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2007/05/08 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第16号
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2007/05/08 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第16号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第16号
平成十九年五月八日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     風間  昶君     山本  保君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     郡司  彰君     山本 孝史君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     山本 孝史君     大塚 耕平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                大塚 耕平君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                柳澤 光美君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  石田 祝稔君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       菅原 一秀君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣官房構造改
       革特区推進室長  大前  忠君
       内閣法制局第一
       部長       山本 庸幸君
       法務大臣官房審
       議官       三浦  守君
       文部科学大臣官
       房審議官     辰野 裕一君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    中村 吉夫君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の
 特例等に関する法律案(内閣提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (年金、医療等に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、風間昶君及び郡司彰君が委員を辞任され、その補欠として山本保君及び大塚耕平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。
#4
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 社会保障協定を実施するに当たりましては、従来から社会保障協定を締結するごとに厚生年金保険法等の特例等に関する法律を制定してきており、その数は既に七本に達しております。これらの特例法は、いずれも医療保険制度及び年金制度の適用並びに年金を受ける権利を確立するための期間の通算に関する社会保障協定上の規定の実施につき、国内法の規定との間の調整に関する事項を定めることを主たる内容とするものであり、その形式及び内容は、おおむね定型化されてきております。
 このような状況にかんがみ、社会保障協定に係る法制の簡素化及びその的確かつ円滑な実施を図るため、これまで各国ごとに制定されていた社会保障協定の実施に関する諸法律を統合するとともに、今後締結する社会保障協定の実施に備えて、公的医療保険各法及び公的年金各法について必要な特例を一般的に定めることとした次第であります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、被保険者の資格に関する特例であります。
 社会保障協定の相手国から我が国に一時的に派遣された者などは、公的医療保険各法及び公的年金各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。
 第二は、給付の支給要件に関する特例であります。
 公的年金各法の給付の支給要件について、社会保障協定の相手国の年金制度に加入していた期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。
 第三は、給付の額の計算に関する特例であります。
 ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。
 最後に、施行期日でありますが、一部を除き、平成二十年三月三十一日までの間において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(鶴保庸介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#6
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長松谷有希雄君外六名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(鶴保庸介君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、年金、医療等に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○西島英利君 自由民主党の西島でございます。
 本日は、最近話題になっております出生にかかわる問題、それから、四月に厚生労働省が一つの考え方を示されましたけれども、「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」の内容について議論をさしていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、民法第七百七十二条、要するに三百日ルールの問題についてでございます。
 これに関しましてはマスコミ等で大きく取り上げられてきたわけでございますが、この中には様々な問題が実はあるわけでございます。自民党の中でも実はこれが議論をされまして、議員立法でというような話もありましたけれども、今まだペンディングの状態でもございます。そういう中で、一つの問題がありますので、この問題提起に関しまして御答弁をいただきたいと思います。
 それは、法務省が先日、昨日でございますけれども、一つの考え方を示されました。つまり、それは懐胎時期に関する証明書についてでございまして、これが離婚後に懐胎をしたということであれば、これは再婚をした夫の実子として認めるというような内容であったというふうに思うんでございますけれども、この中で様々な実は問題がございます。
 それはどういうことかといいますと、懐胎時期に関する証明書、これは医師が書くことになっているわけでございますが、ここに一つの問題がありますのは、この証明書を求められた場合には、医師法第十九条第二項の規定によりまして、正当な事由がなければ交付を拒んではならないというふうな実は法的なものがございます。
 ところが、ここに、グレーゾーンに当たる女性からの懐胎時期の証明書を求められた場合でございますが、この場合、特に出産を終えておられない妊婦が証明書、この交付を求めたときに、これをどう医師としては解釈していいのかということでございます。
 医師法第十九条第二項の規定によりますとこれは拒否はできないことになるわけでございますけれども、しかし、分娩時にもしそれを求められたとしますと、分娩時には母体死亡や死産も含めて全く予想することのできない偶発事象等々が発生をするわけでございます。それが昨今、民事訴訟ならず刑事訴訟まで発展し壊滅的な産科医不足の一つの原因にもなっているということは、皆様よく御承知のとおりだろうというふうに思います。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、まだ出産を終えていない妊婦の方からこの懐胎証明書を求められたときに拒否ができるのかどうかということについて、厚労省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#10
○政府参考人(松谷有希雄君) 医師法第十九条二項の定めでは、診断書等の交付の求めがあった場合には正当の事由がなければこれを拒んではならないとされているところでございます。しかしながら、懐胎時期についての診断が医学的に難しいこともあると承知しておりまして、一般論として申し上げれば、医学的に一定の診断ができる場合には当然これは交付しなければなりませんし、診断ができない場合にはここで言う正当の事由に当たり、必ずしも診断書を交付する義務はその場合には課されないというものと考えております。
#11
○西島英利君 今ちょっと私が御質問申し上げたのは、まだ出産を終えておられない方から懐胎時期証明書を求められた場合にそれは拒否できるかどうかということでございますので、もう一度御答弁をお願いいたします。
#12
○政府参考人(松谷有希雄君) 出産以前であるか以後であるかを問わず、医師がそのことにつきまして、懐胎時期についての診断がもちろん医学的に難しいこともあるという場合もあるわけでございますけれども、診断ができた場合には当然これは診断書を交付をするということになりますし、医学的に難しいこともあるわけでございますので、一般論として言えば、診断できない場合にはここで言う正当の事由に当たりまして必ずしも診断書を交付する義務は課されないと、こういうことであろうと思っております。
#13
○西島英利君 ということは、そういう理由があればこれ拒んでもいいというふうに解釈してもようございますですね。ありがとうございました。
 それでは次の、やはり同じような問題でございますが、先日、全国の不妊クリニックを行われている方々でつくられている日本生殖補助医療標準化機関、JISARTと言いますけれども、ここの倫理委員会が一つの答申を出されました。それはどういうことかといいますと、友人や姉妹から提供された卵子と夫の精子を体外受精させて妻の子宮に戻す治療を、これを許可するという実は答申書でございます。六月の理事会で決めるということでございますけれども。しかし、厚生労働省の審議会が一つの報告書を出しておりまして、これは平成十五年でございますけれども、提供者の匿名性、この条件を満たしていない場合には実施するべきではないと、当分の間、見合わせるという実は報告書を出されているわけでございます。ここにはこう書いてありまして、精子、卵子、胚の提供における匿名性の保持の特例として、兄弟姉妹等からの精子、卵子、胚の提供を認めることとするかどうかについては、当分の間、認めないという実は報告書が出されております。真っ向からこれに挑戦をするような形の中でこういう実は答申が一つ出されまして、六月の理事会で決定をし、何か西日本にある二つの医療機関がこれを申請しておられて、是非これをやりたいというふうに思っておられるようでございます。
 先日も、第三者からの卵子提供をめぐって、諏訪マタニティークリニックの医師が妹からの卵子提供による体外受精と出産を公表されております、これは九八年でございますけれども。さらに先日は代理出産も公表をされております。ところが、先ほど申し上げましたこの厚生労働省の審議会の報告書では代理出産は明らかに禁止と、こういうふうに書いてあるわけですね。さらには、この報告書に基づいて二〇〇一年に厚生労働省母子保健課長通知が出されておりまして、この通知によりますと、法整備等条件が整うまではAID以外の非配偶者間体外受精は行うべきではないという通知なんですね。この通知というのがどれだけの効力を一体持っているのか、この通知は今でも生きているのかどうか、それについて厚労省の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 と申しますのは、これは大変重要な問題でございまして、平成十五年にこういうような報告書が出た後、法整備の動きがないわけでございます。ところが、課長通知では、法整備等条件が整うまでは行うべきではないというふうに書いてございまして、それを無視するような形の中で代理出産とか、それから今回のような妹等々からの卵子を使って体外受精を行ってもいいというようなことを認めるというような流れも出てきているわけでございまして、これはまさしく医の倫理等々から考えると非常に大きな問題ではなかろうかというふうに思います。ですから、これはまさしく政治的な問題であろうというふうに思うんですが、石田副大臣、いかがでございますでしょうか。
#14
○副大臣(石田祝稔君) 平成十五年の厚生科学審議会生殖補助医療部会報告書におきましては、今委員もお触れになりましたけれども、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って卵子提供による体外受精を容認すべきとした上で、一つは、卵子などの提供における匿名性を保持しない場合には提供を受ける側が提供者の選別を行う可能性があること、二つには、提供された夫婦と提供者との間の関係がお互いに分かる関係になりますと両者の家族関係に悪影響を与えるなどの弊害がある、こういうことから、卵子などを提供する場合には匿名とすべきとされております。
 こうした中で、実施の既成事実をつくろうとしているとの報道もなされておりまして、もしそれが事実であれば遺憾と言わざるを得ないわけでございます。
 生殖補助医療に関しては、現在、立法府でも様々な立場からその取扱いをめぐる御論議が執り行われておりまして、また、法学、医学、生命倫理学など、学術に関する有識者で構成されている日本学術会議においても議論が進められているところでございまして、いずれにしても、厚生労働省としてはそういった議論の動向を慎重に見守っていきたいと、こういうふうに考えております。
#15
○西島英利君 昨日、実は厚生労働省の方々と議論をいたしました。その中で、こういう事例があった等々のときに調査をしたのかどうかという話をしましたら、自分たちには調査権がないということなんですね。
 平成十五年にこのような報告書が、これは厚労省の審議会で出されたわけでございます。その中でその代理出産等々もあったわけでございますけれども、これはまさしく厚労省がきちんと調査をされて資料を整えた上で学会等々にその審議の委託、検討の委託を私はするべきじゃないかと、それが一つの手順だろうというふうに思うんですけれども、そういう調査をしないまま、ぱんと丸投げというような状況の中ではいつまでも私はこれは進まないと思うんですね。
 私は、この代理出産とかこういうものが一〇〇%悪いとは申し上げません。ですけれども、こういうふうに医療の技術の進歩に追い付くようにやはり法整備というのはしっかりとしていかなければならないだろうというふうに考えておりまして、無分別なやり方ではやはり大きな問題、将来、禍根を残すだろうと。何か起きたときでは遅いわけでございますから、是非そういう意味で法整備を含めた御検討を速やかにお願い申し上げたいと思います。
 これに関しましてでございます。先ほど三百日ルールの話をしましたときにちょっとお話を忘れておりましたけれども、実は、これだけ、いろいろ調べてみたら、DNA鑑定の資料をインターネットから取りました。そうしましたら、何と何と、探偵社とかそういうところがDNA鑑定ができますと、例えば親子の鑑定も我々がやってあげますということが一杯広告として出されているわけですね。一般国民はこのDNA鑑定の恐ろしさというのを御存じないんですよ。DNA鑑定というのは、この人の子供かどうかというだけの情報ではないんですね。その家系、一家系の様々な病気の、どういう病気を発症する可能性があるか等々の情報まで全部実はこのDNAの中に入っている。それが無差別に、こういう形の中で探偵社とか様々なところが、実はDNA鑑定してあげますと、うちは超格安ですよということが実はこういう形で、インターネットで実は広告されているわけでございます。これは非常に重要な問題なんですね。是非、厚生労働省としても、これに対してやはり強い認識を持っていただいて、これにやっぱり何らかの規制を掛けないと、また新たな差別が、こういう探偵社がここから得た情報の中で起きてくる可能性は十分にありますので、是非、まさしく医療の、まさしくその先端をある意味ではコントロールするのが厚生労働省の役割だろうというふうに思いますので、是非その辺りの認識もお持ちいただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、続きまして、「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」というところで議論をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、この中にはいろいろと書いてあるわけでございますが、一つのセクションで開業医の今後の役割ということがこの中に書き込まれております。様々な役割が書かれているわけでございますけれども、しかし開業医と言われても定義が全く私は不明確だろうと思うんですね。例えば、病院のオーナーは開業医ではないのかと、診療所が開業医なのかと、この定義が全く不明確なまま、この開業医の役割というのがこの今回の参考資料の中に書き込まれているわけでございますが、この開業医の定義についてどうお考えになっているか、まずはお教えいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(松谷有希雄君) 開業医について格別の定義というものはございませんけれども、一般的に申し上げれば、医療法で言う診療所を開設をされているお医者さん、ないしは場合によってはそこに勤務をしているお医者さんといったような方々を中心に考えているものというふうに考えております。
#17
○西島英利君 病院の成り立ちを見ていきますと、診療所、それから有床診療所、それから中小病院というふうにどんどんどんどん大きくなっていくんですね。ですから、開業医の流れの中でそういう病院の経営者もいらっしゃるわけでございますので、診療所とのみ規定するのはちょっと無理があるのじゃないかなと実は私自身思っているわけでございます。
 ところで、この開業医に関しまして、まあ診療所というふうにおっしゃいましたので、そこで更に進めて御質問させていただきますけれども、平成五年から三年間、かかりつけ医のモデル事業というのが、厚生労働省、特に医政局の担当だったと思うんですが、ここで行われました。これは全国的に行われました。これはどのような目的で行われて、その成果をその後どのように生かしてこられたのか、お教えいただきたいと思います。
#18
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のかかりつけ医推進モデル事業につきましては、平成五年度から平成十年度までの間に実施された補助事業でございまして、一人一人のライフステージに応じた各種保健医療サービスを身近なところで提供するかかりつけ医としての地域の医師の役割を促進することを目的として行われたものでございます。
 例えば、幾つかの県で行われていますが、ある県が実施したかかりつけ医推進モデル事業を見ますと、訪問看護ステーションと連携したかかりつけ医相談窓口の整備や連携マップの作成といった内容がございました。こうした成果も踏まえながら、かかりつけ医を含めた開業医の役割に期待し、例えば休日夜間急患センターや在宅当番医制の充実を行ったほか、診療報酬上の制度として新たに在宅療養支援診療所を創設するなど、国としてもその支援に努めてきたところでございます。
 先般公表いたしました「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」は、改めて開業医の役割、機能の明確化や病診連携といった考え方を示したものでございますが、都道府県において新たな医療計画を作成するに当たりましてもこうした考え方が盛り込まれるのではないかと期待しておりまして、これもある意味ではつながっておるかもしれません。国としても引き続き必要な対策を講じていきたいと思っております。
#19
○西島英利君 実は、私は北九州医師会でこのかかりつけ医モデル事業を担当して行いました。
 このときは、訪問看護ステーションを中心としてかかりつけ医の在り方を検討しました。そのときに様々な課題が出てきたわけでございます。訪問看護ステーションでございますから、当然、高齢者が当時は中心でございました。
 その中では、まさしく二十四時間体制をどうするのか、要するに緊急時、入院が発生したときにどういう形でスムーズに入院できるのか、これらはまさしく病診連携の問題もございますし、それから、例えば合併症が出てきた場合にはどういう形でその合併症を治療していくのかとなりますと、これは診診連携の問題もございます。
 さらには、在宅で安心して療養ができるためには当然、訪問看護を中心にして展開するわけでございますが、その他様々なホームヘルパーも含めた福祉サービス等々もやっていかなければならないだろうと。
 それから、やはり近くにいる医師の機能がよく分からないと。ましてや、市民もどの医師がどのような機能を持っておられるのかということも分からないということでございましたので、医療マップを作りまして医療情報を提供してきたということでございます。
 実は、この中に事例集として載っておりますけれども、福山市の問題でございますが、この福山市、実は私どものところに見学に来られまして、そこから大きく展開されていったという経緯があるんですね。
 実は、このかかりつけ医モデル事業が終わりまして十年もうたっているわけですよ。その中で一体、厚生労働省は、これまでそれを全国的に広げていくといいますか、そういう活動をされてきたのかどうか。つまり、ここに改めてこういういろんなことが書き込まれておりますけれども、実際これは平成七、八年ぐらいには、もうこの課題は全部こういう形でという問題は実は出てきたわけでございますね。
 そういうことで、今回そういうことを基本にしてこういう考え方を出されてきたのか、もしそうでなければ、何のためにモデル事業をやられたのか、たくさんのお金を使って、そういうことも言えるのではないかというふうに思うんですが、その辺り、もしお分かりになればお教えいただきたいと思います。
#20
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のように、かかりつけ医推進モデル事業は様々な成果を得たわけでございまして、先ほども申し上げましたように、それを踏まえて救急の体制あるいは在宅当番の体制、更には診療報酬上もいろいろな手当て等がなされました。
 今般の「医療政策の経緯、現状及び今後の課題」につきましても、委員御指摘のとおり、もう十年来検討してございます開業医の役割ということ、また、この成果を踏まえた上で改めて都道府県の医療計画作成に当たっての参考資料といったような意味合いも含めて新たに課題を指摘をしたということでございまして、必要な対策という点で、このモデル事業はこういう形で発展をしてきているというふうに考えております。
#21
○西島英利君 私、もう一度申し上げますけれども、今御答弁いただいたように、平成十年で終わっているんですね。今年は平成十九年なんですよ。その間何をなさってきたのかなということをちょっと私は疑問として感じざるを得ないんで、この質問をさせていただいたわけでございます。
 さらに、この内容を見てみますと、総合的に診れる開業医を今後養成をしていかなければならないということが書いてあるわけでございます。例えば、その人の生活のレベル等々も含めたものがしっかりと把握できる医師の養成ということで、さらに、今日の某ニュースを見てみますと、総合診療科を創設するために、要するに医道審議会にかけるというところの発表が今日、ニュースで出ておりました。こういう総合診療科というものを特別につくらなければならない理由があるのかどうか。
 つまり、医師というのは本来そういう機能を持っているはずでございまして、この内容の中で書かれているのは、臓器別に専門的になった医師が多いんで、総合的に診れる医師を養成しなければいけないというふうに書かれたわけでございますが、基本的に内科医というのは表面的には全体を診れるんですね。その中の専門として臓器別になっておるんですよね。医政局長は医者でございますから、その辺りは十二分に御理解いただけるというふうに思うんですが。
 ですから、これをあえてそういう形でしていかなきゃいけないのかどうか。この内容をずっと見ますと、在宅医療を中心にして書かれているような気がしてしようがないんですね。ですけれども、今の高齢者の方々の現状を見ますと、本当に在宅医療を中心にして物事を考えていっていいのかどうか。
 例えば、高齢者の三分の一の方々は例えば独居とか老老家族、老老家庭なんですよね。その方々をどういう形で支えていったらいいのか。例えば、老老家庭の場合には、一人が倒れますと、もう一人の方はもう大変な実は介護をしていかなきゃいけないわけでございまして、それをどういう形で、じゃ支えていくのかというときに、単なるこういう在宅医療を推進しなければいけない、いけないだけでいいのかどうかという疑問を私、実は持たざるを得ないわけでございます。
 どう見てもこれは在宅医療を中心にしてしか書き込まれていないような気がしてしようがないわけでございまして、この辺りを是非もう一度御検討いただきながら、ただ、これは地域医療計画作成に当たる都道府県職員向け参考資料として出されておりますので、この影響は非常に大きいんですね。
 昨日、実はどういう方々でこれを議論されたのかと聞きましたら、ほとんど事務局の方々で実は議論をされているということが分かりました。ということは、本当にいろんなことをお考えになって実は御検討されたのかどうか。
 先ほど申し上げました、かかりつけ医モデル事業、もう十年前にこういう問題があったのに、今回さも新しいようにこういうことが書き込まれている。こういうことに関して、本当に一つの方向へ持っていこうという政策誘導的なものがこの中で見えて私自身しようがないんですね。医療というのはそんなもんじゃないというふうに思いますので、この辺りの更なる御検討を是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
 今度は後期高齢者医療制度についてでございますが、後期高齢者医療制度は別の部会で当然検討されて、先日、その中間報告的なものが出されたわけでございますけれども、この後期高齢者医療制度、つまり高齢者医療制度というのが法制化されたわけでございますが、この法制化はそもそもどのような経緯で法制化がなされたのか、お教えいただきたいと思います。
#22
○政府参考人(水田邦雄君) 後期高齢者医療制度の創設の経緯についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、委員御承知のとおりかと思いますけれども、平成十四年の健保法等改正法の附則におきまして、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るために、平成十四年度中に基本方針を策定し、これに基づき、おおむね二年を目途に新たな高齢者医療制度の創設を図っていくということが規定をされたわけでございます。
 この附則の規定を受けまして、その後、関係団体とも意見交換をした上で、平成十五年三月に医療制度改革の基本方針が閣議決定されまして、その中で、この高齢者医療制度につきましては、個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を前提とする、もう一つは、七十五歳以上の後期高齢者と六十五から七十四歳の前期高齢者のそれぞれの特性に応じた新たな制度とすると、このようにされたわけでございます。
 この基本方針を踏まえまして、お尋ねの七十五歳以上の後期高齢者につきましては、今後増大が見込まれる医療費の負担につきまして、国民の納得と理解が得られるようにするためには、高齢世代と現役世代の負担を明確化しまして分かりやすい制度とする必要があるということ、もう一点は、七十五歳以上の後期高齢者につきましてはその心身の特性に応じたサービスを提供する必要があると、こういった視点からその具体的な制度の在り方につきまして検討を行って、平成十七年十二月に政府・与党の医療制度改革大綱におきましてその具体案が取りまとめられたということでございます。
 もう少し内容について申し上げますと、一つには、給付につきましては、高齢者の保険料一割、現役世代からの支援金を約四割、公費を約五割という負担割合によって賄うことといたしまして、高齢者の保険料の支え手である現役世代からの負担の明確化を図るということが一つ、もう一つは、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合を運営主体とするということによりまして、財政運営の責任の明確化を図るということにしたわけでございます。
 それから、少しお触れになりました診療報酬につきましては、後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が提供できるよう新たな診療報酬体系を構築するということにされているところでございます。
#23
○西島英利君 というような経緯の中で高齢者医療制度が創設されたわけでございますが、この制度につきましては、二〇〇〇年の八月に日本医師会が、当時、私も日本医師会におりましたので、日本医師会が二〇一五年医療のグランドデザインというのを出しまして、その中に高齢者医療制度の創設を実は提案をしたわけでございます。そして、国会議員のいろんな方々に御理解を求め、それが平成十四年の健康保険法の附則にこの高齢者医療制度の創設へ向けての記載が入ったということでございまして、昨年、これがもう国会で成立をしたわけでございますが。
 この中の一番大事な部分でございますけども、やはりこの後期高齢者の特徴として、慢性疾患による受療が多いことが挙げられると。患者により医療行為の質的、量的個人差が大きい急性期医療に対しては出来高払による診療報酬支払方式を採用し、慢性期の患者に対しては独自の包括支払方式を開発することが合理的であろうと。ですから、そういう考え方の中で新しい診療報酬制度をつくるべきだという提案なんですね。さらには、このような新たな診療報酬支払方式の開発と併せて、終末期医療に対する国民的合意形成を図りながら高齢者の医療費の増加に歯止めを掛ける必要性があると。つまり、これはどういうことかといいますと、単なる延命のための高度な医療、これはやはり問題だよねと。だけども、国民の合意が得られなければこれはその方の命をストップする話にもなりますので。
 ですから、そういう意味での高齢者の方々の終末期をどう考えるのかということが私は一番のポイントだろうというふうに思って、この辺りにやっぱり力を入れ、国民に対して様々な情報提供しながら、新たなこの支払方式を開発していかなきゃいけないというふうに私自身は思っているんですけども、どうもその辺りが見えてこない。そして、例えば健保連とかいろんなところがアドバルーンを上げておられますけども、人頭払いとか登録制とか、さらには全部包括だとかですね。そこで、国民は大変な実は不安を持っているわけですよ。
 例えば、先日、腎臓、要するに腎不全で腎透析を受けておられる方々が来られまして、私どもは七十五歳になればもう腎透析は受けられないんでしょうかという不安をおっしゃいました。そういうことは絶対ありませんと、必要な医療はちゃんと提供できるようにしますよというふうに申し上げたところでございます。
 また、様々な保険会社が、今度この高齢者医療制度が導入されたらば自己負担が物すごく増えますよ、しかも治療は限定されますから、それ以外の治療はこれから全部自己負担になりますよ、だから保険に入っておった方がいいですよというようなことで、どうしようか悩んでいるというようなこともございました。
 つまり、様々な不安を実は国民は持ちながら、それに対してこの不安を取るような情報が全く流されていない。マスコミから流れてくるのは、どちらかというと医療費抑制的な情報しか流れてこない。これは私は、厚生労働省としてはやはり少しその辺りに、情報提供の仕方に問題があるのではないかなというふうに私自身思っているところでございます。
 そこで、是非、国民の不安を取るために是非確認をさしていただきたいんですが、必要な医療はきちんと提供できるようにされるんですね。これは是非確認をさしていただきたいと思います。
#24
○政府参考人(水田邦雄君) 後期高齢者医療制度についてはさきの国会において議論されたところでございますが、その中でも述べましたけれども、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念を前提として、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるように構築するものでございます。
 こうした前提の下に、この後期高齢者医療制度の診療報酬体系の在り方につきまして、昨年から社会保障審議会の特別部会において検討を行っておりまして、先月、「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」が取りまとめられたところでございます。
 言ってみますと、診療報酬体系の話に入ります前に、その前提として、まず後期高齢者に対する医療の在り方についての議論を行っていただき、それを踏まえて新たな診療報酬体系を次のステップで考えていく、このような手順を考えているわけでございます。
 現在はその基本的考え方につきましてパブリックコメントの受付を行ってございまして、今後はその結果なども考慮に入れながら、ただいま御指摘がありましたとおり、必要な医療が確保されないのではないかといった御懸念が生じないように十分注意しながら検討を進めていきたいと、このように考えております。
#25
○西島英利君 その後期高齢者の医療はどのようにというような特別の部会ができておられまして、そこでの検討なされているのでございますが、やはり先ほど言いましたように、終末期をどう考えるのかというのが一番のポイントだと申し上げました。となると、死生観の問題ですね。ところが、あのメンバーをちょっと見させていただきますと、その死生観が語れる方々があの委員、メンバーにはどうもいらっしゃらないような気がする。ところが、そこに様々会合が行われまして、その中でいろんな人からヒアリングを受けておられますが、要するに、意見を述べられた方々の中にもその死生観を語れる方というのはいらっしゃらない。いや、終末期に関してはこれは別でやっているんだという話でございますけれども、まさしく高齢者の終末期というものと、それからがん末期の終末期というものは、これはきちんと区別して考えなきゃいけない話であろうというふうに思っているところでもございます。
 ですから、是非その辺りをもう一度お考えを直していただいて、さらには、これは二十年四月からのスタートでございますから、やっぱり速やかな御検討をされていただいて、国民に対しての情報提供を是非お願いを申し上げたいというふうに思いまして、実はこの問題を取り上げさせていただきました。
 続きまして、医師確保の問題について、やはりこれもちょっと述べられているところでございますけれども、この中で、医師確保のことでいろいろと書かれておりますけれども、この「医療政策の経緯、現状及び今後の課題」の中の七ページに、七ページと私が言ってもしようがないんですが、この中にこういうことが書いてあります。「新たな臨床研修制度の導入を契機として、従来から弱まっていた大学の医局による医師の供給調整機能が低下し、一部地域において医師の需給のミスマッチが発生している。」と。私はそのとおりだと思うんですね。
 本来、医師をある意味で地域に供給していた大学の医局というものが、この臨床研修制度が導入されたことを契機に更にその機能が低下してしまったということです。そこで、小規模な公立病院を中心に医師の確保が非常に困難なケースがどんどんどんどん生じてきたと。ところが、医師確保が難しい要因として、若手の医師は症例数が多い病院に魅力を感じ、地域の拠点病院、ここにいわゆるマグネットホスピタルという言葉が使われていますけれども、医師が多く集まる地域の中核的な病院というふうに説明されておりますが、そこに集中する傾向があるということで、研修先として魅力の乏しい病院には若手医師が集まらないなどといったことも実は挙げられると。結果的に、これが医師不足に拍車を掛けているという私は内容だとここで読んでいるわけでございます。
 そうしますと、今まさしく臨床研修制度の導入で、先日も幾つかの大学の何人かの教授にお会いしましたら、異口同音に言われたのは、この臨床研修制度を見直してくださいということなんですよ。でないと、もう大学病院の機能としてとても成り立たなくなってしまうと。それが更には医師不足まで実は波及しているということでございまして、これはもう二年たったわけですね。二年たった後の要するに検証は恐らくなされているんだろうというふうに思いますけど、私が申し上げたいのは、やっぱり短期的に医師不足、これを解消するという短期的な一つの考え方としては、やはり早期に臨床研修制度の見直しを私は図るべきじゃないかなと。
 臨床研修制度が悪いとは言っていないんですよ。だけど、今まで持っていたところの機能が完全に低下してしまったということは、これはもう間違いのないことでございますから、そういうことも踏まえて、是非、これは五年後の見直しということが言われておりまして、今検討中だというお話も聞いているんでございますけれども、しかし、今正に医師不足という社会的な問題になっているわけでございますから、是非この辺りの見直しを早急にやっぱりするべきではないかなというふうに私自身考えているところでもございます。
 それからもう一つ、この内容を見ますと欠けているところがございます。それは何かといったらば、地方の民間病院の医師不足に対してどうすべきかというのが全くこれが書き込まれていないんですね。それは自分たちだけでやれという話なのか。例えば、臨床研修制度がスタートしたことによって地方の中小の病院は医師が確保できずに大変な状況に陥っているという実は現状もあるわけですね。ですから、この内容、書かれているのはどうも公的な病院の内容しか書き込まれていないんじゃないかなというふうに私自身思うんでございますけれども。もうこれは私自身が思うことでございますから、これ意見として述べさせていただきたいというふうに思いますけれども。
 そこで、もう一つの、先ほど読みましたけど、マグネットホスピタル。これ新しい言葉が出てきているんですが、そもそも前回の医療法改正のときに地域医療支援病院という制度が実は導入されたんですよね。これ、まさしく地域の医療を支援するために、病診連携、病病連携等々も含めて、ここには指導も含めた機能までたしか置いているはずでございますね。どうしてこういうせっかくできた地域医療支援病院というものをきちんと検証し発展させようとせずに、マグネットホスピタルという言葉を使ったこういう内容をここで出してこられたのか、私ちょっとよく分からないんですが、お教えいただきたいと思います。
#26
○政府参考人(松谷有希雄君) 地域医療支援病院とマグネットホスピタルとの関係でございますが、地域医療支援病院は医療法で定められた一つの医療機関の類型、制度ということでございますし、マグネットホスピタルと申しますのは医師の確保に向けた施策の中での位置付けということで、医療法上の制度とはちょっと違うということで若干次元が違うものでございますが、地域医療支援病院につきましては、地域で必要な医療を確保し地域の医療機関の連携等を図るという観点から、かかりつけ医等を支援する医療機関、先生御指摘のとおりでございますが、として平成九年の医療法の改正において創設されたものでございます。その果たすべき機能は、紹介患者の積極的な受入れ、施設設備の開放、救急医療の実施、地域の医療関係者に対する研修などを想定しておるところでございまして、平成十九年三月末現在で全国で百五十三施設が整備されてございます。
 一方、いわゆるマグネットホスピタルにつきましては、医師にとって魅力のある病院として比較的医師の確保ができているというようなメリットを生かして、医師確保対策上、是非御協力をいただきたい、そういう活用をさせていただきたいと、そういう病院でございます。具体的には、国と都道府県が協力をして、地域の医療関係者の理解を得ながら、医師が集まっておりますこういったマグネットホスピタルから医師が不足する病院へ医師派遣を行うなど、地域医療に必要な医師を確保する体制を構築するために活用することを国として多面的に支援をしようというものでございまして、地域医療支援病院につきましても、もちろん地域の中核的な病院としてマグネットホスピタルとしての役割を果たしてもらうことを期待しているところでございます。
#27
○西島英利君 いや、実はその医師確保対策として中央で会議をつくられましたですよね。あそこのメンバーを見ますと、ほとんど医師不足で困っておられる方々のメンバーなんですよ。例えば自治体病院協議会、厚生連、これは私も同僚がいらっしゃいますので、農協関係の方がいらっしゃいますから、とにかく医師不足を何とかしてくれと言われるんですよ。それから医学部長、医学部長会議もそうですよ、とてもじゃない、これ成り立たないと言われる。そういう方々が一体何をあそこで検討して、それで支援チームとして都道府県にアドバイスをされるんですか。
 しかも、そういうマグネットホスピタルというものをまた公的な病院に持っていこうという、そういう流れがどうしても何か読み取れてしまう。医師不足確保対策というもう一冊の資料を厚労省が我々に見せていただきましたけれども、その中でもやっぱりそういうふうな内容が書き込まれている。
 そうではなくて、本当にもう抜本的な考え方の中で、ですから短期、中期、長期という考え方の中で私はやっていかなきゃいけないんだろうと思うんですが、皆さん、厚労省から示される資料を見ますと、医師は不足していない、東京、大阪一極集中ではないと。ところが、もうちょっと読んでいきますと、例えば県の中でも地域差があると。実は、この県の中での地域差が問題なわけですよね。ですけど、医師は不足していないと言われる。
 ところが、こういうデータがあるんですね。OECDの国で医師がどのくらいいるのかという国際的なデータがありまして、主要五か国の高齢化率と人口千人当たりの医師数というのが出ておりまして、この中で見ますと、OECD三十か国で、上から三十か国でいきますと、高齢化率は平均一四・四%なんですね。日本は高齢化率が正に今一九・七%まで来ていると。それで、じゃ医師はどうだったのかといいますと、一九九六年と二〇〇四年のこれ比較なんですけれども、フランスは高齢化率が高くなって三・二人から三・四人に実は増えているわけですね。ドイツもやはり同様に三・一人から三・四人、対千人で増えているわけですね。アメリカも二・二人から二・四人に増えています。イギリスも一・八人から二・三人に増えています。しかし、高齢化率が非常に高い日本は一・八人から二・〇にしか増えていないんです。ほかのところは、高齢化率は日本の方がもっともっと高い。それなのに医師は千人に対して二・〇、これでも医師は足りているというふうに言われるんでしょうか。
 私はここに、要するに、前ありました、医学部が百人定員だったときに、あのときはやはり医師を確保しなければいけないということで、田中角栄、当時の首相が一県一医大ということで各県に医科大学をずっとつくられたんですね。それはまさしく地域医療の確保のためにつくられたんです。
 ところが、いつの間にか、医師が増えると医療費が伸びるので、これを、医療費を抑制するためには医師の数を減らさなければいけないということで、百人から八十人に減らされた。ところが今、医師不足で大変だと言われていて、逆に言えば、十県の十医大だけは十年間の間、十人増やすということを言っておられるわけですね。これ、まさしく私は政策の失敗ではないかなというふうに思います。
 ですから、長期的にはやはり医学部の定員を元に戻すという考え方も私は必要ではないかなと。そして、本当に医師がオーバーすればいつでも実は定員は切れるんですよ。足りないときにあれこれ考えても、医師一人養成するのに十年掛かるわけでございますから、やはりそういう視点も必要かなと。
 さらには、もう一つ、中期的には、やはり田中角栄元首相がお考えになったように、地域医療を守るために一県一医大つくったわけでございますから、その意味は、地域に残って地域の医療をしてもらうというのが目的でございましたので、そういう意味では、やっぱり地域枠の拡大というのは私、必要だろうと思うんですね。五人とかそれぐらいではこれは本当に焼け石に水のような気がして私しようがないわけでございます。是非、そういう視点からのお考えも是非持っていただきたいなと思うんでございますが、大臣、できましたらコメントいただければと思うんですけれども、いかがでございますでしょうか。コメントで結構でございます。
#28
○国務大臣(柳澤伯夫君) ほぼ一時間にわたりまして西島先生から、私どもの厚生労働省が過去に取ったいろんな施策、それがどのような評価をこの検証の中で受け、そして新しい政策につながっていくのかというような観点からいろいろ根本的な問題について問題提起をいただきました。
 私どもも、日々、今の医療が直面している問題ということについてはこれに取組を行っているわけでございますけれども、この過去とのつながりということで、当然、事務当局あるいは行政としての連続性というものがありますから、そういうこの時系列的な経緯を踏まえた取組をしているわけでございますけれども、私自身としては、更にそうしたことを部内で徹底をいたしまして、本当に過去の施策についての評価というものをきちっとした上で新しい施策というものを考えていくという、そういう観点というものを更に重きを置いていかなければならないという率直な感じを持たせていただきました。
 当面の医療の問題については、今委員がおっしゃられたように、この医師の養成数を増やすというようなことの御提案でございますけれども、これについては委員御自身がお認めになるように、一人の医師を養成するには十年掛かりであるということも事実でございまして、私どもは直近の当面する問題に対してどのような取組をしていくかということの中で、名称はいろいろ使うわけでございますけれども、一つの、現実に拠点的な病院になってお医者さんをかなり引き付けている、そういう病院と、その医師不足が起こっているそれぞれの医療機関との間の連携というものを密にして、この直面している医師不足の問題に対処したいと、こういうことを考えているわけでございまして、その点については是非また御理解もいただきたいし、さらにまたいろいろ具体のアドバイスもいただきたい、こんなことを考えた次第でございます。
 大変御高見を承れたことを、私ども傾聴させていただきました。
#29
○西島英利君 是非、私は政治家としての判断というのが非常に必要だろうというふうに思いますので、是非そういう視点からも認識をお持ちいただければなというふうに、私、これはもう希望でございますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
 もう一問だけ質問させていただきますが、実は認知症疾患センターの問題でございまして、先日も私、この件について質問させていただいたわけでございますが、このやはり先ほどから申し上げています医療政策の経緯云々の中で、実は認知症対策がここに書き込まれております。
 そこで、この認知症疾患センターのその創設された目的、それから事業内容についてお聞かせいただければと思います。
#30
○政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。
 老人性認知症センターにつきましては、老人性認知症疾患患者等の保健、医療、福祉サービスの向上を目的として平成元年に事業が開始されております。
 センターの具体的な事業といたしましては、地域における保健、医療、福祉機関等との連携を図りながら、一つとしては専門医療相談、二つ目といたしまして鑑別診断や治療方針の選定、三つ目といたしまして夜間や休日の救急対応、四つ目といたしまして保健、医療、福祉関係者への技術援助などを行うものというふうになっております。
#31
○西島英利君 実は、この先ほどの言いました厚生省が発表されました資料によりますと、こういうことが書かれているんですね。認知症については、初期段階は早期診断、専門医への紹介、家族への説明が重要と、中期段階ではケアマネジャーを始めとする介護サービスへの紹介、つなぎが重要と、終末期は、病院や看護・介護サービス機関と連携しつつ、在宅医療を提供することが重要となると。さらに、認知症高齢者や家族を支援する体制の構築ということで、認知症高齢者への対応について、ケアマネジャーや看護・介護サービス等との連携方策を含めた認知症に関する開業医に対する研修や、開業医をサポートし地域において医療・福祉諸機関との連携の核となる医師の養成を推進するとともに云々と実は書き込まれています。
 実は、認知症疾患センターの事業実施要綱、その内容が全部入っているんですよ。やはり、今回も実はこれについての予算が付いていないということでございますけれども、全部その内容が実はこの中に入っている。ですから、これも含めて実は御検討なさったのかなという疑問がちょっと私、生じましたので、最後の質問とさせていただいたところでございます。
 新しいものをつくるのではなく、やはり今まであるものを見直して発展させていく、そういうことが一番効率的な私はやり方ではないかなというふうに思いますので、是非そういう御認識をお持ちいただければなと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#32
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
 ふだんは財政金融委員会で質問をさせていただいておりますが、今日は厚生労働委員会で質問をさせていただきます。こういう機会をいただきました同僚議員に感謝を申し上げます。
 とはいいましても、私も医療問題、行政監視委員会等でこれまでも何度も取り上げさせていただいておりまして、幾つか関心を持って取り組んでおることがございますが、今日はそのうちの一つについて議論をさせていただきたいんですが、その前に、今の西島委員の御質問を聞いておりまして、ほとんど意見に相違はなく、是非、せっかく御専門の先生が、しかも与党の先生が言っておられるんですから、そういう方向でやっていただきたいと思いますし、やっぱり私もこの六年間、元々は金融財政の立場から医療を考え始めたわけでありますが、そういう意味では柳澤大臣と発想が近いのかもしれませんが、深めれば深めるほど日本の医療政策には幾つか構造的な問題があるなというふうに感じております。
 一つは、初めに財政論ありき、これはやはり間違っているのではないかなと思います。そして二つ目に、海外の事例を参考にする場合もあれば参考にしない場合もあって、その基準が極めて不明確であるということ。第三に、それらの結果として、本当に国民の皆さんが望んでいる医療を提供しようという意欲が感じられない、あるいはそういう意欲はおありなのかもしれないけれども、国民の側からすると感じにくい展開になっているなということをつくづく痛感をしております。
 そこで、今日は、素人の立場で恐縮ですが、幾つか申し上げさせていただきますが、お手元に資料を配らせていただいたと思うんですが、下にページ数が付けてございますのでページ数に沿ってお話をさせていただきますが、医療に関して、やはり国会で仕事をさせていただいている関係上、いろいろ講演をさせていただいたり、いろんな場にお招きいただくことがありまして、その際に、いつもこの一ページのような絵を使って私は説明をさせていただいております。
 つまり、多くの国民の皆さんは、医療問題というとすぐ現場のお医者さんの医療ミスということをぱっと連想をされるんですけれども、それは言ってみれば、医療を川の流れに例えますと一番下流で起きている問題でありまして、下流の水が濁るということは、当然、中流や上流に問題があるから下流の水が濁る。現場のお医者さんたちにいろんな責任が重くのし掛かり、そして勤務環境が厳しくなり、お医者さんになりたいという人が少なくなると。西島先生が御指摘のような医師数の減少の問題もどんどんどんどんこれはダウンスパイラルで悪い方向に行ってしまうと。
 しからば、中流や上流は何かというと、これはいろんな考え方がありますが、中医協の問題についてはずっと私も直接、間接、委員会の場以外でも厚生労働省の皆さんと議論をさせていただいておりますが、中流はあえて申し上げれば中医協、上流は私は医薬品医療機器総合機構などにあるのではないかなと。
 ただ、これらの二つの上流、中流の大きな構造問題に付随してその他の問題もあるわけでございまして、今日はそのその他の問題によって下流、つまり臨床現場で今大変悩ましい問題が起きていることを取り上げさせていただきますが、そのその他の問題とは何かといいますと、これは、御専門の先生方は御承知のとおりかもしれませんが、サージカルトレーニングセンターといいまして、外科的手術をどのように訓練するか、新しい手術方法が出てきたり、新しい機材、機器が開発されたときに一体それをどのように使って実際に処置をするのか、手術をするのか、どうやって研修をするのかというその場を提供するのがサージカルトレーニングセンターであり、そういう研修のことをサージカルトレーニングと言っておるようでございますが、そこでまず厚生労働省にお伺いしたいのは、諸外国におけるサージカルトレーニングセンターの事例及び日本の国内における事例について、御説明をいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のサージカルトレーニングセンターでございますけれども、近年、内視鏡外科手術などが大変進歩をしてきておりまして、そういうトレーニングセンターというものが必要になってきたという状況ではないかと思っております。
 海外の実情につきまして、詳細は承知しておりませんけれども、欧米では先進的な教育を行う内視鏡外科手術の教育トレーニングの施設がございまして、中には世界じゅうから受講者が集まっているところもあるというふうに伺っております。
 例えば、フランスのストラスブールにあるトレーニング施設などでは、シミュレーターや豚などの動物を使ったトレーニングコースを開催しておりまして、御遺体による実習も一部行われているということでございます。
 なお、我が国におきましては、欧米のように御遺体を用いたトレーニングの施設があるというふうには承知しておりませんけれども、各医科大学あるいは教育病院、まあ研修病院等でございますが、それらではそういうトレーニングの施設といいますか、部屋を設けてやっているところも相当増えてきているというふうに伺っております。
#34
○大塚耕平君 今の局長の最後のところの御答弁ですが、大学によってはそういう施設を設けている、ないしはそういうことをやっている先も増えてきているというのは、御遺体を使ってという意味でございますか。
#35
○政府参考人(松谷有希雄君) そうではございませんで、シミュレーター等でございます。
#36
○大塚耕平君 ということは、再確認ですが、御遺体を、まあ献体ですね、献体による御遺体を使ってそうしたトレーニングをしている先は日本の国内には余りないという御理解でよろしいですか。
#37
○政府参考人(松谷有希雄君) 欧米のように御遺体を用いたトレーニング施設があるというふうには承知しておりません。
#38
○大塚耕平君 この問題は、昨年六月の十二日の行政監視委員会でも質問させていただいて、是非、もし実態を把握していないということであれば御確認をいただきたいということはたしかその場でも申し上げていると思いますので、また鋭意御確認をいただきたいとは思いますが、仮に、仮に日本に御遺体を使ってのトレーニングセンターがない、ないしはそういうトレーニングのメカニズムがないとすると、日本にそういうものが存在しない状態が続くことの医療政策上のメリット、デメリットについて御説明をいただきたいんですが。
#39
○政府参考人(松谷有希雄君) これは、比較考量、どちらがいいかということに最終的にはなろうかと思いますけれども、例えば御遺体を用いたトレーニングセンターを我が国に設けるといったような場合には、御遺体を医師のトレーニング目的で用いるということの是非ということの倫理的な問題がまずあろうかと思います。
 また、医学的に言いますと、現在でもシミュレーターあるいは豚などの動物を使ったトレーニングが広く行われておるわけでございますけれども、これらではなく、仮に御遺体を用いて医師が外科手術等のトレーニングを行うということになりますると、具体的に医療技術や医療安全の向上にそれがどのぐらい資することになるのか、それが可能なのか、シミュレーターや豚などで習得できない技術が具体的にどのようなものがあるのかなど、医学的にも解決すべき論点があるのではないかと思っております。
#40
○大塚耕平君 まず、是非、局長、そして行く行くは大臣にもお伺いしたいんですが、問題を峻別して御議論いただきたいんですが、最初に倫理的な問題がというふうにおっしゃいましたが、これは臓器移植や組織移植等々すべてそうですが、倫理的な問題は分かるんです。でも、今私は、あえて医療政策上の、もう一個申し上げれば医学的なと付け加えますが、医療政策、医学上のメリット、デメリットということで御質問させていただきましたので、今日は是非、倫理上の問題というのは少し外して考えていただきたいんですね。
 もう一回お伺いしますが、海外には御遺体を使って、つまり人間の体でなければ、新しい技術やそして機器についてトレーニングをする施設があって、御遺体を使わないとやはり適切にそういうものを、技術を身に付けたり、その機器の手術における使い方を熟練することができないからそういう施設が既にあるわけです。日本にはないとおっしゃる。日本にはないという状態が続くことの、もう一回お伺いします、医学的なメリットとデメリットをお答えください。
#41
○政府参考人(松谷有希雄君) 倫理問題を外しまして純医学的に申しますれば、そういう御遺体を用いてトレーニングをすることによって医師の技量がどのくらい向上するのか、それが患者さんの実際の手術等にメリットをもたらすのかということを見るということになろうかと思います。それが豚などの動物、あるいは今シミュレーターが非常に発達をしてきておりますけれども、そういうものを用いたトレーニングとどのくらい差があるのかといったようなことを見るということに最終的になるんではないかと思っております。
 幾つかの学会の先生方に聴取をしておりますけれども、先生によって、是非とも必要だという先生ももちろんいらっしゃいますし、いや、あえて遺体を用いることはなく、シミュレーターあるいは豚等の動物で十分であるという先生と、医学会の中でもいろいろな意見があると承知しております。
#42
○大塚耕平君 今、私の横で歯科医でもあられる島田先生が、人間と豚は違うというふうにつぶやいておられましたけれども。
 まあ、同じ部分もあるかもしれませんが、やはり違うということが私は答えとしては正しくて、私としては、このサージカルトレーニングセンター、御遺体を使ったサージカルトレーニングセンターが日本国内にもしあればですね、あれば、医学的にはメリットこそあれデメリットというのはないだろうなと。そのデメリットというのは、医学的なこと以外で、本来の目的以外に使われるとか、あるいは、あえて倫理問題を外していただきましたが、医学以外の問題で何か混乱が生じるかもしれないという、それは分かりますので、でも今日はあえてそこを外して御質問させていただいていますので、医学的にはですよ、そういうトレーニングセンターとトレーニングメカニズムがあれば、適切な運営さえすれば、メリットこそあれデメリットはないという私の認識でよろしいでしょうか。局長の率直な、医学的な見地だけの御意見をお伺いしたいと思います。
#43
○政府参考人(松谷有希雄君) 個人的な意見は差し控えたいと思いますけれども。
 医学的に申し上げますれば先ほど申し上げたとおりでありますが、先ほどちょっと申し忘れたことを申し上げれば、御遺体はあくまでも遺体、死体でございまして、生体ではございません。豚等の動物の場合は生体ということでございまして、むしろそちらの方がメリットがあるんだというお医者さんもいらっしゃいます。これはそれぞれの専門家の、何を技術としてやろうと考えているかとか、そういうことにもよろうかと思います。
#44
○大塚耕平君 個人的な意見は差し控えるとおっしゃりながら、大変正直な方で、にこにこしていらっしゃるその表情がもう御意見を象徴していると思いますが。
 しかし、やっぱり海外にはそういう例があって、私の知り得る限りでは、アメリカはもう随分前からあるし、もう今は中国や韓国にもできているわけです。これは去年も申し上げました。でも、日本にはない。
 さっき冒頭申し上げましたように、物によっては海外の事例がこうだからといってすぐ飛び付き、物によっては海外でこんなにどんどん事例が進んでいるにもかかわらず日本ではそれを取り入れないという、この判断基準のあいまいさというのは、やはり日本の医療政策にとって大変大きな構造問題だと思いますので、この件も同じだということを申し上げたいと思います。
 その上で、私なりにちょっとこれまで事務方の皆さんとも随分議論をさしていただいて整理した図が二ページにございます。
 御遺体を使って新しい医療技術のトレーニングをさしていただくことにかかわる法律は一体どういうものかということを勉強さしていただいたところ、この三つがございます。医学及び歯学の教育のための献体に関する法律、まあこの後、献体法というふうに呼ばしていただきますが、これは文科省の所管であります。そして、死体解剖保存法、以後、解剖法と呼ばしていただきますが、厚生労働省。そして刑法、法務省と、こういうふうになっております。この献体を使って、この死体解剖保存法に言うところの解剖を行うのは一体どういう解剖のことかというと、これは正常解剖と病理解剖だというふうに解されているというふうに御説明を聞いております。
 これは、今日はお医者さんの先生方もいらっしゃいますが、医学部のときに解剖実習をされる学生の方々が解剖実習、これは正常解剖ですね。そして、献体法に基づく献体を使わせていただいて学生がトレーニングをする。まあトレーニングというか実習をするわけですね。現役のお医者さんは、この解剖法に基づく正常解剖か病理解剖に該当するものであれば解剖法に基づいて現役のお医者さんも解剖できると、こういう理解のことであります。
 今、私が今日取り上げさしていただいている、あるいは去年も取り上げて、場外でも随分事務方の皆さんとやらさしていただいているのは、この範疇に入らない、研修と言うと聞こえが悪いですけれども、何かトレーニングと言うと何か筋力トレーニングみたいに思いますけれども、そういうことではないですね。新しい技術、手術の手法や機器が開発されたときに、それは学生時代には、医学部生時代には現役のお医者さんたちもトレーニングできていないわけですから、一体これどうやって使うんだということを、どこで実習するんだということが全く失念されているから、だから海外でそういうトレーニングメカニズムができてトレーニング施設ができ始めているわけです。
 例えば、私の知り得る限りでは、王監督が手術をされたときに、大変手術の傷口が小さかったと思いますが、MISというんですか、大変傷口を小さく内視鏡なんかを使って手術できるようになってきていますね、今。そうすると、昔のお医者さんたちのように、大先生がばさっと開腹して、その後ろから、君、これ見ろよとかと言って、ああ、なるほどそういうことですかと言いながら、目で見て覚えるということもできないわけです、できない。だから、どこかでトレーニングをやんなきゃいけない。
 しかし、これ与党の先生方にも一緒に是非お考えいただきたいんですが、極論をすると、どんなお医者さんでも初めて現役の医師として取り組む手術というのがあるわけですよ。お医者さんの数掛ける、そのお医者さんが実際に行う手術の種類分だけ初めて執刀を受ける患者がいるということです。だから、これをそれぞれ御自分の問題としてお考えいただくと物すごく臨場感わいてくると思うんですが、手術台に乗って、先生、私の手術は何例目ですか、よろしくお願いしますと言ったときに、お医者さんがにこっと笑って、いやいや、あなたが初めてなんです、どきどきします、わくわくしますと言われたら、これ、患者さんとしては大変困りますが、だれしもがその状況に置かれる可能性があるということを私は申し上げているんです。
 加えて、昔のように自分のお師匠さんである先生の手術を見て覚えるということもなかなか難しい。だから、サージカルトレーニングというものが問題になってきて海外でできて、アメリカはともかくとして、中国や韓国でもできているにもかかわらず日本はできていないために何が起きているかというと、これは去年も申し上げましたが、日本のお医者さんは自腹を切って海外のトレーニングセンターに行ってトレーニングしているわけですよ。そして、国内の例はまだ把握しておられないとおっしゃいましたが、私の知り得る限りでは、知り得る限りでは、国内で既に御遺体を使ってトレーニングをしている大学病院などもあるというふうにも聞いております。
 いわんや、いわんや国内では御遺体を確保できないから、そういう国内の大学、別に私は悪いと言っているんじゃないんですよ、必要だからそういうことが行われているんですから、御遺体を輸入している、海外の方の御遺体を。しかも、全身ではなく部分を輸入しているという例もあるというふうに聞いております。私はそれが悪いと申し上げているわけではなくて、医学上、医療政策上必要なことであるならば、一定のルールを決めて、国民に安全な医療を提供するためにやはり工夫をされるべきではないかなということを申し上げているわけであります。
 そこで、ちょっと今日は文部科学省にもおいでいただいていますのでお伺いしたいんですが、札幌医大において平成十八年度大学教育の国際化プログラムというものが採択されておりますが、その採択された案件の内容と採択理由及びその案件に対する予算措置について御説明をいただきたいと思います。
#45
○政府参考人(辰野裕一君) 平成十八年度に札幌医科大学の取組が採択されましたのは、大学教育の国際化推進プログラムのうちの海外先進教育実践支援でございます。これは、大学等の教職員を海外の教育研究機関等に派遣いたしまして、教育能力の向上及び教育内容・方法等の改善を図る優れた取組を選定して財政支援を行うという趣旨でございます。
 具体的な札幌医科大学のプログラムにつきましては、これは未固定凍結人体標本を用いた手術教育に関しまして、米国の手術解剖教育プログラム参加による技法習得などの具体的な目標を設定しているという点が評価されまして採択されたものでございます。また、補助金額につきましては、この上限額であります一千万円の申請がありましたため、申請どおり一千万を交付いたしております。
#46
○大塚耕平君 文部科学省としては、このプログラムで、御遺体を使って札幌医大の学生さんや現役のお医者さんが言わば医療技術を高めるためにどんなことをしておられるかというのは把握しておられますでしょうか。
#47
○政府参考人(辰野裕一君) 詳細は承知いたしておりませんけれども、このプログラムの中で様々なセミナー等を開催するというようなこともありますので、大学独自の御判断でそのようなこともあろうかと思っております。
#48
○大塚耕平君 私がお配りしました資料の四ページ目をごらんください。これは今年の三月二十八日付けの北海道新聞の記事でございます。決して悪い意味で報道されているんじゃないんですよ。いい意味で報道されているんです。札幌医大は、献体を医学生教育だけでなく、外科医が手術などの腕を磨く研修にも活用する試みを二〇〇三年から行っていると、もうはっきり書いてあります。これ、だからといって、札医大におしかりとかをしちゃ駄目ですよ。これは必要なことだからこういうことになっているんです。
 文部科学省にもう一個お伺いしたいんですけれども、献体法に基づく献体の申出数、各都道府県ごとにございますね、白菊会とかいろんなものが。献体法に基づく献体申出数とその受入れ数、そしてその差分である献体申出を断った件数について分かりやすく御説明していただきたいんですが。
#49
○政府参考人(辰野裕一君) 各大学におきます献体申出数、それから当該献体申出を断った件数の状況につきましては、各大学等が個別に対応しているため全体的な状況というものは詳細には把握をいたしておりませんけれども、一つには、幾つかの大学に聞いてみましたけれども、受入れを断った件数というのは、例えばそれが感染症等にかかっている等で実習解剖体として不適当であるということ以外はまずないというふうなことでございます。
 また、近年、献体数の伸びが見られておることも事実でございまして、これも間接的なことでございますけれども、この献体を行っている方々に対しては感謝状を交付するというようになっておりますけれども、これが例えば昭和六十年の段階では一千三百件ぐらいだったものが、平成十七年では二千六百件、倍でございますね、平成十八年度では二千三百件というようなことになっております。
 ですから、状況といたしましては、十分に献体数というものは確保はできているという状況にあるということでございます。
#50
○大塚耕平君 感謝状というのはあれですか、御存命のうちに交付されるんですか。
#51
○政府参考人(辰野裕一君) これは、亡くなられて、献体を行われて、その後でございます。大学の学長からの申請に基づくものでございます。
#52
○大塚耕平君 それはしかし、お亡くなりになってから感謝状をもらっても御本人に感謝の意は伝わりませんから、そういう申出があって登録をされたら、その段階で感謝状をお出しになった方がいいんではないかなと、今ちょっとお伺いしていてそう思ったんですけど、それは今日は本論ではありませんので。
 冒頭申し上げましたが、日本のこの医療政策、そして厚生労働省周りのことについて私なりにこの数年間見さしていただいて、構造問題があると幾つか申し上げました。一つ、財政論が先であること、財政論優先になっていること。二番目に、海外の事例をまねたりまねなかったり、基準があいまいであること。三番目に、本当に国民の皆さんが望んでいる医療を提供しようという意欲が必ずしも受ける側からすると感じられないかもしれない。四番目に申し上げますけれども、これは正しい情報がきっちり開示されていないと。
 これは今、文科省にお伺いしたんですが、文科省もそういう意味では似たところがございまして、献体数、断っている先はないというふうにおっしゃいましたけれども、私が調べた限りでは、沖縄以外ではみんなお断りしています。申出があったものを断るという断り方が難しいので、例えば年齢制限を設けて、七十歳以上でなければ献体は受けられないと言っているような都道府県、あるいは、最近は、せっかくのそういった御好意に対して門前払いもなんだろうからといって、一応面接をして、献体にふさわしい方かどうかをまあ言わば確認するというようなプロセスを経ることによってお断りしているという先もあるやに伺っております。
 やっぱり、これはしっかりお調べいただいて、これだけいろんな方が献体の御意思があるにもかかわらず、つまり医療の発展のためにどうぞ自分の意思を無駄にしないでくださいとおっしゃっていることを、医療の発展のためにうまく、有り難く活用さしていただくという枠組みをつくるためにもしっかり調べていただきたいなということをもう一回申し上げておきます。これも、たしか去年、行政監視委員会で申し上げたと思うんですが。
 今回、なぜ改めてこの問題を取り上げさしていただいたかといいますと、三ページをごらんいただくと、第十次の特区申請において、やはり日本にサージカルトレーニングセンターがないということに業を煮やしたお医者さんたちが、サージカルトレーニングセンターを特区として造りたいという申請をされたわけでございます。これは、ごらんいただいている三ページの資料は内閣官房の公表資料から抜粋をしたものでございますが、一番上段の左から、まずその提案に対する最初の厚生労働省の回答、その次に内閣官房特区室から再検討したらどうかという再検討の要請、そしてそれに対して、その際に提案主体からやはり最初の回答はいかがなものかという意見ですね。そして、二度目の厚生労働省からの回答が上段の一番右側に書いてあります。重要な部分は私が下線を引いておきました。二度目の回答に、つまり再回答に対するさらにまた内閣官房の再々検討要請というのが左下にございます。その再々検討要請の際に、提案主体から、やっぱり自分たちも再々検討してほしいという意見が書かれております。そして、一番下段の右側に最終的な再々回答が書かれているわけでございます。
 大変小さな字で恐縮でございますが、アンダーラインを引いてある厚生労働省の回答のところをちょっと御注目いただきたいんですが、例えば一番最初の回答のところの左上ですね、「刑法の特別規定として、正常解剖及び病理解剖に限って、特に死体の解剖等を行うことを認めている」と、そして、「必要性は乏しいと考えており、正常解剖・病理解剖のいずれにも該当しない御提案を認めることは困難である。」と、こう書いてあるんですね。
 ちょっとお伺いしたいんですが、厚生労働省に、この解剖法に定める解剖が正常解剖と病理解剖だというのは条文のどこに書いてありますでしょうか。
#53
○政府参考人(松谷有希雄君) 死体解剖保存法におきましては、医学部の解剖学の教授や事前に保健所長の許可を受けた場合などには御遺体の解剖ができるということとされております。
 法文上、明文の規定があるわけではございませんけれども、この場合の解剖とは、身体の正常な構造を明らかにすることを目的として行われる解剖、かつて系統解剖と言っていましたが、現在、正常解剖と言われるもの、それから病死の原因などを把握するために行われる解剖、いわゆる病理解剖をいうものというふうに解されております。
 以上でございます。
#54
○大塚耕平君 要するに、条文には書いてないということでよろしいですね。
#55
○政府参考人(松谷有希雄君) 条文上、明記されているものではございません。
#56
○大塚耕平君 ということは、正常解剖、病理解剖というものは、いわゆる解剖法の行政解釈だという理解でよろしいですね。
#57
○政府参考人(松谷有希雄君) おっしゃるとおりでございます。
#58
○大塚耕平君 これは通告してないですが、せっかくいい議論になってきましたので更にお伺いしたいんですが、正常解剖と病理解剖の定義はどこに書いてありますか。
#59
○政府参考人(松谷有希雄君) 定義が法文上どこかに書いてあるわけではございません。これは医学会の通常の解釈、あるいは一般的な、私ども行政を行う上での考え方でございますが、ちょっと繰り返しになりますけれども、身体の正常な構造を明らかにすることを目的として行われる解剖が正常解剖でございます。
 具体的には、医学部、歯学部等で解剖実習ということが解剖学の講義の中で行われるわけでございますが、そういうときに行われる体の正常な構造を明らかにすることを目的とした解剖でございます。
 また、病理解剖と申しますものは、病死の原因などを把握するために行われる解剖でございまして、大学の病理学教室あるいは病院の病理室等におきまして死因等を明らかにするために行われる解剖ということでございます。
#60
○大塚耕平君 今一般的な解釈、通常の解釈というお言葉も途中にあったんですけれども、一般的な解釈、通常の解釈、まあこの問題に限らず、つまり一般的な概念とか通常の概念というものは、これは時代とともに変遷するものでありますから、そういう意味では、この病理解剖、正常解剖の定義そのものがひょっとしたら時代とともに少し変わってきているのかもしれないですし、あるいは病理解剖、正常解剖が、それはまあいつの時代であっても言葉の定義上同じものだろうと。であるとすれば、もう一回、二ページのこの図をごらんいただくと、つまりその恒久的に変わらない正常解剖、病理解剖の定義にのっとった解剖実習では身に付かないような、現場のお医者さんたちの技術上、そして新しい医療機器上のニーズが出てきているから新しい献体という概念が出てきて、それを、言わばお医者さんの質を高めて、手術を受ける側の患者さんの安全を高めるために新たなコンセプトとして出てきているというふうに解釈してもいいわけでございますが、そうすると、この二ページの図ですけど、そういう新しいニーズに即した現役のお医者さんたちの医療技術を高めるための具体的な場であるとか、それにかかわる法律及び制度、法制は今未整備な状態になっているなという印象はお持ちですか、局長としては。
#61
○政府参考人(松谷有希雄君) おっしゃるとおり、今の死体解剖保存法の中で、今委員がおっしゃっておりますトレーニングに用いる御遺体の解剖ということになりますと、今の死体解剖保存法で読むことは相当に困難であろうというふうに思います。
 したがいまして、委員御指摘のとおり、今の新しい医学の進歩でそういうトレーニングが必要であると、それは倫理的な面も含めて我が国のコンセンサスとして必要であるということになりますとこれは新しい枠組みを設ける必要があろうかと、これは立法論の問題だと思います。
#62
○大塚耕平君 大変建設的な御回答、御答弁で、本当にこれこそ国会が意味があるということを今は感じ入った次第でございますが。
 この議論を私は三年前ぐらいから始めさせていただきましたが、もう御担当者の方も順番に替わってしまうので、部分的には素人の私の方が詳しい部分もあって、最初のころは何と言っておられたかというと、やはり豚やヤギで大丈夫だというふうにまずおっしゃるんですね。豚やヤギのトレーニングで大丈夫だからそういうものは必要ないという、最初はそういう説明を聞きました。ああ、そんなものかなと思って、そうこうするうちに、海外でトレーニングをしているわけなので、そこに行っている人がいるから大丈夫だと言って、そこで使われる御遺体は日本人ですか外国の方ですかと聞いたら、外国の方だと言うんですね。
 だけど、その一方で、冒頭申し上げましたように、私自身は中医協や総合機構の議論を随分やらせていただいていますので、中医協や総合機構での議論を聞くと、時によっては、なぜ日本の医薬品メーカーが開発した薬などが治験が長く掛かるかというと、海外でもう治験の事例があるじゃないですかというと、いや、日本人と外国の方では治験をした場合のデータがやはり国籍が違うから違うというようなことを御指摘いただくんですね。
 だから、それと照らしてみると、あれ、この新しい器具の、あるいは手術方法の研修に際しては、この場合は日本人と外国人は一緒なのかなとか、素人であるがゆえに論理矛盾を感じてしまう場面が多々ございまして、そういう意味では、今局長から非常に建設的な御回答をいただいたと私は思っておりますので、この二ページの、私が作りましたマトリックスのこの右のはてなの部分ですね、もし現在失念されている分野だということであるとすれば適切な御対応をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#63
○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほど立法論と申し上げましたけれども、正にそういう枠組みが、もしこれが我が国の制度として必要であるという場合にはそういう枠組みが必要であるということだろうと思います。
 それに向けましては、冒頭申し上げましたように、御遺体を医師のトレーニング目的で用いるということについての、我が国は遺体に対して非常にセンシティブな伝統を持ってございますので、刑法にも死体損壊罪というような罪も設けられているような国柄でございますので、そういった倫理的な問題が受け入れられるのかどうかとか、それから、先ほど御議論ございました、純医学的に見てそういうことが、そういうことを乗り越えてでも必要なほどのメリットがあるのかどうか、またデメリットは何かといったようなことを比較考量した上で政策判断をするものだと思っております。
#64
○大塚耕平君 ところで、この三ページの、今回の特区申請の一連の流れをもう一回ごらんいただきたいんですが、アンダーラインのところをごらんいただくと、最初の回答と再回答の際はほとんど同じなんですね。
 再回答のところを読ましていただきますと、「死体解剖保存法にいう解剖とは、正常解剖又は病理解剖を指すものと解している」と、「必要性は乏しいと考えており、死体解剖保存法の観点から、正常解剖・病理解剖のいずれにも該当しない御提案を認めることは困難である。」と、随分固い回答だったんですが、三回目になると、「必要性が高いという認識は必ずしも一般的ではない。」と、ちょっと変わってきました。そして一番最後には、「いずれにしても、本件については、医学の進歩を踏まえた医学会、医療現場等における今後の検討の推移を見守って行きたいと考えている。」と、大分軟らかくなったなというふうに感じておりますが。
 ただ、これ、提案主体からの意見をごらんいただくと、先ほど私が御質問申し上げましたことと同じなんですが、正常解剖、病理解剖に解剖法に言う解剖が限られるというのであるならば、それらに限るということであるならば条文を示されたい、あるいはその根拠を示されたい、そして医療技術研修のために死体解剖は国内で既に行われている、必要性に乏しいとするならば理由と根拠を示されたいといって、こういう要請が、意見が、一度ならず二度まで出ているわけですね。にもかかわらず、その回答は、非常に淡白な回答をされておられるわけでありまして、これでは国民との対話というものが全く成り立たないなと。
 ただ、最終的に、これ特区室の方と相当やり取りをされて、現場の事務方の皆さんは相当御努力をされたと思うんですが、最終的に軟らかい内容になってきていますので、いいことだと思います。
 そこで、この問題に必ずしも限定するわけではないんですが、こういう特区申請が出てきて、各省庁とやり取りをして、こういう長いやり取りの結果、今回これ認められていませんけれども、少し前向きに考えようという感じになってきておりますが、今回のこの特区申請におけるサージカルトレーニングセンターに関する案件への回答、再回答、再々回答についての経緯とか所感について、これ内閣官房の方にお伺いしたいと思いますが。
#65
○政府参考人(大前忠君) 私ども年二回、規制の改革に向けた御提案を地域や民間からちょうだいいたしまして、それを受けまして規制の改革の実現を図るために各省庁と折衝いたしております。今回御紹介いただきましたものは、昨年十月に提案の募集をいたしました、十回目の提案募集の関係の一件でございます。
 御回答の変遷、あるいは最終的な御回答、今言及していただいたとおりでございますが、何分、二か月という短い期間の間に再々検討要請に対する回答まで持ち込むということでございまして、限られた期間の中での取扱いでございます。
 今回については積極的な御回答はいただけておりませんけれども、年二回、提案の募集をいたしてまいりますので、今後、再度御提案をいただけるようなことがあれば、厚生労働省に対しましては医療技術の進歩や学会の議論等の動向を踏まえて、提案の実現可能性について検討を行っていただきたい、そうした要請を行ってまいりたいと考えております。
#66
○大塚耕平君 大変これまた建設的な御感想でしたので、是非そういう方向でやっていただきたいと思うんですが、併せてもう一つ、今日は法務省あるいは法制局にもおいでいただいておりますので確認をさしていただきたいんですが、この解剖法に基づく解剖が正常解剖と病理解剖であるというのは、先ほどの松谷局長のお話にもありますように、別にどこかの条文に書いてあるわけでもないし、あくまで行政解釈なんですね。
 この行政解釈の法的拘束力について法務省と法制局、両方にお伺いしたいと思います。行政解釈の法的拘束力の一般論と、もしその行政解釈に従わない行為を行った場合の影響、そういった点についてお伺いしたいと思います。それぞれお願いします。
#67
○政府参考人(山本庸幸君) 政府は、法令を的確に解釈し、適正にこれを執行する責任を負っております。一般には、日常の行政事務の遂行に際して必要な法令の解釈といいますものは、その事務を所掌する府省等において行われて、その解釈に従って行政事務が適正に執行されているというふうに考えております。
 憲法八十一条に規定されておりますように、我が国におきましては、法令の解釈は最高裁判所の判例を通じて確定されるということになっておりますので、行政の法令解釈が国会や、ましてや裁判所を拘束するものではないということは言うまでもございません。
#68
○政府参考人(三浦守君) 行政機関におけます法令解釈についての法的効力、拘束力につきましては、ただいま内閣法制局から御答弁があったとおりだと認識しております。
#69
○大塚耕平君 もう一回確認させてください。
 所管省庁がこういうことであるという行政解釈を示したとして、その行政解釈に必ずしも従わない行為があった場合に、これはどのようなことになりますでしょうか。
 今、先にお答えいただいたのは、どちらでしたっけ、法務省さんでしたっけ。
#70
○委員長(鶴保庸介君) いえ、法制局が先です。
#71
○大塚耕平君 法制局。じゃ、法制局お願いします。
#72
○政府参考人(山本庸幸君) 大変一般的な抽象論を申し上げて非常に恐縮かもしれませんけれども、本件、このサージカルトレーニングセンターの詳細、私ども必ずしも承知しておりませんし、そして、お尋ねについては、比較的個別具体の事例についての当てはめという問題でございますので、まずはそういう所管省庁たる厚生労働省等の方からお答えいただくのが筋かと思いますけれども、私どもは、一般的に考えますに、そういう法令の解釈といいますものは、そもそも文言あるいは趣旨等に即しまして、そもそも作ったときの立案者の意図あるいは立案当時の社会情勢等を勘案して考えるべき問題でございますので、そういうことを勘案いたしまして論理的に確定すべきものというふうに考えております。
 したがいまして、個別具体的な事例というのは、それぞれの事実に応じて判断するしかないというふうに考えております。
#73
○大塚耕平君 なぜこんなことをお伺いしているかというと、さっきごらんいただいた新聞記事、例えばこの札医大、もう既にやっているわけですね。ほかにも事例はあるので、局長、是非お調べいただきたいんですが、別にそれを私、悪いと申し上げているんじゃないんですよ、そんな悪意でやっている人は一人もいませんので。
 せっかく、必要であるから、言わば実態の方が先行して進んでいることについて、行政解釈を拡大適用したり、余り時代に合わないような適用をして縛ることのないようにしていただきたいと、こういうことを申し上げているわけであります。
 これは何の案件のときかちょっと調べ切れていないんですが、厚生労働省が平成九年に大阪環境保健局長あてに、御遺体を使ったサージカルトレーニングについて回答を過去に出しているんですね。御遺体を、キャダバーですね、キャダバーをサージカルトレーニングに用いることについては違法であり、死体損壊罪に当たるおそれがあるといって、厚生労働省がそういう回答を出しているんですが、一回お調べいただきたいと思うんですが。
 例えば、これなんかもちょっと、違法であるというのは、行政解釈に基づいてそれを違法とまで言い切ってしまうというのは少し越権行為だなと、いわんや刑法上の死体損壊罪に当たるということまで述べているというのも、これも越権行為だなと思うわけでありますが。
 要は、申し上げたいのは、行政解釈というのは時代とともに変わるものかもしれないですし、その行政解釈に当てはまらない事例が出てくれば新たな対応をするということが、これが行政の役割でございますので、是非そうしたことをやっていただきたいということを申し上げておりますので、是非そういう方向でお考えいただきたいと思います。
 さて、時間もあと十分ぐらいですので、最後に大臣に御所見を伺いたいと思うんですが、大臣、その前に、実はこの問題というのはすごく広がりがあるんですよ。去年、行政監視委員会で質問させていただいたときは尾辻大臣だったかと思うんですが、アメリカでは州によって、自分が死んだときにどういうふうに自分の遺体を処理してほしいかという意思を表示するダイイングプランということを義務付けている州もどうもあるらしくて、つまり普通に埋葬してほしい、普通に火葬してほしい、あるいはどうぞ献体に使ってくださいと。献体に使う場合でも、どういう献体ならいいとか、いや、どうぞもう御自由にお使いください、その後は散骨してくださいとかいろいろ何かメニューがあるらしいんですけれども。
 そして、この特に献体を申し出た方々には、こういうサージカルトレーニングセンターを運営しているMERIという組織があるんですけれども、これはまた後で事務方に詳しくお伺いいただきたいんですが、そこなどは、献体を申し出てくださった方々、実際にお亡くなりになって献体になった後は、この方は医療技術の発展のために、あるいは医療の発展のために貢献されたといってメモリアルプレートに名前が残って、遺骨や御遺体の最後の処置は全部公的になされて、言わば没後の、お亡くなりになった後のコストも掛からないんですね、コストも掛からない。お墓の代わりになるわけですが、そのメモリアルボードにお名前が残る。
 先ほど西島先生が老老家庭のお話とか独り暮らしのお話とかいろいろしておられましたけれども、死後の葬式代を浮かせるために云々というのは、これはそういうことであってはならないとは思いますが、ならないとは思いますけれども、やっぱり、じゃこれから本当に独り暮らしのお年寄りや老老の御夫婦が自分の将来を考えたときに、いや、いいよと、自分は社会の発展のためだったら献体に使ってくださいと、ただし後のことはお任せしますからというお気持ちの方は、これ結構おられるような、私の周りでも結構います。
 現に、この間、この問題で私の地元でお医者さんたちとシンポジウムをやりました、私も。会場には百五十人ぐらい来ていただいていて、一番最初に献体する御意思がある人どうですかとかって挙手をいただいたら、最初は拒否感がある人が四割ぐらいありましたね。ところが、サージカルトレーニングというこういう問題があってかくかくしかじかでという、今日、委員会でお話ししているようなことを全部御説明して、二時間ぐらいのシンポジウムをやった後には、ほとんど全員の方がそういうことならばどうぞ使ってくださいって。もちろんその場の雰囲気がありますからね、そういうお気持ちにその瞬間なっちゃったのかもしれませんが。
 実は、だからこの問題は医療の新しい動きに対する対応であると同時に、お亡くなりになった後、どういう言わば対応をするのかという、少子高齢化社会の言わば終末期医療ならぬポスト終末後の対応に大いに関係している話なんですね。だからといって、こういう仕組みができたからといって、そこに献体者が殺到するというのもどうかと思いますが。ただ、さっき申し上げましたように、お医者さんの数掛けるそのお医者さんが平均的に経験するであろう手術数の数分だけ初めて手術を受ける方が国民全員の中にいるということなんですから、そう考えると、適切な運用と法制さえしっかり整備すれば、私は十分に意味のあることだと思います。
 そして、もう一個申し上げておきたいのは、この分野もこうして遅れていくと、日本の医療はますます、国民の皆さんは何となくフィーリングで進んでいると思っているかもしれませんが、諸外国から見ると必ずしもそうではないという状況に追い込まれていくのではないかなということを、これは患者の立場として、素人の立場としてそう思っておりますので、そういう実は奥の深い問題であるということを踏まえた上で、最後は大臣にサージカルトレーニング及びそのトレーニングセンターに対する感想及び今後の取組姿勢についての御感触をお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、既にこの問題についてかなり長期にわたってお取り組みをされている大塚先生から、その検討の内容と同時にいろいろな考え方について御披露をいただきまして、大変参考になったところで感謝を申し上げたいと思います。
 私は、何というか、一つ感想として申し上げたいのは、文科省のこの献体法というものが何がゆえに制定される運びになったのかということを大塚先生御手製のこの表からつくづく考えておったわけでございます。解剖法のほかに、解剖法、正常解剖、病理解剖というのは、正常にしろ病理にしろ、ある意味で教育目的というのとは恐らくマトリックスで考えられる次元の違う話だろうと思うのでございますが、いずれにせよ、解剖法以外に献体法というものを制定する必要性というものがどこにあったのかなと。
 そういうことから、献体法というのは今、大塚委員が言われるような、何と申しますか、訓練解剖というものがあるとすると、正常解剖にしても病理解剖にしても教育目的でやることもあると思うんですけれども、訓練の対象としての解剖と、あるいは御遺体というようなことを考えると、そういう必要性が元々、献体法にはあったのかなというふうに眺めて感じておりました。
 そうだとすると、ここのあいまいさの中でちょっと不安げに教育の現場、あるいは研修の現場で実行を既にされていますよという、この特区の申請に絡む提案主体からの御意見というのは果たしてどういう位置付けになるのかなというような感じを持ったわけでございます。いずれにいたしましても、私は、今委員の話というものをお聞きしながら、やはり前向きに検討をした方がいいと、こういうように率直に思います。
 私の場合はたまたまですけれども、衆議院の先輩の中に、特に私に近しい先輩の議員でございますけれども、現に献体された方がおりました。私は親しいですからそのお葬式にも行ったのでございますけれども、今記憶をかき立ててみましても、多分、御遺体のないお葬式というものが執り行われたという記憶でございます。御遺骨が返されるのは多分、半年ぐらい後だったというようなことをその当時、耳にしたことがあります。納骨の日はどうしたのかなというようなことで更に記憶をかき立てていたのでございますけれども、納骨の日はやっぱり現実にこのお骨が返ってきた後になさったという記憶がありまして、いずれにしても、そのときに、私の先生でございますけれども、先生のこの遺志、残された志の高さというものを私は非常に感銘を受けたという次第でございます。
 いずれにしても、献体をされるということになりますと、もうそれは是非自分のこの残した体をいろんな社会的な意味で生かしてもらいたいということであって、正常解剖にとどめてもらいたいとか、あるいは病理解剖にとどめてもらいたいというようなことというのはむしろ少なくて、本当の意味で意味のあるように使ってもらいたいということが御遺志ではないかというふうに思いまして、そういう献体というものが既にかなりの数上がっているということであれば、私はこの教育の需要というものの、需要の強さというか、ボリュームということについては知りませんので明確なことは言えないのでございますけれども、私は、医学の進歩というものは、あるいは医療技術の進歩というものはやっぱり実地ということが必要であろうというふうには思いますので、これは、私としては今日ここでお答えできることは、我が省において前向きに検討をいたしたいということを申し上げたいと思います。
#75
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 今日は、関係省庁の皆さん並びに大臣から大変建設的な御意見をちょうだいできましたことを感謝申し上げますとともに、いざ、これを検討を進めるとなりますとそれぞれ、厚労省、文科省、法務省の、あるいは特区に関係する内閣官房の事務方の皆さん、大変なお仕事になると思いますが、是非一つでも二つでも前向きに物事が進むように御尽力をいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#76
○委員長(鶴保庸介君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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