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2007/10/04 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 本会議 第4号
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2007/10/04 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 本会議 第4号

#1
第168回国会 本会議 第4号
平成十九年十月四日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成十九年十月四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#4
○輿石東君 民主党・新緑風会・日本の輿石東です。
 私は、今ここに、江田参議院議長の前で代表質問ができることを誇らしく思うと同時に、極めて感慨深いものがあります。また、野党第一党というだけではなく、参議院第一党としての責任に身の引き締まる思いであります。
 さて、私は、この数週間の出来事に激しい憤りを感じております。三週間前、安倍前総理がこの場で所信表明をなさいました。引き続き行われる代表質問のトップバッターとして、私は既に準備を終えておりました。それが突然、質問の前日になっての辞任表明であります。
 私は、二か月前の参議院選挙の結果を中心に、安倍前総理の責任を追及しようと考えていました。それが参議院第一党となった民主党の責務であるからであります。しかし、所信表明演説を行っておきながら、安倍前総理はいきなり政権をほうり出してしまいました。今日は、まずその問題から始めなければなりません。
 福田総理に、まずお聞きをいたします。
 安倍前総理は、参議院選挙で大敗しながら続投を決めました。そして、内閣改造さらには国会での所信表明演説まで行いながら、質疑の一方的な放棄、そして政権の投げ出し。これには私だけではなく国民すべてが唖然としました。怒りを通り越してあきれてしまいました。これが一国の総理の取るべき行動でしょうか。
 本来ならば、安倍前総理御本人に聞くべきことでしょうが、辞任してしまった今、それはもう意味がありません。安倍前総理は自民党の総裁であり、選んだのは自民党の皆さんであります。福田総理も、一年前、安倍前総裁に一票を入れられ、そして今回あなたは自民党の総裁を引き継がれた。
 そこで、あなたにお伺いをいたします。
 国会と国民を愚弄したかのような今回の安倍氏の辞任について、現在の自民党総裁として、またかつて安倍総裁を支持した自民党の一員として、どのような責任を感じておられますか。私たち国会議員だけでなく、国民の皆さんに説明していただきたいと思います。
 次にお聞きしたいのは、自民党の政党としての責任についてであります。
 今回の自民党総裁選挙を見ていた国民はあっけに取られました。安倍氏の辞任を受けて、何人かが立候補の意向を示されました。当然、安倍内閣の路線について、賛成、反対、それぞれの立場から自民党内で政策論争が繰り広げられるものだとみんな考えていました。ところが、麻生候補が嘆いたように、幕が上がったら芝居が終わっていたのであります。聞けば、九つある派閥のうち八つが雪崩を打って福田候補の支持に回ったといいます、しかも一日のうちに。候補者の政策を聞く前から多数派工作が始まり、総裁選の幕が開いたら流れは既に福田氏に決まっていたというのでは、結果の見えた下手な芝居に延々と付き合わされた国民はたまったものではありません。
 私たちは一年前にも主役が違うだけの同じ芝居を見せられました。自民党は、政策論争をそこそこに、何よりも選挙に勝てる顔として安倍氏を担ぎました。そして、今回、福田氏を担いだ自民党の人たちの多くは、一年前に安倍氏を担いだ人たちであります。政策的には安倍前総理とかなり立場を異にする福田氏に、同じ人たちが雪崩を打って支持をする。政権をほうり出すような無責任な総理を選んでしまったことに何の反省もなく、党内で政権をたらい回しすることだけに熱心で、政治空白を物ともしない。国民無視の自民党にこのまま政権を担当する能力があると思いますか、見解を伺いたい。
 次に、福田総理御自身についてお聞きをします。
 参議院では民主党の小沢一郎代表が総理に指名されましたが、衆議院の優越により、あなたが総理大臣となりました。国民の未来は当面あなたの肩に掛かっているのであります。ところが、私を始め国会議員も国民も、日本国の総理であるあなたがどんな政策を持っておられるのかについてほとんど何も知りません。初めての内閣も居抜き内閣、お下がり内閣と言われ、所信表明の内容も政策の羅列、総花的、余り個性が感じられませんでした。
 あなたは、一年前の自民党総裁選挙において早くから安倍前総理の対抗馬として名前が挙がっていたにもかかわらず、最初から出る気はなかったと逃げました。しかし、今回は緊急事態だから、多くの派閥に推されたからと、いろいろ理屈は付くでしょう、負ける戦いはしないというのがあなたの政治哲学なのではありませんか。しかも、今回、貧乏くじを引いたかもしれないともおっしゃった。私は、このような人を一国の総理に頂くのは本当に情けない気がいたします。
 私は、総理になる人には少なくとも二つの条件が求められると思います。一つは、もちろん政策であります。真に国民のためになる政策を掲げることであります。もう一つ、情熱と意志であります。どんな困難にも耐え、国民のために働くのだという強い情熱と意志が必要であります。安倍前総理には残念ながらこの強い意志がありませんでした。このため、無責任にも途中で総理の職を投げ出したのであります。
 しかし、福田総理、まさかあなたも同じじゃないでしょうね。これまで具体的な政策を明確に提示していなかった。総裁になれると分かったら、にわか仕立てで極めて大まかな政策を作り上げる。総裁選は、勝てそうにないときは年を取っているからといって逃げ、みんなが担いでくれて勝てそうになったら立候補する。そこには、福田総理御自身の明確な政策も強い情熱も感じられません。この点について総理は国民の前にどのように説明されますか。
 参議院選挙が終わって二か月がたちました。改めて、この選挙が何であったのか、そして、民主党がなぜこれほどまでに勝てたのかを考えてみたいと思います。
 選挙結果は、自民党三十七、民主党六十議席という自民党の惨敗、民主党の勝利でした。そして、野党が過半数を得るというものでありました。民意ははっきり示されました。国民は自民党にノーを突き付けたのであります。
 これまで、参議院は衆議院のカーボンコピーなどと悪口を言われる一方で、私たちは、良識の府、再考の府と、その意義を主張し続けてきましたが、衆参両院とも自民党が多数を占めている状態では、このことの意味は余り明確ではありません。とりわけ、一昨年、小泉元総理が行った郵政解散で参議院の権威は大きく傷付きました。
 しかし、今回の選挙の結果、この参議院において、私たち民主党が第一党、第一会派となりました。私たちは大きな力をいただきました。
 それだけではありません。この選挙は政権選択の選挙だったのであります。選挙期間中に安倍前総理は、私を取るか、小沢代表を取るか、その選択の選挙だと繰り返し主張されたのであります。総理の選出は最終的には衆議院の判断によるもので、参議院選挙は政権選択ではないと言う人もいます。しかし、安倍前総理自身がこの参議院選挙を政権選択として位置付けたのであります。そして、有権者は自民党ではなく民主党を選んだのであります。
 そこで、総理に伺います。
 自民党は国民からノーを突き付けられました。それなのに、なぜ引き続き政権に居座っているのでしょう。その理由を国民の前に明らかにしていただきたい。そして、あなた自身が国民の審判を受けていない。一日も早く衆議院を解散して民意を問うべきでしょう。それについてはどうお考えですか。
 参議院で野党が過半数を取ったことで、法案が何も通らなくなったと心配する声もありますが、そのようなことはありません。もちろん、国民のためにならない法案には断固反対します。しかし、国民のためになる法案であれば賛成いたします。政府のやることを何でも反対といった無責任な態度は取りません。
 その上で、私たちは、さきの参議院選挙のマニフェストで国民にお示しした三つの約束と七つの提言を実現するため、今後早急にこれらを議員立法の形で国会に提出していく考えであります。参議院では、野党が連携すれば必ずこれらの法案は可決され、衆議院に送られることになります。仮に、それらの法案が衆議院で廃案とされるようなことになれば、それは民意を無視した暴挙であり、断じて許されないことと考えますが、総理の認識を伺います。
 このほか、私たちは、総理大臣問責決議案を参議院に提出し、しかも可決することができるのであります。さらに、国権の最高機関としての国会が内閣に対して行使できる最も基本的な憲法上の権利である国政調査権を積極的に活用し、これまで政府が隠し続けてきた様々な都合の悪いことを明るみに出し、国民の前に明らかにしたいと考えております。また、国会の同意を必要とする国の機関の人事については、衆議院と参議院は対等の立場であり、参議院が拒否すれば任命することはできません。
 私たちは、国民にこうした力を与えていただいた意味をしっかりかみしめて、政権の交代に向け、可能な限り有効に使っていきたいと考えています。
 次に、国政の主な分野について、福田総理に具体的に質問するとともに、私たち民主党としての考え方もお示ししたいと思います。
 まず、政治と金をめぐる問題について伺います。
 前の安倍内閣では、去年の暮れに辞任した佐田行革担当大臣を始め、何とか還元水で物議を醸した松岡農水大臣、その後任でばんそうこう騒ぎの赤城農水大臣と、何と三人の閣僚が事務所費経費の問題に関連して交代しました。特に、松岡農水大臣のケースでは、説明を拒否する松岡大臣を安倍前総理がかばい続けた後に、戦後初めて現職大臣の自殺という悲惨な出来事が起きてしまいました。内閣改造の後も、わずか一週間後、遠藤農水大臣が辞任するなど、その後も疑惑が次々と明らかになりました。
 ついに、福田総理御自身についても、政治資金収支報告書に添付した複数の領収書のあて名を勝手に書き換えていたほか、国の公共事業を受注している群馬県内の二社から不正な献金を受けていたことが分かりました。汗顔の至りなどと言って済まされる話ではありません。所信表明で総理御自身も述べているように、国民が納得するような説明を求めたいと思います。
 さて、政治と金の問題をめぐって私たち民主党は、すべての政治団体について、人件費を除く一円以上の支出は領収書添付を義務付ける法案を間もなく国会に提出することにしています。
 報道によれば、ようやく自民党も、公明党との政権協議で、公明党に押される形で、一円以上の支出にすべての領収書添付を義務付ける方針に同意したということですが、なお公開の仕方は政党間において協議というあいまいな条件が付いており、自民党内では、国民への公開は見送り、第三者機関にのみ明らかにするという案も出されているということであります。このままでは透明化は絵にかいたもちに終わるおそれがあります。今後の対応を伺いたいと思います。
 次に、内政の諸問題について伺います。
 まず、今もなお国民最大の関心事である年金の問題についてお聞きをいたします。
 まず、宙に浮いた年金記録五千万件の照合作業は遅れていると言われていますが、来年の三月という期限は本当に守れるのでしょうか、確認しておきたいと思います。
 それにしても、この来年三月という期限は、現在コンピューターに入っているデータだけを使って、名寄せ作業の期限で、きちんともらうべき人がすべてもらえるようになるまでに行うべき作業について手順や期限は何ら示されていません。参議院選挙も終わり、総理大臣も交代したのですから、今こそ、落ち着いて謙虚に私たちの提案に耳を傾け、消えた年金、宙に浮いた年金への対策を根本的に考え直すべきだと考えますが、福田総理の見解を伺います。
 ところで、前の国会では、年金資金を給付以外に使うことを正当化する法律も強行採決されました。既に、六兆八千億円にも上る保険料がグリーンピア施設などへ流用されています。正にどぶに捨てたに等しい年金資金の流用に対する反省が全く見られません。私たちは、今の国会で既に年金保険料流用禁止法案を提出しており、成立を目指すことにしていますが、対応をお伺いいたします。
 さて、今、国民年金は不払が年々増え、その存在自体が危機に瀕しております。政府・与党は、今までどおり年金の財源として保険料を充てるべきだとしていますが、到底現実的とは思えません。国民年金の加入対象者であるフリーターやワーキングプアと呼ばれる人たちは、格差の深刻化によって、年金保険料を怠けて払わないのではなく、この人たちの給料では払い切れないのであります。
 そこで、私たち民主党では、政府が進めている厚生年金と共済年金の統合にとどまらず、国民年金の統合も行い、すべての年金の一元化を実現すべきであると考えております。そのために、最低保障年金部分には現行の五%の消費税収入をすべて充てることとし、所得に比例し、それに上乗せして支給される部分は自分たちが納めた年金保険料を充て、現在の給付水準を維持すべきであると考えております。
 先月二十日、日本経団連の御手洗会長が基礎年金は税金でやった方がよいと述べ、事実上、私たちの提案を支持する発言をしました。
 総理も、場合によっては私たちの提案を検討してもよいというようなあいまいな発言をしているようですが、私たちの提案に賛成するのか反対するのか、明確にお答えいただきたい。
 次に、これも国民の関心が極めて高い税制、特に消費税の問題についてお尋ねをいたします。
 今、国民は、小泉、安倍両政権の下、度重なる増税で疲弊しています。その一方で、基礎年金財源の国庫負担比率を三分の一から二分の一に引き上げるのは政府の既定方針となっております。このままでは財政に穴が空くのは目に見えています。しかし、安倍前総理は、選挙対策もあって問題を先送りしてきました。
 こうした中で、福田総理が総裁選で麻生前幹事長と意見がほぼ一致したのが消費税の税率引上げの容認でした。総理はこの問題についてどのように考えておられるのか、明快な答弁をお願いします。
 次に、都市と地方の格差の問題についてお尋ねします。
 参議院選挙の結果は、政府・与党の地方切捨て政策に対し、ある意味で地方の反乱とも言えると思います。
 大規模化、集約化によって農業の国際競争力を回復しようとした結果、今地方で何が起こっているのか。海外から入ってくる安い農産物に太刀打ちできず、人々は農業に希望を失い、農山村人口は減少し、打ち捨てられた田畑や山林は荒れる一方であります。環境上極めて貴重な里山の風景はどんどん失われています。食料の自給率も低下の一途をたどり、カロリーベースでついに四割を割り込んでしまいました。今こそ農業政策の大転換が求められております。
 もちろん、日本は世界で自由貿易の恩恵を最も受けている国の一つであり、農産物だけ例外というわけにはいきません。しかし、掛け替えのない環境の維持や食料の安全保障という見地から、国内農業の拡大を図らなければなりません。そのために私たちは、すべての販売農家を対象とした戸別所得補償制度の導入が必要だと考えます。たとえ小規模であっても生産が続けられるように、総合的な農山漁村振興政策を実施すべきであります。
 福田総理も所信表明演説で、地方と都会がともに支え合う共生の考え方の下、攻めの農政を基本に、農林漁村に明るさを取り戻しますと述べていますが、正にこうした私たちの提案こそがそうした政策だとお考えになりませんか。見解を伺います。
 また、小泉、安倍両政権の下で、地方の自主財源である地方交付税交付金は年々減る一方でした。安倍前総理は、頑張る自治体は支援すると繰り返し述べていましたが、多くの自治体は疲弊し切って、頑張るための気力、体力さえ残っていないのが実情であります。選挙結果も、こうした地方切捨てに対する大きな批判が込められていると見るべきであります。
 そこで、民主党としては、他の地方活性化政策とともに、地方制度を根本的に改め、全国を三百程度の多様性のある基礎自治体とし、現在国が持っている権限も可能な限りそこに下ろし、中央政府の役割を安全保障などに限定することによって新しい国の形を目指すべきだと考えております。
 また、日本で地方分権が進まない最大の理由の一つが、中央官僚支配の源泉かつ利権の温床となっている補助金制度であります。民主党としては、中央からの個別補助金を廃し、それを地方固有の自由な財源とし、一括交付すべきだと考えております。総理の見解を伺います。
 次に、教育の問題について伺います。
 安倍前総理は、内閣の最重要課題として教育再生を掲げ、教育基本法や教育三法の改定を行うなど、改革と称するものを進めてきました。しかし、突然の辞職ですべてのことが中途半端にほうり出されてしまいました。何という無責任だ、規範意識の向上が聞いてあきれます。今、教育現場に戸惑いが広がっています。福田総理はこの後始末をどうするのか、まずお聞かせいただきたい。
 とりわけ、沖縄戦での集団自決に軍の直接的関与があったとの記述が教科書から削除された問題です。先月二十九日、党派を超えて抗議するために集まった十一万人に上る沖縄県民の心を総理はどのように受け止めておられるでしょうか。検定のやり直しなど今後の対応とともにお聞かせください。
 さて、福田総理も所信表明演説の中で、教育の再生、信頼できる公教育の確立をうたっておられます。そこで伺いたい。
 来年度の予算編成が既に始まっています。教育の充実に向けてこの予算編成は極めて重要なものであります。民主党は、教育予算の拡充なくして教育の充実はあり得ないと考えております。教育予算の拡充にどのような姿勢で臨むかということは、真に教育問題を考えているか否かの判断基準と言えるのではないでしょうか。
 真の教育再生のためには、制度を変えるだけではなく、現場の子供たちや学生、保護者の方々が教育は本当に良くなったと実感できるような措置を講じるべきであります。そのためには、小中学校はもとより、大学や生涯学習も含め、教育全体を充実させるような教育予算を拡充することが必要不可欠と考えます。国民の期待にこたえる教育の充実を実効あるものとするため、来年度予算に向けての総理の決意を伺いたいと思います。
 最近の学校では教員の多忙化が深刻な問題となっています。現場の教員からは、子供たちの悩みをもっと聞いてあげたい、保護者ともコミュニケーションをする時間が欲しいなどの悲鳴が聞こえてきます。総理御自身も所信表明の中で、先生が子供たちと十分に向き合える時間の増加を強調しておられるとおりです。
 このような厳しい状況の中で現場の教員は日々頑張っていますが、学校現場が元気になり、意欲と情熱を持って子供たちの教育に取り組むことができるようにするためには、教職員の定数を改善し、学校現場を支援することが必要不可欠であると考えます。この教職員の定数改善について、福田総理としてはどのような決意を持って予算編成に取り組むおつもりか、見解を伺いたいと思います。
 また、教育は人なりと言われるように、教育の充実のためには教員に優秀な人材を確保することが必要であります。そのためには、教職が魅力あるものとなるような条件整備が必要です。文科省が平成十八年度に実施した勤務実態調査によると、教員の時間外勤務の実態は月平均三十四時間にも達しています。また、部活動についても、土、日の指導には十分な手当が支給されておらず、教員の熱意と犠牲によって支えられているのが実態であります。
 教員の勤務実態を踏まえた適切な処遇を行い、教員が意欲と生きがいを持って職務に専念できるようにすべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 さて、外交と安全保障の問題についてであります。
 これらの問題は、安倍外交の責任者であった麻生前幹事長と福田総理とが総裁選で最もはっきりと対立したところでありました。
 まずお尋ねをしたいのが、今度の国会の焦点と言われるテロ特措法の延長問題です。
 テロ対策特別措置法は、海上自衛隊がインド洋でアメリカやパキスタンなどの艦船に給油活動をするための根拠法で、来月一日に期限が切れますが、民主党としては、既にこのテロ特措法の延長に反対の姿勢を明確にしております。
 そもそもアメリカのアフガニスタン侵攻は、アメリカが自衛のためだとして起こした戦争です。幾らアメリカが大事な同盟国であるとはいえ、国連の直接的な決議もない海外での戦争に、平和憲法を持つ日本がこれ以上加担するわけにはいきません。
 安倍前総理は先月九日のシドニーの記者会見で、テロ特措法の延長は国際公約であり、この問題の解決に職を賭すとまでおっしゃいました。
 さらに、日本政府は、先月二十日、国連の安全保障理事会に働き掛けて、国連決議の中にインド洋での自衛隊の給油活動を含む国際活動に対する謝意を盛り込ませることに成功しました。しかし、ロシアが日本等の国内事情に配慮して必然性のない文言を決議に入れることに難色を示し、棄権したため、全会一致での採択とはなりませんでした。いずれにせよ、前文に謝意を入れることによって自衛隊の給油活動が国連の正式なお墨付きを得たとはとても言えないと思います。
 福田総理は、このテロ特措法を成立させたときの政府の責任者でもあります。あれから六年の歳月がたちました。三回の延長を経て、この間アメリカのイラク戦争への参戦と泥沼化など、国際情勢も大きく変化をしています。テロとの戦いを軍事的な手段のみによって解決することの限界も次第に明らかになっております。
 また、政府は活動の実態を秘密にし続けてきており、自衛隊の活動が本当にテロの防止に役立っているのかどうかもはっきりしません。とりわけ最近指摘されているのが、自衛隊の給油がテロ対策ではなく、法律の目的外のイラク戦争に利用されたのではないかという疑惑であります。給油活動の延長を言う前に、こうした疑惑について、真実を国民の前にすべて明らかにすべきではありませんか。
 政府・与党は、今こそすべての情報を公開し、立ち止まって国民の意見に耳を傾けるべきだと思いますが、いかがですか。見解を求めます。
 もちろん、私たちもテロの撲滅やアフガニスタン国民への支援はやぶさかではありません。しかし、ボランティアが人質事件に巻き込まれた韓国を始め、幾つかの国がアフガニスタンからの引揚げを表明したり検討したりしていることを見ても、支援のやり方を再検討する時期に来ています。
 私たちも、今そのためにどういうことができるか、検討を進めています。また、念のために申し上げるならば、現行法の延長をあきらめ、目的を給油だけに絞った新法を作ろうとしても、私たちとしては賛成するつもりがないこともこの際はっきりと申し上げます。ましてや、これまで必要とされていた国会の事後承認の規定を、シビリアンコントロールの原則に反して削除することなどもってのほかであります。
 次に、拉致問題を含む北朝鮮外交について伺います。
 総理は、拉致問題を自分の手で解決したいと意欲を示されていますが、対話と圧力と言いながら圧力に重心が掛かった安倍前総理の路線を変更するのか、もし変更するとすればどのような方向に変更するのか、明快な答弁をいただきたい。
 先月三十日、北京で開かれた北朝鮮の核をめぐる六か国協議は、報道によりますと、年内に北朝鮮の核施設のうち三か所に限って無能力化することや核計画を申告することで合意したと言われています。この合意についての評価を伺いたい。また、拉致問題を抱える日本が六か国協議で外交的に取り残される懸念も指摘される中、今後交渉のイニシアチブを獲得するためにどのような方針で臨まれるのか、見解を伺います。
 次に、外交の基本方針についてお尋ねします。
 福田総理、あなたは既に総理大臣として靖国神社を参拝しない方針を明確に打ち出すなど、明らかに安倍前総理とは異なる姿勢を見せてはいますが、全般的な外交の方針はまだ明らかになったとは言えません。
 民主党としては、対等な真の日米同盟を確立することに努力するとともに、中国を始めアジア諸国との信頼関係の構築にも全力を挙げるべきだと考えていますが、総理の外交の基本方針を伺いたい。
 さて、最後に、私の政治信条を述べておきます。民主党の進む道を議員の皆さんや国民の皆さんにお示しすることで自民党との違いを判断していただきたいと思います。
 私は、民主党は常々、政治とは生活であると申し上げてまいりました。これまで、この壇上でもそれに沿った主張をしてきました。今私は、それが間違っていなかったと誇りに思っております。
 自民党は、美しい国だとか戦後レジームからの脱却だとかを掲げ、選挙をしました。私ども民主党は、国民の暮らし、国民の生活を第一にして選挙を戦いました。そして、国民は明白に私たち民主党を支持しました。国民は、政治とは生活であるを支持してくれたのであります。私はまた、政治とは愛であるとも申し上げてまいりました。その主張も正しかったと考えております。
 小泉内閣と安倍内閣は構造改革を推し進めました。しかし、最近発表された国税庁の調査では、去年、働く人の給与は九年連続で減少し、とりわけ年収二百万円以下の人が一千二十三万人と、二十一年ぶりに一千万人を超えました。市場重視、競争重視の政策による格差の広がりには歯止めが掛かっておりません。
 もちろん、私たち民主党も、日本には改革が必要だと考えています。しかし、改革を進める際に、その影の面を忘れてはなりません。切り捨てられる弱い人を忘れてはいけないのであります。自民党の構造改革は、弱い立場の人たちを忘れた改革であります。弱肉強食、強い者だけが勝ち残るのであります。しかし、それは経済の論理であって政治ではありません。政治とは、その競争から取り残された人たち、弱い人たちに手を差し伸べることであります。
 政治とは愛であるは、正にこの弱い人たちに手を差し伸べることが政治の役割であることを述べたものであります。政治とは生活である、政治とは愛であるは、私の政治信条であり、民主党の理念でもあります。この理念の下、責任ある行動によって、国民の前に、民主党が政権を担うことができる党であることをお示ししてまいります。
 私たちの目標は、自民党に反対することではありません。正しい理念を持って政権に就くこと、そして、国民により良い政治を行うことであります。それをお誓いし、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(福田康夫君) 輿石議員の御質問に順次答弁をさせていただきます。
 安倍前総理の辞任の責任について、まずお尋ねがございました。
 安倍前総理の突然の辞任によって、この国会を二週間以上にわたって停滞させてしまったことにつきましては、議員各位及び国民の皆様に対し、自由民主党を代表して率直におわびを申し上げたいと思います。
 こうした中、国民の政治不信の声を真摯に受け止め、国民の目線に立った政治と行政を進めていくことにより、失われた信頼の回復に全力を挙げていくことこそが私に課せられた責務であると考えております。
 次に、自民党に政権を担当する能力があるのかとのお尋ねがございました。
 国民の皆様の信頼なくしては、どのような立派な政策も必要な改革も実現することはできません。政治は国民のものとは、自民党の立党宣言の冒頭にある言葉でございますが、自民党が政権を担う限り、こうした国民本位の信念や政策の基本的な方向性が変わることはありません。
 政治や行政への不信が高まっている今日において、政権担当能力があるかどうかは、政治や行政に対する国民の信頼を取り戻すことができるかどうかに懸かっておることでございます。私はここで国民の不信を率直に受け止め、真に消費者や生活者の視点に立って政治や行政を進めることによって国民の信頼を取り戻すように全力を傾けること、このことに職責を果たしてまいりたいと思っております。
 私に明確な政策も強い情熱もないのではないかというお尋ねがございました。
 私の政策については先日の所信表明演説で申し上げました。準備の時間も少なく、個別具体的な政策についての記述が少ないということはあったかもしれませんけれども、私の考える大きな政策の方向性についてはきちんと説明することができたと考えております。国民の目線、消費者や生活者の視点に立つことや持続可能社会への転換というような考え方、さらに、改革は今後とも継続していくけれども、実態から決して目をそらさず、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことなど、いずれも私が長年考えてきた政治の方向性であります。
 御指摘のとおり、これまでは何が何でも総理にならなければいけないと私は考えたことはございません。しかし、国民不信がこれまでになく高まっている現在にあって、私の考えている政治の方向性こそが国民と時代が求めるものであると確信し、自らが先頭に立ってこの危機を乗り越えていかなければならないという覚悟を決めた次第でございます。今後、日本の将来の発展と国民生活の安定を最優先に全力を傾けて職責を果たしてまいる所存でございます。
 衆議院解散についてお尋ねがございました。
 国民生活を守り、国家の利益を守ることは、これは与野党の立場を超えた政治の使命であります。今般、政権を担うことになり、私は、重要な政策課題について一つ一つ野党の皆様と誠意を持って話し合いながら国民の負託にこたえてまいりたいと思います。
 今、政治に求められていることは解散について云々することではございません。国民の不信の声を真摯に受け止め、国民の不安に対してきめ細かく対応していくことであります。まずは、私が申し上げました所信に基づいて、国民の目線に立った政治と行政を進めてまいりたいと考えております。
 参議院において野党連携で提出される議員立法への対応についてのお尋ねがございました。
 野党の皆様から具体的な御提案があれば、個別にその中身を国民の目線でしっかりと吟味した上で、建設的な御議論をさせていただきたいと考えております。
 いずれにしても、国民のためにより良い政策を目指すという姿勢は与野党の立場を超えて共通のものであると考えております。ですから、国民のためになる法案に対して反対のための反対をするような考えは毛頭ないということは明確に申し上げておきたいと思います。
 先ほど輿石議員より、国民のためになる法案であれば政府のやることは何でも反対するわけではないというお言葉をいただきましたけれども、大変力強く思っております。
 私自身の政治資金問題についてお尋ねがございました。
 領収書のあて名を書き直した件につきましては、本来、領収書を取り直したりすべきところを、経理の担当者がその手間を省いてしまったものでございます。実際の領収書の受取先について実態を踏まえて補正したものであり、政治資金規正法上特に問題はないものと理解いたしております。
 私が代表を務める自民党支部が国と契約している業者から受けていた寄附の件につきましては、その会社が国と契約を結んでいたとは知らずに受け入れた通常の寄附であり、公職選挙法に違反するとは考えておりません。
 なお、政治資金にかかわる問題につきましては、いささかの疑念も生じさせないよう努めてまいる所存でございます。
 政治資金の公開についてのお尋ねがございました。
 政治資金についての新たなルールについては、国民から信頼に足るものかどうかという基本的な考え方に基づいて行われるべきであります。そうした観点から、まず、民間では会社の経理報告や監査をどうしているかということも参考にしながら、現行ルールは具体的な取扱いで判断に困ることもあるという実態も考慮して、統一的な解釈の下でしっかりとチェックを行っていくための仕組みをつくることも検討すべきであると考えております。
 いずれにしましても、具体的なルールの在り方につきましては、今後、与野党の間で十分に御議論いただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
 年金記録問題についてお尋ねがございました。
 年金記録問題については、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に基づき、手順と期限をできる限り明確にして取り組むことといたしております。このため、まずは平成二十年三月までを目途に五千万件の年金記録について名寄せを行い、記録が結び付くと思われた方に加入履歴をお送りいたします。これについては現在、システム開発等の作業に取り組んでいるところであります。その後、平成二十年十月までを目途に、それ以外のすべての方にもお知らせをお送りし、これらをきっかけとしたお問い合わせ等により国民一人一人の年金記録の確認を行います。また、平成二十年度からはコンピューターの記録と台帳等との突き合わせ等を計画的に実施してまいります。
 こうした取組を一つ一つ着実に進めることによりまして、国民の皆様一人一人の年金記録が点検され、正しく年金が支払われるようになると考えております。
 年金保険料の流用禁止についてのお尋ねがございました。
 かつて、年金福祉施設等に年金保険料を充ててきたことに対する御指摘のような様々な御批判を真摯に受け止め、保険料の使途を徹底的に見直し、現在では、年金給付のほかには、年金給付に密接に関連する事業運営費に限って充てております。年金給付と密接不可分な事務費に保険料を充てることは、民間保険はもとより、他の公的保険や諸外国の例から見ても妥当なものと考えております。重要なことは、税財源であれ保険料財源であれ、無駄遣いは絶対にさせないということでございまして、今後、更にこのことを徹底してまいります。
 民主党の年金改革についてお尋ねがございました。
 民主党の御提案について詳細は承知しておりませんけれども、全額を税による最低保障年金に関しては、納付した保険料に応じて給付が行われる現在の制度の在り方を見直すことについて国民がどう受け止めるか、所要額はどの程度か、消費税収のすべてを年金に充てた場合、国、地方財政赤字が拡大することはないか、生活保護との関係をどう考えるか。自営業者を含めた所得比例年金に関しては、公平な保険料の負担を求めるとの観点から、所得把握や事業所負担の在り方についてどう考えるかといった課題があると考えております。
 年金を国民がより安心して頼れる制度とするために、政治の責任として、与野党の立場を超えて議論が行われることが重要でございます。様々な知恵を出し合い、透明で建設的な協議が行われるようにお願いしたいと思います。
 次に、消費税についてお尋ねがございました。
 歳出歳入一体改革の実現に向けて、歳出改革に徹底して取り組むことが重要です。しかし、必要な歳出までもが削られ、国民生活に影響が生ずる事態は避けなければいけません。したがって、国民生活に関係が深く、歳出改革だけでは対応し切れない社会保障、少子化などに伴う負担増に対しては安定的な財源を確保しなければなりません。
 このため、所要の安定した財源を確保した上で、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることが法律で定められていることを踏まえ、今後、早急に消費税を含む税体系の抜本的改革の実現に向けて、本格的な議論を進めてまいります。その際、国民の御理解が進むことが重要であると考えておりまして、野党の皆様としっかり議論を行い、改革に取り組んでまいります。
 民主党の戸別所得補償制度についてのお尋ねがございました。
 御指摘の戸別所得補償制度につきましては、制度の詳細を是非示していただきたいと考えております。
 我が国農業が直面している最大の課題は、農業従事者の減少、高齢化によりまして生産構造の脆弱化が進んでいることでございます。将来にわたり国民に食料を安定的に供給していくために、意欲のある担い手を支援することにより力強い経営を育成するとともに、都市と農村の交流の推進や地域の環境保全に向けた先進的な営農活動に対する支援によりまして農村の活性化を図るなど、総合的に施策を展開してまいります。
 地方制度の根本的改革についてお尋ねがございました。
 地方と都市がともに支え合う共生の考え方の下に、地方が自ら考え実行できる体制の整備に向け、地方自治体に対する一層の権限移譲を行うなど、地方分権改革に取り組んでまいります。具体的には、新分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担、国の関与の在り方などの見直しを行います。こうした改革を進めるに当たっては、地方の意見を十分に聞いてまいります。
 補助金制度についてお尋ねがございました。
 地方向けの個別補助金を廃止し、それを地方固有の財源として一括交付するという御提案ですが、その具体的な内容や方法が示されておりませんので、実現できるかどうかは不分明でございます。政府としては、地方財政全体が地方分権にかなった姿になるよう、基本方針二〇〇七に基づき、補助金、交付税、税源配分の見直しの一体的な改革に向け検討を進めております。
 教育再生についてお尋ねがございました。
 教育再生は重要な課題と認識しております。先般の所信表明演説でも申し上げましたところでございますけれども、学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって、引き続き信頼できる公教育の確立を始め、教育の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、沖縄の集団自決に関する教科書検定についてのお尋ねがございました。
 沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを私はこれからも学校教育においてしっかりと教えていかなければならないと思います。ただ、教科書検定は審議会における専門的な審議を経て実施されるものでございます。御指摘の九月二十九日の県民大会には県知事を始め多くの方々が参加されておりまして、また仲井眞知事の御要請もいただきまして、その思いを重く受け止めて、文部科学省においてしっかりと検討してまいります。
 次に、教育予算についてのお尋ねがございました。
 教育再生には学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組むこととしておりまして、信頼できる公教育を確立するためには教育予算の中身が重要であると考えております。来年度の教育予算については、歳出歳入一体改革の実現と整合性を取りつつ効率化を徹底しながら、めり張りを付けて、教育再生に真に必要な予算について財源を確保してまいります。
 次に、教職員の定数及び処遇についてのお尋ねがありました。
 教育は、家庭にとって極めて関心の高い問題です。学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組んでまいります。信頼できる公教育を確立することがまず必要です。教員が子供たちと十分に向き合える時間を増やすとともに、めり張りのある教員給与体系の実現に取り組みます。
 次に、テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動内容についてのお尋ねがございました。
 テロ対策特措法に基づきインド洋で行っている海上自衛隊の活動については、法の趣旨にのっとって行われていることにつきまして、国民の御理解が得られるよう情報の開示に努めるべきものと考えております。他方、海上自衛隊の活動内容について、これをつまびらかにすることにより自衛隊や各国の部隊運用等への支障が生じるものもあることも考慮する必要がございます。
 いずれにせよ、各国の理解も得ながら、可能な限り情報を開示できるよう、防衛省において努めております。
 海上自衛隊の補給活動とシビリアンコントロールについてのお尋ねがございました。
 政府としては、補給活動を継続するために必要な法的処置の在り方について現在検討しているところでございますが、国会の関与が十分に図られるようにしてまいります。また、自衛隊については、文民の内閣総理大臣と防衛大臣の指揮監督によりましてシビリアンコントロールを確保しております。
 いずれにせよ、速やかに骨子を取りまとめて、野党を含め国民の皆様にお示しし、協議を始めたいと考えております。
 対北朝鮮外交についてのお尋ねがございました。
 我が国は、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。こうした外交の基本的な考え方に変化はございません。
 昨日、六者会合の成果文書が発表されましたが、今後とも六者会合などの場を通じ、米国を始めとする関係国とも緊密に連携協力しながら、日朝協議に真剣に取り組み、同文書に明記されておりますとおり、北朝鮮側に対し、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を求めていきます。
 次に、六者会合の評価についてのお尋ねがございました。
 今次六者会合の結果、北朝鮮は本年末までにすべての核計画を申告することとなりました。また、すべての既存の核施設を無能力化することを再確認した上で、まずは、本年末までに寧辺の三施設が無能力化されることとなりました。北朝鮮の非核化に向けた年内の行動が明確になったことは評価し得ると考えております。今後、合意に基づいて具体的な行動が実施されることを期待いたしております。
 六者会合に向けた方針についてのお尋ねがございました。
 我が国は、米国、中国を始めとする関係国との間で、六者会合の共同声明の完全な実施に向けて、緊密に連携協力してまいります。また、拉致問題に関する我が国の立場についても、関係国から十分な理解を得ております。今後とも、非核化及び日朝関係の双方がともに前進するよう最大限の努力をしていく考えでございます。
 次に、外交の基本方針についてお尋ねがございました。
 私は、激動する国際情勢の中で、今後の世界の行く末を見据え、我が国が国際社会の中でその国力にふさわしい責任を自覚し、国際的に信頼される国家を目指し、世界平和に貢献する外交を展開します。
 アジア諸国との関係をより良くしていくには、日米関係が強固でなくてはなりません。同時に、アジアにおいて日本の地位を確固たるものとし、地域の平和と安定を実現することは、日米両国にとっても利益になります。このような好環境をもたらすように、日米同盟の強化、積極的アジア外交を進めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(江田五月君) 山崎正昭君。
   〔山崎正昭君登壇、拍手〕
#7
○山崎正昭君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、福田内閣総理大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、本年の地震や台風により亡くなられた方々に対し、衷心より御冥福をお祈り申し上げます。今なお御不自由な生活を強いられておられる方々もたくさんおられます。政府には万全の対策を講じるよう要請いたします。
 九月十日に召集されました今国会も、安倍総理の体調不良のための辞任により、政治空白が生じました。与党執行部の一員として、国民の皆さん、野党の皆さんに御迷惑をお掛けしたことを深くおわびを申し上げます。
 その後、福田新総理が誕生して、官邸閣議室前に掛けられました書が「凜」から「和」という文字に変わりました。「和を以って貴しと為す」、正に福田新総理の政治信条を表しております。国民が安心できる政治のかじ取りを総理に要請し、国民とともに明日への道を着実に歩んでいかれますことを期待いたしております。
 本年は、参議院開設六十周年に当たります。この本院還暦の年に行われました第二十一回通常選挙において、我が党は多くの同志が議席を失い、与野党の勢力が逆転いたしました。衆議院では三分の二を与党が占め、参議院では野党が多数を占めるという、いわゆるねじれ現象の両院関係になりました。我が党のこの敗北をどう受け止めるか、まず総理の総括を伺わなければなりません。
 安倍前内閣は、歴代内閣が継承してきた経済重視の政策を軌道修正され、新教育基本法制定、防衛庁の省昇格、憲法改正のための国民投票法制定、公務員制度改革等々、戦後レジームからの脱却に向け、少しずつ国の根幹にかかわる改革が前進してまいりました。しかしながら、このことについて国民の皆さんからは評価を与えていただけなかった。あるいは、国民の不満の対象が多過ぎて評価を下すまでには至らなかった。これをどうとらえればよいのでしょうか。
 また、国民の厳しい批判にさらされた直接の要因は、年金記録問題、政治と金の問題、閣僚失言等の不祥事の三点であり、これらの問題の続出が国民の大きな怒りと失望を買う結果となってしまいました。さらに、美しい国、戦後レジームからの脱却という訴えが政策の優先順位とは民意とのずれがあり、国民の生活に必ずしもかかわっていないことも敗因ではなかったでしょうか。
 また、最も重視しなければならないのは地方での大敗であります。構造改革の結果、その痛みに地方が耐えられなくなっていて、一向に景気の回復が実感できていないのであります。その怒りが与党に向けられたのであります。その選挙結果をどう総括されるのか、これも伺います。
 選挙後生じた衆参のねじれを受けて、今後内閣から提出される法律案について一言申し述べます。
 法案作成に当たっては、従来の与党における審査に加え、今後は国民の各界各層の声を広く受け止めて丁寧に仕上げていくことが重要であります。提出後、法案成立のためには、例えば修正など与野党間での十分な協議と双方の歩み寄りは当然のことであり、政府においてはこのような状況下に最大限の努力をしていただきたい。そして、衆議院を通過しても、なおかつ丁寧な審議と修正など与野党間での協議を行うことこそ、再考の府たる参議院のあるべき姿ではないかと考えるものであります。
 参議院で多数を占められた野党第一党の政権担当能力も試され、民主党の国会運営の手法を国民はかたずをのんで見守っております。衆参のねじれを生かしながら、二院制のあるべき姿、国会運営の改善を進める良い機会が到来したと私は考えます。
 総理は、所信表明において、野党の皆様と重要な政策課題について誠意を持って話し合いながら国政を進めてまいりたいと述べられました。そこで、内閣提出法律案の立案について、また今後の二院制のあるべき姿と国会運営についてどのようにお考えか、お示し願いたいと思います。
 さて、今国会最重要課題のテロ対策特別措置法について伺います。
 世界を震撼させた米国同時多発テロ事件では、各国の犠牲者の中に日本人二十四名が含まれております。この事件を契機に、国際的なテロの防止と根絶のために立ち上がった国際社会の取組に我が国も積極的に貢献するため、この法律を制定しました。
 派遣した我が国海上自衛隊は、灼熱の太陽が照り付けるインド洋上で、米国を始め十一か国の海上艦艇に給油を実施してきました。米国が始めた戦争になぜ日本が加担するのかという声がありますが、決してそうではありません。
 テロ特措法制定に当たっては、派遣の根拠として、九・一一テロを国際の平和と安全に対する脅威と認定した国連安全保障理事会決議一三六八があり、他に国際テロ行為を非難し国連加盟国に防止措置を要請している安保理決議一二六九など、各種決議もあります。また、先月十九日、国連安全保障理事会は、アフガニスタンの国際治安支援部隊の任務を一年間延長する決議一七七六を採択し、その前文にインド洋上で海上阻止活動に参加する各国への謝意が明記されました。
 十一月一日で我が国海上自衛隊が給油活動ができなくなれば、給油を受けている各国海軍艦艇はたちまち活動低下に陥ることが想定されます。これまでの国際的評価が台なしになってしまうおそれもあります。さらには、日米同盟の根幹が揺らぐのではないか。北朝鮮問題もあり、経済、財政、あらゆる分野に影響することは必定です。
 立法府の出口を預かる我が参議院も、委員会において誠意を持って野党諸君と論議を交わし、法案成立に全力を傾ける所存であります。
 総理はこの課題にどう取り組まれますか。その方策とお考え、加えて御決意を伺います。
 次に、外交の諸課題について伺います。
 我が国を取り巻く情勢を見ますと、テロの問題を始め、北朝鮮の拉致、核問題、アジア近隣諸国との関係等、幾つもの不安定要因が見受けられます。冷戦終結から十数年を経た今日、国家のかじ取りは難しくなっており、方向を一つ過てば国益を大きく損ねかねないのが現状であります。
 こうした中、福田総理は、日本外交の基本は日米同盟の堅持と国際協調とした上で、積極的アジア外交を進める表明をされました。日本海を隔て北朝鮮という最大の脅威を抱える我が国にあって、アジア諸国との信頼関係を更に強固なものとし、特に中国等との緊密な連携を取ることは国益にも非常に重要であると存じます。総理の下で、日米同盟にしっかりとした軸足を置きつつ、アジアにも目配りの利いた外交が展開されることを期待いたしております。
 総理に、改めて我が国外交の指針について御所見を伺います。
 前内閣において日本外交の新機軸として取り組まれた課題に自由と繁栄の弧の形成が挙げられます。これはユーラシア大陸の外縁に沿う形で台頭してきた新興民主主義国との連携を強化しようとするものであります。これについて中国との関係から慎重論を唱える向きもありますが、総理はこの構想についてどのようにお考えか、披瀝願います。
 北朝鮮による拉致問題の解決は国民が念願するところであり、また核問題は安全保障上大変重要な課題であります。核問題については、六者協議で核施設の無能力化等に関して合意がなされるなど、一定の進展が見られます。しかし、拉致問題については大きな動きがなく、このまま置き去りになるのではという危惧があります。
 そこで、総理に、拉致問題の解決に向けた御決意と併せ、拉致問題の進展がない限りエネルギー支援は行わないとの方針を引き継ぐのか、伺いたいと思います。また、このたびの六者協議の評価についても併せて御所見をお尋ねいたします。
 次に、社会保障について伺います。
 社会保障の改革は、少子高齢化が進展する現在にあって従来の制度を将来にわたり堪え得るものにする重要な改革であります。医療、介護、年金と幅の広い分野で総合的、抜本的な改革を進めなければなりません。
 平成十六年には、年金制度の全面的見直しにより、保険料負担に上限を設けるとともに、負担と給付の均衡を図る抜本的な改革が実現しました。総理には、この制度改正により長期的観点から年金制度の安定化が図られることについて国民に分かりやすく説明願い、年金システムへの信頼を盤石なものにしていただきたいと思います。
 次に、年金記録問題の対応についてお伺いします。
 社会保険庁の改革は、国民最大の希望でもあり、現内閣においてしっかりとやり遂げなければなりません。社会保険庁の改革について、組織面においては廃止、解体され、職員の身分においては非公務員化にして、さきの通常国会ではそのための社会保険庁改革関連法を成立させました。これからは、年金の徴収、支払といった対応を迅速かつ適切に進めなければなりません。未統合の五千万件の年金記録を前倒しして名寄せし、すべての方に年金加入記録を通知して、年金問題に関する安心を回復するのが柱であります。
 総理には、年金記録問題への対応に関して、その工程を含めて国民への説明をしっかり丁寧に行っていただき、信頼の回復に全力で取り組む決意を示していただきますよう、お願い申し上げます。
 また、格差問題とも関連いたしますが、全国各地で医師不足が深刻化しております。さきの奈良県での妊婦の搬送受入れ問題も、その背景には医師不足が存在していると言えます。この問題については、厚生労働省と都道府県の間で地域を越えた広域での体制強化、再構築するしっかりとした政策が打ち出されました。
 今後は、文部科学省や総務省などとも連携し、内閣全体として取り組むべき総合的な医師不足対策が求められます。すべての国民が生まれてから死ぬまで安心して地域で生活できるためには、まず医師の確保が重要と考えます。総理、どう取り組まれますか、お伺いいたします。
 財政再建への取組について伺います。
 平成二十年度の予算のシーリングは、骨太方針を踏まえて、成長力の強化、地域活性化、環境立国、教育再生、生活の安全、安心などを重点分野とする一方、従来型の公共事業を三%削減するなど、総合的には引き続き歳出抑制の厳しい内容であります。総理は、所信表明演説でも、二〇一一年度にプライマリーバランスを黒字化する財政再建目標を掲げられました。ただ、国家財政への信頼を確保しながらも、必要なところにはそれなりの手当てをとの声にこたえていくことも求められております。
 総理は、特に重点分野や地方経済へ配慮しつつ、財政の構造改革、健全化をいかに実現していくか、お考えを伺いたいと思います。
 次に、公務員制度改革について伺います。
 さきの通常国会で、我々は、使命感とでも言うべき前総理の強い熱意を受け、能力・実績主義の導入と押し付け的天下りの根絶に向けた国家公務員法改正案を成立させました。これに基づき、現在政府で官民人材交流センターの制度設計がなされています。具体化に当たり、実効の上がる仕組みとすることはもとより、国民の支持もいただける制度となるよう強く要望いたします。
 さて、来年の常会では、公務員制度の総合的な改革に向けて基本方針や工程を示すプログラム法が提出される予定になっております。ここでは、採用から退職に至る人事制度全般に関する課題が盛り込まれることとなります。本院では野党が多数を占めていることから、改革の実現のためには、与野党の枠を超え、発展的な議論を展開していかなければなりません。また、改革を後押しする国民の声が重要であります。
 そこで、国民の深い理解を得られるよう、総理に公務員制度改革の必要性とその方針について伺います。
 次に、格差問題について伺います。
 総理も所信表明において述べられているとおり、国民が拡大していると感じている格差の大きな原因は、少子高齢化を始めとする社会構造の大きな変化と、経済のグローバル化に対応するために政府が行ってきた各般の改革に伴う影の部分として生じてまいりました。改革により制度や仕組みを急激に変えれば、その変化に上手に適応できた人は成功できても、様々な理由により適応できなかった人は一生懸命努力しても報われないということがどうしても生じてまいります。
 こうした状況を転換するためには、若者が働く場所を新たに生み出すための産業振興が必要ですが、交通網や情報網のような社会資本の整備が進んでいない現実があり、産業振興がなかなか進まない大きな原因となっております。財政事情が厳しいことは承知いたしておりますけれども、地方の競争力強化のためにも、立ち遅れた地方の社会資本整備が喫緊の政策課題と思います。総理は社会資本整備に関しどのようにお考えをお持ちか、お伺いをいたします。
 また、社会資本整備が真に必要な地方ほど財政力が乏しく、国の直轄事業であっても、必要な地方負担費用が捻出できず整備が進まないという現実があります。総理は、自民党総裁選挙の公約において、公共事業における地方負担の在り方を見直すことを挙げておられます。これは、地方負担割合を軽減させる方向で見直すお考えと理解をしてよろしいか、併せて総理の御所見を伺います。
 総理は所信表明において、地方と都市ともに支え合う共生の考え方の下、財政面からも地方が自立できるよう地方財政の改革に取り組むと述べられております。地方が財政面で自立していくためには、確かに従来から進めている地方への税源の移譲や、地域によって大きな税収格差の見直しなども必要でしょう。
 しかしながら、いかに税源を移譲されても、地方に職場や働き盛りの人たちが少ない現状では、住民の、企業の所得が低く、大きな税収の増加は見込めません。社会資本整備が進み、若者の働き場が確保され、税収が増えるまでは、地方交付税による国からの財源保障機能が不可欠であります。
 総理は、総裁選挙の公約において、地方への企業立地促進税制等、頑張る地方が自立できる税制、交付税を検討することを掲げておられますが、地方交付税についていかなるお考えをお持ちか、御所見を伺います。
 次に、農林水産業について伺います。
 私どもは、参議院選挙を通じ、地方の叫びを耳にいたしました。中でも、農林水産業者の方々からの訴えは切実であります。四月から品目横断的経営対策が本格的にスタートしたやさきでありましたが、小規模農家が切り捨てられるのではないか、特に私の地元福井では、いわゆる兼業農家が多くを占めるため、不安な声が多く聞かれました。
 農業を取り巻く国際環境が厳しさを増す中、意欲と能力のある農業者を育成し、日本農業を強くしていくことは、基本的な改革の方向としては正しいと思います。こうした中、総理は所信で、高齢者や小規模農家も安心して農業に取り組める環境をつくり上げると述べられました。今後、改革を進める過程で、農山村の現場の声をしっかりと聞き、老いも若きも将来に希望の持てる明るさを取り戻すよう、政府において果敢に取り組まれることを要望いたしておきます。
 WTOやFTAなど農産物の自由化の圧力が強まる中、強い農業を目指す方向は賛成であります。その際、是非、地方の実情も考慮し、多面的機能を果たす我が国の農業農村を守るという前提に立って政策の遂行をしていただきたい。総理の御所見を伺いたいと思います。
 水産業は、世界的な資源の枯渇、燃油の高騰による経営難、後継者不足、魚価の低迷と課題を挙げれば切りがありません。一方で、水産業者の努力も続いております。ズワイガニは平成五年に各府県で管理計画が策定され、TAC制度による管理が開始された結果、資源量が回復してきております。
 近年、マグロの輸入価格が高騰し、マグロが食卓から消えるとのショッキングな報道までありました。日本人の大事な食文化である水産資源を守るためには国際的な協力が必要です。水産業の現状と将来をどうお考えなのか、これも伺います。
 森林の重要性は地球温暖化の吸収源として注目を浴びており、加えてその多面的機能が語られております。このたびの台風でも、森林が整備されていないために山が崩れ、被害が大きくなった地域もございました。
 国有林を整備することは当然ですが、民有林が回復しなければ森林はその機能を十分発揮できません。国産材の消費を少しでも増やし林業を盛んにしていくことが重要ですが、その道筋も見えておりません。林業の現状と見通しをお伺いいたします。
 次に、環境問題について伺います。地球温暖化対策でございます。
 温暖化対策の命運を懸けた京都議定書の第一約束期間がいよいよ来年度から始まるわけですが、政府も現状のままでは六%削減目標達成は厳しいと認めております。しかし、このようなときこそ内閣が大胆な政策実行力を示し、環境立国の推進を力強く推し進めていただきたいと存じます。幸い、我が国には最先端の環境技術や深刻な公害克服の経験と知恵があります。来年七月に温暖化対策を主要議題とする洞爺湖サミットを控えている我が国としては、これらの経験と知恵を駆使し、何としてでも京都議定書が示す目標を達成しなければなりません。
 そこで、総理には、目標達成計画についての現状認識と今後の対応について伺いたいと思います。
 話せば分かるという言葉があります。これは是非、総理の心に留めておいていただきたいと思います。犬養毅はこの言葉を残し、問答無用という青年将校の凶弾でこの世を去ったと言われます。しかし、犬養の最期の言葉に込められた思いは正しいものであったと私は考えております。
 今後、我々は大変厳しい議会運営を迫られることとなります。そうした中にあっても、総理が国益をしっかりと見据え、情理を尽くして丁寧に信念や政策を語り掛けるならば、必ずや国民の支持と信頼とを取り戻すことができます。そして、野党諸君の御理解もいただけると私は確信するものであります。
 我々も全力を挙げて総理をお支えする所存であります。福田総理におかれては、自信を持って日本の再生と自民党の復活へ向けた指導力を発揮していただくことを心から願い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(福田康夫君) 山崎議員にお答えを申し上げます。
 冒頭、御支援のお言葉をいただき、大変ありがとうございました。
 御質問に順次お答えを申し上げます。
 まず、さきの参議院選挙における自民党の敗北をどう総括するかというお尋ねがございました。
 さきの参議院選挙の結果は、何よりも国民の政治や行政に対する不信が示されたものであると考えております。年金記録問題への対応などにおいて、国民の目線から外れている、国民の立場を軽視しているといった印象を国民に与えたことがこうした厳しい選挙結果につながったものと考えております。私に課せられた使命は、この失われた政治や行政に対する信頼を取り戻すことでございます。国民の目線に立って、国民生活の向上につながる政策を一つ一つ着実に進めてまいりたいと思います。
 今後の内閣提出法律案の立案、二院制のあるべき姿と国会運営についてお尋ねがございました。
 衆議院と参議院とで与野党が逆転している今日のような状況でこそ、国民に信頼される政治という原点に立ち戻り、政策の立案、実施に当たっては国民への説明と対話を十分に積み重ねていくことが必要であると考えております。また、野党の皆様に対しましても誠意を持って話し合いながら、真に国民のための政策を実現していくように努力をしてまいる所存でございます。
 御指摘のとおり、今日の国会の状況は、与野党が適度な緊張感を保ちながら建設的な議論を行うことによって、正に二院制が有効に機能する道を探る好機にあると言えると思います。
 インド洋における海上自衛隊の補給活動継続についてのお尋ねがございました。
 インド洋における補給活動は海上阻止活動の不可欠の基盤となっており、国連安保理決議一七七六号に示されているように、国際的にも高く評価され、活動の継続が期待されております。我が国は、この活動を通じて、我が国を含む国際社会の平和と安全を確保するための国際社会の取組の一翼を担うとともに、インド洋における海上交通の安全の確保にも貢献しております。
 テロとの戦いにおける我が国の国際的な責務を今後とも果たしていくため、この活動を引き続き実施していく必要があり、政府としては活動継続の必要性を御理解いただけるよう全力を尽くしてまいります。補給活動を継続するための必要な法的処置の在り方について現在検討中であり、速やかに骨子を取りまとめて野党を含め国民の皆様にお示しし、協議を始めたいと考えております。
 外交の基本方針についてのお尋ねがございました。
 国際社会の平和と安定は、我が国の平和と繁栄にとって不可欠です。私は、激動する国際情勢の中で、今後の世界の行く末を見据え、我が国が国際社会の中でその国力にふさわしい責任を自覚し、国際的に信頼される国家を目指し、世界平和に貢献する外交を展開します。
 アジア諸国との関係をより良くしていくことは当然でありますが、そのためには日米関係が強固である必要がございます。同時に、アジアにおいて日本の地位を確固たるものとし、地域の平和と安定を実現することは、日米両国にとっても利益になります。このような好循環をもたらすよう、日米同盟の強化と、中国を始めとするアジアの国々との外交を積極的に進めてまいります。
 自由と繁栄の弧の構想に対する認識についてのお尋ねがございました。
 私は、日米同盟と国際協調を外交の基本として、日米の信頼関係の一層の強化と積極的アジア外交を進めます。その際、自由と繁栄の弧の構想を念頭に置いた自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済といった基本的価値及び制度が重要である、この認識には変わりはございません。中国とは共通の戦略的利益に立脚した互恵関係を打ち立て、ともにアジアと世界の平和と安定に貢献してまいります。
 次に、拉致問題についてお尋ねがございました。
 我が国は、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。拉致問題の進展が見られない現状において、エネルギー供給に参加しないとの方針に変更はありません。
 今次六者会合の結果については、北朝鮮の非核化に向けた年内の行動が明確になったことや、日朝国交正常化の早期実現のために具体的な行動を実施していくことが明記されたことなど、評価し得ると考えております。今後、合意に基づいて具体的な行動が実施されることを期待いたしております。
 年金制度の安定化についてお尋ねがございました。
 年金制度については、平成十六年の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能とするための抜本的な改革を行ったところでございます。その後の経済状況の改善等により、年金財政はこの三年間で制度改正時の見込みより十二兆円程度も好転をしております。
 今後、所要の安定した財源を確保した上で、基礎年金国庫負担の二分の一への引上げの実現に取り組んでいくとともに、平成二十一年までに財政検証を行うことによりまして、国民への説明責任を果たし、国民生活の安心の確保に最善を尽くしてまいります。
 年金記録問題についてのお尋ねがございました。
 年金記録に対する国民の不安を解消していくためには、国民の皆様一人一人の年金記録が点検され、正しく年金が支払われることが重要であると考えております。年金はすべての国民にかかわる問題であり、政府を挙げて、年金記録問題解決に向けた取組について国民の皆様への説明を丁寧に行いながら、年金制度に関する信頼を回復してまいります。
 次に、医師確保の対策についてお尋ねがございました。
 全国各地の医師不足を訴える声を真摯に受け止め、地域にお住まいの方が必要な医療を受けられるよう医師を確保していくことは喫緊の課題です。本年五月末には、政府・与党が一体となって緊急医師確保対策を取りまとめ、緊急に講ずべき処置から中長期的な対策まで、各般の対策を盛り込んだところでございます。これを受け、地域の医療が改善されたと実感できるように様々な対策を具体化してまいります。
 財政の構造改革、健全化へ向けた決意についてお尋ねがございました。
 次の世代に負担を先送りしないためには、二〇一一年度には国と地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成するなど、歳出歳入一体改革を更に進めていく必要がございます。そのため、来年度予算編成において成長力の強化、地域活性化、生活の安全、安心等に資する施策にも重点化を図り、めり張りの利いた予算編成とする一方、今後とも行政経費の絞り込み等により歳出改革に取り組んでまいります。また、歳出改革、行政改革を実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しましては、安定的な財源を確保しなければなりません。
 今後、早急に国民的な合意を目指して本格的な議論を進め、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでまいります。
 次に、公務員制度改革の必要性とその方針についてのお尋ねがございました。
 公務員制度については、公務員の採用から退職にわたる課題について有識者から成る懇談会において総合的、整合的な検討をただいま進めているところであります。検討結果を踏まえ、行政の信頼を取り戻すことが重要であり、公務員一人一人が高いモラルを維持し、能力を高め、誇りを持って職務に専念できる総合的な制度となるように公務員制度改革を進めてまいります。
 地方の社会資本整備についてお尋ねがございました。
 社会資本整備については、厳しい財政事情の中、真に必要な分野に重点化していく必要がございます。とりわけ、地域活性化のため、各々の地方の状況に応じ、産業の活性化や人々の暮らしを支えるために何が必要かを考え、決してばらまきでなく、競争力強化等のために必要な社会資本整備を推進することが重要と考えております。
 公共事業における地方負担の在り方についてお尋ねがございました。
 国民生活は都会だけで成り立つわけではありません。地方と都会がともに支え合う共生の考え方の下に、地方が自ら考え実行できる体制の整備に向け、財政面からも地方が自立できるよう、地方税財政の改革に取り組みます。その一環として、公共事業における地方負担の在り方についても検討をしてまいります。
 次に、地方交付税についてのお尋ねがございました。
 地域間に大きな税源偏在がある中で、地方交付税は地域間の財政力格差を調整するとともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保する機能を有しております。このような機能は今後とも重要であると認識しており、地方交付税を含め、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保に努めてまいります。
 次に、農業農村についてのお尋ねがございました。
 我が国の農業農村は、国民に食料を供給するのみならず、地域の文化の継承、農村景観の保全など多面的な機能を有しております。こうした役割を踏まえつつ、意欲ある担い手の支援により、農業経営の体質強化を図ってまいります。また、農村現場の声を真摯に受け止めながら、集落でまとまった特色ある営農を行うことへの支援を始め、小規模な生産者等に対してもきめ細やかな支援を行うこと等により、農業農村の有する潜在力を引き出してまいります。
 水産業の現状認識と将来についてのお尋ねがございました。
 水産業は、資源状況の悪化、漁業生産構造の脆弱化など厳しい状況にある一方、世界的に水産物への需要が高まるなどの情勢変化に直面しております。このため、資源回復の推進、漁業の収益性改善や新たな経営安定対策の導入による足腰の強い経営体育成等の施策を展開し、力強い水産業の確立を図ります。
 林業問題についてお尋ねがございました。
 水をはぐくみ、国土を守る緑の社会資本としての森林を支えるためには林業の発展が重要であります。林業をめぐる情勢は、長期的な価格低迷、担い手の高齢化等厳しい状況にある一方、国産材利用の回復等明るい兆しも見られます。政府としては、担い手の確保や林業生産の低コスト化等を図りつつ、国産材の利用拡大を軸とした林業、木材産業の再生を図ってまいります。
 次に、京都議定書目標達成計画の現状認識と今後の対応についてお尋ねがございました。
 従来の大量生産、大量消費をよしとする社会から決別し、地球に優しい持続可能社会へとかじを切り替えていくために、地球温暖化問題は最優先で取り組むべき課題と認識しております。
 二〇〇五年度の我が国の温室効果ガスの排出量は、基準年度と比較して七・八%増加しており、既存の目標達成計画による対策のみでは京都議定書の六%削減目標の達成は極めて厳しい見通しです。来年度開催される北海道洞爺湖サミットなどの場を通じ、我が国が国際的にリーダーシップを発揮するためにも、京都議定書に掲げる六%削減目標を確実に達成することが必要であります。
 そのため、今後、特に排出量の伸びが著しい業務部門や家庭部門を始めとしたあらゆる分野において既存対策の着実な推進と追加対策の具体化を進め、年度内に政府として目標達成計画の改定に全力を尽くしてまいります。
 以上でございます。(拍手)
#9
○議長(江田五月君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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