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2007/05/10 第166回国会 参議院 参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第17号
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2007/05/10 第166回国会 参議院

参議院会議録情報 第166回国会 厚生労働委員会 第17号

#1
第166回国会 厚生労働委員会 第17号
平成十九年五月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     山本 孝史君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     郡司  彰君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     郡司  彰君     櫻井  充君
     森 ゆうこ君     松下 新平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                郡司  彰君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                松下 新平君
                柳澤 光美君
                山本 孝史君
                山本  保君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  石田 祝稔君
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       菅原 一秀君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局参事官     山崎 穰一君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省健康
       局長       外口  崇君
       厚生労働省医薬
       食品局長     高橋 直人君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    中村 秀一君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       厚生労働省年金
       局長       渡邉 芳樹君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の
 特例等に関する法律案(内閣提出)
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (年金、医療等に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、大塚耕平君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として山本孝史君及び郡司彰君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡邉芳樹君外四名の政府参考人の出席を、また、社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長松谷有希雄君外九名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(鶴保庸介君) 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 社会保障協定の実施に伴う包括特例法に関しまして質問させていただきたいと思います。
 おととしがフランス、ベルギーでございました。昨年がカナダでございまして、私、去年、おととしと聞かせていただきまして、毎年四月にこのことでお会いしてうれしい思いをしておったわけでございますけれども、今回包括特例ということになりまして、来年以降お会いすることができなくなるということがございまして、一抹の寂しさを感じてお名残惜しい気持ちもするわけでございますけれども、基本的に簡素化といいますか、効率化、合理化的な意味合いは私どもも賛成することでございますので、そのことは了としつつも、いささか寂しい気持ちも込めつつ、万感の思いを込めてお別れの質問をしたいと、このように思うわけでございます。
 さて、昨年も実はお聞きしたんでございますけれども、社会保障協定そのものの起源、沿革ということで、昨年はちょっと直前に言ったこともございまして、余り十分お調べいただけなかったようなところもあったのかもしれませんけれども、何かその後お調べいただいて分かったことがあったら教えていただきたいと思います。
#7
○政府参考人(渡邉芳樹君) 昨年は、今委員おっしゃっていただきましたように、ちょっと準備不足もございまして、一九〇四年のフランス・イタリア条約についてだけお触れするだけでとどめさせていただきました。そこは今日的に言うと年金保険料の二重払い防止とか保険期間の通算について規定されていない初期の協定だったようでございますが、その後、社会保障協定は、成熟した社会保障制度を有する複数の国の間で締結される条約として、徐々に二十世紀初頭から締約国が拡大してきたというふうに承知しております。
 もう少し具体的に申しますと、年金の保険期間の通算と給付額の案分比例方式というものを、一九三五年に移民の年金権保持に関するILO条約というものが採択され、これはイタリアを中心としたものだというふうに承知しておりますが、その後さらに一九七〇年代初頭には、当時の欧州共同体における多国間の社会保障協定というものが制定されるに至っております。また、海を隔てまして、一九七八年にはアメリカが初の社会保障協定をイタリアとの間で締結し、順次これもアメリカにおいても拡大が図られてきた、こういう経緯があるようでございます。
 社会保障協定は、各国の社会保障制度の在り方を前提とした上で、労働者の自由な移動を阻害しないよう、各国の制度間の調整を行うということを主眼としているものでございまして、我が国としても、こうした国際的な流れに沿って、締結に向けて取組を一層促進してまいりたいと考えております。
#8
○辻泰弘君 そうしますと、社会保障協定の一番出発点は一九〇四年のフランス・イタリア条約であるということで、要は今主要国の社会保障協定締結状況というのを、発効したものというのがあって、フランスは五十八か国になっていますが、その五十八の一つがそれに当たると、こういうことになるんでしょうか。
#9
○政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほど、昨年のこととして引用させていただきました一九〇四年の条約というのは、申しましたように、年金の通算とか二重加入の防止とかという内容ではなかったというふうに承知しておるわけでございます。労災補償でありますとか労働者の貯蓄の自由移動と、こういうようなことが書かれておったようでございます。
 フランスにつきまして、今お尋ねございました社会保障協定、フランスは今五十数か国ある中で最初に結んだのはどこかということを申し上げますと、調べさせていただいたところ、一九四九年にポーランドと結んだのが最初であるというふうに承知しております。
#10
○辻泰弘君 そうすると、一九〇四年のは起源であって、今フランスが締結しているという五十八か国のものとは違うということですね。
#11
○政府参考人(渡邉芳樹君) 違うものと承知しております。
#12
○辻泰弘君 今お触れになった流れの中で、EUが社会保障協定に関する基本原則、また考え方というのを出しているようですけど、そのことを簡単に御説明いただけますか。
#13
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障協定に関するEUの基本的な考え方というのが一九七〇年代初頭から出てきておるわけでございますが、この基本的な考え方というのは、各国の社会保障制度が労働者の自由な移動を阻害しないよう調整を行うということであり、各国の社会保障制度を前提とした上で各国の制度間の調整を行うというものですが、この基本的な考え方を踏まえて、御指摘のようにEUにおきましては社会保障協定に関する政策の基本原則というものを定めて、明らかにしておられます。
 四つございまして、一、法律適用の原則、一つの法律を適用するという原則、二、内外人平等待遇の原則、三、給付の国外送金の原則、四、資格期間合算の原則という四つの原則を明らかにしておるところでございます。
#14
○辻泰弘君 その四原則は日本にとっても首肯し得るものというふうに理解していいでしょうか。
#15
○政府参考人(渡邉芳樹君) そのように理解しております。これまでの協定もこうした考え方に沿って、相手国との交渉の結果、実現可能なものを盛り込んで実施しておるというふうに理解しております。
#16
○辻泰弘君 それで、今まで協定が発効したものが幾つかあるわけでございますけれども、その発効の状況と、それから年金通算をしている国というのがドイツとアメリカだけかもしれませんけれども、それの請求数、裁定数、年金総額、それから平均支給額ですね。昨年も聞いているんですけど、一番直近の数字をお示しいただきたいと思います。
#17
○政府参考人(青柳親房君) 協定について実績のお尋ねがございました。
 まず、現在、社会保障協定が発効しておりますのは、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ及びベルギーの五か国と承知をしております。このうち年金の加入期間の通算が行われているものは、ドイツ、アメリカ、ベルギーの三か国でございます。
 逐次それぞれについて詳細を申し上げますと、まずドイツでございます。ドイツとの協定は平成十二年の二月から本年三月末までの実績で申し上げますと、日本の国民年金、厚生年金に対する請求が二百三十六件、裁定が百五十六件、裁定された年金の総額が約五千四百六十七万円余、そして裁定された年金額の一人当たりの平均が約三十五万円となっております。また、ドイツの年金につきましては、社会保険事務所におきまして受け付けた申請の件数が本年三月末までの実績で八百五十二件、このうち裁定は、十八年三月までの実績で五百七件と承知をしております。
 続きまして、アメリカでございます。アメリカとの協定は、平成十七年の十月から本年の三月末までの実績で、日本の国民年金、厚生年金に対します請求が百四十四件、裁定が七十四件、裁定された年金総額がおよそ二千三百六十万円余、そして裁定された年金額の一人当たりの平均が約三十一万九千円となっております。また、アメリカの年金につきましては、社会保険事務所で受け付けた申請の件数が本年三月末までの実績で一万七千三百八十一件、日本に在住しているすべての申請者に対する裁定の件数が昨年十二月末までの実績で五千三百七十二件と承知をしております。
 最後に、ベルギーとの協定でございますが、平成十九年一月の発効後、本年三月末まで日本の国民年金、厚生年金に対する請求及び裁定の実績はございません。また、ベルギーの年金について行われました裁定件数は承知をしておりませんが、社会保険事務所で受け付けた請求件数は本年三月末現在で百八十二件となっております。
#18
○辻泰弘君 当然のことですが、額を示していただいたのは、外国の方が日本の年金を請求されたその額を示していただいたと、こういうことでよろしいですね。
#19
○政府参考人(青柳親房君) そのとおりでございます。
#20
○辻泰弘君 昨年はドイツが百七十六件が二百三十六件になっている、アメリカは五十件が百四十四件になっているということのようですから、まあやはり一年たって大分進行していると、こういうことだろうと思います。
 さて、そこで今回の立法は、個別の国ごとの法律、特例法を作るのではなくて包括的にするということなわけでございますけれども、そもそもこの包括特例法を出すということになった経緯、理由について、大臣、御説明いただきたいと思います。
#21
○国務大臣(柳澤伯夫君) 社会保障制度の我が国と諸外国との間での二重負担の解消や、老齢年金に関する保険料の掛け捨ての防止ということを目的といたしまして締結いたします社会保障協定については、これまでその国内法制の整備に関しては各国ごとの実施特例法を作成してきたところでございます。既に今政府参考人から答えましたように、七か国と社会保障協定を締結して、それぞれについて今申したような国内法制の整備を進めてきたわけですけれども、大分ここのところ法制的な、言わばノウハウの蓄積が進んでまいったということでございます。
 こうしたことから、内閣法制局とも相談いたしまして、この際、国内法制整備に係る従来からの手法を、言わば各国別ということを改めまして、今回各国ごとの法律の内容をすべて網羅した、言わば包括的な実施特例法を作成いたしたというのが政府としての目的であり、またこの制定をお願いしている経緯でございます。
#22
○辻泰弘君 そこで、日本の場合、爾後、包括特例法の適用によって個別の立法はしないということになるわけですが、諸外国においてのそういった協定をしている国においてはどういう形になっているのか、個別でやっているのか、包括的にやっているのか。このことはいかがでしょう。
#23
○政府参考人(渡邉芳樹君) 同様の独立した実施特例法を制定している国といたしましては、私ども承知している限りでは、今回協定を結んでおりますオーストラリアが一九九九年に制定しているというふうに承知をしております。
 昨年までの御審議の際にも少し述べたこともございますが、国内法上特例に関しての措置を要しない、国際協定がそのまま国内法に転嫁する国というのをベルギーのときにも御説明申し上げましたように、ベルギーのケースではあります。そういった国もございます。また、特例に関する規定が、国内法の一般法の中に特例に関する規定を盛り込んでおられるアメリカやフランスのような国もあるようでございまして、各国なおまちまちという点はありますが、オーストラリアにおきましては一九九九年、実施特例法を制定していると承知しております。
#24
○辻泰弘君 そうすると、今の御答弁総括すると、オーストラリア以外は基本的に協定が各国ごとに結ばれた後に立法化していると、こういう理解でいいんでしょうか。
#25
○政府参考人(渡邉芳樹君) 立法化している国と、そもそも立法を要しない国があるということでございます。
#26
○辻泰弘君 立法化を要しない国というのはそれほどないようなイメージで受け止めましたけれども、そうだとすれば立法化している国が多数であると、こういうことでいいんでしょうか。
#27
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今までのこの七か国、八か国の例で申し上げますと、独立した実施特例法があるというのはオーストラリアだけでございます。
#28
○辻泰弘君 いつもそういう言い方になるんですけど、それ以外のところは調べてないということでしょうか。
#29
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今、手元に詳細な資料は持ち合わせておりませんが、アメリカの場合は社会保障法に通算に関する特例規定があり、内国歳入法において適用免除に関する特例規定が設けられております。また、フランスにおいて社会保障法典に適用免除に関する規定がある。
 そういうような概況については承知しておりますが、それぞれの法律の規定ぶりの詳細については、今手元に資料ございませんので承知してございません。
#30
○辻泰弘君 質問したことに答えてくださいよ。もう既に結んだところのことを聞いているんじゃないんですから。それ以外は調べてないのかと言ったら、調べてないなら調べてないとか、把握してないというならそれで答え、いいかどうかは別にして答えになるわけです。そこのところ聞いているんですから。
#31
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今後の、まだ協定締結に至っていないところ、協議していないところ、そういうところについては私ども承知しておりません。
#32
○辻泰弘君 今般質問させていただくに当たりいろいろとお聞きしたときに、どうも諸外国の状況を、保険料の徴収だとか、十分何か、調べてないと言っては悪いんですけれども、調査できてないような感じがいたします。基本的なことだと思いますので、それは全部、全世界じゅう調べろとは言いませんけれども、ある程度調べておいていただきたいと、このように御要請を申し上げておきたいと思います。
 そこで、社会保障協定が締結された後に、今後特例法の規定が発動されるに至るその手順、プロセス、このことについてちょっと御説明いただきたいと思います。
#33
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障協定の発効に向けてのプロセスでございますが、国会での協定の承認という手続の後、両国の実施機関で互いに年金給付の申請書の様式を調整するということなどを含めた、実務的な協議を経た両国による交換公文の手続、これを完了いたしましたときに効力が生じると、こういう段取りになります。本件包括実施特例法につきましても、その公文交換の手続を完了した時点、効力が発生する時点でこの特例法が発動されると、こういう段取りでございます。
#34
○辻泰弘君 発効イコール発動と、こういう理解だと思います。
 それで、まあ今までもそうなんですけど、今後協定を締結した際に、今までより新しい国がその対象になるわけですから、国民の一般の方々に、そこへ行かれた方とかという方に周知するという、こういうことが当然必要になってくるわけですけれども、まあ毎年お聞きしていることではございますけれども、今後、包括的なことになるわけですので、ここでやはりひとつ基本方針としてお示しいただきたいと思うんですけれども、協定内容についての広報をどうしていかれるのか、周知徹底をどのように図っていかれるのか、そのことについて、大臣から御説明ください。
#35
○国務大臣(柳澤伯夫君) この広報による周知というのは非常に重要だというふうに考えております。
 この手法といたしまして、具体的に想定をいたしておりますのは、まず第一に協定締結国ごとに協定の概要、手続を説明した資料を事業主に配付するということがございます。それから第二に、これはまあ現地の商工会議所等の協力の下で現地の在留邦人等に対して説明をさせていただくと、こういうことがございます。それから、年金受給者の方につきましては、扶養親族等申告書を御提出していただくわけで、その用紙を送付するわけですが、その送付の封筒を活用した情報提供ということを実施したいと、このように考えております。また、社会保険庁のホームページに協定の内容、手続を紹介するコーナーを設ける等の取組を行っております。
 今後とも、事業主、それから被保険者、また受給権者の方々に必要な情報がきちっと行き届きますよう、積極的に周知広報に努めてまいりたいと思います。
#36
○辻泰弘君 この協定並びにそれの特例法、それに伴う特例法と国民との接点というのは、やっぱりそこにあるわけですので、是非その点については、積極的にといいますか、意を用いていただいて今後ともお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。
 それと同時に、その一環として、やはり国民に対する周知徹底という、一つはやはり国会においての報告ということも大事なことだろうと私は思うわけでございます。国会議員自身、まあ全員が知るということにならないにしても、やはり関係が深い厚生労働委員会のメンバーなりが、どこどこの国とも結んだんだということを知っているということもやはり大事なことですし、また審議をしないにしても、やはりその国とのことがどういう形で結ばれたということを教えていただくことによって、それを通じて私どもが、そのことについてチェックをするといいますか、どうなったのかなというのを、やはり今までの従来の方式とどうなっているのかということを見させていただくという、まあいい意味での民主主義のチェックのプロセスというのは、やっぱりそれなりにあってしかるべきだと思うわけでございます。
 そういった意味で、今回の立法については私どもも賛成でございますけれども、やはり協定が結ばれたときには、こういうことになったということでの御説明、御報告が、やはりとりわけ年金制度にかかわりが深い本委員会においてあってしかるべきだと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか、大臣。
#37
○国務大臣(柳澤伯夫君) 各国との社会保障協定の締結に当たりましては、まあこれまでどおり、まず国会の承認ということは引き続いて必要になるわけでございますが、これが継続する委員会が外務委員会ということになって、厚生労働委員会に対してはちょっとごぶさたになると、こういうことでございます。
 しかしながら、今後、個々の社会保障協定が締結された場合の当委員会との関係につきましては、今日の御審議の結果を踏まえまして適切に対応させてまいりたいと、このように考えております。
#38
○辻泰弘君 まだ先読みしてはいけませんけれども、一元化ということもあって、共済も厚生年金と一体化すれば余計に本委員会との接点というのはより強まりこそすれ薄まることはないわけで、そういった、失礼ながら外務委員会の場合は外交的な観点からのやはりチェックであろうと思うんですけれども、年金制度そのものにかかわるものはやはり厚生労働委員会が一番中心であろうと思うわけでございまして、それぞれ大事ではございますけれども、厚生労働委員会にもやはりあってしかるべきだと、このように思うわけでございます。
 そういった意味で是非お取り組みいただきたいと思いますし、最初に申し上げましたように、やっぱりこれでお別れするのは寂しいので、毎年元気で頑張っているよというふうなお知らせが欲しいと、このように思うわけでございまして、そういった意味でお願いしておきたいと思いますが、一言だけお願いします、大臣。
#39
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど申し上げましたように、本日の審議の結果を踏まえまして適切に対応してまいります。
#40
○辻泰弘君 それで、次のポイントですけれども、今回の包括特例法の規定についてですけれども、一言で言うならば医療、年金の二重負担を回避すると、それから年金の期間通算を規定していると、これが基本にあると思うんですね。
 ただ、かつてのケースで見ますと、ベルギーは労災、雇用保険が適用対象であった、フランスは労災が入っていたと、こういうことで、保険料の徴収が分離できないということが原因だというふうに理解しておりますし、それはそれでやむを得ないところがあるんですけれども、今回の立法において労災、雇用保険は規定されていないというふうに理解しておりますが、それはどういうことによってなのかということを御説明いただきたいと思います。
#41
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今御指摘のとおり、今回の包括実施特例法において労災保険制度、雇用保険制度は対象とされておりません。これは、これまでの質疑の中でも触れさせていただいた点ございますが、労災保険制度においては外国人の従業員のみを適用対象外とするという日本の労災保険の仕組みにはなっていないこと、あるいは、雇用保険制度においては外国人のうち一定の立証がされた者については被保険者としないという扱いになっていることから、協定の中で相手国がそういうものを分離できずに込めることはあっても、当方、国内法の面で労災保険、雇用保険について対象とするための実施特例を要するものではないと判断しているからでございます。
#42
○辻泰弘君 そこで、労災についてなんですけれども、これはおととしも私、質問をさせていただいた、また指摘もさせていただいたことですけれども、基本的に労災というのは本来そこの働いている国で掛けるべきだというふうに私は思うわけですけれども、例えばベルギーとの関係のときは労災が免除になったということになっておるわけで、すなわち日本人がベルギーに行って働いている場合に、労災が保険料が免除だといえば、それはそれでいいようにも聞こえますが、しかし労災が掛かっていないという状況になるんだろうと思うんですね。しかし、ベルギーの方が日本に来られたときには、当然日本の方針として労災を掛けると、こういうことだと思うんです。
 だから、そういう意味で、これは日本の思いだけではできないわけですけれども、その部分については片務性が残っているというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、今後交渉するに当たって、今までもされているんだろうと思いますけれども、やはり基本的に働いている国で労災を掛けるんだという原則で臨むべきだと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#43
○政府参考人(青木豊君) お話ありましたこの労災保険につきましてでありますが、社会保障協定は、今ほどお話ありましたように、海外に一定期間派遣をされる労働者の公的年金に関して加入期間の通算や二重負担の防止を図ることにあるわけでありまして、労災の場合には加入期間は要件とされていなかったり、そういう意味で加入期間の通算は問題とならないとか、あるいは海外の事業場に労働者が派遣されて働く場合に、国内の事業場に対してその保険料を強制的に徴収するというようなこともないわけでありますので、保険料の二重負担ということもないということで、労災保険に関する限りは社会保障協定を締結する意義は乏しいわけであります。それぞれの国のところできちんと適用されればいいと、お話あったような状況であります。
 しかし、ベルギーとかフランスの場合のように、労災保険制度が他の社会保障制度と一体的に運用されているというような、適用されているというような場合には、労災保険についてのみ対象としないという取扱いは相手国がなかなかしづらいということもございます。そういうことで、これらについては労災保険を協定の対象としたということであります。
 私どもの保険制度はILO条約が求めております内外無差別待遇を満たしておりますので、諸外国から日本に派遣をされてきている労働者に対しましても十分な保障を行っているという意味で、お話があったような形になっているというふうに思っております。
 今後、諸外国と社会保障協定を協議していくに際しては、お互いの国の事情、制度、そういったものをよく理解した上で、お互いの国の労災保険を協定の対象としない、お互いの国でやっていこうという方向で私どもは交渉していきたいというふうに思っております。
#44
○辻泰弘君 結論的にはそういうことだと思うんですけれども、おっしゃった中で、ベルギー、フランスについては労災を協定対象としたということは、日本人が当該国に行ったときに労災の適用がないよということをおっしゃっているんですよね。そのことを確認。だから、現実に日本人がベルギー、フランスに行ったときには労災は掛かっていないと、こういうことですね。
#45
○政府参考人(青木豊君) 当然適用といいますか、強制適用されているところでは掛からないということになります。ただし、任意の制度で特別加入という制度がございますので、そういったものを活用している場合はもちろんありますけれども、今お話しになっているのは当然適用の部分だろうと思いますが、そういうことであります。
#46
○辻泰弘君 その任意というのは、企業が掛けておくと、こういうことですね。
#47
○政府参考人(青木豊君) 特別加入制度で海外派遣をする際の労働者についても適用に入れられるということでございますが、それは事業主がそういうことで掛けるということでやった場合ということでございます。
#48
○辻泰弘君 要は労災の任意加入と、こういうことですね。
#49
○政府参考人(青木豊君) はい、そのとおりでございます。
#50
○辻泰弘君 元に戻るようなことでありますけれども、私自身申し上げ、また局長もおっしゃったように、やはり基本的に働いている国で掛けるというのが基本だと思いますので、そういった意味でその部分、やはり当該国の方針というのはあるとはいえども、お聞きすると、保険料はトータルで取っていても経理区分していて、その部分についてはある程度分けているというふうな話も聞きますから、そういう意味においてはやれないことはないと思うんですね。相手国に求めることですからなかなかそうはできないかもしれませんが、しかし、やはりその精神であるべきだと思いますので、是非そういったことで取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、雇用保険の方も聞いておきたいと思うんですけれども、先ほどのお話にございましたように、雇用保険については日本の場合は協定なしでも元々免除していたんだと、こういうことだったと思うんですけれども、諸外国においてはどうなんですか。
#51
○政府参考人(高橋満君) 今委員御指摘ありましたとおり、我が国の雇用保険制度におきましては、相手国での失業補償制度の適用を受けておるということが確認された場合につきまして被保険者としないということで二重加入という問題は生じないわけでございますが、日本人が外国で一時的に就労する、関係企業に派遣をされる、出向する等々におきましては、これは基本的には当該国におきます失業保険制度の適用、これが適用されるか否かということによるわけでございます。
 ただ、ベルギーとの間では、社会保障協定によりまして、この双方、相手国の失業保険制度の協定の対象としないということで、ベルギーにおきます失業保険制度の適用が免除されておると、こういうことでございます。
#52
○辻泰弘君 私がお聞きしたのは、日本は元々、当該国で掛かっていれば日本では免除していると、そういう国がほとんどなのかと、そのことを聞いているんですけれども。
#53
○政府参考人(高橋満君) ちょっと諸外国におきます取扱いがどうなっているかというのは、必ずしも私ども十分に把握はいたしておりません。その点についてはちょっとお答えはできません。
#54
○辻泰弘君 さっきのことにもつながるんですけれども、これも通告しているわけですけれども。正直な表明はいいんですけれども、しかしやはりもう少し調べていただければと、このように思います。また調べておいていただいて、また御質問をしたいと思いますので、もし資料等で入手できたらお示しいただきたいと思います。
 それから、今回の立法の中で一つあるのは、既に制定した各国ごとの個別実施特例法、これを廃止すると、こういうことになっているわけですね。そうすると、廃止した後、それらの国に対しての適用がどうなるのかというプロセスがちょっとクリアでもないので、その辺について御説明いただきたいと思います。
#55
○政府参考人(渡邉芳樹君) これまでの七本の特例法を廃止する旨、本実施特例法の附則で規定しておるわけでございますが、審査請求を始めとした処分、手続、その他の行為が今回の特例法の施行日前に行われておるものがたくさんあるわけでございまして、この包括特例法実施に当たってどうするのかという点については、併せてこの特例法の附則に第三十三条、第三十四条という条項を設けまして、施行日前に行われた過去の特例法に基づく行為については、包括実施特例法の規定による行為とみなして個別国の実施特例法を廃止しても影響のないように措置しておるところでございます。
#56
○辻泰弘君 それは一つの説明で、それはそれでそのとおりなんでしょうけれども。
 私は、しかし申し上げておきたいのは、今回の包括特例法の法律案要綱を拝見いたしまして、最後の方に、次に掲げる法律を廃止することということで、これまでの七本の法律について廃止ということが要綱に出ているわけなんです。しかし、出ているにもかかわらず、その後どうなるのというのが書いてないんですね、法律案要綱ですよ。それはやっぱり私は、本当は瑕疵があるものだろうと思うんですね。法律案の要綱によって廃止した後どうなるのというのが書いてないというのは、やっぱりこれは事の本質が欠落しているというふうに私は思いますけれども、その点どうでしょう。
#57
○政府参考人(渡邉芳樹君) 要綱の表記の仕方について、至らない点として御指摘だといたしますと、そのとおり受け止めさせていただきますが、もう少し申し上げますと、この要綱で、第三、施行期日等の三として、次に掲げる法律を廃止すること、附則第三十二条関係と書いてございますが、実はその前に二として、この法律の施行に関し必要な経過措置等を定めることといたしまして、いろいろ書いてございますが、附則第三十三条から第三十五条まで関係というふうに記してございます。
 これがちょっと舌足らずでございますが、過去の特例法の効果が新法における行為とみなすというそうした経過措置等の規定であるということを書いてはおるんですが、舌足らずである点については御指摘のとおりでございます。
#58
○辻泰弘君 まあ舌足らずというよりも全然入っていないというか、まあ一般に分かりやすくするという意味合いでいえばそれじゃ分からないわけで、やはり要綱というのは一つの私ども法律を見るときの基本の部分で、そこを見てある程度理解して、実際の法律はなかなかそこまでは入っていけないわけですから、そういった意味で私は、この後どうなるのかというのは大分時間を費やしたこともございますので恐縮でございますけれども、今後、その辺については当たり前の部分だと思いますので、しっかりと書いておいていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、今回の立法の中には入っていないんでしょうけれども、派遣期間というのは当然一つ大事になってくるわけでございます。今までは大体五年ということだったと思うんですけれども、基本的なことを確認しておきたいんですけれども、派遣期間は協定で規定するということなんだろうと、すなわち各国ごとに異なるんだろうと、このように思うわけですが、その点についての確認と、その期間をそもそも決定する基準ですね、今まで答弁もいただいているところあるんですけれども、しかしやっぱり今後包括的になりますんで、そのことについての基本的な基準というものの考え方、これをお示しいただきたいと思います。
#59
○政府参考人(渡邉芳樹君) ただいま御指摘のとおり、二重負担回避のための一時的な派遣に係る期間をどのように設定するかというのは相手国との協議の結果になるわけでございますが、その結果として、協定上出てくる、規定されているというのはそのとおりでございます。
 今回の実施特例法の中で、直接的に当該一時的派遣に係る期間を規定している条項はあるのかという点につきましては、御指摘のとおり、そうした条項はございません。ただ、この法律の規定ぶりの中で私ども工夫しておりますのは、協定で定められたところによりいろんなルールが出てきておりますので、協定で定める期間というものがきちっと読み込まれて、実施特例法上、一時的な派遣期間に係る法的な行為というものがきちっと整理されるような規定ぶりには工夫させていただいているところではございますが、直接的な条項規定はございません。
 もう一つ御質問ございました、これまでの協定でこの期間を五年としてきておるのが実績でございます。これは我が国として、日本国から相手国へ派遣される駐在員の派遣期間の実態を調査いたしまして、五年未満の者が多数を占めているということを確認していることによるものでございます。そうした中で、相手国と交渉し、これまでは五年ということで締結をしてきたところでございます。
 私どもとしては、そうした実態にありますので、五年ということを基軸に相手国と交渉をするわけでございますが、今後出てくる各国との間でどうなるかは、その交渉次第によって適切に協定に盛り込んでまいりたいというふうに考えております。
#60
○辻泰弘君 そうすると、五年というのは一つ基本にお持ちになって、それで、その国ごとにある程度プラスマイナスがある、こういうような位置付けになっていくという理解でいいですか。それが一つと、この辺実際の交渉はやはり厚生労働省の方がやっていらっしゃる、外務省じゃなくて厚生労働省の方と、こういうそこの部分、教えてください。
#61
○政府参考人(渡邉芳樹君) 私どもは実態調査に基づいてそういう考えを持ち相手と交渉しております。交渉に当たりましては、外務省のチームと私ども厚生労働省のチームが一体となってその作業に臨んでおります。
#62
○辻泰弘君 それで、当初派遣期間五年以内だということの予定であった者が五年を超えた場合ということがあり得ると思うんですね。その場合、昨年もお聞きしていることなんですけれども、基本的なことが今回の立法上どうなっているか、そのことをお聞きしておきたいと思います。
#63
○政府参考人(渡邉芳樹君) 五年以内の予定で就労するために相手国に派遣された者が、当初予見できなかった事情により派遣期間が五年を超えることとなった場合、本人の申請に基づきまして、我が国と相手国との間の協議を経て、五年を延長して引き続き派遣元国の制度のみに加入するという取扱いが認められることになっております。
#64
○辻泰弘君 それからもう一つ、当初五年を超えると見込まれた派遣期間が結果として逆に五年未満となった場合、これは手続が必要になるのかどうかですね。被用者ということであれば天引きだからそれで自動的に分かるということもあるかもしれませんが、その分のことはどうでしょうか。
#65
○政府参考人(渡邉芳樹君) 当初五年を超える予定で就労するために相手国に派遣されたということになりますと、これは相手国の制度が適用されるというところからスタートするわけでございます。
 ただ、その後の事情で五年未満で帰国することになった者につきましては、派遣当初から相手国制度のみが適用されている状態で一年二年とこう続くわけでございますので、その後予定が変更されて五年以内の帰国となりました場合でも、その帰国までの間は相手国制度のみが適用されると、こういうルールでございます。
#66
○辻泰弘君 それは当然そうなんですけれども、その帰ってくるときに、当初それを超えると思ったら短かったということについて、手続的なことは必要あるのかということです。
 すなわち、向こうだって被用者だろうから、天引きであったらそれはそれで自動的に分かるということもあるかもしれないけれども、その分手続は要るのかどうかと、そのことなんです。
#67
○政府参考人(渡邉芳樹君) その方については、相手国で就労を始めたところから相手国制度が適用になっておりますが、一年で帰ろうが二年で帰ろうが、相手国制度の中で特段の手続を経なければ日本国に帰ってきていろいろ関係が難しくなるというようなことは全くございませんので、手続なしで御帰国いただいて結構でございます。
#68
○辻泰弘君 分かりました。
 それで、もう一つ、日本国の領域内と相手国の領域内において同時に就労する場合ということがあって、その場合にいずれの適用を受けるのかということの基準がやっぱりあるだろうと思うんですね、適用基準、このことについて御説明ください。
#69
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障協定におきまして、そうしたケースについてどのように処理しているかということになりますが、日本と相手国との間で同時に同一個人が就労している場合ということもなきにしもあらずでございます。
 社会保障協定が締結されていなければ原則として両国の社会保障制度が適用されるということも発生し得るわけでございますが、社会保障協定では通常居住している国の法令のみを適用するという基本的なルールにされておりますので、どちらか一方のみの社会保障制度が適用されることになるということでございます。
#70
○辻泰弘君 居住しているということによって、その人の選択といいますか、そこの判断の領域があるということで理解していいですか。
#71
○政府参考人(渡邉芳樹君) かぎになります概念はこの通常居住ということでございますが、日本人の場合、住民登録でありますとか、外国人の場合、日本における外国人登録とか、こういうようなことでございますが、外国人が当該国の中でどのような国内法制で位置付けられているかというのは、各国それぞれまちまちのところもあるとは思います。
 ただ、両国ともの共通理解として、それぞれの国で通常居住という概念でとらえられる人は、その通常居住を前提とした国の法令のみを適用するという整理にいたしましょうということにされているものと理解しております。
#72
○辻泰弘君 それと、今回の立法の中で一つのポイントとして、二重加入、年金通算以外にも、障害給付又は遺族給付の支給要件、納付要件、このことについての特例という部分もあるわけで、そのことはある意味当然のことであると思いますが、これは諸外国にもこういった給付があり、かつまた特例的なものがあるのかどうか、このことについて御説明ください。
#73
○政府参考人(渡邉芳樹君) これまで社会保障協定を結んでまいりました八か国の年金制度に関して申しますと、その支給額や支給要件等、各国それぞれの制度でございますので違いはございますが、我が国と同様、障害給付や遺族給付を設けているというのが大半でございます。
 一言申し上げますと、今般署名、直近に至りましたオーストラリアにつきましては、遺族年金に当たる寡婦年金について一九九七年三月に廃止され、それ以降、新規に寡婦年金を裁定していないというふうに承知させていただいております。そういうちょっと違う例もございますが、障害給付はもとより、遺族給付を設けている例が大半であるというふうに理解をしております。
#74
○辻泰弘君 今の協定を結んだ国以外もやはりその二つはあるというふうに考えていいんですか。
#75
○政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほどの御質問と同様、世界各国の年金制度をすべてつまびらかにしているわけではございませんが、年金制度において、老齢給付のみならず障害給付、遺族給付を持っているというのは一般的なパターンであるというふうに理解をしております。
 近年の、先ほどのオーストラリアのような制度改正等々の中で若干変化が出てくるようなところなしとはしないのは承知しておりますが、大半の国で遺族給付、障害給付を設けているものと承知しております。
#76
○辻泰弘君 私は基礎年金のときにお聞きして、遺族給付が男女平等ではないという形のときにお聞きして、だんだんそれはむしろなくなっていく方向だと、そこのことにもつながるのかもしれませんけれども、これは通告してないんですけれども、遺族給付は諸外国においては男女両方にあるんでしょうか。
#77
○政府参考人(渡邉芳樹君) 率直に申し上げて、男女別という点については必ずしもつまびらかではございませんが、一定程度は分かっております。
 例えば、ドイツとかイギリスとかを見てまいりますと、寡婦・寡夫、同じ言葉ですが、寡夫年金、イギリスの場合も寡婦寡夫手当、こういうふうな制度があるようでございますので、男女ともに設けられているということも多々あるというふうに思います。
#78
○辻泰弘君 分からないのが急に分かってよかったと思いますけれども、事務方の日ごろの御勉強に敬意を表しておきたいと思いますが。
 次のことで質問したいと思いますが、これも去年確認したことですが、しかし包括特例でございますので、やはり確認をしておきたいということで、二点お聞きしておきます。
 当初から五年以上派遣見込みという場合は、日本人にとってですけれども、国民年金に入らなくていい、いわゆる国内の年金に入らなくていいことになるわけですが、国民年金に任意加入することは可能かどうか、この点についてお願いします。
#79
○政府参考人(渡邉芳樹君) 御指摘のとおり、日本の国民年金に任意加入することは可能でございます。
#80
○辻泰弘君 もう一つ、これは二重適用の調整というのは企業が申請をしてそこで動くということになろうと思うんですけれども、それが意図して、あるいは知らずしてということであるかもしれませんが、二重適用調整の申請をしなかった場合に、被用者年金の両国における二重加入というのは法律的にはあり得る、許される、合法的だと、こういうことでいいでしょうか。
#81
○政府参考人(渡邉芳樹君) 結論から申しますとそのとおりでございますが、もう少し述べますと、相手国の社会保障制度への加入が免除されるためには、協定でそうなっておりましても、日本の社会保障制度に加入していることを証明する適用証明書の交付を社会保険事務所から受け、当該証明書を相手国において、我が国の社会保険事務所に相当する機関に提出することが必要とされております。こうした手続を行わない場合には、日本国と相手国の社会保障制度の二重加入の状態が継続されることになるというのは御指摘のとおりでございます。
 先ほどの御質問にもありましたとおり、企業や被保険者等に対する広報というものをやはり更に徹底していくということが必要かと考えております。
#82
○辻泰弘君 そこで、年金通算に関連してお聞きしておきたいと思うんですけれども、元々、諸外国の年金制度を見ましても、最低加入期間がまちまちであると。日本の場合の二十五年というのは長いということをここの場でも何度も議論をしてまいりましたけれども、最近のこの協定を結んだ国を振り返りましても、ベルギーにおいては最低加入期間はなしであると。これは一階、二階がないわけですね。それから、フランスの場合も最低加入期間はないと。それから、カナダの場合は二階建てだと思いますが、これも基礎部分が、居住の要件があるけれども、二階の部分の、これは所得比例だと思いますが、そこの部分についての最低加入期間はないと。それから、直近のオーストラリアを見ましても、名前はともかくとして、税方式による基礎の部分については十年以上の居住要件はあるけれども、報酬比例、所得比例でございましょうか、そちらの二階部分については一回でも有効な拠出があればいいということになっていて、基本的に最低加入期間はなしということになっているわけでございます。
 そういった意味で、それぞれの個別の国の状況の中でつくられていることですから、それの比較というのをどうこう優劣を語るということは生産的でもないし、余り意味はないといいますか、あれですけれども、ただ、この年金通算を受けられるということを考えますときに、やはりそのことは極めて大きな意義を持ってくるわけでございます。
 すなわち、例えば昨年のカナダの場合ですと、日本人がカナダに行って、一か月でいいのか、最低の期間はあるでしょうけれども、とにかく、オーストラリアは一回でも有効な拠出があればいいことになっているわけですから、一回オーストラリアで働いて、一回でも拠出していれば年取ったときにいただけるということになるわけですね、額のいかんを問わず。ですから、そういう意味では、一か月といっていいのか数か月というのか分かりませんけれども、とにかく日本人がオーストラリアへ行ったときには、そのことによって年取ったときに年金給付にあずかれるということになるわけですが、しかし逆に、当該国の方が日本に来られて、極端に言えば、二十四年十一か月日本で保険を掛けて、年金保険料を払っていたと。しかし、自国では掛けていなかったという場合には、その方は日本からの年金、自国もそうですけれども、結局年金給付にあずかれないということになるわけですね。
 ですから、日本人が相手国に行ったときには、一か月といいますか、数か月でもその部分、額は微々たるものかもしれませんけれども、給付にあずかれるけれども、しかし相手国の方がこちらに、日本に来たときには、二十五年の要件を満たさないということになるとゼロだということになるわけですね。このことについてはやはり大きな片務性ということになると思うんですね。
 ですから、その点が存在しているということをやはり確認をしておきたいという、まずそこの部分について簡単にお願いします。
#83
○政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほど来触れるところもございましたけれども、社会保障協定、年金に関しましても、相手国の制度というものを前提としつつ相互の調整を行う、こういうことでございますので、私どもの場合の二十五年という仕組み、アメリカのような十年という仕組み、あるいはないという仕組みなど、それぞれの制度をそのままとしながら、なおかつ協定で二重加入の防止及び通算ということを締結してきておると、こういうことでございます。御指摘のとおりでございまして、二十五年というところに満たなければ日本からの年金は出ないということについてはおっしゃるとおりでございます。
#84
○辻泰弘君 それで、直近のオーストラリアの年金制度をちょっと拝見したところ、一つは基礎部分は全額税方式である、また所得制限がある、また一定年数の居住期間ということを求めているということで、私どもが申し上げている考え方に近いというふうに意を強くするところもあるんですが、同時に比例部分、そこの部分について一回でも有効な拠出があればよいというふうな、この資料は厚生労働省が作って出しておられるんでしょうけれども、ここを私は非常に意を強くするといいますか、かくあるべしと、このように思うわけでございます。
 よく大臣も社会保険方式だとおっしゃるんですが、社会保険方式の社会保険方式たるゆえんというのは、やはり負担した分だけ給付すると、私どもは税方式と言っていますけれども、しかし、そうであれば、比例部分について、負担をしたのが一回でも有効であればその分が反映されるというのがやっぱり考え方として私は論理的帰結だと思うわけなんです。
 私が直接的にお聞きしたいと思いますのは、そもそも日本の場合の年金制度は基礎年金に二十五年の最低加入期間を課していて、プラスして報酬比例の厚生年金の部分にもその要件を満たすべしということになっていて、一年間は入っていなさいと、こういうことになっているわけですね。ですから、そういう意味でダブルといいますか、一階、二階両方に二十五年を結果として課しているわけなんです。
 ただ、これ最近の日本が結んだ国の年金制度を見ますと、一階、二階分かれていないところは別といたしまして、一階、二階分かれているところは、一階は要件課しているけれども二階の部分はなしというところが多いわけですね。そういう意味で、日本の場合がある意味では特異といいますか、一階にも二十五年、二階にも二十五年を課しているということを私は異例のことじゃないかというふうに思うんです。短けりゃいいというわけじゃないというふうにかねてから私もそこは思いますけれども、しかし、やはりこうやって諸外国との年金通算のことを考えますと、せめて二階部分だけでも二十五年との連動というのが、やはり見直していくということがあっていいんじゃないかと思うんですけど、その点についてはいかがでしょうか。
#85
○政府参考人(渡邉芳樹君) 各国ともその国の年金制度には歴史と経緯があると言わざるを得ないと思いますが、先ほど引用なさいました、今般協定を結ぶオーストラリアにつきましても、一階は税方式、居住に着目した税方式の老齢年金制度でございますが、二階部分というのはいわゆる確定拠出型年金を公的制度として設けているということでございますので、一階部分と二階部分の制度の性格、性質というものが、我が国で発展してきた年金制度というものとやはり大きな違いがあるのかなというふうに思っております。
 御承知のように、厚生年金制度、昭和十七年にスタートいたしましたが、その後の発展の中で定額部分プラス報酬比例部分ということでできてまいりました。全く厚生年金制度とは別に自営業者等を対象とした国民年金制度が発足し、それぞれ両建て、別々の体系であったところを、昭和六十年の制度改正によって、共通部分、その定額部分の共通しているところを基礎年金としてくくりまして今日に至っております。
 その基礎年金部分はかつての国民年金の二十五年という最低加入期間をベースとしておるわけでございますが、そういう流れの中で私どもの制度はでき上がっておるものでございますが、もう少し具体的に申しますと、御指摘のように、原則として一階部分の給付の需給要件が満たされていなければ二階部分の給付は出ないということでございますが、二階部分の厚生老齢年金につきまして、法律の第四十二条におきましては、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が二十五年以上と規定されております。これは、厚生年金ということではなく、国民年金の一号被保険者期間と三号被保険者期間を含めて二十五年以上という意味でございますから、要するに、既に一階部分の老齢基礎年金の受給資格期間を満たすということになれば、被用者としての加入期間は一か月からすべて年金額に反映される、こういう仕掛けになっている点についても留意が必要かと思います。ただ、先ほど申しましたような発展の経緯というものの中で出てきている仕組みであるという点を申し述べたいと思います。
#86
○辻泰弘君 もうちょっと、一号、三号の部分も足して二十五年だというのはそれはまあそのとおりですけれども、それと、おっしゃった中で、基礎年金できたときに二十五年にしたと言うけど、その前二十年だったのは、どの部分が二十年だったのを二十五年にしたんですか。
#87
○政府参考人(渡邉芳樹君) 厚生年金の方でございます。
#88
○辻泰弘君 ああそうか、基礎年金はなかったわけですからね。だから、要はそのとき年数を上げたわけですよね。そして、最低加入期間を延ばして、かつ上にも下にも掛けたと、こういうことですね、平たく言えば。
 それで、おっしゃったのは、オーストラリアの方が二階部分は確定拠出だとおっしゃって、それはそうなんだけれども、だから違うというのはそうですけど、しかし、カナダはこれは確定拠出じゃないですよね。それから、今協議中のスウェーデンだって所得比例の方、これは確定拠出じゃないのかな、ちょっとよく分かりませんが。
 いずれにしても、私が申し上げたいのは、こうやって国際比較といいますか、通算ということを考えてまいりますと、やはり日本の制度の二十五年というのは、これは議論してまいりましたけれども、やはり長いという部分で、基礎の部分についての考え方はまたあるのかもしれませんが、少なくとも日本における報酬比例の部分についての二十五年を課しているという、そのことによって、外国の方々が日本で働かれて二十四年十一か月は納付したけれども、自国でなかったら通算二十五年超えないから何もないよということになるということで、やはりある意味での国際基準というものがあるわけじゃないでしょうけれども、ある程度そういった諸外国の状況に合わせていくということもやはり大事なことだと私は思うわけでございます。
 私どもが言っている年金制度のスキームはまた別にありますけれども、現行制度を前提としたときに、この二階部分についての二十五年の要件というのは、私はやはり一階と同じものを掛けている国というのがあるのかなというふうにも思うわけで、そこはまた調べていただきたいと思うんですが、いずれにいたしましても、二階部分にも基礎と同じ二十五年を課しているということについて、私は見直しがあってしかるべきだと思うので、その点について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#89
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今政府参考人の方から御説明させていただいたとおりだと私は考えております。それぞれの国にはそれぞれの国の国民社会というか、そういうものにどのように年金を位置付けるかという基本的な考え方があって構築をされているわけでありまして、この社会保障協定を結ぶに当たっても、それはそれぞれ尊重されて結ばれるということが大前提であろうと思うわけでございます。
 二階部分については最低加入期間というものを取っ払ったらどうかと、国際的に考えると、取っ払わないとオーストラリア人には非常に気の毒になるではないかということでございますが、少数のオーストラリア人の方をおもんぱかって日本国民の全体についてそういうような制度を導入することが適切かどうか、これはまた極めて重大な問題になるというふうに考えております。
 四十年間、あるいは場合によっては四十五年間加入する期間が機会としてある、そういう中で二十五年を最低の期間とするということについては、私は我が国の年金制度として合理性を持っていると、このように考えます。
#90
○辻泰弘君 今の、少数だから切っていいよという発想は私はちょっとおかしいと思いますよ。一つの筋としてどうかということであって、少数だからそこはいいんだと、ネグっていいんだというその発想はおかしいですよ。
#91
○国務大臣(柳澤伯夫君) そういうことを必ずしも私は申し上げているのではなくて、少数の外国人の方への考慮から我が国の年金を根幹から揺るがすようなことになることをどう考えるかという問題であるということを申し上げたのでございます。
#92
○辻泰弘君 いや、大体、オーストラリアだけをおっしゃっているけど、カナダだってそうじゃないですか、私が申し上げたように。だから、それはどれだけの国か分かんないけど、それ、ちゃんとそれじゃ少数かどうか調べてくださいよ。そんな少数だからいいって言うけど、少数とは限りませんよ。どうですか、年金局長。
#93
○政府参考人(渡邉芳樹君) 少しポイントがずれるかもしれませんが、調べるべきは調べるという点はあろうかとは思いますけれども、例えば、米国あるいは英国が十年内外の最低加入期間というものを設けており、その国々が、そういう最低加入期間制度のない国とも社会保障協定を結びながらも、自国の制度を堂々と実施しているというのが国際場裏における今の姿ではないかと思います。
 やはり日本国における年金のありようというものにつきまして、一階の基礎の条件を満たさないまま二階の給付をもらうという点についてはいかがなものかという私どもの考え方、それに沿ってでき上がっている体系でございますが、こういうものについては、国際協定の中で様々な各国の実情をお聞きし、双方尊重しながら協定を結ぶとはいたしましても、我が国の制度のありようというものは我が国の制度のありようとして考えていくべきものというふうに考えております。
#94
○辻泰弘君 女性は産む機械というような話がありましたけれども、若干それにつながるような発言だと私は思っていますけれども。
 いずれにしましても、この二十五年の加入要件のことはやはり今後また課題になってくると思いますが、そういった遮断する発想じゃなくて、やはり今後協定を結んでいく限り常にあるわけで、やっぱり双務性ということが大事で、先ほどの労災のこともありましたけれども、片務性というのはやはり除去していくという基本方針を持つべきだと思いますから、そういった見地と、かつ日本人にとっても、掛けた分が反映されて、社会保険方式というお得意のことをおっしゃっているわけだから、そういった意味でも、二十五年の報酬比例の部分について、基礎の部分をどう考えるかというのはまた別にあるかもしれませんが、少なくとも報酬比例の部分について二十五年要件というのをもう少し見直していくということがあってしかるべきだと、このことを申し上げておきたい。また同時に、そのことが見直されていない今の状況の下でこの法律を進めていくときに、その部分についての片務性というのは厳然として残るということについては指摘をしておきたいと、このように思います。
 それから、最後のポイントになりますけれども、これはちょっと日本の年金制度のことになりますが、過般、二月六日に年金の暫定試算を出されました。そして、私自身が資料を出してくれということを言って、出していただいたことがございました。その延長線上に、四月二十六日に基礎年金とトータルの、モデル年金でございましたか、見通しを出したということが、社会保障審議会年金部会に出されたということがあったわけでございます。
 それについてひとつ注文をしておきたいと思うんですけれども、ある意味では分からなくもないんですけれども、それぞれ四十歳、四十五歳、五十歳、五十五歳、六十歳、六十五歳ということで、五年ごとの刻みで今回も出されていて、そして三年前の十六年の財政再計算のときもその刻みで出しておられるがゆえに、生まれ年が違う数字が並んでいて、結果としてそのときの人たちがどうなったのかというのは比較できないわけなんですね。
 ですから、そういう意味で、十六年の財政再計算のときの、例えば一九三四年生まれの方の基礎年金がマクロ経済スライドも掛かってこうなるよという数字で、実質価値がこうだという表になっているわけですが、同じ生まれ年の人が、今回の暫定試算ですね、それによってどうなったかというのがやっぱり分かるように、対比ができるように出すべきだ、せっかく出す以上そうあるべきだと思うんで、また追って出していただきたいと思うんですが、その点、局長どうですか。
#95
○政府参考人(渡邉芳樹君) 私ども、全く素直に善意で、審議会のお求めそれから先生のお求めもあったことを承知しながら、現時点における暫定試算をも踏まえた、各生年、つまり生まれた年ごとの基礎年金の受給額の変化というものをマクロ経済スライドとそれから既裁定、物価スライド制度というものとをかみ合わせてどのように変化するかということをお示しさせていただきましたので、どうしても平成十八年というのを起点として当該資料を作らせていただくというのが素直かなということで作らせていただいたところでございます。
 平成十六年のときに提出、公表させていただいたものは、当然、その当時のことでございますので、平成十六年度スタートでございます。したがって、一九三九年生まれ六十五歳という方を起点として数値を並べた経緯があるわけでございます。
 ひとつ、そうした非常に素直な経緯によるものということで御理解賜りまして、その間、例えば表示されていない一九四六年生まれ六十五歳時点の年金額というものはどうかと考えていけば、一九四四年生まれと四九年生まれの六十五歳時点の年金額のほぼ真ん中だろうというように御推察いただけていることだろうとは思います。ただ、そもそもその年齢の違いということだけではなく、再計算、暫定試算のそれぞれに基づく資料のベースになっている計数、例えば男子の標準報酬等々の違い、こういったものがあるものでございますから、単純にまた年度だけ合わせるといいのかということもあろうかと思います。
 そういった意味で、間を取って見ていただくということも加味しながら、また作り方等御相談させていただきたいと思います。
#96
○辻泰弘君 善意と素直と言う割には、余り善意と素直に満ちた答弁でもなかったようにも思いますけれども。
 正に善意と素直にやっていただいて、せっかくここまで出していらして、その違いを見ればいいし、違いがあるからって問題が出てくるわけじゃないんで、それはそれなりの論理性があって出てくるものですから、その間を見りゃいいだろうというと、私もその間を見るように見たんですけれども、やっぱりよく分からないんでございますね、数字がないと。ですから、その点についてはいずれかの時点でまた出していただくように申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、それにかかわってくるわけですけれども、日本の場合は物価スライド以外に、まだ適用はされておりませんけれども、マクロ経済スライドを掛けると、こういうことになっているわけですが。基礎年金相当部分に、物価スライド以外のマクロ経済スライド的な政策的な判断といいますか、考え方に基づくスライド制を設けて低下させている国があるのかどうか、そのことについて簡潔にお示しください。
#97
○政府参考人(渡邉芳樹君) これもかねて来御答弁申し上げておりますが、基礎年金も含めて負担に見合った持続可能な給付ということでマクロ経済スライドを導入しております。また、その基礎年金の部分についてマクロ経済スライドから除外をするということになりますと、その分、国民年金の保険料を更に三千円余り引き上げなければいけないというようなことにつきましても従来から申しておりますので、やむを得ざる措置というふうに理解しておりますが。
 各国において、この基礎年金制度と同様の仕組みということがある国、ない国がございますが、マクロ経済スライド的な仕組みというものを入れておる国というのは、御承知のとおり、スウェーデンにおきましては、各世代の平均余命の違いを定数化して年金額を決定する仕組みと、それに追加して経済要素、被保険者数の減少等々、こういうものを含めた自動調整制度が設けられております。また、ドイツにおいても、給付スライド率に年金受給者数と被保険者数との比率である持続性ファクターを反映させるという仕組みが二〇〇四年に成立したと承知しております。
#98
○辻泰弘君 最初から後半だけ言ってくださればいいんですけれども。
 そのスウェーデンの場合も、ただ最低保障部分は守っているわけですね。日本の場合は基礎年金相当部分にもマクロ経済スライド掛けているわけですよ。これはこの間の、前も議論をしたし、三年前からやっているわけだけれども、要は、元々、前回のその三月二十九日の局長答弁は少し基本的に方針を変更したんじゃないかと、もう一遍改めて聞きたいと思っていますけれども。
 例えば、平成十三年の小泉総理の本会議における答弁は、基礎年金の給付水準については、衣食住などの老後生活の基礎的消費支出を賄うという考え方に基づきということを言っているわけですね。それからまた、平成十六年の坂口厚生労働大臣、参議院本会議において、基礎年金制度につきましては、全国民共通の給付として老後生活の基礎的な部分に対応した給付を行うものだと、こういうふうになっているわけですね。また、高齢者夫婦世帯におきます衣食住を始めとする老後生活の基礎的な部分をカバーする水準と、こういうふうに言っているわけなんです。このこととこの間の局長答弁の整合性も一遍聞いておかないかぬわけですけれども、実質そのことを変更しているようなところがあると思っていますけれども。
 大事なところは、こういった基礎的な消費水準を賄うものだと言っていたものを、マクロ経済スライドを掛けて下げていくということは、やはりその分、考え方を根本的に変えているというふうにみなさざるを得ないわけなんですね。
 今おっしゃった部分、また時間を取ることと思いますが、ほかの国もやっているとおっしゃったけれども、スウェーデンにおいては恐らく最低保障年金の部分はマイナスはしてないんだろうと思うんですね。ですから、日本でいうならば、基礎年金の六万七千円相当的なものを下げていくという、物価スライド以上のスライド率を掛けて下げていくということはしてないんだろうと思うんです。
 その意味において、日本におけるマクロ経済スライドというものは、国民生活の基本の部分をやはり低下させるといいますか、その部分を、基本の部分を守るという根本を大きく転換したということで、私ども、かねてから指摘をし、問題だと言ってまいりましたし、今後また年金にかかわる議論のときしていきたいと思いますけれども、そのことについては極めて問題であって、それで、このことについての局長答弁というのは、今までの坂口大臣や小泉さんの答弁から逸脱しているといいますか、根本を踏まえてないというふうに御指摘を申し上げたいと思います。そのことについて一言御答弁ください、局長。
#99
○政府参考人(渡邉芳樹君) そうした総理や当時の大臣の御見解と相違しているものとは全く考えておりません。
 そもそも基礎年金というのは、高齢期の基礎的な生活費用に着目しつつ、現役時代の生活基盤や老後の備えと併せて自立した生活を可能とするという考え方の下に設定されておるわけでございます。マクロ経済スライドというものを確かにどこまででもやっていって、給付額がなくなるまでやっていったらどうかという架空の議論は別といたしますと、今般のマクロ経済スライド、二〇〇九年から二六年の間の期間、約一五%のカット、しかも名目額下限というものを入れながら徐々に行うという、高齢者等の生活の実態にも配慮した仕組みを取っているつもりでございます。
 そうした中で、その間の総計約一五%の給付水準調整というものを見てまいりますと、基礎年金夫婦お二人分の月額十三万何がしというものと基礎的消費支出十一万強というものとの間を見てまいりますと、今般のマクロ経済スライドというものの実施ということをもって直ちに根本的に、先ほど申し述べました、あるいは大臣も申しておりますような基礎年金の根本的な性格を変えているというところまでは至っていない、その基本は保っているというふうに考えておるところでございます。
#100
○辻泰弘君 時間が来ましたので終わらなければなりませんけれども、試算のとおり、マクロ経済スライドが掛かるがゆえに実質価値は低下していくということが将来明示されているわけです。そして、今まで衣食住などの老後生活の基礎的消費支出を賄うという考え方で基礎年金を設定してきたにもかかわらず、このマクロ経済スライドによってその基本を守ろうとしないということは極めて問題だと、この点について御指摘を申し上げ、また、このことについては今後また議論をするということを申し上げまして、私の質問を終わります。
    ─────────────
#101
○委員長(鶴保庸介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森ゆうこ君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。
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#102
○委員長(鶴保庸介君) 質疑を続けます。
#103
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日本の労働者が海外転勤を命じられた場合に、年金、健康保険は、会社が雇用関係がないと意思表示をしない限り適用が継続されるわけです。今回の法律によって、社会保障協定の締約国との関係では、年金、健康保険料の二重負担は解消されることになります。
 そこで、それ以外の保険について最初にお聞きしたいんですが、労災保険、雇用保険はこれは労働者の命綱でもあるわけですが、これはそれぞれ海外転勤の場合にはどういう扱いになるんでしょうか。
#104
○政府参考人(高橋満君) まず、雇用保険制度にかかわる取扱いでございますが、海外支店への転勤等になりました場合、これが雇用保険の被保険者が事業主の命により日本国の領域外において就労するということになるわけでございますが、その場合、この当該事業主との雇用関係が継続している限り雇用保険の被保険者資格は継続をする取扱いといたしております。
#105
○政府参考人(青木豊君) 労災保険についてでございますが、我が国の労災保険の適用範囲は、属地主義ということで原則として日本国内の事業場に雇用される労働者に限られております。しかし、海外転勤を含む海外に派遣される労働者につきましては、海外における労働災害保護制度が必ずしも十分でない状況等にかんがみまして、特別加入することができることとしております。
#106
○小池晃君 年金、健康保険、雇用保険については、雇用関係が継続している限り海外転勤したとしても被用者保険に加入し続けることができる制度となっているわけです。一方、今お話あったように、労災保険については、海外転勤についてこれは原則としては加入できないんですが、任意加入である特別加入制度によって労働者保護を図っていると。この任意加入であるがゆえにいろんな問題が起こっているので、今日その問題をちょっと取り上げたいと思うんです。
 最初に紹介したいのは、ある大手印刷会社に勤務していた方の事例なんですね。
 これは、中国の上海工場への出向を命ぜられて、二〇〇三年九月に赴任をされています。これ現地行かれて、業務遂行上の課題、それから前任者から引き継いだ不祥事の整理の課題、こういうのに追われる一方だった。国内で三か月間中国語の研修受けたんだけれども、言葉が通じないので現地労働者との人間関係に非常に悩んだと。国内では経理しか経験がなくて管理職でもなかったのに、中国行ったら総務部長になって、新会社の立ち上げ、事務、人事、経理、全部担ったと。向こうでは、三人で三百人の中国人の管理をしていたというんですね。この方は、長時間勤務と環境の激変の中で、赴任後わずか四か月でうつ状態で自殺に追い込まれて、死亡時三十四歳の方です。これ遺族が労災申請をしようとしたらば、会社が今お話あった海外勤務者の労災特別加入手続をしていなかったということが判明をいたしました。
 局長にお伺いしたいんですが、こういう場合、後から労災事故として救済するような手段はないんでしょうか。
#107
○政府参考人(青木豊君) 我が国の労災保険制度は、日本国内の事業について原則として労働者を一人以上雇用するすべての事業に強制適用されるということでありますので、事業を開始したときから当然に保険関係が成立しているわけです。このため、適用事業の場合には、事業の開始の日から当然に事業主は保険料を納付する義務が生じておりますし、保険関係成立の届出を行う前の災害についても、したがって補償を行うと。したがって、遡及的に保険料負担を求めつつ給付を行うということにしているわけです。
 しかし、今お話にありました特別加入につきましては、事業主が任意に、正に委員御指摘になりましたように任意で加入をするということができるということでありまして、加入を申請した後でなければ保険関係が成立しないというものでございますので、保険関係が成立する以前の事故について遡及的に保険給付を行うということはできないというものでございます。
#108
○小池晃君 この事案では、救済されないので会社を相手取って損害賠償訴訟が提起されています。
 裁判の中では、会社側は、被災者の業務上の負荷とか過重性を全く無視して、精神疾患と業務との関係ももう否定して、遺族に対して、不当な責任転嫁だと、会社に義務なきことを強いる難癖、言い掛かりのたぐいであり、非礼を通り越して言語道断であるという悪罵を浴びせ掛けているんですね。本件死亡事故の原因が外部的な要因ではなく家族の中に内部的要因としてあると、こういう主張まで会社側はしている。そもそもの過労自殺裁判が始まったころの、もう過労自殺が労災になるかどうかが問題になるような、そういうような闘いを一から繰り返すということになっているんですね。特別加入していたとしても、これは労災と認定されたかどうかは確かに分かりません。しかし、労災保険による救済が可能であれば、こんなひどい言い掛かりを投げ付けられることもなかったんじゃないかというふうに家族は切実な声を寄せておられるんです。
 それから、二つ目ちょっと紹介したいのは、これは同様に、日本の繊維商社に勤務されていた方なんですが、上海の子会社に現地工場に工場長として派遣されたケースなんです。これは、不良品が発生したり、従業員とのトラブルがあったり、通訳を通じての言葉の不便さ、先ほどもお話あったような同じような状況があって、日曜も休まず、ほぼ毎日朝八時から夜遅くまで仕事をこなしておられた。二〇〇四年十月に、日曜出勤で会議に参加しているときに廊下で倒れて脳幹出血で亡くなられて、死亡時四十九歳の方です。この方のケースは、日本の企業の側が派遣する段階でこれ業務委託契約にしているんです。雇用関係にないので何の責任もないんだというのが会社側の主張なんですね。
 局長、お伺いしたいんですが、こういうケースで労災保険に特別加入するというのは、これはそもそもできない仕組みになっているんでしょうか。
#109
○政府参考人(青木豊君) 海外の事業場に派遣される者につきましては、国内の事業主の命令で海外の事業に従事して、その事業との間に現実の労働関係を持つ者である限り、形態のいかんにかかわらず特別加入制度の対象となり得るというふうに思っております。したがって、業務委託契約という、名称がそういうことでありましても、その実態、今申し上げたようなことであれば、特別加入制度の対象となり得るというものでございます。
#110
○小池晃君 悪質な企業では、こういう法律上は雇用関係切って海外派遣するというようなこともあるので、この辺は非常に重大な問題だと思うんです。
 三つ目にちょっと紹介したいのは、これは実名で紹介したいと思うんですが、萩原幸次さんという方です。この方は、ライター製造大手の株式会社東海の課長さんでした。九六年の一月から中国の東莞工場に工場長として単身赴任をした。一九九九年の一月に合弁会社の佛山東海というのの社長兼東莞工場長の併任を命じられています。東莞工場が閉鎖して、同時に佛山東海の立て直しということがあって、非常に長時間過密労働を強いられた。九九年九月に一時帰国した際の健康診断では、高脂血症、心電図異常などで要治療の状態でした。そのまま中国に再度赴任をされて、一月後の十月二十三日に心筋梗塞で現地で死亡されて、死亡時五十二歳であります。こういうケース、本当に多いんですね。私も、今回この質問をするに当たって大変驚きました。
 遺族は、これは死亡が明らかに業務過重によるものだとしか考えられないということで、労災申請をした。これ、赴任を命じられた時点での佛山東海というのは、従業員数が三百人以下だということだったんです。これは当初から特別加入手続を行って、言わば派遣元の株式会社東海が特別加入の労災保険料を負担し続けていた。ところが、厚生労働省がこの労災申請があって調べに行ったらば、萩原さんが過労死したときの佛山東海の従業員数が三百人を超えていたということで、中小事業主としての特別加入は不可であると、労災の適用はないということで不支給を決定したというふうに聞いているんです。
 なぜこの人の場合は不支給ということになるんでしょうか。
#111
○政府参考人(青木豊君) 個別の案件について直ちにどうということはちょっと言い難いわけでありますけれども、今の一般的な問題として申し上げれば、中小企業である場合には特別加入ができるということになっておりますが、これは我が国の中小企業対策の一環として、中小企業基本法の中で規定されているような中小企業につきましては、そこの中小企業事業主については労災補償の対象にしようと。それは、業務の実態、災害の実情、そういったところから考えてそういう制度をつくっているわけであります。しかし、事業規模の変更によりまして特別加入制度の対象でなくなったという場合には、やはりこれはそういった制度の枠から飛び出るということでございますので、その時点で労災補償制度の適用対象にならないということになるというふうに思っております。
 しかし、中小企業事業主につきましては、事業活動の発展等によりまして、事業規模の変更、拡大によって中小企業の要件を超えていくというようなことも可能性として当然あるわけでございますので、こういったことについては、この制度の、特別加入制度の内容を十分に周知いたしまして、そういったことが十分事前に分かるように私どもとしては処理をしていきたいというふうに思っております。
#112
○小池晃君 ちょっと確認したいんですけれども、この場合、子会社の社長さんなんですね。で、海外なわけです。一般論でお聞きしますが、子会社の社長であっても、またこれがたとえ海外であったとしても、本社の具体的な指揮命令の下で仕事をしていれば労災保険上は労働者としての扱いになるという原則でよろしいですね。
#113
○政府参考人(青木豊君) 子会社というのがこれまたどういうものか厳密に整理をしなくちゃいけないと思いますが、通常、法人格を持っている会社であるということで考えますと、一般的にはそういった現地の法人の社長というのは労働者ではないということでありますので、海外派遣労働者としての特別加入制度の対象となる可能性はないだろうというふうに思っております。
#114
○小池晃君 しかし、この場合は中小企業主特例が適用される可能性があったわけです。
 大臣、今お話を聞いていただいて、この萩原さんの場合、佛山東海の社長さんになったときは従業員数が三百人以下だったんですけど、その後三百人超えたのでこの中小企業主特例の適用対象から外れると。中国というのは人口も多い国ですし、非常に労働力集約型の仕事ぶりしているところで、こういうケースというのはあり得るんではないかと思うんですが、私はこの話聞いて、こういうケースでこの適用から外れちゃうというのは、これは何とかならないのかなというふうにまず思ったんですけれども、今の話聞いていただいて、こういう方が中小企業主、加入したとき三百人以下だったのに、死亡したときにそれが三百人超えていたから適用対象でないということで労災の申請を却下されると、これはちょっと何とかならないんですか。
 ちょっと大臣、率直な御感想でもいいですけど。
#115
○国務大臣(柳澤伯夫君) 三百人以下の海外の事業場の代表者になって、それで中小企業主としての任意加入である特別加入制度を利用しているというケースでありますが、それはやっぱり常時三百人以上ということになりますと、やはりその適用要件を欠くことになるということは、これはもう内外の平等取扱いということからしても、それは貫徹されざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、今基準局長から答弁ございましたように、そういう不測の事態が生じないように、あらかじめ制度の趣旨というものを徹底しておくということが大事だろうと思います。
 一般論として、以上お答え申し上げました。
#116
○小池晃君 何か随分冷たいなという感じがするんですけどね。だって、やっぱり中小企業といったって、中国での企業規模と日本の企業規模って同じしゃくし定規に当てはめるということじゃないんじゃないかとも思いますし、こういう人のケースの場合は何らかの救済策あって私はしかるべきだと思うんですよ。
 ちょっと今いろいろとこの労災の問題について指摘をさせていただいてきたんですけれども、やっぱり任意加入の特別加入という制度の限界というのはやっぱりあるんだと思うんですよ。やっぱりこれ考える必要あるんじゃないか。これだけ経済がいわゆるグローバル化というふうに言われている中で、日本企業では普通の一般の労働者だった人が現地子会社に行って合弁会社なんかの社長なんかで派遣されるケースというのが非常に増えてきて、行く先としてはやっぱりアジア、中国、労災制度なんかが十分完備されていないという国のケースが非常に多いわけです。法制上、直接投資が認められていないというような場合で合弁会社を設立せざるを得ないようなケースもあって、そういう場合、実態としては生産拠点の責任者なんだけれども、現地会社では社長という、こういう扱いになるということもあるわけです。
 萩原さんのようなケースは、現地法人の社長と現地生産拠点の労働者を兼ねているという、そういう労働実態ですよね。こういう人の場合はやっぱり中小事業主の特別加入制度で労働者保護を図るしかないというのが実情としてあるわけですね。しかし、この中小企業特例というのが、国境を越えた企業の展開とかあるいは企業の海外進出の中で、やっぱり日本の条件を機械的に当てはめるということで対応できるのかということでは、実態に合わない面もあるんじゃないか。やっぱりこの特別加入制度の任意加入という問題をこのまま今の制度のままでいいのかということが一つですね。
 やっぱりこれは事業主が行う制度なんです。しかし、実際にその不利益を被るのは労働者なんです。だから、やっぱり労働者がある程度関与できるような仕組みというのも考えないといけないんではないか。あるいは、中小企業主特例というのも、今の実態に照らせば、やっぱりこれ一定の見直しということをやっていく必要があるんじゃないか。やっぱり国民の命や健康を守るという観点から、今九州の会社に派遣されるのと中国に派遣されるのとほとんど変わらないような感覚で企業行動というのは行われているわけですから、そういう中で海外に行った労働者の、あるいは国民の健康を守るという観点から、やっぱり一定の制度の見直しということをこの際やっていく必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#117
○国務大臣(柳澤伯夫君) まさしく九州に子会社を設けるのと中国に子会社を設けることとを余りもう意識しないというか、そういうボーダーレスの産業社会というか、経済社会が進展をしているわけでございます。
 じゃ、九州に子会社を設けてその社長さんになってもらうときはどうなのかというと、やっぱりこれは中小企業の特例で三百人以下である場合に初めて任意加入が可能になると、こういうことでございます。
 したがいまして、そういう内外を同じように扱うというメルクマールは、それは小池先生、中国の人は人海作戦あるいは労働集約型の企業なんでそこでしんしゃくされるべきだというようなお考えは、それはそういう経済的な意味では分かりますけれども、この制度のこの枠組みというものをそれで、では円滑にあるいは公平に運用できるかというと、私はそうではない。やはりここはやっぱり三百人以下というところは守らざるを得ないのではないかと、このように考えます。
#118
○小池晃君 じゃ、特別加入制度についてもやっぱり見直しというのはこれ全く考える余地ないという、そういうことですか。
#119
○政府参考人(青木豊君) 特別加入制度は、正に特別加入ということでありまして、元々労災保険制度が事業主の労働者の災害補償に対する災害補償責任ということで出発をし、それをベースにいたしているわけでございます。
 その際に、この特別加入というのは、先ほども申し上げましたが、一定の中小企業の方には、労働者と実際に一緒になって働いて作業実態が同じようで、なおかつそういう意味では発生する災害が同じようなものがあると、そういう場合には特別に労災補償保険の中で補償していくということもいいではないかということで、任意の制度としてそういう特別加入制度を設けていると。そういう制度の趣旨からいたしまして、それを広範に認めていくというのはなかなか難しいというふうに思っております。
#120
○小池晃君 非常に冷たい答弁なんですが、やっぱり労働者はそういう中で本当に命奪われている実態あるわけですから、それに対してどうするのか、これまともに真剣に考えていただきたいというふうに思います。
 それから続いて、年金の問題ですが、この協定が結ばれてきて、アメリカの問題を聞きたいんですが、アメリカの年金期間を通算して日本年金を受給した人と、日本年金を通算してアメリカ年金を受給した人の数はどうなっていますか。
#121
○政府参考人(青柳親房君) 今アメリカについての実績ということでお尋ねがございました。
 受給している人間の数がどうかということでのお尋ねでございましたので、平成十七年の十月から本年の三月末までの実績でお答えいたしますと、実際に裁定が行われた件数ということでお答えいたしますと、日本の国民年金、厚生年金については七十四件、それからアメリカの年金については日本に在住しているすべての申請者に対する裁定の件数が、昨年のこれは十二月までの実績ということですが、五千三百七十二件というふうに承知をしております。
#122
○小池晃君 非常に大きな乖離があるわけですね。これはやはり、先ほども議論ありましたけれども、もちろんアメリカ在留邦人と在日アメリカ人の数の差もあると思いますが、日本とアメリカの年金の最低加入期間の差というのもここには何らかの形で影響しているのではないかと思うんですが、いかがですか。
#123
○政府参考人(渡邉芳樹君) 日本とアメリカのそれぞれのサイドからの年金の請求、裁定件数に大きな差があるというのは御指摘のとおりでございます。
 そして、その原因というのは私ども必ずしも明らかにでき得るものではございませんが、もちろん私ども及びアメリカ当局の広報、周知の努力と、こういった点もあろうかとは思いますが、基本的にはやはり日本からアメリカに派遣されている民間企業関係者数が五万四千人を超えているのに対して、アメリカから日本に派遣されている企業内転勤者の人数が一千三百人ぐらいと、こういう差がどうしても大きくあるのではないかと。
 また、日本には独特の外国人脱退一時金制度もあるというようなことで、それで終了してしまうという方もいらっしゃるのかと思いますので、確かに最低加入期間の違いというものが両国の制度にあるわけです、十年と二十五年とあるわけでございますが、全く関係がないかというと、よく断じ切るわけにはいきませんけれども、大きな影響をそこに及ぼしているというふうに私どもは考えておりません。
#124
○小池晃君 全く関係がないわけではないと。
 先ほども議論ありましたけれども、主要国では年金の最低加入年限はゼロから十年、日本は二十五年、余りに長いと思うんです。これは確立した国際標準があるわけではないと思うんですが、やっぱりこの長い最低加入年限の問題というのはこれは考える必要がある。これは国際比較の問題だけじゃなくて、やっぱり無年金者を生み出している一つの大きな原因にも私はなっているんじゃないかと、二十五年支払わなければ掛け捨てになってしまう。
 日本の場合、一階も二階も現時点では保険主義になっているわけです。保険主義ということでいえば、やっぱり払った分に見合う分をちゃんと給付するというのは、これは原則のはずなんです。ところが、二十五年たたなければゼロになってしまう。これはやっぱり保険原理でやるという皆さん方の主張で、我々は最低保障年金という制度を提案していますが、しかし、保険主義という建前に立ったとしても、二十五年払わなければカムバックしないという制度は、私はこれはおかしいと思うんですよ。
 大臣、やっぱりこういう国際的な言わば本当のグローバルスタンダードということから見ても、余りにも懸け離れた、二階だけとは申しません、私は、一階も含めて、やっぱりこの二十五年の最低加入年限を見直す、せめてアメリカ並みに十年、こういうことを検討すべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
#125
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私ども、税方式との比較を論議する場合に、私どもは社会保険方式がいいという意味で社会保険方式ということを申し上げます。しかし、年金全体を議論するときには、それに加えて、世代間扶養であるとか、あるいは先ほど来いろいろな御議論があるように、年金の機能ということも併せ考えて我々の年金は構成されているということを御説明させていただいているというふうに認識をいたしておりまして、そのとおりの制度になっているということでございます。
 私どもの年金の制度といたしましては、やっぱり日本国民を考えまして、国民の皆さんが二十歳から六十歳なり六十五歳なりまで保険料を支払う期間が設けられているということの中で、まあ二十五年ぐらいを最低納めていただくということを基本としてこの年金を構成しているということでございまして、いろいろ国際的な中で協定が行われるわけですが、そうしたそれぞれの国、土壌の中で構成されている年金は相互に尊重する中で今の国際的な活動に対する手当てをしていこうと、こういうことであろうと思いまして、私ども、現在の制度は我が国に適切な制度であると、このように考えているということでございます。
#126
○小池晃君 日本国民のためにこそこれは見直すべきであるというふうに申し上げます。
 終わります。
#127
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 包括特例法の制定によって、これまでの個別に協定を締結し国内法を整備するといった一連の流れは具体的にどのように変わるのでしょうか。
#128
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障協定の締結に関しまして、従来より、協定締結に向けた相手国との交渉と並行いたしまして、その協定を実施するための国内法制の整備という作業を各国ごとに私ども行ってきたということでございますが、これまでの経験、七か国、八か国との経験を踏まえ、ノウハウは蓄積されたということで、今般の包括特例法を提案させていただいているわけでございます。そういたしますとどこが変わるかというお尋ねになりますが、各国ごとの法律の内容をすべて網羅した特例法でございますので、個別の国内実施法の整備という作業が不要になります。
 したがいまして、個別の国との協定については別途、外務委員会になりますが、国会の承認をいただくべく政府から提案をさせていただいた後、御承認をいただいた際には、次の段階で両国の実施機関の間の実務的な協議、第三段階として公文の交換の手続、こういうことを終えて協定が発効するわけでございますが、その時点で、あらかじめ今回用意してあるというふうに御提案をさせていただいている包括実施特例法がその時点で発動される、こういう順序になるわけでございます。
 総じて申しますと、協定発効までの過程において個別実施法の整備という作業がありませんのでプロセスが迅速化される、それから、多数の国との積極的な協定締結に向けた外交当局と一体となった私どもの作業を機動的に実施していくことが可能になる、総じて協定締結の加速化が実現できるということに今回の法律制定によって変化するものというふうに思っております。
#129
○福島みずほ君 中国、ブラジル、タイ、シンガポール、フィリピン、インドネシアなどとの人的交流が増えているにもかかわらず、今まで協定締結の交渉が実施されていない理由はそれぞれ何でしょうか。
#130
○政府参考人(渡邉芳樹君) 各国には各国独自の社会保障制度、あるいはまだまだ未整備なところというところもございますが、今御指摘いただいた我が国の人間がたくさん行っておられる国々がまだまだあるわけでございます。ただ、そうした当該国に赴任している日本人の数とか、こういうような人の数だけではなくて、ちょっと冒頭申し上げましたような相手国の社会保障制度における社会保険料の負担の有無あるいは規模、在留邦人や進出日系企業の状況、両国ともかも分かりませんが、経済界からの具体的な要望の状況、相手国政府との関係において先方の要望も含めたどういう二国間関係というものがあるか等々を総合的に考慮をしながら、とりわけ相手国の社会保障制度と我が国の制度の違いといったことも加味しながら外務省と相談して進めてきているところでございます。
 今例示していただきました国々、一括して一緒というわけではございませんけれども、そもそも社会保障協定の前提となる制度が十分に発達していないという国もある、あるいは中国のように制度があっても外国企業駐在員への適用が免除されているというケースもある、関係方面からの現段階での特段の要望の状況と、こういったところから、御指摘の国々については現時点での優先度が高いところには来ていないというのが実情でございます。
 なお、御指摘の国の中にブラジルが交じっておりましたけれども、ブラジル側からの申入れもあり、平成十七年九月にブラジル当局との意見交換を行うことを目的とした社会保障作業委員会第一回会合というのが開催された経緯がございます。私どもとしては、引き続き相手国の御意見も踏まえながらですが、社会保障制度の内容、加入の実態等を把握させていただきながら、引き続き両国間で情報交換を行いつつ今後のことについて検討してまいりたいというふうに考えております。
#131
○福島みずほ君 年金制度や医療保険制度のない国があったり、制度が違うという指摘がありました。確かに中国や他の国でそれはあるかもしれません。しかし、今まで協定締結交渉開始の申入れがあった国は、今局長がブラジルの例を出されましたけれど、ルクセンブルク、フィリピン、オーストリア、アイルランド、スイス、スウェーデン、ハンガリー、これなど具体的に申入れがあります。
 それから、スウェーデンや主にヨーロッパの国はむしろ日本以上に社会保障制度や年金制度が完備をしている国であり、スウェーデンなどなぜ遅れたかというふうに思いますが、なぜ遅れてきたんでしょうか。
#132
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障制度が発達した国々との間でも、なお私ども今後努力していかなければならない相手国というのが多々あると思っております。
 OECD諸国ということで見ますと、先進諸国という意味で、かなりこれまでの協定締結及び今準備しておるところを加味しますと、大多数の駐在の日本の企業関係者というものをカバーできるような事態がだんだん近づいてきているというふうに承知しておりますが、御指摘のありましたルクセンブルク、これは確かに一九八七年に御要請をいただいたという経緯がございます。先ほど申しましたような様々な事情を考慮しながら、外務省とも相談しながら交渉の優先順位などを選択しておるわけでございますが、当該ルクセンブルクにつきましては、最近に至っての相手国からの御要請の状況というものがどうであるかということなども踏まえますと、外務省との相談の中では現時点で高い優先順位のところにあるとは言い難いというのがどうも実情のようでございます。この辺、もう少し外務当局ともよく相談をしてみたいと思っておるところでございます。
 また、スウェーデン国につきましては、これは率直に申し上げて、日本から先方に企業関係者として派遣されている人の数というのはかなり小さいんでございますが、私ども、御承知のように、スウェーデン国の社会保障制度を非常によく勉強さしていただく機会が多いものでございますから、私どもとしてはいつでも協定締結の協議を始める用意がありますということを先方には伝え続けてきたところでございます。ここのところに参りまして、先般も我が大臣と先方の社会大臣との間で、レター・オブ・インテントということで、今年度中にもまず相談のための会合をつくろうというところまでようやくこぎ着けたというような状況でございます。
#133
○福島みずほ君 もちろん、包括特例法ができて今度これが促進されるので、是非それを頑張ってほしいというふうに思っていますので、今日はなぜ遅れたかということを延々聞くという場では全然ないというふうには思っております。
 ただ、先ほどの答弁も他の委員に対する答弁もそうなんですが、ルクセンブルクは昭和六十二年に向こうから申入れがあるのに、優先順位が遅いということで、外務当局の遅れたということも実は全く理解できませんし、スウェーデンは、局長も含めて大使館でいたり、留学をされていたわけで、もう社会保障制度が完備していて、これがどうしてできないかというのも、なぜこんなに遅れるのか理解ができません。
 これから、包括協定ができたとしても、各国との交渉にとにかく入っていくわけですから、日本から行っている人数が少なかったり外国から来ている人数が少なくても、その一人一人にとっては莫大なお金だったり負担なわけですから、人数が少ないとか優先順位が外務当局から低いと言われたところで、むしろそういうところを丁寧に素早くやるのが大変必要だと思います。この法案が、これが実現した後に各国との交渉に入るわけですが、是非それは、人数の多寡やいろんなことに関係なく、外務当局に関係なく、それはやっぱり行っている日本人と来ている外国人を救済するという観点から迅速にやっていただきたい、変な優先順位に惑わされずにちゃんとやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#134
○政府参考人(渡邉芳樹君) 社会保障を預かる当局といたしまして本協定というのは、単に二重適用の防止による企業負担の軽減とかいうことに本質があるということではなく、個々人が海外と行ったり来たりする、そうした経済活動を行うグローバル化した世の中の中で、本人の将来にわたっての年金権というものを国をまたいでつないでいけるような、そして将来において老後保障の支えというものをしっかり得ていただくというためにも非常に大きな効果がありますので、私どものサイドからいたしますと、今般のスウェーデンなどというのは典型的でございますけれども、数が少なくてもやはりしっかり交渉の対象にのせていくという努力を私どもサイドとしては常に意識しながらまたやっていきたいと思いますが、もとよりこれは両国の外交的な判断というものも避け難く入るものでございますから、その点は、立場は立場といたしまして、よく外務省と協力して更に作業を促進するように努力してまいりたいと思います。
#135
○福島みずほ君 ルクセンブルク、フィリピン、ブラジル、オーストリア、アイルランド、スイス、スウェーデン、ハンガリーなどは申入れがあるわけですよね、向こうから。ですから、是非、外務省の優先順位というのはあるかもしれませんが、厚生労働省の優先順位はとにかく人数の多寡やそういうことには関係ないと、ここは、申入れがある国も含めて、各国との交渉をやはり迅速に頑張っていただきたいということで、私たちがこの委員会で将来こういうふうにうまくいっていますという報告を迅速に受けられるように心待ちをしておりますので、よろしくお願いいたします。
 これまで社会保障協定を締結した国のうち、日本企業が海外に派遣した社員や労働者が負担する保険料の総額はどのぐらいになっているんでしょうか。
#136
○政府参考人(渡邉芳樹君) 少し真正面からのお答えにならないかもしれませんが、実に御指摘の点の一部であり、この協定の効果ということにつながることでお答えに代えさしていただきたいと思います。
 これまで締結した社会保障協定によって、日本側の企業の保険料負担軽減効果が総額幾らになるかというふうな目で見ますと、最初の国、平成十年、ドイツから順に申し上げます。ドイツの場合は約三十億円、イギリスの場合は約五十億円、アメリカの場合は約六百億円、韓国の場合は約六億円、フランス約百十億円、ベルギー約四十億円、カナダ約三億円、オーストラリア約九億円となっております。基準時点、平成十年以降それぞれの年に推計させていただいたものでございますので、厳密な足し算というのは的確ではございませんが、今申し述べましたものを機械的に足し上げてみますと、総額年間約八百四十八億円の負担軽減ということになるというふうに思っております。
#137
○福島みずほ君 いや、非常に巨額なお金になりますので、是非これからも進めていくようよろしくお願いします。
 また、これまで社会保障協定を締結した国からの企業や労働者が日本において支払う掛け捨てはどの程度になっているのでしょうか。
#138
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今の御質問につきましても、ストレートではないけど、まさしくそれに相当するような数字ということで私ども見積りを出しております点について申し上げます。
 これはかなり機械的に計算するしかない、先方の国が計算した数字ではないという点をお断り申し上げたいと思いますが、これまで社会保障協定を締結、署名いたしました国について、日本の年金制度に対して負担していたのだけれどもこの協定によって負担することを要しなくなった、こういうことを、日本に滞在する各国の企業内転勤者数を私どもの厚生年金の現在の保険料率を基に機械的に見積もった場合で順に申し上げます。ドイツ約八億円、イギリス約十一億円、アメリカ約四十億円、韓国約三十一億円、フランス約十四億円、ベルギー九千万円、カナダ、全部約でございます、約二億円、オーストラリア約三億円と、こういうふうに見込んでいるところでございます。
#139
○福島みずほ君 両方の金額がやはり多額で、特に日本企業で海外に進出した場合は、さっきのざっと試算しただけでも八百億円以上ですので、二重に保険料を払うという問題はやっぱりサラリーマンにとっても企業にとっても非常に負担だったというふうに思いますので、是非、今後もできるだけ早急に軽減ができるようにお願いをいたします。
 それで、ちょっと変な質問かもしれないんですが、外国人の労働問題や労働相談、生活相談をしていると、例えばノンドキュメンテッドワーカー、いわゆる不法就労の人たちも、例えば働いていると保険料が引かれる場合がある。もちろん、合法的に働いている場合は今後この協定に入ると思うのですが、ノンドキュメンテッドワーカーの人たちで働いていると自動的に今引かれるわけですよね。その点はどういうふうに今後なっていくのでしょうか。これはちょっと質問通告していなくて済みませんが、お願いします。
#140
○政府参考人(渡邉芳樹君) 二、三押さえておくべき点があろうかと思います。
 一つは、我が国の厚生年金保険制度は国籍にかかわらず内外無差別ですべての労働者に適用するということを基本としておりますので、外国人であるか否かということにかかわらず厚生年金保険が適用されるというケースが多々ございます。他方、今おっしゃられている中で、なかなかデリケートなところでございますが、不法就労者と結果として言われる方々もおるわけでございますが、社会保険の現場において、厚生年金や健康保険の場においてその事業主が不法就労であるということを分かっていながら使うということについては、これを差し控えていただくように、これまでいろんな機会がありましたときに通知その他で態度を明らかにしているところでございます。
 ただ、現実問題として、おっしゃられるように、双方善意で、あるいは事業主の方がとりわけよく知らないで、内外無差別ということで給与から天引きしてしまったと、こういうような事態が発生しないというわけではないと思いますが、内外無差別とはいえ、適法に在留しておられる外国人であることを前提に制度を運用しているということでございます。
#141
○福島みずほ君 局長おっしゃったとおり、労働法制は、不法就労か合法就労か関係なく労働法制が適用になるので天引きされるわけですよね。不法就労が法違反だということは理解できるのですが、結果として起きた場合のこの谷間みたいな問題についても是非御検討いただくようお願いをいたします。
 先ほども、ルクセンブルクからの協定申入れが二十年以上経過しているけれども解決しなかったと。私の要望としても、優先順位が低いとかいうことではやらずに頑張っていただきたいというふうに思うんですが、今後のことについてお聞きをいたします。今後、各国との社会保障協定を進めていく上でどのような基準で選定をしていくのか、また今後の交渉予定国の順番はどうなっているのでしょうか。
#142
○政府参考人(渡邉芳樹君) 諸外国との社会保障締結に向けましての政府としての判断の要素というものをまず申し上げたいと思いますが、相手国の社会保障制度における社会保険料負担の状況がどうなっているか、第二点目に、在留邦人の数や進出日系企業等の状況がどうなっているか、これは御意見ございましたけれども、現実問題としてそのような点も留意しております。それから、関係方面からの具体的な要望の多寡、あるいは先方の政府からどういうような要請があるかということも含めた二国間関係がどういう状況にあるか。それから、我が国と相手国との社会保障制度の違い等を総合的に勘案しながら、先ほどもお答えしたとおり、私どもは私どもなりの見方もないわけではございませんが、外交当局と相談しながら締結国を選択しておるというところでございます。
 近未来のところで申し上げますと、まず政府間交渉中でかなり合意に近づいてきているところというのはオランダがございます。そのほか、それには至っていませんが、意見交換会の回数だけで順序を申し上げますと、チェコ、それからその次にスペイン、その次にイタリア、そして現在リストに載せている中では最後にスウェーデンということになっておるところでございます。
#143
○福島みずほ君 ただ、二重払いを強いられる会社員の人にとっては、行っている日本人が多いかどうかということは関係なく、自分が二重取りされることは歴然とした事実としてあるわけですよね。仮に日本人が少なくても、やっぱりそれは考慮していただきたいというか、行った国がたまたま日本人の数が多いかどうかによって優先順位が違うというのも非常に変ですし、特にヨーロッパなど、OECDの加盟国など、先ほどからルクセンブルクとスウェーデンが出ていますが、別に遮断をする必要がないような国がなぜ、優先順位が低い、日本人の数が少ないということで協定できないのかと思いますので、今、オランダ、チェコ、スペイン、イタリア、スウェーデンと名前が挙がっておりますが、是非、相手国からの協定の申入れがあるところなどはやっぱり何十年と放置してきているという面もありますから、是非率先して取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
#144
○政府参考人(渡邉芳樹君) 御指摘のルクセンブルクにつきましては、先ほども申し上げましたように、当時御要請があった事実はございますが、最近必ずしも十分意見交換等々の機会がございません。外務省とも相談しながら、どういうふうに判断していくか、改めて検討さしていただきたいと思います。
#145
○福島みずほ君 よろしくお願いします。
 ところで、今年四月、五月、メーデーに幾つか参加をしました。その中で、特に若い人たちが自発的にやっていた自由と生存メーデーにも私も参加をし、デモ行進も二時間一緒にやりましたけれど、若い人たちの雇用が余りに本当に切実になっているということを、いろんな話を聞く中でも実感をまた新たにした次第です。本当に給料が少ないとか履歴書が書けない。
 その中で、かつてこの委員会でもネットカフェ難民についての質問がありましたが、ネットカフェ難民が社会問題化していますが、厚生労働省としてどのような認識をしているのか。路上生活者に対する対策とネットカフェ難民等の扱いについてどうしようとしているのか。ネットカフェ難民が生まれてきた背景をどのように分析しているのか、教えてください。
#146
○政府参考人(高橋満君) 今委員御指摘のようなインターネットカフェなどで寝泊まりをしておるいわゆるネットカフェ難民、そのほかのいろんな言い方で報道をされているようでございます。そうした方々の中にはいわゆる日雇派遣といったような日々雇用の形態で労働に従事する方も存在をしておるということも指摘があるわけでございます。
 こうした方々と路上生活者、いわゆるホームレスの方との違いと申しますか、状況の相違と申しますと、例えば路上生活者の場合は公園等で起居する中高年齢者が大変多い中で、大変極めて少ない収入のために食事の確保とか健康面での問題を抱えておるということで、これに対応した自立支援センターを通じた宿泊、食事の提供、健康診断、生活相談・指導等を行うとともに、ハローワークとの密接な連携の下で職業相談を通じて自立を支援をいたしておるわけでございますが、一方、ネットカフェ難民と言われる方々は、それなりに仕事をされておる方が多いわけでございますが、ただ、ここに寝泊まりしておる理由としての一つとして、住居が失われておるということと同時に、先ほど申し上げた日々雇い的な不安定な就労を繰り返されているという観点から考えますと、住居の確保とかより安定的な就労機会の確保ということが非常に中心的な課題になるんだろうというふうに受け止めておるところでございます。
#147
○福島みずほ君 厚生労働省は実態調査をするということですが、いつ、どの程度の規模で行うのでしょうか。
#148
○政府参考人(高橋満君) インターネットカフェで寝泊まりしておられる方は、実はこういう日々雇いの方だけではなくて、様々な理由でどうも寝泊まりをされておる方がおられると。そういう中で、率直に申し上げまして、その外見から一般のネットカフェ利用者といわゆる日々雇い的な形で働いておられる方との区別というものがなかなか付き難い面がございます。その意味では把握というものも非常に困難を極める可能性があるわけでございますが、しかし、私どもとしても可能な範囲で、例えば派遣元事業主を通じた調査、あるいはNPO団体等の協力をいただきながらの調査等々で、いわゆる日々雇いで働く派遣労働者等を中心にした実態の把握ということを努めていきたいということで、現在具体的な調査の方法についていろんな関係の方々とも御協議させていただきながら詰めておる最中でございます。
#149
○福島みずほ君 首都圏青年ユニオンが行った実態調査についての結果を私はいただきました。ひどい状態なので。これは、労働法制の規制緩和が進み、特に労働者派遣が原則自由となったことで劣悪な雇用が拡大したことに根本的な問題がある。今局長おっしゃったように、日雇派遣というものが出ていることも問題です。低賃金の労働、不安定な雇用、この問題を解決しなければ根本的な解決にならないということを申し上げ、質問を終わります。
#150
○委員長(鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(鶴保庸介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、浮島君から発言を求められておりますので、これを許します。浮島とも子君。
#152
○浮島とも子君 私は、ただいま可決されました社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、本法が社会保障制度における二重負担の解消や保険料の掛け捨て防止などを目的とし、かつ、その推進を図るためには関係団体、関係者の理解が不可欠であることにかんがみ、特例適用の対象国や制度の内容などについて、事業主、被保険者等に対する広報活動を積極的に行い、その周知徹底に努めること。
 二、今後、新たに社会保障協定が締結され、本法に基づく特例規定が発動されることになる場合には、その協定により特例適用となる内容について、本委員会に対し、速やかに報告を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#153
○委員長(鶴保庸介君) ただいま浮島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#154
○委員長(鶴保庸介君) 全会一致と認めます。よって、浮島君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、柳澤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柳澤厚生労働大臣。
#155
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#156
○委員長(鶴保庸介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#158
○委員長(鶴保庸介君) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。柳澤厚生労働大臣。
#159
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、就業形態が多様化する中で、短時間労働者については、その数の増加とともにその果たす役割の重要性も増大してきておりますが、短時間労働者の待遇は必ずしもその働きに見合ったものとなっていない状況にあります。短時間労働者一人一人が安心し納得して働くことを可能とし、ひいては我が国の経済社会の活力を維持していくためには、多様な働き方に応じた公正な待遇を実現することが極めて重要な課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、政府といたしましては、短時間労働者について、通常の労働者との均衡の取れた待遇の確保等を図り、その有する能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、その労働条件について文書の交付等により明示するとともに、短時間労働者からその待遇について説明を求められた際には説明をしなければならないこととしております。
 第二に、通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、その待遇について短時間労働者であることを理由とした差別を禁止するとともに、それ以外の短時間労働者についても、通常の労働者との均衡の取れた待遇の確保を図るために事業主が講ずべき措置を定めることとしております。
 第三に、事業主は、その雇用する短時間労働者について、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じなければならないこととしております。
 第四に、短時間労働者と事業主との間の紛争の解決を図るため、都道府県労働局において調停等を行うこととしております。
 第五に、指定法人である短時間労働援助センターの業務の見直しを行うこととしております。
 最後に、この法律は、一部を除き、平成二十年四月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#160
○委員長(鶴保庸介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#161
○委員長(鶴保庸介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る十六日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#164
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、郡司彰君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#165
○委員長(鶴保庸介君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、年金、医療等に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#166
○山本孝史君 山本でございます。
 ありがとうございます。皆さんに大変御心配いただきまして、また今日はこうして質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。恐れ入ります、立ったり座ったりがちょっとあれですので、座らせてやらせていただきます。申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
#167
○委員長(鶴保庸介君) どうぞお座りください。
#168
○山本孝史君 ありがとうございます。
 今日は、日本のがん対策について中心的に、私の体験を踏まえてお話をして、また大臣と皆さんの御見解を承りをしたいというふうに思います。
 去年の六月に成立をしましたがん対策基本法、この四月一日から施行をされております。その後の動きについて、喜びとともに御報告申し上げたいというふうに思っておりましたけれども、対策協議会での議論をずっと傍聴しておりますと、残念ながらとても喜んで報告するという内容ではないように思っております。
 がん対策基本法は、多くの先輩のがん患者が正に命懸けの活動によって、また島根県の佐藤均さんに代表される行動するがん患者が、坂口力先生、尾辻秀久先生、川崎二郎先生、歴代厚生大臣、あるいは党派を超えたがん医療の推進を願う国会議員との共同作業によって大きく前進をしてきたというふうに思っております。このがん対策を更に充実させ、発展させる目的で今回のがん対策基本法が制定をされていると私は理解をしております。
 そこで、恐れ入ります、昨日の夜遅くまで質問取りをお付き合いいただきましてありがとうございました。一晩考えるとまた質問が変わって申し訳ないんですけれども、大臣にまずお尋ねをしたいんですけれども、がん患者本人が喜ばないがん対策推進基本計画の策定など私は言えないというふうに思いますけれども、大臣も同じお気持ちを持っていただけますでしょうか。
#169
○国務大臣(柳澤伯夫君) がん対策基本法を山本委員などの諸先生、また当省の先輩大臣のお力でもって成立をするという状況になりまして、その基本法に基づいてまず手掛けなければならないのは基本計画であると、こういうことでございまして、この基本計画につきまして、現在、これまた基本法の中で設置がうたわれましたがん対策推進協議会において御審議をいただいているところでございます。この協議会で今鋭意この検討が行われておるのを私としては見守らせていただいているわけでございまして、もとよりその結論というものにつきましては、本当にがんを患われる患者の皆さんにも、今委員が御指摘のように、歓迎される、喜んでいただけるものになることを私としては強く期待をいたしておるところでございます。
#170
○山本孝史君 ごめんなさい。大臣の立場で期待しているというふうにおっしゃいました。私が申し上げたのは、結論として出てくるがん対策推進基本計画の内容が実態としてどうなるかということがとても大切で、その内容についてがん患者が、今申し上げましたように、私が別に作ったわけではありません、多くのがんの先輩患者の皆さん方が自分の命と引換えに、言わばこういうものが欲しいんだと、こういうふうにがん対策が進んでほしいんだという、例の混合診療の解禁の中でもおっしゃってこられて、皆さん病を押して東京へ来られて歴代大臣とお会いになって、そしてそういう思いが今度の法律に結実しているんですね。
 そこで、出てくる基本計画が、もう皆さん亡くなっておられますけれども、その方たちにこんないい計画ができましたということで喜んで報告できないということでは、本当にそれに続いておりますがん患者としてはどうしても受け入れ難いという、もちろん完全なものはないと思いますけれども、そういう中で喜ばれない、当事者のがん患者に喜ばれないような計画というものは、あるいはそこに後ほど申し上げます全体目標という、これから先の目指していくべきゴールにするものが喜ばれないようなものでは、私はやっぱりあってはならないというふうに思っておりますので、そういう素朴な思いでございますけれども。
 ところで、大臣もそういうお気持ち共有していただけますねと、同意いただけますねと、こういうふうにお尋ねをしているんです。もう一度お願いします、ということでよろしいですね。
#171
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、私はこの基本計画について、協議会において御議論をいただいておるところでございますので、その結論が、今言った、本当にがん患者の皆さんに喜んでいただける、そういうことを期待しているという言葉遣いをさせていただいたわけでございますが、主体的にももとよりそのように考えているということでございます。
#172
○山本孝史君 ありがとうございます。
 では、具体的にがん対策推進基本計画についてお尋ねをしたいんですけれども、済みません、今日ちょっと時間がなくて皆さんにお配りできないのですが、第二回のがん対策推進協議会で、この協議会の事務局をしております厚労省健康局のがん対策推進室からがん対策推進基本計画イメージ、たたき台というものが示されまして、そこに全体目標として二つ挙がっております。一つはがんによる死亡者の減少、もう一つはすべてのがん患者の苦痛の軽減という、この二項目が挙がっているんですね。私、このがん対策推進基本計画で示される全体目標というのは、今後国を挙げて総合的に展開する日本のがん対策の総合戦略によって、この基本計画の見直しであります遅くとも五年後あるいは更に五年後の十年後までに必ず達成しようとしている目標だというふうに理解をしております。
 これは局長でも結構でございますが、協議会でのこれまでの議論を通じて、このがんによる死亡者の減少はいかなる施策をもってすれば達成するのか、またその施策の具体的な目標及びその達成の時期について、これは法律九条二項が原則としてその時期あるいは目標を定めろと、こうなっておりますけれども、このがんによる死亡者の減少をどのようにして達成するのかということについて、どこまで合意ができているのかということを、是非御説明をいただきたいと思います。
#173
○政府参考人(外口崇君) 御指摘のがんによる死亡者の減少についての議論でございますけれども、現在までの議論では、まず年齢調整死亡率を用いて、なおかつ七十五歳以下を二〇%死亡率を減少させようということで議論が進んでおります。それで、全体目標としては当面十年間ということを、これはまだ決まっているわけではありませんけれども、一つの目安として議論されております。
 どうやってそれを達成していくかについてでございますけれども、前回がんセンターの専門家から出たデータによりますと、死亡率の減少は主として三つの方法、一つはがんの予防、それからもう一つはがんの検診、それで三つ目が医療でございますね。均てん化、特にその中でも放射線療法とか化学療法とか、そういった治療法を均てん化も含めて進めることによってトータルで減らしていこうということでございます。それぞれの割合でございますけれども、そのがんセンターの専門家が出したデータでは医療の占める割合が一番大きいことでございました。
#174
○山本孝史君 今後十年間、七十五歳以下というのは、高齢者の死因ということの確定、なかなか難しくて、それが統計数字に影響するということがあるので、一応七十五歳以下の人たちを対象に、二〇%死亡者の数を減らすと。それは予防と検診と医療、医療は今御説明いただいたその均てん化、放射線や化学療法の推進と、こういうことで今御説明をいただいたわけですね。
 恐れ入りますけれども、今お使いになりましたその均てん化という言葉なんですけれども、均てん化というのはどういうことを意味しているのか、どういう意味合いで均てん化という言葉をお使いになっているのか、御説明をいただけますか。
#175
○政府参考人(外口崇君) 均てん化という言葉は、単に地域の格差をなくすということではなくて、幅広く各地域での医療の体制を底上げしていこうという意味にとらえております。
#176
○山本孝史君 済みません、ありがとうございます。今、格差をなくすということだけじゃなくて、その底上げをするんだと、こうおっしゃったわけです。済みません。(資料提示)
 今、がん医療、地域でのばらつき、施設間のばらつき、いろいろありますけれども、結局こういうふうに波を打っているというか、高い山もあれば、低い山もある、あるいは底もそれぞれあるわけですね。こういう中で、均てん化ということは、普通には、みんながひとしく平等に利益、恩恵を受けるというのが均てん化というふうに言われるわけですね。
 今、大臣先におっしゃいました、結局この底を上げるんだということであれば、少なくともこの谷の部分を、この全国平均ぐらいのところまではみんな上げるんだと、こういう話ですね。少なくともこの山の部分が下がってくるということはないと思いますし、それから全国平均といいますか、全部の平均の部分が更に上に上がっていくように、こうしていかなければいけない、こういう意味合いで使っておられる。
 すなわち、そうすると、底になっている部分を上げるんだということですが、底になっているところというのがどういうところというふうに考えられるんでしょうか。
#177
○政府参考人(外口崇君) 実際に患者さん方からお伺いし、あるいは現場のがん治療にかかわっているお医者さんから御意見をお伺いしますと、やはり例えば都心部、国立がんセンター辺りでできている医療が地域によってはできていないと。その原因が、その一つは専門家がしっかり育成されていないということもありますし、それから放射線療法、化学療法の専門家がいないだけでなく、例えば放射線の機器も十分整備されていない、そういったことがあります。それからもう一つは、患者さん側からの意見で、自分の受けている医療が果たしてベストのものであるのかどうなのか、自分にとってベストのものであるのかどうか、これを相談することも自分の地域ではなかなか難しいんだと、そういった情報格差、そういったこともあるわけでございまして、これを是正していくことが大変大事ではないかと考えております。
#178
○山本孝史君 それで話を元へ戻りますけれども、全体目標に二つ置いておられる一つが、がんによる死亡者の減少ですね。それを今の均てん化をすることによって、すなわち底を上げることによって少なくするんだと、こうおっしゃいます。死亡者の減少といいますか、その死亡率というのは、がんによる死亡率は、当然のごとくに都道府県によってばらつきがございます。私の出身の大阪は一番がんによる死亡率が高いといいましょうか、がんによる死亡者が一番多いのは私の大阪府なんですね。
 今の均てん化の御議論でいくと、そうすると、大阪というところは放射線施設もなければベストな情報も得られずに、そして非常にこれから均てん化を進めていかなければいけない一番の対象都道府県だと、こういうふうな理解になってくるんですけど、私の頭の中では。御理解いただけますか、局長。
#179
○政府参考人(外口崇君) 死亡率そのものが地域の差を表しているかどうかというと、それは死亡率はその一つの指標だと思うんです。それで、やはり均てん化がちゃんと進んでいるかどうかについては、それぞれの地域の基になる患者さんのバックグラウンドとか、それからほかの病気との関係とか、そういうこともありますので、もちろん現在がん登録がしっかり取れていないということも別の問題としてはあるんですけれども、私は、それはがんの死亡率は一つの究極の全体目標かもしれませんけれども、それに付随する個別目標をやはり幾つか立てて、そういったことも含めて総合的に均てん化が進んだかどうかを判断していくことが必要ではないかと考えております。
#180
○山本孝史君 今おっしゃったように、個別の目標をこの後ろに付けるというのは当然だと思っています。
 申し上げたいのは、それじゃ言葉を換えて聞きますけど、今おっしゃった放射線療法とか化学療法の推進ですね、あるいはそれの専門医等の育成というものが計画どおりに進んだ場合に、私のような例えば進行がん患者ですとか、あるいは再発がんの患者さん、転移をしてしまった患者さんという人たちも、今示されている平均的な生存期間というものが更に延びるということを期待してもいいんでしょうか。平均してどの程度まで延びるということを目標にできるのでしょうか。
#181
○政府参考人(外口崇君) 実際、それぞれの患者さんのそのがんの種類あるいはステージによって、恐らく実際にその患者さんが必要としておられることというのはそれぞれまた別のものがあるかと思います。もちろん、そういったことも踏まえて、例えば放射線療法であれば、従来手術療法を中心にやっていたがんであっても、最近の進歩で放射線療法を行えばもうちょっとQOLを良くしながら治療ができる、あるいは進行がんの患者さんであっても緩和ケア目的の放射線療法というのももちろんあるわけでございます。
 それから化学療法、化学療法についてはまだ、効果のあるものと、それからそのがんの種類によってはまだまだ開発が必要なものとあるわけでございますけれども、それぞれの患者さんのステージと病状に応じてそれが適切に使えるようにという提供体制を整備していくことが必要ではないかと考えております。
#182
○山本孝史君 その必要性を否定するものではありませんけれども、がんによる死亡者のすなわち数を減らす、括弧書きで年齢調整死亡率と、こうなっています。治る患者さんというものは完全に治して、それによって死亡者を減らすということは可能だというふうに思いますけれども、実際のところ、治らない、完治しないということがもう分かっていて、そういう患者さんも今でも生きているわけですね。そういう人たちも当然死亡者とならないような施策が欲しいわけです。
 放射線療法とか化学療法の推進と、こう言われたときに、この、皆さんにはお配りできませんでしたけど、今出ている基本計画のイメージ、たたき台というものは、どちらかというと早期がんの患者さんというところに重点が置かれていて、予防健診というのは、がん患者にならないようにしようということです。
 もう一つ出てくるのが、がん患者の苦痛の軽減ということですから、これをこのまま素直に受け取りますと、治らない患者さんに対して用意されているのは緩和ケアだけということになってしまう。先ほどこれを、二つの項目について更に小項目を立ててといいましょうか、これを説明するような項目を立てて、達成するための項目を立ててそれを説明すると、こういうふうにおっしゃっていただいているわけですけれども、そういったものがないと、これはどう考えても今のがんと闘っている患者さんたちにとって何らかの利益が及んでくるというふうには見えない。
 回り回ってという話はあるかもしれませんけれども、そういったところ、是非、十八日の次の協議会で事務局案を出されるわけですけれども、ずっと議論を聞いておりますと、どうしても健康局が事務局をやっておられるので、厚生省の中の健康局中心の、これまでやってこられた成人病と同じように健康増進の中での対応のようなところでとどまってしまっていて、保険局ですとかあるいは医政ですとか、厚生省の中での他の局が所管しているものですらここの中に余り盛り込まれてこない。
 世界的に見たときに、がんによる死亡者の減少のWHO等どこの国の計画もそうですけれども、がん対策、すなわちがんで亡くなる人を減らすための一番の対策はたばこ対策です。WHOの戦略的ながん対策というものを読みましても、一番最初はたばこ対策ですね。それは費用対効果が非常に良くて、安い費用でがんにかかる人、がんの罹患者を減らすことができると、死亡者を減らすと。ところが、聞いておりますと、たばこはやっぱり書けないんですね。これまでの部分しか書けない。
 そういうふうに考えますと、やっぱり私は、次の議論、事務局が出してこられる次の議論に期待しておりますけれども、是非そこで、申し上げているように、もう見付かった時点で進行がんだという患者も、従来言われているような、余命半年ですとか、あるいはそれに対する副作用のない、しかし延命効果のある治療法の開発ですとか、そういったものもしっかりやるんだというようなところが見えませんと、亡くなる人を減らせばいいというだけではないような気がいたしております。それがやっぱり議論を聞いているがん患者の非常に不満に思っているところなんですね。
 よく分かるんです、私自身もそうですから。自分ががん患者になって初めて何が問題だということを勉強して分かるようになりましたので。これだけ二人に一人ががんになるとか、あるいは三人に一人ががんで亡くなると言われていても、がん患者というのは一体何なんだというふうに思うわけですね。まだ生きているのかという感じもあるかもしれませんし、髪の毛生えているんですねというような感じもあるかもしれない。その程度はいいんですけれども、しかしもう、末期がんという言葉はありませんけれども、いわゆる末期がんと言われると、もう余命なくて、もうすぐ死ぬんだと、何もできないんだというふうに世間では思われがちですけれども、しかしそうじゃなくて、そこからが実はがん患者の光り輝くところでありまして、そういった人たちにこの基本計画ができてこんなにいい施策ができたんだと思えるような、冒頭お聞きしたような是非基本計画にしてほしい。そのときに全体目標に何を置くかというのがとっても大切で、ここにちゃんとしたものが書いてないと、たばこ対策のタの字もないと、これから先、展開のしようもない。
 そういう意味では、すべてのがん患者の苦痛の軽減と書いてありますけれども、どうしても、見ると、痛みさえ取ればいいんだというふうに思ってしまう。そうではなくて、経済的にも精神的にも社会的にもいろんな痛みを抱えていますので、そういったところも含めて減らすんだというようなそういう広い視野で、正に国を挙げて、政府を挙げて取り組むんだというような姿勢の分かる、官僚言葉でなくて、もっと中学生でも高校生でも読んでも分かるような平易な、そういうこれからの日本の世界に誇るがん対策計画というものを是非この機会に作るべきだというふうに思っております。
 つらつらと申し述べましたけれども、大臣、そういう思いで、冒頭申し上げたがん患者が喜ばないような計画というのは駄目ですよと、こう申し上げたわけで、もちろん協議会の議論ですので期待するというお言葉が妥当なんだと思っておりますけれども、そういう意味で、部局を超えて取組をしてそういうものを盛り込めというような、少なくとも厚生労働省のトップの立場で御指導いただけることを私は期待しておりますので、是非そういう形で取り組みますということで御答弁いただければと思います。
#183
○国務大臣(柳澤伯夫君) 山本委員から仕事の進め方がそもそもやっぱり縦割れにかなり影響されているところがあるのではないかという御注意をいただきながら、この基本計画こそ大事、またその中での全体目標こそ大事なんで、そこのところをもう少し視野を広く持って、今現にがんを患っている方々にもいい効果を及ぼすような施策に結び付くような、そういう考え方でそれを表現するようにというお話がございました。
 私としては、その御注意をよく重く受け止めて、これから事務局を通じてそうした方向にもっと進むように指導してまいりたいと、このように思います。
#184
○山本孝史君 それで、実は、進行がん患者がどれだけ生きられるかということを決めているのは、今おっしゃったこういうふうに医療が進みましたとかという話よりは、診療報酬制度の中で使える薬が限られているとか、ここまでしか治療法はできませんというような、そっちの方の枠の方が実は大きいんですね。診療報酬体系がもう少し良くなりませんと、出てきておられる委員の皆さん、大学の先生とか現場におられますけど、一様におっしゃるのは、もう今は疲れ切っているんだと。もう少し診療報酬が上がれば、現場では患者さんに実に納得していただけるというか満足していただける、同じことをやっていても理解をして治療を受けていただけるというふうなことになるんですけれども、しかしそうはならないです。
 だから、これも厚生労働省だから書けないんだと思いますけれども、医療を良くする云々という、専門医を育てますとか、あるいはせいぜいこういうふうにしてお金を出して放射線の機器をそろえますとか、あるいは研究費で化学療法のいいものを作り上げますとかなんとかと、こういうことは言えても、実はその大本にあるところの診療報酬制度を考えることによって、もう少し日本の医療の質を良くするというようなところが実は出てこないんですよ。協議会なんだからそれぐらい提言してもいいじゃないかと思いますけど、それすら実は触れられない。そうなると、幾らそういう研究的なことをやっていただいても、実はがん患者にとって生存期間というのは診療報酬制度で決まっている、というのは自分が当事者になってそのことがよく分かる、あるいは大変に厳しい状況で医療が行われているということはよく分かるわけです。
 それで、ちょっと時間があれしてしまいますので、端的にお伺いしますけれども、質問通告のしたところへ戻りますが、がん難民が生まれているというふうにこう言われております。大臣はそういう状況にあるんだという御認識をお持ちになっておられるだろうか、あるいはもし持っておられるとすれば、それはなぜがん難民という人たちが生まれるというふうに思っておられるのだろうか、お聞かせをいただければというふうに思います。
#185
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、山本委員のお話の中でも、お医者さんとの対話の中でもっと患者さんに納得できる、そうしたコミュニケーションの下での治療というようなものができるんだがというようなお話がございましたけれども、やはり納得して、あるいは希望する医療が施されるというようなところにまで至らない、そういう患者の方々がいらっしゃるという意味でがん難民という言葉が使われている、そういうことだというふうに私は承知をしているわけでございます。
 その背景というものをどういうふうに考えるかということでございますけれども、これはもう何と申しますか、そうした事態に陥った人たちというのは、もう必死になっていろんな情報をその人その人なりに何か自分を救う手だてはないのかという意味で探されるわけでございます。そういうことの努力が片方に当然のことながらあるわけですけれども、それと自分が現実に施される医療あるいはお医者さんの言葉というようなものとの間に非常にギャップが生まれているということではないかというふうに思います。
 それが、今委員は診療報酬の立て方にも原因があるのではないかという御指摘をいただいたかと思いますけれども、その他いろんな要因がそこには作用しているのではないかというふうに私としては考えているところでございます。
#186
○山本孝史君 意地悪な質問をして申し訳ないんですけれども、その他いろいろな事情があるというのは何なんでしょうか。
#187
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、まず第一に、情報というものの量もありましょうし、また質もありましょうけれども、そういうものと実際のギャップというものではないかと。私は、つづめて言えば、情報というものとそうした現実に自分が施される治療法との間のギャップなのではないかと、こういうように思っております。
#188
○山本孝史君 そのおっしゃっている情報というのが、例えば、こういう治療法がありますと、世界で標準的に行われている治療ですと、こういう薬が使われていますというものがあって、しかし自分の通っている病院の先生に聞くと、それはうちではやっていない、その薬は使えないという意味で情報の格差、自分が得た情報と実際の現場とが違う、こういう意味でがん難民となってしまうのだと、こういう御説明になるんですかね。
#189
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、そこに最近においてのいろんなある種の悩みというものが発生している、そういう余地が非常に大きいというふうに思っております。
#190
○山本孝史君 昨日私がペーパーを送ったときに、答えを書いたペーパーも送って、しましたけれども、以前がん告知が行われていなかったとき、自分の病気がどんなんで、そしてインターネットがなくて、どういうふうな治療法があるんだろうということが分からないような時代のときは実はなかなかがん難民にはなりにくいというか、これがもうそのときのすべてなんだと、お医者さんに任せます、これでと言われればそこで終わっていたんだと思うんですね。
 しかし、患者もいろいろ知るようになったし、情報も得られるようになった。そうしますと、今の大臣の御説明どおりにいきますと、がん対策情報センターとかいろいろおつくりいただいて、その情報が、変な言い方ですけれども、何といいますか、操作されたものでない正しい情報だとして、たくさん情報が提供されればされるほどがん難民は生まれてしまう、がん難民の数が増えるということになりますね、理屈上は。そう思われませんか。
#191
○国務大臣(柳澤伯夫君) 操作された……
#192
○山本孝史君 いや、操作してるとは言いません。
#193
○国務大臣(柳澤伯夫君) いやいや、操作された情報でなく、もう本当に客観的にできるだけ誠実に収集された情報を提供されるということを前提とした場合、私どもの医療行政なぞを背景としたその実際との間にやはり乖離はそれなりに影響を受けて大きくなるという傾向はあることは、これは否めないだろうと思っております。
#194
○山本孝史君 意地悪な質問ですけど、しかし、なぜがん難民が生まれるのだろうというところのその背景といいましょうか、その原因を探ってそれに対しての対応策を取らないと、いわゆるさまようという状態はなくならないわけですね。今おっしゃった情報の量と質と現場とが違うというような話だけで終わってしまいますと、そこはこれからもっとたくさん出てくるわけで、本当の意味でがん難民が生まれてくるという背景は、実は申し訳ないけど御理解いただけてないというか、あるいはもっと違うところにあるんだということなんですよ。
 それは、繰り返しになりますけど、やっぱり、うちの病院でもうこれ以上治療法がありませんと言われるときに、実は治療法がある、正確な言い方をすれば、それは私の病院でできる治療はここまでですと、こうおっしゃっていることであって、実は治療法はほかにあるんですね。しかし、それをやろうとすると、適用外の薬を使わなければいけない、あるいは診療報酬上うちの病院は赤字になってしまうのでそんなことはできないんだというような、実際のところ受けたいと思っている治療が受けられないものを阻害しているのは、繰り返しですけど、制度的な問題なんですよ。
 なぜお医者さんがやってくれないんだ、先生なぜこの薬使ってくれないんですか、この病院はこの程度なんですかと、こういうふうに医者は怒られる。しかし、医者が怒られるところなんてほとんどないんで、それは政治の問題なんですね。政治がつくっているその健康保険制度だとか診療報酬制度だとか、あるいは税金によるいろんなお金の使われ方の中で、そのがん難民をなくす、私はがんの話ばっかりしていますけど、実は日本の医療全体を考えたときに、それをどうしていったらいいのかというところの解決の方策の一つがこのがんというものの医療の切り口だと思っているんですよ。そうすると、どうも違うというふうに私は思います。それちょっとおいおいでお聞きしますと時間がなくなってきますので、先に二つだけ私から御提案申し上げておきたいというふうに思っています。
 がん検診の問題とそれから臨床研究の問題なんですけれども、法律改正によって成人病健診の方が保険者がやらなければいけないという、義務化されてきました。これで随分上がっていくだろうと思います。ところが、がん検診の方は相変わらず地方自治体の努力義務になっていて、いわゆる交付金の中に入っているんですけど、地方自治体に行きますとがん検診の方になかなか回ってこないんですね。
 そんなふうに考えると、あるいはがん検診の受診者を管理しながらちゃんと精密検査も受けてもらうんだというようなことを考えますと、成人病健診と同じようにがん検診も保険者にやってもらうんだと、すなわち、義務化して、成人病健診とそれからがん検診と両方一体化しながらやっていくということの方が効率的ですし、きっちりとそのがん検診の受診率をやっぱり六〇%、七〇%に上げるということを考えると、これそういうふうな仕組みをつくらないといけないと思っているんです。あえて申し上げればその費用というものは、私は保険料の中に含めていいと思っておりますけれども、そういう意味で法律改正が必要になりますが、質問の趣旨は、がん検診を保険者にしてもらうんだと、しなきゃいけないんだというふうに、成人病健診と同じようなことにしたらどうですかというのが私の提案ですけど、いかがでしょうか。
#195
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、私、委員の御質問を拝聴しながら、その出口というか、がん検診も今度の一般の生活習慣病の健診と同じように保険者の義務化を図ったらどうかということで、その方が効率的ではないかという問題提起でございますけれども、この今回の生活習慣病の健診というのは、これはその後、保健指導というものがそのフォローとして想定されていまして、そういう意味合いで保険者にとっても保健の一つの機能としてそういうことを考えられるという、そういう想定の下でつくり上げられたわけでございます。
 それに対して、がんの検診については、検診でそれが見付かったというような場合には、保健の指導でというようなことではなくて、即座にそれは治療ということに入っていくということでございますので、保険者にとっての意味合いというのはやや特定の検診、今回の健診とは意味合いが変わってくるということの中で、なかなかそれを同一視できない、こういう考え方の整理が行われたというふうに私は理解をいたしております。
 そういう意味合いで、がん検診については、ひとまず現状の市町村による健診の努力というものにまちたいというのが私どもの今の考え方であるということでございます。
#196
○山本孝史君 先生のせっかくの提案ですから御検討してみましょうというぐらいの答弁でいいですよと昨日言ったんだけれども、それは検討する余地もないというお答えが返ってきてしまいましたけれどもね。
 しかし、冒頭の質問に戻りますが、がん対策の推進の全体目標のところに、がんによる死亡者の減少というものを掲げて、先ほど健康局長の御説明どおり、それ予防健診というものがあって、健診の一つの柱になっているわけですね。六〇%ぐらいの健診率まで来ればがんによる死亡者も確かに減るんですよ。だから、全体目標で、十年間で、あるいは五年間でこれをやろう、日本の国家戦略でやろうといっている話のときに、その柱に立てられた死亡者の減少の一つの手だてであるがん検診というものを引き続き努力義務でやれるところはやってもらいましょうというような形では、じゃ、一体これは何なんだと、出てきたものはと。それは紙に書いただけかと、やる気ないんじゃないかというのが丸見えじゃないですか、それじゃ。
 それは、だから答弁のしようはいろいろありますよ。いろいろありますけれども、野党がこういう話をしてそれを取り入れられるかどうかは知らないけれども、その努力義務でやっていちゃ駄目だと。だから、がん検診を、成人病健診、それはメタボ好きかもしれません、皆さん方は。あんなものでうまく効果が上がるとは思いません、実際のところは、医療費削減という意味ではね。しかし、患者なり日本の国民の幸せを考えたときに、がん検診というものがちゃんとやられて、それが義務化されてやられることについてはいろいろ、成人病だってそうですよ、そんなもので無理やり受けさせられるというのは。
 しかしながら、せっかくいい前例をつくりつつやってきているんだから、それに伴ってがん検診もやって初めてこれが、どんなものが出てくるか知らないけれども、ここに書かれているようなものが全体として本当にやろうと思っているんだなという話になるじゃないですか。今の答弁だったら、そんなものになりません。こんなもの何に書いてあったって実現しようがないと思いますよ、みんな。だから、そういう総合的な取組をしようという姿勢を見せない限り、そんなもの絶対進みません。今ので分かったから、分かったからいいですけれども。
 もう一つ提案します。このがん対策基本法の十九条のところに、研究の推進というのを掲げているんですね。その第二項のところでしたか、国及び地方公共団体は治験や臨床研究を円滑に行われる環境の整備のために必要な施策を講ずるものとするというふうに書いてございます。先ほど、放射線療法とか化学療法の推進と、こういうふうにおっしゃいました。推進させるためには臨床研究というものが充実してこなければ推進できません。そのときに、今、新たな治験活性化五か年計画というのをやっております。五か年計画ということで、担当者は予算は五年間分要求してありますと、こうおっしゃいますけれども、今のような状況の中でそんなものどこに保証があるんだと私は言いましたけれども、いや大丈夫です、複数年度ですからと、まあのんきなことを言っておるなと思いましたけれどもね。しかし、いずれにしても、やっぱり臨床研究基盤が日本が遅れている、政府が言っているイノベーションにしても新薬にしても、私が申し上げた、いい医療をやろうと、いい治療法を見付けようと思うと、臨床研究の基盤が整備されていないと駄目なんですよ。
 そういう意味で、やっぱり臨床研究基盤の整備促進に関する法律というような法的枠組みをつくって、きちんと治験活性化五か年計画を更に充実をさせるというような形で取り組むのがいいんじゃないかというふうに思っておりますけれども、大臣、何か御見解があったらお聞かせをください。
#197
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいまの御質疑にお答えする前に、先ほどの御質疑、特定検診とがん検診を同時に実施するように保険者の義務とするということでございますが、私は先ほど申し上げたように、委員が問題提起をされるときに私もお聞きしながら考えてみたわけですけれども、その保険者の負担において義務化するということにうまく収まりが付くようなことになるのかどうかということに私自身なかなか私の推論が進みませんでしたので、先ほど申し上げたようなお答えを申し上げたわけですけれども、そういった保険者の負担における義務付けということに合理性があるというか、そういうことが制度として仕組むに理由ありということになるかどうかということは、私としても検討というか考えてみたい、こういうことであります。先ほどの私の答弁、言葉足らずだったかもしれませんけれども、私の答弁はそういうことでございます。
 他方、臨床研究の問題ですけれども、今委員がおっしゃるように、政府としては目下非常に力を入れておりまして、治験ですけれども、予算措置において五か年計画を裏付けるということであります。これに対して、委員はもっと確かな措置、例えば立法措置によってこれを裏打ちして、もう予算折衝あるいは予算の状況によって途中で消えてなくなるような、そういうようなことでないようにしろと、こういう御提案でございますけれども、私ども、法律化するには法律事項という、政府が法律を作る場合には法律事項ということが盛り込まれませんと、これは法律にはなるに及ばないということに政府内の調整でなるわけでございますので、そういう観点から申しますと、今現在のところ、そうした法律事項というものをこの仕組みの中で見いだすことはなかなか難しいということでございます。
 だからといって、それでは非常にふわふわした不安定な財源的な裏打ちかといえば、それは私はそうではないと考えておりまして、これは最近における革新的医薬品・医療機器創出のための五か年戦略というようで、一見治験だとかあるいは臨床研究とかかわりがないような表題になっておりますけれども、この議論の際にも、非常に今の治験体制の強化というようなことについてはたくさんの意見をいただいておるのが実情でございまして、そうしたことも並行して行われるということであれば、私は、この新たな治験活性化五か年計画の財源的な裏打ちがそんなに不安定なものではないということは是非御理解を賜りたいと思っております。
#198
○山本孝史君 昨日、担当者から金額は言ってくれるなと、こういう話でしたんで言いませんけれども、しかし、薬事法というのは安全な医薬品を提供するための法律の仕組みですけど、臨床研究というのは薬事法の外にある、今別にそれに法的な規制が掛かっているわけではないわけですね。で、非常に有効な臨床研究もあれば、物によっては言いたくないような実験的なものもあるわけですね。そういったものの中で、それに当然参加しなきゃいけない患者がいるわけですから、被験者といいましょうか臨床研究参加者といいましょうか、をちゃんと守るという仕組みが要るわけですね。今それは、薬の開発、いわゆる治験というものの中ではありますけれども、臨床研究という部分にはないわけです。で、そんなぎとぎととした法律を私は作るよりも、臨床研究基盤の整備促進という、みんなが望む、そこによって、いい治療法なり、いい医療機器なりが出てくるというようなものの中に、当然患者がいて成立することですから、その患者が権利が守られるというような仕組みも組み込みながら、政府が掲げておられるイノベーションというものの中でやっていくというのは私は一つの方策だろうと、こういうふうに思って御提案申し上げただけです。
 先ほどの、保険者に義務付ける云々とおっしゃいました。保険者がそれをやるかどうかというふうなことをおっしゃいましたけれども、保険者って何ですか。保険というのはですね、いや、いいですよ、いいですよ。保険というのは相互の助け合いの仕組みですから、保険の加入者がいて、その人たちが集まって保険者というか一つの集団をつくっているだけであって、何か保険者を代表するような運営責任者みたいな人がいて、この人がうんと言わなけりゃできないとかいう話じゃないです。保険料なり税金なりを出しているのは国民の側ですよね。何か偉い人がいて、その人が出しているわけじゃないですよ。偉いところはみんな厚生省のOBが天下りしているだけじゃないですか。という話は別にしても。しかし、保険者というものの機能と役割というものが、ちょっと違いますね。で、やればそれで保険財源が好転する、あるいはそれによって加入している保険者の人たちの健康が良くなるというような施策については、それは同意を得られることは簡単だと私は思いますよ。というふうに思います。だから、ちょっと意味が違いました。答えはいいです。
 それから、いろいろ聞かなきゃいけないのに時間が過ぎてしまいます。混合診療の解禁問題の中で、新薬の問題ですとか、あるいは薬の適用外使用の問題ですとか、いろいろ議論があって、最終的には当時の尾辻厚生労働大臣と村上行政改革・規制担当大臣の間で、十六年十二月の十五日に、いわゆる混合診療問題についてということでの基本的合意に至って、その後いろんな施策、あるいはその前からいろんな施策がなされている。
 それについて幾つかお聞きしたいんですけれども、特定療養費がなくなって、今、保険外併用療養費という仕組みになりました。その中に、評価療養という安全性や有効性等の点から保険導入のために評価が必要なものという中に、適用外の医薬品の使用というものが、この特定療養費制度が廃止、再編される中で入ったんですね。この適用外の医薬品の使用というふうに評価療養でなっている適用外の医薬品というのは、どういう医薬品を指しているのかということを局長に御答弁をいただければと思います。
#199
○政府参考人(水田邦雄君) 評価療養におきます適用外の医薬品の使用の対象となる医薬品についてでございますけれども、これは、既に薬価基準に収載されている医薬品につきまして、薬事法の承認を受けました用法用量、効能効果以外の使い方があって、その適用外の使用につきまして医学薬学上公知であると認められる場合などでございまして、かつその適用外の使用について、薬事法に基づく一部変更の申請が受理されているか、又は薬事・食品衛生審議会が一部変更承認を行うことが適当であるとして事前の評価を開始したときと定められているところでございます。
#200
○山本孝史君 適用外の医薬品というのは、新しい効果効能が認められて治験申請がなされているあるいは薬食審で評価が始まっている薬のことをいうと。そうしますと、逆に言うと、効果効能があることが分かっていて、しかし一変承認もしていない薬、あるいは薬食審の評価の対象になっていない薬というものをいわゆる適用外使用した場合は、現時点においても混合診療としてそれは認められないと、こういうことですね。
#201
○政府参考人(水田邦雄君) 全く治験もなされていないというようなものにつきまして、これを使うことは、これはいわゆる混合診療に該当するわけでありますが、先ほど引用されましたいわゆる混合診療問題についての閣僚間の合意の時点におきまして、未承認薬の扱いをどうするかということが議論になりました。
 そのときに、これはむしろ医薬局長が答えることかもしれませんけれども、欧米等で用いられている抗がん剤につきまして、未承認薬使用検討会というものを開催して、そこで三か月ごとにそういった治験が必要な抗がん剤について洗い直しをしようと、そこで必要と認められたものは何らかの形で治験に結び付けていこうという形で、実質的に患者負担の軽減が図られるような、そういう形を取ろうということがそのとき合意されたものでございます。
#202
○山本孝史君 僕の質問の範囲を超えて答えられているんであれですけれども。
 要は、効果効能が医療現場ではみんな分かっている、既に承認されている薬、使われている薬で別の効果効能が分かっていて、しかしそれがまだそのことについての変更承認もされていないような薬について、確かに未承認薬使用問題検討会とおっしゃいましたけれども、未承認じゃないんですよ、これはもう承認されているんだから、ただ、効果効能が違うわけですけれども。そういう意味で使えば先ほどおっしゃったように混合診療なんですよね。だから全額自分で負担しなければいけないという状態は変わっていないわけです。
 混合診療解禁の中でがん患者たちが要求したのは、正にそういった効果効能の部分を含めてどうやって広げられるかという話をしたわけで、それに、何か解消したように見えるんだけれども、適用外の医薬品の使用全部が認められているわけじゃなくて、そのうちのある一定の状況に達しているものだけが認められている。その以外のものは依然として混合診療として使えないという状態は今も続いているわけです。
 そのことを私は確認したかったし、水田局長はそれを、そうですよ、それを使ったら混合診療ですよと、こういうふうに認められたと。だから、この事実確認だけなんですよ。そういうことですよね、局長。
#203
○政府参考人(水田邦雄君) 全く先ほどの今要件を満たしていないものについて、それはいわゆる混合診療に当たると言われれば正にそのとおりでございますが……
#204
○山本孝史君 はい、それで結構です。当たるんです。
#205
○政府参考人(水田邦雄君) そのときの精神からいいますと、必要なものであればそれは治験等につなげていくというのがそのときの合意だったわけでございます。
#206
○山本孝史君 治験につなげていかなければいけないというその未承認薬使用問題検討会の結論は、それを承認するかしないか、あるいは承認するとすれば企業の治験の申請につなげる若しくは医師の個人主導で行うと、こういう道筋で解消しようとしているんだけれども、企業が、じゃ、その治験を申請してくれるかというところですよね。
 使用問題検討会でこれは承認するのが妥当だという結論が出ても、申請してくれる、すなわち、もうかりもしないような薬を、売れもしないかもしれないような薬を申請してというような企業はなかなか見付からないというのが現状で、三か月に一遍開かれていますけれども、内容を見ますと依然として申請する企業を調整中、調整中イコール探しているという状態になるわけですね。すぐに解消しないわけですよ。
 尾辻大臣もあのとき、実はとおっしゃったけれども、未承認薬使用問題が、あるいは適用外使用問題ががん患者の側から提起されて、それについて今おっしゃったような仕組みをつくったわけだけれども、残念ながら本当に使える薬のところまでは届かなかった、治験の枠内でやるということでいけば届かなかったわけです。尾辻さんも、解消したように見えるけど実は解消しなかったんだなと言って、問題残っているということだけは申し上げておきたいというふうに思います。
 ごめん、ちょっと食い込んで、済みません。
 がん患者は腫瘍マーカーという血液検査をしております。腫瘍マーカー検査っていいますけれども、がん細胞が特定の物質を発生しますので、それが血液内にどのぐらい存在しているかということを見ますと、がんがあるのかないのか、あるいはどの程度になっているのかということが分かるので、腫瘍マーカー検査という血液検査を行います。ところが、保険上、これは月一回ということに制限されているんです。回数制限をされているわけですね。
 そうしますと、その月一ということになりますと、今月測る、来月測りますね。同じ数字が出てきたとします。この間に抗がん剤投与をして、で、効果があってマーカーの値が下がって再び効果が薄れて上がってきて同じ数字になったのかもしれないし、あるいは、効果はなかったんだけれども上がってまた何かで違う要因で下がったのかもしれない、全然動かなかったのかもしれない、全く効果がなかったのかもしれないというものがあって、月一で測っていますと、腫瘍マーカーというものはほとんどその役に立たないんです。でも、残念ながら、月一回というふうに回数制限をされている。
 なぜ回数制限されているのかといったら、医療上の必要性は月一回で足りているからという話だったんです。ところが、これもおかしいんじゃないかとがん患者が言って、保険との併用を認めることというふうになったわけですけれども、なぜ、医療上の必要性がほとんどないにもかかわらず保険との併用を認めるということになったのか。その理由は患者の不安を軽減するためということなんですが、患者の不安というのはどこにもあるわけであって、それを理由にして言うんであれば、回数制限なんてものはあり得ない。しかも、その回数制限が撤廃されて、回数制限撤廃されたって、混合診療ですから余分にやった分は全部自分で負担するわけですけれども、しかしその解禁されたものが特定の三つの腫瘍だけに限られている、腫瘍マーカーだけに限られているんです。この理屈も分からない。
 だから、私が聞きたいのは、医療上の必要性がないものをなぜ保険診療にするのかと。患者の不安を軽減するためにやるんだというのは、じゃほかにも一杯あるじゃないかと。なぜ三つに限って、その回数制限を撤廃するマーカーが三つだけなのかというところが私にはどう考えても理解できません。説明してください。
#207
○政府参考人(水田邦雄君) その点もいわゆる混合診療問題のときにいろいろ議論をされたことでございますけれども、まず出発点は、まず腫瘍マーカー検査の回数制限について申しますと、医学的な治験に基づいて必要とされる標準的な検査回数と、これを診療報酬上評価しているわけであります。この制限回数を超える医療行為といいますのは、これは患者の要望にこたえるという観点から、その診療を受けるか否かについて患者の選択にゆだねるものである選定療養として適切なルールの下に保険診療との併用を認めるとしたものでございます。つまり、医療上必要があるということであれば、それはこういったいわゆる混合診療でなくて保険診療になるわけでありますし、医療上必要性は必ずしもない、しかしながら患者さんの不安にこたえるという意味で選定療養として位置付けることは許されるだろうということでございます。
 なぜ、この腫瘍マーカー検査のうち三つだけが制限回数を超える医療行為として選定療養になっているかということでございますけれども、この制限回数を超える医療行為の対象につきましては、御要望いただいた検査について、検査等についてでございますけれども、専門家の方々に御意見をいただいた上で、具体的には中医協の医療技術評価分科会において御意見、御議論をいただいた上で決定したものでございます。
 今後とも、御要望があれば適切に対応できるように検討を行っていきたいと、このように考えております。
#208
○山本孝史君 聞いただけ無駄な質問なんだけど、でも記録に残しておかなきゃいけないので聞きましたけど、その答弁はどう考えたっておかしいですよね。患者の不安を軽減するためだったら、そんな医療行為は一杯ありますよ。そんな中で、しかも特定の三つの腫瘍マーカー、それは特定のがんに対してのマーカーであって、なぜそれだけなんだというのは私には分かりません。解禁するのであれば、全部のマーカーを対象に解禁すべきだというふうに思います。
 一階部分は公的保険の対象ですけど、二階部分、すなわちこの検査費用は全部患者負担ですから、そういう意味においてそこまで縛ることはないのじゃないか。本当にその患者さんが必要とする、それぞれのがん患者のそれぞれの症状ごとに応じて必要としている腫瘍マーカーのものが違うわけですね。これとこれとこれを選んで、選んでというのは、すなわちその患者に合ったものを選んで検査をするという中において、特定の三つだけは対象の外に外れているけれども、外れてないものがあるからそれは自分は受けられないわけですよ。それを受けると混合診療になってしまう。こういう話というのはやっぱりおかしいです、どう考えても。自分の立場を言うと変ですけどね、そう思います。
 物すごい時間が食い込んでしまっていますので、済みません。
 昨日の夜、話をしていて食い違ったんで、もう一遍医療費適正化計画について御確認をさせていただきたいのですが、厚生労働省のホームページにも出ていますし、このとおりでいいかという話なんですが、医療費適正化計画を作るということになっております。それは、基本的にはおっしゃったメタボ対策とそれから病院の平均在院日数を、長野県が一番低いので、それとのちょうど真ん中ぐらいまで持っていくんだと、こういう話でした。
 それで、そのホームページで見ますと、医療費適正化計画の中の医療計画との関連の中で、統合補助金等を用いての新しい目標として、脳卒中、がん、糖尿病等の疾病別の患者の年間総入院日数の短縮に関する数値目標を作るんだというふうにそのホームページにも書いてあるわけです。これは厚生労働省が例の去年の医療制度改革をするときのいわゆる医療費適正化の総合的な推進ということで、十八年一月三十一日の医療制度改革大綱による改革の基本的考え方というので厚生省が示したわけですけれども、その中に、脳卒中、がん、糖尿病等の疾病別に患者の年間総入院日数の短縮に関する数値目標を作るんだと、こうなっていますけど、これは事実でしょうか。こういうふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
#209
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療計画の話がございましたので、私から御答弁申し上げますが、脳卒中、それから急性心筋梗塞、糖尿病等四つの疾病、それから五つの事業がございますが、これらについて、昨年の医療法の改正で医療計画の中で、その地域ごとにその疾病、あるいは事業ごとに地域での連携体制を医療計画の中に明記をするという改正が行われたところでございまして、その中で、それに至る議論の中でいろんな議論があったと思いますけれども、最終的な形は、四疾病五事業について都道府県知事が策定する医療計画の中で連携体制を組むんだということが書かれてございます。それによって、今委員御指摘のように、在院日数を何日減らすとか、そういうことがその中で書かれている、数値目標があるわけではございません。
#210
○山本孝史君 一月三十一日、法律を、医療制度改革関連法案を提出する直前のところの医療制度改革大綱による改革の基本的考え方という中に、今も厚生労働省のホームページに残っていますので、そこから私申し上げているわけだけど、おっしゃったように五大疾患ですね、それごとに患者の年間総入院日数の短縮、すなわち平均在院日数を減らすんだということで総体として考えられているものと、メタボだということは理解していますけれども、しかし、ここに書き残されているがん患者の年間総入院日数の短縮に関する数値目標というものを作れというふうに、そのお金も作るから今度新しく作るんだよと、医療圏の設定だとかあるいはベッド数だとかということ、あるいは救急医療だとか小児だとかという話に続けて、こう書いてあるわけです。書き残っているんで、こんなことをやるのかと、こう聞いているわけです、私は。
#211
○政府参考人(水田邦雄君) 事実関係を申しますと、去る四月十七日に全国の都道府県の担当者を集めまして医療費適正化計画の案、それから基本方針案をお示ししたところでありますが、そこで平均在院日数について申し上げているのは、先ほど委員が御指摘になりました長野県との差の半分、長期的には半分に縮めると。さらに、今後五年間についてはその所定の割合で減らすことを目標とするということを、総体の平均在院日数のことについてのみ触れておりまして、さらに、その具体的中身としては療養病床の再編成ということで、長期入院の是正ということを第一期の計画に織り込むということを、まあいろいろ途中の経過はございましたけれども、最終的にはそういう形で整理をしているところでございまして、現在の案におきましては、委員御指摘のようなものは入って、盛り込まれてございません。
#212
○山本孝史君 ここに、等ということですけれども三つ書いてあって、在宅や地域連携クリティカルパスの普及ということ等、それから疾患別に医療機関の機能分化と連携をするんだと、これは正にやっているわけですね。しかし、今おっしゃっている、私が指摘している部分は、一番上に書いてあるにもかかわらず、それは書いてあることすら忘れたようなふりをしておられますけれども、それは入っていないんだと、こういう御説明ですよね、今の話はね。
 だから、済みませんけどね、この直前の一月三十一日に発表されている資料の中に、一番上のところに明確に、患者の年間総入院日数の短縮に関する数値目標というのを都道府県に作れと、こういう指示をしながら、しかしそれはないんだと、ないということは分かったとしても、考えたことは事実ですね。直前まで考えていたということですよね、しかし、これ。
 だから、済みません、後で結構ですので、この経過を、ちゃんとしたものを出してください。と私は思いますので、よろしくお願いを。
 委員長、済みません、そういうことでやってください。(発言する者あり)
#213
○委員長(鶴保庸介君) 速記をちょっと止めてください。
   〔速記中止〕
#214
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
#215
○政府参考人(松谷有希雄君) 今資料を見させていただきましたが、医療計画の中に確かに何かそういうふうな文言がございました。それがどの時点でどういうものであるか、きちんと精査をした上で先生の方にお答えいたしたいと思います。
#216
○山本孝史君 でも、一月三十一日って直前よ。
#217
○委員長(鶴保庸介君) どうぞ、続けてどうぞ。
#218
○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほど申し上げましたように、医療計画というのはそれを短縮をするとか、そういうことに機能する計画でそもそもございませんので、答弁といたしましては先ほど申し上げたところで間違いはないということでございます。
#219
○山本孝史君 いずれにしても、精査して出してください。載っているか載っていないか知らないようなふりしないでください。こんな、最初のころ考えたということがあったら別ですけど、十八年一月三十一日という時期に出した資料の中に載っているなんというのはけしからぬし、これ、どうやってやるつもりだったのかという説明も一緒に付けてください。今後ともこういうことがあるのかと。
 そもそも医療費適正化計画の担当者って明確じゃないじゃないですか、今。昨日の夜だって二十人近くの人が来たけど、じゃ医療費適正化計画だれっていったらだれもいない。でも、医療計画と整合性を取れとなっているんでしょう、これだって。だから、そういう意味できちんとしたものを精査してください。厚生労働省はそういう意味では非常に無責任だと思います、ここは。
 大臣、やっていただけますね。
#220
○国務大臣(柳澤伯夫君) 医療計画それから医療費適正化計画、それぞれ今鋭意検討をお願いするという段階にありますが、どうしてそういう資料がホームページ上現れたかということ等の経緯についてよく調査の上、委員に御報告をいたしたいと思います。
#221
○山本孝史君 突如ホームページに現れたんじゃなくて、それは大綱として含まれているから出ているんです。そういうちゃらんぽらんな答弁といったら失礼ですけど、違いますよ。どこかから紛れ込んできている話じゃないんですから。そういうふうに思います。
 次の質問者の時間にこんなに食い込んでいるので、済みません、最後、自分の思いだけ申し上げて終わりたいと。思いというわけじゃありません。実際に、がん患者として病院に行ったときに思う思いです。
 国立の高度医療センターと言われて、しかも国民全員がここは一番いい治療をしているんだろうと思う国立がんセンターの中央病院、築地の病院の先生からもいろいろ話を聞きますと、朝九時から診察が始まって、一人十五分単位でやっておられますけれども、大体新患が入ってきたりすると、あるいは新しい検査結果を説明したりすると、ずうっと時間がずれて、夕方回っていくわけですね。その間御飯も取らずに、実はそのお医者さん一人で患者さん、次の患者さんの名前を呼び、そしてそのデータをコンピューターで操作して見て、そして検査データを打ち出して手渡し、次の診察予約日を自分で入れ、そして薬はどれですかということまで、処方まで全部そのお医者さん一人でやるんです。入院病棟のところの当直は看護婦二人しかおりません。呼ぶのがかわいそうなぐらいの状態です。
 インフォームド・コンセントということが重視されて、患者中心の医療だとかと、こういうふうに言われて、家族や患者に対しての説明を求められているわけですね。しかしながら、じゃ長い時間を掛けて説明しなければやっぱり分かりません。この間、足立さんに聞いたら、三回説明してもやっぱり分からない人は分からない、なかなか説明は難しい。しかし、徐々に徐々に分かってくるようになる。そういう中で、患者や家族への説明時間はどんどん延びていっても、インフォームド・コンセントというのは医師として当然のことですからということで、それは別に何かで評価されているわけではありません。初診料と再診料でしか評価されていない。この値段は非常に安いです。
 効果的な抗がん剤をどういうふうにして併用して使ってあげたらこの患者さんは一番いいんだろうということを一生懸命考えて先生はやってくださいます。非常に熱心です。しかしながら、この考えている時間とかも、別に技術料とかも評価されるわけではありません。
 そういうわけでは、先ほど来申し上げているように、患者中心の医療だとか患者重視の医療だとかと言われながら、それを実現するための環境整備というのは全くなくって、結局、診療報酬上で非常に縛られている中で医者は本当に熱心にやっている、しかし十分に理解してもらえるような説明時間は取れないという状態です。だから、医者が文句を言われるんじゃなくて、実は政治家が文句を言われるべきなんだと、こんなふうに言われます。
 今、いわゆるDPCの適用病院、包括払いですね、の病院がどんどん増えておりますので、抗がん剤投与を入院して受けますと、その診察、投薬、抗がん剤の薬代、検査といったものは全部包括払いになっておりますので、それはもう一定の金額しか出ないわけです、その患者さんの症状に応じて。入院一日当たり幾らと、こういうふうに決まっています。
 実は、自分の入院投与、一泊二日で入院投与をされたそのレセプトと、それから自分が受けたその薬の量とか全部もらって自分なりに出来高払で計算したんですね、包括評価されている部分を。そうしますと、実は出来高払で計算すると三十万円ぐらいになるんですけど、それが包括払いになりますとその三割ぐらいしか実は評価されてないんです。残りの部分はと、こういうふうに言うと、DPCの場合はそういうふうに赤字になる人もいるけれども黒字になる患者さんもいるので、必ず病院は損しないようにできているんですと、こう言うんですけれども、余りにも包括評価と出来高払との差があって、その説明はどうも納得できないんですね。
 そんなふうに考えてくると、抗がん剤というのが非常に高くなってきております。医療機関としてこれをどうしようかというと、入院させると今のような包括払いで病院は損をしますので、抗がん剤の投与を外来投与でやるわけですね、そうしますと出来高払で請求できますので。そうすると、患者の側は種類として初めて受ける抗がん剤を外来で受けるわけです。そのときに副作用として熱が出れば、三十八度以上の熱が出たときはこの薬飲んでくださいと言って抗生物質を渡されて帰されるわけですね。どういう副作用が起きているかということを別に医者が診るわけでもないのです。
 そういう中で外来投与すれば、それは患者さんは時間が自由に使えるからQOLが高まるからいいでしょうというような説明をされながら、実は病院経営上の問題として入院投与ではなくて外来投与にシフトしている。それも入院投与でいくと、高い抗がん剤が出てくると、今のDPCの包括払いが、評価はし直しをしますとおっしゃっているんだけれども、高い抗がん剤を使えばその分だけ赤字が出てしまうので使えなくなるだろう、今後ともにそういう薬がどんどん出てきますので使えない状況が増えてくるだろうというふうに私は思います。
 結局、冒頭申し上げたように、がん患者が難民になるというのは、別に情報量が増えたから難民になっているということではなくて、病院側がその薬をそろえない、これ以上の治療をやると自分たちは損をするからというところの線引きがあって、これからいろいろな調査をしてみれば分かりますが、多分病院ごとに持っている抗がん剤の数も違いますし、やっている治療法の数も違うはずです。
 国立がんセンターが一番難民が生まれると、こういうふうに言われているのは、あの病院は適用外使用などは当然できませんし、新しい薬は当然治験されている対象でなければ効果効能が分かっていてもやりません、できません。そういう意味で非常に縛られています。しかし、あそこならと思って行くと、みんなそこから追い出されてしまうというか、済みません、うちはありませんのでほかへ行ってくださいということで難民になってしまう。
 そういうことを考えますと、これから先のがん医療の状態を考えると、決していいことが見えないのです。それについて、こういうふうにやっていきますよということを言うのが今度のがん対策基本計画に基づく基本計画の全体目標に置かれていることが、今私が申し上げたような状態を解消していくんだというものにつながるんだというふうにならないと、私も評価されるものにならないと、こう思っています。
 最後にもう、最後にってここまで来ちゃったから。進行がん患者が一番望んでいることだけ申し上げます。
 先ほど申し上げたように、がんになったらもうこれで駄目なんだと、こういうふうに思われる。大腸がん四期で見付かってもこれは治ります。そういうふうに、今治る病気、治るものが増えてきました。治るようなというか、非常に日常生活ができる、普通に仕事ができる、私のような状態でもずっと生きていることができるような、今がん治療の状態になっています。
 抗がん剤やっていると言うと、大変ねって、髪の毛抜けて、吐いて、それでもうのたうち回っているのというふうにおっしゃる、皆さんそんなふうに想像されますけれども、それは副作用対策が取れない医者がやっていることであって、きちんとした療法をやれば副作用はほとんどありません。そういう状態の中でふだんどおりの仕事ができる。
 したがって、日々同じような生活ができるような治療体制にしてほしいと、それを標準療法だという中で、体表面積掛ける何ぼだという非常に強い抗がん剤を大量に投与して、そして、吐いて苦しい思いをするというようなことではない治療法というのもあるはずなんです。そういうものも是非開発してほしいというのが私の思いです。
 是非、この基本計画が、出てくるものが、繰り返しですけど、早期がんの患者さんだけではなくて、今進行がんと言われている患者さんもちゃんとした治療が続けられる、そしてまた日々同じような暮らしができるということの願いにこたえてくれるような文書、そういうあるいは計画になってほしいということを最後に繰り返し申し上げて、私の、済みません、次の質問者に大変御迷惑を掛けましたけど、十三年間国会議員をさせていただきました、ひょっとしたら最後になるかもしれませんけれども、済みません、ありがとうございました。(拍手)
#222
○足立信也君 民主党の足立信也でございます。
 若輩ではありますが、立法府の一員として、この二年間に私自身も九本ないしは十本ぐらいの議員立法に直接携わってきました。しかしながら、それを成立させることの難しさ、どれだけの努力が必要かということでございます。
 皆さんも御存じのように、彼は謙遜されておりますが、自殺対策基本法、それからがん対策基本法、紛れもなく彼の努力の成果であったと思っています。のみならず、運用は行政任せという姿勢では決してない、立法府と行政府が一緒になって運営する、誤りは正していくという姿勢を貫かれているんだと私は思っております。がん対策推進協議会も彼は全部傍聴されておられます。同じ会派の後輩として誇りに思っております。
 理事としてですかね、理事の立場で言うことは良くないかもしれませんが、今日の質問が決まってこの三日間、彼は相当高いテンションで臨んでこられました。疲れていると思います。疲れがございましたら、どうぞ休憩なさってください。理事の立場で言うのは申し訳ないかもしれません。
#223
○委員長(鶴保庸介君) もしよければ、どうぞ御退席ください。
#224
○足立信也君 私は、次回もまた山本先生の質問を是非期待したいと、そのように思っております。お疲れさまでした。
 今日は、私は、数多くの質問は用意してはおりましたが、絞ってやりたいと思います。
 国民皆保険はこの国の誇りだと私は思っております。厚生労働省の方ももちろんそうだと思います。ところが、今、国民健康保険制度、特にこの国民健康保険制度において保険料率が低下している、と同時に、いわゆる第三分野の保険件数が非常に増加している。私は、公的医療保険というのはこの国の医療政策の土台、一階部分であって、民間の医療保険は補完的な立場であると、そのようにとらえております。恐らく厚生労働省の方も同様だと思います。
 その中で、国民健康保険料の、保険料を滞納した状態で民間の医療保険への加入をしている方がいらっしゃる、これは好ましいことではないと私は思っております。ですから、広告や勧誘の問題、あるいは医療保険の信頼性の問題についてこれから残りの時間聞きたいと、そのように思います。
 まず、皆さんの問題意識を共有していただくために、定義を簡単に述べます。
 今問題になっております保険金の不払、この件は三つあると認識しております。付随的な保険金の支払漏れ、つまり請求がなかったから本来支払うべきものも支払わなかったという支払漏れ、それから請求があったのに判断が適切ではなくて払わなかった不払、そして未払と、この三つがあるととらえております。
 そして、よく今言われます第一分野、第二分野、第三分野。これは、第一分野は生命保険、第二分野は損害保険、第三分野は医療、介護、傷害保険などで、難しいのは、生命保険会社は第一分野と第三分野を扱う、それから損害保険会社は第二分野と第三分野を扱う、これでちょっと複雑になっているんだと思います。
 なぜそうなったかというのは、平成六年の日米保険協議、恐らくある会社の医療保険を広めたいという思いがあったのかもしれません、日本では第三分野が解禁されませんでした。そして、これが解禁されたのが十三年。ですから、その間に第三分野、それ以降第三分野のみの保険、あるいは生命保険がそれを両方兼ねているという、こういう複雑な事態になったんだと、そうとらえております。国民生活センターへの医療保険に関する相談件数は、平成十七年千七百五十五件と、倍以上に増えてきております。
 そこで、今問題になっている不払の件です。請求がなかったために本来支払われるべき保険金が支払われなかった額は現時点で幾らと把握しているか。そのうち第三分野、いわゆる医療、介護ですね、第三分野の額は幾らと把握していますでしょうか。
#225
○政府参考人(山崎穰一君) お答え申し上げます。
 生命保険会社における保険金等の追加的な支払を要するものの件数及び金額等に係る報告は、四月十三日までに全社より提出を受け、現在精査しているところでございます。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
 今回の報告の中で、御指摘の請求勧奨漏れによって支払われなかった金額や、そのうち第三分野の金額といった内訳については区分は行っていませんが、生命保険各社が公表した支払漏れ等の金額は、合計で約三百五十九億円となってございます。
 なお、各社からは調査が終了していないものがあるとの報告を受けており、現在各社において引き続き調査を続けているところです。
 金融庁といたしましては、今後とも各社より提出を受けた報告書を精査するとともに、進行中の調査の進捗状況を注視し、適切に対処してまいりたいと考えております。
#226
○足立信也君 金融庁がこれまで度重なる業務改善命令あるいは業務停止命令出してこられました。その理由の中の一つに、本来支払われるべき保険金、それが請求がなかったがために支払われてこなかった、いわゆる支払漏れ、これも業務停止命令あるいは業務改善命令の理由の一つになっていますよね。確認です。
#227
○政府参考人(山崎穰一君) 御指摘のとおりでございます。
#228
○足立信也君 それでは、第三分野に限って言いますね、民間医療保険の加入者の、その方が公的医療保険、つまり私、一階部分、土台の部分だと申し上げました、その公的医療保険は何に加入しているかということは把握されているんですか。
#229
○政府参考人(山崎穰一君) お答え申し上げます。
 第三分野医療保険の加入者が公的医療保険に加入しているかどうかということにつきまして、保険会社は、これが保険会社が販売いたします医療保険の引受けの可否を判断する際に必要な情報ではないことから、保険会社において把握してないものと承知しております。
 金融庁においても把握してございません。
#230
○足立信也君 把握していない、またその指導もしていないということだと思いますね。
 これは先ほど言いましたように、日本は国民皆保険で公的医療保険が一階にあるわけです。そこで、その上に被保険者となられる方のニーズに応じて民間医療保険に加入されているんだと、この認識は間違いないと思います。
 そこで、昨年六月に公表されました、ニーズに合致した商品選択に資する比較情報の在り方というのを出されました、金融庁がですね。これは、被保険者となる方がどういうニーズを持っているかと。私は、そのニーズというものの中に自分の入っている公的医療保険の仕組みの説明がなければ、どういうニーズがあるのかすらも分からないんじゃないかと私は思って今聞いているんです。
 先ほど言いました公表された比較情報の在り方というものの中に、公的医療保険制度について説明することというのはあるんでしょうか。
#231
○政府参考人(山崎穰一君) 比較情報の在り方を含めまして、保険業法において保険契約条項の重要事項について告げない行為等を禁じておりますが、公的医療保険制度はその保険契約の契約条項ではないことから、金融庁として保険募集時に公的医療保険制度について説明するよう指導は行っておりません。
 しかしながら、一方で、保険会社等が医療保険などを募集する際、公的医療保険の保障範囲等について消費者に誤解を与えた場合等につきましては、契約の判断に影響を及ぼす重要な事項について消費者を誤解させたとして、保険業法に抵触する可能性がございます。
 このような観点から、金融庁におきましては、消費者の誤解を招くことのない適切な保険募集がなされるよう指導監督を行っているところでございます。
#232
○足立信也君 誤解があった場合ということですよね。誤解しないように、例えばよく最近言われているのが、胃がんで手術するために入院したら百万円掛かりますよという広告が出ている。しかしながら、実際、普通の収入、一般的な収入の方だと、月大体九万円で高額療養費制度を併用して済むわけですね、負担というものに関しては。そういったこと、今実際、自分が入っている公的医療保険ではどういう仕組みがあって、自分の負担はどれだけになるんだということがあってこそ、その被保険者のニーズに応じた二階建ての部分、民間医療保険の説明が十分伝わるということがあるんだと思うんですね。
 その十分説明した、被保険者になる方も納得された、それが私は四月から導入された意向確認書面というものに表れているんだと、そういう文書できちんと残すんだということになっているんだと思うんです。じゃ、その意向確認書面にやはり同じように、自分の入っている公的医療保険についての説明は必要ない、求めないんですか、意向確認書面に。
#233
○政府参考人(山崎穰一君) 公的医療保険制度そのものについて説明するということまでは、保険会社にそこまで説明するような指導は行ってございません。ただし、先ほども申しましたように、広告等を行う場合に、その広告内容が正確である必要がございまして、消費者の誤解を招かないように配慮する必要があるということでございまして、公的医療保険に言及する場合には、その保障範囲について消費者の誤解を招かないように配慮する必要があると、こういうことでございます。
#234
○足立信也君 ここから水田保険局長にお聞きするんですが、ある意味、被害者側でもあるかもしれません。公的医療保険を守りたいと思っている中に、その説明すら十分されないで民間の医療保険が売られているという、しかも、その中には支払漏れや不払が生じてきているという事態なんですよ。私はかなり国民皆保険を危なくしていると思います。
 昨年七月に保険局長名で、例えば広告、新聞広告やパンフレットではこういうことをしてほしいというような説明がなされた、あるいは通知を出されたと、そう認識しておりますけれども、その後、広告やパンフレットの説明内容、つまり、医療保険を全般的にとらえた場合に、公的部分としては、公的医療保険としてはどれだけのことがして自分の負担がどれだけになる、更に民間の医療保険が加わった場合に自分の負担あるいは給付はこうなるというような形のパンフレットや広告の改善度はどのように判断されていますか。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
#235
○政府参考人(水田邦雄君) 民間医療保険の広告あるいはパンフレットについてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、まず、国会での御審議も踏まえて、御指摘がありましたとおり、平成十八年七月に生命保険協会、それから日本損害保険協会、外国損害保険協会に対して、民間医療保険の募集広告を行うに当たっては、公的医療保険においては高額療養費制度により所得に応じた自己負担の上限が設けられている点を正確に記述すること、それから、こうした記載を消費者が見落とすような表示とならないように配慮すること、こういうことについて留意するように要請をしたところでございます。
 ただ、その後、平成十九年二月に、新聞社の企画広告、これは文責は保険会社じゃなくて新聞社にある事例でございますけれども、その企画広告に掲載された保険会社に医療費の自己負担について高額療養費制度についての説明が不足しているものがございました。そうしたことがあったものですから、こういった広告が掲載されることがないよう十分配慮するように当該新聞社に申し入れるとともに、同様のことが考えられます日本新聞協会、それから民間放送連盟に対しましても会員各社に周知するように依頼をしたところでございます。
 その依頼以降、民間医療保険の広告、パンフレットに保障範囲について消費者の誤解を招くような記述は見受けられないわけでございますけれども、私どもとしましては、公的医療保険の役割について国民の信頼を損ねることがないよう、広告等の内容につきまして注視をしていきたいと、このように考えております。
#236
○足立信也君 分かりました。
 ある意味被害者かもしれないと先ほど申し上げましたが、実はその公的医療保険も問題があるんじゃないかという話で、これから高額療養費制度についてお伺いいたします。
 公的医療保険には高額療養費制度というのがもちろんある、これは皆さん御存じのとおりで、これに対して支払漏れ、つまり、請求がなくて高額療養費制度を使っていないという支払漏れの件数はあるんでしょうか。
#237
○政府参考人(水田邦雄君) 高額療養費の支給方法についてのお尋ねでございますけれども、これは、法令上、被保険者等の申請を前提とした償還払いによることを原則にしているわけでございます。と申しますのは、この申請を待たない、この高額療養費の支給を行うためには、当該対象者、被保険者等につきまして、一部負担金の額、それが複数の医療機関にわたる場合にはそれぞれのその合計額、それから所得区分、世帯構成、高額療養費の申請実績、こうしたことを把握した上で判断する必要があるわけでございますけれども、これはなかなか実務的に困難でございますので、こういったことにつきましては、先ほど申しましたように、法令上、被保険者等の申請を待って支給するということにしてございます。したがいまして、私ども当省としても、申請漏れの件数と、こういった把握はしてございません。
 ただ、こういった申請漏れを防止する観点から、ポスター、ホームページを通じて周知をするということがございます。それから、実態上の対策、対応といたしまして、今年の四月から七十歳未満の方につきましても、入院につきましてはこれは多数の医療機関に掛かるということはもうございませんので、入院に係る高額療養費の現物給付化を行ったところでございまして、今後とも高額療養費の円滑な支給に向けて取組を進めたいと、このように考えております。
#238
○足立信也君 今はっきりおっしゃっていただいたのは、申請に基づいているために支払漏れがあるということです。
 では、法律論になるかもしれませんが、健康保険法の第百十五条及び国民健康保険法の五十七条の二には、自己負担額が著しく高額であるときは、ちょっと略します、高額療養費を支給するとあります。支払が保険者の義務ですとされているんだと私は思います。請求があった場合というような条件は付けられておりません。
 高額療養費を被保険者が受ける権利というものは、法律上この時点でもう既に発生しているんではないですか。
#239
○政府参考人(水田邦雄君) 高額療養費の支給に関しましては、ただいま先生は健康保険法の百十五条一項を引用されましたけれども、そこに二項がございまして、高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、途中飛ばしますが、政令で定めると、このようになってございます。
 これを受けまして、政令におきまして、医療保険上の世帯に属する者が受けた療養につき支払った一部負担金等の合計額が所得区分に応じた自己負担限度額を超えるか否かを被保険者等の申請により確認すると、こういった仕組みになっているわけでございますので、高額療養費の支給につきましては、法令上、被保険者等の申請が必要であると、まず法的側面についてはこのように考えております。
 それから、ただ実態的にどうかということになりますと、先ほど申しましたように、保険者においてこういった支給要件を満たしているかどうか判断するためには、やはり一部負担の額、これ、複数掛かっている場合にはその名寄せを加味しなければならない、そういったことがございますので、実務的な観点から、こういった被保険者の申請により支給要件を考えるということは、これは一つ妥当な仕組みであろうかと考えております。
#240
○足立信也君 違うと思いますよ。私は、法律上、高額であるときは高額療養費を支給するとあるのは、ここで既に高額療養費を受ける権利が僕は発生しているんだと思いますよ。その次に政令で支給要件等定めるとありますが、実際に申請がなかった場合には払わないような規定はないんですね。支給を受けようとする者は申請しなければいけないとあるのは省令なんですね。法律から政令、省令の段階で初めて出てくるんです。法律の時点では、これは高額療養費を支給される権利というのはもう既に生じているんだと思いますよ。
 先ほど金融庁は、本来保険金が支給されるべきである方が申請しなかったために支払われなかった、それを支払漏れといって、そのことに対して業務改善命令あるいは業務停止命令を出しているんですよ。私は、公的医療保険もこれ同じことだと思いますよ。本来、法律上権利が生じているのに、その下の政令、更にその下の省令において、支給を受けようとする者は申請しなければいけないと決めてあるから問題ないではないんだと思いますよ。
 ここから、先ほど償還払いから現物給付制度に変えたと、四月から、おっしゃいました。私は、これ何度もこれまで質問してきましたし、私は大きな進歩だと思います。その一つは、医療機関が未収金が減るだろうということが一つ。それから、当然、患者さん側の負担が減るだろう、最初に三割に該当するものを全部払う必要がなくなるというわけですから、と思います。
 これはかなりの進歩だと思いますが、ではそこで、そこでも申請を行わなければやはり高額療養費制度は適用されない、利用できない、そういう事態でしょうか。何となれば、これは限度額適用認定証というものを出さなければいけないわけですね。限度額適用認定証というのは、最長一年で更新しなければいけない。毎年毎年、年に何回か入院する人はいいかもしれませんが、普通の人は年に一回入院する人がいるかいないかですよ。ということは、その都度申請しなければ、やはりこの認定証すら交付されないわけですね。そういうことになるわけですよ。申請しない場合はこれどうなるんでしょう。
#241
○政府参考人(水田邦雄君) この高額療養費の適用に当たりまして、月の負担限度額が定まってくるわけでありますけど、それは所得区分に応じて違うわけであります。したがって、その窓口たる医療機関において、その方から、ある方から幾らの御負担をいただくかということは当然には分からないわけでございますので、やはり被保険者から保険者に対しまして事前に限度額適用認定証の交付を申請をしていただくと、それを医療機関の窓口において提出すると、そうすると医療機関の窓口において当該患者さんの所得区分を把握することができますので、そういったことでこの仕組みが回っていくということになるわけでございます。
 お尋ねの、この要件が満たされない場合、この限度額適用認定証が出されないとなりますと、これは従来、原則どおりの償還払いと、このようになるわけでございます。
#242
○足立信也君 現物給付制度に変えたら窓口一回で終わるなんということは絶対にありません。その後もう一回来て差額の分の調整をしなきゃいけないんですよ。当たり前のことですよ、これは。
 今、現実に医療機関どうしているかというと、大体月で八万百円ですか、一般的な収入の方に合わせて、それよりも多少多い額を一度いただくんですよ。そして、後で差額調整してそれを精算するんですよ。これが当たり前のやり方です。所得が把握できないから、そこで高額療養費制度を利用することは最初からできないんだということは間違っていると私は思いますよ。もう一回必ず必要なんですよ。
 そこで、昨年の当委員会で辻議員が質問した件なんです。
 厚生労働省の共済保険では、医療費の支払請求が来た時点、レセプトですね、来た時点で自動的に高額療養費を被保険者に支払う手続に入るターンアラウンド方式。これは、レセプトが来たら、もうこれは既に高額療養費に該当するなというのはだれでも分かるわけですよ。そうなると、自然にもうそのシステムに入っていっているんですよ。申請あるなしは別ですよ。そういうシステムに入っている。だから、療養費、医療費の金額がもう分かった時点で高額療養費に該当することは分かっているんですよ。そこが去年の辻議員の指摘ですと、まるで厚生労働省の共済保険だけお手盛りじゃないかという表現をされていましたが、正にそのとおりだと私はそう思っています。
 そういうふうに一部だけ取り入れられているんですけど、この方式は、レセプトが出た時点で高額療養費に該当するというのはある程度予測が付くし、一度では解決しないんです、プラス一%という部分がありますからね。もう一度差額を調整しなきゃ無理なんです。この方式は、厚生労働省の共済組合がやられているターンアラウンド方式という方式は、すべての公的医療保険で僕は導入でき得るものだと思います。先ほど、もう既に法律の段階で、高額療養費を受ける、制度を利用する権利は私は生じているんだと思いますから、これはすべての公的医療保険で導入すべきだと、導入できるんだと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
#243
○政府参考人(水田邦雄君) 御指摘のいわゆるターンアラウンド方式でございます。これは被保険者サービスの観点から、高額療養費支給申請書に自己負担限度額等の必要事項をあらかじめ記載して送付する方式と認識してございますけれども、正にこれは実施に係る事務費等の負担が大変大きい場合がございますので、まずは各保険者におきまして、それぞれ高額療養費の申請状況等の状況、事情を踏まえた上で、どういう方式を取り得るか、こういうことを御判断いただきたいと、こういうことが、これが基本であると考えてございます。もちろん、各保険者に対しまして、この高額療養費の制度の趣旨、申請手続の周知徹底を図るということは促していきたいと考えてございます。
 それからもう一つ、技術的な面で、どこでもできるんじゃないかという点では、政府管掌健康保険におきまして、診療月からおおむね六か月を経過してもなお未申請となっている被保険者等に対しまして、こういった申請促進に関するお知らせの送付等に努めているわけでございまして、今年度からいわゆるターンアラウンド方式の取組につきましても順次実施することとしてございます。他の保険者につきましても、被保険者サービスの向上という点ではこれは資するものでございますので、こういった方式について情報提供なりをしていきたいと、このように考えております。
#244
○足立信也君 二問だけ大臣にお聞きしたいと思います。
 今までのことをまとめますと、私はこれは当然元々持っている権利であって、高額療養費制度を利用するのはこれは権利であって、申請主義、申請がなければ始まらないというのはやはりおかしいんじゃないかと思っております。それは、金融庁が民間医療保険会社に対して、本来支払うべき保険金を申請がなかったから支払っていないというのは支払い漏れだと業務改善命令を出したことで、公的医療保険ももちろん私はそうだと思っています。
 そして、何よりも強調いたしたいのは、公的医療保険が日本では一階、土台の部分であって、それの補完的な存在であると、民間医療保険はですね、その認識はどうしても必要なんだと私は思っています。ですから、国民健康保険の保険料を滞納した状態での民間医療保険に加入しているということは好ましい事態だとはとても思えないんですね。
 そこで、公的医療保険、今の高額療養費、そして民間保険との関係、もう一つ聞きたいことがございますので、できるだけ簡単に公的医療保険の役割として大臣のお考えをお聞きしたいと思うんですが。
#245
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が国におきましては、すべての国民が何らかの公的医療保険制度に加入して、言わば国民皆保険ですが、この下で必要かつ適切な医療は基本的に保険診療によって提供されるという制度になっております。
 一方、民間医療保険は、患者の一部負担部分や差額ベッド等に対応するために、契約によってあらかじめ定められた一定の金額が支払われるものでありまして、公的医療保険と民間医療保険の関係というのは相互補完的であると、このように申し上げたいと思います。
#246
○足立信也君 ありがとうございます。
 もう一つどうしても聞いておきたいのは、四月十日に地域医療支援中央会議、第一回が開かれました。これは大臣も出席されている。そこで、日本病院会の行ったアンケート調査、これが、相当これを土台に議論がされていると、そういうふうに認識しております。
 そこで、今日はこれに関する質問を実はかなり多く用意してきたんですが、一点だけお聞きしたいのは、これ、実は二千五百三十五病院に対して郵送しているけれども、その中で回収できたのは、管理者である方が五百七十六人、つまり、回収率二二・七%、勤務医からの回収は五千六百三十五名、病院で考えると二一・一%なんですね。回収率は非常に低い。ただ、人数は多い。
 このデータを基に、あるいはこのデータをどのように受け止めてられて、これが、このアンケートが実態を表しているととらえるのか、それとも、厚生労働省として本当に勤務医の意識調査をするんであればもっと大規模なものをやる必要があるととらえているのか、そのどちらなのか。このアンケートは信ずるに値する、これを基に、行政でそれを活用していかなければならないととらえられているかどうか、その点だけお聞きしたいと思います。
#247
○国務大臣(柳澤伯夫君) お尋ねの調査、社団法人日本病院会の会員病院に対して行われておりまして、本年三月にその結果が公表されて、私どもも、今委員の御指摘になる会議でもって私もその結果の要点を拝聴させていただきました。
 御指摘のように、調査は、回収数が少ないということで、調査結果について全幅の信頼を置いての評価ということになると申し上げるのはなかなか難しいことだと言わざるを得ないと思うんですけれども、ただ、この調査結果におきましても、病院勤務医をめぐる厳しい勤務環境ということと、その中でもいろいろ先生方の努力によって診療が行われているという姿はうかがい知ることができたということでございます。
 更に本格的な調査をというような趣旨の御意見かと思いますけれども、私どもはいろいろなその他の調査の結果も承知をいたしておりますし、若干古いと言われるかもしれませんが、我が省におきましてもそうした調査を行っておりますので、そういう意味で、それらを総合的に把握することによって真の姿に接近できるのではないかと、このように考えている次第であります。
#248
○足立信也君 それでは、ある程度といいますか、信ずるに足るこのアンケートの結果を基に次回質問させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#249
○山本保君 公明党の山本保です。
 私は、今日は主に年金関係について少しお聞きをしたいと思っております。最初に渡邉年金局長にお聞きします。
 年金制度を不安視しているという方がまだまだおられます。そこで現行の制度の概要、また最近、直近の財政状況とか、その将来見通しというものについて、まず簡単に要点を述べていただきたいと思っているんです。二月六日ですか、暫定試算が出されたとも聞いております。そして、人口見通し、そして経済動向、年金資金の運用の状況、こういうもので今後の年金の状態というのを、推計といいますか、国民に知らしていると思いますけれども、この辺の内容と、そしてそれが過去のものとどのようなちょっと違いがあるのか、この辺についてお聞きしたいと思っております。
#250
○政府参考人(渡邉芳樹君) お答え申し上げます。
 全般的な御質問でございますので概括的に十分なお答えとなるかどうかでございますが、御承知のとおり、平成十六年の改正の際の財政再計算では、平成十三年から十四年ころの大変厳しい経済状況の下で経済前提を設定さしていただきまして、最終的ないわゆる所得代替率も標準的なケースで五〇・二%ということを見通しとして御説明さしていただいたとおりでございます。
 昨年末に公表された新しい人口推計では、出生率の面では中位推計でも二〇五五年に一・二六となるなど、一層少子高齢化の進展が見込まれ厳しい要素が指摘されておりましたけれども、十六年改正からこれまでの間の状況を見てまいりますと、一つには年金積立金の運用収益は好調を持続してきていること、あるいは厚生年金の被保険者数が財政再計算の見込みを大きく上回っていることなど、近年の経済動向を踏まえまして経済前提を設定し直しますと、むしろ年金財政は現時点では好転しているのではないかというふうに見ております。
 さきの暫定推計におきましても、基本計数で最終的な所得代替率が五一・六%と見通されるとお示しさしていただいたところでございますので、将来にわたり公的年金は十分持続可能性を保っており、十六年改正法附則に言う所得代替率五〇%を将来にわたり確保するという点については、現時点では十分可能ではないかと評価をしております。
 ただし、今後、厚生年金保険法等の規定に基づきまして専門家を集めて現在作業しておりますが、平成二十一年までに今回の暫定試算も参考としながら年金財政のしっかりとした検証を行い、これを公表し国会に御報告してまいりたい、こういうふうに考えております。
#251
○山本保君 局長、ちょっと書いてはいなかったんですが、お詳しいんですからちょっとお聞きしますが、一つ。これは昨年ですか、子供の出生数が少し回復したというような報道もありますが、この数値は今の暫定計算には入っているのでしょうか、いないんでしょうか。
#252
○政府参考人(渡邉芳樹君) 例年六月の初めごろに昨年の出生数に基づいた合計特殊出生率等の発表がなされますので、もうしばらくお時間をいただきたいと思いますが、これまでのところ出生数が、平成十八年の場合、前年と比べて約三万二千人、約二・九%増であったというところまでは統計数値が出てまいっておりますので、若干合計特殊出生率の面でも高い数値が出るのではないかと専門家筋は見ておるようでございます。数字につきましては出てきたところで発表さしていただきたいと思っております。
 なお、先ほどの暫定試算でございますが、この数値、少し回復した出生数という部分は入れ込んでおりませんで、あくまでも昨年末に発表いたしました新人口推計のもので対応しておりまして、二〇五五年、一・二六となるカーブ、ちょっと一時上がるときがあっても、ずっとまた段階的に下がっていくという発表でございましたが、その人口推計に合わせておるところでございます。
#253
○山本保君 局長、じゃもう一つ、ではこれは入っていないということなので、もしまたこれが発表されれば、先ほどおっしゃった、また近い将来にもう少しきちんとしたものを出されるということで分かりましたが、最初の説明でちょっとお聞きしたいんです、よくこれも聞かれますので。つまり、人口推計が一・二六という以前よりも厳しい数値が出てきたのに年金財政は好転をしているということの、先ほどもお話はあったんですけれども、もう少しそこを、一般的に伺っていて、あれ、それは余計厳しくなるのじゃないかというふうに感ずるところ、五〇・二%という我々があのとき主張していた五〇%以上というものについてももう少し明るい見通しがあるというお話だったんですが、何というかな、その説明もう少し詳しくしていただけますか。
#254
○政府参考人(渡邉芳樹君) 公的年金制度は、長期保険といたしましてその財政を規定している要素は大まかに言うと二種類あるということであろうかと思います。一つは、人口構造の変化が財政を規定するという側面。もう一つは、いわゆる国民の勤労に基づく所得の中から保険料を納めていっていただくわけでございますので、経済の要素によって長期の財政が規定されると。人口と経済というのは、長期保険たる公的年金の二大柱である、支えている二大柱であるというふうに考えております。
 そういったことから、少し技術的になりますが、先般の暫定試算におきまして五一・六%と基本ケースで申し上げた点について、変化の要因と影響の度合いというものも併せて発表させていただいております。確かに、出生率の変化による五〇・二%に与える影響というのはマイナス二ポイント程度あっただろう、こういうふうに見ております。また、新人口推計では、前回までのに比べまして、男性を中心といたしまして大変寿命が延びた結果を示しておりました。その寿命の延びというのは年金給付期間の延びでもございますので、そうした寿命の延びによる影響もマイナス二か二分の一ポイント程度あるというふうに、人口予想というものは確かに厳しく効いてくるということを申し上げております。
 ただ、長期の経済前提等の変化による影響という点で申しますと、それらをちょうど相殺するぐらいのプラス四か二分の一ポイント程度の経済の回復に伴う将来の日本経済を見通す上での数値の変化というところが変わってプラスの要因になっていること。それから、先ほどちょっと申し上げましたけど、足下の被保険者数の増大でありますとか、本年も御可決いただきました二分の一国庫負担に向けての漸進的な国庫負担の追加投入が法案を御可決いただきましたけれども、ああいう国庫負担というのは十六年の財政再計算の枠の外の数字でございますので、そういった下支えの力が強まった影響、こうした足下の変化などがプラス一か二分の一ポイント程度ございまして、合わせて五〇・二というのが五一・六という数字になった、こんな説明をさせていただいたところでございます。
 いずれにせよ、人口構造面では大変厳しい要素を抱えておりますが、年金は人口と経済両面をしっかり見ていく、またそれらを少子化対策も含め経済対策両面でしっかり支えていくということにより、持続可能性は十分保っていけるというふうに考えております。
#255
○山本保君 せっかくなので、もう少しそれについて。先ほどのお話の、その前の答弁にあったような保険者数が増えているとか、そういうことについては割と私も分かりやすいんですが、これは柳澤大臣の方が専門なのかもしれませんが、経済が伸びて年金財政が良くなるという理由が、自分でも時々、言いながらううんと思っているんですよ。つまり、言うならば、経済が伸びればもちろん保険料は増えるけれども、支払の方も当然増えるわけですから、これは両方が連動しているはずですよねと。だから、経済状況には直接関係しないというような記憶、記憶というか、私はそういう考えもあったなということをよく思うんですが、この辺は詳しい資料をいただいたのになかなか理解できないので、ちょっと、もしそれがお分かりなら、御説明いただけますか。
#256
○政府参考人(渡邉芳樹君) 厚生年金の被保険者数の増加というのは、暫定試算におきましてその増加についても織り込んでおりますけれども、直近の時点で申しましても、平成十八年十一月時点で三千三百八十九万人、財政再計算に比べて約百七十万人、五・三%上回っているということになります。給付が増えるんだからというお話ではございますが、年金財政の構造を細かく見てまいりますと、この厚生年金被保険者数の増加というのは、むしろ支える方の力の強いグループの増加ということでございまして、全体に財政を好転する力を持っております。
 もう一つ、運用利回り、積立金百五十兆と俗に言われますが、その運用利回りにつきまして、長期の設定では財政再計算では実質的には一・一%の実質運用利回りというふうに計算しておりました。すなわち、年金はおっしゃるように物価とか賃金にスライドしていく給付があるものですから、それをどの程度上回るかということによって余力が規定されてくるということもあります。
 それにつきまして、昨今の運用の状況、それから近年の経済の運用利回りの動向等々を加味いたしまして、実質運用利回りが一・一から一・六ぐらい、〇・五ポイントぐらい高めに見ることは、平成十二年の財政再計算を見ても、また最近の数字を見ても十分控え目とも言えるぐらいの堅実な見通しではないかと思っておりますが、ここの一・一と一・六の差というのが非常に大きな財政余力というものを生むことになります。
 一般に、非常に大ざっぱに申しますと、〇・五%実質運用利回りが変わりますと所得代替率は二%ぐらい違うんではないか、このぐらい言われるところでございますので、我が国の場合、先達の御苦労によりましてですけれども、一定程度以上の、厚生年金で言えば五年分以上の積立金を保有して、それを安全かつ効率的な長期的な視野に立った運用ということで扱わしていただいているということが一つ大きなファクターになろうかと思っております。
#257
○山本保君 ありがとうございます。
 年金のこういうものというのは非常に細かい数字ですし、私も全部が理解できるわけではありませんが、お願いしたいことは、一時、年金がつぶれるとか、もう崩壊しているとか、テレビでいつもそういうことを言う方もいたんじゃないかなというような気もするんです。もちろん、いろんな意見ですから、しかもこれが政局絡みというような、政治絡みというふうなことがされましたのでやむを得ないところもあると思いますが、やはり今回のようなものも、一つの客観的な数値としてもう少し使われるようによく周知をしていただきたいと思います。
 以前、たしかこの厚生労働委員会の視察でスウェーデンに行かせてもらったときにも、あのとき、スウェーデンが年金制度を変えるときに、これを政治問題化しないために、正に労働組合の方とかそういう方が入ったのではもうできないということで、各党のもう上の方、トップだけで決めたということもたしか聞きました。そういう報告書があると思います。
 この国の中で年金というものを、もちろん大きな枠組みは政治の課題だとは思いますけれども、個別に今好転したとか又は悪化しているとか、そういうことを余り政治絡みで言うようなことは避けたいなと思っておりましたので、是非ここはもう少し周知、アピールをしていただきたいと、我々もやろうと思っております。
 それで、大臣に、今のお話があるんですが、もう一つ、今も一・二六の出生率と。前から私もいろんなところの委員会も、それから調査会などでも言っているんですね。一・二六というのをどんどん掛け算していけば減っていくのは当たり前でありまして、それが推計値だというのは一体人口研というのは何やっているんだと、そんなのは小学生だって計算できる数字じゃないかと、それは推計ですかねと、本当に人口が半分になったような国が歴史上ありますかと。
 つまり、これは推計、正にこれは機械的計算ですということですから、大臣もこの前、本会議答弁で一瞬詰まられましたけれども、私は前からこういうことを言う人が正に人間を機械だと思っているんだと言っていたんです、これは。一・二六だったら人口は百年もしたら半分になるとか、そんなことを言っている人自体が、正に人間の生まれるということを機械的にやっているんだと言っていたので、まあそんなことを思っておりました。
 ですから、推計というのであれば、いろんな、まず、確かにそれを機械的に計算すればこうだと、それに対して同じぐらい確実性を持った別の推計値というのもきちんとすぐに専門家は出すべきではないかと思っておりました。それを国会でも言っておりました。
 そうしましたら、年末にお聞きしますと、子育て支援政策の在り方などと連動させて、希望すべきですか希望されているですか、希望だとかまた希望を反映した人口試算ですか、こういうようなものもまとめられたと。普通こういうものは確かに数字的にはなかなか明確には出せないのかなと思っておりましたら、そういう発表をされたというふうにも聞いております。
 そうなりますと、先ほどの局長の推計といいますか将来分析よりももっと、もう少し明るい見通しが出てくるのではないかなと思いますので、大臣、もしよろしければこの辺についてどういうお考えか、お答えいただけますでしょうか。
#258
○国務大臣(柳澤伯夫君) 将来人口推計ということが行われるわけでございます。これはこの国勢調査が行われた年、その本当の実態を踏まえて将来人口推計というものが行われるわけでございますが、それは国際的にも確立した人口学の手法というものがあるようでして、それは今委員が中学生でも分かると言われましたけれども、要は過去のトレンドを将来に伸ばすという手法で作成する、政策的な要素を加味しないということで作成されるわけでございます。これは、主要国の政府や国連が行っている将来人口推計というのは基本的にこの手法で行われておりますので、我が国もある意味で国際スタンダードにのっとってこれをやるということは当然でございます。
 しかし、御指摘のような推計を行うことも意義があるというふうに考えられることから、先般、今後の施策の立案に当たっての議論の素材としていただくという目的でもって、結婚や出生の行動に関する国民の希望が実現した場合の将来の人口の姿というものを試算をいたしまして公表をいたしたということでございます。これはもう今先生の御指摘のとおりでございます。
 この人口試算によりますと、仮に国民の希望が実現すれば合計特殊出生率は一・七五までになると。一・二六が一・七五までになるということでございます。これは高いと見るか、それでもなお一・七五にとどまるのかという評価、いろいろあろうと思うんですけれども、一・二六に比べれば非常に改善を見るということでございます。ちなみに、その際の総人口、これは二〇五五年を目標年度として推計をしたわけですが、これは辛うじて一億人を維持できるという、そういう結果が示されたところでございます。
 この試算を公表をしていただきました社会保障審議会人口構造の変化に関する特別委員会の議論をこれから踏まえまして、今後、今内閣で「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議というものが設置されておりますので、少子化対策の具体的な整理、検討というものを進めていく、そういうときの参考資料として用いたいと、このように考えている次第でございます。
#259
○山本保君 やはり一つの数字、それが、それだけが決定的なものであるというような議論よりは、大臣がおっしゃったようにいろんな政策、こういう政策を打てばこうなる、こういう政策をうまく動けばこうなるというようなものを今の段階でいろんな案を出されるというのが私は必要だと思います。是非、白書などにも今後これをはっきり出していただきまして、その上で、そのために国民の負担ももちろん掛かるかもしれませんし、いろんなサービスが、新たなサービスが必要だということについて国民的な議論をきちんとすると、そういうことが必要だと思いますので、そこは是非お願いしたいと思います。
 それでは、ちょっと細かなことを今度お聞きしますが、局長にまずこの順番どおりお聞きしますと、これは私はどうかと思っておったんですが、こういう話が社長さんから言われましたんで。つまり、ある今、年金をいただいている方が、そのほかのいろいろ収入がございますと、だんだんとある一定限度から増えますと年金が減額される、最後には年金は全然出なくなると。これはある意味、お金持ちの方にそれだけ我慢していただくということで、全体でも所得の少ない方の方に年金が分がいいようにつくってあるということですから、まあこれはそうだなと思うんですが。
 逆にといいますか、最近、特に高齢者の税金については見直しがされまして、まだまだ若い方とは差があるようですけれども、お金を稼いでいる方からはちゃんと税金をいただくということが片方でできてきたと。そうしますと、働くと年金が減るというような制度は余り現実的に、今のこの政策課題として、元気なお年寄りにしっかりお仕事もやっていただこうという方向、その意欲をそぐようなことになるんじゃないかと。
 ですから、この辺は財務省としっかりきちんと調整されて、いったんお支払しておいて税金をいただければそれはそれでよろしいんじゃないかという気がするんですよ。年金の方に入ってこないということがあるかもしれませんが、全体として言えばですね。
 こういうのは、つまりこの制度、今の漸減していくというようなものは、この税制度を改正する前の制度ですから、これは今税の方が変わってきたので少し見直す必要があるのではないかという気がするんですが、いかがでございましょう。
#260
○政府参考人(渡邉芳樹君) 御指摘の点は、いわゆる在職老齢年金、年金の在職中の支給停止制度のお話でございます。
 これも非常に長い制度的な歴史の経緯の中で扱われているものでございますので、白地に議論すればおっしゃる点もうなずける点あるんでございますけれども、そもそも厚生年金制度は退職を支給要件とし、お年を召されていても在職中は年金を支給しないという制度でございました。それが昭和四十年ころに、六十五歳以上の在職者にも賃金だけでは大変生活が苦しい方が多いと、高齢者は低賃金の場合が多いということで、特別な年金を在職老齢年金として創設してきたという経緯がございます。
 一方、基礎年金をつくりました昭和六十年改正の時点でそれらを全部総括いたしまして、六十五歳以上は年金を全額支給するというような整理をしてきた時代もございます。
 その後、多々変遷を経ておるんでございますが、これまでの制度の見直しというものは、一方において、御指摘のように高齢者の就労を阻害しないという観点からの見直しが行われてきた要素と、他方、この就労している高齢者が引き続き受給しているということになりますと、賦課方式でそれを支える現役世代の負担がこれは大変だという面から、現役世代の負担の重さに配慮する、少しでも軽減するようにという、配慮するための見直しというものが平成十二年改正以降続いてまいりました。
 平成十六年改正においては、六十歳代前半について一律に二割カットするというのは、そのルールはやめましょうと。やはり、六十代前半は少しでも働いてもらうという要素の方が強いのではないかということでそういたしましたが、逆に七十歳以上にも、現に会社の役員等で働いておられて給与がある方については現役のために少し我慢してもらおうと。こういうような両方バランス取るようなことをしてきておるわけでございます。
 実際、少々前の数字でございますが、こうした在職支給停止で約百四十万人ぐらいの方々が対象となっており、これからますます増えていくかもしれませんが、実際のところはそうした、あっちを立てればこっちが立たずという中で難しい判断であると思っております。
 さらに、端的に言えば、在職老齢年金制度の支給停止を廃止、縮小した場合には、その分給付費が増加し、これに伴い、更に保険料率を引き上げざるを得ないと。先ほどの百四十万人というのは兆の単位の給付に結び付いておりますので、なかなか難しいところがあるのではないかというふうに考えております。
 過去の経緯と十六年改正及びなかなか難しい点というところを御説明するところで答弁に代えさせていただきたいと思います。
#261
○山本保君 私も、私自身は局長の考え方に賛成なんでございますが、片方でお年寄りの税金が上がったと、こういう話が、話というか実際そういうふうに感じられているわけですから、そうなりますと、この考え方も少し、もう一度それにも立った、それと絡んだ説明というのがしていただく必要があるのかなと思いましたので、お聞きしました。
 次に、今日午前中にもお話があったことなんでございますが、ちょっと私は観点変えてお聞きします。
 つまり、午前の法律の内容と絡むかもしれませんが、日本に外国人が来られていて、そして実際上、三年でしたかね、五年でしたか、帰られるときは、それ以内であったらその間の社会保険料というか年金部分は戻ってくるというような制度になっているというんですが、それ以上ですと、もう言うなら掛け捨てというか、それが原因でなかなか外国人の労働者から雇用保険料が取れないとかいうことも聞いていると。
 それで、今日は午前中の審議をお聞きしていますと、日本の制度自体が二十五年というのは長過ぎるんじゃないかという御議論が中心だったと思いましたので、私もそんな気はするんですが、しかしここは、午前中、大臣の答弁にもありましたように、このことだけで日本の制度をどうするかというのはもう少し別の観点からもきちんと見る必要があると思いますから、私の少し今日の御質問は、それならば、日本で働く外国人にだけ何か、それも今日出ましたようなブラジルですとか、正に年金、社会保障制度が余りしっかりしていないと、そういう点ですぐに協定、通算ができないと、こういうような国に対して、何か特例的に短い期間でもお出しすると。
 そうなりますと、私の一つの提案は、ちょっとけちった提案かもしれませんが、つまりお支払いするのは日本の物価水準じゃなくてそちらの国の物価水準で当然お支払いしますよというようなことを向こうとやりますと、ちょっとずるく考えますと、向こうからいただく方はこちらの物価水準でいただいて、お支払いする方は少なくなるわけですから、財政面にとってはこれはプラスではないかと。
 そんなこともありまして、何か特例的に日本の国全体を変えるということを前にも私も言ったこともあるんですが、まずその前に、それをどうするかという前に、今現実にそういう外国人労働者が困っておられる、若しくはそれが入らずに、入らなかったがゆえにいろいろな点で困っているということに対して何か救済策をつくる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#262
○政府参考人(渡邉芳樹君) なかなか良いお答えができなくて恐縮でございますが、我が国に居住する外国人に対して、自国民と同じように社会保障制度を適用し、必要な保障を行うということは、ILO条約を引くまでもなく国際的にも要請されている基本であると考えておりますので、外国人であることを理由として二十五年より短期間で支給するとか、あるいは、今ここでの御提案でしたのでよく、急にはそしゃくできませんが、日本円じゃなくて現地通貨建てにしてはどうかとか、こういうような応用編というものは、やはり設けることが適当でない特例ということになるのではないかと思います。
 現在、私どもの年金でも海外送金というのはたくさん行われております。そして、午前中の社会保障協定に関するEUの基本原則の中でも在外者に対する送金ということをきちっとやるというのが一つの大きな柱であるわけでございますので、外国へ送金する年金給付そのものも含めまして内外人平等の原則で臨まざるを得ないのではないかと。
 滞在期間の短い外国の方については、保険料が給付に結び付かないという問題につきましては、基本的には、でき得れば両国間の社会保障協定というものをベースにしながら、相互の制度に対する理解、軽減すべき負担は軽減、それから通算すべきは通算というようなことで対応していくのが望ましいと思っておりますが、平成七年四月から、平成六年改正によりまして極めて特例的、例外的な仕組みとして三年という期限を切った上での脱退一時金の制度が設けられていることは御承知のとおりでございますが、こうした三年というルールで特例的に設けられているのはあるにせよ、基本は内外人平等の社会保険適用ということに徹していくのが正しいのではないかというふうに考えております。
#263
○山本保君 これは、今日ですか、昨日ですか、テレビなどでもJITCOの研修制度の問題が出ていまして、私もこれについては少し提言といいますか、内容を考えておりますので、そういう正に外国人労働者という方が日本に来られると、こういう大前提といいますか、大きな国の流れがありますときに、局長は、年金としては難しいというならば、先ほどの一時金とかこの辺のところをもう少し融通を利かせるとか、私がさっき言いましたように、そこは協定の中身でGDP比で払うとか、当然それに期間の比例配分ですから、きちんとやれば決してこれは我が国にとって損をするという制度ではないんではないかという気がしますので。ですから、これはまたじゃ改めて次の機会にでも、外国人の研修若しくは実習、そして労働者、こういう問題でお聞きしたいと思っておりますので、今日はそこまでにじゃさせていただきます。
 もう一つ、ちょっとこれは昨日急いで、今日ですか、質問を作りました。
 これも今法律があるところなんで、また詳しくはそこだと思うんですが、一つ最近、私の方に社会保険労務士さんの県の会長さんの方からちょっとお話がありましたので、これは青柳部長にお聞きする内容になりますか。正に、今本当に年金も含めた社会保険庁の改革と、この中で一つだけちょっと今日お聞きしたいんです。特に、労務士さんたちの方からの御意見がありましたので。
 いわゆる市場化テストなどで業務の一部分を民間方にお渡しすると、そういうことをもう既に進めていると。これは、全部お役所で、数も限られたところで、行くのに一日掛かるというようなことになってしまったんではしようがないので、どんどん民間にということは私は分かるんですけれども、しかし、民間の株式会社とか、そういう営利法人にこういう仕事をやらせるというのはいかがなものかと。今までは労務士さんたちがそこでは責任とまた専門性を持って仕事をされてこられたんですから、これを同等に、若しくは市場化テストなどをお聞きしますと、いわゆる入札で金額の低い方に決めると、これが一般ルールだと、こう言われているようだけれども、どうもしかしそれは、元々そういう専門性ということをやっている人とそうじゃない方と合わせて低い方にというのは、これは一見公平なようで公平ではないんではないかと、こんな気がするんですが、これちょっと今日、今朝、昼に追加でお聞きしたことですけれども、お願いできますか。
#264
○政府参考人(青柳親房君) ただいま社会保険庁の業務委託に際しての社会保険労務士の関与についてのお尋ねがございました。
 社会保険労務士は、その本来業務として、事業主やあるいは被保険者等の依頼を受けて、医療保険あるいは年金等の各種申請書の作成、あるいはそういったものの手続の代行をしていただくということだけでなく、従来から社会保険事務所等からお願いをいたしまして、年金相談あるいは事業所への説明等にも御協力をいただいてまいりました。近年では、個人情報の保護あるいは業務執行の透明性確保という観点から、これを業務委託という形で責任の所在あるいは範囲を明確にするというケースが増大していると承知をしております。
 その際、お尋ねの中にも例示でございましたように、例えば市場化テストのように一定の要件を定めた上で一般競争入札を原則とする制度におきましては、健康保険や厚生年金の適用事業所の実態把握、あるいは促進のための勧奨事業のように、従来、専ら社会保険労務士会にお願いをしてやってきた事業につきましても広く一般から参画を募るということが求められてきておるという事情がございます。このようなケースについても、知識や経験のある社会保険労務士会にも参画をしていただくために、私ども、社会保険労務士会が入札資格をクリアできるように、内閣府等とも調整をしてそういったことを実現をしてきたという努力はこれまでも行ってまいりましたけれども、業務独占的に社労士会に仕事をお願いするということは市場化テストの趣旨にかんがみて必ずしも適切ではないと考えております。
 一方、電話による年金相談、これも業務委託を行っているわけでございますが、この場合には社会保険労務士の資格を有する方をスーパーバイザーとして一定割合確保するということをきちんと要件として求めるというふうなことをしておりますので、言ってみれば業務委託の内容に応じて対応しているというふうに御理解を賜りたいと存じます。
 なお、平成十七年度から最新の年金事情を社会保険労務士の方々に広く知っていただくという目的のために研修会というのを実施をさせていただいておりますけれども、私どもとしては、今後とも社会保険庁の改革を推進していく上で社会保険労務士の方々の協力あるいは参画というのは不可欠であるという認識の下に、このような必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
#265
○山本保君 それで、もう一つ、じゃそこでお聞きしますと、これはもう決まったことなのかどうか、ちょっとあれなんですが、会社がやる場合に、その会社には社会保険労務士の試験を合格した方を置いていくということを条件にするというようなことを漏れ聞いているんですよ。
 これはつまり、合格していても労務士の登録をしていないと労務士ではないと、こういう制度ですが、先般もこういう資格制度のことをやりましたけれども、何か制度的に、試験は受かったが労務士会には登録していないというような人を法的に何か、その人たちに何か新しい仕事が出るようなものをというのはちょっとこれはいかがなものかなという気がするんですね。労務士さんというのがあり、法律に基づいて仕事をしていると。であるならば、労務士さんの資格を持った方をその会社に置くというのが筋ではないかと思いますが、どうですか。
#266
○政府参考人(青柳親房君) これは社会保険労務士法に基づくところの本来業務をやる場合には、今委員からもお尋ねがありましたように、当然のことながら、労務士として事業のできる資格を有する、すなわち登録をしている方が担当するというのは当然のことだろうと思います。
 しかしながら、私どもは、例えば年金の電話相談で求めておりますのは、きちんとした、要するに知識を持っているということを第一義的には求めているわけでございますので、そういう観点からいたしますと、社会保険労務士の資格を有するということを一義的な要件にした場合であっても、必ずしも社会保険労務士法の言わば求めている要件に背反するということはないのかなというふうに認識をしている次第でございます。
#267
○山本保君 私は、ちょっとそこはどうも、それであるならば、いいコンピューターがあればそれでいいということになってしまって、経験であるとか責任感というものが本当にいいのかなという気がします。これはまた改めて、じゃお聞きすることにします。
 次に、残った時間を医療について、あっち行ってこっちで申し訳ありませんが、前回、私予算委員会で要点だけをお聞きしたんですね。いわゆる医療法の中で改正をした退院計画というものをきっちり作っていくべきだと。努力義務であるけれども、これはいっときも早くきちんと全国で行われるようにすべきだと思っております。
 今日ちょっとまずお聞きしたいのは、当然こういう仕事をやるとなれば、人、物、金と、こういう俗な言い方になるわけですね。まず、それで、人について、これはこの委員会でもちょっと私前に申し上げたと思いますし、この前の社会福祉士法の、介護福祉士法の審議のときにも申し上げたことです。正に同じことを言うわけですが、いわゆるソーシャルケースワークというような仕事が当然これは医療の中でも必要になってくると、教育でも今はそうなってきたと。
 こうなってきますと、病院などにこのソーシャルケースワーカーをきちんと置くということが、もう一度お聞きしたいんですね。資格、社会福祉士の制度も変わってくると、こうなるときちんと人を置くのが必要ではないかと思いますが、松谷局長ですか、お願いします。
#268
○政府参考人(松谷有希雄君) 今般の医療法の改正におきまして、新たに病院、診療所に対して退院後の療養に必要なサービスに関する事項の説明を今委員御指摘のとおり努力義務として課すことといたしまして、患者さんが入院から退院後に至るまで切れ目なく一貫して医療サービスが受けるように、できるようにしたところでございます。
 退院後の計画を作成するに当たりましては、地域の様々なサービスを活用するという観点からは、医師、看護師に限らず様々な職種の専門家が知識を持ち寄りまして計画を作成することが重要であると考えております。
 委員御指摘の医療ソーシャルワーカーは、個々の患者の視点に立ちまして、各医療機関、福祉機関等との連携などを努めることができるという点で重要な役割を果たしていただけると考えておりまして、退院後の療養計画等を策定する際にも、社会福祉の専門的知識及び技術に基づきまして、必要に応じて積極的に関与していただくことが望ましいと考えております。
#269
○山本保君 ですから、これは、この前は医政局ではなくてまだ社会局の方の仕事だったわけです。社会福祉士さんの仕事の場というのがやはりもっときちんと確保されるべきだという団体の考えというのは、私もそれは原則そのとおりだと思っております。ですから、是非ここは、そういう福祉ソーシャルケースワークの資格の方が今動きつつあるわけですから、それと連動させて是非検討していただきたいと思っております。
 それから次に、今度はお金のことですね。この前時間がなかったので、石田副大臣にもう簡単な答えだけしていただいたなと、予算のときに、思っておりますが、少し細かいことを今日お聞きしたいんです。
 つまり、地域連携クリティカルパスというものがあって、そのほかにもいろいろお金があるそうなんですが、しかし、まずこのクリティカルパスというのが今は大腿骨のところの骨折だけなんだと。そして、見ていますと、急性期の病院と回復期の病院の間でだけこれが動いていると。両方の病院に一万五千円ずつ払われると、どうしてそんなふうに限定する必要があるのかなと。もっとそれはほかの制度でも紹介料もあるとかいろいろなことを担当の方は言われましたけれども、それを全部まとめた形で分かりやすく、福祉の施設へ行く、若しくはおうちへ帰られる、そういうときにどんな形で、もちろん医療機関でないところにどうお金を出すのかという、これまた問題も出てきますけれども、しかしそれも含めてこれからつくっていく必要があるので、まず最初はどうしてこの大腿骨とそして急性期と病院間だけだというふうになっているのか、これは保険局長にお聞きします。
#270
○政府参考人(水田邦雄君) 地域連携クリティカルパスについてのお尋ねでございます。
 これは複数の医療機関が一人の患者さんに対しまして同じ共通の診療計画を用いて一貫した診療を行うツールでございます。平成十八年度診療報酬改定におきまして新規に導入したものでございます。ただ、この地域連携クリティカルパスの診療報酬上の評価をしたわけでありますが、その位置付けといたしましては、これは御承知かと思いますけど、熊本市など一部地域で実施されていたものをモデルとしてございまして、全国に適用される診療報酬に盛り込むに当たりまして、まず最も実績のある大腿骨頸部骨折に対象を絞りまして試行的に導入したものでございます。でありますので、今後その実施状況等を調査し、有効性について検証を行って、それを踏まえて検討をすることとしているわけでございます。
 その中で、御指摘ありましたとおり、病院間のみしか算定できないかということが御指摘ございましたけれども、正にこれも試行的に導入したものでございますので、この検証結果を踏まえて検討した上で、最終的には患者さんが住み慣れた地域で療養生活をスムーズに移行していただくための評価の在り方として検討をしていきたいと、このように考えております。
#271
○山本保君 積極的に答えていただいたと思っておりますので、是非これは急いでやりたいと思っております。また来年の診療報酬改定ということだろうと思っておりますので、また改めてお聞きします。
 最後に、質問はしてなかったんですが、さっき申し上げたように、物のことですね、人、物、金の物についてはもう話が進んでいたと思いましたら、今朝、毎日新聞を見ましたら、この療養病床について少し目標を、十五万床までにというのを十八万病床ぐらいにするんだというこの記事が、どういう形か知りませんが載っていたとありましたので、これはどちらにお聞きすればいいのか、保険局長なのか医政局長なのかちょっと分かりませんが、これについて、本当にこういう考え方なのかどうか、まずお聞きします。
#272
○政府参考人(水田邦雄君) 実は、本日の毎日新聞の報道は、何を根拠にして書かれたのかよく分からないのであります。
 と申しますのは、療養病床の再編成に当たりまして、その数値目標につきましては、先ほども申し上げましたが、四月十七日に開催いたしました医療構造改革に係る都道府県会議におきましてお示ししたところでございます。全国レベルで機械的に計算すると約十五万床になるものと考えているわけでございます。
 ただ、各都道府県が目標を設定するに当たりまして、今後の後期高齢者人口の伸び率による増加分、これは増える要素、それからその一方で、早期リハビリテーションの強化による重症化予防、在宅医療及び地域ケアの推進に関する方針等の地域の実情を踏まえる、これはむしろ需要減につながるものでございます。これらの要素を勘案して目標を設定するように説明したところでございまして、この四月十七日の会議において説明したこと以降、これまで特段新しいことを決めたということはございません。特に方針の変更はないということでございます。
#273
○山本保君 私は、実際に大きなまず枠を決めて動き出したときに、当然その状況の中で変わっていくということはあり得ることだと思っておりますが、それは当然、しかしまたそれなりの適正な手続を取ってきちんと進めていくべきだと思っておりまして、今日の報道については、じゃまだ局長の話ではこういうことを決めているのではないということで理解しておきます。
 じゃ、以上で私、終わります。ありがとうございました。
#274
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 来年四月から後期高齢者医療制度が発足するわけで、この保険料が一体どうなるのかということをちょっと今日はお聞きをしていきたいと思います。
 財源構成は言うまでもないんですが、給付費の半分を保険料で賄い、その四割が現役世代、一割が後期高齢者ということになってきます。保険料の内訳としては、応能割と応益割が一対一という仕組みになるわけですが、最初の試算では年金収入二百八万円の方の応能割の平均を月額三千百円としているんですけれども、その根拠を簡単に御説明願います。
#275
○政府参考人(水田邦雄君) 年金収入二百八万円の方の応能割額月額三千百円としているわけでございますけれども、この算出過程でございますが、まずこれは平成十八年度予算を足下にいたしまして平成二十年度の見通しを作成し、後期高齢者の医療給付を賄う保険料はどの程度となるか、全国平均の推計値を示したものでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、年金収入二百八万円の方に係る応能割額はこの二百八万円から公的年金等控除百二十万円、それから基礎控除三十三万円を控除いたしました五十五万円、これを賦課対象所得といたしまして、応能割率を約七%と見込みまして、五十五万円に約七%を乗じて得た年間保険料を十二か月で割ってこの月額三千百円というものを算出したわけでございます。
#276
○小池晃君 同じく試算では、応益割の平均月額を三千百円というふうにしておりますが、この根拠は、じゃいかがでしょうか。
#277
○政府参考人(水田邦雄君) この低所得者に係る保険料軽減前の応益割額三千百円でございますけれども、これは保険料で賄うべき後期高齢者の医療の給付費約十・三兆円の一〇%、これが後期高齢者の保険料で賄う分でございますので、その額から高額医療に係る公費など約五百億円を控除いたしまして、さらにその半分を応益割総額といたしまして、これを後期高齢者医療の被保険者数約千三百万人で除して得た年間保険料を十二か月で除して得た額でございます。
#278
○小池晃君 今の計算の仕方でいうと、給付費だけなわけですが、事業としては、保健事業や事務費、葬祭料なども含まれてくるわけで、これより増大するのではないかと。したがって、応益割の金額もあるいは応能割の料率についても、どれだけかというのはこれは分かりませんが、試算より例えば一割程度増大するのではないかということもあり得るんじゃないかと思いますが、その辺の見込みはどうですか。
#279
○政府参考人(水田邦雄君) 現実のこの後期高齢者医療の保険料の算定方法をどうするかということでございますけれども、基本的には現行の国民健康保険の仕組みを参考、下敷きといたしまして、一つには広域連合ごとの費用と収入の見込額を基にしまして、保険料で賄うべき額を賦課総額として算出いたしまして、その当該広域連合の被保険者の数、所得金額に応じて応益割額と所得割率を算定することを基準とすることを考えているわけでございます。
 この基準につきまして今後政省令で定めることとしてございますが、広域連合の費用の、いや収入の見込み方等につきましても、それから御指摘の保健事業等のお取扱いも含めまして、広域連合に示していくこととしてございます。それを踏まえて各広域連合ごとに算定されると、こういう手順を踏むわけでございます。
 御指摘のように、この医療保険制度改革の参考資料でいたしました応益割額それから応能割額につきましては、先ほど申したとおり、この平成十八年度予算を足下にしまして、二十年度の見通しを作成して、この医療給付費を賄う保険料はどの程度になるか、全国平均の推計値を示したものでございますけれども、実際に各広域連合において算定する場合には、広域連合の実情に応じて医療給付費の見込額を算定することになります。
 さらに、これに加えまして、御指摘のありました保健事業等に係る費用につきましても、保険料で賄うものについては、それらが賦課総額の中に算定されることがございます。
 またさらに、二年を通じて必要な保険料額を算定するということもございますので、給付費以外のこういった要素も織り込んで現実には算定されると、こういう手順を踏むことになるわけでございます。
#280
○小池晃君 したがって、試算より若干増えるであろうということですね。
#281
○政府参考人(水田邦雄君) 全国平均の推計額とは異なった数値になることは、これは十分考えられます。
#282
○小池晃君 素直に増えるって言えばいいのにね。減る要素ないわけですから増えるわけであります。
 応益割、応能割、合わせて平均月六千二百円ということですが、実際はもっと多くなる可能性も高い。しかし、応益割額を取りあえず月三千百円として、料率を先ほど試算であった七%、八%ということで設定して、年金額に占める保険料の比率がどうなるか厚労省に計算をしていただいたものを今日資料の一枚目、二枚目にお配りをしております。
 これ見ますと、例えば所得割率を八%というふうにした場合で、年金額百八十万円で保険料総額が五万一千三百六十円、年金額二百万円で六万七千三百六十円ということで、これが天引きをされてくることになりますと、三%以上のダウンになってくる方も多いということになるわけですね。
 大臣、こういうやはり後期高齢者の保険料の賦課、特に今まで被用者保険の扶養家族だった高齢者にはこの保険料は今まで掛かっていなかったわけですから、丸々負担増になってくる。ただでさえ非常に高齢者の生活厳しいという中で、この後期高齢者の保険料の賦課、年金からの天引きというのが高齢者の生活に大きな打撃となるというふうに考えませんか。
#283
○国務大臣(柳澤伯夫君) 後期高齢者医療制度におきましては、後期高齢者一人一人に保険料を負担していただくという仕組みといたしております。そういう仕組みを新たにつくるわけでございますが、現在でも後期高齢者の約八割は国保に加入しておりますが、国保加入者については、所得のない高齢者を含めて現に保険料を負担していただいているという現状がございます。
 したがいまして、この新しい制度の趣旨と現行の国保加入者との均衡を考えますと、新たな制度におきましては、今委員が御指摘のように、被用者の子供と同居するなどによりまして、被用者保険の被扶養者として保険料を負担してこなかった方についても保険料を負担していただくということが必要であるというふうに考えております。もちろん、その際、低所得者については現行の国保の仕組みと同様に最大七割、委員のこの資料でも七割、二割というような軽減が使用されておりますけれども、七割、五割、三割でしたでしょうか、そういう軽減措置を設けることとしておりますし、また、これまで保険料負担がなかったという事情を考慮いたしまして激変緩和の措置、つまり、これに加入したときから二年間は保険料を半額とするというような措置を講じさせていただきましてこの制度の定着を考えてまいりたいと、このように思います。
#284
○小池晃君 私は、これは今の高齢者の実態から見て大変な負担になることは間違いないというふうに思います。大臣も、今まで国保加入していたところについてはまあ今までどおりということですが、やはりその扶養家族の場合は増えるということはお認めになっています。
 しかも、その中身自体が納得の得られるような仕組みになっているかということで、一つ試算をしてみました。現在、職場で給与年収も得ている方がどうなるのかということで三枚目に、これは我々が試算したものであります。保険料の上限額というのはまだ示されていないんですが、現行国保の上限額五十六万円、一方で、今回の制度は個人単位だということを考えて、単純に半分にしてもいいんですが、一応上限額三十万円として仮置きで計算をしてみました。
 そうすると何が分かるかというと、給与所得、給与年収が七百万円以下の場合はこれは保険料負担は増えます。今の例えば組合健保、政管健保、まあ政管健保の保険料で計算していますが、増えるわけですが、例えば応益割が月三千百円、応能割が料率八%だというふうにしますと、給与年収が二百万円の方は二万六千円、三百万円で四万一千円、四百万円で六万円、五百万円では八万三千円負担が増える。ところが、給与年収八百万円以上だと保険料負担減るんですね。年収二千万円超える場合は、これ五十一万七千円も保険料負担が軽減されるということになります。
 これは一応仮置きの数字で計算したんですが、局長、こういう仮定で計算すればこういう、給与年収が少ない人は負担増になり、給与年収が多い人は負担が減るという仕組みになっていることはこれ間違いないですね。
#285
○政府参考人(水田邦雄君) 実際の保険料額につきましては、先ほど申し上げましたような手順を踏んで各広域連合ごとに条例に基づき算定されるわけでございますので、確たることは申し上げられませんけれども、委員が様々置かれた仮定を置いた上であれば、こういった事例もあり得るものと承知をしております。
#286
○小池晃君 高額な収入を得ている人ほど保険料を軽減されるんですね。七十五歳以上で給与所得者というのは三十万人であります。そのうち二十万人は役員なんです。
 例えば、日本経団連の前会長の奥田碩さんは来年四月の後期高齢者医療制度発足時に七十五歳になるんですね。今トヨタの取締役をやっていますから、それなりの給与収入を得られているだろうと。奥田氏がどうなるか分かりません。しかし、こういう七十五歳以上で給与収入を得ている方の例えば大企業の役員なんかは、これは軒並み負担が減るだろうと思われるわけです。
 今まで被用者保険の被扶養者だった高齢者は丸々負担増になる。高い給与収入を持っている高齢者の場合は、収入が少ない場合はこれは今よりも負担増えるんですが、高い、高収入の給与所得を得ていれば負担が減る。
 これ、大臣、この仕組みは余りにも不公平だと思いませんか。
#287
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほども申し上げましたように、後期高齢者医療制度は個人単位で保険料を賦課することといたしているということです。
 保険料の賦課基準ですけれども、これは現に八割の方が国民健康保険に加入して国保の基準に従って保険料を支払っているという実態があることを考慮しまして、現在の国保の仕組みを参考にして頭割りの部分と申しますか、応益割と所得に応じた部分、応能割とで設定することにしているわけです。委員の今お示しになられた資料は、これは応能割の部分を取り上げられているというふうに見るわけでございますが、この後期高齢者医療保険料の賦課方式としては、同時に応益割の部分もあるわけでございます。
 実際の保険料は、今局長から申し上げましたとおり、各広域連合ごとに算定されるわけでございますけれども、保険料の算定基準においては、低所得者については応能保険料について所得額に応じた低い額の賦課になりますし、また場合によっては対象外になると。それからまた、応益保険料については先ほども申したように軽減措置を設けると、こういうことになっております。それから、賦課限度額というのも国保の限度額を参考にして適切に設定することといたしまして、予定をいたしております。
 委員は三十万ということで試算をなされたようでございますけれども、現行国保は五十六万というようなことで、いずれにいたしましても、これから賦課限度額あるいは保険料算定基準を政令等で定めるに当たりましては、パブリックコメント等を通じまして国民の皆さんの御意見を十分伺っていくということでございますので、そうした御意見もまた反映させていただいて決定をいたしたいと、このように考えます。
#288
○小池晃君 いや、これ、応益割ちゃんと組み込んで計算していますから、余りちょっととんちんかんなことを言わないでほしいんですけど。
 応益割も組み込んで言っています。そんなに低い人のところを言っているんじゃなくて、かなり高い給与収入を得ている部分でいえばこういう傾向になることは間違いないんです。それは三十万円を四十万円にすれば、それは四十万円になる。しかし、今よりも高額所得のところは下がってくることは、これは家族単位の制度から個人単位の制度にすればそういうことになることは間違いないだろうというふうに思いますし、これ非常に不公平な問題として指摘をしておきたいというふうに思います。
 それから、来年四月の後期高齢者医療制度のスタートとともに、六十五歳以上の国民健康保険料の年金からの天引きも始まります。正にこれ便乗天引きみたいに私は思うんですが、なぜ国保料まで天引きにしたのか、御説明をお願いします。
#289
○政府参考人(水田邦雄君) 国民健康保険におきましては、原則平成二十年四月から、世帯内の国保被保険者全員が六十五歳以上七十五歳未満である世帯につきまして世帯主の受給している年金から保険料を天引きする仕組みを導入することとしているところでございますけれども、一つには、被保険者の保険料納付の利便を図ることがございます。もう一つは、市町村における保険料収納の確保と事務の効率化を図ることを目的としているところでございます。
 後期高齢者医療制度と同時期になるわけでありますけれども、やはり同じ高齢者についてはこの年金天引きを導入しようということでございまして、そういう意味では整合性を取った措置でございます。
#290
○小池晃君 いや、利便と言うけれども、別に年金から天引きしてくれなんて国民はだれも頼んでないと思いますね。そういうことで何か国民が何か望んでいる、国民のためにやっているような説明はちょっといかがなものかと思います。業務の簡素化のために暮らしが脅かされていいはずはないと私は思います。
 実際どうなるかは、これも計算してみましたが、大阪市とそれから大阪府の堺市のケースで年金から天引きされる国保料、介護保険料をちょっと計算してみたんです。それが資料の四枚目と五枚目にございます。
 これで見ていきますと、大阪市の場合で、月一万五千円の年金の方で介護保険料と国保料が天引きされると合計で四千四百十三円引かれる、一万五千円で四千円以上引かれる。天引き率二九・四%ですね。それから、同様のケースで堺市では四千二百三十三円、二八・二%の天引き率となります。
 これも一応事前にもうお渡しして、この数字は間違いないということは厚労省から確認をいただいておりますが、これは改めて、簡単で結構ですから、これで間違いないですね。
#291
○政府参考人(水田邦雄君) 御指摘の大阪市と堺市におきます国民健康保険料及び介護保険料についてでございますけれども、この二十年度でも現行の所得割率等が同様である、こういった一定の前提の下で試算をすれば、御指摘のようになるものと承知をしております。
#292
○小池晃君 大臣、国保料、介護保険料を合わせて三割近くが天引きされることになるわけですね。これ月額一万五千円が年金天引きの下限ですが、私は、その月一万五千円の年金というのはそもそもやっぱりこれは生存権を保障する水準ではないというふうに思っています。
 ただでさえ少ない年金から介護保険料の天引きで大変な怒りの声が上がっているときに、更に国保料まで含めて三割ももう強制的に奪われてしまう。私、大臣ね、これは本当に憲法二十五条、生存権ということに照らしてどうなのか、生存権の侵害に当たるようなことになりはしないのかと思うんですが、大臣、いかがお考えですか。
#293
○国務大臣(柳澤伯夫君) 年額十八万円の年金のみが収入だと、で、資産もなく生活されている場合というのは、基本的に生活保護の適用対象となる可能性があるというふうに考えております。
 今回の国民健康保険と介護保険の保険料の年金天引きは、今その趣旨とするところは保険局長からお答え申し上げたとおりでございますが、天引き額が過大にならないように、両方が合わせた、年金額の二分の一を超えないようにということを仕組みとして持っておりまして、この二分の一を超える場合には、その超える部分からまず国民健康保険料を天引きの対象としないということで二分の一にとどまるような仕組みとする、そういう配慮措置を講じておるところでございます。
 保険料の年金天引きの導入に当たりましては、どのような方々が対象になるのか、いつから開始されるかなどについて十分な広報を行って、市町村において被保険者への適切な配慮がなされるように留意してまいりたい、このように考えております。
#294
○小池晃君 半分以上天引きしちゃいけないなんて当たり前です、それは江戸時代だって五公五民という言葉あるんだからね。そういう、常識ですよ、そんなの当然ですよ。それで配慮をしているなんてとんでもない。しかも、一万五千円の年金だったら、じゃ生活保護へ行けというんですか。それは私は暴論だと思いますよ、こういう年金生活者に対して。
 私は、こういうやり方というのは、これはまだまだ知られていないけれども、恐らく天引きがされるようになったら、本当に怒りの声が全国から上がることは間違いないだろうというふうに思っております。こういうやり方は正に憲法二十五条、生存権の侵害だというふうに思います。
 しかも、その医療の中身がどうなるかということなんですが、診療報酬の制度について議論が始まっているんですが、前回の委員会、当委員会でも必要で適切な医療は後期高齢者に対しても提供するという答弁がありましたが、その中身です。
 具体的に聞きますが、ある年齢を超えたらこの治療は行ってはならないというような制限というのは、これは医療保険制度、後期高齢者医療制度でそんなことをやってはいけないと思いますが、こういったことはどうお考えになりますか。
#295
○政府参考人(水田邦雄君) 我が国の医療保険制度におきましては、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保すると、これ繰り返しておりますけれども、国民皆保険制度の理念を前提としているものでございます。医療保険制度の性質上、特定の診療行為そのものを排除するような制度になることはないものと考えております。
 いずれにせよ、今、後期高齢者医療制度における診療報酬、検討しているわけでありますけれども、必要かつ適切な医療の提供を前提として後期高齢者の心身の特性を踏まえた体系としてまいりたいと考えております。
#296
○小池晃君 ちょっと別の聞き方したいんですが、ある年齢を超えた場合に、同じ医療行為であっても診療報酬点数が、例えば七十五歳過ぎたら下がるというようなこともこれは医療の保障という点ではあってはならないと考えるんですが、この点はいかがですか。
#297
○政府参考人(水田邦雄君) 基本的にもちろん、これは繰り返しになりますけれども、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するということを前提にしているわけでございます。
 ただ、一見して同様の医療でありましても、患者の特性に応じた報酬の設定としている例といたしましては、現在の乳幼児加算等がございます。同様の医療について異なる報酬とすることが一概に不適切であるとは言えないものと考えております。
 いずれにしましても、高齢者の心身の特性を踏まえたものとしていきたいと考えております。
#298
○小池晃君 それは加算でしょう。加算だったらいいと思いますよ。例えば、後期高齢者だったら手間暇掛かると、いろんな配慮が必要だと、だから加算するというようなことはそれはあり得ると思う。減点するということはあっちゃならないんじゃないんですか。いかがですか。
#299
○政府参考人(水田邦雄君) 経済的には両者の関係、相対的な関係が違うという点では加算方式、減算方式、いろいろあろうかと思います。加算方式というのは、一つのやり方として年齢によって一概に言えないという例としては使えるものだと思います。
#300
○小池晃君 私、今の答弁聞くと非常に不安になるんですね。果たして後期高齢者に対しても必要な医療が提供されるのか、手抜き医療になるんじゃないか、そういう不安が増してくるわけであります。
 大臣、私、原則確認していただきたいと思うんですが、そもそも年齢による医療内容の差別というのはあってはならないということになるんじゃないか。後期高齢者医療制度、これから構築していく上でやっぱりこの考え方、年齢による差別は行わないんだということをはっきり明言していただきたいと思うんですが、いかがですか。
#301
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほども保険局長から御答弁申し上げましたとおり、まず私どものこの保険による医療制度というのは必要かつ適切な医療を保険診療によって確保すると、こういうことを理念としているわけでございまして、その中身において、必要かつ適切な医療の中身においてどうするかということですが、年齢も含め患者の特性によってふさわしい医療の内容は異なるというふうに考えておりまして、重要なことは患者の特性に応じて、また重ねて申しますが、必要かつ適切な医療が提供されることである、このように考えております。
#302
○小池晃君 差別をするべきでないと、しないというふうに言えと言っても言わないわけですね。適切な年齢に応じた医療だということになれば、後期高齢者にはそれにふさわしい水準の医療ということで、これ手抜き医療になる危険性はありますよ。今の答弁ではそういう危険を本当に私は強く感じるわけです。非常に重大な人権問題だというふうに思います。
 しかも、どういう議論が出てきているかというと、昨年末に国保中央会が後期高齢者医療制度に対してはフリーアクセスを制限する、支払方式はいわゆる人頭払いを導入するということを提案しています。極めてこれ重大だと思います。いつでもどこでもだれでもというのは日本の医療の最も優れたフリーアクセスの利点だというふうに思うんですが、これを阻害されれば正に日本の医療の質の低下が深刻になる。イギリスでは既にこの人頭払いは破綻しているわけですね。
 厚労省の特別部会の後期高齢者医療の在り方に関する基本的な考え方でも何て言っているかというと、後期高齢者を総合的に診る医師ということが強調されているんです。この総合的な診療能力を持つというのは、これは国民の要求でもありますし、私、これ異論はありません。しかし、これが国保中央会の提案のようにフリーアクセスを阻害するような人頭払いにつながる、こういうことになってくると、これ極めて重大だと思うんです。
 局長、この人頭払い制度を念頭に置いて後期高齢者医療制度の制度設計を行うようなつもりが、これはもうよもやないと思うんですが、そういったことはないんだということを、これ、きっぱりはっきりこの場で言っていただきたい。いかがですか。
#303
○政府参考人(水田邦雄君) 後期高齢者医療制度の診療報酬の在り方につきまして、御指摘のとおり社会保障審議会の特別部会において検討を行っているところでございます。ただ、ここでの検討は二つの段階を経ようと考えておりまして、一つはまず、後期高齢者にふさわしい医療の在り方についてまず検討して、そのふさわしい医療を提供するに当たってふさわしい診療報酬体系とは何かという、それが次のステップだと考えております。
 この当該部会におきまして先月取りまとめられました後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方におきましては、正にこの後期高齢者にふさわしい医療の体系といたしまして、複数疾患を抱える後期高齢者を総合的に診る医師が在宅医療等を提供することが望ましいとされているわけでございます。これは、特定の診療報酬の支払方式まで現時点で念頭に置いたものではございませんで、在宅医療等を担当する医師として総合的に診る医師が望ましいという医療の在り方について御指摘をいただいたものと理解をしてございます。
 この次のステップであります後期高齢者の診療報酬体系につきましては、御指摘の国保中央会の提言を始め様々な団体から御意見をいただいているものと承知してございますけれども、具体的な診療報酬内容につきましては、現在行っております、この基本的考え方についてパブリックコメントをやっておりますので、その結果なども考慮に入れつつ後期高齢者の心身特性にふさわしい診療報酬について検討を進めていきたいと、このように考えております。
#304
○小池晃君 自己負担についてもお聞きしたいんですが、経済同友会が最近提言出しまして、七十四歳までは患者負担三割、後期高齢者は二割というふうにしています。
 患者負担増というのはこれまでも繰り返し行われて、結局、受診抑制から、早期発見、早期治療を遅らせる弊害ばかりが目立つわけでありますが、大臣、私はこれ以上の高齢者の自己負担の引上げなどは断じて認められないと思うんですが、後期高齢者制度を進めていく上で、患者の自己負担を増やす、こんなことは毛頭考えていないというふうに思うんですが、見解はいかがですか。
#305
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、さきの通常国会におきまして成立した健康保険法等の一部を改正する法律におきまして、平成二十年四月から、現に三割負担をしている六十五歳から六十九歳の方については引き続き三割負担をお願いする、それから七十歳から七十四歳の方については応分の負担をしていただくということで二割負担、それから七十五歳以上の高齢者についてはこれは引き続き一割負担ということでございます。現役並みの所得を持たれる方については、これは三割ということを決めているわけでございます。
 したがいまして、御指摘の団体の提言にあるような患者負担の見直しが予定されているわけではございません。
#306
○小池晃君 そのほか医療にかかわる問題、幾つか聞きます。
 歯科診療における診療報酬についての独自ルール、いわゆるローカルルールという問題です。これは一昨年四月の当委員会で、神奈川県でそういう県の独自ルールを保険医の皆さんに押し付けているという実態を私紹介しまして、そのとき水田局長も、診療報酬の解釈は全国統一だと答弁されました。
 これ白紙撤回ということになったようですが、その後の歯科医や医療機関への周知というのはどのように行われているか、御報告願います。
#307
○政府参考人(水田邦雄君) 委員御指摘のいわゆる四者協議でございますけれども、これにつきましては、前回御答弁申し上げましたように歯科診療報酬の算定要件にかかわる全国統一の取扱いがございます。協議すること自体は認識を共有するという意味で意義があるわけでありますけれども、こういった個別の事案について詳細な取決めが行われているという神奈川県の事例、これについて県独自の解釈が行われていると、こういった誤解を招くおそれがあるのではないかと考えられたことから四者協議の場で白紙撤回ということを決めたわけでございます。これは、昨年九月にこの四者協議の場におきまして白紙撤回する旨の合意がなされたものと聞いております。
 その後の周知につきましては、社会保険事務局におきまして取決めの周知を行った医療機関に対しましてその周知を図る、あるいは国民健康保険団体連合会及び神奈川県歯科医師会につきましては、広報誌や事務連絡等を通じまして医療機関等へ周知しているものと聞いてございます。
#308
○小池晃君 支払基金だけが周知の努力をしていないようなので、これは撤回したことを周知するように厚生労働省からも指導をしていただきたいというふうに思います。
 それから、神奈川県で行われているようなこういう四者協議あるいはローカルルールというのは全国でどうなっているか調査を求めましたが、その結果をお示しいただきたい。
#309
○政府参考人(水田邦雄君) 社会保険事務局、支払基金、国保連合会及び歯科医師会、これで四者協議と言っているわけでありますけれども、こういった協議は全国で神奈川県を含め四つの県で存在していると承知をしてございます。秋田県、長野県、神奈川県、和歌山県でございます。ただ、この四者協議におきましては、歯科診療報酬の請求や算定の基準等に関する情報の共有化を図っているものと聞いておりまして、これ自体否定すべきものではないと考えてございます。
 ただ、この四者取決めがもうローカルルールになるのではないかということも御指摘になったわけでありますけれども、こういった神奈川県以外の三つの県におきましては、神奈川県と同様の取決めを行ったところはないものと聞いております。
#310
○小池晃君 診療報酬の解釈は全国統一だという原則ですから、こういうローカルルールのようなものはもう根絶するように引き続き指導を求めたいと思います。
 それから、社団法人日本口腔インプラント学会が専門医制度規程を作っております。この規程の案の段階では、専門医資格の条件の一つとして日本歯科医師会会員であることということが挙げられています。しかし、専門医の認定に必要な技術水準の指標と、職能団体である歯科医師会への加盟ということは何の関係もないはずだと思います。
 医政局長にお伺いしますが、専門医制度の在り方から見ていかがなものかと私は思うんですが、見解はいかがですか。
#311
○政府参考人(松谷有希雄君) 専門医につきましては、それを広告するに当たっては国が定めた一定の要件を満たすことを求めているところでございますけれども、それぞれの専門医自体の認定要件につきましては各学会において独自に定めておりますものであることから、社団法人日本口腔インプラント学会の判断につきまして厚生労働省としてコメントする立場にはないというふうに考えております。
 なお、そもそもこの学会は専門医を広告できる団体では現在ございません。なお、お尋ねをいただいた件につきましては、社団法人日本口腔インプラント学会に照会したところ、専門医の申請資格については、案の段階では日本歯科医師会員であるとなっていたものが、今先生御指摘のとおり、日本歯科医師会員であることが望ましいに修正されて、本年三月二十九日付けで施行されたと聞いております。
#312
○小池晃君 専門医資格の条件として歯科医師会員であることがなぜ望ましいのかというのは、私、歯科医師会員であるというのは変わったと言うけれども、ますます疑問が深まるわけで、これは問題提起はしておきたいと思います。
 最後に、レセプトオンラインシステムの問題についてお聞きしたいんですが、昨年四月の厚生労働省令の改正で、オンライン請求が来年四月から段階的に施行され、二〇一一年四月から原則義務化される。初めに断っておきますが、私はオンライン請求そのものを否定する立場じゃありません。それはやれるところは大いにやったらいいと思うんです。しかし、その義務としてすべての医療機関に押し付けるということ、しかも、その何というか、財政的保障などについてやはり問題があるのではないかという、そういう立場で質問をするんですが、最初に、そのオンライン請求の義務化には、これは法律による根拠というのはあるんでしょうか、簡単にお答えください。
#313
○政府参考人(水田邦雄君) 診療報酬のオンライン請求の法令上の根拠でございますけれども、これは平成十八年四月に、療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令を改正してこのオンライン請求を規定しているわけでございます。
 これは、健康保険法第七十六条第六項及び国民健康保険法第四十五条八項におきまして、保険医療機関又は保険薬局の療養の給付に関して必要な事項は厚生省令で定める旨規定がなされているわけでございます。先ほど申し上げました省令は、これらの法律の委任を受けたものでございます。法的環境はそのように整理をしてございます。
#314
○小池晃君 私が法律の条文読んでも、オンライン請求を義務化するところまで委任しているとはとても読めないんですね。
 この義務化というのは、これはいろんな意味で権利義務生じるわけですよ。その従来の方式全部変えるわけですし、猶予期間以外の救済規定はありませんし、費用負担についても代償措置もないんですね。
 こういうように新たな義務を開業医、医療機関に課すのに対して、法律の根拠なく省令の改正だけでやれるということがそもそも許されるんですか。
#315
○政府参考人(水田邦雄君) 既に電子請求につきましてはこれまでもやってきたわけでありますし、言わば電子請求をしてきたものをオンラインにつなげるだけでございますので、これは診療報酬請求の方法でございますので、特に問題はないかと承知しております。
#316
○小池晃君 いや、それはやりたいところがやるのは別にいいんですよ。義務にするわけでしょう。すべての開業医、医療機関にこれ義務にすることが、法律を変えることなく省令の変更だけでできるのかと、そういう権利義務の変更が。それを聞いているんですよ。
#317
○政府参考人(水田邦雄君) それは法令上の根拠のある省令に基づいて決められるものだと思っております。
#318
○小池晃君 いや、それは駄目ですね。それはさっき言ったように、法律上あの法律からオンライン請求を義務化するというところまで委任しているとはとても読めないですよ。こういうふうに、新たなかなり大変な義務を負わせることを私は省令だけでやるということ、すべてに義務にするわけですから、そもそもこれは許されないやり方だと、立法府としてはちょっと大いに考えなきゃいけない問題だというふうに思っております。
 しかも、非常に心配の声が上がっていて、神奈川県の保険医協会のアンケートでは、二〇一一年からのオンライン請求化に対応できるというふうに答えた人が三二・一%、残りの七割の人が不安の声を上げています。これは非常に厳しい質問なんですが、オンライン請求が義務化された場合に開業医を続けるかという問いには、一二%の方が辞めるというふうに答えているんですね。このアンケート調査を見ますと、やっぱり一番の不安は設備への費用投資です。要するに、レセコンがある方が八割ぐらい、しかし今のレセコンでそのままオンラインにつなげるのかどうかということでいうと、なかなか難しいという方も多い。そういう意味では、環境を整備するために様々な費用が掛かってくる、それを大変心配されているわけですね。
 一方で、審査支払機関については昨年度予算で三十億円の補助金が付いているわけです。審査支払機関にはオンライン義務化に当たって三十億円補助金を出しながら、診療側には何の財政援助もなくもう全部オンライン義務化しろ、これはあんまりじゃないですか、こういうやり方は。いかがですか。
#319
○政府参考人(水田邦雄君) レセプト請求の電算化、オンライン化ということでございまして、導入時点で一定の経費が必要になるわけでありますけれども、導入後におきましては、膨大な紙のレセプトの印刷あるいは編綴作業あるいは提出前の院内チェックが効率化されると、こういった医療機関にとってもメリットが大きいわけでございます。
 財政援助ということでございますけれども、十八年七月の診療報酬改定におきましてIT化を集中的に推進するという観点から、平成二十二年度まででございますけれども、電子化加算を新設したところでございます。さらに、医療機関ごとに異なる傷病名等のコードを電子レセプト用の統一コードに変換するための支援ソフトを私ども厚生労働省で開発し、医療機関に提供したところでございまして、こういったところで初期費用の軽減を図るということができるものと考えております。
#320
○小池晃君 IT加算は初診料三点ですよ。これで設備投資の費用だって言えるんですか、胸張って。全然足りないですよ、こんなんでは。私は、やはりこれだけのことを診療側に求めるのであれば、当然何らかのその経済的なインセンティブというのがあってしかるべきだというふうに思います。
 それから、私、最も重大だと思うのは個人情報の問題です。診療報酬請求データというのは最もデリケートな個人情報であるはずです。ところが、昨年三月三十一日の閣議決定、規制改革・民間開放推進三か年計画ではこう書いてあるんですね。レセプトデータについて、民間等も含め活用する際、過度の厳重な要件を課していたずらに利用を制限することのないよう、個人情報保護に配慮しつつも、データ利用・分析に係る利用資格・手続等の利用環境の整備を図る、こう言っているんですね。私、これ読むと、どうしても個人情報保護がまず第一ではなくて、民間ができるだけ活用しやすくするようにするんだと、その際個人情報保護も配慮するけれども、まずは民間の利用の活用だというふうにしか読めないんです。
 大臣、ここで言っている民間というのは一体何なのかというのもあるんですが、これでは、やっぱりこういう閣議決定では民間へのデータの提供が個人情報保護よりも優先するとしか私には読めませんし、大事なその患者情報が流出する危険性があるようなシステムを医療機関に対して財政援助もなく義務として押し付ける、こういうやり方には到底理解が得られないのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
#321
○国務大臣(柳澤伯夫君) レセプトデータというのは今委員の御指摘のとおりでありまして、非常に高度な個人情報であるということでございまして、その保護には万全を期すことは当然であると、このように考えます。このため、収集、分析に当たっては、個人情報保護に十分留意して、匿名化技術の活用によりまして、個人名等を特定できない形で行うことといたしております。
 また、収集したデータについて、国以外にどこまで利用を認めるかなど、利活用の在り方につきましては、個人情報の取扱いに十分留意しながら、有識者や関係団体の方々の御意見も踏まえ、今後、慎重に検討していかなければならないと、このように考えております。私自身も、この関係のいろいろな内閣における会合では、その点は常に強調をしているというところでございます。
#322
○小池晃君 大臣の今の答弁と、私は閣議決定の三か年計画のニュアンス大分違うようにお聞きをしました。個人情報保護第一にこの問題はやっていくんだということでやっていただきたいと思います。
 終わります。
#323
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず初めに、看護職員確保対策、教育訓練についてお聞きをいたします。
 この委員会でも何度も議論になっておりますが、看護師等の確保困難が深刻化をしています。しかし、看護職員不足への国の対応が明らかになっておりません。看護職員の数すら明確に明らかになっていないという点が問題です。
 まずは、保健師、助産師、看護師の国家免許について、医師や歯科医師、薬剤師などと同様に免許の届出を制度化していくことが必要だと考えますが、いかがですか。
#324
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のとおり、現在、看護職員の届出につきましては、業務従事者に義務を課しているところでございまして、未就業者については義務化はされていないところでございます。
 看護職員の免許保持者に届出義務を課すことにつきましては、平成十七年度に実施されました医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会において検討されたところでございますけれども、国家資格であることから、免許を交付した者の動向を把握することは当然であるといったような積極的な意見があった一方、仮に医師等と同様の届出制を導入したとしても、現在、免許を保持している潜在の看護職員から届出がなされることは実際上期待しにくく、また届出をしない者に対して、医師等については罰金をもって届出義務を課しているわけですけれども、罰金を課すことは過大な負担となる等の慎重な意見もございまして、今般の医療制度改革には盛り込まれなかったところでございます。
 看護職員の確保につきましては、まず、潜在看護職員を再就労させるための研修や、多様な雇用形態の促進等の措置を鋭意進めることで現下の問題に対応していきたいと考えております。
#325
○福島みずほ君 現行では、勤務地の都道府県知事に業務従事者届出を行うことと定められています。このため、就業していない保健師、助産師、看護師は現在、おっしゃるとおり、届出をしておりません。
 ただ、非常にもったいなくて、せっかく国家試験があり、難しい試験を通って、そして辞められたり今休業していらっしゃる方もいらっしゃるわけで、その把握すらないわけですよね。むしろ、そういう人たちを発掘をしたり把握をして応援していくということもやる意味から、これは届出を制度化していくことが必要だと考えますが、大臣、いかがですか。いや、大臣。結構です。
#326
○政府参考人(松谷有希雄君) 最初に私から、恐縮ですけれどもお答えをさせていただきます。
 御指摘のとおり、潜在の看護師さんの中で大変やる気のある方もたくさんいらっしゃるというふうに思います。現在、各県でナースバンクというものを設けまして、そこに登録等をしていただくような仕組みを設けているところでございまして、積極的な方は多分そういうところでも把握できるんじゃないかと思っております。
 もちろん、委員御指摘のとおり、義務を課して、あらゆる看護師さんの免許保持者に、保持をしている方に義務を課して届出をするというのも一方法だとは存じますけれども、先ほど申し上げましたように、潜在看護師さんのうち、すべての方にそれを、義務を課すことについてのいろいろな様々な立場からの御意見、ましてや罰金を課すということについての様々な御意見等もございますので、ここは引き続きの検討課題ではないかと私ども事務的には考えております。済みません。
#327
○福島みずほ君 医師不足についてはまた聞きますが、看護師不足もあって、こういう人たち、保健師さん、助産師さん、看護師さんを応援したり養成したり、あるいはここにいらっしゃるとか、いろんな対応策が非常に必要だと。確保困難の深刻化が叫ばれているにもかかわらず国の方針がはっきり見えないというふうに考えています。
 登録している人しか分からないというのであれば、じゃ、今休んでいる人やそうでない人にどうアプローチするのか、国が国家試験という形でやっているにもかかわらず、どうして把握すらしていないというのは変だと、こう思うんですね。ですから、やはりそれは届出をしていただいて、その皆さんに積極的に働き掛けるなど、深刻な看護師不足をどうやってやるかというのはとても必要だと考えますが、大臣、いかがですか。これは要望も非常に強いのですが、いかがですか。
#328
○国務大臣(柳澤伯夫君) 失礼しました。
 潜在看護師の方をもう一回現役復帰していただくということが、いろいろ我々検討する中で非常に重要な柱になっているわけでございます。
 確かに今、福島委員が御指摘になられるように、それではその把握の体制はどうなのかと言われますと、言わば、何と申しますか、現に今働いていらっしゃる方々の口を通じて昔の同僚であった人とか友人とかを誘い合わせるというようなことが現実の姿であるということでございます。
 じゃ、それから今度は一足飛びに委員が今提案なさるように登録制にしてそれを義務化したらどうかということでございますけれども、まあ何とかそこまでいかない前に我々知恵を絞りたいと、このように考えておりまして、潜在看護師の方々の現役への復帰というか、フルの形でなくても復帰をしていただいて、この看護師の今の厳しい状況に何とか力をかしてもらいたいという方法を考えてまいりたいと思います。
#329
○福島みずほ君 医師、歯科医師、薬剤師は届出なわけですよね。だから、どうして同じようにできないのかというのが理解ができないんですが。
#330
○政府参考人(松谷有希雄君) 医師、歯科医師、薬剤師につきましては法律をもって届出を義務付けておりますけれども、看護師につきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな立場の御意見もございまして、今そういう形にはなっておらないという状況でございます。
 潜在看護師の方はたくさんいらっしゃるのは事実でございます。その方々の中に意欲のある方もたくさんいらっしゃるということでございますので、各県看護協会のネットワーク、あるいは看護師さんは必ず学校を卒業されていますので学校の卒業生、同窓会のネットワーク、あるいはかつて働いた方でありますとその職場のネットワーク、いろいろな場面で具体的な把握ということをして潜在看護師さんの復帰あるいは研修ということに努めると、そういうことが実際問題としては有効なのではないかなと思っておりまして、私どもはそういうことに努力をしているところでございます。
#331
○福島みずほ君 医師や薬剤師の人も実際は免許を持ちながらちょっと休んでいるとかいう方が多いように思います。同じようなことで、にもかかわらず、これは届出制であると。潜在看護師さんたちの把握を要するにそういう人づてでしかやれないということがちょっとやはり問題ではないかと。
 つまり、厚生労働省が深刻な看護不足の中でどういう方針でどう活用しているかの全体像が見えないと。実際、免許は持っているけれども、届出をしているんだけれども、たまたまというか、休業している薬剤師さんやお医者さんというのは私たちも存じ上げているわけで、看護師さんは何でその把握すらしないのかというのが、それはやはり潜在看護師さんたちを掘り起こす方が、准看護師さんとかいろいろ問題になりましたけれど、よっぽど先決してやった方がいいというふうに、こう思っております。是非、大臣、うんうんとうなずいてくださっていますが、これ、是非検討していただきたいんですが、いかがですか。
#332
○国務大臣(柳澤伯夫君) うんうんとうなずいていると仰せられましたけれども、とにかく私ども、委員の提案も一案と思いますけれども、とにかく何か具体的なことを考えていかなければならないという意味合いで、私、今委員の言葉に耳を傾けていたというところでございます。
#333
○福島みずほ君 大臣がうんうんうなずいて耳を傾けてくださっているというのは大きいことなので、私自身は潜在的にそういう人がいるのはやっぱり正直言ってもったいないと、こう思うんですね。働ける環境とチャンスがあれば、せっかく免許を取ってもったいないと、こう思うので、厚生労働省としても、やはり届出にして、しっかりいろいろアプローチをして、人づてで、口コミでというのはもう前近代的なことですから、それは積極的に、この深刻な看護不足を労働条件の向上も含めて厚労省がやっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 うんとうなずいてくださったので、よろしくお願いいたします。
 看護師の教育については、看護基礎教育の充実に関する検討会が開催され、報告書案が提示をされています。しかしながら、医療が高度化する中で看護教育は六十年間変わっておりません。必要な教育や訓練をより抜本的に検討していく必要があるのではないか、まずは基礎教育三年の見直しも含めて検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
#334
○政府参考人(松谷有希雄君) 看護の基礎教育につきましては、御指摘の看護基礎教育の充実に関する検討会を昨年三月より開催をいたしまして、今年の四月十六日に報告書が出されたところでございます。
 この中で、現行の制度内でのカリキュラムの改正が提言されたとともに、「将来を見渡す観点からの望ましい教育のあり方に関する抜本的な検討を別途早急に行う必要がある。」という提言がされておりまして、今後、これを踏まえた検討を進めていきたいと考えております。
 また、免許取得者の研修につきましては、現在、業務に従事している者に対する業務経験に応じた資質向上のための研修を行うとともに、先ほどの話題になりました潜在看護職員につきましても、臨床実務研修等を行うモデル事業を実施しているところでございますが、さらに、本年度、新人看護職員に対する研修の在り方につきまして検討を行うことといたしておりまして、こうした取組を通じまして、免許取得者の資質の向上、維持にも努めていきたいと思っております。
#335
○福島みずほ君 教育科目数が増えている一方で、教育実習時間は削減の方向にあります。一分野における実習時間は七分の一に縮小しており、明らかに不足しているのではないか。実習での研修が重要と考えますが、いかがですか。
#336
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療は一切現場の仕事でございますので、実習は大変大事な科目であるというふうに考えてございます。今回の看護基礎教育の充実に関する検討会におきましても、この点は指摘されたところでございます。
 カリキュラムの改正では、実習の総時間は変更になっておりませんけれども、シミュレーターを用いた実習等の強化等が提言されているところでございます。
#337
○福島みずほ君 基礎教育だけではなく卒後の教育についても、届出制と連動して定期的な研修制度を設けるなど検討するため、抜本的に看護教育の在り方を検討する場を設ける必要があると考えますが、いかがですか。
#338
○政府参考人(松谷有希雄君) 免許取得後につきましても、おっしゃるとおり技術が進歩いたしますので、この分野につきましては引き続きのいろいろな研修の場面というものが必要だというふうに考えております。
 現在、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、業務に従事されている方に対する業務経験に応じた資質向上のための研修というのが行われておりますが、また、潜在看護職員が復帰するに当たりまして、臨床実務研修等を行うモデル事業も実施をしていると。また、今年度、新人の看護職員に対する研修の在り方についての検討も行うというようなことで、様々な面から看護職員の研修については国としてもバックアップしていきたいと思っております。
#339
○福島みずほ君 是非、抜本的に看護教育の在り方を検討する場を設けてくださるようお願いいたします。
 次に、医師不足についてお聞きをいたします。
 初期臨床研修制度により医局制が崩壊をしましたが、それに代わって地方の医療をカバーする制度が崩壊し何らサポートが行われていない現状です。医師のキャリアの中で、数年間を地方での医療活動を義務付けるなどの制度づくりが必要ではないかと。自治体でやっているところもありますが、国がやはりこれはきちっと制度を整える必要があるのではないか、改めてお聞きをします。
#340
○政府参考人(松谷有希雄君) 臨床研修制度が新たに十六年から必修になりまして、大学のいわゆる医局というものが少し弱体化をしたのではないかという御指摘がございます。
 医局は制度ではございませんけれども、もちろん初期の臨床研修で大学に残る方がかつては七、八割いらっしゃったんですけれども、今半分を切るぐらいになっておりますが、初期臨床研修の二年間だけを見ましても、しかし半分近くの方は大学にいらっしゃるということで、いわゆる医局というのが崩壊をしたわけではないけれども、かつてのような一〇〇%近くを誇っていたような時代ではなくなったというのは事実かと思います。
 今御指摘の、地域での地方勤務の義務付けはどうかということでございますけれども、地域で安心、安全な医療を提供するという観点から一つの御提案ではあろうというふうに思いますけれども、へき地での従事経験を病院、診療所の管理者の要件にするということについて、医療制度改革の際にも議論がなされたところでございます。社会保障審議会医療部会における議論の中で、地域医療は破綻の危機にあってすぐにやるべきだという賛成論があった一方、方向性は分かるけれども、詰めるべき点も多く拙速はよくないというような反対論等も、慎重論等もございまして、賛否両論があったわけでございます。
 また、審議会以外からもいろいろな御意見がございまして、慎重な御意見等もございます。また、法制上も整理が必要な点が多々あるというところで、医師に対するへき地などの医師不足地域での勤務義務付けの制度化につきましては、この時点では慎重に検討すべきものとされたところでございまして、またいろいろな意見を聞きながら慎重に検討をしてまいりたいと思っております。
#341
○福島みずほ君 地域や過疎地で働く医者の研修が保障されない中で、制度やカリキュラムがはっきりしている大都市での勤務を希望する志向があるのではないかと。弁護士も偏在があったんですが、積極的に地方に応援して出すというカリキュラムを作り、また戻すということで、若い人たちが地方に行くということがドラマになったり、増えているというふうにも思っています。
 地域医療に携わる医師の研修制度の充実のための施策について厚労省は検討すべきと考えますが、いかがですか。
#342
○政府参考人(松谷有希雄君) へき地での病院等で勤務するお医者さんにとりまして、新しい治療方法等の最新の医療を学ぶ機会があるということは、へき地医療の質を向上させるためからも、また医師がへき地勤務のために最新の医療から取り残されてしまうことのないようにするためにも重要であると考えております。
 都道府県におきましても、一定期間へき地の病院において勤務した後、地域の拠点病院勤務あるいは実質的な研修が行われるような制度を設けるなどの取組が行われておりますが、厚生労働省におきましても、今年度の予算事業といたしまして、へき地病院で勤務する医師が一定期間地域の拠点病院、マグネットホスピタルにおきまして勤務をし、最新の医療を行うことができるような事業を入れたところでございまして、へき地に勤務しているお医者さんのキャリアアップを図るとともに、地域の医師確保にもつなげていきたいと考えているところでございます。
 委員御指摘のとおり、へき地の勤務ということについては、そのバックアップ、研修ということ、それがまた魅力にもなるということであろうかと思っております。
#343
○福島みずほ君 是非、一定期間を、例えば代替の医師を派遣して先端の医療技術に触れたり、症例の多い病院で研修するなど、具体的にやっぱり人が動けるというような形も是非厚労省がやってくださるようお願いいたします。
 どういう形で解消できているかということについて、またこの委員会で将来、質問させていただきますので、よろしくお願いします。
 産科医不足が叫ばれておりますが、産科医だけではなく心臓血管外科などの外科など、肉体的にもハードな分野での医師の不足が指摘をされています。それぞれの分野でどれぐらいの医師を確保するかという目標、めどはあるのでしょうか。
#344
○政府参考人(松谷有希雄君) 医師数全体につきましては、その供給、需要等の見通しというものを折に触れて検討しているところでございますけれども、診療科別の医師につきましては、単に疾病ごとの患者数だけから推計できるというわけではございませんし、また医療技術の向上、患者さんの受診行動の変化、また地理的な要因、様々な要因によって変わり得るものであることから、その必要医師数を示すということはなかなか困難ではないかと思っております。
 なお、産科のお医者さんにつきましては、現在、出生百五件当たり一人というような状況となってございまして、過去十年間を見ますと、出生数比ではほとんど変化がないというような状況にございます。
#345
○福島みずほ君 産科医不足についてお聞きをいたします。
 出産場所の集約化が進められています。医師単独の判断や対応を避けるための施策とも言えますが、他方、妊婦さんに大変な困難も強いています。集約化に伴って起こっている妊婦さんの困難に対してきめ細やかな対応は必要ではないか、妊婦の不安感を取り除いていくことが必要であると。例えば、搬送の体制、助産師さんによる応援の体制、妊婦さんの移動手段、生まれるまでの生活する拠点、宿泊施設など、何も対応が行われていません。
 このような点に関する国の施策についてはどのように検討されているのでしょうか。
#346
○政府参考人(大谷泰夫君) 産科医療につきましては、今御指摘ありましたように、限られた医療資源を重点的かつ効率的に配置して、医療機関相互の連携体制を構築していくことが大変有効でございます。このために、都道府県が中心となりまして、地域の医療関係者や住民の方々の意見を踏まえまして病院の拠点化を進めているところであります。その際、地域の病院の外来機能とそれから拠点病院の医療との連携を図る等、その地域の患者さんの医療へのアクセスに十分配慮した上で対応していくことが重要と考えております。
 今、患者さんの不安ということがございましたけれども、そうした動きの中で、地域によって患者の医療アクセスが懸念されるということがありますので、厚生労働省としまして幾つかの施策を講じているところであります。
 一つは、これまでも救命救急センターや総合周産期母子医療センターにおけるドクターカーの配備、あるいはITを活用しました遠隔医療の実施を行っております。また、平成十八年度補正予算におきまして、医療機関まで相当の時間を要し、容易に利用できない地域の患者あるいは家族を対象とした宿泊施設の整備を行う。また、平成十九年度予算におきましては、複数の離島が点在するような地域等におけるヘリコプターを活用した巡回診療の実施への支援等を盛り込んでいるところでございます。
 また、助産師との連携についてでありますけれども、これは新たな助産師の活用の方策につきまして現在調査研究を進めておりまして、その成果を踏まえまして対応を検討してまいりたいと考えております。
 今申しましたような各般の施策を推進することで、いわゆる集約化に伴います妊婦の不安感を取り除いてまいりたいと考えております。
#347
○福島みずほ君 集約化するのであれば、自然分娩の妊婦に対して人口比にどの程度の産科医を配置するのかという指針が必要だと考えますが、いかがですか。
#348
○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、出生当たりで見ますと、現在、出生百五件当たり産科医のお医者さん一人となってございまして、過去十年で見ますと、出生数比ではほとんど変化がないという状況でございます。人口比で見ますと、約一万二千人当たり一人というような状況でございます。
 先ほどの科別のお医者さんの数と同様でございますけれども、産科医の配置につきましては、各医療圏の面積あるいは交通アクセスなど、様々な地理的、社会的要因が関係するので、一概にその基準が決められるという性質のものではないと思っております。
 いずれにしても、百五件当たり産科医一人でございますので、絶対的に不足しておる、こういうような状況ではないというところでございます。
 なお、一般には、人口比よりもむしろ個々の医療機関における産科医の適切な勤務体制の確保あるいは医療機関間の連携が重視されておりまして、例えば、拠点となる病院では五人以上の産科医の配置や、緊急時には医療機関間で搬送を含めた緊密な連携を取るということとされてございまして、集約化、重点化に当たりましても、このような観点から助言、指導してまいりたいと思っております。
#349
○福島みずほ君 日本産婦人科学会も、人口三十万人から百万人、出生数三千人から一万人をめどに産科医療圏を確保するという提言をまとめています。少子化対策を国が言うのであれば、地域によって違いはあっても、最低限ナショナルミニマムとして、女性の人口や出生数に対して産科医の数を示し、ナショナルミニマムとしてこれをクリアしていくような施策を整備するための指針を整備すべきと考えますが、いかがですか。
#350
○政府参考人(松谷有希雄君) 先ほど申しましたように、最低基準、ミニマムというのをお示しするのはいろいろな社会的要因等もございますので簡単ではございませんけれども、現状、出生百五件当たり産科医一人、まあ、別に産科医と標榜されている方が全部お産を取り上げているわけではないので、お産を取り扱っているわけではございませんので、正確ではございませんけれども、少なくとも、年間一人当たり百五件という状況ですから、最低の水準というのはもっと高いレベルになりますので、今、ナショナルミニマムぎりぎりのところで何かかつかつしているというような状況では、マクロレベルではないという状況はあり得るかと思います。
#351
○福島みずほ君 もちろん、人口の少ないところなどでも今非常に困っているとか、ただ、埼玉県やいろんなところでもなかなか産科医が不足しているというのがあるので、是非、ある程度産科医療圏をきちっと確保し、助産師さんやいろんな病院もネットワーク化していくなど、みんなが安心するようなお産ができる指針とか、それを是非検討をお願いします。
 医療報酬の改正についても、厚生労働省は産婦人科についてアップしたと言っております。しかし、アップしたのは四十歳以上の初産など非常に少ないケースばかりです。これらの対象になる患者数は少なく、実際は減収の病院が出ているとの報告もあります。医療報酬の改正が産婦人科の財政的な問題を解決するに足るものになっていない面もあるのではないか、地域によっては国の財政的な支援等が必要と考えますが、いかがでしょうか。
#352
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が国の医療保険制度におきましては、正常分娩につきましては、これは疾病又は負傷に当たらないということから診療報酬の対象とはなっておりません。他方、帝王切開等の診療については診療報酬の対象としているところでありまして、平成十八年度の診療報酬改定におきまして、そうしたハイリスクの妊産婦に対する分娩管理については必要な評価を行ったということでございます。
 なお、分娩に際して支給される出産育児一時金につきましては、先般の医療制度改革におきまして、昨年十月から、少子化対策の観点や最近の分娩量の状況を踏まえまして、三十万から三十五万円に引き上げたところであります。さらに、正常分娩にかかわる費用について、各医療機関において、これを受けて適切な価格が設定されているものと考えております。
 なお、へき地につきましては、地域の特殊性に着目いたしまして、赤字の診療所に対する補てんとしての運営費の補助といった制度によりこの診療所を支援しているところでございます。
#353
○福島みずほ君 産婦人科、助産師さんいなければ女性は産むことができませんので、これは是非厚生労働省、力を入れてやっていただきたいと思います。
 産科医の不足が言われておりますが、三十歳半ば以下の産婦人科医のうち、女性の医師が半数以上です。
 日本産婦人科学会、女性医師の継続的就労支援のための委員会が中間報告を出していて、私もこれは読まさせていただきました。
 他方、肉体的にも精神的にも厳しい産科医も多くの女性たちと同じ問題を共有しており、現状の環境では育児との両立が困難であり、仕事を離れる女性医師が多いことも指摘されているところです。経験を積んで妊婦さんからも要望の高い女性医師が継続して勤務できる体制が子供を安心して産める環境の整備のために不可欠です。院内保育園の整備や変則勤務、交代制勤務、ワークシェアリング、専門職、非常勤、パート制度など重要な勤務体制の整備を厚労省は率先してやっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#354
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のとおり、産婦人科医の中に占めます女医さん、女性の医師の割合は、総数でいうと二割ちょっとでございますけれども、若手の方を見ますと半数を超え、二十代だけで見ますと六割台になっているというような状況でございます。
 各医療機関におきましても、また国といたしましても、出産、育児といった多様なライフステージに対応して女性医師の方々にも安心して診療に従事していただけるような環境の整備を進めていくということは、特に女性医師の多くなる産婦人科あるいは小児科、そして医師全体でも女性医師が増えてございますので、医師確保というような観点からも大変大事なことであるというふうに思っております。
 このため、国といたしましても、院内の保育所の運営費の一部を補助する事業で平成十四年度以降、女性医師の児童を対象に追加するなど制度の充実を図るとともに、退職した女性医師等に対する支援といたしまして、本年一月末から女性医師のライフステージに応じた就労を支援するための女性医師バンクを設立するなどの施策を講じているところでございます。
 委員御指摘のとおり、各学会等からも様々な取組が報告されておりますし、また病院ごとに女性医師の雇用、活用ということについていろいろな取組がされておりまして、私どももそういうヒアリングをさせていただいてございまして、これらを通じてまた女性のドクターが安心して就業できるような環境整備に引き続き努めていきたいと思っております。
#355
○福島みずほ君 引き続きだけではなく、引き続き以上に是非施策をやってくださるようお願いをいたします。また今後も質問していきたいと思いますので、若手の人たちも応援するようによろしくお願いします。
 次に、年金制度の不備についてお聞きをいたします。
 平成十六年度の生活保護の状況を見ますと、生活保護を受けている世帯約百万世帯のうち、四六・七%が高齢者世帯です。また、生活保護でも、医療扶助が五〇・四%を占めています。これは度重なる年金制度の改悪の結果であり、年金制度が機能しないがゆえに生活保護に頼らざるを得ない高齢世帯が増えているということだと考えます。
 ですから、本来の生活保護の制度そのものが変質をしている、もし年金制度がきちっとしていればこのように生活保護に高齢者が死ぬまで頼らなくちゃいけないという状況は変わるのではないか、生活保護が年金の代替をやっている、年金制度が壊れている分やっているのではないかというふうに思います。
 その結果、窓口での拒否など、本来の生活保護が必要な人に回っていかない現状があります。社民党が提案している最低生活、月額八万円を保障するような年金制度への転換が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#356
○政府参考人(中村秀一君) 今の福島委員から、生活保護が年金の肩代わりをしているんではないかというお話がございましたので、年金制度についての答弁は年金局長でございますが、一つは、生活保護についてちょっと委員のおっしゃっていることは違うんではないかということでお答えをさせていただきます。
 生活の保護の保護率は、平成七年度から今日まで十数年間上がってきておりますが、高齢者世帯、年金を受給する高齢者世帯の保護率は、ボトムの平成七年を一〇〇とすると最近は一〇七・六ということで、ほとんど高齢者世帯の保護率は上がっておりません。これに対しまして、全体の保護率は、平成七年を一〇〇とすると最近は一四六ということで、むしろ年金のない若い世帯の保護率が上がっているということでございます。これは逆に申し上げますと、年金のセーフティーネット機能があるから、生活保護の高齢者世帯の保護率が不況の中で全体の保護率が上がっている中でほとんど上がらないということで、私はむしろ年金制度のセーフティーネットの機能が示されていることがこの保護率の動向に表れていると思います。
 高齢者世帯のシェアが保護世帯の中で増えているのは、分母の高齢者人口が増えていることの反映がほとんどであると、こういうふうに考えております。
#357
○福島みずほ君 いや、同じことを違う立場で言っているような、つまり高齢者が増えているので、だからやはり高齢者の生活保護の受給者は増えているわけでしょう。私が問題にしているのは、本来その部分は生活保護ではなくて、医療扶助も含めて、本当は年金がきちっとしていれば、その高齢者の人たちは年金制度でやっていけるわけですよ。本来の生活保護は、生活を応援をして、できれば就労支援にいくとかという制度であったはずなのに、最後の最後のセーフティーネット、年金制度がもっとうまく機能していればそれは違うんではないかという指摘をしているわけです。
#358
○政府参考人(渡邉芳樹君) 済みません。年金制度の面から少し御説明を追加さしていただきたいと思います。
 皆年金制度ができました昭和三十年代から四十年代、実は高齢者世帯の収入における年金というのは、今に比べると随分低かったんでございます。その当時、高齢者世帯の被保護率というのは、三十年代は二〇%以上、四十年代でも一五%以上、こういうような時期が続いておりました。それから時代を経まして、高齢者世帯の収入における公的年金の割合というものが次第次第に上がり、平成に入って以降、六割台後半、七割近くというところになってきております。
 こういう長いトレンドで年金制度というものは成熟していくわけでございますので、三十年代、四十年代の一五%以上、二割と、こういうようなのと比べますと、平成の十年以降、今日におきましても四%台後半、こういうようなところにあると。年金収入に頼る度合いが高まるほど大きな目で見て高齢者世帯の生活保護に頼る率というものが下がっていく、そしてその状態はここ数年大きく変動していないということは、やはり成熟を重ねてきた年金制度の役割というものが十分果たされているというふうにまず考えるべきであるというふうに思っております。
#359
○福島みずほ君 今日はイントロダクションで、また継続してやりますが、年金制度が安心して高齢者が暮らせるなんて思っている高齢者がどれぐらいいるでしょうかということを、やっぱり私は本当に言いたいと。
 給付は下がるし保険料は上がっているし、老年者控除は廃止になって、年金の保険料、介護の保険料、健康保険料が上がり、さっきあるような天引きが行われ、住民税も上がって苦しいですよ。年金制度が壊れつつあるからこそ、そして生活保護は本来は一時期のものであって、就労支援にいくべきが、高齢者の人たち、医療扶助が、とにかくずっと年金ではなく生活保護に頼らざるを得ない、これはやっぱり仕組みとして間違っていて、安心できる年金制度、最低生活はちゃんと保障すると。最低保障年金、これは野党は、社民党も提案をしていますが、最低保障年金をきちっとつくって、年金制度が安心できるとして、生活保護はまた生活保護という制度としてやっていくべきだということを申し上げます。
 国民健康保険について一言お聞きします。
 政府は資格証明書の交付を国民保険料の滞納対策として義務付けました。しかし実際は、義務付け以降も全く滞納世帯の増加に歯止めは掛かっておりません。この現状はいかがでしょうか。
 また、一九八四年に国庫負担の比率を下げたことによって、二〇〇四年までの十年間に市町村国保に対する国庫の支出比率は四九・八%から三四・五%へ一五・三%も下がっています。この国庫負担の削減の結果が国民健康保険料を高くしているという面があります。よって国の抜本的な財政措置が国民健康保険について必要ではないか。いかがでしょうか。
#360
○政府参考人(水田邦雄君) まず、滞納世帯に対する資格証明書の話がございましたけれども、確かに滞納世帯数は増加してございますけれども、同時に全世帯数も増加しておりまして、全世帯数に占める滞納世帯の割合自体はほぼ横ばいの状態でございます。一定の歯止めが掛かっているものと考えてございます。
 また、保険料の収納率につきましても、平成十七年度に全国平均で平成七年度以来十年ぶりに上昇したところでございます。これは、平成十七年二月に資格証明書を含む総合的な収納対策を要請し、市町村が収納対策に積極的に取り組んだこと、それから都市部を中心にコンビニ収納あるいは収納コールセンターの設置など、新たな取組の効果も出始めているものと考えてございます。
 それからもう一つ、国民健康保険に対する国庫負担の割合が減っているんじゃないかということでございますが、見掛け上、昭和五十九年を境にいたしまして下がっておるわけでございますけれども、これは、昭和五十九年に退職者医療制度が導入されまして、サラリーマンOBである退職被保険者の医療給付費等につきまして、健康保険組合等の被保険者が交付金を国庫に拠出して賄うと、こういう仕組みが導入された結果でございまして、退職被保険者等以外の一般被保険者の医療給付費等に対する公費負担の割合は、平成十六年までの間、約五〇%で推移しているところでございます。
#361
○福島みずほ君 終わります。
#362
○委員長(鶴保庸介君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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