国会衆議院送付
 )
    ─────────────
#2
○委員長(高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、井上哲士君、長谷川大紋君及び喜納昌吉君が委員を辞任され、その補欠として山下芳生君、泉信也君及び榛葉賀津也君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(高嶋良充君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省情報通信政策局長小笠原倫明君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(高嶋良充君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会経営委員会委員長古森重隆君外二名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(高嶋良充君) 放送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。増田総務大臣。
#8
○国務大臣(増田寛也君) 放送法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 通信・放送分野の改革を推進するため、日本放送協会について、監査委員会の設置等、業務の適正な執行を確保するための内部組織の強化等の措置を講ずるほか、二以上の地上系一般放送事業者を子会社とする持ち株会社の制度を創設するとともに、無線局の開設に関するあっせん・仲裁手続の創設等、電波の有効利用を促進するための制度を設ける等の必要があります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、日本放送協会のガバナンスを強化するため、経営委員会について、監督権限の明確化、一部委員の常勤化、議決事項の見直し等を行うとともに、経営委員会の委員から構成される監査委員会の設置、外部監査の導入等を行うこととしております。また、我が国の対外情報発信力を強化するため、日本放送協会の国際放送の業務を外国人向けと在外邦人向けに分離し、それぞれに適合した番組準則を適用し、外国人向けの映像国際放送について番組制作等を新法人に委託する制度を設けることとしております。
 第二に、経営の効率化、資金調達等のメリットを有する持ち株会社によるグループ経営を経営の選択肢とするため、複数の地上放送事業者の子会社化を可能とするマスメディア集中排除原則の適用緩和や外資規制の直接適用等を内容とする認定放送持ち株会社制度を導入するとともに、相当数の有料放送契約を代理等する有料放送管理業務、いわゆるプラットフォーム業務の影響力が増大してきていることを踏まえ、受信者保護を図るため、その業務を行う者に、業務開始の事前届出と業務運営の適正確保のための措置を講ずることを義務付けることとしております。
 第三に、虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送により、国民生活に悪影響を及ぼすおそれ等がある場合、総務大臣は、放送事業者に対し再発防止計画の提出を求めることができることとしております。本法律案において新たに設けることとされています再発防止計画の提出の求めに係る規定については、放送事業者が虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であって、国民経済又は国民生活に悪影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるものを行ったことを自ら認めた場合のみを適用の対象とすることといたします。
 なお、今般の再発防止計画の提出の求めに係る規定の新設と時を同じくして、日本放送協会及び民間放送事業者が自主的にBPO、放送倫理・番組向上機構の機能強化による番組問題再発防止への取組を開始したことにかんがみ、BPOによる取組が機能していると認められる間は、再発防止計画の提出の求めに係る規定を適用しないことといたします。
 第四に、新しい無線通信サービス等の迅速かつ円滑な実現のため、電波利用の技術的な試験や需要調査のための無線局を開設できる制度を創設するとともに、無線局を開設する場合等に既存無線局との間で行う混信等の防止に関する協議を促進するためのあっせん及び仲裁の制度を創設することとしております。また、柔軟な電波利用の実現のため、無線局の免許人等以外の者に一定の条件の下で無線局を運用させることができる制度を創設することとしております。
 第五に、電気通信事業の運営が適正かつ合理的でないため電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるときに、電気通信事業者に対する業務改善命令が行い得るよう、その要件を見直すこととしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において修正が行われております。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。
#9
○委員長(高嶋良充君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員馳浩君から説明を聴取いたします。馳浩君。
#10
○衆議院議員(馳浩君) おはようございます。
 衆議院の修正案の提出者を代表いたしまして、修正の趣旨及び内容を御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
 第一に、日本放送協会の経営委員会に関する事項であります。
 政府原案では、協会のガバナンスを強化するため、経営委員会について、監督権限の明確化、議決事項の見直しを行っております。
 本修正では、放送法第十四条第一項第一号の改正規定中「決定」を「議決」に修正するとともに、経営委員会の権限を定めた規定のうち総務省令等に委任している事項について、法律に列挙しようとするものであります。また、経営委員会は、その職務の執行を経営委員に委任することができないこととしております。
 さらに、経営委員が個別の放送番組の編集を行うことができないこととするとともに、個別の放送番組の編集について放送法第三条に規定する放送番組の編集の自由に抵触する行為をしてはならないこととしております。
 第二に、要請放送制度に関する事項であります。
 政府原案では、国際放送の命令放送制度を要請放送制度に改めることとしております。
 本修正では、総務大臣が協会に対して国際放送の実施を要請する際、指定する放送事項等について、「邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項その他の国の重要事項」に限定するとともに、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならないこととしております。
 第三に、認定放送持ち株会社制度に関する事項であります。
 政府原案では、認定放送持ち株会社の議決権の保有基準割合の範囲を「十分の一以上二分の一以下の範囲内で総務省令で定める割合」としております。
 本修正では、保有基準割合の範囲を「十分の一以上三分の一未満の範囲内で総務省令で定める割合」に修正するものであります。
 第四に、再発防止計画の提出の求めに係る制度に関する事項であります。
 政府原案では、虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送により、国民生活に悪影響を及ぼすおそれ等がある場合、総務大臣は、放送事業者に対し再発防止計画の提出を求めることができる制度を導入することとしております。
 本修正では、再発防止計画の提出の求めに係る制度に関する規定を削除しようとするものであります。
 以上が本法律案の衆議院における修正部分の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。
#11
○委員長(高嶋良充君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会・日本の加藤敏幸でございます。
 本日、放送法改正案に対する質問の機会を与えていただきましたことを、関係諸氏、心から感謝を申し上げます。
 本日は、大きく三点にわたって御質問を申し上げたいというふうに思います。まず第一点はNHKのガバナンス強化について、二点目は認定放送持ち株会社制度について、そして三点目は虚偽報道等の再発防止対策とBPOの機能強化と、こういうふうなことを中心に御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、冒頭、さきの参議院議員選挙において参議院の、当院の会派の構成が変わったということでございます。衆議院と参議院の会派構成が大きく変わったということから、国会における議論の在り方あるいは法案への対応等について従前とは大変違った景色になってきたと。こういう状況の中で、国民生活あるいは国民自身の強い要望に国会として、立法府としてどのように対応していくか、これはすべての議員に課せられた責務ではないかと、このように思っております。
 そのような中で、閣法として提案されました放送法改正案について、大変厳しい日程の中ではございましたけれども、衆議院におかれまして、自公民三党会派における修正協議が非常に熱心にあるいは精力的に行われた結果、本日、本会議において上程された、またこの委員会において、先ほど修正内容も含めて趣旨説明を受けたということでございます。
 私は、ある意味で、このようなそれぞれの会派、政党のぎりぎりの努力をもって、最終的には国民の負託に対応していくと、このようなことも現実に対する立法府としての在り方ではないかと、このように感想を持ちつつ、また立法府において、行政府から送られた改正案について大きく修正を加えていくと、こういうふうなことについては広くその内容等について国民に問い、またパブリックコメントを得ていくと、そういうふうなプロセスも大変重要ではないかと。そういうようなことで、国会の日程は大変限られて、また本日、会期末を迎えてという状況の中で、法案に対する審議は精力的に、しかしその内容については丁寧にと、こういうふうな要請にこたえていかなければならないと。
 そのような趣旨で各会派において最大限の御努力をいただいておりますけれども、本日、日本放送協会経営委員会古森委員長殿、また日本放送協会橋本会長殿、加えて社団法人日本民間放送連盟専務理事玉川殿、お三方の大変御多忙の中御出席をいただきまして、参考人審議ということではなく、法案に対する、特に修正案に対する私は質疑応答におこたえいただいたということに深く感謝を申し上げますとともに、私ども立法府の意思として修正を加えたということにおける、そのプロセスを更に丁寧にやっていきたいという趣旨でございますので、どうかこの趣旨を御理解をいただき、御答弁の方についても御協力をいただきたいと、このようにお願い申し上げまして、質問に入っていきたいというふうに思います。
 まず、NHKのガバナンス強化についてでございますけれども、率直にNHKの経営委員長にお尋ね申し上げます。
 修正案は、特に議決事項について、NHK経営委員会の議決事項について限定列挙を行い、また、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画の議決権限及び役員の職務の監督権限は個々の放送番組の編集に関与する権限を認めたものではない旨、このように記載をさせていただいたということでございます。
 古森委員長におかれましては、おおむね半年間にわたる経営委員長としての任に、重責に当たっておられ、また現下のNHKにおける各種問題に対して経営委員会の立場で精力的に対応してこられたと、このように感じております。その流れの中で多々いろいろと御発言等もあったということで、これは私どもといろいろ意見交換をさせていただいたということでもございますけれども。
 率直にお聞きいたしますけれども、そのような経験あるいは御信念、そのようなことに基づいて、本修正内容についてどのようにとらえておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
#13
○参考人(古森重隆君) おはようございます。経営委員長の古森でございます。ただいまの先生の御質問にお答えしたいと思います。
 今回の修正案は、国民を代表する皆様の御意見が反映され、経営委員会の権限がより明確に規定されたものというふうに受け止めております。私どもといたしましては、この放送法の趣旨にのっとりまして的確に自らの職責を果たしていく所存でございます。最初に申し上げておきたいと思います。
 それから、限定列挙、議決事項が限定列挙ということでございますけれども、重要事項という観点から見ましたときにそれが記載されておるということでございまして、特に私どもは異論はございません。
 それから、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画は、経営委員会の議決事項とおっしゃいましたように規定されております。これについては十分に論議を行うことが経営委員会の責務だと考えております。個別の放送番組の編集につきましては、従来から経営委員会として関与するものではないとはっきり認識しております。
 NHKといたしましては、さらに、これまで信頼回復のために様々な施策に取り組んでまいりました。受信料収入も回復基調ではあります。しかし、改革はなお道半ばでございまして、経営委員会といたしましても、法改正の趣旨を踏まえましてコンプライアンスの着実な徹底を図るとともに、さらには受信料の公平負担あるいは国際放送の強化、抜本的な構造改革など、国民・視聴者の期待にこたえて、期待される、信頼できる公共放送の充実を目指してまいりたいと、そういう意味で経営委員会としての職責を全うしていきたいと考えております。
 以上であります。
#14
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
 国会の審議を経て出た結論については、経営委員長もその趣旨を十分踏まえて、今後の経営委員会の運営等に当たっていかれるという決意も含めての御答弁であったというふうに受け止めます。
 それでは次に、NHK会長の方に御質問を申し上げたいと思います。
 改正案におけるガバナンス強化策は、一つ、経営委員会の監督権の強化、二つ、監査委員会の設置、三つ、会計監査人による監査など外部の方々、組織に頼っているという側面が強くなったと、このように思います。
 本来ならば、執行部といいましょうか、NHKの役員の皆様方並びに職員の方々による自力による改革方針を示す努力を続けていくべきであるし、多くの国民もそうあってほしいと、このように願っているというふうに思います。しかしながら、この間の議論の中で結論としては、NHKのガバナンス強化という方策において、NHK外の方々の知見を含めて導入を図るという結論になるということでございます。
 そういうふうな状況の中で、私はNHKの皆さん方に対する各面にわたる御批判もまたこれありということだと思います。受信料の問題等についてはやや改善の兆しありということで、明るい面も出てきたという経営委員長の御報告ではありましたけれども、しかしながら、なお未納の皆さん方が未納の中にある種の意思を込めておられるという現実はまたあるというふうなことであります。
 そういうふうな状況の中で約一年にわたって各点にわたって議論を国会も交えてさせていただいてきたと、こういうふうに思いますけれども、本日のこの状況下で、特に私ども国会の意思としてこのような修正を加えるということであり、これはある立場の人を特段応援をするとか、そういうことではなくて、正に国民の負託に対し真剣に議論した結果、こういう方向でまとめていきたいと、こういう思いでございます。
 ということであれば、NHK会長という役員の最高責任者のお立場で、現在NHKが直面されている各種問題についてどのように認識をし、かつ、NHK自身としてそれらの問題にしかと対応していくということについて、私は、丁寧に、そしてかつ毅然たる御決意も含めた私は御披露があってしかるべしではないかということでございますので、ついて御所見を賜りたいと思います。
#15
○参考人(橋本元一君) お答え申し上げます。
 今回の改正では、経営委員会及び執行部のそれぞれの役割あるいは責任というものを一層明確にすることによって、お互いに連携を取りながら、NHK全体の適切な、健全な業務運営を進めるということが強く求められているというふうに考えております。
 NHKの役職員は一丸となりまして、三年前の不祥事から、NHKにとって視聴者の信頼が何より大事だと、この信頼によって立つ、信頼と支持がなくてはNHK自身が公共放送として成り立たないということを身をもって知ったわけでございます。
 このような中で、私も会長就任以来、不祥事の再発防止あるいは信頼回復、当然ながら放送の充実という点につきまして努めてまいりました。特にコンプライアンスの徹底、こういう点についても自ら主体的な改革を行ってきたわけでございます。様々な改革、施策の効果というものもここへ来て出てきておりますけれども、しかし、なお信頼回復というものについて言えば道半ばということを考えております、認識しております。こういう中で、更なるコンプライアンスの徹底あるいは受信料の公平負担等々、一層努力してまいらなければならないと、当然ながら強く認識しております。
 執行部職員、役職員が御指摘の点等をしっかりと認識しまして、率先して自ら当然ながら改革に取り組んでいくことが重要だと深く認識しておりますし、この点に十分、改正放送法の下でもこの決意でこれから邁進してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
#16
○加藤敏幸君 是非とも、全体が一つの意思として私は国民の負託にこたえていただきたい。
 蛇足ではありますけれども、私は民間企業の中で長らく仕事をしてきた立場で申しますと、民間企業は最後は倒産という、この倒産ということを目の前にして経営者始め新入社員までやはり私は心を一つにして対応していくという、こういう原理になっております。しかしながら、御社におかれては、受信料徴収という言わば民間企業からいえばとても考えられない仕組みを与えられていると。そういうふうなことから、ややもすれば、NHK的体質あるいはぬるま湯的な組織土壌と、こういうふうな批判を受けておられるというふうに思います。そのことに対し、経営委員会の方から、そこについての改革を強く求められておられる。経営委員長も思い余って、やや勇み足という部分もあったやもしれませんけれども、しかしすべては国民のためにいかにあるべきかという、そしてそれは受信料を苦しい家計の中からも払っていただいている方々に対して、私は、NHKの皆さん方はそのシステムに安住することなく対応していただきたいというふうに思うわけであります。
 さて、次に総務大臣の方に御質問申し上げます。
 法案は、監事制度を廃止し、新たに監査委員会を設置し、その権限を規定されております。しかしながら、この監査委員会というふうなものに何を求め、実際、現時点において総務大臣としてどういう機能、役割を求められてこの制度にされたのかと、このことについて私は今なおクリアになっていないと受け止めております。特に、経営委員から監査委員を任命をするというこの仕組みを考えさせていただきますと、まず専任の経営委員さん、そして経営委員会の中で監査委員を選任していくというシステムで、場合によれば、結果として経営委員長が選任者であり、かつ監査委員であると、こういう事態も排除していないと、このように受け止めているわけであります。
 相当強い監査委員に対する権限の付与であると、このように感じておるわけでありますけれども、正に大きな権限といいましょうか、権力を持たれた監査委員さんが一体どういう基準で監査を行うのか。気に入らないNHK役員を注意すると、そういうよこしまな、そういう思いで監査委員としての権限を行使すると、よもやそういう事態は想定はしたくはないということでございますけれども、しかし監査委員に対するチェック体制というのはなかなか明記されていないということの中で、最終的にそれは国会の同意人事にゆだねるという仕組みで本当によろしいのでしょうかという思いも持つわけでありますし、また監査委員が職務に熱心な余り、現実にNHKの役員並びにその組織に対して調査権限を振り回すということが、調査のための仕事が多くなって、これは民間企業でもよくあることですけれども、社長巡回が増えれば生産にマイナスになると、来てほしくないと、そういうふうな声もあり、管理のための管理ということもあり得るわけであります。
 そのようなことを想定をする中で、私は大臣にこの監査委員会の設置、そして監査委員への任務、役割、そしてその人たちの監査基準となるべき規範とは何なんだということを含めて、提案者のお立場でいかなるお考えを持っておられたのかということを御説明をいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。
 今お話ございましたとおり、現在の法律によりますと、このNHKのガバナンスという意味で、これは監事さんが監査をすると、この監事さんは非常勤の皆さん方でございまして、その立場でいろいろと監査をしておられたわけでございますが、今回は経営委員の中からこういう監査委員という方を選ぶことになるわけでございますが、監査委員会、それから経営委員会、これは相互に独立をした組織と、このように法律で規定をしてございます。相互に独立はしてございますけれども、経営委員の中から監査委員が選ばれるということによりまして、経営委員として得ました知見というものを、業務執行を通じて得た知見というものをこの監査の方に生かすことができる、そのことによってより実のある監査ができるのではないかと、このように考えたところでございます。
 一方で、この監査委員会と経営委員会でございますが、これはそれぞれ独立をした形の組織ということにしてございます。ここは法律の方でそういう立て方にしてございまして、そのため、経営委員会の職務執行のために監査委員会の権限を行使することはできないと、こういうふうに考えておりまして、経営委員会と監査委員会に付与された権限の行使ということにつきましては、それぞれの委員会の立場に沿って行われるということを考えているものでございます。
 なお、今先生の方からもお話しございました、この経営委員会というものは経営委員から成っていくわけでございますが、公共の福祉に関し公正な判断をすることができて、広い経験と知識を有する者と、こういう範囲の中から民意を代表されております国会の御同意をいただいて選任をされるということでございますので、そういう立場の方がそれぞれの職務を執行していくということになりますので、それがおかしな執行になることはないと、このように考えているところでございまして、それぞれの職務をそれぞれの委員会の職責に沿って適切に執行されることによりましてNHKの経営というものがより国民の立場に立って実効あるものになっていくものと、このように考えているところでございます。
#18
○加藤敏幸君 NHKは我が国の特有の公共財であります。戦後を含めまして民主政治なり民主的な国の体制を推進する上でも一定の役割を果たしてきたというふうに受け止めております。
 大臣の答弁によれば、適切にやれば結果は適切になるということであって、問題は、そうならない、そして、一企業ならばそれはマーケットの判断でその存立が決定付けられるけれども、この放送が担っている社会的な意義、使命、そしてそれを受信料という財源でもって担っているNHKという組織、このことが単に通常の一般的な株式会社と同じようなガバナンスということが適用して成果が得られるのかという大きなやっぱり課題がまだ残っているわけであります。
 そういうような意味で、私の思いなり質問に対する大臣の答弁は、やや、適切にやってもらえば適切なんだということでは、私は問題の所在について現時点では深く触っていないなと、こういうふうな思いがあるわけですけれども、このことについて改めて更に御答弁があるならそれを受け止めたいと思いますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(増田寛也君) それぞれの権限の行使ということについては、もちろんそれぞれの役割というのは十分踏まえた上で行っていかなければならないと考えております。
 それで、先ほど監査委員会のところでちょっと落としましたんですけれども、この監事、現在は二名ということになってございますが、今回の法律、改正法の考え方では三名以内ということでございますけれども、一名常勤の人を入れると、こういう形になってございます。
 そういうことになりますと、より内容について深く内容を見ていくことができるということになるわけでございまして、そういう経営委員としての得られた知見も踏まえて、また、常勤の立場で監査委員として深く内容を見ていくということは、それぞれの置かれております委員会の職責を果たす上で、よりしっかりとした内容になってくるのではないかと、このように考えているところでございます。
 もとより、それぞれの経営委員会の経営委員それから監査委員会の立場での監査委員というのは、適切に業務を執行するという、こういう前提に立っているわけでございますが、何しろこういう大きな公共放送を担うという、こういう日本放送協会についての経営の仕組みでございますので、まずそういった、先ほど経営委員長あるいは会長からも話ありましたような、そういう公共放送だということの立場に立った上でのもちろん議論をしっかりと行ってくれる、そういう人間を私どもも考えているところでございますし、それからまた、そうした委員の皆さん方もそうした職責に十分この仕組みでこたえ得るものと、このように考えております。
#20
○加藤敏幸君 私どもも同意人事という形で参画をするわけでございますので、これからこの監査委員の皆さん方が適切なる職務を遂行されているのかどうか、また経営委員会の活動を、皆様方の活動も含めて私どもも責任があると、同意したという意味で責任があるということから、今後更に立法府としても関心を深めて対応していきたいと、このように述べさせていただきたいと思います。
 次に、修正案にかかわる点について修正案の提案者に御質問を申し上げます。
 経営委員が番組の編集にかかわらせないための修正条文第十六条二の「個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない。」と、こういうふうな修正文になっておるわけでありますけれども、ここで、個別の放送番組の編集ということは、これはこれで分かるわけでありますけれども、その他という部分につきまして、このその他の業務とは何を想定をされているのか、修正案の提案者の方に御質問したいというふうに思います。
#21
○衆議院議員(山口俊一君) お答えをさせていただきます。
 今、加藤先生の方から十六条の二について御指摘がございました。これは、実は原案にありますけれども、協会の業務というのがあります。そのうちの個別の放送番組の編集以外のものであると、その意味では政府案に由来をする部分ではありますけれども、私どもとしては、例えば放送番組の送信の義務と、あるいは放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究等々ということと認識をいたしております。
#22
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
 一応、以上でNHKのガバナンス強化に関する質問は終了したいというふうに思います。
 次に、認定放送持ち株会社制度について御質問を申し上げます。
 修正法案提案者に御質問をいたします。
 持ち株会社の株式保有割合、これにつきましては、十分の一以上二分の一以下という原案から十分の一以上三分の一未満への変更をされたということでございますけれども、ここは大変私は議論があったところであり、法案の中でも非常に重要な部分ではないかというふうに受け止めておるわけであります。
 そこで、この修正の必要性あるいは意義等について、また商法上の議決権、議決拒否権との関係について、どのように議論をされ、どのように整理をされたのか、大変重要なポイントであるというふうに思いますので、本件についてお答えをいただきたいと思います。谷口提案者にお願いしたいと思います。
#23
○衆議院議員(谷口和史君) お答えをいたします。
 今御指摘のありました点でございますけれども、放送電波は限られておりますので、多くの者が放送できる機会を持てるように、また放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享受できるようにということで、いわゆるマスメディア集中排除原則、マス排と言われておりますけれども、これによって単独で複数の放送局を支配するということが原則として禁止をされております。この支配基準につきましては、十分の一以上から二分の一以下の範囲内ということで定められております。
 今回、政府原案では、この認定放送持ち株会社の保有基準を十分の一以上二分の一以下ということで原案ではなっておりましたけれども、仮に上限の二分の一ということになってしまいますと、ある大株主が大きな影響を、余りにも大きな影響を行使することができるということで、ここはやはりマス排の原則に反するというこういう観点から、その上限を三分の一未満ということに改めることにしたわけでございます。
 もう一点の、議決権また議決拒否権との関係ということでございますけれども、この結果、定款変更等に必要な特別決議、これは議決権の三分の二以上の賛成が必要であるわけでありますけれども、これにつきましても単独で阻止することができる株主は制度上存在をしないと、こういうことになっております。
#24
○加藤敏幸君 つまり、特別決議の議決をさせない、防御し得る比率がこの一番の上限だと、そういうふうな議論の中で、そしてまた、二分の一というここまで保有させることについては、この放送という持つ性格上やっぱり認め難いという御議論の中で言わば三分の一というこの数字を選択されたと、こういうことであり、そのことの商法上の意義は、特別決議の議決というのは六六・七%以上ということをもって決議できるけれども、それを裏返せばこういうふうなことであるという御説明だというふうに思います。
 それでは、先ほど来話になっていますマスメディア集中排除の原則に立ったとき、今回新たに設立される認定放送持ち株会社について基本的に今どのように評価されているのか。正にこれが言わば閣法の中の目玉の一つであったと、このように思うわけでありますけれども、修正に当たってこのことを残されたということでございますから、むしろ修正の議論の中でも積極的に本件について私は支持されるというお立場であったと、逆に言えば、そういうふうなことでございますので、是非とも修正案提案者の立場から、この認定放送持ち株会社、あえてマスメディア集中排除原則という状況の中でこれをお認めになったということについて、るる御説明をいただきたいというふうに思います。山口提案者にお願いしたいと思います。
#25
○衆議院議員(山口俊一君) 御質問でございますが、基本的にはまず、地デジの進行とともに、やはりとりわけローカル局を中心に非常にこれは財政的に厳しくなるであろうというふうな中で、若干いわゆるマスメディアの集中排除原則ですか、これを緩めざるを得ないのかなというふうなことで、政府案は二分の一までというふうなことであったわけなんですが、種々、修正協議、御議論をさしていただく中で、やはりちょっと二分の一じゃどうなのかなというふうなことで三分の一程度というふうな議論になりまして、同時に、実は民放連等々の方からの御意見もお伺いをしたりしながら、三分の一でいいんじゃないかな、同時に、もちろんこれはマスメディアのいわゆる集中排除原則を若干緩める話にもなるわけでありますので、しっかり、例えばそれぞれの放送局、とりわけローカル局はその特色を出せるようにというふうなことでの配慮も実はさしていただいておるところでございまして、おおむねこういうところかなということで合意をさしていただいたということでございます。
#26
○加藤敏幸君 という修正案提案者の御説明を受けられまして、民放連のお立場で、株式の保有割合が閣法において想定されたレベルよりも引き下げられたということにつきまして、そもそもデジタル放送、地上デジタル波放送を準備をすると、そのために各地方局の財政的な強化を図るという動機の中から提案されたこの内容が、修正協議においてまあ平たく言えば割り引かれたということになったわけでありますけれども、しかし、その割り引かれたということが地デジ対策という視点に立ってどういう影響、まあこれは議論の流れからいけばマイナスの要素がどの程度出てくるのであろうかという懸念になるわけでありますけれども、そのことも含めまして、本件についての民放連のお立場から評価を含め御意見を賜りたいと、このように思います。
#27
○参考人(玉川寿夫君) 民放連専務理事の玉川でございます。
 今回このような場で発言の機会を与えていただきまして、まず感謝を申し上げます。
 ただいまの御質問の、認定放送株式会社の株主が保有できる議決権を十分の一以上三分の一未満にするという案につきましては、放送事業の公共性、安定性と、特定株主に許されるべき適正な水準との兼ね合いが大事ではないかと思っております。この制度の活用につきましては今後放送各社が研究していくことになると思いますが、個別各社の事情が異なるため、出資上限に関しどの程度が適当かということは一概に申し上げかねるわけでございます。ただ、持ち株会社の傘下になる子会社の独立性の観点も考慮いたしますと、議決権の上限を三分の一未満にすることは現時点では適当ではないかと考えているところでございます。
 また、デジタル化のための莫大な投資のため地方局で赤字に陥る社が増えてきておりますので、持ち株会社制度の導入で資金面だけでなく人的なバックアップを得て経営の安定と番組の質の向上が図られ、国民・視聴者にとっても望ましいものと考えております。デジタル放送を開始する上でマイナス影響は特にないのではないかという認識をいたしております。
#28
○加藤敏幸君 民放連というお立場で子細な調査ということにはなかなか時間的に難しいということではありますけれども、全般的には先ほどのお答えをいただいたというふうに思います。
 もう一つ論点がございまして、これは本日の本会議でも質問があったわけでありますけれども、地方局自身が自ら手作りの番組コンテンツを流していくということは大変豊かな放送文化を育てていくという視点からも大変重要であると、このように受け止めておりますし、提案者の方の御説明の中にもそのことに対する言葉もあったと、このように思います。私ども、地方自身が正に自らの文化力を発揮をするという場面として地方発のコンテンツということは大変重要であると、このように受け止めております。しかしながら、キー局の支配が、まあいろいろと限定はありますけれども広まっていく中で、地方における独自の番組制作能力、このことがある種葛藤状態に入ってくると、このこともある意味で想定をされるというふうに思います。
 一つは、経営的に言えば、コスト削減という視点に立てばキー局がお作りになったものを流せば最も安上がりになってくるということでございますし、場合によっては地方の皆さん方も中央の放送を要請されるというニーズもあったり、そのような中で、なかなか難しい議論ではあるわけでありますけれども、私どもとしては、地方局の独自の番組制作能力の向上については、これは大いに活用していく必要があると、こういう視点に立って民放連のお立場で本件についてどのようにお考えなのか、私はお伺いしたいというふうに思います。
#29
○参考人(玉川寿夫君) お答えをいたします。
 都市と地方の情報格差が問題になる中で、御指摘のとおり、地域に活動の拠点を置く地方局の役割は大変重要でございます。その意味で、エリアの外に向けて発信するコンテンツというものがこれからますます重要になってくるものと考えております。また、デジタル化が進捗する中で、キー局を中心とする系列間の競争が一段と熾烈さを増しておりまして、キー局、地方局挙げての総力戦になっております。こうした中で、地方局の番組コンテンツの開発の優劣が系列間の優劣を決めるということも一つの要素になってきております。
 こうした状況から、まず一つは、当然のことでございますが、地方局自身が番組制作能力に力を注ぐということはありますけれども、もう一つ、キー局を中心として、一つは、制作面、報道面などの分野別に研修会を定期的に行っております。もう一つは、ローカル番組を全国ネットで放送する時間枠を常時設け、地方局の制作能力の向上を図っているところでございます。既にある系列では、地方局の制作番組を全国放送でネットする時間枠を常時設けているということも出てきております。
 このほか、民放連の活動の一つとしまして、全国の民間放送局の報道記者や番組ディレクターを対象とする報道記者・ディレクター研修会や技術面からの向上を目的とするテレビ制作技術研修会を継続的に行ってきているところでございます。
#30
○加藤敏幸君 私は、地方から正に文化、地方文化のにおい、あるいはその情報発信能力の向上、それらが花が開く、そういうようなことは大変重要であるというふうに思いますので、民放連の皆さん方、当然のこととして、また私は、NHKも含め、私どももまた総務省を含めまして、やはり努力をしていく、そういう必要があるのではないかと、このように思います。
 以上で認定放送持ち株会社に関する質問を終わらせていただきまして、次に虚偽報道等の再発防止対策とBPOの機能強化に移らせていただきたいというふうに思います。
 今回重要な修正を行いました。この修正に当たって、私も一議員として気持ちが揺れ動いたわけであります。
 一つは、正に民放連の皆さん方にゆだねると、これは放送の自由という大義を受け止めて。しかし、国民の中からは、報道の内容あるいはその手法について厳しい批判が起こっていることも事実であります。現実に問題が起こったことが発端であるわけでありますけれども、それらの事例以外でもどうなんだと、そういう残酷なマイク突き付けということがいいのかとか、非常に予断あるいはそれは偏見ではないのか、もっと言うと、政策に対して意見なのか、取材なのか、アナウンサーの個人的見解なのかを含めた、見る方、聞く方からは分かりにくい、そういう報道も間々あるという、こういう状況の中で私どもは、最終的には放送の自由という大義を選択したわけでありますけれども、現実的課題としては多くの問題あるということも事実であります。
 そこで、民放連の専務理事殿に、衆議院での修正の、再発防止計画の提出を求めるということの削除についてどのように受け止め、評価されているのか。先ほど私が申し上げました国民的な問題意識でいけば、必ずしも国民はそのことを一〇〇%受け止めていないという現実も踏まえてお答えをいただきたいというふうに思います。
#31
○参考人(玉川寿夫君) この法案の改正のきっかけとなりましたのは、民放の番組作りの不始末からでございます。データの捏造や改ざん、放送倫理を踏みにじるような番組制作姿勢などはあってはならないことで、決して許されるものではございません。しかし一方、民主主義を一層確かなものにするという観点から、公権力が番組内容に介入することは避けるべきであると考えており、再発防止計画の提出を求める条文の削除を求める一方、BPOに、データの捏造や放送倫理を踏みにじった場合に法案より数段厳しい対応を当該者に求める放送倫理検証委員会を新たに設けたところでございます。
 削除に対しては与野党間にもそれぞれ賛否があり、紆余曲折があったように伺っておりますけれども、削除されることとなり、見識のある御判断と受け止めております。この放送倫理検証会は、問題となった放送番組の制作過程に立ち入って調査をしたり当該放送局に再発防止を求めることができ、さらに、再発防止が不十分であるならば改善を求めたり防止策の実行の実施状況の報告を求めることも可能となっております。
 この検証委員会が国民・視聴者から支持いただけるかどうかは私ども放送事業者自身に懸かっており、この検証委員会と真摯に向き合い、実績を積み重ねることで公権力による介入が不要であるということを証明していきたいと決意を新たにしているところでございます。
#32
○加藤敏幸君 私どもも事前のヒアリングでBPO、放送倫理検証委員会の機能についてということで御説明を受けております。その中に、改正放送法よりも厳しい放送倫理検証委員会の機能と。これは聞きようによっては、まあ自分たちで自分たちの方が立派だとこう言っているわけですから、やや手前みそかなという気もしないわけではありませんが、しかし、私は好意的に解釈をして、これはある意味で決意だと、我が身を削り我が身を切り刻むその覚悟があるという決意だと、こういうふうに受け止めさしていただきたいと。
 立法府はそのように受け止めたということであり、しかしながら、見識だと言われましたけれども、この決定にあぐらをかくことなく私はやっていただきたいという意味で、本当にこのBPOの機能強化という、言われていることのみで再発防止あるいは国民から信頼され、支持される番組制作あるいはその報道ができるのか、担保できるのかということであり、この検証委員会の持つ事務局の能力なり、あるいは先ほど少しお触れになられましたけれども、事後の処置、その強制力の程度だとか、そのようなことについて期待できるのかということについて、これはやってみなきゃ分からぬということでは、国会はそういうことは受け入れられない。正にやり切る、やれるという内容だと、それがこの放送倫理検証委員会なんだというふうに思いたいんですけれども、それでいいんでしょうか。
#33
○参考人(玉川寿夫君) 今年五月にBPOの放送番組委員会を改組いたしまして、放送倫理検証委員会を設置いたしました。従来の放送番組委員会には放送局の委員が参加しておりましたけれども、新たに設けた検証委員会では放送局とは全く関係のない委員のみで構成いたしました。
 さらに、BPOと放送事業者にはこの検証委員会への協力義務を記載した合意書を取り交わしております。例えば、一つは放送倫理の問題事案が発生した場合、委員会への速やかな報告義務、二つ目として委員会の求めに応じて放送済みテープ等、関連資料を提出するなど、委員会の調査、審査に全面的に協力するとともに、委員会が出す勧告、見解の誠実な履行義務、さらには一か月以内に再発防止計画の提出義務、三か月以内に再発防止計画の実施状況の報告義務、これを約束させており、放送局にとっては大変厳しい内容になっております。
 また、委員会は弁護士三名、作者などメディアに精通した有識者五名、学者二名の計十名で構成されており、これをバックアップする調査役も五名配置するなど、事務局を含めた体制に万全を期しております。
#34
○加藤敏幸君 重ねて御質問申し上げますけれども、最近、間々行われております放送の中で、私はこの報道とワイドショーというものが一体どういう関係であるのか分かっていないんですけれども、しかし、受け止める側は放送された中身を受け止めているということの中で、ワイドショーであったからこうだという私は言い訳は利かないと思っておるわけであります。
 そこで、個別の事案について申し上げることは控えますけれども、やっぱり食品偽装に対する報道がやや偽装、報道自身が偽装だったんではないかということで、後で謝られたり、あるいは大変凄惨な殺人事件に対する報道の中で、そういう予断に満ちた、一体どんな根拠を持ってそういう報道をしたのかとか間々散見されるということであり、それらについては視聴者の方からも問題提起があるというふうに思います。
 五月から放送倫理検証委員会については、先ほど決意を持ってやっておられるということでございます。本件は事実をもって私は国民に示すということでしか信頼の獲得はないというふうなことで、形としてつくったものではないと、国会論議で、それにためするものではないということは当然でございますので、逆に言えば、じゃここ五月以降起こっている現場における諸問題について、このBPOが現実どのように取り組んでおられるのか。別組織であるということではございますけれども、仄聞されていること等ありましたら示していただきたいと、このように思います。
#35
○参考人(玉川寿夫君) 今先生がおっしゃったとおり、例えば坂出市の事件は大変痛ましい事件であり、なぞの多い事件であったということで、報道対応が過熱ぎみであったことは確かでございます。事件発生後、BPOの視聴者対応部門に御趣旨のような意見が寄せられており、現在はBPOの中のBRC、主に人権侵害に対する委員会でございますが、ここが事件捜査の推移と、それに対する報道に行き過ぎがないかどうか、重大な関心を持って注意深く見守っていると聞いております。また民放連では、放送基準や放送指針を定めて、日常の取材、報道活動の手法を示しております。
 今後、こうした倫理規程を周知徹底し、報道姿勢や表現手法による報道活動の公正さに疑念を抱かせないよう、視聴者の信頼を損なわないよう留意してまいりたいと考えております。
 また、先週から今週にかけて週刊誌等で指摘されておりますハンバーガーチェーンでの製造に、偽装報道について、放送倫理委員会の規定どおり、まず当該者が放送した同じ放送枠でおわびの放送を行うとともに、BPOに対して詳細な報告がなされていると聞いております。今後この倫理検証委員会で適切な対応を進められるものと考えており、その対応を見守りたいというふうに思っております。
#36
○加藤敏幸君 という取組が現実進行しているということでございます。私といたしましては、やはり報道規制というのは正に当事者自身の自主自律の精神でやっぱりやるべきだと、私はそのように思っておりますし、それが達成される状況をいかにつくっていくのか、このようなことが大切ではないかと、こういうふうに思っております。そういうような意味では、先ほど来お話のありました放送倫理検証委員会が真に検証委員会としての機能を十分発揮せられるし、そのことについては放送局の皆さん方、報道に当たられる皆さん方も真剣に受け止め、そのことを大きく発展させていくという、これが必要ではないかというふうに思います。
 そこで、そういうふうにBPOが成功してほしいという思いを持ちつつ、しかしながら立法府としては国民に対して大変重要な決断をしたという意味で責任を持っておるわけでありますので、ここでその任に当たった修正法案提案者にお伺いをしたいんですけれども、再発防止計画の提出は政府提出案にある中身について削除をされたと、そして当面はBPOの活動に期待せざるを得ないということではありますけれども、今後は虚偽報道、番組編成に対する政治の介入などの問題を未然に防ぎ、併せて表現の自由を前提にしながら、国民の文化あるいは政治、各方面にわたる発展に寄与でき得る本当に豊かな放送を実現をしていくと、こういうふうなことになると思います。
 議論の中で、例えば行政委員会方式による第三者機関を設立してはどうかということもあったと聞いておりますし、私も検討に値するものと思われます。海外での事例も多々あるというふうに受け止めておりますけれども、今後現実に先ほど御紹介のあったBPOが真に機能を発揮せられるのか、せられないのか。残念なことにせられない場合には国会としてどのようにその責任を果たしていくのか。仮定の話ではありますけれども、そういう問題も抱えておるという状況を受け止めまして、この第三者機関の設置等の問題について修正案提案者のお考えがあればお伺いをしたいというふうに思います。これは原口提案者にお願いをしたいと思います。
#37
○衆議院議員(原口一博君) 加藤委員にお答えを申し上げます。
 冒頭、加藤委員におかれましては大変なお力添えをいただきまして、放送の自由、表現の自由、人権ということで御指導いただきましたことをまずお礼を申し上げて、お答えを申し上げたいと思います。
 今お話にございましたように、放送は言うまでもなく民主主義の根幹を成す言論、表現、報道の自由に立脚する事業の一つであります。だからこそ、そこに従事される方は、その自由を享受すると同時に、それにふさわしい見識と責任意識、責務を負っておられる。ですから、私たちは、修正の協議の中で、あくまで自主規制に任せたいと、こういう思いで削除をしたわけでございます。
 ただ、一方、放送は大変大きな影響を持ちますから、加藤委員が御指摘のように、一たび失われてしまった人権、あるいは会社でいうと、正に虚偽の報道によってその会社がつぶれてしまう、あるいは吸収をされてしまう、合併をされてしまう、こういったことも起こりかねない。ですから、私たちはこのBPOの強化、更なる強化という形でしっかりと見守りたいという決断をしたわけでございます。
 しかし一方で、今申し上げたような事例から、各海外の事案を見ますと、やはり放送へ公権力による関与、介入、これを許してはならない。こういうような事態が起きて一番心配をするのは、政治的な中立性を失って、そこへ介入が行われることであります。公権力がそのまま、これは修正の過程の議論でありますが、むき出しの権力が放送業界をそのまま規制するというやり方は本当にいいんだろうか。民主党におかれましては日本版FCCも提言をされておられますが、修正協議の過程において私たちの中からは、そういう第三者機関を検討する条項を入れてはどうか、ただただ削除しただけでは、それは国民の不安やあるいはお声に対してこたえたことにならないんではないかという議論もございました。
 しかし、ここはまずは、正に国民の知る権利、それから放送、報道の自由、表現の自由、そこの自主性に期待をしていこうということでこの結論に至ったわけでございますが、以後、先ほど加藤委員が御指摘になりました放送倫理検証委員会やその他の動きをしっかりと注視しながら、自由と人間の尊厳を守るための法律がどのように実践されているか国会の中で検証していくべきである、このように考えております。
 以上でございます。
#38
○加藤敏幸君 いろいろな修正協議等含めた御議論を、自公民の担当者の皆さん方の御努力を多とさせていただきまして、本件の質問を終えたいというふうに思います。
 最後に、総務大臣に少し御質問させていただきます。
 一つは、通告はしておりませんでしたけれども、本日の本議会における行田議員の質問の中で、新たに制度化された映像国際放送の財源について、受信料を負担していない外国人を対象とする国際放送に国民が負担している受信料を充てることについてどのようにお考えかということの御答弁が、私は本会議場で聞いている限り、あの内容では、これ受益と負担の関係を端的に聞いておるわけですから、これは非常に私はあの答弁だけでは不足ではないかというふうに受け止めましたので、この場で補足があれば私はお答えをいただきたい。
 そして、最終的に衆議院において与野党の協議の結果、客観的に見ればかなりの修正が行われたと。担当大臣としてはやや意に反するような気持ちになっておられるのではないかということを、別に私は心配することではありませんけれども、そういうような結果、政府案が大幅に修正されたということをどのように受け止め、これからどう対応されていくのかと、もうすっきりしたお顔ですけれども、お伺いをしたいというふうに思います。
#39
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げます。
 まず、前半の国際放送の関係について補足的にお答え申し上げたいと思うわけでございますが、確かに受信料を負担しておりません外国人の皆さん方を対象とする国際放送でございます。しかし、そうした皆さん、外国の方々に日本の実情等について十分御理解をいただくということ、このことは、従来の放送ももちろんそういう観点で作られたとは思いますけれども、まだ踏み込みが足りない部分がございましたので、今後、本当にそうした外国の皆さん方に真に日本というものを理解していただくという番組を制作をして、そして放送し御理解いただく。それは正に国際親善ということにもつながってくるわけでございますし、広く言いますと、やはり我が国全体の国際的な理解、そして地位の向上につながっていくのではないか。それは我が国におります国民にとりまして大変喜ばしいことにつながってくるんではないかと、こういうことでございます。
 もちろん、その程度というものも一方で考えなければいけないわけでございますが、そうした受益と負担ということを十分に加味しながら、その許される範囲の中で受信料を使わせていただくということも可能であると、このような考え方でございます。
 それから、最後の御質問の方でございますけれども、今回もそうであるわけでございますが、行政府としては、あるいは大臣としては、常に考えられるベストのものを考えて法案として立法府の方に提出をいたしまして、立法府の御判断をいただくと。これは、どのような場合でも常に私どもに求められる態度でございますし、今回もそういうことで提出をしたということでございますが、その過程の中で立法府で本当に真剣に御議論いただきまして今回このような修正が加わったと、こういうふうに受け止めております。
 あえて申し上げますと、改正案にこうした必要な修正を加えつつ、何とか成立に各会派の皆様方が御尽力、御努力をいただいたわけでございますので、私どもとしては、私としてはこうした立法府の御判断というのは本当に率直に受け止めているわけでございます。
 個々にいろいろ規定ございますけれども、私どもももとより考えておりますことを明確に、明示的に確認するという意味で御修正いただいたところもございますし、あるいは、いろいろと御懸念がございまして、そして御修正をいただいたという点もございますけれども、私ども総務省としては、あるいは担当大臣としては、いずれにしてもそれぞれきちんと、こういうことで修正を加えたということでいろいろ、こうした場での議論でいろいろ御議論あったわけでございますし、今日もこれからまたいろいろ御議論あろうかと思いますけれども、そういったこの立法府の御判断というのを総務省としてもしかるべく受け止めているところでございます。
 こうした立法府の御判断というものに従いまして、法律が成立すればという、これはもちろん前提でございますけれども、適切にこの法律の趣旨を実現していく、そういう運用を行ってまいりたいと、このように考えております。
#40
○加藤敏幸君 終わります。
#41
○委員長(高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会
#42
○委員長(高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#43
○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。
 午前中に引き続きまして、放送法の改正案についてお尋ね申し上げます。
 まず、今回の放送法改正については幾つかの大きな柱があるわけでございますけれども、まず最初に、NHKのガバナンス強化について幾つか御質問をしたいと思っております。
 最近、テレビ放送をめぐって様々な不祥事というものが起こっておるわけでございます。事実の歪曲あるいは捏造、偏向的な番組の編集内容と、こういったことがNHKあるいは民放問わず、これは大きな社会問題となっておるわけであります。テレビというのは大変強い情報発信力を持っているわけでございますから、それだけに社会全体に対する影響というのもこれも大変大きくなっているわけです。テレビの番組を作っていくあるいは流していく放送局、そして番組の制作会社、こうしたところの責任というものも当然ながらこれは大変大きなものがあると、こういうふうに思っております。
 特にその中でもNHKでありますけれども、このNHKというのは視聴者から受信料、お金をいただいているわけでございます。それで成り立っているわけでございますけれども、もう随分前にテレビ放送が始まったころにおいては、いわゆる速報性のニュースメディアとしてはある意味唯一の存在であったこのNHKの放送、これに対して国民が、皆さんが目を向けあるいは耳を傾けてきたわけであります。そういうことで、国民全般にNHKに対する信頼度というのは大変高かったんだと思っております。NHKの言うことをすべて信用していた、特にニュース番組についてはそういうことだったと思います。今であればインターネットもあります。いろいろな情報ソースというのがあるわけですけれども、それがそういうものがなかった当時のお話であります。であるだけに、このところの数々の問題というものは、国民にとってはある意味裏切り行為ではないかと、こういうふうにも言えるわけであります。
 こうした状況に対して、このたび、これまでもそうですけれども、NHKもコンプライアンスの強化を始めとしまして、いろいろな取組をしてこられたわけでございますけれども、残念ながらまだ十分に失った信頼を回復できているとはとても言えない状況だというふうに思っております。これまでの会社の経営の在り方というものに対しても抜本的な見直しというものも考えていかなければいけないんだというふうに思っております。
 今回、経営委員会の位置付け、これが役割についてもはっきりしてきたわけでございますけれども、会社の信頼回復に対するこの経営委員会の役割というのも、これも大変大きなものがあると思います。NHKの経営の監督の中核に位置付けられたこの意義は大変大きいわけです。
 午前中の審議の中でも加藤先生からもいろいろ御指摘がされておりましたけれども、特に、まず最初に、この監査委員会についてお聞きしたいと思っております。経営委員会の委員から構成されるこの監査委員会の位置付けについて、そしてそこに期待される具体的なメリット、これまでとどういうふうに変わってきたのかということについてお尋ね申し上げたいところであります。
 先ほど、経営委員会と監査委員会、相互に独立した存在と、こういうことでございましたけれども、一方で、委員はあくまでも経営委員の中から選任をされる、こういうことであります。どういう形でこの独立性を担保していくか、この辺りも含めて御説明いただきたいというふうに思っています。
#44
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、お答えの前に、午前中の加藤委員の質疑における私の答弁でございますが、事実関係の訂正をさせていただきたいと思いますけれども、NHKの現在の監事、非常勤というふうに私答弁したんですけれども、大変失礼しました、二名中一名常勤でございました。
 それから、改正案における監査委員の数でございますが、三名以内というふうに答弁したんですが、法案の中では監査委員の定数は特に規定されてございませんので、以上、二点に関して訂正をさせていただきます。申し訳ございませんでした。
 それから、今の関係でございますけれども、経営委員としての職務執行を通じていろいろ経営委員の皆さん方は知見を得られるわけでございますが、それを監査委員としての職務の執行の際に生かしていただくと、そういうことが大変大きなメリットになるんではないかということで、この監査委員を経営委員会の中から選ぶということに法の趣旨でさせていただきました。
 一方で、この際あえて経営委員会が監査を直接行うということにしないで、経営委員会と別にこの監査委員会というものを設けたその理由でございますけれども、業務の執行の監査というこの監査委員会の権限、それから役員の定款違反行為の差止めといった監査委員の権限から見まして、やはり監査委員には専門的な知見が求められるということが一つございます。
 それから、監査委員会と経営委員会にそれぞれ独立した権限を付与いたしまして相互にチェック機能を働かせると。相互にチェック機能を働かせる、このことも大変な重要なことかというふうに思っております。それから、監査委員会には効果的な監査を行うために機動的な職務執行が期待をされるということがございまして、こういったことがございますので、あえて経営委員会が監査を直接行うというよりは、経営委員会とは別に今回監査委員会を設けて、そしてこういったことの意味合いを発揮させると、このようにさせていただいたものでございます。
#45
○岸信夫君 ありがとうございます。あくまでも屋上屋を重ねるようなことのないようにしていただかなければいけないわけでございます。
 私が先ほど申しましたのも、その経営委員会のメンバーの中から監査委員会のメンバーが出ていく、その部分ですね、一番気になっていたところであります。特に、今回は少なくとも一人は常勤の委員であると、こういうことが規定されているわけでございますけれども、逆に、非常勤の委員が必ず入るのかどうか。常勤だけで占められてしまうということもあるのかということなんですけれども、いわゆる外部監査という観点からしますと、私はむしろ全く違うところからの委員がいても悪くはないのかなとは思ったんですが、ただ、この今回の法律の設計からすると経営委員の中から選ぶと、こういうことであります。ただ、非常勤の委員も常に入っていた方がふさわしいんではないかというふうにも思うわけですけど、この点についてお伺いします。
#46
○政府参考人(小笠原倫明君) 先生今御指摘になりましたとおり、今回の法改正におきましては、監査委員は、経営委員会の委員の中から経営委員会が任命し、そのうち少なくとも一人以上は常勤としなければならないと規定されているところでございます。この監査委員の常勤、非常勤につきましては、放送法上このほかの定めは置いてございません。したがいまして、制度的に申しますと、非常勤の委員が必ず入るということにはなってございません。
 こうした監査委員の構成につきまして、常勤あるいは非常勤というのをどのように組み合わせるかといいますのは、その時々の経営委員の方々がどのような属性と申しますか、経験あるいは知識を持たれているかというのを勘案して、経営委員会におきまして適切に決定していただくものと考えておるところでございます。
 先生の今お話の中にありました非常勤のといいますか、あるいは社外取締役的なといいますか、そういった方が入った方がよろしいんではないかという御意見につきましてでございますが、そもそも経営委員会と執行部といいますのは、NHKの場合ですね、民間の会社と違いまして完全に分離されておりまして、例えば経営委員は業務の執行をすることができないといった規定もございますように、そういう観点からいたしますと、先生御心配のような懸念といいますか、が生じるというところは余りないのではないかというふうに私ども考えておるわけでございまして、したがいまして、制度上監査委員会に非常勤の委員を置かなければいけないというようなところまでは私ども考えなかった次第でございます。
#47
○岸信夫君 分かりました。そういうことであれば経営委員会自体がNHKからは独立した存在であると、こういうところだと思います。であるとすれば、やはり経営委員会と監査委員会の、先ほどから御議論出ていましたけれども、相互に独立した存在であるということをしっかりと位置付けていかなければいけないのかなと、こういうふうには思っております。
 そこで、次に参りたいんですけれども、今、NHKに対する国民の信頼回復に向けて、じゃどうやっていくべきかと、こういうことですけれども、特に経営委員会の果たす役割についてであります。
 放送法改正によって、ガバナンスの強化の観点から、今回、経営委員会の監督権限の明確化が示されております。ただ一方で、経営委員会は個別の放送番組の編集にはかかわらないとして、これは従来からなっているわけです。これは当然のことであるわけですけれども、一方で、一般の国民・視聴者と言った方がいいのかもしれませんけれども、NHKとの接点といえば、やはり番組であるわけですね。テレビで放送される番組を見て視聴者はNHKを見ていると、こういうことになるんだと思います。ですから、例えばNHKの経営、数字の上でどうなっているとか、そういうことはもちろん重要なんでしょうけれども、番組自体が大変良質な番組が提供されているかどうか、このことの方が大変重要なんだと思います。こういうことを通じてNHKに対する信頼というものも図られていくんだと思います。受信料を支払っていただいているわけですから、それだけの価値のある番組を提供していただかないと、国民といいますか、ある意味ではカスタマーですけれども、これが納得はしない、こういうことだと思います。
 番組編集についてはいわゆる執行部、幹部が責任を持っていると、こういうことでありましょうけれども、一方でNHKに対する信頼回復には経営委員会自体も大きな役割を担っているんではないかと、こういうふうに思うわけです。ですから、そういう意味で、経営委員会が独立している、番組編集にかかわらないとは言いながらもその責任の一端を逃れるわけにはいかないのかなと、こういうふうにも一方で思うわけであります。
 放送に対する干渉ということはもちろんあってはならないことでありますけれども、これはあくまでもやはり法律が守られている、作られている、特に放送法の第三条二項にも示されているようなことが守られた上で番組作りがなされているということが大前提であると、こういうふうに思うわけです。その辺がいろいろと問題が起こってきたところでもあるというふうにも思うわけですけれども、このNHKに対する信頼回復に向けて橋本会長、それから古森経営委員長、それぞれのお立場から御意見をいただければというふうに思っております。
#48
○参考人(古森重隆君) 古森でございます。
 ただいまの質問でございますけれども、NHKに対する視聴者の信頼回復というのは、単なる経営の透明性とかそういう問題だけではなく、不祥事その他の問題ではなく、番組の質そのもの、あるいはその公正さというものがどうかということも非常に大きい要素であると。それについて、個別の番組編集に経営委員会はタッチしないということであるけれども、それでそのチェックが利くだろうかと、あるいは国民の信頼にこたえてそういう番組の質を維持するというその働きはどうするのかという御質問だというふうに受け止めます。
 お答え申し上げます。
 一つは、先生おっしゃいましたように、第三条第二項に、放送の政治的な中立公正、それから真実に基づく、それから公序良俗に反しない、それからいろんな意見があるときは多角的な論点で解明すると、この四つの規範が、放送の規範がございます。これに基づいて放送されるわけでありますけれども、確かに、放送、報道等は表現の自由あるいは道義性というのは重要であります。しかし、その自由の反面に、先ほど午前中にも原口先生もおっしゃいましたし、加藤先生もおっしゃったと思いますが、責任が伴うということでございます。したがいまして、NHKの執行部は、その自由ということの中に、その裏に、自分たちは国民に対してそういう良質な放送、公正な放送をすると、強い責任があるということは当然自覚されているというふうに一つ思います。
 それからさらに、経営委員会のこの件に関する役割といたしましては、番組基準あるいは番組の基本方針に関して議決をすることになっております。そういう観点から我々は議決するわけで、権限があると同時に責任もあるわけですから、そういう観点からも監督していきたいというふうに考えております。
 さらに、個別の番組については介入はいたしませんが、これは一方で番組審議会というのがございます。これも広い国民の各層から選ばれた人たちでございますけれども、これが、この番組審議会が個別の番組については審議するということになっておりますので、個別の番組については、そこで問題があれば審議されるというふうなことだというふうに考えております。
 以上であります。
#49
○参考人(橋本元一君) 今、経営委員長からお答えの中にございましたように、しっかりと執行部、我々としては、この放送の自由、自主自律、これについては責任を持って当たらないといけないと思っていますし、何よりも国民・視聴者の皆様方には、今回この改正法の中でしっかり経営委員会と執行部との役割、責任というものも明確になった中で、この役割をしっかり果たしていかなきゃいけないと思っています。その上で、この放送番組の編集としまして、当然必要な自主自律の姿勢とか、これは堅持しなきゃいけない、あるいは公平公正な放送を実現しなきゃいけないという使命ございます。
 ただ、この言葉だけで甘えないように、やはりこの放送法の第四十四条には放送番組審議会というものがきっちりあるわけでございます。この放送番組委員会の下で、我々、編集の自由に甘えて編集権の行使が独善的にならないようにということに努めてまいりたいと思います。
#50
○岸信夫君 ありがとうございます。是非、このNHKの信頼回復には今後とも力を発揮していただきたいというふうに思っております。
 続いて、映像国際放送についてであります。
 これまでNHKの国際放送、私も以前、民間の企業におりましたときに、何度か海外に駐在、長期間生活をしているときに、NHKの国際放送、接する機会多かったわけですけれども、これを、日本のことがNHKの国際放送を通じて分かる、あるいは日本で面白そうな番組は日本語で得ることができるということで、その部分、非常に楽しみにしていたところはあったわけですけれども、逆に、一つの流れの中で、外国人向けの番組というのも入っていたわけです。
 その番組といいますか、そのチャンネルというもの自体が何を目的としているか、ターゲットとしているかというのが余りはっきりしていなかったというのも事実だというふうにも思っています。これは、チャンネル数の問題とかあるいはコンテンツの蓄積の問題なんかがあったんだというふうにも思いますけれども、今回、その辺りがそれぞれ個別の形でつくられると、そして外国人向けの国際放送、これについても強化をしていくと、こういうことであるわけです。
 私は、この外国人向けの国際放送というものは、我が国の情報を広く国際社会、世界に発信していく上で大変重要な役割を果たしてもらえるんだろうと、こういうふうにも思っているわけです。今回の改正で番組編成のターゲットというものがそれぞれ明確になってくるんだろうというふうにも思うわけです。
 そこで、特に外国人向けにどのような番組作りを今後していこうとお考えになっているか、これまでと違って新たな工夫といったものがあれば、また併せてお聞かせいただきたいと思います。
#51
○参考人(橋本元一君) 御指摘のように、これまで非常に在外邦人向けの目的と外国人の方々向けの放送、これを混在して行ってきたということでございましたけれども、特にこの海外、外国にいる外国人向けに対する情報発信力を強化しようという意図で、現在NHKは、来年度じゅうには外国人の方の共通言語とも言うべき英語の放送を充実して一〇〇%英語放送化というふうに考えております。まずこれが一つでございますが。
 さらに、我々、その英語化放送を作るに当たっては、やはり日本のいいところといいますか、いろいろ文化面あるいは各方面での良いところを積極的にアピールしていくというふうなことを考えてまいりますし、それを十分受けていただく工夫をしていかなきゃいけないというふうに考えています。
 特に、日本以外の国は大変海外放送に力を入れて競争が激しくなっておりますので、日本から発信するこの英語放送というものもしっかり見ていただく競争力を付けなきゃいけないということがございます。その意味で、日本の情報のほか、アジアの情報も加えながら、世界の方々が時々刻々、実際に欲しい情報を提供していくという工夫を加えてまいりたいというふうに思っております。
#52
○岸信夫君 今回のその外国人向けの放送、この制作を子会社に委託をするということで作られているわけですけれども、いろいろなやり方があったんだと思います。NHK本体自身がすべてやるということもできたんだとは思うんですけれども、どうしてこの子会社にやらせるような形をあえて取ったか、この辺の制度設計についてお聞かせいただきたいと。
#53
○政府参考人(小笠原倫明君) 今回の改正法案の、設けられました子会社の、どうしてこのような制度設計を行ったのかという御質問でございますけれども、私ども考えましたのは、NHKのみならず民間も経営に参加できる、参画できるNHK子会社という形を活用しまして映像国際放送に特化した事業体を組織すると。これを受皿として言わば我が国の能力を結集するということで、先ほど会長のお話にもありましたような、高い競争力を有する新しい映像国際放送の実現を目指すものでございます。
 具体的に申しますと、これまでこの映像国際放送の実施主体でありましたNHKというものの既存のリソースを有効かつ十分に活用しながら、番組制作等に関して民間のノウハウ、活力も導入すると。こういったことを主眼として、NHKの責任で行う部分、NHKの責任で行う国際放送の番組制作等を子会社へ委託すると。そして、それと同時に、民間のノウハウ等も活用したNHK子会社による独自の放送も可能とするというふうにしたものでございます。
#54
○岸信夫君 先ほどからの御議論の中に国民の受信料でもって外国人向けの放送をするのかどうかという御質問がございましたけれども、一方で、非常に海外に対する情報の発信力を持っている国際放送でございますから、それはそれで活用しなきゃいかぬということをいろいろ考えておるわけでございますけれども。
 民放の国内向けの放送においては、政府が広告料を払って政府の広報番組というのを提供している、番組の枠を買っているケースというのがあるわけです。逆に、このNHKの子会社の部分、特に自主放送ができることになっていると思いますが、ここについて、例えば政府がこの海外への情報発信力の強化の一環として枠を買うと、こういうことも考えてもいいんじゃないかなというふうに思うわけです。あえて、いわゆるNHKとは違う形で政府が広報をしていく、我が国の広報を海外にしていくということも考えてもいいんではないかというふうに思います。
 これはもう正に我が国のプレゼンスを高めることにもつながる本当に力強いツールになると思いますけれども、このことについて御意見をいただきたいと思います。
#55
○政府参考人(小笠原倫明君) 先ほども私、今回の新しい映像国際放送につきましては、NHKの責任で行う部分と子会社独自の放送の部分と二つの部分があるということを申し上げました。
 そして、NHKの責任で行う部分につきましては、NHKの公共的性格というのがございますので、そこに広告番組といいますのを、広告放送を行うということは認められないことになりますが、子会社独自の放送におきまして、先生今おっしゃいましたように、例えば政府が広報番組を提供するということは、対外情報発信力の強化という今回の制度改正の趣旨にもかなうものでございます。
 したがいまして、こうした新たな映像国際放送の開始に当たりまして、対外広報に関心を有する省庁は積極的に御検討いただくことを私どもとしても期待しておるところでございます。
#56
○岸信夫君 ありがとうございました。
 次に移りたいと思いますが、番組アーカイブのブロードバンドによる提供についてであります。
 NHKの番組、長い歴史の中で大変質の高い番組もたくさんあるわけでございます。今回、NHKの本来の業務としての番組アーカイブのブロードバンドによる提供が法律で定められた、こういうことでございますけれども、こうした質の高いアセットの活用の道もこれも広がってきた、こういうふうにも思っております。
 そこで、これを行うについて総務大臣の認可を受けることになっておるわけですけれども、どういう観点でこれを認可していくのか、またアーカイブ利用料金の設定もこの認可のうちに含まれているのか、こういったことについて御答弁をお願いします。
#57
○大臣政務官(二之湯智君) 番組アーカイブのブロードバンドによる提供業務を行うに当たりましては、NHKがその実施基準を定めて総務大臣の認可を受けると、こういうことになっております。この実施基準を総務大臣の認可の対象としたのは、利用者の利益の確保、公共放送を担うNHKが業務としての適正の確保、受信料を財源とする業務範囲の適正の確保といった観点からであります。
 また、料金設定の認可でございますけれども、実施基準の中に利用者利益の保護の観点から適正な料金設定の考え方が記載されていることを想定しておりますので、個々具体的な料金についての総務大臣の認可は必要がないと考えております。
#58
○岸信夫君 ありがとうございます。
 今、IT技術の向上ということもあるわけですけれども、特にブロードバンドを使ったいろいろな形のビジネスモデルというものがあるわけですね。有料のものもあるし無料の形でもあるわけであります。
 今後、どういうふうに世の中変わっていくか分かりませんけれども、こうしたNHKのアーカイブについても適正な利用料金というものがどうなっていくのか、これは今なかなか分からない部分というのもあるかもしれない、将来的にはもしかしたら無料で提供すべきものというのも、形もできてくるのかもしれないというふうにも思っております。一方で、今この業務について有料とした場合、いわゆる採算、収益がどうなってくるのかと、こういうことで特別の勘定を設けるとなっておりますけれども、これはどういうふうな処理をしていくおつもりか。NHKの会長、お願いします。
#59
○参考人(橋本元一君) お答えの前にちょっと訂正させていただきたいんですが、先ほど中央番組審議会の条文の項を四十四条と申し上げましたけれども、第四十四条の二ということでございます。訂正させていただきます。
 このアーカイブスのデマンドサービスについてお答え申し上げますと、まず、この事業そのものが収益事業としては位置付けられておりません。その中で、実務的に考えましてもなかなか、岸委員御指摘のとおり、採算という面では大変厳しいものがあろうと思います。当分の間は当然ながら受信料会計とは別の区分で行うとしても、大変厳しい経営状況というものが続くものと思います。
 将来的に収支差益というものが発生した場合には、当然、従来の勘定の中での赤字を消していくことに費やされると考えておりますし、当然、我々、事業実施に当たっては業務実施の基準というものも考えていかなきゃいけないと思います。これから、決算時にそのような収支差益が発生した場合にどういうふうに扱うかというその基準につきましても、この基準作成の中で考えてまいりたいと思っております。
#60
○岸信夫君 終わります。
#61
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 修正案提出者の皆様、御苦労さまでございます。
 今回の放送法等の一部を改正する法律案、目玉が何個かあると思いますが、ガバナンス強化の問題については後刻同僚議員にゆだねるといたしまして、虚偽放送が行われた場合に総務大臣が再発防止計画を策定を求めることができるというような規定を原案ではございました。現代社会はメディアの影響を受けずに生活をすることはできません。また一方で、そのメディアが民主主義や人間性を脅かす、そういうことも懸念されるところでございまして、メディアがだれのために使われているのか、これもしっかり見ていく必要があろうかと思っております。
 そんな中、虚偽放送対処で再発防止計画というような規定が出てきたところでございますが、この規定は衆議院において削除されたところでございます。
 そこで、政府にお伺いを、趣旨説明でも説明がございましたけれども、総務省の方で、この政府原案で再発防止計画に係る事項の創設が必要と考えた理由について再度お伺いしたいと思います。
#62
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、この放送番組でございますけれども、今先生からお話がございましたとおり、問題が発生した場合の影響力というのは大変大きなものがあるものですから、そういった放送局の自主性ということは最大限尊重しながらも、問題が発生したという場合には行政指導によってこれまで対応してまいりました。しかし、依然、問題事例の発生というのがその後も続いたと、こういうことでございました。
 そして、こうした大変社会的に影響の大きなそういう問題事例、それへの対応としては、現在の制度ですとこれまで行ってまいりました行政指導というやり方が一つあるわけでございますが、それでないようなもっと深刻な場合には、法的にどうするかといいますと、電波法による運用停止それから免許取消しと、こういうことが規定をされております。
 しかし、現実にこれは法律に規定されておりますので発動はもちろんできるわけでございますが、実際にそういうことを本当に発動できるのかどうかという非常に難しい問題がございまして、やはりこの両者の間に差があり過ぎるのではないかと、こういうことが法案を作成した我々の考え方でございました。
 こうしたことから、視聴者保護ということを図るために、番組編集の自由に配慮した必要最小限の措置ということで、今お話ございました放送事業者に対しては再発防止計画を提出をしていただくと、そして大臣意見を付して公表するというこの制度、これを放送法の中に導入しようと、こういうふうに考えたものでございます。
#63
○魚住裕一郎君 そこで、修正案提出者にお伺いをしたいと思っておりますが、今も社会的影響力ということが言葉として出ました。やはり、行政として放送の適正性を確保する何らかの手段がやっぱり必要なんではないのかと。
 原案もかなり、報道の自由といいますか表現の自由といいますか、配慮した形になっていると思っているわけでございますが、今回の修正でこの再発防止計画に係る規定を削除した理由について御説明をいただきたいと思います。
#64
○衆議院議員(谷口和史君) ただいま魚住委員から御指摘ありました再発防止計画についての点でありますけれども、この削除というのは、御指摘のように、今回の原案からの大きな修正の一つであります。
 御案内のように、BPOは五月に新たな取組ということで、捏造の疑いのある番組に対して、放送倫理上問題があるかどうか、その辺調査また審理して、また勧告そして見解を出す、必要な場合は再発防止計画の、再発防止策の提出を求めるということを始めました。始まって以来半年がたったわけでありますけれども、この間、あの不二家の、TBSの不二家問題についてもしかるべきこのBPOは対応したというふうに思っております。また、総務大臣からの放送法の原案に対する趣旨説明の中でもありましたけれども、BPOの取組が機能している間は再発防止計画の提出を求めないということも言われております。
 こういった点を踏まえて修正案では、まずは放送事業者の自主的な取組に、しっかりとそれをやっていただくということで、そういう観点から今回この削除をしたというのが大きな理由であります。
#65
○魚住裕一郎君 今回の修正によりまして、新たな行政処分の創設は見送られるということになるわけでございます。
 今大臣からもお話ございましたけれども、行政指導、その後、運用停止あるいは免許取消し、何かいきなり死刑執行されるみたいな確かに物すごい落差があるなということになるわけでございますが、今までも、今回の件もそうですが、行政指導という形でやってこられた。そうすると、この新たな再発防止計画の策定を求めるという手段がなくなると、より行政指導が頻発されるというんでしょうかね、そんなふうにも考えられるところでございます。
 しかし一方、表現の自由あるいは番組編集の自由を確保するという観点からすると、この行政指導も、それはもう乱発するわけにはいきませんし慎重の上でも慎重であるべきだというふうに考えているわけでございますが、不適正な放送が行われた場合の警告等の行政指導の発動につきましてどのように考えているか、大臣また修正案提出者のお考えを承りたいと思います。
#66
○国務大臣(増田寛也君) この行政指導でございますけれども、放送事業者の自主自律だけでは必ずしも是正が期待できない場合、それから社会的な影響が非常に大きな場合、こうした場合にこれまでも慎重に行ってまいりました。
 一つ例を申し上げますと、三月に実は行政指導、「発掘!あるある大事典」で行ったんですけれども、この場合には放送法違反の事案が八件判明をしたと、こういう事実がございまして、繰り返し放送法に違反した番組が放送されて社会的に大きな問題となった、こういうことをとらえて行政指導を行ったと、こういうことでございます。
 したがいまして、BPOというものもその後できたわけでございますので、私どもも今後、従前でもそうでございましたが、今後ともこの放送番組についての行政指導に当たりましては慎重に行っていきたいと、このように考えております。
#67
○衆議院議員(山口俊一君) 私の方からもお答えをさせていただきたいと思いますが、今、魚住先生御指摘のように、やはり表現の自由、これはもう最大限に尊重をするということが大前提でございまして、放送法も実は、公平公正等々、こういった当たり前のことを守っていただければ、ともかく自由にやってくださいと、ある意味では放送の憲法みたいなものだと思っておるんですが、そういった観点からしても、今回、BPOも先生御承知のとおり新たな取組を始めることになりました。
 ですから、BPOに対していわゆる改善計画を出したり等々、これまでとは違った取組をしていくということで、それに大いに期待を実はしておるところでありますが、しかし、これも御指摘のとおり、ある意味でイタチごっこといいますか、これまでもう何度となくこういうことが繰り返されてきました。私どもも党内等々でもいろんな議論をして、結果として当時BROができた、しかし人権しか扱わない、それがだんだんこういうふうな形になってきたわけでありますので、それを見守っていきたいとは思いますが、同時に、大臣の御答弁のように、これからまたいろんなことも予測をされるわけでございますが、これまでもそうした事案のたびにいろんな場所でもう正にけんけんがくがくの議論をして行政指導というふうなことになってきたわけでありますが、今後ともそういった方向でやはり国民の皆さん方のお立場に立ってしっかり対応をしていくということが大事かなと。
 ちなみに、つい先般、某ニュースを見ておりますと、マクドナルドの元店長代理ですか、の件で陳謝をしておりましたね、番組で。やはり我々のこういった動きがじわじわとこう反映をされてきたのかなという思いも実はございます。
#68
○魚住裕一郎君 そこで、BPOというのがかなり大事なポイントになってくると思いますが、NHKと民放連が設立した放送界の自律機関であるというこの放送倫理・番組向上機構が大変重要な役割を担ってくるという形になります。
 ただ、これ加盟していないケーブルテレビ、あるいはCS放送が加盟していないわけですね。これ、今後こういう放送等についてもやはり独立した機関が必要だというふうに考えるわけでございますが、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
#69
○国務大臣(増田寛也君) CATV、それからCS事業者、いずれもやはりこうしたBPOのような組織、これはやはり自律的に組織するというのが基本でございますけれども、何かそうしたものをつくられるとか、あるいはBPOのようなところに入られるとか、いずれにしてもよくお考えいただいて、同じようにやはり、放送事業者と同じような同等の取組を行っていただくということが期待されているんではないかというふうに思っております。
 先般、衆議院の総務委員会でございましたが、民放連の会長が、例えばCS等、地上波以外の放送についてもできればBPOの中に入っていただくのがいいんじゃないかという気がしておりますというようなこともお話しになっておりました。おそらく放送事業者の間で皆さん方これからそのことについていろいろ議論されるんだろうと思いますので、私ども注視をしていきたいというふうに思っております。
#70
○魚住裕一郎君 先ほど修正案提案者の方からBPOの動きということが御説明ございましたけれども、今回のこの「あるある大事典」の案件に対し、放送界あるいはBPOの動き、何か五月にこの機構改革をして、でもこれ放送やったのは一月、しかも社内からじゃなく外部から指摘されて、そこからいろんな、清水さんとかの声明とかが出ましたけれども、何かかったるいなというか、機敏な対応になっていないなという感じは私持っておりました。一月から五月ですからね。
 だから、ちょっとこれ本当に有効に、BPOが中心になってこれからやっていくんだといいながら、きちっとした対応できるのか。これからのことはもちろんですが、この「あるある」についての放送界あるいはBPOの動きについて修正案提出者はどのように評価なされているのかお聞きしたいと思います。
#71
○衆議院議員(小川淳也君) お答えを申し上げます。
 まず事実関係から御報告をさせていただきたいかと思いますが、委員御指摘のとおり、十九年の一月に警告の対象となった最後の番組が放映をされております。それから、五月に御指摘のとおりの新たな取組が開始をされているわけでございますが、そのちょうど間、二月七日でございます、最後の番組の放送から一か月後にBPOの放送番組委員会有識者委員が声明を発表をしております。
 この内容でございますが、一つの放送局あるいは一つの番組にとどまらず、番組制作システム全体あるいは放送従事者の教育システム全体、言わば放送界全体に踏み込んだ構造問題として踏み込んだ指摘をした声明を発表しているわけでございます。
 この点を踏まえた上で五月へと流れていくわけでございますが、この五月の新たな取組を受けまして、その間報道がございました不二家の関連報道については、新たな取組の勧告、見解、再発防止策の中から、今度は放送倫理上これは見逃すことのできない落ち度であるという大変強い懸念を見解表明していると。
 この一連の取組をひとまず評価をした上で、今般は一義的にはやはりNHK、民放連そしてBPOの自主的な取組に是非今後も一義的には期待をしてまいりたい、そういう趣旨に立っての修正案でございます。是非御理解を賜りたいと思います。
#72
○魚住裕一郎君 提案者どなたでも結構でございますが、そうなると、やはりこの原案を残して、BPOがうまく機能しないなと認定されるような場合に再発防止計画の策定を求めるということができるようにするという、そういう修正も可能だったんじゃないのか、全部ばさっと切り捨てるんではなくして、そういう修正も可能だったんじゃないかなと私思っておるんですけれども、あえてここまで削除したというのはどういうことだったのかなと。
 どなたでも結構でございますが。
#73
○衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。
 先ほどから委員も御指摘いただいておりますように、大変な不祥事がございました。ゼロサムでこれを様々なサンクションを与えるということについてもやはり議論があって原案のような形になったわけでございますが、一方で、やはり報道の自由、放送の自由、表現の自由、この自由にかかわるところはきっちりと自主的に規制をしてほしい。そこに私たちは大きな期待をしたわけでございまして、今委員が御指摘のように、更にこれが積み重なるといったことがあってはならないし、また不二家の報道についてもBPOの検証委員会でどのように検証がされたのか、TBSの対応等についてもしっかりと注視をしてまいりたいと思います。
 ただ、何回も申し上げて恐縮ですが、公権力の政治あるいは政治の様々な報道に対する、あるいは放送に対する介入、これはしっかりと担保しなきゃいけない、そこが介入するようなことがあってはならないという強い懸念もあったことも御理解をいただきたいと、このように思います。
#74
○魚住裕一郎君 そこで、やっぱり最終的には受け手の側の判断というのが非常に大事になるだろうというふうに思っております。もちろん虚偽放送とんでもないことですし、そんなことはさせないということが大事だと思いますけれども、しかし、民主主義の中で、価値相対的な社会の中でやはり受け取る方がどう判断をしていくのか。
 そういった場合に、やはりメディアリテラシーというのが非常に大事になってくると思っております。特にメディアリテラシー教育という形になる。教育となると文科省になるかもしれませんが、メディアを多く、社会的影響力の大きいメディアを扱う、担当しております総務省として、このメディアリテラシーということを取組をどのように行っているのか、またどのように考えているのか、御答弁いただきたいと思います。
#75
○国務大臣(増田寛也君) 今お話のございましたこの受け手の側ですね、受け手側の問題、視聴者のメディアリテラシー、これを向上させていくということは大変重要だというふうに思います。
 それで、少し前になりますけれども、総務省でも平成十一年にこうしたメディアリテラシーについての調査研究会というものをつくって、そこで提言をいただいて、調べますと、それ以降、平成十二年以降でございますが、こうした受け手側のメディアリテラシー育成のための教材として、これは学校現場にお配りするものでございましたが、十一本の教材を開発をいたしました。そして教育関係者に配付をし、あるいはお貸しをして、そして御活用いただいていると、こういう状況でございます。
 今お話ございましたとおり、こうしたこと、放送内容もいろいろな形でございますし、それからますます今後広がっていくと、こういうことでございますので、今後もこうした教材を一層活用するようなそういうことを私どもも行っていきたいというふうに思いますし、それから、インターネットが非常に広く行き渡りましたので、こうしたインターネットを活用したe―ラーニング教材の開発ですとか、それから情報をきちんと集積してお示しするポータルサイトの構築といったようなことで、正に視聴者保護といいましょうか、受け手の側に対してのメディアリテラシー向上のための政策を推進していきたいと、このように考えております。
#76
○魚住裕一郎君 次に、要請国際放送の関係についてお伺いをしたいと思いますが、これは命令を要請に改めることになったわけでございますが、これによって国際放送の運用が何か変わるんでしょうか、総務省さん。
#77
○政府参考人(小笠原倫明君) 今回の改正法案によりまして、要請放送の応諾といいますのはNHKの努力義務となるわけでございます。したがいまして、真摯に御努力いただいた結果として要請に応じないことも制度上はあり得ることとなるわけでございます。ただ、私どもとしては、NHKの公共放送機関としての性格等から、実際上、これまでと同様に国の要請に応じていただくということが引き続き期待されているというふうに考えております。
 いずれにしましても、政府といたしましては、引き続き今NHKの編集の自由に十分に配慮して運用を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
#78
○魚住裕一郎君 今、局長のお話ございましたけれども、NHKさんもこれはもうもちろん拒否もすることができるということを御確認されますか。
#79
○参考人(橋本元一君) 我々は、報道機関として自主自律、編集の自由というものが基本中の基本であろうと思っています。その意味では、従来と変わらぬこの姿勢で放送に臨むということには変わりございません。
 要請ということであります。仮の話、制度上、今、総務省局長から御回答あったように、その要請について我々判断を行うということは、当然ながらその都度付いて回ろうと思います。しかし、この要請そのものについては、これは当然日本として重要な放送を行うわけですから、その重要性にかんがみ、我々は重たく受け止めて判断しなければいけないと思いますし、それから、その判断そのものについても世の中にしっかりと説明をしてまいりたいというふうに考えております。
#80
○魚住裕一郎君 我が国の国情とか考え方を諸外国に伝える、また、国外の日本人の生命、安全の保護をするというのは国の責務でございますが、公共放送であるNHKの自由な編集の下で放送されることによって、外国における国際放送の信頼性が増すということだと私も判断をしております。
 その点で、NHKの番組編集の自由が確保された下での要請放送が行われることが重要だと考えているわけでございますが、大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
#81
○国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。
 私ども、こうした問題につきまして、常にNHKの編集の自由というものに十分配慮していかなければいけないと、こういうふうに思っておりまして、今回、要請放送への制度改正ということに併せまして、改正の趣旨を明確化するためにこういう規定を設けたわけでございますが、やはり国としてこういうふうなことを要請するということ、十分私ども考えながらこうした問題について当たっていきたいと、このように考えております。
#82
○魚住裕一郎君 次に、プラットフォーム事業者への規制についてお伺いをしたいと思います。
 現在は特に法律上の規制は受けていないということでございますが、新たに届出制にするという理由、ちょっと規制緩和の流れとは逆行するようにも見えるけれども、いかがでございましょうか。
#83
○政府参考人(小笠原倫明君) 今先生御指摘のプラットフォーム事業者、特にCSデジタル放送につきましては、規制改革・民間開放推進会議というところの第三次答申というものが昨年十二月に出されております。そうした答申あるいは他の報告書の中におきまして、こうしたプラットフォーム事業者というものの位置付けや仕組みが受信者にとって不明確、分かりにくいと、したがって、そうした事情から受信者からの苦情その他に的確に対応し得ないんではないかといったような問題点が指摘されているわけでございます。
 それともう一つ、環境変化といたしまして、こうしたプラットフォーム事業者が、これまで随分複数の事業者が現れてはいたんですけれども、最終的に、最終的にといいますか、最近、十二月にはもう一社に統合されたということで、まあ何と申しますか、サービスの寡占性といいますか、そういった状況も課題になっているということで、こうした中で、受信者の利益を保護するという観点から、このプラットフォーム業務を行おうとする方、者につきまして届出等の必要最小限の規制を設けることとしたものでございます。
 そういう意味で、是非、御理解を賜りたいと考えている次第でございます。
#84
○魚住裕一郎君 プラットフォーム事業者に対して業務改善命令も行うことができるという形になるわけでございますが、このプラットフォーム事業者、直接の放送事業者ではないかもしれませんけれども、放送事業者に対して強い影響力を持つということになると思います。業務の実施方針に係る省令あるいは業務改善命令を通じて、行政が放送に介入するというようなこともあってはいけないというふうに思いますけれども、総務大臣、いかがでございましょうか。
#85
○国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。
 確かに、こうしたプラットフォーム事業者というものに対して業務改善命令ということを発動しますと、いろいろな影響が出てくるんだろうというふうに思いますので、非常によく考えていかなければいけないというふうに思っておりますが、この有料放送管理事業者というのは、放送を行う者ではなくて、放送内容や編成を業務として行う者ではないと、こういうことでございますので、私ども、こうした命令を出すということがプラットフォームを活用する放送事業者の番組編集に直接影響を及ぼすことはないと、こんなふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、こうしたことについて御懸念のないようにきちんとやっていきたいというふうに思っております。
#86
○魚住裕一郎君 最後に、今回、電気通信事業法の一部改正がなされます。近未来通信という事案に対応するということでございますが、しかし、これは本当は単なる詐欺事件じゃないのかなと、こういうこの事業法まで変える必要があるのかという。それじゃ、家賃の詐欺やれば借地借家法まで変えるのかという、そんなような気もするわけでございまして、ちょっと過大な規定ぶりになっているのではないかなというふうに懸念するところでございまして、そういう声が届いているということで、ちょっとお伺いをしたいと思います。
#87
○政府参考人(寺崎明君) お答えいたします。
 近未来通信事件では、当初、電気通信サービス自体は支障なく提供されておりまして、必ずしもサービスの利用者の利益が阻害されている状況ではない事案であったため、現行法の下では迅速かつ機動的な対応を講ずることが難しいという状況にあったものと考えます。
 今般の改正によりまして、電気通信サービスの利用者の利益が阻害されていない事案でありましても、事業者の不適正な事業運営によりまして安定的、継続的なサービス提供が確保されないおそれがあるといった事案につきましても、業務の改善を命ずる等の措置を適宜適切に講ずることができるようになるものと認識しております。こういったような措置によりまして、事業者の適正な業務運営が確保され、法の目的である電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保が図られるものと考えています。
 なお、先生、今過大な規制の強化というようなお話もあったんですけれども、実際の業務改善命令の発動に当たりましては、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度ということに限られておりますし、また電気通信事業紛争処理委員会への諮問、また委員会の委員による聴聞といった厳格な手続が定められていることから、今般の改正により事業者に対する不当な介入ということはないものと考えます。
 なお、先ほどお話ししました詐欺的な資金調達に関しましては、刑法ですね、詐欺罪だとか出資法等の規律も掛かり得ると思いますけれども、それぞれ法の目的及び観点が異なるということでございますし、それぞれの立場から国民の利便を確保するために必要な措置を個別の事案に照らしてとっていくべきものと考えております。
#88
○魚住裕一郎君 終わります。
#89
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、一冊の本を紹介したいと思います。昭和女子大学の竹山昭子先生が一九九四年にお書きになった「戦争と放送」という本であります。この竹山昭子先生は、太平洋戦争のさなかの放送を自分で直接お聞きになった経験がおありです。紹介します。
 太平洋戦争の開戦は女学校に入った年の十二月であった。寒い朝で、私はまだ布団の中にいた。すると、九州から上京し我が家に泊まっていたジャーナリストの叔父が、朝七時のニュースを聞きながら、これは大変なことになったと大きな声を上げた。本八日未明、西太平洋において、アメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れりの大本営発表が響いてきた。このときの驚きはいまだに忘れない。こんなことをして大丈夫だろうかが、そのときの感慨であった。
 そして、先生は終戦の日の玉音放送もお聞きになっています。私は玉音放送を聞き終わると、一人で靖国神社に向かった。そのときの情景は今もまぶたに焼き付いている。社殿の玉砂利にぬかずいていたのは、ほとんどが私と同年齢の勤労動員の生徒たちであった。なぜ靖国神社に足を運んだかの理由は、あなた方の死が無駄になったことへのおわびであった。長兄も祀られていた。私はぬかずいて、申し訳ございませんでしたとつぶやいた。
 こういう体験をされた竹山先生が、その後、戦後、東京放送、TBSにお勤めになった後、教職に就かれて、そのときに書かれたのがこの「戦争と放送」という本です。
 先生は、この本を書かれるに当たって、戦前の放送の実態を示す原典の史料にお当たりになり、また当時の戦前のラジオ放送に直接携わった幾人かの方々の証言を聞いて書かれたと述べられています。
 その先生がいろいろ調べた結果、こういう一節を書かれてあります。一九二五年、大正十四年にラジオ放送を開始して以来、戦前、戦中の我が国のラジオはジャーナリズムではなかった。ジャーナリズム足り得なかったと言えよう。ジャーナリズムの定義を時事的な事実や問題の報道と論評の社会的伝達活動とするならば、戦前、戦中のラジオには報道はあっても論評はなかったからである。報道と論評を車の両輪とするならば、一方の車輪が全く欠落していた。さらにその報道も、放送局独自の取材による報道ではなく、太平洋戦争下では国策通信社である同盟通信からの配信であり、放送は政府、軍部の意思を伝える通路にすぎなかった。大変重い私は史料だなと思いました。
 総務大臣に伺いたいんですが、日本とアジアのあまたの命を奪った戦争という愚かな行為に我が国の放送は深くかかわり、そして人々の考えや心情に強い影響を与えてまいりました。こうした戦前、戦中の放送の痛苦の教訓を踏まえて、一九五〇年に制定された放送法第一条第二項には、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」と明記がされました。この意味は極めて重いと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。
#90
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げます。
 今、竹山さんという方の御認識といいましょうか、その著作御披瀝ございましたんですが、やはり放送法の中に考え方として、理念として、今お話がございましたとおり、放送の不偏不党ということ、それから、真実そして自律を保障することによって放送による表現の自由を確保すると、こうしたことが一条の二で規定をされているということがございます。
 そして、全体として、この放送法を読んでみますと、放送事業者の自主自律ということを基本としているわけでございまして、私ども、こういった放送法を所管をし、そして放送法を運用していくという中で、今、放送法の中に規定をされてございますそれぞれの考え方、条文というものを十分踏まえて、正に、広く言いますと、放送法の趣旨を十分踏まえて放送行政に取り組んでいく必要があると、こういうふうに考えております。
#91
○山下芳生君 私は、放送法の、放送の不偏不党というのは、戦前のように国家が放送事業を縛るための手段にするのではなくて、国家や政党などからの介入から放送事業者の表現の自由を守る手段だと、国家を縛る手段として定められたものだと思います。これ本当に、これこそしっかりと堅持されなければならない、未来永劫ですね、放送に携わる者として、そういうものだと考えます。
 そこで、NHKの会長に伺います。
 第二次世界大戦中の日本放送協会の実態が、大政翼賛報道はあっても、論評を放棄した疑似ジャーナリズムに堕落した苦い経験を経て、国民からの負託として放送の自由を与えられたことを忘れてはならないと思います。一九五〇年、放送法が制定され、現在の日本放送協会がつくられました。その最も大事な点は、政府からの独立、放送による表現の自由の保障にあったと思いますけれども、御認識いかがでしょうか。
#92
○参考人(橋本元一君) 正に民主主義国家として、この放送の役割大きいと思いますし、その中で我々NHKとしても、当然この編集権の自主自律、何者からも、政治だけではございません、いろんな勢力から独立した組織として機能を果たすと、これが基本中の基本だと考えております。
#93
○山下芳生君 NHKの前身に当たる戦前の日本放送協会は、本来は純然たる民間の公共的な事業体でしたけれども、政府の強力な一元的統制の下で事実上の国家管理に組み込まれ、軍国主義的な世論指導の国策宣伝機関となって国営放送の役割を果たしてまいりました。
 先ほど紹介した竹山先生の本の中にも、むしろそういう役割を、積極的に役割に同調していった当時の状況が記されておりまして、日本放送協会の当時の会長、小森七郎さんが、一九四二年、昭和十七年一月一日、聴取者の皆様へと題する放送で、昨年十二月八日、我が国がついに多年の宿敵、米英に対し矛を取って立つに及びまするや、我が放送事業もこれに対応する新たなる体制を取るに至ったのであります。番組内容はことごとく戦争目的の達成に資するがごときもののみといたしました。私ども全国五千の職員はこの重大なる使命に感激しつつ、もって職域奉公の誓いを固くし、全職員一丸となって懸命の努力をいたしておるのでありますと。正に、戦争推進の一翼を自ら担うという宣言までしてしまったわけであります。
 そこで伺いますけれども、公共放送と国営放送の決定的な違いはどこにあるか。私は、言論報道機関、ジャーナリズムとして、先ほどお述べになりましたけれども、政府から自立しているかどうかということだと思います。もう一度、NHK自身の歴史的な教訓も振り返って、御認識を伺いたいと思います。
#94
○参考人(橋本元一君) 山下委員がおっしゃるとおり、我々、特定のあらゆる勢力から独立しているということがこの公共放送のNHKと国営放送との違いということで、しっかりそこは認識してございます。
#95
○山下芳生君 是非、それがNHK自身の歴史的な教訓だということもお忘れのないようにお願いしておきたいと思います。
 さて、総務大臣にまた伺いますけれども、国家からの独立、政党等の介入から放送事業者の表現の自由を守る、そういうことで放送法が作られました。その際、NHKを政府ではなくて国民や視聴者の代表が管理監督する組織として経営委員会が設置をされました。これも極めて重要なことではないかと思いますが、この経営委員会が設置された意義について、大臣の認識を伺いたいと思います。
#96
○国務大臣(増田寛也君) NHKについて、やはり民放放送とは異なっておりまして、受信料を財源とする公共放送、しかも全国あまねく放送を行うといった高い公共性が期待されると、そうしたことがございますので、こうしたことの経営をどのようにやはり見ていくかというゆえでは、今お尋ねの経営委員会というもの、しかもその経営委員会を構成する委員については国会の同意ということで大変重たい規定も置いて、そしてそういう経営委員から成る合議体の経営委員会がこのNHKの最高意思決定機関として権限と責任を有すると、このように規定をされたものというふうに受け止めております。
 正に、このことがこういう体制でNHKというものを構成していく、そして経営委員会とそれから執行部とそれぞれがあると、こういうことがNHKとしての公共放送を提供する事業体として適切である、このように考えているわけでございます。
#97
○山下芳生君 私がお聞きしたいのは、先ほどの戦前の教訓を踏まえて、NHKを政府ではなく国民や視聴者の代表が管理監督する組織とするために、あらしめるために経営委員会が設置された、こういう意義は大事ではないかという御認識、おありでしょうか。
#98
○国務大臣(増田寛也君) もちろん、この経営委員会、国民の代表である国会がこうした経営委員という者一人一人について同意をしていくと、人事について同意をしていくということは、やはりそれだけの一人一人の委員の重みということを考えて、そして当然のことながら政府から独立したそれぞれの見識でNHKというのを見ていくと、こういうことの認識に立っているんだというふうに考えております。
#99
○山下芳生君 荘宏さんという方がいらっしゃいます。戦後、郵政省電波監理局長として放送法の制定にかかわった方でありまして、この荘宏さんが「放送制度論のために」という著作の中で、戦後の放送法の初志、志をつづったくだりがあります。紹介します。放送法は、独任制の会長を長とする執行機関を設けた、NHKについてですけれども、経営委員会委員の任命だけは内閣総理大臣が両議院の同意を得て行うが、政府がこれらの機関の組織及び運営に関係するのはこの一点のみに限り、その他一切、経営委員会及びその下にあるNHKの機関に一任してある。国は経営委員会委員の任命のみを行い、その他の人事構成、NHK業務方針の決定、人事権に基づく執行機関に対する監督をすべて経営委員会に信託している。NHKはその組織及び人事について非常に強固な自主性、独立性を与えられていることになる。これは、言論報道その他国民の常識を形成する行為を行う機関として、NHKを政府、政党その他各種の団体及び個人の勢力に支配されない中正なものに確保しようとの放送法の考えに基づくと。こうNHKの経営委員会の組織とその選ばれ方について意義付けをされております。
 この経営委員会についての位置付け、今回変えるつもりはございませんね。
#100
○国務大臣(増田寛也君) そうした経営委員会の考え方とこれは当然同じ考え方でございます。
#101
○山下芳生君 改正案にうたわれている経営委員会の権限強化がこの方向で行われるなら私はいいことだと思います。これまで以上に国民や視聴者の代表がNHKを管理監督することができるようになるのか、さらに、公共放送としての政府からの独立性がより強められることになるのか、こういった観点から経営委員会の改革は行われなければならないと私は考えます。そこで、法案がそのような方向で経営委員会の権限を強化することになるのか、幾つかただしたいと思います。
 まず一つは、法案第二十三条の三で、協会に監査委員会を置くというふうにしてあります。今までと少し変わるようですけれども、なぜこうされるんでしょうか。
#102
○政府参考人(小笠原倫明君) 今回の法案におきます監査委員会の設置につきましては、これまでの監事に代わるものでございます。そして、監事に代えてその監査委員会を置いた趣旨ということになるかと思いますけれども、監査委員は経営委員により構成されますので、経営委員としての業務執行を通じて得た知見、それを監査に生かすことができることになるというメリットがございます。
 そのほか、今回の法改正に合わせまして、監査委員会が役員の非違行為に差止め請求権を行使できる等の措置も講じているところでございます。
#103
○山下芳生君 加えて、監査委員は経営委員会の委員の中から経営委員会が任命し、そのうち少なくとも一名以上は常勤としなければならないとありますけれども、これは常勤にするのはなぜでしょうか。
#104
○政府参考人(小笠原倫明君) 監査委員会あるいは監査委員の業務といいますのは、これまでの監事のお仕事に加えて当然行うことになっているわけでございまして、それについては一定の業務量がございます。そして、例えば現在のNHKの監事というのは現時点で二名いらっしゃいますけれども、一名の方は常勤でございます。
 そうしたような事情等も考えて一名以上は常勤とするというような規定を設けさせているところでございます。
#105
○山下芳生君 そのような方向が、私が最初、戦前からの教訓ということに照らして経営委員会の設立がされたという趣旨から見て、今なぜ必要なのかというのがなかなか私にはその面からは理解できないんです。いろいろ資料を読んでおりますと、通信・放送の在り方に関する懇談会、いわゆる松原委員会が去年の六月六日の報告書の中でNHKの抜本改革というものを提案されております。ここに今述べられたような一部委員の常勤化というものも入っておるんですが、この松原委員会の提言を受けての改革というふうに考えていいんでしょうか。
#106
○政府参考人(小笠原倫明君) 今回の放送法改正の中に盛り込みましたNHKのガバナンス強化ということにつきましては、これまで様々なその議論を踏まえてのことでございまして、先生の今お取り上げになったそういったことも議論のプロセスとして、まあ経過としてそういうことも当然踏まえてなされているということでございます。
#107
○山下芳生君 松原委員会の議論も踏まえたということでございます。
 それからもう一つ、法案の中で次に聞きたいのは、経営委員会委員の任命要件の地域条件の緩和ということがあります。改正案では経営委員の任命要件である地域条件、これは今までは八つの地域から各一人ずつ経営委員が選ばれるという条件がありましたけれども、これを緩和して、「全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならない。」というふうに改めようとされております。具体的な地域区分や選出人数は定められておりません。これは経営委員会が視聴者の利益、意見を代弁する機能を後退させるものではないかと感じるんですが、いかがでしょうか。
#108
○政府参考人(小笠原倫明君) 今回の改正案におきましては、経営委員会の機能の様々な意味での充実ということが行われるわけでございます。そうしますと、経営委員会の委員として適任者を選任するというのは、今までももちろん重要なことですが今後ともより一層重要になると考えております。
 先ほど先生がお取り上げました常勤の経営委員あるいは監査委員となる経営委員につきましては、相当程度の業務量が想定されるところでもございまして、このような経営委員会の委員として適切な方を選任するということに対応するため条件というものを柔軟にしたという、こういう趣旨でございます。
#109
○山下芳生君 私は、NHKの経営委員の過去二十年間の全委員のリストをいただきました。北海道とか東北とか八つの地域ごとに二十年間だれが経営委員になられてきたかということを全部一覧表に御苦労いただいてしてもらったんですけれども、これを見て非常に驚いたことがあるんです。八つの地域ごとの代表、それぞれあるんです、中には主婦代表という方ももちろん入っているんですが、ところが、関東・甲信越それから東海・北陸、私の地盤でもあります近畿、この三つのエリアはもうほとんど一貫して大企業の代表、財界の代表がそこから選ばれているということになっております。
 八つの地域代表枠があってもこういう大企業の代表がかなり入っておられるということになっているわけですから、その地域枠を外されたらより一層そういうふうに傾斜していくのではないかというおそれを私は抱いておるんですけれども、この経営委員の選任の仕方について、これまでこういうやり方でよかったんだろうか、そして、その枠をなくすことによって、こういう経済界の声が一層強く反映されることになる心配はないのか、いかがでしょうか。
#110
○政府参考人(小笠原倫明君) 経営委員の任命に関する考慮要素といいますのは、放送法の、現行の放送法の十六条におきまして、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならないという要請がございまして、私ども政府といたしましては、これまでもこういった各分野の、言わばバランスといいますか、そういったことについて、全体として、十二名の経営委員の全体としてこういった分野のバランスということを考慮して選任を行ってきたものでございます。
 そして、先生がおっしゃるいわゆる関東、近畿がちょっとどのようなことであったかというのは、私、今ちょっと手元に持ってはおりませんが、ただ、すべからく産業分野だけから選ばれているということもないかと思います。その関東から続いている地域がすべて経済ということでは必ずしもないかと思いますけれども、いずれにしても我々としては、その十二人の委員全体について、こうした各分野のバランスということが実現されることが必要だというふうに法の要請がありますので、これに基づいて委員の選任を図っているところでございます。
 こうした考え方は、この部分につきましては今回の法改正でも変わるものではございません。また、その地域の配慮につきましても、柔軟にするよう法改正ではなっておりますけれども、その地域の方々を代表する方の経営委員に選任することの重要性といいますのは、我々、今後とも配慮しながら選任を行ってまいりたいと考えております。
#111
○山下芳生君 私のいただいた資料で関東・甲信越は、ここしばらく、もう十年以上は第一生命、東京海上、富士フイルムなど、一貫して大企業の代表になっております。その前は何人か朝日新聞の方とかありましたけど、だからやっぱりそういうことになっている。
 それから、何を言いたいかといいますと、やっぱり何のための経営委員会の改革なのかということがぶれているんじゃないかと。私は、最初に申し上げた国民の代表が管理し監督すると、そして権力からの独立、ここに一番、経営委員会の存在意義があったと思うんですが、その大事な方向が今回の改革では見えてこない、むしろ見えてくるのは松原委員会が言っているような方向なんです。
 松原委員会の趣旨は、やっぱり放送の中にも競争力の強化というものを持ち込もうということが一つの大きな柱になっておりますし、NHKの改革についても、NHKのチャンネルを削減して民間に開放すべきだとか、そういう流れの中で経営委員会の改革が提案されております。松原委員会の改革の提案の中には、一般の株式会社の取締役会と執行役会の関係にNHKの経営委員会と理事会の関係を近づけるんだというふうになっておりまして、これではそもそも公共放送であるNHKを国民・視聴者の代表が管理監督する組織として経営委員会を設置したという面が大きく後退して、企業経営のガバナンスを行う組織として経営委員会が変質されるのではないか、そういう心配が大いにあるということを申し上げて、質問を終わります。
#112
○又市征治君 社民党の又市です。
 今回、放送法の改正の当初の政府案というのは誠にひどい内容でございましたが、衆議院段階においての修正協議でより大きく改善されたことは関係者に努力を多としたいと思いますが、なお疑念のある点について、今日は質問したいと思います。NHKと民放の両方で多様なテーマが含まれますけれども、今日はまずNHKの関係を伺ってまいりたい、総務大臣の見解なり認識をお伺いをしてまいりたいと、こう思っています。
 さて、NHKのこのガバナンスとは何なのかということをまずお聞きしたいと思うんですが、確かに、金銭的不祥事であるとか、前の会長の独裁的な運営であるとかというのはありました。しかし、このことを悪用して、この為政者が自分に直結した人を経営委員に任命をしたり、その経営委員が公共放送の機関であるこのNHKの経営計画から番組編成に至るまで執行部を幅広く支配、コントロールするというのがガバナンスであってはならぬわけでありますね、これ。
 だけれども、例えば十月九日の委員会で古森委員長は、どちらも対等であるということではないんだと、ガバナンスの根幹だと、こう言って、新しい某経営委員がそれを受けて、経営委員会が最高機関であることに異存はないですねと、こういう格好でえらい暴言を吐いておられるわけですが、つまり、おれたちが上なんだと、ガバナーだぞと、つまり支配者だぞと、こう言わんばかりのこういう経営委員会の発言ですね。
 これに対して執行部側のある理事はきちんと反論をして、執行の役割と議決の役割と、そこを踏まえるということだと思いますと、経営委員会があらゆる事項について自ら企画して自ら決めるということではないと思いますと、こう正論を述べられております。また別の理事も、経営委員会自らが企画立案なさった場合にどなたがいいか悪いかと判断なさるんでしょうかと、経営委員会側の矛盾を突いた発言もなさっている。
 つまり、経営委員会と執行部はチェック・アンド・バランスの関係にあるべきであって、ガバナンスの名による経営委員会の独裁であってはならぬと、こういうことだと思うんですが、この点について、当然総務大臣もそうだと思っておられると思いますが、改めて認識をお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(増田寛也君) 経営委員会とそれから執行部の役割というのは、それぞれもちろんこの放送法の中でも異なる役割が決められております。それから、今回の改正法案で、よりそこの役割の分担というのを明確化を行ったところであります。したがいまして、両者というのはそれぞれ異なる機能を担いつつ、平たく言いますと、両者が適度な緊張関係をやはり持つということと、それからやはり緊密に連携をする、このことによって、これ、NHK、公共放送なものですから、そういう関係でそれぞれの役割を全うすると、こういう考え方に立っているというふうに思います。
 したがいまして、何か一方がどっちかを支配するというよりも、それぞれの異なる役割をうまく機能を発揮することによってそうした適正な、全体としての適正な業務運営につながっていくものと、このように考えているところでございます。
#114
○又市征治君 私は、むしろNHK改革というのは、あのETV、慰安婦報道改編事件で見られた外部からの圧力、圧力がなかったとかあったとかといろいろとありましたが、それに対するNHKの報道の主体性に乏しかった姿勢、これをやっぱり立て直すことだというふうに思うんですね。
 前会長の独裁を規制する意図から経営委員会の強化をということが叫ばれて、私たちもこの経営委員会というものの強化というのは支持をしましたけれども、しかし、実際には前首相によるNHKとの取引関係者の経営委員への任命、しかも事実上の委員長任命になってきたことは、委員の皆さんも御案内のとおり、もう事前にそんなことは報道されたということでありました。そして、その委員長の行動というのが理事者の更に上に君臨する権力者を目指していると、こう評されるところまで来ている。こういう状況が実際のところですよ。これでは独裁者の代わりに別の独裁者を連れてきたということになりはしないか、こういう格好で多くの人が、識者が経営委員会の強化によって理事者を規制するという選択が失敗だったと、こういう指摘まで出されてきている。こういう状況にあるわけです。
 ですから、NHKのガバナンスというのは、理事者、つまり執行部が経営委員会に従属するべきだとか、ましてや政府、総務省に従う責任とかではなくて、究極は視聴者・国民に対する責任であると、こういうふうに思うんですが、この点は今ほどの御答弁とほぼ同じニュアンスだと思いますが、改めてお伺いをしたいと思います。
#115
○国務大臣(増田寛也君) やはりNHKは公共放送と、こういう重要な役割を担っておりますので、委員今御指摘のとおり、国民・視聴者に対してきちんと責任を持つことのできる体制、これをNHKとして構築していくことが重要だと私は思っておりますし、またそうしたための今回の法案の改正というふうに考えているところでございます。
#116
○又市征治君 そこで、NHKの自主性の問題に強い関心を抱く大学教授であるとかジャーナリストらのグループは、来年一月に現在の橋本会長が任期満了を迎えられるわけですが、この改選に当たって、視聴者の立場から勝手に推薦をしようと、この会長人選をね、というキャンペーンを始められています。といっても、全く、何か野党的に突拍子もない人選というわけではないようでありまして、既にマスコミに出ておりますけれども、十日に発表されたところによれば、会長候補として現NHKの副会長の永井多惠子さんと元共同通信でジャーナリストの原寿雄さんを推薦すると、こういうふうに発表されて、これはもう報道されていますね、だから名前も申し上げましたが、そしてNHKの経営委員会に申入れをされたというふうに聞いています。
 この勝手連は推薦理由として、言論、報道機関の長として自主自律の姿勢を貫き、職務に専念できる人物だ、このお二人はそういう人物だという説明をなさっています。そして、政治介入の余地を残す今までのような密室での選出は見直すべきだ、こんなふうに述べられているわけです。
 NHKのガバナンスが究極は今申し上げましたように視聴者・国民に対する責任であることを考えれば、このように会長候補の推薦という運動が有識者の間から出てきたのは人事の透明化につながる一つのすばらしいアイデアではないか、こういうふうに私は思います。
 この件について、総務大臣は視聴者が会長推薦に参加するというこういう提案についてどのようにお受け止めになりますか。
#117
○国務大臣(増田寛也君) 今の点でございますが、NHKの会長につきましては、先生御案内のとおり、放送法の二十七条の規定で、これは経営委員会が任命ということになってございます。もちろん、経営委員会の方でそうした法の趣旨を踏まえて適切に判断される事項だろうというふうに私は思っておりまして、なお、総務大臣の立場でございますので、こうしたことについて個別に私の方から申し上げるわけにはいかないと、こういうことで是非御理解いただきたいと思います。
#118
○又市征治君 有識者の貴重な提言ですから、むしろそういうことをどう工夫しながら政府の側が任命をしていくかというのは、そういうところをどう、そういう意見なんかも取り入れていくかということなどもこれは場合によれば一考されるべきじゃないか、そんなふうに思います。
 そこで、これダブって、さっきからの質問、今日は何人からも出ているんですが、どうももう一つ納得できない、この監査委員の問題です。
 監査委員の一名は常勤で現行の監事と同じだと、こうおっしゃる。しかも、一番不思議なのは、経営委員が監査委員を兼任し、しかも常勤になることを排除していないという答弁をなさっているわけですが、これは今はやりの委員会設置会社のまね事を経営委員会という古い幹に接ぎ木したために起こった設計ミスじゃないのか、私はこんなふうに思えてしようがないんですね。ここは制度上、この評議機関たる経営委員会と監査をする監査委員会の両者をやっぱり完全に分離すべきじゃないのか、そして、執行部とこの三つの関係は人的に重複をしない、三者鼎立が最も望ましいことではないのか、こんなふうに私は思っているんですが、大臣、この点はどうなんですか。
#119
○政府参考人(小笠原倫明君) 監査委員会の制度設計についてのお尋ねでございます。
 確かに、こうした制度につきまして様々な御意見といいますか、あろうかと思います。ただ今回、私ども政府の考え方としてこのような制度を提案しておりますのは、先ほど来ちょっと御説明もしておりますけれども、経営委員としての業務執行を通じて得た知見を監査に生かすことができるというメリットに着目してこうした監査委員を経営委員会の委員から選ぶというような制度で御提案しているものでございます。
 権限上から申しますと、その監査委員会の権限それから経営委員会の権限は分離されております。そして、監査委員会と経営委員会の関係でございますけれども、監査委員会の監査権限というのは協会の役員も対象とします。それと同時に、経営委員会の監督というのは監査委員も対象となります。したがいまして、そういう意味からしますと相互チェック機能も働くわけでございまして、こうした点を相関して一層のガバナンスの強化が図られるものと期待しているところでございます。
#120
○又市征治君 さっきも申し上げましたけれども、正に評議機関たる経営委員会、評議機関たる経営委員会、それと監査をする側、これ下手にまごつくと、さっきから申し上げてきた、一々一々この評議機関たる経営委員会の側から逐一にわたって口を出すという格好になってくると評議機関たる格好が成り立たない、こういう要素が出てくる側面があるわけでありまして、私はこれはどうも納得し難い、こういう問題があります。
 それから、時間残っているんですが、NHKの関係だけで今日はもう終わりたいと思いますが、最後にお聞きしますが、三十三条のこの命令放送が要請放送に変わるわけですけれども、この要請にNHKは応諾する以外の選択肢もあるかどうかということも大変これ重大な問題があります。
 四日の衆議院で、公明党の桝屋委員が編集の自由はどこまでも尊重されなければならぬと、こう、その後云々と質問されているわけですが、修正提案者の山口議員は、それで三十三条第二項、つまり大臣は協会の編集の自由に配慮すべきだということを入れたということで、山口議員はその際、やはり応諾の努力義務もあるけれども、より編集の自由というものを侵さないようにということで第二項を入れた、御心配なさることはないと、こういうふうに山口さん、答えているわけですよね。
 つまり、応諾の努力義務だけならば今のこの修正をした意味は何もないわけでありまして、命令放送のときと何も変わらないということになってしまうわけですが、つまりあくまでも、要請放送といえどもあくまでも放送の自由、編集の自由が尊重されるという、このことが修正の意味だろうと、こう思うんですが、ここのところは総務大臣もそういうふうに明確にお受け止めになっているのかどうか、ここのところは非常に重要な問題ですから、どうぞ。
#121
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、今般の改正案で応諾というのは、今お話ございましたとおり、努力義務というふうにいたしたわけでございまして、その結果としてNHKが要請に応じないということもこれは制度上はあり得ると、こういうふうに思っております。
 ただ、そういうことは制度上あり得るんですが、実際上は公共放送としてのNHKの性格というものがございますので、我々、これは期待ということになりますが、NHKが引き続きこれまでと同様に要請に応じていただくと、御指摘のないような事態が生じないということは期待はしてございます。これは期待ということで申し上げるわけでございますが、制度上はNHKが要請に応じないということもあり得ると、こういうふうに考えております。
#122
○又市征治君 つまり、やはり放送の自由、編集の自由というのは何としても侵されてはならないと。したがって、政府側が時としてそれは要請はするかもしらぬけれども、あくまでもそれはNHKの側の主体的な判断によってなされるべきものと、こういうことの意味でこの第二項が入ったと、こういうことだというふうに、もう一度、よろしいですか。
#123
○国務大臣(増田寛也君) 修正の趣旨を踏まえて私どもこれを運用していくということでございますので、放送の自由という、自主自律ということはもう最大限尊重していくものでございます。
#124
○又市征治君 NHKの分、ここまでですから、時間が早いですが、終わります。
#125
○委員長(高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#126
○委員長(高嶋良充君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法等の一部を改正する法律案の審査のため、明十三日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#127
○委員長(高嶋良充君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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