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2007/02/14 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第1号
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2007/02/14 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第1号

#1
第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第1号
平成十九年二月十四日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         広中和歌子君
    理 事         小池 正勝君
    理 事         南野知惠子君
    理 事         松村 祥史君
    理 事         尾立 源幸君
    理 事         小林  元君
    理 事         澤  雄二君
                岩井 國臣君
                大野つや子君
                神取  忍君
                北岡 秀二君
                小泉 昭男君
                佐藤 昭郎君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                松田 岩夫君
                伊藤 基隆君
                下田 敦子君
                藤本 祐司君
                柳澤 光美君
                和田ひろ子君
                松 あきら君
                井上 哲士君
                渕上 貞雄君
                又市 征治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                小池 正勝君
                南野知惠子君
                松村 祥史君
                尾立 源幸君
                小林  元君
                澤  雄二君
    委 員
                大野つや子君
                神取  忍君
                北岡 秀二君
                小泉 昭男君
                佐藤 昭郎君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                松田 岩夫君
                伊藤 基隆君
                下田 敦子君
                藤本 祐司君
                柳澤 光美君
                和田ひろ子君
                松 あきら君
                井上 哲士君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
   参考人
       東京大学社会科
       学研究所助教授  永井 暁子君
       みずほ情報総研
       株式会社主席研
       究員       藤森 克彦君
       マイクロソフト
       株式会社執行役
       人事本部長    四方ゆかり君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」のうち、ワーク・ライフ・バラ
 ンスに関する国際的な動向について)
    ─────────────
#2
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済・産業・雇用に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○会長(広中和歌子君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済・産業・雇用に関する実情調査のため、新潟県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣期間等の決定は、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○会長(広中和歌子君) 経済・産業・雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、ワーク・ライフ・バランスに関する国際的な動向について参考人からの意見聴取を行います。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、東京大学社会科学研究所助教授永井暁子さん、みずほ情報総研株式会社主席研究員藤森克彦さん及びマイクロソフト株式会社執行役人事本部長四方ゆかりさんに御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 御多用なところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、ワーク・ライフ・バランスに関する国際的な動向について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じております。よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますけれども、まず永井参考人、藤森参考人、四方参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず永井参考人からお願い申し上げます。
#9
○参考人(永井暁子君) ただいま御紹介にあずかりました東京大学社会科学研究所で助教授をしております永井暁子と申します。よろしくお願いいたします。
 私の専門は、労働ではございませんで、家族社会学という領域を行っております。家族と社会との関係ですとか家族の内部構造、そして家族関係について研究しております。そういった視点から本日は御報告させていただきたいと思います。幾つかの国についてワーク・ライフ・バランスについての研究を、調査を行ってまいりましたが、本日はその中で特にスウェーデンの家族生活について御紹介させていただきたいと思います。最後にお配りいただいた資料が私の資料となっております。(資料映写)
 本日の報告内容は、今申し上げましたとおり、家族社会学を専攻しております私の観点、ですから、主にワーク・ファミリー・バランスといった視点から御報告させていただきます。その中で、スウェーデンにおける働き方、家族という視点からですけれども、スウェーデンにおける働き方、スウェーデンの家族の暮らし方、そして保育と教育について簡単に御説明申し上げたいと思います。
 スウェーデンにおける働き方の特徴としては、正規雇用としてのパートタイムというものがありまして、皆さんも既に御存じかもしれませんけれども、日本でいわゆるパートタイムと言っているようなものとはかなり違ったものとなっております。それと、柔軟な育児休業制度の利用ということについて申し上げたいと思います。三点目として、男性の育児休業取得についての促進をスウェーデン政府が図っているという点についても申し上げたいと思っております。
 スウェーデンの家族の暮らし方について強調したい点といいますのは、家族の時間を大切にする生活というものについてです。
 また最後に、保育サービスが充実しているという点と大人になってからの職業教育も充実しているという点について触れていきたいと思っております。
 ではまず、スウェーデンでの働き方について御報告いたします。
 スウェーデンでの働き方、レジュメですと二ページ目になりますが、スウェーデンでの働き方というのは、特徴としては男女ともに少ない長時間労働、長時間労働者が非常に少ないという点がこの国の特徴です。それと、男性の働き方の特徴としては、もちろんフルタイムが多いということですけれども、一方で育児休業を取得しているという点。女性の働き方の特徴というのは主に三パターンありまして、フルタイムで働いている女性、それから育児休業を利用してパートタイムといいますか、時間短縮をしながら働いている女性、それから育児休業というものは利用しないんだけれども正規雇用のパートタイムで働くというような働き方があるということです。それについて具体的に説明をしていきたいと思います。
 ここに示しておりますグラフといいますのは、お手元の資料の一番最後のページ、十一ページ目になりますけれども、家庭生活に関するアンケート調査といったものから起こしたものです。これは、レジュメの下にありますように、内閣府経済社会総合研究所と財団法人家計経済研究所が編集しまして二〇〇五年に刊行いたしました「スウェーデンの家族生活」といった報告書の中にまとめられているものです。この調査は内閣府の経済社会総合研究所から家計経済研究所に委託されて行ったものでございます。調査の方法などについてはその下に書いてございますので、御関心があれば後ほどゆっくりごらんいただければと思います。
 この調査の回答者となっておりますのは、三十五歳から四十四歳の結婚しているといいますか、パートナーのいる男女ということで、居住地はストックホルム地域ということになっております。都市部のスウェーデンの家族の生活という数字だというふうに認識してこちらのグラフをごらんいただきたいと思います。
 男女ともに短い労働時間であるということが分かるかと思います。男性でも三十五時間から四十時間で働いている、週当たりですね、働いている人が六七・一%と、ほとんどの人が占めていると。長時間労働と申しましても四十六時間以上でしかくくりをつくれないほど、例えば日本のように週六十時間以上というグループをつくるのが困難であったというか、パーセントとしては非常に低く、グループをつくれなかったほど長時間労働者が少ないという点にあります。
 また、女性の方も男性と同じように働いているかと申しますと、やはり家庭のことは女性の方がスウェーデンといえどもやることが多く、女性の場合は、男性と同じような三十五時間から四十時間で働いているというのは五一%、二十時間から三十四時間で働いているという人たちが三六・三%となります。このグループの人たちの二十時間から三十四時間というと、長いんだろうか短いんだろうかという感覚がするかもしれませんけれども、日本のJGSSという社会調査によれば、日本の女性のパートタイマーの平均の労働時間とほぼ同じぐらいになります。ですから、ほとんどこの女性の多くは正規雇用で働いていますけれども、日本のパートタイマーの女性と同じような時間で働いているということになります。
 またもう一方で、女性の方に着目してみますと、スウェーデンの女性が労働力率が高いということはよく言われておりますが、その労働力率の高さというのは育児休業といったところにもあります。日本ではM字型就労と言われているように、グラフで見られるように緑色の線になって、こちらで見られるように緑色のこういうM字になっているわけですけれども、スウェーデンの場合は八割を超える台形型の労働力率の曲線になっているわけですが、実はそのスウェーデンの労働力率から休業者を除いてしまうと日本の女子労働力と余り変わらない。つまり、育児休業を取りながら、出産後一年ぐらいは育児休業を取っているけれども、またすぐ復職する、女性が入れ替わり立ち替わり労働市場に入ってこれる仕組みがあるということが示されているということになります。
 次に、そういった点をもう少し掘り下げてみたいと思いますが、育児休業の柔軟な利用の仕方にスウェーデンの育児休業制度の特徴がございます。主に二点ありまして、育児休業制度というのは子供が八歳になるまで分割取得可能です。日本の場合は一歳までといったことですし、一回取ってしまうと連続して取るしかなかったということになります。また、時間短縮のために使うことができるということです。
 スウェーデンでインタビューをしていると、どういう聞き方をすれば最初うまく女性や男性の働き方を聞けるのだろうと思っていましたけれども、最終的に落ち着きましたのは、何%で働いていますかということでした。つまり、回答者は、八〇%で働いています、七五%で働いていますというような言い方です。だから、フルタイムの時間を一〇〇%としますと、八〇%や七五%で働いて、その八〇%のマイナス二〇%分を育児休業を使って埋めるということをやっていらっしゃる方が非常に多かったです。
 また、育児休業ではございませんけれども、子供が疾病などのときの家族看護休暇なども充実しているという点があります。
 こういった特徴は、現在EUのほかの国々にもかなり波及している点でございます。
 育児休業制度をもう少し詳しく見てみますと、この調査を行った二〇〇四年でしたか、の時点では左側の制度になっておりまして、合計三百九十日は給与の八〇%が支給される。支給元は両親保険という制度です。
 両親保険というのは、主にというか、社会保障、全般的にスウェーデンの場合は企業が負担する側が多く、労使折半というよりはほとんど九十何%企業側が持つということになります。もうそうなりますと、自分のところの労働者に取ってもらわないと意味がないということにもなるのではないかなと思いましたけれども。
 この調査時の制度ですと、父親割当て分、父親しか使っちゃいけないものが六十日、母親しか使っちゃいけないものが六十日ありまして、それ以外の母親分百三十五日、父親分百三十五日は交換可能ですので、主に父親は父親しか使っちゃいけない分六十日、これはパパの月と言われているものですけれども、を使って、それ以外の百三十五日分を母親側に譲るということが割と一般的に行われているかと思います。
 昨年改正されまして、まだまだスウェーデンの父親の育児休業の取得日数が母親より少ないということになりまして改正されました点というのは、父親割当て分を百五十日に増やしたという点です。ただ、トータルでこの四百五十日というのは八〇%の両親保険が支給されるということですから、使わないと損といいますか、というような考え方もできるということになります。
 では、具体的にどのぐらい日数取っているのかということを見てみましょう。
 女性の育児休業取得日数というのは、スウェーデンの場合、子供一人当たりですけれども、二百六十日以上が多いということです。この二百六十日というのは労働日ですので、実際には約一年、休日入れると約一年を指します。ですから、多くは大体一年から一年半ぐらいというふうな形で取るという場合が多いかと思います。取らないという方は二・九%しかいなかったということです。
 また、日本の場合は、育児休業日数を結構取っているとか、育児休業を取っている方多いんですけれども、実は取る前に辞めてしまうという方が七割いらっしゃいますが、スウェーデンの場合は妊娠、出産によって辞めるという方は非常に少ないです。ですから、これはこのままの女性の利用日数と考えても差し支えないかと思います。
 では次に、女性の復職後の働き方ですけれども、女性の復職後、育児休業明けにどういう働き方しているかといいますと、スウェーデン女性の場合、ばりばり働いているかというイメージもあるかと思いますが、そうではなくて、いろんな働き方をされている。フルタイムで復職するという方は三八%ですが、パートタイムで働いているという方が残りの六割程度を占めているということになります。七五%勤務というのが二七%で最も多く、それ以外のパーセントでも働いているといった形になります。
 では次に、男性の育児休業について見てみたいと思います。
 男性もほかのヨーロッパの国々に比べてもかなり育児休業を取る割合は多いんですけれども、やはり女性に比べると少ないということが指摘され、先ほどのような制度改正に至りました。ただ、育児休業取得日数がゼロ日という方はやはり一割程度です。
 十日以内という方が二三・一%となります。この十日というのは、妻が出産を終わって家に帰ってきて、妻と子供の面倒を見るような期間として考えられるかと思いますし、実質二週間に該当します。それは割と中小企業でも取りやすいけれども、非常に小さい規模の企業ですとこの十日を超えた本当の意味での育児休業はなかなか取りにくいというような声もインタビューで伺いました。ただし、それでもこの調査結果によりますと、三十日以内それから六十日以内といったように十日を超えて育児休業を取る方というのが結構多いということがこれでお分かりになるかと思います。
 このように、育児休業が非常に発達してきた背景としては、女性の働く場所が非常に関係していたということになります。非常に多いのがやはり公務員です。民間企業の場合は男性六割に対して女性四割という比率ですが、国家公務員の場合は半々といった形になりますけれども、市町村、県、まあこれ日本に該当させたんですけれども、市町村、県レベルの公務員というのは女性が八割を占めております。
 そういった中で、女性が育児休業を取得したり時間短縮した働き方をするということをしやすくなったという社会的な背景があるかと思います。もちろん民間企業でも現在女性は育児休業を取っておりますし、時間短縮はしておりますけれども、普及していく過程でこういった構造があったのかと思います。
 このような市町村、県の公務員で女性が多いというのは、主に市町村、県の公務員の内訳というのが、初等教育の教員、それからケアワーカー、介護系の職員といったものが公務員として雇われているということです。つまり、家事労働を社会で分配しているといったことになるかと思います。
 では次に、スウェーデンの家族生活について御説明いたします。
 スウェーデンの家族の暮らし方なんですけれども、家族の時間を大切にするという点が挙げられます。それには早い帰宅時間というものがあり、それによって家族そろっての夕食というものがあり、子育てを社会で行っているという特徴もあります。それは保育サービスの積極的な利用ということが挙げられるかと思います。
 では、先ほどの調査を基にして、日本で行った調査と比較してみました。日本って書いてある方は東京です。ですから、日本を代表するというよりは東京的な特徴が確かに出ているかもしれませんけれども、このスウェーデンって書いてある方がストックホルムですので、大都市同士の比較ということになるかと思います。
 日本の場合は一日、二日、家族が全員で夕食を取るのは週に一日、二日というところが非常に多くなっております。つまり、御想像のとおり、お父さんが帰ってこないということになります。だれと夕食を取っているかというのも聞いていますけれども、やはり母親と子供ということになります。それに対して、スウェーデンの場合ですと、毎日というのが三五・三%を占めているということになりまして、ほぼ毎日夕食を家族全員で取るというようなことになっております。それが可能となるのはやはり早い帰宅時間でして、男性の場合でも五時までに帰宅しているという人が非常に多い。五時までに帰っているというのが三七・三%になります。女性の場合は二四・九%が五時ごろまでに帰ってきている。それより前に帰ってきている方も非常に多いということになります。この中で、決まっていないというような分類の割合も多いんですけれども、これは職種を見てみますと、看護師さんですとか、そういった時間がローテーションがあるようなお仕事の方でした、消防士さんとかというような方でしたので、一般的な事務職の方ということではないということですね。
 一方、日本の場合というか、東京の場合ですけれども、見てみますと、日本の場合で六時までに帰宅する男性というのは六・八%で、内訳で見ますとほとんど自営業の方で、自営業以外の方は非常に遅い、それも一番多い頻度を示しているのが十時以降ということになります。十時以降が三〇%という一番大きい山になっております。
 ということを考えますと、日本と、東京とストックホルムということでは非常に大きな違いがあるかと思います。
 次に、保育サービスについて簡単に触れたいと思います。
 仕事と家庭の両立といったことを可能にしていくのは保育サービスが充実しているということです。ただ施設があるということだけではなくて、その内容が充実しているということです。スウェーデンでは一歳からの入園が可能となっております。また、学童保育が充実しておりまして、待機児童というようなことは基本的にはあり得ないということです。これは子育て期の就業を継続することに非常に、特に女性が継続することに役立っております。
 スウェーデンで一歳から子供を預けるということについてどのように考えられているかということですけれども、スウェーデンの場合は、一歳からの集団保育は子供の発達にとって良いことというふうに考えられているわけです。一方、一歳までは、まあ母親がということは決して言いませんけれども、父親若しくは母親、親しい親がそばにいることが大事だとされ、また日本との共通点でありますけれども、授乳を非常に重んじる傾向があります。例えばフランスの場合ですと余り授乳ということは重要視されてきませんでしたが、最近少し強調されるようになりましたけれども、スウェーデンは母親が子供に授乳するということはすごく大事なことだと思われている。だからこそ育児休業というものが発展したのだと私は解釈しております。一歳からはこのような形ということになります。
 また一方で、教育の方も非常に発達、制度としては発達しているかと思われます。教育費は基本的に無料でありますし、奨学金制度がある程度受けることが、だれでも受けることができる、それから、大人になってから充実した職業教育を受けることもできるということで、親に頼らないキャリア形成ができることになります。これはやり直しができる社会なのではないかというふうに考えております。
 お手元の資料九枚目になりますけれども、簡単に学校と保育制度について示しております。
 この中で右端の方に余暇活動センターというものが出ていますけれども、この余暇活動センターというのは日本でいえば学童保育に該当するものです。子供を預けるというイメージになるとあれかもしれませんけれども、ちょっと写真を持ってまいりましたので見ていただきたいと思うんですが、私の友人が勤めている余暇活動センターです。主に外での活動を子供たちに活動させることに重きを置いている余暇活動センターなのですが、ゴルフをしたり、落葉を拾って遊んだり、スケートをしたりといったようなことをしているということになります。非常に楽しそう、本当はもっと顔のアップが出ているようなものがあったんですけれども、それは使わないでくれと言われましたのでこういった写真だけですけれども、私も参加したいような楽しい写真をたくさん見せていただいております。
 では最後に、スウェーデンの家族生活についてまとめたいと思います。
 家族生活の基盤というのは、子育てと両立するための柔軟な働き方を可能にする政策を取っているという点、労働時間を短縮し、ゆとりのある働き方を可能にする政策を取っている点にあります。その結果、家族生活の実態として、家族生活のための時間を男女ともに確保する、つまり家族が全員そろえるということが実現されております。その結果、家族の日常生活でも一緒に過ごすことができますし、また家族での余暇が充実するといった点にあるかと思います。
 以上で本日の報告を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#10
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では次に、藤森参考人にお願いいたします。
#11
○参考人(藤森克彦君) みずほ情報総研の藤森でございます。本日は、このような機会を与えていただきまして心からお礼を申し上げます。
 最初に、簡単に私の自己紹介をさしていただきますと、私は民間のシンクタンクで社会保障を中心に研究をしております。そして、九六年から二〇〇〇年まで、イギリスの方に弊社の駐在員としまして研究員として駐在をしておりました。本日御報告しますイギリスのワーク・ライフ・バランスにつきましては、私が帰国するちょうど三か月前の二〇〇〇年の三月に、ブレア政権で仕事と生活の調和キャンペーンを始めるんだということで発表がありました。それで、それから非常に興味深く見てまいりました。
 本日は、イギリスのワーク・ライフ・バランスにつきまして、最初にイギリスのワーク・ライフ・バランス、一体何で、見る意義がどこにあるのかと、意義を申し上げたいと思います。それから、ワーク・ライフ・バランスの実態。それから、企業が自主的に両立支援策を導入しているんですが、その背景は一体何なのか。それから、その両立支援策が企業に与えた影響。そして最後に、政府の取組を見まして、イギリスと日本の違い等々につきまして御報告していきたいと思います。
 私の方、紙の方のレジュメで発表を進めてまいりたいと思います。
 それでは、早速二ページをお開きください。イギリスのワーク・ライフ・バランスを考察する意義につきまして御報告していきたいと思います。
 まず三つ、イギリスのワーク・ライフ・バランスを考察する意義があると考えておりますが、実はイギリスはワーク・ライフ・バランスという点では先ほどのスウェーデンと違いまして後れている国だというふうに言っていいかと思います。欧州の中でも労働時間は長時間労働として有名な国です。それから、男女の役割分担という点におきましても非常に根強く残る国だというふうに言われております。それからさらに、公的な保育所を見ましても、この整備は後れています。日本よりも後れているというふうに考えております。
 なぜかというと、これまでイギリスは、このワーク・ライフ・バランスという仕事と生活の調和、これは労使間で考えるべき話であって、私的領域の問題だと、国が口出すところじゃないという考え方がされておりました。それから、保育所の整備につきましては、この保育所を整備することによって受益を受けるのはだれかといったら、これは企業だろうと。とすれば、受益者負担の考え方から企業が負担すべきじゃないかと、こういった考え方もされてきております。しかし、近年、企業や政府がこのワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組み始めておりますので、こういう発展途上の国というか、後れた国が試行錯誤をしながらワーク・ライフ・バランスを進めるという点において日本にとっても示唆するところがあるのではないかと考えております。
 それから二点目としましては、出産、育児につきましてイギリスでは柔軟な就業形態を活用しながら就業を続ける女性が多いということであります。この点はまた後ほど見ていきたいと思います。
 それから三点目、これは、ワーク・ライフ・バランスは企業業績の向上につながる、企業にとってもプラスになるんだという、そういう見方がイギリスはされております。ブレアさんが二〇〇〇年三月にワーク・ライフ・バランスキャンペーンを始めるときに、こういうことを言っております。ワーク・ライフ・バランスは、企業にとって競争力を高めて業績向上につながり、従業員にとっては生活の質を高めると。
 私は、企業にとってもプラスになるんだというこの視点が日本にとっても非常に重要な示唆ではないかというふうに考えております。どちらかというと、日本はこの両立支援策というのは企業にとっては負担だという考え方をされております。それに対してイギリスは、これは企業にとってもプラスになるんだと。で、働き方を変えるというのは、どうしてもこれ企業の協力を得なかったらできないだろうと思います。企業の協力を得るには、それが企業にとってプラスになるんだというメッセージが、自主的にそこに企業が積極的に活動にかかわっていくために必要なところではないかと思います。方法論としても必要なところでありますし、しかもこれから日本の向かっていく労働力人口が減少する社会という中においては、実はこれはワーク・ライフ・バランスをうまく使うことによって企業にとってもプラスになるんだということが実際にあるのではないかと。イギリスは今模索している段階なんですが、その辺を見ていくところは意義があるところだというふうに考えております。
 以上、三つの意義を申し上げました。
 それでは続きまして、イギリスにおいて柔軟な就業形態は一体どうなっているのかということを見てまいりたいと思います。
 図表の一をごらんになっていただきたいんですが、イギリスの柔軟な就業形態、大きく言って、労働時間を短くするという時短型と、それから働く時間帯や働く場所を変えるという裁量型に分けることができます。
 どんなものがあるかというと、例えば時短型では学期期間労働というのが、学期間労働というのがございます。これは子供の学期中のみ労働する就業形態、だから子供が夏休みになれば親も一緒に休むという非常にうらやましい形態がございます。それから期間限定時短制度、これは一定期間のみ労働時間を短くして、その後通常の労働時間に回復していく就業形態です。それから、少し下がりまして、集中労働日制、これは週当たりの総労働時間を減少させずに一日当たりの労働時間を増加させて、週五日勤務だったら四日勤務にしていくと、こういうものでございます。
 こういった様々な柔軟な就業形態を活用できるようにしておるんですが、じゃ、企業は一体どの程度こうした就業形態を提供しているのかというのを見たのが図表の二であります。
 全体というところが、これが提供している企業のパーセンテージ、割合を示したものですけれども、パートタイム七四%、それからフレックス二四%と、この辺は多いんですが、ところが、学期間労働とかあるいはその他のものにつきましては大体一割弱から二割弱といった水準ですので、そんな大したことはないわけですね。ところが、従業員規模別に見ますと、五百人以上の企業を見ますと、ほとんどの形態で五割以上の企業がこうした形態、柔軟な様々な形態を提供しているということであります。ですので、イギリスは大企業が中心となってこうした柔軟な就業形態を提供しているという状況でございます。
 それでは次のページに移りまして、では、こういう状況、企業が提供しているんですが、その提供しているものを使わなかったら意味はないですので、従業員は一体どの程度、労働者の方はどの程度活用しているのかという点を図表の三で見ていきたいと思います。
 これは柔軟な就業形態を活用する雇用者の割合を見たものですけれども、フルタイム、これは週三十時間以上働いている労働時間の方々をフルタイムというふうに定義付けておりますが、男性ではこういった柔軟な就業形態を使う方々というのが一八%、それから女性は二八・五%、全体では二二・一%という形になっております。その下に括弧書きで付いているのが九九年の割合なんですが、特にフルタイムの女性を見ていただきたいんですが、九九年から二〇〇五年にかけまして五%ポイント柔軟な就業形態を使う方が増えております。イギリスはパートタイム労働者が多いんですけれども、近年はフルタイムでありながら柔軟な就業形態を使って働き続ける女性が増えております。
 それから、図表の三の方には記してございませんが、在宅勤務は大体イギリスでは六%程度というふうに言われておりますので、それを足しますと、大体全体でフルタイムの中でも三割の方々がこうした柔軟な就業形態を使っているということであります。日本でこうした柔軟な就業形態を使う方というと、これは非正規社員という形になっておりますね。ところが、イギリスではフルタイムで働く方々も使っているというところが一つの特徴だというふうに思います。
 それからもう一つ、図表の四、じゃ一体どういう方々がこれを使っているのかと。柔軟な就業形態を企業が提供しているという中でどういう方々が使っているのかという、利用可能と回答した中で実際に使っている方々はどういう方々かというのを見たのが図表の四でございます。
 特に管理職、専門職を見ていただきたいんですが、裁量型、ここを見ますと、この網掛け部分が平均よりも高いところになっておりますが、フレックスで六割等々、平均よりも高く使っております。かなり管理職、専門職の方々でも使っているということが言えるのではないかと思います。
 実際、イギリスでは、フルタイムの女性が子供を産んで、子育て期にパートタイムになりまして、それからまた子供が小学校上がるぐらいになってからフルタイムで働き出すといった事例ですとか、あるいは金融機関のシステム部門で働く部長が、修士号を取るために二年半、先ほど言った集中労働日制、週四日勤務に変えて勉強してキャリア形成に励むといった、こういった使い方もされているんですね。日本だと、ややもするとワーク・ライフ・バランスというと子育てということを目的にしたものというのが多いんですが、イギリスではこういった使い方がされております。
 それから、これまでワーク・ライフ・バランスという言葉はファミリー・フレンドリーというような言い方がされていたことが多いかと思いますけれども、しかしワーク・ライフ・バランスという言い方になったのは、子供がいようがいまいが、それから既婚であろうが未婚であろうが仕事と生活の調和というのは重要だろうと、そういった問題意識からワーク・ライフ・バランスという言い方に変わっております。
 それでは、続きまして、じゃ一体どうしてこういった形態が広がってきたのかという点を次のページで見ていきたいと思います。
 イギリスでは、九〇年代半ばから大企業が自主的にこの柔軟な就業形態を入れ出したというところが特徴があります。一体なぜ入れ出したのかと。二点指摘できるかと思います。
 一つは、企業と労働者のニーズが合致したということであります。企業側の事情としましては、九〇年代中ごろからイギリスはずっと景気がいいものですから、労働需給が逼迫して労働力不足という状況になってまいりました。他方で、労働者側は、八〇年代から共働き世帯だとか一人親世帯というのがかなり増えてきております。そういった方々は、時間や場所に縛られない働き方を望んでいたと。そこで、この両者のニーズが合致して柔軟な就業形態を導入していったということが挙げられます。
 それからもう一つは、土日の営業を求めたり、あるいは二十四時間営業を求めるといった、こういった消費者ニーズの変化という点も指摘できるところであります。
 それでは、こういった柔軟な就業形態が一体企業にどういう影響を与えたのかと。先ほど、ブレア首相は、これは企業にとってもプラスになるんだと、良い影響を与えるんだということを言いましたけれども、これは本当なのかという点を見てまいりたいと思います。
 図表の五をごらんになってください。これは実際に両立支援策を導入した事業主に対しまして意識調査をしたものですが、これはどういう影響があったか、良い影響か悪い影響かというのを聞いたものですが、従業員との関係、従業員の労働意欲、従業員の定着、それから生産性等々、こういった点で良い影響と答える事業主が五割以上となっております。それから、悪い影響と答えた割合と比べますと圧倒的に良い影響と答える方々が多いということでございます。
 それから、図表の六をごらんになっていただきたいんですが、これは縦軸にその企業、事業所が幾つの両立支援策、調和策を導入したのかという数を並べまして、それから今度、横軸の方に平均よりも業績がいいのかどうなのかといった点を並べたものです。
 それを見ますと、図表の六では、より多くの両立支援策を導入している企業ほど業績がいいというふうなことがここからは示されております。そういうふうに読み取らせたいんだろうと思います。しかし、これはそんな単純には読めなくて、実は業績のいい企業だからワーク・ライフ・バランス施策という両立支援策を入れられるという逆の因果関係があるわけですね。ですので、これはもっと個別の企業から、ミクロの視点から見ていかなきゃいけないということであります。
 次のページに、実際、じゃ導入した企業はどうなったのかという点を見ました。五ページをお開きください。
 図表の七なんですが、これは英国の大手電信電話会社の事例であります。この会社は九万四千人ですので非常に大きな会社でありまして、女性従業員の比率が二四%ということであります。何をこの会社は両立支援のためにやったかというと、IT化による在宅勤務を進めたということであります。それによって在宅勤務の利用者が全従業員の七%になったということであります。
 メリットは一体何なのかというと、真っ先に挙げられているのは、優秀な人材を採用できるようになったということであります。それから、離職率が、英国平均では年平均一六%の離職率なんですが、これは三%まで低下していったということ。それから、出産休暇後に職場復帰率が九三%。これによって募集・採用コストが五百万ポンド、この会社は規模が大きいですので、日本円で、一ポンド二百円で計算して約十億円削減できたということでございます。イギリスは特に今景気がいいですので、こういった募集・採用コストも非常に掛けているところであります。それから、二十四時間対応や土日営業にも対応できるようになって顧客満足度が八%増加した。それからさらに、在宅勤務によって、これを利用している社員の生産性が一五%から三一%向上したということであります。それからさらに、在宅勤務によりましてオフィスのスペースが削減できると、それによって一人当たり日本円で百二十万円程度削減できたということであります。
 これは非常に英国では成功事例としてよく紹介されている事例なんですが、今イギリスではこういった個別企業の、ワーク・ライフ・バランスを導入した結果どうなったのかという研究が今一生懸命やられているところであります。そこから一つ言える、企業のためにも従業員のためにもなるワーク・ライフ・バランスというのは、やはり従業員と企業のニーズをジグソーパズルのピースを組み合わせるように、一つ一つ丁寧に組み合わせる作業が非常に重要だということが指摘されております。
 それから、続きまして、じゃ今度政府は、英国政府は一体何をやったのかということを見てまいりたいと思います。
 政府は二点やりました。一つは、先ほど申し上げましたワーク・ライフ・バランス・キャンペーンでございます。これは二〇〇〇年三月から取り組んで、この目的としては、従業員にも企業にもメリットのある両立支援策を広めていこうと。イギリスの特徴は、単なる啓発ということをやるわけじゃなくて、具体的な事例から両立支援策の効果、メリットというものを出して、それを企業に伝えていくということをやっております。
 具体的には、チャレンジ基金プログラムというものを導入しております。これは図表の八の方に記しておきました。
 これは何なのかというと、両立支援策の導入を検討する事業主、企業に対しまして無料のコンサルティング機会を与えていくというものであります。ですから、このコンサルティングの費用は政府で持つということであります。コンサルタント、これは民間のコンサルタントなんですが、従業員と企業のニーズを掘り下げて、その企業の実情に合った最適な両立支援策の導入を検討していく。約一年間この企業に入っていくようであります。コンサルティング機関としては、政府が民間から二十四機関を事前に選定しまして、そこの企業にノウハウというものを蓄積させていこうということを考えております。そして、最適な両立支援策について具体的な事例から情報を収集していって、しかもそれを他の企業に伝える。これは貿易産業省の方でやっておりますけれども、そこで報告書を作って上げるということをやっております。
 利用手続は、事業主は申請書を貿易産業省の方に提出して、同省の方で審査をすると。業務領域や、コンサルタントから便益を受ける方法、それからプロジェクトに充てられる人材や時間、プロジェクトから図られる測定可能な効果、こういったものを審査基準にしているんですが、特に業務領域を基準の一つに設定しているのは、様々な業務、業種からこういったワーク・ライフ・バランスのノウハウを蓄積していこうということで、ある程度ばらつきを持たせようということを考えております。
 それから、この利用状況は、チャレンジ基金プログラムには日本円にして約二十三億円が二〇〇〇年から二〇〇三年に入れられまして、この期間内に四百四十八企業が支援を受けました。で、百二十万人の従業員が影響を受けたということになっております。イギリスの方は、こういった政策取りますと政策評価のレポートが出されているんですが、八割ぐらいの事業主が、実際に利用した方々がこれは良かったということを答えておりまして、そこそこ成功したと言える政策ではないかというふうに考えております。
 このポイントは、やはり個別の企業のワーク・ライフ・バランスを助けるということのみならず、そこの企業の実際のワーク・ライフ・バランスの具体的な経験からその成功の要因を抜き出してほかの企業にも伝えるということをやっているところですね。こんなところがイギリスの取組の一つであります。
 それから、続きまして、もう一点ですが、六ページ、次のページに行きまして、ワーク・ライフ・バランスの下支えをするための条件整備ということをやっております。
 図表の九に記しましたが、労働規制、それから出産・育児休暇、経済的支援、保育所整備といった総合的な対策を取っております。ここでは時間の関係もありますので労働規制だけ見てまいりたいと思います。
 イギリスの方で労働規制やったのは、一つは、これはEUの労働時間指令の影響を受けて九八年に労働時間規制を設けました。国内法を設けました。これは週四時間労働時間規制などのものですが、イギリスの場合、例外規定、オプトアウトが設けられておりまして、労働者の同意があったならば四十八時間以上働けるというふうな例外規定が設けられております。
 それから二点目、パートタイム労働規制というものが二〇〇〇年に入れられました。これもEUの指令の影響でございます。これは何かといいますと、パートタイムは比較可能なフルタイム労働者よりも不利な扱いを受けてはいけないというものであります。時間比例という観点から均衡処遇を求められておりまして、時間当たりの賃金、ですから、同一労働同一賃金の原則というのはここで挙げられています。それから、企業年金、有給休暇等々のものが時間比例という観点から処遇が均衡じゃなきゃいけない。週三日勤務の方でしたら有給休暇も五分の三与えられなくてはならないということであります。
 それから、柔軟な働き方への申請権というものが二〇〇二年の雇用法で入れられました。これは、六歳以下の子供かあるいは十八歳以下の障害者を持つ親は柔軟な雇用形態で働くことを申請する権利を持つということであります。ただし、事業主の方にはこの申請を拒否できる理由というのは非常に幅広く認められておりまして、例えば追加的な費用負担が必要になること、顧客対応能力への悪影響、既存の従業員間で調整ができないこと、業績への悪影響、まあこういったことを挙げちゃうとほとんど申請は通らないんじゃないかというふうに思いますけれども、そういった声は実際にあったんですが、ところが、実際のところでは、こういったものを入れたところ、八割ぐらいはその申請の一部あるいは全部が承認されているということでございます。
 それでは最後に、イギリスと日本の同じところと違うところを申し上げて、私の報告を終わりにしたいと思います。
 まず、同じところですけれども、日本におきましても、今後一層ワーク・ライフ・バランスの必要性というものは高まっていくだろうというふうに私は考えております。一つは、今後やはり労働力人口がかなり減少していくということでございます。日本も今少しずつ労働力が不足しているという、こういう声が起こっておりますけれども、本格的な労働者不足というのがいずれ来るだろうというふうに思います。ちょうどイギリスが労働需給が逼迫したというようなのと同じ状況というものが起こるのではないか。しかも、イギリスは景気循環で起こっておりますが、日本は構造的に起こるんではないかというふうに思います。
 それからもう一点、既に日本では共働き世帯数は片働き世帯数を上回っております。したがって、家事、育児、介護といった家庭生活で相応の役割を担う労働者というものは男女ともに増加してくるということでございます。ですので、ちょうどイギリスと同じようにワーク・ライフ・バランスの必要性というのは高まっているし、それによって企業にとってもプラスになるという状況も起こり得るのではないかというふうに思っております。
 しかし、日本とイギリスはやはり同様には論じられない点というのがあろうかと思います。それは何かといいますと、図表の十で示しましたが、日本における労働者の二極化構造であります。私は、これが日本でワーク・ライフ・バランスがなかなか広がっていかない本質じゃないかというふうに思っております。図表の十に記したのは、これは横軸に企業による保障を取りまして、それから縦軸に企業の拘束を取りました。正社員は企業による保障、例えば雇用保障等々は強いですが、一方で拘束も強いということであります。日本の場合、やはり景気循環に対しましては、雇用保障というものがありますから、イギリスのように解雇するという形の手段というのはなかなか取れない、そうすると何が行われるかというと、残業時間を調整したり、配置転換したり、転勤したりということで調整しているんだろうと思います。ということは、企業は従業員の、正社員の雇用を守るために、そこの部分はがっちり握らなきゃいけないわけですね。この雇用の、企業による保障とこの拘束というのはセットになっているということだと思います。
 ところが、ワーク・ライフ・バランスというのは働く時間帯等々を従業員の裁量に任すということですから、この企業の拘束ということを弱める方向に行くものです。とすると、こっちを弱めるとなると、正社員による、企業による保障の方も、セットですから、こっちも弱めなきゃいけないということであろうかと思います。これは非常に日本にとって悩ましいところで、なかなかワーク・ライフ・バランスが普及しない一因じゃないかと思っております。
 ところが、イギリスの場合は、正規社員であっても雇用保障というのは日本ほど強くありませんので、イメージからいいますと、この図表の十の真ん中にもっと寄っているんですね。正規社員、非正規社員ということよりも、フルタイム、パートタイムという言われ方のように、働く時間長いか短いかというところの方の違いが大きいですので、真ん中にこう寄っている。そうすると、日本のような、よく言われる身分の違いというものにはならないわけですね、正規社員と非正規社員の違いというものが。だから、ライフステージにおいて、子育て期に一時的にパートタイムになって、またフルタイムに復帰するということが行いやすくなってきているのではないかと、イギリスの方では行いやすいのではないかというふうに思います。
 日本の場合、これ非常に悩ましいんですけれども、一体どうすればいいかというと、私は、基本的にはこれ近づけなきゃいけないんだろうというふうに思っております。ただ、近づき方というのは、日本流のやっぱりワーク・ライフ・バランスのやり方というのは考えなきゃいけないだろうというふうに思っております。例えば、企業による保障の中には、年功賃金のような保障もあれば雇用保障のようなものもあろうかと思います。その中で一体何を選んでこっちの保障を低下させていくのかというのはやはり考えなきゃいけないだろうというふうに思います。
 それからもう一つは、やはり例えば雇用保障なんか日本にとっては非常に大きなもので、これによって人々の生活がどれだけ安定しているのかというところはあろうかと思います。ですから、もしそこの部分を低下させるのであるならば、一体、じゃほかで、例えば国の社会保障なり、あるいはもっと転職できやすいような労働市場の整備をするだとか、そういった別の手だてによってその部分の人々の安定性というものを担うということはしていかなくてはいけないのではないかというふうに思っております。もちろん、経済成長するんだったならばこの非正規の部分だけ上げるということができるかと思うんですが、低成長の時代だと、やはり非正規の方を上げようとすると正規社員の方も少し下げなきゃいけないということが起こり得るんじゃないかというふうなことを考えておりまして、なかなかイギリスとは同じように論じられないところというのはこの二極化構造というところにあって、これが本質じゃないかというふうに私は考えております。
 以上で私の方の御報告を終わりにさせていただきます。
#12
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは次に、四方参考人にお願いいたします。
#13
○参考人(四方ゆかり君) マイクロソフト、人事の責任者をしております四方ゆかりと申します。本日はこのような席でお話しさせていただく機会を持つことができまして、大変光栄に思っております。
 お手元に二つほど資料を用意させていただきました。一つは私どもの簡単な会社案内です。マイクロソフトという名前はお聞きになった方も多いかと思いますけれども、一体どういう中身の会社なのという部分であるとか、どんな社員が働いているのかなということをイメージ持っていただくために持ってまいりました。これはモデルさんではなくて、本当にうちの社員が登場をしております。それから、もう一つの資料が本日私の方でお話しさせていただきます資料になります。こちらのスクリーンの方にも同じものを映し出していきながら、お話しさせていただければと思います。(資料映写)
 私の方のマイクロソフトはアメリカの会社、民間の会社ですので、私もそこの人事担当ですので、本日はある特定の企業の事例ということで聞いていただければと思います。
 早速中身に入っていきたいと思いますが、なかなかこういった外資系の会社がこういう場面でお話しさせていただく機会が少ないものですから、まず日本における外資系企業、どんな状況であるかということをお話ししたくて、一枚用意させていただきました。
 左側の円グラフになりますが、これはどんな業種の外資系の会社が日本に存在しているかという円グラフになります。非製造業が約七割、製造業が三割で構成されておりまして、これトータルが会社の数、二千二百三十社あるそうです。そのうちアメリカは、マイクロソフトも含めて八百二十社ということで、約三分の一弱ぐらいがアメリカの外資の企業であるというふうに御理解ください。
 右側の折れ線グラフですけれども、それでは一体何人ぐらいの社員を雇用しているかというのが時系列に並んでおります。全体としては右肩上がりで来ておりまして、四十三万一千人という数字が二〇〇四年度の数字だそうです。私はこういうふうに統計の数字を追っているわけではないんですが、多分二〇〇五年、二〇〇六年、二〇〇七年は、これがずっとグラフが右に上がっていると思います。なぜかと申しますと、実際に私ども中途採用も新卒採用もやっておりますが、非常に採用が難しくなっています。これは景気が良くなってきて、日本の企業の中途採用、新卒も含めて非常に採る人数を増やしていますので、外資系の企業というのも多分右肩上がりになっているんではないかなと思います。
 マイクロソフトがおりますIT業界で見ますと、例えば日本IBMさんであるとか日本HPさんであるとかデルであるとか、そういった大手のところが数千人単位で社員を採用しておりますし、弊社マイクロソフトも二千四百名前後の社員がおりまして、毎年大体三百五十から四百名ぐらい中途採用と新卒採用をしております。正社員以外にいわゆる派遣社員とか関係会社のところを合わせますと四千名を超える社員が、社員というか働く人が、現在マイクロソフトの仕事をしていますので、そういう意味では、IT業界も多分こういう中で大きなところを担うんではないかなと思います。
 次のページに参りまして、マイクロソフトの全体の概要なんですけれども、全世界で八十か国以上、社員数七万五千人おります。今、日本が、先ほど申し上げました約二千四百名占めているんですが、ビジネスの大きさでいいますと、アメリカ本国に次いで二番目のビジネスの大きさを持っております。そうはいっても、中国、インドが非常にビジネス的にも社員の数も急成長しておる背景は多分ほかの企業と似た傾向にあるんではないかなというふうに思います。アメリカ本社もアメリカ人ばかりではなくて、日本人も三百人ぐらいは向こうで働いております。これは駐在員というわけではなくて、向こうに転籍して働いております。もちろん中国人、インド人もかなりの数が働いているというふうに聞いております。
 約半月前に、ウィンドウズ・ビスタというのとオフィス二〇〇七という新しい商品を発売して、今かなりマスコミでも取り上げていただいているんですが、ちょっとここのページを持ってきた理由は、いろんな、この新しいソフトというのは、ビジネス上の貢献もあるんです、経済上の貢献もあるんですが、最初の「選択肢と機会」というところを見ていただきますと、「アクセシビリティ」という片仮名の言葉が入っておりまして、これは、いわゆる障害者であるとか、いわゆる健常の方ではない方が使えるソフトという意味で、今後、今日の大きなテーマでありますワーク・ライフ・バランスを見るときでも、その多様化した働き方とか多様化している人材が使えるソフトであるというのは非常に大事な観点でして、それは、障害者であるとか、それから日本のような高齢化社会になりますと、ある部分で、いわゆる老人になっていく人たちもある部分は障害と言えるところもございますので、そういったいろんな多様化した人たち、若しくはそれを支える働き方ができるようにという意味での部分も非常にこの新しい製品は気を遣っているところでございます。
 では、早速社内の話に入っていきたいんですが、ワーク・ライフ・バランスというところに行く前に、会社の中で、全般的な社員に対する考え方の背景をちょっとだけ説明さしてください。
 会社の成長を考えるときに、人材というのは非常に大事でして、特にマイクロソフトはソフトウエアを作っている会社ですから、何か大きな資産があるわけではなくて、人そのものが資産でありますので、非常に優秀な人材を集める、若しくはそういう人材に定着していただくというのは非常に大事な命題です。これはマイクロソフトだけの問題ではなくて、数年前に結構、何というんでしょうね、キーワードになったタレントウオーですね、要するに人材を争う争奪戦というんでしょうかね、戦争という言葉を使っていますけれども、やっぱり優秀な人材の争奪戦というのは今も、それから多分将来にわたっても続いていくと思います。
 そういったときに、じゃそういった人材というのは何をもってその会社で気持ちよく働いて、喜んで働いてくれるかといいますと、やはり給与だけではないんですね。これはグローバルな状況も全く同じ、日本も同じで、実際に転職される方が給与だけの理由で辞める場合は多分一割に満たないと思います。実際に私どもが中途採用をやっていく中でも、給与が理由ですという方は本当に少ないです。それ以外の要因があって転職を皆さん考えていらっしゃいます。
 そういう背景を考えると、やはり一番最初に大事なのは、社員の声を聞いて、社員がどういうものを会社に求めるかという部分が非常に大事になってきています。マイクロソフトは、全世界で、日本も含めて、年に二回いわゆる社員満足度調査、社員意識調査というのをやっています。そこから出る声、会社に対する期待する声というのを年二回集める機会がございます。
 それから、単にそういった調査をするだけではなくて、会社のトップのリーダーがいろんな形で社員と直接対話の機会を持ちまして、そこで、会社に期待するもの、投げ掛ける質問というのがございまして、それを基に会社として、これからそういった人材が引き続きこの会社が気に入って働いてもらうには何をしなきゃいけないかというものが、大きなヒントをつかむ機会になっています。
 それをまとめたものが「マイ・マイクロソフト」、つまり自分にとってのマイクロソフトというキーワードを使っているんですけれども、それが五つの分野にまとまりましたというのがこのページになります。
 五つ、簡単に御紹介しますと、いわゆる左側から、目標管理と評価。社員は、何を自分は目標を持って何によって評価されるかというのを非常に大事に思っています。その分野。
 それから二つ目は、そうはいっても、じゃ評価されて、それが自分の報酬、給与とかボーナスとか、マイクロソフトの場合は株を社員に出すんですけれども、そういったものも含めてどうつながってくるのか、若しくはそれ以外の、よくやったということを正式な場で認められる表彰のようなものも含めてですけれども、それがどうであるかということ。
 それから三つ目は、この会社にいることが自分のキャリアにとってどういう意味を持つんでしょうかと、この会社はどんなキャリアパスがあるんですかということも非常に重要な三つ目です。
 それから四つ目。自分を評価したり、自分のキャリアについても手助けしてくれる上司というのは非常に大事なわけで、じゃそういった優秀な上司がそろって、マネジャーがそろっていますでしょうかという、マネジャーの能力を上げていくというものが四つ目の非常に大きな分野。
 そして最後、この今日のワーク・ライフ・バランスにもつながってきますが、働きやすい職場環境であるかどうか。それは、安全であるかどうか、衛生管理的にどうかという非常に基礎的なものから、例えばオフィスの環境であるとか、若しくは制度面であるとか、どういった、フレキシブルな環境であるかということが非常に重要というふうに考えています。
 これは、会社がこの五つの分野が大事だろうなと思ったわけではなくて、これは正に七万五千人の社員からの声というところに挙げられています。
 その一番右側の、働きやすい職場環境の中で、特にオフィス環境であるとか、そういったものだけではなくて、会社がどういった制度を提供できるかというのが非常に大きなポイントだと思います。
 次のページに参りまして、そこから生まれているのがフレキシブルな働き方のビジョン。フレキシブルというのは柔軟性がある働き方ということです。マイクロソフトがこのフレキシブルな働き方に対して長期的に持っているビジョンをここに書かせていただきました。社員が場所や時間を選ばずに、生産性が高く、革新的に仕事ができる環境をつくり出すことにより、質の高い人材が採用でき、働き続けることを可能にし、それがひいてはマイクロソフトの会社の強みとなると、そういうふうに持っていければなという理念の下にやっております。
 実際に、柔軟な働き方を社員に提供することによってこういうメリットがあるんではないかなというものを挙げさせていただきました。
 一つは、多様性を持つ社員が採用できる。ここで多様性というのは、例えば男女であるとか人種であるとか年齢であるとかという違いも多様性なんですけれども、例えば先ほどの障害者であったり、子供を持って何らかの通常の働き方とは違う働き方をしなければならないような背景を持つ方もここで多様性というふうに言っています。それは、現在いる社員だけではなくて、将来的にマイクロソフトに入ってくるだろう人材も、学生も含めて引き付けていくことができたらというふうに思っています。
 また、グローバルな環境で仕事をしておりますので、通常の九時から五時という働き方は必ずしもある部分の社員にはそぐわない状況です。例えばインドと連絡を取り合わなきゃいけないアメリカにいる社員であったりとか、そういった環境が実際には起きております。また、マイクロソフトはIT技術の会社ですから、その最先端な技術を使って実際に世界じゅうに散らばっている人たちとより効率的に効果的に仕事ができるような、そういう見本になりたいなというふうに思っています。
 また、実際に具体的にオフィスを考えたときに、オフィスのスペースであるとか駐車場であるとか、若しくは社員が通勤するための渋滞を軽減することができるんではないか。それが実際には会社のため、社員のためだけではなくて、その地域の環境的にもプラスになるんではないかなというふうに思っています。それが総合して、マイクロソフトを社員にとって理想的な働く先の企業と位置付けられれば幸いであるというふうに目指しております。
 次のページに参りまして、それでは、そのフレキシブルな働き方というのは社内ではどういうふうに定義しているかということなんですが、全部で六つの種類があります。これを、六つを社員が実際に選ぶことができるわけですけれども、二種類以上の組合せもあります。ちなみに、この六つは実際にアメリカで今現在行われている制度というふうに御理解ください。
 一番上が臨時のフレックスタイム。例えば、何か学校の行事があるので今日は十一時に出社しますというような、通常は九時に来る方が今日は十一時ですというようなフレックスの形。
 それから二番目、これもフレックスなんですけれども、実際にはもうそれが恒常的に違う時間を選んで働くという場合。
 それから三つ目、在宅勤務。オフィス以外の場所で週に一日以上勤務する場合を定義しております。
 四つ目、短時間勤務。これは通常の就業時間より短く働くということを定義付けておりまして、それにのっとって給与等もそれに合わせて額を変えています。
 それから五つ目、ジョブシェア。二名の短時間勤務者が働くケースです。二人合わせて、通常ですと、フルタイムですと二〇〇%になるというふうに見たときに、それが二人合わせて一五〇%若しくはそれ以下の時間分を認めますよという考え方です。ただ、実際に職場で見ますと、これを一人分の社員というふうに数えることができるというのが社内のルールになっていますので、そこの部署にとっても一人以上のマンパワーを雇うことができますよというメリットを与えています。
 それから、最後に六つ目、遠距離勤務。会社がある場所とは異なる場所で通常勤務するというものです。
 次のページに参りまして、幾つか実際にアメリカで行われている社員の事例を持ってまいりました。
 アメリカのマイクロソフト、七万五千人の社員のうち約四万三千人がアメリカで働いておりますが、この四万三千人のうち約五千名の社員が今御紹介させていただいた六つの働き方のどれかを選んでいるという統計がございます。そのうちの社員の例、幾つか持ってまいりました。
 仮にA社員というふうに置かせていただきましたが、この社員はフレックスと在宅勤務を、二つを合わせ技で使っております。どういうことかといいますと、朝六時から午後二時まで、七時間オフィスで勤務した後に二時に退社しまして、その後、家のことなりプライベートのことをして、夜八時から十時まで在宅勤務をする、これはもう電話とPCの仕事になりますけれども、在宅勤務をするということです。これは、背景としては、お子さんの子育てと、奥様が共働きをしているので、そこでの、二人で共同してそれを維持するというための理由だそうです。
 それから二番目の社員、この社員は週に一日在宅勤務をしております。ということは、週四日は普通にオフィスに来るということです。その背景としては、オフィスの場所が移転して通勤時間が一時間掛かるようになったため、それの通勤時間の緩和と、また長男が幼稚園に通い出したので、もう少し子供と一緒に過ごす時間をつくりたいということで選んでいます。
 次のページに参りまして、C社員の場合ですね、短時間勤務ということで週三十時間を選んでいますが、その選び方も、週三日、十時間勤務して、二日間は会社に来ないというか、仕事をしないという働き方を選んでいます。これは病気がちの息子さんがいるためフルタイムが難しいという理由だそうです。
 それから次の社員は、短時間勤務で週三日を選んで、一日当たり八時間勤務で朝七時から三時までという勤務だそうです。これも子供ができた理由で、結構その人は元々残業が多かったんで、やっぱりこのままでの働き方では難しいということで決めたそうです。
 それから、最後の例になりますけれども、ジョブシェアということで、もう一人の方とジョブをシェアしていまして、この社員は月曜日から木曜日まで九時から二時半働いておりまして、月曜日から木曜日のうち、木曜日はもう一人の社員と一日ダブらせることでいろんなコミュニケーションであるとか仕事のやり取りをスムーズにするという工夫をしているそうです。この人も、二人目の出産を終えて職場に戻るときにフルタイムは難しいということで判断されたそうです。
 今日ここで御紹介したのは、一番最後の遠距離勤務というのを、ちょっとないんですけれども、私が知っている採用の責任者の方で、アメリカにいる女性ですけれども、社員がおりまして、彼女の場合、マイクロソフトの本社がシアトルにあるんですけれども、全く違う都市で、つまり飛行機で行かないともう全く通常の通勤ができないところに、自宅ですけれども、そこで基本的には仕事をしますと。会議があるときにシアトルの本社に行く、それ以外は出張とそれから電話と、いわゆるメール等で仕事をこなしているという方が実際におりますので、それがいわゆる六つ目の例になるんではないかなというふうに思います。
 ここまでアメリカの状況を御紹介させていただきましたが、正直言いましてアメリカがやはり一番進んでおります、マイクロソフトの中でも進んでおります。
 日本でどうかというところをちょっと御紹介したいんですが、日本でも、先ほどの全体として社員にとってマイクロソフトが何ができるかという、マイ・マイクロソフトというこの活動を同様に展開しているわけですけれども、特に働きやすい職場、職場の環境向上という点において、これはつい最近に社内に発表したものですので、それを例として持ってまいりました。
 一番左からいいますと、働く環境、これはどちらかというと物理的な環境という意味で、私どものオフィスの中を改装することできれいにしたりオフィスを拡張したり、それから、地方拠点が八か所ございますが、別のいいビルに移りまして職場環境を良くする、それから、例えばマイクロソフトのグッズなんかを売るカンパニーストアをオープンするですとか、幾つかそういったファシリティーのアップグレードを図っております。それはどちらかというとハードウエアの分野での向上なんですが。
 真ん中のところにいきますと、いわゆるワーク・ライフのためのサービスということで、ITの会社ですので、デジタルワークスタイル、どこでも働ける環境をハードウエアとともに制度でそろえていきましょうという考え方で、一つハードウエアというのは、社員が自宅でも若しくはオフィス以外のどこでも自社内のシステムそれからEメールに簡単につなげると。それから、電話もモバイルをもちまして、いわゆるモバイルの働き方ができるということを可能にしていくと同時に、制度的にも在宅勤務のフェーズ1ということで開始しております。
 実は、この在宅勤務、それからその右側の幾つかの制度も、会社が具体的にこういうことをしようか、人事がこうしようかというふうに考えたというよりは、社内にワーキングペアレンツコミュニティーというものがございまして、いわゆるワーキングペアレンツというのは働くお父さん、お母さんというものなんですが、それのコミュニティーですので、会社が何か作ったというよりは自主的に、働くお父さん、お母さん、若しくは将来的に働くお父さん、お母さんになりたいという社員が集まって、自分たちでその情報交換をしたりですとか、例えば会社に対してこういうものがあったらいいですねというふうに提言をまとめていただきました。それが昨年の話なんですけれども、その中から是非この在宅勤務が自分たちがワーク・ライフ・バランスを取る上で非常に大事なので日本でも是非やりましょうよということでスタートしているものです。
 それにプラス、実際にそのワーキングペアレンツのコミュニティーから、もちろん有給休暇と、それから社員が病気になったとき、けがをしたときの有給の傷病休暇というのがプラス三日間あるんですけれども、それにプラスして、いわゆる看護休暇、法律でも無給であるんですけれども、そうではなくて有給で最大五日間、自分の家族である、つまり子供とか親の介護とか、そういう部分も含めて、そういった休暇を是非新設してほしいということで、それに会社としてもこたえる形でこの一月からスタートしています。
 それから、また全然別の切り口なんですけれども、ベビーシッター協会若しくは民間の託児所に対して何らかの会社としてサポートしてもらえないかという話がありまして、それぞれ法人契約をしまして、実際に社員が使うときに割安な料金で使えるような形に持っていっています。
 あと、ここに書いてないんですけれども、ワーク・ライフ・バランスという意味では、私どもの社員の大体九割以上がフレックス若しくはみなし労働制を取っておりますので、必ずしも、実際にうちの社員は就業時間は九時から五時半なんですけれども、九時に現れる人もいれば、もちろん七時半ぐらいに来る社員もいれば、十時ぐらいに来る社員もいれば、十一時に来る社員もいるというようなことで、その人たちの働き方、お客様なり社内の会議に迷惑にならない範囲で自分の時間で、裁量でできる形を取っております。
 またそれから、育児休職というのを実際に取って、常に、恒常的にだれかが取っている状況ですけれども、過去に男性も二名取りまして、多分ワーキングペアレンツのコミュニティーの考え方が広がってくると、お父さんも、さすがに一年取る人はいるかどうか分かりませんけれども、例えば二か月であるとか三か月であるとか、奥様と交代で育児休職を取るというのがもう少し増えてくるんではないかなというふうに期待しております。
 マイクロソフトの特定の企業の事例ということで発表させていただきましたが、何らかのお考えのお手伝いになれば光栄と思います。
 どうもありがとうございました。
#14
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁及び追加質問を含めた時間がお一人十分程度になるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方、まず小池さん、よろしくお願いします。
#15
○小池正勝君 ありがとうございます。
 自由民主党の小池正勝です。参考人の先生方、お忙しい中おいでいただきましてありがとうございます。
 私の方からは、まず永井先生に御質問をさせていただきますが、永井先生の先ほどのお話を伺っていまして、スウェーデンでは育児休業制度が大変有効だというお話をしていただきました。なるほどなと思って聞かせていただいたんですが、その際に、よく日本で問題になるのは、育児休業期間中の給料、賃金どうするんだというのがいつも議論になるわけですけれども、先ほどのお話では八〇%が保険で支給されるんだというお話がございました。で、保険で支給されるといいながら、この保険は事業主負担なんだと、ほとんどが事業主負担だというふうに承ったと思うんですが、それでよろしいのかどうか。もし、本当に事業主負担なんだということになるとすれば、ノーワーク・ノーペイ原則との関係は一体どういうふうに整理するんだろうか。そのことを教えていただければ有り難いと思っています。
 次に、藤森先生のお話は、御質問させていただきたいのですが、イギリスはこのワーク・ライフ・バランスは後進国だったと、しかし最近になって積極的になってきたんだというお話でした。そのときに、柔軟な就業形態というのが導入されたから良かったんだということで、この柔軟な就業形態を評価されておられたわけですけれども、今、日本の方でホワイトカラーエグゼンプション、導入すべきかどうか、大変大きな議論になっているわけですが、これについて藤森先生はどのようにお考えになるのかということを御質問させていただきたいと思います。
 それから、四方先生に御質問させていただきたいのは、マイクロソフトではフレキシブルな働き方ということを導入しているんですというお話でした。であれば、今の藤森先生と同じ御質問なんですが、今、日本で議論されているホワイトカラーエグゼンプションについてどのようにお考えになるのか、導入すべしとお考えになるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
 以上です。
#16
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、まず永井参考人からお願いいたします。
#17
○参考人(永井暁子君) 先ほどの、現在の御質問についてですけれども、事業主負担が九十数%ということで間違いございません。また、これについて特に問題視されるということはスウェーデン国内ではございませんが、このような答えでよろしいでしょうか。
#18
○小池正勝君 ノーワーク・ノーペイ原則との関係は先生はどのようにお考えになりますか。
#19
○参考人(永井暁子君) この両親保険というのはそもそも育児休業のためにつくられた保険ですので、その保険の趣旨に沿っておりますので、何ら問題はないかというふうに考えておりますけれども。
#20
○会長(広中和歌子君) よろしゅうございますか。
 じゃ、藤森参考人。
#21
○参考人(藤森克彦君) 私の方は、ホワイトカラーエグゼンプションについてどう考えるのかという点であります。
 基本的な方向としては、その時間ではなく、それで、その成果で測っていくということというのが求められている方向ではないかと思いますし、ワーク・ライフ・バランスということをやるのであるならば、その部分が必要かと思います。
 ただ、一つ問題なのは、やや私、日本の方ではもう少し議論を深めた方がいいと思いますし、それから、企業の方でもいろいろ深めていかなきゃいけないなと思っているのは、やっぱり人を評価する基準というものがまずしっかりできていない部分というのがあるんじゃないかということでございます。
 それから、もう一つの問題は、柔軟な就業形態にした場合の働き過ぎということが起こり得るんじゃないかということの懸念なんだろうと思います。イギリスの方でも、先ほど少し申し上げましたが、四十八時間労働時間規制というものが導入されております。ところが、例外規定がありまして、本人の同意があればそれ以上働くことができる。実際、イギリスの方では二割ぐらいの方々が今いわゆるイギリス流のイグゼンプションを使っていまして、九八年にこの法律導入されたんですが、そのときに二三%、このオプト・アウトを使う方がおられたんですが、二〇〇三年には二〇%に減少しているということで、三%程度しか減少していないということでありますので、多くの方は、この二割程度の方々は引き続き例外規定を使っているということであります。
 ただ、イギリスの場合、一つ、働き過ぎというところを減少する、抑制する施策が打たれております。それは何かというと、週四十八時間以上は働いてはいいんだけれども、ただ、一日の労働時間ですね、一日の上限は十三時間に設定されておりまして、これはイグゼンプションになっていないんですね。対象になっておりません。それから、七日間で最低一日は休日を持つということ、それから、一日労働時間六時間以上働いたならば二十分休憩持たなきゃいけないということは、これはイグゼンプションの対象になっていない。ということは、四十八時間以上というところは対象になっているということですが、その部分はあるんですね。だから、その手のところの設定ですね、これは一方で考えていかなくてはいけないんじゃないだろうかというふうに私は考えております。
 以上でございます。
#22
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 じゃ、四方参考人、お願いします。
#23
○参考人(四方ゆかり君) いただきました御質問、フレキシブルな働き方の中で、ホワイトカラーエグゼンプションの考え方がどういうふうにマッチするのか、マッチしないのか、いかがでしょうかという質問かと思います。
 フレキシブルな働き方、いわゆる柔軟性を持つ働き方というやはり根底には、これを突き詰めていきますと非常に、時間で管理していく、それも上司が、部下が目の前にいて、この部下は何時から何時まで働いたなというところで見ていけない状況をつくっていくわけですね。
 例えば、典型的な例が在宅勤務だと思います。もちろん、弊社の場合も在宅勤務する場合、何時から何時ということをあらかじめ上司だけではなくて周りに伝えた上で、この時間はメールとか電話とかすべて仕事を受けますよということでやっているわけですけれども、やはりそこには自己管理の部分もありますし、上司から見ると、目の前にその社員がいない中でその社員はその時間働いているだろうとみなして、いわゆる信用してというんでしょうかね、権限を移譲しているわけですので、そこに裁量の労働ができる社員かどうか、自己管理ができる社員であるかどうかというのが非常に大事になってきます。そういう社員であるとする前提で見ますと、今回話題になっておりますホワイトカラーエグゼンプションと非常にマッチするところというふうに思います。
 つまり、その働き方、それから、どのぐらい、いつどこで働くかというのはその方の裁量にあって、期待するのはその人が生み出す価値、アウトプットで評価しますよという考え方に基づくものですので、それが可能であるというレベル以上の、社員にとってはこのホワイトカラーエグゼンプションというのは可能というふうに思っております。
#24
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 次の、和田ひろ子さん。
#25
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。どうぞよろしくお願いします。
 今日はお三人の先生方に、本当にすばらしいスウェーデンのワーク・ライフ・バランス、またイギリスの、そしてマイクロソフトの会社を通じたアメリカの話をお伺いして、とってもすばらしい、スウェーデンは風光明媚で、私たち普通の日本人にとってはスウェーデンってすばらしいところだ、また福祉の政策がすごい先行していてすばらしい、そんな中にこんなふうな働き方の先行しておられるということにすばらしさをまた感じました。
 イギリスにおきましては、私は、サッチャーさんが日本においでになったときに、参議院議員になる前に地方の議員をしておりまして、サッチャーさんと対談の機会を得て、対談をしたときに、本当は人頭税のこととかいろいろ聞かなくちゃいけないことがあったんですが、みんな、女性の皆さんはサッチャーさんが子供を育てながら議員活動、また首相になられておられるというのを本当にみんな驚異で、サッチャーさん、子供さんが病気のときにどうされましたか、そして御主人がどういう対応をされておられますかとか、本当にそんなことばっかりサッチャーさんに質問をしたんですね。サッチャーさん驚いておられて、自分のイギリスにおける政策とかそういうことを聞かれるんだと思っていらっしゃったと思うんですが、子供が病気になったらお母さんは家庭でしっかり子供を見るのは当然でしょうと。そのときに、例えば会議の時間が少し遅れてもだれも周りの男性は文句を言わない、そういうのを聞いて、日本の女性は本当にみんな、えっ、そんなことあるのかという感じで、すばらしい、本当にびっくりしたんですが、あのころはね。
 そういう意味では、日本も今いろいろな感じで、ワーク・ライフ・バランスを考える時期になりましたけれども、まだまだ日本のワーク・ライフ・バランス後れているなという思いがします。そして、スウェーデンもイギリスもアメリカも、何しろ、何というか胸が広いというか、働く女性にとってとってもすばらしい政策をしておられるということに本当に驚いておりますし、私たち国会議員たちは、今後日本の女性たちがもっともっと働きやすいそういう職場をつくっていかなければいけない。
 また、少子化のことにつきましても、藤森先生も言われておりますが、日本でも近年仕事と生活の調和が注目されるようになったけれども、これは労働力人口減少の緩和とか少子化対策という側面があってからだというふうにおっしゃいました。
 本当に女性が自分の人生を楽しむために、子供を育てることを楽しむために、スウェーデンでは子供を育てる親の楽しみなんというふうにありましたが、そういうものを日本も享受できるそんな社会をつくっていかなければ私たちの使命はないんだなというふうに思います。
 最近、大変センセーショナルな厚生労働大臣の発言がありまして、私たち国会も大きく紛糾をしました。例えば、スウェーデンを勉強しておられる永井先生、イギリスのいろんな施策を考えておられる藤森先生、またアメリカの皆さんは、この日本の大臣のこの発言に、女性は子供を産む機械であるというような発言に対してどんな思いを持っておられるか、まずお一人お一人にお聞きをしたいと思います。
 そして、あと、スウェーデンの女性の場合、子供を産んで会社に復帰されるときは同じ会社に復帰されるんでしょうか、また別の選択をするのでしょうか。イギリスにおきましては、やっぱり子育ての時期を会社が持つということに対して私は驚きましたので、その仕組みをちょっと、給料の八〇%、あっ、これはスウェーデンですね、スウェーデンの給料の仕組みをちょっとお聞きしたいなというふうに、企業がどうしてそんなに持てるんだろうなって。先ほどの小池先生の御質問にもありましたが、本当にそれはちょっと驚異でしたので、政府がどれくらいその援助をしていくか、そんなことをお聞きしたいというふうに思います。
#26
○会長(広中和歌子君) それでは、まず永井参考人からよろしくお願いいたします。
#27
○参考人(永井暁子君) どこから答えれば……。
#28
○会長(広中和歌子君) まず、どちらでもよろしいですけど……
#29
○和田ひろ子君 厚生労働大臣の……
#30
○会長(広中和歌子君) まあコメントを軽くお三方言っていただいて、そしてあとお二人お答えいただければと思います。
#31
○和田ひろ子君 小さいコメントで結構でございます。
#32
○参考人(永井暁子君) 報道で伝わっている限りの情報の中で判断した私個人の見解ですけれども、一連の一つ目、二つ目の問題発言として報道されている点について。いずれも国民にとっていろんな、それに対してはいろんな対応はあるというふうに考えてはいますけれども、ただ日本社会の中で、これまで家族を研究してきた中で考えますと、日本の社会の中で女性が子供を産めないことによって離縁されたりですとか、子供を産まないこと、産めないことについて批判されてきたというような背景があるというようなこと、それで悲しい思いをしてきた女性がある世代まではいる、今の若い世代はそう実感は余りないかもしれませんけれども、そういった痛みを持っている女性がいる以上、やはり控えるべき言葉ではなかったかなというふうに思います。
 また、第二の発言についても、揚げ足取りというような報道もされましたけれども、ただ、今までの政策の中で行われていたか明確に言えませんけれども、やはり健常な家族の在り方というようなことについて、それはもちろん悪気はなく、どこの、日本に限らず、いろんな社会、いろんな国の中で健常な家族像というか、ということは言われてきて、現在多様な家族というものを打ち出してきておりますので、やはりその職位から考えますと不適切ではなかったかなというふうには考えております。
 それから、同じ会社に復帰するのかという点については、もちろん同じ会社に復帰するということで、ポジションも同じポジションは保障されていなければならないというふうになっております。それは男性でも同じです。
 それと、八〇%という給付水準ですが、一時期景気がいいときには九〇まで上げられて、また景気が悪くなったときに七五%まで落ちましたけれども、その後、選挙等で猛反発がありまして八〇まで回復しました。基本的には、やはり政策というのが投票を反映して決まりますので、企業が決定するという側面以上に国民が投票行動によって政策を決定していくという、スウェーデンでは投票率が常に八〇%以上を超える国ですので、これが反映されているというふうに思います。
 また、ただイギリスでの御報告でもありましたように、やはりスウェーデンも労働力が流動的ですので、いい労働力を引き止めるためには企業としてはいい条件を出さなければいけないということで、より良い企業はこの八〇%に上乗せしています。インタビューした中でも、私は九〇%もらっている、一〇%分は企業が更に追加して支払ってくれているというようなことも聞いております。
#33
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では、藤森参考人、お願いいたします。
#34
○参考人(藤森克彦君) 私の方には先日の柳澤厚生労働大臣の発言に関してということですけれども、基本的には不適切な発言だったと思います。やはり、産めない方、あるいは産まないという選択をされる方もいらっしゃるわけですので、やはり少し、少子化対策というのは非常に大きな、私は社会保障をやっていますので、年金等々に与える影響を考えますと、これが非常に大きな問題ということはよく分かるんですが、一方で、多様な社会を認めるという点において少し不適切だったのではないかなというふうに思います。
 これに関連して一つ付け加えたいと思いますが、これは和田先生の方から御指摘、引用していただいたコメントと重なりますけれども、イギリスの方でワーク・ライフ・バランスを、政策を今ブレア政権やっているんですが、ここには少子化対策という側面はほとんどありません。少なくとも政府の公的な文書を見る限り、これを積極的にやるのは少子化対策だというところは出ておりませんでした。
 なぜかというと、イギリスの場合、EUから移民が、今イギリスも少子化は日本よりも高い水準ではありますが、九〇年代下がってきまして、二〇〇二年から底を打ってまた上に上がっているような段階ではあるんですけれども、合計特殊出生率はそういう段階であるんですけれども、少子化あってもEUから移民が来れるという状況もありますし、じゃ、なぜイギリスは今ワーク・ライフ・バランスなのかというと、やはりワーク・ライフ・バランス自体に価値を求めているんですね、仕事と生活の調和自体が重要なんだと。特に重要なのは、やっぱり子供の教育というのを非常に考えている部分があろうかと思います。父親がちゃんといて、ちゃんと子供を育てていくというところでどうなのかというのが一つ。
 もう一つは、男女の平等という観点からこの政策は考えられております。というのは、やはり女性の場合、就労し続けることができないで、一回辞めてしまってスキルアップの機会がなくなってしまうといった、こういった問題というのを抱えますので、出産、育児においても男女平等というのをいかに図ればいいのかという点をとらえているところがあると思います。
 やや日本の方は、ワーク・ライフ・バランス自体に価値を置くというよりも、少子化対策であり、あるいは労働力人口の減少といったことを補完するといった、やや手段的にとらえるところがあると思うんですね。もちろん私はその効果というのは非常に大きいですから否定するものではありませんけれども、やっぱり本来の目的というものをちゃんと見ながらこの手の政策打っていくということが非常に重要な点じゃないかと。
 ちなみに、イギリスは今、先ほど申しましたように二〇〇二年から合計特殊出生率上がってきております。これはいろんな要因があるんですけれども、これは私自身の推測ですけれども、一つはやっぱりこのワーク・ライフ・バランスの政策というものを九〇年代半ばから大企業を中心に打ち出しまして、柔軟な就業形態を入れて、しかも、政府もその後二〇〇〇年から政策を打っているというところが少しは利いているところがあるんじゃないだろうかという見方をしております。
 こういうふうに間接的に少子化にも効果があるという見方というのは日本は考えていかなきゃいけない点じゃないかというふうに思っております。
 以上でございます。
#35
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 じゃ、四方参考人、お願いいたします。
#36
○参考人(四方ゆかり君) 私もやはりあの発言は不適切であったというふうに思っております。やはり大臣という立場で、男女問わず日本で働き方、特に将来に向けてどういうふうにあるべきかというのを真剣に考えて、なおかつデシジョンされるという立場にいらっしゃる方だという点ではあの発言は不適切だったんではないかなというふうに思っております。
 実際に、もちろん公という意味では多少違うニュアンスになりますが、弊社のマイクロソフトの場合も、やはり経営層にある立場にある人がどういう発言をするか、特にこういった多様な働き方、ワーク・ライフ・バランス、それから男女の雇用の問題等については非常に気を付けております。
 ただ、それは、働く人個人の価値観を変えろという意味ではないんですね。個人の価値観は価値観でお持ちいただいて全然結構ですし、実際に弊社の会社の中にも自分の奥さんにはやっぱり専業主婦でいてほしいよねと思っている人も多分いると思います。ただ、それは個人の価値観であって、個人の価値観とは別に、その方がやはりいる立場の中で、この会社として何を推し進めなきゃいけないかというところは別に必要ですよということを社内においても必要あるときにコミュニケーションしていますが、それと同じ意味ではないかなというふうに思っています。
#37
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では次、松あきらさん。
#38
○松あきら君 本日は、永井先生、藤森先生、四方先生、お忙しいところ本当にありがとうございます。松あきらでございます。質問というよりも少し感想的なことになるかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
 スウェーデン、特にスウェーデン、北欧は理想的だというふうに思いますけれども、高負担高福祉ということも一つ日本の政策とは違う面があるのかなというふうに思います。イギリスあるいはフランス、アメリカなどは少し高負担高福祉ではないと思いますけれども、その中で、先ほどフランスのお話も出ましたけれども、フランスも乳幼児手当あるいは児童手当等々三十数種類の手当があり、あるいは税の控除があり、あるいは大家族割引ですね、そういうこともありという様々なことをして、例えば出生率も二・〇〇六まで上がり、そして女性も男性もともに働くという、いい状況になっているというふうに思うんですね。
 一つは、私は、これは今お話しくださったスウェーデン、イギリスあるいはフランスあるいはアメリカもそうだと思うんですけれども、日本が決定的に違うのは、一人親の状況、日本はまだまだなかなかその一人親というものを認めない状況であると。ただし、平均的な家族というものが、日本はもう平均的な家族というと、親がもちろん二人で子供が二人で四人家族ということになっているんですけれども、これが非常に日本も崩れてきているんですね。
 今、実は学校の先生で、低学年の小学校の先生で非常に悩んでいるのは、家族制度が崩れてしまっていろいろな状況があると。例えば、うちの娘は実はイギリスで弁護士をしているので、中学校からイギリスへ行きましたので、ステップママ、ステップパパと言うだけで状況が分かる状況なんですけれども、日本は今正にそういう入り乱れている状況の中でどうやって、単に子供が、いろんな問題がある子がどういう状況で問題があるかというところが、非常に家族制度が変わってきてしまっているというところで問題があるそうなんですね。ちょっと今日の、今のお話とちょっと、でも、私はこれ関係あると思うんです、非常に。
 それで、お三人の先生方に、まずこの一人親というものをどう考えるか。やはりこれは、例えばフランスなどではもうしっかりと、すべての子供には公平でなければならないと、社会全体で子供を育てるということをもう打ち出していますよね。でも、今お話を伺うと、北欧でもあるいはイギリスでもあるいはアメリカでも、それはそうなんじゃないかなと。日本が少しこの辺では後れているのではないかなという私は個人的な思いがいたします。
 それから、日本が少しでもより良いワーク・ライフ・バランスにするためにはどこをポイントに、まあたくさんあるんですけれども、まずどこを手を打ったら少しでもより良いことになるのかなと。ちょっとまた飛びますけれども、それが二つ目の御質問です。
 それから、ちょっとこれはまた感想なんですけれど、日本は長時間の残業というのが割と問題になっていますけれども、与えられた仕事をでき上がらなくて残業になる人と、そうじゃなくて、もっとより良いことをしようと思って残業になる場合といろいろあるらしいんですけど、みんな同じように残業手当を払わなきゃいけない。で、先ほどのホワイトカラーエグゼンプションみたいな話にはなって、ここはまだいろんな問題があるとは思うんですけれど、残業手当というのは欧米などでは出ないというふうに、いわゆる残業手当という名前で、聞いているんですけれど、それは本当にそうなのかどうかということもちょっと三つ目の御質問として伺いたいと思います。
 よろしくお願い申し上げます。
#39
○会長(広中和歌子君) それでは、永井参考人からでよろしゅうございますか。
#40
○松あきら君 はい、どうぞよろしくお願いいたします。
#41
○参考人(永井暁子君) とても難しい質問ばかりで、きちんと答えられるかどうか分からないんですけれども、日本の家族制度が崩れていると、家族が、いわゆる戦後築いてきた核家族中心の家族からまた変化してきているというのは確かにそのとおりだと思います。
 その中で、一人親が置かれている位置が違うというのは確かに非常にそうで、一人親の位置付けも、アメリカ、イギリスとそれ以外のヨーロッパ諸国と日本でまた全然違うと思うんですけれども、いわゆるアメリカ、イギリスの場合ですと十代の妊娠によるシングルマザーが非常に多い。それに比べて他のヨーロッパ、北欧も含めての国ですと離別によるワンペアレントが多いというような状況がありまして、それがちょっと日本とやや近いかと思いますが。
 で、最も違うのは経済状況についてだと思いますけれども、所得移転の話になるかと思いますが、やはりスウェーデンの場合ですと、高負担高福祉ということもあるかと思いますけれども、所得移転によってワンペアレントの人が貧困線以下に落ちるという確率は非常に少なくなると。実際の収入よりも移転によって標準的な収入に近づく、格差が縮まるといったことが挙げられます。
 また、やはりフランスもそうですけれども、子供が置かれている状況によって余り大きな環境の違いがあってはならない、子供は社会で平等に育てていくべきだという強い理念がございますので、例えば子供が人数が多ければ多いほど住宅手当がスウェーデンでも多くなるとか、基本にあるのは教育費が無料だという点、それから、ワンペアレントのうちでもその子供が教育機会を得るということがあるかと思います。
 また、いいことか悪いことかという判断はできないんですけれども、やはり離婚なども非常に多く、一人親であるということが珍しい状況ではないということになっています。それは日本でも徐々にこのような状況にはなってくるかと思います。ですから、基本的には経済的な支援というものが一番重要だと思いますけれども。
 ただ、日本で現在言われているのは就労支援というものが強く言われているかと思いますが、日本のワンペアレントは、母子世帯におきましてはほかの国と比べて就業率が低いということはなく、むしろやや高いというふうに聞いていたかと思います。
 ですから、どちらかといえば、日本の女性全体が抱えている労働条件が悪いといった点、それから長時間労働をしないと正規の職員になれないという一般的な労働条件の問題がそのまま日本の母子世帯に掛かっているというふうに考えております。それが一点目。
 ですから、ワーク・ライフ・バランスの点を考えるということ。二点目についても同じことで、やはり長時間労働を減らす。長時間労働をしなければ正規職員になれないというような雇用環境を減らしていくということは、一点目の御質問にありますような母子世帯、そして父子世帯ですね、父親、男性が長時間労働をしないということは日本ではまた更に過酷な状況に置かれますので、ワーク・ライフ・バランスを取るということは一人親世帯の問題の解決にも近づくことになるかと思います。
 三点目なんですけれども、残業手当という形かどうか分かりませんけれども、法定労働時間、契約された労働時間以上働く場合には、別途通常の賃金よりも高い比率で支給されるというふうに聞いていたと思うんですけれども、現在、資料がないのでちょっと不確定な情報かもしれません。ほかの参考人の方の御意見を参考にしてください。
#42
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、藤森参考人、お願いします。
#43
○参考人(藤森克彦君) まず第一点目の御質問の一人親の状況についてですが、御指摘のとおり、イギリスは非常に離婚率が、ヨーロッパの中でも一番離婚率が高いというふうに言われている国でありまして、シングルマザーの問題も非常に多く、それから先ほど永井先生から御紹介ありましたように、やっぱり十代の出産というものも多い記事ですので、問題になっております。
 何が問題かというと、やはり経済力がない方々が今度子供を持ちますから、この子供、今度、貧困の再生産じゃないですけれども、それが連鎖してしまうんですね。
 イギリスは今社会的排除ということがよく言われておりまして、これは貧困問題にやや近いんですけれども、これまでの貧困問題というのは、新自由主義的な考え方だと悔しかったら頑張りなさいというような、個人が頑張ることによって、自助努力によって越えていくというところをかなりの比重が、ウエートを置いていたと思うんですが、ブレア政権もそれは重視しているんですが、ところがその構造を見てみると、低所得であるがゆえにスキル付けようと思ってもスキルを付けるだけのお金がない、スキルがないから仕事がない、仕事がないから低所得というこの状況が続いてしまって、それは構造として社会としてやっぱり解決しなきゃいけないんじゃないかと。自助努力は大事なんだけれども、そこの部分は政府としてやっぱり考えていかなきゃいけないところだということを言われています。
 特に、一人親の場合はこの社会的排除の三角形が世代間に伝わってしまうという問題が大きいんだろうと思います。今ブレア政権でやっている一人親対策というのは、やはりその一人親世帯の子供というのはどうしても貧困世帯になってしまうので、子供の教育環境が悪くなってしまうという問題があると。そこで何をやるかというと、何よりも一番大事なことというのは、やっぱり働いてお金を稼ぐということが大事なんだ。ただ、一人親の方が働くというのは、これは様々な環境を備えなきゃいけない。それにはどうするかというと、保育所というものを整備をきちんとやっていくということであるとか、あるいは一人親の方々が働けない環境をジョブセンターという、日本で言う職安ですね、そこに必ず行って、そしてそこできちんと相談を受けて、どういう形で就職活動をやっていけばいいのかということをきちんとアドバイザーが付いてやるという、こういうニューディール政策という、これは若年失業者ニューディールという形で有名ですけれども、これは一人親に対しての対策としてのメニューもあるんですね。
 こういった就労、やっぱり手当をもらうよりも働くことによってそれよりも多くのお金をもらえるわけですから、それによって生活防衛を図っていくんだというこういう基本的な、ウエルフェア・ツー・ワークという考え方があるんですが、その考え方に乗った上で具体的な施策、細かなところまでやっていく。ただ働けと言ったって働けるものじゃないですから、そこのところの手だてを政府がやっていくということをやっておりますので、その点は日本の方でも考えていくべきところじゃないかと思います。
 ちなみに、イギリスで今六歳未満の子供を持つ一人親世帯の就業率が、八四年一九%だったのが今三四%という、これは九九年ですね、九九年に三四%という数字になっております。
 それから第二点目の御質問ですけれども、日本におけるワーク・ライフ・バランスのポイントは一体何なのかという点でございます。
 これは、先ほど最後に七ページのところで私は図表の十で御紹介しましたが、やっぱりこの二極化構造ですね、ここの部分というのが私は日本の場合やっぱりイギリスと随分違って大きいところではないのかなというふうに考えております。正規社員の企業による手厚い保障がある代わりに拘束もあるんだというところで、拘束のところがワーク・ライフ・バランスで人々が非常にもう少し柔軟に働きたいというのがあるとこっちも下げなきゃいけないというこのバランスの関係ですね。私はなかなかこれは非常に難しい。というのは、日本のやっぱり雇用慣行というのは非常に優れた部分があって、例えば年功賃金だと生活費が出るだとか、長期雇用によってどれだけ多くの日本人が生活の安定というものを得られてきたかというのは本当分からない、計り知れない大きなメリットがあったと思うんですが、これを少し変えていかなきゃいけないというところは、正に社会全体でどういうふうな、日本は国としての在り方、つくり方を持っていくのかという問題じゃないかと思っております。
 もし、私は社会保障をやっていまして、社会保障をやっていますと、GDPに占める社会保障給付費の割合という、その国が一体どれだけ社会保障にお金を費やしているのかというのを見ると、今の日本のはアメリカに次いで低い水準なんですね。アメリカが一五%、日本が一七%、イギリスが二二%、フランスが二九、ドイツ二九、スウェーデン三〇%というこういう状況ですが、アメリカに次いで低い水準にあると。何でこんな低くやってこれたかというと、私はやっぱり家族や企業が国に代わって社会保障の役割、大体補完するような役割というのは果たしてきたんじゃないだろうかというふうに思っております。
 その中で、じゃ今企業が保障、企業がそこのところをなかなか難しくなってきていて、しかも個人のワーク・ライフ・バランスという欲求もあるという中では、企業による保障、補完作用というのを落とすんだったら、一つはもしかしたら国が出ていくということというのを考えなきゃいけないんじゃないだろうかと思います。ただ、そうはいっても、やはり財政赤字の問題というのは非常に大きな問題がありますから、お金の入れ方というのは工夫しなきゃいけないだろうと思います。
 先ほど一人親で例出しましたけれども、手当を渡すんじゃなくて働くということを支援していくと。必須じゃなくて投資だという考え方の下でもう少しその部分を回避するというのは一つのやり方だろうし、それから労働市場をもう少し、失業してもまた転職できるという市場に変えていくというのも一つのやり方なんではないだろうかというふうに思っております。その辺の、正にこれは国全体で、国全体の問題としてやっぱり考えなきゃいけないところがこのワーク・ライフ・バランスの問題には潜んでいるというふうに私は考えております。
 それから、最後の御質問の残業手当の問題ですが、済みません、ちょっと私の方、資料を持ってないものですから正確なことを申し上げられませんが、基本的には残業というものは仕組みがあって、残業手当というのは通常の賃金よりも割増しで払われていると思います。資料、統計等を見ますと残業代という形は別枠で設けてありますのでそれはあると思いますが、ただ、やはり裁量的に働く方々というのはもう少し違う、それは契約によって定められる部分じゃないだろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
#44
○松あきら君 ありがとうございます。
#45
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 じゃ、四方参考人、お願いいたします。
#46
○参考人(四方ゆかり君) 三つ御質問いただいたかと思います。
 一つ目は、いわゆるシングルファーザー、シングルマザーのケースのところをどういう形で会社なり地域が支えていくかというお話だったと思います。私、統計の数字持っていませんけれども、アメリカでも非常に多いですし、マイクロソフトの中もそういう人たちが、頻繁に会いますので、非常に統計的にも多いんではないかなと思います。また、日本においても、弊社の中にもシングルマザーの者がおります。ただ、個人のこれは情報の部分もありますので社内で改めて何か統計は取っていませんが、実際にそういう人たちがいますし、そういう比率はやはり増えているんではないかなというふうに思います。
 そういう中で、まず会社として何をできるかということを考えたときに、もちろんシングルマザー、シングルファーザーという事情もある部分多様化した特殊な事情ではあるんですが、例えば両親そろっていたとしても、介護の問題があって、その両親四人いる中の例えばお二人がそれぞれ違った地域で介護が必要となると、もしかしたらその社員にとっての負担というのはシングルファーザー、シングルマザーと近いものがあるかもしれませんし、それ以上のことがあるかもしれませんし、シングルマザーの方でももしかしたら御両親の逆にサポートがもらえるかもしれないと。本当に人によっていろいろその状況が違いますし、事情があるのかなというふうに思っております。
 また、会社として何ができるかというと、やはりそういったいろんな事情、多様な背景を持っている社員の方が引き続き働けるように、その方の最大限の力を発揮できるように多様な働き方を選択できるようにするという、そういうシステムを用意するというのが会社にとってできることなのかなというふうに思っています。
 そういう意味では、まだまだ日本におけるやり方も足りないところがありますし、これアメリカにおいてももっともっと発展するやり方が出てくるかと思いますが、それは何によって出てくるかというと、やはりそういうものを社員が望んでいろんな形のファミリーの形が出てきたときに、それにこたえて会社がいけるかどうかと、そういうものを提供できるかというのが、そういう社員が引き続き働けることを可能にできるかというのに掛かってくるのかなと思っています。
 ただ、日本の事情を考えたときに、やはり会社として正直言って限界があるなと思っていますのは、もちろんシングルファーザー、シングルマザーに限らないんですけれども、託児所の問題ですね。これはもうお金ではなくて数が足りなくて、私どもの社員でも、復帰したい、それから特にシングルマザーの方は、両親が見てもらえなければ、もう託児所がなければ仕事が続けられないわけですから、そういう中でそれをどうやって国とか地域が数として確保できるか。お金の問題というよりは、もう本当に預かってくれるかどうかというのが死活問題なところがありまして、ここは正直言って会社としてなかなか難しいところがありまして、地域、国のサポートが非常に必要かなと思っております。
 それから二つ目の、ワーク・ライフ・バランスを日本のこの環境の中でより充実していく、実現していくにはどういうことがという部分なんですが、私は、やはり画一的なことを避ける考え方というんでしょうか、一番、こういった制度を日本でもやっていて非常に大きなところは、やはり考え方の問題なんですね。これは経営側もあれば直属上司に当たるような管理職もあるんですけれども、画一的でないといけないというような部分が非常に強い方が多くて、例えば会社から退社するときに、上司が働いているのに何か若い人が仕事が終わっていて、もうすぐに飲みに行くとかしたいわけですけれども、例えばそういうものを何となくみんなの一体感が大事だからといって許さないような雰囲気であったりとか、それから、チームで会議をするときに、在宅勤務を選んでいるから私は電話で出ますよと。電話で出ることで何らその中身としては劣るものがないにもかかわらず、いや、電話じゃなくてこの会議には全員ここに集まらなきゃいけないという例えば考え方であるとか、やっぱりそういう部分を受け入れるものが醸成してこないと本当の意味でのワーク・ライフ・バランスを実現していくのは難しいのかなと。
 その多様化した、最終的に生み出すものは変わらないよと、アウトプットは変わらないかもしれないし、よりいいものが出るかもしれないんですけれども、その部分のもうちょっとその前の、何というんでしょうね、儀礼的なところでしょうか、そういうものがないと何かチームワークが足りないやつだとかというふうに見られがちなところという、非常に文化的なところが一つネックになっているかなというふうに感じています。これは、外資系においても九九%ぐらいは日本人ですから、そういうところの心理的な部分というのはいまだに根強いかなというふうに思っています。
 三つ目の残業手当の件なんですけれども、アメリカの場合ですと、残業手当が出るのは、いわゆる事務職というんでしょうか、大体、学歴でいうと高卒、専門学校卒、短大卒ぐらいの方が就く事務職は残業代が出ます。それから、いわゆるブルーワーカーと呼ばれる、工場等で働いて、何時から何時まで働いた、例えばもう二時間余計に働いたのでプラス幾ら払いますというような分野の仕事は残業代が出ます。ただ、それ以上のいわゆるホワイトカラーと呼ばれる職務については、日本でいうといわゆる総合職と呼ばれる職務でしょうか、これは新卒の段階から残業代が、これはないという意味ではなくて、残業代込みの給与が支払われます。ですから、給与水準を見ますと、この大卒以上のホワイトカラーの初任給と事務職の残業代が出る方ではかなり違います。
 ですから、考え方として、これは正にホワイトカラーエグゼンプションと、エグゼンプションと呼んでいますので、ホワイトカラーのエグゼンプションの以上のところは残業代が込みという考え方だと思います。いわゆる残業代を法律で払うか払わないかというその分かれ目が日本よりもかなり下の部分にあるというふうに御理解いただくとよろしいかと思います。
#47
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 済みません。そこのとき、ホワイトカラーエグゼンプションの対象になるような方の給料というのは、普通のブルーカラーの人よりも大分高いもの……
#48
○参考人(四方ゆかり君) 高いです。
#49
○会長(広中和歌子君) 年齢にかかわりなく高いと考えてよろしいですか。
#50
○参考人(四方ゆかり君) もう初任給から高いですね。多分、事務職の方が、例えばブルーカラーのいわゆる時給幾らという形で工場で働いている方が、分からないですけれども、もう何年も経験を積んでちょっとずつ上がっていくと思うんですけれども、多分それでも追い付かないぐらいかと思います。
#51
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。失礼しました。
 それでは、井上哲士さん。
#52
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日はどうもお三方、ありがとうございます。
 ワーク・ライフ・バランスについては、これは仕事と家庭の両立支援で国民の大きな要求であるし、去年の男女雇用機会均等法の改正の際に、仕事、家庭の両立支援ということを盛り込むべきだという議論が随分あったんですが、最終的には政府は盛り込みませんで、そこにはかなり経済界からの強い意見があったということが言われているんですね。
 ところが、去年の暮れの日本経団連の経営労働政策委員会報告などでは、このワーク・ライフ・バランスというのが非常に強調をされ始めておりまして、同じ言葉でも随分使う人によって中身が違うのかなということを思っていたんですが、今日の御報告を聞きまして、それぞれの国の状況を見ましても、随分中身が違うなということを改めて思ったんです。
 それで、やっぱり日本の経済界なんかが使うときには、むしろこれが企業の新しい成長、発展に寄与するんだということが非常に強調されているという印象なんですね。イギリスなどは両方言われているというお話があったんですが、そこでまず永井先生にお聞きするんですが、スウェーデンのお話を聞いたときに、そういう言わば経済成長云々とか、そういうような文脈でのお話は全くなかったなという思いがあるんですが、その辺の議論はどういうふうにスウェーデンではされていて、今、日本で言われている経済界なんかが言っているものとはどこが違うとお考えかということが一つです。
 それから、ちょっと具体的なお話なんですが、先生の資料の二ページ目で女性の働き方のところなんですけれども、育児休業を利用してパートタイムで働くという人と、育児休業を利用せず正規雇用のパートタイムで働くという二種類あることが、フルタイム以外にですね、言われているんですが、正規のまま時間を制限をして育児休業を使えるということであれば、あえてAを選ぶ必要があるのかなという感じがしたんですが、この辺の事情が、どこに違いがあり、どういう事情があるのかということをちょっと教えていただきたいと思います。
 それから、藤森先生にお聞きをしますけれども、日本でもいわゆる多様な働き方ということを経済界からはこの問題にかかわって言うわけですけれども、結局この間、そういう言い方で派遣とか請負とか非正規雇用が増え、日本の場合は非常にそこに差がありますから、近年言われているワーキングプアというような問題も起きているわけですね。
 ですから、非正規雇用の人の労働条件、非常に大事だと思うんですが、いただいた先ほどの資料でいいますと、二〇〇〇年にパートタイムの労働規制が行われて、フルタイム労働者にも不利な扱いを受けないということが言われておりますが、さらに同じ資料の十ページを見ますと、イギリスにおけるパートタイム労働者の処遇見ますと、時間当たり賃金など、日本より随分ましですけれども、それでもかなりまだ差があるわけですが、この労働規制法のそこの点でのどういう仕組みになっていて、更にまだ改善すべきことがあるとお考えか、その辺をお聞きしたいと思います。
 最後に、四方参考人にお聞きするわけですけれども、日本でも裁量労働制というのが取り入れられてきましたけれども、実際上さっき言われたような職場風土的な話もあるでしょうし、実際上は例えば過労死とかサービス残業とか単身赴任とか、なかなか諸外国には通用しないような言葉が日本にはあるという状況がありまして、実際は裁量がないのに裁量労働制が取り入れられて、むしろ成果に追い立てられてオーバーワークをするというような実態は相当あると思います。
 そこで、その御社の様々な労働形態、先ほど具体的にお話があったわけですけれども、そういう、日本などの場合、実際は、例えば年休なども取らないことを前提にした生産計画なんかが作られていて、自分が休んだらもうたちまちみんなに迷惑掛かるとかいうことから、取れないという状況もあるわけですね。その辺、例えばいろんな人が在宅勤務などを要求しても職場の体制上難しいとかいうことも矛盾としてはあると思うんですが、その辺はどういう解決のされ方がされているのか。
 それからさらに、在宅などの人と実際に来る人との関係でいいますと、やはりこの評価というのが大変難しいんだと思うんですね。そこがうまくいかないと厳しいと思うんですが、その辺はどういうふうなやり方をされているのか。
 以上、お願いいたします。
#53
○会長(広中和歌子君) じゃ、永井参考人、お願いいたします。
#54
○参考人(永井暁子君) 二点御質問あったかと思いますが、一点目のワーク・ライフ・バランスというのはどういう視点から促進されてきているのか、あるいは望まれてきているのかといったことについてお答えしたいと思います。
 正直申しまして、スウェーデンの中でワーク・ライフ・バランスという言葉が普及しているとは思えない。本日御紹介したような政策というのは、基本的にはこの家族政策の中で行われている、労働政策の中で行われているわけですけれども、理念としてございますのは、特定のライフスタイルに特化したような、あるいは優遇されるような政策を取ってはならない。個人がどのようなライフスタイルを選択したとしても格差が出ないような制度をつくっていくというのが基本的にあるわけです。
 ですので、それが現在、日本、アメリカやイギリスなどで問題となっているワーク・ライフ・バランスという視点から見た場合に、そういった視点から行われている政策がスウェーデンではそれに該当するのだというふうな理解の方が正しいかなというふうに思います。基本的には、格差の是正というようなこともありますけれども、とりわけ北欧、スウェーデンを始めとした北欧諸国の中では男女平等政策といったものが強いポリシーとしてあるということです。
 二点目の、女性の働き方についてのレジュメの二ページ目にございます三つの働き方について、AとBの違いですけれども、Aの場合というのは、育児休業を利用して時間短縮をしてパートタイムにして働くという意味です。Bの場合は、育児休業を利用しないと言っているのは育児休業をすべて使い果たしたような方がという意味です。
 育児休業が使える間は育児休業を使って時間短縮した分を補てんしておりますけれども、育児休業はもう使い終わってしまったような場合でも、やはり子供と一緒にいる時間を長く取りたいという女性もインタビューした中では結構いらっしゃいます。とりわけスウェーデンの郊外に住むような、戸建てといいますか、に住むような女性の方は、小学校の教諭をしながら時間を短縮して自分の子供とも時間を過ごしたいというような女性の方が、育児休業はもう終わって子供は十歳ぐらいになっているんだけれども、パートタイムというか、時間を短くした働き方を望んでいるという、その三種類の働き方がある。ただ、専業主婦という選択は基本的にないので、この三つのうちから選択して女性が働いているということです。
 説明不足で失礼いたしました。
#55
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では、藤森参考人。
#56
○参考人(藤森克彦君) 私の方への質問は、パートタイム労働規制に関してその実効性あるいは課題といった点だと思います。
 御指摘いただきましたとおり、図表の十六を見ますと、この時間当たり賃金のところが、パートタイム、フルタイムで、時給が十一ポンドと六・九九ポンドとやっぱり違いがあるということですね。
 同一労働同一賃金でありながらこれは一体どういうことなのかという点ですが、まず一つ、この図表のフルタイム、パートタイムは純粋にそれぞれの時給を取ったものですから、それぞれが同一労働なのかどうかということは分からないですから、その点において、この差が果たしてどうかというものはあろうかと思います。そういう、同一労働の下でのものじゃないという点が一点あります。
 ただ、そうは言っても、実態としてこの辺のフルタイム、パートタイムのその時給の差というのがまだあるんじゃないかということは言われておりますし、私もあるんじゃないかというふうに考えております。
 イギリスの方で、この同一労働同一賃金の方の担保の仕方の一つの大きなものというのは、パートタイムは不平等な扱いを受けた場合にそれを労働裁判所の方に不服申立てができるという、こういう形になっております。その場合、パートタイム労働者側で、同一雇用者の下でほぼ同一の業務を行っているフルタイム労働者との間でパートタイム労働者が劣位な扱いを受けていないということを証明しなきゃいけないわけですね。労働者側で、同一労働しているフルタイム労働者の資格の下で劣位な扱いを受けることを証明しなきゃいけないと。二つの問題があって、一つは労働者側でそれを証明しなきゃいけないということ。
 それからもう一つの問題は、果たしてフルタイム労働者の中でパートタイム労働者と同じ人というのがどのぐらいいるのかということが問題になってもおりまして、この労働規制、パートタイム労働規制が導入されたときから、イギリスの労働組合の方では、これはもう少しその下層となるフルタイム労働者って一体何なのかと、もっときっちりと示すべきだということが議論されておりまして、指摘されておりまして、その問題というのはいまだに課題として残されているんじゃないだろうかというふうに思います。
 ただ、イギリスの場合、裁判所へ訴えた場合、賠償金が払われるときにはかなり大きな額になりますから、一つのインセンティブには、そういう、同一にしなきゃいけないというインセンティブにはなっているのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#57
○参考人(四方ゆかり君) いただいた御質問、かなり多岐にわたっていたと思うんですけれども、一つ目の、裁量を採用している中で、社員によっては働き過ぎてしまったり、もしかしたら職場によっては裁量と言いつつ裁量を許されなかったりというケースの部分はないでしょうかという御質問だったかと思いますが、確かに私どもももちろんパーフェクトではなくてまだまだ改善の余地はあると思っています。ただ、この裁量権を持たせる社員は社内である一定レベル以上の社員に限っておりまして、もちろん、例えば新卒であるとしたらそういった裁量は許していませんし、ある程度本人の自己管理ができる、それから仕事そのものがいつもいつも上司が監督しなくてもその人ができる、裁量権を持っている仕事であるかどうかというところを見て渡していくようにしております。
 それから、二つ目の年休の、いわゆる有給の部分と実際に働いているところでどういうふうにやりくりをしているのかという御質問だったと思いますが、実際に現実問題としては、ある社員を見たときにいつも土日以外は働いている状況にあるということを前提には実際には仕事は動いていないと思います。
 つまり、どういうことかと申しますと、もちろん有休を取る、夏休みを取るという部分もそうなんですが、それ以外にも、やはりITのテクノロジーの業界ですので、次々といろんな新しい技術なり製品が出てきますので、そのためにその社員がトレーニングに行って一日通常の業務をしないというケースもございます。そういったときも、お客様とか、社内のお客様も含めてですけれども、そういう場合は、やはりその人が不在であるという状況はトレーニングであっても休暇であっても同じだと思います。
 それから、これはちょっとマイクロソフトの特徴かもしれないんですが、社内のオフサイトのミーティングというのも結構しょっちゅうあるんですね。これはトレーニングと違って、ある部署そのもの全部が東京を離れて、一泊二日でいろんなコミュニケーションとか情報シェアとかチームビルディングのためにいなくなるんですけれども、そういう部分も含めると、実際にお客様から見ると本日はおりませんという部分が出てまいります。
 ただ、そういったときには、じゃその人の仕事が派遣社員を代わりに来てもらうことでできるかというと、やはり現実的には、そういう仕事の、事務処理のようなたぐいではないので無理なのが現実です。ですから、その人はいませんということで、翌日まで待ってもらう、若しくは緊急であればどうすればいいのかということを連絡しておくことで、その人が休暇であれトレーニングであれ、社内の何か外部のミーティングなり海外出張であり、いなくても動けるような体制にしておくという、つまり年の何日かはいないということを前提にしているのが現実的にはあるかなと思います。
 ただ、そうはいっても、カスタマーサービスのような二十四時間掛ける七日間で稼働しているところもございますので、こういったところはシフトを組むことでお客様に対してお約束しているサービスを落とさないようにするというところは仕組みとしては心掛けているところです。
 在宅のところは、在宅は、これは家で働くということですので、勤務中ですから何時から何時までという部分は必ず勤務しなければいけないんですね。ですから、電話であれメールであれ、どんなことでも、あたかもオフィスにいるように答えなければいけないという義務とセットになっておりますので、そういう形でのきちんと連絡をやることでやりくりしております。
 ちなみに、私の上司、直属上司はドイツ人で、ヨーロッパの人間ですので、夏休みは本当に一か月、四週間いないんですね。丸々いないです。彼に連絡も付きません。メールは持っていきませんと言っている、PC持って歩いていませんので。ですから、ただそういうときに、じゃそのレベルに何か私が緊急で承認が必要であるとか、何かの相談が必要であるときはどうするんだということがあらかじめ決まっているというところです。日本はまだそこまで行っていないですけれども、それがもう少し短い時間の、一日ですとか三日ですという中でどうやりくりしていくかというところが、もちろんまだ改善の余地はあるかなというふうに思っております。
 ただ、こういう働き方をもっともっと日本でも促進していかないと、それは社員の健康のためとかというのももちろんあるんですが、会社にとっても、やっぱりある仕事をマスターしていただいた方が何かの理由で仕事を続けられないということは、会社にとって物すごく高く付くコストなんですね。それは、採用に払うコストもそうですし、その間を埋めるコストもそうですし、新しい方が来てもフルレベルになるまでには時間が掛かりますので、そこの教育コストも考えると、経済的に見ても全く損失が大きいということですので、会社にとっても、こういう方たちが例えば子供を持つとか、介護が必要であるとか、ある程度学校に行きたいんですとかという部分を社員が満足してもらうために、何というんでしょうね、社員の御機嫌を取るために上げているというものではなくて、経済的に見ても、会社にとってやっぱりそれをこたえるシステムにしないと会社もいい人材をつなぎ止めることができないというふうに考えていますので、実際の現実問題、企業にとっての死活問題として進めていかなければいけない問題かなというふうに思っています。
#58
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 松村さん、よろしくお願いします。
#59
○松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。今日は三人の皆様方には大変貴重なお話を聞かしていただきましてありがとうございました。非常に参考になりました。
 そこで、まず藤森参考人にお尋ねをしたいと思っております。
 週刊エコノミストのこの執筆もよく読ましていただいたんですけれども、正におっしゃるとおりだなと。今、日本の企業もようやく景気回復をしてきて、そこそこに利益も出始めましたし、これからそのことが中小企業にいかに反映をしていくかというのが今後の課題だと思っております。
 そんな中で、ワーク・ライフ・バランスなんという言葉が、こういって就業体系をどうするかと。ここに書かれておりますように、就業形態の柔軟化は企業にプラスだと、こういった企業にインセンティブを持たせないと、やはり企業というのはなかなか変わらないだろうと、今のところではこう考えております。
 それはもうおっしゃるとおり、日本の企業の成長過程に、御説明のとおり、拘束力という言葉を使われましたけれども、正にこの拘束力と保障、このことで終身雇用体系を取りながら成長してきましたし、いやそうじゃないといいながらコストカット主義に行き、いろんな失敗を招いてまた逆に戻ろうとしていますですよね。だから、こういう背景がありますから、これは風土であったり、日本の企業が戦ってきた経過であるんであろうと思っております。
 そうしたときに、一概に英国と比べることはできないと思いますけれども、そんな中で英国のこのチャレンジ基金プログラムですか、これは非常に面白い政策だなと。また、このことをブレア首相が大きく提唱することに意義があるんだろうと思いますが、このことが即日本に通用できるかというと、私も疑念を持っております。
 そこでお尋ねしたいのが、もう一歩踏み込んだときに、企業の概念を変えるというような発想は、なかなかこれは難しいことであると思いますが、これを政策的に、例えばこういった取組をやるところにおいては法人税の問題であるとか、いろんなインセンティブを持たせていく必要があると思うんですね。そのときに、もう一歩踏み込んだところで何か御意見が、発想がございましたらお聞かせをいただきたいなというのがまず第一点、これは藤森参考人にお尋ねをしたい。
 それから、四方参考人にお尋ねをいたしますが、そういう話を基に、四方参考人の会社は今外資系ということでお勤めでございましょう。やはり日本型企業と若干違うと。今お話しのとおり、上司の方が何か月もいらっしゃらないような状態でも仕事が着実に進むということは、やっぱり会社の中にそれぞれの責任の所在というのがはっきりしている。これはなかなか日本型企業にはないところでもあります。そういう職場でお仕事をされておられて、こういった就業体系をつくっていくに当たって、日本の企業がどこを変わるべきなのかという観点が、いろいろ御意見をお持ちであればお聞かせをいただきたいなと。
 同じく永井参考人にも、永井参考人は家族社会学ということでいろいろお聞かせをいただきましたけれども、スウェーデンのような状態がベストだなと思います。私も夕方五時に帰れたらどれほどいいだろうと、こう思いますが、なかなかそういう形態にない実情で働いてきたというのがあるなと自分なりに思っておりましたけれども、今この日本でそのことをつくっていく上において、いろいろ企業に対して、若しくは施策に対してどういったことを充実するべきだという自由な御意見がありましたらお聞かせをいただければ有り難いと思います。
#60
○会長(広中和歌子君) じゃ、藤森参考人から始めてください。
#61
○参考人(藤森克彦君) そうですね、企業の取組を変えていくにはどうすればいいのかという点であります。幾つかのやり方があるんだろうと思います。私は大きく四つあるんじゃないかと思っています。
 一つは、規制を使って企業にワーク・ライフ・バランスの取組をやる。労働時間規制というのはその一つだろうと思います。
 二つ目のやり方は、社会的にプレッシャーを掛けていくというやり方があると思います。これ何かというと、例えばCSRというのがありますね、社会的責任。イギリスの方では二〇〇五年からCSRレポートというのを上場企業、義務付けられたんじゃないかと思いますけれども、その中で、社会的責任レポートというのは日本でいえば環境ですよね、主に。企業が環境に対しての取組をどうやっているのかというのがメーンターゲットになっておりますけれども。イギリスだけじゃない、これは多分ヨーロッパ全体もそうだと思いますが、CSRの中ではこのワーク・ライフ・バランスも一つの重要な項目として挙げられております。環境と並ぶ項目と言っていいかと思います。だから、そういうところで企業が一体どういうふうな取組をしているのかというものを発表させて、それは投資家なり消費者なりが見ていくという、そういう形での社会的にプレッシャーを掛けていくというやり方が二つ目のやり方ですね。
 三つ目のやり方は、企業の自主的な取組を促す。チャレンジ基金プログラムというのは、政府の方できっかけをつくって、それは企業のプラスになるんですよということを気付かせてそれを自主的に促すという、そういうやり方なんだろうと思いますが、これが三つ目のやり方。
 それから四つ目のやり方が、今先生が御指摘いただいた法人税の減税という、それをやることによってプラス、正にお金のプラスというものを政府として上げますよという形なんだろうと思います。
 確かに、四番目のやり方も一つのやり方で、これは検討すべき点であろうかと思いますが、単なる法人税の減税をやるんだったならばこういう組合せを私はやっていくべきだろうと思います。ただ、一方で考えなければいけないと思うのは、やはり財政赤字が大きいですから、その辺のことは考えながらせなきゃいけない。
 イギリスの方は、企業が自主的にやるということを促すために一時的にチャレンジ基金プログラムを入れて、それによって企業がこれはプラスになるということに気付けば自分たちでやるはずだということを考えて、ここら辺に力を入れているんじゃないだろうかというふうに思います。
 以上でございます。
#62
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 じゃ、四方参考人。
#63
○参考人(四方ゆかり君) 日本の企業がこのワーク・ライフ・バランスを充実していく中でどういうアプローチがありますでしょうかというのが御質問だと思うんですけれども、一つは、今、藤森先生もおっしゃいましたけれども、形から入るというのは一つあると思います。
 実は私も一番最初は日本の商社に入りまして、ちょうどそのころの時期が男女機会均等法の一番最初の施行の時期でありましたし、それから、法律ではなかったんですが、多様性という意味で外国人を採用していこうというのが日本の企業の中でちょっとブームになっている時期がありまして、そのときに私がたまたま、短い時間でしたけれども人事におりまして、この女性の活用というところと外国人の活用というのがキーワードで、私がいた商社も御多分に漏れずに形から入っているというところがありました。ただ、中から見ていて本当に形だったんですね。
 ただ、実は形というのも大事で、後から中身が付いてくるというのもありますので、それを法的にどういう形で持っていくのかは、枠組みで持っていくか分かりませんが、形から持っていくことで、中身が伴っていないところはあるものの、だんだんそれが見えるものにしていくというのは意味があるんではないかなというふうに思います。
 ただ、実質的に本当に日本の企業が変わるには困るしかないと思っています。困らないと変わらないと思います。つまり、危機的な状況が起きて初めて、人間もそうですし、企業も変われると思うんですが、じゃ何が変わるきっかけになるかといいますと、実際に私は人事をやっていて、新卒も採っていますけれども、ここもう何年かの新卒は全く意識が違います。今の三十代、四十代とは全く意識が違います。
 つまり、どういうことかといいますと、このワーク・ライフ・バランスという枠組みの中で考えると、やはりそういったものが実現できる、つまり、そういった多様性を受け入れる会社を自分から選んでいきますし、そうじゃない会社を拒否していくというところがありまして、それが、じゃ、優秀な人材であればあるほど自分たちも選ぶ権利というんですかね、選ぶ能力を持っていますので、そういうところを選び取っていくという意味で、そうじゃない会社は、まあ残念ですけど見捨てられていくというところは正直言って時間の問題で起きてくると思います。
 実際にどの日本の企業も多分人事の方は見えていると思うんですね。ただ、人事の方というのは採用にかかわっていますから、ただ、人事の人の声が経営側にまで届いているか、若しくは経営の本当に実質的に会社を動かすところに届いていて、それが目に見えるものに動いていくかというところはあると思いますけれども、やっぱり困ることがきっとそれの動かす原動力になりますし、先を見通せる企業ほど早くそれを察知して動いていくんじゃないかなと思います。
#64
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 じゃ、永井参考人、お願いします。
#65
○参考人(永井暁子君) どうやったら五時に帰れるかという問題なんですけれども、本当にとても難しい問題で、実際にやればできるとは思うんですけれども、お客様相手となるとなかなか難しいというのが現状なんですね。というのは、私自身もしゃべっておりますけれども、分かっているんです。
 このスウェーデンの調査を行う前に、家計経済研究所の自主研究としてニュージーランドでも調査を行ったんですが、調査会社との仕事の打合せは基本的にメールでやっていますけれども、ニュージーランドの場合も午後三時を過ぎますと返事来なくなるんですね。ですから、それに合わせて私が働くといった形になりますので、それが一般的になればそういう働き方というのができるとは思うんですけど、一斉に変わらないと、なかなか相手様のことを思うとできないというのが現状。
 スウェーデンの場合も、七時間以上時差があるんですけれども、大概スウェーデンの調査会社の方よりも私の方が仕事を遅くまでやっていることが多くて、やはり途中でメールが絶対返ってこなくなるというような形なんですが、やはりそういう働き方なんだなと思うからそう付き合える。スウェーデンだから、ニュージーランドだからと思うと取引できるんですけれども、それが多分日本の調査会社で三時以降返事がないとなると、私もやっぱり催促してしまうことにはなるかと思うんですが、ただ、そう言いながらも、やはり方法は幾つかはあるかとは思うんですね。
 考えてみますと、やはり五時に一斉にスウェーデンでも帰るわけではないし、帰る人もいますけれども、一方で、フランスでもドイツでもスウェーデンでも、長時間で働いているかなり、管理職、専門職の方は一割程度はいらっしゃるんです。ただ、日本の場合はほとんどの男性の方が長時間働いている、そこが問題だと思うんですね。
 それと、シフト制を取るとか、イギリスの例でありましたように、時間をもう少し柔軟に使うというようなことで、ずっと張り付いているということをなくすことは日本の社会でもできるのではないかというふうに思います。
 あともう一点ですけれども、やはり日本の場合、一人当たりの仕事量が多いのではないかというふうに思います。ただ、労働時間などの統計を見てみますと、昔に比べて労働時間、大昔といいますか、昭和三十年代、四十年代に比べれば短いという数字にはなっていますけれども、ただ、やはりITの普及などで一人が処理する情報量というのは昔に比べて非常に多く、非常にストレスが高くなっているのではないかというふうに考えます。ですから、やはり一人当たりがさばくといいますか処理する仕事量が本当に今多い、日本の正規雇用、まあフリーターと言われるような人でも長時間の方いらっしゃいますけれども、非常に多いのではないかと思いますから、やはりそこら辺は仕事を求めておる人たちと仕事を分け合うというようなことと併せてやっていくことで少しずつでも活路は見いだせるんではないかというふうに考えます。
#66
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では、下田敦子さん。
#67
○下田敦子君 座ったまま失礼いたします。
 非常にお忙しい中から当委員会のためにお出ましをいただきまして、誠にありがとうございました。永井先生、それから藤森先生、そして四方先生、大変ありがとうございます。
 今日、これは経済・産業・雇用にかかわる調査会ということですので、やはり経済的な意味から少し考えてみたいと思いますが。
 今、失われた十年というのはこれはもう終わった、変化の時代に入ったと言われますけれども、話はちょっと脱線しますが、デフレ時代には平均寿命が延びるそうですね。そんなことからいろいろ今日のお話を併せて考えさしていただきますと、伺っている研究されたこととか、あるいはまた海外でのこととか、あるいは御自分で今お勤めの会社の状況から考えて、私は、現在の日本の状況、企業の状況、大企業、中小企業の格差もありますけれども、やはり海外と日本の場合での労働生産性の扱い方の差異があるんではないかと思うんですね。どうしても八時間労働といっても濃密さが違う。
 そういうことを考えたときに、大変いいお話でいい御指導ではあるんですが、これが例えば中央と地方、あるいは大企業と中小企業の中で、これをどうやってこういうふうなワーク・ライフ・バランスを考えて、それぞれが幸せな働き方をしていけるかということを考えたときには、とても大変な時間が掛かるなということを今考えておりました。
 システムとして変えられていないものがいろいろあり過ぎます。例えば少子化対策を、この働き方の中で女性の場合は特に考えていかなければならないということはありますが、実は、なぜ日本の少子化対策が成功しなかったかというと、これはエンゼルプランから始まったりなんかしていますけれども、一貫性がない、あるいは継続性がないなどなど、いろいろ言われています。
 その中で、今日お話を伺いまして、例えば少子化サイドからこの働くということを見た場合に、家族政策、第二番目に子育ての支援策、第三に働き方の改革、第四に、世の中全体の構造を変えなきゃならないこと一杯あると思うんですが、例えば子育て支援のための税制の改革を考えたときには、例えばフランスは少子化を克服しましたけれども、一番大きい、家庭に有利な税制の方法としてN分のN乗方式という所得税方法がありますが、税法がありますけれども、こういうことを考えられたときに、この働くということから考えたときに、どのようにしたらこういう考え方が分かっていただけるのかなと。私どもの仕事は、やっぱり役所に折衝していかなきゃならないことがあるとは思うんですが、なかなか日本の、財務省の場合とかあるいはこういう税金を取り扱っている立場からいうと、英断を持ってここまでやれないんじゃないかなという気がいたします。
 大変雑駁なお尋ねで大変失礼ですが、少子化対策から見たこのワーク・ライフ・バランスということで、今の各省庁ばらばら政策の少子化の中で、特にこの税制の改正というのがとても時間も掛かり、意見が合致するまでには大変なことではないかと思います。でも、こういうことを徐々に改革していったときには、やっぱり今日のテーマである世の中が非常に暮らしやすいということの意味で改善されていくんではないかと思います。
 一点に絞りましたが、どのようにお考えか、格差を含めて、お答えいただければと思います。
#68
○会長(広中和歌子君) お三方にですね。
#69
○下田敦子君 はい。
#70
○会長(広中和歌子君) じゃ、永井参考人からお願いいたします。
#71
○参考人(永井暁子君) 難しい質問なので適切なお答えができるかどうか分かりませんけれども、少子化対策と税制との関係ということでよろしいんでしょうか。少子化対策と税制といったことで……
#72
○下田敦子君 せんじ詰まるところは、一点は、質問でありますが、例えばのお話なんですけれども、非常に政策自体が一貫性がないということは日本の少子化対策よく言われていることで、海外からもそういう批判を受けているわけですが、どのようなとらえ方をされておられますか、お尋ねします。
#73
○参考人(永井暁子君) 一貫性に関してのコメントでよろしいですか。
#74
○下田敦子君 その一環として一番大変なのは、この税制の改革、N分のN乗方式、これが大変フランス等でも大きな役割を果たして、子供の多い家族ほど有利である、優遇されていくという税制があるんですが、日本は全くそういうことに冷たいですね。
 家族手当その他いろいろありますけれども、働くことの意味から考えたときに、やっぱりこういう根っこから変えていかなければ政策は続いていかないんじゃないかという気がするんですが。
#75
○会長(広中和歌子君) 永井参考人に対して、子供税制。
#76
○参考人(永井暁子君) やっぱりスウェーデンの場合ですと、やはり平等ということが基本的な、いかなる政策の中でも基本的な軸となっていると。もちろんそういう単純化することがいいのかどうか分かりませんけれども、そういうポリシーをすごく持っている。
 それと、フランスの場合は、基本的に自由ということが非常に大きい。ですから、子育て支援に関しましても、いろんな働き方が選択できるようにということで、先ほども松先生の方からお話あったかと思いますけれども、様々な手当が出るというような、税制だけではなくて様々な手当の支給もあるというような形、働き方によってその組合せが違うというような形があるというようなことで、やはり政策の理念として一つ筋が通っているとは思いますが。
 日本の場合、例えば子供の福祉ということでもいいと思いますし、何らかの一貫した理念が必要ではないかというふうにやはり私も思いますけれども、それはやはり戦後の家族の変動も含めて長い時間を掛けて議論をしていくべきことで、なかなかすぐには固まらないにしても議論はされていくべきことだと思います。
 ただ、少子化との関連で申しますと、税制だけではなくて、やはり子供が生まれる生まれないというか、国レベルで子供が生まれる生まれないというのはやはりすごく複雑な問題で、まず相手がいるかどうかというふうなこと、パートナーがいるかどうかというふうなこと、それから妊娠するかどうか、できるかどうかというか、それから子供が生まれるかどうかですとか様々な要因があるので、一つの問題だけでは語れないと思います。
 ただ、日本では、やはり子供を産む人を歓迎する雰囲気がかなり、何というんですかね、雑駁な感想ですけれども、非常に足りない。子供を育てている人、これから子供を産もうとしている人を支援するという雰囲気が社会的に失われているということが一番大きな問題ではないか。それがすべてに、働くことですとかいろんなことに掛かってきているというふうに思います。
 税制だけに限らない問題というふうに考えた方がよくて、実際にもう少し数字的な話になりますと別途資料が必要になりますけど、結婚するかどうかの分析、結婚確率の分析ですとか、それから第一子出産が促進される要因に関する分析と、第二子が生まれるか、産むかどうかに関する分析では要因が全く違うといったように、なかなか複雑な問題ですので、それらを整理して考えるべき問題だというふうに思います。
#77
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 じゃ、藤森参考人、お願いいたします。
#78
○参考人(藤森克彦君) まず、そうですね、一つは、少子化対策へのお金を入れることをどう説得していくのかというようなところが一つあろうかと、御質問かと思いますが、やはり私自身思っていますのは、お金を入れるのを、単なる支出じゃなくてそれは投資なんだという考え方というのが日本では欠けているんじゃないかと思っています。これは、経済の担い手を育てる、ですから、将来的に税金を払ってもらうことという形で返ってくるわけですね。そういう視点が必要じゃないだろうかというふうに思っております。少子化というか、女性の社会進出ということも含めて経済的な側面からいえば、そういう見方というのが一つはあるんじゃないか。だから、これは、お金を使ったものというのは経済の担い手としてその方々が働くということによって戻ってくるということですね。
 それに関連してちょっと見ていただきたいのが、私のレジュメの方で八ページをちょっと見ていただきたいんですが、図表の十二で示したんですが、これは学歴別に見た女性の就業率を取ったもので、OECDの方の調査ですけれども、一番右側のところが大学・大学院卒の方々の就業率ですが、女性の場合かなり諸外国と比べて、七一%の就業率ですからかなり低いわけですね。
 こういう方々が、もちろん働かないという選択はあろうかと思いますが、働きたいけれども働けない。多分これは機会費用で、一回子供を産んで辞めてしまうと日本はパートとかそういうところでしか勤められないというような状況もあろうかと思いますが、ここを一体どういうふうにするのか、あるいは育児があって働けないというところをやること、そこに政策を打つことというのがこの方々も働けるような状況に変えていく一つの方策ではないだろうかというふうに思います。一番この少子化対策という点でいうと、考えなきゃいけないのはやはり働き方の部分ではないだろうかというふうに思います。
 それから、なかなかこのワーク・ライフ・バランスやっていくのは非常に時間が掛かるという御指摘で、私も非常に悲観的に、余りにも海外と比べると違いがありますので悲観的になるところはあるんですが、もう一方で思うのは、先ほど四方先生から御指摘のあった、これから困るだろうというところは思うんですね。
 イギリスが、なかなか、このワーク・ライフ・バランスなんて余り力を入れなかった国が今なぜやっているかといったら、やはり人手不足ですよ。労働力不足という問題が進行して、あれも国が景気が良かったからそういう状況が起こってきていますけれども、そういう問題が起こると、やはり本気になって企業がやらなかったらいい人材は採れませんから、そういうことをちゃんとやる企業がやっぱり伸びるようになるし、いい人材を採ったところが伸びるという、そういう状況を起こしていくようになるんじゃないかなというふうに思いますので、その点はひとつ、楽観というんじゃないですけれども、ただほうっておけばいいということじゃなく、ちゃんと政策は打っていかなきゃいけないと思っております。やっていかなきゃいけないところはあろうかと思います。
 それからもう一つ、先ほど大企業と中小企業で、特に中小企業のことを御指摘があったかと思いますが、なかなかやっぱり中小企業の場合、ワーク・ライフ・バランスはピースを組み合わせるというふうに言いましたけれども、ピースが少ないですから、ワーク・ライフ・バランスやりにくい部分というのはあろうかと思うんですが、ただ逆に、人間関係でお互いの融通を利かせやすいという部分もあろうかと思いますので、その部分は中小企業がやりやすいのとともに、やっぱりワーク・ライフ・バランスを企業の中で進めるときには、ただ人事部だけのマターじゃなくて、これは先ほど四方先生から御指摘があったとおりだと思いますけれども、その企業の経営戦略の中にやっぱり埋め込んでいかないとこれなかなか進まないと思うんですね。その評価の体制をどうするのか等々、その辺のところというのをもう少し意識付けというのが日本の方では必要だし、それは逆に言うと中小企業でやりやすい部分というのはあるところもあるんじゃないだろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
#79
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 では、四方参考人、お願いします。
#80
○参考人(四方ゆかり君) この少子化というのは非常に大きな問題で、一つの背景から来ているだけのものではないと思っているんですね。特に、ワーク・ライフ・バランスを良くすれば、じゃ少子化は止まっていくのかというと、それほど単純でもないように思っています。
 そういう意味では、ちょっと私の個人的な意見になってしまうんですけれども、やはりこの少子化の問題というのを考えたときに、日本の場合ですけれども、女性の自立とか女性の社会進出というのが非常に大きくかかわっていると思うんですね。いい意味では、女性が自立していくということはすばらしいことだと思うんですけれども、反面、一人で生きていけるということは必ずしも、何というんでしょうね、意にそぐわない結婚をしなくてもいいということとつながりますし、意に沿う、つまり主婦であればやはり子供をつくっていくという、子供を育てていくのが大きな使命なんですけれども、一人で生きていって、なおかつ意に沿う相手と会えなかったら、無理して結婚する必要はないというふうに正直なってきますし、私の周りでも、世代を問わず、女性で独身の人はたくさんいます。結婚したいとも思っていますけれども、意に沿うレベルの相手が見付からないので、無理に結婚しようとは思っていないですし、経済的にもそこまで迫られていない。まあ、それはいわゆる御両親と住んでいるとか、そういう部分も含めてですけれども、経済的にやっていけるとなってしまうと、必ずしも結婚しないというような人口が非常に増えますし、今後もそういう価値観を持ち続ける人が多くなるんではないかなというのが、正直言って、若干暗い話ではあるんですけれども、現実的なところかなと思います。
 じゃ、アメリカでどうしてそれが必ずしも日本ほど大きな問題になっていないかといいますと、一つは、私も向こうで暮らしたときもあるんですけれども、一つはやっぱり宗教の問題は大きいと思いますね。キリスト教文化の中で、やはりそういった子供を育てる、若しくは自分の子供じゃなくても、宗教の世界観の中で血がつながっていない子供も含めて育てていくという発想が日本より非常に強いですし、それからもう一つは、やはり移民を受け入れているという部分が、移民は統計的には、何百年も前に移民してきた人たちのいわゆる白人人種に比べると、例えばメキシカンとか黒人の方とか、子供を産む数が多いですから、その部分が平均値、平均的な数字を取ると押し上げているんではないかなという部分があります。残念ながら、この二つは日本の社会にはないので、厳しい話かなというふうに正直思っています。
 企業として、じゃ何ができるかということなんですが、一つは、一人目の子供であると何とかやりくりできるのが、二人目、三人目になると正直言って厳しいですという現実のところはあります。ですから、それは企業として、原点の話に戻るんですけれども、やっぱり多様な働き方、いろんな種類の働き方を提供して、それがシングルマザー、シングルファーザーであれ、両親そろっているところであれ、うまくやりくりできる。それから、例えば日本の社会で、弊社のマイクロソフトも含めてですけれども、日本ではやはりジョブシェアみたいな部分はまだまだもうちょっと先の進んだ考えではあるんですが、例えば、こういった部分も含めて、ある時期は短い時間をうまく会社としても受け入れながら、その人が長く二人、三人子供を育てながら雇用を続けられるということの環境をより整えていくことが使命なのかなというふうに思っています。
#81
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では、澤雄二さん、お願いします。
#82
○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。三人の参考人の皆さん、本当に今日は貴重な意見、ありがとうございました。
 永井参考人にお伺いしますが、いただいた資料の六ページ目に、女性はどのように働いているのかというスウェーデンの例がグラフに載っていますけれども、これを見てびっくりしましたが、女性に多い公務員、市町村、県の公務員は実に八〇%が女性だということで、スウェーデンが女性が非常に働いている職場が多いということの秘密がここにあるのかなと思いました。先生だとか介護だとかそういう仕事に就いているというお話がありましたけれども、もう少し詳しく、日本にしてみればこの八〇%というのは驚異的な数字で、どういう仕組みで女性の職場を供給しているというか与えているかということについて、ちょっと教えていただきたいなというふうに思います。
 それから、いただいた資料の四ページ目に、育児休業制度の特徴というんで、パパの月というのがありました。去年改正されたというんで、父親割当て分が増えているんですけれども、先ほどもお話がありましたが、スウェーデン、シングルマザーが多いんで、これにはどういうふうに対応しているのかって、何か策はあるのかなということが一つですね。
 それから、三ページ目に、スウェーデンは女性の労働力率の高さ、育児休業にある。この中で参考人言われたのは、入れ替わり立ち替わり育児休業取ったり取らなかったり、入れ替わり立ち替わりして労働力市場に入ってきているというふうにおっしゃいましたけど、これはどういうふうに理解、たくさんの子供を産んで、産むたんびにそういうことを取っているということなのか、先ほど言われました、いろんな育児休暇の取り方があるということのその特徴なのかということを教えていただきたいと思います。
 それから、藤森参考人に伺いたいんですが、日本においてもワーク・ライフ・バランスの必要性というんで、労働力人口の減少がこれから来るだろうと、だから必要になるだろうという御意見で、私もまあそうだと思うんですが、その理由の一つの中に、今もお答えになっていました、つまり質のいい人材が欲しいということになるとこういうことが必要なんだろうというのは分かりますが、相対的にその労働力の総時間からいうと、これが充実すればするほど少子時代においては労働時間そのものは少なくなってくるということとの関連についてはどういうふうにお考えなのかということをお聞かせ願いたい。
 以上です。
#83
○参考人(永井暁子君) 三点の御質問についてお答えいたします。
 一点目ですけれども、まず社会の仕組みが全く違うので比較しにくいかとは思うんですが、地方公務員で女性が非常に多いという理由としましては、税金の使われ方が全く違っているということで、地方の税金は、日本でいえば県ですとか市町村に当たる、コミューンと言われるようなものですけれども、コミューンは独自に所得税の課税権を持っているわけですね。そこで課税した税金は、基本的には医療以外の社会福祉、まあ医療は社会福祉じゃないかもしれませんけれども、以外に使うことになっていると。
 それから、初等教育というのもその税金で賄われるということで、要はコミューンで集めた税金をそのまま下ろすということなんですけれども、その中で、初等教育の教員、初等教育というのも就学前教育も含めて、だから日本でいえば幼稚園、保育所に当たるものも含めてコミューンが雇用するという仕組みを取っております。介護についても同じです。というような中で、実際にケアワーカーとかそういったものを女性が担っているということになります。
 二点目ですけれども、シングルマザー、シングルファーザーの場合は、基本的には両親分の合計を利用できることになっています。ただ、ちょっと確認できなかったんですけれども、別居している場合にどちらが利用できるのかというようなことを確認しようと思ったんですが、基本的には同居している方が使うということになっているということです。
 それと、三点目ですけれども、入れ替わり立ち替わりというような表現を使いましたけれども、多くの方は大体一年以内、日本でいえば、日本で考えるイメージでは、一年以内に育児休業を取って、それで復職される、残った分を時間短縮で使われるということですから、出産して一年ぐらいたつと戻ってくるというふうな形で、割と日本と同じだとは思うんですけれども、それで大体二子か三子お産みになりますので、その産んだ後戻ってきて、少し働いてまた第二子の出産に備えるとか、そういった形になると思います。
#84
○澤雄二君 ありがとうございました。
#85
○参考人(藤森克彦君) 御質問は、これから労働力人口がどんどん減少していって、総労働時間が少なくなる中でワーク・ライフ・バランスをどう考えていけばいいのかという御趣旨じゃないかと思いますが、やはり総労働時間が減少していくというのは避けられないだろうと思っています。幾ら女性が、今就業希望、意欲を持っている女性がたくさんおられますけれども、その方々が労働市場へ出たところで全体のトレンドはやっぱり変えられない。ただ、社会保障の観点からいうと、年金にしてもそうですけど、そこを少しでも緩やかにするということは意味のあることで、日本の年金の世代間格差が生じるのはやはりかなり日本が急激に人口が減っていったりするところというのはかなり大きいですので、そこは意味があることだろうと思います。
 総労働時間がそうはいっても減っていくというのはどうしても避けられないんですが、日本がやはりここで目指さなきゃいけないのは、これまで一人当たり労働生産性という見方をしていましたけど、時間当たりの労働生産性をいかに高めていくのかということをやっぱり考えなきゃいけない時代にもう来ているだろうというふうに思います。ワーク・ライフ・バランスは正に、仕事の棚卸しじゃないですけれども、今ある仕事を一体どうやってみんなでやり繰りしていくのかということを考え直すわけですね、無駄がどこにあるかと。その点では非常に大きなきっかけになっていくものだろうというふうに思います。
 もう一つ、先ほど日本の高学歴女性の就業率が低いということを申し上げましたけれども、そういった特に働く意欲を持つ方、もちろん高学歴の方だけじゃない、他の学歴の方だって皆さん質の高い労働力、やれる方はたくさんおられると思います。そういう方々、働ける環境をつくるということとともに、もう一つは、日本の場合、内部労働市場の中でのOJTは非常に有効で成功してきたと思うんですが、今非正規社員が三割おられる、しかもこれから今専業主婦になられている方も労働市場に出てもらうということを考えるならば、この企業の外における訓練の機会というのをいかにつくってスキルを付けてもらうかということは、これから日本にとって非常に大きな課題じゃないだろうかというふうに思っております。
 だから、もちろんOJTはこれからも重要ですけれども、その外における機会をつくって時間当たり労働生産性というのを高めていくというのがこれから課題になってくるだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#86
○澤雄二君 ありがとうございました。
#87
○会長(広中和歌子君) もうよろしいですか。
#88
○澤雄二君 はい。
#89
○会長(広中和歌子君) では、予定の時間が参りましたので、本日の参考人に対する質疑はこの程度にとどめたいと思います。
 永井参考人、藤森参考人及び四方参考人におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席いただき、誠にありがとうございました。そして、大変興味深い、示唆に富むお話を本当にありがとうございます。
 本日お述べいただきました御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと思っております。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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