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2007/04/10 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第9号
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2007/04/10 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第9号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第9号
平成十九年四月十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     山本 孝史君
     白  眞勲君     櫻井  充君
     松下 新平君     下田 敦子君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     藤井 基之君
     小泉 昭男君     岸  宏一君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     山本 孝史君     富岡由紀夫君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     下田 敦子君     前田 武志君
     富岡由紀夫君     小林 正夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                小林 正夫君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                辻  泰弘君
                富岡由紀夫君
                前田 武志君
                森 ゆうこ君
                柳澤 光美君
                山本  保君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       松野 博一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       外務大臣官房参
       事官       伊原 純一君
       外務省国際法局
       長        小松 一郎君
       外務省領事局長  谷崎 泰明君
       厚生労働大臣官
       房審議官     荒井 和夫君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省健康
       局長       外口  崇君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   奥田 久美君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    中村 秀一君
       厚生労働省政策
       統括官      金子 順一君
   参考人
       社団法人日本経
       済団体連合会専
       務理事      紀陸  孝君
       日本労働組合総
       連合会事務局長  古賀 伸明君
       東京学芸大学人
       文社会科学系教
       授        野川  忍君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (雇用、労働等に関する件)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、松下新平君、白眞勲君、岩本司君、岡田広君及び小泉昭男君が委員を辞任され、その補欠として下田敦子君、櫻井充君、藤井基之君、岸宏一君及び富岡由紀夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長高橋満君外九名の政府参考人の出席を、また社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長青木豊君外六名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(鶴保庸介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、社団法人日本経済団体連合会専務理事紀陸孝君、日本労働組合総連合会事務局長古賀伸明君及び東京学芸大学人文社会科学系教授野川忍君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(鶴保庸介君) この際、柳澤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。柳澤厚生労働大臣。
#8
○国務大臣(柳澤伯夫君) おはようございます。
 厚生労働委員会の御審議に先立ち、このたび、雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、厚生労働省における事務処理に誤りがあったことにより法律案の成立が遅れ、委員長、委員各位を始め関係の方々に御迷惑をお掛けしていることにつきまして深くおわびを申し上げます。
 今回の件は、本来、国会で審議中の法案の成立に係る資料を法案成立に先立って国会連絡室に持ち込むことは適当でないにもかかわらず、そのような判断をしないまま通常の発表資料と同様に持ち込んでしまったことを主な原因としております。その結果として、本来であれば法案成立後に配付を開始すべきであった新聞発表資料が法案成立に先立って一部の委員に配付されるという事態に至ったものであります。
 今回の件を受け、去る四月五日、厚生労働事務次官を始め六名の職員に対し、文書厳重注意の処分を行いました。私自身も、武見副大臣やこれらの職員とともに、給与の一部の国庫への自主返納を行うことといたしました。
 私は、今回の件を重く受け止め、かかる事態を二度と起こさないよう、一つ、国会と行政の関係、衆参両院のルールなどを職員一人一人に徹底するための研修を実施する、一つ、組織内での情報共有や失敗事例の引継ぎにより、事務管理における注意義務を徹底するなどの再発防止の取組を進め、職員の認識を新たにし、常に緊張感を持って対応に万全を期してまいります。
 委員長を始め皆様方におかれましては、厚生労働行政に一層の御理解と御協力を賜るとともに、雇用保険法等の一部を改正する法律案の一日も早い成立を心よりお願い申し上げます。
    ─────────────
#9
○委員長(鶴保庸介君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。
 まず、ただいま大臣から御発言のございました三月二十八日の事案について、先週、その処分等々についての御報告ございましたけれども、その中の再発防止対策としての国会と行政の関係、衆参両院のルール、あるべき公務員の姿など職員の行動規範を構築して職員一人一人に徹底をするとございますけれども、この点についてその御趣旨を御説明ください。
#11
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはもう、国会と行政の関係でございますけれども、行政というのは、国会で立法をされたその法律に基づいて行われる、法律に基づく行政ということが基本でございます。
 したがいまして、国会の御審議が終了をし、法案の成立を待たない段階で行政のいろいろな処理を行うということは、これはもう全くあってはならないというか、あり得ないことであるというふうに考えております。今回のことを考えますと、その辺りのことについて職員一人一人が注意深い行動を取らなければいけないということでございまして、そういうことについて徹底するための研修を実施すると、こういうことでございます。
 また、衆参両院のルールなどにつきましても、これはもう衆参両院でもって国会が構成されているということ、そういうこともありまして、どちらが先議であるにせよ、その先議の院がいろいろお決めいただいたとしても、次の院についてはまた独立のいろんな御判断もいただかなきゃならない。そういうことで、両院の議決というものが完成されて初めて国会の議決ということになる。これらのことについてもしっかりした認識を職員一人一人に徹底をするということが必要であるということを考えまして、それらのことについてしっかりとした認識と心構えを持つということを徹底してまいりたいという趣旨でございます。
#12
○島田智哉子君 研修などとおっしゃっておりますけれども、どこで、いつ、どのくらいの期間でやるのかということもはっきりさせていただきたいと思いますけれども、今回の対応のみならず、例えば、この質問に対する答弁は大臣ではなく局長にしていただけないかと、そういったことを平然とおっしゃってくるわけでございます。
 余りにもその対応が不誠実ですから、この機会に申し上げさせていただきたいと思いますが、実は、本日の質問に対しても、社会・援護局関係の部分で局長に説明をいただいて、今後の方向性の部分を大臣への問いで一問通告しましたところ、その後、大臣の一問についても局長答弁に変えてもらえないかと、何ら理由の説明もなく電話で平然とおっしゃってこられました。余りにも誠意のない御対応でありましたから、私どもその理由を求めてまいりましたけれども、この間に何の御対応も御回答もないままです。もし誠意のある御回答があれば、このような委員会の場で申し上げるつもりは私はございませんでした。
 あえてお聞きをいたします。どういった理由があったんでしょうか。社会・援護局長、いかがでしょうか。
#13
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 本日も前回もでございますが、生活保護関係で御通告をいただいております。法案の審議でございましたので、職業安定局を通じまして質問要旨をちょうだいし、その中で生活保護の事実確認を含む問いがございまして、私の方からお答え申した方がより適切ではないかと、そういうふうに考えまして、社会・援護局の方で答弁者の変更を御依頼するお電話を先生の方に、お部屋に差し上げたと、こういうふうに承知いたしております。
 今先生からお話ありました私どもの対応に大変失礼な点があったということであれば率直におわび申し上げ、今後失礼のないようにさせていただきたいと思います。大変申し訳ありませんでした。
#14
○島田智哉子君 大臣が答弁なさらない方がいいというふうに御判断なさったのかもしれませんけれども。まあ大臣の御指示なのか局長の御指示なのか存じませんけれども、こうした点も含めて国会と行政の関係等々徹底していただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) 国会と行政府の関係につきましては、基本的な関係については私が先ほど述べたとおりでございますが、この質疑に対するまた政府側の答弁等においてもその基本をしっかりと踏まえた上で適切に対応していくことが必要であると、このように考えております。
 今、社・援局長の方から御答弁申し上げましたようなことがあったとすれば、これは非常に適切を欠くことでございまして、今後そのようなことがないように努めてまいりたいと、このように考えます。
#16
○島田智哉子君 大臣は本当に謝ってばかりおられるようですけれども、私はちょっと気の毒に思います。もっと大臣、リーダーシップを発揮していただいて、そしてそれに局長の皆さんもしっかりと従っていただきたいと思います。本当に厚生労働省内が、まあちょっと乱れているというんでしょうか、大臣の問題発言以降少し緊張感が足りないと申しましょうか、しっかりとやっていただきたいというのが私の切なる願いでございます。
 それでは質問に入りたいと思います。
 まず冒頭、小児科医であった中原医師の過労死裁判についてお聞きいたしたいと思います。実は前回質問を行う予定でありましたが、三月二十九日は被告の新宿労働基準監督署長が判決に対する控訴を断念されたその翌日でございました。もし前回質問ができていれば正にその結果をどのように受け止めるのか、そういう点についてお聞きしたいと考えておりました。ただ、いい方向に考えますとそれから十日以上経過したわけですからより具体的な御答弁がお聞きできるものと期待を申し上げて、まず大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の判決を新たな契機として、御遺族の願いでもあります二度と同じような悲劇が繰り返されないようにという訴えに対して、国として医師の労働条件の改善とともに小児科医療の改善に向けてどのようなお考えで臨まれるのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#17
○副大臣(武見敬三君) この判決に関しましてこれは真摯に受け止めるべきと考えておりますが、この判決というものは、第一に業務による心理的な負荷、第二に業務以外の心理的な負荷、そして第三に個体側要因を総合的に判断をして業務が有力な原因になったものと判示しているわけでありますが、このことは判断指針の考え方に沿った事実認定ということになっておりまして、その意味では判断指針の枠組みというものに沿った判断であるというふうに私ども理解をしております。したがって、現時点で判断指針そのものを見直す必要はないというふうに考えます。
 ただ、いずれにいたしましても今後とも判断指針のこの適正な運用に努めるということは最も重要でございまして、そのためには職場における心理的負荷評価表というのがございます。この職場における心理的負荷評価表というものについては、常にそれぞれ職場の状況というものをよく見極めて、その多様な状況というもの、職場環境といったようなものに対応できるように常に検証を進めていく、そのための医学的な知見の収集というものにも努めていくべきだというふうに考えておりまして、現にこの日本産業精神保健学会といったようなところの協力を得ながらこうした検証を進めていくという考え方でございます。
 取りあえずそういうことでございます。
#18
○島田智哉子君 そこで、今回の判決を踏まえた今後の対応についてお聞きをいたしたいと思います。
 一つには、今回の労災認定をめぐる事案の中で問題となりました、平成十一年に当時の労働省から出された「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」でありますけれども、この指針そのものが果たして医師のように固有の業務の困難さ等を考慮されているのか、あるいはその判断が恣意的になりやすくなっているのではないか等々、その内容の見直しを求める指摘がございます。
 そうした指摘等々も踏まえて、いま一度この指針の内容を再検討する必要があるのではないかと思いますけれども、この点につきましては本当にいろいろと前向きにお取り組みいただいている武見副大臣、いかがお考えでしょうか。
#19
○副大臣(武見敬三君) この点は、正に判決そのものも実はこの判断指針というものの考え方に沿って実は判決そのものが下されております。そのことは改めて確認をしておきました。
 したがいまして、この基本的な判断指針の考え方というものについては、これは当面これを変えるということではないんだと思います。問題は、むしろこの判断指針に基づいて具体的にそれを運用するというその過程により現実に対応した更なる検証が必要だということでございまして、そのために、具体的には、職場における心理的負荷評価表、実はこれは平成十一年に作ったものなんですね。したがって、これを再度中身を検証をして、そして見直すべきところは見直していくという作業を今後進めていかなければならないというふうに判断をいたしまして、担当の方にも私のこの考え方、指示を出しているところでございます。
#20
○島田智哉子君 ありがとうございます。
 それから、医師の夜間・休日勤務の関係について、厚生労働省では平成十四年度から労働基準法上の取扱いを点検されていると承知いたしております。また、平成十六年十一月には医療機関の宿日直に関する監督結果が出されておりますけれども、その概要についてお聞かせいただきたいと思います。
#21
○副大臣(武見敬三君) 労働基準監督機関におきましては、医療機関における宿日直勤務の適正化を図るために、平成十五年度から平成十六年度にかけて五百九十六の医療機関に対し個別の監督指導を行ったところでございます。四百三十機関において何らかの労働基準関係法令違反が認められました。それから、二百四十九機関においては宿日直の許可基準を満たしていないという結果がございました。
#22
○島田智哉子君 この結果の中でも、例えば夜間、休日に従事する業務について、昼間と同態様の労働に従事することがまれではないという医療機関が百九十五もあるとされておりまして、その後かなりの日数も経過しておりますので、改めてその後の対応についても御調査いただく必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#23
○副大臣(武見敬三君) これ平成十八年三月の時点でございますけれども、監督指導を行いまして何らかの労働基準関係法令違反が認められておりました四百三十機関のうちに約八七%の三百七十三機関において法違反が是正されておりました。それから、宿日直許可基準を満たしていないとして指導を行った二百四十九機関のうち約八〇%の二百機関において改善の報告がなされているという結果になっております。
 こうした労働基準監督機関におきまして、引き続き宿日直許可基準の遵守についてやはり粘り強く指導し改善を図っていくということが必要だと考えているところであります。特に、こうした勤務医の職場条件の改善という問題は今や喫緊の課題というふうに認識をしているところでございまして、こうした問題については、労働基準局という立場だけではなくて、やはり医政局、さらには保険局といった関連する各局とも連携をしながら、現実をきちんと踏まえた上で問題解決に早急に当たる必要があるだろうというふうに考えます。
#24
○島田智哉子君 本当に医師不足の昨今ですので、そういった労働条件等、本当にしっかりと整備していっていただきたいと思います。
 では、次の質問に移ります。
 雇用保険三事業の見直しにつきまして、先月七日の予算委員会で質問させていただきました内容、そしてそれに対する柳澤大臣の御答弁を踏まえてお聞きをいたしたいと思います。
 この三事業につきまして、先月の委員会でも様々な角度から御議論がございました。大臣はこれまでの御答弁の中で、失業等給付の抑制に資するものに絞ってこれを継続すると再三おっしゃってこられました。
 そもそも、厚生労働省としての今後の雇用安定事業についてはどこに重点を置いて取り組むとされているのか、まずこの点について大臣のお考えをお聞かせください。
#25
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回の雇用保険三事業の見直しでございますが、行政改革推進法の規定や事業主の団体の参画を得た三事業見直し検討会の検討結果を踏まえまして行っておるところでございます。
 そのポイントは、今委員からも御言及いただきました失業等給付の抑制に資する観点からこの事業の見直しを行うということでございまして、その私どもの検討の結果は、雇用福祉事業を事業類型としては廃止するということが第一点、それから第二点は、他の二事業の対象に被保険者になろうとする者を加えるということを明確化するというようなことで見直しを行ったところでございます。
 今後の残る二つに整理される事業につきましては、一つは、人口減少社会におきまして若者、高齢者、女性、障害者等のすべての人の就業参加の実現を目的とした雇用対策、こういうことを一つ重点に置くということを考えております。それからまた、もう一つは、雇用のミスマッチ縮小のための求職者、労働者に着目した雇用・能力開発対策ということでございまして、こちらの方は早期の再就職であるとか、もう失業を経ないで再就職をするとかというような、そういう雇用対策の推進ということで施策を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#26
○島田智哉子君 先月七日の予算委員会におきまして、十九年度より予算の半分を雇用保険特別会計から支出するとされている生活保護受給者等就労支援事業についてお聞きをいたしました。改めて事業の内容と目的についてお聞かせください。
#27
○政府参考人(高橋満君) 生活保護受給者の方々に対しましては、平成十七年度から各自治体におきまして自立支援プログラムを導入することによりまして、被保護者の状況に応じた自立就労支援策を講じてまいってきておるところでございます。この一環といたしまして、福祉事務所とハローワークの連携によってきめ細かな就労支援を行います生活保護受給者等就労支援事業を現在実施をいたしているわけでございます。
 この事業でございますが、福祉事務所が就労自立の意欲が一定程度以上ある対象者を選定をいたしまして、ハローワークに対しまして就労支援の依頼を行うと。ハローワークにおきましては、就職支援コーディネーターと福祉事務所の担当者から成りますチーム、就労支援チームが対象者と個別に面接を行いまして、対象者の状況なりニーズなりを的確に把握をいたす。そうしたことを踏まえまして、ハローワークの就職支援ナビゲーターによります担当者制によるきめ細かな就職支援あるいはトライアル雇用の活用、公共職業訓練の受講あっせんといったような適切な就職支援メニュー、これを実施することによりまして、就労による自立を支援していこうと、こういうものでございます。
#28
○島田智哉子君 二月十五日に安倍内閣として取りまとめられた成長底上げ戦略、この中の就労支援戦略では、母子家庭、生活保護世帯あるいは障害者など福祉サービスや手当を受けている方々に対して就労による自立を支援すると、このようにされているわけですけれども、正にこの事業というのはその具体的な施策の一つであると思います。
 しかし、その財源については、これまで全額一般会計で措置されていたものが、十九年度予算では半分が雇用保険特別会計に財源区分変更されております。その財源区分変更の予算額の内容について、御説明ください。
#29
○政府参考人(高橋満君) この生活保護受給者等就労支援事業にかかわる予算でございますが、今委員から言及ございましたとおり、十八年度におきましては一般会計によって約十億円、全額一般会計で措置をいたしておったところでございます。十九年度予算におきましては、これを一般会計と雇用保険特別会計の双方で約五億円、合計で十八年度予算とほぼ同額の約十億円を措置をいたしたところでございます。
#30
○島田智哉子君 予算委員会で、これまで一般会計で行われてきた事業に対して来年度は一般会計と特別会計で折半するということについて、なぜこれまで一般会計で措置されてきたものを十九年度はその半分を雇用勘定の経費としてこられたのかお聞きをいたしました。
 その際の大臣の御答弁は、一般会計の予算と今回労働保険特別会計、この雇用勘定の経費といたしたわけでございますけれども、これは、雇用保険特別会計の予算としてこれを位置付けるためには、当該の事業が失業等給付の抑制に資するものであるかどうかということが重要な指標になるわけでございます。その点が確認できないとこのような予算計上ではできないわけでございまして、その点は従前は不明確であったという事実がございまして、労働保険特別会計の予算としてはなじまないということで全額一般会計で措置をしてきたと。こういう中で、本事業の主たる支援対象であります母子家庭、母子世帯及び疾病、障害、高齢以外の理由、例えばリストラ等によって保護を受けている世帯ということでありますので、こうした世帯では、保護世帯になる前に雇用され雇用保険の被保険者であったということが多いことが明らかになってまいりまして、その意味では、この事業もこのような方が再び雇用され雇用保険被保険者になることを促進すると、そういうことに資するものであるという側面が明確になってきたと。
 大臣、この御答弁のままでよろしいでしょうか。
#31
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもとしては、そのような認識の下で今回のような予算上の措置をとらせていただいたということでございます。
#32
○島田智哉子君 この大臣の御答弁にあります、従前は不明確であったものが明確になったと、この点につきまして、予算委員会の後、その根拠について資料をいただくようにお願いをいたしました。
 そして、いただいた回答では、本事業は、生活保護受給者のうち母子世帯及び疾病、障害、高齢以外の理由によって保護を受けている世帯を主たる支援対象者として想定して開始したところでありますが、事業を開始してから一年以上が経過し、個別の支援事例が積み重なってきたところであり、そのうち幾つかを会議の場などを通じて把握したところ、実際の支援対象者については就労経験を有していた場合が多いことが分かり、これらの者は雇用保険の被保険者であったと考えられることから、経費の半分を労働保険特別会計で負担することとしたものでありますということですけれども、予算委員会での大臣の御答弁の根拠をお聞きしているのに対して、この内容というのは余りにも不誠実ではないでしょうか。
#33
○政府参考人(高橋満君) この事業の対象になられる方がどういう形で生活保護を受給することになったのかということについて、統計的な数字的な面での把握ということはいたしておらないわけでございますが、今委員からお話がございましたとおり、私どもも、開始してから一年以上が経過する中での様々な事例というものを現場現場の中で把握をいたしたことを、お話を会議等の場を通じて把握をいたした結果、今お話のあったような実態というものを承知をすることになったということでございまして、私どもとしては、事業を始めた当時は必ずしも判然としなかった部分が少しずつ明らかになってきたと、こういうようなことで、かつては就労の経験があった、被保険者であった方々が多いのではないかと、こういうようなことで判断をさせていただいた次第でございます。
#34
○島田智哉子君 事業を開始してから一年以上が経過し、個別の支援事例が積み重なってきたところであり、そのうち幾つかの会議の場を通じて把握したところとありますけれども、幾つかの会議とはどんな会議で、何をどのように把握したということなんでしょうか。
#35
○政府参考人(高橋満君) 会議の場と申しますのは、この事業を円滑かつ的確に実施していく上で全国の労働局におきます担当者を東京に集めまして会議を持っておるわけでございます。そうした会議の場でそれぞれの労働局から個別にいろいろお話を伺ったと、こういうことでございます。
#36
○島田智哉子君 予算委員会での大臣の御答弁の根拠の資料をお願いしたわけですから、具体的なデータでお示しをしていただきたいと思いますが。
#37
○政府参考人(高橋満君) 今お答え申し上げましたとおり、具体的な数字的な形でこちらも資料として持ち合わせているわけではございません。
 私どもも、今後この事業を的確に運営していくために、そうしたこともこれから把握していきたいと考えております。
#38
○島田智哉子君 データがなくてどうやって会議をなさるんでしょうか。
 今回、この回答は厚生労働省から私にいただいたもので、私が突然どこからか持ってきた回答ではないわけです。データとしての資料はないんですか、あるんですか。
#39
○政府参考人(高橋満君) 先ほど申し上げました全国の担当者会議の際に、各労働局から個別の事例ということで報告をいただいておるわけでございます。そうした報告をいただいた事例ということを私どもも承知をいたした上で今申し上げたとおりでございます。
#40
○島田智哉子君 よく御答弁が分からないんですけれども。
 私、あらかじめ資料の要求をしているわけです。データがあるのであれば、どうしてお出しいただけないんでしょうか。データに基づいて恐らく会議というものは行われると思いますが。
#41
○政府参考人(高橋満君) 今申し上げました労働局からの取組状況の資料につきまして、全局ではございませんが、幾つかの局からいただいた資料につきましては、調整の上、また委員の方に御報告申し上げたいと思います。
#42
○島田智哉子君 それでは、それは委員会に提出していただきたいと思います。
 委員長、お願いできますでしょうか。
#43
○委員長(鶴保庸介君) 後ほど理事会で協議をいたしたいと思います。
#44
○島田智哉子君 それでは、同じく十九年度の予算において、その一部を雇用保険特別会計に財源区分を変更しているホームレスの自立支援事業についての財源区分の変更内容について御説明ください。
#45
○政府参考人(高橋満君) ホームレスの自立支援事業でございますが、これにつきましては、十八年度におきましては全額一般会計で一億五千五百万余の予算でございましたが、平成十九年度におきましては総額一億五千九百万余の予算でございますが、これは一般会計と雇用勘定、それぞれ折半として措置をいたしてございます。
#46
○島田智哉子君 その根拠についても御説明ください。
#47
○政府参考人(高橋満君) これにつきましては、ホームレスの中には従前雇用保険の被保険者であった者も相当程度存在をすると、こういうことから、事業実施に当たりましてそうした者が再び雇用され、雇用保険の被保険者となって雇用保険の担い手になることが想定をされると、こういうことで平成十九年度におきまして財源区分の変更を行ったものでございます。
#48
○島田智哉子君 もっと明確にお示ししていただけないでしょうか。
#49
○政府参考人(高橋満君) ホームレスの前職がどんな状況だったのかという全国調査の結果がございますが、前職が常勤職員あるいは正社員の従業員であった者というのが調査対象全体の約四割というような全国調査の結果があるということもございます。
#50
○島田智哉子君 更にお聞きします。
 ハローワークにおいて職業相談や援助、指導を行う職業相談員の経費については、十八年度一般会計から六億八千万円、特別会計から六億八千万円、合計十三億七千七百万円、そして十九年度予算では、一般会計六億八千万円が一億二千万円に、そして特別会計については六億八千万円が十二億三千万円と、大幅な財源区分が行われておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#51
○政府参考人(高橋満君) 一般のその職業相談員にかかわる経費の区分の変更について、今委員が御指摘になられたとおりであるわけでございますが、従来、この一般の職業相談員につきましては、一般会計と雇用勘定の折半で措置をいたしておったわけでございます。こうした相談員につきましても様々総合的判断の結果、特にアイヌ地区住民の方とか寡婦相談、寡婦の担当の相談員につきましては引き続き折半で措置をいたしておりますが、その他の相談員につきましては、ハローワークの求職者の大部分がかつては被保険者であったというようなことをも勘案しながら、このような形で一般会計と雇用勘定での財源区分の変更という形で措置をさせていただいたところでございます。
#52
○島田智哉子君 大臣は、先日行われました予算委員会の中で次のように御答弁されました。「特別会計にこれを計上するということで、また、一般会計は尾身大臣が厳しくシーリングをはめますので、またいろいろと別の用途、もっと有効な経費として活用していくということも通常考えられるところでございまして、」と。
 もっと有効な経費として活用していくということも通常考えられるところというのは、大臣、どのような御趣旨だったんでしょうか。
#53
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、もっと有効ということを、この経費に充てるよりももっと有効というふうに余り厳格にお取りいただくと、それじゃその経費を双方比較してこの有効性はどうかというような話になろうかと思うんですけれども、いずれにせよ、私が申し上げたのは、ここからすいた一般会計財源というのは、厚生労働省の場合には社会保障の費用が全体として増えているわけでございますので、そういったものに当然充てられるというふうに考えることができるわけでございます。
 したがって、そういう意味で、一般会計の財源というものが厚生労働省が全体として予算が増える、一般会計からの歳出も増えるという中でそうしたものに充てられる、社会保障の円滑な、持続可能なありようの下での円滑な執行というものに充てられると、こういう意味だということで御理解を賜りたいと思います。
#54
○島田智哉子君 これまでの御説明をお聞きしましても、これは一般会計の削減がその目的であって、その理由は後付けされているのではないかなと思えてなりません。
 行革法では廃止を含めた見直しを行うとされている中で、徹底的な見直しを検討していきたいということですけれども、一方で安易に特別会計に依存していくということであっては、一昨年の十二月に閣議決定をされた行政改革の重要方針の中で言われている「労働保険特別会計については、原則として純粋な保険給付事業に限り本特別会計にて経理するものとし、」という部分に反するのではないかと思っているのですが、大臣、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(柳澤伯夫君) 行政改革推進の立場からいたしますと、この雇用保険については、雇用保険だけをやればそういう純粋化をするということであるべきではないかと、こういう御提議があったわけでございますけれども、私どもとしては、その言わば雇用保険あるいは失業等給付の抑制に資する事業というものも存在するわけであって、そういったものにこの保険の財源を回すということも十分この行革の方針の下でも許容される資金の使い方ではないかということで、これは財政当局の財政面の総合調整の中でそういうことを主張して、今回それが合意を得て実現していると、こういうことでございまして、行政改革推進のそうした方針にたがうものではないと、このように考えている次第です。
#56
○島田智哉子君 では次に、事業の目標設定についてお聞きをいたします。
 平成十九年度より、三事業の各事業については、小規模のものも含めてすべて目標設定をするとされているわけですけれども、目標設定の趣旨と具体的方法についてお聞かせください。
#57
○副大臣(武見敬三君) 雇用保険三事業につきましては、失業等給付の抑制に資する観点から、より効率的、効果的に事業を実施するために、平成十六年度よりPDCAサイクルによる目標管理を行っております。具体的には、事業の目標を設定をし、二つ目に事業を適切に実施し、第三に目標に基づき事業の実績を評価し、第四に評価に基づく事業の見直しを行っているところでございます。
 なお、事業の見直しの結果は予算に適切に反映することとしておりまして、平成十八年度予算は前年度比一二・七%減、十九年度予算は前年度比一四・五%減と縮小を図ってきたところでございます。
#58
○島田智哉子君 そこで、生活保護受給者等就労支援事業についてはどのように目標設定をするのか、また、されているのか。この点について、前回質問する予定でありました三月二十八日の前に、事前に担当部局にお聞きをいたしました。
 そうしましたところ、最初の回答では、この制度は事務費扱いにしているので目標設定になじまないと、このような内容でした。ところが、私どもより、なぜこの費用が事務費扱いになるのかと改めてお聞きしますと、今度は、目標設定するかしないか、事務費扱いにするかしないかも含めて十九年度予算が成立してから検討すると。その際には明確な御説明はございませんでした。
 前回、予定どおりに質問するようでしたら、なぜこの事業の費用が事務費扱いになるのか、そもそも事務費とは何なのか、この事業についても目標設定すべきではないでしょうかと、そのような御指摘もさせていただくつもりでおりましたが、既に新年度に入りました。事務費扱いにするのか、それともしっかり目標設定するのか、その方向性は示されたんでしょうか。
#59
○政府参考人(高橋満君) 今御指摘の生活保護受給者等の就労支援事業でございますが、先ほど来の御答弁させていただいているとおり、本年度、十九年度の予算において新たに雇用安定事業として実施することになったわけでございます。
 当初、お尋ねがあった際に、目標設定を行わない共通経費である事務費として位置付けていたということもございましたが、しかし、これを雇用安定事業としてしっかりした事業として位置付けるということでございますので、当然私どもとしては、事業として目標設定をすべきものであるというふうに位置付けし直しまして、現在、これも含めた全体の新しい雇用保険二事業にかかわります目標設定のための準備作業を行っておるところでございます。今後、この事業としての性質を持つものの目標設定に漏れがないよう注意して取り組んでまいりたいと考えております。
#60
○島田智哉子君 最初の、事務費扱い、目標設定になじまないという当初の回答からしますと、今の御答弁、目標設定をなさるということですから、それはそれで結構ですけれども。
 ただ、一方で小規模のものも含めてすべて目標設定をするとされている中で、例えば担当部局の御判断でこの事業は目標設定になじまないから事務費扱いにしてしまうということになりますと、そもそもすべての目標設定をするということはどういうことなのか、また事務費扱いの事務費とは何なのか、この点を明確にしておかなければ、すべて目標設定のすべてには事実上ならないと思いますが、目標設定するものとしないもの、それぞれの何をもってその判断基準にされているのか、今後の目標設定の在り方について武見副大臣にお伺いしたいと思います。
#61
○副大臣(武見敬三君) 雇用保険二事業の目標設定に当たりましては、今年度から廃止した事業の経過措置、そして各事業に共通的な事務費などを除いて、すべての事業について定量的なアウトカム指標、成果指標を設定するということとしております。おおよそその予算規模で見ますと全体の七七%、この目標設定事業という形になっているわけでございます。今後とも、より事業が効率的、効果的なものとなるように、先ほども申し上げましたPDCAサイクルによる目標管理、これをとにかく徹底しなければならない。保険料負担者である事業主の団体の意見も踏まえながら適切に目標設定を進めたいと考えております。
 なお、事務費などにつきましては、大部分はシステム経費、それから助成金支給業務にかかわる共通経費などでございまして、コスト削減という観点からその縮減にはしっかりと努めていきたいと思います。
#62
○島田智哉子君 それでは、具体的な事業内容について、生活保護を受給されている母子世帯を例にお聞きしたいと思います。
 これまでの御答弁の中でも、この事業によって再び雇用され雇用保険被保険者になることを促進するとおっしゃいました。生活保護受給者世帯や母子世帯の母に対して福祉と就労支援を連携していくことは重要だと認識いたしております。しかし、現在の体制でどこまでその支援が行き届くのか、また行き届いているのか、その点についてお聞きをいたしたいと思います。この事業規模は十八年度、十九年度も同じ規模になっておりまして、就労支援コーディネーター全国で百七十五人、就職支援ナビゲーター百五人ということですけれども、それぞれどのような役割をされているんでしょうか。
#63
○政府参考人(高橋満君) 生活保護受給者等就労支援事業の中心的な業務運営の担い手でございます就労支援コーディネーターでございますが、これは福祉事務所の担当者等との間で就労支援チームを組んでいただいて、対象者との間で面接を行うことによりまして御本人の抱える問題点を把握した上で支援の方針を定めていく、そういう役割を担っていただいております。
 また、就職支援ナビゲーターでございますが、これはコーディネーターが定めました方針に沿いまして、対象者本人に対してマンツーマンで職業相談、個別求人開拓といったようなきめ細かな支援を実行をする役割を果たす方でございます。
#64
○島田智哉子君 全国五百か所以上のハローワークがある中で百七十五人、百五人ということであれば、一か所に一人どころか、まあ都道府県によっては一人というところもあるようですが、これまでの実績についてお聞かせください。
#65
○政府参考人(高橋満君) この生活保護受給者就労支援事業でございますが、十七年度から開始をいたしております。それで、十七年度及び十八年度の二月、今年の二月までの累計で申し上げますと、事業実績といたしましては約一万八千人の方に対して支援を行ったところでございまして、そうした支援の結果といたしまして約八千人の方々の就職を実現をいたしたところでございます。
#66
○島田智哉子君 その就職者のうち、生活保護の非受給世帯となった方はどのくらいいらっしゃるんでしょうか。
#67
○政府参考人(高橋満君) 私ども、このハローワークという場で、こうした就労支援の結果として生活保護の非受給世帯になった、ならないというようなことはハローワークの場ではちょっと把握はできておりません。
#68
○島田智哉子君 実績をお聞きして、これだけの方が就職されたということは確かにそうかもしれませんが、実は生活保護の受給者の方々の中には、現に仕事をされている方はたくさんいらっしゃいます。しかし、働いても働いても収入が低いために生活保護を受給せざるを得ないのであって、決して就職することが目的であってはならないんだと思います。
 そこで、お聞きをいたします。
 平成十六年度、十七年度の厚生労働省セーフティーネット補助事業の一環として、北海道釧路市と釧路公立大学の共同で生活保護受給母子世帯の自立支援に関する基礎的研究という事業が行われています。その研究報告の概要についてお聞きをいたします。
#69
○政府参考人(中村秀一君) お答えを申し上げます。
 今委員からお話のありました調査でございますが、釧路市と釧路公立大学地域経済研究センターが共同で二か年を掛けて行った調査でございまして、全国の母子世帯と比較いたしまして釧路市の母子世帯の方がどういう実態にあるかというようなことをまず分析されております。
 全国に比べて釧路市の母子世帯の方は離婚の率が高い、で、母子世帯になられた方が多く、全国に比べて早婚であるということ。典型的に言うと、二十代前半で結婚なさり、六、七年程度の婚姻、結婚期間を経て離婚により母子世帯になるパターンが浮かび上がると。また、そういう中で、母子世帯で生活保護の方は、釧路市の場合、中卒の方、高卒の中退者が多いなど実態を分析されました後、母親の方が労働市場に出るときのハンディについても分析されております。
 大変学歴が低いことがハンディになっていると。それで、就かれる職業も単純労働の性格が強いものであり、なかなか勤労収入の増加を見込むことができない。それから、生活保護を受給している母親の中には生涯一度も就職したことのない人が一割含まれていると。第四点といたしまして、貧困の再生産というような側面もあり、生家の経済状況の苦しさ、生保受給率の高さ、親の学歴の低さ、親の正規雇用の少なさ、こういった要因が背景にあるというようなことを分析した上で、今後の具体的な取組として、生活していくことができる賃金を得られる職業能力の開発の必要性、ボランティアや負荷の低い中間就労などの機会を準備することの必要性、情報格差があるのでパソコンが利用できない方も多いということで、これを拡大しないようにすること、転職を希望する母親のキャリアアップが必要であると、こういうことを指摘し、他の政策分野との連携が必要であり、民間市民団体、住民との相互理解を得ながら独自の地域政策に取り組む必要があると。
 就労機会の確保については、ハローワークだけではなく、産業政策部門や民間企業との協力を得て雇用機会の創出を図ることが大事であると。また、近時雇用数が増えてきている福祉分野における雇用システムに柔軟に組み入れるなどの検討が必要であるというような御意見なり分析なりが報告書に提言されております。
 なお、釧路市では、この報告書を受けまして、生活保護を受給する母子世帯の自立支援プログラムとして、福祉施設と連携した就労支援や職業訓練機関と連携した母子OA講座の実施など幅広いメニューを用意し、母子世帯の自立に向けたきめ細かな支援を行っていると、こういうふうに承知いたしております。
#70
○島田智哉子君 その研究報告されている大きなポイントの一つとして、生活保護を受給している母子世帯の母の多くは、この地域では四割の方々が仕事をされているということなんですね。しかし、そうしたお母さん方が得られる仕事は非正規の短時間雇用が非常に多いということから、働ける限り働いてもわずかな収入しか得られないわけなんです。
 この研究報告では、生活保護受給の母が働いているのは小零細企業の割合が高く、その仕事は単純労働の性格が強く、非正規の短時間雇用が多い、また勤続年数が短いなど、その結果として低賃金で保護から脱出が難しいと言われております。これは釧路市に限ったことではないと思いますけれども、そうした現状についてどのように御認識されていますでしょうか。
#71
○政府参考人(中村秀一君) 委員から釧路市の状況については御指摘いただいておりますが、今生活保護を受給されている母子世帯は九万二千世帯ございます。生活保護の世帯のうちの八・七%、保護を受けている方の人員の一五・六%を占めておられますが、全国の母子世帯数を母数といたしますと、一三・一%の方が生活保護を受けておられます。一般の母子世帯の就労率は八三%でございますが、母子世帯の就労率は全国平均では四九・四%ということ、住宅扶助を受けている方が九四・九%、医療扶助を受けている世帯も九四・九%ということでございます。
 委員から御指摘ございましたように、釧路市の場合約四割、全国の場合約半数の母子世帯、生活保護を受給されている母子世帯の方が就労されております。また、釧路市の報告書にもございますように、生活保護を受給の無職の母親の方は、八割の方は働きたいというふうに思っておられるということを考えますと、課題としては就労率を更に高めること、また委員から御指摘ございましたように、就労して働いておられてもまだ生活保護を受けておられるということは、就労して得られる賃金が低いと、こういうことにつながるわけでございまして、より良い賃金が得られるところに就労先を移していくなり、そういった努力が必要ではないか。労働部局とも手を携えてこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
#72
○島田智哉子君 私が申し上げるまでもなく、就業に就くということが目的であってはならないと思います。生活保護を受給しなくても安定した生活が送れる、そこが目的なんだと思います。そして、そのためには時間を掛けて長期的な支援が必要なんだと思いますが、今後の母子世帯も含めた生活保護受給者の就労支援、生活支援について大臣のお考えをお聞かせください。
#73
○国務大臣(柳澤伯夫君) 生活保護世帯を含めた母子世帯の就労支援についてどうこれから考えるのかと、こういう御質問でございました。
 今、社・援局長、また委員御自身の御指摘でもあったわけですけれども、就労はしてもなかなか生活保護から脱し得ない、あるいは、母子家庭の中にはお母さんがお働きになって生活保護に何とか落ち込まないように頑張っているけれども、多くの人たちは厳しい状況にあるのではないか、こういう状況であるということは私どももほぼ同じような認識をいたしているわけでございます。
 これをどうするかということでございますけれども、先ほど来職安局長等から御説明させていただいておりますように、一つはコンサルタント的な、プランナー的なことをやる人たちの手によって就労に至るまでのプランを作って、できる限り職業能力そのものを向上させるということも必要であると考えます。それからまた、現実の就労に至るまでのいろんな準備について、ナビゲーターの人たちをもって個々に責任を持ってそこまで導いていくというようなことも必要であろうと思います。そういうようなことで、できるだけ報酬の高いところに就労していただく、また時間も、御自身のやりくりという面もありましょうけれども、できるだけ自ら望めば長い時間働けるような、そういう職場に導いていくということが必要であろうと思うわけです。
 しかし、もう一つ、これは我々労働行政だけで取り扱えない分野でありますけれども、雇用の機会というものがそれぞれの地域で確保されるということが何といっても必要でございまして、そういう意味では地域再生というような活動とうまくタイアップして、そうした人たちの就労、しかもできるだけ報酬がしっかりとしたものが得られるようなそういう就労を実現していく必要があると、このように考えておりまして、私ども、今申したような施策のほかに、地域雇用対策、地域雇用開発促進法といったものも今回改正して、できるだけそういう今申したような雇用の機会を広げるために労働側としてできることはさせていただくということですけれども、全体としてかなり、地域全体の経済の状況を好転させていくための努力、これは独り厚労省だけじゃなくてその他の役所の協力も必要で、そうした全体の努力の中で今申したことを実現していかなきゃならないと、このように考えております。
#74
○島田智哉子君 社会の様々な格差が広がる中で、弱い立場の方々へのしっかりとした支援をお願い申し上げまして、そして厚生労働省、チームワークでしっかりと頑張っていただくことをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
    ─────────────
#75
○委員長(鶴保庸介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、下田敦子君が委員を辞任され、その補欠として前田武志君が選任されました。
    ─────────────
#76
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回の法案の積雪寒冷地の被保険者への特例一時金の削減問題についてお聞きをしたいと思います。
 これは、北海道を始めとする自治体、季節労働者の皆さんからはたくさん削減反対の声が与野党を問わず寄せられていると思うんです。この要望書を見ますと、特例一時金の削減問題はもちろんですが、それに入る前に、三十年間続いてきた季節労働者のための冬期援護制度が今年三月で終了することの見直しも求めておられます。
 最初にお聞きしますが、この制度の〇六年度の予算は幾らあったのか。これは直ちに全部なくなってしまうようなことになると大問題だと思うんですが、それに代わる施策あるのかどうか、お聞きします。
#77
○政府参考人(高橋満君) 冬期雇用安定奨励金でございますが、これは〇六年度でございますので十八年度でございますか、十八年度の冬期雇用安定奨励金の予算は約四十四億四千万、それから冬期技能講習助成給付金の予算額は約二十二億六千万となってございました。
#78
○小池晃君 それに代わる施策はあるのかと。ちゃんと答えてくださいよ、質問聞いて。
#79
○政府参考人(高橋満君) 私ども、今申し上げた雇用安定奨励金及び技能講習助成給付金でございますが、これまで通年雇用化を促進すると、こういうような趣旨でこの事業を実施してまいりました。しかし、現状は非常にこの通年雇用への移行率というものがいずれも低い状況にとどまっておると、こういうことで、これを十八年度をもって廃止をさせていただいたところでございます。
 ただ、他方で、この季節労働者の雇用対策につきましては、十九年度予算におきまして通年雇用奨励金の拡充といったようなことを中心といたしまして施策の充実強化を図ったところでございます。
 具体的には、季節的業務におきます通年雇用を一層促進するため、通年雇用奨励金についてその助成の経費の対象を拡充をすると。また、季節的業務以外の一般業務への労働移動による常用雇用化ということを進めていくという意味で、新たに試行雇用奨励金及び通年雇用奨励金の対象にしていくと。それから、さらに三点目といたしまして、ハローワークでの担当者制によるきめ細かな就労支援に加えまして、市町村レベルでの通年雇用対策に対する支援事業というものを創設をいたしまして、地域レベルでの相談支援体制の強化を図るということで、従来以上にこの季節労働者の通年雇用化に向けた総合的な幅広い支援策を講じていきたいと考えておるところでございます。
#80
○小池晃君 従来以上にと言うけれども、取りあえず〇八年度以降はということですが、その先はどれだけ確保できるか不明なわけです。いろいろ言うけれども、冬期援護制度そのものが終わるということはこれは紛れもない事実で、これはやっぱり見直すべきだと思います。
 それに加えて、その冬期援護制度を終了した上に、今回の雇用保険法案で特例一時金が五十日から三十日へ、当分の間は四十日へということになれば、これはもう季節労働者の生活が成り立たなくなるという声が寄せられております。
 例えば、全国季節労働者二十三万人のうち、北海道には十三万人が集中している。これ特例一時金が十日分減ると、一人平均約五万円、総額七十億円、本則の三十日分にもしなれば百四十億円がこれは失われることになる。北海道の経済にも相当な打撃になります。だからこそ、与党の議員も北海道出身の方はこうした見直しの紹介議員となっているわけです。
 局長、端的にお答えいただきたいんですが、当分の間四十日分というふうになっているわけですが、当分の間というのは、これいつまでなのか。いつの間にか自然に、勝手に三十日になってしまうというようなことはないんでしょうね、これは。
#81
○政府参考人(高橋満君) 今御指摘の当分の間の期間でございますが、私どもとしては積雪寒冷地におきます地域雇用対策の効果、さらに、給付を受けておられる季節労働者の実態の動向等を踏まえて適切な時期までとすべきであると考えておるところでございますが、この当分の間の措置については法律の附則で措置をいたしたわけでございまして、したがいまして、仮に今委員が言われるような本則の三十日分相当額とするということになりますと、当然法律改正を必要とするということになろうかと思います。
#82
○小池晃君 これ、生活実態をお聞きしているんですが、例えば旭川市の季節労働者からの訴えです。
 妻と子供五人家族で、建設会社の通年雇用で働いていたんだけれども、五年前から仕事が激減して季節雇用になったと。日給は九千円、年収は二百十七万余り。特例一時金が二十六万九千円、技能講習給付金が八万八千円で、これ入れても二百五十三万円で、通年雇用に比べて年収が半減したと。この方、住宅ローンの支払も三年残っていて、この上更に特例一時金が削減されたらもう到底生活が成り立たない。こんな声がたくさん寄せられているんですね。
 大臣にちょっとお示ししたいんですが、この季節労働者問題に各政党がどういう主張をしてきたかなんですよ。ちょっとまあ以前のことになりますが、一九七七年当時の選挙公約があるんです。これ朝日新聞の北海道版に載っているんですね。ここで私たち日本共産党は、九十日復活すべきだということを主張をしております。自民党は、北海道の実態に即しない雇用保険法は特殊事情が反映するよう特例を設けますと。要するに、拡大すると言っているんですよ。それから公明党も、雇用保険法を改正して九十日給付の復活を実現するということを公約に掲げているんですね。これ見ますと、すべての党派が五十日では駄目で、九十日に戻すなどの拡充ということを公約されている。それなのに今回、五十日更に削減するというわけでしょう。
 大臣ね、やっぱりかつての公約と全く正反対の方向を進めていくということについて、大臣、与党の一員でもおられるわけだけれども、これ道民に対して約束違反ということになるんじゃないですか。
#83
○国務大臣(柳澤伯夫君) 選挙の公約がどの程度の期間を想定してその施策を公約するかということはあろうかと思うんですけれども、私どもの今度の特例一時金の縮減というのは、今回こういう見直しの必要性というものが指摘されておりまして、他の被保険者とのバランスからいっても見直しをさせていただこうと。しかし、同時に通年雇用対策の拡充というものをさせていただくことによって、そうしたことが全体として大きな打撃を与えることなく実現できるという展望の下で行っているわけでございます。これについては、先ほど来職安局長の方からもるる御説明している点を踏まえていただければ御理解賜り得るものではないかと、このように考えております。
#84
○小池晃君 自民党の選挙の公約には賞味期限があるということは、これからの選挙で大いに宣伝をさせていただきたいと思います。
 これ、変えるんだったらちゃんと説明しないと駄目ですよ。それを変えずに、なし崩し的に全く逆の方向へ持っていくなんというのは許されないと思います。
 大臣は通年雇用、通年雇用とおっしゃるんだけれども、私も通年雇用の環境が整備されているんだったらそれはいいと思いますよ。しかし、実態どうなのか。これね、問題だらけなんですよ。通年雇用の環境、整備されていない、確保されていないんですよ。例えば、実際、〇六年の北海道の建設労働者の動き見ますと、ピークの九月、十月が八万六千人。これに対して、最も工事量が減少する三月にはわずか七千百人なんです。その差異、八万人ぐらいの差があるわけですよ。これが今の実態なんです、積雪寒冷地の。
 順次手を打つんだ、通年雇用対策やるんだと言っているけれども、そんなことを言ってたら働く前に凍えてしまうわけですよ。季節労働者も人間です。生活もあるんです。食事もするし暖房も必要なんです。だから、通年で働くことができる場を確保できているんだったらともかく、それができないのに生活保障の方を先に削ってしまうと。これは順番違うんじゃないですか、大臣、いかがですか。
#85
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは私どもとしては、先ほど来お答え申し上げておりますように、政策の面では通年雇用対策というものを拡充しているわけでありまして、そういうものが実現されるということが他方期待をされておる。そういう中で、かねてから問題にされてきたこの循環的な給付であるところの特例一時金の縮減をさせていただくということでございます。もとより、先ほども委員御自身も御指摘いただいているとおり、一挙に恒常的なレベルにまで行くというのではなくて、当分の間ということで経過措置もとらせていただいておるということでございます。
#86
○小池晃君 いや、五十日が四十日になるんだって大打撃なんですよ。大臣、期待でしょう。期待じゃ駄目なんですよ。実体ちゃんとできてからだったら分かるけれども、それは期待しますと言いながら実体できてないのに打ち切るというのは余りに無責任じゃないかと言っているんですよ。命綱なんですよ、これは実際に、北海道の寒冷地の季節労働者にしてみれば。こういうやり方は許されないと。
 労働基準法の第一条には、「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」というふうに言っているわけです。そういう労働環境をつくる責任が国にはあるわけですよ。そういう労働環境ができたら、じゃ、生活保障の方はもうやめましょうと言うのは分かるけれども、全くできてないのに生活保障の方を先に断ち切ったらどうなるのかと。こういう制度自体が必要でなくなるような労働環境をつくるというのがこれは労働行政の役割じゃないですか。それをまず徹底してやるべきなんじゃないですか。大臣、いかがですか。
#87
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもは通年雇用対策を拡充し、通年雇用がより多く確保されるということを期待し、同時に、それが実現すべく努力をするということを当然のことながら政策の実施に当たる担当の役所として考えているということでございまして、そういう考え方の中で、他方において、特例一時金については今申したような経過措置を伴いつつの縮減をさせていただくということでございます。
#88
○小池晃君 これは容認できません、特例一時金の削減は。五十日、維持すべきだと思います。
 同時に、きちっとその通年雇用の施策を解決するというのであれば、具体的なことをやっぱりしっかりやるべきだと思います。
 二つちょっと考えを提案したいんですが、一つは、実施予定している通年雇用促進支援事業に加えて、同事業の活用で雇用創出に挑戦しようとしている自治体に対して、実際仕事を生み出す、直接雇用を生み出すようなそういうやっぱり仕組みを作るべきだ。緊急地域雇用創出特別交付金ってありましたけれども、地域雇用創出臨時交付金とでも呼べるような、こういう自治体で直接雇用を生み出すという施策が必要なんではないか。それからもう一点は、やはり建設業などの業界があるわけです、季節労働者を多用している。そういう業界と国、自治体が連携して、例えば積雪寒冷地休業補償基金というようなそういう基金を創設をして、季節労働者の新たな通年雇用対策考えていくと、こういうやっぱり具体的な手だてを打っていくべきじゃないですか。まあ、こういう提案いかがですか。
#89
○副大臣(武見敬三君) いろいろなお考えはあるんだろうと思います。この季節労働者の雇用対策については、平成十九年度予算において通年雇用奨励金の拡充などの施策の充実強化によって季節労働者の通年雇用化の一層の促進を図る、これがまず基本でありまして、そしてこの中で、例えば建設業というお話がありましたけれども、この建設業におきましては特別に雇用保険料を上乗せ徴収をいたしておりまして、これは千分の一でありますが、当該財源を元に建設労働者の雇用の改善を図るための助成金の支給など、その特性に応じたきめ細かな支援策、これを講じております。このうち、建設事業主団体がその構成員たる事業主に対して通年雇用を促進する取組を講じた場合に要した費用の一部を助成する仕組みを雇用改善推進事業助成金として設けております。
 こうした施策を通じて、季節労働者の通年雇用化というものを更に促進をしたい、こういう考え方でございます。
#90
○小池晃君 今までの施策の枠組みやっぱり一歩出てきちっと支援、季節労働者の通年雇用のための施策を取るべきだというふうに、それは検討していただきたいと思います。
 それから、雇用保険制度の一つの日雇雇用保険についてもお聞きしたいんですが、日雇労働者と規定されている人は現在何人で、いわゆる白手帳、日雇雇用保険の手帳というのは何人が所持しているのか、数字だけ端的に。
#91
○政府参考人(高橋満君) 日雇労働者の数でございますが、これは労働力調査で見まして、平成十七年が百八万人という数字が報告されております。他方、日雇労働被保険者として手帳を発給しております、交付しております方々が三万人という数でございます。
#92
○小池晃君 非常に大きな開きがあるわけですね。これは本来加入できる条件の労働者が加入していないということになるんじゃないですか。何でこんなことになっているんですか。
#93
○政府参考人(高橋満君) 労働力調査でございますが、これは、労働力調査における日雇労働者というのは、調査月の月末一週間に実際に日々又は一か月未満の契約で雇われて働いた者という数として統計的に把握されている者でございます。
 他方、雇用保険制度におきます日雇労働被保険者でございますが、これは常態として日々又は一か月未満の契約で雇われる者として働いている者で一定の要件を満たす者が対象でございまして、当然その範囲に違いがございます。それから、雇用保険制度におきましては、日雇という形で働いておりましても、直近の二月の各月におきまして同一の事業主に十八日以上雇用された場合には原則として一般被保険者になるというようなこともございます。
 そうした点からも両者に差が生じるものというふうに理解をいたしております。
#94
○小池晃君 そうはいっても、実態をお聞きをしますと、ちゃんと適用されているのかなって疑問に思うようなケースが一杯あるんですよ。
 例えば、京都府、滋賀県辺りでは、警備業者が事業を受注できたので日雇雇用保険の事業所の登録を地元の職安に申請に行ったら、窓口で建設、警備業ではできないというふうに拒否された。あるいは、京都府では、建設業者が職安に申請したら、管轄区域内に日雇労働市場がないからって拒否された。
 これ確認したいんですが、日雇雇用保険では登録事業の業種限定とか地域限定というのはこれあるんですか。
#95
○政府参考人(高橋満君) 雇用保険制度におきます日雇労働被保険者でございますが、これは日々雇用される者又は三十日以内の期間を定めて雇用される者でありまして、厚生労働大臣の定める適用区域内に居住するか又は適用区域内の適用事業所に雇用される者等がその対象になるというものでございます。
 したがいまして、業種については特段の制限はございませんが、地域については一定の限度というものを、一定の範囲というものが定められておるということでございまして、適用事業所につきましても、これら日雇労働被保険者の雇用の可能性ということを適正に判断をして対応しているところでございます。
#96
○小池晃君 この日雇労働者対策というのは、このホームレス対策法が制定されたときにもう予防措置として重要だと位置付けされてきたわけであります。先日、日雇派遣という労働者の問題も私取り上げました。やっぱり政府はきちっと必要な手帳を交付する、必要な業種の登録を行う、で、不安定雇用から抜け出すというサポートをしていくのは政府の責任だと思うんです。
 大臣ね、殊更行政的に日雇雇用保険の登録事業所の数とか手帳の交付数を減らすと、で、規模を縮小すると、こういうことがあってはならないというふうに思うんですが、やはり必要な人にはきちんと適用していくということをやっていくべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。
#97
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日雇労働者のうちで常用雇用を望む方に対しては、職業紹介や技能講習を行って日雇労働者の常用化を図るという努力をまずしています。そういうことが私は必要だと、このように思います。
 雇用保険制度における日雇労働者というものにつきましては、今職安局長の方からつまびらかに御説明したように、一定の要件が満たされた場合に適用されると、こういうことになっているわけでございます。そういうことでございますが、労働者又は適用事業所より雇用保険の適用に係る相談等があった場合には、私どもとしては雇用実態を詳細に調査した上で被保険者資格の有無等について慎重に判断していかなければならないと、このように、雇用保険の運用上の立場からそのように考えております。
#98
○小池晃君 必要な人にはきちんと適用していただきたい。
 最後に、三事業の問題ですが、もちろんホテル事業などの本来の趣旨から逸脱したものについては、これは政府の責任、逆に明確になっていないように思います。
 必要な事業もあるはずで、例えば人材確保等支援助成金、看護師等雇用管理研修助成金というのがありますが、これきちっと法的根拠があって設けられたものが今回廃止される。これ、引き継ぐ施策についてどうなっているのか、ちょっと簡単に御説明を。
#99
○政府参考人(高橋満君) 看護師等雇用管理研修助成金でございますが、これについてはなかなか、その実績が非常に極めて少ないと、こういうようなこともございまして、今般、雇用福祉事業の廃止に伴いまして廃止をいたすことといたしたわけでございます。
 今後については、元々この助成金の目的が看護師等の人材の確保に資していくというようなことであるわけでございまして、そういう観点から私どもといたしましては、全国の福祉重点ハローワークにおきます職業相談、職業紹介等を通じた人材の確保、それからキャリア形成促進助成金によります研修等の受講経費の助成によりますキャリアアップということを引き続き行いますとともに、独立行政法人雇用・能力開発機構におきまして雇用管理相談でありますとか雇用管理講習会といったものを開催をいたしておりますので、そうした中で看護師等に対する雇用管理の改善への支援ということもこの中で対応していきたいということで努力をしていきたいと考えております。
#100
○小池晃君 制度がなくなってもきちっと後継策があることは周知徹底していただきたいと思います。
 終わります。
#101
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 育児休業給付制度について、この制度の拡充は歓迎をいたします。しかし、育児休業法の恩恵を受けている労働者は、相変わらず規模の大きい事業になればなるほど制度が整備されており、実際に休業を取得する割合も高くなっております。より広く育児休暇を取得できる環境整備が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
#102
○国務大臣(柳澤伯夫君) 御指摘のとおり、大企業になるほど育児休業の取得率やこの規定の整備率が高くなっておりまして、そういう実態にかんがみますと、中小企業におきます育児休業の取得促進というのは重要な課題であると、このように考えております。
 厚生労働省は、このような観点に立ちまして、次世代法に基づく行動計画の策定、実施を中小企業におきまして促進をするということ、それから第二には、育児休業取得者が初めて出た場合の中小企業に対する助成制度を創設して、これによって育児休業取得の促進に資したい、こういう制度を設けていること、それから、平成十九年度予算におきましては育児休業制度を利用しやすいような職場風土の改革に取り組む中小企業に対して助成制度を創設すると、こういうようなことをやっておりまして、このような取組によりまして、企業規模の大小にかかわりなく、希望する労働者が気兼ねなく育児休業制度を利用できる職場環境の整備に努めていきたいと、このように考えております。
#103
○福島みずほ君 育児休業給付を受け付けた期間を基本手当の算定基礎期間から除外することは、子供を産み育てる環境づくりの方針と逆行するのではないですか。
#104
○政府参考人(高橋満君) 育児休業給付の在り方につきましては、今回、労働政策審議会で様々御議論がございました。そうした御議論の経過といたしまして、一つは、被保険者期間にかかわります何らかの調整規定を設けることが必要ではないかと。ただし、慎重にその場合には規定すべきとの労働者代表の意見もあったわけでございまして、こうした点を十分踏まえながら検討をいたしたわけでございます。
 検討に当たりまして、私どもこの育児休業給付につきましては、一つは比較的長期間の給付を受けられる制度であると、またその間賃金が支払われない、したがいまして、保険料が納付されないということがほとんどであるといったことを踏まえまして、被保険者間の公平性の観点から慎重に検討いたしました結果、御提案を申し上げているとおりの、基本手当の算定基礎期間に育児休業給付を受給した期間を算入しないと、こういう措置をとることにいたしたわけでございますが、この措置をとることに当たりまして、労使の合意をいただいた上で御提案を申し上げたわけでございます。
 なお、今回の改正によりまして、現行制度に比べて確かに所定給付日数が短くなるケースがあるということは、もちろん私どもも承知をいたしております。ただ、この基本手当の所定給付日数と申しますのは、言うまでもございませんが、受給し得る上限の日数を定めたものでございまして、そういう意味では、私どもは、どういった受給資格者でもできる限り早期に再就職をしていただけるよう様々な支援を申し上げていきたいというふうに考えているところでございます。
#105
○福島みずほ君 問題があると考えますので、この点について本当に問題があるので、今後もこの点の改善は必要だということを申し上げます。
 次に、中国人強制労働についてお聞きをいたします。
 三月二十六日の宮崎地方裁判所も、三月二十七日長崎地裁も、強制連行・労働は、国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したとして国と県、企業の不法行為を認めました。この認識を大臣も持っていますか。
#106
○国務大臣(柳澤伯夫君) 本件につきましては、裁判が係属していると承知をいたしておりますけれども、いずれにしても、本件は所管外の問題でございまして、厚生労働大臣として直接的に何か申し上げる立場にはないと、このように考えております。
 一般論で申し上げれば、このような方々が、戦争下という異常な状況の中とはいえ、半強制的な形で来日、厳しい労務に就いてその中で多くの苦難に遭遇されたということは極めて遺憾だと考えております。
#107
○福島みずほ君 大臣は、強制労働そのものは問題であるというふうにお考えでしょうか。
#108
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、所管外のことでありますので、そうしたことについて事実を確認することにおいてもその立場にはないものと考えておりますが、もしそうしたことがあれば、それは私も極めて遺憾な状況だと思います。
#109
○福島みずほ君 除斥、時効、国家無答責などによって中国人被害者の請求は棄却されているケースも多いけれども、少なくとも、明白な被害事実に関して国の労働行政の責任者として大臣は被害者に謝罪をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
#110
○国務大臣(柳澤伯夫君) これも先ほど申し上げましたとおり、私はこれは所管外の問題であるという認識に立ってございまして、そうした謝罪ということのようなことであれば、なお厚生労働大臣として直接的にこれについて何か御答弁を申し上げるということは控えたいと、このように思います。
#111
○福島みずほ君 所管外だということは事前にも聞いているんですが、他方、強制労働に関すれば、これは日本も当時ILO条約を批准しておりまして、ILO条約は強制労働を明確に禁止をしています。ですから、裁判が指摘しているように、ずっと指摘し続けているように、強制労働ということであれば、あるいは強制労働という事実については、これは私は労働を担当する大臣としてこの問題については、強制労働に対してどうしていくかという問題については是非考えを言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
#112
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは先ほど来申し上げておりますように、強制労働というか、そういうことを一般論として申し上げるということであれば、これはもう今委員からILO条約のことに御言及がありましたけれども、そういったことも総合的に考えまして、極めて遺憾なことであるということでございます。
 しかし、この中国人の方々についての戦時中の強制労働については私は、重ねて申し上げますけれども、これは所管外のことであるので、お答えする立場にはないということでございます。
#113
○福島みずほ君 一九七二年日中共同声明によって国としての請求権は相互放棄をしたが、個人の請求権に関しては、一九五六年日ソ共同宣言、一九六五年日韓請求権によって消滅していないのと同様に消滅していないと思うが、いかがですか。
#114
○政府参考人(小松一郎君) 法的な観点の御質問でございますので、私から御説明をさせていただきます。
 この点につきましては、政府より繰り返し答弁しているところではございますが、いわゆる中国人強制連行の問題も含めまして、さきの大戦にかかわる日中間の請求権の問題については、一九七二年の日中共同声明発出後、存在しておらず、このような認識は中国側も同様と理解しております。
 なお、委員の方から日ソ共同宣言等のいわゆる条約の請求権相互放棄条項といわゆる個人の請求権との関係について御質問がございました。この点について政府が従来から答弁しているのは次のことでございます。
 まず、これらの条約によりまして、戦争請求権の問題はいわゆる個人の請求権の問題を含めまして法的に完全に解決済みであると。次に、これら条約の条項自体は、日韓請求権・経済協力協定第二条の実施に伴ういわゆる措置法が定めているような形で、相手国国民などの日本国内法上の権利を国内法的な意味で消滅させたものではない。
 以上申し上げた上で、この関連で、第二次世界大戦中のオランダ人元抑留者を原告といたしまして国を被告とする損害賠償請求訴訟がございまして、平成十三年十月十一日に東京高裁が判決を出しております。これが次のとおり判決をしているわけでございます。サンフランシスコ平和条約第十四条(b)の請求権放棄条項により、連合国及びその国民と日本国及びその国民との間の相互の請求権の問題は終局的に一切が解決されたものと認められる。すなわち、連合国国民の個人としての請求権も連合国によって放棄され、これによって連合国国民の実体的請求権も消滅したと解するのが相当である、以上でございます。この東京高裁判決は、その後最高裁が原告の上告を受理しなかったことにより、平成十六年三月三十日に確定していると承知しております。
#115
○福島みずほ君 中国政府外交部は、中国人を強制的に徴用し労働させたことは日本軍国主義の侵略戦争における重大な犯罪行為の一つで、日本が歴史に責任を負い、真剣かつ適切に処理するよう希望すると表明をしています。
 中国のこの見解に対して政府はどう答えるのでしょうか。
#116
○政府参考人(小松一郎君) 政府としては、いわゆる強制連行問題につきまして、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えてございまして、戦争という異常な状況下とはいえ、中国の多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは大変遺憾であったというふうに考えている次第でございます。
 他方、法的な問題といたしましては先ほど来御答弁を申し上げておりますところでございますけれども、さきの大戦をめぐる日中間の請求権の問題については、七二年の日中共同声明発出以後存在しておらず、このような認識は中国側も同様と理解しているところでございます。
#117
○福島みずほ君 外務省にお聞きをいたします。
 三月二十六日の宮崎地裁、三月二十七日長崎地裁も、強制連行・労働は国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したとして、国と県、企業の不法行為を認めています。この認識を外務省は持っていますでしょうか。
#118
○政府参考人(小松一郎君) 私の理解したところによりますと、今の御質問は係属中の訴訟に関する御質問というふうに理解いたしましたので、それについては三権分立の観点から、行政府からコメントすることは差し控えたいと考える次第でございますが、法的なこの理解ということにつきましては先ほど来御答弁をしている次第でございます。
#119
○福島みずほ君 いや、三権分立ではなく、客観的な事実の認識を政府がどう思っているかについて国会の場で質問をしているのです。
 強制連行・労働は国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したという認識を政府は持っておられるのでしょうか。
#120
○政府参考人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、いわゆる強制連行問題について、政府が累次申し上げているところでございますけれども、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったということは否定できないと、戦争という異常な状況下とはいえ、中国の多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは非常に遺憾であったと。これは厚生労働大臣からもお答えがあったところでございます。
 他方、その法的な理解、関係ということにつきましては先ほど来御答弁を申し上げているところでございます。
#121
○福島みずほ君 客観的な事実としてどう理解するかであって、戦争が悲惨であり、多くの人に耐え難い苦痛を与えるというのは、これはもう当然のことであります。政府としてそれをどう考えているかについては、強制連行という事実、あるいは国が政策決定し、県が施策の実現に関与したということは認めないということなんでしょうか、どうなんでしょうか。
#122
○政府参考人(小松一郎君) 誠に繰り返しになって恐縮でございますが、地方裁判所の判決に書かれたその認識についてどうかと、政府の認識はどうかという御質問でございますので、これは、今現在係属中のその案件についてお答えをするのは適当ではないと考えております。
 他方、強制連行問題についてどのように考えているかと、政府の認識はどうかということにつきましては先ほど来、繰り返しではございますけれども、答弁を差し上げているところでございます。
#123
○福島みずほ君 裁判の中でどうかではなく、客観的に強制連行というものがあり、政府が政策決定し、県も関与していた、この認識を政府が持っているかどうかについてお聞きをしています。どうですか。
#124
○政府参考人(小松一郎君) 誠に申し訳ございませんけれども、先ほど来お答えを申し上げていることが政府の見解でございます。
#125
○福島みずほ君 戦後六十二年がたって、客観的な資料も出てき、本人たちの証言もあり、裁判もあり、裁判所はどういうことで強制連行が、強制労働が、強制連行・労働が行われたかということは認定をしているわけですよね。責任も違法行為も認めています。除斥や時効で棄却にしていっても、その客観的事実とそれの評価はやっているわけですね。この期に及んで、戦後六十二年たって、政府がその点について、これは国の施策であった、あるいは企業も関与し、県も関与していたという事実そのものを認めないということについては全く私は理解ができません。
 これは、客観的な事実についてきちっとやっぱりやるべきだというふうに考えておりますが、いかがですか。あるいは、裁判の結果を待つというのではもう時間がたち過ぎると思いますが、どうでしょうか。
#126
○政府参考人(小松一郎君) 御要求がございましたのはこの請求権、戦争にかかわる請求権の問題についての日中共同声明関連の条約との関係という関係で御請求、御要求がございましたので私出席をして御答弁申し上げているところでございますけれども、一つは、今委員の御質問の点につきましては係属中の訴訟にかかわることであるということが一つと、それから、その事実関係についての認識ということになりますと外務省の方からお答えをすることが所掌として適当かどうかという点もございますので、大変恐縮ではございますけれども、先ほど来お答えを申し上げているところで御理解をいただきたいと思います。
#127
○福島みずほ君 時効の援用を退けた西松建設訴訟、広島高裁の判断があります。今最高裁に上告中ですが。二十六日の宮崎地裁の判決には、本件強制連行、強制労働の事実にかんがみると、道義的責任あるいは人道的な責任という観点から、この歴史的事実を真摯に受け止め、犠牲になった中国人労働者についての問題を解決するよう努力していくべきものであるとの付言が付されております。裁判で請求は棄却されてもなお不法行為の事実は残り、問題は解決をしておりません。歴史的、政治的責任をどう受け止め、この問題をどのように解決しようとしているのか、お考えを教えてください。
#128
○国務大臣(柳澤伯夫君) 高裁の判断ということでございますが、また御引用は地裁の判決ということでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、裁判が係属している段階でございまして、そういうことからしてここで何らかのことを申し上げるということは適切でない。加えまして、この問題については厚生労働大臣としては所管外の問題であるということでございまして、そういう観点からここで委員の御質疑に対して何らかのことを申し上げるということはそういう立場にないということを御理解を願いたいと思います。
#129
○福島みずほ君 事実の究明と問題の解決と、きちっとどう解決していくのかという点はとても重要だと思います。特に今日お話ししたのは、客観的事実についてどう認識し、どう解決していくべきと考えるかという点について、政府の各部門で是非この点について推考していただきたい。その点について国会の中でも取り組んでいきたいと考えております。
 以上で終わります。
#130
○委員長(鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について阿部君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。阿部正俊君。
#131
○阿部正俊君 私は、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党と公明党を代表いたしまして修正の動議を提出させていただきます。その内容につきましては、お手元に配付されております案文のとおりでございますが、念のため提案理由説明書をごらんいただければと思います。
 御説明申し上げます。
 修正の要旨は、原案のまず施行期日につきまして、平成十九年四月一日となっているものを公布の日に改めるとともに、労働保険の失業等給付に係る雇用保険率の弾力的変更の範囲の拡大のうち引下げに係る部分につきまして、平成十九年四月一日から適用し、労働保険料の納付期間を延長するなど、所要の整理を行うことでございます。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をいただきますよう、お願い申し上げます。
 以上です。
#132
○委員長(鶴保庸介君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#133
○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。
 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案及び修正案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 そもそも、現在の社会の不安定さをもたらした最大の要因は雇用の不安定さにあり、自立した生活を可能ならしめる賃金を定期的に獲得できないことこそが様々な社会不安を生じさせた源泉であることは何人も否定できない事実です。三人に一人が非正規雇用の労働者であること、若者を中心としたフリーターが平成十七年には二百一万人に達したことなど、現下の雇用情勢は本法第一条に規定された雇用の安定とはほど遠い状況にあることをまずもって政府は認識すべきです。
 しかるに、今回政府から提出された改正案は、そうした時代背景及び国民の要請に完全に逆行した内容が含まれており、一歩前進と評価すべき項目が数点あることを踏まえても、これに賛成することは我々の良心が許さないのであります。
 法案の中で最も許し難いことは、失業給付にかかわる国庫負担を本来の負担額の五五%に削減した点にあります。このことは、憲法に明記された国民の勤労権をも実質的に否定しかねない国の雇用政策への責任放棄にほかなりません。しかも、委員会で明らかとなった五五%という数字の根拠は、これまでの最高の削減であった五六%より一%下げたというものであり、怒りを通り越し、ただただあきれるばかりであります。失業とは政府の経済政策、雇用政策の投影であることを踏まえるならば、労働者の命綱となる失業給付の国庫負担率については最低でも据え置くべきでした。
 その他、一つ、巨大な箱物建設により信じ難い損失を生じさせた反省が不十分であり、再び不要不急の事業が行われかねないこと、二つ、育児休業給付の引上げを行いながら育児休業を実際に取得するための職場環境の改善に何ら着手していないこと、三つ、地域雇用対策が不十分な状況で冬場の解雇の責任を季節労働者にのみ負わせたことなど、本法案は国民の納得を得られるものではありません。
 私たちは、政治の要諦は額に汗して働く者が本当に安定した暮らしができ、安全な社会をつくることに尽きると考えております。雇用保険制度はそうした社会を築き上げるために必要不可欠な制度であり、今回、制度充実の好機を逃した政府の責任は極めて重いと言わざるを得ません。
 さて、以上指摘した法案の内容に関する問題点に加え、本法案の委員会審議の過程において前代未聞の事態が発生いたしました。言うまでもなく、厚生労働省による文書配付の問題であります。
 参議院における委員会審議の最中に、法案が既に本会議で可決、成立したとの文書を参議院議員に配付したことは、参議院軽視どころか正に参議院無視であり、与野党の別を超えて怒りを禁じ得ません。参議院の威厳を著しく傷付けた政府に猛省を促し、二度とこのようなことのないよう再発防止を強く求め、私の反対討論を終わります。
#134
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案の原案及び修正案に反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、雇用保険への国庫負担の五割削減によって、制度への国の責任が大きく後退しているからです。
 そもそも、失業給付への国の責任は、勤労権を保障した憲法二十七条に根差しています。大企業のリストラや非正規雇用の拡大など、深刻な雇用情勢の下で国の役割はますます重要です。二兆九千億円の積立金に示された雇用保険財政の好転は、委員会論議でも明らかになったように、前回改定による保険料率の引上げや給付額削減、受給期間の縮小の結果であることは明白です。本来なら、給付の拡充とともに、除外されている一千万人を超える未加入者への対策こそ求められており、国庫負担の削減など言語道断であります。
 反対の第二の理由は、被保険者の受給資格に新たな差別を持ち込み、今まで六か月で受給できた権利が奪われることになるからです。
 既に自己都合離職には給付制限期間三か月が課せられている上、前回改定で給付にも格差が付けられました。今回の改定は、この上、新たに資格要件まで差別化するものです。循環的給付や安易な給付を防止するという改定理由も、具体的根拠を一切示せないままでした。
 反対の第三の理由は、本日質問した積雪寒冷地の被保険者等への特例一時金の削減です。
 この制度は、冬期に仕事のない季節労働者の命綱であるにもかかわらず、通年で働ける措置がないままに削減が進められており、季節労働者の生存権が脅かされています。
 さらに、雇用福祉事業三事業についても、今回廃止される五十二施策の中には、看護師等雇用管理研修助成金や出稼ぎ労働者の健康診断などに対する地方への補助や小規模事業所の雇用保険事務代行への助成制度が廃止されるなど、雇用福祉制度の後退があります。
 育児休業職場復帰給付金の引上げは改善ですが、基本手当の算定基礎日数から育児休業期間を除外することは賛成できません。
 そもそも、本法案は雇用保険制度の根幹にかかわる重要な法案であるにもかかわらず、日切れ法案扱いということで、十分な質疑時間の確保や参考人質疑も行われず、このような短時間の審議で採決すべきものではありません。
 法案成立前の文書配付についても、国会軽視として厳しく抗議をいたします。
 以上指摘をして、私の反対討論とします。
#135
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、雇用保険法等の一部改正案の原案並びに修正案に反対の討論を行います。
 非正規雇用の大幅な増加、ワーキングプアの増加という雇用情勢が大きく変わっているにもかかわらず、その多様な働き方に対応した改正、弱い立場の人たちに手を差し伸べる対応とは逆行する改正になっていると言わざるを得ません。
 まず第一に、今回、雇用保険の国庫負担の見直しを行い、千八百十億円の予算削減をしている点です。これは制度上の必要性から生じたことではなく、社会保障費削減ありきという議論から出てきた数字合わせでしかありません。
 政府は、平成十五年度から五年間にわたり、一般会計における社会保障費を圧縮するため毎年二千二百億円の予算を一律に削減をしてきました。介護保険制度や医療制度改革、障害者の支援費制度見直し、生活保護制度の見直しなど、国民の、しかも弱い立場の人たちの生活に直結する予算を一方的に削減してきました。今回、雇用保険制度見直しに伴い国庫負担の削減を行ったのは、労働者の安定した雇用の維持、働く人の安心、安全を支える責任を負うべき政府のあるべき姿勢ではありません。
 第二に、非正規雇用労働者が増えている中、特にパート労働者、フリーター、派遣労働者、さらには請負、日雇派遣と言われる人たちの雇用の劣化が大きな社会問題となっているにもかかわらず、今回の改正で支援策がほとんど取られていないことです。
 例えば、スポット派遣と言われる労働形態が若者に広がっています。雇用保険制度の網の目からこぼれ落ちてしまい、失業給付も受けられない状況です。こうした人たちへの失業給付対策に手が付けられていないことは、現在進行形で起きている問題にきちっと向き合っていない証拠です。
 今回の改正で、被保険者資格と受給資格を一般被保険者に一本化することは一歩前進ですが、受給資格取得のための期間が六か月から十二か月にする、これは雇用の劣化や悪質事業主が増えている中で、細切れ雇用を強いられている人、スポット派遣で働く人などの実情を無視しており、条件の引下げであり、明確な改悪です。
 第三に、季節労働者、出稼ぎ労働者に対する特例一時金の給付水準の引下げが盛り込まれていますが、過疎が進む地域に住む労働者の実態、第一次産業に頼らなければならない産業構造の現状を無視しています。地域間格差が拡大し、所得格差が拡大している中で、出稼ぎをしなければならない人たちへの支援を切り捨てることにほかなりません。雇用の劣化が大きな問題となっている今の時代にこそ、労働者のセーフティーネットがもっと安心できる頼りがいのあるネットになることが求められています。そのためにも、雇用保険の国庫負担の安易な引下げは許されないと考えます。働く者と安心と安全を守るための雇用保険制度の在り方をもう一度考え直すべきです。
 最後に、国民の命を守るためにこそ予算を割り当てるべきであり、社会保障関係費を一律に削減をしていく政府のやり方は税金の使い方を完全に間違っていると訴え、反対討論とします。
#136
○委員長(鶴保庸介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより雇用保険法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、阿部君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#137
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、阿部君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立信也君。
#139
○足立信也君 私は、ただいま可決されました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、失業等給付に係る国庫負担は、雇用政策に対する政府の責任を示すものであることにかんがみ、四分の一負担とする本則の枠組みを堅持するとともに、今後、雇用保険制度の安定的な運営を確保するために必要が生じた場合には、その時点での雇用保険財政や雇用失業情勢の状況、国家財政の状況等を踏まえ、その在り方を適切に検討すること。また、失業等給付に係る雇用保険率については、弾力条項の適切な運用を図り、同条項の発動による保険料率の引上げは慎重に行うこと。
 二、短時間労働被保険者区分の廃止による被保険者資格の一本化に当たっては、基本手当の受給資格要件の変更について、周知徹底に努めること。また、被保険者資格が一年未満でいわゆる雇止めにより離職する期間雇用者及び正当な理由がある自己都合退職の基準に合致する被保険者に対しては、解雇、倒産等と同様に取り扱うことにより、基本手当の受給において不利益が生じないよう配慮すること。
 三、特例一時金の引下げに伴って季節的な労働者の生活の安定に支障を来すことのないよう、関係省庁や関係自治体等とも連携しつつ、季節労働者の通年雇用化など積雪寒冷地等の地域雇用対策を一層強化し実効あるものとすること。
 四、育児休業給付の給付率の引上げについては、今後、暫定措置期間が終了する平成二十二年度以降の継続について、その在り方(育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金の在り方を含む。)を検討するとともに、育児休業給付を受けた期間を、基本手当の算定基礎期間から除外することについて、周知・徹底に努めること。また、育児休業については、取得率が低い中小企業に対し、雇用安定事業の助成金制度を活用するなど、取得促進のための対策を充実強化すること。
 五、子育て期間中の所得保障を含めた経済的支援の在り方については、関係部局が横断的に、保育サービス、児童手当、出産手当等諸施策の給付と財源の仕組みを総合的に検証し、早急に検討を行うこと。
 六、高年齢雇用継続給付の廃止に伴い、中小企業における六十五歳までの雇用機会確保措置の進展に支障がないよう必要な対策を行うこと。
 七、雇用福祉事業廃止後の雇用保険二事業及び改正後の社会復帰促進等事業については、循環的な評価管理(PDCAサイクル)の手法による目標管理を適切に行い、引き続き不断の見直しを行うよう努めること。また、都道府県労働相談窓口機能の低下を招かぬよう、都道府県労働相談事業の継続に向け、国は都道府県に対し必要な支援を行うとともに、労働災害の被災者及びその遺族に対する援護等の措置について、改正後の被災者等に従前の被災者等との格差が生じないようにすること。同時に、労働保険事務組合が小規模事業所で働く労働者の労働保険の加入と定着に大きく貢献している現状にかんがみ、同組合の活動を奨励・促進するための助成に対しては特段の配慮をすること。
 八、今後とも、雇用失業情勢に対応し、雇用対策の効果的な実施に努めるとともに、雇用保険がセーフティネットとしての機能を十分に果たすよう万全を期し、あわせて、その健全運営の確保に努めること。特に、失業認定等の基本手当に係る制度や育児休業給付その他の給付制度の運用については、その実態等を把握の上、不断に必要な改善を行うよう努めること。さらに、長期失業者等に対する諸外国における公費による補足的失業扶助制度について調査を行うこと。また、船員保険制度の雇用保険制度及び労災保険制度への統合等に当たっては、船員労働の特殊性を踏まえつつ、関係労使の意見を十分聴取し、制度の改変に伴う悪影響が生じないよう慎重に対応すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#140
○委員長(鶴保庸介君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(鶴保庸介君) 多数と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、柳澤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柳澤厚生労働大臣。
#142
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#143
○委員長(鶴保庸介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#145
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、富岡由紀夫君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
    ─────────────
#146
○委員長(鶴保庸介君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、雇用、労働等に関する件について質疑を行います。
 本日は、審議協力者として三名の参考人に御出席いただいておりますので、御紹介申し上げます。
 社団法人日本経済団体連合会専務理事の紀陸孝参考人でございます。
 日本労働組合総連合会事務局長の古賀伸明参考人でございます。
 東京学芸大学人文社会科学系教授の野川忍参考人でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#147
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。
 今日は、三人の参考人の皆様、お忙しい中をありがとうございます。
 まず初めに、先ほどの午前中の厚生労働委員会で雇用保険法等の一部を改正する法律案が可決をいたしました。この雇用保険法等の一部を改正する法律案は年度内の成立が本来望ましかったものでございますが、厚生労働省の一部不手際もございまして、このような形で法案の成立が遅れているわけでございますが、私の事務所にも、この雇用保険法案の成立が遅れているということで大変事業所等でも困っているという意見が寄せられておるところでございます。
 今日は、日本経団連の紀陸専務理事においでいただいておりますが、この雇用保険法改正案がまだ成立していない、年度内に成立しなかったことによりまして事業所等で具体的に生じている問題がありましたら教えていただきたいと思います。
#148
○参考人(紀陸孝君) すべてを承知しているわけではございませんけれども、今、現場では相当に混乱が生じているというふうに聞いております。
 給与支給をいたさなければいけませんけれども、その場合に、料率を千分の八の計算でカウントしなければなりません。法施行の後にこれが千分の六になるということなんでございましょうけれども、千分の六、施行された後の段階で、いったん給与を支払った後にまた精算をしなければいけない、千分の二の分を従業員に会社の方から返さなければいけないというようなことになっております。
 その場合に、比較的人数の小さい会社でしたらば対応は可能なんでしょうけれども、容易なんでございましょうけれども、社員数を多く抱えている場合には、ほとんどはコンピューターのソフトの内容が決まっております。その組替えをいったんした上でいま一度精算のし直しという格好になります。それが四月中で済むのか、五月に入ってしまうのか、二か月続いてそれをやらなければいけないのかと、企業の事情によって違ってまいるかというふうに存じますけれども。
 いずれにせよ、今のところでは千分の八ということでやらなければいけませんので、できるだけ早く、この処理がしやすいように法改正の施行をお願いしたいというふうに存じております。
#149
○坂本由紀子君 お話を伺いますと、法案を審議をしている国会の委員会に属する者として大変申し訳ないことだという思いがいたします。
 本来、年度内に成立していれば、事業所においては必要な手続を直ちに行い、計算のし直し等、余分なことをしなくてよかったわけですから、そういう意味では国民に多大な迷惑を掛けているということであろうと思います。
 また、これは、労働保険料の納付は、労働保険、一定の時期までに納めていただかなくてはいけないということで、毎年五月二十日の期限に合わせて納めていただきたいというような周知をそれぞれの出先機関等で行っておるところでございますが、こういうことについても、先般の先ほどの修正案によれば提出の日時も変わってくるわけでありますので、こういうもろもろのことについての変更を余儀なくされるわけですが、こういう変更に掛かる手間暇、それに掛かる余分な経費というのがあるのではないかと思うのですが、この点どうなっているんでしょうか。
#150
○政府参考人(高橋満君) 今委員御指摘の、雇用保険法等改正案が年度内に成立をしなかったということに伴いまして、私ども、事業主等に対しまして、混乱を避けるため、労働保険料の申告、納付に当たっての、この事業主に周知、広報を行うべく、そのための経費を既に四千万ほど支出をさせていただきまして、しっかり広報をさせていただいているところでございます。なお、この経費については既定の予算の中で処理をさせていただくということにいたしておるところでございます。
#151
○坂本由紀子君 これは、厚生労働省がそういう不手際を起こしたということ自体は問題でありますが、成立が遅れているのは国会そのものの責任でもあると思います。(発言する者あり)
 本来、二十九日の審議がなくても、三十日もあったわけですし、その後、今日までの間、日にちがありました。その間、国民に対して、国民に対して審議をしないということについての説明を私たち国会は国民に対して本当にできるんでしょうか。国会はやるべきだと私は申し上げているんでありまして、そういうことについての審議を急いでやらなくては、私は国民に多大な負担を掛けることになって……(発言する者あり)
#152
○委員長(鶴保庸介君) 御静粛に願います。
#153
○坂本由紀子君 別に、私は野党の方々に申し上げているのではなくて、こういうことを私たちは……(発言する者あり)
#154
○委員長(鶴保庸介君) 御静粛にお願いをいたします。
#155
○坂本由紀子君 私たちは、こういうことを国会として真摯に取り上げていかなくてはいけないということを申し上げているのであります。(発言する者あり)
#156
○委員長(鶴保庸介君) 発言の途中です。御静粛にお願いをいたします。
#157
○坂本由紀子君 それで、大臣にお伺いしたいのですが、今回のような事態……(発言する者あり)
#158
○委員長(鶴保庸介君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#159
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
#160
○坂本由紀子君 私は、大臣に伺いたいのは、先ほどの委員会でも国会軽視して申し訳なかったというお話はありました。それは確かにそのとおりで、大臣も始め職員の方々の処分があったということはそうだと思いますが、国民に対しても、あるいはその事業所と、そこで働く人たちに対しても多大な迷惑を掛けているということについては、やはり一言この点でのきちっとした説明をしていただくことが適当ではないかと思いますので、大臣からこの点についてお話しいただきたいと思います。
#161
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、先般、このような事態の下で雇用保険法に関する最後の審議ができなくなったということでありましたが、午後に開かれました国民年金法の一部改正する法律の一部を改正する法律案のその審議に先立ちまして、ここでおわびを申し上げました。そのときに、私が一番申し上げたことは、国会の委員の方、また国会議員の方々に対する御迷惑と、あるいは場合によってそれ以上に国民の方々に御迷惑を掛けて申し訳ないということをるる申し上げたところでございます。
 そういうようなこともありまして、今日は重ねての発言でございましたので、余り長くするのは控えるようにというようなことをいろんな方々からアドバイスもいただきましたので簡潔に申し上げましたけれども、気持ちは、本当に一番迷惑を掛けてしまったのは国民の皆さんであるというその認識は非常に強く持っておりまして、この場におきましても、委員からの御指摘でございますので、重ねておわびを申し上げておきたいと、このように考えます。
#162
○坂本由紀子君 私たちは国民のために働くことを旨としておりますので、そういう意味では使わなくてもいい手間を国民にお掛けし、また使わなくてもいいお金を使うことになるというのは大変申し訳ないことだというふうに思いまして、こういうことがないようにしっかりと取り組んでいかなくてはならないというふうに思う次第でございます。
 そこで、今日は社会保障や労働問題についての御意見をいただくということでございますので、特に、まず初めに日本経団連の紀陸専務に伺いたいのですが、これからの私たち日本が企業の競争力を高めていくためには、自律的に物事を考え処理できる人材を確保する、あるいは家庭と仕事の両立、バランスの取れた生活ができるようなことを達成しなくてはいけない等々を考えますと、現在の日本の長時間労働というのはこれは是正することが不可欠だと思うのであります。なかなかみんなが思っているけれども一向にはかばかしく改善されていないということ、これは個別企業が努力するということだけでこの問題は解決できない問題なのでしょうか。あるいは法制度上何らか不足するものがあるということなのか、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
#163
○参考人(紀陸孝君) 貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 坂本先生おっしゃられるように、長時間労働の問題につきましては、これは企業にとっても働く人にとっても大変な問題であるというふうに考えております。
 基本的には、企業の中の問題ですので、企業の努力、あるいは企業の中の労使が様々な観点から長時間労働の是正に取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。このためのいろいろな法制度ございますけれども、特に今現在でもフレックスタイム制とか裁量労働制とか、その他みなしの労働制がございますが、私どもこの現状を打破するために、昨年来からでございますけれども、自己管理型の労働制度、片仮名でホワイトカラーエグゼンプションの制度の導入を求めてまいりました。
 これは、今ある様々な労働時間制度の柔軟化の仕組みだけでは長時間労働の抑制というものに力が足らないというふうに考えて、この制度を要求した次第であります。と申しますのは、基本的に労使ともに従来と違った新しい働き方、生産性を上げ、かつ個々の従業員の方々の生活のニーズ、これは様々でございますけれども、その両方のニーズに合わせるような働き方を進めるためには新たな挑戦が必要であろうというふうに考えております。
 その挑戦をどういう仕組みであれば促されるのか。今の裁量労働制ではそれが非常に不十分、現にこれを導入している企業さんは非常に少ないわけでありますんで、例えばでございますが、もう一つ選択肢のメニューを加えるという意味で、自己管理型の労働時間制度、これを入れることによって、会社の中の管理職の意識も変わってまいります。経営者の意識も変わってまいります。それから、働く人御本人の新しい働き方への挑戦の意欲も変わってまいります。そういう意味で、法律の制度の面で、労使の柔軟な働き方、多様な働き方の背中を押していただくという趣旨で法制度の改正をお願いした次第でございます。
#164
○坂本由紀子君 次に、連合の古賀事務局長に伺いたいのですが、連合傘下の組合企業における労働時間の実態はどうなっているでしょうか。労働組合というのはやはり労働時間短縮を実際進める上で大変大きな力を発揮するものだと思うんですが、現在の労働基準法では、これ以上時間短縮をすることが、労働組合が幾ら頑張っても無理なんだということなんでしょうか。もしそうだとすれば、具体的にそれはどういうことなのかということを教えていただきたいのですが。
#165
○参考人(古賀伸明君) まず、労働時間の実態について報告をさしていただきます。
 連合組合員の年間総実労働時間は、連合結成時、すなわち一九八九年には二千百二十時間でございました。その後、週四十時間の法制化とかあるいは時短促進法の制定など法制度面の整備、そしてお互いの労使交渉や労使の努力によりまして、一九九九年には一千九百時間台前半ということになりました。しかしながら、それ以降、総実労働時間は増加に転じておりまして、直近の二〇〇五年調査では二千十九時間となっています。雇用リストラの結果、一人当たりの事業の負荷が高まる等々、時間外労働の増加と年次有給休暇の取得率の低下が主な原因だと考えております。
 加えまして、不払残業時間を含めた労働時間は更に長時間になっていると思っています。連合の生活アンケート調査では、三人に一人の組合員が不払残業をしており、その月平均時間は六時間半という結果もございます。単純に年間の労働時間に上乗せをしますと、不払残業を含む年間総労働時間というのは合計二千百時間になります。厚生労働省の労働時間の適正把握基準の通達は出されているものの、不払残業の臨検指導件数は九七年から八年連続で前年を上回っております。組織された組合はまだいいにしても、未組織の職場の働き方は相当深刻な状況だと思われます。未組織労働者が大多数を占める中小の職場に働き方のルールを徹底するためには、労働組合の力だけでは不十分だと思います。
 そういう意味で、連合としては、労働者生活の質の向上のためには、働き過ぎの改善、それをどうやっていくかということ、あるいは年間総実労働時間一千八百時間に向けて今新しい時短方針を討議しているところです。個々の組合が、あるいは労使が時間短縮に取り組む、これは絶え間ない努力を行っていくとともに、法令やあるいは社会的な政策としてやっぱり政労使で取り組むべきこともあるというふうに考えます。
 その一つは、先ほども言いましたけれども、やっぱり不払残業の一掃を始めとするワークルールの確立ということでございます。特に未組織職場における臨検実施率の向上とか、あるいは未組織労働者から監督署へ訴えがあった場合の対応を充実することが必要だと思います。
 二つ目は、ダブルスタンダードとなっている時間規制の解消でございます。現在、よく御存じのとおり、十人未満の商業、サービス業の週労働時間は四十四時間、あるいは自動車運転手や建設労働者等の三六協定の限度時間は青天井となっていることが挙げられます。
 三つ目は、時間外割増し率の引上げということでございます。
 そして最後に、ワーク・ライフ・バランスに向けた社会的合意の構築ということだと思います。三十歳男性では四人に一人が週六十時間以上働いているという結果も出ております。男性の長時間をモデルとする日本の働き方、これをどう変えていくのか、そのためにきっかけとなる政策を打ち出すことが極めて重要ではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
#166
○坂本由紀子君 労働基準法の中で、三六協定を締結して時間外労働等、一定の枠をはめられるようになっているわけですが、これは労働組合が関与した形で労働時間の事業所における取組がなされるわけですけれども、ここでもかなり長いものがありまして、そういう意味では、労働組合の運動の中で個別にまだ取り組める余地というのがあるのではないかというふうに私は思うんです。
 それと、先ほど割増し賃金率のお話をされましたが、連合傘下の組合企業の中で割増し賃金率というのはどういう状況なんですか。法定の割増し率に近いところがかなり多いのではないかと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。
#167
○参考人(古賀伸明君) 今、おっしゃるように、当然のことながら、労働時間の短縮について労働組合の運動としてあるいは労使で努力をしていく、そのことは継続的に続けなければならないと思いますし、先ほど申し上げましたように、連合としても新しい新時短方針を今議論をしながらそれぞれの課題についてどうあるべきか、あるいはどういう運動として取り組んでいこうかということを議論をしているわけでございます。
 割増し率の問題でございます。昨年の六月時点において、連合の主要組合レベルでは、平日の時間外割増し率は三〇から三五%、休日割増し率が四〇から五〇%のところが主流となっています。しかしながら、中小組合の大半、半数少しは法定と同水準の二五%と三五%の実態でございます。
 そういう意味で、これらの状況を踏まえまして、今二〇〇七年春季生活闘争では、すべての組合で最低でも平日時間外を三〇%、休日を四〇%、その到達を実現しようと取り組んでいるところでございます。
 幾つかの組合で回答を引き出しておりますけれども、まだ全体状況を把握するまでには至っておりません。御存じのように、大手を中心に春闘の回答引き出しは行いましたけれども、大半の組合は今からということでございますので、そういう意味では、すべての組合の状況を見ながら我々としての今後の方向をまた議論をしていきたいというふうに考えているところです。
 以上です。
#168
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 労働基準法というのは罰則をもってその履行確保を事業主に強制するものでありますので、望ましいものを基準法の中に常に書くというわけには必ずしもいかないんだろうと思います。
 そういう意味で、社会の中で罰則をもって強制する最低基準としてそれが認知されるためには、やはり個別の労使の間でより良いものを求めて進んでいくという努力がなければ、全体としては引き上がらないんだろうと思いますので、そういう点で、今お述べになりました中小も含めた取組をしていらっしゃるということは、法のあるべき姿をこれから考える上では望ましい御努力だと思います。
 それで、先ほど紀陸専務がおっしゃった自己管理型の労働に関連いたしまして厚生労働省の方に伺いたいのですが、労働基準法の法案改正に関連をいたしまして、自己管理型の労働を残業不払法案というような誤った形で世の中に喧伝をされたように思うのです。
 仕事の成果の物差しというのは労働時間の長さだけが唯一の物差しではないと思いまして、それ以外のものをどう勘案していくかということと、それから、ある程度裁量を持って働くことができる方が私たちは効率よく仕事ができるということもあるように思うのですが、この点でいろいろ世の中に正確なことが伝わらなかったように思いますが、そもそも厚生労働省として考えていたものがどういうものであったのかということと、それから、これに類似する各国の労働時間法制について、御答弁いただきたいと思います。
#169
○政府参考人(青木豊君) 御質問の自己管理型労働制は、一定のホワイトカラー労働者を対象にいたしまして、働く人が自ら労働時間を管理して、仕事と生活の調和を図りつつ、弾力的、効率的に働くことを可能とするということをねらいといたしまして、労使双方にとってメリットがある、そういう制度として創設を目指して検討を行ってまいりました。
 基本的な考え方といたしましては、労働時間では適切に成果を評価できない業務に従事する者であるとか、あるいは相当の業務上の重要な権限、責任、そういったものを伴う地位にある者であるとか、あるいは業務遂行の手段や時間配分の決定に関して使用者が具体的な指示をしないこととする、そういう者というような要件、あるいは年収を一定程度、相当高い、管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案して高い水準にするというような要件を定めまして、そういった人たちについての労働時間の規制の適用除外をしようというものでございました。
 御指摘のように、仕事の性格によりまして、労働時間と成果の対応が明確な仕事もあれば、特に企画立案等の創造的業務を担うホワイトカラーのように労働時間と成果の対応が比較的弱い仕事もある。あるいは、労働時間法制の在り方を検討する際には、こうした多様な働き方、多様な仕事、そういったものを念頭に置く必要があるというふうに考えております。
 それから、外国の関係でありますけれども、ホワイトカラー労働者については、外国においても労働時間規制の適用除外を認めるという様々な制度がございます。
 具体的には、アメリカにおきましてはいわゆる管理職のほか、一定のオフィス業務で重要事項に関する自由裁量を有する、運営職と言われていますが、そういった者等について法定労働時間及び割増し賃金に関する規制を適用除外をするホワイトカラーエグゼンプション制度がございますし、イギリスにおきましては、もちろん幹部管理職について法定労働時間に関する規制が除外されておりますけれども、そのほか、対象労働者の限定なく、労働者が個別に書面で合意した場合に法定労働時間に関する規制を適用除外するオプトアウトという制度もございます。また、フランスにおいてはカードルと呼ばれる幹部職員につきまして法定労働時間に関する規制を適用除外したり、労働時間数や労働日数を個別合意であらかじめ定めまして、実際の労働時間数等にかかわらずそれに基づき報酬を支払う概算見積合意というような制度もございます。
#170
○坂本由紀子君 これから私たち日本が生産性を高めて高付加価値のものを生み出して世界の中で国の発展を遂げていくということが必要だろうと思うわけでありまして、そういう意味では一律的な働き方だけがこれからの働き方の在り方としてあるということではないんだろうと思います。
 今お話がありました自己の裁量を生かした形で効率よく仕事ができるということは、私はこれはこれで望ましいことではないかと思うのですが、事前に申し上げてはなかったのですが、古賀参考人、その一人一人の働く人が自分の裁量を生かして働くことができるということ、このこと自体は望ましいことではないんでしょうか。どうお考えでしょうか。
#171
○参考人(古賀伸明君) 今御指摘の一人一人の働く者が自己で裁量あるいは自律して、そして仕事をする、働く、すばらしいことだと思います。しかし、私たちの現在の職場あるいは仕事を見たときに、果たしてどうでしょうか。
 元々、アメリカという国はジョブディスクリプションが、職務基準が細部に定められて、そしてその仕事をすることがその人の価値であり、賃金でありと、こういう世界で働いてきております。しかし、日本の社会はチームワークを大切にしながら、お互いがお互いを補いながら働き、そしてチームのあるいは会社の目標を達成していく、働き方そのものが私は違うんではないかと思います。
 加えまして、後ほどの議論になるかも分かりませんけれども、現在の長時間労働、このことについては非常に大きな問題がある。したがって、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションを導入をする、そして一日八時間、週四十時間の時間規制を取っ払う、そのことが本当に自律的に裁量性を持って、あるいは言われるようにワーク・ライフ・バランスや、私たちは、私はもう半日で終わったから、半日帰って家庭、地域に行こうよと、こういうことになるのでしょうか。我々はそれが直結をしませんでした。もっともっとほかにやることがある、そういう中で、働き方とかあるいはホワイトカラーの働き方そのものをどうしていくのだという議論については我々もやっていかなければならないと思っておりますけれども、そういう観点からいわゆるホワイトカラーエグゼンプションについては反対の立場を取り続けたわけでございます。
 以上でございます。
#172
○坂本由紀子君 ホワイトカラーエグゼンプションそのものについての意見というよりは、そういう一人一人の人たちが裁量を持って働くというこれからの私たちの働き方についての御見解を伺いたかったのです。実際問題、そういうその裁量労働時間制を取ったときに、それが本当に裁量権の与えられた人がそういう形で働けるかどうかということはもちろん大事なことだと思いますし、そうでなければまたならないというふうには思います。ただ、はなからそうではないということで、そういう自由裁量を働かせるような働き方への道をなかなか開けないというのも、これもどうかなという思いがしたので伺った次第でございます。
 次に、私たちの今の働き方の中で、正社員は長時間労働、一方で、非正規の労働者ですね、こういうパートタイム労働者の方を始めとした非正規社員の処遇が大変恵まれていないので、ここに格差があるということが随分言われておるところでございます。
 で、古賀参考人にお伺いしたいのですが、これまでともすれば労働組合は正社員の利益を守ってきたのではないかというような言われ方をしてきました。
 ただ、最近は連合もパートタイムの問題を始めとしていろいろお取り上げをされているわけでございますが、今春闘において、パートタイム労働者などの非正規の方々の処遇改善について具体的にどんな成果が上げられたのでしょうか。そして、特にパートの時間給の引上げというような点についてはどれほどの成果が見られたかを教えていただきたいと思います。
#173
○参考人(古賀伸明君) 労働組合は正社員の集団だという、そういう御発言もありましたけれども、確かに、現在六百数十万、七百万弱の組合員数のうちのパートの労働を組織された組合員、我々で組合員は四十数万。今五十万ぐらいになっているかも分かりません。我々としては、労働運動として組織された、あるいは正社員だけの幸せではなくて、働く者全体の幸せをどう考えていくのかということが労働運動全体に突き付けられた一つの大きな課題であろうというふうに思っておりますし、そのことに労働組合、労働運動が使命、役割を発揮をしていかなければならないというふうに思っております。その意味では、先ほどございましたように、とりわけ昨年からこのパートの取組ということを力を入れて私どもとしてやってまいりました。
 現在、まだまだ三月末の集計結果でございますけれども、十四構成組織、一千を超える組合でこのパートの待遇改善の要求や取組を行っております。そのうち百十組合ぐらいで現在、時給の回答を引き出しております。元々、目標、要求目安は、昨年より引き上げまして、絶対額で千円、上げ幅で十五円程度ということを方針として確認をいたしました。そして、今申し上げましたように、百十組合で時給の回答を引き出した平均は十五円を上回る結果というふうになっております。交渉中のところも多く残っておりますので、現時点ですべての取りまとめをすることはできませんけれども、組合数、金額とも昨年実績を上回っている。そういう意味では、一定の成果が上がっているというふうに現時点で評価をしているところでございます。
 いずれにしましても、非組合員も含めてパート等労働者の待遇改善に取り組むということで組織化も前進するという報告も聞いておりますので、徐々にステップを上げながらこの取組を強化をしていきたいと考えているところでございます。
 以上です。
#174
○坂本由紀子君 ありがとうございます。是非、パートの方々のためにも成果を上げていただきたいと思います。
 今お話の中で、目標が絶対額で千円ということで、今後最低賃金法の審議もあるかと思いますが、連合が目標としていらっしゃるのがこういう額の中で最低賃金をどうこれから審議していくかということで、具体的な額は都道府県の最賃審議会で決めていかれるんでありましょうが、最賃額千円というのはやや非現実的な御提案かななどという思いで聞いておりました。
 日本経団連の紀陸専務にお伺いいたします。
 これから労働力人口が減少してまいります。一人一人が貴重な人材で、能力を有効に発揮してもらうということがとても大事でありまして、そういう意味では、非正規労働者の方の処遇改善にもしっかりと取り組んでいただかなくてはいけないというふうに思いまして、この点、経営者団体として今後どのように取り組んでいかれるかということをお伺いしたいと思います。
 そして、もう一点。現状では、かなりのパートタイム労働者の方がいわゆる百三万円ですとか百三十万円の壁のところで就業調整をしているというのが現実としてあるかと思います。こういう実態が産業界として今後必要な働き手を確保するという上で望ましいことなのかどうか、御認識を併せて伺いたいと思います。
#175
○参考人(紀陸孝君) 二点御質問があったと思います。
 第一は、非正規の方々の処遇の在り方ということでございますけれども、基本的に私ども、正規の方であれ非正規の方であれ、いずれも重要な大事な戦力でございます。同一価値労働同一賃金というのはどちらの集団においても必要なことだというふうに存じます。これからパート労働法の改正が論議をされるかというふうに存じますが、これを通じて、企業にもいわゆる処遇における公正という面について説明責任が問われる。例えば、Aさんという正社員の方とBさんという非正社員の方の処遇が何でこういうふうに違うのかということを会社が質問されたらきちんと答えなければいけない、そういうような状況になってくるんだというふうに思います。
 そういう意味で、今いろいろな企業がパートの方々を含めて資格制度をきちんとしようとか、あるいは職務給制度をもう少し複線化しようとかいうことに取り組みつつあります。これから先行き需給がどんどん逼迫してまいりますし、非正規の方々の意欲、十分発揮していただくためにいろいろな制度を再構築していこうというような段階ではないかというふうに思います。
 それから、二点目でございますが、百三万とか百三十万円の壁でございますけれども、約四割の方々がパートの方々で就業調整を行っているというようなデータもございます。決してこれは好ましいことではないはずでありますが、この百三万円の壁については、一つは税、特に所得税とか住民税、これが取られることによって逆転現象が起きてしまうんではないかという誤解があるので、それからもう一つは、百三万超えますとパートの方の奥さんの御主人の方の例えば扶養手当、妻手当、これがなくなってしまう、そういうような賃金体系がございます。
 税によるこの所得の逆転という問題については、これは誤解があるかというふうに思いまして、ここはきちんと会社としても説明していかなければいけないだろうと思いますし、かつ、賃金体系の改正、今これはだんだんだんだん手当を整理して基本給をもっと厚くしようというような方向で賃金体系の見直しは進みつつあります。それを進めることによってこの百三万の壁による就業調整は先行きだんだん減ってくるんではないかとも考えております。
 また、百三十万円ということにつきましては、国民年金の第三号の被保険者に当たりますし、かつ健康保険の被保険者になりますので、これを超えると社会保険料が取られます。それによって、パートの方御自身が本当それによって就労のメリットを感じられるかどうかですね、そこら辺は非常に微妙な問題がやっぱり残るんではないかというふうに思います。
 いずれにせよ、パートの方々がこれから先行きの特に社会保険における給付と負担のバランスをどういうふうにお考えになられるか、かつ企業における賃金体系の改定の推移ですね、こういうものをどういうふうに見ていくか。余り私どもとしてもすっきりした答えにはならないかもしれませんけれども、税、社会保険料の本当の意味での公平さ、それから企業における賃金体系の改定の度合い、こういうものを見ながらきちんとした検討をしていくことが必要ではないかというふうに考えております。
#176
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 まず、質問に先立ちまして、先ほどの自由民主党の坂本由紀子委員の発言について抗議をしたいと思います。
 雇用保険法の成立が遅れたことについて、あたかも国会に責任があるような発言は決して許すことができません。強く抗議し、発言の撤回を求めます。議会制民主主義の我が国において、すべての法律の成立が国会の議決を経なければならないことは改めて言うまでもございません。参議院厚生労働委員会の審議の前に、雇用保険法が既に成立したとの文書が流れたことについては決して許されることではなく、諸般の事情を考慮しても不問に付すことは立法機関としての国会の死を意味することであり、我々は与野党合意の上で本日改めて採決に臨んだものでございます。
 坂本委員の発言はそれらの合意を裏切るもののような発言であり、断じて容認することはできません。
 委員会における公式な発言である以上、我々は、同委員からの謝罪と発言の撤回の表明が当委員会においてなされない限り、次回の審議に応ずることはできません。
 理事会における協議を求めたいと思います。
#177
○委員長(鶴保庸介君) 後刻理事会において速記録を調査の上、適切な処理をとることといたしたいと思います。
#178
○小林正夫君 それでは、参考人の方を中心にお聞きをしたいと思います。
 まず、古賀参考人にお伺いをいたします。
 我が国経済は、イザナギ景気を超えて、戦後でも最も息の長い景気回復を続けておりますけども、景気回復を感じられるという生活者の声は全く聞こえてこないと、このように言っても過言じゃないと思います。古賀参考人は実感できない要因は何だとお考えでしょうか、お聞きをいたします。
#179
○参考人(古賀伸明君) 端的に申し上げれば、二つ大きな要因があると思います。その一つは配分のひずみ、ゆがみ、そして二つ目は二極化、格差の拡大の進行、この二つだというふうに思います。
 従来の景気回復局面では、大企業の業績が回復し、それが中小企業、家計へということで波及をしていましたけれども、今回はそのような過程をたどっておりません。分配構造にゆがみ、ひずみが生じてきているというのが率直な印象でございます。二〇〇一年から二〇〇五年、五年間をとってみても、付加価値の配分は株主へは約三倍、会社の役員の報酬は約二倍、しかし従業員の人件費はマイナス五、六%とベクトルが全然違う、そういう配分になっております。勤労者の賃金はいまだ十年前の水準であるのが実態でございます。
 また、先ほど言いました二極化、格差の拡大の問題でございますけれども、ここには正規雇用とパート、派遣などの雇用形態の違いによる格差の拡大、加えまして、地域間、産業間、企業規模間等々で二極化や格差の拡大が進行している実態だと思います。
 このような配分のゆがみと二極化、格差の拡大が、働く国民にとって景気回復が実感をできない、そういう要因となっているというふうに考えております。
 以上でございます。
#180
○小林正夫君 次の質問ですけども、古賀参考人と紀陸参考人にお伺いをいたします。非正規労働者が増大した社会をどう見ているのか、このことについてお聞きをいたします。
 私も子育ての経験がありますけども、自分の子供には定職に就いてほしいと、こういうふうに願った親でもありました。それはなぜかというと、非正規雇用は不安定な生活に陥ってしまうんじゃないだろうか、このように思ったから、親としてはそういう希望を持っておりました。
 昨年十二月の総務省統計局の発表では、五千百三十四万人の雇用労働者のうち、正規雇用が三千四百四十三万人で六七・一%、非正規雇用者が千六百九十一万人で三二・九%ですから、雇用労働者の三分の一は非正規雇用になっている社会であると、こういうことが言えると思います。
 人一倍能力があって、自分の能力を次から次へ生かしていって新しい仕事に挑戦をしていきたい、こういうふうに思っている方は世の中にいらっしゃるとは思いますけど、私はごくごく本当に限られた一部の人じゃないかというふうに感じております。
 そこで、私は、非正規雇用の大半の人が、要は将来がなかなか見えにくいですから、自分の人生設計が描けない、結局将来に対する不安を持ちながらの生活で、社会全体が落ち着きのない不安定な社会になっていくのではないかと心配をしております。
 さらに、少子化の原因にもなっていると、このように厚生労働省自ら言っているわけですけども、この非正規労働者が増大した社会をどのように見ているのか、古賀参考人と紀陸参考人にお伺いをいたします。
#181
○参考人(古賀伸明君) 今、小林先生からございましたように、この十年間に雇用労働者に占める非正規雇用はかなり増大をしまして、もう三割、一千六百万人から一千七百万人ということになりました。
 人、物、金が企業の財産、あるいは企業の資源だと言われておりますけれども、労働力が物、金と同等に扱われているのではないか。専ら企業財務の観点から人件費抑制の大合唱がバブル崩壊以降続いたわけでございます。その意味で、多くの企業が新規採用を抑制し、その分をパートタイム労働者や派遣、請負等々の非正規従業員で埋めてきた。そして、この流れに我々としても多少責任を感じておりますけれども、行き過ぎた労働分野の規制緩和がさおを差して非正規労働者を増大をさせることにつながったというふうに思います。
 先ほど小林先生がおっしゃったように、私も全く同感でございます。私が就職したときも、現場で働き、そして期間の定めがなくて働いていける安心感、先輩の背中を見ながら何年か後の自分の姿を重ね、そしてまじめに働けば将来への展望が、あるいは姿も漠然とではありますけれども分かってくる、それに向かって自分の技能、技術を向上させていく。しかし、非正規雇用では当然のことながら、雇用の期間の定めがあり、いつ雇用契約が打ち切られるかどうかという不安があり、将来の姿などとても描けないそういう時代だというふうに思います。
 また、非正規雇用では働いても技能が身に付かない、そのために賃金も上がらない。特に、若年層がこのような雇用では社会全体にとっても大きなマイナスになっていくというふうに思います。企業は労働力を非正規雇用で調達することによってコストの抑制や生産サービスの柔軟な提供を実現することができましたけれども、本当にこのままでいいのかどうか、二極化や格差の問題も含めいま一度雇用の基本、基軸というのはやはり定めのない雇用であることを再確認をし、行き過ぎた非正規化の流れを元に戻すべきだと考えております。
 以上でございます。
#182
○参考人(紀陸孝君) 小林先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 御指摘のように、九一年にバブルがはじけまして、急激に不況の時代が長期にわたって今日まで、ほぼ今日まで続いております。この間に、長い間いわゆる就職氷河期という時代があったのは事実でありまして、企業としても採用の入口を絞ってきました。
 ただ、私どもこの労働市場の変化を考えてみまするに、そういう状況だけではなくて、同時にいろいろな意味で所得水準も上がってきた、働く人の意識も多様化してきた、同時に雇用の形態も多様化してきた、これがこの十年間にいろいろ重なってきているんではないかというふうに思います。働く人もその会社を生涯勤めるのではなくて、自分の好きな仕事を通じて社会に参画をするという意識もあるのではないかと。正社員だけがすべてハッピーというわけではなくて、また逆に非正規社員であればすべてがミゼラブルというわけでもないだろう。問題は、できるだけ非正社員の方々の市場におけるミスマッチをどうやって減らしていくか。基本的に一番大事だと思いますのは職業能力、雇用され得る能力というんですかね、その部分をどうやって引き上げていくかということが非常に大事だというふうに思っております。
 これは本当の意味で、官と民、あるいは学校も協力して個々人の職業能力をいかにこう高めていくか、そういう仕掛けを社会全体のセーフティーネットとしてどうやってつくっていくか、これは過去を振り返るということよりもこれから先どういうふうにセーフティーネットを張って、かつ申し上げたような需給ミスマッチを減らしていくか、それにこれから取り組むことが大事ではないかというふうに考えております。
#183
○小林正夫君 そこで、私は、非正規雇用労働者を生み出した大きな原因の一つに労働者派遣法があると私自身は思っております。そのことに対して野川参考人、紀陸参考人、古賀参考人にお聞きをいたします。
 平成七年に旧日経連が新時代の日本的経営という提言をまとめて、現在の成果主義賃金やグローバル化を先取りする内容で雇用の流動化を図って、派遣だとかパートあるいは契約社員などを増やす方針を打ち出しました。また、私の記憶では、アメリカから平成八年の対日要望で派遣に対する規制緩和を求められた、このように記憶しております。
 その後、政府の動きですけども、平成十一年の改正で、専門能力のある社外の人材を短期間利用する例外的な雇用という立法時の考え方を百八十度転換をして、原則自由に行えるように変更いたしました。また、平成十五年の改正では製造業への派遣を解禁した、こういうことになっております。
 使用者にとって使い勝手の良い、いつでも雇用調整ができる非正規雇用労働者を生み出した大きな要因だと考えますけれども、参考人はどのようにお考えでしょうか。
 もう一つお聞きをいたします。現在の登録型派遣の問題です。
 この登録派遣型の派遣は、派遣を希望する労働者を登録しておいて、派遣の都度、派遣労働者と派遣期間だけの労働契約を締結する形を想定しており、構造的に不安定な雇用であるんだけれども、派遣元の会社だとか派遣先の会社には大変都合のよい労働力になっています。そのために、契約の短期化あるいは賃金の値崩れ、時間外は当たり前といったことが派遣業界では常識になっています。
 派遣労働者の雇用を安定化させていく策は何なのか、あわせてお聞きをしたいと思います。
#184
○参考人(野川忍君) 野川でございます。
 派遣法は、ただいま小林委員御指摘のとおり、元々は職安法の四十四条で、全面的に労働組合が無料で行う場合以外は禁止されている労働者供給という形態のうちの一類型を抽出いたしまして厳格な条件の下に合法化したものであるという経緯があり、現在も職業安定法四十四条は健在でございますので、全面禁止の原則がいまだに生きている形態の例外であるという位置付けは変わらないように思いますから、したがって、派遣法の内容がいまだかなり厳格であることにはそれなりの意味があるというように思っております。
 ただ、昨今の雇用形態の多様化という国際的な潮流に伴って、各国とも様々な形態の雇用を認めようとしております。それを見ますと、例えば今まで厳格に派遣が規制されておりましたドイツでは、二十一世紀になってから労働市場政策の非常にラジカルな転換が起こっておりますが、その中で、日本のハローワークに当たる機関にPSA、英語で言うとパーソナル・サービス・エージェンシーということになりますが、そのような組織を設けて、公的なそのような機関が派遣元となって失業者を雇用し、派遣先企業を見付けて派遣するという形態を制度化しております。ただ、その結果は今のところ、企業は派遣労働者を一般の正規の労働者に比べて非常に安く、先ほどの小林議員の言葉で言えば、使い捨てという言葉は若干の言い過ぎかもしれませんが、そのような形で不安定雇用が大変多くなってしまった。失業者に戻ったり、職業能力向上の機会を与えられないまま低賃金労働を維持せざるを得ないという労働者が増えているという実情がございます。
 こうした点を見ると、やはり派遣法を今後どうしていくのかということについては慎重であるべきでありますし、私としては恐らく二つぐらいの選択肢があるだろうと思っております。
 それは、派遣法をこれ以上自由化するのであれば、恐らくそれによって生じるリスクはその自由化によって利益を得る企業が基本的には負うべきではないかというふうに思います。具体的には、先ほど紀陸参考人もおっしゃっておりましたが、派遣労働者の教育訓練等のために企業が一定のお金を出す、あるいは制度を構築するといったようなことを含めた対応が必要であろうと思います。もしもそうでないならば、やはり現在の法の体系の中で整合性を持った在り方は、ある程度派遣については職安法の全面禁止の例外であるという認識の下に、一定の規制の下に置き続けるという方向が適切であろうというふうに思います。
#185
○参考人(古賀伸明君) 今、野川先生の方から現在の派遣法についての説明というか解釈がございましたけれども、やはり私は一九九九年、それから二〇〇三年と相次いで行われた派遣法改正、これがやっぱり派遣労働者の増大というのを後押しをしてきたということではないかというふうに思います。
 したがいまして、現在の労働者派遣法については、まずは法令遵守の徹底を図ることが大前提ですけれども、もう一度、労働者派遣などでどのような問題が生じているのか、そのことをきちんと受け止めて、働く側、労働者保護の立場からどういう強化をするのかという見直しを行う必要があるというふうに思っております。
 派遣労働者については、先ほど来ございますように、雇用が不安定、処遇の格差、能力開発が不十分、社会保険にも加入できないなどの切実な問題が発生しているわけでございます。小林先生から先ほどございましたように、正に登録型派遣では、細切れ派遣と言われるように短期の契約が繰り返され、雇用が非常に不安定。労働者派遣は、派遣会社との常用雇用契約、それがあって専門的なスキルを持った労働者を派遣するという常用型派遣が基本であるべきだと私は考えます。したがって、私どもはもう一度基本に返って、労働者派遣というのは臨時的、一時的な労働力の需給調整制度ということを、改めてこの位置付けを再確認をして、その上で必要な措置を講ずるべきだと考えております。
 日雇派遣とかあるいはスポット派遣などと言われる労働者派遣も現在登場しています。これも適切な規制を行っていく必要があると思いますし、規制改革・民間開放推進会議等々以前から、様々な派遣法をどちらかといえば規制緩和する的な、そんな方向が出ております。それについては我々としてはやるべきではないと思いますし、十分な現場の検証が必要だということも併せて申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#186
○参考人(紀陸孝君) 私ども、派遣の制度がこれからますます従来以上に拡大していくかというと、そうでもなかろうというふうに思っております。需給が逼迫してまいりますし、今非正社員の方を正社員に組み替えようとしている動きも広がっているかというふうに存じます。ただし、この派遣制度の運用につきまして一番大事なのは、個々の派遣で働く人たちの能力をどうやって上げていくか、個々の派遣の方々がすべて、何というか、かわいそうとかミゼラブルというんでなくて、派遣で働きたいという方もたくさんおられる、あるいはそうでない方もおられますけれども、いずれにせよそれをひっくるめて働く人たちのレベルを上げていかなければいけない。
 そういう点からこの現行の派遣制度を考えますと、三点、私ども既に規制改革の要望をさしていただいております。この自由化業務の期間制限の撤廃をする、あるいは直接雇用の申込義務が掛かっておりますが、これも廃止すべきだと。それから、派遣契約の締結に当たっての事前面接の解禁、この三点を要求しておりますが、これらはいずれも言わば細切れ的に派遣の方々の活用を推進するということではなくて、ある程度派遣の方々が長期に働いて、それによって自己の能力を上げられる、そういうことによって派遣の方々の雇用能力が上がる。基本的にどこかで人間は現実に仕事をしないと能力が上がってまいりませんから、ある程度派遣といえ長期的に働き得る措置を今の制度の中に入れていかなければいけないというふうに思っております。
 それが今申し上げた規制改革の要望につながっておりまして、決して使い勝手のいい制度だけという観点でなくて、そういったような趣旨を含めてこの要望をしているということを御理解いただきたいというふうに存じます。
#187
○小林正夫君 派遣労働者になった理由ということで、厚生労働省である時期調べてみた調査結果を報告聞きました。その結果、私は、数多くの方が正社員になれなかったから派遣労働者になっているんだという回答が多かったと記憶しております。そのことについて紀陸参考人はどのようにお考えでしょうか。
#188
○参考人(紀陸孝君) 先生のお話しになられたようなデータもあるかというふうに思いますが、逆に、これはいろんなデータがございまして、派遣的な働き方だからそこを選んだという方もおられるわけでございますね。これはデータのソースによってかなり答えが違うというふうに思います。
 ただ、いずれにせよ、繰り返しになりますけれども、正社員になれなくてやむなく派遣でおられる方もおられるのは事実だというふうに思います。それが決して少なくないというふうにも思います。
 ただ、そこをどうやってうまくスルーできるか。そこはやっぱり派遣の方の能力レベルが高くないとこれは企業としても困るわけでございまして、どういう形で派遣の方の能力レベルを上げていく仕組みをつくるかですね、それが非常に私ども大事だと思っておりまして、そういう意味でも、今の現行規制の中でここは変えた方がいいなという点の見直しをそういう観点からお願いしたいというふうに考えております。
#189
○小林正夫君 次の質問に移ります。
 野川参考人にお伺いをいたします。
 就労形態の多様化が大変進んでおりますけれども、今政府が衆議院で出している労働契約法制あるいは労働基準改正法案についてどのようなお考えをお持ちなのか。また、この法案が成立すると、会社における従業員の立場、そして世の中はどのように変わっていくとお考えか、お聞きをいたします。
#190
○参考人(野川忍君) 本来ならば、これはパワーポイントと白板を使って一時間ほどいただいて講義をさせていただきたいところでございますが、簡単に話させていただきますと、労働契約法案とそれから改正労働基準法案、これ私は、言わばこれができれば未熟児の法律にならざるを得ないだろうというふうに思っております。
 その理由を幾つか述べますが、まず労働契約法でございますが、実は御承知のとおり、二〇〇五年に、将来の労働契約法に、労働契約に係る検討が厚労省の中の研究会で行われ、その報告書が出ております。それは七十三ページにわたる大変膨大なものでして、研究者と実務家が非常に精力、エネルギーを割いて二十八回も議論をして出したものでございますが、でき上がってここに法律案として閣議決定されたものを見ますと、本則で十七条、しかもそのうちの大部分は既に最高裁等の判例法理で確立をしていて、だれも疑わないというようなものがほとんど、あるいは民法や労働基準法に記載されていたものを移行するというものになっております。あれだけのエネルギーを費やされた議論は何だったのかということをまず考えます。
 具体的に三点ほど申し上げますが、恐らくこの法律が施行されて大きく問題になるのは、一つは、この法律案では第七条にあります、「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」という部分であろうと思います。
 これは、就業規則の内容が合理的であれば労働契約の内容になり得るという最高裁の判例法理、それと、周知手続が取られていれば就業規則に記載された懲戒規定は適用になり得るという、全部で三つ最高裁の判決があるわけですが、その内容をまとめたものになっております。
 しかし、実は、この就業規則の内容が合理的であれば労働契約の内容になり得るというのは、これはいずれも業務命令に関する規定についてだけ判断した最高裁判決であり、かつ、この周知手続が取られていれば労働者もそれに拘束され得るというのは懲戒規定に関するもの。要するに、賃金や労働事件など本体的な、本体である労働条件そのものについて、それが合理的であれば労働契約の内容になるとか、周知手続があれば労働契約になるとはっきり言った最高裁判決はまだない。つまり、この点はまだ議論の俎上にあるわけです。
 就業規則の機能は、本来、労基法九十三条にございましたように、今度、労働契約法に移るようですが、職場における最低労働条件を規律するというものであって、労働契約の内容になるかどうかについて法は何も言っておりません。
 実は、このような制度の基となったドイツにおきましても、普通契約約款として労働条件を定めた場合、それが労働契約に取り入れられるにはどのような要件が必要かという点について現在非常に精緻な議論が展開されております。
 したがって、その内容が合理的であり、あるいは周知手続があれば労働契約の内容になるというようなもちろん簡単なものではございません。そのような段階でこのような規定を法文に設けてしまうことは法的安定性を害するおそれなしとしませんし、労使対等決定という労基法の原則との整合性も問題になりますし、合理性の中身の判断も非常に困難で、結局、多くの解釈例規、通達、指針といった行政の対応をまたざるを得なくなるというように思います。
 また、第二に、労働条件の不利益変更を認めた、労働条件の変更は合意によってなし得るという八条と、不利益変更が一方的になし得るという十条との整合性も問題になると思います。
 この第十条に記載されることが予定されております不利益変更後の就業規則規定が合理的であると認められる要件というのは幾つかこの法案の中には記載されておりますが、いずれもこれまでの最高裁で示されたものでありますが、具体的な事案への当てはめは非常に詳細な検討を必要とします。例えば、企業がこれらの要件を私たちは満たしたからこれで不利益変更が安心してできるということが予見できるでしょうか。恐らく、それは大変なコストを必要とするだろうというふうに思います。
 最高裁は他方で、不利益であっても、労働者の多数が十分な検討を経て納得していれば一応合理性は推測され、しかし、一部の労働者に殊更に大きな不利益を負わせるような、そのような場合はそれらの労働者に対しては適用ができないという、そういった法理も示しておりますが、こちらの方がよほど明確で予見可能性が高いように思います。もちろん、これには一方で従業員代表に関する制度の整備も必要ではないかと思います。
 三番目に、私としては、結局、この雇用関係を規律する契約法というものを労働行政の枠内だけで行うことには若干無理があるのではないかと思います。現在、民法の債権法の部分の大改正が既に実質的には作業が始まっております。将来的には民法の雇用契約の部分を改正して、契約法の名にふさわしい、未熟児ではない雇用契約法ができることを望んでおります。
 労基法改正につきましては、割増し率の引上げ、大変議論になっておりますが、これは私は当然のことだと思っております。というのは、先進諸国の中で、幾ら時間外労働をしても二五%に割増し率がとどまっているというような国はほかにはほとんどないので、ある意味ではこれでようやく日本もグローバルスタンダードに近づいたというふうに思いますからこの点は評価できますが、ただ、これが時間外労働の削減に直結するかどうかというのは不明だというふうに思います。
 そして、労基法改正についてもあれだけ大きな議論があって、ホワイトカラーエグゼンプション等についてもそうですが、それがこのような限られたテーマについてのみの改正になってしまった。これも、労基法改正もやはりこのままであれば未熟児と言わざるを得ないように思います。
 これらの法案が成立した場合には、従業員の立場は就業規則への従属性がかなり高まってしまうというおそれを私は持っております。雇用関係の個別化、契約社会への道程という観点からすると不安が残ります。
 また、これらの法案が成立すれば、世の中の動きですが、それはやはり幾つかの可能性があると思います。
 一つは、曲がりなりにも労働契約法ができて、雇用関係は対等、平等な契約関係なのだという意識が高まり、これを大きく育てて適正な雇用ルールを形成していこうという方向、また労基法改正を通して労働時間と私的時間の配分、ひいてはワーク・ライフ・バランスを確立しようという機運が高まるといった方向ももちろん考えられますが、しかし、先ほど申し上げたように、就業規則への従属、ひいては企業への従属度が高まって、労働者の自主独立の精神や連帯という価値観も失われていくことや、割増し賃金額の引上げだけに目が行って、職場に不毛な対立を起こし、肝心のワーク・ライフ・バランスの議論が衰退していくと、こういう方向も考えられるのであって、それは恐らくこれからの国民的な議論の中身によっていくだろうというふうに思います。
#191
○小林正夫君 次に、労働条件の向上あるいは労働環境改善の取組が今強く求められていることについて、紀陸参考人と古賀参考人にお伺いをいたします。
 戦後六十余年を振り返りますと、高度成長時代を経て、日本は繁栄して経済大国になりました。しかし、経済優先で公害問題だとか環境問題が置き去りにされ、後からその対策に取り組んできた、こういう経験もしてきたと思います。
 今の時代を言うならば、国際競争に勝てるような国にはなったけれども、労働問題が置き去りにされてきたということではないでしょうか。具体的には、非正規雇用労働者の増大、慢性化した長時間労働、長時間労働がもたらす過労死や精神障害者の増、国際的に著しく低い最低賃金や時間外割増し率など、過酷な労働の下でつくり上げられてきたと言えるのではないでしょうか。
 政府が提案している労働関係法案では、水準が見えなかったり、あるいは対象者がごくごくわずかであったり、八十時間の過労死認定ラインから時間外割増し率を五〇%に上げる、こういうものでございます。私は、労働条件の改善にはこれでは到底つながらないと、このように自身としては思っております。
 これからの時代は、国際競争とのバランスを保ちながらも、置き去りにされてきた労働条件の底上げに取り組む時代だと考えますけれども、この点についていかがお考えか、紀陸参考人からお聞きをしたいと思います。
#192
○参考人(紀陸孝君) 非常に広範な問題を指摘をされましたけれども、先ほど申し上げましたように、九一年以降、非常な不況の状態に立ち至って、ほぼ十年間、日本経済はもがいてまいりました。その状況の中で、今、小林先生御指摘のような幾つかの問題がやはり、繰り返しになりますが、重ね合わさって出てきたんだろうというふうに思っております。
 この状況をこれからどうやって改善するか、これが私ども、正に労使の大きな課題だというふうに思っておりまして、基本は、これも先生おっしゃられたとおり、国際競争力の強化と合わせてどうやっていろんな問題を解決していくかが重要であろう。その場合にどうしても忘れていけないのは、付加価値を上げられる企業でなければいけないと。付加価値というのは、またこれは後ほどどこかでお答えしなければいけないかと思いますが、企業とそれから働く人が、両方がつくり上げた価値ですから、これを労使で利益と賃金に分配しまして、この付加価値を上げられることにならないと、いろんな意味で会社の存続もおぼつかないし、働く人の正に雇用の場も危ういということになってまいります。基本は、この付加価値をどうやって上げられるような姿に持っていくか、それがないと様々な労働の問題も解決しない、そういうことで、これまで以上の労使の協力が必要ではないかというふうに私どもは考えております。
 余りきちんとしたお答えになってないかもしれませんが、基本はそういう理解でおります。
#193
○小林正夫君 古賀参考人に。
#194
○参考人(古賀伸明君) 基本的認識、スタンスは、今、小林先生の御指摘と同様でございます。企業の付加価値を生み出すのは働く労働以外にございませんし、人材というのが正に付加価値の源泉であろうと思っております。
 しかし、バブル崩壊後の平成不況下の中で様々な改革が行われ、しかも短期利益中心の企業経営ということが先行をしてきたわけでございます。したがって、このような価値観の中で、人材が付加価値の源泉ではなくてコストとして見られるようになった側面も出てきているんではないか。そういう意味では、多くの企業が技術力やノウハウを蓄積をしながら、そしてそれに基づいて経営をしていくということだけではなくて、極めて短絡的な利益やあるいは短期のバランスシートに合わせたそういう経営に走ってしまっているんではないかという危惧があるわけでございます。このまま行けば、日本全体、日本社会全体の底が抜ける、低所得層の増大等々で格差は拡大をしていく。やはりそれは、正に先生御指摘のように、労働条件の底上げこそが日本の社会を再び安定させ、そしてそのことで国際競争力を高める基盤となっていく、そんな社会を目指すべきだと私は考えております。
 以上でございます。
#195
○小林正夫君 ありがとうございました。今後の法案審議に大変参考になるお話を聞かしていただきました。
 私の時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございます。
#196
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 小林委員は労働問題の専門家であります。私は労働問題の専門家ではありませんので、ちょっと今日は基本的なお話をさせていただきたいと思っています。
 その前に、ちょっと私なりの問題点を最初に指摘さしていただきたいと思います。その上で、ちょっと通告ないので、大臣、大変恐縮ではありますが、この点について大臣としてどうお考えかをまず、これは予算委員会等でお伺いしていることでもありますので、改めて御答弁いただきたいと思います。
 お手元の資料、まず一枚目ですが、この国で今少子化というのが一番大きな問題になっているんだろうと、まあ、一番というか大きな問題の一つだろうと思いますが。そうすると、少子化問題を解決するためには、結婚をするということが当然のことながら前提にあると思っております。この資料は最後は三十歳から三十四歳ですが、三十五歳以上三十九歳の方で、男性の方が結婚していない方が、実に今三〇%いらっしゃる、女性の方が一八%いらっしゃる。昭和二十五年当時は、結婚していない方は男女とも三%であったということを考えてくると、今いかに結婚しない社会になってきているのかと。これ、様々な考え方や生活形態、思想などがあるかとは思いますが、ただ、今日は、所得、それから就労形態について調べてみるとどうなのかというまず資料を皆さんで見ていただきたいと思います。
 そうしますと、一枚目の左側にありますが、年収別配偶者のいる割合、今度は結婚している人ですね、男性で見てみると、所得が六百万から六百九十九万円の人ですと七八・九%の方が結婚されていると。ところが、百五十万から百九十九万ぐらいの方だと三四%しか結婚されていないと。これはきれいに所得階層ごとに結婚している割合が変わってきておりますので、所得と男性が結婚するということは、明らかに因果関係があろうかというふうに私は考えます。
 一方、男性の就労形態別配偶者のいる割合ですが、正社員の方が約六〇%、非典型雇用といわれる方々が三〇%でしかないと。これから見ても、正社員の方の方が圧倒的に結婚されているんだろうなということだと思います。
 一枚飛ばしていただきまして三枚目のところになりますが、正社員と非正社員の年代別年収を見ていただくとお分かりのとおり、男性それから女性とも、正社員とそれから非正社員の場合、年収はほぼ半分程度になってきているということなんですね。つまり、要するに一番最初に申し上げましたが、年収ごとによって結婚する割合が違ってきているということは、これは雇用形態によって年収も変わってくるんであろうということを明らかに示唆していると思っております。
 二枚目に戻っていただきますが、そうすると、役員を除く雇用者に占める非正規職員の割合はどうかというと、結果的にはずっと増加し続けている。若干最近は下がったのかどうか分かりませんが、いずれにしても増え続けていて、今は三人に一人が非正規雇用ということになっている状況です。ですから、ここの部分を私は変えていかないと、この国の少子化問題というのが改善されないのではないかというふうに思います。
 もう一つ、格差の問題について、安倍政権で格差が固定することそのもの自体が問題だと。その格差があるということは、私もそのとおりだと思います。例えば、プロ野球の選手ですべてがイチローや松井や松坂のようになれるわけではありませんで、二軍選手もおりますし、それこそプロ野球の選手になれない人たちもいますから、これ、格差が出るということは、これは当然のことだとは思いますが、格差が固定してしまうようなことがあるとすれば、これはまた問題なんだろうと思います。
 その意味で、四枚目にありますが、子供に進学してほしい学校ということがあって、これは家庭の所得別です。そうすると、ざくっと申し上げますと、四百万円以下の家庭ですと大学の進学を望んでいらっしゃる方が四〇%ぐらい、一方、年収一千万円以上の人ですと、大学、大学院で見てみると、約九〇%の方が大学、大学院への進学を望んできていると。まあ、いいか悪いかは別として、学歴社会の中でこの学歴の差というのは恐らく決定的なものになっていくのであろうというふうに推察されます。
 そのことを考えてくると、今の雇用状況、まあ就労状態というんでしょうか、このことそのもの自体を改善していかないと、社会の大きな問題そのもの自体が解決していかないんではないのかなと私は考えておりますが、大臣としていかがお考えでございましょう。
#197
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、櫻井委員の方から、まず結婚について、これは所得あるいは雇用形態、雇用形態と所得は相関関係が大ありだという御指摘も加えますと、所得あるいは雇用形態に非常に関係がある、相関関係があると、こういう御指摘がございました。それと同時に、言わば格差の固定化というか再生産というか、そういうことで学歴社会というのがいいかどうか分かんないけれども、とにかく進学の可能性を高所得者の子弟ほど高く持つという事実があるじゃないかと、こういう御指摘でございますが、基本的な認識は全く櫻井委員と同じでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては雇用形態につきましても、雇用形態が多様化していること自体については私どもは使用者側あるいは労働者側、双方に理由があるというふうに思っておりますけれども、非正規雇用の中には正規雇用を望みながらやむを得ず非正規にとどまっている人もいると。そういうようなことであれば、これは政策的にできるだけ正規雇用の方に移行するということを後押ししたいという考え方を取っているわけでございます。それと同時に、非正規を選択している方々もいらっしゃることは事実でございますから、そういうような人たちの処遇についてもやはり公正なものにしなければいけないと、こういうことを両面を考えておりまして、そういうことを通じて、これがワーク・ライフ・バランスの上でも多分いい結果を生むであろうし、さらにまた婚姻あるいは子育てというようなことにもいい影響を及ぼすであろう、こういうように考えているということでございまして、今の基本的な考え方につきましては、そんなに櫻井委員と違った認識を持っているわけではないということでございます。
#198
○櫻井充君 ありがとうございます。僕は大臣のおっしゃるとおりだと、同意していただいたことを本当に感謝申し上げますし、是非そういった問題を解決できるように政策を進めていただきたいというふうに思います。
 今日はお忙しい中、三人の参考人の先生方にお越しいただきまして本当にありがとうございます。私は基本的に今のような立場に立って今日は質問をさせていただきたいと思います。そこの中で、私として一番大きな問題だと感じていることは、労働者だけの問題をとらえるのではなくて、株主それから役員等を含めた上で、全体として企業の在り方、社会の在り方そのものを検討していく時期に入ってきたんではないのかなと。
 それからもう一つ、企業の目的というのは恐らくは未来永劫経営していくというか継続していくということになっていくんだとするとすれば、果たして今のような雇用の形態が本当に企業として望んでいる姿なのかどうかとか、それからアメリカ型の市場原理主義のようなものが本当にこの日本社会においていいことなのか。それから、これは企業ということよりも社会全体において果たしていいことなのかどうかと、これはもう世界の流れがそうなっているからこれに適用しなきゃいけないという考え方に立つのではなくて、違っているとすれば、そこをどう是正していくような手だてを我々が考えなければいけないのか、そこら辺全体を踏まえて今日は議論をさせていただければ有り難いと思っております。
 そこの中で基本的なことをまずお伺いしたいと思いますが、バブルの当初までは恐らく日本というのはそこで働いている人たち、それから経営者の人たちのためのものであった、そういう言い方でよかったんだろうと思います、大きく言えばの話です。アメリカはどうかというと、結局は株主中心主義であって、会社はだれのためのものなのかというと、イの一番に株主のためのものなんだと、そういうようなことを言われる方々が数多くいらっしゃいます。
 これは、日本企業というのは、そうすると、ヨーロッパ型はまた別ですが、日本企業というのは本質的に一体だれのためだということなのか、まず三人の参考人の方、そして厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
#199
○参考人(野川忍君) 会社はだれのものであるかという質問と会社はだれのためのものであるかという質問はかなり答えが異なるだろうと思います。
 会社はだれのものであるかというのであれば、それは会社の所有者はだれかという制度上の事実認識の問題ですから、それは明らかに株主のものであるというふうな答えになるだろうと思います。しかし、だれのためにあるのかということになると、当然すべての関係者、すなわちステークホルダーのためにあるというふうに言うのが自然であろうというふうに思います。株主や顧客はもちろんのこと、従業員あるいは地域社会のためにも会社が存在しているというのは企業社会自身の認識でもあろうというふうに思います。
 利益のあるところに責任もあるというのが原則でございますので、会社が人々の生活の非常に多くの部分をカバーしている日本では、特に会社はその利益をもたらしている多くのステークホルダーに対して一定の責任を負っているというふうに考えるべきだろうというふうに思います。
#200
○参考人(古賀伸明君) 私も野川先生と同様の回答になると思いますけれども、会社は株主のみならず、従業員、取引関係、顧客、そして地域社会などすべてのステークホルダーを尊重することが会社の社会的責任だと思っております。しかし、蛇足になりますけれども、最近特に、すべてではございませんが、株主主権主義が日本の社会にも多く広がり、株主の権利ばかりが声高に叫ばれて、従業員とか地域社会とか顧客へのメッセージがほとんど発言がない、そのことは非常に残念であるというふうに思っているところでございます。
 以上です。
#201
○参考人(紀陸孝君) 櫻井先生の第一番目の御質問に対しては古賀先生と同じでございます。企業は社会の公器である、公の器でございますね、そういう役割を果たしている、そういうことでもってお答えにさせていただきたいと存じます。
#202
○国務大臣(柳澤伯夫君) 真正面からの答えとしてはもうみんな結局同じになりましたけれども、同じだろうと思います。同じことになります。
 私の経験を若干申し上げますと、バブル期で非常に企業の実際上の破綻もたくさん起きました。そのときに何が、何を言われたかといいますと、株主の価値というか、株主の投資というものがやっぱり一瞬にしてゼロになってしまうということがあるわけです。真っ先に犠牲を負担するのは当然のことながら株主でございます。それからまた、場合によってはそれとほぼイコールなんですけれども、役員の皆さん、これはいろいろ有限責任とかなんとかいっても、やっぱり道義的責任を負えよみたいな話で、彼が重役になってから蓄積した資産のみならず、実はサラリーマン時代に本当に営々と蓄積してきた資産もかなりの部分ダメージを受けるというようなことが現実に起きました。そういうようなことから、株主の利益というものをどう考えるべきか、あるいは役員というものの利益をどう位置付けるべきかというような新しい問題が実際具体的に認識されるようになったのがバブル期の数多くあった企業破綻の中で起こったということが実はあります。
 そういう中で、これからは一体どの辺をバランスを取って、それぞれの企業という公器の中でそれぞれの利害をどう位置付けるべきかというのが非常に鋭く問題提起されてきたと。で、これから先をどう考えるかというのが我々の課題だということだろうと思います。
#203
○櫻井充君 確かに、大臣のおっしゃるとおり、株主の方々のということはよく分かります。そして、しかも、投資とおっしゃられましたが、そのことであれば、僕はまさしく株主をどう保護していくのかということ、権利をどう擁護と言ったらおかしいのかもしれませんが、そこを考えていく必要性はあると思うんですね。
 ですが、最近見ていると、投資なのか投機なのかがよく分からない。ここが私は一番大きな問題なんじゃないだろうかと。投機目的があるから、だから今度は企業側からすると、経営者側からすれば、株価をとにかくつり上げなきゃいけないんだということになってくるのかもしれません。本来であれば、株式市場というのは資金を市場から直接調達する手法の一つであって、投機の対象にならなければ今のような苦労をする必要性は僕は全くないんだろうと思いますけどね。ところが、その投機マネーそのもの自体を制限することができないから、今、企業の方々も御苦労されているんじゃないのかなと、私はそう感じております。
 済みません、ちょっと通告なくてあれなんですけど、やはりここら辺は、投機と投資というものをいい加減区別する時期に来ているんじゃないかなと、大臣、そう思いますが、もし御所見があればお伺いしたいと思います。
#204
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは非常に区別がし難いというのが恐らく結論だろうと思いますけれども。何と申しますか、ポートフォリオの投資をする人と経営参加型の投資をする人というような分け方は通常行い得るわけですけれども、しかし、最近では、株式市場を通じての経営参加というか、そういうようなことも非常に多く行われるようなことになっておりますので、なかなかこの区分は付け難いということで、問題提起というか問題意識としては分かるわけですけれども、実務的にはなかなか難しい問題ではないかと、このように思います。
 それから、加えまして、要するに、最近ではまた、株価の問題を経営者の方が非常に強く意識する中には、やはり買収とかというような、そういうことに対する防御策をどう講じているかということも加わっているということで、非常に問題が複雑になっているというふうに見ておるところでございます。
#205
○櫻井充君 そうしてくると、私は、今の市場主義というんでしょうか、アメリカ型の株式市場主義そのもの自体をもう一度考え直していかないと今の労働問題というのも解決してこないと思うし、それから企業も相当そのために無駄を強いられているところがあるんじゃないのかなと、そう感じております。
 そこで、まず紀陸参考人にお伺いしたいんですが、企業として、今の経営者側として見て、アメリカ型の市場原理主義についてはどうお考えなんでしょうか。
#206
○参考人(紀陸孝君) 櫻井先生がおっしゃられるアメリカ型の市場主義というのが、株主を最優先して株主のために市場経済が成り立っている、そういうような理解であるとすれば、日本の経営者の方々たくさんおられますけれども、そういう方々すべてがそういうお考えではなかろうというふうに言えるんではないかと思います。まあそういう方もおられるかもしれませんけれども。基本は、経営者のためでもあれ、あるいは従業員のためでもあれ、顧客のためでもあれ。
 先ほど申し上げましたように、第一番目の問題に関連するかもしれませんけれども、基本的には、あらゆる人のため、顧客のために日本の経営を行うという、そういう理解の経営者の方々が多いんではないかというふうに思います。もう少し絞って、株主のため、それから従業員のためというんですかね、そちらの方に軸足を置かれる方も結構多い、そういうふうに理解をいたしております。
#207
○櫻井充君 それではもう一つ。先ほど四人の方々が、会社はだれのためかというのはもうこれ皆さんほとんど同じ内容だったんですが、ただし問題は、だれを優先させていくのかということが極めて大事なことなんだろうと思うんですね。
 ちょっと今日資料を持ってきておりませんが、労働分配率が最近下がってきていて、株主に対しての配当が増えてきていると。銀行など調べてみますと、預金者の利息を支払っている額と株主に対しての配当を調べてみると、あるメガバンクなどは株主に対しての配当の方がもう増えているんですね。これ、預金者軽視でしかないんじゃないだろうかと。つまり、預金者を踏み台にして株主に対して利益を還元しているようなところがあって、本当にだれをまず優先するべきなんだろうか、どういう割合にするべきなんだろうかというところがもう一つ大きな問題なんじゃないかなと、そう思っております。
 そういう点で三人の参考人の皆さんとそれから大臣にちょっとお伺いしておきたいのは、一体そういう中でどのような割合で企業の利益というのが、役員、それから労働者、それから株主と分配されていくということが理想的なんだというふうにお考えでしょうか。
#208
○参考人(紀陸孝君) 先生の第二番目の質問かというふうに存じますが、これは結論から申し上げますと、やはり個別企業によって数値は当然異なってくるというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 労働分配率一つとっても、例えばでございますが、建設業におられる会社とそれから流通業におられる会社と金融業におられる会社、全然この幅が違います。したがいまして、個別企業においてどこが適正かというのは軽々に判断ができないかというふうに存じます。
 それから、先生御指摘の中で役員報酬の話がございました。これは先ほど古賀さんからもお話ございましたけれども、最近役員報酬が増えていて、逆に従業員の方々の賃金が下がっているというような御指摘ございましたけれども、ここのところはもう少しデータを精査していただきたいというふうに思っております。
 というのは、最近役員報酬が上がったように一見見えますけれども、それはどの時点から数字を取っているのか。それから、かつ、特に最近は役員さんのいわゆる退職金ですね、そこをやめちゃって、これを賃金の方に乗せてくる、そういうような動きがどんどんございます。カウントの仕方によって違いますけれども、約四割程度の企業さんは役員さんの退職慰労金制度をもうなくしてきている、その代わり月々の方に乗せてきている、あるいは業績連動ですね、賞与の、それも行われてきている。そういうことによって一見数字が上がっているように見えますけれども、実はそれは大きな制度の組替えによることだ、そういうふうに御理解をいただければというふうに存じます。
 かつ、配当性向も、単独の場合で見た場合とそれから連結で見た場合、それによってこの数字が結構違います。そういう意味で、数値というのはどっちから見るかによって評価が変わる場合も多々ありますので、その辺も御理解賜れば幸いかというふうに存じます。
#209
○参考人(古賀伸明君) 先ほど提起をさしていただきましたように、企業というのは、従業員、取引関係、それから地域社会、顧客等々、ステークホルダーすべてをやっぱり尊重するというのが企業だというふうに思います。そういう意味では、デジタル的にどこどこにどういう配分、どういう配分というのは言い切れないと思いますけれども、そのバランスというのはあるというふうに思います。
 財務省の法人企業統計によると、資本金十億円以上の大企業は高収益を続けております。そういう中では、昨年度の支払配当金は十年前の三倍に達しました。しかし、一方では人件費の削減は続き、そして労働分配率の見方はいろいろありますけれども、一貫して低下を続けているわけでございます。
 そういう意味では、私はバランスという意味では、もっとバランスが取れる付加価値を配分をする必要があるんではないかというふうに思っておりますし、景気の視点からもこの労働分配率の復元というのは急務ではないかということも申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#210
○参考人(野川忍君) 労使の方々の現場からの御発言に付け加えることは特にございませんが、恐らく労働分配率のことが一番中心的な問題になるのだろうと思います。
 やはり、指揮命令によって働かせて、かつ実態として兼職、兼業が禁止ないし許可制となっている日本の多くの企業では、働く人はその企業に生活と人生のほぼすべてを預けているという状態にございます。そういった労働者に対する配分がそのような状況を期待ならしめるような段階にまで低くなるということは、もちろん適切ではないだろうというふうに思います。
 以上です。
#211
○国務大臣(柳澤伯夫君) この点につきましては、私、冒頭にちょっとコメントをさせていただいたこと以外に付け加えることはありません。これは恐らく個々の企業でも異なりましょうし、また何かメルクマールがあって統一的なものがあるかということは、なかなかそこは難しいんではないかと、このように考えております。
#212
○櫻井充君 難しいことはよく分かっておりますが、ただ、これは経営者の方にやっぱり考えていただきたいのは、一番最初にお示しした資料の中で、少子化問題そのもの自体が所得にかなり依存してきている。あるメガバンクは、これだけの利益を上げているにもかかわらず、受付の女子社員に対して時給千円でパートで公募している、募集していると。そうすると、単純に計算すると、年収二百万なんですね。
 そういう利益を上げているような企業ですら、そういったパート労働者で何とかまた更に利益を出していこうということになると、私は考え方がちょっと違ってきているんじゃないのかなと。つまり、個人の所得がそれなりに逆に言うと伸びてこないと消費が伸びてきませんから、今度は企業からしてみても利益は更に落ち込むようなことが出てくるんじゃないかと。つまり、どこでどういう形で循環させていくのかということが大事なことではないのかというふうに考えています。
 島国根性と言われるかもしれませんが、現在の日本企業の筆頭株主は外国人でして、私が調べた時点では約二七%が外国人が株式を所有しております。つまり、株主に対しての配当金を増やすということそのもの自体は、日本国内に還元されるのではなくて、むしろ外国の方にその利益が還元されていくという形になっていることを考えてくると、今の日本そのもの自体の地域社会等が元気になっていくためには、やはり労働者に対しての分配率を上げるようなことを考えてこないと私はなかなか難しいのではないかというふうに思います。
 そこでもう一つ、企業にとって労働者とは一体何なんでしょうか。基本的なことをまずお伺いしておきたいんですが、これは紀陸参考人にお伺いしたいと思いますし、それから古賀参考人に、労働者にとって企業とは一体何なのか、まずこの点について教えていただけますでしょうか。
#213
○参考人(紀陸孝君) 一言で申し上げますと、会社の従業員というのは企業にとって重要なステークホルダーでありますし、かつ経営を運営する場合の必須のパートナーだという、そういうふうに理解いたしております。
#214
○参考人(古賀伸明君) 私は、日本というのは世界に冠たる雇用社会でございます。雇用されている方でもっているこの日本の社会の中では、やはり生活をする手段とともに、労働者にとっては成長を、企業の中で成長をしていく。あるいは、お互いの痛みや喜びに共感する、生き生きと働き、その働きに見合った配分で生活をするということが働く側にとっての企業だというふうに思いますし、そういう意味では、日本企業の従来から言われている準共同体的企業共同体意識というものは大事にしていくべきだというふうに思っております。
 しかしながら、残念なことに今、懸命に働いても生活ができないとか、あるいは働き過ぎて健康を損なうとか、働いているんだけれども、働きがいや将来に希望が持てないという方たちが増えているこの雇用構造に対しては大変大きな危惧を持っていることも付け加えておきたいと思います。
 以上でございます。
#215
○櫻井充君 ありがとうございました。
 私の知り合いの中小企業の社長に、企業の力は社員の力なんだと、そう言われました。そしてもう一つは、その社員の力を引き出すためには何が必要かというと社長の理念なんだと、そういうことも言われました。まさしくそのとおりなんだろうなと思っております。
 それで、もう一つ、私は心療内科を今専門にしてやっておりますのでその立場から若干申し上げますと、今の従業員の方々、働いている方々の悩み、ストレスというのは、これは内閣府の調査によると六〇%以上の方々が悩み、ストレスを抱えております。そこの中で特徴的なのは、一般社員の方の中のストレスというか悩みが一番高いのは何かというと実は会社の将来性の問題だという、これが三一・八%。ところが、契約社員になるとどうかというと、この数字は三分の一になって一一・三%でしかないと。それから一方、一般社員に関して見ると、雇用の安定性の問題に関しては、ストレスを感じている人が一六・四%、派遣社員が三九・二%ということになっていて、これは当然の数字なのかもしれません。
 ここで何を申し上げたいのかというと、やはり一般社員の方が会社の将来性を考えているという観点から考えると、人を育てていくということが極めて重要になってくるとすればですね、今のような雇用体系にして短期の利益は上げられるかもしれないけれども、中長期になったときにはやはり正規雇用にするべきところはもう少しきちんとした形で正規雇用にして人材を育成していかないと、企業としても企業経営が成り立っていかなくなるんではないのかなと、私はそう感じておりますが、三人の参考人の皆さんはどうお考えでございましょうか。
#216
○参考人(野川忍君) 雇用形態が多様化しているという事実を一般的にいいか悪いかということは言えないと思います。例えばヨーロッパでも、オランダは十年ほど前からダッチミラクルと言われて雇用者の半分近くが御承知のとおり非正規従業員でございますが、紆余曲折はございましたが今でも良好なパフォーマンスを維持しておりますし、またドイツやフランスなどかなり社会的規制が厳しい国でも雇用形態の多様化は進んでおります。また、アメリカやイギリスでは非正規の従業員、レギュラーワーカーではない方々が増えること自体が悪いというもちろん認識はありません。
 ただ、個別に見て、今の日本の非正規化、非正規従業員が増えている状態はどうかというと、私は余り好ましくない状態で進んでいるというふうに思っております。というのは、大陸ヨーロッパやあるいは英米系の国々と異なりまして、一方では大陸ヨーロッパで維持されている同一労働あるいは同一価値労働同一賃金の原則は日本では全く普及していない。それから第二に、アメリカやイギリスでは当然個々の雇用関係は契約関係であって、個々の非正規従業員と言われる方でも自分の労働条件は契約上どうなっているのかということは認識した上で契約を締結する、そういった個別契約の理念が徹底している社会でもない。要するに、非正規化が進むことが経済の活力をもたらすであろう国際的に見て一般的な条件の両方が欠けているままで、このままで進むことは恐らく日本にとっては余り良くない結果をもたらすのではないかというふうに思っております。
#217
○参考人(古賀伸明君) 先ほど来申し上げましたけれども、私は行き過ぎた非正規雇用化の流れを反転をさせて正規雇用化を促進することが今求められているというふうに思っております。それは今、櫻井先生からもございましたように、日本の社会、日本の企業、その在り方を問うたときに、やはり雇用が安定し、将来を見据えて技能、技術を蓄積をしていく、そのことがブランド、企業に対しての一面では帰属意識となり、そして良い商品、サービスを生み出していく、そのことが基本であろうと思っております。
 また一方、働く側から見ても、職業能力を仕事を通じて高めていく、そして、その職業能力開発の役割を担った企業あるいは経済社会の発展や安定の礎になっていく、そういう社会が望ましい社会であろうと思っておりますし、いま一度このことを再評価して、特に若者たちが非常に多く非正規社員化しております。これは、先ほど来ございますように、私は少子化の課題にもつながっていくものだというふうに思っております。
 以上でございます。
#218
○参考人(紀陸孝君) 雇用形態の多様化の進行というのは様々なプラスの面、それからマイナスの面あろうかと存じます。基本的に、これから労働の市場の状況が大分変わってくるかというふうに存じます。客観的に変わってくるだけではなくて、このパート労働法の改正の動き等に合わせて、企業としてもきちんとした説明の責任を果たさなければいけないという状況に置かれてまいります。
 そういう意味で、これから企業としていわゆる非正規の方々をどうやってきちんと処遇していくか。これは今までと違った形で進んでいくんではないか、そういうふうに私ども思っております。確かに欧米と違う面もあるでしょうけれども、だんだんそこの面でも、きちんとした仕事の範囲というんですか、ジョブディスクリプションなるものができてきて、それにこの職務給の形がうまく重ね合わさる、それがいろんな領域に広がっていくということによってだんだんと非正規の方々の処遇の改善が進むのではないか、そういうふうに先を見通しております。
#219
○櫻井充君 紀陸参考人ね、今御答弁いただきましたが、今までなぜ非正規雇用にするんですかということの企業のアンケート、たしか六〇%以上の方が賃金が安いからなんだと、そういう、企業としての利益を上げるためなんだと正直にお答えいただいているんですね、アンケートなんか見ると。
 そうすると、今、今後変わっていくということは、どういう観点から変わっていくということになるんでしょうか。済みません、これは通告してなくて大変恐縮なんですが。
#220
○参考人(紀陸孝君) 先生の冒頭に言われた状況が、恐らく一番経営状況が厳しいときですね。要するに、国内で仕事ができなくてそれこそ空洞化してしまうような、近隣のアジアの諸国に工場なり生産の拠点を移さざるを得ない、そういうような時期が長く続きましたですね。要するに、コストの面で競争もできなくなってきたからやむを得ずそういう経営状態に置かれてきた。そこの面では、正に従業員の方々の組合せもコストの面からだけしか考えざるを得ないような状況ではなかったかというふうに思います。
 だけれどもこれからは、今いろんな意味で企業の財務体質の改善が相当に起こってきております。かつて言われたその三つの過剰というものも相当に改善してきております。確実に労働力供給がこれから減ってくる中で、企業は今正に、教育の問題に力を入れようとか、あるいは女性の活用ですとか、少子化対策ですとか、様々な今まで手を抜いてきた分野に力を入れ直そうとしている。人も長期的に育てて、将来の我が社の基幹の従業員のところを増やそうという、意思が切り替わってきているんだというふうに思います。これは、財務体質が変わってきた、それから労働市場も変わってきた、その中で企業としては従来の方針を変えざるを得ないという、今そういう局面に置かれつつある。
 これはすべての産業というわけにはいきませんけれども、海外と競争が激しいところほどそういうふうに潮目が変わりつつある、そういうような私ども認識を持っているがゆえに、先ほどそういうような内容の答弁をさしていただきました。
#221
○櫻井充君 ありがとうございます。できれば、冒頭お話ししたとおりの状況になってきているので、企業としてももう少し社会的責任を果たす意味でも考えていただきたいと、そう思います。
 これは、本当に済みませんが、企業に全部お任せして、本当にどこの企業も全部やってくださるのかどうかというのは、これはすごく大きな問題だと思うんですね。つまり、立法府にいる人間からすると、八割ちゃんとやってくれるんだと、であれば、あとは二割の人たちに対してどうするのかという議論になったときに、どうしてもその二割の人たちを相手に制度をつくっていかなきゃいけないというところがあるんだろうと、そういうふうに思います。
 つまり、ちゃんとやっている人たちが、すべてがちゃんとやってくださればそれで構わないんですが、そうでない人たちがいたとする場合には、やはり制度上何らかの形で担保していかなきゃいけないんだと思うんですね。その点でいうと、先ほど野川参考人からヨーロッパのお話がありましたが、大臣、やはり我々ももう少し制度上、同一価値の労働者に対しての同一賃金を提供するなどということをしないと、先ほどからあったような雇用の多様性というんですか、そういうことだけではちょっと説明が付かないんじゃないかと。
 私の狭い範囲の中で言うと、やはり正規雇用か非正規雇用かの選択しかもう今はないんですよね。ですから、非正規雇用でもそういうことになるんであれば、私は、確かに非正規雇用というか、本人たちからすればそういう働き方でもいいんですよということになると思うけれども、実際そうじゃないじゃないですか。
 ですから、その点から考えると、今、制度上何らかの形で担保しなきゃいけないような気がしますが、その点についてはいかがですか。
#222
○国務大臣(柳澤伯夫君) 同一価値労働同一賃金というふうに一言で申しますけれども、なかなか、価値という言葉で表されるところはなかなか難しいということでございます。
 私ども、今、パート労働法を国会へ提出させていただいておりまして、衆議院の方に先に御審議をお願いしているわけでございますけれども、このパート労働法の改正におきまして、私どもが差別禁止の労働者というものと、それからあくまでも均衡処遇を求めていく労働者というものを考えて、これを法制化させていただきました。
 それに対して、民主党さんの方はみんな差別禁止であると。しかし、その差別禁止というものを実現する場合には、物差しということで、この労働とこの労働とはこういう差があるから処遇の方もこういう差があるべきだというような、私の理解でございますので語弊があるかもしれませんけれども、大ざっぱに言ってそういうことでございます。我々政府案と民主党の皆さんの案とはどうなのかということで今論議が交わされておるわけでございます。
 私は、これはもう非常に難しい問題であると。この前、政治家として答えろと言われましたので、私はいつもながら大昔のことを思い出して、公平という、差別禁止ということは公平を実現しろと、こういうことですけれども、公平というのに実は均分的な公平と配分的な公平があると、こういうことですね。
 これは大昔の哲学者からずっと言われている一種の公理でございますけれども、要するに、三人人がいる、三つパンがあると、一つずつ分けるのが公平かというと、実はその三人というのは、一人は昨日からパンを食べていない人、先ほど食べたばっかりの人というような区別がある場合に、このパンを一つずつ分けることが公平かという問題がいわゆる配分的公平というものの問題なんですけれども。
 この、幾ら、幾つパンをこの人にやるのがいいかというのは極めて難しい。それをなかなか物差しということで画一的に測れないというところから、私どもはそうしたアプローチを取らないで、実はいろんな措置の公平性を、均衡性を求めようということで政府案はでき上がっていますというようなことを申し上げました。
 櫻井委員の問題というのはそういう実は難しさをはらんだ問題でありまして、これを私ども、国民を代表する国会で大いに議論をして、何が同一価値労働同一賃金であるかということについてこれから論議をして結論を出していかなければならないというのが我々の課題だという認識でございます。
#223
○櫻井充君 どうも三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。今後の審議に生かしていきたいと思っております。
 一言だけ申し上げさせていただきますが、社会全体としての利益がどうなのかという観点に立って我々もう一度考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。今日はどうもありがとうございました。
#224
○山本保君 公明党の山本保です。
 私は、福祉と雇用というところの両方の観点に関連する質問を、大臣と、そして担当官の方に主にいたします。
 最初に、これは今出ていたことにも実は偶然関係したわけでありますが、派遣労働のことにも関連します。多様な労働形態という言葉が先ほどから出ておりましたが、私の方から申し上げたいのは、例えば障害者の働く場でございます。
 障害者自立支援法その他雇用促進法などにおきましても、今まで福祉の側で余り重視されてこなかった働く場、また生活する場ということが、地域というところから最初始まってきたんですが、割と抽象的な地域というところから働く場、また生活する場と、こういうのが一つ大きな今福祉の課題といいますか、になっております。
 そこで、障害者が働くということが非常に重要なことになります。もちろん、働けない、どうしても人の世話を受けなければならないという方もいられます。もちろん世話を受けながら、それはそれでまた自分の力を社会に発揮される方もおられます。ただ、問題は、これまでの福祉というのがそういう方を、より充実したような生活、雇用という、仕事ということをどうその方たちにつくり出していくかということはどうしても後回しになっていたということであります。
 そこで、実は昨年の三月十五日の予算委員会の場で私、三つほど提案をさせていただきました。
 それは、一つは、障害者の雇用といいますのは促進法によりまして雇用率ということを各会社に掛けるという形で今国が推進しているわけですね。このこと自体にはいろいろまた問題もあるかと思います。全体に今、自立促進ということで全体の障害者というものの実態が少しずつ我々の目の前に出てきたわけですから、このときにこういう雇用率ということだけでいいのかどうかというのが一つあると思うんですが、まあしかし、労働雇用行政として一つの分かりやすい切り口であると思います。
 それを前提としましても、ちょっと問題があるのではないかと言いました。一つは、つまり、正にこれまで、今日の議論で言うならば八時間とかそういうことを前提として働くことを雇用率で考えておりまして、パートで働くでありますとか派遣労働として障害者が働くということは法律の枠内に入っていないという問題であります。
 しかし、これは、今日は一般的なお話でしたから派遣についての問題点が相当出ておりましたが、福祉の方の側からいいますと、そういうことはあるにしても、しかし、障害者一人一人の生き方から考えたときに、当然、八時間働けない方でありますとか、また、自分だけではなかなか難しい、後ろ盾があって、そして各会社に出ていくというような形の方が働きやすいし、また、それから始めなければならないという方はたくさんおられるわけであります。ですから、そういう方が今のこの促進法などでは対象になっていないということが問題ではないかと、これは改正すべきであるということを一つ申し上げたわけであります。
 もう一点は、今度は働く場の方でございますけれども、特例子会社というのが二百ぐらいあるそうでございますが、最近伸びたそうですけれども、あります。つまり、大きな会社、大会社が自分の会社といいますかグループの中で子会社として障害者のための会社をつくりまして、そこで障害者が働きますと、そこで働いている分はそのグループ全体で言うならば働いたということで雇用率にカウントするという制度になっております。
 ところが、特例という言葉がありますように、これはその一〇〇%子会社でしか認めておりません。しかし、これは、そうなりますと、二百しかないということは、この大きな日本の中でたった二百しかないということは、やはりこの制度がいかに使いにくいものかということだと思うんです。
 というか、中小の地域の会社が自分たちでお金を出し合って障害者のための雇用の場、会社とか、また最近ですと事業組合という形でつくると、そういうことがもっとできていいはずだ。しかし、それをやりましても、この今の法律ではそれは各会社が雇用のために努力したということにはならないと、これもおかしいんじゃないかと。これは当然、各会社が分担をした場合に、当然それは各元の会社が働くための努力をしているというふうに認めるべきではないかと思います。
 そのときついでに申し上げたのは、連結納税制度が始まりまして、ちょうど柳澤大臣が金融大臣のときだったのかなという気もするんですが、ちょうど同じころ連結納税、ちょうど塩川財務大臣のときでしたんですが、あのとき私も財務委員でございまして、連結納税制度というのができたときに、これは障害者のための新しい雇用の場をつくるのに非常に適しているのではないか、当時の障害部長に来ていただいて、その委員会でそう発言していただいたということを覚えておりますが、ところが、連結納税というのは御存じのように連結子会社じゃないと利きませんので、私が想定しておりましたような地域の各会社が入ったときには、いや、それは税金は掛かるんですよと、こういうふうに国税庁から言われまして、二年ほど押し問答というか、何とかならないかと。
 こうしておりましたら、先般の会社法の改正によりまして新しいLLPという事業組合が認められまして、そこでは各会社なり個人が出資といいますか、お金を出しますと、そこで出た損金については元の方から相殺できるという制度ができているということを実は私もちょっと遅れて知ったわけでありまして、福祉としてそれはもっと活用すべきであるのにそれが使われてないじゃないかということを申し上げたわけであります。
 こういうことを一年前に申し上げましたときに、政府側からは大至急検討しますと、こういうお答えをいただいておりました。その後、省内にも今申し上げた二つについてはそれぞれ研究会ができているというふうにも聞いておりますので、今日はその研究会がどのような今状況であるのかということについてお聞きし、その次にまた大臣にもこれからの方針についてお聞きしたいと思っておりますので、最初にまず部長さんですか、よろしくじゃお願いします。
#225
○政府参考人(岡崎淳一君) 障害者の雇用の関係につきましては、先生からの御指摘もありまして、昨年の夏以来、研究会を設けて検討してきております。それで、おおむね二月、三月に論点の整理をしたというのが今の状況でございます。
 具体的には、派遣、パート等の多様な雇用形態等の関係につきましては、パート労働あるいは派遣労働というものが障害者が働く形態としてどう評価するかという問題があります。一方ではパート労働という形でなければ働けないという方もいるという意見と、パート労働を入れた場合に障害者はパート労働でいいんだというような評価になってしまうんではないかという意見もあります。いずれにしましても、そういった点を含めまして、それから、パート労働者という働き方、今でも三十時間以上、要するに雇用保険の適用になっていれば対象になっているわけでございますが、三十時間未満のところを法定雇用率の中でどうしていくかどうかと、こういった点が論点になっております。
 派遣につきましても同様な問題もありますし、一方では、先生おっしゃりましたように、派遣会社の後ろ盾の下で働けるという評価もあるところでありますが、これをどうするか。今、派遣労働につきましては派遣元の方ですべてカウントするという仕組みになっておりますが、そういう中で、結果としては派遣という形で働いている障害者の方はほとんどいないというのが現状でございますので、その辺を含めて派遣元、派遣先の分担の在り方、あるいは更に言えば法定雇用率の適用の仕方等々が議論になっているということでございます。
 それから、中小企業につきましては、中小企業の雇用率が現に下がってきているという実態がございますが、そういう中で中小企業に対する支援策をどうしていくかということがありまして、その中の一つとしまして、中小企業が共同で先生おっしゃいましたような形で働くというものについても位置付けを考えていったらどうかと、こういうこともございます。ただ、現に制度がないということもありますが、今のところそういうことでやっておられるところがほとんどないものですから、これにつきましては今年度、具体的に現実の形としてうまくいくかどうか、モデル事業的なものを含めまして検討していって制度改正にも生かしていきたいと、こういうふうに考えているということでございます。
 いずれにしましても、そういう論点等につきまして今論点整理を踏まえまして議論を進めておりまして、研究会にはそれぞれ夏までに報告を取りまとめていただくようにお願いしていると、こういう状況でございます。
#226
○山本保君 言わずもがなでありまして、今も、これまでの議論にありましたように、私はパートや派遣でいいということを言ったわけでは当然ありませんで、そういう方、正に多様な労働形態と先ほど出ていたわけであります。
 ですから、そう言っているときに、さっきのような消極的な意見が出てくるというのは、ちょっと私は何を考えているのかなという気がしないでもないんですけれども、まあそれはそれとしまして、研究会でこれから進めるということでした。
 大臣、これで、こうなりますと、これについて、法律事項でございます。これについて私は法律改正をきちんとやっていただきたいと思っておりますけれども、大臣の所見をお伺いします。
#227
○国務大臣(柳澤伯夫君) 山本委員のいろいろな御議論を踏まえて、私ども今研究会で検討をしているということでございます。
 三研究会を持ちまして、一つは、従来と異なる雇用形態と障害者の雇用をどう結び付けるかという研究会、それからもう一つは、中小企業と障害者の雇用をどう結び付けるかという研究会、それから福祉、教育等との連携についての研究会、この三本立てで今研究をいたしているわけでございます。短時間労働、派遣労働、それから中小企業における雇用促進、それから、場合によってはというか、会社の組織形態との絡みでの話を今委員は御提起されましたけれども、場合によってはそういうことも視野に置いて必要な法整備について検討を進めていきたいと、このように考えております。
#228
○山本保君 よろしくお願いします。
 それで、先ほどちょっと出ましたが、法律を変えるにはなかなか時間が掛かりますので、昨年もう一つそれに関連して提案しましたのは、派遣元にしか応援していないというのはこれはおかしいんで、まず派遣先、派遣元の方だけではなくて派遣先にも応援すべきではないかと。また、グループで会社がそういう障害者雇用をやっている場合には、そこには少しは国の方から応援すべきではないかと、そういう事業は先行させるべきだと申し上げまして、それが今回の予算で入ったと思っておりますが、これについても、部長、もう少し詳しく説明してください。
#229
○政府参考人(岡崎淳一君) 済みません、派遣の関係での今回の予算でございますか。
#230
○山本保君 それはないですか。
#231
○政府参考人(岡崎淳一君) 派遣の関係につきましては、現在制度の中で議論していまして、その中で派遣先を含めた支援の在り方を検討していると、こういう状況でございます。
#232
○山本保君 それでは、これは今度のモデル事業などで実際に会社のグループなどについて国の方がもっと進めていただきたいと思いますし、私の方にも、やりたいというようないろいろ声が上がってきております。是非進めていただきたいということにします。
 次の問題、もう一つ、今度は労災保険、労災に関連してちょっと細かい話ではありますが、しかし、これも非常に困っている方からの声がありまして、いわゆる義手とか義足、義肢ですね。こういうのを労災保険で支給されているわけであります。そういう制度になっております、労働災害がもとになりますと。
 その場合に、腕なんですが、この中のワイヤが切れたり簡単な故障が起こる。しかし、その故障を修理するのに大変時間が掛かっているんです。お聞きしますと、まず御本人から、例えばすぐ病院なり会社に行けばいいんじゃないかと思ったら、そうじゃないんですね。監督署へ行って、監督署は今度労働局の方へ話をして、そして承認が出て、やっとそれを、この承認書をもらってからまた病院なりそこへ行く。そうすると、今度は病院からまた労働局の方にそれでよろしいかというやり取りがあって、そうしてやっと作ると。
 最初に作るときには、こういうきちんとやるということもそれは必要かと思いますけれども、簡便な修理、いろいろ業者の方に聞きますと、簡単にすぐ直るんだというようなこともあるようでございます。それも同じやり方でやっているというのはどうもおかしな話だと思います。この辺について、労働基準局長ですか、改正していただきたいと思うんですが、どうですか。
#233
○政府参考人(青木豊君) 今委員がお触れになりましたように、労災保険において義肢等補装具の支給、これは社会復帰の促進を目的として行っているわけですけれども、それにつきましては必要に応じて見直しを行ってきているところでございますけれども、御指摘の修理に係る手続等についても、適正な執行を確保しつつ、迅速な処理ができるよう検討を行ってまいりたいと思います。
#234
○山本保君 迅速な処理ということで、ただ単に早くやってやれという、そういうことじゃなくて、私さっきちょっと指摘しましたように、システムが明らかに無駄な本当に役所仕事というのが多過ぎるということを指摘しておきます。当然その辺の改善ということを含めてやっていただかないと、これは別に今サボっているから遅いということを私申し上げているわけではありませんで、このシステム自体が合ってないんじゃないかということを申し上げたのです。
 じゃ、次に、もう時間もありますので、ちょっと一つ飛ばしまして、介護について、介護の仕事、介護労働という言い方になりますか、医政局長にお聞きしたいんですけれども、今看護師さんの不足が非常に問題になっておりまして、これは医療の方でやっておりますが、ちょっとこれを正面からではないんですけれど、私の一つの意見といいますか考えとして、特に日本の場合、教育とか福祉の場合、実際にその相手に対して行うことというのは非常に重要なことなんですが、必ず今のもう社会では、そういう仕事をしますと、それについての事務というか情報処理という仕事が出てくるわけです。
 ところが、教育でもそうなんですけど、いわゆる学校事務とか、非常にそれは低く見られておりまして、医療に関しても、計算をしたりする事務職の方はいるでしょうが、看護師さんの仕事とかお医者さんの仕事、お医者さんの場合は今電子カルテなどが大分普及してきておるようですけれども、看護師さんが看護記録などということで非常に事務的に大変だという声を聞くわけですよ。
 これはもっと、例えばそういう看護師さんの中から、そういう事務という言葉自体も、事務員さんという言葉自体が何かちょっと差別的なニュアンスがございますし、情報の専門家だと思うんですけれども、そういう方をつくっていくとか、又はITを活用して、一々患者さんとのやり取りなどもこういう胸のところで全部カード化されて、それがすぐに字になって出てくるなんてことはもう開発されてしかるべしだと思うんですね。
 そういう研究を大至急やっていただきたいと思いますけれども、局長いかがでございますか。
#235
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のとおり、医療技術の進歩、患者さんの高齢化あるいは重症化などを背景に、看護師さんの業務というのが高度化かつより密度の高いものになってきておりまして、業務の効率化を図るということは大変重要であるというふうに私ども考えております。
 看護師さんが行ってございます事務作業につきましては、一つには入院患者さんの病状に関する判断内容を記録するいわゆる看護記録の作成、あるいは患者さんの診療録や伝票の整理といったようなものなどがあるわけでございますけれども、診療録の整理などは看護師さん以外でもできる事務でございまして、これらにつきましては事務職員、看護師さんの仕事のところでは病棟クラークというような言い方をしていますが、こういう方を配置して対応している病院もあるというふうに聞いております。
 また、看護師さんが患者さんを巡視した際に、ITを使って持参している端末を利用して、その結果を入力すると自動的に看護記録となるといったような看護支援システムと、言わばそういったようなものの導入など、看護事務のIT化を進めている病院もあるというふうに伺っております。
 これらの例なども含めまして、多様な勤務形態で看護職員を雇用する医療機関の事例を収集、分析をいたしまして、そのノウハウを広く普及する事業を本年度予算におきまして行うことといたしておりまして、その中で、看護業務の効率化を図るための手法につきましても、ITも含めまして研究していきたいと思っております。
#236
○山本保君 是非やってください、進めてください。若い方等お聞きしましたら、なかなかこういうことの情報処理ということについては余り他国にもないというふうに聞いております。これは日本が先鞭を切って進めていくということになればいいことですし、是非じゃこの今年の予算の中にそれを入れていただきたいということを申し上げます。
 あと少し時間が、一分しかありませんが、大臣、申し訳ありません、一つだけ。今度は介護の問題で、これから介護についてはまた別の機会がありますので、今日は総論的で結構です。介護に携わる方の専門性を高めて、いかにその方たちの仕事を高め、そして給料も上げていくのかと、こういう大きなことについて大臣はどのような方針をお持ちなのか、最後にお聞きします。
#237
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今国会に介護福祉士法等の改正の法案を提出しております。これは、介護福祉士の資質の向上、確保のための措置を講ずるということを目的といたしております。
 具体的に申しますと、介護福祉士の行う介護の定義を変更いたします。よりこの資質を高める方向での改正でございます。それから、この介護の福祉士が業務を行う場合の個人の尊厳の保持等の配慮に対する義務規定を規定をし直します。それから最後に、この資質の向上を図るための一定の教育プロセスを経た後の国家試験でもって資格取得方法の一元化を図る、こういうようなことを目指しております。そして、このような資質の向上が処遇の改善にもつながると、そういうことで好循環が生み出されるような仕組みを構築したいと、このように考えておりますので、また御審議をお願いして、是非成立に御協力を賜りたいと思います。
#238
○山本保君 ありがとうございました。
#239
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前半、政府に質問します。
 先日の質問で、東京労働局がフルキャストに対して業務改善命令を出した件について、悪質だと、厳正に指導するように求めました。ところが、その後、東京労働局が今年一月五日の契約でフルキャストグループのフルキャストHR総研に対して求職活動支援セミナーを業務委託しているということが分かりました。フルキャストは昨年八月に神奈川労働局から是正指導を受け、是正したはずなのに九月段階でも履行されていないということで今回業務改善命令を受けた。全国五十三支店で同様の違反が明らかになっております。
 職安局長に聞きますが、労働局から是正指導を受けている最中のグループ企業に対して、求職活動支援セミナーのような雇用にかかわる事業の業務委託を行う、こんなことがあっていいのか。東京労働局は一月の段階で昨年の神奈川の件は承知していたはずです。認識していても問題なしとしたのかどうか、お聞きします。
#240
○政府参考人(高橋満君) 今の御指摘の求職活動支援セミナーでございますが、これは雇用保険受給者の早期再就職のために履歴書、職務経歴書の書き方とか面接指導等を行うものでございまして、その際、民間事業者のノウハウを活用していくということで各都道府県労働局から民間事業者に委託をして実施しているものでございます。
 お尋ねの東京労働局にかかわる業務委託でございますが、これは一定の入札参加資格を満たした企業等の中から企画競争入札等を行いまして、最も企画が優れているものと委託契約を締結したものでございます。業務改善命令を受けたフルキャストの関連会社ということでございますが、それぞれ独立した法人ということを踏まえますと、適切に委託先が選定されているものというふうに理解はいたしております。
#241
○小池晃君 いや、独立なんかしていないですよ。ホームページ見たら、もうフルキャストグループで一体としてこれ宣伝しているんですね。れっきとしたフルキャストグループの一員なんですよ。そういう言い訳は私、通用しないと思います。どういう検討の上にこういう業務委託に至ったのか、これは事実関係を後で報告をしていただきたい。
 また、昨年の十月に、キャリア形成助成金の対象となるキャリアコンサルタント能力評価試験として職業能力開発局長が指定する試験に、これまたフルキャストHR総研の能力評価試験を指定、更新しているんですね。これ、当然指定する民間機関が法律を遵守しているかどうかということは大事な問題なわけです。法律違反が明確なフルキャストのグループ企業をなぜここでも指定したのか。これ、問題ないと言うんですか。
#242
○政府参考人(奥田久美君) 御指摘のキャリアコンサルティング能力評価試験につきましては、指定基準に基づきまして試験実施機関として指定をしているところでございます。
 この指定基準の中には、試験の実施体制あるいは試験内容に関する要件、こういったものがございますので、こういったものを審査をして、それが適当であるという判断で指定をしているわけでございますが、試験機関として著しく不適当と認めるに足りる相当の理由がある場合等につきましては指定の取消しということもございますので、今後動向を見ていきたいというふうに思っているところでございます。
#243
○小池晃君 これは著しく不適当ですよ。もう派遣法違反の違反率というのは非常に高いわけで、そういう違反企業に様々な事業を委託して雇用関係の助成金が流れていくという構造は、私、これ大問題だと思うんですね。
 大臣、派遣法違反について厳正にやっていると言うけれども、厚労省が行っているこの派遣会社及び再就職支援会社に委託業務先、こういったところが法令違反をしていると。これ重大な問題だと私は思いますし、これグループだからという言い訳通用しないと思うんですよ。やっぱり総点検すべきだと。少なくとも、違反がこれだけ明らかに、フルキャストグループなんて全国ぐるみでやっているわけですからね。
 こういうグループに対する委託や指定というのは、私は当然見直すべきだと思いますが、大臣いかがですか。
#244
○国務大臣(柳澤伯夫君) 委託の事業、それから試験についての指定というか、そういうことをしておるということで、他方において労働者派遣事業の法令に違反することが行われておって改善命令を受けたと、こういうことでございます。
 ただ、その間、フルキャストそのもの、改善命令を受けたフルキャストそのものではなくて関連会社であるということで、いろいろ行政当局も考えておるということの答弁でございましたが、これは私はやはり検討をしないと、片方で改善命令を出して処分をしているという中で片方で仕事を手伝ってもらっているという形が本当に適当かどうか再検討をしなければならないと、このように思います。
#245
○小池晃君 これは是非厳しく再検討、総点検していただきたいというふうに申し上げたいと思います。
 それでは、参考人の方々にお聞きをしたいと思うんですが、最初に日本経団連専務理事の紀陸参考人にお伺いします。
 四月六日の経済財政諮問会議で、労働時間の短縮や数値目標を掲げるというふうにしたことについてであります。この場で日本経団連の御手洗冨士夫会長が働き方を変える行動指針の制定に向けてという提案を共同でされまして、労働時間については短縮などの数値目標を掲げ確実な達成を図るべきだと提言されました。
 専門調査会の報告を見ますと、十年間で労働時間を一割削減して残業時間を半減するというふうに言っています。十年掛けてというのはちょっとどうかなという感じはしますが、しかし、そもそも年間総実労働時間という時間の中にサービス残業は入っておりません。この問題で摘発されてももう後を絶たない違反企業の問題が話題になっているわけであります。
 御手洗会長の提案も含めて、このサービス残業問題の解決ということに触れていないのは一体どういうことなんでしょうか。なぜなんでしょうか。
#246
○参考人(紀陸孝君) 御質問の焦点は、諮問会議で時間短縮の件について会長としてコメントがなかったと、その点でございましょうか。
#247
○小池晃君 はい。
#248
○参考人(紀陸孝君) 決して問題意識がないわけでなくて、長時間労働の抑制自体は会長のみならず産業界のやっぱり総意だというふうに思うんですね。大きく、今先生いろいろなことをおっしゃいましたけれども、じりじりといわゆるオーバータイムの幅を縮めていって、かつ同時にサービス残業であるとかあるいは不払残業であるとか、それは完全に法令違反がはっきりしていた場合には、これは許されることではありませんので、どの企業も今様々に時間把握を行って、かつ健康確保という点も含めてこの抑制に努めている段階だというふうに思います。
 したがって、決して御手洗会長の意識が欠落していたわけでなくて、それを当然の前提としてのコメントであったというふうに理解しております。
#249
○小池晃君 日本経団連のサービス残業についてのちょっと取組について引き続き聞きたいんですが。
 二〇〇一年に厚労省がサービス残業根絶の通達出したときに経労委報告で、労働基準行政に対して通達を基に企業の実態を無視したかのような指導がなされている、企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著であるというふうに日本経団連として御主張されました。これに対して、厚労省は文書を出しまして、労使慣行には介入していないんだと、実態に合った指導監督をしている、そして指摘を受けた企業は冷静に自らの企業の在り方を見直すことから始めることが望ましいという見解を伝えました。
 この問題は、この委員会でも私、柳澤大臣とやり取りをさせていただいて、柳澤大臣は、日本経団連が各都道府県の経営者協会を回ってその趣旨を説明したということを確認したというふうに答弁をされているんですね。日本経団連としては全国の経営者にサービス残業の根絶というのをどのように徹底されているのか、お聞きしたいと思います。
#250
○参考人(紀陸孝君) 法の趣旨を遵守するのは当然でございまして、実は私ども、今先生御指摘のように経営労働政策委員会報告、これ毎年春季の交渉の前に発表いたしますが、そのときに併せて、今、厚労省からの見解も踏まえて、これ私どもの職員がみんな分担して全国の経営者協会に回ります。これは、春の交渉を前にして経営側としてどういう、特に賃金問題が中心でございますけれども、賃金、それから労働時間の問題も含めてですね、労使でどういうふうな協議をしたらいいのか、そのプロパガンダに回りますので、そのときに併せて各都道府県の経営者協会に遵守方、説明をいたしております。
#251
○小池晃君 ちょっと実態も御紹介をしながら、更にお聞きをしたいと思うんですが、東芝、これは日本経団連副会長企業で、経営対策委員会の会長企業でもあります。日本経団連が三月二十日に提言出されましたね。その中で、ワーク・ライフ・バランス推進に関する企業の事例集というのがあるんですね。そこで東芝が紹介されているんですよ。
 ここでは、東芝が一月の残業八十時間超したら医師の面接を必須とし、健診を実施している、長時間労働の是正に向けた取組だって、まあ天までというとあれですけど、かなり持ち上げているんですね。ところが、これ実態を労働者に聞いたんですわ、東芝の。東芝の京浜事業所の労働者に聞くと、長時間労働ずっと続いていると。
 これはもう御紹介だけで別にお答えいただかなくていいんですが、東芝の京浜事業所の労働安全衛生委員会が発表している時間外健診状況というのを見ますと、工場で働く約二千二百人のうち、月の残業八十時間を超す労働者数が昨年六月は三百六十三人、七月は二百九十九人、その後ずっと毎月三百人超えているんですよ。十一月は四百九人なんですね。だから、実に五人に一人が八十時間超なんです。この四百九人の平均時間外労働は九十八・六四時間だと、これこの労働安全委員会の報告にあるんですね。つまり、だから毎日五時間残業していると。夜十時から十時半まで働いているということになるわけで、正にこれ過労死水準超えるような状態で働かされていると。これで長時間労働是正していますといっても、過労死対策をやっているだけじゃないかというふうに私なんか見て感想を持ちました。
 この東芝についていうと、そのサービス残業について、ここ数年間だけでも労基署から、京浜事業所あるいは川崎工場、これ三回の是正指導を受けているわけですね。京浜事業所は五億円支払ったとされているんです。こうしたサービス残業というのは、もうこれ東芝に限らず大企業、多くの大企業で摘発をされております。
 私、この経済財政諮問会議で労働時間短縮するという提言された、これはもう大いに結構だと。しかし、そう言われるのであれば、やっぱりまずこういうサービス残業、長時間労働というのをこの会長、副会長企業の中でどうなっているのか、よく点検をして、やっぱり率先してなくしていくべきなんじゃないか。これ日本を代表する企業でしょう、日本経団連の役員企業というのはね。やっぱりそういったところでこういう実態があるというのは、私は国際的に見ても大問題だと思うんですよ。是非こういう率先垂範して、日本経団連のその役員企業などで労働時間削減、何よりもサービス残業の根絶ということにやはり努力されるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#252
○参考人(紀陸孝君) 御指摘のように、法違反というのは許されない事態だというふうに思います。今、各企業とも仕事の繁閑が相当にある中で、特に忙しいときにどうやってそのオーバータイムの幅を縮めるか、人の年間通じての均等ならしと併せて、鋭意努力しているさなかだと思いますので、その辺の事情も御理解いただければ幸いかというふうに存じます。
 法令遵守は当然のことだというふうに思っております。
#253
○小池晃君 もう一つお伺いしたいのは、偽装請負への是正指導の問題なんですが、日本経団連の御手洗会長は経済財政諮問会議で、法令遵守当然だがということはまくらに置いておられますが、請負法制に無理があり過ぎると、これを是非もう一度見直してほしいというふうに発言されました。
 これは、日本経団連としては現在もこの請負法制には問題があるという認識をお持ちなのか。会員企業が偽装請負をやっている例もあるかと思うんですが、これにどう対応されていくおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
#254
○参考人(紀陸孝君) 請負の問題につきましては、これは請負だけでないんですけれども、派遣もそうなんですけれども、職場の実態に合わせた法令の運用というのが一番基本かというふうに存じます。
 特に構内請負が認められて、実際には最低限の指示命令というのが発注主の方から必要な場面が出てまいります。昨年の十月にそういうような、これはある程度何というか、領域を絞った範囲でございますけれども、発注主側の指示命令ができるというふうな運用が変わりましたんで、この点は大いに評価したいというふうに存じております。
 以上であります。
#255
○小池晃君 是非、やっぱり企業の社会的責任ということが国際的にも大きく問われている中で、こういう会員企業の中で違法行為が行われているという実態についてきちっと対応していただきたいなと思います。
 最後に、連合の古賀参考人にお伺いしたいと思うんですが、今、日本経団連の紀陸参考人といろいろやり取りしてまいりまして、同時に、御手洗会長の提言では、多様な働き方という言い方でホワイトカラーエグゼンプション導入も、これあきらめていらっしゃらないということを出されているんですね。
 連合として、労働組合の立場、労働者の立場から日本経団連の長時間労働やあるいはサービス残業についての対策、取組についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
#256
○参考人(古賀伸明君) 冒頭、連合の各企業組合の労働時間の実態については御報告をさせていただきました。いわゆる不払残業、サービス残業もまだまだ後を絶たないという実態の中で、労働組合としても、我々自身も労働時間管理の問題あるいは企業に徹底的にきちっとしたコンプライアンス、そして規制を掛けていく取組もやっていかなければならないというふうに思っておりますけれども、是非やはり職場実態というのを各企業がしっかりと把握をして、そして正に対策を早急に取る、そんな迅速な対応を企業には要請をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、先ほどの議論の中で幾つかのキーワードが出ました。一つは、ワーク・ライフ・バランス。非常に今ワーク・ライフ・バランスという言葉は響きが良く、あらゆるところで出てきますが、このワーク・ライフ・バランスということについても一度政労使の間でどういうことなんだという概念を統一をしないと、何か同床異夢的なものが残っていくんではないかというふうに思っております。
 当然のことながら、ワーク・ライフ・バランスを取るために長時間労働を削減をしていく。正に日本の働くモデルは例えば九時から五時まで、残業というのはあくまでもイレギュラーなときが残業なんだという、そのモデルを作ることによってワーク・ライフ・バランスやあるいは少子化の問題、そして次なるステージへ向けての成熟社会への対応が図れるのではないかということもあえて申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#257
○小池晃君 ありがとうございました。
 以上で質問を終わらせていただきますが、野川参考人は先ほど、今後出されてくる労働法制についての御意見聞かせていただいて大変参考になりましたので、ありがとうございました。
 今日も御手洗会長の発言をいろいろと引用させていただいて御質問させていただきましたけれども、是非、経済財政諮問会議等で積極的に御発言もされているので、国会の場に来ていただいて、お話を直接お伺いしたいなというふうに思っておりますので、その旨是非お伝えいただきたいというふうに思っております。
 以上で質問を終わります。
#258
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は本当にありがとうございます。
 まず、紀陸参考人にお聞きをいたします。
 労働条件を良くしていくには、まず多様な働き方の中での均等待遇などを実現することと、もう一つは正社員を増やしていくこと、この二つが必要だと思いますが、経団連として正社員を増やしていくビジョンをお聞かせください。
#259
○参考人(紀陸孝君) これは個別企業の事情にかかわることでございますので、どのような雇用形態の方々を組み合わせるか、それはやっぱりその個別企業のポリシーによるかというふうに思うんですね。今現在でも非正社員の方が多い職場、そうでない職場、様々でございます。同じ業界の中でもどういうような雇用の組合せをしたらばいいのか、これは各社の企業実態によって違いますので、私どもとしても一概にこれがいい、あれがいいという、そういうことを軽々に申し上げる立場にはございません。この辺は御理解をいただきたいというふうに存じます。
#260
○福島みずほ君 いや、是非正社員を増やすために努力をしていただきたいと考えますが、いかがですか。
#261
○参考人(紀陸孝君) これは、先ほど来全般的な傾向として申し上げているんでございますが、先行き、労働力の需給が相当に逼迫してまいります、確実に若い人の供給が減ってまいります。その場合に、個別企業において我が社はどういうような先をにらんだ雇用の組合せをしたらいいのか、その判断に懸かっているんだと思うんですね。
 そういう意味で、少しずつ、今その兆候が出ているかもしれませんけれども、非正社員から正社員への乗換えを進めようというような動きが出ておりまして、これは全体的に見れば少しずつ広がっていくだろうと。ただ、個別会社は、その中で我が社の方針は区々に判断をせざるを得ないだろうというような理解でおります。
#262
○福島みずほ君 先ほど、派遣法に関して直接雇用義務をなくす、期間をなくす、事前面接禁止の解禁とおっしゃいましたが、直接雇用義務をなくすことは正社員の道を閉ざすことにつながりませんか。
#263
○参考人(紀陸孝君) 私の申し上げましたのは、仮にそういう規制が強過ぎると、もっと短期間に派遣の方々を入れ替える、そういうことにつながりかねない、だから、逆効果になっているんだというふうに思うんですね。そういう意味で、その規制を撤廃した方が逆に長く、例えば三年でなくて五年とか六年とか、その間に勤めていただいて個々人の雇用能力を上げていただく、それが派遣の方々の職業能力向上につながるのではないか、そういうような理解の仕方をしているわけであります。
#264
○福島みずほ君 労働ビッグバンの中で、例えば直接雇用義務をなくすとかということはもう同じように提案をされています。しかし、直接雇用義務をなくすということは正社員の道を明確に閉ざすことであり、正社員を増やすという形で雇用の劣化を防ぐことにはつながりません。そのことについて、古賀参考人、いかがでしょうか。
#265
○参考人(古賀伸明君) 今ございましたように、労働ビッグバンと称して、派遣を含めた非正規労働者の雇用を安定させるためには、対象業務の制限とか事前面接の禁止とか派遣期間の制限とか雇用申込み義務などの規制をなくして派遣法を抜本的に改革すればという主張がなされております。
 しかし、私どもは、事前面接の解禁や派遣期間制限の延長には反対でございます。さらに、雇用申込み義務は堅持すべきであるというふうに考えております。それは、先ほど来議論させていただきましたように、正に直接雇用、期間の定めのない雇用というのを軸に置きながら、あくまでも派遣等々については一時的なものであるということが日本の雇用にとっては非常に重要なことだと思うからです。
 以上でございます。
#266
○福島みずほ君 派遣法について、二〇〇三年、製造業、医療についても派遣が可能となり、大企業の中での製造部門に派遣が大変拡大をいたしました。
 私は、雇用の劣化をもう一回改善するためには、現在の労働者派遣法の改正が必要、せめて、例えばこの製造業や医療については派遣を認めていたことを認めないというふうに例えばするようなことも必要ではないかと考えますが、労働者派遣法のむしろ規制強化について、古賀参考人、いかがお考えでしょうか。
#267
○参考人(古賀伸明君) 基本的な方向性は今福島さんおっしゃったとおりでございます。先ほど言いましたように、例えば対象業務の制限についてももっと規制を強化すべきではないかと思っておりますし、事前面接は当然のことながら、このことについては禁止、期間の制限についても、それについても先ほど言ったとおりでございます。
 九九年でポジティブリスト方式からネガティブリスト方式へと変更した。そして二〇〇三年に製造業務を対象とした。このことによって何が生じているのかということを、やっぱりもう一度職場あるいは企業、そして働いている現場の実態を見ながら抜本的に改革をする必要があるんではないかというふうに思っております。
#268
○福島みずほ君 社民党は、日野自動車そしてキヤノンの宇都宮工場に視察に行きました。偽装請負や不正派遣などが大きな問題となっておりますが、経団連の会員企業に多く問題を指摘された企業があります。
 これらの不祥事について、紀陸参考人、どうお考えでしょうか。
#269
○参考人(紀陸孝君) これは繰り返しになりますけれども、法令に違反した請負ないし派遣の活用というのはこれは問題外だというふうに思っております。どの企業でも今現在様々な形で、その違反の状況、あるいは企業さんによっては派遣ないし請負の方々の正社員への転換、これを進めております。基本的にはそういう流れであるということを御理解いただきたい。
 いま一点でございますが、これは、これも先ほど申し上げましたけれども、請負とか派遣の運用というのはあくまでその企業のニーズ、実態に応じて運用していただきたいという点であります。
 繰り返しになりますけれども、私ども、この請負というのは基本的に指揮命令が発注先からできません。だけれども、ずっと完全にそれがなかった場合、構内請負の場合ですけれども、いつまでたっても請負会社自体にいろいろな業務運営のノウハウが蓄積されない。その結果、その請負会社に勤めている請負の従業員の方々に雇用能力のアップの機会がもたらされない。それを果たしてどういうふうに考えるか。これは、法の運用について、法令の運用について片一方で十分考えておかなければいけない問題ではないかというふうに思います。
 そういう意味で、ある程度、限度は限られるにしても、発注先からの指揮命令ができた点については私ども大いに評価をさせていただきたいというふうに考えております。
#270
○福島みずほ君 請負は、労働法の規制が働かないという働く側にとってはデメリット、企業にとっては指揮命令ができないというデメリット。でも、メリットは、正社員として雇わなくていいというメリットがある。
 ですから、実際現場に入って思うことは、請負と派遣を巧妙に両方使いながら、完全に請負とも言えない、完全に派遣とも言えない、派遣ですと三年たつと直接雇用義務が発生しますので、結局あいまいなまま、両方どっちつかずにしながら、結局正社員にはしないということは貫徹しているというふうに私は理解をしています。
 その点については、むしろ労働ビッグバンで直接雇用義務をなくす、期間の定めのないものとするというのは、請負としてはやっていけない、しかも偽装請負と指摘を受ける。だから、派遣に認めて、そして直接雇用義務をなくして派遣の長期化をやっていこうというふうに私は考えるのですが、古賀参考人、いかがでしょうか。
#271
○参考人(古賀伸明君) 労働ビッグバンと称する、ある案はおっしゃるとおりだというふうに思います。派遣は派遣のままで、そういう雇用のままでということは、率直に、その種のことを書いたり話したりしている人はおっしゃるわけですから、そのとおりじゃないでしょうか。
#272
○福島みずほ君 スポット派遣、日雇派遣労働者の実態がワーキングプアを生み出しているという構図が問題となっています。スポット派遣労働者が勤務する大手企業の工場の戦力となっているという実態について、紀陸参考人、どうお考えでしょうか。
#273
○参考人(紀陸孝君) スポット派遣の実態というのは私ども確実に承知しているわけではありませんけれども、福島先生一番御懸念の点は、要するに人の使い勝手のいいやり方、いつまでたっても細切れで短時間で使われている派遣労働者の方々の雇用安定なりあるいは職業能力の向上なりが得られない、そういう点を御懸念かというふうに存じます。確かに、私どももそういう懸念はあるかというふうに存じますが。
 したがって、これは最初から申し上げておりますように、そういう方々に対して、それこそ、今厚労省さんでもいろいろ施策を打ちつつありますが、個別にどうやって職業能力を上げていくような仕組みに乗せるかと。いろいろな教育訓練の過程ございますけれども、それから試行をした上で採用される幾つかの仕掛けがございますが、そういうものを個別にきちんと手当てをしていく、そういうことによって解決していくよりない問題ではないかというふうに考えております。
#274
○福島みずほ君 社民党は連合と同じように全国どこでも時給最低千円以上を保障するべきではないか、もちろん急にできなくても段階的には目標として裁定すべきではないかというふうに考えております。
 最低賃金の問題は大変大きい問題ですが、成長力底上げ戦略円卓会議で議論し、最低賃金の中長期的な引上げを政労使で検討するとありますが、経団連として、この最賃のやはり思い切った上げ方、あるいは全国一律ワーキングプアをなくしていくということについての意気込みを是非お聞かせください。
#275
○参考人(紀陸孝君) 現実に現行の最低賃金は各地方の最低賃金審議会で決められることになっておりますので、これは、今の制度を無視して直ちに一律どの地域でも千円というのはちょっと容易ではないかというふうに思います。かつ、地域別の生活のコスト、物価も違いますし、それがゆえに各県の実情に応じて時給最低賃金が決められているというふうに思いますので、その辺も勘案して、どういう形で最低賃金を上げるか。基本的には生産性の向上がないとこれは不可能でございますので、生産性を向上させながら、併せて本当の意味のセーフティーネットをどうやって引き上げていくか、その辺の事情を勘案しながら取り組むべき課題ではないかというふうに存じます。
#276
○福島みずほ君 今国会にパート法案が出ておりますが、期間の定めがなくて正社員的パートの差別禁止を規定していると。これは、あとじゃ残りの部分は差別禁止が掛からない、反対解釈になるのではないかと社民党は考えて、問題だと考えておりますが、古賀参考人、御意見をお聞かせください。
#277
○参考人(古賀伸明君) パート労働法そのものが法制化されるということについては我々としては、まあ一歩なのか半歩なのか分かりませんけれども前進だと思っておりますけれども、いわゆる差別禁止が今出ておりましたように非常に限られた人たちだけで、あとは、いわゆる私たちがパートタイマーと呼んでいる人のほとんどが努力義務となってしまうということについては、我々としてやはりパートタイマー全体に差別禁止あるいはそれぞれの均等処遇があるような、そういう法案であるべきだというふうに思っております。
#278
○福島みずほ君 過労死をなくするために何をなすべきか、紀陸参考人、御意見をお聞かせください。
#279
○参考人(紀陸孝君) 基本的にはどうやって長時間労働を抑制するか、それで併せてもう一つは、健康確保の措置をきちんと手を打っていくか、その点にあるんだというふうに思います。
 その面からいえば、一番大事なのは、実は会社の中ですべての人たちが長時間労働となるのではなくて、ある程度限られた部門の特定の人に集中するような仕事の流れをどうやって見直していくか、同時にそういう部門にいわゆる人の配置換え、それをやっていくか、もう一つは、それこそ仕事の大きな流れとかやり方とか、それをどうやって変えていくか、そういった問題を個別の企業の中で経営者なり労使がきちんと決断して取り組む、それの積み重ねによって長時間労働が抑制され、結果的に過労死も防げるのではないか、そういう地道な活動が必要ではないかというふうに考えております。
#280
○福島みずほ君 過労死は自己責任だという意見なども出たりしていますが、それについてどうお考えですか。
#281
○参考人(紀陸孝君) 基本的にはやはり企業の責任ではないかというふうに思っています。御本人がノーと言えば、ノーと言える環境というんですか、そういうものをきちんとつくることが大事ではないかというふうに思います。
#282
○福島みずほ君 割増し賃金に関して、八十時間以上で五〇%などの提案がありますが、古賀参考人、これについての、法案についての評価をお聞かせください。
#283
○参考人(古賀伸明君) 先ほどの議論にもございましたように、八十時間というのは過労死の評価基準でございます。そういう意味からすれば、八十時間以上五〇%ということではなくて、私ども連合は根から、すなわち一時間目から五〇%、休日は一〇〇%という政策を掲げております。
 先ほど野川先生もおっしゃったように、五〇、一〇〇というのは正にグローバルスタンダード、先進国だけではなくて、いわゆる発展途上国も含めたグローバルスタンダードでございます。経営側はグローバルスタンダードということを常に口に出すわけでございますけれども、それであれば五〇、一〇〇という時間外割増し率もその水準に合わすべきだと考えております。
#284
○福島みずほ君 紀陸参考人にお聞きをいたします。
 経団連は多くの大企業や多くの会員の法人で集まられたところで、そこがどういう政策を取るか、どういうビジョンを出すかがとても大きいと思います。私は、個別企業は個別資本の利害でそれは正直動かざるを得ないところはあるかもしれない。しかし、総資本の考え方でいけば、今のようにワーキングプアを増やし若者の雇用の不安を招けば社会保障も不安定になるわけですし、これはもう購買力も減るわけで、今のような形での雇用の劣化を生んでいる社会は、将来その企業、大企業、大資本にとってもこれは得策ではない、損得という関係でいえば得ではないというふうに思っております。
 ですから、総資本の立場からむしろ雇用の安定、雇用の確保、それからどう雇用を向上させていくか、不安定雇用をどうなくするかということが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#285
○参考人(紀陸孝君) 今盛んに社会における企業の役割という観点から、企業の社会的責任というんですかね、CSR、それが従来以上に問われているんだというふうに思います。
 そういう観点から、私ども日本経団連としても企業行動憲章、実はこういう、手元にもありますが、こういう封筒の後ろに企業行動憲章というのを、十か条から成っておりますけれども、こういうものを刷り込んで、常にいろんな形で企業さんに、企業としてきちんと、冒頭に申し上げました、社会の中における企業は公器だという言い方をしておりますけれども、きちんと、従業員の多様性であるとか、人格であるとか、あるいは個性を尊重するとか、そういう意味で安全で働きやすいその環境をきちんと確保してゆとりと豊かさを実現すると、そういうような趣旨をあまねくいろんな企業さんに御理解いただいてCSRの遂行をお願いしていると、そういうような行動を取っておりますんで、そういうような私どもの活動についても御理解を賜ればというふうに存じます。
#286
○福島みずほ君 頑張ってくださっていることはよく分かりました。ただ、多様な働き方という、いろんな働き方があってもちろんいいのですが、いろんな働き方をする中で、やっぱり労働条件がきちっとしていることとやはり正社員の道がちゃんと開いていること、安定した雇用であること、できれば契約期間の定めがない方が人は安定して働くことができますし、偽装請負や請負や極めて不安定な働き方がいいわけではないというふうに思っています。
 つまり、多様な働き方を安定的にするために法律や制度があるのであり、是非その法律や制度、できれば労働法制の規制強化の方に向かって経団連も頑張ってくださるよう心からお願い申し上げます。また、男女平等、企業の中の男女平等の実現についてもお願いを申し上げます。
 三人の参考人の方、特にありがとうございました。ありがとうございます。
#287
○委員長(鶴保庸介君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 審議協力者の方々におかれましては、長時間御審議に御協力をいただきまして、委員を代表いたしまして心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#288
○委員長(鶴保庸介君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。
#289
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を始め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成十九年十月から、年金の支給額を引き上げることにより、援護の一層の充実を図ろうとするものであります。
 改正の内容は、遺族年金等の額を恩給の額の引上げに準じて引き上げるとともに、障害年金、遺族年金等の額の自動改定に係る規定を整備すること等であります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#290
○委員長(鶴保庸介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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