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2007/10/05 第168回国会 参議院 参議院会議録情報 第168回国会 本会議 第5号
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2007/10/05 第168回国会 参議院

参議院会議録情報 第168回国会 本会議 第5号

#1
第168回国会 本会議 第5号
平成十九年十月五日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成十九年十月五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、調査会設置の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
  及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 一、事務総長辞任の件
 一、事務総長の選挙

     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。白浜一良君。
   〔白浜一良君登壇、拍手〕
#4
○白浜一良君 私は、公明党を代表し、福田総理の所信表明演説に関連し、当面する重要政策課題に絞って総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 初めに、福田新総理の御就任、心よりお祝い申し上げます。
 私たち公明党と自由民主党は、先月二十五日、新たな政権合意を交わしました。これまでの連立八年間の信頼関係を基礎としつつも、新しいスタートを切らなくてはならないという強い決意の上での政権合意でありました。
 諸課題が山積しておりますが、何よりも取り組むべきは政治に対する国民の信頼回復であります。政治資金の問題を始め、年金記録問題など、政治や行政に対する国民の不信感が募っております。まずは、私たち政治家が襟を正し、国民の信頼を回復するために、反省すべきは反省し、改めるべきことは直ちに改めることです。
 私たち公明党は、参議院で示された民意を深く受け止め、これからも、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいくとの立党精神に立って、生活者の視点に立った政策実現を目指してまいります。
 政治家に課せられた命題は、国民のために誠実に仕事を行い、その使命を果たすことだと確信するものであります。大事なことは何をしたかであり、その覇気を持って、まず私自身が全身全霊を傾けて仕事に取り組んでまいる決意であります。
 政権協議でも確認したように、構造改革路線は継続させなければなりませんが、改革を急ぐ余り、そこから取り残された人たちや地域、弱者に対するセーフティーネットが十分でなかったという反省を踏まえて、負担増、格差の緩和など国民生活に重きを成した政策を断行していかなければなりません。福田総理におかれましては、就任時に背水の陣で国政に当たるとの深い思いを披瀝されました。私は国民生活に重きを置いた仕事をする内閣として大いに期待しております。
 まずは、新総理として、どのような政治姿勢で国政に当たられるのか、その御決意を伺います。
 特に政治資金問題については、一層の透明性、公開性を実現すべきであります。これが公明党の一貫した主張であります。
 政治資金については、一円以上のすべての支出に領収書等添付を義務付け、その公開の在り方については、内外の意見を十分に勘案し、今国会で成案を得たいと決意しているところです。今後、与野党を超えて、早期に協議を進め、もう一段の改革が実現できるよう全力を挙げてまいりたいと思います。
 自民党総裁として、この問題にどのように取り組まれるのか、御答弁をいただきたいと思います。
 我が国は、少子高齢化社会やグローバル化社会の中にあって、乗り越えるべき課題が山積しております。
 国内を見ても、少子化、子育て支援策、持続可能な社会保障制度の改革、経済活性化と財政健全化への取組、地方分権、地方の活性化と地域、雇用、企業間におけるいわゆる格差問題への対応、農林水産業の再生と振興策、地震等災害に対する安全な国づくりなど、待ったなしの状況です。さらに、世界に目を向けても、地球環境問題や国際的なテロ対策等、日本は国際社会の一員としてその責務を果たしていかなければなりません。
 これらの課題に示されるとおり、私は、時代がますます混迷し、不確実性が増しつつある社会の中にあって、最も重要な課題の一つが、国民の不安を解消し、安全、安心の確保に政治が全責任を持つということではないかと考えます。福田新内閣においては、是非とも国民、生活者の視点に立ち、国民の安全、安心を守るために、あらゆる政策の実現に全知全能を注いで取り組まれることを強く期待するものであります。
 以下、具体的な政策課題について質問をいたします。
 我が国の公的年金制度には、老後の備えだけではなく、生計維持者が亡くなった場合に残された家族に対する遺族補償や、障害者になった場合に手厚い障害補償があるなど、ヘッジ機能を備えた大きなメリットがあります。しかし、社会保険庁の労働慣行から発生した年金記録問題に加え、最近発覚した社会保険庁職員や市町村職員による年金横領事件は、年金制度そのものへの信頼を更に大きく失墜させてしまいました。舛添厚生労働大臣は厳正に対処する旨を明らかにしておりますが、徹底的にうみを出し切り、年金制度への信頼回復に向け総力を挙げて取り組んでいただきたいと強く訴えます。
 特に、年金記録問題については、本年七月に取りまとめた政府・与党の総合対策に基づいて、すべての方に適正な年金をお支払いするために、着実に実施し、その進捗状況については国民の皆様に適宜情報を公開していくべきであります。さらには、安定した年金制度の構築に向けて、被用者年金一元化の推進、二〇〇九年までに基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げの実現、国民年金の事後納付可能な期間を現行二年から五年への延長など、二〇〇四年改革で実現した年金制度を補充、補完する更なる改革を検討すべきと考えます。
 年金記録問題への対応及び国民の信頼を得られる年金制度の構築へ向けた総理並びに厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、産科医師不足問題についてお尋ねします。
 奈良県で、妊産婦が九つの救急病院等に受入れを拒否され、救急車内で死産するという大変に胸の痛む事件が起きました。奈良県では昨年も、分娩中に意識不明となった妊産婦が十九の病院に断られ死亡するという不幸な事件が起きました。千葉県や北海道でも同様の事件があったことが報じられています。頻発する背景には、医師不足、特に産科医の不足があることはだれの目にも明らかです。
 産科医不足問題は、産科医の報酬引上げや過酷な長時間労働の大幅改善など抜本策を講じ、医師を確保する必要があります。あわせて、ドクターヘリの配備促進、救急患者の受入れを確実に行うためのシステムづくりなど、救急医療の整備等、更なる医療体制の整備、強化についても早急に検討しなければなりません。総理及び厚生労働大臣の御見解を伺います。
 政権協議では、高齢者医療制度について、来年四月に実施が予定されている七十歳から七十四歳までの窓口負担の一割から二割への引上げ及び七十五歳以上の新たな後期高齢者医療制度における被扶養者からの保険料徴収の凍結について早急に結論を得て措置するということになりました。総理は、総裁選でも高齢者医療費負担増の凍結を検討と掲げておりましたが、総理の率直なお考えをお尋ねしたいと思います。
 母子家庭等支援について伺います。
 現在、児童扶養手当について、来年四月より受給期間五年を超える場合に二分の一の範囲内で減額をするとの見直しが検討されております。現場の声は、現実的に就労していても非正規雇用が多い、就労しても生活には児童扶養手当が必要だとの悲痛な叫びがあります。このような声を重く受け止め、減額については凍結すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、今後のがん対策についてお尋ねします。
 今年四月にがん対策基本法が施行され、六月には基本計画が策定されました。この基本計画には公明党の主張も反映され、放射線療法及び化学療法の推進、放射線治療を担う専門医や医療スタッフの育成、早期からの緩和ケアの実施等が盛り込まれ、がんプロフェッショナル養成プランも開始されています。今後重要なことは、単に緩和医療の専門家を養成するにとどまらず、すべての医師が緩和ケアマインド、すなわち患者の側に立って物事を考えるセンスを持てるようにすることであり、基本計画が今どう進んでいるかも含め、厚生労働大臣の決意を伺います。
 さらに、患者本位のがん治療体制を確立するための医療提供体制の整備、特にセカンドオピニオンの充実やがんに関する情報の提供窓口の整備など、患者、家族のニーズを踏まえた施策を強力に実施していくことが求められています。今後の取組について厚生労働大臣の基本的見解をお尋ねします。
 肝炎対策について伺います。
 公明党の主張により、与党プロジェクトチームにおいて、治療をしなければ肝硬変や肝がんになる可能性が高くなるC型肝炎の患者の方々のインターフェロン治療に対し、公費助成を行っていくべきとの方針を確認いたしました。今後、助成対象の範囲や具体的助成方法など検討していくことになりますが、政府においては、どこまでも患者の立場に立った施策を速やかに実施していただくよう強く申し上げたいと思います。
 さらに、早期発見、早期治療が肝がんの予防対策として重要であることから、感染者に早期治療を促すことや、受診率、治療水準の向上を図る取組が医療提供者側の喫緊の課題であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 被災者生活再建支援法の見直しについてお伺いします。
 与党としても、このたび、プロジェクトチームにおいて拡充案を取りまとめしました。その内容は、現行で対象外となっている住宅の建設や購入に二百万円、補修に百万円を支給、さらに全壊世帯には百万円、大規模改修が必要な半壊世帯には五十万円、使途を限定せずに定額で支給するものであります。また、世帯主の年齢要件を撤廃し、年収制限を一律八百万円以下に見直すという内容であります。
 現行制度では、住宅に関しては解体撤去費しか認めていないなど使途が限定をされており、対象世帯の多くが限度額の三百万円まで受給できないというのが現状であります。また、申請手続が煩雑なので被災者や自治体の負担も大きく、全国知事会などからも改善を求める声が高まっていました。これらを踏まえて、被災者の方や自治体の立場に立った視点から取りまとめたものであります。是非とも今国会で成案を目指したいと思います。被災者生活再建支援法の見直しについて総理の見解をお伺いいたします。
 次に、中国残留邦人支援についてでありますが、このたび、与党プロジェクトチームを中心に老齢基礎年金の満額支給のための措置など中国残留邦人に対する新たな支援策を取りまとめ、残留孤児の方からは、これで祖国で安心して生活ができると喜んでいただくことができました。この支援策を一刻も早く進められるよう、総理のリーダーシップの下、必要な立法措置や予算措置を進めていただきたいと存じますが、総理の御決意をお伺いします。
 経済の持続的な成長を実現するためには、産学官の連携強化による研究開発投資、人材育成などを総合的、一体的に推進することによりイノベーションの創出を図ることが核心であると考えます。こうした視点に立って、これまで取り組んできた成長戦略に継続して取り組むことは重要であると考えます。
 また、地域再生への取組については、地域と都市の格差を是正するためには、地域コミュニティーの再生や必要な社会インフラの整備など、地域活性化推進のための施策を大胆に講じる必要があります。そのためには、地域に必要な財源を確保するために地方税財政の改革に取り組む必要があります。あわせて、地方自治体に一層の権限移譲を行うことも重要であります。
 我が国の経済成長と地域再生のかぎを握るのは、中小零細企業をいかに支援するかであります。そのためには、金融・経営支援の強化や事業承継税制の抜本見直しなど、中小企業支援策の拡充を図ることが重要です。
 とりわけ、十月一日より責任共有制度が導入されていますが、この制度により中小企業の資金調達が阻害されることのないよう最大限の目配りを行うとともに、各地域の金融機関が中小零細企業の経営支援に積極的にかかわるという本来の制度の趣旨が果たされるよう、金融当局としても適切な指導力を発揮していただきたい。
 さらには、下請いじめや不当ダンピング等、市場における競争の過熱により生じたひずみについては、放置することなく、これを是正することも不可欠です。現在、難しい局面になっていますが、原油など原材料高騰を価格転嫁できる取引慣行の適正化を促すなど、きめ細かな対策が必要であります。
 地域再生と中小企業への支援強化策について、総理のお考えを承りたいと思います。
 農業政策について伺います。
 今年度から始まった品目横断的経営安定対策等は、平成の農政改革とも称され、戦後農政の一大転換を図る重要な施策であります。
 対策が遺漏なく進められるよう、公明党としても全国各地で農業活性化フォーラムを開催し、農業者などから直接意見を伺ってまいりました。その中で特に多かったのは、メリットや仕組みが分かりづらく、手続も煩雑だという御意見でした。農業者の理解を得られなければ改革自体が進みません。いかに分かりやすい説明をし、手続を簡素化できるかということが重要だと考えます。
 もう一点は、担い手要件に満たない小規模農家あるいは中山間地域においては、結局、国から切り捨てられるのではないかという誤解に基づく不安の声も多くありました。こうした不安を一掃するには、集落営農への誘引、特に組織の立ち上げに対するきめ細かい支援の強化充実が不可欠であると思います。これらの点を踏まえて、平成の農政改革を推進する上で今後どのような対策を講じられるのか、総理のお考えを伺います。
 WTO及びEPA交渉に対する強い懸念の声がほとんどの地域から寄せられました。農業の自由化交渉については、多様な農業の共存を基本理念としながら、現在も進めている農業の構造改革を一段と進めつつ、日本として最大の利益を得ることが最も重要です。政府として今後の展望をどのように描いているのか。特に、難航しているWTO交渉に対する総理の決意を伺います。
 教育再生のかぎを握るのは、いかにして教員や学校へバックアップを図るかです。家庭、地域、行政が一体となって学校そのものを支援していくことは当然ですが、何といっても現場の教員が子供と向き合う時間が十分に確保できないとの声が多く聞かれます。教員が本来の教育活動に専念できるよう、できるだけ事務的な作業は軽減し、子供と触れ合う時間を確保できる環境づくりに力を注ぐなど、あらゆる工夫を凝らした支援体制の強化が欠かせません。また、教員の質の向上を図るために、現職教員が常に切磋琢磨できる環境を整備するなど、総合的な対策も求められています。
 この点も踏まえて、今後の教育再生について総理のお考えを伺います。
 総理、私は、子供が自然に触れ、自然の中で生活するという体験は、子供の豊かな心をはぐくむ上で非常に重要であると考えます。
 本年、長野県大町市八坂地区を党としても視察させていただきましたが、長期にわたって山村への留学を体験した子供たちは、その後、大変に生き生きと学校生活を送ることができ、情操教育として非常に効果があると聞いております。また、特筆すべきは、子供を受け入れた地域は都市との交流が進み、結果として地域が活性化されるなど、コミュニティーの再生にもつながるということでした。
 公明党は、すべての小学生が農山漁村等で少なくとも一週間以上の体験留学ができる機会を提供すべきと思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、文化芸術の振興について伺います。
 文化芸術立国の実現へ向けて、本年二月に、文化芸術振興基本法に基づく基本的な方針が策定されました。この取組を一層推進するためには、例えば、地域の活性化にも大変重要な役割を果たす文化財の保護や子供の文化芸術体験活動の更なる拡充など、総合的な政策の充実を図ることが必要であります。予算の十分な確保も必要であると考えます。総理の文化芸術の振興に対する御見解をお伺いいたします。
 地球温暖化防止への取組についてお伺いします。
 今年の夏は、七十四年ぶりに最高気温が更新されたことに象徴されるように、かつてない猛暑に見舞われ、国民の多くは地球温暖化の影響を実感しました。先般開催されたAPECでは、世界のCO2排出量の六割を超える国々の首脳が集まり、地球温暖化に関する特別声明が出されました。
 京都議定書の六%削減約束達成のため、温暖化対策を抜本的に強化するとともに、洞爺湖サミットの成功を目指し、米中などすべての主要排出国が参加する枠組みの構築に主導力を発揮することが大切です。我が国の優れた省エネ・環境技術による国際協力も推進しなければなりません。具体策として、公明党は、日中環境基金の創設など、日本と中国が温暖化防止や環境汚染防止に関する協働関係を構築すべきことを提案しています。
 地球温暖化防止を目指し、我が国はどのような役割を果たし、具体的にどのように取組をされるのか、総理の基本方針をお伺いいたします。
 次に、独立行政法人の見直しについてお伺いします。
 現在、政府は年内をめどに独立行政法人整理合理化計画を策定すべく検討を進めているところですが、中央省庁からの天下りによる癒着などに起因する国民の不信を払拭するとともに、税金の無駄遣いをなくして効率的な政府とするためには、独立行政法人の廃止、民営化や法人への財政支出の削減等の成果を上げなければならないと考えます。
 その検討に当たって、公明党は、一つ、独立行政法人からの資金の流れや再就職状況の透明性の確保、二つ、事務事業の見直しに当たって第三者の参加による事業仕分の実施、三つ、国家公務員に比べて割高な給与水準の透明性の確保と適正な水準への引下げ、四つ、厳格な事後評価の徹底といった点に特に留意をすることが重要と考え、政府に対して申入れを行ったところであります。
 これらの点を踏まえ、独立行政法人を見直すことを求めます。総理の御決意をお伺いします。
 二〇〇一年九月十一日、世界を震撼させた米国同時多発テロから六年が経過しました。数千人もの尊い人命を、崩れゆく超高層ビルとともに一瞬にして奪い去った前例のないテロ行為は、断じて許されることではありません。
 当時、ドイツのシュレーダー首相は、これは米国だけでなく、すべての文明社会に対する宣戦布告だとの声明を発表いたしましたが、国際社会は一致して卑劣なテロとの戦いに立ち上がりました。しかし、いまだ多くの一般市民を巻き込んだ無差別テロが世界各地で続発しております。テロとの戦いは、国際社会の最重要課題であり、国際社会が結束して取り組むべき長期にわたる戦いであることは言うまでもありません。
 現在、海上自衛隊が行っている外国艦船に対する補給活動は、各国が連帯して行う洋上阻止活動の不可欠の基礎となっています。活動の成果として、インド洋を利用してテロリスト、武器、麻薬が流出入するのを阻止し、抑止することに寄与しています。無線照会回数も激減するなど、テロリストの働きは確実に阻止されています。
 さらに、海上阻止活動を支える我が国の海上自衛隊による貢献に対し、各国から高い評価と謝意、継続要請が寄せられているところであります。そして、先月二十日には、新たに安保理決議一七七六が採択され、不朽の自由作戦や海上阻止活動等に対する各国の貢献が評価されました。国際社会が、海上阻止活動を含め、我が国の支援を含むこれまでの国際的努力に対し、その継続の必要性を明確に表明されたものと受け止めております。このように、アフガニスタンやインド洋上における対テロ抑止活動が国際的なコンセンサスと国連決議に基づく正当性を持っていることは明らかであります。
 海上自衛隊がインド洋上で補給活動を継続するということは、日本が国際社会の一員として、テロは断固許さないという強靱な意思と平和実現への責任を果たすという姿勢を国際社会に示すことになります。そういう意味で、今国会での論議を通じ、あるいはあらゆる機会をとらえてこうした活動を継続することの必要性を丁寧に説明し、国民の皆様に御理解いただくということが大事だと思います。総理の御見解を承りたいと思います。
 六か国協議の進展についてお伺いします。
 今年一月の米朝ベルリン協議以来、米朝対話は急速に進展しております。今回の六か国協議の合意に見られるように、北朝鮮も核施設の無能力化に協力しているようにも見えます。また、昨日の南北首脳会談の共同宣言に朝鮮戦争終結へ協力とありますが、我が国は拉致問題解決をどのように進めていくのか、総理の御決意をお伺いいたします。
 ミャンマーの軍事政権による反政府デモの武力弾圧で、日本人記者長井健司さんがお亡くなりになりました。心より御冥福をお祈り申し上げます。
 ミャンマーに対しては日本は、無償資金協力十七億円、技術協力十六億円を行っていますが、政府はこれらの援助に対してどのように対処をお考えになっておるのか。ミャンマー民主化には、影響力の強い中国の働き掛けが不可欠だと思われますが、アジアの民主主義国の代表として、政府は今後どのようなリーダーシップを取っていくおつもりなのか、総理の御見解を承りたいと思います。
 最後に、参議院の役割について一言申し上げます。
 さきの参議院選挙を受け、参議院は与野党が逆転しました。参議院と衆議院とで政治構造が異なるという状況は、一面では政治を不安定にさせるものであります。しかし、私は、今般の選挙における国民の民意を真摯に受け止め、正に参議院の真価が問われる絶好のチャンスを迎えたととらえ、国民の負託にこたえていくことこそが良識の府に属する私たち参議院議員一人一人の役割ではないかと考えるものであります。
 総理が所信表明演説で示されたように、国民の生活を守り、国民の利益を守ることこそが政治の使命です。仮にも、与党、野党それぞれが政局に明け暮れ、不毛な対立ばかりが続けば、国民生活に支障を来すばかりか、参議院の品位、存在価値自体が問われかねません。
 総理におかれましても、我が国の直面する諸課題に日本のかじ取り役として果敢に挑戦されることを心より念願いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(福田康夫君) 白浜議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。
 冒頭、白浜議員から私の政治姿勢についてお尋ねがございました。
 議員のおっしゃるとおり、何よりも取り組むべきは政治への国民の信頼回復である、そのとおりで私もあると思っております。政治と行政に対する国民の不信を率直に受け止めておるものでございます。国民の信頼なくして政治も政策の実行もこれは不可能であります。そういうことから、私は真に国民の目線に立った政治を、また行政を進めることによりまして、失われた信頼回復に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 少子高齢化とか、また人口の減少、環境問題というような、そういう諸問題が顕在化している今、この日本は大きな転換期を迎えているという状況にあります。先の見えない不確実な状況のある中で、将来を見据えた構造改革、今後とも継続していかなければいけないと考えております。ただし、格差と言われるような様々な問題が生じておることも事実でございまして、私から、この現実から目をそらすことなく、生じた問題については一つ一つきちんと処方せんを講じていく、そのようなことに全力を挙げてまいりたいと思います。
 今後とも、公明党との連立政権の下で、日本の将来の発展と国民生活の安定を最優先に、全力を傾けて職責を果たしてまいる所存でございます。何とぞ御理解と御協力を賜りますように、改めてお願い申し上げます。
 次に、政治資金の問題にどのように取り組むのかというお尋ねがございました。
 政治資金の新たなルール、これを策定するに当たりましては、国民から信頼されるものかどうかという基本的な考え方の下で、国民の目線で検討されるべきものと考えております。
 まず、国民から見れば、経理報告や監査の方法が民間と政治家で異なっているというのは理解し難いという、そういう御意見がありました。これはごもっともなことであると思っております。そうした意味で、民間企業の経理報告や監査の仕組み、こういうものは大いに参考にすべきであるというようにも思っておるところでございます。
 そのような観点から、今般、自由民主党と公明党との間で、一円以上のすべての支出に領収書等添付を義務付けについて合意したということは、これは国民の理解を得られる大きな前進であると考えております。
 また、現在の政治資金ルールは具体的な取扱いで判断に困ることもあるのも実態でございます。そして、結果としてこれが国民から疑惑を持たれてしまうという原因ともなっております。そのため、統一的な解釈の下ですべての政治家の資金管理についてしっかりとチェックを行っていくような第三者機関の設置、これは十分検討に値するものであると考えております。
 今後、このような考え方も踏まえながら、与野党の間で十分に御議論いただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
 次に、年金制度に関するお尋ねがございました。
 年金制度はすべての国民に関することでありまして、年金制度への信頼を回復するとともに、長期的な視野に立った制度設計が不可欠です。
 年金記録問題につきましては、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に基づき、計画的かつ着実に取組を進め、国民の信頼を回復してまいります。
 年金制度については、平成十六年の制度改正におきまして、長期的な給付と負担の均衡を確保して制度を持続可能とするための抜本的な改革を行ったところであります。
 今後は、まず今国会において継続審議となっております被用者年金一元化法案の早期成立をお願いするとともに、所要の安定した財源を確保した上で、基礎年金国庫負担二分の一への引上げの実現に取り組んでまいります。さらに、国民がより安心して頼れる制度とするために、御提案の点も含め様々な課題について、将来にわたって国民の信頼が得られる年金制度となるよう十分に議論をしていく必要があると考えております。
 次に、医師確保対策などについてのお尋ねがございました。
 医師確保対策につきましては、本年五月末に取りまとめた緊急医師確保対策に基づきまして、病院勤務医の過重労働の改善、産科等の診療報酬の見直しなどを通じ、産科、小児科を中心とした医師不足問題について実効性のある対策を具体化してまいります。救急医療等の医療提供体制につきましては、連立政権合意に沿って、ドクターヘリの配備促進、救急患者の受入れを確実に行うためのシステムづくりなどにつきまして、その充実に取り組んでまいります。
 次に、高齢者医療制度についてのお尋ねがございました。
 昨年の医療制度改革は、今後高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中で、現役世代と高齢者の負担の公平を図りつつ、医療制度を持続可能な制度とすることを目的として実施したものでございます。こうした改革の理念、方向性は堅持しつつ、高齢者の方々が置かれている状況に十分配慮しながらきめ細かな対応に努める必要があると考えておりまして、今後、連立政権合意に基づく与党内での議論を踏まえ、予算措置も含めて十分に検討してまいります。
 児童扶養手当についてのお尋ねがございました。
 児童扶養手当については、平成十四年の法律改正において、離婚等による生活の激変を緩和しつつ母子家庭の母の自立を促進する観点から、就労支援策等の強化と併せて、受給期間が五年を経過した場合にはその一部を支給停止する仕組みが導入されたところでございます。平成二十年四月から実施予定の一部支給停止措置の取扱いにつきましては、連立政権合意に基づく与党内での議論を踏まえ、母子家庭の母に対する就労支援の進展状況やその生活実態等も考慮しながら、今後十分に検討してまいります。
 肝炎対策についてお尋ねがございました。
 肝炎対策につきましては、早期発見、早期治療の促進、治療水準の向上が重要であるという観点から、従来より検査・診療体制の強化、治療方法の開発等の対策を推進してまいりました。政府としては、こうした取組についてより一層の充実を図るとともに、従来の延長線上ではない新たな対策につきまして、今後与党と更に調整を進め、できるだけ早期に具体案を取りまとめてまいります。
 被災者生活再建支援法でございます。
 この件につきましては、与党においては、本法に基づく被災者生活再建支援制度が真に被災者や自治体の立場に立った使い勝手の良いものとすべく改正案をまとめられたと伺っております。政府としても、本年三月、内閣府に検討会を設け、見直しに向け本格的な検討を行ってきたところでありますが、国会での議論を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 中国残留邦人に対する新たな支援策についてのお尋ねがございました。
 中国残留邦人に対する新たな支援策については、御指摘の老齢基礎年金の満額支給等を内容とする立法措置について立法府においても御議論いただきたいと考えておりますが、政府としても、できるだけ早期に支援策を実施できるよう全力で取り組んでまいります。
 地域再生についてでございます。
 地方再生のためには、御指摘にありましたように、地域コミュニティーの再生等、それぞれの地域の実情に合わせた施策を効果的に推進することが重要と考えております。そのためには、地方の切実な声にこれまで以上に耳を傾け、自立と共生という改革理念の下に地方と都市とがともに支え合う考え方に立つことが重要であります。政府としては、地方の再生に向けた戦略を一元的に立案し実行する体制として地域活性化統合本部を設けることといたしまして、私からその旨を関係閣僚に本日指示いたしました。この体制の下で、地域の実情に応じた支援を立案、実施してまいります。
 また、地方自らが考え、実行できる体制の整備に向け、地方自治体に対する一層の権限移譲を行うとともに、財政面からも地方が自立できるよう地方税財政の改革に取り組むなど、地方再生の構造改革に政府を挙げて取り組んでまいります。
 中小企業への支援についてでございますが、中小企業は我が国の経済成長を下支えする重要な役割を担っておりまして、また、地域経済の活力の源泉でもあります。こうした中小企業の多くが景気回復の恩恵を受けられずにいる現在の状況を変えていかなければなりません。そのために、金融・経営支援の強化や、特に事業承継の円滑化など、地域に根差して懸命に頑張る中小企業の方々に対して手を差し伸べ、後押ししていく政策を効果的に展開していくことが重要であります。
 中でも、御指摘の円滑な資金供給は中小企業の生命線でもあります。担保や個人保証に過度に依存しない金融の推進など、中小企業に対する金融の円滑化に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また、大企業と中小企業の調和の取れた成長を図るためには下請取引の適正化が重要であります。中小企業に不当な不利益を与える優越的地位の濫用等に厳正かつ積極的に対処するなど、取引慣行の適正化を強力に推進してまいります。
 品目横断的経営安定対策の推進についてのお尋ねがございました。
 我が国農業が直面している最大の課題は、農業従事者の減少、高齢化により生産構造の脆弱化が進んでいることであります。将来にわたり国民に食料を安定的に供給していくために、品目横断的経営安定対策等の推進によりまして農業経営の体質強化を図ってまいります。
 その際、農村現場の声を真摯に受け止めながら、新たな対策について丁寧な説明に努めるとともに、特に、集落でまとまった特色ある営農の立ち上げ等に対する支援を始め、小規模な生産者等に対してもきめ細やかな支援を行うこと等により、農業農村の有する潜在力を引き出してまいります。
 WTO農業交渉についてでございます。
 WTO農業交渉につきましては、現在、農業交渉議長が七月に提示した関税削減等のルール、いわゆるモダリティー案について集中的な議論を行っているなど、正に重要な局面を迎えているところであります。我が国としては、このような状況を十分認識した上で、多様な農業の共存を基本理念として、関係各国と連携を図りながら、我が国として最大限の利益を得られるよう、交渉の早期妥結に向けて戦略的かつ積極的に取り組んでまいります。
 教育再生についてのお尋ねがございました。
 教育は家庭にとって極めて関心の高い問題であります。学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組んでまいります。信頼できる公教育を確立することがまず必要であります。教育サポート体制の推進や教員の事務負担を減らすことなどによりまして、教員が子供たちと十分に向き合える時間を増やすように努めてまいります。また、優れた教員の顕彰や質の高い研修等を通じ現職教員が互いに切磋琢磨することにより、教員の質の向上を図ることも重要と考えております。
 農山漁村での体験留学の件でございますけれども、子供たちが農山漁村において自然体験や農林漁業体験などを行うことは、未来を担う子供たちの豊かな心をはぐくむ上で、また農山漁村地域の活性化を進めていく上でも重要であると考えております。このため、小学生が農山漁村で一週間程度宿泊して様々な体験を行う取組を全国的に広げていけるように、総務省、文部科学省、農林水産省が連携し、学校側と受入れ地域側の体制づくりを進めてまいります。
 文化芸術の振興につきましては、文化芸術は国民の心を豊かにし、社会に活力を与えるとともに、我が国の魅力を世界に発信し、国際社会における我が国の地位向上に寄与する重要な役割を果たすものであります。政府としては、日本の文化芸術を継承、発展、創造を担う人材の育成を始め、総合的に文化芸術の振興を図り、国民が誇りを持てる文化芸術立国の実現に努めてまいります。
 地球温暖化防止に向けて、我が国がいかな役割と具体的取組をしていくかについてのお尋ねがございました。
 我が国の環境・エネルギー分野における技術は世界最高水準にあり、この問題の解決に向けて世界をリードできる立場にございます。持続可能社会の実現に向け、他国に対しても率先して温暖化の防止に向けた働き掛けを行っていかなければなりません。そうした観点から、省エネ・環境分野における日中協力についても推進していく考えであります。
 また、焦点となっている二〇一三年以降の次期枠組みにつきましては、我が国として、来年の北海道洞爺湖サミットも念頭に、美しい星50提案の更なる具体化を通じて、すべての主要排出国が参加する実効性のある国際的な枠組みづくりに向けて、引き続き国際的な議論を主導していく考えであります。
 次に、独立行政法人の見直しにつきましてでございますが、百一の独立行政法人の事務事業の必要性や組織の在り方、さらには運営の効率化、自律化について、原点に立ち返って徹底的に見直しを行い、本年内を目途に独立行政法人整理合理化計画を策定いたします。この計画の策定に当たっては、独立行政法人からの資金の流れの透明性の確保など、申入れをいただいた点も念頭に置きながら、国民の立場に立った成果を上げるよう取り組んでまいります。
 インド洋における海上自衛隊による補給活動の継続の件であります。
 インド洋における補給活動は、海上阻止活動の実施の上で不可欠の活動基盤となっております。先般採択された国連安保理決議一七七六号にも示されているように、国際的にも高く評価され、活動の継続が期待をされております。したがって、我が国はこの活動を通じて、我が国を含む国際社会の平和と安全を確保するため、国際社会の取組の一翼を担うとともに、インド洋における海上交通の安全の確保にも貢献してまいります。テロとの戦いにおける我が国の国際的責務を今後とも果たしていくために、この活動を引き続き実施していく必要があります。
 御指摘のとおり、政府としては、国会での御議論や様々な機会をとらえて、野党を含め国民の皆様に活動継続の必要性を御理解いただけるよう全力を尽くしてまいります。政府としては、補給活動を継続するための必要な法的措置の在り方について現在検討をしているところでございますけれども、速やかに骨子を取りまとめて、野党を含め国民の皆様にお示しし、協議を始めたいと考えております。
 北朝鮮による拉致問題についてのお尋ねがございました。
 我が国は、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。
 三日、六者会合の成果文書が発表され、日朝関係についても、日朝双方は具体的な行動を実施していくことが明記されました。今後とも六者会合などの場を通じ、米国や韓国を始めとする関係国とも緊密に連携協力しながら、日朝協議に真剣に取り組み、北朝鮮側に対し、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を求めてまいります。
 ミャンマー情勢でございます。情勢が悪化したミャンマーで邦人の方が亡くなられたことは誠に遺憾であり、日本政府としてミャンマー政府に対し抗議を行うとともに、その真相究明を求めているところであります。
 経済協力につきましては、ミャンマー国民に直接利益をもたらす人道案件等に限定して実施してきておりますけれども、現在のミャンマー情勢にかんがみ、同国への経済協力を更に絞り込むことも検討しておるところでございます。
 ミャンマーの民主化や人権の状況については強い懸念を有しております。政府としては、ミャンマー政府に対し、実力を行使するのではなく対話を通じて事態を解決するよう働き掛けを行っております。私自身も、中国の温家宝総理に対しまして事態解決に向けて協力を求めました。また、薮中外務審議官は、ミャンマー政府に対し事態の解決を強く働き掛けました。政府としては、国際社会の様々な取組とも連携しながら、迅速かつ粘り強く働き掛けを行ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(舛添要一君) 白浜議員より、まず年金制度についてのお尋ねがございました。
 保険料の横領等の事案につきましては、社会保険庁職員について、現在、現役及びOB職員に対し調査を行っておるところでございます。また、市町村職員については、告発の可能性のある市町村に対して厳正な対応を求めたところであります。また、告発をしない市町村に代わりまして社会保険庁が告発することも検討しております。
 年金記録問題につきましては、五千万件の年金記録の名寄せを行うとともに、すべての方々への加入履歴をお知らせするねんきん特別便の実施やコンピューターの記録と台帳等との計画的な突き合わせなどに着実に取り組んでまいります。また、その進捗状況につきましては、国民の皆さんに分かりやすく説明をしてまいります。
 年金制度につきましては、平成十六年度の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするための見直しを行ったところでありますが、さらに被用者年金一元化のための所要の法案が今国会において継続審議となっております。その早期成立をお願いしたいと考えております。
 また、基礎年金国庫負担の二分の一への引上げは、年金制度の持続可能性確保のための必須条件であります。今後、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革の動向も踏まえつつ、実現してまいりたいと考えております。
 なお、御提案の国民年金の保険料の事後追納を五年間に延長することにつきましては、具体的な内容は必ずしも明らかではございませんけれども、一般に、二年の保険料徴収の時効期間には変更を加えずに、保険料の納付については更に三年間の任意納付を求めるというものでありまして、様々な観点から十分な検討が必要だと考えております。
 いずれにせよ、国民の信頼をより得られる年金制度とするために全力を挙げて取り組んでまいります。
 続きまして、医師確保についてのお尋ねがございました。
 医師確保対策につきましては、本年五月末に政府・与党が一体となって緊急医師確保対策を取りまとめ、緊急に講ずべき措置から中長期的な対策まで各般の対策を盛り込んだところでございます。これを受け、御指摘の課題に対して、病院勤務医の過重労働の改善策を実施すること等、診療報酬全体の見直しの中での対応と併せ、リスクの高まりや訴訟の増加に対する懸念、女性医師の増加等の問題にも配慮し、産科、小児科を中心とした医師不足問題について実効性のある対策を具体化してまいります。
 緊急医療につきましては、こうした緊急医師確保対策に加え、ドクターヘリの配備促進等を図るとともに、先般、奈良県で妊婦が搬送中に死産した事件の検証も踏まえ、緊急患者の受入れを確実に行うためのシステムづくりに向け取組を進めることにより、緊急医療の充実に努めてまいります。
 最後に、がん対策に関し、また緩和ケア及び患者本位のがん医療提供体制の整備についてお尋ねがございました。
 がん対策の推進に当たりましては、がん患者やその家族の立場に立った施策の充実を図ることが重要でありまして、政府といたしましても、がん対策推進基本計画を基本とし、緩和ケア、セカンドオピニオンの充実、情報提供窓口の整備等の推進に努めてまいります。具体的には、緩和ケアに関する研修を実施することにより、五年以内を目標にすべてのがん診療にかかわる医師が緩和ケアに関する基本的知識を習得できるようにすること、セカンドオピニオンの提示が可能な医師の紹介やがんに関する情報提供等も行うがん診療連携拠点病院を整備することなど、がん患者の立場に立った取組を着実に実施してまいります。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(江田五月君) 大石正光君。
   〔大石正光君登壇、拍手〕
#8
○大石正光君 民主党の大石正光でございます。
 私は、民主党・新緑風会・日本を代表し、福田総理の所信表明演説に対して質問いたします。
 戦後生まれの若さあふれる安倍前総理の出現は、多くの国民にとって驚きと期待で一杯でした。その期待を背負いながら、参議院選挙で大敗北をした安倍前総理の突然の辞任を引き継いだ福田総理の御心境はいかがなものでしょうか。総理に就任されて新閣僚名簿を出されましたが、国会開会中でもあり、御自身のカラーが出せていないような組閣でございました。
 安倍前総理の辞任は予測されないことではありましたが、政権を担当している自民党は、なぜか総理の臨時代理を立てませんでした。総理大臣の病気や辞任の意思表示を示されたときから臨時の総理が立てられる規約があるはずで、危機管理の面からも代理を立てるのが当然のことと考えます。
 今回は、国会が開会されて総理の所信を述べられた二日後に突然の辞意表明で審議が止まってしまい、国会が何も機能しなくなりました。自民党の勝手な行動と言われた自民党総裁選挙の二週間の空白の後にようやく国会が正常化することになったら、総理は背水の陣で内閣を引き継いだと言われました。これだけの時間を要していながら、新内閣は何の新鮮味もなく、国際世論にも評価されることなく、失笑されています。
 九月二十六日の閣議で、総理の臨時代理の順位を指名されました。このように順位がきちっと決められているはずなのに、なぜ指名されなかったのか、危機管理能力が疑われているのですが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 さて、九月に開催された国連主催の地球温暖化の防止に関する国連首脳会議についてお伺いいたします。
 総理は、来年の北海道洞爺湖サミット開催国である我が国としては、この会議をどのようにお考えなのでしょうか。
 安倍前総理は、どの程度の位置付けかは別として、環境問題を一つの重要政策として考えておられました。しかし、前総理の退陣を受け、九月の国連主催会議には出席者がなかなか決まらず、最終的に森元総理が出席をされましたが、この事態に対処する決断の遅さは極めて問題があったと思います。官房長官は安倍前総理から判断を任されていなかったのでしょうか。
 また、国連が地球温暖化問題で指導的に会議を開催しなければならなかった理由の一つには、EUとアメリカの主導権争いとアメリカの中南米への指導力の低下が挙げられると思います。会議において日本政府はどのような発言をされたのか、お答えください。
 また、安倍前総理がハイリゲンダム・サミットで提唱された二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量の五〇%削減構想を国連の場で説明されたのでしょうか。また、国連での反応はどのようだったのでしょうか。地球温暖化問題を含めた環境問題に対する意識は、福田総理としてはどの程度重要視されておられるのでしょうか。
 安倍前総理が国際社会で地球温暖化問題に関して発言された言葉をどこまで責任を持って実現されるのか、お答えください。国際社会の中で環境問題についての総理の発言は、テロ対策特措法よりも大変重い国際公約となるとはお考えになりませんか。
 百六十八回臨時国会が召集されましたが、同じ臨時国会で二人目の総理に所信を伺う機会を得ましたことは思いもよりませんでした。安倍前総理は質問に答える責務を放棄されました。新総理大臣は前総理の政策を引き継ぐと言われましたので、三週間ぶりで、二人の総理の所信に質問するつもりで、御答弁をいただきたいと思います。
 安倍前総理は、ドイツで六月に開かれたハイリゲンダム・サミットで議題となっていたポスト京都議定書の提案やAPECでの省エネや温暖化防止への環境目標値の提案など、来年の北海道洞爺湖サミットに向けた取組をされてきたはずであります。
 私は、日本の国際貢献の第一の課題は環境問題だと信じております。国際社会に信頼される日本をつくるためには、この地球温暖化問題が国際条約として約束された目標を達成することが信頼の前提であると信じているからであります。環境問題に命を懸けるならうれしいのですが、アフガニスタン・イラク紛争に日本の命運を懸けることが世界への公約であると公言されることは、一体どのような論理で言われているのでしょうか。政府は、自衛隊の活動状況や具体的成果について詳細な情報も提供せず、全く説明責任を果たしておりません。これは国会軽視も甚だしいと思いませんか。たくさんの重要懸案事項がある中でテロ対策特措法ばかりを強調される発言は、余りにも視野が狭過ぎませんか。加えて、連日、海上自衛隊によるいわゆる洋上給油の問題ばかり発言されている映像を見るたびに、一体日本はいつ国際紛争に総理の命を懸ける国になったのかと疑問を持たざるを得ません。福田総理はどのようなお考えを持たれているのでしょうか、御答弁ください。
 さて、本題の質問に入らせていただきます。
 私たちが当面する環境問題は、地球温暖化問題です。来年の二〇〇八年から京都議定書の第一約束期間を迎えます。御承知のとおり、二酸化炭素等、温室効果ガスの急激な増加による地球の温暖化現象により、世界各地で発生する豪雨や寒波、北極や南極などの氷河の崩壊など、数え上げれば切りがないほど異常気象が発生をしています。その一番の原因である温暖化を防止して、問題の解決策を見付けることが急務になっているのです。
 京都議定書は、一九九七年に気候変動枠組条約第三回締約国会議で、COP3で採択されました。二〇〇一年、マラケシュの会議で開催されたCOP7で合意した議定書の運用ルールが採択されて、二〇〇四年にロシアが批准したことにより、二〇〇五年の京都議定書が国際的に発効されたのです。
 私は、二〇〇一年に衆議院環境委員長としてマラケシュ会議に参加しておりましたし、次の年の五月に内閣から提出された地球温暖化対策推進法の改正も委員長として成立に貢献させていただきました。衆参両院で環境委員長としてこの法案にかかわらせていただいた者として、強い気持ちを持って温暖化防止のために努力し続けておるのです。
 気候変動に関する国際連合枠組条約に決められた第一約束期間が二〇〇八年から始まりますが、我が国は、一九九〇年の排出量を基準年として、二〇一二年までに六%の二酸化炭素等の削減をしなければなりません。ところが、削減されるはずの排出量が、二〇〇五年度において七・八%と逆に増加しております。この原因として、運輸部門、業務部門、家庭部門に対して二酸化炭素等の削減の十分な対策がなされていないことがあります。総理は、この問題をどのような対策をお持ちでしょうか。
 次に、ドイツで開催されたハイリゲンダム・サミットでは、二〇五〇年の目標値で、主催国のメルケル首相の提案に対してアメリカのブッシュ大統領が反発していました。会議では幾つかの提案が審議されましたが、合意に至りませんでした。結果的に、一番無難な案が、アメリカ、中国、ロシアなどの国によって採択されたのです。新しい日本の総理を温かく迎え入れるいわゆる儀式のようなことだったと思います。来年は日本でサミットを開催することが決まっていましたので、無難に合意しただけだと思います。
 安倍前総理は、二〇五〇年の目標値で日本ではパイオニアのように言われておりますが、二〇五〇年という数字は実に無責任な数字だと思いませんか。現在存在していることが五十年後にはそのまま変わらずに存在しているという保証はどこにあるでしょうか。昨年、安倍前総理就任時点からわずか一年であの小泉カラーが政権の中から消えてしまいました。今度は、福田総理へと政権も政策もその性格が変わってしまうことになります。
 このことだけでも時の変化の速さを示しているのではないでしょうか。半世紀後には、今のことを覚えている人はきっと浦島太郎になっているでしょう。
 安倍前総理が決められた国際公約について、日本はどのような五十年後までの長期計画を持っていられるのでしょうか。サミットでの発言ですから、それなりの裏付けがあってのことだと考えます。その政策とはどのような内容なのですか、さらに、どのようにして五十年間にわたって政策を後継の政権に引き継がれるのでしょうか、どうかお答えください。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ところで、総理は、所信表明におきまして、持続可能社会へかじを切ると言われました。その中の一つである、地球環境に優しく、国民負担を軽減でき、住宅の寿命を延ばす二百年住宅とはどのような政策なのですか。日本の木材住宅から諸外国の石造りのような住宅にでも改造させるのですか。この政策が国民の住宅に対する負担を軽減できるのか、具体的に説明願います。いたずらに二百年という言葉で表現するならば、二百年の意味をよく説明する必要があるのではないでしょうか。
 自民党は、平気で長期政策という無責任な言葉を口にします。今までの自民党政権五十年間で、その五十年前の最初の約束が実現した政策が一体幾つあったのでしょうか。余りにも無責任な時間の遊びで国民をだまさないでいただきたいと存じます。
 政府からは、サミットでは温暖化問題がすべてのように聞こえますが、環境問題とは温暖化だけのことだとお考えなのでしょうか。地球は人間だけのためにあるのでしょうか。地球を構成している地上や海に生息しているすべての動植物は何のために生存しているのでしょう。この地球を構成している生態系の中で、人間はその中のほんの一部にすぎません。だからこそ、多くの国々は生態系を守るために人間の生活を制限しているのではありませんか。
 ドイツでは、環境政策でどれだけ努力しているか御存じでしょうか。国内の二酸化炭素を減らして、温暖化を少しでも防ごうと、ごみの分別で家庭への教育が行き届いています。そして、それは実に見事に個人個人がルールどおり実践しているのです。
 ドイツだけではありません。
 総理は、世界の海洋資源が急激に減少していることを御存じでしょうか。特に、マグロの世界一の消費国である日本は、世界の漁獲量二百万トンのうち、四分の一の五十三万トンを消費しています。そのうち、三十万トンが輸入されているのです。世界じゅうで乱獲されているマグロを守ろうと、各地で研究や規制の努力が続けられております。資源の回復には少なくとも五年から十年単位での保護策が必要だと言われています。
 マグロは世界の海での海洋資源管理の象徴の一つですが、イギリスでは海の資源が枯渇しないように、人間と魚がお互いに共存できるための適当な量を守って豊かな海の生態系が崩れないような取組、MSC認定制度が推進されています。さらに、フードマイルズといって、スーパーなどの小売店では、生産地からの距離を表示して、消費者もこのような省エネに努力している管理商品を購買しています。
 一方、食品の安全に対しては、生産国の表示や食品の製造者や添加物の表示など、あらゆる分野について多くの国が努力を重ねています。政府の環境問題への取組が真剣だからこそ、このような活動が世界じゅうで生まれてくるのであります。
 デンマークでは、人間と動物が共生するために、デンマーク国内の各地の国立公園内に生息する動物たちが各公園内を自由に歩き、できる獣道という道を造り、二、三百メートルの幅を造っています。この道の両側には木が植栽がされていて、動物が安心してその道を利用できるような細かい工夫までされているのです。人間や車は動物たちの移動の邪魔にならないように道路は立体化されるなど、動物への細かい配慮がされています。
 地球温暖化は、人間だけでなく地球上のすべての生物を破壊に追いやるのだという認識が大前提になっているからなのであります。人間が破壊している地球の自然を少しでも守って、お互いが共存できるための努力こそが我々人間の責任であると認識しているからこそ世界の人々の環境問題への取組が始まっているのではないでしょうか。
 EUの多くの国では、種の保全や海洋汚染、食の安全、動物や植物との共生共存等に真剣に取り組んでいます。日本はこれらの課題をまじめに政策として実行していく考えはないのでしょうか。
 二〇一三年以降の課題は大変難しい課題であります。この解決には時間を掛ける必要があります。地球に生きる人と人、そして国と国とのネットワーク、そしてその時のリレーが問題なのであります。
 今回は、サミットがドイツから日本にバトンタッチされました。これは、日本が国際貢献するためにも国際問題の調整能力を示す上においても最大のチャンスであります。京都議定書の公約実現に向かって努力すれば、環境庁が発足した当時の日本の環境への取組が世界に大変評価されたように、再び環境分野での世界の指導者としての存在が大いに世界に証明できるチャンスが生まれると確信をしております。
 国連主催の地球温暖化防止に関する国連首脳級会議は、世界で百六十か国以上の国々が参加しました。この会議では、温室効果ガス排出の削減目標をめぐって各国の思惑が浮き彫りになりました。国連の会議には森元総理が参加されましたが、アメリカ政府主催の温室効果ガスの主要排出国会議には、高村外務大臣が出席のためにワシントンに行かれました。この排出国会議、国際会議は、ポスト京都をにらんで、参加した主要八か国始め、中国、インドなどの思惑が大変交錯しておりました。
 日本は、太陽光発電など自然エネルギーや省エネ技術の更なる開発などを中心に、二酸化炭素等の二〇五〇年半減を発言されたようでありますが、安倍前総理が掲げた美しい星50とは一体いかなる構想なのでしょうか。
 アメリカのブッシュ大統領は、地球温暖化を省エネルギーの技術で乗り越えられると発言をされましたが、最近のアメリカは、温暖化問題を省エネ技術と、州単位ではありますが排出権取引で乗り切ろうという動きが見られます。総理は、このアメリカの動きとドイツのようなEUの動きを比較して、どのように考えられますか。そして、日本はどちらの政策を選択されますか。このことは、北海道洞爺湖サミットでの、世界の注目となる地球温暖化問題で日本がどのような方向に向けてかじを切るのか、日本国民が世界に信頼をどのようにかち得るのか、日本の将来を決める大事な問題ではないでしょうか。総理の見解を求めます。
 このたび、一議員として本会議において、参議院に地球温暖化問題に関する委員会を設置されるよう提案をいたしました。参議院に設置されるのは調査会になりました。地球温暖化だけじゃなく、地球の自然が守られること、生きるすべての生物がお互いを尊重して共存できることを確認できること、このような点で環境に貢献できる組織として活用できないのでしょうか。議員が、関係する府省を包含できる組織を参議院に設置したいのです。
 この環境国家日本の構想が成功すれば、福田総理、あなたが世界のリーダーの一人として国際的に評価されるばかりではなく、あなたが就任後の記者会見で述べられた、未来の子供たちへのすばらしいプレゼントになるのではないでしょうか。いずれにしても、この取組を日本外交の中心的柱の一つに据えていただきたいこと、いかがでございましょうか。
 日本人は昔から自然を崇拝して、そのすばらしい自然にあこがれ、高い山や川などを自然の神としてあがめ、崇拝の対象としてきました。自然と共存して生きてきた私たち日本人は、ヨーロッパの歴史の違いはありますが、森や山に生きる動植物を守りながら、お互いに共存させてきた先達たちに思いをはせるとき、ヨーロッパの人に負けない自然崇拝の精神を持っているはずであります。
 さて、来年、北海道で開かれる洞爺湖サミットはどのような体制で開催されますか。また、そのときに協議されるのはどのような課題になるでしょうか。
 環境への取組は真剣に考えていただきたいのです。破壊するときは瞬間的でありますが、一度破壊された自然を回復するには、目に見えないほどゆっくりとした速度で、つくられた時間と同じ時間が掛かります。その自然が戻るのは、山の植林でも、植林してから伐採まで二世代の時間が掛かることを考えても分かると思います。我々が壊した自然は孫のために再生させるのだと考えれば納得できるのではないでしょうか。
 次に、経済財政問題に移ります。
 安倍政権は、生産性向上を図るためにイノベーションを掲げてきましたが、現実には労働を強化してきたのです。日本の経済は、長期的な好景気を続けていると言われながら、都市の一部の産業に支えられています。
 この好景気は企業にとって好都合でありますが、労働者に対する合理化の結果と言わざるを得ません。そのため、終身雇用者の減少と人材派遣会社からの労働者派遣とパート労働者の急激な増加につながりました。こういったことが地方切捨てと言われるほど地方経済が落ち込んでいったのではないでしょうか。さきの参議院選挙はこの安倍総理の政策への怒りが、年金問題とともに、自民党の大敗北につながったのであります。この国民の批判に対して、総理はどのように対処するおつもりなのですか。
 日本企業は、中国始めアジアの国々に工場を移転していますが、今度は事務労働者の分野までも合理化という言葉で中国に移し始めています。企業の国際競争力に負けないためといっても、国内の労働者が働けど働けど我が暮らし楽にならず、昔聞いた言葉がまた現実になっていると思いませんか。そろそろ大企業優先の政策を転換して、中小企業の育成と技術の向上に強力な政策を、税制上の支援をされることを要望いたしますが、いかがお考えでしょうか。
 行政改革についてお伺いいたします。
 緑資源機構の官製談合事件では、林野庁や緑資源機構から公益法人や民間企業に天下った者が逮捕されました。天下りOBを受け入れる実績などを考慮して事前に落札業者を選定していたことは言語道断であり、その根絶が喫緊の課題となっています。
 それにもかかわらず、福田総理は所信表明演説の中で公務員の天下り問題に一切言及しておらず、天下り問題の解決に対する意欲が全く感じられません。福田総理は、第百六十六回通常国会で政府が成立させた国家公務員法等の一部改正案の問題点をきちっと認識し、天下りの根絶に積極的に取り組むべきであります。
 政府が成立させた法案の第一の問題点は、現在各省庁が行っている天下りのあっせんを内閣府に設置する天下りバンクの下に一元化するだけであり、天下り横行を実態を何ら変えるものではありません。大体、各省庁が個別にあっせんすれば天下りで、内閣府の下で一元化組織を通じてあっせんすれば天下りではないなどというようなばかな話が一体あるでしょうか。
 第二の問題点は、天下りの原因となっている早期退職勧奨に対して、一切ないことであります。早期退職勧奨の禁止なくして、天下りの根絶はあり得ないというのが今日の共通理解となっております。総理は天下りの原因をこのまま温存するのかどうか、明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 第三の問題は、特殊法人や独立行政法人が民間企業などに天下ることを規制していないことであります。これでは、中央官庁から特殊法人や公益法人等に一度下り、その後、営利企業に天下る迂回天下りを防ぐことはできません。参議院選挙の結果を踏まえて、総理の御見解をお願いいたします。
 次に、官製談合についてお伺いいたします。
 官製談合は、御存じのように公共事業などの発注者が談合に関与する行為でありますが、最近は、地方だけでなく本省庁が直接関与する事件が発生し、深刻の度合いが増しております。福島県、和歌山県、宮崎県などで官製談合事件の摘発が相次ぎ、与党は昨年ようやく官製談合防止法の改正に踏み切りました。しかし、この改正案では、重要な犯罪である官製談合に刑法で対応しないこと、発注者が談合を黙認していた場合について何ら触れていないこと、発注担当職員の賠償責任の厳格化のために必要な規定が設けられていないことなど問題点が多過ぎて、極めて不十分な内容でした。
 官製談合防止の実効性を高めるために、公務員OBを法律の対象に含め、さらに事件ごとに第三者による調査機関を設置するなどを内容とした民主党提案の官製談合防止法等改正案を成立させ、談合の防止に努める必要はないでしょうか。
 食の安全について伺います。
 イギリスから発生したBSEは、世界じゅうの牛肉市場を震え上がらせました。この事件によって、食の安全、安心は国民にとって最大の関心事の一つになりました。国民の食に対する不安を払拭し、安全な食料を安定供給することは、国家を預かる者の基本的かつ重大な責務であります。政府は、昨年七月、特定危険部位の混入により停止されていた米国産牛肉の輸入手続を再開を決定いたしました。しかし、十月末には、早くも、米国政府が発行した衛生証明書に記載のない部位が混入する事件が発生いたしました。
 こうした状況にもかかわらず、アメリカから月齢制限の撤廃という強い要求が出ている中で、日本政府は条件緩和をなし崩し的に進めようとしています。アメリカ政府のBSE対策が何ら改善しないままに輸入条件の緩和を認めることは日本国民の生命と健康に脅威をもたらします。一体いつまでアメリカの圧力に屈していかなければならないのでしょうか、御答弁願います。
 今年六月以降、北海道のミートホープによる食肉偽装事件や中国からの輸入食品の安全性をめぐる問題が相次いで発覚しています。人間の身体は御存じのように約七〇%が水で構成されていますし、活力となるエネルギーを食品の形で摂取して生きております。きれいな空気、安全な水を飲むだけでなく、活力の源である食品の安全が確保されてこそ我々が長生きできるのではありませんか。この原則を守れない政府では食品行政を任すことはできません。ヨーロッパの国々では当たり前になっている自然食品や加工食品の原産地表示を日本でも生産者に義務付けなければなりません。
 最近のアメリカで大変問題になっている中国で生産されている食品、衣料品、おもちゃや練り歯磨きなど、数え切れないほど利用者への被害が発生しています。食品のトレーサビリティー制度を拡充していくことが急務ではありませんか。
 先日、オーストラリアのシドニーで開かれたAPEC、アジア太平洋協力会議では、人間の安全保障で項目の一つとして、中国産の食品や工業品に対する安全性が取り上げられました。さらに、消費者の安全と健康を確かなものにするため、リスクに基づいた科学的なアプローチを強化し、安全基準の改善協力を求めるとの声明までが読み上げられました。
 我が国の加工食品は中国からの輸入が大変多いのに、食品の表示には中国から輸入とだけ書かれて、製造者の名前や会社や電話番号すら書かれておりません。何年も前から環境委員会でこの問題を取り上げ、発言をしておりましたが、表示は製造者でも販売者でもどちらでもよいとの一点張りの答弁でありました。アメリカ国内でもアジアのAPECでも指摘されているように、食の安全を高める、食品製造者の表示を義務付けるべきではないでしょうか。
 大分項目が多くなってきましたが、参議院選挙でマニフェスト公約をした戸別所得補償制度についてお伺いいたします。
 この制度は民主党の農業政策として提案された制度ですから、私ども民主党が農家の皆さんに説明しなければならないことであります。しかし、日本の農業は、自民党農政の結果、農業従事者の減少、高齢化、耕作放棄地の増大など、農業の崩壊が始まってしまいました。
 政府・与党は、昨年、農政改革の名の下に担い手経営安定新法を成立させて、今年の四月から施行しました。この制度は、四ヘクタール以上という一握りの大規模農家のみを対象とした制度で、農家の実態を全く無視したため、大多数の農家が切り捨てられました。
 民主党は、この政策を抜本的に転換します。農業農村を活性化するため、原則としてすべての販売農家に戸別所得補償方式を実施します。総額は一兆円程度とし、米、麦、大豆などの重点品目を対象といたします。その際、品質の向上、経営規模の拡大、棚田の維持や有機農業の実践など、環境保全の取組などに加味して農家に直接払われるようにします。このことによって、意欲ある農家が前向きで農業に従事できるようにいたします。
 政府として、いつまでも大規模農家のみを対象とした政策を続けるつもりなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 日本の林業についてお伺いいたします。
 御承知のとおり、我が国の林業は、この一、二年は上昇が見られるものの、長期的には輸入木材などで木材価格低下などにより、林業採算性の悪化などで林業生産活動が停滞しています。国内に豊富な森林資源があるにもかかわらず、木材調達の約八〇%が海外に依存している極めていびつな状態であります。緑資源機構の官製談合や緑のオーナー制度の元本割れに象徴される国有林野事業の破綻は、これまでの林野行政の矛盾が一気に形骸化したことにほかなりません。
 民主党は、年間一兆円を超える林業関係予算を抜本的に組み替え、林業の自立へと誘導する施策に重点に配分する森と里の再生プランを策定をいたしました。林業再生は地域間格差の起爆剤の問題であり、今年こそ是非とも五十年に一度の国産材ビジネスチャンスであるとの考えの下、林業予算の大幅見直しをして、林業、木材産業の活性化を図りますが、総理のお考えをお答えいただきたいと思います。
 最後に、福田総理は、未来への確信、若い人への希望を持てる社会をつくると言われました。総理が発言されている最重要法案と言われるテロ対策特措法と、世界が優先課題と挙げている地球温暖化問題と、一体どちらが重要なのでしょうか。若い人への課題は地球温暖化問題が最優先だと思いますが、いかがお考えになりますか。
 このたび、福田総理にこうして環境問題、グローバルな地球問題をいろいろ御質問させていただきました。いろいろ環境委員会でも、様々な委員会でも、総理から、直接このような質問をし、このようにお答えいただけるチャンスはなかなか得られませんでした。しかし、今回、このような代表質問の機会を得て、このグローバルな地球問題を言いたいときに、私は大変発言できることを幸せに思っております。
 これが日本の将来、二十一世紀の日本がこれからの世界に羽ばたける大きな最大のチャンスであると同時に、日本が今までのようなあいまいな政策で、国際社会で出てきた外交問題を、日本がきちっと何の問題で、外交で日本が世界に貢献するのか、そして防衛問題や外交問題、さらには環境問題、そして様々な自衛隊の問題を含めて、きちっとこの国会の中で、きちっと国会の説明責任を果たして、この議会の中でお互いに責任を取りながらこの日本の将来を見詰めることがこれからも絶対必要なんであります。
 私は、この機会に、是非、福田総理が御自身の考えで自身がどのように思われるか、そして、自身がこれから将来、自分たちの子供や孫にどのような日本をつくるかを是非とも御自分で判断されて、是非ともすばらしい日本をつくるためにこれから内閣を支えていただきたいと思っております。
 政党人同士、国会では議論を重ねることが度々ありますが、しかし、この議論は日本をより良くするためだと私は考えております。総理、私は日本の政治に二大政党政治を定着させるために民主党の一議員として頑張ってまいりました。日本を代表する政党である自民党が自浄作用をもって誇りと自由を持ち続けなければ、良きライバルであろう我々民主党も大きくなれるはずがありません。
 福田総理は御自身の内閣を背水の陣内閣と言われましたが、自信を持って御自身で御自分の力で日本を引っ張ってください。ただ自民党だけの、政権維持だけの内閣にだけはなりませんように祈っております。自分の利害だけで独走せず、実態に合った政策を提案し、国民に信頼される未来を見詰めた政治に取り組まれようことを念願して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#9
○内閣総理大臣(福田康夫君) 大石議員にお答えをいたします。
 まず、安倍前総理の臨時代理についてのお尋ねでございます。
 安倍前総理の入院につきましては、担当医師の判断でも判断力に支障が生じるようなことは全くなかったということ、それから、いつでも総理への連絡や指示を仰ぐことができる体制は整えられており、実際に政務を執り行っていらっしゃったということから、臨時代理が置かれなくても危機管理上問題はなかったものと考えております。
 九月に開催されました気候変動に関する国連ハイレベル会合の位置付けについてのお尋ねがございました。
 地球温暖化問題は、人類の生存にかかわる世界共通の課題であります。私としても、この問題を来年の北海道洞爺湖サミットでの主要議題の一つとして取り上げたいと思っております。
 今回の国連ハイレベル会合では、首脳級で気候変動問題を集中的に議論する初めての会合でございました。十二月に予定されるインドネシア・バリでの気候変動国際会議に向けて、各国の政治的機運を高める大きな契機となったと考えております。
 気候変動に関するハイレベル会合の件でありますが、この会合に総理大臣特使として出席した森喜朗元内閣総理大臣は、五月に安倍前総理が行った美しい星50の提案を紹介し、御指摘のあった世界全体の温室効果ガス排出量の長期的な削減目標を含む我が国の基本的政策、気候変動問題に関する基本的な考え方について説明し、具体的な提案を行いました。各国からも様々な意見が表明されましたけれども、我が国としても、バリにおける気候変動国際会議へ向けて活発な議論を喚起し、問題解決に対する国際社会の機運を高めることに貢献することができたと考えております。
 地球温暖化問題を含めた環境問題に対する政府の認識についてでございますが、この問題は人類全体にとって喫緊の課題でございまして、国際社会の一致団結した取組が必要であります。私の内閣におきましても、地球温暖化問題を含む環境問題も最重要課題の一つとして位置付けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 地球温暖化問題についての提案、美しい星50にある我が国の基本方針については、私の内閣においても変更ありません。我が国としては、すべての主要排出国が参加し、実効性のある国際的な将来枠組みの構築に向けて、引き続き国際的な議論を主導していく考えであります。
 自衛隊の活動状況等の情報提供についてのお尋ねがございました。
 テロ対策特措法及びイラク特措法に基づく自衛隊の活動につきましては、法の趣旨にのっとって行われていることにつきましては、国民の御理解が得られるよう情報の開示に努めるべきであると考えております。自衛隊の活動内容につきましては、自衛隊や各国の部隊運用や要員の安全確保などのために開示ができないという場合もございますけれども、各国の理解も得ながら可能な限り積極的に情報開示してまいります。
 テロ対策特措法に基づく支援活動の重要性でございます。
 この特措法に基づく支援活動はテロリストの拡散を防ぐための国際社会の一致した行動でございまして、海上輸送に資源の多くを依存する我が国の国益に資するものでございます。日本が国際社会において果たすべき責任であると考えております。我が国としては、この責任を今後とも果たしていくために、海上自衛隊の補給活動を引き続き実施していく必要があると考えております。
 国内における二酸化炭素等の削減対策についてお尋ねがございました。
 京都議定書に掲げます六%削減目標を確実に達成するため、今年度内に京都議定書目標達成計画を改定し、特に排出量の伸びが著しい業務部門や家庭部門を始めとしたあらゆる分野において既存対策の着実な推進に加え、省エネルギー対策の一層の強化など必要な追加対策を強力に推し進めてまいります。
 二〇五〇年の目標値にかかわる長期計画の内容、どのように後継の政権に引き継ぐのかについてお尋ねがございました。
 我が国はハイリゲンダム・サミットにおいて、温室効果ガス排出量を二〇五〇年に世界全体で半減という長期目標を提案し、その達成のために、革新的技術の開発とそれを中核とする低炭素社会づくりという長期ビジョンを示しました。これらの長期ビジョンは、今後我が国が長期にわたって取り組んでいくべき具体的施策の指針となるべきものであり、技術開発プロジェクトを計画的に推進していくことや、低炭素社会づくりに向けた様々な施策を展開することによりまして、国民の中にこの考え方を定着させていくことで今後ともしっかりと引き継いでまいります。
 二百年住宅につきましてであります。
 二百年住宅は、住宅が新築されてから三十年程度で取り壊されているという現在の無駄遣いをやめ、より長く大事に使おうとするものでありまして、持続可能社会の実現に向けた具体的な取組の第一歩であります。このためには、木造、鉄筋コンクリート造などを問わず、耐久性の高い柱などの躯体を有する住宅の建設を推進するだけでなく、適切な点検、補修を推進する必要があります。また、社会や時代の変化に応じた内装とか設備の変更が円滑に行えるようにするとともに、既存住宅の流通を促進してまいります。
 このような取組によりまして、住宅の解体に伴う廃棄物といった地球環境への負荷を低減するだけでなく、建て替えコストを削減することで国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かでより優しい暮らしへの転換が図られると考えております。二百年住宅とはこうした住宅の長寿命化を目指すことを象徴的に表すものとして用いております。こうして良質な住宅を後世に引き継いでいくことは、これから持続可能社会へ移行していく上で極めて重要であると考えております。
 次に、環境問題の考え方についてでございます。
 いわゆる大量生産・大量消費型の経済社会システムが拡大した結果、地球の環境の容量は限界に達し、地球温暖化問題のほかにも資源の浪費や自然環境の悪化などの環境問題が深刻化していると認識しております。この問題に適切に対処しない場合には、地球規模で生態系が劣化し、人間の生存基盤も崩れるおそれがあります。
 このために、人間も地球という大きな生態系の一部であり、地球によって生かされているという認識の下に、温暖化ガス排出問題への対応はもとより、資源リサイクルの推進、自然環境の保全など持続可能な社会の実現に向けたあらゆる取組を進めていくことが必要と考えております。
 種の保全、海洋汚染、食の安全、動物や植物との共生共存についてお尋ねがございました。
 御指摘の問題も含めまして、地球生態系、そして人間を守るため、自然との共生を図りながら持続的に成長、発展する社会を実現し、健全で恵み豊かな環境を将来世代へと引き継いでいくことが必要と考えております。このため、廃棄物の減量、資源の節約、自然環境の保全などを進め、今が良ければよいという考えを排し、将来にわたって持続可能な社会をつくり上げていきたいと考えております。
 美しい星50の構想についてのお尋ねでございますが、本年五月二十四日に安倍総理が発表した美しい星50は、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量を半減させるという長期目標に加え、中期戦略として二〇一三年以降の温暖化対策の具体的枠組みを設計するための三原則、さらには京都議定書の目標達成に向けた国民運動の展開という三つの柱から成るパッケージでございます。
 特に、二〇五〇年半減の長期目標は、現状の世界の排出量が自然界の吸収量の二倍を超えており、大気中の濃度が高まる一方であることを踏まえて国際的に共有すべき長期のビジョンとして示したものでございまして、我が国としては、美しい星50に基づいて、来年開催される北海道洞爺湖サミットなどの場を通じ、他国に対しても率先して温暖化の防止に向けた働き掛けを行っていく考えであります。
 我が国の地球温暖化問題への将来に向けた取組姿勢についてのお尋ねでございますが、地球温暖化問題に対する各国の政策手法については、省エネルギー対策や排出量取引など様々なものが提案され実行されている現状は承知しております。我が国としては、二〇五〇年半減に向け、革新的技術開発や低炭素社会づくりにつながる具体的取組を進めてまいります。
 環境問題の解決策としてはいろいろな考え方がございますが、その中で何がベストかについて、我が国として、すべての主要排出国が参加した実効性のある枠組みを構築することを基本原則として、北海道洞爺湖サミットなどの場を通じ引き続き国際的な議論を主導していく考えであります。
 参議院に設置される調査会の活用と日本外交における地球環境問題への取組の位置付けについてお尋ねがございました。
 地球環境問題への取組は待ったなしでございます。御指摘のとおり、自然環境の保全、生物の共生共存を始め、地球温暖化以外の環境問題もいずれも重要であります。議員の御提案に基づき設置される調査会を始めとした国会における議論も参考にしながら、政府として地球環境問題に積極的に取り組んでまいります。
 私は、自立と共生の外交を目指しておりまして、共同体としての地球をおもんばかるという観点から地球環境問題に取り組んでまいります。子供たちの世代に受け継いでいける持続可能社会をつくっていくために、世界最高水準である我が国の環境・エネルギー分野における技術を生かしつつ、新しい経済社会の在り方、環境問題の解決に向けて世界をリードしていきたいと考えております。
 来年の北海道洞爺湖サミットの体制及び議題についてのお尋ねでございますが、来年七月七日から九日にかけて開催される北海道洞爺湖サミットについては、六月十二日、内閣官房長官を議長とする、関係省庁から構成される北海道洞爺湖サミット準備会議を設置いたしました。ホスト国としてサミットの運営に遺漏なきよう政府一丸となって準備を進めていく所存であります。
 サミットの議題につきましては、今後、関係各国とも調整していく必要がありますが、環境立国日本として環境、気候変動問題、開発、アフリカ、核不拡散を始めとする政治問題、地域情勢などを重視していく考えであります。
 次に、雇用環境と地域経済への対応についてお尋ねがございました。
 これまで構造改革に取り組んでまいりましたが、景気回復、雇用拡大など一定の成果が上がってきております。しかしながら、非正規労働者の増加などの雇用環境の変化、地域間格差と言われる問題も見られるところでございます。こうした状況を踏まえて、だれもが自らの能力を生かし、安定した仕事に就いて将来に希望を持って暮らせるように、正規雇用への転換促進、労働条件の改善など、働く人を大切にする施策を進めてまいります。
 さらに、地方と都市がともに支え合う共生の考え方に基づき、地方の再生に向けた戦略を一元的に立案し実行する体制として、地域活性化統合本部を設けることにいたしました。この体制の下で、地域の実情に応じた支援を立案、実施し、地方再生への構造改革に政府を挙げて取り組んでまいります。
 中小企業に対するお尋ねがございました。
 景気が回復を続けている中においても、厳しい国際競争の下で多くの中小企業は苦しい経営状況にあります。全国四百三十万社の中小企業の知恵とやる気を生かし、その活力を高めることこそが我が国経済の活性化を図る上で極めて重要であると認識しております。大企業と中小企業の調和の取れた成長を実現するために、予算、金融、税制等を効果的、集中的に活用するとともに、生産性向上に向けた中小企業の努力を徹底的かつきめ細かく支援すべく、施策を総動員してまいります。
 天下りの根絶についてでございます。
 さきの通常国会で成立しました国家公務員法等改正において、天下り問題を根絶するための各般の処置が導入されたところであります。
 まず、各府省の再就職あっせんを官民人材交流センターに一元化することとしております。これにより各府省から中立的な立場で、職員本人の能力、経験を生かした再就職の支援を行い、押し付け的なあっせんを根絶いたします。また、元国家公務員が特殊法人や公益法人等を経由して他の営利企業等に再就職する場合についても、各府省の再就職あっせんの禁止等の規制の対象といたしております。さらに、採用から退職まで公務員が高いモラルを維持し、能力を高め、誇りを持って職務に専念できるよう御指摘の問題を十分に配慮しながら、総合的な公務員制度改革を進めてまいります。
 官製談合についてお尋ねがございました。
 官製談合防止法案については既に国会で継続審議中であり、立法府で十分御議論いただきたいと考えております。政府としては、官製談合を根絶するために官製談合防止法を厳正に執行してまいります。
 米国産牛肉の輸入条件の緩和についてのお尋ねがございました。
 米国産牛肉の輸入問題については、国民の食の安全と消費者の信頼確保を大前提に、科学的な知見に基づいて対応しているところでございます。現在、厚生労働省及び農林水産省において、米国における飼料規制やBSEに関する調査、監視等のデータについて分析評価を行っているところでありまして、仮に輸入条件の見直しを行う場合には、食品安全委員会に客観的なリスク評価を求めるなどの適切な手続を経た上で行うことといたしております。
 我が国では、JAS法によりましてすべての生鮮食品に原産地表示を義務付けるとともに、外国で製造された加工食品については製造した国名を、国内で製造される加工食品のうち生鮮食品に近いものには原料の原産地の表示を義務付けております。また、義務表示の対象でない食品についても、消費者の信頼を確保する観点から、事業者による自主的な表示を促してまいります。
 食品製造者の表示義務付けについてのお尋ねでございます。
 輸入食品につきましては、JAS法に基づく原産地表示を義務付けていることに加え、食品衛生法に基づき、万が一事故が生じた場合に対応が可能なような、国内に所在する輸入業者の名称と所在地の表示を義務付けることによりまして、消費者の安全を確保しているところでございます。
 なお、国際貿易の拡大や多様化が進む中で、輸入食品の製造者の名称等の表示を義務付けることは、輸入業者に過度な負担を課すことになり、実務的には困難と考えております。だからといって、消費者がすべてを判断してくださいと言っているわけではございません。何か良い方法がないか、今思料しているところでございます。
 担い手の経営安定新法についてのお尋ねがございました。
 我が国農業が直面している最大の課題は、農業従事者の減少、高齢化により生産構造の脆弱化が進んでいることであります。将来にわたり国民に食料を安定的に供給していくためには、品目横断的経営安定対策の推進により農業経営の体質強化を図ってまいります。その際、小規模な生産者等についても集落でまとまった営農として対策に参加できるよう、条件が不利な中山間地域についての特例も含め、きめ細やかな支援を行ってまいります。
 林業、木材産業の活性化についてのお尋ねでございます。
 緑の社会資本としての森林を支えるためには、国内の森林資源を活用した林業の発展が重要であり、林業をめぐる情勢は長期的な価格低迷、担い手の高齢化等厳しい状況にありますので、非常に困難な問題もありますが、国産材の利用の回復など明るい兆しも見えてきております。政府としては、担い手の確保や林業生産の低コスト化等を図りながら、国産材の利用拡大を軸とした林業、木材産業の再生を図りまして、山村地域を活性化していく考え方であります。
 最後でございますが、テロ対策と地球温暖化問題の重要性についてのお尋ねがございました。
 テロリズムの拡散を防ぐための国際社会の一致した活動の重要性、これは累次の安保理決議によりまして確認されているものと認識をいたしております。テロ対策特措法に基づく支援活動は、そのような国際社会の一致した行動の一環でございまして、海上輸送に資源の多くを依存するという我が国の国益にも資するものでありまして、日本が国際社会において果たすべき責任でもございます。
 一方、地球温暖化問題は、大量生産、大量消費をよしとする社会から決別して、地球に優しい持続可能社会へとかじを切り替えていくために最優先で取り組むべき課題であり、環境・エネルギー分野において世界最高水準の技術を有する我が国として世界をリードできる立場にあります。それだけでなく、日本が環境問題を中心として持続可能社会をつくり上げていくという日本からの発信も必要でございます。
 いずれにしても、国際社会の平和と安定ということを考えた上で、両者とも共通点があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
#10
○副議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#11
○副議長(山東昭子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。椎名一保さん。
   〔椎名一保君登壇、拍手〕
#12
○椎名一保君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、昨日の山崎幹事長に引き続き、総理並びに関係大臣に御質問をさせていただきます。
 今国会では、海上自衛隊の給油活動をどうするかが最大の焦点であります。福田総理は、総裁選挙、所信表明演説を通じて、我が国の活動が国際社会で高く評価されていること、テロの防止と根絶に取り組む国際社会の一員として今後ともできる限りの貢献をすることを主張されてきました。そして、活動の継続の必要性を国民、国会によく説明し、理解いただくことに全力を尽くすと強い決意を述べられています。私ども与党議員も、総理と一緒になって国民の御理解を獲得するために全力を尽くします。
 先般、国連安保理は、アフガニスタンの国際治安支援部隊の任務を一年間延長する決議一七七六を採択し、その前文で日本が参加する多国籍軍の海上阻止活動に謝意を表明しました。給油活動が高く評価されたのであります。このことをまるで日本がお願いしたようなことを言う方がおりますが、これこそ国連軽視の発言ではないでしょうか。総理には、日本の活動が国連決議に基づくものであることを明確に改めて御説明いただきたいとお願いします。
 一方、民主党の小沢代表は、アメリカの対テロ戦争に海上自衛隊が後方支援することは集団自衛権の行使に当たり、憲法に違反するといった御意見を表明されているようであります。しかしながら、これは現実の活動を踏まえず、国連決議の意味を正確に理解していないもので、明らかに見当違いの解釈であります。
 そこで、内閣法制局長官には、この点に関する政府としての解釈について分かりやすく御説明をお願い申し上げます。
 海上自衛隊の給油実績を見ますと、アメリカ艦船に対する実施例は回数にして半数に達しません。他方で、パキスタンやフランスにはほぼ日常的に供給しております。海上自衛隊が離脱すると、補給能力を失うパキスタンなどは作戦参加をあきらめる可能性が大きいと聞いております。また、支援相手国とは交換公文を結び、我が国の給油目的を文書で限定しております。相手艦船が何の目的に従事しているかその都度確かめ、目的外に流用されぬよう念には念を入れていると聞いております。
 国民の中には目的外に流用されているのではと疑問を抱く向きもあると聞いておりますので、総理には給油の実績やその仕方について国民が納得のいく御説明をお願い申し上げます。
 国民生活の視点に立つと、給油活動が途切れるとどのような深刻な問題が生じるのでしょうか。
 日本の原油の中東依存度は約九割と言われ、ペルシャ湾からインド洋にかけてはシーレーンが延びております。その海上では、我が国のタンカーは、我が国の海上自衛隊ではなくて、それが給油している他国の艦船によって守られているのが実態であります。給油が途切れれば、我が国のタンカーがテロの危険にさらされ、我が国の原油輸入、すなわち経済の動脈が断絶することになりませんか。野党の皆さんはこうした差し迫った国民経済のリスクにしっかりと目を向けるべきであります。
 防衛大臣には、給油活動が途切れることが連鎖的、具体的にどのような影響を我が国にもたらすのか、あらゆる可能性を考慮に入れて御見解をお聞かせ願います。
 今を去る六年前、民間航空機を手段とした卑劣なテロとともにおよそ三千人が亡くなり、日本人二十四名の尊い命が犠牲になりました。我々はこのことを忘れてはなりません。テロとの戦いは人ごとではありません。我が国が、自身の誇りと尊厳と国益を懸けて、勝利する日まで行わなければならない戦いであります。
 総理には、海上自衛隊の給油活動を継続する新法に関して、国民への説明、野党の説得に全力を挙げられんことをお願いいたします。
 民主党は頭から協議に参加しないと表明していますが、協議は談合ではありません。与野党で英知を持ち寄ってより良い合意点を見いだす手段であります。世界の目が今、日本に、そして総理に集まっております。野党との協議の持ち方を含めて、力のこもった説明をお聞かせください。
 総理は、所信表明演説においてアジア外交の重要性について触れましたが、同様に重要なアフリカ外交について伺います。
 来年五月二十八日から三十日には、横浜において第四回アフリカ開発会議、TICADWが開催されます。この会議には、アフリカ及びアジア諸国から多くの首脳が参加するだけでなく、西欧ドナー諸国、中国を始めとした新興ドナー諸国及び国際機関、NGOなどから多くの閣僚や組織の長が参加を予定していると聞いております。
 国際社会においては、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本のような国は、その経済規模に見合ったODAを行うべきだとの意見や、中国を始めとする新興ドナー諸国の積極的な進出の動きなどもあって、我が国の途上国に対する支援に再び注目が集まっております。
 小泉元総理は、二〇〇五年のアジア・アフリカ首脳会議の際、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増することを国際公約に掲げました。正に本年はその総決算の時期に当たります。政府の説明によれば、アフリカ向けODAを三年間で倍増との公約は達成見込みであるとのことです。今後の対アフリカ支援の在り方について総理はどのようにお考えになっているのか、御所見を伺います。
 五月に横浜で開催されるTICADWの二か月後、七月には北海道洞爺湖サミットが開催されます。これまでのサミットの議論を見ても、アフリカ開発の議論は主要なテーマになることは間違いありません。TICADWの成功なくして北海道洞爺湖サミットの成功はあり得ないと考えます。
 総理は、来るべきこの会議において、我が国がどのようなメッセージをアフリカ諸国へ、さらには国際社会へ発信していくお考えですか。また、その後の北海道洞爺湖サミットと第四回アフリカ開発会議との相乗効果をどのように図っていくお考えですか。具体的な政策ビジョンを国民にお示しいただきたいと存じます。
 さて、内政に目を移します。
 まず、格差問題と地方活性化策、それに関連して法人二税の再配分について伺います。
 さきの選挙で、地方における自民党支持の低下で我が党は惨敗いたしました。スローガンの「成長を実感に」という言葉に地方の多くの有権者が違和感を覚えたのです。したがって、一刻も早く地方経済の活力を高める政策が必要であります。特に、農業改革、地域中小企業の本格再生、公共事業の重点化などに取り組まねばなりません。
 自民党では、地域の活力活性化特命委員会を新設し、地方活性化のための総合的な対策づくりを始めました。政府においても地方対策を迅速に取りまとめいただき、実行に移していただきたいと願います。総理に、総合的な地方活性化政策への取組の意気込みと御認識を伺います。
 さらに、税収格差の是正や地方財源の拡充が必要です。地域間格差の是正は喫緊の課題であります。既に報道されているように、地方法人二税を東京都など都市部から地方の道府県に再配分することを財務、総務両省が検討しているとのことであります。
 ただ、都市部の税収を再配分の財源とすると東京都が反発するのは必至であります。また、地方法人二税の再配分は自治体間の税収のやり取りであり、中央から地方への税源移譲を核とする地方分権とは趣を異にします。分権改革が先送りになってはなりませんが、同時に地方法人二税の再配分が実現しなければ、地方経済は立ち行かない瀬戸際に来ています。
 地方に目をやると、破綻した北海道夕張市のことが思い浮かびます。
 現在、夕張市は再建計画に沿って懸命に努力していますが、その計画自体が厳し過ぎるとの声があります。まず、夕張市民に温かい手を差し伸べなければならないのではないでしょうか。地方の実情を肌で知る増田総務大臣に、法人二税の在り方を含めて、夕張市問題に代表される地方再建へのグランドデザインに関して御所見を伺います。
 シャッター通りの言葉があります。御承知のように、経営が立ち行かなくなり商売をあきらめ店を閉じた地域が全国各地にかなり存在します。福田総理も、我が党総裁選挙の地方遊説にこういった地域を選ばれ、苦労しておられる現地の皆さんの声を直接聞いてこられました。様々な原因がありますが、第一に後継者不足が挙げられるのではないでしょうか。中小企業の年間二十九万社の廃業のうち後継者不在による廃業が約七万社に上っております。事業を継ぐべき跡取りがいないという現状でありますが、さらに加えて、事業を承継するときの相続税の負担が過大でやむなく廃業するという現状もあります。
 地域経済の活力維持や雇用の確保のためにも中小企業の活性化は必要です。予算措置や金融支援による後継者の育成も課題でありますが、相続税の減免等、事業承継税制の抜本拡充が必要と考えますが、総理の御所見を伺います。
 次に、全国各地が直面し、特に地方が苦しんでいる医師不足問題について伺います。このことは今回の与党代表質問者全員が重ねて質問するという重大な案件であることを総理と厚労大臣に改めて御認識をいただきたいと思います。
 国民皆保険を達成した我が国で保障されているはずの医療のフリーアクセスが今危機にさらされています。大都市と地方の医療格差、とりわけ地方の中でも郡部やへき地の医師不足は目に余るものがあります。
 こうした医師偏在の大きな要因となったと言われているのが、平成十六年から実施されている新たな医師臨床研修制度です。この医師臨床研修制度は平成十二年の医師法改正において、医師のプライマリーケアの能力育成、研修医の処遇確保などの実現に向けて導入されたものと承知しております。ところが、この新たな研修制度が実施された平成十六年以降、それまで大学病院が担ってきた医師の派遣機能が急速に低下し、医師の偏在に拍車を掛ける事態が生じております。
 研修医は、より多くの臨床経験を求め、市中の民間病院を研修地として選択し、大学病院で研修する者は、制度導入以前の七割から今では五割以下にまで低下しました。その結果、人手が足りなくなった大学病院の医局は地方に派遣していた医師の引揚げを行い、医局からの医師の派遣に頼ってきた地方の病院の医師不足は決定的になったと言えます。
 新たな研修制度がこれまでの医師派遣システムに与えるであろう影響を十分精査しないままに行政主導で制度導入に踏み切ったことで、戦略なき臨床研修制度導入と言われても仕方がない状況が生じています。政府としては、そもそも、この新たな臨床研修制度導入のねらいはどこにあったのでしょうか。そして、この研修制度が引き金となって起きている地方の医師不足問題を、どう認識され、どう解決し、どのような方向に持っていかれるおつもりでしょうか。厚生労働大臣にお伺いします。
 新制度の導入により生じるデメリットがメリットを上回っているような現状を国民は不安に思っています。なぜこのような事態になったのか、見通しの甘さに起因するものか、はたまた、導入が余りに性急に過ぎたのか、その原因を明らかにし、そして、この大きな問題への対応策とそれに続く将来展望を国民に対ししっかりと説明する義務が国の医療体制に責任を持つ政府にあると私は考えます。政府の的確な対応と今後の取組に期待します。
 最後に、私のライフワークでもある子育て支援や保育に関して三点お伺いします。
 一つ目は、予算のことです。
 政府は、本年二月に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議を設置し、本年末をめどに、効果的な子育て政策の再構築、実行を図るための検討を進めているものと承知しております。厳しい財政制約がある中であっても、教育、子育て、少子化対策には思い切った予算配分を行い、スピード感を持って取り組むことが重要だと考えております。年金、医療、介護といった高齢者関係予算に比べると圧倒的に少ない児童・家族関係予算を大幅に拡充し、最重要政策として積極的な取組を進めるべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。
 二つ目は、保育所職員の処遇改善についてです。
 近年、政府においては、経済を活性化するための手段として規制改革を進めてきました。そして、この流れの中で、保育の現場においても市場原理、競争原理導入を求める動きが活発化しています。こうした規制改革は経済の効率性を追求したものでありますが、保育や子育てにおいて経済の効率性のみを追求することには問題が多いと言わざるを得ません。
 というのも、多くの保育所では運営経費を十分確保できていません。保育所の運営経費は、基本的に国が定める保育所運営費と特別保育事業の補助金で賄われています。しかし、その保育単価などが低く設定されているため、自治体からの補助がなければ運営が厳しいのが実態です。保育所の運営費のほとんどは人件費であり、施設運営は人件費に大きく左右されます。施設収入の減少の最終的なしわ寄せは、保育所で従事する者の非正規職員化や削減に向かいます。保育の質を決定付ける最大の要因は職員の質であり、この点を軽視するべきではありません。
 厚生労働大臣は、こうした保育所の実態についてどのように認識されているのでしょうか。また、運営費の見直し等、何らかの改善策が必要だと思いますが、今後の方針をお伺いします。
 三つ目は、保育水準の地域間格差についてです。
 先ほど述べましたように、現在の保育所は国が定める運営費だけで運営することは極めて困難であります。自治体が独自の財源を充てて運営費の増額を図っている実態があります。この自治体による追加負担額は、財政状況や首長の姿勢などの違いによって左右されるため、保育水準の地域間格差が生じることになります。
 近年、休日勤務、深夜業務への従事、超過勤務などで働く保護者が多くなり、保育ニーズは量的なものにとどまらず、質的にも充実することが求められています。しかし、財政余力のない自治体において保育サービスを充実させることは困難であり、むしろ施設が老朽化しても改修できないなど、保育環境が大きく損なわれる実態にあります。
 保育所の運営を通じた子育ての地域間格差について、政府はどのように認識しているのでしょうか。また、こうした問題を是正する必要があると思いますが、今後どう取り組んでいくのか、厚生労働大臣にお伺いします。
 儒教の教えに恕の政治があります。これには二つの意味があり、一つは許す、もう一つが相手の立場に立って物を考える、優しさ、思いやりであります。正にこの恕の思想は、改革を進める福田政権の実践哲学と言えるのではないでしょうか。
 総理は、自民党にあっては党内勢力の統合と均衡を図りつつ、政策の立案を目指しています。また、国会においては国民、国家の利益を第一に考え、野党勢力とも十分に協議していくことを約束されているのであります。
 総理には、政治の信頼と党勢を回復するためにも、国民に向けて自らの政権運営の哲学と政策理念を改めて分かりやすく御説明いただきたい。そして、国民みんなが歩調を合わせて、内外から信頼される国づくりに邁進するよう祈念いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(福田康夫君) 椎名議員から、海上自衛隊による活動と国連決議との関係についてまず御質問がございました。
 国際社会は一致してテロとの戦いに取り組んでおり、すべての国連加盟国は、二〇〇一年九月十一日同時多発テロ事件を受けて採択された安保理決議を踏まえ、国際的なテロリズムを防止、抑止するために適切と認める措置を積極的にとるべき立場にあります。我が国による補給活動は、正にこれらの安保理決議を踏まえて行われている活動であります。
 また、先般採択された安保理決議第一七七六号は、海上阻止活動に対する各国の貢献を評価し、その継続の必要性を強調しております。これは、テロリズムの拡散を防ぐための国際社会の一致した活動の重要性が改めて安保理決議により確認されたものと認識しております。
 いずれにせよ、テロとの戦いは国際社会に対する責任というだけでなく、我が国自身のためでもあるという視点を忘れてはならないと思っております。
 テロ対策特措法に基づく自衛隊の給油活動の実績及びその方法についてのお尋ねがございました。
 我が国が実施する艦船用燃料の補給は、国別に申しますと、最近では約五〇%がフランス、約三〇%が米国、約一三%が参加国唯一のイスラム国でありますパキスタンとなっております。また、我が国が支援する各国の活動により、不審な船に対する無線照会の件数も近年大幅に減少しており、効果が現れてきております。自衛隊の補給活動は国連を始め国際社会から高い評価を得ており、具体的な継続要望もいただいております。
 また、こうした活動は、テロ対策特措法に基づくものであることを補給の対象国との間の交換公文に明記するとともに、対象国との協議の場において法の趣旨にのっとって説明した上で、対象国の艦船への補給の都度、その艦船が法に規定する諸外国の軍隊等の活動に従事していることを確認した後に行っております。
 このように、我が国が補給した艦船用燃料等については、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識しておりますが、現在、防衛省において、補給を受けた艦船の活動が法の趣旨にのっとったものであるかどうか事実関係を確認しているところでございます。
 インド洋における海上自衛隊による補給活動の継続についてのお尋ねがございました。
 政府としては、補給活動を継続するため、必要な法的措置の在り方について現在検討しているところでありますけれども、速やかに骨子を取りまとめて野党を含め国民の皆様にお示しし、協議を始めたいと考えております。
 インド洋における補給活動は海上阻止活動の不可欠の基礎となっておりまして、先般採択された国連安保理決議一七七六号に示されているように、国際的にも評価されて、活動の継続が期待されております。我が国は、この活動を通じて、我が国を含む国際社会の平和と安全を確保するための国際社会の取組の一翼を担うとともに、インド洋における海上交通の安全の確保にも貢献しております。
 テロとの戦いにおける我が国の国際的な責務を今後とも果たしていくため、この活動を引き続き実施していく必要があり、政府としては、活動継続の必要性を御理解いただけるよう、これから全力を尽くしてまいります。
 次に、今後の対アフリカ支援についてお尋ねがございました。
 我が国は、御指摘のアフリカ向けODAを三年間で倍増の着実な実施を含めて、対アフリカ支援を今後も引き続き積極的に推進していく考えであります。具体的には、アフリカ開発会議、すなわちTICADなどを通じ、経済成長の加速化、人間の安全保障の確立、環境保全や気候変動への対応などの分野で取り組んでいく考えでございます。
 TICADWに向けた政策ビジョンについてでございます。
 TICADWでは、元気なアフリカを目指してとの基本メッセージの下、近年、政治、経済両面で前向きな変化を見せているアフリカ諸国を後押しし、国際社会の知恵と資金を結集してまいりたいと考えております。また、TICADWの機会に訪日する多くのアフリカ諸国首脳に直接お会いし、アフリカが直面する課題について意見交換をし、続いて七月に開催される北海道洞爺湖サミットでの議論につなげてまいります。
 地方活性化の政策についてお尋ねがございました。
 私は、地方活性化のためには、御指摘にもありましたように、農業改革、地域中小企業の本格再生、公共事業の重点化等、それぞれの実情に応じた施策を効果的に推進することが重要と考えております。そのためには、地方の切実な声にこれまで以上に耳を傾け、自立と共生という改革理念の下、地方と都市とがともに支え合う考え方に立つことが重要であります。
 政府といたしましては、地方の再生に向けた戦略を一元的に立案し実行する体制として、地域活性化統合本部を設けることといたしまして、私からその旨を関係閣僚に本日指示をいたしました。この体制の下で地域の実情に応じた支援を立案、実施し、地方再生への構造改革に政府を挙げて取り組んでまいります。
 事業承継税制の拡充についてお尋ねがありました。
 中小企業は、我が国の経済成長を下支えする重要な役割を担っており、また、地域経済の活力の源泉でもあります。しかしながら、全体として景気が回復を続ける中においても、中小企業、特に小規模企業の多くはその恩恵を受けられずにおります。こうした状況を変えていくためには、大企業に伍して闘っていける中小企業に光を当てる政策だけでは不十分であり、地域に根差して懸命に経営改善のために汗を流している中小企業の方々に対して手を差し伸べ、後押ししていく政策を効果的に展開していくことが重要であります。
 中小企業の事業承継につきましては、事業の将来性、後継者不足、相続の問題など、様々な課題があります。総合的な支援策を推進していく必要が十分にあると考えております。事業承継税制の在り方については、事業承継の実態を把握しながら課税の公平にも留意しつつ、今後の税制改革の議論の中で検討していきたいと考えております。
 次に、少子化対策についてのお尋ねがありました。
 安心して子供を産み育てることができる社会とするためには、ワーク・ライフ・バランスの実現や多様な保育サービスの充実など、各種の取組を総合的に進めていくことが必要と考えております。ただし、次世代育成のための費用を次世代の負担によって賄うことのないよう、財源は現時点で手当てすることが重要であります。今後、このような観点から年末までに重点戦略を取りまとめてまいります。
 私の政権運営の哲学と政策理念についてのお尋ねがございました。
 少子高齢化、人口減少、また資源問題や環境問題という、そういう問題の顕在化がございます。私たちは今時代の大きな転換期を迎えておりまして、先の見えない不確実な状況の中にあると言えます。こういうような時代にあって、将来のあるべき姿を見据えながら、どのようにその姿に近づけていくのかという政策の方向性、これを常に念頭に置きながら必要な改革を継続することが私の責任であると考えております。
 そして、時代の変化に堪え得る社会を築く上での基本理念、これは自立と共生であると考えております。自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え、助け合う社会を築くことによって、先の見えない未来に対しても希望と安心を持ち続けることができるものと考えております。
 しかし、どのような立派な政策も、また必要な改革も、国民の皆様の信頼なくしては実現することはできません。政治に対する国民の不信が高まる中で、これまでの政治的な立場の違いだけに固執して批判の応酬に終わるような政治は厳に慎まなければならないと考えております。私は、真に国民の目線に立った政策を進めることによって、失われた信頼の回復に全力を傾けてまいります。その際、椎名議員のおっしゃるように、相手の立場に立って物を考えていく姿勢は保っていきたいと思っております。そして、相互の信頼を基礎としながら、激しい時代の潮流を国民の皆様方とともに乗り越えていきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(石破茂君) 椎名議員にお答えを申し上げます。
 テロ対策特措法に基づく海上自衛隊の活動の終了が我が国に及ぼす影響についてのお尋ねがございました。
 資源に乏しい海洋国家であります我が国にとって、海上輸送による資源の安定的な輸入がなされることは経済社会の存立の基盤なのであります。我が国のエネルギー構造は石油に大きく依存し、石油の約九割が、約九割が中東地域から輸入をされているのであります。これは極めて高い比率であります。ペルシャ湾では、我が国へ原油を輸入するためのタンカーが平均して毎日三隻から四隻航行いたしております。
 なお、付言すれば、アフガニスタンにおけるあへん生産量は全世界の約九割を占めると言われております。この海域が麻薬の輸送ルートに使用されるおそれもあるのであります。
 インド洋における海上阻止活動は、テロリスト及び関連物資の拡散や流入の阻止を目的として実施されているものであります。一方で、この海域の平和と安全の維持にも大きく寄与をしておるものであります。その上で、海上自衛隊による給油は、このような海上阻止活動に従事する各国艦船の作戦効率の向上に大きく寄与をいたしておるものであります。
 仮に、インド洋における海上自衛隊の活動を終了した場合、これまで我が国の給油に依存してきた各国艦船は、補給のため寄港し、テロ攻撃の危険性の高い岸壁での給油を余儀なくされます。また、より少ない数の補給艦による洋上補給体制を構築せざるを得なくなります。それは、その分ほかの国に大きな負担が掛かる、それを意味することであります。海上阻止活動の効率的な実施が損なわれる、私はそういうことであると考えております。インド洋におけるテロとの戦いの効果的な実行を損のうことは、この海域を航行する船舶の安全を脅かし、ひいては海上輸送に資源の多くを依存する我が国の国益に大きく影響するものと考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣増田寛也君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(増田寛也君) 椎名議員から夕張市の問題と地方再建についてお尋ねがございました。
 夕張市におきましては、現在、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を維持しながら財政再建を進めているわけでありますが、その後に発生をした事情等によりまして、先般、必要な計画の変更を行ったところであります。今後とも、夕張市の財政再建が再建計画に基づき確実かつ早期に進められるよう、北海道とも連携をして必要な支援等を行ってまいります。
 また、地方税財政の拡充に向けて偏在の少ない地方消費税の充実、そして法人課税の在り方の見直しなどによりまして、偏在の小さい地方税体系の構築に取り組んでまいります。
 さらに、さきの通常国会で成立をいたしました地方公共団体の財政の健全化に関する法律、これにつきましては平成二十年度決算から適用されるわけであります。そして、財政指標につきましては平成十九年度決算から公表をすることとしてございます。地方公共団体の御意見を伺いつつ、本法律の円滑な施行に努めまして、地方公共団体の自己規律による財政健全化を推進をしていく考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(舛添要一君) 椎名議員から、まず、医師臨床研修制度と医師不足問題についてお尋ねがありました。
 臨床研修については、それまで医師の努力義務であったこと、専門の診療科に偏っていたことなどを踏まえ、将来専門とする分野にかかわらず、一般的な診療において頻繁にかかわる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることを目的に、診療に従事しようとするすべての医師に平成十六年度から義務化されたものであります。
 産科、小児科を中心に医師不足問題が深刻な状況となっている中、地域に必要な医師を確保していくことは喫緊の課題だと考えております。医師不足問題の要因としては、御指摘のこの臨床研修の必修化など、大学病院を取り巻く状況の変化に伴う大学病院の医師派遣機能の低下を含め、病院勤務医の厳しい勤務環境、特に産科におけるリスクの高まりや訴訟の増加に対する懸念、女性医師の増加など、様々な点があると考えております。
 そのため、本年五月末にも政府と与党が一体となりまして緊急医師確保対策を取りまとめ、研修医の都市への集中の是正を含め、短期的な対策から中長期的な対策まで各般の対策を盛り込んだところでございます。これを受けまして、予算、診療報酬体系の見直しの中での対応、制度的見直し、医学部の暫定的定員増などを通じ、実効性ある形で政策を具体化してまいります。
 続きまして、保育所職員の処遇改善についてのお尋ねがございました。
 保育所の運営経費につきましては、保育サービスの安定的な提供の観点から、保育所の最低基準を維持するための運営費を公費で負担しているところでございます。
 御指摘のとおり、児童の処遇に直接かかわる保育士の質の確保は、保育サービスの質の確保に直結していることでありますから、大変重要な課題であると考えております。このため、従前より運営費の充実を図ってきたところでありますが、今後とも、保育サービスの質を担保する観点から、必要な運営費の確保を図ってまいります。
 最後に、椎名先生から保育水準の地域間格差についてのお尋ねがございました。
 先ほど申し上げましたとおり、国としては保育所の最低基準を維持するための運営費を確保しておりますが、地域の実情や財政状況に応じて自治体の独自財源による上乗せ措置が講じられております。その結果、地域差が生じているものと考えております。
 保育サービスを始めとする次世代育成支援の在り方につきましては、財源の在り方も含め、政府の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議におきまして検討をいただいております。都市部と地方の特性の違いに応じた課題についてもここで議論が行われているところであります。
 厚生労働省といたしましては、重点戦略検討会議の議論を踏まえつつ、すべての自治体において保育サービスの質が担保され、安心して子供を産み育てることができるような環境整備に全力を挙げてまいります。(拍手)
   〔政府特別補佐人宮崎礼壹君登壇、拍手〕
#17
○政府特別補佐人(宮崎礼壹君) 現行のテロ特措法に基づく協力支援活動と憲法との関係についてお尋ねをいただきました。
 集団的自衛権は、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利をいうと解され、政府としては従来からその行使は憲法上許されないと解してきております。
 ところで、この場合、集団的自衛権とは国家による実力の行使についての概念でございまして、例えば基地の提供や単なる費用の支出、あるいは現行のテロ特措法の枠組みの下での補給等の支援活動のようなものは、いずれも実力の行使自体に当たらず、集団的自衛権の問題は生じないと考えられてきているところでございます。
 現行のテロ特措法に基づく補給などの活動は、それ自体武力の行使、すなわち国家による実力の行使に当たらないものであることは明らかでありまして、また、その活動の地域が同法に言います非戦闘地域であること等の法律上の枠組みが設定され、他国の武力の行使との一体化の問題が生じないように規定されておりますので、集団的自衛権の問題を含め憲法第九条に違反することはないものと考えております。
 このような考え方に基づきまして、これまでテロ特措法を始めとして累次の立法がなされ、現実に憲法に適合するものとして自衛隊による活動が展開されてきているものと承知しております。(拍手)
    ─────────────
#18
○副議長(山東昭子君) 相原久美子さん。
   〔相原久美子君登壇、拍手〕
#19
○相原久美子君 民主党・新緑風会・日本の相原久美子です。
 私は、会派を代表し、福田総理の所信表明に対し質問をさせていただきます。
 昨日、今日と答弁を伺いましたが、是非とも具体的で国民の心に響く答弁をお願い申し上げます。
 私は、今回の参議院選挙は、小泉・安倍政権と続いてきた構造改革政策に国民の総括がなされた結果だと思います。この間、政府は、改革には痛みが伴うものだと言ってきました。しかし、痛みだけなら何とか我慢もできます。でも、今の改革は死を伴い、人としての生存権が脅かされ、不公平を伴い、地域間格差、事業の規模格差、雇用格差、男女間格差を更に大きくしてきたことに対する怒りの声だったのだと思います。
 今回の参議院選挙を通じ、私は、今までの人生で会った数倍もの人にお会いする機会を得、様々な声を聞いてきました。その多くは、将来への不安と日々の生活不安の声であり、だからこそ政治に期待をしたいのだから現状をよく知ってほしい、そういう声でした。
 医師や看護師が立ち去り、自治体から病院がなくなる。そこに暮らしている人がいて、税金も納め、都市よりもむしろ高い健康保険料を納めている状況なのに、病気になったとき近くで診察を受けることもできない、通院に負担が強いられるという声。働く場がなく、どんどん人口流出が続き、高齢化率は高くなる。結果、介護を担う人がいなくなり、介護保険料を払っていても寝込んだら本当に介護が受けられるのだろうかと心配ばかりしているというお年寄りの声。若くても農林業では生活ができない、漁業でも生活ができない、地方の田畑が荒れてきているという声。公共交通機関がなくなり、学校の統廃合等で子供たちにも負担が掛かっているという声。商店街などは経営が厳しく、シャッター通りになっているという声。
 内閣府の国民生活に関する世論調査でも、日常生活で悩みや不安を抱えている人が六九・五%と、過去最高を更新した事実が出されました。大都市東京でも、ブルーテントなどは増えています。このように、聞くのも見るのもつらくなってくる実態ばかりでした。
 今回の選挙で民主党は、生活が第一というメッセージの下に、格差の是正に取り組むことを鮮明にしたことによって勝利しました。格差の是正が民意であり、生活を考えてよというのが政治に対する切実な要求だとは思いませんか。
 構造改革による痛みに国民が耐えてきた結果、今、イザナギ超えの景気と言われています。しかし、GDP統計で見ると、二〇〇一年度から二〇〇五年度までの四年間、雇用者所得は八兆四千億円も減らしています。経済成長が続いているのにもかかわらず、国民がまじめに働いても生活が豊かにならない、政府が進めている今の構造改革は、やはり方向が大きく間違っているのではありませんか。
 福田総理は所信で、改革の方向は変えずに、生じた格差問題には一つ一つ処方せんを講じていくと述べられました。しかし、その対応策は従来からの対症療法的な政策の枠組みを超えるものではありません。
 経済財政白書では、ヨーロッパの税と社会保障による所得の再配分、格差拡大の是正措置として紹介されていました。選挙で示された民意にこたえるためには、政府は早急に所得再配分政策にこそ取り組むべきではありませんか。総理のお考えを伺います。
 今地方では、福田総理の言われるように、公共サービスが停滞し、地域の活力を奪う悪循環に陥っています。しかし、これは政府の政策の失敗によってもたらされたものではありませんか。国は財政再建を優先し、交付税を大幅に圧縮した結果、地方自治体は大きな打撃を受け、必要最低限の公共サービスさえも維持できなくなっているのです。
 そればかりではありません。一九九八年以降の小規模自治体に対する段階補正カット、二〇〇三年以降の都道府県に対する留保財源率の引上げなどで、地方交付税を含めた財源保障の範囲を狭め、地域間の財政の格差を拡大しているとの指摘もあります。
 地方における公共サービスの水準を維持するために、国の役割を限定して、地方に大幅な事務事業を移譲する大胆な地方分権改革を進めるとともに、地方の税財源を確立すべきではありませんか。また、格差是正のために地方交付税の財源保障機能と財政調整機能を高める必要があると私は考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
 さきの参議院選挙結果を受けて出された自民党の選挙総括委員会の報告書の中に、構造改革路線を堅持し、医療や年金など、国が構築すべきセーフティーネットを強化するとありました。当然、セーフティーネットは強化されなくてはなりません。しかし、総理、セーフティーネットを必要以上に強調しなくとも、人が働いたらまともに暮らせる社会、誇りを持って働き、労働に対する正当な報酬を得ることができる社会が求められているのではありませんか。本来あるべき労働と生活の在り方に対する総理のお考えをお聞きします。
 今、構造改革の結果、人が当たり前に暮らすことが難しくなってきています。
 昨年、NHKで放映され大きな反響を呼んだ番組の単行本が「ワーキングプア 日本を蝕む病」として発刊され、版を重ねています。格差社会の象徴ともいうべきワーキングプアとは、怠けているから貧しいのではなく、懸命に働き続けても生活保護水準以下の収入しか得られない人々です。ワーキングプアから抜け出せず路上生活を続ける若者たち、景気回復から取り残された中小の商店主や農家の人、睡眠時間を削って二つの仕事をこなすシングルマザー、年金だけでは暮らしていけず、空き缶拾いで日々を送るお年寄り夫婦などが取材班の目を通してレポートされています。
 民間団体の調査やマスコミの報道任せにせず、行政としてワーキングプア解消のための施策に速やかに着手するために、全国調査による実態把握をすべきだと考えますが、総理はいかがお考えでしょう。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、これらの国民の不安の声の中から何点かについて現状認識と今後の対応をお伺いしたいと思います。
 第一は、生計費である賃金の下支えを行う最低賃金制度についてです。憲法第二十五条に保障されている健康で文化的生活を営むための根幹の部分であるとしてお聞きください。
 八月に中央最低賃金審議会が答申した今年度の上げ幅目安は全国平均で十四円です。これでいくと、時給六百八十七円程度、従来に比べれば引上げ幅は上がっているというものの、一か月、所定内時間どおり働いても十二万円ほどにしかなりません。そして、このような状況で働いている労働者の多くは短期雇用を繰り返す派遣や臨時であったりと、時間給以外に諸手当が出ない、交通費すら出ないことが多いことを御存じでしょうか。年収わずか二百万円に満たないのですよ。総理は、これで安心して憲法で保障された生活ができるとお考えでしょうか。御認識を伺います。
 最低賃金を語るとき、中小企業への圧迫が懸念されています。イザナギ超えの景気と言われても、それを実感できる中小企業はほとんどないでしょう。生産性を高めるには、労働力の増加と設備投資、技術力の革新だと言われています。労働者の賃金改善のためにも企業規模間格差を解消するためにも特別な施策が必要だと考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
 第二は、雇用における格差が大きく見られるパート、派遣労働者の問題です。
 私自身、自治体におけるパート労働者として勤めた経験があります。現在、パート労働者は約一千二百万人で、雇用労働者全体の二三%を占めています。就業形態は多様化し、選択の幅が広がったのだと言う方がおりますが、選択できるのではなく、選択せざるを得ない状況にあることを御認識ください。
 さきの通常国会で改正されたパート労働法で差別禁止の要件に該当する対象者数は、パート労働者全体のたった四、五%にとどまります。また、所定内労働時間が通常労働者と同じであるフルタイムパートについては法の対象にすらなっていませんし、公務労働分野も対象外です。再度、抜本的な法制度改正が必要であると考えますが、総理の認識を伺います。
 継続審議となっている被用者年金制度一元化法案には、再チャレンジ施策の一つの柱であるパート労働者への社会保険の適用拡大が盛り込まれました。しかし、適用拡大は、週二十時間以上、月収九万八千円以上、勤務期間一年以上、中小零細企業を除くといった要件をすべて満たしている対象者に限られます。結果、週に二十時間以上三十時間未満で働くパート労働者三百十万人のうち、対象者はたった十万から二十万人です。残る九割のパート労働者は再チャレンジのスタートラインにさえ立つ資格がないというのでしょうか。総理、答弁を求めます。
 派遣労働について伺います。
 厚生労働省の二〇〇五年の調査では、派遣労働者の平均年収は三百万円に達していない状況にありますが、今日は、特に日雇派遣、スポット派遣についてお考えをいただければと思います。
 御存じかと思いますが、派遣会社から携帯電話やメールによる一日単位の仕事の紹介がされ、私も駅前等でよく見掛けますが、時間集合で現場に行き、業務終了後、その日の日当が支払われるケースです。さきに述べましたワーキングプアの報道にもありました。
 今、働く意欲があるのにもかかわらず、このような働き方をせざるを得ない若者が多くなってきている、このことに私たちは真剣にとらえなくてはならないのではないでしょうか。昨今は、使用者側のコンプライアンスが問われる問題も出てきております。
 このような働き方では、結婚をする選択、子供を産み育てるという選択もできません。社会保障制度の維持、少子高齢化への対策のためにも雇用施策は重要です。働く意欲と将来の生活設計が可能な質の良い雇用が必要なのではありませんか。総理の御認識を伺います。
 第三は、介護保険施策についてです。
 二〇〇〇年から施行された介護保険法は、団塊の世代が高齢期を迎える二〇一五年を見越し、制度を持続可能なものとするため、介護予防を中心とする法改正が一昨年行われました。
 八月に厚生労働省が公表した介護給付費実態調査結果では、二〇〇六年度の介護保険のサービス利用者は、制度導入以降初めて減少に転じたことが報告されています。制度改正による給付の適正化が図られた効果でもあるのでしょう。しかし一方で、介護者が共働きや高齢者のみの世帯においても、同居家族がいるという一元的な理由によってホームヘルプサービスが短縮、カットされたという悲鳴が聞こえてきます。介護の社会化といううたい文句でスタートした制度が、自助、自立、予防の名の下に不用意に抑制されることがあってはならないと考えます。総理は、今回の調査結果をどのように分析し、評価されているのでしょうか。率直な答弁を求めます。
 また、相次ぐ介護報酬の不正請求に対しては、サービスを継続して利用できるのかどうかと不安を覚える利用者、その家族は多いと思います。国民の不安を払拭するという点で、介護事業者のコンプライアンス確保について総理はどうお考えでしょうか。
 一方、介護労働者に目を転じると、低賃金、重労働、登録型ヘルパーという不安定雇用などで、離職率は全企業平均一七・五%に対し二〇・二%と高いものになっています。最近は、求人をしても応募がないという状況を見聞きします。有資格者は十分に近い数がいると言われていますが、人材確保のためには労働条件の整備が喫緊の課題ではないでしょうか。総理はいかがお考えですか。
 第四は、障害者自立支援法について伺います。
 私たち民主党は、定率負担の凍結及び事業者への財政支援を柱とする同法改正案を去る九月二十八日、本院に提出しました。しかし、我が党は、この改正案をもってもなお障害者福祉施策が十分であるとは考えず、障害者がより安心して当たり前に地域で暮らせるための制度を構築していこうと考えています。与党においても制度の抜本的見直しの方向で議論がされていると聞き及びます。与党の検討状況について総理に答弁を求めます。
 一つ、総理並びに与党の方々に是非とも思い出していただきたいのです。そもそも障害者自立支援法は、介護保険制度の被保険者、受給者範囲の拡大が見送られたことから、財源確保のために突貫工事での制度設計となってしまいました。結果、与党は昨年末に一千二百億円の特別対策を打ち、今改めて抜本改革を行わないことには立ち行かなくなってしまったのではないですか。障害者団体を始め関係諸団体、そして野党である私たちは、法案審議の段階から、今日指摘されている様々な問題点を危惧し、拙速な法案成立は行うべきではないと指摘してきたことをお忘れでしょうか。
 高齢者医療費の負担増凍結も検討されていると伺います。この負担増も、与党が昨年七月、強引に成立させた医療制度改革関連法案によるものです。
 総理にお伺いいたします。国会での法案審議、採決とは何のためにあるのですか。議論を打ち切り、採決を強行した法律を施行するかしないかで見直すというのは、与党自らが立法府である国会の責務を放棄しているとのそしりを免れないのではありませんか。明確な答弁をお願いいたします。
 最後に、今国会の最重要課題である政治と金の問題について伺います。
 安倍前総理の在任わずか一年の間、事務所費問題に端を発し、一体何人の閣僚の政治と金にまつわる問題や疑惑が明るみになったことでしょうか。そして、指摘されたほとんどの閣僚が事実関係についての明確な説明責任を果たしたとはとても言えません。しかも、任命権者であった前総理が、閣僚に代わって事実関係を調査し、国民に説明することもありませんでした。
 このまま一連の問題をうやむやにしてしまっては、政治不信は高まる一方です。総理は所信の中で国民の皆様の信頼なくしてはと言われましたが、疑惑を持たれた方々が説明責任をきちんと果たすためにはどうすべきなのか、総理のお考えをお聞きします。
 さきの通常国会で、私たち民主党が対案を提示した政治資金規正法改正の際に信頼回復のチャンスがありました。しかし、野党の声に耳を傾けようとしない強引な国会運営によって、私どもから言うとざる法を成立させてしまいました。結果、再度の改正が急務となっています。民主党は、すべての政治団体に対して一件一円以上の支出を対象とした政治資金規正法の一部改正案を提出することを予定しています。
 与党内でも、基準額を一件一円以上とする改正案の検討が進められていると聞いております。しかし、領収書の公開については、意見をまとめられたとはまだ聞こえてきません。現在の自民党の政治資金規正法についての検討状況をお伺いいたします。
 総理は所信で、法令を遵守しと言われましたが、政治資金の透明性を高めるには、その法の中身が問題なのではありませんか。単に領収書を添付して提出させるだけではなく、公開することこそが肝要であると考えますが、総理のお考えを伺います。
 質問を締めくくるに当たり、重ねて申し上げます。
 国民の生活を支える労働の対価の根幹にあるのは、同一価値労働同一賃金の原則であり、公正な労働基準の確立です。これ以上、労働分野での規制緩和を進めず、今明らかになっている格差に対する早急な施策が必要です。また、高齢者、障害者を始め社会的に弱い立場に置かれている方々に対する施策は、決して当事者の声なくして決めるべきではありません。
 今、この国の国民の多くは、明日は我が身の不安を背負っています。私がこの選挙期間中にお会いした高齢の方がこうおっしゃいました。あなたが当選したら、国会の議論は国民の目線で、生活感のある議論をしてくれと。正に、我が民主党小沢代表の言う、政治は生活、生活を第一に政治は考えるべきです。
 終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(福田康夫君) 相原議員にお答えを申し上げます。
 まず、改革の方向性と格差問題への対応策としての所得再配分政策でございます。
 我が国の経済社会を取り巻く環境が変化する中で、格差と言われる様々な問題が生じております。私は、景気回復の恩恵を受けていない人々や困っている方々がいらっしゃる実態を認識することが政治家の役割だと考えております。このため、改革の方向性は変えずに、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことに全力を注ぎたいと思っております。
 その取組の中で、所得再配分の在り方については、税制及び社会保障制度などの政策全体でどのような機能を発揮すべきかを考えていく必要があると思います。将来のあるべき日本の姿を見据え、どのようにその姿に近づけるかを常に念頭に置きながら、国民の皆様方の目線に立って改革を続行してまいる所存でございます。
 次に、地方分権改革の推進と地方税財源の確立等についてのお尋ねがございました。
 地方と都市がともに支え合う共生の考え方の下で、地方が自ら考え、実行できる体制の整備に向け、国と地方の役割分担の見直しを行い、地方自治体に対する一層の権限移譲を行うとともに、財政面からも地方が自立できるよう地方税財政の改革に取り組みます。
 また、地域間の財政力格差を調整するとともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保する地方交付税の機能は今後とも重要であると認識しておりまして、地方交付税を始め地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保にも努めてまいります。
 あるべき労働と生産の在り方についてのお尋ねがございました。
 非正規の労働者の増加など、雇用環境の変化の中でワーキングプアが生じているという指摘も見られるところでございます。だれもが自らの能力を生かし、安定した仕事に就いて将来に希望を持って暮らせるようにすることが重要であり、労働条件の改善などに取り組んで、働く人たちの雇用の安定と所得の向上を図ってまいります。
 ワーキングプアの実態調査についてでございますが、いわゆるワーキングプアについては、その範囲や定義に関して様々な議論があり、現在のところ我が国では確立した概念はないと承知しております。これまでにいわゆるワーキングプアと指摘された方々は、フリーター等の非正規雇用、母子世帯、生活保護世帯等であり、このような方々の状況については、既存の統計等によりその把握に努めるとともに、働く人全体の所得や生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐため、成長力底上げ戦略に取り組むなど、対応を図ってまいっているところでございます。
 次に、最低賃金の水準でございますが、継続審議となっている最低賃金法改正法案においては、最低賃金制度がセーフティーネットとしてより適切に機能するよう、地域別最低賃金について、生活保護との整合性も考慮して水準を決定することを明確にしたところでございまして、早期に法案を成立させていただきたいと考えております。また、成長力底上げ戦略推進円卓会議において、中長期的な引上げ方針につきまして政労使の合意形成を図ることにより、最低賃金の引上げの環境整備を進めてまいります。
 次に、中小企業対策についてお尋ねがございました。
 景気が回復を続ける中においても、多くの中小企業は苦しい経営状況にあるということは私も十分認識しております。大企業と中小企業の調和の取れた成長を図るため、予算、金融、税制等を効果的、集中的に活用するとともに、下請取引の適正化や事業承継の円滑化を推進し、生産性向上に向けた中小企業の努力を徹底的かつきめ細かく支援してまいります。
 パート労働法についてお尋ねがございました。
 さきの通常国会で成立した改正法では、正社員と同視できるもの以外のパートタイム労働者についても、その就労実態に応じて均衡待遇の規定が適用されるため、すべてのパートタイム労働者についてきめ細かな待遇の改善が図られることとなっております。
 他方、いわゆるフルタイムパート、すなわち有期契約で通常の労働者と同じ労働時間で働く労働者の取扱いについては、今後の課題と認識しております。しかしながら、今回の法改正の趣旨を踏まえ、当然改正法の考え方が考慮されるべきでございまして、都道府県労働局においても事業主にその旨を周知し、理解を求めております。
 なお、公務労働分野については、そもそも勤務条件が法令等により定められているために、事業主が自主的に雇用管理を行うことを前提としたパート労働法の適用はなじまないものであると思っております。
 いずれにしても、平成二十年四月から改正法を着実に施行することを通じて、パート労働者の待遇の改善に努めてまいります。
 パート労働者への社会保険の適用拡大でございますが、被用者年金制度一元化法案では、正社員に近いパート労働者に適用を拡大するという考え方の下で、二十七年前に定めた現在の厚生年金の適用基準を初めて見直すことになりました。これにより、就職氷河期に直面したフリーター等に対しましては、正社員化に向けた道が広がるほか、被扶養配偶者にとっては、いわゆる百三十万円の壁にとらわれず、本人の意欲と能力を発揮できるようになります。ということなど、パート労働者の年金保障の充実を図る上で大きな第一歩と考えております。
 日雇派遣、スポット派遣についてのお尋ねがございました。
 日雇派遣については、厚生労働省が行った調査によりますと、労働者の側からも一定のニーズがあるものの、雇用が不安定な働き方であり、様々な問題が指摘をされているところでございます。若者を中心として低所得の非正規雇用が増加、固定化するということには、結果として少子化につながるという指摘もございまして、十分な注意が必要と考えております。このため、フリーター二十五万人常用雇用化プランの推進など、正規雇用化の支援等に取り組んでいるところでございまして、こうした取組を通じて働く人たちの雇用の安定と向上を図ってまいります。
 また、労働者派遣制度については、その施行状況、関係者の意見、現場の実態を踏まえて、日雇派遣の在り方も含め、本年九月から具体的な見直しの検討を開始しておりまして、その結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
 介護給付費実態調査などに関するお尋ねがございました。
 介護給付費実態調査によりますと、御指摘のとおり、平成十八年度における介護サービス実受給者数は平成十七年度と比較して減少しておりますが、他方、延べ受給者数については増加しております。これは、主として特別養護老人ホームなどの施設入所者の要介護度が高くなり、入所期間が長期化したことにより、結果として新規入所者などが減少したという影響によるものと考えております。
 なお、平成十七年の介護保険法改正によりまして、保険料の上昇の抑制に努めつつ、介護保険制度を持続可能なものとするために、給付の効率化、重点化を進めておりますが、この結果、利用者にとって真に必要なサービスが抑制されることのないように、適切なケアマネジメントを行うなど、きめ細やかな対応に努めているところでございます。
 次に、介護事業者のコンプライアンス確保についてのお尋ねがございました。
 介護事業者の不正行為は、介護サービスの利用者に対して多大なる影響を与えるとともに、介護保険制度に対する国民の信頼を大きく失墜させる行為でございます。このため、現在、有識者から成る検討会を設け、不正事案の再発防止措置について検討を行っていただいているところでございまして、今後、その結果を踏まえ、法令遵守の徹底に取り組んでまいります。
 介護労働者の人材確保についてのお尋ねがございました。
 介護の職場は、近年の景気回復による他分野での求人増や高い離職率などにより、一部の地域や事業所では人材の確保が厳しい状況が見られます。このため、介護労働者の安定的な確保が図られるよう労働環境の改善などに取り組むことが重要であると認識しておりまして、労働基準法等の関係法令の適用の徹底、雇用管理の改善に向けた事業主への支援などを進めていくことといたしております。
 次に、障害者自立支援法についてのお尋ねでございます。
 この支援法につきましては、連立政権合意において抜本的な見直しを検討することといたしておりまして、また法律上も施行後三年の見直しが求められております。こうしたことを踏まえ、平成二十年度までの三年間で、国費一千二百億円の特別対策の政策効果も見定めつつ、抜本的な見直しに向けて制度全体にわたる議論を行ってまいります。
 次に、施行前や施行直後に法律を見直すことは与党による責務の放棄ではないかというお尋ねがございました。
 一般論としては、国民の生活に直結する制度については、無用な混乱を引き起こすことのないよう、御指摘のとおり朝令暮改とのそしりを受けるような事態は避けるべきであると考えております。しかしながら、その制度が国民の生活に直結するものであればあるほど、国民の目線に立って制度の仕組み、運用状況を常時チェックし、問題が生じていれば、できるだけ速やかに一つ一つきちんと処方せんを講じていくことが必要であると考えております。
 今後とも、障害をお持ちの方やお年寄りなど、それぞれの方が置かれている状況に十分配慮しながら、きめ細やかな対応に努めてまいります。
 次に、閣僚の政治資金問題に関する説明責任についてでございますが、政治資金問題については国民から厳しい批判を受けているところでございまして、政治家全員に関係することではありますが、特に閣僚については政治資金の透明性を確保するという責任が格段に大きく、より一層厳格な管理と説明責任が求められていると考えます。そして、閣僚が説明責任を果たすためには、一人一人がこの問題の重要性を感じ取り、間違いのない報告を常に示すことができるようにすることが必要であると考えております。
 政治資金の公開についてお尋ねがございました。
 政治資金の新たなルールを策定するに当たっては、国民から信頼されるものかどうかという基本的な考え方の下で、国民の目線で検討されるべきものと考えております。そうした観点から、まず民間では会社の経理報告や監査をどうしているかということも参考にしながら、現行ルールは具体的な取扱いで判断に困ることもあるという実態も考慮しながら、統一的な解釈の下でしっかりとチェックを行っていくための仕組みをつくることも検討すべきであると考えております。
 いずれにしても、具体的なルールの在り方については、今後与野党の間で十分に御議論をいただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(江田五月君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#22
○市田忠義君 日本共産党を代表して、総理に質問します。
 さきの参議院選挙において、自民・公明政権は歴史的な大敗を喫しました。これは、閣僚の相次ぐスキャンダルなど個々の問題にとどまらず、多くの有権者が政府の基本路線、すなわち貧困と格差を広げた弱肉強食の構造改革路線、戦後レジームからの脱却を掲げた憲法改悪の企てや、過去の歴史に無反省な言動などに対して、ノーの審判を下した結果であります。
 総理、この国民の審判に真正面から向き合う仕事は、新たに政権を担うことになったあなたに課せられました。国民は総理の一挙手一投足に注目しています。
 そこで、まず第一に伺いたい。
 憲法を頂点とする戦後レジームからの脱却を掲げた安倍政治は、戦後六十二年間の歩みを否定し、歴史の書換えまで試みて、国民の中に様々な傷跡を残しました。沖縄戦での集団自決への日本軍の強制、命令、誘導を否定した教科書検定はその一つの象徴でした。
 九月二十九日、宜野湾海浜公園を埋め尽くして教科書検定意見撤回を求める県民大会が開かれました。私も参加しました。沖縄県民の実に一割、十一万六千人もの人々が集まって声を上げました。県民の怒りが巨大なマグマとなって噴き上げるのを見る思いがしました。
 自国民を守るはずの日本軍が、逆に戦争遂行のために住民の命を奪い、肉親同士を殺し合わせました。集団自決は、敵に捕まるぐらいなら自決せよと手りゅう弾を手渡すなど、紛れもなく日本軍の強制によって引き起こされたものでした。だれが強制なくして我が子をあやめるでしょう。自ら手を掛けざるを得なかった子供たちをぎゅっと抱き締め、こんなに大きくなったのに、生まれてこなければよかったね、ごめんね。亡くなった人も生き残った人も、軍の命令の前にみんなこの悲しみを抱いたのであります。
 集会で発言した高校生は、うそを真実と言わないでください、醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい、そう述べました。
 歴史の真実から目を背けてはなりません。総理は、政治と行政に対する国民の不信を率直に受け止めると述べられました。その最初の仕事として、集団自決に軍の強制と命令はなかったとする検定意見の撤回のために、県民の心を重く受け止めるという一般論ではなくて、政府としての責任を具体的に果たすべきではありませんか。
 第二は、国民の暮らしについてであります。
 総理は所信表明で、実態から決して目をそらさず、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていく、社会保障制度は国民の立場に立ったものでなければなりませんと述べられました。
 そこでお聞きします。
 まず、障害者自立支援法についてであります。
 社会参加に道を開いてきた障害者本人とその家族、そして国や自治体の援助のないときからこうした人たちを励まし、受け入れてきた人たちの努力が、この法律によって今や無に帰そうとしています。
 施設に赤字が出るからと通所を断られた。やっと施設に巡り合えて心を開き、確かな成長を始めた子が、また部屋に閉じこもるようになった。この子の数年間の成長と発達をどうして止めるのか、国にそんな権利があるのでしょうか。この母親の声に総理はどうこたえますか。
 さらに、福祉サービス、自立支援医療における応益負担制度の廃止は一刻の猶予もならない要求です。この願いにこたえるべきではありませんか。
 人はだれも病気から逃れることはできません。だからこそ、いつでもだれでも安心して医療を受けられる社会を目指してきました。ところが、病院にも行けず、症状が重くなったり死亡する事件が全国で相次いでいます。それは、国民健康保険料が高過ぎて払えず、保険証を取り上げられた世帯が三十五万世帯にもなったためです。国保加入者の平均所得は、二十年前の百七十九万二千円から百六十五万円に減りました。ところが、一人当たりの国保料、国保税は三万九千円から七万九千円へと二倍に増えました。払えなくなるのは当たり前であります。
 国保証の取上げを直ちにやめるとともに、負担能力をはるかに超えた国保料、国保税を国の責任で引き下げること、さらに、高齢者に過酷な負担を押し付け、医療内容を制限する後期高齢者医療制度については、部分的な手直しで済ませるのではなく、中止、撤回すること、総理、これこそ医療の安心のための緊急で切実な課題だと考えますが、いかがですか。
 年金への信頼を取り戻すことも、今政治に求められている緊急課題の一つです。年金不信の根本にあるものは何か。それは、低過ぎる給付水準です。そして、受給資格を得るためには二十五年以上保険料を払い続けなければならないという余りにも長い加入期間です。日本共産党は、この根本問題を解決するためには、全額国庫による最低保障年金制度の確立が不可欠だと考えています。同時に、今すぐできることがあります。それは、消えた年金問題を解決するために、すべての加入者と受給者に今政府が把握している年金記録を直ちに送って自分の加入歴と記録が一致しているかどうかを確認してもらうこと、もう一つは、二十五年という長過ぎる受給要件をせめて十年程度に短縮することであります。参議院選挙中の議論の中でも、基本的に各党が一致したこの二つは、その気になれば直ちに実行できるはずであります。総理の決意をお聞きします。
 先ごろ厚生労働省は、ネットカフェに寝泊まりしながら日雇派遣で働く人々の実態調査の結果を発表しました。住む場所を失った理由の大半は、仕事を辞めて家賃などを支払えなくなったということであります。敷金などアパートを借りるための貯金も、家賃を払い続ける収入もない。履歴書に書く住所がない。だから、安定した仕事に就くこともできない。要するに、まともな仕事がないから家がない、家がないから正社員にも応募もできないのです。
 こうした人々に少なくとも家賃補助、生活資金の貸付けを直ちに行うこと。さらに、青年を食い物にする日雇派遣は政治の責任でなくすべきであります。同時に、偽装請負の摘発と正社員化はもちろん、派遣労働者の正規雇用への転換を積極的に進めるべきだと考えますが、いかがですか。
 参議院選挙で国民がノーの審判を下した構造改革路線は、一握りの大企業、大資産家だけが栄え、民が滅ぶ、殺伐とした社会をつくり出しました。政府の統計でも、大企業の利益は一九九七年度からの九年間で十五兆一千億円から三十二兆八千億円と二・二倍になりました。株主への配当は三・九倍です。ところが一方で、額に汗して必死に働き、このもうけをつくり出した労働者の給料は、四十三兆九千億円から四十兆三千億円に、三兆六千億円も減りました。税金の負担も、庶民への相次ぐ大増税とは裏腹に、大企業、大資産家には七兆円を超える減税が行われたのであります。
 総理、たとえ政治的立場は違っても、これは余りにも異常だとは思われませんか。このゆがみを正せば、国民の暮らしを潤し、社会保障のための財源も豊かに生み出すことが十分可能であります。総理がぬくもりのある政治を本気で目指すというのなら、国民の暮らしを支え、福祉を充実させるために、こうした税財政のゆがみを正す政治に転換すべきだと考えますが、いかがですか。
 最後に、テロ特措法についてお聞きします。
 テロとの戦いという名で進められたアメリカの報復戦争によってテロはなくなったでしょうか。日本共産党は、二〇〇一年九月十一日の同時多発テロに際して、国連及び各国政府に書簡を送り、国際社会が協力してテロリストを追い詰め、法の裁きの下に置くことこそ解決の道であり、その努力を尽くさないまま報復戦争に訴えることは事態の悪化しかもたらさないと主張し、世界に働き掛けました。このことは、戦争によってテロの温床が拡大され、アルカイダのネットワークが世界の六十か国に広がるなど、この六年間の事実によって証明されました。
 アフガンで医療支援や井戸を掘って農業かんがい用水の整備などを行っているペシャワールの会の中村哲医師は、アフガンでテロの温床が広がりつつある現状を次のように述べています。その背景には戦乱と干ばつで疲弊した農村の現実がある、農地なき農民は難民になるか軍閥や米軍の傭兵になるしか道がないと。
 総理、自衛隊による給油で一体何人の雇用が、何ヘクタールの農地が生まれたでしょうか。中村医師は、殺しながら助ける支援というものがあり得るのかと鋭く告発しています。テロの撲滅には何の役割も果たせなかった報復戦争への協力はきっぱりやめて、農業の再生、貧困の撲滅、教育の復興など、最大の被害者であるアフガン国民の立場に立った人道支援に切り替えるべきではありませんか。
 テロ特措法の延長はもちろん、新法の制定など断じて行うべきではないことを指摘して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(福田康夫君) 市田議員にお答えを申し上げます。
 沖縄の集団自決に関する教科書検定についてのことでございますが、教科書検定は審議会における専門的な審議を経て実施されることになっております。御指摘の沖縄の集団自決に関する教科書検定に関しては、軍の関与を否定するものではないと承知しておりますけれども、仲井眞知事を始め沖縄県民の思いを重く受け止め、文部科学省においてしっかりと検討をいたしております。
 障害者自立支援法に関してのお尋ねがございました。
 この法律は、障害福祉サービスの充実を図ることにより障害者の方々が地域において安心して暮らすことのできる環境を整備することを目指すものであり、法施行後、サービスの利用者数も着実に増加しております。御指摘の利用者負担については、サービスの量に応じ最大一割の負担をお願いしていますが、負担が過大なものとならないよう、所得に応じたきめ細やかな軽減措置を講じているところでございます。
 これに加え、三年間で国費千二百億円の特別対策により、この軽減措置を更に拡充しているところでございまして、その政策効果も見定めつつ、抜本的な見直しに向け、制度全体にわたる議論を行ってまいります。
 国民健康保険についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険証に代わり交付される資格証明書は、保険料を納付することができない特別な事情がないにもかかわらず長期にわたり保険料を滞納している方について、納付相談の機会を確保するために交付されているものでございます。この資格証明書は、すべての被保険者に公平に保険料を負担していただくことが制度存立の前提となっている国民健康保険制度が機能するための仕組みと認識いたしております。
 国民健康保険料については、低所得などの事情がある場合には軽減や減免の措置を講じております。被保険者の方々の個々の状況に応じたきめ細やかな対応が図られるように今後努めてまいります。
 後期高齢者医療制度についてのお尋ねがございました。
 七十五歳以上を対象とする後期高齢者医療制度は、今後、高齢化に伴う医療費の増大が見込める中で、現役世代と高齢者の負担の公平化を図るとともに、後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療を提供することを目的として、昨年の医療制度改革において創設することとされたものであります。本制度の理念、方向性については適切なものと考えておりますけれども、一方で、高齢者の方々が置かれている様々な状況に配慮しながらきめ細かな対応に努める必要があると考えておりまして、被保険者からの保険料徴収の凍結について、今後、予算措置も含めて十分に検討してまいります。
 年金制度についてお尋ねがございました。
 年金記録問題への対応については、平成二十年三月までを目途に五千万件の年金記録について名寄せを実施するとともに、記録が結び付くと思われる方に加入履歴を送付し、御本人による確認を通じて記録を結び付けてまいります。その後、平成二十年十月までを目途に、それ以外のすべての方にもお知らせをお送りし、これをきっかけとしたお問い合わせ等により国民一人一人の年金記録の確認を行います。
 受給資格期間につきましては、現在も低所得者に対する保険料の免除制度や六十歳以上の任意加入制度など、二十五年の受給資格期間を満たすための様々な方策を講じております。また、御指摘の受給資格期間の短縮につきましては、未納を助長し、低年金者を増やす結果にならないかなど、様々な論点に留意しつつ慎重に議論をしていく必要があると考えております。
 日雇派遣などについてのお尋ねがございました。
 日雇派遣やネットカフェで寝泊まりしている不安定就労者など、若者を中心とした非正規雇用についての問題が指摘をされております。だれもが自らの能力を生かし、安定した仕事に就いて、将来に希望を持って暮らせるように、正規雇用化の支援に取り組むとともに、不安定就労者に対するハローワークにおける就労機会の確保や職業相談の充実など、雇用の安定と向上に向けた取組を進めてまいります。
 いわゆる偽装請負については労働者派遣法に違反するものでございまして、法律の規定に基づき、監督指導や悪質な違反が認められた事業主に対する厳格な対応等を徹底し、偽装請負の解消に最善を尽くしてまいります。また、労働者派遣制度につきましては、その施行状況や関係者の意見、現場の実態を踏まえ、日雇派遣の在り方も含め、本年九月から具体的な見直しの検討を開始しておりまして、その結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
 構造改革路線の税財政の在り方を転換すべきではないかというお尋ねがございました。
 近年、我が国においては、経済社会の大きな構造変化に対応して持続的な経済社会の活性化を実現するという観点から、歳出の合理化、効率化を進めるとともに、税制面では経済のグローバル化等に対応した法人実効税率の引下げ、また国民の勤労意欲を引き出すこと等を目的とした個人所得課税の最高税率の引下げ等に取り組んでまいりました。こうした努力もあって、景気は回復し、雇用が拡大するなど、一定の成果が上がってきております。
 しかし、我が国はなお、少子高齢化に伴う社会保障費の増大など難題に直面しておりまして、より成熟した社会をつくっていくためには、日本の将来を見据えた改革を進めていかなければなりません。その際には、成長力の強化や地域の活性化、国民の安全、安心などに配慮しつつ、国民の皆様の目線に立って政策を実行してまいりたいと思います。
 アフガニスタンにおいて人道支援を行うべきとの御提案がございました。
 アフガニスタンが再びテロの温床とならないようにするためには、人道復興支援と治安・テロ対策の双方に取り組むことが必要です。我が国は、これまでも、難民支援等の人道支援や教育、農村開発等の幅広い分野における十二億ドル以上の支援を通じ、アフガニスタン国民の立場に立った人道復興支援を行ってきております。同時に、自衛隊によるインド洋における補給活動は、国連安保理決議を踏まえて行われております。また、海上阻止活動の必要性と意義については、国際社会において広く認識されております。人道支援によって海上阻止活動は代替はできません。
 引き続き、国際社会と緊密に協力しつつ、人道復興支援と国際的テロリズムの防止のために幅広い取組を行うことが重要であると考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(江田五月君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#25
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、福田総理に質問をします。
 私は、今年の一月、安倍前総理の施政方針演説に対して、「社民党は、美しい国ではなく、温かい国をつくります。」と宣言をしました。くしくも、福田総理は「ぬくもりのある政治」と言いました。福田総理が本当に温かい改革をなさるのか、お聞きします。
 福田総理の所信表明演説は、国民生活の悲鳴にこたえるものとなっていません。生活の破壊は、小泉・安倍内閣による構造改革の本質的な結果であり、単なる影ではありません。三位一体改革ならぬ三位ばらばら改悪で、地方切捨てが進みました。
 社民党は、初めから構造改革の方向が間違っていると批判してきました。今までの改悪を進めるのか、これを是正するのか、総理の演説ではどちらの方向に進むのか明らかではありません。今こそ具体的な格差是正のための政策が必要です。小泉改革を抜本的に転換すると、ここで明言していただきたい。いかがですか。
 まず、雇用の問題です。
 非正規雇用の拡大や雇用の劣化は、労働者派遣法の規制緩和を始めとした正に政府・与党の政策の結果です。格差拡大や貧困問題を生じさせてきた根本を変えない限り、雇用の安定はあり得ません。
 社民党は、これまでも安定した雇用こそ安心できる生活の基本であると主張をしてきました。労働者派遣法を規制する方向で改正し、製造業については派遣を認めない、また登録型派遣を見直すべきと考えますが、いかがですか。また、最低賃金についても、暮らせる賃金にするためにも、経過措置をとり、中小企業へ配慮しつつも時給千円以上を実現すべきと考えますが、いかがですか。
 次に、社会保障費について質問します。
 厚生労働省は、これまで、社会保障関連予算を毎年二千二百億円カットするため、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法、更に言えば、介護や保健、年金、健康保険などの福祉切捨てを、現場の声を無視し、強行してきました。ギリシャ神話にある、ベッドの大きさに合わせて手足を切るという物語に似ていて、正に生きている人間は悲鳴を上げています。現場を無視し、福祉を切り捨ててきたことへの反省はあるのでしょうか。いかがですか。
 後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の改正は、どのような日程でどのように改正されるのですか。その詳細についてお聞きします。
 次に、年金記録問題について質問します。
 年金記録問題について、安倍前総理は今年度中に名寄せを行うと約束をしました。この約束は守れますか。また、未入力の年金の入力、台帳と電子データとの突き合わせはできますか。第三者委員会の活動を含めて、年金記録問題に関する過程についてスピードアップをすべきと考えますが、いかがですか。
 次に、消費税です。
 総理は、消費税を含む税体系の改革の実現について述べられました。しかし、消費税の値上げは、低所得者の人たちにとりわけ負担となります。これでは温かい政治とは言えません。消費税の値上げをするつもりですか、明確にお答えください。
 次に、平和の問題についてお聞きします。
 総理は、憲法改正について言及をされませんでした。所信表明演説で表明されなかったということは、あなたの任期中は憲法改正をしないということですね。憲法は変えるべきではなく、憲法の理念を生かす政治こそが温かい政治と考えますが、いかがですか。
 次に、教育再生会議について質問します。
 教育再生会議については、今後どのような扱いとなるのですか。
 また、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、いわゆる集団的自衛権についての有識者会議についても、今後どのような扱いとなるのですか。日本国憲法下で集団的自衛権の行使を認めることはできません。総理も認めないという認識でよろしいですね。
 ところで、総理はテロ特措法、イラク特措法が成立したときの官房長官です。アメリカのアフガニスタン、イラクへの武力攻撃は、テロを根絶するどころか、むしろテロを世界に拡散させました。武力で平和をつくれないことは、当時、社民党も含めた国内、また世界じゅうの人たちが主張したことです。現実はそのとおりになりました。イラクに大量破壊兵器がなかったことも含めて、アフガニスタンへの武力攻撃とイラク戦争を支持したあなたの判断は明確に間違っていたことをどう総括しますか、お答えください。
 ところで、アメリカの艦船の航海日誌などから、日本から給油された燃料がイラク戦争に使われていることが明らかになりました。海上自衛隊の航海日誌の開示を私が求めたところ、二〇〇三年当時のものは廃棄したという回答でした。テロ特措法が問題になっているときに全く理解ができません。テロ特措法に基づいて補給された燃料はイラク戦争に使われていないと断言できますか。断言できないのであれば、テロ特措法の延長も新法の提案も断念すべきではないですか。
 初代イラク復興支援隊長だった佐藤正久参議院議員は、オランダ軍が攻撃を受ければ、情報収集の名目で現場に駆け付け、あえて巻き込まれ、応戦するつもりだったと発言しました。このような態度は法の支配を踏みにじるもので、断じて許すことはできません。旧日本軍の反省が全く分かっていません。総理、内閣の長として、このような元支援隊長の姿勢を完全に否定していただきたい。いかがですか。
 教科書検定について質問をします。
 沖縄の集団自決への軍の命令、強制について削除するという教科書の検定について撤回すべきだと考えますが、いかがですか。また、集団自決について、軍の命令と強制があったことについて、未来を生きる子供たちに伝えるべきと考えますが、いかがですか。また、沖縄近現代史の専門家を検定審議会に入れるべきと考えますが、いかがですか。
 九月二十九日の大集会は、沖縄を踏みにじることへの怒りであり、沖縄を平和の島にしたいという思いの結集です。だからこそ、沖縄の辺野古の沖に海上基地を造るべきではありません。また、横須賀港はアメリカの原子力空母の母港にすべきではありませんし、座間キャンプに米陸軍第一軍団司令部を配置すべきでもありません。このような在日米軍基地の強化を行うべきではないと考えますが、いかがですか。
 ところで、ビルマでは軍事政権による市民の弾圧が起きました。その中で、日本人ジャーナリスト長井健司さんが殺されるという事態が起きています。社民党は、ここで改めて軍事的弾圧に抗議し、アウン・サン・スー・チーさんを始めとした市民の解放と政治活動の保障を求めます。
 日本は、先進国で一位というビルマへのODA援助国です。新規のみならず、既存も含めてビルマへの援助を直ちにやめ、ビルマが民主国家へと移行するよう日本政府として働き掛けるべきと考えますが、いかがですか。また、ODAのみならず、日本政府が民間企業とともに天然ガス開発を支援していますが、このような活動も問題であり、止めるべきと考えますが、いかがですか。
 次に、男女平等についてお聞きします。
 選択的夫婦別姓の導入や婚外子差別撤廃、再婚禁止期間の見直しや民法七百七十二条の改正などを是非実現すべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 鳩山邦夫法務大臣の発言について質問します。
 大臣が、死刑について、ベルトコンベヤーと言ってはいけないが、順番どおりにするか、乱数表にするか、そうした客観性がある何かが必要と述べました。かつて、四つの死刑確定事件が再審無罪となりました。ベルトコンベヤーでやっていれば、これらは死刑の執行がなされていたでしょう。大臣の人権意識を問題とせざるを得ません。法務大臣として不適格です。発言の後、総理があえて再任をした責任は重大です。任命責任についてお聞きします。
 次に、地球温暖化についてお聞きします。
 政府は、削減目標六%のうち三・八%を森林吸収源対策において実行することとしています。林野庁は、削減目標達成のために、森林整備の推進として、二〇一二年までに三百三十万ヘクタールの間伐の実施を計画しています。追加的事業費として毎年千三百三十億円が必要であるとされていますが、実行体制の確立や予算化はなされていません。しっかりとした予算措置を行うべきと考えますが、いかがですか。
 最後に、政治とお金の問題について質問します。
 第三者機関を設けても、情報が国民に分からなければ、一体どこが国民主権でしょうか。主権者である国民への情報開示をなぜ自民党はできないのでしょうか。はっきり実現すると回答されなければ、自民党はやはり政治とお金の問題について解決できないのだと断言せざるを得ません。自民党は長年の政官業の癒着にメスを入れることはできません。福田政権は自民党最後の内閣となるでしょう。
 社民党は、人を切り捨てない温かい国を全力でつくっていくということを国民の皆さんにお約束して、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#26
○内閣総理大臣(福田康夫君) 福島議員にお答えを申し上げます。
 まず、これまでの構造改革を抜本的に転換すべきではないかというお尋ねがございましたが、これまで構造改革に取り組んでまいりましたけれども、景気回復、雇用拡大など、一定の成果は上がっております。しかし、我が国は、なお人口減少、高齢化社会、またアジア諸国の台頭という国際経済の変化、環境問題といったような多くの課題に直面しております。これらを乗り切り、より成熟した社会をつくっていくためには、時代に適合しなくなった制度や組織を改めるなど、日本の将来を見据えた改革を進めていかなければなりません。
 一方で、格差と言われる様々な問題が生じております。改革の方向性は変えずに、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことが大事であり、これに全力を注いでまいる所存でございます。その際には、老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え助け合うこと、すなわち自立と共生が必要であるとの考えの下に、国民の皆様の目線に立って行ってまいりたいと思っております。
 次に、労働者派遣法についてでございます。
 これまでの労働者派遣法の改正は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきたことから、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、こうしたニーズに対応して実施してきたものであります。この労働者派遣制度については、御指摘のような意見を始め、様々な議論があるところでございまして、これらを踏まえて、本年九月から具体的な見直しの検討を開始したところでございまして、今後、制度の施行状況や関係者の意見、現場の実態を踏まえつつ検討を進め、その結果に基づいて適切に対応してまいります。
 最低賃金の引上げについてお尋ねがございました。
 最低賃金については、今年度は例年を上回る引上げが実現したところでございますが、継続審議となっている改正法案については、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮して水準を設定することを明確にしたところであり、早期に成立させていただきたいと考えております。さらに、成長力底上げ戦略推進円卓会議において、中小企業等の生産性の向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針について政労使の合意形成を図ることにより、最低賃金の引上げの環境整備を進めてまいります。
 なお、御指摘のような水準に最低賃金を大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われるおそれが大きいとも考えます。
 これまでの社会保障制度改革及び後期高齢者医療制度や障害者自立支援法についてのお尋ねがございました。
 御指摘の医療、介護、障害者福祉に関する一連の社会保障制度改革は、少子高齢化が進行する中で制度の持続可能性を高めるために行ったものでありまして、適切なものと考えております。これらの制度は、今後も将来にわたり持続可能で、お年寄りにとっても若者にとっても皆が安心できるものとなることが必要であり、給付の合理化、効率化を進めつつ、障害をお持ちの方やお年寄りなど、それぞれの方が置かれている状況に十分配慮しながら、きめ細やかな対応に努める必要があると考えております。
 なお、後期高齢者医療制度については、昨年実施した医療制度改革の理念、方向性を堅持しつつ、被扶養者からの保険料徴収の凍結について、今後、予算措置も含めて十分に検討してまいります。
 障害者自立支援法の抜本的見直しについては、連立政権合意や、施行後三年を目途とした見直し条項を踏まえ、三年間で国費一千二百億円の特別対策の政策効果を見定めつつ、制度全般にわたる議論を行ってまいります。
 年金記録問題についてのお尋ねがございました。
 年金記録問題に対する国民の不安を解消していくことが重要でありまして、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に変わりはありません。
 まずは、平成二十年三月までを目途に五千万件の年金記録について名寄せを実施し、記録が結び付くと思われる方に加入履歴をお送りし、その後、平成二十年十月までを目途にそれ以外のすべての方にもお知らせするといった取組を進めてまいります。コンピューターへ未入力となっている記録については、平成二十年五月までを目途に入力作業を行った上で名寄せを行い、記録が結び付くと思われる方に通知を行うことといたしております。また、コンピューターの記録と台帳等との突き合わせについては来年度以降に計画的に実施することといたしております。さらに、年金記録確認第三者委員会による審議促進も図ってまいります。
 こうした着実な取組を計画的に進めることにより、正しい年金がより早く支払われるようにしてまいります。
 消費税の引上げについてのお尋ねがございました。
 歳出改革は徹底して取り組むことが重要であります。しかし、必要な歳出までも削られ、国民生活に影響が生ずる事態は避けなければなりません。したがって、国民生活に関係が深く、歳出改革だけでは対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては安定的な財源を確保しなければなりません。このため、今後早急に消費税を含む税体系への抜本的改革の実現に向けて本格的な議論を進めてまいります。その際、国民の御理解が進むことが重要であると考えており、野党の皆様としっかり議論を行い、改革に取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがございました。
 現行憲法の民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重といった基本理念については、これまで一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。一方で、時代の変化を踏まえ、将来を見据えながら、新たに加えるべきものや改めるべきものがあれば、憲法改正についても議論がなされるべきであると考えております。
 ただし、憲法改正を行うためには各議院の三分の二という幅広い合意が必要でございます。先般、日本国憲法の改正手続に関する法律が成立いたしましたが、その本格施行となる三年後に向け、広く国民の間で、そして与野党においても議論が深められることを期待いたしております。
 教育再生会議についてお尋ねがございました。
 教育再生は国民の関心も高く、重要な課題と認識しております。学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
 教育再生会議においては、既に第一次報告、第二次報告を取りまとめ、公教育の再生に向けての御提言をいただいたところであり、今後更に真に教育再生に資する具体策について検討を進めていただきたいと考えております。
 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会及び集団的自衛権についてのお尋ねがございました。
 政府としては、従来、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解してきたところであります。一方、個別具体的な類型に即し、集団的自衛権の問題も含めた憲法との関係の整理につき研究を行うために立ち上げられた安保法制懇では、これまで結論を予断することなく様々な観点から議論を行ってきていただいていると承知しております。今後の扱いについては、これまでの議論の経緯等も踏まえて検討したいと考えております。
 対アフガニスタン武力行使及び対イラク武力行使を支持した当時の私の判断についてのお尋ねがございました。
 対アフガニスタン武力行使については、二〇〇一年九月十一日の米国における同時多発テロ事件は極めて卑劣かつ許し難い暴挙であり、また、米国のみならず人類全体に対する重大な挑戦であり、強い憤りを覚えるものであります。我が国は、このような卑劣なテロリズムを厳しく非難するものであり、断固としてテロリズムと戦おうとする米英両国による行動を強く支持したものであります。
 対イラク武力行使については、当時、イラクは十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、我が国は安保理決議に基づき取られた行動を支持したものでございます。
 イラクが過去実際に化学兵器、タブンガス、サリン等の大量破壊兵器を使用した事実や、国連大量破壊兵器特別委員会及び国連査察団がイラクは炭疽菌やVXガスを有している可能性がある等の数々の未解決の問題を指摘したこと、イラクによる国連査察団への協力姿勢が抜本的に改められなかったこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があったと考えております。
 テロ対策特措法に基づく自衛隊の給油についてのお尋ねがございました。
 我が国がテロ対策特措法に基づいて行う補給は、テロ対策特措法に基づくものであることを対象国との間の交換公文に明記するとともに、対象国との協議の場においてテロ対策特措法の趣旨について説明した上で、艦船への補給の都度、艦船が法に規定する諸外国の軍隊等の活動に従事していることを確認した後に行っております。したがって、我が国が補給した燃料についてテロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識しておりますが、現在、防衛省において、補給を受けた艦船の活動がテロ対策特措法の趣旨にのっとったものであるかどうか、再度確認をしているところであります。
 初代イラク復興支援隊長の駆け付け警護に関する発言についてのお尋ねがございました。
 イラク特措法に基づく人道復興支援活動を行う自衛隊の部隊には、いわゆる駆け付け警護、すなわち自衛隊部隊の活動している場所から遠く離れた場所にまで駆け付け、攻撃を受けている他国の軍隊等を救援するために武器を使用することは現行法上認められていないところでございます。御指摘の発言の真意は承知しておりませんが、自衛隊の部隊が法令を遵守して活動すべきことは当然のことであります。
 沖縄の集団自決に関し、検定意見の撤回、子供たちへの伝え方、審議会委員の人選についてお尋ねがございました。
 沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを私はこれからも学校教育において子供たちにしっかりと教えていかなければならないと思います。
 ただ、教科書検定は審議会における専門的な審議を経て実施されることになっております。沖縄の集団自決に関する教科書検定の件については、知事を始め沖縄県民の思いを重く受け止め、文部科学省において審議の方法も含めしっかりと検討いたしております。
 在日米軍基地の強化を行うべきではないというお尋ねがございました。
 我が国の安全の確保のためには、引き続き自らの防衛力を整備するとともに、日米安保条約を堅持し、米軍の抑止力を維持することが必要でございます。今般の在日米軍再編は、抑止力を維持しつつ、地元の負担の軽減を図るものであり、地元の御理解を得ながら引き続き在日米軍の安定的な駐留の確保に努めてまいります。
 在日米軍駐留経費負担に係る特別協定についてのお尋ねがございました。
 政府としては、在日米軍駐留経費負担の在り方については国民の理解を得られるものであることが重要だと考えております。今後とも、厳しい財政事情にも十分配慮して所要の見直しを図りつつ、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するため、適切に対応していく考えでございます。
 ミャンマーについてのお尋ねがございました。
 ミャンマーの民主化や人権の状況については強い懸念を有しており、政府としては、国際社会の様々な取組とも連携しつつ、状況の改善を働き掛けてまいります。
 経済協力については、従来、ミャンマー国民に直接利益をもたらす人道案件等に限定して実施してまいっておりますが、現在のミャンマー情勢にかんがみ、同国への経済協力を更に絞り込むことも検討しております。
 ミャンマーにおける天然ガス開発についてのお尋ねでございます。現在まで、政府としては、ミャンマー政府に対し、実力を行使するのでなく対話を通じて事態を解決するよう働き掛けを行ってきております。その結果も踏まえ、お尋ねの件に関しても、政府として適切な対応を検討してまいります。
 選択的夫婦別姓、婚外子差別の撤廃、再婚禁止期間の見直しについてお尋ねがございました。
 これらの問題については、婚姻制度や家族の在り方と関連してこれまでも様々な議論がされてきたと承知しております。国民の意識動向を踏まえつつ、与野党間でよく御協議をしていただきたいと考えております。
 民法第七百七十二条の改正についてのお尋ねがございました。御指摘の民法の規定は、嫡出推定の制度を定めるものでありますが、法律上の父子関係をどのように設定するかという身分法の根幹を成す規定であり、基本的に維持されるべきものと考えております。なお、この問題に関しましては、与党内においても戸籍の届けや裁判手続に関する検討を行うとされているものと承知いたしております。
 鳩山法務大臣の死刑執行に関する発言についてのお尋ねがございました。
 鳩山大臣は、裁判所の確定判決を尊重して死刑執行を厳正に行うべきことを述べたもので、併せて法務大臣として再審事由の有無等について慎重な検討をする必要性や執行を命ずる職責の重さについても発言しており、人命や人権を軽視するものではないと考えております。鳩山大臣にあっては、引き続き法務行政を的確に推進されるものと考えております。
 次に、森林吸収源対策についてのお尋ねがありました。
 温室効果ガスの削減目標を達成するためには、今後六年間で合計三百三十万ヘクタールの間伐が必要となります。このため、平成十九年度においては補正予算も合わせて総額七百六十五億円の追加的な予算を措置し、実行の確保に努めているところであります。今後とも、森林吸収源対策としての森林整備の重要性にかんがみ、地方公共団体などとも連携しつつ、この二〇一二年までに三百三十万ヘクタールの間伐の実施に努めてまいります。
 次に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働についてお尋ねがございました。
 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所については、安全が確認されるまで運転再開を見合わせるべきであることは言うまでもありません。現在、新潟県中越沖地震が同発電所に与えた影響については徹底した調査を行っているところです。その調査の結果を踏まえ、学識経験者等による委員会に諮りながら、同発電所の安全性について厳格に確認してまいります。
 一円以上の領収書添付を義務付けることについてのお尋ねがございました。
 政治資金の新たなルールを策定するに当たっては、国民から信頼されるものかどうかという基本的な考え方の下で、国民の目線で検討されるべきものと考えております。国民から見れば、経理報告や監査の方法が民間と政治家で異なるというのはおかしいという意見もあります。そうした意味で、民間企業の経理報告や監査の仕組みというものは大いに参考にされるべきであり、一円以上のすべての支出に領収書等を添付するよう民間と同様に義務付けていくことは国民の理解を得ていくために必要であろうかと存じております。今後、このような考え方も踏まえながら、与野党の間で十分に御議論をいただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(江田五月君) 自見庄三郎君。
   〔自見庄三郎君登壇、拍手〕
#28
○自見庄三郎君 国民新党の自見庄三郎でございます。
 歴史的な変化を遂げた参議院におきまして、国民新党初めての代表質問でありますが、この機会を与えてくださった民主党始め各党各会派の御理解と御配慮に厚くお礼を申し上げます。
 さて、郵政民営化が実施され、四つの新会社がスタートしました十月一日、我々国民新党の議員団は都内の普通局及び特定局を視察をいたしました。そこでは、顧客情報管理システムのトラブルが発生し、一千万円の預け入れ限度額の確認業務ができなくて混乱をしていました。翌日二日の総務省の報告によりますと、混乱による影響は限度額確認の処理を延ばしたもの約六千郵便局、住所変更などの処理ができず通帳を預かって再度来局をお願いしたものが千四百局もありました。
 第一線の郵便局員の皆様方の真摯、誠実なお客様に対する対応には本当に頭が下がりますが、全国の郵便局の皆さんにお疲れさまと申し上げたいと思いますけれども、いかんせん民営化法そのものの欠陥によるシステムの混乱、体制づくりの遅れは歴然で、誠に民営化の無理、拙速の悪影響を象徴する混乱でございました。
 我々国民新党は、二年前、理念なき郵政民営化に反対して自民党を離党させられました。しかし、国民新党の同志たちは、国民と真の国益を守るという信念を貫いてまいりました。郵政事業に民営化、市場原理はなじみません。我が国の郵便局ネットワークとユニバーサルサービスは、明治以来百三十有余年にわたって築き上げた世界最高の郵政事業でありました。
 一方、市場原理は利潤の追求を最重視するのが至上命令であり、全株を売却し完全に民営化するゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、両社ともにこの課題から逃れられません。ユニバーサルサービスの維持と経営効率化、この二つの課題を両立させるのは不可能であります。さらに、民営化は日本の国債市場に不安定をもたらし、経済の根幹を侵すおそれもあります。
 郵政事業は、郵便、貯金、保険サービスの三事業一体なくしては成り立ちません。(発言する者あり)ありがとうございます。
 諸外国の実例を見てもこのことは明らかであります。いったん民営化し、事業を分割したものの、利用者である国民の不満が噴き出し、やむを得ず再国営化した国、あるいは国が多額の補助金を計上してその経営を支援せざるを得なくなった国もございます。民営化の本場と言われるアメリカでも、郵便事業は国営を現在も堅持し、約七十万人のアメリカの国家公務員が事業を担っております。
 国内においても民営化の弊害は既に起きております。全国の集配局四千七百局のうち千局が既に集配機能を廃止をしまして、地方の住民の方々の不満と不安は既に表面化をいたしております。
 私が選挙運動で訪ねた瀬戸内海の島々では、新聞の配達は主として郵便に頼っていますが、過度の合理化により配達時間が遅くなり、朝刊の配達が夕方にしかされないとおしかりをいただきました。
 我々国民新党は、参議院選直後の臨時国会において郵政民営化凍結法案を提案いたしましたが、残念ながら廃案となりました。現在、民営化見直しのための株式処分凍結法案を提案する準備を進めており、数年後にも予想されるゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険会社の株式公開を凍結し、その後、両者の業務が全国の郵便局を通じてあまねく公平に国民に提供されることが確保されるよう郵政民営化法を総合的に見直し、すなわち三事業一体を確保する真の郵政改革法案を早期に国会に提案することにしております。皆様方の良識ある御賛同をお願いをいたします。
#29
○議長(江田五月君) 自見君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#30
○自見庄三郎君(続) はい。
 拙速、理念なき民営化は必ず破綻します。今や沈没寸前の泥船が船出しました。将来性、現実性なき民営化を凍結し、国民と国会がもう一度真の郵政改革について議論すべきでございます。
 もう一点、弱者救済の最も大切なことは、医療、福祉、年金、介護など、社会保障の真の充実であります。社会保障費を削減しないと日本経済は破綻するというプロパガンダが行われてきました。過去、骨太方針二〇〇六で一兆一千億の国費が削減され、今後も、今続いております。日本国は世界で一番大きな金融資産を持った国であり、総債務から金融資産を引いた純債務では世界で最も豊かな金融資産を持った国でございます。是非、福田総理におかれましては、希望と安心という政策を進めるなら、この骨太方針二〇〇六を是非撤回をしていただきたい。
 医療、福祉、介護、年金の現場が本当に苦しんでいる。これは、正に財務省というのは予算を削るのがDNA、緊縮会計がDNAでございますが、それを超えて総理大臣というものはあるものでございますから、今度は参議院で寄せられた声、そういうことをしっかり受け止めて、きちっと政府を統括し、国民の目線に合った改革をやっていただくということを心からお願いをいたしまして、総理の御所見を聞きたい、政治家としての御所見を聞きたい、そういうことを申し上げまして、私の代表質問に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#31
○内閣総理大臣(福田康夫君) 自見議員にお答えを申し上げます。
 まず、郵政民営化についてでございますけれども、これは郵政民営化関連法案の審議の際の政府答弁、関係法令などに従いまして、また附帯決議を尊重しながら着実に郵政民営化を実行してまいります。
 今後とも、郵便局ネットワークの水準、郵便局におけるサービス水準などが維持され、国民利用者の利便に支障が生じないよう、政府としても最大限努力してまいる所存でございます。
 次に、社会保障についてのお尋ねでございますが、本格的な人口減少社会が到来する中で、次世代に負担を先送りすることなく政府がその役割を果たしていくために、二〇一一年度には国と地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成するなど、引き続いて歳出全般にわたる抑制努力を行っていくという必要がございます。その際、負担と給付の在り方について国民の御理解が重要と考えております。
 また、医療を始めとする社会保障については、今後、少子高齢化が進行する中にあって、自立と共生の理念に基づき、将来にわたり持続可能で、お年寄りにとっても若者にとっても皆が安心できるものとなることが必要でございます。その方向で努力をしてまいる所存でございます。
 以上です。(拍手)
#32
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#33
○議長(江田五月君) この際、調査会の設置についてお諮りいたします。
 国際問題及び地球温暖化問題に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、委員二十五名から成る国際・地球温暖化問題に関する調査会を、
 国民生活・経済に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、委員二十五名から成る国民生活・経済に関する調査会を、
 また、少子高齢化・共生社会に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、委員二十五名から成る少子高齢化・共生社会に関する調査会を、
それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、国際・地球温暖化問題に関する調査会外二調査会を設置することに決しました。
 本院規則第八十条の八の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり調査会委員を指名いたします。
    ─────────────
   議長の指名した委員は左のとおり
○国際・地球温暖化問題に関する調査会委員
      浅尾慶一郎君    石井  一君
      喜納 昌吉君    工藤堅太郎君
      今野  東君ツルネン マルテイ君
      広中和歌子君    松井 孝治君
      松岡  徹君    峰崎 直樹君
      室井 邦彦君    山根 隆治君
      荒井 広幸君    神取  忍君
      川口 順子君    佐藤 正久君
      島尻安伊子君    西田 昌司君
      野村 哲郎君    牧野たかお君
      丸山 和也君    加藤 修一君
      浜田 昌良君    山本 香苗君
      山内 徳信君
○国民生活・経済に関する調査会委員
      犬塚 直史君    加賀谷 健君
      小林 正夫君    佐藤 公治君
      友近 聡朗君    中谷 智司君
      姫井由美子君    広田  一君
      藤本 祐司君    藤原 良信君
      舟山 康江君    増子 輝彦君
      愛知 治郎君    石井 準一君
      加納 時男君    佐藤 信秋君
      長谷川大紋君    橋本 聖子君
      森 まさこ君    矢野 哲朗君
      山田 俊男君    澤  雄二君
      松 あきら君    大門実紀史君
      亀井亜紀子君
○少子高齢化・共生社会に関する調査会委員
      相原久美子君    岩本  司君
      植松恵美子君    大河原雅子君
      大久保潔重君    岡崎トミ子君
      木俣 佳丈君    田名部匡省君
      津田弥太郎君    藤谷 光信君
      前川 清成君    蓮   舫君
      有村 治子君    石井みどり君
      礒崎 陽輔君    坂本由紀子君
      塚田 一郎君    南野知惠子君
      古川 俊治君    丸川 珠代君
      義家 弘介君    山本 博司君
      鰐淵 洋子君    紙  智子君
      福島みずほ君
     ─────・─────
#35
○議長(江田五月君) この際、お諮りいたします。
 小川敏夫君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、前川清成君から裁判官訴追委員を、木村仁君及び脇雅史君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#37
○議長(江田五月君) この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員、
 国土審議会委員及び
 国土開発幹線自動車道建設会議委員の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
    ─────────────

     ─────・─────
#39
○議長(江田五月君) この際、お諮りいたします。
 川村良典君から事務総長を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
   〔川村良典君事務総長席を退く〕
   〔拍手〕
   〔参事小幡幹雄君事務総長席に着く〕
     ─────・─────
#41
○議長(江田五月君) この際、事務総長の選挙を行います。
 つきましては、事務総長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、事務総長に小幡幹雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
#43
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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