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2007/02/21 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第2号
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2007/02/21 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第2号

#1
第166回国会 経済・産業・雇用に関する調査会 第2号
平成十九年二月二十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     和田ひろ子君     岡崎トミ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                小池 正勝君
                南野知惠子君
                尾立 源幸君
                小林  元君
                澤  雄二君
    委 員
                神取  忍君
                小泉 昭男君
                佐藤 昭郎君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                松田 岩夫君
                伊藤 基隆君
                岡崎トミ子君
                下田 敦子君
                藤本 祐司君
                柳澤 光美君
                松 あきら君
                井上 哲士君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
   参考人
       株式会社クララ
       オンライン代表
       取締役社長    家本賢太郎君
       同志社大学政策
       学部教授     川口  章君
       株式会社第一生
       命経済研究所副
       主任研究員    松田 茂樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」のうち、我が国におけるワーク
 ・ライフ・バランスへの対応と課題について)
    ─────────────
#2
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、和田ひろ子さんが委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(広中和歌子君) 経済・産業・雇用に関する調査を議題とし、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、我が国におけるワーク・ライフ・バランスへの対応と課題について参考人からの意見聴取を行います。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、株式会社クララオンライン代表取締役社長家本賢太郎さん、同志社大学政策学部教授川口章さん、株式会社第一生命経済研究所副主任研究員松田茂樹さんに御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 御多用なところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、我が国におけるワーク・ライフ・バランスへの対応と課題につきまして忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますけれども、まず、家本参考人、川口参考人、松田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず家本参考人からお願いいたします。
#4
○参考人(家本賢太郎君) 株式会社クララオンラインの代表取締役を務めております家本賢太郎でございます。このような機会で発言の場をお与えいただきましたことを感謝申し上げます。
 今日は、まず、私どもクララオンラインというインターネットのサーバーコンピューターを管理するベンチャー企業において取り組んでおりますワーク・ライフ・バランスの実態、それから、これも率直に申し上げようと思っておりますが、中小、ベンチャーの企業でワーク・ライフ・バランスに取り組むことに対する課題、やはり大企業と比べていろんな面で余裕がなかったり、まあ人的な余裕、金銭的な余裕、様々ですけれども、そうした面で大企業との比較というところもお話ができればというふうに思っております。
 前のスライドを順番に使わせていただきながら御説明を申し上げたいと思います。(資料映写)
 まず、簡単に私のバックグラウンドを少し御説明申し上げたいと思いますが、今からちょうど十年前に創業いたしましたいわゆるITベンチャーの企業でございまして、大学、大学院に通いながらこの仕事を務めてまいりました。ちょうど、これは少し今日のワーク・ライフ・バランスに絡むところなものですから私の個人の部分を少し触れさせていただきますと、私は途中、小学校の六年生のころに脳腫瘍を発症いたしまして、その後、医療事故によりまして車いすになり、中学校三年間を五十日ぐらいの出席日数で過ごすと、ほとんど入院生活をしておったということがございました。その後も車いすの生活を十八歳まで続けておりまして、身体障害者の手帳の交付を受けて車いすの生活を送るというようなことがございました。途中、大検を受けまして、高校には行かず、二〇〇一年から大学に通いながらこの仕事を続けてきたというようなことがございます。
 会社自体は今、日本では東京と名古屋、それから海外では中国の大連、台湾の台北、それからシンガポールにそれぞれを拠点を持ちまして、約七十名ぐらいの規模でやらせていただいております。
 今日は、ワーク・ライフ・バランスというそのポイントと、もう一つは、私どもの特徴的な背景といたしまして、従業員のちょうど半分ぐらい、ちょうど今五割強が外国籍であるという背景も踏まえてお話ができればいいなというふうに思っております。
 いわゆるITのベンチャーの企業の中でも、少し私どもはゆっくりと走っておる、仕事をしておりますが、会社の規模あるいは中小の企業の現状といたしましては、多分ほかの我々と同規模ぐらいの中小企業の例ともさほど変わらないだろうというふうに思いますので、その点を踏まえながらお話ができればなというふうに思っております。
 株主のページ等々、少しごらんいただきながら、「価値観」のところから少し我々の取組を御説明をさせていただきたいと思いますけれども、まず、七十名おりますうち、先ほど申し上げたとおり約半分が外国籍であると。日本型の経営を、私のようないわゆる一九八〇年代生まれの世代はいろんなパターンを幾つか見てまいりまして、果たして例えば完全に経済合理性に傾くのがいいのか、あるいは本当に人だけを考えて継続的な企業の経営ができるのかと、いろんなパターンを考えてまいりました。
 私たちが今考えているのは、その両方のいいところをきちんと融合して、会社の経営をゴーイングコンサーン、企業の継続性の中でできないだろうかということを考えておりまして、特に今日のワーク・ライフ・バランスの中のポイントとしては、この「価値観」の一番下にあります「組織」という、「家族のようにお互いを尊重し、助け合う。」というキーワードが大切になってくるというふうに思っております。
 めくっていただきますと、私どもの今の方向性というのは、日本で一番になるという小さいことではなくて、アジアで一番になろうという一つの目標を掲げてやっておるところでございます。今後、また更に東南アジア、北東アジアの国々に進出をしていこうということで、日本発の多国籍でのITのベンチャーとして結果を出したいというふうに考えておりまして、必ずしも日本の従来からの考え方だけにとらわれることなく、逆にアメリカ、ヨーロッパの考え方にとらわれることもなく、自分たちなりの新しい組織像をつくっていこうという背景がございます。
 元々、創業の経緯もございまして、いろんな背景を持っている人間を採用して会社を強くしていこうということをやっておったわけなんですけれども、元々ワーク・ライフ・バランスというものに対して私どもが取組を始めましたのは今から三年ほど前でございまして、そのときには単純にワーク・ライフ・バランスというその言葉は知っておったものの、我々中小、ベンチャーの企業には余り関係ないだろうというふうに思っておりました。
 ところが、たまたま新卒の社員で、大学院卒で、学生結婚をして子供が一歳であるという社員の入社が決まりまして、今まで例えば小さな子供がいながら働くという経験を私どもの社員の中にはなかったものですからどういうふうに対応しようかというところで、このワーク・ライフ・バランスに対しての取組のきっかけが始まったところでございました。
 その従業員に関しては、例えば保育園なんかの都合もありまして、結果的に例えば時短勤務を認めたりですとか、会議がどうしても夕方から始まり保育園のお迎えの時間なんかに重なってしまうというときなんかには、一度早めに会社を切り上げてもらって、会議に子供を連れて参加してもらうと、泣いちゃったときなんかには代わりに会議に参加してない社員に少し預かってもらったりしながらということで、会議に子連れオーケーにするとかいうような、大枠の、いわゆる規定レベルでその取組をするというよりは、大枠でこんな方向をしようというのが三年ぐらい前でございました。
 そのうち、だんだん会社の成長とともにいろんな年齢層の従業員が入ってくる中で、いわゆる子育て世代の従業員、特にITの場合には二十代、三十代、この辺りの年齢層の従業員というのがどの企業でも大体非常に多いんですけれども、そうした中で、子育て世代の従業員が増えてくる中に、一つ継続的に会社にきちんと働いてもらって結果を出してもらえると、例えば一年や二年でジョブホッピングでぽんぽんぽんぽんと会社を移り変わっていくというような状況ではなくて、長くうちの会社に勤めてもらえるためにはどうしたらいいだろうかということを考える上で、一つ会社の人事戦略、経営戦略の柱としてワーク・ライフ・バランスというものに取り組もうということを全社で進めてまいりました。
 会社の雰囲気が、こちらの写真にございますとおり、これは一部の社員ですけれども、例えばフランス、ポーランド、ハンガリー、ロシア、南の方に行きますと、マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、韓国、台湾、香港と、いろんな国籍の社員が働いておりまして、日本語をもちろん話すことができる社員もおりますし、日本語はこれからというような従業員も中にはおります。半分ぐらいが、外国籍の社員の場合に関しては、日本に留学をしてきて、そのまま日本で働きたいと、日本の文化に関心を持ったというようなところで就職活動をしていて我々を見付けてくれたというケースですが、残りの半分は非常に興味深くて、海外の大学なり大学院の在学中に就職活動をしていて、日本に来たいといってダイレクトに飛んでくるというようなケースもございます。
 そういう中で、先ほど申し上げましたとおり、その経営戦略、人事戦略の重要な柱としてダイバーシティー・アンド・インクルージョンという、多様性と、その多様性を受け入れる、受容する考えを持とうということを非常に経営の高いレベルで常に意識をしております。
 私どものそのワーク・ライフ・バランスに対する考え方というのは、中小、ベンチャーの場合、とはいうものの、毎月毎月、四半期四半期、一年一年という単位での業績が求められてきますので、ワーク・ライフ・バランスに対しての取組なんかの余裕はないだろうというのが大方我々と同じぐらいの規模の企業の経営者の方の御意見、私もそういうふうに聞いてまいりました。
 ただ、我々の明確な企業の目標がある限り、この一番右の従業員の満足度というのは非常に欠かせない部分であると。継続してその会社で働いてくれて結果を残してくれるというのは、従来の終身雇用で四十年働いてくれるというような状況から、我々のITのような企業の場合には、本当に早かったら半年、長くても三年、四年ぐらいでぽんぽんと辞めていってしまうというような状況が非常に周辺多いものですから、そこにやっぱり経営が一番力を使わなきゃいけないという認識を持っております。
 そういう中で、そのワーク・ライフ・バランスに対しての取組を続けてまいりましたが、一つこれは我々が気を付けたポイントで、どうしても会社の経営者がワーク・ライフ・バランスに取り組もうとすると、常に会社側若しくは経営側の視点が多く含まれてしまうと、結局その経営側の都合のいいようになってしまうということで、そこを何としてでも避けたいなと。ワーク・ライフ・バランスをぽっとやって、二、三年やって、はやり言葉のようにやって終わらすつもりはないものですから、継続してできるためにはどうしたらいいだろうということで、私どもはフローレンスという東京都内で病児保育をやっておりますNPO法人と提携をして、経営と従業員の間にNPO法人に入っていただいて、例えば社員からどんなワーク・ライフ・バランスに対する施策が欲しいのかとか、今ワーク・ライフ・バランスに対して会社が取り組んでいることをどう評価するかとか、そうしたアンケートも含めて全部NPOの方に間に入っていただくと。
 企業とNPOの融合、連携というものも最近非常に叫ばれているところでございますけれども、私ども、その一つの経営側の意識として、従業員の本音を聞きたいと。きれいな言葉を聞いて従業員と会社の間の関係をきれいに保ちたいというのではなくて、本当に従業員たちに長く会社を愛してもらって働いてもらうためにはどうしたらいいだろうということで、病児保育という正に子育て中のお母さん、お父さんに接点を持っているNPO法人だったものですから、きっと関心を持っていただけるだろうということで打診をいたしましたところ、そのような提携関係を結ぶことができまして、三年間、今まだ継続的にやっておりますけれども、続けております。
 特に、最初は、ワーク・ライフ・バランスといっても、今まで申し上げたようなとおり、子育てということがキーワードになりがちだったんですが、必ずしもワーク・ライフ・バランスというのは子育てだけに限るものではございません。
 例えば、男性の独身の社員であっても、仕事の時間以外のところで、それはスポーツをするのもいいかもしれませんし、何か資格を取るための勉強をするのもいいかもしれませんが、とにかくプライベートの生活と会社の生活のバランスをどういうふうに会社が認識してあげるかと、そこをサポートしてあげるかというところがポイントだというふうに思っておりまして、そうした点について、ちょうど昨年度ぐらいから更にその取組を増やしながら動いておるところでございます。
 結果、何が起きたかというふうに申し上げますと、実は昨年、離職率、離職というその点からいきますと、残念ながら外国人の社員で一名、個人的な都合で帰国をしなければならないというような社員がございましたが、それ以外退職者はゼロでまいりまして、この規模のベンチャーの企業としては比較的いい数字だったのかなというふうに思っております。
 その育児支援の中での取組については、大きく私どもが挙げておりますのは、このスライドに挙げさせていただいているとおり、在宅勤務、時短勤務を認めるですとか、やはりITの会社ですからITの仕組みをいろいろと活用したものを提供しようということでe―ラーニング、自宅でいろんなパソコンを使っての勉強ができるようなことを会社がサポートしたりですとか、それから冒頭申し上げましたとおり、子供を一緒に連れてきてもらってミーティングとかブリーフィングに参加するのもオーケーですよというようなこともやったりしております。
 ここで重要なのは、大企業の中でもこういうふうにいろんなものを並べられて、こんなことができます、こんな施策がありますというものを挙げられるところが多いんですけれども、我々が非常に気にいたしましたのは、ITの中でも特にベンチャーの企業である、我々中小企業であるということを自覚して、中小企業でできるところからやっていこうと。何もその大企業の皆さんがやっていらっしゃるワーク・ライフ・バランスの制度を全部まねする必要はなくて、我々でできるところからやっていこうと、継続が重要であるという認識を経営者一同持っております。
 ですので、例えばこういう在宅勤務ですとか時短勤務に関しても、ベンチャーの企業の場合には人員的な余裕もありませんから、一人、二人余っているなんというケースもありませんので、あらかじめ出産、育児の予定を会社のみんなで話し合って、この人の仕事はこういうふうにカバーしようとかいうようなことを議論をたくさんすることによってカバーするというような取組をやってまいりました。
 それから、少し私どもの、もうこれは社会との接点でございますが、こうした私どもの社内のワーク・ライフ・バランスに対する取組を一つケースとして知っていただこうということでブログのサイトを作りまして、もう一年半ぐらいやっておりますが、ワーク・ライフ・バランス・アドベンチャーということで、特に会社の宣伝を実は全く中ではせずに、会社の中の実態をそのままお伝えするということもやっております。中には、例えば社員のインタビューを、これも一切、実は私も含めて経営者は事前チェックなしで公開をしておりますけれども、NPOの方に、先ほど申し上げたNPOの方に入っていただいて、そこで編集をしていただいてブログのサイトで公開してというようなこともやっております。
 思わぬ効果といたしましては、ちょうど昨年の十一月、十二月ごろ、この三月卒業ぐらいの大学生、大学院生がワーク・ライフ・バランスに対して非常に取組に関心を持っているなというのを実感いたしましたところとして、卒業論文ですとか修士論文の参考事例として使わせてほしいという声が非常に多うございまして、七十件ほどその二か月間でいろんな学生さんから、このブログを見ながら、もうちょっとこういうところを知りたいと、データ欲しいなんという、そういうお問い合わせもいただいたところでございます。
 今日は率直に申し上げようと思ったものですから、いい数字だけではなくてネガティブな数字も持ってまいりました。例えば、ワーク・ライフ・バランスに対して取り組んでいることについて、ポジティブに見ている従業員も当然ございます。しかし、ごらんいただきますとおり、そのグラフの下の方には、自分には関係ないとか無駄だと思うという意見を言う者もございます。これは当然どこを見なければいけないかと申しますと、この下の方、自分には関係ないとか、ワーク・ライフ・バランスに対する取組というのは無駄だというふうに言っている人間に対して誤解を解いていく作業をしなければならないのかなというふうに思います。
 途中申し上げたとおり、ワーク・ライフ・バランス、イコール育児支援だというふうに思われているところは、まだまだ私どもこれだけいろんな取組をしておりましても従業員の中には残っておりまして、むしろ例えば親御さんの介護ですとか、いわゆる資格の取得に対する支援ですとか、ITの仕事ですと体がやっぱりどうしてもなかなか動きが少なくて壊れやすいということもありまして、そうした体力面でのバランスを取るとか、いろんなことが考えられるんですが、そうしたものもワーク・ライフ・バランスなんだよということを社内に対しても更に啓蒙する必要があるのかなというのが、こうした社内調査の一つのデータでございます。
 全体的に見るとその評価は、八割以上の社員は非常にワーク・ライフ・バランスに対して取り組んでいるこの会社を評価するというふうにデータを挙げてきてくれています。しかし、定量的なデータで見てもネガティブな意見はございますし、コメントを含めて定性的なデータも中では取っておりますが、やはりワーク・ライフ・バランスの取組は一部の人間にとってだけメリットがあるんじゃないかと、本当に社員、従業員全員にメリットがあるものかどうかというのは疑わしいという意見も出ておりまして、ここは長く継続的に取り組むことによって解決をしていかなければいけないのかなというふうに考えております。
 特に、ワーク・ライフ・バランスというのがマスメディアの報道の中でも育児支援だというふうに言われ続けるところがちょっと多いのかなというのがやはり率直な私の感想でございまして、育児支援だけじゃないよと、ワーク・ライフ・バランスというのは、本当に人間が働く中で、働くということと個人の生活というもののバランスをどういうふうに保つかなんだと。そこでリフレッシュをして、また仕事に対してのその情熱を傾けれるような、そういう考え方なんだよというものがもう少し広まってほしいなというのが、これはマスメディアに対する意見でございますけれども、持っております。
 最後に、私どもが感じております課題を少し御説明申し上げたいと思います。
 やはり中小、ベンチャーの企業というのは、資金繰りの問題も当然ありますし、利益を追求しなければならないという、そのステージステージでの当然目標もございます。
 それから、私どもも外部の投資家、機関投資家などが株主に入っておりますが、そうした機関投資家、株主はやはり早い結果を求めるというような傾向もございまして、ワーク・ライフ・バランスに対して取り組んでいることをいかに株主に対しても理解をしてもらうかということも今後重要になるだろうと思っております。
 それから、ワークシェアリングという問題でも、ワークシェアリングということに対してそもそも日本の場合には余り慣れているケースが少ないものですから、仕事をシェアすることというのがお互いにとってどういう効果があるのかということを、もう少しいろんなモデルケースが出てくるといいなというふうに思っております。
 それから、企業風土・環境という点におきましては、私どもの場合、一つの背景として外国籍の社員が半分いるということで、まあ何となく日本の企業ですし何となく外国の企業のような、そんな雰囲気がふだんの会社の中の雰囲気なんですけれども、そういう中で、優秀な人であれば国籍、宗教、文化、民族、そうしたものと関係なく採用していくという企業の方針もまたこれは必要なのかなというふうに思っておりますし、長期的に考えますと、中小企業が成長するためには優秀な人材がやっぱり必要で、私どもも経験しましたけれども、中小企業というのはなかなか採用コストがたくさん払えないものですから、結局まあ大企業が採用できる層と違う層のやっぱり採用にならざるを得ないという問題があります。結果、いつまでたっても中小企業は中小企業であり続けなければならないというようなこともございまして、成長を求める企業にとっては、優秀な人を探すときに日本の中だけじゃなくて世界から探してくるということに対しても、いろんな対応がこれから増えてくるといいなと思っておりますし、私どもビザの問題とかでいろいろと苦労もしてまいりましたが、そうした面での変化もあると。これはまあワーク・ライフ・バランスという一つの面だけじゃなくて文化を変えていかなければいけない問題だというふうに思っておりまして、いろんな背景が連鎖しているのかなというふうに考えております。
 少しちょっと時間オーバーしてしまいましたが、私どもの今の現状の取組についてと私の意見について述べさせていただきました。
 以上です。ありがとうございました。
#5
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 次に、川口参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(川口章君) 同志社大学の川口と申します。よろしくお願いします。
 本日は、このような場におきまして意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを深く御礼申し上げます。
 私の今日の報告ですけれども、企業の取組と政策課題というふうに題しまして、主にワーク・ライフ・バランスについて企業がどういうふうに取り組み、またその成果がどういうふうに上がっているかということを最新の調査を基に御報告させていただき、その後、政策課題についてお話ししたいと思います。(資料映写)
 報告の概要ですけれども、まずは企業が何を目的にワーク・ライフ・バランスを実施しているかということですね。ちなみに、ワーク・ライフ・バランス、スライドではちょっと、片仮名にしますと非常に長いので、ワークのWと、ライフのLと、バランスのBと、略しましてWLBというふうにスライドでは表示させていただきます。二つ目は、ワーク・ライフ・バランスを、そういう施策を実施している企業がどういう業績を上げているのかということを、これも調査に基づきお話しします。そして三つ目に、どういう政策をすればワーク・ライフ・バランス施策を実施している企業を支援できるのかということをお話しさせていただきたいと思います。
 海外では、ワーク・ライフ・バランス施策と企業の業績に関連する研究というのは非常にたくさんあるんですけれども、日本の場合はまだそれほど調査がなされていません。最近やっと本格的になされた調査が二つありまして、一つは、一昨年、ニッセイ基礎研究所が「仕事と生活の両立支援と企業業績に関する調査」というのをされています。これにつきましては、学習院大学の脇坂教授がこの調査会でその結果を一部報告されたと伺っています。それからもう一つが、労働政策研究・研修機構が昨年の六月に行いました「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査」というのがございます。これは私も調査の計画段階から参加させていただきまして、現在そのデータを分析して報告書を作成しておる最中であります。
 今日は、このデータに基づきまして幾つか今日のテーマと関連のあるところをピックアップしてお話しさせていただきたいと思います。
 この調査の特徴でございますが、通常の調査ですと企業に調査をしてそれで終わりということなんですけれども、この調査は、企業に調査すると同時に管理職とそれから一般社員についても、その企業の制度をどういうふうに利用しているかとか企業の制度の実態がどうかということを同時に調査しております。回答した企業が八百六十三社で、回答した一般社員が六千五百二十九人、回答した管理職が三千二百九十九人ということで、かなり大掛かりな調査でございます。
 その結果ですけれども、まず企業がどういう目的でワーク・ライフ・バランス施策を実施しているかと。ちょっとスライドの字が小さくて申し訳ないんですけれども、お手元の資料に同じものがございますので、それをごらんになっていただきたいんですけれども、七六%の企業は企業の社会的責任を果たすというのを第一の目的に挙げています。ただ、これは非常に抽象的な目的でして、これ以下の具体的な目的の方が我々の関心のあるところでございます。二番目に多いのが女性従業員の定着率を高める、これがおよそ三分の二の企業が挙げております。さらに、女性従業員の勤労意欲を高める、これも六割を超えています。約五割ぐらいありますのが、採用で優秀な人材を集める、それから、従業員の仕事に対する満足度を高める、続きまして、女性従業員の帰属意識やコミットメントを高める、この辺りが四〇%を超えております。
 ここから下、七番目になりますとかなりギャップがありまして、これ以下の項目は余り企業が期待していないということですね。特に、男性従業員の帰属意識でありますとか定着率、こういう、男性従業員の働き方の変化というのに対しては余り企業は期待しておらないというのが調査の結果から分かります。
 続きまして今度は、それぞれの項目を目的とした企業のうち何%が実際にその目的を達成できた、効果が大いにあったというふうに考えているかというのを表に、図にしましたのがこの図二でございます。
 企業に対してどういう効果がありましたかということを複数回答で尋ねております。企業は大いに効果があった、ある程度あった、なかったという三段階で答えておりまして、その中の大いに効果があったという、そう答えた企業の割合を棒グラフにしたのがこの図でございます。
 最も効果があったのは女性従業員の定着率を高めるということで、やはり女性従業員、ワーク・ライフ・バランスによって離職率が大きく低下するということが分かります。二番目が企業の社会的責任を果たす、三番目が女性従業員の帰属意識やコミットメントを高める、四番目が女性従業員の勤労意欲を高めるということで、やはり女性従業員の働き方あるいは満足度というのがかなりこのワーク・ライフ・バランス施策によって増すんだということが分かります。そのほか、顧客に対するイメージアップですとか、あるいは優秀な人材を集めるというのも二〇%前後の数字を残しております。
 したがって、ワーク・ライフ・バランス、企業がどういう目的でワーク・ライフ・バランスを実施しているかといいますと、まずは女性従業員の定着率の上昇、続きまして、女性の帰属意識、あるいは労働意欲、満足度の向上、さらに優秀な人材を確保すると、こういう目的でワーク・ライフ・バランスの施策を行っていると。これはもちろん将来の生産性の上昇につながることを企業は期待しております。更に言いますと、もっと長期的には、これが利潤の拡大につながるというのが企業の目的だというふうにまとめることができると思います。
 それでは次に、実際にワーク・ライフ・バランス施策を実施している企業が生産性を上昇させているかどうかということにつきまして、この調査の結果を御紹介させていただきたいと思います。
 調査では、一般従業員が企業のワーク・ライフ・バランスがどの程度充実しているかということを五段階で評価しております。これは、例えば結婚や出産後も働きやすいかどうかという質問に対して、非常に働きやすいと思うとか、やや働きやすいと思うとか、どちらとも思わない、働きやすいとは思わないとか、五段階で評価しているわけですね。そういう一般従業員の企業の評価と、もう一つ、今度は企業が過去五年間で生産性がどの程度伸びたかというのを、これは企業が五段階で評価しています。この二つの質問を掛け合わせまして、一般従業員がワーク・ライフ・バランスを高く評価している、企業のワーク・ライフ・バランスを高く評価している企業で生産性が果たして伸びが高いのかどうかということを調べてみました。
 これは、育児休業が取りやすい企業と取りにくい企業で過去五年間の生産性がどういうふうに違うかということなんですけれども、育児休業が取りやすいと思うというふうに従業員が答えた企業では、その企業のうち二二%が過去五年間で生産性が高くなったというふうに答えております。それに対して、従業員がやや育児休業が取りやすいと思うと答えた企業では、その企業のうち一八%が生産性が高くなったというふうに答えております。等々、この棒グラフを見ますと、育児休業が取りやすいというふうに従業員が思っている企業では、五年間の生産性が高くなったというふうに答えている企業が傾向として多くなっております。
 例外は、一番下の育児休業が取りやすいとは思わないという、ここで一七%の企業が生産性が高くなったというふうに答えておりますので、一番下は例外ではありますが、これを統計的に検定いたしますと、相関関係は、育児休業が取りやすい企業では生産性が伸びたというふうな相関関係が統計的にも明らかになります。
 こちらも同じような質問でございます。今度は、育児休業の取りやすさではなくて、結婚、出産後も働きやすい会社かどうかという質問に対して、そういうふうに従業員が答えた企業では企業の生産性が伸びているかどうかというのを見た図でございます。これも非常によく似た図の形をしておりまして、結婚や出産後も働きやすい会社では五年間の生産性が伸びる傾向にあるということが分かります。
 続きまして、それでは、生産性が伸びている、育児休業とかそういうワーク・ライフ・バランス施策が充実している企業では生産性が伸びている、そういう傾向にあるということが分かったわけですが、では果たして利益が伸びているかどうかというのを見たのが次の図でございます。利益も企業が過去五年間に伸びたか伸びてないかというのを五段階評価したその結果のうち、利益が伸びたという企業の割合を表したのがこの図でございます。この図ですと、先ほどとはちょっと違いまして、ワーク・ライフ・バランスの充実度と利益の伸びというのは相関関係がないというふうに結果が出ました。この図を見ますと、ほぼ二五%弱で数字がそろっていまして、ワーク・ライフ・バランスの充実度と利益の間には余り相関がないということですね。
 今度は、結婚、出産後も働きやすい会社かどうかということと利益が高くなったかどうかということですけれども、ここでも余り明確な相関関係は見られません。統計的に検定しましても相関関係が見られないという結果になりました。
 以上をまとめますと、調査から分かったことですが、ワーク・ライフ・バランスの施策が充実している企業では傾向として生産性が上昇している企業が多いということが言えます。ただ、それが経常利益の増大にまでは直結していないということですね。これについては更に詳細な分析が必要でありますけれども、一つの説明としては、ワーク・ライフ・バランス施策にはいろいろ費用が掛かります。したがって、そういう費用のために経常利益までは増大していない、あるいは実際に利益につながるまでは時間が掛かるのかもしれないということです。
 いずれにしましても、少なくともワーク・ライフ・バランスを実施することによって従業員の満足度、やる気というのは高くなったと評価している企業が多いわけですから、少なくとも利益にマイナスにはなっていない、従業員の満足度を高めながら利益にマイナスの影響は少なくとも与えていないという点で、そういう点では評価できるのではないかと思います。
 政策課題を次に説明させていただきます。
 いろんな政策が必要かと思いますけれども、本日は時間の関係もありますので、ただ一点だけ説明させていただきます。
 その政策というのは、企業のワーク・ライフ・バランス施策を、そういう情報を公開するような制度を導入してはどうかという提案でございます。具体的に申し上げますと、例えば、育児休業制度があるかないか、あるいは短時間勤務制度とかフレックスタイム制度とか、育児や介護のときに利用できるそういういろんな制度があるかどうかということを公開すると。ただ、制度の有無だけではなくてその利用実態、利用者、男女別にどれぐらいの数の従業員がその制度を実際に利用しているかということですね。さらに、会社の中での男女の比率でありますとかあるいは既婚の社員がどれぐらいいるか、これは結婚や出産後も働きやすい会社かどうかということが分かります。それから、離職率、これが何%ぐらいであるかとかいう数字。あるいは、平均の残業時間が何時間ぐらいか、年次有給休暇が何%ぐらい取得されているか。あるいは、残業時間や年次有給休暇の取得上昇への取組がなされているかどうかというような企業のワーク・ライフ・バランス施策の実態を公開するような制度を導入してはどうかということを提案させていただきます。
 なぜこういう制度が必要かと申しますと、求職者には企業のワーク・ライフ・バランスの実態が非常に分かりにくいという現状がございます。現在、大学生、私の学生も一生懸命就職活動しておりますが、なかなか企業の実態が分からないということをよく聞きます。これはワーク・ライフ・バランスの実態を詳細に公表している企業というのがまだほとんどないと。先ほど家本さんの御説明にありましたけれども、家本さんのような企業というのはまだまだ少ないということでございます。
 一方、日本の場合、財務情報の公開、これは非常に進んでおります。当然、上場企業なんかは非常に詳しい財務情報を公開しているということですね。このワーク・ライフ・バランスを始めとする労働条件の情報と財務情報のこの公開の度合いというのは非常に大きなギャップがあるということですね。
 それから、求職者が就職の面接などで詳細なワーク・ライフ・バランスの実態を尋ねるというのは、これは日本ではなかなかやりにくいと。海外では詳細な労働条件を尋ねるというのは当然のことでございますが、やはり日本の会社では、面接に行って育児休業だとか有給休暇だとか、休むことばっかり聞くと働く意欲がないのではないかと誤解されてしまうんではないか、そういうふうに学生とか求職者は心配して話せないということですね。
 それから、これも日本の特徴なんですが、制度があっても利用しにくい企業が非常に多いということですね。海外では、制度がありますと、これは労働者の権利ですから利用するのが当然でございます。例えば年次有給休暇、日本は消化率が半分を切っているわけですが、海外ではそういう調査自体が存在していないと。なぜかというと、年次有給休暇は取るのが当たり前だということですね。だから、制度があっても取れないという実態がございますので、果たしてどの企業がワーク・ライフ・バランスが充実しているのかというのが、形式的な制度だけ知ったのでは分からないという実態がございます。
 さらに、情報公開の必要性として、先ほどは求職者の立場で御説明申し上げましたが、企業の立場にとっても、ワーク・ライフ・バランスを熱心に推進している企業は、こういう情報をすべての企業が公開すると、自分の企業がいかにワーク・ライフ・バランスで優れているかということが非常によく分かるということですね。そうすると、ワーク・ライフ・バランス制度を導入しようというインセンティブが高まるということです。
 現在のようにワーク・ライフ・バランスの実態が分からないまま就職をしているという状態では、どういう不都合があるかといいますと、まず離職率が高くなってしまうということが考えられます。これは、就職して初めて、えっ、こんなに毎日残業があるのとか、日曜がもう全然ないのは知らなかったとか、そういう声をよく聞きます。また、それが原因で半年足らずで離職するという人も多いようです。したがって、事前に企業のワーク・ライフ・バランスの実態をきちんと公表して、それによって就職活動を行うということで、離職率が減るのではないかということが期待できます。
 さらに、企業は、ワーク・ライフ・バランスの実態を求職者に知らせることができない、にもかかわらず、賃金については、これはかなり情報が行き渡っております。賃金の情報は、初任給が幾らとか、これはもうどこの企業も公開しております。そうすると、どういうことが生ずるかといいますと、ワーク・ライフ・バランスは充実していてもしていなくても余り分からないので、ワーク・ライフ・バランスはそれほど充実させなくて、賃金でより優秀な人材を集めようというふうに企業は考えるのではないかと。そうすると、ワーク・ライフ・バランスは低めに、賃金が高めにという企業が多くなるんではないかというふうに考えられます。
 これは、例えて言えば、最近、食料品、野菜とかお肉とかでも、産地がどこでありますとかどういうふうに作られた野菜であるとか、非常に詳細な情報が消費者に与えられています。もしそういう食料品の品質の情報がないまま食料品を買おうとしますと、我々消費者は、もう値段を見て値段だけで判断すると。そうすると、品質が悪くて値段の安いものばかりになってしまうということですね。それと似たような状況が労働市場で生じているんではないかと。ワーク・ライフ・バランスの実態が悪くて賃金は比較的高いという企業が多くなるんではないかということです。
 また、現在では、企業が経営情報の公開、経営の透明性というのに、だんだんその重要性を理解する企業が増えているというふうに考えられます。
 失礼いたしました、その前に、情報公開制度の利点として二点ほど挙げさせていただいております。
 この最大の利点は、費用が掛からないということですね。国にとってほとんど費用が掛からないということです。これは、どういう情報を公開すべきかという項目を決定するのと、あとは虚偽の情報を公開している企業がないかを監視すればよいということですね。これは、企業の内部告発とか、そういうのでもかなり分かると思います。したがって、例えば今、育児支援制度について様々な助成金を国が出しているんですけれども、何十万、時には何百万を超えるような助成金を企業に出しています。そういう制度、もちろん評価されるわけですが、そういう制度と比較しても、この情報公開の制度というのは費用が掛からないということですね。
 また、企業側にとってもほとんど費用が掛からないと。そういう情報は人事部が既に把握しておりますので、それを公開すればよいということですね。
 最後に、経営情報公開につきましては、最近は経営者の間でも非常にそういう経営情報公開への認識の高まりというのが見られるということです。したがって、こういう制度を導入するような土壌が整いつつあるのではないかというふうに考えられます。
 その背景にありますのは、企業の社会的責任、CSRと略されますが、これについての認識が非常に高まっていると。いろんな企業の不祥事でありますとか、あるいは環境汚染とかが過去にありまして、企業は利潤を上げるだけでなくて社会に貢献しなければいけないという認識が高まったことによって経営の透明性というのを強調する経営者が増えております。その影響で、環境や財務に関する情報というのはかなり詳細に企業は公開しているということですね。
 したがって、その延長線上で是非ワーク・ライフ・バランスの実態も公表するようなそういう共通の制度ができ上がれば非常にいいのではないかというふうに考えております。
 以上です。
 どうもありがとうございました。
#7
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では、松田参考人、よろしくお願いいたします。
#8
○参考人(松田茂樹君) 第一生命経済研究所の松田と申します。このような場で報告をさせていただきます機会を与えてくださったことに大変感謝いたします。
 それでは、スライドを使いまして報告いたします。(資料映写)
 私の報告は、「企業の両立支援拡充のための五つの優先課題」というタイトルです。ワーク・ライフ・バランスの施策はかなり広く多様なものが求められます。しかしながら、優先的なものは何かということを本日は話したいと思います。
 私のバックグラウンドは社会学になります。社会学の観点から、仕事と子育ての両立及び父親の子育てへのかかわりについて研究してきております。
 私生活ですけれども、四歳と八か月の子供がおりまして、日々子育てに悩む父親です。これが終わりましたら保育園に早速お迎えに行くことになっております。
 本日は、別途配付しました三つの論文、これを踏まえまして報告いたします。お手元にも同じスライドがありますので、御参照ください。
 まず、図一ですけれども、社会で子育てを支える、これがやはり我が国には必要だろうということです。改めて申し上げることもないかもしれませんが、昨今の少子化、この背景、やはり仕事と家庭生活の両立が難しいということがあります。
 もちろん、子育ては、第一には父親あるいは母親が行うべきものです。しかしながら、図にありますように、それを支える仕組みが不可欠であると。一つ目が各種保育施設やサービス、あるいは学校などもあります。つまり、これは主に行政的な面からの支えです。もう一つが、企業における仕事と子育ての両立支援です。この両者がなければ仕事と家庭の両立というのは難しいだろうということです。
 本日は、この左の方ですね、仕事と子育ての両立支援、企業における、この点について御報告申し上げます。
 まず、要点でございますけれども、これから申し上げます両立支援に関する現状の認識です。これは、我が国では、育児休業制度を始め、これまで数多くの両立支援策がなされてきたと私は思います。しかしながら、その内容は主に、休むこと、産休、育休、休業中心であったと。もう一つは、対象が女性に限定されているわけではないですけれども、実態として女性対象、中でも正社員である女性対象になされてきたということがあります。
 優先的な課題としましては、五つあります。これはあくまでも企業における両立支援策ですけれども、一点目が、日常的な両立支援と申しました。休業ではなく、日々仕事をし、子育てをする、ここを両立させる仕組みが必要であると。二点目は、男性仕様の両立支援ということですね、が挙げられます。三点目は、パートの問題です。四点目は、中小企業及び中堅企業への両立支援策の普及の問題です。最後に、復職支援を取り上げます。
 なお、あらかじめお断りしておきますが、本日申し上げる内容はすべて立法で解決すべきものではないと思います。それは御承知おきください。
 それでは、ここは簡単に話しますが、企業の両立支援が求められる背景ですね。仕事と家庭生活の両立難が少子化になっていると。そして、法律による後押しを我が国は行ってきました。育児休業制度、そして近年では次世代育成支援対策推進法が実施されてきていると。こうした中で、企業の両立支援は徐々に普及してきております。しかしながら、少子化傾向が止まらない現状を見ますと、やはりまだ不足だろうということです。両立支援の更なる充実が必要です。これがまず背景です。
 それでは、何が優先課題かということですけれども、まず一つ目の話です。日常的な両立支援と申し上げました。
 両立支援といいますと、真っ先に思い浮かばれるのが育児休業あるいは産休ということですけれども、実はこの制度、日本は諸外国と比べて見劣りしないと私は思います。それはスウェーデンや北欧諸国と比べますとまだまだと言われる面がありますけれども、アメリカ、イギリス及びその国以外の国々広く見まして、その休業期間及びその給付水準ですね、所得の、これに関しては決して我が国は見劣りするものではないと思います。しかしながら、両立支援が難しいということは、その休業の後ですね、復帰した後にどうも問題がありそうだということです。
 日常的な両立支援と申しましたが、表現がいいものがないのですけれども、これが非常に弱いです。育休から復帰した後、ここが仕事と子育ての両立のハードルが高いために継続就業できないという状況になっております。ニーズが高い支援策を先に申し上げておきますと、短時間勤務制度、そして看護休暇、子供のですね、この辺りが挙げられます。
 先にデータをお見せいたします。これは私が実施しました調査の結果です。スライドは小さいですので、お手元の図を御参照いただければと思います。
 これは、従業員数三百一人以上の上場企業を対象に行った調査です。回答が少なく、あいにく百十三社の回答にとどまります。もう一つは、当社が持っています生活調査モニター、この中から子育て期の男女のニーズを調べたものです。ここでは、正社員女性が求めている両立支援策と企業が実際に実施している施策の割合を取っております。図でいきますと、横軸に従業員が望んでいる割合、正社員女性です。縦軸に企業が実施している割合です。ちょうどこの斜め四十五度線に乗りますとニーズとシーズが一致していると、ハッピーな状態なわけです。この乖離が大きい施策は何か、そこが問題になります。なお、ここでは法定で定められた制度以上のものを導入していると、希望していると、これについて調べております。
 これを見ますと、実は育児休業制度といいますのは希望している割合が高いです。育児休業制度を更に期間を延長してください、更に賃金の保障をする割合を上げてくださいと希望している割合が高いですけれども、実は企業でも育児休業制度の延長など踏み切っているところが多うございまして、実施している割合も高いですので、余り乖離がないです。乖離が大きいのはどこかといいますと、三歳以上、子供が三歳を過ぎた後のフレックスタイム、あるいは始業時間や終業時間の繰上げ、繰下げ、さらに看護休暇というものです。
 現在の育児休業制度では、育休から復職した社員に対しましては、子供が三歳になるまでは短時間勤務、フレックスタイムなどの措置を講じることが義務付けられています。しかしながら、その年齢を超えますと努力義務なんですね。ですけれども、そこが実はニーズが高いわけです。三歳以上というところです。
 そして看護休暇。現在の法制度ですと五日まで、年間ですね、無給でということになりますが、確保されているわけですけれども、子供が風邪を引くと五日では足りないんですね。私も先日、インフルエンザで子供とともに休みまして、あっという間に三日、四日寝込んでしまうという状態ですので、五日よりも長い子供の看護休暇を希望する割合が高いです。
 前のスライドに戻りますと、何を申し上げたいかといいますと、育休から復職し、そして日々両立していくと、ここを支えるための看護休暇あるいは短時間、ここを拡充することが今求められています。
 課題の二です。男性仕様の両立支援と申しました。男性仕様という少し強い表現をしておりますが、誤解がないように申し上げておきますが、男性限定の両立支援策を導入する必要があるということを申しているわけではありません。制度はあくまでも男性と女性で中立であるべきです。しかしながら、既存の制度は、中立的でありながら、どうも女性が使いやすい、男性が使いにくいという面がどうもありそうだということですね。ですから、男性が使いやすいということを意識して何かこうした両立支援を設計していくことが必要ではないかという点です。
 男性にももちろん両立問題はあります。男性の育児参加というものは極めて少ないです。そして、男性の両立支援ニーズも実は高くなっております。本日、別途配付しました私の論文ですけれども、男性が求めている両立支援策は実は女性と大差がないという結果になっています。ただし、ニーズは若干異なります。現状ですと、家事・育児時間、男性ですが、一日平均三十分弱、これは社会生活基本調査の結果でございます。育休の取得率、男性に関して見ていきますと平成十七年で〇・五%、これはその前の年よりも下がりました。
 求められている男性向けといいますか、男性の両立支援をしやすくするための制度は何かということですが、二点申し上げます。
 一点目は、これは各種の両立支援制度以前の問題になりますけれども、長時間労働の問題が挙げられます。この図をごらんください。図三ですけれども、これは二〇〇一年と二〇〇五年で、男性社員です、二十代から六十代まで一日十時間以上働いている男性の割合になります。ごらんいただきますと分かるとおり、〇一年から〇五年にかけて労働時間は延びている。中でも延びたのはどこかといいますと三十代なんですね。私も三十代でありますけれども、最も子育て世代の男性が最も働くようになっていると、ここがやはり問題があります。ですから、第一点に考えるべきは、各種両立支援策拡充の前に企業は長時間労働、特に育児期の男性の両立支援のためには、育児期の長時間労働、この見直しが必要だと見られます。
 二点目ですけれども、男性の育休の問題が挙げられます。男性の育休取得が進まない理由に関しては様々議論されてきています。恐らく、私も、男性の子育て意識に問題はあるだろうと同じ性として思います。しかしながら、分析していきますと、それ以外にどうも大きな問題があると見られます。それは、我が国の男性のニーズの多くは、女性型の長期の育休取得ではなく、短期かつ妻をサポートするという形での育休を取りたいというニーズが実は高いんですね。そうなりますと、何かといいますと、現行の制度は実はこれがしにくいという面がございます。
 実は、私事ですが、昨年、下の娘が生まれまして、育休を取得しようと考えました。恥ずかしい限りなのですが、ちょうど生まれて妻が産休の間、これは男性、育休取得できますので、そこで計画していたのですけれども、どうも壁にぶつかりました。それがここに挙げた理由を考える背景にもなったわけですが、何かといいますと、一点目に、分割取得が現行制度ではできません、一回限り。しかしながら、妻の育児をサポートしていくためには、分割して、例えばこの週は二日、この週は一日と分けていった方が実は効果的であるという面があるということです。それが現行制度ではできません。
 そして二つ目は、専業主婦世帯は産後八週間しか取得できないと。実は、子供が一歳まで達する方の八割は専業主婦世帯なんですね。その世帯の人は、育休を男性が取るための期間が極めて限定されているという問題があります。その八週間に仕事が降ってきましたら、男性は取得することはできないと。
 三点目に、保障される給与水準はやはり男性の水準から見ますと低いです。世界的には高いと申しましたが、まあ四〇%ということですね。ここをやはり改善していく必要があるだろうということです。
 ちなみに、一つ私案ですけれども、これは笑い飛ばしていただければと思いますが、現行中の所得保障ですね。現在の制度は、育休期間の長さにかかわらず、その休んだ期間の四〇%の賃金が保障されるということになっています。現在の方向は、これを更に上げようという方向に行っているわけですね。スウェーデンなどではもっと高いと、上げるということですが、これをどんどんこのまま上げますと、極めて膨大な経費が掛かるわけです。しかも、これで男性が取るとなりますと、恐らく雇用保険は破綻してしまうのではないかというぐらいのインパクトがあると見られます。
 しかしながら、例えばこれをぽこんと斜めにしまして、最初の開始始点を八〇%にする、で、面積は変わらないとしますと、短期の育休を例えば取得したい、これは現状の男性ではニーズが高いです。女性でもいます。その方は賃金の減少幅が少なく済むということも考えられます。例えば、これは私の私案でございますけれども、この賃金の保障する割合を高くするという措置が何か必要ではないかと見られます。
 三点目は、パートへの対応です。
 ここは簡単に、少し時間の都合上簡単で恐縮ですが、実はパートが利用できる両立支援は少ないです。今回調査した企業ですと、法定を超える育休制度、これは正社員には付与するけれどもパートには付与しないと。法定を超える看護休暇、これもそうですね。そうした現状があります。
 しかしながら、パートといいますと、そもそもワーク・ライフ・バランスがしやすい働き方ではないかと見られがちですが、実は両立支援ニーズは非常に高いです。正社員と変わりません、調査をしますと。昨今の雇用の非正規化の流れを踏まえますと、パートへの両立支援策の拡充というものを企業は検討すべき時期に来ていると見られます。
 課題の四です。これが中小企業及び中堅企業への普及です。これが最も難しい問題かもしれません。何かといいますと、どのような企業で両立支援策が普及しているだろうかということを考えていきたいと思います。
 仮説が二つあります。一つは必要性です。つまり、両立支援ニーズの高い社員が多い企業が多いと。ですから、それのニーズにこたえて企業はどんどん導入していくんだと。もう一つの仮説は、経営的な余裕があるから導入するんだということです。どちらかといいますと、私の分析した限り、限定的ではありますが、どうも必要性ではないようだと、経営的な余裕ではないかということです。これは本末転倒な話ではありますけれども、残念ながら我が国はこうなっているようです。
 これをごらんください。これは従業員の数別に見ました両立支援策の充実度です。これは別途配付しています資料のものですけれども、先ほど申し上げた、調査した企業がどのような両立支援策をしているか、それを百点満点に、最大を百点満点、最小をそれに応じて得点するという形で分類したものです。これを見ますと、従業員数が少ない企業の方がやはり大企業よりもそうした両立支援策を導入していないという結果になります。ちなみに、この調査は三百一人以上ですので、三百人以下の企業は更にこれは少ないです。これは別途調査があります。
 ほかの要因としましては、資本金が大きい企業ほどやはり導入していると。導入が進んでしかるべきはずである女性社員が多い企業、あるいは平均年齢が若く育児期の世代の多い企業、ここでは導入が実は進んでいないんです。
 となりますと、それはなぜかということですね。
 中小企業、中堅企業への普及が課題だろうということです。多くの就労者は実はこちら、大企業ではなくこちらで働いているわけですね。これに関しましてはやはり、先ほど家本先生もお話ししましたが、中小企業の方ですとなかなか体力のないところもあるということですね。やはり経営的な体力、ここが問題だと見られます。両立支援制度は生産性に結び付くだろうと見られています。これは先ほど川口先生の報告でもありましたが、ただしそれは中長期的に見てということなんですね。そこまで待てる企業というものはやはり経営的体力の多い企業であると。現在、マスコミで様々な両立支援策を導入した企業が紹介されていますが、ほぼ、一〇〇%ではないですが、ほぼ大企業です。名のある企業です。残念ながら、中小企業、中堅企業への普及が課題になっています。
 ちなみに、中小企業白書ですね、昨年のものですけれども、実は中小企業はこうした制度はなくても配慮しているんだ、だから大丈夫だという報告がなされているわけですが、私は若干危険だと思います。やはり、分析していきますと、制度がなければ両立できないわけです。そうしたものが明確に出ると。ですので、家本先生の企業は、会社はそうしたものを明文化され、導入されていると。やはりこうしたものを中小企業、中堅企業に働き掛けていく、これが必要であると思います。
 問題となるのが財政や税制支援ということです。これ、財政的余力がない中、こうしたことを申し上げるのは恐縮ですが、何か必要ではないかと私の立場からは見られます。ただ、その対象は大企業ではないです。大企業はもう除外していいと思います。自前でやってくださいと。中堅企業、中小企業です。
 理由としましては、今スピードが求められていると。両立支援を今導入しなければ、団塊のジュニアの世代の出産は恐らくこのまま低いままであろうと。二点目ですけれども、大企業で両立支援策がすごい普及しまして、中小、中堅で普及しないとなると、これはエリート層だけがつまり両立支援を享受することができ、ますます豊かになり、そこに勤めることができない中小企業の方、の男性、女性、特に女性だと見られますが、そうした果実を享受できないということが懸念されます。
 最後ですけれども、子育て後の復職の支援と申しました。これは、簡単で恐縮ですが、実は両立支援といいますと就業継続支援に重点が置かれております。しかしながら、調査結果を見ますと、両立支援を様々なものを充実させたとしましても、どうも育児期の子育てに、育児期は子育てに専念しようという女性は多いんです、我が国では。こうした逆もあります。現在、お子様が一歳未満の方ですと八割近くが専業主婦ですが、現在働いていない女性が再就職したいと考えている年齢を見ますと、子供が小学生に入った以降なんですね。ですから、ある時期はやはり子育てに専念しようとする方いらっしゃいます。これは選択の自由の問題です。
 ですので、両立支援は、当たり前ですが、継続就業支援プラス再就職支援が欠かせないだろうということです。セットでなければ効果はないと見られます。
 以上、簡単ではありますが五点申し上げました。もちろんこれ以外に課題はありますけれども、企業の両立支援ということではこの五点は優先的に解決すべきものであると見られます。
 御清聴ありがとうございました。
#9
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁及び追加質問を含めた時間がお一人十分程度になるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方、挙手をお願いいたします。
#10
○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。
 今日は三名の参考人の方々には大変貴重なお話をいただきました。ありがとうございました。
 まず、私の方から家本参考人にお伺いしたいと思うんですが、実は、先週も私どもこの調査会で参考人の皆さんのお話をお伺いしたところでありますが、その自主的になさっておりますのもマイクロソフトの方でありました。そう考えていきますと、先ほど松田参考人は大企業がこういう制度を採用しているんだというお話ありましたが、やっぱり業種も相当影響しているのではないのかなと。言わば、IT産業は非常にこういう制度を入れやすいといいますか、取りやすいのではないのかなという気がしてならなかったんですけれども。
 そういう意味では、後ほど松田さんにお伺いしたいんですけれども、規模もありますけれども、業種によるやっぱり格差というのがあるのではないのかなと、こういうふうに思うわけであります。ですから、そのところを自分の企業、今の会社を振り返ってごらんになりまして、うちの会社こういう業種だから中小でもやれたのかなと、そういう御感想をお聞かせいただければ有り難いと思います。
 それから、川口参考人でございますけれども、今申し上げましたが、それと同じような質問の中で、何ページですか、この調査の企業数なりを、八百六十三社あるんですけれども、これの規模といいますか、規模と、それから今、家本さんにもお伺いしましたように、業種がどういう業種になっているのか、そのことを少しお聞かせいただければまたほかの参考人の方々との関連も出てくるのではないのかなと、そういう思いでございましたので、是非そのところを教えていただきたいと思います。
 それから、松田参考人には、今申し上げましたように、どうも規模だけじゃなくて業種のところを一つ教えていただきたいというのと、もう一つは、一番最後の方でおっしゃいました、私ども政治をつかさどる者として、税制あるいは財政的な支援というのが時間の関係上余り、少なかったわけですけれども、もう少し具体的なところがございましたら是非そのところを参考までに教えていただければ有り難いと思います。
 以上であります。
#11
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、まず家本参考人から、そして松田参考人、川口参考人、その順番でお願いいたします。
 まず、家本参考人。
#12
○参考人(家本賢太郎君) 御質問いただきましてありがとうございます。
 まず、そのITの産業というポイントにつきましてですが、むしろ私はこれITの産業だからこそ積極的に取り組まなければならない産業である、その代表格であるというふうに思っております。
 ポイントは二つでして、一つは、やはり二十代から四十代ぐらいまでの子育て期の従業員が非常に集中をしている産業であると。特に、私どもも今平均年齢が三十歳ちょうどですけれども、正にその子育て期中心に従業員が構成されておりまして、逆に子育てができない会社だということで辞められてしまうと、会社の中枢の部分がごそっと抜けてしまいかねないということもあろうかなというふうに思っております。
 私どもが事業上の背景でどういうところで取り組みやすかったかというところは一点確かにございまして、ITの産業でもいろんな業種の層がございますが、私どもの場合にはインフラに近いところの層のビジネスをやらせていただいているものですから、例えばドッグイヤーとかマウスイヤーというふうに呼ばれたように三か月、一年で世の中が変わっていくという業種よりは、少しゆっくりと時間が流れている会社なのかなというふうに思います。ですから、例えば人に対して見る見方も、半年、一年で評価をするというだけではなくて、四年、五年という少し長いスパンで会社の経営も考えていますし、人に対する戦略、人事戦略も立てられるのかなというところの特徴はあろうかと思います。
 やはり、例えばシステムの開発ですとか電子商取引ですとか、こういった分野ですともう世の中、三か月、半年単位でころころ変わっていきますけれども、私ども大体一つの事業投資が四年、五年ぐらいの投資ですから、そこの余裕は確かに私どもの場合、有り難いことにあったのかなというふうに分析しております。
#13
○会長(広中和歌子君) では、松田参考人。
#14
○参考人(松田茂樹君) 御質問ありがとうございました。
 まず、業種の格差に関しましてですが、実は、私の調査ではサンプルが少ないですので明確には出ないのですけれども、日本労働研究機構が分析した調査があります。それによりますと、公共系といいますか、それから金融、サービス、この辺りは実は両立支援は比較的充実していると。それに対しまして、そこで充実度が低かったところが製造業あるいは鉱業といったところです。
 二点目の御質問ですけれども、中小企業、中堅企業に対する何か支援策ということですけれども、実はこれは社会学の限界でありましてなかなかいいアイデアがないのですけれども、二点挙げられます。
 一点目は、直接的に、育休の社員が出たとき、その代替要員確保の給付を行うということです。これは二十一世紀職業財団が実は現在もう実施しております。しかしながら、その金額は極めて低いものです。一人育休社員が出てその代替要員を確保するときには、一人目の場合は中小企業は五十万、二人目以降は十五万と。これではやはり両立支援にならないのではないかと、まずここの引上げということが案として一つあります。
 もう一つですけれども、これは少し話が違ってしまうかもしれませんが、実は福岡県が注目される制度を導入しました。それは何かといいますと、こうした両立支援をする企業が、先ほどの川口先生ではないですけれども、情報公開をします。このような育休制度を導入している、あるいは短時間制度を導入していると、取得者が何人いると。それを県が取りまとめまして、子育て応援企業というものをつくるわけです。そこに登録した企業に対しましては、国民生活金融公庫と提携しておりまして、その福岡県のですね、その企業に対しては少し良い利率で融資するという取組を進めています。
 実は、これは行政としても懐が痛みませんし、これは国民金融公庫としましても、そうした両立支援が充実している企業というものはそのふるいに実は掛けているわけですね、余り変な企業は外していると。そういいますのは、リスクが少ないということで融資ができると。こうした方式をどんどんと広げていくという方法はあるかと思います。
 済みません。以上でございます。
#15
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 じゃ、川口参考人。
#16
○参考人(川口章君) 野村先生の御質問は、私が利用しました調査ですね、これの産業とかあるいは企業規模がどのように分布しているかという御質問だったと思います。
 ちなみに、この調査はランダムに企業を抽出して郵送法で行ったものではございますが、やはり回答企業には偏りが生まれております。例えば産業ですと非常に多いのが、サービス業の回答が非常に多かったと。これが三七%ほど、全体の三七%ほどがサービス業でございます。次いで多いのが製造業、三〇%、それから小売業が九%というふうに、サービス、製造、小売なんかの産業で回答率が高いということですね。一方、飲食店でありますとか通信業でありますとか、こういう産業では回答した企業が少ないということでございます。
 一方、企業規模ですけれども、これは余り小さい企業にまで調査を広げておりません。百人以上、正社員百人以上をめどに調査票を送付いたしました。したがって、百人以下の企業はないわけです。一番企業規模として多い規模は、三百人以上五百人未満という辺りに三七%の回答した企業が集まっているということでございます。それ以上になりますと、例えば五百人以上七百人未満が約二〇%、七百人以上千人未満が一〇%、千人以上二千人未満が一〇%、二千人以上がまた一〇%というふうに、ほぼ中堅企業から大企業にわたってかなり、企業規模に関しましてはかなりうまく分布した調査ではないかというふうに認識しております。
 以上です。
#17
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では、次の質問者、藤本祐司さん。
#18
○藤本祐司君 民主党の藤本でございます。
 今日は、家本さん、川口さん、松田さん、どうも本当にありがとうございました。大変興味深い、ためになるお話をいただきまして、お忙しいところ、ありがとうございます。
 ただ、今日は、どちらかというと子供を産んで育てると、そういう側面においてのワーク・ライフ・バランスというのが大体の中心であったかというふうに思いますが、家本参考人がおっしゃったように、ワーク・ライフ・バランスというのは子育ての問題だけではなくて、もっと働き方、独身の方も、あるいはもう子育てが終わった方も、お子さんがいらっしゃらない方も、こういう方々を含めての考え方というのがあるのかなというふうに思ってちょっとお聞きしたところなんですが。
 ちょっと、皆様方の今日の発表と同時に、少し前もって皆様のいろんな原稿とか論文とかを読ましていただいて、それも含めましてちょっとお聞きしたいんですが、家本参考人が、社員が充実した仕事、生活を送ることができなければいい仕事ができないんだというふうにおっしゃっておりまして、正にいわゆるCSというのを高めるためにはESが必要だということを実践されているんだろうと思うんですが、ただ、先ほど来、企業の規模というお話もありまして、そんなことは非常に分かっちゃいるけどなかなかできないというのが現実なんだろうなというふうには思うんですが、そこを実際にやられているということで大変興味深いんですが、普通はもうこれ、短期的な生産性というものを度外視すると実際事業、企業自体が成り立たなくなるということで、どうしてもそこに集中してしまうということの中でやられているというのは非常にすばらしいなというふうに思って聞かしていただいたんですが。
 ちょっとそこで、子育て、育児休暇制度以外のところでもいろんな取組をされているという、そこのところを少し家本参考人には詳しくお聞かせいただきたいことと、あと、それを導入するにおいてのいわゆるフリクションというか、何か障害があるのかどうかということと、あと一つ、外国籍の方が多いということなんですが、川口参考人のほかの論文でもいろいろ国によって違うという分析をされているんですが、家本参考人、その外国籍の社員によって多少考え方とか何か違いがあるのかどうか、ちょっとそこのところを具体的に少し教えていただきたいと思います。
 続きまして、川口参考人に少しお聞きしたいと思っておるんですけれども、ほかの論文で、いわゆる女性の就業率と出生率というのが国によって正の関係になったり負の関係になったりということで、その辺は文化とか風土とか習慣とか、その辺りが非常に大きくかかわってきているということであるとか、あるいは女性のエンパワーメントの強いか弱いかによって大分そこの両立支援というところの取組が変わってきているということを非常に面白く読ましていただいたんです。
 そして、女性の賃金上昇という、賃金が上がるということについて、育児機会の費用、機会費用がむしろ高くなってしまって、出生率に対しては負の効果を及ぼすというふうに言われているんですが、そこをちょっとお聞きしたいのは、賃金上昇というのはいわゆる労働時間を長時間化してしまうと、そういうことによってむしろ育児時間の機会費用が高くなるというような意味を言われているのかどうか、少しお聞きしたいと思います。
 あと、最近、先ほど業種、業態、企業の規模ということで違いがあるということなんですが、IT化とかということによって、必ずしもその拘束労働時間によって賃金というのが、それだけで決まっていくものではない領域というのもあるんだろうなというふうに思うんですが、その領域というのがもう拡大しているのか、あるいはもうこれ以上、それほど拡大しないと見ていいものなのかどうかということを少しお聞きしたいというふうに思っております。
 そして、国によって若干違うというのは、特に女性の労働力化、労働力というか就業率の違いということが、日本、地中海ヨーロッパというのは家族主義だというふうに言われておりまして、正に格差の問題でもそこのアメリカとイタリアをよく比較されて、イタリアは家族主義だというふうに言われているんですが、日本もそこのところからどう脱皮できるのかというところが非常に大きいことなのかなというふうに思っておりまして、長い間の伝統であったり国民性であったりというところの意識を変えるというのは非常に、言葉としては簡単なんですが、難しいところだと思いますが、ちょっとそれについてのお考えがあれば教えていただきたいと思います。
 続いて、松田参考人にお聞きしたいのは、私は実は議員になる前にUFJ総合研究所に十五年間勤めておりまして、大体同じような勤務形態を取っているんじゃないかなというふうに思うんですが、具体的にワーク・ライフ・バランスを進めていくという意味で御社自体がどういう制度を持っていらっしゃるのかということを少しお聞きしたいということと、いわゆる両立、仕事と、いわゆる企業の両立支援ということを企業側から言われたんですが、あと延長保育というのも非常に重要だというふうに言う論文もありまして、確かに大企業あるいは業種によっては、労働時間を短縮するとか休暇を自由に取れるようにするとか、育児休暇ということではなくて、もっと自由裁量で取れるようにするというのが理想的なんだろうと思うんですけれども、なかなかそれができない部分については社会全体で支えるという意味で延長保育とか、そういうところが必要なのかなというふうに思うんですが、その辺のやっぱり考え方というか、大企業あるいは中小企業支援という意味での延長保育の必要性ということについて、少し詳しくお聞きしたいと思いますので、お願いします。
#19
○会長(広中和歌子君) では、まず家本参考人、お願いします。
#20
○参考人(家本賢太郎君) 御質問、ありがとうございました。
 正に、ワーク・ライフ・バランスというのがその育児支援だというだけにとらえられてしまうのは、これは私はよくないというふうに思っていまして、私どもの中でもいろんな取組を進めております。
 まず、一番その重要なポイントといたしましては、実はワーク・ライフ・バランスに取り組むことがベンチャー企業にとって経済合理性を欠いているかどうかという議論もあるんですけれども、これはいろいろやっぱり私たちも議論をした結果、実は、やっぱり従業員がころころ辞めてしまってその都度採用コストが掛かるとか教育コストが掛かるとかいうことで、要はつまり会社に対して従業員が満足していなくて離職率が高くなってしまう、回転率が高くなってしまうということは、実はこれ非常に見えないところでコストが掛かっているんじゃないだろうかと。
 それから、結局、ベンチャーの企業の場合には、ある一定のスピードで成長していくことが求められているものですから、計画の後ろ倒しというのはまずまあ認められないというか、考えにくいわけですね。ある一定のスピードできちんと成長していかなきゃいけないと。なので、例えば二年間止まりました、三年間計画が止まりましたということはまず許されないというところがありまして、まず重要なポイントとしては、その経済合理性の面についての評価をした上で、我々ワーク・ライフ・バランスに対して取り組んでいるつもりでございます。
 じゃ、その育児支援以外のところでどういうところがあるかと申しますと、いろんなプログラムを我々は持っているんですが、その中で実際に使われたものだけ申し上げますと、例えば御両親、社員の両親の体調の関係で、日本の中での転勤に応じられないと。我々みたいな中小、ベンチャーの企業の場合というのは、転勤に応じられないイコール、まあよくあるのがその会社を辞めなければならないようになるというようなこともあるわけなんですけれども、こうしたものについてはクオーターレビューと言われる、四半期ごとに私が全部の社員と海外も含めて会って状況を常にウオッチするというプログラムを持っておりまして、それによって問題を把握して個別に配転については配慮をすると、まあこれは役員会レベルで最後検討しますけれども、というようなこともやっております。
 それから、資格の取得でも、大企業では当たり前のことですが、やっぱり中小の企業ではなかなか従業員の資格取得に対して支援をする、費用を一〇〇%負担するというのはなかなか難しいんですが、これも二年ほど前から、個別にその内容を見るのではなくて、ある程度の幅でこういう資格に関してであれば取得することに対して一〇〇%基本的には会社がその費用を負担するというようなプログラムを持っておったりもします。
 この辺まではまあある程度あるところなんですけれども、例えば私どもの場合、外国籍の社員が多いという背景で、日本語を習いたいというニーズもあるんですね。これはなかなか難しいのが、英語とか中国語のような、最近駅の近くで勉強できるような英会話スクールなんかがはやっていて、そういうのは夜やっていたりするんですが、日本語を勉強しようと思うとなかなか仕事終わってから通える学校というのは多くなくて、勤務時間のシフトを考慮しなきゃいけないということで、そういうケースに関しては費用も出しますし、勤務時間に関しても考慮をして、午前中日本語学校へ行ってから会社に来るというのを認めていたりもします。
 それから、もっと言うと、やっぱり遠く離れたところに働きに来ていますので、なかなか精神的なストレスも当然外国籍の社員はたまることもあるということで、ある一定の期間、一年以上勤務した社員に対しては、ホームリーブプログラムという、家に帰るための旅費を会社が負担してあげると。一年に一回だったら何回でも使えるんですけれども。というのを持っておりまして、例えばヨーロッパから来ている社員ですと一回帰るのにある程度のやっぱりコストが掛かりますから、そうしたものを会社が負担しますよというようなもので、リフレッシュしてきてくださいねというような取組なんかもやっておったりします。
 全体的に、私どもやはり有休の消化の面で外国籍と日本籍で差が出てくるのかなというふうにずっと見ておるんですけれども、実は外国籍のやっぱり従業員の取得率が上がってくるのに対して引っ張られて日本籍の従業員の社員の取得率が上がっていくという傾向がありまして、トータルで見ると実はあんまり差がないというような状況もございます。
 それから、育休に関しては、実は男性の育休が四人昨年度出たんですが、これはたまたまでしょうけれども、全員とも外国籍の社員でして、フランス籍、マレーシア、それから台湾、中国ということで、日本籍の社員がその中にたまたまだれもおりませんでしたが、こういうのが出てくると、先ほどの有休の消化と同じように引っ張られていくところはあるのかなというふうに見ておりまして、それほど心配をしている、危惧しているという状況にはない、そんな感じで全体的にまとめて見ております。
#21
○参考人(川口章君) 御質問、どうもありがとうございました。
 藤本先生の御質問は四点にまとめられると思います。第一が、ワーク・ライフ・バランスと出生率の関係ですね。特に国際比較なんかでどうかということ。第二点が、女性の賃金上昇と子育ての機会費用の関係。第三が、拘束時間が比較的短くて自由な労働時間が選べるような、そういう仕事が増えているのかどうかという御質問。第四点が、日本はいわゆる家族主義的な社会から脱却できるのかという点。この四点だったというふうに理解しております。
 まず、第一点について回答いたします。
 世界的に過去二十年間ぐらいワーク・ライフ・バランスの充実度でありますとか女性の就業率とそれから出生率の関係のデータがかなり蓄積されまして、女性の働きやすい社会では出生率が高いのか低いのかという議論が盛んにされています。現在、ある程度一致といいますか傾向が分かってきていると思います。といいますのは、共通しているのは、ほとんどの国では、長期的に見ると、女性の就業率が高まると出生率が落ちると。つまり、女性の就業率の高まりと出生率は負の相関関係にあるということが時系列で見ると分かります。
 しかしながら、女性の就業率が上がると急激に出生率が下がる国と、女性の就業率が上がっても余り出生率の低下を招かない国と、その程度の差がかなり大きいということです。日本とか南ヨーロッパの国々は、女性の就業率が少し上がりますと出生率が非常に大きく低下します。それに対してアメリカとか北欧では、女性の就業率が上がっても出生率の低下はわずかでした。
 この違いが何かといいますと、そこでワーク・ライフ・バランスの充実度が介在していると。つまり、ワーク・ライフ・バランスが充実している国では、女性の就業率がどんどん高くなってもそれほど出生率は下がらないと。国によっては、逆にむしろ多少上昇しているような国も見られるということでございます。
 第二点、女性の賃金と機会費用、子育ての機会費用の関係でございますが、これは、まず機会費用というのは何かと申しますと、例えば時給の低い女性と高い女性ですね、例えば八百円の時給で働いている女性と大卒で二千円ぐらいの時給で働いている女性、時間当たりに直して、それぐらいの賃金で働いている女性を比べますと、例えば残業をせずに家に帰った場合、時給八百円で働いている女性は残業一時間減らすことによって八百円のロスしかないと。ところが、時給二千円で働いている女性は、残業一時間減らして家に帰ると、そこで二千円分入るはずの収入が入らなくなるということでございます。したがって、女性の賃金が上がれば上がるほど、仕事を休むことによる収入の減少が大きくなると、これが機会費用であります。ここから女性の賃金上昇が出生率を下げているのではないかという議論がなされております。
 第三に、拘束時間が比較的自由な労働というのは増えているのかどうかということでございますが、これは先ほどの家本さんのお話にもありましたように、IT産業でありますとか、特に知的な労働を行っている人たちは比較的自由な時間の配分が可能であります。実際、今日、女性の社会進出が進んでおりますのもそういう分野で、比較的高学歴の女性で比較的自由な時間配分が可能な人たちが社会進出をしているということでございます。
 こういう分野は今後とも増えると思うんですけれども、ただ、そういう知的な労働では比較的自由な時間配分が自分で調整できるけれども、相変わらず大多数の、例えば工場労働でありますとかいうところではなかなか自由な時間配分は自分では計画できないということで、これをほうっておきますと、やはり女性内で階層化というのが進むおそれがあるのではないかというふうに私は考えております。
 それから第四点目ですが、日本は家族主義から脱却できるのか、つまり子育てでありますとか介護でありますとかそういう福祉を家族に頼っている、これが日本とか南ヨーロッパの特徴なんでありますけれども、これから脱却できるかどうかということですが、これは非常に時間の掛かることだと思います。ただ、その中でどういう方策が効果を持つかというと、やはり私は職場でのワーク・ライフ・バランス、仕事の仕方をだんだん変えていくということが重要ではないかと思います。
 先ほどの松田さんとか家本さんの御体験もありましたように、職場でそういう育児休業を男性も取れるとか、あるいは育児に参加できるというような環境が整っている職場では、やはり男性も取る人が次第に増えているわけですね。私も大学ですから比較的時間の自由が利くようなところですけれども、大学でもやはりほかの民間企業と比べますと、育児に参加している教職員が多いというふうに認識しております。
 したがって、そういう職場のワーク・ライフ・バランスを充実させていくことによって男性の意識も変わってくる、それによって社会全体の意識も次第に変わってくるのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#22
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では、松田参考人、お願いします。
#23
○参考人(松田茂樹君) 御質問ありがとうございました。
 そうしましたら、二点についてお答えいたします。
 まず一点目は、そもそも私が所属している会社の両立支援がどうなっているかという話と、二点目は延長保育の問題でございます。
 まず一点目ですが、私が所属しています第一生命経済研究所というところは、第一生命の子会社でございます。調査研究を専門にしております。収入面での待遇は平均的なのですけれども、ワーク・ライフ・バランスという面での待遇は極めていいところです。
 具体的に申しますと、育休制度、もちろん短時間、そして短時間勤務も選択できます。そして、フレックスタイムを導入しているということが大きいです。コアタイムは十時から三時になっております。ですから、三時に仕事を終えて子供を迎えに行く社員もありますし、もちろん私も行っています。
 ただし、ただ、何よりワーク・ライフ・バランスに当社、利いていますというのは、労働時間が実は短いんですよ。九時―五時とは申しませんけれども、余り残業をよしとしない会社といいますか、でありますので、そこが最もワーク・ライフ・バランスに寄与していると思います。先ほどの私の話にも通じます、これは。
 なぜそれが可能となっているかということですが、一点目は、やはり調査研究という特殊な環境であると思います。これは何時から何時まで働けばアウトプットが出るという性格のものではないですので、やはり時間のやりくりが利くということですね。
 二点目は、やはり経営的な体力の問題があります。やはり、バックに付いています企業は第一生命ですので、そこの理解を得て、体力という面では強いです。
 三点目は、やはり上司の理解ということが大きいと思います。これは、お二方の別の先生も触れられておりましたが、やはり上司の理解なくしてワーク・ライフ・バランスは進まないと。
 当社は、加藤寛先生ですか、が会長を務めておりまして、今名誉会長ですけれども務めておりまして、また社長も、歴代の社長もこうしたものに理解があったということです。これがまず第一点目の答えになります。
 二点目は、延長保育の問題です。これは極めて私も悩ましい問題であると思います。
 実は、短期的な問題と中長期的な問題に分けて申し上げたいと思いますが、短期的には延長保育をどんどん増やすべきだと私は思います。なぜかといいますと、現状において労働時間が極めて長い、これは男性はもちろんのこと、女性の正社員もどんどん延びています。となりますと、延長保育がここで利用することができなければ、恐らく仕事と子育ての両立はできなくなり、仕事を断念するか若しくは子育てを断念する、つまり子供を産まないという選択ですね、産めないという選択になると思います。ですから、短期的には延長保育をそれこそすべての保育園に義務付けるぐらいのことが必要ではないかと思います。
 しかしながら、中長期的に見るとどうかといいますと、やはり延長保育をどんどん延ばしている国というのは、実はそんなにあるようには思えません。といいますのは、労働時間、特に欧州の労働時間もっと短いですので。ですから、延長保育をどんどん延ばしてどんどん働けるようにしましょうという方向での両立支援は、実は間違っていると思います、世界的に見ると。このままいくと二十四時間保育になってしまいますので。それで、これは冗談ではない方向に行っていると思いますが。
 なぜ延長保育が問題かといいますと、一点目はやはり子供の問題です。これは保育関係者の話としてはよく言われることです。子供への悪影響があるんではないかと。実は、私も全国私立保育園連盟の調査に私委員長としてかかわりまして、延長保育をしていることと子供の発達度を分析したのですが、どうも自己主張ばかり強いのだけれども自己を抑制できない、それはストレスが恐らくたまっているんですね、延長保育等をしている子供の場合です。ですから、これは子供の発達環境としてやはり望ましくないのではないかと見られます。
 二点目は、二十四時間とは言いませんけれども、それだけ長時間子供を預けて働くことをそもそも普通の人が望んでいるかと。そうであれば、やはり子供を産まないという選択を多分すると思います。ですから、我が国の少子化傾向を止めるためには、やはり延長保育をこのまま延ばしていくという方向はまずいと思います。
 何をしたらいいかということは、やはり企業が育児期の社員の労働時間を短くする、それを義務付けるですとか、何時間と制限すると。そうなりますと、延長保育もいずれなくなるはずですので、そうした方向に誘導していく必要があるのではないかと見られます。
 以上です。
#24
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では、澤雄二さん。
#25
○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。三人の参考人の皆さん、本当に今日はどうもありがとうございました。
 最初に家本参考人にお伺いをいたしますけれども、家本参考人に対する皆さんの御関心は同じところにあるようで、中小企業でよくそんなことができるねというところに先ほどからの御質問の焦点があって、同じことになるかもしれませんけれども、家本さんの御発言の中で、ほかの経営者からよくそんなことやってるねって、余裕があるねって言われたって話もありました。
 それから、川口参考人の数字の中で、ワーク・ライフ・バランスができているところは大企業だと、中小企業ほど難しいんだというお話がありました。そこのところを家本さんの企業はどのようにして乗り越えられているのか。要するに、ワーク・ライフ・バランスをやるのはコストが掛かるということですね。その答えは先ほど幾つかお聞きしましたが、更にあれば。それから、もしかしたら大変失礼なことを聞いていて、うちの会社はそんなこと問題にならないぐらい利益率が高いんだというんならそれでもいいんですけれども、教えていただければというふうに思います。
 それから、川口参考人にお伺いいたしますけれども、今日示していただいたグラフの中で、ワーク・ライフ・バランス施策の効果が大いにあった企業の割合というのがありまして、その中で上位の方に、女性従業員の定着率を高める、女性従業員の帰属意識やコミットメントを高める、女性従業員の勤労意欲を高めるというのが上位四番目の中の三つを占めてますね。具体的にこの企業はワーク・ライフ・バランスとして子供の対策をどのようなことをされたのか。多分それとの兼ね合いで効果があったなかったという数字になっていると思うんですね。先ほどから議論になっております職場復帰の問題とか休暇の問題とか待遇の問題ですね、そういうのはこの企業はどういうことをされたのか、もしお手元に資料があれば教えていただきたいなと思います。
 それから、これからどうするかという課題の中で、企業がワーク・ライフ・バランスを何をしているか実態が分からないとというお話の中で、一つこういうお話がありました。企業はワーク・ライフ・バランスよりも賃金で優秀な労働者を集めようとするというのが。情報を公開しないとこういうことが起きるよというのが、お話がありました。これを伺っていて、これは十分あり得ることで、これはワーク・ライフ・バランスにとって大変手ごわい相手ではないかと。
 ですから、我々日本人がどういうふうに考えるかですけれども、ワーク・ライフ・バランスという価値観よりも取りあえず給料の高い方がいいんだということを選んでしまうと、このワーク・ライフ・バランスを進めようとしている当委員会としては非常に手ごわい敵だと。ここのところをどういうふうにお考えになっているかという話。
 それから、さっき質問にもありましたけれども、欧州では女性の就業率が高まると出生率が下がるというお話がございました。で、これは是非教えていただきたいんですが、そのワーク・ライフ・バランス、特に子育てが充実すると女性の出生率は必ず上がるというお話を今日は聞かせていただきたいなというふうに思います。
 それから松田参考人には、これは質問ではなくて、育児休暇のときの休業補償ですが、たしかこれは来年度から四〇%じゃなくて五〇%になるんじゃないかと思うんで、それだけ確認をさせてください。
 以上であります。
#26
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 じゃ、家本参考人。
#27
○参考人(家本賢太郎君) 澤先生、御質問ありがとうございました。
 まず、なぜできているのかという点でございますけれども、二点あると思っております。
 一つは、やっぱり経営者の周辺の協力が、あるいはその同意が得られているというところでございまして、これはひっくり返しますと銀行、金融機関ですとか、私どもですと機関投資家、株主、こういったところに、ワーク・ライフ・バランスに取り組むことを今ですと完全に一〇〇%すべての方から同意をいただいていて、それに対して取り組むことが我々の経営の戦略上非常に重要であるということをよく御理解いただいているというところがございます。
 もちろん、このためにはずっと説明を繰り返してまいりまして、御理解をなかなかいただきにくいところも中にはありましたが、特に金融機関の皆さんには説明会を開いたりあるいは実際に私が出向いてワーク・ライフ・バランスに対して取り組むことの意義を申し上げて、これは経営の遅滞にはならないということをきちんと御説明申し上げたところが、一つ我々がこういうふうにきちんと進めることができている背景になっているかなというふうに思っております。
 それからもう一つは、そもそもやるかやらないかというところにもかかわってきますけど、私自身の信念的な部分もございますが、やはりちょうど私、今ちょうど二十五歳ですけれども、私の世代というのはこれから子育ての世代に入っていくところで、今一歳二か月の女の子の父親を今私もしているところなんですが、自分自身が子育てにやっぱり直面するようになって、自分の妻が働くか子育てをするかというのを悩むのを目の当たりにすると。で、しかも住む場所によって、私は東京都内に住んでおりますけれども、やはり細かくいろんな事情が違うことを目の前でリサーチをしていると、これはきっと我々の従業員の中も同じ問題を抱えているんだろうというところで、非常に関心の度合いが高まるところにたまたまいれたのかなというふうに思っております。
 先ほどほかの経営者の方のお話をちょっと持ち出しちゃいましたけれども、やっぱりそういう経営者の方というのは年齢がちょっとやっぱり世代が違いまして、私の父親以上の世代の経営者の方からは、本当にそれでうまく経営回るのかと、大きいことを言っているようだけど、本当にそれでちゃんと利益率上がっていくのというふうに言われておりますが、ずっとこの何年かも二〇〇%弱、昨年から今年も一九〇%ぐらいの成長ができておりますので、経営自身も結果が出ているのかなというふうに思っております。
 ありがとうございました。
#28
○参考人(川口章君) 澤先生、どうもありがとうございました。
 御質問が三つあったと思います。
 まず第一は、ワーク・ライフ・バランス施策を実施した企業で生産性が上がっているという、そういう傾向があるという報告をいたしましたが、どういう対策が効果があったのかという御質問でございます。
 これはまだ分析の途中でございまして、結果が非常に明確に出ているわけではないんですが、今分かっている範囲では、割と効果があったのが短時間勤務制度ですね。それからフレックスタイム制度、これは出社とか退社を個人が自由に選べる制度です。それから子供の看護制度、これは育児休業が終わった後、子供が病気になったとき会社を休めるという制度、この辺りが比較的利用されている企業では生産性に効果があるということでございます。
 それから第二点目は、私が課題として御説明いたしました情報公開の制度の関連でございます。
 ワーク・ライフ・バランスより、賃金を高めて優秀な人材を集めようとする企業が多いのではないか、ワーク・ライフ・バランスの情報がない状況ではそうなってしまうのではないかということを私は申し上げました。実際そのとおりだというふうにおっしゃっていただきましたけれども、もう少し説明いたしますと、私は、すべての企業が同じようにワーク・ライフ・バランス施策を提供する必要はないと思います。
 先ほどから議論になっていますように、業種とか規模とかあるいは企業の得意不得意というのがありますから、ワーク・ライフ・バランスが非常に、比較的やりやすい企業とやりにくい企業というのがあると思います。ワーク・ライフ・バランス施策を実施しやすい、そういう業種でありますとかそういう環境にある企業はそれをどんどん実施していただいて、そこを企業の売りにして、魅力として優秀な人材を集めればいいし、それができにくい産業では逆に賃金で優秀な人を集めればいいと。そういう、企業の側にもそういうワーク・ライフ・バランスがやりやすい企業、やりにくい企業、労働者の側にもワーク・ライフ・バランスを非常に切実に要求している労働者とそうでない労働者といますから、情報をきちんと公開することによってミスマッチが少なくなると。ワーク・ライフ・バランスが必要な労働者は多少賃金が安くてもそういうのを充実している企業に就職できるし、ワーク・ライフ・バランス必要じゃないよという人はワーク・ライフ・バランスはないけれども賃金が高いという企業に就職すればいいと。そういうことで労働市場でのミスマッチがなくなって、より効率的な市場になるのではないかというふうに考えます。
 それから、先ほどの御説明で、ヨーロッパでは女性の就業率が高まると出生率が下がるというふうに説明いたしましたが、もう少し正確に申しますと、女性の就業率が上がった場合に、例えば、同じヨーロッパでも、南ヨーロッパでは非常に大きく出生率が下がりました。一方、北ヨーロッパ、スカンディナビア諸国と言われているようなスウェーデンやノルウェーでは、女性の就業率が上がってもそれほど出生率は低下しませんでした。ここの違いがワーク・ライフ・バランスの違いであるというふうに私は考えております。だから、女性就業率の上昇と出生率の低下というのはほとんどの国で観察できるわけでございますが、ワーク・ライフ・バランスが充実していると出生率の低下がかなり抑えられるということでございます。
#29
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#30
○澤雄二君 一ついいですか。
#31
○会長(広中和歌子君) どうぞ。澤さん。
#32
○澤雄二君 先ほどもそういうことをおっしゃったので、つまり、ワーク・ライフ・バランスを充実させれば出生率の低下を防ぐことができるではなくて、ワーク・ライフ・バランスを充実させたら出生率は上がりますというようなことは言えませんか。
 つまり、どっちにしても出生率は下がるんだったら、困ったことだなというふうに思っておるわけですよ。
#33
○参考人(川口章君) 私は現在あるデータから判断するしかないので、現在あるデータでは、スウェーデンとか北欧の一部の国で非常にワーク・ライフ・バランスが充実して、女性の就業率の上昇と出生率の上昇が同時に近年起こっている国もあるという事実はあります。
 日本がそういうふうになるかどうかというのは今のところは何とも申し上げられませんし、もしなるとしても、かなり充実した制度を官民挙げて実施しないとできないのではないか。今の状況を見ますと、低下をまず何とかとどめるというのを目標にする段階ではないかというふうに私は考えております。
#34
○澤雄二君 済みません、ありがとうございました。
#35
○会長(広中和歌子君) 次、松田参考人、お願いします。
#36
○参考人(松田茂樹君) これは育休制度のあれですね、所得保障が四〇%から五〇%という話で。
 本日は、あくまでも現状について申し上げましたので四〇%と申しました。失礼いたしました。
#37
○会長(広中和歌子君) では、次の御質問者、井上哲士さん。
#38
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は本当にありがとうございます。
 まず、家本参考人にお聞きしますが、先ほど来、なぜ中小企業でこういうことができるのかというのが関心の正に中心なんですが、これまでこういう努力をされてこられて、それを更に進めるという点で、そしてこういう中小企業、取り組むところを増やしていくという点で、具体的な支援としてはどういうことを求められているか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思いますのと、それから、松田参考人から男性仕様の支援策というお話があったんですが、そういう角度から見たときに御社ではどういうことがあるのかということをお聞きしたいと思います。
 それから、川口参考人にお聞きするんですが、先ほど家本参考人のお話の中で、金融機関とか投資家に非常に説明するのにかなり努力をされたお話が出ておりました。この間の一連の会社法の改正などでも、どちらかというと、そういう利益を株主等に還元をするとか、それから早めのやっぱり投資の回収をするという傾向が非常に強いという中でありますと、やはり短期的な利益を求めるということは、今日のお話なんかを見ていても、やはりワーク・ライフ・バランスの取組とはいささか矛盾をする傾向があると思うんですね。
 そうしますと、企業のインセンティブを上げていくということと同時に、やはり一定の制度的縛りというものを掛けないとうまくいかないんではないかと思いますし、ワーク・ライフ・バランスも希望する労働者は希望し、そうでない者はというよりも、国全体としてやっぱりこれを高めていくというのが政治にとっては必要だと思うんですね。
 そういう点で、制度的にやるとすれば、優先順位としてどういうものが必要とお考えかということをお聞きしたいと思います。
 それから、最後、松田参考人にお聞きしますが、事前にいただいたものをいろいろ読んでおりますと、結局、労働時間の関係で、特に男性の労働時間で、フレックスタイムなどがあっても実際には時間管理の融通が利きにくい就労環境が非常に多いんだということが繰り返し書かれております。
 それで、この間の、先週の参考人でも議論になったんですが、今国会でいわゆるホワイトカラーエグゼンプションというものが出される話もありました。むしろ、これをやれば家庭で過ごす時間が増えるんだというような説明もするやにもあったわけですが、実際上、やはり今のこういうフレックスタイム制度などの現状を見ますと、我々はそうはならないとは思っておるんですが、その辺いろいろ実戦に出ておられて、今言われているああいうホワイトカラーエグゼンプションというような制度がワーク・ライフ・バランスにとってどういう作用を及ぼすとお考えか、それをお聞きしたいと思います。
#39
○会長(広中和歌子君) それではまず、家本参考人、お願いします。
#40
○参考人(家本賢太郎君) 井上先生、ありがとうございます。
 まず、私ども、仕事の前提で申しますと、実は二十四時間体制で動く仕事なものですから、だれか一人抜ける、二人休むとかというようなことはある程度想定をしながらやっておるところなんですけれども。
 やはり、従業員に去年ちょうど十二月にアンケートを取ったもので、どういうワーク・ライフ・バランスに対して取組を会社に期待するかというときに出てきたものの二つが、一つはワークシェアリングを、今は概念的に会社で適用して運用しているだけで、ルール化はしていないんですね。もう一つは、ドミノ人事制度と。これはワーク・ライフ・バランスを取り組むアメリカの企業、ヨーロッパの企業なんかでよくあるんですけれども、ポストが空いたときに、下のポストの人間にその上のポストの人間が休んでいる間チャレンジさせて、できるだけ上にどんどんどんどん引き上げてそのチャンスをつくっていこうというような取組がございますけれども、そういうものについて、会社としてワーク・ライフ・バランスを取り組むと同時にその制度化をしてほしいという意見がございました。
 まず、ワークシェアリングについては、単純に人数を増やせばいいという話よりも、仕事を共有するためにいろんなやっぱりシステムを導入したりとか、会社の中でルール決めをしなきゃいけないところがありますので、その辺りをもう少し、中小企業でできる範囲で私たちも必死に頑張っているつもりではいるんですけれども、経営に対してはやっぱりもう少しその辺を早く制度化してほしいというような要望が上がってきております。
 ドミノ人事制度については、私どもは二回だけそれに近いことをやったことがあって、あるマネジャー職の人間が育休を取るというときに、その下の人間をそのマネジャーの代行として職務権限をそのまま与えて、更にそこにポストが空いたものですからその下を上げて、このポストが空いたものですから、ここだけは派遣社員でカバーをするというので、三段階のドミノをするというのをやりました。これも制度化されていると、一つは下の人間がチャレンジをしやすくなると。上の人間が休むことがネガティブな話じゃなくて、逆にチャンスが与えられるという話で、ポジティブな話になるというようなことにも考えられるのかなというふうに思っておりまして、そういう制度が欲しいという話が出ております。
 有休の消化率等々で大分、何というんでしょうか、非常に高い消化率を、私ども、外国人の社員ですとほぼすべて使い切るような感じなんですね。日本人の社員では数日残すか残さないかというぐらいのレベルなものですから、そういう細かい問題というのは大分つぶされていて、むしろ人事の制度とかそちらの方で要望が上がってきているというような現状です。
#41
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#42
○参考人(川口章君) 井上先生、どうも御質問ありがとうございました。
 ワーク・ライフ・バランスの制度の、制度的な優先順位を考えてほしいということですが、今日御報告いたしましたのは、いろんなワーク・ライフ・バランスの施策の中で、ワーク・ライフ・バランスに関連する政策の中で一つだけ申し上げたんですけれども、こういう情報公開によってワーク・ライフ・バランスを進めようというのは、これは経済学的に言いますと労働市場の効率性を高めると。情報をみんなが安く手に入るようにして労働市場のミスマッチを少なくして、企業は欲しい人材をより安く手に入れる、労働者は行きたい企業に入りやすくなるというふうに労働市場のミスマッチを少なくするという政策でございます。
 そういう市場機能重視の政策というのは、いい面もあるんですけれども、悪い面としては格差が発生する可能性があるということでございます。これは現在、育児休業制度とかワーク・ライフ・バランス制度を利用している人を調査しますと、大卒の比較的優秀な女性に偏っているわけですね。そうすると、こういう市場機能だけに頼った政策では女性内の格差、学歴格差でありますとか、同じ学歴でも優秀な人とそうでない人の格差が広がる可能性があります。
 それを補完する制度として、やはり国がすべての人が利用できるような保育所をもっと充実させると。今現在では非常に多くの待機児童なんかがあって、なかなかこれが解消されない状態でございますけれども、例えば北欧のフィンランドなんかは法律で、働きたい親が保育所を利用する権利というのを認めているわけですね。だから、自治体はもし自分の自治体にそういう親がいれば、保育所を必要としている親がいれば、これはもう絶対にそういうのを提供しなければいけないという義務があります。そこまで強く義務化はしなくても、やはりそれに近いぐらいの、保育所を必要としている人には保育所を提供できるような、そういう国の保育所政策というのも必要ではないかというふうに考えます。
 以上です。
#43
○参考人(松田茂樹君) 御質問ありがとうございました。
 男性のやはり労働時間が長いという環境では、フレックスタイム制度などもあっても使えませんので、ワーク・ライフ・バランスという面ではそうした様々な施策が余り利かないということは御指摘のとおりだと思います。
 ホワイトカラーエグゼンプションの議論がありまして、そしてそれがワーク・ライフ・バランスにどういう影響をもたらすかという御質問であったかと思います。
 理論的には二つ考えられます。一つは、ワーク・ライフ・バランスを高めるだろうと。二つ目は、ワーク・ライフ・バランスを低くするだろうということですね。
 どこが、何が分けるかということですが、恐らく私は二つあると思います。
 一つ目は労働時間の長さです。労働時間がある程度の範囲に収まっていれば、ホワイトカラーエグゼンプションを入れたときにやはり柔軟に働くことが多分できると思います。そして、労働時間が余りに長ければ、そもそも自由裁量は利きませんので、それは不可能だろうと。
 二つ目が、ホワイトカラーに対する成果ですか、仕事に対する成果を明確に測る人事評価、これができていることが必要だと思います。
 現状について申し上げますと、少なくとも育児期の世代は少し労働時間が今長うございます。そして、ホワイトカラーに対する処遇はまだまだという、評価が確立されていない、むしろホワイトカラーでも労働時間がやはり長い人が良く評価されるという、成果主義という時代であってもですね、という状況がありますので、今の現状を見ますと、ワーク・ライフ・バランスへの影響はマイナスになる可能性があると思います。
 しかし、中長期的に見ますと、これは家本先生の特にお仕事であるITですとか、あるいは当研究所の業務などもこのホワイトカラーに入るわけですが、働いた時間とそして成果はマッチしなくなってきていることは確かだと思います。ですから、中長期的には恐らくそうした自由な働き方ということが選択されてしかるべきだと思います。
 お答えになっているかどうか分かりませんが。
 ありがとうございました。
#44
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 では、小泉昭男さん。
#45
○小泉昭男君 大変詳しいいろいろお話をいただきまして、参考人の方々には感謝申し上げたいと思います。
 私は、もうすべて細かい部分ではなく大くくりで御質問申し上げたいと思いますが、今まで委員の中からも御質問が出ましたけれども、私、日本経済を支えているのは中小企業、零細企業だと思っているんですね。大企業の議論は幾らやっても、これは大企業、力あるわけですから、法が決まればその流れになると思いますね。そういう中で、やはり中小零細、特に小零細の企業に対するお考えをまず伺っておきたいと思いますし、それとまた、今回のこのWLBですか、このお考えの部分、三人から伺いましたけれども、私、全体的に今の状況を見ますと、若いうちに、例えば結婚をいつの時期にするか、それとまた仕事をどうするか、自分のプライベートな時間をどうするか、自分の一生の生活設計の中で自分がどこまで自由にしていくか、そういう部分がかなり大きなポイントじゃないかなと思うんですね。
 一点は、必要は発明の母と言いますけれども、必要に迫られなければ結婚もしないし、夫婦になっても子供ももうけることがないと思うんですね。そういう部分と併せて、企業の中の労働時間の問題と複雑に絡み合っているのが今の現状だと思っておりまして、適齢、適した年齢という意味ですけれども、まず私たち、この地球上に生まれるわけですけれども、生まれてからまず一番最初に接するのは母であり父であると思うんですね。それから家族、友人が増えていくわけでありますけれども、その中で、まず一番最初の仕事は遊ぶこと、自分が学ぶこと、そして社会人に向かっていくこと。そして、でき上がった、大体方向ができてきたときにこの今のWLBに入るわけでございますけれども、私は、そういう意味で、今の社会的な全体の問題もあると思うんですね。先ほど満足度の話も参考人さんの中からお話ございましたけれども、何に満足を求めるかということもまず大きなキーになっているんじゃないかと、こういうふうに思いますけれども。
 大くくりで大変失礼な質問でございますけれども、小零細企業に対する考え方、それと、これからワーク・ライフ・バランスのこの流れについて全体的にどういうふうなことが解決策になるのか、大くくりで結構でございますのでお願いしたいと思います。
 三人の参考人の方、お願いいたします。
#46
○会長(広中和歌子君) じゃ、まず家本参考人からお願いします。
#47
○参考人(家本賢太郎君) 小泉先生、ありがとうございました。
 正に本当に中小の企業、特に規模の小さい企業が私も日本を支えているというふうに思っております。その中でも、私、特に今の先生の御質問に対してお答えをする中で申し上げたいのは、やはり若い世代のベンチャーの企業、まあベンチャーじゃなくてもいいんですけれども、若い世代の経営者が経営をする企業の数が更にやっぱりこれから増えてこなければならないというふうに考えております。
 先ほどの御質問で、私が、自分自身が正に子育て世代にいるというところが一つのポイントになったということも申し上げましたけれども、若い世代の経営者、大体そういう意味では五年から十年ぐらいの経営経験を持っているぐらいの経営者がもっともっと増えてこないと、自分自身が経営者として子育てなりあるいは出産なりということを考えながら経営をするというそのチャンスを持つ人間の割合は高まらないんじゃないだろうかなということも考えております。
 それから、年齢の問題で申し上げますと、ちょっと私事で恐縮ですが、私、広尾の日赤の病院で妻が出産したんですけれども、父親教室に行きましたら、私より十歳以上上のパパしかいなかったと。私の世代というのは実はちょうど空白のどうも世代のようでして、非常に。もう少し若い方であるとまたいらっしゃる山があって、私の世代はちょうど少ない世代で、もう少し、三十代の後半からやっぱり四十代ぐらいになるとまた出産される方の数もちょっと多くなってくるという話みたいです。
 ここは、やっぱり当然近年の女性の社会進出の中での結婚の時期等々もあるのかもしれませんけれども、ひょっとすると何か社会の背景の中にこの時期に結婚をすることの障害というのが何か別のところで要素でもあるのかもしれないというふうに思っていますし、逆に、でも、経営者のスタイルを見ていますと、私からプラス十歳ぐらいまでの経営者の人たちというのは結構子育てをしながら会社の経営をやっている人たちって多いんですね。そこをもう少しフォーカスしていくと、実はみんながみんな子育て支援について中小の企業でも戸惑っているとか何か足が進んでいないという状況ではなくて、結構何とか苦労しながらでも頑張っているという中小、ベンチャーの企業というのはあるんじゃないかなと。
 それが、しかしどうやってやったらいいかというのがなかなか分からなくて、我々はそのNPO法人にいろんなアドバイスをもらいながらやっておるんですけれども、ロールモデルをやっぱり日本の中でも出していくべきなんじゃないかなと。こういう企業のパターンがありますよというのを大企業の例ばっかり我々は見るものですから、これは参考にならぬわという話でどんどんどんどん切り捨てていて、そこの中でやっぱり中小企業の成功モデルが一つでも出てくると、やってみようというところが増えてくるんじゃないかなという期待を率直に持っております。
#48
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#49
○参考人(川口章君) 小泉先生、どうもありがとうございました。
 中小零細企業がワーク・ライフ・バランスを実施するには確かにいろいろ費用も掛かるわけです。私の政策提言との関連で申し上げますと、実は、こういう情報公開制度というのは、中小企業でワーク・ライフ・バランスを熱心に推進し、それによって優秀な人材を集めようとしている企業には非常にプラスに作用するものと考えております。
 と申しますのは、大企業でありますと非常に高いお金を使って自分の会社のワーク・ライフ・バランスを上手に宣伝するということが可能でございますが、中小企業にとってはそういう宣伝に何億円も費やすというのは非常にコストが、負担感が大きいわけです。そこで、政府がこういう統一的な制度をつくって、そこに全部の企業が情報を提供するというふうになりますと、ほとんどコストが掛からずに、求職者から見るとどこの企業でどういう制度が充実しているというのが、そういう情報が簡単に手に入るということで、中小企業のそういう広告費ですね、これの節約という面からも私自身は中小企業の応援にもなるのではないかというふうに認識しております。
 以上です。
#50
○参考人(松田茂樹君) ありがとうございました。
 まず、一点目の御質問であります中小零細企業の問題でございますけれども、私も、こうした企業が日本経済を支えていると、正に同感でございます。先生の御指摘のとおりだと思います。
 やはりワーク・ライフ・バランスといいますと現状ではどうも大企業の取組だと見られている、あるいはそれしか取り組めないような何かハードルの極めて高いものとなっているということが非常に問題だと思います。ですので、対策としては、経済的支援は先ほど申しましたので改めて申し上げませんが、それ以外には、今、川口先生がおっしゃいましたように、中小企業のこうした取組、実は数多くあるはずなんですね、実際あると報告されていますので、それをやはりすくい上げて公開してあげる、こうしたものが必要だと思います。
 現状、厚生労働省がファミリー・フレンドリー表彰というものを行っていますが、極めて大企業的な項目ばかり並んでいまして、中小企業はこれでは無理だと私も思います。ただ、少しでもワーク・ライフ・バランスの施策を導入している中小企業がいましたら、それをどんどん公開していってあげると、そうした話は必要であると、私も同感で思います。
 二点目ですけれども、やはりこうした家族形成を支える、そしてワーク・ライフ・バランスを支えるのは社会の問題ではないかということと、適齢期といいますか年齢の問題に関してですが、実は当研究所で全国の男女十八歳から六十九歳の方にアンケートをした結果があります。そこで、単純な質問ですけれども、日本は子育てしやすい社会ですかという質問をぶつけてみました。そうしますと、八割の方がしにくいと答えるんですね。そして、危惧されるのは、それがまだ結婚していない、つまり子育てしていないはずなのに、未婚の方、男性も女性もそう答えているということだと思います。やはりこれは何とかしなければいけないと私も思います。
 調査結果を見ていきますと、子育てをしたいという方は、実は若者多いんですね。本当に、これは自由選択の問題ですので、結婚も子育てもしない人生も私は選択したいという方もいらっしゃいます。ただ、見ていきますと、どうも五%もいないです。大半はやはり子育てしたいという方なんですね。そうしますと、それをかなえてあげるということは国のやはり役割ではないかと思います。
 今問題となっています二十代の未婚者、つまり二十代の未婚者がどんどん増えているわけですけれども、彼らの結婚意欲を分析した結果があります。これは私が分析しましたが、どうも二つの大きな問題がハードルになっているわけですね。一つは、ここで申し上げたワーク・ライフ・バランスです。やはり両立できない、特に女性で仕事と家庭を両方やっていきたい、継続就業したいという方はどうしても結婚を先延ばししようと、結婚したいと言うんですけれども先延ばししたいという意見があると。その背景には、両立支援がやはりまだ十分であると自分は思わないからということです。
 二点目は、どうもフリーターの問題のようです。非正規雇用が増えていますので、そうした方ですと、一見自主的に選択しているようでありながら、じゃ家族形成となりますと、それができなくなっているという現状がありますので、この二つをどうも解決して彼らの子育てをやはり支えていくということが、これは我が国にとってもこれはいいことではないかと思います。
#51
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 では、小林元さん。
#52
○小林元君 三人の参考人の方、大変今日はありがとうございました。
 二つばかり質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、まず家本参考人でございますけれども、中小企業として、IT関連企業という特殊というか先端的な企業でありますけれども、そういう中で、小さな職場で育児休暇とかあるいは残業時間を短縮するとかというふうなワーク・アンド・ライフ・バランスという政策を取った場合、やっぱり穴が空いてしまうというのはおかしいんですけれども、そういうときに、バックアップシステムというんでしょうか、そういうことをお考えになっているとは思うんですが、そういうものがなかなかでき難いというところが、中小企業になかなか普及できないと、あるいはコストの問題はもちろんあると思いますけれども、その辺のお考えにつきましてお話をいただければなと思います。
 それから、川口参考人でございますけれども、今日は御説明がなかったんですけれども、資料の中で、女性の就業と出生率という中で、仕事と家庭の両立総合指数というような表がございます。その中で特徴的なのは、北欧はあるいはヨーロッパは別でありますけれども、アメリカとフィンランドですか、が出生率が上がっているというふうなところがございまして、その辺について大変指数が高いというのになっているから、そういう結果、出生率が高いんだと、高くなっていると、あるいは回復しているというふうに思いますけれども、その辺の考え方について、こういう、何といいますか、要素、どういう要素を組み合わせてしたのか、ここに書いてありますけれども、その辺のお考え方をお聞かせいただければというふうに思います。
 それから、松田参考人でございますけれども、運用というか、制度はあれども運用が大変うまくいっていないんではないか、特に日本はですね。やはり、これは従来からの終身雇用制といいますか、企業の中で、特に男の場合は、このような休暇、こういうものを、休暇なり支援をすると、子育て支援をするというふうなことになりますと余り評価されないというような時代が依然として続いているのかどうかですね。その辺でなかなか運用がうまくいかないのかどうか、あるいはほかに何か理由があるのか、御説明をいただければと思います。
 それから、参考人の方の御意見を聴くのは今日が最後というふうなことでありますけれども、これはお三人にお伺いしたいと思いますが、ワーク・ライフ・バランスについて、先ほど家本参考人からは、帰国旅費というんですか、そういうものまで会社で負担をするというふうなことのお話がございました。北欧でも、日本ではどうも少子化対策あるいは出生率の回復みたいなところに焦点が当たっているような感じがするんですけれども、そうではなくて、やっぱり北欧、あるいはアメリカはどうか分かりませんが、その辺で、やはり元々、家庭、家族政策というんでしょうか、あるいはもっと幅広い、男女平等とかあるいは男女の共同参画とか、そういう問題があるんではないか。つまり、このワーク・ライフ・バランスの基本理念というんでしょうか、どの辺まで考えればいいのか、そういうお考えがあれば教えていただきたいなと。
 以上でございます。
#53
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 じゃ、まず家本参考人、お願いします。
#54
○参考人(家本賢太郎君) ありがとうございます。
 まず、いわゆるバックアップシステムの部分について御質問をいただいたと思います。
 確かに、ベンチャーの企業というのは往々にして一人の突出したプレーヤーによって会社の成長が行くものですから、その人間に休まれるとか仕事から外れられると、それこそ会社の業績に直結するというようなケースもないわけではありませんで、できるだけやっぱりそういうものをなくすために、会社のリスク管理として、いわゆる一人が仕事をため込まない、あるいは一人が仕事を握らないということはリスク管理の一つとしてやっております。これは、例えば病気で休むとか事故で休むとか、そういうことも含めて、一人に仕事を頼らせないようにしようというような努力はするんですけれども、やはり、いわゆる本当に能力で特別一人が優れているようなケースなんというのもありますので、ここはバックアップが利きにくいところでもございます。
 それを、逆に言うと慣れさせる方法で我々は対処しようというふうにしておりまして、ちょっと人によって年間の休日は違うんですけれども、多分ベンチャーの企業からすると私どもの年間の休日はやや多いのかなと、百二十五から百三十日ぐらいで、かなり正月も盆も長期で休ませますので。常日ごろ、結構、要は常時人間がいるという体制からごそっと人が抜けるという体制をつくるということは意識的に、これは慣れさせるためですけれども、やっております。
 ただ一方で、今度は一日当たりの労働時間が長くなってはいけないという問題もあります。私どもの業種の場合には、例えばいわゆる企画型とかなどの裁量労働の対象になる業種ではほとんど我々の仕事ないものですから、現状では三六に特別条項を付けて管理しておるんですけれども、結果的にどうだったかというと、やっぱり残業を基本的にはさせないというか、残業することが個々の社員の評価につながるわけではないですよということをもう明確に評価でもって示し続けることで、時間がだらだら延びて働くというようなことはなくなりまして、個々、要は仕事の中身に対して意識をするということは強くなってきているかなというふうに思います。
 そういう点で、つまりバックアップシステムを用意するということは、先ほど申し上げたワークシェアリングなんかも当然あるんですけれども、そもそも人がごそっと抜けるというのを日々体験させるというのも会社の経営側の方法としてはやっております。
 もう一つ、最後の方で全体的に御質問いただいたところですけれども、ワーク・ライフ・バランスに取り組むいわゆる経済的な問題というのは先ほども申し上げたとおりあるという結論に私たちは達していて、必ずしも経済的合理性がないままやっているわけではないということは、当然、株主に対しての説明なんかも含めて必要なものですから、考えてやっております。
 ただ、もう一方、私ども、大体社員の構造は二十五歳から三十五歳に全体の八割がおるんですけれども、やっぱりこの世代というのが今後四、五十年ぐらい、正に我が国の経済の中心にこれからなっていき、それを過ぎみたいなそういう世代になるだろうと思っております。私はそのちょうど年齢の一番下ぐらいにおりますけれども、自分たちのやっぱり働き方ですとか働く上での周辺の環境を自分たちで少しでも変えていかないと、これから先の我が国の経済環境だったりとか働く労働環境の変化というものが見られないだろうと、自分たちでとにかくやってしまおうというような考え方も、多少理念的な部分で、全社に説明するときには含んで話すようにして、従業員の理解を得るですとか株主の理解を得るですとかいうようなことを進めてきております。
#55
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#56
○参考人(川口章君) 小林先生、どうもありがとうございました。
 二点御質問がありました。第一点は、今日の私の報告にはなかったんですけれども、関連資料の中にある論文に両立総合指数という、仕事と家庭の両立、これが国によってどの程度両立しやすいかどうかというのを指数で表した表がありまして、それに関する御質問でした。
 この両立総合指数というのは実はOECDが作った指数でありまして、それを論文の中では引用させていただきました。両立総合指数の高い国と申しますのは、例えばヨーロッパでは北欧でありますとか、あるいはアメリカ、こういう国で両立総合指数が高い。それに対して、日本とか韓国とかそれから南ヨーロッパの国では、仕事と家庭の両立がしにくいというふうになっております。
 ただ、両立総合指数の高い国でも、例えばヨーロッパの北欧とあるいはアメリカを比べますと、かなり内容が違うんですね。北欧は国の制度というのが非常に充実しておりまして、国がかなり高い水準を設定し、すべての企業がその水準を持っていると。それに対してアメリカは、国は余りそういう仕事と家庭の両立には介入しないと。自由主義の国でございますので、基本的にそういう企業活動は企業に任せるという態度です。それでも両立総合指数がアメリカで高いというのは、アメリカでは、優秀な社員、特に女性社員を採用するにはもうこのワーク・ライフ・バランスが欠かせないという現状です。したがって、その両立総合指数が高いといいましても、かなり国によってその特徴といいますか、これは異なっているということが言えます。
 日本はどっちを目指すのだというと、これはなかなか難しいんでございますけれども、現在の日本の状況を見ますと、やはり国民は、税金を増やしてそれによって両立政策を進めるというのはなかなか賛同が得られないような状況ではないかと思います。むしろ、税金を使わずに企業の活動を効率化するというような方向でやっていくというのが、取りあえずは政策としては取りやすい政策ではないかというふうに私は考えております。
 それから、二点目の御質問でございますが、ワーク・ライフ・バランスをどういう立場から考えるのかという非常に本質的な問題提起をされたというふうに理解しております。ワーク・ライフ・バランスを、果たして出生率の回復とか家族政策として位置付けるのか、それともそのほかのもっと別の、国民の幸福度を大きくするとか、ほかの目的があるのではないかという内容の御質問だというふうに私、理解しました。
 私の立場を申し上げますと、やはりワーク・ライフ・バランス、第一は男女の平等、これを行う上でワーク・ライフ・バランスが欠かせない制度だというふうに考えております。日本では、まだ家庭における男女の性別分業というのは、諸外国と比べましても非常にはっきりした性別分業がございまして、女性が企業なりで活躍するにはやはりワーク・ライフ・バランスの施策が欠かせないという現状がありますので、そういう男女の平等を実現するための第一歩としてワーク・ライフ・バランスの制度を充実させるというのがあります。
 もう一つは、企業の国際的な競争力を高める上でもこれは非常に重要だというふうに考えます。先ほどアメリカの例を申し上げましたが、やはり日本ではまだまだ優秀な女性が企業の中で活躍できていないと。これは、企業の国際競争力という点から考えますと非常にもったいないことをしていると。今後、少子化が進み労働力人口が減っていくということが予想されます。その中で、男性だけではこれまでのような十分な優秀な労働力が確保できない。国際競争力の低下を防ぐためにも、やはり優秀な女性が働きやすい環境というのをつくっていかないと日本はだんだん衰退していくのではないかというおそれを私は持っております。
 最後に、この出生率の回復でございますけれども、これは、ちょっと先ほどから私もなかなか、言葉を濁して、はっきり出生率が回復しますというふうに断言できない理由は、こういう制度を実行すれば必ず回復しますよというような事例がまだはっきりと見付かってないわけです。したがって、長期的には出生率の回復につながる可能性は非常に高いとは思いますけれども、それが五年先なのか、十年先なのか、あるいは二十年、三十年先なのかという具体的な政策の効果がどのような形でいつ現れるかというところまでは予想ができないわけです。したがって、出生率の回復という点につきましては、非常に気長に、長いスパンで見ながら政策を実行していかないといけないのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#57
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
#58
○参考人(松田茂樹君) 御質問ありがとうございました。二点質問があったと思います。
 まず、一点目の質問で、日本の企業の場合にはこうした両立支援制度はあっても運用ができていない、つまり制度はあるのに使えていない、これが大きな問題であるという御指摘でした。正にそのとおりであると思います。
 終身雇用がやはり一つその影響はある、与えているという先生の御意見は正にそのとおりです。ですから、終身雇用で年功序列賃金がどんどん上がっていく世界ですと、少し休むことが、あるところで登用が決まりますので、中長期的にはやはり大きな賃金や昇進昇格機会のロスになると、これは正にそのとおりです。
 しかし、それ以外にも問題があります。これは例えば育休制度があるのに利用できないという話ですね。一つですけれども、やはり言われておりますのは、第一には経営層あるいは部課長といった上司の理解ということですね、職場の雰囲気と。第二点は、こちらは深刻ですが、やはり経営的な余裕がないと。何かと申しますと、育休を取った場合に代替要員を確保できない。実際にしていない企業がかなりあるんですね、しなきゃいけないわけですけれども。つまり、育休を取ったときに、その社員の分を埋め合わせるために採用する必要があるわけです。しかしながら、それができていないと。
 こんなエピソードがあります。ある企業で、笑い話のようですけれども、育児休業を若い女性社員が取ったわけですね。そうしますと、余裕がない部署でしたので、代替要員を補充することができなかったと、お金が掛かりますので。で、どうなったかというと、その人の残業分を未婚の女性がかぶっていたと。ですので、夜まで遅く働いていたと。これはつまり、育児休業を取った人はワーク・ライフ・バランスは上がったわけですけれども、全社員で見たら変わっていないというわけです。こうした問題は非常に深刻でして、つまり代替要員をしっかりと確保させると、企業にですね、育休を取った場合に。それをやはり徹底する必要があると私は思います。
 二点目の御質問であります、さきの二人の先生方もお答えになりましたが、ワーク・ライフ・バランスの理念ということでございますが、やはり私の考えですが、男性も女性も仕事、そして個人の生活、そして家庭生活をともに享受するやはり権利を持ち、それを実行できると、これがやはりワーク・ライフ・バランスの目指す方向であると思います。
 その場合に、男性と女性、日本は性別役割分業というものがあります。これについての立場は、若干私はほかの先生方とちょっと違うかもしれません。といいますのは、目指すべきは男女が性別分業をしている社会でも、これは私、先月出した本で書いた論文ですけれども、男女が性別分業する社会を目指すのでもなく、男女が同じように働き続ける社会を目指すのでもなく、それは男女がその人の戦略といいますか、自分の望むワーク・ライフ・バランスとありますので、それを実現できる社会がやはり良い社会だと思います。そうしたものが私はワーク・ライフ・バランスではないかと思われます。
 もう一つが問題ありまして、やはりそれを国が支えることが必要であると思います。と申しますのは、先ほどから川口先生が出生率の上げるための施策というのは余りないという話を申し上げられましたが、確かにそのとおりでして、OECDがOECD諸国で出生率が回復した国とそうでない国を分析したレポートがあります。それを見ると、やはりこの施策をやれば出生率が上がったということはどうも見られないということなんですね。
 ただ、そこで注目すべき知見が出ていまして、それは何かといいますと、出生率が回復している国があります、欧州には。それはこういう特徴があったと。それは、こうした両立支援策のみならず、様々な家族政策ですね、児童手当もあります、そうしたものをある程度包括的に、そして長期間継続して行っている国がどうも出生率が上がっていそうだと。つまり、ある一つの施策をやれば出生率が上がったということはないのですけれども、国がしっかり支えて、長期にわたって家族を支えていったと、そうした国はどうも出生率は上がっているという指摘はあります。
 ただ、これはもちろん今後検証すべき知見ではありますが、我が国の今後の政策を考える上では重要な示唆を与えていると私は思います。
#59
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、尾立源幸さん。
#60
○尾立源幸君 民主党の尾立と申します。
 参考人の皆様、本当に示唆に富んだお話ありがとうございました。
 細かいちょっと質問でございますが、幾つかさしていただきたいと思います。
 まず、家本参考人、お話聞いておりまして、私も働いてみたいなと思うような会社でございまして、本当にすばらしい取組をされていると思いますが、経営情報でございますので答えにくいところがあるかもしれませんが、できる範囲で教えていただきたいんですが。
 今お話しいただいたワーク・ライフ・バランスの様々な施策は正社員だけに適用されるものなのかということが一点。そして、これに関する予算というものをやはり立てていらっしゃると思うんですが、例えば人件費を一〇〇とした場合に何%ぐらいをこれに充てられているのかということ。
 そしてもう一点は、今リスト化されているものは今現在利用されている制度だと思いますが、その前に、これは失敗したなと、こういうのを入れたけど全然駄目だったなとか、そういった失敗例があったら教えていただきたいと思います。
 また、その他の福利厚生制度があれば簡単に教えていただきたいなと思います。
 あと、川口参考人でございますが、質問といいますか感想でございますが、お話をお聞きしておりまして、このワーク・ライフ・バランスの情報公開制度でございますが、大変いいアイデアだなと思って聞いておったんですが、いみじくもおっしゃったように、格差がこれによって広がらないような施策を併せてやっていかなきゃいけないなと、これは私の感想でございます。
 そして、松田参考人でございますが、先週我々、スウェーデンを含めて北欧の例を、イギリスも含めて聞いたんですけれども、あちらの例を聞いておりますと、何かワークシェアリングや短時間労働の方がもうあたかも前提のようなシステムが組み込まれていて、その方たちが労働市場に出入りが自由な、非常に流動性の高い感を受けたわけでございますが、日本の場合、制度はあっても、その制度を使うことにも一つの大きなハードルがあると思いますし、また、戻ってくるときにも、何か育児休暇は取ったんだけど、そのまま辞めちゃったという人も私よく聞くんですけれども、この辺、何かデータといいますか分析された例があるか、あれば教えていただきたいなと思います。
 以上でございます。
#61
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 家本参考人。
#62
○参考人(家本賢太郎君) ありがとうございました。
 まず、御質問いただいた中で、正社員だけかどうかというところなんですけれども、実は、取り組んでいる中で、最初は正社員だけだったんですね。ただ、これも、ベンチャーの企業の場合いいのは柔軟性があるというところでして、中のケースで、契約社員で雇用してた人間でまず子育てが出てきたと、女性だったんですけれども。それ、時短の勤務を認めてほしいというケースで、それも元々子育て中の人間が転職をしてきたというような背景でした。それから、パートタイマーの人間でも同様のケースがあって、最初は良かったんですけど、やはり家庭の事情で少し時短を認めてほしいというケースが出てきました。パートタイマーの場合にはちょっと、時間の単位ということもあるものですから、契約の都合を柔軟にやればいいという話だけだったんですけれども、契約社員の場合には、時短の勤務と、それから週に一回分の在宅の勤務を個別に認めるという形で対応したケースがございます。
 それから、予算に関してですけれども、大体私ども年間の人件費が二億円ぐらいなんですが、それに対して大体、いわゆる代替要員の確保という意味合いではないんですけれども、すぐに例えばぱっと入れるという意味で派遣社員を常に、やや余裕を持たせるために置いてあるコストも含めますと、大体一千万円強ぐらいをワーク・ライフ・バランスに対して使っているかなと思っております。このうち大半は、実は、我々のワーク・ライフ・バランスに対する取組って、あんまり実はお金が掛かるものじゃなくて、いかに頭使うかという話なんですけれども、e―ラーニングのために使わなきゃいけない費用とか、会社が多少補てんしなきゃいけないところの費用というところに回しております。
 それから、失敗例という意味でいきますと、これも結局、最初につくったものからどんどんどんどん、そのNPOの方等含めて一緒に修正をしながらやっておりますが、例えば、これは社員にとっていいだろうと思ってやったのが、有休の消化を四分の一単位で認めるという、従来二分の一単位で認めていたんですが、もっと柔軟に四分の一単位で認めようと思ったんですね、で、やったんですね。
 ところが、よく見ていると、きれいに四分の一有休を消化するなんというのはやっぱり難しくて、あんまりこれ、実は端数が出ちゃったりとかしてもう計算も難しいと人事からもクレームが上がってきて、これは何とかしてほしいという話で、結局、今一時間単位で、さっき、ごめんなさい、四分の一というふうにスライドに出ちゃっていましたけれども、一時間単位で有休の消化を認めると、就業規則の中の細則でそういうふうに定めたりもしております。
 特別、今のところ大きく外れちゃったなというようなポイントはなくて、個別のところで実態と合わなかったから修正を掛けてきたというのが今までのワーク・ライフ・バランスの取組の中身です。
#63
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 川口参考人、コメントございますか。
#64
○参考人(川口章君) 尾立先生の御指摘は全くそのとおりだと思います。
 御質問にはなかったんですけれども、やはりワーク・ライフ・バランス制度、市場の機能だけに任せておきますと、やはり利用できる人が、比較的恵まれた大企業に勤める、しかも高学歴の女性に偏ってしまうという危険性はございます。やはりそこで企業には、すべての労働者にひとしく機会を、制度の利用の機会を保障するとか、あるいは国としては待機児童ゼロを実現するとか、そういういろいろな、比較的学歴の低い人たちのワーク・ライフ・バランスを保障するような制度も同時に進める必要があると、これは全く私もそのように考えております。
 以上です。
#65
○会長(広中和歌子君) 松田参考人、何かコメントございますか。
#66
○参考人(松田茂樹君) 御質問ありがとうございました。
 二点申し上げます。
 まず一点目ですが、北欧では、そもそも短時間勤務というものが前提となってワーク・ライフ・バランスがとらえられている、正にそのとおりです。内閣府が行った調査によりますと、男性の帰宅時間、子育て期の男性の帰宅時間を見ると、六時までに帰っている方、スウェーデンでは八割、フランスでは六割、日本では二割ということになっています。ですから、やはり問題です。女性はもっと労働時間短いです、北欧でも。
 日本でなぜこうかといいますと、先生のおっしゃいましたように、短時間働くという就労形態が普及していないというものが大きな影響だと思います。正社員になるともう残業まで含めまして長時間労働か、若しくはもうパートタイム、一年契約ですね、ということになると。ですから、その間の選択肢を日本企業は導入すべきであると思います。これが正に課題であると思います。
 二点目の御質問としまして、北欧などでは、一度仕事を辞めた後、子育てで仕事を辞めた後にまた戻ってくるという方が多いというわけで、日本ではやはりここが問題ではないかということです。残念ながら、そのものずばりの調査研究が今思い当たらないのですが、御参考になるかと思いまして、女性の学歴と労働力率の関係を申し上げたいと思います。
 実は日本は、日本の女性の労働力率はM字カーブを描くというのが一般に言われていることですが、高学歴女性は違うと言われています。それは何かといいますと、キリン型と申しまして、未婚のうちは高く、結婚した後は低くなり、そのまま低いと。つまり復職してこないんですね。
 実は何かと申しますと、その背景として、高学歴女性、つまり人的資本が高い女性に対する復職のマーケットが育っていないというのが日本の問題であると思います。仕事を選んでいるという批判もあるわけですけれども、そうではなく、やはり高学歴、大学、大学院を卒業した女性で、育児のために一度離職している方がいると、その方が復職しようとしたときにどういう企業が雇用を、そうしたニーズがあるかという情報をやはりしっかり与えるということと、その労働市場を育成していくということが日本の課題ではないかと思います。
 以上です。
#67
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 じゃ、下田敦子さん。
#68
○下田敦子君 委員の下田でございます。座ったまま失礼申し上げます。
 今日は家本参考人様、それから川口参考人様、松田参考人様、大変お忙しい中ありがとうございました。
 これはそれぞれの先生方に、時間もありませんので、一言でお示し願えれば有り難いんですが、ついに人口減少時代に入ってしまいましたが、考えてみますと、この少子化対策というのは毎年毎年新しいプランが実にそれぞれの、各省庁別に上げられてきまして、そして結果として、エンゼルプランですとか子育て支援プランとか、全くどれも成果が上がらなかった。
 私は思うんですが、やっぱり海外から指摘されているように、日本がなぜこういう失敗続きなのかというと、こういう少子化対策に一貫性がない、それから継続性がない、統合性がない。各省庁ばらばらというふうなこともそうだし、各都道府県もそうだし、予算上の面においてもそうであります。ですから、最後にそれを何となしに内閣府がまとめて書いて、そしてそれを書物に、こういうもので毎年毎年大層なお金を掛けて残すと、それで何となく仕事をしたという、いわゆるお役人様思考があって、実に霞が関的思考なんです。私はその辺にやはりあるなと思っているんですけれども。
 例えば、私どものこの国会においても、調査会、少子化対策の調査会もあり、また、私どものこの経済・産業・雇用に関する調査会で初めてと言っていいくらい、こういうワーク・ライフ・バランスを先回とともに二回続けてやらさせていただきました。これはやはり少子化の調査会とともにやらないと、何も意味がないとは申しませんが、効果が出にくいのではないかなと思うんです。
 ですから、例えばフランスですと、税制の改革、それから国鉄七五%の割引とか、それから大家族カードなるものを持った人たちは、何といいますか、博物館も動物園もみんな割引あるいは無料というふうな社会的な一つのベースがもう既にできて、すごいチームワークで全体が子供は増やさなきゃいけないと、人口は力なりというふうなことでいった結果が、スウェーデンにしてもフランスにしてもあるだろうと思うんです。
 私は、こういう、何なんだろうということをずっとここ考え続けているんですが、柳澤大臣発言に伴って私はこの辺をしっかりと構築していかなければいけないんじゃないですかということをせんだってここの席上でも大臣にも申し上げたんですが、やっぱり日本と韓国の男性は育児に参加しない、家事労働時間が十五分、ヨーロッパ、欧州においては二時間、平均。この育児に参加しない御夫婦の女性は非常に第二子を産みたがらない。不安に思う原因の第一が、やはりともに家事、時間を過ごせない。
 という意味においても、本日のワーク・ライフ・バランスが非常に大きい意味があると思うんですが、これをいかに社会に浸透させていくかを、一言ずつでよろしゅうございます、あと五分しかありませんので、お願いいたします。
#69
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。
 それでは、家本参考人、お願いします。
#70
○参考人(家本賢太郎君) ありがとうございます。
 私は、ちょっと長期的な経営とかロールモデルという話も是非申し上げたいんですが、一言だけやっぱり申し上げますと、一番最後に育児の部分で父親のかかわる量が少ないんじゃないかという、その御指摘、正にそうで、これは何でかなというふうにいろいろ考えたんですけれども、理由は幾つかあると思うんですが、私がやっぱり思うのは、父親の楽しみ方というのを知らずに父親になるというのは大きいのかなと思っているんです。
 私は、今ちょうどNPOでファザーリング・ジャパンという、父親を楽しもうという、私から十歳ぐらいの上の世代の父親の人たちと一緒になってNPOをつくって、子供に絵本の読み聞かせをやったりとか、そういう活動をやっておるんですけれども、やっぱり父親を楽しむというキーワードも、これ、しかも一、二年でやって終わりじゃなくて、長期的に正に取り組みたい部分だというふうに思うんですが、いろんな面から父親というそのこと自体も楽しいよねというところをもう少し何かアピールされる。それはロールモデルをやっぱり僕は出すべきだと思いますし、こういうケースもある、こういうケースもあるというのをもっともっと国民が知るような環境になるべきかと思っていますが、その父親を楽しむというキーワードは、結構僕は男性の自発的な行動を促すところにもつながるんじゃないのかなというふうに思っております。
#71
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。
 それでは、川口参考人。
#72
○参考人(川口章君) 下田先生、どうも御質問ありがとうございました。
 日本ではなかなかこのワーク・ライフ・バランス制度が進展しないという現状がございますが、例えばよく指摘されますのは、子育て関連の予算とそれから高齢者の関連の予算を比べますと、日本は非常に、高齢者の予算は比較的大きいんだけど、子育てに関する予算は世界でも非常に今貧弱な水準にとどまっているということが言われます。
 何でそうなのかなというのを考えてみますと、私は、世界の国々には大きく分けると共稼ぎ社会というのと、片稼ぎ社会といいますか専業主婦がいる家庭が大半の社会と、二種類あると思うんですけれども、日本はどちらかというと片稼ぎですね、夫が働いて主婦が家にいるというような、そういう家庭を基準にした政策が長い間取られてきたと。それは政府が偏見を持っているからではなくて、実際にやはり日本の社会は非常に長い間片稼ぎを、夫が働いて妻が専業主婦であるという家庭が非常に多かったわけですね。そうすると、選挙のときでも、ワーク・ライフ・バランスでもっと予算を使いましょうというよりも、それよりも例えば高齢者に予算を使うという方が票も取りやすいということで、そういう国民の共稼ぎが多いか少ないかという辺りでヨーロッパなんかと非常に違った政策が取られてきたんではないかというふうに考えております。
 ただ、先ほどから申しておりますように、このまま片稼ぎですね、男だけが働くというのが今後ずっと続くとは思えない。もし続くとすれば、これは日本の国際競争力にも非常に大きなマイナスになっていくんではないかと。そうすると、やはり働き方全体を考え直す時期が今来ているんではないかというふうに私は考えております。
 以上です。
#73
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 松田参考人、お願いします。
#74
○参考人(松田茂樹君) そうしましたら、短くお答えいたしたいと思います。
 まず、日本のやはり、先生の御指摘にありましたように、日本の少子化対策、これまでのものがやはり効果を上げてこなかった理由は、正に御指摘のとおりです。再度私の言葉で申し上げますと、三点ありまして、一点目が、包括性がなかったと、これは部分部分行ってきたと。二点目は、期間が短いということがあります。実は、スウェーデンでそうした少子化対策が出生率を上げるまでというのは、先行論文を見ますとやはり二十年ぐらい掛かっているんですね。まだまだ日本はそうした意味で期間が短いと。三点目は、これは不幸なことに日本の経済の低迷期と重なってしまったと。九〇年代、特に後半以降ですね、これがあると思います。
 ですから、今後はやはり、そうした子育てを支える包括性、そして長期にわたってしっかり支えるということを政策としてやっていくと。加えて、やはり経済の活性化は欠かせません。それがあった上での両立支援、子育て支援ですので、それをやはりセットとして国として取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。
#75
○下田敦子君 どうもありがとうございました。
#76
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 予定の時間が参りましたので、本日の参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。
 家本参考人、川口参考人、そして松田参考人におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席いただき、本当にありがとうございました。
 本日お述べいただきました御意見は今後の調査の参考にさせていただきたく、本調査会を代表いたしまして心から御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
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