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2007/10/04 第168回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第168回国会 本会議 第5号
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2007/10/04 第168回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第168回国会 本会議 第5号

#1
第168回国会 本会議 第5号
平成十九年十月四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成十九年十月四日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
    午後二時二分開議
#2
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
#3
○議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。太田昭宏君。
    〔太田昭宏君登壇〕
#4
○太田昭宏君 私は、公明党を代表し、福田総理の所信表明演説に関連し、当面する重要政策課題に絞って、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 信なくば立たず、この言葉にあるように、私は今、率直で透明性、公開性ある政治を推進し、国民の政治への信頼を回復すること、そして、国民生活に重きを置いた政策の実現に全力を挙げなくてはならないと強く思うものであります。
 このたび福田総理と私との間で取り交わした自民党、公明党の政権合意は、まさに、この点を踏まえ、国民のための改革への強い決意を示したものであります。公明党は、参議院選挙で示された民意を真摯に受けとめ、大衆とともにの立党の原点に立ち、国民生活の向上に全力を挙げる決意であります。
 論語に、「之に先んじ之を労す」と、政治の要諦に触れた一節があります。まずなさねばならぬことを民に先立ってやりなさい、そして、民に愛情といたわりをもって接する、これが政治の根本であるという意味であります。
 この数年の構造改革は大きな成果を上げました。しかし、今、構造改革は何のために推進してきたのか、その改革の原点を再確認した上で、都市と地方の格差、正規雇用と非正規雇用との格差、若者の雇用、高齢者の生活などに真剣に取り組むことが大切であります。
 公明党は、景気回復の恩恵を受けていない庶民や中小企業や地域で困っている人の側にどこまでも立って、困難を乗り越えていく勇気と希望を与えていくことを基本としなければならない、このように考えます。まず、総理の基本姿勢をお伺いいたします。
 私は、日本の政治経済はまさに正念場、大きな山場を迎えていると思っております。今、政治が停滞することは許されません。社会の激変を直視し、気迫を持って切り開くリーダーシップが今こそ望まれています。そして、国会には、実りある論戦と結果を出す責務があります。
 第一は、経済の持続的な成長と、さらに、構造改革による景気拡大の流れを、都市から地方へ、大企業から中小企業へ、そして企業から家計へという三つの波として波及させていかなければなりません。地方や中小企業、そして国民生活が元気になってこそ日本経済は確たるものとなり、未来への展望が開かれるのであり、まさに正念場であります。
 第二は、財政健全化への道筋であります。
 国、地方合わせて約七百七十兆円もの借金を抱える厳しい財政状況下にあって、歳出歳入一体改革は待ったなしであります。ここ数年、行財政改革に徹底して取り組んでまいりましたが、二〇一一年度までに国と地方のプライマリーバランスの黒字化へ向け、さらに徹底した歳出削減など、無駄ゼロを目指す改革を実行していかなければなりません。
 第三に、本格的な少子高齢社会への対応であります。
 特に、年金、医療、介護などの社会保障制度をいかに維持し、信頼されるものにしていくか。医療や介護に予防重視の視点も入れ、制度設計を見直しましたが、今後も、支え手の減少をカバーするために社会保障の基盤をいかに強固にしていくか。特に少子化対策は、これまで以上に具体的に手を打っていかなければなりません。
 第四は、地球環境問題への対応です。
 地球温暖化、気象変動は、今や国民の生活実感となっています。ことしのハイリゲンダム・サミット、来年の北海道洞爺湖サミットで地球環境問題が主要議題に位置づけられ、未来に向けて持続可能な社会を構築していけるかどうかが世界共通の課題となっています。我が国は、世界に誇る環境技術を持っており、世界でリーダーシップを発揮できる立場にあり、その責任はますます重要となっています。
 私は、まず、正念場となっている四つの課題を申し上げましたが、この日本をどうしていくのか。政治が常に改革を志向し、直面する課題に真正面から取り組み、未来に責任を持つ政治を貫かねばなりません。総理の御決意をお伺いいたします。(拍手)
 そこで、まず、地域の活性化と中小企業支援に力を注ぐことを提起したい。
 私は、かねてから、地域の活性化については、地域資源の活用を図ること、人材の育成とインフラ整備、そして、地域の人とわざを生かして地域の産業集積の活性化を図ることを主張してまいりました。
 しかし、総理、一口に地域といっても、それぞれの地域が直面している状況はまさに千差万別であります。総合的な支援策と地域に即した個別的な支援策、そして、地域の内の力と外からの力という視点を持って、戦略的かつ具体的に対策を講ずる必要があります。
 したがって、外から新たな活力を注ぎ込む企業立地や地域の総力を結集したイノベーションの創出を促すことが不可欠であります。今後は、地域に必要な財源を確保するための税制改革の実現や予算措置などを積極的に活用し、地域の主体的な取り組みをしっかりと支援していくことが重要であります。あわせて、地域コミュニティーの再生や必要な社会インフラの整備、そして地域経済を支える農林水産業と地元企業との連携への支援も重要と考えます。
 さらに、これに加えて、私は、一部の市町村で行われているように、大都市から自然や健康環境のすぐれた地方に熟年・高齢人口が移動できるような地方の活性化策を構築すること、あるいは、地域のきずなづくりという観点から、例えば、地方中核都市を中心に、高齢社会を見据えた病住近接型のまちづくりを進めることなど、グランドデザインを描きつつ、地域社会のシステムをつくりかえる大きな知恵が必要ではないかと考えます。総理の御所見を承りたいと存じます。
 次に、中小企業対策です。
 日本の経済は全体として緩やかに息の長い景気回復を続けていますが、大企業における景況感の回復に比べ、中小企業の回復は明らかにおくれており、中でも資本金一千万円未満の中小・小規模企業の利益率は減少しています。したがって、担保や自己資金が不足しがちな中小・小規模企業への手厚い金融支援が不可欠です。あわせて、無担保無保証の新創業支援制度の拡充、起業や再チャレンジへの支援、下請取引の適正化、経営能力の向上などに力を注がねばなりません。
 さらには、中小企業の事業承継の円滑化をいかに図るか、これが今後の重要なかぎを握っています。
 今、中小企業の四社に一社しか後継者がいない。このままで続くと年間七万社が廃業に追い込まれるとの推計もあり、今後十年間で失われる雇用吸収力は実に三百五十万人にも上ると言われています。今こそ事業承継税制の抜本的拡充が重要であり、予算、制度面を含め、事業承継の円滑化のための手だてを政策集中させる必要があります。
 中小企業への支援強化策について、総理及び経済産業大臣のお考えを承りたい。
 八月末に、緊急搬送先が決まらず、奈良県在住の妊婦が救急車内で死産したという痛ましい出来事がございました。昨年八月にも、同県で、分娩中に重体となった妊婦の転院が断られ、死亡した事件が起きております。私は、この事件を深刻に受けとめ、少子化、救急医療、産科・小児科などの医師不足対策を連動したものとして戦略的に取り組むことが大事だと強く求めたいと思います。
 それにはまず、二十四時間体制で緊急時の受け入れができる産婦人科病床の整備、あるいは、緊急に妊婦を受け入れる広域連携システムの構築、空きベッドの表示システムの整備、そして、ドクターヘリ、消防防災ヘリ、ドクターカー、救急車などを組み合わせた搬送システムの強化などを連動したものとして確立すること、そして、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりを促進する法整備を図ることが必要であります。
 特に大切なのは、小児科、産科などの医師不足対策であります。それには、医療事故での訴訟の増加、昼も夜もない産科・小児科医などを取り巻く過酷な環境、診療報酬の問題など、構造的な諸問題に手を入れなければなりません。
 政府・与党でこの五月に対策を打ち出しましたが、医師不足対策については、長期的な観点から、医師の養成のあり方を見直すことが重要ではないかと考えます。医学部の入学試験において地域医療への意欲などを総合的に評価することはできないか、また、地方の国立、公立大学では、それぞれの地域の医療を担う医師の育成を最優先し、卒業後の生涯教育システムを確立すべきではないか。このような医学部の入試方法や教育のあり方について、文部科学大臣、厚生労働大臣の御見解を伺います。
 次に、高齢者医療制度の見直しについてであります。
 来年四月から、七十歳から七十四歳の高齢者の窓口負担が一割から二割に引き上げられる予定となっています。一口に高齢者といっても、その生活実態はさまざまであり、年金収入や就労状況、借家で家賃負担がある方、そして介護費用などを勘案すると、厳しい生活を余儀なくされている高齢者が数多くございます。
 こうした実態を踏まえつつ、この際、高齢者医療費の負担増問題は少し時間をかけ、あるべき高齢者医療制度について論議し、その間は窓口負担の引き上げを凍結すべきと思います。さきの自公連立合意を踏まえ、検討が進められていますが、総理の見解を伺います。
 あわせて、後期高齢者医療制度について、家族の扶養親族になっている七十五歳以上の高齢者からの新たな保険料徴収も凍結すべきであります。制度そのものは今まで議論を重ね設計をしてきたので変更する必要はないと考えますが、負担増になる方へ配慮する観点から、その実施時期については慎重な判断が必要だと思いますが、総理のお考えを承りたい。
 また、障害者自立支援法については、障害者福祉サービスの普遍的な充実と自立と社会参加を進めるという理念の実現のため、二〇〇八年度までの利用者負担の軽減、事業者に対する支援などの特別対策を踏まえ、障害児など利用者負担の軽減や障害の対象の拡大など、同法を抜本的に見直すべきだと考えますが、総理の御見解を承りたい。
 少子化対策につきましては、まさに待ったなしであります。
 児童手当の拡充を中心とする経済的支援は極めて重要であり、支給対象を中学三年生まで引き上げることを主張します。この児童手当とともに、育児休業制度の拡充、妊産婦無料健診の推進、ニーズに応じたきめ細かい保育サービスの充実など、個々のライフスタイルにおける選択をよりサポートしていくことが求められております。
 今こそ官民が、子育て支援の環境整備と仕事と家庭の両立支援へ向けて総力を挙げるべきです。
 また、母子家庭への就労支援を充実するかわりに、児童扶養手当が来年四月から一部削減されることになっていますが、低賃金で生活苦から抜け出せない母子家庭が多く、就労状況の改善も十分でない現状にかんがみ、児童扶養手当の見直しは凍結するとともに、就労支援を本格的に進めるべきです。
 以上、二点について総理の見解を求めます。(拍手)
 雇用対策について伺います。
 バブル経済崩壊以降急増したパート労働者や派遣といったいわゆる非正規労働者の処遇が十分改善をされておりません。賃金水準の底上げを初め、正社員と均衡のとれた処遇を実現していくことが求められています。また、正社員、特に三十代の若手社員の長時間労働を是正していくことは緊急の課題です。
 公明党が強力に推進してきたワークライフバランスを目指す観点からも、今国会の重要法案である最低賃金法などの労働三法も含め、雇用対策についての総理、厚生労働大臣の御決意を伺います。
 雇用状況については、新卒者の就職内定率が大きく改善されるなど明るくなっておりますが、その中で、就職氷河期のいわゆる年長フリーターの方々を取り巻く環境は依然として深刻であります。この方々が安定した職業について、家庭を持ち、次の世代をはぐくんでいけるよう、今、国を挙げて取り組むべきと考えます。本年改正された雇用対策法の求人募集年齢制限禁止の趣旨を踏まえて、積極的に企業の理解と協力を求めていくべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 年金制度について申し上げます。
 まず、国民を不安に陥れている年金記録問題については、最後の一人まで救済すること、また、こうした事態がなぜ放置されてきたかについて徹底して検証を行い、責任を追及すべきことを強く申し上げます。
 しかし、記録問題が解決しても、なお受給権に結びつかない無年金の方がいらっしゃいます。私は、保険料の追納期間の延長と、受給資格期間二十五年の短縮を検討すべきと考えます。さらには、低年金対策や国民年金の給付水準の引き上げなど、老後の生活保障の基盤である年金をより強固にする取り組みが必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、教育改革について伺います。
 私はかねてより、教育の深さが日本の未来を決定すると言い、国民総がかりの教育改革、現場からの教育改革を志向すべきことを訴えてまいりました。
 まず、教員です。教育再生のためには、教員をバックアップし、教員が本来の職務に専念し、一〇〇%のエネルギーを子供に注げるようにすることが必要であります。
 このため、教職員の配置の改善や地域人材等を活用した教員サポート制の推進、教育事務の簡素化、外部化などが必要と考えます。
 あわせ、次に、知の拠点としての高等教育の今後のあり方についてであります。
 我が国が国際競争力に富み、二十一世紀の国際社会のリーダーとなるためには、すぐれた人材の育成が重要です。また、地域間格差の解消、地場産業の発展、地域の活性化の観点からも、国公私を問わず、我が国の大学の教育研究の質をさらに向上させることが必要と考えます。
 また、私たち公明党は、奨学金制度の充実に向けて全力でこれまで取り組んでまいりました。我が国の未来を担う学生が安心して学業に励めるよう、奨学金の月額貸与限度額を現行の十万円から十二万円への引き上げを提言しております。
 以上、教育改革に対する総理並びに文部科学大臣の御見解を伺います。
 去る九月二十九日、十一万人の沖縄県民大会が開催されました。沖縄戦における集団自決については、旧日本軍の関与があったことは否定できません。重要なことは、沖縄戦の真相の事実を正確に後世に伝えることであります。したがって、冷静かつ客観的な調査研究が大切であり、機関の設置を含め検討する必要があると私は思います。
 総理、教科書検定に政治が介入することがあってはならないことは当然ですが、沖縄の皆様の苦しみ、沖縄の心に重きを置いて善処することが必要ではないでしょうか。この問題について、御見解を伺います。
 また、訂正申請も含めて、文部科学大臣の御見解を伺います。
 次に、行政効率化、歳出改革についてお伺いしたい。
 これまで公明党は、公務員人件費改革、特別会計改革、市場化テストの導入、入札談合の防止など、行政改革の旗振り役を担い、歳出削減に向けて努力してまいりました。今後、さらに徹底した行政の無駄の排除が必要であります。
 政権協議において、「歳出削減と税金の無駄遣いを一掃するため、事業仕分け作戦等を徹底し、内閣における推進体制を確立する。」と合意されました。現在、政府にある行政効率化関係省庁連絡会議は、残念ながら事務レベルであって、政治家が入っておりません。やはり政治家がリーダーシップをとる体制をつくって、もう一段の無駄ゼロに向けて努力することは極めて重要だと思います。総理の見解を承ります。(拍手)
 さらに具体的に伺います。
 国からの独立行政法人に対する財政支出は、平成十九年度で約三・五兆円ある一方で、緑資源機構に象徴されるような、中央省庁からの天下りによる癒着の問題が指摘されています。百一ある独立行政法人すべてについて、事業の必要性の有無、また実施主体の廃止など、公明党提案の事業仕分けの手法により、独立行政法人に対して、法人の廃止を含め大胆な見直しを行うべきと考えます。総理のお考えをお伺いしたい。
 テロが国際社会の平和、安定の大きな脅威であることは、国際社会の共通した認識であります。六年前、世界を震撼させた九・一一アメリカ同時多発テロは、多くの国々の方が被害に遭い、日本人二十四人も犠牲となりました。テロは決してアメリカだけの問題ではありません。
 九・一一テロの翌日、国連安全保障理事会が全会一致で採択した決議一三六八は、この事件を世界の平和と安定に対する脅威と認定し、テロの防止、制圧のために国際社会の協力を求めました。この決議や累次の安保理決議を踏まえ、現在、アフガニスタンでは、多くの国々が治安維持、テロ掃討作戦に参加をしています。
 我が国も、テロ対策を主体的に実施するためテロ特措法を制定し、海上自衛隊がインド洋で、テロリストやテロ関連物資の移動を阻止するために活動する各国艦船への補給活動に従事しています。
 そして、先月二十日には、安保理決議一七七六が採択され、不朽の自由作戦や海上阻止活動等に対する各国の貢献が評価されました。国際社会が、海上阻止活動に対する我が国の支援を含むこれまでの国際的努力に対し、その継続の必要性を明確に表明したものと受けとめております。
 このように、アフガニスタンにおける対テロ活動が国際的なコンセンサスと国連決議に基づく正当性を持っていることは、こうした経過から見ても明らかであります。
 テロ特措法は、武力行使を禁じ、非戦闘地域での活動しか認めておりません。同法に基づき、海上自衛隊は、これまで十一カ国の艦船に給油を実施。その結果として、大麻や武器などが押収されているだけでなく、不審船に対する継続的な監視活動が、インド洋をテロリストの自由にさせないとのテロへの強い抑止力になっています。
 海上自衛隊の活動は、各国から高い評価を受け、洋上給油を我が国に頼っているパキスタンを初め、各国首脳から活動の継続を求める声が上がっております。
 一方、我が国は、海上自衛隊による国際貢献とともに、アフガニスタン復興に対する民生分野の支援として、幅広い分野で総額約十二億ドル以上のODAなどによる支援を行っているところであります。しかし、先般、韓国人二十三人がタリバーンに拘束され、そのうち二人が殺害されるという大変に痛ましい事件が発生したことを見てもわかるとおり、民生支援だけではアフガニスタンのような地における復興支援は成り立たないという現実を鮮明にしております。
 我が国は、引き続き、国際社会の責任ある一員として、テロとの闘いから一歩も引いてはなりません。各国が連帯して行う対テロ抑止活動を支える、我が国の海上自衛隊による補給活動を引き続き行うことが必要です。
 混乱するミャンマーで、邦人の方を含む多数の死傷者が出たことは極めて遺憾であり、御遺族、関係者の方々に対し、哀悼の意を表します。一刻も早く事態が収拾し、民主化へのプロセスが進むよう、国連やアジア周辺国と連携し、最大の外交努力を尽くすよう求めます。あわせて、総理の御見解をお伺いいたします。
 冒頭申し上げた信なくば立たずとの言葉があるように、国民の信頼なしにはどのような政策も改革も実行できません。とりわけ、政治と金の問題がクローズアップされる中、政治への信頼を取り戻すためには、政治改革は政治家改革であるとの厳しい立場に立ち、政治資金の透明性、公開性を高めるとともに、率直で隠し事のない政治を実現していかなければなりません。
 公明党はこれまで、あっせん利得処罰法や官製談合防止法の推進力となるなど、政治と金の問題には厳しく対処してまいりました。さきの通常国会では、政治家の資金管理団体を対象に、人件費を除く五万円以上の経常経費支出に領収書添付を義務づけることなどを柱とする政治資金規正法の改正を行いましたが、さらに今回の政権協議で、一円以上のすべての支出に領収書等の添付の義務づけが合意されました。
 公明党は、公開のあり方についても、公開性を高めるためのさらなる改革の実現を目指すとともに、再発防止へ向けて与野党の合意形成を図るべく全力を挙げてまいる決意であります。
 政治と金の問題について、いかにして透明性、公開性を高めるか。自由民主党総裁という立場から、総理に率直なお考えを承りたいと存じます。
 以上、内外にわたる政治課題について言及してまいりました。
 我が国の直面する諸課題に、どこまでも庶民の側に立ち、真正面から果敢に取り組まれることを総理に強く求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(福田康夫君) 太田議員にお答えをさせていただきます。
 日本が直面する課題に取り組む決意についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、少子高齢化や人口減少、環境問題の顕在化など、日本は今、時代の大きな転換期を迎えております。先の見えない不確実な状況の中で、自分や家族、子供の将来についてさまざまな不安を抱いておられる方は決して少なくないと思います。
 こうした時代にあって、将来のあるべき日本の姿を見据え、どのようにその姿に近づけるかという政策の方向性を常に念頭に置きながら、国民の目線に立って改革を続けていくことこそが私の責任であると考えております。
 将来を見据えた構造改革の方向性は今後とも変わりませんが、現実から決して目をそらさず、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくということに全力を注ぎます。
 今後とも、公明党との連立政権のもとで、日本の将来の発展と国民生活の安定を最優先に、全力を傾けて職責を果たしてまいる所存でございます。何とぞ御理解と御協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げます。(拍手)
 地域の活性化についてお尋ねがございました。
 太田議員の御指摘のとおり、地域が直面している状況はさまざまであり、地域の活性化のためには、地方への企業立地促進、地域コミュニティーの再生、農林水産業と地元企業との連携等の方策を地域の状況に応じてきめ細かく戦略的かつ具体的に推進することが重要と考えます。
 そのためには、地方の切実な声にこれまで以上に耳を傾け、自立と共生という改革理念のもとに、地方と都市とがともに支え合う考え方に立つことが重要であります。
 政府としては、地方の再生に向けた戦略を一元的に立案し実行する体制として地域活性化統合本部を設けることとし、私からその旨を関係閣僚にあす指示する考えでおります。この体制のもとで、地域の実情に応じた支援を立案、実施するとともに、財政面からも地方が自立できるよう、地方再生への構造改革に政府を挙げて取り組んでまいります。
 次に、中小企業対策についてお尋ねがございました。
 中小企業は、我が国の経済成長を下支えする重要な役割を担っており、また、地域経済の活力の源泉でもあります。しかしながら、全体として景気が回復を続ける中においても、中小企業、特に小規模企業の多くはその恩恵を受けられずにいることは御指摘のとおりであります。
 こうした状況を変えていくためには、大企業に伍して闘っていける中小企業に光を当てる政策だけでは不十分であり、地域に根差して懸命に経営改善のために汗を流している中小企業の方々に対して手を差し伸べ、後押ししていく政策を効果的に展開していくことが重要であります。
 このため、公明党との連立政権合意に基づき、中小企業金融の強化、下請取引の適正化や、特に事業承継の円滑化を強力に推進し、生産性向上に向けた中小企業の努力を徹底的かつきめ細かく支援することによって、大企業と中小企業の調和のとれた成長を実現してまいります。
 次に、高齢者医療制度の見直しについてのお尋ねがございました。
 昨年の医療制度改革は、今後、高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中で、現役世代と高齢者の負担の公平を図りつつ、医療制度を持続可能な制度とすることを目的として実施することとしたものであります。
 こうした改革の理念や方向性については堅持していくことが重要であると考えておりますが、一方で、高齢者の方が置かれているさまざまな状況に配慮しながら、きめ細かな対応に努める必要があると考えており、今後、与党内での議論を踏まえ、予算措置も含めて十分に検討してまいります。
 次に、障害者自立支援法についてお尋ねがございました。
 障害者自立支援法につきましては、連立政権合意において、抜本的な見直しを検討することとしており、また、法律上も、施行後三年の見直しが求められております。
 こうしたことを踏まえ、平成二十年度までの三年間で国費千二百億円の特別対策の政策効果も見定めつつ、抜本的な見直しに向けて、制度全体にわたる議論を行ってまいります。
 少子化対策についてお尋ねがございました。
 安心して子供を産み育てることができる社会とするためには、児童手当を初めとする経済的支援に加え、ワークライフバランスの実現や多様な保育サービスの充実など、各種の取り組みを総合的に進めていくことが必要と考えております。
 ただし、次世代育成のための費用を次世代の負担によって賄うことのないよう、財源は現時点で手当てすることが重要です。
 今後、このような観点から、年末までに重点戦略を取りまとめてまいります。
 児童扶養手当と母子家庭の就労支援についてのお尋ねがございました。
 平成二十年四月から実施予定の児童扶養手当の一部支給停止措置の取り扱いについては、連立政権合意に基づく与党内での議論を踏まえ、母子家庭の生活実態等も考慮しながら、今後十分に検討してまいります。
 また、母子家庭の経済的な状況を改善するためには、児童扶養手当等の経済的支援に加えて就労支援が重要であり、今後とも、ハローワーク、自治体を通じたきめ細かな就労支援を実施してまいります。
 次に、雇用対策についてお尋ねがございました。
 雇用をめぐる状況を見ますと、非正規の労働者の増加がワーキングプアを生んでいるという指摘や、長時間労働者の割合が高どまりしている等の状況も見られるというところでございます。こうした状況を踏まえ、だれもがみずからの能力を生かし、安定した仕事について、将来に希望を持って暮らせるよう、労働条件の改善など働く人を大切にする施策を進めてまいります。
 このため、正規雇用化の支援や、改正パートタイム労働法に基づく正規労働者との均衡待遇の確保等に取り組んでいるところでございます。
 さらに、継続審議となっている労働契約法案、最低賃金法改正法案、労働基準法改正法案の三法案を早期に成立させていただきたいと考えております。
 年長フリーターの安定した雇用の促進についてのお尋ねがございました。
 さきの通常国会において成立した改正雇用対策法に基づき、この十月一日から、募集、採用における年齢制限の禁止が義務化され、労働者一人一人に、年齢にかかわりなく働く機会が与えられることとなりました。
 その施行に際しては、依然として厳しい状況にあるいわゆる年長フリーターの方々が安定した職業につけるよう、企業の理解と協力を求めるとともに、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を通じて支援を行ってまいります。
 年金制度に関するお尋ねがございました。
 年金に対する国民の不安を解消していくためには、国民の皆様一人一人の年金記録が点検され、正しく年金が支払われることが重要であると考えております。このため、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に基づき、問題発生の経緯、原因、責任の所在等についての調査、検証も含め、さまざまな施策を着実に講じてまいります。
 また、国民の老後生活の安定を確保していくために、無年金や低年金の方が生じないようにすることが重要であります。そのため、まずは納付方法の多様化など、国民年金の未納・未加入対策に取り組んでまいります。
 保険料の追納期間の延長など制度的な対応について貴重な御指摘をいただきましたが、未納を助長し、低年金をふやす結果とならないか、どのように所要の安定財源を確保するかなど、さまざまな論点に留意しつつ、将来にわたって国民の信頼が得られるような議論をしていく必要があると考えます。
 次に、教員に対する支援体制についてでございますが、教育は家庭にとって極めて関心の高い問題です。学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組んでまいります。
 信頼できる公教育を確立することがまず必要であります。教育サポート体制の推進や教育の事務負担を減らすことなどにより、教員が子供たちと十分に向き合える時間をふやすように努めてまいります。
 高等教育の今後のあり方でありますが、高等教育は、知の拠点である大学の国際競争力の強化とともに、地域における大学教育の充実や産学連携等を図っていくことが重要であります。
 このため、外部評価の推進やカリキュラム改革などを通じて、社会から信頼される学部教育の実現、国際的に魅力ある大学院教育の構築など、我が国の大学の教育研究の質の向上に向けた改革に積極的に取り組んでまいります。
 奨学金制度についてお尋ねがございました。
 家庭の経済状況により修学の機会が奪われないよう、教育の機会均等を図っていくことは極めて重要であると考えております。
 このため、政府としては、事業の健全性を確保しつつ、奨学金制度を拡充するための措置を平成二十年度より講じてまいります。
 次に、沖縄の集団自決についてお尋ねがございました。
 沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを、私は、これからも学校教育においてしっかりと教えていかなければならないと思います。
 ただ、教科書検定は、審議会における専門的な審議を経て実施されるものでございます。
 御指摘の沖縄の集団自決に関する教科書記述については、軍の関与を否定するものではないと承知いたしておりますが、この件に関しては、仲井眞知事の御要請もいただきました。知事を初め沖縄県民の思いを重く受けとめ、文部科学省においてしっかりと検討しております。
 行政効率化、歳出改革についてお尋ねがございました。
 行政の無駄や非効率を放置したままでは、次世代に負担を先送りするだけでなく、国民の皆様からの信頼を取り戻すことはできません。
 政府では、今後とも、行政の無駄を省き、簡素で効率的な政府の実現に取り組んでまいります。そうした中で、先般の自公連立政権合意を踏まえ、事業の仕分け等を含めたもう一段の無駄ゼロに向けた内閣における推進体制についてもよく検討してまいりたいと考えております。
 独立行政法人の見直しについてでございます。
 独立行政法人の見直しにおいては、百一の独立行政法人の事務事業の必要性や組織のあり方について、原点に立ち返って徹底的に見直しを行い、本年内を目途に独立行政法人整理合理化計画を策定いたします。
 この計画の策定に当たっては、いただいた御指摘の点も念頭に置きつつ、国民の立場に立った成果を上げるように取り組んでまいります。
 次に、インド洋における海上自衛隊による補給活動の継続についてのお尋ねがございました。
 アフガニスタンを早期に安定させ、再びテロの温床とならないようにするには、復興支援と治安・テロ対策の双方に引き続き取り組む必要がございます。御指摘のとおり、テロとの闘いの一環である海上阻止活動への我が国の支援は、民生分野の支援によって代替できるものではありません。
 テロ特措法に基づく支援活動は、テロリストの拡散を防ぐための国際社会の一致した行動であり、海上輸送に資源の多くを依存する我が国の国益に資するものでありまして、日本が国際社会において果たすべき責任でもあります。
 我が国としては、この責任を今後とも果たしていくため、海上自衛隊の補給活動を引き続き実施していく必要があると考えております。
 ミャンマー情勢についてのお尋ねがございました。
 情勢が悪化したミャンマーで邦人の方が亡くなられたことはまことに遺憾であり、日本政府として、ミャンマー政府に対し抗議を行うとともに、その真相究明を求めているところであります。
 ミャンマーの民主化や人権の状況については強い懸念を有しております。政府としては、ミャンマー政府に対し、実力を行使するのではなく、対話を通じて事態を解決するよう働きかけを行っております。
 私自身、中国の温家宝総理に対し、事態解決に向けて協力を求めました。また、薮中外務審議官は、ミャンマー政府に対し、事態の解決を強く働きかけをいたしました。政府としては、国際社会のさまざまな取り組みとも連携しつつ、迅速かつ粘り強く働きかけを行ってまいります。
 政治資金制度の見直しについてでございますが、国民からの信頼なくしてはどのような立派な政治であっても進めていくことはできず、政治に対する国民の信頼を回復するために、政治資金の透明性をさらに高めていかなければならないという御指摘は全くそのとおりであると私も考えております。
 その際、国民から見れば、経理報告や監査の方法が民間と政治家とでは異なっているというのは理解しがたいというのはもっともなことでございます。そういう意味で、民間企業の経理報告や監査の仕組みというものは、これから大いに参考にされるべきであろうと思っております。
 そのような観点から、今般、自由民主党と公明党との間で、一円以上のすべての支出に領収書等添付を義務づけについて合意したことは、国民の理解を得られる大きな前進であると考えております。
 また、現在の政治資金ルールは、具体的な取り扱いで判断に困ることもある実態もございます。そして、結果としてこれが国民から疑念を持たれる原因ともなっております。そのため、統一的な解釈のもとで、すべての政治家の資金管理についてしっかりとチェックを行っていくような第三者機関の設置は十分検討に値するものであると考えております。
 今後、このような考え方も踏まえながら、与野党の間で十分に御議論いただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
#6
○国務大臣(甘利明君) 太田議員から中小企業対策についてのお尋ねがありました。
 景況感の回復におくれが見られる中小・小規模企業の活性化は、緊急に取り組むべき最も重要な政策課題の一つであると認識をいたしております。
 厳しい状況の中にありながら頑張っておられる中小企業の方々の生の声に丁寧に耳を傾けながら、担保や個人保証に頼らない金融の一層の推進や、いざというときの資金需要への対応手段の整備などの資金調達の円滑化、資金供給機能の強化等による創業や再挑戦の支援、下請法による取り締まり強化や業種別ガイドラインの周知徹底など下請適正取引の推進、そして、予算、制度面を含め相続や後継者の問題等に対応した事業承継の円滑化など、必要性や効果の高い分野を中心として中小企業対策に万全を期してまいります。(拍手)
    〔国務大臣渡海紀三朗君登壇〕
#7
○国務大臣(渡海紀三朗君) 太田議員からは、五つの質問がありました。
 最初に、医師養成のあり方の見直しについてお尋ねがありました。
 地域における医師不足が深刻になる中で、地域医療を担う医師の養成に取り組むことは喫緊の課題と認識をいたしております。
 このため、国公私立の各大学において、まず、入学者選抜において、地域医療への意欲等を評価する特別枠の実施等により、地域医療を志す学生を積極的に受け入れること、次に、医学部教育においては、地域医療への志を高め、地域医療を担う医師として養成するための大学教育のカリキュラムに取り組むこと、さらに、卒業後も、専門医研修を初め医師の生涯教育の場を提供することなど、地域医療を担う医師の養成に取り組んでまいります。
 次に、教員に対する支援体制についてのお尋ねがありました。
 子供たちの学力の向上と規範意識の育成を図るためには、教員が子供と向き合う時間を拡充することができるよう、学校現場で日々頑張っている教員を支援する体制が必要であります。
 このために、教職員定数の改善や、非常勤講師の配置など外部人材の活用、学校支援ボランティアを活用した事務の外部化などについて、必要な経費を平成二十年度概算要求に盛り込んだところです。
 今後、予算編成過程において関係府省とよく議論し、めり張りをつけて、教育再生に真に必要な予算の確保に向けて最大限努力をしてまいります。
 次に、高等教育の今後のあり方についてお尋ねがありました。
 高等教育については、新しい教育基本法の理念に基づき、大学が、幅広い教養の厚みに裏打ちされた知性あふれる人材の育成や、独創的、先端的な研究の推進など、基本的な役割をしっかりと果たしていくことが極めて重要であります。
 こうした認識に立って、国公私立を通じて大学の教育研究活動の振興を図り、国際化や地域の振興などの諸課題へ的確に対応してまいります。このため、これまでの改革努力を継続しつつ、基盤的経費を確実に措置する等の支援を充実するとともに、第三者評価制度の適切な運用を図ってまいります。
 次に、奨学金制度のお尋ねであります。
 国の奨学金事業は、教育の機会均等を目的としており、人材育成や学生の負担軽減にも資する重要な施策と認識をいたしております。親の所得など家庭の経済状況によって修学の機会が奪われないよう、教育の機会均等を保障していくことが必要であり、これまでも貸与人員の増や貸与月額の改定などに努めているところであります。
 文部科学省としては、事業の健全性を確保しつつ、学生のニーズ等に配慮した奨学金事業の充実を図ってまいります。
 最後に、訂正申請を含めた教科書検定問題への対応についてお尋ねがございました。
 沖縄の集団自決に関する件につきましては、昨日も、私も、県知事また県議長を初めとする県民の代表の方々にもお会いをいたしました。その際、悲惨な戦争の教訓を風化させることなく次の世代に継承すべきであるという思いで多くの県民の皆様が参加をされたというお話を聞かせていただき、このことを重く受けとめなければいけないというふうに考えております。
 一方、教科書検定は、専門家の手による、中立かつ公正な観点から行われるものであり、太田議員が指摘をされましたように、断じて政治的介入があってはならないというふうに考えております。
 お尋ねの、教科書発行者から訂正申請があった場合、この場合は真摯に受けとめ、適切に対処したいと思いますが、その際、専門的見地から再度教科書検定審議会の意見を聞くことになろうかと思っております。(拍手)
    〔国務大臣舛添要一君登壇〕
#8
○国務大臣(舛添要一君) 太田昭宏議員から、まず、医師確保対策等についてのお尋ねがございました。
 産科、小児科を中心に医師不足問題が深刻な状況となっている中、地域に必要な医師を確保していくことは喫緊の課題である、このように考えております。
 医師確保対策につきましては、本年五月末にも、政府と与党が一体となりまして、緊急医師確保対策を取りまとめ、短期的な対策から中長期的な対策まで各般の対策を盛り込んだところでございます。これを受けまして、予算、診療報酬全体の見直しの中での対応、制度的見直し、医学部の暫定的定員増などを通じ、実効性ある形で対策を具体化してまいります。
 また、救急医療につきましては、こうした緊急医師確保対策に加えて、ドクターヘリの配備促進等を図るとともに、先般発生いたしました奈良県で妊婦が搬送中に死産した事件の検証も踏まえまして、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりに向けた取り組みを進めることにより、救急医療の充実に努めてまいります。
 次いで、雇用対策についてお尋ねがございました。
 まず、経済産業構造の変化や価値観の多様化など、企業、労働者双方のニーズを背景として就業形態の多様化が進展している中で、だれもが安心し納得して働き、その意欲、能力を十分に発揮できる社会を実現していくことが重要であると考えております。
 このため、働く人たちのための労働関係法制の整備について、さきの通常国会で成立しました改正雇用対策法に基づく若者の雇用機会の確保、改正パートタイム労働法に基づく均衡待遇の確保や正規雇用への転換の推進等を進めてまいります。
 また、継続審議となっております、労働契約の基本的ルールを明確化する労働契約法案、最低賃金をセーフティーネットとして十分に機能させるための最低賃金法改正法案、法定割増し賃金率の引き上げなどを行う労働基準法改正法案の早期成立をお願いしたいと考えております。
 さらに、働く人全体の所得や生活水準を引き上げ、格差の固定化を防止すべく、政府全体で成長力底上げ戦略に取り組むほか、フリーター常用雇用化プランの推進等による若者の雇用問題への対応、偽装請負など違法派遣の防止、解消に向けた厳正な指導監督の実施、有期労働者の雇用管理の改善や正社員への転換支援など、きめ細かな対応を図ってまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(河野洋平君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
#10
○志位和夫君 日本共産党を代表して、福田総理に質問します。(拍手)
 まず、文部科学省の教科書検定で、沖縄戦での集団自決への日本軍の強制があったとする記述が削除された問題についてです。
 この政府による歴史の歪曲に対して、沖縄では島ぐるみの怒りのうねりが沸き起こり、九月二十九日に開かれた教科書検定意見撤回を求める県民大会に参加した人々は十一万人を超えました。
 命どぅ宝、命こそ宝という心を持つ沖縄で、自分の親や子供を手にかける集団自決が、日本軍の強制なしに起こり得なかったことは明らかであります。体験者の痛みを伴う証言が、軍の強制を紛れもない事実として裏づけています。
 県民大会で発言した高校生は、おじい、おばあたちは重い口を開き、苦しい過去を教えてくれました、この記述をなくそうとしている人たちは、沖縄戦を体験したおじい、おばあたちがうそをついていると言いたいのでしょうかと述べました。
 総理は、島ぐるみのこの声をどう受けとめますか。この問題を引き起こした責任は、政府、文部科学省にあります。政府は、みずからの責任において、検定意見の撤回と強制記述の回復という県民の要求にこたえるべきです。集団自決に対する総理自身の歴史認識とあわせて答弁を求めます。
 次に、貧困と格差の問題について質問します。
 総理は所信表明演説で、構造改革が景気回復などの成果を上げたとして、改革の継続と安定した成長を進めると述べました。
 確かに、大企業はバブル期を上回る空前の利益を上げています。しかし、サラリーマンの平均給与は九年連続して減り続けています。年間通して働いても年収二百万円以下の人がついに一千万人を超えました。懸命に働いても生活保護水準以下の生活から抜け出せないワーキングプア、働く貧困層は、四百五十万世帯とも六百万世帯とも言われ、広がり続けています。
 企業の収益は伸びても、労働者の所得は減り、貧困層が拡大する、これはまともな成長の姿と言えるでしょうか。総理の基本的認識を伺います。
 この背景には、労働法制の規制緩和による派遣、請負、パートなど非正規雇用の拡大があります。政府は、派遣労働を一九九九年に原則自由化し、二〇〇四年には製造業にまで拡大しました。この結果、日雇い派遣、人材派遣会社に登録し一日単位で仕事に派遣される労働者が、若者を中心に急増しています。携帯電話にメールで仕事の内容や集合場所が送られてくる。一日働いて手にするのは六千円から八千円、一カ月働いても収入は十万円台前半。仕事がなかったり体調を崩して休めば、たちまちアパートの家賃も払えなくなり、ネットカフェなどで寝泊まりせざるを得なくなる。これが日雇い派遣の実態です。
 人間としての尊厳を否定し、物のように使い捨てにする、こうした働き方を強いられている若者が一体どこにあすへの希望を見出すことができるでしょうか。
 総理に伺いたい。若者があすへの希望が持てる国をつくると言うなら、労働法制の規制緩和路線を根本から見直し、非正規雇用の規制に踏み出すべきではありませんか。わけても、日雇い派遣をなくし、安定した仕事を保障すべきではありませんか。そして、格差の実態から決して目をそらさずと言うなら、その数さえ定かになっていないワーキングプアの実態調査を緊急に行うべきではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、お年寄りが安心できる国をつくるとも言っておられます。それならば伺いたい。今多くのお年寄り、国民が社会保障制度から排除されているという実態を総理はどうとらえているのでしょうか。
 例えば、医療からの排除です。国民健康保険料が高過ぎて払えず滞納している世帯は四百八十万世帯、加入世帯の二割に達しています。自社さ政権が行った法改定によって、滞納世帯から保険証を取り上げ、病院の窓口で十割全額負担を求める資格証明書への置きかえが急増しています。病院に行けず重症化、死亡する痛ましい事件が全国で続発しています。
 滞納世帯は、そのほとんどが保険料を払いたくても払えない人たちです。そういう人たちから保険証を取り上げ、窓口で全額払えと迫る。これは、金がなければ死ねと言わんばかりの冷酷無情な政治ではありませんか。
 国民生活の最後の命綱である生活保護行政で無法が横行しています。北九州市では、生活保護の申請さえ認めない水際作戦、道理のない非情な保護打ち切りによって、この間、三人の男性が連続して餓死、自殺に追い込まれるという異常な事態が起こっています。重病を幾つも抱えた人に、働かぬなら死ねと言って申請を拒否していたなどの事実が次々と明るみに出ています。
 生活保護法では、申請は一たん受け入れた上で審査をすることが義務づけられており、申請さえ認めないのは無法そのものです。総理は、生活保護行政の現場で無法が横行していることをどう考えますか。
 世界第二の経済力を持ち、憲法二十五条で国民の生存権を保障している日本で、国民の命の支えとなるべき社会保障から少なくない人々が排除され、命が奪われている。こんなことは絶対にあってはならないことだと考えますが、いかがでしょうか。
 社会保障から多くの人々を排除する圧力となって働いているのが、小泉内閣で始まった社会保障予算の抑制路線であります。高齢化などに伴う社会保障予算の自然増を認めず、二〇〇二年度には三千億円、二〇〇三年度から二〇〇七年度までは毎年二千二百億円ずつ、既に年間一兆四千億円が削減されました。これが、医療、介護、年金、雇用保険、生活保護など、社会保障制度のあらゆる分野で負担増と給付削減の圧力となって働き、社会保障から排除される人々を生み出しています。政府は、さらに二〇一一年度まで毎年二千二百億円ずつ削減する計画を続けようとしています。
 社会保障予算削減路線からの転換を図らなければ、総理が総裁選挙で掲げた高齢者医療費負担増の凍結や障害者自立支援法の見直しも、一時しのぎの取り繕いとなるか、他の社会保障分野への新たなしわ寄せをもたらすかのいずれかとならざるを得ないでしょう。
 総理、お年寄りが安心できる国をつくると言うのなら、高齢化などに伴う自然増さえ認めない社会保障予算削減路線からの転換を図るべきではありませんか。答弁を求めます。(拍手)
 社会保障予算削減路線からの転換を図るためにも、安心できる年金制度を初め国民生活の充実を図る上でも、財源が問題になります。
 総理は所信表明演説で、社会保障の安定的な財源を確保する方途として、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組むと述べました。しかし、消費税は、一つのお弁当を二食、三食に分けてぎりぎりの生活を耐え忍んでいる人々にも容赦なく襲いかかる税金であり、所得の低い人ほど負担が重いという逆進性を持った税金です。
 総理に伺いたい。消費税が、貧困と格差に追い打ちをかける税金であり、社会保障財源として最もふさわしくない税金だという認識はありませんか。
 大体、どうして財源というとすぐ消費税の話になるんでしょうか。きちんとした目で見れば、歳入でも歳出でも、財源をつくる道は幾らでもあるではありませんか。
 第一に、大企業、大資産家への行き過ぎた減税を正すことです。
 政府統計によれば、一九九七年度から二〇〇六年度までの九年間で、資本金十億円以上の大企業の経常利益は、十五・一兆円から三十二・八兆円に二・二倍にも膨らみ、史上空前の繁栄を謳歌しています。ところが、同じ時期にこれらの大企業が納めた税金は、十二・一兆円から十三・七兆円と、ほとんど伸びていません。法人税率を大幅に引き下げた上に、大企業を優遇する数々の特権的な減税によって、五兆円を超える大企業減税を行ってきた結果です。
 さらに、同じ時期に、株主への配当金は、三・一兆円から十二・〇兆円に三・九倍にもなり、株取引を行う大資産家はぬれ手にアワの大もうけにあずかりました。ところが、株の譲渡や配当への税金の引き下げ、大金持ちへの所得税の引き下げなどによって、大資産家には二兆円もの減税が行われました。
 税金は所得に応じてが原則のはずです。九年連続で所得が減っている庶民には大増税を押しつけながら、空前の利益を上げている大企業と大資産家には合計七兆円規模の大減税をばらまく。総理は、この政治を異常だと思いませんか。大企業、大資産家への減税を見直せば、数兆円規模での財源がつくれます。ここを聖域にせず、メスを入れる意思はありますか。答弁を求めます。
 第二に、年間五兆円に及ぶ軍事費にメスを入れることです。中でも真っ先に削減すべきは、アメリカの戦争を支援するための軍事費であります。
 アフガニスタンとイラクへの自衛隊派兵のために、既に千六百五十億円の税金が使われていますが、直ちに部隊を撤退させ、これ以上の血税の支出はやめるべきです。二隻で二千億円のヘリコプター空母、四機で一千億円の空中給油機など、海外派兵用の兵器の購入はやめるべきです。
 日米地位協定に照らしても支出義務のない米軍への思いやり予算に、この二十九年間で五兆円、今年度で二千三百七十一億円もの血税が流し込まれました。世界でも異常なこの枠組みは、直ちに撤廃すべきです。米国領土であるグアムに建設する基地のための七千億円を初め、米軍再編の費用として三兆円もの税金が投入されようとしていますが、この計画も中止すべきです。
 今国民の中から、イラクやアフガン戦争支援のために使う金があるなら、生活保護の老齢加算や母子加算の復活のために充てるべきではないかという声が広がっています。軍事費、特にアメリカの戦争支援のための軍事費を聖域にせず、メスを入れる意思はありますか。総理の答弁を求めます。
 次に、海上自衛隊による対テロ報復戦争支援の問題について質問します。
 私は、この問題でまず何よりも重要なことは、テロに対して戦争という手段で対応したことが問題の解決につながったかどうかを、事実に即して検証することだと考えます。
 日本共産党は、六年前の九月十一日に起こった同時多発テロに際して、国連と世界各国政府に書簡を送り、この憎むべき犯罪行為を糾弾しつつ、テロの根絶のためには、国際社会が協力して、テロリストを国際的にも国内的にも孤立させ追い詰めて、法に基づく裁きにかけることこそ必要であること、そうした努力を尽くさないまま報復戦争に訴えることは、テロと軍事報復の悪循環をつくり出し、無数の新たな犠牲を生み、事態を泥沼に導く危険があると訴えました。
 それから六年。私たちの憂慮は現実のものとなっています。米軍などによる報復戦争がもたらしたものは、テロの温床の拡大であり、アルカイダのネットワークが世界六十カ国に広がったと報じられているように、テロの世界への拡散でした。アフガニスタンでは、米軍などによる無差別の空爆などで、ことしだけで三百五十人も無辜の民間人が犠牲となり、それが外国軍の駐留に対する反感を強め、タリバンが復活し、自爆テロが急増するなど、情勢の深刻な悪循環が起こっています。
 軍事的対応のもたらす悪循環は、国連も認めています。国連アフガニスタン支援ミッションがことし九月九日に公表した報告書では、軍事的対応は、テロ攻撃者たちが拠点を持っている住民の怒りをかき立てることによって、テロ攻撃を求める声を高め、攻撃者の数をふやすという不幸な効果をもたらすことにしかならないだろうと述べ、軍事的対応から政治的取り組みに切りかえること、特にテロの根源をなくすための政治的、経済的、社会的行動が必要であると述べています。
 報復戦争は、テロ根絶に有効でないばかりか、事態の悪化をもたらした。戦争でテロはなくせない。総理は、この動かしがたい事実を認めるべきではありませんか。
 そして、問題は、海上自衛隊が行っている活動が、この報復戦争への軍事的支援だということです。政府は、海上自衛隊の活動を、専ら海上阻止行動への支援、テロリスト、麻薬、資金などを海上で取り締まる警察行動への支援であるかのように説明していますが、それは事実を偽るものであります。
 海上自衛隊が米軍のアフガニスタンへの軍事活動を直接支援していることは、数々の米側の資料によっても裏づけられています。例えば、米海軍は、二〇〇六年九月四日、アラビア海で、米海軍の強襲揚陸艦イオージマが海上自衛隊の補給艦「ましゅう」から給油を受けたこと、その後、九月二十一日までにイオージマから飛び立った攻撃機ハリアーが、アフガニスタン空爆のために百三十六回の攻撃飛行を行ったことを明らかにしています。これは、米側の資料です。
 総理、日本が提供した油が、子供、女性、お年寄りなどアフガニスタンの民間人をも犠牲としている空爆のために使われているという事実を認めますか。
 さらに、テロ特措法に基づいてインド洋に派兵された海上自衛隊の艦船の補給した油が、イラク作戦に使われた重大な問題が明らかになっています。市民団体ピースデポが入手した米海軍航海日誌などで、イラク戦争が始まる二十三日前の二〇〇三年二月二十五日、海上自衛隊の補給艦「ときわ」が、米国の給油艦ペコスを介して、米空母キティーホークと米巡洋艦カウペンスに給油を行い、その後、両艦はイラク南方監視作戦、さらにイラク戦争に参加したことが明らかになっています。それは、自衛艦がペコスに給油した油のすべてがイラク作戦に使われたことを証明するものとなっています。
 テロ特措法はアフガン戦争への支援に限定した法律であり、イラク作戦まで支援していたとなれば、日本国憲法に背反するだけでなく、テロ特措法にも背反することになります。総理、イラク作戦への転用はないと言い切れますか。
 我が党は、テロ特措法を根拠に活動してきた海上自衛隊の艦船が行った給油活動の全貌、給油した油が何のために使われたかの全貌を、政府が責任を持って明らかにすることを強く求めます。
 加えて、イラク作戦への転用という法律違反の活動の疑惑が生じているもとで、政府がイラク作戦に転用された事実はないと言うなら、そのことを証明するに足る資料を明らかにすべきです。総理の答弁を求めます。
 今、日本がなすべきは、第一に、米軍による報復戦争を支援する憲法違反の活動は、どんな形であれ中止し、海上自衛隊をインド洋から撤退させることであります。
 第二に、テロ根絶の方途を、報復戦争から、国連を中心とした警察と司法による解決、政治的解決を中心とした道に切りかえるための外交努力を行うことであります。
 第三に、貧困と飢餓をなくし、干ばつ対策を行い、教育の改善を図るなどの民生援助を抜本的に強化し、テロが生まれる根源を除去することであります。
 我が党は、これこそ日本国憲法に則して日本が果たすべき責任だと確信するものです。総理の答弁を求めます。
 最後に、北朝鮮問題について質問します。
 昨日、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で、議長国中国は、核施設の無能力化と核計画の完全申告を柱とする、次の段階の措置に関する合意文書を発表しました。我が党は、非核化への重要な一歩として、これを歓迎するものです。
 日本政府が、この枠組みの中で協力を進め、核兵器のない朝鮮半島を実現するために先頭に立つことは、北東アジアの平和と安定にとっても、日本の平和と安全にとっても急務となっています。
 この点で、北朝鮮の核問題は、日本にとって一番切実な問題の一つなのに、これまで日本政府が核問題では熱意がないと世界の少なくない国から見られてきたのは残念なことです。私は、現実にそういう弱点が存在するならば、大胆に正されなければならないと考えます。
 拉致問題と核問題の関係では、日朝平壌宣言の精神に立って諸問題、核問題、拉致問題、過去の清算問題などの包括的解決を図る立場が重要であります。包括的解決を図る過程で、ある問題の解決が先行することもありますが、一つの問題で前向きの突破が図られれば、それは他の問題の解決の妨げになるのではなく、促進になることでしょう。すなわち、今進行しているプロセスで核問題の道理ある解決が図られれば、拉致問題の早期解決の新しい条件が開かれることになるでしょう。核問題で日本政府が積極的姿勢をとることは、拉致問題に対する国際的理解と支援を高める上でも役立つでしょう。
 私は、こうした基本的立場で今後の外交交渉に臨むべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 参議院選挙で国民が下した自公政治ノーの審判は、個々の閣僚の不祥事に対する批判だけではありませんでした。それは、貧困と格差が広がる中で一握りの大企業だけが栄える社会のあり方への審判であり、改憲を声高に叫び、日本をアメリカとともに海外で戦争をする国につくりかえようとする動きへの審判であり、過去の歴史に対する無反省な言動が引き起こしたアジアと世界からの孤立という事態への審判でした。
 今、国民は、国民の立場に立った新しい政治を求めています。大企業中心主義、アメリカ言いなり、過去の侵略戦争への無反省という、これまでの自民党政治の三つの異常を大もとから正す改革こそ、国民の期待にこたえる新しい政治を起こす道であるということを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(福田康夫君) 志位議員の御質問にお答えいたします。
 沖縄の集団自決に関する教科書検定の問題でございますが、まず、沖縄県民の声をどう受けとめるかについてでございます。
 九月二十九日の県民大会には、県知事を初め多くの方々が参加されており、沖縄県民の皆様の思いを重く受けとめるべきものと考えております。
 検定意見の撤回についてでございますが、教科書検定は審議会における専門的な審議を経て実施されることとなっております。
 御指摘の沖縄の集団自決に関する教科書記述については、軍の関与を否定するものではないと承知しておりますが、この件に関しては、仲井眞知事の御要請もいただきました。知事を初め沖縄県民の思いを重く受けとめ、文部科学省においてしっかりと検討をいたしております。
 また、集団自決に対する認識についてでございますが、沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、その中で集団自決を初めとする悲劇が起こり、多くの人々が犠牲を払われたということを常に忘れてはならないと考えております。
 次に、成長の姿に関する基本的認識についてのお尋ねがございました。
 これまで我が国は、経済社会全般にわたる構造改革に取り組んでまいりましたが、景気が回復し、雇用も拡大するなど、一定の成果が上がってきているものと認識しております。
 同時に、構造改革を進める中で生じた格差と言われるさまざまな問題には、改革の方向性は変えずに、一つ一つきちんと処方せんを講じていくことに全力を注いでいく旨、所信表明演説で申し上げたところでございます。
 日雇い派遣、非正規雇用の規制についてお尋ねがございました。
 日雇い派遣については、厚生労働省が行った調査によれば、労働者の側からも一定のニーズがあるものの、雇用が不安定な働き方であり、さまざまな問題が指摘されているところでございます。
 若者を中心とした低所得の非正規雇用が増加、固定化することには十分な注意が必要と考えております。このため、フリーター二十五万人常用雇用化プランの推進など正規雇用化の支援、改正パートタイム労働法に基づく均衡待遇の確保や正規雇用への転換の推進等に取り組んでいるところであり、こうした取り組みを通じて、働く人たちの雇用の安定と向上を図ってまいります。
 また、労働者派遣制度については、その施行状況や関係者の意見、現場の実態を踏まえ、日雇い派遣のあり方も含め、本年九月から具体的な見直しの検討を開始しており、その結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
 ワーキングプアの実態調査についてのお尋ねでございますが、いわゆるワーキングプアについては、その範囲、定義に関してさまざまな議論があり、現在のところ、我が国では確立した概念はないものと承知しております。
 これまでに、いわゆるワーキングプアと指摘された方々は、フリーター等の非正規雇用、母子世帯、生活保護世帯等でございまして、このような方々の状況については、既存の統計等によりましてその把握に努めるとともに、働く人全体の所得や生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐために成長力底上げ戦略に取り組むなど、対応を図っているところでございます。
 次に、国民健康保険についてのお尋ねでございますが、国民健康保険は、住民の相互扶助により成り立つ社会保険制度であり、すべての被保険者に公平に保険料を負担していただくことが制度存立の前提であります。
 資格証明書は、保険料を納付することができない特別な事情がないにもかかわらず長期にわたり保険料を滞納している方々について、納付相談の機会を確保するために交付されているものでございます。
 いずれにせよ、被保険者の方々の個々の状況に応じたきめ細やかな相談を行うように努めてまいります。
 次に、生活保護行政についてのお尋ねがございました。
 生活保護は、憲法第二十五条の理念に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障する我が国の最後のセーフティーネットとしての役割を果たすものでございます。その運用に当たっては、法律上認められた生活保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むことが必要と考えます。
 今後とも、生活保護行政の適正な運用に努めるよう、各自治体を指導してまいります。
 国民の生存権の保障に関する質問がございました。
 社会保障制度は、人生のリスクに対するセーフティーネットとして重要な役割を担っています。生活保護を初めとする各制度が適切に機能し、すべての国民が安心して生活できるよう、自立と共生の理念に基づいて、国民の立場に立った制度として、ぬくもりのある運営に努めてまいりたいと考えております。また、何か問題が生じた場合には、丁寧に対応してまいります。
 次に、社会保障予算についてお尋ねがございました。
 本格的な人口減少社会が到来する中で、次世代に負担を先送りすることなく政府がその役割を果たしていくためには、二〇一一年度に国と地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成するなど、引き続き、歳出全般にわたる抑制努力を行っていく必要がございます。その際、負担と給付のあり方について国民の御理解が重要と考えております。
 また、社会保障については、今後、少子高齢化が進行する中にあって、自立と共生の理念に基づき、将来にわたり持続可能で、お年寄りにとっても、若者にとっても、皆が安心できるものとなることが必要であります。
 こうした観点から、給付の合理化、効率化を進め、障害をお持ちの方やお年寄りなど、それぞれが置かれている状況に十分配慮しながら、きめ細やかな対応を図っていく必要があると考えております。
 次に、消費税の逆進性等についてお尋ねがございました。
 所得に対する負担の重さを論ずる際には、同時に受益にも着目する必要がございます。社会保障制度について、安定した財源を確保し、持続可能なものとすることは国民生活にとって喫緊の課題であります。
 消費税を含む税体系の抜本的改革については、このような観点から、今後、早急に本格的な議論を進めることとしており、その際、特定の税目のみを取り上げて所得に対する負担の軽重を論ずるのではなく、受益と負担の両面を踏まえ、税制全般について総合的に検討する必要があると考えております。
 社会保障の財源として消費税をどのように考えるかについても、こうした議論の中で幅広く検討してまいりたいと考えております。
 次に、企業や資産所得等に関する税制についてでございます。
 近年の税制改正におきましては、我が国経済社会の大きな構造変化に対応し、持続的な経済社会の活性化を実現する観点から、経済のグローバル化等に対応した法人実効税率の引き下げや、国民の勤労意欲を引き出すこと等を目的とした個人所得課税の最高税率の引き下げなどを行ってまいりました。また、証券税制については、時限的な市場対策として軽減税率を導入したものであります。
 今後、税制の抜本的改革についての議論に当たっては、これまでの改正の意義も踏まえつつ、二十一世紀の我が国にふさわしい税制を構築するため、所得課税、消費課税、資産課税といった税体系全般について議論を行っていく必要があると考えております。
 次に、防衛関係費の削減についてのお尋ねがございました。
 防衛関係費は、防衛計画の大綱に定める我が国安全保障のための三つのアプローチ、すなわち、我が国自身の努力、同盟国である米国との協力及び国際社会との協力に必要な経費を計上しているものであります。
 他方、財政事情が引き続き厳しい中にあって、防衛力整備については、さらに思い切った合理化、効率化を行い、政府全体として一層の経費の節減合理化を行う中で、効率的な防衛力の整備に努めてまいる所存でございます。
 アフガニスタンにおけるテロ根絶のための方策についてお尋ねがございました。
 アフガニスタンが再びテロの温床とならないようにするためには、復興支援と治安・テロ対策の双方に取り組むことが必要です。
 我が国はこれまで、治安、復興等の分野で十二億ドル以上の支援を行ってきております。同時に、自衛隊によるインド洋における補給活動は、国連安保理決議を踏まえて行われております。こうした海上阻止活動の必要性と意義については、国際社会において広く認識されております。
 引き続き、国際社会と緊密に協力しつつ、テロ発生を助長する貧困等の除去と国際的なテロリズムの防止のために幅広い取り組みを行うことが重要であると考えます。
 インド洋における海上自衛隊の活動とアフガニスタンにおける米軍との関係についてのお尋ねがございました。
 OEF、すなわち不朽の自由作戦に従事する米軍に対する我が国の補給活動は、テロの拡散を防止するための国際社会の一致した活動の一環として、特措法に従って行っているものであります。OEFにかかわる個々の米軍のオペレーションの詳細については必ずしもつまびらかにしないところもありますが、いずれにせよ、我が国の補給活動は、法にのっとり、適正に行われております。
 なお、テロとの闘いにおいて一般市民の被害を最小限に回避すべきことは当然であり、すべての関係国はこの点を最大限考慮して活動を行っていると認識しております。
 次に、海上自衛隊が給油した燃料のイラク戦争への転用についてのお尋ねがございました。
 我が国がテロ対策特措法に基づいて行う補給は、テロ対策特措法に基づくものであることを対象国との間の交換公文に明記するとともに、その対象国との協議の場においてテロ対策特措法の趣旨について説明した上で、対象国の艦船への補給の都度、対象艦船がテロ対策特措法に定める参加艦船であることを確認した後に行っております。
 したがって、我が国が補給した燃料については、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識しておりますが、現在、防衛省において、補給を受けた艦船の活動がテロ対策特措法の趣旨に沿ったものであるか、再度確認をしているところであります。
 テロ対策特措法に基づく海上自衛隊の給油活動の実態についてのお尋ねがございました。
 テロ対策特措法に基づきインド洋で行っている海上自衛隊の活動については、法の趣旨にのっとって行われていることにつき、国民の御理解が得られるよう情報の開示に努めるべきものと考えております。
 他方、海上自衛隊の活動内容につきまして、これをつまびらかにするということにより、自衛隊や各国の部隊運用等への支障が生じるものもあることを考慮する必要もございます。
 いずれにせよ、各国の理解も得ながら、可能な限り情報を開示できるよう、防衛省において努めておるところでございます。
 次に、インド洋からの海上自衛隊の撤収についてのお尋ねでございますが、我が国がテロ対策特措法に基づき協力している諸外国の活動は、安保理決議第一三六八号等を踏まえ、国際法に従って、国際的協調のもとに行われております活動であります。また、海上自衛隊の補給活動は、憲法第九条の禁ずる武力行使には当たりません。したがって、米軍による報復戦争を支援する憲法違反の活動という御指摘は当たりません。
 テロ特措法に基づく支援活動は、テロリストの拡散を防ぐための国際社会の一致した行動であります。海上輸送に資源の多くを依存する我が国の国益に資するものでありまして、日本が国際社会において果たすべき責任でもあります。
 我が国としては、この責任を今後とも果たしていくため、海上自衛隊の補給活動を引き続き実施していく必要があると考えており、現時点において撤収することは考えておりません。
 次に、アフガニスタンにおけるテロ根絶のために、政治的取り組みを中心とした対応に切りかえるべきとの御提案でございました。
 アフガニスタンを安定させ、再びテロの温床とならないようにするためには、復興支援と治安・テロ対策の双方に引き続き取り組むことが必要です。
 我が国はこれまでも、人道支援に加え、同国の政治プロセスへの支援や治安の改善等に向けた十二億ドル以上の支援を通じ、アフガニスタンの民主化や復興努力を支援してきており、議員御指摘の政治的取り組みにも協力してまいっております。一方、海上阻止活動を含め、テロリストの拡散を防ぐための国際社会の一致した活動は引き続き重要であります。この点は、一連の安保理決議によって累次確認されてきております。
 引き続き、国連を初めとする国際社会と緊密に協力しつつ、このような幅広い取り組みを行うことが重要であると考えております。
 アフガニスタンにおけるテロの根源を除去するための方策でございます。
 我が国はこれまでも、人道支援に加え、同国の政治プロセスへの支援や治安の改善に向けた支援、医療や教育、農村開発等の分野での支援等十二億ドル以上の支援を通じまして、アフガニスタンの努力を支援してまいっております。
 今後も、国際社会と緊密に協力しつつ、貧困等のテロ発生を助長する要因の除去にも資する復興支援を幅広く行ってまいります。
 対北朝鮮外交についてのお尋ねがございました。
 政府としては、日朝平壌宣言にのっとり、不幸な過去を清算し、核、拉致、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、日朝国交正常化を実現するという方針には変更はありません。
 六者会合の共同声明を全体としてバランスよく実施することが重要であり、今後とも朝鮮半島の非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するよう最大限の努力を行っていく考えでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
#12
○副議長(横路孝弘君) 照屋寛徳君。
    〔照屋寛徳君登壇〕
#13
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、福田総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。(拍手)
 安倍前総理の突然の無責任な政権ほうり投げを受けて、福田内閣が誕生しました。さきの参議院選挙では、自公政権の歴史的大敗北と与野党逆転の実現という国民の厳粛な審判が下されたのであります。
 福田総理は、所信において、参議院選挙の結果を、「与党にとって大変厳しいものでありました。」との認識を示されました。さきの参議院選挙で示された民意は、自公政権に国政をゆだねるわけにはいかないとの明確な意思のあらわれであります。それを受けて、参議院においては民主党の小沢代表が総理に指名されたのであります。
 今や我が国の政治はねじれ国会と称され、衆議院における与党政権と参議院における野党政権の誕生という厳然たる事実に直面しております。その事実を重く受けとめないと、総理の国会運営における野党との話し合い路線も空念仏に終わるでありましょう。
 福田総理は、参議院選挙で示された民意をどのように受けとめておられるのか、また、安倍前総理の無責任きわまりない辞任によって政治空白を生ぜしめた責任の所在、入院中、総理の臨時代理が任命されなかった危機管理のあり方についてどうお考えなのか、お答えください。
 福田総理、去る九月二十九日、沖縄では教科書検定意見撤回を求める県民大会が開かれ、気温三十一度の炎天下、十一万六千名もの県民が結集しました。文科省の教科書検定審議会は、ことし三月、沖縄戦における集団自決、いわゆる強制集団死への軍命の存在についての記述を削除、修正しました。県民大会は、集団自決への日本軍の命令、強制の記述削除、修正に抗議し、その復活を求める怒りの表明の場になったのです。
 悲惨な地上戦が展開され、二十万余のとうとい命が失われた沖縄戦の実相は、鉄の暴風、軍民混在の戦場、住民虐殺、集団自決への軍による命令、強制などであったと語られております。今回の教科書検定問題は、沖縄戦についての歴史認識が問われているのです。
 そこでお尋ねします。総理並びに文科大臣は、沖縄戦の実相の一つである集団自決への軍による命令、強制の有無について、どのようにお考えなのでしょうか。明確にお答えください。
 戦後六十二年目にして重い口を開いた宮川スミ子さんは、日本軍の命令で、座間味島の忠魂碑前に集められ、日本軍から、米軍に捕まる前にこれで死になさいと手りゅう弾を渡されたと証言しています。手りゅう弾で死ねなかった者が、かまやかみそり、棒などで愛する家族に手をかけたのです。そこは、阿鼻叫喚、ありったけの地獄を集めたような修羅場と化したのです。自決を強制され、死ぬこと以外の選択はなかったのです。総理そして文科大臣、これでも集団自決への軍命はなかったと言えるのでしょうか。
 文科大臣は、十一万六千名余が結集した県民の怒りの表明を受けて、教科書会社からの訂正申請を待って判断するという態度に変わりましたが、これでは根本的な解決にはなりません。
 教科用図書検定基準に、近隣諸国条項と同じように、沖縄条項を加えることについて、総理、文科大臣の答弁を求めます。
 県民大会で示された総意は、集団自決への軍命の存在を否定する検定意見の撤回であり、記述の復活です。教科書から沖縄戦の真実を歪曲、改ざんすることは断じて許されません。あいまいな決着では真の解決にはなり得ません。
 県民大会で、社会科教諭志望の高校生代表は、真実を知りたい、学びたい、そして伝えたいと訴えました。総理と文科大臣に、今回の結果についての文科省の責任、検定意見の撤回と記述の復活についてどのようにお考えか尋ねます。
 総理は、所信において、日米同盟の一層の強化をうたい上げ、「在日米軍の再編についても、抑止力の維持と負担軽減という考え方を踏まえ、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾けて、地域の振興に全力を挙げて取り組みながら、着実に進めてまいります。」と述べております。日米軍事同盟の強化で、在沖米軍基地の機能はむしろ強化され、負担軽減は全く図られておりません。辺野古の巨大新基地建設、東村高江のヘリパッド建設は要らないというのが沖縄県民の切実な声です。
 また、米軍は傍若無人の基地運用で、嘉手納基地においては、軍用機の未明離陸で暴露される殺人的爆音で周辺住民が苦しめられております。米軍に対して、騒音防止協定の厳守と未明離陸の中止を迫るべきです。総理、お答えください。
 なぜ、沖縄だけに安全保障の犠牲を強要するのか。基地負担軽減の具体的な方針について、総理の考えをお聞かせください。
 政治と金に関する閣僚らの不正や不祥事が国民の政治不信を招いていることは間違いありません。総理は所信において政治資金問題に触れられましたが、すべての政治団体の一円以上の全支出に領収書添付を義務づける政治資金規正法の再改正に対する総理の態度と決意を明確にお答えください。
 また、この問題に関して、総理は、「特に、みずからについては厳しく戒めてまいります。」と述べておりますが、総理が代表を務める自民党群馬県第四選挙区支部や関連する政治団体の政治資金収支報告書に添付されたコピー疑惑問題について、国民に説明責任を果たすことが先決です。答弁を求めます。
 総理は、今国会の最大の焦点である海上自衛隊のインド洋での給油活動継続は、国際社会の一致した行動であり、我が国の国益に資するものであると述べました。
 総理の決意を受けて、与党は、給油活動を継続するための新法骨子案を明らかにしました。新法は、給油活動と手続を簡素化し、国会の関与を少なくし、文民統制を無視する内容で、到底容認できません。
 社民党は、テロ特措法が憲法違反であるとの立場です。給油活動継続云々の前に、日本の提供する燃料がどのように使われているのか、アフガニスタンの治安や復興に効果を上げているのか、イラク戦争支援のために流用されていないのかを含め、海上自衛隊の活動内容について、国民が納得のいく説明をすべきです。答弁を求めます。
 ミャンマーでの軍事独裁政権による僧侶のデモに対する弾圧の際に、長井健司さんが命を落とすという痛ましい事件が発生しました。軍事政権による犠牲者は二百名を超えました。この軍事独裁政権に経済援助を与え、横暴を助長してきたのが日本でした。自国の国民が殺されたのに、断固たる措置を示すことができないのは情けない限りです。
 社民党は、ミャンマーの民主化闘争を支持します。流血の弾圧、人権侵害がやまない以上、日本も制裁を含めて圧力をかけることを検討すべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 安倍前総理は、七月五日の記者会見で、約五千万件の宙に浮いた年金記録の名寄せを今年度中に行うことを発表し、さらに、最後の一人まですべての記録を調べ、まじめに保険料を支払った人に正しく年金を払う、やるべきことはすべてやっていくと明言されました。
 この約束は、福田内閣でも政権公約として引き継がれるのでしょうか。本当に実現できるのか、実現できなかった場合の責任についてどのようにお考えでしょうか。明確な答弁を求めます。
 厚労大臣が、保険料横領・着服問題に関連して、社会保険庁は信用ならない、市町村の窓口はもっと信用ならないと述べた旨、報じられています。
 厚労大臣の発言に自治体は怒り心頭です。発言は、窓口で住民への対応に尽力している市町村職員の士気を著しく損なうだけでなく、保険料の納付率低下や年金離れに拍車をかけるもので、看過できません。総理も厚労大臣と同じ考えなのか、お答えください。
 障害者自立支援法と高齢者医療制度について尋ねます。
 今ごろになって見直しや凍結を言い出すのは、総選挙に向けたリップサービスにすぎません。そもそも、障害者自立支援法にしても高齢者医療制度改革にしても、野党や当事者である障害者、高齢者の反対を押し切って、自公政権が強行採決で決めたものです。その反省が先ではありませんか。
 総理は、それぞれの方が置かれている状況に十分配慮しながら、きめ細かな対応に努めてまいりますなどと言うだけで、具体的な方策を講じるのか不明であります。早急に負担増凍結の施策や財源を初めとする具体的な全体像を示すべきです。お答えください。
 格差問題は深刻です。総理は、小泉政権以来の構造改革路線について、継承し、方向性は変えない、同時に、格差などの問題には対策を講じていくとしています。しかし、年金、医療、介護などの社会保険、生活保護などの公的扶助のセーフティーネットに加えて、一九八〇年代から進んだ労働法制の規制緩和によって、雇用のセーフティーネットも機能不全に陥っています。総理には、構造改革が格差を拡大させたという認識はないのか、尋ねます。
 企業収益が五年連続で最高を更新する中、年収が二百万円に満たない人は、前年に比べて四十二万人ふえ、全国で一千二十三万人に上っています。まじめに働いても生活保護水準以下の所得しか得られないワーキングプアと呼ばれる人たちが大量に生み出されています。この現実をどのように受けとめているのか、総理の認識をお聞かせください。
 私は、ワーキングプアの主因に労働者派遣法の規制緩和があると考えます。製造業などに拡大されてきた対象業務を、ソフトウエア開発、財務処理、通訳など専門性のある一部の業種に限定し直すこと、また、人間を物扱いにする登録型派遣は禁止して、常用雇用への転換を図ることについて、総理の見解を求めます。
 法務大臣は、司法制度の設計や法執行の最高責任者として、重い役割を負っているはずです。それなのに、ベルトコンベヤーと言っちゃいけないが、乱数表かわからないが、客観性のある何かで事柄が自動的に進んでいけば、次はだれかという議論にはならないなどと、大臣の署名がなくても死刑執行できる方法を考えるべきだと発言されました。
 大臣発言は、人命を軽視し、厳粛な法制度に対する冒涜です。死刑執行に責任を負いたくないというならば、大臣を引き受けるべきではありません。同時に、このような発言を知っていながら、あえて再任した総理の任命責任も極めて重大です。
 総理も法務大臣と同じ考えなのですか。法務大臣をなぜ再任したのか、みずからの任命責任についてはどうお考えか、お答えください。
 最後に、天台宗の開祖最澄は、「己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり」として、忘己利他の精神を強調しています。これは、みずからのことよりも社会や国民のために尽くすという意味で、政治家も大事にすべき言葉だと思っております。
 政治家に求められる忘己利他の精神を失った自民党政治、そして自公政権にはもう懲り懲りだというのが国民の民意です。福田内閣の政権の正統性を得るためにも、一日も早い解散・総選挙を強く求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(福田康夫君) 照屋議員にお答えを申し上げます。
 まず、さきの参議院選挙で示された民意、安倍前総理の辞任の責任、安倍前総理の入院中に臨時代理が任命されなかった危機管理のあり方等についてお尋ねがございました。
 さきの参議院選挙の結果は、何よりも、国民の政治や行政に対する不信が示されたものであると考えております。
 また、安倍前総理の突然の辞任によって、この国会を二週間以上にわたって停滞させてしまったことについては、議員各位及び国民の皆様に対し、自由民主党を代表して、率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、国民の目線に立って、政策を一つ一つ着実に進め、失われた信頼の回復に全力を尽くしてまいります。
 安倍前総理の入院につきましては、担当医師の判断でも、判断力に支障が生じるようなことは全くなかったこと、また、いつでも総理への連絡や指示を仰ぐことができる体制は整えられており、実際に政務もとられていたという状況であったことから、臨時代理が任命されなくても危機管理上の問題はなかったものと考えております。
 次に、沖縄の集団自決についてのお尋ねがございました。
 平成十八年度の教科書検定は、沖縄の集団自決に関する記述について、軍の関与を否定するものではなく、集団自決された沖縄の住民のすべてに対して、自決の軍命令が下されたか否かを断定できないという考えに基づいてなされたものと承知しております。
 歴史上の出来事についてはさまざまな意見があり得るかと思いますが、さきの戦争で大変な辛酸をなめられた沖縄の方々の声は重く受けとめたいと思います。
 教科書検定意見の撤回及びそのことに関する検定基準についてのお尋ねがございました。
 沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを、私は、これからも学校教育においてしっかりと教えていかなければいけないと思います。
 ただ、教科書検定は、図書の内容が正確であるかなどについて審議会における専門的な審議を経て客観的に実施されるものでありまして、お申し出の件については慎重に検討することが必要であると考えます。
 御指摘の沖縄の集団自決に関する教科書記述については、軍の関与を否定するものではないと承知しておりますが、この件に関しては、仲井眞知事の御要請もいただきまして、知事を初め沖縄県民の思いを重く受けとめ、文部科学省においてしっかりと検討しております。
 米軍機の早朝離陸による騒音問題についてお尋ねがございました。
 政府としては、米軍機による騒音問題については、早朝離陸によるものを含め、飛行場周辺住民にとって大変深刻な問題であると考えております。引き続き、米側に対し、騒音規制措置に関する合意を遵守し、可能な限り早朝離陸を回避すること等によりまして、地元に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいります。
 沖縄における基地負担軽減の具体的な方針についてお尋ねがございました。
 今般の米軍再編は、普天間飛行場の早期移設、返還、海兵隊員約八千名とその家族のグアムへの移転、嘉手納飛行場以南の土地の返還等を通じ、沖縄の負担軽減を実施するものであります。
 政府としては、今後とも、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾けて、地域の振興に全力を挙げて取り組みながら、米軍再編を着実に進めてまいります。
 一円以上の領収書添付を義務づけることについてのお尋ねがございました。
 政治資金についての新たなルールについては、国民から信頼に足るものかどうかという基本的な考え方に基づいて行われるべきでございます。その際、国民から見れば、経理報告や監査の方法が民間と政治家で異なっているというのは理解しがたいというのはもっともなことでございます。そうした意味で、民間企業の経理報告や監査の仕組みというものは大いに参考にされるべきであり、一円以上のすべての支出に領収書等を添付するよう民間と同様に義務づけていくことは、国民の理解を得ていくために必要であろうかと考えております。
 私自身の政治資金問題についてお尋ねがございました。
 御指摘の件は、実際の領収書の受け取り先について、実態を踏まえて補正した、つまり、正しく直したものでありますが、本来、経理の担当者において、その手間を省くことなく領収書をとり直したりするべきであったと考えております。
 領収書につきましては、すべてとり直しをすることといたしております。今後、政治資金にかかわる問題について、いささかの疑念も生じさせないよう努める所存でございます。
 テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動内容についてのお尋ねがございました。
 海上自衛隊の活動については、法の趣旨にのっとって行われていることにつき、国民の御理解が得られるよう情報の開示に努めるべきものと考えております。
 他方、その活動内容について、これをつまびらかにすることにより、自衛隊や各国の部隊運用への支障が生じるものもあることも考慮する必要がございます。
 いずれにせよ、各国の理解も得ながら、可能な限り情報を開示できるよう、防衛省において努めております。
 次に、ミャンマー情勢についてお尋ねがございました。
 情勢が悪化したミャンマーで邦人の方が亡くなられたことは、まことに遺憾でございます。日本政府として、ミャンマー政府に対し抗議を行い、その真相究明を求めているところであります。
 ミャンマーの民主化や人権の状況については強い懸念を有しております。政府としては、ミャンマー政府に対し、実力を行使するのではなく、対話を通じて事態を解決するよう、国際社会のさまざまな取り組みとも連携しつつ、働きかけを行っております。
 経済協力については、ミャンマー国民に直接利益をもたらす人道案件等に限定して実施してきております。軍事政権を支援してきたものではありませんが、現在のミャンマー情勢にかんがみ、同国への経済協力をさらに絞り込むことも検討いたしております。
 次に、年金記録問題についてのお尋ねがございました。
 私も、年金記録問題に対する国民の不安を解消していくことが重要であると考えております。本年七月五日に政府・与党で決定した方針には、私の場合にも変わりはございません。
 今後、着実な取り組みを計画的に進めることによりまして、国民の皆様一人一人の記録が点検され、基礎年金番号への統合が行われて、正しく年金が支払われるようにしてまいります。この問題の解決に向け全力を尽くすことが私の責任と考えております。
 舛添厚生労働大臣の発言についてのお尋ねがございました。
 御指摘の発言については、すべての市町村において問題があるといった趣旨ではなく、年金加入者の方からお預かりした年金保険料を横領する行為は絶対にあってはならないものであり、年金の事務に従事するすべての者が襟を正して仕事をすべきであるとの趣旨の発言であると理解をいたしております。
 障害者自立支援法と高齢者医療制度についてのお尋ねがございました。
 私は、障害をお持ちの方やお年寄りが安心して生活できるよう、それぞれの方が置かれているさまざまな状況に配慮しながら、きめ細かな対応に努めることが必要であると考えております。
 障害者自立支援法については、既に三年間で国費千二百億円の特別対策を講じておりますが、その政策効果を見定めつつ、抜本的見直しに向けて制度全体にわたる議論を行ってまいります。
 高齢者医療制度については、昨年実施した医療制度改革の理念や方向性を堅持しつつ、七十歳から七十四歳の患者負担の引き上げ及び被扶養者からの保険料徴収の凍結について、今後、予算措置も含めて十分に検討してまいります。
 構造改革と格差拡大についてのお尋ねがございました。
 これまで構造改革に取り組んでまいりましたが、景気回復、雇用拡大など、一定の成果は上がってきております。一方で、格差と言われるさまざまな問題が生じております。
 私は、景気回復の恩恵を受けていない人々や困っている方々がいらっしゃる実態を認識することが政治家の役割だと考えております。改革の方向性は変えずに、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことに全力を注いでまいります。
 このために、信頼できる社会保障制度や雇用のセーフティーネットの整備に当たっては、老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え、助け合うこと、すなわち自立と共生が必要であるとの考えのもとに、国民の皆様の目線に立って行ってまいりたいと思います。その先に、若者があすに希望を持ち、お年寄りが安心できる国を目指して取り組んでまいる所存でございます。
 ワーキングプアについてのお尋ねがございました。
 非正規の労働者の増加など、雇用環境の変化の中でワーキングプアが生じているとの指摘も見られるところでございます。だれもがみずからの能力を生かし、安定した仕事について、将来に希望を持って暮らせるようにすることが重要でありまして、労働条件の改善など、働く人を大切にする施策を進めていくことといたしております。
 具体的には、フリーター二十五万人常用雇用化プランの推進など正規雇用化の支援、最低賃金制度の見直し等に取り組んでいるところでございまして、こうした取り組みを通じて、働く人たちの雇用の安定と所得の向上を図ってまいります。
 次に、労働者派遣法についてのお尋ねがございました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきたことから、労働者の保護に欠けることのないように留意しつつ、こうしたニーズに対応して実施してきたものであります。
 この労働者派遣制度については、御指摘のような意見を初め、さまざまな議論があるところでございます。これらを踏まえ、本年九月から具体的な見直しの検討を開始したところであり、今後、制度の施行状況、関係者の意見、現場の実態を踏まえて検討を進め、その結果に基づいて適切に対応してまいります。
 鳩山法務大臣の死刑執行に関する発言についてのお尋ねがございました。
 鳩山大臣は、裁判所の確定判決を尊重して死刑執行を厳正に行うべきことを述べたもので、あわせて、法務大臣としての慎重な検討の必要性や、これを命ずる職責の重さについても発言しており、人命を軽視したり、大臣としての職責を放棄するものではないと考えております。
 鳩山大臣にあっては、引き続き法務行政を的確に推進されるものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣渡海紀三朗君登壇〕
#15
○国務大臣(渡海紀三朗君) 照屋議員の御質問にお答えをいたします。
 総理と同じ質問でございますが、先ほど、沖縄の集団自決のお尋ねであります。
 私の考えをお聞きになっておるわけでございますが、まず、検定におきましては、平成十八年度日本史教科書検定における沖縄の集団自決に関する記述は、軍の関与を否定しているというものではありません。集団自決された沖縄の住民のすべてに対して、自決の軍命が下されたか否かを判断できない、断定できないという考えに基づき検定意見が付されたということであります。
 私自身、この問題を考えますときに、我々がどう考えるか、私がどう考えるかということよりも、客観的そして専門的見地からいろいろな検証がなされるべきだろう、そのようにも思っておりまして、それが検定制度の趣旨であるというふうに思っております。
 また、加えて申し上げますと、検定合格後の教科書の中には、日本軍の配った手りゅう弾で集団自決と殺し合いが起こった等の記述がある教科書もございます。
 次に、沖縄条項の問題でございます。
 沖縄戦が、これも先ほど総理がお話しになったわけでありますが、唯一の住民を巻き込んだ地上戦という大変悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということ、これは、私は、これからも学校教育においてしっかりとやはり教えていかなければいけないというふうに考えております。
 しかしながら、さきの戦争では、東京の大空襲や、広島、長崎の原爆もありました。犠牲者、多く出ております。多くの国民が犠牲になっておるわけでありますから、やはり、この条項を特定の地域のみにつくるということはいろいろと課題もあると考えております。慎重に今後検討することが必要であるというふうに考えております。
 次に、教科書検定意見の撤回についてお尋ねがありました。
 沖縄の集団自決に関する件につきましては、先ほども申し上げましたが、昨日、私も県知事初め県民の代表の方々にもお会いをいたしました。各党の皆さんの御意見も聞かせていただいたわけでありますが、やはりその思いを重く受けとめ、真摯に対応すべきであるというふうに考えております。
 一方、教科書検定、これも重いわけであります。教科書検定審議会の専門、学術的な調査審議に基づいて実施されているものであり、時の政権の意向などにより検定が左右されることがあってはならないということも重要な課題であります。
 沖縄県民の思いを受けとめ、なお教科書検定への政治介入にならないよう、どのような対応が可能かを検討しているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○副議長(横路孝弘君) 下地幹郎君。
    〔下地幹郎君登壇〕
#17
○下地幹郎君 下地幹郎でございます。
 私は、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表して、福田内閣総理大臣の所信表明に対して質問をいたします。(拍手)
 十月一日に郵政民営化が行われました。総理は所信表明の中で、利用者の方に不便をおかけしないよう着実に推進する、そう述べられました。しかし、現実は全く逆であります。過疎地の郵便局の閉鎖、千を超える郵便局での配達業務の廃止、病院や学校にあった郵便貯金の預け払い機の撤去、送金手数料の値上げ等、利用者である国民の負担は増大するばかりであります。
 福田総理、もうこれ以上郵政民営化で国民の負担をふやさないようにしていただきたい。そして、政府が郵政民営化時に示された方針である、郵便局はなくさない、サービスダウンは行わない、従業員の労働条件はダウンさせないという、この三つを守ることを約束できますでしょうか。明確にお答えをください。そして、郵政民営化後、利用者の声にサービスダウンがあるということが明確になったとき、福田総理は、利用者の利便性の視点から、政局にすることなく、早急に郵政民営化法の改正を行うことをお考えになっておりますでしょうか。
 福田総理、所信表明で、テロ特措法案の成立に強い意欲を示されました。しかしながら、政治用語に、政治家のイエスはノーの始まり、ノーはイエスへのシグナルという、意味不明で矛盾した、国民には理解不能だが、永田町の政治家と官僚には解読可能な言葉があります。私は、このテロ特措法案がこれに当てはまるのではないかと心配をしております。
 参議院第一党の民主党の小沢代表は、現在の国連安保理決議で不十分であるという趣旨を明確に示しております。しかしながら、政府は、何を考えたのか、新法を提案しようとしております。野党との協議を行うと何度も何度も強調しながら進める手法は、レストランにおいて、お客様がメーンディッシュにチキンを注文したらビーフを持ってくる、デザートにイチゴを注文したらメロンを持ってくる、まるでお客様無視の嫌がらせであります。
 政府は、新法を成立させ、日米同盟を強固なものにして、国際社会において評価を得たいと言葉では言いながらも、本当は、次期衆議院選挙を見据えて、外交的に政権運営の能力のない野党、日米同盟を軽視する野党、こういうふうな印象を国民に与え、意図的に政局にするために新法をわざと提案しているのではないでしょうか。
 もし、福田総理が本気でテロ特措法案を成立させたいとお考えならば、総理みずからアフガニスタン支援の新たな国連決議を提案して、国連本部に乗り込み、安保理事国を説得し、決議を成立させ、それをもって国会の理解を得るべきではないでしょうか。そのことを行うつもりがあるかどうか、答弁をいただきたいと思います。
 九月の二十九日、沖縄県の宜野湾市に、戦争で生き残ったおじい、おばあ、戦争を知らない子供たち、十一万人が集まり、教科書検定における集団自決強制の削除に対して大きな怒りをあらわしました。この県民の熱い思いを政府は受けとめるべきです。
 沖縄県民は、歴史的に、いかなる振興策や予算よりも誇りを重んじる県民であります。その誇りを今回の歴史教科書改ざん問題は大きく傷つけることになりました。福田総理、総理が所信表明演説の冒頭で国民に約束した、国民の信頼なくしては、どのような政策も必要な改革も実現することは不可能ですとおっしゃったように、沖縄県は、この歴史教科書改ざん問題の明確で納得できる解決なくして、沖縄のためにと思われる振興策に全く意味を持たないことを知っております。
 そこで、福田総理、戦後の歴史の中で苦難を乗り越えてきた沖縄県民の声を真摯に受けとめ、歴史の歪曲が後世において二度と起こらないように、従軍慰安婦における河野談話と同じく、総理談話を行い、歴史を正しく伝え、沖縄県民がこれまで以上に未来志向型で歩めるような環境を整えるおつもりはありませんか。福田総理のお考えをお聞かせください。
 命のとうとさを子供たちにしっかり教育していくことは、政治における大事な課題であります。死刑執行に対して賛成、反対の論議があることを認識しております。しかし、現行制度で死刑制度は認められ、法務大臣の重い決断で執行されております。いかなる命であっても、死刑執行を決断する法務大臣は苦しくて、心中穏やかではないと思います。しかし、その苦難な決断をする法務大臣の姿を見て、命のとうとさを社会に示すことも大臣としての責務なのであります。
 鳩山法務大臣が死刑執行に対して記者会見で述べた、乱数表を使う、自動的にという発言は、死刑執行を決断する者の重要な役割を放棄しているとしか考えられません。法務大臣、命を軽く考えてはなりません。そのことを強く申し上げます。
 そこで福田総理、内閣の任命責任者として、このような法務大臣の発言に対して、総理の指示により撤回をさせるおつもりはありませんか。御答弁をお願いします。
 最後に、国民新党・そうぞう・無所属の会は、綿貫代表を先頭に、ぶれない政治を実行しております。福田総理の答弁も、ぶれることなく、解釈が二つにも三つにもならないように、明確でわかりやすい答弁を望み、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(福田康夫君) 郵政民営化について下地議員からまずお尋ねがございました。
 議員御指摘の点は、郵政民営化関連法案の審議の際にも国会で御議論をいただいたものでございます。これにつきましては、その際の政府の答弁、関係法令などに従い、着実に実行をしてまいります。今後とも、郵便局ネットワークの水準、郵便局におけるサービス水準などが維持され、国民利用者の利便に支障が生じないよう、最大限努力してまいる所存であります。
 郵政民営化について、サービスダウンがあった場合の政府の措置についてのお尋ねがございました。
 郵政民営化の進捗状況については、国民の利便性の視点も踏まえ、郵政民営化委員会が監視していくこととなっております。郵政民営化はスタートしたばかりでございます。政府としては、今後、同委員会が監視の結果を踏まえ総合的な見直しを行うものと考えております。
 次に、インド洋における海上自衛隊による活動に関連し、新たな国連安保理決議の必要性についてのお尋ねがございました。
 すべての国連加盟国は、安保理決議第一三六八号等を踏まえ、国際的なテロリズムを防止し、抑止するために適切と認める措置を積極的にとるべき立場にございます。
 我が国による補給活動は、まさにこれらの安保理決議を踏まえて行われている活動です。また、先般採択された安保理決議第一七七六号は、海上阻止活動等に対する各国の貢献を評価し、その継続の必要性を強調しております。
 このように、テロリズムの拡散を防ぐための国際社会の一致した活動の重要性は、既に安保理決議により確認されているものと認識しております。このような認識のもと、海上自衛隊の補給活動を継続するために必要な法的措置のあり方について検討をしてまいりたいと思っております。
 次に、沖縄の集団自決に関する教科書検定についてのお尋ねでございますが、沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを、私は、これからも学校教育においてしっかりと教えていかなければならないと思います。
 ただ、教科書検定は、審議会における専門的な審議を経て実施されるものであります。
 この件に関しまして、仲井眞知事の御要請もいただきまして、知事を初め県民大会で示された沖縄県民の思いを重く受けとめ、現在、文部科学省においてしっかりと検討しているところでございます。
 鳩山法務大臣の死刑執行に関する発言でございますが、鳩山大臣は、裁判所の確定判決を尊重して死刑執行を厳正に行うべきことを述べたものでございまして、あわせて、法務大臣としての慎重な検討の必要性や、これを命ずる職責の重さについても発言しており、人命を軽視したり、大臣としての職責を放棄するものではないと考えております。
 以上であります。(拍手)
#19
○副議長(横路孝弘君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○副議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣  福田 康夫君
       総務大臣  増田 寛也君
       法務大臣  鳩山 邦夫君
       外務大臣  高村 正彦君
       財務大臣  額賀福志郎君
       文部科学大臣  渡海紀三朗君
       厚生労働大臣  舛添 要一君
       農林水産大臣  若林 正俊君
       経済産業大臣  甘利  明君
       国土交通大臣  冬柴 鐵三君
       環境大臣  鴨下 一郎君
       防衛大臣  石破  茂君
       国務大臣  泉  信也君
       国務大臣  大田 弘子君
       国務大臣  上川 陽子君
       国務大臣  岸田 文雄君
       国務大臣  町村 信孝君
       国務大臣  渡辺 喜美君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  大野 松茂君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君
ソース: 国立国会図書館
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